JP4856447B2 - チャック装置 - Google Patents

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Description

この発明は、引抜き加工用素材等のワークをチャックするためのチャック装置、このチャック装置を用いたワークの加工方法、この加工方法により得られた加工品、前記チャック装置を用いた引抜き管の製造方法、及びこの製造方法により得られた引抜き管に関する。
例えば金属管を引抜き加工により製造する場合には、引抜き加工用の管状素材(ワーク)の引抜き方向前端部(被チャック部)をチャック装置によりチャックした状態で、該素材に対して引抜き加工が行われる。
この引抜き加工の際に用いられるチャック装置は、一般に、素材の前端部が差し込まれる差込み部(差込み孔)を有しており、この差込み部に差し込まれた素材の前端部をその周囲に周方向に並んで配置された複数個のチャック爪でチャックするものとなされている(例えば、特許文献1参照。)。
このチャック装置において、各チャック爪のチャック面には、チャックした素材の前端部が差込み部から抜出するのを防止するための抜け止め用突部が設けられている。この抜け止め用突部は、例えばねじ部(詳述するとねじ山及びねじ溝)から形成されている。
特開2003−25010号公報(請求項1、第1−5図)
而して、抜け止め用突部がねじ部から形成されている場合には、チャック時に抜け止め用突部があたかもノコ歯のような作用を奏し、そのため、切粉が発生するという難点があった。このように切粉が発生すると、この切粉が素材の周面に付着し、その結果、得られる引抜き管に疵が発生するなど、引抜き管の良品率が低下するという問題が発生する。
そこで、切粉の発生を抑制するため、抜け止め用突部をねじ部で形成するのではなく、錐状の突部で形成することが考えられる。
しかしながら、この場合には、チャック時にワークの被チャック部が抜け止め用突部で内方へ押圧されることによって、該被チャック部が扁平状に変形するなど、被チャック部が広がり変形を起こす(後述する比較例1及び図6参照。)。その結果、被チャック部がチャック装置のワーク差込み部から抜出する(すっぽ抜ける)という問題が発生する。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、その目的は、ワークの被チャック部をチャックすることによる切粉の発生を抑制することができ、更に、チャック時に生じることのあるワークの被チャック部の広がり変形に伴うワーク差込み部からの抜出を防止することができるチャック装置、このチャック装置を用いたワークの加工方法、この加工方法により得られた加工品、前記チャック装置を用いた引抜き管の製造方法、及びこの製造方法により得られた引抜き管を提供することにある。
本発明は以下の手段を提供する。
[1] ワークの被チャック部が差し込まれるワーク差込み部と、該ワーク差込み部の周囲に周方向に並んで配置された複数個のチャック爪とを有するチャック装置において、各チャック爪のチャック面に、ワークの被チャック部の周面形状に対応した凹部が設けられるとともに、この凹部の凹面に、1個ないし複数個の錐状のワーク抜け止め用食込み突部が設けられていることを特徴とするチャック装置。
[2] ワークの被チャック部が差し込まれるワーク差込み部と、該ワーク差込み部の周囲に周方向に並んで配置された複数個のチャック爪とを有するチャック装置において、各チャック爪のチャック面に、1個ないし複数個の錐状のワーク抜け止め用食込み突部が設けられるとともに、このチャック面における食込み突部両側の位置に、それぞれ、ワークの被チャック部がチャック時に食込み突部で内方へ押圧されることによる該被チャック部の広がり変形に対する抑制部が突出して設けられ、抑制部は、チャック時にワークの被チャック部の広がり変形部の周面に当接することにより該被チャック部の広がり変形を抑制するものであることを特徴とするチャック装置。
[3] 複数個の食込み突部がワーク差込み部の軸方向に並んで設けられている前項1又は2記載のチャック装置。
[4] ワーク差込み部の軸方向において、一のチャック爪の食込み突部の位置と、該食込み突部に対応する他のチャック爪の食込み突部の位置とが一致している前項1〜3のいずれか1項記載のチャック装置。
[5] 食込み突部は円錐状である前項1〜4のいずれか1項記載のチャック装置。
[6] 食込み突部は、その突出高さが変更可能になるように設けられている前項1〜5のいずれか1項記載のチャック装置。
[7] 食込み突部は取外し可能に設けられている前項1〜6のいずれか1項記載のチャック装置。
[8] 食込み突部は、チャック爪のチャック面に開口したねじ孔に螺合したねじの錐状の先端部からなる前項1〜7のいずれか1項記載のチャック装置。
[9] 食込み突部の頂角が70〜130°の範囲に設定されている前項1〜8のいずれか1項記載のチャック装置。
[10] 複数個の食込み突部がワーク差込み部の軸方向に並んで設けられており、各チャック爪において、食込み突部の間隔が10〜30mmの範囲に設定されている前項1〜9のいずれか1項記載のチャック装置。
[11] 食込み突部の突出高さが1.5mm以上に設定されている前項1〜10のいずれか1項記載のチャック装置。
[12] ワークは管状である前項1〜11のいずれか1項記載のチャック装置。
[13] 引抜き加工に用いられる前項1〜12のいずれか1項記載のチャック装置。
[14] 前項1〜13のいずれか1項記載のチャック装置によりワークの被チャック部をチャックした状態で、ワークを加工することを特徴とするワークの加工方法。
[15] ワークの被チャック部にその先端から15mm以上離れた位置においてチャック装置の食込み突部が食い込むように、ワークの被チャック部をチャックする前項14記載のワークの加工方法。
[16] ワークは、引抜き加工用素材であり、チャック装置によりワークの被チャック部をチャックした状態で、ワークを引抜き加工する前項14又は15のいずれか1項記載のワークの加工方法。
[17] 前項14〜16のいずれか1項記載のワークの加工方法により得られた加工品。
