JPWO2020092655A5 - - Google Patents

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JPWO2020092655A5
JPWO2020092655A5 JP2021521816A JP2021521816A JPWO2020092655A5 JP WO2020092655 A5 JPWO2020092655 A5 JP WO2020092655A5 JP 2021521816 A JP2021521816 A JP 2021521816A JP 2021521816 A JP2021521816 A JP 2021521816A JP WO2020092655 A5 JPWO2020092655 A5 JP WO2020092655A5
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[関連出願の相互参照]
本出願は、2018年10月30日に出願された米国仮出願第62/752,828号、2018年11月30日に出願された米国仮出願第62/773,873号、及び2019年8月2日に出願された米国仮出願第62/882,362号、に対して優先権を主張する。前述の優先出願の各々の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
[技術分野]
本開示は、造血幹細胞などの造血細胞が発現するCD117又はCD45に結合することができ
る抗体薬物コンジュゲートを投与することによる、様々な病態(例えば、特に、血液疾患、代謝障害、がん、及び自己免疫疾患など)に罹患している患者の治療に関する。
同種異系の細胞療法とは、患者に細胞を移植することを含む、ここで、その移植した細胞は前記患者以外のドナー(donor)に由来する。同種異系の細胞療法に用いられる同種異
系ドナー(donor)の一般的な種類としては、HLAが適合した同胞、適合した非血縁のドナー(donor)、部分的に適合した家系員のドナー(donor)、血縁の臍帯血のドナー(donor)、及
び非血縁の臍帯血のドナー(donor)、を挙げることができる。細胞療法における最終目標
は、「既製品(off the shelf)」としての基盤を形成することができる同種異系の細胞療
法を同定することである(Brandenberger, et al. (2011). BioProcess International. 9
(suppl. I): 30-37)。それにより、同種異系の細胞療法を使用することが拡大する。
その有望性にもかかわらず、同種異系の細胞を治療的に使用することには、現在のところ、この治療を困難にする複雑さがある。免疫能がある宿主の中では、移植した同種異系の細胞は速やかに拒絶され、宿主対移植片拒絶(host versus graft rejection (HvG))と
呼ばれる過程を経ることになる。HvGによって、その移入された細胞の有効性が実質的に
低下することがあり、レシピエント(recipient)において有害事象が引き起こされ、同種
異系の細胞を使用することが制限されることになる。現在、同種異系の造血幹細胞グラフトの生着を促進し、その結果、これらの細胞の多能性及び造血機能が、移植後に保存されるような、組成物及び方法が必要とされている。
本発明は、コンディショニング手順に有用な抗体又はADCを提供する、ここで、患者は
、同種異系の造血幹細胞を含む移植片を受ける準備が整っている。本明細書に記載の方法によれば、患者は、造血細胞(例えば、造血幹細胞)が発現する抗原(例えば、CD117[例
えば、GNNK+ CD117]又はCD45)に結合することができるADC、抗体、又はその抗原結合フラグメントを、免疫抑制剤と併用して、前記患者に投与することによって、同種異系の造血幹細胞移植療法に対して、コンディショニングされることがある。本明細書中に記載されるように、前記抗体は、抗体薬物コンジュゲート(ADC)を形成するように、細胞毒素に
共有結合的にコンジュゲートすることがある。
ある態様では、本発明は、造血幹細胞移植を必要とするヒト患者中のCD117+細胞の集団を減少させる方法であって、前記患者が同種異系の造血幹細胞を含む移植片を受ける前に、有効量の抗-CD117抗体薬物コンジュゲート及び免疫抑制剤を、前記患者に投与することを含む方法、を提供する。
別の態様では、本発明は、以下を含む方法:ヒト患者に、前記患者中のCD117+細胞の集団を減少させるのに十分な量で、抗-CD117抗体薬物コンジュゲート及び免疫抑制剤を投与すること;並びに、その後、前記患者に、同種異系の造血幹細胞を含む移植片を投与すること、を提供する。
別の態様では、本発明は、ヒト患者に同種異系の造血幹細胞を含む移植片を投与することを含む方法、ここで、前記患者は、前記患者中の造血幹細胞の集団を減少させるのに十分な量で、抗-CD117抗体薬物コンジュゲート及び免疫抑制剤を予め投与されている、を提供する。
いくつかの実施形態では、前記CD117は、GNNK+ CD117である。
別の態様では、本発明は、造血幹細胞移植を必要とするヒト患者中のCD45+細胞の集団
を減少させる方法であって、前記患者が同種異系の造血幹細胞を含む移植片を受ける前に、有効量の抗-CD45抗体薬物コンジュゲート及び免疫抑制剤を、前記患者に投与すること
を含む方法、を提供する。
別の態様では、本発明は、以下を含む方法:ヒト患者に、前記患者中のCD45+細胞の集
団を減少させるのに十分な量で、抗-CD45抗体薬物コンジュゲート及び免疫抑制剤を投与
すること;並びに、その後、前記患者に、同種異系の造血幹細胞を含む移植片を投与すること、を提供する。
別の態様では、本発明は、ヒト患者に同種異系の造血幹細胞を含む移植片を投与することを含む方法、ここで、前記患者は、前記患者中の造血幹細胞の集団を減少させるのに十分な量で、抗-CD45抗体薬物コンジュゲート及び免疫抑制剤を予め投与されている、を提
供する。
別の態様では、本発明は、ヒト患者に同種異系の造血幹細胞を含む移植片を投与することを含む方法、ここで、前記患者は、前記患者中の造血幹細胞の集団を減少させるのに十分な量で、抗-CD45抗体薬物コンジュゲートを予め投与されている、を提供する。
いくつかの実施形態では、前記方法は、前記患者が前記移植片を受けた後に、前記患者
に前記免疫抑制剤を投与することを更に含む。
別の態様では、本発明は、造血幹細胞移植を必要とするヒト患者中のCD117+細胞の集団を減少させる方法であって、以下を含む方法、(a) 前記ヒト患者に、前記患者中のCD117+細胞の集団を減少させるのに十分な量で、抗-CD117抗体薬物コンジュゲートを投与すること;(b) 前記ヒト患者に、同種異系の造血幹細胞を含む移植片を投与すること;及び、(c) その後、前記患者に、免疫抑制剤を投与すること、を提供する。
更なる態様では、本発明は、造血幹細胞移植を必要とするヒト患者中のCD45+細胞の集
団を減少させる方法であって、以下を含む方法、(a) 前記ヒト患者に、前記患者中のCD45+細胞の集団を減少させるのに十分な量で、抗-CD45抗体薬物コンジュゲートを投与すること;(b) 前記ヒト患者に、同種異系の造血幹細胞を含む移植片を投与すること;及び、(c) その後、前記患者に、免疫抑制剤を投与すること、を提供する。
いくつかの実施形態では、前記移植片は、MHC-適合の(例えば、HLA-適合の)同種異系の造血幹細胞を含む。従って、いくつかの実施形態では、前記移植片は、全てのHLA抗原
が前記ヒト患者のHLA抗原と適合する同種異系の造血幹細胞を含む。
ある特定の実施形態では、前記移植片は、前記患者のHLA抗原に対して、少なくとも1つのHLA-ミスマッチを含む同種異系の造血幹細胞を含む。ある特定の実施形態では、前記同種異系の造血幹細胞は、前記患者のHLA抗原に対して、少なくとも2つのHLA-ミスマッチを含む。ある特定の実施形態では、前記同種異系の造血幹細胞は、前記患者のHLA抗原に対
して、少なくとも3つのHLA-ミスマッチを含む。ある特定の実施形態では、前記同種異系
の造血幹細胞は、前記患者のHLA抗原に対して、少なくとも4つのHLA-ミスマッチを含む。ある特定の実施形態では、前記同種異系の造血幹細胞は、前記患者のHLA抗原に対して、
少なくとも5つのHLA-ミスマッチを含む。ある特定の実施形態では、前記同種異系の造血
幹細胞は、前記患者のHLA抗原に対して、少なくとも6つのHLA-ミスマッチを含む。ある特定の実施形態では、前記同種異系の造血幹細胞は、前記患者のHLA抗原に対して、少なく
とも7つのHLA-ミスマッチを含む。ある特定の実施形態では、前記同種異系の造血幹細胞
は、前記患者のHLA抗原に対して、少なくとも8つのHLA-ミスマッチを含む。ある特定の実施形態では、前記同種異系の造血幹細胞は、前記患者のHLA抗原に対して、少なくとも9つのHLA-ミスマッチを含む。ある特定の実施形態では、前記同種異系の造血幹細胞は、前記患者のHLA抗原に対して、完全HLA-ミスマッチを含む。ある特定の実施形態では、前記同
種異系の造血幹細胞は、前記患者のHLA抗原に対して、1つから4つの間のHLA-ミスマッチ
、1つから3つの間のHLA-ミスマッチ、1つから2つの間のHLA-ミスマッチ、2つから4つの間のHLA-ミスマッチ、2つから3つの間のHLA-ミスマッチ、又は3つから4つの間のHLA-ミスマッチ、を含む。
いくつかの実施形態では、前記移植片は、前記患者のマイナー組織適合性抗原(miHA)に対して、少なくとも1つのマイナー組織適合性抗原-ミスマッチを含む同種異系の造血幹細胞を含む。
いくつかの実施形態では、前記移植片は、HLA-ミスマッチの同種異系の造血幹細胞を含む。
いくつかの実施形態では、前記方法は、少なくとも80%のドナー・キメリズム(donor chimerism)を確立するのに効果的である。いくつかの実施形態では、前記方法は、少なくとも85%のドナー・キメリズム(donor chimerism)を確立するのに効果的である。いくつかの実施形態では、前記方法は、少なくとも90%のドナー・キメリズム(donor chimerism)を確立するのに効果的である。いくつかの実施形態では、前記方法は、少なくとも95%のドナ
ー・キメリズム(donor chimerism)を確立するのに効果的である。いくつかの実施形態で
は、前記ドナー・キメリズム(donor chimerism)を、移植後少なくとも6週、7週、8週、9
週、又は10週に、評価する。いくつかの実施形態では、前記ドナー・キメリズム(donor chimerism)は、末梢骨髄キメリズム(peripheral myeloid chimerism)である。いくつかの
実施形態では、前記ドナー・キメリズム(donor chimerism)は、T-細胞キメリズム(T-cell
chimerism)である。
いくつかの実施形態では、前記免疫抑制剤は、シクロホスファミドである。いくつかの実施形態では、前記免疫抑制剤は、30F11である。いくつかの実施形態では、前記免疫抑
制剤は、シクロホスファミド(サイトキサン(Cytoxan)、例えば、低用量サイトキサン(Cytoxan))である。いくつかの実施形態では、前記免疫抑制剤は、30F11及びシクロホスファ
ミドである。いくつかの実施形態では、前記免疫抑制剤は、全身照射法(total body irradiation)(TBI、例えば、低用量TBI)である。いくつかの実施形態では、前記免疫抑制剤(例えば、サイトキサン(Cytoxan))を移植後に投与する。いくつかの実施形態では、前記
免疫抑制剤(例えば、30F11)を移植前に投与する。いくつかの実施形態では、前記免疫
抑制剤を、患者が移植を受けるのと実質的に同時に投与する。
いくつかの実施形態では、前記コンジュゲートは、前記患者への投与後に、がん細胞、自己免疫細胞、又は造血幹細胞によって細胞内部に取り込まれる。
いくつかの実施形態では、前記コンジュゲートの濃度が前記患者の血中から実質的にクリアランスされた後に、造血幹細胞を含む移植片を前記患者に投与する。
いくつかの実施形態では、前記患者中に前記造血幹細胞を移植した2日以上後に、前記
造血幹細胞又はその後代は、造血幹細胞機能ポテンシャルを維持している。
いくつかの実施形態では、前記患者中に前記造血幹細胞を移植した後に、前記造血幹細胞又はその後代は、造血組織に局在することができる、及び/又は造血を再確立することができる。
いくつかの実施形態では、前記患者中に移植した時に、前記造血幹細胞は、巨核球、血小板(thrombocytes)、血小板(platelets)、赤血球、マスト細胞、骨髄芽球、好塩基球、
好中球、好酸球、ミクログリア、顆粒球、単球、破骨細胞、抗原提示細胞、マクロファージ、樹状細胞、ナチュラル・キラー細胞、T-リンパ球、及びB-リンパ球からなる群より選択される細胞の集団を回復させる。
いくつかの実施形態では、前記患者は、幹細胞障害に罹患している。
いくつかの実施形態では、前記患者は、異常ヘモグロビン症障害、自己免疫障害、骨髄異形成障害、免疫不全障害、又は代謝障害に罹患している。
いくつかの実施形態では、前記患者は、がんに罹患している。
いくつかの実施形態では、ADCは、重鎖/軽鎖(HC/LC)CDRセット(CDR1、CDR2、若しくはCDR3)、又は表3に記載のHC/LC可変領域セット、を含む抗-CD117抗体を含む。
いくつかの実施形態では、前記コンジュゲートの抗体は、バイオレイヤー干渉法(bio-layer interferometry)によって測定した場合、1 x 10-2 から 1 x 10-3、1 x 10-3 から 1 x 10-4、1 x 10-5 から 1 x 10-6、1 x 10-6 から 1 x 10-7 、又は1 x 10-7 から 1 x
10-8の解離速度(KOFF)を有する。
いくつかの実施形態では、前記コンジュゲートの抗体は、バイオレイヤー干渉法(bio-layer interferometry)によって測定した場合、約100 nM以下、約90 nM以下、約80 nM以下、約70 nM以下、約60 nM以下、約50 nM以下、約40 nM以下、約30 nM以下、約20 nM以下、約10 nM以下、約8 nM以下、約6 nM以下、約4 nM以下、約2 nM以下、約1 nM以下のKDで、CD117に結合する。
いくつかの実施形態では、前記コンジュゲートの抗体は、ヒト抗体である。
いくつかの実施形態では、前記コンジュゲートの抗体は、インタクトな抗体である。
いくつかの実施形態では、前記コンジュゲートの抗体は、IgGである。いくつかの実施
形態では、前記IgGは、IgG1アイソタイプ、IgG2アイソタイプ、IgG3アイソタイプ、又はIgG4アイソタイプである。
いくつかの実施形態では、前記抗体は、リンカーを介して細胞毒素にコンジュゲートしている。いくつかの実施形態では、前記細胞毒素は、RNAポリメラーゼ阻害剤である。い
くつかの実施形態では、前記RNAポリメラーゼ阻害剤は、アマトキシンである。いくつか
の実施形態では、前記RNAポリメラーゼ阻害剤は、アマニチンである。いくつかの実施形
態では、前記アマニチンは、α-アマニチン、β-アマニチン、γ-アマニチン、ε-アマニチン、アマニン、アマニンアミド、アマヌリン、アマヌリン酸、及びプロアマヌリンからなる群より選択される。いくつかの実施形態では、前記細胞毒素は、シュードモナス外毒素A、deブーガニン、ジフテリアトキシン、サポリン、メイタンシン、メイタンシノイド
、アウリスタチン、アントラサイクリン、カリケアマイシン、イリノテカン、SN-38、デ
ュオカルマイシン、ピロロベンゾジアゼピン、ピロロベンゾジアゼピン二量体、インドリノベンゾジアゼピン、インドリノベンゾジアゼピン二量体、及びインドリノベンゾジアゼピン偽二量体からなる群より選択される。いくつかの実施形態では、前記アウリスタチンは、MMAE又はMMAFである。
いくつかの実施形態では、前記抗体は、前記抗体のFcドメイン中のシステイン残基によって、前記毒素にコンジュゲートしている。いくつかの実施形態では、前記システイン残基は、前記抗体のFcドメイン中のアミノ酸置換によって、導入される。いくつかの実施形態では、前記アミノ酸置換は、D265Cである。
図1A~1Jは、DBA/2レシピエント(recipient)に、Balb/cドナー(donor)細胞というマウスのマイナー・ミスマッチ移植片を移植する前に、抗-CD45 ADC(104-サポリン; "CD45-SAP")又は抗-CD117 ADC(2B8-サポリン; "CD117-SAP")を使ったADCコンディショニングを、30F11及び移植後のサイトキサンと併用した、in vivo研究の設計及び結果を図で示す。図1A及び1Bは、in vivoマウス・モデル(図1A)及び種々の実験群についての投薬スケジュール(図1B)の概略図を示す。CD45- SAP、CD117-SAP、又はコントロールによる治療(例えば、2GyのTBI又はTBI無し)を、移植前の免疫抑制剤(30F11)及び移植後のサイトキサンと併用して、移植レシピエント(recipient)に処方した。図1Cは、C57BL/6マウスにおける投与7日後、治療条件を横軸にして、骨髄が減少した程度(大腿骨あたりの長期-HSC(LT-HSC)の数によって測定した場合(y軸))を図で示す。図1Dは、移植12週後の末梢血における、全体的な血液のドナー・キメリズム(donor chimerism)(CD45.1+)の割合を図で示す。図1Eは、移植12週後の、骨髄キメリズム、B細胞キメリズム、及びT細胞キメリズムの割合をグラフで示す。 図2A~2Cは、DBA/2レシピエント(recipient)に、Balb/cByJドナー(donor) 細胞というマウスのマイナー・ミスマッチ移植片を移植する前に、抗-CD45 ADC(104-サポリン; "CD45-SAP")を使ったADCコンディショニングを、移植後のサイトキサンと併用した、in vivo研究の結果を図で示す。図2A~2Cは、CD45.1+細胞を移植したDBA/2マウスにおける治療モードを横軸として、移植8週後の、移植レシピエント(recipient)における合計ドナー・キメリズム(donor chimerism)の割合(y軸) を図で示したものであり、末梢ドナー(donor)骨髄キメラの割合(図2A)、及びドナー(donor)T細胞キメリズムの割合(図2B)、を図で示す。図2Dは、移植12週後における、移植レシピエント(recipient)中の、大腿骨あたりのドナー(donor)由来長期-HSC(LT-HSC)の数(y軸)を図で示す。 図3A~3Bは、CD45-ADCによって、C57マウス中のマウスHSC及びリンパ球が効果的に減少することを示す、in vivo減少アッセイの結果を図で示す。図3Aは、抗-CD45-ADC(CD45-サポリン又は"CD45-SAP")によって、マウスHSCが減少することを評価するための、in vivo研究の概要である。図3Bは、フロー・サイトメトリー・ゲーティング・ストラテジー(flow cytometry gating strategy)、及び7日目に採取した骨髄中で、CD45-SAPによって、長期-HSCが減少したことを示す結果を示す。図3Cは、PBS、アイソタイプ-SAP、又はCD45-SAPを投与した7日後の、骨髄中の長期-HSCのレベルをグラフで示す。図3Dは、PBS、アイソタイプ-SAP、又はCD45-SAPを投与した7日後の、末梢リンパ球のレベルをグラフで示す。アスタリスク(*)は、任意のコントロール群と比較した場合に、p<0.05であることを示す。 図4A~4Cは、完全ミスマッチ(full mismatch)の骨髄移植のマウス・モデルに関するin vivo研究の結果をグラフで示す。C57Bl/6(H-2b、CD45.2+)マウスを、抗-CD45-ADC(抗-CD45-PDB又は"CD45-PBD")単独又は抗-CD4抗体及び抗-CD8抗体と併用してコンディショニングをし、Balb/c(H-2d、CD45.1+)骨髄を使って移植した。図4Aは、CD45.1+抗原を用いて、移植3-週後及び移植8-週後に血中で検出した、移植レシピエント(recipient)中のドナー・キメリズム(donor chimerism)の割合を、グラフで示す。図4Bは、移植レシピエント(recipient)における治療モードを横軸として、移植8週後の、末梢ドナー(donor)骨髄キメラの割合、B細胞キメラの割合、及びT細胞キメラの割合を、グラフで示す。図4C及び4Dは、ADCを投与した2日後の末梢血中(図4C)及び脾臓中(図4D)の総細胞数(CD45+)をグラフで示す。 図5A~5Gは、完全ミスマッチ(full mismatch)の骨髄移植のマウス・モデルに関するin vivo研究の結果をグラフで示す。C57Bl/6(H-2b、CD45.2+)マウスを、抗-CD45-ADC("104-PBD")単独又は低用量のTBIと併用してコンディショニングをし、Balb/c(H-2d、CD45.1+)骨髄を使って移植した。図5Aは、移植レシピエント(recipient)において、照射のレベルを変えたときの治療条件を横軸として、ADC投与後2日目での、大腿骨あたりの長期-HSC(LT-HSC)数(y軸)をグラフで示す。図5B~5Eは、移植レシピエント(recipient)において、照射のレベルを変えたときの治療条件を横軸として、ADC投与後2日目での、全CD45+細胞(図5B)、骨髄性細胞(図5C)、B細胞(図5D)、又はT細胞(図5E)に関する、骨髄での除去の程度(大腿骨あたりの細胞(y軸))をグラフで示す。図5Fは、移植後4週での、移植レシピエント(recipient)の末梢血中のドナー・キメリズム(donor chimerism)の割合をグラフで示す。図5Gは、移植後4週での、移植レシピエント(recipient)の骨髄キメリズム、B細胞キメリズム、T細胞キメリズムの割合をグラフで示す。
