JP2021505629A - 認知症および神経変性状態における興奮、精神病および認知機能低下のためのシクロベンザプリン処置 - Google Patents

認知症および神経変性状態における興奮、精神病および認知機能低下のためのシクロベンザプリン処置 Download PDF

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Abstract

シクロベンザプリンを含む組成物、ならびに認知症および他の神経変性状態における興奮、精神病および/または認知機能低下ならびにその関連症状の処置または防止のための方法。本発明の方法は、認知症もしくは神経変性状態に罹患しているか、または認知症もしくは神経変性状態において興奮、精神病、および/もしくは認知機能低下ならびにその関連症状を発生させるリスクにある被験体に、治療上有効な量のシクロベンザプリンおよび薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物を投与する工程を包含する。

Description

開示の分野
本出願は、2017年12月11日出願の米国仮特許出願第62/597,284号(その内容および開示は、その全体において本明細書に参考として援用される)優先権および利益を主張する。
本出願は、認知症または神経変性状態において興奮、精神病および/または認知機能低下、ならびにその関連症状の処置または防止のための方法、ならびに関連する薬学的組成物に関する。特に重要なのは、シクロベンザプリンを単独で、あるいはコリンエステラーゼインヒビター、N−メチル−D−アスパラギン酸レセプターアンタゴニスト、抗鬱薬、抗不安剤、抗精神病薬剤、抗痙攣薬もしくは気分安定薬、抗アミロイド薬剤、または抗タウ薬剤のうちの1種またはこれより多くとの組み合わせにおいて含む薬学的組成物である。
開示の背景
シクロベンザプリン、または3−(5H−ジベンゾ[a,d]シクロヘプタン−5−イリデン)−N,N−ジメチル−1 プロパンアミンは、局所由来の急性筋痙攣の処置について、1977年に米国食品医薬品局によって初めて承認された(Katz and Dube, 1988)。強力な5−HT2Aおよびα1Aアンタゴニストは、睡眠時間の間に、セロトニン作動性2A(5−HT2A)レセプターおよびαアドレナリン作動性1A(α1A)レセプターの拮抗を通じて神経精神障害および線維筋痛症において回復睡眠を改善することが、その後の研究において示された(Moldofsky et al., 2011, Moldofsky et al., 2015)。
睡眠の質を改善するための薬剤としての、眠りを深くする薬剤(sleep deepener)としての、または睡眠疾患(sleep disturbance)を処置するための非常に低用量のシクロベンザプリンの有用性は、以前に調査されている。その非常に低投与量のレジメンは、線維筋痛症症候群、長期の疲労、慢性疲労、慢性疲労症候群、睡眠障害(sleep disorder)、心因性疼痛障害、慢性疼痛症候群(II型)、薬物の投与、自己免疫疾患、ストレスもしくは不安によって引き起こされるか、これらによって増悪するか、またはこれらと関連する睡眠疾患を処置することにおいて、あるいは睡眠疾患によって引き起こされるか、もしくはこれによって増悪する病気ならびにこのような病気、全般性不安障害および心的外傷後ストレス障害(PTSD)の症状を処置するために、特に有用であると総説された。米国特許出願US20110124656A1ならびに米国特許第6,395,788号および同第6,358,944号(本明細書に参考として援用される)を参照のこと。
認知症(アルツハイマー病(AD)のような疾患によって引き起こされる)は、全世界でほぼ4700万人の人々が罹患する神経学的症候群であり、症例数は、2050年までに3倍になると予測されている(WHO 2017)。認知症の症状と関連する神経変性状態はまた、広範囲に拡がっている(Chaves 2010; Weintraub 2005; Diaz−Olavarrieta C. 1999; Williamson 2016)。血液脳関門の過剰透過性および神経炎症と関連する睡眠の乱れ(sleep disruption)は、認知症の発生(Kerner and Roose 2016)およびADにおけるアミロイドβ沈着(Macedo 2017)に寄与し得る。睡眠の回復は、アミロイドβタンパク質のクリアランスを改善することが示されている(Xie et al, 2013)。
認知症の行動および心理症状(BPSD)としては、興奮(認知症患者においてほぼ56%の有病率が報告されている行動の大きな群)、患者のうちの50%において有病率が報告されている精神病が挙げられる。BPSDはまた、より急激な速度の認知機能低下およびより大きな日常生活動作の機能障害と関連する(Kar 2009)。興奮は、ストレス応答系の活性化および付随する睡眠の障害と、ともに前頭前皮質(PFC)へのモノアミン作動性経路のニューロモジュレーションの影響下で、強く関連する。神経学的な証拠が、興奮を伴う認知症において、前頭前皮質(PFC) 5−HT2Aレセプターおよびα1Aレセプターの異常性を指摘しており、これらのレセプターのアンタゴニストは、このような破壊的な興奮を低減することが示されている(Assal et al., 2004; Esiri, 1996; Wang et al., 2009)。
いくつかの第二世代抗精神病薬(SGAs)は、5−HT2Aレセプターおよびα1Aレセプターを強力に拮抗する一方で、認知症における興奮および関連症状を低減し、そのSGAクラスは、高い副作用負荷を有し、認知症を有する患者において死亡率を増大させ得る(Schneider et al., 2006, Greenblatt and Greenblatt 2016, Gareri 2014)。興奮はまた、種々の神経変性状態と関連することが公知である(Chaves 2010; Weintraub 2005; Diaz−Olavarrieta C. 1999; Williamson 2016)。従って、認知症および/または神経変性状態における興奮および関連症状の長期の処置に適した安全性プロフィールを有する有効な処置に、重大な未だ満たされていない医療ニーズがある。
国際公開番号WO2013188847(本明細書に参考として援用される)は、血液への迅速な経粘膜吸収および初回通過肝臓代謝の迂回に起因して、長い半減期の活性代謝産物であるノルシクロベンザプリンの特有に低減された生成を有するシクロベンザプリンの低用量の舌下製剤(TNX−102 SL)を開示する。高齢の集団において、5mgの経口用量(IR錠剤を1日に3回[TID])では、シクロベンザプリンは、過度な眠気を引き起こすまたは認知タスクに関する成績を低下させることはないようである。
12週間またはこれより長く就寝時に舌下で摂取される5.6mgまでの量でのTNX−102 SLでの臨床研究は、TNX−102 SLが、線維筋痛症(FM)および心的外傷後ストレス障害(PTSD)を有する患者によって十分に耐容性が示されることを示している(Clinical Trials NCT02277704、NCT01903265およびNCT02436096)。重篤なまたは予測外の中枢神経系(CNS)関連有害事象は存在しなかった。TNX−102 SLで報告された全身性の有害事象は、市販されているシクロベンザプリン製品の表示に記載されるものと一致する。
TNX−102 SLは、5−HT2Aレセプターおよびα1Aレセプターの拮抗を含む治療上重要な生物学的活性をナノモル濃度範囲ですら保持し(WO2013188847を参照のこと)、低用量で高い安全性および耐容性プロフィールを有するシクロベンザプリンを含む。本明細書で記載されるシクロベンザプリン舌下(SL)製剤は、嚥下困難が共通する高齢集団においてさらなる利点を付与する(Sura et al 2012)。
米国特許出願公開第2011/0124656号明細書 米国特許第6,395,788号明細書 米国特許第6,358,944号明細書 国際公開第2013/188847号
出願の開示の要旨
一局面において、本出願は、認知症または神経変性状態における興奮、精神病、および/または認知機能低下ならびにその関連症状を処置または防止するための方法を開示する。上記症状は、認知症および/または神経変性状態と関連する睡眠疾患または非睡眠疾患であり得る。上記方法は、認知症もしくは神経変性状態に罹患しているか、または認知症もしくは神経変性状態において興奮、精神病、および/もしくは認知機能低下ならびにその関連症状を発生させるリスクにある被験体に、治療上有効な量のシクロベンザプリンおよび薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物を投与する工程を包含する。いくつかの実施形態において、上記組成物は、0.1mg〜30mg シクロベンザプリン/日の間の用量において、または0.1mg〜20mg シクロベンザプリン/日の間の用量において投与され得る。いくつかの実施形態において、上記組成物は、10mg シクロベンザプリン/日未満または5mg シクロベンザプリン/日未満の用量で投与され得る。好ましい実施形態において、上記組成物は、約5.6mg シクロベンザプリン/日の用量で投与され得る。いくつかの実施形態において、上記組成物は、2.8mg シクロベンザプリン/日の用量で投与され得る。上記組成物は、毎日または1日に1回投与され得る。いくつかの実施形態において、上記組成物は、2投与単位(各々2.8mg シクロベンザプリン)として同時に投与される。いくつかの実施形態において、上記組成物は、2投与単位として同時に投与され、ここで上記2投与単位でのシクロベンザプリンの合計量は、約5.6mgである。
いくつかの実施形態において、上記方法は、コリンエステラーゼインヒビター、N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)レセプターアンタゴニスト、抗鬱薬、抗不安剤、抗精神病薬剤、抗痙攣薬または気分安定薬、抗アミロイド薬剤、および抗タウ薬剤からなる群より選択される薬剤のうちの1種またはこれより多くを、逐次的にまたは同時に投与する工程をさらに包含し得る。いくつかの実施形態において、上記コリンエステラーゼインヒビターは、ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミン、またはタクリンである。いくつかの実施形態において、上記NMDAレセプターアンタゴニストは、アマンタジンまたはメマンチンである。いくつかの実施形態において、上記抗鬱薬は、シタロプラム、フルオキセチン、パロキセチン、またはセルトラリンである。いくつかの実施形態において、上記抗不安剤は、ロラゼパム、オキサゼパム、またはブスピロンである。いくつかの実施形態において、上記抗精神病薬剤は、クエチアピン、トラゾドン、プロマジン、アリピプラゾール、ジプラシドン、オランザピン、またはリスペリドンである。いくつかの実施形態において、上記抗痙攣薬または気分安定薬は、カルバマゼピン、ジバルプロエクス、またはデキストロメトルファンである。いくつかの実施形態において、上記抗アミロイド薬剤は、バピニューズマブ、ソラネズマブ、またはベルベセスタットである。いくつかの実施形態において、上記抗アミロイド薬剤および/または抗タウ薬剤は、Cummings et al.(本明細書に参考として援用される)によって記載されるとおりの薬剤のうちの1種またはこれより多くである(Cummings, 2017)。いくつかの実施形態において、上記方法は、身体療法を上記被験体に逐次的にまたは同時に投与する工程をさらに必要とし得る。
