JP2022001431A - ポリエステルフィルム - Google Patents

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秀夫 荘司
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Abstract

【課題】本発明は、離型用二軸配向ポリエステルフィルムに関するものであり、積層構成を有し、特定の層がブチレンテレフタレートを繰り返し単位として有するポリエステルを適当な範囲で含み、かつ当該層の中心線平均粗さおよび水接触角がそれぞれ適当な範囲であることにより、マット調が必要な回路形成工程において、加熱プレス前に十分な密着性を有し、かつ加熱プレス後には良好な剥離性を有する、工程適合性の高い耐熱離型フィルムとして特に適している離型用二軸配向ポリエステルフィルムに関するものである。【解決手段】ポリエステルB層の少なくとも片面にポリエステルA層を有してなるフィルムであって、A層は、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位として有するポリエステルを5質量%以上30質量%以下含み、中心線平均粗さRaが0.20μm以上1.00μm以下、かつ、水接触角が70°以上84°以下であるポリエステルフィルムとする。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエステルB層の少なくとも片面にポリエステルA層を有してなるポリエステルフィルムに関するものである。
近年、スマートフォン、タブレットの拡大に伴う回路の集積化により、プリント配線基板の高精度、高密度化が進んでいる。プリント配線基板の製造工程において、絶縁基材(ポリイミド樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂等)表面に回路を設けた上で、絶縁および回路保護を目的として、接着層を有する耐熱樹脂フィルムであるカバーレイを被覆し、離型フィルムを介して、プレスラミネートによる成形を行うが、この際、プリント配線板材料、プレス板との離型性、対形状追従性、均一な成形性、マット調外観等に優れたフィルムが求められている。また、回路基板表面に、加熱プレスにより、絶縁層や電磁波シールド層などの機能層を転写させる基材としても、外観、離型性に優れるマット調フィルムのニーズが高まっている。
該用途へ適用するフィルムとして、無機粒子または、有機粒子を高濃度に含有するポリエステルフィルムが提案されている(例えば特許文献1など)。
特開2018−202840号公報
しかしながら、特許文献1に記載されたフィルムは、フィルム表面に凸凹が形成されることで表面の低光沢感には優れるものの、フィルム表面の凸凹によるアンカー効果により密着力が高まり、重剥離となるため離型性が不十分となる課題があった。特に、離型性が不十分であると、紐状の残渣が発生して品位が低下する課題もあった。
本発明の課題は、上記した従来技術の問題点を解消することにある。すなわち、積層構成を有し、特定の層がブチレンテレフタレートを繰り返し単位として有するポリエステルを適当な範囲で含み、かつ当該層の中心線平均粗さおよび水接触角がそれぞれ適当な範囲であることにより、マット調が必要な回路形成工程において、加熱プレス前に十分な密着性を有し、かつ加熱プレス後には良好な剥離性を有する、工程適合性の高い耐熱離型フィルムとして特に適しているポリエステルフィルムを提供することにある。
かかる課題を解決するための本発明の要旨とするところは、ポリエステルB層の少なくとも片面にポリエステルA層を有してなるフィルムであって、前記ポリエステルA層は、ポリエステルフィルムの少なくとも片側の表層を形成し、かつ、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位として有するポリエステルを5質量%以上30質量%以下含み、かつ、前記ポリエステルA層の表面における中心線平均粗さRaが0.20μm以上1.00μm以下、かつ、水接触角が70°以上84°以下であるポリエステルフィルムである。
