JP2022007335A - 印刷装置および搬送制御方法 - Google Patents

Abstract

【課題】ロール紙への両面印刷を行う際に、カールを矯正することが可能な印刷装置及び搬送制御方法を提供する。
【解決手段】印刷装置１１は、湾曲部（中間ローラー３３）、印刷部２０、切断部２７、排出部２８、搬送部３１を含む搬送経路７１、単票媒体の表裏を反転させる反転経路７２、制御部５８などを備え、制御部５８は、長尺媒体または単票媒体がロール状に巻かれていた際に内側であった面と、湾曲部（中間ローラー３３）を搬送される際に湾曲形状の内側となる面とが同一となる場合に、長尺媒体または単票媒体を第１速度で搬送する第１モードと、搬送される長尺媒体または単票媒体がロール状に巻かれていた際に内側であった面と、湾曲部（中間ローラー３３）を搬送される際に湾曲形状の内側となる面とが異なる場合に、第１モードの第１速度よりも低速となる第２速度で長尺媒体または単票媒体を搬送する第２モードと、を備える。
【選択図】図９

Description

本発明は、印刷装置および搬送制御方法に関する。

従来、ロール紙への両面印刷を行う印刷装置が知られている。例えば、特許文献１のインクジェット記録装置（印刷装置）では、ロール紙の第１面に印刷を行った後、切断して単票媒体とし、反転経路を搬送した後、第２面に印刷する構成が開示されている。

特開２００７－１４４９６０号公報

特許文献１では、印刷により、ロール紙が液体（インク）の溶媒を吸収することによって、波打ち状に皺が入る現象となる、いわゆるコックリングを解消する構成に関しては開示されているが、ロール紙の巻癖となる、いわゆるカールを解消する構成の開示はされていない。なお、カールが矯正されない場合、印刷部での印刷時に媒体の先端部がヘッドに当接してヘッド面を擦るヘッド擦れや、印刷部に媒体が引っ掛かる等して詰まることによるジャム等の不具合を発生する。
従って、ロール紙への両面印刷を行う際には、カールを矯正することが課題となる。

印刷装置は、媒体を湾曲させて搬送する湾曲部と、前記媒体に印刷する印刷部と、印刷された前記媒体を切断する切断部と、切断された前記媒体を排出する排出部と、前記媒体を、前記湾曲部、前記印刷部、前記切断部、前記排出部の順に搬送する搬送部を含む搬送経路と、前記媒体は、初期的にロール状の長尺媒体であり、当該長尺媒体の第１面への印刷および切断が行われて形成された単票媒体の表裏を反転させ、第２面に印刷を行わせるべく前記搬送経路の前記湾曲部の上流に合流させる反転経路と、前記搬送部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記長尺媒体または前記単票媒体の前記湾曲部の搬送において、搬送される前記長尺媒体または前記単票媒体が前記ロール状に巻かれていた際に内側であった面と、前記湾曲部を搬送される際に湾曲形状の内側となる面とが同一となる場合に、前記長尺媒体または前記単票媒体を第１速度で搬送する第１モードと、搬送される前記長尺媒体または前記単票媒体が前記ロール状に巻かれていた際に内側であった面と、前記湾曲部を搬送される際に湾曲形状の内側となる面とが異なる場合に、前記第１モードの前記第１速度よりも低速となる第２速度で前記長尺媒体または前記単票媒体を搬送する第２モードと、に前記搬送部を制御して前記印刷部に向けて搬送させる。

搬送制御方法は、初期的にロール状の長尺媒体である媒体に印刷する印刷装置を用いた前記媒体の搬送制御方法であって、前記印刷装置は、媒体を湾曲させて搬送する湾曲部と、前記媒体に印刷する印刷部と、印刷された前記媒体を切断する切断部と、切断された前記媒体を排出する排出部と、前記媒体を、前記湾曲部、前記印刷部、前記切断部、前記排出部の順に搬送する搬送部を含む搬送経路と、前記長尺媒体の第１面への印刷および切断が行われて形成された単票媒体の表裏を反転させ、第２面に印刷を行わせるべく前記搬送経路の前記湾曲部の上流に合流させる反転経路と、を備え、前記長尺媒体または前記単票媒体の前記湾曲部の搬送において、搬送される前記媒体が前記ロール状に巻かれていた際に内側であった面と、前記湾曲部を搬送される際に湾曲形状の内側となる面とが同一となる場合に、前記長尺媒体または前記単票媒体を第１速度で搬送する第１モードの工程と、搬送される前記媒体が前記ロール状に巻かれていた際に内側であった面と、前記湾曲部を搬送される際に湾曲形状の内側となる面とが異なる場合に、前記第１モードの工程の前記第１速度よりも低速となる第２速度で前記長尺媒体または前記単票媒体を搬送する第２モードの工程と、を備える。

第１実施形態に係る印刷装置の外観を示す斜視図。 ロール紙収容部を引出し、切断屑収容部を取り外した状態を示す斜視図。 印刷装置の内部構成を示す模式断面図。 長尺媒体が供給路に沿って支持部へ搬送される状態を示す断面図。 長尺媒体が切断される状態を示す断面図。 切断により形成された単票媒体を長尺媒体に重ねる状態を示す断面図。 切断により形成された単票媒体を長尺媒体に重ねる状態を示す断面図。 単票媒体及び長尺媒体の逆送の状態を示す断面図。 単票媒体が反転経路により表裏が反転された状態を示す断面図。 単票媒体が供給路に沿って支持部へ搬送される状態を示す断面図。 第２実施形態に係る印刷装置の長尺媒体が供給路に沿って支持部へ搬送される状態を示す断面図。 単票媒体が反転路により表裏が反転された状態を示す断面図。

１．第１実施形態
第１実施形態に係る印刷装置１１の概略構成について説明する。
本実施形態の印刷装置１１は、印刷用の媒体にインクを吐出して印刷するインクジェット方式の印刷装置である。また、印刷装置１１は、媒体としての長尺媒体Ａ１がロール状に巻き重ねられたロール紙Ｒを使用する。

以降の図面では、印刷装置１１が水平面上に載置された状態とし、水平面に沿う方向として、印刷装置１１の前後方向をＸ方向とし、左右方向（又は幅方向）をＹ方向とする。また、水平面に対して鉛直方向（上下方向）をＺ方向とする。また、＋Ｘ方向を前方向、－Ｘ方向を後方向、＋Ｙ方向を右方向、－Ｙ方向を左方向、＋Ｚ方向を上方向、－Ｚ方向を下方向とする。

図１から図３に示すように、印刷装置１１は、直方体状の筐体１２、及び印刷装置１１の各部を支持する本体フレーム１６を備える。筐体１２は、前面に開口する開口部１３を備えている。また、筐体１２には、印刷されて切断された媒体を排出する排出口１４が設置されている。なお、排出口１４は排出部２８を構成する。

印刷装置１１は、ロール紙Ｒを収容し、また収容したロール紙Ｒを繰り出すロール紙収容部４０を備えている。ロール紙収容部４０は、開口部１３を通じて筐体１２から前方向に引き出し可能に設置される。ロール紙収容部４０は、筐体１２に収容された場合、印刷装置１１の外装の一部を構成する前板部４２と、ロール紙Ｒを回転自在に支持する一対の支持壁４３と、を備えている。

