JP2021501627A - 注射デバイス - Google Patents

注射デバイス Download PDF

Info

Publication number
JP2021501627A
JP2021501627A JP2020524141A JP2020524141A JP2021501627A JP 2021501627 A JP2021501627 A JP 2021501627A JP 2020524141 A JP2020524141 A JP 2020524141A JP 2020524141 A JP2020524141 A JP 2020524141A JP 2021501627 A JP2021501627 A JP 2021501627A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
driver
clutch
section
injection device
housing
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020524141A
Other languages
English (en)
Inventor
ミヒャエル・ヘルマー
ミヒャエル・シャーバッハ
ユリアン・ケルスティング
Original Assignee
サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング filed Critical サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング
Publication of JP2021501627A publication Critical patent/JP2021501627A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61MDEVICES FOR INTRODUCING MEDIA INTO, OR ONTO, THE BODY; DEVICES FOR TRANSDUCING BODY MEDIA OR FOR TAKING MEDIA FROM THE BODY; DEVICES FOR PRODUCING OR ENDING SLEEP OR STUPOR
    • A61M5/00Devices for bringing media into the body in a subcutaneous, intra-vascular or intramuscular way; Accessories therefor, e.g. filling or cleaning devices, arm-rests
    • A61M5/178Syringes
    • A61M5/31Details
    • A61M5/315Pistons; Piston-rods; Guiding, blocking or restricting the movement of the rod or piston; Appliances on the rod for facilitating dosing ; Dosing mechanisms
    • A61M5/31525Dosing
    • A61M5/31526Dosing by means of stepwise axial movements, e.g. ratchet mechanisms or detents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61MDEVICES FOR INTRODUCING MEDIA INTO, OR ONTO, THE BODY; DEVICES FOR TRANSDUCING BODY MEDIA OR FOR TAKING MEDIA FROM THE BODY; DEVICES FOR PRODUCING OR ENDING SLEEP OR STUPOR
    • A61M5/00Devices for bringing media into the body in a subcutaneous, intra-vascular or intramuscular way; Accessories therefor, e.g. filling or cleaning devices, arm-rests
    • A61M5/178Syringes
    • A61M5/31Details
    • A61M5/315Pistons; Piston-rods; Guiding, blocking or restricting the movement of the rod or piston; Appliances on the rod for facilitating dosing ; Dosing mechanisms
    • A61M5/31501Means for blocking or restricting the movement of the rod or piston
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61MDEVICES FOR INTRODUCING MEDIA INTO, OR ONTO, THE BODY; DEVICES FOR TRANSDUCING BODY MEDIA OR FOR TAKING MEDIA FROM THE BODY; DEVICES FOR PRODUCING OR ENDING SLEEP OR STUPOR
    • A61M5/00Devices for bringing media into the body in a subcutaneous, intra-vascular or intramuscular way; Accessories therefor, e.g. filling or cleaning devices, arm-rests
    • A61M5/178Syringes
    • A61M5/31Details
    • A61M5/315Pistons; Piston-rods; Guiding, blocking or restricting the movement of the rod or piston; Appliances on the rod for facilitating dosing ; Dosing mechanisms
    • A61M5/31533Dosing mechanisms, i.e. setting a dose
    • A61M5/31545Setting modes for dosing
    • A61M5/31548Mechanically operated dose setting member
    • A61M5/31555Mechanically operated dose setting member by purely axial movement of dose setting member, e.g. during setting or filling of a syringe
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61MDEVICES FOR INTRODUCING MEDIA INTO, OR ONTO, THE BODY; DEVICES FOR TRANSDUCING BODY MEDIA OR FOR TAKING MEDIA FROM THE BODY; DEVICES FOR PRODUCING OR ENDING SLEEP OR STUPOR
    • A61M5/00Devices for bringing media into the body in a subcutaneous, intra-vascular or intramuscular way; Accessories therefor, e.g. filling or cleaning devices, arm-rests
    • A61M5/178Syringes
    • A61M5/31Details
    • A61M5/315Pistons; Piston-rods; Guiding, blocking or restricting the movement of the rod or piston; Appliances on the rod for facilitating dosing ; Dosing mechanisms
    • A61M5/31565Administration mechanisms, i.e. constructional features, modes of administering a dose
    • A61M5/31576Constructional features or modes of drive mechanisms for piston rods
    • A61M5/31578Constructional features or modes of drive mechanisms for piston rods based on axial translation, i.e. components directly operatively associated and axially moved with plunger rod
    • A61M5/3158Constructional features or modes of drive mechanisms for piston rods based on axial translation, i.e. components directly operatively associated and axially moved with plunger rod performed by axially moving actuator operated by user, e.g. an injection button

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Vascular Medicine (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Anesthesiology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Heart & Thoracic Surgery (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Infusion, Injection, And Reservoir Apparatuses (AREA)

Abstract

本開示は、薬剤の用量の設定および注射のための注射デバイスに関し、注射デバイスは:− 長手方向軸(z)に沿って延びる細長いハウジング(10)と、− 薬剤が充填されたカートリッジ(6)のピストン(7)に動作可能に係合するピストンロッド(20)と、− 中空内部(59)を含み、用量の設定中にハウジング(10)に対して第1の方向(4)に回転し、用量の送達中にハウジング(10)に対して第2の方向(5)に回転するように構成され、第2の方向(5)が第1の方向(4)とは反対である、クラッチ(50)と、− 用量の送達中に第2の方向(5)へのクラッチ(50)の回転運動に追従するように構成されたドライバ(30)であって、ピストンロッド(20)が、ドライバ(30)に動作可能に係合され、ドライバ(30)が第2の方向(5)に回転したとき、ハウジング(10)に対して長手方向軸(z)に沿って変位するように構成される、ドライバ(30)と、− 用量の設定中に第1の方向(4)へのハウジング(10)に対するドライバ(30)の回転運動を防止するように構成されたリテーナ(86)とを含み、− ここで、ドライバ(30)は、ドライバスリーブセクション(31)を含み、ドライバスリーブセクション(31)の少なくとも一部分は、クラッチ(50)の中空内部(59)内に配置される。【選択図】図9

