以下、実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
<加湿ユニットの全体構成>
図1は、本開示の一実施形態に係る加湿ユニット3の模式図である。
加湿ユニット3は、対象空間S1の加湿及び換気を行う。加湿及び換気の対象空間S1は、例えば、天井壁4、側壁5、及び図示しない床により仕切られた部屋内の空間である。
加湿ユニット3は、屋外の空気を導入して加湿し、その加湿された空気を対象空間S1に吹き出す。加湿ユニット3は、吸湿ロータ41、ヒータ42、第1ファン43、第2ファン44、温湿度センサ45、制御装置46、筐体47、導入ダクト48、及び排出ダクト49等を備える。
筐体47は、上記の機器41~46を収容する。筐体47は、筐体本体50と、パネル51と、導入接続管52と、排出接続管53と、を有する。筐体本体50の大部分は、天井裏空間S2に配置されている。筐体本体50の下端部は天井壁4を貫通して配置されている。天井裏空間S2は、天井壁4の上方に形成された空間である。筐体本体50の下端は開放され、パネル51によって塞がれている。
パネル51は、筐体本体50の下端に対して着脱自在に取り付けられている。パネル51の下面は、全体が対象空間S1に露出している。パネル51には、筐体本体50の内部と対象空間S1とを連通する複数の開口54,72が形成されている。開口は、筐体本体50から対象空間S1に空気を吹き出すための吹出口54を含む。吹出口54の近傍には、吹出口54から吹き出される空気の温度を検出する温度センサ60が設けられている。開口は、対象空間S1内の空気を筐体本体50内に流入させる流入口72を含む。流入口72の近傍には、流入口72から流入した対象空間S1の空気の温度及び湿度を検出する温湿度センサ45が設けられている。
導入接続管52の一端及び排出接続管53の一端は筐体本体50に接続されている。導入接続管52の他端側の開口は、屋外の空気を取り入れるための取入口55である。排出接続管53の他端側の開口は、屋外に空気を排出するための排出口56である。取入口55及び排出口56は、導入接続管52及び排出接続管53を用いずに、筐体本体50の壁面に形成した開口により構成されていてもよい。
筐体47は、第1空気通路P1及び第2空気通路P2を有している。第1空気通路P1及び第2空気通路P2は、対象空間S1の加湿のために用いられる「加湿用空気通路」である。取入口55から筐体47内に導入された屋外の空気は、第1空気通路P1を通って吹出口54まで流れる。取入口55から筐体47内に導入された屋外の空気は、第2空気通路P2を通って排出口56まで流れる。取入口55の近傍には、屋外の空気の温度及び湿度を検出する温湿度センサ93が設けられている。
筐体47は、第3空気通路P3及び第4空気通路P4をさらに有している。
第3空気通路P3は、温湿度センサ45によって対象空間S1内の空気の状態である温度及び湿度を検出するために用いられる「状態検出用空気通路」である。流入口72から筐体47内に流入した対象空間S1の空気は、第3空気通路P3を流れる。第3空気通路P3は、第2空気通路P2及び後述する第4空気通路P4と合流する。第3空気通路P3を流れる空気は、第2空気通路P2を流れる空気及び第4空気通路P4を流れる空気とともに排出口56から排出される。
第4空気通路P4は、制御装置46に含まれる発熱部品の冷却のために用いられる「冷却用空気通路」である。取入口55から筐体47内に導入された屋外の空気は、第4空気通路P4を流れる。第4空気通路P4は、発熱部品を冷却した後に第2空気通路P2と合流する。第4空気通路P4を流れる空気は、第2空気通路P2を流れる空気とともに排出口56から排出される。
導入ダクト48の一端は、筐体47の導入接続管52に接続されている。導入ダクト48の他端は、側壁5を貫通して屋外と連通している。
排出ダクト49の一端は、筐体47の排出接続管53に接続されている。排出ダクト49の他端は、側壁5を貫通して屋外と連通している。第2空気通路P2を流れる空気は、排出口56から排出ダクト49を介して屋外に排出される。
吸湿ロータ(吸着装置)41は、第1空気通路P1及び第2空気通路P2の途中に配置されている。吸湿ロータ41は、第2空気通路P2を流れる空気から水分を奪い、第1空気通路P1を流れる空気に前記水分を放出して当該空気を加湿するように構成されている。ヒータ42は、第1空気通路P1の途中に設けられ、第1空気通路P1を流れる加湿前の空気を温める。
ヒータ42の近傍には、温度保護装置91,92が設けられている。この温度保護装置91,92は、サーモスタット(第1温度保護装置)91と、温度ヒューズ(第2温度保護装置)92とを含む。温度保護装置91,92は、所定以上の温度を検出すると、ヒータ42への通電を遮断し、ヒータ42を停止させる。
第1ファン43は、第1空気通路P1において吹出口54の近傍に配置されている。第1ファン43は、第1空気通路P1内に空気の流れを発生させる。具体的には、第1ファン43は、導入ダクト48を介して屋外の空気を第1空気通路P1に導入し、吸湿ロータ41を経由して吹出口54から対象空間S1に吹き出すことができる位置に配置されている。
第2ファン44は、第2空気通路P2において排出口56の近傍に配置されている。第2ファン44は、第2空気通路P2内に空気の流れを発生させる。具体的には、第2ファン44は、導入ダクト48を介して屋外の空気を第2空気通路P2に導入し、吸湿ロータ41を経由して排出口56から屋外に排出することができる位置に配置されている。第2ファン44は、第3空気通路P3及び第4空気通路P4内に空気の流れも発生させる。
温湿度センサ45は、筐体本体50内に設けられ、対象空間S1の空気の温度及び湿度を検出する。温湿度センサ93は、筐体本体50内に設けられ、屋外の空気の温度及び湿度を検出する。温度センサ60は、筐体本体50内に設けられ、対象空間S1に吹き出される空気の温度を検出する。温湿度センサ45、93及び温度センサ60の検出値は、制御装置46に入力される。制御装置46は、各種センサ45、60の検出値等に基づいて、吸湿ロータ41、ヒータ42、第1ファン43、及び第2ファン44の動作を制御する。
