JP2022001626A - ゴム組成物の製造方法および混練装置 - Google Patents

ゴム組成物の製造方法および混練装置 Download PDF

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Abstract

【課題】シリカの分散性を向上できるゴム組成物の製造方法および混練装置を提供すること。【解決手段】ゴム組成物の製造方法であって、混練室と、前記混練室内に設置されたロータと、前記混練室を加圧するラムウェイトと、前記混練室に水を添加する水添加機構とを有する密閉式混練機で、ゴム成分とシリカとシランカップリング剤とを含む原料を混練りする混練工程を含むものであり、前記混練工程において、前記混練室を前記ラムウェイトにより加圧した状態で、前記水添加機構により、前記混練室内の前記原料に水を添加する、製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、ゴム組成物の製造方法および混練装置に関する。
ゴム成分に各種添加剤を分散させて混練りするための混練装置として、従来、密閉式混練機が多用されている。このような密閉式混練機において、ゴム成分や各種添加剤は、混練機に投入された後、ラムウェイト(フローティングウェイトや加圧蓋とも呼ばれる)の下降により混練室内に押し込まれ、ラムウェイトの下降による加圧状態において、混練室内のロータを回転させることにより混練されている(例えば、特許文献1参照)。
タイヤ性能のうち低燃費性能とウェットグリップ性能の両立を達成するため、補強材としてシリカを使用する配合(本開示において、「シリカ配合」ともいう)が増加している。特許文献2には、原料ゴムとシリカおよびシランカップリング剤を含む非加硫系配合剤とからなるシリカ配合ゴム材料の混練において、ラムウェイトを上昇させた状態にして、水をシリカ配合ゴム材料に添加することで加水分解反応を促進させることができることが記載されている。
特開平9−254148号公報 特開2017−128071号公報
ゴム成分にシリカとシランカップリング剤を配合して混練りする場合、シリカとシランカップリング剤とのカップリング反応(本開示において、「シラニゼーション」ともいう)が進行する温度域の混練時間を十分に確保して、シリカの分散性を高めることが、シリカ配合の諸性能を引き出すうえで重要である。シラニゼーションの初期では、シランカップリング剤を加水分解させる必要がある。一方、シリカ配合の場合、ゴム成分として変性基を有する溶液重合スチレンブタジエンゴムを使用する配合が増加しているが、変性基を有する溶液重合スチレンブタジエンゴムは、変性基とシリカとの相互作用が強固になるため、ゴム粘度が上昇し、加工性が低く混練りの難易度が高くなる傾向にある。特許文献2では、ラムウェイトを上昇させている間はゴム材料にロータの回転による剪断を掛ける力が低下するため、混練時間が長くなってしまい生産性が低下すること、および混練室内からゴム材料が浮き上がりゴム材料の表面の一部にしか水が添加できず、シラニゼーションの進行状態がばらつく(不均一なシラニゼーション)ということが問題となる。
本発明は、シリカの分散性を向上できるゴム組成物の製造方法および混練装置を提供しようとするものである。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、密閉式混練機で、ゴム成分とシリカとシランカップリング剤とを含む原料を混練りする工程において、混練室をラムウェイトにより加圧した状態で、混練室内の原料に水を添加することで、シリカの分散性を向上できることを見出し、さらに検討を重ねて本発明を完成した。
また、本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、密閉式混練機が、混練室をラムウェイトにより加圧した状態で、混練室内の原料に水を添加しながら混練りするように構成されている混練装置とすれば、該混練装置を使用して混練りしたゴム組成物がシリカの分散性を向上できることを見出し、さらに検討を重ねて本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
[1]ゴム組成物の製造方法であって、
混練室と、前記混練室内に設置されたロータと、前記混練室を加圧するラムウェイトと、前記混練室に水を添加する水添加機構とを有する密閉式混練機で、ゴム成分とシリカとシランカップリング剤とを含む原料を混練りする混練工程を含むものであり、
前記混練工程において、前記混練室を前記ラムウェイトにより加圧した状態で、前記水添加機構により、前記混練室内の前記原料に水を添加する、製造方法、
[2]前記水の添加が、前記ロータの回転によって妨げられないタイミングで行われる、上記[1]記載のゴム組成物の製造方法、
[3]前記混練工程において、前記原料が、シラニゼーションが進行する温度域に属する所定の範囲の温度に維持される、上記[1]または[2]記載のゴム組成物の製造方法、
[4]前記原料の温度を前記所定の範囲の温度に維持する手段として、前記ロータの回転数の制御を含むものである、上記[3]記載のゴム組成物の製造方法、
[5]前記所定の範囲の温度が130〜160℃、好ましくは135〜157℃、より好ましくは140〜154℃、より好ましくは145〜150℃である、上記[3]または[4]記載のゴム組成物の製造方法、
[6]前記水添加機構による水の添加が、噴射、噴霧および滴下から選ばれる少なくとも一つによって実施される、上記[1]〜[5]のいずれかに記載のゴム組成物の製造方法、
[7]前記水添加機構により添加される水の温度は、混練中の前記原料よりも低温の温度である、上記[1]〜[6]のいずれかに記載のゴム組成物の製造方法、
[8]前記低温の温度が20〜50℃、好ましくは22〜48℃、より好ましくは24〜46℃、より好ましくは26〜44℃である上記[7]記載のゴム組成物の製造方法、
[9]前記密閉式混練機が圧縮気体注入機構をさらに有し、前記混練工程において、前記混練室に前記圧縮気体注入機構によって圧縮気体が注入される、上記[1]〜[8]のいずれかに記載のゴム組成物の製造方法、
[10]前記混練工程において、前記ラムウェイトは下限位置に下降した状態である、上記[1]〜[9]のいずれかに記載のゴム組成物の製造方法、
[11]前記原料が加硫系薬品を含まないものである、上記[1]〜[10]のいずれかに記載のゴム組成物の製造方法、
[12]混練装置であって、
混練室と、前記混練室内に設置されたロータと、前記混練室を加圧するラムウェイトと、前記混練室に水を添加する水添加機構とを有する密閉式混練機を備え、
前記密閉式混練機は、ゴム成分とシリカとシランカップリング剤とを含む原料を混練りするものであり、
前記密閉式混練機は、前記混練室を前記ラムウェイトにより加圧した状態で、前記水添加機構により、前記混練室内の前記原料に水を添加しながら混練りするように構成されている、混練装置、
[13]前記密閉式混練機は、前記ロータの回転位置を検出する位相センサを備え、
前記水添加機構は、前記水の添加タイミングを制御するタイミング制御部を備え、
前記タイミング制御部は、前記位相センサの検出データに基づいて前記ロータの回転によって妨げられない位置で、前記水が添加されるよう添加タイミングを制御するように構成されている、上記[12]記載の混練装置、
[14]前記密閉式混練機は、前記原料が、シラニゼーションが進行する温度域に属する所定の範囲の温度に維持されるように構成されている、上記[12]または[13]記載の混練装置、
[15]前記密閉式混練機は、前記原料の混練中の温度を検出する温度センサと、前記ロータの回転数を制御するロータ回転制御部とを備え、
前記密閉式混練機は、前記原料が前記温度センサの検出データに基づいて前記ロータ回転制御部により前記ロータの回転数を制御することを含む手段により前記所定の範囲の温度に維持されるように構成されている、上記[14]記載の混練装置、
[16]前記所定の範囲の温度が130〜160℃、好ましくは135〜157℃、より好ましくは140〜154℃、より好ましくは145〜150℃である、上記[14]または[15]記載の混練装置、
[17]前記水添加機構が、前記水を貯留する貯水部と、前記水を噴射、噴霧または滴下するノズルとを有し、前記ノズルは前記混練室側面に配置されている、上記[12]〜[16]のいずれかに記載の混練装置、
[18]前記水添加機構により添加される水の温度は、混練中の前記原料よりも低温の温度である、上記[12]〜[17]のいずれかに記載の混練装置、
