JP2021512896A - 古典型ファブリー病患者の治療 - Google Patents

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Abstract

患者における古典型ファブリー病の治療方法が提供される。ある特定の方法は、腎グロボトリアオシルセラミドを低下させるために、腎機能を安定化させるために、左室重量を低下させるために、血漿グロボトリアオシルスフィンゴシンを低下させるために及び/又は胃腸症状を治療するために、約123mg遊離塩基当量のミガラスタットを患者に投与することを含む。
【選択図】なし

Description

本発明の原理及び実施形態は、概して、リソソーム蓄積障害の治療への薬理学的シャペロンの使用、特にファブリー病の治療へのミガラスタットの使用に関する。
配列リストの参照
「00790758.TXT」(22Kb、2019年2月1日作成)として同定される本明細書に添えて提出された配列リストテキストファイルは、本明細書によって参照により援用される。
ファブリー病は、α−Gal A遺伝子(GLA)の突然変異の結果としてリソソーム酵素α−ガラクトシダーゼA(α−Gal A)の欠損に起因するグリコスフィンゴ脂質代謝の進行性X連鎖性先天異常である。X連鎖性障害にもかかわらず、女性は、様々な程度の臨床症状を発現できる。ファブリーは、一般母集団において40,000人に1人〜117,000人に1人の男性で発生すると推定されるまれな疾患である。更に、古典型の徴候及び症状を呈さないため、過小診断される可能性のあるファブリー病の遅発型表現型の異型が存在する。このこと及びファブリー病の新生児スクリーニングから、ファブリー病の実際の発生は、現在の推定よりも多い可能性があることが示唆される。
未治療では、血管疾患により腎臓、心臓及び/又は中枢神経系が冒されるので、ファブリー患者の平均余命は低下させるとともに、通常は30歳代又は40歳代で死亡する。酵素欠損は、体全体にわたり血管内皮及び内臓組織への基質グロボトリアオシルセラミド(GL−3)の細胞内蓄積をもたらす。グリコスフィンゴ脂質沈着に起因する腎機能の漸進的悪化及び高窒素血症の進行は、通常は人生の20歳代〜40歳代に発生するが、10歳代という早期に発生することもある。腎病変は、ヘミ接合(男性)及びヘテロ接合(女性)の両方の患者に見いだされる。
心疾患は、ファブリー病の結果としてほとんどの男性及び多くの女性で発生する。早期心所見としては、左室拡大、弁障害及び伝導異常が挙げられる。僧帽弁不全は、典型的には小児期又は青年期に存在する最も頻度の高い弁病変である。脳血管症状は、主に多巣性小血管障害から生じるとともに、血栓症、一過性脳虚血発作、脳底動脈虚血及び動脈瘤、発作、片麻痺、片側感覚消失、失語症、迷路障害又は脳出血を含み得る。脳血管症状の平均発症年齢は33.8歳である。年齢の増加に伴って人格変化及び精神病的行動が現れることがある。
ファブリー病に対して現在承認されている治療は、酵素補充療法(「ERT」)である。ファブリー病の治療のために、2つのα−Gal A製剤:アガルシダーゼアルファ(Replagal(登録商標)、Shire Human Genetic Therapies)及びアガルシダーゼベータ(Fabrazyme(登録商標)、Sanofi Genzyme Corporation)が現在利用可能である。これらの2つの形態のERTは、静脈内投与される組換え形態の酵素により患者の不適正α−Gal A活性を相殺することが意図される。ERTは多くの状況に有効であるが、治療には限界もある。例えば、これらの2つのα−Gal A製剤は、脳卒中の十分なリスクの減少が実証されておらず、心筋は治療に徐々に応答し、且つ腎臓の細胞型の一部からのGL−3排出は制限される。
更に、古典型ファブリー表現型の患者は、より低いベースラインα−Gal A活性、多器官系障害及びベースライン時のより重篤な疾患症状を有する傾向がある。
従って、ファブリー病、特に古典型ファブリー病の患者の治療のための療法の必要性が残っている。
本発明の様々な態様は、ミガラスタットを用いた古典型ファブリー病患者の治療に関する。かかる治療は、腎臓GL−3の低減、腎機能の安定化、左室重量(LVM)の低減、血漿グロボトリアオシルスフィンゴシン(lyso−Gb)の低減及び/又は胃腸症状の治療を含み得る。
本発明の一態様は、古典型ファブリー病を有する患者における腎臓GL−3の低減方法に関し、本方法は、患者の腎臓GL−3を低下させるために有効量のミガラスタット又はその塩を1日おきに1回の頻度で患者に投与することを含む。1つ以上の実施形態において、有効量は、約100mg〜約150mg遊離塩基当量(FBE)である。
1つ以上の実施形態において、患者は、ミガラスタット又はその塩の投与開始前に高い腎間質毛細血管GL−3を有する。
1つ以上の実施形態において、腎GL−3の低減は、腎間質毛細血管当たりのGL−3封入体の低減を含む。
1つ以上の実施形態において、患者は、p.Ile253Th(I253T)、p.Pro259Arg(P259R)、p.Gly183Asp(G183D)、p.Leu243Phe(L243F)、p.Cys174Arg(C174R)、p.Asp55Val/Gln57Leu(D55V/Q57L)、p.Gly144Val(G144V)、p.Arg328Gln(R301Q)、p.Gly373Ser(G373S)、p.Asp322Glu(D322E)、p.Gly325Arg G325R及びp.Tyr216Cys(Y216C)からなる群から選択されるα−Gal Aの突然変異を有する。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩はα−Gal A活性を増強する。
1つ以上の実施形態において、有効量は約123mg FBEである。
1つ以上の実施形態において、有効量は約123mgのミガラスタット遊離塩基である。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタットの塩はミガラスタット塩酸塩である。
1つ以上の実施形態において、有効量は約150mgのミガラスタット塩酸塩である。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は経口剤形である。1つ以上の実施形態において、経口剤形は、錠剤、カプセル又は溶液を含む。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は少なくとも6ヵ月間にわたり投与される。
1つ以上の実施形態において、患者はERT未経験患者である。
1つ以上の実施形態において、古典型ファブリー患者群へのミガラスタット又はその塩の投与は、ミガラスタット又はその塩の6ヵ月間の投与後に腎間質毛細血管当たり少なくとも約0.5個のGL−3封入体の平均減少を提供する。
本発明の別の態様は、必要とする患者における古典型ファブリー病の治療方法に関し、本方法は、有効量のミガラスタット又はその塩を1日おきに1回の頻度で患者に投与することを含む。1つ以上の実施形態において、有効量は約100mg〜約150mg FBEである。1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩の投与は、患者において腎GL−3を低下させる。
1つ以上の実施形態において、患者は、ミガラスタット又はその塩の投与開始前に高い腎間質毛細血管GL−3を有する。
1つ以上の実施形態において、腎GL−3の低減は、腎間質毛細血管当たりのGL−3封入体の低減を含む。
1つ以上の実施形態において、患者は、I253T、P259R、G183D、L243F、C174R、D55V/Q57L、G144V、R301Q、G373S、D322E、G325R及びY216Cからなる群から選択されるα−Gal Aの突然変異を有する。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩はα−Gal A活性を増強する。
1つ以上の実施形態において、有効量は約123mg FBEである。
1つ以上の実施形態において、有効量は約123mgのミガラスタット遊離塩基である。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタットの塩はミガラスタット塩酸塩である。
1つ以上の実施形態において、有効量は約150mgのミガラスタット塩酸塩である。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は経口剤形である。1つ以上の実施形態において、経口剤形は、錠剤、カプセル又は溶液を含む。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は少なくとも6ヵ月間にわたり投与される。
1つ以上の実施形態において、患者はERT未経験患者である。
1つ以上の実施形態において、古典型ファブリー患者群へのミガラスタット又はその塩の投与は、ミガラスタット又はその塩の6ヵ月間の投与後に腎間質毛細血管当たり少なくとも約0.5個のGL−3封入体の平均減少を提供する。
本発明の別の態様は、古典型ファブリー病を有する患者における腎機能の安定化方法に関し、本方法は、患者の腎機能を安定化させるために有効量のミガラスタット又はその塩を1日おきに1回の頻度で患者に投与することを含む。1つ以上の実施形態において、有効量は約100mg〜約150mg FBEである。
1つ以上の実施形態において、患者は、ミガラスタット又はその塩の投与開始前に腎機能障害を有する。
1つ以上の実施形態において、患者は、I253T、P259R、G183D、L243F、C174R、D55V/Q57L、G144V、R301Q、G373S、D322E、G325R及びY216Cからなる群から選択されるα−Gal Aの突然変異を有する。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩はα−Gal A活性を増強する。
1つ以上の実施形態において、有効量は約123mg FBEである。
1つ以上の実施形態において、有効量は約123mgのミガラスタット遊離塩基である。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタットの塩はミガラスタット塩酸塩である。
1つ以上の実施形態において、有効量は約150mgのミガラスタット塩酸塩である。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は経口剤形である。1つ以上の実施形態において、経口剤形は錠剤、カプセル又は溶液を含む。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は少なくとも6ヵ月間にわたり投与される。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は少なくとも24ヵ月間にわたり投与される。
1つ以上の実施形態において、患者はERT未経験患者である。
1つ以上の実施形態において、古典型ファブリー患者群へのミガラスタット又はその塩の投与は、ミガラスタット又はその塩の24ヵ月間の投与後に−1.0mL/min/1.73mより大きいeGFRCKD−EPIの平均年間変化率を提供する。
本発明の別の態様は、必要とする患者における古典型ファブリー病の治療方法に関し、本方法は、有効量のミガラスタット又はその塩を1日おきに1回の頻度で患者に投与することを含む。1つ以上の実施形態において、有効量は約100mg〜約150mg FBEである。1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩の投与は、患者において腎機能を安定化させる。
1つ以上の実施形態において、患者は、ミガラスタット又はその塩の投与開始前に腎機能障害を有する。
1つ以上の実施形態において、患者は、I253T、P259R、G183D、L243F、C174R、D55V/Q57L、G144V、R301Q、G373S、D322E、G325R及びY216Cからなる群から選択されるα−Gal Aの突然変異を有する。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩はα−Gal A活性を増強する。
1つ以上の実施形態において、有効量は約123mg FBEである。
1つ以上の実施形態において、有効量は約123mgのミガラスタット遊離塩基である。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタットの塩はミガラスタット塩酸塩である。
1つ以上の実施形態において、有効量は約150mgのミガラスタット塩酸塩である。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は経口剤形である。1つ以上の実施形態において、経口剤形は錠剤、カプセル又は溶液を含む。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は少なくとも6ヵ月間にわたり投与される。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は少なくとも24ヵ月間にわたり投与される。
1つ以上の実施形態において、患者はERT未経験患者である。
1つ以上の実施形態において、古典型ファブリー患者群へのミガラスタット又はその塩の投与は、ミガラスタット又はその塩の24ヵ月間の投与後に−1.0mL/min/1.73mより大きいeGFRCKD−EPIの平均年間変化率を提供する。
本発明の別の態様は、古典型ファブリー病を有する患者におけるLVMの低減方法に関し、本方法は、患者のLVMを低下させるために有効量のミガラスタット又はその塩を1日おきに1回の頻度で患者に投与することを含む。1つ以上の実施形態において、有効量は約100mg〜約150mg FBEである。
1つ以上の実施形態において、患者は、ミガラスタット又はその塩の投与開始前に左室肥大(LVH)を有する。
1つ以上の実施形態において、LVMの低減は、左室重量係数(LVMi)の低減を含む。
1つ以上の実施形態において、患者は、I253T、P259R、G183D、L243F、C174R、D55V/Q57L、G144V、R301Q、G373S、D322E、G325R及びY216Cからなる群から選択されるα−Gal Aの突然変異を有する。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩はα−Gal A活性を増強する。
1つ以上の実施形態において、有効量は約123mg FBEである。
1つ以上の実施形態において、有効量は約123mgのミガラスタット遊離塩基である。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタットの塩はミガラスタット塩酸塩である。