[詳細な説明]
本発明は、コンディショニング手順に有用な抗体又はADCを提供する、ここで、患者は
、同種異系の造血幹細胞を含む移植片を受けるために準備される。このような手順によって、同種異系の造血幹細胞移植の生着が促進される。本明細書に記載の方法によれば、患者は、造血細胞(例えば、造血幹細胞)が発現する抗原(例えば、CD117例えば、GNNK+ CD117又はCD45)に結合することができるADC、抗体、又はその抗原結合フラグメントを、免
疫抑制剤と併用して、前記患者に投与することによる、同種異系の造血幹細胞移植療法に対して、コンディショニングされることがある。本明細書中に記載されるように、前記抗体は、抗体薬物コンジュゲート(ADC)を形成するように、細胞毒素に共有結合的にコンジ
ュゲートすることがある。前記の抗原の1種以上を結合することができる、ADC、抗体、その抗原結合フラグメント、又は薬物-抗体コンジュゲートを、造血幹細胞移植療法を必要
とする患者に、免疫抑制剤と併用して、投与すると、例えば、内因性の造血幹細胞が選択的に減少し、それによって、外因性の造血幹細胞の移植片によって埋められる空きができることにより、同種異系の造血幹細胞の移植片の生着が促進されることがある。
定義
本明細書中で使用される場合、用語「約」は、記載される値より5%高い値又は低い値をいう。
本明細書中で使用される場合、用語「同種異系」は、移植の文脈において使用する場合、遺伝的に類似しないドナー(donor)から、同じ種のレシピエント(recipient)に移植する細胞(又は組織若しくは臓器)を定義するために使用する。
本明細書中で使用される場合、用語「自己」は、ドナー(donor)及びレシピエント(recipient)が同じ対象である細胞又は移植片を指す。
本明細書中で使用される場合、用語「異種」は、ドナー(donor)及びレシピエント(recipient)の種が異なっている細胞を指す。
本明細書中で使用される場合、用語「免疫細胞」は、限定されるものではないが、造血起源であり、及び免疫応答において役割を果たす細胞を含むことが意図される。免疫細胞としては、限定されるものではないが、T細胞及びナチュラル・キラー(NK)細胞が挙げら
れる。ナチュラル・キラー細胞は、当技術分野で周知である。ある実施形態では、ナチュラル・キラー細胞として、NK-92細胞などの細胞株が挙げられる。NK細胞株の更なる例と
しては、NKG、YT、NK-YS、HANK-1、YTS細胞、及びNKL細胞が挙げられる。免疫細胞は、同種異系又は自己であることがある。
本明細書中で使用される場合、用語「抗体」は、特定の抗原に特異的に結合するか、又は特定の抗原と免疫学的に反応性である免疫グロブリン分子のことを指す。抗体としては、限定されるものではないが、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、マルチスペシフィック抗体(例えば、バイスペシフィック抗体)、遺伝子工学的に操作した抗体、及びその他の改変した形態の抗体(例えば、限定されるものではないが、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヘテロコンジュゲート抗体[例えば、バイ-、トリ-及びクアッド-スペシフィック
抗体、ダイアボディ、トリアボディ、及びテトラボディ]、並びに抗体フラグメント[即ち、抗体の抗原結合フラグメント][例えば、Fab'、F(ab')2、Fab、Fv、rlgG、及びscFvフラグメントなど]、それらが所望の抗原結合活性を示す限り含まれる)、が挙げられる。
本発明の抗体は、一般に、単離されたものか、又は組換えである。「単離された」とは、本明細書中で使用される場合、それを発現する細胞又は細胞培養物から同定及び分離並びに/又は回収されたポリペプチド(例えば、抗体)を指す。通常、単離された抗体は、少なくとも1つの精製ステップによって調製される。従って、「単離された抗体」は、異な
る抗原特異性を有する他の抗体を実質的に含まない抗体を指す。例えば、CD117に特異的
に結合する単離された抗体は、CD117以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含ま
ない。同様に、CD45に特異的に結合する単離された抗体は、CD45以外の抗原に特異的に結合する抗体を実質的に含まない。
本明細書で使用される用語「モノクローナル抗体」は、任意の真核生物、原核生物、又はファージ・クローンを含む単一のクローンから、当技術分野で利用可能な、又は公知の
任意の手段によって、得られる抗体を指す、並びにハイブリドーマ技術によって産生される抗体に限定されない。本開示で有用なモノクローナル抗体を、ハイブリドーマ、組換え、及びファージ・ディスプレイ技術、又はその組合せを使用することを含む、当技術分野で公知の多種多様な技術を使用して調製することができる。特に断らない限り、用語「モノクローナル抗体」(mAb)は、ターゲット・タンパク質に特異的に結合することができる
、インタクトな分子及び抗体フラグメント(例えば、Fab及びF(ab')2フラグメント等を含む)の両方を含むことを意味する。本明細書中で使用される場合、Fab及びF(ab')2フラグメントは、インタクトな抗体のFcフラグメントを欠く抗体フラグメントを指す。ある実施形態では、抗体フラグメントは、Fc領域を含む。
一般的に、抗体は、抗原結合領域を含む重鎖及び軽鎖を含む。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書では、HCVR又はVHと略す)及び重鎖定常領域から構成される。前記重鎖定常領域は、3つのドメイン(CH1、CH2及びCH3)から構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明
細書では、LCVR又はVLと略す)及び軽鎖定常領域から構成される。前記軽鎖定常領域は、1つのドメイン(CL)から構成される。前記VH及びVL領域は、超可変性の領域(相補性決定領域(CDR)と呼ばれる)に更に細分化することができ、より保存された領域(骨格領域(FR)と呼ばれる)が点在する。各VH及びVLは、3つのCDR及び4つのFRから構成され、アミノ末端からカルボキシル末端に向かって、以下の順序で配列する:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。前記重鎖及び軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。前記抗体の定常領域は、前記免疫グロブリンが宿主の組織又は因子(例えば、免疫システムの種々の細胞(例、エフェクター細胞)及び古典的補体システムの第一成分(C1q)等)
に結合することを、仲立ちすることがある。
本明細書中で使用される場合、用語「抗原結合フラグメント」は、ターゲット抗原に特異的に結合する作用能を保持する抗体の1つ以上の部分をいう。抗体の抗原結合機能を、
全長抗体のフラグメントによって果たすことができる。前記抗体フラグメントは、例えば、Fab、F(ab')2、scFv、ダイアボディ、トリアボディ、アフィボディ、ナノボディ、アプタマー、又はドメイン抗体であることがある。抗体の「抗原結合フラグメント」という用語に包含される結合フラグメントの例としては、限定されるものではないが、以下が挙げられる:(i)Fabフラグメント、VL、VH、CL及びCH1ドメインからなる一価フラグメント;(ii)F(ab')2フラグメント、ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結した、2つのFabフラグメントを含む二価フラグメント;(iii) VH及びCH1ドメインからなるFdフラグメント
;(iv)抗体の単一アームのVL及びVHドメインからなるFvフラグメント;(v) VH及びVLドメインを含むdAb;(vi) VHドメインからなるdAbフラグメント(例えば、Ward et al., Nature 341:544-546、1989を参照のこと);(vii) VH又はVLドメインからなるdAb;(viii)単離
した相補性決定領域(CDR);並びに(ix)合成リンカーによって任意選択的に連結すること
がある2つ以上(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、又は6つ)の単離したCDRの組み合わせ。更
に、Fvフラグメントの2つのドメイン(VL及びVH)は、別々の遺伝子によってコードされ
ているが、それらを、組換え方法を使用することで、リンカーによって連結して、その結果、単一タンパク質鎖(VL及びVH領域が対になって一価分子を形成する)とすることができる(単鎖Fv(scFv)として公知である;例えば、Bird et al., Science 242:423-426, 1988 及び Huston et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:5879-5883, 1988を参照のこと)。これらの抗体フラグメントを、当業者に公知の従来の技術を使用して入手することができ、及び前記フラグメントを、インタクトな抗体と同じ様式で、有用性についてスクリーニングすることができる。抗原結合フラグメントを、組換えDNA技術、インタクトな免疫
グロブリンの酵素的な又は化学的な切断によって、又は、ある場合には、当該技術分野で公知の化学的ペプチド合成手順によって、産生することができる。
本明細書中で使用される場合、用語「抗-CD117抗体」又は「CD117に結合する抗体」は
、抗体が、CD117をターゲットとする診断薬剤及び/又は治療薬剤として有用であるよう
に、十分な親和性でCD117に結合することができる抗体を指す。
本明細書中で使用される場合、用語「抗-CD45抗体」又は「CD45に結合する抗体」は、
抗体が、CD45をターゲットとする診断薬剤及び/又は治療薬剤として有用であるように、十分な親和性でCD45に結合することができる抗体を指す。
本明細書中で使用される場合、用語「ダイアボディ」は、2つのポリペプチド鎖を含む
二価抗体を指す、ここで、各々のポリペプチド鎖は、同じペプチド鎖上のVH及びVLドメインの分子内会合が不可能であるくらい短いリンカー(例えば、5つのアミノ酸から構成されるリンカー)によって連結されたVH及びVLドメインを含む。この構成によって、それぞれ
のドメインは、別のポリペプチド鎖上の相補的ドメインと対になって、ホモ二量体構造を形成する。従って、用語「トリアボディ」は、3つのペプチド鎖を含む三価抗体を指し、
その各々は、同一のペプチド鎖内のVH及びVLドメインの分子内会合を可能にするには非常に短すぎるリンカー(例えば、1~2アミノ酸から構成されるリンカー)によって連結された1つのVHドメイン及び1つのVLドメインを含む。このようにして構成されたペプチドは、その生来の構造に折りたたまれるために、通常は、隣接するペプチド鎖のVHドメイン及びVLドメインが空間的に互いに近接するように、三量体化する(例えば、Holliger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:6444-48, 1993を参照)。
本明細書で使用される場合、用語「バイスペシフィック抗体(bispecific antibody)」
は、例えば、少なくとも2種の異なる抗原又は2種の異なるエピトープに結合することができるモノクローナルの、例えば、ヒト抗体又はヒト化抗体を指す。例えば、結合特異性のうちの1つを、造血幹細胞表面抗原、例えば、CD117(例えば、GNNK+ CD117)又はCD45に向
けることができ、他方を、特に細胞増殖を増強するシグナル伝達経路に関与するレセプター又はレセプター・サブユニットのような、様々な造血幹細胞表面抗原又は別の細胞表面タンパク質に特異的に結合させることができる。いくつかの実施形態では、その結合特異性を、同一のターゲット抗原上の、ユニークな、重複しないエピトープに向けることがある(即ち、バイパラトピック抗体[biparatopic antibody])。本明細書中で使用される場合、「インタクト(intact)」又は「全長」抗体は、ジスルフィド結合によって相互接続した2つの重(H)鎖ポリペプチド及び2つの軽(L)鎖ポリペプチドを有する抗体を指す。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書では、HCVR又はVHと略す)及び重鎖定常領域から構成される。前記重鎖定常領域は、3つのドメイン(CH1、CH2及びCH3)から構成される。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書では、LCVR又はVLと略す)及び軽鎖定常領域から構成される。前記軽鎖定常領域は、1つのドメイン(CL)から構成される。前記VH及びVL領域は、超可変性の領
域(相補性決定領域(CDR)と呼ばれる)に更に細分化することができ、より保存された領
域(骨格領域(FR)と呼ばれる)が点在する。各VH及びVLは、3つのCDR及び4つのFRから構
成され、アミノ末端からカルボキシル末端に向かって、以下の順序で配列する:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。前記重鎖及び軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。前記抗体の定常領域は、前記免疫グロブリンが宿主の組織又は因子(例えば、免疫システムの種々の細胞(例、エフェクター細胞)及び古典的補体システムの第一成分(C1q)等)に結合することを、仲立ちすることがある。
本明細書中で使用される場合、用語「相補性決定領域」(CDR)は、抗体の軽鎖及び重鎖
可変ドメインの両方に見出される超可変領域のことを指す。可変ドメインのより高度に保存された部分は、骨格領域(FR)と呼ばれる。抗体の超可変領域を表すアミノ酸の位置は、文脈及び当該技術分野で公知の種々の定義に依存して、変化することがある。可変ドメイン内のいくつかの位置は、ハイブリッド超可変位置と見なされることがあり、これらの位置は、ある組の基準の下では超可変領域内にあると見なされることがあり、一方、別の組の基準の下では超可変領域外にあると見なされることがある。これらの位置の1つ以上は
また、拡張超可変領域において見出されることもある。本明細書に記載される抗体は、こ
れらのハイブリッド超可変位置に、改変を含むことがある。天然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、それぞれ、主にβ-シート構造をとり、3つのCDRによって連結した(CDRは、β-シート構造を連結し、場合によってはその一部を形成する、ループを形成する)、4つの骨格領域を含む。各々の鎖中のCDRは、FR1-CDR1-FR2-CDR2-FR3-CDR3-FR4の順序で、骨格
領域によって近接して一緒にまとまり、そして他の抗体鎖由来のCDRと共に、抗体のター
ゲット結合部位の形成に寄与する(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, National Institute of Health, Bethesda, MD., 1987を参照のこと)。ある特定の実施形態では、免疫グロブリンのアミノ酸残基の番号付けは、特に断らない限り、Kabatらの免疫グロブリンのアミノ酸残基の番号付けシステムに従って行う(しかし、限定されるものではないが、IMGT及びChothia等を含む、任意の抗体の番号付けスキームを
利用することがある)。
用語「特異的に結合する」は、本明細書中で使用される場合、抗体(又はADC)が、タン
パク質一般というよりも、特異的なタンパク質構造(エピトープ)を認識し、結合する能力を指す。抗体がエピトープ「A」に特異的である場合、標識した「A」及び前記抗体を含む反応において、エピトープA(又は遊離の、非-標識のA)を含む分子が存在すると、前記抗
体に結合する標識したAの量が減少する。例えば、抗体は(標識されている場合)、対応
する非-標識抗体によってそのターゲットから競合して離れることがある場合、前記抗体
は、ターゲットに「特異的に結合する」。ある実施形態では、抗体は、ターゲット(例えば、造血幹細胞が発現する抗原[例えば、CD117(例えば、GNNK+ CD117)、若しくはCD45]、又は成熟免疫細胞[例えば、T-細胞]が発現する抗原[例えばCD4、若しくはCD8])に、前記抗体が、少なくとも約10-4M、約10-5 M、約10-6 M、約10-7 M、約10-8 M、約10-9 M、約10-10 M、約10-11M、約10-12 M、又はそれ未満(未満とは、約10-12未満の数値を
意味する、例えば10-13)の、前記ターゲットに対するKDを有する場合、特異的に結合する。ある実施形態では、用語「特異的に結合する」は、少なくとも約1x10-6 M, 約1x10-7 M, 約1x10-8 M, 約1x10-9M, 約1x10-10 M, 約1 x 10-11 M, 約1x10-12M若しくはそれより
大きいKdで抗原に結合する、及び/又は非特異的な抗原に対するその親和性よりも少なくとも2倍大きい親和性で抗原に結合する、抗体の能力のことを指す。ある実施形態では、KDを、標準的なバイオレイヤー干渉法(Bio-Layer Interferometry)(BLI)に従って測定する。しかし、前記抗体は、配列が関連する2つ以上の抗原に特異的に結合することができる
ことを理解されたい。例えば、ある実施形態では、抗体は、抗原(例えば、CD117[GNNK+
CD117]、若しくはCD45)のヒト及び非-ヒト(例えば、マウス又は非-ヒト霊長類)オルソログの両方に特異的に結合することがある。
本明細書中で使用される場合、用語「キメラ」抗体は、ラット又はマウス抗体などの非-ヒト免疫グロブリンに由来する可変配列、及び典型的にはヒト免疫グロブリン・テンプ
レートから選択されるヒト免疫グロブリン定常領域、を有する抗体を指す。キメラ抗体を産生するための方法は、当技術分野で公知である。例えば、Morrison, 1985, Science 229(4719):1202-7; Oi et al., 1986, BioTechniques 4:214-221; Gillies et al., 1985, J. Immunol. Methods 125:191-202; 米国特許5,807,715; 4,816,567; 及び 4,816,397を