[18] 前項1〜13のいずれか1項記載のチャック装置により引抜き加工用管状素材の口付け部をチャックした状態で、素材を引抜き加工することを特徴とする引抜き管の製造方法。
[19] 素材の口付け部にその先端から15mm以上離れた位置においてチャック装置の食込み突部が食い込むように、素材の口付け部をチャックする前項18記載の引抜き管の製造方法。
[20] 前項18又は19記載の引抜き管の製造方法により得られた引抜き管。
本発明は以下の効果を奏する。
[1]の発明によれば、各チャック爪のチャック面の凹部の凹面に、1個ないし複数個の錐状のワーク抜け止め用食込み突部が設けられていることにより、チャック時に食込み突部がワークの被チャック部の周面に食い込むようになり、ワークの抜け止めを図ることができる。さらに、食込み突部が錐状であることにより、切粉の発生を抑制することができる。
その上、各チャック爪のチャック面の凹部が、ワークの被チャック部の周面形状に対応して形成されていることにより、被チャック部の広がり変形が抑制され、もって被チャック部のワーク差込み部からの抜出を確実に防止することができる。
[2]の発明によれば、[1]の発明と同様に、各チャック爪のチャック面に、1個ないし複数個の錐状のワーク抜け止め用食込み突部が設けられていることにより、チャック時に食込み突部がワークの被チャック部の周面に食い込むようになり、ワークの抜け止めを図ることができる。さらに、食込み突部が錐状であることにより、切粉の発生を抑制することができる。
その上、チャック面における食込み突部両側の位置に、所定の抑制部が突出して設けられているから、被チャック部の広がり変形が抑制され、もって被チャック部のワーク差込み部からの抜出を確実に防止することができる。
[3]の発明によれば、ワークの被チャック部を強固にチャックすることができる。
[4]の発明によれば、ワークの被チャック部を安定良く且つ強固にチャックすることができる。
[5]の発明によれば、切粉の発生を確実に抑制することができる。
[6]の発明によれば、ワークの被チャック部の直径や断面形状又は材質に応じて食込み突部の突出高さを調節することができて、ワークの被チャック部を確実に強固にチャックできる。
[7]の発明によれば、食込み突部の交換を行うことができる。
[8]の発明によれば、食込み突部の突出高さの調節を容易に行うことができるし、食込み突部のチャック爪への取付け作業を容易に行うことができる。また、食込み突部がねじの先端部からなるので、食込み突部を容易に短期納期で且つ低コストで入手することができる。
[9]の発明によれば、チャック時における食込み突部の頂部の破損を防止できるし、食込み突部をワークの被チャック部に確実に食い込ませることができるし、切粉の発生を確実に抑制することができる。
[10]の発明によれば、ワークの被チャック部の潰れを防止できるし、ワークの被チャック部を長さを短くすることができる。
[11]の発明によれば、食込み突部をワークの被チャック部に確実に食い込ませることができて、被チャック部のワーク差込み部からの抜出を更に確実に防止できる。
[12]の発明によれば、ワークが管状である場合であっても、ワークの被チャック部の広がり変形を確実に抑制することができる。
[13]の発明によれば、引抜き加工品の良品率を向上させることができる。
[14]の発明によれば、切粉の発生を抑制できるし、ワークの被チャック部がチャック装置のワーク差込み部から抜出する不具合を確実に防止でき、そのため、加工品の良品率を向上させることができる。
[15]の発明によれば、ワークの被チャック部の先端部が潰れる不具合を確実に防止することができ、そのため、加工品の良品率を向上させることができる。
[16]の発明によれば、引抜き加工品の良品率を向上させることができる。
[17]の発明によれば、高品質の加工品を提供できる。
[18]の発明によれば、引抜き管の良品率を向上させることができる。
[19]の発明によれば、素材の口付け部の先端部が潰れる不具合を確実に防止することができ、そのため、引抜き管の良品率を更に向上させることができる。
[20]の発明によれば、高品質の引抜き管を提供できる。
次に、本発明の幾つかの好ましい実施形態について図面を参照して以下に説明する。
図1〜図3は、本発明の第1実施形態に係るチャック装置を説明するための図である。図1において、(C1)は、本第1実施形態のチャック装置である。このチャック装置(C1)は、同図に示すように引抜き加工に用いられるものである。
(20)は、ワークとしての引抜き加工用素材である。この素材(20)は中空棒状であり、詳述すると管状である。また、この素材(20)は金属製であり、詳述するとアルミニウム(その合金を含む。以下同じ。)製である。この素材(20)は横断面円形状に形成されている。この素材(20)の引抜き方向前端部には、被チャック部としての口付け部(21)が形成されている。この口付け部(21)は、素材(20)よりも小径の中空棒状であり、詳述すると管状である。この口付け部(21)はスエージング加工によって縮径されたものである。
(30)は、成形孔(31)を有する引抜きダイである。このダイ(30)は支持台(図示せず)に固定状態に取り付けられている。このダイ(30)の成形孔(31)の口径は、素材(20)を所定の外径に縮径させ得る寸法に設定されている。
この素材(20)の口付け部(21)は、図1に示すように、ダイ(30)の成形孔(31)に挿通された状態でチャック装置(C1)によりチャックされている。そして、このチャック状態で、チャック装置(C1)を素材引抜き方向(26)に移動させて素材(20)を引抜き加工することにより、引抜き加工品としての引抜き管(25)が得られる。
以下、引抜き加工用素材(20)を「ワーク」、口付け部(21)を「被チャック部」と記述して、本第1実施形態を説明する。
本第1実施形態のチャック装置(C1)は、図1及び図2に示すように、チャック装置本体(1)と、ワーク(20)の被チャック部(21)が差し込まれるワーク差込み部(3)(ワーク差込み空間)と、2個のチャック爪(4)(4)とを有している。