排出部２８の下方には、切断部２７による切断で生じる媒体の切断屑を収容する箱状の切断屑収容部８０を備えている。切断屑収容部８０は、ロール紙Ｒの前方向で、着脱可能に筐体１２の前面に設置されている。切断屑収容部８０は、筐体１２に取り付けられることで開口部１３を塞ぐ。切断屑収容部８０は、筐体１２に取り付けられた場合、印刷装置１１の外装の一部を構成する外壁８１を備えている。

切断屑収容部８０が筐体１２から取り外された場合、ロール紙収容部４０が筐体１２から引き出し可能な状態となる。ロール紙収容部４０が筐体１２から引き出された状態で、ロール紙Ｒを交換する。

図３に示すように、印刷装置１１は、媒体が搬送される搬送路３０（図中、二点鎖線で示す）を備える。印刷装置１１は、搬送路３０に沿って媒体を搬送する搬送部３１と、媒体に印刷を行う印刷部２０と、媒体を切断する切断部２７と、を備える。

なお、本実施形態では、媒体とは、ロール紙収容部４０から供給される長尺媒体Ａ１と、長尺媒体Ａ１に印刷した後の長尺媒体Ａ１を切断して形成される単票媒体Ａ２とを総称している。但し、切断部２７で切断される媒体は長尺媒体Ａ１である。また、印刷部２０で印刷される媒体は、長尺媒体Ａ１と、長尺媒体Ａ１を切断して形成された単票媒体Ａ２となる。

図３に示すように、印刷部２０は、ロール紙収容部４０から供給される長尺媒体Ａ１、及び長尺媒体Ａ１を切断して形成される単票媒体Ａ２に印刷を行う。印刷部２０は、媒体に向かってインクを吐出するノズル２３を有するヘッド２２と、ヘッド２２を搭載するキャリッジ２１と、幅方向に沿って配置されたガイドレール２４とを備える。また、印刷部２０は、キャリッジ２１をガイドレール２４に沿って往復移動させる移動機構（図示省略）を備える。ヘッド２２と対向する位置には、媒体を支持する支持部２５が設けられる。

ヘッド２２は、キャリッジ２１と共に媒体の幅方向に往復移動しならインクを吐出することで、支持部２５に支持された媒体に印刷を行う。本実施形態では、印刷部２０として、ヘッド２２が幅方向に往復移動するシリアルヘッド方式を例示したが、ヘッドが幅方向に延在して固定配列されたラインヘッド方式の印刷部であってもよい。

搬送路３０は、媒体が移動可能な空間であり、複数の部材により構成される。搬送路３０は、最上流に位置してロール紙Ｒを繰り出すロール紙収容部４０から、最下流に位置する排出部２８（排出口１４）まで続く。印刷部２０及び支持部２５などは、搬送路３０の一部を構成する。

切断部２７は、支持部２５より下流に位置すると共に、排出口１４より上流に位置する。本実施形態の切断部２７は、幅方向（左右方向）に往復移動可能な可動刃２７ａと、移動しない固定刃２７ｂと、を備える。可動刃２７ａは、搬送路３０の上方に設けられ、固定刃２７ｂは搬送路３０の下方に設けられる。切断部２７は、媒体（長尺媒体Ａ１）を切断位置で幅方向にわたって切断する。切断位置は、固定刃２７ｂの刃先の位置である。

搬送路３０は、支持部２５よりも上流の供給路３０ａ及び反転路３０ｂと、支持部２５よりも下流の排出路３０ｃと、を備える。さらに、供給路３０ａは、長尺媒体Ａ１が供給されるロール紙供給路３０ｒを備えている。

供給路３０ａは、ロール紙収容部４０と支持部２５とを結ぶ通路である。反転路３０ｂは、供給路３０ａから分岐する分岐点Ｐ１と、供給路３０ａに合流する合流点Ｐ２とを結ぶ通路である。供給路３０ａにおいて、合流点Ｐ２は、分岐点Ｐ１より上流に位置する。排出路３０ｃは、支持部２５と排出部２８（排出口１４）とを結ぶ通路である。

搬送路３０は、媒体を、概ね中間ローラー３３、印刷部２０、切断部２７、排出部２８の順に搬送する搬送部３１を含んで構成されている。搬送部３１は、ロール紙Ｒから長尺媒体Ａ１を繰り出して搬送する。併せて、搬送部３１は、長尺媒体Ａ１が切断されて形成される単票媒体Ａ２も搬送する。搬送部３１は、供給路３０ａに上流から順に設けられる供給ローラー対３２、湾曲部としての中間ローラー３３、従動ローラー３４、及び上流搬送ローラー対３５を備えている。なお、搬送部３１は、従動ローラー３４を複数（本実施形態では３つ）備えている。従動ローラー３４は、回転自在に設けられ、中間ローラー３３との間に媒体を挟んで従動回転する。

搬送部３１は、さらに排出路３０ｃに上流から順に設けられる下流搬送ローラー対３６、第１ローラー対３７、及び第２ローラー対３８を備えている。第１ローラー対３７は、切断部２７より上流に位置する。第２ローラー対３８は、切断部２７より下流に位置する。

ここで、長尺媒体Ａ１または単票媒体Ａ２を、湾曲部（中間ローラー３３）、印刷部２０（支持部２５）、切断部２７、排出部２８の順に搬送する経路を搬送経路７１とする。搬送経路７１は、搬送路３０を構成する供給路３０ａ（ロール紙供給路３０ｒを含む）と、排出路３０ｃとで構成される。また、搬送経路７１は、搬送部３１と、印刷部２０（支持部２５）、切断部２７、排出部２８などで構成されている。

また、単票媒体Ａ２を、排出部２８、切断部２７、印刷部２０（支持部２５）、湾曲部（中間ローラー３３）の順に搬送（逆送）する経路を反転経路７２とする。反転経路７２は、搬送路３０を構成する排出路３０ｃと、反転路３０ｂとで構成される。また、反転経路７２は、搬送経路７１と同様に、搬送部３１と、印刷部２０（支持部２５）などで構成されている。なお、反転経路７２は、長尺媒体Ａ１への印刷及び切断が行われて形成される単票媒体Ａ２の表裏を反転させるための経路となる。

本実施形態では、搬送経路７１と反転経路７２とは、印刷部２０と対向する領域となる支持部２５、排出路３０ｃ、及び切断部２７において重複した経路となっており、互いに逆方向に長尺媒体Ａ１または単票媒体Ａ２を搬送させる。

ここで、ロール紙収容部４０の構成について説明する。
ロール紙収容部４０は、ロール紙Ｒが筐体１２の幅方向に延びる支軸４１を介して回転可能に支持される。支軸４１は、正逆両方向に回転駆動可能に構成される。そのため、ロール紙Ｒは、支軸４１を介して正逆両方向に回転駆動される。また、ロール紙収容部４０には、ロール紙Ｒから繰り出される長尺媒体Ａ１を、ロール紙供給路３０ｒに向かって搬送するためのロール紙搬送路５０が設けられる。

ロール紙搬送路５０は、支軸４１を介して支持されたロール紙Ｒの前側から下方に向かって延びてから後方向に屈曲し、ロール紙Ｒの下方向及び後方向を回り込んでロール紙Ｒよりも高い位置まで上方向に向かってロール紙供給路３０ｒまで延びる。