参照のこと。用語「Fc」、「Fc領域」、「Fcドメイン」、及び「IgG Fcドメイン」は、本明細書中で使用される場合、IgG分子のパパイン消化によって得られる結晶化可能なフラ
グメントに関する免疫グロブリン(例えば、IgG分子)の一部を指す。前記Fc領域は、ジ
スルフィド結合によって連結した、IgG分子の2本の重鎖のC末端側の半分を含む。これは
、抗原結合活性を有さないが、糖部分、並びに補体及びFcRnレセプター等を含むFcレセプターに対する結合部位を含む(下記参照)。例えば、Fc領域は、第2の定常ドメインCH2(
例えば、ヒトIgG1のEU位置231~340の残基)及び第3の定常ドメインCH3(例えば、ヒトIgG1のEU位置341~447の残基)を含む。本明細書中で使用される場合、前記Fc領域は、「ロワ
ー・ヒンジ領域(lower hinge region)」(例えば、ヒトIgG1のEU位置233-239の残基)を含
む。
Fcは、単離されたこの領域、又は抗体、抗体フラグメント、若しくはFc融合タンパク質の文脈におけるこの領域、を指すことがある。多型が、限定されるものではないが、EU位置270、272、312、315、356、及び358等を含む、Fcドメイン内の多くの位置で観察されてきており、従って、本出願で提示される配列と当該技術分野で知られている配列との間にわずかな差異が存在することがある。従って、「野生型IgG Fcドメイン」又は「WT IgG Fcドメイン」は、任意の自然に発生するIgG Fc領域(即ち、任意のアレル)を指す。ヒトIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4の重鎖の配列は、多くの配列データベース中に見つけることがで
き、例えば、Uniprotデータベース(www.uniprot.org)では、それぞれ、アクセション番号P01857(IGHG1_human)、P01859(IGHG2_human)、P01860(IGHG3_human)及びP01861(IGHG1_human)である。
本明細書中で使用される場合、用語「改変したFc領域」又は「バリアントFc領域」は、Fc領域内の任意の位置に導入された、1つ以上のアミノ酸置換、欠失、挿入又は改変を含
むIgG Fcドメインを指す。ある特定の態様では、バリアントIgG Fcドメインは、1つ以上
のアミノ酸置換を含まない野生型Fcドメインと比較して、FcガンマR及び/又はC1qに対する結合親和性が減少する又は無くなるという結果を産む、1つ以上のアミノ酸置換を含む
。更に、Fc結合相互作用は、様々なエフェクター機能及び下流のシグナル伝達イベント(抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(antibody dependent cell-mediated cytotoxicity (ADCC))及び補体依存性細胞傷害(complement dependent cytotoxicity (CDC))等を含むが、こ
れらに限定されない)にとって必須である。従って、ある特定の態様では、バリアントFcドメイン(例えば、抗体、融合タンパク質、又はコンジュゲート)を含む抗体は、1つ以上
のアミノ酸置換、欠失、挿入、又は改変を含まない (例えば、Fc領域中の対応する位置に天然に存在するアミノ酸残基を含む、改変していないFc領域)が他の点では同じアミノ酸
配列を有する、対応する抗体と比較して、少なくとも1つ以上のFcリガンド(例えば、Fc
ガンマR)に対する結合親和性が変わることがある。
本明細書に記載されるバリアントFcドメインは、それらを構成するアミノ酸改変に従って定義される。Fc領域に関して本明細書中で議論される全てのアミノ酸置換について、番号付けは、常にKabatにあるようなEUインデックスに従う。従って、例えば、D265Cは、親Fcドメインに対して、EU位置265のアスパラギン酸(D)がシステイン(C)で置換されたFcバ
リアントである。同様に、例えば、D265C/L234A/L235Aは、親Fcドメインに対して、EU位
置265(DからCへ)、234(LからAへ)、及び235(LからAへ)に置換を有するFcバリアントを定
義する。バリアントはまた、変異EUアミノ酸位置における、その最終的なアミノ酸組成に従って指定されることもある。例えば、L234A/L235A変異は、「LALA」と呼ぶことがある
。更なる例として、E233P.L234V.L235A.delG236(236の欠失)変異は、「EPLVLAdelG」と呼ぶことがある。更に別の例として、I253A.H310A.H435A変異は、「IHH」と呼ぶことがある。置換を示す順序は任意であることに留意されたい。
用語「Fcガンマ・レセプター」又は「FcガンマR」は、本明細書中で使用される場合、IgG抗体Fc領域に結合する、及びFcガンマR遺伝子によってコードされるタンパク質のファ
ミリーの任意のメンバーを指す。ヒトにおいては、このファミリーは、限定されるものではないが、FcガンマRI (CD64)(例えば、アイソフォーム FcガンマRIa、FcガンマRIb、及びFcガンマRIcなど);FcガンマRII (CD32)(例えば、アイソフォームFcガンマRIIa[例
えば、アロタイプH131及びR131]、FcガンマRIIb[例えば、FcガンマRIIb-1 及び FcガンマRIIb-2]、並びにFcガンマRIIcなど);並びにFcガンマRIII (CD16)(例えば、アイソ
フォームFcガンマRIIIa[例えば、アロタイプV158及びF158]並びにFcガンマRIIIb[例えば、アロタイプFcガンマRIIIb-NA1及びFcガンマRIIIb-NA2]、並びに任意の未発見のヒトFcガンマR又はFcガンマRのアイソフォーム若しくはアロタイプ、を含む。FcガンマRは、
任意の生命体(例えば、限定されるものではないが、ヒト、マウス、ラット、ウサギ及び
サルなど)に由来することがある。マウスFcガンマRは、限定されるものではないが、Fc
ガンマRI (CD64)、FcガンマRII (CD32)、FcガンマRIII (CD16)、及びFcガンマRIII-2 (CD16-2)、並びに任意の未発見のマウスFcガンマR又はFcガンマRのアイソフォーム若しくは
アロタイプ、を含む。
用語「エフェクター機能」は、本明細書中で使用される場合、FcドメインとFcレセプターとの相互作用から生じる、生化学的な事象を指す。エフェクター機能としては、限定されるものではないが、ADCC、ADCP、及びCDCが挙げられる。本明細書で使用される「エフ
ェクター細胞」は、1つ以上のFcレセプターを発現する、及び1つ以上のエフェクター機能を媒介する、免疫システムの細胞をいう。エフェクター細胞としては、限定されるものではないが、単球、マクロファージ、好中球、樹状細胞、好酸球、マスト細胞、血小板(platelets)、B細胞、大顆粒リンパ球、ランゲルハンス細胞、ナチュラル・キラー(NK)細胞、及びガンマ・デルタT細胞、が挙げられる、並びに任意の生命体(例えば、限定されるも
のではないが、ヒト、マウス、ラット、ウサギ及びサル)に由来する。
本明細書で使用される場合、用語「サイレント(silent)」、「サイレンス化(silenced)」又は「サイレンシング(silencing)」は、改変していないFc領域を含む同じ抗体のFcγRへの結合と比較して、Fcガンマ・レセプター(FcγR)への結合が減少した、本明細書に記
載の改変したFc領域を有する抗体を指す(例えば、BLIで測定した場合、例えば、改変し
ていないFc領域を含む同じ抗体のFcγRへの結合と比較して、FcγRへの結合の減少が、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なく
とも99%、又は100%、である)。いくつかの実施形態では、Fcサイレンス化(Fc silenced)
抗体は、FcγRに、検出可能な結合を示さない。改変したFc領域を有する抗体のFcγRへの結合を、当技術分野で公知の様々な技術(例えば、限定されるものではないが、平衡方法[例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA);KinExA、Rathanaswami et al. Analytical Biochemistry, Vol. 373:52-60, 2008;ラジオイムノアッセイ(RIA)]、又は表面プラ
ズモン共鳴アッセイ若しくは他のメカニズムの動態に基づくアッセイ[例えば、BIACORE(登録商標)解析若しくはOctet(登録商標)解析(forteBIO)]、並びに他の方法[例えば、間接的結合アッセイ、競合的結合アッセイ、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)、ゲル電気泳動及びクロマトグラフィー(例えば、ゲルろ過)など])を使用して、測定することができる。これら及び他の方法は、1つ以上の評価する構成成分上にある標識を利用することが
ある、及び/又は、様々な検出方法(例えば、限定されるものではないが、発色性標識、蛍光性標識、発光性標識、又は同位体標識など)を使用することがある。結合親和性及び動態に関しては、Paul, W. E., ed., Fundamental Immunology, 4th Ed., Lippincott-Raven, Philadelphia (1999)(これは、抗体-免疫原相互作用に焦点を当てている)に、詳
細に記載されている。競合的結合アッセイの一例は、標識抗原と目的の抗体とを、非-標
識の抗原の量を増やしながら、その存在下で、インキュベーションすること、及び前記標識抗原に結合した抗体を検出すること、を含むラジオイムノアッセイである。そのデータから、スキャッチャード・プロット解析により、特定の抗原に対する目的の抗体の親和性及び結合オフ-レート(off-rate)を決定することがある。第2の抗体との競合を、ラジオイムノアッセイを使用して、測定することもある。この場合、前記抗原を、標識化合物にコンジュゲートした目的の抗体と、非-標識の第2の抗体の量を増やしながら、その存在下で、インキュベーションする。
本明細書で使用される場合、用語「改変していないFc領域を含む同じ抗体」は、列挙したアミノ酸置換(例えば、D265C、L234A、L235A、及び/又はH435A)を欠くが、他の点では、比較されるFcを改変した抗体と同じアミノ酸配列を有する抗体を指す。
用語「抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(antibody dependent cell-mediated cytotoxicity)」又は「ADCC」は、細胞傷害性の一形態を指し、そこでは、Fcドメインを含むポリペ
プチド(例えば、抗体)が、ある特定の細胞傷害性細胞(例えば、主にNK細胞、好中球、及びマクロファージ)上に存在するFcレセプター(FcR)に結合する、並びにこれらの細胞傷
害性エフェクター細胞が、抗原を有する「ターゲット細胞」に特異的に結合するようになる、及び続いてその細胞毒素によって前記ターゲット細胞を死滅させる(Hogarth et al.,
Nature review Drug Discovery 2012, 11:313)。抗体及びそのフラグメントに加えて、
抗原保有ターゲット細胞に特異的に結合する能力を有する、Fcドメインを含む他のポリペプチド(例えば、Fc融合タンパク質及びFcコンジュゲート・タンパク質)は、細胞媒介性細胞傷害をもたらすことが企図される。
単純化のために、Fcドメインを含むポリペプチドの活性から生じる細胞媒介性細胞傷害も、本明細書中では、ADCC活性と呼ぶ。本開示の任意の特定のポリペプチドの、ADCCによるターゲット細胞の溶解を媒介する能力を、アッセイすることができる。ADCC活性を評価するために、目的のポリぺプチド(例えば、抗体)を、免疫エフェクター細胞と一緒に、ターゲット細胞に添加し、その結果、前記ターゲット細胞を細胞溶解させる。細胞溶解を、一般的に、溶解した細胞から、標識(例えば、放射活性基質、蛍光色素又は天然の細胞内
タンパク質)が放出されることによって、検出する。このようなアッセイに有用なエフェ
クター細胞としては、末梢血単核細胞(PBMC)及びナチュラル・キラー(NK)細胞、が挙げられる。in vitro ADCCアッセイの具体例は、Bruggemann et al., J. Exp. Med. 166:1351 (1987); Wilkinson et al., J. Immunol. Methods 258:183 (2001); Patel et al., J. Immunol. Methods 184:29 (1995)、に記載されている。或いは、又は更に、目的の抗体のADCC活性を、in vivoで(例えば、Clynes et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 95:652 (1998)に開示されるような動物モデルで)、評価することがある。
本明細書中で使用される場合、用語「コンディショニングをする」及び「コンディショニング」は、移植片(例えば、造血幹細胞を含む移植片)を受けるために、患者に対して準備をするプロセスのことを指す。このような手順によって、造血幹細胞の移植片の生着は促進される(例えば、コンディショニング手順及び続いて行った造血幹細胞移植の後に
、患者から単離した血液サンプル内の生存可能な造血幹細胞の量が持続的に増大していることから推測される)。本明細書に記載する方法に従って、造血幹細胞が発現する抗原(
例えば、CD117[例えばGNNK+ CD117]又はCD45など)に結合し得るADC、抗体、又はその
抗原結合フラグメントを患者に投与することによって、造血幹細胞移植療法に備えて、前記患者をコンディショニングすることがある。本明細書に記載するように、前記抗体を、ADCを形成するように、細胞毒素に共有結合的にコンジュゲートさせることがある。上記
の抗原の1種以上に結合し得る、ADC、抗体、又はその抗原結合フラグメンを、造血幹細胞移植療法を必要とする患者に投与することは、例えば、内因性の造血幹細胞を選択的に減少させて、それによって、外因性の造血幹細胞の移植片によって埋められる空きができることにより、造血幹細胞移植片が生着することを促進することがある。
本明細書中で使用される場合、用語「有効量」又は「治療有効量」は、所望の結果を達成するために、又は自己免疫疾患若しくはがんに対する効果を有するために、十分な量を指す。
本明細書で使用される場合、用語「半減期」は、体内での抗体薬物の血漿中濃度が半分又は50%減少するのにかかる時間を指す。この血清濃度の50%の低下は、循環する薬物の量を反映する。
本明細書中で使用される場合、用語「ヒト抗体」は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域及び定常領域を有する抗体を含むことが意図される。ヒト抗体は、ヒト生殖系列免疫グロブリン配列によってコードされていないアミノ酸残基(例えば、in vitroでのランダムな若しくは部位特異的な変異誘発によって導入された変異、又はin vivo
での遺伝子再構成若しくは体細胞変異によって導入された変異)を含むことがある。しか
し、本明細書中で使用される場合、用語「ヒト抗体」に、マウス等の別の哺乳動物種の生殖系列に由来するCDR配列をヒトの骨格配列上に移植した抗体が含まれることを、意図し
ていない。ヒト抗体を、ヒト細胞において(例えば、組換え発現によって)、又は機能的に再構成したヒト免疫グロブリン(例えば、重鎖及び/又は軽鎖)遺伝子を発現し得る非-ヒ
ト動物又は原核若しくは真核細胞によって、産生することがある。ヒト抗体が一本鎖抗体である場合、それは天然のヒト抗体には見出されないリンカー・ペプチドを含むことがある。例えば、Fvは、2個~約8個のグリシン又は他のアミノ酸残基のようなリンカー・ペプチドを含むことがあり、リンカー・ペプチドは前記重鎖の可変領域及び前記軽鎖の可変領域を連結する。このようなリンカー・ペプチドは、ヒト起源であると見なされる。ヒト抗体を、ヒト免疫グロブリン配列に由来する抗体ライブラリを使用するファージ・ディスプレイ法を含む、当該技術分野で公知の種々の方法によって作製することがある。ヒト抗体はまた、機能的な内因性の免疫グロブリンを発現することはできないが、ヒト免疫グロブリン遺伝子を発現することができるトランスジェニック・マウスを使用して産生することもある(例えば、PCT公開番号WO 1998/24893; WO 1992/01047; WO 1996/34096; WO 1996/33735;米国特許第5,413,923号;第5,625,126号;第5,633,425号;第5,569,825号;第5,661,016号;第5,545,806号;第5,814,318号;第5,885,793号;第5,916,771号;及び第5,939,598号を参照のこと)。
非-ヒト(例えば、マウス)抗体の「ヒト化」形態は、非-ヒト免疫グロブリンに由来する配列を最小限に含むキメラ免疫グロブリンである。一般的に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的な全てを含み、ここで、CDR領域の全て又は
実質的な全ては非-ヒト免疫グロブリンのものに対応し、FR領域の全て又は実質的な全て
はヒト免疫グロブリン配列のものである。前記ヒト化抗体はまた、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、典型的にはヒト免疫グロブリン・コンセンサス配列の少なくとも一部を含むことがある。抗体をヒト化する方法は、当技術分野で公知である。例えば、Riechmann et al., 1988, Nature 332:323-7; 米国特許 5,530,101; 5,585,089; 5,693,761; 5,693,762; 及び 6,180,370 to Queen et al.; EP239400; PCT公開 WO 91/09967; 米国特許 5,225,539; EP592106; EP519596; Padlan, 1991, Mol. Immunol., 28:489-498; Studnicka et al., 1994, Prot. Eng. 7:805-814; Roguska et al., 1994, Proc. Natl. Acad. Sci. 91:969-973; 及び 米国特許 5,565,332を参照。
本明細書中で使用される場合、用語「生着能力(engraftment potential)」は、造血幹
細胞及び造血前駆細胞が組織に再生着する能力を指すために使用され、そのような細胞が天然に循環しているか、又は移植によって提供されるかに関わらない。前記用語は、細胞の組織ホーミング及び注目する組織内への細胞のコロニー形成のような、生着を取り巻くか、又は生着に至るすべての事象を包含する。生着の効率又は生着の割合は、当業者に公知の任意の臨床的に許容されるパラメータを用いて評価又は定量することができ、例えば、競合的再生着ユニット(competitive repopulating unit)(CRU)を評価すること;幹細胞がホーミングした、コロニー形成をした、若しくは生着した組織において、マーカーが取り込まれること若しくは発現すること;又は、疾患の進行、造血幹細胞及び造血前駆細胞の生存、若しくはレシピエントの生存により、対象の進行を評価すること、を挙げることができる。生着は、移植後の末梢血中の白血球細胞数を測定することによっても判定することができる。生着は、骨髄吸引サンプルにおけるドナー細胞による骨髄細胞の回復率を測定することによって評価することもできる。
本明細書中で使用される場合、用語「造血幹細胞」(「HSC」)とは、自己複製する能力
