JP2022012526A - 防音天井構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】重量床衝撃音によって天井面板が振動することを抑制し、重量床衝撃音が下層階に伝搬することを低減することができる防音天井構造を提供する。【解決手段】本発明に係る防音天井構造は、建物の上層階の床構造に吊り下げて支持される天井板と、前記天井板の上面に載置される、複数のダンパ部材と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、防音天井構造に関する。
家、マンション、ビル等の複数階の建物においては、天井の表面デザイン性の確保、配線の収納、ダクトの隠蔽等のため、一般に、二重天井が採用されている。二重天井は、上層階の床スラブ等の床構造体に天井下地を吊持し、天井下地に下層階の天井板を支持させた天井構造で構成されている。
このような天井構造においては、上層階で、人の歩行、飛び跳ねや走り回り、椅子等の移動、物の落下等により床構造体が衝撃を受けることで生じる床衝撃音は、上層階の床構造体から階下の天井板を介して下層階に伝搬する。
床衝撃音は、床構造体、天井下地及び天井板等の衝撃により振動するものの重さや柔軟性等に応じて、広範囲の周波数の振動が発生し、床衝撃音が発生する。床衝撃音は、人の歩行、飛び跳ねや走り回り等のような重くて柔らかい物の衝撃等により発生する低域周波数の振動に起因する重量床衝撃音と、椅子等の移動、物の落下等のような軽くて硬い物の衝撃により発生する高域周波数の振動に起因する軽量床衝撃音とがある。重量床衝撃音は63Hzオクターブバンド(44.7Hz~89.1Hz)が、軽量床衝撃音は250Hzオクターブバンド以上の中高音域が、一般的にそれぞれの性能決定周波数とされている。このような床衝撃音は、下層階の居住者にとっては不快な騒音であるため、複層階の建物の上層階から下層階へ伝搬する床衝撃音を低減するため、種々の天井構造が検討されている。
例えば、建物下層階の天井下地材に複数のダイナミックダンパを分散配置して、建物上層階の床パネルの面密度を100kg/m2~120kg/m2とし、天井下地材の1m2当たりにおけるダイナミックダンパの重量を2kg~4kgとした建物の床・天井構造が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特許第5505199号公報
ところで、床衝撃音のうち、特に、重量床衝撃音は、衝撃によって生じる振動が上層階の床構造体の固有的な振動から発生する音で、そのまま天井を透過する音と、上層階の床構造と天井下地との間に形成された懐空気層(天井裏空間)が空気バネとして機能して天井板と共振することにより二次的に発生する増幅音とがある。そのため、下層階に重量床衝撃音が伝達することを抑制するためには、天井板の振動を抑制することが重要である。
しかしながら、特許文献1の建物の床・天井構造では、ダイナミックダンパは天井下地材の野縁受けにボルト及びナットで固定されているため、天井下地材の野縁受けと天井板との間で機械的損失が発生し易い。そのため、特許文献1のような構造を有する天井構造では、ダイナミックダンパを天井板に直接設置する場合に比べて、天井板の振動を抑制する効率が低下し、上層階の床構造体が衝撃を受けることに起因して生じる重量床衝撃音が下層階に伝搬するのを十分低減できないという問題がある。
そこで、本発明の一態様は、上記に鑑みてなされたものであって、重量床衝撃音によって天井面板が振動することを抑制し、重量床衝撃音が下層階に伝搬することを低減することができる防音天井構造を提供することを目的とする。
本発明の実施形態に係る防音天井構造の一態様は、建物の上層階の床構造に吊り下げて支持される天井板と、前記天井板の上面に載置される、複数のダンパ部材と、を備える。
本発明の実施形態によれば、重量床衝撃音によって天井面板が振動することを抑制し、重量床衝撃音が下層階に伝搬することを低減することができる。
本発明の実施形態に係る防音天井構造の構成を簡略に示す斜視図である。 図1のI-I断面図である。 図1のII-II断面図であり、吊りボルトの床スラブとの接続構造を示す図である。 クリップの斜視図である。 図1のIII-III断面図であり、クリップの断面を示す図である。 天井板にダンパ部材が配置されている状態の一例を示す説明図である。 ダンパ部材を示す斜視図である。 衝撃音が伝わる状態の説明図である。 防音天井構造の他の構成の一例を簡略に示す図である。 第2の実施形態に係る防音天井構造の構成を、図1のI-I方向から見た断面図である。 カバー部材でダンパ部材が覆われている状態の一例を示す斜視図である。 カバー部材でダンパ部材が覆われている状態の他の一例を示す斜視図である。 第3の実施形態に係る防音天井構造の構成を簡略に示す説明図である。 第4の実施形態に係る防音天井構造の構成を簡略に示す斜視図である。 図14のIV-IV方向から見た平面図である。 図14のV-V方向から見た平面図である。 ダンパ部材の他の構成の一例を、図14のV-V方向から見た平面図である。 ダンパ部材の他の構成の一例を、図14のV-V方向から見た平面図である。 ダンパ部材の他の構成の一例を、図14のV-V方向から見た平面図である。 実施例1の防音天井構造の構成を簡略に示す図である。 実施例1及び比較例1の、各周波数域における天井板の音圧レベルの測定結果を示す図である。 実施例1及び比較例1の、各周波数域における天井板の振動加速度レベルの測定結果を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。なお、説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては同一の符号を付して、重複する説明は省略する。また、図面における各部材の縮尺は実際とは異なる場合がある。また、本明細書において数値範囲を示すチルダ「~」は、別段の断わりがない限り、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
