JP2021501128A - サポゲニンとエキソソームを有効成分として含む組成物 - Google Patents

サポゲニンとエキソソームを有効成分として含む組成物 Download PDF

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Abstract

本発明は、エキソソームとサポゲニンを有効成分として含む組成物を提供する。本発明の組成物は、脂肪前駆細胞の増殖、脂肪細胞内への脂質蓄積、及び/又は脂肪細胞への分化を促進し、サポゲニン成分による細胞毒性を減少させることができる。したがって、本発明の組成物は、身体や皮膚への副作用を減らすとともに、脂質不足等でボリューム感が小さく不満足な身体欠陥部位や脂質不足による皮膚欠陥部位に簡便に塗布されて使用することができる。【選択図】 図13

Description

本発明は、サポゲニンとエキソソームを有効成分として含む組成物に関し、より詳細には、脂質不足等でボリューム感が小さな身体欠陥や脂質不足による皮膚欠陥を予防、緩和、改善、又は回復する組成物に関する。
また、本発明は、前記組成物を含む機能性化粧料組成物及び皮膚外用剤に関する。
顔や身体等の外貌への関心が高まるにつれて、皮膚の状態を改善し、外貌の足りない部分を補完しようとする美容需要が増えている。特に、皮膚のしわやその他の皮膚外観の状態を改善することを目的とするコスメ施術への関心が高まっている。例えば、ボトックスやフィラーを局所的に皮膚に注射してしわを改善する方法がある。
最近では、脂質不足等でボリューム感が小さな身体欠陥部位(いわゆる「コンプレックス」部位)にボリューム感を与え、視覚的に美しく見えるようにするコスメ施術が脚光を浴びている。フィラーは、ボリューム増大効果に基づいて、ボリューム感が小さな身体部位、例えば唇、鼻、額、頬、胸、性器等に局所的に適用することにより、当該身体部位にボリューム感を与えることができる。しかし、ヒアルロン酸フィラーは、時間の経過により生体内で分解されるため、ボリューム感を継続して維持するためには、周期的に身体欠陥部位にフィラーを注入しなければならないという問題がある。また、フィラー注射は痛みを伴うという問題がある。
したがって、脂質不足等でボリューム感が小さく不満足な身体欠陥部位や脂質不足による皮膚欠陥部位に脂肪を導入して、当該部位にボリューム感を与え、かつ痛みを伴わずに使いやすい新たな美容素材の開発が必要である。これに関連し、サルササポゲニン(sarsasapogenin)を含む植物抽出物を用いた皮下脂肪組織の拡大方法が提案された。しかし、サルササポゲニンは剤形の安定性、細胞毒性による副作用の可能性及び効能強化の面で改善の必要がある。
一方、最近、細胞分泌物(secretome)に細胞の行動(behavior)を調節する様々な生体活性因子が含まれているという研究が報告されており、特に細胞分泌物内には細胞間シグナル伝達機能を有する「エキソソーム(exosome)」が含まれており、その成分と機能に対する研究が活発に進められている。
細胞は、細胞外環境に様々な膜(membrane)タイプの小胞体を放出するが、通常、このような放出小胞体を細胞外小胞(Extracellular vesicles、EVs)と呼んでいる。細胞外小胞は、細胞膜由来小胞体、エクトソーム(ectosomes)、シェディング小胞体(shedding vesicles)、マイクロパーティクル(microparticles)、エキソソーム等と呼ばれており、場合によっては、エキソソームとは区別されて用いられることもある。
エキソソームは細胞膜の構造と同じ二重リン脂質膜からなる数十ないし数百ナノメートルの大きさの小胞体で内部にはエキソソームカーゴ(cargo)と呼ばれるタンパク質、核酸(mRNA、miRNA等)等が含まれている。エキソソームカーゴには、広範囲のシグナル伝達要素(signaling factors)が含まれており、これらのシグナル伝達要素は、細胞タイプに特異的で分泌細胞の環境に応じて異なるように調節されることが知られている。エキソソームは細胞が分泌する細胞間のシグナル伝達媒体で、これにより伝達された様々な細胞シグナルは、標的細胞の活性化、成長、移動、分化、脱分化、死滅(apoptosis)、壊死(necrosis)を含む細胞の行動を調節すると知られている。エキソソームは由来した細胞の性質及び状態に応じて特異的な遺伝物質と生体活性因子が含まれている。増殖する幹細胞由来のエキソソームの場合、細胞の移動、増殖及び分化のような細胞行動を調節し、組織再生に関する幹細胞の特性が反映されている(非特許文献1)。
しかし、エキソソームを用いた特定の疾患の治療に対する可能性の提示等、様々な研究が行われているにもかかわらず、エキソソームを安定的に維持・保管することができる新たな剤形の開発とエキソソームの使いやすさ及び効能の増大等のための様々な医療ないしは美容技術との融合は、比較的注目されていない。
本発明者らは、エキソソームの新たな応用分野及び医療ないしは美容技術との融合について鋭意研究を重ねていたところ、サポゲニンとエキソソームの組み合わせがサポゲニンによる細胞毒性を減らすとともに、脂肪前駆細胞の増殖、脂肪細胞内への脂質蓄積(lipid uptake)及び脂肪細胞への分化(adipogenesis)を促進することを確認して、本発明を完成した。
一方、前記した背景技術として説明された事項は、本発明の背景に対する理解を進めるためのものであり、本発明の「先行技術」として利用されうるという承認として引用したものではないことを理解しなければならない。
Nature Review Immunology 2002(2)569−579 Vasiliy S. Chernyshev et al., "Size and shape characterization of hydrated and desiccated exosomes", Anal Bioanal Chem, (2015) DOI 10.1007/s00216−015−8535−3
本発明の目的は、エキソソームとサポゲニンを有効成分として含む組成物であって、脂質不足等でボリューム感が小さな身体欠陥や脂質不足による皮膚欠陥を予防、緩和、改善、又は回復する組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、前記組成物を含む機能性化粧料組成物及び皮膚外用剤を提供することにある。
本発明のもう一つの目的は、前記組成物を哺乳動物の身体欠陥部位や皮膚欠陥部位に局所的に塗布することにより、前記組成物が塗布された身体欠陥部位や皮膚欠陥部位のボリューム感の増大をもたらす治療用を除く美容方法を提供することにある。
しかし、前述したような本発明の課題は例示的なものであり、これにより本発明の範囲が制限されるものではない。また、本発明の他の目的及び利点は、下記の発明の詳細な説明、請求の範囲及び図面によってより明確になる。
前記のような目的を達成するために、本発明は、脂質不足による身体欠陥や皮膚欠陥を予防、緩和、改善、又は回復する組成物であって、サポゲニンとエキソソームの組み合わせを有効成分として含む組成物を提供する。
本明細書において、用語「エキソソーム(exosomes)」は、細胞膜の構造と同じ二重のリン脂質膜からなる数十ないし数百ナノメートル(好ましくは約30〜200nm)サイズの小胞体を意味する(ただし、分離対象となる細胞の種類、分離方法及び測定方法に従って、エキソソームの粒子サイズは可変でありうる)(非特許文献2)。エキソソームにはエキソソームカーゴ(cargo)と呼ばれるタンパク質、核酸(mRNA、miRNA等)等が含まれている。エキソソームカーゴには広範囲のシグナル伝達要素(signaling factors)が含まれており、これらのシグナル伝達要素は、細胞タイプに特異的で分泌細胞の環境に応じて異なるように調節されることが知られている。エキソソームは細胞が分泌する細胞間のシグナル伝達媒体であり、これにより伝達された様々な細胞シグナルは、標的細胞の活性化、成長、移動、分化、脱分化、死滅(apoptosis)、壊死(necrosis)を含む細胞の行動を調節すると知られている。
本明細書において、用語、「サポゲニン(sapogenin)」は、サポニンのアグリコンであって、一部は遊離した形態で植物界に分布する。サポゲニンは、様々な植物から抽出可能な天然由来の化合物であって、血の流れをスムーズにし、鎮咳、去痰、利尿、抗がん等の効能があると知られている。前記サポゲニンの種類は限定されないが、本発明を限定しない一つの例示として、ジオスゲニン(diosgenin)、ヘコゲニン(hecogenin)、スミラゲニン(smilagenin)、エピスミラゲニン(epismilagenin)、サルササポゲニン(sarsasapogenin)、イソサルササポゲニン(isosarsasapogenin)、エピサルササポゲニン(episarsasapogenin)、パリゲニン(parigenin)、チゴゲニン(tigogenin)、エピチゴゲニン(epitigogenin)、ネオチゴゲニン(neotigogenin)、パリリン(parillin)、チモサポニン(timosaponin)、キシリングサポニン(xilingsaponin)、フィリフェリン(filiferin)、ヤモゲニン(yamogenin)、又はユッカゲニン(yuccagenin)であってもよく、好ましくはジオスゲニンであってもよい。
本明細書において、用語、「生物学的溶液」は、生物起源の液体溶液としてエキソソームが分散、懸濁、沈殿、浮遊又は混合されている溶液を意味し、例えば、細胞培養液、細胞培養上清、幹細胞培養液、幹細胞培養上清、全血、血清、臍帯血、血漿、腹水液、脳及び脳脊髄液、胎盤抽出液、及び骨髄穿刺物等を挙げることができる。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、様々な動物、植物、細菌(bacteria)、菌類(fungi)、藻類(algae)等、様々な生物起源の溶液を排除するものではないことは言うまでもない。「生物学的溶液」は、エキソソームを放出及び/又は分泌させる条件下で培養又はインキュベーションされてもよく、冷凍及び解凍されてもよい。
一方、本明細書で使用される「エキソソーム」という用語は、様々な動物、植物、細菌(bacteria)、菌類(fungi)、藻類(algae)等の細胞、好ましくは幹細胞から分泌され、細胞外空間に放出されたナノサイズのベシクル構造を有しており、エキソソームと類似の組成を有するベシクル(例えば、エキソソーム様ベシクル)もすべて含むことを意味する。
しかし、本発明で使用されるエキソソームは、脂質不足等によりボリューム感が小さな身体欠陥や脂質不足による皮膚欠陥を予防、緩和、改善、又は回復する効果があり、人体に不利な作用を起こさないものであれば、当業界で使用されているか、今後使用されうる様々なエキソソームを使用できることは言うまでもない。したがって、後述する実施例の分離方法によって分離されたエキソソームは、本発明で使用されうるエキソソームの一例として理解されるべきであり、本発明はこれに限定されるものではないことを明らかにしておく。
本発明の明細書で使用される用語、「身体欠陥部位又は皮膚欠陥部位」は、脂質不足等でボリューム感が小さな身体部位、例えば、小さな胸や性器、皮下脂肪が欠如した皮膚領域等を意味する。身体欠陥部位や皮膚欠陥部位は、例えば、皮膚のたるみ、くぼんだ頬、くぼんだ目、皮膚のしわ(例えば、顔のしわ、首のしわ、手のしわ等)、皮膚の弾力減少、小じわ、しわ、深いしわ、皮膚亀裂、隆起(bumps)、皮膚の乾燥等の結果をもたらしうる。
また、本発明の明細書で使用される用語、「ボリューム感の増大(volumizing)」は、1)「脂質不足等でボリューム感が小さく不満足な身体欠陥部位にボリューム感を与えること」、2)「脂質不足による皮膚欠陥を予防、緩和、改善、又は回復すること」、又は3)前記1)及び/又は2)により「身体や皮膚を美しくすること」であってもよい。本発明を限定しない例として、「脂質不足等でボリューム感が小さな身体欠陥や脂質不足による皮膚欠陥を予防、緩和、改善、又は回復すること」は、脂肪前駆細胞(preadipocyte)の増殖、脂肪細胞(adipocyte)内への脂質蓄積(lipid uptake)、及び/又は脂肪細胞への分化(adipogenesis)を促進し、脂質不足を示す皮膚領域で脂肪細胞の導入及び成長を刺激する過程を含む。このような脂肪細胞の導入及び成長は、皮膚の厚さを段階的かつ大幅に増加させることにより豊満、ボリュームアップ(volume−up)及び皮膚膨満効果を生み出し、皮膚を弾力豊かにし、皮膚欠陥を予防、緩和、改善、又は除去することができる。
例えば、「脂質不足等でボリューム感が小さな身体欠陥や脂質不足による皮膚欠陥を予防、緩和、改善、又は回復すること」は、皮膚のたるみ、くぼんだ頬、くぼんだ目、皮膚のしわ(例えば、顔のしわ、首のしわ、手のしわ等)、皮膚の弾力減少、小じわ、しわ、深いしわ、皮膚亀裂、隆起、傷痕、皮膚伸展線条等を予防、緩和、改善、又は除去すること、又は正常な状態に回復させること;皮膚再生、脂肪再生、輪郭矯正、軟部組織の欠陥補正、組織拡大、ボリュームアップ(volume−up)、乳房拡大、性器拡大、皮膚保湿等を含んでもよい。しかし、本発明において、「脂質不足等でボリューム感が小さな身体欠陥や脂質不足による皮膚欠陥を予防、緩和、改善、又は回復すること」は、前述したものに限定されず、脂肪前駆細胞の増殖、脂肪細胞内への脂質蓄積、及び/又は脂肪細胞への分化を促進し、脂質不足を示す領域で脂肪細胞の導入及び成長を刺激して、様々な原因で脂質不足を示す身体欠陥や皮膚欠陥を予防、緩和、改善、除去、又は回復させることを含んでもよい。
本発明の一具体例の組成物は、エキソソームとサポゲニンの組み合わせを有効成分として含む。
本発明の一具体例の組成物において、前記サポゲニンとエキソソームの組み合わせは、前記サポゲニンを前記エキソソームと共にインキュベーションさせて得てもよい。
本発明の一具体例の組成物において、前記サポゲニンとエキソソームの組み合わせは、前記サポゲニンと前記エキソソームを混合し、前記サポゲニンと前記エキソソームの混合物をインキュベーションして得ることができる。前記サポゲニンとエキソソームの組み合わせで、前記サポゲニンは、前記エキソソームに浸透、又は少なくとも結合(association)されて担持することができる。
本発明の一具体例の組成物は、脂肪前駆細胞の増殖、脂肪細胞内への脂質蓄積又は脂肪細胞への分化のうち少なくとも一つを促進することを特徴とする。さらに、本発明の一具体例の組成物は、サポゲニン成分による細胞毒性を減少させることを特徴とする。
