以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るインクジェットプリンタを示す。このインクジェットプリンタは、写真プリントシステムに用いられるものであって、画像データの取得及びオーダ情報の取得を行いかつ必要な補正処理等を行う受付ブロック100(図9参照)と通信ケーブルを介して接続されており、この受付ブロック100から通信ケーブルを介して伝送される画像データをオーダ情報に基づきプリントペーパPに対してプリントを行うようになされている。
上記インクジェットプリンタは、筐体1と、この筐体1内の下部に配設されたマガジン収容部2と、筐体1内の上下方向略中央部に配設されたカセット収容部3と、筐体1内の上部に配設され、プリントペーパPに対して画像データのプリントを行うプリント部4と、プリントペーパPをマガジン収容部2からプリント部4へ搬送するための第1搬送路と、プリントペーパPをカセット収容部3からプリント部4へ搬送するための第2搬送路と、プリント部4でプリントされたプリントペーパPを該プリント部4から筐体1の外部へ排出するための第3搬送路と、筐体1の外部に設けられ、第3搬送路により筐体1の外部へ排出されたプリントペーパPを受け止める排出トレイ5とを備えている。尚、筐体前後方向は図1の左右方向であり、筐体前側は図1の右側であり、筐体後側は図1の左側である。また、筐体左右方向は図1の紙面に垂直な方向である。
上記マガジン収容部2には、ロール状に巻かれた長尺状ペーパであるプリントペーパPがペーパマガジン8に収容保持された状態でセットされるようになっている。このプリントペーパPは、プリントされるプリント面が外側となるように巻かれている。このことで、マガジン収容部2は、長尺状のプリントペーパがプリント面を外側にしてロール状に巻かれた状態でセットされるペーパセット部を構成することになる。一方、上記カセット収容部3には、単票紙である複数枚のプリントペーパPが矩形箱状の給紙カセット9内に収容保持された状態でセットされるようになっている。この給紙カセット9内のプリントペーパPは、プリント面を上向きにして厚み方向(上下方向)に重ねられているとともに、押付け板10により、上側に位置する後述の送出しローラ35に押し付けられている。そして、マガジン収容部2又はカセット収容部3にセットされたプリントペーパPが、後述の如くプリント部4へと搬送されて該プリント部4でプリントされ、上記排出トレイ5へ排出されるようになっている。尚、マガジン収容部2には、幅寸法が小さいプリントペーパPを2つ筐体左右方向に並列にセットすることも可能になっており、このように2つ並列にセットした場合には、そのセットされた2つのプリントペーパPがマガジン収容部2から同時に引き出されて2列で搬送され、プリント部4において2つのプリントペーパPにプリントが行われ、排出トレイに同時に排出されることになる。
上記筐体1内には、上記第1〜第3搬送路を構成すべく、第1供給ユニットU1、カッターユニットU2、第2供給ユニットU3、スイッチバックユニットU4及びプリントユニットU5が設けられている。第1搬送路は、マガジン収容部2から順に、第1供給ユニットU1、カッターユニットU2、スイッチバックユニットU4及びプリントユニットU5で構成されている。また、第2搬送路は、カセット収容部3から順に、第2供給ユニットU3、スイッチバックユニットU4及びプリントユニットU5で構成されている。さらに、第3搬送路はプリントユニットU5で構成されている。
上記第1供給ユニットU1は、マガジン収容部2(ペーパマガジン8)内に設けられている。この第1供給ユニットU1は、ロール状のプリントペーパPを支持する3つの支持ローラ15と、プリントペーパPをカッターユニットU2へと導くガイド部材16と、このガイド部材16の途中に設けられかつプリントペーパPをカッターユニットU2へ搬送するための、駆動及び従動ローラ17a,17bからなる圧着型の供給ローラ17と、ガイド部材16の上流側に設けられ、プリントペーパPが巻き掛けられるガイドローラ18とを備えている。上記3つの支持ローラ15のうち筐体前側に配設されたローラは、不図示の電動モータによって回転駆動されて、プリントペーパPに対しロール中心回りに回転力を付与するようになっている。また、供給ローラ17の駆動ローラ17aは、カッターユニットU2に配設された電動モータ30により、伝動ベルト31及びギヤ列19を介して、同じくカッターユニットU2に配設された後述の送出しローラ25の駆動ローラ25aと共に回転駆動されるようになっている。この第1供給ユニットU1の下流側端には、第1ペーパ検出センサ20が設けられており、この第1ペーパ検出センサ20により、プリントペーパーPがマガジン収容部2から全て引き出された場合の該プリントペーパーPの後端が検出されるようになっている。このプリントペーパーPの後端が検出された場合には、その旨をディスプレイ等を介してオペレータに知らせるようになっている。
上記カッターユニットU2は、上下方向に延びる縦フレーム6に固定された状態で第1供給ユニットU1の筐体後側に配設されていて、プリントペーパPをスイッチバックユニットU4へ送り出す圧着型の送出しローラ25と、この送出しローラ25の下流側に配設され、プリントペーパPを切断するための、固定刃26a及び可動刃26bからなるカッター26と、該可動刃26bを駆動する駆動機構等が収容されたカッター駆動部27と、水平方向に延び、プリントペーパPを送出しローラ25からカッター26による切断位置へ案内するガイド部材28とを備えている。上記カッター26により、マガジン収容部2から引き出されたプリントペーパPが、受付ブロック100からのオーダ情報に基づいて予め決められた長さのシートに順次切断されるようになっている。上記送出しローラ25は、プリントペーパPを挟持する1つの駆動ローラ25aと2つの従動ローラ25bとからなり、これら従動ローラ25bが1つの圧縮コイルばね29により駆動ローラ25aに押し付けられている。この駆動ローラ25aは、上述の如く、電動モータ30により、第1供給ユニットU1における供給ローラ17の駆動ローラ17aと共に、伝動ベルト31を介して回転駆動されるようになっている。そして、プリントペーパPは、送出しローラ25及びガイド部材28により水平方向で筐体後向きに移動してスイッチバックユニットU4へと送り出され、後述の如く第1のカール矯正部によるプリントペーパPのカール矯正後に、カッター26により切断されるようになっている。
