JP2022002887A - ゴム組成物の製造方法およびタイヤの製造方法 - Google Patents

ゴム組成物の製造方法およびタイヤの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】シラニゼーションが進行する温度域での混練り時間を確保して、シリカの分散性を向上できるゴム組成物の製造方法、および該製造方法により製造したゴム組成物を用いたタイヤの製造方法を提供すること。【解決手段】ゴム組成物の製造方法であって、混練室と、混練室内に設置されたロータと混練室を加圧するラムウェイトとを備えた密閉式混練機で、ゴム成分とシリカとシランカップリング剤とを含む原料を混練りする混練工程を含むものであり、前記混練工程が、以下の工程を含むものである、製造方法:混練室に原料を投入する第一工程、投入した原料を、原料温度がシラニゼーションが進行する温度域に属する所定の温度である指定温度に到達するまで、ロータの回転により混練りする第二工程、および、原料温度が指定温度に到達した原料を、原料温度が指定温度から離れないようにラムウェイトの上下動によりラムウェイトの下降圧を制御しながら、ロータの回転により混練りする第三工程。【選択図】図1

Description

本発明は、ゴム成分とシリカとシランカップリング剤とを含むゴム組成物の製造方法およびタイヤの製造方法に関し、より詳しくは、密閉式混練機を用いた所定の混練工程を含むゴム組成物の製造方法およびタイヤの製造方法に関する。
ゴム成分に各種添加剤を分散させて混練りするための混練装置として、従来、密閉式混練機が多用されている。このような密閉式混練機において、ゴム成分や各種添加剤は、混練機に投入された後、ラムウェイト(フローティングウェイトや加圧蓋とも呼ばれる)の下降により混練室内に押し込まれ、ラムウェイトの下降による加圧状態において、混練室内のロータを回転させることにより混練されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平9−254148号公報
ゴム成分にシリカとシランカップリング剤を配合して混練りする場合、シリカとシランカップリング剤とのカップリング反応(本開示において、「シラニゼーション」ともいう)が進行する温度域の混練り時間を十分に確保して、シリカの分散性を高めることが、シリカを使用したゴム組成物の諸性能を引き出すうえで重要である。補強材としてシリカを使用する場合、ゴム成分として変性基を有する溶液重合スチレンブタジエンゴムを使用する配合が増加している。しかし、変性基を有する溶液重合スチレンブタジエンゴムは、変性基とシリカとの相互作用が強固になるため、ゴム粘度が上昇し、加工性が低く混練りの難易度が高くなる傾向にあり、ロータの回転数が極端に落ちることでゴムの切り返しが十分確保できず、シラニゼーションの進行状態がばらつく(不均一なシラニゼーション)ということが問題となる。この場合、得られるゴム組成物のバッチ間の物性のばらつきも大きくなる。
本発明は、シラニゼーションが進行する温度域での混練り時間を確保して、シリカの分散性を向上できるゴム組成物の製造方法、および該製造方法により製造したゴム組成物を用いたタイヤの製造方法を提供しようとするものである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、混練室とロータとラムウェイトとを備えた密閉式混練機で、ゴム成分とシリカとシランカップリング剤とを含む原料を混練りする混練工程において、ラムウェイトの下降圧を制御することで、混練中の原料温度を一定に制御することができ、もって、シラニゼーションが進行する温度域での混練り時間を確保し、シリカの分散性を向上できることを見出し、さらに検討を重ねて本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
[1]ゴム組成物の製造方法であって、
混練室と、混練室内に設置されたロータと、混練室を加圧するラムウェイトとを備えた密閉式混練機で、ゴム成分とシリカとシランカップリング剤とを含む原料を混練りする混練工程を含むものであり、
前記混練工程が、以下の工程を含むものである、製造方法:
混練室に原料を投入する第一工程、
投入した原料を、原料温度がシラニゼーションが進行する温度域に属する所定の温度である指定温度に到達するまで、ロータの回転により混練りする第二工程、および、
原料温度が指定温度に到達した原料を、原料温度が指定温度から離れないようにラムウェイトの上下動によりラムウェイトの下降圧を制御しながら、ロータの回転により混練りする第三工程、
[2]第三工程におけるロータの回転数が一定である、上記[1]記載の製造方法、
[3]指定温度が135〜165℃、好ましくは135〜164℃、より好ましくは138〜163℃、より好ましくは141〜162℃、より好ましくは144〜160℃の範囲内の温度である、上記[1]または[2]記載の製造方法、
[4]第三工程において、ラムウェイトの下降圧を0.0〜0.7MPaの間で変動させて、原料温度と指定温度との差を±5℃、好ましくは±4℃、より好ましくは±3℃の範囲内に保つ、上記[3]記載の製造方法、
[5]第三工程におけるラムウェイトの下降圧の制御において、原料温度がロータ間の中心上方の軸受け側に設置された温度センサで測定される、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法、
[6]ゴム成分が、溶液重合スチレンブタジエンゴムを10質量%以上、好ましくは10〜100質量%、より好ましくは10〜80質量%、より好ましくは20〜70質量%、より好ましくは30〜60質量%含む、上記[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法、
[7]シリカの含有量が、ゴム成分100質量部に対して50質量部以上、好ましくは50〜140質量部、より好ましくは50〜120質量部、より好ましくは60〜110質量部、より好ましくは60〜100質量部である、上記[1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法、
[8]第三工程において、混練室内における原料の充填率が65〜75%、好ましくは66〜75%、より好ましくは67〜74%、より好ましくは68〜73%である、上記[1]〜[7]のいずれかに記載の製造方法、
[9]タイヤの製造方法であって、
上記[1]〜[8]のいずれかに記載の製造方法によりゴム組成物を製造する工程、および、
前記ゴム組成物を用いて、常法により、タイヤを製造する工程
を含む、製造方法、
に関する。
本発明によれば、シラニゼーションが進行する温度域での混練り時間を確保して、シリカの分散性を向上できるゴム組成物の製造方法、および該製造方法により製造したゴム組成物を用いたタイヤの製造方法を提供することができる。
バンバリーミキサーの一例を示す概略断面図であり、ラムウェイトを下限位置まで下降させた状態を示す。 バンバリーミキサーの一例を示す概略断面図であり、ラムウェイトを上限位置まで上昇させた状態(混練室が開放された状態)を示す。
一の実施形態は、ゴム組成物の製造方法であって、混練室と混練室内に設置されたロータと混練室を加圧するラムウェイトとを備えた密閉式混練機で、ゴム成分とシリカとシランカップリング剤とを含む原料を混練りする混練工程を含むものであり、前記混練工程が、以下の工程を含むものである、製造方法:
混練室に原料を投入する第一工程、
投入した原料を、原料温度がシラニゼーションが進行する温度域に属する所定の温度である指定温度に到達するまで、ロータの回転により混練りする第二工程、および、
原料温度が指定温度に到達した原料を、原料温度が指定温度から離れないようにラムウェイトの上下動によりラムウェイトの下降圧を制御しながら、ロータの回転により混練りする第三工程
である。
第三工程におけるロータの回転数は一定であることが好ましい。
指定温度は135〜165℃の範囲内の温度であることが好ましい。
第三工程において、ラムウェイトの下降圧を0.0〜0.7MPaの間で変動させて、原料温度と指定温度との差を±5℃の範囲内に保つことが好ましい。
第三工程におけるラムウェイトの下降圧の制御において、原料温度はロータ間の中心上方の軸受け側に設置された温度センサで測定されることが好ましい。