本発明を限定しない一つの例示として、前記エキソソームは下記のステップを実行して得ることができる:(a)生物学的溶液にトレハロースを添加するステップ、(b)前記トレハロースが添加された生物学的溶液をろ過するステップ、(c)前記ろ過された生物学的溶液から、TFF(Tangential Flow Filtration)を用いてエキソソームを分離するステップ、及び(d)脱塩とバッファー交換(diafiltration)に用いられる緩衝溶液にトレハロースを添加し、前記トレハロースが添加された緩衝溶液を用いたTFF(Tangential Flow Filtration)を用いて、前記分離されたエキソソームに対する脱塩とバッファー交換(diafiltration)を実行するステップ。
一方、前記(d)ステップで脱塩とバッファー交換(diafiltration)に用いられる緩衝溶液にトレハロースを添加すると、粒子サイズ分布が均一で純度の高いエキソソームを効果的に得ることができる(図6A〜図6E参照)。本発明では、TFFによるエキソソーム分離前の事前ろ過過程((b)ステップ)とエキソソーム分離後TFFによる脱塩及びバッファー交換過程((d)ステップ)でトレハロースを用いることによって、高純度の粒子サイズ分布が均一なエキソソームを高収率で得ることができる。一方、本発明においてトレハロースは、細胞残骸物、老廃物、タンパク質及び巨大粒子のような不純物に対してエキソソームを効率的に分別できる機能を付与する。
前記脱塩とバッファー交換は連続的又は断続的に行うことができる。開始体積(starting volume)に対して少なくとも4倍、好ましくは6倍〜10倍以上、より好ましくは12倍以上の体積を有する緩衝溶液を用いて脱塩とバッファー交換を行うことができる。また、TFFのためにMWCO(molecular weight cutoff)100,000Da(Dalton)、300,000Da、500,000Da又は750,000DaのTFFフィルタ、又は0.05μm TFFフィルタを使用することができる。前記(c)ステップは、TFF(Tangential Flow Filtration)を用いて1/100〜1/25の体積まで濃縮する過程をさらに含むことができる。
本発明を限定しない一つの例示として、前記生物学的溶液は、幹細胞の培養液であってもよい。前記幹細胞の種類は限定されないが、好ましくは、間葉系幹細胞、例えば脂肪、骨髄、臍帯又は臍帯血由来の幹細胞であってもよく、より好ましくは、脂肪由来幹細胞であってもよい。前記脂肪由来幹細胞の種類は、病原体による感染の危険性がなく、免疫拒否反応を起こさないものであれば制限されないが、好ましくはヒト脂肪由来幹細胞であってもよい。
しかし、本発明で使用されるエキソソームは前述したような分離方法によって得られたエキソソームに制限されるものではなく、当業界で使用されているか、今後使用されうる様々なエキソソームを使用できることは言うまでもない。前記分離方法によって分離されたエキソソームは、本発明の組成物に使用することができるエキソソームの一例として理解されるべきであり、本発明はこれに限定されるものではないことを明らかにしておく。
本発明の一具体例の組成物は、脂質不足等でボリューム感が小さな身体欠陥や脂質不足による皮膚欠陥を予防、緩和、改善、又は回復するのに効果的に使用することができる。
本発明の一具体例の組成物は、機能性化粧料組成物又は皮膚外用剤であってもよい。
一方、本発明の一具体例の組成物が皮膚外用剤及び/又は化粧料組成物として製造される場合、本発明の効果を損なわない範囲内で、通常、化粧品や皮膚外用剤に用いられる成分、例えば保湿剤、酸化防止剤、油性成分、紫外線吸収剤、乳化剤、界面活性剤、増粘剤、アルコール類、粉末成分、色材、水性成分、水、各種皮膚栄養剤等を必要に応じて適宜配合することができる。
また、本発明の一具体例の皮膚外用剤及び/又は化粧料組成物は、サポゲニンとエキソソーム以外に、その作用(脂質不足等によりボリューム感が小さな身体欠陥や脂質不足による皮膚欠陥を予防、緩和、改善、又は回復する効果等)を損なわない限度で、従来から使用されてきた組織拡大又は再建特性を示す成分を共に混合して使用することができる。例えば、本発明の組成物を構成するサポゲニンとエキソソームは、ハイドロゲル、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩(例えば、ヒアルロン酸ナトリウム等)、又はヒアルロン酸ゲルのうち少なくとも1種に担持又は混合されてもよい。本発明の一具体例の皮膚外用剤及び/又は化粧料組成物において、前記ハイドロゲルの種類は限定されないが、ゲル化ポリマーを多価アルコールに分散させて得られたハイドロゲルであることが好ましい。前記ゲル化ポリマーは、プルロニック、精製寒天、アガロース、ゲランガム、アルギン酸、カラギーナン、カシアガム、キサンタンガム、ガラクトマンナン、グルコマンナン、ペクチン、セルロース、グアーガム、及びローカストビーンガムからなる群から選ばれた少なくとも1種であってもよく、前記多価アルコールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、イソブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ソルビトール、キシリトール、及びグリセリンからなる群から選ばれた少なくとも1種であってもよい。
本発明の一具体例の皮膚外用剤及び/又は化粧料組成物は、例えば、パッチ、マスクパック、シートマスク、クリーム、トニック、軟膏、懸濁液、乳濁液、ペースト、ローション、ゲル、オイル、パック、スプレー、エアゾール、ミスト、ファンデーション、パウダー、油紙等の様々な形態に適用することができる。例えば、本発明の一具体例の皮膚外用剤及び/又は化粧料組成物は、パッチ、マスクパック又はシートマスクの少なくとも一面に塗布又は浸漬することができる。
本発明の一具体例の組成物が化粧料組成物として製造される場合、脂質不足等によりボリューム感が小さく不満足な身体欠陥や脂質不足による皮膚欠陥を予防、緩和、改善、又は回復する効果を付与する目的で使用され、化粧品剤形は、当業界で通常的に製造されるいかなる剤形でも製造することができる。例えばパッチ、マスクパック、シートマスク、柔軟化粧水、栄養化粧水、収斂化粧水、栄養クリーム、マッサージクリーム、アイクリーム、クレンジングクリーム、エッセンス、アイエッセンス、クレンジングローション、クレンジングフォーム、クレンジングウォーター、サンスクリーン、口紅、石鹸、シャンプー、界面活性剤含有クレンジング、入浴剤、ボディローション、ボディクリーム、ボディオイル、ボディエッセンス、ボディ洗浄剤、染毛剤、ヘアトニック等に剤形化することができるが、これに限定されるものではない。
本発明の一具体例の皮膚外用剤及び/又は化粧料組成物は、皮膚外用剤及び/又は化粧品に通常的に用いられる成分を含み、例えば抗酸化剤、安定化剤、溶解化剤、ビタミン、顔料、及び香料のような通常の補助剤そして担体を含むことができる。また、皮膚外用剤及び/又は化粧料組成物に対するそれぞれの剤形において、他の成分は、皮膚外用剤及び/又は化粧料組成物の種類又は使用目的等によって、当業者が困難なく適宜選定して配合することができる。
本発明の他の具体例は、前記組成物を哺乳動物の身体欠陥部位や皮膚欠陥部位に局所的に塗布することにより、前記組成物が塗布された身体欠陥部位や皮膚欠陥部位のボリューム感の増大をもたらす治療用を除く美容方法を提供する。例えば、ボリューム感の増大とは、皮膚豊満、ボリュームアップ(volume−up)、皮膚膨満又は皮膚の弾力改善であってもよい。
本発明の一具体例の美容方法は、(a)前記組成物を哺乳動物の皮膚に直接塗布すること、(b)前記組成物が塗布又は浸漬されたパッチ、マスクパック又はシートマスクを哺乳動物の皮膚に接触又は付着すること、若しくは前記(a)及び(b)を順次進行することを含む。
本発明のサポゲニンとエキソソームを有効成分として含む組成物は、脂肪前駆細胞の増殖、脂肪細胞内への脂質蓄積及び/又は脂肪細胞への分化を促進し、サポゲニン成分による細胞毒性を減少させることができる。したがって、本発明の組成物は、身体や皮膚への副作用を減らすとともに、脂質不足等でボリューム感が小さく不満足な身体欠陥部位や脂質不足による皮膚欠陥部位に簡便に塗布されて使用することができる。
また、本発明の組成物は、脂肪細胞の導入及び成長によって皮膚の厚さを段階的かつ大幅に増加させることで、皮膚欠陥補正、豊満、ボリュームアップ(volume−up)及び皮膚膨満効果を示すことができる。したがって、本発明の組成物は、脂質不足を示す皮膚領域で脂肪細胞内への脂質蓄積及び脂肪細胞への分化を促進し、脂肪細胞の導入及び成長を刺激するための機能性化粧料組成物及び皮膚外用剤として有用に使用することができる。
一方、前述のような効果によって、本発明の範囲が制限されるものではない。
本発明の一具体例により生物学的溶液からエキソソームを製造する方法においてエキソソームを分離及び精製する過程を説明するフローチャートである。 本発明の一具体例により生物学的溶液、例えば幹細胞培養液からエキソソームを製造するステップ(step)別に溶液内に含まれているタンパク質の総量の割合(Relative amount of protein)を測定した結果を示す。各ステップ別のタンパク質総量の割合は、生物学的溶液全体に対するタンパク質総量の相対的な割合で示した。実験結果は、2つの異なるバッチから得られた結果をそれぞれ示した。 本発明の一具体例により得られたエキソソームの生産性(productivity)と純度(purity)を測定した結果を図示したものである。エキソソームの生産性は、「生物学的溶液、例えば幹細胞培養液(CM)単位mL当り得られたエキソソームの粒子数」で計算し、エキソソームの純度は、「最終分画物に含まれているタンパク質の単位μg当りエキソソームの粒子数」で計算した。実験結果は、5つの異なるバッチ(batch)から得られた結果を示した。 図4A〜図4Eは、本発明の一具体例によって得られたエキソソームの物理的特性の分析結果を示したものであり、図4Aは、TRPS(tunable resistive pulse sensing)分析による粒子サイズ分布と粒子数を示す。 図4A〜図4Eは、本発明の一具体例によって得られたエキソソームの物理的特性の分析結果を示したものであり、図4Bは、NTA(nanoparticle tracking analysis)分析による粒子サイズ分布と粒子数を示す。 図4A〜図4Eは、本発明の一具体例によって得られたエキソソームの物理的特性の分析結果を示したものであり、図4Cは、TEM(transmitted electron microscopy)分析による粒子画像を倍率により図示した。 図4A〜図4Eは、本発明の一具体例によって得られたエキソソームの物理的特性の分析結果を示したものであり、図4Dは、本発明の一具体例によって得られたエキソソームのウエスタンブロットの結果を示す。 図4A〜図4Eは、本発明の一具体例によって得られたエキソソームの物理的特性の分析結果を示したものであり、図4Eは、本発明の一具体例によって得られたエキソソームに対するマーカー分析においてCD63及びCD81のフローサイトメトリー分析の結果を示す。 図5Aは、トレハロース添加によって、粒子サイズ分布が均一で純度の高いエキソソームが得られることを示す粒子サイズ分布に関するNTA分析結果を示す。添加されたトレハロースの量が増加するにつれて、単一のピークを有する粒子サイズ分布の結果を得ることができる。 図5Bは、トレハロース添加によって、粒子サイズ分布が均一で純度の高いエキソソームが得られることを示す粒子サイズ分布に関するNTA分析結果を示す。添加されたトレハロースの量が増加するにつれて、単一のピークを有する粒子サイズ分布の結果を得ることができる。 図5Cは、トレハロース添加によって、粒子サイズ分布が均一で純度の高いエキソソームが得られることを示す粒子サイズ分布に関するNTA分析結果を示す。添加されたトレハロースの量が増加するにつれて、単一のピークを有する粒子サイズ分布の結果を得ることができる。 図6A〜図6Cは、本発明の一具体例によるエキソソームの製造過程でトレハロース添加の有無による粒子サイズ分布を示すNTA分析結果を示し、図6Aは、製造過程の全過程でトレハロースを添加した場合である。 図6A〜図6Cは、本発明の一具体例によるエキソソームの製造過程でトレハロース添加の有無による粒子サイズ分布を示すNTA分析結果を示し、図6Bは、細胞培養液を凍結保管し、解凍後、トレハロースを添加した場合である。 図6A〜図6Cは、本発明の一具体例によるエキソソームの製造過程でトレハロース添加の有無による粒子サイズ分布を示すNTA分析結果を示し、図6Cは、トレハロースを添加せずに製造した結果を示す。 図6Dは、図6A〜図6Cの方法により分離したエキソソームの相対的な生産性(Relative productivity)と相対濃度(Relative concentration)を比較した結果を示した。 図6Eは、図6A〜図6Cの方法により分離したエキソソームの平均粒子サイズ(Mean size)を示した。 ヒト皮膚繊維芽細胞であるHS68細胞に本発明の一具体例によるエキソソームを処理した後、細胞毒性がないことを確認した結果を示す。 3T3−L1細胞の脂肪細胞への分化誘導時、本発明の一具体例のサポゲニンとエキソソームの組み合わせを処理した結果、細胞内の脂肪滴の蓄積量と大きさが増加したことを示す光学顕微鏡写真である。 3T3−L1細胞を分化培地で培養して分化誘導を開始した後、6日目に3T3−L1細胞をオイルレッドOで染色した後に撮影した光学顕微鏡写真である。 図9でオイルレッドOで染色された3T3−L1細胞内の脂質蓄積の増加量を陰性対照群に対するパーセンテージで示したグラフである。 3T3−L1細胞を分化培地で培養して分化誘導を開始した後、3日目に撮影した光学顕微鏡写真である。図11には、死んだ細胞が本来の形を失って底面から離れて浮遊していることが示されている。 3T3−L1細胞を分化培地で培養して分化誘導を開始した後、3日目にMTTアッセイを行い、得られた細胞生存率の結果を陰性対照群に対するパーセンテージで示したグラフである。 3T3−L1細胞を分化培地で培養して分化誘導を開始した後、6日目に行ったPPAR−γ遺伝子に対するリアルタイムPCRの結果のグラフである。 3T3−L1細胞を分化培地で培養して分化誘導を開始した後、0日目、1日目及び4日目に行ったC/EBP−α遺伝子に対するリアルタイムPCRの結果のグラフである。 3T3−L1細胞を分化培地で培養して分化誘導を開始した後、0日目、1日目及び4日目に行ったFAS遺伝子に対するリアルタイムPCRの結果のグラフである。 3T3−L1細胞を分化培地で培養して分化誘導を開始した後、0日目、1日目及び4日目に行ったACC遺伝子に対するリアルタイムPCRの結果のグラフである。 3T3−L1細胞を分化培地で培養して分化誘導を開始した後、0日目、1日目及び4日目に行ったGDPH遺伝子に対するリアルタイムPCRの結果のグラフである。 3T3−L1細胞を分化培地で培養して分化誘導を開始した後、0日目、1日目及び4日目に行ったGAPDH遺伝子に対するリアルタイムPCRの結果のグラフである。 3T3−L1細胞を分化培地で培養して分化誘導を開始した後、0日目、1日目及び4日目に行ったPref−1遺伝子に対するリアルタイムPCRの結果のグラフである。 本発明の一具体例のサポゲニンとエキソソームの組み合わせを処理した場合、陽性対照群であるピオグリタゾン処理群に比べて、脂肪前駆細胞(preadipocyte)の増殖率が高いことを示すグラフである。