Description

本開示は、一態様では、薬剤の用量の設定および投薬のためのペン型注射器などの注射デバイスに関する。特に、本開示は、薬剤の設定および投薬のための長手方向に変位可能なスライダを有する注射デバイスに関する。さらなる態様では、本開示は、用量の事前選択されたサイズに応じた自動用量設定を提供する機械実施式の注射デバイスに関する。
液体薬剤の単一または複数の用量を設定および投薬するための注射デバイス自体は、当技術分野ではよく知られている。概して、そのようなデバイスには、一般のシリンジのものと実質上類似の目的がある。
注射デバイス、特にペン型注射器は、使用者特有の複数の要件を満たさなければならない。たとえば、糖尿病などの慢性疾患の患者の場合、患者は身体的に弱い可能性があり、また視覚障害がある可能性もある。したがって、特に家庭用医薬品として意図された好適な注射デバイスは、構造上丈夫である必要があり、容易に使用できるべきである。さらに、デバイスおよびその構成要素の操作および一般的な取扱いは、明瞭でありかつ容易に理解可能であるべきである。さらに、用量設定ならびに用量投薬処置は、容易に動作できかつ明快でなければならない。
典型的に、そのようなデバイスは、投薬予定の薬剤が少なくとも部分的に充填されたカートリッジを受けるように適用された特定のカートリッジホルダを含むハウジングを含む。そのようなデバイスは、駆動機構をさらに含み、駆動機構は通常、カートリッジのピストンに動作可能に係合するように適用された変位可能なピストンロッドを有する。駆動機構およびそのピストンロッドによって、カートリッジのピストンは、遠位方向または投薬方向に変位可能であり、したがって注射デバイスのハウジングの遠位端部に解放可能に連結される穿孔アセンブリを介して、所定の量の薬剤を排出することができる。
注射デバイスによって投薬される薬剤は、複数用量カートリッジ内に提供および収容される。そのようなカートリッジは、典型的に、穿孔可能な封止によって遠位方向に封止され、ピストンによって近位方向にさらに封止されたガラス質の筒体を含む。再利用可能な注射デバイスの場合、空のカートリッジを新しいカートリッジに交換することができる。対照的に、使い捨てタイプの注射デバイスは、カートリッジ内の薬剤が投薬されまたは使い尽くされたときは廃棄される。
注射デバイスの使用および動作は、簡単でフェイルセーフかつ直感的であるべきである。注射デバイスは、薬剤の使用者が選択可能なまたは選択済みの用量の精密な設定および投薬を提供するべきである。注射デバイスは、丈夫であるべきであるが、コスト効率的な製造を有効にするべきである。一態様では、注射デバイスは、その幾何学的サイズに関してかなり小さくするべきである。
一態様では、薬剤の用量の設定および注射のための注射デバイスが提供される。注射デバイスは、長手方向軸に沿って延びる細長いハウジングを含む。長手方向軸は、軸方向に一致することができる。注射デバイスは、カートリッジのピストンまたは栓に動作可能に係合するピストンロッドをさらに含む。カートリッジには、注射デバイスによって注射予定の薬剤が充填される。注射デバイスは、クラッチをさらに含む。クラッチは、中空内部を含み、用量の設定中にハウジングに対して第1の方向に回転するように構成される。クラッチは、用量の送達中にハウジングに対して第2の方向に回転するようにさらに構成される。第1および第2の方向は、互いに反対である。したがって、第2の方向は、第1の方向とは反対である。クラッチは、典型的に、ハウジング内に回転可能に支持される。
注射デバイスは、用量の送達中に第2の方向へのクラッチの回転運動または回転に追従するように構成されたドライバをさらに含む。ピストンロッドは、ドライバにさらに動作可能に係合され、ドライバが第2の方向に回転したとき、ハウジングに対して長手方向軸に沿って変位するように構成される。注射デバイスはまた、用量の設定中に第1の方向へのハウジングに対するドライバの回転運動を防止するように構成されたリテーナを含む。典型的に、ドライバは、第2の方向に排他的に回転可能である。概してドライバは、第1の方向に回転することが防止および妨害される。このようにして、ドライバとピストンロッドとの間の耐トルク係合のため、ピストンロッドは、1つの長手方向にのみ排他的に、典型的には遠位長手方向に沿って、したがってカートリッジのピストンまたは栓の方へ変位するように構成される。
ドライバは、ドライバスリーブセクションを含む。ドライバスリーブセクションの一部分は、クラッチの中空内部内に配置される。このようにして、ドライバスリーブセクションは、長手方向にクラッチに少なくとも部分的に重複する。ドライバおよびクラッチは、少なくとも部分的に入れ子状または交互配置状の構成で配置され、したがって注射デバイスの幾何学的サイズの低減が有効になる。ドライバの少なくとも一部分およびクラッチの少なくとも一部分の入れ子状および/または交互配置状の配置により、ドライバおよびクラッチの配置の幾何学的サイズを最小にすることが可能になる。クラッチおよびドライバに対する設置空間を実質上低減させることができ、したがって注射デバイスのかなり小型の設計および幾何形状が有効になる。
リテーナは、ハウジングに恒久的に固定され、またはさらにハウジングに属することもできる。リテーナは、ハウジングの一部分として構成することができ、またはハウジングと一体的に形成することができる。他の例では、リテーナは、回転運動および摺動運動の両方に対してハウジングに恒久的に締結された別個の構成要素である。リテーナは、注射デバイスのさらなる構成要素に対する支持体を含むことができ、または形成することができる。言い換えれば、リテーナは、ハウジングに位置的に固定される。
クラッチおよびドライバの相互係合は、排他的に第2の方向へのクラッチの回転のみが、第2の方向へのドライバのそれぞれの回転を招くようになっている。ドライバは、リテーナとの相互作用または係合によって第1の方向に回転することが妨害されるため、クラッチの反対向きの回転、すなわち第1の方向への回転は、ドライバに影響を与えない。
クラッチおよびドライバは、用量の送達のための単方向トルク伝動装置を形成する。用量設定処置のために、クラッチは、第1の方向に回転可能であり、ドライバは、第1の方向に回転することが妨害される。ここで、クラッチおよびドライバの相互係合により、ドライバに対する第1の方向へのクラッチの回転が可能になる。クラッチは、第2の方向に回転したとき、ドライバに耐トルク係合する。したがって、第2の方向へのクラッチの回転が、ほとんど滑りなくドライバへ直接伝達される。
クラッチおよびドライバのうちの少なくとも一方は、ハウジング内に長手方向に拘束される。ドライバおよび/またはクラッチは、たとえばドライバをリテーナから一時的に係合解除するために、ハウジングに対するかなり制限された軸方向または長手方向の変位を受けることができる。用量の設定中および/または用量の投薬中、クラッチおよびドライバのうちの少なくとも一方またはクラッチおよびドライバの両方は、実質上軸方向に固定されたままである。
さらなる例では、ドライバは、軸方向面に第1の歯状セクションを含み、第1の歯状セクションは、リテーナの相応の形状の歯状セクションに係合するように構成される。第1の歯状セクションは、近位方向を向くことができ、リテーナの相応の形状の歯状セクションは、遠位方向を向くことができる。リテーナの歯状セクションもまた、リテーナの軸方向端面に設けることができる。同様に、ドライバの軸方向端面に第1の歯状セクションを設けることができる。第1の歯状セクションは、近位端面に設けることができ、リテーナの相応の形状の歯状セクションは、リテーナの遠位端面に設けることができる。
別法として、リテーナの相応の形状の歯状セクションは、リテーナの軸方向端面からずれているが軸方向を向いているリテーナの一部分に設けられる。さらに、ドライバの第1の歯状セクションは、必ずしもドライバの軸方向端面に設ける必要はない。第1の歯状セクションは、ドライバの軸方向端面から軸方向にずれている径方向外方または径方向内方へ延びるフランジセクション上に設けることができる。第1の歯状セクションおよびリテーナの相応の形状の歯状セクションは、ハース状の歯を含むことができ、複数の歯が軸方向に突出し、ドライバまたはリテーナの円周に沿って分離されており、径方向に延びる連続した歯同士の間に溝が位置する。
第1の歯状セクションおよびリテーナの相応の形状の歯状セクションは、少なくともハウジングに対する第1の方向へのドライバの回転に対して耐トルク係合を提供するように構成される。リテーナはハウジングに固定されているため、第1の歯状セクションおよびリテーナの相応の形状の歯状セクションは、第1の方向へのドライバの回転を防止または妨害するように構成される。
さらなる例によれば、第1の歯状セクションは、ドライバの軸方向面から長手方向に突出する多数の鋸歯を含む。軸方向面は、ドライバの軸方向端面とすることができる。軸方向面は、ドライバの近位軸方向端面または遠位軸方向端面とすることができる。第1の歯状セクションは、歯状セクションの環状構造の円周に沿って配置された多数の鋸歯を含む歯状の縁を軸方向面上に含む。鋸歯は各々、かなり急勾配のエッジと、浅いエッジとを含む。急勾配のエッジまたはフランクは第1の方向を向き、浅いまたはかなり平坦なエッジまたはフランクは第2の方向を向いている。
リテーナの歯状セクションは、ドライバの第1の歯状セクションに相応の形状であるため、リテーナの相応の形状の歯状セクションもまた、リテーナのそれぞれの軸方向面から長手方向に突出する多数の鋸歯を含む。たとえば、第1の歯状セクションの鋸歯は、近位方向に突出する。それに応じて、リテーナの相応の形状の歯状セクションの鋸歯は、遠位方向を向き、遠位方向に延びまたは突出する。リテーナの相応の形状の歯状セクションの鋸歯の形状および構成は、第1の歯状セクションの鋸歯状プロファイルに対応する。リテーナの歯状セクションの鋸歯の急勾配のエッジは、第2の方向を向き、リテーナの相応の形状の歯状セクションの鋸歯の浅いまたは平坦なエッジは、第1の方向を向いている。このようにして、第1の歯状セクションおよびリテーナの相応の形状の歯状セクションの鋸歯のかなり急勾配のエッジは直接当接し、したがって第1の方向へのリテーナに対するドライバの回転を防止する。第2の方向では、鋸歯の浅いまたはかなり平坦なエッジは互いに対して摺動することが可能である。
さらなる例では、注射デバイスは、ドライバを付勢してリテーナに当接させるように構成されたクラッチばねを含む。クラッチばねは、ドライバをリテーナの方へ長手方向に変位させて、少なくとも第1の方向への回転に対してドライバおよびリテーナを耐トルク係合で維持するように特に構成される。特にクラッチばねは、ドライバを付勢してリテーナに当接させるように構成され、したがってドライバの第1の歯状セクションは、リテーナの相応の形状の歯状セクションに当接した状態で維持され、またはリテーナの相応の形状の歯状セクションに当接される。クラッチばねによって、クラッチおよびリテーナの相互に対応する歯状セクションは、恒久的に係合した状態で維持される。このようにして、ドライバは、リテーナまたはハウジングに対して第1の方向に回転することが事実上妨害される。
さらに、第1の歯状セクションおよびリテーナの相応の形状の歯状セクションが多数の鋸歯を含むとき、すなわち第1の歯状セクションおよびリテーナの相応の形状の歯状セクションが鋸歯状プロファイルを含むとき、クラッチばねは、クラッチが第2の方向に回転するとき、リテーナに対するクラッチのわずかな軸方向変位を可能にして支持する。第2の方向に回転したとき、第1の歯状セクションの歯の浅いまたは平坦なエッジは、リテーナの相応の形状の歯状セクションの相応の形状の平坦なまたは浅いエッジに沿って摺動する。
相応の形状の鋸歯状プロファイルの浅いエッジまたはフランクのゼロ以外のピッチまたは傾斜のため、ドライバは、第2の方向に回転すると、リテーナに対するわずかであるが別個の軸方向変位を受ける。軸方向変位は、第1の歯状セクションおよびリテーナの相応の形状の歯状セクションの歯の軸方向の高さによって管理される。第2の方向へのリテーナに対するドライバの回転中、リテーナに対するドライバの軸方向変位は、第1の歯状セクションおよび相応の形状の歯状セクションの鋸歯の先端が接近すると最大になる。
噛合している歯状セクションの相互に対応する歯が互いを通過すると、クラッチばねはすぐにドライバを付勢してリテーナに当接させ、したがって第1の歯状セクションの歯の先端が、リテーナの相応の形状の歯状セクションの鋸歯間の相応の形状の溝に係合する。事実上、第2の方向へのリテーナに対するドライバの回転に付随して、ハウジングおよび/またはリテーナに対するドライバのわずかな前後摺動変位が生じる。第1の歯状セクションおよび相応の形状の歯状セクションの相互に対応する歯の先端が互いを通過すると、可聴クリック音が生成され、したがって用量送達処置が進行中であることを注射デバイスの使用者に示す。その限りにおいて、ドライバとリテーナとの間の相互作用により、用量の送達中に可聴フィードバックが使用者に提供される。リテーナに対する第1の方向へのドライバの回転に付随して、第1の歯状セクションおよび相応の形状の歯状セクションの浅いエッジまたはフランクの摺動運動が生じ、それによってばねの作用に逆らってリテーナに対するドライバの軸方向変位が誘起される。
さらなる例によれば、ドライバスリーブセクションは、側壁を含み、側壁の外面上に第2の歯状セクションがある。第2の歯状セクションは、クラッチに係合し、クラッチによって提供される駆動トルクをドライバスリーブセクション、したがってドライバへ伝達するように構成される。典型的に、ドライバの第2の歯状セクションは、クラッチの中空内部内に配置されて位置する。このようにして、クラッチおよびドライバの入れ子状および交互配置状の係合が有効になる。第2の歯状セクションは、第1の歯状セクションに隣接して設けることができる。第1および第2の歯状セクションは、同一の数の歯を含むことができる。さらに、第1および第2の歯状セクションは、円周方向に見てゼロの位相ずれを含むことができる。言い換えれば、第2の歯状セクションの歯の先端は、第1の歯状セクションの歯の先端と径方向に位置合わせすることができる。
第2の歯状セクションは、クラッチの中空内部の内面部分上に設けられた相応の形状の歯状セクションまたは歯状構造に噛合および/または係合するように構成される。クラッチは、ドライバスリーブセクションの外面上に設けられた第2の歯状セクションに係合するために、少なくとも1つの径方向内方へ突出する部分または径方向内方へ突出する機能を含むと十分である。
別の例によれば、第2の歯状セクションは、側壁の外面から径方向に突出する多数の鋸歯を含む。鋸歯は、側壁の外面から径方向外方へ突出する。ここで、鋸歯はまた、急勾配のエッジと、浅いまたは平坦なエッジとを含む。典型的に、急勾配のエッジは第1の方向を向き、浅いまたは平坦なエッジは第2の方向を向いている。第2の歯状セクションの鋸歯の構成および幾何形状は、第1の歯状セクションの鋸歯の構成および幾何形状と実質上同一とすることができる。特に、第1の歯状セクションおよび第2の歯状セクションの鋸歯の急勾配のエッジならびに浅いまたは平坦なエッジは、径方向に位置合わせすることができる。
別法として、第2の歯状セクションの歯の数は、第1の歯状セクションの歯の総数と異なってもよい。また、第1の歯状セクションの歯と第2の歯状セクションの歯との間に円周方向の位相ずれが存在することも考えられる。多数の鋸歯が側壁の外面から径方向に突出することによって、ドライバとクラッチとの間の単方向の係合を提供することができる。このようにして、カートリッジから薬剤の用量を排出する目的で、第2の方向へのクラッチの回転は、第2の方向へのドライバの対応する回転にほとんど滑りなく変換され、したがって長手方向、典型的には遠位長手方向へのピストンロッドの長手方向変位が生じるとき、第1の方向へのクラッチの回転がドライバに影響を与えない。
さらに、第2の歯状セクションの鋸歯または鋸歯プロファイルにより、第1の方向へのクラッチの回転が可能になるが、ドライバが相応に回転することは妨害される。クラッチが第1の方向に回転するとき、クラッチの係合セクションは、ドライバの第2の歯状セクションに機械的に接触したままである。クラッチの係合セクションが第2の歯状セクションの歯に沿って摺動し、または第2の歯状セクションの歯に噛合すると、可聴音またはそれぞれのクリックノイズが生成され、したがって用量設定処置が進行中であること、およびクラッチがハウジングまたはドライバに対する段階的な回転を受けたことを、使用者に示す。
さらなる例では、クラッチは、ドライバの相補形または相応の形状の対向係合セクションに単方向の耐トルク係合するように構成されまたは動作可能である少なくとも1つの係合セクションを含む。クラッチの係合セクションおよびドライバの対向係合セクションは、クラッチが第2の方向に回転したとき、クラッチからドライバへトルクを伝送するように構成される。単方向の耐トルク係合は排他的であり、クラッチが第2の方向に回転したときにのみ、クラッチからドライバへトルクを伝達するように構成される。したがって、クラッチが第2の方向とは反対の第1の方向に回転したとき、単方向の耐トルク係合は、それぞれのトルクまたは角運動量を伝達するように動作しない。
クラッチの係合セクションは、クラッチの中空内部の方を向いている。係合セクションは、クラッチの側壁から突出することができ、中空内部内へ径方向内方に延びることができる。係合セクションは、クラッチの中空内部内に位置するドライバスリーブセクションの方へ延びることができる。それに応じて、ドライバの対向係合セクションは、ドライバスリーブセクションの外側セクション上に位置することができる。したがって、対向係合セクションは、ドライバスリーブセクションの径方向外面に位置する。対向係合セクションは、ドライバのスリーブセクションから突出することができる。
クラッチの係合セクションおよびドライバの対向係合セクションは径方向に重複しており、径方向とは、細長いハウジングの長手方向軸に平行に延びる想像上の回転軸を指す。
別の例によれば、クラッチは、クラッチが第2の方向に回転したとき、第2の歯のプロファイルに単方向の耐トルク係合するように構成された少なくとも1つの係合セクションを含む。クラッチの少なくとも1つの係合セクションは、典型的にクラッチから径方向内方へ延びまたは突出してドライバの第2の歯状セクションに耐トルク係合する少なくとも1つの係合機能を含む。典型的に、少なくとも1つの係合セクションは、第2の歯状セクションの鋸歯の急勾配のエッジに当接および係合するように構成される。