ゴム成分は溶液重合スチレンブタジエンゴムを10質量%以上含むことが好ましい。
シリカの含有量はゴム成分100質量部に対して50質量部以上であることが好ましい。
第三工程において、混練室内における原料の充填率は65〜75%であることが好ましい。
他の実施形態は、タイヤの製造方法であって、上記製造方法によりゴム組成物を製造する工程、および、上記ゴム組成物を用いて、常法により、タイヤを製造する工程を含む、製造方法である。
理論に拘束されることは意図しないが、上記効果が発揮されるメカニズムとしては以下が考えられる。すなわち、本開示では、混練室とロータとラムウェイトとを備えた密閉式混練機で、ゴム成分とシリカとシランカップリング剤とを含む原料を混練りする混練工程において、指定温度としてシラニゼーションが進行する範囲内の温度を設定し、原料温度が指定温度に到達してから、原料温度が指定温度から離れないようにラムウェイトの下降圧を制御しながら混練りする。ここで、原料温度が指定温度を超える場合には、ラムウェイトを上昇させて圧力を下げることで原料温度を下げることができ、反対に、原料温度が指定温度より低くなる場合には、ラムウェイトを下降させて混練中の原料に圧力を加えることで原料温度を上げることができる。このように、ラムウェイトの下降圧により原料温度が指定温度から離れないように調節する場合、ロータの回転数が極端に落ちる状況を回避することができ、混練中のゴムの切り返し(すなわち、ロータ剪断回数)を十分に確保することができる。このため、シラニゼーションの進行が促進されるので、シリカ表面が疎水化されシリカの分散性が向上すると考える。
シリカの分散性を評価できる物性として、低歪み領域のG’と高歪み領域のG’との差で定義されるΔG’(ペイン効果)があり、この値が小さいほど、ゴム組成物中の大きなフィラー凝集体の割合が少なく、シリカ分散状態が良好であるといえる。未加硫状態のゴム組成物におけるΔG’を求めることで、シリカの分散状態を把握することができる。
以下、ゴム成分とシリカとシランカップリング剤とを含むゴム組成物の各種原料について説明する。
<ゴム成分>
ゴム成分は特に限定されず、従来、ゴム工業で用いられるものをいずれも好適に用いることができる。例えば、イソプレン系ゴム、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンゴム(SIR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)などのジエン系ゴム、ブチルゴム(IIR)、臭素化ブチルゴム(Br−IIR)、塩素化ブチルゴム(Cl−IIR)およびフッ素化ブチルゴム(F−IIR)を含むハロゲン化ブチルゴムなどのブチル系ゴムがあげられる。これらのゴム成分は、1種または2種以上を組み合せて使用することができる。なかでも、シリカを配合して高性能なゴム組成物を得る観点から、SBRを含むことが好ましく、SBRおよびBRを含むことがより好ましく、SBR、BRおよびイソプレン系ゴムを含むことがより好ましく、SBR、BRおよびイソプレン系ゴムのみであることがさらに好ましい。
(スチレンブタジエンゴム)
スチレンブタジエンゴム(SBR)としては、特に限定されず、例えば未変性の乳化重合スチレンブタジエンゴム(E−SBR)や溶液重合スチレンブタジエンゴム(S−SBR)、これらを変性した変性乳化重合スチレンブタジエンゴム(変性E−SBR)や変性溶液重合スチレンブタジエンゴム(変性S−SBR)などの変性SBRがあげられる。変性SBRとしては、末端および/または主鎖が変性された変性SBR、スズ、ケイ素化合物などでカップリングされた変性SBR(縮合物、分岐構造を有するものなど)などがあげられる。またSBRとしては、伸展油を加えて柔軟性を調整した油展タイプのものと、伸展油を加えない非油展タイプのものとがあるが、このいずれも使用可能である。このようなSBRとして、例えば、JSR(株)製のもの、旭化成ケミカルズ(株)製のもの、日本ゼオン(株)製のもの、ZSエラストマー(株)製のものなどを用いることができる。これらのSBRは、1種または2種以上を組み合せて使用することができる。なかでも、シリカを配合して低燃費性やウェットグリップ性に優れたゴム組成物を得る観点から、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S−SBR)が好ましく、変性溶液重合スチレンブタジエンゴム(変性S−SBR)がより好ましい。本開示の混練工程を含む製造方法によれば、変性S−SBRにシリカを配合した場合でも、シラニゼーションが進行する温度域の混練り時間を十分に確保して効率的に混練りすることができるので、シラニゼーションの進行によりシリカの分散性が向上するという効果が得られる。
SBRのスチレン含量は、15.0質量%〜40.0質量%であることが好ましい。スチレン含量は、ゴム強度やグリップ性能の観点から、20.0質量%以上がより好ましい。また、スチレン含量は、低燃費性の観点から、30.0質量%以下がより好ましい。なお、SBRのスチレン含量は、1H−NMR測定により算出される値である。
SBRのビニル含量(1,2−結合ブタジエン単位量)は、10.0〜80.0%であることが好ましい。ビニル含量は、ゴム強度やグリップ性能の観点から、25.0%以上が好ましく、40.0%以上がより好ましい。また、ビニル含量は、低燃費性の観点から、75.0%以下が好ましく、70.0%以下がより好ましい。なお、SBRのビニル含量は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定される値である。
SBRのガラス転移温度(Tg)は、−90〜0℃であることが好ましく、−50℃以上がより好ましく、−40℃以上がさらに好ましい。また、該Tgは、−10℃以下がより好ましく、−15℃以下がさらに好ましい。なお、SBRのTgは、JIS K 7121に従い、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製の示差走査熱量計(Q200)を用いて、昇温速度10℃/分の条件で測定される値である。
SBRの重量平均分子量(Mw)は、20万〜200万であることが好ましく、30万以上がより好ましい。また、該Mwは、150万以下がより好ましく、100万以下がさらに好ましい。なお、SBRのMwおよび後述する数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(東ソー(株)製のGPC−8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMALTPORE HZ−M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めることができる。
SBRの数平均分子量(Mn)は、15万〜200万であることが好ましく、18万以上が好ましく、20万以上がより好ましい。また、該Mnは、100万以下がより好ましい。
SBRを含有する場合のゴム成分中の含有量は、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。また、SBRの含有量は、100質量%であってもよく、80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、60質量%以下がさらに好ましい。SBRの含有量を上記範囲内とすることにより、良好なシリカの分散性、良好な加工性が得られる傾向があり、本開示の効果をより良好に発揮できる。なお、SBRとして油展タイプのSBRを用いる場合は、当該油展タイプのSBR中に含まれる固形分としてのSBR自体の含有量をゴム成分中のSBRの含有量とする。
(ブタジエンゴム)
ブタジエンゴム(BR)としては、特に限定されず、この分野で通常使用されるものをいずれも好適に用いることができる。例えば、ローシスポリブタジエンゴム(ローシスBR)、ハイシスポリブタジエンゴム(ハイシスBR)、希土類元素系触媒を用いて合成された希土類系ブタジエンゴム(希土類系BR)、1,2−シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含むブタジエンゴム(SPB含有BR)、変性ブタジエンゴム(変性BR)などの各種BRを用いることができる。なかでも、ハイシスBRが好ましい。このようなBRとして、例えば、宇部興産(株)製のもの、日本ゼオン(株)製のもの、JSR(株)製のもの、ランクセス社製のものなどを用いることができる。これらのBRは、1種または2種以上を組み合せて使用することができる。