以下、本発明を下記の実施例でより詳細に記述する。ただし、下記の実施例は、本発明の内容を例示するものに過ぎず、本発明の権利範囲を制限したり限定するものではない。本発明の詳細な説明及び実施例から、本発明が属する技術分野の通常の技術者が容易に類推できることは本発明の権利範囲に属するものと解釈される。本発明に引用された参考文献は、本発明に参考として統合される。
明細書全体で、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは特に反対となる記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含みうることを意味する。
ヒト皮膚繊維芽細胞(human dermal fibroblast)であるHS68細胞はATCCから購入し、10%ウシ胎児血清(fetal bovine serum:ThermoFisher Scientificから購入)及び1%抗生剤−抗真菌剤(antibiotics−antimycotics:ThermoFisher Scientificから購入)が含有されたDMEM(ThermoFisher Scientificから購入)培地に5%CO、37℃の条件で継代培養した。3T3−L1脂肪前駆細胞は、ATCCから購入し、10%NBCS(New Born Calf Serum)及び1%ペニシリン/ストレプトマイシン含有DMEM(ThermoFisher Scientificから購入)培地に5%CO、37℃の条件で継代培養した。
当該発明の属する技術分野で公知の細胞培養方法により、5%CO、37℃の条件で脂肪由来幹細胞を培養した。次に、リン酸塩緩衝溶液(phosphate−buffered saline)(ThermoFisher Scientificから購入)で洗浄した後、無血清、無フェノールレッド培地に交換して、1日〜10日間培養し、その上清(以下、培養液)を回収した。
エキソソームの分離過程で粒子サイズ分布が均一で純度の高いエキソソームを得るために培養液にトレハロースを2重量%添加した。トレハロースを添加した後、培養液を0.22μmフィルタでろ過して細胞残骸物、老廃物及び巨大粒子等の不純物を除去した。ろ過された培養液は、すぐに分離過程を経てエキソソームを分離した。また、ろ過された培養液は、冷蔵庫(10℃以下)で保管した後、エキソソーム分離に使用した。また、ろ過された培養液は、−60℃以下の超低温冷凍庫で凍結保管してから解凍した後、エキソソームの分離を行った。その後、培養液からタンジェント流ろ過装置(Tangential Flow Filtration;TFF)を用いて、エキソソームを分離した。
実施例1で0.22μmフィルタでろ過された培養液からエキソソームを分離、濃縮、脱塩とバッファー交換(diafiltration)をするためにTFF(Tangential Flow Filtration)法を使用した。TFF法のためのフィルタとしては、カートリッジフィルタ(cartridge filter、別名hollow fiber filter;GE Healthcareから購入)、又はカセットフィルタ(cassette filter;Pall又はSartorius又はMerck Milliporeから購入)を使用した。TFFフィルタは、様々な分画分子量(molecular weight cutoff;MWCO)によって選択されてもよい。選択されたMWCOによって選別的にエキソソームを分離、濃縮し、MWCOよりも小さい粒子やタンパク質、脂質、核酸、低分子化合物等は除去した。
エキソソームを分離、濃縮するためにMWCO 100,000Da(Dalton)、300,000Da、又は500,000DaのTFFフィルタを使用した。培養液をTFF法を用いて1/100〜1/25程度の体積になるまで濃縮し、MWCOよりも小さい物質は除去してエキソソームを分離した。
分離、濃縮されたエキソソーム溶液はTFF法を用いて、さらに脱塩とバッファー交換(diafiltration)を行った。このとき、脱塩とバッファー交換は連続的に実行(continuous diafiltration)又は断続的に実行(discontinuous diafiltration)し、開始体積(starting volume)に対して少なくとも4倍、好ましくは6倍〜10倍以上、より好ましくは12倍以上の体積を有する緩衝溶液を用いて行った。緩衝溶液には、粒子サイズ分布が均一で純度の高いエキソソームを得るためにPBSに溶かした2重量%のトレハロースを添加した。トレハロース処理により、高純度でありながら、粒子サイズ分布が均一なエキソソームを高収率で得ることができる効果を確認した結果は、図6A〜図6Eに示した。
分離されたエキソソーム、培養液、及びTFF分離過程の分画物におけるタンパク質の量は、BCA発色法(ThermoFisher Scientificから購入)、又はフルオロプロファイル(FluoroProfile)蛍光法(Sigmaから購入)を用いて測定した。本発明の一具体例のTFF法によりエキソソームが分離、濃縮されてタンパク質、脂質、核酸、低分子化合物等が除去される程度は、タンパク質定量法によってモニタリングし、その結果を図2に示した。その結果、本発明の一具体例のTFF法によって非常に効果的に培養液に存在するタンパク質が除去されることが分かった。
本発明の一具体例のTFF法によりエキソソームを分離する場合、生産性と純度を独立した5つのバッチで比較した結果を図3に示した。独立した5つのバッチから得られた結果を分析した結果、本発明の一具体例のTFF法によって非常に安定的にエキソソームを分離できることを確認した。
分離されたエキソソームはナノ粒子トラッキング分析(nanoparticle tracking analysis:NTA;Malvernから購入)、又は可変抵抗パルス検出(tunable resistive pulse sensing:TRPS;Izon Scienceから購入)によって粒子のサイズと濃度を測定した。分離されたエキソソームの均一度とサイズは、透過型電子顕微鏡(transmitted electron microscopy:TEM)を用いて分析した。本発明の一具体例により分離されたエキソソームのTRPS、NTA、TEMの分析結果は、図4A〜図4Cに示した。
TFF法でエキソソームを分離した後、トレハロースの添加の有無によるエキソソームのサイズ分布をNTA分析した結果を図5A〜図5Cに示した。トレハロース濃度を0重量%、1重量%及び2重量%に増加させ(図5A〜図5Cの上から下)、3回繰り返して実験した。トレハロースが存在しない場合、300nm以上の大きさを有する粒子が確認されるのに対し、トレハロースの添加量を増やすと300nm以上の大きさを有する粒子が減少し、エキソソームのサイズ分布が均一になることを確認した。
TFF法でエキソソームを分離する過程でトレハロースの添加による効果をさらに調査した。図6A〜図6Cに示すようにエキソソームの製造過程の全過程にPBSに溶かした2重量%のトレハロースを添加した場合、均一のサイズ分布を有するエキソソームを得ることができた(図6A)。一方、トレハロースを添加せずに凍結保存した培養液を使用するが、脱塩とバッファー交換の過程においてのみトレハロースを添加してTFF過程を進めた場合や、トレハロースを全く添加せずにTFF過程を進めた場合、サイズが大きい粒子が多く含まれる不均一なエキソソームを得た(図6B及び図6C)。
分離されたエキソソームの相対的な生産性と濃度を比較した結果、エキソソームの製造過程の全過程にトレハロースを添加した場合、非常に高い生産性でエキソソームを得ることができ、得られたエキソソームの濃度も5倍以上高かった(図6D)。NTA分析の結果から示されたように、分離されたエキソソームの平均サイズもエキソソームの製造過程の全過程にトレハロースを添加した場合、200nmで均一に確認された(図6E)。
図4Dは、本発明の一具体例の方法によって分離されたエキソソームに対してウエスタンブロットを行った結果として、CD9、CD63、CD81、及びTSG101マーカーの存在を確認した。各マーカーに対する抗体には、それぞれ抗CD9(Abcamから購入)、抗CD63(System Biosciencesから購入)、抗CD81(System Biosciencesから購入)、及び抗TSG101(Abcamから購入)を使用した。
図4Eは、本発明の一具体例の方法によって分離されたエキソソームに対してフローサイトメトリーを用いて分析した結果としてCD63及びCD81マーカーの存在を確認した。CD63に対して陽性(positive)であるエキソソームを分離するためにエキソソームヒューマンCD63分離/検出キット(ThermoFisher Scientificから購入)をメーカーの方法に従って使用し、PE―マウス抗ヒトCD63(PE−Mouse anti−human CD63)(BDから購入)及びPE−マウス抗ヒトCD81(PE−mouse anti−human CD81)(BDから購入)を使用してマーカーを染色した後、フローサイトメトリー(ACEA Biosciences)を用いて分析した。
前記の結果を総合すると、本発明は、タンジェント流ろ過を用いた製造過程でトレハロースを添加して、高純度でありながら、粒子サイズ分布が均一なエキソソームを高収率で経済的で、かつ効率的に分離及び精製できることが確認できた。また、本発明の一具体例の分離方法の工程は、スケールアップが可能でありGMPにも適合することが分かった。
ヒト皮膚繊維芽細胞であるHS68細胞で本発明の一具体例の分離方法によって得られたエキソソームの毒性を評価するために、細胞に濃度別にエキソソームを処理し、細胞の増殖率を確認した。HS68細胞を、10%FBSを含むDMEMに懸濁させた後、80〜90%の密集度(confluency)を有するように分株し、37℃、5%COインキュベーターで24時間培養した。24時間後、培養液を除去し、実施例2で準備されたエキソソームを濃度別に処理して、24〜72時間培養しながら細胞生存率を評価した。細胞生存率をWST−1試薬(WST−1 reagent)(Takaraから購入)、MTT試薬(Sigmaから購入)、セルタイターグロ試薬(CellTiter−Glo reagent)(Promegaから購入)、又はアラマールブルー試薬(alamarBlue reagent)(ThermoFisher Scientificから購入)とマイクロプレートリーダー(microplate reader)(Molecular Devicesから購入)を用いて測定した。
比較群はエキソソームが処理されていない一般の細胞培養培地で培養された細胞数を基準にしており、試験された濃度範囲内で、本発明のエキソソームによる細胞毒性が示されないことを確認した(図7)。
サポゲニンとエキソソームの組み合わせは、次のように製造して使用した。
(1)サポゲニンとエキソソームを混合して常温で反応させた後、反応液をそのまま使用(「サポゲニン−エキソソーム混合液」)
(2)サポゲニンとエキソソームを混合して常温で反応させ、エキソソームに浸透していないサポゲニンを除去した後に使用(「サポゲニン−エキソソーム」)。エキソソームに結合(association)されていないサポゲニンを除去するためにサイズ分別カラム、例えばMW3000スピンカラム(spin column)(ThermoFisherから購入)を使用した。
本発明を限定しない一例として、サポゲニンにジオスゲニンを使用した。
以下では、前記(1)と(2)の両方ともサポゲニンとエキソソームの組み合わせと称する。
3T3−L1脂肪前駆細胞(3T3−L1 preadipocytes)をクローン増殖(clonal expansion)して、十分な数の細胞を確保した後、使用した。脂肪細胞への分化誘導時、本発明の一具体例のサポゲニンとエキソソームの組み合わせによる脂質蓄積効果を次のように評価した。
3T3−L1脂肪前駆細胞を8×10細胞/cmの密度で24ウェルプレートの各ウェルに接種した後、37℃、5%COインキュベーターで3〜4日間培養した。その後、3T3−L1細胞を0.5mM IBMX(Sigmaから購入)、0.5μMデキサメタゾン(Sigmaから購入)及び5μg/mLのインスリン(Sigmaから購入)(以下、「分化カクテル」という)が補充された10%FBS(fetal bovine serum)及び5%のペニシリン−ストレプトマイシン含有DMEM培地(以下、「分化培地」という)で2日間培養して分化を誘導した。分化誘導時の分化条件により実験群を次のように分類した:
(1)陰性対照群(Control):分化培地のみ使用して培養した実験群;
(2)ピオグリタゾン(Pioglitazone):分化培地に加えてピオグリタゾン(Sigmaから購入;最終濃度10μM)を処理して培養した実験群(陽性対照群)(図10で「P」と表示);
(3)ジオスゲニン(Diosgenin):分化培地に加えてジオスゲニン(Sigmaから購入;最終濃度10μM)を処理して培養した実験群(図10で「D」と表示);
(4)ジオスゲニンとエキソソームの組み合わせ(Diosgenin+Exosome):分化培地に加えてジオスゲニン(最終濃度10μM)と実施例2で準備されたエキソソーム(最終濃度4μg/mL)の組み合わせを処理して培養した実験群(図10で「D+Exo」と表示)。
3T3−L1脂肪前駆細胞を分化培地で培養して分化誘導を開始した後、2日が経過した時点で、各実験群ごとに分化培地を5μg/mLのインスリンが補充された10%FBS(fetal bovine serum)及び5%のペニシリン−ストレプトマイシン含有DMEM培地(以下、「成熟培地」という)と交換し、2〜20日間培養して成熟(maturation)を誘導した。この時、2日に一度ずつ成熟培地を交換した。