いくつかの実施形態において、本出願の薬学的組成物は、舌下投与、口内投与、経口投与、坐剤投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、吸入による投与、鼻内投与、薄膜による投与、経皮投与、非経口投与、直腸投与、または膣投与のために製剤化される。いくつかの実施形態において、上記薬学的組成物は、精神療法介入、行動的介入または環境的介入と組み合わせて投与される。いくつかの実施形態において、上記薬学的組成物は、舌下に、口内に、経口的に、坐剤で、静脈内に、筋肉内に、皮下に、吸入により、鼻内に、薄膜で、経皮的に、非経口的に、直腸に、または膣に投与される。
別の局面において、本出願は、治療上有効な量のシクロベンザプリンを、コリンエステラーゼインヒビター、N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)レセプターアンタゴニスト、抗鬱薬、抗不安剤、抗精神病薬剤、または抗痙攣薬もしくは気分安定薬、抗アミロイド薬剤、および抗タウ薬剤からなる群より選択される1種またはこれより多くの薬剤との組み合わせにおいて含む薬学的組成物を開示する。上記薬学的組成物中のシクロベンザプリンの量は、以下のうちのいずれかであり得る:0.1mg〜30mgの間;0.1mg〜20mgの間;10mg未満;5mg未満;約5.6mg;または約2.8mg。上記薬学的組成物は、毎日または1日に1回投与され得る。
さらに別の局面において、本出願は、認知症もしくは神経変性状態に罹患しているか、または認知症もしくは神経変性状態における興奮、精神病および/もしくは認知機能低下ならびにその関連症状を発生させるリスクにある被験体に投与されるべきシクロベンザプリンの有効用量を選択するための方法を開示する。上記方法は、上記被験体から遺伝子サンプルを得る工程、上記被験体のCYP3A、CYP1A2、CYP3A4、またはCYP2D6遺伝子型を決定するために、上記サンプルを使用する工程、およびその遺伝子型に基づいて、シクロベンザプリンの治療上有効な用量を選択する工程を包含する。上記CYP3A、CYP1A2、CYP3A4またはCYP2D6遺伝子型は、例えば、遺伝子チップまたはPCR技術を使用して、上記遺伝子のうちの1またはこれより多くのアレルを同定することによって、決定され得る。異なるCYPアレルが、異なる速度でシクロベンザプリンを代謝する。シクロベンザプリンをより迅速に代謝することが既知のシトクロムアレルを有する個体に関しては、より高用量のシクロベンザプリンが、好ましくは投与されるものとする。シクロベンザプリンをよりゆっくりと代謝することが既知のアイソフォームを有する個体に関しては、より低用量のシクロベンザプリンが、好ましくは投与されるべきである。
詳細な説明
本明細書で別段定義されなければ、本出願で使用される科学用語および技術用語は、当業者によって一般に理解される意味を有するものとする。矛盾する場合、本明細書が、定義を含めて優先する。
本明細書および実施形態全体を通じて、語句「含む、包含する(comprise)」または「含む、包含する(comprises)」もしくは「含む、包含する(comprising)」のようなバリエーションは、述べられた完全体または完全体の群の包含を意味するが、いかなる他の完全体または完全体の群の排除をも意味しないことが理解される。
用語「含む、包含する、が挙げられる(including)」または「含む、包含する、が挙げられる(includes)」は、「が挙げられるが、これらに限定されない(including but not limited to)」を意味するために使用される。「含む、包含する、が挙げられる」および「が挙げられるが、これらに限定されない」は、交換可能に使用される。
用語「例えば(e.g.)」または「例えば(for example)」の後に続く任意の例は、網羅的であることまたは限定であることを意味されない。
状況によって別段要求されなければ、単数形の用語は、その複数形を含むものとし、複数形の用語は、その単数形を含むものとする。
冠詞「1つの、ある(a)」、「1つの、ある(an)」、および「上記、その、この(the)」とは、その冠詞の文法上の対象の1または1より多い(すなわち、少なくとも1)に言及するために、本明細書で使用される。
その開示される数値範囲およびパラメーターが概算値であるにも関わらず、その具体例において示される数値は、可能な限り正確に報告される。しかし、どのような数値であっても、それらそれぞれの試験測定において見出される標準偏差から必然的に生じるある種の誤差が本質的に含まれる。さらに、本明細書で開示される全ての範囲は、その中に組み込まれる任意のおよび全ての部分範囲を包含することが理解されるべきである。例えば、「1〜10(1 to 10)」という述べられた範囲は、最小値1と最大値10との間(および両端を含む)の任意のおよび全ての部分範囲;すなわち、最小値1またはこれより大きい値(例えば、1〜6.1)で始まり、かつ最大値10またはこれより小さい値(例えば、5.5〜10)で終わる全ての部分範囲を含むと解釈されるべきである
局面または実施形態が、マーカッシュグループまたは選択肢の他のグループ分けに関して記載される場合、本出願は、全体として、列挙されたグループ全体のみならず、グループの各メンバーを個々に、ならびに主要なグループの全ての考えられる下位グループおよび同様にそのグループのメンバーのうちの1またはこれより多くが存在しないその主要なグループをも包含する。本出願はまた、その具体化された開示におけるグループのメンバーのうちのいずれかの1またはこれより多くの明示的な排除を想定する。
例示的な方法および材料が本明細書で記載されるが、本明細書で記載されるものに類似または等価な方法および材料はまた、その種々の局面および実施形態の実施または試験において使用され得る。その材料、方法、および例は、例証であるに過ぎず、限定であることは意図されない。
定義
本開示がより容易に理解され得るように、特定の用語が先ず定義される。これらの定義は、当業者によって理解されるように、本開示の残りに鑑みて読んで理解されるべきである。別段定義されなければ、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。さらなる定義は、詳細な説明全体を通じて示される。
一局面において、本出願は、認知症または神経変性状態における興奮、精神病および/または認知機能低下ならびにその関連症状を処置または防止するための方法を開示する。
上記方法は、その必要性があるかまたはそのリスクにある被験体に、治療上有効な量のシクロベンザプリンおよび薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物を投与する工程を包含する。その症状は、睡眠疾患または非睡眠疾患であり得る。
本明細書で使用される場合、用語「処置する(treat)」およびその同族は、認知症または神経変性状態における興奮、精神病および/もしくは認知機能低下またはその少なくとも1つの認識可能な症状の完全なまたは部分的な直接的改善(amelioration)または調整(modulation)に言及する。いくつかの実施形態において、「処置する」とは、興奮行動の多様な群からなるコーエン・マンスフィールド興奮評価票(CMAI)(各々、頻度のマルチポイントスケールで評価される)において測定される場合の、興奮行動の改善または直接的改善をいう。被験体のCMAI興奮スコアは、処置の前後に測定され得る。改善されたスコアは、成功裡の「処置(treatment)」を示す(例えば、Mansfield, 1991を参照のこと)。ある種の実施形態において、「処置する」とは、改訂版アルツハイマー病共同研究の変化に関する臨床上の全般的印象 興奮ドメイン(Modified Alzheimer’s Disease Cooperative Study Clinical Global Impression of Change Agitation Domain)(mADCS−CGIC−興奮)スコアにおいて測定される場合の、興奮行動の改善または直接的改善をいう。その標準的ADCS−CGIC評価を、アルツハイマー病における興奮を研究することに関する局面をより良好に評価するように改変した(Drye et al., 2012)。そのmADCS−CGIC−興奮評価は、興奮に関する質問および興奮に具体的に焦点を当てた、臨床医の変化に関する印象の評価を含む。ある種の実施形態において、「処置する」およびその同族は、認知症または神経変性状態における興奮、精神病および/または認知機能低下ならびにその関連症状の進行を、非処置コントロールと比較して遅らせるかまたはその進行を改善に向かわせる(reverse)ことをいう。いくつかの実施形態において、「処置する」およびおよびその同族は、認知症または神経変性状態における興奮、精神病および/または認知機能低下ならびにその関連症状の進行を阻害するかまたは低減することをいう。いくつかの実施形態において、「処置する」およびその同族は、その被験体における興奮、精神病および/または認知機能低下の重篤度を低減することをいう。いくつかの実施形態において、「処置する」とは、アルツハイマー病評価スケール−認知(Alzheimer’s Disease Assessment Scale−Cog)(ADAS−Cog)、および/またはミニメンタルステート検査(MMSE)で測定した場合の、認知における改善をいう。被験体の認知スコアは、処置の前後で測定され得る。改善されたスコアは、成功裡の「処置」を示す(例えば、Fleisher 2007およびFolstein 1975を参照のこと)。
本明細書で使用される場合、「防止する(prevent)」およびその同族は、非処置コントロールと比較して、認知症もしくは神経変性状態における興奮、精神病および/もしくは認知機能低下またはその関連症状の開始を遅らせるか、あるいはその再発の時を遅らせるか、あるいはその発生のリスクを低減することをいう。本明細書で使用される場合、「再発のときを遅らせる(delaying the time of the reoccurrence)」およびその同族は、非処置コントロールと比較して、認知症もしくは神経変性状態における興奮、精神病および/もしくは認知機能低下またはその関連症状を発生させやすい個体あるいはこのような興奮、精神病および/もしくは認知機能低下または関連症状を過去に発生させたことがある個体において、認知症もしくは神経変性状態における興奮、精神病および/もしくは認知機能低下またはその関連症状の再発を遅らせることに言及する。