1つ以上の実施形態において、有効量は約150mgのミガラスタット塩酸塩である。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は経口剤形である。1つ以上の実施形態において、経口剤形は、錠剤、カプセル又は溶液を含む。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は少なくとも6ヵ月間投与される。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は少なくとも24ヵ月間投与される。
1つ以上の実施形態において、患者はERT未経験患者である。
1つ以上の実施形態において、古典型ファブリー患者群へのミガラスタット又はその塩の投与は、ミガラスタット又はその塩の24ヵ月間の投与後に少なくとも約5g/mのLVMiの平均減少を提供する。
本発明の別の態様は、必要とする患者における古典型ファブリー病の治療方法に関し、本方法は、有効量のミガラスタット又はその塩を1日おきに1回の頻度で患者に投与することを含む。1つ以上の実施形態において、有効量は約100mg〜約150mg FBEである。1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩の投与は患者のLVMを低下させる。
1つ以上の実施形態において、患者は、ミガラスタット又はその塩の投与開始前にLVHを有する。
1つ以上の実施形態において、LVMの低減はLVMiの低減を含む。
1つ以上の実施形態において、患者は、I253T、P259R、G183D、L243F、C174R、D55V/Q57L、G144V、R301Q、G373S、D322E、G325R及びY216Cからなる群から選択されるα−Gal Aの突然変異を有する。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩はα−Gal A活性を増強する。
1つ以上の実施形態において、有効量は約123mg FBEである。
1つ以上の実施形態において、有効量は約123mgのミガラスタット遊離塩基である。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタットの塩はミガラスタット塩酸塩である。
1つ以上の実施形態において、有効量は約150mgのミガラスタット塩酸塩である。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は経口剤形である。1つ以上の実施形態において、経口剤形は、錠剤、カプセル又は溶液を含む。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は少なくとも6ヵ月間投与される。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は少なくとも24ヵ月間投与される。
1つ以上の実施形態において、患者はERT未経験患者である。
1つ以上の実施形態において、古典型ファブリー患者群へのミガラスタット又はその塩の投与は、ミガラスタット又はその塩の24ヵ月間の投与後に少なくとも約5g/mのLVMiの平均減少を提供する。
本発明の別の態様は、古典型ファブリー病を有する患者における血漿lyso−Gbの低減方法に関し、本方法は、患者の血漿lyso−Gbを低下させるために有効量のミガラスタット又はその塩を1日おきに1回の頻度で患者に投与することを含む。1つ以上の実施形態において、有効量は約100mg〜約150mg FBEである。
1つ以上の実施形態において、患者は、ミガラスタット又はその塩の投与開始前に高い血漿lyso−Gbを有する。
1つ以上の実施形態において、患者は、I253T、P259R、G183D、L243F、C174R、D55V/Q57L、G144V、R301Q、G373S、D322E、G325R及びY216Cからなる群から選択されるα−Gal Aの突然変異を有する。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩はα−Gal A活性を増強する。
1つ以上の実施形態において、有効量は約123mg FBEである。
1つ以上の実施形態において、有効量は約123mgのミガラスタット遊離塩基である。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタットの塩はミガラスタット塩酸塩である。
1つ以上の実施形態において、有効量は約150mgのミガラスタット塩酸塩である。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は経口剤形である。1つ以上の実施形態において、経口剤形は錠剤、カプセル又は溶液を含む。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は少なくとも6ヵ月間にわたり投与される。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は少なくとも24ヵ月間にわたり投与される。
1つ以上の実施形態において、患者はERT未経験患者である。
1つ以上の実施形態において、古典型ファブリー患者群へのミガラスタット又はその塩の投与は、ミガラスタット又はその塩の24ヵ月間の投与後に少なくとも約15nmol/Lの血漿lyso−Gbの平均減少を提供する。
本発明の別の態様は、必要とする患者における古典型ファブリー病の治療方法に関し、本方法は、有効量のミガラスタット又はその塩を1日おきに1回の頻度で患者に投与することを含む。1つ以上の実施形態において、有効量は約100mg〜約150mg FBEである。1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩の投与は、患者において血漿lyso−Gbを低下させる。
1つ以上の実施形態において、患者は、ミガラスタット又はその塩の投与開始前に高い血漿lyso−Gbを有する。
1つ以上の実施形態において、患者は、I253T、P259R、G183D、L243F、C174R、D55V/Q57L、G144V、R301Q、G373S、D322E、G325R及びY216Cからなる群から選択されるα−Gal Aの突然変異を有する。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩はα−Gal A活性を増強する。
1つ以上の実施形態において、有効量は約123mg FBEである。
1つ以上の実施形態において、有効量は約123mgのミガラスタット遊離塩基である。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタットの塩はミガラスタット塩酸塩である。
1つ以上の実施形態において、有効量は約150mgのミガラスタット塩酸塩である。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は経口剤形である。1つ以上の実施形態において、経口剤形は、錠剤、カプセル又は溶液を含む。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は少なくとも6ヵ月間投与される。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は少なくとも24ヵ月間投与される。
1つ以上の実施形態において、患者はERT未経験患者である。
1つ以上の実施形態において、古典型ファブリー患者群へのミガラスタット又はその塩の投与は、ミガラスタット又はその塩の24ヵ月間の投与後に少なくとも約15nmol/Lの血漿lyso−Gbの平均減少を提供する。
本発明の別の態様は、古典型ファブリー病を有する患者における胃腸症状の治療方法に関し、本方法は、胃腸症状を治療するために有効量のミガラスタット又はその塩を含む製剤を1日おきに1回の頻度で患者に投与することを含む。1つ以上の実施形態において、有効量は約100mg〜約150mg FBEである。
1つ以上の実施形態において、患者は、ミガラスタット又はその塩の投与開始前に下痢を有する。
1つ以上の実施形態において、患者における1つ以上の胃腸症状の治療は、下痢の症状の低減を含む。
1つ以上の実施形態において、患者は、I253T、P259R、G183D、L243F、C174R、D55V/Q57L、G144V、R301Q、G373S、D322E、G325R及びY216Cからなる群から選択されるα−Gal Aの突然変異を有する。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩はα−Gal A活性を増強する。
1つ以上の実施形態において、有効量は約123mg FBEである。
1つ以上の実施形態において、有効量は約123mgのミガラスタット遊離塩基である。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタットの塩はミガラスタット塩酸塩である。
1つ以上の実施形態において、有効量は約150mgのミガラスタット塩酸塩である。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は経口剤形である。1つ以上の実施形態において、経口剤形は、錠剤、カプセル又は溶液を含む。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は少なくとも6ヵ月間にわたり投与される。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は少なくとも24ヵ月間にわたり投与される。
1つ以上の実施形態において、患者はERT未経験患者である。
1つ以上の実施形態において、古典型ファブリー患者群へのミガラスタット又はその塩の投与は、ミガラスタット又はその塩の24ヵ月間の投与後に少なくとも約0.5の下痢の胃腸症状等級スケール(GSRS−D)の平均減少を提供する。
本発明の別の態様は、必要とする患者における古典型ファブリー病の治療方法に関し、本方法は、有効量のミガラスタット又はその塩を1日おきに1回の頻度で患者に投与することを含む。1つ以上の実施形態において、有効量は約100mg〜約150mg FBEである。1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩の投与は、患者において1つ以上の胃腸症状を治療する。
1つ以上の実施形態において、患者は、ミガラスタット又はその塩の投与開始前に下痢を有する。
1つ以上の実施形態において、患者における1つ以上の胃腸症状の治療は、下痢の症状の低減を含む。
1つ以上の実施形態において、患者は、I253T、P259R、G183D、L243F、C174R、D55V/Q57L、G144V、R301Q、G373S、D322E、G325R及びY216Cからなる群から選択されるα−Gal Aの突然変異を有する。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩はα−Gal A活性を増強する。
1つ以上の実施形態において、有効量は約123mg FBEである。
1つ以上の実施形態において、有効量は約123mgのミガラスタット遊離塩基である。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタットの塩はミガラスタット塩酸塩である。
1つ以上の実施形態において、有効量は約150mgのミガラスタット塩酸塩である。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は経口剤形である。1つ以上の実施形態において、経口剤形は、錠剤、カプセル又は溶液を含む。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は少なくとも6ヵ月間にわたり投与される。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は少なくとも24ヵ月間にわたり投与される。
1つ以上の実施形態において、患者はERT未経験患者である。
1つ以上の実施形態において、古典型ファブリー患者群へのミガラスタット又はその塩の投与は、ミガラスタット又はその塩の24ヵ月間の投与後に少なくとも約0.5のGSRS−Dの平均減少を提供する。
本発明の更なる特徴は、以下に記載の説明及び添付の図面から明らかになるであろう。
ヒト野生型GLA遺伝子の全DNA配列(配列番号1)を示す。 野生型α−Gal Aタンパク質(配列番号2)を示す。 野生型α−Gal Aタンパク質をコードする核酸配列(配列番号3)を示す。 古典型男性及び他の患者(非古典型男性及び女性)のサブ群における疾患重症度の測定値を示す。(A)ベースラインからのGFRの平均年間変化率/6ヵ月〜24ヵ月。(B)ベースラインからのLVMiの平均変化/6ヵ月〜24ヵ月。(C)ベースラインからのGSRS−Dの平均変化/6ヵ月〜24ヵ月。(D)間質毛細血管当たりのGL−3封入体の平均数のベースラインから12ヵ月までの平均変化。各サブ群(古典型男性及びその他)内では、患者は、治療割付け(ミガラスタットからミガラスタットへ又はプラセボからミガラスタットへ)に従って分類される。(E)血漿lyso−Gbのベースラインからの平均変化/6ヵ月〜24ヵ月。図4A〜4Eでは、群は、6ヵ月でプラセボからミガラスタットに切り替えた患者で構成され、データは、6ヵ月での間質毛細血管当たりのGL−3封入体の平均(SD)数である(即ち、6ヵ月間のプラセボ治療後。
本発明の幾つかの例示的実施形態を説明する前に、本発明が以下の説明に示される構築又は方法ステップの詳細に限定されないことが理解されるべきである。本発明は、他の実施形態が可能であり、及び様々な方法で実施されること又は実行されることが可能である。
本発明の様々な態様は、古典型ファブリー病の治療用ミガラスタットなどの薬理学的シャペロンを投与するための投与レジメンに関する。1つ以上の実施形態において、ミガラスタットの投与レジメンは、腎GL−3の低減、腎機能の安定化、LVMの低減、血漿lyso−Gbの低減及び/又は胃腸症状の治療を行う。
定義
本明細書で使用される用語は、本発明の文脈の中で、及び各用語が使用される具体的な文脈において、概して当該技術分野におけるその通常の意味を有する。本発明の組成物及び方法並びにそれをどのように作成及び使用すればよいかを説明するにおいて実施者に更なる手引きを与えるため、特定の用語を以下で、又は本明細書中の他の箇所で考察する。
用語「ファブリー病」は、リソソームα−Gal A活性欠損に起因するスフィンゴ糖脂質異化作用のX連鎖性先天異常を指す。この欠陥により、心臓、腎臓、皮膚、及び他の組織の血管内皮リソソームに基質グロボトリアオシルセラミド(「GL−3」、別名Gb又はセラミドトリヘキソシド)及び関連するスフィンゴ糖脂質の蓄積が引き起こされる。この酵素の別の基質は血漿グロボトリアオシルスフィンゴシン(「血漿lyso−Gb」)である。
用語「古典型ファブリー病」は、多器官系障害の患者を指す。1つ以上の実施形態において、患者はまた、残留末梢血単核細胞(PBMC)α−Gal A活性<正常値の3%を有する。