両チャック爪(4)(4)は、ワーク差込み部(3)の周囲に周方向に均等に並んで配置されている。詳述すると、本実施形態ではチャック爪(4)の個数は2個であることから、両チャック爪(4)(4)は、ワーク差込み部(3)の周囲に互いに対向して配置されている。
また、各チャック爪(4)は、ワーク差込み部(3)の中心に向かって移動自在にチャック装置本体(1)に取り付けられている。本実施形態ではチャック爪(4)の個数が2個であるから、両チャック爪(4)(4)間の間隔が変更可能になるようにチャック装置本体(1)に取り付けられている。一方、チャック装置本体(1)は、各チャック爪(4)をワーク差込み部(3)の中心に向かって移動させる移動機構を備え、各チャック爪(4)にチャック力を付与することができるように構成されている。なお、(Q)はワーク差込み部(3)の軸である。
各チャック爪(4)のチャック面(5)のワーク差込み部(3)との対応位置、即ち本実施形態ではチャック面(5)の幅方向中間部には、ワーク(20)の被チャック部(21)の外周面形状に対応した凹部(6)が、ワーク差込み部(3)の軸(Q)方向に延びて設けられている。この凹部(6)の内側にワーク(20)の被チャック部(21)が配置されて該凹部(6)内に被チャック部(21)が嵌め込まれる。そして、この凹部(6)の凹面(6a)の周方向中間部に、3個の円錐状のワーク抜け止め用食込み突部(7)(7)(7)が、ワーク差込み部(3)の軸(Q)方向に並んで設けられている。さらに、これらの食込み突部(7)(7)(7)において、隣り合う2個の食込み突部(7)(7)間には、所定の間隔L1及びL2が設けられている。この間隔L1及びL2の望ましい範囲、並びに食込み突部(7)の構成については後述する。
チャック爪(4)は、ワーク(20)の被チャック部(21)よりも硬質の材料からなり、例えばS50C製である。また同じく、食込み突部(7)は、ワーク(20)の被チャック部(21)よりも硬質の材料からなり、例えば、機械構造用炭素鋼鋼材製、S45C製、S50C製、CrMo鋼製、NiCr鋼製、NiCrMo鋼製のものを挙げることができる。また、熱処理による硬化処理、表面改質による硬化処理が施されたものであっても良い。また、チャック爪(4)の凹部(6)の凹面(6a)は、ワーク(20)の被チャック部(21)の外周面に傷を付け難い材質とすることが摩耗粉や切粉の発生を抑制できる点で望ましい。ただし本発明では、凹面(6a)はこのような材質であることに限定されるものではない。また、凹面(6a)は、できるだけ平滑な表面粗さとすることが摩耗粉や切粉の発生を抑制できる点で望ましい。ただし本発明では、凹面(6a)の表面粗さは限定されるものではない。
また、ワーク差込み部(3)の軸(Q)方向において、一方のチャック爪(4)(例えば同図の下側のチャック爪(4))の各食込み突部(7)の位置P1と、当該食込み突部(7)に対応する他方のチャック爪(4)(例えば上側のチャック爪(4))の食込み突部(7)の位置P2とは、一致している。詳述すると、本実施形態ではチャック爪(4)の個数は2個であることから、一方のチャック爪(4)の各食込み突部(7)と、当該食込み突部(7)に対応する他方のチャック爪(4)の食込み突部(7)とは、互いに対向して配置されている。
また、各チャック爪(4)の基端部には、図1に示すように、両チャック爪(4)(4)を相互に接近可能及び離反可能に連結する連結棒(18b)が挿通される挿通孔(18a)が設けられている。そして、両方の挿通孔(18a)に連結棒(18b)が挿通されることにより、両チャック爪(4)(4)が相互に連結されている。なお、(19)は進退自在なラムであり、このラム(19)の先端部に連結棒(18b)が取り付けられている。
次に、食込み突部(7)のチャック爪(4)への取付け構造を以下に説明する。
チャック爪(4)は、該チャック爪(4)とは別体に形成され且つチャック面(5)を構成するチャック面構成部材(11)を備えている。そして、上述したように、このチャック面構成部材(11)のチャック面(5)のワーク差込み部(3)との対応位置に、前記凹部(6)がワーク差込み部(3)の軸(Q)方向に延びて形成されている。本実施形態ではワーク(20)の被チャック部(21)の外周面は横断面円形状であるから、この凹部(6)は横断面円弧状に形成され、詳述すると横断面半円弧状に形成されている。したがって、ワーク(20)の被チャック部(21)をワーク差込み部(3)に差し込んで両チャック爪(4)(4)で被チャック部(21)をチャックした状態では、チャック面(5)の凹部(6)の凹面(6a)が被チャック部(21)の外周面に面接触状態に当接するとともに、両チャック爪(4)(4)のうち一方のチャック爪(4)のチャック面(5)における凹部(6)両側の面部と、他方のチャック爪(4)のチャック面(5)における凹部(6)両側の面部とが、互いに面接触状態に当接するものとなされている。
さらに、このチャック面構成部材(11)には、図2及び図3に示すように、ワーク差込み部(3)の軸(Q)に垂直な方向に延びて貫通した3個のねじ孔(9)(9)(9)が、ワーク差込み部(3)の軸(Q)方向に並んで、チャック面(5)の凹部(6)の凹面(6a)とその反対側の面とにそれぞれ開口して設けられている。そして、この各ねじ孔(9)に、先端部が円錐状に形成された六角穴付ねじ(8)が、ワッシャ(10)を介してチャック面(5)とは反対側の面の開口から差し込まれて螺合されている。この螺合状態において、ねじ(8)の円錐状先端部はチャック面(5)の凹部(6)の凹面(6a)に対してワーク差込み部(3)側に突出している。食込み突部(7)はこのねじ(8)の円錐状先端部からなる。
このねじ(8)は、例えばJIS(日本工業規格)に準拠して市販されている六角穴付ねじの先端部を円錐状に加工したものである。
なお図3において、(9a)は、チャック面構成部材(11)のチャック面(5)とは反対側の面に形成された、ねじ(8)の頭部を収容する凹所である。