本明細書で使用される場合、用語「興奮(agitation)」とは、認知症および/または神経変性状態における興奮および興奮の症状、ならびにその関連症状をいう。これらの症状としては、以下が挙げられる:人格の変化、広汎性の情緒的苦痛(general emotional distress)(急激な気分変化、易怒性、および爆発)、不安、うつ、妄想(現実ではない事柄を固く信じていること)、幻覚(そこにないものを見る、聞こえる、または感じること)、過度の運動活動(例えば、ペーシング、絶えず続く運動、揺動(rocking)、身振り手振り、指さし、不穏(restlessness)、反復性の癖を実行すること(performing repititious mannerisms)、ドアもしくは器具をチェックおよび再度チェックすること、ティッシュを裂くこと、いつにない罵詈雑言もしくは脅し文句。興奮と関連する行動は、持続性であり得るかまたは最低2週間にわたって頻繁に再発し得、その患者の通常の行動からの変化を示す。認知症および/または神経変性状態における興奮と関連するさらなる症状としては、せん妄、精神病、認知機能低下、睡眠疾患、不眠症、夕暮れ症候群、攻撃性、好戦性、情緒不安定、怒り、疼痛、アカシジア、強迫行為、強迫観念、および尿失禁が挙げられるが、これらに限定されない。認知症および/または神経変性状態における興奮と関連する多の症状としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:言葉による攻撃性(例えば、怒鳴る、過度に大きな声で話す、冒涜する言葉を使うこと、叫ぶ、大声を出す);身体的攻撃性(例えば、ひっつかむ、突く、押す、反抗する、他者を殴る、ものまたはひとを蹴る、ひっかく、かみつく、ものを投げる、自身を殴る、ドアを乱暴に閉める、ものを引き裂く、および所有物を破壊する);および以下のうちの1またはこれより多くにおける重大な機能障害:人間関係、社会的機能の他の局面、日常生活動作を行うまたは参加する能力(Alexopoulos et al. 1998; Gareri 2014; Rose et al. 2015; Shneider et al. 2005, Alzheimer’s Association 2004)。国際老年精神医学会の興奮定義作業グループ(International Psychogeriatric Association Agitation Definition Work Group)(Cummings 2014)によって定義されるとおりの全ての他の症状は、本明細書に含まれる。これらの症状は、当該分野で通常の熟練した臨床医に公知の技術によって一般に測定される。
本明細書で使用される場合、用語「睡眠疾患(sleep disturbance)」とは、入眠困難、早朝覚醒、悪夢、および質の悪い睡眠を含む症状をいう。睡眠の質(「睡眠疾患」)は、とりわけ、その患者に、彼/彼女が、疲れてまたは疲労を回復できずに目覚めることが、「一度もない(never)」、「滅多にない(seldom)」、「しばしばもしくは通常にある(often or usually)」または「常にある(always)」かどうかを質問することによって、決定され得る。「しばしばもしくは通常にある」または「常にある」という回答は、陽性としてスコア付けされ得、他の回答は、陰性としてスコア付けされ得る。健康な状態、または「無気力(zombie)」または「ぼうっとしている(spacey)」感覚、「疲れ果てている(run down)という感覚、および起きている時間の間に集中しがたいという感覚からの解放という患者の報告は、よりよい睡眠の質または深く、疲労を回復させる睡眠の兆候である。睡眠の質を評価するために一般に使用される評価スケールは、睡眠の機能的転帰質問票(Functional Outcomes of Sleep Questionnaire)(FOSQ)であり、Weaver et al., (1997)に記載される。
本明細書で使用される場合、用語「夕暮れ症候群(sundowning)」とは、認知症および/または神経変性状態を有する被験体において、夕暮れ時および/または夕暮れ後に起こる神経精神病的な症状および行動障害(behavioral disturbance)をいう。夕暮れ症候群は、概日リズムの乱れと関連する。それは、以下のうちの1またはこれより多くを含む:不安、興奮、攻撃性、ペーシング、徘徊、反抗、叫ぶ、怒鳴る、幻視および幻聴、睡眠疾患、ならびに錯乱(例えば、Canavelli et al., 2016; Shih, et al, 2017を参照のこと)。
本明細書で使用される場合、「認知症(dementia)」とは、個人が毎日の活動を行う能力を低減するには十分重篤に、記憶または他の思考能力が長期にわたっておよび徐々に低下することと関連する広い範囲の症状をいう。それは、脳および他の部分における炎症と関連し得る。認知症は、以下のうちの1またはこれより多くと関連し得る: アルツハイマー病(AD)、パーキンソン病(PD)、血管性認知症、レビー小体型認知症、混合型認知症、前頭側頭葉型認知症、クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)、正常圧水頭症、ハンチントン病(HD)、ウェルニッケ−コルサコフ症候群、頭部外傷、アルコール依存症、ウイルス感染または細菌感染、薬物副作用、肺炎、脱水、栄養不良、膀胱感染、糖尿病、および喘息。認知症を発生させるリスクにある被験体は、軽度認知機能障害を有する被験体を含む。認知症とは、DSM−5ガイドラインによって定義されるとおりの状態に言及し、ここで認知症は、認知機能におけるそれほどでもないかまたは実質的な低下と関連し、軽度神経認知障害(mild neurocognitive disorder)または認知症(major neurocognitive disorder)といわれる(Sachdev 2015)。
本明細書で使用される場合、用語「神経変性状態(neurodegenerative condition)」およびその同族は、ヒト中枢神経系または末梢神経系におけるニューロンに影響を及ぼす疾患に言及する。その神経変性状態は、異常なタンパク質凝集および蓄積、ならびに/または封入体形成と関連し得る(Ross and Poirier, 2004; Chaves 2010)。例えば、その蓄積したタンパク質は、αシヌクレイン、アミロイドβ、タウタンパク質であり得る。いくつかの実施形態において、神経変性状態は、炎症性サイトカインがその状態の病因と関連した状態、例えば、多発性硬化症および外傷性脳傷害を含み得る。神経変性状態はまた、以下を含み得る:PD、AD、HD、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、運動ニューロン疾患、統合失調症、多系統萎縮症、シヌクレイン症(synucleopathies)、レビー小体型認知症、および前頭側頭葉型認知症。例えば、Chaves 2010; Weintraub 2005; Diaz−Olavarrieta C. 1999; Williamson 2016を参照のこと。
「患者(patient)」、「被験体(subject)」、または「個体(individual)」は、交換可能に使用され、好ましくはヒトに言及する。
本明細書で使用される場合、用語「シクロベンザプリン(cyclobenzaprine)」とは、シクロベンザプリンまたはその代謝産物、シクロベンザプリンのプロドラッグまたはその代謝産物をいう。本出願の方法に従って有用なシクロベンザプリンの代謝産物は、認知症および/もしくは神経変性状態における興奮またはその関連症状を緩和するにあたって、シクロベンザプリンと実質的に同じかまたはより良好な活性を有する代謝産物である。本出願に従って有用であり得るシクロベンザプリン代謝産物としては、CBP 10,11−trans−ジヒドリオール、N−デスメチル−2−ヒドロキシシクロベンザプリン、3−ヒドロキシシクロベンザプリン、N−デスメチルシクロベンザプリン、シクロベンザプリン N−オキシド、またはこれらの代謝産物のキラル異性体が挙げられる。シクロベンザプリンのプロドラッグは、インビボでその活性な薬剤へと代謝されるシクロベンザプリンの誘導体である。本出願に従って有用なプロドラッグは、認知症または神経変性状態における興奮、精神病および/または認知機能低下ならびにその関連症状を処置または防止するにあたって、シクロベンザプリンと実質的に同じかまたはより良好な活性を有するプロドラッグである。プロドラッグを作製するための方法は、当該分野で容易に公知である(例えば、Balant, et al 1990; Bund−gaard, H et al. 1991(本明細書で参考として援用される))。
本明細書で使用される場合、シクロベンザプリンの、用語「治療上有効な量(therapeutically effective amount)」とは、認知症または神経変性状態における興奮、精神病および/または認知機能低下ならびにその関連症状を処置または防止する(本明細書で定義されるとおり)化合物の量をいう。医師は、症状が処置または防止される場合に、例えば、被験体の臨床観察を通じて、または処置の過程の間のその被験体もしくはその介護者による症状の報告を通じて、容易に決定し得る。当業者は、その被験体のサイズ、体重、年齢および性別、疾患浸透(disease penetration)もしくは持続の程度および症状の重篤度、ならびに投与経路のような要因を考慮することによって、投与されるべきシクロベンザプリンの量を容易に決定し得る。一般に、被験体に投与されるシクロベンザプリンの治療上有効な量は、0.1mg〜30mg/日の間、1〜20mg/日の間、10mg/日未満、5mg/日未満、約5.6mg/日、または約2.8mg/日である。より高用量またはより低用量も企図される。
本明細書で使用される場合、用語「約(about)」とは、値またはパラメーターであって、その値またはパラメーター自体に関する実施形態を含む(および記載する)ものに言及する。例えば、「約X(about X)」に言及する記載は、Xの値またはパラメーター自体に関する実施形態を含む。本明細書で使用される場合、用語「約」は、有効数字の範囲内で±10%の変動を許容する。
本明細書で使用される場合、用語「剤、薬剤(agent)」とは、その被験体における状態を処置または防止するために使用され得る生物学的または化学的物質または化合物をいう。いくつかの実施形態において、その薬剤は、抗体である。その状態は、認知症および/または神経変性状態に関する症状(不安、精神病、認知機能低下、気分変動、興奮、痙攣、認知症および/もしくは神経変性の病因に寄与する異常な神経科学現象、認知症および/もしくは神経変性の病因に寄与するタンパク質凝集および蓄積(例えば、アミロイド斑の蓄積および異常なタウ沈着)が挙げられるが、これらに限定されない)であり得る(Cummings, 2017を参照のこと)。
本明細書で使用される場合、用語「身体療法(somatic treatment)」とは、その被験体に投与される介入(電気痙攣療法、磁気治療、経頭蓋磁気刺激療法、経頭蓋直流電気刺激療法(transcranial direct stimulation)、頭蓋交流電流刺激療法(cranial electric stimulation)、迷走神経刺激療法、硬膜外電気刺激療法(epidural electric stimulation)、または脳深部刺激療法が挙げられるが、これらに限定されない)に言及する(Rosa and Lisanby, 2012を参照のこと)。
