JP2022001014A - 積層コアおよび積層コアの製造方法 - Google Patents

積層コアおよび積層コアの製造方法 Download PDF

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一郎 田中
Ichiro Tanaka
和年 竹田
Kazutoshi Takeda
美菜子 福地
Minako Fukuchi
真介 高谷
Shinsuke Takaya
修一 山崎
Shuichi Yamazaki
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Abstract

【課題】積層方向に隣り合う電磁鋼板同士が接着されることにより磁気特性が低下するのを抑制した積層コアを提供する。【解決手段】母材鋼板が、接着能を有する絶縁被膜3で被覆された電磁鋼板40が、積層方向に複数積層された積層コア21であって、電磁鋼板は、コアバック部22と、コアバック部から径方向に突出するティース部23と、を備え、積層方向に隣り合う電磁鋼板同士のティース部における径方向の先端部23a、およびコアバック部のうち、径方向におけるティース部とは反対側の部分である第1周部22aが、絶縁被膜によりそれぞれ互いに接着され、積層方向に隣り合う電磁鋼板同士のコアバック部における、第1周部以外の第2周部22bが、絶縁被膜により互いに接着されていない。【選択図】図3

Description

本発明は、積層コアおよび積層コアの製造方法に関する。
従来、電磁鋼板を2枚以上積層して積層コアを構成することが知られている。例えば、積層コアは、円環状に形成されたコアバック部と、コアバック部から径方向に突出するティース部と、を備えている。
一般的に、積層方向に隣り合う電磁鋼板同士を接着剤で接着させると、接着剤は硬化時に収縮する。そのため、絶縁被膜の硬化に伴い、電磁鋼板に圧縮応力が付与される。圧縮応力が付与されると、電磁鋼板に歪が生じる。この場合、接着される位置によっては、積層コアの磁気特性が低下する虞がある。
接着剤を用いて電磁鋼板を接着し積層する技術において、上記圧縮応力の悪影響を考慮し、特定部位、特にコアバック周縁部、ティース先端部だけに接着剤を塗布し接着する技術が知られている(例えば、特許文献1〜4参照)。
また、加熱および/又は加圧により接着可能な(接着能を有する)絶縁被膜を備える電磁鋼板を積層し、これを加熱加圧することで、積層コアを製造する技術が知られている(例えば、特許文献5および6参照)。
国際公開第2020/129928号 特開2021−019376号公報 特開2010−136467号公報 特開2012−029494号公報 特開2012−171111号公報 特開2012−174739号公報
上記のように特定部位のみに接着剤を塗布することで接着部位を限定する方法は不用意な歪の発生回避に効果はあるものの、接着能を有する絶縁被膜を備えている電磁鋼板を加熱および/又は加圧により接着した積層コアにおける有効性には未解明の部分がある。加熱および/又は加圧により接着可能な(接着能を有する)絶縁被膜を備えている電磁鋼板の使用に際し、積層コアの特性を向上させる最適な被膜構成とその製造方法の提供が望まれている。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、積層方向に隣り合う電磁鋼板同士が接着されることにより磁気特性が低下するのを抑制した積層コア、および積層コアの製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
本発明の積層コアは、母材鋼板が、接着能を有する絶縁被膜で被覆された電磁鋼板が、積層方向に複数積層された積層コアであって、前記電磁鋼板は、コアバック部と、前記コアバック部から径方向に突出するティース部と、を備え、前記積層方向に隣り合う前記電磁鋼板同士の前記ティース部における前記径方向の先端部、および前記コアバック部のうち、前記径方向における前記ティース部とは反対側の部分である第1周部が、前記絶縁被膜によりそれぞれ互いに接着され、前記積層方向に隣り合う前記電磁鋼板同士の前記コアバック部における、前記第1周部以外の第2周部が、前記絶縁被膜により互いに接着されていないことを特徴としている。
ここで言う接着能を有するとは、加熱および加圧の少なくとも一方をされること等により、溶けて接着する特性を有することを意味する。コアバック部の第1周部とは、コアバック部における外周部(径方向外側の部分)又はコアバック部における内周部(径方向内側の部分)であり、コアバック部に全周にわたって形成された部分のことを意味する。
例えば積層コアを用いて回転電機を構成し、この回転電機を動作させる。一般的に、この時に回転電機に発生する磁束線は、電磁鋼板の第2周部に比べて第1周部を通り難い。従って、積層方向に隣り合うコアバック部の第1周部を絶縁被膜により互いに接着しても、磁束線が通りやすい第2周部に圧縮応力が付与されるのが抑制されることで磁束線に与える影響が抑えられ、積層コアの磁気特性が低下するのを抑制することができる。
さらに、積層方向に隣り合う電磁鋼板同士のティース部における径方向の先端部が絶縁被膜により互いに接着されているため、積層方向に隣り合う電磁鋼板同士において、一方のティース部の先端部が他方のティース部の先端部から浮き上がることが防止される。これにより、積層コアの磁気特性が低下するのを抑制することができる。
また、前記積層コアにおいて、前記積層方向に隣り合う前記電磁鋼板同士の前記ティース部における周方向の両側端部が、前記絶縁被膜によりそれぞれ互いに接着され、前記積層方向に隣り合う前記電磁鋼板同士の前記ティース部における、前記先端部および前記両側端縁以外の部分が、前記絶縁被膜により互いに接着されていなくてもよい。
この発明によれば、積層方向に隣り合う電磁鋼板同士のティース部における周方向の両側端部が、絶縁被膜により互いに接着されている。このため、積層方向に隣り合う電磁鋼板同士において、一方のティース部の両側端部が他方のティース部の両側端部から浮き上がることが防止される。これにより、積層コアの磁気特性が低下するのを、より確実に抑制することができる。また、積層方向に隣り合う電磁鋼板同士のティース部における、先端部および両側端縁以外の部分が、絶縁被膜によりそれぞれ互いに接着されていない。これにより、この部分に圧縮応力が付与されて、積層コアの磁気特性が低下するのを抑制することができる。
また、前記積層コアにおいて、前記コアバック部の前記第1周部は、前記コアバック部の外周部であってもよい。
この発明によれば、積層コアが、いわゆるインナーロータ型の場合に、積層コアの磁気特性が低下するのを抑制することができる。
さらに、この発明によれば、積層方向に隣り合う電磁鋼板同士の接着部は、絶縁被膜により互いに接着されている。すなわち積層方向に隣り合う電磁鋼板同士の境界に絶縁被膜とは異なる組成を有する物質である接着剤が存在せず、隣り合う各電磁鋼板の表面を覆っていた絶縁被膜が一体化し均質となっている。これにより、絶縁被膜とは異なる物質である接着剤を塗布して部分的な接着部を形成する従来の積層コアと比較し、局所的な接着に伴う圧縮応力の発生が抑制され、積層コアの磁気特性が低下するのを抑制することができる。
また例えば、局所的な加熱および/又は加圧により積層方向に隣り合う電磁鋼板同士の局所的な接着部が形成された接着コアにおいては、非接着部は積層方向に隣り合う電磁鋼板が強く接触した状態となっている。すなわち非接着部において積層方向に隣り合う電磁鋼板の表面を覆っている対向する絶縁被膜を合わせた厚さは、接着部において積層方向に隣り合う各電磁鋼板の表面を覆っていた絶縁被膜が一体化し均質となった絶縁被膜の厚さと実質的に同じ厚さになっている。一方、例えば絶縁被膜とは異なる物質である接着剤を塗布して部分的な接着部を形成する従来の積層コアでは、塗布した接着剤の厚さだけ接着部の厚さが増大するため、積層方向に隣り合う電磁鋼板同士の非接着部の間には該接着剤の厚さに相当する空隙が形成されるか、接触しているとしても非常に弱い接触状態となっている。結果としてこの発明では、積層コアが回転電機に組付けられて動作する際の非接着部の不用意な振動が抑制されてロータの回転が安定し、回転電機全体の磁気特性が低下するのを抑制することができる。