ハイシスBRとは、シス含量(シス−1,4結合含有率)が90%以上のブタジエンゴムである。なかでも、シス−1,4結合含有率が93%以上のものが好ましく、94%以上のものがより好ましく、95%以上のものがさらに好ましい。ハイシスBRを含有することで低発熱性、引張強さや破断時伸び、耐摩耗性を向上させることができる。なお、BR中のシス−1,4結合含有率は、赤外吸収スペクトル分析により算出される値である。
BRを含有する場合のゴム成分中の含有量は、耐摩耗性の観点から、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。また、BRの含有量は、加工性の観点から、80質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、40質量%以下がさらに好ましい。
(イソプレン系ゴム)
イソプレン系ゴムとしては、例えば、イソプレンゴム(IR)および天然ゴム等ゴム工業において一般的なものを使用することができる。このうち、天然ゴムには、非改質天然ゴム(NR)の他に、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素化天然ゴム(HNR)、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度化天然ゴム、グラフト化天然ゴム等の改質天然ゴム等も含まれる。なかでも、NRが好ましい。これらのイソプレン系ゴムは、1種または2種以上を組み合せて使用することができる。
NRとしては特に限定されず、例えば、SIR20、RSS#3、TSR20等のゴム工業において一般的なものを用いることができる。
イソプレン系ゴムを含有する場合のゴム成分中の含有量は、発熱抑制効果等の観点から、10質量%以上が好ましく、25質量%以上がより好ましく、40質量%以上がさらに好ましい。また、イソプレン系ゴムの含有量は、90質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、50質量%以下がさらに好ましい。
<シリカ>
シリカとしては特に限定されず、例えば、乾式法により調製されたシリカ(無水ケイ酸)、湿式法により調製されたシリカ(含水ケイ酸)等があげられる。なかでも、表面のシラノール基が多く、シランカップリング剤との反応点が多いという理由から、湿式法により調製されたシリカが好ましい。例えば、エボニックデグサ社、ソルベイ社、東ソー・シリカ(株)、(株)トクヤマ等によって製造販売されるものなどを用いることができる。これらのシリカは、1種または2種以上を組み合せて使用することができる。
シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)は、特に限定されないが、低燃費性、耐摩耗性の観点から、80m2/g以上が好ましく、110m2/g以上がより好ましく、140m2/g以上がより好ましく、170m2/g以上がさらに好ましい。また、シリカのN2SAは、シリカの分散性、加工性の観点から、500m2/g以下が好ましく、400m2/g以下がより好ましく、300m2/g以下がより好ましく、200m2/g以下がさらに好ましい。なお、シリカのN2SAは、ASTM D3037−81に準じてBET法で測定される値である。
シリカのゴム成分100質量部に対する含有量は、特に限定されないが、30質量部以上が好ましく、40質量部以上がより好ましく、50質量部以上がより好ましく、60質量部以上がさらに好ましい。また、シリカの含有量の上限は、特に限定されないが、140質量部以下が好ましく、120質量部以下がより好ましく、110質量部以下がより好ましく、100質量部以下がさらに好ましい。シリカの含有量が上記範囲内の場合は、良好な分散性、良好な加工性が得られる傾向があり、本開示の効果をより良好に発揮できる。
<その他の充填剤>
充填剤としては、シリカ以外に、さらにその他の充填剤を用いてもよい。そのような充填剤としては、特に限定されず、例えば、カーボンブラック、水酸化アルミニウム、アルミナ(酸化アルミニウム)、炭酸カルシウム、タルク、クレーなどこの分野で一般的に使用される充填剤をいずれも用いることができる。これらの充填剤は、1種または2種以上を組み合せて使用することができる。充填剤として、シリカ以外のものを用いる場合、ゴム強度の観点から、カーボンブラックが好ましい。
(カーボンブラック)
カーボンブラックとしては特に限定されず、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAFなど、ゴム工業において一般的なものを使用できる。例えば、旭カーボン(株)、キャボットジャパン(株)、東海カーボン(株)、三菱ケミカル(株)、ライオン(株)、日鉄カーボン(株)、コロンビアカーボン社等によって製造販売されるものなどを用いることができる。これらのカーボンブラックは、1種または2種以上を組み合せて使用することができる。
カーボンブラックのN2SAは、特に限定されないが、十分な補強性および良好な耐摩耗性が得られる観点から、50m2/g以上が好ましく、80m2/g以上がより好ましく、110m2/g以上がさらに好ましい。また、カーボンブラックのN2SAは、分散性に優れ、発熱しにくいという観点から、500m2/g以下が好ましく、300m2/g以下がより好ましく、200m2/g以下がさらに好ましい。なお、カーボンブラックのN2SAは、JIS K 6217−2:2001に準拠して測定される値である。
カーボンブラックを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましく、15質量部以上がさらに好ましい。また、カーボンブラックの含有量は、70質量部以下が好ましく、50質量部以下がより好ましく、30質量部以下がさらに好ましい。カーボンブラックの含有量が上記範囲内の場合は、十分な補強性、ゴムへの良好な分散、良好な加工性が得られる傾向があり、本開示の効果をより良好に発揮できる。
<シランカップリング剤>
シランカップリング剤としては、特に限定されず、ゴム工業において、従来からシリカと併用される任意のシランカップリング剤を使用することができる。そのようなシランカップリング剤としては、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィド基を有するシランカップリング剤;3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン、後述する下記式(1)で表される化合物、後述する下記式(2)で示される結合単位Aと下記式(3)で示される結合単位Bとを含む化合物等のメルカプト基を有するシランカップリング剤;3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン、3−ヘキサノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリメトキシシラン等のチオエステル基を有するシランカップリング剤;ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニル基を有するシランカップリング剤;3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基を有するシランカップリング剤;γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のグリシドキシ系のシランカップリング剤;3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシラン等のニトロ系のシランカップリング剤;3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン等のクロロ系のシランカップリング剤等があげられる。なかでも、スルフィド基を有するシランカップリング剤およびメルカプト基を有するシランカップリング剤が好ましく、メルカプト基を有するシランカップリング剤がより好ましい。このようなシランカップリング剤として、例えば、モメンティブ社製のもの、エボニックデグサ社製のものなどを用いることができる。これらのシランカップリング剤は、1種または2種以上を組み合せて使用することができる。