[第1の実施形態]
<防音天井構造>
本発明の第1の実施形態に係る防音天井構造について説明する。図1は、本実施形態に係る防音天井構造の構成を簡略に示す斜視図であり、図2は、図1のI-I方向視である。図1及び図2に示すように、防音天井構造1Aは、建物の上層階の床スラブ(下層階の天井スラブ)2に垂下される吊り材(吊りボルト)10と、吊りボルト10に吊り下げられる、格子状の天井下地20と、天井下地20の下面に固定される天井板30と、天井板30の上に載置される、複数のダンパ部材40Aとを備える。防音天井構造1Aは、建物の上層階の床スラブ2の下面に下層階の複数の天井板30を吊り下げて支持し、床スラブ2と天井板30の間に懐空気層(天井裏空間)Sを形成する二重天井(吊り天井)を構成している。なお、床スラブ2は、上層階の床構造を構成する。
本明細書では、3軸方向(X軸方向、Y軸方向、Z軸方向)の3次元直交座標系を用い、天井下地20を構成する野縁受け21の長手方向をX軸方向とし、野縁22の長手方向をY軸方向とし、吊りボルト10の軸方向を高さ方向(厚さ方向)をZ軸方向とする。天井下地20から上層階の床スラブ2に向かう方向を+Z軸方向とし、その反対方向を-Z軸方向とする。以下の説明において、+Z軸方向を上といい、-Z軸方向を下という場合がある。
[吊りボルト]
図1及び図2に示すように、吊りボルト10は、その外周面にネジ溝が形成された金属製のネジ部材である。図3は、図1のII-II方向視であり、吊りボルト10の床スラブ2との接続構造を示す図である。図3に示すように、吊りボルト10は、その上端が床スラブ2の下部に設けた雌ねじに螺合して固定され、床スラブ2から吊り下げられている。吊りボルト10は、その下端がハンガ11の上端部111に設けた雌ねじに螺合して固定されている。吊りボルト10は、ハンガ11を介して野縁受け21を吊り下げて支持し、全体的に垂直に床スラブ2の下方に延びている。
ハンガ11は、図3に示すように、上下方向に長く配置される板金部材である。ハンガ11の上端部111は、直角に屈曲しており、その上端部111に吊りボルト10の下端を挿通させている。一方、吊りボルト10の下端には、一対のナット12が螺合している。吊りボルト10は、これらのナット12によって、上端部111を挟圧することによりハンガ11と連結されている。また、ハンガ11の下端は、フック状(U字状)に屈曲して野縁受け21の下部を受けている。野縁受け21とハンガ11とを固定金具13で連結し、ボルト14で固定している。ナット12を回転させて高さの位置を調整することで、吊りボルト10の下端に螺合されるハンガ11の高さを調整することができる。
[天井下地]
図1及び図2に示すように、天井下地20は、水平方向(Y軸方向)に沿って平行に配置される複数の野縁受け21と、野縁受け21の下面に配設され、野縁受け21と直交する水平方向(X軸方向)に沿って平行に延びる複数の野縁22とを備えている。野縁受け21及び野縁22は、それぞれの建物の室内の対向する壁面に亘って配置される。
野縁受け21は、Y軸方向に一定の間隔を隔ててX軸方向に平行に配置され、吊りボルト10に螺合されるハンガ11によって保持されている。野縁受け21は、解放部分を側方へ向けるように配置された溝形鋼材からなり、上下一対のフランジ211と、一対のフランジ211の長手方向に沿った一端部同士を連結するウエブ212とを備えている。野縁受け21を構成する材料の形状は、限定されるものではなく、例えば、L字鋼、矩形断面の形材の鋼材、軽溝鋼又はリップ溝形鋼等を使用することができる。野縁受け21の材質は、限定されるものではなく、例えばアルミニウム合金やステンレス鋼や木材等を用いることができる。野縁受け21として、具体的には、JIS A 6517 建築用鋼製下地材(壁・天井)に規定された鋼製下地材を用いることができる。なお、野縁受け21として、一般に使用されている角型スタッド等の鋼製下地材を用いてもよい。
野縁受け21には、野縁受け21の軸方向に沿って、複数の固定具であるクリップ16が取り付けられている。
クリップ16は、野縁受け21と野縁22とを接続する金型部材である。図4は、クリップ16の斜視図であり、図5は、図1のIII-III断面図であって、クリップの断面を示す。図4に示すように、クリップ16は、側板部161と、上板部162と、上端側に上方に突出し、折り曲げ可能な引っ掛け部163と、下端側に幅方向両外側に突出する係合部164とを備える。取り付け前のクリップ16は、野縁受け21に取り付けられる際、野縁受け21及び野縁22が上下に互いに当接するように交差して配置される所定の取り付け位置に配置する。係合部164を野縁22の内部に開口部22aから野縁22に接触しないように挿入した後、開口部22aを横方向に向けて、上板部223に下方から当接させることで、野縁22の係合受部223aに係合させる。その後、クリップ16の側板部161を野縁受け21の上下のフランジ211と当接させ、クリップ16の上板部162をフランジ211に載置される。そして、引っ掛け部163を野縁受け21の下方へ略90°折り曲げる(図4に示す矢印参照)ことで、図5に示すように、引っ掛け部163を野縁受け21の上端側を巻き込むように野縁受け21の上端側に係止させる。これにより、クリップ16は、引っ掛け部163を野縁受け21の上部に引っ掛けると共に、係合部164を野縁22に形成される係合受部223aに係止させることで、野縁22を野縁受け21に固定する。
クリップ16は、野縁22の型に応じてシングルクリップ及びダブルクリップを用いることができる。野縁22がシングル野縁である場合には、クリップ16はシングル野縁に対応したシングルクリップを用い、野縁22がダブル野縁である場合には、クリップ16はダブル野縁に対応したダブルクリップを用いることが好ましい。