上記第1供給ユニットU1の支持ローラ15(電動モータによって回転駆動されるもの)及び供給ローラ17並びにカッターユニットU2の送出しローラ25は、マガジン収容部2にセットされたプリントペーパPをマガジン収容部2に対し引き出し及び巻き戻しすることが可能な上流側搬送機構を構成しており、プリントペーパPをマガジン収容部2から引き出すことに加えて、引き出し時とは逆方向に回転することでマガジン収容部2に巻き戻すことも可能になっている。
上記第2供給ユニットU3は、カセット収容部3にセットされた複数枚のプリントペーパP(単票紙)の最上部に位置するプリントペーパPのプリント面に当接する送出しローラ35と、この送出しローラ35を、ギヤ列37を介して駆動する電動モータ36とを備えており、送出しローラ35の駆動により、最上部に位置するプリントペーパPが1枚だけ水平方向で筐体後向きに移動してスイッチバックユニットU4へと送り出されるようになっている。
上記スイッチバックユニットU4は、第1搬送路及び第2搬送路の途中に設けられたペーパ搬送装置兼スイッチバック装置を構成している。このスイッチバックユニットU4は、該スイッチバックユニットU4の上流側に位置する上流側搬送路(つまり第1供給ユニットU1及びカッターユニットU2、又は第2供給ユニットU3)より搬送されてきたプリントペーパPを受け取って、該プリントペーパPを受取り時のプリントペーパ移動方向とは逆向きに、スイッチバックユニットU4の下流側に位置する下流側搬送路(つまりプリントユニットU5)に送り出すようになっている。すなわち、上流側搬送路では、プリントペーパPがプリント面を上向きにした状態で筐体後側に向かって搬送され、該上流側搬送路よりも上側位置に設けられた下流側搬送路では、プリントペーパPがプリント面を上向きにした状態で上流側搬送路とは逆向きの筐体前側に向かって搬送されるが、スイッチバックユニットU4で、プリントペーパPの進行方向が、プリント面を上向きにした状態のまま逆転され、上流側搬送路から下流側搬送路へのプリントペーパPの移行が、プリントペーパPを曲げずにスムーズに行えるようになっている。
具体的には、スイッチバックユニットU4は、上流側搬送路より搬送されてきたプリントペーパPを受け取って把持するローラ対41を備えている。本実施形態では、このローラ対41は、それぞれ中心軸回りに正逆回転自在に構成されかつ互いに上下方向に対向してその間にプリントペーパPを挟持するようになっており、このローラ対41のうち一方(プリントペーパPの裏面に接触するローラ)は駆動ローラ41aであり、他方(プリントペーパPのプリント面に接触するローラ)は従動ローラ41bである。そして、駆動ローラ41aは、駆動機構としての電動モータ42及び伝動ベルト43(図2及び図3参照)により、中心軸回りに正逆に回転駆動されるようになっており、この駆動ローラ41aの正転及び逆転により、上流側搬送路からのプリントペーパPの受取り及び引込みと、下流側搬送路へのプリントペーパPの送出しとをそれぞれ行うようになっている。尚、ローラ対41の両方のローラを駆動するようにしてもよく、駆動及び従動の機能を逆にしてもよい。
上記ローラ対41は、移動機構によって、カッターユニットU2、第2供給ユニットU3及びプリントユニットU5の筐体後側位置において上下方向に直線移動するようになっている。この移動機構は、図2及び図3に示すように、縦フレーム6に固定されかつ上下及び筐体左右方向に延びるレール架台45と、このレール架台45の筐体左右方向一端部に上下方向に延びるように取り付けられた走行レール46と、この走行レール46の上下両端部近傍にそれぞれ設けられた2つのプーリ47に巻き掛けられ、該走行レール46に沿って延びる駆動ベルト48と、レール架台45に取付固定されかつ下側のプーリ47に直結された電動モータ49とを備えている。この電動モータ49により駆動ベルト48が正逆駆動されるようになっている。そして、駆動ベルト48にはブラケット50が取付固定され、このブラケット50には、走行レール46と嵌合してスライドするスライド部材51が固定されており、電動モータ49による駆動ベルト48の正逆駆動により、ブラケット50が上下方向に往復移動するようになっている。尚、このブラケット50の上下位置は、ブラケット50を検出するセンサ等が設けられた基準位置(例えば最下端)からの移動量(例えばモータの回転量)を計測することで分かるようになっている。
上記ブラケット50には、支持板52が固定され、この支持板52に上記ローラ対41における駆動ローラ41a及び従動ローラ41bの各一端部が回転可能に支持されており、このことで、ブラケット50の移動に伴ってローラ対41が上下方向に直線移動することになる。尚、図示は省略するが、駆動ローラ41a及び従動ローラ41bの各他端部は、レール架台45の筐体左右方向他端部に形成された支持部に上下方向にスライド可能に支持されている。
上記支持板52に、上述の、駆動ローラ41aを駆動するための電動モータ42が固定されている。この電動モータ42の回転軸及び駆動ローラ41aの一端部には、プーリ54がそれぞれ固定されており、この両プーリ54に上記伝動ベルト43が巻き掛けられて、この伝動ベルト43を介して駆動ローラ41aが駆動されることになる。