成熟した3T3−L1細胞の洗浄及び固定過程を経た後、オイルレッドO染色(Oil Red O staining)を行い、画像分析を介して細胞内の脂質蓄積を定量した。また、細胞質内に蓄積された脂肪滴(lipid droplet)を核と区別するために、核をヘマトキシリンで染色し、光学顕微鏡写真を撮影した。細胞質内に蓄積された脂肪滴はオイルレッドO染色により赤色に染色され、核はヘマトキシリン染色により紫色に染色された(図8)。
図8に示すように、3T3−L1細胞に対する脂肪細胞への分化誘導時、分化培地としてのみ処理した陰性対照群に比べて、本発明の一具体例のサポゲニン(ジオスゲニン)とエキソソームの組み合わせを処理した場合に、はるかに多くの脂肪滴が蓄積され、脂肪滴のサイズも大きいことがわかった。
一方、3T3−L1細胞内の脂肪滴の形成は、脂肪細胞への分化を示す指標(marker)なので、特定の試験物質の処理による3T3−L1細胞内の脂肪滴の蓄積量を測定すると、当該試験物質が脂質蓄積を刺激して脂肪細胞への分化(adipogenesis)を促進する効能を有するか否を客観的に評価することができる。このため、各実験群ごとに3T3−L1細胞を分化培地で培養して分化誘導を開始した後、6日目に3T3−L1細胞をオイルレッドOで染色し、光学顕微鏡写真を撮影した(図9)。また、脂肪滴に染色されているオイルレッド染料をイソプロパノールで溶出させた後、510nmで吸光度を測定し、各実験群ごとに3T3−L1細胞内の脂質蓄積量を測定し陰性対照群に対する脂質蓄積増加量をパーセンテージで評価した(図10)。
その結果、本発明の一具体例のサポゲニン(ジオスゲニン)とエキソソームの組み合わせを処理した場合、陰性対照群に比べて脂質蓄積量が顕著に増加し、サポゲニン(ジオスゲニン)のみを単独処理した場合に比べても、脂質蓄積量が有意に増加することが確認された。このような結果から、本発明の一具体例のサポゲニンとエキソソームの組み合わせを、脂肪前駆細胞に処理して分化を誘導するとサポゲニン単独処理に比べて脂質蓄積量が有意に増加して脂肪細胞への分化が促進されることがわかった。
したがって、本発明のサポゲニンとエキソソームの組み合わせを含む組成物は、脂質不足による身体欠陥部位や皮膚欠陥部位に適用される場合、脂質蓄積量を増加させることで、皮膚欠陥補正、豊満、ボリュームアップ(volume−up)及び皮膚膨満効果を示すことができる。
高濃度のサポゲニンは、細胞死滅を引き起こすことがあると知られている。本発明の一具体例のサポゲニンとエキソソームの組み合わせによる細胞保護効果を評価するために、前記実施例6と同様の方法で3T3−L1脂肪前駆細胞の分化を誘導し、細胞生存率を評価した。分化誘導時の分化条件によって実験群を次のように分類した:
(1)陰性対照群(Control):分化培地のみ使用して培養した実験群;
(2)ジオスゲニン(Diosgenin):分化培地に加えて高濃度のジオスゲニン(最終濃度30μM)を処理して培養した実験群(図12で「D」と表示);
(3)ジオスゲニンとエキソソームの組み合わせ(Diosgenin+Exosome):分化培地に加えて高濃度のジオスゲニン(最終濃度30μM)と実施例2で準備されたエキソソーム(最終濃度4μg/mL)の組み合わせを処理して培養した実験群(図12で「D+Exo」と表示)。
前記実施例6による方法によって、3T3−L1細胞を分化培地で培養して分化誘導を開始した後、3日目に、各実験群ごとに3T3−L1細胞を光学顕微鏡で撮影した。図11に示すように、高濃度のサポゲニン(ジオスゲニン)のみを処理した実験群では、細胞死が起こり、本来の形を失って底面から離れて浮遊している3T3−L1細胞が多い一方で、本発明の一実施例の高濃度のサポゲニン(ジオスゲニン)とエキソソームの組み合わせを処理した場合には、3T3−L1細胞の細胞死が相対的に少ないことが観察された。また、前記観察結果を定量的に評価するために、MTTアッセイを行い、細胞生存率(cell viability)を測定した。各実験群ごとに3T3−L1細胞を分化培地で培養して分化誘導を開始した後、3日目に0.5mg/mLのチアゾリルブルーテトラゾリウムブロミド(thiazolyl blue tetrazolium bromide)を用いたMTTアッセイを行った。570nmで吸光度を測定して、各実験群の陰性対照群に対する細胞生存率をパーセンテージで評価した(図12)。
その結果、本発明の一具体例の高濃度のサポゲニン(ジオスゲニン)とエキソソームの組み合わせを処理した場合、高濃度のサポゲニン(ジオスゲニン)単独処理群に比べて細胞生存率が有意に増加することが確認された。すなわち、本発明の一具体例のサポゲニンとエキソソームの組み合わせを、脂肪前駆細胞に処理して分化を誘導するとサポゲニン単独処理に比べて細胞内への脂質蓄積量が増加するだけでなく、高濃度のサポゲニンによる毒性から細胞を保護することがわかった。
したがって、本発明のサポゲニンとエキソソームの組み合わせを含む組成物は、サポゲニン単独成分に比べて、脂肪細胞内への脂質蓄積及び脂肪細胞への分化を促進するだけでなく、サポゲニン成分による細胞毒性を減少させ、皮膚への副作用を減らすとともに、皮膚欠陥補正、豊満、ボリュームアップ(volume−up)及び皮膚膨満効果を示すことができる。
本発明の一具体例のサポゲニンとエキソソームの組み合わせによる脂肪細胞への分化促進効能を次のように評価した。
3T3−L1脂肪前駆細胞を、10%NBCS(Newborn calf serum)及び1%のペニシリン−ストレプトマイシンが補充されたDMEM培地(Dulbecco Modified Eagle Medium)(ThermoFisher Scientificから購入)に懸濁させた後、12ウェルプレート(12well plate)に8×10細胞/cmの密度で接種した後、37℃、5%CO培養器で72時間培養した。その後、3T3−L1細胞を0.5mM IBMX(Sigmaから購入)、0.5μMデキサメタゾン(Sigmaから購入)及び5μg/mLのインスリン(Sigmaから購入)(以下、「分化カクテル」という)が補充された10%FBS(fetal bovine serum)及び1%のペニシリン−ストレプトマイシン含有DMEM培地(以下、「分化培地」という)で48時間培養して分化を誘導した。分化誘導時の分化条件によって実験群を以下のように分類した:
(1)成長培地(Growth media):分化培地の代わりにDMEM培地を使用して培養した実験群;
(2)分化培地(Differentiation media):分化培地を使用して培養した実験群;
(3)ピオグリタゾン(Pioglitazone):分化培地に加えてピオグリタゾン(最終濃度10μM)を処理して培養した実験群(陽性対照群);
(4)ジオスゲニンとエキソソームの組み合わせ(Diosgenin+Exosome):分化培地に加えてジオスゲニン(最終濃度10μM)と実施例2で準備されたエキソソーム(最終濃度6μg/mL)の組み合わせを処理して培養した実験群。
3T3−L1脂肪前駆細胞を分化培地で培養して分化誘導を開始した後、48時間が経過した時点で、各実験群ごとに分化培地を5μg/mLのインスリンが補充された10%FBS(fetal bovine serum)及び1%のペニシリン−ストレプトマイシン含有DMEM培地(以下、「成熟培地」という)と交換し、48時間培養して成熟(maturation)を誘導した。
3T3−L1細胞を分化培地で培養して分化誘導を開始した後、0日目、1日目、4日目及び6日目に、各実験群ごとに脂肪細胞の分化に関連するマーカーのmRNA発現量をリアルタイムPCRを介して測定し、本発明の一実施例のサポゲニン(ジオスゲニン)とエキソソームの組み合わせによる脂肪細胞への分化促進効能を確認した。各実験群の3T3−L1細胞から分離したRNAからcDNAを製造してリアルタイムPCR法を用いて、脂肪細胞の分化に関連するマーカーであるPPAR−γ(Peroxisome proliferator−activated receptor gamma)、C/EBP−α(CCAAT/enhancer−binding protein alpha)、FAS(fatty acid synthase)、ACC(acetyl−CoA carboxylase)、GDPH(glycerol−3−phosphate dehydrogenase)、GAPDH(glyceraldehyde−3−phosphate dehydrogenase)及びPref−1(Preadipocyte factor 1)のmRNA発現量を測定して比較した。前記遺伝子を定量するための標準遺伝子としてPPIA(Peptidylprolyl isomerase A)遺伝子を使用した。リアルタイムPCRに使用したプライマーの種類と配列は下記表1の通りである。
リアルタイムPCRに使用されたプライマーの種類及び塩基配列
その結果、本発明の一具体例のサポゲニン(ジオスゲニン)とエキソソームの組み合わせを処理した場合、分化誘導を開始した後、6日目に分化培地単独処理に比べて脂肪細胞の分化マーカーであるPPAR−γのmRNA発現量を有意に増加させた(図13)。特に、本発明の一具体例のサポゲニン(ジオスゲニン)とエキソソームの組み合わせを処理した場合、分化誘導を開始した後、6日目に陽性対照群であるピオグリタゾン又はジオスゲニン単独処理群よりもPPAR−γのmRNA発現量が増加した。したがって、本発明の一具体例のサポゲニンとエキソソームの組み合わせを、脂肪前駆細胞に処理すると、脂肪細胞への分化誘導後、一定の時点でピオグリタゾンよりも優れた脂肪細胞への分化促進効能を示すことが確認できた。
また、本発明の一具体例のサポゲニン(ジオスゲニン)とエキソソームの組み合わせを処理した場合、分化誘導を開始した後、4日目に分化培地単独処理に比べてC/EBP−α(成熟した脂肪細胞に存在するマーカー)のmRNA発現量を有意に増加させた(図14)。そして、本発明の一具体例のサポゲニン(ジオスゲニン)とエキソソームの組み合わせを処理すると、分化誘導開始後の時間の経過に応じて、脂肪細胞の分化と関連のあるマーカーであるFAS、ACC、GDPH及びGAPDHのmRNA発現量を増加させた(図15〜図18)。
一方、本発明の一具体例のサポゲニン(ジオスゲニン)とエキソソームの組み合わせを処理すると、脂肪前駆細胞のマーカーであるPref−1(Preadipocyte factor 1)のmRNA発現量を有意に減少させることを確認した(図19)。
前記実験結果から、本発明のサポゲニンとエキソソームの組み合わせを含む組成物は、脂肪前駆細胞から脂肪細胞への分化を促進する効能があることがわかる。したがって、本発明の組成物は、脂質不足による身体欠陥部位や皮膚欠陥部位に局所的に適用される場合、脂肪細胞への分化を促進し、脂肪細胞の導入及び成長を刺激して、様々な原因で脂質不足を示す身体欠陥や皮膚欠陥を予防、緩和、改善、又は回復させることができる。
本発明の一具体例のサポゲニンとエキソソームの組み合わせが3T3−L1脂肪前駆細胞の増殖を促進するか否かを以下のように実験を行って確認した。3T3−L1脂肪前駆細胞を、10%NBCS(Newborn calf serum)及び1%のペニシリン−ストレプトマイシンが補充されたDMEM培地(Dulbecco Modified Eagle Medium)(ThermoFisher Scientificから購入)に懸濁させた後、96ウェルプレート(96 well plate)に8×10細胞/cmの密度で接種し、ピオグリタゾン(最終濃度10μM)、又はジオスゲニン(最終濃度10μM)と実施例2で準備されたエキソソーム(最終濃度6μg/mL)の組み合わせを処理した後、37℃、5%CO培養器で48時間培養した。48時間が経過した後、0.5mg/mLのチアゾリルブルーテトラゾリウムブロミド(Thiazolyl Blue Tetrazolium Bromide)(Sigmaから購入)を含むDMEM培地を処理して、2時間培養した。
培地を除去した後、ジメチルスルホキシド(Dimethyl Sulfoxide)(AMRESCOから購入)で紫色の結晶を溶解させて570nmで吸光度を測定し、本発明の一具体例のサポゲニン(ジオスゲニン)とエキソソームの組み合わせによる脂肪前駆細胞の増殖促進効果を確認した。その結果、本発明の一具体例のサポゲニン(ジオスゲニン)とエキソソームの組み合わせを処理した場合、陽性対照群であるピオグリタゾン処理群よりも脂肪前駆細胞の増殖率が高いことを確認した(図20)。
前記実験結果から、本発明のサポゲニンとエキソソームの組み合わせを含む組成物は、脂肪前駆細胞の増殖を促進する効能があることがわかる。したがって、本発明の組成物は、脂質不足による身体欠陥部位や皮膚欠陥部位に局所的に適用される場合、脂肪前駆細胞の増殖を促進し、それにより分化された脂肪細胞の数も増加させることにより、様々な原因で脂質不足を示す身体欠陥や皮膚欠陥を予防、緩和、改善、又は回復させることができると期待される。
以上、本発明を前記実施例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。当業者であれば、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正、変更をすることができ、このような修正と変更も本発明に属するものであることがわかるであろう。
本発明は、サポゲニンとエキソソームを有効成分として含む組成物に関し、より詳細には、脂質不足等でボリューム感が小さな身体欠陥や脂質不足による皮膚欠陥を予防、緩和、改善、又は回復する組成物に関する。
また、本発明は、前記組成物を含む機能性化粧料組成物及び皮膚外用剤に関する。
顔や身体等の外貌への関心が高まるにつれて、皮膚の状態を改善し、外貌の足りない部分を補完しようとする美容需要が増えている。特に、皮膚のしわやその他の皮膚外観の状態を改善することを目的とするコスメ施術への関心が高まっている。例えば、ボトックスやフィラーを局所的に皮膚に注射してしわを改善する方法がある。
最近では、脂質不足等でボリューム感が小さな身体欠陥部位(いわゆる「コンプレックス」部位)にボリューム感を与え、視覚的に美しく見えるようにするコスメ施術が脚光を浴びている。フィラーは、ボリューム増大効果に基づいて、ボリューム感が小さな身体部位、例えば唇、鼻、額、頬、胸、性器等に局所的に適用することにより、当該身体部位にボリューム感を与えることができる。しかし、ヒアルロン酸フィラーは、時間の経過により生体内で分解されるため、ボリューム感を継続して維持するためには、周期的に身体欠陥部位にフィラーを注入しなければならないという問題がある。また、フィラー注射は痛みを伴うという問題がある。
したがって、脂質不足等でボリューム感が小さく不満足な身体欠陥部位や脂質不足による皮膚欠陥部位に脂肪を導入して、当該部位にボリューム感を与え、かつ痛みを伴わずに使いやすい新たな美容素材の開発が必要である。これに関連し、サルササポゲニン(sarsasapogenin)を含む植物抽出物を用いた皮下脂肪組織の拡大方法が提案された。しかし、サルササポゲニンは剤形の安定性、細胞毒性による副作用の可能性及び効能強化の面で改善の必要がある。