野縁22は、野縁受け21に対してクリップ16により取り付けられ、X軸方向に一定の間隔を隔ててY軸方向に平行に配置されている。野縁22は、図6に示すように、平面視において、野縁受け21に対して直交方向に取り付けられている。野縁22は、複数のクリップ16を介して野縁受け21の下側に支持された状態で取り付けられている。野縁22の形状は、限定されるものではなく、例えば、リップ溝形鋼、軽溝形鋼、L字形鋼等を使用することができる。本実施形態では、野縁22は、開口部22aを上方へ向けるように配置された溝形鋼材からなり、野縁22の断面形状が、図2に示すように、一対の側板部221と、両側板部の下端と水平に連続する底板部222と、底板部222と平行に各側板部221の上端から突出して対をなし、互いに水平方向に隙間を隔てて対向する上板部223とを有するリップ溝形鋼であり、その上板部223にはその長手方向に沿って係合受部223aが形成されている。野縁22の材質は、例えば、アルミニウム合金、ステンレス鋼、木材等を用いることができる。野縁22として、具体的には、JIS A 6517 建築用鋼製下地材(壁・天井)に規定された鋼製下地材を用いることができる。なお、野縁22として、一般に使用されている角型スタッド等の鋼製下地材を用いてもよい。
このように、野縁受け21に野縁22を野縁受け21に対して直交する向きで固定して支持することにより、平面視において野縁受け21と野縁22とが格子状に組み付けられた、格子状(クロス状)の天井下地20を構成する。天井下地20は、床スラブ2に固定された吊りボルト10の下端に野縁受け21を固定して支持され、野縁受け21に連結される吊りボルト10を介して水平に保持されている。なお、野縁受け21と野縁22との固定方法は、上記に限定されるものではなく、例えば、直接、ビスなどの締結用部品により固定してもよいし、溶接により固定してもよい。
[天井板]
図1に示すように、天井板30は、長尺の平面視略長方形状に形成された板状部材であり、野縁22の下面に固定され、天井下地20の下面を覆っている。天井板30は、隣接する天井板30の短手端面同士及び長手端面同士がそれぞれ一致するように配置されている。天井板30は、1枚で構成されているが、2枚以上積層して構成されていてもよい。天井板30が、2枚以上積層して構成される場合、一般に、それぞれの天井板30は目地が重ならないように積層される。そのため、天井板30が、2枚以上積層して構成されていれば、天井板30の上に設置されるダンパ部材40Aによる荷重を天井板30の積層方向に存在する複数の天井板30に分散させて支持することができるため、1枚当りの天井板30に加わる負荷を軽減することができ、好ましい。
天井板30は、公知の天井仕上げ材を用いることができ、遮音性に優れたものであることが望ましい。天井板30としては、合板やLVL等の木質積層板、パーティクルボード等の木質ボード、及びインシュレーションボードやMDF(中密度繊維板)等の木質繊維板等の木質系材料;石膏ボードやロックウールボード等の無機質系材料;解繊したケナフ長繊維にバインダーとして合成樹脂系接着剤等を加えてボード化したケナフボード;発泡ポリスチレン(発泡PS)や発泡ウレタン等の発泡系材料を用いることができる。天井板30は、これらの、木質系材料、無機質系材料、ケナフボード及び発泡系材料を1種単独で用いてもよいし、二種以上を積層した複合材料から形成されたものでもよい。
天井板30の大きさは、施工される室内の大きさ等に応じて適宜設計可能であり、好ましくは天井板30の幅(短手方向の長さ)が900mm~920mm、天井板30の長さ(長手方向の長さ)が1800mm~1840mmであり、一般には、天井板30の幅は910mm、天井板30の長さは1820mmに設計される。
なお、吊りボルト10、天井下地20を構成する野縁受け21及び野縁22の本数や配置は、天井板30の重量等に応じて適宜設定することができる。
[ダンパ部材]
図1及び図2に示すように、ダンパ部材40Aは、天井下地20に支持されている天井板30の上面に所定間隔で配置されている。これにより、X軸方向及びY軸方向に隣接するダンパ部材40Aは、それぞれ、間隔を隔てて点在した位置で、天井板30の上に載置されている。ダンパ部材40Aは、天井板30に、接着剤、粘着剤、両面テープ等で張り付けることができる。
ダンパ部材40Aは、所定の範囲の固有値(固有振動数)fを有している。ダンパ部材40Aの固有値fは、40Hz~80Hzであることが好ましく、より好ましくは40Hz~70Hzであり、さらに好ましくは45Hz~60Hzである。固有値fは、ダンパ部材40Aを構成する防振材41及び質量体42Aの両方の特性から決定される物性値である。固有値fは、ダンパ部材40Aを構成する防振材41のバネ定数により調整することができる。重量床衝撃音の遮音性能を決定する周波数は、63Hz帯域が殆どである。ダンパ部材40Aは、上記の好ましい範囲内に固有値fを有することで、天井板30の63Hz帯域の振動に同調して振動することができるので、63Hz帯域の音を効率良く低減させることができる。
ダンパ部材40Aは、隣接するダンパ部材40A同士が天井板30の上面に所定間隔で配置できればよく、格子状等に配置することが好ましい。
ダンパ部材40Aは、天井板30の上面に、天井板30の1m2当たり、4個~20個均等に配置されていることが好ましく、より好ましくは5個~15個であり、さらに好ましくは6個~10個である。ダンパ部材40Aが天井板30の1m2当たりに4個~20個均等に配置されていれば、重量床衝撃音に対する遮音性能の調整を行い易くすることができると共に、天井板30のダンパ部材40Aの設置箇所に加わる重量を低減することができる。