メルカプト基を有するシランカップリング剤は特に限定されず、例えば、下記式(1)で表される化合物、および、下記式(2)で示される結合単位Aと下記式(3)で示される結合単位Bとを含む化合物の少なくとも一つである。なかでも、本開示の効果をより好適に得られる観点から、下記式(2)で示される結合単位Aと下記式(3)で示される結合単位Bとを含む化合物を用いることが好ましい。
Figure 2022002887
(式中、R101〜R103は、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜12のアルキル基、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜12のアルコキシ基、または−O−(R111−O)z−R112(z個のR111は、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜30の2価の炭化水素基を表す。z個のR111は、それぞれ同一でも異なっていてもよい。R112は、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜30のアルキル基、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数6〜30のアリール基、または炭素数7〜30のアラルキル基を表す。zは、1〜30の整数を表す。)で表される基を表す。R101〜R103はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。R104は、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜6のアルキレン基を表す。)
Figure 2022002887
Figure 2022002887
(式中、xは0以上の整数、yは1以上の整数である。R201は、それぞれ、水素原子、ハロゲン原子、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜30のアルキル基、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数2〜30のアルケニル基、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数2〜30のアルキニル基、または該アルキル基の末端の水素原子が水酸基もしくはカルボキシル基で置換されたものを表す。R202は、それぞれ、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜30のアルキレン基、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数2〜30のアルケニレン基、または、直鎖もしくは分岐鎖の炭素数2〜30のアルキニレン基を表す。R201とR202とで環構造を形成してもよい。)
上記式(2)で示される結合単位Aと上記式(3)で示される結合単位Bとを含む化合物は、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドなどのポリスルフィドシランに比べ、加工中の粘度上昇が抑制される。これは結合単位Aのスルフィド部分がC−S−C結合であるため、テトラスルフィドやジスルフィドに比べ熱的に安定であることから、ムーニー粘度の上昇が少ないためと考えられる。
また、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプトシランに比べ、スコーチ時間の短縮が抑制される。これは、結合単位Bはメルカプトシランの構造を持っているが、結合単位Aの−C715部分が結合単位Bの−SH基を覆うため、ポリマーと反応しにくく、スコーチが発生しにくいためと考えられる。
上述した加工中の粘度上昇を抑制する効果や、スコーチ時間の短縮を抑制する効果を高めることができるという点から、上記構造のシランカップリング剤において、結合単位Aの含有量は、30モル%以上が好ましく、50モル%以上がより好ましく、99モル%以下が好ましく、90モル%以下がより好ましい。また、結合単位Bの含有量は、1モル%以上が好ましく、5モル%以上がより好ましく、10モル%以上がさらに好ましく、70モル%以下が好ましく、65モル%以下がより好ましく、55モル%以下がさらに好ましい。また、結合単位AおよびBの合計含有量は、95モル%以上が好ましく、98モル%以上がより好ましく、100モル%が特に好ましい。なお、結合単位A、Bの含有量は、結合単位A、Bがシランカップリング剤の末端に位置する場合も含む量である。結合単位A、Bがシランカップリング剤の末端に位置する場合の形態は特に限定されず、結合単位A、Bを示す式(2)、(3)と対応するユニットを形成していればよい。
201のハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、フッ素原子などがあげられる。
201の直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜30のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、へキシル基、へプチル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基などがあげられる。該アルキル基の炭素数は1〜12が好ましい。
201の直鎖もしくは分岐鎖の炭素数2〜30のアルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、1−オクテニル基などがあげられる。該アルケニル基の炭素数は2〜12が好ましい。
201の直鎖もしくは分岐鎖の炭素数2〜30のアルキニル基としては、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、へプチニル基、オクチニル基、ノニニル基、デシニル基、ウンデシニル基、ドデシニル基などがあげられる。該アルキニル基の炭素数は2〜12が好ましい。
202の直鎖もしくは分岐鎖の炭素数1〜30のアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、ヘキサデシレン基、ヘプタデシレン基、オクタデシレン基などがあげられる。該アルキレン基の炭素数は1〜12が好ましい。
202の直鎖もしくは分岐鎖の炭素数2〜30のアルケニレン基としては、ビニレン基、1−プロペニレン基、2−プロペニレン基、1−ブテニレン基、2−ブテニレン基、1−ペンテニレン基、2−ペンテニレン基、1−ヘキセニレン基、2−ヘキセニレン基、1−オクテニレン基などがあげられる。該アルケニレン基の炭素数は2〜12が好ましい。
202の直鎖もしくは分岐鎖の炭素数2〜30のアルキニレン基としては、エチニレン基、プロピニレン基、ブチニレン基、ペンチニレン基、ヘキシニレン基、へプチニレン基、オクチニレン基、ノニニレン基、デシニレン基、ウンデシニレン基、ドデシニレン基などがあげられる。該アルキニレン基の炭素数は2〜12が好ましい。
上記式(2)で示される結合単位Aと上記式(3)で示される結合単位Bとを含む化合物において、結合単位Aの繰り返し数(x)と結合単位Bの繰り返し数(y)の合計の繰り返し数(x+y)は、3〜300の範囲が好ましい。この範囲内であると、結合単位Bのメルカプトシランを、結合単位Aの−C715が覆うため、スコーチ時間が短くなることを抑制できるとともに、シリカやゴム成分との良好な反応性を確保することができる。
上記式(2)で示される結合単位Aと上記式(3)で示される結合単位Bとを含む化合物としては、例えば、モメンティブ社製のものなどを用いることができる。
シランカップリング剤のシリカ100質量部に対する含有量は、十分なシリカ分散効果が得られるという理由から、4.0質量部以上が好ましく、5.0質量部以上がより好ましく、6.0質量部以上がより好ましく、7.0質量部以上がさらに好ましい。また、十分なカップリング効果やシリカ分散効果を効率的に得て補強性を確保するという理由から、シランカップリング剤の含有量は、14.0質量部以下が好ましく、12.0質量部以下がより好ましく、10.0質量部以下がさらに好ましい。