このようにして、第2の歯状セクションの鋸歯の急勾配のエッジが第1の方向を向いているため、第2の方向への回転に対する少なくとも1つの係合セクションと第2の歯状セクションの鋸歯との間の耐トルクまたはトルク伝送係合を提供することができる。第2の方向への少なくとも1つの係合セクションの回転により、係合セクションが第2の歯状セクションの鋸歯の急勾配のエッジに当接する。急勾配のエッジが径方向に延びることができるため、係合セクションは、第2の方向に回転したときも当接したままである。このようにして、クラッチとドライバとの間の単方向のトルク伝送係合が提供される。
さらなる例によれば、クラッチは、径方向に弾性変形可能な少なくとも1つのラチェット部材を含む。少なくとも1つの係合セクションは、少なくとも1つのラチェット部材の自由端に配置される。ラチェット部材は、径方向内方へ事前に緊張させまたは付勢することができる。ラチェット部材は、復元力に逆らって径方向外方へ弾力的にまたは弾性的に変形可能とすることができる。このようにして、ラチェット部材は、第2の方向に回転したときも第2の歯状セクションの鋸歯の急勾配のエッジに耐トルク係合したままである。第1の方向に回転したとき、少なくとも1つのラチェット部材は、第2の歯状セクションに対して摺動することが可能になる。ここで、少なくとも1つの係合セクションおよび少なくとも1つのラチェット部材は、第2の歯状セクションの鋸歯状プロファイルの浅いまたは平坦なエッジに沿って摺動することが可能になる。これにより、可聴音または反復クリックノイズを生成し、したがって用量設定処置が進行中であることを使用者に示すことができる。
弾性変形可能なラチェット部材の自由端に少なくとも1つの係合セクションを設けることによって、係合セクションのかなり大きい径方向の変位を事前に提供することができ、クラッチに対するラチェット部材の径方向の変形の程度は比較的小さい。少なくとも1つの係合セクションをラチェット部材の自由端または自由端付近に配置することによって、一種のてこの作用が提供される。
概して、代替として、ラチェット部材は弾性変形可能である必要はない。代わりに代替として、ラチェット部材は、たとえばクラッチまたはクラッチのクラッチスリーブセクション上に旋回可能に支持することができる。ラチェット部材は、ばねの復元力に逆らって旋回可能に支持することができる。
別の例では、クラッチは、ドライバのドライバスリーブセクションの少なくとも一部分を囲むクラッチスリーブセクションを含む。クラッチスリーブセクションによって、クラッチは、管状または円筒形の形状を有する少なくとも一部分を含む。閉じた管状または円筒形の形状により、実質的な剛直性または剛性がクラッチおよびクラッチスリーブセクションに提供される。このようにして、クラッチは、かなり丈夫であり、したがってドライバへの角運動量の十分な伝送または伝達を提供することが可能である。同じことが、ドライバおよびドライバスリーブセクションにとっても有効である。さらに、ドライバおよびクラッチの少なくとも部分的な軸方向の重複配置、ならびに/またはドライバスリーブセクションとクラッチスリーブセクションとの少なくとも部分的な軸方向の重複配置により、クラッチとドライバとの間のかなり安定した丈夫な配置および機械的な相互作用が提供される。
さらなる例では、少なくとも1つのラチェット部材は、クラッチスリーブセクションの側壁に共形の弧状の幾何形状を含む。少なくとも1つのラチェット部材は、クラッチスリーブセクションの軸方向端に設けることができる。別法として、クラッチスリーブセクションは、クラッチスリーブセクションの外周に沿って延びるU字形のスリットを含むことができ、したがってクラッチの弧状の弾性変形可能なセクションを提供し、したがって弾性変形可能なラチェット部材を形成することができる。
ラチェット部材の弧状の幾何形状は、クラッチスリーブセクションの湾曲に実質上同一の湾曲を含む。このようにして、クラッチおよびそのラチェット部材の全体的な径方向の寸法を最小で維持することができる。
別の例では、クラッチは、少なくとも第1のラチェット部材および第2のラチェット部材を含む。第1のラチェット部材および第2のラチェット部材は、幾何学的に互いに対向して配置される。さらに、クラッチは、多数の、たとえば少なくとも3つまたはさらに4つのラチェット部材を含み、これらのラチェット部材は、クラッチまたはクラッチスリーブセクションの外周に対して等距離をあけて隔置されることが考えられる。このようにして、ドライバの側壁の外面上の第2の歯状セクションは、閉リング構造または環状構造を含むため、一度に1つだけでなく少なくとも2つのラチェット部材が、ドライバの第2の歯状セクションに耐トルク係合することができる。
第1および第2のラチェット部材間の円周方向距離は、ドライバの外面上の第2の歯状セクションの周期に整合することが考えられる。クラッチがドライバに対して第1の方向に回転すると、第1および第2のラチェット部材は、第2の歯状セクションの連続した歯に対して同時に係合および係合解除される。クラッチが第2の方向に、したがって用量の送達中に回転したとき、第1および第2のラチェット部材はどちらも、第2の歯状セクションの鋸歯プロファイルの急勾配のエッジに耐トルク係合する。このようにして、クラッチによって提供される角運動量を第1および第2のラチェット部材に分散させることができ、第1および第2のラチェット部材は各々、総角運動量のそれぞれの部分をドライバへ伝達する。
クラッチからドライバへ伝達される角運動量は、少なくとも第1および第2のラチェット部材間で分散させることができる。このようにして、第1および第2のラチェット部材にかかる機械的な負荷を実質上低減させることができ、したがって第1および第2のラチェット部材のさらなる小型化が有効になる。さらに、このようにして第1および第2のラチェット部材のフェイルセーフ(failure safety)を改善することができる。さらに多くのラチェット部材、たとえば3つまたは4つのラチェット部材が設けられた場合、これらのラチェット部材は、クラッチからドライバへ伝達される角運動量を均質に分散させるために、クラッチの円周に沿って等距離をあけて分散される。
さらなる例では、ドライバおよびハウジングのうちの一方が、ピストンロッドにねじ係合され、ドライバおよびハウジングのうちの他方が、ピストンロッドにスプライン係合される。スプライン係合は、角運動量を伝達するように構成されて動作可能であるが、スプライン係合されたそれぞれの構成要素間の軸方向の摺動変位を提供する。スプライン係合は、スプライン係合された構成要素間の回転ロックを含む。典型的に、スプライン係合は、構成要素のうちの一方に1つの突起を含み、この突起は、構成要素のうちの他方に設けられた長手方向溝に係合する。
一例として、ドライバはピストンロッドにねじ係合され、ピストンロッドはハウジングにスプライン係合される。ここで、ドライバは内側ねじ山を含み、内側ねじ山は、ピストンロッドの外側ねじ山に連結または係合される。ピストンロッドは、細長い溝をさらに含み、細長い溝は、ハウジングの径方向内方へ延びるピンまたは突起に係合される。このようにして、典型的にハウジングに対して回転可能に支持されているが軸方向にはハウジングに固定されたドライバが回転すると、ピストンロッドは、ハウジングに回転不能にロックされるが、ハウジングに対して摺動可能に変位可能である。
さらなる例では、ドライバは、ピストンロッドに回転不能にロックされる。ピストンロッドは、ハウジングにねじ係合される。この文脈では、回転不能にロックされるとは、ドライバがピストンロッドに対して回転することが妨害されることを意味する。したがって、ドライバの回転は、ピストンロッドへ不変に伝達される。たとえば、ピストンロッドは、長手方向に延びる溝を含み、ドライバは、ピストンロッドの長手方向溝に係合された突起を含む。典型的に、ドライバは、ピストンロッドが長手方向に延びる孔を含む。ピストンロッドは、ドライバスリーブセクションを通って延び、ドライバスリーブセクションは、少なくとも1つの径方向内方へ延びる突起を含み、この突起は、ピストンロッドの外面上の長手方向溝に恒久的に耐トルク係合する。
ピストンロッドの長手方向溝は、ハウジングに恒久的にねじ係合するピストンロッドの外側ねじ付部分と交差することができる。このようにして、ピストンロッドは、ドライバに対して長手方向に摺動することが可能になる。ピストンロッドは、ハウジングに対する回転運動を受けると、遠位長手方向に前進することができる。ピストンロッドは、ドライバとの相互作用によって第2の方向に回転しながら、ハウジングとのねじ係合によって遠位方向に前進する。同時に、ピストンロッドは、ドライバに対する長手方向の摺動変位を受け、ドライバは、ピストンロッドとともに回転するが、ハウジング内に軸方向に拘束されたままである。手短に言えば、ドライバおよびピストンロッドは、いわゆるスプライン係合され、それによってドライバの回転はピストンロッドの回転に変換されるが、その係合により、ドライバとピストンロッドとの間の相対的な長手方向の摺動変位が可能になる。
別の例では、クラッチは、スライダにねじ係合するねじ付セクションを含む。スライダは、ハウジングに対して長手方向に摺動可能に変位可能である。スライダは、ハウジングに対して回転運動しないように固定される。言い換えれば、スライダは、ハウジングに回転不能にロックされる。スライダとクラッチとの間のねじ係合は、スライダの長手方向の摺動変位がハウジングに対するクラッチのそれぞれの回転に変換されるが、クラッチはハウジング内に軸方向に拘束されたままになるようになっている。
クラッチのねじ付セクションは、典型的に、クラッチの外面上に、典型的にはクラッチスリーブセクションの外面上に設けられる。クラッチとスライダとの間のねじ係合は、ハウジングに対するスライダの遠位向きの摺動変位が、第2の方向へのクラッチの回転に変換されるように構成される。スライダがハウジングに対する近位向きの変位を受けると、クラッチは、反対の方向、すなわち第1の方向に回転する。典型的に、スライダは、用量ボタンを含み、またはハウジングの近位端から突出することができる用量ボタンに軸方向に係合する。
典型的に、スライダは、用量の設定のために、初期位置から少なくとも第1の起動位置へ近位方向にハウジングに対して変位可能である。そのような近位向きの摺動変位に付随して、第1の方向へのクラッチの回転が生じる。スライダは、用量の投薬のために、少なくとも第1の起動位置から初期位置へ遠位方向にハウジングに対して長手方向に変位可能である。少なくとも第1の起動位置で、スライダ、その一部分、またはスライダに軸方向に係合しているさらなる構成要素が、ハウジングの近位端から近位に突出する。この構成で、スライダまたはスライダに軸方向に係合している用量ボタンは、使用者、たとえば使用者の親指によって、遠位方向に押し下げ可能であり、したがってスライダを付勢して初期位置へ戻す。
ハウジングに対するスライダのこの摺動運動は、第2の方向へのクラッチのそれぞれの回転に変換される。クラッチの回転は、ドライバのそれぞれの回転に、したがってピストンロッドの遠位向きの前進摺動運動に変換され、それによってカートリッジの栓をさらに遠位方向に変位させて、カートリッジから所定の量の薬剤を排出する。
スライダは、スリーブ状の形状を含むことができ、または少なくとも2つの細長い脚部もしくはアームを含むことができ、これらの脚部もしくはアームの内側向きの側壁には、クラッチの外側のねじ付セクションに係合するためのねじ付セクションが設けられる。
さらなる例では、スライダは、ばねによってハウジングに対して軸方向に付勢される。典型的に、スライダは、ばねによって近位長手方向に付勢される。スライダは、ばねの作用を受けてハウジングに対して摺動可能に変位可能である。スライダは、ばねの作用に逆らって遠位長手方向にハウジングに対して変位可能である。
さらに、スライダは、ハウジングに対して長手方向に後退または初期位置から起動位置へ摺動可能に変位可能である。スライダの起動位置は、初期または後退位置と比較すると近位に移動している。起動位置にあるとき、スライダ自体またはスライダに動作可能に連結された用量ボタンが、ハウジングの近位端から突出することができる。
スライダは、スライダをハウジングに対して後退、したがって遠位位置で維持するように構成されたインターロックに係合可能とすることができ、または係合させることができる。インターロックを解放したとき、スライダは、ばねの作用を受けてハウジングに対して近位方向に変位可能である。ばねに誘起されたハウジングに対するスライダの摺動変位は、第1の方向に沿ったクラッチの回転を誘起するのに有効である。このようにして、ばねおよびスライダにより、注射デバイスの自動用量設定が提供される。スライダを解放し、ハウジングに対するスライダの近位向きの摺動運動を可能にして支持することによって、用量設定処置を簡単に開始することができる。
さらなる例では、ドライバは、ドライバスリーブセクションから径方向外方へ突出するフランジを含む。フランジは、クラッチの軸方向面、典型的には軸方向端面に軸方向に当接する。このようにして、クラッチは、ドライバのフランジ上に軸方向に支持することができる。
フランジは、2重の機能を提供することができる。フランジの径方向に広がっている幾何形状は、クラッチばねに対する支持面を提供し、支持面として作用することができる。クラッチばねの一方の端部は、ドライバのフランジに当接することができる。クラッチばねの他方の端部は、ハウジングのそれぞれの軸方向面または突起上に支持することができる。フランジの反対側は、クラッチに軸方向に当接することができる。このようにして、クラッチおよびドライバは、クラッチばねによって軸方向に付勢される。たとえば、クラッチばねは、ドライバのフランジの遠位側に軸方向に当接し、したがってドライバを近位方向に付勢してリテーナに当接させる。
クラッチは、ドライバのフランジとリテーナとの間で軸方向に挟むことができる。スライダが遠位方向への変位を受けたとき、たとえば用量の投薬中、クラッチならびにクラッチに当接しているフランジおよびドライバは、初期のわずかな遠位向きの摺動変位を受けることができ、それによってクラッチばねは軸方向に圧縮され、ドライバは遠位方向に変位し、したがってリテーナから係合解除される。このようにして、ドライバは、リテーナとの相互作用なく、第2の方向に回転することが可能になる。次いで、用量の排出または送達では可聴クリックノイズが生じないが、用量投薬処置中にドライバの第1の歯状セクションおよびリテーナの相応の形状の歯状セクションの鋸歯間の摩擦係合が低減され、またはなくなるため、ピストンロッドを遠位方向に変位させるために必要とされる投薬力を低減させることができる。
別の例では、注射デバイスは、カートリッジをさらに含む。カートリッジは、薬剤が充填された筒体を含む。筒体は、ピストンロッドによって筒体に対して軸方向に変位可能である栓またはピストンによって封止される。投薬動作のためおよび投薬動作中、ピストンロッドは、栓を遠位方向に変位させるように、カートリッジの栓に動作可能に係合可能である。典型的に、カートリッジの遠位端が、セプタムなどの穿孔可能な膜によって封止される。薬剤の投薬のために、この穿孔可能な封止を両頭注射針によって貫通することができる。したがって、相応に前進するピストンロッドによって誘起される栓の遠位向きの変位により、薬剤の用量が排出される。
この文脈では、「遠位」または「遠位端」という用語は、人または動物の注射部位に面する注射デバイスの端部を指す。「近位」または「近位端」という用語は、人または動物の注射部位から最も離れている注射デバイスの反対側の端部を指す。
本明細書で使用する用語「薬物」または「薬剤」は、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含む医薬製剤を意味し、
ここで、一実施形態において、薬学的に活性な化合物は、最大1500Daまでの分子量を有し、および/または、ペプチド、タンパク質、多糖類、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体もしくはそのフラグメント、ホルモンもしくはオリゴヌクレオチド、または上述の薬学的に活性な化合物の混合物であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病、または糖尿病性網膜症などの糖尿病関連の合併症、深部静脈血栓塞栓症または肺血栓塞栓症などの血栓塞栓症、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、がん、黄斑変性症、炎症、枯草熱、アテローム性動脈硬化症および/または関節リウマチの処置および/または予防に有用であり、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、糖尿病または糖尿病性網膜症などの糖尿病に関連する合併症の処置および/または予防のための少なくとも1つのペプチドを含み、
ここで、さらなる実施形態において、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリンもしくはヒトインスリン類似体もしくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)もしくはその類似体もしくは誘導体、またはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4もしくはエキセンジン−3もしくはエキセンジン−4の類似体もしくは誘導体を含む。
インスリン類似体は、たとえば、Gly(A21),Arg(B31),Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3),Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28),Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンがAsp、Lys、Leu、Val、またはAlaで置き換えられており、B29位において、LysがProで置き換えられていてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、およびDes(B30)ヒトインスリンである。