ダンパ部材40Aとしては、具体的には、ダイナミックダンパを用いることができる。ダンパ部材40Aがダイナミックダンパである場合、ダンパ部材40Aは、重量床衝撃音の遮音性能を向上させるため、例えば63Hz帯域の振動に同調して振動するように調整されることが好ましい。63Hz帯域の振動に同調して振動するように調整する際、ダンパ部材40Aを構成する防振材41のバネ乗数を調整することで行うことができる。
ダンパ部材40Aは、図7に示すように、防振材41と、質量体42Aとをこの順に積層して構成されている。防振材41と質量体42Aとは、接着剤、粘着剤、両面テープ等で接合させることができる。
防振材41は、略直方体状に形成され、質量体42Aを弾性支持している。
防振材41としては、ゴムからなる成形体、ゴム系発泡体、合成樹脂を含む発泡体、金属繊維を含む成形体、金属製のバネ材等の弾性部材等を用いることができる。
防振材41の大きさは、適宜設定可能であり、質量体42Aの投影面積以上であることが好ましい。すなわち、防振材41の平面視における面積が、質量体42Aの平面視における面積以上であることが好ましい。防振材41の平面視における面積を質量体42Aの平面視における面積以上に大きくすることで、ダンパ部材40Aは、天井板30の上面に重量負荷を与えつつ、質量体42Aの振動を早期に安定して収束させ易くなる。具体的には、防振材41は、一辺が4cm~8cmであることが好ましく、より好ましくは5cm~6cmである。本実施形態では、防振材41は、質量体42Aの投影面積よりも大きく形成されている。これにより、質量体42Aは防振材41の上面に安定して設置することができる。
防振材41の重さは、ダンパ部材40Aの質量と比較して殆ど無視できる程度の質量であり、ダンパ部材40Aの質量の10%以下とすることが好ましく、より好ましくは5%以下であり、さらに好ましくは2%以下である。
質量体42Aは、略直方体状に形成され、防振材41の上に設置されている。質量体42Aは、上層階の床において発生した衝撃音に伴って振動することができる。質量体42Aが振動することで、天井板30の振動が抑えられる。
質量体42Aの大きさは、適宜設定可能であり、防振材41の投影面積以下であることが好ましい。すなわち、質量体42Aは、平面視において、防振材41と同等又は小さめに形成されていることが好ましい。
質量体42Aは、防振材41の上面に安定して設置できるように、平面視における外形が防振材41と同一の形状であることが好ましい。
質量体42Aは、比重が2.5以上の材料を用いることが好ましく、質量体42Aとしては、金属製の錘、鋼材、石材、コンクリート等を用いることができる。
質量体42Aの質量は、0.11kg~1.11kgであることが好ましく、より好ましくは0.22kg~0.77kgであり、さらに好ましくは0.28kg~0.55kgである。質量体42Aの質量が上記の好ましい範囲内であれば、質量体42Aの振動の減衰を早めることができる。また、質量体42Aの質量が上記の好ましい範囲内であれば、重量床衝撃音に対する遮音性能を調整し易くすることができると共に、天井板30の負担が過度に大きくなるのを低減することができる。
天井板30の1m2当たりにおける質量体42Aの質量は、1kg~10kgであることが好ましく、より好ましくは2kg~7kgであり、さらに好ましくは2.5kg~5kgである。天井板30の1m2当たりにおけるダンパ部材40Aの質量が1kg~10kgであれば、天井板30の振動が抑えられ易くなると共に、天井板30へのダンパ部材40Aの設置箇所に加わる重量を低減することができる。
ダンパ部材40Aは、図6に示すように、天井板30の平面視において、天井板30の上面のうち、野縁受け21及び野縁22が配置されていない領域に配置されることが好ましい。天井板30の平面視において、野縁受け21及び野縁22が配置されていない領域に天井板30の短手方向又は長手方向の目地が位置するように設計されることが多い。そして、防音天井構造1Aの設計の強度の安定性の点から、天井板30の長手方向の目地は野縁22で固定されるように設計されることが多い。また、天井板30の短手方向の目地は野縁受け21で野縁22を介して固定されるように設計されることが多い。そのため、天井板30の平面視において、野縁受け21及び野縁22が配置されていない領域の方が、野縁受け21及び野縁22が配置されている位置に比べて、天井板30の振動が大きくなり易い傾向にある。よって、ダンパ部材40Aが、天井板30の平面視において、野縁受け21及び野縁22が配置されていない領域に配置されれば、天井板30の振動が大きくなり易い領域に配置させることができるため、天井板30の振動は抑えられ易くなり、床の重量衝撃音に対する遮音性能を効果的に高めることができる。
ダンパ部材40Aは、天井下地20に天井板30を貼り付けた後に設置してもよいし、予め天井板30に取り付けておいてもよい。
このように、防音天井構造1Aは、床スラブ2に吊りボルト10で吊り下げて支持される天井板30と、天井板30の上に載置される、複数のダンパ部材40Aとを備える。防音天井構造1Aは、天井板30の上面にダンパ部材40Aを複数載置することで、上層階の床スラブ2での、人の歩行、飛び跳ねや走り回り、椅子等の移動、物の落下等により発生した重量床衝撃音が天井板30を振動させるのを抑制することができる。
すなわち、上層階の床スラブ2と階下の天井板30とが複数の吊りボルト10で連結された構造を有する二重天井では、上層階の床スラブ2で発生した重量床衝撃音は、スラブ下面から放射された低周波数成分を主体とした上層階の床構造体の固有的な振動から発生する音で、そのまま天井を透過するものが主体であるが、特に63Hz帯域の振動数を有する重量床衝撃音は、懐空気層Sで空気の共振により増幅し易いため、重量床衝撃音の遮音性能が得られ難い傾向にある。本実施形態では、防音天井構造1Aは、天井板30の上面にダンパ部材40Aを複数載置しているため、図8に示すように、天井板30の上に載置されたダンパ部材40Aにより天井板30を逆位相で振動させることができる。そのため、空気伝搬音による振動エネルギーはダンパ部材40Aにより減少させることができるので、天井板30の振動を低減することができる。これにより、上層階から下層階への重量床衝撃音の伝搬を抑制することができる。
