JP2022009387A - 涙液層厚み測定装置及び方法 - Google Patents

涙液層厚み測定装置及び方法 Download PDF

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Abstract

Figure 2022009387000001
【課題】 涙液層に照射される光の入射角度を可変にすることで、一層正確な涙液層の厚みを測定すること。
【解決手段】 広帯域波長掃引光源31からの光はガルバノミラー33により反射され、角膜に照射される。広帯域波長掃引光源31により、角膜からの反射光はガルバノミラー33、ハーフミラー32を経てフォトダイオード等の検出器34で検出され、分布情報取得部44により、角膜上の涙液層厚みが測定される。画像収集部30は、例えば、角膜上の同一部位に対して複数の波長の光を照射し、その反射光量を検出することで波長ごとの反射率の分布を得ることができ、分布情報取得部44により照射部位の涙液層の厚みを計測可能である。
【選択図】 図2

Description

本発明は、涙液層厚み測定装置及び方法に関する。
例えば、特許文献1には、「涙液層構造測定および蒸発速度測定を行うためのシステムおよび方法において、広帯域光源は、涙液層を照明し、分光計は、涙液層の少なくともひとつの点からの反射光のそれぞれのスペクトルを測定する。」(要約参照)ということが記載されている。
また、特許文献2には、ドライアイのタイプ評価の信頼度向上を図る」(段落0004)ための眼科検査装置が記載され、また、特許文献3には、「涙液検査の精度及び確度の向上を図る」(段落0005)ための眼科検査装置が記載されている。
国際公開第WO2015-132788号 特願2016-185076号 特願2016-185077号
しかしながら、従来技術では、涙液層が球面であるため、角膜の形状が既定の曲率半径を有する球形であることを前提として補正を実施している。しかしながら角膜の曲率には個人差があり、球形からのズレも存在するため、測定結果に誤差が生じる場合があった。
本発明は、以上の点に鑑み、涙液層に照射される光の入射角度を可変とし、角膜形状の測定結果を元に測定部位の法線に沿って測定光を入射にすることで、被検眼角膜の形状によらず一層正確な涙液層の厚みを測定することを目的とする。
本発明の第1の解決手段によると、
涙液層厚み測定装置であって、
光源と、制御処理部と、前記制御処理部により光線の進行方向が制御される光束方向変更部材とを有し、測定光の入射角度を被検眼又は角膜の面に対して法線方向から光を入射させ、被検眼の前眼部をスキャンすることにより、角膜上の涙液を表す画像を収集する画像収集部と、
前記画像収集部が収集した画像に基づいて、涙液層に相当する画素の数を、予め定められた方向に沿ってカウントし、カウントされた画素の数と画素ピッチに対応する距離又は単位距離とを乗算することにより、スキャン範囲内の各測定点における涙液層の厚みを算出することで涙液の厚みの分布情報を取得する分布情報取得部と、
前記分布情報取得部により取得された涙液の厚みの分布情報により形成された画像を、表示部に表示させる表示制御部と、
を備えた涙液層厚み測定装置が提供される。
本発明の第2の解決手段によると、
光源部と制御処理部と光束方向変更部材を有する画像収集部と、分布情報取得部と、表示制御部を備えた涙液層厚み測定装置における涙液層厚み測定方法であって、
前記光束方向変更部材が前記制御処理部により光線の進行方向が制御され、前記画像収集部が、測定光の入射角度を被検眼又は角膜の面に対して法線方向から光を入射させ、被検眼の前眼部をスキャンすることにより、角膜上の涙液を表す画像を収集し、
前記分布情報取得部が、前記画像収集部が収集した画像に基づいて、涙液層に相当する画素の数を、予め定められた方向に沿ってカウントし、カウントされた画素の数と画素ピッチに対応する距離又は単位距離とを乗算することにより、スキャン範囲内の各測定点における涙液層の厚みを算出することで涙液の厚みの分布情報を取得し、
前記表示制御部が、前記分布情報取得部により取得された涙液の厚みの分布情報により形成された画像を、表示部に表示させる、
ことを特徴とする涙液層厚み測定方法が提供される。
本発明によると、涙液層に照射される光の入射角度とフォーカス位置を個別に設定可能にすることで、一層正確な涙液層の厚みを測定することができる。
眼科検査装置の構成を表す概略図。 画像取得部の構成を説明するための概略図。 眼科検査装置の動作を表すフローチャート。 画像取得部の他の構成を説明するための概略図。 画像取得部のさらに他の構成を説明するための概略図。 涙液厚分布情報を作成するための動作を表すフローチャート。
この発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この明細書で引用する文献の記載内容や他の公知技術を実施形態に援用することができる。(例えば、特許文献2、特許文献3参照)
実施形態の眼科検査装置(涙液層厚み測定装置)は、被検眼の角膜上の涙液層の厚みを測定する。
本実施形態の眼科検査装置は、角膜に測定光を照射し、反射光を得ることにより、角膜上の薄膜である涙液層の厚みを測定することができる。本実施形態の眼科検査装置は、被検眼の前眼部を撮影することにより、角膜上の涙液を表す画像をひとつ又は複数収集する。さらに、1次元又は2次元にスキャンして画像を収集してもよい。また、時系列画像を収集してもよい。
時系列画像は、異なる時刻に取得された画像群を含み、典型的には、所定のフレームレートの動画撮影で得られたフレーム群、又は、所定の時間間隔で前眼部を繰り返し撮影して得られた静止画像群であってよい。
以下、主に時系列画像を例に説明するが、本発明及び/又は本実施形態は、時系列画像以外にも、上述のようなひとつ又は複数の画像について適用することができる。
正面画像は涙液の層(例えば油層)の表面反射と裏面反射とによる干渉模様を表す画像であってよい。
実施形態の眼科検査装置は、被検眼を撮影する機能((時系列)画像を収集する機能)を備えていてよい。この機能に加えて、又は、この機能に代えて、実施形態の眼科検査装置は、他の装置、記録媒体等から(時系列)画像を取得する機能((時系列)画像を受け付ける機能)を備えていてよい。
(時系列)画像を収集する機能は、例えば、スリットランプ顕微鏡の機能を提供するための公知の構成や、OCT装置の機能を提供するための公知の構成などによって実現される(画像収集部)。
スリットランプ顕微鏡としての構成は、例えば、被検眼に照明光を投射する照明光学系と、前眼部からの照明光の戻り光をイメージセンサで検出する撮影光学系とを含む。照明光学系は、スリット光を投射可能であり、スリット幅を変更するための機構を備える。更に、照明光学系と撮影光学系との相対的な位置(双方の光軸の相対的な向き)を変更するための機構が設けられる。また、イメージセンサにより得られた画像を処理するデータ処理系や、各種制御を行う制御系が設けられる。