ロール紙搬送路５０は、その上流端部、すなわちロール紙搬送路５０におけるロール紙Ｒの前方向で、斜め下方向の位置に、ほぼ直角に曲がる屈曲部５０ａを有する。ロール紙搬送路５０における屈曲部５０ａの下流側には、ロール紙Ｒから繰り出される長尺媒体Ａ１の曲がり癖を矯正するデカールを行うためのデカール機構５１が設けられる。

ロール紙搬送路５０におけるデカール機構５１よりも下流側には、ロール紙Ｒに搬送力を付与するロール紙搬送ローラー対５６が適宜間隔を置いて設置される。ロール紙搬送ローラー対５６が回転駆動することにより、長尺媒体Ａ１がロール紙Ｒから繰り出されて、ロール紙供給路３０ｒに搬送される。

供給ローラー対３２、中間ローラー３３、従動ローラー３４、上流搬送ローラー対３５、下流搬送ローラー対３６、第１ローラー対３７、及び第２ローラー対３８は、媒体を挟んだ状態で回転することにより媒体を搬送する。

搬送部３１は、正転駆動されることにより媒体を上流から下流に搬送し、逆転駆動されることにより媒体を下流から上流に搬送する。本実施形態では、搬送路３０に沿って、下流に向かう方向を順送方向Ｄ１といい、上流に向かう方向を逆送方向Ｄ２という。

印刷装置１１は、印刷装置１１で実行される各種動作を制御する制御部５８を備える。制御部５８は、例えばコンピューター及びメモリーを含む処理回路等から構成され、メモリーに記憶されたプログラムに従って印刷部２０、切断部２７、及び搬送部３１などを制御する。

印刷装置１１は、搬送される媒体への加熱を行う加熱部６０を備えている。加熱部６０は、供給路３０ａに設置される中間ローラー３３に対向して位置し、３つの従動ローラー３４において、最も下流側の従動ローラー３４の直ぐ下流側に設置されている。加熱部６０は、媒体の巻癖を矯正するために構成されている。本実施形態の加熱部６０は、発熱するヒーター６１と、発熱したヒーター６１の熱を媒体に吹き付けるファン６２とで構成されている。

次に、媒体の搬送動作および搬送制御方法について説明する。
印刷装置１１は、中間ローラー３３及び上流搬送ローラー対３５などの回転量を検出するセンサーを備えている。また、印刷装置１１は、媒体を検出するセンサーを備えている。そして、制御部５８は、センサーの検出結果に基づいて各機構の駆動制御を行う。

図４に示すように、制御部５８は、ロール紙搬送ローラー対５６を含む搬送部３１を駆動し、ロール紙Ｒから繰り出された媒体（長尺媒体Ａ１）を、ロール紙搬送路５０（図３参照）を含む供給路３０ａに沿って支持部２５へ搬送する。具体的には、制御部５８は、搬送部３１を正転駆動して長尺媒体Ａ１を順送方向Ｄ１に搬送し、ロール紙収容部４０から繰り出された長尺媒体Ａ１を支持部２５まで搬送する。

なお、本実施形態では、制御部５８は、長尺媒体Ａ１が支持部２５に向けて搬送される途中となる湾曲部としての中間ローラー３３による搬送において、中間ローラー３３を含めた搬送部３１の搬送速度を制御している。また、制御部５８は、印刷された長尺媒体Ａ１を切断して単票媒体Ａ２を形成する。そして、制御部５８は、この単票媒体Ａ２の表裏を反転させて印刷を行わせるために、反転路３０ｂを搬送して中間ローラー３３に合流させて搬送させる際の、中間ローラー３３を含めた搬送部３１の搬送速度を制御している。このように制御部５８は、長尺媒体Ａ１または単票媒体Ａ２を中間ローラー３３で搬送する際には、中間ローラー３３を含めた搬送部３１の搬送速度を２つのモードを有して制御している。

制御部５８が有する２つのモード（第１モード、第２モード）について説明する。
最初に、長尺媒体Ａ１または単票媒体Ａ２において、ロール状に巻かれていた際に外側であった面を第１面Ｓ１とする。また、ロール状に巻かれていた際に内側であった面を第２面Ｓ２とする。なお、本実施形態では、長尺媒体Ａ１への印刷は、第１面Ｓ１に行い、単票媒体Ａ２への印刷は、第２面Ｓ２に行う。

第１モードは、搬送される長尺媒体Ａ１または単票媒体Ａ２がロール状に巻かれていた際に内側であった第２面Ｓ２と、長尺媒体Ａ１または単票媒体Ａ２が中間ローラー３３（湾曲部）を搬送される際に、ローラーの湾曲形状に沿って湾曲形状となる長尺媒体Ａ１または単票媒体Ａ２の内側となる面とが同一となる場合に、長尺媒体Ａ１または単票媒体Ａ２を第１速度で搬送するモードである。また、制御部５８が第１モードで駆動することは、「第１モードの工程」を実施することと同一である。

第２モードは、搬送される長尺媒体Ａ１または単票媒体Ａ２がロール状に巻かれていた際に内側であった第２面Ｓ２と、長尺媒体Ａ１または単票媒体Ａ２が中間ローラー３３（湾曲部）を搬送される際に、ローラーの湾曲形状に沿って湾曲形状となる長尺媒体Ａ１または単票媒体Ａ２の内側となる面とが異なる場合に、第１モードの第１速度よりも低速となる第２速度で長尺媒体Ａ１または単票媒体Ａ２を搬送するモードである。また、制御部５８が第２モードで駆動することは、「第２モードの工程」を実施することと同一である。

制御部５８は、第２モードにおいて、中間ローラー３３に位置する長尺媒体Ａ１または単票媒体Ａ２への加熱を行わせる加熱部６０を制御する。なお、第１モードにおいては、加熱部６０は駆動しない。

本実施形態では、ロール紙Ｒから繰り出された長尺媒体Ａ１が、中間ローラー３３を搬送される際において、長尺媒体Ａ１の第２面Ｓ２（ロール状に巻かれていた際に内側であった面）と、長尺媒体Ａ１が中間ローラー３３を搬送される際に、湾曲形状となる長尺媒体Ａ１の内側となる面（この場合、第２面Ｓ２）とが同一となる。そのため、制御部５８は、長尺媒体Ａ１に対して、第１モードで中間ローラー３３を含めた搬送部３１を駆動する。言い換えると、制御部５８は、第１モードの工程を実施する。詳細には、制御部５８は、第１モードとして設定された第１速度で搬送部３１を正転駆動し、長尺媒体Ａ１を順送方向Ｄ１に搬送させる。

長尺媒体Ａ１が、供給路３０ａに沿って搬送され、中間ローラー３３を経て、支持部２５へ搬送された場合、制御部５８は、搬送部３１に長尺媒体Ａ１を順送方向Ｄ１に搬送させつつ、印刷部２０に、支持部２５に位置する長尺媒体Ａ１へインクを吐出して印刷を行わせる。詳細には、印刷部２０は、長尺媒体Ａ１の第１面Ｓ１への印刷を行う。

制御部５８は、印刷部２０により印刷された長尺媒体Ａ１に対して、搬送部３１を正転駆動して順送方向Ｄ１に搬送する。そして、制御部５８は、長尺媒体Ａ１の印刷された印刷部分が切断位置を通過した場合、長尺媒体Ａ１の搬送を停止させる。