一方、最近、細胞分泌物(secretome)に細胞の行動(behavior)を調節する様々な生体活性因子が含まれているという研究が報告されており、特に細胞分泌物内には細胞間シグナル伝達機能を有する「エキソソーム(exosome)」が含まれており、その成分と機能に対する研究が活発に進められている。
細胞は、細胞外環境に様々な膜(membrane)タイプの小胞体を放出するが、通常、このような放出小胞体を細胞外小胞(Extracellular vesicles、EVs)と呼んでいる。細胞外小胞は、細胞膜由来小胞体、エクトソーム(ectosomes)、シェディング小胞体(shedding vesicles)、マイクロパーティクル(microparticles)、エキソソーム等と呼ばれており、場合によっては、エキソソームとは区別されて用いられることもある。
エキソソームは細胞膜の構造と同じ二重リン脂質膜からなる数十ないし数百ナノメートルの大きさの小胞体で内部にはエキソソームカーゴ(cargo)と呼ばれるタンパク質、核酸(mRNA、miRNA等)等が含まれている。エキソソームカーゴには、広範囲のシグナル伝達要素(signaling factors)が含まれており、これらのシグナル伝達要素は、細胞タイプに特異的で分泌細胞の環境に応じて異なるように調節されることが知られている。エキソソームは細胞が分泌する細胞間のシグナル伝達媒体で、これにより伝達された様々な細胞シグナルは、標的細胞の活性化、成長、移動、分化、脱分化、死滅(apoptosis)、壊死(necrosis)を含む細胞の行動を調節すると知られている。エキソソームは由来した細胞の性質及び状態に応じて特異的な遺伝物質と生体活性因子が含まれている。増殖する幹細胞由来のエキソソームの場合、細胞の移動、増殖及び分化のような細胞行動を調節し、組織再生に関する幹細胞の特性が反映されている(非特許文献1)。
しかし、エキソソームを用いた特定の疾患の治療に対する可能性の提示等、様々な研究が行われているにもかかわらず、エキソソームを安定的に維持・保管することができる新たな剤形の開発とエキソソームの使いやすさ及び効能の増大等のための様々な医療ないしは美容技術との融合は、比較的注目されていない。
本発明者らは、エキソソームの新たな応用分野及び医療ないしは美容技術との融合について鋭意研究を重ねていたところ、サポゲニンとエキソソームの組み合わせがサポゲニンによる細胞毒性を減らすとともに、脂肪前駆細胞の増殖、脂肪細胞内への脂質蓄積(lipid uptake)及び脂肪細胞への分化(adipogenesis)を促進することを確認して、本発明を完成した。
一方、前記した背景技術として説明された事項は、本発明の背景に対する理解を進めるためのものであり、本発明の「先行技術」として利用されうるという承認として引用したものではないことを理解しなければならない。
Nature Review Immunology 2002(2)569−579 Vasiliy S. Chernyshev et al., "Size and shape characterization of hydrated and desiccated exosomes", Anal Bioanal Chem, (2015) DOI 10.1007/s00216−015−8535−3
本発明の目的は、エキソソームとサポゲニンを有効成分として含む組成物であって、脂質不足等でボリューム感が小さな身体欠陥や脂質不足による皮膚欠陥を予防、緩和、改善、又は回復する組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、前記組成物を含む機能性化粧料組成物及び皮膚外用剤を提供することにある。
本発明のもう一つの目的は、前記組成物を哺乳動物の身体欠陥部位や皮膚欠陥部位に局所的に塗布することにより、前記組成物が塗布された身体欠陥部位や皮膚欠陥部位のボリューム感の増大をもたらす治療用を除く美容方法を提供することにある。
しかし、前述したような本発明の課題は例示的なものであり、これにより本発明の範囲が制限されるものではない。また、本発明の他の目的及び利点は、下記の発明の詳細な説明、請求の範囲及び図面によってより明確になる。
前記のような目的を達成するために、本発明は、脂質不足による身体欠陥や皮膚欠陥を予防、緩和、改善、又は回復する組成物であって、サポゲニンとエキソソームの組み合わせを有効成分として含む組成物を提供する。
本明細書において、用語「エキソソーム(exosomes)」は、細胞膜の構造と同じ二重のリン脂質膜からなる数十ないし数百ナノメートル(好ましくは約30〜200nm)サイズの小胞体を意味する(ただし、分離対象となる細胞の種類、分離方法及び測定方法に従って、エキソソームの粒子サイズは可変でありうる)(非特許文献2)。エキソソームにはエキソソームカーゴ(cargo)と呼ばれるタンパク質、核酸(mRNA、miRNA等)等が含まれている。エキソソームカーゴには広範囲のシグナル伝達要素(signaling factors)が含まれており、これらのシグナル伝達要素は、細胞タイプに特異的で分泌細胞の環境に応じて異なるように調節されることが知られている。エキソソームは細胞が分泌する細胞間のシグナル伝達媒体であり、これにより伝達された様々な細胞シグナルは、標的細胞の活性化、成長、移動、分化、脱分化、死滅(apoptosis)、壊死(necrosis)を含む細胞の行動を調節すると知られている。
本明細書において、用語、「サポゲニン(sapogenin)」は、サポニンのアグリコンであって、一部は遊離した形態で植物界に分布する。サポゲニンは、様々な植物から抽出可能な天然由来の化合物であって、血の流れをスムーズにし、鎮咳、去痰、利尿、抗がん等の効能があると知られている。前記サポゲニンの種類は限定されないが、本発明を限定しない一つの例示として、ジオスゲニン(diosgenin)、ヘコゲニン(hecogenin)、スミラゲニン(smilagenin)、エピスミラゲニン(epismilagenin)、サルササポゲニン(sarsasapogenin)、イソサルササポゲニン(isosarsasapogenin)、エピサルササポゲニン(episarsasapogenin)、パリゲニン(parigenin)、チゴゲニン(tigogenin)、エピチゴゲニン(epitigogenin)、ネオチゴゲニン(neotigogenin)、パリリン(parillin)、チモサポニン(timosaponin)、キシリングサポニン(xilingsaponin)、フィリフェリン(filiferin)、ヤモゲニン(yamogenin)、又はユッカゲニン(yuccagenin)であってもよく、好ましくはジオスゲニンであってもよい。
本明細書において、用語、「生物学的溶液」は、生物起源の液体溶液としてエキソソームが分散、懸濁、沈殿、浮遊又は混合されている溶液を意味し、例えば、細胞培養液、細胞培養上清、幹細胞培養液、幹細胞培養上清、全血、血清、臍帯血、血漿、腹水液、脳及び脳脊髄液、胎盤抽出液、及び骨髄穿刺物等を挙げることができる。しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、様々な動物、植物、細菌(bacteria)、菌類(fungi)、藻類(algae)等、様々な生物起源の溶液を排除するものではないことは言うまでもない。「生物学的溶液」は、エキソソームを放出及び/又は分泌させる条件下で培養又はインキュベーションされてもよく、冷凍及び解凍されてもよい。
一方、本明細書で使用される「エキソソーム」という用語は、様々な動物、植物、細菌(bacteria)、菌類(fungi)、藻類(algae)等の細胞、好ましくは幹細胞から分泌され、細胞外空間に放出されたナノサイズのベシクル構造を有しており、エキソソームと類似の組成を有するベシクル(例えば、エキソソーム様ベシクル)もすべて含むことを意味する。
しかし、本発明で使用されるエキソソームは、脂質不足等によりボリューム感が小さな身体欠陥や脂質不足による皮膚欠陥を予防、緩和、改善、又は回復する効果があり、人体に不利な作用を起こさないものであれば、当業界で使用されているか、今後使用されうる様々なエキソソームを使用できることは言うまでもない。したがって、後述する実施例の分離方法によって分離されたエキソソームは、本発明で使用されうるエキソソームの一例として理解されるべきであり、本発明はこれに限定されるものではないことを明らかにしておく。
本発明の明細書で使用される用語、「身体欠陥部位又は皮膚欠陥部位」は、脂質不足等でボリューム感が小さな身体部位、例えば、小さな胸や性器、皮下脂肪が欠如した皮膚領域等を意味する。身体欠陥部位や皮膚欠陥部位は、例えば、皮膚のたるみ、くぼんだ頬、くぼんだ目、皮膚のしわ(例えば、顔のしわ、首のしわ、手のしわ等)、皮膚の弾力減少、小じわ、しわ、深いしわ、皮膚亀裂、隆起(bumps)、皮膚の乾燥等の結果をもたらしうる。
また、本発明の明細書で使用される用語、「ボリューム感の増大(volumizing)」は、1)「脂質不足等でボリューム感が小さく不満足な身体欠陥部位にボリューム感を与えること」、2)「脂質不足による皮膚欠陥を予防、緩和、改善、又は回復すること」、又は3)前記1)及び/又は2)により「身体や皮膚を美しくすること」であってもよい。本発明を限定しない例として、「脂質不足等でボリューム感が小さな身体欠陥や脂質不足による皮膚欠陥を予防、緩和、改善、又は回復すること」は、脂肪前駆細胞(preadipocyte)の増殖、脂肪細胞(adipocyte)内への脂質蓄積(lipid uptake)、及び/又は脂肪細胞への分化(adipogenesis)を促進し、脂質不足を示す皮膚領域で脂肪細胞の導入及び成長を刺激する過程を含む。このような脂肪細胞の導入及び成長は、皮膚の厚さを段階的かつ大幅に増加させることにより豊満、ボリュームアップ(volume−up)及び皮膚膨満効果を生み出し、皮膚を弾力豊かにし、皮膚欠陥を予防、緩和、改善、又は除去することができる。
例えば、「脂質不足等でボリューム感が小さな身体欠陥や脂質不足による皮膚欠陥を予防、緩和、改善、又は回復すること」は、皮膚のたるみ、くぼんだ頬、くぼんだ目、皮膚のしわ(例えば、顔のしわ、首のしわ、手のしわ等)、皮膚の弾力減少、小じわ、しわ、深いしわ、皮膚亀裂、隆起、傷痕、皮膚伸展線条等を予防、緩和、改善、又は除去すること、又は正常な状態に回復させること;皮膚再生、脂肪再生、輪郭矯正、軟部組織の欠陥補正、組織拡大、ボリュームアップ(volume−up)、乳房拡大、性器拡大、皮膚保湿等を含んでもよい。しかし、本発明において、「脂質不足等でボリューム感が小さな身体欠陥や脂質不足による皮膚欠陥を予防、緩和、改善、又は回復すること」は、前述したものに限定されず、脂肪前駆細胞の増殖、脂肪細胞内への脂質蓄積、及び/又は脂肪細胞への分化を促進し、脂質不足を示す領域で脂肪細胞の導入及び成長を刺激して、様々な原因で脂質不足を示す身体欠陥や皮膚欠陥を予防、緩和、改善、除去、又は回復させることを含んでもよい。
本発明の一具体例の組成物は、エキソソームとサポゲニンの組み合わせを有効成分として含む。
本発明の一具体例の組成物において、前記サポゲニンとエキソソームの組み合わせは、前記サポゲニンを前記エキソソームと共にインキュベーションさせて得てもよい。
本発明の一具体例の組成物において、前記サポゲニンとエキソソームの組み合わせは、前記サポゲニンと前記エキソソームを混合し、前記サポゲニンと前記エキソソームの混合物をインキュベーションして得ることができる。前記サポゲニンとエキソソームの組み合わせで、前記サポゲニンは、前記エキソソームに浸透、又は少なくとも結合(association)されて担持することができる。
本発明の一具体例の組成物は、脂肪前駆細胞の増殖、脂肪細胞内への脂質蓄積又は脂肪細胞への分化のうち少なくとも一つを促進することを特徴とする。さらに、本発明の一具体例の組成物は、サポゲニン成分による細胞毒性を減少させることを特徴とする。
本発明を限定しない一つの例示として、前記エキソソームは下記のステップを実行して得ることができる:(a)生物学的溶液にトレハロースを添加するステップ、(b)前記トレハロースが添加された生物学的溶液をろ過するステップ、(c)前記ろ過された生物学的溶液から、TFF(Tangential Flow Filtration)を用いてエキソソームを分離するステップ、及び(d)脱塩とバッファー交換(diafiltration)に用いられる緩衝溶液にトレハロースを添加し、前記トレハロースが添加された緩衝溶液を用いたTFF(Tangential Flow Filtration)を用いて、前記分離されたエキソソームに対する脱塩とバッファー交換(diafiltration)を実行するステップ。
一方、前記(d)ステップで脱塩とバッファー交換(diafiltration)に用いられる緩衝溶液にトレハロースを添加すると、粒子サイズ分布が均一で純度の高いエキソソームを効果的に得ることができる(図6A〜図6E参照)。本発明では、TFFによるエキソソーム分離前の事前ろ過過程((b)ステップ)とエキソソーム分離後TFFによる脱塩及びバッファー交換過程((d)ステップ)でトレハロースを用いることによって、高純度の粒子サイズ分布が均一なエキソソームを高収率で得ることができる。一方、本発明においてトレハロースは、細胞残骸物、老廃物、タンパク質及び巨大粒子のような不純物に対してエキソソームを効率的に分別できる機能を付与する。
前記脱塩とバッファー交換は連続的又は断続的に行うことができる。開始体積(starting volume)に対して少なくとも4倍、好ましくは6倍〜10倍以上、より好ましくは12倍以上の体積を有する緩衝溶液を用いて脱塩とバッファー交換を行うことができる。また、TFFのためにMWCO(molecular weight cutoff)100,000Da(Dalton)、300,000Da、500,000Da又は750,000DaのTFFフィルタ、又は0.05μm TFFフィルタを使用することができる。前記(c)ステップは、TFF(Tangential Flow Filtration)を用いて1/100〜1/25の体積まで濃縮する過程をさらに含むことができる。
本発明を限定しない一つの例示として、前記生物学的溶液は、幹細胞の培養液であってもよい。前記幹細胞の種類は限定されないが、好ましくは、間葉系幹細胞、例えば脂肪、骨髄、臍帯又は臍帯血由来の幹細胞であってもよく、より好ましくは、脂肪由来幹細胞であってもよい。前記脂肪由来幹細胞の種類は、病原体による感染の危険性がなく、免疫拒否反応を起こさないものであれば制限されないが、好ましくはヒト脂肪由来幹細胞であってもよい。