いくつかの実施形態において、そのシクロベンザプリンは、より高用量で観察された任意の副作用を最小化するかまたは減らす用量で投与される。これらの用量は、約5.6mg/日、5mg/日未満、または約2.8mg/日の用量を含む。さらにより低用量も企図される。一般に、シクロベンザプリン治療は、認知症または神経変性状態における興奮、精神病および/または認知機能低下ならびにその関連症状を処置または防止するために無期限に行われ得、投薬の頻度および/または量は、必要な場合に変更され得る。処置の期間は、認知症または神経変性状態における興奮、精神病および/または認知機能低下ならびにその関連症状を処置または防止するために必要な程度の長さであるべきである。いくつかの実施形態において、そのシクロベンザプリンは、就寝時にかつ適切な用量で投与される。その用量は、徐々に増大または減少されてもよい。
本出願のいくつかの実施形態において、シクロベンザプリンは、認知症または神経変性状態における興奮、精神病および/または認知機能低下ならびにその関連症状をさらに緩和し得る薬剤のうちの1種またはこれより多くと組み合わせて投与される。その薬剤は、そのシクロベンザプリンと、逐次的にまたは同時に投与され得る。その薬剤としては、コリンエステラーゼインヒビター、N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)レセプターアンタゴニスト、抗鬱薬、抗不安剤、抗精神病薬剤、抗痙攣薬または気分安定薬、抗アミロイド薬剤、および抗タウ薬剤のうちの1種またはこれより多くが挙げられる。例示的なコリンエステラーゼインヒビターとしては、ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミン、またはタクリンが挙げられるが、これらに限定されない。例示的なN−メチル−D−アスパラギン酸レセプターアンタゴニストとしては、アマンタジンまたはメマンチンが挙げられるが、これらに限定されない。例示的なN−抗鬱薬としては、シタロプラム、フルオキセチン、パロキセチン、またはセルトラリンが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な抗不安剤としては、ロラゼパム、オキサゼパム、またはブスピロンが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な抗精神病薬剤としては、クエチアピン、トラゾドン、プロマジン、アリピプラゾール、ジプラシドン、オランザピン、またはリスペリドンが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な抗痙攣薬または気分安定薬としては、カルバマゼピン、ジバルプロエクス、またはデキストロメトルファンが挙げられるが、これらに限定されない。例示的な抗アミロイド薬剤としては、バピニューズマブ、ソラネズマブ、またはベルベセスタットが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、その被験体は、認知症または神経変性状態における興奮、精神病および/または認知機能低下ならびにその関連症状のブレークスルー症状(breakthrough symptom)を処置するために、本開示のシクロベンザプリン組成物と逐次的にまたは同時に、約1.0mg/日 ロラゼパムを投与される。
別の局面において、本出願は、薬学的組成物を開示する。その薬学的組成物は、治療上有効な量のシクロベンザプリンを、コリンエステラーゼインヒビター、N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)レセプターアンタゴニスト、抗鬱薬、抗不安剤、抗精神病薬剤、抗痙攣薬または気分安定薬、抗アミロイド薬剤、および抗タウ薬剤からなる群より選択される1種またはこれより多くの薬剤との組み合わせにおいて含む。一般に、その薬学的組成物中のシクロベンザプリンの量は、0.1mg〜30mgの間、または1mg〜20mgの間である。より高用量またはより低用量も企図される。いくつかの実施形態において、シクロベンザプリンの量は、10mg未満、5mg未満、約5.6mg、または約2.8mgである。さらにより低用量も企図される。いくつかの実施形態において、シクロベンザプリンは、認知症または神経変性状態における興奮、精神病および/または認知機能低下の症状ならびにその関連症状をさらに緩和し得る薬剤のうちの少なくとも1種と組み合わせられる。その薬剤は、本発明のシクロベンザプリン組成物と逐次的にまたは同時に投与され得る。
任意の適切な投与経路が、その被験体に本出願の組成物を提供するために使用され得る。例えば、舌下、口内、経口、直腸、膣、坐剤、非経口、経皮、鼻内、吸入、薄膜などが、適切な場合に使用され得る。本明細書で使用される場合の用語、非経口とは、皮下投与、皮内投与、静脈内投与、筋肉内投与、関節内投与、滑液嚢内投与、胸骨内投与、髄腔内投与、病変内投与および頭蓋内投与または他の注入技術を含む。本出願において有用な投与形態としては、以下が挙げられ得る:錠剤(例えば、割線入りの錠剤、被覆された錠剤、または口腔内溶解錠(orally dissolving tablet));薄膜、散剤、カプレット、カプセル剤(例えば、硬質ゼラチンカプセル剤)、トローチ、糖衣錠、分散物、懸濁物、液剤、パッチなど(当該分野で周知の徐放製剤、持続放出製剤、遅延放出製剤、放出改変製剤を含む)。好ましい実施形態において、その投与形態は、舌下錠、舌下フィルム、液体、舌下散剤(sublingual powder)、または舌下スプレー液剤(sublingual spray solution)である。
本明細書で使用される場合、用語「薬学的に受容可能なキャリア(pharmaceutically acceptable carrier)」とは、上記製剤の他の成分と適合性であり、その被験体に対して有害でない任意の希釈剤または賦形剤に言及する。その薬学的に受容可能なキャリアは、標準的な製薬実務に従って、所望の投与経路に基づいて選択され得る。
非経口投与のための本出願の薬学的組成物は、水性もしくは非水性の液剤、分散物、懸濁物またはエマルジョンの形態をとり得る。非経口投与のための本出願の薬学的組成物を調製するにあたって、シクロベンザプリンは、適切な薬学的に受容可能なキャリア(例えば、水、油(特に、植物油)、エタノール、生理食塩水(例えば、通常生理食塩水)、水性デキストロース(グルコース)および関連する糖溶液、グリセロール、またはグリコール(例えば、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコール))と混合され得る。非経口投与のための本出願の薬学的組成物は、好ましくは、シクロベンザプリンの水溶性塩を含む。安定化剤、抗酸化剤および保存剤はまた、その非経口投与のための薬学的組成物に添加され得る。適切な抗酸化剤としては、スルファイト、アスコルビン酸、クエン酸およびその塩、ならびにEDTAナトリウムが挙げられる。適切な保存剤としては、塩化ベンザルコニウム、メチルパラベンまたはプロピルパラベン、およびクロロブタノール(chlorbutanol)が挙げられる。
舌下投与のための本出願の薬学的組成物を調整するにあたって、シクロベンザプリンは、錠剤、カプセル剤、丸剤、散剤、顆粒剤、スプレーまたは他の適切な舌下投与形態を形成するために1種またはこれより多くの固体または液体の不活性成分と組み合わされ得る。例えば、シクロベンザプリンは、少なくとも1種の薬学的に受容可能なキャリア(例えば、溶媒、充填剤、結合剤、湿潤剤(humectant)、崩壊剤、溶解抑制剤(solution retarder)、吸収促進剤、湿潤剤(wetting agent)、吸収剤または滑沢剤と組み合わされ得る。一実施形態において、シクロベンザプリンは、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ステアリン酸マグネシウム、マンニトールまたはデンプンと組み合わされ、従来の錠剤形成法によって錠剤へと形成される。本出願における使用に適した薬学的組成物は、例えば、WO2013188847に記載される。
本出願の薬学的組成物は、舌下錠、舌下薄膜製剤、舌下散剤、舌下スプレー液剤を含む舌下吸収を提供して、経口/GI経路より迅速な吸収を提供し、かつCYP3A基質としてのシトクロムP−450 A4によるシクロベンザプリンの初回通過肝臓代謝を迂回するために、製剤化され得る。好ましくは、本出願の薬学的制御放出組成物は、所定の期間にわたって実質的に一定なまたは所望の薬理学的活性を維持し、吸収に対する食事の影響を低下または除去し、そして低下した最終排出相で身体からのその薬物および代謝産物の排除を提供するように、シクロベンザプリンを被験体へと所望の速度で放出し得る。本明細書で使用される場合、「制御放出構成要素」とは、ある種の生理学的化合物または条件へと曝露すると、その被験体へとシクロベンザプリンの制御放出を誘導する化合物(例えば、脂質もしくは脂質の混合物、リポソームおよび/またはマイクロスフェア)である。例えば、上記制御放出構成要素は、生分解性であり得るか、特定のpHもしくは温度への曝露によって、水性環境への曝露によって、または酵素への曝露によって活性化され得る。特定の温度への曝露によって活性化される制御放出構成要素の例は、ゾル−ゲルである。この実施形態において、シクロベンザプリンは、室温で固体であるゾル−ゲルマトリクスの中に組み込まれる。このゾル−ゲルマトリクスは、そのゾル−ゲルマトリクスのゲル形成を誘導するために十分高い体温を有する被験体へと移植され、それによって、その活性成分をその被験体へと放出する。
本出願の薬学的制御放出組成物の製剤化は、当該分野の技術範囲内である。本出願における使用に適した制御放出製剤は、例えば、米国特許第5,674,533号(液体投与形態)、米国特許第5,591,767号(液体レザバ経皮パッチ)、米国特許第5,120,548号(膨潤性ポリマーを含むデバイス)、米国特許第5,073,543号(ガングリオシド−リポソームビヒクル)、米国特許第5,639,476号(疎水性アクリルポリマーでコーティングされた安定な固体製剤)(これらの開示全体は、本明細書に参考として援用される)に記載される。
生分解性微粒子はまた、例えば、米国特許第5,354,566号および同第5,733,566号(これらの開示全体は、本明細書に参考として援用される)に記載されるように、本出願における使用に適した薬学的制御放出組成物を製剤化するために使用され得る。
本出願の組成物は、鼻のエアロゾルまたは吸入によって投与され得る。このような組成物は、薬学的製剤の分野において周知の技術に従って調製され、ベンジルアルコールもしくは他の適切な保存剤、バイオアベイラビリティーを増強するための吸収促進剤、フルオロカーボン、および/または当該分野で公知の他の可溶化剤もしくは分散剤を使用して、生理食塩水中の溶液として調製され得る。
