以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1乃至図3は、本発明の一実施形態に係る記録装置における重ね連送の動作を説明する断面図である。最初に、図1のST1で示す図を用いて本実施形態における記録装置の概略構成について説明する。本実施形態における記録装置は、記録シートの第1面および記録シートの第2面の両面に記録が可能である。
図1のST1において、1は記録シートである。複数枚の記録シート1は給送トレイ11(積載部)に積載されている。2は給送トレイ11に積載された最上位の記録シート1に当接してこの記録シートをピックアップするピックアップローラである。3はピックアップローラ2によってピックアップされた記録シート1をシート搬送方向の下流側へ給送するための給送ローラである。4は給送ローラ3へ付勢され給送ローラ3とともに記録シート1を挟持して給送する給送従動ローラである。
5は給送ローラ3及び給送従動ローラ4によって給送された記録シート1を記録ヘッド7と対向する位置へ搬送する搬送ローラである。6は搬送ローラ5へ付勢され搬送ローラ5とともに記録シートを挟持して搬送するピンチローラである。
7は搬送ローラ5及びピンチローラ6によって搬送された記録シート1に対して記録を行う記録ヘッドである。本実施形態では記録ヘッドからインクを吐出して記録シート1に記録を行うインクジェット記録ヘッドであるとして説明する。8は記録ヘッド7と対向する位置で記録シート1の裏面を支持するプラテンである。10は記録ヘッド7を搭載してシート搬送方向と交差する方向へ移動するキャリッジである。
9は記録ヘッド7によって記録が行われた記録シートを装置外に排出するための排出ローラである。12,13は記録ヘッド7によって記録が行われた記録シートの記録面と接触して回転する拍車である。ここで下流側にある拍車13は排出ローラ9へ付勢されており、上流側にある拍車12は対向する位置に排出ローラ9が配されていない。拍車12は記録シート1の浮き上がりを防止するためのものであり押え拍車とも呼ぶ。
給送ローラ3及び給送従動ローラ4で形成される給送ニップ部と、搬送ローラ5及びピンチローラ6で形成される搬送ニップ部との間では、記録シート1は搬送ガイド15およびフラッパ20によって案内される。フラッパ20は給送ローラ3により搬送される記録シート1の反力によって回動可能である。16は記録シート1の先端及び後端を検知するためのシート検知センサである。シート検知センサ16はシート搬送方向において給送ローラ3の下流に設けられている。17は後続シートの先端部を先行シートの後端部に重ねるためのシート押えレバーである。シート押えレバー17は図示の状態を中立点に回転軸17bの回りに図中反時計回り方向に弾性部材(例えばバネ)で付勢されている。また、記録シート1が接触するシート押さえレバー17の先端部17cは17aの回りに図中時計回りに弾性部材(例えばバネ)で付勢されている。22は記録シート1の先端及び後端を検知するためのシート検知センサ(第2シート検知センサ)である。シート検知センサ22(第2シート検知センサ)は、搬送ローラ5及びピンチローラ6で形成される搬送ニップ部への記録シート1先端の突入タイミング、および記録動作中の記録シート1後端の抜けるタイミングを検出する。21は記録シート1の表裏を反転させる反転部の反転搬送ガイドであり、搬送ローラ5によって逆送された記録シート1を給送ローラ3および給送従動ローラ4の給送ニップ部へ案内する。
図4はピックアップローラ2の構成を説明する図である。前述のようにピックアップローラ2は給送トレイ11に積載されている最上位の記録シートに当接して当該記録シートをピックアップする。19は後述する給送モータの駆動をピックアップローラ2に伝達するための駆動軸である。記録シートをピックアップするときに、駆動軸19及びピックアップローラ2は図中矢印A方向に回転する。駆動軸19には突起19aが設けられている。ピックアップローラ2には突起19aが嵌まり込む凹部2cが形成されている。図4(a)に示すように、突起19aがピックアップローラ2の凹部2cの第1の面2aに当接している場合は、駆動軸19の駆動がピックアップローラ2に伝達され、駆動軸19を駆動するとピックアップローラ2も回転される。一方、図4(b)に示すように、突起19aがピックアップローラ2の凹部2cの第2の面2bに当接している場合は、駆動軸19の駆動がピックアップローラ2に伝達されず、駆動軸19を駆動してもピックアップローラ2は回転されない。突起19aが第1の面2a及び第2の面2bのいずれにも当接せず、第1の面2aと第2の面2bの間にある場合も、駆動軸19を駆動してもピックアップローラ2は回転されない。
図5は、本実施形態の記録装置のブロック図である。201は、各部動作やデータの処理などを制御するMPUである。MPU201は、後述するように、先行する記録シートの後端部と後続シートの先端部とが重なるように記録シートの搬送を制御可能な搬送制御部としても機能する。202は、MPU201によって実行されるプログラムやデータを格納するROMである。203は、MPU201によって実行される処理データ及びホストコンピュータ214から受信したデータを一時的に記憶するRAMである。MPU201は、複数の記録シートの第1面に対して連続して記録を行う場合、先行シートの後端部と後続シートの先端部とを重ねた重ね状態を形成するための制御を行う。また、MPU201は、記録シートの第1面および第2面に対して両面記録を行う場合、重ね状態を形成するための制御を行わない。
記録ヘッド7は記録ヘッドドライバ207によって制御される。キャリッジ10を駆動するキャリッジモータ204は、キャリッジモータドライバ208によって制御される。搬送ローラ5及び排出ローラ9は搬送モータ205によって駆動される。搬送モータ205は搬送モータドライバ209によって制御される。ピックアップローラ2及び給送ローラ3は給送モータ206によって駆動される。給送モータ206は給送モータドライバ210によって制御される。
