JP2022001390A - ストレートコレット - Google Patents
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Abstract
【課題】従来よりも大きな把握力を発揮するコレットを提供する。【解決手段】コレット10は、円筒形状であって、当該円筒の先端に形成されるフランジ12と、円筒部に形成される複数のスリ割13とを有する。円筒の外周面は、先端側から末端側まで一定外径の外径ストレート領域16を含む。円筒の内周面は、先端側から末端側に向かって一定深さまで延びる一定内径の工具挿入孔11を画成する。コレット10は縮径することによって工具挿入孔11に差し込まれる切削工具を把握する。外径ストレート領域11および工具挿入孔11の内周面11nは、摩擦係数が高くなるよう表面処理が施されている。【選択図】図1
Description
本発明は、エンドミル等の工具のシャンク部を把握するコレットに関する。
工作機械の主軸に装着されて工具ホルダとして従来、例えば特開2003−266274号公報(特許文献1)に記載のものが知られている。特許文献1の工具ホルダは、ホルダ本体と、ホルダ本体の先端中心に取り付けられるストレートコレットおよび締付金具を備える。ストレートコレットの中心孔には先端から工具が挿入される。締付金具を締め付け方向に回転させてホルダ本体の内周面がストレートコレットの外周面を締め付けると、ストレートコレットが縮径して工具を把握する。ホルダ本体の末端側は、テーパ形状であり、工作機械の主軸に設けられたテーパ穴に引き込まれて装着される。
特許文献1のストレートコレット等、従来のコレットは、コレット外周面を締め付けられてスリ割りの間隔が狭まることにより縮径して工具を把握し、締め付けを緩められて把握を解除する。このようにコレットは弾性変形すれば足り、工具ホルダの内部に設けられるため錆の心配もないので、コレットの金属表面は表面処理されていない。
近年、大型のワークや、インコネル(登録商標)等の難削材を長時間切削することが要求されている。このため工具が工具ホルダから抜け出さないよう、従来よりも確りと把握したいという要求がある。
本発明は、上述の実情に鑑み、従来よりも大きな把握力を発揮するコレットを提供することを目的とする。
この目的のため本発明によるストレートコレットは、円筒部と、当該円筒部の先端に形成されるフランジと、円筒部に形成される複数のスリ割とを有し、円筒部の外周面は先端側から末端側まで一定外径の外径ストレート領域を含み、円筒部の内周面は先端側から一定深さまで一定内径の工具挿入孔を画成し、縮径することによって工具挿入孔に差し込まれる切削工具を把握するコレットにおいて、摩擦係数が高くなるよう外径ストレート領域および工具挿入孔の内周面に表面処理が施されていることを特徴とする。
かかる本発明によれば、相手材の工具ホルダと接触する外周面と、相手材の工具と接触する内周面に表面処理されることから、コレットは従来よりも大きな把握力を発揮する。
工具挿入孔は、コレット円筒部の中心孔の全長を占めるものであってもよいし、例えばコレット円筒部の中心孔の先端部、に設けられてもよい。また工具挿入孔の軸線方向寸法は、外径ストレート領域と同じであってもよいし、異なっていてもよい。本発明の一局面として、コレット円筒部の内周面は、工具挿入孔の内径とは異なる内径の内径第2領域と、工具挿入孔の内周面および内径第2領域の内周面を接続する段差をさらに含む。かかる局面によれば、標準寸法の工具よりも小型の工具を把握することができる。
コレットに施される表面処理は、塗膜、被膜、目荒らし等、特に限定されないが、本発明の好ましい局面として、コレット鉄表面の表面処理は四三酸化鉄被膜である。かかる局面によれば、コレット表面に黒染の被膜が形成されることから、コレットに赤さびを寄せ付けず、耐久性が向上する。
このように本発明によれば、把握力が従来よりも大きくなり、大型のワークや、インコネル(登録商標)等の難削材を長時間切削することができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面に基づき詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態になるストレートコレットを示す側面図および断面図であり、コレットの中心を示す軸線Oより下が側面図であり、軸線Oよりも上が断面図である。図2は、第1実施形態を示す正面図であり、先端側からみた原形を表す。円筒形状のコレット10は、中心孔を区画する円筒形状のストレートコレットであり、コレット10の大部分を占める円筒部と、当該円筒部の先端に形成されるフランジ12と、円筒部に形成される複数のスリ割り13とを有する。