<その他の成分>
本開示のゴム組成物は、上記した成分に加え、ゴム組成物の製造に一般に使用される他の成分、例えば、オイル、樹脂、ステアリン酸、酸化亜鉛、老化防止剤、ワックス、加工助剤、加硫剤、加硫促進剤等を適宜含有することができる。
(オイル)
オイルとしては、特に限定されず、ゴム工業において通常使用されるものをいずれも好適に用いることができ、例えば、パラフィン系、芳香族系、ナフテン系プロセスオイル等のプロセスオイルがあげられる。また、環境対策で多環式芳香族(polycyclic aromatic compound:PCA)化合物の含量の低いプロセスオイルがあげられる。前記低PCA含量プロセスオイルとしては、芳香族系プロセスオイルを再抽出したTreated Distillate Aromatic Extract(TDAE)、アスファルトとナフテン油の混合油であるアロマ代替オイル、軽度抽出溶媒和物(mild extraction solvates)(MES)、および重ナフテン系オイル等があげられる。なかでも、芳香族系プロセスオイルが好ましい。オイルは、例えば、H&R社、JXTGエネルギー(株)、出光興産(株)、三共油化工業(株)等によって製造販売されるものなどを用いることができる。これらのオイルは、1種または2種以上を組み合せて使用することができる。
オイルを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、特に限定されないが、1質量部以上がより好ましく、5質量部以上がより好ましく、10質量部以上がさらに好ましい。また、オイルの含有量は、30質量部以下が好ましく、20質量部以下がより好ましく、15質量部以下がさらに好ましい。オイルの含有量を上記範囲内とすることにより、ゴムの可塑化、シリカの分散向上の効果をより良好に発揮できる傾向があり、本開示の効果をより良好に発揮できる。なお、オイルの含有量は油展で使用されたオイルの量も含むものである。
(樹脂)
樹脂としては、特に限定されず、芳香族系石油樹脂などの従来タイヤ用ゴム組成物で慣用される樹脂を用いることができる。芳香族系石油樹脂としては例えば、フェノール系樹脂、クマロンインデン樹脂、スチレン系樹脂、テルペン系樹脂、アクリル樹脂、ロジン系樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂(DCPD樹脂)などがあげられる。フェノール系樹脂としては、例えば、BASF社製、田岡化学工業(株)製のものなど、クマロンインデン樹脂としては、例えば、日鉄ケミカル&マテリアル(株)製、JXTGエネルギー(株)製のものなど、スチレン系樹脂としては、例えば、アリゾナケミカル社製のものなどを使用することができる。テルペン系樹脂としては、例えば、アリゾナケミカル社製、ヤスハラケミカル(株)製のものなどを使用することができる。ロジン系樹脂としては、例えば、ハリマ化成(株)製、荒川化学工業(株)製のものなどを使用することができる。これらの樹脂は、1種または2種以上を組み合せて使用することができる。
樹脂を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、2質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましく、4質量部以上がさらに好ましい。また、樹脂の含有量は、20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましく、10質量部以下がさらに好ましい。樹脂の含有量を上記範囲内とすることにより、本開示の効果をより良好に発揮できる。
(老化防止剤)
老化防止剤としては、特に限定されず、ゴム工業において通常使用されるものをいずれも好適に用いることができ、例えば、キノリン系老化防止剤、キノン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、フェニレンジアミン系老化防止剤や、カルバミン酸金属塩等があげられる。なかでも、本開示の効果をより良好に発揮できるという理由から、フェニレンジアミン系老化防止剤が好ましい。フェニレンジアミン系老化防止剤としては、例えば、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン(IPPD)、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン(6PPD)等があげられ、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン(6PPD)を用いることがより好ましい。老化防止剤は、例えば、大内新興化学工業(株)製のもの、川口化学工業(株)製のもの、住友化学(株)製のものなどを用いることができる。これらの老化防止剤は、1種または2種以上を組み合せて使用することができる。
老化防止剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、0.5質量部以上が好ましく、0.8質量部以上がより好ましく、1.0質量部以上がさらに好ましい。また、老化防止剤の含有量は、7.0質量部以下が好ましく、5.0質量部以下がより好ましく、3.0質量部以下がさらに好ましい。老化防止剤の含有量を上記範囲内とすることにより、老化防止効果を十分に得るとともに、老化防止剤がタイヤ表面に析出することによる変色を抑制することができる傾向がある。
(ワックス)
ワックスとしては、特に限定されず、ゴム工業において通常使用されるものをいずれも好適に用いることができ、例えば、石油系ワックス、鉱物系ワックス、合成ワックスなどがあげられる。なかでも、石油系ワックスが好ましい。石油系ワックスとしては、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等があげられる。ワックスは、例えば、大内新興化学工業(株)製のもの、日本精蝋(株)製のもの、パラメルト社製のものなどを用いることができる。これらのワックスは、1種または2種以上を組み合せて使用することができる。
ワックスを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、0.3質量部以上が好ましく、0.7質量部以上がより好ましく、0.8質量部以上がさらに好ましい。また、ワックスの含有量は、3.0質量部以下が好ましく、2.5質量部以下がより好ましく、2.0質量部以下がさらに好ましい。ワックスの含有量を上記範囲内とすることにより、本開示の効果をより良好に発揮できる。
(加工助剤)
加工助剤としては、例えば、脂肪酸金属塩、脂肪酸アミド、アミドエステル、シリカ表面活性剤、脂肪酸エステル、脂肪酸金属塩とアミドエステルとの混合物、脂肪酸金属塩と脂肪酸アミドとの混合物等があげられる。加工助剤は、例えば、ストラクトール社製のものなどを用いることができる。これらの加工助剤は、1種または2種以上を組み合せて使用することができる。
加工助剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、0.5質量部以上が好ましく、0.8質量部以上がより好ましく、1.0質量部以上がさらに好ましい。また、加工助剤の含有量は、10.0質量部以下が好ましく、8.0質量部以下がより好ましく、6.0質量部以下がさらに好ましい。加工助剤の含有量を上記範囲内とすることにより、本開示の効果をより良好に発揮できる。
(加硫剤)
加硫剤としては、特に限定されず、公知の加硫剤を用いることができ、例えば、有機過酸化物、硫黄系加硫剤、樹脂加硫剤、酸化マグネシウム等の金属酸化物などがあげられる。なかでも、硫黄系加硫剤が好ましい。硫黄系加硫剤としては、例えば、硫黄、モルホリンジスルフィド等を用いることができる。これらのなかでも、硫黄を用いることが好ましい。硫黄としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄などがあげられ、いずれも好適に用いられる。これらの加硫剤は、1種または2種以上を組み合せて使用することができる。