上記移動機構によって、上記ローラ対41は、上流側搬送路よりプリントペーパPを受け取る受取り位置と該受取り位置に対して所定距離だけ上方に離れた位置に設けられかつ該プリントペーパPを下流側搬送路に送り出す送出し位置との間で直線移動するようになっている。すなわち、上記カッターユニットU2の下流端と略同じ高さ位置(走行レール46の下端近傍位置)が、カッターユニットU2よりプリントペーパPを受け取る受取り位置(以下、第1受取り位置という)とされ、上記第2供給ユニットU3の下流端と略同じ高さ位置(走行レール46の上下方向略中央位置)が、第2供給ユニットU3よりプリントペーパPを受け取る受取り位置(以下、第2受取り位置という)とされている。一方、プリントユニットU5の上流端と略同じ高さ位置(走行レール46の上端近傍位置)が、プリントペーパPをプリントユニットU5に送り出す送出し位置とされている。このように上流側搬送路の下流端と下流側搬送路の上流端とが所定距離(各ユニットU1〜U5の配置により決まる値であり、出来る限り小さい値に設定される)だけ離れており、これに対応してローラ対41が移動することになる。尚、ローラ対41は、移動機構によって、第1受取り位置から更に下方へ移動することも可能になっている。
そして、スイッチバックユニットU4は、第1受取り位置においてローラ対41により上流側搬送路(カッターユニットU2)よりプリントペーパPを受け取って把持した後でかつカッター26によりプリントペーパPが切断された後に、又は第2受取り位置においてローラ対41により上流側搬送路(第2供給ユニットU3)よりプリントペーパPを受け取って把持した後に、上記移動機構により、該プリントペーパPを把持したローラ対41を、該プリントペーパPが上流側搬送路から切り離された状態で送出し位置に移動させ、該送出し位置において該プリントペーパPを受取り時のプリントペーパPの移動方向とは逆向きに下流側搬送路に送り出すように構成されている。この下流側搬送路に送り出されるプリントペーパPの移動方向は、水平方向で受取り時の移動方向とは逆向き(筐体前向き)となる。
図2に示すように、上記支持板52におけるローラ対41の筐体前後部には、ローラ対41により把持されたプリントペーパPの下側に位置して該プリントペーパPを支持する第1及び第2支持部材56,57がそれぞれ固定されている(図3では図示を省略している)。この第1支持部材56は、プリントペーパPをカッターユニットU2から水平状態でローラ対41に導く役割を有している。この第1支持部材56には、プリントペーパPを検出するための第2ペーパ検出センサ58が設けられている。
一方、上記第2支持部材57の筐体後部には、下側に曲げられた曲げ部が形成され、この曲げ部には、押えローラ59が当接している。この押えローラ59は、支持板52に回動自在に支持されたアーム60の先端部に回動自在に取り付けられており、該押えローラ59の自重により第2支持部材57の曲げ部に当接している。そして、この第2支持部材57の曲げ部及び押えローラ59により、ローラ対41により把持されたプリントペーパPが下側に垂れて筐体1の後部内壁面に当接しないようになされている。すなわち、筐体1内におけるスイッチバックユニットU4の筐体後側(ローラ対41に対して上流側搬送路及び下流側搬送路とは反対側における該ローラ対41の移動範囲に対応する部分)には、ローラ対41により把持されるプリントペーパP用の空間スペース12が設けられているが、上記の如くプリントペーパPを下側に垂らすようにすることで、その空間スペース12の筐体前後方向(上流側搬送路の延長方向)に沿った長さを出来る限り小さくすることができる。一方、プリントペーパPを下側に垂らすことで、ローラ対41により把持されるプリントペーパP用の空間スペース12を、上記移動範囲に対応する部分の下方(第1受取り位置よりも下側)に延長する必要があるが、本実施形態では、第1搬送路に関して、スイッチバックユニットU4の上流側に位置する上流側搬送路及び第1受取り位置が、マガジン収容部2にセットされたプリントペーパPのロール中心よりも上側位置に設けられており、このことで、筐体1の高さを大きくすることなく上記空間スペース12を下方に容易に延長することができる。
尚、図示は省略するが、上記第1及び第2支持部材56,57におけるペーパ幅方向両端部には、プリントペーパPの幅方向への移動を規制する規制部材がそれぞれ設けられており、この両規制部材は、ペーパ幅(ペーパマガジン8に設けた識別コード部を検出することでペーパ幅が分かるようになっている)に応じてその間隔を変化可能に構成されている。上述の如くプリントペーパPが2列で搬送される場合には、上記両規制部材間の中央部に更にもう1つの規制部材が搬送路上に進入して、これら3つの規制部材により2列で搬送される各プリントペーパPの幅方向への移動を規制するようになっている。
上記第1受取り位置に位置するローラ対41の上流側搬送路側(筐体前側)の近傍には、駆動及び従動ローラ32a,32bからなる圧着型の移送ローラ32が設けられている。この移送ローラ32は、上記縦フレーム6に支持されていて、プリントペーパPをローラ対41へと導く役割を有しているとともに、後述の如く、プリントペーパPのカール矯正時に該プリントペーパPを保持する役割を有している。この移送ローラ32の駆動ローラ32aは、中心軸回りに正逆に回転駆動されるようになっており、プリントペーパPをマガジン収容部2から引き出して搬送するときには正転(図1で反時計回り方向に回転)し、マガジン収容部2へ巻き戻すときには逆転(図1で時計回り方向に回転)するようになっている。
