JP2021500375A5 - - Google Patents

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CD117+細胞を減少させるための組成物及び方法
[関連出願の相互参照]
本出願は、2017年10月24日に出願された米国仮出願第62/576572号;2017年12月8日に出願された米国仮出願第62/596569号;2018年2月20日に出願された米国仮出願第62/632967号;及び2018年3月2日に出願された米国仮出願第62/638053号の優先権を主張する。各優先出願の内容は、本明細書に参照により取り込まれる。
本発明は、抗CD117抗体、抗体薬物コンジュゲート(ADC)、並びに、その抗原結合フラグメント、並びに、造血幹細胞のような造血細胞が発現する抗原と結合することができる抗体、又は抗体薬物コンジュゲート(ADC)を投与することにより、特に、血液疾患、代謝障害、がん、及び自己免疫疾患などの様々な病態に罹患している患者を治療する方法に関する。
医療技術の進歩にもかかわらず、特に、特定の血液細胞の疾患等の造血系の病態、代謝性障害、がん、及び自己免疫症状を治療するための需要が依然として存在する。造血幹細胞は有意な治療可能性を有する一方で、造血幹細胞移植が確実に宿主において生着することが難しいということに関連して、臨床でのそれらの使用が妨げられているという限界がある。
内因性の幹細胞を特異的にターゲットし、外因性の造血幹細胞グラフトの生着を促進するためのコンディショニング剤として使用することができて、その結果、これらの細胞の多能性及び造血機能性が、移植後の患者において保存される、組成物が現在必要とされている。
CD117(c-kit又は幹細胞因子レセプター(Stem Cell Factor Receptor (SCFR))とも呼ばれる)は、リガンドである幹細胞因子(SCF)と結合する単一の膜貫通型レセプター・チロシン・キナーゼである。SCFは、cKITのホモ二量体化を誘導してそのチロシン・キナーゼ活性を活性化し、PI3-AKT及びMAPK経路の両方を介してシグナルを伝達する(Kindblomら、Am J. Path.1998 152(5):1259)。
CD117は、元々がん遺伝子として発見され、腫瘍学の分野で研究されてきている(例えば、Stankovら(2014) Curr Pharm Des. 20(17):2849-80を参照のこと)。CD117をターゲットとした抗体-薬物コンジュゲート(KTN0158)が、難治性の消化管間質腫瘍(refractory gastrointestinal stromal tumors(GIST))を治療するために現在研究されている(例えば、“KTN0158, a humanized anti-KIT monoclonal antibody, demonstrates biologic activity against both normal and malignant canine mast cells” London et al. (2016) Clin Cancer Res DOI: 10.1158/1078-0432.CCR-16-2152)。
CD117は造血幹細胞(HSC)に高発現している。この発現パターンによって、CD117は、広範囲の疾患にわたって、コンディショニングをするためのターゲットとなる可能性がある。しかしながら、骨髄移植のような移植のために、患者をコンディショニングするのに有効な抗CD117をベースとした治療法へのニーズが依然として満たされていない。
ヒトCD117(c-kitとしても知られる)に特異的に結合する抗体及びその抗原結合部分、並びに前記抗体を使用する組成物及び方法を本明細書に記載する。特に、本明細書中に記載される抗体及びフラグメントは、抗CD117抗体-薬物コンジュゲート(ADC)において使用され得る。
ある実施形態において、本発明は、造血系の種々の障害、代謝性障害、がん、及び自己免疫疾患を直接的に治療するための組成物及び方法を提供する。更に、本発明は、造血幹細胞移植グラフトの生着を促進するために、造血幹細胞移植療法を受ける前に、ヒト患者のような患者をコンディショニングするための方法を特徴とする。前記患者は、異常ヘモグロビン症又は他の造血病態のような1種以上の血液障害に罹患している患者であり、従って造血幹細胞移植を必要としている。本明細書中に記載されるように、造血幹細胞は、造血系列の多数の細胞型に分化することが可能であり、そして前記患者において、欠損している細胞型を定植させる又は再定植させるために患者に投与されることがある。本発明は、(i) CD117を発現する細胞の集団(例えば、異常な血液細胞、がん細胞、若しくは自己免疫細胞)を選択的に減少させることによって、特に、本明細書中に記載される血液障害、代謝疾患、がん、若しくは自己免疫疾患のような疾患を直接的に治療し、及び/又は、(ii)前記患者内の内因性の造血幹細胞の集団を減少させる、CD117等(例えば、GNNK+ CD117等を含む)、造血細胞が発現するタンパク質に結合し得る抗体及び抗体-薬物コンジュゲート(ADC)を用いて患者を治療する方法を特徴とする。とりわけ、白血病細胞のようながん性細胞、自己抗原と交差反応するT-細胞レセプターを発現するT-細胞のような自己免疫性リンパ球がCD117を発現することがあるので、前者の活性によって、造血系列の細胞に関連する広範囲の障害を直接的に治療することが可能になる。後者の活性(造血幹細胞を選択的に減少させること)によって空きが作られ、この空きは、次いで、外因性の(例えば、自家、同種異系、又は同系)造血幹細胞移植グラフトを移植することによって埋められることがある。従って、本発明は、とりわけ、鎌状赤血球貧血、サラセミア、ファンコニ貧血、ウィスコット‐アルドリッチ症候群(Wiskott-Aldrich syndrome)、アデノシン・デアミナーゼ欠損症‐重度複合免疫不全症、異染性白質ジストロフィー、ダイアモンド‐ブラックファン貧血(Diamond-Blackfan anemia)及びシュワックマン‐ダイアモンド症候群(Schwachman-Diamond syndrome)、ヒト免疫不全ウイルス感染、及び後天性免疫不全症候群のような種々の造血症状、並びにがん及び自己免疫疾患、を治療する方法を提供する。
ある態様において、本発明は、CD117に結合し得る抗体、その抗原結合フラグメントの有効量を投与することによって、ヒト患者においてCD117+細胞の集団を減少させる方法を提供し、ここで、前記抗体又はフラグメントは、細胞毒素にコンジュゲートしている(ADCを形成する)。
別の態様において、本発明は、造血幹細胞移植を必要とするヒト患者において、造血幹細胞を含む移植物を受ける前に、前記患者に、細胞毒素にコンジュゲートしていて、CD117に結合し得る抗体又はその抗原結合フラグメント(ADC)の有効量を投与することによって、CD117+細胞の集団を減少させる方法を提供する。
別の態様において、本発明は、例えば、造血幹細胞を含む移植物をヒト患者に投与すること等を含む、造血幹細胞移植を必要とするヒト患者を治療する方法を特徴とする、ここで、前記患者は、CD117に結合し得る抗体又はその抗原結合フラグメント(細胞毒素にコンジュゲートしている(ADCを形成する))を、前記患者においてCD117+細胞の集団を減少させるのに充分な量で、予め投与される。
更なる態様において、本発明は、例えば、造血幹細胞移植を必要とするヒト患者を治療する方法を特徴とし、以下を含む:細胞毒素にコンジュゲートしていて、CD117に結合し得る抗体又はその抗原結合フラグメント(ADCを形成する)を、ヒト患者に、前記患者においてCD117+細胞の集団を減少させるのに充分な量で、投与すること、並びに、その後、造血幹細胞を含む移植物を前記患者に投与すること。
上記の態様の何れにおいても、前記細胞毒素は、例えば、シュードモナス外毒素A、deブーガニン、ジフテリア毒素、α-アマニチン等のアマトキシン、サポリン、メイタンシン、メイタンシノイド、アウリスタチン、アントラサイクリン、カリケアマイシン、イリノテカン、SN-38、デュオカルマイシン、ピロロベンゾジアゼピン、ピロロベンゾジアゼピン二量体、インドリノベンゾジアゼピン、及びインドリノベンゾジアゼピン二量体、又はそれらのバリアントであることがある。
上記の態様の何れかのいくつかの実施形態において、前記細胞毒素は、α-アマニチン、β-アマニチン、γ-アマニチン、ε-アマニチン、アマニン、アマニンアミド、アマヌリン、アマヌリン酸、及びプロアマヌリン等のアマトキシン又はその誘導体である。ある実施形態において、前記細胞毒素はアマニチンである。
上記の態様の何れかのいくつかの実施形態において、前記細胞毒素はアマトキシンである、並びに細胞毒素に結合した抗体、又はその抗原結合フラグメントは、式Ab-Z-L-Amで表される、ここで、Abは抗体又はその抗原結合フラグメントである、Lはリンカーである、Zは化学的な部分構造である、Amはアマトキシンである。いくつかの実施形態において、前記アマトキシンはリンカーにコンジュゲートしている。いくつかの実施形態において、アマトキシン・リンカー・コンジュゲートAm-L-Zは、式(I)で表される。
Figure 2021500375

ここで、R1は、H、OH、ORA、又はORCである;
R2は、H、OH、ORB、又はORCである;
RA及びRBは、存在する場合、それらが結合している酸素原子と一緒になって、任意選択的に置換された5員ヘテロシクロアルキル基を形成する;
R3は、H、RC、又はRDである;
R4は、H、OH、ORC、ORD、RC、又はRDである;
R5は、H、OH、ORC、ORD、RC、又はRDである;
R6は、H、OH、ORC、ORD、RC、又はRDである;
R7は、H、OH、ORC、ORD、RC、又はRDである;
R8は、OH、NH2、ORC、ORD、NHRC、又はNRCRDである;
R9は、H、OH、ORC、又はORDである;
Xは、-S-、-S(O)-、又は-SO2-である;
RCは、-L-Zである;
RDは、任意選択的に置換されたアルキル(例えば、C1-C6アルキル)、任意選択的に置換されたヘテロアルキル(例えば、C1-C6ヘテロアルキル)、任意選択的に置換されたアルケニル(例えば、C2-C6アルケニル)、任意選択的に置換されたヘテロアルケニル(例えば、C2-C6ヘテロアルケニル)、任意選択的に置換されたアルキニル(例えば、C2-C6アルキニル)、任意選択的に置換されたヘテロアルキニル(例えば、C2-C6ヘテロアルキニル)、任意選択的に置換されたシクロアルキル、任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキル、任意選択的に置換されたアリール、又は任意選択的に置換されたヘテロアリールである;
Lは、任意選択的に置換されたアルキレン(例えば、C1-C6アルキレン)、任意選択的に置換されたヘテロアルキレン(例えば、C1-C6ヘテロアルキレン)、任意選択的に置換されたアルケニレン(例えば、C2-C6アルケニレン)、任意選択的に置換されたヘテロアルケニレン(例えば、C2-C6ヘテロアルケニレン)、任意選択的に置換されたアルキニレン(例えば、C2-C6アルキニレン)、任意選択的に置換されたヘテロアルキニレン(例えば、C2-C6ヘテロアルキニレン)、任意選択的に置換されたシクロアルキレン、任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキレン、任意選択的に置換されたアリーレン、任意選択的に置換されたヘテロアリーレン;ジペプチド、-(C=O)-、ペプチド、又はそれらの組合せであるようなリンカーである;並びに、
Zは、L上に存在する反応性置換基と、CD117(GNNK+CD117など)に結合する抗体、又はその抗原結合フラグメント内に存在する反応性置換基との間のカップリング反応から形成される化学的な部分構造である。
いくつかの実施形態では、Amは、丁度1個のRC置換基を含む。
いくつかの実施形態では、前記リンカーL及び前記化学的な部分構造Zは、一緒にL-Zとみなされ、
Figure 2021500375
である、ここで、Sは、CD117に結合する、抗体、又はその抗原結合フラグメント内に存在する反応性置換基を表す硫黄原子である(例えば、システイン残基の-SH基に由来する)。
いくつかの実施形態では、L-Zは、
Figure 2021500375

である。
いくつかの実施形態では、Am-L-Z-Abは、以下のうちの1つである:
Figure 2021500375
ここで、Xは、-S-, -S(O)-,又は-SO2-である。
いくつかの実施形態では、Am-L-Z-Abは、
Figure 2021500375
である。
いくつかの実施形態では、Am-L-Z-Abは、
Figure 2021500375
である。
いくつかの実施形態では、Am-L-Z-Abは、
Figure 2021500375
である。
いくつかの実施形態において、Am-L-Zは式(IA)で表される、
Figure 2021500375

ここで、R1は、H、OH、ORA、又はORCである;
R2は、H、OH、ORB、又はORCである;
RA及びRBは、存在する場合、それらが結合している酸素原子と一緒になって、任意選択的に置換された5員ヘテロシクロアルキル基を形成する;
R3は、H、RC、又はRDである;
R4は、H、OH、ORC、ORD、RC、又はRDである;
R5は、H、OH、ORC、ORD、RC、又はRDである;
R6は、H、OH、ORC、ORD、RC、又はRDである;
R7は、H、OH、ORC、ORD、RC、又はRDである;
R8は、OH、NH2、ORC、ORD、NHRC、又はNRCRDである;
R9は、H、OH、ORC、又はORDである;
Xは、-S-、-S(O)-、又は-SO2-である;
RCは、-L-Zである;
RDは、任意選択的に置換されたアルキル(例えば、C1-C6アルキル)、任意選択的に置換されたヘテロアルキル(例えば、C1-C6ヘテロアルキル)、任意選択的に置換されたアルケニル(例えば、C2-C6アルケニル)、任意選択的に置換されたヘテロアルケニル(例えば、C2-C6ヘテロアルケニル)、任意選択的に置換されたアルキニル(例えば、C2-C6アルキニル)、任意選択的に置換されたヘテロアルキニル(例えば、C2-C6ヘテロアルキニル)、任意選択的に置換されたシクロアルキル、任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキル、任意選択的に置換されたアリール、又は任意選択的に置換されたヘテロアリールである;
Lは、任意選択的に置換されたアルキレン(例えば、C1-C6アルキレン)、任意選択的に置換されたヘテロアルキレン(例えば、C1-C6ヘテロアルキレン)、任意選択的に置換されたアルケニレン(例えば、C2-C6アルケニレン)、任意選択的に置換されたヘテロアルケニレン(例えば、C2-C6ヘテロアルケニレン)、任意選択的に置換されたアルキニレン(例えば、C2-C6アルキニレン)、任意選択的に置換されたヘテロアルキニレン(例えば、C2-C6ヘテロアルキニレン)、任意選択的に置換されたシクロアルキレン、任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキレン、任意選択的に置換されたアリーレン、任意選択的に置換されたヘテロアリーレン、ジペプチド、-(C=O)-、ペプチド、又はそれらの組合せであるようなリンカーである;
Zは、L上に存在する反応性置換基と、CD117(GNNK+CD117など)に結合する抗体、又はその抗原結合フラグメント内に存在する反応性置換基との間のカップリング反応から形成される化学的な部分構造である;並びに、
ここで、Amは、丁度1個のRC置換基を含む。
いくつかの実施形態では、前記リンカーL及び前記化学的な部分構造Zは、一緒にL-Zとみなされ、
Figure 2021500375
である。
いくつかの実施形態において、L-Zは、
Figure 2021500375
である。
いくつかの実施形態において、Am-L-Zは式(IB)で表される、
Figure 2021500375

ここで、R1は、H、OH、ORA、又はORCである;
R2は、H、OH、ORB、又はORCである;
RA及びRBは、存在する場合、それらが結合している酸素原子と一緒になって、任意選択的に置換された5員ヘテロシクロアルキル基を形成する;
R3は、H、RC、又はRDである;
R4は、H、OH、ORC、ORD、RC、又はRDである;
R5は、H、OH、ORC、ORD、RC、又はRDである;
R6は、H、OH、ORC、ORD、RC、又はRDである;
R7は、H、OH、ORC、ORD、RC、又はRDである;
R8は、OH、NH2、ORC、ORD、NHRC、又はNRCRDである;
R9は、H、OH、ORC、又はORDである;
Xは、-S-、-S(O)-、又は-SO2-である;
RCは、-L-Zである;
RDは、任意選択的に置換されたアルキル(例えば、C1-C6アルキル)、任意選択的に置換されたヘテロアルキル(例えば、C1-C6ヘテロアルキル)、任意選択的に置換されたアルケニル(例えば、C2-C6アルケニル)、任意選択的に置換されたヘテロアルケニル(例えば、C2-C6ヘテロアルケニル)、任意選択的に置換されたアルキニル(例えば、C2-C6アルキニル)、任意選択的に置換されたヘテロアルキニル(例えば、C2-C6ヘテロアルキニル)、任意選択的に置換されたシクロアルキル、任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキル、任意選択的に置換されたアリール、又は任意選択的に置換されたヘテロアリールである;
Lは、任意選択的に置換されたアルキレン(例えば、C1-C6アルキレン)、任意選択的に置換されたヘテロアルキレン(例えば、C1-C6ヘテロアルキレン)、任意選択的に置換されたアルケニレン(例えば、C2-C6アルケニレン)、任意選択的に置換されたヘテロアルケニレン(例えば、C2-C6ヘテロアルケニレン)、任意選択的に置換されたアルキニレン(例えば、C2-C6アルキニレン)、任意選択的に置換されたヘテロアルキニレン(例えば、C2-C6ヘテロアルキニレン)、任意選択的に置換されたシクロアルキレン、任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキレン、任意選択的に置換されたアリーレン、任意選択的に置換されたヘテロアリーレン、ジペプチド、-(C=O)-、ペプチド、又はそれらの組合せであるようなリンカーである;
Zは、L上に存在する反応性置換基と、CD117(GNNK+CD117など)に結合する抗体、又はその抗原結合フラグメント内に存在する反応性置換基との間のカップリング反応から形成される化学的な部分構造である;並びに、
ここで、Amは、丁度1個のRC置換基を含む。
いくつかの実施形態では、RA及びRBは、それらが結合している酸素原子と一緒になって、次式の5員ヘテロシクロアルキル基を形成する:
Figure 2021500375
ここで、Yは-(C=O)-、-(C=S)-、-(C=NRE)-、又は-(CRERE')-である;並びに、
RE及びRE'は、それぞれ独立して任意選択的に置換されたC1-C6アルキレン-RC、任意選択的に置換されたC1-C6ヘテロアルキレン-RC、任意選択的に置換されたC2-C6アルケニレン-RC、任意選択的に置換されたC2-C6ヘテロアルケニレン-RC、任意選択的に置換されたC2-C6アルキニレン-RC、任意選択的に置換されたC2-C6ヘテロアルキニレン-RC、任意選択的に置換されたシクロアルキレン-RC、任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキレン-RC、任意選択的に置換されたアリーレン-RC、又は任意選択的に置換されたヘテロアリーレン-RC、である。
いくつかの実施形態では、Am-L-Zは、式(IA)又は式(IB)によって表される、
ここで、R1は、H、OH、ORA、又はORCである;
R2は、H、OH、ORB、又はORCである;
RA及びRBは、それらが結合している酸素原子と一緒になって、以下を形成する:
Figure 2021500375
R3は、H、又はRCである;
R4は、H、OH、ORC、ORD、RC、又はRDである;
R5は、H、OH、ORC、ORD、RC、又はRDである;
R6は、H、OH、ORC、ORD、RC、又はRDである;
R7は、H、OH、ORC、ORD、RC、又はRDである;
R8は、OH、NH2、ORC、又はNHRCである;
R9は、H、又はOHである;並びに、
ここで、RC及びRDは、それぞれ上記に規定した通りである。
いくつかの実施形態では、Am-L-Zは、式(IA)又は式(IB)によって表される、
ここで、R1は、H、OH、ORA、又はORCである;
R2は、H、OH、ORB、又はORCである;
RA及びRBは、それらが結合している酸素原子と一緒になって、以下を形成する:
Figure 2021500375
R3は、H、又はRCである;
R4及びR5は、それぞれ独立してH、OH、ORC、RC、又はORDである;
R6及びR7は、それぞれHである;
R8は、OH、NH2、ORC、又はNHRCである;
R9は、H、又はOHである;並びに、
ここで、RCは、上記に規定した通りである。
いくつかの実施形態では、Am-L-Zは、式(IA)又は式(IB)によって表される、
ここで、R1はH、OH、又はORAである;
R2は、H、OH、又はORBである;
RA及びRBは、それらが結合している酸素原子と一緒になって、以下を形成する:
Figure 2021500375
R3、R4、R6、及びR7は、それぞれHである;
R5は、ORCである;
R8は、OH又はNH2である;
R9は、H又はOHである;並びに、
ここで、RCは、上記に規定した通りである。
いくつかの実施形態では、Am-L-Zは、式(IA)又は式(IB)によって表される、
ここでR1及びR2は、それぞれ独立してH又はOHである;
R3は、RCである;
R4、R6、及びR7は、それぞれHである;
R5は、H、OH、又はOC1-C6アルキルである;
R8は、OH又はNH2である;
R9は、H又はOHである;並びに、
ここで、RCは、上記に規定した通りである。
いくつかの実施形態では、Am-L-Zは、式(IA)又は式(IB)によって表される、
ここでR1及びR2は、それぞれ独立してH又はOHである;
R3、R6、及びR7は、それぞれHである;
R4とR5は、それぞれ独立してH、OH、ORC、又はRCである;
R8は、OH又はNH2である;
R9は、H又はOHである;並びに、
ここで、RCは、上記に規定した通りである。
いくつかの実施形態では、Am-L-Zは、式(IA)又は式(IB)によって表される、
ここでR1及びR2は、それぞれ独立してH又はOHである;
R3、R6、及びR7は、それぞれHである;
R4及びR5は、それぞれ独立してH又はOHである;
R8は、OH、NH2、ORC、又はNHRCである;
R9は、H又はOHである;並びに、
ここで、RCは、上記に規定した通りである。
いくつかの実施形態では、前記リンカーL及び前記化学的な部分構造Zは、一緒にL-Zとみなされ、
Figure 2021500375
である。
いくつかの実施形態では、L-Zは、
Figure 2021500375
である。
いくつかの実施形態では、Am-L-Zは、式(II)、式(IIA)、又は式(IIB)で表される、
Figure 2021500375
ここで、XはS、SO、又はSO2である;R1は、H又は化学的な部分構造Zを介して前記抗体若しくはその抗原結合フラグメントに共有結合したリンカーである(Zは、前記リンカー上に存在する反応性置換基と、抗体若しくはその抗原結合フラグメント内に存在する反応性置換基との間のカップリング反応から形成される);並びにR2は、H又は化学的な部分構造Zを介して前記抗体若しくはその抗原結合フラグメントに共有結合したリンカーである(Zは、前記リンカー上に存在する反応性置換基と、抗体若しくはその抗原結合フラグメント内に存在する反応性置換基との間のカップリング反応から形成される);ここで、R1がHである場合、R2はリンカーであり、R2がHである場合、R1はリンカーである。
いくつかの実施形態において、前記リンカーは、-(CH)2n-ユニットを含む、ここで、nは2-6からの整数である。
いくつかの実施形態では、R1はリンカー及びR2はHであり、並びに前記リンカー及び化学的な部分構造は、L-Zとして一緒になり、
Figure 2021500375
である。
いくつかの実施形態では、Am-L-Z-Abは、
Figure 2021500375

である。
いくつかの実施形態では、Am-L-Z-Abは、
Figure 2021500375
である。
上記の態様の何れかのいくつかの実施形態において、前記細胞毒素は、DM1及びDM4からなる群より選択されるメイタンシノイドである。いくつかの実施形態では、前記細胞毒素はモノメチル・アウリスタチンE及びモノメチル・アウリスタチンFからなる群より選択されるアウリスタチンである。いくつかの実施形態では、前記細胞毒素は、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、及びイダルビシンからなる群より選択されるアントラサイクリンである。
別の態様において、本発明は、GNNK+CD117に結合し得る抗体、抗原結合フラグメント、又はそれらのADCの有効量を投与することによって、ヒト患者においてCD117+細胞の集団を減少させる方法を特徴とする。
更に、本発明は、造血幹細胞移植を必要とするヒト患者において、造血幹細胞を含む移植物を受ける前に、前記患者に、GNNK+CD117に結合し得る抗体、若しくはその抗原結合フラグメント、又はADCの有効量を投与することによって、CD117+細胞の集団を減少させる方法を特徴とする。
別の態様において、本発明は、例えば、造血幹細胞を含む移植物をヒト患者に投与すること等を含む、造血幹細胞移植を必要とするヒト患者を治療する方法を特徴とする、ここで、前記患者は、前記患者においてCD117+細胞の集団を減少させるのに充分な量で、GNNK+CD117に結合し得る抗体、その抗原結合フラグメント、又はADCを予め投与されている。
更なる態様において、本発明は、例えば、造血幹細胞移植を必要とするヒト患者を治療する方法を特徴とし、以下を含む:前記患者においてCD117+細胞の集団を減少させるのに充分な量で、GNNK+CD117に結合し得る抗体、その抗原結合フラグメント、又はADCを前記ヒト患者に投与すること、及び、続いて、造血幹細胞を含む移植物を前記患者に投与すること。
上記の態様の何れかのいくつかの実施形態において、前記抗体、その抗原結合フラグメントは、モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメント、ポリクローナル抗体又はその抗原結合フラグメント、ヒト化抗体又はその抗原結合フラグメント、バイスペシフィック抗体(bispecific antibody)又はその抗原結合フラグメント、二重可変免疫グロブリン・ドメイン(dual-variable immunoglobulin domain)、一本鎖Fv分子(scFv)、ダイアボディ、トリアボディ、ナノボディ、抗体様タンパク質スキャッフォルド、Fvフラグメント、Fabフラグメント、F(ab')2分子、及びタンデムdi-scFvからなる群より選択される。いくつかの実施形態では、前記抗体は、IgG、IgA、IgM、IgD、及びIgEからなる群より選択されるアイソタイプを有する。
上記の態様の何れかのいくつかの実施形態において、前記抗体、又はその抗原結合フラグメントは、造血幹細胞のような造血細胞、がん細胞、又は自己免疫細胞によって、前記患者への投与後に細胞内部に取り込まれる。例えば、前記抗体、若しくはその抗原結合フラグメント、又はADCは、(例えば、GNNK+ CD117のような細胞表面CD117への結合時に)レセプター媒介エンドサイトーシスによって、造血幹細胞、がん細胞、又は自己免疫細胞によって細胞内部に取り込まれることがある。いくつかの実施形態では、前記抗体、又はその抗原結合フラグメントに共有結合した細胞毒素は、化学的切断(例えば、本明細書中に記載されるリンカーの酵素的又は非特異的切断)によって細胞内に放出されることがある。次いで、前記細胞毒素は、その細胞内ターゲット(特に、有糸分裂紡錘体装置、核DNA、リボソームRNA、又はトポイソメラーゼなど)に接近して、とりわけ、内因性の造血細胞(例えば、移植療法前の内因性の造血幹細胞)、内因性のがん細胞、又は内因性の自己免疫細胞の死を促進することがある。
上記の態様の何れかのいくつかの実施形態において、前記抗体、若しくはその抗原結合フラグメント、又はADCは、とりわけ、造血幹細胞のような造血細胞、がん細胞、又は自己免疫細胞等のネクローシスを促進することができる。いくつかの実施形態では、前記抗体又はその抗原結合フラグメントは、前記患者に投与した時に、1種以上の補体タンパク質、ナチュラル・キラー細胞、マクロファージ、好中球、及び/又は好酸球を造血幹細胞等の細胞を動員することによって、特に、移植療法前の内因性の造血幹細胞、内因性のがん細胞、又は内因性の自己免疫細胞の死を促進することがある。
上記の態様の何れかのいくつかの実施形態において、造血幹細胞を含む移植物を、前記抗体、その抗原結合フラグメント、又はADCの濃度が、前記患者の血中から実質的にクリアランスされた後に、前記患者に投与する。
上記の態様の何れかのいくつかの実施形態において、前記造血幹細胞又はその子孫細胞は、前記造血幹細胞を前記患者に移植した後の2日以上(例えば、約2〜約5日、約2〜約7日、約2〜約20日、約2〜約30日、例えば、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、15日、16日、17日、18日、19日、20日、21日、22日、23日、24日、25日、26日、27日、28日、29日、30日又はそれ以上)後に、造血幹細胞の機能的な可能性を維持している。
上記の態様の何れかのいくつかの実施形態において、前記造血幹細胞又はその子孫細胞は、造血組織(例えば、骨髄)に局在し得、及び/又は前記造血幹細胞を前記患者に移植した後に造血を再確立し得る。
上記の態様の何れかのいくつかの実施形態において、前記造血幹細胞は、前記患者に移植をした時に、巨核球、血小板(thrombocytes)、血小板(platelets)、赤血球、マスト細胞、骨髄芽球、好塩基球、好中球、好酸球、ミクログリア、顆粒球、単球、破骨細胞,抗原提示細胞、マクロファージ、樹状細胞、ナチュラル・キラー細胞、Tリンパ球、及びBリンパ球からなる群より選択される細胞の集団を回復させる。
上記の態様の何れかのいくつかの実施形態において、本方法を使用して、例えば、移植した造血幹細胞がホーミングし得るニッチを提供するために、造血幹細胞移植療法の前に、患者において造血幹細胞の集団を減少させることによる等、1種以上の障害を治療する。移植後、前記造血幹細胞は生産的な造血を確立し、その結果、患者において欠損している細胞型が、又は、例えば、化学療法的な方法によって、能動的に傷害を受けいている、又は傷害を受けた細胞型が、補充されることがある。例えば、前記患者は、幹細胞障害に罹患している患者であってもよい。いくつかの実施形態では、前記患者は、鎌状赤血球貧血、サラセミア、ファンコニ貧血、再生不良性貧血、及びウィスコット‐アルドリッチ症候群等の異常ヘモグロビン症障害に罹患している。前記患者は、先天性免疫不全症障害又は後天性免疫不全症障害(例えば、ヒト免疫不全ウイルス又は後天性免疫不全症候群)のような免疫不全疾患に罹患していることがある。いくつかの実施形態では、前記患者は、グリコーゲン蓄積症、ムコ多糖症、ゴーシェ病、ハーラー病、スフィンゴ脂質症、及び異染性白質ジストロフィー等の代謝性障害に罹患している。いくつかの実施形態では、前記患者は、アデノシン・デアミナーゼ欠損症と重度複合免疫不全症、高免疫グロブリンM症候群、チェディアック‐東病、遺伝性リンパ組織球症、大理石骨病、骨形成不全症、貯蔵疾患、サラセミア・メジャー、全身性硬化症、全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus)、及び若年性関節リウマチからなる群より選択された障害に罹患している。いくつかの実施形態では、前記患者は、強皮症、多発性硬化症、潰瘍性大腸炎、クローン病、及びI型糖尿病等の自己免疫疾患に罹患している。いくつかの実施形態では、前記患者は、血液がん等のがん又は骨髄増殖性疾患に罹患している。いくつかの実施形態では、前記患者は、急性骨髄性白血病(AML)、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、又は非-ホジキン・リンパ腫(non-Hodgkin’s lymphoma)に罹患している。いくつかの実施形態では、前記患者は、骨髄異形成症候群のような骨髄異形成疾患に罹患している。
上記の態様の何れかのいくつかの実施形態において、本方法を使用して、患者においてCD117+がん細胞の集団を減少させる、抗体、若しくはその抗原結合フラグメント、又はADCを投与することによって、及び/又は造血幹細胞移植の前に内因性の造血幹細胞の集団を減少させるために、抗体、又はその抗原結合フラグメントを投与することによって、CD117+細胞を特徴とするがん(例えば、CD117+細胞を特徴とする白血病)等のがんを、直接的に治療する。後者のケースでは、例えば、がん細胞を根絶するプロセスの間に減少した細胞の集団を、前記移植により、今度は再構成することができる。前記がんは、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、又は非-ホジキン・リンパ腫(non-Hodgkin’s lymphoma)等の血液がんである。
上記の態様の何れかのいくつかの実施形態において、本方法を使用して、CD117+自己免疫細胞の集団を減少させるように抗体、その抗原結合フラグメント、又はADCを投与することによって、及び/又は造血幹細胞移植の前に内因性の造血幹細胞の集団を減少させるために、抗体、若しくはその抗原結合フラグメント、又はADCの投与によって、自己免疫疾患を治療する。後者のケースでは、例えば、自己免疫細胞を根絶するプロセスの間に減少した細胞の集団を、前記移植により、今度は再構成することができる。前記自己免疫疾患は、例えば、強皮症、多発性硬化症(MS)、ヒト全身性エリテマトーデス(SLE)、関節リウマチ(RA)、炎症性腸疾患(IBD)、乾癬の治療、1型糖尿病(1型糖尿病)、急性播種性脳脊髄炎(ADEM)、アジソン病、汎発性脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群(APS)、再生不良性貧血、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患(AIED)、自己免疫性リンパ増殖症候群(ALPS)、自己免疫性卵巣炎、バロー病、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、シャーガス病、慢性疲労性免疫不全症候群(CFIDS)、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、クローン病、瘢痕性類天疱瘡、セリアック・スプルー疱疹状皮膚炎(coeliac sprue-dermatitis herpetiformis)、寒冷凝集素症、CREST症候群、デゴス病、円板状エリテマトーデス、自律神経障害、子宮内膜症、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛症‐線維筋炎、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギランバレー症候群(GBS)、橋本甲状腺炎、化膿性汗腺炎、特発性及び/又は急性血小板減少性紫斑病、特発性肺線維症、IgAニューロパチー、間質性膀胱炎、若年性関節炎、川崎病、扁平苔癬、ライム病、メニエール病、混合性結合組織病(MCTD)、重症筋無力症、ニューロミオトニア、オプソクローヌス・ミオクローヌス症候群(OMS)、視神経炎、オルド甲状腺炎(Ord's thyroiditis)、尋常性天疱瘡、悪性貧血、多発軟骨炎、多発性筋炎及び皮膚筋炎、原発性胆汁性肝硬変、結節性多発動脈炎、多内分泌腺症候群、リウマチ性多発筋痛症、原発性無ガンマグロブリン血症(primary agammaglobulinemia)、レイノー現象、ライター症候群、リウマチ熱、サルコイドーシス、強皮症、シューグレン症候群、スティッフ・パーソン症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎(「巨細胞性動脈炎」としても知られる)、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、血管炎、白斑、外陰部痛(「外陰部前庭炎」)、及びヴェーゲナー肉芽腫症であることがある。
従って、上記の態様の何れかのいくつかの実施形態において、本発明は、鎌状赤血球貧血、サラセミア、ファンコニ貧血、再生不良性貧血、ウィスコット‐アルドリッチ症候群等の異常ヘモグロビン症障害を治療する方法を特徴とする。いくつかの実施形態では、本発明は、先天性免疫不全症障害又は後天性免疫不全症障害(例えば、ヒト免疫不全ウイルス又は後天性免疫不全症候群)のような免疫不全障害を治療する方法を特徴とする。いくつかの実施形態では、本発明は、グリコーゲン蓄積症、ムコ多糖症、ゴーシェ病、ハーラー病、スフィンゴ脂質症、及び異染性白質ジストロフィー等の代謝性障害を治療する方法を特徴とする。いくつかの実施形態では、本発明は、アデノシン・デアミナーゼ欠損症と重度複合免疫不全症、高免疫グロブリンM症候群、チェディアック‐東病、遺伝性リンパ組織球症、大理石骨病、骨形成不全症、貯蔵疾患、サラセミア・メジャー、全身性硬化症、全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus)、及び若年性関節リウマチからなる群より選択された障害を治療する方法を特徴とする。いくつかの実施形態では、本発明は、強皮症、多発性硬化症、潰瘍性大腸炎、クローン病、及びI型糖尿病等の自己免疫疾患を治療する方法を特徴とする。いくつかの実施形態では、本発明は、血液がん等のがん又は骨髄増殖性疾患を治療する方法を特徴とする。いくつかの実施形態では、本発明は、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、又は非-ホジキン・リンパ腫(non-Hodgkin’s lymphoma) を治療する方法を特徴とする。いくつかの実施形態では、前記患者は、骨髄異形成症候群のような骨髄異形成疾患に罹患している。これらの実施形態では、前記方法は、CD117(例えば、GNNK+CD117)に結合する抗体、若しくはその抗原結合フラグメント、又はADC、及び/又は造血幹細胞移植物を、本発明の上記の態様及び実施形態の何れかの方法に従って、投与する工程を含むことがある。
同様に、上記の態様の何れかのいくつかの実施形態において、本発明は、CD117+細胞を特徴とするがん(例えば、CD117+細胞を特徴とする白血病)のようながんを直接的に治療する方法を提供する。これらの実施形態において、前記方法はCD117(例えば、GNNK+ CD117)に結合する抗体、その抗原結合フラグメント、又はADCを投与することを包含する。前記がんは、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫又は非-ホジキン・リンパ腫(non-Hodgkin’s lymphoma)等の血液がんであることがある。
更に、上記の態様の何れかの実施形態において、本発明は、例えば、多発性硬化症(MS)、ヒト全身性エリテマトーデス(SLE)、関節リウマチ(RA)、炎症性腸疾患(IBD)、乾癬の治療、1型糖尿病(1型糖尿病)、急性播種性脳脊髄炎(ADEM)、アジソン病、汎発性脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群(APS)、再生不良性貧血、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患(AIED)、自己免疫性リンパ増殖症候群(ALPS)、自己免疫性卵巣炎、バロー病、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、シャーガス病、慢性疲労性免疫不全症候群(CFIDS)、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、クローン病、瘢痕性類天疱瘡、セリアック・スプルー疱疹状皮膚炎(coeliac sprue-dermatitis herpetiformis)、寒冷凝集素症、CREST症候群、デゴス病、円板状エリテマトーデス、自律神経障害、子宮内膜症、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛症‐線維筋炎、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギランバレー症候群(GBS)、橋本甲状腺炎、化膿性汗腺炎、特発性及び/又は急性血小板減少性紫斑病、特発性肺線維症、IgAニューロパチー、間質性膀胱炎、若年性関節炎、川崎病、扁平苔癬、ライム病、メニエール病、混合性結合組織病(MCTD)、重症筋無力症、ニューロミオトニア、オプソクローヌス・ミオクローヌス症候群(OMS)、視神経炎、オルド甲状腺炎(Ord's thyroiditis)、尋常性天疱瘡、悪性貧血、多発軟骨炎、多発性筋炎及び皮膚筋炎、原発性胆汁性肝硬変、結節性多発動脈炎、多内分泌腺症候群、リウマチ性多発筋痛症、原発性無ガンマグロブリン血症(primary agammaglobulinemia)、レイノー現象、ライター症候群、リウマチ熱、サルコイドーシス、強皮症、シューグレン症候群、スティッフ・パーソン症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎(「巨細胞性動脈炎」としても知られる)、潰瘍性大腸炎、ブドウ膜炎、血管炎、白斑、外陰部痛(「外陰部前庭炎」)、及びヴェーゲナー肉芽腫症等の自己免疫疾患を治療する方法を提供する。これらの実施形態において、前記方法は、CD117(例えば、GNNK+ CD117)に結合する抗体、若しくはその抗原結合フラグメント、又はADCを投与することを包含する。
別の態様において、本発明は、CD117+(例えば、GNNK+CD117+)細胞の集団を、式Ab-Z-L-Amによって表されるコンジュゲート(又はADC)の有効量と前記集団を接触させることにより、減少させる方法を特徴とする、ここで、AbはCD117に結合する抗体、又はその抗原結合フラグメントであり、Zは化学的な部分構造であり、Lはリンカーであり、Amはアマトキシンである。Am-L-Zは、式(IA)によって表されることがある、
Figure 2021500375

ここで、R1は、H、OH、ORA、又はORCである;
R2は、H、OH、ORB、又はORCである;
RA及びRBは、それらが結合している酸素原子と一緒になって、任意選択的に置換された5員ヘテロシクロアルキル基を形成する;
R3は、H、RC、又はRDである;
R4、R5、R6、及びR7は、それぞれ独立してH、OH、ORC、ORD、RC、又はRDである;
R8は、OH、NH2、ORC、ORD、NHRC、又はNRCRDである;
R9は、H、OH、ORC、又はORDである;
Xは、-S-、-S(O)-、又は-SO2-である;
RCは、-L-Zである;
RDは、任意選択的に置換されたアルキル(例えば、C1-C6アルキル)、任意選択的に置換されたヘテロアルキル(例えば、C1-C6ヘテロアルキル)、任意選択的に置換されたアルケニル(例えば、C2-C6アルケニル)、任意選択的に置換されたヘテロアルケニル(例えば、C2-C6ヘテロアルケニル)、任意選択的に置換されたアルキニル(例えば、C2-C6アルキニル)、任意選択的に置換されたヘテロアルキニル(例えば、C2-C6ヘテロアルキニル)、任意選択的に置換されたシクロアルキル、任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキル、任意選択的に置換されたアリール、又は任意選択的に置換されたヘテロアリールである;
Lは、任意選択的に置換されたアルキレン(例えば、C1-C6アルキレン)、任意選択的に置換されたヘテロアルキレン(例えば、C1-C6ヘテロアルキレン)、任意選択的に置換されたアルケニレン(例えば、C2-C6アルケニレン)、任意選択的に置換されたヘテロアルケニレン(例えば、C2-C6ヘテロアルケニレン)、任意選択的に置換されたアルキニレン(例えば、C2-C6アルキニレン)、任意選択的に置換されたヘテロアルキニレン(例えば、C2-C6ヘテロアルキニレン)、任意選択的に置換されたシクロアルキレン、任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキレン、任意選択的に置換されたアリーレン、任意選択的に置換されたヘテロアリーレン、ジペプチド、-(C=O)-、ペプチド、又はそれらの組合せであるであるようなリンカーである;並びに、
Zは、L上に存在する反応性置換基と、抗体、又はその抗原結合フラグメント内に存在する反応性置換基との間のカップリング反応から形成される化学的な部分構造である、
ここで、Amは、丁度1個のRC置換基を含む。
いくつかの実施形態では、前記リンカーL及び前記化学的な部分構造Zは、一緒にL-Zとみなされ、
Figure 2021500375
である。
いくつかの実施形態では、L-Zは、
Figure 2021500375
である。
いくつかの実施形態では、Am-L-Zは式(IB)で表される、
Figure 2021500375


ここで、R1は、H、OH、ORA、又はORCである;
R2は、H、OH、ORB、又はORCである;
RA及びRBは、存在する場合、それらが結合している酸素原子と一緒になって、任意選択的に置換された5員ヘテロシクロアルキル基を形成する;
R3は、H、RC、又はRDである;
R4は、H、OH、ORC、ORD、RC、又はRDである;
R5は、H、OH、ORC、ORD、RC、又はRDである;
R6は、H、OH、ORC、ORD、RC、又はRDである;
R7は、H、OH、ORC、ORD、RC、又はRDである;
R8は、OH、NH2、ORC、ORD、NHRC、又はNRCRDである;
R9は、H、OH、ORC、又はORDである;
Xは、-S-、-S(O)-、又は-SO2-である;
RCは、-L-Zである;
RDは、任意選択的に置換されたアルキル(例えば、C1-C6アルキル)、任意選択的に置換されたヘテロアルキル(例えば、C1-C6ヘテロアルキル)、任意選択的に置換されたアルケニル(例えば、C2-C6アルケニル)、任意選択的に置換されたヘテロアルケニル(例えば、C2-C6ヘテロアルケニル)、任意選択的に置換されたアルキニル(例えば、C2-C6アルキニル)、任意選択的に置換されたヘテロアルキニル(例えば、C2-C6ヘテロアルキニル)、任意選択的に置換されたシクロアルキル、任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキル、任意選択的に置換されたアリール、又は任意選択的に置換されたヘテロアリールである;
Lは、任意選択的に置換されたアルキレン(例えば、C1-C6アルキレン)、任意選択的に置換されたヘテロアルキレン(例えば、C1-C6ヘテロアルキレン)、任意選択的に置換されたアルケニレン(例えば、C2-C6アルケニレン)、任意選択的に置換されたヘテロアルケニレン(例えば、C2-C6ヘテロアルケニレン)、任意選択的に置換されたアルキニレン(例えば、C2-C6アルキニレン)、任意選択的に置換されたヘテロアルキニレン(例えば、C2-C6ヘテロアルキニレン)、任意選択的に置換されたシクロアルキレン、任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキレン、任意選択的に置換されたアリーレン、任意選択的に置換されたヘテロアリーレン、ジペプチド、-(C=O)-、ペプチド、又はそれらの組合せであるようなリンカーである;
Zは、L上に存在する反応性置換基と、CD117(GNNK+CD117など)に結合する抗体、又はその抗原結合フラグメント内に存在する反応性置換基との間のカップリング反応から形成される化学的な部分構造である;並びに、
ここで、Amは、丁度1個のRC置換基を含む。
いくつかの実施形態では、前記リンカーL及び前記化学的な部分構造Zは、一緒にL-Zとみなされ、
Figure 2021500375
である。
いくつかの実施形態では、L-Zは、
Figure 2021500375