本実施形態の円筒部は、末端側から中央領域を経て先端側まで軸線O方向に一定の外径を備える。かかる円筒領域を外径ストレート領域16という。また本実施形態の円筒部は、末端側から中央領域を経て先端側まで軸線O方向に一定の内径を備える。当該一定の内径領域は工具挿入孔11を画成する。工具挿入孔11は円筒部の先端から末端に向かって一定深さまで延びる。なお本実施形態の工具挿入孔11は、中心孔の軸線O方向位置全体を占める。工具挿入孔11の内周面11nは、軸線O方向に一定の内径を備える。
スリ割り13は、コレット10の先端から末端に向かって軸線O方向に延び、フランジ12と交差する。スリ割り13の末端13bは、幅広、例えば円形、に形成される。コレット10外周面のうち各末端13bの軸線O方向位置には、円周溝19が形成される。円周溝19は凹状の円弧状断面を有する。なおスリ割り13は、コレット10の末端には形成されていない。このためコレット10の末端14は全周で連続した環をなす。本実施形態のスリ割り13は、周方向等間隔に複数(3か所)設けられる。
コレット10外周面のうちフランジ12と外径ストレート領域16の境界には円周溝17が形成される。工具挿入孔11の先端側および末端側の角部と、フランジ12の先端側および末端側の角部と、末端14の外径側角部には面取り(11cのみ示す)が形成される。
コレット10は弾性変形可能な鉄製であり、その金属表面全体に表面処理を施される。かかる表面処理は、鉄表面を化学的に変性させた被膜である。本実施形態では四三酸化鉄の被膜が形成される。本実施形態の表面処理は、RPT(Rust Proof Treatment)であり、濃水酸化ナトリウム水溶液等でコレット10の鉄表面を酸化させたものである。かかる表面処理によって、元々銀色であった鉄表面は黒染めされる。四三酸化鉄の被膜は、表面処理を施される前の円滑な鉄表面の摩擦係数を、増大させる。また四三酸化鉄の被膜は、表面処理を施される前の粗な鉄表面に対し、凹凸差を少なくする。
次にコレット10の使用につき説明する。
コレット10は、末端14から先端側の円周溝17まで、図示しない工具ホルダの先端部に差し込まれる。フランジ12は、工具ホルダの先端に係止する。工具挿入孔11には、フランジ12が形成されるコレット10先端から、図示しない切削工具のシャンク部が差し込まれる。切削工具は例えばエンドミルである。そして外径ストレート領域16の外周面15は、工具ホルダと接触して、締め付けられる。そうするとコレット10は縮径し、内周面11nが切削工具のシャンク部に接触して把握する。把握を解除する場合には、工具ホルダによる締め付けを緩めるとよい。そうすると弾性変形していたコレット10は原形に復帰し、工具挿入孔11が元の内径まで広がる。
次に第1実施形態のコレット10と、参考例のコレットについて対比実験を行った。
第1実施形態のコレット10の外径ストレート領域16は、原形で、外径12mm、内径8mmである。また外径ストレート領域16の全長は27mmである。参考例のコレットは、第1実施形態と同様の寸法であるが、表面処理が施されていない従来のストレートコレットであり、鉄表面が露出している。
工具挿入孔11に差し込まれる工具は、第1実施形態および参考例共、上述した8mmに対応する外径寸法であり、同じ差し込み深さで差し込まれる。
外周面15を締め付ける工具ホルダは、第1実施形態および参考例共、上述した12mmに対応する寸法のロールロック式チャッキング工具ホルダである。第1実施形態および参考例は、同じ有効長および同じ締め付け力で締め付けられる。
実験結果として、第1実施形態では、把握力(最大トルク)98.5N・mであった。これに対し、参考例では、把握力(最大トルク)43.1N・mであった。第1実施形態は、参考例の2倍以上の把握力を得ることができた。
この理由として、第1実施形態では、コレット10の外周面15全体および工具挿入孔11の内周面全体にRPT表面処理が施され、四三酸化鉄の被膜が形成されているので、コレット10の外周面15および内周面11nの摩擦係数が大きくなり、相手材(工具ホルダおよび工具シャンク部)との結合が良くなると考えられる。
次に本発明の第2実施形態を説明する。図3は第2実施形態を示す側面図であり、図4は第2実施形態を先端側からみた状態を示す正面図であり、図5は第2実施形態を末端側からみた状態を示す背面図である。第2実施形態につき、前述した実施形態と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成について以下に説明する。第2実施形態のコレット20はスリ割り18をさらに有する。スリ割り18は、末端14を始端としてコレット20の軸線O方向中央部まで形成される。なおスリ割り13,18の終端は、円形ではない。各スリ割り13,18の幅は始端から終端まで一定である。