、及び顆粒球(例えば、前骨髄球、好中球,好酸球、好塩基球)、赤血球(例えば、網状赤
血球、赤血球)、血小板(thrombocyte)(例えば、巨核芽球、血小板(platelet)産生巨核球
、血小板(platelets))、単球(例えば、単球、マクロファージ)、樹状細胞、ミクログリア
、破骨細胞、及びリンパ球(例えば、NK細胞、B細胞及びT細胞)を含むがこれらに限定されない多様な系列を含む成熟血液細胞に分化する能力、を有する未成熟血液細胞を指す。そのような細胞は、CD34+細胞を含むことがある。CD34+細胞は、CD34細胞表面マーカーを発現する未成熟細胞である。ヒトでは、CD34+細胞は、上記に定義された幹細胞の特性を有
する細胞の亜集団を含むと考えられているが、一方マウスでは、HSCはCD34-である。更に、HSCはまた、長期再生着HSC(LT-HSC)及び短期再生着HSC(ST-HSC)も指す。LT-HSC及びST-HSCは、機能的な可能性及び細胞表面マーカーの発現に基づいて区別される。例えば、ヒ
トHSCは、CD34+、CD38-、CD45RA-、CD90+、CD49F+、及びlin-(CD2、CD3、CD4、CD7、CD8
、CD10、CD11B、CD19、CD20、CD56、CD235A等を含む成熟系列マーカーについてネガティ
ブ)である。マウスでは、骨髄LT-HSCは、CD34-、SCA-1+、C-kit+、CD135-、Slamfl/CD150+、CD48-、及びlin-(Ter119、CD11b、Gr1、CD3、CD4、CD8、B220、IL7ra等を含む成熟系
列マーカーについてネガティブ)であるが、一方、ST-HSCは、CD34+、SCA-1+、C-kit+、CD135-、Slamfl/CD150+、及びlin-(Ter119、CD11b、Gr1、CD3、CD4、CD8、B220、IL7ra等を含む成熟系列マーカーについてネガティブ)である。加えて、ST-HSCは、ホメオスタシス
条件下で、LT-HSCよりも静止性が低く、増殖性が高い。しかし、LT-HSCは、自己複製能がより高い(即ち、LT-HSCは、成人期を通して生存し、レシピエントを代々介して連続的に
移植することができる)のに対し、ST-HSCは、自己複製能が限られている(即ち、ST-HSCは、限られた期間のみ生存し、連続して移植することはできない)。これらのHSCの何れも、本明細書に記載される方法において使用され得る。ST-HSCは、それらが高度に増殖性であり、それ故、分化した後代をより迅速に生じ得るので、特に有用である。
本明細書で使用される場合、用語「抗-造血細胞抗体(anti-hematopoietic cell antibody)」又は「抗-HC抗体」は、造血幹細胞が発現する抗原(例えば、CD117[例えば、GNNK+
CD117]、若しくはCD45)、又は成熟免疫細胞(例えば、T-細胞)が発現する抗原(例えば、CD45)に特異的に結合する抗体を指す。
本明細書中で使用される場合、用語「造血幹細胞の機能的な可能性」は、1)多能性(multi-potency)(これは、限定されるものではないが、顆粒球[例えば、前骨髄球、好中球
,好酸球、好塩基球]、赤血球[例えば、網状赤血球、赤血球]、血小板(thrombocyte)
[例えば、巨核芽球、血小板(platelet)産生巨核球、血小板(platelets)]、単球[例え
ば、単球、マクロファージ]、樹状細胞、ミクログリア、破骨細胞、及びリンパ球[例えば、NK細胞、T細胞及びB細胞]等を含む、複数の様々な血液系列に分化する能力を指す)、2)自己複製(これは、母細胞と同等の可能性を有する娘細胞を生じさせる造血幹細胞の能力を指す、更に、この能力は消耗することなく個々の生存期間を通して繰り返し起こりうる)、並びに3)造血幹細胞又はその後代が、移植レシピエントに再導入されると、造血幹細胞ニッチにホーミングし、生産的で持続的な造血を再確立する作用能、を含む、造血幹細胞の機能的な特性を指す。
本明細書中で使用される場合、用語「ドナー・キメリズム(donor chimerism)」は、同
種異系の造血幹細胞移植のレシピエント(recipient)(即ち、宿主)のリンパ造血システム
におけるドナー(donor)細胞の割合を指す。例えば、85%のドナー・キメリズム(donor chimerism)は、同種異系の造血幹細胞移植の後に、85%のドナー(donor)細胞を含むリンパ造
血システムを指す。いくつかの実施形態では、本明細書の方法は、in vivoで、少なくと
も80%のドナー・キメリズム(donor chimerism)、少なくとも85%のドナー・キメリズム(donor chimerism)、又は少なくとも90%のキメリズムを確立するのに効果的である。生着及
びキメリズムの程度(例えば、前記宿主中のドナー(donor)幹細胞の割合)を、幾つもの標
準的な方法によって検出することがある。前記宿主中に、性染色体特異的マーカーなどのドナー(donor)マーカーが存在することを、例えば、標準的な細胞遺伝学的解析、適切な
プライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、可変数のタンデム・リピート-PCR(VNTR-PCR)、マイクロサテライト・マーカー若しくは他のフィンガープリンティング技術、又
は蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)を用いて判定することがある。宿主-ドナー・キメリズム(donor chimerism)をまた、例えば、標準的な補体依存性のマイクロ細胞傷
害性試験を用いて、宿主の血液中のドナー(donor)型の細胞の割合を測定することによっ
ても判定することがある。
本明細書中で使用される場合、用語「ミスマッチ」(例えば、「MHC-ミスマッチ」、「HLA-ミスマッチ」、又は「miHA-ミスマッチ」)は、造血幹細胞移植の文脈において、同種
異系の細胞(若しくは組織、又は臓器)(例えば、ドナー細胞)上に、レシピエントが発現する抗原のバリアントに対して、少なくとも1種の類似しない(例えば、非同一)細胞表面
抗原が存在することを指す。同種異系の移植片は、いくつかの実施形態では、移植レシピエントに対して、「マイナー・ミスマッチ」を含むことがある。このような「マイナー・ミスマッチ」としては、MHC抗原又はHLA抗原以外の細胞表面抗原における個体差が挙げられる。マイナー・ミスマッチとしては、マイナー組織適合性抗原における差異が挙げられる。いくつかの実施形態では、同種異系の移植片は、前記移植レシピエントに対する「メジャー・ミスマッチ」を含むことがある。このような「メジャー・ミスマッチ」とは、前記移植片と前記レシピエントとの間にある、MHCハプロタイプ中の又はHLAハプロタイプ中の差異のことをいう。例示的な実施形態では、同種異系の移植片は、前記移植レシピエントと同じMHCハプロタイプ又はHLAハプロタイプを共有するが、1つ以上のマイナー・ミス
マッチを含むことがある(本明細書では「マイナー・ミスマッチの同種異系の移植片」と
も呼ぶ)。別の例示的な実施形態では、同種異系の移植片は、1つ以上のメジャー・ミスマッチを、単独で又は1つ以上のマイナー・ミスマッチに加えて、含むことがある。「完全
ミスマッチ(full mismatch)」の同種異系の移植片は、1つ以上のメジャー・ミスマッチ及び1つ以上のマイナー・ミスマッチを含む、同種異系の移植片を指す。メジャー及び/又
はマイナー・ミスマッチが存在することを、当技術分野で使用される通常のアッセイ(例えば、血清学的な、ゲノム学的な、又は分子的な解析など)によって判定することがある。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの主要組織適合性遺伝子複合体抗原が、前記
レシピエント(recipient)が発現する対立遺伝子に対してミスマッチである。或いは又は
更に、少なくとも1つのマイナー組織適合性抗原が、前記レシピエント(recipient)が発現する対立遺伝子に対してミスマッチである。
本明細書中で使用される場合、用語「対象」及び「患者」は、本明細書に記載するような特定の疾患又は症状に対して治療を受ける、ヒトのような生命体を指す。例えば、ヒト患者のような患者は、外因性の造血幹細胞の生着を促進させるために、造血幹細胞移植療法の前に治療を受けることがある。
本明細書中で使用される場合、用語「ドナー(donor)」は、レシピエントに細胞又はそ
の後代を投与する前に、その1つ以上の細胞を単離したヒト又は動物を指す。前記1つ以上の細胞は、例えば、造血幹細胞の集団であることがある。
本明細書で使用される場合、用語「レシピエント(recipient)」は、造血幹細胞の集団
を含む移植片等の移植片を受ける患者を指す。レシピエントに投与される移植細胞は、例えば、自家の、同系の、又は同種異系の細胞であることがある。
本明細書中で使用される場合、用語「内因性」は、ヒト患者のような特定の生命体に天然に見出される分子、細胞、組織、又は臓器(例えば、造血幹細胞、又は巨核球、血小板(thrombocyte)、血小板(platelet)、赤血球、マスト細胞、骨髄芽球,好塩基球、好中球、好酸球、ミクログリア細胞、顆粒球、単球、破骨細胞、抗原提示細胞、マクロファージ、樹状細胞、ナチュラル・キラー細胞、T-リンパ球、又はB-リンパ球のような造血系列の細胞)のような物質を記載する。
本明細書中で使用される場合、用語「サンプル」は、対象から採取された検体(例えば
、血液、血液成分(例えば、血清又は血漿)、尿、唾液、羊水、脳脊髄液、組織(例えば、
胎盤又は真皮)、膵液、絨毛膜絨毛サンプル、及び細胞)を指す。
本明細書中で使用される場合、用語「scFv」は、抗体由来の重鎖の可変ドメインと軽鎖の可変ドメインとが結合して1本の鎖を形成している、単鎖Fv抗体を指す。scFv断片は、
リンカーによって分離された、抗体軽鎖の可変領域(VL) (例えば、CDR-L1、CDR-L2、及び/又はCDR-L3)及び抗体重鎖の可変領域(VH) (例えば、CDR-H1、CDR-H2、及び/又はCDR-H3)を含む単一のポリペプチド鎖を含む。scFvフラグメントのVL領域及びVH領域を連結するリンカーは、タンパク質を構成するアミノ酸から構成されるペプチド・リンカーであることがある。代替のリンカーを、タンパク質分解に対するscFvフラグメントの耐性を増大させるために(例えば、D-アミノ酸を含有するリンカー)、scFvフラグメントの溶解性を増大させるために(例えば、ポリエチレン・グリコール含有リンカー又は繰り返しのグリシン
及びセリン残基を含有するポリペプチド等の親水性リンカー)、前記分子の生物物理学的
安定性を改善するために(例えば、分子内又は分子間ジスルフィド結合を形成するシステ
イン残基を含有するリンカー)、又は前記scFvフラグメントの免疫原性を弱めるために(例えば、グリコシル化部位を含有するリンカー)、使用することがある。本明細書に記載さ
れるscFv分子の可変領域を、それらが由来する抗体分子からアミノ酸配列が変化するように、改変することができることもまた、当業者は理解する。例えば、scFvの作用能(対応する抗体が認識する抗原に結合する作用能)を保存又は増強するために、アミノ酸残基での保存的置換又は変化をもたらすヌクレオチド又はアミノ酸置換を(例えば、CDR及び/又は骨格残基において)行うことがある。
本明細書中で使用される場合、語句「血液から実質的にクリアランスされる」は、治療薬剤(例えば、抗-CD117抗体、抗-CD45抗体、又はその抗原結合フラグメント)を患者に
投与した後の時点であって、前記患者から単離された血液サンプル中の前記治療薬剤の濃度が、前記治療薬剤を従来の方法によって検出できないようなものである場合(例えば、
前記治療薬剤が、前記治療薬剤を検出するために使用されるデバイス又はアッセイのノイズ閾値を超えて検出できないような場合)のことを指す。当該技術分野で知られている、
様々な技法(例えば、当該技術分野で知られている又は本明細書に記載されているELISA
ベースの検出アッセイなど)を使用して、抗体、抗体フラグメント、及びタンパク質リガンドを検出することがある。抗体、又は抗体フラグメントを検出するために使用され得る更なるアッセイには、とりわけ当該技術分野で公知の、免疫沈降法及びイムノブロット・アッセイが含まれる。
本明細書中で使用される場合、用語「トランスフェクション」は、エレクトロポレーション、リポフェクション、リン酸カルシウム沈殿、DEAE-デキストラン・トランスフェク
ション等のような、原核宿主細胞又は真核宿主細胞に外因性のDNAを導入するために一般
的に使用される、任意の多種多様な技術のことを指す。
本明細書中で使用される場合、用語「治療する/処置する(to treat)」又は「治療/処置(treatment)」は、疾患症状の重篤度及び/又は頻度を減少させること、疾患症状及び
/又は前記症状の根本的な原因を除くこと、疾患症状及び/又はその根本的な原因の頻度又は可能性を減少させること、並びに疾患によって直接的又は間接的に引き起こされた損傷を改善又は修復すること、疾患の任意の結果の任意の改善(例えば、生存期間が延びること、病的状態(morbidity)がより減少すること及び/又は代わりの治療モダリティの副
産物である副作用の減少など)を指す;当技術分野において容易に理解されるように、疾患を完全に根絶することが好ましいが、これは治療行為の必要条件ではない。有益な又は所望の臨床的な結果としては、限定されるものではないが、本明細書に記載されるような抗体コンディショニング療法及び続いて行う造血幹細胞移植療法後に、患者において外因
性の造血細胞の生着が促進されることが含まれる。更なる有益な結果には、造血幹細胞移植を必要としている患者において、コンディショニング療法及び続いて外因性の造血幹細胞移植片を前記患者に投与した後に、造血幹細胞の細胞数が増加すること又は相対的な濃度が増加すること、が含まれる。本明細書に記載される療法の有益な結果にはまた、コンディショニング療法及び続いて行う造血幹細胞移植療法の後に、造血系列の1種以上の細
胞(巨核球、血小板(thrombocyte)、血小板(platelet)、赤血球、マスト細胞、骨髄芽球
、好塩基球、好中球、好酸球、ミクログリア細胞、顆粒球、単球、破骨細胞、抗原提示細胞、マクロファージ、樹状細胞、ナチュラル・キラー細胞、Tリンパ球、又はBリンパ球等)の細胞数が増加すること又は相対的な濃度が増加すること、が含まれることもある。更なる有益な結果には、がん細胞 (例えば、CD117+白血病細胞)又は自己免疫細胞(例えば、自己抗原と交差反応するT-細胞レセプターを発現するCD117+ T-細胞等のCD117+自己免疫
リンパ球) の集団等の、疾患を引き起こす細胞集団の量が減少することが含まれることがある。本開示の方法が障害を予防することを対象とする限り、用語「予防する」は、疾患の状態が完全に阻止されることを必要としないことが理解される。むしろ、本明細書中で使用される場合、予防するという用語は、障害に感受性がある集団を同定し、疾患の発症前に本開示の化合物を投与すること等を、当業者ができることをいう。前記用語は、疾患の状態が完全に回避されることを意味するものではない。
本明細書中で使用される場合、造血幹細胞移植を「必要とする」患者は、1種以上の血
液細胞の型に欠陥又は欠損を示す患者、並びに幹細胞障害、自己免疫疾患、がん、又は本明細書に記載する他の病態を有する患者を含む。造血幹細胞は、一般に、1)多能性(multi-potency)、従って、限定されるものではないが、顆粒球(例えば、前骨髄球、好中球,
好酸球、好塩基球)、赤血球(例えば、網状赤血球、赤血球)、血小板(thrombocyte)(例え
ば、巨核芽球、血小板(platelet)産生巨核球、血小板(platelets))、単球(例えば、単球
、マクロファージ)、樹状細胞、ミクログリア、破骨細胞、及びリンパ球(例えば、NK細胞、B-細胞及びT-細胞)等を含む、複数の様々な血液系列に分化することができる、2)自己
複製、従って、母細胞と同等の可能性を有する娘細胞を生じさせることができる、並びに3)移植レシピエントに再導入されると、造血幹細胞ニッチにホーミングし、生産的で持続的な造血を再確立する作用能、を示す。従って、造血系列の1種以上の細胞型において欠
陥がある又は欠損した患者に、in vivoで、欠陥がある又は欠損した細胞の集団を再構成
するために、造血幹細胞を投与することがある。例えば、前記患者は、がんに罹患していることがあり、前記欠損は、がん性細胞集団を選択的に又は非特異的に減少させる化学療法剤又は他の薬剤を投与することによって引き起こされることがある。更に、又はその代替として、前記患者は鎌状赤血球貧血、サラセミア、ファンコニ貧血、再生不良性貧血、及びウィスコット-アルドリッチ症候群等の異常ヘモグロビン症(例えば、非-悪性異常ヘ
モグロビン症)に罹患していることがある。前記対象は、アデノシン・デアミナーゼ重度
複合免疫不全症(ADA SCID)、HIV/AIDS、異染性白質ジストロフィー、ダイアモンド-ブラ
ックファン貧血、及びシュワックマン-ダイアモンド症候群に罹患している対象であるこ
とがある。前記対象は遺伝性の血液障害(例えば、鎌状赤血球貧血)又は自己免疫疾患を有するか、又はその影響を受けていることがある。更に、又はその代替として、前記対象は、神経芽細胞腫又は血液がん等の悪性腫瘍を有するか、又はその影響を受けていることがある。例えば、前記対象は、白血病、リンパ腫又は骨髄腫を有していることがある。いくつかの実施形態では、前記対象は、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫又は非-ホジキン・リンパ腫(non-Hodgkin’s lymphoma)を有する。いくつかの実施形態では、前記
対象は骨髄異形成症候群を有する。いくつかの実施形態では、前記対象は、強皮症、多発性硬化症、潰瘍性大腸炎、クローン病、I型糖尿病等の自己免疫疾患、又は本明細書に記
載の別の自己免疫性の病態を有する。いくつかの実施形態では、前記対象は、キメラ抗原レセプターT-細胞(CART)療法を必要とする。いくつかの実施形態では、前記対象は、代謝性貯蔵障害を有するか、又はその影響を受けている。前記対象は、グリコーゲン蓄積症、
ムコ多糖症、ゴーシェ病、ハーラー病、スフィンゴ脂質症、異染性白質ジストロフィー、からなる群より選択される代謝障害、又は本明細書に開示される治療及び療法から恩恵を得ることができる任意の他の疾患又は障害(限定されるものではないが、重度複合免疫不全症、ウィスコット-アルドリッチ症候群、高免疫グロブリンM症候群、チェディアック-
東病、遺伝性リンパ組織球症、大理石骨病、骨形成不全症、貯蔵疾患、サラセミア・メジャー、鎌状赤血球症、全身性硬化症、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、若年性関節リウマチ)、並びに"Bone Marrow Transplantation for Non-Malignant disease"、ASH
Education Book、1:319-338(2000)(この開示は、造血幹細胞移植療法を処方することによって治療される可能性のある病態に関するものであり、その全体が本明細書に参照により取り込まれる)に記載されている疾患又は障害、に罹患している、又はその影響を受けていることがある。更に又は代わりに、造血幹細胞移植を「必要とする」患者は、前述の病態のうちの1種に罹患している又は罹患していない患者(それにもかかわらず、巨核球
、血小板(thrombocyte)、血小板(platelet)、赤血球、マスト細胞、骨髄芽球、好塩基球
、好中球、好酸球、ミクログリア、顆粒球、単球、破骨細胞、抗原提示細胞、マクロファージ、樹状細胞、ナチュラル・キラー細胞、T-リンパ球、及びB-リンパ球等の造血系列内の1種以上の内因性の細胞型のレベルの低下[例えば、その他の点では健康な対象のレベ
ルと比較して低下]を示す)であることがある。当業者の中のある者は、例えば、当該技術分野で公知の手順の中でも特に、フロー・サイトメトリー及び蛍光活性化細胞選別(FACS)方法によって、前記の細胞型又は他の血液細胞の型のうちの1種以上のもののレベルが