である。
いくつかの実施形態では、Am-L-Z-Abは次の何れかである
Figure 2021500375

ここで、Xは-S-、-SO-又は-SO2-である。
いくつかの実施形態では、Am-L-Z-Abは
Figure 2021500375

である。
いくつかの実施形態では、Am-L-Z-Abは
Figure 2021500375

である。
いくつかの実施形態では、Am-L-Z-Abは
Figure 2021500375

である。
別の態様では、本発明は、式Ab-Z-L-Amによって表されるコンジュゲートを特徴とする、ここで、AbはCD117(例えば、GNNK+ CD117)に結合する抗体、又はその抗原結合フラグメントであり、Amはアマトキシンである。いくつかの実施形態では、Am-L-Zは、上記式(I)、(IA)、(IB)、(II)、(IIA)、(IIB)、(IV)、(IVA)、又は(IVB)で表される。
いくつかの実施形態において、前記抗体、又はその抗原結合フラグメントは、前記抗体、又はその抗原結合フラグメントのFcドメイン内のシステイン残基を介して、アマトキシンにコンジュゲートしている。いくつかの実施形態では、前記システイン残基は、前記抗体、又はその抗原結合フラグメントのFcドメイン内に、変異によって導入されている。例えば、前記システイン残基は、Cys118、Cys239、及びCys265からなる群より選択されることがある。
これらの態様のいくつかの実施形態において、前記システイン残基は、前記抗体、又はその抗原結合フラグメントのFcドメイン内に、天然なものとして存在する。例えば、前記Fcドメインは、ヒトIgG1 Fcドメイン等のIgG Fcドメインであることがあり、前記システイン残基はCys261、Csy321、Cys367、及びCys425からなる群より選択されることがある。
これらの態様のいくつかの実施形態において、R1は、H、OH、又はORAである;
R2は、H、OH、又はORBである;
RA及びRBは、存在する場合、それらが結合している酸素原子と一緒になって、以下を形成する:
Figure 2021500375
R3、R4、R6、及びR7は、それぞれHである;
R5は、ORCである;
R8は、OH又はNH2である;
R9は、H又はOHである;並びに、
Xは-S-、-S(O)-、又は-SO2-である。
いくつかの実施形態では、R1とR2は、それぞれ独立してH又はOHである;
R3は、RCである;
R4、R6、及びR7は、それぞれHである;
R5は、H、OH、又はOC1-C6アルキルである;
R8は、OH又はNH2である;
R9は、H又はOHである;並びに、
Xは-S-、-S(O)-、又は-SO2-である。
いくつかの実施形態では、R1とR2は、それぞれ独立してH又はOHである;
R3、R6、及びR7は、それぞれHである;
R4は、ORC又はRCである;
R5は、H、OH、又はOC1-C6アルキルである;
R8は、OH又はNH2である;
R9は、H又はOHである;並びに、
Xは-S-、-S(O)-、又は-SO2-である。
いくつかの実施形態では、R1とR2は、それぞれ独立してH又はOHである;
R3、R6、及びR7は、それぞれHである;
R4及びR5は、それぞれ独立してH又はOHである;
R8は、ORC又はNHRCである;
R9は、H又はOHである;並びに、
Xは-S-、-S(O)-、又は-SO2-である。
これらの態様のいくつかの実施形態において、前記抗体、又はその抗原結合フラグメントは、CD117+細胞によって細胞内部に取り込まれる。
これらの態様のいくつかの実施形態において、前記抗体、又はその抗原結合フラグメントは、CD117に、1 μM未満、750 nM未満、500 nM未満、250 nM未満、200 nM未満、150 nM未満、100 nM未満、75 nM未満、50 nM未満、10 nM未満、1 nM未満、0.1 nM未満、10 pM未満、1 pM未満、又は0.1 pM未満のKdで結合する。いくつかの実施形態では、前記Kdは約0.1 pMから約1 μMである。
これらの態様のいくつかの実施形態において、前記抗体、又はその抗原結合フラグメントは、約9×10-2 M-1s-1〜約1×102M-1s-1のkonでCD117に結合する。
これらの態様のいくつかの実施形態において、前記抗体、又はその抗原結合フラグメントは、CD117が第2の抗体、又はその抗原結合フラグメントに結合することを競合的に阻害するか、又は第2の抗体と同じエピトープに結合する、ここで、前記第2の抗体、又はその抗原結合フラグメントは、以下の相補性決定領域(CDR)を有する:
アミノ酸配列SYWIG(配列番号(SEQ ID NO):1)を有するCDR-H1;
アミノ酸配列IIYPGDSDTRYSPSFQG (配列番号(SEQ ID NO):2)を有するCDR-H2;
アミノ酸配列HGRGYNGYEGAFDI (配列番号(SEQ ID NO):3)を有するCDR-H3;
アミノ酸配列RASQGISSALA(配列番号(SEQ ID NO):4)を有するCDR-L1;
アミノ酸配列DASSLES(配列番号(SEQ ID NO):5)を有するCDR-L2;及び
アミノ酸配列CQQFNSYPLT(配列番号(SEQ ID NO):6)を有するCDR-L3。
本発明は更に、表1、表6、又は表8に記載される重鎖及び軽鎖のCDR及び可変領域を含む、本明細書に開示される抗体薬物コンジュゲート(ADC)において使用されうる単離した抗CD117抗体を提供する。
ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):8のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):9のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):10のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):11のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):12のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):13のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):14のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):15のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):16のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):17のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):18のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):19のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):20のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):21のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):22のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):23のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):24のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):25のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):26のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):27のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):28のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):29のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):30のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):31のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):32のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):33のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):34のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):35のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):36のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):37のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):38のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):39のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):40のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):41のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):32のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):42のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):43のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):44のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):45のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):46のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):47のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):48のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):49のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):50のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):51のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):52のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):53のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):54のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):55のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):56のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):57のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):58のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):59のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):60のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):61のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):50のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):62のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):63のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):64のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):65のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):66のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):67のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):68のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):69のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):70のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):71のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):72のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):73のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):74のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):75のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):76のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):77のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):78のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):79のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):80のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):81のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):82のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):83のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):84のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):85のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):86のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):87のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):88のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):89のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):90のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):91のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD11


7抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):92のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):93のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):94のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):95のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):96のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):97のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):97のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):143のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):144のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):151のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):152のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):143のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):156のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):159のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):156のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):160のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):152のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):98のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):99のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):99のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):100のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):98のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):101のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):98のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):102のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。
これらの態様のいくつかの実施形態において、前記抗体又はその抗原結合フラグメントは、モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメント、ポリクローナル抗体又はその抗原結合フラグメント、ヒト化抗体又はその抗原結合フラグメント、バイスペシフィック抗体(bispecific antibody)又はその抗原結合フラグメント、二重可変免疫グロブリン・ドメイン(dual-variable immunoglobulin domain)、一本鎖Fv分子(scFv)、ダイアボディ、トリアボディ、ナノボディ、抗体様タンパク質スキャッフォルド、Fvフラグメント、Fabフラグメント、F(ab')2分子、及びタンデムdi-scFVからなる群より選択される。ある実施形態では、前記抗体はインタクトな抗体である。
別の態様において、本発明は、式Ab-Z-L-Cyによって表されるコンジュゲート(ADC)を特徴とする、ここで、Abは、CD117(例えば、GNNK+ CD117)に結合する抗体、又はその抗原結合フラグメントであり、及びCyは細胞毒素である。この態様のいくつかの実施形態では、前記細胞毒素は、シュードモナス外毒素A、deブーガニン、ジフテリア毒素、サポリン、メイタンシン、メイタンシノイド、アウリスタチン、アントラサイクリン、カリケアマイシン、イリノテカン、SN-38、デュオカルマイシン、ピロロベンゾジアゼピン、ピロロベンゾジアゼピン二量体、インドリノベンゾジアゼピン、又はインドリノベンゾジアゼピン二量体、又は前記細胞毒素の何れかのバリアントである。
この態様のいくつかの実施形態において、前記抗体、その抗原結合フラグメント、又はADCは、CD117+細胞によって細胞内部に取り込まれる。
この態様のいくつかの実施形態において、前記抗体、その抗原結合フラグメント、又はADCは、バイオレイヤー干渉法(Bio-Layer Interferometry)(BLI)によって測定した場合、1 μM未満、750 nM未満、500 nM未満、250 nM未満、200 nM未満、150 nM未満、100 nM未満、75 nM未満、50 nM未満、10 nM未満、1 nM未満、0.1 nM未満、10 pM未満、1 pM未満、又は0.1 pM未満のKdでCD117に結合する。いくつかの実施形態では、前記Kdは、約0.1 pMから約1μMである。
この態様のいくつかの実施形態において、前記抗体、その抗原結合フラグメント、又はADCは、バイオレイヤー干渉法(Bio-Layer Interferometry)(BLI)によって測定した場合、約9×10-2M-1s-1〜約1×102M-1s-1のkonでCD117に結合する。
ある特定の実施形態において、抗CD117抗体又はその抗原結合フラグメントは、コンジュゲートの一部として使用する場合、特に有利な、ある特定の解離速度を有する。例えば、抗CD117抗体は、ある特定の実施形態において、バイオレイヤー干渉法(Bio-Layer Interferometry)(BLI)によって測定した場合、1×10-2〜1×10-7、1×10-3〜1×10-7、1×10-4〜1×10-7、1×10-5〜1×10-7、又は1×10-6〜1×10-7s-1のヒトCD117に対するoff速度定数(Kdis)を有する。
この態様のいくつかの実施形態において、前記抗体、その抗原結合フラグメント、又はADCは、CD117が第2の抗体、又はその抗原結合フラグメントに結合することを競合的に阻害する、ここで、前記第2の抗体、又はその抗原結合フラグメントは、以下のCDRを有する:
a. アミノ酸配列SYWIG(配列番号(SEQ ID NO):1)を有するCDR-H1;
b. アミノ酸配列IIYPGDSDTRYSPSFQG (配列番号(SEQ ID NO):2)を有するCDR-H2;
c. アミノ酸配列HGRGYNGYEGAFDI (配列番号(SEQ ID NO):3)を有するCDR-H3;
d. アミノ酸配列RASQGISSALA(配列番号(SEQ ID NO):4)を有するCDR-L1;
e. アミノ酸配列DASSLES(配列番号(SEQ ID NO):5)を有するCDR-L2;及び
f. アミノ酸配列CQQFNSYPLT(配列番号(SEQ ID NO):6)を有するCDR-L3。
この態様のいくつかの実施形態において、前記抗体、又はその抗原結合フラグメントは、モノクローナル抗体又はその抗原結合フラグメント、ポリクローナル抗体又はその抗原結合フラグメント、ヒト化抗体又はその抗原結合フラグメント、バイスペシフィック抗体(bispecific antibody)又はその抗原結合フラグメント、二重可変免疫グロブリン・ドメイン(dual-variable immunoglobulin domain)、一本鎖Fv分子(scFv)、ダイアボディ、トリアボディ、ナノボディ、抗体様タンパク質スキャッフォルド、Fvフラグメント、Fabフラグメント、F(ab')2分子、及びタンデムdi-scFvからなる群より選択される。いくつかの実施形態では、前記抗体は、IgG、IgA、IgM、IgD、及びIgEからなる群より選択されるアイソタイプを有する。
ある特定の実施形態では、前述の方法及び組成物は、表1、表6又は表8に記載の重鎖及び軽鎖アミノ酸配列に記載のCDRを含む、単離した抗CD117抗体又はその抗原結合フラグメントを、含む。ある特定の実施形態では、前述の方法及び組成物は、表1に記載の重鎖及び軽鎖アミノ酸配列に記載の可変領域を含む、抗CD117抗体又はその抗原結合フラグメントを、含む。ある特定の実施形態では、前述の方法及び組成物は、表1、表6又は表8に記載の重鎖及び軽鎖アミノ酸配列に記載の可変領域を含む、IgG1抗CD117抗体又はその抗原結合フラグメントを、含む。
別の態様において、本発明は、ヒト患者における急性骨髄性白血病(AML)を治療する方法を特徴とする、前記方法は、AMLが治療されるように前記ヒト患者に抗CD117 ADCの有効量を投与することを含む、ここで、前記抗CD117 ADCは、細胞毒素にコンジュゲートした抗CD117抗体を含む。いくつかの実施形態において、前記細胞毒素は、RNAポリメラーゼ阻害剤である。別の実施形態では、前記RNAポリメラーゼ阻害剤は、アマトキシンである。他の実施形態において、抗CD117抗体は、表1の重鎖及び軽鎖アミノ酸配列に記載のCDR配列を含む。更に別の実施形態では、前記抗CD117抗体はインタクトな抗体である。別の実施形態では、前記抗体はIgG1又はIgG4である。
別の態様において、本発明は、式Ab-Z-L-Amによって表されるコンジュゲートを提供する、ここでAbは、CD117に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントである、Lはリンカーである、Zは化学的な部分構造である、及びAmはアマトキシンである、ここで前記抗体又はその抗原結合フラグメントは、表1、表6又は表8に記載の重鎖及び軽鎖アミノ酸配列に記載のCDRを含む。
いくつかの実施形態では、 前記コンジュゲートのリンカー-化学的な部分構造-アマトキシン部分(Am-L-Z)は、式(IA)によって表される
Figure 2021500375

ここで、R1は、H、OH、ORA、又はORCである;
R2は、H、OH、ORB、又はORCである;
RA及びRBは、存在する場合、それらが結合している酸素原子と一緒になって、任意選択的に置換された5員ヘテロシクロアルキル基を形成する;
R3は、H、RC、又はRDである;
R4、R5、R6、及びR7は、それぞれ独立してH、OH、ORC、ORD、RC、又はRDである;
R8は、OH、NH2、ORC、ORD、NHRC、又はNRCRDである;
R9は、H、OH、ORC、又はORDである;
Xは、-S-、-S(O)-、又は-SO2-である;
RCは、-L-Zである;
RDは、任意選択的に置換されたC1-C6アルキル、任意選択的に置換されたC1-C6ヘテロアルキル、任意選択的に置換されたC2-C6アルケニル、任意選択的に置換されたC2-C6ヘテロアルケニル、任意選択的に置換されたC2-C6アルキニル、任意選択的に置換されたC2-C6ヘテロアルキニル、任意選択的に置換されたシクロアルキル、任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキル、任意選択的に置換されたアリール、又は任意選択的に置換されたヘテロアリールである;
Lは、任意選択的に置換されたC1-C6アルキレン、任意選択的に置換されたC1-C6ヘテロアルキレン、任意選択的に置換されたC2-C6アルケニレン、任意選択的に置換されたC2-C6ヘテロアルケニレン、任意選択的に置換されたC2-C6アルキニレン、任意選択的に置換されたC2-C6ヘテロアルキニレン、任意選択的に置換されたシクロアルキレン、任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキレン、任意選択的に置換されたアリーレン、任意選択的に置換されたヘテロアリーレン、ジペプチド、-(C=O)-、ペプチド、又はそれらの組合せである;並びに、
Zは、L上に存在する反応性置換基と、抗体、又はその抗原結合フラグメント内に存在する反応性置換基との間のカップリング反応から形成される化学的な部分構造である、
ここで、Amは、丁度1個のRC置換基を含む。
いくつかの実施形態では、L-Zは、
Figure 2021500375
である。
いくつかの実施形態では、Am-L-Zは式(IB)で表される
Figure 2021500375

ここで、R1は、H、OH、ORA、又はORCである;
R2は、H、OH、ORB、又はORCである;
RA及びRBは、存在する場合、それらが結合している酸素原子と一緒になって、任意選択的に置換された5員ヘテロシクロアルキル基を形成する;
R3は、H、RC、又はRDである;
R4、R5、R6、及びR7は、それぞれ独立してH、OH、ORC、ORD、RC、又はRDである;
R8は、OH、NH2、ORC、ORD、NHRC、又はNRCRDである;
R9は、H、OH、ORC、又はORDである;
Xは、-S-、-S(O)-、又は-SO2-である;
RCは、-L-Zである;
RDは、任意選択的に置換されたC1-C6アルキル、任意選択的に置換されたC1-C6ヘテロアルキル、任意選択的に置換されたC2-C6アルケニル、任意選択的に置換されたC2-C6ヘテロアルケニル、任意選択的に置換されたC2-C6アルキニル、任意選択的に置換されたC2-C6ヘテロアルキニル、任意選択的に置換されたシクロアルキル、任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキル、任意選択的に置換されたアリール、又は任意選択的に置換されたヘテロアリールである;
Lは、任意選択的に置換されたC1-C6アルキレン、任意選択的に置換されたC1-C6ヘテロアルキレン、任意選択的に置換されたC2-C6アルケニレン、任意選択的に置換されたC2-C6ヘテロアルケニレン、任意選択的に置換されたC2-C6アルキニレン、任意選択的に置換されたC2-C6ヘテロアルキニレン、任意選択的に置換されたシクロアルキレン、任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキレン、任意選択的に置換されたアリーレン、任意選択的に置換されたヘテロアリーレン、ジペプチド、-(C=O)-、ペプチド、又はそれらの組合せである;並びに、
Zは、L上に存在する反応性置換基と、抗体、又はその抗原結合フラグメント内に存在する反応性置換基との間のカップリング反応から形成される化学的な部分構造である、
ここで、Amは、丁度1個のRC置換基を含む。
いくつかの実施形態では、L-Zは、
Figure 2021500375
である。
いくつかの実施形態では、 前記コンジュゲートのリンカー-化学的な部分構造-アマトキシン部分(Am-L-Z)は、以下のうちの1つである:
Figure 2021500375

ここで、Xは-S-, -S(O)-,又は-SO2-であり、及びAbは、前記抗体の結合の位置を示すように示されている。
いくつかの実施形態では、 前記コンジュゲートのリンカー-化学的な部分構造-アマトキシン部分(Am-L-Z)は、
Figure 2021500375

である、ここで、Abは、前記抗体の結合の位置を示すように示されている。
いくつかの実施形態では、 前記コンジュゲートのリンカー-化学的な部分構造-アマトキシン部分(Am-L-Z)は、
Figure 2021500375

である、ここで、Abは、前記抗体の結合の位置を示すように示されている。
いくつかの実施形態では、 前記コンジュゲートのリンカー-化学的な部分構造-アマトキシン部分(Am-L-Z)は、
Figure 2021500375

である、ここで、Abは、前記抗体の結合の位置を示すように示されている。
いくつかの実施形態では、 前記Am-L-Z前駆体は、
Figure 2021500375

である、ここで、そのマレイミドが前記抗体中のシステインにあるチオール基と反応する。
いくつかの実施形態では、 前記Am-L-Z前駆体は、
Figure 2021500375
である、ここで、そのマレイミドが前記抗体中のシステインにあるチオール基と反応する。
いくつかの実施形態において、Am-L-Zは、式(II)、式(IIA)、又は式(IIB)で表される、
Figure 2021500375

ここで、XはS、SO、又はSO2である;
R1は、H又は化学的な部分構造Zを介して前記抗体若しくはその抗原結合フラグメントに共有結合したリンカーである(Zは、前記リンカー上に存在する反応性置換基と、抗体若しくはその抗原結合フラグメント内に存在する反応性置換基との間のカップリング反応から形成される);並びに、
R2は、H又は化学的な部分構造Zを介して前記抗体若しくはその抗原結合フラグメントに共有結合したリンカーである(Zは、前記リンカー上に存在する反応性置換基と、抗体若しくはその抗原結合フラグメント内に存在する反応性置換基との間のカップリング反応から形成される);
ここで、R1がHである場合、R2はリンカーであり、R2がHである場合、R1はリンカーである。
いくつかの実施形態において、L-Zは、
Figure 2021500375
である。
いくつかの実施形態において、Ab-Z-L-Amは
Figure 2021500375

である。
いくつかの実施形態において、Ab-Z-L-Amは
Figure 2021500375
である。
図1は、33.3 nM (上トレース)及び11 nM (下トレース)の濃度での精製したヒトCD117エクトドメイン(R&D Systems #332-SR)に対する、示した精製したIgG (センサー結合)のバイオレイヤー干渉法(Bio-Layer Interferometry)による結合の測定値を、時間を横軸として示したものである。精製したIgGは、Ab1(即ち、001)、Ab2(即ち、002)、Ab3(即ち、003)、Ab4(即ち、004)、Ab5(即ち、005)、Ab6(即ち、006)、Ab7(即ち、007)、Ab8(即ち、008)、Ab9(即ち、009)、Ab10(即ち、010)、Ab11(即ち、011)、Ab12(即ち、012)、Ab13(即ち、013)、Ab14(即ち、014)、Ab15(即ち、015)、及びAb16(即ち、016)に対応する。 図2A及び2Bは、CD117-ADC又はコントロールの濃度を横軸として(x軸)、CD117-ADC又はコントロールの存在下における、Celltiter Glo によるルミネセンス(RLU)で測定した場合のKasumi-1細胞の生存性(図2A)、又は生存しているCD34+ CD90+細胞の数(図2B)を示す(y軸)、in vitro細胞傷害アッセイの結果をグラフで示す。 図3A、3B、3C及び3Dは、ヒト化NSGマウスにおいて、CD117-ADCがヒトHSCを選択的に減少させることを示すin vivo細胞減少アッセイの結果をグラフで示す。(A)in vivoマウス・モデルの模式図。CD117-ADC又はコントロールで処置したマウスの末梢血中に存在する、ヒト骨髄細胞の割合(B)又はT細胞の割合(C)を、処置前におけるその細胞集団に対するパーセントで表した(ベースラインに対して標準化した)。(D)ADCを単回投与した21日後の、CD117-ADC又はコントロールで処置したマウスの骨髄中のCD34+細胞の絶対数を示す。 図4A、4B、4C及び4Dは、NSGマウスにおいて、CD117-ADCがヒト白血病細胞を効果的に減少させることを示す、in vivo腫瘍研究の結果をグラフで示す。(A)培養したKasumi-1細胞の表現型解析。(B)安楽死時の担腫瘍マウスの骨髄に由来するKasumi-1細胞の表現型解析。(C) 腫瘍を注射した7日後における、CD117-ADC若しくはそのままの抗CD117抗体(naked anti-CD117 antibody)で処置したマウス、又は未処置コントロール、の生存曲線。(D) 腫瘍を注射した42日後における、CD117-ADC若しくはそのままの抗CD117抗体(naked anti-CD117 antibody)で処置したマウス、又は未処置コントロール、の生存曲線。 図5A、5B及び5Cは、B6マウスにおいて、CD117-ADCがHSCを選択的に減少させることを示すin vivo細胞減少アッセイの結果をグラフで示す。(A)B6マウス・モデルにおけるin vivo減少アッセイの模式図。(B)は、抗CD117-ADC (即ち、「CD117-サポリン」)の単回用量を投与した後の、コントロール(即ち、「コントロール」及び「アイソタイプ-サポリン」)と比較した、マウスHSC減少アッセイの結果を示す。抗CD117-ADC (即ち、「CD117-サポリン」)の単回投与又はコントロール(x軸)を横軸にした、kit+SCA+CD150+CD48-細胞の数として(y軸)、表す。(C)は、生着アッセイの結果を示す。処置モード(即ち、「コントロール」、「アイソタイプ-サポリン」及び「CD117-サポリン」)を横軸にした、ドナー・キメラ現象の割合として(y軸)、表す。 図6は、より短い半減期を有するCK6バリアント抗体と比較した、アイソタイプのコントロール抗体(即ち、「野生型抗体」)の濃度(ng/mL)を表す、非ヒト霊長類の薬物動態アッセイの結果を、時間を横軸として(即ち、投与後時間;x軸)、グラフで示す。 図7A及び7Bは、ヒト化NSGマウスにおいて、CD117-ADCがヒトCD34+細胞を有効に減少させることを示すin vivo減少アッセイの結果をグラフで示す。(A)(i)野生型抗CD117-ADC、(ii)半減期がより短いCK6バリアント抗CD117-ADC、又は(iii)コントロール、の単回用量で処置した場合の、21日目のNSG骨髄中のヒト細胞の表現型解析。(B)は、半減期がより短いCK6バリアント抗CD117-ADC (mg/kg)及び種々のコントロール(即ち、「コントロール」、「アイソタイプ-ADC (1mg/kg)」及び「抗CD117(1mg/kg)」)と比較した、野生型抗CD117-ADC (mg/kg)の単回用量を投与した後の、ヒト化NSGマウスでの減少アッセイの結果を示す。(i)野生型抗CD117-ADC、(ii)「短い半減期」のバリアント抗CD117-ADC又は(iii)コントロールを単回注射したことを横軸にして(x軸)、大腿骨あたりのCD34+細胞の数(y軸)として、表す。 図8A、8B及び8Cは、ヒト化マウス・モデルにおいて、抗CD117 ADCの単回用量を投与した21日後に、ヒト末梢リンパ球が維持されていることを示すin vivo減少アッセイの結果をグラフで示す。(A)は、(i)野生型抗CD117-ADC (mg/kg)、(ii)半減期がより短いCK6バリアント抗CD117-ADC (mg/kg)又は(iii)様々なコントロール(即ち、「コントロール」、「アイソタイプ-ADC (1mg/kg)」、及び「抗CD117(1mg/kg)」)の様々な濃度の単回用量で処置したマウスにおいて、21日後に維持されたヒトCD33+細胞の割合(ベースラインに対する)を示す。(B)は、(i)野生型抗CD117-ADC (mg/kg)、(ii)半減期がより短いCK6バリアント抗CD117-ADC (mg/kg)又は(iii)様々なコントロール(即ち、「コントロール」、「アイソタイプ-ADC (1mg/kg)」、及び「抗CD117(1mg/kg)」)の様々な濃度の単回用量で処置したマウスにおいて、21日後に維持されたヒトCD3+細胞の割合(ベースラインに対する)を示す。(C)は、(i)野生型抗CD117-ADC (mg/kg)、(ii)半減期がより短いCK6バリアント抗CD117-ADC (mg/kg)又は(iii)様々なコントロール(即ち、「コントロール」、「アイソタイプ-ADC (1mg/kg)」、及び「抗CD117(1mg/kg)」)の様々な濃度の単回用量で処置したマウスにおいて、21日後に維持されたヒトCD19+細胞の割合(ベースラインに対する)を示す。 図9A、9B、9C及び9Dは、(A)HC-1/LC-1(Ab1)抗体、(B)HC-77/LC-77(Ab77)抗体、(C)HC-79/LC-79(Ab79)抗体、及び(D)HC-81/LC-81(Ab81)抗体について、時間を横軸として、33.3 nM (上トレース)及び11 nM (下トレース)の濃度での精製したヒトCD117エクトドメイン(R&D Systems #332-SR)に対する、示した精製したIgG (センサー結合の)の、バイオレイヤー干渉法(Bio-Layer Interferometry)による抗CD117抗体の結合の測定値を、記載する。 図10A及び10Bは、(A) HC-85/LC-85抗体及び(B) HC-1/LC-1抗体について、時間を横軸として、33.3 nM (上トレース)及び11 nM (下トレース)の濃度での精製したヒトCD117エクトドメイン(R&D Systems #332-SR)に対する、示した精製したIgG (センサー結合の)の、バイオレイヤー干渉法(Bio-Layer Interferometry)による抗体の結合の測定値を、記載する。 図11A、11B、11C、及び11Dは、CK6、Ab85及びAb249について、可変重鎖(VH)及び可変軽鎖(VL)領域のアミノ酸配列を提供する。(A)は、CK6(配列番号(SEQ ID NO): 161)及びAb85(配列番号(SEQ ID NO): 143)の可変重(VH)鎖領域のアラインメントを記載する。(B)は、CK6(配列番号(SEQ ID NO): 162)及びAb85(配列番号(SEQ ID NO): 144)の可変軽(VL)鎖領域のアラインメントを記載する。(C)は、CK6(配列番号(SEQ ID NO): 161)及びAb249(配列番号(SEQ ID NO): 98)の可変重(VH)鎖領域のアラインメントを記載する。(D)は、CK6(配列番号(SEQ ID NO): 162)及びAb249(配列番号(SEQ ID NO): 102)の可変軽(VL)鎖領域のアラインメントを記載する。 図12A、12B及び12Cは、(A) CK6抗体、(B)HC-85/LC-85(Ab85)抗体及び(C) HC-249/LC-249(Ab 249)抗体について、時間を横軸として、33 nM (上トレース)及び11 nM (下トレース)の濃度での精製したヒトCD117エクトドメイン(R&D Systems #332-SR)に対する、示した精製したIgG (センサー結合の)の、バイオレイヤー干渉法(Bio-Layer Interferometry)による結合を、記載する。 図13A及び13Bは、(A)7日目(25 ℃及び50 ℃)並びに(B)15日目(25 ℃及び50 ℃)について、示したインキュベーション条件下(x軸)において、キャピラリー電気泳動により測定したT0と比較した、示した抗体中に存在する酸性バリアントの割合を示す。 図14A、14B、14C、14D及び14Eは、(A)CK6抗体、(B)HC-77/ LC-77(Ab77)抗体、(C)HC-79/ LC-79(Ab79)抗体、(D)HC-81/ LC-81(Ab81)抗体、(E)HC-85/ LC-85(Ab85)抗体の溶出プロファイルを示すクロマトグラムを、疎水性相互作用クロマトグラフィー(hydrophobic interaction chromatography (HIC))による分析後に表示インキュベーション条件として、示す。 図15は、示した抗-CD117 ADC又はコントロールの濃度を横軸として、Celltiter Glo によるルミネセンス(RLU)で測定した場合のKasumi-1細胞の生存性を示すin vitro細胞傷害アッセイの結果をグラフで示す。IC50(M)を、Graphpad Prismの非線形回帰4パラメータ・フィットによって決定した。 図16は、示した抗CD117 ADC又はコントロールの濃度を横軸として、生きているCD34+ CD90+細胞の数を示すin vitro細胞傷害アッセイの結果をグラフで示す。IC50(M)を、Graphpad Prismの非線形回帰4パラメータ・フィットによって決定した。 図17A及び17Bは、0.3mg/kg用量のHC-85/LC-85抗体(即ち、Ab85) ADCが、ヒト化NSGマウスにおいて、ヒトHSCを選択的に減少させることを示す、in vivo細胞減少アッセイの結果をグラフで示す。(A)は、Ab85-ADC又はコントロールで処置したマウスの末梢血中に存在するヒト骨髄細胞のパーセントを示す。0、7及び14日目に採取したサンプルについて、処置前でのその細胞集団のパーセントとして表す(ベースラインに対して標準化)。(B)は、HC-85/LC-85-ADC (即ち、Ab85-ADC)又はコントロールで処置したマウスの骨髄中のCD34+細胞の絶対数(ADC又はコントロール(即ち、PBS)を単回投与した14日後)を示す。 図18は、様々な細胞傷害性ペイロードに部位特異的にコンジュゲートした抗CD117抗体(CK6)について、ヒト骨髄CD34+細胞を用いたin vitro毒性アッセイの結果をグラフで示す。本結果は、アマニチンにコンジュゲートした抗CD117(CK6)抗体は、0.3 mg/kgで、ヒト化マウスのヒトHSCを90%以上減少させること、を示す。これらの結果はまた、カリケアマイシン及びアマニチンADCが、HSCを同等に減少させることを実証すること、を示す。 図19は、骨髄中の造血幹細胞及び前駆細胞の数をグラフで示す。本結果は、アマニチン・コンジュゲートの抗CD117(CD117-AM)を単回投与すると、カニクイザルの骨髄HSCが除去されること、をグラフで示す。オスのカニクイザルに、抗CD117-AM、アイソタイプ-AM (IgG1-AM)、又はコンジュゲートしていない抗CD117抗体を単回静脈内投与した。投与7日後に、フロー・サイトメトリーにより、骨髄HSC数を測定した。抗CD117-AM、IgG1-AM、又はコンジュゲートしていない抗CD117による処置後に減少したHSCの割合を、PBS群と比較して計算した。 図20は、骨髄中の造血幹細胞及び前駆細胞の数をグラフで示す。本結果は、アマニチン・コンジュゲートの、速い半減期のFc (H435A)で改変した抗CD117(HC-85-LC 85)を単回投与又は分割投与すると、カニクイザルの骨髄HSCが除去されること、をグラフで示す。オスのカニクイザルに、抗CD117 ADCを単回静脈内投与(0.1又は0.3 mg/kg)又は分割静脈内投与(0.3 mg/kg及び0.2 mg/kg Q3D)した。投与7日後にフロー・サイトメトリーにより骨髄HSC数を測定した。 図21A、21B、及び21Cは、FLT-3+NPM1+ AMLサンプルから発生させた3種のAML患者由来異種移植片を用いた、生存性研究の結果を、グラフで記載する。これは、0.3 mg/kgの抗CD117-アマニチン又は1 mg/kgの抗CD117-アマニチンを投与したマウス・モデルにおいて、生存性が大きく増加したこと示す。(A)ADC(抗CD117-AM、アイソタイプ-AM)、コンジュゲートしていない抗CD117抗体又はPBS (コントロール)を単回静脈内投与した後の、FLT-3+NPM1+ AMLサンプルJ000106132から発生させたAML-PDXの生存曲線。(B)ADC(抗CD117-AM、アイソタイプ-AM)、コンジュゲートしていない抗CD117抗体又はPBS (コントロール)を単回静脈内投与した後の、FLT-3+NPM1+ AMLサンプルJ000106565から発生させたAML-PDXの生存曲線。(C)ADC(抗CD117-AM、アイソタイプ-AM)、コンジュゲートしていない抗CD117抗体又はPBS (コントロール)を単回静脈内投与した後の、FLT-3+NPM1+ AMLサンプルJ000106134から発生させたAML-PDXの生存曲線。 図22は、100 nMの精製したヒトCD117エクトドメイン(R&D Systems #332-SR)に対する、示した精製したIgG (センサー結合)のバイオレイヤー干渉法(Bio-Layer Interferometry)による結合の測定値を、時間を横軸として示したものである。精製したIgGは、Ab17(即ち、017)、Ab18(即ち、018)、Ab19(即ち、019)、Ab20(即ち、020)、Ab21(即ち、021)、Ab22(即ち、022)、Ab23(即ち、023)、Ab24(即ち、024)、Ab25(即ち、025)、Ab27(即ち、027)、及びAb28(即ち、028)に対応する。 図23は、100 nMの精製したアカゲザルCD117エクトドメイン(R&D Systems #332-SR)に対する、示した精製したIgG (センサー結合)のバイオレイヤー干渉法(Bio-Layer Interferometry)による結合の測定値を、時間を横軸として示したものである。精製したIgGは、Ab17(即ち、017)、Ab18(即ち、018)、Ab19(即ち、019)、Ab20(即ち、020)、Ab21(即ち、021)、Ab22(即ち、022)、Ab23(即ち、023)、Ab24(即ち、024)、Ab25(即ち、025)、Ab27(即ち、027)、及びAb28(即ち、028)に対応する。
[詳細な説明]
本明細書に記載するのは、ヒトCD117に結合する単離された抗CD117ヒト抗体である。本明細書で提供される抗体は、幹細胞移植のためにヒト患者をコンディショニングする方法等を含む、治療にとって有利な多くの特性を有する。例えば、本明細書で開示される抗体は、ある特定の実施形態において、ヒトCD117に対して高い親和性及び低いオフレート(off-rate)、並びにCD117を発現する細胞内部に取り込まれる作用能を有する。更に、本明細書で提示されるある特定の抗体は、生物物理学的安定性が改善されている。これらの特徴によりまた、CD117発現細胞に細胞毒素を送達するためのコンジュゲート(抗体薬物コンジュゲート(ADC))において使用する目的で、本明細書に開示された抗CD117抗体は有利になる。
本発明は、抗CD117抗体(特にヒトCD117のエクトドメインに結合する単離されたヒト抗CD117抗体)を提供する。本明細書中で同定した単離された抗CD117抗体の結合領域を以下に記載し、表1、表6、及び表8に記載する。
本明細書中に記載される抗CD117抗体及びADCは、とりわけ、造血系列における細胞型の疾患、がん、自己免疫疾患、代謝性障害、及び幹細胞障害等の種々の障害を治療するための方法で使用されることがある。本明細書に記載する組成物及び方法によって、(i)がん細胞(例えば、白血病細胞)及び自己免疫細胞(例えば、自己反応性T-細胞)の集団等の、病態を引き起こす細胞の集団を直接的に減少させることができる、及び/又は(ii)移植した細胞がホーミングすることができるニッチを提供することによって、移植した造血幹細胞の生着を促進するように、内因性の造血幹細胞の集団を減少させることができる。上記の活性は、疾患を引き起こす内因性の細胞又は造血幹細胞が発現する抗原に結合し得るADC、抗体、又はその抗原結合フラグメントを投与することによって得られる。疾患を直接治療する場合、この投与によって、注目する病態を生じさせる細胞の量を減少させることができる。造血幹細胞移植療法のために、患者に対して準備をする症例において、この投与によって、内因性の造血幹細胞の集団は選択的に減少し、それによって、骨髄のような造血組織中に空きが作り出され、その空きは、次いで、移植した外因性の造血幹細胞で埋められることがある。本発明は、CD117(例えば、GNNK+ D117)に結合し得るADC、抗体、又はその抗原結合フラグメントを患者に投与し、上記の活性の両方の効果を得ることができる、という知見に部分的に基づいている。CD117に結合するADC、抗体、又は抗原結合フラグメントを、がん性細胞又は自己免疫細胞の集団を直接的に減少させるために、がん、又は自己免疫疾患に罹患している患者に投与することがあり、並びに、移植した造血幹細胞の生存及び生着能を促進するために、造血幹細胞移植療法を必要とする患者に投与することもある。
抗CD117ADC、抗体、又はその抗原結合フラグメントの投与により造血幹細胞移植物が生着することは、種々の実験的な測定において明らかにすることができる。例えば、移植した造血幹細胞が生着することは、CD117と結合することができるADC、抗体、又はその抗原結合フラグメントを投与し、及び続いて造血幹細胞移植物を投与した後に、患者の骨髄内に存在する競合的再定植ユニット(competitive repopulating unit (CRU))の量を評価することによって評価することができる。更に、ドナーの造血幹細胞をトランスフェクトするベクターに、蛍光産物、発色産物、又はルミネセンス産物を生じさせる化学反応を触媒する酵素等のレポーター遺伝子を組み込み、続いて、これに対応するシグナルを、骨髄等の前記造血幹細胞がホーミングした組織中でモニターすることによって、造血幹細胞移植物が生着することを観察することができる。また、例えば、当該技術分野で知られている蛍光活性化細胞選別(fluorescence activated cell sorting(FACS))解析方法によって測定するように、造血幹細胞及び造血前駆細胞の量及び生存性を評価することによって、造血幹細胞が生着することを観察することもできる。また、生着は、移植後の期間中に、末梢血中の白血球細胞数を測定することによって、及び/又は骨髄吸引サンプル中のドナー細胞による骨髄細胞の回収率を測定することによって、測定することもできる。
以下のセクションでは、がん(例えば、急性骨髄性白血病又は骨髄異形成症候群など)又は自己免疫疾患に罹患している患者に、又は造血幹細胞グラフトの生着を促進するために造血幹細胞移植療法を必要とする患者等の患者に、投与することができる、ADC、抗体、又はその抗原結合フラグメントについて記載し、並びにそのような治療剤を患者に投与する方法(例えば、造血幹細胞移植を行う前)について記載する。
[定義]
本明細書中で使用される場合、用語「約」は、記載される値より10%の範囲内で高い又は低い値をいう。例えば、用語「約5 nM」は、4.5 nM〜5.5 nMの範囲を示す。
本明細書中で使用される場合、用語「アマトキシン」は、Amanita phalloides mushroomsによって産生されるペプチドのアマトキシン・ファミリーのメンバー、又はそのバリアント若しくは誘導体(例えば、RNAポリメラーゼII活性を阻害し得るそのバリアント若しくは誘導体)のことをいう。本明細書に記載する組成物及び方法と併用して有用なアマトキシンとしては、限定されるものではないが、α-アマニチン、β-アマニチン、γ-アマニチン、ε-アマニチン、アマニン、アマニンアミド、アマヌリン、アマヌリン酸、又はプロアマヌリン等を含む式(III)による化合物が挙げられる。本明細書中に記載されるように、アマトキシンを、例えば、リンカー部分(L)を介して、抗体、又はその抗原結合フラグメントにコンジュゲートさせることがある(これにより、ADCを形成する)。アマトキシンをコンジュゲートする例示的な方法及びそのようなプロセスに有用なリンカーを以下に記載する。前記組成物及び方法による、抗体、又は抗原結合フラグメントへのコンジュゲートに有用な、例示的なリンカー含有アマトキシンもまた、本明細書に記載する。
式(III)は以下の通りである:
Figure 2021500375

ここで、R1はH、OH、又はORAである;
R2はH、OH、又はORBである;
RA及びRBは、存在する場合、それらが結合している酸素原子と一緒になって、任意選択的に置換された5員ヘテロシクロアルキル基を形成する;
R3は、H、又はRDである;
R4は、H、OH、ORD、又はRDである;
R5は、H、OH、ORD、又はRDである;
R6は、H、OH、ORD、又はRDである;
R7は、H、OH、ORD、又はRDである;
R8は、OH、NH2、又はORDである;
R9は、H、OH、又はORDである;
Xは、-S-、-S(O)-、又は-SO2-である;並びに、
RDは、任意選択的に置換されたアルキル(例えば、C1-C6アルキル)、任意選択的に置換されたヘテロアルキル(例えば、C1-C6ヘテロアルキル)、任意選択的に置換されたアルケニル(例えば、C2-C6アルケニル)、任意選択的に置換されたヘテロアルケニル(例えば、C2-C6ヘテロアルケニル)、任意選択的に置換されたアルキニル(例えば、C2-C6アルキニル)、任意選択的に置換されたヘテロアルキニル(例えば、C2-C6ヘテロアルキニル)、任意選択的に置換されたシクロアルキル、任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキル、任意選択的に置換されたアリール、又は任意選択的に置換されたヘテロアリールである。
例えば、本明細書に記載の組成物及び方法と併用して有用なアマトキシンには、以下の式(IIIA)による化合物が含まれる:
Figure 2021500375

ここで、R1はH、OH、又はORAである;
R2はH、OH、又はORBである;
RA及びRBは、存在する場合、それらが結合している酸素原子と一緒になって、任意選択的に置換された5員ヘテロシクロアルキル基を形成する;
R3は、H、又はRDである;
R4は、H、OH、ORD、又はRDである;
R5は、H、OH、ORD、又はRDである;
R6は、H、OH、ORD、又はRDである;
R7は、H、OH、ORD、又はRDである;
R8は、OH、NH2、又はORDである;
R9は、H、OH、又はORDである;
Xは、-S-、-S(O)-、又は-SO2-である;並びに、
RDは、任意選択的に置換されたアルキル(例えば、C1-C6アルキル)、任意選択的に置換されたヘテロアルキル(例えば、C1-C6ヘテロアルキル)、任意選択的に置換されたアルケニル(例えば、C2-C6アルケニル)、任意選択的に置換されたヘテロアルケニル(例えば、C2-C6ヘテロアルケニル)、任意選択的に置換されたアルキニル(例えば、C2-C6アルキニル)、任意選択的に置換されたヘテロアルキニル(例えば、C2-C6ヘテロアルキニル)、任意選択的に置換されたシクロアルキル、任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキル、任意選択的に置換されたアリール、又は任意選択的に置換されたヘテロアリールである。
本明細書中に記載される組成物及び方法と併用して有用なアマトキシンにはまた、以下の式(IIIB)による化合物も含まれる:
Figure 2021500375