認知症または神経変性状態における興奮、精神病および/または認知機能低下ならびにその関連症状の防止または処置のための組成物の治療上有効な用量は、苦痛のタイプ、その患者の苦痛の重篤度および投与経路に伴って変動する。その1日用量および投与頻度はまた、個々の患者の年齢、体重および応答に従って変動する。しかし、その好ましい投与量は、1日あたり18mg以下である。好ましい実施形態において、その組成物は、深さの達成、疲労から回復する睡眠を促進するために、就寝時にまたは就寝の数時間前までに1日用量で与えられる。就寝は、ある個体が最も長い睡眠周期に引き込まれる1日のうちの任意の時間であり得る。
上記の処置方法のうちのいずれかは、その処置の転帰を改善するために、精神療法的行動介入または環境的介入と組み合わされ得る。特に有用なのは、(1)その行動を同定する、(2)その行動の原因を理解する、および(3)その状況を救済するために介護環境を適合させる、ことを含む興奮をどうにか管理することに指向される介入である。何がその興奮行動の引き金になっているかを正確に同定することは、最良の行動的介入を選択するにあたってしばしば助けになり得る。その介入は、家族および介護者にとっての教育および支援、構造化されたルーチンの安心および社会化、監督および環境の安全性を含む(Alexopoulos et al, 1998を参照のこと)。
本明細書で使用される場合、用語「遺伝子サンプル(genetic sample)」とは、被験体から得られるデオキシリボ核酸(DNA)サンプルに言及する。例えば、そのサンプルは、組織または体液(血液、毛、皮膚、唾液、または口内スワブが挙げられるが、これらに限定されない)から集められ得る。次いで、熟練の技術者は、当該分野で周知の方法を使用してそのサンプルからDNAを単離し得、その被験体に存在するシトクロムP450(CYP)遺伝子の遺伝的バリエーションを同定し得る。
本出願の別の局面において、認知症もしくは神経変性状態に罹患しているか、または認知症もしくは神経変性状態における興奮、精神病および/もしくは認知機能低下ならびにその関連症状を発生させるリスクにある被験体のシトクロムCYP3A4、CYP1A2、CYP3A、およびCYP2D6遺伝子型を測定する薬理ゲノム学試験は、それら被験体によるシクロベンザプリンの代謝を、従って、使用されるべきこの好ましい用量を推定するために使用され得る。従って、本出願の開示の一局面は、上記被験体から遺伝子サンプルを得、上記サンプルを使用して、上記被験体のCYP3A、CYP1A2、CYP3A4、またはCYP2D6遺伝子型を決定し、そしてその遺伝子型に基づいて、シクロベンザプリンの治療上有効な用量を選択するための方法を提供する。そのCYP3A、CYP1A2、CYP3A4またはCYP2D6遺伝子型は、例えば、遺伝子チップまたはPCR技術を使用して、その遺伝子のうちの1種またはこれより多くのアレルを同定することによって、決定され得る。異なるCYPアレルは、異なる速度でシクロベンザプリンを代謝する。シクロベンザプリンをより迅速に代謝するとわかったシトクロムアレルを有する個体については、好ましくは、より高用量のシクロベンザプリンが投与されるものとする。シクロベンザプリンをよりゆっくりと代謝するとわかったアイソフォームを有する個体については、好ましくは、より低用量のシクロベンザプリンが投与されるべきである。その遺伝子試験は、キットとして、医師/研究室試験サービスへと、上記製品とともに販売され得る。
本出願がより完全に理解されるように、以下の実施例が示される。これらの実施例は、例証目的に過ぎず、本出願の範囲を限定するとは如何様にも解釈されるべきではない。本出願の実施は、以下の非限定的な実施例によって例証される。
実施例1. シクロベンザプリン舌下製剤TNX−102 SL
本出願の開示の1つの舌下性剤(TNX−102 SL)は、シクロベンザプリン塩酸塩(活性成分)およびD−マンニトールの共晶錯体(eutectic complex)を含む。それはまた、カリウム塩(二塩基性)を含む。表1は、TNX−102 SL錠剤の組成を示す。
実施例2. 被験体におけるTNX−102 SL製剤の安全性の決定
ヒト被験体における夜間投与に関してTNX−102 SL製剤の安全性を決定するために、TNX−102 SLを使用する合計10の臨床試験を現在までに完了している: 健常ボランティアにおける5件のフェーズ1試験(データは示さず)、FMおよびPTSDを有する患者における2件のフェーズ2試験;FMを有する患者における1件のフェーズ3試験;ならびにFMおよびPTSDを有する患者における2件のオープンラベルの継続投与試験(open−label extension studies)。FMおよびPTSDを有する患者における5件の完了した臨床試験の中で、合計641名の患者が、1日に1回就寝時に投与される少なくとも1用量のTNX−102 SLを受けた(「組み合わされたTNX102 SL安全性集団」): 197名のPTSD患者および444名のFM患者。そのPTSD患者の中で、50名は5.6mg(2錠の舌下錠)を受け、その残りは2.8mg(1錠の舌下錠)のTNX−102 SLを受けた。表2を参照のこと。
結果
組み合わされたTNX−102 SL安全性集団
全体として、TNX−102 SLは、FM患者およびPTSD患者の両方において十分な耐容性を示した。TNX−102 SL投与と関連したと考えられる最も共通する有害事象(≧ 5% 発生率)は、口腔感覚鈍麻および口腔知覚異常、ならびに傾眠および疲労のような全身的な影響であった。報告された全ての全身的な影響は、シクロベンザプリンの副作用プロフィールと一致したが、市販の経口摂取される製剤(例えば、即時放出FLEXERIL(登録商標)および持続放出AMRIX(登録商標))において報告されたものより概して頻度は低かった。新たな薬物間相互作用は現在まで同定されていない。
局所投与部位の状態は予測できなかったので、ナトリウムチャネルの遮断に起因する三環系分子の局所麻酔特性の結果である可能性がある(Pancrazio et al, 1998)。口腔の痺れ、ヒリヒリ感または灼熱感、苦味、および舌下TNX−102 SLで予測される軽度から中程度の口腔の刺激(oral irritation)の時折の報告というその代表的な軽度かつ一過性の局所投与部位の状態の他に、2.8mgおよび5.6mgの両方の1日用量での全体的な有害事象プロフィールは、温和なものであった。
本発明者らはまた、従軍関連PTSDを有する患者におけるTNX−102 SL 5.6mgの進行中のプラシーボ対照フェーズ3試験(TNX−CY−P301)からの盲検安全性データ(N=71)の安全性プロフィールを評価した。2017年8月31日当時、それら患者の安全性プロフィールは、フェーズ2 PTSD試験(TNX−CY−P201)において観察された有害事象プロフィールに匹敵する。重篤な中枢神経系関連有害事象がないことを含め、予測外の全身性の有害事象が存在せず、その最も共通する事象(≧ 5% 発生率、発生率の高い順に列挙)は、口腔感覚鈍麻、傾眠およびドライマウスであった。
年齢群による有害事象の発生率
少なくとも1用量のTNX−102 SLを受けた患者は、21歳齢〜75歳齢の範囲に及んだ。表2にまとめられるように、少なくとも1用量のTNX−102 SLを受けた641名の患者のうち、241名は、≧50歳齢であり、400名は、<50歳齢であった;大部分は、その2.8mg用量を受け、わずか3名の≧50歳齢の患者が、その5.6mg用量を受けた(年齢範囲: 54〜59歳)。処置に関連した年齢群特異的安全性のサインは同定されなかった。
抗コリン作動性事象
全体として、抗コリン作動性作用に一部起因し得る、TNX−102 SLと関連するとして組み合わせたTNX−102 SL安全性集団において同定された有害事象(組み合わせたTNX102 SL安全性集団、または年齢群部分セットのいずれかにおいて>2名の患者および>プラシーボ群で起こった)は、傾眠(5.8%)/鎮静(2.2%)、疲労(5.0%)、および便秘(2.2%)である(注: 傾眠および鎮静は、類似の有害事象を表すように見えた)。
AtEase試験からの安全性データは、傾眠および鎮静が用量関連であるが、便秘および疲労はそうではなかいことを示唆した。いずれのコホート(TNX−102 SL 2.8mgまたはTNX−102 SL 5.6mg)においてもこれら事象のうちのほぼ全てが、重篤度において軽度または中程度であった。TNX−102 SL投与後のシクロベンザプリンの血漿濃度が投与後4〜5時間の間にピークに達するとすれば、TNX−102 SLの投与レジメン(就寝時に1日1回)は、傾眠、鎮静、および疲労という日中の影響をおそらく最小限にする。TNX−102 SL関連と考えられるその潜在的に抗コリン作動性の有害事象の中でも、便秘および疲労のみが、若年集団と比較して、高齢集団において(それぞれ、3.7%および7.1%)、かなり高い発生率を有した(それぞれ、およそ2.8倍および1.7倍高い);しかし、高齢群におけるこの比較的増大した発生率はまた、そのプラシーボ群においても観察された。
抗コルン作動性と考えられ得る以下の有害事象は、プラシーボ群と比較して、組み合わされたTNX−102 SL安全性集団において増大した発生率で起こらなかった:眩暈、嗜眠、記憶機能障害、錯乱状態、失見当識、平衡障害の悪化、ドライマウス、喉の渇き、尿路感染、および回転性めまい(vertigo)。他の潜在的抗コリン作動性有害事象(幻覚、目のかすみ、複視、せん妄、鼻の乾き、ドライアイ、排尿困難、発汗低下および唾液減少が挙げられる)は、組み合わされたTNX−102 SL安全性集団において報告されなかった。
憂慮される他の有害事象
特定の憂慮される他の有害事象(失神、嚥下障害、挫傷、転倒、攻撃性/攻撃的行動(報告されない)、興奮(報告されない)、低血圧症(報告されない)、血圧低下(報告されない)または任意の心臓もしくは肝臓事象が挙げられる)は、いずれの年齢群にもTNX−102 SLに関連しないようであった。
用量関連有害事象
TNX−102 SLの2種の異なる用量(すなわち、2.8mgおよび5.6mg)を評価した唯一の臨床上の安全性および有効性の研究は、従軍関連PTSDを有する患者において行ったAtEase Study/P201である(表2を参照のこと)。そのAtEase Studyでは、安全性データは、少なくとも1用量のTNX−102 SL 5.6mgを受けた50名のPTSD患者に関して入手可能である。その5.6mg用量は、プラシーボ群におけるより高い完遂率によって示されるように、十分な耐容性を(それぞれ、83.6% 対 72.8%)、およびプラシーボ群より低い有害事象に起因する試験中止の発生率(それぞれ、0.0% 対 3.2%)を示した。その5.6mg用量の安全性プロフィールは、その2.8mg用量のものに匹敵し、以下の有害事象は、数値の差異に基づいて考えられる用量関係性を示す: 傾眠/鎮静、頭痛、およびおそらく舌痛症。重要なことには、いずれの用量においても、TNX−102 SL処置と関連する自殺念慮または行動に関して増大したリスクの証拠はなかった。
実施例3. 経口シクロベンザプリン市販製品の安全性プロフィール
