JP2022001497A - 複合容器 - Google Patents
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Abstract
【課題】樹脂材料の使用量を抑制しながら実用性を保持することができ、樹脂と紙材料の結合構造を改善して両者の分別廃棄のための分離を容易に行えるようにした複合容器を提供する。【解決手段】容器外形状を規定する紙製外筒部材20と、内容物を収容するプラスチックシート成形品よりなる容器体30とからなり、紙製外筒部材は、上部開口部21に外周側に巻装形成された筒部カール部22を有し、かつ下部開口部23には内周側に折曲形成され折曲補強部24を有し、容器体は上部開口部31に外周側に巻装された容器カール部32が形成されているとともに、該容器カール部は紙製外筒部材の筒部カール部と重合された二重巻着部40として形成されていて、二重巻着部を介して紙製外筒部材の内周側に吊持保持されている。【選択図】図1
Description
本発明は、容器外形状を規定する紙製外筒部材と、内容物を収容する合成樹脂シート成形品よりなる容器体とからなる複合容器に関する。
うどんやラーメン等の麺類、みそ汁やシチュー等のスープ類、丼物やカレー等の総菜類、コーヒー等の飲料類等の即席食品を含む比較的高い温度で提供される各種飲食物用の容器として、合成樹脂及び紙の複合構造の容器が広く用いられている(例えば、特許文献1参照)。この種の複合容器は、食品を収容する容器本体と、容器本体に巻着されるスリーブと称される外筒部材(外装体)とから構成される。
容器本体は、例えば合成樹脂のシート体(プラスチック樹脂シート)を真空成形、圧空成形等によりカップ形状等の所定形状に形成した成形品からなり、外周面に厚紙等の紙製スリーブが巻装される。その際、紙製スリーブは接着剤等を用いて容器本体に固定されるのが一般的である。容器本体の外側に紙製スリーブが重ねられることにより、飲食者は紙製スリーブを介して把持するようになる。そのため、容器本体内の食品の熱が直接容器本体から飲食者の手に伝導しない。よって、容器自体の持ちやすさ、食品の提供、取り扱いの利便性が向上する。紙製スリーブによる断熱効果や印刷表示上の利便性も高い。
容器本体を構成する樹脂成形品は、安価で容易に成形でき、利便性も高いことから、各種の食品を収容する容器として高い需要がある。しかるに、近年では、海洋プラスチックごみ等のプラスチック廃棄物の問題が注目されており、環境負荷低減の観点から樹脂成形品に使用する樹脂材料の使用量を抑制することが求められている。そこで、樹脂材料の使用量を減少させて樹脂成形品を成形する場合は、成形品のサイズを小さくしたり、厚みを減らしたりすることが考えられる。しかしながら、サイズが小さくなると内容物や内容量の制約が生じたり、厚みが減少すると成形品の剛性が低下して使用時の形状保持性に問題が生ずる等、容器としての実用性が損なわれるおそれがある。
本発明は前記の点に鑑みなされたものであり、樹脂材料の使用量を抑制しながら実用性を保持することができる複合容器を提供するものである。また、樹脂と紙材料の結合構造を改善して両者の分別廃棄のための分離を容易に行えるようにした複合容器を提供するものである。
すなわち、請求項1の発明は、容器外形状を規定する紙製外筒部材と、内容物を収容するプラスチックシート成形品よりなる容器体とからなり、前記紙製外筒部材は、上部開口部に外周側に巻装形成された筒部カール部を有し、かつ下部開口部には内周側に折曲形成され折曲補強部を有し、前記容器体は、上部開口部に外周側に巻装された容器カール部が形成されているとともに、該容器カール部は前記紙製外筒部材の筒部カール部と重合された二重巻着部として形成されていて、前記二重巻着部を介して前記紙製外筒部材の内周側に吊持保持されていることを特徴とする複合容器に係る。
請求項2の発明は、前記紙製外筒部材の厚さが0.3〜3mmである請求項1に記載の複合容器に係る。
請求項3の発明は、前記容器体の厚さが5μm〜500μmである請求項1又は2に記載の複合容器に係る。
請求項4の発明は、前記容器体が真空成形品又は圧空成形品である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の複合容器に係る。