また、このチャック面構成部材(11)は、図2に示すように、あり継ぎによってチャック爪(4)に取り付けられている。すなわち、チャック面構成部材(11)のチャック面(5)とは反対側の面には、断面略鳩尾状に突出したあり部(12)が設けられている。一方、チャック爪(4)におけるチャック面構成部材の取付け面には、あり部(12)に対応するあり溝(13)が設けられている。そして、このあり溝(13)にあり部(12)が嵌合されることにより、チャック面構成部材(11)がチャック爪(4)にあり継手によって取外し可能に取り付けられている。
本実施形態では、食込み突部(7)の突出高さHの調節(変更)は、ワッシャ(10)の厚みを変更したり、ワッシャ(10)の重ね合わせ枚数を変更したりすることにより、容易に行うことができる。また、ねじ(8)をねじ孔(9)に対して相対的に回転させることにより、食込み突部(7)の突出高さHの調節を行っても良い。さらに、ねじ(8)をねじ孔(9)から完全に抜出することにより、食込み突部(7)を容易に取り外すことができる。さらに、ねじ(8)をねじ孔(9)に螺合させることで食込み突部(7)の取付け作業が完了するから、食込み突部(7)の取付け作業を容易に行うことができる。なお本発明では、ワッシャ(10)の代わりにシム等を用いても良い。
次に、本第1実施形態のチャック装置(C1)を用いた引抜き加工方法を以下に説明する。
まず、図1に示すように、ワーク(20)の被チャック部(21)を引抜きダイ(30)の成形孔(31)に挿通する。次いで、この被チャック部(21)を、チャック装置(C1)の両チャック爪(4)(4)間に形成されたワーク差込み部(3)に差し込む。
次いで、チャック装置本体(1)によって両チャック爪(4)(4)をそれぞれワーク差込み部(3)の中心に向かって移動させて両チャック爪(4)(4)にチャック力を付与することにより、被チャック部(21)を両チャック爪(4)(4)によって両チャック爪(4)(4)の凹部(6)(6)の位置でチャックする。これにより、図2に示すように、各チャック爪(4)のチャック面(5)の凹部(6)に被チャック部(21)が嵌め込まれた状態で、凹部(6)の凹面(6a)が被チャック部(21)の外周面に面接触状態に当接するとともに、更に、この状態で食込み突部(7)が被チャック部(21)の外周面に食い込み、もって被チャック部(21)のワーク差込み部(3)からの抜出が防止される。さらに、このチャック状態では、両チャック爪(4)(4)のうち一方のチャック爪(4)のチャック面(5)における凹部(6)両側の面部と、他方のチャック爪(4)のチャック面(5)における凹部(6)両側の面部とは、互いに面接触状態に当接している。
次いで、こうしてワーク(20)の被チャック部(21)をチャックした状態で、チャック装置(C1)を所定の引張装置(図示せず)によってワーク引抜き方向(26)に移動させる。これにより、ワーク(20)が引抜きダイ(30)の成形孔(31)で所定の外径(直径)に縮径されながら引き抜かれる。このようにワーク(20)を引抜き加工することによって、引抜き加工品としての引抜き管(25)が得られる。
こうして得られた引抜き管(25)は、例えば、レーザプリンタ、ファクシミリ、複写機等に搭載される感光ドラムの基体(いわゆるED管)、マグネットローラ及びフランジ付マグネットローラに好適に用いられる。ただし本発明では、引抜き管(25)はこれらの用途に用いられるものに限定されるものではない。
而して、本第1実施形態のチャック装置(C1)では、各チャック爪(4)のチャック面(5)の凹部(6)の凹面(6a)に、錐状のワーク食込み突部(7)が設けられているので、食込み突部(7)がチャック時にワーク(20)の被チャック部(21)の外周面に食い込み、該ワーク(20)の抜け止めを図ることができる。さらに、食込み突部(7)が錐状であるから、ワーク(20)の被チャック部(21)をチャックすることによる切粉の発生を抑制することができる。
さらに、チャック爪(4)のチャック面(5)の凹部(6)は、ワーク(20)の被チャック部(21)の外周面形状に対応して形成され、即ち横断面半円弧状に形成されているから、被チャック部(21)を両チャック爪(4)(4)でチャックした場合でも、被チャック部(21)が食込み突部(7)で内方へ押圧されることによる被チャック部(21)の広がり変形を防止することができる。そのため、被チャック部(21)のワーク差込み部(3)からの抜出を確実に防止することができる。
さらに、チャック爪(4)のチャック面(5)の凹部(6)の凹面(6a)には、3個の食込み突部(7)(7)(7)がワーク差込み部(3)の軸(Q)方向に並んで配設されているから、ワーク(20)の被チャック部(21)を強固にチャックすることができる。
さらに、ワーク差込み部(3)の軸(Q)方向において、一方のチャック爪(4)の各食込み突部(7)の位置P1と、当該食込み突部(7)に対応する他方のチャック爪(4)の食込み突部(7)の位置P2とが一致しているので、ワーク(20)の被チャック部(21)を安定良く且つ強固にチャックすることができる。
さらに、食込み突部(7)は、その突出高さHが変更可能になるように凹部(6)の凹面(6a)に設けられているから、ワーク(20)の被チャック部(21)の外径や断面形状又はワーク(20)の材質に応じて食込み突部(7)の突出高さHを調節することができ、もってワーク(20)の被チャック部(21)を確実に強固にチャックすることができる。
さらに、食込み突部(7)が取外し可能に設けられているから、もし仮に食込み突部(7)の一部(例えば頂部)が破損した場合には、食込み突部(7)の交換を行うことができる。
さらに、チャック爪(4)(詳述するとチャック爪(4)のチャック面構成部材(11))には、チャック面(5)に開口したねじ孔(9)が設けられるとともに、このねじ孔(9)に、先端部が円錐状に形成されたねじ(8)が、その先端部を凹部(6)の凹面(6a)に対して突出させた状態で螺合されており、食込み突部(7)はこのねじ(8)の先端部から構成されていることから、上述したように食込み突部(7)の突出高さHの調節を容易に行うことができるし、食込み突部(7)のチャック爪(4)への取付け作業を容易に行うことができる。更には、食込み突部(7)を容易に短期納期で且つ低コストで入手することができる。