次に、制御部５８は、図５に示すように、切断部２７に、印刷された長尺媒体Ａ１を切断させる。切断部２７は、搬送が停止された状態の長尺媒体Ａ１を、切断部２７より上流となる元部４６と、切断部２７より下流となる切断片としての単票媒体Ａ２とに切り分ける。この切断部２７による長尺媒体Ａ１の切断により、単票媒体Ａ２が形成される。このとき、第１ローラー対３７は、切断部２７より上流で元部４６を保持する。また、第２ローラー対３８は、切断部２７より下流で単票媒体Ａ２を保持する。

次に、制御部５８は、図６に示すように、搬送部３１を正転駆動して、元部４６と単票媒体Ａ２とを順送方向Ｄ１に所定量搬送する。続いて、制御部５８は、図７に示すように、第１ローラー対３７の駆動を停止させた状態で、第２ローラー対３８を逆転駆動する。この動作により、元部４６の上部に、単票媒体Ａ２の上流端Ａ２ｕを重ねる。

次に、制御部５８は、第２ローラー対３８を逆転駆動した状態で、第１ローラー対３７を逆転駆動することで、単票媒体Ａ２の上流端Ａ２ｕが元部４６に重なった状態で切断部２７を通過させる。

次に、制御部５８は、第１ローラー対３７と共に、下流搬送ローラー対３６、上流搬送ローラー対３５、中間ローラー３３、及び供給ローラー対３２を逆転駆動する。搬送部３１は、単票媒体Ａ２の上流端Ａ２ｕが元部４６に重なった状態で、単票媒体Ａ２の上流端Ａ２ｕを上流搬送ローラー対３５より上流まで搬送する。

単票媒体Ａ２と元部４６との重なった部分が、上流搬送ローラー対３５を通過した場合、制御部５８は、上流搬送ローラー対３５、下流搬送ローラー対３６、第１ローラー対３７、第２ローラー対３８の逆転駆動を停止する。具体的には、制御部５８は、単票媒体Ａ２と元部４６との重なった部分が、上流搬送ローラー対３５より上流に位置し、且つ、単票媒体Ａ２の上流端Ａ２ｕが、上流搬送ローラー対３５と、供給路３０ａから反転路３０ｂが分岐する分岐点Ｐ１との間に位置した場合に、単票媒体Ａ２の搬送を停止する。

次に、制御部５８は、図８に示すように、上流搬送ローラー対３５、下流搬送ローラー対３６、第１ローラー対３７、第２ローラー対３８の逆転駆動を停止した状態で、中間ローラー３３及び供給ローラー対３２の逆転駆動は継続する。これにより、単票媒体Ａ２は、上流端Ａ２ｕが上流搬送ローラー対３５と分岐点Ｐ１との間に位置したまま残るのに対し、元部４６は、中間ローラー３３を経由して逆送方向Ｄ２に搬送される。そして、元部４６の下流端４６ｄが、中間ローラー３３を経由して合流点Ｐ２を通過してロール紙供給路３０ｒに位置した場合、制御部５８は、中間ローラー３３及び供給ローラー対３２の逆転駆動を停止する。

次に、制御部５８は、図９に示すように、単票媒体Ａ２の表裏を反転させ、第２面Ｓ２に印刷を行わせるべく、第２面Ｓ２を上面とするように搬送する。詳細には、制御部５８は、供給ローラー対３２の逆転駆動を停止させた状態で中間ローラー３３を正転駆動し、上流搬送ローラー対３５、下流搬送ローラー対３６、第１ローラー対３７、及び第２ローラー対３８を逆転駆動する。搬送部３１は、単票媒体Ａ２を逆送方向Ｄ２に搬送し、分岐点Ｐ１から反転路３０ｂに送ると共に、合流点Ｐ２から供給路３０ａに戻す。供給路３０ａに戻った単票媒体Ａ２は、中間ローラー３３を搬送されると共に、供給路３０ａを順送方向Ｄ１に搬送される。

そして、単票媒体Ａ２の進行方向の後端部（単票媒体Ａ２の下流端Ａ２ｄ）が上流搬送ローラー対３５を通過した場合、制御部５８は、逆転駆動していた上流搬送ローラー対３５、下流搬送ローラー対３６、第１ローラー対３７、及び第２ローラー対３８を正転駆動に切り替える。これにより、単票媒体Ａ２は、上流と下流が入れ替わり、上流端Ａ２ｕが最も下流の端になり、表裏が反転され、第２面Ｓ２が上面になる。

なお、反転路３０ｂを搬送された単票媒体Ａ２が、中間ローラー３３を搬送される場合、本実施形態では、単票媒体Ａ２が、中間ローラー３３を搬送される際において、単票媒体Ａ２の第２面Ｓ２（ロール状に巻かれていた際に内側であった面）と、ローラーの湾曲形状に沿って湾曲形状となる単票媒体Ａ２の内側となる面（この場合、第１面Ｓ１）とが異なることになる。そのため、制御部５８は、単票媒体Ａ２に対して、第２モードで中間ローラー３３を含めた搬送部３１を駆動する。言い換えると、制御部５８は、第２モードの工程を実施する。

制御部５８は、単票媒体Ａ２の進行方向の先端部（単票媒体Ａ２の上流端Ａ２ｕ）が、中間ローラー３３に位置する場合に第２モードを実施してもよい。これは、先端部は、上流搬送ローラー対３５だけで挟持されて搬送されている場合に、印刷部２０のヘッド２２に当接することや、印刷部２０に引っ掛かることが起こりやすいからである。そして、制御部５８は、第１モードの第１速度よりも低速となる第２速度で中間ローラー３３を含む搬送部３１を正転駆動し、単票媒体Ａ２を順送方向Ｄ１に搬送する。

なお、本実施形態の長尺媒体Ａ１は、ロール状に巻かれている場合の内側となる第２面Ｓ２が、内側に湾曲する巻癖となるカールを有する。従って、この長尺媒体Ａ１を切断して形成された単票媒体Ａ２も、第２面Ｓ２が、内側に湾曲するカールを有する。従って、単票媒体Ａ２が中間ローラー３３を搬送される場合、単票媒体Ａ２のカールの方向とは反対方向に湾曲されて搬送される状態となる。

言い換えると、単票媒体Ａ２は、第２面Ｓ２が内側にカールするのとは反対方向となる第２面Ｓ２が外側となるように湾曲されて搬送される。このように、単票媒体Ａ２を、湾曲部としての中間ローラー３３を搬送させることにより、カールする方向とは逆方向に湾曲させて、単票媒体Ａ２が第１速度よりも低速の第２速度（第２モード）で、搬送させることにより、カールを矯正する。

また、制御部５８は、単票媒体Ａ２の進行方向の後端部（単票媒体Ａ２の下流端Ａ２ｄ）が、中間ローラー３３に位置する場合に第２モードを実施してもよい。後端部は、上流搬送ローラー対３５を通過し、下流搬送ローラー対３６だけで挟持されて搬送されている場合に、印刷部２０のヘッド２２に当接することが起こりやすいからである。

また、制御部５８は、第２モードの工程において、湾曲部としての中間ローラー３３に位置する単票媒体Ａ２への加熱を行う加熱工程を備えている。制御部５８は、中間ローラー３３を搬送される単票媒体Ａ２の印刷部２０に向う進行方向の先端部（単票媒体Ａ２の上流端Ａ２ｕ）が、最も下流の従動ローラー３４の直ぐ下流側で、加熱部６０に相対する位置に搬送された場合（図９参照）に、加熱部６０を駆動して加熱工程を実施してもよい。いずれにしても、単票媒体Ａ２の印刷部２０に向う進行方向の先端部（単票媒体Ａ２の上流端Ａ２ｕ）が、中間ローラー３３に位置する場合に加熱工程を実施する。

