JP3718104B2 - 眼科装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、被検眼の涙液層の状態を検査する眼科装置に関する。
【0002】
【従来技術】
被検眼角膜に照明光束を投光し、被検眼角膜の涙液層によって形成される干渉縞を観察することで、ドライアイ等の診断を行う眼科装置が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、涙液層に形成された干渉縞を観察しての検査や診断は、検者個々の主観的な判断で行うものであるため、その正確性は検者の経験に依存するものであった。
【0004】
本発明は、上記問題点に鑑み、被検眼の涙液層の状態を客観的に検査することができる眼科装置を提供することを技術課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
【0006】
(1) 被検眼の涙液層の状態を検査する眼科装置において、被検眼を照明する照明光学系と、該照明によって被検眼の涙液層で形成される干渉縞を撮像するカラーの撮像素子を持つ撮像光学系と、該撮像素子によって順次撮像された画像に基づいて干渉縞の色相の経時変化を解析する解析手段と、該解析結果を表示する表示手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
(2) (1)の眼科装置において、前記解析手段は予め設定された指定色の占有面積の経時変化を解析することを特徴とする。
【0008】
(3) (2)の眼科装置において、前記解析手段は前記指定色の占有面積を設定された測定領域における面積比率で解析することを特徴とする。
【0009】
(4) (3)の眼科装置において、さらに測定領域の設定を変更する測定領域変更手段を備えることを特徴とする。
【0010】
(5) (1)の眼科装置は、前記撮像素子によって撮像された画像を順次記憶する記憶手段を備え、前記解析手段は前記記憶手段に記憶された各画像に対して、予め設定された複数の色階調の各色毎に所定の測定領域における占有面積の比率を求めることを特徴とする。
【0011】
(6) (1)の眼科装置において、前記撮像素子によって撮像された画像を順次記憶する記憶手段を備え、前記解析手段は前記記憶手段に記憶された各画像に対して、予め設定された複数の色階調の各色毎に所定の測定領域における占有面積の比率を求める手段であり、前記表示手段は各色毎の面積比率を経過時間の関係で3次元的にグラフ表示することを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明に係わる眼科装置の光学系と制御系の概略構成図である。
【0013】
5は被検眼前眼部を観察する観察光学系であり、その光軸上には被検眼E側から1/4波長板4、対物レンズ6、偏光ビームスプリッタ7、撮像レンズ8、エリアセンサであるカラーCCDカメラ10が配置されている。
【0014】
11は照明光学系で、ハロゲンランプ等の白色光源12を出射した照明光束は、投影レンズ15を透過した後、偏光ビームスプリッタ7に入射する。14はブルーフィルタであり、フルオレセイン(蛍光物質)を被検眼Eに点眼して蛍光観察によりドライアイ診断する場合に挿脱機構部25によって光路に挿入する。
【0015】
偏光ビームスプリッタ7に入射した照明光束の内、可視域におけるs偏光成分の大部分は偏光ビームスプリッタ7によって反射され、被検眼E方向に導光される。
【0016】
被検眼E方向に反射されたs偏光の照明光束は対物レンズ6を透過して、直線偏光を円偏光に変換する特性を有する1/4波長板4に入射する。1/4波長板4に入射したs偏光成分の照明光束は、例えば右回りの円偏光に変換され、被検眼角膜上の涙液層を照明する。照明位置は角膜上の涙液最表層の油層に選択される。
【0017】
油層の表面及び裏面で反射された油層の厚みの変化により干渉縞模様を形成する。ここで、右回りの円偏光の照明光束が反射されると、円偏光の回転方向が反転し、左回りの円偏光の反射光束として1/4波長板4に入射する。左回りの円偏光である反射光束が1/4波長板4を通過するときには直線偏光に変換される。このとき、変換の元になる円偏光が涙液層での反射によって右回りから左回りに反転しているので、1/4波長板4を通過した反射光束はs偏光の照明光束とは直交する偏光方向を有するp偏光に変換される。
【0018】
左回りの円偏光からp偏光に変換された反射光束は、対物レンズ6を透過した後、偏光ビームスプリッタ7に入射する。反射光束はp偏光に変換されているので、その大部分は偏光ビームスプリッタ7を透過し、撮像レンズ8によってカラーCCDカメラ10の撮像面上に結像する。
【0019】