[19]前記低温の温度が20〜50℃、好ましくは22〜48℃、より好ましくは24〜46℃、より好ましくは26〜44℃である上記[18]記載の混練装置、
[20]前記密閉式混練機は、前記混練室に圧縮気体を注入する圧縮気体注入機構をさらに有し、前記圧縮気体注入機構により、前記混練室に圧縮気体を注入しながら混練りするように構成されている、上記[12]〜[19]のいずれかに記載の混練装置、
[21]前記水は、前記ラムウェイトが下限位置に下降した状態で、前記水添加機構により添加されるように構成されている、上記[12]〜[20]のいずれかに記載の混練装置、
[22]前記原料が加硫系薬品を含まないものである、上記[12]〜[21]のいずれかに記載の混練装置、
に関する。
本発明によれば、シリカの分散性を向上できるゴム組成物の製造方法および混練装置を提供することができる。
混練装置で原料を混練りしている状態の一例を模式的に示す概略断面図である。
本開示の一の態様は、ゴム組成物の製造方法であって、混練室と、前記混練室内に設置されたロータと、前記混練室を加圧するラムウェイトと、前記混練室に水を添加する水添加機構とを有する密閉式混練機で、ゴム成分とシリカとシランカップリング剤とを含む原料を混練りする混練工程を含むものであり、前記混練工程において、前記混練室を前記ラムウェイトにより加圧した状態で、前記水添加機構により、前記混練室内の前記原料に水を添加する、製造方法である。
理論に拘束されることは意図しないが、上記効果が発揮されるメカニズムとしては以下が考えられる。すなわち、本開示の製造方法は、ゴム成分とシリカとシランカップリング剤とを含む原料を混練りする混練工程において、加水分解反応を促進するために、水を添加する際、混練室をラムウェイトにより加圧した状態とすることを特徴とするものである。このため、混練室内から混練中の原料が浮き上がることを防ぐことができるので、混練中の原料全体に水を添加することができる。また、混練中の原料に剪断を掛ける力が低下することを抑制できるので、全体に水が添加された混練中の原料を効率よく混練りすることができる。その結果、加水分解反応が混練中の原料全体において促進されるので、シラニゼーションの進行状態がばらつくことなくシラニゼーションが促進され、シリカの分散性を向上できると考えられる。
前記水の添加は、前記ロータの回転によって妨げられないタイミングで行われることが好ましい。
前記混練工程において、前記原料は、シラニゼーションが進行する温度域に属する所定の範囲の温度に維持されることが好ましい。
前記原料の温度を前記所定の範囲の温度に維持する手段として、前記ロータの回転数の制御を含むものであることが好ましい。
前記所定の範囲の温度は、130〜160℃であることが好ましい。
前記水添加機構による水の添加は、噴射、噴霧および滴下から選ばれる少なくとも一つによって実施されることが好ましい。
前記水添加機構により添加される水の温度は、混練中の前記原料よりも低温の温度であることが好ましい。
前記低温の温度は、20〜50℃であることが好ましい。
前記密閉式混練機は、圧縮気体注入機構をさらに有し、前記混練工程において、前記混練室に前記圧縮気体注入機構によって圧縮気体が注入されることが好ましい。
前記混練工程において、前記ラムウェイトは下限位置に下降した状態であることが好ましい。
前記原料は、加硫系薬品を含まないものであることが好ましい。
本開示の他の態様は、混練装置であって、混練室と、前記混練室内に設置されたロータと、前記混練室を加圧するラムウェイトと、前記混練室に水を添加する水添加機構とを有する密閉式混練機を備え、前記密閉式混練機は、ゴム成分とシリカとシランカップリング剤とを含む原料を混練りするものであり、前記密閉式混練機は、前記混練室を前記ラムウェイトにより加圧した状態で、前記水添加機構により、前記混練室内の前記原料に水を添加しながら混練りするように構成されている、混練装置である。
前記密閉式混練機は、前記ロータの回転位置を検出する位相センサを備え、前記水添加機構は、前記水の添加タイミングを制御するタイミング制御部を備え、前記タイミング制御部は、前記位相センサの検出データに基づいて前記ロータの回転によって妨げられない位置で、前記水が添加されるよう添加タイミングを制御するように構成されていることが好ましい。
前記密閉式混練機は、前記原料が、シラニゼーションが進行する温度域に属する所定の範囲の温度に維持されるように構成されていることが好ましい。
前記密閉式混練機は、前記原料の混練中の温度を検出する温度センサと、前記ロータの回転数を制御するロータ回転制御部とを備え、前記密閉式混練機は、前記原料が前記温度センサの検出データに基づいて前記ロータ回転制御部により前記ロータの回転数を制御することを含む手段により前記所定の範囲の温度に維持されるように構成されていることが好ましい。
前記所定の範囲の温度は、130〜160℃であることが好ましい。
前記水添加機構は、前記水を貯留する貯水部と、前記水を噴射、噴霧または滴下するノズルとを有し、前記ノズルは前記混練室側面に配置されていることが好ましい。
前記水添加機構により添加される水の温度は、混練中の前記原料よりも低温の温度であることが好ましい。
前記低温の温度は20〜50℃であることが好ましい。
前記密閉式混練機は、前記混練室に圧縮気体を注入する圧縮気体注入機構をさらに有し、前記圧縮気体注入機構により、前記混練室に圧縮気体を注入しながら混練りするように構成されていることが好ましい。
前記水は、前記ラムウェイトが下限位置に下降した状態で、前記水添加機構により添加されるように構成されていることが好ましい。
前記原料は、加硫系薬品を含まないものであることが好ましい。
シリカの分散性を評価できる物性として、低歪み領域のG’と高歪み領域のG’との差で定義されるΔG’(ペイン効果)があり、この値が小さいほど、ゴム組成物中の大きなフィラー凝集体の割合が少なく、シリカ分散状態が良好であるといえる。未加硫状態のゴム組成物におけるΔG’を求めることで、シリカの分散状態を把握することができる。
なお、本明細書において、「〜」を用いて数値範囲を示す場合、特に断りのない限り、その両端の数値を含むものとする。
以下、ゴム成分とシリカとシランカップリング剤とを含む原料について説明する。
<ゴム成分>
ゴム成分は特に限定されず、従来、ゴム工業で用いられるものをいずれも好適に用いることができる。例えば、イソプレン系ゴム、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンゴム(SIR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)などのジエン系ゴム、ブチルゴム(IIR)、臭素化ブチルゴム(Br−IIR)、塩素化ブチルゴム(Cl−IIR)およびフッ素化ブチルゴム(F−IIR)を含むハロゲン化ブチルゴムなどのブチル系ゴムがあげられる。これらのゴム成分は、1種または2種以上を組み合せて使用することができる。なかでも、シリカを配合して高性能なゴム組成物を得る観点から、SBRを含むことが好ましく、SBRおよびBRを含むことがより好ましく、SBR、BRおよびイソプレン系ゴムを含むことがより好ましく、SBR、BRおよびイソプレン系ゴムのみであることがさらに好ましい。
(スチレンブタジエンゴム)
スチレンブタジエンゴム(SBR)としては、特に限定されず、例えば未変性の乳化重合スチレンブタジエンゴム(E−SBR)や溶液重合スチレンブタジエンゴム(S−SBR)、これらを変性した変性乳化重合スチレンブタジエンゴム(変性E−SBR)や変性溶液重合スチレンブタジエンゴム(変性S−SBR)などの変性SBRがあげられる。変性SBRとしては、末端および/または主鎖が変性された変性SBR、スズ、ケイ素化合物などでカップリングされた変性SBR(縮合物、分岐構造を有するものなど)などがあげられる。またSBRとしては、伸展油を加えて柔軟性を調整した油展タイプのものと、伸展油を加えない非油展タイプのものとがあるが、このいずれも使用可能である。このようなSBRとして、例えば、JSR(株)製のもの、旭化成ケミカルズ(株)製のもの、日本ゼオン(株)製のもの、ZSエラストマー(株)製のものなどを用いることができる。これらのSBRは、1種または2種以上を組み合せて使用することができる。なかでも、シリカを配合して低燃費性能やウェットグリップ性能に優れたゴム組成物を得る観点から、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S−SBR)が好ましく、変性溶液重合スチレンブタジエンゴム(変性S−SBR)がより好ましい。本開示の製造方法および混練装置によれば、変性S−SBRにシリカを配合した場合でも、シラニゼーションを効率的に進行させることができるので、シリカの分散性が向上し、生産性にも優れる傾向がある。