また、制御部５８は、搬送される単票媒体Ａ２の印刷部２０に向う進行方向の後端部（単票媒体Ａ２の下流端Ａ２ｄ）が、最も上流の従動ローラー３４の直ぐ上流側で、加熱部６０に相対する位置に搬送された場合に、加熱部６０を駆動して加熱工程を実施してもよい。いずれにしても、単票媒体Ａ２の印刷部２０に向う進行方向の後端部（単票媒体Ａ２の下流端Ａ２ｄ）が、中間ローラー３３に位置する場合に加熱工程を実施する。その場合、加熱部６０を、上流側の従動ローラー３４より上流側にも設置することでよい。

加熱工程において、加熱部６０は、第２速度で順送方向Ｄ１に搬送される単票媒体Ａ２に対して、発熱したヒーター６１の熱をファン６２により、単票媒体Ａ２に吹き付ける。このように、加熱工程を実施することにより、熱を利用して、カールという巻癖による単票媒体Ａ２の残留応力を取り除くことで、カールを矯正する。

単票媒体Ａ２は、反転路３０ｂにより上流と下流が入れ替わり、上流端Ａ２ｕが最も下流の端になり、第２面Ｓ２が上面になる。そして、制御部５８は、単票媒体Ａ２の下流の端が分岐点Ｐ１を通過した場合、逆転駆動していた上流搬送ローラー対３５、下流搬送ローラー対３６、第１ローラー対３７、及び第２ローラー対３８を正転駆動に切り替える。また、制御部５８は、単票媒体Ａ２が合流点Ｐ２を通過した場合、停止していた供給ローラー対３２を正転駆動する。

図１０に示すように、制御部５８は、単票媒体Ａ２が支持部２５へ搬送された場合、搬送部３１に単票媒体Ａ２を順送方向Ｄ１に搬送させつつ、印刷部２０に、支持部２５に位置する単票媒体Ａ２へインクを吐出して印刷を行わせる。詳細には、印刷部２０は、単票媒体Ａ２の第２面Ｓ２への印刷を行う。

制御部５８は、単票媒体Ａ２が支持部２５へ搬送される場合、並行して、長尺媒体Ａ１の元部４６の下流端４６ｄの搬送を開始する。詳細には、制御部５８は、供給ローラー対３２、中間ローラー３３を正転駆動し、長尺媒体Ａ１を順送方向Ｄ１に搬送を開始し、合流点Ｐ２から供給路３０ａに戻す。長尺媒体Ａ１は、中間ローラー３３を搬送されると共に、供給路３０ａに沿って支持部２５へ搬送される。以降は、前述したと同様の動作が行われる。

この場合、制御部５８による第２モードの工程を実施したことにより、単票媒体Ａ２の第２面Ｓ２側へのカールが矯正されるため、単票媒体Ａ２の上流側、下流側の両端部が、印刷部２０のヘッド２２に当接することや、印刷部２０に単票媒体Ａ２が引っ掛かることなどを防ぐことができる。その後、制御部５８は、両面（第１面Ｓ１、第２面Ｓ２）に印刷された単票媒体Ａ２を排出口１４から印刷装置１１の外部に排出する。
以上の一連の動作により、単票媒体Ａ２への両面印刷が行われる。

本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。

本実施形態では、長尺媒体Ａ１、または長尺媒体Ａ１が印刷後に切断されて形成された単票媒体Ａ２が、ロール状に巻かれていた場合に内側となる面（本実施形態では第２面Ｓ２）が内側に湾曲するカールを有している。そして、本実施形態では、単票媒体Ａ２がロール状に巻かれている場合に内側となる面（本実施形態では第２面Ｓ２）と、反転路３０ｂを搬送された単票媒体Ａ２が湾曲部としての中間ローラー３３を搬送される際に、このローラーの湾曲形状に沿って湾曲形状となる単票媒体Ａ２の内側となる面（本実施形態では第１面Ｓ１）とが異なる。従って、制御部５８は、第２モードとして、第１モードの第１速度よりも低速となる第２速度で、単票媒体Ａ２を搬送する制御を行う。なお、長尺媒体Ａ１が湾曲部としての中間ローラー３３を搬送される際には、長尺媒体Ａ１がロール状に巻かれている場合に内側となる面（本実施形態では第２面Ｓ２）と、ローラーの湾曲形状に沿って湾曲形状となる長尺媒体Ａ１の内側となる面（本実施形態では第２面Ｓ２）とが同一となるため、制御部５８は、第１モード（第１速度での搬送）を実行する。
この構成により、単票媒体Ａ２に対して、カールする方向とは逆方向に湾曲させ、第１速度よりも低速の第２速度で、ゆっくりと中間ローラー３３（湾曲部）を搬送させることにより、カールを矯正することができる。また、カールが矯正されることにより、ヘッド擦れやジャム等の不具合を防止することができる。

本実施形態によれば、中間ローラー３３に加熱部６０を備えている。そして、制御部５８は、第２モードにおいて、中間ローラー３３に位置する単票媒体Ａ２への加熱部６０による加熱を行わせる。
この構成により、カールする方向とは逆方向に湾曲させることに併せて、熱を利用して、カールという巻癖による残留応力を取り除くことで、カールをさらに矯正することができる。

本実施形態よれば、単票媒体Ａ２の印刷部２０に向かう進行方向の先端部（上流端Ａ２ｕ）が、中間ローラー３３（湾曲部）に位置した場合に、制御部５８による第２モード（第２速度による搬送と加熱部６０による加熱）が実施される。
この構成により、カールを矯正することができる。

本実施形態よれば、単票媒体Ａ２の印刷部２０に向かう進行方向の後端部（単票媒体Ａ２の下流端Ａ２ｄ）が、中間ローラー３３（湾曲部）に位置した場合に、制御部５８による第２モード（第２速度による搬送）が実施される。
この構成により、カールを矯正することができる。

本実施形態によれば、印刷部２０と対向する領域において、搬送経路７１と反転経路７２とは重複し、互いに逆方向に長尺媒体Ａ１または単票媒体Ａ２を搬送する。
この構成により、搬送経路７１と反転経路７２とを共通の経路として使用することができ、搬送経路７１と反転経路７２とが重複せずに別々に設置されている構成に比べて、経路を削減すことができる。これにより、印刷装置の小型化を図ることができる。

本実施形態によれば、加熱部６０は、ヒーター６１とファン６２とを含んでいる。
この構成により、容易な構成で加熱部６０を実現でき、単票媒体Ａ２のカールを矯正することができる。

本実施形態によれば、印刷部２０はインクジェット方式による印刷を行い、制御部５８は単票媒体Ａ２に対して第２モードを実行する。
この構成により、現在、市場に普及している、ロール紙に両面印刷を行う印刷装置に対して、本発明を容易に適用することができ、媒体の有するカールを矯正することができる。これにより、ヘッド擦れや、ジャムなどの不具合を防止することができる。

本実施形態によれば、制御部５８は、第１モードの工程と、第１モードの工程の第１速度よりも低速となる第２速度で単票媒体Ａ２を搬送する第２モードの工程と、を備えている。
この制御方法により、上記印刷装置１１と同様の効果を奏することができる。