(時系列)画像を受け付ける機能は、例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット、専用線等の通信回線を介して他の装置(画像アーカイビングシステム、スリットランプ顕微鏡、OCT装置等)から(時系列)画像を受信するための通信デバイスや、記録媒体からデータを読み取るためのデータリーダなどによって実現される(画像受付部)。
実施形態の眼科検査装置における処理機能(演算機能、データ処理機能、画像処理機能、制御機能等)は、例えば、プロセッサ、記憶装置等のハードウェアと、演算プログラム、画像処理プログラム、制御プログラム等のソフトウェアとが協働することによって実現される。なお、ハードウェアの一部は、眼科検査装置と通信可能な外部装置に設けられていてよい。また、ソフトウェアの少なくとも一部は、眼科検査装置に予め格納されてよく、及び/又は、外部装置に予め格納されてよい。
〈第1実施形態〉
〈構成〉
眼科検査装置の例示的な実施形態を説明する。本実施形態では、(時系列)画像を収集する機能(画像収集部)を備えた眼科検査装置について説明する。
本実施形態の眼科検査装置の構成の例を図1に示す。眼科検査装置1は、被検眼を繰り返し撮影することにより(時系列)画像を収集し、この(時系列)画像に含まれる複数の画像のそれぞれを解析して涙液の破壊領域を特定する。
眼科検査装置1は、(時系列)画像やそれから得られる情報を表示デバイス2に表示することができる。(時系列)画像から得られる情報の例として、涙液の厚み分布(厚みマップ)などがある。表示デバイス2は眼科検査装置1の一部であってもよいし、眼科検査装置1に接続された外部装置であってもよい。
眼科検査装置1は、制御部10と、記憶部20と、画像収集部30と、データ処理部40と、操作部50とを含む。
〈制御部10〉
制御部10は、眼科検査装置1の各部を制御する。制御部10はプロセッサを含む。「プロセッサ」は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、プログラマブル論理デバイス(例えば、SPLD(Simple Programmable Logic Device)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array))等の回路を意味する。制御部10は、例えば、記憶回路や記憶装置(記憶部20、外部装置等)に格納されているプログラムを読み出し実行することで、実施形態に係る機能を実現することができる。
また、制御部10は、LAN、インターネット、専用線等の通信回線を介してデータの送受信を行うための通信デバイスを含んでよい。
〈表示制御部11〉
制御部10は表示制御部11を含む。表示制御部11は、表示デバイス2に情報を表示するための制御を実行する。表示制御部11は、表示デバイス2に表示される情報に関する処理(生成、加工、合成等)を行うことができる。表示制御部11と他の要素(制御部10の他の要素、データ処理部40等)との連係によって当該処理を実行するように構成してもよい。
〈記憶部20〉
記憶部20には各種情報が記憶される。
〈画像収集部30〉
画像収集部30は、被検眼の前眼部を撮影することにより、角膜上の涙液を表す画像をひとつ又は複数収集する。さらに、1次元又は2次元にスキャンして画像を収集してもよい。また、時系列画像を収集してもよい。画像収集部30は、被検眼を繰り返し撮影することにより、角膜上の涙液の動態を表す(時系列)画像を収集することができる。
図2に、画像取得部の構成を説明するための概略図を示す。画像収集部30は、撮影を実行するための光学系、駆動系、制御系、処理系を備える。例えば、画像収集部30は、広帯域波長掃引光源31、ハーフミラー32、ガルバノミラー33、フォトダイオード34、制御処理部35、レンズ等を含む。
広帯域波長掃引光源31は、例えば近赤外の放射を含む白色光源にグレーティングやLVF(Linear Variable Filter)などの分光計(分光器)を組み合せ波長選択性有するものでも良い。白色光源は、例えば、ハロゲンランプ、キセノンランプ、スーパーコンティニウム光源などがある。なお、光源ドライバー(図示せず)を、広帯域波長掃引光源31に内蔵したり、または、外付けすることもできる。
制御処理部35は、広帯域波長掃引光源31、ガルバノミラー33を制御し、フォトダイオード34から信号を検出し、画像を収集する。
画像収集部30は、広帯域波長掃引光源31から、例えば、可視から近赤外の波長範囲で特定の波長の光が選択的に発光される。広帯域波長掃引光源31からの光はガルバノミラー33により反射され、角膜に照射される。広帯域波長掃引光源31により、角膜からの反射光はガルバノミラー33、ハーフミラー32を経てフォトダイオード等の検出器34で検出され、分布情報取得部44により、角膜上の涙液層厚みが測定される。画像収集部30は、例えば、角膜上の同一部位に対して複数の波長の光を照射し、その反射光量を検出することで波長ごとの反射率の分布を得ることができ、分布情報取得部44により照射部位の涙液層の厚みを計測可能である。また、画像収集部30は、ガルバノミラー33にて角膜上で光束をスキャンして、分布情報取得部44は、角膜上の複数部位又は1次元又は2次元の涙液層を得ることができる。
図4に、画像取得部の他の構成を説明するための概略図を示す。
ガルバノミラー33は、1次元又は2次元にスキャンすることができる。ガルバノミラー33は、回転による方向可変に加え、被検眼に対して前後に移動する駆動機構を備えることで、被検眼への測定光の入射方向を可変にして涙液層に光を入射することができる。この場合被検眼又は角膜の球面の法線方向から光を入射することができる。
なお、ガルバノミラー(ガルバノスキャナ)33の他にも反射方向可変ミラー等の適宜の反射方向可変部材を用いることができる。
さらに、図5に、画像取得部のさらに他の構成を説明するための概略図を示す。(なお、ここでは、参照符号33をスキャナと呼ぶ。)
波長掃引型光源31からの光はレンズ、ハーフミラー32を透過し、ミラーで反射され、スキャナ33に至る。スキャナ33はガルバノミラー等反射する光線の角度を変更可能であり、紙面内(y軸)及び紙面と直交する面内(X軸)で変更する2個のスキャナ(ミラー)を組み合わせることで2次元面内での走査を可能とする。スキャナ33のミラーで任意の角度で反射した光はダイクロイックミラー、対物レンズを透過して被検眼角膜に照射される。ここでスキャナ33と被検眼角膜の曲率中心位置は略共役になるように配置されることで、スキャナ33で偏向した光線は角膜の法線に沿って入射する。角膜の法線に沿って(角膜表面に対して垂直に)入射した光線は角膜(涙液の界面)反射して対物レンズを介してスキャナ33に戻る。スキャナ33で反射した光束はミラー、ハーフミラーで反射し、レンズにより絞りに集光する。絞りを透過した光束はPD(フォトダイオード)34で検出される。ここで光源と角膜表面、絞りは共役に配置される。