様々な実施形態において、多器官系障害は、病歴に基づいてベースライン時に決定できる。他の実施形態において、多器官系障害は、ベースライン時に心障害、中枢神経系障害、神経痛障害及び/又は胃腸系障害の患者を同定することにより、次いで、ベースライン時の尿タンパク質>150mg/24時間に基づいて又はベースラインeGFR<90mL/min/1.73mに基づいて腎症状を有する患者を更に同定することによりにより決定できる。
ERT未経験者試験及びERT経験者試験で古典型男性を同定する例示的基準の概要は、以下のチャートに示される。
Figure 2021512896
そのため、ERT未経験試験の例示的基準の1セットでは、古典型患者は、ベースライン時の多器官障害及びベースライン時のWBC α−gal−A<正常値の3%を有していた(即ち、以上のチャートの1及び3)。ERT未経験者試験の基準の別の例示的セットでは、古典型患者は、ベースライン時の尿タンパク質>150mg/24時間又はベースラインeGFR<90mL/min/1.73m更にはベースライン時のWBC α−gal−A<正常値の3%を有していた(即ち、以上のチャートの2及び3)。
ERT経験者試験の例示的基準では、古典型患者は、ベースライン時の多器官障害又はベースライン時の尿タンパク質>150mg/24時間又はベースラインeGFR<90mL/min/1.73mを有していた(即ち、以上のチャートの1又は2)。
「保因者」は、一方のX染色体が欠陥GLA遺伝子を含んで一方のX染色体が正常な遺伝子を含む、且つ1つ以上の細胞型に正常な対立遺伝子のX染色体不活性化が存在する女性である。保因者は多くの場合にファブリー病と診断される。
「患者」は、特定の疾患と診断されているか、又はそれを有する疑いがある対象を指す。患者はヒト又は動物であってよい。
「ファブリー患者」は、ファブリー病と診断されているか、又はそれを有する疑いのある、以下に更に定義するとおりの突然変異型α−Gal Aを有する個体を指す。ファブリー病の特徴マーカーはヘミ接合男性及び女性保因者に同じ有病率で出現し得るが、典型的には女性の方が発症しても重症度が低い。
用語「ERT未経験患者」は、ERTを一度も受けたことがない、又はミガラスタット療法の開始前少なくとも6ヵ月間はERTを受けたことがないファブリー患者を指す。
ヒトα−ガラクトシダーゼA(α−Gal A)は、ヒトGLA遺伝子によってコードされる酵素を指す。イントロン及びエクソンを含むα−Gal Aの完全DNA配列はGenBank受託番号X14448.1で利用可能であり、配列番号1及び図1A〜図1Eに示される。ヒトα−Gal A酵素は429アミノ酸からなり、GenBank受託番号X14448.1及びU78027.1で利用可能であり、配列番号2及び図2に示される。配列番号1のコード領域(即ちエクソン)のみを含む核酸配列は図3に示される(配列番号3)。
用語「突然変異タンパク質」は、タンパク質をコードする遺伝子に、小胞体に通常存在する条件下ではそのタンパク質が安定したコンホメーションを実現できなくなるような突然変異を有するタンパク質を含む。安定したコンホメーションを実現できないと、相当量の酵素がリソソームに輸送されず、むしろ分解されることになる。かかる突然変異は時に「コンホメーション突然変異体」と呼ばれる。かかる突然変異としては、限定はされないが、ミスセンス突然変異、及びインフレーム小欠失及び挿入が挙げられる。
本明細書で一実施形態において使用されるとき、用語「突然変異α−Gal A」は、α−Gal Aをコードする遺伝子に、小胞体に通常存在する条件下ではその酵素が安定したコンホメーションを実現できなくなるような突然変異を有するα−Gal Aを含む。安定したコンホメーションを実現できないと、相当量の酵素がリソソームに輸送されず、むしろ分解されることになる。
本明細書で使用されるとき、用語「薬理学的シャペロン」(「PC」)は、タンパク質に特異的に結合する、且つ以下の効果のうちの1つ以上を有する:(i)タンパク質の安定した分子コンホメーションの形成を増進する;(ii)小胞体から別の細胞部位、好ましくは天然の細胞部位へのタンパク質のトラフィッキングを誘導し、即ちタンパク質の小胞体関連分解を防止する;(iii)誤って折り畳まれたタンパク質の凝集を防止する;及び/又は(iv)タンパク質に少なくとも一部の野生型機能及び/又は活性を回復させる又は増強する、小分子、タンパク質、ペプチド、核酸、炭水化物等を含めた任意の分子を指す。例えばα−Gal Aに特異的に結合する化合物とは、それが一般的な関連する又は無関係の酵素群でなく、その酵素に結合してシャペロン効果を及ぼすことを意味する。より具体的には、この用語は、BiPなどの内因性シャペロン、又はグリセロール、DMSO若しくは重水など、様々なタンパク質に対する非特異的シャペロン活性を実証している非特異的作用物質、即ち化学的シャペロンは指さない。本発明の1つ以上の実施形態において、PCは可逆的競合阻害薬であってもよい。
酵素の「競合阻害薬」は、酵素基質の化学構造及び分子構造に構造的に類似していて、基質とほぼ同じ位置でその酵素に結合する化合物を指し得る。従って、阻害薬は基質分子と同じ活性部位に関して競合し、ひいてはKmを増加させる。競合阻害は、通常、阻害薬に取って代わるのに十分な基質分子が利用可能であるならば可逆的であり、即ち競合阻害薬は可逆的に結合することができる。従って、酵素阻害の量は、阻害薬濃度、基質濃度、並びに活性部位に対する阻害薬及び基質の相対的親和性に依存する。
本明細書で使用されるとき、用語「特異的に結合する」は、薬理学的シャペロンとα−Gal Aなどのタンパク質との相互作用、具体的には、薬理学的シャペロンとの接触に直接関与するタンパク質中のアミノ酸残基との相互作用を指す。薬理学的シャペロンは標的タンパク質、例えばα−Gal Aに特異的に結合して、一般的な関連する又は無関係のタンパク質群でなく、そのタンパク質にシャペロン効果を及ぼす。所与の薬理学的シャペロンと相互作用するタンパク質中のアミノ酸残基は、タンパク質の「活性部位」の範囲内にあっても、又はなくてもよい。特異的結合は、ルーチンの結合アッセイによるか、又は構造研究、例えば共結晶化、NMRなどによって評価することができる。α−Gal Aの活性部位は基質結合部位である。
「α−Gal A活性欠損」は、ファブリー病又は任意の他の疾患(特に血液疾患)を有しない又はそれを有する疑いがない正常な個体の活性と(同じ方法を用いて)比較したとき正常範囲を下回る患者からの細胞のα−Gal A活性を指す。
本明細書で使用されるとき、用語「α−Gal A活性を増強する」又は「α−Gal A活性を増加させる」は、α−Gal Aに特異的な薬理学的シャペロンと接触していない細胞(好ましくは同じ細胞型のもの、又は同じ細胞であって、例えばより早い時期のもの)における量と比べて、α−Gal Aに特異的な薬理学的シャペロンと接触した細胞において安定したコンホメーションをとるα−Gal Aの量を増加させることを指す。この用語はまた、そのタンパク質に特異的な薬理学的シャペロンと接触していないα−Gal Aのトラフィッキングと比べて、α−Gal Aに特異的な薬理学的シャペロンと接触した細胞においてリソソームへのα−Gal Aのトラフィッキングを増加させることも指す。これらの用語は、野生型及び突然変異体の両方のα−Gal Aを指す。一実施形態において、細胞におけるα−Gal A量の増加は、PCで処理した細胞からのライセート中の人工基質の加水分解を測定することにより測定される。加水分解の増加がα−Gal A活性の増加の指標である。
用語「α−Gal A活性」は、細胞における野生型α−Gal Aの正常な生理学的機能を指す。例えば、α−Gal A活性にはGL−3の加水分解が含まれる。
「奏効例」は、例えばファブリー病など、リソソーム蓄積障害と診断された、又はそれ有する疑いがある個体であって、その細胞がPCとの接触に応答して、それぞれ、α−Gal A活性の十分な増加、及び/又は症状の軽減又は代用マーカーの増強を呈する個体である。ファブリーの代用マーカーの増強の非限定的な例は、lyso−Gb及び米国特許出願公開第2010/0113517号明細書に開示されるものである。
米国特許出願公開第2010/0113517号明細書に開示されるファブリー病の代用マーカーの増強の非限定的な例としては、細胞(例えば、線維芽細胞)及び組織におけるα−Gal Aレベル又は活性の増加;GL−3蓄積の減少;ホモシステイン及び血管細胞接着分子−1(VCAM−1)の血漿濃度の低下;心筋細胞及び弁線維細胞内におけるGL−3蓄積の低下;血漿lyso−Gbの減少;心肥大(特に左心室)の減少、弁閉鎖不全、及び不整脈の軽減;タンパク尿の軽減;CTH、ラクトシルセラミド、セラミドなどの脂質の尿中濃度の低下、並びにグルコシルセラミド及びスフィンゴミエリンの尿中濃度の増加;糸球体上皮細胞に層状封入体(ゼブラ小体)なし;腎機能の増強;発汗低下の緩和;被角血管腫なし;及び高周波感音難聴、進行性難聴、突発性難聴、又は耳鳴りなどの聴力異常における増強が挙げられる。神経症状の増強としては、一過性脳虚血発作(TIA)又は脳卒中の予防;及び先端感覚異常(肢端の灼熱痛又は刺痛)として現れる神経因性疼痛の軽減が挙げられる。ファブリー病を判定し得る別種の臨床マーカーは、有害心血管症状の有病率である。
「高い腎間質毛細血管GL−3」は、腎臓中の間質毛細血管GL−3のいずれかの検出可能なレベルを指す。健常者の腎臓では、間質毛細血管GL−3は蓄積されない。逆に言えば、腎機能の低減に起因して、例えばファブリー患者の腎臓中の間質毛細血管GL−3のレベルは高くなる−腎生検で病理学を使用することにより検出できる。
本明細書で使用されるとき、語句「腎機能の安定化」及び類似の用語は、腎機能悪化の抑制及び/又は腎機能の回復を指す。未治療のファブリー患者は腎機能が大きく低下していると予想されるため、腎機能増悪速度の改善及び/又は腎機能の改善は、本明細書に記載されるとおりのミガラスタット療法の有益性を実証する。
「腎機能障害」は、推算糸球体濾過率(eGFR)が90mL/min/1.73m未満の患者を指す。血清クレアチニンからeGFRを計算するために最も一般的に用いられる式のうちの2つは、それぞれeGFRCKD−EPI及びeGFRMDRDと称される、慢性腎臓病疫学共同研究(Chronic Kidney Disease Epidemiology Collaboration:CKD−EPI)式及び腎疾患の食事改善療法(Modification of Diet in Renal Disease:MDRD)である。慢性腎臓病の重症度は6段階のステージに定義されている:
a.(ステージ0)正常腎機能−eGFRが90mL/min/1.73mを上回り、且つタンパク尿がない;
b.(ステージ1)−eGFRが90mL/min/1.73mを上回り、腎臓損傷のエビデンスがある;
(ステージ2)(軽度)−eGFRが60〜89mL/min/1.73mであり、腎臓損傷のエビデンスがある;
c.(ステージ3)(中等度)−eGFRが30〜59mL/min/1.73mである;
d.(ステージ4)(重度)−eGFRが15〜29mL/min/1.73mである;
e.(ステージ5)腎不全−eGFRが15mL/min/1.73m未満である。
本明細書で使用されるとき、用語「左室肥大」又は「LVH」は、正常値を超える範囲内のLVMiを有する患者を指す。女性のLVMiの正常範囲は43〜95g/mであり、且つ男性のLVMiの正常範囲は49〜115g/mであるので、LVHの女性患者は、LVMi>95g/mを有し、且つLVHの男性患者は、LVMi>115g/mを有する。
「高い血漿lyso−Gb」は、正常範囲を超える血漿lyso−Gbレベルを指す。血漿lyso−Gbの正常範囲は、血漿lyso−Gbの評価に使用される特定のアッセイに依存して変動し得る。1つ以上の実施形態において、血漿lyso−Gbの正常範囲は、0.375〜1.19nmol/Lであり、且つ高い血漿lyso−Gbは、1.19nmol/L超の血漿lyso−Gbのレベルを指す。
語句「薬学的に許容可能」は、生理学的に忍容可能な、且つ典型的にはヒトへの投与時に有害な反応を生じさせない分子実体及び組成物を指す。一部の実施形態において、本明細書で使用されるとき、用語「薬学的に許容可能」は、動物、より詳細にはヒトにおける使用が連邦政府若しくは州政府の規制機関によって承認されている、又は米国薬局方若しくは他の一般に認められている薬局方に掲載されていることを意味する。医薬担体に関して用語「担体」は、化合物がそれと共に投与される希釈剤、補助剤、賦形剤、又は媒体を指す。かかる医薬担体は、水及び油などの滅菌液であってもよい。担体としては好ましくは、特に注射溶液用に、水又は水溶液、生理食塩溶液並びにデキストロース及びグリセロール水溶液が利用される。好適な医薬担体については、“Remington’s Pharmaceutical Sciences” by E.W.Martin,18th Edition、又は他の版に記載されている。
用語「酵素補充療法」又は「ERT」は、非天然の精製酵素をかかる酵素が欠損した個体に導入することを指す。投与されるタンパク質は、天然の供給源から又は組換え発現によって(以下に更に詳細に記載するとおり)入手されてもよい。この用語はまた、本来であれば精製酵素の投与が必要な、又はそれから利益を得る個体、例えば酵素欠乏を患っている個体において精製酵素を導入することも指す。導入される酵素は、インビトロで作製された精製組換え酵素であってもよく、又は単離された組織又は体液、例えば胎盤又は動物乳などから精製された、又は植物から精製されたタンパク質であってもよい。
用語「ERT未経験患者」は、ERTをまったく受けていない又はミガラスタット療法開始前に少なくとも6ヵ月間にわたりERTを受けていないファブリー患者を指す。
本明細書で使用されるとき、用語「単離された」は、言及されている材料が、それが通常見出される環境から取り出されることを意味する。従って、単離された生物学的材料は、細胞成分、即ちその材料が見出される又は産生される細胞の構成成分を含まないものであり得る。核酸分子の場合、単離核酸には、PCR産物、ゲル上のmRNAバンド、cDNA、又は制限酵素断片が含まれる。別の実施形態において、単離核酸は、好ましくは、それが見出され得る染色体から切り出され、より好ましくは、染色体中に見出されるときその単離核酸分子に含まれる遺伝子の上流又は下流に位置する非調節領域、非コード領域、又は他の遺伝子ともはやつながっていない。更に別の実施形態において、単離核酸は1つ以上のイントロンを欠いている。単離核酸は、プラスミド、コスミド、人工染色体などに挿入される配列を含む。従って、具体的な実施形態において、組換え核酸は単離核酸である。単離タンパク質は、他のタンパク質又は核酸、又は両方と、細胞においてそれが結び付いているものと、又はそれが膜結合性タンパク質である場合には細胞膜と結び付いていてもよい。単離細胞小器官、細胞、又は組織は、生物においてそれが見出される解剖学的部位から取り出される。単離材料は、必須ではないが、精製されてもよい。