ホストコンピュータ214には、使用者によって記録動作の実行が命令された場合に、記録画像や記録画像品位等の記録情報を取りまとめて記録装置と通信するためのプリンタドライバ2141が設けられている。MPU201は、I/F部213を介してホストコンピュータ214と記録画像等のやり取りを実行する。
図1のST1から図3のST9を用いて、記録シート1の第1面のみの連続記録における重ね連送の動作について時系列に説明する。ホストコンピュータ214からI/F部213を介して記録データが送信されると、MPU201で処理された後、RAM203に展開される。MPU201が展開されたデータに基づいて記録動作を開始する。
図1のST1を参照して説明する。最初に、給送モータドライバ210によって給送モータ206が低速駆動される。これにより、ピックアップローラ2は7.6inch/secで回転される。ピックアップローラ2が回転すると、給送トレイ11に積載された最上位の記録シート(先行シート1−A)がピックアップされる。ピックアップローラ2によってピックアップされた先行シート1−Aは、ピックアップローラ2と同方向に回転している給送ローラ3によって搬送される。給送ローラ3も給送モータ206によって駆動される。本実施形態は、ピックアップローラ2及び給送ローラ3を備える構成で説明する。しかしながら、積載部に積載された記録シートを給送する給送ローラのみ備える構成であってもよい。
給送ローラ3の下流側に設けられたシート検知センサ16によって先行シート1−Aの先端が検知されると、給送モータ206を高速駆動に切り替える。すなわち、ピックアップローラ2及び給送ローラ3は20inch/secで回転する。
図1のST2を参照して説明する。給送ローラ3を回転し続けることによって先行シート1−Aの先端は、自重に抗してフラッパ20を押しのけ、さらにバネの付勢力に抗してシート押えレバー17を回転軸17bの回りに時計回り方向に回転させる。さらに給送ローラ3を回転し続けると、先行シート1−Aの先端は搬送ローラ5とピンチローラ6で形成される搬送ニップ部に突き当たる。このとき搬送ローラ5は停止状態である。先行シート1−Aの先端が搬送ニップ部に突き当たった後も給送ローラ3を所定量回転させることによって、先行シート1−Aの先端が搬送ニップ部に突き当たった状態で整列し斜行が矯正される。斜行矯正動作をレジ取り動作ともいう。
図1のST3を参照して説明する。先行シート1−Aの斜行矯正動作が終了すると、搬送モータ205が駆動されることによって搬送ローラ5が回転を開始する。搬送ローラ5は15inch/secでシートを搬送する。先行シート1−Aは記録ヘッド7と対向する位置まで頭出しされた後に、記録データに基づいて記録ヘッド7からインクを吐出することによって記録動作が行われる。なお、頭出し動作は、記録シートの先端が搬送ニップ部に突き当てられることにより搬送ローラ5の位置に一旦位置決めされ、その後搬送ローラ5の位置を基準として搬送ローラ5の回転量を制御することにより行われる。
本実施形態の記録装置は、記録ヘッド7がキャリッジ10に搭載されているシリアルタイプの記録装置である。搬送ローラ5によって記録シートを所定量ずつ間欠搬送する搬送動作と、搬送ローラ5が停止しているときに記録ヘッド7を搭載したキャリッジ10を移動させながら記録ヘッド7からインクを吐出する画像形成動作と、を繰り返す。搬送動作と画像形成動作と繰り返すことによって記録シートに対する記録動作が行われる。
先行シート1−Aが頭出しされると、給送モータ206を低速駆動に切り替える。すなわち、ピックアップローラ2及び給送ローラ3は7.6inch/secで回転する。搬送ローラ5によって記録シートを所定量ずつ間欠搬送しているときに、給送モータ206によって給送ローラ3も間欠駆動される。すなわち搬送ローラ5が回転しているときは給送ローラ3も回転し、搬送ローラ5が停止しているときは給送ローラ3も停止している。搬送ローラ5の回転速度に対して、給送ローラ3の回転速度は小さい。そのため、搬送ローラ5と給送ローラ3の間でシートは張った状態になる。また、給送ローラ3は搬送ローラ5によって搬送される記録シートによって連れ回りさせられる。
給送モータ206を間欠的に駆動するため、駆動軸19も駆動される。前述のように、ピックアップローラ2の回転速度は搬送ローラ5の回転速度よりも小さい。そのため、ピックアップローラ2は搬送ローラ5で搬送される記録シートによって連れ回りさせられる。すなわち、ピックアップローラ2は駆動軸19に対して先回りした状態になっている。具体的には、駆動軸19の突起19aは第1の面2aから離間し第2の面2bに当接した状態になっている。したがって、先行シート1−Aの後端がピックアップローラ2を通過しても2枚目の記録シート(後続シート1−B)はすぐにピックアップされない。駆動軸19が所定時間駆動されると、突起19aが第1の面2aと当接するようになり、ピックアップローラ2が回転を開始する。
図2のST4を参照して説明する。ピックアップローラ2が回転を開始し、後続シート1−Bをピックアップした状態を示す。シート検知センサ16は、センサの応答性等の要因により記録シートの端部を検知するためにはシート間に所定以上の間隔が必要になる。すなわち、シート検知センサ16によって先行シート1−Aの後端を検知した後、後続シート1−Bの先端を検知するまでに所定の時間間隔をもたせるために、先行シート1−Aの後端部と後続シート1−Bの先端部との間を所定距離離す必要がある。そのために、ピックアップローラ2の凹部2cは約70度に設定されている。
図2のST5を参照して説明する。ピックアップローラ2によってピックアップされた後続シート1−Bは、給送ローラ3によって搬送される。このときに、先行シート1−Aは、記録データに基づいて記録ヘッド7によって画像形成動作が行われている。シート検知センサ16によって後続シート1−Bの先端が検知されると、給送モータ206を高速駆動に切り替える。すなわち、ピックアップローラ2及び給送ローラ3は20inch/secで回転する。