広帯域の波長掃引型光源31は少なくとも可視光領域から近赤外領域の連続するもしくは離散的な波長を含み、個々の波長の光を選択的に被検眼に照射することができる。あるいは白熱電球やキセノンランプ、スーパーコンテュニウム光源などの白色光源からの光を分光計や色フィルタを用いて個々の波長の略単色光として用いることもできる。PD34は測定波長域(可視から近赤外)の各波長に於いて各々充分な感度を有し、かつ各波長に対する感度(分光感度)の特性が既知であるものとする。PD34の分光感度はキャリブレーション等によって既知とされても良い。被検眼の角膜とカメラの受光部は光学的に共役に配置され、角膜の像がカメラの受光部に結像する。
光源31からPD34までの光学系は筐体内に収められ、被検眼の角膜頂点が対物レンズの光軸と一致(X,Y方向)し、かつ対物レンズから角膜頂点までの一定にする(Z方向)ようアライメントを行う。アライメントの状態を検出する方法は公知の方法が用いられる。X,Y及びZのアライメント状態が許容範囲内になると、アライメントは完了となり、制御処理部35は測定を開始するトリガー信号を発する(オートスタート)。または操作者による測定スイッチ押下などをトリガーとして測定を開始しても良い(マニュアルスタート)。
また、瞬きをカメラ34で監視し、これをトリガーとして測定を開始してもよい。
測定が開始されると、先ずはスキャナ33の角度を測定光が対物レンズの光軸に沿って角膜に照射する角度(0°)に合わせ、広帯域波長掃引型光源31から特定の略単波長(波長範囲が狭い)を被検眼角膜に照射し、この反射光をPD34で受光する。波長を掃引(変化)して各波長における光量を取得する。各波長で取得したPD34の受光量に各波長におけるPD34の分光感度を乗じて角膜の波長ごとの反射率分布を得る。得られた分光分布に対してスペクトル解析を行うことで涙液の油脂層、水層、ムチン層各々の厚みを求めることができる。
角膜頂点以外の部位に関してもスキャナ33の角度を変更して同様の処理を行うことで各部位に相当する画素の分光分布から涙液層厚を求め、涙液の厚みの分布を求めることができる。スキャナ33の角度と角膜上の部位には相関があるため各部位での各波長での反射率が記録されているため、得られた信号を組み合わせることで角膜のカラー画像(角膜をカラーカメラで観察したときの画像)を再現することが可能となる。
連続して涙液層の時系列の変化を観察する場合、初回(任意の一測定)の測定を上記方法にて行い、涙液各層の厚み(絶対値)を求め、以降の測定は初回に対する相対的な変化を得ればよい。この場合、初回に対する角膜上各部位における色(干渉色)の変化を観測すればよい。
スキャナ33の各角度(角膜上の各部位)にて、光源の波長をR(600nm近傍)、G(500nm近傍)、B(400nm近傍)の3波長に変化させ各々反射光量データを重ねあわせることで、カラー画像を得ることができ、当該カラー画像を時系列に取得し、比較することで、涙液層の時間的な相対変化を知ることができる。前記初回の測定では涙液層厚(絶対値)が求められているのでこれと比較することで各時間における涙液層厚(絶対値)を得ることができる。初回の測定を毎回実施することも可能であるが、広い波長範囲について反射率分光分布を取得する必要があるため、一回の測定に時間を要する。これに対して二回目以降の測定に関して一測定に対して3枚の画像(RGB)を取得するのみで済むため、測定時間を大幅に短縮でき、短い時間間隔での涙液層厚の変化を測定することができる。R画像、G画像、B画像を等間隔で連続的に取得し(R,G,B,R,G,B,R,G,B…)得られた色の画像と前二画像を合わせてカラー画像を得るようにすれば、毎回新たに3枚の画像を取得する必要がなくなり測定間隔を短縮することができる。
得られた角膜上の各部位での涙液層厚を測定し厚さを色に変換した擬似カラー厚みマップを作成、画面上に表示することにより、涙液層の厚み分布を示すことができる。各時間における厚みマップを画面上に並べて表示することで、継時的な変化を確認することができる。時間ごとの画像を画面上の同一部位に切替えて表示することで擬似動画として呈示することができる。指定した厚みを下回った部分を強調して表示したり、前記部分の面積を求め表示しても良い。
当構成によって、SLOとほぼ同じ構成であるのでSLOとの複合機が大部分の部品を共通化して容易に達成することができる。
(角膜曲率誤差の補正)
入射した光束の角膜反射を効率よく取得するためには光線を角膜の各部位に対して垂直に入射することが望ましい。また、解像度の良い涙液層厚データを取得するためには角膜表面と絞りを共役に保つ必要がある。平均的な角膜曲率半径(例えばr7.7mm)として構成されている。しかし、実際には角膜の曲率半径には個人差があり、およそr6mmから9mmの範囲で分布している上、実際の角膜は中心から周辺に向かうほど曲率半径が大きく(緩く)なる非球面形状である。さらに角膜乱視眼や円錐角膜など球面からずれる場合もある。角膜が理想的なr7.7の球面に対して、Zアライメント信号により角膜頂点と絞りが共役になるようにアライメントが完了すると、スキャナと角膜中心(r7.7mm)が共役になるように構成されている(逆でも可)。しかし、角膜の曲率半径が7.7mmからずれている場合、角膜頂点と角膜曲率中心の関係が崩れてしまうため、どちらか一方は期待する位置からずれて配置されてしまう。よって、最適な結果が得られにくくなってしまう。
(プラチド法)
対物レンズの周囲には遮光板上に複数の同心円状の透光部を有するプラチド板を配置する。プラチド板は裏面(被検眼とは反対の面)に配置した光源(近赤外LED等)により照明され、同心円状の光源となり被検眼角膜を照明する。角膜で反射した光束は角膜曲率により多重リング状の虚像を生じる。前記虚像の像をダイクロイックミラーで反射してカメラで撮像し、各リング像の大きさ、形状の変化より公知の方法で角膜形状の分布を得る。得られた角膜の形状による補正を涙液層厚データに対して行うことで、精度の高い涙液層厚を得ることができる。
(OCT法)
当該装置に図示しない前眼部断層画層を取得可能な前眼部OCT装置を有する。OCT測定光は対物レンズを介してスキャナで前眼部をスキャンする。スキャン方法は放射線スキャン、ラスタスキャンなどがある。前眼部断面画像(少なくとも角膜表面を含む)を取得し、断面画像を解析することで角膜形状を求める。
また、(時系列)画像を収集するためのモダリティは任意であってよく、正面画像収集部を含んでいてもよい。
正面画像収集部は、前眼部(角膜等)の正面画像を取得するよう構成され、一連の正面画像(正面画像群)からなる(時系列)画像を収集する。正面画像収集部は、例えば、従来のデジタルスリットランプ顕微鏡と同様の構成を備える。
〈データ処理部40〉
データ処理部40は、各種のデータ処理を行う。例えば、データ処理部40は、画像処理や画像解析を行う。データ処理部40は、分布情報取得部44を含む。
〈分布情報取得部44〉
分布情報取得部44は、(時系列)画像に含まれる複数の画像のそれぞれを解析することにより、涙液の厚みの分布情報を取得する。
フルオレセイン等の蛍光色素を用いた蛍光造影画像については、従来と同様に、蛍光強度(画素値)に基づき涙液の厚みを推定することによって分布情報を作成することができる。また、従来と同様に、涙液層(例えば油層)の表面反射と裏面反射とによる干渉模様に基づき涙液の厚みを推定することによって分布情報を作成することも可能である。