用語「約」及び「近似的に」は、概して、計測の性質又は精度を所与として、計測した量の許容可能な誤差程度を意味するものとする。典型的な例示的誤差程度は、所与の値又は値の範囲の20パーセント(%)以内、好ましくは10%以内、及びより好ましくは5%以内である。或いは、特に生体系において、用語「約」及び「近似的に」は、所与の値のオーダー内、好ましくは10倍又は5倍以内、及びより好ましくは2倍以内の値を意味し得る。本明細書に提供される数量は、特に明記しない限り近似であり、つまり、明示的に記載されないときも用語「約」又は「近似的に」が暗示され得る。
ファブリー病
ファブリー病は、まれな進行性の重篤なX連鎖性リソソーム蓄積障害である。GLA遺伝子の突然変異が、スフィンゴ糖脂質代謝に必要なリソソーム酵素α−Gal Aの欠損を引き起こす。幼児期に始まるα−Gal A活性の低下が、GL−3及び血漿lyso−Gbを含めたスフィンゴ糖脂質の蓄積を引き起こし、疼痛、胃腸症状、腎不全、心筋症、脳血管イベント、及び早期の死亡を含めたファブリー病の症状及び致死的続発症につながる。早期の療法開始及び生涯にわたる治療が、疾患の進行を遅らせ、平均余命を延ばす機会を提供する。
ファブリー病は様々な疾患重症度及び発症年齢を包含するが、従来、2つの主要な表現型、「古典型」及び「遅発型」に分けられている。古典型表現型は主に、α−Gal A活性が検出不能乃至低く、且つ腎臓、心臓及び/又は脳血管症状の発症が早い男性のものと見なされている。遅発型表現型は主に、残存α−Gal A活性がより高く、これらの疾患症状の発症がより遅い男性のものと見なされている。ヘテロ接合女性保因者は、典型的には遅発型表現型を発現するが、X染色体不活性化のパターンに応じて古典型表現型もまた呈し得る。
ファブリー病の原因となるGLA突然変異は1000超同定されている。約60%が、α−Gal A酵素に単一アミノ酸置換をもたらすミスセンス突然変異である。ミスセンスGLA突然変異は、多くの場合に、異常に折り畳まれた不安定な形態のα−Gal Aの産生をもたらしている。小胞体における正常な細胞品質管理機構は、これらの異常なタンパク質がリソソームに移動するのを阻止し、それらを早期分解及び除去の標的とする。多くのミスセンス突然変異形態が、α−Gal A特異的薬理学的シャペロンであるミガラスタットの標的である。
ファブリー病の臨床症状は、広範な重症度にわたり、且つ患者の残留α−Gal Aレベルにほぼ相関する。古典型表現型の患者は、腎臓、心臓及び脳をはじめとする様々な器官の疾患を経験し、疾患症状は、青年期に最初に出現し、典型的には人生の30歳代又は40歳代で死亡するまでで重症度が進行する。幾つもの最近の研究から、心機能又は腎機能障害及び脳卒中など、通常は成人期に初めて出現する様々なファブリー病症状を有する診断未確定の男性及び女性が多数いることが示唆される。遅発型ファブリー病と称されるこの種のファブリー病者は、古典型ファブリー患者よりも残存α−Gal Aレベルが高い傾向がある。遅発型ファブリー病者は、典型的には成人期に初めて疾患症状を経験し、左心室の肥大又は進行性腎不全など、単一の器官に集中した疾患症状を有することが多い。加えて、遅発型ファブリー病はまた、原因不明の脳卒中の形でも見られ得る。
ファブリー患者は進行性腎臓機能障害を有し、未治療の患者は40歳代までに末期腎機能障害を呈する。α−Gal A活性の欠損は、腎臓の細胞を含め、多くの細胞型におけるGL−3及び関連するスフィンゴ糖脂質の蓄積につながる。GL−3は、タコ足細胞、遠位尿細管及びヘンレ係締の上皮細胞及び尿細管細胞に蓄積する。腎機能の機能障害はタンパク尿及び糸球体濾過率の低下として現れ得る。
ファブリー病はまれであり、多くの臓器が関わり、発症年齢の範囲が幅広く、及び不均一であるため、適切な診断は難題である。医療専門家の間でも認知度が低く、誤診が頻繁に起こる。ファブリー病の診断は、ほとんどの場合、患者が症状を示した後に、突然変異解析と併せて血漿又は末梢白血球(WBC)におけるα−Gal A活性の低下に基づき確認される。女性では、保因者の一部の細胞におけるランダムなX染色体不活性化に起因して保因者女性の酵素的同定の信頼性が低いため、診断は更に一層難題である。例えば、一部の絶対的保因者(古典型罹患男性の娘)は、正常から極めて低い活性にまで及ぶα−Gal A酵素活性を有する。保因者は白血球では正常なα−Gal A酵素活性を有し得るため、正確な保因者同定及び/又は診断を与えるのは、遺伝子検査によるα−Gal A突然変異の同定のみである。
ミガラスタットが適用可能と見なされるα−Gal Aの突然変異形態は、優良試験所基準(GLP)でバリデーションされたインビトロアッセイ(GLP HEK又はミガラスタット適用可能性アッセイ)に従いHEK−293細胞で突然変異形態のα−Gal Aを発現させたとき(「HEKアッセイ」と称される)、野生型(WT)の≧1.20倍の相対的増加(+10μMミガラスタット)及び≧3.0%の絶対的増加(+10μMミガラスタット)を示すものとして定義される。かかる突然変異は、本明細書では「HEKアッセイ適用可能」突然変異とも称される。
治療開始前に酵素の増強を判定する先行のスクリーニング方法が提供されている。例えば、HEK−293細胞を使用したアッセイが、所与の突然変異が薬理学的シャペロン(例えばミガラスタット)治療に応答性かどうかを予測するため臨床試験において利用されている。このアッセイでは、cDNAコンストラクトを作成する。HEK−293細胞において対応するα−Gal A突然変異形態を一過性に発現させる。次に細胞を±ミガラスタット(17nM〜1mM)で4〜5日間インキュベートする。その後、合成蛍光発生基質(4−MU−α−Gal)を使用するか、又はウエスタンブロットにより、細胞ライセート中のα−Gal Aレベルを測定する。これは、疾患を引き起こす公知のミスセンス又は小型インフレーム挿入/欠失突然変異について行われている。これまでにこれらの方法を用いてPC(例えばミガラスタット)に応答性であると同定されている突然変異が、米国特許第8,592,362号明細書に列挙されている。
薬理学的シャペロン
LSDに関連する酵素の小分子阻害薬の結合は、突然変異酵素及び対応する野生型酵素の両方の安定性を増加させることができる(米国特許第6,274,597号明細書;同第6,583,158号明細書;同第6,589,964号明細書;同第6,599,919号明細書;同第6,916,829号明細書、及び同第7,141,582号明細書を参照のこと、全て参照により本明細書に援用される)。詳細には、幾つかの標的リソソーム酵素の特異的で選択的な競合阻害薬であるグルコース及びガラクトースの小分子誘導体を投与すると、インビトロで細胞内の酵素の安定性が有効に増加し、ひいてはリソソームへの酵素のトラフィッキングが増加した。従って、リソソーム内の酵素量が増加することにより、酵素基質の加水分解が増加するものと予想される。この戦略の背後にあった当初の理論は以下のとおりであった:突然変異酵素タンパク質は小胞体において不安定であるため(Ishii et al.,Biochem.Biophys.Res.Comm.1996;220:812−815)、酵素タンパク質は正常な輸送経路(小胞体→ゴルジ体→エンドソーム→リソソーム)において遅れ、早まって分解される。従って、突然変異酵素に結合してその安定性を増加させる化合物が酵素の「シャペロン」として働き、小胞体を出てリソソームに移ることのできる量を増加させ得る。加えて、一部の野生型タンパク質のフォールディング及びトラフィッキングは不完全で、場合によっては一部の野生型タンパク質の最大70%がその最終的な細胞部位に到達する前に分解されるため、シャペロンを野生型酵素の安定化に使用して、小胞体を出てリソソームに輸送されることのできる酵素の量を増加させることができる。
1つ以上の実施形態において、薬理学的シャペロンはミガラスタット又はその塩を含む。本明細書で使用されるとき、1−デオキシガラクトノジリマイシン(1−DGJ)又は(2R,3S,4R,5S0−2−(ヒドロキシメチル)ピペリジン−3,4,5トリオールとしても知られる化合物ミガラスタットは、以下の化学式を有する化合物である。
Figure 2021512896
以下で考察されるように、ミガラスタットの薬学的に許容可能な塩もまた、本発明で使用し得る。ミガラスタットの塩を使用する場合、塩の投与量は、患者により摂取されるミガラスタットの用量が、ミガラスタット遊離塩基を使用したならば摂取されたであろう量と等価になるように調整されるであろう。ミガラスタットの薬学的に許容可能な塩の一例は、ミガラスタットHClである。
Figure 2021512896
用語「ミガラスタット」は、具体的に反対の指定がない限り、ミガラスタット遊離塩基又はその薬学的に許容可能な塩(例えば、以上に示されるミガラスタットHCl)を包含する。
本明細書で使用されるとき、用語「遊離塩基当量」又は「FBE」は、ミガラスタット又はその塩で存在するミガラスタットの量を指す。言い換えると、用語「FBE」は、ミガラスタット遊離塩基の量又はミガラスタットの塩により提供されるミガラスタット遊離塩基の等価量のどちらかを指す。例えば、塩酸塩の重量に基づいて、150mgのミガラスタット塩酸塩は、単に123mgの遊離塩基形のミガラスタットと同量のミガラスタットを提供するにすぎない。他の塩は、塩の分子量に依存して異なる変換係数を有するであろう。
ミガラスタットは低分子量イミノ糖であり、GL−3の末端ガラクトースの類似体である。インビトロ及びインビボでの薬理学的研究から、ミガラスタットが薬理学的シャペロンとして働き、野生型(WT)α−Gal A及び特異的突然変異形態のα−Gal A(その遺伝子型はHEKアッセイ適用可能突然変異と称される)の活性部位に高親和性で選択的且つ可逆的に結合することが実証されている。ミガラスタットが結合すると、これらの突然変異形態のα−Gal Aが小胞体において安定し、リソソームへのその適切なトラフィッキングが促進され、リソソームでミガラスタットが解離することにより、α−Gal AがGL−3及び他の基質レベルを低下させることが可能になる。ファブリー病患者の約35〜50%がHEKアッセイ適用可能突然変異を有する;その大多数がこの疾患の古典型表現型に関連する。HEKアッセイ適用可能突然変異のリストには、少なくとも以下の表1に掲載される突然変異が含まれる。1つ以上の実施形態において、同じ染色体上に二重突然変異が存在する場合(男性及び女性)、当該の患者は、表1の1つのエントリにその二重突然変異が存在する場合に(例えば、D55V/Q57L)、HEKアッセイ適用可能と見なされる。一部の実施形態において、二重突然変異が異なる染色体上に存在する場合(女性のみ)、当該の患者は、表1に個々の突然変異のいずれか一方が存在する場合にHEKアッセイに適用可能と見なされる。
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投与量、製剤及び投与
従って、1つ以上の実施形態において、ファブリー患者にミガラスタット又はその塩が1日おきに1回(「QOD」とも称される)の頻度で投与される。様々な実施形態において、本明細書に記載される用量は、ミガラスタット塩酸塩又は等価な用量のミガラスタット若しくは塩酸塩以外のその塩に関する。一部の実施形態において、これらの用量はミガラスタットの遊離塩基に関する。代替的実施形態において、これらの用量はミガラスタットの塩に関する。更なる実施形態において、ミガラスタットの塩はミガラスタット塩酸塩である。ミガラスタット又はミガラスタットの塩の投与は、本明細書では「ミガラスタット療法」と称される。
ミガラスタット又はその塩の有効量は約100mg FBE〜約150mg FBEの範囲であり得る。例示的用量としては、約100mg FBE、約105mg FBE、約110mg FBE、約115mg FBE、約120mg FBE、約123mg FBE、約125mg FBE、約130mg FBE、約135mg FBE、約140mg FBE、約145mg FBE又は約150mg FBEが挙げられる。
ここでもまた、150mgのミガラスタット塩酸塩は123mgの遊離塩基形態のミガラスタットと等価であることが注記される。従って、1つ以上の実施形態において、用量は、1日おきに1回の頻度で投与される150mgのミガラスタット塩酸塩又は等価な用量のミガラスタット若しくは塩酸塩以外のその塩である。上記に示されるとおり、この用量は123mg FBEのミガラスタットと称される。更なる実施形態において、用量は、1日おきに1回の頻度で投与される150mgのミガラスタット塩酸塩である。他の実施形態において、用量は、1日おきに1回の頻度で投与される123mgのミガラスタット遊離塩基である。
様々な実施形態において、有効量は、約122mg、約128mg、約134mg、約140mg、約146mg、約150mg、約152mg、約159mg、約165mg、約171mg、約177mg又は約183mgのミガラスタット塩酸塩である。
従って、様々な実施形態において、ミガラスタット療法は、150mgのミガラスタット塩酸塩を1日おきなど、123mg FBEを1日おきに1回の頻度で投与することを含む。
ミガラスタット又はその塩の投与は、ある一定の期間にわたり得る。1つ以上の実施形態において、ミガラスタット又はその塩は、少なくとも28日、例えば少なくとも30、60又は90日又は少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、16、20、24、30又は36ヵ月又は少なくとも1、2、3、4又は5年の継続期間にわたって投与される。様々な実施形態において、ミガラスタット療法は、少なくとも6ヵ月、例えば少なくとも6、7、8、9、10、11、12、16、20、24、30又は36ヵ月又は少なくとも1、2、3、4又は5年の長期ミガラスタット療法である。
本発明に係るミガラスタット又はその塩の投与は、任意の投与経路に好適な製剤であってよく、しかし好ましくは、錠剤、カプセル又は溶液などの経口剤形で投与される。一例として、患者には、各々150mgのミガラスタット塩酸塩又は等価な用量のミガラスタット若しくは塩酸塩以外のその塩を含有するカプセルが経口投与される。
一部の実施形態において、PC(例えば、ミガラスタット又はその塩)は経口投与される。1つ以上の実施形態において、PC(例えば、ミガラスタット又はその塩)は注射によって投与される。PCは薬学的に許容可能な担体を伴うこともあり、これは投与方法に依存し得る。
本発明の一実施形態において、PC(例えば、ミガラスタット又はその塩)は単剤療法として投与され、例えば、錠剤又はカプセル又は液体の形態で経口的に、注射用に滅菌水溶液でなど、任意の投与経路に好適な形態であってもよく、又は投与前にインビトロで酵素凝集を防ぐため再構成中又は再構成直後に補充酵素の製剤に加えられる凍結乾燥粉末で提供される。