請求項1の発明に係る複合容器は、容器外形状を規定する紙製外筒部材と、内容物を収容するプラスチックシート成形品よりなる容器体とからなり、前記紙製外筒部材は、上部開口部に外周側に巻装形成された筒部カール部を有し、かつ下部開口部には内周側に折曲形成され折曲補強部を有し、前記容器体は、上部開口部に外周側に巻装された容器カール部が形成されているとともに、該容器カール部は前記紙製外筒部材の筒部カール部と重合された二重巻着部として形成されていて、前記二重巻着部を介して前記紙製外筒部材の内周側に吊持保持されているため、容器体のサイズや厚みさらには使用時の形状保持性についての制約が解消され樹脂材料の使用量を極力抑制しながら容器としての実用性を適切に保持することができる。また、二重巻着部による吊持保持は簡単容易に実現できるので効率的であるばかりでなく保持強度も高い。
請求項2の発明に係る複合容器は、請求項1において、前記紙製外筒部材の厚さが0.3〜3mmであるため、加工が容易であるとともに容器外形状を適切に保持することができる。
請求項3の発明に係る複合容器は、請求項1又は2において、前記容器体の厚さが5μm〜500μmであるため、収容した内容物を保持するための剛性を確保することができるとともに、環境負荷低減に貢献することができる。
請求項4の発明に係る複合容器は、請求項1ないし3のいずれか1項において、前記容器体が真空成形品又は圧空成形品であるため、容器体を安価で容易に成形でき、利便性も高く、とりわけ必要により二重巻着部の形成を効率よく確実に形成できる利点がある。
図1,2は、本発明の一実施例に係る複合容器10であり、紙製外筒部材20と、容器体30とからなり、トップフィルムや嵌合蓋等の適宜の蓋体(図示せず)が装着される。複合容器10は、うどん、そば、らーめん等の各種の麺類、丼物、粥、味噌汁、スープ、シチュー、カレー等の惣菜、食品、さらには、茶類、コーヒー、ココア等の飲料の70ないし95℃前後の比較的高い温度で提供される食品の包装に使用される。また、熱湯を加えて喫食する即席食品の容器としても用いられる。さらに、清涼飲料水、アイスクリーム、かき氷、果物等の冷蔵、冷凍食品の他、チルド食品等の比較的低温で提供される食品の包装容器としても利用される。
この複合容器10は、例えば、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、デパート、飲食店、屋台等における食品及び飲料の販売時、さらにはビュッフェ形式等の提供、ケータリング、仕出し、宅配サービス等に用いられる。主に想定される用途は、ワンウェイ(one−way)やディスポーザブル(disposable)等と称される1回のみの使用に用いられる使い切り容器(使い捨て容器)である。使い切り容器とすることにより、食品の衛生管理に都合よい。
紙製外筒部材20は、いわゆるスリーブと称される部材であって、円柱形状又は逆円錐台形状の筒状体からなり、複合容器10の容器外形状を椀形状やカップ形状等の食品容器に適した外形に規定される。紙製外筒部材20を構成する材料は、従来公知の厚板紙等、紙又は紙もしくは植物繊維を主体とする紙製材料等が使用される。紙製外筒部材20の厚さは、所望の強度、紙の比熱、加工しやすさ等により選択されるが、例えば厚さ0.3〜3mm程度が好ましい。紙製外筒部材20の厚さが薄すぎると容器外形状を保持するための剛性(形状保持性)が十分に得られないおそれがあり、厚すぎると加工容易性が低下するおそれがある。紙製材料は、環境負荷低減の観点から好ましく、耐熱性にも優れているため、食品用容器を構成する部材の材料として好適である。
紙製外筒部材20は、環境保護の観点から紙原料100%とすることができる。あるいは、容器としての機能上、耐水性、撥水性、耐熱性、耐油性等を兼備させることも可能である。従来公知のように、紙製外筒部材20の片面又は内外両面に、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂等の機能性樹脂層を形成したり、あるいは機能性樹脂フィルムを積層させてもよい。樹脂層の厚みは特に限定されないが、例えば、15〜40μm程度である。実施例では、厚さ33μmの耐熱PET樹脂フィルムが積層される。また、必要に応じて撥水剤等による撥水加工を施してもよい。紙製外筒部材20に耐水性や撥水性を付与することにより、結露や吸湿による軟化を抑制することができ、当該複合容器10の剛性や形状を効果的に保持することができる。
この紙製外筒部材20は、上部開口部21の全周の外周側に巻装形成された筒部カール部22を有し、かつ下部開口部23には内周側に折曲形成され折曲補強部24を有する。筒部カール部22は、上部開口部21を外側へカール状に折り返して形成されるため、上部開口部21の強度が向上する。また、折曲補強部24は、下部開口部23を内周側に折り返して形成されるため、下部開口部23の強度が向上する。また、折曲補強部24は、複合容器10の接地部分であり、当該容器10を安定して立設させる脚部としても作用する。