、その他の点では健康な対象に対して低下しているかどうかを容易に決定することができる。
本明細書中で使用される場合、用語「免疫抑制薬剤(immunosuppressive agent)」又
は「免疫抑制剤(immunosuppressant)」は、造血移植のレシピエント(recipient)の免疫システムを抑制又はマスクするように作用する物質を指す。これには、サイトカイン産生を抑制する、自己抗原の発現をダウンレギュレーションする若しくは抑制する、又はMHC
抗原をマスクする物質が含まれるであろう。そのような薬剤の例としては、カルシニューリン/MTOR阻害剤(例えば、タクロリムス、シロリムス、ラパマイシン、シクロスポリン、エベロリムス)、共刺激を遮断する分子(例えば、CTLA4-Ig、抗-CD40L)、NKを減少させる
薬剤、抗-胸腺細胞グロブリン(anti-thymocyte globulin (ATG))、アルキル化剤(例えば
、ナイトロジェン・マスタード、例えば、シクロホスファミド;ニトロソウレア(例えば
、カルムスチン);白金化合物)、メトトレキサート、抗-TCR剤(例えば、ムロモナブ-CD3)、抗-CD20抗体(例えば、リツキシマブ、オクレリズマブ、オファツムマブ及びベルツズマブ)、フルダラビン、カンパス(Campath)(アレムツズマブ)、2-アミノ-6-アリール-5-置換ピリミジン(米国特許4,665,077を参照、この開示は、本明細書に参照により取り込まれ
る)、アザチオプリン(又は、アザチオプリンに対して副作用を示す場合は、シクロホス
ファミド);ブロモクリプチン;グルタールアルデヒド(これは、米国特許4,120,649が記
載するように、MHC抗原をマスクする、上述);MHC抗原に対する抗イディオタイプ抗体;
シクロスポリンA;1種以上のステロイド(例えば、コルチコステロイド、例えば、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、及びデキサメタゾン);抗インターフェロン-γ抗体;抗腫瘍壊死因子-α抗体;抗腫瘍壊死因子-β抗体;抗インターロイキ
ン-2抗体;抗IL-2レセプター抗体などの抗サイトカイン・レセプター抗体;異種抗リンパ球グロブリン;汎T抗体、例えば、OKT-3モノクローナル抗体;CD4に対する抗体;CD8に対する抗体、CD45に対する抗体(例えば、30-F11、YTH24.5及び/又はYTH54.12(例えば、YTH24.5及びYTH54.12の組合せ);ストレプトキナーゼ;ストレプトドルナーゼ;又は宿主由
来のRNA若しくはDNA、が挙げられる。更なる免疫抑制剤としては、限定されるものではないが、全身照射法(total body irradiation)(TBI)、低用量TBI、及び/又はサイトキサン(Cytoxan)が挙げられる。
本明細書中で使用される場合、用語「バリアント(variant)」及び「誘導体(derivative
)」は、互換的に使用され、そして本明細書に記載される化合物、ペプチド、タンパク質
、又は他の基質の天然に存在する、合成の、及び半合成の類似体のことを指す。本明細書に記載の化合物、ペプチド、タンパク質、又は他の物質のバリアント又は誘導体は、元の物質の生物学的活性を保持又は改善することがある。
本明細書中で使用される場合、語句「幹細胞障害」は、対象のターゲット組織をコンディショニングすることによって、及び/又はターゲット組織中の内因性の幹細胞集団を除去することによって(例えば、対象の骨髄組織から内因性の造血幹細胞集団若しくは造血
前駆細胞集団を除去することによって)、及び/又は対象のターゲット組織中に幹細胞を
生着させる若しくは移植することによって、治療又は治癒され得る任意の疾患、障害、又は症状を広く指す。例えば、I型糖尿病は、造血幹細胞移植によって治癒されることが示
されており、本明細書に記載する組成物及び方法に従ってコンディショニングすることから恩恵を得ることができる。本明細書に記載する組成物及び方法を使用して治療され得る更なる障害には、限定されるものではないが、鎌状赤血球貧血、サラセミア、ファンコニ貧血、再生不良性貧血、ウィスコット-アルドリッチ症候群、ADA SCID、HIV/AIDS、異染
性白質ジストロフィー、ダイアモンド-ブラックファン貧血、及びシュワックマン-ダイアモンド症候群が挙げられる。本明細書に記載する患者コンディショニング及び/又は造血幹細胞移植の方法を用いて治療することができる更なる疾患には、遺伝性血液疾患(例え
ば、鎌状赤血球貧血)及び強皮症、多発性硬化症、潰瘍性大腸炎、及びクローン病等の自
己免疫疾患が含まれる。本明細書に記載するコンディショニング及び/又は移植方法を使用して治療され得る更なる疾患には、悪性腫瘍(例えば、神経芽細胞腫)、又は血液がん(
例えば、白血病、リンパ腫、及び骨髄腫)が含まれる。例えば、前記がんは、急性骨髄性
白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、又は非-ホジキン・リンパ腫(non-Hodgkin’s lymphoma)であることがある。本明細書に記載のコンディショニング及び/又は移植方法を用いて
治療可能な更なる疾患には、骨髄異形成症候群が含まれる。いくつかの実施形態では、前記対象は、代謝性貯蔵障害を有するか、又はその影響を受けている。例えば、前記対象は、グリコーゲン蓄積症、ムコ多糖症、ゴーシェ病、ハーラー病、スフィンゴ脂質症、異染性白質ジストロフィー、からなる群より選択される代謝障害、又は本明細書に開示される治療及び療法から恩恵を受けることができる任意の他の疾患又は障害(限定されるものではないが、重度複合免疫不全症、ウィスコット-アルドリッチ症候群、高免疫グロブリンM(IgM)症候群、チェディアック-東病、遺伝性リンパ組織球症、大理石骨病、骨形成不全症、貯蔵疾患、サラセミア・メジャー、鎌状赤血球症、全身性硬化症、全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus)、多発性硬化症、若年性関節リウマチ)、並びに"Bone Marrow Transplantation for Non-Malignant disease"、ASH Education Book、1:319-338(2000)(この開示は、造血幹細胞移植療法を処方することによって治療される可能性のある病態に関するものであり、その全体が本明細書に参照により取り込まれる)に記載されている疾患又は障害、に罹患している、又はその影響を受けていることがある。
本明細書中で使用される場合、用語「ベクター」は、プラスミド、DNAベクター、プラ
スミド、RNAベクター、ウイルス、又は他の好適なレプリコン等の、核酸ベクターを含む
。本明細書に記載される発現ベクターは、ポリヌクレオチド配列、並びに、例えば、タンパク質を発現させる及び/又は哺乳動物細胞のゲノムの中にこれらのポリヌクレオチド配列を組み込ませるために使用する更なる配列エレメントを含むことがある。本発明の抗体及び抗体フラグメントを発現させるのに用いることができる、ある特定のベクターには、遺伝子転写を指示するプロモータ領域及びエンハンサー等の、調節配列を含むプラスミドが含まれる。抗体及び抗体フラグメントを発現させるための他の有用なベクターは、これらの遺伝子の翻訳速度を増強するか、又は遺伝子転写から生じるmRNAの安定性若しくは核外への移行を改善するポリヌクレオチド配列を含む。これらの配列要素は、例えば、発現ベクター上にある遺伝子を効率的に転写するようにする、5'及び3'非翻訳領域及びポリア
デニル化シグナル部位を含むことがある。本明細書に記載される発現ベクターはまた、このようなベクターを含む細胞を選択するためのマーカーをコードするポリヌクレオチドを含むこともある。好適なマーカーの例としては、アンピシリン、クロラムフェニコール、カナマイシン、及びノウルセオスリシン(nourseothricin)等の抗生物質に対する耐性をコードする遺伝子が挙げられる。
本明細書中で使用される場合、用語「コンジュゲート」又は「抗体薬物コンジュゲート」又は「ADC」は、細胞毒素に結合した抗体を指す。ADCは、抗体、又はその抗原結合フラグメントのようなある分子の反応性官能基と、本明細書に記載する細胞毒素のような別の分子の好適な反応性官能基との化学的な結合によって形成される。コンジュゲートは、互いに結合した2つの分子間(例、抗体と細胞毒素の間)に、リンカーを含むことがある。
コンジュゲートの形成に用いることができるリンカーの例としては、ペプチド含有リンカー(例えば、天然に存在する又は天然に存在しないアミノ酸、例えば、D-アミノ酸を含有するリンカー)が挙げられる。リンカーを、本明細書に記載する、及び当該技術分野で公知である、種々のストラテジー(strategies)を使用して調製することがある。その中の反応性成分に依存して、リンカーを、例えば、酵素的加水分解、光分解、酸性条件下での加水分解、塩基性条件下での加水分解、酸化、ジスルフィド還元、求核切断、又は有機金属切断によって、切断することがある(例えば、Leriche et al., Bioorg. Med. Chem., 20:571-582, 2012を参照のこと)。
本明細書中で使用される場合、「微小管結合剤」という語は、細胞における有糸分裂及び間期細胞機能に必須である微小管ネットワークを破壊することによって作用する化合物を指す。微小管結合剤の例としては、メイタシン、メイタンシノイド、及びそれらの誘導体(本明細書に記載されるか、又は当該技術分野で公知のものなど)、ビンブラスチン、ビンブラスチン硫酸、ビンクリスチン、ビンクリスチン硫酸、ビンデシン、及びビノレルビン等のビンカ・アルカロイド、ドセタキセル及びパクリタキセル等のタキサン、ディスコデルモリド、コルヒチン(cochicine)及びエポチロン等のマクロライド、並びにそれらの
誘導体(エポチロンB又はその誘導体など)が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書中で使用される場合、用語「アマトキシン」は、Amanita phalloidesキノコによって産生されるペプチドのアマトキシン・ファミリーのメンバー、又はそのバリアント若しくは誘導体(例えば、RNAポリメラーゼII活性を阻害し得るそのバリアント若しくは
誘導体)のことを指す。本明細書に記載する組成物及び方法と併用して有用なアマトキシン類としては、例えば、限定されるものではないが、式(III)、(IIIA)、(IIIB)及び(IIIC)の化合物(各々、以下、本明細書で記載される通りである)(例、α-アマニチン、β-
アマニチン、γ-アマニチン、ε-アマニチン、アマニン、アマニンアミド、アマヌリン、アマヌリン酸、又はプロアマヌリン等)のような化合物が挙げられる。本明細書に記載するように、アマトキシンを、例えば、リンカー部分構造(L)を介して、抗体、又はその抗
原結合フラグメントにコンジュゲートさせることがある(これにより、ADCを形成する)。このようなプロセスに有用な、例示的なアマトキシンをコンジュゲートさせる方法及びリンカーを以下に記載する。前記組成物及び方法による、抗体、又は抗原結合フラグメントへのコンジュゲートに有用な、例示的なリンカー含有アマトキシンもまた、本明細書に記載する。
本明細書中で使用される場合、用語「アシル」は、-C(=O)Rを指す、ここで、Rは、本明細書で定義されるように、水素(「アルデヒド」)、アルキル、アルケニル、アルキニル、カルボシクリル、アリール、ヘテロアリール、又はヘテロシクリルである。非限定的な例としては、ホルミル、アセチル、プロパノイル、ベンゾイル、及びアクリロイルが挙げられる。
本明細書中で使用される場合、用語「アルキル」は、例えば、鎖中に1~20個の炭素原
子を有する直鎖又は分枝鎖アルキル基を指す。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチ
ル、イソペンチル、tert-ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル等が挙げられる。
本明細書中で使用される場合、用語「アルキレン」は、直鎖又は分枝鎖の二価アルキル基を指す。二価の位置は、アルキル鎖内の同じ原子上にあっても、異なる原子上にあってもよい。アルキレンの例としては、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン等が挙げられる。
本明細書中で使用される場合、用語「ヘテロアルキル」は、例えば、鎖中に1~20個の
炭素原子を有し、更に鎖中に1個以上のヘテロ原子(例えば、とりわけ、酸素、窒素、又は硫黄)を含有する直鎖又は分枝鎖アルキル基を指す。
本明細書中で使用される場合、用語「ヘテロアルキレン」は、直鎖又は分岐鎖の二価ヘテロアルキル基を指す。二価の位置は、ヘテロアルキル鎖内の同じ原子上にあっても、異なる原子上にあってもよい。二価の位置は、1個以上のヘテロ原子であることがある。
本明細書中で使用される場合、用語「アルケニル」は、例えば、鎖中に2~20個の炭素
原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルケニル基を指す。アルケニル基の例としては、ビニル、プロペニル、イソプロペニル、ブテニル、tert-ブチレニル、ヘキセニル等が挙げられ
る。
本明細書中で使用される場合、用語「アルケニレン」は、直鎖又は分岐鎖の二価アルケニル基を指す。二価の位置は、アルケニル鎖内の同じ原子上にあっても、異なる原子上にあってもよい。アルケニレンの例としては、エテニレン、プロペニレン、イソプロペニレン、ブテニレン等が挙げられる。
本明細書中で使用される場合、用語「ヘテロアルケニル」は、例えば、鎖中に2~20個
の炭素原子を有し、更に鎖中に1個以上のヘテロ原子(例えば、とりわけ、酸素、窒素、又は硫黄)を含む直鎖又は分岐鎖アルケニル基を指す。
本明細書中で使用される場合、用語「ヘテロアルケニレン」は、直鎖又は分岐鎖の二価ヘテロアルケニル基を指す。二価の位置は、ヘテロアルケニル鎖内の同じ原子上にあっても、異なる原子上にあってもよい。二価の位置は、1個以上のヘテロ原子であることがあ
る。
本明細書中で使用される場合、用語「アルキニル」は、例えば、鎖中に2~20個の炭素
原子を有する直鎖又は分枝鎖のアルキニル基を指す。アルキニル基の例としては、プロパルギル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル等が挙げられる。
本明細書中で使用される場合、用語「アルキニレン」は、直鎖又は分枝鎖の二価アルキニル基を指す。二価の位置は、アルキニル鎖内の同じ原子上にあっても、異なる原子上にあってもよい。
本明細書中で使用される場合、用語「ヘテロアルキニル」は、例えば、鎖中に2~20個
の炭素原子を有し、更に鎖中に1個以上のヘテロ原子(例えば、とりわけ、酸素、窒素、又は硫黄)を含む直鎖又は分岐鎖アルキニル基を指す。
本明細書中で使用される場合、用語「ヘテロアルキニレン」は、直鎖又は分岐鎖の二価
ヘテロアルキニル基を指す。二価の位置は、ヘテロアルキニル鎖内の同じ原子上にあっても、異なる原子上にあってもよい。二価の位置は、1個以上のヘテロ原子であることがあ
る。
本明細書中で使用される場合、用語「シクロアルキル」は、飽和していて、及び、例えば、3~12個の炭素環原子を有する、単環、若しくは縮合、架橋、又はスピロ多環式環構
造を指す。シクロアルキル基の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、ビシクロ[3.1.0]ヘキサン等
が挙げられる。
本明細書中で使用される場合、用語「シクロアルキレン」は、二価のシクロアルキル基を指す。二価の位置は、環構造内の同じ原子上にあっても、異なる原子上にあってもよい。シクロアルキレンの例としては、シクロプロピレン、シクロブチレン、シクロペンチレン、シクロヘキシレン等が挙げられる。
本明細書中で使用される場合、用語「ヘテロシロアルキル(heterocyloalkyl)」は、飽
和していて、並びに、例えば、炭素原子から、及び、例えば、とりわけ、窒素、酸素、及び硫黄から選択されるヘテロ原子から選択される、環構造当たり3~12個の環原子を有す
る、単環、若しくは縮合、架橋、又はスピロ多環式環構造をいう。前記環構造は、例えば、炭素、窒素、又は硫黄の環メンバー上に、1個以上のオキソ基を含むことがある。ヘテ
ロシクロアルキルの例としては、限定されるものではないが、ジヒドロピリジル、テトラヒドロピリジル(ピペリジル)、テトラヒドロチオフェニル、ピペリジニル、4-ピペリドニル、ピロリジニル、2-ピロリドニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ビス-テトラヒドロピラニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、テ
トラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、オクタヒドロイソキノリニル、ピペラジニル、キヌクリジニル、及びモルホリニルが例として挙げられる。
本明細書中で使用される場合、用語「ヘテロシクロアルキレン」は、二価のヘテロシクロアルキル基を指す。二価の位置は、環構造内の同じ原子上にあっても、異なる原子上にあってもよい。
本明細書中で使用される場合、用語「アリール」は、例えば、6~19個の炭素原子を含
む単環式又は多環式芳香族環系を指す。アリール基としては、フェニル、フルオレニル、ナフチル等が挙げられるが、これらに限定されない。二価の位置は、1個以上のヘテロ原
子であることがある。
本明細書中で使用される場合、用語「アリーレン」は、二価のアリール基を指す。二価の位置は、同じ原子上にあっても、異なる原子上にあってもよい。
本明細書で使用される「ヘテロアラルキル」は、炭素原子(典型的には末端又はsp3
素原子)に結合した水素原子の1つがヘテロアリール・ラジカルで置換されている、非環
状アルキル・ラジカルを指す。典型的なヘテロアリールアルキル基としては、限定されるものではないが、2-ベンズイミダゾリルメチル、2-フリルエチル等が挙げられる。前記ヘテロアリールアルキル基は6~20個の炭素原子を含み、例えば、ヘテロアリールアルキル
基のアルキル部分(アルカニル、アルケニル又はアルキニル基等が挙げられる)は1~6個の炭素原子である、並びにヘテロアリール部分は5~14個の炭素原子である並びにN、O、P、及びSより選択される1~3個のヘテロ原子である。前記ヘテロアリールアルキル基のヘテ
ロアリール部分は、3~7個の環員(2~6個の炭素原子)を有する単環であることがある、又は7~10個の環員(4~9個の炭素原子並びにN、O、P、及びSより選択される1~3個のヘテロ原子)を有する二環であることがある(例えば:二環[4,5]、[5,5]、[5,6]、又は[6,6]シ
ステム)。
本明細書中で使用される場合、用語「ヘテロシクロアルキル」は、飽和していて、並びに、例えば、炭素原子から、及び、例えば、とりわけ、窒素、酸素、及び硫黄から選択されるヘテロ原子から選択される、環構造当たり3~12個の環原子を有する、単環、若しく
は縮合、架橋、又はスピロ多環式環構造をいう。前記環構造は、例えば、炭素、窒素、又は硫黄の環メンバー上に、1個以上のオキソ基を含むことがある。ヘテロシクロアルキル
の例としては、限定されるものではないが、ジヒドロピリジル、テトラヒドロピリジル(
ピペリジル)、テトラヒドロチオフェニル、ピペリジニル、4-ピペリドニル、ピロリジニ
ル、2-ピロリドニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ビス-テトラヒド
ロピラニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、デカヒドロキノリニル、オクタヒドロイソキノリニル、ピペラジニル、キヌクリジニル、及びモルホリニルが例として挙げられる。