また、本発明の積層コアの製造方法は、母材鋼板が、接着能を有する絶縁被膜で被覆された電磁鋼板が、積層方向に複数積層された積層コアを製造する積層コアの製造方法であって、前記電磁鋼板は、コアバック部と、前記コアバック部から径方向に突出するティース部と、を備え、前記電磁鋼板の前記ティース部における、少なくとも前記径方向の先端部および周方向の両側端部以外の部分、および前記コアバック部のうち、前記径方向における前記ティース部側の部分である第2周部に、マスキング剤を塗布する塗布工程と、前記複数の電磁鋼板を積層させる積層工程と、前記積層方向に隣り合う前記電磁鋼板同士に対して、前記絶縁被膜の前記接着能を発揮させることで、前記積層方向に隣り合う前記電磁鋼板同士の前記ティース部における先端部、およびコアバック部のうち前記第2周部以外の第1周部を、前記絶縁被膜によりそれぞれ互いに接着する接着工程と、を行い、前記接着工程では、前記積層方向に隣り合う前記電磁鋼板同士において、少なくとも前記ティース部における、前記径方向の先端部および周方向の両側端部以外の部分、および前記コアバック部の前記第2周部が、前記絶縁被膜により互いに接着されないことを特徴としている。
ここで言うコアバック部の第2周部とは、コアバック部における内周部(径方向内側の部分)又はコアバック部における外周部(径方向外側の部分)であり、コアバック部に全周にわたって形成された部分のことを意味する。
例えば積層コアを用いて回転電機を構成し、この回転電機を動作させる。一般的に、マスキング剤を塗布されている電磁鋼板の部分に対しては、例えば絶縁被膜が加圧や加熱等をされても、絶縁被膜の接着能が発揮されない。一方で、マスキング剤を塗布されていない電磁鋼板の部分に対しては、例えば絶縁被膜が加圧や加熱等をされて絶縁被膜の接着能が発揮されると、積層方向に隣り合う電磁鋼板同士が絶縁被膜により互いに接着される。また、回転電機に発生する磁束線は、第2周部に比べて第1周部を通り難い。従って、塗布工程においてマスキング剤を塗布した電磁鋼板複数を、積層工程において積層する。そして、接着工程において積層方向に隣り合うコアバック部の第1周部を絶縁被膜により互いに接着しても、磁束線が通りやすい第2周部に圧縮応力が付与されるのが抑制されることで磁束線に与える影響が抑えられ、積層コアの磁気特性が低下するのを抑制することができる。
さらに、接着工程において積層方向に隣り合う電磁鋼板同士のティース部における径方向の先端部が絶縁被膜により互いに接着されるため、積層方向に隣り合う電磁鋼板同士において、一方のティース部の先端部が他方のティース部の先端部から浮き上がることが防止される。これにより、積層コアの磁気特性が低下するのを抑制することができる。
マスキング剤を塗布して積層方向に隣り合う電磁鋼板同士の非接着部を形成する製造方法による接着コアにおいては、該非接着部は積層方向に隣り合う電磁鋼板と強く接触した状態となっている。すなわち積層方向に隣り合う電磁鋼板の表面を覆っている絶縁被膜同士の間にはマスキング剤が存在するが、非接着部における絶縁被膜とマスキング剤を合わせた厚さは、接着部における絶縁被膜の厚さと実質的に同じ厚さになっている。一方、例えば絶縁被膜とは異なる物質である接着剤を塗布して部分的な接着部を形成する従来の積層コアでは、塗布した接着剤の厚さだけ接着部の厚さが増大するため、積層方向に隣り合う電磁鋼板同士の非接着部の間には該接着剤の厚さに相当する空隙が形成されるか、接触しているとしても非常に弱い接触状態となっている。結果としてこの発明では、積層コアが回転電機に組付けられて動作する際の非接着部の不用意な振動が抑制されてロータの回転が安定し、回転電機全体の磁気特性が低下するのを抑制することができる。
また、前記積層コアの製造方法において、前記塗布工程では、前記電磁鋼板の前記ティース部における、前記径方向の先端部および前記周方向の両側端部以外の部分に、前記マスキング剤を塗布し、前記接着工程では、前記積層方向に隣り合う前記電磁鋼板同士に対して、前記絶縁被膜の前記接着能を発揮させることで、前記積層方向に隣り合う前記電磁鋼板同士の前記ティース部における周方向の両側端部を、前記絶縁被膜により互いに接着し、前記積層方向に隣り合う前記電磁鋼板同士の前記ティース部における、前記先端部および前記両側端縁以外の部分が、前記絶縁被膜により互いに接着されなくてもよい。
この発明によれば、接着工程において積層方向に隣り合う電磁鋼板同士のティース部における周方向の両側端部が、絶縁被膜により互いに接着される。このため、積層方向に隣り合う電磁鋼板同士において、一方のティース部の両側端部が他方のティース部の両側端部から浮き上がることが防止される。これにより、積層コアの磁気特性が低下するのを、より確実に抑制することができる。また、接着工程において積層方向に隣り合う電磁鋼板同士のティース部における、先端部および両側端縁以外の部分が、絶縁被膜により互いに接着されない。これにより、この部分に圧縮応力が付与されて、積層コアの磁気特性が低下するのを抑制することができる。
また、前記積層コアの製造方法において、前記塗布工程では、ロールにより前記マスキング剤を塗布してもよい。
この発明によれば、電磁鋼板の各位置にマスキング剤を正確に塗布することができる。
また、前記積層コアの製造方法において、前記塗布工程では、金型内で前記マスキング剤を塗布してもよい。
この発明によれば、例えば、電磁鋼板を形成するための素材等から、金型を用いて電磁鋼板を打ち抜く際に、電磁鋼板に対してマスキング剤を塗布する位置がズレるのを抑えることができる。
また、前記積層コアの製造方法において、前記コアバック部の前記第1周部は、前記コアバック部の外周部であってもよい。
この発明によれば、積層コアが、いわゆるインナーロータ型の場合に、積層コアの磁気特性が低下するのを抑制することができる。
本発明の積層コアおよび積層コアの製造方法によれば、積層方向に隣り合う電磁鋼板同士が接着されることにより磁気特性が低下するのを抑制することができる。
本発明の一実施形態に係る積層コアを備えた回転電機の断面図である。 同積層コアの側面図である。 図2のA−A断面図である。 同積層コアを形成する素材の平面図である。 図4のB−B断面図である。 図5のC部の拡大図である。 本発明の一実施形態に係る積層コアの製造方法に好ましく用いられる製造装置の側面図である。 同積層コアの製造方法を示すフローチャートである。 同積層コアの製造方法の塗布工程において電磁鋼板に塗布されるマスキング剤を説明する図である。 同回転電機に発生する磁束線を説明する図である。 同製造装置の第1変形例の要部の側面図である。 同製造装置の第2変形例の要部の側面図である。 同製造装置の第3変形例の要部の側面図である。
以下、図面を参照し、本発明の一実施形態に係る積層コアと、この積層コアを備えた回転電機と、この積層コアを形成する素材について説明する。なお、本実施形態では、回転電機として電動機、具体的には交流電動機、より具体的には同期電動機、より一層具体的には永久磁石界磁型電動機を一例に挙げて説明する。この種の電動機は、例えば、電気自動車などに好適に採用される。
(回転電機10)
図1に示すように、回転電機10は、ステータ20と、ロータ30と、ケース50と、回転軸60と、を備える。ステータ20およびロータ30は、ケース50内に収容される。ステータ20は、ケース50内に固定される。
本実施形態では、回転電機10として、ロータ30がステータ20の径方向内側に位置するインナーロータ型を採用している。しかしながら、回転電機10として、ロータ30がステータ20の外側に位置するアウターロータ型を採用してもよい。また、本実施形態では、回転電機10が、4極24スロットの三相交流モータである。しかしながら、極数、スロット数、相数などは、適宜変更することができる。