SBRのスチレン含量は、15.0質量%〜40.0質量%であることが好ましい。該スチレン含量は、ゴム強度やグリップ性能の観点から、20.0質量%以上がより好ましい。また、該スチレン含量は、低燃費性能の観点から、30.0質量%以下がより好ましい。なお、SBRのスチレン含量は、1H−NMR測定により算出される値である。
SBRのビニル含量(1,2−結合ブタジエン単位量)は、10.0〜80.0%であることが好ましい。該ビニル含量は、ゴム強度やグリップ性能の観点から、25.0%以上がより好ましく、40.0%以上がさらに好ましい。また、該ビニル含量は、低燃費性能の観点から、75.0%以下がより好ましく、70.0%以下がさらに好ましい。なお、SBRのビニル含量は、赤外吸収スペクトル分析法によって測定される値である。
SBRのガラス転移温度(Tg)は、−90〜0℃であることが好ましく、−50℃以上がより好ましく、−40℃以上がさらに好ましい。また、該Tgは、−10℃以下がより好ましく、−15℃以下がさらに好ましい。なお、SBRのTgは、JIS K 7121に従い、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン(株)製の示差走査熱量計(Q200)を用いて、昇温速度10℃/分の条件で測定される値である。
SBRの重量平均分子量(Mw)は、20万〜200万であることが好ましく、30万以上がより好ましい。また、該Mwは、150万以下がより好ましく、100万以下がさらに好ましい。なお、SBRのMwおよび後述する数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(東ソー(株)製のGPC−8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMALTPORE HZ−M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めることができる。
SBRの数平均分子量(Mn)は、15万〜200万であることが好ましく、18万以上がより好ましく、20万以上がさらに好ましい。また、該Mnは、100万以下がより好ましい。
SBRを含有する場合のゴム成分中の含有量は、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。また、該含有量は、100質量%であってもよく、80質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、50質量%以下がさらに好ましい。SBRの含有量が上記範囲内であると、良好なシリカの分散性、良好な加工性が得られる傾向があり、本開示の効果をより良好に発揮できる。なお、SBRとして油展タイプのSBRを用いる場合は、当該油展タイプのSBR中に含まれる固形分としてのSBR自体の含有量をゴム成分中のSBRの含有量とする。
(ブタジエンゴム)
ブタジエンゴム(BR)としては、特に限定されず、この分野で通常使用されるものをいずれも好適に用いることができる。例えば、ローシスポリブタジエンゴム(ローシスBR)、ハイシスポリブタジエンゴム(ハイシスBR)、希土類元素系触媒を用いて合成された希土類系ブタジエンゴム(希土類系BR)、1,2−シンジオタクチックポリブタジエン結晶を含むブタジエンゴム(SPB含有BR)、変性ブタジエンゴム(変性BR)などの各種BRを用いることができる。なかでも、ハイシスBRが好ましい。このようなBRとして、例えば、宇部興産(株)製のもの、日本ゼオン(株)製のもの、JSR(株)製のもの、ランクセス社製のものなどを用いることができる。これらのBRは、1種または2種以上を組み合せて使用することができる。
ハイシスBRとは、シス含量(シス−1,4結合含有率)が90%以上のブタジエンゴムである。なかでも、シス−1,4結合含有率が93%以上のものが好ましく、94%以上のものがより好ましく、95%以上のものがさらに好ましい。ハイシスBRを含有することで低発熱性、引張強さや破断時伸び、耐摩耗性を向上させることができる。なお、BR中のシス−1,4結合含有率は、赤外吸収スペクトル分析により算出される値である。
BRを含有する場合のゴム成分中の含有量は、耐摩耗性の観点から、10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。また、該含有量は、加工性の観点から、80質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、40質量%以下がさらに好ましい。
(イソプレン系ゴム)
イソプレン系ゴムとしては、例えば、イソプレンゴム(IR)および天然ゴム等ゴム工業において一般的なものを使用することができる。このうち、天然ゴムには、非改質天然ゴム(NR)の他に、エポキシ化天然ゴム(ENR)、水素化天然ゴム(HNR)、脱タンパク質天然ゴム(DPNR)、高純度化天然ゴム、グラフト化天然ゴム等の改質天然ゴム等も含まれる。なかでも、NRが好ましい。これらのイソプレン系ゴムは、1種または2種以上を組み合せて使用することができる。
NRとしては特に限定されず、例えば、SIR20、RSS#3、TSR20等のゴム工業において一般的なものを用いることができる。
イソプレン系ゴムを含有する場合のゴム成分中の含有量は、発熱抑制効果等の観点から、3質量%以上が好ましく、7質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましい。また、該含有量は、90質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、50質量%以下がさらに好ましい。
<シリカ>
シリカとしては特に限定されず、例えば、乾式法により調製されたシリカ(無水ケイ酸)、湿式法により調製されたシリカ(含水ケイ酸)等があげられる。なかでも、表面のシラノール基が多く、シランカップリング剤との反応点が多いという理由から、湿式法により調製されたシリカが好ましい。例えば、エボニックデグサ社、ソルベイ社、東ソー・シリカ(株)、(株)トクヤマ等によって製造販売されるものなどを用いることができる。これらのシリカは、1種または2種以上を組み合せて使用することができる。
シリカの窒素吸着比表面積(N2SA)は、特に限定されないが、低燃費性能、耐摩耗性の観点から、80m2/g以上が好ましく、110m2/g以上がより好ましく、140m2/g以上がより好ましく、170m2/g以上がさらに好ましい。また、該N2SAは、シリカの分散性、加工性の観点から、500m2/g以下が好ましく、400m2/g以下がより好ましく、300m2/g以下がより好ましく、200m2/g以下がさらに好ましい。なお、シリカのN2SAは、ASTM D3037−81に準じてBET法で測定される値である。
シリカのゴム成分100質量部に対する含有量は、特に限定されないが、30質量部以上が好ましく、40質量部以上がより好ましく、50質量部以上がより好ましく、60質量部以上がさらに好ましい。また、該含有量の上限は、特に限定されないが、200質量部以下が好ましく、160質量部以下がより好ましく、130質量部以下がより好ましく、110質量部以下がさらに好ましい。シリカの含有量が上記範囲内であると、良好な分散性、良好な加工性が得られる傾向があり、本開示の効果をより良好に発揮できる。
<その他の充填剤>
充填剤としては、シリカ以外に、さらにその他の充填剤を用いてもよい。そのような充填剤としては、特に限定されず、例えば、カーボンブラック、水酸化アルミニウム、アルミナ(酸化アルミニウム)、炭酸カルシウム、タルク、クレーなどこの分野で一般的に使用される充填剤をいずれも用いることができる。これらの充填剤は、1種または2種以上を組み合せて使用することができる。充填剤として、シリカ以外のものを用いる場合、ゴム強度の観点から、カーボンブラックが好ましい。
(カーボンブラック)