而して、上記チャック装置(C1)において、食込み突部(7)の頂角θ(図2参照)は70〜130°の範囲に設定されていることが望ましい。こうすることにより、チャック時における食込み突部(7)の頂部の破損を確実に防止できるし、食込み突部(7)をワーク(20)の被チャック部(21)の外周面に確実に食い込ませることができ、更に切粉の発生を確実に抑制することができる。
すなわち、食込み突部(7)の頂角θが70°未満では、チャック時に食込み突部(7)の頂部が破損し易くなる。一方、食込み突部(7)の頂角θが130°を超えると、食込み突部(7)が被チャック部(21)の外周面に食い込み難くなり、その結果、引抜き加工時に食込み突部(7)が被チャック部(21)の外周面上を軸方向に滑ってしまう。このように食込み突部(7)が滑ると、被チャック部(21)の外周面に食込み突部(7)による食込み痕が線状に形成され、これに伴い被チャック部(21)の外周面にバリや切粉が多量に発生し、その結果、引抜き管(25)の良品率が低下するという問題が生じる虞がある。食込み突部(7)の頂角θの更に好ましい範囲は80〜120°で、特に好ましい範囲は90〜110°である。
さらに、食込み突部(7)が円錐状であるから、もし仮にワーク(20)の被チャック部(21)の外周面に食込み突部(7)の食込みによるバリが発生した場合であっても、切粉は殆ど発生せず、切粉の発生を確実に抑制することができる。
ただし本発明では、食込み突部(7)は円錐状のものに限定されるものではなく、三角形状、四角形状、五角形状、六角形状等の角錐状のものであっても良い。
また、各チャック爪(4)において、隣り合う2個の食込み突部(7)(7)の間隔L1及びL2はいずれも10〜30mmの範囲に設定されていることが望ましい。こうすることにより、ワーク(20)の被チャック部(21)の潰れを確実に防止できるし、被チャック部(21)の長さを可及的に短くすることができる。その理由は次のとおりである。
すなわち、食込み突部(7)の間隔L1及びL2が10mm未満では、食込み突部(7)の押圧力を受けてワーク(20)の被チャック部(21)が潰れ易くなる。被チャック部(21)が潰れた場合には、被チャック部(21)がワーク差込み部(3)から抜出し易くなることはもとより、更に次のような不具合が生じる。すなわち、一般に引抜き加工は複数回繰り返し行われる。この場合、例えば1パス目で被チャック部(21)が大きく潰れたときには、2パス目以降では被チャック部(21)をチャックすることが困難になるという不具合が生じる。一方、食込み突部(7)の間隔L1及びL2の上限値は、本来、限定されるものではない。しかしながら、食込み突部(7)の間隔が30mmを超えると、ワーク(20)の被チャック部(21)をチャック装置(C1)に取り付ける際の取付け作業が困難になるし、またワーク(20)の被チャック部(21)の長さが無駄に長くなり、その結果、ワーク(20)の材料コストが高く付いたり、被チャック部(21)を縮径するための加工(例えばスエージング加工)が困難になったりする。なお、食込み突部(7)の間隔L1及びL2の更に好ましい範囲は15〜20mmである。
また、食込み突部(7)の突出高さHは、いずれも1.5mm以上に設定されていることが望ましい。こうすることにより、食込み突部(7)をワーク(20)の被チャック部(21)の外周面に確実に食い込ませることができて、ワーク(20)の抜け止めを更に確実に図ることができる。その理由は次のとおりである。
すなわち、食込み突部(7)の突出高さHが1.5mm未満では、食込み突部(7)の突出高さHが低すぎてしまい、食込み突部(7)を被チャック部(21)の外周面に食い込ませることが困難になる。一方、食込み突部(7)の突出高さHの上限値は、本来、限定されるものではない。しかしながら、食込み突部(7)の突出高さHが10mmを超えると、ワーク(20)の被チャック部(21)をチャック装置(C1)に取り付ける際の取付け作業が困難になる場合がある。したがって、食込み突部(7)の突出高さHは10mm以下であることが望ましい。なお、食込み突部(8)の突出高さHの更に好ましい範囲は1.5〜5mmであり、特に好ましい範囲は2〜4.7mmである。
また、本実施形態で示したワーク(20)の引抜き加工では、チャック装置(C1)によってワーク(20)の被チャック部(21)をチャックすることにより、ワーク(20)を安定良く且つ強固にチャックすることができるし、切粉の発生を抑制することができる。そのため、切粉のワーク(20)外周面への付着に伴う引抜き管(25)の疵の発生を防止することができて、引抜き管(20)の良品率を向上させることができる。
また、ワーク(20)の被チャック部(21)の外周面にその先端から15mm以上離れた位置においてチャック装置(C1)の食込み突部(7)が食い込むように、被チャック部(21)をチャックすることが望ましい。換言すると、ワーク(20)の被チャック部(21)の先端から当該先端に最も近くの食込み突部(7)までの長さをL0とするとき、L0は15mm以上(即ち、L0≧15mm)であることが望ましい。こうすることにより、食込み突部(7)の押圧力を受けてワーク(20)の被チャック部(21)の先端部が潰れるのを確実に防止することができて、引抜き管(20)の良品率を更に向上させることができる。一方、L0が15mm未満(即ち、L0<15mm)である場合には、食込み突部(7)の押圧力を受けて被チャック部(21)の先端部が潰れる虞があるし、更には、引抜き加工時に被チャック部(21)がワーク差込み部(3)から抜出し易くなる。特にL0は20mm以上であることが望ましい。一方、L0の上限値は、本来、限定されるものではないが、L0は50mm以下(特に望ましくは30mm以下)であることが良い。
また、ワーク(20)の被チャック部(21)としては、例えば、外径(被チャック部(21)が横断面多角形状である場合には、その外接円の直径)が5〜100mm、肉厚が0.3〜3mmの範囲のものが挙げられる。また、食込み突部(7)の突出高さHは、チャック時に食込み突部(7)が被チャック部(21)の肉厚を貫通しないようにその突出高さHを調節することが望ましい。また、ワーク(20)としては、引抜き加工後における長さが3000〜6000mm程度になるものが例示できる。ただし本発明では、ワーク(20)やその被チャック部(21)の外径、肉厚、長さ等はこれらに限定されるものではない。