本発明のポリエステルフィルムは、積層構成を有し、表層を形成する層がブチレンテレフタレートを繰り返し単位として有するポリエステルを適当な範囲で含み、かつ当該層の中心線平均粗さおよび水接触角がそれぞれ適当な範囲であることにより、マット調が必要な回路形成工程において、加熱プレス前に十分な密着性を有し、かつ加熱プレス後には良好な剥離性を有するポリエステルフィルムを提供することができる。
以下、本発明のポリエステルフィルムの形態について説明する。
本発明のポリエステルフィルムを構成するポリエステルとは、主鎖における主要な結合をエステル結合とする高分子化合物の総称である。そして、ポリエステル樹脂は、通常ジカルボン酸あるいはその誘導体とグリコールあるいはその誘導体を重縮合反応させることによって得ることができる。
本発明のポリエステルフィルムは、加熱プレス成形性を有するためにポリエステルB層の少なくとも片面にポリエステルA層を有してなるフィルムであって、前記ポリエステルA層は、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位として有するポリエステルを5質量%以上30質量%以下含むことが必要である(以下、ポリエステルA層を単に「A層」、ポリエステルB層を単に「B層」という場合がある)。ブチレンテレフタレートを繰り返し単位として有するポリエステルは高温高圧下では分子鎖のエステル化や分解の反応が進みやすいため、A層における当該ポリエステルの含有量が5質量%以上であることにより、転写時にうまく剥離することができる。さらには、当該ポリエステルを適用することで、製膜工程においては、分子鎖の絡みあいが多くなることから、フィルムの破断を抑制できる。
一方で、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位として有するポリエステルはガラス転移温度が他のポリエステル、特にポリエチレンテレフタレートに比べて低く、高温で軟化しやすい傾向が有るため、A層における当該ポリエステルの含有量が30質量%を超えると、横延伸工程および熱固定工程において延伸端部を把持するクリップに粘着したりするなどの原因から製膜破れとなる懸念が有る。
加熱プレス後の剥離性を良くする観点から、前記ブチレンテレフタレートを繰り返し単位として有するポリエステルは、ポリマー中の全ジオール単位100mol%中に、1,4−ブテンジオール由来のモノマー単位を50mol%以上含むことが好ましい。50mol%未満であると、加熱プレス前の密着性に劣る場合がある。
また、加熱プレス前の密着性と加熱プレス後の剥離性を両立する観点では、前記ブチレンテレフタレートを繰り返し単位として有するポリエステルはポリエーテル構造を有するポリマー共重合体であることがより好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、マット調外観を達成するためにA層の表面における中心線平均粗さRaが0.20μm以上1.00μm以下である必要がある。A層の表面の中心線平均粗さを0.20μm以上1.00μm以下とすることで、回路用工程フィルムとしての離型性、マット調外観を達成しやすくなる。より好ましくは、中心線平均粗さRaは0.35μm以上1.00μm以下、さらに好ましくは0.35μm以上0.80μm以下である。中心線平均粗さRaが0.20μm未満では、転写体のマット感が不足し、意匠性に劣る。一方で、Raが1.00μmより大きくなると、突起やその周囲に発生する気泡により、製膜破れが発生し、製膜性に劣る懸念がある。なお、A層の表面における中心線平均粗さRaは実施例に記載の方法で測定するものとする。
本発明のポリエステルフィルムは、マット調外観を達成するためには60°光沢度が低いほど好ましく、具体的には、60°光沢度が30%以下であることが好ましく、より好ましくは、25%以下である。60°光沢度が30%より大きい場合は、転写体のマット感が不足し、意匠性に劣る場合がある。なお、60°光沢度は実施例に記載の方法で測定するものとする。