本実施形態によれば、湾曲部には加熱部６０を備え、第２モードの工程は、湾曲部としての中間ローラー３３に位置する単票媒体Ａ２への加熱を行う加熱工程を有している。
この制御方法により、上記印刷装置１１と同様の効果を奏することができる。

２．第２実施形態
第２実施形態に係る印刷装置１１Ａの概略構成について説明する。
本実施形態の印刷装置１１Ａにおいて、ロール紙Ｒは、説明の便宜上、長尺媒体Ａ３がロール状に巻き重ねられており、長尺媒体Ａ３に印刷した後、切断されて単票媒体Ａ４が形成されるものとする。長尺媒体Ａ３、単票媒体Ａ４共に、第１実施形態での長尺媒体Ａ１、単票媒体Ａ２に対応している。

第１実施形態と異なるのは、図１１に示すように、ロール紙Ｒを繰り出した場合の、長尺媒体Ａ３の表裏の方向が、第１実施形態とは反対方向となることである。そのため、長尺媒体Ａ３、単票媒体Ａ４に印刷する面が第１実施形態と異なる。その他の構成は略第１実施形態と同様となる。同様の構成には同様の符号を付記する。

本実施形態の長尺媒体Ａ３に印刷する面を、第１面Ｓ１とする。また、長尺媒体Ａ３に印刷した後、切断されて単票媒体Ａ４が形成され、その単票媒体Ａ４に印刷する面を、第２面Ｓ２とする。そのため、図１１に示すように、本実施形態の第１面Ｓ１は、ロール状に巻かれていた際の内側の面であり、第２面Ｓ２は、ロール状に巻かれていた際の外側の面である。

ロール紙Ｒの繰り出しは、新たに設けたロール紙搬送ローラー対５７による順方向の回転により行われる。この場合、カールは、基本的にロール状に巻かれていた際に内側の面となる第１面Ｓ１を内側とするカールとなる。従って、ロール紙搬送ローラー対５７による搬送は、デカール機能も有することになる。

本実施形態においても、搬送経路７１と反転経路７２とは、印刷部２０と対向する領域となる支持部２５、排出路３０ｃ、及び切断部２７において重複した経路となっており、互いに逆方向に長尺媒体Ａ３または単票媒体Ａ４を搬送させる。

本実施形態でも第１実施形態と同様に、長尺媒体Ａ３（印刷後に切断されて形成される単票媒体Ａ４）が、ロール状に巻かれていた場合に内側となる面（本実施形態では第１面Ｓ１）が内側に湾曲するカールを有している。また、制御部５８は、第１実施形態と同様に、長尺媒体Ａ３または単票媒体Ａ４がロール状に巻かれていた際に内側であった面（本実施形態では第１面Ｓ１）と、長尺媒体Ａ３または単票媒体Ａ４が湾曲部としての中間ローラー３３を搬送される際に、このローラーの湾曲形状に沿って湾曲形状となる長尺媒体Ａ３または単票媒体Ａ４の内側となる面とが異なる場合に、第２モードを実行する。なお、同一となる場合には、制御部５８は第１モードを実行する。

本実施形態では、ロール紙Ｒから繰り出された長尺媒体Ａ３が、中間ローラー３３を搬送される際において、長尺媒体Ａ３がロール状に巻かれていた場合に内側となる面（第１面Ｓ１）と、長尺媒体Ａ３が中間ローラー３３を搬送される際に、湾曲形状となる長尺媒体Ａ３の内側となる面（この場合、第２面Ｓ２）とが異なることになる。

そのため、制御部５８は、長尺媒体Ａ３の印刷部２０に向かう進行方向の先端部（長尺媒体Ａ３の下流端Ａ３ｄ）が、中間ローラー３３（湾曲部）に位置した場合に第２モード（第２モードの工程）を実施する。そして、制御部５８は、第２モード（第２モードの工程）において、第１モードの第１速度よりも低速となる第２速度で中間ローラー３３を含む搬送部３１を正転駆動し、長尺媒体Ａ３を順送方向Ｄ１に搬送する。また、制御部５８は、第２モード（第２モードの工程）において、湾曲部としての中間ローラー３３に位置する長尺媒体Ａ３に対して、加熱部６０による加熱（加熱工程）を実施する。

このように、中間ローラー３３を搬送される長尺媒体Ａ３に対して、カールする方向とは逆方向に湾曲させ、第２速度でゆっくりと搬送することにより、カールを矯正することができる。また、併せて、中間ローラー３３を搬送される長尺媒体Ａ３に対して、加熱部６０による加熱（加熱工程）を実施することにより、熱を利用して、カールという巻癖による単票媒体Ａ４の残留応力を取り除くことで、カールを矯正する。

カールが矯正された長尺媒体Ａ３は、その後、搬送経路７１を搬送され、第１実施形態と同様に印刷及び切断が行われ、単票媒体Ａ４が形成される。形成された、単票媒体Ａ４は、第１実施形態と同様に、反転経路７２を搬送され、表裏が反転される。

図１２に示すように、単票媒体Ａ４は、反転経路７２において、中間ローラー３３を搬送される際に、本実施形態では、単票媒体Ａ４がロール状に巻かれていた場合に内側となる面（第１面Ｓ１）と、単票媒体Ａ４が中間ローラー３３を搬送される際に、湾曲形状となる単票媒体Ａ４の内側となる面（この場合、第１面Ｓ１）とが同一となる。そのため、制御部５８は、単票媒体Ａ４に対して、第１速度で単票媒体Ａ４を搬送する第１モードで、中間ローラー３３を含めた搬送部３１を駆動する。第１モードでの搬送により、単票媒体Ａ４の上流端Ａ４ｕ（印刷部２０に向かう進行方向の先端部）が、加熱部６０に相対する位置に位置した場合にも、加熱は行わない。

第１速度で搬送された単票媒体Ａ４は、印刷部２０で第２面Ｓ２に印刷される。その後、制御部５８は、両面（第１面Ｓ１、第２面Ｓ２）に印刷された単票媒体Ａ４を排出口１４から印刷装置１１Ａの外部に排出する。
以上の一連の動作により、単票媒体Ａ４への両面印刷が行われる。

本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。

本実施形態では、長尺媒体Ａ３、または長尺媒体Ａ３が印刷後に切断されて形成された単票媒体Ａ４が、ロール状に巻かれていた場合に内側となる面（本実施形態では第１面Ｓ１）が内側に湾曲するカールを有している。そして、本実施形態では、長尺媒体Ａ３がロール状に巻かれている場合に内側となる面（本実施形態では第１面Ｓ１）と、長尺媒体Ａ３が湾曲部としての中間ローラー３３を搬送される際に、このローラーの湾曲形状に沿って湾曲形状となる単票媒体Ａ４の内側となる面（本実施形態では第２面Ｓ２）とが異なる。従って、制御部５８は、第２モードとして、第１モードの第１速度よりも低速となる第２速度で、長尺媒体Ａ３を搬送する制御を行う。なお、単票媒体Ａ４が湾曲部としての中間ローラー３３を搬送される際には、単票媒体Ａ４がロール状に巻かれている場合に内側となる面（本実施形態では第１面Ｓ１）と、ローラーの湾曲形状に沿って湾曲形状となる単票媒体Ａ４の内側となる面（本実施形態では第１面Ｓ１）とが同一となるため、制御部５８は、第１モード（第１速度での搬送）を実行する。
この構成により、長尺媒体Ａ３に対して、カールする方向とは逆方向に湾曲させ、第１速度よりも低速の第２速度で、ゆっくりと中間ローラー３３（湾曲部）を搬送させることにより、カールを矯正することができる。また、カールが矯正されることにより、ヘッド擦れやジャム等の不具合を防止することができる。