図2のST6を参照して説明する。先行シート1−Aの後端部は、図2のST5に示すようにシート押えレバー17の先端部17cによって下方に押し下げられている。記録ヘッド7による記録動作によって先行シート1−Aが下流に移動する速度に対して、後続シート1−Bを高速に移動させることによって先行シート1−Aの後端部の上に後続シート1−Bの先端部が重なった状態を形成することができる(図2のST6)。先行シート1−Aは記録データに基づいて記録動作が行われているため、先行シート1−Aは搬送ローラ5によって間欠搬送される。一方、後続シート1−Bはシート検知センサ16によって先端が検知された後、給送ローラ3を20inch/secで連続的に回転させることによって先行シート1−Aに追いつくことができる。
図3のST7を参照して説明する。先行シート1−Aの後端部の上に後続シート1−Bの先端部が重なった重なり状態を形成した後、後続シート1−Bは先端が搬送ニップの上流の所定位置で停止するまで給送ローラ3によって搬送される。後続シート1−Bの先端の位置は、後続シート1−Bの先端がシート検知センサ16によって検知されてからの給送ローラ3の回転量から算出され、この算出結果に基づいて制御される。このとき、先行シート1−Aは、記録データに基づいて記録ヘッド7によって画像形成動作が行われている。
図3のST8を参照して説明する。先行シート1−Aの最終行の画像形成動作(インク吐出動作)を行うために搬送ローラ5が停止しているときに、給送ローラ3を駆動することによって後続シート1−Bの先端を搬送ニップ部に突き当てて後続シート1−Bの斜行矯正動作を行う。
図3のST9を参照して説明する。先行シート1−Aの最終行の画像形成動作が終了すると、搬送ローラ5を所定量回転させることによって先行シート1−Aの上に後続シート1−Bが重なった状態を維持して後続シート1−Bの頭出しを行うことができる。後続シート1−Bには、記録データに基づいて記録ヘッド7によって記録動作が行われる。後続シート1−Bが記録動作のために間欠搬送されると、先行シート1−Aも間欠搬送され、やがて先行シート1−Aは排出ローラ9によって記録装置外に排出される。
後続シート1−Bが頭出しされると、給送モータ206を低速駆動に切り替える。すなわち、ピックアップローラ2及び給送ローラ3は7.6inch/secで回転する。後続シート1−Bの後にも記録データがある場合は、図2のST4に戻り3枚目のピックアップ動作が行われる。
次に図11のST11から図12のST16を用いて両面記録時の反転動作について時系列に説明する。なお、両面記録時の第1面記録に関する動作は上述の図1のST1からST3の動作と同一のため省略する。
両面記録を実行する場合に、MPU201は、記録シート(シート1−A)の第1面に対する記録動作が終了した後、シート1−Aの記録面を第1面から第2面に反転するための制御を行う。MPU201は、シート押えレバー17および反転搬送ガイド21を経由して、搬送ローラ5側から給送ローラ3側へ、記録動作時の搬送方向とは反対方向に記録シートを搬送させる。反転搬送ガイド21は、シート1−Aの第1面を第2面に反転して、シート1−Aの第2面を記録面とする。MPU201は反転したシート1−Aを、給送ローラ3側から搬送ローラ5側へ搬送させる。
反転動作時の具体的な処理を以下、図11および図12を参照して説明する。図11のST11において、シート1−Aの記録動作が終了すると、搬送ローラ5および排出ローラ9の回転が停止する。シート1−Aの後端が、搬送ローラ5およびピンチローラ6により形成される搬送ニップ部から距離LAの位置まで排出ローラ9が回転し、搬送ニップ部を抜けているシート1−Aを排出ローラ9と拍車13とで保持する。このとき、フラッパ20は自重により図11のST11のように下方位置にあり、反転搬送ガイド21へシート1−Aを案内する。
図11のST12を参照して説明する。搬送ローラ5および排出ローラ9は記録動作時とは反対方向(図中時計回り方向)に逆回転し、シート1−Aを搬送ローラ5とピンチローラ6の搬送ニップ部へ再突入させ、搬送ガイド15およびシート押えレバー17の方向へ搬送する。このとき搬送ローラ5は8inch/secで回転する。このとき、搬送ローラ5および排出ローラ9の逆回転開始と同時に給送ローラ3も正回転(図11のST12中、反時計回り)する。給送ローラ3は8inch/secで回転する。
図11のST13を参照して説明する。搬送ローラ5が図中時計回り方向に回転を続けると、シート1−Aの一端(第1面記録時の後端)はバネの付勢力に抗してシート押えレバー17の先端部17cを反時計回りに回転させる。シート押えレバー17は、反転動作時の搬送方向にシート1−Aが搬送される際に、シート1−Aとの接触に応じて回転可能に構成されている。尚、反転動作時の搬送方向に記録シートが搬送される際に、シート1−Aと接触しない位置にシート押えレバー17を配置することも可能である。シート押えレバー17は、シート1−Aの一端がシート押えレバー17の先端部17cの下方を接触することなく通過するよう構成してもよい。さらに搬送ローラ5が図中時計回り方向に回転を続けるとシート1−Aの一端は反転搬送ガイド21へと案内される。
図12のST14を参照して説明する。さらに搬送ローラ5が図中時計回り方向に回転を続けるとシート1−Aの一端(第1面記録時の後端)は反転搬送ガイド21に案内され、給送ローラ3および給送従動ローラ4により形成される給送ニップ部に突入する。さらに、シート検知センサ16によってシート1−Aの一端が検知されると、搬送ローラ5が所定量回転したところで搬送ローラ5および給送ローラ3の回転が一度停止する。シート1−Aの一端がシート検知センサ16により検知される位置に到達するときにはシート1−Aの他端がシート押えレバー17の先端部17cを抜けるように、構成されている。
図12のST15を参照して説明する。給送ローラ3を回転(正回転)し続けることによってシート1−Aの一端は、自重およびシート1−Aの反力に抗してフラッパ20を押しのけ、再び搬送ガイド15へ合流する。このとき、シート1−Aの他端は、シート押えレバー17から抜けているため、シート1−Aの一端がフラッパ20を押しのけるときのシート1−Aの反力を最小限に抑えることができる。さらに給送ローラ3を回転し続けると、ST2と同様に、シート1−Aの一端は搬送ローラ5およびピンチローラ6で形成される搬送ニップ部に突き当たり、斜行矯正を行う。