上記プリントユニットU5は、上記縦フレーム6の上端位置において水平方向に延びる横フレーム7に固定された固定台65と、この固定台65の上下方向中間部に設けられ、プリント時にプリントペーパPを支持するプリント台66と、このプリント台66上に位置するプリントペーパPと対向し、該プリントペーパPに対しインクを吐出してプリントを行うプリントヘッド67とを備えている。このプリント台66及びプリントヘッド67が上記プリント部4を構成する。
上記プリント台66は、プリントペーパPをファン等によりプリント台66の下側から吸引して吸着保持する構成にはなっておらず、図4に示すように、吸引用孔等を有していない。このプリント台66のペーパ幅方向(図4に示すX方向)両端部には、ペーパ搬送方向(Y方向)に延びる複数(本実施形態では、片側6つずつ)の溝66aがペーパ幅方向に所定間隔をあけて並ぶように形成されている。これら各溝66aは、種々のサイズのプリントペーパPの幅方向両端位置に対応して設けられており、各溝66a内には、上記プリントヘッド67から吐出されたインクがプリントペーパPの幅方向両端から外側に外れた場合(特に縁なしプリントを行う際に外側に外れ易い)に、該インクを吸収するためのインク吸収材68が嵌め込まれている。また、プリント台66のペーパ幅方向中央部には、後述の3つのヘッドユニット67aの各位置にそれぞれ対応して凹部66bが形成されており、この各凹部66b内には、プリントペーパPを2列で搬送してプリントする際に、プリントヘッド67の各ヘッドユニット67aより予備吐出(プリントを行う前の試し打ち)されたインクを吸収するインク吸収材69が嵌め込まれている。
本実施形態では、上記プリントヘッド67は、図4に示すように、その底面(プリント台66と対向する面)に複数のインク吐出ノズル67bが副走査方向(ペーパ搬送方向(Y方向))に列をなすように設けられた3つのヘッドユニット67aを有しており、これら3つのヘッドユニット67aが互いに副走査方向に間隔をあけて並んでいる。尚、各ヘッドユニット67aのノズル列は、図4では1列しか記載していないが、実際には、複数色のインクにそれぞれ対応してペーパ幅方向に複数並ぶように設けられる。また、ヘッドユニット67aは3つである必要はなく、1つや2つであってもよく、4つ以上であってもよい。
上記プリントヘッド67の上面は、該プリントヘッド67を主走査方向(図1の紙面に垂直な方向(図4に示すX方向))に往復移動させるための駆動ベルト70に取付固定されている。この駆動ベルト70は、主走査方向に延びていて、その両端部にそれぞれ配設されかつ固定台65の上部に回転自在に支持された2つのプーリ71(図1では1つのみ示す)に巻き掛けられている。この一方のプーリ71は、不図示の電動モータにより回転駆動されるようになっている。また、固定台65の上部には、駆動ベルト70に沿って主走査方向に延びるガイドレール72が取付固定されており、プリントヘッド67は、このガイドレール72に案内されながら、駆動ベルト70によって主走査方向に往復移動するようになっている。そして、プリント台66上のプリントペーパPは、プリント台66の上流側に設けられた搬送ローラ75により一定の単位搬送量で間欠的に(ステップ状に)副走査方向に搬送され、この間欠搬送時におけるプリントペーパPの各停止時に、プリントヘッド67が主走査方向に一走査(一往動作又は一復動作)されて、この走査時に、主走査方向の各位置で、各ヘッドユニット67aのインク吐出ノズル67bからインクが吐出される。つまり、プリントヘッド67の一走査後に、プリントペーパPが単位搬送量だけ搬送され、その後、再びプリントヘッド67が一走査され、この動作が繰り返し行われて、所望の画像がプリントされることになる。
上記搬送ローラ75は、プリントユニットU5の上流側端部(つまり下流側搬送路の上流側端部であって、送出し位置に位置するローラ対41(図5参照)の近傍)に設けられており、送出し位置に位置するローラ対41により送り出されたプリントペーパPを受け取ってプリント部4へ搬送する役割を有している。この搬送ローラ75は、カッターユニットU2における送出しローラ25と同様に、プリントペーパPを挟持する1つの駆動ローラ75aと2つの従動ローラ75bとからなり、2つの従動ローラ75bが1つの圧縮コイルばね76により駆動ローラ75aに押し付けられている。この駆動ローラ75aは、電動モータ77により伝動ベルト78を介して回転駆動されるようになっている。
上記搬送ローラ75により挟持されたプリントペーパPにおける該挟持部分の高さ位置は、上記プリント台66の上面よりも高くされており、プリントペーパPは、駆動ローラ75aに巻き掛けられながらプリント台66に対して斜め上方から進入し、プリント台66の上流側端部において該上流側端部に対して上方に隙間があくように支持された案内ローラ79によって、駆動ローラ75aに巻き掛けられた部分とは反対側に曲げられて、プリントペーパPの裏面がプリント台66の上面に略接触した状態で搬送されることになる。
一方、プリント台66の下流側には、プリントされたプリントペーパPを筐体1の外部へ排出するための第3搬送路を構成すべく、駆動及び従動ローラ81a,81bからなる2対の圧着型の排出ローラ81が互いにペーパ搬送方向に間隔をあけて設けられている。この各排出ローラ81の駆動ローラ81aは、電動モータ82により伝動ベルト83を介して同時に駆動されるようになっている。そして、下流側の排出ローラ81の高さ位置は上流側の排出ローラ81よりも高く、下流側の排出ローラ81と上流側の排出ローラ81との間には、プリントペーパPを持ち上げて下流側の排出ローラ81へと導くガイド部材84が設けられている。