回転電機10は、例えば、各相に実効値10A、周波数100Hzの励磁電流を印加することにより、回転数3000rpmで回転することができる。
ステータ20は、ステータ用積層コア(以下、ステータコア)21と、図示しない巻線と、を備える。
ステータコア21(後述する電磁鋼板40)は、環状のコアバック部22と、複数のティース部23と、を備える。
以下では、ステータコア21(又はコアバック部22)の中心軸線O方向を軸方向と言い、ステータコア21(又はコアバック部22)の径方向(中心軸線Oに直交する方向)を径方向と言い、ステータコア21(又はコアバック部22)の周方向(中心軸線O回りに周回する方向)を周方向と言う。
コアバック部22は、ステータ20を軸方向から見た平面視において円環状に形成されている。
複数のティース部23は、コアバック部22の内周から径方向内側に向けて(径方向に沿ってコアバック部22の中心軸線Oに向けて)突出する。
図1および図3に示すように、ティース部23は、本体部25と、ラウンド部26と、フランジ部27と、を備える。なお、図3では、後述する絶縁被膜3による接着部3aにハッチングを付して示している。図3では、後述する永久磁石32および貫通孔33を示していない。
図3に示すように、本体部25は、軸方向に見たときに径方向に長い矩形状を呈する。ラウンド部26は、本体部25における径方向の基端部とコアバック部22の内周縁とを接続する。ラウンド部26は、本体部25に対する周方向の両側にそれぞれ設けられる。ラウンド部26は、径方向外側、かつ、周方向において本体部25に向かう、斜めの向きに向かって凹んでいる。
フランジ部27は、本体部25における径方向の先端部から、周方向の両側にそれぞれ突出する。
図1に示すように、複数のティース部23は、周方向に同等の角度間隔をあけて配置されている。本実施形態では、中心軸線Oを中心とする中心角15度おきに24個のティース部23が設けられている。複数のティース部23は、互いに同等の形状でかつ同等の大きさに形成されている。よって、複数のティース部23は、互いに同じ厚み寸法を有している。
前記巻線は、ティース部23に巻回されている。前記巻線は、集中巻きされていてもよく、分布巻きされていてもよい。
ロータ30は、ステータ20(ステータコア21)に対して径方向の内側に配置されている。ロータ30は、ロータコア31と、複数の永久磁石32と、を備える。
ロータコア31は、ステータ20と同軸に配置される環状(円環状)に形成されている。ロータコア31内には、前記回転軸60が配置されている。回転軸60は、ロータコア31に固定されている。
複数の永久磁石32は、ロータコア31に固定されている。複数の永久磁石32は、周方向に同等の角度間隔をあけて配置されている。本実施形態では、中心軸線Oを中心とする中心角90度おきに4個の永久磁石32が設けられている。
本実施形態では、永久磁石界磁型電動機として、埋込磁石型モータが採用されている。ロータコア31には、ロータコア31を軸方向に貫通する複数の貫通孔33が形成されている。複数の貫通孔33は、複数の永久磁石32の配置に対応して設けられている。各永久磁石32は、対応する貫通孔33内に配置された状態でロータコア31に固定されている。各永久磁石32のロータコア31への固定は、例えば永久磁石32の外面と貫通孔33の内面とを接着剤により接着すること等により、実現できる。なお、永久磁石界磁型電動機として、埋込磁石型に代えて表面磁石型モータを採用してもよい。
ステータコア21およびロータコア31は、いずれも積層コアである。例えばステータコア21は、図2に示すように、複数の電磁鋼板40が積層方向に積層されることで形成されている。なお、積層方向は、前記軸方向である。
なお、ステータコア21およびロータコア31それぞれの積厚(中心軸線Oに沿った全長)は、例えば50.0mmとされる。ステータコア21の外径は、例えば250.0mmとされる。ステータコア21の内径は、例えば165.0mmとされる。ロータコア31の外径は、例えば163.0mmとされる。ロータコア31の内径は、例えば30.0mmとされる。ただし、これらの値は一例であり、ステータコア21の積厚、外径や内径、およびロータコア31の積厚、外径や内径は、これらの値のみに限られない。ここで、ステータコア21の内径は、ステータコア21におけるティース部23の先端部を基準とする。すなわち、ステータコア21の内径は、全てのティース部23の先端部に内接する仮想円の直径である。
ステータコア21およびロータコア31を形成する各電磁鋼板40は、例えば、図4から図6に示すような素材1を打ち抜き加工すること等により形成される。素材1は、電磁鋼板40の母材となる鋼板(電磁鋼板)である。素材1としては、例えば、帯状の鋼板や切り板等が挙げられる。
積層コアの説明の途中ではあるが、以下では、この素材1について説明する。なお本明細書において、電磁鋼板40の母材となる帯状の鋼板を、素材1という場合がある。素材1を打ち抜き加工して積層コアに用いられる形状にした鋼板を、電磁鋼板40という場合がある。
ステータコア21およびロータコア31を形成する各電磁鋼板40は、例えば、図4から図6に示すような素材1を打ち抜き加工すること等により形成される。素材1は、電磁鋼板40の母材となる鋼板(電磁鋼板)である。素材1としては、例えば、帯状の鋼板や切り板等が挙げられる。
積層コアの説明の途中ではあるが、以下では、この素材1について説明する。なお本明細書において、電磁鋼板40の母材となる帯状の鋼板を、素材1という場合がある。素材1を打ち抜き加工して積層コアに用いられる形状にした鋼板を、電磁鋼板40という場合がある。
(素材1)
素材1は、例えば、コイル1A(図7参照)に巻き取られた状態で取り扱われる。本実施形態では、素材1として、無方向性電磁鋼板を採用している。無方向性電磁鋼板としては、JIS C 2552:2014の無方向性電磁鋼帯を採用できる。しかしながら、素材1として、無方向性電磁鋼板に代えて方向性電磁鋼板を採用してもよい。この場合の方向性電磁鋼板としては、JIS C 2553:2019の方向性電磁鋼帯を採用できる。また、素材1としては、JIS C 2558:2015の無方向性薄電磁鋼帯や方向性薄電磁鋼帯を採用できる。
素材1の平均板厚t0の上下限値は、素材1が電磁鋼板40として用いられる場合も考慮して、例えば以下のように設定される。
素材1が薄くなるに連れて素材1の製造コストは増す。そのため、製造コストを考慮すると、素材1の平均板厚t0の下限値は、0.10mm、好ましくは0.15mm、より好ましくは0.18mmとなる。
一方で素材1が厚すぎると、製造コストは良好になるが、素材1が電磁鋼板40として用いられた場合に、渦電流損が増加してコア鉄損が劣化する。そのため、コア鉄損と製造コストを考慮すると、素材1の平均板厚t0の上限値は、0.65mm、好ましくは0.35mm、より好ましくは0.30mmとなる。
素材1の平均板厚t0の上記範囲を満たすものとして、0.20mmを例示できる。
なお、素材1の平均板厚t0は、後述する母材鋼板2の厚さだけでなく、絶縁被膜3の厚さも含まれる。また、素材1の平均板厚t0の測定方法は、例えば、以下の測定方法による。例えば、素材1がコイル1Aの形状に巻き取られている場合、素材1の少なくとも一部を平板形状に巻きだす。平板形状に巻き出された素材1において、素材1の長手方向の所定の位置(例えば、素材1の長手方向の端縁から、素材1の全長の10%分の長さ、離れた位置)を選定する。この選定した位置において、素材1を、その幅方向に沿って5つの領域に区分する。これらの5つの領域の境界となる4か所において、素材1の板厚を測定する。4か所の板厚の平均値を、素材1の平均板厚t0とすることができる。