加湿ユニット3は、「加湿運転」及び「換気運転」を行う。加湿運転では、制御装置46は、吸湿ロータ41、ヒータ42、第1ファン43及び第2ファン44を作動させる。これにより、屋外の空気は、導入ダクト48を通過して筐体本体50の第1空気通路P1及び第2空気通路P2に導入される。第2空気通路P2に導入された空気中の水分は吸湿ロータ41に奪われる。水分を奪われた空気は、排出ダクト49を通過して屋外に排出される。第1空気通路P1に導入された空気は、吸湿ロータ41により加湿される。加湿された空気は、吹出口54から対象空間S1に吹き出される。制御装置46は、温湿度センサ45で検出される対象空間S1の湿度が目標湿度(設定湿度)となるように、加湿運転を行う。
換気運転では、制御装置46は、第1ファン43及び第2ファン44を作動させ、吸湿ロータ41及びヒータ42を作動させない。これにより、屋外の空気は、導入ダクト48を通過して筐体本体50の第1空気通路P1及び第2空気通路P2に導入される。第1空気通路P1に導入された空気は、吸湿ロータ41により加湿されることなく、吹出口54から対象空間S1に吹き出される。
加湿運転及び換気運転において、吹出口54から対象空間S1への吹き出される空気の風量は、対象空間S1から流入口72及び第3,第2空気通路P3,P2を経て屋外へ排出される空気の風量よりも大きくなるように設定されている。このため、対象空間S1の内部は、吹出口54から放出される空気によって正圧となる。その結果、対象空間S1内の空気は、加湿ユニット3以外の場所から対象空間S1外に漏れ出ることになり、対象空間S1を換気することができる。つまり、加湿運転及び換気運転では、いわゆる第2種換気方式で換気が行われる。
<筐体47の具体的構成>
図2は、加湿ユニット3の筐体47の外観斜視図である。以下の説明において、向きや位置を説明するために、「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」等の表現を用いる場合がある。これらの表現は、特に断りの無い限り、図2に示された互いに直交する矢印X,Y,Zの方向に従う。具体的に、以下の説明では、図2中の矢印Xの方向(第1方向)を左右方向、矢印Yの方向(第2方向)を前後方法、矢印Zの方向(第3方向)を上下方向という。ただし、これらの方向や位置を表す表現は、説明の便宜上用いられるものであって本開示を限定するものではない。
筐体47の筐体本体50は、直方体の箱形状に形成されている。筐体本体50は、前板50a、後板50b、左側板50c、右側板50d、及び天板50eを有している。筐体本体50の下端は開放し、パネル51によって塞がれている。
筐体本体50の後板50bには導入接続管52及び排出接続管53が設けられている。筐体本体50は、導入接続管52及び排出接続管53により空気が出入りする方向(前後方向Y)の長さよりも、これに水平に直交する方向(左右方向X)の長さが長く形成されている。パネル51には、吹出口54と、流入口72とが形成されている。左右方向Xにおいて、吹出口54は、パネル51の一側部に配置され、流入口72は、パネル51の他側部に配置されている。したがって、吹出口54と流入口72とは、左右方向Xに間隔をあけて配置されている。
図3は、筐体47の天板50eを取り除いた概略平面図である。図4は、筐体47のパネル51を取り除いた概略底面図である。図5は、筐体47の前板50aを取り除いた概略正面図である。図3~図5に示すように、筐体47内には、吸湿ロータ41、第1ファン43、第2ファン44等の機器が左右方向Xに振り分けて配置されている。
筐体本体50には、その内部空間を上下に分ける第1仕切板61が設けられている。図3及び図5に示すように、第1仕切板61上には、第2仕切板62、第3仕切板63、及び第4仕切板64が設けられている。図4及び図5に示すように、第1仕切板61よりも下側には、第5仕切板65、第6仕切板66、第7仕切板67が設けられている。
図3に示すように、第1仕切板61は、平面視において第2、第3仕切板62,63で囲まれた領域及び第3、第4仕切板63,64で囲まれた領域(第2ファン44が配置される領域と制御装置46の一部が配置される領域とを除く領域)に設けられている。
図3に示すように、第2仕切板62は、平面視において、前後方向Yに延びる2つの縦板部62a,62cと、これらの縦板部62a,62c同士を接続する傾斜板部62bと、を有している。縦板部62aは、筐体本体50の前板50aから後方に延びている。縦板部62cは、筐体本体50の後板50bから前方へ延びている。縦板部62aと縦板部62cとは左右方向Xの位置がずらされている。傾斜板部62bは、縦板部62aの後端と縦板部62cの前端とを接続している。
第3仕切板63は、第2仕切板62に対して左右方向Xに間隔をあけて配置されている。第3仕切板63は、平面視において、前後方向Yに延びる2つの縦板部63a,63cと、縦板部63a,63c同士を接続する傾斜板部63bと、を有している。縦板部63aは、筐体本体50の前板50aから後方に延びている。縦板部63cは、筐体本体50の後板50bから前方へ延びている。縦板部63aと縦板部63cとは左右方向Xの位置がずらされている。傾斜板部63bは、縦板部63aの後端と縦板部63cの前端とを接続している。
第4仕切板64は、第3仕切板63における縦板部63cの前後方向Yの中途部と、筐体本体50の右側板50dとにわたって左右方向Xに延びている。
以上の構成により、筐体本体50の上部側であって、左右方向Xの略中央には、第2仕切板62及び第3仕切板63によって筐体本体50の前後方向Yにわたる第1空間R1が形成される。筐体本体50の上部側における右前側には、第3仕切板63及び第4仕切板64によって第2空間R2が形成される。筐体本体50の上部側における右後側には、第3仕切板63の縦板部63c及び第4仕切板64によって第3空間R3が形成される。
図4に示すように、第1仕切板61の下側に配置された第5仕切板65は、筐体本体50の後板50bから前方へ延びている。第5仕切板65は、第2仕切板62における縦板部62c(図3参照)の下方に配置されている。第6仕切板66は、第5仕切板65の前端と、筐体本体50の右側板50dとにわたって左右方向Xに延びている。第7仕切板67は、第6仕切板66の左右方向Xの中途部と、筐体本体50の前板50aとにわたって前後方向Yに延びている。
以上の構成により、筐体本体50の下部側における右後側には、第5仕切板65及び第6仕切板66によって第4空間R4が形成されている。筐体本体50の下部側における右前側には、第6仕切板66及び第7仕切板67によって第5空間R5が形成されている。