分布情報取得部44は、画像収集部30から収集画像を入力し、その画像に基づいて涙液厚分布情報を取得する。(時系列)画像が得られ、それに含まれる複数の3次元画像のそれぞれに対してセグメンテーションが適用された場合には、各3次元画像に対応する涙液厚分布情報が取得される。
分布情報取得部44は、特定された油層領域及び液層領域(の少なくとも一方)に基づいて、スキャン範囲内の各測定点における涙液層の厚みを求める。涙液層の厚みは、例えば、油層領域の厚み、液層領域の厚み、及び、涙液全体の厚みのうちのいずれかであってよい。ここで、液層領域の厚みは、ムチン層を含む液層の厚みであってもよいし、ムチン層を含まない液層の厚みでもよい。後者の場合、ムチン層の厚みを求めることもできる。
このような処理により、例えば、油層の表面(油層と空気との境界)と裏面(油層の液層との境界)との間の距離や、液層の前面(油層の液層との境界)と裏面(液層と角膜との境界)との間の距離や、油層の表面と液層の裏面との間の距離などが算出される。
各測定点における厚みの算出は、例えば、涙液層に相当する画素の数を所定の測定方向に沿ってカウントする処理と、それにより得られた画素の数と画素ピッチに対応する距離(単位距離)とを乗算する処理とを含む。
ここで、画素数をカウントする方向(上記測定方向)は任意であり、例えば、スキャンにおけるAライン方向、又は、角膜表面の各位置における法線方向を測定方向として適用することができる。角膜表面の各位置における法線方向を特定する処理は、例えば、角膜表面の曲面近似と、各位置における接平面の特定と、各接平面の法線の特定とを含む。
分布情報取得部44は、特定された所定領域(例えば角膜表面)を平面化する処理(フラットニング)を3次元画像に適用することも可能である。フラットニングを行うことで、厚みの算出が容易になる。また、フラットニングされた画像を表示することで、厚みの分布を容易に把握することができる。
分布情報取得部44は、取得した涙液厚分布情報に基づいて、涙液の破壊領域を特定することもできる。破壊領域は、例えば、油層が破壊された領域(油層領域が検出されない領域)、及び、液層が破壊された領域(液層領域が検出されない領域)の一方、又は、これら領域の組み合わせである。涙液全体が破壊された領域では油層領域も液層領域も検出されない。
典型的な例において、分布情報取得部44は、油層領域の厚みが所定閾値以下である部分を油層が破壊された領域として特定することができる。また、分布情報取得部44は、液層領域の厚みが所定閾値以下である部分を液層が破壊された領域として特定することができる。また、分布情報取得部44は、涙液領域(油層領域と液層領域との合成領域)の厚みが所定閾値以下である部分を涙液層全体が破壊された領域として特定することができる。
〈操作部50〉
操作部50は、眼科検査装置1に対してユーザが指示を入力するために使用される。操作部50は、眼科装置やコンピュータに用いられる公知の操作デバイスを含んでよい。例えば、操作部50は、マウス、タッチパッド、トラックボール、キーボード、ペンタブレット、操作パネル、ジョイスティック、ボタン、スイッチ等を含んでよい。また、操作部50は、タッチパネルを含んでよい。この場合、制御部10は、眼科検査装置1を操作するためのGUIをタッチパネルに表示することができる。
〈正面画像取得部60〉
正面画像取得部60は、前眼部(角膜等)の正面画像を取得する。正面画像を取得するための処理は任意である。第1の例において、正面画像取得部60は、前眼部を撮影するための構成を含んでよい。例えば、正面画像取得部60は、スリットランプ顕微鏡の光学系、眼底カメラの光学系などを含んでよい。
第2の例において、正面画像取得部60は、当該被検眼の前眼部の正面画像を外部装置から取得するための構成を含んでよい。例えば、正面画像取得部60は、LAN、インターネット、専用線等の通信回線を介してデータの送受信を行うための通信デバイスを含んでよい。この場合、正面画像取得部60は、例えば電子カルテシステムや画像アーカイビングシステムに格納されている当該被検眼の前眼部の正面画像を、患者IDやDICOMタグ等を検索クエリとして取得することができる。
画像収集部30により収集された画像と、正面画像取得部60により取得された正面画像とのレジストレーションを行うことができる。レジストレーションは、例えば、双方の画像から特徴部位(角膜頂点、瞳孔、瞳孔中心、瞳孔重心、虹彩、虹彩中心、虹彩重心等)を検出する処理と、双方の特徴部位を基準として双方の画像を位置合わせする処理とを通じて行うことができる。
同様に、涙液厚の分布マップ、破壊領域の分布マップ、評価結果の分布マップ等の各種のマップと、正面画像取得部60により取得された正面画像とのレジストレーションを行うこともできる。このレジストレーションは、例えば、マップの基になった3次元画像と正面画像とのレジストレーションの結果を利用して行われる。
〈動作〉
図3に、眼科検査装置の動作を表すフローチャートを示す。
例示的な眼科検査装置が実行可能な動作の幾つかの例を説明する。本例において実行される処理の流れを図3に示す。なお、患者ID等の入力や、被検眼に対する光学系のアライメントや、光学系のフォーカス調整や、光路長調整、スキャン範囲の設定などの準備的処理は、既になされているものとする。
(S3:涙液厚分布情報を作成する)
(なお、詳細は、図6及びその説明箇所参照)
まず、画像収集部30が、上述の「(画像収集部30)」等で説明したように、被検眼を繰り返し撮影することにより、角膜上の涙液の動態を表す(時系列)画像を収集する。典型的には、蛍光造影撮影、干渉撮影のうちの少なくとも1つを行うことができる。
なお、被検眼の前眼部を撮影することにより、角膜上の涙液を表す画像をひとつ又は複数収集する。さらに、1次元又は2次元にスキャンして画像を収集してもよい。
表示制御部11は、収集された画像を表示デバイス2に表示することができる。表示される画像は、所望のレンダリングを3次元画像に適用して得られた画像であり、例えば、プロジェクション画像やシャドウグラム等の正面画像でもよいし、Bスキャン像等の断層像でもよいし、ボリュームレンダリング画像等の擬似的3次元画像でもよい。
時系列画像が収集された場合、これに含まれる1以上の3次元画像をそれぞれレンダリングし、それにより得られた1以上のレンダリング画像を表示デバイス2に表示することができる。複数のレンダリング画像を表示する場合、これらを時系列に応じて配列することが可能である。また、複数のレンダリング画像を時系列の順に切り替えて表示することも可能である。
また、時系列画像が収集された場合、時系列画像を構成する一連の3次元画像のうちから瞬目画像を特定することができる。更に、一連の瞬目画像のうちの最後の瞬目画像又はその次の画像を、開瞼開始時の画像(前述の基準画像)に設定することができる。
続いて、分布情報取得部44は、収集された画像に基づいて、涙液厚分布情報を作成する。
時系列画像が収集された場合、分布情報取得部44は、この時系列画像に含まれる複数の画像のそれぞれについて、そのセグメンテーション結果から涙液厚分布情報を作成する。それにより、時系列画像に含まれる複数の画像に対応する複数の涙液厚分布情報が得られる。複数の涙液厚分布情報は、涙液の厚み分布の経時変化、つまり涙液の動態を表す。