カーボンブラックとしては特に限定されず、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAFなど、ゴム工業において一般的なものを使用できる。例えば、旭カーボン(株)、キャボットジャパン(株)、東海カーボン(株)、三菱ケミカル(株)、ライオン(株)、日鉄カーボン(株)、コロンビアカーボン社等によって製造販売されるものなどを用いることができる。これらのカーボンブラックは、1種または2種以上を組み合せて使用することができる。
カーボンブラックのN2SAは、特に限定されないが、十分な補強性および良好な耐摩耗性が得られる観点から、50m2/g以上が好ましく、80m2/g以上がより好ましく、110m2/g以上がさらに好ましい。また、該N2SAは、分散性に優れ、発熱しにくいという観点から、500m2/g以下が好ましく、300m2/g以下がより好ましく、200m2/g以下がさらに好ましい。なお、カーボンブラックのN2SAは、JIS K 6217−2:2001に準拠して測定される値である。
カーボンブラックを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、1質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましく、10質量部以上がさらに好ましい。また、該含有量は、150質量部以下が好ましく、90質量部以下がより好ましく、50質量部以下がさらに好ましい。カーボンブラックの含有量が上記範囲内であると、十分な補強性、ゴムへの良好な分散、良好な加工性が得られる傾向があり、本開示の効果をより良好に発揮できる。
<シランカップリング剤>
シランカップリング剤としては、特に限定されず、ゴム工業において、従来からシリカと併用される任意のシランカップリング剤を使用することができる。そのようなシランカップリング剤としては、例えば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド等のスルフィド基を有するシランカップリング剤;3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、2−メルカプトエチルトリエトキシシラン等のメルカプト基を有するシランカップリング剤;3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン、3−ヘキサノイルチオ−1−プロピルトリエトキシシラン、3−オクタノイルチオ−1−プロピルトリメトキシシラン等のチオエステル基を有するシランカップリング剤;ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニル基を有するシランカップリング剤;3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノ基を有するシランカップリング剤;γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のグリシドキシ系のシランカップリング剤;3−ニトロプロピルトリメトキシシラン、3−ニトロプロピルトリエトキシシラン等のニトロ系のシランカップリング剤;3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン等のクロロ系のシランカップリング剤等があげられる。なかでも、スルフィド基を有するシランカップリング剤およびメルカプト基を有するシランカップリング剤が好ましく、スルフィド基を有するシランカップリング剤がより好ましい。このようなシランカップリング剤として、例えば、モメンティブ社製のもの、エボニックデグサ社製のものなどを用いることができる。これらのシランカップリング剤は、1種または2種以上を組み合せて使用することができる。
シランカップリング剤のシリカ100質量部に対する含有量は、十分なシリカ分散効果が得られるという理由から、1.0質量部以上が好ましく、2.0質量部以上がより好ましく、4.0質量部以上がより好ましく、6.0質量部以上がさらに好ましい。また、該含有量は、十分なカップリング効果やシリカ分散効果を効率的に得て補強性を確保するという理由から、20.0質量部以下が好ましく、18.0質量部以下がより好ましく、15.0質量部以下がさらに好ましい。
<その他の成分>
本開示のゴム組成物は、上記した成分に加え、ゴム組成物の製造に一般に使用される他の成分、例えば、オイル、樹脂、ステアリン酸、酸化亜鉛、老化防止剤、ワックス、加工助剤、加硫剤、加硫促進剤等を適宜含有することができる。
(オイル)
オイルとしては、特に限定されず、ゴム工業において通常使用されるものをいずれも好適に用いることができ、例えば、パラフィン系、芳香族系、ナフテン系プロセスオイル等のプロセスオイルがあげられる。また、環境対策で多環式芳香族(polycyclic aromatic compound:PCA)化合物の含量の低いプロセスオイルがあげられる。前記低PCA含量プロセスオイルとしては、芳香族系プロセスオイルを再抽出したTreated Distillate Aromatic Extract(TDAE)、アスファルトとナフテン油の混合油であるアロマ代替オイル、軽度抽出溶媒和物(mild extraction solvates)(MES)、および重ナフテン系オイル等があげられる。なかでも、芳香族系プロセスオイルが好ましい。オイルは、例えば、H&R社、JXTGエネルギー(株)、出光興産(株)、三共油化工業(株)等によって製造販売されるものなどを用いることができる。これらのオイルは、1種または2種以上を組み合せて使用することができる。
オイルを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、特に限定されないが、1質量部以上がより好ましく、3質量部以上がより好ましく、5質量部以上がさらに好ましい。また、該含有量は、70質量部以下が好ましく、40質量部以下がより好ましく、30質量部以下がさらに好ましい。オイルの含有量が上記範囲内であると、ゴムの可塑化、シリカの分散向上の効果をより良好に発揮できる傾向があり、本開示の効果をより良好に発揮できる。なお、オイルの含有量は油展で使用されたオイルの量も含むものである。
(樹脂)
樹脂としては、特に限定されず、芳香族系石油樹脂などの従来タイヤ用ゴム組成物で慣用される樹脂を用いることができる。芳香族系石油樹脂としては例えば、フェノール系樹脂、クマロンインデン樹脂、スチレン系樹脂、テルペン系樹脂、アクリル樹脂、ロジン系樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂(DCPD樹脂)などがあげられる。フェノール系樹脂としては、例えば、BASF社製、田岡化学工業(株)製のものなど、クマロンインデン樹脂としては、例えば、日鉄ケミカル&マテリアル(株)製、JXTGエネルギー(株)製のものなど、スチレン系樹脂としては、例えば、アリゾナケミカル社製のものなどを使用することができる。テルペン系樹脂としては、例えば、アリゾナケミカル社製、ヤスハラケミカル(株)製のものなどを使用することができる。ロジン系樹脂としては、例えば、ハリマ化成(株)製、荒川化学工業(株)製のものなどを使用することができる。これらの樹脂は、1種または2種以上を組み合せて使用することができる。
樹脂を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、2質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましく、4質量部以上がさらに好ましい。また、該含有量は、20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましく、10質量部以下がさらに好ましい。樹脂の含有量が上記範囲内であると、本開示の効果をより良好に発揮できる。
(老化防止剤)
老化防止剤としては、特に限定されず、ゴム工業において通常使用されるものをいずれも好適に用いることができ、例えば、キノリン系老化防止剤、キノン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、フェニレンジアミン系老化防止剤や、カルバミン酸金属塩等があげられる。なかでも、本開示の効果をより良好に発揮できるという理由から、フェニレンジアミン系老化防止剤が好ましい。フェニレンジアミン系老化防止剤としては、例えば、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン(IPPD)、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン(6PPD)等があげられ、N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン(6PPD)を用いることがより好ましい。老化防止剤は、例えば、大内新興化学工業(株)製のもの、川口化学工業(株)製のもの、住友化学(株)製のものなどを用いることができる。これらの老化防止剤は、1種または2種以上を組み合せて使用することができる。