本明細書中で使用される場合、用語「ヘテロシクロアルキレン」は、二価のヘテロシクロアルキル基をいう。二価の位置は、環構造内の同じ原子上にあっても、異なる原子上にあってもよい。
本明細書中で使用される場合、用語「アリール」は、例えば、6~19個の炭素原子を含
む単環式又は多環式芳香族環系をいう。アリール基としては、フェニル、フルオレニル、ナフチル等が含まれるが、これらに限定されない。二価の位置は、1個以上のヘテロ原子
であることがある。
本明細書中で使用される場合、用語「アリーレン」は、二価のアリール基を指す。二価の位置は、同じ原子上にあっても、異なる原子上にあってもよい。
本明細書中で使用される場合、用語「ヘテロアリール」は、単環式複素芳香族、又は二環式若しくは三環式縮合環ヘテロ芳香族基をいう、ここで、1つ以上の環原子はヘテロ原
子(例えば、窒素、酸素又は硫黄)である。ヘテロアリール基には、ピリジル、ピロリル、フリル、チエニル、イミダゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、1,2,3-トリアゾリル、1,2,4-トリアゾリル、1,2,3-オキサジアゾリル、1,2,4-オキサジアゾリル、1,2,5-オキサジアゾリル、1,3,4-オキサジアゾリル、1,3,4-トリアジニル、1,2,3-トリアジニル、ベンゾフリル、[2,3-ジヒドロ]ベンゾフリル、イソベンゾフリル、ベンゾチエニル、ベンゾトリアゾリル、イソベンゾチエニル、インドリル、イソインドリル、3H-インドリル、ベンゾイミダゾリル、イミダゾ[1,2-a]ピリジル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、キノリジニル、キナゾリニル、フタラジニル、キノキサリニル、シンノリニル、ナプチリジニル、ピリド[3,4-b]ピリジル、ピリ
ド[3,2-b]ピリジル、ピリド[4,3-b]ピリジル、キノリル、イソキノリル、テトラゾリル、5,6,7,8-テトラヒドロキノリル、5,6,7,8-テトラヒドロイソキノリル、プリニル、プテリジニル、カルバゾリル、キサンテニル、ベンゾキノリル等が挙げられる。
本明細書中で使用される場合、用語「ヘテロアリーレン」は、二価ヘテロアリール基をいう。二価の位置は、同じ原子上にあっても、異なる原子上にあってもよい。二価の位置は、1個以上のヘテロ原子であることがある。
ヘテロアリール及びヘテロシクロアルキル基は、Paquette, Leo A.; "Principles of Modern Heterocyclic Chemistry" (W. A. Benjamin, New York, 1968), 特に1, 3, 4, 6, 7, 及び 9章; "The Chemistry of Heterocyclic Compounds, A series of Monographs" (John Wiley & Sons, New York, 1950 to present), 特に13, 14, 16, 19, 及び 28巻; 並びに J. Am. Chem. Soc. (1960) 82:5566、に記載されている。
限定ではなく例として、炭素結合ヘテロアリール類及びヘテロシクロアルキル類は、ピリジンの2、3、4、5、若しくは6位、ピリダジンの3、4、5、若しくは6位、ピリミジンの2、4、5、若しくは6位、ピラジンの2、3、5、若しくは6位、フラン、テトラヒドロフラン
、チオフラン、チオフェン、ピロール若しくはテトラヒドロピロールの2、3、4、若しく
は5位、オキサゾール、イミダゾール若しくはチアゾールの2、4、若しくは5位、イソオキサゾール、ピラゾール、若しくはイソチアゾールの3、4、若しくは5位、アジリジンの2、若しくは3位、アゼチジンの2、3若しくは4位、キノリンの2、3、4、5、6、7、若しくは8
位、又はイソキノリンの1、3、4、5、6、7、若しくは8位、で結合する。更に典型的には
、炭素結合ヘテロ環類としては、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、5-ピリジル、6-ピリジル、3-ピリダジニル、4-ピリダジニル、5-ピリダジニル、6-ピリダジニル、2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、5-ピリミジニル、6-ピリミジニル、2-ピラジニル、3-ピラジニル、5-ピラジニル、6-ピラジニル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、又は5-チアゾリルが挙げられる。
限定ではなく例として、窒素結合ヘテロアリール類及びヘテロシクロアルキル類は、アジリジン、アゼチジン、ピロール、ピロリジン、2-ピロリン、3-ピロリン、イミダゾール、イミダゾリジン、2-イミダゾリン、3-イミダゾリン、ピラゾール、ピラゾリン、2-ピラゾリン、3-ピラゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドール、インドリン、1H-インダ
ゾールの1位で、イソインドール又はイソインドリンの2位、モルホリンの4位、及びカル
バゾール又はベータ・カルボリンの9位、で結合する。更に典型的には、窒素結合ヘテロ
環類としては、1-アジリジル、1-アゼテジル(1-azetedyl)、1-ピロリル、1-イミダゾリル、1-ピラゾリル、及び1-ピペリジニルが挙げられる。
個々の置換基の定義によって別段の制約を受けない限り、前記の化学的な部分構造、例えば、「アルキル」、「アルキレン」、「ヘテロアルキル」、「ヘテロアルキレン」、「アルケニル」、「アルケニレン」、「ヘテロアルケニル」、「ヘテロアルケニレン」、「アルキニル」、「アルキニレン」、「ヘテロアルキニル」、「ヘテロアルキニレン」、
「シクロアルキル」、「シクロアルキレン」、「ヘテロシクロアルキル」、「ヘテロシクロアルキレン」、「アリール」、「アリーレン」、「ヘテロアリール」、及び「ヘテロアリーレン」基等、は、任意選択的に、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルキル・アリール、アルキル・ヘテロアリール、アルキル・シクロアルキル、アルキル・ヘテロシクロアルキル、アミノ、アンモニウム、アシル、アシルオキシ、アシルアミノ、アミノカルボニル、アルコキシカルボニル、ウレイド、カルバメート、アリール、ヘテロアリール、スルフィニル、スルホニル、アルコキシ、スルファニル、ハロゲン、カルボキシ、トリハロメチル、シアノ、ヒドロキシ、メルカプト、ニトロ等からなる基から選択される1~5個の置換基で置換されることがある。典型的な置換基には、限定されるものではないが、-X, -R, -OH, -OR, -SH, -SR, NH2, -NHR, -N(R)2, -N+(R)3, -CX3, -CN, -OCN, -SCN, -NCO, -NCS, -NO, -NO2, -N3, -NC(=O)H,
-NC(=O)R, -C(=O)H, -C(=O)R, -C(=O)NH2, -C(=O)N(R)2, -SO3-, -SO3H, -S(=O)2R, -OS(=O)2OR, -S(=O)2NH2, -S(=O)2N(R)2, -S(=O)R, -OP(=O)(OH)2, -OP(=O)(OR)2, -P(=O)(OR)2, -PO3, -PO3H2, -C(=O)X, -C(=S)R, -CO2H, -CO2R, -CO2-, -C(=S)OR, -C(=O)SR, -C(=S)SR, -C(=O)NH2, -C(=O)N(R)2, -C(=S)NH2, -C(=S)N(R)2, -C(=NH)NH2, 及び -C(=NR)N(R)2、が含まれる;ここで、各Xは、F、Cl、Br、及びIから、それぞれの場合について独立に選択される;及び、各Rは、アルキル、アリール、ヘテロシクロアルキル、又はヘ
テロアリール、保護基及びプロドラック部分から、それぞれの場合について独立に選択される。基が「任意選択的に置換される」と記載されている場合はどんな場合でも、その基は、それぞれの場合について独立に、1個以上の上記の置換基で置換されることがある。
前記置換は、隣接する置換基で閉環(例えば、隣接する官能性置換基の閉環)し、例えば、ラクタム、ラクトン、環状無水物、アセタール、ヘミアセタール、チオアセタール、アミ
ナール、及びヘミアミナール(これらは、閉環によって形成され、例えば、保護基を提供する)を形成する状況を含むことがある。
あるラジカルの命名規則には、状況に応じて、モノ-ラジカル又はジ-ラジカルの何れかが含まれうることを理解しておく必要がある。例えば、置換基が分子の残りの部分への2
つの結合の位置を必要とする場合、前記置換基はジ-ラジカルであると理解される。例え
ば、2つの結合の位置を必要とするアルキルとして識別される置換基としては、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH(CH3)CH2-、等のジ-ラジカルが挙げられる。他のラジカル命名規則は、前記ラジカルが「アルキレン」、「アルケニレン」、「アリーレン」、「ヘテロシクロアルキレン」等のようなジ-ラジカルであることを明確に示す。
本明細書で使用される場合、用語「カップリング反応」は、互いに反応するのに適した2つ以上の置換基が反応して、それぞれの置換基に結合した分子フラグメントが(例えば、共有結合的に)結合した化学的な部分構造を形成する化学反応を指す。カップリング反応
には、細胞毒素(例えば、当該技術分野で公知の又は本明細書に記載される細胞毒素)であるフラグメントに結合した反応性置換基が、抗体、又はその抗原結合フラグメント(例えば、当該技術分野で公知の若しくは本明細書に記載される、CD117(GNNK+ CD117等)に特異的な、抗体、その抗原結合フラグメント)であるフラグメントに結合した適切な反応性置換基と反応する反応が含まれる。好適な反応性置換基の例としては、求核/求電子対(
例えば、特に、チオール/ハロアルキル対、アミン/カルボニル対、又はチオール/α, β-不飽和カルボニル対)、ジエン/ジエノフィル対(例えば、とりわけ、アジド/アルキ
ン対)等が挙げられる。カップリング反応には、限定されるものではないが、チオール・
アルキル化、ヒドロキシル・アルキル化、アミン・アルキル化、アミン縮合、アミド化、エステル化、ジスルフィド形成、環化付加(例えば、中でも特に、[4+2]Diels-Alder環化
付加、[3+2]Huisgen環化付加)、芳香族求核置換、芳香族求電子置換、及び当該技術分野
で公知又は本明細書において記載される他の反応モダリティが含まれる。
本明細書中で使用される場合、「CRU(競合的再生着ユニット(competitive repopulating unit))」は、in vivo移植後に検出され得る、長期生着する幹細胞に関する測定の単位
のことを指す。
本明細書中で使用される場合、「薬物対抗体比(drug-to-antibody ratio)」又は「DAR
」は、ADCの抗体に結合した細胞毒素(例えば、アマトキシン)の数を指す。抗体上の連結
部位の個数に応じて、より高い搭載数も考えられるが、ADCのDARは1~8の範囲であることがある。ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるADCは、1、2、3、4、5、6、7、又は8のDARを有する。
置換基がジ-ラジカルとして示される(即ち、分子の残りの部分への2つの結合の位置を
有する)場合はどこでも、前記置換基は、特に断らない限り、任意の方向性配置で結合す
ることができることを理解されたい。
治療方法
本明細書が開示することは、同種異系移植、例えば、同種異系の造血幹細胞(HSC)移植
、を必要とする患者中のCD117+細胞の集団及び/又はCD45+細胞の集団を減少させる方法
である。レシピエント(recipient)対象中で、同種異系の細胞が生着するレベルを増加さ
せる方法もまた、本明細書中に提供される。本明細書中に提供される方法を、同種異系移植に関連する様々な障害(特に、例えば、造血系における細胞型の疾患、がん、自己免疫疾患、代謝障害、移植片対宿主病、宿主対移植片拒絶、及び幹細胞障害)を治療するために、使用することがある。本明細書中に記載される組成物及び方法は、(i)病態を生じる
細胞の集団(例えば、がん細胞[例えば、白血病細胞]及び自己免疫細胞[例えば、自己
反応性T-細胞]の集団など)を直接的に減少させることがある、及び/又は(ii)移植した細胞がホーミングするニッチを提供することによって、移植した造血幹細胞の生着が促進されるように、内因性の造血幹細胞の集団を減少させることがある。移植(例えば、HSC
移植)を必要とする対象中の内因性の造血細胞を減少させることは、内因性の造血幹細胞が発現する抗原に結合することができる、ADC、抗体、又はそれらの抗原結合フラグメン
トを投与することによって実現することができる。移植療法に備えて患者に対して準備をする場合、この投与によって、内因性の造血幹細胞の集団が選択的に減少することが引き起こされ、それによって、骨髄などの造血組織中に空きが作り出され、その後、移植した外因性の造血幹細胞によってその空きが埋められることがある。造血幹細胞(例えば、CD117+[例えば、GNNK+ CD117]又はCD45+細胞)が発現する抗原、又は免疫細胞(例えば、成
熟免疫細胞)(例えば、T-細胞など)が発現する抗原(例えば、CD45)、に結合することが
できるADC、抗体、又はそれらの抗原結合フラグメントを、患者に投与して、細胞を減少
させる効果をもたらせることがある。従って、造血幹細胞が発現する抗原(例えば、CD117[例えば、GNNK+ CD117]又はCD45)、又は免疫細胞(例えば、成熟免疫細胞)(例えば、T-細胞など)が発現する抗原(例えば、CD45)、に結合するADC、抗体、又はそれらの抗原結
合フラグメントを、がん又は自己免疫疾患に罹患している患者に投与して、がん細胞又は自己免疫細胞の集団を直接的に減少させることがある、並びに、移植した細胞(例えば、造血幹細胞)が生存すること及び生着する可能性を促進させるために、造血幹細胞移植療法を必要とする患者に投与することがある。
移植患者は、自己の移植片(前記移植片は、対象自身の細胞を含む)を受けることがある。他の実施形態では。移植患者は、同種異系の移植片(前記移植片は、別の個体から得られた、又は別の個体に由来する細胞を含む)を受けることがある。同種異系移植の場合、移植細胞の生着は、宿主の免疫細胞が媒介する、移植片に対する免疫反応の可能性(宿
主対移植片病)、又は移植片に存在する免疫細胞が媒介する宿主の細胞に対する免疫反応
の可能性(移植片対宿主病(graft versus host disease))、によって複雑になる。移植レ
シピエント(recipient)である患者に関連して、移植片の抗原構成の相違の程度に伴い、
上記の合併症の可能性が増大する。従って、同種異系移植は、通常、HLA抗原とマイナー
組織適合性抗原の類似性が最も高い患者間で実施される。自家移植ドナー(donor)とレシ
ピエント(recipient)との間には非常に高度な抗原類似性が必要であるため、適切に適合
したドナー(donor)が得られないため、この治療を受けることができない、移植を必要と
する患者がいる。
本明細書に提供される方法は、(i)CD117又はCD45に結合することができるADC、及び(ii)免疫抑制薬剤、の両方を使って、同種異系移植を必要とする患者をコンディショニング
すると、同種異系の細胞が移植レシピエント(recipient)に対して高度な抗原ミスマッチ
を含む状況を含めて、同種ドナー(donor)細胞の生着が有意に増加する、という発見に、
少なくとも部分的に、基づく。理論に束縛されることを望むものではないが、前記免疫抑制薬剤は、ADCの投与後に患者中に存在する残存免疫細胞(例えば、残存T細胞など)の活性を阻害し、これは、自己細胞が生着することを、制限することがある、と考えられる。免疫抑制剤と併用してADCを投与すると、自己ドナー(donor)細胞の生着が増加し、ドナー・キメリズム(donor chimerism)の上昇につながる。従って、本明細書に記載される方法
を、いくつかの実施形態では、自己造血幹細胞の生着を増加させ、骨髄及び末梢血中のドナー・キメリズム(donor chimerism) (例えば、骨髄性キメリズム、B細胞キメリズム、及びT細胞キメリズムなど)を増加させるために、使用することがある。
本明細書中に記載されるように、造血幹細胞移植療法を、1種以上の血液細胞型を生着
させる、又は再生着させるために、治療を必要とする対象に処方することがある。造血幹細胞は、一般に、多能性(multi-potency)を示し、従って、限定されるものではないが、
顆粒球(例えば、前骨髄球、好中球,好酸球、好塩基球)、赤血球(例えば、網状赤血球、
赤血球)、血小板(thrombocyte)(例えば、巨核芽球、血小板(platelet)産生巨核球、血小
板(platelets))、単球(例えば、単球、マクロファージ)、樹状細胞、ミクログリア、破骨細胞、及びリンパ球(例えば、NK細胞、B細胞及びT細胞)など、複数の異なる血液系列に分化することがある。更に、造血幹細胞は、自己複製能力を有し、それ故に、母細胞と同等の可能性を有する娘細胞を生じ、そしてまた、移植レシピエント(recipient)に再導入さ
れると、造血幹細胞ニッチにホーミングし、再び生産的で持続的な造血を確立する能力を特徴とすることができる。
従って、in vivoで欠陥がある又は欠損した細胞の集団を再構成するために、造血系列
の1種以上の細胞型において欠陥がある又は欠損した患者に、造血幹細胞を投与すること
があり、それによって、内因性の血液細胞の集団の欠陥又は減少に関連した病態を治療する。従って、本明細書に記載の組成物及び方法を使用して、非-悪性異常ヘモグロビン症(例えば、鎌状赤血球貧血、サラセミア、ファンコニ貧血、再生不良性貧血及びウィスコット-アルドリッチ症候群からなる群より選択される異常ヘモグロビン症)を治療することがある。更に、又は代わりに、本明細書に記載される組成物及び方法を使用して、先天性免疫不全症などの免疫不全を治療することがある。更に、又は代わりに、本明細書に記載される組成物及び方法を使用して、後天性免疫不全症(例えば、HIV及びAIDSからなる群より選択される後天性免疫不全症)を治療することがある。本明細書中に記載される組成物及
び方法を使用して、代謝障害(例えば、グリコーゲン蓄積症、ムコ多糖症、ゴーシェ病、
ハーラー病、スフィンゴ脂質症、及び異染性白質ジストロフィーからなる群より選択される代謝障害)を治療することがある。
更に、又は代わりに、本明細書に記載される組成物及び方法を使用して、悪性腫瘍又は増殖性障害(例えば、血液がん、骨髄増殖性疾患)を治療することがある。がんを治療する場合、本明細書に記載される組成物及び方法を、造血幹細胞移植療法の前に内因性の造血幹細胞の集団を減少させるように、患者に投与することがあり、この場合、その移植した細胞は、内因性の細胞を減少させるステップによって作り出されたニッチにホーミングし、生産的な造血を確立することがある。これによって、次に、がん細胞を根絶させる間(例えば、全身性化学療法の間など)に減少した細胞の集団が再構成されることがある。本明細書に記載される組成物及び方法を用いて治療することができる例示的な血液がんとしては、限定されるものではないが、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、及び非-ホジキン・リンパ腫(non-Hodgkin's lymphoma)、並びに神経芽細胞腫などを含む他のがん性症状が挙げられる。
本明細書に記載される組成物及び方法を使って治療することがある更なる疾患としては、限定されるものではないが、アデノシン・デアミナーゼ欠損症及び重度複合免疫不全症、高免疫グロブリンM症候群、チェディアック-東病、遺伝性リンパ組織球症、大理石骨病、骨形成不全症、貯蔵疾患、サラセミア・メジャー、全身性硬化症、全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus)、多発性硬化症、並びに若年性関節リウマチが挙げられる。