(S4:前眼部の正面画像を取得する)
次に、正面画像取得部60が、例えば、前眼部を撮影することにより、電子カルテシステム等にアクセスすることにより、又は、ステップS3で収集された画像をレンダリングすることにより、前眼部の正面画像を取得する。
正面画像を取得するタイミングは任意であってよい。例えば、ステップS3よりも前又は後に、電子カルテシステム等にアクセスすることにより、又は、前眼部を撮影することにより、前眼部の正面画像を取得することができる。或いは、ステップS3よりも後の任意のタイミングにおいて、ステップS3で収集された画像をレンダリングすることにより、前眼部の正面画像を取得することができる。
(S5:涙液厚分布画像と正面画像との合成画像を表示する)
続いて、表示制御部11(及びデータ処理部40)が、ステップS3で作成された涙液厚分布情報に基づいて画像(涙液厚分布画像)を形成し、この涙液厚分布画像とステップS4で取得された正面画像とを合成して表示デバイス2に表示する。涙液厚分布画像は、例えば、涙液厚分布情報が表す各点の厚み値を疑似カラーで表現した疑似カラーマップである。
一例において、涙液厚分布画像と正面画像との合成表示は、涙液厚分布画像と正面画像とを合成する画像処理と、それにより形成された合成画像を表示する制御とを含む。他の例にいて、合成表示は、レイヤー表示機能等を利用することにより涙液厚分布画像と正面画像とを重ねて表示する制御を含む。このように2つ(以上)の画像を表示制御で重ねて得られた表示画像も合成画像の例である。合成表示において、涙液厚分布画像と正面画像とのレジストレーションを行うことができる。このレジストレーションは、例えば、涙液厚分布画像の基になった3次元画像と正面画像とのレジストレーションを介して実行される。
複数の画像又は時系列画像が収集された場合、これに含まれる1以上の3次元画像に基づく涙液厚分布画像と正面画像との合成画像を表示デバイス2に表示することができる。複数の合成画像を表示する場合、これらを時系列に応じて配列することが可能である。また、複数の合成画像を時系列の順に切り替えて表示することも可能である。
(時系列画像)
図3において時系列画像を取得するためには、例えば、ステップS3及びS4の処理を予め定められた回数又は時間、繰り返して実行し、取得された画像(データ)を記憶部20に時系列画像(データ)として記憶し、ステップS5で、表示制御部11(及びデータ処理部40)が、記憶部20から読み出した時系列画像(データ)を複数の静止画又は動画により表示デバイス2に表示すればよい。
図6に、涙液厚分布情報を作成するための動作を表すフローチャートを示す。このフローチャートは、図3のステップS3の詳細フローチャートの一例を示す。
なお、薄膜・涙液層の厚さ測定に関しては、例えば、以下のインターネット・ホームページ又は文献に記載されたような、周知又は公知の方法を用いることができる。
・https://www.hamamatsu.com/jp/ja/technology/innovation/spectroscopic/index.html
・国際公開第2016/147782号
・Fogt et al. 「Interferometric measurement of tear film thickness by use of spectral oscillations」, J. Opt. Soc. Am. A/Vol.15,No.1/January 1998, pp.268-275
本実施の形態による涙液層厚み測定について、以下に説明する。
一般に、涙液層に光(白色光等)が入射すると、層内部で多重反射が発生し、各多重反射光の位相差は、光の波長と光路長によって決まる。ここで、
光路長=涙液層内で光が往復する距離×涙液の屈折率
である。
このように、反射する光の色は涙液層の厚みと相関する(なお、涙液の屈折率は個々については不明であることが想定されるため、予め定められた値・決まった値を用いることになる。)。一般に、光の色と涙液層の厚みの相関は線形関係となり、一例として、以下の式が挙げられる。
2nd=(m+(1/2))λ
ここで、n:屈折率、d:涙液層の厚み、m:整数、λ:波長(色に相当)
しかし、「色」がわかっても分光分布がわからないと「膜厚」の特定はできない。よって、ある領域(この例では、角膜頂点等の少なくとも角膜中央部。)においての分光分布と「色」の双方を測定してこの時の分光分布から「層厚」を求めることができれば、「色」と「層厚」の関係を得ることができる。
本実施の形態では、少なくとも角膜中央部において分光分布(分光反射スペクトル)を測定することにより、「色」と「層厚」の関係を得る。そして、この関係を基準として他の部位の「色」(RGBカラー画像から得た)から「層厚」を推定する。
なお、角膜中央部に限らず適宜の予め定められた位置において測定した分光分布(分光反射スペクトル)を基準として用いても良い。
以下各ステップを説明する。
・S101 光源部波長掃引
測定が開始されると、画像収集部30は、制御処理部35の制御により、光源31の波長を変化(掃引)させ、特定の略単波長(波長範囲が狭い)の光を、被検眼の少なくとも角膜中央部に照射し、この反射像をカメラ34で撮像する。画像収集部30は、制御処理部35により、ステップS101で波長を掃引(変化)して各波長における取得した画像を、分布情報取得部44に出力し、記憶部20に記憶する。なお、取得した画像には、R(600nm近傍)、G(500nm近傍)、B(400nm近傍)の3波長における画像も含まれる。
・S102 角膜中央部の分光反射分布を取得
分布情報取得部44は、画像収集部30から入力した画像により、少なくとも角膜中央部の各々の波長における反射率を得る。例えば、分布情報取得部44は、各波長で取得した各画像の少なくとも角膜中央部の画素の輝度値に各波長における既知のカメラの分光感度を乗じて、角膜の波長ごとの反射率分布を得る。分布情報取得部44は、得られた反射率分布を記憶部20に記憶する。
・S103 スペクトル解析による層厚算出
分布情報取得部44は、得られた分光反射スペクトルを解析して涙液層厚値を求める。涙液層からの分光分布は、膜厚に依存した特有のスペクトルになるので、このスペクトルを解析することで、膜厚を求めることができる。解析方法としては、例えば、カーブフィッティング法による解析(スペクトルの測定値と理論値の差(例、差の二乗等)が最小になる厚さを求める方法)や、高速フーリエ変換(FFT)による解析等の適宜の解析方法を用いることができる。
なお、分布情報取得部44は、涙液層厚としては、涙液層全体の厚さの他にも、涙液の油脂層、水層、ムチン層等の各々の厚みを適宜求めることができる。
・S104 カラー画像相関算出
分布情報取得部44は、反射スペクトルから色と層厚の相関を求める。分布情報取得部44は、色と層厚の相関のデータを記憶部20に記憶する。