老化防止剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、0.5質量部以上が好ましく、0.8質量部以上がより好ましく、1.0質量部以上がさらに好ましい。また、該含有量は、7.0質量部以下が好ましく、5.0質量部以下がより好ましく、3.0質量部以下がさらに好ましい。老化防止剤の含有量が上記範囲内であると、老化防止効果を十分に得るとともに、老化防止剤がタイヤ表面に析出することによる変色を抑制することができる傾向がある。
(ワックス)
ワックスとしては、特に限定されず、ゴム工業において通常使用されるものをいずれも好適に用いることができ、例えば、石油系ワックス、鉱物系ワックス、合成ワックスなどがあげられる。なかでも、石油系ワックスが好ましい。石油系ワックスとしては、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等があげられる。ワックスは、例えば、大内新興化学工業(株)製のもの、日本精蝋(株)製のもの、パラメルト社製のものなどを用いることができる。これらのワックスは、1種または2種以上を組み合せて使用することができる。
ワックスを含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、0.3質量部以上が好ましく、0.7質量部以上がより好ましく、0.8質量部以上がさらに好ましい。また、該含有量は、3.0質量部以下が好ましく、2.5質量部以下がより好ましく、2.0質量部以下がさらに好ましい。ワックスの含有量が上記範囲内であると、本開示の効果をより良好に発揮できる。
(加工助剤)
加工助剤としては、例えば、脂肪酸金属塩、脂肪酸アミド、アミドエステル、シリカ表面活性剤、脂肪酸エステル、脂肪酸金属塩とアミドエステルとの混合物、脂肪酸金属塩と脂肪酸アミドとの混合物等があげられる。加工助剤は、例えば、ストラクトール社製のものなどを用いることができる。これらの加工助剤は、1種または2種以上を組み合せて使用することができる。
加工助剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、0.5質量部以上が好ましく、0.8質量部以上がより好ましく、1.0質量部以上がさらに好ましい。また、該含有量は、10.0質量部以下が好ましく、8.0質量部以下がより好ましく、6.0質量部以下がさらに好ましい。加工助剤の含有量が上記範囲内であると、本開示の効果をより良好に発揮できる。
(加硫剤)
加硫剤としては、特に限定されず、公知の加硫剤を用いることができ、例えば、有機過酸化物、硫黄系加硫剤、樹脂加硫剤、酸化マグネシウム等の金属酸化物などがあげられる。なかでも、硫黄系加硫剤が好ましい。硫黄系加硫剤としては、例えば、硫黄、モルホリンジスルフィド等を用いることができる。これらのなかでも、硫黄を用いることが好ましい。硫黄としては、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄などがあげられ、いずれも好適に用いられる。これらの加硫剤は、1種または2種以上を組み合せて使用することができる。
加硫剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、0.5質量部以上が好ましく、1.0質量部以上がより好ましい。また、該含有量は、5.0質量部以下が好ましく、4.0質量部以下がより好ましく、3.0質量部以下がさらに好ましい。加硫剤の含有量が上記範囲内であると、本開示の効果をより良好に発揮できる。
(加硫促進剤)
加硫促進剤としては、特に限定されず、公知の加硫促進剤を用いることができ、例えば、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド−アミン系もしくはアルデヒド−アンモニア系、イミダゾリン系、またはキサンテート系加硫促進剤などがあげられる。なかでも、スルフェンアミド系およびグアニジン系を含むものであることが好ましく、スルフェンアミド系およびグアニジン系のみであることがより好ましい。これらの加硫促進剤は、1種または2種以上を組み合せて使用することができる。
スルフェンアミド系加硫促進剤としては、例えば、N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(TBBS)、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、N,N’−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(DZ)などがあげられる。なかでも、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)が好ましい。
グアニジン系加硫促進剤としては、例えば、1,3−ジフェニルグアニジン(DPG)、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジンなどがあげられる。なかでも、加硫時間の短縮の観点から、1,3−ジフェニルグアニジン(DPG)が好ましい。
加硫促進剤を含有する場合のゴム成分100質量部に対する含有量は、0.5質量部以上が好ましく、1.0質量部以上がより好ましく、2.0質量部以上がさらに好ましい。また、該含有量は、5.0質量部以下が好ましく、4.0質量部以下がより好ましく、3.5質量部以下がさらに好ましい。加硫促進剤の含有量が上記範囲内であると、本開示の効果をより良好に発揮できる。
<ゴム組成物の製造方法>
以下、ゴム組成物の製造方法について適宜図面を参照して説明する。
本開示のゴム組成物の製造方法は、混練室と、前記混練室内に設置されたロータと、前記混練室を加圧するラムウェイトと、前記混練室に水を添加する水添加機構とを有する密閉式混練機で、ゴム成分とシリカとシランカップリング剤とを含む原料を混練りする混練工程を含むものである。
(混練工程)
ゴム成分とシリカとシランカップリング剤とを含む原料を混練りする混練工程は、混練室をラムウェイトにより加圧した状態で、水添加機構により、混練室内の原料に水を添加することを特徴とする。本開示の混練工程は、加硫剤および加硫促進剤以外の原料を混練りする、いわゆるベース練りにおいて実施するものである。ベース練りは、混練室に原料を投入する工程(本開示において、単に「投入工程」ともいう)、投入した原料を、原料が予め指示した温度に到達するまで混練りする工程(本開示において、単に「第一混練工程」ともいう)、および、指示した温度に到達した原料を、さらに混練りする工程(本開示において、単に「第二混練工程」ともいう)を含むことが好ましく、本開示の混練工程は、第二混練工程で行われることが好ましい。
投入工程において、ゴム成分の投入回数、シリカの投入回数およびシランカップリング剤の投入回数は、特に限定されないが、いずれも、生産効率の観点から、1回でその全量を投入することが好ましい。なお、ゴム成分として2種以上を用いる場合、その全量とは、すべてのゴム成分の全量を意味する。また、シリカを一度に投入することはシリカ全量についてシラニゼーションが進行する温度域での混練時間が最大限確保されるという観点から好ましく、シランカップリング剤についても、同様の理由から、一度に投入することは好ましい。
投入工程において、原料としてゴム成分やシリカ以外の原料(ただし加硫剤および加硫促進剤は除く)を含む場合の、それら原料の投入回数も、特に限定されないが、通常は、生産効率の観点から、いずれも、1回で各全量を投入することが好ましい。
投入工程において、シリカとシランカップリング剤の投入タイミングは、ゴム成分と同時であってもよく、ゴム成分を先に投入し、次いでシリカとシランカップリング剤を同時に投入してもよく、ゴム成分、シリカ、シランカップリング剤の順に投入してもよい。なかでも、本開示の効果がより好適に得られるという理由から、シリカとシランカップリング剤は同時に投入することが好ましい。