図3に示す第3空間R3と図4に示す第4空間R4の間には、第1仕切板61が存在していない。そのため、第3空間R3と第4空間R4とは上下に連通している。第3空間R3及び第4空間R4には、制御装置46を含む電装品が配置されている。第5空間R5には、第1ファン43が配置されている。
筐体本体50内において、図3に示すように第2仕切板62よりも左側の領域と、図4に示すように第5仕切板65及び第7仕切板67よりも左側の領域とは、連続的につながった第6空間R6を形成している。この第6空間R6には、第2ファン44が配置されている。第6空間R6は、第2ファン44によって空気が流れる第2空気通路P2(図1参照)の一部を形成している。
なお、筐体本体50の内部空間を分割する構成は、本実施形態に限定されるものではなく、適宜変更することができる。
図3及び図4に示すように、導入接続管52は、筐体本体50の後板50bにおいて第1空間R1と第4空間R4とに対応する位置に設けられている。導入接続管52の取入口55は、第1空間R1と第4空間R4とに連通している。第1空間R1は、取入口55から取り入れられた空気が流れる第1空気通路P1(図1参照)及び第2空気通路P2の一部を形成している。第1空間R1において、第1仕切板61の上面には温湿度センサ93が設けられている。この温湿度センサ93は、取入口55から取り入れられた空気の温度及び湿度を検出する。
第4空間R4は、取入口55から取り入れられた空気が流れる第4空気通路P4(図1参照)を形成している。第2空間R2は、後述する吸湿ロータ41のヒータケース41fを介して第1空間R1と連通しており、第1空間R1とともに第1空気通路P1を形成する。
筐体本体50の後板50bの内面には、取入口55から筐体本体50内に取り入れられる空気から塵埃等を除去するエアフィルタ73が設けられている。エアフィルタ73は、後板50bに設けられた取付枠74に取り付けられている。
排出接続管53は、筐体本体50の後板50bにおいて第6空間R6に対応する位置に設けられている。排出接続管53の排出口56は、第6空間R6と連通している。第6空間R6は、後述する吸湿ロータ41の吸着部材41aを介して第1空間R1と連通しており、第1空間R1とともに第2空気通路P2を形成している。
図4及び図5に示すように、パネル51に形成された吹出口54は、第5空間R5に対応する位置に形成されている。図3及び図4に示すように、パネル51に形成された流入口72は、第6空間R6に対応する位置に形成されている。第6空間R6には、温湿度センサ45及び断熱材87,88が設けられている。この断熱材87,88によって、第3空気通路P3(図1参照)が形成されている。
図6は、図3のC-C矢視における概略的な断面図である。図7は、温湿度センサの斜視図である。
本実施形態の温湿度センサ45は、筐体47の前板50aに取付部材86を介して取り付けられている。取付部材86は、L字状に折り曲げられた板材であり、上下方向Zに沿って配置された第1板部86aと水平方向に沿って配置された第2板部86bとを有する。取付部材86の第1板部86aは前板50aに固定され、第2板部86bの下面には温湿度センサ45が取り付けられている。温湿度センサ45は、筐体47のパネル51の上方に間隔をあけて配置されている。
温湿度センサ45の下方におけるパネル51には、流入口72が形成されている。流入口72は、その全部又は一部が、パネル51を鉛直方向の下方から見たときに温湿度センサ45に重なる大きさに形成されている。温湿度センサ45は、流入口72から流入した対象空間S1の空気の温度及び湿度を検出する。
温湿度センサ45の周囲に設けられた断熱材87,88は、取付部材86の第2板部86bの下面に設けられた第1断熱材87と、第2板部86bの上面に設けられた第2断熱材88とを含む。
第1断熱材87は、略直方体形状に形成されている。第1断熱材87の下面は、筐体47のパネル51の上面に接触している。具体的に、第1断熱材87は、取付部材86によってパネル51の上面に押し付けられ、取付部材86の第2板部86bとパネル51とによって上下から圧縮されている。第1断熱材87には、温湿度センサ45を収容する収容凹部87aが形成されている。収容凹部87aは、下端と後端とにおいて開放されている。収容凹部87aの下端の開放部87cは、流入口72に連通している。
第2断熱材88は、板状に形成されている。第2断熱材88は、第1断熱材87との間に取付部材86の第2板部86bを挟んでいる。第2断熱材88の後端縁には、第1断熱材87の収容凹部87aに連通する切り欠き部88aが形成されている。
本実施形態では、流入口72から流入した対象空間S1の空気は、第1断熱材87の収容凹部87a内を流れ、後端の開放部87bから第2空気通路P2に合流する。収容凹部87aは第3空気通路P3を構成している。
本実施形態では、断熱材87,88によって第3空気通路P3が形成されている。そのため、断熱材87,88は、第6空間R6内の冷えた空気によって流入口72から流入した対象空間S1の空気が冷やされるのを抑制する。これにより、温湿度センサ45によって対象空間S1の空気の温度及び湿度を正確に検出することができる。また、断熱材87,88は、対象空間S1の空気が第6空間R6内の空気で冷やされて温湿度センサ45において結露するのを抑制する。
<制御装置46の構成>
図3及び図4に示すように、制御装置46は、第3空間R3及び第4空間R4に配置されている。制御装置46は、制御基板81を含む。制御装置46は、第1ファン43、第2ファン44、吸湿ロータ41、及びヒータ42の動作を制御する。制御基板81には、CPU及びメモリ等を有するマイクロコンピュータと、整流回路及びインバータ回路等を有するインバータ(電源回路)とが実装されている。
制御基板81には、インバータに含まれるスイッチング素子等の発熱部品が実装されている。図4に示すように、制御基板81には、発熱部品を冷却するためのヒートシンク(冷却器)84が取り付けられている。ヒートシンク84は、アルミニウム合金等で形成されたブロックからなり、表面に多数のフィンが形成されている。ヒートシンク84は、導入接続管52の前側の近傍に位置にしている。制御装置46が配置される第4空間R4には、ヒートシンク84が配置される領域(冷却空間)R4aと、それ以外の領域とを区画する隔壁85が前後方向Yに沿って配置されている。冷却空間R4aは、第4空気通路P4(図1参照)を形成している。