よって、防音天井構造1Aは、上層階で発生した重量床衝撃音によって天井板30が振動することを抑制し、重量床衝撃音が下層階に伝搬することを低減することができる。
なお、重量床衝撃音は、階下の音圧レベルを測定することで求めることができる。
天井板30の音圧は、例えば、音圧レベルが測定可能な騒音計(Sound Level Meter)等の公知の測定手段で測定することができる。また、音圧レベルは、マイクロフォン等を周波数分析器に接続してマイクロフォンで取得した音を解析することで求めることができる。音圧レベルは、階下の受音室に発生する音の音圧のレベルを意味する。そのため、音圧レベルは、重量床衝撃音の、天井板30による減衰作用の大きさを確認することができる。
床衝撃音は、天井板30を空気加振して振るわせるため、天井板30の振動を振動センサ等で測定する方法も床衝撃音レベルの性能を把握する評価方法として用いることができる。振動センサとしては、例えば、振動加速度レベル(単位:dB)が測定可能な加速度ピックアップ(加速度計)等を用いることができる。振動加速度レベルは、振動の物理的なエネルギーの大きさを示す量であり、天井板の減衰作用の大きさを確認することができる。例えば、人の歩行、飛び跳ねや走り回り等のような重くて柔らかい物の衝撃等により低域周波数の振動が発生すると、略63Hz帯域の周波数を中心とする重量床衝撃音が発生する。重量床衝撃音の低減効果は、重量床衝撃音レベルの中心周波数63Hz帯域における振動が低減していることでも確認することができる。
また、防音天井構造1Aは、ダンパ部材40Aを天井板30の上面に載置することで施工することが可能であるため、天井下地20にダンパ部材40Aを設置したり、吊りボルト10に防振ゴムを設置する場合等に比べて、現場での加工等の手間を少なく施工することができ、施工効率を高めることができる。また、ダンパ部材40Aの天井板30への施工に熟練を必要としないため、安定した防音性能を有する天井構造を容易に施工することができる。
このように、防音天井構造1Aは、従来の防音機能を有する天井構造に比べて、重量床衝撃音の防音性能を高めると共に、施工性を良好としつつ製造コストを抑えることができる。
防音天井構造1Aは、ダンパ部材40Aを、天井板30の上面に、天井板30の1m2当たり、4個~20個均等に配置することができる。これにより、防音天井構造1Aは、懐空気層S内で生じた重量床衝撃音による天井板30の振動をより安定して抑制することができるため、上層階の床において生じた衝撃に起因して生じる重量床衝撃音に対する遮音性能を容易に調整することができる。また、防音天井構造1Aは、天井板30のダンパ部材40Aの設置箇所に加わる重量を低減することができるため、天井板30に過度の負担が生じることを低減することができる。
防音天井構造1Aは、ダンパ部材40Aの固有値f0を40Hz~60Hzとし、ダンパ部材40Aを防振材41と質量体42Aとをこの順に積層して構成し、質量体42Aの質量を0.11kg~1.11kgとすることができる。このとき、防振材41はダンパ部材40Aの固有値f0が40Hz~60Hzとなるようにバネ定数を設定する。防音天井構造1Aは、上層階の床において発生した衝撃に伴って生じる懐空気層Sで増幅された重量床衝撃音によって天井板30が振動することで、ダンパ部材40Aを振動させることができる。そのため、防音天井構造1Aは、ダンパ部材40Aにより、重量床衝撃音に対する遮音性能を高めることができると共に、天井板30の重量負荷を軽減して天井下地20の負担を軽減することができるため、懐空気層S内において生じる重量床衝撃音による天井板30の振動をより安定して抑制することができる。
防音天井構造1Aは、天井板30の1m2当たりにおける質量体42Aの質量を1kg~20kgとすることができる。これにより、防音天井構造1Aは、懐空気層S内の重量床衝撃音による天井板30の振動をより安定して抑制することができるため、上層階の床において生じた衝撃に起因して生じる重量床衝撃音に対する遮音性能をより精度高く調整することができる。また、防音天井構造1Aは、天井板30に加わる重量を低減することができるため、天井板30に過度の負担が生じることを低減することができる。
防音天井構造1Aは、天井下地20を備えることができる。これにより、防音天井構造1Aは、天井下地20で上層階の床において生じた衝撃に伴って発生する振動を吸収することができるため、天井下地20を介して下層階に伝搬する重量床衝撃音を低減することができる。
防音天井構造1Aは、天井下地20を、複数の野縁受け21と、複数の野縁22とを備え、ダンパ部材40Aを、天井板30の平面視において、野縁受け21及び野縁22が配置されていない領域に配置することができる。複数の天井板30からなる天井は、天井下地20を構成する野縁22等の固有の振動も含めて、天井が大きな板で一体に振動している。平面視において天井板30の野縁22が設置されていない領域は、平面視において天井板30の野縁22が設置されている位置に比べて、野縁22の拘束がなく天井板30の全体の振動を代表する位置といえる。防音天井構造1Aは、ダンパ部材40Aを、天井板30の平面視において、野縁22が配置されていない領域に配置することで、天井板30の全体の振動がより確実に抑えることができるので、ダンパ部材40Aで重量床衝撃音に対する遮音性能を高効率で高めることができる。