この素材1の平均板厚t0についての上下限値は、電磁鋼板40としての平均板厚t0の上下限値としても当然に採用可能である。なお、電磁鋼板40の平均板厚t0の測定方法は、例えば、以下の測定方法による。例えば、積層コアの積厚を、周方向に同等の間隔をあけて4か所において(すなわち、中心軸線Oを中心とした90度おきに)測定する。測定した4か所の積厚それぞれを、積層されている電磁鋼板40の枚数で割って、1枚当たりの板厚を算出する。4か所の板厚の平均値を、電磁鋼板40の平均板厚t0とすることができる。
図5および図6に示すように、素材1は、母材鋼板2と、絶縁被膜(絶縁コーティング)3と、を備えている。素材1は、帯状の母材鋼板2の両面が絶縁被膜3によって被覆されてなる。本実施形態では、素材1の大部分が母材鋼板2によって形成され、母材鋼板2の表面に、母材鋼板2よりも薄い絶縁被膜3が積層されている。
母材鋼板2の化学組成は、以下に質量%単位で示すように、質量%で2.5%〜4.5%のSiを含有する。なお、化学組成をこの範囲とすることにより、素材1(電磁鋼板40)の降伏強度を、例えば、380MPa以上540MPa以下に設定することができる。
Si:2.5%〜4.5%
Al:0.001%〜3.0%
Mn:0.05%〜5.0%
残部:Feおよび不純物
素材1が電磁鋼板40として用いられるときに、絶縁被膜3は、積層方向に隣り合う電磁鋼板40間での絶縁性能を発揮する。また本実施形態では、絶縁被膜3は、接着能(自己融着機能)を有していて、積層方向に隣り合う電磁鋼板40を接着する。より具体的には、絶縁被膜3は、加圧および加熱の少なくとも一方をされること等により融着する。
絶縁被膜3は、単層構成であってもよく、複層構成であってもよい。より具体的には、例えば、絶縁被膜3は、絶縁性能と接着能とを兼ね備えた単層構成であってもよく、絶縁性能に優れる下地絶縁被膜と、接着性能に優れる上地絶縁被膜とを含む複層構成であってもよい。
例えば、絶縁被膜3は、エポキシ樹脂と、硬化剤と、を含有する。
エポキシ樹脂は、一分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂であれば特に制限なく使用可能である。このようなエポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ヒダントイン型エポキシ樹脂、イソシアヌレート型エポキシ樹脂、アクリル酸変性エポキシ樹脂(エポキシアクリレート)、リン含有エポキシ樹脂、およびこれらのハロゲン化物(臭素化エポキシ樹脂等)や水素添加物等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
絶縁被膜3の形成に使用する電磁鋼板用コーティング組成物は、アクリル樹脂を含有してもよい。
アクリル樹脂としては、特に限定されない。アクリル樹脂に用いるモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレートを例示できる。なお、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。アクリル樹脂としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
アクリル樹脂は、アクリルモノマー以外の他のモノマーに由来する構成単位を有していてもよい。他のモノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、スチレン等が挙げられる。他のモノマーとしては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
アクリル樹脂を用いる場合、エポキシ樹脂にアクリル樹脂をグラフトさせたアクリル変性エポキシ樹脂として用いてもよい。電磁鋼板用コーティング組成物においては、アクリル樹脂を形成するモノマーとして含まれていてもよい。
エポキシ樹脂硬化剤としては、潜在性を持つ加熱硬化タイプのものが使用可能であり、例えば、芳香族ポリアミン、酸無水物、フェノール系硬化剤、ジシアンジアミド、三フッ化ホウ素−アミン錯体、有機酸ヒドラジッド等が挙げられる。芳香族ポリアミンとしては、例えば、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。フェノール系硬化剤としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールノボラック樹脂、トリアジン変性フェノールノボラック樹脂、フェノールレゾール樹脂等が挙げられる。なかでも、エポキシ樹脂硬化剤としては、フェノール系硬化剤が好ましく、フェノールレゾール樹脂がより好ましい。エポキシ樹脂硬化剤としては、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
電磁鋼板用コーティング組成物中のエポキシ樹脂硬化剤の含有量は、エポキシ樹脂100質量部に対して、5〜35質量部が好ましく、10〜30質量部がより好ましい。
電磁鋼板用コーティング組成物は、硬化促進剤(硬化触媒)、乳化剤、消泡剤等の添加剤が配合されていてもよい。添加剤としては、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
エポキシ樹脂の含有量は、電磁鋼板用コーティング組成物の総質量に対して、例えば、30〜90質量%が好ましく、40〜80質量%がより好ましく、50〜70質量%がさらに好ましい。エポキシ樹脂の含有量が上記下限値以上であると、電磁鋼板40の接着強度をより高められる。エポキシ樹脂の含有量が上記上限値以下であると、電磁鋼板40の応力歪みをより緩和できる。
本実施形態のエポキシ樹脂硬化剤は、フェノール系硬化剤(A)と、アミン系硬化剤(B)とを含有する。
フェノール系硬化剤(A)としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールノボラック樹脂、トリアジン変性フェノールノボラック樹脂、フェノールレゾール樹脂、クレゾールナフトールホルムアルデヒド縮合体等が挙げられる。
フェノール系硬化剤(A)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アミン系硬化剤(B)は、芳香族アミンおよびジシアンジアミドから選ばれる1種以上である。
芳香族アミンとしては、例えば、メタキシリレンジアミン、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。
ジシアンジアミドは、潜在性硬化剤としても知られる。潜在性硬化剤は、エポキシ樹脂と配合して、室温で安定に貯蔵でき、熱、光、圧力等により樹脂組成物を急速に硬化させる能力を有する。ジシアンジアミドは、融点207〜210℃の無色斜方状晶又は板状晶である。160〜180℃でエポキシ樹脂と反応し、20〜60分間で硬化する。
ジシアンジアミドは、硬化促進剤と併用することが好ましい。硬化促進剤としては、三級アミン、イミダゾール類、芳香族アミン等が挙げられる。
アミン系硬化剤(B)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態では、絶縁被膜3は、母材鋼板2の両面を全面にわたって隙間なく覆っている。しかしながら、前述の絶縁性能や接着能が確保される範囲において、絶縁被膜3が、母材鋼板2の両面を隙間なく覆っていなくてもよい。言い換えると、絶縁被膜3が、母材鋼板2の表面に間欠的に設けられていてもよい。
本実施形態では、絶縁被膜3は、母材鋼板2の両面を全面にわたって隙間なく覆っている。しかしながら、前述の絶縁性能や接着能が確保される範囲において、絶縁被膜3の一部の層は、母材鋼板2の両面を隙間なく覆っていなくてもよい。言い換えると、絶縁被膜3の一部の層が、母材鋼板2の表面に間欠的に設けられていてもよい。
ただし、絶縁性能を確保するには、母材鋼板2の両面は全面が露出しないように絶縁被膜3によって覆われている必要がある。具体的には、絶縁被膜3が絶縁性能に優れる下地絶縁被膜を有さず、絶縁性能と接着能を兼ね備えた単層構成である場合は、絶縁被膜3は母材鋼板2の全面にわたって隙間なく形成されている必要がある。これに対し、絶縁被膜3が、絶縁性能に優れる下地絶縁被膜と、接着能に優れる上地絶縁被膜とを含む複層構成である場合、下地絶縁被膜と上地絶縁被膜の両方を母材鋼板2の全面にわたって隙間なく形成する他に、下地絶縁被膜を母材鋼板の全面にわたって隙間なく形成し、上地絶縁被膜を間欠的に設けても、絶縁性能と接着能の両立が可能である。