ここで、R1はH、OH、又はORAである;
R2はH、OH、又はORBである;
RA及びRBは、存在する場合、それらが結合している酸素原子と一緒になって、任意選択的に置換された5員ヘテロシクロアルキル基を形成する;
R3は、H、又はRDである;
R4は、H、OH、ORD、又はRDである;
R5は、H、OH、ORD、又はRDである;
R6は、H、OH、ORD、又はRDである;
R7は、H、OH、ORD、又はRDである;
R8は、OH、NH2、又はORDである;
R9は、H、OH、又はORDである;
Xは、-S-、-S(O)-、又は-SO2-である;並びに、
RDは、任意選択的に置換されたアルキル(例えば、C1-C6アルキル)、任意選択的に置換されたヘテロアルキル(例えば、C1-C6ヘテロアルキル)、任意選択的に置換されたアルケニル(例えば、C2-C6アルケニル)、任意選択的に置換されたヘテロアルケニル(例えば、C2-C6ヘテロアルケニル)、任意選択的に置換されたアルキニル(例えば、C2-C6アルキニル)、任意選択的に置換されたヘテロアルキニル(例えば、C2-C6ヘテロアルキニル)、任意選択的に置換されたシクロアルキル、任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキル、任意選択的に置換されたアリール、又は任意選択的に置換されたヘテロアリールである。
本明細書中に記載されるように、アマトキシンを、例えば、リンカー部分(L)を介して、抗体、又はその抗原結合フラグメントにコンジュゲートさせることがある(これによって、ADCを形成する)。このようなプロセスに有用な、アマトキシンをコンジュゲートさせる例示的な方法及びリンカーを、表3等を含む以下に記載する。本明細書中に記載される組成物及び方法による、抗体、又は抗原結合フラグメントへのコンジュゲートに有用な、例示的なリンカー含有アマトキシンを、本明細書中に列挙する構造式(I)、(IA)、(IB)、(II)、(IIA)、又は(IIB)に示す。
本明細書中で使用される場合、用語「抗体」は、特定の抗原に特異的に結合するか、又は特定の抗原と免疫学的に反応性である免疫グロブリン分子をいい、モノクローナル、遺伝子工学的に操作した、及びその他の改変した形態の抗体を含み、これには、限定されるものではないが、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヘテロコンジュゲート抗体(例えば、バイ-、トリ-及びクアッド-スペシフィック抗体、ダイアボディ、トリアボディ、及びテトラボディ)、並びに抗体の抗原結合フラグメント(例えば、Fab'、F(ab')2、Fab、Fv、rlgG、及びscFvフラグメント等を含む)が含まれる。
本発明の抗体は、一般に、単離されているか、又は組換えである。「単離された」とは、本明細書中で使用される場合、それを発現する細胞又は細胞培養物から同定及び分離並びに/又は回収されたポリペプチド(例えば、抗体)をいう。通常、単離された抗体は、少なくとも1つの精製工程によって調製される。従って、「単離された抗体」は、異なる抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体をいう。例えば、CD117に特異的に結合する単離された抗体は、CD117以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない。
特に断らない限り、用語「モノクローナル抗体」(mAb)は、ターゲット・タンパク質に特異的に結合することができる、インタクトな分子及び抗体フラグメント(例えば、Fab及びF(ab')2フラグメント等を含む)の両方を含むことを意味する。本明細書中で使用される場合、Fab及びF(ab')2フラグメントは、インタクトな抗体のFcフラグメントを欠く抗体フラグメントをいう。これらの抗体フラグメントの例を、本明細書に記載する。
一般的に、抗体は、抗原結合領域を含む重鎖及び軽鎖を含む。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書では、HCVR又はVHと略す)及び重鎖定常領域から構成される。前記重鎖定常領域は、3つのドメイン(CH1、CH2及びCH3)から構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書では、LCVR又はVLと略す)及び軽鎖定常領域から構成される。前記軽鎖定常領域は、1つのドメイン(CL)から構成される。前記VH及びVL領域は、超可変性の領域(相補性決定領域(CDR)と呼ばれる)に更に細分化することができ、より保存された領域(骨格領域(FR)と呼ばれる)が点在する。各VH及びVLは、3つのCDR及び4つのFRから構成され、アミノ末端からカルボキシル末端に向かって、以下の順序で配列する:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。前記重鎖及び軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。前記抗体の定常領域は、前記免疫グロブリンが宿主の組織又は因子(例えば、免疫システムの種々の細胞(例、エフェクター細胞)及び古典的補体システムの第一成分(C1q)等)に結合することを、仲立ちすることがある。
本明細書中で使用される場合、「インタクト(intact)」又は「全長(full length)」抗体とは、2つの重鎖(H)ポリペプチド及び2つの軽鎖(L)ポリペプチドがジスルフィド結合によって相互接続している抗体をいう。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書では、HCVR又はVHと略す)及び重鎖定常領域から構成される。前記重鎖定常領域は、3つのドメイン(CH1、CH2及びCH3)から構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書では、LCVR又はVLと略す)及び軽鎖定常領域から構成される。前記軽鎖定常領域は、1つのドメイン(CL)から構成される。前記VH及びVL領域は、超可変性の領域(相補性決定領域(CDR)と呼ばれる)に更に細分化することができ、より保存された領域(骨格領域(FR)と呼ばれる)が点在する。各VH及びVLは、3つのCDR及び4つのFRから構成され、アミノ末端からカルボキシル末端に向かって、以下の順序で配列する:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。前記重鎖及び軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。前記抗体の定常領域は、前記免疫グロブリンが宿主の組織又は因子(例えば、免疫システムの種々の細胞(例、エフェクター細胞)及び古典的補体システムの第一成分(C1q)等)に結合することを、仲立ちすることがある。
用語「Fc」、「Fc領域」、及び「Fcドメイン」は、本明細書中で使用される場合、IgG分子のパパイン消化によって得られる結晶性フラグメントに関するIgG抗体の一部をいう。前記Fc領域は、ジスルフィド結合によって連結した、IgG分子の2本の重鎖のC末端側の半分を含む。これは、抗原結合活性を有さないが、糖鎖部分、並びに補体及びFcRnレセプター等を含むFcレセプターのための結合部位を含む。Fc領域は第2の定常ドメインCH2(例えば、IgG1のEU位置231〜340の残基)及び第3の定常ドメインCH3(例えば、ヒトIgG1のEU位置341〜447の残基)を含む。本明細書中で使用される場合、前記Fc領域は、「ロワー・ヒンジ領域(lower hinge region)」(例えば、IgG1のEU位置233-239の残基)を含む。Fcは、単離されたこの領域、又は抗体、抗体フラグメント、若しくはFc融合タンパク質の文脈におけるこの領域、を指すことがある。ポリモルフィズムは、限定されるものではないが、EU位置270、272、312、315、356、及び358等を含む、Fcドメイン内の多くの位置で観察されてきており、従って、本出願で提示される配列と当該技術分野で知られている配列との間にわずかな差異が存在することがある。従って、「野生型IgG Fcドメイン」又は「WT IgG Fcドメイン」は、自然に発生するIgG Fc領域(即ち、任意のアレル)を指す。ヒトIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4の重鎖の配列は、多くの配列データベース中に見つけることができ、例えば、Uniprotデータベース(www.uniprot.org)では、それぞれ、アクセション番号P01857(IGHG1_human)、P01859(IGHG2_human)、P01860(IGHG3_human)及びP01861(IGHG1_human)である。"WT" Fc領域の例を、配列番号(SEQ ID NO):183(Fc領域を含む重鎖定常領域を提供する)に示す。
本明細書中で使用される場合、用語「改変したFc領域」又は「バリアントFc領域」は、Fc領域内の任意の位置に導入された、1つ以上のアミノ酸置換、欠失、挿入又は修飾を含むIgG Fcドメインをいう。
本明細書中で使用される場合、用語「抗原結合フラグメント」は、ターゲット抗原に特異的に結合する作用能を保持する抗体の1つ以上のフラグメントをいう。抗体の抗原結合機能は、全長抗体のフラグメントによって果たされ得る。前記抗体フラグメントは、例えば、Fab、F(ab')2、scFv、ダイアボディ、トリアボディ、アフィボディ、ナノボディ、アプタマー、又はドメイン抗体であることがある。抗体の「抗原結合フラグメント」という用語に包含される結合フラグメントの例としては、限定されるものではないが、以下が挙げられる:(i)Fabフラグメント、VL、VH、CL及びCH1ドメインからなる一価フラグメント;(ii)F(ab')2フラグメント、ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結した、2つのFabフラグメントを含む二価フラグメント;(iii)VH及びCH1ドメインからなるFdフラグメント;(iv)抗体の単一アームのVL及びVHドメインからなるFvフラグメント;(v) VH及びVLドメインを含むdAb;(vi) VHドメインからなるdAbフラグメント(例えば、Wardら、Nature 341:544-546、1989を参照のこと);(vii) VH又はVLドメインからなるdAb;(viii)単離した相補性決定領域(CDR);並びに(ix)合成リンカーによって任意選択的に連結することがある2つ以上(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つ)の単離したCDRの組み合わせ。更に、Fvフラグメントの2つのドメイン(VL及びVH)は、別々の遺伝子によってコードされているが、それらを、組換え方法を使用することで、リンカーによって連結して、単一タンパク質鎖(VL及びVH領域が対になって一価分子を形成する)とすることができる(単鎖Fv(scFv)として公知である;例えば、Bird et al., Science 242:423-426, 1988 及び Huston et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883, 1988を参照のこと)。これらの抗体フラグメントを、当業者に公知の従来の技術を使用して入手することができ、及び前記フラグメントを、インタクトな抗体と同じ様式で有用性についてスクリーニングすることができる。抗原結合フラグメントを、組換えDNA技術、インタクトな免疫グロブリンの酵素的な又は化学的な切断によって、又は、ある場合には、当該技術分野で公知の化学的ペプチド合成手順によって、産生することができる。
本明細書中で使用される場合、「抗CD117抗体」又は「CD117に結合する抗体」という用語は、その抗体がCD117をターゲティングする診断薬剤及び/又は治療薬剤として有用であるように、充分な親和性でCD117に結合することができる抗体のことをいう。
本明細書中で使用される場合、用語「バイスペシフィック抗体(bispecific antibody)」は、例えば、少なくとも2種の異なる抗原に結合することができるモノクローナルの、しばしばヒト抗体又はヒト化抗体を指す。例えば、結合特異性のうちの1つを、造血幹細胞表面抗原、CD117(例えば、GNNK+ CD117)に向けることができ、他方を、特に細胞増殖を増強するシグナル伝達経路に関与するレセプター又はレセプター・サブユニットのような、異なる造血幹細胞表面抗原又は別の細胞表面タンパク質に特異的に結合させることができる。
本明細書中で使用される場合、用語「相補性決定領域」(CDR)は、抗体の軽鎖及び重鎖可変ドメインの両方に見出される超可変領域のことをいう。可変ドメインのより高度に保存された部分は、骨格領域(FR)と呼ばれる。抗体の超可変領域を表すアミノ酸の位置は、文脈及び当該技術分野で公知の種々の定義に依存して、変化することがある。可変ドメイン内のいくつかの位置は、これらの位置が、ある組の基準の下では超可変領域内にあると見なされることがあり、一方、別の組の基準の下では超可変領域外にあると見なされることがある、という点において、ハイブリッド超可変位置と見なされることがある。これらの位置の1つ以上はまた、拡張超可変領域において見出されることもある。本明細書に記載する抗体は、これらのハイブリッド超可変位置に、改変を含むことがある。天然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、それぞれ、主にβ-シート構造をとり、3つのCDRによって連結した(CDRは、β-シート構造を連結するループを形成し、場合によってはその一部を形成する)、4つの骨格領域を含む。各々の鎖中のCDRは、FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4の順序で、骨格領域が近接して一緒にまとまり、そして他の抗体鎖由来のCDRと共に、抗体のターゲット結合部位の形成に寄与する(Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest、National Institute of Health、Bethesda、MD、1987を参照のこと)。ある特定の実施形態では、免疫グロブリンのアミノ酸残基の番号付けは、特に断らない限り、Kabatらの免疫グロブリンのアミノ酸残基の番号付けシステムに従って行う(しかし、限定されるものではないが、IMGT及びChothia等を含む、任意の抗体の番号付けスキームを利用することがある)。
本明細書中で使用される場合、用語「コンディショニングをする」及び「コンディショニング」は、造血幹細胞を含む移植物を受けるために、患者に対して準備をするプロセスのことをいう。このような処置によって、造血幹細胞移植物の生着は促進される(例えば、コンディショニング処置及び続いて行った造血幹細胞移植の後に、患者から単離した血液サンプル内の生存可能な造血幹細胞の量が持続的に増大していることから推測される)。本明細書に記載する方法に従って、造血幹細胞が発現する抗原(CD117(例えば、GNNK+CD117)等)に結合し得るADC、抗体、又はその抗原結合フラグメントを患者に投与することによって、造血幹細胞移植療法のために、前記患者をコンディショニングすることがある。本明細書に記載するように、前記抗体を、ADCを形成するように、細胞毒素に共有結合的にコンジュゲートさせることがある。上記の抗原の1つ以上に結合し得る、抗体、その抗原結合フラグメント、又はADCを、造血幹細胞移植療法を必要とする患者に投与することは、例えば、内因性の造血幹細胞を選択的に減少させて、それによって、外因性の造血幹細胞移植物によって埋められる空きを生成することによって、造血幹細胞グラフトの生着を促進することがある。
本明細書中で使用される場合、用語「コンジュゲート」は、抗体、又はその抗原結合フラグメントのようなある分子の反応性官能基と、本明細書に記載する細胞毒素のような別の分子の好適な反応性官能基との化学的な結合によって形成される化合物のことをいう。コンジュゲートは、互いに結合した2つの分子間に、リンカーを含むことがある。コンジュゲートの形成に用いることができるリンカーの例としては、ペプチド含有リンカー(例えば、天然に存在する又は天然に存在しないアミノ酸、例えば、D-アミノ酸を含有するリンカー)が挙げられる。リンカーを、本明細書中に記載する、及び当該技術分野で公知である、種々のストラテジーを使用して調製することがある。その中の反応性成分に依存して、リンカーを、例えば、酵素的加水分解、光分解、酸性条件下での加水分解、塩基性条件下での加水分解、酸化、ジスルフィド還元、求核切断、又は有機金属切断によって、切断することがある(例えば、Lericheら、Bioorg.Med.Chem.,20:571-582,2012を参照のこと)。前記コンジュゲートを、本明細書では、「薬物-抗体コンジュゲート」、「抗体-薬物コンジュゲート」及び「ADC」とも互換的に呼ぶ。
本明細書中で使用される場合、用語「カップリング反応」は、互いに反応するのに適した2つ以上の置換基が反応して、それぞれの置換基に結合した分子フラグメントが(例えば、共有結合的に)結合した化学的な部分構造を形成する化学反応を指す。カップリング反応には、細胞毒素(例えば、当該技術分野で公知の又は本明細書中に記載される細胞毒素)であるフラグメントに結合した反応性置換基が、抗体、又はその抗原結合フラグメント(例えば、当該技術分野で公知の若しくは本明細書中に記載される、CD117(GNNK+ CD117等)に特異的な、抗体、その抗原結合フラグメント)であるフラグメントに結合した好適な反応性置換基と反応する反応が含まれる。好適な反応性置換基の例としては、求核/求電子対(例えば、特に、チオール/ハロアルキル対、アミン/カルボニル対、又はチオール/α, β-不飽和カルボニル対等)、ジエン/ジエノフィル対(例えば、とりわけ、アジド/アルキン対)等が挙げられる。カップリング反応としては、限定されるものではないが、チオール・アルキル化、ヒドロキシル・アルキル化、アミン・アルキル化、アミン縮合、アミド化、エステル化、ジスルフィド形成、環化付加(例えば、特に、[4+2]Diels-Alder環化付加、[3+2]Huisgen環化付加)、芳香族求核置換、芳香族求電子置換、及び当該技術分野で知られているか又は本明細書に記載されている他の反応様式が挙げられる。
本明細書中で使用される場合、「CRU(競合的再定植ユニット(competitive repopulating unit))」は、in vivo移植後に検出され得る、長期生着する幹細胞に関する測定の単位のことをいう。
本明細書中で使用される場合、「薬物対抗体比(drug-to-antibody ratio)」又は「DAR」は、ADCの抗体に結合した細胞毒素(例えば、アマトキシン)の数をいう。ADCのDARは1〜8の範囲であることがあるが、抗体上の連結部位の個数に応じて、より高い搭載数も考えられる。従って、ある特定の実施形態では、本明細書に記載するADCは、1、2、3、4、5、6、7、又は8のDARを有する。
本明細書中で使用される場合、用語「ドナー」は、レシピエントに細胞又はその子孫を投与する前に、1つ以上の細胞を単離したヒト又は動物を指す。1つ以上の細胞は、例えば、造血幹細胞の集団であることがある。
本明細書中で使用される場合、用語「ダイアボディ」は、2つのポリペプチド鎖を含む二価抗体をいい、ここで、各々のポリペプチド鎖は、同じペプチド鎖上のVH及びVLドメインの分子内会合が不可能であるくらい短いリンカー(例えば、5つのアミノ酸から構成されるリンカー)によって連結されたVH及びVLドメインを含む。この構成によって、それぞれのドメインは、別のポリペプチド鎖上の相補的ドメインと対になって、ホモ二量体構造を形成する。従って、用語「トリアボディ」は、3つのペプチド鎖を含む三価抗体をいい、その各々は、同一のペプチド鎖内のVH及びVLドメインの分子内会合を可能にするには非常に短すぎるリンカー(例えば、1〜2アミノ酸から構成されるリンカー)によって連結された1つのVHドメイン及び1つのVLドメインを含む。このようにして構成されたペプチドは、その生来の構造に折りたたまれるために、通常は、隣接するペプチド鎖のVHドメイン及びVLドメインが空間的に互いに近接するように、三量体化する(例えば、Holligerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444-48、1993を参照)。
本明細書中で使用される場合、「二重可変ドメイン免疫グロブリン」(「DVD-Ig」)とは、リンカーを介して2つのモノクローナル抗体のターゲット結合可変ドメインを組み合わせ、四価で、二重ターゲティングをする単剤となる抗体をいう(例えば、Guら、Meth.Enzymol、502:25-41、2012を参照のこと)。
本明細書中で使用される場合、用語「内因性」は、ヒト患者のような特定の生物に天然に見出される分子、細胞、組織、又は臓器(例えば、造血幹細胞、又は巨核球、血小板(thrombocyte)、血小板(platelet)、赤血球、マスト細胞、骨髄芽球,好塩基球、好中球、好酸球、ミクログリア細胞、顆粒球、単球、破骨細胞、抗原提示細胞、マクロファージ、樹状細胞、ナチュラル・キラー細胞、T-リンパ球、又はB-リンパ球のような造血系列の細胞)のような物質を記載する。
本明細書中で使用される場合、用語「生着能力(engraftment potential)」は、造血幹細胞及び造血前駆細胞が組織に再定殖する能力を指すために使用され、そのような細胞が自然に循環しているか、又は移植によって提供されるかに関わらない。前記用語は、細胞の組織ホーミング及び注目する組織内への細胞のコロニー形成のような、生着を取り巻くか、又は生着に至るすべての事象を包含する。生着の効率又は生着の割合は、当業者に公知の任意の臨床的に許容されるパラメータを用いて評価又は定量することができ、例えば、競合的再定植ユニット(competitive repopulating unit)(CRU)を評価すること;幹細胞がホーミングした、コロニー形成をした、又は生着した組織において、マーカーが取り込まれること若しくは発現すること;又は、疾患の進行、造血幹細胞及び造血前駆細胞の生存、若しくはレシピエントの生存により、対象の進行を評価すること、が含まれることがある。生着は、移植後の末梢血中の白血球細胞数を測定することによっても判定することができる。生着は、骨髄吸引サンプルにおけるドナー細胞による骨髄細胞の回収率を測定することによって評価することもできる。
本明細書中で使用される場合、用語「外因性」は、ヒト患者のような特定の生物に天然に見出されない分子、細胞、組織、又は臓器(例えば、造血幹細胞、又は巨核球、血小板(thrombocyte)、血小板(platelet)、赤血球、マスト細胞、骨髄芽球,好塩基球、好中球、好酸球、ミクログリア細胞、顆粒球、単球、破骨細胞、抗原提示細胞、マクロファージ、樹状細胞、ナチュラル・キラー細胞、T-リンパ球、又はB-リンパ球のような造血系列の細胞)のような物質を記載する。外因性物質には、外部供給源から生物に、又はそこから抽出した培養物に提供されるものが含まれる。
本明細書中で使用される場合、用語「骨格領域」又は「FW領域」は、抗体、又はその抗原結合フラグメントのCDRに近接するアミノ酸残基を含む。FW領域の残基は、例えば、とりわけヒト抗体、ヒト化抗体、モノクローナル抗体、抗体フラグメント、Fabフラグメント、一本鎖抗体フラグメント、scFvフラグメント、抗体ドメイン、及びバイスペシフィック抗体(bispecific antibody)の中に存在することがある。
本明細書中で使用される場合、用語「造血幹細胞」(「HSC」)とは、自己複製する能力、及び顆粒球(例えば、前骨髄球、好中球,好酸球、好塩基球)、赤血球(例えば、網状赤血球、赤血球)、血小板(thrombocytes)(例えば、巨核芽球、血小板(platelet)産生巨核球、血小板(platelets))、単球(例えば、単球、マクロファージ)、樹状細胞、ミクログリア、破骨細胞、及びリンパ球(例えば、NK細胞、B-細胞及びT-細胞)を含むがこれらに限定されない多様な系列を含む成熟血液細胞に分化する能力、を有する未成熟血液細胞をいう。そのような細胞は、CD34+細胞を含むことがある。CD34+細胞は、CD34細胞表面マーカーを発現する未成熟細胞である。ヒトでは、CD34+細胞は、上記に定義された幹細胞の特性を有する細胞の亜集団を含むと考えられているが、一方マウスでは、HSCはCD34-である。更に、HSCはまた、長期再定殖HSC(LT-HSC)及び短期再定殖HSC(ST-HSC)も指す。LT-HSC及びST-HSCは、機能的な可能性及び細胞表面マーカーの発現に基づいて区別される。例えば、ヒトHSCは、CD34+、CD38-、CD45RA-、CD90+、CD49F+、及びlin-(CD2、CD3、CD4、CD7、CD8、CD10、CD11B、CD19、CD20、CD56、CD235A等を含む成熟系列マーカーについてネガティブ)である。マウスでは、骨髄LT-HSCは、CD34-、SCA-1+、C-kit+、CD135-、Slamfl/CD150+、CD48-、及びlin-(Ter119、CD11b、Gr1、CD3、CD4、CD8、B220、IL7ra等を含む成熟系列マーカーについてネガティブ)であるが、一方、ST-HSCは、CD34+、SCA-1+、C-kit+、CD135-、Slamfl/CD150+、及びlin-(Ter119、CD11b、Gr1、CD3、CD4、CD8、B220、IL7ra等を含む成熟系列マーカーについてネガティブ)である。加えて、ST-HSCは、ホメオスタシス条件下で、LT-HSCよりも静止性が低く、増殖性が高い。しかし、LT-HSCは、自己複製能が高い(即ち、LT-HSCは、成人期を通して生存し、歴代のレシピエントを介して連続的に移植することができる)のに対し、ST-HSCは、自己複製能が限られている(即ち、ST-HSCは、限られた期間のみ生存し、連続して移植することはできない)。これらのHSCの何れも、本明細書中に記載される方法において使用され得る。ST-HSCは、それらが高度に増殖性であり、それ故、分化した子孫をより迅速に生じ得るので、特に有用である。
本明細書中で使用される場合、用語「造血幹細胞の機能的な可能性」は、1)多能性(これは、限定されるものではないが、顆粒球(例えば、前骨髄球、好中球,好酸球、好塩基球)、赤血球(例えば、網状赤血球、赤血球)、血小板(thrombocytes)(例えば、巨核芽球、血小板(platelet)産生巨核球、血小板(platelets))、単球(例えば、単球、マクロファージ)、樹状細胞、ミクログリア、破骨細胞、及びリンパ球(例えば、NK細胞、B細胞及びT細胞)等を含む、複数の様々な血液系列に分化する能力を指す)、2)自己複製(これは、母細胞と同等の潜在能力を有する娘細胞を生じさせる造血幹細胞の能力を指す、更に、この能力は消耗することなく個々の生存期間を通して繰り返し起こりうる)、並びに3)造血幹細胞又はその子孫が、移植レシピエントに再導入されると、造血幹細胞ニッチにホーミングし、生産的で持続的な造血を再確立する作用能、を含む、造血幹細胞の機能的な特性を指す。
本明細書中で使用される場合、用語「ヒト抗体」は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域及び定常領域を有する抗体を含むことが意図される。ヒト抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列によってコードされていないアミノ酸残基(例えば、in vitroでのランダムな若しくは部位特異的な変異誘発によって導入される変異、又はin vivoでの遺伝子再構成若しくは体細胞変異によって導入される変異)を含むことがある。しかし、本明細書中で使用される場合、用語「ヒト抗体」に、マウス等の別の哺乳動物種の生殖系列に由来するCDR配列をヒトの骨格配列上に移植した抗体が含まれることを、意図していない。ヒト抗体を、ヒト細胞において(例えば、組換え発現によって)、又は機能的に再構成したヒト免疫グロブリン(例えば、重鎖及び/又は軽鎖)遺伝子を発現し得る非ヒト動物又は原核若しくは真核細胞によって、産生することがある。ヒト抗体が一本鎖抗体である場合、それは天然のヒト抗体には見出されないリンカー・ペプチドを含むことがある。例えば、Fvは、2個〜約8個のグリシン又は他のアミノ酸残基のようなリンカー・ペプチドを含むことがあり、リンカーは前記重鎖の可変領域及び前記軽鎖の可変領域を連結する。このようなリンカー・ペプチドは、ヒト起源であると見なされる。ヒト抗体を、ヒト免疫グロブリン配列に由来する抗体ライブラリを使用するファージ・ディスプレイ法を含む、当該技術分野で公知の種々の方法によって作製することがある。ヒト抗体はまた、機能的な内因性の免疫グロブリンを発現することができないが、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現することができるトランスジェニック・マウスを使用して産生することもある(例えば、PCT公開番号WO 1998/24893; WO 1992/01047; WO 1996/34096; WO 1996/33735;米国特許第5,413,923号;第5,625,126号;第5,633,425号;第5,569,825号;第5,661,016号;第5,545,806号;第5,814,318号;第5,885,793号;第5,916,771号;及び第5,939,598号を参照のこと)。
本明細書中で使用される場合、造血幹細胞移植を「必要とする」患者は、1種以上の血液細胞の型に欠陥又は欠損を示す患者、並びに幹細胞障害、自己免疫疾患、がん、又は本明細書に記載する他の病態を有する患者を含む。造血幹細胞は、一般に、1)多能性、従って、限定されるものではないが、顆粒球(例えば、前骨髄球、好中球,好酸球、好塩基球)、赤血球(例えば、網状赤血球、赤血球)、血小板(thrombocytes)(例えば、巨核芽球、血小板(platelet)産生巨核球、血小板(platelets))、単球(例えば、単球、マクロファージ)、樹状細胞、ミクログリア、破骨細胞、及びリンパ球(例えば、NK細胞、B細胞及びT細胞)等を含む、複数の様々な血液系列に分化することができる、2)自己複製、従って、母細胞と同等の潜在能力を有する娘細胞を生じさせることができる、並びに3)移植レシピエントに再導入され、造血幹細胞ニッチにホーミングし、生産的で持続的な造血を再確立する作用能、を示す。従って、造血系列の1種以上の細胞型において欠陥のある又は欠損した患者に、in vivoで、欠陥のある又は欠損した細胞の集団を再構成するために、造血幹細胞を投与することがある。例えば、前記患者は、がんに罹患していることがあり、前記欠損は、がん性細胞集団を選択的に又は非特異的に減少させる化学療法剤又は他の薬剤を投与することによって引き起こされることがある。更に、又はその代替として、前記患者は鎌状赤血球貧血、サラセミア、ファンコニ貧血、再生不良性貧血、及びウィスコット‐アルドリッチ症候群等の異常ヘモグロビン症(例えば、非悪性異常ヘモグロビン症)に罹患していることがある。前記対象は、アデノシン・デアミナーゼ重度複合免疫不全症(ADA SCID)、HIV/AIDS、異染性白質ジストロフィー、ダイアモンド‐ブラックファン貧血、及びシュワックマン‐ダイアモンド症候群に罹患している対象であることがある。前記対象は遺伝性の血液障害(例えば、鎌状赤血球貧血)又は自己免疫疾患を有するか、又はその影響を受けていることがある。更に、又はその代替として、前記対象は、神経芽細胞腫又は血液がん等の悪性腫瘍を有するか、又はその影響を受けていることがある。例えば、前記対象は、白血病、リンパ腫又は骨髄腫を有していることがある。いくつかの実施形態では、前記対象は、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫又は非-ホジキン・リンパ腫(non-Hodgkin’s lymphoma)を有する。いくつかの実施形態では、前記対象は骨髄異形成症候群を有する。いくつかの実施形態では、前記対象は、強皮症、多発性硬化症、潰瘍性大腸炎、クローン病、I型糖尿病等の自己免疫疾患、又は本明細書に記載の別の自己免疫性の病態を有する。いくつかの実施形態では、前記対象は、キメラ抗原レセプターT-細胞(CART)療法を必要とする。いくつかの実施形態では、前記対象は、代謝性貯蔵障害を有するか、又は影響を受けている。前記対象は、グリコーゲン蓄積症、ムコ多糖症、ゴーシェ病、ハーラー病、スフィンゴ脂質症、異染性白質ジストロフィー、からなる群から選択される代謝性障害、又は本明細書に開示される治療及び療法から恩恵を得ることができる任意の他の疾患又は障害(限定されるものではないが、重度複合免疫不全症、ウィスコット‐アルドリッチ症候群、高免疫グロブリンM症候群、チェディアック‐東病、遺伝性リンパ組織球症、大理石骨病、骨形成不全症、貯蔵疾患、サラセミア・メジャー、鎌状赤血球症、全身性硬化症、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、若年性関節リウマチ)、並びに"Bone Marrow Transplantation for Non-Malignant disease"、ASH Education Book、1:319-338(2000)(この開示は、造血幹細胞移植療物を投与する療法によって治療される可能性のある病態に関するものであり、その全体が本明細書に参照により取り込まれる)に記載されている疾患又は障害、に罹患している、又は影響を受けていることがある。更に又は代わりに、造血幹細胞移植を「必要とする」患者は、前述の病態のうちの1種に罹患している又は罹患していない患者(それにもかかわらず、巨核球、血小板(thrombocyte)、血小板(platelet)、赤血球、マスト細胞、骨髄芽球、好塩基球、好中球、好酸球、ミクログリア、顆粒球、単球、破骨細胞、抗原提示細胞、マクロファージ、樹状細胞、ナチュラル・キラー細胞、Tリンパ球、及びBリンパ球等の造血系列内の1種以上の内因性の細胞型のレベルの低下(例えば、他の健康な対象のレベルと比較して)を示す)であることがある。当業者の中のある者は、例えば、当該技術分野で公知の手順の中でも特に、フロー・サイトメトリー及び蛍光活性化細胞選別(FACS)方法によって、前記の細胞型又は他の血液細胞の型のうちの1種以上のもののレベルが、他の健康な対象に対して低下しているかどうかを容易に決定することができる。
本明細書中で使用される場合、用語「レシピエント」は、造血幹細胞の集団を含む移植物等の移植物を受ける患者を指す。レシピエントに投与される移植細胞は、例えば、自家、同系、又は同種異系細胞であることがある。
本明細書中で使用される場合、用語「サンプル」は、対象から採取された検体(例えば、血液、血液成分(例えば、血清又は血漿)、尿、唾液、羊水、脳脊髄液、組織(例えば、胎盤又は真皮)、膵液、絨毛膜絨毛サンプル、及び細胞)を指す。
本明細書中で使用される場合、用語「scFv」は、抗体由来の重鎖の可変ドメインと軽鎖の可変ドメインとが結合して1本の鎖を形成している、単鎖Fv抗体を指す。scFvフラグメントは、リンカーによって分離された、抗体軽鎖の可変領域(VL) (例えば、CDR-L1、CDR-L2、及び/又はCDR-L3)及び抗体重鎖の可変領域(VH) (例えば、CDR-H1、CDR-H2、及び/又はCDR-H3)を含む単一のポリペプチド鎖を含む。scFvフラグメントのVL領域及びVH領域を連結するリンカーは、タンパク質を構成するアミノ酸から構成されるペプチド・リンカーであることがある。代替のリンカーを、タンパク質分解に対するscFvフラグメントの耐性を増大させるために(例えば、D-アミノ酸を含有するリンカー)、scFvフラグメントの溶解性を増大させるために(例えば、ポリエチレングリコール含有リンカー又は繰り返しのグリシン及びセリン残基を含有するポリペプチド等の親水性リンカー)、前記分子の生物物理学的安定性を改善するために(例えば、分子内又は分子間ジスルフィド結合を形成するシステイン残基を含有するリンカー)、又は前記scFvフラグメントの免疫原性を弱めるために(例えば、グリコシル化部位を含有するリンカー)、使用することがある。本明細書中に記載されるscFv分子の可変領域を、それらが由来する抗体分子からアミノ酸配列が変化するように、改変することができることもまた、当業者は理解する。例えば、scFvの作用能(対応する抗体が認識する抗原に結合する作用能)を保存又は増強するために、アミノ酸残基での保存的置換又は変化をもたらすヌクレオチド又はアミノ酸置換を(例えば、CDR及び/又は骨格残基において)行うことがある。
本明細書中で使用される場合、用語「対象」及び「患者」は、本明細書に記載するような特定の疾患又は症状に対して治療を受ける、ヒトのような生物をいう。例えば、ヒト患者のような患者は、外因性の造血幹細胞の生着を促進させるために、造血幹細胞移植療法の前に治療を受けることがある。
本明細書中で使用される場合、語句「血液から実質的にクリアランスされる」は、治療薬剤(例えば、抗CD117抗体、又はその抗原結合フラグメント)を患者に投与した後の時点であって、前記患者から単離された血液サンプル中の前記治療薬剤の濃度が、前記治療薬剤を従来の方法によって検出できないようなものである場合(例えば、前記治療薬剤が、前記治療薬剤を検出するために使用されるデバイス又はアッセイのノイズ閾値を超えて検出できないような場合)のことをいう。当該技術分野で知られている、様々な技法(当該技術分野で知られている又は本明細書に記載されているELISAベースの検出アッセイなど)を使用して、抗体、抗体フラグメント、及びタンパク質リガンドを検出することがある。抗体、又は抗体フラグメントを検出するために使用され得る更なるアッセイには、とりわけ当該技術分野で公知の、免疫沈降法及びイムノブロット・アッセイが含まれる。
本明細書中で使用される場合、語句「幹細胞障害」は、対象のターゲット組織をコンディショニングすることによって、及び/又はターゲット組織中の内因性の幹細胞集団を除去することによって(例えば、対象の骨髄組織から内因性の造血幹細胞集団又は造血前駆細胞集団を除去することによって)、及び/又は対象のターゲット組織中に幹細胞を生着させる又は移植することによって、治療又は治癒され得る任意の疾患、障害、又は症状を広く指す。例えば、I型糖尿病は、造血幹細胞移植によって治癒されることが示されており、本明細書に記載の組成物及び方法に従ってコンディショニングすることから恩恵を得ることができる。本明細書に記載する組成物及び方法を使用して治療され得る更なる障害には、限定されるものではないが、鎌状赤血球貧血、サラセミア、ファンコニ貧血、再生不良性貧血、ウィスコット‐アルドリッチ症候群、ADA SCID、HIV/AIDS、異染性白質ジストロフィー、ダイアモンド‐ブラックファン貧血、及びシュワックマン‐ダイアモンド症候群が挙げられる。本明細書に記載する患者コンディショニング及び/又は造血幹細胞移植の方法を用いて治療することができる更なる疾患には、遺伝性血液疾患(例えば、鎌状赤血球貧血)及び強皮症、多発性硬化症、潰瘍性大腸炎、及びクローン病等の自己免疫疾患が含まれる。本明細書に記載するコンディショニング及び/又は移植方法を使用して治療され得る更なる疾患には、悪性腫瘍(例えば、神経芽細胞腫)、又は血液がん(例えば、白血病、リンパ腫、及び骨髄腫)が含まれる。例えば、前記がんは、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、又は非-ホジキン・リンパ腫(non-Hodgkin’s lymphoma)であることがある。本明細書に記載のコンディショニング及び/又は移植方法を用いて治療可能な更なる疾患には、骨髄異形成症候群が含まれる。いくつかの実施形態では、前記対象は、代謝性貯蔵障害を有するか、又はそれによって影響を受けている。例えば、前記対象は、グリコーゲン蓄積症、ムコ多糖症、ゴーシェ病、ハーラー病、スフィンゴ脂質症、異染性白質ジストロフィー、からなる群から選択される代謝性障害、又は本明細書に開示される治療及び療法から恩恵を受けることができる任意の他の疾患又は障害(限定されるものではないが、重度複合免疫不全症、ウィスコット‐アルドリッチ症候群、高免疫グロブリンM(IgM)症候群、チェディアック‐東病、遺伝性リンパ組織球症、大理石骨病、骨形成不全症、貯蔵疾患、サラセミア・メジャー、鎌状赤血球症、全身性硬化症、全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus)、多発性硬化症、若年性関節リウマチ)、並びに"Bone Marrow Transplantation for Non-Malignant disease"、ASH Education Book、1:319-338(2000)(この開示は、造血幹細胞移植療物を投与する療法によって治療される可能性のある病態に関するものであり、その全体が本明細書に参照により取り込まれる)に記載されている疾患又は障害、に罹患している、又は影響を受けていることがある。
本明細書中で使用される場合、用語「トランスフェクション」は、エレクトロポレーション、リポフェクション、リン酸カルシウム沈殿、DEAE-デキストラン・トランスフェクション等のような、原核宿主細胞又は真核宿主細胞に外因性のDNAを導入するために一般的に使用される、任意の多種多様な技術のことをいう。
本明細書中で使用される場合、用語「治療する」又は「治療」は、疾患症状の重篤度及び/又は頻度を減少させること、疾患症状及び/又は前記症状の根本的な原因を取り除くこと、疾患症状及び/又はその根本的な原因の頻度又は可能性を減少させること、並びに疾患によって直接的又は間接的に引き起こされる損傷を改善又は修復することをいう。有益な又は所望の臨床的な結果としては、限定されるものではないが、本明細書に記載するような抗体コンディショニング療法及び続いて行う造血幹細胞移植療法の後に、患者において外因性の造血細胞の生着が促進されることが含まれる。更なる有益な結果には、造血幹細胞移植を必要としている患者において、コンディショニング療法及び続いて外因性の造血幹細胞グラフトを前記患者に投与した後に、造血幹細胞の細胞数が増加すること又は相対濃度が増加すること、が含まれる。本明細書に記載する療法の有益な結果にはまた、コンディショニング療法及び続いて行う造血幹細胞移植療法の後に、造血系列の1種以上の細胞(例えば、巨核球、血小板(thrombocyte)、血小板(platelet)、赤血球、マスト細胞、骨髄芽球、好塩基球、好中球、好酸球、ミクログリア細胞、顆粒球、単球、破骨細胞、抗原提示細胞、マクロファージ、樹状細胞、ナチュラル・キラー細胞、Tリンパ球、又はBリンパ球等)の細胞数が増加すること又は相対濃度が増加すること、が含まれることもある。更なる有益な結果には、がん細胞 (例えば、CD117+白血病細胞)又は自己免疫細胞(例えば、自己抗原と交差反応するT-細胞レセプターを発現するCD117+ T-細胞等のCD117+自己免疫リンパ球) の集団等の、疾患を引き起こす細胞集団の量が減少することが含まれることがある。本発明の方法が障害を予防することを対象とする限り、用語「予防する」は、疾患の状態が完全に阻止されることを必要としないことが理解される。むしろ、本明細書中で使用される場合、予防するという用語は、疾患に感受性がある集団を同定し、疾患の発症前に本発明の化合物を投与すること等を、当業者ができることをいう。前記用語は、疾患の状態が完全に回避されることを意味するものではない。
本明細書中で使用される場合、用語「バリアント」及び「誘導体」は、互換的に使用され、そして本明細書中に記載される化合物、ペプチド、タンパク質、又は他の基質の天然に存在する、合成の、及び半合成の類似体のことをいう。本明細書に記載の化合物、ペプチド、タンパク質、又は他の物質のバリアント又は誘導体は、元の物質の生物学的活性を保持又は改善することがある。
本明細書中で使用される場合、用語「ベクター」は、プラスミド、DNAベクター、プラスミド、RNAベクター、ウイルス、又は他の好適なレプリコン等の、核酸ベクターを含む。本明細書中に記載される発現ベクターは、ポリヌクレオチド配列、並びに、例えば、タンパク質を発現させる及び/又は哺乳動物細胞のゲノムの中にこれらのポリヌクレオチド配列を組み込ませるために使用する更なる配列エレメントを含むことがある。本発明の抗体及び抗体フラグメントを発現させるのに用いることができる特定のベクターには、遺伝子転写を指示するプロモータ領域及びエンハンサー領域等の、調節配列を含むプラスミドが含まれる。抗体及び抗体フラグメントを発現させるための他の有用なベクターは、これらの遺伝子の翻訳効率を高めるか、又は遺伝子転写から生じるmRNAの安定性又は核外への移行を改善するポリヌクレオチド配列を含む。これらの配列要素は、例えば、発現ベクター上にある遺伝子を効率的に転写するようにするために、5'及び3'非翻訳領域及びポリアデニル化シグナル部位を含むことがある。本明細書中に記載される発現ベクターはまた、このようなベクターを含む細胞を選択するためのマーカーをコードするポリヌクレオチドを含むこともある。好適なマーカーの例としては、アンピシリン、クロラムフェニコール、カナマイシン、及びノウルセオスリシン(nourseothricin)等の抗生物質に対する耐性をコードする遺伝子が挙げられる。
本明細書中で使用される場合、用語「アシル」は、-C(=O)Rを指し、ここで、Rは、本明細書で定義される、水素(「アルデヒド」)、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、アリール、ヘテロアリール、又はヘテロシクリルである。非限定的な例としては、ホルミル、アセチル、プロパノイル、ベンゾイル、及びアクリロイルが挙げられる。
本明細書中で使用される場合、用語「アルキル」は、例えば、鎖中に1〜20個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキル基をいう。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、tert-ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル等が挙げられる。
本明細書中で使用される場合、用語「アルキレン」は、直鎖又は分枝鎖の二価アルキル基をいう。二価の位置は、アルキル鎖内の同じ原子上にあっても、異なる原子上にあってもよい。アルキレンの例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン等が挙げられる。
本明細書中で使用される場合、用語「ヘテロアルキル」は、例えば、鎖中に1〜20個の炭素原子を有し、更に鎖中に1個以上のヘテロ原子(例えば、とりわけ、酸素、窒素、又は硫黄)を含む直鎖又は分枝鎖アルキル基をいう。
本明細書中で使用される場合、用語「ヘテロアルキレン」は、直鎖又は分岐鎖の二価ヘテロアルキル基をいう。二価の位置は、ヘテロアルキル鎖内の同じ原子上にあっても、異なる原子上にあってもよい。二価の位置は、1個以上のヘテロ原子であることがある。
本明細書中で使用される場合、用語「アルケニル」は、例えば、鎖中に2〜20個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルケニル基を指す。アルケニル基の例としては、ビニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、tert-ブチレニル、ヘキセニル等が挙げられる。
本明細書中で使用される場合、用語「アルケニレン」は、直鎖又は分岐鎖の二価アルケニル基を指す。二価の位置は、アルケニル鎖内の同じ原子上にあっても、異なる原子上にあってもよい。アルケニレンの例としては、エテニレン、プロペニレン、イソプロペニレン、ブテニレン等が挙げられる。
本明細書中で使用される場合、用語「ヘテロアルケニル」は、例えば、鎖中に2〜20個の炭素原子を有し、更に鎖中に1個以上のヘテロ原子(例えば、とりわけ、酸素、窒素、又は硫黄)を含む直鎖又は分岐鎖アルケニル基を指す。
本明細書中で使用される場合、用語「ヘテロアルケニレン」は、直鎖又は分岐鎖の二価ヘテロアルケニル基をいう。二価の位置は、ヘテロアルケニル鎖内の同じ原子上にあっても、異なる原子上にあってもよい。二価の位置は、1個以上のヘテロ原子であることがある。
本明細書中で使用される場合、用語「アルキニル」は、例えば、鎖中に2〜20個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルキニル基を指す。アルキニル基の例としては、プロパルギル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル等が挙げられる。
本明細書中で使用される場合、用語「アルキニレン」は、直鎖又は分枝鎖の二価アルキニル基を指す。二価の位置は、アルキニル鎖内の同じ原子上にあっても、異なる原子上にあってもよい。
本明細書中で使用される場合、用語「ヘテロアルキニル」は、例えば、鎖中に2〜20個の炭素原子を有し、更に鎖中に1個以上のヘテロ原子(例えば、とりわけ、酸素、窒素、又は硫黄)を含む直鎖又は分岐鎖アルキニル基を指す。
本明細書中で使用される場合、用語「ヘテロアルキニレン」は、直鎖又は分岐鎖の二価ヘテロアルキニル基をいう。二価の位置は、ヘテロアルキニル鎖内の同じ原子上にあっても、異なる原子上にあってもよい。二価の位置は、1個以上のヘテロ原子であることがある。
本明細書中で使用される場合、用語「シクロアルキル」は、飽和していて、及び、例えば、3〜12個の炭素環原子を有する、単環、又は縮合、架橋、若しくはスピロ多環式環構造をいう。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ビシクロ[3.1.0]ヘキサン等が挙げられる。
本明細書中で使用される場合、用語「シクロアルキレン」は、二価のシクロアルキル基をいう。二価の位置は、環構造内の同じ原子上にあっても、異なる原子上にあってもよい。シクロアルキレンの例としては、シクロプロピレン、シクロブチレン、シクロペンチレン、シクロヘキシレン等が挙げられる。
本明細書中で使用される場合、用語「ヘテロシロアルキル(heterocyloalkyl)」は、飽和していて、及び、例えば、炭素原子から及びヘテロ原子(例えば、とりわけ、窒素、酸素、及び硫黄から選択される)から選択される、環構造当たり3〜12個の環原子を有する、単環、又は縮合、架橋、若しくはスピロ多環式環構造をいう。前記環構造は、例えば、炭素、窒素、又は硫黄の環員上に、1個以上のオキソ基を含むことがある。ヘテロシクロアルキルの例としては、ジヒドロピリジル、テトラヒドロピリジル(ピペリジル)、テトラヒドロチオフェニル、ピペリジニル、4-ピペリドニル、ピロリジニル、2-ピロリドニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ビス-テトラヒドロピラニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、オクタヒドロイソキノリニル、ピペラジニル、キヌクリジニル、及びモルホリニルが例として挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書中で使用される場合、用語「ヘテロシクロアルキレン」は、二価のヘテロシクロアルキル基をいう。二価の位置は、環構造内の同じ原子上にあっても、異なる原子上にあってもよい。
本明細書中で使用される場合、用語「アリール」は、例えば、6〜19個の炭素原子を含む単環式又は多環式芳香族環系をいう。アリール基としては、限定されるものではないが、フェニル、フルオレニル、ナフチル等が挙げられる。二価の位置は、1個以上のヘテロ原子であることがある。
本明細書中で使用される場合、用語「アリーレン」は、二価のアリール基を指す。二価の位置は、同じ原子上にあっても、異なる原子上にあってもよい。
本明細書中で使用される場合、用語「ヘテロアリール」は、単環式複素芳香族、又は二環式若しくは三環式縮合環ヘテロ芳香族基をいい、ここで、1個以上の環原子はヘテロ原子(例えば、窒素、酸素、又は硫黄)である。ヘテロアリール基としては、ピリジル、ピロリル、フリル、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、1,3,4-トリアジニル、1,2,3-トリアジニル、ベンゾフリル、[2,3-ジヒドロ]ベンゾフリル、イソベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンゾトリアゾリル、イソベンゾチエニル、インドリル、イソインドリル、3H-インドリル、ベンゾイミダゾリル、イミダゾ[1,2-a]ピリジル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キノリジニル、キナゾリニル、フタラジニル、キノキサリニル、シンノリニル、ナプチリジニル、ピリド[3,4-b]ピリジル、ピリド[3,2-b]ピリジル、ピリド[4,3-b]ピリジル、キノリル、イソキノリル、テトラゾリル、5,6,7,8-テトラヒドロキノリル、5,6,7,8-テトラヒドロイソキノリル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、キサンテニル、ベンゾキノリル等が挙げられる。
本明細書中で使用される場合、用語「ヘテロアリーレン」は、二価ヘテロアリール基をいう。二価の位置は、同じ原子上にあっても、異なる原子上にあってもよい。二価の位置は、1個以上のヘテロ原子であることがある。
個々の置換基の定義によって別段の制約を受けない限り、前記の化学的な部分構造、例えば、「アルキル」、「アルキレン」、「ヘテロアルキル」、「ヘテロアルキレン」、「アルケニル」、「アルケニレン」、「ヘテロアルケニル」、「ヘテロアルケニレン」、「アルキニル」、「アルキニレン」、「ヘテロアルキニル」、「ヘテロアルキニレン」、 「シクロアルキル」、「シクロアルキレン」、「ヘテロシクロアルキル」、「ヘテロシクロアルキレン」、「アリール」、「アリーレン」、「ヘテロアリール」、及び「ヘテロアリーレン」基等、は、任意選択的に、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルキル・アリール、アルキル・ヘテロアリール、アルキル・シクロアルキル、アルキル・ヘテロシクロアルキル、アミノ、アンモニウム、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニル、ウレイド、カルバメート、アリール、ヘテロアリール、スルフィニル、スルホニル、アルコキシ、スルファニル、ハロゲン、カルボキシ、トリハロメチル、シアノ、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ等からなる基から選択される1〜5個の置換基で置換されることがある。典型的な置換基としては、限定されるものではないが、-X, -R, -OH, -OR, -SH, -SR, NH2, -NHR, -N(R)2, -N+(R)3, -CX3, -CN, -OCN, -SCN, -NCO, -NCS, -NO, -NO2, -N3, -NC(=O)H, -NC(=O)R, -C(=O)H, -C(=O)R, -C(=O)NH2, -C(=O)N(R)2, -SO3-, -SO3H, -S(=O)2R, -OS(=O)2OR, -S(=O)2NH2, -S(=O)2N(R)2, -S(=O)R, -OP(=O)(OH)2, -OP(=O)(OR)2, -P(=O)(OR)2, -PO3, -PO3H2, -C(=O)X, -C(=S)R, -CO2H, -CO2R, -CO2-, -C(=S)OR, -C(=O)SR, -C(=S)SR, -C(=O)NH2, -C(=O)N(R)2, -C(=S)NH2, -C(=S)N(R)2, -C(=NH)NH2, 及び -C(=NR)N(R)2、が挙げられる;ここで、各Xは、F、Cl、Br、及びIから、それぞれの場合について独立に選択される;及び、各Rは、アルキル、アリール、ヘテロシクロアルキル、又はヘテロアリール、保護基及びプロドラック部分から、それぞれの場合について独立に選択される。基が「任意選択的に置換される」と記載されている場合はどんな場合でも、その基は、それぞれの場合について独立に、1個以上の上記の置換基で置換されることがある。前記置換は、隣接する置換基で閉環(例えば、隣接する官能性置換基の閉環)し、例えば、ラクタム、ラクトン、環状無水物、アセタール、ヘミアセタール、チオアセタール、アミナール、及びヘミアミナール(これらは、閉環によって形成され、例えば、保護基を提供する)を形成する状況を含むことがある。
あるラジカルの命名規則には、状況に応じて、モノ-ラジカル又はジ-ラジカルの何れかが含まれうることを理解しておく必要がある。例えば、置換基が分子の残りの部分への2つの結合の位置を必要とする場合、前記置換基はジ-ラジカルであると理解される。例えば、2点の結合の位置を必要とするアルキルとして識別される置換基には、-CH2-、-CH2CH2 -、-CH2CH(CH3)CH2-、等のジ-ラジカルが含まれる。他のラジカル命名規則は、前記ラジカルが「アルキレン」、「アルケニレン」、「アリーレン」、「ヘテロシクロアルキレン」等のようなジ-ラジカルであることを明確に示す。
置換基がジ-ラジカルとして示される(即ち、分子の残りの部分への2つの結合の位置を有する)場合はどれでも、前記置換基は、別段の指示がない限り、任意の方向性配置で結合することができることを理解されたい。
抗CD117抗体
本発明は、治療目的に有用な新規な抗CD117抗体及びその抗原結合部分の発見に部分的に基づいている。本発明は、GNNK+ CD117のようなCD117に結合することができる抗体、又はその抗原結合フラグメントを、単独の治療薬剤として又はADCとして、例えば、以下の目的のために使用することができるという発見にも、部分的に基づく、(i)CD117+細胞を特徴とするがん(例えば、急性骨髄性白血病又は骨髄異形成症候群等)及び自己免疫疾患を治療するため、及び(ii)移植療法を必要とする患者において、移植された造血幹細胞の生着を促進するため。これらの治療活性は、例えば、がん細胞、自己免疫細胞、又は造血幹細胞のような細胞の表面に発現しているCD117(例えば、GNNK+ CD117)に、抗CD117抗体、又はその抗原結合フラグメントが結合すること、及び続いて細胞死を誘導すること、に起因する。内因性の造血幹細胞を減少させることにより、移植した造血幹細胞がホーミングすることができるニッチが提供され、その後、生産的な造血が確立される。このようにして、移植した造血幹細胞は、本明細書に記載の幹細胞障害に罹患しているヒト患者等の患者に、うまく生着することができる。
ヒトCD117(c-Kitとも呼ばれる、mRNA NCBI参照配列: NM_000222.2、タンパク質NCBI参照配列: NP_000213.1)に結合することができる抗体及び抗原結合フラグメント(GNNK+CD117に結合することができる抗体及び抗原結合フラグメントを含む)を、造血幹細胞移植療法に向けて患者をコンディショニングするために、本明細書に記載する組成物及び方法と組み合わせて使用することがある。集団のかなりの割合で存在する、CD117のコーディング領域又は細胞外ドメインに影響を及ぼす多型は、現在のところ、腫瘍以外の適応症ではよく知られていない。CD117には少なくとも4種類のアイソフォームが同定されており、腫瘍細胞では、更なるアイソフォームが発現している可能性がある。CD117アイソフォームのうち2つは、タンパク質の細胞内ドメインに局在し、2つは外側の膜近傍領域に存在する。2つの細胞外アイソフォーム、GNNK+とGNNK-は、4アミノ酸配列が存在する(GNNK+)又は存在しない(GNNK-)点で異なる。これらのアイソフォームはリガンド(SCF)に対して同じ親和性を有することが報告されているが、GNNK-アイソフォームへのリガンド結合は、細胞内部への取り込み及び分解を増大させることが報告されている。GNNK+アイソフォームを、GNNK+及びGNNK-タンパク質を含むこのアイソフォームに対して生成される抗体として、CD117に結合し得る抗体を生成するための免疫原として使用することがある。
本発明は、その重鎖及び軽鎖アミノ酸配列が表1、表6、表8、及び表16で提供される新規な抗CD117抗体を提供する。従って、本発明に含まれるものは、配列番号(SEQ ID NO):7〜168に示される結合領域(重鎖及び軽鎖のCDR又は可変領域)を含む抗CD117抗体薬物コンジュゲートである。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):8のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):9のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):10のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):11のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):12のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):13のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):14のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):15のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):16のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):17のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):18のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):19のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):20のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):21のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):22のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):23のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):24のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):25のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):26のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):27のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):28のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):29のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):30のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):31のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):32のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):33のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):34のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):35のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):36のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):37のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):38のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):39のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):40のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):41のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):32のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):42のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):43のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):44のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):45のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):46のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):47のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):48のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):49のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):50のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):51のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):52のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):53のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):54のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):55のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):56のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):57のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):58のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):59のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):60のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):61のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):50のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):62のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):63のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):64のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):65のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):66のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):67のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):68のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):69のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):70のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):71のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):72のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):73のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):74のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):75のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):76のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):77のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):78のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):79のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):80のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):81のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):82のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):83のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):84のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):85のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):86のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):87のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):88のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):89のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):
7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):90のアミノ酸
配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):91のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):92のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):93のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):94のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):95のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):96のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。
ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):97のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):97のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):143のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):144のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):151のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):152のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):143のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):156のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):158のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):156のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):160のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):152のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):98のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):99のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):99のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):7のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):100のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):98のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):101のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。ある実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):98のアミノ酸配列に示される重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):102のアミノ酸配列に示される軽鎖可変領域を含む。
ある実施形態において、前記抗体は、表1に記載の重鎖及び軽鎖可変領域を含むインタクトな抗体である。ある実施形態において、前記抗CD117抗体は、短い半減期を有するように操作されている。
(配列番号(SEQ ID NO): 7)
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上記のある特定の配列の重鎖領域及び軽鎖領域に対応する核酸配列を表2に示す。
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Figure 2021500375
以下に記載するように、ヒト抗体のscFVファージ・ディスプレイ・ライブラリー・スクリーニングを実施して、治療用途を有する、新規な抗CD117抗体、及びそのフラグメントを同定した。このスクリーニングにおいては、とりわけ、抗体85(Ab85)、86(Ab86)、87(Ab87)、88(Ab88)、及び89(Ab89)が同定された。
Ab85の重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列を、配列番号(SEQ ID NO):143として、以下に記載する。Ab85のVH CDRアミノ酸配列に下線を付け、以下に示す:NYWIG (VH CDR1; 配列番号(SEQ ID NO): 145); IINPRDSDTRYRPSFQG (VH CDR2; 配列番号(SEQ ID NO): 146); 及び HGRGYEGYEGAFDI (VH CDR3; 配列番号(SEQ ID NO): 147)。
Ab85のVH配列
Figure 2021500375
(配列番号(SEQ ID NO): 143)
Ab85の軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列を、配列番号(SEQ ID NO):144として、以下に記載する。Ab85のVL CDRアミノ酸配列に下線を付け、以下に示す:RSSQGIRSDLG (VL CDR1; 配列番号(SEQ ID NO): 148); DASNLET (VL CDR2; 配列番号(SEQ ID NO): 149); 及び QQANGFPLT (VL CDR3; 配列番号(SEQ ID NO): 150)。
Ab85のVL配列
Figure 2021500375
(配列番号(SEQ ID NO): 144)
抗体HC-86/LC-86(Ab86)
Ab86の重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列を、配列番号(SEQ ID NO):151として、以下に記載する。Ab86のVH CDRアミノ酸配列に下線を付け、以下に示す:NYWIG (VH CDR1; 配列番号(SEQ ID NO): 145); IIYPGDSDIRYSPSLQG (VH CDR2; 配列番号(SEQ ID NO): 153); 及び HGRGYNGYEGAFDI (VH CDR3; 配列番号(SEQ ID NO): 3)。
Ab86のVH配列
Figure 2021500375
(配列番号(SEQ ID NO): 151)
Ab86の軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列を、配列番号(SEQ ID NO):152として、以下に記載する。Ab86のVL CDRアミノ酸配列に下線を付け、以下に示す:RASQGIGDSLA (VL CDR1; 配列番号(SEQ ID NO): 154); DASNLET (VL CDR2; 配列番号(SEQ ID NO): 149); 及び QQLNGYPIT (VL CDR3; 配列番号(SEQ ID NO): 155)。
Ab86のVL配列
Figure 2021500375
(配列番号(SEQ ID NO): 152)
抗体HC-87/LC-87(Ab87)
Ab87の重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列を、配列番号(SEQ ID NO):143として、以下に記載する。Ab87のVH CDRアミノ酸配列に下線を付け、以下に示す:NYWIG (VH CDR1; 配列番号(SEQ ID NO): 145); IINPRDSDTRYRPSFQG (VH CDR2; 配列番号(SEQ ID NO): 146); 及び HGRGYEGYEGAFDI (VH CDR3; 配列番号(SEQ ID NO): 147)。
Ab87のVH配列
Figure 2021500375
(配列番号(SEQ ID NO): 143)
Ab87の軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列を、配列番号(SEQ ID NO):156として、以下に記載する。Ab87のVL CDRアミノ酸配列に下線を付け、以下に示す:RASQGIRNDLG (VL CDR1; 配列番号(SEQ ID NO): 157); DASSLES (VL CDR2; 配列番号(SEQ ID NO): 5); 及び QQLNGYPIT (VL CDR3; 配列番号(SEQ ID NO): 155)
Ab87のVL配列
Figure 2021500375
(配列番号(SEQ ID NO): 156)
抗体HC-88/LC-88(Ab88)
Ab88の重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列を、配列番号(SEQ ID NO):158として、以下に記載する。Ab88のVH CDRアミノ酸配列に下線を付け、以下に示す:NYWIG (VH CDR1; 配列番号(SEQ ID NO): 145); IIYPGDSLTRYSPSFQG (VH CDR2; 配列番号(SEQ ID NO): 159); 及び HGRGYNGYEGAFDI (VH CDR3; 配列番号(SEQ ID NO): 3)。
Ab88のVH配列
Figure 2021500375