本発明のポリエステルフィルムは、加熱プレス前の十分な密着性と加熱プレス後の良好な離型性を付与する観点、特に離型時における残渣の発生を抑制する観点からA層表面の水接触角が70°以上84°以下である必要がある。A層表面の水接触角を70°以上84°以下とすることで、回路用工程フィルムとしての離型性、マット調外観を達成しやすくなる。水接触角が70°未満では剥離性が低下してしまい、転写時にフィルムがうまく剥離できずフィルムが破断してしまう場合がある。一方で、84°を超えると離型フィルムが搬送時や保管時に自然剥離してしまう場合や離型時における残渣の発生がおこる場合がある。本発明において、水接触角とは、後述する測定方法に基づいて求められるものであり、協和界面科学社製の接触角計「CA−装置D型」を用い、スポイトで水滴をフィルム表面に0.5mm3滴下し、滴下から20秒後に、フィルム表面と液滴の接触端点と液滴の頂点を結んだ直線と、フィルム表面のなす角度を計測し、その値を2倍にすることで、算出されるものであり、n=10で測定し、最大値と最小値を除いたn=8の平均値を、そのフィルム表面における水接触角とする。
なお、A層表面の水接触角を70°以上84°以下とする方法として、例えば、前記ポリエステルA層がブチレンテレフタレートを繰り返し単位として有するポリエステルを5質量%以上30質量%以下含み、かつ後述するようにワックスを0.01質量%以上0.3質量%未満を含むことを好ましく挙げることができる。
本発明のポリエステルフィルムは、マット調外観を有するという観点からA層の厚みが2μm以上10μm以下であることが好ましい。2μmより薄い場合、表面のマット感が不足し、意匠性に劣る場合がある。10μmを超えると、突起やその周囲に発生する気泡により、製膜破れが発生し、製膜性に劣る懸念がある。
本発明のポリエステルフィルムは、取り扱い性および生産性の観点からB層の厚みが10μm以上100μm以下であることが好ましい。10μmより薄いと、搬送時にシワになりやすく、また、本発明のポリエステルフィルムを加熱する工程において、熱により黄変やカール等の懸念がある。100μmより厚いと、フィルムが硬くなるため加熱プレス後の剥離時などの取り扱い性に劣り好ましくない。
本発明のポリエステルフィルムは、加熱プレス前に十分な密着性を有し、かつ加熱プレス後に離型性を付与する観点、特に離型時における残渣の発生を抑制する観点から、A層はワックスを含んでおり、当該ワックスの含有率が、A層全体に対して0.01質量%以上0.3質量%未満であるであることが好ましい。A層のワックスの含有量は、A層全体に対して0.05質量%以上0.30質量%未満であるであることがより好ましく、0.1質量%以上0.25質量%以下であることが最も好ましい。
また、本発明において用いられるワックスは、市販の各種のワックス、例えば石油系ワックス、植物性ワックス、動物系ワックス、低分子量ポリオレフィン類などを使用することができ、特に制限されるものではないが、石油系ワックス、植物系ワックスの使用が好ましく、ワックスを構成する総炭素数が30〜120の化合物であることがより好ましい。石油系ワックスとしてはパラフィンワックス、マイクロクリステリンワックス、酸化ワックスなどが挙げられるが、酸化ワックスが特に好ましい。また、植物性ワックスとしてはキャンデリラワックス、カルナウバワックス、木ロウ、オリーキューリーワックス、サトウキビワックス、ロジン変性ワックスなどが挙げられるが、繰り返しの加工工程を通り、加熱プレス後においても優れた離型性を発現させる点から、カルナウバワックスが好ましい。また、ロジン、不均化ロジン、水添ロジンおよびα,β置換エチレン(α置換基:カルボキシル基、β置換基:水素又はメチルまたはカルボキシル)付加物からなる群より選ばれた1以上および炭素数1〜8のアルキルまたはアルケニルアルコールポリマー(繰り返し単位1〜6)のエステル付加物との組成物も好ましく用いられる。