一方、偏光ビームスプリッタ7によって被検眼E方向へ反射されたs偏光の照明光束の内、一部が対物レンズ6でカラーCCDカメラ10方向へと反射される。この反射光束は照明光束と同じs偏光であるので、その殆どは偏光ビームスプリッタ7を透過することなく遮光(反射)され、妨害光となってカラーCCDカメラ10に入射することがないので、対物レンズ6での反射光束によるフレアは観察されない。カラーCCDカメラ10に結像した涙液層による干渉縞像はカラーモニタ22に表示され、検者はカラーモニタ22によって涙液層の状態を観察する。
【0020】
また、カラーCCDカメラ10からの干渉縞像は画像記憶メモリ21に逐次入力され、演算制御部20は画像記憶メモリ21に入力された干渉縞の色相を解析し、その経時的変化の情報を得る。演算制御部20で得られる解析結果は、図形生成部23を介してカラーモニタ22に表示される。図形生成部23では測定結果等のグラフが演算制御部20の指示により生成される。24は各種のスイッチを備えるスイッチ入力部であり、演算制御部20に接続されている。
【0021】
以上のような構成を持つ眼科装置において、次にその動作を図2のフローチャートを用いて説明する。
【0022】
測定は測定開始スイッチ27を押すことにより開始することも可能であるが、以下ではスイッチ入力部24に配置されるスイッチ24aで自動的に測定が開瞼状態から開始するモードを選択して行うものとして説明する。
【0023】
ハロゲンランプ12からの照明光束により涙液層の干渉縞が形成され、これが観察光学系5のカラーCCDカメラ10に撮像されてカラーモニタ22に映し出される。検者は図3に示す干渉縞像122が中心で観察されるように、また、観察像のピントが合うように光学系を移動してアライメントする。
【0024】
ここで、図3における符号121aは干渉縞の色相(以下、干渉色という)の解析を行う測定エリアを示しており、測定エリア121aの設定を変更する場合は次のようにする。スイッチ入力部24のスイッチ24cで測定エリア設定のモードにすると、測定エリア121aが画面上に表示される。その領域の縦サイズ及び横サイズのパラメータを、スイッチ24e,24f,24g,24hで所望する大きさに変更し、スイッチ24iの移動キーで所望する部位へ移動する。そして、スイッチ24cで設定モードを解除することにより、設定登録が完了する。
【0025】
アライメント完了後、スイッチ27を押すと開瞼検出がスタートする。この時点で開瞼検出のために測定エリア121a内の光量測定をし、画像記憶メモリ21に保存する。一度、被験者に瞼を閉じ、再び開いてもらう。カラーCCDカメラ10からの画像信号は画像記憶メモリ21に逐次入力され、演算制御部20は逐次入力される測定エリア121aにおける画像信号から瞼の開いたことを検出して測定を自動的に開始する。すなわち、瞼が閉じられた時は被検眼からの反射光量が大きく変化するので、測定エリア121aにおける光量が測定エリア121aの開瞼時の光量と比較して同等(光量差が10%以内)であれば、開瞼していると演算制御部20は判断する。なお、開瞼状態の検出は周知の技術(特開平9-149884)を用いても良い。被検眼は複数回の瞬きをすることがあるので、この場合には時間計測により瞼の開きがある時間以上継続したときに、その開瞼開始の時間を測定開始のタイミングとする。
【0026】
測定開始後、演算制御部20はカラーCCDカメラ10により撮像された干渉縞像を所定のサンプリング間隔で画像メモリ21に順次記憶させる。その後、予め設定された測定時間が過ぎると、測定終了の旨を音やカラーモニタ22上の表示で検者に知らせる。サンプリング間隔及び測定時間は、スイッチ入力部24のスイッチ操作で所望する値を設定しておく。例えば、サンプリング間隔を0.1、測定時間を5秒と設定しておくと、画像メモリ21には50枚の干渉縞画像が記憶される。
【0027】
演算制御部20は画像メモリ21に記憶された画像から干渉色の経時的変化を解析する。この解析は次のように行う。予め設定しておいた前述の測定エリア121a内における干渉色の成分を、例えば、予め指定された256色や16色の階調で抽出する。そして、抽出した各色の測定エリア内における占有面積の比率(相対面積)を求める。これを各画像毎に行うことにより干渉色の経時的変化が得られる。解析結果は図形生成部23でグラフ化されカラーモニタ2上に表示される。図4はその表示例であり、256色や16色の階調で分けられた干渉色、面積比及び経過時間の関係を3次元的にグラフ表示したものである。図において、符号50はカラーバーを示し、色解析した階調をスペクトル的に表している。
【0028】