上記のように、プリントペーパPはプリント台66の上流側及び下流側でプリント台66の上面よりも高い位置に持ち上げられているため、プリントペーパPのプリント台66上の部分は、プリント台66の上面に押し付けらるようになる。これにより、プリント台66上でのプリントペーパPの平面性が確保される。特にマガジン収容部2から搬送されてきたプリントペーパPは、上記ロールによる巻き癖によって、長さ方向中央部が両端部に対してプリント面側に突出するようにカールしているが、このようにプリントペーパPがカールしていても、プリント台66に吸着させることなく平面性を確保することができるようになる。尚、本実施形態では、後述の如く、マガジン収容部2から搬送されてきたプリントペーパPは、プリント台66に供給される前に上記カールが矯正されるので、平面性をより一層向上させることができる。
上記排出トレイ5は、筐体1の外部における上記排出ローラ81の筐体前側に設けられていて、筐体1の前方へ突出しており、その先端部には、補助トレイ5aが格納されている。この補助トレイ5aは、排出されるプリントペーパPの長さが排出トレイ5の長さよりも長い場合に、筐体1の前方へ引き出すことで、該長いプリントペーパPを受け止めることができるようになっている。
本実施形態では、上記スイッチバックユニットU4、移送ローラ32、及びプリントユニットU5の搬送ローラ75は、マガジン収容部2から搬送されてきたプリントペーパPにおける上記ロールの巻き癖によるカールを矯正するカール矯正装置を構成している。このカール矯正装置は、プリント部4の上流側でかつカッター26の下流側に設けられていて、該カッター26によりプリントペーパPにおける次の切断予定部が切断される前に、プリントペーパPにおける該切断予定部のペーパ長さ方向両側近傍に対してカール矯正を行う第1のカール矯正部と、上記切断予定部が切断された後に、上記プリント部へ搬送されるプリントペーパPの長さ方向中間部に対してカール矯正を行う第2のカール矯正部とを有している。上記第1のカール矯正部はスイッチバックユニットU4及び移送ローラ32により構成され、第2のカール矯正部はスイッチバックユニットU4及び搬送ローラ75により構成されている。尚、カセット収容部3から搬送されてきたプリントペーパPの場合には、通常、カールしていないので、カール矯正装置は作動しない。
上記第1のカール矯正部の構成を具体的に説明する。先ず、スイッチバックユニットU4のローラ対41は、第1受取り位置においてプリントペーパPを受け取って把持した後、該プリントペーパPを空間スペース12に引き込む。このとき、上記支持ローラ15、供給ローラ17、送出しローラ25及び移送ローラ32はローラ対41と共に作動し続けて、マガジン収容部2から引き出したプリントペーパPを、上記第1のカール矯正部によるカール矯正が可能な位置まで搬送する。すなわち、プリントペーパPを、上記切断予定部の後端側近傍が、受取り位置に位置するローラ対41により把持されるまで搬送する。この搬送完了後に、ローラ対41及び各ローラ15,17,25,32の作動が停止する。この作動を停止した移送ローラ32は、ローラ対41の上流側に設けられた、プリントペーパPを保持する保持部材としての役割を有し、ローラ対41は、プリントペーパPの幅方向に沿ってそれぞれ延びかつ互いに対向してその間に該プリントペーパPにおける上記切断予定部の後端側近傍を把持する。そして、図7に示すように、上記移送ローラ32によってプリントペーパPを保持した状態で、プリントペーパPを把持したローラ対41を、スイッチバックユニットU4の移動機構により、ローラ対41の対向方向における駆動ローラ41a側に移動させる。これにより、プリントペーパPが該ローラ対41の上側の従動ローラ41bに上記カールとは反対側に曲げられた状態で巻き掛けられかつプリントペーパPの移送ローラ32とローラ対41との間の部分にテンションが付与される。すなわち、プリントペーパPは、上記ロールによる巻き癖によって、カッター26により所定長さに切断したときに長さ方向中央部が両端部に対してプリント面側に突出するようにカールしているため、プリント面側のローラである従動ローラ41bに巻き掛けることで、カールとは反対側に曲げるようにする。このために、ローラ対41を、プリント面とは反対側のローラである駆動ローラ41a側に移動(つまり第1受取り位置から下方へ移動)させて、プリントペーパPを従動ローラ41bに巻き掛けるようにする。このローラ対41の移動に伴って、プリントペーパPにおけるローラ対41が把持する部分は、上記切断予定部の後端側近傍から先端側へ移動する。このことで、プリントペーパPが、ローラ対41によって、カールにより突出する側(プリント面側)が内側となるように曲げられた状態でしごかれることとなり、プリントペーパPに対してカール矯正が行われることになる。そして、プリントペーパPにおけるローラ対41が把持する部分が上記切断予定部の先端側近傍となったところで、ローラ対41の下方移動を停止すれば、プリントペーパPにおける上記切断予定部のペーパ長さ方向両側近傍に対してカール矯正が行われたことになる。
上記カール矯正後に、ローラ対41及び各ローラ15,17,25,32がペーパ引出し時とは逆方向に作動することにより、プリントペーパPが、カッター26により上記切断予定部の切断が可能な位置までマガジン収容部2方向へ巻き戻される。このときと同時に又は巻戻し完了後に、ローラ対41は、移動機構によって第1受取り位置へ戻る。尚、この巻戻し完了後も、通常は、プリントペーパPがローラ対41により把持された状態にあるので、必ずしもローラ対41を第1受取り位置へ戻す必要はない。
そして、ローラ対41は、上記カッター26によるプリントペーパPの上記切断予定部の切断後に、移動機構によって上方へ移動して、該切断されたプリントペーパP(シート)を送出し位置に搬送し、この送出し位置において下流側搬送路に送り出すことになる。