本発明のポリエステルフィルムは、マット調外観を達成する観点からA層は平均粒子径が2.0μm以上10.0μm以下である無機粒子および/または有機粒子を含んでおり、当該粒子の含有量がA層全体に対して2.0質量%以上40質量%以下であることが好ましい。マット調外観、剥離時のフィルム破れを防止する観点から、本発明に用いられる無機粒子および/または有機粒子の平均粒子径は3.0μm以上9.0μm以下であればより好ましく、4.0μm以上8.0μm以下であれば最も好ましい。なお、本発明における平均粒子径とは、D=ΣDi/N(Di:粒子の円相当径、N;粒子の個数)で表される数平均径Dのことを指す。なお、前記平均粒子径は実施例に記載の方法で求めるものとする。また、本発明のA層の粒子含有量の下限について、A層全体に対して2.0質量%以上含有することがより好ましく、2.5質量%以上含有することが最も好ましい。本発明のA層の粒子含有量の上限について、A層全体に対して35質量%以下含有することがより好ましい。
本発明で使用する無機粒子および/または有機粒子としては特に限定されるものではないが、たとえば、無機粒子としては、湿式および乾式シリカ、コロイダルシリカ、ケイ酸アルミ、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、酸化アルミ、二酸化チタン、硫酸バリウム亜鉛華、硫酸亜鉛など、有機粒子としては、スチレン、シリコーン、アクリル酸類、メタクリル酸類、ポリエステル類、ジビニル化合物などを構成成分とする粒子を使用することができる。なかでも、湿式および乾式シリカ、コロイダルシリカ、ケイ酸アルミなどの無機粒子およびスチレン、シリコーン、アクリル酸、メタクリル酸、ポリエステル、ジビニルベンゼンなどを構成成分とする粒子を使用することが好ましい。マット外観、経済性の観点からは、湿式および乾式シリカ、コロイダルシリカ、ケイ酸アルミが特に好ましく用いられる。なお、これらの外部添加粒子は二種以上を併用してもよい。
(製造方法)
次に本発明のポリエステルフィルムの具体的な製造方法の例について記載するが、本発明はかかる例に限定して解釈されるものではない。
ポリエステルA層を構成するポリエステルとポリエステルB層を構成するポリエステルを単軸押出機に供給し溶融共押出する。ポリエステルA層は、粒子含有量が多い高濃度マスターペレットと粒子含有量の少ないポリエステルを混合して用いてもよい。この際、樹脂温度は265℃〜295℃に制御することが好ましい。そして、混合したポリエステル樹脂を単軸押出機に供給し溶融押出する。この際、樹脂温度は265℃〜295℃に制御することが好ましい。ついで、フィルタやギヤポンプを通じて、異物の除去、押出量の均整化を各々行い、Tダイより冷却ドラム上にシート状に吐出する。その際、高電圧を掛けた電極を使用して静電気で冷却ドラムと樹脂を密着させる静電印加法、キャスティングドラムと押出したポリマーシート間に水膜を設けるキャスト法、キャスティングドラム温度をポリエステル樹脂のガラス転移点〜(ガラス転移点−20℃)にして押出したポリマーを粘着させる方法、もしくは、これらの方法を複数組み合わせた方法により、シート状ポリマーをキャスティングドラムに密着させ、冷却固化し、未延伸フィルムを得る。これらのキャスト法の中でも、ポリエステルを使用する場合は、生産性や平面性の観点から、静電印加する方法が好ましく使用される。
本発明のポリエステルフィルムは、耐熱性、寸法安定性の観点から二軸配向フィルムとすることが好ましい。二軸配向フィルムは、未延伸フィルムを長手方向に延伸した後、幅方向に延伸する、あるいは、幅方向に延伸した後、長手方向に延伸する逐次二軸延伸方法により、または、フィルムの長手方向、幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸方法などにより延伸を行うことで得ることができる。
かかる延伸方法における延伸倍率としては、長手方向に2.8倍以上3.4倍以下、さらに好ましくは2.9倍以上3.3倍以下が採用される。また、延伸速度は1,000%/分以上200,000%/分以下であることが望ましい。また長手方向の延伸温度は、70℃以上100℃以下とすることが好ましい。また、幅方向の延伸倍率としては、好ましくは2.8倍以上3.8倍以下、さらに好ましくは、3.0倍以上3.6倍以下が採用される。幅方向の延伸速度は1,000%/分以上200,000%/分以下であることが望ましい。また、本発明の特徴とする表面形状をフィルム表面に形成せしめる目的から、幅方向の延伸温度は、延伸後半温度をポリエステルA層のTcc以上の温度とし、延伸前半温度を延伸後半温度より−40℃以上、延伸後半温度より−30℃以下、延伸中盤温度を延伸後半温度より−30℃以上、延伸後半温度より−15℃以下と、延伸前半温度、延伸中盤温度、延伸後半温度の順に温度を段階的に高くしていく温度条件が好ましい。