インスリン誘導体は、たとえば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、およびB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)ヒトインスリンである。
エキセンジン−4は、たとえば、H−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2配列のペプチドであるエキセンジン−4(1−39)を意味する。
エキセンジン−4誘導体は、たとえば、以下のリストの化合物:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);または
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
(ここで、基−Lys6−NH2が、エキセンジン−4誘導体のC−末端に結合していてもよい);
または、以下の配列のエキセンジン−4誘導体:
desPro36エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2(AVE0010)、
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desAsp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
desMet(O)14,Asp28Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2;
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2、
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2、
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2、
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2、
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2;
または前述のいずれか1つのエキセンジン−4誘導体の薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物
から選択される。
ホルモンは、たとえば、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、コリオンゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トリプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、Rote Liste、2008年版、50章に列挙されている脳下垂体ホルモンまたは視床下部ホルモンまたは調節性活性ペプチドおよびそれらのアンタゴニストである。
多糖類としては、たとえば、グルコサミノグリカン、ヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン、もしくは超低分子量ヘパリン、またはそれらの誘導体、または上述の多糖類の硫酸化形態、たとえば、ポリ硫酸化形態、および/または、薬学的に許容されるそれらの塩がある。ポリ硫酸化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウムがある。
抗体は、基本構造を共有する免疫グロブリンとしても知られている球状血漿タンパク質(約150kDa)である。これらは、アミノ酸残基に付加された糖鎖を有するので、糖タンパク質である。各抗体の基本的な機能単位は免疫グロブリン(Ig)単量体(1つのIg単位のみを含む)であり、分泌型抗体はまた、IgAなどの2つのIg単位を有する二量体、硬骨魚のIgMのような4つのIg単位を有する四量体、または哺乳動物のIgMのように5つのIg単位を有する五量体でもあり得る。
Ig単量体は、4つのポリペプチド鎖、すなわち、システイン残基間のジスルフィド結合によって結合された2つの同一の重鎖および2本の同一の軽鎖から構成される「Y」字型の分子である。それぞれの重鎖は約440アミノ酸長であり、それぞれの軽鎖は約220アミノ酸長である。重鎖および軽鎖はそれぞれ、これらの折り畳み構造を安定化させる鎖内ジスルフィド結合を含む。それぞれの鎖は、Igドメインと呼ばれる構造ドメインから構成される。これらのドメインは約70〜110個のアミノ酸を含み、そのサイズおよび機能に基づいて異なるカテゴリー(たとえば、可変すなわちV、および定常すなわちC)に分類される。これらは、2つのβシートが、保存されたシステインと他の荷電アミノ酸との間の相互作用によって一緒に保持される「サンドイッチ」形状を作り出す特徴的な免疫グロブリン折り畳み構造を有する。
α、δ、ε、γおよびμで表される5種類の哺乳類Ig重鎖が存在する。存在する重鎖の種類により抗体のアイソタイプが定義され、これらの鎖はそれぞれ、IgA、IgD、IgE、IgGおよびIgM抗体中に見出される。
異なる重鎖はサイズおよび組成が異なり、αおよびγは約450個のアミノ酸を含み、δは約500個のアミノ酸を含み、μおよびεは約550個のアミノ酸を有する。各重鎖は、2つの領域、すなわち定常領域(C)と可変領域(V)を有する。1つの種において、定常領域は、同じアイソタイプのすべての抗体で本質的に同一であるが、異なるアイソタイプの抗体では異なる。重鎖γ、α、およびδは、3つのタンデム型のIgドメインと、可撓性を加えるためのヒンジ領域とから構成される定常領域を有し、重鎖μおよびεは、4つの免疫グロブリン・ドメインから構成される定常領域を有する。重鎖の可変領域は、異なるB細胞によって産生された抗体では異なるが、単一B細胞またはB細胞クローンによって産生された抗体すべてについては同じである。各重鎖の可変領域は、約110アミノ酸長であり、単一のIgドメインから構成される。
哺乳類では、λおよびκで表される2種類の免疫グロブリン軽鎖がある。軽鎖は2つの連続するドメイン、すなわち1つの定常ドメイン(CL)および1つの可変ドメイン(VL)を有する。軽鎖のおおよその長さは、211〜217個のアミノ酸である。各抗体は、常に同一である2本の軽鎖を有し、哺乳類の各抗体につき、軽鎖κまたはλの1つのタイプのみが存在する。
すべての抗体の一般的な構造は非常に類似しているが、所与の抗体の固有の特性は、上記で詳述したように、可変(V)領域によって決定される。より具体的には、各軽鎖(VL)について3つおよび重鎖(VH)に3つの可変ループが、抗原との結合、すなわちその抗原特異性に関与する。これらのループは、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる。VHドメインおよびVLドメインの両方からのCDRが抗原結合部位に寄与するので、最終的な抗原特異性を決定するのは重鎖と軽鎖の組合せであり、どちらか単独ではない。
「抗体フラグメント」は、上記で定義した少なくとも1つの抗原結合フラグメントを含み、そのフラグメントが由来する完全抗体と本質的に同じ機能および特異性を示す。パパインによる限定的なタンパク質消化は、Igプロトタイプを3つのフラグメントに切断する。1つの完全なL鎖および約半分のH鎖をそれぞれが含む2つの同一のアミノ末端フラグメントが、抗原結合フラグメント(Fab)である。サイズが同等であるが、鎖間ジスルフィド結合を有する両方の重鎖の半分の位置でカルボキシル末端を含む第3のフラグメントは、結晶可能なフラグメント(Fc)である。Fcは、炭水化物、相補結合部位、およびFcR結合部位を含む。限定的なペプシン消化により、Fab片とH−H鎖間ジスルフィド結合を含むヒンジ領域の両方を含む単一のF(ab’)2フラグメントが得られる。F(ab’)2は、抗原結合に対して二価である。F(ab’)2のジスルフィド結合は、Fab’を得るために切断することができる。さらに、重鎖および軽鎖の可変領域は、縮合して単鎖可変フラグメント(scFv)を形成することもできる。
薬学的に許容される塩は、たとえば、酸付加塩および塩基性塩である。酸付加塩としては、たとえば、HClまたはHBr塩がある。塩基性塩は、たとえば、アルカリまたはアルカリ土類、たとえば、Na+、またはK+、またはCa2+から選択されるカチオン、または、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)(式中、R1〜R4は互いに独立に:水素、場合により置換されたC1〜C6アルキル基、場合により置換されたC2〜C6アルケニル基、場合により置換されたC6〜C10アリール基、または場合により置換されたC6〜C10ヘテロアリール基を意味する)を有する塩である。薬学的に許容される塩のさらなる例は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences」17版、Alfonso R.Gennaro(編)、Mark Publishing Company、Easton、Pa.、U.S.A.、1985およびEncyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
薬学的に許容される溶媒和物は、たとえば、水和物である。
添付の特許請求の範囲に定義されているものの精神および範囲から逸脱することなく、本注射デバイスにさまざまな修正および変更を加えることができることが、当業者にはさらに明らかになるであろう。さらに、添付の特許請求の範囲で使用されるあらゆる参照番号は、本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではないことに留意されたい。
以下、注射デバイスの実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
ペン型注射デバイスの概略図である。 図1の注射デバイスの構成要素の分解図である。 注射デバイスの駆動機構の分離斜視図である。 プリセレクタを有する駆動機構の別の斜視図である。 スライダが起動位置にある、図4による駆動機構を示す図である。 ピストンロッド、ねじ付インサート(threaded insert)、およびドライバの分離斜視図である。 近位端から見た図6の別の斜視図である。 クラッチの分離斜視図である。 クラッチとともに示す図6の構成要素の斜視図である。 注射デバイスのハウジング内に配置されているがスライダのない、図9による配置の側面図である。 スライダを含む図10による配置の別の側面図である。 駆動機構の側面図である。 注射デバイスのハウジング内に固定された支持体の分離斜視図である。 スライダの分離斜視図である。 プリセレクタを示す図である。 ばねの斜視図である。 インターロックの拡大側面図である。 スライダが初期位置にある、注射デバイスの近位端を示す図である。 スライダが起動位置にある、注射デバイスの近位端を示す図である。 スライダが別の起動位置にある、注射デバイスの近位端を示す図である。 スライダがさらなる起動位置にある、注射デバイスの近位端を示す図である。 注射デバイスの長手方向断面図である。 図22の断面と比較して90°回転させたときの注射デバイスの長手方向断面図である。
図1に示す注射デバイス1は、管状で細長い形状のハウジング10を含む。注射デバイス1は、充填済みの使い捨て注射デバイスとして構成することができる。別法として、注射デバイス1は、再利用可能な注射デバイスとして構成することもできる。
注射デバイス1は、ニードルアセンブリ15を取り付けることができる遠位端を含む。ニードルアセンブリ15の注射針は、内側ニードルキャップ16によって保護することができ、外側ニードルキャップ17によってさらに保護することができる。注射デバイス1の遠位端は、注射デバイス1のハウジング10に解放可能に係合可能である保護キャップ18によってさらに覆われる。注射デバイス1に取り付けられたとき、保護キャップ18は、注射デバイス1のハウジングの一部分を覆う。この部分は、カートリッジホルダ14としても示されている。カートリッジホルダ14は、薬剤が充填されたカートリッジ6を収容するように構成される。カートリッジ6は、管状の筒体25を含む。筒体25は、穿孔可能な封止26によって遠位方向2に封止される。
近位方向3では、筒体25は、変位可能なピストン7によって封止される。ピストン7は、注射デバイス1の駆動機構8のピストンロッド20によって遠位方向2に変位可能であり、所定の量の薬剤をカートリッジからニードルアセンブリ15の注射針を通って排出する。穿孔可能な封止26は、セプタムとして構成され、ニードルアセンブリ15の近位向きの先端によって穿孔可能である。さらに、カートリッジホルダ14は、その遠位端にねじ付ソケット28を含み、ねじ付ソケット28は、ニードルアセンブリ15の相応のねじ付部分にねじ係合する。ニードルアセンブリ15をカートリッジホルダ14の遠位端に取り付けることによって、カートリッジ6の封止26が貫通され、それによってカートリッジ6の内部への流体伝達アクセスが確立される。
注射デバイス1の近位部分または主ハウジング10は、駆動機構8を収容および収納するように構成される。駆動機構8の全体は、図4および図5に示されている。ここで、駆動機構8は、駆動機構8および用量設定機構9の組合せである。駆動機構8は、薬剤の用量を設定および投薬するように構成される。ここで、駆動機構8は、用量設定機構9に一致することができる。以下、駆動機構8を参照する。
注射デバイス1の動作は比較的単純である。用量の設定のために、使用者は、第1および第2の解放ボタン102、103の形態の解放部材100、101をトリガしなければならない。図17に示すように、解放部材100、101は各々、解放ボタン102、103を含み、解放ボタン102、103は、凹部19内、したがって図23に示すハウジング10の側壁13の貫通口内に位置する。解放部材100、101は、インターロック84に属し、インターロック84は、図18に示す後退位置または初期位置iでスライダ60を維持するように構成される。スライダ60は用量ボタン61を含み、用量ボタン61は、初期位置iにあるとき、ハウジング10の近位端面と実質上同一平面になる。スライダ60は、図16に示すばね80によって近位方向3に付勢される。少なくとも1つの解放部材を起動することによって、典型的にはたとえば両方の解放部材100、101を同時に押し下げることによって、スライダ60とハウジング10との間のインターロック84が停止状態または無効にされ、スライダ60は、ばね80の作用を受けて近位方向3に自由に変位することができる。スライダ60は、ハウジング10に摺動可能に係合される。スライダ60は、ハウジング10に摺動可能に係合する。スライダ60は、ハウジング10に対して回転することが防止される。スライダ60は、図18および図19の比較から明らかなように、初期位置iから起動位置aへ摺動するように構成される。
図19に示す起動位置aで、スライダ60は、たとえば使用者の親指によって遠位方向2に押し下げ可能であり、それによりピストンロッド20を遠位方向2に前進させて、ピストン7をカートリッジ6に対して変位させる。このようにして、所定の量の薬剤をカートリッジ6から排出することができる。用量の投薬のために、スライダ60は、ピストンロッド20に動作可能に係合される。駆動機構8は、スライダ60の遠位前進摺動運動をピストンロッド20の回転運動に変換する働きをし、ピストンロッド20は、ハウジング10とのねじ係合により、それに応じて遠位方向2に前進する。
スライダ60または用量ボタン61が図18に示す初期位置へ戻ったとき、インターロック84は自動的に再起動されて、ばね80の作用に逆らってスライダ60を初期位置iで維持する。スライダ60の遠位向きの変位は、ばね80によってかけられる力に逆らって作用する。したがって、スライダ60が遠位方向2に変位すると、ばね80は付勢されまたは緊張される。図18に示す初期位置iに戻って到達したとき、インターロック84は係合または再係合する。少なくとも一方、典型的には両方の解放部材100、101を繰り返し押し下げることで、インターロック84が係合解除され、スライダ60をハウジング10に対して近位方向3に起動位置aへ繰り返し変位させることが有効になる。
図18に示す初期位置iと図19〜図21に示す起動位置のうちの1つとの間のハウジング10に対するスライダ60の変位経路の長さは、実際に設定された用量のサイズに相関する。スライダ60および用量ボタン61がハウジング10の近位端からより多く突出すればするほど、後の用量投薬処置で投薬される用量のサイズも大きくなる。
用量のサイズを変動させるために、注射デバイス1、したがって駆動機構8は、図12および図15に示すプリセレクタ70を含む。プリセレクタ70は、ハウジング10に対して長手方向または回転可能のうちの少なくとも一方で変位可能である。プリセレクタ70は、ハウジング10に対して少なくとも2つの事前選択位置状態間で並進運動可能または回転可能に変位可能である。ここに示されている例では、プリセレクタ70は、ハウジング10に対して回転可能である。プリセレクタ70は、ハウジング10に軸方向に固定される。少なくとも2つの事前選択位置状態のいずれでも、プリセレクタ70はハウジング10に固定可能である。このため、プリセレクタ70およびハウジング10の相互係合は、対応する形状の少なくとも2つまたはそれ以上の凹部のうちの1つに機械的に係合可能な少なくとも1つの突起などのラチェット機構を含むことができる。
プリセレクタ70は、スリーブセクション71を含む。スリーブセクション71は、ハウジング10内に配置される。スリーブセクション71の外向き部分は、ハウジング10の側壁13の内向き部分に面している。ハウジング10は、図18〜図21に示すように、事前選択窓(preselection window)11を含む。プリセレクタ70のスリーブセクション71の外面には、たとえば1、2、3などの1つまたはいくつかの用量標示数字(dose indicating number)の形態の少なくとも1つの事前選択インジケーション(preselection indication)77が設けられる。ハウジング10に対するプリセレクタ70の回転状態に応じて、用量標示数字のうちの1つのみが事前選択窓11内に現れる。図19に示すように、サイズ1の用量が現在事前選択されている。図20ではサイズ2の用量が事前選択されており、図21の構成では、数字3によって特徴付けられた用量サイズが事前選択されている。