図4は、本発明の第2実施形態に係るチャック装置を説明するための図である。本第2実施形態のチャック装置(C2)の構成について、上記第1実施形態のチャック装置(C1)との相異を中心に以下に説明する。
本第2実施形態のチャック装置(C2)では、各チャック爪(4)のチャック面(5)のワーク差込み部(3)との対応位置の面部は、平坦状に形成されている。そして、このチャック面(5)に、上記第1実施形態のチャック装置(C1)と同様に、3個のワーク抜け止め用食込み突部(7)(7)(7)がワーク差込み部(3)の軸(Q)方向に並んで設けられている。さらに、この食込み突部(3)は、上記第1実施形態のチャック装置(C1)と同様に、チャック面(5)に開口したねじ孔(9)に螺合した六角穴付ねじ(8)の円錐状先端部からなる。
さらに、このチャック面(5)における食込み突部(7)両側の位置には、それぞれ抑制部(14)(14)がチャック面(5)に垂直に突出して設けられており、詳述すると、各抑制部(14)がチャック面(5)から突出して設けられている。この各抑制部(14)は、ワーク(20)の被チャック部(21)がチャック時に食込み突部(7)で内方へ押圧されることによるワーク(20)の被チャック部(21)の広がり変形を抑制するためのものである。そして、この各抑制部(14)のワーク差込み部(3)に面した側面(14a)が、チャック時にワーク(20)の被チャック部(21)の広がり変形部(21a)の外周面に当接することにより、該被チャック部(21)の広がり変形を抑制するものとなされている。
また、両チャック爪(4)(4)のうち一方のチャック爪(4)の抑制部(14)の先端面と、他方のチャック爪(4)の抑制部(14)の先端面とは、ワーク(20)の被チャック部(21)を両チャック部(4)(4)でチャックした状態のもとで、互いに面接触状態に当接するものとなされている。
なお本発明では、チャック爪(4)がワーク(20)の被チャック部(21)に当接するチャック爪(4)の当接面、例えば、抑制部(14)の側面(14a)やチャック面(5)のワーク差込み部(3)との対応位置の面部は、被チャック部(21)の外周面に傷を付け難い材質とすることが、摩耗粉や切粉の発生を抑制できる点で望ましい。ただし本発明では、チャック爪(4)の被チャック部(21)との当接面はこのような材質であることに限定されるものではない。また、チャック爪(4)の被チャック部(21)との当接面は、できるだけ平滑な表面粗さとすることが摩耗粉や切粉の発生を抑制できる点で望ましい。ただし本発明では、チャック爪(4)の当接面の表面粗さは限定されるものではない。
また、抑制部(14)の側面(14a)は、同図に示すように平坦状である。なお本発明では側面(14a)は平坦状であることに限定されるものではなく、例えば被チャック部(21)の外径よりも大きい半径を有する断面円弧状の曲面であっても良い。この場合には、被チャック部(21)に対する広がり変形の抑制が安定するという利点がある。ただし、曲面の曲率半径は、被チャック部(21)がワーク差込み部(3)から抜出しない半径範囲内に設定することが望ましい。
本第2実施形態のチャック装置(C2)の他の構成は、上記第1実施形態のチャック装置(C1)と同じである。
次に、本第2実施形態のチャック装置(C2)を用いた引抜き加工方法を以下に説明する。
まず、引抜きダイ(30)の成形孔(31)に挿通したワーク(20)の被チャック部(21)を、チャック装置(C2)のワーク差込み部(3)に差し込む。次いで、被チャック部(21)を両チャック爪(4)(4)のチャック面(5)(5)のワーク差込み部(3)との対応位置でチャックする。このチャック状態において、食込み突部(7)が被チャック部(21)の外周面に食い込み、これにより被チャック部(21)のワーク差込み部(3)からの抜出が防止されるとともに、抑制部(14)のワーク差込み部(3)に面した側面(14a)が、ワーク(20)の被チャック部(21)の広がり変形部(21a)の外周面に当接し、これにより、被チャック部(21)が食込み突部(7)で内方へ押圧されることによる被チャック部(21)の広がり変形が抑制される。さらに、互いに対応する抑制部(14)(14)の先端面同士が当接する。
次いで、こうしてワーク(20)の被チャック部(21)をチャックした状態で、上記第1実施形態と同様にワーク(20)の引抜き加工を行う。
而して、本第2実施形態のチャック装置(C2)では、各チャック爪(4)のチャック面(5)に、円錐状のワーク抜け止め用食込み突部(7)が設けられているので、ワーク(20)の抜け止めを図ることができるし、切粉の発生を確実に抑制することができる。
さらに、各チャック爪(4)のチャック面(5)における食込み突部(7)両側の位置に、ワーク(20)の被チャック部(21)の広がり変形を抑制する抑制部(14)が突出して設けられているので、被チャック部(21)を両チャック爪(4)(4)でチャックした場合でも、被チャック部(21)が食込み突部(7)で内方へ押圧されることによる被チャック部(21)の広がり変形を防止することができる。そのため、被チャック部(21)のワーク差込み部(3)からの抜出を確実に防止することができる。
以上で本発明の幾つかの実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態で示したものに限定されるものではなく、様々に設定変更可能である。
例えば、本発明では、ワーク(20)は、鉄、鋼、銅、真鍮等の金属製であっても良いし、プラスチック製であっても良い。
また、本発明では、ワーク(20)やその被チャック部(21)は、その横断面の外殻形状が円形状であるものに限定されず、例えば横断面形状が楕円形状や多角形状であっても良い。さらに、ワーク(20)やその被チャック部(21)は、管状であるものに限定されず、例えば、多重管状であっても良いし、あるいは中実であっても良い。