さらに二軸延伸の後にフィルムの熱処理を行うが、この熱処理はオーブン中で定長もしくは順次収縮させながら140〜230℃の熱処理温度で1〜30秒間熱処理を行う。さらに熱収縮率を低減させるために、熱処理後に、140℃以上180℃未満で徐冷を行うことも好ましい。
本発明のポリエステルフィルムは、ポリエステルB層の少なくとも片面にポリエステルA層を有してなる積層構成を有し、特定の層(ポリエステルA層)がポリエステルフィルムの少なくとも片側の表層を形成し、かつ、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位として有するポリエステルを適当な範囲で含み、かつ当該層の中心線平均粗さおよび水接触角がそれぞれ適当な範囲であることにより、マット調が必要な回路形成工程において、加熱プレス前に十分な密着性を有し、かつ加熱プレス後には良好な剥離性を有する、工程適合性の高い耐熱離型フィルムとして好適に用いることができる。
[物性の測定方法及び効果の評価方法]
本発明における特性値の測定方法及び効果の評価方法は次の通りである。
(1)ポリエステルの組成
ポリエステル樹脂およびフィルムをヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に溶解し、H−NMRおよび13C−NMRを用いて各モノマー残基成分や副生ジエチレングリコールについて含有量を定量することができる。積層フィルムの場合は、積層厚みに応じて、フィルムの各層を削り取ることで、各層単体を構成する成分を採取し、評価することができる。なお、本発明のフィルムについては、フィルム製造時の混合比率から計算により、組成を算出した。
(2)粒子の含有量
ポリマー1gを1N−KOHメタノール溶液200mlに投入して加熱還流し、ポリマーを溶解した。溶解が終了した該溶液に200mlの水を加え、ついで該液体を遠心分離器にかけて粒子を沈降させ、上澄み液を取り除いた。粒子にはさらに水を加えて洗浄、遠心分離を2回繰り返した。このようにして得られた粒子を乾燥させ、その質量を量ることで粒子の含有量を算出した。積層フィルムの場合は、積層厚みに応じて、フィルムの各層を削り取ることで、各層単体を構成する成分を採取し、評価することができる。
(3)粒子の平均粒子径
(2)で得られた粒子について、スペクトリス株式会社製レーザー回折式粒度分布測定装置(“マスターサイザー”(登録商標)2000)にかけて粒度分布を測定し、その数平均を当該粒子の平均粒子径として測定することが可能である。積層フィルムの場合は、積層厚みに応じて、フィルムの各層を削り取ることで、各層単体を構成する成分を採取し、評価することができる。なお、本発明のフィルムについては、同一技術を用いて粒子メーカーにて測定・評価された粒子径の測定値を入手し、用いた。
(4)初期密着力
本発明のポリエステルフィルムのA層上に、アプリケーターを用いて、ハードコート層(共栄社化学製UF−TCI−1)を乾燥後厚み40μmとなるように塗工し、80℃で10分間乾燥した。その後、幅10mm、長さ150mmの矩形に切り出しサンプルとした。該積層体を、本発明のポリエステルフィルム/HC(ハードコート)積層体/厚さ0.125mmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン製“カプトン”(登録商標)500H/V)/厚さ0.2mmのアルミニウム板の構成体とし、ローラーで密着させる。本積層体を5セット用意し、密着直後、および、23℃×65%RHの室内に24時間保管後(以下、単に24時間保管後とも記載する)、各々密着状態を目視観察し、下記基準で評価し、B以上(AまたはB)を合格とした。
A:全ての積層体において、密着直後、24時間保管後ともフィルムに浮きが発生しなかった。