ここで、一般に、正常な涙液層は最上層の油層が薄く均一な状態ため、反射される干渉色は白色に近い色となる。一方、ドライアイが進行してくると、干渉色は赤や黄色の迷彩色を示し、経時変化を追った場合、この迷彩部分の涙液層が破砕(ブレークアップ)されて角膜表層が露出してくるので、迷彩部分の色は徐々に変化する。例えば、赤色を例に挙げると、軽度のドライアイでも初めの段階から赤色を帯びた干渉色を示し、時間経過と共に徐々に赤色が増える。これを赤色に限らず、スペクトルのような多彩な色でその経時的変化を追い、図4に示したように、所定のエリア内における各色の面積比を時系列的に表すことにより、干渉色の変化を客観的、定量的に把握できるようになる。つまり、涙液層の状態の変化、ドライアイの進行具合が客観的に分かるようになる。
【0029】
前記の図4は各色の相対面積を時系列的に3次元のグラフにしたものであるが、特定の色のみ(例えば、赤色)を抽出して、図5の様に2次元なグラフとすることもできる。演算制御部20による解析終了後、スイッチ24jを押すと2次元グラフ表示モードとなる。画面上には図4と同じようなカラーバー50及びカーソル52が表示されるので、カーソル52をスイッチ24iの移動キーで移動して抽出色を指定することにより、所望する色の変化が2次元グラフで表示される。また、スイッチ24kを押しながらスイッチ24iでカーソル52を移動して色のバンド幅を指定すれば、そのバンド幅で積算された(又は平均化された)色のデータがグラフ表示される。
【0030】
図6は解析結果の表示における他の例を示したものであり、符号122は画像メモリ21に記憶された画像データの1つを呼び出することにより表示される干渉縞画像である。図6における干渉縞画122はサンプリングされたある時間(2.0秒後)の測定エリア内の干渉縞画像のみを拡大表示した例としている。また、符号123は表示画像における干渉色の黄色、赤色、その他の色の面積比データを表したものである。面積比データを表す色は前述と同じく色のバンド幅で指定されたものであり、数値表示によって干渉色の傾向が定量的に分かる。なお、表示画像はスイッチ24g,24hでサンプリングした時間を変更することにより順次切換えられる。
【0031】
上記の3次元グラフや2次元グラフ等の解析結果は、プリンタ28からプリントされるので、経過観察のために後日測定を行う場合にも同じ設定で測定を行い、比較することができる。
【0032】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、涙液層の状態を客観的に検査することができ、診断の信頼性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の装置に係わる装置の光学系と制御系の概略構成図である。
【図2】測定におけるフローチャートを示す図である。
【図3】干渉縞像及び測定エリア設定画面を示す図である。
【図4】干渉色、面積比及び経過時間の関係を3次元的にグラフ表示した図である。
【図5】抽出した干渉色の面積比と経過時間の関係をグラフ表示した図である。
【図6】干渉縞像及び干渉色の面積比を示す図である。
【符号の説明】
5 観察光学系
10 CCDカメラ
11 投光光学系
20 演算制御部
21 画像記憶メモリ
22 カラーモニタ
23 図形生成部
24 スイッチ入力部

Claims (6)

  1. 被検眼の涙液層の状態を検査する眼科装置において、被検眼を照明する照明光学系と、該照明によって被検眼の涙液層で形成される干渉縞を撮像するカラーの撮像素子を持つ撮像光学系と、該撮像素子によって順次撮像された画像に基づいて干渉縞の色相の経時変化を解析する解析手段と、該解析結果を表示する表示手段と、を備えることを特徴とする眼科装置。
  2. 請求項1の眼科装置において、前記解析手段は予め設定された指定色の占有面積の経時変化を解析することを特徴とする眼科装置。
  3. 請求項2の眼科装置において、前記解析手段は前記指定色の占有面積を設定された測定領域における面積比率で解析することを特徴とする眼科装置。
  4. 請求項3の眼科装置において、さらに測定領域の設定を変更する測定領域変更手段を備えることを特徴とする眼科装置。
  5. 請求項1の眼科装置は、前記撮像素子によって撮像された画像を順次記憶する記憶手段を備え、前記解析手段は前記記憶手段に記憶された各画像に対して、予め設定された複数の色階調の各色毎に所定の測定領域における占有面積の比率を求めることを特徴とする眼科装置。
  6. 請求項1の眼科装置において、前記撮像素子によって撮像された画像を順次記憶する記憶手段を備え、前記解析手段は前記記憶手段に記憶された各画像に対して、予め設定された複数の色階調の各色毎に所定の測定領域における占有面積の比率を求める手段であり、前記表示手段は各色毎の面積比率を経過時間の関係で3次元的にグラフ表示することを特徴とする眼科装置。
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