図8は、図4のE-E矢視における概略的な断面図である。
図4及び図8に示すように、エアフィルタ73が取り付けられる取付枠74は、第1仕切板61よりも下側に空気の流通を遮蔽する遮蔽板74aを有している。この遮蔽板74aには、取入口55から取り入れられた空気を冷却空間R4aに流入させる流入口74bが形成されている。
第6仕切板66には、開口66aが形成されている。開口66aは、冷却空間R4aと第6空間R6とを連通している。第6空間R6は、第2空気通路P2を形成しているので、開口66aは、第4空気通路P4を第2空気通路P2に合流させる合流口を構成している。したがって、取入口55から取り入れられた空気は流入口74bから冷却空間R4aを流れ、開口66aから第6空間R6に排出される。冷却空間R4aに配置されたヒートシンク84には、冷却空間R4aを流れる空気が供給され、第2制御基板82に実装された発熱部品が冷却される。
<第1ファン43の構成>
図5に示すように、第5空間R5において、第1仕切板61の下側には第1ファン43が設けられている。この第1ファン43は、複数の羽根を有するファン本体43aと、ファン本体43aを収容するファンケース43bと、ファン本体43aを回転させるファンモータ43cとを有する。本実施形態の第1ファン43は、遠心ファンであり、例えばターボファンである。
第1仕切板61には、ファン本体43aの回転によってファンケース43b内へ空気を吸入させる吸込口61aが形成されている。ファンケース43bの下端には、ファン本体43aの回転によってファンケース43b外へ空気を吐出させる吐出口43dが形成されている。吐出口43dは、パネル51の吹出口54に接続され、吹出口54に連通している。第1ファン43によって第1空気通路P1の空気流が生成される。
図4に示すように、第1ファン43のファンケース43bには、温度センサ60と温度ヒューズ(温度検知器)76とが設けられている。温度センサ60は、吐出口43dから吹き出される空気の温度を検出する。温度ヒューズ76は、周囲の空気の温度が所定温度を超えると断線する電線を有し、制御装置46に信号を送信する回路に組み込まれている。温度センサ60の検出値、及び、温度ヒューズ76の断線状態は、制御装置46に入力される。
<第2ファン44の構成>
図3~図5に示すように、第6空間R6には、第2ファン44が設けられている。第2ファン44は、複数の羽根を有するファン本体44aと、ファン本体44aを収容するファンケース44bと、ファン本体44aを回転させるファンモータ44cとを有する。ファンケース44bの下面には、ファン本体44aの回転によってファンケース44b内へ空気を吸入させる吸込口44dが形成されている。ファンケース44bの後端には、ファン本体44aの回転によってファンケース44b外へ空気を吐出させる吐出口44eが形成されている。吐出口44eは、排出接続管53に接続されている。第2ファン44によって、第2空気通路P2の空気流が生成される。本実施形態の第2ファン44は、遠心ファンであり、例えばシロッコファンである。第2ファン44は、第1ファン43をよりも大きな風量の空気流を生成する。
<吸湿ロータ41の構成>
図3~図5に示すように、吸湿ロータ(吸湿装置)41は、第1仕切板61に設けられている。吸湿ロータ41は、図3に示すように、平面視において第3仕切板63の傾斜板部63b及び縦板部63aの下方に配置されている。吸湿ロータ41は、第1空間R1と第2空間R2とを跨いで配置されている。吸湿ロータ41は、図4に示すように、底面視において第6空間R6に配置されている。
図9は、吸湿ロータ41の平面図である。図10は、吸湿ロータ41の分解斜視図である。吸湿ロータ41は、吸着部材41aと、リングギヤ41bと、ピニオンギヤ41cと、支持フレーム41dと、ヒータケース41fとを有している。なお、図10は、支持フレーム41dから吸着部材41a及びリングギヤ41bを上方に分離させた状態を示している。
吸着部材41aは、円環状に形成されたデシカント材である。吸着部材41aは、その温度が低いときに自身を通過する空気から水分を吸着する。吸着部材41aは、その温度が高いときに、吸着部材41aを通過する空気に自身に吸着された水分を放出し、当該空気を加湿する。
リングギヤ41bは、外歯歯車からなる。リングギヤ41bは、吸着部材41aの外周に取り付けられている。吸着部材41aとリングギヤ41bとは一体化されている。吸着部材41a及びリングギヤ41bは、支持フレーム41dに配置されている。吸着部材41a及びリングギヤ41bは、吸着部材41aの中心Oにおいて支持フレーム41dに回転可能に支持されている。
支持フレーム41dは、筐体本体50の第1仕切板61と一体に形成されるか、又は、第1仕切板61に固定されている。支持フレーム41dには略扇形の貫通孔41d1、41d2が形成されている。貫通孔41d1は、後述する第1領域A1(図3参照)に対応する位置に形成されている。貫通孔41d2は、後述する第2、第3領域A2、A3に対応する位置に形成されている。貫通孔は、第1領域A1~第3領域A3のそれぞれに対応して3箇所に形成されていてもよい。
ピニオンギヤ41cは、リングギヤ41bの外周側において支持フレーム41dに対して回転可能に支持されている。ピニオンギヤ41cは、リングギヤ41bと噛み合っている。ピニオンギヤ41cは、図示しないモータにより回転される。ピニオンギヤ41cが回転すると、吸着部材41aがリングギヤ41bと共に中心O回りに回転する。本実施形態では、吸着部材41aは、その周方向の一方側(図3の白抜き矢印Bで示す方向)に回転する。
図4、図5、及び図10に示すように、吸湿ロータ41の支持フレーム41dには、ヒータケース41fが設けられている。ヒータケース41fは、平面視において略円弧形状に形成され、支持フレーム41dの貫通孔41d2に対応する位置に配置されている。ヒータケース41fは、上端が開放された箱状に形成されている。ヒータケース41fは、図5に示すように、第6空間R6において吸着部材41aの下方に配置されている。ヒータケース41fは、図3の平面視において、後述する第2領域A2及び第3領域A3の範囲(240°の角度範囲)に配置されている。ヒータケース41fは、吸着部材41aを通過する空気の通路を形成する通路部材として機能している。ヒータケース41fは、第1空間R1と第2空間R2との間において第1空気通路P1の一部を形成する。