数字、または記号もしくは文字などの任意の他のタイプの事前選択インジケーションが、投薬予定の薬剤のいくつかの標準単位を表すことができる。たとえば、事前選択インジケーション77の数字1は、薬剤の10の標準単位を表すことができる。プリセレクタ70を動かして回転させるために、スリーブセクション71の外向き面内に径方向凹部72が設けられる。凹部72は、図23に示すように、ハウジング10の側壁13内の貫通口78と位置合わせされる。ここで、介護者などの許可された人は、ツールを使用して、貫通口78を通してスリーブセクション71の凹部72に係合することができる。次いで、このツールを使用することによって、回転軸である細長いハウジング10の長手方向軸zに対してプリセレクタ70を回転させることができる。したがって、別の事前選択インジケーション77が、事前選択窓11内に現れる。図23に示す貫通口78は、プリセレクタ70の無許可の操作を防止するために、ラベル、粘着テープ、または取り外し可能なカバーによって覆うことができる。
図15にさらに示すように、プリセレクタ70は、多数のプリセレクタ止め機能73、74、75を含む。プリセレクタ止め機能73、74、75は、長手方向に延びており、スリーブセクション71から遠位方向2に突出することができる。プリセレクタ止め機能73、74、75は、プリセレクタ70のスリーブセクション71から軸方向または長手方向に突出する突起76の階段状セクションとして設けることができる。
第1の止め機能73、第2の止め機能74、および第3の止め機能75として示す止め機能73、74、75は各々、それぞれの止め面73a、74a、75aを含む。止め面73a、74a、75aは、遠位方向2を向いている。止め機能73、74、75は、スライダ60の相応の形状の用量止め機能63に係合するように構成される。用量止め機能63は、近位向き止め面63aを含む。
図4に示す初期構成では、用量止め機能63とプリセレクタ止め機能73、74、75のいずれとの間にも長手方向距離および自由空間が存在する。この構成は、スライダ60の初期位置iを表す。インターロック84が解放されると、スライダ60は、弛緩ばね80の作用を受けて、近位向きの前進運動を受ける。スライダ60は長手方向運動を受け、その後、用量止め機能63の止め面63aが、プリセレクタ止め機能73、74、75のうちの1つのプリセレクタ止め機能の1つの止め面73a、74a、75aに軸方向に当接する。
図5に示す構成で、用量止め機能63は、第2のプリセレクタ止め機能74に軸方向に係合および当接している。近位向き止め面63aは、遠位向き止め面74aに直接当接している。止め機能63、73、74、75が共通の径方向平面内に位置し、スライダ60がハウジング10に摺動係合しているため、用量の最大サイズ、したがってスライダ60の起動位置は、プリセレクタ止め機能73、74、75のうちの1つに対する用量止め機能63の長手方向の位置合わせによって管理される。各止め機能73、74、75は、止め面73a、74a、75aを含み、さまざまな止め機能73、74、75の止め面は、互いに対して軸方向にずれている。
図15に示すように、さまざまなプリセレクタ止め機能73、74、75は、長手方向または軸方向に異なる長さを含む。それに応じて、または別法として、止め機能73、74、75の止め面73a、74a、75aは、互いに対して軸方向にずれて位置する。たとえば、最も遠位の止め機能75が用量止め機能63と位置合わせされるように、プリセレクタ70がハウジング10に対して回転された場合、用量止め機能63がそれぞれの止め機能75に軸方向に当接するまで、スライダ60の変位経路は近位方向3に見て比較的短い。
プリセレクタ止め機能73などの別のプリセレクタ止め機能が、用量止め機能63と長手方向に位置合わせされる場合、初期位置から図21に示す起動位置へのスライダ60の動きはかなり長く、これは最大用量サイズに対応する。最も遠位のプリセレクタ止め機能75が用量止め機能63と長手方向に位置合わせされたとき、最も小さい事前選択インジケーション77、すなわち数字1が、事前選択窓11内に現れる。最も近位のプリセレクタ止め機能73が用量止め機能63と長手方向に位置合わせされたとき、最も大きい事前選択インジケーション77、すなわち数字3が、事前選択窓11内に現れる。
図5および図20の構成から開始し、プリセレクタ70を注射デバイス1の近位端から見て時計回り方向に回転させたとき、最も近位のプリセレクタ止め機能73が、用量止め機能63と位置合わせされる。それに応じて、初期位置iと起動位置aとの間のスライダ60の長手方向行程に対する自由経路長が拡大される。図21に示す起動位置aに最終的に到達したとき、用量ボタン61、したがってスライダ60は、別のプリセレクタ止め機能74または75が用量止め機能63と位置合わせされたプリセレクタの構成と比較すると、ハウジング10の近位端からさらに遠くへ突出する。
ハウジング10は、ハウジング10に対するスライダ60の瞬時の状態または位置が示される用量標示窓(dose indicating window)12をさらに含む。用量標示窓12内には、スライダ60の外面上に設けられた用量サイズインジケータ(dose size indicator)66が現れる。図18に示す初期位置にあるとき、用量サイズインジケータ66は、矢印の形態で現れて、スライダ60を近位方向3へ変位させる必要があることを使用者に示すことができる。図19〜図21のいずれかに示す起動位置aに到達したとき、異なるまたは同一の用量サイズインジケータ66が、用量標示窓12内に現れ、それによって注射デバイス1が薬剤の用量を投薬および排出する用意ができたことを使用者に示す。ここで、用量サイズインジケータ66は、遠位方向2を指す矢印を示すことができる。
注射デバイス1は、図13に示す支持体90をさらに含む。支持体90は、ハウジング10内に固定される。支持体90は、駆動機構8のいくつかの他の構成要素のための取り付け支持体または取り付けプラットフォームとして働く。支持体90はまた、ハウジング10と一体的に形成することができる。注射デバイス1を組み立てる目的で、支持体90をハウジング10内に組み立てられて固定される別個の構成要素として提供することが有益である。支持体90は、支持体に一体的に形成されたリテーナ86をさらに含む。まず、支持体90およびリテーナ86は、注射デバイス1のハウジング10内に位置的に固定される。リテーナ86は、支持体90の一体部材として構成および設計することができる。しかし、リテーナ86は、より詳細に以下に説明するように、ドライバ30に機械的に係合するように構成される。支持体90およびリテーナ86のうちの少なくとも一方はまた、ハウジング10と一体的に形成することができる。
支持体90は、細長い形状の本体91を含む。近位端では、本体91は、径方向に広がっているフランジセクション97を含み、フランジセクション97は、対極に位置する2つの凹部98を有する。スライダ60は、2つの細長い脚部64、65を含み、脚部64、65は各々、凹部98のいずれか1つにおいて長手方向に案内される。このようにして、スライダ60は、ハウジング10および支持体90に対して長手方向に変位可能である。スライダ60は、支持体90に対して長手方向に摺動することは可能にされるが、支持体および/またはハウジング10に対して回転することは妨害される。
支持体90は、2つの幾何的に対向する長手方向に延びる支柱セクション92、93を含み、支柱セクション92、93は各々、遠位面94を有する。たとえば図23に示す最終アセンブリ構成で、支柱セクション92、93は、ねじ付インサート44またはハウジング10の径方向内方へ延びるフランジセクションに軸方向に当接する。ねじ付インサート44は、図6に別個に示されている。ねじ付インサート44は、ハウジング10の側壁13の内向き部分と一体的に形成することができる。ねじ付インサート44は、スリーブセクション45を含み、ピストンロッド20は、スリーブセクション45を通って長手方向に延びる。スリーブセクション45、したがってねじ付インサート44は、内側ねじ山43を含み、内側ねじ山43は、ピストンロッド20の外側ねじ山23にねじ係合する。
ねじ付インサート44は、スリーブセクション45から径方向外方へ延びる径方向に広がるソケットセクション47を含む。ソケットセクション47は、ハウジング10の側壁13に連結される。ソケットセクション47は、径方向外方へ延びる肩部分48を形成および構成する。図23に示すように、支柱セクション92、93の遠位面94は、肩部分48に軸方向に当接する。このようにして、支持体90は、ハウジング10内に軸方向に固定することができる。スライダ60の細長い脚部64、65は各々、初期位置iに到達したとき、たとえば用量投薬処置の終了時に、ねじ付インサート44の肩部分48に軸方向に当接するように構成された遠位面67を含む。このようにして、スライダ60の遠位向きの変位を阻止および制限し、それによって用量投薬処置を終了することができる。
スライダ60は、管状またはノブ状の用量ボタン61をさらに含み、用量ボタン61は、遠位向きの支持面61aを有する。用量ボタン61aは、スライダ60の近位端を形成する。用量ボタン61の遠位端面は、たとえば図23に示すように、支持体90のフランジセクション97に軸方向に当接して、スライダ60の遠位向きの変位を制限し、スライダ60の初期位置iを画成することができる。
図23に示す初期位置iで、支持面61aは、支持体90のフランジセクション97に軸方向に当接する。支持体90とスライダ60との間に、ばね80が設けられる。図23に示すように、支持体90は中心孔を含み、この中心孔内にばね80の遠位端81が位置する。ばねの反対側の端部、したがって近位端82は、用量ボタン61の孔に位置する。ばね80の遠位端および/または近位端81、82は、支持体90およびスライダ60に固定され、または支持体90およびスライダ60のそれぞれの当接面に当接する。
ばね80は、螺旋状に巻かれた圧縮ばねを含む。スライダ60の初期位置で、ばね80は、少なくとも所定の程度の張力が事前にかけられており、したがってインターロック84を解放したとき、スライダ60は、支持体90に対する近位向きの摺動運動を受ける。
インターロック84は、図12、図17、および図23により詳細に示されている。インターロック84は、スライダ60に連結または一体化された第1の係合構造68b、69bと、少なくとも1つの解放部材100、101に連結または一体化された第2の係合構造109とを含む。スライダ60は、対極に位置して長手方向に延びる2つのインターロック部材68、69を含む。インターロック部材68、69は、長手方向に延びる直線状のアームまたは脚部を含み、これらのアームまたは脚部は、用量ボタン61の遠位端から軸方向に延びる。インターロック部材68、69は、スライダ60の脚部64、65の長さに実質上平行に延びる。円周方向に見て、2つのインターロック部材68、69は、対極に位置する脚部64、65間に接線方向または円周方向に位置する。
インターロック部材68、69は各々、フランジセクション97において支持体90の近位端に設けられた別の凹部99または貫通口を通って延びる。図17により詳細に示すように、インターロック部材68、69は各々、細長いアーム68a、69aを含む。インターロック部材68、69は各々、係合構造68b、69bを含む。この例では、係合構造68b、69bは、解放部材100、101の相応の形状の係合セクション109に選択的に係合可能である鋸歯状または歯状の表面を含む。
解放部材100、101は、支持体90と一体的に形成することができる。代替として、解放部材100、101は、別個の構成要素として設けられる。解放部材100、101およびそれぞれの解放ボタン102、104は、支持体90の弾性アーム106、107の自由端に設けられ、アーム106、107は、径方向に偏向可能である。図13に示すように、弾性アーム106、107は、支持体90の本体91から径方向外方へ突出する支持体90のフランジセクション104に提供および配置される。
弾性アーム106、170は、インターロック部材68、69のアーム68a、69aに実質上平行に延びる。弾性アーム106のうちインターロック部材68の方を向いている側には、係合構造68bに解放可能に係合するように構成された歯状セクションの形態の係合構造109が設けられる。弾性アーム107のうちインターロック部材69の方を向いている側には、歯状セクション109の形態の相応の形状の係合セクションが設けられる。係合セクション68b、69b、109の歯は、鋸歯プロファイルを含み、したがって解放部材100、101およびそれぞれの弾性アーム106、107に対するスライダ60の遠位向きの摺動変位を可能にする。
係合構造68b、69b、109の鋸歯プロファイルは、解放部材100、101、解放ボタン102、103、および弾性アーム106、107が初期の非押し下げ構成にある限り、スライダ60、したがってスライダ60のインターロック部材68、69の近位向きの摺動変位が妨害されるようになっている。
図17にさらに示すように、インターロック部材68、69、したがって細長いアーム68a、69aは、解放ボタン102、103とそれぞれの弾性アーム106、107との間に長手方向に延びる。言い換えれば、インターロック部材68、69は各々、歯状セクション109と対応する解放ボタン102、103との間の間隙を通って延びる。解放ボタン102、103は、図13に示す径方向に延びる連結片108によって、弾性アーム106、107に連結される。連結片108の径方向の長さは、それぞれインターロック部材68、69の径方向の厚さより大きい。
両方の解放部材100、101、したがって両方の解放ボタン102、103を同時に押し下げることによって、それぞれの弾性アーム106、107は径方向内方へ変位され、それによって解放部材100、101の係合セクション109をそれぞれインターロック部材68、69の係合セクション68b、69bから係合解除する。このようにして、インターロック84は解放され、スライダ60は、ばね80の作用を受けて近位方向3に自由に変位することができる。
支持体90は、遠位向きの歯状セクション96をさらに含む。歯状セクション96は、2つの支柱セクション92、93が遠位方向2に延びるフランジセクション95の領域内またはフランジセクション95上に設けることができる。歯状セクション96は環状の形状であり、遠位方向を向いている。歯状セクション96は、鋸歯状プロファイルを含む。
ピストンロッド20は、ピストンロッド20の遠位端上に回転可能に支持されたプレッシャフット(pressure foot)22を含む。このようにして、ピストンロッド20は、プレッシャフット22がカートリッジ6のピストン7の近位推力受け面(proximal thrust receiving surface)に軸方向に当接しているとき、プレッシャフット22に対して回転することが可能になる。ピストンロッドの詳細図が図6に示されている。ピストンロッド20は、外側ねじ山23を含み、外側ねじ山23は、ねじ付インサート44の内側ねじ山43にねじ係合される。代替として、ピストンロッド20は、ハウジング10のねじ孔を通って延びる。ピストンロッド20は、外側ねじ山23を交差する2つの細長い直線状の軸方向に延びる溝21をさらに含む。図7に示すように、反対側に位置する溝21は、ドライバ30の径方向内方へ延びる突起38にスプライン係合している。
ドライバ30は、ピストンロッド20の軸方向の一部分を囲むドライバスリーブセクション31を含む。ドライバ30は、その遠位端付近または遠位端に、径方向に広がっているフランジ32を含む。フランジ32は、クラッチばね40に軸方向に当接する。図10に示すクラッチばね40は、ねじ付インサート44の近位面46とドライバ30の遠位端との間に軸方向に挟まれている。クラッチばね40は、圧縮ばねとして構成され、または圧縮ばねを含む。クラッチばね40の一方の端部は、ねじ付インサート44の近位面46によって支持され、クラッチばね40の反対側の端部は、ドライバ30のフランジ32に当接する。別法として、クラッチばね40の遠位端は、ハウジング10の近位面、縁、または径方向内方へ延びるフランジセクションに当接することができる。
図6、図7、および図9にさらに示すように、ドライバ30は、ドライバ30の近位端またはドライバ30の近位端付近に、第1の歯状セクション36および第2の歯状セクション34を含む。第1の歯状セクション36は、ドライバの軸方向面35、典型的には軸方向端面35に設けられる。第1の歯状セクション36は、近位軸方向端面に設けられる。第1の歯状セクション36は、リテーナ86の相応の形状の歯状セクション96に係合するように構成される。リテーナ86は、図13に別個に示されている。第1の歯状セクション36は環状の形状であり、ドライバスリーブセクション31の円周に沿って互いに隣接して配置された多数の歯36aを含む。典型的に、第1の歯状セクション36の歯36aは、ハース歯(hirth toothing)に類似しまたはそれを構成しており、歯36aの先端は軸方向に突出し、連続した歯36a間の溝は、ドライバスリーブセクション31の管状の形状に対して径方向に延びる。
第1の歯状セクション36の歯36aは、鋸歯プロファイルを含む。したがって、第1の歯状セクション36の歯36aは各々、鋸歯36aを含む。第1の歯状セクション36の鋸歯36aは、急勾配のエッジと、浅いまたは平坦なエッジとを含む。図6および図9に示すように、第1の歯状セクション36の歯36aの急勾配のエッジは、第1の回転方向または第1の方向4を向いている。第1の歯状セクション36の鋸歯36aの浅いまたは平坦なエッジは、図9に示す第2の回転方向または第2の方向5を向いている。
リテーナ86は、図10および図13に示すように、相応の形状の歯状セクション96を含む。相応の形状の歯状セクション96もまた、第1の歯状セクション36の鋸歯36aと比較すると実質上同一の形状およびサイズである多数の鋸歯を含む。ドライバ30がクラッチばね40によって近位方向3に付勢されるため、ドライバ30の近位端面35に設けられた第1の歯状セクション36は、リテーナ86の相応の形状の歯状セクション96に当接および係合した状態で維持される。第1の歯状セクション36および相応の形状の歯状セクション96の相互に対応する鋸歯状のプロファイルのため、第1の方向4に沿ったドライバ30の回転が恒久的に防止される。反対の方向、したがって第2の方向5に沿った回転は、可能にされて支持される。