以上の通り、本実施形態に係る防音天井構造1Aは、防音性に優れ、簡易に施工できることから、戸建て、マンション、ビル等の複数階の建物の天井構造に好適に用いることができ、軽量鉄骨造の天井下地に天井板を張り付けた二重天井に有効に好適に用いることができる。
なお、本実施形態では、防音天井構造1Aは、天井下地20を設けなくてもよい。
本実施形態では、野縁受け21の一部は、吊りボルト10に螺着されるハンガ11によって保持されず、野縁22に固定されてもよい。
本実施形態では、図9に示すように、上層階の床スラブ2に防振ゴム17を設けて、防振ゴム17に吊りボルト10を垂下した状態で固定してもよい。防振ゴム17は、公知の防振ゴムを用いることができる。防振ゴム17の上端を床スラブ2に固定して、防振ゴム17の下端に吊りボルト10を羅合させて固定することで、吊りボルト10を上層階の床スラブ2に吊り下げることができる。防振ゴム17を用いることで、床スラブ2に加わった衝撃により発生する振動を吸収することができるので、天井板30に振動が伝搬するのを低減することができる。特に、防振ゴム17は、重量床衝撃音による振動を吸収する他、軽量床衝撃音による振動を効果的に吸収することができる。そのため、防音天井構造1Aは、吊りボルト10に設けた防振ゴム17で床スラブ2で発生した軽量床衝撃音を軽減しつつ、天井板30の上に載置したダンパ部材40Aで床スラブ2で発生した重量床衝撃音を軽減することで、床スラブ2で発生した衝撃音をさらに効果的に低減することができる。
[第2の実施形態]
第2の実施形態に係る防音天井構造について説明する。図10は、第2の実施形態に係る防音天井構造の構成を、図1のI-I方向から見た断面図である。図10に示すように、防音天井構造1Bは、上記の図1に示す第1の実施形態に係る防音天井構造1Aにおいて、建物の上層階の床スラブ2と天井板30との間に形成される懐空気層Sに設けられる吸音材50と、ダンパ部材40Aの上面及び側面を覆うカバー部材60を備えたものである。吸音材50及びカバー部材60以外のその他の構成については、第1の実施形態と同様の構成であるため、吸音材50及びカバー部材60についてのみ説明する。
吸音材50は、天井板30の上面にダンパ部材40Aとの間に隙間を有しつつ、ダンパ部材40Aの上面及び側面を覆っている。
吸音材50は、グラスウール等の公知の吸音材を用いることができる。
カバー部材60は、吸音材50による接触を防ぐための部材であり、図11に示すように、天井板30に対して掛止めされる断面コ字状の掛止部61と、掛止部61の両側に形成されるフランジ部62とを備える。
カバー部材60の重さは、ダンパ部材40Aによる天井板30の振動に影響が生じない程度であることが好ましい。そのため、本実施形態では、ダンパ部材40Aの重量床衝撃音の遮音性能に影響が生じないように、カバー部材60の質量は天井板の振動に影響を与えない程度の軽量のものとする。
カバー部材60を形成する材料としては、ダンパ部材40Aを保護できるものであればよく、金属、プラスチック等の公知の材料を用いることができる。
ダンパ部材40Aとカバー部材60との間隔は、適宜選択可能であり、ダンパ部材40Aの上面及び側面と、例えば10mm以上離れていればよい。
防音天井構造1Bは、懐空気層Sに吸音材50を備える際、カバー部材60でダンパ部材40Aを覆うことで、ダンパ部材40Aの上面及び側面が吸音材50に接触することを防止することができるため、ダンパ部材40Aの機能を維持することができる。よって、防音天井構造1Bは、吸音材の干渉によりダンパ部材自身の動きを阻害しない。その結果、上層階の床において生じた衝撃に伴って重量床衝撃音が生じることを低減しつつ、重量床衝撃音によって天井板30が振動することをより安定して抑制することができる。
なお、カバー部材60は、ダンパ部材40Aが吸音材50と接触しないようにしつつ隙間を有するように形成されていればよく、例えば、図12に示すように、カバー部材60は、ダンパ部材40Aの上面、側面及び下面を覆うように形成されていてもよい。
[第3の実施形態]
第3の実施形態に係る防音天井構造について説明する。図13は、第3の実施形態に係る防音天井構造の構成を簡略に示す断面図である。図13に示すように、防音天井構造1Cは、上記の図1に示す第1の実施形態に係る防音天井構造1Aにおいて、ダンパ部材40Aを、固有値fが異なる2種類の、第1ダンパ部材40A-1及び第2ダンパ部材40A-2で構成したものである。なお、図13では、第1ダンパ部材40A-1と第2ダンパ部材40A-2との違いを明確にするため、第1ダンパ部材40A-1をハッチングで示す。
第1ダンパ部材40A-1及び第2ダンパ部材40A-2の固有値fは40Hz~60Hzであり、第1ダンパ部材40A-1及び第2ダンパ部材40A-2の固有値fの差を10Hz~15Hzとしている。63Hz帯を構成する周波数の遮断周波数の範囲(45Hz~89Hz)内に複数の異なる固有値fを有する第1ダンパ部材40A-1及び第2ダンパ部材40A-2を配置することで、第1ダンパ部材40A-1及び第2ダンパ部材40A-2により63Hzの周波数帯の振動をより効果的に低減することができる。その結果、より幅の広い周波数範囲で効果を大きくすることができる。
第1ダンパ部材40A-1と第2ダンパ部材40A-2とは、図13に示すように、天井板30の上面に交互に配置されることが好ましい。これにより、第1ダンパ部材40A-1と第2ダンパ部材40A-2とをそれぞれ、隣接するダンパ部材の種類が異なるように天井板30の上面に配置することができるので、天井板30に配置される第1ダンパ部材40A-1及び第2ダンパ部材40A-2の割合を均等にすることができる。これにより、天井板30の振動は、第1ダンパ部材40A-1及び第2ダンパ部材40A-2によって、より幅の広い周波数範囲で、振動を吸収させることができる。