B:1つ以上の積層体において、密着直後はフィルムに浮きが発生せず、24時間保管後にフィルムに浮きが発生した。
C:1つ以上の積層体において、密着直後、24時間保管後ともフィルムに浮きが発生した。
(5)耐熱離型性
(4)の積層体をさらに、厚さ0.2mmのアルミニウム板/厚さ0.125mmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン製“カプトン”(登録商標)500H/V)/本発明のポリエステルフィルム/HC積層体/厚さ0.125mmのポリイミドフィルム(東レ・デュポン製“カプトン”(登録商標)500H/V)/厚さ0.2mmのアルミニウム板の構成体とし、該積層体を用いて、上金型温度、下金型温度ともに温度160℃に加熱したプレス機を使用し、を1.5MPaの条件下で1時間加熱プレスを行った。加熱プレス後に室温まで冷却後、厚さ0.2mmのアルミニウム板と厚さ0.125mmのポリイミドフィルムを取り外してポリエステルフィルム/HC積層体を取り出し、2000mJ/cmの照度の紫外線を照射し、該積層体の片端を手で幅10mm、長さ10mm剥離した後、ポリエステルフィルム、HCの各剥離部を把持し、引っ張り試験機(オリエンテック社製RTC−1210A)を用いて300mm/minの速度で180℃剥離する。これをn=10で実施し、各々、ポリエステルフィルムとHC層の表面を目視で確認し、下記の基準で評価しB以上(AまたはB)を合格とした。
A:10個ともフィルム破れがなく、かついずれもHC面への付着残渣が発生しなかった。
B:フィルム破れ、および/または、HC付着残渣の発生があったものが1個であった。
C:フィルム破れ、および/または、HC付着残渣の発生があったものが2個以上であった。
(6)光沢度
JIS Z 8741(1997年)に規定された方法に従って、スガ試験機製デジタル変角光沢度計UGV−5Dを用いて、ポリエステルフィルムのA層表面の60度光沢度の測定を行った。測定はn=5で行い、最大値と最小値を除いた平均値を採用した。
(7)中心線平均粗さRa
JIS B 0601(2001年)に従い、(株)菱化システム社製 “VertScan”(登録商標)2.0 R5300GL−Lite−ACを使用して中心線平均粗さ中心線粗さRaを測定した。測定は、ポリエステルA層側の表面について行い、フィルムの両表層がA層の場合は、フィルム両面(最もRaの大きい面をI面、反対面をII面とする)について、それぞれN=3で行い、その平均値を採用した。なお、測定条件の詳細は次のとおりである。
製造元 : 株式会社菱化システム
装置名 : “VertScan”(登録商標)2.0 R5300GL−Lite−AC
測定条件 : CCDカメラ SONY HR−57 1/2インチ
対物レンズ 5x
中間レンズ 0.5x
波長フィルタ 530nm white
測定モードFocus
測定ソフトウェア :VS−Measure Version5.5.1
解析ソフトフェア :VS−Viewer Version5.5.1
測定面積:1.252×0.939mm
(8)水接触角
協和界面科学社製の接触角計「CA−装置D型」を用い、スポイトで水滴をフィルム表面に0.5mm3滴下し、滴下から20秒後に、フィルム表面と液滴の接触端点と液滴の頂点を結んだ直線と、フィルム表面のなす角度を計測し、その値を2倍にすることで、算出した。n=10で測定し、最大値と最小値を除いたn=8の平均値を、そのフィルム表面における水接触角とした。
(9)各層厚み
フィルムをミクロトームを用いて厚み方向に切断し、切片サンプルを得た。該切片サンプルの断面を電界放出型走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ製)を用いて、500〜2000倍の倍率で撮像し、撮像から積層厚みを採寸し各層厚みと厚み比を算出した。
(10)ワックス含有量