次いで、上記第2のカール矯正部の構成を具体的に説明すると、上記プリントユニットU5の搬送ローラ75は、送出し位置においてスイッチバックユニットU4のローラ対41により送り出された切断後のプリントペーパPの一端部を保持する保持部材としての役割を有し、上記ローラ対41は、搬送ローラ75により保持されたプリントペーパPの幅方向に沿ってそれぞれ延びかつ互いに対向してその間に該プリントペーパPの上記一端部近傍を把持する。すなわち、搬送ローラ75は、スイッチバックユニットU4より送り出されたプリントペーパPを受け取ってその先端部(受取り時の後端部であって、上記第1のカール矯正部によりカールが矯正された端部)を挟持したときに、作動を一旦停止して、該先端部を保持するようになっている。このとき、スイッチバックユニットU4のローラ対41は、搬送ローラ75により保持されたプリントペーパPの上記先端部近傍を把持していることになる。そして、図8に示すように、上記搬送ローラ75によってプリントペーパPを保持した状態で、上記第1のカール矯正部と同様に、プリントペーパPを把持したローラ対41を、スイッチバックユニットU4の移動機構により、ローラ対41の対向方向における駆動ローラ41a側に移動させる。これにより、プリントペーパPが該ローラ対41の上側の従動ローラ41bに上記カールとは反対側に曲げられた状態で巻き掛けられかつプリントペーパPの搬送ローラ75とローラ対41との間の部分にテンションが付与される。すなわち、ローラ対41を、プリント面とは反対側のローラである駆動ローラ41a側に移動(つまり送出し位置から第1受取り位置へ移動)させて、プリントペーパPを従動ローラ41bに巻き掛けることで、カールとは反対側に曲げるようにする。このローラ対41の移動に伴って、プリントペーパPにおけるローラ対41が把持する部分は、上記先端部近傍から後端部(受取り時の先端部)側へ移動する。このことで、プリントペーパPが、ローラ対41によって、カールにより突出する側(プリント面側)が内側となるように曲げられた状態でしごかれることとなり、プリントペーパPの長さ方向中間部に対してカール矯正が行われることになる。尚、搬送ローラ75は、プリントペーパPのカール矯正中は、該プリントペーパPを、搬送を停止した状態で保持するように構成されている。
上記ローラ対41は、プリントペーパPの長さ方向中間部に対してカール矯正が行われた後、下方移動を一旦停止し、その後、搬送ローラ75が再び作動するとともに、ローラ対41の駆動ローラ41aが逆転して、プリントペーパPをプリント部4へと搬送する。そして、プリントペーパPの後端部がローラ対41から外れた後に、ローラ対41は、次のプリントペーパPを受け取るために第1受取り位置に戻ることになる。つまり、ローラ対41が送出し位置から第1受取り位置へ移動するときに、プリントペーパPのカールを矯正するようになっている。
上記カール矯正装置の第1及び第2のカール矯正部によるプリントペーパPのカール矯正量は、上記移動機構によるローラ対41の下方への移動速度を変更することで調整することができる。すなわち、ローラ対41の移動速度が遅いほど、プリントペーパPはゆっくりとしごかれてカール矯正量は大きくなる。
或いは、移動機構によるローラ対41の移動時において該ローラ対41におけるプリントペーパPが巻き掛けられるローラ(ここでは、従動ローラ41b)への該プリントペーパPの巻き掛け長さを変更することで、プリントペーパPのカール矯正量を調整できるようにしてもよい。すなわち、従動ローラ41bへの巻き掛け長さが長いほどカール矯正量は大きくなる。尚、このように従動ローラ41bへの巻き掛け長さを変更するには、例えば、プリントペーパPの裏面における駆動ローラ41aよりも後端側の部分を従動ローラ41b側に押し付けるローラを設け、この押付け量を変更することで巻き掛け長さを変更できる。
或いは、ローラ対41におけるプリントペーパPが巻き掛けられるローラ(従動ローラ41b)の径を変更することで、プリントペーパPのカール矯正量を調整できるようにしてもよい。すなわち、従動ローラ41bの径が小さいほどカール矯正量は大きくなる。尚、このようにローラの径を変更するには、例えばローラの長さ方向において互いに径が異なる部分を複数段に設け、プリントペーパPと接触する部分に対応させてローラをその長さ方向に移動させることでローラ径を変更できる。
或いは、ローラ対41の下方移動中(つまりプリントペーパPのカール矯正中)も、ローラ対41の駆動ローラ41aを駆動させるようにし、このときの駆動ローラ41aの回転速度を変更することで、プリントペーパPのカール矯正量を調整できるようにしてもよい。すなわち、駆動ローラ41aを正転(第1受取り位置でプリントペーパPを受け取りかつ空間スペース12へ引き込むときと同じ方向に回転)させる場合には、駆動ローラ41aの回転速度が速いほど、プリントペーパPに付与されるテンションが強くなってカール矯正量は大きくなる。一方、駆動ローラ41aを逆転(送出し位置でプリントペーパPを送り出すときと同じ方向に回転)させる場合には、その回転速度とローラ対41の移動速度とを、プリントペーパPにテンションが付与されるようにそれぞれ設定する必要があるが、駆動ローラ41aの回転速度が遅いほど、プリントペーパPに付与されるテンションが強くなってカール矯正量は大きくなる。尚、ローラ対41におけるプリントペーパPが巻き掛けられるローラを駆動するようにすれば、そのローラの回転速度を変更することで、プリントペーパPのカール矯正量をより確実に調整できるようになる。
上記カール矯正量の調整は、工場等においてインクジェットプリンタの完成後で出荷前に行うようにしてもよく、ユーザが自由に調整できるようにしてもよい。また、インクジェットプリンタ自体が、プリントペーパPのカール量を検出して、自動的に調整を行うようにしてもよい。
本インクジェットプリンタは、制御系として、図9に示すように、マイクロプロセッサ101(以下、CPUという)と、このCPU101とデータバスを介して接続された搬送制御部102、ヘッド制御部103、プリント制御部104、半導体メモリRAM/ROM105、通信インタフェース106、上述の第1ペーパ検出センサ20及び第2ペーパ検出センサ58とを備えている。