本実施形態によれば、中間ローラー３３に加熱部６０を備えている。そして、制御部５８は、第２モードにおいて、中間ローラー３３に位置する長尺媒体Ａ３への加熱部６０による加熱を行わせる。
この構成により、カールする方向とは逆方向に湾曲させることに併せて、熱を利用して、カールという巻癖による残留応力を取り除くことで、カールをさらに矯正することができる。

本実施形態によれば、長尺媒体Ａ３の印刷部２０に向かう進行方向の先端部（長尺媒体Ａ３の下流端Ａ３ｄ）が、中間ローラー３３（湾曲部）に位置した場合に、制御部５８による第２モード（第２速度による搬送と加熱部６０による加熱）が実施される。
この構成により、カールを矯正することができる。

本実施形態によれば、印刷部２０と対向する領域において、搬送経路７１と反転経路７２とは重複し、互いに逆方向に長尺媒体Ａ３または単票媒体Ａ４を搬送する。
この構成により、搬送経路７１と反転経路７２とを共通の経路として使用することができ、搬送経路７１と反転経路７２とが重複せずに別々に設置されている構成に比べて、経路を削減すことができる。これにより、印刷装置の小型化を図ることができる。

本実施形態によれば、加熱部６０は、ヒーター６１とファン６２とを含んでいる。
この構成により、容易な構成で加熱部６０を実現でき、長尺媒体Ａ３のカールを矯正することができる。

本実施形態によれば、制御部５８は、第１モードの工程と、第１モードの工程の第１速度よりも低速となる第２速度で長尺媒体Ａ３を搬送する第２モードの工程と、を備えている。
この制御方法により、上記印刷装置１１Ａと同様の効果を奏することができる。

本実施形態によれば、湾曲部には加熱部６０を備え、第２モードの工程は、湾曲部としての中間ローラー３３に位置する長尺媒体Ａ３への加熱を行う加熱工程を有している。
この制御方法により、上記印刷装置１１Ａと同様の効果を奏することができる。

３．変形例１
第１実施形態では、第２モードを実施する場合、単票媒体Ａ２の進行方向の先端部（単票媒体Ａ２の上流端Ａ２ｕ）が湾曲部としての中間ローラー３３に位置したときに第２速度として制御する。また、加熱部６０は、進行方向の先端部（単票媒体Ａ２の上流端Ａ２ｕ）が最後の従動ローラー３４の下流（中間ローラー３３から離れる間際）に位置した状態で加熱している。しかし、進行方向の先端部（単票媒体Ａ２の上流端Ａ２ｕ）が中間ローラー３３に位置したときに加熱部６０も動作させることでよい。その場合、加熱部６０は、上流側の従動ローラー３４より上流側に設置することでよい。これは、第２実施形態で第２モードを実施する場合も同様となる。

４．変形例２
第１実施形態では、第２モードを実施する場合、単票媒体Ａ２の進行方向の後端部（単票媒体Ａ２の下流端Ａ２ｄ）が湾曲部としての中間ローラー３３に位置したときに第２速度として制御する。また、加熱部６０は、進行方向の後端部（単票媒体Ａ２の下流端Ａ２ｄ）が最初の従動ローラー３４の上流に位置した状態で加熱している。しかし、進行方向の後端部（単票媒体Ａ２の下流端Ａ２ｄ）が中間ローラー３３に位置したときに加熱部６０も動作させることでよい。その場合も、加熱部６０を、上流側の従動ローラー３４より上流側にも設置することでよい。

５．変形例３
第１実施形態において、第２モードを実施する場合、単票媒体Ａ２を第２速度で搬送する期間は、少なくとも、単票媒体Ａ２が中間ローラー３３に位置している期間であればよい。なお、第２実施形態において第２モードを実施する場合、長尺媒体Ａ３を第２速度で搬送する期間は、適宜設定することでよい。

６．変形例４
第１実施形態において、第２モードを実施する場合、加熱部６０による加熱は、少なくとも、単票媒体Ａ２の上流端Ａ２ｕとなる部位、言い換えると、印刷部２０に向かう進行方向の先端部に対して実施することでよい。これにより、印刷部２０において、ヘッド擦れやジャムを防止することができる。なお、第２実施形態において第２モードを実施する場合にも、加熱部６０による加熱は、少なくとも、長尺媒体Ａ３の下流端Ａ３ｄとなる部位、言い換えると、印刷部２０に向かう進行方向の先端部に対して実施することでよい。

７．変形例５
第１実施形態において、第２モードを実施する場合、加熱部６０による加熱は、少なくとも、単票媒体Ａ２の下流端Ａ２ｄとなる部位、言い換えると、印刷部２０に向かう進行方向の後端部に対して実施することでよい。これにより、印刷部２０において、ヘッド擦れやジャムを防止することができる。

８．変形例６
第１実施形態では、第２モードを実施する場合、第１モードの第１速度より低速となる第２速度で、単票媒体Ａ２を搬送している。しかし、これには限定されず、第１速度より低速となる第２速度として、停止を含むことでもよい。なお、停止する秒数（時間）や、加熱する温度（強さ）や秒数（時間）などは、実験により適宜設定することでよい。
この構成により、単票媒体Ａ２は、カールの方向とは反対方向に湾曲されて中間ローラー３３の湾曲に沿った状態で停止される。これにより、カールを矯正することができる。また、停止する単票媒体Ａ２に対して加熱部６０による加熱を行うことにより、更に確実にカールを矯正することができる。これは、第２実施形態で第２モードを実施する場合も同様となる。

９．変形例７
第１実施形態では、第２モードを実施する場合、長尺媒体Ａ１がロール状に巻かれていた際の曲率によるカールの度合い（程度）は加味していない。しかし、長尺媒体Ａ１がロール状に巻かれていた際の曲率に応じて、第２モードの状態（速度や加熱温度）を制御することでもよい。この場合、ロール紙収容部４０の支持壁４３などに光学センサーなどの位置検出用センサーを設置して、繰り出される長尺媒体Ａ１のロール紙Ｒにおける断面方向の位置を検出することで、曲率が算出され、その算出された曲率により、第２速度や、加熱部６０による加熱温度などを含めた第２モードの状態を制御することができる。
この構成により、適正にカールを矯正することができる。これは、第２実施形態で第２モードを実施する場合も同様となる。

１０．変形例８
第１実施形態において、中間ローラー３３は、湾曲部としての搬送経路７１の一部であり、湾曲部は湾曲する経路を構成している。そして、この湾曲経路の内壁が、中間ローラー３３の外周面で形成されている。なお、中間ローラー３３は、他のローラーに比べて大きい径のローラーとなる。言い換えると、湾曲部の搬送における湾曲経路の内壁は、大径ローラーの外周面で形成されている。
この構成により、湾曲経路における搬送力を伝達する機構を簡素とすることができる。そして、長尺媒体または単票媒体のカールを矯正しやすくなる。なお、湾曲経路の搬送方向に複数のローラーを配置する構成も考えられるが、この場合、複数のローラーそれぞれに動力を伝達する必要があり、伝達する機構が複雑となる。しかし、１つの大径ローラーで構成することにより、大径ローラーにのみ動力を伝達すればよいため、伝達する機構が簡素となり、伝達する機構の小型化を図ることができる。これは、第２実施形態においても同様となる。