(配列番号(SEQ ID NO): 158)
Ab88の軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列を、配列番号(SEQ ID NO):156として、以下に記載する。Ab88のVL CDRアミノ酸配列に下線を付け、以下に示す:RASQGIRNDLG (VL CDR1; 配列番号(SEQ ID NO): 157); DASSLES (VL CDR2; 配列番号(SEQ ID NO): 5); 及び QQLNGYPIT (VL CDR3; 配列番号(SEQ ID NO): 155)。
Ab88のVL配列
Figure 2021500375

(配列番号(SEQ ID NO): 156)
抗体HC-89/LC-89(Ab89)
Ab89の重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列を、配列番号(SEQ ID NO):160として、以下に記載する。Ab89のVH CDRアミノ酸配列に下線を付け、以下に示す:NYWIG (VH CDR1; 配列番号(SEQ ID NO): 145); IIYPGDSDTRYSPSFQG (VH CDR2; 配列番号(SEQ ID NO): 2); 及び HGRGYNGYEGAFDI (VH CDR3; 配列番号(SEQ ID NO): 3)。
Ab89のVH配列
Figure 2021500375

(配列番号(SEQ ID NO): 160)
Ab89の軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列を、配列番号(SEQ ID NO):152として、以下に記載する。Ab89のVL CDRアミノ酸配列に下線を付け、以下に示す:RASQGIGDSLA (VL CDR1; 配列番号(SEQ ID NO): 154); DASNLET (VL CDR2; 配列番号(SEQ ID NO): 149);及びQQLNGYPIT (VL CDR3; 配列番号(SEQ ID NO): 155)。
Ab89のVL配列
Figure 2021500375
(配列番号(SEQ ID NO): 152)
抗体HC-249/LC-249(Ab249)
Ab249の重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列を、配列番号(SEQ ID NO):98として、以下に記載する。Ab249のVH CDRアミノ酸配列に下線を付け、以下に示す:TSWIG (VH CDR1; 配列番号(SEQ ID NO): 186); IIYPGDSDTRYSPSFQG (VH CDR2; 配列番号(SEQ ID NO): 2); 及び HGLGYNGYEGAFDI (VH CDR3; 配列番号(SEQ ID NO): 187)。
Ab249のVH配列
Figure 2021500375
(配列番号(SEQ ID NO): 98)
Ab249の軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列を、配列番号(SEQ ID NO):102として、以下に記載する。Ab249のVL CDRアミノ酸配列に下線を付け、以下に示す:RASQGIGSALA (VL CDR1; 配列番号(SEQ ID NO): 188); DASNLET (VL CDR2; 配列番号(SEQ ID NO): 149); 及び QQLNGYPLT (VL CDR3; 配列番号(SEQ ID NO): 189)。
Ab249のVL配列
Figure 2021500375
(配列番号(SEQ ID NO): 102)
ヒト抗体Ab85及びAb249はいずれもアンタゴニスト抗CD117抗体である抗体CK6由来であった。Ab85及びAb249とCK6との可変領域のアミノ酸配列の比較を図11A〜11Dに示す(ここではCDRも指定されている)。両抗体は、CK6よりも、特性が改良されている(例えば、結合特性が改良されている)。
CK6は、重鎖可変領域のCDR3ドメインにおいて、脱アミド化される可能性のある部位を含む。前記抗体を将来的に生産するためには、除去することが有利ではあるが、アスパラギンの位置が大きな課題である。しかしながら、Ab85重鎖CDR3において、抗体(Ab85重鎖及び軽鎖CDRを有する)がヒトCD117に対する高い親和性レベルの特異性及び内部に取り込まれる作用能を有することを維持しながら、前記脱アミド化される可能性のある部位を、うまく取り除くことができた。更に、Ab85は、その親と比較して、オフレート(off rate)が改善した。
このようにして、ある特定の実施形態において、抗CD117抗体は、配列番号(SEQ ID): 145、146及び147に記載されるCDRセット(CDR1、CDR2及びCDR3)を含む重鎖、並びに、配列番号(SEQ ID): 148、149及び150に記載されるCDRセットを含む軽鎖を含み、CD117を発現する細胞内部に取り込まれ、BLIにより測定した場合、5 x 10-4s-1以下のkoff速度を有する。
Jain et al. (2017) PNAS 114 (5) 944-949に記載されているように、抗体の活性は治療薬として開発するための鍵であるが、見落とされることが多いのは、工業生産目的での抗体の「開発可能性」である。治療的及び優れた生物物理学的特性の両方を達成できる抗体を同定することは困難である。実際には、抗体の生物物理学的特性は、治療目的で使用する抗体にとって不可欠である。Ab 85を生物物理学的に評価すると、それが特に安定な抗体であることが示された。例えば、Ab85抗体の集団は、より高い温度に置いたままにしても、低レベルの酸バリアントを維持する(図13A及び13Bを参照)。このことは、他のCK6由来の抗体との関連においても当てはまった。従って、ある特定の実施形態において、本発明に含まれる組成物は、25℃で7日間保存した後にキャピラリー電気泳動によって測定した場合に、20%未満の酸性バリアントを含む、ここで、前記抗体は、CD117に特異的に結合する、並びに配列番号(SEQ ID):145、146、及び147に示されるCDRセット(CDR1、CDR2、及びCDR3)を含む重鎖、並びに配列番号(SEQ ID):148、149、及び150に示されるCDRセットを含む軽鎖を含む、IgG抗体である。
本明細書中に記載される抗CD117抗体又は結合フラグメントはまた、当該技術分野で公知のように、抗体及び/又はフラグメントの特性を改変する(例えば、半減期を増大させる、ADCCを増大させる又は低下させる等)修飾及び/又は変異、を含むこともある。
ある実施形態では、抗CD117抗体、又はその結合フラグメントは、バリアントFc領域を含み、ここで、前記バリアントFc領域は、野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、その結果、前記分子は、FcγRに対する親和性が変わる。前記Fc領域内の特定のアミノ酸位置は、FcγRと直接接触させた結晶学的研究によって分かっている。具体的には、アミノ酸234〜239(ヒンジ領域)、アミノ酸265〜269(B/Cループ)、アミノ酸297〜299(C'/Eループ)、及びアミノ酸327〜332(F/G)ループである。(Sondermann et al、2000 Nature、406: 267-273参照)。例えば、Fc領域のアミノ酸位置234及び235におけるアミノ酸置換は、Fcレセプター、特にFcガンマ・レセプター(FcγR)、への結合に関して、IgG抗体の親和性が減少することとして同定されている。ある実施形態において、本明細書に記載する抗CD117抗体は、L234及び/又はL235におけるアミノ酸置換(例えばL234A及びL235A)を含むFc領域を含む(EUインデックス)。従って、本明細書に記載の抗CD117抗体は、構造的な及び結晶学的な解析に基づいてFcγRと直接接触する、少なくとも1つの残基が改変されたバリアントFc領域を含むことがある。ある実施形態では、前記抗CD117抗体のFc領域(又はそのFc領域を含むフラグメント)は、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, NH1, MD (1991) (本明細書に明確に参照により取り込まれる)にあるようなEUインデックスによるアミノ酸265で、アミノ酸置換を含む。「KabatにあるようなEUインデックス」又は「EUインデックス」は、特に別記しない限り、ヒトIgG1 EU抗体の番号付けを指し、本明細書でFcアミノ酸位置を参照する際に使用される。
ある実施形態では、前記Fc領域は、D265A変異を含む。ある実施形態では、前記Fc領域はD265C変異を含む。
いくつかの実施形態では、前記抗CD117抗体(又はそのフラグメント)のFc領域は、KabatにあるようなEUインデックスによるアミノ酸234でのアミノ酸置換を含む。ある実施形態では、前記Fc領域は、L234A変異を含む。いくつかの実施形態では、前記抗CD117抗体(又はそのフラグメント)のFc領域は、KabatにあるようなEUインデックスによるアミノ酸235でのアミノ酸置換を含む。ある実施形態では、前記Fc領域は、L235A変異を含む。更に別の実施形態では、前記Fc領域は、L234A及びL235A変異を含む。更なる実施形態では、前記Fc領域は、D265C、L234A、及びL235A変異を含む。
ある特定の態様において、バリアントIgG Fcドメインは、1つ以上のアミノ酸置換を含まない野生型Fcドメインと比較して、FcガンマR及び/又はC1qに対する結合親和性が減少する又は無くなるという結果になる、1つ以上のアミノ酸置換を含む。Fc結合相互作用は、様々なエフェクター機能及び下流シグナル伝達イベント(例えば、限定されるものではないが、抗体依存性細胞介在性細胞毒性(antibody dependent cell-mediated cytotoxicity (ADCC))及び補体依存性細胞毒性(complement dependent cytotoxicity (CDC))等を含む)に必須である。従って、特定の態様において、改変されたFc領域を含む抗体(例えば、L234A、L235A、及びD265C変異を含む)では、エフェクター機能が実質的に減少する又は消失する。
Fc領域に対する親和性は、当該技術分野で公知の様々な技術(例えば、限定されるものではないが、平衡方法(例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(enzyme-linked immunoabsorbent assay (ELISA));KinExA、Rathanaswami et al. Analytical Biochemistry, Vol. 373:52-60, 2008;ラジオイムノアッセイ(radioimmunoassay (RIA)))、又は表面プラズモン共鳴アッセイ若しくは他のメカニズムのキネティクスに基づくアッセイ(例えば、BIACORETM解析又はOctet TM解析(forteBIO))、並びに他の方法(例えば、間接結合アッセイ、競合的結合アッセイ、蛍光共鳴エネルギ移動(fluorescence resonance energy transfer (FRET))、ゲル電気泳動及びクロマトグラフィ(例えば、ゲルろ過))を使用して、測定することができる。これら及び他の方法は、検査対象の1つ以上の成分上にある標識を利用することがあり、及び/又は種々の検出方法(例えば、発色標識、蛍光標識、ルミネセンス標識、又は同位体標識等を含むがこれらに限定されない)を利用することがある。結合親和性及びキネティクスに関する詳細な記載は、Paul, W. E., ed., Fundamental Immunology, 4th Ed., Lippincott-Raven, Philadelphia (1999)(これは抗体-免疫原相互作用に焦点を当てている)に見出すことができる。競合的結合アッセイの一例はラジオイムノアッセイであり、ラジオイムノアッセイは、標識した抗原と目的の抗体とを、非標識抗原の存在量を増加させながら、インキュベートすること、及び標識した抗原に結合した抗体を検出することを含む。特定の抗原に対する目的の抗体の親和性及び結合オフレート(off-rate)を、スキャッチャード・プロット解析によるデータから決定することがある。第2の抗体との競合を、ラジオイムノアッセイを使用して測定することもある。この場合では、非標識の第2の抗体の存在量を増加させながら、前記抗原を、標識した化合物にコンジュゲートした目的の抗体とインキュベートする。
ある実施形態において、本明細書に記載する抗CD117抗体は、L235A、L235A、及びD265C (EUインデックス)を含むFc領域を含む。本発明の抗体は、更に手を加えて、例えば(Dall'Acqua et al.(2006)J Biol Chem 281: 23514-24)、(Zalevsky et al.(2010)Nat Biotechnol 28: 157-9)、(Hinton et al.(2004)J Biol Chem 279: 6213-6)、(Hinton et al.(2006)J Immunol 176: 346-56)、(Shields et al.(2001)J Biol Chem 276: 6591-604)、(Petkova et al.(2006)Int Immunol 18: 1759-69)、(Datta-Mannan et al.(2007)Drug Metab Dispos 35: 86-94)、(Vaccaro et al.(2005)Nat Biotechnol 23: 1283-8)、(Yeung et al. (2010)Cancer Res 70: 3269-77)及び(Kim et al. (1999)Eur J Immunol 29: 2819-25)に記載のFc変異のようなFc変異を更に導入することによって、抗体の半減期を更に調節することがあり、並びに位置250、252、253、254、256、257、307、376、380、428、434及び435を含むことがある。単独で又は組み合わせて作製され得る例示的な変異は、T250Q、M252Y、1253A、S254T、T256E、P2571、T307A、D376V、E380A、M428L、H433K、N434S、N434A、N434H、N434F、H435A及びH435R変異である。
従って、ある実施形態では、前記Fc領域は、半減期の低下をもたらす変異を含む。短い半減期を有する抗体は、抗体が短命の治療薬として機能することが期待される一定の例、例えば、抗体を投与し、続いてHSCを投与する本明細書に記載するコンディショニング工程において、有益であり得る。理想的には、内因性の幹細胞とは異なり、一般にCD117を発現してもいるが抗CD117抗体のターゲットではないHSCを投与する前に、前記抗体は実質的にクリアランスされるべきである。ある実施形態では、前記Fc領域は、位置435(KabatによるEUインデックス)に変異を含む。ある実施形態では、前記変異はH435A変異である。
ある実施形態では、本明細書に記載の抗CD117抗体は、24時間以下、22時間以下、20時間以下、18時間以下、16時間以下、14時間以下、13時間以下、12時間以下、又は11時間以下の半減期を有する。ある実施形態では、前記抗体の半減期は、11時間〜24時間;12時間〜22時間;10時間〜20時間;8時間〜18時間;又は14時間〜24時間である。
本明細書に記載する患者をコンディショニングする方法と併用することができる抗CD117抗体としては、例えば、SR-1抗体のようなATCCアクセション番号10716(BA7.3C.9として寄託)から産生される、及び放出される抗体が挙げられ、これは、例えば、米国特許第5,489,516号に記載されており、その開示は、抗CD117抗体に関連するものとして、本明細書に参照により取り込まれる。
ある実施形態では、本明細書に記載する抗CD117抗体は、L235A、L235A、D265C、及びH435A (EUインデックス)を含むFc領域を含む。
本明細書中に記載される患者をコンディショニングする方法と併用することができる更なる抗CD117抗体としては、米国特許第7,915,391号(これは、例えば、ヒト化SR-1抗体を記載する)に記載される抗CD117抗体;米国特許第5,808,002号(これは、例えば、抗CD117 A3C6E2抗体を記載する)に記載される抗CD117抗体、並びに、例えば、WO 2015/050959(これは、ヒトCD117のPro317、Asn320、Glu329、Val331、Asp332、Lus358、Glue360、Glue376、His378、及び/又はThr380を含むエピトープに結合する抗CD117抗体を記載する)に記載される抗CD117抗体;並びに米国2012/0288506(米国特許第8,552,157号としても公開)(これは、例えば、以下のCDR配列を有する抗CD117抗体CK6を記載する:
アミノ酸配列SYWIG(配列番号(SEQ ID NO):1)を有するCDR-H1;
アミノ酸配列IIYPGDSDTRYSPSFQG (配列番号(SEQ ID NO):2)を有するCDR-H2;
アミノ酸配列HGRGYNGYEGAFDI (配列番号(SEQ ID NO):3)を有するCDR-H3;
アミノ酸配列RASQGISSALA(配列番号(SEQ ID NO):4)を有するCDR-L1;
アミノ酸配列DASSLES(配列番号(SEQ ID NO):5)を有するCDR-L2;及び
アミノ酸配列CQQFNSYPLT(配列番号(SEQ ID NO):6)を有するCDR-L3
)が挙げられる。
CK6の重鎖可変領域アミノ酸配列は、配列番号(SEQ ID NO): 161で提供される:
Figure 2021500375

(配列番号(SEQ ID NO): 161; CDRは下線を付し、太字とした).
CK6の軽鎖可変領域アミノ酸配列は、配列番号(SEQ ID NO): 162で提供される:
Figure 2021500375