ドライバ30が第2の方向5に回転したとき、第1の歯状セクション36および相応の形状の歯状セクション96の浅いまたは平坦な形状のエッジは、互いに対して摺動することが可能になる。リテーナ86の歯状セクション96に対する第1の歯状セクション36のそのような回転運動に付随して、長手方向(z)へのドライバ30のわずかな軸方向変位が生じる。
第1の歯状セクション36の歯36aおよび相応の形状の歯状セクション96の浅いエッジが円周方向における相対摺動変位を受けると、歯状セクション36、96の歯の鋸歯状プロファイルの軸方向の傾斜によって、ドライバ30の遠位向きの摺動運動が生じ、その後、相互に係合された歯状セクション36、96の歯の頂上または先端が互いを通過する。相互に対応する歯状セクション36、96の歯の先端を通過するとすぐに、クラッチばね40はドライバ30を近位方向3に付勢し、したがって歯状セクション36の先端または頂上が、相応の形状の歯状セクション96の溝に係合し、逆も同様である。
したがって、第2の方向5に沿った第2の方向5へのドライバ30の回転に付随して、長手方向におけるドライバ30の前後運動が生じる。さらに、リテーナ86およびハウジング10に対するドライバ30の段階的なラチェット状の回転運動に付随して、可聴クリック音が生じ、したがって投薬または薬物送達動作が現在処理中であるという可聴フィードバックを、使用者または医療従事者に提供することができる。
ドライバが第1の方向4に沿ったトルクを受けた場合でも、第1の歯状セクション36の歯36aの急勾配のエッジは、リテーナ86の相応の形状の歯状セクション96の鋸歯の相応の形状の急勾配のエッジに耐トルク係合し、その状態のままである。このようにして、第1の方向4に沿ったドライバ30の回転が事実上防止される。
ドライバ30は、突起38を介してピストンロッド20に恒久的にスプライン係合しているため、近位方向3に沿ったまたは近位方向3へのピストンロッド20の逆回転または後退が事実上邪魔および防止される。第1の回転方向または方向4とは反対の第2の方向5または第2の回転方向に沿った回転は、歯状セクション36、96の係合によって支持されて可能になる。
注射デバイス1は、中空内部59を有するクラッチ50をさらに含む。クラッチ50は、ドライバ30の少なくとも一部分を中空内部59内に受け入れるように構成される。少なくともドライバスリーブセクション31の一部分および/またはドライバ30の一部分が、クラッチ50の中空内部59内に配置される。このようにして、ドライバ30およびクラッチ50の入れ子状または交互配置状の構成を提供することができる。これにより、注射デバイス1の駆動機構8のかなり安定した丈夫な構造が可能になる。
さらに、少なくとも部分的に入れ子状または交互配置状の配置および構成により、注射デバイス1のかなり小型で空間節約的な設計が有効になる。部分的に交互配置状または入れ子状の構成もまた、ドライバ30およびクラッチ50がハウジング10に対する回転に関して相互の支持を提供するという点で有益である。たとえば、ドライバ30は、ピストンロッド20によって機械的に支持され、ドライバ30とクラッチ50との間の交互配置状または入れ子状の配置により、クラッチ50に対する回転可能な支持が提供される。クラッチ50がドライバスリーブセクション31の少なくとも一部分を受け入れるため、クラッチ50は、ドライバ30によって回転可能に支持される。これは、クラッチ50とドライバ30との間のトルク伝送係合にとって有益であり、注射デバイス1のさまざまな構成要素間の機械公差およびバックラッシュを低減させることができる。
図9および図10に示すように、クラッチ50、特にそのクラッチスリーブセクション51は、ドライバ30のフランジ32の近位側に軸方向に当接する遠位面57を含む。クラッチ50は、外側ねじ山52をさらに含み、外側ねじ山52は、スライダ60のセクション上に設けられた内側ねじ山62にねじ係合する。内側ねじ山62は、スライダ60の2つの脚部64、65上に提供および/または分散されている。このようにして、スライダ60の長手方向の摺動変位をクラッチ50の回転に変換することができる。スライダ60とクラッチ50との間のねじ係合は、ハウジング10またはクラッチ50に対するスライダ60の近位向きの変位が、第1の方向4に沿ったクラッチ50の回転を招くようになっている。
ハウジング10、したがってクラッチ50に対する遠位方向2へのスライダ60の反対向きの摺動変位は、第2の方向5に沿ったクラッチ50の回転を招く。クラッチ50およびスライダ60は、恒久的にねじ係合されている。ハウジング10および/またはクラッチ50に対するスライダ60のあらゆる軸方向の摺動変位は、第1の方向または第2の方向に沿ったクラッチ50のそれぞれの回転に変換される。
クラッチ50は、ドライバ30に単方向にトルク伝達係合される。これは、ドライバスリーブセクション31の側壁37の外面上に設けられた第2の歯状セクション34によって実現される。第2の歯状セクション34もまた、多数の鋸歯34aを含み、鋸歯34aは各々、図7に示すように、側壁37の外面から径方向外方へ突出する。鋸歯34aは各々、第1の方向4にまたは第1の方向4に沿って向いている急勾配のエッジを含む。鋸歯34aはまた、第2の方向5を向いている浅いまたは平坦なエッジを含む。
第2の歯状セクション34は、第1の歯状セクションに軸方向に隣接して配置することができる。歯36a、34aの急勾配のエッジおよび平坦または浅いエッジは、径方向に位置合わせすることができ、または径方向に同一平面とすることができる。したがって、第1の歯状セクション36および第2の歯状セクション34は、等しい数の連続した歯を含む。
クラッチ50は、少なくとも1つの係合セクション55、56を含む。典型的に、図8に示すように、クラッチ50は、第1および第2の係合セクション55、56を含む。係合セクション55、56は、それぞれ第1および第2のラチェット部材53、54の自由端53a、54aに位置する。概して、クラッチ50は、径方向に弾性変形可能である少なくとも1つのラチェット部材53、54を含む。ここに示す例では、クラッチ50は、2つのラチェット部材、すなわち第1のラチェット部材53および第2のラチェット部材54を含む。ラチェット部材53、54は、クラッチ50の近位端、したがってクラッチスリーブセクション51の近位端に設けられる。
クラッチ50の近位面58は、第1および第2のラチェット部材53、54によって形成または構成される。少なくとも第1および第2のラチェット部材53、54の各々は、クラッチスリーブセクションの側壁51aに共形である弧状の幾何形状を含む。したがって、ラチェット部材53、54は、クラッチスリーブセクション51の側壁51aと軸方向に同一平面である。ラチェット部材53、54は、クラッチ50、したがってクラッチスリーブセクション51と一体的に形成される。クラッチ50は、射出成形プラスチック構成要素を含むことができ、または射出成形プラスチック構成要素からなることができる。
ラチェット部材53、54の自由端53a、54aは、クラッチスリーブセクション51の側壁51a内の長手方向またはL字形のスリットによって、クラッチスリーブセクション51から分離される。係合セクション55、56は、第2の歯状セクション34の鋸歯34aの急勾配のエッジに係合するために、径方向内方へ延びる突起を含むことができる。しかし、ラチェット部材53、54の端面が鋸歯34aの急勾配のエッジに係合するだけでも十分である。
これは、鋸歯34aの先端で測定される第2の歯状セクション34の外径が、第1および第2のラチェット部材53、54の領域内のクラッチスリーブセクション51の内径よりわずかに大きいときに達成することができる。このようにして、第2の歯状セクション34が少なくとも2つのラチェット部材53、54間の自由空間内に位置するとき、ラチェット部材53、54は径方向外方へ弾性変形する。
別法として、ラチェット部材53、54が径方向内方へ付勢され、したがって初期構成で、ラチェット部材53、54、したがって係合セクション55、56の自由端が、クラッチスリーブセクション51の側壁51aの内面から径方向内方へ突出することも考えられる。クラッチ50がドライバ30を受け入れるとき、ラチェット部材53、54は、第2の歯状セクション34に係合すると、径方向外方へ少なくともわずかに付勢される。
この例は、弾性変形可能なラチェット部材53、54を示す。しかし、注射デバイス1は決して、弾性変形可能なラチェット部材に限定されるものではない。ラチェット部材53、54は、クラッチ50上に旋回可能に支持されることも考えられる。ラチェット部材53、54は、ここではこれ以上説明しないが、ばねによって提供される復元力に逆らって、径方向外方へ旋回可能とすることができる。このようにして、類似のラチェット作用を達成することができる。
図9に示すように、係合セクション55、56は、ドライバ30の第2の歯状セクション34の鋸歯34aに恒久的に係合する。第2の歯状セクション34の鋸歯状プロファイルは、用量設定処置中にクラッチ50が第1の方向4に沿って回転するとき、クラッチ50のラチェット部材53、54が第2の歯状セクション34に沿って第2の歯状セクション34に対して摺動するように選択される。リテーナ86との係合によって、ドライバ30が第1の方向4に沿って回転することが妨害されるため、ドライバ30は、スライダ60の近位向きの変位によって誘起されるクラッチ50の回転に追従することはできない。
第1の方向4に沿ったクラッチ50の回転に付随して、ラチェット部材53、54が第2の歯状セクション34の歯34aの先端を通過すると、可聴クリック音が生成される。クリック音は、係合セクション55、56が第2の歯状セクション34の歯34aの先端を通過するたびに生成され、それによって用量設定処置が進行中であるという可聴フィードバックを、注射デバイス1の使用者に提供する。クラッチ50が第1の方向4に回転するとき、ドライバ30は、リテーナ86に耐トルク係合し、その状態のままである。
クラッチ50が第2の方向5の回転を受けたとき、係合セクション55、56は、第2の歯状セクション34の歯34aの急勾配のフランジまたは急勾配のエッジに当接したままであり、それによって第2の方向5に沿ってそれぞれの角運動量またはトルクをドライバ30へ伝達する。したがって、ドライバ30は第2の方向5に回転し、この回転は、ピストンロッド20の回転に等しく変換される。
ねじ付インサート44とのそのねじ係合のため、ピストンロッド20は遠位方向2に前進して、薬剤の設定された用量をカートリッジ6から排出する。
クラッチ50は、支持体90のフランジセクション95とドライバ30のフランジ32との間に軸方向または長手方向に挟まれている。このようにして、クラッチ50は、ハウジング10内で軸方向に拘束される。クラッチ50の近位面58は、支持体90またはリテーナ86に軸方向に当接する。クラッチの遠位面57は、ドライバ30のフランジ32の近位側に軸方向に当接する。スライダ60が遠位方向2に押し下げられたとき、クラッチ50は、遠位向きの変位を受けることができ、その後、スライダ60とのねじ係合により回転し始める。
クラッチ50の遠位面57は、フランジ32の近位側に当接し、その状態のままであるため、用量投薬処置の開始時のクラッチ50の軸方向遠位向きの変位は、ドライバ30のそれぞれの軸方向変位に変換される。このようにして、第1の歯状セクション36をリテーナ86の歯状セクション96から係合解除することができる。それに応じて、ドライバ30は、リテーナ86との接触から解放されて、第2の方向5に沿って回転し始めることができる。したがって、たとえば使用者の親指によって、スライダ60が押し下げられている限り、第1の歯状セクション36とリテーナ86の対応する形状の歯状セクション96との間の摩擦がなくなるため、スライダ60に遠位方向2に印加すべき投薬力を減少させることができる。
注射デバイス1の動作は次のとおりである。患者または消費者に渡されたとき、注射デバイス1は投薬の用意ができている。注射デバイスは、プライミング処置が必要ないように事前構成または製造することができる。別法として、ピストンロッド20のプレッシャフット22がカートリッジ6のピストン7に直接当接していることを確実にするために、注射デバイスがプライミング処置またはエアショットを受けなければならないことが考えられる。
使用者は、2つの解放部材100、101を同時に押し下げなければならない。このようにして、その2つのセクション109およびインターロック部材68、69は係合解除され、互いから動作可能に解放される。次いでスライダ60は、解放ばね80の作用を受けて、近位方向3に自由に変位することができる。スライダ60のこの近位向きの変位は、スライダ60の用量止め機能63がプリセレクタ止め機能73、74、75のうちの1つに軸方向に当接するまで続く。次いで、スライダ60の近位向きの変位のため、たとえば図20に示すように、その用量ボタン61がハウジング10の近位端から突出する。次いでデバイスは、薬剤の用量の投薬または排出の用意ができる。事前選択窓11内に、用量の事前選択されたサイズが示される。対応する用量標示窓12内には、たとえば2つの矢印が現れ、したがってここで用量ボタン61を遠位方向2に押し下げることができることを使用者に示す。
スライダ60の近位変位に付随して、図9に示す第1の回転方向4へのクラッチ50の回転が生じる。ドライバ30は静止した状態で維持され、歯状セクション36および96によって支持体90に非回転係合したままである。この回転インターロックは、ドライバ30を付勢して支持体90に対して単方向に耐トルクおよび非回転で係合させるように構成されたクラッチばね40によってさらに支持される。
スライダ60がばね80の作用に逆らって遠位方向2に押し下げられる用量投薬処置中、クラッチ50は、第2の回転方向5に沿った回転を受ける。クラッチ50のラチェット部材53、54および係合セクション55、56は、クラッチ50からの角運動量をドライバ30へ伝達するように構成される。その限りにおいて、ドライバ30はまた、第2の回転方向5に沿って回転し始める。ドライバ30の径方向内方へ延びる突起38は、ピストンロッド20のそれぞれの長手方向溝21にスプライン係合する。したがって、第2の回転方向5に沿ったドライバ30の回転が、ピストンロッド20のそれぞれの回転に変換される。ハウジング10に対するピストンロッド20のねじ係合により、ピストンロッド20は、それぞれの遠位向きの前進運動を受け、それによってカートリッジ6からそれぞれの量の薬剤を排出する。
初期位置iとそれぞれの起動位置aとの間のハウジング10に対するスライダ60の長手方向行程は、プリセレクタ70の位置状態によって決定される。プリセレクタ70は、少なくとも1つの軸方向に延びる突起76を含む。図15に示すように、プリセレクタ70は、対極に位置する対称に構成された2つの突起76をさらに含むことができ、突起76は各々、多数のプリセレクタ止め機能75、74を有する。突起76の底部、したがってプリセレクタ70のスリーブセクション71の縁は、別のプリセレクタ止め機能73を形成または構成することができる。プリセレクタ止め機能73、74、75は各々、明確な止め面73a、74a、75aを含む。止め面73a、74a、75aのうちの1つは、用量止め機能63と軸方向に位置合わせすることができる。用量止め機能63と、用量止め機能63と軸方向に位置合わせされたその特定の止め面73a、74a、75aとの間の自由空間により、初期位置iと少なくとも1つの起動位置aとの間でスライダ60を変位させることができる軸方向距離が決定される。
用量の事前選択の修正には、回転軸である注射デバイスの長手方向軸に対してプリセレクタ70を回転させる必要がある。このようにして、プリセレクタ止め機能73、74、75のうちの別のプリセレクタ止め機能を、用量止め機能63と長手方向に位置合わせすることができる。プリセレクタ止め機能73、74、75の軸方向位置はすべて異なるため、スライダ60の相応に修正された長手方向変位経路を実施することができる。
1 注射デバイス
2 遠位方向
3 近位方向
4 第1の方向
5 第2の方向
6 カートリッジ
7 ピストン
8 駆動機構
9 用量設定機構
10 ハウジング
11 事前選択窓
12 用量標示窓
13 側壁
14 カートリッジホルダ
15 ニードルアセンブリ
16 内側ニードルキャップ
17 外側ニードルキャップ
18 保護キャップ
19 凹部
20 ピストンロッド
21 溝
22 プレッシャフット
23 ねじ山
25 筒体
26 封止
28 ソケット
30 ドライバ
31 ドライバスリーブセクション
32 フランジ
33 孔
34 歯状セクション
34a 歯
35 軸方向面
36 歯状セクション
36a 歯
37 側壁
38 突起
40 クラッチばね
43 内側ねじ山
44 ねじ付インサート
45 スリーブセクション
46 近位面
47 ソケットセクション
48 肩部分
50 クラッチ
51 クラッチスリーブセクション
51a 側壁
52 ねじ付セクション
53 ラチェット部材
53a 自由端
54 ラチェット部材
54a 自由端
55 係合セクション
56 係合セクション
57 遠位面
58 近位面
60 スライダ
61 用量ボタン
61a 支持面
62 ねじ付セクション
63 用量止め機能
63a 止め面
64 脚部
65 脚部
66 用量サイズインジケータ
67 遠位面
68 インターロック部材
68a アーム
68b 係合構造
69 インターロック部材
69a アーム
69b 係合構造
70 プリセレクタ
71 スリーブセクション
72 凹部
73 止め機能
73a 止め面
74 止め機能
74a 止め面
75 止め機能
75a 止め面
76 突起
77 事前選択インジケーション
78 貫通口
80 ばね
81 遠位端
82 近位端
84 インターロック
86 リテーナ
90 支持体
91 本体
92 支柱セクション
93 支柱セクション
94 遠位面
95 フランジセクション
96 歯状セクション
97 フランジセクション
98 凹部
99 凹部
100 解放部材
101 解放部材
102 解放ボタン
103 解放ボタン
104 フランジセクション
106 弾性アーム
107 弾性アーム
108 連結片
109 係合構造