ポリエステル樹脂およびフィルムをヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に溶解し、H−NMRおよび13C−NMRを用いてワックス成分特有のピーク成分を評価することで含有量を定量することができる。積層フィルムの場合は、積層厚みに応じて、フィルムの各層を削り取ることで、各層単体を構成する成分を採取し、評価することができる。なお、本発明のフィルムについては、フィルム製造時の混合比率から計算により、組成を算出した。
(ポリエステルの製造)
製膜に供したポリエステル樹脂は以下のように準備した。
(ポリエステルA)
ジカルボン酸成分としてテレフタル酸成分が100mol%、グリコール成分としてエチレングリコール成分が100mol%であるポリエチレンテレフタレート樹脂(固有粘度0.65)をポリエステルAとして用いた。
(ポリエステルB)
テレフタル酸100質量部、1,4−ブタンジオール110質量部の混合物を窒素雰囲気下で140℃まで昇温して均一溶液とした後、オルトチタン酸テトラ−n−ブチル0.054質量部、モノヒドロキシブチルスズオキサイド0.054質量部を添加し、常法によりエステル化反応を行った。次いで、オルトチタン酸テトラ−n−ブチル0.066質量部を添加して、減圧下で重縮合反応を行い、固有粘度0.88のポリブチレンテレフタレート樹脂を得た。その後、固相重合を行って得た固有粘度1.20のポリブチレンテレフタレート樹脂をポリエステルBとして用いた。
(ポリエステルC)
ポリブチレンテレフタレート構造とポリテトラメチレングリコール構造を有する共重合体である東レ・デュポン社製“ハイトレル”(登録商標)型番:7247をポリエステルCとして用いた。
(ポリエステルD)
ポリエステルA中にカルナウバワックスを3.0質量%含有したポリエチレンテレフタレートワックスマスター(固有粘度0.65)をポリエステルDとして用いた。
(マスター原料E)
ポリエステルA中に数平均粒子径3.8μmの凝集シリカ粒子を粒子濃度6質量%で含有したポリエチレンテレフタレート粒子マスター(固有粘度0.65)をマスター原料Eとして用いた。
(マスター原料F)
ポリエステルA中に数平均粒子径5.7μmの凝集シリカ粒子を粒子濃度6質量%で含有したポリエチレンテレフタレート粒子マスター(固有粘度0.65)をマスター原料Fとして用いた。
(マスター原料G)
ポリエステルA中に数平均粒子径3.8μmのケイ酸アルミニウム粒子を粒子濃度6質量%で含有したポリエチレンテレフタレート粒子マスター(固有粘度0.65)をマスター原料Gとして用いた。
(マスター原料H)
ポリエステルA中に数平均粒子径3.8μmのジビニルベンゼン/スチレン(20/80)架橋粒子を粒子濃度10質量%になるように添加して、粒子を粒子濃度10質量%で含有したポリエチレンテレフタレート粒子マスター(固有粘度0.65)をマスター原料Hとして用いた。
(マスター原料I)
酸成分全体100mol%中にテレフタル酸を85mol%、イソフタル酸を15mol%使用し、グリコール成分としてエチレングリコールを用いて、三酸化アンチモンを触媒として、常法により重合を行い、固有粘度0.65のイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートを得た。こうして得られたイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレート中に、数平均粒子径5.7μmの硫酸バリウム粒子を粒子濃度50質量%で含有したポリエチレンテレフタレート粒子マスター(固有粘度0.60)をマスター原料Iとして用いた。
(マスター原料J)
グリコール成分としてシクロヘキサンジメタノールをポリエチレンテレフタレートに共重合した、イーストマン社製ポリエステル樹脂(“Easter”(登録商標) 型番GN001)の中に、数平均粒子径5.7μmの硫酸バリウム粒子を粒子濃度50質量%で含有したポリエチレンテレフタレート粒子マスター(固有粘度0.70)をマスター原料Jとして用いた。
(マスター原料K)
グリコール成分としてシクロヘキサンジメタノールをポリエチレンテレフタレートに共重合した、イーストマン社製ポリエステル樹脂(“Easter”(登録商標) 型番GN001)の中に、数平均粒子径0.6μmの硫酸バリウム粒子を粒子濃度50質量%で含有したポリエチレンテレフタレート粒子マスター(固有粘度0.70)をマスター原料Kとして用いた。