(配列番号(SEQ ID NO): 162; CDRは下線を付し、太字とした).
本明細書に記載する組成物及び方法と併用して使用することができる更なる抗CD117抗体及びその抗原結合フラグメントには、クローン9P3、NEG024、NEG027、NEG085、NEG086、及び20376などのUS 2015/0320880に記載されるものが含まれる。
前記公表物の各々の開示は、抗CD117抗体に関するものとして、本明細書に参照により取り込まれる。本明細書に記載する組成物及び方法と併用することができる抗体及び抗原結合フラグメントとしては、上記の抗体及びその抗原結合フラグメント、並びに上記の非ヒト抗体及び抗原結合フラグメントをヒト化した変異体、並びに(例えば、競合的CD117結合アッセイにより評価する場合)上記のものと同じエピトープに結合する抗体又は抗原結合フラグメントが挙げられる。
前記抗体の例示的な抗原結合フラグメントとしては、とりわけ、二重可変免疫グロブリン・ドメイン(dual-variable immunoglobulin domain)、一本鎖Fv分子(scFv)、ダイアボディ、トリアボディ、ナノボディ、抗体様タンパク質スキャッフォルド、Fvフラグメント、Fabフラグメント、F(ab')2分子、及びタンデムdi-scFv、が挙げられる。
抗体を、例えば、米国特許第4,816,567号に記載されるように、組換え方法及び組成物を使用して産生することがある。ある実施形態では、本明細書に記載の抗CD117抗体をコードする単離された核酸が提供される。このような核酸は、本抗体のVLを含むアミノ酸配列及び/又は本抗体のVHを含むアミノ酸配列(例えば、本抗体の軽鎖及び/又は重鎖)をコードすることがある。更なる実施形態において、このような核酸を含む1種以上のベクター(例えば、発現ベクター)が提供される。更なる実施形態において、このような核酸を含む宿主細胞が提供される。あるこのような実施形態において、宿主細胞は以下を含む(例えば、以下で形質転換されている):(1)本抗体のVLを含むアミノ酸配列及び本抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含むベクター、又は(2)本抗体のVLを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第1のベクター及び本抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第2のベクター。ある実施形態では、前記宿主細胞は、真核生物、例えばチャイニーズ・ハムスター卵巣(CHO)細胞又はリンパ系細胞(例えばY0、NS0、Sp20細胞)である。ある実施形態では、抗CLL-1抗体を作製する方法が提供され、ここで、前記方法は、上記に提供されるような抗体をコードする核酸を含む宿主細胞を、前記抗体の発現に適した条件下で、培養することを、及び任意選択的に、前記宿主細胞(又は宿主細胞培養培地)から前記抗体を回収することを、含む。
抗CD117抗体を組換え的に産生するために、抗体をコードする核酸(例えば、上記のような核酸)を、単離し、そして宿主細胞中で更にクローニングする及び/又は発現させるために、1種以上のベクターに挿入する。このような核酸は、従来の手順を使用して(例えば、本抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合し得るオリゴヌクレオチド・プローブを使用することによって)容易に単離することができ、及び配列決定をすることができる。
抗体をコードするベクターをクローニングする又は発現させるのに適した宿主細胞としては、本明細書に記載の原核生物又は真核生物細胞が挙げられる。例えば、抗体は、特にグリコシル化及びFcエフェクター機能を必要としない場合に、バクテリア中で産生しても良い。バクテリア中で抗体フラグメント及びポリペプチドを発現させることについては、例えば、米国特許第5,648,237、5,789,199、5,840,523号を参照のこと(Charlton, Methods in Molecular Biology, Vol. 248 (B.K.C. Lo, ed., Humana Press, Totowa, N.J., 2003), pp. 245-254も参照のこと、これには、大腸菌中で抗体フラグメントを発現させることが記載されている)。発現させた後、前記抗体を、可溶性画分中のバクテリア細胞ペーストから単離し、更に精製しても良い。
宿主として、脊椎動物細胞を使用することもできる。例えば、懸濁液中で増殖するように適合した哺乳動物細胞株が有益であることがある。有用な哺乳動物宿主細胞株の他の例は、SV40で形質転換したサル腎臓CV1株(COS-7);ヒト胚性腎臓細胞株(例えば、Graham et al., J. Gen Virol. 36:59 (1977)に記載されるような293又は293細胞);ベビー・ハムスター腎臓細胞(BHK);マウス・セルトリ細胞(例えば、Mather, Biol. Reprod. 23:243-251 (1980)に記載されるようなTM4細胞);サル腎臓細胞(CV1);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76);ヒト子宮頸がん細胞(HELA);イヌ腎臓細胞(MDCK);バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A);ヒト肺細胞(W138);ヒト肝臓細胞(Hep G2);マウス乳がん(MMT 060562);TRI細胞(例えば、Mather et al., Annals N.Y. Acad. Sci. 383:44-68 (1982)に記載される);MRC 5細胞;及びFS4細胞、である。他の有用な哺乳動物宿主細胞株としては、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞(DHFR-CHO細胞(Urlaub et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 77:4216 (1980))等を含む);及び骨髄腫細胞株(例えば、Y0、NS0及びSp2/0等)が挙げられる。抗体産生に適したある特定の哺乳動物宿主細胞株に関するレビューについては、例えば、Yazaki and Wu, Methods in Molecular Biology, Vol. 248 (B. K. C. Lo, ed., Humana Press, Totowa, N.J.), pp. 255-268 (2003)を参照のこと。
ある実施形態では、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合フラグメントは、本明細書中に開示される配列番号(SEQ ID No)と少なくとも95%、96%、97%又は99%同一であるアミノ酸配列を有する可変領域を含む。或いは、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合フラグメントは、本明細書中に開示される配列番号(SEQ ID No)と少なくとも95%、96%、97%又は99%同一であるアミノ酸配列を有する、本明細書中に記載される可変領域の骨格領域を有する、本明細書中に開示される配列番号(SEQ ID No)を含むCDRを含む。
ある実施形態では、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合フラグメントは、本明細書中に開示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び重鎖定常領域を含む。別の実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合フラグメントは、本明細書中に開示されるアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域及び軽鎖定常領域を含む。更に別の実施形態において、前記抗CD117抗体、又はその抗原結合フラグメントは、本明細書中に開示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、軽鎖可変領域、重鎖定常領域及び軽鎖定常領域を含む。
抗CD117抗体を同定する方法
CD117(例えば、GNNK+CD117)に結合し得る分子についての抗体、又は抗体フラグメント・ライブラリをハイ・スループット・スクリーニングするための方法を使用して、本明細書中に記載されるように、がん、自己免疫疾患を治療する、及び造血幹細胞治療を必要とする患者(例えば、ヒト患者)をコンディショニングするために有用な抗体を、同定する、及び親和性成熟することができる。このような方法としては、とりわけ、ファージ・ディスプレイ、バクテリア・ディスプレイ、酵母ディスプレイ、哺乳動物細胞ディスプレイ、リボソーム・ディスプレイ、mRNAディスプレイ、及びcDNAディスプレイ等の、当該技術分野で公知のin vitroディスプレイ技術が挙げられる。ファージ・ディスプレイを使用して、生物学的に関連する分子に結合するリガンドを単離することは、例えば、Felici et al., Biotechnol. Annual Rev. 1:149-183, 1995; Katz, Annual Rev. Biophys. Biomol. Struct. 26:27-45, 1997; 及び Hoogenboom et al., Immunotechnology 4:1-20, 1998(これらの各々の開示は、in vitroディスプレイ技術に関連するものとして、本明細書に参照により取り込まれる)にレビューされている。Kay, Perspect. Drug Discovery Des. 2:251-268, 1995 及び Kay et al., Mol. Divers. 1:139-140, 1996(これらの各々の開示は、抗原結合分子を発見すること関連するものとして、本明細書に参照により取り込まれる)に記載されるように、ランダム化コンビナトリアル・ペプチド・ライブラリを構築して細胞表面抗原に結合するポリペプチドを選択することが行われてきている。タンパク質(例えば、多量体タンパク質)を、機能的分子として、ファージ・ディスプレイすることは、これまでに成功してきている(例えば、EP 0349578;EP 4527839;及びEP 0589877、並びにChiswell and McCafferty, Trends Biotechnol. 10:80-84 1992を参照のこと、これらの各々の開示は、抗原結合分子を発見するためのin vitroディスプレイ技術の使用に関連するため、参照により本明細書中に取り込まれる)。更に、機能的抗体フラグメント(例えば、Fabフラグメント及びscFvフラグメント)を、in vitroディスプレイ・フォーマットで発現させることが行われてきている(例えば、McCafferty et al., Nature 348:552- 554, 1990; Barbas et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:7978-7982, 1991; 及び Clackson et al., Nature 352:624-628, 1991を参照のこと、これらの各々の開示は、抗原結合分子を発見するためのin vitroディスプレイ・プラットフォームに関連するため、本明細書中に参照により取り込まれる)。とりわけ、これらの技術を使用して、造血幹細胞移植療法を必要とする患者(例えば、ヒト患者)において、今度は内因性の造血幹細胞を減少させるために使用することがあるCD117(例えば、GNNK+CD117)に結合する抗体を同定する及び抗体の親和性を改善することがある。
in vitroディスプレイ技術に加えて、計算によるモデリング技術を使用して、CD117(例えば、GNNK+ CD117)に結合する抗体、又は抗体フラグメントを、in silicoでデザイン及び同定することがある。例えば、計算によるモデリング技術を使用して、当業者のある者は、特異的エピトープ(例えば、この抗原の細胞外エピトープ)に結合し得る分子を探すために、in silicoで、抗体、又は抗体フラグメントのライブラリをスクリーニングすることがある。これらの計算技術によって同定された抗体、又はその抗原結合フラグメントを、本明細書中に記載される治療方法(例えば、本明細書中に記載されるがん及び自己免疾患を治療する方法、並びに本明細書中に記載される患者をコンディショニングする処置等)と組み合わせて使用することがある。
更なる技術を使用して、細胞(例えば、がん細胞、自己免疫細胞、又は造血幹細胞)の表面上にあるCD117(例えば、GNNK+CD117)に結合し、例えば、レセプター媒介エンドサイトーシスによって、細胞によって内部に取り込まれる、抗体、又はその抗原結合フラグメントを同定することがある。例えば、上記のin vitroディスプレイ技術を、がん細胞、自己免疫細胞、又は造血幹細胞の表面上にあるCD117(例えば、GNNK+ CD117)に結合し、続いて細胞内部に取り込まれる、抗体、又はその抗原結合フラグメントを求めてスクリーニングするのに適合化させることがある。ファージ・ディスプレイは、このスクリーニング・パラダイムと組み合わせて使用され得る1つの技術の代表である。CD117(例えば、GNNK+ CD117)に結合し、その後、がん細胞、自己免疫細胞、又は造血幹細胞によって内部に取り込まれる抗体、又はそのフラグメントを同定するために、当業者のある者は、例えば、Williams et al., Leukemia 19:1432-1438, 2005(その開示は、その全体が本明細書に参照により取り込まれる)に記載されるファージ・ディスプレイ技術を適合させることがある。例えば、当該技術分野で公知の変異誘発方法を使用して、(例えば、CDR若しくはその等価領域、又は抗体若しくは抗体フラグメント、の1つ以上、又はすべての中に)ランダム化したアミノ酸カセットを含有する、とりわけ、scFvフラグメント、Fabフラグメント、ダイアボディ、トリアボディ等の抗体、抗体フラグメント、及び10Fn3ドメイン、をコードする組換えファージ・ライブラリを作製することがある。前記抗体又は抗体フラグメントの骨格領域、ヒンジ、Fcドメイン、及び他の領域を、例えば、ヒト生殖系列抗体の配列を有する又はヒト生殖系列抗体に対してマイナーな変異のみを示す配列を有する、ようにすることによって、ヒトにおいて非免疫原性であるように設計することがある。
本明細書中に記載されるか、又は当該技術分野で公知のファージ・ディスプレイ技術を使用して、ファージ粒子に共有結合した、ランダム化された抗体又は抗体フラグメントを含むファージ・ライブラリを、CD117(例えば、GNNK+ CD117)抗原とともにインキュベートすることがある。これは、例えば、最初に、非特異的タンパク質結合を示す抗体又はそのフラグメントをコードするファージ、及びFcドメインに結合する抗体又はそのフラグメントをコードするファージを除去するために、まず最初に、前記ファージ・ライブラリをブロッキング剤(例えば、乳タンパク質、ウシ血清アルブミン、及び/又はIgG)とインキュベートし、次いで、前記ファージ・ライブラリを造血幹細胞の集団とインキュベートすることによって、行う。前記ファージ・ライブラリを、ターゲット細胞(例えば、がん細胞、自己免疫細胞、又は造血幹細胞)とインキュベートすることがあるが、このインキュベートを、CD117特異的抗体、又はその抗原結合フラグメント(例えば、GNNK+ CD117特異的抗体、又はその抗原結合フラグメント)が細胞表面CD117(例えば、細胞表面GNNK+CD117)抗原に結合し、その後、がん細胞、自己免疫細胞、又は造血幹細胞によって内部に取り込まれるのに十分な時間をかけて、行うことがある(例えば、4℃で30分〜6時間、4℃で1時間等)。1つ以上のこれらの抗原に結合するのに十分な親和性を示さず、及びがん細胞、自己免疫細胞、又は造血幹細胞によって細胞内部に取り込まれることを示さない抗体又はそのフラグメントを含むファージを、その後、前記細胞を(例えば、冷(4℃)0.1Mグリシンバッファー、pH 2.8で)洗浄することにより、除去することができる。抗体若しくはそのフラグメントに結合した、又はがん細胞、自己免疫細胞、又は造血幹細胞によって内部に取り込まれたファージは、例えば、前記細胞を溶解し、細胞培養培地から内部に取り込まれたファージを回収することによって、同定することができる。次いで、このファージを、例えば、当該技術分野で公知の方法を使用して、回収されたファージと共にバクテリア細胞を2×YT培地中でインキュベートすることによって、バクテリア細胞中で増幅することができる。次いで、この培地から回収されたファージを、例えば、そのファージのゲノム内に挿入された、抗体又はそのフラグメントをコードする遺伝子(単数又は複数)の核酸配列を決定することによって、同定することがある。コードされた抗体又はそのフラグメントは、続いて、(例えば、scFvフラグメント等の抗体フラグメントの)化学合成又は(例えば、全長抗体の)組換え発現によって、新たに調製することができる。
その調製した抗体又はそのフラグメントが細胞内部に取り込まれる作用能を、例えば、当該技術分野で公知の放射性核種内部取り込みアッセイを使用して評価することがある。例えば、本明細書中に記載されるか、又は当該技術分野で公知のin vitroディスプレイ技術を使用して同定される抗体又はそのフラグメントは、放射性同位体(例えば、18F, 75Br, 77Br, 122I, 123I, 124I, 125I, 129I, 131I, 211At, 67Ga, 111In, 99Tc, 169Yb, 186Re, 64Cu, 67Cu, 177Lu, 77As, 72As, 86Y, 90Y, 89Zr, 212Bi, 213Bi, 又は 225Ac)を組み込ませることによって、機能化していることがある。例えば、18F, 75Br, 77Br, 122I, 123I, 124I, 125I, 129I, 131I, 211At,のような放射性ハロゲンを、親電子性ハロゲン試薬を含むポリスチレンビーズ等のビーズ(例えば、Iodination Beads, Thermo Fisher Scientific, Inc., Cambridge, MA)を使用して、抗体又はそのフラグメントに組み込ませることがある。放射標識した抗体又はそのフラグメントを、細胞内部に取り込まれるのに充分な時間(例えば、4℃で30分〜6時間、4℃で1時間等)、がん細胞、自己免疫細胞、又は造血幹細胞とともにインキュベートすることがある。次いで、細胞を洗浄して(例えば、冷した(4℃)0.1Mグリシンバッファー(pH 2.8)を使用して)、細胞内部に取り込まれなかった抗体又はそのフラグメントを除去することができる。細胞内部に取り込まれた抗体、又はそのフラグメントを、得られたがん細胞、自己免疫細胞、又は造血幹細胞から出る放射線(例えば、γ線)を、回収した洗浄バッファーから出る放射線(例えば、γ線)と比較しながら、検出することによって、同定することがある。
抗体-薬物コンジュゲート(ADC)
細胞毒素
本明細書中に記載される抗CD117抗体及びその抗原結合フラグメントは、細胞毒素にコンジュゲート(連結)させることがある。いくつかの実施形態では、その細胞毒性分子は、本明細書中に開示されるような細胞内部に取り込まれる抗体、又はその抗原結合フラグメントにコンジュゲートして、前記抗体、又はそのフラグメントが細胞内部に取り込まれた後に、前記細胞毒素がその細胞内ターゲットに接近し、造血細胞の死を媒介することがある。任意の数の細胞毒素、例えば、1、2、3、4、5、6、7、又は8個、を抗CD117抗体にコンジュゲートさせることができる。
本明細書に記載の組成物及び方法と共に使用するのに適した細胞毒素としては、当該技術分野において公知の、とりわけ、DNA-インターカレーティング剤(例えば、アントラサイクリン)、紡錘体装置を破壊することができる薬剤(例えば、ビンカ・アルカロイド、メイタンシン、メイタンシノイド、及びその誘導体)、RNAポリメラーゼ阻害剤(例えば、α-アマニチン等のアマトキシン、及びその誘導体)、並びにタンパク質生合成を破壊することができる薬剤(例えば、サポリン及びリシンA鎖等のrRNA N-グリコシダーゼ活性を示す薬剤)が挙げられる。
いくつかの実施形態では、前記細胞毒素は、微小管結合剤(例えば、メイタンシン又はメイタンシノイド)、アマトキシン、シュードモナス外毒素A、deブーガニン、ジフテリア毒素、サポリン、アウリスタチン、アントラサイクリン、カリケアマイシン、イリノテカン、SN-38、デュオカルマイシン、ピロロベンゾジアゼピン、ピロロベンゾジアゼピン二量体、インドリノベンゾジアゼピン、インドリノベンゾジアゼピン二量体、若しくはそのバリアント、又は本明細書に記載する若しくは当該技術分野で公知の他の細胞毒性化合物である。
本明細書に記載する組成物及び方法と共に使用するのに適した追加の細胞毒素としては、限定されるものではないが、5-エチニルウラシル、アビラテロン(abiraterone)、アシルフルベン(acylfulvene)、アデシペノール(adecypenol)、アドゼレシン(adozelesin)、アルデスロイキン(aldesleukin)、アルトレタミン(altretamine)、アンバムスチン(ambamustine)、アミドックス(amidox)、アミフォスチン(amifostine)、アミノレブリン酸(aminolevulinic acid)、アムルビシン(amrubicin)、アムサクリン(amsacrine)、アナグレリド(anagrelide)、アナストロゾール(anastrozole)、アンドログラフォリド(andrographolide)、血管新生阻害剤、アンタレリクス(antarelix)、抗背側形成タンパク質-1(anti-dorsalizing morphogenetic protein-1)、抗アンドロゲン、前立腺がん、抗エストロゲン、抗新生物薬(antineoplaston)、アンチセンス・オリゴヌクレオチド、アフィジコリン・グリシネート(aphidicolin glycinate)、アポトーシス遺伝子モジュレーター、アポトーシス・レギュレーター、アプリン酸(apurinic acid)、アスラクリン(asulacrine)、アタメスタン(atamestane)、アトリムスチン(atrimustine)、アキシナスタチン1(axinastatin 1)、アキシナスタチン2、アキシナスタチン3、アザセトロン(azasetron)、アザトキシン(azatoxin)、アザチロシン(azatyrosine)、バッカチンIII(baccatin III.)誘導体、バラノール(balanol)、バチマスタット(batimastat)、BCR/ABL拮抗薬、ベンゾクロリン、ベンゾイルスタウロスポリン(benzoylstaurosporine)、βラクタム誘導体、βアレチン(beta-alethine)、βクラマイシン(betaclamycin)B、ベツリン酸、bFGF阻害剤、ビカルタミド(bicalutamide)、ビサントレン(bisantrene)、ビスアジリジニルスペルミン(bisaziridinylspermine)、ビスナフィド(bisnafide)、ビストラテン(bistratene)A、ビゼレシン(bizelesin)、ブレフラート(breflate)、ブレオマイシンA2、ブレオマイシンB2、ブロピリミン(bropirimine)、ブドチタン(budotitane)、ブチオニン・スルホキシイミン(buthionine sulfoximine)、カルシポトリオール(calcipotriol)、カルホスチン(calphostin)C、カンプトテシン(camptothecin)誘導体(例えば、10-ヒドロキシ-カンプトテシン)、カペシタビン(capecitabine)、カルボキサミド-アミノ-トリアゾール、カルボキシアミドトリアゾール、カルゼレシン(carzelesin)、カゼイン・キナーゼ阻害剤、カスタノスペルミン(castanospermine)、セクロピン(cecropin)B、セトロレリクス(cetrorelix)、クロリン(chlorins)、クロロキノキサリン・スルホンアミド(chloroquinoxaline sulfonamide)、シカプロスト(cicaprost)、シス-ポルフィリン、クラドリビン(cladribine)、クロミフェン(clomifene)及びその類似体、クロトリマゾール(clotrimazole)、コリスマイシン(collismycin)A、コリスマイシンB、コンブレタスタチン(combretastatin)A4、コンブレタスタチン類似体、コナゲニン(conagenin)、クラムベシジン(crambescidin)816、クリスナトール(crisnatol)、クリプトフィシン(cryptophycin)8、クリプトフィシンA誘導体、キュラシン(curacin)A、シクロペンタアントラキノン(cyclopentanthraquinones)、シクロプラタム(cycloplatam)、シペマイシン(cypemycin)、シタラビン・オクホスファート(cytarabine ocfosfate)、細胞溶解因子、シトスタチン(cytostatin)、ダクリキシマブ(dacliximab)、デシタビン(decitabine)、デヒドロジデムニン(dehydrodidemnin)B、2'デオキシコホルマイシン(DCF)、デスロレリン(deslorelin)、デキシホスファミド(dexifosfamide)、デクスラゾキサン(dexrazoxane)、デクスベラパミル(dexverapamil)、ジアジクオン(diaziquone)、ジデムニン(didemnin)B、ジドクス(didox)、ジエチルノルスペルミン(diethylnorspermine)、ジヒドロ-5-アザシチジン、ジヒドロタキソール、ジオキサマイシン(dioxamycin)、ジフェニル・スピロムスチン(diphenyl spiromustine)、ディスコデルモライド(discodermolide)、ドコサノール(docosanol)、ドラセトロン(dolasetron)、ドキシフルリジン(doxifluridine)、ドロロキシフェン(droloxifene)、ドロナビノール(dronabinol)、デュオカルマイシン(duocarmycin)SA、エブセレン(ebselen)、エコムスチン(ecomustine)、エデルフォシン(edelfosine)、エドレコロマブ(edrecolomab)、エフロルニチン(eflornithine)、エレメン(elemene)、エミテフール(emitefur)、エポチロン(epothilones)、エピチロン(epithilones)、エプリステリド(epristeride)、エストラムスチン(estramustine)及びその類似体、エトポシド(etoposide)、エトポシド4’-リン酸(etoposide 4’-phosphate)(エトポフォスとも呼ばれる)、エキセメスタン(exemestane)、ファドロゾール(fadrozole)、ファザラビン(fazarabine)、フェンレチニド(fenretinide)、フィルグラスチム(filgrastim)、フィナステリド(finasteride)、フラボピリドール(flavopiridol)、フレゼラスチン(flezelastine)、フルアステロン(fluasterone)、フルダラビン(fludarabine)、塩酸フルロダウノルニシン(fluorodaunorunicin hydrochloride)、フォルフェニメクス(forfenimex)、フォルメスタン(formestane)、フォストリエシン(fostriecin)、フォテムスチン(fotemustine)、ガドリニウム・テキサフィリン(gadolinium texaphyrin)、硝酸ガリウム、ガロシタビン(galocitabine)、ガニレリクス(ganirelix)、ゲラチナーゼ阻害剤、ゲムシタビン(gemcitabine)、グルタチオン阻害剤、ヘプスルファム(hepsulfam)、ホモハリングトニン(homoharringtonine(HHT))、ハイペリシン(hypericin)、イバンドロン酸(Ibandronic acid)、イドキシフェン(idoxifene)、イドラマントン(idramantone)、イルモフォシン(ilmofosine)、イロマスタット(ilomastat)、イミダゾアクリドン、イミキモド(imiquimod)、免疫刺激ペプチド、イオベングアン(iobenguane)、ヨードドキソルビシン(iododoxorubicin)、イポメアノール(ipomeanol)、イリノテカン、イロプラクト(iroplact)、イルソグラジン(irsogladine)、イソベンガゾール(isobengazole)、ジャスプラキノリド(jasplakinolide)、カハラリド(kahalalide)F、三酢酸ラメラリン-N(lamellarin-N triacetate)、ランレオチド(lanreotide)、レイナマイシン(leinamycin)、レノグラスチム(lenograstim)、硫酸レンチナン(lentinan sulfate)、レプトルスタチン(leptolstatin)、レトロゾール(letrozole)、親油性白金化合物、リソクリナミド(lissoclinamide)7、ロバプラチン(lobaplatin)、ロメトレキソール(lometrexol)、ロニダミン(lonidamine)、ロソキサントロン(losoxantrone)、ロキソリビン(loxoribine)、ルルトテカン(lurtotecan)、ルテチウム・テキサフィリン(lutetium texaphyrin)、リソフィリン(lysofylline)、マソプロコール(masoprocol)、マスピン(maspin)、マトリックス・メタロプロテイナーゼ阻害剤、メノガリル(menogaril)、メルバロン(merbarone)、メテレリン(meterelin)、メチオニナーゼ、メトクロプラミド(metoclopramide)、MIF阻害剤、ミフェプリストン(mifepristone)、ミルテホシン(miltefosine)、ミリモスチム(mirimostim)、ミトラシン(mithracin)、ミトグアゾン(mitoguazone)、ミトラクトール(mitolactol)、マイトマイシン及びその類似体、ミトナフィド(mitonafide)、ミトキサントロン(mitoxantrone)、モファロテン(mofarotene)、モルグラモスチム(molgramostim)、マイカペルオキシドB、ミリアポロン(myriaporone)、N-アセチルジナリン(acetyldinaline)、N-置換ベンズアミド、ナファレリン(nafarelin)、ナグレスチップ(nagrestip)、ナパビン(napavin)、ナフテルピン(naphterpin)、ナルトグラスチム(nartograstim)、ネダプラチン(nedaplatin)、ネモルビシン(nemorubicin)、ネリドロン酸、ニルタミド(nilutamide)、ニサマイシン(nisamycin)、ニトルリン(nitrullyn)、オクトレオチド(octreotide)、オキセノン(okicenone)、オナプリストン(onapristone)、オンダンセトロン(ondansetron)、オラシン(oracin)、オルマプラチン(ormaplatin)、オキサリプラチン(oxaliplatin)、オキサウノマイシン(oxaunomycin)、パクリタキセル(paclitaxel)及びその類似体、パラウアミン(palauamine)、パルミトイルリゾキシン(palmitoylrhizoxin)、パミドロン酸、パナキシトリオール(panaxytriol)、パノミフェン(panomifene)、パラバクチン(parabactin)、パゼリプチン(pazelliptine)、ぺグアスパルガーゼ(pegaspargase)、ペルデシン(peldesine)、ポリ硫酸ペントサンナトリウム、ペントスタチン(pentostatin)、ペントロゾール(pentrozole)、パーフルブロン(perflubron)、パーホスファミド(perfosfamide)、フェナジノマイシン(phenazinomycin)、ピシバニル(picibanil)、ピラルビシン(pirarubicin)、ピリトレキシム(piritrexim)、ポドフィロトキシン(podophyllotoxin)、ポルフィロマイシン(porfiromycin)、プリン・ヌクレオシド・ホスホリラーゼ阻害剤、ラルチトレキセド(raltitrexed)、リゾキシン(rhizoxin)、ログレチミド(rogletimide)、ロヒツキン(rohitukine)、ルビギノン(rubiginone)B1、ルボキシル(ruboxyl)、サフィンゴル(safingol)、サイントピン(saintopin)、サルコフィトール(sarcophytol)A、サルグラモスチム(sargramostim)、ソブゾキサン(sobuzoxane)、ソネルミン(sonermin)、スパルホジン酸(sparfosic acid)、スピカマイシン(spicamycin)D、スピロムスチン(spiromustine)、スチピアミド(stipiamide)、スルフィノシン(sulfinosine)、タリムスチン(tallimustine)、テガフール(tegafur)、テモゾロミド(temozolomide)、テニポシド(teniposide)、タリブラスチン(thaliblastine)、チオコラリン(thiocoraline)、チラパザミン(tirapazamine)、トポテカン、トプセンチン(topsentin)、トリシリビン(triciribine)、トリメトレキサート(trimetrexate)、ベラミン(veramine)、ビノレルビン(vinorelbine)、ビンキサルチン(vinxaltine)、ボロゾール(vorozole)、ゼニプラチン(zeniplatin)、並びにジラスコルブ(zilascorb)、が含まれる。
本明細書中に記載される抗CD117抗体及びその抗原結合フラグメントは、微小管結合剤である細胞毒素にコンジュゲートしていることがある。本明細書中で使用される場合、「微小管結合剤」という語は、細胞における有糸分裂及び間期細胞機能に必須である微小管ネットワークを破壊することによって作用する化合物をいう。微小管結合剤の例としては、限定されるものではないが、メイタシン、メイタンシノイド、及びそれらの誘導体(本明細書に記載するか、又は当該技術分野で公知のものなど)、ビンブラスチン、ビンブラスチン硫酸、ビンクリスチン、ビンクリスチン硫酸、ビンデシン、及びビノレルビン等のビンカ・アルカロイド、ドセタキセル及びパクリタキセル等のタキサン、ディスコデルモリド、コルヒチン(cochicine)及びエポチロン等のマクロライド、並びにそれらの誘導体(エポチロンB又はそれらの誘導体など)が挙げられる。
メイタンシノイド
いくつかの実施形態では、前記微小管結合剤は、メイタンシン、メイタンシノイド又はメイタンシノイド類似体である。メイタンシノイドは微小管と結合し、チューブリン重合を阻害することによって作用する有糸分裂阻害剤である。メイタンシンは最初に、東アフリカ低木Maytenus serrataから単離された(米国特許第3,896,111号)。続いて、特定の微生物もまた、メイタンシノイド(例えば、メイタンシノール及びC-3メイタンシノール・エステル)を産生することが発見された(米国特許第4,151,042号)。合成メイタンシノール、並びにその誘導体及びその類似体は例えば、米国特許4,137,230; 4,248,870; 4,256,746; 4,260,608; 4,265,814; 4,294,757; 4,307,016; 4,308,268; 4,308,269; 4,309,428; 4,313,946; 4,315,929; 4,317,821; 4,322,348; 4,331,598; 4,361,650; 4,364,866; 4,424,219; 4,450,254; 4,362,663; 及び4,371,533 号において開示されている。メイタンシノイドの薬物部分は、抗体薬物コンジュゲートにおいて魅力的な薬物部分である。なぜならば、メイタンシノイドの薬物部分は:(i)発酵又は、発酵産物の化学修飾、誘導体化によって調製することに、比較的アクセス可能である、(ii)非ジスルフィド・リンカーを介した抗体へのコンジュゲートに適した官能基による誘導体化がやり易い、(iii)血漿中で安定である、及び(iv)種々の腫瘍細胞株に対して効果的である、からである。
好適なメイタンシノイドの例としては、メイタンシノール、合成メイタンシノール、並びにメイタンシノール類似体及び誘導体、のエステルが挙げられる。メイタンシノイド、メイタンシノール、並びにメイタンシノール類似体、及び誘導体のように、微小管形成を阻害し、哺乳動物細胞に対して非常に毒性である、任意の細胞毒素が本明細書に含まれる。
好適なメイタンシノール・エステルの例としては、修飾された芳香環を有するもの、及び他の位置に修飾を有するものが含まれる。そのような好適なメイタンシノイドは、米国特許第4,137,230; 4,151,042; 4,248,870; 4,256,746; 4,260,608; 4,265,814; 4,294,757; 4,307,016; 4,308,268; 4,308,269; 4,309,428; 4,313,946; 4,315,929; 4,317,821; 4,322,348; 4,331,598; 4,361,650; 4,362,663; 4,364,866; 4,424,219 ;4,450,254; 4,322,348; 4,362,663; 4,371,533; 5,208,020; 5,416,064; 5,475,092; 5,585,499; 5,846,545; 6,333,410; 7,276,497; 及び 7,473,796号に開示されており、これらの各々は、メイタンシノイド及びその誘導体に関連するものとして、本明細書に参照により取り込まれる。
いくつかの実施形態では、本発明のイミュノコンジュゲートは、細胞毒性薬物として、チオール含有メイタンシノイド(DM1)(正式にはN2'-デアセチル-N2'-(3-メルカプト-1-オキソプロピル)-メイタンシンと呼ばれる)を利用する。DM1は、構造式(VII)で表される:
Figure 2021500375

別の実施形態において、本発明のコンジュゲートは、チオール含有メイタンシノイドN2'-デアセチル-N2'(4-メチル-4-メルカプト-1-オキソペンチル)-メイタンシン(例えば、DM4)を細胞毒性薬物として利用する。DM4は、構造式(V)で表される:
Figure 2021500375
立体障害チオール結合を含む側鎖を含む別のメイタンシノイドは、N2'-デアセチル-N-2'(4-メルカプト-1-オキソペンチル)-メイタンシン(DM3と呼ばれる)であり、構造式(VI)で表される:
Figure 2021500375

米国特許第5,208,020 及び 7,276,497が教示する各メイタンシノイドを、本発明のコンジュゲートにおいて使用することもある。この点に関して、5,208,020及び7,276,697の開示全体は、本明細書に参照により取り込まれる。
メイタンシノイド上の多くの位置は、連結部分と化学的に結合する位置としての役割を果たすことができる。例えば、ヒドロキシル基を有するC-3位、ヒドロキシメチルで修飾されたC-14位、ヒドロキシで修飾されたC-15位、及びヒドロキシ基を有するC-20位は、全て有用であると予想される。いくつかの実施形態では、前記C-3位は、連結部分と化学的に結合する位置としての役割をし、いくつかの特定の実施形態では、メイタンシノールのC-3位が、連結部分と化学的に結合する位置としての役割をする。抗体-メイタンシノイド・コンジュゲートを作製するために、当該技術分野で知られている多くの連結基が存在し、例えば、それらは、米国特許第5,208,020、6,441,163、及び欧州特許第0425235 B1; Chari et al., Cancer Research 52:127-131 (1992); 並びに U.S. 2005/0169933 A1に開示されているもの等を含む(これらの開示は、本明細書に明確に参照により取り込まれる)。更なる結合基は、本明細書に記載され、例示される。
本発明はまた、メイタンシノイド及びコンジュゲートの種々の異性体及び混合物を含む。本発明の特定の化合物及びコンジュゲートは、種々の立体異性体、鏡像異性体、及びジアステレオマーの形態で存在することがある。このような抗体-メイタンシノイド・コンジュゲートを生成することは、米国特許5,208,020、5,416,064、6,333,410、6,441,163、6,716,821、及び7,368,565に記載されている(これらの各々は、その全体が本明細書に取り込まれる)。
抗体分子当たりに結合したメイタンシノイド分子の治療的に有効な数は、252nm及び280nmにおける吸光度の比率を分光光度的に測定することによって決定することができる。毒素/抗体の1つの分子は抗体単独よりも細胞毒性を増強することができるが、抗体分子あたり平均3〜4個のメイタンシノイド分子がコンジュゲートすると、抗体の機能又は溶解性に悪影響を及ぼすことなく、ターゲット細胞への細胞毒性を増強することができる。メイタンシノイド分子/抗体、又はその抗原結合フラグメントの平均の数は、例えば、1〜10又は2〜5であることがある。
アントラサイクリン
他の実施形態において、本明細書に記載する抗体及びその抗原結合フラグメントは、アントラサイクリン分子である細胞毒素にコンジュゲートしていることがある。アントラサイクリンは、細胞傷害活性を示す抗生物質化合物である。研究によれば、アントラサイクリンは、以下を含む多数の異なるメカニズムによって、細胞を死滅させることがあることが示されてきている: 1)前記薬物分子が細胞のDNAにインターカレーションすることによって、DNA依存性の核酸合成を阻害すること;2) 薬物によるフリーラジカルの産生、フリーラジカルは、次いで細胞性高分子と反応して細胞に損傷を引き起こす、又は3)薬物分子と細胞膜との相互作用[例えば、C. Peterson et al.," Transport And Storage Of Anthracycline In Experimental Systems And Human Leukemia" in Anthracycline Antibiotics In Cancer Therapy;N.R. Bachur, "Free Radical Damage" id. at pp.97-102を参照のこと]。細胞毒性の可能性があるため、白血病、乳がん、肺がん、卵巣腺がん及び肉腫のような多数のがんの治療にアントラサイクリンが用いられている[例えば、P.H- Wiernik, in Anthracycline: Current Status And New Developments p 11を参照]。一般的に使用されるアントラサイクリンには、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン及びダウノマイシンが含まれる。
アントラサイクリン類似体であるドキソルビシン(ADRIAMYCINO)は、インターカレーションによってDNAと相互作用し、及び転写のためにDNAをほどく酵素トポイソメラーゼIIが進むことを阻害する、と考えられている。ドキソルビシンは、トポイソメラーゼII複合体を、複製のためにDNA鎖を切断した後に安定化させ、DNA二重らせんが再び閉じることを防ぎ、それによって複製のプロセスを止める。ドキソルビシン及びダウノルビシン(DAUNOMYCIN)は、プロトタイプの細胞毒性天然物アントラサイクリン化学療法剤である(Sessa et al., (2007) Cardiovasc. Toxicol. 7:75-79)。
ピロロベンゾジアゼピン(PBDs)
他の実施形態では、本明細書に記載の抗CD117抗体、又はその抗原結合フラグメントは、ピロロベンゾジアゼピン(PBD)である細胞毒素、又はPBDを含む細胞毒素にコンジュゲートしていることがある。PBDはある特定の放線菌によって産生される天然物であり、配列選択的なDNAアルキル化化合物であることが示されてきている。PBD細胞毒素としては、限定されるものではないが、アントラマイシン、二量体PBD、及び、例えば、Hartley, J.A. (2011). “The development of pyrrolobenzodiazepines as antitumour agents.” Expert Opin. Inv. Drug, 20(6), 733-744; 及び Antonow, D.; Thurston, D.E. (2011) “Synthesis of DNA-interactive pyrrolo[2,1-c][1,4]benzodiazepines (PBDs).” Chem. Rev. 111: 2815-2864の中で開示されているものが挙げられる。
カリケアマイシン
他の実施形態において、本明細書に記載する抗体及びその抗原結合フラグメントは、カリケアマイシン分子である細胞毒素にコンジュゲートしていることがある。カリケアマイシン・ファミリーの抗生物質は、ピコモル未満の濃度で、二本鎖DNAを切断することができる。カリケアマイシン・ファミリーのコンジュゲートの調製については、米国特許第5,712,374; 5,714,586; 5,739,116; 5,767,285; 5,770,701; 5,770,710; 5,773,001; 及び 5,877,296号を参照のこと(全てAmerican Cyanamid Companyに関する)。使用され得るカリケアマイシンの構造類似体としては、限定されるものではないが、例えば、Hinman et al., Cancer Research 53:3336-3342 (1993), Lode et al., Cancer Research 58:2925-2928 (1998), 及びAmerican Cyanamidに関する上記の米国特許、に開示されているものが挙げられる。
アウリスタチン
本明細書に記載する抗CD117抗体及びその抗原結合フラグメントは、アウリスタチンである細胞毒素にコンジュゲートしていることがある(米国特許第5,635,483号;第5,780,588号)。アウリスタチンは、微小管動態、GTP加水分解、核分裂及び細胞分裂を妨げる抗有糸分裂剤であり(Woyke et al (2001) Antimicrob. Agents and Chemother. 45(12):3580-3584)、並びに抗がん活性(米国特許第5,663,149号)及び抗真菌活性(Pettit et al (1998) Antimicrob. Agents Chemother. 42:2961-2965). (米国特許第5,635,483; 5,780,588号)を有する。アウリスタチン薬物部分は、ペプチド薬物部分のN-(アミノ)末端又はC-(カルボキシル)末端を介して、抗体に結合することがある(WO02/088172)。
例示的なアウリスタチンの実施形態は、N末端結合モノメチルアウリスタチン薬物部分DE及びDFを含み、これらは、Senter et al, Proceedings of the American Association for Cancer Research, Volume 45, Abstract Number 623, 2004年3月28日に開示されている(この開示は、その全体が本明細書に参照により取り込まれる)。
例示的なアウリスタチンの実施形態はMMAEであり、ここで、その波線は、抗体-リンカー・コンジュゲート(本明細書で記載されるように-L-Z-Ab)のリンカーへの共有結合の位置を示す。
Figure 2021500375
別の例示的なアウリスタチンの実施形態はMMAFであり、ここで、その波線は、US 2005/0238649で開示されているように、抗体-リンカー・コンジュゲート(本明細書で記載されるように-L-Z-Ab)のリンカーへの共有結合の位置を示す。
Figure 2021500375
アウリスタチンは以下の方法に従って調製することができる:米国特許第5,635,483号;米国特許第5,780,588;Pettit et al (1989) J. Am. Chem. Soc. 111:5463-5465; Pettit et al (1998) Anti-Cancer Drug Design 13:243-277; Pettit, G. R., et al. Synthesis, 1996, 719-725; Pettit et al (1996) J. Chem. Soc. Perkin Trans. 15:859-863; 及び Doronina (2003) Nat. Biotechnol. 21(7):778-784。
アマトキシン
いくつかの実施形態では、抗体-薬物コンジュゲートの細胞毒素は、RNAポリメラーゼ阻害剤である。いくつかの実施形態では、前記RNAポリメラーゼ阻害剤は、アマトキシン又はその誘導体である。
いくつかの実施形態では、前記細胞毒素は、α-アマニチン、β-アマニチン、γ-アマニチン、ε-アマニチン、アマニン、アマニンアミド、アマヌリン、アマヌリン酸、及びプロアマヌリン等の、アマトキシン又はその誘導体である。種々の天然に存在するアマトキシンの構造は、式IIIによって表され、例えば、Zanotti et al., Int. J. Peptide Protein Res. 30, 1987, 450-459に開示されている。
いくつかの実施形態では、前記細胞毒素はアマニチンである。例えば、本明細書中に記載される抗体、又は抗原結合フラグメントを、式Ab-Z-L-Amによって表されるコンジュゲートを形成するように、アマトキシンに結合することがある、ここで、Abは抗体、又はその抗原結合フラグメントであり、Lはリンカーであり、Zは化学的な部分構造であり、及びAmはアマトキシンである。アマトキシン又はその誘導体上の多くの位置は、連結部分Lと共有結合する位置としての役割を果たすことができる、及びそれ故に、前記抗体又はその抗原結合フラグメントと共有結合する位置としての役割を果たすことができる。いくつかの実施形態では、Am-L-Zは式(I)によって表される、
Figure 2021500375

ここで、R1は、H、OH、ORA、又はORCである;
R2は、H、OH、ORB、又はORCである;
RA及びRBは、存在する場合、それらが結合している酸素原子と一緒になって、任意選択的に置換された5員ヘテロシクロアルキル基を形成する;
R3は、H、RC、又はRDである;
R4は、H、OH、ORC、ORD、RC、又はRDである;
R5は、H、OH、ORC、ORD、RC、又はRDである;
R6は、H、OH、ORC、ORD、RC、又はRDである;
R7は、H、OH、ORC、ORD、RC、又はRDである;
R8は、OH、NH2、ORC、ORD、NHRC、又はNRCRDである;
R9は、H、OH、ORC、又はORDである;
Xは、-S-、-S(O)-、又は-SO2-である;
RCは、-L-Zである;
RDは、任意選択的に置換されたアルキル(例えば、C1-C6アルキル)、任意選択的に置換されたヘテロアルキル(例えば、C1-C6ヘテロアルキル)、任意選択的に置換されたアルケニル(例えば、C2-C6アルケニル)、任意選択的に置換されたヘテロアルケニル(例えば、C2-C6ヘテロアルケニル)、任意選択的に置換されたアルキニル(例えば、C2-C6アルキニル)、任意選択的に置換されたヘテロアルキニル(例えば、C2-C6ヘテロアルキニル)、任意選択的に置換されたシクロアルキル、任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキル、任意選択的に置換されたアリール、又は任意選択的に置換されたヘテロアリールである;
Lは、任意選択的に置換されたアルキレン(例えば、C1-C6アルキレン)、任意選択的に置換されたヘテロアルキレン(例えば、C1-C6ヘテロアルキレン)、任意選択的に置換されたアルケニレン(例えば、C2-C6アルケニレン)、任意選択的に置換されたヘテロアルケニレン(例えば、C2-C6ヘテロアルケニレン)、任意選択的に置換されたアルキニレン(例えば、C2-C6アルキニレン)、任意選択的に置換されたヘテロアルキニレン(例えば、C2-C6ヘテロアルキニレン)、任意選択的に置換されたシクロアルキレン、任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキレン、任意選択的に置換されたアリーレン、任意選択的に置換されたヘテロアリーレン;ジペプチド、-(C=O)-、ペプチド、又はそれらの組合せであるようなリンカーである;並びに、
Zは、L上に存在する反応性置換基と、CD117(GNNK+CD117など)に結合する抗体、又はその抗原結合フラグメント内に存在する反応性置換基との間のカップリング反応から形成される化学的な部分構造である。
いくつかの実施形態では、Amは、丁度1個のRC置換基を含む。
いくつかの実施形態において、前記リンカーは、-(CH)2n-ユニットを含む、ここで、nは2-6からの整数である。いくつかの実施形態において、前記リンカーは、nが6である-((CH2)nを含む。いくつかの実施形態において、L-Zは、
Figure 2021500375

である、ここで、Sは、CD117に結合する、抗体、又はその抗原結合フラグメント内に存在する反応性置換基を表す硫黄原子である(例えば、システイン残基の-SH基に由来する)。
いくつかの実施形態では、L-Zは、
Figure 2021500375
である。
いくつかの実施形態では、前記コンジュゲートは、式IV、IVA、又はIVBのうちの1つによって表される:
Figure 2021500375

ここで、Xは-S-, -S(O)-, 又は-SO2-である。
いくつかの実施形態では、Am-L-Z-Abは、
Figure 2021500375

である。
いくつかの実施形態では、Am-L-Z-Abは、
Figure 2021500375

である。
いくつかの実施形態では、Am-L-Z-Abは、
Figure 2021500375

である。
いくつかの実施形態において、Amは式(IA)で表される、
Figure 2021500375

ここで、R1は、H、OH、ORA、又はORCである;
R2は、H、OH、ORB、又はORCである;
RA及びRBは、存在する場合、それらが結合している酸素原子と一緒になって、任意選択的に置換された5員ヘテロシクロアルキル基を形成する;
R3は、H、RC、又はRDである;
R4は、H、OH、ORC、ORD、RC、又はRDである;
R5は、H、OH、ORC、ORD、RC、又はRDである;
R6は、H、OH、ORC、ORD、RC、又はRDである;
R7は、H、OH、ORC、ORD、RC、又はRDである;
R8は、OH、NH2、ORC、ORD、NHRC、又はNRCRDである;
R9は、H、OH、ORC、又はORDである;
Xは、-S-、-S(O)-、又は-SO2-である;
RCは、-L-Zである;
RDは、任意選択的に置換されたアルキル(例えば、C1-C6アルキル)、任意選択的に置換されたヘテロアルキル(例えば、C1-C6ヘテロアルキル)、任意選択的に置換されたアルケニル(例えば、C2-C6アルケニル)、任意選択的に置換されたヘテロアルケニル(例えば、C2-C6ヘテロアルケニル)、任意選択的に置換されたアルキニル(例えば、C2-C6アルキニル)、任意選択的に置換されたヘテロアルキニル(例えば、C2-C6ヘテロアルキニル)、任意選択的に置換されたシクロアルキル、任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキル、任意選択的に置換されたアリール、又は任意選択的に置換されたヘテロアリールである;
Lは、任意選択的に置換されたアルキレン(例えば、C1-C6アルキレン)、任意選択的に置換されたヘテロアルキレン(例えば、C1-C6ヘテロアルキレン)、任意選択的に置換されたアルケニレン(例えば、C2-C6アルケニレン)、任意選択的に置換されたヘテロアルケニレン(例えば、C2-C6ヘテロアルケニレン)、任意選択的に置換されたアルキニレン(例えば、C2-C6アルキニレン)、任意選択的に置換されたヘテロアルキニレン(例えば、C2-C6ヘテロアルキニレン)、任意選択的に置換されたシクロアルキレン、任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキレン、任意選択的に置換されたアリーレン、任意選択的に置換されたヘテロアリーレン、ジペプチド、-(C=O)-、ペプチド、又はそれらの組合せであるようなリンカーである;
Zは、L上に存在する反応性置換基と、CD117(GNNK+CD117など)に結合する抗体、又はその抗原結合フラグメント内に存在する反応性置換基との間のカップリング反応から形成される化学的な部分構造である;並びに、
ここで、Amは、丁度1個のRC置換基を含む。
いくつかの実施形態において、前記リンカーは、nが6である-((CH2)nを含む。いくつかの実施形態において、L-Zは、
Figure 2021500375

である。
いくつかの実施形態において、L-Zは、
Figure 2021500375

である。
いくつかの実施形態において、Am-L-Zは式(IB)で表される、
Figure 2021500375

ここで、R1は、H、OH、ORA、又はORCである;
R2は、H、OH、ORB、又はORCである;
RA及びRBは、存在する場合、それらが結合している酸素原子と一緒になって、任意選択的に置換された5員ヘテロシクロアルキル基を形成する;
R3は、H、RC、又はRDである;
R4は、H、OH、ORC、ORD、RC、又はRDである;
R5は、H、OH、ORC、ORD、RC、又はRDである;
R6は、H、OH、ORC、ORD、RC、又はRDである;
R7は、H、OH、ORC、ORD、RC、又はRDである;
R8は、OH、NH2、ORC、ORD、NHRC、又はNRCRDである;
R9は、H、OH、ORC、又はORDである;
Xは、-S-、-S(O)-、又は-SO2-である;
RCは、-L-Zである;
RDは、任意選択的に置換されたアルキル(例えば、C1-C6アルキル)、任意選択的に置換されたヘテロアルキル(例えば、C1-C6ヘテロアルキル)、任意選択的に置換されたアルケニル(例えば、C2-C6アルケニル)、任意選択的に置換されたヘテロアルケニル(例えば、C2-C6ヘテロアルケニル)、任意選択的に置換されたアルキニル(例えば、C2-C6アルキニル)、任意選択的に置換されたヘテロアルキニル(例えば、C2-C6ヘテロアルキニル)、任意選択的に置換されたシクロアルキル、任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキル、任意選択的に置換されたアリール、又は任意選択的に置換されたヘテロアリールである;
Lは、任意選択的に置換されたアルキレン(例えば、C1-C6アルキレン)、任意選択的に置換されたヘテロアルキレン(例えば、C1-C6ヘテロアルキレン)、任意選択的に置換されたアルケニレン(例えば、C2-C6アルケニレン)、任意選択的に置換されたヘテロアルケニレン(例えば、C2-C6ヘテロアルケニレン)、任意選択的に置換されたアルキニレン(例えば、C2-C6アルキニレン)、任意選択的に置換されたヘテロアルキニレン(例えば、C2-C6ヘテロアルキニレン)、任意選択的に置換されたシクロアルキレン、任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキレン、任意選択的に置換されたアリーレン、任意選択的に置換されたヘテロアリーレン、ジペプチド、-(C=O)-、ペプチド、又はそれらの組合せであるようなリンカーである;
Zは、L上に存在する反応性置換基と、CD117(GNNK+CD117など)に結合する抗体、又はその抗原結合フラグメント内に存在する反応性置換基との間のカップリング反応から形成される化学的な部分構造である;並びに、
ここで、Amは、丁度1個のRC置換基を含む。
いくつかの実施形態では、前記リンカーL及び前記化学的な部分構造Zは、一緒にL-Zとみなされ、
Figure 2021500375

である。
いくつかの実施形態では、L-Zは、
Figure 2021500375

である。
いくつかの実施形態では、RA及びRBは、それらが結合している酸素原子と一緒になって、次式の5員ヘテロシクロアルキル基を形成する:
Figure 2021500375
ここで、Yは-(C=O)-、-(C=S)-、-(C=NRE)-、又は-(CRERE')-である;並びに、
RE及びRE'は、それぞれ独立して任意選択的に置換されたC1-C6アルキレン-RC、任意選択的に置換されたC1-C6ヘテロアルキレン-RC、任意選択的に置換されたC2-C6アルケニレン-RC、任意選択的に置換されたC2-C6ヘテロアルケニレン-RC、任意選択的に置換されたC2-C6アルキニレン-RC、任意選択的に置換されたC2-C6ヘテロアルキニレン-RC、任意選択的に置換されたシクロアルキレン-RC、任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキレン-RC、任意選択的に置換されたアリーレン-RC、又は任意選択的に置換されたヘテロアリーレン-RC、である。
いくつかの実施形態では、Am-L-Zは、式(IA)又は式(IB)によって表される、
ここで、R1は、H、OH、ORA、又はORCである;
R2は、H、OH、ORB、又はORCである;
RA及びRBは、存在する場合、それらが結合している酸素原子と一緒になって、以下を形成する:
Figure 2021500375

R3は、H、又はRCである;
R4は、H、OH、ORC、ORD、RC、又はRDである;
R5は、H、OH、ORC、ORD、RC、又はRDである;
R6は、H、OH、ORC、ORD、RC、又はRDである;
R7は、H、OH、ORC、ORD、RC、又はRDである;
R8は、OH、NH2、ORC、又はNHRCである;
R9は、H、又はOHである;
Xは、 -S-、-S(O)-、又は-SO2-である;並びに、
ここで、RC及びRDは、それぞれ上記に規定した通りである。
いくつかの実施形態では、Am-L-Zは、式(IA)又は式(IB)によって表される、
ここで、R1は、H、OH、ORA、又はORCである;
R2は、H、OH、ORB、又はORCである;
RA及びRBは、存在する場合、それらが結合している酸素原子と一緒になって、以下を形成する:
Figure 2021500375
R3は、H、又はRCである;
R4及びR5は、それぞれ独立してH、OH、ORC、RC、又はORDである;
R6及びR7は、それぞれHである;
R8は、OH、NH2、ORC、又はNHRCである;
R9は、H、又はOHである;
Xは、 -S-、-S(O)-、又は-SO2-である;並びに、
ここで、RCは、上記に規定した通りである。
いくつかの実施形態では、Am-L-Zは、式(IA)又は式(IB)によって表される、
ここで、R1はH、OH、又はORAである;
R2は、H、OH、又はORBである;
RA及びRBは、存在する場合、それらが結合している酸素原子と一緒になって、以下を形成する:
Figure 2021500375

R3、R4、R6、及びR7は、それぞれHである;
R5は、ORCである;
R8は、OH又はNH2である;
R9は、H又はOHである;
Xは、 -S-、-S(O)-、又は-SO2-である;並びに、
ここで、RCは、上記に規定した通りである。このようなアマトキシン・コンジュゲートは、例えば、米国特許出願公開第2016/0002298号に記載されており、その開示は、その全体が本明細書に参照により取り込まれる。
いくつかの実施形態では、Am-L-Zは、式(IA)又は式(IB)によって表される、
ここでR1及びR2は、それぞれ独立してH又はOHである;
R3は、RCである;
R4、R6、及びR7は、それぞれHである;
R5は、H、OH、又はOC1-C6アルキルである;
R8は、OH又はNH2である;
R9は、H又はOHである;並びに、
ここで、RCは、上記に規定した通りである。このようなアマトキシン・コンジュゲートは、例えば、米国特許出願公開第2014/0294865号に記載されており、その開示は、その全体が本明細書に参照により取り込まれる。
いくつかの実施形態では、Am-L-Zは、式(IA)又は式(IB)によって表される、
ここでR1及びR2は、それぞれ独立してH又はOHである;
R3、R6、及びR7は、それぞれHである;
R4とR5は、それぞれ独立してH、OH、ORC、又はRCである;
R8は、OH又はNH2である;
R9は、H又はOHである;並びに、
ここで、RCは、上記に規定した通りである。このようなアマトキシン・コンジュゲートは、例えば、米国特許出願公開第2015/0218220号に記載されており、その開示は、その全体が本明細書に参照により取り込まれる。
いくつかの実施形態では、Am-L-Zは、式(IA)又は式(IB)によって表される、
ここでR1及びR2は、それぞれ独立してH又はOHである;
R3、R6、及びR7は、それぞれHである;
R4及びR5は、それぞれ独立してH又はOHである;
R8は、OH、NH2、ORC、又はNHRCである;
R9は、H又はOHである;並びに、
ここで、RCは、上記に規定した通りである。このようなアマトキシン・コンジュゲートは、例えば、米国特許第9,233,173号及び第9,399,681号、並びにUS 2016/0089450に記載されており、その開示は、その全体が本明細書に参照により取り込まれる。
本明細書に記載する組成物及び方法に従って、抗体、又はその抗原結合フラグメントへのコンジュゲーションに用いることができる更なるアマトキシンは、例えば、WO 2016/142049;WO 2016/071856;及びWO 2017/046658に記載されており、これらの各々の開示は、その全体が本明細書に参照により取り込まれる。
いくつかの実施形態では、Am-L-Zは、式(II)、式(IIA)、又は式(IIB)で表される、
Figure 2021500375

ここで、Xは、S、SO、又はSO2である;R1は、H又は化学的な部分構造Zを介して前記抗体若しくはその抗原結合フラグメントに共有結合したリンカーであり、Zは、前記リンカー上に存在する反応性置換基と、抗体若しくはその抗原結合フラグメント内に存在する反応性置換基との間のカップリング反応から形成される;並びに、R2は、H又は化学的な部分構造Zを介して前記抗体若しくはその抗原結合フラグメントに共有結合したリンカーであり、Zは、前記リンカー上に存在する反応性置換基と、抗体若しくはその抗原結合フラグメント内に存在する反応性置換基との間のカップリング反応から形成される;ここで、R1がHの場合、R2がリンカーで、R2がHの場合、R1がリンカーである。
いくつかの実施形態において、前記リンカーは、-(CH2)n-ユニットを含む、ここで、nは、2〜6の整数である。いくつかの実施形態において、R1は前記リンカーであり、R2はHであり、並びに、前記リンカー及び化学的な部分構造は、一緒にL-Zとみなされ、
Figure 2021500375