ここで接着能を有する絶縁被膜が、母材鋼板2の表面に間欠的に設けられる場合、該絶縁被膜が母材鋼板2の表面を覆う領域の間隔は、本発明で接着部となる領域、すなわちコアバック部22における第1周部、ティース部23における先端部または側端部の大きさと比較して、相対的に小さな間隔であることが好ましい。例えば、間欠的な該絶縁被膜の板面上での被覆形態としてドット、ストライプ、格子などが挙げられるが、その間隔(周期)は、上記接着部の大きさよりも十分に小さくする。例えば、上記接着部の最小幅の1/3以下とする。好ましくは1/5以下、さらに好ましくは1/10以下である。
該絶縁被膜が、母材鋼板2の表面に間欠的に設けられた電磁鋼板40を素材として本発明を適用すると、本発明における上記接着部には、積層方向に隣り合う電磁鋼板40の該絶縁被膜の重なり具合によって厳密には接着領域と非接着領域(接着能を有する絶縁被膜自体が存在しない領域)とが間欠的に存在する状況となる可能性がある。このような状況においても、上記間隔が上記接着部に比して十分に小さければ、上記第1周部、先端部または側端部で接着を意図している領域を実質的な一つの接着部と見なすことが可能であり、本発明では上記接着を意図している領域を実質的な一つの接着部と判断する。
下地絶縁被膜を形成するコーティング組成物としては、特に限定されず、例えば、クロム酸含有処理剤、リン酸塩含有処理等の一般的な処理剤を使用できる。
接着能を備える絶縁被膜は、前記電磁鋼板用コーティング組成物が母材鋼板上に塗布されてなる。接着能を備える絶縁被膜は、例えば、絶縁性能と接着能を兼ね備えた単層構成の絶縁被膜や、下地絶縁被膜上に設けられる上地絶縁被膜である。接着能を備える絶縁被膜は、積層コア製造時の加熱圧着前においては、未硬化状態又は半硬化状態(Bステージ)であり、加熱圧着時の加熱によって硬化反応が進行して接着能が発現する。
絶縁被膜3の平均厚みt1の上下限値は、素材1が電磁鋼板40として用いられる場合も考慮して、例えば以下のように設定される。
素材1が電磁鋼板40として用いられる場合において、絶縁被膜3の平均厚みt1(電磁鋼板40(素材1)片面あたりの厚さ)は、互いに積層される電磁鋼板40間での絶縁性能及び接着能を確保できるように調整する。
単層構成の絶縁被膜3の場合、絶縁被膜3の平均厚みt1(電磁鋼板40(素材1)片面あたりの厚さ)は、例えば、1.5μm以上8.0μm以下とすることができる。
複層構成の絶縁被膜3の場合、下地絶縁被膜の平均厚みは、例えば、0.3μm以上1.2μm以下とすることができ、0.7μm以上0.9μm以下が好ましい。上地絶縁被膜の平均厚みは、例えば、1.5μm以上8.0μm以下とすることができる。
なお、素材1における絶縁被膜3の平均厚みt1の測定方法は、素材1の平均板厚t0と同様の考え方で、複数箇所の絶縁被膜3の厚みを求め、それらの厚みの平均として求めることができる。
この素材1における絶縁被膜3の平均厚みt1についての上下限値は、電磁鋼板40における絶縁被膜3の平均厚みt1の上下限値としても当然に採用可能である。なお、電磁鋼板40における絶縁被膜3の平均厚みt1の測定方法は、例えば、以下の測定方法による。例えば、積層コアを形成する複数の電磁鋼板のうち、積層方向の最も外側に位置する電磁鋼板40(表面が積層方向に露出している電磁鋼板40)を選定する。選定した電磁鋼板40の表面において、径方向の所定の位置(例えば、電磁鋼板40における内周縁と外周縁との丁度中間(中央)の位置)を選定する。選定した位置において、電磁鋼板40の絶縁被膜3の厚みを、周方向に同等の間隔をあけて4か所において(すなわち、中心軸線Oを中心とした90度おきに)測定する。測定した4か所の厚みの平均値を、絶縁被膜3の平均厚みt1とすることができる。
なお、このように絶縁被膜3の平均厚みt1を、積層方向の最も外側に位置する電磁鋼板40において測定した理由は、絶縁被膜3の厚みが、電磁鋼板40の積層方向に沿った積層位置で殆ど変わらないように、絶縁被膜3が作り込まれているからである。
以上のような素材1を打ち抜き加工することで電磁鋼板40が製造され、電磁鋼板40によって積層コア(ステータコア21やロータコア31)が製造される。
図3に示すように、積層方向に隣り合う電磁鋼板40同士のティース部23における径方向の先端部23aは、絶縁被膜3による接着部3aにより互いに接着されている。接着部3aは、絶縁被膜3が加熱および加圧の少なくとも一方をされること等により、形成されたものである。この例では、ティース部23の先端部23aに一対のフランジ部27が含まれ、一対のフランジ部27に接着部3aが形成されている。
同様に、積層方向に隣り合う電磁鋼板40同士のティース部23における周方向の両側端部23bは、接着部3a(絶縁被膜3)により互いに接着されている。
この例では、ティース部23の本体部25およびラウンド部26に接着部3aがそれぞれ形成されている。各ティース部23に形成される一対の側端部23bは、互いに接触していないことが好ましい。
ここで、ティース部23における、先端部23aおよび両側端部23b以外の部分を、中央部23cと言う。積層方向に隣り合う電磁鋼板40同士のティース部23における中央部23cが、接着部3aにより互いに接着されていない。ティース部23の中央部23cの表面には、図示しないマスキング剤が配置されていてもよい。例えば、マスキング剤には、コロイダルシリカ、有機溶剤等を用いることができる。このマスキング剤により、絶縁被膜3の接着能が消失している(発揮されない)。積層方向に隣り合う電磁鋼板40同士のティース部23における中央部23cは、マスキング剤を介して互いに接触していてもよい。
ここで、コアバック部22のうち、径方向におけるティース部23とは反対側の部分を、外周部(第1周部)22aと言う。外周部22aは、コアバック部22における径方向外側の部分に、コアバック部22の全周にわたって形成されている。コアバック部22における、外周部22a以外の部分を、内周部(第2周部)22bと言う。内周部22bは、コアバック部22のうち、径方向におけるティース部23側の部分である。内周部22bは、コアバック部22における径方向内側の部分に、コアバック部22の全周にわたって形成されている。外周部22aおよび内周部22bは、それぞれ円環状に形成されている。外周部22aおよび内周部22bは、互いに同軸に、径方向に位置をずらして配置されている。
積層方向に隣り合う電磁鋼板40同士の外周部22aが、接着部3aによりそれぞれ互いに接着されている。一方で、積層方向に隣り合う電磁鋼板40同士の内周部22bが、接着部3aにより互いに接着されていない。コアバック部22における内周部22bの表面には、図示しないマスキング剤が配置されていてもよい。
すなわち、電磁鋼板40における積層方向を向く表面(以下、第1面と言う)には、接着部3aにより互いに接着されている領域(以下、接着領域と言う)と、接着部3aにより互いに接着されていない領域(以下、非接着領域と言う)とが、混在している。
なお、電磁鋼板40同士における接着領域と、非接着領域との確認方法は、以下のようになる。すなわち、接着部3aを介して接着されている電磁鋼板40同士を引きはがす。引きはがされた電磁鋼板40の第1面を観察し、接着領域の剥離に伴って生じる絶縁被膜3の接着痕が残っている領域を接着領域と判定し、接着痕が残っていない領域を非接着領域と判定することができる(前述のように粘着性によって固着されている領域には、接着痕が残らない)。この判定に際しては、コンピュータや人工知能を利用した画像処理を用いてもよい。