Claims (18)

  1. 薬剤の用量の設定および注射のための注射デバイスであって:
    長手方向軸(z)に沿って延びる細長いハウジング(10)と、
    薬剤が充填されたカートリッジ(6)のピストン(7)に動作可能に係合するピストンロッド(20)と、
    中空内部(59)を含み、用量の設定中にハウジング(10)に対して第1の方向(4)に回転し、用量の送達中にハウジング(10)に対して第2の方向(5)に回転するように構成され、第2の方向(5)が第1の方向(4)とは反対である、クラッチ(50)と、
    用量の送達中に第2の方向(5)へのクラッチ(50)の回転運動に追従するように構成されたドライバ(30)であって、ピストンロッド(20)が、ドライバ(30)に動作可能に係合され、ドライバ(30)が第2の方向(5)に回転したとき、ハウジング(10)に対して長手方向軸(z)に沿って変位するように構成される、ドライバ(30)と、
    用量の設定中に第1の方向(4)へのハウジング(10)に対するドライバ(30)の回転運動を防止するように構成されたリテーナ(86)とを含み、
    ここで、ドライバ(30)は、ドライバスリーブセクション(31)を含み、該ドライバスリーブセクション(31)の少なくとも一部分は、クラッチ(50)の中空内部(59)内に配置される、前記注射デバイス。
  2. クラッチ(50)およびドライバ(30)は、用量の送達のための単方向トルク伝動装置を形成し、クラッチ(50)は、第2の方向(5)に回転したとき、ドライバ(30)に耐トルク係合する、請求項1に記載の注射デバイス。
  3. ドライバ(30)は、軸方向面(35)に第1の歯状セクション(36)を含み、該第1の歯状セクションは、リテーナ(86)の相応の形状の歯状セクション(96)に係合するように構成される、請求項1または2に記載の注射デバイス。
  4. 第1の歯状セクション(36)は、ドライバの軸方向面(35)から長手方向に突出する多数の鋸歯(36a)を含む、請求項3に記載の注射デバイス。
  5. ドライバ(30)を付勢してリテーナ(86)に当接させるように構成されたクラッチばね(40)をさらに含む、請求項3または4に記載の注射デバイス。
  6. ドライバスリーブセクション(31)は、側壁(37)を含み、該側壁(37)の外面に第2の歯状セクション(34)がある、請求項1〜5のいずれか1項に記載の注射デバイス。
  7. 第2の歯状セクション(34)は、側壁(37)の外面から径方向に突出する多数の鋸歯(34a)を含む、請求項6に記載の注射デバイス。
  8. クラッチ(50)は、ドライバ(30)の相補形または相応の形状の対向係合セクションに単方向の耐トルク係合するように構成された少なくとも1つの係合セクション(55、56)を含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の注射デバイス。
  9. クラッチ(50)は、クラッチ(50)が第2の方向(5)に回転したとき、第2の歯状セクション(34)に単方向の耐トルク係合するように構成された少なくとも1つの係合セクション(55、56)を含む、請求項6または7に記載の注射デバイス。
  10. クラッチ(50)は、径方向に弾性変形可能な少なくとも1つのラチェット部材(53、54)を含み、少なくとも1つの係合セクション(55、56)は、少なくとも1つのラチェット部材(53、54)の自由端(53a、54a)に配置される、請求項9に記載の注射デバイス。
  11. クラッチ(50)は、ドライバ(30)のドライバスリーブセクション(31)の少なくとも一部分を囲むクラッチスリーブセクション(51)を含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の注射デバイス。
  12. 少なくとも1つのラチェット部材(53、54)は、クラッチスリーブセクション(51)の側壁(51a)に共形の弧状の幾何形状を含む、請求項10および11に記載の注射デバイス。
  13. クラッチ(50)は、少なくとも第1のラチェット部材(53)および第2のラチェット部材(54)を含み、該第1のラチェット部材(53)および該第2のラチェット部材(54)は、互いに対極に配置される、請求項10〜12のいずれか1項に記載の注射デバイス。
  14. ドライバ(30)は、ピストンロッド(20)に回転不能にロックされ、ピストンロッド(20)は、ハウジング(10)にねじ係合される、請求項1〜13のいずれか1項に記載の注射デバイス。
  15. クラッチ(50)は、スライダ(60)にねじ係合するねじ付セクション(52)を含み、スライダ(60)は、ハウジング(10)に対して長手方向に摺動可能に変位可能であり、スライダ(60)は、ハウジング(10)に対して回転運動しないように固定される、請求項1〜14のいずれか1項に記載の注射デバイス。
  16. スライダ(60)は、ばね(80)によって近位長手方向に付勢される、請求項15に記載の注射デバイス。
  17. ドライバ(30)は、ドライバスリーブセクション(31)から径方向外方へ突出するフランジ(32)を含み、該フランジ(32)は、クラッチ(50)の軸方向面(57)に軸方向に当接する、請求項1〜16のいずれか1項に記載の注射デバイス。
  18. カートリッジ(6)をさらに含み、ここで、該カートリッジ(6)は、薬剤が充填された筒体(25)を含み、該筒体(25)は、ピストンロッド(20)によって筒体(25)に対して軸方向に変位可能であるピストン(7)によって封止される、請求項1〜17のいずれか1項に記載の注射デバイス。
JP2020524141A 2017-11-07 2018-11-05 注射デバイス Pending JP2021501627A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
EP17200315.4 2017-11-07
EP17200315 2017-11-07
PCT/EP2018/080100 WO2019091890A1 (en) 2017-11-07 2018-11-05 Injection device