紙製外筒部材20は、公知の紙製容器の製造方法等により製造することができる。例えば、帯状又は扇状の板紙が環状に曲げられてその両端辺が重ね合わされ接合されて筒状体が形成され、該筒状体の上縁部が外側へカール状に折り返されて上部開口部に筒部カール部が形成されるとともに、下縁部が内側へ折り返されて下部開口部に折曲補強部が形成されて、紙製外筒部材が得られる。
紙製外筒部材20では、必要に応じて、外周面に商品のパッケージデザインのための図柄や写真等による装飾や、商品情報等の適宜の情報の表示が付与される。この装飾や表示は、外筒部材20が紙製であることから、印刷やフィルムの貼着等により容易に加工することができる。表示される情報としては、例えば、内容物の種類、原材料、調理法、注意事項、商品名等の文字情報、商品のバーコード、製造者、販売者等の各種情報が挙げられる。これらの情報表示は、図柄等の装飾とともに印刷して形成する他、シール等の貼着部材等を適宜使用して形成することができる。紙製外筒部材20の装飾や情報表示等により、複合容器10の外観意匠は高められ、商品価値の向上、顧客への訴求性も高められる。
容器体30は、食品等の内容物を収容する合成樹脂シート(プラスチックシート)成形品よりなる部材であり、上部開口部31に外周側に巻装された容器カール部32が形成されている。また、容器体30は、紙製外筒部材20の形状に対応した形状からなり、例えば、円柱形状又は逆角錐台形状に形成される。この容器体30では、図示のように胴部33や底部34が平坦面として形成されるが、必要に応じて適宜の凹凸形状を設けて強度を向上させることも可能である。
この容器体30では、容器カール部32が紙製外筒部材20の筒部カール部22と重合された二重巻着部40として形成されている。二重巻着部40は、容器カール部32が筒部カール部22の外側にその上部側から下部側にわたって密着され緊締されてなる。紙製外筒部材20の筒部カール部22は、前記したように、紙製外筒部材20の上部開口部21の強度を向上させる部位であることから、容器体30の容器カール部32が重合されることによって、容器体30を支持することができる。そこで、容器体30は、二重巻着部40を介して紙製外筒部材20の内周側に吊持保持される。
容器体30は、合成樹脂シート(プラスチックシート)の真空成形品または圧空成形品より形成することができ、安価かつ簡便に量産して製造することができる。容器体30を構成する樹脂材料は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET樹脂)等の熱可塑性樹脂のシート体(合成樹脂シート)、さらにはポリ乳酸等の生分解性の熱可塑性樹脂のシート体である。
特に本発明による容器10にあっては、紙製外筒部材20によって、容器自体の外形状が規定されるものであるから、容器体30としては物品を収容する機能を有すれば、保形性ないし自立性は必ずしも必要ではない。要するに、二重巻着部40によって物品を収容した状態で保持できればよい。従って、環境負荷低減の観点からあるいはコスト低減の観点から、容器体30としての機能を確保できれば、樹脂材料の使用量を抑制して、従来の樹脂製容器よりも肉薄に形成することができる。具体的には、5μm〜500μm程度の厚さである。容器体の厚さは収容される物品の性質や分量等によって決定される。なお、容器体30は前記の合成樹脂シートの真空成形品または圧空成形品より形成する場合には、容器体底面部が壁面部に比して相対的に肉厚に形成され、好ましい形態である。
ここで、容器体30及び二重巻着部40の形成方法について説明すると、容器体30は、例えば、真空成形、圧空成形等の成形時に、予め形成された紙製外筒部材20とともに(インサートとして)、その原材料となる合成樹脂シートから一体に成形することができる。すなわち、容器体30は予め形成された紙製外筒部材20とともに真空成形等することにより、所定の容器形状の賦形と同時に二重巻着部40が形成可能である。そのため、容器体30自体の成形と、紙製外筒部材20への装着とを一括して行うことができ、製造工程が省略できて作業効率を向上させることができる。