しかし、本発明で使用されるエキソソームは前述したような分離方法によって得られたエキソソームに制限されるものではなく、当業界で使用されているか、今後使用されうる様々なエキソソームを使用できることは言うまでもない。前記分離方法によって分離されたエキソソームは、本発明の組成物に使用することができるエキソソームの一例として理解されるべきであり、本発明はこれに限定されるものではないことを明らかにしておく。
本発明の一具体例の組成物は、脂質不足等でボリューム感が小さな身体欠陥や脂質不足による皮膚欠陥を予防、緩和、改善、又は回復するのに効果的に使用することができる。
本発明の一具体例の組成物は、機能性化粧料組成物又は皮膚外用剤であってもよい。
一方、本発明の一具体例の組成物が皮膚外用剤及び/又は化粧料組成物として製造される場合、本発明の効果を損なわない範囲内で、通常、化粧品や皮膚外用剤に用いられる成分、例えば保湿剤、酸化防止剤、油性成分、紫外線吸収剤、乳化剤、界面活性剤、増粘剤、アルコール類、粉末成分、色材、水性成分、水、各種皮膚栄養剤等を必要に応じて適宜配合することができる。
また、本発明の一具体例の皮膚外用剤及び/又は化粧料組成物は、サポゲニンとエキソソーム以外に、その作用(脂質不足等によりボリューム感が小さな身体欠陥や脂質不足による皮膚欠陥を予防、緩和、改善、又は回復する効果等)を損なわない限度で、従来から使用されてきた組織拡大又は再建特性を示す成分を共に混合して使用することができる。例えば、本発明の組成物を構成するサポゲニンとエキソソームは、ハイドロゲル、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸塩(例えば、ヒアルロン酸ナトリウム等)、又はヒアルロン酸ゲルのうち少なくとも1種に担持又は混合されてもよい。本発明の一具体例の皮膚外用剤及び/又は化粧料組成物において、前記ハイドロゲルの種類は限定されないが、ゲル化ポリマーを多価アルコールに分散させて得られたハイドロゲルであることが好ましい。前記ゲル化ポリマーは、プルロニック、精製寒天、アガロース、ゲランガム、アルギン酸、カラギーナン、カシアガム、キサンタンガム、ガラクトマンナン、グルコマンナン、ペクチン、セルロース、グアーガム、及びローカストビーンガムからなる群から選ばれた少なくとも1種であってもよく、前記多価アルコールは、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、イソブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ソルビトール、キシリトール、及びグリセリンからなる群から選ばれた少なくとも1種であってもよい。
本発明の一具体例の皮膚外用剤及び/又は化粧料組成物は、例えば、パッチ、マスクパック、シートマスク、クリーム、トニック、軟膏、懸濁液、乳濁液、ペースト、ローション、ゲル、オイル、パック、スプレー、エアゾール、ミスト、ファンデーション、パウダー、油紙等の様々な形態に適用することができる。例えば、本発明の一具体例の皮膚外用剤及び/又は化粧料組成物は、パッチ、マスクパック又はシートマスクの少なくとも一面に塗布又は浸漬することができる。
本発明の一具体例の組成物が化粧料組成物として製造される場合、脂質不足等によりボリューム感が小さく不満足な身体欠陥や脂質不足による皮膚欠陥を予防、緩和、改善、又は回復する効果を付与する目的で使用され、化粧品剤形は、当業界で通常的に製造されるいかなる剤形でも製造することができる。例えばパッチ、マスクパック、シートマスク、柔軟化粧水、栄養化粧水、収斂化粧水、栄養クリーム、マッサージクリーム、アイクリーム、クレンジングクリーム、エッセンス、アイエッセンス、クレンジングローション、クレンジングフォーム、クレンジングウォーター、サンスクリーン、口紅、石鹸、シャンプー、界面活性剤含有クレンジング、入浴剤、ボディローション、ボディクリーム、ボディオイル、ボディエッセンス、ボディ洗浄剤、染毛剤、ヘアトニック等に剤形化することができるが、これに限定されるものではない。
本発明の一具体例の皮膚外用剤及び/又は化粧料組成物は、皮膚外用剤及び/又は化粧品に通常的に用いられる成分を含み、例えば抗酸化剤、安定化剤、溶解化剤、ビタミン、顔料、及び香料のような通常の補助剤そして担体を含むことができる。また、皮膚外用剤及び/又は化粧料組成物に対するそれぞれの剤形において、他の成分は、皮膚外用剤及び/又は化粧料組成物の種類又は使用目的等によって、当業者が困難なく適宜選定して配合することができる。
本発明の他の具体例は、前記組成物を哺乳動物の身体欠陥部位や皮膚欠陥部位に局所的に塗布することにより、前記組成物が塗布された身体欠陥部位や皮膚欠陥部位のボリューム感の増大をもたらす治療用を除く美容方法を提供する。例えば、ボリューム感の増大とは、皮膚豊満、ボリュームアップ(volume−up)、皮膚膨満又は皮膚の弾力改善であってもよい。
本発明の一具体例の美容方法は、(a)前記組成物を哺乳動物の皮膚に直接塗布すること、(b)前記組成物が塗布又は浸漬されたパッチ、マスクパック又はシートマスクを哺乳動物の皮膚に接触又は付着すること、若しくは前記(a)及び(b)を順次進行することを含む。
本発明のサポゲニンとエキソソームを有効成分として含む組成物は、脂肪前駆細胞の増殖、脂肪細胞内への脂質蓄積及び/又は脂肪細胞への分化を促進し、サポゲニン成分による細胞毒性を減少させることができる。したがって、本発明の組成物は、身体や皮膚への副作用を減らすとともに、脂質不足等でボリューム感が小さく不満足な身体欠陥部位や脂質不足による皮膚欠陥部位に簡便に塗布されて使用することができる。
また、本発明の組成物は、脂肪細胞の導入及び成長によって皮膚の厚さを段階的かつ大幅に増加させることで、皮膚欠陥補正、豊満、ボリュームアップ(volume−up)及び皮膚膨満効果を示すことができる。したがって、本発明の組成物は、脂質不足を示す皮膚領域で脂肪細胞内への脂質蓄積及び脂肪細胞への分化を促進し、脂肪細胞の導入及び成長を刺激するための機能性化粧料組成物及び皮膚外用剤として有用に使用することができる。
一方、前述のような効果によって、本発明の範囲が制限されるものではない。
本発明の一具体例により生物学的溶液からエキソソームを製造する方法においてエキソソームを分離及び精製する過程を説明するフローチャートである。 本発明の一具体例により生物学的溶液、例えば幹細胞培養液からエキソソームを製造するステップ(step)別に溶液内に含まれているタンパク質の総量の割合(Relative amount of protein)を測定した結果を示す。各ステップ別のタンパク質総量の割合は、生物学的溶液全体に対するタンパク質総量の相対的な割合で示した。実験結果は、2つの異なるバッチから得られた結果をそれぞれ示した。 本発明の一具体例により得られたエキソソームの生産性(productivity)と純度(purity)を測定した結果を図示したものである。エキソソームの生産性は、「生物学的溶液、例えば幹細胞培養液(CM)単位mL当り得られたエキソソームの粒子数」で計算し、エキソソームの純度は、「最終分画物に含まれているタンパク質の単位μg当りエキソソームの粒子数」で計算した。実験結果は、5つの異なるバッチ(batch)から得られた結果を示した。 図4A〜図4Eは、本発明の一具体例によって得られたエキソソームの物理的特性の分析結果を示したものであり、図4Aは、TRPS(tunable resistive pulse sensing)分析による粒子サイズ分布と粒子数を示す。 図4A〜図4Eは、本発明の一具体例によって得られたエキソソームの物理的特性の分析結果を示したものであり、図4Bは、NTA(nanoparticle tracking analysis)分析による粒子サイズ分布と粒子数を示す。 図4A〜図4Eは、本発明の一具体例によって得られたエキソソームの物理的特性の分析結果を示したものであり、図4Cは、TEM(transmitted electron microscopy)分析による粒子画像を倍率により図示した。 図4A〜図4Eは、本発明の一具体例によって得られたエキソソームの物理的特性の分析結果を示したものであり、図4Dは、本発明の一具体例によって得られたエキソソームのウエスタンブロットの結果を示す。 図4A〜図4Eは、本発明の一具体例によって得られたエキソソームの物理的特性の分析結果を示したものであり、図4Eは、本発明の一具体例によって得られたエキソソームに対するマーカー分析においてCD63及びCD81のフローサイトメトリー分析の結果を示す。 図5Aは、トレハロース添加によって、粒子サイズ分布が均一で純度の高いエキソソームが得られることを示す粒子サイズ分布に関するNTA分析結果を示す。添加されたトレハロースの量が増加するにつれて、単一のピークを有する粒子サイズ分布の結果を得ることができる。 図5Bは、トレハロース添加によって、粒子サイズ分布が均一で純度の高いエキソソームが得られることを示す粒子サイズ分布に関するNTA分析結果を示す。添加されたトレハロースの量が増加するにつれて、単一のピークを有する粒子サイズ分布の結果を得ることができる。 図5Cは、トレハロース添加によって、粒子サイズ分布が均一で純度の高いエキソソームが得られることを示す粒子サイズ分布に関するNTA分析結果を示す。添加されたトレハロースの量が増加するにつれて、単一のピークを有する粒子サイズ分布の結果を得ることができる。 図6A〜図6Cは、本発明の一具体例によるエキソソームの製造過程でトレハロース添加の有無による粒子サイズ分布を示すNTA分析結果を示し、図6Aは、製造過程の全過程でトレハロースを添加した場合である。 図6A〜図6Cは、本発明の一具体例によるエキソソームの製造過程でトレハロース添加の有無による粒子サイズ分布を示すNTA分析結果を示し、図6Bは、細胞培養液を凍結保管し、解凍後、トレハロースを添加した場合である。 図6A〜図6Cは、本発明の一具体例によるエキソソームの製造過程でトレハロース添加の有無による粒子サイズ分布を示すNTA分析結果を示し、図6Cは、トレハロースを添加せずに製造した結果を示す。 図6Dは、図6A〜図6Cの方法により分離したエキソソームの相対的な生産性(Relative productivity)と相対濃度(Relative concentration)を比較した結果を示した。 図6Eは、図6A〜図6Cの方法により分離したエキソソームの平均粒子サイズ(Mean size)を示した。 ヒト皮膚繊維芽細胞であるHS68細胞に本発明の一具体例によるエキソソームを処理した後、細胞毒性がないことを確認した結果を示す。 3T3−L1細胞の脂肪細胞への分化誘導時、本発明の一具体例のサポゲニンとエキソソームの組み合わせを処理した結果、細胞内の脂肪滴の蓄積量と大きさが増加したことを示す光学顕微鏡写真である。 3T3−L1細胞を分化培地で培養して分化誘導を開始した後、6日目に3T3−L1細胞をオイルレッドOで染色した後に撮影した光学顕微鏡写真である。 図9でオイルレッドOで染色された3T3−L1細胞内の脂質蓄積の増加量を陰性対照群に対するパーセンテージで示したグラフである。 3T3−L1細胞を分化培地で培養して分化誘導を開始した後、3日目に撮影した光学顕微鏡写真である。図11には、死んだ細胞が本来の形を失って底面から離れて浮遊していることが示されている。 3T3−L1細胞を分化培地で培養して分化誘導を開始した後、3日目にMTTアッセイを行い、得られた細胞生存率の結果を陰性対照群に対するパーセンテージで示したグラフである。 3T3−L1細胞を分化培地で培養して分化誘導を開始した後、6日目に行ったPPAR−γ遺伝子に対するリアルタイムPCRの結果のグラフである。 3T3−L1細胞を分化培地で培養して分化誘導を開始した後、0日目、1日目及び4日目に行ったC/EBP−α遺伝子に対するリアルタイムPCRの結果のグラフである。 3T3−L1細胞を分化培地で培養して分化誘導を開始した後、0日目、1日目及び4日目に行ったFAS遺伝子に対するリアルタイムPCRの結果のグラフである。 3T3−L1細胞を分化培地で培養して分化誘導を開始した後、0日目、1日目及び4日目に行ったACC遺伝子に対するリアルタイムPCRの結果のグラフである。 3T3−L1細胞を分化培地で培養して分化誘導を開始した後、0日目、1日目及び4日目に行ったGDPH遺伝子に対するリアルタイムPCRの結果のグラフである。 3T3−L1細胞を分化培地で培養して分化誘導を開始した後、0日目、1日目及び4日目に行ったGAPDH遺伝子に対するリアルタイムPCRの結果のグラフである。 3T3−L1細胞を分化培地で培養して分化誘導を開始した後、0日目、1日目及び4日目に行ったPref−1遺伝子に対するリアルタイムPCRの結果のグラフである。 本発明の一具体例のサポゲニンとエキソソームの組み合わせを処理した場合、陽性対照群であるピオグリタゾン処理群に比べて、脂肪前駆細胞(preadipocyte)の増殖率が高いことを示すグラフである。
以下、本発明を下記の実施例でより詳細に記述する。ただし、下記の実施例は、本発明の内容を例示するものに過ぎず、本発明の権利範囲を制限したり限定するものではない。本発明の詳細な説明及び実施例から、本発明が属する技術分野の通常の技術者が容易に類推できることは本発明の権利範囲に属するものと解釈される。本発明に引用された参考文献は、本発明に参考として統合される。
明細書全体で、ある部分がある構成要素を「含む」とするとき、これは特に反対となる記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含みうることを意味する。
実施例1:細胞の培養
ヒト皮膚繊維芽細胞(human dermal fibroblast)であるHS68細胞はATCCから購入し、10%ウシ胎児血清(fetal bovine serum:ThermoFisher Scientificから購入)及び1%抗生剤−抗真菌剤(antibiotics−antimycotics:ThermoFisher Scientificから購入)が含有されたDMEM(ThermoFisher Scientificから購入)培地に5%CO、37℃の条件で継代培養した。3T3−L1脂肪前駆細胞は、ATCCから購入し、10%NBCS(New Born Calf Serum)及び1%ペニシリン/ストレプトマイシン含有DMEM(ThermoFisher Scientificから購入)培地に5%CO、37℃の条件で継代培養した。
当該発明の属する技術分野で公知の細胞培養方法により、5%CO、37℃の条件で脂肪由来幹細胞を培養した。次に、リン酸塩緩衝溶液(phosphate−buffered saline)(ThermoFisher Scientificから購入)で洗浄した後、無血清、無フェノールレッド培地に交換して、1日〜10日間培養し、その上清(以下、培養液)を回収した。