PC(例えば、ミガラスタット又はその塩)が経口投与用に製剤化される場合、結合剤(例えば、アルファ化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース);充填剤(例えば、ラクトース、微結晶性セルロース又はリン酸水素カルシウム);滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク又はシリカ);崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプン又はデンプングリコール酸ナトリウム);又は湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)などの薬学的に許容可能な賦形剤と共に従来手段によって錠剤又はカプセルが調製されてもよい。錠剤は当該技術分野において周知の方法によってコーティングされてもよい。経口投与用の液体調合物は、例えば、溶液、シロップ又は懸濁液の形態をとってもよく、又は使用前に水又は別の好適な媒体で構成するための乾燥製剤として調製されてもよい。かかる液体調合物は、懸濁剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体又は硬化食用脂);乳化剤(例えば、レシチン又はアカシア);非水性媒体(例えば、扁桃油、油性エステル類、エチルアルコール又は分画植物油);及び保存剤(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチル若しくはプロピル又はソルビン酸)などの薬学的に許容可能な添加剤と共に従来手段によって調製されてもよい。調合物はまた、緩衝塩、香味剤、着色剤及び甘味剤も適宜含有し得る。経口投与用の調合物は、活性シャペロン化合物の制御放出をもたらすように好適に製剤化されてもよい。
非経口/注射使用に好適なPC(例えば、ミガラスタット又はその塩)の医薬製剤としては、概して、滅菌水溶液(水溶性の場合)、又は滅菌注射用溶液若しくは分散液の即時調製用の分散液及び滅菌粉末が挙げられる。いずれの場合にも、形態は無菌でなければならず、及び易注射針通過性が存在する程度の流動性がなければならない。これは製造及び保管条件下で安定していなければならず、且つ細菌及び真菌などの微生物の汚染作用から保護されていなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及びポリエチレングリコールなど)、これらの好適な混合物、及び植物油を含有する溶媒又は分散媒であってもよい。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用、分散液の場合に必要な粒径の維持、及び界面活性剤の使用によって維持することができる。微生物作用の防止は、様々な抗細菌剤及び抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ベンジルアルコール、ソルビン酸などによってもたらすことができる。多くの場合、等張剤、例えば糖類又は塩化ナトリウムを含めることが妥当となり得る。吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを組成物中に使用することにより、注射用組成物の持続的吸収をもたらすことができる。
滅菌注射用溶液は、適切な溶媒中に必要な量の精製酵素(存在する場合)及びPC(例えば、ミガラスタット又はその塩)を、必要に応じて上記に列挙される種々の他の成分と共に配合し、続いてろ過又は最終滅菌することにより調製される。概して、分散液は、基礎分散媒及び上記に列挙されるものからの他の必要な成分を含有する滅菌媒体中に様々な滅菌活性成分を配合することにより調製される。滅菌注射用溶液の調製用の滅菌粉末の場合、好ましい調製方法は、活性成分+任意の追加的な所望の成分の粉末を予め滅菌ろ過されたその溶液から生じさせる真空乾燥法及び凍結乾燥法である。
製剤は賦形剤を含有し得る。製剤に含まれ得る薬学的に許容可能な賦形剤は、緩衝液、例えば、クエン酸塩緩衝液、リン酸塩緩衝液、酢酸塩緩衝液、及び重炭酸塩緩衝液、アミノ酸、尿素、アルコール類、アスコルビン酸、リン脂質;血清アルブミン、コラーゲン、及びゼラチンなどのタンパク質;EDTA又はEGTAなどの塩、及び塩化ナトリウム;リポソーム;ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrollidone);デキストラン、マンニトール、ソルビトール、及びグリセロールなどの糖類;プロピレングリコール及びポリエチレングリコール(例えば、PEG−4000、PEG−6000);グリセロール;グリシン又は他のアミノ酸;及び脂質である。製剤と使用する緩衝液系としては、クエン酸塩;酢酸塩;重炭酸塩;及びリン酸塩緩衝液が挙げられる。リン酸塩緩衝液が好ましい実施形態である。
シャペロン化合物の投与経路は、静脈内、皮下、動脈内、腹腔内、眼内、筋肉内、頬側、直腸、腟内、眼窩内、脳内、皮内、頭蓋内、脊髄内、脳室内、髄腔内、大槽内、嚢内、肺内、鼻腔内、経粘膜、経皮、又は吸入によることを含め、経口又は非経口であってよい。
上述の非経口製剤のシャペロン化合物の投与は、調合物のボーラスの定期的注射によってもよく、又は外部(例えば、点滴静注バッグ)若しくは内部(例えば、生体内分解性インプラント)のリザーバからの静脈内若しくは腹腔内投与によって投与されてもよい。
医薬製剤及び投与に関する実施形態は、本発明の他の実施形態、例えば、古典型ファブリー病患者を治療する方法、ERT未経験古典型ファブリー病患者を治療する方法、腎臓GL−3を低下させる方法、腎機能を安定化させる方法、LVM又はLVMiを低下させる方法、血漿lyso−Gbを低下させる方法及び/又は胃腸症状(例えば下痢)を治療する方法、ファブリー病と診断された又はそれを有する疑いがある患者においてα−Gal Aを増強する方法、ファブリー病と診断された患者の治療用医薬品を製造するためのα−Gal Aに対する薬理学的シャペロンの使用に関する、又はファブリー病と診断された患者の治療において使用するためのα−Gal Aに対する薬理学的シャペロンに関する実施形態並びに適用可能突然変異、PC及びその好適な投薬量に関する実施形態のいずれかと組み合わされてもよい。
1つ以上の実施形態において、PC(例えば、ミガラスタット又はその塩)はERTと併用して投与される。ERTは、野生型酵素又は生物学的に機能性の酵素を注入によって外因的に導入することによりタンパク質の量を増加させる。この療法は、上述のとおり、ファブリー病などのリソソーム蓄積障害を含めた多くの遺伝的障害向けに開発された。注入後、外因性酵素は非特異的又は受容体特異的機構を介して組織により取り込まれるものと想定される。一般に、取込み効率は高くなく、外因性タンパク質の循環時間は短い。加えて、外因性タンパク質は不安定で、急速な細胞内分解を受けるとともに、続く治療との有害な免疫反応の可能性もある。1つ以上の実施形態において、シャペロンは補充酵素(例えば、補充α−Gal A)と同時に投与される。一部の実施形態において、シャペロンは補充酵素(例えば、補充α−Gal A)と共に製剤化される。
1つ以上の実施形態において、患者はERTからミガラスタット療法に切り換えられる。一部の実施形態において、ERTを受けている患者が同定され、患者のERTが中断され、患者はミガラスタット療法を受け始める。ミガラスタット療法は、本明細書に記載される方法のいずれかに従うものであり得る。
腎GL−3
本明細書に記載の投与レジメンは、ファブリー患者において腎GL−3(例えば、腎間質毛細血管当たりのGL−3封入体)を低減できる。未治療ファブリー患者は、典型的には経時的に腎GL−3の増加を呈するので、腎GL−3の低減及び維持は両方とも、ミガラスタット療法の利益の指標である。以下の実施例に更に詳細に記載されるように、ミガラスタット療法は、古典型ファブリー病を有するERT未経験患者において腎GL−3を低下させることが、第3相試験で見いだされた。従って、ミガラスタット療法は、腎GL−3の低減及び/又は安定化により古典型ファブリー患者の治療に使用できる。
ミガラスタット療法は、ミガラスタット療法による治療を受けていない同一患者と比較して、古典型ファブリー患者において腎GL−3の増加を低減し得る。1つ以上の実施形態において、ミガラスタット療法は、腎間質毛細血管当たり0未満(即ち、より負)、例えば、約−0.1、−0.2、−0.3、−0.4、−0.5、−0.6、−0.7、−0.8、−0.9又は−1未満のGL−3封入体の変化を患者に提供する。別の言い方をすれば、1つ以上の実施形態において、ミガラスタット療法は、腎間質毛細血管当たり0超のGL−3封入体の低減、例えば、少なくとも約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9又は1の低減を提供する。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット療法は、古典型ファブリー患者群においてミガラスタット又はその塩の6ヵ月間の投与後に腎間質毛細血管当たり少なくとも約0.1のGL−3封入体の平均減少を提供する。様々な実施形態において、ミガラスタット又はその塩の6ヵ月間の投与後の古典型ファブリー患者群における平均減少は、少なくとも約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7又は0.8、例えば、約0.8である。様々な実施形態において、古典型ファブリー患者はERT未経験者である。
腎機能
本明細書に記載の投与レジメンは、ファブリー患者において腎機能(例えばeGFR)の安定化及び/又は増強を行うことができる。未治療ファブリー患者は、典型的には経時的に腎機能の悪化を呈するので、腎機能の増強及び維持は両方とも、ミガラスタット療法の利益の指標である。以下の実施例に更に詳細に記載されるように、ミガラスタット療法は、古典型ファブリー病を有するERT未経験患者において腎機能を低減安定化させることが、第3相試験で見いだされた。従って、ミガラスタット療法は、腎機能の増加及び/又は安定化により古典型ファブリー患者の治療に使用できる。
ミガラスタット療法は、古典型ファブリー患者においてミガラスタット療法による治療を受けていない同一患者と比較して腎機能の低減の阻止若しくは減少及び/又は腎機能の増加を行い得る。1つ以上の実施形態において、ミガラスタット療法は、−5.0mL/min/1.73m/年より大きい(即ちそれよりプラスの)、例えば、−4.5、−4.0、−3.5、−3.0、−2.5、−2.0、−1.5、−1.0、−0.9、−0.8、−0.7、−0.6、−0.5、−0.4、−0.3、−0.2、−0.1より大きいか又は更には0mL/min/1.73m/年より大きいeGFRCKD−EPIの年間変化を患者にもたらす。1つ以上の実施形態において、ミガラスタット療法は、−5.0mL/min/1.73m/年より大きい、例えば、−4.5、−4.0、−3.5、−3.0、−2.5、−2.0、−1.5、−1.0、−0.9、−0.8、−0.7、−0.6、−0.5、−0.4、−0.3、−0.2、−0.1より大きいか又は更には0mL/min/1.73m/年より大きいmGFRイオヘキソールの年間変化を患者にもたらす。従って、ミガラスタット療法は患者の腎機能の悪化を抑制し、又は更には改善もし得る。これらの年間変化率は、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月、24ヵ月、30ヵ月、又は36ヵ月にわたるなど、特定の期間にわたって測定することができる。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット療法は、古典型ファブリー患者群においてミガラスタット又はその塩の24ヵ月間の投与後に−5.0mL/min/1.73m/年超、例えば、−4.5、−4.0、−3.5、−3.0、−2.5、−2.0、−1.5、−1.0、−0.9、−0.8、−0.7、−0.6、−0.5、−0.4、−0.3、−0.2、−0.1超、更には0mL/min/1.73m/年超のeGFRCKD−EPIの平均年間変化を提供する。1つ以上の実施形態において、ミガラスタット療法は、古典型ファブリー患者群においてミガラスタット又はその塩の24ヵ月間の投与後に−5.0mL/min/1.73m/年超、例えば、−4.5、−4.0、−3.5、−3.0、−2.5、−2.0、−1.5、−1.0、−0.9、−0.8、−0.7、−0.6、−0.5、−0.4、−0.3、−0.2、−0.1超、更には0mL/min/1.73m/年超のmGFRイオヘキソールの平均年間変化を提供する。様々な実施形態において、古典型ファブリー患者はERT未経験者である。
左室容積
本明細書に記載される投与レジメンは、ファブリー患者のLVM又はLVMiを改善することができる。表現型に関わらず、未治療のファブリー患者におけるLVMi及び心肥大の自然歴は(Patel,O’Mahony et al.2015)、+4.07〜+8.0g/m/年の進行性のLVMiの増加である(Kampmann,Linhart et al.2008;Wyatt,Henley et al.2012;Germain,Weidemann et al.2013)。未治療のファブリー患者は典型的には時間の経過に伴いLVMiの増加を呈するため、LVMiの低下及びその維持の両方が、ミガラスタット療法の利益の指標である。以下の実施例に更に詳細に記載されるように、ミガラスタット療法は、古典型ファブリー病を有するERT未経験患者においてLVMiを減少させることが、第3相試験で見いだされた。従って、ミガラスタット療法は、LVHの患者を含めてLVMの低減及び/又はLVMiの低減により古典型ファブリー患者の治療に使用できる。
ミガラスタット療法は、ミガラスタット療法による治療のない同じ患者と比較して古典型ファブリー患者のLVM又はLVMi増加を抑制し得る。1つ以上の実施形態において、ミガラスタット療法は、0g/m未満の(即ち、それよりマイナスの)、例えば、約−0.5、−1、−1.5、−2、−2.5、−3、−3.5、−4、−4.5、−5、−5.5、−6、−7、−8、−9、−10、−11、−12、−13、−14、−15、−16、−17、−18、−19又は−20g/m以下のLVMiの変化を患者にもたらす。別の言い方をすれば、1つ以上の実施形態において、ミガラスタット療法は、0g/mより大きいLVMiの減少、例えば少なくとも約0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20g/mの減少をもたらす。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット療法は、古典型ファブリー患者群においてミガラスタット又はその塩の24ヵ月間の投与後に少なくとも約1g/mのLVMiの平均減少を提供する。様々な実施形態において、ミガラスタット又はその塩の24ヵ月間の投与後の古典型ファブリー患者群における平均減少は、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16又は17g/m、例えば、約16.7g/mである。様々な実施形態において、古典型ファブリー患者はERT未経験者である。