経口シクロベンザプリン市販製品の安全性プロフィールおよび市販のアルツハイマー病薬物療法との薬物相互作用についての潜在的懸念を評価するために、公的なデータベースおよび文献(PubMed、NIH Drug Reaction Navigator、Medscape Drug Interaction Checker、Drugs.comおよび米国食品医薬品局(FDA)のAdverse Event Reporting System(FAERS)が挙げられる)を使用して、徹底した検索を行った。2タイプの経口シクロベンザプリン製剤が、市販されている− シクロベンザプリンIR(5mgまたは10mg TID; すなわち、FLEXERIL)およびシクロベンザプリンER(15mg BIDもしくはQDまたは30mg QD; すなわち、AMRIX)。両方の製剤は、認知症における興奮の処置のために提唱される、1日に1回就寝時に舌下投与されるTNX−102 SL 5.6mgより代表的には少なくとも2〜3倍高い用量で投与される。
注目すべきは、これらの安全性データは、本出願において好ましいシクロベンザプリン5.6mg 1日用量より高い用量の投与に基づいているので、増大した副作用と関連することが予測される。両方の製剤(FLEXERILおよびAMRIX)で最も共通して報告される有害事象としては、眠気/傾眠、ドライマウス、眩暈、および疲労、ならびに便秘、悪心、およびディスペプシアが挙げられ、これらは、特にシクロベンザプリンER製剤を受けた患者において頻繁に報告された(AMRIXパッケージ挿入物、2016; FLEXERILパッケージ挿入物、2013)。臨床試験において、または市販後において報告された、高齢者において特に憂慮される有害事象および/またはFLEXERIL 10mgを受けた患者において抗コリン作動性と考えられる事象の発生率は低かった。錯乱および目のかすみが、患者のうちの1%〜3%において報告された。以下が、患者のうちの<1%において報告された:心血管事象(頻脈、不整脈、血管拡張、動悸、および低血圧症)、神経系および精神医学的な有害事象(例えば、発作(seizure)、興奮、回転性めまい、失見当識、興奮、幻覚、および複視)ならびに尿閉(AMRIXパッケージ挿入物、2016; FLEXERILパッケージ挿入物、2013)。顕著なことには、シクロベンザプリン 10mgの20年の経験および100,000,000件より多くの処方後の、1980年に行われた市販後調査(N=6,311)において、幻覚の発生率は、0.2%(大部分は高齢の患者)であることが見出され、事象は、5mg TID(FLEXERIL(登録商標) OTC Switch NDA 21079 FDA Safety Review: 1999年7月20日)を摂取した患者の中で、何も報告されなかったように、大部分は可逆的であり、おそらく用量関連性であった。
これらの所見は、その好ましいTNX−102 SL製剤が、認知症または神経変性状態における興奮、精神病および/または認知機能低下ならびにその関連症状を有する高齢集団において最小限の副作用を有することを示す。
実施例4. 高齢者におけるシクロベンザプリンの試験
精神運動機能に対するシクロベンザプリンIR 5mgの効果を、シクロベンザプリンIR 5mg TID、ジフェンヒドラミン50mg TID、およびプラシーボのクロスオーバー試験において、高齢の健常ボランティア(62〜80歳齢、N=17)で調査した(Lines et al., 1997)。各処置を、4日間にわたって10用量として投与した。この患者集団において、眠気または認知試験成績の低下の証拠はなかった。注目すべきは、以前の試験における若年集団と比較した、この高齢集団においてより少ない鎮静および認知機能障害が認められた。この所見と一致して、製造業者(Merck; FLEXERIL(登録商標) OTC Switch NDA 21079 FDA Safety Review: 1999年7月20日)によって行われた精神運動機能試験の結果はまた、高齢患者(≧ 65歳齢、N=32)における運転関連技術の評価を含め、コンピューター化された試験バッテリー(computerized test batteries)によって測定される場合の精神運動機能の機能障害の一致したパターンはなく、その成績は、若年集団(21〜49歳齢)に類似であることを示した。
高齢者における抗コリン作動薬および筋弛緩薬の使用に関する使用上の注意
高齢者には、潜在的に不適切な薬物使用の勧告が存在する(例えば、the Beers Criteria; American Geriatric Society, 2015)。筋弛緩薬である抗コリン作動性活性を有する薬物は、認知機能に対する影響および神経系効果に二次的な有害事象(例えば、転倒)に主に起因して、潜在的に不適切であるとしてリストに挙げられる。シクロベンザプリン(IR 5〜10mg TIDおよびER 15mg BID/QD〜30mg QD)は、その抗コリン作動性活性、ならびにその長い半減期に主に起因して、抗コリン作動薬負荷スケールにおいて3までのスケールに対して2というスコアが与えられる(Rudolph et al., 2008)。これらの勧告が、介護者を伴う標的集団を研究する本出願において提唱されたTNX−102 SL用量より高い用量に基づくことは、注意されるべきである。その最も共通して報告される、シクロベンザプリンの投与と関連する抗コリン作動性有害事象は、用量関連性のドライマウスである;これは、TNX−102 SLの潜在的な臨床上の利益を考慮すると、耐容性であると考えられ、臨床上の重要性は最小限である。シクロベンザプリンIR 10mgを受けた患者における他の潜在的抗コリン作動性の影響は全て、低発生率で報告された: 頻脈(<1%)、尿閉(<1%)、錯乱(1%〜3%)および目のかすみ(1%〜3%)。データは、シクロベンザプリン5mg IRについては入手可能でない。全体として、高い抗コリン作動薬負荷スコアと関連する薬物における有害な中枢神経系の影響ならびに不十分な認知および機能上の転帰は、概してシクロベンザプリンで観察されなかった(すなわち、発生率 <1%〜3%)。
薬物間相互作用
認知症または神経変性状態における興奮、精神病および/または認知機能低下ならびにその関連症状の処置に関して、大部分の患者は、おそらく、認知症に関する現行の4種の処方薬(ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミン、およびメマンチン)のうちの1種を摂取している。これら薬物のうちの3種(ドネペジル、リバスチグミン、およびガランタミン)は、作用機構として、抗コリンエステラーゼ活性を有する。よって、それらの製品表示は、反対の活性に起因して、抗コリン作動薬の共投与を回避することを推奨する。シクロベンザプリンは、PubMed、NIH Drug Reaction Navigator、Medscape Drug Interaction Checker、およびDrugs.comにおいてシクロベンザプリンとこれら4種の薬物との間の薬物間相互作用の検索に具体的に言及しておらず、相互作用のいかなる報告をも特定しなかった。
さらに、FDAのAdverse Event Reporting System(FAERS)の予備検索を行って、2017年の第1四半期の間に、AD薬およびシクロベンザプリンがともに被疑薬であると報告された、全ての報告されたAEを特定した。以下の製品活性成分を使用して、AD薬関連事象を、第1被疑薬または第2被疑薬のいずれかとしてFAERSデータベースから引き出した: 「ドネペジル」、「リバスチグミン」、「ガランタミン」、「メマンチン」。次いで、これらの事象をフィルタにかけて、疑義の何らかの原因として「シクロベンザプリン」を伴う事象を選択した。上記の検索基準およびフィルタを使用して引き出したその296の特有の症例のうち、シクロベンザプリンおよびAD薬(ガランタミン)の両方が被疑薬としてリストに挙がったわずか1症例を、特定した。その患者は、多くの薬物療法を受けていたことから、どの薬物も第1被疑薬ではなかった。この症例のさらなる詳細は、以下のとおり示される。多数の薬物療法を受けていた77歳齢の女性患者(症例ID: 13227232)を、特定した。その報告された有害事象は、平衡障害、認知障害、便秘、転倒、低血圧症、多剤併用治療(multiple drug therapy)、起立性低血圧症、鎮静および種々の薬剤に対する毒性を含んだ。その患者には、その報告された有害事象の第1被疑薬として硫酸モルフィンが、第2被疑薬として別の23の薬物に加えて、シクロベンザプリンおよびガランタミンがあった。
高齢者におけるシクロベンザプリンの使用のガイドライン
薬物動態データは、シクロベンザプリンの血漿濃度が。若年被験体と比較して高齢者において増大される(IR製剤およびER製剤のそれぞれに関して1.7倍または1.4倍まで高い)ことを示した。従って、シクロベンザプリンIRに関しては、ゆっくりと上方に滴定するという選択肢を持ちつつ、5mg用量での処置を開始することが推奨される。また、シクロベンザプリンIRに関する製品表示において、「高齢者が幻覚および錯乱のような中枢神経の有害事象、転倒または他の後遺症、薬物間相互作用および薬物−疾患相互作用を生じる心臓事象のより多くのリスクにあり得るとすると、明らかに必要とされる場合にのみ、シクロベンザプリンIRが使用されることが推奨される」ことは注記される(FLEXERILパッケージ挿入物, 2013)。しかし、持続放出シクロベンザプリン(AMRIX 30mgまたは15mgカプセル剤)の投与は、高齢者において推奨されない。なぜならその投与の融通性は、その1日に1回の投与レジメンに起因してより制限されるからである(AMRIXパッケージ挿入物, 2016)。
結論
現在まで、TNX−102 SLおよび他の市販のシクロベンザプリン製品(特に、高齢者にとって代表的な低用量でのもの(例えば、認知症における興奮のためのTNX−102 SLの好ましい用量より2倍より高いシクロベンザプリン5mg IR TID)の安全性プロフィールは、都合が良く、全身性の抗コリン作動性影響の非常に低い発生率とともに、十分に耐容性を示した。上記でまとめられるように、30mgまでの1日用量でのシクロベンザプリンの安全性プロフィールは、大部分は軽度から中程度であり、かつ十分に耐容性を示した。さらに、迅速な経粘膜吸収、初回通過肝臓代謝の迂回、および長い半減期の活性代謝産物であるノルシクロベンザプリンの低減した生成を可能にするTNX−102 SLの特有の製剤は、1日に1回就寝時に投与した場合に、日中への影響を最小限にする。
市販のシクロベンザプリン製品に伴って最も共通して報告される有害事象は、眠気/傾眠、ドライマウス、眩暈、および疲労を含むのに対して、TNX−102 SLに伴って最も共通して報告される薬物関連事象は、局所投与部位の状態(例えば、口腔感覚鈍麻および知覚異常)、ならびに傾眠/鎮静および頭痛という全身性の影響である。眩暈(これは、高齢者によって特に憂慮され得る)は、プラシーボ群と比較して、TNX−102 SL処置群では、増大した発生率において報告されなかった。
TNX−102 SL処置患者の中で年齢群によって、抗コリン作動性事象発生率および高齢者に関して特に憂慮される他の事象を分析したところ、便秘および疲労のみが、TNX−102 SL関連と考えられ、比較的低率であるとしても、<50歳齢の患者と比較して、≧50歳齢の患者において比較的より高い発生率を有することが示された(それぞれ、およそ2.8倍および1.7倍高い)。