本実施形態では、ロータコア31を形成する方の複数の電磁鋼板には、図1に示す貫通孔42,43が形成されている。なお、これら複数の電磁鋼板は、図示しないかしめ(ダボ)によって互いに固定されている。しかしながら、ロータコア31を形成する複数の電磁鋼板も、ステータコア21と同様に絶縁被膜3により固定した積層構造を有してもよい。
また、ステータコア21やロータコア31などの積層コアは、いわゆる回し積みにより形成されていてもよい。
(ステータコア21の製造方法)
次に、以上のように構成されたステータコア21を製造するステータコアの製造方法(以下、単に製造方法とも言う)について説明する。
図7に、本製造方法で好ましく用いられる製造装置100の側面図を示す。
製造装置100では、コイル1A(フープ)から素材1を矢印F方向に向かって送り出しつつ、各ステージに配置された金型により複数回の打ち抜きを行って電磁鋼板40の形状に徐々に形成していく。例えば、電磁鋼板40を形成していく間に、電磁鋼板40にマスキング剤を塗布する。
そして、打ち抜いた電磁鋼板40を複数積層する。積層した複数の電磁鋼板40を昇温させながら加圧する。その結果、積層方向に隣り合う電磁鋼板40同士を、絶縁被膜3を融着した接着部3aにより接着(融着)する。
図7に示すように、製造装置100は、複数段の打ち抜きステーション110を備えている。打ち抜きステーション110は、二段であってもよく、三段以上であってもよい。各段の打ち抜きステーション110は、素材1の下方に配置された雌金型111と、素材1の上方に配置された雄金型112とを備える。
複数段の雌金型111のうち、矢印F方向(素材1の送り出し方向)に隣り合う雌金型111の間に、塗布部130が配置される。塗布部130は、複数の供給管131により構成される。
製造装置100は、さらに、最も下流の打ち抜きステーション110よりも下流位置に積層ステーション140を備える。この積層ステーション140は、加熱装置141と、外周打ち抜き雌金型(金型)142と、断熱部材143と、外周打ち抜き雄金型144と、スプリング145と、を備えている。
加熱装置141、外周打ち抜き雌金型142、断熱部材143は、素材1の下方に配置されている。この例では、加熱装置141は、外周打ち抜き雌金型142に配置されている。一方、外周打ち抜き雄金型144およびスプリング145は、素材1の上方に配置されている。なお、符号21は、ステータコアを示している。
以上説明の構成を有する製造装置100を用いて、本実施形態の製造方法が行われる。図8は、製造方法Sを示すフローチャートである。
予め、コイル1Aより素材1を図7の矢印F方向に順次送り出す。そして、この素材1に対し、まず打ち抜き・塗布工程(図8に示すステップS1)を行う。
打抜き・塗布工程S1では、打ち抜き工程S2および塗布工程S3を行う。
打ち抜き工程S2では、複数段の打ち抜きステーション110による打ち抜き加工を行う。打ち抜き工程S2を行うことで、素材1に、図3に示したコアバック部22と複数のティース部23を有する電磁鋼板40の形状を得る。ただし、この時点では完全には打ち抜かれていないので、矢印F方向に沿って次工程へと進む。
塗布工程S3では、塗布部130の複数の供給管131により、図9に示すように、電磁鋼板40のティース部23の中央部23c、およびコアバック部22内周部22bに、マスキング剤65を塗布する。
図7に示すように、素材1は積層ステーション140へと送り出され、外周打ち抜き雄金型144により打ち抜かれ、素材1から電磁鋼板40が製造される。以上の工程により、打ち抜き工程S2が終了する。本実施形態では、打ち抜き工程S2の間に塗布工程S3が行われる。しかし、打ち抜き工程S2の前に塗布工程S3を行ってもよいし、打ち抜き工程S2の後で塗布工程S3を行ってもよい。
打抜き・塗布工程S1が終了すると、ステップS6に移行する。
次に、積層工程(ステップS6)において、素材1から電磁鋼板40を下方に落とし、外周打ち抜き雌金型142内で複数の電磁鋼板40を積層させる。複数の電磁鋼板40は、マスキング剤65が塗布された表面が同一の向きを向くように、積層される。複数の電磁鋼板40は、外周打ち抜き雌金型142内で精度良く、積層される。積層工程S6において、電磁鋼板40はスプリング145により一定の加圧力を受ける。
以上説明した打抜き・塗布工程S1および積層工程S6を一定期間行うことで、外周打ち抜き雌金型142内で所定枚数の電磁鋼板40を積み重ねることができる。
積層工程S6が終了すると、ステップS11に移行する。
次に、接着工程(ステップS11)において、積層方向に隣り合う電磁鋼板40同士に対して、絶縁被膜3の接着能を発揮させる。具体的には、加熱装置141によって、複数の電磁鋼板40を例えば温度200℃まで加熱する。これにより、電磁鋼板40の絶縁被膜3が融解する。融解した部分が冷却されると、この部分が硬化して接着部3aが形成され、電磁鋼板40の表面における、マスキング剤65が塗布されていない部分が接着される。具体的には、接着工程S11では、積層方向に隣り合う電磁鋼板40同士のティース部23における先端部23aおよび両側端部23b、コアバック部22の外周部22aを、接着部3aによりそれぞれ互いに接着する。
このように、マスキング剤65を塗布されている電磁鋼板40の部分に対しては、例えば絶縁被膜3が加熱をされても、絶縁被膜3の接着能が発揮されない。一方で、マスキング剤65を塗布されていない電磁鋼板40の部分に対しては、例えば絶縁被膜3が加熱等されて絶縁被膜3の接着能が発揮されると、積層方向に隣り合う電磁鋼板40同士が絶縁被膜3により互いに接着される。
なお、接着工程S11では、マスキング剤65を塗布された状態で絶縁被膜3の接着能を発揮させることで、積層方向に隣り合う電磁鋼板40同士における、ティース部23の中央部23c、およびコアバック部22の内周部22bが、絶縁被膜3により互いに接着されない。
接着工程S11が終了すると、製造方法Sの全工程が終了し、ステータコア21が製造される。
なお、製造装置100は、加熱装置141および断熱部材143を備えなくてもよい。この場合、加熱装置は、製造装置100とは別に、例えば製造装置100よりも下流の工程用として配置されてもよい。
製造装置100が加熱装置141を備えない場合には、外周打ち抜き雌金型142内で複数の電磁鋼板40は互いに接着されない。外周打ち抜き雌金型142で積層された電磁鋼板40を接着させる前に、複数の電磁鋼板40は外周打ち抜き雌金型142外に取り出される。この場合、外周打ち抜き雌金型142内で積層された複数の電磁鋼板40は、図示されない治具で積層方向の両側から挟んで保持した上で、搬送したり加熱したりしてもよい。
なお、以上のように構成された、回転電機10を動作させる。このとき、図10に示すように、回転電機10に発生する磁束線Lは、電磁鋼板40の内周部22bに比べて外周部22aを通り難い。なお、図10では、接着部3aを示さずに、コアバック部22の外周部22aと内周部22bとの境界、およびティース部23の先端部23aと側端部23bと中央部23cとの境界を、それぞれ二点鎖線で示す。
以上説明したように、本実施形態のステータコア21によれば、ステータコア21を用いて回転電機10を構成し、この回転電機10を動作させる。一般的に、この時に回転電機10に発生する磁束線Lは、電磁鋼板40の内周部22bに比べて外周部22aを通り難い。従って、積層方向に隣り合うコアバック部22の外周部22aを絶縁被膜3により互いに接着しても、磁束線Lが通りやすい内周部22bに圧縮応力が付与されるのが抑制されることで磁束線Lに与える影響が抑えられ、ステータコア21の磁気特性が低下するのを抑制することができる。
さらに、積層方向に隣り合う電磁鋼板40同士のティース部23における先端部23aおよび両側端部23bが、絶縁被膜3によりそれぞれ互いに接着されている。このため、積層方向に隣り合う電磁鋼板40同士において、一方のティース部23の先端部23aおよび両側端部23bが他方のティース部23の先端部23aおよび両側端部23bから浮き上がることが防止される。これにより、ステータコア21の磁気特性が低下するのを、より確実に抑制することができる。また、積層方向に隣り合う電磁鋼板40同士のティース部23における中央部23cが、絶縁被膜3によりそれぞれ互いに接着されていない。これにより、この部分に圧縮応力が付与されて、ステータコア21の磁気特性が低下するのを抑制することができる。