ヒータケース41f内には、ヒータ42が収容されている。図3に示すように、ヒータ42は、傾斜板部63bの下方に位置する。ヒータ42は、第2領域A2と第3領域A3との間に相当する位置に配置されている。図11に示すように、ヒータケース41fの内部において、ヒータ42よりも第1空気通路P1における空気流方向の上流側は、ヒータ前空間41f1を構成している。ヒータ前空間41f1は、第3領域A3(図3及び図4参照)に配置されている。ヒータ前空間41f1は、ヒータ42で温められる前の空気が導入される。
ヒータケース41fの内部において、ヒータ42よりも第1空気通路P1における空気流方向の下流側は、ヒータ後空間41f2を構成している。ヒータ後空間41f2は、第2領域A2(図3及び図4参照)に配置されている。ヒータ後空間41f2は、ヒータ42で温められた後の空気が導入される。
図11は、ヒータ42の斜視図である。ヒータ42は、例えば金属により断面が四角形状に形成されている。ヒータ42は、その内部を通過する空気との接触面積を増加させるために格子状の枠体42aを有している。ヒータ42の一方の開放端は空気の入口42bであり、ヒータ42の他方の開放端は空気の出口42cである。
ヒータ42は、入口42bをヒータ前空間41f1に向け、出口42cをヒータ後空間41f2に向けて配置されている。ヒータ前空間41f1の空気は、入口42bから加熱したヒータ42内に導入され、ヒータ42の内部を通過するときに枠体42a等に接触して温められる。温められた空気は、ヒータ42の出口42cからヒータ後空間41f2に移動し、ヒータ後空間41f2の上方に位置する吸着部材41aを温める(図3参照)。したがって、ヒータ42は、間接的に吸着部材41aを温める。
ヒータ42は、空気を温める替わりに、吸着部材41aを直接温めてもよい。その場合、例えばヒータ42を吸着部材41aの上方に配置し、ヒータ42の輻射熱によって吸着部材41aを温めればよい。
図3に示すように、吸着部材41aは、平面視において第1領域(吸湿領域)A1、第2領域(放湿領域)A2、及び第3領域A3を有している。第1領域A1、第2領域A2、及び第3領域A3は、吸着部材41aの中心O回りに、それぞれ120°の角度範囲で設定されている。第1領域A1は、第2領域A2及び第3領域A3と隣接している。第2領域A2は、第1領域A1及び第3領域A3と隣接している。第3領域A3は、第1領域A1及び第2領域A2と隣接している。
第1領域A1~第3領域A3は、一定の位置に固定された領域である。したがって、吸着部材41aが矢印B方向に回転すると、第1領域A1~第3領域A3は吸着部材41a上で相対的に移動する。
第1領域A1は、第3仕切板63の縦板部63aから矢印Bとは反対方向に120°の角度範囲に設定されている。これにより、第1領域A1は、第1空間R1と第6空間R6との間に介在している。
取入口55から屋外の冷たい空気が第1空間R1内に導入されると、その空気の一部は、吸着部材41aの第1領域A1を通過して第6空間R6へ流れる。吸着部材41aの第1領域A1は、空気により冷却されて温度が低下する。そのため、吸着部材41aの第1領域A1は、吸着部材41aを通過する空気中の水分を吸着する。吸着部材41aの第1領域A1が空気中の水分を吸着した後に、吸着部材41aが回転すると、第1領域A1であった部分が第2領域A2となる。
第2領域A2は、第3仕切板63の縦板部63aから矢印B方向に傾斜板部63bまでの120°の角度範囲に形成されている。第2領域A2は、第2空間R2とヒータケース41fのヒータ後空間41f2との間に介在している。ヒータケース41f内においてヒータ42で温められた空気は、ヒータ後空間41f2から吸着部材41aの第2領域A2を通過して第2空間R2に移動する。その際、吸着部材41aの第2領域A2は、空気により温められて温度が上昇するので、当該第2領域A2を通過する空気に水分を放出して当該空気を加湿する。
第3領域A3は、第3仕切板63の傾斜板部63bから矢印B方向に120°の角度範囲に形成されている。第3領域A3は、第1空間R1とヒータケース41fのヒータ前空間41f1との間に介在している。取入口55から屋外の冷たい空気が第1空間R1内に導入されると、その空気の一部は、吸着部材41aの第3領域A3を通過してヒータ前空間41f1に移動する。その際、吸着部材41aの第3領域A3は冷たい空気によって予備的に冷却される。冷たい空気は吸着部材41aの第3領域A3によって予備的に温められる。吸着部材41aは、必ずしも第3領域A3を有していなくてもよい。
以上のように、吸湿ロータ41は、単一の吸着部材41aを回転させることで、第1領域A1での第1空気通路P1を流れる空気中の水分の吸着と、第2領域A2での第2空気通路P2を流れる空気の加湿とを行うことができ、加湿ユニット3をコンパクトに構成することができる。
<空気通路のまとめ>
図3及び図4に示すように、第2ファン44を作動させると、屋外の空気は、導入接続管52の取入口55から筐体本体50の第1空間R1に導入される。第1空間R1に導入された空気は、吸着部材41aの第1領域A1を通過して第6空間R6に移動し、排出接続管53の排出口56から屋外へ排出される。
したがって、本実施形態では、導入接続管52の管内空間、第1空間R1、第6空間R6、及び排出接続管53の管内空間が、取入口55から排出口56まで空気が流れる第2空気通路P2を構成している。第2空気通路P2の途中に、吸着部材41aの第1領域A1及び第2ファン44が配置されている。吸湿ロータ41の吸着部材41aは、第1領域A1において第2空気通路P2を流れる空気中の水分を吸着する。
第2ファン44を作動させると、パネル51に形成された流入口72から対象空間S1の空気が断熱材87に形成された収容凹部87aに流入する。収容凹部87aに流入した空気は、温湿度センサ45の近傍を流れ、排出接続管53の排出口56から屋外へ排出される。したがって、本実施形態では、収容凹部87aが、第3空気通路P3を構成している。
第3空気通路P3を流れる空気は、対象空間S1の温度及び湿度を検出するためだけに利用され、吸湿ロータ41を通過せずに屋外に排出されるので対象空間S1の加湿のために全く寄与していない。そのため、第3空気通路P3を流れる空気の風量は、第2空気通路P2及び第1空気通路P1を流れる空気の風量よりも小さい。本実施形態では、流入口72の面積をできるだけ小さくすることによって第3空気通路P3を流れる空気の風量を小さく設定し、対象空間S1の加湿効率の低下を抑制している。