加硫剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、0.5質量部以上が好ましく、1.0質量部以上がより好ましい。また、加硫剤の含有量は、4.0質量部以下が好ましく、3.5質量部以下がより好ましく、3.0質量部以下がさらに好ましい。加硫剤の含有量を上記範囲内とすることにより、本開示の効果をより良好に発揮できる。
(加硫促進剤)
加硫促進剤としては、特に限定されず、公知の加硫促進剤を用いることができ、例えば、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド−アミン系もしくはアルデヒド−アンモニア系、イミダゾリン系、またはキサンテート系加硫促進剤などがあげられる。なかでも、スルフェンアミド系およびグアニジン系を含むものであることが好ましく、スルフェンアミド系およびグアニジン系のみであることがより好ましい。これらの加硫促進剤は、1種または2種以上を組み合せて使用することができる。
スルフェンアミド系加硫促進剤としては、例えば、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DZ)などがあげられる。なかでも、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)が好ましい。
グアニジン系加硫促進剤としては、例えば、1,3−ジフェニルグアニジン(DPG)、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジンなどがあげられる。なかでも、加硫時間の短縮の観点から、1,3−ジフェニルグアニジン(DPG)が好ましい。
加硫促進剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、0.5質量部以上が好ましく、1.0質量部以上がより好ましく、1.5質量部以上がさらに好ましい。また、加硫促進剤の含有量は、4.0質量部以下が好ましく、3.5質量部以下がより好ましく、3.0質量部以下がさらに好ましい。加硫促進剤の含有量を上記範囲内とすることにより、本開示の効果をより良好に発揮できる。
<ゴム組成物の製造方法>
以下、ゴム組成物およびタイヤの製造方法について説明する。
本開示のゴム組成物の製造方法は、混練室と、混練室内に設置されたロータと、混練室を加圧するラムウェイトとを備えた密閉式混練機で、ゴム成分とシリカとシランカップリング剤とを含む原料を混練りする混練工程を含むものである。
(密閉式混練機)
密閉式混練機としては、従来からゴム工業で使用されている公知の密閉式混練機を用いることができる。このような密閉式混練機は、一般に、ロータが設置された混練室上に昇降可能なラムウェイトが設置されている。ロータは、その両端または片端に軸部を備え、軸部は、軸受けで回転可能に支持されており、その軸部が回転することにより、ロータが回転する。ロータは、二つを1対として、混練室内に設置されているのが一般的である。そして、当該ラムウェイトの下降により混練室にゴム成分等の原料を押し込みながら、混練室内のロータを回転することにより混練を行う。このような密閉式混練機としては、例えば、バンバリーミキサーやニーダー等があげられる。なかでも、作業性や生産性に優れるという理由から、バンバリーミキサーが好ましい。ロータの形状は、接線式、噛み合い式のいずれであってもよい。また、ロータは、2枚羽根ロータ、4枚羽根ロータ、6枚羽根ロータのいずれであってもよい。密閉式混練機の混練室の容量は特に限定されず、例えば1.7〜619Lの範囲の各種容量のものを用いることができる。
図1および図2はバンバリーミキサーの一例を示したものである。図1はラムウェイトを下限位置まで下降させた状態を示し、図2はラムウェイトを上限位置まで上昇させた状態(混練室が開放された状態)を示す。これら図から明らかなとおり、ラムウェイトの上下動により、混練室内の容積が変化するため、それに応じて、ラムウェイトの下降圧が変化する。
(混練工程)
混練工程は、混練室に原料を投入する第一工程(本開示において、単に「第一工程」ともいう)、投入した原料を、原料温度がシラニゼーションが進行する温度域に属する所定の温度である指定温度に到達するまで、ロータの回転により混練りする第二工程(本開示において、単に「第二工程」ともいう)、および、原料温度が指定温度に到達した原料を、原料温度が指定温度から離れないようにラムウェイトの上下動によりラムウェイトの下降圧を制御しながら、ロータの回転により混練りする第三工程(本開示において、単に「第三工程」ともいう)を含む。これら3工程の順序は、第一工程、第二工程、第三工程の順である。本開示のゴム組成物の製造方法における混練工程は、加硫剤および加硫促進剤以外の原料を混練りする、いわゆるベース練りにおいて実施するものである。本開示の3工程をベース練りにおいて実施することで、シラニゼーションが進行する温度域での混練り時間が十分に確保され、シリカの分散性が向上する。
≪第一工程≫
第一工程は、混練室に原料(ゴム成分とシリカとシランカップリング剤を含む)を投入する工程である。原料は、密閉式混練機に設けられた、原料を投入するための投入口から投入される。投入口は、図1および図2に示す投入口12のほか、投入口12のサイドプレートに設けられた投入口や、バックドア(いずれも図示しない)があってもよい。
第一工程において、ゴム成分の投入回数、シリカの投入回数およびシランカップリング剤の投入回数は、特に限定されないが、いずれも、生産効率の観点から、1回でその全量を投入することが好ましい。なお、ゴム成分として2種以上を用いる場合、その全量とは、すべてのゴム成分の全量を意味する。また、シリカを一度に投入することはシリカ全量についてシラニゼーションが進行する温度域での混練り時間が最大限確保されるという観点から好ましく、シランカップリング剤についても、同様の理由から、一度に投入することは好ましい。
第一工程において、原料としてゴム成分やシリカ以外の原料(ただし加硫剤および加硫促進剤は除く)を含む場合の、それら原料の投入回数も、特に限定されないが、通常は、生産効率の観点から、いずれも、1回で各全量を投入することが好ましい。
シリカとシランカップリング剤の投入タイミングは、ゴム成分と同時であってもよく、ゴム成分を先に投入し、次いでシリカとシランカップリング剤を同時に投入してもよく、ゴム成分、シリカ、シランカップリング剤の順に投入してもよい。なかでも、シラニゼーションが進行する温度域での混練り時間が確保され、シラニゼーションが進行するという観点から、シリカとシランカップリング剤は同時に投入することが好ましい。
なお、上記において、同時とは、各原料を意図的に間隔あけることなく投入していれば足りる趣旨であり、厳密な意味での同時(すなわち、原料の投入を同じ瞬間に行う)まで求めるものではない。
≪第二工程≫
第二工程は、投入した原料を、原料温度がシラニゼーションが進行する温度域に属する所定の温度である指定温度に到達するまで、ロータの回転により混練りする工程である。
ここで、原料温度とは、混練室内における原料の実測温度を意味する。原料温度の測定手段は、混練室内の混練中の原料温度を逐次取得することができる手段であれば、特に限定されず、従来ゴム工業において用いられてきた手段をいずれも採用することができる。そのような手段としては、例えば、サーモカップル温度計やサーミスタ温度計等の温度センサ等を挙げることができる。このうち、サーモカップル温度計が好ましい。
指定温度とは、シラニゼーションが進行する温度域に属する温度であって、第二工程終了時の原料温度として指定される温度である。そして、第三工程では、当該指定温度から離れないように、原料温度が調節される。最適な指定温度は、用いるシランカップリング剤の種類や量、その他用いる原料の種類や量等により異なり得る。但し、通常、シラニゼーションが進行する温度域は130〜170℃であること、および、第三工程で原料温度が指定温度から離れないように調節するとしても最小限の変動は許容せざるを得ないことから、指定温度は、例えば、135〜165℃の範囲内の温度であることが好ましい。135℃以上の場合、シリカとシランカップリング剤の反応速度が向上し、シリカ表面を十分に疎水化でき、シリカの分散性がより向上する傾向がある。165℃以下の場合、シラニゼーションが進行する温度域でありながら、シリカとシランカップリング剤の反応速度を、シリカを分散させるために最適な反応速度とすることができ、シラニゼーションの進行状態を均一化できる傾向がある。指定温度は、138℃以上が好ましく、141℃以上がより好ましく、144℃以上がさらに好ましい。また、指定温度は、164℃以下が好ましく、163℃以下がより好ましく、162℃以下がより好ましく、160℃以下がさらに好ましい。指定温度を上記範囲内とすることにより、後述の第三工程において、本開示の効果をより良好に発揮できる。