例えば、「層厚」は、ステップS103で求められ、「色」はステップS101及びS102で、R(600nm近傍)、G(500nm近傍)、B(400nm近傍)の3波長における画像を既に取得しているので、各々撮影したこれらの角膜画像を重ねあわせることで、カラー画像を得ることで、求めることができる。これにより、例えば、上述した式「2nd=(m+(1/2))λ」のmを特定して、色(波長)と層厚の相関を求めることができる。
・S105 R光による角膜広範囲撮影
つぎに、分布情報取得部44は、角膜頂点以外の部位に関しても各々の画素に関して同様の処理を行うことで、各部位に相当する画素の分光分布から涙液層厚を求め、涙液の厚みの分布を求めることができる。ここで、カメラ34は、カラーカメラでない(例えば、所謂白黒カメラ)ため、角膜上の「色」を直接観察することはできないが、光源31の波長をR(600nm近傍)、G(500nm近傍)、B(400nm近傍)の3波長に変化させ、各々撮影した角膜画像を重ねあわせることで、カラー画像を得ることができる。
まず、画像収集部30は、光源31の光源色をRとし角膜全体(測定範囲)の画像を得る。画像収集部30は、得られた画像を、分布情報取得部44に出力し、記憶部20に記憶する。する。
・S106 G光による角膜広範囲撮影
つぎに、画像収集部30は、光源31の光源色をGとし角膜全体(測定範囲)の画像を得る。画像収集部30は、得られた画像を、分布情報取得部44に出力し、記憶部20に記憶する。
・S107 B光による角膜広範囲撮影
つぎに、画像収集部30は、光源31の光源色をBとし角膜全体(測定範囲)の画像を得る。画像収集部30は、得られた画像を、分布情報取得部44に出力し、記憶部20に記憶する。
・S108 RGB画像によるカラー画像作成
つぎに、分布情報取得部44は、記憶部20を参照し、画像収集部30が得たR画像、G画像、B画像から、カラー画像(各領域の色)を得て、記憶部20に記憶する。分布情報取得部44は、可視光における各波長での画像が記録されているため、各々波長による画像を決められた比率で重ねあわせることにより角膜のカラー画像(角膜をカラーカメラで観察したときの画像)を再現することが可能となる。
・S109 カラー画像層厚換算
分布情報取得部44は、記憶部20を参照し、ステップS104で求めた、色と層厚の相関に基づき、カラー画像の各領域の「色」を「層厚」に換算(変換)する。
・S110 層厚マップ表示
分布情報取得部44は、各部位の「層厚」をマップ状に作成し、表示制御部11により表示デバイス22に表示する。たとえば、得られた角膜上の各部位での涙液層厚を色に変換した擬似カラー厚みマップを作成、画面上に表示することにより、涙液層の厚み分布を示すことができる。また、各時間における厚みマップを画面上に並べて表示することで、継時的な変化を確認することができる。また、時間ごとの画像を画面上の同一部位に切替えて表示することで擬似動画として呈示することができる。また、指定した厚みを下回った部分を強調して表示したり、前記部分の面積を求め表示しても良い。
なお、画像収集部30及び/又は分布情報取得部44は、取得、出力、及び/又は入力した画像や、色と層厚の相関等の各データを適宜のタイミングで記憶部20に記憶すること及び/又は記憶部20から読み出すこと、また、表示制御部11により表示デバイス2に表示することができる。また、ステップS105、S106、S107において、R,G,Bの各画像の取得順序は、適宜定めることができる。
(時系列処理)
以降、時系列測定を実施する場合は、分布情報取得部44及び画像収集部30等は、ステップS105以降をループ処理する。
すなわち、時系列画像を取得する場合は、図4のステップS105以降を繰り返してカラー画像を得ることで層厚時系列マップを順次作成することで得られる。但し、常に3枚(RGB)の画像を取得して1枚の層厚マップを得ていたのでは時間がかかり、その間に涙液層が変化してしまう場合も考えられる。そこで、本実施の形態では、次のように各画像を取得する。すなわち、
(i)一枚目のR画像(R1)と、一枚目のG画像(G1)と、一枚目のB画像(B1)により、一枚目の層厚マップを得る。
(ii)つぎに、二枚目の層厚マップは、二枚目のR画像(R2)を取得し、既に取得された一枚目のG画像(G1)及びB画像(B1)と、二枚目のR画像(R2)から得る。
(iii)さらに、三枚目の層厚マップは、二枚目のG画像(G2)を取得し、すでに取得された一枚目のB画像(B1)及び二枚目のR画像(R2)と、G画像(G2)から得る。
このように一色の画像のみ更新して連続してマップを作成すれば毎回3色の画像を取得するのに比べて更新処理が1/3になる。なお、R,G,Bの各画像の取得順序は、適宜定めることができる。
(図3、「S4:前眼部の正面画像を取得する」の変形例)
なお、図4のステップS108にて前眼部の画像は既にカラー画像として取得しているので、図3のステップS4で取得し直さなくてもよい。この場合、図3のステップS4を省略し、図3のステップS5の「涙液厚分布画像と正面画像との合成画像を表示する」処理では、分布情報取得部44は、図4のステップS108で得られた前眼部画像に、図4のステップS110で得られた層厚マップを重ねて表示すればよい。
以上のように、本実施形態では、反射方向可変ミラーを所定角度旋回させ、涙液層に照射される光の入射角度を可変にすることで、一層正確な涙液層の厚みを測定することができる。さらに、反射方向可変ミラーを所定角度旋回及び前後移動させることで、例えば、球面である涙液層の法線方向から光を入射させることができ、一層正確な涙液層の厚みを測定することができる。
また、本実施形態の図2~図5等においては、ガルバノミラー(又は、スキャナ)33等の反射方向可変部材により光の反射方向を可変としている例を示したが、これに限らず、光を透過する装置構成として、ガルバノミラー(又は、スキャナ)33の代わりに光の透過方向可変部材を用いるように構成してもよい。このように、反射方向可変部材又は透過方向可変部材等の適宜の光束方向変更部材を用いることで、光束の方向を制御することができる。
以上に説明した構成は、この発明を好適に実施するための一例に過ぎない。よって、この発明の要旨の範囲内における任意の変形(省略、置換、付加等)を適宜に施すことが可能である。
(構成例)
以下に、本発明及び/又は本実施の形態の構成例を示す。
[構成例1]
涙液層厚み測定装置であって、
光源と、検出部と、制御処理部と、前記制御処理部により光線の進行方向が制御される光束方向変更部材とを有し、被検眼の前眼部をスキャンすることにより、角膜上の涙液を表す画像を収集する画像収集部と、
前記画像収集部が収集した画像に基づいて、涙液の厚みの分布情報を取得する分布情報取得部と、
前記分布情報取得部により取得された涙液の厚みの分布画像を、表示部に表示させる表示制御部と、
を備え、
前記光源は、前記制御処理部の制御により、可視から近赤外の波長範囲で予め定められた波長の光を発光し、
前記光束方向変更部材は、前記制御処理部の制御により反射方向が定められ、前記光源からの光を反射し、角膜に照射し、
前記検出部は、角膜からの反射光を前記光束方向変更部材を経て検出し、
前記制御処理部は、前記検出部が検出した信号により、角膜上の涙液の画像を得て、画像を前記分布情報取得部に出力する、
涙液層厚み測定装置。