図12のST16を参照して説明する。シート1−Aの斜行矯正動作が終了すると、搬送モータ205が駆動されることによって搬送ローラ5が回転を開始する。搬送ローラ5は15inch/secでシートを搬送する。シート1−Aは記録ヘッド7と対向する位置まで頭出しされるが、このときシート1−Aの記録ヘッド7と対向する面は第2面となっている。頭出しが完了したシート1−Aの第2面に対して、記録データに基づいて記録ヘッド7からインクを吐出することによって記録動作が行われる。
図13は、MPU201の制御の下に実行される本実施形態における給送シーケンスの選択処理を説明するフローチャートである。ステップS301で、I/F部213を介してホストコンピュータ214から記録シート1のシート情報および記録データが送信されると記録動作を開始する。MPU201は、ホストコンピュータ214から取得した記録シート1のシート情報から記録シート1の給送シーケンスを選択する。ステップS302で、MPU201は、記録シート1のシート種類を確認する。ステップS302の判定で普通紙でなければ(S302−No)、ステップS310へ進み、給送シーケンスを通常シーケンスとする。
ステップS302の判定で普通紙であれば(S302−Yes)、ステップS303へ進み、MPU201は、記録データに基づき、両面記録を行うか判定する。両面記録を行う場合(S303−Yes)、ステップS306へ進み、MPU201はシートサイズを確認する。本実施形態においては、A4サイズ(シート長さ297mm)およびLTRサイズ(シート長さ279.4mm)を両面記録実施対象としている。尚、両面記録実施対象のシートの種類は、これらの例に限定されるものではなく、種々の設定が可能である。
ステップS306の判定で、シートサイズがA4サイズまたはLTRサイズに該当する場合(S306−Yes)、ステップS308へ進み、給送シーケンスを両面記録シーケンスとする。一方、ステップS306の判定で、シートサイズがA4サイズまたはLTRサイズに該当しない場合(S306−No)、ステップS307へ進み、給送シーケンスを通常シーケンスとする。
ステップS303の判定で、両面記録を行わない場合(S303−No)、ステップS305へ処理を進める。ステップS305で、MPU201はシートサイズを確認する。本実施形態においては、A4サイズおよびLTRサイズが重ね連送の実施対象となっている。シートサイズが、A4サイズまたはLETTERサイズに該当する場合(S305−Yes)、ステップS309へ進み、給送シーケンスを重ね連送シーケンスとする。MPU201は、複数の記録シートの第1面に対して連続して記録を行う重ね連送シーケンスにおいて、先行シートの後端部と後続シートの先端部とを重ねた重ね状態を形成するための制御を行う。
一方、ステップS305の判定で、シートサイズがA4サイズまたはLTRサイズでない場合(S305−No)、ステップS310へ進み、給送シーケンスを通常シーケンスとする。MPU201は、記録シートの第1面および第2面に対して両面記録を行う両面記録シーケンスや通常シーケンスの場合、重ね状態を形成するための制御を行わない。以上のフローで給送シーケンスの選択処理が終了する。
図14は、MPU201の制御に下に実行される両面記録シーケンスを説明するフローチャートである。ステップS501で、両面記録シーケンスによる記録動作が開始する。まず、シートの第1面に記録を行うため、ステップS502で、シート1−Aの給送動作を開始する。給送モータ206を駆動して、ピックアップローラ2を7.6inch/secで回転させる。ピックアップローラ2によってシート1−Aをピックアップし、給送ローラ3によってシート1−Aを記録ヘッド7に向けて給送する。
ステップS503で、シート検知センサ22(第2シート検知センサ)によってシート1−Aの先端が検知される。シート検知センサ22によってシート1−Aの先端が検知された後(S503−Yes)、給送ローラ3の回転量を制御することによって、ステップS504で、シート1−Aの先端を搬送ニップ部に突き当ててシート1−Aの斜行矯正動作を行う。
ステップS505で、記録データに基づいてシート1−Aを頭出しする。すなわち、搬送ローラ5の回転量を制御することによって、記録データに基づいた搬送ローラ5の位置を基準とした記録開始位置までシート1−Aを搬送する。
ステップS506でシート1−Aの第1面に対して記録ヘッド7からインクを吐出することによって記録動作を開始する。具体的には、搬送ローラ5によってシート1−Aを間欠搬送する搬送動作と、キャリッジ10を移動させて記録ヘッド7からインクを吐出する画像形成動作(インク吐出動作)とを繰り返すことによって、シート1−Aの第1面に対する記録動作を行う。
ステップS507で、シート1−Aの第1面に対する記録動作が完了したら(S507−Yes)、処理をステップS508に進める。ステップS508で、シート1−Aの後端が所定位置(図11のST11中の搬送ニップ部から距離LAの位置)になるまで排出ローラ9を回転させてシート1−Aを搬送する。
ステップS509で、シート1−Aのシート長を確認し、A4サイズまたはLTRサイズに該当しているかを確認する。両面記録実施対象として設定されているシートについて、シート長の上限の長さをL1として、シート長の下限の長さをL2とする。記録対象となるシート1−Aのシート長は、シート検知センサ22(第2シート検知センサ)がシート1−Aの先端を検出してからシート1−Aの後端を検出するまでの搬送ローラ5の駆動量から算出することが可能である。
ステップS509の判定で、記録対象となるシート1−Aのシート長が、L1<シート長<L2の関係を満たさない場合(S509−No)、すなわち、シート長が、A4サイズまたはLTRサイズに該当しない場合、ステップS510に進む。ステップS510で、シート1−Aを排出し、記録動作を終了する(ステップS511)。