第二工程において、ラムウェイトの下降圧は、特に限定されないが、原料温度が指定温度に到達するまでの時間が短縮され、生産効率が優れる観点から、ラムウェイトを下限位置まで下降させた状態の圧力(最大の下降圧)であることが好ましい。第二工程におけるラムウェイトの下降圧は、密閉式混練機の種類や性能などに応じて異なり得るが、例えば、0.5〜0.7MPaである。
第二工程において、ロータの回転は、原料を投入し終えた後に開始してもよいし、生産効率の観点から、原料を投入する前から予め回転させた状態としていてもよい。また、ロータの回転数は特に制限されない。例えば、後述の第三工程におけるロータの回転数と同様であってよい。
≪第三工程≫
第三工程は、原料温度が指定温度に到達した原料を、原料温度が指定温度から離れないようにラムウェイトの上下動によりラムウェイトの下降圧を制御しながら、ロータの回転により混練りする工程である。例えば、指定温度が所定の温度(例えば、145℃)に設定された場合において、原料温度が当該所定の温度を超える場合は、ラムウェイトを上昇させて混練室内の圧力を下げることで(例えば、0.0MPa等)原料温度を下げることができる。一方、原料温度が当該所定の温度より低くなる場合には、ラムウェイトを下降させて混練室内の圧力を上げることで(例えば、0.5MPaや、0.7MPa等)原料温度を上げることができる。このようにして、ラムウェイトの上下動によりラムウェイトの下降圧を制御することで、原料温度が当該所定の温度から離れないように調節することができる。
第三工程において、ラムウェイトの下降圧は、原料温度が指定温度から離れないようにすることができる範囲であれば、特に限定されない。第三工程におけるラムウェイトの下降圧は、例えば、0.0〜0.7MPaの間で変動させることができる。ラムウェイトの下降圧はラムウェイトを下限位置まで下降させたときに最大となる。ラムウェイトの下降圧は、例えば、好ましくは0.0〜0.6MPa、より好ましくは0.0〜0.5MPa、または、好ましくは0.1〜0.7MPa、より好ましくは0.1〜0.6MPa、さらに好ましくは0.1〜0.5MPa、または、好ましくは0.2〜0.7MPa、より好ましくは0.2〜0.6MPa、さらに好ましくは0.2〜0.5MPa、または、好ましくは0.3〜0.5MPa、より好ましくは0.3〜0.6MPa、さらに好ましくは0.3〜0.7MPaの範囲で変動させることができる。ラムウェイトの下降圧を上記範囲内で変動させることにより、原料温度が指定温度から離れないように効率的に混練りすることができ、本開示の効果をより良好に発揮できる。
第三工程において、原料温度と指定温度との差は、±5℃の範囲内に保つことが好ましく、±4℃の範囲内に保つことがより好ましく、±3℃の範囲内に保つことがさらに好ましい。原料温度と指定温度との差を上記範囲内で保つことにより、シラニゼーションが進行する温度域において原料温度が一定幅に抑えられ、シラニゼーションの進行状態を均一化でき、得られるゴム組成物の物性が安定化する傾向がある。
第三工程におけるロータの回転数は、特に限定されないが、5rpm以上が好ましく、10rpm以上がより好ましく、15rpm以上がより好ましく、20rpm以上がさらに好ましい。また、第三工程におけるロータの回転数は、50rpm以下が好ましく、45rpm以下がより好ましく、40rpm以下がさらに好ましい。第三工程におけるロータの回転数を上記範囲内とすることにより、シラニゼーションが進行する温度域でのロータの剪断回数を確保して効率的に混練りすることができ、本開示の効果をより良好に発揮できる。
また、第三工程におけるロータの回転数は、一定であることが好ましく、上記範囲内(20〜50rpm)で一定であることがより好ましい。第三工程におけるロータの回転数を一定とすることで、シラニゼーションが進行する温度域でのロータの剪断回数を確保して、ゴムの切り返しを十分確保できるため、シラニゼーションの進行状態を均一化でき、得られるゴム組成物の物性が安定化し、混練り効率を向上できる傾向がある。なお、本開示において、ロータの回転数が「一定」とは、密閉式混練機でロータの回転数を一定に設定したまま変動させないことを意味する。すなわち、ロータの回転数が一定のとき、ロータの回転のために供給する単位時間当たりの電力量は一定である。
第三工程における混練りの時間は、シラニゼーションが進行するのに十分な時間であればよいものであり、指定温度や、密閉式混練機の種類や性能などに応じて適宜設定すればよい。例えば、混練りの時間は、60秒以上が好ましく、80秒以上が好ましく、100秒以上がさらに好ましい。なお、混練りの時間の時間の上限は特に限定されないが、生産効率の観点から、600秒以下が好ましく、500秒以下がより好ましく、300秒以下がより好ましく、200秒以下がさらに好ましい。第三工程において、混練りの時間を上記範囲内とすることにより、シラニゼーションが進行する温度域の混練り時間が十分に確保され、シリカの分散性が向上する傾向がある。
第三工程におけるラムウェイトの下降圧の制御において、原料温度の測定手段は、混練室内の混練中の原料温度を逐次取得することが可能な手段であることが好ましい。このような逐次取得可能な手段とすることで、原料温度と指示温度との差を即時に把握しながら、原料温度が指示温度から離れすぎないようにラムウェイト下降圧を調節することが容易となる。原料温度を逐次取得可能な手段は、特に限定されず、従来ゴム工業において用いられてきた手段をいずれも採用することができるが、例えば、サーモカップル温度計や、サーミスタ温度計等の温度センサ等があげられる。このうち、サーモカップル温度計が好ましい。
温度センサは、混練室内で原料温度を逐次取得可能な位置に設置すればよい。例えば、温度センサは、その先端部が混練室内に露出して設置され、ロータ間の中心下方の混練室内の底面や、ロータ間の中心上方の混練室内の壁面等に設置してもよい。但し、底面や上方の壁面のいずれの場合も、その真ん中は当該混練機における原料の出入り口にあたることが多いため、ロータの軸受け側に偏った位置に設置されることが好ましい。
第三工程において、混練室内における原料の充填率は、特に限定されないが、65〜80%であることが好ましい。該充填率は、66%以上がより好ましく、67%以上がより好ましく、68%以上がさらに好ましい。また、該充填率は、75%以下がより好ましく、74%以下がより好ましく、73%以下がさらに好ましい。混練室内における原料の充填率を上記範囲内とすることにより、ゴムに適切な剪断力がかかり、本開示の効果を良好に発揮するために効率的な混練りをすることができる。なお、充填率とは、密閉式混練機の混練室の容量(体積)に対する、原料の体積の割合をいう。
(ゴム組成物の製造)
本開示のゴム組成物は、混練工程において、上記所定の第一工程、第二工程および第三工程を含むこと以外には、一般的な製造方法を適用して製造することができる。例えば、上記所定の3工程を経て、第三工程における混練りが終了した時点で、排出する(ベース練り)。その後、ベース練りで得られた混練物に加硫剤および加硫促進剤を添加し、密閉式混練機やオープンロール等を用いてさらに混練りし(仕上げ練り)、その後加硫する方法などにより製造できる。なお、ベース練りと仕上げ練りの間にリミル(再練り)を行ってもよい。再練りを行った場合、シラニゼーションが進行する温度域の混練り時間がさらに確保でき、シリカの分散性がより向上するという効果が得られる。
ベース練りおよび仕上げ練りとしては、例えば、ベース練りとして、排出温度135〜165℃で1〜10分間混練りし、仕上げ練りとして、90〜110℃で1〜3分間混練りする方法があげられる。ここで、ベース練りにおける排出温度とは、第三工程における排出時の原料温度である。再練りでは、排出温度135〜165℃で1〜10分間混練りする方法があげられる。また、加硫条件としては、特に限定されるものではなく、例えば、150〜200℃で5〜30分間加圧加硫する方法があげられる。