また、本発明に係るチャック装置では、ワーク(21)の被チャック部(21)が管状等の中空である場合には、チャック時にその中空部内に第2の変形抑制部を配置し、この変形抑制部で被チャック部(21)をその内側から支持して被チャック部(21)の広がり変形を抑制するものとなされていても良い。
また、本発明に係るチャック装置(C1、C2)は、引抜き加工用素材をチャックするために用いられるものに限定されるものではなく、他の加工用素材(例えば切削加工用素材や曲げ加工用素材)をチャックするために用いられるものであっても良い。
また、チャック装置(C1、C2)のチャック爪(4)の個数は2個に限定されるものではなく、例えば、3個であって良いし、4個であっても良いし、5個以上であっても良い。
また、各チャック爪(4)の食込み突部(7)の個数は3個に限定されるものではなく、例えば、1個であっても良いし、2個であっても良いし、4個であっても良いし、5個以上であっても良い。
また、本発明では、チャック装置(C1、C2)の複数個のチャック爪(4)において、一のチャック爪(4)の食込み突部(7)の個数と、他のチャック爪(4)の食込み突部(7)の個数とは、互いに同数であっても良いし、異なっていても良い。
また、上述したように、ワーク差込み部(3)の軸(Q)方向において、一方のチャック爪(4)の各食込み突部(7)の位置P1と、当該食込み突部(7)に対応する他方のチャック爪(4)の食込み突部(7)の位置P2とが一致していることが、ワーク(20)の被チャック部(21)を安定良く且つ強固にチャックすることができる点で望ましいが、本発明では、必ずしも両者の位置P1及びP2が一致している必要はなく、すなわち、ワーク差込み部(3)の軸(Q)方向において、ワーク(20)の被チャック部(21)を安定良くチャックできる範囲内で両者の位置P1及びP2がずれていても良い。
次に、本発明の具体的実施例及び比較例を以下に示す。
<実施例1〜6>
アルミニウム引抜き管(25)を製作するため、アルミニウム製の引抜き加工用管状素材を準備した。この素材をワーク(20)とした。そして、このワーク(20)の引抜き方向前端部をスエージング加工によって縮径することにより、該ワーク(20)の前端部に口付け部を形成した。この口付け部を被チャック部(21)とした。この被チャック部(21)は管状であり、その内径22.5mm、外径23.92mm及び肉厚0.71mmのものと、内径28.5mm、外径29.92mm及び肉厚0.71mmのものである。
また、上記第1実施形態のチャック装置(C1)を準備した。このチャック装置(C1)のチャック爪(4)の個数は2個であって、両チャック爪(4)(4)はワーク差込み部(3)の周囲に互いに対向して配置されている。また、食込み突部(7)として円錐状のものを準備した。そして、各チャック爪(4)における食込み突部(7)の基端部の直径、個数、頂角θ、間隔L1、間隔L2、突出高さH及び食込み位置L0を、それぞれ表1のように様々に設定して、上記第1実施形態に示した引抜き加工方法に従ってワーク(20)を引抜き加工した。
そして、引抜き加工後において、切粉の発生、被チャック部(21)の潰れ、食込み突部(7)の被チャック部(21)外周面上での滑り長さ及び被チャック部(21)のワーク差込み部(3)からの抜出率を調べた。この結果を表1に示す。
<実施例7〜12>
上記第2実施形態のチャック装置(C2)を準備し、このチャック装置(C2)を用いてワーク(20)を引抜き加工した。この場合において、引抜き加工方法は上記実施例1〜6と同じである。この結果を表1に示す。
<比較例1>
図5〜図7に示したチャック装置(C3)を準備した。このチャック装置(C3)の構成は以下のとおりである。
図5に示すように、このチャック装置(C3)ではチャック爪(4)の個数は2個であって、両チャック爪(4)(4)はワーク差込み部(3)の周囲に互いに対向して配置されている。各チャック爪(4)のチャック面(5)はその幅方向全域に亘って平坦状に形成されており、このチャック面(5)のワーク差込み部(3)との対応位置に、3個の円錐状のワーク抜け止め用食込み突部(7)(7)(7)がワーク差込み部(3)の軸(Q)方向に並んで設けられている。この食込み突部(7)のチャック爪(4)への取付け構造を以下に説明する。
チャック爪(4)のチャック面構成部材(11)には、図7に示すように、ワーク差込み部(3)の軸(Q)に垂直な方向に延びて貫通したねじ挿通孔(16)が、チャック面(5)とその反対側の面とにそれぞれ開口して設けられている。そして、このねじ挿通孔(16)に、六角穴付ねじ(15)がチャック面(5)とは反対側の面の開口から挿通されている。さらに、この挿通状態でねじ(15)の先端部が、円錐状の食込み突部(7)の基端部に設けられたねじ孔(17)に螺合されることにより、食込み突部(7)がチャック爪(4)に取り付けられている。この取付け状態において、図5に示すように、食込み突部(7)はチャック面(5)に対してワーク差込み部(3)側に突出している。
このような構成のチャック装置(C3)を用いてワーク(20)を引抜き加工した。この場合において、引抜き加工方法は上記実施例1〜6と同じである。この結果を表1に示す。
同表に示すように、この比較例1の場合において、ワーク(20)の被チャック部(21)の抜出率は、上記実施例1〜12よりも増加していることが判明した。その原因は次のとおりである。すなわち、このチャック装置(C3)によってワーク(20)の被チャック部(21)をチャックすると、図6に示すように、被チャック部(21)が食込み突部(7)で内方へ押圧されて略扁平状に変形し、被チャック部(21)が広がり変形を起こすことが多かった。そのため、ワーク引抜き時に被チャック部(21)がチャック装置(C3)のワーク差込み部(3)から抜出する不具合が多く発生した。
<比較例2>
チャック装置のチャック爪のチャック面に、ワーク抜け止め用突部としてねじ部(ねじ山及びねじ溝)をワーク差込み部の軸方向全域に亘って形成した。そして、このチャック装置を用いてワークを引抜き加工した。この場合において、引抜き加工方法は上記実施例1〜6と同じである。この結果を表1に示す。
Figure 0004856447