血漿lyso−Gb
本明細書に記載の投与レジメンは、ファブリー患者において血漿lyso−Gbを低減できる。未治療ファブリー患者は典型的には経時的に血漿lyso−Gbの増加を呈するので、血漿lyso−Gbの低減及び維持は両方とも、ミガラスタット療法の利益の指標である。以下の実施例に更に詳細に記載されるように、ミガラスタット療法は、古典型ファブリー病を有するERT未経験患者において血漿lyso−Gbを低下させることが、第3相試験で見いだされた。従って、ミガラスタット療法は、血漿lyso−Gbの低減及び/又は安定化により古典型ファブリー患者の治療に使用できる。
ミガラスタット療法は、古典型ファブリー患者においてミガラスタット療法による治療を受けていない同一患者と比較して血漿lyso−Gbの増加を低減し得る。1つ以上の実施形態において、ミガラスタット療法は、0nmol/L未満(即ち、より負)、例えば、約−5、−10、−15、−20、−25、−30、−35又は−40nmol/L未満の血漿lyso−Gbの変化を患者に提供する。別の言い方をすれば、1つ以上の実施形態において、ミガラスタット療法は、0nmol/L超の血漿lyso−Gbの低減、例えば、少なくとも約5、10、15、20、25、30、35又は40nmol/Lの低減を提供する。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット療法は、古典型ファブリー患者群においてミガラスタット又はその塩の24ヵ月間の投与後に少なくとも約5nmol/Lの血漿lyso−Gbの平均減少を提供する。様々な実施形態において、ミガラスタット又はその塩の6ヵ月間の投与後の古典型ファブリー患者群における平均減少は、少なくとも約5、10、15、20、25、30、35又は40nmol/L、例えば、約36nmol/Lである。様々な実施形態において、古典型ファブリー患者はERT未経験者である。
胃腸症状
本明細書に記載の投与レジメンは、ファブリー患者において胃腸症状(例えば下痢)を治療できる。以下の実施例に更に詳細に記載されるように、ミガラスタット療法は、古典型ファブリー病を有するERT未経験患者において下痢症状を低下させることが、第3相試験で見いだされた。従って、ミガラスタット療法は、下痢などの胃腸症状の低減により古典型ファブリー患者の治療に使用できる。
ミガラスタット療法は、古典型ファブリー患者においてミガラスタット療法による治療を受けていない同一患者と比較してGSRS−Dを低減し得る。1つ以上の実施形態において、ミガラスタット療法は、0未満(即ち、より負)、例えば、約−0.1、−0.2、−0.3、−0.4、−0.5、−0.6、−0.7、−0.8、−0.9、−1、−1.1、−1.2、−1.3、−1.4、−1.5、−1.6、−1.7、−1.8、−1.9又は−2未満のGSRS−Dの変化を患者に提供する。別の言い方をすれば、1つ以上の実施形態において、ミガラスタット療法は、腎間質毛細血管当たり0超のGL−3封入体の低減、例えば、少なくとも約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9又は2の低減を提供する。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット療法は、古典型ファブリー患者群においてミガラスタット又はその塩の6ヵ月間の投与後に少なくとも約0.1のGSRS−Dの平均減少を提供する。様々な実施形態において、ミガラスタット又はその塩の6ヵ月間の投与後の古典型ファブリー患者群における平均減少は、少なくとも約0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35又は0.4、例えば、約0.4である。様々な実施形態において、古典型ファブリー患者はERT未経験者である。
1つ以上の実施形態において、ミガラスタット療法は、古典型ファブリー患者群においてミガラスタット又はその塩の24ヵ月間の投与後に少なくとも約0.1のGSRS−Dの平均減少を提供する。様々な実施形態において、ミガラスタット又はその塩の24ヵ月間の投与後の古典型ファブリー患者群における平均減少は、少なくとも約0.1、0.15、0.2、0.25、0.3、0.35、0.4、0.45、0.5、0.55、0.6、0.65、0.7、0.75、0.8、0.85、0.9、0.95又は1、例えば、約0.9である。様々な実施形態において、古典型ファブリー患者はERT未経験者である。
本発明の組成物及びプロセスは、以下の実施例と組み合わせればよりよく理解されるであろう。但し、これらの実施例は、本発明の範囲の限定ではなく単に例示が意図されたものにすぎない。開示された実施形態に対する様々な変更形態及び修正形態は当業者には明らかであろう。また、限定されるものではないが、本発明のプロセス、製剤及び/又は方法に関するものを含めて、かかる変更形態及び修正形態は、本発明の趣旨及び添付の特許請求の範囲から逸脱することなく作成し得る。
実施例1:ミガラスタット塩酸塩を用いたファブリー患者の治療のための投与レジメン
この実施例では、古典型ファブリー病患者を含めて、ERT未経験ファブリー患者におけるミガラスタット療法の第3相試験を記載する。
患者登録。適格患者は16〜74歳であり、遺伝的に確認されたファブリー病を有し、ERTをまったく受けていないか又は≧6ヵ月間にわたり受けていないかのどちらかであり、登録時に使用したHEKアッセイに基づいてミガラスタットに応答すると思われる突然変異タンパク質をもたらすGLA突然変異を有し、eGFR>30ml/分/1.73mを有し、且つ尿GL−3≧正常値の上限の4倍を有していた。
試験設計。適格性−ベースラインアセスメント(2ヵ月間)に続いて、患者をステージ1にランダム化した−−150mgのミガラスタット塩酸塩又はプラセボの6ヵ月間の1日おきの二重盲検投与。ステージ1を完了した患者はすべて、ステージ2(6ヵ月〜12ヵ月)で及びその後の追加の年(13ヵ月〜24ヵ月)にわたりオープンラベルミガラスタットの摂取に適格であった。一次目的は、6ヵ月間の治療の後の間質毛細血管内の封入体数を組織学的スコアリングにより評価したときの腎GL−3に及ぼすミガラスタット対プラセボの効果を比較することであった。ステージ1の二次目的は、尿GL−3レベル、腎機能、24時間尿タンパク質、並びに安全性及び耐容性に及ぼすミガラスタット対プラセボの効果を比較することあった。三次目的は、心機能、患者報告転帰、探索的腎解析及び白血球α−Gal A活性であった。試験完了者は、5年までのオープンラベル延長試験への登録に適格であった。
腎組織診アセスメント。各患者は、ベースライン腎生検を受け、更に6ヵ月及び12ヵ月で腎生検を繰り返した。ベースライン時並びに6ヵ月及び12ヵ月での患者ごとの腎間質毛細血管当たりのGL−3封入体数は、治療及びビジットを盲検化して3人の独立した病理学者により300毛細血管で定量的に評価した。所与の時間の各個別生検の値はすべて、統計解析前に平均した。
有足細胞、内皮細胞及びメサンギウム細胞のGL−3変化並びに糸球体硬化は、治療/ビジットを盲検化して3人の同一病理学者により定性的に評価した。
グロボトリアオシルセラミド及びグロボトリアオシルスフィンゴシン。血漿lyso−Gb3及び24時間尿GL−3は、新規な安定同位体標識内部標準13C6−lyso−Gb3(定量下限:0.200ng/mL、0.254nmol/L)を用いて液体クロマトグラフィー質量分析により解析した。
腎機能アセスメント。年間変化率(mL/min/1.73m/年)は、慢性腎臓病疫学共同研究−eGFRCKD−EPI)及びイオヘキソールクリアランス計測値−mGFRイオヘキソール)を用いて計算した。
エコーカルジオグラフィー。LVMi、左後壁厚、拡張期心室中隔厚、拡張期パラメータ及び他のパラメータは、盲検化集中評価を介して評価した。
患者報告転帰。患者報告転帰は、胃腸症状等級スケール(GSRS)、ショートフォーム36v2TM及び簡易疼痛インベントリー−疼痛重症度コンポーネントを用いて評価した。
安全性解析及び有害事象。≧1用量を摂取したランダム化患者は、生命徴候、身体検査、心電図、臨床実験及び有害事象を含む安全性解析に含めた。
腎間質毛細血管GL−3基質の統計解析。一次ステージ1(6ヵ月)エンドポイント(ベースライン生検を有するITT母集団、n=64)は、腎間質毛細血管当たりGL−3封入体の≧50%低減を有するミガラスタット群及びプラセボ群の患者母集団であった。2つの他のステージ1エンドポイントを評価した(変形ITT母集団:対応のあるベースライン及び6ヵ月生検を有するランダム化患者、n=60):腎間質毛細血管当たりのGL−3封入体のパーセント変化及びゼロGL−3封入体を有する間質毛細血管のパーセントであった。
ステージ2(6ヵ月〜12ヵ月)及びオープンラベル延長(12ヵ月〜24ヵ月)での腎間質毛細血管当たりのGL−3封入体及び他のあらかじめ特定されたエンドポイントに対する効能解析は、確証されたアッセイによりミガラスタット治療に好適であることが示された突然変異α−Gal A酵素を有するランダム化患者からなる修正治療意図(mITT)母集団;n=50)に基づくものであった。
腎間質毛細血管当たりのGL−3封入体以外の全転帰では、データは、最初の6ヵ月間にわたる治療割付け(ミガラスタット又はプラセボ)にかかわらず表現型サブ群内の患者でプールする。
結果
ベースライン特性。潜在的に応答性の突然変異α−Gal Aを有する67人の患者(16〜74歳、女性64%)をランダム化した(ITT母集団)。好適な突然変異α−Gal Aを有するITT母集団における50人の患者のベースライン特性を表2に示す。ベースラインパラメータには統計学的有意差は存在しなかった。
Figure 2021512896
Figure 2021512896
好適な突然変異を有する患者(n=50)の遺伝子型に関連する臨床表現型についての既報から、30人(60%)はファブリー病の古典型表現型、1人(2%)は非古典型表現型、3人(6%)は両方の表現型に関連する突然変異を有し、且つ16人(32%)はいまだに分類されない突然変異を有していたことが示唆される。16人に14人(87%)の男性では、残留WBCα−Gal A活性<3%が見いだされ、31人に29人(94%)の男性及び女性は、高い血漿lyso−Gb3を有し、且つ50人に47人(94%)の男性及び女性は、多器官系疾患を有していた。
男性患者は、多器官系障害及びPBMCα−Gal A活性<正常値の3%に基づいて古典型ファブリー病を有すると同定された。古典型男性患者(n=14)は、他の患者(即ち、非古典型表現型を有する男性患者及び女性患者、n=36)と比較して、ベースライン時にファブリー病のより重篤な症状を有していた(図4A〜4E)。平均(標準偏差[SD])ベースラインeGFRCKD−EPI(87.8[8.98]対95.3[3.37]mL/min/1.73m)及びmGFRイオヘキソール(78.6[6.90]対88.2[3.95]mL/min/1.73m)は、古典型男性患者において他の患者よりも低く、LVMiはより高かった(114.3[7.31]対88.2[5.90]g/m)。古典型男性サブ群の突然変異は、p.Ile253Thr(n=2)、p.Pro259Arg(n=2)、p.Gly183Asp、p.Leu243Phe、p.Cys174Arg、p.Asp55Val/Gln57Leu、p.Gly144Val、p.Arg301Gln、p.Gly373Ser、p.Asp322Glu、p.Gly325Arg及びp.Tyr216Cysであった(n=各1)。
インビトロ活性。HEKアッセイに基づいて測定したときのベースラインPBMCα−Gal A活性及びα−Gal A活性に及ぼすミガラスタットの効果を以下の表3に示す。
Figure 2021512896
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文献で古典型表現型に関連するとして報告されてきたこの試験に登録された患者に見いだされるGLA突然変異では、10μMのミガラスタットによるα−Gal A活性の平均絶対的増加はWTの24.8%であり、平均活性はベースラインに対して8.2倍に増加した。すべての他の突然変異では、α−Gal A活性の平均絶対的増加はWTの24.5%であり、平均活性はベースラインに対して6.8倍に増加した。
ミガラスタット及び腎機能。ベースライン(又はプラセボにランダム化された患者では6ヵ月)〜24ヵ月のeGFRCKD−EPIの平均(標準偏差[SD])年間変化率は、古典型男性サブ群では−0.3(3.76)mL/min/1.73m(95%CI−2.80、2.25)及び他の患者サブ群では−0.3(4.47)mL/min/1.73m(95%CI1.98、1.48)であった(図4A)。この期間にわたり、古典型男性及び他の患者における中央値年間変化率は、それぞれ、0.25mL/min/BSA(最小、最大:−8.6、4.3)及び0.33mL/min/BSA(最小、最大:−13.8、7.4)であった。同一期間にわたるmGFRイオヘキソールの平均(SD)年間変化率は、古典型男性では−3.0(6.04)mL/min/1.73m(95%CI−7.65、1.64)及び他の患者では−1.0(6.66)mL/min/1.73m(95%CI−4.39、2.33)であった。6ヵ月〜24ヵ月で−16mg/mL/1.73mの低減を有する1人の古典型男性患者が存在した。ベースライン〜24ヵ月でのmGFRイオヘキソールの中央値(範囲)変化は、古典型男性では−1.03mg/mL/1.73m(最小、最大:−16.2、3.0)及び他の患者では−0.34mg/mL/1.73m(最小、最大:−20.4、15.8)であった。
結果は、この試験の全適用可能母集団のものに類似しており、ミガラスタットは、適用可能突然変異を有する患者においてGFRを安定化させ、eGFRCKD−EPI及びmGFRイオヘキソールのベースライン〜24ヵ月の年間変化は、それぞれ、−0.3(0.66)及び−1.5(1.33)mL/min/1.73mであった。アンギオテンシン変換酵素(ACE)阻害剤及びアンギオテンシンレセプターブロッカー(ARB)の使用は、試験期間中に腎機能データを変化させなかったので影響しなかった。
ミガラスタット及び心機能。ミガラスタットはまた、両方のサブ群でLVMiの低減もたらさなかった。注目すべきこととして、ベースラインLVMiは、古典型男性患者では他の患者よりも実質的に高く(114.3g/m対88.2g/m)、7人(50%)の古典型男性患者は、ベースライン時にLVHを有していた。ベースライン(又は6ヵ月)〜24ヵ月のLVMiの平均(SD)変化は、古典型男性では−16.7(18.64)g/m(95%CI−31.1、−2.4)であり、他の患者では−3.2(18.66)g/m(95%CI−12.5、6.1)であった(図4B)。