図4に示すように、第2ファン44を作動させると、取入口55から流入した空気が、エアフィルタ73の取付枠74に形成された流入口74bから第4空間R4における冷却空間R4aに流入する。冷却空間R4aに流入した空気は、制御装置46の発熱部品を冷却した後、第6仕切板66に形成された開口66aを通過し、第6空間R6に流入して排出口56から屋外へ排出される。したがって、本実施形態では、第4空間R4の冷却空間R4aが、第4空気通路P4を構成している。
第4空気通路P4は、第2空気通路P2における吸着部材41aよりも下流側で第2空気通路P2に合流している。したがって、第4空気通路P4から第2空気通路P2を通って屋外へ排出される空気の経路は、吸着部材41aの第1領域A1を経由しない経路となる。仮に、第4空気通路P4が、吸着部材41aよりも上流側で第2空気通路P2に合流したとすると、発熱部品を冷却した後の温かい空気が吸着部材41aの第1領域A1を通過し、吸着部材41aに対する水分の吸着が妨げられる恐れがある。本実施形態では、第4空気通路P4が吸着部材41aよりも下流側で第2空気通路P2に合流し、発熱部品を冷却した後の温かい空気が吸着部材41aの第1領域A1を流れることがないので、吸着部材41aによる水分の吸着を効率よく行うことができる。
加湿運転時に第1ファン43を作動させると、屋外の空気は、導入接続管52の取入口55から第1空間R1に導入され、吸着部材41aの第3領域A3を通過してヒータケース41fのヒータ前空間41f1に移動する。ヒータ前空間41f1に移動した空気は、ヒータケース41f内においてヒータ42で温められてヒータ後空間41f2に移動し、吸着部材41aの第2領域A2を通過して第2空間R2に移動する。第2空間R2に移動した空気は、第1ファン43によってパネル51の吹出口54から対象空間S1に吹き出される。
したがって、本実施形態では、導入接続管52の管内空間、第1空間R1、ヒータ前空間41f1、ヒータ後空間41f2、及び第2空間R2が、取入口55から吹出口54まで空気が流れる第1空気通路P1を構成している。第1空気通路P1の途中に、吸着部材41aの第3領域A3及び第2領域A2、ヒータ42、第1ファン43が配置されている。
第1空気通路P1では、ヒータ42で温められる前の空気が吸着部材41aの第3領域A3を通過することで、吸着部材41aが予備的に冷却される。吸着部材41aは、ヒータ42で温められた空気が吸着部材41aの第2領域A2を通過することで当該空気に水分を放出する。これにより、吸着部材41aの第2領域A2を通過する空気は加湿される。
加湿運転時に、第1空気通路P1を流れる空気、及び第2空気通路P2を流れる空気は、いずれも同じ空間である第1空間R1を通過する。しかし、第1空気通路P1及び第2空気通路P2を流れる空気を振り分けるための仕切板は、第1空間R1には設けられていない。第2ファン44は、第1ファン43よりも大きい風量の空気流を生成するので、第2ファン44と第1ファン43との間で空気の吸引力に差が生じ、その吸引力の差によって第1空気通路P1と第2空気通路P2とに空気が振り分けられるからである。第1空気通路P1を流れる空気、及び第2空気通路P2を流れる空気は、いずれも同じ空間である第1空間R1を通過するので、筐体本体50内の構造を簡素化することができる。
換気運転時に、第1ファン43及び第2ファン44を作動させると、屋外の空気は、加湿運転時と同様に第1空気通路P1及び第2空気通路P2を流れる。しかし、吸湿ロータ41及びヒータ42は駆動されないので、第1空気通路P1を流れる空気は、吸湿ロータ41の吸着部材41aで加湿されることなく、パネル51の吹出口54から対象空間S1に放出される。第2の換気運転時に第1ファン43だけでなく第2ファン44を駆動させるのは、第1ファン43は第2ファン44よりも生成する空気流の風量が小さいので、第1ファン43を駆動させるだけでは、導入ダクト48を介して屋外の空気を引き込むことが困難となる可能性があるからである。
図12は、第1空気通路で逆流が生じた場合の空気流の経路を示す筐体の天板を取り除いた概略平面図である。
加湿運転中、導入接続管52や導入ダクト48が異物等で塞がれるような不具合が生じると、屋外の空気を取入口55から筐体47内に取り入れることができなくなる。第2ファン44は、第1ファン43よりも大きな風量の空気流を生成するので、上記不具合により、第1ファン43によって吹出口54から空気を吹き出すことができず、第2ファン44によって対象空間S1内の空気が吹出口54から筐体47内に吸い込まれ、図12に矢印で示す経路Kを流れる空気流が形成される可能性がある。
具体的には、対象空間S1の空気は、吹出口54から第1ファン43のファンケース43b内に流入し、さらに、第1仕切板61の吸込口61aから第2空間R2に流入する。第2空間R2内に流入した空気は、吸着部材41aの第2領域A2を通過してヒータケース41f内に流入し、ヒータ42を通過する。ヒータ42を通過した空気は、吸着部材41aの第3領域A3を通過して筐体47の第1空間R1に流入する。第1空間R1に流入した空気は、吸着部材41aの第1領域A1を通過して筐体本体50の第6空間R6に流入し、第2ファン44のファンケース44bを通って排出口56から排出される。
また、第1ファン43の故障等により第2ファン44の風量に対して第1ファン43の風量がより小さくなり、両ファン43,44の風量のバランスが崩れた場合、第1ファン43によって吹出口54から空気を吹き出すことができず、逆に第2ファン44によって対象空間S1内の空気が筐体47内に吸い込まれることがある。この場合も、対象空間S1内の空気は、図12に示す経路Kを流れる。
以上のように、対象空間S1の空気が吹出口54から第1空気通路P1を逆流して第1空間R1に入り、第1空間R1から第2空気通路P2を流れて排出口56から屋外に排出される場合、第1空気通路P1を逆流する空気はヒータ42によって加熱されるため、当該空気が通過する経路にある部品が熱によって損傷する恐れがある。本実施形態の加湿ユニット3は、このような損傷の問題を解消するために温度保護装置91,92を備えている。
図13は、温度保護装置の配置を示す断面説明図である。