ステータコア21において、コアバック部22の第1周部は、コアバック部22の外周部22aである。これにより、ステータコア21が、インナーロータ型の場合に、ステータコア21の磁気特性が低下するのを抑制することができる。
さらに、積層方向に隣り合う電磁鋼板40同士の接着部は、絶縁被膜3により互いに接着されている。すなわち積層方向に隣り合う電磁鋼板40同士の境界に絶縁被膜3とは異なる組成を有する物質(例えばコアの製造過程で塗布される接着剤等)が存在せず、隣り合う各電磁鋼板40の表面を覆っていた絶縁被膜3が一体化し均質となっている。これにより、絶縁被膜3とは異なる物質である接着剤を塗布して部分的な接着部を形成する従来のステータコアと比較し、局所的な接着に伴う圧縮応力の発生が抑制され、ステータコア21の磁気特性が低下するのを抑制することができる。
また例えば、局所的な加熱および/又は加圧により積層方向に隣り合う電磁鋼板40同士の局所的な接着部が形成されたステータコア21においては、非接着部は積層方向に隣り合う電磁鋼板40同士が強く接触した状態となっている。このため、ステータコア21が回転電機10に組付けられて動作する際の非接着部の不用意な振動が抑制されてロータ30の回転が安定し、回転電機10全体の磁気特性が低下するのを抑制することができる。
また、本実施形態の製造方法Sによれば、塗布工程S3においてマスキング剤65を塗布した電磁鋼板40複数を、積層工程S6において積層する。そして、接着工程S11において積層方向に隣り合うコアバック部22の外周部22aを絶縁被膜3により互いに接着しても、磁束線Lが通りやすい内周部22bに圧縮応力が付与されるのが抑制されることで磁束線Lに与える影響が抑えられ、ステータコア21の磁気特性が低下するのを抑制することができる。
さらに、接着工程S11において積層方向に隣り合う電磁鋼板40同士のティース部23における先端部23aおよび両側端部23bが絶縁被膜3により互いに接着されるため、積層方向に隣り合う電磁鋼板40同士において、一方のティース部23の先端部23aおよび両側端部23bが他方のティース部23の先端部23aおよび両側端部23bから浮き上がることが防止される。これにより、ステータコア21の磁気特性が低下するのを抑制することができる。
製造方法Sにおいて、コアバック部22の第1周部は、コアバック部22の外周部22aである。これにより、ステータコア21が、インナーロータ型の場合に、ステータコア21の磁気特性が低下するのを抑制することができる。
マスキング剤65を塗布して積層方向に隣り合う電磁鋼板40同士の非接着部を形成する製造方法Sによるステータコア21においては、該非接着部は積層方向に隣り合う電磁鋼板40同士が強く接触した状態となっている。従って、ステータコア21が回転電機10に組付けられて動作する際の非接着部の不用意な振動が抑制されてロータ30の回転が安定し、回転電機10全体の磁気特性が低下するのを抑制することができる。
本実施形態の製造装置100は、以下に説明するようにその構成を様々に変形させることができる。
製造装置100では、塗布部130が外周打ち抜き雌金型142に設けられてもよい。この場合、例えば積層工程の間に塗布工程が行われる。そして、塗布工程では、外周打ち抜き雌金型142内でマスキング剤65を塗布する。
製造装置をこの変形例のように構成することで、素材1から、外周打ち抜き雌金型142を用いて電磁鋼板40を打ち抜く際に、電磁鋼板40に対してマスキング剤65を塗布する位置がズレるのを抑えることができる。
なお、内部でマスキング剤65を塗布する金型は、外周打ち抜き雌金型142に限定されない。
図11に示す製造装置100Aのように、塗布部130の複数の供給管131は、複数段の雄金型112のうち、矢印F方向に隣り合う雄金型112の間に配置されていてもよい。
図12に示す製造装置100Bのように、製造装置100の塗布部130に代えて塗布部130Bを備えてもよい。塗布部130Bが備える供給管132では、本管133から複数の分岐管134が分岐している。この変形例では、塗布工程において、複数の分岐管134から電磁鋼板40にマスキング剤65を塗布する。
図13に示す製造装置100Cのように、本実施形態の製造装置100の塗布部130に代えて塗布部130Cを備えてもよい。塗布部130Cは、複数(本変形例では2つ)のロール136と、供給部(不図示)と、を備えている。塗布部130Cは、複数段の打ち抜きステーション110のうち、矢印F方向に隣り合う打ち抜きステーション110の間に配置される。複数のロール136は、素材1を素材1の厚さ方向に挟んでいる。複数のロール136は、各ロール136の軸線回りに回転しつつ、素材1を矢印F方向に送り出す。
供給部は、複数のロール136のうちの少なくとも1つの表面に、マスキング剤65を供給する。
この製造装置100Cを用いた製造方法では、塗布工程において、複数のロール136によりマスキング剤65を塗布する。
この変形例の製造方法によれば、複数のロール136を用いて、電磁鋼板40の各位置にマスキング剤65を正確に塗布することができる。
なお、本変形例では、塗布部が1つのロール136を備えてもよい。
以上説明した製造装置100A〜100Cによっても、製造装置100と同様に、本実施形態の製造方法Sに好ましく用いることができる。
本実施形態では、積層方向に隣り合う電磁鋼板40同士のティース部23の両側端部23bは、接着部3aにより互いに接着されていなくてもよい。この場合、製造方法において、塗布工程では、電磁鋼板40のティース部23の中央部23cおよび両側端部23bにマスキング剤65を塗布する。接着工程では、積層方向に隣り合う電磁鋼板40同士のティース部23の中央部23cおよび両側端部23b(少なくともティース部23における先端部23aおよび両側端部23b以外の部分)は、接着部3aにより互いに接着されない。
この変形例のステータコアでは、積層方向に隣り合う電磁鋼板40同士のティース部23における先端部23aが絶縁被膜3により互いに接着されているため、積層方向に隣り合う電磁鋼板40同士において、一方のティース部23の先端部23aが他方のティース部23の先端部23aから浮き上がることが防止される。これにより、ステータコアの磁気特性が低下するのを抑制することができる。
また、この変形例の製造方法では、接着工程において積層方向に隣り合う電磁鋼板40同士のティース部23における先端部23aが絶縁被膜3により互いに接着されるため、積層方向に隣り合う電磁鋼板40同士において、一方のティース部23の先端部23aが他方のティース部23の先端部23aから浮き上がることが防止される。これにより、ステータコア21の磁気特性が低下するのを抑制することができる。
ここで、図3に示すように、ティース部23(本体部25)の幅を、M1とする。各側端部23bの幅を、M2/2とする。このとき、各ティース部23に形成される両側端部23bの幅の合計は、M2となる。コアバック部22の径方向の長さを、M3とする。外周部22aの径方向の長さを、M4とする。
このとき、(M2/M1)の値は、0.1以上0.5以下であることが好ましい。(M2/M1)の値がこの範囲であると、ティース部23において磁束線Lが集中する部分であるティース部23における幅方向中心部分に圧縮応力が付与されるのが抑制される。このため、ステータコア21の磁気特性が低下するのを、より確実に抑制することができる。
一方で、(M2/M1)の値が、0以上0.1未満である場合には、ティース部23の中央部23cにおいて、磁気特性の低下が抑制される。ただしこの場合には、中央部23cにおいて、ティース部23の浮き上がりによりステータコア21の磁気特性が低下する虞がある。