である。
いくつかの実施形態において、Am-L-Z-Abは、:
Figure 2021500375

である。
いくつかの実施形態において、Am-L-Z-Abは、:
Figure 2021500375

である。
いくつかの実施形態では、前記細胞毒素はα-アマニチンである。いくつかの実施形態では、前記α-アマニチンは、式IIIの化合物である。いくつかの実施形態では、式IIIのα-アマニチンは、リンカーLを介して抗CD117抗体に結合している。前記リンカーLは、式IIIのα-アマニチンのいくつかの考えられる位置の何れか1つ(例えば、R1-R9の何れか)に結合して、式I、IA、IB、II、IIA、IIB、IV、IVA、又はIVBのα-アマニチン-リンカー・コンジュゲートを提供することがある。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R1で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R2で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R3で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R4で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R5で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R6で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R7で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R8で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R9で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、ヒドラジン、ジスルフィド、チオエーテル又はジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、Val-Ala及びVal-Citから選択されるジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、パラ-アミノベンジル基(PAB)を含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、部分PAB-Cit-Valを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、部分PAB-Ala-Valを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、-((C=O)(CH2)n-ユニットを含み、ここで、nは1〜6の整数である。
いくつかの実施形態では、前記リンカーは、-(CH2)n- ユニットを含む。ここで、nは2〜6の整数である。いくつかの実施形態では、前記リンカーは-PAB-Cit-Val-((C=O)(CH2)n-である。いくつかの実施形態では、前記リンカーは-PAB-Ala-Val-((C=O)(CH2)n-である。いくつかの実施形態では、前記リンカーL及び化学的な部分構造Zは、L-Zとして一緒になり、
Figure 2021500375
である。
いくつかの実施形態では、前記細胞毒素はβ-アマニチンである。いくつかの実施形態では、前記β-アマニチンは、式Iの化合物である。いくつかの実施形態では、前記α-アマニチンは、式IIIの化合物である。いくつかの実施形態では、式IIIのβ-アマニチンは、リンカーLを介して抗CD117抗体に結合している。前記リンカーLは、式IIIのβ-アマニチンのいくつかの考えられる位置の何れか1つ(例えば、R1-R9の何れか)に結合して、式I、IA、IB、II、IIA、又はIIBのβ-アマニチン-リンカー・コンジュゲートを提供することがある。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R1で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R2で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R3で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R4で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R5で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R6で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R7で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R8で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R9で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、ヒドラジン、ジスルフィド、チオエーテル又はジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、Val-Ala及びVal-Citから選択されるジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、パラ-アミノベンジル基(PAB)を含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、部分PAB-Cit-Valを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、部分PAB-Ala-Valを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、-((C=O)(CH2)n-ユニットを含み、ここで、nは1〜6の整数である。
いくつかの実施形態では、前記リンカーは、-(CH2)n- ユニットを含む。ここで、nは2〜6の整数である。いくつかの実施形態では、前記リンカーは-PAB-Cit-Val-((C=O)(CH2)n-である。いくつかの実施形態では、前記リンカーは-PAB-Ala-Val-((C=O)(CH2)n-である。いくつかの実施形態では、前記リンカーL及び化学的な部分構造Zは、L-Zとして一緒になり、
Figure 2021500375
である。
いくつかの実施形態では、前記細胞毒素はγ-アマニチンである。いくつかの実施形態では、前記γ-アマニチンは、式IIIの化合物である。いくつかの実施形態では、式IIIのγ-アマニチンは、リンカーLを介して抗CD117抗体に結合している。前記リンカーLは、式IIIのγ-アマニチンのいくつかの考えられる位置の何れか1つ(例えば、R1-R9の何れか)に結合して、式I、IA、IB、II、IIA、又はIIBのγ-アマニチン-リンカー・コンジュゲートを提供することがある。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R1で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R2で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R3で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R4で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R5で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R6で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R7で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R8で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R9で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、ヒドラジン、ジスルフィド、チオエーテル又はジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、Val-Ala及びVal-Citから選択されるジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、パラ-アミノベンジル基(PAB)を含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、部分PAB-Cit-Valを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、部分PAB-Ala-Valを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、-((C=O)(CH2)n-ユニットを含み、ここで、nは1〜6の整数である。
いくつかの実施形態では、前記リンカーは、-(CH2)n- ユニットを含む。ここで、nは2〜6の整数である。いくつかの実施形態では、前記リンカーは-PAB-Cit-Val-((C=O)(CH2)n-である。いくつかの実施形態では、前記リンカーは-PAB-Ala-Val-((C=O)(CH2)n-である。いくつかの実施形態では、前記リンカーL及び化学的な部分構造Zは、L-Zとして一緒になり、
Figure 2021500375
である。
いくつかの実施形態では、前記細胞毒素はε-アマニチンである。いくつかの実施形態では、前記ε-アマニチンは、式IIIの化合物である。いくつかの実施形態では、式IIIのε-アマニチンは、リンカーLを介して抗CD117抗体に結合している。前記リンカーLは、式IIIのε-アマニチンのいくつかの考えられる位置の何れか1つ(例えば、R1-R9の何れか)に結合して、式I、IA、IB、II、IIA、又はIIBのε-アマニチン-リンカー・コンジュゲートを提供することがある。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R1で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R2で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R3で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R4で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R5で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R6で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R7で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R8で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R9で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、ヒドラジン、ジスルフィド、チオエーテル又はジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、Val-Ala及びVal-Citから選択されるジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、パラ-アミノベンジル基(PAB)を含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、部分PAB-Cit-Valを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、部分PAB-Ala-Valを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、-((C=O)(CH2)n-ユニットを含み、ここで、nは1〜6の整数である。
いくつかの実施形態では、前記リンカーは、-(CH2)n- ユニットを含む。ここで、nは2〜6の整数である。いくつかの実施形態では、前記リンカーは-PAB-Cit-Val-((C=O)(CH2)n-である。いくつかの実施形態では、前記リンカーは-PAB-Ala-Val-((C=O)(CH2)n-である。いくつかの実施形態では、前記リンカーL及び化学的な部分構造Zは、L-Zとして一緒になり、
Figure 2021500375
である。
いくつかの実施形態では、前記細胞毒素はアマニンである。いくつかの実施形態では、前記アマニンは、式IIIの化合物である。いくつかの実施形態では、式IIIのアマニンは、リンカーLを介して抗CD117抗体に結合している。前記リンカーLは、式IIIのアマニンのいくつかの考えられる位置の何れか1つ(例えば、R1-R9の何れか)に結合して、式I、IA、IB、II、IIA、又はIIBのアマニン-リンカー・コンジュゲートを提供することがある。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R1で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R2で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R3で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R4で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R5で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R6で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R7で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R8で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R9で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、ヒドラジン、ジスルフィド、チオエーテル又はジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、Val-Ala及びVal-Citから選択されるジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、パラ-アミノベンジル基(PAB)を含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、部分PAB-Cit-Valを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、部分PAB-Ala-Valを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、-((C=O)(CH2)n-ユニットを含み、ここで、nは1〜6の整数である。
いくつかの実施形態では、前記リンカーは、-(CH2)n- ユニットを含む。ここで、nは2〜6の整数である。いくつかの実施形態では、前記リンカーは-PAB-Cit-Val-((C=O)(CH2)n-である。いくつかの実施形態では、前記リンカーは-PAB-Ala-Val-((C=O)(CH2)n-である。いくつかの実施形態では、前記リンカーL及び化学的な部分構造Zは、L-Zとして一緒になり、
Figure 2021500375
である。
いくつかの実施形態では、前記細胞毒素はアマニンアミドである。いくつかの実施形態では、前記アマニンアミドは、式IIIの化合物である。いくつかの実施形態では、式IIIのアマニンアミドは、リンカーLを介して抗CD117抗体に結合している。前記リンカーLは、式IIIのアマニンアミドのいくつかの考えられる位置の何れか1つ(例えば、R1-R9の何れか)に結合して、式I、IA、IB、II、IIA、又はIIBのアマニンアミド-リンカー・コンジュゲートを提供することがある。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R1で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R2で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R3で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R4で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R5で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R6で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R7で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R8で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R9で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、ヒドラジン、ジスルフィド、チオエーテル又はジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、Val-Ala及びVal-Citから選択されるジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、パラ-アミノベンジル基(PAB)を含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、部分PAB-Cit-Valを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、部分PAB-Ala-Valを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、-((C=O)(CH2)n-ユニットを含み、ここで、nは1〜6の整数である。
いくつかの実施形態では、前記リンカーは、-(CH2)n- ユニットを含む。ここで、nは2〜6の整数である。いくつかの実施形態では、前記リンカーは-PAB-Cit-Val-((C=O)(CH2)n-である。いくつかの実施形態では、前記リンカーは-PAB-Ala-Val-((C=O)(CH2)n-である。いくつかの実施形態では、前記リンカーL及び化学的な部分構造Zは、L-Zとして一緒になり、
Figure 2021500375
である。
いくつかの実施形態では、前記細胞毒素はアマヌリンである。いくつかの実施形態では、前記アマヌリンは、式IIIの化合物である。いくつかの実施形態では、式IIIのアマヌリンは、リンカーLを介して抗CD117抗体に結合している。前記リンカーLは、式IIIのアマヌリンのいくつかの考えられる位置の何れか1つ(例えば、R1-R9の何れか)に結合して、式I、IA、IB、II、IIA、又はIIBのアマヌリン-リンカー・コンジュゲートを提供することがある。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R1で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R2で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R3で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R4で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R5で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R6で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R7で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R8で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R9で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、ヒドラジン、ジスルフィド、チオエーテル又はジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、Val-Ala及びVal-Citから選択されるジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、パラ-アミノベンジル基(PAB)を含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、部分PAB-Cit-Valを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、部分PAB-Ala-Valを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、-((C=O)(CH2)n-ユニットを含み、ここで、nは1〜6の整数である。
いくつかの実施形態では、前記リンカーは、-(CH2)n- ユニットを含む。ここで、nは2〜6の整数である。いくつかの実施形態では、前記リンカーは-PAB-Cit-Val-((C=O)(CH2)n-である。いくつかの実施形態では、前記リンカーは-PAB-Ala-Val-((C=O)(CH2)n-である。いくつかの実施形態では、前記リンカーL及び化学的な部分構造Zは、L-Zとして一緒になり、
Figure 2021500375
である。
いくつかの実施形態では、前記細胞毒素はアマヌリン酸である。いくつかの実施形態では、前記アマヌリン酸は、式IIIの化合物である。いくつかの実施形態では、式IIIのアマヌリン酸は、リンカーLを介して抗CD117抗体に結合している。前記リンカーLは、式IIIのアマヌリン酸のいくつかの考えられる位置の何れか1つ(例えば、R1-R9の何れか)に結合して、式I、IA、IB、II、IIA、又はIIBのアマヌリン酸-リンカー・コンジュゲートを提供することがある。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R1で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R2で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R3で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R4で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R5で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R6で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R7で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R8で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R9で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、ヒドラジン、ジスルフィド、チオエーテル又はジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、Val-Ala及びVal-Citから選択されるジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、パラ-アミノベンジル基(PAB)を含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、部分PAB-Cit-Valを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、部分PAB-Ala-Valを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、-((C=O)(CH2)n-ユニットを含み、ここで、nは1〜6の整数である。
いくつかの実施形態では、前記リンカーは、-(CH2)n- ユニットを含む。ここで、nは2〜6の整数である。いくつかの実施形態では、前記リンカーは-PAB-Cit-Val-((C=O)(CH2)n-である。いくつかの実施形態では、前記リンカーは-PAB-Ala-Val-((C=O)(CH2)n-である。いくつかの実施形態では、前記リンカーL及び化学的な部分構造Zは、L-Zとして一緒になり、
Figure 2021500375
である。
いくつかの実施形態では、前記細胞毒素はプロアマヌリンである。いくつかの実施形態では、前記プロアマヌリンは、式IIIの化合物である。いくつかの実施形態では、式IIIのプロアマヌリンは、リンカーLを介して抗CD117抗体に結合している。前記リンカーLは、式IIIのプロアマヌリンのいくつかの考えられる位置の何れか1つ(例えば、R1-R9の何れか)に結合して、式I、IA、IB、II、IIA、又はIIBのプロアマヌリン-リンカー・コンジュゲートを提供することがある。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R1で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R2で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R3で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R4で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R5で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R6で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R7で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R8で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは位置R9で結合している。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、ヒドラジン、ジスルフィド、チオエーテル又はジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、Val-Ala及びVal-Citから選択されるジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、パラ-アミノベンジル基(PAB)を含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、部分PAB-Cit-Valを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、部分PAB-Ala-Valを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、-((C=O)(CH2)n-ユニットを含み、ここで、nは1〜6の整数である。
いくつかの実施形態では、前記リンカーは、-(CH2)n- ユニットを含む。ここで、nは2〜6の整数である。いくつかの実施形態では、前記リンカーは-PAB-Cit-Val-((C=O)(CH2)n-である。いくつかの実施形態では、前記リンカーは-PAB-Ala-Val-((C=O)(CH2)n-である。いくつかの実施形態では、前記リンカーL及び化学的な部分構造Zは、L-Zとして一緒になり、
Figure 2021500375
である。
アマトキシンの合成方法については、米国特許第9,676,702号に記載されていて、これは本明細書に参照により取り込まれる。
本明細書に記載の組成物及び方法と共に使用するための抗体、又は抗原結合フラグメントは、当該技術分野で公知の又は本明細書に記載のコンジュゲートする技術を使用して、α-アマニチン又はそのバリアント等のアマトキシンにコンジュゲートさせることができる。例えば、CD117(GNNK+ CD117等)を認識し、結合する抗体、又はその抗原結合フラグメントは、US 2015/0218220に記載されるように、α-アマニチン又はそのバリアント等のアマトキシンにコンジュゲートさせることができ、その開示内容は、例えば、α-アマニチン又はそのバリアント等のアマトキシン、並びに共有結合的にコンジュゲートさせることに使用することができる共有結合リンカーに関連するため、本明細書に参照により取り込まれる。
本明細書中に記載される方法と併せることで有用な例示的な抗体-薬物コンジュゲートを、抗体又はその抗原結合フラグメントと、前記抗体又はその抗原結合フラグメント上にある反応性残基との反応に適した置換基を含むリンカーにコンジュゲートしているアマトキシンとの反応によって、形成させることがある。本明細書中に記載される、抗体、又はその抗原結合フラグメント上の反応性残基との反応に好適な置換基を含むリンカーにコンジュゲートしているアマトキシンとしては、限定されるものではないが、以下が挙げられる、7'C-(4-(6-(マレイミド)ヘキサノイル)ピペラジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(6-(マレイミド)ヘキサンアミド)ピペリジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(6-(6-(マレイミド)ヘキサンアミド)ヘキサノイル)ピペラジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(4-((マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボニル)ピペラジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(6-(4-((マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)ヘキサノイル)ピペラジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(2-(6-(マレイミド)ヘキサンアミド)エチル)ピペリジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(2-(6-(6-(マレイミド)ヘキサンアミド)ヘキサンアミド)エチル)ピペリジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(2-(4-((マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)エチル)ピペリジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(2-(6-(4-((マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)ヘキサンアミド)エチル)ピペリジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(2-(3-カルボキシプロパンアミド)エチル)ピペリジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(2-(2-ブロモアセトアミド)エチル)ピペリジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(2-(3-(ピリジン-2-イルジスルファニル)プロパンアミド)エチル)ピペリジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(2-(4-(マレイミド)ブタンアミド)エチル)ピペリジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(2-(マレイミド)アセチル)ピペラジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(3-(マレイミド)プロパノイル)ピペラジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(4-(マレイミド)ブタノイル)ピペラジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(2-(6-(4-((マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)ヘキサンアミド)エチル)ピペリジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(3-((6-(マレイミド)ヘキサンアミド)メチル)ピロリジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(3-((6-(6-(マレイミド)ヘキサンアミド)ヘキサンアミド)メチル)ピロリジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(3-((4-((マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)メチル)ピロリジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(3-((6-((4-(マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)ヘキサンアミド)メチル)ピロリジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(2-(6-(2-(アミノオキシ)アセトアミド)ヘキサンアミド)エチル)ピペリジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(2-(4-(2-(アミノオキシ)アセトアミド)ブタンアミド)エチル)ピペリジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(4-(2-(アミノオキシ)アセトアミド)ブタノイル)ピペラジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(6-(2-(アミノオキシ)アセトアミド)ヘキサノイル)ピペラジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-((4-(6-(マレイミド)ヘキサンアミド)ピペリジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(2-(6-(マレイミド)ヘキサンアミド)エチル)ピペリジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(6-(マレイミド)ヘキサノイル)ピペラジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;(R)-7'C-((3-((6-(マレイミド)ヘキサンアミド)メチル)ピロリジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;(S)-7'C-((3-((6-(マレイミド)ヘキサンアミド)メチル)ピロリジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(2-(6-(6-(マレイミド)ヘキサンアミド)ヘキサンアミド)エチル)ピペリジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(2-(4-((マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)エチル)ピペリジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(2-(6-(4-((マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)ヘキサンアミド)エチル)ピペリジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(2-(6-(マレイミド)ヘキサンアミド)エチル)ピペラジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(2-(6-(6-(マレイミド)ヘキサンアミド)ヘキサンアミド)エチル)ピペラジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(2-(4-((マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)エチル)ピペラジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(2-(6-(4-((マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)ヘキサンアミド)エチル)ピペラジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((3-((6-(6-(マレイミド)ヘキサンアミド)ヘキサンアミド)-S-メチル)ピロリジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((3-((6-(6-(マレイミド)ヘキサンアミド)ヘキサンアミド)-R-メチル)ピロリジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((3-((4-((マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)-S-メチル)ピロリジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((3-((4-((マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)-R-メチル)ピロリジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((3-((6-(4-((マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)ヘキサンアミド)メチル)ピロリジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(2-(3-カルボキシプロパンアミド)エチル)ピペラジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(6-(6-(マレイミド)ヘキサンアミド)ヘキサノイル)ピペラジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(6-(4-((マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)ヘキサノイル)ピペラジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(2-(マレイミド)アセチル)ピペラジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(3-(マレイミド)プロパノイル)ピペラジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(4-(マレイミド)ブタノイル)ピペラジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(2-(2-(マレイミド)アセトアミド)エチル)ピペリジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(2-(4-(マレイミド)ブタンアミド)エチル)ピペリジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(2-(6-(4-((マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)ヘキサンアミド)エチル)ピペリジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((3-((6-(マレイミド)ヘキサンアミド)メチル)アゼチジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((3-(2-(6-(マレイミド)ヘキサンアミド)エチル)アゼチジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((3-((4-((マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)メチル)アゼチジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((3-(2-(4-((マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)エチル)アゼチジン-1イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((3-(2-(6-(4-((マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)ヘキサンアミド)エチル)アゼチジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-(((2-(6-(マレイミド)-N-メチルヘキサンアミド)エチル)(メチル)アミノ)メチル)-アマトキシン;7'C-(((4-(6-(マレイミド)-N-メチルヘキサンアミド)ブチル(メチル)アミノ)メチル)-アマトキシン;7'C-((2-(2-(6-(マレイミド)ヘキサンアミド)エチル)アジリジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((2-(2-(6-(4-((マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)ヘキサンアミド)エチル)アジリジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(6-(6-(2-(アミノオキシ)アセトアミド)ヘキサンアミド)ヘキサノイル)ピペラジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(1-(アミノオキシ)-2-オクソ-6,9,12,15-テトラオキサ-3-アザヘプタデカン-17-オイル)ピペラジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(2-(2-(アミノオキシ)アセトアミド)アセチル)ピペラジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(3-(2-(アミノオキシ)アセトアミド)プロパノイル)ピペラジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(4-(2-(アミノオキシ)アセトアミド)ブタノイル)ピペラジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(2-(6-(2-(アミノオキシ)アセトアミド)ヘキサンアミド)エチル)ピペリジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(2-(2-(2-(アミノオキシ)アセトアミド)アセトアミド)エチル)ピペリジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(2-(4-(2-(アミノオキシ)アセトアミド)ブタンアミド)エチル)ピペリジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(20-(アミノオキシ)-4,19-ジオクソ-6,9,12,15-テトラオキサ-3,18-ジアザイコシル)ピペリジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-(((2-(6-(2-(アミノオキシ)アセトアミド)-N-メチルヘキサンアミド)エチル)(メチル)アミノ)メチル)-アマトキシン;7'C-(((4-(6-(2-(アミノオキシ)アセトアミド)-N-メチルヘキサンアミド)ブチル)(メチル)アミノ)メチル)-アマトキシン;7'C-((3-((6-(4-((マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)ヘキサンアミド)メチル)ピロリジン-1-イル)-S-メチル)-アマトキシン;7'C-((3-((6-(4-((マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)ヘキサンアミド)-R-メチル)ピロリジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(2-(2-ブロモアセトアミド)エチル)ピペラジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(2-(2-ブロモアセトアミド)エチル)ピペリジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(2-(3-(ピリジン-2-イルジスルファニル)プロパンアミド)エチル)ピペリジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;6'O-(6-(6-(マレイミド)ヘキサンアミド)ヘキシル)-アマトキシン;6'O-(5-(4-((マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)ペンチル)-アマトキシン;6'O-(2-((6-(マレイミド)ヘキシル)オキシ)-2-オキソエチル)-アマトキシン;6'O-((6-(マレイミド)ヘキシル)カルバモイル)-アマトキシン;6'O-((6-(4-((マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)ヘキシル)カルバモイル)-アマトキシン;6'O-(6-(2-ブロモアセトアミド)ヘキシル)-アマトキシン;7'C-(4-(6-(アジド)ヘキサンアミド)ピペリジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(へクス-5-イノイルアミノ)ピペリジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(2-(6-(マレイミド)ヘキサンアミド)エチル)ピペラジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(2-(6-(6-(マレイミド)ヘキサンアミド)ヘキサンアミド)エチル)ピペラジン-1-イル)-アマトキシン;6'O-(6-(6-(11,12-ジデヒドロ-5,6-ジヒドロ-ジベンズ[b,f]アゾシン-5-イル)-6-オクソヘキサンアミド)ヘキシル)-アマトキシン;6'O-(6-(へクス-5-イノイルアミノ)ヘキシル)-アマトキシン;6'O-(6-(2-(アミノオキシ)アセチルアミド)ヘキシル)-アマトキシン;6'O-((6-アミノオキシ)ヘキシル)-アマトキシン;及び 6'O-(6-(2-イオドアセトアミド)ヘキシル)-アマトキシン。前記のリンカーは、特に、本明細書に記載する組成物及び方法と併せることで有用であり、例えば、米国特許出願公開第2015/0218220号に記載されており、その開示は、その全体が本明細書に参照により取り込まれる。
がん、自己免疫症状を直接的に治療する際に使用するため、又は造血幹細胞移植療法を必要とする患者(例えば、ヒト患者)をコンディショニングするために、CD117(GNNK+ CD117等)を認識し、結合する抗体又はその抗原結合フラグメントにコンジュゲートすることができる追加の細胞毒素には、限定されるものではないが、5-エチニルウラシル、アビラテロン(abiraterone)、アシルフルベン(acylfulvene)、アデシペノール(adecypenol)、アドゼレシン(adozelesin)、アルデスロイキン(aldesleukin)、アルトレタミン(altretamine)、アンバムスチン(ambamustine)、アミドックス(amidox)、アミフォスチン(amifostine)、アミノレブリン酸(aminolevulinic acid)、アムルビシン(amrubicin)、アムサクリン(amsacrine)、アナグレリド(anagrelide)、アナストロゾール(anastrozole)、アンドログラフォリド(andrographolide)、血管新生阻害剤、アンタレリクス(antarelix)、抗背側形成タンパク質-1(anti-dorsalizing morphogenetic protein-1)、抗アンドロゲン、前立腺がん、抗エストロゲン、抗新生物薬(antineoplaston)、アンチセンス・オリゴヌクレオチド、アフィジコリン・グリシネート(aphidicolin glycinate)、アポトーシス遺伝子モジュレーター、アポトーシス・レギュレーター、アプリン酸(apurinic acid)、アスラクリン(asulacrine)、アタメスタン(atamestane)、アトリムスチン(atrimustine)、アキシナスタチン1(axinastatin 1)、アキシナスタチン2、アキシナスタチン3、アザセトロン(azasetron)、アザトキシン(azatoxin)、アザチロシン(azatyrosine)、バッカチンIII(baccatinIII.)誘導体、バラノール(balanol)、バチマスタット(batimastat)、BCR/ABL拮抗薬、ベンゾクロリン、ベンゾイルスタウロスポリン(benzoylstaurosporine)、βラクタム誘導体、βアレチン(beta-alethine)、βクラマイシン(betaclamycin)B、ベツリン酸、bFGF阻害剤、ビカルタミド(bicalutamide)、ビサントレン(bisantrene)、ビスアジリジニルスペルミン(bisaziridinylspermine)、ビスナフィド(bisnafide)、ビストラテン(bistratene)A、ビゼレシン(bizelesin)、ブレフラート(breflate)、ブレオマイシンA2、ブレオマイシンB2、ブロピリミン(bropirimine)、ブドチタン(budotitane)、ブチオニン・スルホキシイミン(buthionine sulfoximine)、カルシポトリオール(calcipotriol)、カルホスチン(calphostin)C、カンプトテシン(camptothecin)誘導体(例えば、10-ヒドロキシ-カンプトテシン)、カペシタビン(capecitabine)、カルボキサミド-アミノ-トリアゾール、カルボキシアミドトリアゾール、カルゼレシン(carzelesin)、カゼイン・キナーゼ阻害剤、カスタノスペルミン(castanospermine)、セクロピン(cecropin)B、セトロレリクス(cetrorelix)、クロリン(chlorins)、クロロキノキサリン・スルホンアミド(chloroquinoxaline sulfonamide)、シカプロスト(cicaprost)、シス-ポルフィリン、クラドリビン(cladribine)、クロミフェン(clomifene)及びその類似体、クロトリマゾール(clotrimazole)、コリスマイシン(collismycin)A、コリスマイシンB、コンブレタスタチン(combretastatin)A4、コンブレタスタチン類似体、コナゲニン(conagenin)、クラムベシジン(crambescidin)816、クリスナトール(crisnatol)、クリプトフィシン(cryptophycin)8、クリプトフィシンA誘導体、キュラシン(curacin)A、シクロペンタアントラキノン(cyclopentanthraquinones)、シクロプラタム(cycloplatam)、シペマイシン(cypemycin)、シタラビン・オクホスファート(cytarabine ocfosfate)、細胞溶解因子、シトスタチン(cytostatin)、ダクリキシマブ(dacliximab)、デシタビン(decitabine)、デヒドロジデムニン(dehydrodidemnin)B、2'デオキシコホルマイシン(DCF)、デスロレリン(deslorelin)、デキシホスファミド(dexifosfamide)、デクスラゾキサン(dexrazoxane)、デクスベラパミル(dexverapamil)、ジアジクオン(diaziquone)、ジデムニン(didemnin)B、ジドクス(didox)、ジエチルノルスペルミン(diethylnorspermine)、ジヒドロ-5-アザシチジン、ジヒドロタキソール、ジオキサマイシン(dioxamycin)、ジフェニル・スピロムスチン(diphenyl spiromustine)、ディスコデルモライド(discodermolide)、ドコサノール(docosanol)、ドラセトロン(dolasetron)、ドキシフルリジン(doxifluridine)、ドロロキシフェン(droloxifene)、ドロナビノール(dronabinol)、デュオカルマイシン(duocarmycin)SA、エブセレン(ebselen)、エコムスチン(ecomustine)、エデルフォシン(edelfosine)、エドレコロマブ(edrecolomab)、エフロルニチン(eflornithine)、エレメン(elemene)、エミテフール(emitefur)、エポチロン(epothilones)、エピチロン(epithilones)、エプリステリド(epristeride)、エストラムスチン(estramustine)及びその類似体、エトポシド(etoposide)、エトポシド4’-リン酸(etoposide 4’-phosphate)(エトポフォスとも呼ばれる)、エキセメスタン(exemestane)、ファドロゾール(fadrozole)、ファザラビン(fazarabine)、フェンレチニド(fenretinide)、フィルグラスチム(filgrastim)、フィナステリド(finasteride)、フラボピリドール(flavopiridol)、フレゼラスチン(flezelastine)、フルアステロン(fluasterone)、フルダラビン(fludarabine)、塩酸フルロダウノルニシン(fluorodaunorunicin hydrochloride)、フォルフェニメクス(forfenimex)、フォルメスタン(formestane)、フォストリエシン(fostriecin)、フォテムスチン(fotemustine)、ガドリニウム・テキサフィリン(gadolinium texaphyrin)、硝酸ガリウム、ガロシタビン(galocitabine)、ガニレリクス(ganirelix)、ゲラチナーゼ阻害剤、ゲムシタビン(gemcitabine)、グルタチオン阻害剤、ヘプスルファム(hepsulfam)、ホモハリングトニン(homoharringtonine(HHT))、ハイペリシン(hypericin)、イバンドロン酸(Ibandronic acid)、イドキシフェン(idoxifene)、イドラマントン(idramantone)、イルモフォシン(ilmofosine)、イロマスタット(ilomastat)、イミダゾアクリドン、イミキモド(imiquimod)、免疫刺激ペプチド、イオベングアン(iobenguane)、ヨードドキソルビシン(iododoxorubicin)、イポメアノール(ipomeanol)、イリノテカン、イロプラクト(iroplact)、イルソグラジン(irsogladine)、イソベンガゾール(isobengazole)、ジャスプラキノリド(jasplakinolide)、カハラリド(kahalalide)F、三酢酸ラメラリン-N(lamellarin-N triacetate)、ランレオチド(lanreotide)、レイナマイシン(leinamycin)、レノグラスチム(lenograstim)、硫酸レンチナン(lentinan sulfate)、レプトルスタチン(leptolstatin)、レトロゾール(letrozole)、親油性白金化合物、リソクリナミド(lissoclinamide)7、ロバプラチン(lobaplatin)、ロメトレキソール(lometrexol)、ロニダミン(lonidamine)、ロソキサントロン(losoxantrone)、ロキソリビン(loxoribine)、ルルトテカン(lurtotecan)、ルテチウム・テキサフィリン(lutetium texaphyrin)、リソフィリン(lysofylline)、マソプロコール(masoprocol)、マスピン(maspin)、マトリックス・メタロプロテイナーゼ阻害剤、メノガリル(menogaril)、メルバロン(merbarone)、メテレリン(meterelin)、メチオニナーゼ、メトクロプラミド(metoclopramide)、MIF阻害剤、ミフェプリストン(mifepristone)、ミルテホシン(miltefosine)、ミリモスチム(mirimostim)、ミトラシン(mithracin)、ミトグアゾン(mitoguazone)、ミトラクトール(mitolactol)、マイトマイシン及びその類似体、ミトナフィド(mitonafide)、ミトキサントロン(mitoxantrone)、モファロテン(mofarotene)、モルグラモスチム(molgramostim)、マイカペルオキシドB、ミリアポロン(myriaporone)、N-アセチルジナリン(acetyldinaline)、N-置換ベンズアミド、ナファレリン(nafarelin)、ナグレスチップ(nagrestip)、ナパビン(napavin)、ナフテルピン(naphterpin)、ナルトグラスチム(nartograstim)、ネダプラチン(nedaplatin)、ネモルビシン(nemorubicin)、ネリドロン酸、ニルタミド(nilutamide)、ニサマイシン(nisamycin)、ニトルリン(nitrullyn)、オクトレオチド(octreotide)、オキセノン(okicenone)、オナプリストン(onapristone)、オンダンセトロン(ondansetron)、オラシン(oracin)、オルマプラチン(ormaplatin)、オキサリプラチン(oxaliplatin)、オキサウノマイシン(oxaunomycin)、パクリタキセル(paclitaxel)及びその類似体、パラウアミン(palauamine)、パルミトイルリゾキシン(palmitoylrhizoxin)、パミドロン酸、パナキシトリオール(panaxytriol)、パノミフェン(panomifene)、パラバクチン(parabactin)、パゼリプチン(pazelliptine)、ぺグアスパルガーゼ(pegaspargase)、ペルデシン(peldesine)、ポリ硫酸ペントサンナトリウム、ペントスタチン(pentostatin)、ペントロゾール(pentrozole)、パーフルブロン(perflubron)、パーホスファミド(perfosfamide)、フェナジノマイシン(phenazinomycin)、ピシバニル(picibanil)、ピラルビシン(pirarubicin)、ピリトレキシム(piritrexim)、ポドフィロトキシン(podophyllotoxin)、ポルフィロマイシン(porfiromycin)、プリン・ヌクレオシド・ホスホリラーゼ阻害剤、ラルチトレキセド(raltitrexed)、リゾキシン(rhizoxin)、ログレチミド(rogletimide)、ロヒツキン(rohitukine)、ルビギノン(rubiginone)B1、ルボキシル(ruboxyl)、サフィンゴル(safingol)、サイントピン(saintopin)、サルコフィトール(sarcophytol)A、サルグラモスチム(sargramostim)、ソブゾキサン(sobuzoxane)、ソネルミン(sonermin)、スパルホジン酸(sparfosic acid)、スピカマイシン(spicamycin)D、スピロムスチン(spiromustine)、スチピアミド(stipiamide)、スルフィノシン(sulfinosine)、タリムスチン(tallimustine)、テガフール(tegafur)、テモゾロミド(temozolomide)、テニポシド(teniposide)、タリブラスチン(thaliblastine)、チオコラリン(thiocoraline)、チラパザミン(tirapazamine)、トポテカン、トプセンチン(topsentin)、トリシリビン(triciribine)、トリメトレキサート(trimetrexate)、ベラミン(veramine)、ビノレルビン(vinorelbine)、ビンキサルチン(vinxaltine)、ボロゾール(vorozole)、ゼニプラチン(zeniplatin)、並びにジラスコルブ(zilascorb)、が含まれる。
化学的にコンジュゲートさせるためのリンカー
様々なリンカーを用いて、CD117(GNNK+ CD117等)を認識し、結合する本明細書に記載の抗体又は抗原結合フラグメント(例えば、抗体、又はその抗原結合フラグメント)を、細胞毒性分子とコンジュゲートさせることができる。
本明細書で使用する用語「リンカー」は、抗体又はそのフラグメント(Ab)を薬物部分(D)に共有結合させて本発明の抗体-薬物コンジュゲート(ADC;Ab-Z-L-D、ここでDは細胞毒素)を形成する、原子の共有結合又は鎖を含む、二価の化学的な部分構造を意味する。好適なリンカーは2つの反応性末端を有し、一方は抗体にコンジュゲートさせるためであり、他方は細胞毒素にコンジュゲートさせるためである。前記リンカーの抗体とコンジュゲートする反応性末端(反応性部分構造、Z)は、典型的には、前記抗体上のシステイン・チオール又はリジン・アミン基を介して、前記抗体にコンジュゲートさせることができる部位であり、従って、典型的には二重結合のようなチオールとの反応性がある基(例えば、マレイミドなど)、又はクロロ、ブロモ、ヨード等の脱離基、若しくはR-スルファニル基、又はカルボキシル基のようなアミンとの反応性がある基である;一方、前記リンカーの抗体とコンジュゲートする反応性末端は、典型的には、細胞毒素上の塩基性アミン基又はカルボキシル基とのアミド結合の形成を介して細胞毒素にコンジュゲートすることができる部位であり、従って、典型的にはカルボキシル基又は塩基性アミン基である。前記用語「リンカー」を、コンジュゲートした形態のリンカーを説明する際に使用する場合、反応性末端の一方又は両方は、前記リンカー及び/又は前記細胞毒素間の、並びに前記リンカー及び/又は前記抗体若しくはその抗原結合フラグメント間の、結合が形成されているので、存在しない(例えば、反応性部分構造Z、化学的な部分構造Zに変換されている)か、又は反応途中にある(例えば、カルボン酸のカルボニルだけになっている等)。このようなコンジュゲートさせる反応を、本明細書中以下に更に記載する。
いくつかの実施形態では、前記リンカーは、細胞内の条件下で切断可能であり、その結果、前記リンカーの切断によって、細胞内環境において、抗体から薬物ユニットが放出される。更に他の実施形態では、そのリンカー・ユニットは切断可能ではなく、薬剤は、例えば、抗体の分解によって放出される。本発明のADCに有用なリンカーは、好ましくは細胞外で安定であり、ADC分子が凝集することを防止し、ADCが水溶性の媒体中で及び単量体状で溶け易いように維持する。細胞内に輸送される又は送達される前には、前記ADCは、好ましくは安定であり、及びインタクトなままであり、即ち、前記抗体は、前記薬物部分に連結したままである。前記リンカーはターゲット細胞の外部では安定であり、細胞内部ではある有効な速度で切断されることがある。効果的なリンカーは:(i)前記抗体の特異的な結合特性を維持する;(ii)前記コンジュゲート又は薬物部分が細胞内に送達されることを可能にする;(iii)前記コンジュゲートがそのターゲット部位に送達又は輸送されるまで、安定かつインタクトなままであり、即ち切断されない;及び(iv)前記細胞毒性部分の、細胞毒性、細胞傷害効果又は細胞増殖抑制効果を維持する。前記ADCの安定性を、質量分析、HPLC、及び分離/解析技術のLC/MS等の標準的な分析技術によって測定することができる。前記抗体及び前記薬物部分の共有結合は、前記リンカーが2つの反応性官能基を有することを要求する(即ち反応性の意味での二価である)。ペプチド、核酸、薬物、毒素、抗体、ハプテン、及びレポーター基等の2つ以上の機能的又は生物学的に活性な部分を結合させるのに役立つ二価のリンカー試薬が知られており、それらのコンジュゲートを得る方法については記載されている(Hermanson、GT(1996)Bioconjugate Techniques; Academic Press: New York、p.234-242)。
リンカーとしては、例えば、酵素的加水分解、光分解、酸性条件下での加水分解、塩基性条件下での加水分解、酸化、ジスルフィド還元、求核切断、又は有機金属切断によって切断され得るものが挙げられる(例えば、Lericheら、Bioorg.Med.Chem、20:571-582、2012を参照のこと、その開示は共有結合的にコンジュゲートさせることに適したリンカーに関連するものとして、本明細書に参照により取り込まれる)。
酸性条件下で加水分解可能なリンカーとしては、例えば、ヒドラゾン、セミカルバゾン、チオセミカルバゾン、シスアコニットアミド、オルトエステル、アセタール、ケタール等が挙げられる(例えば、米国特許第 5,122,368; 5,824,805; 5,622,929号; Dubowchik and Walker, 1999, Pharm. Therapeutics 83:67-123; Neville et al., 1989, Biol. Chem. 264:14653-14661、これらの各開示は、共有結合的にコンジュゲートさせることに適したリンカーに関するものとして、その全体が本明細書に参照により取り込まれる)。このようなリンカーは、血中の条件のような中性pHの条件下では比較的安定であるが、リソソームのおよそのpHであるpH 5.5又は5.0未満では不安定である。
還元条件下で切断可能なリンカーとしては、例えば、ジスルフィドが挙げられる。例えば、SATA(N-スクシンイミジル-S-アセチルチオアセテート)、SPDP(N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート)、SPDB(N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)ブチレート)及びSMPT(N-スクシンイミジル-オキシカルボニル-α-メチル-α-(2-ピリジル-ジチオ)トルエン)、SPDB及びSMPT、を使用して形成することができるジスルフィド・リンカーが挙げられる、様々なジスルフィド・リンカーが当該技術分野で知られている(例えば、Thorpe et al., 1987, Cancer Res. 47:5924-5931; Wawrzynczak et al., In Immunoconjugates: Antibody Conjugates in Radioimagery and Therapy of Cancer (C. W. Vogel ed., Oxford U. Press, 1987を参照のこと。米国特許第4,880,935も参照のこと。これらの各開示は、共有結合的にコンジュゲートさせることに適したリンカーに関するものとして、その全体が本明細書に参照により取り込まれる。
本明細書に記載する薬物-抗体コンジュゲートの合成に適した更なるリンカーとしては、p-アミノベンジル・アルコール(PABC)、p-アミノベンジル(PAB)、6-マレイミドヘキサン酸、pH感受性炭酸塩、及びJain et al., Pharm. Res. 32:3526-3540, 2015(この開示は、その全体が本明細書に参照により取り込まれる)に記載される他の試薬等の、1,6-脱離過程(「自壊」基)によって、細胞毒素を放出することができるリンカーが挙げられる。
いくつかの実施形態では、前記リンカーとしては、前述のPAB又はPABC(パラ-アミノベンジルオキシカルボニル)等の自壊基が挙げられ、これらは、例えば、Carl et al., J. Med. Chem. (1981) 24:479-480; Chakravarty et al (1983) J. Med. Chem. 26:638-644; US 6214345; US20030130189; US20030096743; US6759509; US20040052793; US6218519; US6835807; US6268488; US20040018194; WO98/13059; US20040052793; US6677435; US5621002; US20040121940; WO2004/032828に開示されている。このプロセスが可能な他のこのような化学的な部分構造(「自壊リンカー」)としては、メチレン・カルバメート及びヘテロアリール基、例えばアミノチアゾール、アミノイミダゾール、アミノピリミジンなどが挙げられる。このような複素環の自壊基を含むリンカーは、例えば、米国特許出願公開20160303254 及び 20150079114、並びに米国特許第7,754,681; Hay et al. (1999) Bioorg. Med. Chem. Lett. 9:2237; US 2005/0256030; de Groot et al (2001) J. Org. Chem. 66:8815-8830; 及び US 7223837に開示されている。
酵素的な加水分解に感受性があるリンカーは、例えば、細胞内ペプチダーゼ又はプロテアーゼ酵素(リソソーム・プロテアーゼ又はエンドソーム・プロテアーゼが挙げられるが
、これらに限定されない)によって切断されるペプチド含有リンカーであることがある。治療薬剤が細胞内タンパク質分解によって放出されることを利用することの1つの利点は、前記治療薬剤は、コンジュゲートしている場合、一般に減弱していて、及び前記コンジュゲートの血清安定性は一般的に高い、ということである。いくつかの実施形態では、前記ペプチジル・リンカーは、少なくとも2アミノ酸長又は少なくとも3アミノ酸長である。例示的なアミノ酸リンカーとしては、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド又はペンタペプチドが挙げられる。好適なペプチドの例としては、バリン、アラニン、シトルリン(Cit)、フェニルアラニン、リジン、ロイシン、及びグリシン等のアミノ酸を含有するペプチドが挙げられる。アミノ酸リンカー成分を含むアミノ酸残基としては、天然に存在するもの、並びにマイナーなアミノ酸及び非天然に存在するアミノ酸類似体(例えば、シトルリン)が挙げられる。例示的なジペプチドとしては、バリン-シトルリン(vc又はval-cit)及びアラニン-フェニルアラニン(af又はala-phe)が挙げられる。例示的なトリペプチドとしては、グリシン-バリン-シトルリン(gly-val-cit)及びグリシン-グリシン-グリシン(gly-gly-gly)が挙げられる。いくつかの実施形態では、前記リンカーとしては、Val-Cit、Ala-Val、又はPhe-Lys、Val-Lys、Ala-Lys、Phe-Cit、Leu-Cit、Ile-Cit、Phe-Arg、又はTrp-Citのようなジペプチドが挙げられる。Val-Cit又はPhe-Lys等のジペプチドを含むリンカーは、例えば、米国特許第6,214,345号に開示されている(この開示は、共有結合的にコンジュゲートさせることに適したリンカーに関するものとして、その全体が本明細書に参照により取り込まれる)。いくつかの実施形態では、前記リンカーとしては、Val-Ala及びVal-Citから選択されるジペプチドが挙げられる。いくつかの実施形態では、ジペプチドは、自壊性のリンカーと組合せて使用される。
本明細書での使用に適したリンカーは、C1-C6アルキレン、C1-C6ヘテロアルキレン、C2-C6アルケニレン、C2-C6ヘテロアルケニレン、C2-C6アルキニレン、C2-C6ヘテロアルキニレン、C3-C6シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、及びそれらの組合せから選択される1つ以上の基を更に含むことがあり、これらの各々は任意選択的に置換されていることがある。このような基の非限定的な実施例には、(CH2)n、(CH2CH2O)n、及び-(C=O)(CH2)n-ユニットが含まれ、ここで、nは1〜6の整数であり、各々の場合に対して独立に選択される。
いくつかの実施形態では、前記リンカーは、ヒドラジン、ジスルフィド、チオエーテル、ジペプチド、p-アミノベンジル(PAB)基、複素環自壊基、任意選択的に置換されたC1-C6アルキル、任意選択的に置換されたC1-C6ヘテロアルキル、任意選択的に置換されたC2-C6アルケニル、任意選択的に置換されたC2-C6ヘテロアルケニル、任意選択的に置換されたC2-C6アルキニル、任意選択的に置換されたC2-C6ヘテロアルキニル、任意選択的に置換されたC3-C6シクロアルキル、任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキル、任意選択的に置換されたアリール、任意選択的に置換されたヘテロアリール、アシル、-(C=O)-、又は-(CH2CH2O)n-基のうちの1つ以上を含むことがある、ここで、nは1〜6の整数である。当業者のある者は、列挙された基の1つ以上が、二価(ジラジカル)種(例えば、C1-C6アルキレン等)の形態で存在し得ることを認識する。
いくつかの実施形態では、前記リンカーは、p-アミノベンジル基(PAB)を含む。ある実施形態では、前記p-アミノベンジル基は、細胞毒性薬物とリンカー中のプロテアーゼ切断部位との間に配置される。ある実施形態では、前記p-アミノベンジル基は、p-アミノベンジルオキシカルボニル・ユニットの一部である。ある実施形態では、p-アミノベンジル基は、p-アミノベンジルアミド・ユニットの一部である。
いくつかの実施形態では、前記リンカーは、PAB, Val-Cit-PAB, Val-Ala-PAB, Val-Lys(Ac)-PAB, Phe-Lys-PAB, Phe-Lys(Ac)-PAB, D-Val-Leu-Lys, Gly-Gly-Arg, Ala-Ala-Asn-PAB, 又は Ala-PAB を含む。
いくつかの実施形態では、前記リンカーは、ペプチド、オリゴ糖、-(CH2)n-, -(CH2CH2O)n-, PAB, Val-Cit-PAB, Val-Ala-PAB, Val-Lys(Ac)-PAB, Phe-Lys-PAB, Phe-Lys(Ac)-PAB, D-Val-Leu-Lys, Gly-Gly-Arg, Ala-Ala-Asn-PAB, 又は Ala-PAB.
のうちの1つ以上の組合せを含む。
いくつかの実施形態では、前記リンカーは、-(C=O)(CH2)n-ユニットを含み、ここで、nは1〜6の整数である。
いくつかの実施形態では、前記リンカーは、-(CH2)n-ユニットを含み、ここで、nは2〜6の整数である。
抗体、又はその抗原結合フラグメントを細胞毒性薬物にコンジュゲートさせるために使用することができるリンカーとしては、前記リンカーの一方の末端で前記細胞毒性薬物に共有結合し、及び前記リンカーの他方の末端で、前記リンカー上に存在する反応性置換基と、CD117(GNNK+ CD117等)に結合する抗体又はその抗原結合フラグメント内に存在する反応性置換基との間のカップリング反応から形成される化学的な部分構造を含む、リンカーが挙げられる。CD117(GNNK+ CD117等)に結合する、抗体、又はその抗原結合フラグメント内に存在し得る反応性置換基としては、限定されるものではないが、セリン、スレオニン、及びチロシン残基のヒドロキシル部分;リジン残基のアミノ部分;アスパラギン酸及びグルタミン酸残基のカルボキシル部分;並びにシステイン残基のチオール部分、並びに、非天然アミノ酸のプロパルギル、アジド、ハロアリール(例えば、フルオロアリール)、ハロヘテロアリール(例えば、フルオロヘテロアリール)、ハロアルキル、及びハロヘテロアルキル部分が挙げられる。
薬物-抗体コンジュゲートの合成に有用なリンカーの例としては、抗体又は抗原結合フラグメント内に存在する求核置換基(例えば、アミン及びチオール部分)との反応に適した、求電子剤(とりわけ、マイケル・アクセプター(例えば、マレイミド)、活性化エステル、電子欠損カルボニル化合物、及びアルデヒド等)を含むリンカーが挙げられる。例えば、薬物-抗体コンジュゲートの合成に適したリンカーとしては、限定されるものではないが、特に、スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-L-カルボキシレート(SMCC)、N-スクシンイミジル・ヨードアセテート(SIA)、スルホ-SMCC、m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミジル・エステル(MBS)、スルホ-MBS、及びスクシンイミジル・ヨードアセテートが挙げられ、例えば、Liu et al., 18:690-697, 1979に記載されている(その開示内容は化学的にコンジュゲートさせるためのリンカーに関するものとして、本明細書に参照により取り込まれる)。更なるリンカーとしては、非切断性マレイミドカプロイル・リンカーが挙げられ、これは微小管破壊剤(例えば、アウリスタチン)をコンジュゲートさせることに特に有用であり、Doronina et al., Bioconjugate Chem. 17:14-24, 2006に記載されており、その開示内容は化学的にコンジュゲートさせるためのリンカーに関するものとして、本明細書に参照により取り込まれる。
本明細書中に開示される化学基、部分及び特徴の何れか1つ以上を、多様な方法で組み合わせて、本明細書中に開示されるような抗体と細胞毒素とをコンジュゲートさせることに対して有用なリンカーを形成し得ることは、当業者のある者によって認識されるだろう。本明細書中に記載される組成物及び方法と併せることにおいて有用な更なるリンカーは、例えば、米国特許出願公開第2015/0218220号に記載されており、その開示内容は、その全体が本明細書に参照により取り込まれる。
本明細書中に記載される抗体-薬物と併せることにおいて有用なリンカーとしては、限定されるものではないが、以下の表3に示されるようなカップリング反応によって形成される化学的な部分構造を含むリンカーが挙げられる。波線は、それぞれ、抗体、又は抗原結合フラグメント、及び細胞毒性分子への結合の位置を示す。
Figure 2021500375
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Figure 2021500375
Figure 2021500375
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当業者の中のある者は、前記リンカー及び前記抗体又はその抗原結合フラグメント上の反応性置換基に結合した反応性置換基Zが、化学的な部分構造Zを生成する共有結合カップリング反応に関与するものであることを認識し、前記反応性置換基Zを認識する。従って、本明細書に記載の方法と併せることにおいて有用な抗体-薬物コンジュゲートは、抗体又はその抗原結合フラグメントが、リンカー又は細胞毒素-リンカー・コンジュゲートと反応することによって形成されることがあり、本明細書に記載するように、前記リンカー又は細胞毒素-リンカー・コンジュゲートは反応性置換基Z等を含み、抗体又はその抗原結合フラグメント上の反応性置換基との反応に適していて、化学的な部分構造Zを形成する。
表3に示すように、前記リンカー及び抗体、又はその抗原結合フラグメント上の好適な反応性置換基の例としては、求核/求電子対(例えば、チオール/ハロアルキル対、アミン/カルボニル対、又はチオール/α, β-不飽和カルボニル対等)、ジエン/ジエノフィル対(例えば、とりわけ、アジド/アルキン対、又はジエン/α,β-不飽和カルボニル対)等が挙げられる。化学的な部分構造Zを形成するための反応性置換基間のカップリング反応としては、限定されるものではないが、チオール・アルキル化、ヒドロキシル・アルキル化、アミン・アルキル化、アミン又はヒドロキシルアミン縮合、ヒドラジン形成、アミド化、エステル化、ジスルフィド形成、環化付加(例えば、とりわけ、[4+2]Diels-Alder環化付加、[3+2]Huisgen環化付加)、芳香族求核置換、芳香族求電子置換、及び当該技術分野で知られているか又は本明細書に記載されている他の反応様式が挙げられる。好ましくは、前記リンカーは、前記抗体又はその抗原結合フラグメント上の求核性官能基との反応のための求電子性官能基を含む。
本明細書に開示するように、抗体、又はその抗原結合フラグメント内に存在し得る反応性置換基としては、限定されるものではないが、(i)N末端アミン基、(ii)側鎖アミン基(例えば、リジン)、(iii)側鎖チオール基(例えば、システイン)、及び(iv)糖水酸基又はアミノ基(ここで、前記抗体はグリコシル化されている)、のような求核基が挙げられる。本明細書に開示するように、抗体、又はその抗原結合フラグメント内に存在し得る反応性置換基としては、限定されるものではないが、セリン、スレオニン、及びチロシン残基のヒドロキシル部分;リジン残基のアミノ部分;アスパラギン酸及びグルタミン酸残基のカルボキシル部分;並びにシステイン残基のチオール部分、並びに、非天然アミノ酸のプロパルギル、アジド、ハロアリール(例えば、フルオロアリール)、ハロヘテロアリール(例えば、フルオロヘテロアリール)、ハロアルキル、及びハロヘテロアルキル部分が挙げられる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示するように、抗体、又はその抗原結合フラグメント内に存在する反応性置換基としては、アミン又はチオール部分が挙げられる。ある特定の抗体は、還元可能な鎖間ジスルフィド(即ち、システイン架橋)を有する。抗体は、DTT(ジチオトレイトール)等の還元剤で処理することによって、リンカー試薬とコンジュゲートさせるために、反応性にすることができる。従って、各システイン架橋は、理論的には、2つの反応性チオール求核基を形成する。リジンと2-イミノチオラン(トラウト試薬)との反応によって、更なる求核基を抗体中に導入して、アミンをチオールに転化させることができる。1個、2個、3個、4個、又はそれ以上のシステイン残基を導入することによって(例えば、1個以上の元々は無かったシステイン・アミノ酸残基を含む変異抗体を調製することによって)、反応性チオール基を、抗体(又はそのフラグメント)に導入することがある。米国特許第7,521,541号は、反応性システイン・アミノ酸を導入することによる工学的に操作した抗体を教示している。
いくつかの実施形態では、前記リンカーに結合した反応性の部分構造Zは、抗体上に存在する求電子基と反応性である求核基である。抗体上の有用な求電子基としてはアルデヒド及びケトンのカルボニル基が挙げられるが、これらに限定されない。求核基のヘテロ原子は、抗体上の求電子基と反応し、前記抗体と共有結合を形成することがある。有用な求核基としては、ヒドラジド、オキシム、アミノ、ヒドロキシル、ヒドラジン、チオセミカルバゾン、ヒドラジン・カルボキシレート、及びアリールヒドラジドが挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、Zは、抗体又はその抗原結合フラグメント内に存在する反応性求核置換基(例えば、アミン及びチオール部分)、及び反応性求電子置換基Zとの間の反応の生成物である。例えば、Zは、特に、マイケル・アクセプター(例えば、マレイミド)、活性化エステル、電子欠損カルボニル化合物、又はアルデヒドであることがある。
いくつかの実施形態では、前記ADCは、本明細書に開示される式I、IA、IB、II、IIA、又はIIBの何れかのアマトキシンに、リンカー及び化学的な部分構造Zを介してコンジュゲートした、抗CD117抗体を含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、ヒドラジン、ジスルフィド、チオエーテル、又はジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、Val-Ala及びVal-Citから選択されるジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、パラ-アミノベンジル基(PAB)を含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、部分PAB-Cit-Valを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、部分PAB-Ala-Valを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、-((C=O)(CH2)n-ユニットを含み、ここで、nは1〜6の整数である。いくつかの実施形態では、前記リンカーは-PAB-Cit-Val-((C=O)(CH2)n-である。
いくつかの実施形態では、前記リンカーは、-(CH2)n- ユニットを含む、ここで、nは2〜6の整数である。いくつかの実施形態では、前記リンカーは-PAB-Cit-Val-((C=O)(CH2)n-である。いくつかの実施形態では、前記リンカーは-PAB-Ala-Val-((C=O)(CH2)n-である。いくつかの実施形態では、前記リンカーは-(CH2)n-である。いくつかの実施形態では、前記リンカーは-((CH2)n-である、ここで、nは6である。
いくつかの実施形態では、前記化学的な部分構造Zは、表3から選択される。いくつかの実施形態では、前記化学的な部分構造Zは
Figure 2021500375