ステップS509の判定で、記録対象となるシート1−Aのシート長が、L1<シート長<L2の関係を満たす場合、すなわち、シート長がA4サイズまたはLTRサイズに該当する場合(S509−Yes)、ステップS513に進む。ステップS513で、シート1−Aの第1面に吐出されたインクが乾燥するまで搬送ローラ5および排出ローラ9による回転を停止し、待機する。このときの待機時間(t1)はインクの種類、インクの重ね打ち込み量、インクの単位面積当たりの打ち込み量、環境温度等から決定する。
ステップS514で、搬送ローラ5および排出ローラ9を、記録動作時とは反対方向(図11のST12中、時計回り方向)に逆回転させ、シート1−Aの一端(第1面記録時の後端)を搬送ニップ部へ再突入させる。また、搬送ローラ5および排出ローラ9の逆回転開始と同時に給送ローラ3も正回転(図11のST12中、反時計回り)させる。このとき搬送ローラ5は8inch/secで回転し、給送ローラ3も8inch/secで回転する。各ローラの回転を続けるとシート1−Aの一端が給送ローラ3と給送従動ローラ4の給送ニップ部へ突入する。
ステップS515で、シート検知センサ16によりシート1−Aの一端を検出すると、ステップS516で、搬送ローラ5、排出ローラ9および給送ローラ3の回転を停止する。ステップS517で、乾燥待機時間(t2)を設けている。これはステップS513で、待機時間(t1)の乾燥待機を実施した場合には実施しなくてもよく、この場合には、t2=0として次のステップに移行しても構わない。待機時間(t2)の乾燥待機を必要とするのは、例えば、シート1−Aの後端部にインク吐出を行わない余白部分が十分存在している場合である。このとき、シート1−Aの第1面に吐出されたインクが搬送ニップ部に到達するまでに乾燥時間が確保され、ピンチローラ6にインクが転写することはない。しかしながら、給送ニップ部からフラッパ20を押しのけてシート1−Aを搬送するとき、シート1−Aの保有水分量によっては紙ジャムの可能性が高い。そのため、乾燥によりシート1−Aの剛性が大きくなり、フラッパ20および搬送ガイド15を通過できるよう、適切な待機時間(t2)の乾燥待機を実施する。
ステップS518で、給送ローラ3を8inch/secで正回転(図12中、反時計回り)させ、シート1−Aを記録ヘッド7に向けて給送する。ステップS519で、シート検知センサ22(第2シート検知センサ)によってシート1−Aの一端が検知される。シート検知センサ22(第2シート検知センサ)によってシート1−Aの一端が検知された後(S519−Yes)、処理をステップS520に進める。給送ローラ3の回転量を制御することによって、ステップS520で、シート1−Aの一端を搬送ニップ部に突き当ててシート1−Aの斜行矯正動作を行う。
ステップS521で、記録データに基づいてシート1−Aを頭出しする。すなわち、搬送ローラ5の回転量を制御することによって、記録データに基づいた搬送ローラ5の位置を基準とした記録開始位置までシート1−Aを搬送する。
ステップS522でシート1−Aの第2面に対して記録ヘッド7からインクを吐出することによって記録動作を開始する。具体的には、搬送ローラ5によってシート1−Aを間欠搬送する搬送動作と、キャリッジ10を移動させて記録ヘッド7からインクを吐出する画像形成動作(インク吐出動作)とを繰り返すことによって、シート1−Aの第2面に対する記録動作を行う。ステップS523でシート1−Aの第2面に対する記録動作が完了したら(S523−Yes)、ステップS524で、シート1−Aを排出して、両面記録動作を終了する(S525)。
図15は、MPU201の制御に下に実行される通常シーケンスを説明するフローチャートである。ステップS601で、通常シーケンスによる記録動作が開始する。ステップS602で、給送モータ206を低速駆動して、ピックアップローラ2を7.6inch/secで回転させる。ピックアップローラ2によって先行シート1−Aをピックアップし、給送ローラ3によって先行シート1−Aを記録ヘッド7に向けて給送する。ステップS603で、シート検知センサ16によって先行シート1−Aの先端が検知される。シート検知センサ16によって先行シート1−Aの先端が検知された後(S603−Yes)、給送ローラ3の回転量を制御することによって、ステップS604で先行シート1−Aの先端を搬送ニップ部に突き当てて先行シート1−Aの斜行矯正動作を行う。
ステップS605で、記録データに基づいて先行シート1−Aを頭出しする。すなわち、搬送ローラ5の回転量を制御することによって、記録データに基づいた搬送ローラ5の位置を基準とした記録開始位置まで先行シート1−Aを搬送する。
ステップS606で、先行シート1−Aに対して記録ヘッド7からインクを吐出することによって記録動作を開始する。具体的には、搬送ローラ5によって先行シート1−Aを間欠搬送する搬送動作と、キャリッジ10を移動させて記録ヘッド7からインクを吐出する画像形成動作(インク吐出動作)とを繰り返すことによって、先行シート1−Aに対する記録動作を行う。搬送ローラ5によって先行シート1−Aを間欠搬送する動作と同期して、給送モータ206を間欠的に低速駆動する。すなわち、ピックアップローラ2及び給送ローラ3は7.6inch/secで間欠的に回転する。
ステップS607で、次ページの記録データがあるか判断する。次ページの記録データが無い場合は(S607−No)、ステップS613に進む。ステップS613で、先行シート1−Aに対する記録動作が完了したら(S613−Yes)、ステップS614で先行シート1−Aを排出し、記録動作を終了する(S621)。
ステップS607の判定処理で、次ページの記録データがある場合は(S607−Yes)、ステップS608で、後続シート1−Bの給送動作を開始する。具体的には、給送モータ206を低速駆動して、ピックアップローラ2によって後続シート1−Bをピックアップし、給送ローラ3によって後続シート1−Bを記録ヘッド7に向けて給送する。ピックアップローラ2は7.6inch/secで回転する。前述のように、駆動軸19の突起19aに対して、ピックアップローラ2の凹部2cが大きく設けられているため、後続シート1−Bは先行シート1−Aの後端と所定の間隔をもった状態で給送される。