[構成例2]
構成例1に記載の涙液層厚み測定装置であって、
前記光束方向変更部材は、さらに、被検眼との距離が可変に駆動されるよう構成され、
前記制御処理部は、被検眼との距離と角度とが制御されることで、被眼への入射角度を調整することを特徴とする涙液層厚み測定装置。

[構成例3]
構成例2に記載の涙液層厚み測定装置であって、
前記制御処理部は、さらに、前記光束方向変更部材を制御して、測定光の入射角度を被検眼又は角膜の面に対して法線方向に涙液層に光を入射させることを特徴とする涙液層厚み測定装置。

[構成例4]
構成例1乃至3のいずれかに記載の涙液層厚み測定装置であって、
前記画像収集部は、角膜上の同一部位に対して複数の波長の光を照射し、その反射光量を検出し、
前記分布情報取得部は、波長ごとの反射率の分布を得て、照射部位の涙液層の厚みを計測することを特徴とする涙液層厚み測定装置。

[構成例5]
構成例1乃至4のいずれかに記載の涙液層厚み測定装置であって、
前記画像収集部は、前記光束方向変更部材により角膜上で光束をスキャンして角膜上の複数部位の涙液層厚を得ることを特徴とする涙液層厚み測定装置。

[構成例6]
構成例1乃至5のいずれかに記載の涙液層厚み測定装置であって、
前記画像収集部は、前記光源の波長を変化させ、被検眼の少なくとも角膜中央部に照射し、この反射像を撮像し、
前記分布情報取得部は、前記画像収集部が撮像した画像により、少なくとも角膜中央部の各々の波長における反射率を得て分光反射スペクトルを求め、得られた分光反射スペクトルを解析して涙液層厚値を求め、色と層厚の相関を求め、
前記分布情報取得部は、光源の波長をR、G、Bに変化させ、各々撮影した角膜画像を重ねあわせることで、カラー画像を得て、色と層厚の相関に基づき、カラー画像の各領域の色を層厚に変換し、
前記分布情報取得部は、各部位の層厚をマップ状に作成し、前記表示制御部により表示する、
ことを特徴とする涙液層厚み測定装置。

[構成例7]
構成例6に記載の涙液層厚み測定装置であって、
時系列の第1のタイミングにおいて、
前記画像収集部は、前記光源の色をR,G,Bに定めて、予め定められた測定範囲をそれぞれ撮影して、R画像、G画像、B画像を取得し、
前記分布情報取得部は、R画像、G画像、B画像を、予め定められた比率で重ねあわせることにより、第1のタイミングの角膜のカラー画像を得て、
時系列の第2のタイミングにおいて、
前記画像収集部は、前記光源の色をR,G,Bの内いずれかひとつに定めて、予め定められた測定範囲をそれぞれ撮影して画像を取得し、
前記分布情報取得部は、いずれかひとつの光源色で新たに撮影された画像と、既に撮影された他の2つの光源色の画像を、予め定められた比率で重ねあわせることにより、第2のタイミングの角膜のカラー画像を得る、
ことを特徴とする涙液層厚み測定装置。