認知症における興奮の処置に関連するもののうち、シクロベンザプリンと現在承認されている認知症薬との薬物間相互作用は同定されておらず、それによって、その患者が彼らの標準ケアとともに継続することを可能にする。
認知症または神経変性状態における興奮、精神病および/または認知機能低下ならびにその関連症状の処置のためのTNX−102 SLの好ましい用量は、約5.6mg(2×約2.8mg錠剤)であり、この用量は、最低の推奨されるシクロベンザプリン投与レジメン(例えば、シクロベンザプリンIR 5〜10mg TIDまたはシクロベンザプリンER 15mg BID/QD〜30mg QD)より2倍超低い。その市販のシクロベンザプリン薬物製品および本明細書で記載されるTNX−102 SL臨床試験からの安全性データは、50歳齢を超える認知症および/または神経変性状態の患者集団において就寝時に使用されるTNX−102 SL 5.6mgの1日に1回の投与の都合の良い安全性プロフィールを裏付ける。
実施例5. 認知症または神経変性状態における興奮、精神病および/または認知機能低下ならびにその関連症状の処置のためのTNX−102 SLの有効性、安全性および耐容性
プラシーボを対照としたアルツハイマー病における興奮(AAD)の処置に関するTNX−102−SLの固定用量の無作為化二重盲検試験を、8週間にわたって行う。TNX−102−SL 5.6mg(2×2.8mg錠剤)の効果を、おそらくアルツハイマー病と診断され、国際老年精神医学会の興奮定義作業グループ(Cummings et al, 2015)によって定義されるとおりの臨床上重大な、中程度または重度の興奮を経験する50〜90歳齢の範囲に及ぶ被験体において試験する。その被験体は、スクリーニング時およびベースライン時に4以上の重篤度に関する臨床上の全般的印象(CGIS)スコア(中程度に病気)を有する。その被験体は、その用量が、その試験において無作為化する前に、少なくとも3ヶ月間にわたって安定であることを条件として、アルツハイマー病の処置のための薬物療法(例えば、ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミン、メマンチン)を使用している最中であってもよい。TNX−102−SL(2×2.8mg錠剤を各日に就寝時に舌下で摂取する)を、8週間の評価期間の間にプラシーボと比較する。
有効性エンドポイント
主要有効性エンドポイントは、処置の8週間後のコーエン・マンスフィールド興奮評価票(CMAI)におけるベースラインからの平均変化(ベースライン時および各通院時に測定)である。その重要な副次有効性エンドポイントは、以下を含む:(1)8週間の処置後の改訂版アルツハイマー病共同研究の変化に関する臨床上の全般的印象 興奮ドメインスコア(mADCS−CGIC−興奮)、(2)4週間の処置後のCMAI全スコアにおけるベースラインからの平均変化、(3)2週間の処置後のCMAI全スコアにおけるベースラインからの平均変化、(4)8週間の処置後のCMAI身体的/攻撃的サブスケールスコアにおけるベースラインからの平均変化、(5)8週間の処置後のCMAI身体的/非攻撃的サブスケールスコアにおけるベースラインからの平均変化、(6)8週間の処置後のCMAI言語的/攻撃的サブスケールスコアにおけるベースラインからの平均変化、(7)8週間の処置後のアルツハイマー病評価スケール−認知(ADAS−Cog)スコアにおけるベースラインからの平均変化。逐次検定手順を、上記の副次エンドポイントに適用して、多重性について調節し得、全体的なタイプIエラーを制御し得る。
探索的有効性エンドポイントは、以下を含む:(1)8週間の処置後の神経精神症状評価票(Neuropsychiatric Inventory)(NPI)興奮/攻撃性ドメインスコアにおけるベースラインからの変化、(2)8週間の処置後のNPI易怒性/不安定ドメインスコアにおけるベースラインからの変化、(3)8週間の処置後のNPI介護者負担スコアにおけるベースラインからの変化、(4)8週間の処置後のCGIS興奮ドメインスコア、(5)Zarit介護負担尺度(ZBI)、(6)8週間の処置後のADCS−CGIC全体スコア、(7)ベースラインから8週間目までのCGIS−興奮の変化、(8)救済薬物療法を使用する患者の割合(薬物療法投与記録または介護者の日誌に記録)、(9)8週間の処置後の患者の変化に関する全般的印象(PGIC−介護者によって評価される)スコア、(10)8週間の処置後の睡眠障害調査票(SDI)スコアにおけるベースラインからの変化、(11)8週間の処置後の、ベースライン活動レベルからの変化およびActiGraphデバイスによってモニターされる場合のベースライン睡眠パラメーターからの変化、ならびに(12)アルツハイマー病共同研究 日常生活動作調査票19項目(ADCS−ADL19)によって評価される場合の、日常生活動作におけるベースラインからの変化。
安全性
安全性は、その試験の継続期間全体を通じて有害事象(AE)および重篤なAE(SAE)によって評価され、以下の詳細な評価を含み得る:口腔が関わるAE、臨床検査結果におけるベースラインからの変化、バイタルサイン(体温および体重が挙げられるが、これらに限定されない)におけるベースラインからの変化、心電図(ECG)パラメーターにおけるベースラインからの変化、コロンビア自殺重症度評価スケール(C−SSRS)スコアにおけるベースラインからの変化、ミニメンタルステート検査(MMSE)スコアにおけるベースラインからの変化、ADAS−Cogスコアにおけるベースラインからの変化、せん妄評価尺度98年改訂版(Delirium Rating Scale−Revised−98)(DRS−R−98)スコア(Trzepacz 2001)におけるベースラインからの変化、および>20mmHg(収縮期)または>10mmHg(拡張期)の起立性血圧変化を含む特に目的のプロトコールに規定される抗コリン作動性有害事象、せん妄のDSM−5診断と一致する急性の認知変化、臨床上関連する認知悪化、錯乱、転倒、幻覚、発汗減少、および発熱。
薬物動態エンドポイント
3週間および8週間の毎日の処置後のシクロベンザプリンおよびノルシクロベンザプリンの血中レベルを、決定する。
薬理ゲノム学エンドポイント
処置応答の潜在的な遺伝的決定因子を、処置転帰に関するいくつかの遺伝子の機能的改変体を研究することによって試験する。アルツハイマー病における興奮および他の神経行動障害は、モノアミン作動性神経伝達の調節不全と関連していることが長年知られてきた。モノアミン作動性経路に関与するいくつかの遺伝子の遺伝的改変体は、セロトニンおよびドパミンを含め、認知症における興奮と関連している(Pritchard et al., 2007; Proitsi et al., 2012)。5−HT2Aレセプターおよび5−HT2Cレセプターの遺伝的改変体は、アルツハイマー病における興奮のシタロプラム処置に対する治療応答と関連している(Peters, et al., 2016)。本試験において、本発明者らは、処置転帰に関するいくつかの遺伝子の機能的改変体を研究することによって。処置応答の潜在的な遺伝的決定因子を試験する。その遺伝的改変体としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:5−HT2Aセロトニンレセプター(HTR2A−T102C)、5−HT2Cセロトニンレセプター(HTR2C−Cys23Ser)、セロトニントランスポーター(5HTT−LPR)、脳由来神経栄養因子(BDNF−Val66−Met)、およびアポリポタンパク質E(ε2、ε3、ε4改変体)。
単一の血液サンプルを、潜在的な遺伝的改変体および関連する生体マーカーの分析に関して別個のインフォームド・コンセントフォームに署名した患者から、ベースライン(通院2)時に得る。
統計方法
少なくとも1用量の試験薬を受ける全ての被験体を、安全性評価において分析する。少なくともベースラインおよび1回のベースライン後のCMAIを評価したときの全ての無作為化した被験体を、改訂版の治療意図に基づく分析(mITT)の評価において評価および分析する。少なくとも1用量のTBX−102 SLを受けかつ評価可能な薬物動態(PK)血液サンプルが得られる全ての無作為化した被験体を、PK評価において分析する。
有効性分析(mITT集団) − エンドポイント
主要有効性エンドポイントは、複合CMAIスコアにおいてベースラインから8週間目までの変化である。その主要有効性分析を、混合モデル反復測定(MMRM)アプローチを使用して行い、TNX−102 SLで処置される患者と同時のプラシーボで処置される患者との間で比較を行う。そのモデルは、mITT集団の中の全ての患者を含み、その従属変数は、各無作為化後通院時に全CMAIスコアの観察されるベースラインからの変化である。そのモデルにおける共変量は、処置、部位、場所のタイプ(介護施設か地域社会か)、通院、および処置×通院(treatment−by−visit)相互作用の固定されたカテゴリー効果、ならびにベースラインCMAIスコアおよびベースラインスコア×通院相互作用の連続固定共変量を含む。
連続副次有効性エンドポイント分析を、MMRM方法論を使用して行い、その分析は、mITT集団に基づく。処置の差異の有意性検定を、両側の0.05水準で検定し、その相当する95% 信頼区間を計算する。多重性を調節し、全体的なタイプIエラーを制御するために、逐次検定手順を、その副次有効性エンドポイントに適用する。
安全性分析(安全性集団)
有害事象を、医薬品規制用語集(Medical Dictionary for Regulatory Activities)(MedDRA)の最新バージョンを使用してコード化し、全体的に、ならびに好ましい用語および器官別大分類によってまとめる。有害事象をまた、重篤度および試験薬に対する関連性によってまとめる。重篤なAEおよび試験薬の中止をもたらすAEも、まとめる。臨床検査結果に関する実際の値およびベースラインからの変化、バイタルサイン測定、ADAS−Cog、DRS−R−98、およびMMSEスコアを、記述統計(n、平均、SD、メジアン、最小、および最大)を使用して、エンドポイントでまとめる。口腔の検査を、舌下投与の安全性を評価するために行い、妊娠検査を、妊娠する可能性のある女性に対して行う。
サンプルサイズ予測
1:1無作為化において合計およそ160名の被験体(すなわち、TNX−102 SL 5.6mgおよびプラシーボ群に関して80:80の被験体)を、その試験に登録する。最終的な検証試験のデザインのための効果サイズの決定を、1アームにつき80名の患者というサンプルサイズによって可能にする。
血液サンプル収集
血液サンプルを、集団薬物動態分析および薬理ゲノム学分析のために、ベースライン時、ならびに3週間目および8週間目に集める。
予測される結果
TNX−102 SL 5.6mg(2×2.8mg錠剤)は安全で、十分に耐容性を示し、8週間の試験期間にわたるAADの処置に関して有効である。
実施例6. AADの処置のためのTNX−102 SLの長期の安全性および耐容性