第2実施形態によっても、鉄表面が露出する従来のストレートコレットと対比して、把握力(トルク)を増大させることができる。
次に本発明の第3実施形態を説明する。図6は第3実施形態を示す側面図および断面図であり、コレットの中心を示す軸線Oより下が側面図であり、軸線Oよりも上が断面図である。図7は第3実施形態を示す正面図であり、先端側からみた原形を表す。第3実施形態につき、前述した実施形態と共通する構成については同一の符号を付して説明を省略し、異なる構成について以下に説明する。第3実施形態のコレット30では、先端側の内径と末端側の内径が異なる。
コレット30の内周面は、工具挿入孔11と、第1段差31と、内径第2領域32と、第2段差33と、内径第3領域34を含む。工具挿入孔11と、第1段差31と、内径第2領域32と、第2段差33と、内径第3領域34は、互いに異なる内径を有し、この順序で先端から末端まで軸線O方向に直列に配列される。
本実施形態の内径第2領域32は、コレット30の軸線O方向中間に設けられ、コレット30先端に設けられる工具挿入孔11よりも大きな内径にされる。第1段差31は環状であり、先端側の工具挿入孔11の内周面11nと、末端側の内径第2領域32の内周面を接続する。内径第3領域34は、コレット30の末端に設けられてコレット30の軸線O方向中央部まで延び、内径第2領域32よりも大きな内径にされる。第2段差33は環状であり、先端側の内径第2領域32の内周面と、末端側の内径第3領域34の内周面を接続する。
外径ストレート領域16はコレット30の先端部から末端部まで延びることから、コレット30の肉厚は、先端側で厚く、末端側で薄くされ、軸線O方向に関して階段状に変化する。
第3実施形態によっても、鉄表面が露出する従来のストレートコレットと対比して、把握力(トルク)を増大させることができる。特に、工具挿入孔11の内径が内径第2領域32よりも小さいことから、小型の切削工具を把握することができる。
以上、図面を参照して本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、図示した実施の形態のものに限定されない。図示した実施の形態に対して、本発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。例えば上述した1の実施形態から一部の構成を抜き出し、上述した他の実施形態から他の一部の構成を抜き出し、これら抜き出された構成を組み合わせてもよい。
本発明は、工作機械において有利に利用される。
10,20,30 コレット、 11 工具挿入孔、 12 フランジ、
13,18 スリ割り、 15,32 外周面、 16 外径ストレート領域、
31 テーパ部分、 O 軸線。
13,18 スリ割り、 15,32 外周面、 16 外径ストレート領域、
31 テーパ部分、 O 軸線。
Claims (3)
- 円筒部と、前記円筒部の先端に形成されるフランジと、前記円筒部に形成される複数のスリ割とを有し、
前記円筒部の外周面は、先端側から末端側まで一定外径の外径ストレート領域を含み、
前記円筒部の内周面は、先端側から一定深さまで一定内径の工具挿入孔を画成し、
縮径することによって前記工具挿入孔に差し込まれる切削工具を把握するコレットにおいて、
摩擦係数が高くなるよう前記外径ストレート領域および前記工具挿入孔の内周面に表面処理が施されていることを特徴とする、ストレートコレット。 - 前記円筒部の内周面は、前記工具挿入孔の内径とは異なる内径の内径第2領域と、前記工具挿入孔の内周面および前記内径第2領域の内周面を接続する段差をさらに含む、請求項1に記載のストレートコレット。
- 前記表面処理は四三酸化鉄被膜である、請求項1または2に記載のストレートコレット。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Citations (4)
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US20160114407A1 (en) * | 2014-10-23 | 2016-04-28 | Hon Hai Precision Industry Co., Ltd. | Tool clamping device and collet thereof |
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- 2020-06-22 JP JP2020106720A patent/JP2022001390A/ja active Pending
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