ステップS609で、シート検知センサ16によって後続シート1−Bの先端が検知される。シート検知センサ16によって後続シート1−Bの先端が検知された後(S609−Yes)、処理をステップS610に進める。給送ローラ3の回転量を制御することによって、ステップS610で、後続シート1−Bの先端が給送ニップ部から所定量進んだ位置となるように後続シート1−Bを搬送し、後続シート1−Bの給送を停止する。先行シート1−Aは記録データに基づいて間欠搬送され、記録動作が行われる。
ステップS611で、先行シート1−Aに対する記録動作が完了したら(S611−Yes)、ステップS612で、先行シート1−Aを排出する。さらに、給送ローラ3の回転量を制御することによって、ステップS615で後続シート1−Bの先端を搬送ニップ部に突き当てて後続シート1−Bの斜行矯正動作を行う。
ステップS616で記録データに基づいて後続シート1−Bを頭出しする。すなわち、搬送ローラ5の回転量を制御することによって、記録データに基づいた搬送ローラ5の位置を基準とした記録開始位置まで後続シート1−Bを搬送する。ステップS617で後続シート1−Bに対して記録ヘッド7からインクを吐出することによって記録動作を開始する。後続シート1−Bに対する記録動作は、先のステップS606で説明したように、先行シート1−Aに記録動作と同様である。
ステップS618で、次ページの記録データがあるか判断する。次ページの記録データが有る場合は(S618−Yes)、ステップS608の処理に戻り、同様の処理を繰り返す。ステップS618の判定処理で、次ページの記録データが無い場合は(S618−No)、ステップS619に進む。ステップS619で、後続シート1−Bに対する記録動作が完了したら(S619−Yes)、ステップS620で、後続シート1−Bを排出し、記録動作を終了する(S621)。
図6は、第1面のみの連続記録における重ね連送シーケンスのフローチャートである。ステップS1で、I/F部213を介してホストコンピュータ214から記録データが送信されると記録動作を開始する。ステップS2で先行シート1−Aの給送動作を開始する。具体的には、給送モータ206を低速駆動する。ピックアップローラ2は7.6inch/secで回転する。ピックアップローラ2によって先行シート1−Aをピックアップし、給送ローラ3によって先行シート1−Aを記録ヘッド7に向けて給送する。
ステップS3で、シート検知センサ16によって先行シート1−Aの先端が検知される。シート検知センサ16によって先行シート1−Aの先端が検知されると(S3−Yes)、ステップS4で給送モータ206を高速駆動に切り替える。すなわち、ピックアップローラ2及び給送ローラ3は20inch/secで回転する。シート検知センサ16によって先行シート1−Aの先端が検知された後の給送ローラ3の回転量を制御することによって、ステップS5で先行シート1−Aの先端を搬送ニップ部に突き当てて先行シート1−Aの斜行矯正動作を行う。
ステップS6で記録データに基づいて先行シート1−Aを頭出しする。すなわち、搬送ローラ5の回転量を制御することによって、記録データに基づいた搬送ローラ5の位置を基準とした記録開始位置まで先行シート1−Aを搬送する。ステップS7で給送モータ206を低速駆動に切り替える。ステップS8で先行シート1−Aに対して記録ヘッド7からインクを吐出することによって記録動作を開始する。具体的には、搬送ローラ5によって先行シート1−Aを間欠搬送する搬送動作と、キャリッジ10を移動させて記録ヘッド7からインクを吐出する画像形成動作(インク吐出動作)とを繰り返すことによって、先行シート1−Aに対する記録動作を行う。搬送ローラ5によって先行シート1−Aを間欠搬送する動作と同期して、給送モータ206を間欠的に低速駆動する。すなわち、ピックアップローラ2及び給送ローラ3は7.6inch/secで間欠的に回転する。
ステップS9で次ページの記録データがあるか判断する。次ページの記録データが無い場合はステップS25に進む。ステップS25で先行シート1−Aに対する記録動作が完了したら、ステップS26で先行シート1−Aを排出し記録動作を終了する。
次ページの記録データがある場合は、ステップS10で後続シート1−Bの給送動作を開始する。具体的には、ピックアップローラ2によって後続シート1−Bをピックアップし、給送ローラ3によって後続シート1−Bを記録ヘッド7に向けて給送する。ピックアップローラ2は7.6inch/secで回転する。前述のように、駆動軸19の突起19aに対して、ピックアップローラ2の凹部2cが大きく設けられているため、後続シート1−Bは先行シート1−Aの後端と所定の間隔をもった状態で給送される。
ステップS11で、シート検知センサ16によって後続シート1−Bの先端が検知される。シート検知センサ16によって後続シート1−Bの先端が検知されると、ステップS12で給送モータ206を高速駆動に切り替える。すなわち、ピックアップローラ2及び給送ローラ3は20inch/secで回転する。シート検知センサ16によって後続シート1−Bの先端が検知された後の給送ローラ3の回転量を制御することによって、ステップS13で後続シート1−Bの先端が搬送ニップ部の所定量手前の位置となるように後続シート1−Bを搬送する。先行シート1−Aは記録データに基づいて間欠搬送される。後続シート1−Bは給送モータ206を連続的に高速駆動することによって、先行シート1−Aの後端部の上に後続シート1−Bの先端部が重なる重ね状態が形成される。
ステップS14で後述する所定条件を満たしているか判断する。所定条件を満たしている場合は、ステップS15で先行シート1−Aの画像形成動作が開始されたかを判断する。画像形成動作が開始された場合にはステップS16に進み、開始されていない場合には開始されるまで待機する。ステップS16で重ね状態を維持したまま後続シート1−Bの先端を搬送ニップ部に突き当てて後続シート1−Bの斜行矯正動作を行う。そして、ステップS17で先行シート1−Aの最終行の画像形成動作が終了したと判断した場合は、ステップS18で重ね状態を維持したまま後続シート1−Bを頭出しする。