前述したように、温度保護装置91,92は、サーモスタット91と温度ヒューズ92とを含む。サーモスタット91及び温度ヒューズ92は、吸湿ロータ41のヒータケース41f内に配置されている。具体的に、サーモスタット91及び温度ヒューズ92は、ヒータケース41fにおけるヒータ前空間41f1に配置されている。したがって、サーモスタット91及び温度ヒューズ92は、第1空気通路P1を正常に空気が流れているときのヒータ42の上流側、言い換えると、第1空気通路P1を空気が逆流しているときのヒータ42の下流側に配置されている。
サーモスタット91は、例えばバイメタル式であり、周囲の温度が所定の反応温度以下のときに閉じ、反応温度を超えると開く接点を有している。サーモスタット91は、例えば、周囲の空気の温度が85℃を超えると接点を開く。以下、サーモスタット91の接点が開くことを、「サーモスタット91が作動する」ということがある。
サーモスタット91の接点は、ヒータ42に電力を供給する電力供給回路に接続されている。サーモスタット91の接点が閉じているときに、電力供給回路からヒータ42への通電が可能となり、サーモスタット91の接点が開いているときに、電力供給回路からヒータ42への通電が遮断される。サーモスタット91は、接点の開閉を繰り返して行うことができる可逆型の温度保護装置となっている。制御装置46には、サーモスタット91の接点の開閉状態を示す信号が入力され、この信号によって制御装置46はサーモスタット91が作動したか否かを把握することができる。
温度ヒューズ92は、周囲の空気の温度が所定の反応温度を超えると断線する電線を有する。温度ヒューズ92は、例えば、周囲の空気の温度が240℃を超えると断線する。以下、温度ヒューズ92が断線することを、「温度ヒューズ92が作動する」ということがある。
温度ヒューズ92は、ヒータ42に電力を供給する電力供給回路に接続されている。温度ヒューズ92が断線すると、電力供給回路からヒータ42への通電が遮断される。そして、温度ヒューズ92を交換しない限りヒータ42への通電が不可能となる。したがって、温度ヒューズ92は、一旦断線されると元に戻すことができない不可逆型の温度保護装置となっている。制御装置46には、温度ヒューズ92の断線状態を示す信号が入力され、この信号によって制御装置46は温度ヒューズ92が作動したか否かを把握することができる。
第1空気通路P1において空気の逆流が生じると、ヒータ42によって温められた空気がサーモスタット91及び温度ヒューズ92の周囲を流れる。そして、サーモスタット91及び温度ヒューズ92は、それぞれ反応温度に達したときに作動し、ヒータ42を停止させる。この場合、1回限りの利用となる温度ヒューズ92よりも、繰り返しの利用が可能なサーモスタット91を優先して作動させることが好ましい。
サーモスタット91の反応温度は、温度ヒューズ92の反応温度よりも低いため、ヒータ42からの熱が両者91,92に同じように伝わった場合、通常はサーモスタット91の方が温度ヒューズ92よりも早く作動してヒータ42を停止させるため、温度ヒューズ92は作動しないはずである。しかしながら、サーモスタット91よりも温度ヒューズ92の方が早く作動してしまう場合がある。例えば、サーモスタット91は、その特性上、温度ヒューズ92に比べて温度上昇に時間がかかることがあり、ヒータ42の熱が空気流によって急速にサーモスタット91及び温度ヒューズ92に伝わると、温度ヒューズ92の方が先に反応温度に達し、サーモスタット91よりも早く作動してしまうことがある。
そのため、本実施形態の加湿ユニット3では、このような不都合が生じないように、サーモスタット91が、温度ヒューズ92よりもヒータ42からの熱影響が大きい場所に配置されている。言い換えると、サーモスタット91は、温度ヒューズ92よりも第2ファン44による空気流の風量がより大きい場所に配置されている。具体的には、サーモスタット91からヒータ42までの距離L1が、温度ヒューズ92からヒータ42までの距離L2よりも小さくなるように、サーモスタット91及び温度ヒューズ92を配置している。そのため、ヒータ42で熱せられた空気が流れてきた場合、サーモスタット91を確実に先に作動させ、温度ヒューズ92を作動させないようにすることができる。温度ヒューズ92は、サーモスタット91の作動によってヒータ42が停止しなかった場合や、サーモスタット91が故障等によって適切に作動しなかった場合等に作動する。なお、サーモスタット91は、上下方向に関して温度ヒューズ92よりも高い位置に配置され、吸着部材41aの近くに配置されている。
図14は、温度保護装置が作動したときの制御装置の処理手順を示すフローチャートである。以下、温度保護装置91,92が作動したときの制御装置46の処理手順について説明する。
制御装置46は、第1、第2ファン43,44、ヒータ42、及び吸湿ロータ41を作動させることによって加湿運転を開始すると(ステップS11)、温度保護装置(サーモスタット91又は温度ヒューズ92)が作動したか否かを判断する(ステップS12)。
制御装置46は、ステップS12において、温度保護装置91,92が作動したと判断した場合(Yesの場合)、その作動が1回目であるか否かを判断する(ステップS13)。この判断は、後述するように、可逆型の温度保護装置であるサーモスタット91が複数回作動するような異常な状態が生じているかどうかを把握するために行われる。
制御装置46は、ステップS13において、温度保護装置91,92の作動が1回目であると判断した場合(Yesの場合)、ヒータ42及び吸湿ロータ41を停止させる処理を実行する。このとき、制御装置46は、第1、第2ファン43,44を継続して作動させることによって冷却工程を行う。これにより、ヒータ42の周囲の空気を冷却することができる。
次いで、制御装置46は、冷却工程が所定時間(例えば3分間)経過したか否かを判断する(ステップS15)。そして、所定時間が経過した場合(Yesの場合)、再びヒータ42及び吸湿ロータ41を作動させる処理を行う(ステップS16)。つまり、制御装置46は、一旦、ヒータ42を停止して周囲の温度を下げた後に、再びヒータ42を作動させる「リトライ運転」を実行する。
このようなリトライ運転は、ステップS12で作動した温度保護装置が可逆型のサーモスタット91である場合には行うことができるが、不可逆型の温度ヒューズ92である場合には行うことができない。そのため、制御装置46は、リトライ運転の実行によってヒータ42が実際に作動しているか否かを判断する(ステップS17)。