である、
ここで、Sは、CD117に結合する、抗体、又はその抗原結合フラグメント内に存在する反応性置換基を表す硫黄原子である(例えば、システイン残基の-SH基に由来する)。
いくつかの実施形態では、前記リンカーL及び化学的な部分構造Zは、L-Zとして一緒になり、
Figure 2021500375
である。
当業者のある者は、前記抗体、又はその抗原結合フラグメントとコンジュゲートさせる前に、Z基としてマレイミドを含むものとして、リンカー‐反応性置換基の構造を認識する。本明細書中に記載される組成物及び方法と併せることにおいて、とりわけ有用な、上記のリンカーの部分構造及びアマトキシン-リンカー・コンジュゲートは、例えば、米国特許出願公開第2015/0218220号及び特許出願公開第WO2017/149077号に記載され、これらの各々の開示内容は、その全体が本明細書に参照により取り込まれる。
抗体-薬物コンジュゲートの調製
本明細書に開示する式IのADCにおいて、抗体、又はその抗原結合フラグメントは、本明細書に開示するリンカーL及び化学的な部分構造Zを介して、1個以上の細胞毒性薬物部分(D)(例えば、1抗体あたり約1〜約20個の薬物部分)にコンジュゲートしている。本発明のADCは、以下を含む、当業者に公知の有機化学反応、条件、及び試薬を使用するいくつかの経路によって調製され得る:(1)抗体、又はその抗原結合フラグメントの反応性置換基を、2価リンカー試薬と反応させて、本明細書中上記のようなAb-Z-Lを形成させる、続いて、薬物部分Dと反応させる;又は、2)薬物部分の反応性置換基を、2価リンカー試薬と反応させて、D-L-Zを形成させる、続いて、本明細書中上記のような抗体、又はその抗原結合フラグメントの反応性置換基と反応させて、Am-Z-L-Abのような式D-L-Z-AbのADCを形成する。ADCを調製するための更なる方法は、本明細書中に記載される。
別の態様において、前記抗体、又はその抗原結合フラグメントは、1つ以上のスルフヒドリル基を導入するために化学的に修飾され得る1つ以上のリジン残基を有する。次いで、前記ADCは、本明細書中上記に記載するように、スルフヒドリル基の硫黄原子を介してコンジュゲートすることによって形成される。リジンを修飾するために使用することができる試薬としては、限定されるものではないが、N-スクシンイミジルS-アセチルチオアセテート(SATA)及び2-イミノチオラン塩酸塩(Traut’s試薬)が挙げられる。
別の態様において、前記抗体、又はその抗原結合フラグメントは、1つ以上のスルフヒドリル基を有するように化学的に修飾され得る1つ以上の糖鎖部分(carbohydrate groups)を有することがある。次いで、前記ADCは、本明細書中上記に記載されるように、スルフヒドリル基の硫黄原子を介してコンジュゲートすることによって形成される。
更に別の態様において、前記抗体は、酸化されてアルデヒド(-CHO)基を提供し得る1つ以上の糖鎖部分(carbohydrate groups)を有することがある(例えば、Laguzza, et al., J. Med. Chem. 1989, 32(3), 548-55を参照のこと)。次いで、前記ADCは、本明細書中上記に記載されるように、対応するアルデヒドを介してコンジュゲートすることによって形成される。細胞毒素を結合させる又は会合させるためのタンパク質を改変する他のプロトコールは、Coligan et al., Current Protocols in Protein Science, vol. 2, John Wiley & Sons (2002)に記載されている(本明細書に参照により取り込まれる)。
抗体、免疫グロブリン又はそのフラグメント等の細胞にターゲットするタンパク質に、リンカー-薬物部分をコンジュゲートさせるための方法は、例えば、米国特許第5,208,020号; 米国特許第6,441,163号; WO2005037992; WO2005081711; 及びWO2006/034488に記載されている(これらの全ては、その全体が本明細書に参照により取り込まれる)。
或いは、前記抗体及び細胞毒性薬物を含む融合タンパク質を、例えば、組換え技術又はペプチド合成によって、作製することがある。DNAの長さは、互いに隣接するか、又は前記コンジュゲートの所望の特性を破壊しないリンカー・ペプチドをコードする領域によって分離された、前記コンジュゲートの2つの部分をコードするそれぞれの領域を含むことがある。
治療方法
本明細書中に記載される場合、造血幹細胞移植療法は、1種以上の血液細胞型を定植させる又は再定植させるために、治療を必要とする対象に投与され得る。造血幹細胞は、一般に多能性を示し、従って、限定されるものではないが、顆粒球(例えば、前骨髄球、好中球,好酸球、好塩基球)、赤血球(例えば、網状赤血球、赤血球)、血小板(thrombocytes)(例えば、巨核芽球、血小板(platelet)産生巨核球、血小板(platelets))、単球(例えば、単球、マクロファージ)、樹状細胞、ミクログリア、破骨細胞、及びリンパ球(例えば、NK細胞、B細胞及びT細胞)等を含む、複数の様々な血液系列に分化することができる。造血幹細胞は、更に自己複製能を有し、従って、母細胞と同等の潜在能力を有する娘細胞を生じさせることができ、また、移植レシピエントに再導入され、造血幹細胞ニッチにホーミングし、生産的で持続的な造血を再確立する作用能、を特徴とする。
従って、造血系列の1種以上の細胞型において欠陥のある又は欠損した患者に、in vivoで、欠陥のある又は欠損した細胞集団を再構成するために、造血幹細胞を投与することがあり、それによって、内因性の血液細胞集団における欠陥又は欠損に関連する病態を治療することができる。従って、本明細書に記載の組成物及び方法を、非悪性異常ヘモグロビン症(例えば、鎌状赤血球貧血、サラセミア、ファンコニ貧血、再生不良性貧血、及びウィスコット‐アルドリッチ症候群からなる群より選択される異常ヘモグロビン症)を治療するために、使用することがある。更に、又は代わりに、本明細書に記載の組成物及び方法を、先天性免疫不全症等の免疫不全を治療するために使用することがある。更に、又は代わりに、本明細書に記載の組成物及び方法を、後天性免疫不全症(例えば、HIV及びAIDSからなる群より選択される後天性免疫不全症)を治療するために使用することがある。本明細書中に記載される組成物及び方法を、代謝性障害(例えば、グリコーゲン蓄積症、ムコ多糖症、ゴーシェ病、ハーラー病、スフィンゴ脂質症、及び異染性白質ジストロフィー、からなる群から選択される代謝性障害)を治療するために使用することがある。
更に、又は代わりに、本明細書に記載する組成物及び方法を、特に本明細書に記載するコンジュゲートを、使用して、悪性腫瘍又は増殖性障害、例えば血液がん、骨髄増殖性疾患、を治療することができる。がん治療の場合、本明細書に記載する組成物及び方法を、造血幹細胞移植療法の前に内因性の造血幹細胞の集団を減少させるように患者に投与してもよく、その場合、移植した細胞は、内因性の細胞を減少させる工程によって作り出されたニッチにホーミングし、生産的な造血を確立することができる。これによって、全身性の化学療法の間のようながん細胞を根絶させる間に減少した細胞の集団を、今度は再構成することができる。本明細書に記載する組成物及び方法を用いて治療することができる例示的な血液がんには、限定されるものではないが、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、及び非-ホジキン・リンパ腫(non-Hodgkin’s lymphoma)、並びに神経芽細胞腫を含む他のがん症状が含まれる。
本明細書に記載する組成物及び方法で治療することができる更なる疾患としてはアデノシン・デアミナーゼ欠損症及び重度複合免疫不全症、高免疫グロブリンM症候群、チェディアック‐東病、遺伝性リンパ組織球症、大理石骨病、骨形成不全症、貯蔵疾患、サラセミア・メジャー、全身性硬化症、全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus)、多発性硬化症、並びに若年性関節リウマチが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本明細書中に記載される抗体、又はその抗原結合フラグメント、及びコンジュゲートを使用して、固形臓器の移植トレランスを誘導することがある。例えば、本明細書中に記載される組成物及び方法を使用して、ターゲット組織から細胞の集団を減少させるか又は欠損させることがある(例えば、骨髄幹細胞ニッチから造血幹細胞を減少させる)。前記ターゲット組織から細胞をこのように減少させた後、臓器ドナーから幹細胞又は前駆細胞の集団(例えば、臓器ドナー由来の造血幹細胞)を移植レシピエントに投与することがある。そしてこのような幹細胞又は前駆細胞が生着した後では、一時的な又は安定な混合キメラとなり、これにより、免疫抑制剤を更に必要とすることなく、長期の移植臓器トレランスが可能になる。例えば、本明細書に記載の組成物及び方法を使用して、固形臓器の移植レシピエントにおいて移植トレランスを誘導することがある(例えば、とりわけ、腎臓移植、肺移植、肝臓移植、及び心臓移植)。本明細書に記載する組成物及び方法は、例えば、一時的な又は安定なドナーの生着が低割合でも移植した臓器の長期トレランスが充分に誘導されるので、固形臓器の移植トレランスを誘導することに関連して使用する目的に充分に適している。
更に、本明細書に記載の組成物及び方法を使用して、CD117+である細胞を特徴とするがん等のがんを直接的に治療することがある。例えば、本明細書中に記載される組成物及び方法を使用して、特に、CD117+白血病細胞を示す患者において、白血病を治療することがある。CD117+がん性細胞(例えば、白血病性細胞)を減少させることによって、本明細書中に記載される組成物及び方法を使用して、種々のがんを直接的に治療することができる。この様式で治療することがある例示的ながんには、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、及び非-ホジキン・リンパ腫(non-Hodgkin’s lymphoma)のような血液がんが含まれる。
急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia:AML)は、異常な白血球が急速に増殖して骨髄中に蓄積し、正常な血液細胞の産生が妨げられることを特徴とする、血液細胞の骨髄系のがんである。AMLは成人が罹患する最も一般的な急性白血病であり、その発生率は年齢とともに増加する。AMLの症状は、正常な骨髄が白血病細胞に置き換わることによって引き起こされ、白血病細胞は赤血球、血小板(platelets)、正常な白血球の減少を引き起こす。急性白血病として、AMLは急速に進行し、放置すると数週間から数カ月以内に致死的となることがある。ある実施形態において、本明細書に記載する抗CD117 ADCは、治療を必要とするヒト患者におけるAMLを治療するために使用される。ある特定の実施形態において、前記抗CD117 ADC治療により、その治療を受けた対象中のAML細胞を減少させる。いくつかの実施形態において、AML細胞の50%以上が減少する。他の実施形態では、AML細胞の60%以上が減少する、若しくはAML細胞の70%以上が減少する、又はAML細胞の80%以上90%以上、若しくは95%以上が減少する。ある特定の実施形態において、前記抗CD117 ADC治療は、単回投与の治療である。ある特定の実施形態において、単回投与の抗CD117 ADC治療により、AML細胞の60%、70%、80%、90%又は95%以上が減少する。
更に、本明細書中に記載される組成物及び方法を使用して、自己免疫障害を治療することがある。例えば、抗体、又はその抗原結合フラグメントを、CD117+免疫細胞を死滅させるために、自己免疫障害に罹患しているヒト患者のような対象に投与することがある。前記CD117+免疫細胞は、自己抗原に特異的に結合するT-細胞レセプターを発現する、及び自己抗原に対して免疫反応を開始する、T-細胞のような自己反応性リンパ球であることがある。自己反応性CD117+細胞を減少させることによって、本明細書に記載する組成物及び方法を使用して、以下に記載されるような自己免疫性の病態を治療することがある。更に、又は代わりに、本明細書に記載する組成物及び方法を使用して、造血幹細胞移植療法の前に、内因性の造血幹細胞の集団を減少させることによって、自己免疫疾患を治療することがあり、その場合、移植した細胞は、内因性の細胞を減少させる工程によって作り出されたニッチにホーミングし、生産的な造血を確立することがある。これにより、自己免疫細胞を根絶させる間に減少した細胞の集団を、今度は再構成させることができる。
本明細書に記載する組成物及び方法を用いて治療することができる自己免疫疾患としては、限定されるものではないが、乾癬、乾癬性関節炎、1型糖尿病(1型糖尿病)、関節リウマチ(RA)、ヒト全身性エリテマトーデス(SLE)、多発性硬化症(MS)、炎症性腸疾患(IBD)、リンパ球性大腸炎、急性散在性脳脊髄炎(ADEM)、アジソン病、汎発性脱毛症、強直性脊椎炎、抗リン脂質抗体症候群(APS)、再生不良性貧血、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫性内耳疾患(AIED)、自己免疫性リンパ増殖症候群(ALPS)、自己免疫性卵巣炎、バロー病、ベーチェット病、水疱性類天疱瘡、心筋症、シャーガス病、慢性疲労免疫不全症候群(CFIDS)、慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー、クローン病、瘢痕性類天疱瘡、セリアック・スプルー疱疹状皮膚炎、寒冷凝集素症、CREST症候群、デゴス病、円板状エリテマトーデス、自律神経障害、子宮内膜症、本態性混合型クリオグロブリン血症、線維筋痛症−線維筋炎、グッドパスチャー症候群、グレーブス病、ギラン‐バレー症候群(GBS)、橋本甲状腺炎、化膿性汗腺炎、特発性及び/又は急性血小板減少性紫斑病、特発性肺線維症、IgAニューロパチー、間質性膀胱炎、若年性関節炎、川崎病、扁平苔癬、ライム病、メニエール病、混合性結合組織病(MCTD)、重症筋無力症、ニューロミオトニア、オプソクローヌス・ミオクローヌス症候群(OMS)、視神経炎、オルド甲状腺炎(Ord's thyroiditis)、尋常性天疱瘡、悪性貧血、多発軟骨炎、多発性筋炎及び皮膚筋炎、原発性胆汁性肝硬変、結節性多発動脈炎、多内分泌腺症候群、リウマチ性多発筋痛症、原発性無ガンマグロブリン血症(primary agammaglobulinemia)、レイノー現象、ライター症候群、リウマチ熱、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、スティッフ・パーソン症候群、高安動脈炎、側頭動脈炎(巨細胞性動脈炎としても知られる)、潰瘍性大腸炎、膠原線維性大腸炎、ぶどう膜炎、血管炎、白斑、外陰部痛(外陰部前庭炎)、及びヴェーゲナー肉芽腫症、が挙げられる。
投与経路及び投与方法
本明細書中に記載されるADC、抗体、又はその抗原結合フラグメントを、種々の投薬形態で患者(例えば、がん、自己免疫疾患に罹患しているか、又は造血幹細胞移植療法を必要とするヒト患者)に投与することがある。例えば、本明細書中に記載される抗体、又はその抗原結合フラグメントを、がん、自己免疫疾患に罹患しているか、又は造血幹細胞移植療法を必要とする患者に、水溶液(例えば、1種以上の薬学的に許容可能な賦形剤を含む水溶液等)の形態で投与することがある。本明細書に記載の組成物及び方法と共に使用するための薬学的に許容される賦形剤には、粘度調整剤が含まれる。前記水溶液を、当該技術分野で公知の技術を使用して滅菌することがある。
本明細書中に記載されるような抗CD117ADC又は抗体を含む医薬製剤は、このようなADC又は抗CD117抗体を、1種以上の任意選択的な薬学的に許容可能な担体と混合することによって(Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition、Osol、AEd.(1980))、凍結乾燥製剤又は水溶液の形態で、調製される。薬学的に許容可能な担体は、一般に、使用する用量及び濃度で、レシピエントに対して無毒性であり、これには、限定されるものではないが、以下が挙げられる:リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸等のバッファー;アスコルビン酸及びメチオニンを含む酸化防止剤;保存剤(塩化オクタデシルジメチルベンジル・アンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル若しくはベンジル・アルコール;メチル若しくはプロピルパラベン等のアルキル・パラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール等);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、若しくは免疫グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、若しくはリジンなどのアミノ酸;単糖類、二糖類、及びグルコース、マンノース、若しくはデキストリンなどの他の糖類;EDTAなどのキレート剤;ショ糖、マンニトール、トレハロース、若しくはソルビトールなどの糖類;ナトリウムなどの塩形成性対イオン;金属複合体(例えば、Zn-タンパク質複合体);並びに/又はポリエチレン・グリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤。
本明細書に記載のADC、抗体又は抗原結合フラグメントを、経口、経皮、皮下、鼻腔内、静脈内、筋肉内、眼内、又は非経口等の様々な経路によって投与することがある。任意の所与のケースにおいて、投与に最も適した経路は、投与される特定の抗体、又は抗原結合フラグメント、患者、医薬製剤方法、投与方法(例えば、投与時刻及び投与経路)、患者の年齢、体重、性別、治療する疾患の重症度、患者の食事、及び患者の排泄速度に依存する。
本明細書中に記載されるADC、抗体、又はその抗原結合フラグメントの有効用量は、例えば、単回(例えば、ボーラス)投与、複数回投与、又は持続投与あたりで、体重に関して約0.001〜約100 mg/kgの範囲にすることで、前記抗体、又はその抗原結合フラグメントは最適な血中濃度(例えば、0.0001〜5000 μg/mLの血中濃度)になることがある。前記投与量を、がん、自己免疫疾患に罹患している対象、又は造血幹細胞移植を受けることに備えてコンディショニング療法を受けている対象(例えば、ヒト)に、1日、1週間、又は1ヶ月あたり1回以上(例えば、2〜10回)、投与することがある。造血幹細胞移植前におけるコンディショニング処置の場合では、前記ADC、抗体、又はその抗原結合フラグメントを、外因性の造血幹細胞の生着が最適に促進される時に、例えば、外因性の造血幹細胞移植物を投与する1時間〜1週間(例えば、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、24時間、2日、3日、4日、5日、6日、又は7日)又はそれ以上前に、前記患者に投与することがある。
本明細書に開示される図1、22、及び23で提供されるデータは、表1及び2に開示される配列を含む、本明細書に記載する組成物及び方法に基づくデータを表し、本発明を単に例示することのみを意図し、本発明者がその発明とみなす範囲を限定することを意図しない。
実施例1〜3(図2〜4に提供されるデータを含む)において、CD117-ADCはCK6(細胞周期を回っている細胞及び回っていない細胞を減少させることができる毒素にコンジュゲートしている、CD117に特異的な完全ヒト・アンタゴニスト抗体)である。そのアイソタイプ・コントロールADCは、CD117-ADCと同じ毒素にコンジュゲートしたターゲットを有さないモノクローナル・ヒトIgG抗体である。実施例1から3に記載する実験において、コントロールのそのままの(naked)CD117抗体は、CD117-ADCにおいて使用したのと同じCK6抗体である。
実施例1.in vitro細胞傷害アッセイを用いた抗CD117-ADCのin vitro解析
以下の実施例におけるADCで使用する抗CD117抗体は、アマトキシンにコンジュゲートした抗CD117抗体CK6である。Kasumi-1細胞を用いたin vitro傷害アッセイのために、Kasumi-1細胞をATCCガイドラインに従って増殖させた。より具体的には、Kasumi-1細胞をCD117-ADC又はコントロールの存在下で3日間培養した。細胞生存率はCelltiter Gloにより測定した。ヒトHSC(即ち、CD34+で選択して単離した初代ヒト骨髄細胞(BMC))を用いたin vitro傷害アッセイについて、ヒトCD34+ BMCを、SCFの有り又は無しで、IL-6、TPO、及びFLT-3リガンドの存在下で、CD117-ADC又はそのコントロールと共に5日間培養した。生細胞数はフロー・サイトメトリーにより測定した。培養中の全有核細胞の傷害は、図4の結果を示した。
図2A及び2Bの結果は、CD117-ADCが、in vitroで、CD117発現細胞株(例えば、Kasumi-1細胞)又は初代ヒトCD34+細胞に傷害を加えるのに非常に効果的であることを示す(白血病細胞株Kasumi-1の90%超が傷害を受けることを示し(図2A;IC50= 1.6 pM)、in vitro培養中の初代ヒトCD34+骨髄細胞に対して、同じく効果的な傷害を与えることを示す(図2B; IC50= 21 pM))。従って、CD117-ADCは、CD117発現細胞株及び初代ヒトCD34+細胞に傷害を与えるのに非常に効果的である。
実施例2.抗CD117-ADCを用いたin vivo HSC減少アッセイ
以下の実施例におけるADCで使用する抗CD117抗体は、アマトキシンにコンジュゲートした抗体CK6である。ヒト化マウス(Jackson Laboratoriesから購入)を用いて、in vivo HSC減少アッセイを実施した。図3Aに模式的に示すように、ヒト化NSGマウスに対して、CD117-ADC (0.3mg/kgのCD117-ADCを単回注射)又はコントロールを、0日目に、単回用量で、投与した。PBMCを7、14、及び21日目に採取し、フロー・サイトメトリーにより評価した。21日目(注射後)に、骨髄中のヒトCD34+細胞の有無を定量した。CD117-ADC又はコントロール処置マウス(CD117に結合しない、アイソタイプが同じ抗体)の末梢血中に存在するヒト骨髄細胞の割合(図3B)又はT細胞の割合(図3C)を測定し、処置前におけるその細胞集団に対するパーセントで表した(ベースラインに対して標準化した)。CD117-ADC又はコントロール処置マウスの、前記抗体薬物コンジュゲートを単回投与した21日後における、骨髄中のCD34+細胞の絶対数を図3Dに示す。
本結果は、CD117-ADCで処置したヒト化NSGマウスでは、前記ADCを単回投与した21日後に、骨髄におけるヒトHSPCが90%以上減少したことを示す。CD34+ CD90+及びCD34+、CD90+、CD117+細胞についても、同様の結果が得られた(データは示していない)。HSPCに対するCD117-ADCの特異性を、末梢ヒト・リンパ球の集団が安定して存在すること、及びヒト骨髄細胞が無いことによって確認した。このことは、これらの短寿命の細胞を補充することができる幹細胞及び前駆細胞が欠失していることを示している。従って、これらのデータは、前記CD117-ADCが、ヒト化NSGマウスの骨髄において、ヒトCD34+細胞を減少させることを示す。
実施例3.抗CD117-ADCを用いたin vivoの腫瘍の研究
以下の実施例で使用する、ADC及びそのまま(naked)の抗体として使用する抗CD117抗体は、CK6である。この実施例におけるCK6抗体にコンジュゲートした薬剤は、アマトキシンである。500万個のKasumi-1細胞をナイーブNSGマウスに静注した。7日目(図4C)又は42日目(図4D)に、マウスを、CD117-ADC (0.3mg/kg)又はコントロール(CD117抗体群については0.3mg/kg又は1.0mg/kgの何れか)で処置した。安楽死させた後、マウスの骨髄を、Kasumi-1細胞の存在について解析した。図4Aは、培養したKasumi-1細胞の表現型解析を示す。図4Bは、担腫瘍マウスの安楽死時の骨髄に由来するKasumi-1細胞の表現型解析を示す。図4Cは、CD117-ADC又はコントロールで処置したマウスの生存曲線をグラフで示す。図4Dは、CD117-ADC又はコントロールで処置したマウス(図4Cで処置したマウスよりも大きな腫瘍負荷を有する)の生存曲線をグラフで示す。未処置群、CD117抗体群、CD117-ADC群には、少なくとも5匹のマウスをおいた。
図4Cに示すように、抗CD117-ADCの単回用量で処置した動物は、注射後150日であっても、100%の生存を示した。一方、そのコントロールを投与した動物では、注射後110日で、%生存率が有意に減少した。図4Dで示すように、抗CD117-ADCの単回用量で処置した動物は、注射後130日であっても、100%の生存を示した。一方、そのコントロールを投与した動物は、注射後100日で、%生存率が有意に減少した。これらの結果はまた、CD117-ADCは、所与の用量で良好な忍容性を示し、それで処置したマウスが完全に生存することは、可能であることを示す。
実施例4.抗CD117-ADCを用いたin vivoのHSC減少/生着アッセイ
以下の実施例のADCに用いた抗CD117抗体は、2B8である。
B6マウス(Jackson Laboratoriesから購入)を用いて、in vivo のHSC減少アッセイを実施した。図5Aに模式的に示すように、抗CD117-ADC (1.0 mg/kg、i.v. 抗CD117-ADCの単回注射)又はコントロールを、0日目に、B6マウスに対して、単回用量で投与した。抗CD117 ADCを単回投与した4日後に、1x107個のドナーCD45.1+ドナー細胞を注射した。4、8、16、20週目に血液を採取し、20週目に骨髄を採取し、フロー・サイトメトリーで調べた。移植後、抗CD117-ADC又はコントロールで処置したB6マウス由来の骨髄中の、Kit+SCA+CD150+CD48+細胞の有無を、定量した(図5B)。抗CD117-ADC又はコントロールで処置したB6マウスにおけるドナーキメラの割合を図5Cに示す。
本結果は、抗CD117-ADC (即ち、CD117-サポリン)で処置したB6マウスでは、前記ADCを単回投与した後、Kit+SCA+CD150+CD48+細胞が95%超減少することを示す。更に、本結果は、抗CD117-ADC (即ち、CD117-サポリン)で処置したB6マウスは、処置後に70%を超えるドナーキメリズムを有するようになることを示し、抗CD117-ADC (即ち、CD117-サポリン)による処置によって、ドナーがしっかりと生着することが可能になることを示す。
実施例5.非ヒト霊長類での薬物動態の解析
非ヒト霊長類の薬物動態アッセイを実施し、アイソタイプのコントロール抗体(即ち、「野生型抗体」)の濃度(ng/mL)の変化を、より短い半減期を有するFc-改変CK6バリアント抗体(即ち、H435A Fc変異体;バリアントとは、そのFcを改変したことをいう)と比較して、時間を横軸にして(投与後)評価した。図6の結果は、CK6バリアント抗体が、非ヒト霊長類において、有意により短い半減期を特徴とすることを示す。
実施例6.抗CD117-ADCを用いたin vivo のHSC減少アッセイ
実験を実施して、実施例5のFc-改変CK6バリアント抗体(即ち、H435A Fc変異;この実施例におけるバリアントとは、そのFcを改変したことをいう)を野生型抗CD117 ADC (アマトキシンにコンジュゲートしたCK6抗体を含む)と比較した。ヒト化マウス(Jackson Laboratoriesから購入)を用いて、in vivo のHSC減少アッセイを実施した。実施例5のFc-改変CK6バリアント抗体(即ち、H435A Fc変異)を、ヒト化マウス・モデルに、1mg/kgのCD117-ADC、0.3mg/kgのCD117-ADC、0.1mg/kgのCD117-ADC、又は0.03mg/kgのCD117-ADCを、単回注射として投与した。更に、野生型抗CD117 ADCを、0日目に、1mg/kg、0.3mg/kg、0.1mg/kg、又は0.03mg/kgの単回注射として、ヒト化マウスに、同様に投与した。21日目に骨髄を採取し、フロー・サイトメトリーにより評価した(図7A)。治療レジメンでの単回投与後21日目における、処置マウス又はコントロール処置マウスの骨髄中のCD34+細胞の絶対数を、図7Bに示す。
本結果は、Fc-改変CK6バリアント抗体と野生型(未改変のFc領域)抗CD117 ADCの両方で処置したヒト化NSGマウスでは、前記ADCを単回投与した21日後に、コントロールと比較して、骨髄におけるヒトHSPCが有意に減少したこと、を示す(図7B)。更に、図7Aのフロー・サイトメトリーのデータは、野生型抗CD117-ADCが、コントロール(即ち、アイソタイプADC (1 mg/kg)及び抗CD117抗体(CK6)(1 mg/kg))と比較して、ヒト化NSGマウスの骨髄中のヒトCD34+細胞を有意に減少させること、を示した。
実施例7.抗CD117-ADCを用いたin vivo のHSC減少アッセイ
更なる実験を行って、実施例5のFc-改変CK6バリアント抗体(即ち、H435A Fc変異;この実施例におけるバリアントとは、前記Fc領域のことをいう)を、野生型抗CD117 ADC (アマトキシンにコンジュゲートした無置換のFc領域を有するCK6抗体)と比較した。ヒト化マウス(Jackson Laboratoriesから購入)を用いて、in vivoのHSC減少アッセイを実施した。実施例5のFc-改変CK6バリアント抗体(即ち、H435A Fc変異)を、1mg/kgのCD117-ADC、0.3mg/kgのCD117-ADC、0.1mg/kgのCD117-ADC、又は0.03mg/kgのCD117-ADCの単回注射として、ヒト化マウス・モデルに、投与した。更に、野生型抗CD117 ADCを、1mg/kgのCD117-ADC、0.3mg/kgのCD117-ADC、0.1mg/kgのCD117-ADC、又は0.03mg/kgのCD117-ADCの単回注射として、0日目に、ヒト化マウスに、同様に投与した。21日目に血液を採取し、フロー・サイトメトリーにより評価した。21日目の処置マウス又はコントロール処置マウスの、ヒトCD33+(図8A)、ベースラインに対するヒトCD3+(図8B)、及びヒトCD19+(図8C)の割合を示す。
本結果は、Fc-改変CK6バリアント抗体及び野生型抗CD117 ADCで処置したヒト化NSGマウスでは、治療レジメンでの単回投与21日後に、ベースラインに対してヒトCD33+骨髄細胞が有意に減少することを示し(図8A)、並びに、抗CD117 Fc-改変CK6 ADC及び野生型抗CD117 CK6 ADCの両方が、初期前駆細胞を減少させた結果として骨髄細胞を減少させることを示す。更に、本結果は、抗CD117 Fc-改変CK6 ADC及び野生型抗CD117 CK6 ADCの両方とも、治療レジメンでの単回投与21日後に、ヒト末梢リンパ球(例えば、T細胞(ヒトCD3+細胞としてモデル化される)及びB細胞(CD19+細胞としてモデル化される))を有意に減少させないことを示す。
実施例8.新規な抗CD117抗体の同定
CK6の機能的なアンタゴニスト作用及び細胞内部に取り込まれる特性を維持しながら、CK6より良好な親和性特性を有するように改善した抗CD117抗体を同定するために、ヒトCK6抗体の誘導体(即ち、HC-1/LC-1(Ab1))に基づいて、ヒトFabファージ・ディスプレイ・ライブラリーを作成した。スクリーニングの基礎として用いたCK6誘導体は、Ab1(軽鎖及び重鎖可変領域内に保存的なアミノ酸置換を含むCK6のバリアント)とした。前記ライブラリーを確立した後、スクリーニング・プロセスを、当該技術分野で公知の標準的なファージ・ディスプレイ親和性成熟化方法に従って実施した。簡単に説明すると、前記HC-1を、混合ドナー由来のヒト・カッパ軽鎖のプールと合わせた。次にファージ・ディスプレイ選択を行い、パニングのラウンドを反復して行った後に、オフレート(off-rate)が改善したクローンを選択的に同定した。次いで、抗体をスクリーニングして、ヒトCD117に対する親和性が変化した新規な抗CD117抗体(例えば、CK6抗体の動態学的な特性(細胞内部に取り込まれること等を含む)を維持しながらも、オフレート(off-rate)が改善した抗体)を同定した。
所望のターゲットに結合することを確認するために、精製した組換えヒトCD117エクトドメインへの結合について、バイオレイヤー干渉法(Bio-Layer Interferometry (BLI))により、精製した抗体を解析した。ファージ・ディスプレイの一連のキャンペーンにより同定した抗体についての結合解析を行うと、多数の誘導体が、HC-1/LC-1と比較して、解離速度の動態が改善していることが明らかになった(図1)。見掛けの動態値を表4に示す。表4には、BLIで測定した、精製したヒトCD117エクトドメイン(R&Dシステム#332-SR)に対する、示した精製IgGについての、見掛けの一価親和性(KD)、見掛けの結合速度(kon)、及び見掛けの解離速度(kdis)を、リストする。
Figure 2021500375
これらの抗体のサブセットを操作して、ファージ・ディスプレイの一連のキャンペーンではサンプリングされなかったが、配列変異が共同することで有益な親和性を提供する可能性がある、親和性改変置換の組み合わせを調べた。抗体77、79、及び81(それぞれAb77、Ab79、及びAb81)は、派生的な誘導体(subsidiary derivative)の代表例であり、より詳細に以下に記載する。
抗体77(HC-77/LC-77を有する)
抗体77(Ab77)の重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列を、配列番号(SEQ ID NO):7として、以下に提供する。Ab77のVH CDRアミノ酸配列に下線を付し、以下に示す: TYWIG (VH CDR1; 配列番号(SEQ ID NO): 163); IIYPGDSDTRYSPSFQG (VH CDR2; 配列番号(SEQ ID NO): 2); 及び HGRGYNGYEGAFDI (VH CDR3; 配列番号(SEQ ID NO): 3)。
Ab77のVH配列
Figure 2021500375
(配列番号(SEQ ID NO): 7)
Ab77の軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列を、配列番号(SEQ ID NO):91として、
以下に提供する。Ab77のVL CDRアミノ酸配列は、以下に下線を付し、以下に示す: RASQGVISALA (VL CDR1; 配列番号(SEQ ID NO): 164); DASILES (VL CDR2; 配列番号(SEQ ID NO):165); 及び QQFNSYPLT (VL CDR3; 配列番号(SEQ ID NO): 166)。
Ab77のVL配列
Figure 2021500375
(配列番号(SEQ ID NO): 91)
抗体79(HC79/LC79を有する)
Ab79の重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列を、配列番号(SEQ ID NO): 7として、以下に提供する。Ab79のVH CDRアミノ酸配列に下線を付し、以下に示す: TYWIG (VH CDR1; 配列番号(SEQ ID NO): 163); IIYPGDSDTRYSPSFQG (VH CDR2; 配列番号(SEQ ID NO): 2); 及び HGRGYNGYEGAFDI (VH CDR3; 配列番号(SEQ ID NO): 3)。
Ab79のVH配列
Figure 2021500375
(配列番号(SEQ ID NO): 7)
Ab79の軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列を、配列番号(SEQ ID NO): 93として、以下に提供する。Ab79のVL CDRアミノ酸配列に下線を付し、以下に示す: RASQGVGSALA (VL CDR1; 配列番号(SEQ ID NO): 167); DASILES (VL CDR2; 配列番号(SEQ ID NO): 165); 及び QQFNSYPLT (VL CDR3; 配列番号(SEQ ID NO): 166)。
Ab79のVL配列
Figure 2021500375
(配列番号(SEQ ID NO): 93)
抗体81(HC-81/LC-81を有する)
Ab81の重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列を、配列番号(SEQ ID NO): 7として、以下に提供する。Ab81のVH CDRアミノ酸配列に下線を付し、以下に示す: TYWIG (VH CDR1; 配列番号(SEQ ID NO): 163); IIYPGDSDTRYSPSFQG (VH CDR2; 配列番号(SEQ ID NO): 2); 及び HGRGYNGYEGAFDI (VH CDR3; 配列番号(SEQ ID NO): 3)。
Ab81のVH配列
Figure 2021500375
(配列番号(SEQ ID NO): 7)
Ab81の軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列を、配列番号(SEQ ID NO): 95として、以下に提供する。Ab81のVL CDRアミノ酸配列に下線を付し、以下に示す: RASQGVISALA (VL CDR1; 配列番号(SEQ ID NO): 164); DASTLES (VL CDR2; 配列番号(SEQ ID NO): 168); 及び QQFNSYPLT (VL CDR3; 配列番号(SEQ ID NO): 166)。
Ab81のVL配列
Figure 2021500375
(配列番号(SEQ ID NO): 95)
軽鎖のCDR1及びCDR2において、反復によるライブラリー出力からなるクローンのこのサブセットにより、その後のin vitro結合アッセイにおいて、共同的置換を解析することが可能になった。
実施例9.in vitroの抗体結合試験
実施例8で同定した抗体について結合を試験した。抗体結合試験を、25℃セルシウスで、0.1% w/vのウシ血清アルブミンを添加した1x PBS中、バイオレイヤー干渉法(Bio-Layer Interferometry (BLI))を用いたPall ForteBio Octet Red96により、行った。示した精製ヒト抗体(IgG1として)を抗ヒトFcバイオセンサ(AHC; Pall ForteBio 18-5063)上に固定化し、33.3 nM及び11 nMのCD117エクトドメイン(R&Dシステム#332-SR)とインキュベートした。
結合曲線と解離曲線を表す、得られた結合インターバルを図9に示した。示した精製IgG (即ち、HC-77/LC-106 IgG; HC-109/LC-110 IgG;及びHC-113/LC-114 IgG)について、Fortebioデータ解析ソフトウェア・バージョン10によって計算する1:1結合モードの局所完全フィッティングによって、精製ヒトCD117エクトドメイン(R&D Systems #332-SR)に対する、見掛けの一価親和性(KD)、見掛けの結合速度(kon)、及び見掛けの解離速度(kdis)を測定した(表5)。表5に、精製ヒトCD117エクトドメイン(R&Dシステム#332-SR)に対する、示した精製IgGの、見掛けの一価親和性(KD)、見掛けの結合速度(kon)、及び見掛けの解離速度(kOFF)を示す。本結果は、精製IgG (即ち、HC-77/LC-77 IgG; HC-79/LC-79 IgG;及びHC-81/LC-81 IgG)は、精製ヒトCD117エクトドメインに高い親和性で結合し、HC-1/LC-1精製IgGと比較すると、著しく遅いkdis(1/s)を特徴とする、ことを実証する。
Figure 2021500375
表5に記載されているように、抗体Ab77、Ab79、及びAb81のそれぞれは、親抗体Ab1と比較して結合(KD)が改善していた。驚くべきことに、その高いレベルの親和性が維持された一方で、解離速度は改善された。
実施例10.抗CD117抗体85(Ab85)、抗CD117抗体86(Ab86)、抗CD117抗体87(Ab87)、抗CD117抗体88(Ab88)、及び抗CD117抗体89(Ab89)の同定
実施例8及び9に記載したスクリーニングに加えて、抗体CK6に基づいた第2のスクリーニングも実施した。ヒトCK6抗体の誘導体に基づいてscFvファージ・ディスプレイ・ライブラリーを作製した(実施例8のように、CK6バリアントはAb1とした)。簡単に説明すると、脱アミド化される可能性のある部位(NG)を除去するためにCDRH3バリアントの小さな合成ライブラリーを作製し、IGHV5-51又はIGHV1-46のヒト骨格の何れかの大きな多様性ライブラリーに導入した。このスクリーニングは、重鎖のCDR3領域におけるアミノ酸の位置を定めたチャレンジであった。その合成ライブラリーを、IGKV1-39軽鎖ヒト骨格の大きな多様性ライブラリーと組み合わせた。次にファージ・ディスプレイ選択を行い、パニングのラウンドを反復して行った後に、オフレート(off-rate)が改善したクローンを選択的に同定した。次いで、抗体をスクリーニングして、ヒトCD117に対する親和性が改善された新規な抗CD117抗体を同定した。ある特定の抗体(以下に同定した抗体等を含む)を、本スクリーニングを用いて同定した。
抗体85(Ab85)、86(Ab86)、87(Ab87)、88(Ab88)、及び89(Ab89)が、新規な治療用ヒト抗CD117抗体として、本スクリーニングで同定された。Ab85、Ab86、Ab87、Ab88、及びAb89(CDRドメイン等を含む)の重鎖及び軽鎖可変領域を、表6に示す。
Figure 2021500375
抗体HC-85/LC-85 (Ab 85)
Ab85の重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列を、配列番号(SEQ ID NO): 143として、以下に提供する。Ab85のVH CDRアミノ酸配列に下線を付し、以下に示す: NYWIG (VH CDR1; 配列番号(SEQ ID NO): 145); IINPRDSDTRYRPSFQG (VH CDR2; 配列番号(SEQ ID NO): 146); 及び HGRGYEGYEGAFDI (VH CDR3; 配列番号(SEQ ID NO): 147)。
Ab85のVH配列
Figure 2021500375
(配列番号(SEQ ID NO): 143)
Ab85の軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列を、配列番号(SEQ ID NO): 144として、以下に提供する。Ab85のVL CDRアミノ酸配列に下線を付し、以下に示す: RSSQGIRSDLG (VL CDR1; 配列番号(SEQ ID NO): 148); DASNLET (VL CDR2; 配列番号(SEQ ID NO): 149); 及び QQANGFPLT (VL CDR3; 配列番号(SEQ ID NO): 150)。
Ab85 のVL配列
Figure 2021500375
(配列番号(SEQ ID NO): 144)
抗体HC-86/LC-86(Ab86)
Ab86の重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列を、配列番号(SEQ ID NO): 151として、以下に提供する。VH CDRアミノ酸配列Ab86に下線を付し、以下に示す: NYWIG (VH CDR1; 配列番号(SEQ ID NO): 145); IIYPGDSDIRYSPSLQG (VH CDR2; 配列番号(SEQ ID NO): 153); 及び HGRGYNGYEGAFDI (VH CDR3; 配列番号(SEQ ID NO): 3)。
Ab86のVH配列
Figure 2021500375
(配列番号(SEQ ID NO): 151)
Ab86の軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列を、配列番号(SEQ ID NO): 152として、以下に提供する。Ab86のVL CDRアミノ酸配列に下線を付し、以下に示す: RASQGIGDSLA (VL CDR1; 配列番号(SEQ ID NO): 154); DASNLET (VL CDR2; 配列番号(SEQ ID NO): 149); 及び QQLNGYPIT (VL CDR3; 配列番号(SEQ ID NO): 155)。
Ab86のVL配列
Figure 2021500375
(配列番号(SEQ ID NO): 152)
抗体HC-87/LC-87(Ab87)
Ab87の重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列を、配列番号(SEQ ID NO): 143として、以下に提供する。Ab87のVH CDRアミノ酸配列に下線を付し、以下に示す: NYWIG (VH CDR1; 配列番号(SEQ ID NO): 145); IINPRDSDTRYRPSFQG (VH CDR2; 配列番号(SEQ ID NO): 146); 及び HGRGYEGYEGAFDI (VH CDR3; 配列番号(SEQ ID NO): 147)。
Ab87のVH配列
Figure 2021500375
(配列番号(SEQ ID NO): 143)
Ab87の軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列を、配列番号(SEQ ID NO): 156として、以下に提供する。Ab87のVL CDRアミノ酸配列に下線を付し、以下に示す: RASQGIRNDLG (VL CDR1; 配列番号(SEQ ID NO): 157); DASSLES (VL CDR2; 配列番号(SEQ ID NO): 5); 及び QQLNGYPIT (VL CDR3; 配列番号(SEQ ID NO): 155)。
Ab87のVL配列
Figure 2021500375
(配列番号(SEQ ID NO): 156)
抗体HC-88/LC-88(Ab88)
Ab88の重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列を、配列番号(SEQ ID NO): 158として、以下に提供する。Ab88のVH CDRアミノ酸配列に下線を付し、以下に示す: NYWIG (VH CDR1; 配列番号(SEQ ID NO): 145); IIYPGDSLTRYSPSFQG (VH CDR2; 配列番号(SEQ ID NO): 159); 及び HGRGYNGYEGAFDI (VH CDR3; 配列番号(SEQ ID NO): 3)。
Ab88のVH配列
Figure 2021500375
(配列番号(SEQ ID NO): 158)
Ab88の軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列を、配列番号(SEQ ID NO): 156として、以下に提供する。Ab88のVL CDRアミノ酸配列に下線を付し、以下に示す: RASQGIRNDLG (VL CDR1; 配列番号(SEQ ID NO): 157); DASSLES (VL CDR2; 配列番号(SEQ ID NO): 5); 及び QQLNGYPIT (VL CDR3; 配列番号(SEQ ID NO): 155)。
Ab88のVL配列
Figure 2021500375
(配列番号(SEQ ID NO): 156)
抗体HC-89/LC-89(Ab89)
Ab89の重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列を、配列番号(SEQ ID NO): 160として、以下に提供する。Ab89のVH CDRアミノ酸配列に下線を付し、以下に示す: NYWIG (VH CDR1; 配列番号(SEQ ID NO): 145); IIYPGDSDTRYSPSFQG (VH CDR2; 配列番号(SEQ ID NO): 2); 及び HGRGYNGYEGAFDI (VH CDR3; 配列番号(SEQ ID NO): 3)。
Ab89のVH配列
Figure 2021500375
(配列番号(SEQ ID NO): 160)
Ab89の軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列を、配列番号(SEQ ID NO): 152として、以下に提供する。Ab89のVL CDRアミノ酸配列に下線を付し、以下に示す: RASQGIGDSLA (VL CDR1; 配列番号(SEQ ID NO): 154); DASNLET (VL CDR2; 配列番号(SEQ ID NO): 149);及び QQLNGYPIT (VL CDR3; 配列番号(SEQ ID NO): 155)。
Ab89のVL配列
Figure 2021500375
(配列番号(SEQ ID NO): 152)
実施例11.抗体85、抗体86、抗体87、抗体88及び抗体89のin vitro結合試験
Ab85、Ab86、Ab87、Ab88、及びAb89を、標準的なOctet結合を用いて、結合特性について、更に研究した。抗体結合試験を、25℃セルシウスで、0.1% w/vのウシ血清アルブミンを添加した1x PBS中、バイオレイヤー干渉法(Bio-Layer Interferometry (BLI))を用いたPall ForteBio Octet Red96により、行った。示した精製ヒト抗体を抗ヒトFcバイオセンサ(AHC; Pall ForteBio 18-5063)上に固定化し、33.3 nM及び11 nMのCD117エクトドメイン(R&Dシステム#332-SR)とインキュベートした。得られた結合インターバル(これは、結合曲線と解離曲線を表す)を図10A(即ち、HC-85/LC-85)及び図10B(即ち、HC-1/LC-1)に示した。示した精製IgG (即ち、HC-85/LC-85)について、コントロール (即ち、HC-1/LC-1) と比較して、精製ヒトCD117エクトドメイン(R&D Systems #332-SR)に対する、見掛けの一価親和性(KD)、見掛けの結合速度(kon)、及び見掛けの解離速度(kdis)を、表7に記載した。本結果によれば、精製IgG (即ち、HC-85/LC-85 IgG)は、精製したヒトCD117エクトドメインに高親和性で結合し、親Ab1抗体に対して、遅いkdis (1/s)を特徴とすることが明らかになった。このように、HCDR3の改変にもかかわらず、結合親和性は向上した(即ち解離速度がより遅くなり、脱アミド化部位を除去した)。
Figure 2021500375
Ab85及びAb1の重鎖及び軽鎖可変領域並びにCDRのアミノ酸配列の比較を、図11A及び11Bに記載する。
実施例12.新規な抗CD117抗体の同定
抗CD117抗体CK6に由来する、多くの改良を受けた抗CD117抗体を同定したので、次に、実施例8〜11で同定された抗体由来の抗原結合領域(可変領域)の組合せについて、結合性を試験した。
有利な治療特性を有する、抗CD117抗体を更に同定するために、本明細書で開示した重鎖及び軽鎖配列を混合し、マッチさせて、新規な抗CD117抗体を作製した。この過程から、好ましい抗CD117抗体として、以下の抗体を同定した: HC-245/LC-245(即ち、Ab245)、HC-246/LC-246(即ち、Ab246)、HC-247/LC-247(即ち、Ab247)、HC-248/LC-248(即ち、Ab248)、及びHC-249/LC-249(即ち、Ab249)。
Figure 2021500375
図11C及び11Dは、CK6及びAb249の重鎖及び軽鎖可変領域のアライメントを示す。
実施例13:親和性を改良した抗CD117抗体についての動態解析
親和性成熟させた抗CD117抗体を鑑別するために、CK6誘導体Ab1(HC-1,LC-1)と比較して、バイオレイヤー干渉法(Bio-Layer Interferometry)により、一価結合動力学を測定した。HC-77/LC-77(即ち、Ab77)、HC-79/LC-79(即ち、Ab79)、HC-81/LC-81(即ち、Ab81)、HC-85/LC-85(即ち、Ab85)、HC-245/LC-245(即ち、Ab245)、HC-246/LC-246(即ち、Ab246)、HC-247/LC-247(即ち、Ab247)、HC-248/LC-248(即ち、Ab248)、及びHC-249/LC-249(即ち、Ab249)並びにHC-1/LC-1(即ち、Ab1)を、抗ヒトFcバイオセンサ(AHC; Pall ForteBio 18-5063)に固定し、33 nM及び11 nMのCD117精製エクトドメイン(R&D Systems #332-SR)とインキュベートした。
見掛けの一価親和性(KD)、見掛けの結合速度(Kon)及び見掛けの解離速度(kdis)を、表9にまとめる。各抗体について、HC-1/LC-1(即ち、Ab1)と比較した、見掛けの解離速度の向上を算出した。HC-249/LC-249抗体(即ち、Ab249)は、オフレートが最も改善されたものであり、及び最も高い見掛けの一価親和性を示した。HC-85/LC-85抗体(即ち、Ab85)は、Ab1と比較して、評価した抗体のセットの中で、見掛けの結合速度が最も高く、及び、重鎖CDR3内の脱アミド化部位も除去されていた。得られたセンサグラム(結合曲線及び解離曲線を表す)を、CK6誘導体(HC-1/LC-1、即ちAb1)、HC-85/LC-85抗体(即ちAb85)、及びHC-249/LC-249抗体(即ちAb249)について示す(図12A、12B及び12C)。
Figure 2021500375
表9に記載したように、Ab249のオフレート(off rate)は、親抗体、Ab1よりも有意に改善され、親抗体よりも約12倍遅かった。
実施例14:抗CD117抗体の電荷のバリアントの特性評価
親和性が改善した抗CD117抗体のサブセットに対して、キャピラリー等電点電気泳動(Capillary isoelectric focusing)を行い、配列の違いが前記抗体の生物物理学的な特性に影響を及ぼすかどうかを調べた。簡単に説明すると、10〜40マイクログラムの抗体を、25又は50℃セルシウスで、7日間及び15日間インキュベーションし、Protein Simple社製のMaurice器具を用いて、標準的な製造業者の指示に従ってキャピラリー電気泳動法により解析した。抗体サンプルは、電気的に中性のpHに移動する。酸性バリアントの割合を、全注入サンプルに対する、等電点未満で検出された吸光度ピークに基づいて、計算した。
CK6誘導体Ab1(HC-1/LC-1)は、アッセイの開始時に26%の酸性種を示し、並びに、この割合は、25及び50℃セルシウスで7日間インキュベーションした後に、それぞれ、全注入抗体の57%及び54%に増加した。インキュベーションを15日間に延長すると、CK6に対する酸性バリアントの割合は、25及び50℃セルシウスで、それぞれ。全注入抗体の68%及び78%にまで増加した。
これに対し、前記HC-85/LC-85抗体(即ち、Ab85)では、酸性バリアントの開始割合が有意により低く(T0で6.9%)、酸性バリアントの集積は、25℃セルシウス(7日目16%;15日目18%)及び50℃セルシウス(7日目36%;15日目50%)で、大きく減少した。
前記HC-249/LC-249抗体(即ち、Ab249)は、Ab85(31%)よりも、実験開始時に酸性バリアントの割合がより高かったが、これらの割合は、25℃でインキュベーションした後に、有意に増加しなかった(7日目で35%;15日目で23%)。50℃でのストレス後、酸性種は、Ab249について、7日目と15日目の両方で、増加した(それぞれ52%及び65%)。
この実施例で評価した抗体を、配列番号(SEQ ID NO): 169及び183に、それぞれ記載されている、同じ重定常領域及び軽定常領域を有するIgG1抗体として、評価した。そうしたところ、その可変領域により、試験したような酸性バリアントの割合に反映される安定性において、変動が観察された。
解析したすべての抗体のうち、Ab85は、図13A及び13Bに記載したように、ストレス条件の後で、酸性バリアントの割合が最も低く、これらの種の集積が最も少なかった。
実施例15:抗CD117抗体の疎水性についての特性評価
親和性が改善した抗CD117抗体のサブセットを、25又は50℃セルシウスで15日間インキュベーションした後、疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)により、評価した。簡単に説明すると、50マイクログラムの示した抗体を、Waters ARC HPLC/UPLCシステムに搭載したTosoh TSKgel Phenyl-5PW 7.5 mm ID x 7.5 cm 10-micronカラム(カタログ#07573)にインジェクトした。CK6バリアント (Ab1; HC-1/LC-1)については、25℃及び50℃セルシウスで15日間インキュベーションした後に、ピーク幅の拡大が観察された。親和性が改善した抗体HC-77/LC-77(即ち、Ab 77)、HC-79/LC-79(即ち、Ab79)、及びHC-81/LC-81(即ち、Ab 81)については、緩い(25℃セルシウス)及び厳しい(50℃セルシウス)条件の両方について、クロマトグラムにおいて、有意なピーク幅の拡大がはっきりと見られた。Ab85では、25℃セルシウス又は50℃セルシウスでインキュベートした後、15日後に、ピーク幅の拡大が辛うじて見られ、図14A−14Eに記載されているように、評価した及びCK6バリアントAb1(HC-1/LC-1)と比較して、親和性が改善した抗CD117抗体の疎水性における変化は最も低かった。実施例14に記載されているように、前記抗体は、同じ定常領域配列を含んでいた。
実施例16:in vitro細胞傷害アッセイを用いた親和性が改善した抗CD117-ADCのin vitro解析
ADCとしての親和性が改善した抗CD117抗体の効力を評価するために、Kasumi-1細胞を、示した抗CD117-ADC (アマトキシンにコンジュゲートした抗体)又はそのコントロール・アイソタイプADCの存在下で3日間培養した。細胞生存率を、Celltiter Gloにより測定した(図15)。
ADCとしての親和性が改善した抗CD117抗体の効力を、in vitroでの初代細胞、ヒトHSC(即ち、CD34+で選択して単離した初代ヒト骨髄細胞(BMC))で評価するために、
ヒトCD34+ BMCを、IL-6、TPO、及びFLT-3リガンドの存在下で、示した抗CD117-ADC又はコントロール・アイソタイプADCと共に5日間培養した。CD34+ CD90+細胞の数をフロー・サイトメトリーにより測定した(図16)。
図15及び16に示すように、HC-85/LC-85 ADC (即ち、Ab85)及びHC-249/LC-249 ADC (即ち、Ab249)の両方は、in vitroで、Kasumi-1(それぞれ、1.76 x 10-11 M 及び 2.5 x 10-11 M;表10参照)並びに初代ヒトCD34+細胞(それぞれ、5.74 x 10-12 M 及び 6.67 x 10-12 M;表11参照)に傷害を与えるのに有効であり、その効力は、CK6と同様であった(Kasumi-1で1.48 x 10-11M;初代ヒトCD34+ CD90+細胞で9.8 x 10-12 M) (表10及び11)。
このように、抗CD117抗体Ab85及びAb249は、CK6と比較して、一価親和性が顕著に改善した(図12B及び12C)、熱ストレス下での酸性バリアント及び疎水性によって測定した場合の生物物理学的な挙動が優れていた(図13A及び13B並びに図14A−14E)、並びにKasumi-1(図15)及び初代ヒトCD34+ CD90+細胞に対する細胞傷害アッセイにおいて、ADCとして同様のin vitro効力を示した(図16)。更に、Ab85は、脱アミド化される可能性のある部位がその抗体の特性に悪影響を及ぼすことなく除去されているため、HC CDR3ドメインが改善されている。
Figure 2021500375
Figure 2021500375
実施例17:親和性が改善した抗CD117 ADCを用いたin vivo のHSC減少アッセイ
操作したFc (即ち、H435A Fc変異)を有する親和性が改善した抗体HC-85/LC-85(即ち、Ab85)を評価するために、in vivoの実験を行った。H435A変異は、それが導入された抗体の半減期の低下と関連している。この実験を行って、この変異が、Ab85 ADC (切断可能なリンカーを介してアマトキシンにコンジュゲートしたAb85)の全体的な特性にどのように影響を与えるかを評価した。
ヒト化NSGマウス(Jackson Laboratoriesから購入)を用いて、in vivo のHSC減少アッセイを実施した。Fc-改変Ab85抗体(即ち、H435A Fc変異により特徴付けられる)をADCとしてコンジュゲートさせ、そのヒト化マウス・モデルに、0.3 mg/kgを単回注射として投与した。0日目、7日目、及び14日目に血液を採取し、フロー・サイトメトリーにより評価した。ベースラインに対する処置マウス又はコントロール処置マウスのヒトCD33+の割合を示す(図17A)。14日目に骨髄を採取し、CD34+細胞の絶対数をフロー・サイトメトリーにより測定した(図17B)。
本結果は、Fc-改変Ab85 ADCで処置したヒト化NSGマウスでは、治療レジメンでの単回投与の7日後及び14日後に、ベースラインに対して、ヒトCD33+骨髄細胞が有意に減少したことを示し、並びに、Fc-改変Ab85 ADCが初期前駆細胞を減少させた結果として骨髄細胞を減少させることを示す。更に、Ab85 ADCで処置したヒト化NSGマウスでは、コントロールと比較した場合、前記ADCを単回投与した14日後に、その骨髄におけるヒトHSCが有意に減少した。このように、改変したFc領域を有するAb85 ADCは、CD34+幹細胞及びCD33+前駆細胞を選択的に減少させるのに有効であった。
実施例18: CD117-アマニチン抗体薬物コンジュゲートは、ヒト及び非ヒト霊長類HSCを有効に減少させる
同種異系の及び自家の造血幹細胞(HSC)移植(HSCT)を行う前に遺伝毒性によるコンディショニングを行うこと、並びに遺伝子を修正した自己HSCを注射することは、レジメンに関連した病的状態及び死亡のリスク(不妊症及び二次悪性腫瘍のリスク等を含む)のために、これらを治癒する可能性のある治療に使用することには限度がある。CD117(HSC及び前駆細胞に特異的に発現する)は、急速に細胞内部に取り込まれ、ADCに基づいて、コンディショニングにアプローチすることに対する理想的なターゲットである。抗CD117 ADCを単回投与すると、ヒト化マウス・モデルでは骨髄HSCの95%以上が減少し、AML腫瘍モデルでは生存期間が延長しながら疾患負荷が減少することが既に示されていることから(Hartiganら、Blood 2017 130:1894)、本実施例の目的は、非ヒト霊長類(NHP)モデルにおいて、半減期が短く有害な副作用が最小限であって、ホストHSCを除去するのに非常に有効で強力な抗CD117 ADCを開発することであった。
細胞傷害性のペイロード(payload)であるカリケアマイシン・バリアント、ピロロベンゾジアゼピン(PBD)、及びアマニチン(AM)を、抗CD117抗体(CK6;野生型の半減期)に部位特異的にコンジュゲートさせた。前記ADCの力価を測定し、ヒト骨髄CD34+細胞を用いてin vitroの細胞傷害性を評価した(図18)。前記ADCをヒト化NSGマウスに漸増用量で投与した。末梢血中のヒト細胞のHSC減少及び免疫表現型を、21日目にフロー・サイトメトリーにより測定した(データは示さない)。RNAポリメラーゼIIのインヒビターであるアマニチン(AM)にコンジュゲートした抗CD117は、0.3 mg/kgで、ヒト化NSGマウスにおいて、ヒトHSCを>90%減少させた。また、AM-コンジュゲートは、このモデルにおいて広い治療域を示した(治療係数>120)。これらのデータは、カリケアマイシン及びアマニチンのADCが、HSCを同等に減少させることを示している。
アマニチン-コンジュゲートがNHP HSCを減少させることを、オスのカニクイザルで、単回の漸増用量で、評価した(3匹/群)。骨髄中のHSC含有量を、投与後7日又は14日及び56日にフロー・サイトメトリー及びコロニー形成単位(CFU)解析によりモニターした。血液学的検査及び臨床化学的検査を、2ヵ月間の試験を通して行った。
HSCの表現型及びCFUが、オン-ターゲットで、用量依存的に減少することが、抗CD117-AM投与後7日目の骨髄において、観察され、0.3 mg/kgの単回用量では、95%を超えるHSCの減少が観察された(図19)。末梢では、4日目に網状赤血球が用量依存的に、一過的に減少し、18日目には好中球及び単球が最低となった(データは示していない)。この減少の重症度と持続期間も用量依存的であった。抗CD117-AMによって誘導される減少は、オン-ターゲットであり、アマニチン依存性であったが、これは、そのコンジュゲートしていない抗体及びアイソタイプ-AMには効果が無かったことからわかる (図19)。特に、白血球数及びリンパ球数は56日目まで安定しており(データは示さず)、この戦略が適応免疫システムを免れることを実証している。注射後4〜8日に血小板は最低値となり、これは用量依存的で一過的及び可逆的であった。これはまた、アイソタイプ-AMでも生じて、その効果がオフ-ターゲットであることが示唆された。
抗CD117-AMの半減期は5日であったため、半減期が短く(約18時間)なるように操作した抗CD117-AM (HC-85; LC-85)を用いた、もう一つ別の用量漸増試験を、NHPで実施した。これは移植条件により適している可能性がある。半減期の短い抗CD117-AMは、0.3 mg/kg又は分割投与(0.3/0.2 mg/kg Q3Dx2)で、全ての細胞パラメータに関して同様の効力を示し、有効用量で良好な忍容性を示した(図20)。予想通り、速い半減期の抗CD117-AMは速やかにクリアランスされ、半減期は15〜18時間であった。結論として、抗CD117-AMは、in vivoでNHP HSCと前駆細胞を強力に除去する。
実施例19:抗CD117抗体薬物コンジュゲート(ADC)のコンディショニング剤は、細胞株及び患者由来異種移植モデルにおける、強いin vivoの抗白血病活性を有する
同種異系造血幹細胞移植(HSCT)は、難治性又は高リスクの血液性の悪性腫瘍に罹患している患者において、治癒の可能性のあるアプローチである。移植に先立って、患者は高用量の化学療法により、又は化学療法及び全身照射によりコンディショニングを受けるが、これらは初期及び後期の病的状態及び実質的な死亡リスクと関連している。その結果、適格性のある患者の多くは移植を受けることを考慮せず、及び移植を受けた患者の2/3は、強度を低下させたコンディショニングに対してのみ忍容であって、これは再発率の増加と関連している。従って、疾患コントロールを改善した、より安全で効果的なコンディショニング剤が喫緊に必要とされている。このニーズを満たすために、本発明者は、>60%の患者の造血幹細胞及び前駆細胞、並びに急性骨髄性白血病(AML)及び骨髄異形成症候群(MDS)の細胞に発現するCD117にターゲティングする、アマニチン(AM)にコンジュゲートした新規な抗体薬物コンジュゲート(ADC)を開発した。本実施例の目的は、in vitro及びin vivoで、初代ヒトHSPCを減少させることが既に示されている薬剤である、アマニチンにコンジュゲートした抗CD117の抗白血病の効力を、測定することであった(Hartigan et al.Blood.130; 1894(2017))。
抗CD117抗体CK6を含むADCは、アマニチンにコンジュゲートしていた。前記ADCを、様々な増殖速度(媒体処置群の生存期間中央値は、接種後、43日(表12;図21Aも参照)、63日(表13;図21Bも参照)、82日(表14;図21Cも参照)であった)を有し、CD117を発現する、FLT-3+NPM1+ AMLサンプル(J000106132(図21A)、J000106565(図21B)、J000106134(図21C))から発生させた3種の患者由来異種移植片(PDX)において、評価した(Jackson Laboratories)。
Figure 2021500375
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3つのPDX (J000106132(図21A)、J000106565(図21B)、J000106134(図21C))に対して、ADC(CD117-AM、アイソタイプ-AM(ISO-AM)、コンジュゲートしていない抗CD117抗体、又は媒体PBS)の単回用量を、血液中に2〜5%の芽球が観察された場合に、AML-PDX動物に静脈投与した。4-5匹のマウス/群/AML-PDXモデルでは、0.3 mg/kgのCD117-AM及び1 mg/kgのCD117-AMのレシピエントで、媒体のコントロールと比較して、生存率が有意に増加した(表12−14;図21A−21C)。
正常な宿主HSPCを減少させることに加えて、AMLを発症したヒト化マウス・モデルにおけるこれらのデータに基づくと、CD117-AMは、強力な抗白血病剤である。コンディショニング剤としてのCD117-AMの効力に関する先の報告とあわせると、この非-遺伝毒性のADC (又は本明細書に記載する、特性が改善したCK6のバリアント)は、活動性疾患の患者、及び用量を減少させたコンディショニングのレシピエント(疾患再発のリスクが高い)において、有用であると考えられる。
実施例20.ラットへの免疫による新規な抗CD117抗体の同定
第三の戦略として、新規な抗CD117抗体を同定するために、5匹のラットを、ヒトCD117エクトドメイン(aa26-524; PO10721)をコードする合成DNAで免疫し、ハイブリドーマ融合物を、当該技術分野で公知の標準的な方法に従って調製した。ハイブリドーマを、ヒトCD117エクトドメイン(aa26-524; PO10721)及びカニクイザルCD117エクトドメイン(aa26-521; F6V858)を発現する細胞株に対する結合についてスクリーニングし、スクリーニングを進めて抗体を同定した。以下の抗体を、両方の細胞株に対して結合するものとして、フロー・サイトメトリーにより、同定した:HC-17/LC-17(即ち、Ab17)、HC-18/LC-18(即ち、Ab18)、HC-19/LC-19(即ち、Ab19)、HC-20/LC-20(即ち、Ab20)、HC-21/LC-21(即ち、Ab21)、HC-22/LC-22(即ち、Ab22)、HC-23/LC-23(即ち、Ab23)、HC-24/LC-24(即ち、Ab24)、HC-25/LC-25(即ち、Ab25)、HC-27/LC-27(即ち、Ab27)、及びHC-28/LC-28(即ち、Ab28)。
所望のターゲットへの結合を確認するために、精製した抗体を、バイオレイヤー干渉法(Bio-Layer Interferometry)により、精製した組換えCD117エクトドメインへの結合に関して、解析をした。ラットを免疫することにより同定した抗体に関して結合解析を行うと、図22及び23に示すように、広いセットの結合動態及び解離動態が明らかとなった。見掛けの動態値を表4及び表15に示す。表15は、精製したアカゲザルCD117エクトドメインに対する、示した精製IgGの見掛けの一価親和性(KD)、見掛けの結合速度(kon)、及び見掛けの解離速度(kdis)をリストした表である。上記のように、表4は、精製したヒトCD117エクトドメインに対する、示した精製IgG(本実施例で同定した抗体等を含む)の見掛けの一価親和性(KD)、見掛けの結合速度(kon)、及び見掛けの解離速度(kdis)をリストした表である。
Figure 2021500375
ラット・ハイブリドーマをスクリーニングして同定した抗体に関して、種間交差反応性を確認するために、精製した抗体を、精製したアカゲザルCD117エクトドメインへの結合について、バイオレイヤー干渉法(Bio-Layer Interferometry)により、解析した。前記抗体に関する結合解析によれば、抗体セットに対する強い交差反応性が示された。アカゲザル抗原への結合に関する見掛けの動態値の解析を行うと(表15)、ヒト抗原への結合について観察された、見掛けの結合速度及び解離速度と強く相関していた(表4)。
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他の実施形態
本明細書に言及されている全ての記載、特許及び特許出願は、各々の独立した公開又は特許出願が、参照により取り込まれることが具体的かつ個別的に示された場合と同じ程度に、本明細書に参照により取り込まれる。
本発明を、その特定の実施形態に関連して説明してきたが、本発明は、更なる改変が可能であり、本出願は、一般に、本発明の原理に従い、本発明が関係する技術の範囲内で、知られているか、又は慣習的な実施の範囲内に入り、本明細書で上述され、特許請求の範囲に従う本質的な特徴に適用され得る、本発明からのそのような逸脱を含む、本発明の任意の変形、使用、又は適応を包含することが意図されることが理解されるであろう。
他の実施形態は、請求項の範囲内である。