比較として、この試験の全ミガラスタット治療母集団のLVMi変化は、ミガラスタットによる24ヵ月間の治療後、−7.7g/m(95%CI、−15.4、−0.01)であり、LVHを有する患者ではより大きく減少した(−18.6g/m[95%CI、−38.2,1.0])。
更に、古典型表現型を有する男性の既報のデータと比較すると、この結果の解析から、ミガラスタットにより治療された患者は、治療を受けなかった患者よりも良好なGFR及びLVMiの転帰を有していたことが示唆される。未治療男性の試験では、eGFRのベースラインからの年間変化(eGFRCKD−EPI又はeGFRMDRDを用いて測定)は、−2.6〜−12.7mL/min/1.73mの範囲内であると報告された。LVMiに関して、未治療男性の試験では、年間増加は4.1〜8.0g/mの範囲内であると報告された。更に、ミガラスタットは、この患者母集団でのERTと比較して潜在的に有益な効果を有するように思われる。ERTは、若い患者(18〜29歳)においてLVMiを改善することが示されているが、ミガラスタットの影響は、年齢スペクトル全体にわたり観測され、7/8人の古典型男性患者(年齢範囲16〜61歳、平均42.4歳)においてLVMiの低減を報告するデータが示されている。
ミガラスタット並びに胃腸の徴候及び症状。ベースライン時の平均(SD)GSRS−Dスコアは、古典型男性患者では2.4(1.69)及び他の患者では2.1(1.49)であった。8人(57%)の古典型男性患者は、ベースライン時に下痢症状があった(即ち、GSRS−Dスコア≧1)。古典型男性患者では、ミガラスタットによる6ヵ月間の治療は、GSRS−Dのスコアを改善したが(ベースラインからの平均[SD]変化−0.3[1.75])、プラセボにより治療された患者は、小さな増加を有していた(0.2[0.46])。古典型男性患者は、ミガラスタットによる治療の継続又はプラセボからミガラスタットへの切替えが奏効した。24ヵ月では、下痢症状のベースライン(又は6ヵ月)からの平均(SD)変化は−0.9(1.75)であり(図4C)、ベースライン時に下痢を有する8人に7人(88%)の古典型男性患者では、GSRS−Dの最小限の臨床上重要な差(MCID)である0.33の低減を達成した。他の患者の対応する変化は、24ヵ月で−0.5(1.01)であった。これらの結果は、この試験の全適用可能患者母集団のものに類似しており、ミガラスタットにより治療された適用可能突然変異を有する患者は、6ヵ月及び24ヵ月でそれぞれ−0.3及び−0.5のGSRS−Dの平均変化を有していた。
ミガラスタット及び腎GL−3。試験の最初の6ヵ月間で、腎間質毛細血管当たりの平均(SD)GL−3封入体数は、ミガラスタットにより治療された古典型男性ではベースラインから減少した(−0.8[−0.78])(図4D)。逆に言えば、プラセボを摂取しているその期間の古典型男性患者ではGL−3封入体が増加した(平均値[SD]、0.3[0.94])。6ヵ月でプラセボからミガラスタットに切り替えたところ、腎間質毛細血管当たりのGL−3封入体は、これらの患者においてその次の6ヵ月間にわたり−0.7(0.91)の平均値(SD)だけ減少した。これらの結果は、この試験の全適用可能患者母集団で報告されたものを反映し、GL−3封入体は、6ヵ月間のミガラスタット治療にわたり減少し(平均値、−0.25)、6ヵ月間のプラセボ治療にわたりの増加した(平均値、0.07)。全患者母集団において、6ヵ月でプラセボからミガラスタットに切り替えたところ、−0.33の平均GL−3封入体の後続減少が見られた。
腎間質毛細血管当たりの平均(SD)GL−3封入体数の減少は、0〜6ヵ月にわたりミガラスタットにより治療するか(−0.1[0.30])又は6ヵ月でプラセボからミガラスタットに切り替えるか(6〜12ヵ月の変化、−0.1[0.24])にかかわらず、他の患者サブ群で見られた(図4D)。0〜6ヵ月にわたりプラセボにより治療された他の患者サブ群でも小さな減少が見られたが(−0.05[0.10])、おそらく低いベースラインレベルに起因して全減少が小さかったので、ミガラスタットによる変化の大きさはプラセボの2倍であった。
ミガラスタット及び血漿lyso−Gb。ミガラスタットは、古典型男性及び他の患者の両方のサブ群において血漿lyso−Gbの低減に関連した。低減は、古典型表現型を有する患者において、他の患者サブ群平均値[SD]と比較しておそらくベースラインレベルがより高いため2倍を超えた、99.8[35.28]対29.3[48.32]nmol/L)。血漿lyso−Gbのベースライン(又は6ヵ月)〜24ヵ月の平均(SD)変化は、古典型男性では−36.04(34.48)nmol/L(95%CI−67.93、−4.15)及び他の患者では−16.33(19.73)nmol/L(95%CI−25.07、−7.58)であった(図4E)。
安全性及び有害事象。ステージ1では、治療時に現れる有害事象は群間で類似していた。プラセボと比較してミガラスタットを摂取している患者でより高い頻度の有害事象は、頭痛(12/34人の患者−35%対7/33人の患者−21%)及び鼻咽頭炎(6/34人の患者−18%対2/34人−6%)であった。ステージ2で最も頻繁に報告された有害事象は、頭痛(9/63人の患者−14%)及び処置痛(7/63人の患者−11%−腎生検に関連)であり、オープンラベル延長では、タンパク尿(9/57人の患者−16%)、頭痛(6/57人の患者−11%)及び気管支炎(6/57人の患者−11%)であった。ほとんどの有害事象は、重症度が軽度又は中等度であった。ミガラスタット中断もたらす有害事象はなかった。
6人の患者はステージ1で(2人:ミガラスタット、4人:プラセボ)、5人はステージ2で及び11人はオープンラベル延長で、重篤有害事象を経験した。2つの重篤有害事象−疲労及び感覚異常は、おそらくミガラスタットに関連すると研究者により評価された。両方とも12ヵ月〜24ヵ月で同一患者で発生し消散した。>1人の患者では個別重篤有害事象は報告されなかった。2人の患者は、重篤有害事象に起因してミガラスタットを中断し、両方ともミガラスタットと無関係であるとみなされた。死亡例は報告されなかった。
12ヵ月〜24ヵ月で治療時に現れるタンパク尿が9人の患者(16%)で報告され、一症例ではミガラスタット関連であると判断された。5人の患者では、24ヵ月値はベースラインと同一範囲内であった。好適な突然変異を有する3人の患者は、明白なベースラインタンパク尿(>1g/24hr)を有し、24ヵ間月にわたり増加した。ベースラインタンパク尿<300mg/24hを有する23/28人の患者では、24時間尿タンパク質は、ミガラスタット治療の間、安定な状態を維持した。
Banikazemiらにより規定される末期腎疾患への進行も、心臓死も、脳卒中も存在しなかった。ミガラスタットと無関係であると判断された一過性脳虚血発作の一症例が存在した。
生命徴候、身体所見、実験パラメータ及びECGパラメータの解析は、ミガラスタットのいずれの臨床関連効果も示さなかった。
本明細書において言及される特許及び科学論文は、当業者に利用可能な知識を確立する。本明細書に引用される全ての米国特許及び公開されている又は未公開の米国特許出願は、参照によって援用される。本明細書に引用される全ての公開されている外国特許及び特許出願は、本明細書によって参照により援用される。本明細書に引用される他の全ての公開されている参考文献、文書、論稿及び科学論文は、本明細書によって参照により援用される。
本発明は特にその好ましい実施形態を参照して図示及び説明されているが、当業者は、添付の特許請求の範囲に包含される本発明の範囲から逸脱することなくそれらにおいて形態及び詳細の様々な変更を行い得ることを理解するであろう。

Claims (126)

  1. 古典型ファブリー病を有する患者において腎グロボトリアオシルセラミド(GL−3)を低下させる方法であって、前記患者の腎GL−3を低下させるために有効量のミガラスタット又はその塩を1日おきに1回の頻度で前記患者に投与することを含み、前記有効量が約100mg〜約150mg遊離塩基当量(FBE)である、方法。
  2. 前記患者が前記ミガラスタット又はその塩の投与開始前に高い腎間質毛細血管GL−3を有する、請求項1に記載の方法。
  3. 腎GL−3を低下させることが腎間質毛細血管当たりのGL−3封入体を低下させることを含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記患者が、I253T、P259R、G183D、L243F、C174R、D55V/Q57L、G144V、R301Q、G373S、D322E、G325R及びY216Cからなる群から選択されるα−Gal Aの突然変異を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記ミガラスタット又はその塩がα−ガラクトシダーゼA活性を増強する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記有効量が約123mg FBEである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記有効量が約123mgのミガラスタット遊離塩基である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記ミガラスタットの塩がミガラスタット塩酸塩である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記有効量が約150mgのミガラスタット塩酸塩である、請求項8に記載の方法。
  10. 前記ミガラスタット又はその塩が経口剤形である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. 前記経口剤形が錠剤、カプセル又は溶液を含む、請求項10に記載の方法。
  12. 前記ミガラスタット又はその塩が少なくとも6ヵ月間にわたり投与される、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 古典型ファブリー患者群への前記ミガラスタット又はその塩の投与が、前記ミガラスタット又はその塩の6ヵ月間の投与後に腎間質毛細血管当たり少なくとも約0.5のGL−3封入体の平均減少を提供する、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 必要とする患者において古典型ファブリー病を治療する方法であって、有効量のミガラスタット又はその塩を1日おきに1回の頻度で患者に投与することを含み、前記有効量が約100mg〜約150mg遊離塩基当量(FBE)であり、且つ前記ミガラスタット又はその塩を投与することが前記患者において腎グロボトリアオシルセラミド(GL−3)を低下させる、方法。
  15. 前記患者が前記ミガラスタット又はその塩の投与開始前に高い腎間質毛細血管GL−3を有する、請求項14に記載の方法。
  16. 腎GL−3を低下させることが腎間質毛細血管当たりのGL−3封入体を低下させることを含む、請求項14又は15に記載の方法。
  17. 前記患者が、I253T、P259R、G183D、L243F、C174R、D55V/Q57L、G144V、R301Q、G373S、D322E、G325R及びY216Cからなる群から選択されるα−Gal Aの突然変異を有する、請求項14〜16のいずれか一項に記載の方法。
  18. 前記ミガラスタット又はその塩がα−ガラクトシダーゼA活性を増強する、請求項14〜17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記有効量が約123mg FBEである、請求項14〜18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記有効量が約123mgのミガラスタット遊離塩基である、請求項14〜19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記ミガラスタットの塩がミガラスタット塩酸塩である、請求項14〜19のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記有効量が約150mgのミガラスタット塩酸塩である、請求項20に記載の方法。
  23. 前記ミガラスタット又はその塩が経口剤形である、請求項14〜22のいずれか一項に記載の方法。
  24. 前記経口剤形が錠剤、カプセル又は溶液を含む、請求項23に記載の方法。
  25. 前記ミガラスタット又はその塩が少なくとも6ヵ月間にわたり投与される、請求項14〜24のいずれか一項に記載の方法。
  26. 前記古典型ファブリー患者群への前記ミガラスタット又はその塩の投与が、前記ミガラスタット又はその塩の6ヵ月間の投与後に腎間質毛細血管当たり少なくとも約0.5のGL−3封入体の平均減少を提供する、請求項14〜25のいずれか一項に記載の方法。
  27. 古典型ファブリー病を有する患者において腎機能を安定化させる方法であって、前記患者の腎機能を安定化させるために有効量のミガラスタット又はその塩を1日おきに1回の頻度で前記患者に投与することを含み、前記有効量が約100mg〜約150mg遊離塩基当量(FBE)である、方法。
  28. 前記患者が前記ミガラスタット又はその塩の投与開始前に腎機能障害を有する、請求項27に記載の方法。
  29. 前記患者が、I253T、P259R、G183D、L243F、C174R、D55V/Q57L、G144V、R301Q、G373S、D322E、G325R及びY216Cからなる群から選択されるα−Gal Aの突然変異を有する、請求項27又は28に記載の方法。
  30. 前記ミガラスタット又はその塩がα−ガラクトシダーゼA活性を増強する、請求項27〜29のいずれか一項に記載の方法。
  31. 前記有効量が約123mg FBEである、請求項27〜30のいずれか一項に記載の方法。
  32. 前記有効量が約123mgのミガラスタット遊離塩基である、請求項27〜31のいずれか一項に記載の方法。
  33. 前記ミガラスタットの塩がミガラスタット塩酸塩である、請求項27〜31のいずれか一項に記載の方法。
  34. 前記有効量が約150mgのミガラスタット塩酸塩である、請求項33に記載の方法。
  35. 前記ミガラスタット又はその塩が経口剤形である、請求項27〜34のいずれか一項に記載の方法。
  36. 前記経口剤形が錠剤、カプセル又は溶液を含む、請求項35に記載の方法。
  37. 前記ミガラスタット又はその塩が少なくとも6ヵ月間にわたり投与される、請求項27〜36のいずれか一項に記載の方法。
  38. 古典型ファブリー患者群への前記ミガラスタット又はその塩の投与が、前記ミガラスタット又はその塩の24ヵ月間の投与後に−1.0mL/min/1.73mより大きいeGFRCKD−EPIの平均年間変化率を提供する、請求項27〜37のいずれか一項に記載の方法。