同表に示すように、この比較例2の場合には、切粉が多量に発生することが判明した。
これに対して、上記実施例1〜12では、切粉の発生を比較例2よりも抑制することができるし、また抜出率を比較例1よりも低減できることを確認し得た。
本発明は、引抜き加工用素材等のワークをチャックするためのチャック装置、このチャック装置を用いたワークの加工方法、この加工方法により得られた加工品、前記チャック装置を用いた引抜き管の製造方法、及びこの製造方法により得られた引抜き管に利用可能である。
本発明の第1実施形態に係るチャック装置を使用状態で示す断面図である。 (A)は同チャック装置のチャック爪の一部切欠き側面図、(B)は同チャック装置のチャック爪の一部切欠き正面図である。 同チャック装置においてワーク抜け止め用食込み突部のチャック爪への取付け方法を説明するためのチャック面構成部材の要部断面図である。 本発明の第2実施形態に係るチャック装置を使用状態で示す図で、(A)は同チャック装置のチャック爪の一部切欠き側面図、(B)は同チャック装置のチャック爪の一部切欠き正面図である。 比較例1で用いたチャック装置を使用状態で示す図で、(A)は同チャック装置のチャック爪の一部切欠き側面図、(B)は同チャック装置のチャック爪の一部切欠き正面図である。 同チャック装置でワークの被チャック部をチャックすることにより、被チャック部が広がり変形を起こした状態を示す図で、(A)は同チャック装置のチャック爪の一部切欠き側面図、(B)は同チャック装置のチャック爪の一部切欠き正面図である。 同チャック装置においてワーク抜け止め用食込み突部のチャック爪への取付け方法を説明するためのチャック面構成部材の要部断面図である。
符号の説明
C1、C2…チャック装置
3…ワーク差込み部
4…チャック爪
5…チャック面
6…凹部
6a…凹面
7…ワーク抜け止め用食込み突部
8…ねじ
9…ねじ孔
10…ワッシャ
14…抑制部
20…ワーク(引抜き加工用素材)
21…被チャック部(口付け部)
25…加工品(引抜き管)
Q…ワーク差込み部の軸

Claims (20)

  1. ワークの被チャック部が差し込まれるワーク差込み部と、該ワーク差込み部の周囲に周方向に並んで配置された複数個のチャック爪とを有するチャック装置において、
    各チャック爪のチャック面に、ワークの被チャック部の周面形状に対応し且つ被チャック部が嵌め込まれる凹部が設けられるとともに、
    この凹部の凹面に、1個ないし複数個の錐状のワーク抜け止め用食込み突部が設けられていることを特徴とするチャック装置。
  2. ワークの被チャック部が差し込まれるワーク差込み部と、該ワーク差込み部の周囲に周方向に並んで配置された複数個のチャック爪とを有するチャック装置において、
    各チャック爪のチャック面に、1個ないし複数個の錐状のワーク抜け止め用食込み突部が設けられるとともに、
    このチャック面における食込み突部両側の位置に、それぞれ、ワークの被チャック部がチャック時に食込み突部で内方へ押圧されることによる該被チャック部の広がり変形に対する抑制部が突出して設けられ、
    抑制部は、チャック時にワークの被チャック部の広がり変形部の周面に当接することにより該被チャック部の広がり変形を抑制するものであることを特徴とするチャック装置。
  3. 複数個の食込み突部がワーク差込み部の軸方向に並んで設けられている請求項1又は2記載のチャック装置。
  4. ワーク差込み部の軸方向において、一のチャック爪の食込み突部の位置と、該食込み突部に対応する他のチャック爪の食込み突部の位置とが一致している請求項1〜3のいずれか1項記載のチャック装置。
  5. 食込み突部は円錐状である請求項1〜4のいずれか1項記載のチャック装置。
  6. 食込み突部は、その突出高さが変更可能になるように設けられている請求項1〜5のいずれか1項記載のチャック装置。
  7. 食込み突部は取外し可能に設けられている請求項1〜6のいずれか1項記載のチャック装置。
  8. 食込み突部は、チャック爪のチャック面に開口したねじ孔に螺合したねじの錐状の先端部からなる請求項1〜7のいずれか1項記載のチャック装置。
  9. 食込み突部の頂角が70〜130°の範囲に設定されている請求項1〜8のいずれか1項記載のチャック装置。
  10. 複数個の食込み突部がワーク差込み部の軸方向に並んで設けられており、
    各チャック爪において、食込み突部の間隔が10〜30mmの範囲に設定されている請求項1〜9のいずれか1項記載のチャック装置。
  11. 食込み突部の突出高さが1.5mm以上に設定されている請求項1〜10のいずれか1項記載のチャック装置。
  12. ワークは管状である請求項1〜11のいずれか1項記載のチャック装置。
  13. 引抜き加工に用いられる請求項1〜12のいずれか1項記載のチャック装置。
  14. 請求項1〜13のいずれか1項記載のチャック装置によりワークの被チャック部をチャックした状態で、ワークを加工することを特徴とするワークの加工方法。
  15. ワークの被チャック部にその先端から15mm以上離れた位置においてチャック装置の食込み突部が食い込むように、ワークの被チャック部をチャックする請求項14記載のワークの加工方法。
  16. ワークは、引抜き加工用素材であり、
    チャック装置によりワークの被チャック部をチャックした状態で、ワークを引抜き加工する請求項14又は15のいずれか1項記載のワークの加工方法。
  17. 請求項14〜16のいずれか1項記載のワークの加工方法により得られた加工品。
  18. 請求項1〜13のいずれか1項記載のチャック装置により引抜き加工用管状素材の口付け部をチャックした状態で、素材を引抜き加工することを特徴とする引抜き管の製造方法。
  19. 素材の口付け部にその先端から15mm以上離れた位置においてチャック装置の食込み突部が食い込むように、素材の口付け部をチャックする請求項18記載の引抜き管の製造方法。
  20. 請求項18又は19記載の引抜き管の製造方法により得られた引抜き管。
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