<タイヤの製造方法>
本開示のゴム組成物は、各種タイヤ部材(例えば、トレッド、サイドウォール、カーカス被覆ゴム、クリンチ、チェーファー、ビード、ブレーカークッション、インナーライナーなど)に好適に用いることができる。
本開示のタイヤは、上記製造方法によりゴム組成物を製造する工程、および、上記ゴム組成物を用いて、ゴム工業における常法によりタイヤを製造する工程により、製造することができる。
例えば、該タイヤは、
(1)上記製造方法により未加硫のゴム組成物を得る工程、
(2)上記(1)で得た未加硫のゴム組成物を所望のタイヤ部材の形状(例えば、トレッド等)に押出し加工して、当該タイヤ部材を得る工程、
(3)上記(2)で得たタイヤ部材(例えば、トレッド等)を、タイヤ成型機上で、他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、成型して未加硫タイヤを得る工程、および、
(4)上記(3)で得た未加硫タイヤを、加硫機中で、加圧加硫してタイヤを得る工程
を含む製造方法により、製造することができる。
本開示のタイヤは、空気入りタイヤ、非空気入りタイヤを問わないが、空気入りタイヤであることが好ましい。また、空気入りタイヤとしては、乗用車用タイヤ、トラック・バス用タイヤ、二輪車用タイヤ、競技用タイヤなどの高性能タイヤ、ランフラットタイヤなど各種タイヤに用いることができる。
実施例に基づいて本開示を具体的に説明する。本開示は、これら実施例に限定されない。
<実施例および比較例で使用した各種原料>
SBR:SE−0212(アミン系末端変性溶液重合スチレンブタジエンゴム、スチレン含量:25質量%、ビニル含量:61.0%、Tg:−25℃、Mn:2.1×105、Mw:3.1×105、非油展、住友化学(株)から入手可能)
NR:TSR20
BR:BR730(シス含量:95%、JSR(株)から入手可能)
シリカ:ウルトラシルVN3(N2SA:175m2/g、エボニックデグサ社から入手可能)
シランカップリング剤:NXT−Z45(結合単位Aと結合単位Bとの共重合体(結合単位A:55モル%、結合単位B:45モル%)、モメンティブ社から入手可能)
オイル:ダイアナプロセスAH−24(芳香族系プロセスオイル、出光興産(株)から入手可能)
酸化亜鉛:酸化亜鉛(三井金属鉱業(株)から入手可能)
ステアリン酸:ステアリン酸「つばき」(日油(株)から入手可能)
老化防止剤:アンチゲン6C(N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン(6PPD)、住友化学(株)から入手可能)
ワックス:サンノックN(精選特殊ワックス、大内新興化学工業(株)から入手可能)
硫黄:粉末硫黄(軽井沢硫黄(株)から入手可能)
加硫促進剤1:ノクセラーCZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、大内新興化学工業(株)から入手可能)
加硫促進剤2:ノクセラーD(1,3−ジフェニルグアニジン(DPG)、大内新興化学工業(株)から入手可能)
<未加硫ゴム組成物の製造>
(ベース練り)
表1に示す配合処方にしたがい、(株)神戸製鋼所製の1.7Lのバンバリーミキサーに硫黄および加硫促進剤以外の原料を充填率が68%になるように投入し、表2記載の条件でベース練りを実施した。
すなわち、例えば、実施例1では、原料を上記バンバリーミキサーに投入した後(第一工程)、ラムウェイトの下降圧を0.7MPa(ラムウェイトは下限位置)、ロータの回転数を50rpmに設定し、原料温度が指定温度の145℃になるまで、130秒間混練りした(第二工程)。その後、ロータの回転数を50rpmに設定した上でラムウェイトの下降圧を0.0〜0.7Mpaの範囲内で制御することにより、原料温度を145℃±5℃の範囲内に維持しながら、60秒間混練して、混練物を得た(第三工程)。
なお、比較例1は第三工程を実施しなかった例である。比較例2は、第三工程において、ラムウェイトの下降圧を0.7MPaで一定とし、ロータの回転数を0〜50rpmの範囲内で制御して、原料温度を145℃±5℃の範囲内に維持した例である。
(再練り)
ベース練りで得られた各混練物を、上記バンバリーミキサーで、各指定温度を排出温度として、それぞれ3分間再混練りした。
(仕上げ練り)
再練りで得られた各混練物に、硫黄および加硫促進剤を添加し、上記バンバリーミキサーで、排出温度110℃以下の条件下で3分間混練りし、未加硫ゴム組成物を得た。
<評価>
得られた未加硫ゴム組成物について、以下の評価を行った。結果を表2に示す。
(シリカ分散性)
各未加硫ゴム組成物について、アルファテクノロジーズ社製のRPA2000型試験機を用いて70℃、1Hzの条件下にて、歪2%の歪剪断弾性率[G’(2%)](MPa)と、歪64%の歪剪断弾性率[G’(64%)](MPa)とを測定し、その差[G’(2%)−G’(64%)](MPa)をペイン効果ΔG’として算出した。得られた値は、比較例1のΔG’を100として下記計算式により指数表示した。数値が大きいほど、ペイン効果が小さく、シリカの分散性に優れることを示す。
(シリカ分散性指数)=(比較例1のΔG’)÷(各配合のΔG’)×100
表2には、ベース練りにおいて、原料の投入から排出した時点までに要した1バッチあたりの時間(合計混練時間)、および、シラニゼーションする温度域(130〜170℃)でのロータの剪断回数を併記した。
Figure 2022002887
Figure 2022002887
表2の結果より、本開示の所定の混練工程を含む製造方法によれば、シラニゼーションが進行する温度域での混練り時間を確保して、シリカの分散性が向上することがわかる。
1 バンバリーミキサー
10 混練室
11 ラムウェイト
12 投入口
13a、13b ロータ
14 ドロップドア

Claims (9)

  1. ゴム組成物の製造方法であって、
    混練室と、混練室内に設置されたロータと、混練室を加圧するラムウェイトとを備えた密閉式混練機で、ゴム成分とシリカとシランカップリング剤とを含む原料を混練りする混練工程を含むものであり、
    前記混練工程が、以下の工程を含むものである、製造方法:
    混練室に原料を投入する第一工程、
    投入した原料を、原料温度がシラニゼーションが進行する温度域に属する所定の温度である指定温度に到達するまで、ロータの回転により混練りする第二工程、および、
    原料温度が指定温度に到達した原料を、原料温度が指定温度から離れないようにラムウェイトの上下動によりラムウェイトの下降圧を制御しながら、ロータの回転により混練りする第三工程。
  2. 第三工程におけるロータの回転数が一定である、請求項1記載の製造方法。
  3. 指定温度が135〜165℃の範囲内の温度である、請求項1または2記載の製造方法。
  4. 第三工程において、ラムウェイトの下降圧を0.0〜0.7MPaの間で変動させて、原料温度と指定温度との差を±5℃の範囲内に保つ、請求項3記載の製造方法。
  5. 第三工程におけるラムウェイトの下降圧の制御において、原料温度がロータ間の中心上方の軸受け側に設置された温度センサで測定される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
  6. ゴム成分が、溶液重合スチレンブタジエンゴムを10質量%以上含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
  7. シリカの含有量が、ゴム成分100質量部に対して50質量部以上である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
  8. 第三工程において、混練室内における原料の充填率が65〜75%である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の製造方法。
  9. タイヤの製造方法であって、
    請求項1〜8のいずれか1項に記載の製造方法によりゴム組成物を製造する工程、および、
    前記ゴム組成物を用いて、常法により、タイヤを製造する工程
    を含む、製造方法。
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