なお、上記において、同時とは、各原料を意図的に間隔あけることなく投入していれば足りる趣旨であり、厳密な意味での同時(すなわち、原料の投入を同じ瞬間に行う)まで求めるものではない。
第一混練工程において、予め指示した温度とは、混練室内における原料の実測温度を意味する。予め指示した温度は、シラニゼーションが進行する温度域に属する温度であることが好ましい。該温度は、用いるシランカップリング剤の種類や量、その他用いる原料の種類や量等により異なり得るが、ゲルが発生しない限りは高温であることが望ましく、通常、130〜160℃の範囲であることが好ましい。該温度は、混練時間を短縮して生産効率を向上させる観点から140〜160℃がより好ましく、150〜160℃がさらに好ましい。
本開示の混練工程は、第一混練工程において原料が予め指示した温度に到達した後、混練室をラムウェイトにより加圧した状態で、水添加機構により、混練室内の原料に水を添加しながら混練りする工程であることが好ましい。
本開示の混練工程において、ラムウェイトによる加圧の圧力(下降圧)は、本開示の効果が得られる限り特に限定されない。ラムウェイトの下降圧は、混練中の原料への剪断力を高める観点からは、ラムウェイトを下限位置に下降させた状態の圧力(最大の下降圧)であることが好ましい。ラムウェイトの下降圧は、密閉式混練機の種類や性能などに応じて異なり得るが、例えば、0.5〜0.7MPaである。
本開示の混練工程において、ラムウェイトの位置は、混練室を加圧した状態とすることができる位置であれば、特に限定されないが、上記の最大の下降圧を達成させる観点から、下限位置に下降した状態であることが好ましい。また、ラムウェイトが下限位置に下降した状態であると、ラムウェイトを上下降させる必要がなく混練り効率を向上させることにつながる。さらに混練室内から混練中の原料が浮き上がらないため、水を原料全体に均一に添加することができ、本開示の効果が好適に得られる傾向がある。
さらに、本開示の混練工程において、原料は、シラニゼーションが進行する温度域に属する所定の範囲の温度に維持されることが好ましい。すなわち、第一混練工程において原料が予め指示した温度に到達した後、原料がシラニゼーションが進行する温度域に属する所定の範囲の温度に維持されながら混練りされることが好ましい。ここで、該所定の範囲の温度は、上記第一混練工程と同様に、用いるシランカップリング剤の種類や量、その他用いる原料の種類や量等により異なり得るが、出来るだけ高温であることが望ましく、130〜160℃であることが好ましい。130℃以上であると、シリカとシランカップリング剤の反応速度が向上し、シリカ表面を十分に疎水化でき、シリカの分散性がより向上する傾向がある。160℃以下であると、シラニゼーションが進行する温度域でありながら、シリカとシランカップリング剤の反応速度を、シリカを分散させるために最適な反応速度とすることができ、シラニゼーションの進行状態を均一化できる傾向がある。該所定の範囲の温度は、135℃以上が好ましく、140℃以上がより好ましく、145℃以上がさらに好ましい。また、該所定の範囲の温度は、157℃以下が好ましく、154℃以下がより好ましく、150℃以下がさらに好ましい。
原料の温度を所定の範囲の温度に維持する手段としては、ラムウェイトの上下降およびロータの回転数の制御の少なくとも一つを含むことが好ましく、ロータの回転数の制御を含むことが好ましい。なかでも、混練り効率を向上させる観点から、ロータの回転数の制御によるものであることが特に好ましい。
ラムウェイトの上下降によれば、原料の温度が所定の範囲の温度を超える場合には、ラムウェイトを上昇させて圧力を下げることで原料の温度を下げることができ、反対に、原料の温度が所定の範囲の温度より低くなる場合には、ラムウェイトを下降させて混練中の原料に圧力を加えることで原料の温度を上げることができる。ロータの回転数の制御では、原料の温度が所定の範囲の温度を超える場合には、ロータの回転数を下げ、反対に、原料の温度が所定の範囲の温度より低くなる場合には、ロータの回転数を上げる制御を行うことで、原料の温度を所定の範囲の温度に維持することができる。
本開示の混練工程において、水の添加は、ロータの回転によって妨げられないタイミングで行われることが好ましい。図1は混練装置で原料を混練りしている状態の一例を模式的に示す概略断面図である。混練室10内にある2つの矢印は、ロータ13aおよびロータ13bがそれぞれ回転する方向である。ロータ13aおよびロータ13bの回転によって妨げられないタイミングで水Wを添加することで、ロータが回転する位置によって原料Rが滞留しにくい空隙位置で水Wを添加することができる。ロータには、通常、被混練材料を混練りするための複数の混練翼が備えられている。複数の混練翼には、短翼と、短翼よりもロータ軸方向における長さが長い長翼などが含まれる。例えば、ロータが長翼と短翼を有する場合、本開示の混練工程では、ロータの長翼と短翼の回転によって妨げられないタイミングで水を添加することができる。
ここで、本開示の水は、液体の水であることが好ましいが、水蒸気をも含んでいてもよい。シラニゼーションの進行を良好に促進させる観点、および生産性の観点からは、水としては液体の水からなることが好ましい。
水添加機構による水の添加は、噴射、噴霧および滴下から選ばれる少なくとも一つによって実施されることが好ましい。なかでも、水を原料全体に均一に添加させる観点から、水の添加は、噴霧によって実施されることが好ましい。
水添加機構により添加される水の温度は、混練中の原料と同等またはそれ以上の温度とすることもできるが、混練中の原料よりも低温の温度であることが好ましい。添加される水の温度が混練中の原料よりも低温の温度であると、混練中の原料の温度が若干低下するので、原料の温度を所定の範囲の温度に維持する手段をロータの回転数の制御によるものとする場合、ロータの回転数が上がって混練時間を短縮させることにつながる。また、原料が所定の範囲の温度に維持されやすくなる。
低温の温度は、20〜50℃であることが好ましい。該低温の温度は、22℃以上がより好ましく、24℃以上がより好ましく、26℃以上がさらに好ましい。また、該低温の温度は、48℃以下がより好ましく、46℃以下がより好ましく、44℃以下がさらに好ましい。
1分間あたりの水の添加量は、本開示の効果が得られる限り、適宜調整することができる。例えば、1分間あたりの水の添加量は、20cm3/分〜100cm3/分であることが好ましい。
ゴム成分100質量部に対する水の添加量は、0.5質量部以上が好ましく、1.0質量部以上がより好ましく、1.5質量部以上がさらに好ましい。また、該添加量は、5.0質量部以下が好ましく、4.5質量部以下がより好ましく、4.0質量部以下がさらに好ましい。
密閉式混練機は、圧縮気体注入機構をさらに有し、混練工程において、混練室に圧縮気体注入機構によって圧縮気体が注入されることが好ましい。圧縮気体が注入されると、混練中の原料の剪断を促進させることができ、混練り効率を向上させることができる。また、シラニゼーションにおけるシリカの加水分解によって、エタノール等のアルコールが発生するが、圧縮気体を注入することにより、混練中の原料からアルコールが除去されるので、シラニゼーションを効率よく促進させることができる。混練工程において、水の添加を行いながら、かつ圧縮気体の注入を行いながら混練りすることで、本開示の効果をより良好に発揮できる。
圧縮気体としては、圧縮空気、圧縮窒素、圧縮酸素等があげられるが、なかでも、圧縮窒素、圧縮空気が好ましく、圧縮空気がより好ましい。
圧縮気体の圧力は、0.5MPa以上が好ましく、0.6MPa以上がより好ましく、0.7MPa以上がさらに好ましい。また、該圧力の上限は、1.2MPa以下が好ましく、1.1MPa以下がより好ましく、1.0MPa以下がさらに好ましい。圧縮気体の圧力が上記範囲内であると、本開示の効果をより良好に発揮できる傾向がある。
圧縮気体の温度は20℃以上が好ましく、30℃以上がより好ましい。また、該温度は、80℃以下が好ましく、60℃以下がより好ましく、40℃以下がさらに好ましい。80℃以下であると、発熱の高いゴムの冷却を助け、原料が所定の範囲の温度に維持されやすくなる傾向がある。
圧縮気体の注入量は、混練中のゴムの間に圧縮気体を注入できるという理由から、5.0m3/分以上が好ましく、7.0m3/分以上がより好ましく、8.0m3/分以上がさらに好ましい。また、該注入量は、生産効率の観点から、12.0m3/分以下が好ましく、11.0m3/分以下がより好ましく、10.0m3/分以下がさらに好ましい。
(ゴム組成物の製造)