エキソソームの分離過程で粒子サイズ分布が均一で純度の高いエキソソームを得るために培養液にトレハロースを2重量%添加した。トレハロースを添加した後、培養液を0.22μmフィルタでろ過して細胞残骸物、老廃物及び巨大粒子等の不純物を除去した。ろ過された培養液は、すぐに分離過程を経てエキソソームを分離した。また、ろ過された培養液は、冷蔵庫(10℃以下)で保管した後、エキソソーム分離に使用した。また、ろ過された培養液は、−60℃以下の超低温冷凍庫で凍結保管してから解凍した後、エキソソームの分離を行った。その後、培養液からタンジェント流ろ過装置(Tangential Flow Filtration;TFF)を用いて、エキソソームを分離した。
実施例2:TFF法によるエキソソームの分離及び精製
実施例1で0.22μmフィルタでろ過された培養液からエキソソームを分離、濃縮、脱塩とバッファー交換(diafiltration)をするためにTFF(Tangential Flow Filtration)法を使用した。TFF法のためのフィルタとしては、カートリッジフィルタ(cartridge filter、別名hollow fiber filter;GE Healthcareから購入)、又はカセットフィルタ(cassette filter;Pall又はSartorius又はMerck Milliporeから購入)を使用した。TFFフィルタは、様々な分画分子量(molecular weight cutoff;MWCO)によって選択されてもよい。選択されたMWCOによって選別的にエキソソームを分離、濃縮し、MWCOよりも小さい粒子やタンパク質、脂質、核酸、低分子化合物等は除去した。
エキソソームを分離、濃縮するためにMWCO 100,000Da(Dalton)、300,000Da、又は500,000DaのTFFフィルタを使用した。培養液をTFF法を用いて1/100〜1/25程度の体積になるまで濃縮し、MWCOよりも小さい物質は除去してエキソソームを分離した。
分離、濃縮されたエキソソーム溶液はTFF法を用いて、さらに脱塩とバッファー交換(diafiltration)を行った。このとき、脱塩とバッファー交換は連続的に実行(continuous diafiltration)又は断続的に実行(discontinuous diafiltration)し、開始体積(starting volume)に対して少なくとも4倍、好ましくは6倍〜10倍以上、より好ましくは12倍以上の体積を有する緩衝溶液を用いて行った。緩衝溶液には、粒子サイズ分布が均一で純度の高いエキソソームを得るためにPBSに溶かした2重量%のトレハロースを添加した。トレハロース処理により、高純度でありながら、粒子サイズ分布が均一なエキソソームを高収率で得ることができる効果を確認した結果は、図6A〜図6Eに示した。
実施例3:分離されたエキソソームの特性の分析
分離されたエキソソーム、培養液、及びTFF分離過程の分画物におけるタンパク質の量は、BCA発色法(ThermoFisher Scientificから購入)、又はフルオロプロファイル(FluoroProfile)蛍光法(Sigmaから購入)を用いて測定した。本発明の一具体例のTFF法によりエキソソームが分離、濃縮されてタンパク質、脂質、核酸、低分子化合物等が除去される程度は、タンパク質定量法によってモニタリングし、その結果を図2に示した。その結果、本発明の一具体例のTFF法によって非常に効果的に培養液に存在するタンパク質が除去されることが分かった。
本発明の一具体例のTFF法によりエキソソームを分離する場合、生産性と純度を独立した5つのバッチで比較した結果を図3に示した。独立した5つのバッチから得られた結果を分析した結果、本発明の一具体例のTFF法によって非常に安定的にエキソソームを分離できることを確認した。
分離されたエキソソームはナノ粒子トラッキング分析(nanoparticle tracking analysis:NTA;Malvernから購入)、又は可変抵抗パルス検出(tunable resistive pulse sensing:TRPS;Izon Scienceから購入)によって粒子のサイズと濃度を測定した。分離されたエキソソームの均一度とサイズは、透過型電子顕微鏡(transmitted electron microscopy:TEM)を用いて分析した。本発明の一具体例により分離されたエキソソームのTRPS、NTA、TEMの分析結果は、図4A〜図4Cに示した。
TFF法でエキソソームを分離した後、トレハロースの添加の有無によるエキソソームのサイズ分布をNTA分析した結果を図5A〜図5Cに示した。トレハロース濃度を0重量%、1重量%及び2重量%に増加させ(図5A〜図5Cの上から下)、3回繰り返して実験した。トレハロースが存在しない場合、300nm以上の大きさを有する粒子が確認されるのに対し、トレハロースの添加量を増やすと300nm以上の大きさを有する粒子が減少し、エキソソームのサイズ分布が均一になることを確認した。
TFF法でエキソソームを分離する過程でトレハロースの添加による効果をさらに調査した。図6A〜図6Cに示すようにエキソソームの製造過程の全過程にPBSに溶かした2重量%のトレハロースを添加した場合、均一のサイズ分布を有するエキソソームを得ることができた(図6A)。一方、トレハロースを添加せずに凍結保存した培養液を使用するが、脱塩とバッファー交換の過程においてのみトレハロースを添加してTFF過程を進めた場合や、トレハロースを全く添加せずにTFF過程を進めた場合、サイズが大きい粒子が多く含まれる不均一なエキソソームを得た(図6B及び図6C)。
分離されたエキソソームの相対的な生産性と濃度を比較した結果、エキソソームの製造過程の全過程にトレハロースを添加した場合、非常に高い生産性でエキソソームを得ることができ、得られたエキソソームの濃度も5倍以上高かった(図6D)。NTA分析の結果から示されたように、分離されたエキソソームの平均サイズもエキソソームの製造過程の全過程にトレハロースを添加した場合、200nmで均一に確認された(図6E)。
図4Dは、本発明の一具体例の方法によって分離されたエキソソームに対してウエスタンブロットを行った結果として、CD9、CD63、CD81、及びTSG101マーカーの存在を確認した。各マーカーに対する抗体には、それぞれ抗CD9(Abcamから購入)、抗CD63(System Biosciencesから購入)、抗CD81(System Biosciencesから購入)、及び抗TSG101(Abcamから購入)を使用した。
図4Eは、本発明の一具体例の方法によって分離されたエキソソームに対してフローサイトメトリーを用いて分析した結果としてCD63及びCD81マーカーの存在を確認した。CD63に対して陽性(positive)であるエキソソームを分離するためにエキソソームヒューマンCD63分離/検出キット(ThermoFisher Scientificから購入)をメーカーの方法に従って使用し、PE―マウス抗ヒトCD63(PE−Mouse anti−human CD63)(BDから購入)及びPE−マウス抗ヒトCD81(PE−mouse anti−human CD81)(BDから購入)を使用してマーカーを染色した後、フローサイトメトリー(ACEA Biosciences)を用いて分析した。
前記の結果を総合すると、本発明は、タンジェント流ろ過を用いた製造過程でトレハロースを添加して、高純度でありながら、粒子サイズ分布が均一なエキソソームを高収率で経済的で、かつ効率的に分離及び精製できることが確認できた。また、本発明の一具体例の分離方法の工程は、スケールアップが可能でありGMPにも適合することが分かった。
実施例4:エキソソーム処理による細胞毒性の測定
ヒト皮膚繊維芽細胞であるHS68細胞で本発明の一具体例の分離方法によって得られたエキソソームの毒性を評価するために、細胞に濃度別にエキソソームを処理し、細胞の増殖率を確認した。HS68細胞を、10%FBSを含むDMEMに懸濁させた後、80〜90%の密集度(confluency)を有するように分株し、37℃、5%COインキュベーターで24時間培養した。24時間後、培養液を除去し、実施例2で準備されたエキソソームを濃度別に処理して、24〜72時間培養しながら細胞生存率を評価した。細胞生存率をWST−1試薬(WST−1 reagent)(Takaraから購入)、MTT試薬(Sigmaから購入)、セルタイターグロ試薬(CellTiter−Glo reagent)(Promegaから購入)、又はアラマールブルー試薬(alamarBlue reagent)(ThermoFisher Scientificから購入)とマイクロプレートリーダー(microplate reader)(Molecular Devicesから購入)を用いて測定した。
比較群はエキソソームが処理されていない一般の細胞培養培地で培養された細胞数を基準にしており、試験された濃度範囲内で、本発明のエキソソームによる細胞毒性が示されないことを確認した(図7)。
実施例5:サポゲニンとエキソソームの組み合わせの製造
サポゲニンとエキソソームの組み合わせは、次のように製造して使用した。
(1)サポゲニンとエキソソームを混合して常温で反応させた後、反応液をそのまま使用(「サポゲニン−エキソソーム混合液」)
(2)サポゲニンとエキソソームを混合して常温で反応させ、エキソソームに浸透していないサポゲニンを除去した後に使用(「サポゲニン−エキソソーム」)。エキソソームに結合(association)されていないサポゲニンを除去するためにサイズ分別カラム、例えばMW3000スピンカラム(spin column)(ThermoFisherから購入)を使用した。
本発明を限定しない一例として、サポゲニンにジオスゲニンを使用した。
以下では、前記(1)と(2)の両方ともサポゲニンとエキソソームの組み合わせと称する。
実施例6:脂肪細胞への分化誘導時の脂質蓄積(lipid uptake)の評価
3T3−L1脂肪前駆細胞(3T3−L1 preadipocytes)をクローン増殖(clonal expansion)して、十分な数の細胞を確保した後、使用した。脂肪細胞への分化誘導時、本発明の一具体例のサポゲニンとエキソソームの組み合わせによる脂質蓄積効果を次のように評価した。
3T3−L1脂肪前駆細胞を8×10細胞/cmの密度で24ウェルプレートの各ウェルに接種した後、37℃、5%COインキュベーターで3〜4日間培養した。その後、3T3−L1細胞を0.5mM IBMX(Sigmaから購入)、0.5μMデキサメタゾン(Sigmaから購入)及び5μg/mLのインスリン(Sigmaから購入)(以下、「分化カクテル」という)が補充された10%FBS(fetal bovine serum)及び5%のペニシリン−ストレプトマイシン含有DMEM培地(以下、「分化培地」という)で2日間培養して分化を誘導した。分化誘導時の分化条件により実験群を次のように分類した:
(1)陰性対照群(Control):分化培地のみ使用して培養した実験群;
(2)ピオグリタゾン(Pioglitazone):分化培地に加えてピオグリタゾン(Sigmaから購入;最終濃度10μM)を処理して培養した実験群(陽性対照群)(図10で「P」と表示);
(3)ジオスゲニン(Diosgenin):分化培地に加えてジオスゲニン(Sigmaから購入;最終濃度10μM)を処理して培養した実験群(図10で「D」と表示);
(4)ジオスゲニンとエキソソームの組み合わせ(Diosgenin+Exosome):分化培地に加えてジオスゲニン(最終濃度10μM)と実施例2で準備されたエキソソーム(最終濃度4μg/mL)の組み合わせを処理して培養した実験群(図10で「D+Exo」と表示)。
3T3−L1脂肪前駆細胞を分化培地で培養して分化誘導を開始した後、2日が経過した時点で、各実験群ごとに分化培地を5μg/mLのインスリンが補充された10%FBS(fetal bovine serum)及び5%のペニシリン−ストレプトマイシン含有DMEM培地(以下、「成熟培地」という)と交換し、2〜20日間培養して成熟(maturation)を誘導した。この時、2日に一度ずつ成熟培地を交換した。
成熟した3T3−L1細胞の洗浄及び固定過程を経た後、オイルレッドO染色(Oil Red O staining)を行い、画像分析を介して細胞内の脂質蓄積を定量した。また、細胞質内に蓄積された脂肪滴(lipid droplet)を核と区別するために、核をヘマトキシリンで染色し、光学顕微鏡写真を撮影した。細胞質内に蓄積された脂肪滴はオイルレッドO染色により赤色に染色され、核はヘマトキシリン染色により紫色に染色された(図8)。
図8に示すように、3T3−L1細胞に対する脂肪細胞への分化誘導時、分化培地としてのみ処理した陰性対照群に比べて、本発明の一具体例のサポゲニン(ジオスゲニン)とエキソソームの組み合わせを処理した場合に、はるかに多くの脂肪滴が蓄積され、脂肪滴のサイズも大きいことがわかった。
一方、3T3−L1細胞内の脂肪滴の形成は、脂肪細胞への分化を示す指標(marker)なので、特定の試験物質の処理による3T3−L1細胞内の脂肪滴の蓄積量を測定すると、当該試験物質が脂質蓄積を刺激して脂肪細胞への分化(adipogenesis)を促進する効能を有するか否を客観的に評価することができる。このため、各実験群ごとに3T3−L1細胞を分化培地で培養して分化誘導を開始した後、6日目に3T3−L1細胞をオイルレッドOで染色し、光学顕微鏡写真を撮影した(図9)。また、脂肪滴に染色されているオイルレッド染料をイソプロパノールで溶出させた後、510nmで吸光度を測定し、各実験群ごとに3T3−L1細胞内の脂質蓄積量を測定し陰性対照群に対する脂質蓄積増加量をパーセンテージで評価した(図10)。
その結果、本発明の一具体例のサポゲニン(ジオスゲニン)とエキソソームの組み合わせを処理した場合、陰性対照群に比べて脂質蓄積量が顕著に増加し、サポゲニン(ジオスゲニン)のみを単独処理した場合に比べても、脂質蓄積量が有意に増加することが確認された。このような結果から、本発明の一具体例のサポゲニンとエキソソームの組み合わせを、脂肪前駆細胞に処理して分化を誘導するとサポゲニン単独処理に比べて脂質蓄積量が有意に増加して脂肪細胞への分化が促進されることがわかった。
したがって、本発明のサポゲニンとエキソソームの組み合わせを含む組成物は、脂質不足による身体欠陥部位や皮膚欠陥部位に適用される場合、脂質蓄積量を増加させることで、皮膚欠陥補正、豊満、ボリュームアップ(volume−up)及び皮膚膨満効果を示すことができる。