また、(M2/M1)の値が0.5よりも大きい場合には、中央部23cの範囲が小さくなるため、ステータコア21の磁気特性が低下する虞がある。
(M4/M3)の値は、0.1以上0.3以下であることが、最も好ましい。(M4/M3)の値がこの範囲であると、コアバック部22において磁束線Lが集中する部分である内周部22bに圧縮応力が付与されるのが抑制される。このため、ステータコア21の磁気特性が低下するのを、より確実に抑制することができる。
一方で、(M4/M3)の値が、0.3よりも大きく0.5以下であることが好ましい。(M4/M3)の値がこの範囲であると、コアバック部22の内周部22bに圧縮応力が付与されるのが抑制される。このため、ステータコア21の磁気特性が低下するのを抑制することができる。
また、(M4/M3)の値が、0.5よりも大きく0.8以下である場合には、コアバック部22の内周部22bに圧縮応力が付与されるのが抑制され、ステータコア21の磁気特性が低下するのが、やや抑制される。
(M4/M3)の値が0.8よりも大きい場合には、コアバック部22における磁束線Lが集中する部分まで接着されるため、ステータコア21の磁気特性が低下する虞がある。
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。
例えば、前記実施形態では、複数のティース部23は、コアバック部22の外周から径方向外側に向けて突出していてもよい。この場合、コアバック部22の第1周部は、コアバック部22の内周部22bに該当する。コアバック部22の第2周部は、コアバック部22の外周部22aに該当する。
すなわち、第1周部は、コアバック部22の外周部22aおよび内周部22bのいずれか一方である。第2周部は、コアバック部22における、第1周部以外の部分である。
ステータコア21の形状は、上記実施形態で示した形態のみに限定されるものではない。具体的には、ステータコア21の外径および内径の寸法、積厚、スロット数、ティース部23の周方向と径方向の寸法比率、ティース部23とコアバック部22との径方向の寸法比率等は、所望の回転電機の特性に応じて任意に設計可能である。
前記実施形態におけるロータ30では、1つの永久磁石32が1つの磁極を形成しているが、本発明はこの形態のみに限られない。例えば、2つの永久磁石32が組となって1つの磁極を形成していてもよく、3つ以上の永久磁石32が組となって1つの磁極を形成していてもよい。
上記実施形態では、回転電機10として、永久磁石界磁型電動機を一例に挙げて説明したが、回転電機10の構造は、以下に例示するようにこれのみに限られず、更には以下に例示しない種々の公知の構造も採用可能である。
上記実施形態では、回転電機10として、永久磁石界磁型電動機を一例に挙げて説明したが、本発明はこれのみに限られない。例えば、回転電機10がリラクタンス型電動機や電磁石界磁型電動機(巻線界磁型電動機)であってもよい。
上記実施形態では、交流電動機として、同期電動機を一例に挙げて説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、回転電機10が誘導電動機であってもよい。
上記実施形態では、回転電機10として、交流電動機を一例に挙げて説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、回転電機10が直流電動機であってもよい。
上記実施形態では、回転電機10として、電動機を一例に挙げて説明したが、本発明はこれに限られない。例えば、回転電機10が発電機であってもよい。
2 母材鋼板
3 絶縁被膜
21 ステータコア(積層コア)
22 コアバック部
22a 外周部(第1周部)
22b 内周部(第2周部)
23 ティース部
23a 先端部
23b 側端部
31 ロータコア(積層コア)
40 電磁鋼板
65 マスキング剤
136 ロール
142 外周打ち抜き雌金型(金型)
S 製造方法(積層コアの製造方法)
S3 塗布工程
S6 積層工程
S11 接着工程

Claims (8)

  1. 母材鋼板が、接着能を有する絶縁被膜で被覆された電磁鋼板が、積層方向に複数積層された積層コアであって、
    前記電磁鋼板は、コアバック部と、前記コアバック部から径方向に突出するティース部と、を備え、
    前記積層方向に隣り合う前記電磁鋼板同士の前記ティース部における前記径方向の先端部、および前記コアバック部のうち、前記径方向における前記ティース部とは反対側の部分である第1周部が、前記絶縁被膜によりそれぞれ互いに接着され、
    前記積層方向に隣り合う前記電磁鋼板同士の前記コアバック部における、前記第1周部以外の第2周部が、前記絶縁被膜により互いに接着されていない積層コア。
  2. 前記積層方向に隣り合う前記電磁鋼板同士の前記ティース部における周方向の両側端部が、前記絶縁被膜によりそれぞれ互いに接着され、
    前記積層方向に隣り合う前記電磁鋼板同士の前記ティース部における、前記先端部および前記両側端縁以外の部分が、前記絶縁被膜により互いに接着されていない請求項1に記載の積層コア。
  3. 前記コアバック部の前記第1周部は、前記コアバック部の外周部である請求項1又は2に記載の積層コア。
  4. 母材鋼板が、接着能を有する絶縁被膜で被覆された電磁鋼板が、積層方向に複数積層された積層コアを製造する積層コアの製造方法であって、
    前記電磁鋼板は、コアバック部と、前記コアバック部から径方向に突出するティース部と、を備え、
    前記電磁鋼板の前記ティース部における、少なくとも前記径方向の先端部および周方向の両側端部以外の部分、および前記コアバック部のうち、前記径方向における前記ティース部側の部分である第2周部に、マスキング剤を塗布する塗布工程と、
    前記複数の電磁鋼板を積層させる積層工程と、
    前記積層方向に隣り合う前記電磁鋼板同士に対して、前記絶縁被膜の前記接着能を発揮させることで、前記積層方向に隣り合う前記電磁鋼板同士の前記ティース部における先端部、およびコアバック部のうち前記第2周部以外の第1周部を、前記絶縁被膜によりそれぞれ互いに接着する接着工程と、
    を行い、
    前記接着工程では、前記積層方向に隣り合う前記電磁鋼板同士において、少なくとも前記ティース部における、前記径方向の先端部および周方向の両側端部以外の部分、および前記コアバック部の前記第2周部が、前記絶縁被膜により互いに接着されない積層コアの製造方法。
  5. 前記塗布工程では、前記電磁鋼板の前記ティース部における、前記径方向の先端部および前記周方向の両側端部以外の部分に、前記マスキング剤を塗布し、
    前記接着工程では、
    前記積層方向に隣り合う前記電磁鋼板同士に対して、前記絶縁被膜の前記接着能を発揮させることで、前記積層方向に隣り合う前記電磁鋼板同士の前記ティース部における周方向の両側端部を、前記絶縁被膜により互いに接着し、
    前記積層方向に隣り合う前記電磁鋼板同士の前記ティース部における、前記先端部および前記両側端縁以外の部分が、前記絶縁被膜により互いに接着されない請求項4に記載の積層コアの製造方法。
  6. 前記塗布工程では、ロールにより前記マスキング剤を塗布する請求項4又は5に記載の積層コアの製造方法。
  7. 前記塗布工程では、金型内で前記マスキング剤を塗布する請求項4又は5に記載の積層コアの製造方法。
  8. 前記コアバック部の前記第1周部は、前記コアバック部の外周部である請求項4から7のいずれか一項に記載の積層コアの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN116742910A (zh) * 2023-07-10 2023-09-12 苏州首栎德技术有限公司 一种电机的定子片涂胶方法
WO2024053364A1 (ja) * 2022-09-08 2024-03-14 日本製鉄株式会社 積層鉄心の製造方法、製造装置、積層鉄心及び回転電機

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