(実施例1)
組成を表の通りとして、原料をそれぞれ酸素濃度0.2体積%とした別々の単軸押出機に供給し、A層押出機シリンダー温度を270℃、B層押出機シリンダー温度を270℃で溶融し、A層とB層合流後の短管温度を275℃、口金温度を280℃に設定しで、樹脂温度280℃で、Tダイより25℃に温度制御した冷却ドラム上にシート状に吐出した。その際、直径0.1mmのワイヤー状電極を使用して静電印加し、冷却ドラムに密着させ未延伸シートを得た。次いで、長手方向への延伸前に加熱ロールにてフィルム温度を上昇させ、延伸温度85℃で長手方向に3.1倍延伸し、すぐに40℃に温度制御した金属ロールで冷却化した。その後、テンター式横延伸機にて延伸前半温度100℃、延伸中盤温度110℃、延伸後半温度120℃で幅方向に3.5倍延伸し、そのままテンター内にて、230℃で熱処理を行い、幅方向に5%のリラックスを掛けながら熱処理を行い、ポリエステルA層厚みとB層厚みおよび総厚みが表2の通りになるように積層し、A層/B層/A層の3層構成の二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(実施例2〜20、26〜31)
組成を表1もしくは表3の通りに、各層積層厚みを表2もしくは表4の通りに、それぞれ変更した以外は実施例1と同様にして、二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(実施例21〜25)
組成を表3の通りに、各層積層厚みを表4の通りに、それぞれ変更し、層構成をA層/B層の2層構成とした以外は実施例1と同様にして、二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(比較例1〜6、8〜10)
組成を表5の通りに、各層積層厚みを表6の通りに、それぞれ変更した以外は実施例1と同様にして、二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
(比較例7)
組成を表5の通りに、変更し、層構成をA層のみの構成とした以外は実施例1と同様にして、二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
Figure 2022001431
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表6におけるポリエステルA層表面評価の項目において「−」は、製膜破れが多く評価出来なかったことを表す。

Claims (5)

  1. ポリエステルB層の少なくとも片面にポリエステルA層を有してなるフィルムであって、前記ポリエステルA層は、ポリエステルフィルムの少なくとも片側の表層を形成し、かつ、ブチレンテレフタレートを繰り返し単位として有するポリエステルを5質量%以上30質量%以下含み、前記ポリエステルA層の表面における中心線平均粗さRaが0.20μm以上1.00μm以下、かつ、水接触角が70°以上84°以下であるポリエステルフィルム。
  2. 前記ポリエステルA層の厚みが、2μm以上10μm以下である、請求項1に記載のポリエステルフィルム。
  3. 前記ポリエステルB層の厚みが、10μm以上100μm以下である、請求項1または2に記載のポリエステルフィルム。
  4. 前記ポリエステルA層はワックスを含んでおり、当該ワックスの含有率が、前記ポリエステルA層全体に対して0.01質量%以上0.3質量%未満である請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  5. 前記ポリエステルA層は平均粒子径が2.0μm以上10.0μm以下である無機粒子および/または有機粒子を含んでおり、当該粒子の含有量が前記ポリエステルA層全体に対して2.0質量%以上6.0質量%以下である請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
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