本明細書に記載される抗体、又はその抗原結合フラグメント、及びコンジュゲートを使用して、固形臓器の移植トレランスを誘導することがある。例えば、本明細書に記載する組成物及び方法を使用して、ターゲット組織から細胞の集団を減少させる、又は欠損させることがある(例えば、骨髄幹細胞ニッチから造血幹細胞を減少させる)。前記ターゲット組織から細胞をこのように減少させた後、臓器ドナーから幹細胞又は前駆細胞の集団(例
えば、臓器ドナー由来の造血幹細胞)を移植レシピエントに投与することがある。そして
このような幹細胞又は前駆細胞が生着した後では、一時的な又は安定な混合キメラとなり、これにより、免疫抑制剤を更に必要とすることなく、長期の移植臓器トレランスが可能
になる。例えば、本明細書に記載する組成物及び方法を使用して、固形臓器の移植レシピエントにおいて移植トレランスを誘導することがある(例えば、とりわけ、腎臓移植、肺
移植、肝臓移植、及び心臓移植)。本明細書に記載する組成物及び方法は、例えば、一時
的な又は安定なドナーの生着が低割合でも、移植した臓器の長期トレランスが十分に誘導されるので、固形臓器の移植トレランスを誘導することに関連して使用する目的に十分に適している。
更に、本明細書に記載の組成物及び方法を使用して、CD117+(例えば、GNNK+ CD117)
又はCD45+である細胞を特徴とするがん等のがんを直接的に治療することがある。例えば
、本明細書中に記載される組成物及び方法を使用して、例えば、CD117+白血病細胞を示す患者において、白血病を治療することがある。CD117+がん性細胞(例えば、白血病性細胞)を減少させることによって、本明細書中に記載される組成物及び方法を使用して、種々のがんを直接的に治療することがある。この様式で治療することがある例示的ながんには、急性骨髄性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性リンパ性白血病、多発性骨髄腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、及び非-ホジキン・リンパ腫(non-Hodgkin’s lymphoma)のような血液がんが含まれる。
更に、本明細書中に記載される組成物及び方法を使用して、自己免疫障害を治療することがある。例えば、抗体、又はその抗原結合フラグメントを、CD45+免疫細胞を死滅させ
るために、自己免疫障害に罹患しているヒト患者のような対象に投与することがある。例えば、CD45+免疫細胞は、自己抗原に特異的に結合し、自己抗原に対して免疫反応を開始
するT-細胞レセプターを発現するT-細胞のような自己反応性リンパ球であることがある。自己反応性CD45+細胞を減少させることによって、本明細書に記載される組成物及び方法
を使用して、以下に記載されるような自己免疫性の病態を治療することがある。更に、又は代わりに、本明細書に記載される組成物及び方法を使用して、造血幹細胞移植療法の前に、内因性の造血幹細胞の集団を減少させることによって、自己免疫疾患を治療することがあり、その場合、移植した細胞は、内因性の細胞を減少させる工程によって作り出されたニッチにホーミングし、生産的な造血を確立することがある。これにより、自己免疫細胞を根絶させる間に減少した細胞の集団を、今度は再構成させることができる。
抗体又は抗体-薬物コンジュゲートを、細胞又は固形臓器を患者に移植する前に、必要
とするヒト患者に投与することがある。ある実施形態では、抗-CD45 ADC又は抗-CD117 ADCを、細胞又は固形臓器の移植の前に(例えば、約3日前、約2日前、約12時間前、約12時間前~3日前、約1日前~3日前、約1日前~2日前、又は約12時間前~2日前)、それを必要と
するヒト患者に、投与する。ある実施形態では、その移植片を、ADCが前記患者の血液か
らクリアランスされる又は実質的にクリアランスされた後に、前記患者に投与する。
免疫抑制剤を投与することによって、本明細書に記載される方法はまた、宿主対移植片(HvG)反応を予防するために有効である。移植片不全又は移植片拒絶(例えば、同種異系
の造血幹細胞移植後の不全など)は、一般に、ドナー(donor)細胞が最初に生着しないこ
と、又は最初に生着した後にドナー(donor)細胞が失われること、のいずれかとして顕在
化することがある(総説については、Mattsson et al. (2008) Biol Blood Marrow Transplant. 14(Suppl 1): 165-170を参照のこと)。
宿主対移植片(HvG)反応を予防し、それによって同種異系移植片不全のリスクを予防す
る又は低減するために、種々の免疫抑制剤を抗-CD117抗体、抗-CD45抗体、又はそれらの
抗体-薬物コンジュゲートと組み合わせて使用することがある。HvG反応のリスクがある患者において、免疫抑制剤を使用することで、より高度なMHC-ミスマッチ(例えば、HLA-ミ
スマッチ)又はマイナー組織適合性抗原(miHA)-ミスマッチを有するドナー(donor)細胞の
生着が可能となる。
いくつかの実施形態では、抗-CD117抗体、抗-CD45抗体、又はそれらの抗体-薬物コンジュゲートを、1種以上の免疫抑制剤(例えば、1種、2種、又は3種の免疫抑制剤)と併用して投与する。いくつかの実施形態では、抗-CD117抗体、抗-CD45抗体、又はそれらの抗体-薬物コンジュゲートを、2種以上の免疫抑制剤(例えば、本明細書に記載されるものなど)
と併用して投与する。
ある実施形態では、抗-CD117抗体、抗-CD45抗体、又はそれらの抗体-薬物コンジュゲートを、B-細胞及び/又はT-細胞の減少を可能にする免疫減少薬剤と併用して投与する。
いくつかの実施形態では、前記免疫減少薬剤は、抗-CD4抗体、抗-CD8抗体、又は抗-CD4抗体及び抗-CD8抗体の両方である。抗-CD4抗体の例としては、当該技術分野において知られており、例えば、イバリズマブ(Trogarzo、TMB-355、TNX-355、又はHu5A8としても知られている;例えば、US9790276及びUS9587022B2を参照、これは、本明細書に参照により取り込まれる)、ザノリムマブ (HuMax-CD4又は6G5.2としても知られている;例えば、WO1997013852を参照、これは、本明細書に参照により取り込まれる)、トレガリズマブ (BT-061としても知られている;例えば、US7452981を参照、これは、本明細書に参照により取り
込まれる)、プリリキシマブ(Centara、cM-T412、CEN 000029、MT 412としても知られている)、MTRX1011A(例えば、WO2008134046を参照のこと、これは、本明細書に参照により取
り込まれる)、セデリズマブ(OKT-4Aとしても知られている)、クレノリキシマブ(IDEC-151、BB-217969としても知られている)、ケリキシマブ(IDEC CE9.1、SB210396としても知ら
れている)、M-T413 、及びTRX1(例えば、WO2002102853を参照、これは、本明細書に参照
により取り込まれる)、が挙げられる。抗-CD8抗体の例としては、同様に当該技術分野に
おいて知られており、例えば、WO2019033043, WO2017134306, WO2019032661, WO2019023148, WO2014025828, US10414820, 及び US10377826これは、本明細書に参照により取り
込まれるに記載される抗-CD8抗体、が挙げられる。ある特定の実施形態では、前記免疫抑制剤は、リンパ球除去抗体である。例えば、前記リンパ球除去抗体は、抗-CD45抗体(例えば、クローン30-F11、末梢のB-及びT-細胞を強力に減少させることを可能にするためのエフェクター機能に依存することによってATGを模倣するそのままの抗体)であることがある。
他の実施形態では、抗-CD117抗体、抗-CD45抗体、又はそれらの抗体-薬物コンジュゲートを、シクロホスファミド(Cytoxan、例えば、低用量Cytoxan)と併用して、投与する。
また更なる実施形態では、抗-CD117抗体、抗-CD45抗体、又はその抗体-薬物コンジュゲートを、全身照射法(total body irradiation)(TBI、例えば、低用量TBI)と併用して投与する。従来のコンディショニング・プロトコルでは、同種異系移植を受ける前に高用量のTBIを用いることがある。本明細書で提供される本方法のいくつかの実施形態では、TBIを抗-CD117抗体、抗-CD45抗体、又はそれらの抗体-薬物コンジュゲートと併用する場合、低減された照射量のTBIを使用して、同種異系移植療法に備えて、患者を有効にコンディシ
ョニングすることがある。従って、いくつかの実施形態では、本発明は、同種異系移植治療に備えて患者をコンディショニングするために使用されるTBIのレベルを低下させる方
法であって、本明細書に記載される抗-CD117 ADC及び/又は抗-CD45 ADCを、低用量TBIと併用して患者に投与することを含む、方法を提供する。ある実施形態では、TBIのレベル
は、5Gy以下、4.5Gy以下、4Gy以下、3.5Gy以下、3Gy以下、2.5Gy以下、2Gy以下、1.5Gy以下、1Gy以下、0.5Gy以下である。いくつかの実施形態では、TBIのレベルは、約5Gy、約4.5Gy、約4Gy、約3.5Gy、約3Gy、約2.5Gy、約2Gy、約1.5Gy、約1Gy、又は約0.5Gyである。
他の実施形態では、抗-CD117抗体、抗-CD45抗体、又はそれらの抗体-薬物コンジュゲートを、エフェクター機能(即ち、補体依存性細胞傷害性(complement-dependent cytotoxic
ity (CDC))又は抗体依存性細胞傷害性(antibody-dependent cellular cytotoxicity (ADCC)))を介して、CD45+細胞を減少させることができる、非コンジュゲートの抗-CD45抗体と併用して投与する。
他の実施形態では、抗-CD117 ADC及び/又は抗-CD45 ADCを、本明細書で提供される方
法に従って、1種以上の以下の免疫抑制剤と併用することがある:カルシニューリン/MTOR阻害剤(例えば、タクロリムス、シロリムス、ラパマイシン、シクロスポリン、エベロリ
ムス)、共刺激を遮断する分子(例えば、CTLA4-Ig、抗-CD40L)、NKを減少させる薬剤、抗-胸腺細胞グロブリン(anti-thymocyte globulin (ATG))、アルキル化剤(例えば、ナイトロジェン・マスタード、例えば、シクロホスファミド;ニトロソウレア(例えば、カルムス
チン);白金化合物)、メトトレキサート、抗-TCR剤(例えば、ムロモナブ-CD3)、抗-CD20
抗体(例えば、リツキシマブ、オクレリズマブ、オファツムマブ及びベルツズマブ)、フルダラビン、カンパス(Campath)(アレムツズマブ)、2-アミノ-6-アリール-5-置換ピリミジ
ン(米国特許4,665,077を参照、この開示は、本明細書に参照により取り込まれる)、ア
ザチオプリン(又は、アザチオプリンに対して副作用がある場合は、シクロホスファミド);ブロモクリプチン;グルタールアルデヒド(これは、米国特許4,120,649が記載するように、MHC抗原をマウスする、上述);MHC抗原に対する抗イディオタイプ抗体;シクロスポ
リンA;1種以上のステロイド(例えば、コルチコステロイド、例えば、プレドニゾン、メチルプレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、及びデキサメタゾン);抗インターフェロン-
γ抗体;抗腫瘍壊死因子-α抗体;抗腫瘍壊死因子-β抗体;抗インターロイキン-2抗体;抗IL-2レセプター抗体などの抗サイトカイン・レセプター抗体;異種抗リンパ球グロブリン;汎T抗体、例えば、OKT-3モノクローナル抗体;CD4に対する抗体;CD8に対する抗体、CD45に対する抗体(例えば、30-F11、YTH24.5及び/又はYTH54.12(例えば、YTH24.5及びYTH54.12の組合せ);ストレプトキナーゼ;ストレプトドルナーゼ;又は宿主由来のRNA若しくはDNA。
ある例示的な実施形態では、前記患者を、TBI、サイトキサン、抗-CD4抗体、抗-CD8抗
体、又はそれらの組み合わせと併用した、抗-CD117-PBD ADCを使ってコンディショニングする。
別の例示的な実施形態では、前記患者を、TBI、サイトキサン、抗-CD4抗体、抗-CD8抗
体、又はそれらの組み合わせと併用した、抗-CD45-PBD ADCを使ってコンディショニング
する。
前述の免疫抑制剤(限定されるものではないが、例えば、抗-CD4抗体、抗-CD8抗体、サ
イトキサン、及び/又はTBIなど)を、同種異系の細胞(例えば、同種異系HSC)を含む移植
を受ける前に、前記患者に投与することがある。いくつかの実施形態では、前記免疫抑制剤を対象移植後に投与する。いくつかの実施形態では、前記免疫抑制剤を移植前及び移植後の両方で、対象に投与する。
ある特定の実施形態では、本明細書中に記載される抗体又はADCを使用して、ミスマッ
チの同種異系移植を受ける対象を処置する。いくつかの実施形態では、前記ドナー(donor)は、ミスマッチのドナー(donor)である。当技術分野で使用される通常のアッセイ(例え
ば、所定の数のMHC又はmiHA抗原に関する、血清学的な、ゲノム学的な又は分子的な解析)によって、典型的な測定をした場合、ミスマッチのドナー(donor)の細胞、臓器、又は組
織は、前記レシピエント(recipient)が発現するバリアントと比較して、少なくとも1種の非類似な(例えば、非同一な)主要組織適合性遺伝子複合体(MHC)抗原(即ち、ヒトにおけるヒト白血球抗原(HLA))(例えば、クラスI、クラスII、又はクラスIII MHC抗原又はマイナ
ー組織適合性抗原(miHA))を含む。例示的な実施形態では、前記同種異系移植片は、移植
レシピエント(recipient)と同じMHC又はHLAハプロタイプを共有するが、1種以上のマイナ
ー・ミスマッチ(例えば、マイナー・ミスマッチの同種異系移植片)を含むことがある。別の例示的な実施形態では、前記同種異系移植片は、単独で、又は1種以上のマイナー・ミ
スマッチに加えて、1種以上のメジャー・ミスマッチを含む。別の例示的な実施形態では
、前記同種異系移植片は、1種以上のメジャー・ミスマッチ及び1種以上のマイナー・ミスマッチを含む「完全ミスマッチ(full mismatch)」な同種異系移植片である。
MHCタンパク質は、免疫反応におけるリンパ球と抗原提示細胞又は疾患細胞との間のシ
グナル伝達に重要である、ここで、前記MHCタンパク質はペプチドと結合し、T細胞レセプターが認識するように、それらを提示する。前記MHC遺伝子がコードするタンパク質は、
細胞の表面に発現し、自己抗原(細胞自身に由来するペプチド・フラグメント)と非自己抗原(例えば、侵入してくる微生物のフラグメント)の両方をT細胞に提示する。
MHC領域は、3つのサブグループ(クラスI、クラスII、及びクラスIII)に分けられる。MHCクラスIタンパク質は、α-鎖とβ2-ミクログロブリン(即ち、B2M)を含み、細胞傷害性T細胞に抗原フラグメントを提示する。多くの免疫システムの細胞の表面では、特に抗原
提示細胞の表面では、MHCクラスIIタンパク質は、α-鎖とβ-鎖を含み、抗原フラグメン
トをT-ヘルパー細胞に提示する。MHCクラスIII領域は、他の免疫の構成成分(例えば、補体の構成成分及びサイトカインをコードするある構成成分など)をコードしている。MHC
は、多遺伝子性(いくつかのMHCクラスI遺伝子とMHCクラスII遺伝子がある)と多型性(それぞれの遺伝子には複数の対立遺伝子がある)の両方である。
ヒトでは、前記主要組織適合性遺伝子複合体を、ヒト白血球抗原(HLA)複合体と呼ぶ。MHCの各クラスは、ヒトの中のいくつかの遺伝子座によって表される:例えば、クラスIに
ついては、HLA-A(ヒト白血球抗原(HLA)-A)、HLA-B, HLA-C, HLA-E, HLA-F, HLA-G, HLA-H, HLA-J, HLA-K, HLA-L, HLA-P 及び HLA-V 、並びに、クラスIIについては、HLA-DRA,
HLA-DRB1-9, HLA-, HLA-DQA1, HLA-DQB1, HLA-DPA1, HLA-DPB1, HLA-DMA, HLA-DMB, HLA-DOA, 及びHLA-DOB。MHCは、極めて多型である:ヒトの集団内には、それぞれの遺伝子座に、異なる対立遺伝子を含む非常に多くのハプロタイプが存在する。クラスIとクラスII
の両方の、異なる多型性MHC対立遺伝子は、異なるペプチド特異性を有する:それぞれの
対立遺伝子は、特定の配列パターンを示すペプチドに結合するタンパク質をコードしている。HLAゲノム遺伝子座及びヒトにおけるHLA対立遺伝子又はタンパク質についての試験の方法は、当該技術分野で知られている(例えば、Choo et al. (2007). Yonsei medical journal. 48.1: 11-23; Shiina et al. (2009). Journal of human genetics. 54.1: 15;
Petersdorf. (2013). Blood. 122.11: 1863-1872; 及び Bertaina and Andreani. (2018). International journal of molecular sciences. 19.2: 621、を参照、これらは本明
細書に参照により取り込まれる)。
いくつかの実施形態では、少なくとも1種の主要組織適合性遺伝子複合体抗原(例えば、HLA抗原)は、本明細書で提供される方法に従って、移植を受ける対象において、ドナー(donor)に対して、ミスマッチである。ある特定の実施形態では、前記MHC抗原は、MHCクラ
スI分子又はMHCクラスII分子である。特定の実施態様では、MHC抗原は、B2M, HLA-A, HLA-B, HLA- C, HLA-DRA, HLA-DRB1, HLA-DRB3, HLA-DRB4, HLA-DRB5, HLA-DPA1, HLA- DPA2, HLA-DQA1, 及び/又は HLA-DQB1、の何れか、又は何れかの組合せである。いくつかの
実施形態では、移植片は、ヒト患者中のHLA抗原と比較して、少なくとも1つのHLA-ミスマッチを含む同種異系の造血幹細胞を含む。例えば、ある特定の場合において、前記同種異系の造血幹細胞は、前記ヒト患者中のHLA抗原と比較して、少なくとも1つ、少なくとも2
つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少なくとも7つ、
少なくとも8つ、少なくとも9つ、又は9つを超えるHLA-ミスマッチを含む。いくつかの実
施形態では、同種異系の造血幹細胞は、ヒト患者中のHLA抗原と比較して完全HLA-ミスマ
ッチを含む。
或いは又は更に、少なくとも1つのマイナー組織適合性抗原は、本明細書で提供される
方法に従って、移植を受ける対象において、ドナー(donor)に対して、ミスマッチである
。いくつかの実施形態では、移植片は、前記ヒト患者中のmiHA抗原と比較して、少なくとも1つのmiHA-ミスマッチを含む、同種異系の造血幹細胞を含む。例えば、ある特定の例において、同種異系の造血幹細胞は、ヒト患者中のmiHA抗原と比較して、少なくとも1つ、
少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6つ、少な
くとも7つ、少なくとも8つ、少なくとも9つ、又は9つを超えるmiHA-ミスマッチを含む。
ある特定の実施形態では、前記マイナー組織適合性抗原は、HA-1、HA-2、HA-8、HA-3、HB-1、HY-Al、HY-A2、HY-B7、HY-B8、HY-B60、又はHY-DQ5タンパク質である。他のマイナー組織適合性抗原の例は、当該技術分野で知られている(例えば、Perreault et al.(1990).