  39. 必要とする患者における古典型ファブリー病の治療方法であって、有効量のミガラスタット又はその塩を1日おきに1回の頻度で前記患者に投与することを含み、前記有効量が約123mg遊離塩基当量(FBE)であり、且つ前記ミガラスタット又はその塩を投与することが前記患者において腎機能を安定化させる、方法。
  40. 前記患者が前記ミガラスタット又はその塩の投与開始前に腎機能障害を有する、請求項39に記載の方法。
  41. 前記患者が、I253T、P259R、G183D、L243F、C174R、D55V/Q57L、G144V、R301Q、G373S、D322E、G325R及びY216Cからなる群から選択されるα−Gal Aの突然変異を有する、請求項39又は40に記載の方法。
  42. 前記ミガラスタット又はその塩がα−ガラクトシダーゼA活性を増強する、請求項39〜41のいずれか一項に記載の方法。
  43. 前記有効量が約123mg FBEである、請求項39〜42のいずれか一項に記載の方法。
  44. 前記有効量が約123mgのミガラスタット遊離塩基である、請求項39〜43のいずれか一項に記載の方法。
  45. 前記ミガラスタットの塩がミガラスタット塩酸塩である、請求項39〜43のいずれか一項に記載の方法。
  46. 前記有効量が約150mgのミガラスタット塩酸塩である、請求項45に記載の方法。
  47. 前記ミガラスタット又はその塩が経口剤形である、請求項39〜46のいずれか一項に記載の方法。
  48. 前記経口剤形が錠剤、カプセル又は溶液を含む、請求項47に記載の方法。
  49. 前記ミガラスタット又はその塩が少なくとも6ヵ月間にわたり投与される、請求項39〜48のいずれか一項に記載の方法。
  50. 古典型ファブリー患者群への前記ミガラスタット又はその塩の投与が、前記ミガラスタット又はその塩の24ヵ月間の投与後に−1.0mL/min/1.73mより大きいeGFRCKD−EPIの平均年間変化率を提供する、請求項39〜49のいずれか一項に記載の方法。
  51. 古典型ファブリー病を有する患者において左室重量(LVM)を低下させる方法であって、前記患者のLVMを低下させるために有効量のミガラスタット又はその塩を1日おきに1回の頻度で前記患者に投与することを含み、前記有効量が約100mg〜約150mg遊離塩基当量(FBE)である、方法。
  52. 前記患者が前記ミガラスタット又はその塩の投与開始前に左室肥大(LVH)を有する、請求項51に記載の方法。
  53. LVMを低下させることが左室重量係数(LVMi)を低下させることを含む、請求項51又は52に記載の方法。
  54. 前記患者が、I253T、P259R、G183D、L243F、C174R、D55V/Q57L、G144V、R301Q、G373S、D322E、G325R及びY216Cからなる群から選択されるα−Gal Aの突然変異を有する、請求項51〜53のいずれか一項に記載の方法。
  55. 前記ミガラスタット又はその塩がα−ガラクトシダーゼA活性を増強する、請求項51〜54のいずれか一項に記載の方法。
  56. 前記有効量が約123mg FBEである、請求項51〜55のいずれか一項に記載の方法。
  57. 前記有効量が約123mgのミガラスタット遊離塩基である、請求項51〜56のいずれか一項に記載の方法。
  58. 前記ミガラスタットの塩がミガラスタット塩酸塩である、請求項51〜56のいずれか一項に記載の方法。
  59. 前記有効量が約150mgのミガラスタット塩酸塩である、請求項58に記載の方法。
  60. 前記ミガラスタット又はその塩が経口剤形である、請求項51〜59のいずれか一項に記載の方法。
  61. 前記経口剤形が錠剤、カプセル又は溶液を含む、請求項60に記載の方法。
  62. 前記ミガラスタット又はその塩が少なくとも6ヵ月間にわたり投与される、請求項51〜61のいずれか一項に記載の方法。
  63. 古典型ファブリー患者群への前記ミガラスタット又はその塩の投与が、前記ミガラスタット又はその塩の24ヵ月間の投与後に少なくとも約5g/mのLVMiの平均減少を提供する、請求項51〜62のいずれか一項に記載の方法。
  64. 必要とする患者において古典型ファブリー病を治療する方法であって、有効量のミガラスタット又はその塩を1日おきに1回の頻度で前記患者に投与することを含み、前記有効量が約100mg〜約150mg遊離塩基当量(FBE)であり、且つ前記ミガラスタット又はその塩を投与することが前記患者の左室重量(LVM)を低下させる、方法。
  65. 前記患者が前記ミガラスタット又はその塩の投与開始前に左室肥大(LVH)を有する、請求項64に記載の方法。
  66. LVMを低下させることが左室重量係数(LVMi)を低下させることを含む、請求項64又は65に記載の方法。
  67. 前記患者が、I253T、P259R、G183D、L243F、C174R、D55V/Q57L、G144V、R301Q、G373S、D322E、G325R及びY216Cからなる群から選択されるα−Gal Aの突然変異を有する、請求項64〜66のいずれか一項に記載の方法。
  68. 前記ミガラスタット又はその塩がα−ガラクトシダーゼA活性を増強する、請求項64〜67のいずれか一項に記載の方法。
  69. 前記有効量が約123mg FBEである、請求項64〜68のいずれか一項に記載の方法。
  70. 前記有効量が約123mgのミガラスタット遊離塩基である、請求項64〜69のいずれか一項に記載の方法。
  71. 前記ミガラスタットの塩がミガラスタット塩酸塩である、請求項64〜69のいずれか一項に記載の方法。
  72. 前記有効量が約150mgのミガラスタット塩酸塩である、請求項71に記載の方法。
  73. 前記ミガラスタット又はその塩が経口剤形である、請求項64〜72のいずれか一項に記載の方法。
  74. 前記経口剤形が錠剤、カプセル又は溶液を含む、請求項73に記載の方法。
  75. 前記ミガラスタット又はその塩が少なくとも6ヵ月間にわたり投与される、請求項64〜74のいずれか一項に記載の方法。
  76. 古典型ファブリー患者群への前記ミガラスタット又はその塩の投与が、前記ミガラスタット又はその塩の24ヵ月間の投与後に少なくとも約5g/mのLVMiの平均減少を提供する、請求項64〜75のいずれか一項に記載の方法。
  77. 古典型ファブリー病を有する患者において血漿グロボトリアオシルスフィンゴシン(lyso−Gb)を低下させる方法であって、前記患者の血漿lyso−Gbを低下させるために有効量のミガラスタット又はその塩を1日おきに1回の頻度で前記患者に投与することを含み、前記有効量が約100mg〜約150mg遊離塩基当量(FBE)である、方法。
  78. 前記患者が前記ミガラスタット又はその塩の投与開始前に高い血漿lyso−Gbを有する、請求項77に記載の方法。
  79. 前記患者が、I253T、P259R、G183D、L243F、C174R、D55V/Q57L、G144V、R301Q、G373S、D322E、G325R及びY216Cからなる群から選択されるα−Gal Aの突然変異を有する、請求項77又は78に記載の方法。
  80. 前記ミガラスタット又はその塩がα−ガラクトシダーゼA活性を増強する、請求項77〜79のいずれか一項に記載の方法。
  81. 前記有効量が約123mg FBEである、請求項77〜80のいずれか一項に記載の方法。
  82. 前記有効量が約123mgのミガラスタット遊離塩基である、請求項77〜81のいずれか一項に記載の方法。
  83. 前記ミガラスタットの塩がミガラスタット塩酸塩である、請求項77〜81のいずれか一項に記載の方法。
  84. 前記有効量が約150mgのミガラスタット塩酸塩である、請求項83に記載の方法。
  85. 前記ミガラスタット又はその塩が経口剤形である、請求項77〜84のいずれか一項に記載の方法。
  86. 前記経口剤形が錠剤、カプセル又は溶液を含む、請求項85に記載の方法。
  87. 前記ミガラスタット又はその塩が少なくとも6ヵ月間にわたり投与される、請求項77〜86のいずれか一項に記載の方法。
  88. 古典型ファブリー患者群への前記ミガラスタット又はその塩の投与が、前記ミガラスタット又はその塩の24ヵ月間の投与後に、少なくとも約15nmol/Lの血漿lyso−Gb平均減少を提供する、請求項77〜87のいずれか一項に記載の方法。
  89. 必要とする患者において古典型ファブリー病を治療する方法であって、有効量のミガラスタット又はその塩を1日おきに1回の頻度で前記患者に投与することを含み、前記有効量が約100mg〜約150mg遊離塩基当量(FBE)であり、且つ前記ミガラスタット又はその塩を投与することが前記患者において血漿グロボトリアオシルスフィンゴシン(lyso−Gb)を低下させる、方法。
  90. 前記患者が前記ミガラスタット又はその塩の投与開始前に高い血漿lyso−Gbを有する、請求項89に記載の方法。
  91. 前記患者が、I253T、P259R、G183D、L243F、C174R、D55V/Q57L、G144V、R301Q、G373S、D322E、G325R及びY216Cからなる群から選択されるα−Gal Aの突然変異を有する、請求項89又は90に記載の方法。
  92. 前記ミガラスタット又はその塩がα−ガラクトシダーゼA活性を増強する、請求項89〜91のいずれか一項に記載の方法。
  93. 前記有効量が約123mg FBEである、請求項89〜92のいずれか一項に記載の方法。
  94. 前記有効量が約123mgのミガラスタット遊離塩基である、請求項89〜93のいずれか一項に記載の方法。
  95. 前記ミガラスタットの塩がミガラスタット塩酸塩である、請求項89〜93のいずれか一項に記載の方法。
  96. 前記有効量が約150mgのミガラスタット塩酸塩である、請求項95に記載の方法。
  97. 前記ミガラスタット又はその塩が経口剤形である、請求項89〜96のいずれか一項に記載の方法。
  98. 前記経口剤形が錠剤、カプセル又は溶液を含む、請求項97に記載の方法。
  99. 前記ミガラスタット又はその塩が少なくとも6ヵ月間にわたり投与される、請求項89〜98のいずれか一項に記載の方法。
  100. 古典型ファブリー患者群への前記ミガラスタット又はその塩の投与が、前記ミガラスタット又はその塩の24ヵ月間の投与後に、少なくとも約15nmol/Lの血漿lyso−Gb平均減少を提供する、請求項89〜99のいずれか一項に記載の方法。
  101. 古典型ファブリー病を有する患者において胃腸症状を治療する方法であって、前記胃腸症状を治療するために有効量のミガラスタット又はその塩を1日おきに1回の頻度で前記患者に投与することを含み、前記有効量が約100mg〜約150mg遊離塩基当量(FBE)である、方法。
  102. 前記患者が前記ミガラスタット又はその塩の投与開始前に下痢を有する、請求項101に記載の方法。
  103. 前記患者において1つ以上の胃腸症状を治療することが下痢の症状を低下させることを含む、請求項101又は102に記載の方法。
  104. 前記患者が、I253T、P259R、G183D、L243F、C174R、D55V/Q57L、G144V、R301Q、G373S、D322E、G325R及びY216Cからなる群から選択されるα−ガラクトシダーゼAの突然変異を有する、請求項101〜103のいずれか一項に記載の方法。
  105. 前記ミガラスタット又はその塩がα−ガラクトシダーゼA活性を増強する、請求項101〜104のいずれか一項に記載の方法。
  106. 前記有効量が約123mg FBEである、請求項101〜105のいずれか一項に記載の方法。
  107. 前記有効量が約123mgのミガラスタット遊離塩基である、請求項101〜106のいずれか一項に記載の方法。
  108. 前記ミガラスタットの塩がミガラスタット塩酸塩である、請求項101〜106のいずれか一項に記載の方法。
  109. 前記有効量が約150mgのミガラスタット塩酸塩である、請求項108に記載の方法。
  110. 前記ミガラスタット又はその塩が経口剤形である、請求項101〜109のいずれか一項に記載の方法。
  111. 前記経口剤形が錠剤、カプセル又は溶液を含む、請求項110に記載の方法。
  112. 前記ミガラスタット又はその塩が少なくとも6ヵ月間にわたり投与される、請求項101〜111のいずれか一項に記載の方法。
  113. 古典型ファブリー患者群への前記ミガラスタット又はその塩の投与が、前記ミガラスタット又はその塩の24ヵ月間の投与後に少なくとも約0.5の下痢の胃腸症状等級スケール(GSRS−D)の平均減少を提供する、請求項101〜112のいずれか一項に記載の方法。
  114. 必要とする患者において古典型ファブリー病を治療する方法であって、有効量のミガラスタット又はその塩を1日おきに1回の頻度で前記患者に投与することを含み、前記有効量が約100mg〜約150mg遊離塩基当量(FBE)であり、且つ前記ミガラスタット又はその塩を投与するが前記患者において1つ以上の胃腸症状を治療する、方法。
  115. 前記患者が前記ミガラスタット又はその塩の投与開始前に下痢を有する、請求項114に記載の方法。
  116. 前記患者において1つ以上の胃腸症状を治療することが下痢の症状を低下させることを含む、請求項114又は115に記載の方法。
  117. 前記患者が、I253T、P259R、G183D、L243F、C174R、D55V/Q57L、G144V、R301Q、G373S、D322E、G325R及びY216Cからなる群から選択されるα−ガラクトシダーゼAの突然変異を有する、請求項114〜116のいずれか一項に記載の方法。
  118. 前記ミガラスタット又はその塩がα−ガラクトシダーゼA活性を増強する、請求項114〜117のいずれか一項に記載の方法。
  119. 前記有効量が約123mg FBEである、請求項114〜118のいずれか一項に記載の方法。
  120. 前記有効量が約123mgのミガラスタット遊離塩基である、請求項114〜119のいずれか一項に記載の方法。
  121. 前記ミガラスタットの塩がミガラスタット塩酸塩である、請求項114〜119のいずれか一項に記載の方法。
  122. 前記有効量が約150mgのミガラスタット塩酸塩である、請求項121に記載の方法。
  123. 前記ミガラスタット又はその塩が経口剤形である、請求項114〜122のいずれか一項に記載の方法。
  124. 前記経口剤形が錠剤、カプセル又は溶液を含む、請求項123に記載の方法。
  125. 前記ミガラスタット又はその塩が少なくとも6ヵ月間にわたり投与される、請求項114〜124のいずれか一項に記載の方法。
  126. 古典型ファブリー患者群への前記ミガラスタット又はその塩の投与が、前記ミガラスタット又はその塩の24ヵ月間の投与後に少なくとも約0.5の下痢の胃腸症状等級スケール(GSRS−D)の平均減少を提供する、請求項114〜125のいずれか一項に記載の方法。
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