ステップS14で所定条件を満たしていない場合は、重ね状態を解消して後続シート1−Bを頭出しする。具体的には、ステップS27で先行シート1−Aの最終行の画像形成動作が終了するとステップS28で先行シート1−Aの排出動作を行う。この間、給送モータ206は駆動されないため、後続シート1−Bはその先端が搬送ニップ部の所定量手前の位置のまま停止している。先行シート1−Aは排出されるため、重ね状態は解消する。ステップS29で後続シート1−Bの先端を搬送ニップ部に突き当てて後続シート1−Bの斜行矯正動作を行う。そして、ステップS18で後続シート1−Bを頭出しする。
ステップS19で給送モータ206を低速駆動に切り替える。ステップS20で後続シート1−Bに対して記録ヘッド7からインクを吐出することによって記録動作を開始する。具体的には、搬送ローラ5によって後続シート1−Bを間欠搬送する搬送動作と、キャリッジ10を移動させて記録ヘッド7からインクを吐出する画像形成動作(インク吐出動作)とを繰り返すことによって、後続シート1−Bに対する記録動作を行う。搬送ローラ5によって後続シート1−Bを間欠搬送する動作と同期して、給送モータ206を間欠的に低速駆動する。すなわち、ピックアップローラ2及び給送ローラ3は7.6inch/secで間欠的に回転する。
ステップS21で次ページの記録データがあるか判断する。次ページの記録データが有る場合はステップS10に戻る。次ページの記録データが無い場合は、ステップS22で後続シート1−Bの画像形成動作が完了するとステップS23で後続シート1−Bの排出動作を行い、ステップS24で記録動作を終了する。
図7、図8は、本実施形態における先行シートに後続シートを重ねる動作を説明する図である。図6のS12、S13で説明した、先行シートの後端部の上に後続シートの先端部を重ねる重ね状態を形成する動作について説明する。
図7、図8は、給送ローラ3と給送ピンチローラ4で形成される給送ニップ部と、搬送ローラ5とピンチローラ6で形成される搬送ニップ部の間の拡大図である。
搬送ローラ5、給送ローラ3により記録シートが搬送される過程を、3つの状態として順に説明する。後続シートが先行シートを追いかける動作を行う第1の状態を図7のST1、ST2を参照して説明する。後続シートを先行シートに重ねる動作を行う第2の状態を図8のST3、ST4を参照して説明する。重ね状態を維持して後続シートの斜行矯正動作を行うか判定する第3の状態を図8のST5を参照して説明する。
図7のST1では、給送ローラ3を制御し後続シート1−Bを搬送し、シート検知センサ16で後続シート1−Bの先端を検知する。シート検知センサ16から後続シート1−Bを先行シート1−Aの上に重ねることが可能となる位置P1までを第1の区間A1と定義する。第1の区間A1において、後続シート1−Bの先端が先行シート1−Aの後端を追いかける動作を行う。P1は、機構の構成により決定されるものである。
第1の状態では、第1の区間A1において、追いかける動作を停止する場合が存在する。図7のST2のように、後続シート1−Bの先端が、P1より手前で先行シート1−Aの後端を追い越してしまう場合は、後続シートを先行シートに重ねる動作を行わない。
図8のST3において、前述のP1からシート押えレバー17が設けられた位置P2までを第2の区間A2と定義する。第2の区間A2において、後続シート1−Bを先行シート1−Aに重ねる動作を行う。
第2の状態では、第2の区間A2において、後続シートを先行シートに重ねる動作を停止する場合が存在する。図8のST4のように、第2の区間A2内で後続シート1−Bの先端が先行シート1−Aの後端に追いつくことができない場合は、後続シートに先行シートを重ねる動作ができない。
図8のST5において、前述のP2からP3までを第3の区間A3と定義する。P3は図6のステップS13で後続シートが停止したときの先端の位置である。後続シート1−Bを先行シート1−Aに重ねた状態で、後続シート1−Bの先端がP3に到達するまで搬送する。第3の区間A3において、重ね状態を維持したまま後続シート1−Bを搬送ニップ部に突き当てて頭出しをするか否かを判断する。すなわち、重ね状態を維持して斜行矯正動作を行い頭出しをするか、重ね状態を解除して斜行矯正動作を行い頭出しをするかの判定を行う。
図9は、本実施形態における後続シートの斜行矯正動作を説明するフローチャートである。図6のS14で説明した所定条件を満たしているかの判断について詳細に説明する。
先行シート1−Aと後続シート1−Bの重ね状態を維持したまま後続シート1−Bの先端を搬送ニップ部に突き当てて斜行矯正動作を行うか、先行シート1−Aと後続シート1−Bの重ね状態を解除してから後続シート1−Bの先端を搬送ニップ部に突き当てて斜行矯正動作を行うかの判定動作について説明する。
ステップS101で開始する。ステップS102において、後続シート1−Bの先端が判定位置(図8ST5のP3)まで到達しているかを判定する。ここで到達していない場合(ステップS102:NO)、所定量の搬送で後続シート1−Bの先端が搬送ニップ部に突き当たるか不明であるため、後続シートのみの斜行矯正動作に決定し(ステップS103)、判定動作は終了する(ステップS104)。すなわち、先行シート1−Aの後端が搬送ニップ部を通過した後に、後続シート1−Bのみを搬送ニップ部に突き当てて斜行矯正動作を行い、その後後続シート1−Bのみの状態で頭出しをする。
一方、後続シート1−Bの先端が判定位置P3まで到達している場合(ステップS102:YES)、先行シート1−Aの後端が搬送ニップ部を通過したかの判定を行う(ステップS105)。ここで通過したと判定された場合(ステップS105:YES)、先行シートと後続シートは重なっていないため、後続シートのみの斜行矯正動作に決定する(ステップS106)。すなわち、後続シート1−Bのみを搬送ニップ部に突き当てて斜行矯正動作を行い、その後後続シート1−Bのみの状態で頭出しをする。