防音天井構造1Cは、第1ダンパ部材40A-1及び第2ダンパ部材40A-2を用いることで、それぞれの固有値f周辺の周波数帯域の振動を、第1ダンパ部材40A-1及び第2ダンパ部材40A-2で吸収することができるので、重量床衝撃音による天井板30の振動をより効果的に抑制することができる。
また、防音天井構造1Cは、第1ダンパ部材40A-1及び第2ダンパ部材40A-2を交互に配置することができる。これにより、防音天井構造1Cは、天井板30の振動の吸収のばらつきを抑えることができるので、天井板30の全面で天井板30の振動をより安定して抑制することができる。
[第4の実施形態]
第4の実施形態に係る防音天井構造について説明する。図14は、第4の実施形態に係る防音天井構造の構成を簡略に示す斜視図であり、図15は、図14のIV-IV方向視である。図14及び図15に示すように、防音天井構造1Dは、上記の図1に示す第1の実施形態に係る防音天井構造1Aにおいて、ダンパ部材40Aに代えて、隣接する2つの野縁22の上面を跨ぐように形成したダンパ部材40Bを天井板30の上面に設けたものである。ダンパ部材40B以外のその他の構成については、第1の実施形態と同様の構成であるため、ダンパ部材40Bについてのみ説明する。
図16は、図14のV-V方向から見た平面図である。図16に示すように、ダンパ部材40Bは、天井板30の上面に、隣接するダンパ部材40B同士が所定間隔を有するようにX軸方向に配置され、Y軸方向に沿って千鳥状に配置されている。
ダンパ部材40Bは、図14及び図15に示すように、2つの防振材41と、2つの防振材41の上面に設けられる質量体42Bとで構成されている。
防振材41は、平面視において、質量体42Bの両端側に位置するように設けられている。これにより、質量体42Bは2つの防振材41によって、安定して支持させることができる。
防振材41の高さは、野縁22の高さ以上とする。これにより、質量体42Bは、野縁22の上面を跨ぐように、2つの防振材41の上面に設けることができる。
質量体42Bは、長方形状に形成されている。質量体42Bの平面視における長辺側の長さは、隣接する2つの野縁22の間隔以上であれば、適宜任意に設定可能である。質量体42Bの平面視における長辺側の長さを、隣接する2つの野縁22の間隔以上とすることで、質量体42Bは、2つの防振材41の上面に設置することができる。
防音天井構造1Dは、ダンパ部材40Bを備えることで、質量体42Bを隣接する2つの野縁22の上方を跨ぐようにして2つの防振材41の上面に設けることができる。そのため、防音天井構造1Dは、天井板30の少なくとも一部が破損等した場合でも、質量体42Bを野縁22で保持させることができるので、ダンパ部材40Bが下層階の床面に落下するのを抑制することができる。
また、防音天井構造1Dは、質量体42Bの長辺及び短辺の少なくとも一方の長さを調整することで、質量体42Bが跨ぐ野縁22の数を任意に調整することができる。これにより、質量体42Bを支える防振材41の数を制御することができるので、1つの天井板30に設置される防振材41の数を制御することができる。よって、防音天井構造1Dは、1つの天井板30に加わる重量を容器に制御することができる。
なお、本実施形態では、図17に示すように、質量体42Bの平面視における長辺側の長さを1つの野縁22の短手方向の幅以上であって、隣接する2つの野縁22同士の間隔以下として、ダンパ部材40Bが1つの野縁22の上面を跨ぐように形成してもよい。
本実施形態では、図18に示すように、ダンパ部材40Bは、天井板30の上面に、隣接するダンパ部材40B同士が所定間隔を有するようにY軸方向に沿って均等に配置されてもよい。
本実施形態では、ダンパ部材40Bは、防振材41を3つ以上備えてもよい。例えば、図19に示すように、ダンパ部材40Bは、平面視において、隣接する野縁22同士の間(略中間)に位置する質量体42Bの下側に防振材41を設けてもよい。
以下、実施例及び比較例を示して実施形態を更に具体的に説明するが、実施形態はこれらの実施例及び比較例により限定されるものではない。
<実施例1>
[防音天井構造の作製]
図1の第1実施形態の態様に係る防音天井構造を実験建物に設けた。実験建物には、JIS A1440付属書Cに準じたRC壁式構造の建物を用いて行った。図20に示すように、受音室(内法:W×L×H=3550mm×4010mm×2340mm)の天井スラブ(厚さ130mmの均質単板スラブ)に吊りボルトを固定し、この吊りボルトの下端に天井板(石膏ボード)を固定して支持し、石膏ボードの上面にダイナミックダンパ(固有値f:50Hz)を、隣接するダイナミックダンパ同士が所定間隔を有するように均等に複数載置した天井構造を作製した。天井構造は、受音室の天井スラブ全面に施工した。なお、ダイナミックダンパの固有値fは、質量体及び防振材の両方の特性から決定される物性値である。また、図20の左側に、石膏ボードが一重である場合を示し、図20の右側に、石膏ボードが二重である場合を示す。
・天井板:石膏ボード(内法:W×L×H=910mm×1820mm×12.5mm)
・ダイナミックダンパ:防振材の上に質量体を積層した積層体
・防振材:内法;W×L×H=50mm×50mm×25mm、材質;ゴム発泡体、質量;0.005kg、
・質量体:内法;W×L×H=50mm×50mm×16mm、材質;鉄、質量;0.3kg
・天井板の1m2当たりに配置されたダイナミックダンパの個数:9個
・天井板の1m2当たりにおけるダイナミックダンパの質量:2.8kg
[防音天井構造の評価]
JIS A 1418-2:2000「建築物の床衝撃音遮断性能の測定方法」に基づいて、重量衝撃源で上層階の床スラブ(天井スラブ)に衝撃を与えて、天井スラブを介して、階下の二重天井を透過した床衝撃音の音圧レベル(単位:dB)と天井板の振動加速度レベル(単位:dB)を測定した。音圧レベルの測定結果を図21に示し、振動加速度レベルの測定結果を図22に示す。なお、音圧レベルとは、階下の受音室に発生する音の音圧のレベルを意味する。