本開示のゴム組成物は、本開示の所定の混練工程を含むこと以外には、一般的な製造方法を適用して製造することができる。例えば、上記所定の混練工程を経て、混練工程における混練りが終了した時点で、排出する(ベース練り)。その後、ベース練りで得られた混練物に加硫剤および加硫促進剤を添加し、密閉式混練機やオープンロール等を用いてさらに混練りし(仕上げ練り)、その後加硫する方法などにより製造できる。なお、ベース練りと仕上げ練りの間にリミル(再練り)を行ってもよい。再練りを行った場合、シラニゼーションが進行する温度域の混練時間がさらに確保でき、シリカの分散性がより向上するという効果が得られる。
ベース練りおよび仕上げ練りとしては、例えば、ベース練りとして、排出温度130〜160℃で1〜10分間混練りし、仕上げ練りとして、90〜110℃で1〜10分間混練りする方法があげられる。ここで、ベース練りにおける排出温度とは、本開示の混練工程における排出時の原料の温度である。再練りでは、排出温度130〜160℃で1〜10分間混練りする方法があげられる。また、加硫条件としては、特に限定されるものではなく、例えば、150〜200℃で5〜30分間加圧加硫する方法があげられる。
(タイヤ)
本開示のゴム組成物は、各種タイヤ部材(例えば、トレッド、サイドウォール、カーカス被覆ゴム、クリンチ、チェーファー、ビード、ブレーカークッション、インナーライナーなど)に好適に用いることができる。特に、トレッドに好適に用いることができる。
本開示のタイヤは、上記製造方法によりゴム組成物を製造する工程、および、上記ゴム組成物を用いて、ゴム工業における常法によりタイヤを製造する工程により、製造することができる。
例えば、該タイヤは、
(1)上記製造方法により未加硫のゴム組成物を得る工程、
(2)上記(1)で得た未加硫のゴム組成物を所望のタイヤ部材の形状(例えば、トレッド等)に押出し加工して、当該タイヤ部材を得る工程、
(3)上記(2)で得たタイヤ部材(例えば、トレッド等)を、タイヤ成型機上で、他のタイヤ部材とともに貼り合わせ、成型して未加硫タイヤを得る工程、および、
(4)上記(3)で得た未加硫タイヤを、加硫機中で、加圧加硫してタイヤを得る工程
を含む製造方法により、製造することができる。
本開示のタイヤは、空気入りタイヤ、非空気入りタイヤを問わないが、空気入りタイヤであることが好ましい。また、空気入りタイヤとしては、乗用車用タイヤ、トラック・バス用タイヤ、二輪車用タイヤ、競技用タイヤなどの高性能タイヤ、ランフラットタイヤなど各種タイヤに用いることができる。
<混練装置>
以下、混練装置について適宜図面を参照して説明する。
図1は混練装置で原料を混練りしている状態の一例を模式的に示す概略断面図である。混練装置1は、混練室10と、混練室内に設置されたロータ13a、13bと、混練室を加圧するラムウェイト11と、混練室に水を添加する水添加機構15とを有する密閉式混練機2を備えている。密閉式混練機2は、ゴム成分とシリカとシランカップリング剤とを含む原料Rを混練りするものであり、密閉式混練機2は、混練室10をラムウェイト11により加圧した状態で、水添加機構15により、混練室内の原料Rに水Wを添加しながら混練りするように構成されている。
ロータの形状は、接線式、噛み合い式のいずれであってもよい。また、ロータは、2翼ロータ、4翼ロータ、6翼ロータのいずれであってもよい。
密閉式混練機2は、ロータ13a、13bの回転位置を検出する位相センサ13c、13dをそれぞれ備え、水添加機構15は、水の添加タイミングを制御するタイミング制御部(図示せず)を備え、タイミング制御部は、位相センサ13c、13dの検出データに基づいてロータ13a、13bの回転によって妨げられない位置で、水が添加されるよう添加タイミングを制御するように構成されていることが好ましい。ロータ13a、13bの位相センサ13c、13dによる検出データが、水添加機構15のタイミング制御部に送信されることで、ロータ13a、13bの回転によって妨げられない位置で、水が添加されるよう添加タイミングを制御することができる。
密閉式混練機2は、原料Rが、シラニゼーションが進行する温度域に属する所定の範囲の温度に維持されるように構成されていることが好ましい。混練装置における所定の範囲の温度は、上記ゴム組成物の製造方法で説明したものと同様である。
密閉式混練機2は、原料Rの混練中の温度を検出する温度センサ(図示せず)と、ロータの回転数を制御するロータ回転制御部(図示せず)とを備え、密閉式混練機2は、原料Rが温度センサの検出データに基づいてロータ回転制御部によりロータの回転数を制御することを含む手段により所定の範囲の温度に維持されるように構成されていることが好ましい。原料が所定の範囲の温度に維持されるための手段として、より好ましくは、ロータ回転制御部によりロータの回転数を制御することである。
温度センサは、混練室内の混練中の原料の温度を逐次取得することができるものであれば、特に限定されず、例えば、サーモカップル温度計やサーミスタ温度計等の温度センサ等をあげることができる。このうち、サーモカップル温度計が好ましい。温度センサは、混練室内で原料の温度を逐次取得可能な位置に設置すればよい。例えば、温度センサは、その先端部が混練室内に露出して設置され、ロータ間の中心下方の混練室内の底面や、ロータ間の中心上方の混練室内の壁面等に設置してもよい。
ロータ回転数制御部は、温度センサによる検出データ(温度データ)および上記所定の範囲の温度に基づいて、ロータの回転数を制御するものである。例えば、温度センサにより検出された温度が、上記所定の範囲の温度を超えたり、低い場合は、温度差に基づいてロータの回転数を下げたり、上げたりすることができる。また、ロータ回転数制御部は、温度センサで検出された温度および上記所定の範囲の温度を比較する温度比較手段と、比較結果に基づいてロータの回転数を制御する制御部により構成されてもよい。
水添加機構15は、水を貯留する貯水部15aと、水を噴射、噴霧または滴下するノズル15bとを有し、ノズル15bは混練室10の側面に配置されていることが好ましい。ノズル15bの仕様に応じて、水Wを混練室10内の原料に、噴射、噴霧または滴下することができる。なかでも、水Wを原料全体に均一に添加させる観点から、水を噴霧するノズルであることが好ましい。
水Wは、ラムウェイト11が下限位置に下降した状態で、水添加機構15により添加されるように構成されていることが好ましい。
混練装置における水添加機構により添加される水の温度は、上記ゴム組成物の製造方法で説明したものと同様である。
密閉式混練機2は、混練室10に圧縮気体CGを注入する圧縮気体注入機構16をさらに有し、圧縮気体注入機構16により、混練室10に圧縮気体CGを注入しながら混練りするように構成されていることが好ましい。圧縮気体注入機構16は、圧縮気体を貯蔵する圧縮気体貯蔵部16aと、圧縮気体を注入する注入口16bとを有し、注入口16bは混練室10の側面に配置されていることが好ましい。
混練装置における圧縮気体注入機構により注入される圧縮気体の種類、圧力、温度、注入量は、上記ゴム組成物の製造方法で説明したものと同様である。
実施例に基づいて本開示を具体的に説明する。本開示は、これら実施例に限定されない。
<実施例および比較例で使用した各種原料>
SBR:SE−0212(アミン系末端変性溶液重合スチレンブタジエンゴム、スチレン含量:25質量%、ビニル含量:61.0%、Tg:−25℃、Mn:2.1×105、Mw:3.1×105、非油展、住友化学(株)から入手可能)
NR:TSR20
BR:BR730(シス含量:95%、JSR(株)から入手可能)
シリカ:ウルトラシルVN3(N2SA:175m2/g、エボニックデグサ社から入手可能)
シランカップリング剤:Si266(スルフィド系、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、エボニックデグサ社から入手可能)
オイル:ダイアナプロセスAH−24(芳香族系プロセスオイル、出光興産(株)から入手可能)
酸化亜鉛:酸化亜鉛(三井金属鉱業(株)から入手可能)
ステアリン酸:ステアリン酸「つばき」(日油(株)から入手可能)
老化防止剤:アンチゲン6C(N−フェニル−N’−(1,3−ジメチルブチル)−p−フェニレンジアミン(6PPD)、住友化学(株)から入手可能)
ワックス:サンノックN(精選特殊ワックス、大内新興化学工業(株)から入手可能)
硫黄:粉末硫黄(軽井沢硫黄(株)から入手可能)