一方、先行シート1−Aの後端が搬送ニップ部を通過していないと判定された場合(ステップS105:NO)、先行シート1−Aの後端部と後続シート1−Bの先端部の重なり量が閾値より小さいかの判定を行う(ステップS107)。先行シート1−Aの後端の位置は、先行シート1−Aに対する記録動作にともなって更新していく。また、後続シート1−Bの先端の位置は、前述の判定位置にある。すなわち、重なり量は、先行シート1−Aの記録動作にともなって減少していく。重なり量が閾値より小さいと判定された場合(ステップS107:YES)、重ね状態を解除して後続シートのみの斜行矯正動作に決定する(ステップS108)。すなわち、先行シート1−Aの画像形成動作が終了した後に、後続シート1−Bを先行シート1−Aとともに搬送しない。具体的には、搬送モータ205によって搬送ローラ5を駆動して先行シート1−Aを搬送する。しかしながら、給送ローラ3は駆動しない。したがって、重ね状態は解除される。さらに、後続シート1−Bのみを搬送ニップ部に突き当てて斜行矯正動作を行い、その後後続シート1−Bのみの状態で頭出しをする。
重なり量が閾値以上と判定された場合(ステップS107:NO)、後続シート1−Bを頭出ししたときに後続シート1−Bが押え拍車12まで到達するかの判定を行う(ステップS109)。後続シート1−Bが押え拍車12まで到達しないと判定された場合(ステップS109:NO)、重ね状態を解除して後続シートのみの斜行矯正動作に決定する(ステップS110)。すなわち、先行シート1−Aの画像形成動作が終了した後に、後続シート1−Bを先行シート1−Aとともに搬送しない。具体的には、搬送モータ205によって搬送ローラ5を駆動して先行シート1−Aを搬送する。しかしながら、給送ローラ3は駆動しない。したがって、重ね状態は解除される。さらに、後続シート1−Bのみを搬送ニップ部に突き当てて斜行矯正動作を行い、その後後続シート1−Bのみの状態で頭出しをする。
後続シート1−Bが押え拍車12まで到達すると判定された場合(ステップS109:YES)、先行シートの最終行と当該最終行の前行との間に隙間があるかの判定を行う(ステップS111)。隙間がないと判定された場合(ステップS111:NO)、重ね状態を解除して後続シートのみの斜行矯正動作に決定する(ステップS112)。隙間があると判定された場合(ステップS111:YES)、重ね状態を維持したまま後続シート1−Bの斜行矯正動作を行い、その後頭出しをする(ステップS113)。すなわち、先行シート1−Aの画像形成動作の開始後、画像形成動作の終了前に、後続シート1−Bを先行シート1−Aと重なった状態のまま搬送ニップ部に突き当てる。具体的には、搬送モータ205と同時に給送モータ206を駆動することによって搬送ローラ5及び給送ローラ3を回転させる。斜行矯正動作の後に、後続シート1−Bを先行シート1−Aと重なった状態のまま頭出しをする。
このように、先行シート1−Aと後続シート1−Bの重ね状態を維持するか解除するかの判定動作を行う。
図10は、本実施形態における後続シートの頭出し後の先端位置を算出する構成を説明するフローチャートである。
ステップS201で開始する。ステップS202で、シートサイズの記録可能領域を読み込む。最先端で記録可能な位置、すなわち上端マージンが特定されるため、記録可能領域の上端マージンを先端位置に設定する(ステップS203)。ここで、先端位置は、搬送ニップ部からの距離で定義される。
次に、最初の記録データを読み込む(ステップS204)。これにより、最初の記録データがシート先端からどの位置になるかが特定される(非記録領域の検出)ため、シート先端から最初の記録データまでの距離が先に設定した先端位置より大きいか否かの判定を行う(ステップS205)。シート先端から最初の記録データまでの距離が先に設定した先端位置より大きい場合(ステップS205:YES)、先端位置をシート先端から最初の記録データまでの距離に更新する(ステップS206)。シート先端から最初の記録データまでの距離が先に設定した先端位置以下の場合(ステップS205:NO)は、ステップS207へ進む。
次に最初のキャリッジ移動命令を作成する(ステップS207)。次に最初のキャリッジ移動のためのシート搬送量が先に設定した先端位置より大きいか否かの判定を行う(ステップS208)。最初のキャリッジ移動のためのシート搬送量が先に設定した先端位置より大きい場合(ステップS208:YES)、先端位置を最初のキャリッジ移動のためのシート搬送量に更新する(ステップS209)。最初のキャリッジ移動のためのシート搬送量が先に設定した先端位置以下の場合(ステップS208:NO)は、先端位置を更新しない。以上のように、後続シート1−Bの先端位置が確定し(ステップS210)、終了する(ステップS211)。確定した先端位置に基づいて、後続シート1−Bを頭出ししたときに後続シート1−Bが押え拍車12まで到達するかの判定(図9:ステップS109)を行うことができる。
上記の実施形態によれば、複数の記録シートの第1面に対して連続して記録を行う場合、第1面の連続記録の際は先行シートの後端部に後続シートの先端部を重ねた重ね状態を形成し、重ね状態のまま記録シートを搬送する。これにより、記録動作の高速化を実現することができる。また、記録シートの第1面および第2面に対して両面記録を行う場合、重ね状態を形成するための制御を行わない。これにより、シート汚れ、紙ジャム等、および画質低下を抑制することが可能である。
また、記録ヘッド7によって先行シート1−Aに記録動作を行う際に、シート検知センサ16によって後続シート1−Bの先端が検知される前は給送モータ206を搬送モータ205と同期して駆動させ、シート検知センサ16によって後続シートの先端が検知された後は給送モータ206を連続駆動させることにより、先行シートに後続シートを重ねるための追いかけ動作を行うことが可能となる。
(その他の実施形態)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。