実施例7:脂肪細胞への分化誘導時の細胞保護効果の評価
高濃度のサポゲニンは、細胞死滅を引き起こすことがあると知られている。本発明の一具体例のサポゲニンとエキソソームの組み合わせによる細胞保護効果を評価するために、前記実施例6と同様の方法で3T3−L1脂肪前駆細胞の分化を誘導し、細胞生存率を評価した。分化誘導時の分化条件によって実験群を次のように分類した:
(1)陰性対照群(Control):分化培地のみ使用して培養した実験群;
(2)ジオスゲニン(Diosgenin):分化培地に加えて高濃度のジオスゲニン(最終濃度30μM)を処理して培養した実験群(図12で「D」と表示);
(3)ジオスゲニンとエキソソームの組み合わせ(Diosgenin+Exosome):分化培地に加えて高濃度のジオスゲニン(最終濃度30μM)と実施例2で準備されたエキソソーム(最終濃度4μg/mL)の組み合わせを処理して培養した実験群(図12で「D+Exo」と表示)。
前記実施例6による方法によって、3T3−L1細胞を分化培地で培養して分化誘導を開始した後、3日目に、各実験群ごとに3T3−L1細胞を光学顕微鏡で撮影した。図11に示すように、高濃度のサポゲニン(ジオスゲニン)のみを処理した実験群では、細胞死が起こり、本来の形を失って底面から離れて浮遊している3T3−L1細胞が多い一方で、本発明の一実施例の高濃度のサポゲニン(ジオスゲニン)とエキソソームの組み合わせを処理した場合には、3T3−L1細胞の細胞死が相対的に少ないことが観察された。また、前記観察結果を定量的に評価するために、MTTアッセイを行い、細胞生存率(cell viability)を測定した。各実験群ごとに3T3−L1細胞を分化培地で培養して分化誘導を開始した後、3日目に0.5mg/mLのチアゾリルブルーテトラゾリウムブロミド(thiazolyl blue tetrazolium bromide)を用いたMTTアッセイを行った。570nmで吸光度を測定して、各実験群の陰性対照群に対する細胞生存率をパーセンテージで評価した(図12)。
その結果、本発明の一具体例の高濃度のサポゲニン(ジオスゲニン)とエキソソームの組み合わせを処理した場合、高濃度のサポゲニン(ジオスゲニン)単独処理群に比べて細胞生存率が有意に増加することが確認された。すなわち、本発明の一具体例のサポゲニンとエキソソームの組み合わせを、脂肪前駆細胞に処理して分化を誘導するとサポゲニン単独処理に比べて細胞内への脂質蓄積量が増加するだけでなく、高濃度のサポゲニンによる毒性から細胞を保護することがわかった。
したがって、本発明のサポゲニンとエキソソームの組み合わせを含む組成物は、サポゲニン単独成分に比べて、脂肪細胞内への脂質蓄積及び脂肪細胞への分化を促進するだけでなく、サポゲニン成分による細胞毒性を減少させ、皮膚への副作用を減らすとともに、皮膚欠陥補正、豊満、ボリュームアップ(volume−up)及び皮膚膨満効果を示すことができる。
実施例8:脂肪細胞分化マーカーの発現量の測定による脂肪細胞への分化促進効能の評価
本発明の一具体例のサポゲニンとエキソソームの組み合わせによる脂肪細胞への分化促進効能を次のように評価した。
3T3−L1脂肪前駆細胞を、10%NBCS(Newborn calf serum)及び1%のペニシリン−ストレプトマイシンが補充されたDMEM培地(Dulbecco Modified Eagle Medium)(ThermoFisher Scientificから購入)に懸濁させた後、12ウェルプレート(12well plate)に8×10細胞/cmの密度で接種した後、37℃、5%CO培養器で72時間培養した。その後、3T3−L1細胞を0.5mM IBMX(Sigmaから購入)、0.5μMデキサメタゾン(Sigmaから購入)及び5μg/mLのインスリン(Sigmaから購入)(以下、「分化カクテル」という)が補充された10%FBS(fetal bovine serum)及び1%のペニシリン−ストレプトマイシン含有DMEM培地(以下、「分化培地」という)で48時間培養して分化を誘導した。分化誘導時の分化条件によって実験群を以下のように分類した:
(1)成長培地(Growth media):分化培地の代わりにDMEM培地を使用して培養した実験群;
(2)分化培地(Differentiation media):分化培地を使用して培養した実験群;
(3)ピオグリタゾン(Pioglitazone):分化培地に加えてピオグリタゾン(最終濃度10μM)を処理して培養した実験群(陽性対照群);
(4)ジオスゲニンとエキソソームの組み合わせ(Diosgenin+Exosome):分化培地に加えてジオスゲニン(最終濃度10μM)と実施例2で準備されたエキソソーム(最終濃度6μg/mL)の組み合わせを処理して培養した実験群。
3T3−L1脂肪前駆細胞を分化培地で培養して分化誘導を開始した後、48時間が経過した時点で、各実験群ごとに分化培地を5μg/mLのインスリンが補充された10%FBS(fetal bovine serum)及び1%のペニシリン−ストレプトマイシン含有DMEM培地(以下、「成熟培地」という)と交換し、48時間培養して成熟(maturation)を誘導した。
3T3−L1細胞を分化培地で培養して分化誘導を開始した後、0日目、1日目、4日目及び6日目に、各実験群ごとに脂肪細胞の分化に関連するマーカーのmRNA発現量をリアルタイムPCRを介して測定し、本発明の一実施例のサポゲニン(ジオスゲニン)とエキソソームの組み合わせによる脂肪細胞への分化促進効能を確認した。各実験群の3T3−L1細胞から分離したRNAからcDNAを製造してリアルタイムPCR法を用いて、脂肪細胞の分化に関連するマーカーであるPPAR−γ(Peroxisome proliferator−activated receptor gamma)、C/EBP−α(CCAAT/enhancer−binding protein alpha)、FAS(fatty acid synthase)、ACC(acetyl−CoA carboxylase)、GDPH(glycerol−3−phosphate dehydrogenase)、GAPDH(glyceraldehyde−3−phosphate dehydrogenase)及びPref−1(Preadipocyte factor 1)のmRNA発現量を測定して比較した。前記遺伝子を定量するための標準遺伝子としてPPIA(Peptidylprolyl isomerase A)遺伝子を使用した。リアルタイムPCRに使用したプライマーの種類と配列は下記表1の通りである。
その結果、本発明の一具体例のサポゲニン(ジオスゲニン)とエキソソームの組み合わせを処理した場合、分化誘導を開始した後、6日目に分化培地単独処理に比べて脂肪細胞の分化マーカーであるPPAR−γのmRNA発現量を有意に増加させた(図13)。特に、本発明の一具体例のサポゲニン(ジオスゲニン)とエキソソームの組み合わせを処理した場合、分化誘導を開始した後、6日目に陽性対照群であるピオグリタゾン又はジオスゲニン単独処理群よりもPPAR−γのmRNA発現量が増加した。したがって、本発明の一具体例のサポゲニンとエキソソームの組み合わせを、脂肪前駆細胞に処理すると、脂肪細胞への分化誘導後、一定の時点でピオグリタゾンよりも優れた脂肪細胞への分化促進効能を示すことが確認できた。
また、本発明の一具体例のサポゲニン(ジオスゲニン)とエキソソームの組み合わせを処理した場合、分化誘導を開始した後、4日目に分化培地単独処理に比べてC/EBP−α(成熟した脂肪細胞に存在するマーカー)のmRNA発現量を有意に増加させた(図14)。そして、本発明の一具体例のサポゲニン(ジオスゲニン)とエキソソームの組み合わせを処理すると、分化誘導開始後の時間の経過に応じて、脂肪細胞の分化と関連のあるマーカーであるFAS、ACC、GDPH及びGAPDHのmRNA発現量を増加させた(図15〜図18)。
一方、本発明の一具体例のサポゲニン(ジオスゲニン)とエキソソームの組み合わせを処理すると、脂肪前駆細胞のマーカーであるPref−1(Preadipocyte factor 1)のmRNA発現量を有意に減少させることを確認した(図19)。
前記実験結果から、本発明のサポゲニンとエキソソームの組み合わせを含む組成物は、脂肪前駆細胞から脂肪細胞への分化を促進する効能があることがわかる。したがって、本発明の組成物は、脂質不足による身体欠陥部位や皮膚欠陥部位に局所的に適用される場合、脂肪細胞への分化を促進し、脂肪細胞の導入及び成長を刺激して、様々な原因で脂質不足を示す身体欠陥や皮膚欠陥を予防、緩和、改善、又は回復させることができる。
実施例9:脂肪前駆細胞の増殖率の評価
本発明の一具体例のサポゲニンとエキソソームの組み合わせが3T3−L1脂肪前駆細胞の増殖を促進するか否かを以下のように実験を行って確認した。3T3−L1脂肪前駆細胞を、10%NBCS(Newborn calf serum)及び1%のペニシリン−ストレプトマイシンが補充されたDMEM培地(Dulbecco Modified Eagle Medium)(ThermoFisher Scientificから購入)に懸濁させた後、96ウェルプレート(96 well plate)に8×10細胞/cmの密度で接種し、ピオグリタゾン(最終濃度10μM)、又はジオスゲニン(最終濃度10μM)と実施例2で準備されたエキソソーム(最終濃度6μg/mL)の組み合わせを処理した後、37℃、5%CO培養器で48時間培養した。48時間が経過した後、0.5mg/mLのチアゾリルブルーテトラゾリウムブロミド(Thiazolyl Blue Tetrazolium Bromide)(Sigmaから購入)を含むDMEM培地を処理して、2時間培養した。
培地を除去した後、ジメチルスルホキシド(Dimethyl Sulfoxide)(AMRESCOから購入)で紫色の結晶を溶解させて570nmで吸光度を測定し、本発明の一具体例のサポゲニン(ジオスゲニン)とエキソソームの組み合わせによる脂肪前駆細胞の増殖促進効果を確認した。その結果、本発明の一具体例のサポゲニン(ジオスゲニン)とエキソソームの組み合わせを処理した場合、陽性対照群であるピオグリタゾン処理群よりも脂肪前駆細胞の増殖率が高いことを確認した(図20)。
前記実験結果から、本発明のサポゲニンとエキソソームの組み合わせを含む組成物は、脂肪前駆細胞の増殖を促進する効能があることがわかる。したがって、本発明の組成物は、脂質不足による身体欠陥部位や皮膚欠陥部位に局所的に適用される場合、脂肪前駆細胞の増殖を促進し、それにより分化された脂肪細胞の数も増加させることにより、様々な原因で脂質不足を示す身体欠陥や皮膚欠陥を予防、緩和、改善、又は回復させることができると期待される。
以上、本発明を前記実施例を挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。当業者であれば、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正、変更をすることができ、このような修正と変更も本発明に属するものであることがわかるであろう。

Claims (12)

  1. 脂質不足による身体欠陥や皮膚欠陥を予防、緩和、改善、又は回復する組成物であって、サポゲニンとエキソソームの組み合わせを有効成分として含む組成物。
  2. 前記サポゲニンとエキソソームの組み合わせは、前記サポゲニンを前記エキソソームとともにインキュベーションさせて得られる、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記サポゲニンとエキソソームの組み合わせは、前記サポゲニンと前記エキソソームを混合し、前記サポゲニンと前記エキソソームの混合物をインキュベーションして得られる、請求項2に記載の組成物。
  4. 前記サポゲニンとエキソソームの組み合わせにおいて、前記サポゲニンは、前記エキソソームに浸透、又は少なくとも結合(association)されて担持することを特徴とする、請求項3に記載の組成物。
  5. 脂肪前駆細胞の増殖、脂肪細胞内への脂質蓄積又は脂肪細胞への分化のうち少なくとも一つを促進することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
  6. サポゲニン成分による細胞毒性を減少させることを特徴とする、請求項5に記載の組成物。
  7. 機能性化粧料組成物又は皮膚外用剤である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
  8. パッチ、マスクパック、シートマスク、クリーム、トニック、軟膏、懸濁液、乳濁液、ペースト、ローション、ゲル、オイル、パック、スプレー、エアゾール、ミスト、ファンデーション、パウダー、及び油紙で構成された群から選ばれた少なくとも1種の形態に適用することを特徴とする、請求項7に記載の組成物。
  9. パッチ、マスクパック又はシートマスクの少なくとも一面に塗布又は浸漬されることを特徴とする、請求項8に記載の組成物。
  10. 前記サポゲニンは、ジオスゲニン(diosgenin)、ヘコゲニン(hecogenin)、スミラゲニン(smilagenin)、エピスミラゲニン(epismilagenin)、サルササポゲニン(sarsasapogenin)、イソサルササポゲニン(isosarsasapogenin)、エピサルササポゲニン(episarsasapogenin)、パリゲニン(parigenin)、チゴゲニン(tigogenin)、エピチゴゲニン(epitigogenin)、ネオチゴゲニン(neotigogenin)、パリリン(parillin)、チモサポニン(timosaponin)、キシリングサポニン(xilingsaponin)、フィリフェリン(filiferin)、ヤモゲニン(yamogenin)、及びユッカゲニン(yuccagenin)で構成された群から選ばれた少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
  11. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物を哺乳動物の身体欠陥部位や皮膚欠陥部位に局所的に塗布することにより、前記組成物が塗布された身体欠陥部位や皮膚欠陥部位のボリューム感の増大をもたらす、治療用を除く美容方法。
  12. (a)前記組成物を哺乳動物の皮膚に直接塗布すること、(b)前記組成物が塗布又は浸漬されたパッチ、マスクパック又はシートマスクを哺乳動物の皮膚に接触又は付着すること、若しくは前記(a)及び(b)を順次進行することを含む、請求項11に記載の治療用を除く美容方法。
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