TNX−102 SLの長期の安全性および耐容性を、アルツハイマー病を有する被験体(n=160; 50〜90歳; AADを有する男性および女性)における興奮の処置のために44週間までにわたるオープンラベルの多施設固定用量試験において評価する。試験薬に関連する重大な有害事象なしに二重盲検試験(実施例5を参照のこと)を安全に終えた被験体は、そのオープンラベルの継続投与試験に適格である。おそらくアルツハイマー病の基準を満たし続け、その試験手順を遵守する意志のある信頼できる介護者がいる被験体を、その試験に留める。治験責任医師または医療モニターの見解で、安全性評価を妨げる可能性のある、重大な医学的状態を発生させている患者は、その試験から除外される。ベースライン通院時に、全ての被験体は、オープンラベルのTNX−102 SL 5.6mgを就寝時に受ける。
TNX−102 SLの長期有効性の評価を測定するその主要有効性エンドポイントは、CMAIにおけるベースラインからの平均変化である。重要な副次有効性エンドポイントの中には、NPI興奮/攻撃性ドメイン、およびmADCS−CGIC−興奮の評価がある。TNX−102 SLの安全性および耐容性を、報告される有害事象(AE)、身体検査および神経学的検査、バイタルサイン(起立性血圧を含む)、臨床検査評価、安静時12誘導ECG、S−STS、およびMMSEによって評価する。日中の傾眠を、MTRSSによって評価する。口腔の集中的な検査を定期的に行って、試験薬の舌下投与の安全性を評価する。妊娠検査を、妊娠の可能性のある女性に対して行う。
評価される探索的有効性エンドポイントは、以下を含む:(1)神経精神症状評価票(NPI)興奮/攻撃性ドメインスコアにおけるベースラインからの変化、(2)NPI易怒性/不安定性ドメインスコアにおけるベースラインからの変化、(3)NPI介護者負担スコアにおけるベースラインからの変化、(4)CGIS興奮ドメインスコア、(5)Zarit介護負担尺度(ZBI)、(6)ADCS−CGIC全体スコア、(7)ベースラインから44週間目までのCGIS−興奮の変化、(8)救済薬物療法を使用する患者の割合(薬物療法投与記録または介護者の日誌に記録)、(9)44週間の処置後の患者の変化に関する全般的印象(PGIC−介護者によって評価される)スコア、(10)44週間の処置後の睡眠障害調査票(SDI)スコアにおけるベースラインからの変化、(11)44週間の処置後の、ベースライン活動レベルからの変化およびActiGraphデバイスによってモニターされる場合のベースライン睡眠パラメーターからの変化、ならびに(12)アルツハイマー病共同研究 日常生活動作調査票19項目(ADCS−ADL19)によって評価される場合の、日常生活動作におけるベースラインからの変化。
予測される結果
TNX−102 SL 5.6mg(2×2.8mg錠剤)は安全であり、十分に耐容性を示し、かつ44週間の研究期間にわたってAADの処置に関して有効である。
本明細書で引用される全ての参考文献は、参考として援用される。本出願は、本出願の趣旨または本質的な特質から逸脱することなく他の具体的形態において具体化され得、よって、前述の明細書ではなくむしろ、本出願の範囲の表示として、添付の請求項に対して参照がなされるべきである。
参考文献

Claims (35)

  1. 認知症および神経変性状態における興奮およびその関連症状を処置または防止するための方法であって、前記方法は、その必要性があるかまたはそのリスクにある被験体に、治療上有効な量のシクロベンザプリンおよび薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物を投与する工程を包含する方法。
  2. 認知症および神経変性状態における認知機能低下およびその関連症状を処置または防止するための方法であって、前記方法は、その必要性があるかまたはそのリスクにある被験体に、治療上有効な量のシクロベンザプリンおよび薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物を投与する工程を包含する方法。
  3. 認知症および神経変性状態における精神病およびその関連症状を処置または防止するための方法であって、前記方法は、その必要性があるかまたはそのリスクにある被験体に、治療上有効な量のシクロベンザプリンおよび薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物を投与する工程を包含する方法。
  4. 前記薬学的組成物は毎日投与される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記組成物は、0.1mg〜30mgの間のシクロベンザプリンを含む、請求項4に記載の方法。
  6. 前記組成物は、1mg〜20mgの間のシクロベンザプリンを含む、請求項4に記載の方法。
  7. 前記組成物は、10mg未満のシクロベンザプリンを含む、請求項4に記載の方法。
  8. 前記組成物は、5mg未満のシクロベンザプリンを含む、請求項4に記載の方法。
  9. 前記組成物は、約5.6mgのシクロベンザプリンを含む、請求項4に記載の方法。
  10. 前記組成物は、約2.8mgのシクロベンザプリンを含む、請求項4に記載の方法。
  11. 前記組成物は、2投与単位として同時に投与され、各投与単位は、2.8mgのシクロベンザプリンを含む、請求項9に記載の方法。
  12. 前記組成物は、2投与単位として同時に投与され、前記2投与単位での合計量は、5.6mgのシクロベンザプリンである、請求項9に記載の方法。
  13. 前記組成物は、1日に1回投与される、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 前記方法は、コリンエステラーゼインヒビター、N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)レセプターアンタゴニスト、抗鬱薬、抗不安剤、抗精神病薬剤、抗痙攣薬または気分安定薬、抗アミロイド薬剤、および抗タウ薬剤からなる群より選択される1種またはこれより多くの薬剤を、逐次的にまたは同時平行して投与する工程をさらに包含する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記方法は、身体療法を前記被験体に逐次的にまたは同時に投与する工程をさらに包含する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記コリンエステラーゼインヒビターは、ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミン、またはタクリンである、請求項14に記載の方法。
  17. 前記NMDAレセプターアンタゴニストは、アマンタジンまたはメマンチンである、請求項14に記載の方法。
  18. 前記抗鬱薬は、シタロプラム、フルオキセチン、パロキセチン、またはセルトラリンである、請求項14に記載の方法。
  19. 前記抗不安剤は、ロラゼパム、オキサゼパム、またはブスピロンである、請求項14に記載の方法。
  20. 前記抗精神病薬剤は、クエチアピン、トラゾドン、プロマジン、アリピプラゾール、ジプラシドン、オランザピン、またはリスペリドンである、請求項14に記載の方法。
  21. 前記抗痙攣薬または気分安定薬は、カルバマゼピン、ジバルプロエクス、またはデキストロメトルファンである、請求項14に記載の方法。
  22. 前記抗アミロイド薬剤は、バピニューズマブ、ソラネズマブ、またはベルベセスタットである、請求項14に記載の方法。
  23. 前記薬学的組成物は、舌下投与、口内投与、経口投与、坐剤投与、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、吸入による投与、鼻内投与、薄膜による投与、経皮投与、非経口投与、直腸投与、または膣投与のために製剤化される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  24. 前記薬学的組成物は、舌下に、口内に、経口的に、坐剤で、静脈内に、筋肉内に、皮下に、吸入により、鼻内に、薄膜で、経皮的に、非経口的に、直腸に、または膣に投与される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  25. 前記薬学的組成物は、精神療法介入、行動的介入または環境的介入と組み合わせて投与される、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  26. 治療上有効な量のシクロベンザプリン、ならびにコリンエステラーゼインヒビター、NMDAレセプターアンタゴニスト、抗鬱薬、抗不安剤、抗精神病薬剤、抗痙攣薬または気分安定薬、抗アミロイド薬剤、および抗タウ薬剤からなる群より選択される1種またはこれより多くの薬剤を含む、薬学的組成物。
  27. 前記1種またはこれより多くの薬剤は、ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミン、タクリン、アマンタジン、メマンチン、シタロプラム、フルオキセチン、パロキセチン、セルトラリン、ロラゼパム、オキサゼパム、プロマジン、アリピプラゾール、ジプラシドン、クエチアピン、オランザピン、リスペリドン、カルバマゼピン、ジバルプロエクスまたはデキストロメトルファンである、請求項26に記載の薬学的組成物。
  28. 前記組成物は、0.1mg〜30mgの間のシクロベンザプリンを含む、請求項26に記載の薬学的組成物。
  29. 前記組成物は、0.1mg〜20mgの間のシクロベンザプリンを含む、請求項26に記載の薬学的組成物。
  30. 前記組成物は、10mg未満のシクロベンザプリンを含む、請求項26に記載の薬学的組成物。
  31. 前記組成物は、5mg未満のシクロベンザプリンを含む、請求項26に記載の薬学的組成物。
  32. 前記組成物は、約5.6mgのシクロベンザプリンを含む、請求項26に記載の薬学的組成物。
  33. 前記組成物は、約2.8mgのシクロベンザプリンを含む、請求項26に記載の薬学的組成物。
  34. 認知症および神経変性状態に罹患しているか、または認知症および神経変性状態において、興奮、精神病または認知機能低下、およびその関連症状のうちの1またはこれより多くに関するリスクにある被験体のためのシクロベンザプリンの治療上有効な用量を選択するための方法であって、前記方法は、
    (1)前記被験体から遺伝子サンプルを得る工程、
    (2)前記サンプルを使用して、前記被験体のCYP3A、CYP1A2、CYP3A4、またはCYP2D6遺伝子型を決定する工程、
    (3)その遺伝子型に基づいて、シクロベンザプリンの治療上有効な用量を選択する工程、
    を包含する方法。
  35. 前記CYP3A、CYP1A2、CYP3A4またはCYP2D6遺伝子型は、遺伝子チップまたはPCR技術を使用して決定される、請求項34に記載の方法。
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