Claims (48)

  1. 以下を含む、単離された抗CD117抗体、又はその抗原結合フラグメント:
    配列番号(SEQ ID NO)145に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号(SEQ ID NO)146に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号(SEQ ID NO)147に記載のアミノ酸配列を含むCDR3、を含む重鎖可変領域;並びに配列番号(SEQ ID NO)148に記載のアミノ酸配列を含むCDR1、配列番号(SEQ ID NO)149に記載のアミノ酸配列を含むCDR2、及び配列番号(SEQ ID NO)150に記載のアミノ酸配列を含むCDR3、を含む軽鎖可変領域。
  2. 以下を含む、請求項1に記載の抗CD117抗体、又はその抗原結合フラグメント:
    配列番号(SEQ ID NO)143に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域。
  3. 以下を含む、請求項1又は2に記載の抗CD117抗体、又はその抗原結合フラグメント:
    配列番号(SEQ ID NO)144に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域。
  4. 請求項1〜3の何れか一項に記載の抗CD117抗体、又はその抗原結合フラグメント、ここで、前記抗体がIgGである。
  5. 請求項4に記載の抗CD117抗体、又はその抗原結合フラグメント、ここで、前記IgGがIgG1又はIgG4である。
  6. 請求項1〜5の何れか一項に記載の抗CD117抗体、又はその抗原結合フラグメント、ここで、前記抗体、又はその抗原結合フラグメントはFc領域を含む、並びに前記Fc領域はD265C、H435A、L234AA、及びL235A(EUインデックスによる番号付け)からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。
  7. 請求項6に記載の抗CD117抗体、又はその抗原結合フラグメント、ここで、前記Fc領域が、アミノ酸置換D265C、H435A、L234A、及びL235A(EUインデックスによる番号付け)を含む。
  8. 配列番号(SEQ ID NO)184に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項1〜7の何れか一項に記載の抗CD117抗体、又はその抗原結合フラグメント。
  9. 配列番号(SEQ ID NO)178に記載のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、請求項1〜8の何れか一項に記載の抗CD117抗体、又はその抗原結合フラグメント。
  10. 請求項1〜9の何れか一項に記載の抗CD117抗体、ここで、前記抗体がインタクトな抗体である。
  11. 請求項1〜10の何れか一項に記載の抗体又はその抗原結合部分、及び薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物。
  12. リンカーを介して細胞毒素にコンジュゲートした、請求項1〜10の何れか一項に記載の抗CD117抗体又はその抗原結合部分を含む抗体薬物コンジュゲート(ADC)。
  13. 請求項12に記載のADC、ここで、前記細胞毒素は、DNA-インターカレーティング剤、紡錘体装置を破壊することができる薬剤、RNAポリメラーゼ阻害剤、タンパク質生合成を破壊することができる薬剤、DNAアルキル化化合物、アマトキシン、シュードモナス外毒素A、deブーガニン、ジフテリア毒素、サポリン、メイタンシン、メイタンシノイド、アウリスタチン、アントラサイクリン、カリケアマイシン、イリノテカン、SN-38、デュオカルマイシン、ピロロベンゾジアゼピン、ピロロベンゾジアゼピン二量体、インドリノベンゾジアゼピン、及びインドリノベンゾジアゼピン二量体からなる群より選択される。
  14. 請求項13に記載のADC、ここで、前記アマトキシンは、α-アマニチン、β-アマニチン、γ-アマニチン、ε-アマニチン、アマニン、アマニンアミド、アマヌリン、アマヌリン酸、及びプロアマヌリンからなる群より選択される。
  15. 式Ab-Z-L-Amで表される抗体薬物コンジュゲート(ADC)、
    ここで、AbはヒトCD117に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントであり、Lがリンカーであり、Zが化学的部分であり、及びAmがアマトキシンであり、ここで、前記抗体又はその抗原結合フラグメントは、以下を含む:
    配列番号(SEQ ID NO)145に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン、配列番号(SEQ ID NO)146に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、及び配列番号(SEQ ID NO)147に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、を含む重鎖可変領域;並びに配列番号(SEQ ID NO)148に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン、配列番号(SEQ ID NO)149に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、及び配列番号(SEQ ID NO)150に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、を含む軽鎖可変領域、
    ここで、Am-L-Zが式(I)で表される:
    Figure 2021500375
    ここで、R1は、H、OH、ORA、又はORCである;
    R2はH、OH、ORB、又はORCである;
    RA及びRBは、存在する場合、それらが結合している酸素原子と共に、任意選択的に置換された5員ヘテルシクロアルキル基を形成する;
    R3はH、RC、又はRDである;
    R4, R5, R6,及びR7は、それぞれ独立してH、OH、ORC, ORD, RC、又はRDである;
    R8は、OH、NH2、ORC、ORD、NHRC、又はNRCRDである;
    R9は、H、OH、ORC、又はORDである;
    Xは-S-, -S(O)-, 又は-SO2-である;
    RCは-L-Zである;
    RDは、任意選択的に置換されたC1-C6アルキル、任意選択的に置換されたC1-C6ヘテロアルキル、任意選択的に置換されたC2-C6アルケニル、任意選択的に置換されたC2-C6ヘテロアルケニル、任意選択的に置換されたC2-C6アルキニル、任意選択的に置換されたC2-C6ヘテロアルキニル、任意選択的に置換されたシクロアルキル、任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキル、任意選択的に置換されたアリール、又は任意選択的に置換されたヘテロアリールである;
    Lは、任意選択的に置換されたC1-C6アルキレン、任意選択的に置換されたC1-C6ヘテロアルキレン、任意選択的に置換されたC2-C6アルケニレン、任意選択的に置換されたC2-C6ヘテロアルケニレン、任意選択的に置換されたC2-C6アルキニレン、任意選択的に置換されたC2-C6ヘテロアルキニレン、任意選択的に置換されたシクロアルキレン、任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキレン、任意選択的に置換されたアリーレン、任意選択的に置換されたヘテロアリーレン、ジペプチド、-(C=O)-、ペプチド、又はその組み合わせである;並びに、
    Zは、L上に存在する反応性置換基と前記抗体、又はその抗原結合フラグメント内に存在する反応性置換基とのカップリング反応から形成される化学的部分であり、
    ここで、Amは、丁度1個のRC置換基を含む。
  16. 請求項15に記載のADC、ここで、前記抗体、又はその抗原結合フラグメントは、配列番号(SEQ ID NO)143に記載のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域を含む。
  17. 請求項15又は16に記載のADC、ここで、前記抗体、又はその抗原結合フラグメントは、配列番号(SEQ ID NO)144に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含む。
  18. 請求項15〜17の何れか一項に記載のADC、ここで、前記抗体がIgGである。
  19. 請求項18に記載のADC、ここで、前記IgGがIgG1又はIgG4である。
  20. 請求項15〜19の何れか一項に記載のADC、ここで、前記抗体又はその抗原結合フラグメントはFc領域を含む、並びに前記Fc領域はD265C、H435A、L234AA、及びL235A(EUインデックスによる番号付け)からなる群から選択される少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。
  21. 請求項20に記載のADC、ここで、前記Fc領域がアミノ酸置換D265C、H435A、L234A、及びL235A(EUインデックスによる番号付け)を含む。
  22. 請求項15〜21に記載のADC、ここで、前記抗体、又はその抗原結合フラグメントは、配列番号(SEQ ID NO)184に記載のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。
  23. 請求項15〜22に記載のADC、ここで、前記抗体、又はその抗原結合フラグメントは、配列番号(SEQ ID NO)178に記載のアミノ酸配列を含む重鎖を含む。
  24. 請求項15〜23の何れか一項に記載のADC、ここで、前記抗体がインタクトな抗体である。
  25. 請求項15〜24に記載のADC、ここで、Am-L-Zが式(IB)で表される
    Figure 2021500375
  26. 請求項15〜25の何れか一項に記載のADC、ここで:
    R1は、H、又はOHである;
    R2は、H、又はOHである;
    R3は、Hである;
    R4, R5, R6,及びR7は、それぞれ独立してH、OH、ORC, 又はRCである;
    R8は、OH、NH2、ORC、又はNHRCである;
    R9は、H、又はOHである;並びに
    Xは-S-, 又は-S(O)-である。
  27. 請求項15〜26の何れか一項に記載のADC、ここで:
    Lは、任意選択的に置換されたC1-C6アルキレン、任意選択的に置換されたC1-C6ヘテロアルキレン、任意選択的に置換されたアリーレン、任意選択的に置換されたヘテロアリーレン、ジペプチド、-(C=O)-、ペプチド、又はその組み合わせである。
  28. 請求項26に記載のADC、ここで:
    R1は、OHである;
    R2は、OHである;
    R3は、Hである;
    R4, R6,及びR7は、それぞれHである;
    R5は、H、OH、ORC, 又はRCである;
    R8は、NH2、又はNHRCである;
    R9は、OHである;並びに
    Xは-S-, 又は-S(O)-である。
  29. 請求項28に記載のADC、ここで:
    Lは、任意選択的に置換されたC1-C6アルキレン、任意選択的に置換されたC1-C6ヘテロアルキレン、任意選択的に置換されたアリーレン、任意選択的に置換されたヘテロアリーレン、ジペプチド、-(C=O)-、ペプチド、又はその組み合わせである。
  30. 請求項29に記載のADC、ここで、Lは、任意選択的に置換されたC1-C6アルキレンである。
  31. 請求項15〜30の何れか一項に記載のADC、ここで、L-Zは、
    Figure 2021500375
    である。
  32. 請求項15〜29に記載のADC、ここで、L-Zは、
    Figure 2021500375
    である。
  33. 請求項15〜29の何れか一項に記載のADC、ここで、前記抗体、又はその抗原結合フラグメントは、前記抗体、又はその抗原結合フラグメントのFcドメイン中のシステイン残基を介して、前記アマトキシンにコンジュゲートしている。
  34. 次の式の何れか1つによって表される、請求項15〜25の何れか一項に記載のADC:
    Figure 2021500375
    ここで、Xは、S、SO、又はSO2である。
  35. 式Ab-Z-L-Amで表される抗体薬物コンジュゲート(ADC)、
    ここで、AbはヒトCD117に結合する抗体又はその抗原結合フラグメントであり、Lがリンカーであり、Zが化学的部分であり、及びAmがアマトキシンであり、ここで、前記抗体又はその抗原結合フラグメントは、以下を含む:
    配列番号(SEQ ID NO)145に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン、配列番号(SEQ ID NO)146に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、及び配列番号(SEQ ID NO)147に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、を含む重鎖可変領域;並びに配列番号(SEQ ID NO)148に記載のアミノ酸配列を含むCDR1ドメイン、配列番号(SEQ ID NO)149に記載のアミノ酸配列を含むCDR2ドメイン、及び配列番号(SEQ ID NO)150に記載のアミノ酸配列を含むCDR3ドメイン、を含む軽鎖可変領域、
    ここで、Am-L-Zが式(II)で表される:
    Figure 2021500375
    ここで、Xは、S、SO、又はSO2である;
    R1は、Ab-Z-L-である、及びZは、前記リンカー上に存在する反応性置換基と、抗体若しくはその抗原結合フラグメント内に存在する反応性置換基との間のカップリング反応から形成される;並びに
    R2は、Hである。
  36. 請求項35に記載のADC、ここで、Ab-Z-L-Amは、
    Figure 2021500375
    である。
  37. 請求項36に記載のADC、ここで、Xは、Sである
  38. 請求項37に記載のADC、ここで、Lは、-(CH2)n -ユニットである、ここで、nは2〜6の整数である。
  39. 請求項38に記載のADC、ここで、nは6である。
  40. 請求項39に記載のADC、ここで、L-Zは、
    Figure 2021500375
    である。
  41. 幹細胞障害に罹患しているヒト患者中のCD117+細胞の集団を減少させる際に使用するための、請求項12〜40の何れか一項に記載のADC。
  42. 造血幹細胞移植を必要としているヒト患者中のCD117+細胞の集団を減少させる際に使用するための、請求項12〜40の何れか一項に記載のADC、ここで、造血幹細胞を含む移植を受ける前に、前記ADCの有効量を前記ヒト患者に投与する。
  43. 請求項12〜40の何れか一項に記載のADCであって、前記ADCを、ヒト患者(前記ADCを投与することを必要としている)に、前記患者中のCD117+細胞の集団を減少させるのに十分な量で、投与すること;及びその後、造血幹細胞を含む移植物を前記ヒト患者に投与すること、を含む方法において使用するための、請求項12〜40の何れか一項に記載のADC。
  44. 請求項41〜43の何れか一項に記載のADC、ここで、前記ヒト患者は、異常ヘモグロビン症、骨髄異形成症候群、免疫不全、がん、自己免疫疾患、又は代謝障害からなる群より選択される障害に罹患している。
  45. 請求項44に記載のADC、ここで、前記がんは、血液がんである。
  46. 請求項45に記載のADC、ここで、前記血液がんは、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、又は多発性骨髄腫である。
  47. 請求項44に記載のADC、ここで、前記異常ヘモグロビン症は、鎌状赤血球貧血症、及びサラセミアからなる群より選択される。
  48. 請求項12〜40の何れか一項に記載のADC、及び薬学的に許容可能な担体を含む医薬組成物。
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