上記搬送制御部102は、上記各ユニットU1〜U5夫々の動作制御を行う。ヘッド制御部103は、プリントヘッド67の動作制御を行う。通信インタフェース106は、受付ブロック100との間で情報の送受信を行うためのものである。プリント制御部104は、受付ブロック100から通信インタフェース106を介して受信した画像データに基づき、プリントペーパPに対して画像データのプリントを実現するための制御を行う。
上記搬送制御部102の制御により、上記各ユニットU1〜U5は以下のように動作する。
マガジン収容部2にセットされたプリントペーパPに対してプリントを行う場合には、スイッチバックユニットU4のローラ対41を第1受取り位置に位置させておく(図1参照)。そして、第1供給ユニットU1の支持ローラ15及び供給ローラ17並びにカッターユニットU2の送出しローラ25を作動させることにより、プリントペーパPをマガジン収容部2から引き出して、第1受取り位置に位置するローラ対41へと搬送する。
上記ローラ対41の駆動ローラ41aは、プリントペーパPの先端が第2ペーパ検出センサ58により検出されたときに駆動し始めて図1及び図2で反時計回り方向に回転(正転)し、カッターユニットU2より水平方向で筐体後向きに搬送されてきたプリントペーパPを受け取って把持する。つまり、プリントペーパPを駆動ローラ41aと従動ローラ41bとの間に挟持する。駆動ローラ41aは駆動し続けて、プリントペーパPを筐体後側の空間スペース12へと引き込む。このとき、上記支持ローラ15、供給ローラ17、送出しローラ25及び移送ローラ32はローラ対41と共に作動し続けて、マガジン収容部2から引き出したプリントペーパPを、第1のカール矯正部によるカール矯正が可能な位置まで搬送する。すなわち、プリントペーパPの先端が第2ペーパ検出センサ58により検出されてから、オーダ情報や、ローラ対41と第2ペーパ検出センサ58との位置関係等に基づいて決定した量だけ搬送して、受取り位置で受け取ったプリントペーパPにおける次の切断予定部の後端側近傍がローラ対41により把持されるようにする。
上記搬送完了後に、ローラ対41及び各ローラ15,17,25,32の作動が停止し、その後に、スイッチバックユニットU4の駆動ベルト48が作動して、ローラ対41が下方に移動し、これにより、上述の如く、第1のカール矯正部により、プリントペーパPにおける上記切断予定部のペーパ長さ方向両側近傍に対してカール矯正を行う(図7参照)。
上記カール矯正後に、ローラ対41及び各ローラ15,17,25,32がペーパ引出し時とは逆方向に作動して、プリントペーパPを、カッター26により上記切断予定部の切断が可能な位置までマガジン収容部2方向へ巻き戻すとともに、ローラ対41を、移動機構によって第1受取り位置へ戻す。そして、上記巻戻し完了後に、カッター26の可動刃26bが作動して、プリントペーパPが上記切断予定部で切断されてシートにされる。
上記カッター26によるプリントペーパPの上記切断予定部の切断後に、ローラ対41及び移送ローラ32がペーパ引出し時と同じ方向に作動して、該切断されたプリントペーパP(シート)を、その後端部がローラ対41により把持されるまで空間スペース12へと引き込む。
次いで、ローラ対41が上方に移動して送出し位置で停止する(図5参照)。これにより、プリントペーパPが上流側搬送路(カッターユニットU2)から切り離された状態で受取り位置から送出し位置に搬送される。
その後、ローラ対41の駆動ローラ41aが図5で時計回り方向に回転(逆転)し、切断後のプリントペーパPを水平方向で筐体前向きにプリントユニットU5の搬送ローラ75へと送り出す。
上記プリントペーパPの送出し時に、プリントペーパPの先端(受取り時の後端)が第2ペーパ検出センサ58により検出され、この検出によりプリントユニットU5の搬送ローラ75が作動を開始し、該検出からプリントペーパPが所定量(プリントペーパPの先端部が搬送ローラ75に挟持されるまでの量)だけ送り出されたところで、搬送ローラ75の作動が一旦停止する。これにより、プリントペーパPの先端部が搬送ローラ75に挟持され保持された状態となる。その後、この保持状態で、上述の如く、プリントペーパPを把持したローラ対41を下方に移動させてプリントペーパPの長さ方向中間部に対してカール矯正を行う(図8参照)。このとき、ローラ対41の駆動ローラ41aは正転又は逆転させるようにしてもよく、停止させるようにしてもよい。やがて、プリントペーパPの後端部がローラ対41から外れるが、ローラ対41はそのまま下方移動を続けて第1受取り位置に戻る。
上記プリントペーパPの長さ方向中間部に対してカール矯正が行われた後、ローラ対41の下方移動が一旦停止し、その後、搬送ローラ75が再び作動するとともに、ローラ対41の駆動ローラ41aが逆転して、プリントペーパPをプリント部4へと搬送する。そして、プリントペーパPの後端部がローラ対41から外れた後に、ローラ対41は、次のプリントペーパPを受け取るために第1受取り位置に戻る。
上記プリントペーパPがプリント台66上におけるプリント開始位置に達すると、該プリントペーパPを搬送ローラ75により単位搬送量で間欠的に搬送しながら、プリントヘッド67を主走査方向に移動させて、該プリントヘッド67の各ヘッドユニット67aのインク吐出ノズル67bよりプリント台66上のプリントペーパPに対しインクを吐出することでプリントを行う。
上記プリントされたプリントペーパPは、排出ローラ81によって、プリント面を上向きにして筐体1の外部へ排出されて、排出トレイ5によって受け止められる。
こうして、マガジン収容部2から引き出されたプリントペーパPはカッター26によりシートに順次切断されて、この切断されたプリントペーパP(シート)が、プリント部4へ順次搬送され、プリント部4で順次プリントされた後、筐体1の外部へ排出されて、排出トレイ5上に重ねられる。