本発明の複合容器10は、容器外形状を規定する紙製外筒部材20内に、内容物を収容する容器体30が配置された容器であって、紙製外筒部材20の筒部カール部22に容器体30の容器カール部32が重合されて二重巻着部40として形成されて、二重巻着部40を介して紙製外筒部材20の内周側に容器体30が吊持保持される。このように紙製外筒部材20に吊持保持された容器体30は、胴部33が紙製外筒部材20から離隔されるとともに、底部34が接地することなく配置される。すなわち、図1に示すように、紙製外筒部材20と胴部33との間と、底部34と床部Fとの間に、それぞれ所定の空間部S1,S2が形成される。この空間部S1,S2は、断熱空間として作用する。そのため、容器体30に収容された内容物に対する熱伝導の影響を緩和することができる。
また、複合容器10では、容器体30が接地することなく二重巻着部40のみによって紙製外筒部材20に保持されている。そのため、食品等の内容物が収容された容器体30が自立できる剛性を有していなくても、紙製外筒部材20により容器体30が転倒しないように姿勢を保持することができる。したがって、容器体30を構成する樹脂材料の使用量を抑制して従来より剛性が低い場合であっても、容器としての実用性が損なわれる恐れがない。
さらに、容器体30が二重巻着部40のみによって紙製外筒部材20に保持されることにより、紙製外筒部材20と容器体30との固定に接着剤が不要となる。そのため、複合容器10では、二重巻着部40の筒部カール部22と容器カール部32との結合を解除すれば紙製外筒部材20と容器体30を容易に分離し取り外すことができる。従って、紙製品(紙製外筒部材20)と樹脂製品(容器体30)との分別が容易となり、特に、紙製外筒部材20と容器体30の双方に接着剤が存在しないため、それぞれの資源リサイクルも容易に可能となる。
なお、本発明の複合容器は、前述の実施例のみに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成の一部を適宜に変更して実施することができる。例えば、実施例では容器体が予め形成された紙製外筒部材とともに成形して容器形状の賦形と同時に二重巻着部が形成される構成としたが、これに限定されるものではなく、紙製外筒部材と容器体を個別に成形した後、筒部カール部と容器カール部とを重合させて二重巻着部を形成してもよい。この場合、筒部カール部に容器カール部を重ねた際に、容器カール部をかしめて密着嵌合させることが好ましい。
本発明の複合容器は、内容物を収容する容器体が容器外形状を規定する紙製外筒部材に二重巻着部を介して吊持保持されることにより、容器体の樹脂材料の使用量を抑制した場合でも容器としての実用性を適切に保持することができる。そのため、従来の複合容器の代替品として有望である。
10 複合容器
20 紙製外筒部材
21 紙製外筒部材の上部開口部
22 筒部カール部
23 下部開口部
24 折曲補強部
30 容器体
31 容器体の上部開口部
32 容器カール部
33 容器体の胴部
34 容器体の底部
40 二重巻着部
F 床部
S1,S2 空間部
20 紙製外筒部材
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Claims (4)
- 容器外形状を規定する紙製外筒部材と、内容物を収容するプラスチックシート成形品よりなる容器体とからなり、
前記紙製外筒部材は、上部開口部に外周側に巻装形成された筒部カール部を有し、かつ下部開口部には内周側に折曲形成され折曲補強部を有し、
前記容器体は、上部開口部に外周側に巻装された容器カール部が形成されているとともに、該容器カール部は前記紙製外筒部材の筒部カール部と重合された二重巻着部として形成されていて、前記二重巻着部を介して前記紙製外筒部材の内周側に吊持保持されている
ことを特徴とする複合容器。 - 紙製外筒部材の厚さが0.3〜3mmである請求項1に記載の複合容器。
- 容器体の厚さが5μm〜500μmである請求項1又は2に記載の複合容器。
- 容器体が真空成形品又は圧空成形品である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の複合容器。
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---|---|---|---|
JP2020106352A JP2022001497A (ja) | 2020-06-19 | 2020-06-19 | 複合容器 |
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JP2020106352A JP2022001497A (ja) | 2020-06-19 | 2020-06-19 | 複合容器 |
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