１１．変形例９
第１実施形態において、加熱部６０は、湾曲部（中間ローラー３３）の外側から単票媒体Ａ２を加熱している。しかし、これには限定されず、加熱部は、湾曲部の内側から加熱することでもよい。従って、例えば、湾曲部としての中間ローラー３３の内側から単票媒体Ａ２を加熱することでもよい。
この構成により、加熱部を湾曲部の内部に構成することで、加熱部の小型化を図ることができる。これは、第２実施形態においても同様となる。

１２．変形例１０
第１実施形態において、加熱部６０は、ヒーター６１とファン６２とで構成されている。しかし、これには限定されず、加熱部は、ヒートローラーを用いることでもよい。なお、ヒートローラーを用いる際は、媒体の幅方向全体を加熱できる寸胴形状であることがよい。また、ヒートローラーは、湾曲部の内部（例えば中間ローラー３３の内部）に設置して用いる。
この構成によっても、加熱部を容易な構成とすることができ、また、加熱部の小型化を実現することができる。これは、第２実施形態においても同様となる。

１１，１１Ａ…印刷装置、２０…印刷部、２７…切断部、２８…排出部、３１…搬送部、３３…湾曲部としての中間ローラー、５８…制御部、６０…加熱部、６１…ヒーター、６２…ファン、７１…搬送経路、７２…反転経路、Ａ１，Ａ３…長尺媒体、Ａ２，Ａ４…単票媒体、Ｒ…媒体としてのロール紙。

Claims (14)

1. 媒体を湾曲させて搬送する湾曲部と、
   前記媒体に印刷する印刷部と、
   印刷された前記媒体を切断する切断部と、
   切断された前記媒体を排出する排出部と、
   前記媒体を、前記湾曲部、前記印刷部、前記切断部、前記排出部の順に搬送する搬送部を含む搬送経路と、
   前記媒体は、初期的にロール状の長尺媒体であり、当該長尺媒体の第１面への印刷および切断が行われて形成された単票媒体の表裏を反転させ、第２面に印刷を行わせるべく前記搬送経路の前記湾曲部の上流に合流させる反転経路と、
   前記搬送部を制御する制御部と、を備え、
   前記制御部は、
   前記長尺媒体または前記単票媒体の前記湾曲部の搬送において、
   搬送される前記長尺媒体または前記単票媒体が前記ロール状に巻かれていた際に内側であった面と、前記湾曲部を搬送される際に湾曲形状の内側となる面とが同一となる場合に、前記長尺媒体または前記単票媒体を第１速度で搬送する第１モードと、
   搬送される前記長尺媒体または前記単票媒体が前記ロール状に巻かれていた際に内側であった面と、前記湾曲部を搬送される際に湾曲形状の内側となる面とが異なる場合に、前記第１モードの前記第１速度よりも低速となる第２速度で前記長尺媒体または前記単票媒体を搬送する第２モードと、
   に前記搬送部を制御して前記印刷部に向けて搬送させることを特徴とする印刷装置。
2. 請求項１に記載の印刷装置であって、
   前記湾曲部には加熱部を備え、
   前記制御部は、前記第２モードにおいて、前記湾曲部に位置する前記長尺媒体または前記単票媒体への前記加熱部による加熱を行わせることを特徴とする印刷装置。
3. 請求項１または請求項２に記載の印刷装置であって、
   前記制御部による前記第２モードは、前記長尺媒体または前記単票媒体の前記印刷部に向かう進行方向の先端部が、前記湾曲部に位置した場合に実施されることを特徴とする印刷装置。
4. 請求項１～請求項３のいずれか一項に記載の印刷装置であって、
   前記制御部による前記第２モードは、前記単票媒体の前記印刷部に向かう進行方向の後端部が、前記湾曲部に位置した場合に実施されることを特徴とする印刷装置。
5. 請求項１～請求項４のいずれか一項に記載の印刷装置であって、
   前記第２モードは、前記第２速度として停止を含んでいることを特徴とする印刷装置。
6. 請求項１～請求項５のいずれか一項に記載の印刷装置であって、
   前記印刷部と対向する領域において、前記搬送経路と前記反転経路とは重複し、互いに逆方向に前記長尺媒体または前記単票媒体を搬送することを特徴とする印刷装置。
7. 請求項１～請求項６のいずれか一項に記載の印刷装置であって、
   前記制御部は、前記長尺媒体または前記単票媒体が前記ロール状に巻かれていた際の曲率に応じて、前記第２モードの状態を制御することを特徴とする印刷装置。
8. 請求項１～請求項７のいずれか一項に記載の印刷装置であって、
   前記湾曲部の搬送における湾曲経路の内壁は、大径ローラーの外周面で形成されることを特徴とする印刷装置。
9. 請求項２～請求項８のいずれか一項に記載の印刷装置であって、
   前記加熱部は、ヒーターとファンとを含むことを特徴とする印刷装置。
10. 請求項２～請求項９のいずれか一項に記載の印刷装置であって、
    前記加熱部は、前記湾曲部の内側から加熱することを特徴とする印刷装置。
11. 請求項２～請求項１０のいずれか一項に記載の印刷装置であって、
    前記加熱部は、ヒートローラーを用いていることを特徴とする印刷装置。
12. 請求項１～請求項１１のいずれか一項に記載の印刷装置であって、
    前記印刷部はインクジェット方式による印刷を行い、前記制御部は前記単票媒体に対して前記第２モードを実行することを特徴とする印刷装置。
13. 初期的にロール状の長尺媒体である媒体に印刷する印刷装置を用いた前記媒体の搬送制御方法であって、
    前記印刷装置は、
    媒体を湾曲させて搬送する湾曲部と、
    前記媒体に印刷する印刷部と、
    印刷された前記媒体を切断する切断部と、
    切断された前記媒体を排出する排出部と、
    前記媒体を、前記湾曲部、前記印刷部、前記切断部、前記排出部の順に搬送する搬送部を含む搬送経路と、
    前記長尺媒体の第１面への印刷および切断が行われて形成された単票媒体の表裏を反転させ、第２面に印刷を行わせるべく前記搬送経路の前記湾曲部の上流に合流させる反転経路と、を備え、
    前記長尺媒体または前記単票媒体の前記湾曲部の搬送において、
    搬送される前記媒体が前記ロール状に巻かれていた際に内側であった面と、前記湾曲部を搬送される際に湾曲形状の内側となる面とが同一となる場合に、前記長尺媒体または前記単票媒体を第１速度で搬送する第１モードの工程と、
    搬送される前記媒体が前記ロール状に巻かれていた際に内側であった面と、前記湾曲部を搬送される際に湾曲形状の内側となる面とが異なる場合に、前記第１モードの工程の前記第１速度よりも低速となる第２速度で前記長尺媒体または前記単票媒体を搬送する第２モードの工程と、を備えることを特徴とする搬送制御方法。
14. 請求項１３に記載の搬送制御方法であって、
    前記印刷装置の前記湾曲部には加熱部を備え、
    前記第２モードの工程は、前記湾曲部に位置する前記長尺媒体または前記単票媒体への加熱を行う加熱工程を有していることを特徴とする搬送制御方法。

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