[構成例8]
構成例1乃至7のいずれかに記載の涙液層厚み測定装置であって、
前記光源は、広帯域波長掃引光源、又は、近赤外の放射を含む白色光源とグレーティング若しくはLVF(Linear Variable Filter)若しくは他の分光計とを備え波長選択性を有する光源であることを特徴とする涙液層厚み測定装置。

[構成例9]
構成例1乃至8のいずれかに記載の涙液層厚み測定装置であって、
前記角膜の正面画像を取得する正面画像取得部
をさらに備え、
前記表示制御部は、前記分布情報取得部により取得された涙液の厚みの分布画像と、前記正面画像取得部により取得された正面画像との合成画像を表示部に表示させることを特徴とする涙液層厚み測定装置。

[構成例10]
構成例1乃至9のいずれかに記載の涙液層厚み測定装置であって、
前記分布情報取得部は、さらに、分布情報に基づいて、涙液の破壊領域を特定することを特徴とする涙液層厚み測定装置。

[構成例11]
涙液層厚み測定装置における涙液層厚み測定方法であって、
前記涙液層厚み測定装置は、
光源と、検出部と、制御処理部と、前記制御処理部により反射方向が制御される光束方向変更部材とを有し、被検眼の前眼部をスキャンすることにより、角膜上の涙液を表す画像を収集する画像収集部と、
前記画像収集部が収集した画像に基づいて、涙液の厚みの分布情報を取得する分布情報取得部と、
前記分布情報取得部により取得された涙液の厚みの分布画像を、表示部に表示させる表示制御部と、
を備え、
前記光源は、前記制御処理部の制御により、可視から近赤外の波長範囲で予め定められた波長の光を発光し、
前記光束方向変更部材は、前記制御処理部の制御により反射方向が定められ、前記光源からの光を反射し、角膜に照射し、
前記検出部は、角膜からの反射光を前記光束方向変更部材を経て検出し、
前記制御処理部は、前記検出部が検出した信号により、角膜上の涙液の画像を得て、画像を前記分布情報取得部に出力する、
涙液層厚み測定方法。
1 眼科検査装置
2 表示デバイス
10 制御部
11 表示制御部
20 記憶部
30 画像収集部
40 データ処理部
44 分布情報取得部
50 操作部

Claims (8)

  1. 涙液層厚み測定装置であって、
    光源と、制御処理部と、前記制御処理部により光線の進行方向が制御される光束方向変更部材とを有し、測定光の入射角度を被検眼又は角膜の面に対して法線方向から光を入射させ、被検眼の前眼部をスキャンすることにより、角膜上の涙液を表す画像を収集する画像収集部と、
    前記画像収集部が収集した画像に基づいて、涙液層に相当する画素の数を、予め定められた方向に沿ってカウントし、カウントされた画素の数と画素ピッチに対応する距離又は単位距離とを乗算することにより、スキャン範囲内の各測定点における涙液層の厚みを算出することで涙液の厚みの分布情報を取得する分布情報取得部と、
    前記分布情報取得部により取得された涙液の厚みの分布情報により形成された画像を、表示部に表示させる表示制御部と、
    を備えた涙液層厚み測定装置。
  2. 請求項1に記載の涙液層厚み測定装置であって、
    前記予め定められた方向は、スキャンにおけるAライン方向、又は、角膜表面の各位置における法線方向であることを特徴とする涙液層厚み測定装置。
  3. 請求項2に記載の涙液層厚み測定装置であって、
    前記分布情報取得部は、
    角膜表面を曲面近似し、近似された曲面の各位置における接平面の特定し、各接平面の法線の特定することにより、角膜表面の各位置における前記法線方向を特定することを特徴とする涙液層厚み測定装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれかに記載の涙液層厚み測定装置であって、
    前記分布情報取得部は、角膜上の各部位の層厚をマップ状に作成し、作成されたマップを前記表示制御部により表示部に表示することを特徴とする涙液層厚み測定装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の涙液層厚み測定装置であって、
    さらに検出部を備え、
    前記光源は、前記制御処理部の制御により、可視から近赤外の波長範囲で予め定められた波長の光を発光し、
    前記光束方向変更部材は、前記制御処理部の制御により反射方向が定められ、前記光源からの光を反射し、角膜に照射し、
    前記検出部は、角膜からの反射光を前記光束方向変更部材を経て検出し、
    前記制御処理部は、前記検出部が検出した信号により、角膜上の涙液の画像を得て、画像を前記分布情報取得部に出力する、
    ことを特徴とする涙液層厚み測定装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の涙液層厚み測定装置であって、
    前記光束方向変更部材は、さらに、被検眼との距離が可変に駆動されるよう構成され、
    前記制御処理部は、被検眼との距離と角度とが制御されることで、被眼への入射角度を調整することを特徴とする涙液層厚み測定装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載の涙液層厚み測定装置であって、
    前記画像収集部は、角膜上の同一部位に対して複数の波長の光を照射し、その反射光量を検出し、
    前記分布情報取得部は、波長ごとの反射率の分布を得て、照射部位の涙液層の厚みを計測すること
    を特徴とする涙液層厚み測定装置。
  8. 光源部と制御処理部と光束方向変更部材を有する画像収集部と、分布情報取得部と、表示制御部を備えた涙液層厚み測定装置における涙液層厚み測定方法であって、
    前記光束方向変更部材が前記制御処理部により光線の進行方向が制御され、前記画像収集部が、測定光の入射角度を被検眼又は角膜の面に対して法線方向から光を入射させ、被検眼の前眼部をスキャンすることにより、角膜上の涙液を表す画像を収集し、
    前記分布情報取得部が、前記画像収集部が収集した画像に基づいて、涙液層に相当する画素の数を、予め定められた方向に沿ってカウントし、カウントされた画素の数と画素ピッチに対応する距離又は単位距離とを乗算することにより、スキャン範囲内の各測定点における涙液層の厚みを算出することで涙液の厚みの分布情報を取得し、
    前記表示制御部が、前記分布情報取得部により取得された涙液の厚みの分布情報により形成された画像を、表示部に表示させる、
    ことを特徴とする涙液層厚み測定方法。

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