制御装置46は、ステップS17において、ヒータ42が作動していないと判断した場合(Noの場合)、ヒータ42、吸湿ロータ41、及び第1、第2ファン43,44を停止させる処理を実行し、加湿運転を完全に終了させる(ステップS18)。
一方、制御装置46は、ステップS17において、ヒータ42が作動していると判断した場合(Yesの場合)、処理をステップS12に戻し、温度保護装置91,92が再び作動したか否かを判断する。
制御装置46は、ステップS12において、温度保護装置91,92が作動したと判断すると、ステップS13において、その作動が1回目であるか否かを判断する。温度保護装置(ここでは、サーモスタット91)の作動が2回目である場合、制御装置46は、ステップS18に処理を移行し、加湿運転を完全に終了させる。このように温度保護装置91が2回作動した場合には、第1空気通路P1における空気の逆流が一時的なものではなく、連続して発生するような異常な状態であると判断することができるので、制御装置46は、再度のリトライ運転を行わずに、加湿運転を終了させる。
なお、リトライ運転の回数は、上記のように1回とするに限らず、2回以上としてもよい。この場合、ステップS13において温度保護装置91の作動回数を変更することで、リトライ運転の回数を所望に設定することができる。
<他の実施形態>
上記実施形態では、サーモスタット91及び温度ヒューズ92は、第1空気通路P1におけるヒータ42よりも上流側(逆流時の下流側)であって、ヒータケース41f内に配置されていたが、ヒータケース41fの外側、例えば、吸着部材41aの第3領域A3の上側に配置してもよい。
上記実施形態の吸湿ロータ41は、リングギヤ41b及びピニオンギヤ41cからなる歯車機構により吸着部材41aを回転させているが、ベルトやチェーン等を用いた他の回転伝達機構により吸着部材41aを回転させてもよい。
上記実施形態のパネル51は、1つの部材によって構成されていたが、複数の部材により構成されていてもよい。例えば、筐体本体50の底面を塞ぎ、実質的に筐体本体50の底板を構成する第1パネル部材と、第1パネル部材の下方を覆い、対象空間S1側に露出する第2パネル部材とから構成されていてもよい。この場合、パネル51の吹出口54及び流入口72は、第1、第2パネル部材の双方に形成されることになる。
<実施形態の作用効果>
(1)上記実施形態の加湿ユニット3は、空気流を生成する第1ファン43及び第2ファン44と、第1ファン43によって屋外から取り入れられた空気を加湿対象空間S1へ向けて流す第1空気通路P1、及び、第2ファン44によって屋外から取り入れられた空気を屋外へ向けて流しかつ一部が第1空気通路P1と共通している第2空気通路P2を有する筐体47と、第1空気通路P1を流れる空気に水分を放出する第2領域(放湿領域)A2及び第2空気通路P2を流れる空気から水分を吸着する第1領域(吸湿領域)A1を有する吸着部材41aと、第1空気通路P1において、第1ファン43により生成された空気流の方向に関して第2領域A2よりも上流側でかつ第2空気通路P2の一部よりも下流側に配置されるヒータ42と、第1空気通路P1において、第1ファン43により生成された空気流の方向に関してヒータ42よりも上流側に配置され、所定温度の検知によりヒータ42を停止させる可逆型のサーモスタット(第1温度保護装置)91及び不可逆型の温度ヒューズ(第2温度保護装置)92とを備えている。そのため、第1空気通路P1で空気が逆流するような異常な運転状態が発生したときに、ヒータ42よりも上流側(逆流時の下流側)を流れる空気が所定温度になったことをサーモスタット91又は温度ヒューズ92で検知し、ヒータ42を停止させることができるので、ヒータ42の熱による周囲の部品の損傷を抑制することができる。
(2)上記実施形態において、サーモスタット91は、温度ヒューズ92よりも、第1空気通路P1で空気が逆流したときのヒータ42の熱影響が大きい位置に配置されている。そのため、不可逆型の温度ヒューズ92よりも可逆型のサーモスタット91を優先して作動させることができ、温度ヒューズ92の交換の頻度を少なくすることができる。特に、サーモスタット91は、温度ヒューズ92よりも、第1空気通路P1で空気が逆流したときの風量が大きい位置に配置されているので、ヒータ42の熱がより伝わりやすくなる。
(3)上記実施形態において、第1ファン43により生成される空気流の風量は、第2ファン44により生成される空気流の風量よりも小さい。このように、第1ファン43により生成される空気流の風量が、第2ファン44により生成される空気流の風量よりも小さいと、第1ファン43と第2ファン44との風量のバランスの崩れ等によって、加湿対象空間S1内の空気が第2ファン44により筐体47内に引き込まれ、第1空気通路P1において空気の逆流が生じる可能性が高くなる。そのため、ヒータ42よりも上流側にサーモスタット91及び温度ヒューズ92を配置することがより有効となる。
(4)上記実施形態において、加湿ユニット3は、サーモスタット91又は温度ヒューズ92の作動によりヒータ42が停止してから所定時間経過後にヒータ42を再度作動させる制御を1回以上実行し、ヒータ42が複数回停止した場合及びヒータ42が運転を開始しない場合に加湿運転を完全に停止させる制御を実行する制御装置46をさらに備えている。可逆型のサーモスタット91の作動によりヒータ42が停止した場合、1回のヒータ42の停止だけで加湿運転を完全に停止させるのではなく、複数回ヒータ42が停止した場合に加湿運転を完全に停止させることで、一時的に第1空気通路P1を空気が逆流してヒータ42の上流側の温度が上昇するような一過性の不具合を異常な運転状態と判断しないようにすることができる。複数回ヒータ42が停止した場合は、制御装置46が加湿運転を完全に停止させることで、異常な運転状態による加湿運転の継続を抑制することができる。また、不可逆型の温度ヒューズ92の作動によりヒータ42が停止した場合は、再度ヒータが作動することはないので、制御装置46が加湿運転を完全に停止させる。これにより、ユーザに、温度ヒューズ92の交換等を促すことができる。
本開示は、以上の例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。