一方、カセット収容部3にセットされたプリントペーパPに対してプリントを行う場合には、スイッチバックユニットU4のローラ対41を第2受取り位置に位置させておく(図6参照)。そして、第2供給ユニットU3の送出しローラ35の作動により、プリントペーパPをカセット収容部2から引き出して、第2受取り位置に位置するローラ対41へと搬送する。
続いて、ローラ対41がプリントペーパPを受け取って該プリントペーパPの後端部を把持したところで駆動ローラ41aの正転を停止し、その後、ローラ対41が上方に移動して送出し位置で停止する。これにより、プリントペーパPが上流側搬送路(第2供給ユニットU3)から切り離された状態で受取り位置から送出し位置に搬送される。
その後、ローラ対41の駆動ローラ41aが逆転して、プリントペーパPを受取り時の移動方向とは逆向きにプリントユニットU5の搬送ローラ75へと送り出す。このプリントペーパPの搬送ローラ75への送出し時に、プリントペーパPの先端が第2ペーパ検出センサ58により検出され、この検出によりプリントユニットU5の搬送ローラ75が作動を開始する。カセット収容部3にセットされたプリントペーパPの場合には、カール矯正を行う必要がないので、搬送ローラ75は停止することなく作動し続けて、スイッチバックユニットU4より送り出されたプリントペーパPを受け取って、そのままプリント台66へと搬送する。尚、スイッチバックユニットU4のローラ対41は、第2ペーパ検出センサ58によりプリントペーパPの後端が検出された後に、下方に移動して第2受取り位置へ戻る。
次いで、マガジン収容部2から引き出されたプリントペーパPと同様に、プリントペーパPを搬送ローラ75により単位搬送量で間欠的に搬送しながら、プリントヘッド67を主走査方向に移動させてプリントを行う。このプリントされたプリントペーパPは、排出ローラ81によって、プリント面を上向きにして筐体1の外部へ排出されて、排出トレイ5によって受け止められる。
したがって、上記実施形態では、カッター26によりプリントペーパPにおける次の切断予定部が切断される前に、該プリントペーパPにおける該切断予定部のペーパ長さ方向両側近傍に対してカール矯正を行い、上記切断予定部が切断された後に、上記プリント部4へ搬送されるプリントペーパPの長さ方向中間部に対してカール矯正を行うようにしたので、切断後のプリントペーパPを、その長さ方向全体に亘って均一にかつ十分にカール矯正された状態でプリント部4へ搬送することができる。すなわち、次の切断予定部の先端側近傍は、該切断予定部の切断後にプリント部4へと搬送されるプリントペーパPの後端部となる部分であり、上記切断予定部の後端側近傍は、その次にプリント部4へと搬送されるプリントペーパPの先端部となる部分であり、このような端部に対して切断後にカール矯正するようにすると、長さ方向中間部に比べて十分にカール矯正を行うことができなくなってしまう。しかし、上記実施形態のように切断前にカール矯正を行うことで、端部に対して長さ方向中間部と同様の条件で十分にカール矯正を行うことが可能になる。一方、第2のカール矯正部によるカール矯正は、プリントペーパPの長さ方向中間部だけであるので、切断後であっても、切断前と同様の条件でカール矯正を行うことができる。この結果、プリント部4へ搬送されるプリントペーパPは、その長さ方向全体に亘って均一にかつ十分にカール矯正された状態にある。よって、吸引装置なしで又は小型の吸引装置でプリント部4におけるプリントペーパPの平面性を十分に確保できるようになる。
尚、上記実施形態では、カール矯正装置の第1及び第2のカール矯正部により、プリントペーパPをしごいてカール矯正するようにしたが、これに限らず、例えば1つのローラに巻き掛けてカール矯正する方法であってもよい。但し、上記実施形態のカール矯正方法の方が、大きくカールしたプリントペーパであっても、十分にかつ確実にカール矯正を行うことができて好ましい。
また、上記実施形態では、プリントペーパPの切断前後でカール矯正を行うようにしたが、プリントペーパPの切断前においてのみカール矯正を行うようにしてもよい。すなわち、カール矯正装置を上記実施形態における第1のカール矯正部と同様の構成とし、プリントペーパPにおける次の切断予定部が切断される前に、該プリントペーパPにおける該切断予定部を含むペーパ長さ方向の所定領域に対してカール矯正を行うようにする。この場合、第2のカール矯正部はなくして、送出し位置でプリントペーパPを完全に送り出した後に、ローラ対41を送出し位置から受取り位置へ戻すようにする。上記所定領域としては、プリントペーパPにおける次の切断予定部の後端側近傍を含んでいることが好ましい。また、所定領域を、プリントペーパPにおける次の切断予定部の後端側近傍から先端部近傍までの部分を含むようにすれば、上記実施形態と同様に、切断後のプリントペーパP(シート)を、その長さ方向全体に亘って均一にかつ十分にカール矯正された状態でプリント部4へ搬送することができる。或いは、所定領域を、プリントペーパPにおける次の切断予定部から先端部までの部分としてもよい。このようにしても、上記実施形態における第1のカール矯正部と同様の構成でプリントペーパPをしごいてカール矯正を行う方法であれば、プリントペーパPの先端部に対しても十分にカール矯正することが可能となる。
さらに、上記実施形態では、マガジン収容部2及びカセット収容部3の両方を設けるようにしたが、マガジン収容部2のみを設けるようにしてもよい。
さらにまた、上記実施形態では、本発明のプリンタを、写真プリントシステムに用いられるインクジェットプリンタに適用したが、長尺状のプリントペーパPがロール状に巻かれた状態でセットされるペーパセット部から、該プリントペーパPを引き出してプリント部4へ搬送するようにしたプリンタであれば、本発明はどのようなものにも適用することができる。