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021501627A true JP2021501627A (ja) 2021-01-21

Family

ID=60269688

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020524141A Pending JP2021501627A (ja) 2017-11-07 2018-11-05 注射デバイス

Country Status (5)

Country Link
US (1) US20200324054A1 (ja)
EP (1) EP3706839A1 (ja)
JP (1) JP2021501627A (ja)
CN (1) CN111315431A (ja)
WO (1) WO2019091890A1 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3638346A1 (en) 2017-06-16 2020-04-22 Credence Medsystems, Inc. System and method for safety syringe
EP3880274A1 (en) * 2018-11-13 2021-09-22 Credence Medsystems, Inc. System and method for microdose injection
WO2021122219A1 (en) * 2019-12-18 2021-06-24 Novo Nordisk A/S An injection device for delivering a predefined plurality of predetermined dose volumes
WO2021257911A1 (en) 2020-06-17 2021-12-23 Credence Medsystems, Inc. System and method for microdose injection

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
ES2365807T3 (es) * 2001-05-16 2011-10-11 ELI LILLY & COMPANY Aparato inyector de medicación con conjunto motriz que facilita el rearme.
CN105102034A (zh) * 2013-04-10 2015-11-25 赛诺菲 用于药物输送装置的驱动机构
EP3071258A2 (en) * 2013-11-22 2016-09-28 Sanofi-Aventis Deutschland GmbH Drug delivery device with end of dose feedback
US10589032B2 (en) * 2014-05-26 2020-03-17 Sanofi Display arrangement for an injection device
JP2018500125A (ja) * 2014-12-29 2018-01-11 ノボ・ノルデイスク・エー/エス 薬剤注射器具のためのマルチステートラチェット機構
WO2016128425A1 (en) * 2015-02-10 2016-08-18 Sanofi-Aventis Deutschland Gmbh Drive mechanism for an injection device
JP2018507749A (ja) * 2015-03-12 2018-03-22 サノフイ 薬物送達デバイス
PL239937B1 (pl) * 2015-12-11 2022-01-31 Copernicus Spolka Z Ograniczona Odpowiedzialnoscia Układ sterująco-napędowy dla urządzenia do iniekcji stałej dawki substancji farmaceutycznej i urządzenie zaopatrzone w taki układ

Also Published As

Publication number Publication date
EP3706839A1 (en) 2020-09-16
CN111315431A (zh) 2020-06-19
US20200324054A1 (en) 2020-10-15
WO2019091890A1 (en) 2019-05-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6567525B2 (ja) 薬物送達デバイスの駆動機構
JP6632616B2 (ja) 注射デバイスの駆動機構
JP6297486B2 (ja) 薬物送達デバイス用の駆動アセンブリ及び対応する薬物送達デバイス
JP6465862B2 (ja) 薬物送達デバイスのための駆動機構
JP7268020B2 (ja) 注射デバイス
JP6918821B2 (ja) 注射デバイス用の駆動機構
JP6918822B2 (ja) 注射デバイス用の駆動機構
JP6925360B2 (ja) 注射デバイスの駆動機構
JP6963573B2 (ja) 薬物送達デバイス
JP2021501627A (ja) 注射デバイス
JP6739450B2 (ja) 注射デバイス用の駆動機構
JP6754357B2 (ja) 駆動スリーブ、薬物送達デバイス、および薬物送達デバイスを組み立てる方法
JP2017536932A (ja) カートリッジ交換時に駆動機構をリセットし、駆動ばねを予荷重することを可能にするクラッチを自動的に作動させる、カートリッジホルダを備えた薬物注射デバイス
JP5818882B2 (ja) 薬物送達デバイス用の駆動機構及び薬物送達デバイス
JP2016524975A (ja) 送達デバイス用の駆動機構
JP6386481B2 (ja) 薬物送達デバイスのためのアセンブリ
JP6739451B2 (ja) 注射デバイスの駆動機構
JP2016514591A (ja) 薬物送達デバイスの駆動機構
JP6815198B2 (ja) 一方向カップリングを有する薬物送達デバイス
RU2680922C2 (ru) Узел устройства для доставки лекарственного средства и устройство для доставки лекарственного средства
CN105682713B (zh) 用于药物输送装置的组件
US10143805B2 (en) Drive mechanism for a drug delivery device
JP2021534895A (ja) 注射デバイス
JP2017536935A (ja) 空間節約薬物注射デバイス
JP2021501635A (ja) 用量リミッタを有する注射デバイス