振動加速度レベルとは、振動の物理的なエネルギーの大きさを示す量であり、天井板の減衰作用が大きいことが確認できる。床衝撃音低減効果は、一般的な重量床衝撃音決定周波数である63Hz帯域での測定値において、低減効果が得られることが重要である。そこで、図22の振動加速度レベルの評価では、床衝撃音を評価するにあたり、床衝撃音と相関性の高い周波数が31.5Hz~125Hzでの振動加速度レベルを示す。
<比較例1>
実施例1において、ダンパ部材40Aを設置しないこと以外は、実施例1と同様にして行った。音圧レベルの測定結果を図21に示し、振動加速度レベルの測定結果を図22に示す。
図21に示すように、実施例1では、比較例1よりも、周波数63Hzにおける天井板の音圧レベルは3.0dB以上低減した。よって、天井板の上面にダイナミックダンパを複数載置することで、周波数63Hzにおける天井板の音圧レベルを3.0dB以上低減できることが確認された。
また、図22に示すように、実施例1では、比較例1よりも、周波数63Hzにおける天井板の振動加速度レベルは6.4dB以上低減した。よって、天井板の上面にダイナミックダンパを複数載置することで、周波数63Hzにおける天井板の振動加速度レベルを6.4dB以上低減できることが確認された。
また、図21に示すように、実施例1は、石膏ボードが1重張りよりも2重張りの方が、周波数63Hzにおける天井板の音圧レベルが約0.9dB以上低減し、図22に示すように、実施例1は、石膏ボードが1重張りよりも2重張りの方が、周波数63Hzにおける天井板の振動加速度レベルが約2.7dB以上低減した。よって、石膏ボードは1重張りよりも2重張りの方が天井の音圧及び振動をより低減できることが確認された。
天井面の振動加速度と下層階の部屋の音との低減量の違い、すなわち、天井ボードの振動加速度レベル低減量が床衝撃音の低減量に比べて大きいことは、天井スラブの振動に起因する低周波を有する重量床衝撃音が、天井板では透過損失が効き難い領域であり、重量床衝撃音の透過分が大きいことによると考えられる。ダイナミックダンパは重量床衝撃音の有する低周波領域に固定値fを調整することで、ダイナミックダンパで主要な重量床衝撃音を減衰させることができ、他の防音手段よりも効率良く、振動数が低周波領域である重量床衝撃音を低減することができると考えられる。
よって、本実施形態に係る防音天井構造は、上層階の床において生じた衝撃に伴って生じる重量床衝撃音によって天井面板が振動することを抑制し、重量床衝撃音が下層階に伝搬することを低減することができ、高い防音性能を有することができることが確認された。
以上の通り、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の組み合わせ、省略、置き換え、変更等を行うことが可能である。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1A、1B、1C、1D 防音天井構造
2 床スラブ(床構造)
10 吊り材(吊りボルト)
11 ハンガ
16 クリップ
17 防振ゴム
20 天井下地
21 野縁受け
22 野縁
30 天井板
40A、40B ダンパ部材
40A-1 第1ダンパ部材
40A-2 第2ダンパ部材
41 防振材
42 質量体
50 吸音材
60 カバー部材
S 懐空気層(天井裏空間)

Claims (11)

  1. 建物の上層階の床構造に吊り下げて支持される天井板と、
    前記天井板の上面に載置される、複数のダンパ部材と、
    を備える防音天井構造。
  2. 前記ダンパ部材は、前記天井板の前記上面に、前記天井板の1m2当たり、4個~20個均等に配置される請求項1に記載の防音天井構造。
  3. 前記ダンパ部材は、40Hz~60Hzの固有値を有し、
    前記ダンパ部材は、防振材と質量体とをこの順に積層して構成され、
    前記質量体の質量が、0.11kg~1.11kgである請求項1又は2に記載の防音天井構造。
  4. 前記天井板の1m2当たりにおける前記質量体の質量が、1kg~10kgである請求項3に記載の防音天井構造。
  5. 前記ダンパ部材は、前記防振材の固有値が異なる2種類のダンパ部材からなり、
    2種類の前記ダンパ部材の固有値が、40Hz~60Hzであり、2種類の前記ダンパ部材の固有値の差が、10Hz~15Hzである請求項4に記載の防音天井構造。
  6. 異なる固有値を有する前記ダンパ部材が、前記天井板の上面に交互に配置される請求項5に記載の防音天井構造。
  7. 前記上層階の前記床構造と前記天井板との間に吸音材を備え、
    前記天井板の上面に前記ダンパ部材との間に隙間を有しつつ、前記ダンパ部材の上面及び側面を少なくとも覆うカバー部材を設ける請求項1~6の何れか一項に記載の防音天井構造。
  8. 前記床構造と前記天井板とを連結する天井下地を備える請求項1~7の何れか一項に記載の防音天井構造。
  9. 前記天井下地は、
    前記床構造に吊り下げられた、複数の野縁受けと、
    前記野縁受けに対して略直交に、前記野縁受けの下側に取り付けた、複数の野縁と、
    を備え、
    前記ダンパ部材は、前記天井下地の平面視において、前記野縁受け及び前記野縁が配置されていない領域に配置される請求項8に記載の防音天井構造。
  10. 前記ダンパ部材は、少なくとも1つ以上の前記野縁の上面を跨ぐように、前記天井板の前記上面に設けられる請求項9に記載の防音天井構造。
  11. 前記床構造の下面に取り付けられると共に、前記天井板を支持する吊り材を垂下した状態で固定する防振ゴムを備える請求項1~10の何れか一項に記載の防音天井構造。
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