加硫促進剤1:ノクセラーCZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド(CBS)、大内新興化学工業(株)から入手可能)
加硫促進剤2:ノクセラーD(1,3−ジフェニルグアニジン(DPG)、大内新興化学工業(株)から入手可能)
<未加硫ゴム組成物の製造>
(ベース練り)
表1に示す配合処方にしたがい、本開示の混練装置に硫黄および加硫促進剤以外の原料を投入し、ラムウェイトを下限位置に下降した状態で、原料の温度が130℃に達するまで混練りした後、表2記載の各実施例および各比較例に係る条件で、排出温度150℃になるまで混練りを実施し、排出して混練物を得た。
すなわち、実施例1では、混練中の水添加をロータ位相検知によりロータの回転によって妨げられないタイミングで行った。実施例2では、実施例1の条件に加えて、混練中の圧縮空気注入を行った。なお、実施例1および2ではラムウェイトは下限位置に下降した状態(加圧状態)で混練りおよび水の添加を行った。
また、比較例1は混練中の水添加および圧縮空気注入のいずれも行わなかった例であり、比較例2は混練中の水添加は行わずに圧縮空気注入のみを行った例である。比較例3は混練中の水添加をロータ位相検知を行なわないでラムウェイトを上昇(ラムアップ)した状態(非加圧状態)で行った例であり、比較例4は比較例3の条件に加え、混練中の圧縮空気注入を行った例である。
(再練り)
ベース練りで得られた各混練物を、上記混練装置で、排出温度150℃で3分間再混練りした。
(仕上げ練り)
再練りで得られた各混練物に、硫黄および加硫促進剤を添加し、上記混練装置で、排出温度110℃以下の条件下で2分間混練りし、未加硫ゴム組成物を得た。
<評価>
得られた未加硫ゴム組成物について、以下の評価を行った。結果を表2に示す。
(シリカ分散性)
各未加硫ゴム組成物について、ASTM D6204に準じて、アルファテクノロジーズ社製のRPA2000型試験機を用いて70℃、1Hzの条件下にて、歪2%の歪剪断弾性率[G’(2%)](MPa)と、歪64%の歪剪断弾性率[G’(64%)](MPa)とを測定し、その差[G’(2%)−G’(64%)](MPa)をペイン効果ΔG’として算出した。得られた値は、比較例1のΔG’を100として下記計算式により指数表示した。数値が大きいほど、ペイン効果が小さく、シリカの分散性に優れることを示す。
(シリカ分散性指数)=(比較例1のΔG’)÷(各配合のΔG’)×100
表2には、ベース練りにおいて、原料の投入から排出した時点までに要した1バッチあたりの時間(サイクルタイム)を併記した。
Figure 2022001626
Figure 2022001626
表2の結果より、本開示の製造方法または本開示の混練装置によれば、シリカの分散性が向上することがわかる。さらに、サイクルタイムが短くなり、生産性が向上することがわかる。
本開示によれば、混練後に加硫して得られるゴム組成物の物性(例えば低燃費性能、ウェットグリップ性能など)を向上させながら、安定化および均一化を図ることができる。
1 混練装置
2 密閉式混練機
10 混練室
11 ラムウェイト
12 投入口
13a、13b ロータ
13c、13d 位相センサ
15 水添加機構
15a 貯水部
15b ノズル
16 圧縮気体注入機構
16a 圧縮気体貯蔵部
16b 注入口
W 水
CG 圧縮気体
R 原料

Claims (22)

  1. ゴム組成物の製造方法であって、
    混練室と、前記混練室内に設置されたロータと、前記混練室を加圧するラムウェイトと、前記混練室に水を添加する水添加機構とを有する密閉式混練機で、ゴム成分とシリカとシランカップリング剤とを含む原料を混練りする混練工程を含むものであり、
    前記混練工程において、前記混練室を前記ラムウェイトにより加圧した状態で、前記水添加機構により、前記混練室内の前記原料に水を添加する、製造方法。
  2. 前記水の添加が、前記ロータの回転によって妨げられないタイミングで行われる、請求項1記載のゴム組成物の製造方法。
  3. 前記混練工程において、前記原料が、シラニゼーションが進行する温度域に属する所定の範囲の温度に維持される、請求項1または2記載のゴム組成物の製造方法。
  4. 前記原料の温度を前記所定の範囲の温度に維持する手段として、前記ロータの回転数の制御を含むものである、請求項3記載のゴム組成物の製造方法。
  5. 前記所定の範囲の温度が130〜160℃である、請求項3または4記載のゴム組成物の製造方法。
  6. 前記水添加機構による水の添加が、噴射、噴霧および滴下から選ばれる少なくとも一つによって実施される、請求項1〜5のいずれか1項に記載のゴム組成物の製造方法。
  7. 前記水添加機構により添加される水の温度は、混練中の前記原料よりも低温の温度である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のゴム組成物の製造方法。
  8. 前記低温の温度が20〜50℃である請求項7記載のゴム組成物の製造方法。
  9. 前記密閉式混練機が圧縮気体注入機構をさらに有し、前記混練工程において、前記混練室に前記圧縮気体注入機構によって圧縮気体が注入される、請求項1〜8のいずれか1項に記載のゴム組成物の製造方法。
  10. 前記混練工程において、前記ラムウェイトは下限位置に下降した状態である、請求項1〜9のいずれか1項に記載のゴム組成物の製造方法。
  11. 前記原料が加硫系薬品を含まないものである、請求項1〜10のいずれか1項に記載のゴム組成物の製造方法。
  12. 混練装置であって、
    混練室と、前記混練室内に設置されたロータと、前記混練室を加圧するラムウェイトと、前記混練室に水を添加する水添加機構とを有する密閉式混練機を備え、
    前記密閉式混練機は、ゴム成分とシリカとシランカップリング剤とを含む原料を混練りするものであり、
    前記密閉式混練機は、前記混練室を前記ラムウェイトにより加圧した状態で、前記水添加機構により、前記混練室内の前記原料に水を添加しながら混練りするように構成されている、混練装置。
  13. 前記密閉式混練機は、前記ロータの回転位置を検出する位相センサを備え、
    前記水添加機構は、前記水の添加タイミングを制御するタイミング制御部を備え、
    前記タイミング制御部は、前記位相センサの検出データに基づいて前記ロータの回転によって妨げられない位置で、前記水が添加されるよう添加タイミングを制御するように構成されている、請求項12記載の混練装置。
  14. 前記密閉式混練機は、前記原料が、シラニゼーションが進行する温度域に属する所定の範囲の温度に維持されるように構成されている、請求項12または13記載の混練装置。
  15. 前記密閉式混練機は、前記原料の混練中の温度を検出する温度センサと、前記ロータの回転数を制御するロータ回転制御部とを備え、
    前記密閉式混練機は、前記原料が前記温度センサの検出データに基づいて前記ロータ回転制御部により前記ロータの回転数を制御することを含む手段により前記所定の範囲の温度に維持されるように構成されている、請求項14記載の混練装置。
  16. 前記所定の範囲の温度が130〜160℃である、請求項14または15記載の混練装置。
  17. 前記水添加機構が、前記水を貯留する貯水部と、前記水を噴射、噴霧または滴下するノズルとを有し、前記ノズルは前記混練室側面に配置されている、請求項12〜16のいずれか1項に記載の混練装置。
  18. 前記水添加機構により添加される水の温度は、混練中の前記原料よりも低温の温度である、請求項12〜17のいずれか1項に記載の混練装置。
  19. 前記低温の温度が20〜50℃である請求項18記載の混練装置。
  20. 前記密閉式混練機は、前記混練室に圧縮気体を注入する圧縮気体注入機構をさらに有し、前記圧縮気体注入機構により、前記混練室に圧縮気体を注入しながら混練りするように構成されている、請求項12〜19のいずれか1項に記載の混練装置。
  21. 前記水は、前記ラムウェイトが下限位置に下降した状態で、前記水添加機構により添加されるように構成されている、請求項12〜20のいずれか1項に記載の混練装置。
  22. 前記原料が加硫系薬品を含まないものである、請求項12〜21のいずれか1項に記載の混練装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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