Blood. 76.7: 1269-1280; Martin et al. (2017). Blood. 129.6: 791-798; 及び米国特許US10414813B2、これらは本明細書に参照により取り込まれる)。
本明細書に記載される方法によって、抗-CD117 ADC、抗-CD45 ADC、又は免疫抑制剤の
いずれかを単独で受けた患者と比較して、移植レシピエント(recipient)における同種異
系のドナー(donor)細胞キメリズムのレベルが増加することがある。いくつかの実施形態
では、前記方法は、前記移植レシピエント(recipient)中で、少なくとも80%のドナー・キメリズム(donor chimerism)(例えば、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、
少なくとも95%、又は少なくとも99%のドナー・キメリズム(donor chimerism))を確立するのに効果的である。同種異系HSC移植後のドナー・キメリズム(donor chimerism)のレベルは、例えば、全キメリズム、骨髄キメリズム、末梢骨髄キメリズム(peripheral myeloid chimerism)、B-細胞キメリズム、又はT-細胞キメリズム(T-cell chimerism)であることがある。
投与経路及び投与方法
本明細書に記載する抗体、その抗原結合フラグメント、又はADCを、種々の投薬形態で
患者(例えば、がん、自己免疫疾患に罹患しているか、又は造血幹細胞移植療法を必要と
するヒト患者)に投与することがある。例えば、本明細書に記載する抗体、その抗原結合
フラグメント、又はADCを、がん、自己免疫疾患に罹患しているか、又は造血幹細胞移植
療法を必要とする患者に、水溶液(例えば、1種以上の薬学的に許容可能な賦形剤を含む
水溶液等)の形態で投与することがある。本明細書に記載する組成物及び方法と共に使用するための薬学的に許容される賦形剤としては、粘度調整剤が挙げられる。前記水溶液を、当該技術分野で公知の技術を使用して滅菌することがある。
抗-HC抗体(例えば、抗-CD117抗体、若しくは抗-CD45抗体)、又はそのコンジュゲート(例えば、本明細書に記載のADC)を含む医薬製剤を、そのような抗体又はADCを、1種以
上の任意選択的な薬学的に許容可能な担体と混合することによって(Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980))、凍結乾燥製剤又は水溶液の形
態で、調製する。薬学的に許容可能な担体は、一般に、使用する用量及び濃度で、レシピエントに対して無毒性であり、これには、限定されるものではないが、以下が挙げられる:リン酸、クエン酸、及び他の有機酸等のバッファー;アスコルビン酸及びメチオニンを含む酸化防止剤;保存剤(塩化オクタデシルジメチルベンジル・アンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル若しくはベンジル・アルコール;メチル若しくはプロピル・パラベン等のアルキル・パラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール等);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、若しくは免疫グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、若しくはリジンなどのアミノ酸;グルコース、マンノース、若しくはデキストリンなどの、単糖類、二糖類、及び他の糖類;
EDTAなどのキレート剤;ショ糖、マンニトール、トレハロース、若しくはソルビトールなどの糖類;ナトリウムなどの塩形成性対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体
);並びに/又はポリエチレン・グリコール(PEG)などの非-イオン性界面活性剤。
本明細書に記載の抗体、抗原結合フラグメント、又はADCを、経口、経皮、皮下、鼻腔
内、静脈内、筋肉内、眼内、又は非経口等の様々な経路によって投与することがある。任意の所与のケースにおいて、投与に最も適した経路は、投与する特定の抗体、又は抗原結合フラグメント、患者、医薬製剤方法、投与方法(例えば、投与時刻及び投与経路)、患者の年齢、体重、性別、治療する疾患の重症度、患者の食事、及び患者の排泄速度に依存する。
本明細書に記載の抗体、又はその抗原結合フラグメントの有効用量は、例えば、単回(
例えば、ボーラス)投与、複数回投与、又は持続投与あたりで、体重に関して約0.001~約100 mg/kgの範囲であり、その結果、前記抗体、又はその抗原結合フラグメントは最適な
血中濃度(例えば、約0.0001~約5000 μg/mLの血中濃度)になることがある。前記用量を
、がん、自己免疫疾患に罹患している対象、又は造血幹細胞移植を受けることに備えてコンディショニング療法を受けている対象(例えば、ヒト)に、1日、1週間、又は1ヶ月あた
り1回以上(例えば、2~10回)、投与することがある。
ある実施形態では、前記ヒト患者に投与する抗-HC ADC(例えば、リンカーを介して細胞毒素にコンジュゲートした抗-CD117抗体又は抗-CD45抗体)の用量は、約0.1 mg/kg~約0.3
mg/kgである。
ある実施形態では、前記ヒト患者に投与する抗-HC ADC(例えば、リンカーを介して細胞毒素にコンジュゲートした抗-CD117抗体又は抗-CD45抗体)の用量は、約0.15 mg/kg~約0.3 mg/kgである。
ある実施形態では、前記ヒト患者に投与する抗-HC ADC(例えば、リンカーを介して細胞毒素にコンジュゲートした抗-CD117抗体又は抗-CD45抗体)の用量は、約0.15 mg/kg~約0.25 mg/kgである。
ある実施形態では、前記ヒト患者に投与する抗-HC ADC(例えば、リンカーを介して細胞毒素にコンジュゲートした抗-CD117抗体又は抗-CD45抗体)の用量は、約0.2 mg/kg~約0.3
mg/kgである。
ある実施形態では、前記ヒト患者に投与する抗-HC ADC(例えば、リンカーを介して細胞毒素にコンジュゲートした抗-CD117抗体又は抗-CD45抗体)の用量は、約0.25 mg/kg~約0.3 mg/kgである。
ある実施形態では、前記ヒト患者に投与する抗-HC ADC(例えば、リンカーを介して細胞毒素にコンジュゲートした抗-CD117抗体又は抗-CD45抗体)の用量は、約0.1 mg/kgである
ある実施形態では、前記ヒト患者に投与する抗-HC ADC(例えば、リンカーを介して細胞毒素にコンジュゲートした抗-CD117抗体又は抗-CD45抗体)の用量は、約0.2 mg/kgである
ある実施形態では、前記ヒト患者に投与する抗-HC ADC(例えば、リンカーを介して細胞毒素にコンジュゲートした抗-CD117抗体又は抗-CD45抗体)の用量は、約0.3 mg/kgである
ある実施形態では、前記ヒト患者に投与する本明細書に記載の抗-HC ADCの用量は、約 0.001 mg/kg~10 mg/kg, 約 0.01 mg/kg~9.5 mg/kg, 約 0.1 mg/kg~9 mg/kg, 約 0.1 mg/kg~8.5 mg/kg, 約 0.1 mg/kg~8 mg/kg, 約 0.1 mg/kg~7.5 mg/kg, 約 0.1 mg/kg~7
mg/kg, 約 0.1 mg/kg~6.5 mg/kg, 約 0.1 mg/kg~6 mg/kg, 約 0.1 mg/kg~5.5 mg/kg,
約 0.1 mg/kg~5 mg/kg, 約 0.1 mg/kg~4.5 mg/kg, 約 0.1 mg/kg~4 mg/kg, 約 0.5 mg/kg~3.5 mg/kg, 約 0.5 mg/kg~3 mg/kg, 約 1 mg/kg~10 mg/kg, 約 1 mg/kg~9 mg/kg, 約 1 mg/kg~8 mg/kg, 約 1 mg/kg~7 mg/kg, 約 1 mg/kg~6 mg/kg, 約 1 mg/kg~5 mg/kg, 約 1 mg/kg~4 mg/kg, 又は 約 1 mg/kg~3 mg/kg、である。
ある実施形態では、治療する又はコンディショニングをするために、ヒト患者に投与する本明細書に記載の抗-HC ADCは、24 時間以下、 22 時間以下、 20 時間以下、 18 時間以下、 16 時間以下、 14 時間以下、 13 時間以下、 12 時間以下、 11 時間以下、 10 時間以下、 9 時間以下、 8 時間以下、 7 時間以下、 6 時間以下、又は5 時間以下の半減期を有する。ある実施形態では、前記抗-HC ADCの半減期は、5 時間~7 時間;5 時間
~9 時間;15 時間~11 時間;5 時間~13 時間;5 時間~15 時間;5 時間~20 時間;5
時間~24 時間;7 時間~24 時間;9 時間~24 時間;11 時間~24 時間;12 時間~22 時間;10 時間~20 時間;8 時間~18 時間;又は14 時間~24 時間、である。
ある実施形態では、本明細書中で開示する方法によって、コンディショニングのためにADCの投与を受ける患者において、肝毒性が最小限に抑えられる。例えば、ある特定の実
施形態では、本明細書中で開示する方法によって、24時間、48時間、72時間、又は96時間を超えて、前記患者において、肝臓のマーカー・レベルが、既知の毒性レベル未満に留まるようになる。他の実施形態では、本明細書中で開示する方法によって、24時間、48時間、72時間、又は96時間を超えて、前記患者において、肝臓のマーカー・レベルが、基準範囲内に留まるようになる。ある特定の実施形態では、本明細書中で開示する方法によって、肝臓のマーカー・レベルの上昇が、24時間、48時間、72時間、又は96時間を超えて、基準範囲を超えて1.5倍より大きく、基準範囲を超えて3倍より大きく、基準範囲を超えて5
倍より大きく、又は基準範囲を超えて10倍より大きく、はならない。毒性試験に使用することがある肝臓のマーカーの例としては、アラニン・アミノトランスアミナーゼ(ALT)、
乳酸脱水素酵素(LDH)、及びアスパラギン酸アミノトランスアミナーゼ(AST)等が挙げられる。ある特定の実施形態では、本明細書に記載するような(即ち、単回用量の代わりに2回用量で投与する)ADCを投与することによって、肝臓のマーカー(例えば、AST、LDH、及び
/又はALT)は一過的に増加する。いくつかの例では、毒性を示す肝臓のマーカーは高レベルに達することがあるが、ある特定の期間(例えば、約12時間、約18時間、約24時間、約36時間、約48時間、約72時間、約3日、約3.5日、約4日、約4.5日、約5日、約5.5日、約6
日、約6.5日、約7日、約7.5日、又は1週間未満)の範囲内であり、前記肝臓のマーカー・レベルは、肝毒性に関連しない正常レベルに戻る。例えば、ヒト(平均的な成人男性)において、ALTの正常な非-毒性レベルは1リットル当たり7~55単位(U/L)であり;ASTの正常な非-毒性レベルは8~48U/Lである。ある特定の実施形態では、患者の血中AST、ALT、又はLDHレベルの少なくとも1つは、前記患者に、第1の用量のADCを投与することと前記第1の用量を投与した14日後との間に、毒性レベルに達しない。例えば、前記患者に第1の用量を
投与し、続いて、前記第1の用量を投与してから例えば5、10、又は14日以内に、第2の用
量、第3の用量、第4の用量、又はそれより大きい数の用量を投与することがある。しかし、前記患者の血中AST、ALT、又はLDHレベルの少なくとも1つは、前記患者に、第1の用量
のADCを投与することと前記第1の用量を投与した14日後との間に、毒性レベルに達しない。
ある特定の実施形態では、前記患者の血中AST、ALT、又はLDHレベルの少なくとも1つは、正常レベルを超えて上昇しない、正常レベルを1.5倍を超えて上昇しない、正常レベル
を3倍を超えて上昇しない、正常レベルを5倍を超えて上昇しない、又は正常レベルを10倍を超えて上昇しない。
造血幹細胞移植前におけるコンディショニング手順の場合では、前記抗体、又はその抗原結合フラグメントを、外因性の造血幹細胞の生着が最適に促進されるタイミングで、例えば、外因性の造血幹細胞の移植片を投与する約1時間~約1週間(例えば、約1時間、約2
時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約10時間、
約11時間、約12時間、約13時間、約14時間、約15時間、約16時間、約17時間、約18時間、約19時間、約20時間、約21時間、約22時間、約23時間、約24時間、約2日、約3日、約4日
、約5日、約6日、約7日)又はそれ以上前に、前記患者に投与することがある。本明細書で列記する数を含む範囲もまた、意図する方法に含まれる。
上記の用量範囲を、本明細書に列記する半減期を有する抗-HC ADCと組み合わせること
がある。
本明細書で開示する方法を使用して、当業者である医師は、造血幹細胞移植療法を必要とするヒト患者に、造血幹細胞が発現する抗原(例えば、CD117[例えば、GNNK+ CD117]、若しくはCD45)又は成熟免疫細胞(例えば、T-細胞など)が発現する抗原(例えば、CD45)に結合するADC、抗体、又はその抗原結合フラグメントを投与することがある。この
様式では、外因性の造血幹細胞移植片を投与する前に、前記造血幹細胞移植片の生着が促進されるように、内因性の造血幹細胞の集団を、減少させることがある。前記抗体を、本明細書に記載されるか、又は当該技術分野で公知の細胞毒性分子のような毒素に、共有結合的にコンジュゲートさせることがある。例えば、抗-CD117抗体、又はその抗原結合フラグメント(例えば、抗-HC抗体[例えば、抗-CD117抗体、若しくは抗-CD45抗体]又はその抗原結合フラグメント)を、細胞毒素(例えば、シュードモナス外毒素A、deブーガニン、ジフテリア毒素、アマトキシン、例えばγ-アマニチン、α-アマニチン、サポリン、メイタンシン、メイタンシノイド、アウリスタチン、アントラサイクリン、カリケアマイシン、イリノテカン、SN-38、デュオカルマイシン、ピロロベンゾジアゼピン、ピロロベンゾ
ジアゼピン二量体、インドリノベンゾジアゼピン、及びインドリノベンゾジアゼピン二量体、又はそのバリアント)に、共有結合的にコンジュゲートさせることがある。このコン
ジュゲートを、本明細書に記載されるか、又は当該技術分野で公知の共有結合形成技術を使用して実施することがある。その後、前記抗体、その抗原結合フラグメント、又は薬物-抗体コンジュゲートを、外因性の造血幹細胞(例えば、自己の、同系の、又は同種異系の造血幹細胞等)を前記患者に移植する前に、例えば、静脈内投与によって前記患者に投与
することがある。
前記抗-HC抗体(例えば、抗-CD117抗体、若しくは抗-CD45抗体)、その抗原結合フラグメント、又は薬物-抗体コンジュゲートを、造血幹細胞移植療法の前に、内因性の造血幹細
胞の量を、例えば、約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%、約90%
、約95%、又はそれ以上減少させるのに十分な量で、投与することがある。コンディショ
ニング療法中に、様々な間隔で、前記患者から採取した血液サンプル中の、特徴的な造血幹細胞表面抗原を発現する細胞をFACS解析する等の、当該技術分野で公知の従来の技術を用いて、造血幹細胞数の減少を、モニターすることがある。例えば、当業者である医師は、コンディショニング療法中の様々な時点で患者から血液サンプルを採取し、造血幹細胞マーカー抗原に結合する抗体を使用するFACS解析を実施することで前記サンプル中の造血幹細胞の相対的な濃度を解明することによって、内因性の造血幹細胞が減少した程度を測定することがある。いくつかの実施形態によれば、抗-HC抗体(例えば、抗-CD117抗体、若しくは抗-CD45抗体)、その抗原結合フラグメント、又は薬物-抗体コンジュゲートを用い
たコンディショニング療法に応答して、造血幹細胞の濃度が最低値に達した場合、前記医師は、前記コンディショニング療法を終了することがあり、造血幹細胞移植療法に備えて
、前記患者に対して、準備を開始することがある。
抗-HC抗体(例えば、抗-CD117抗体、若しくは抗-CD45抗体)、その抗原結合フラグメント、又は薬物-抗体コンジュゲートを、1種以上の薬学的に許容可能な賦形剤(例えば、粘度
調整剤など)を含む水溶液として、前記患者に投与することがある。前記水溶液を、本明
細書に記載される、又は当技術分野で公知の技術を使用して、滅菌することがある。例えば、前記患者に造血幹細胞移植片を投与する前に、前記抗体、その抗原結合フラグメント、又は薬物-抗体コンジュゲートを、前記患者に、例えば、約 0.001 mg/kg~約 100 mg/kg、約 0.001 mg/kg~約 10 mg/kg, 約 0.01 mg/kg~9.5 mg/kg, 約 0.1 mg/kg~9 mg/kg,
約 0.1 mg/kg~8.5 mg/kg, 約 0.1 mg/kg~8 mg/kg, 約 0.1 mg/kg~7.5 mg/kg, 約 0.1
mg/kg~7 mg/kg, 約 0.1 mg/kg~6.5 mg/kg, 約 0.1 mg/kg~6 mg/kg, 約 0.1 mg/kg~5.5 mg/kg, 約 0.1 mg/kg~5 mg/kg, 約 0.1 mg/kg~4.5 mg/kg, 約 0.1 mg/kg~4 mg/kg,
約 0.5 mg/kg~3.5 mg/kg, 約 0.5 mg/kg~3 mg/kg, 約 1 mg/kg~10 mg/kg, 約 1 mg/kg~9 mg/kg, 約 1 mg/kg~8 mg/kg, 約 1 mg/kg~7 mg/kg, 約 1 mg/kg~6 mg/kg, 約 1 mg/kg~5 mg/kg, 約 1 mg/kg~4 mg/kg, 又は、約 1 mg/kg~3 mg/kgの用量で投与することがある。外因性の造血幹細胞の生着が最適に促進されるタイミングで、例えば、外因性の造血幹細胞の移植片を投与する前の約1時間~約1週間 (例えば、約1時間, 約2時間, 約3時間, 約4時間, 約5時間, 約6時間, 約7時間, 約8時間, 約9時間, 約10時間, 約11時間,
約12時間, 約13時間, 約14時間, 約15時間, 約16時間, 約17時間, 約18時間, 約19時間,
約20時間, 約21時間, 約22時間, 約23時間, 約24時間, 約2日, 約3日, 約4日, 約5日,
約6日, 若しくは約7日)に、又はそれ以上前に、前記抗体、その抗原結合フラグメント、
又は薬物-抗体コンジュゲートを、前記患者に、投与することがある。
免疫抑制療法は、典型的には、有効量の免疫抑制剤を投与することを含む。その免疫抑制剤組成物は、好ましい医療行為と一致する様式で処方され、そして投薬される。この文脈において検討するべき要因としては、個々の患者の臨床的な症状、移植の原因、その薬剤を送達する部位、投与の方法、投与のスケジュール、及び施術者が知る他の要因、が挙げられる。この文脈における有効量は、そのようなことを考慮して決定され、宿主がその移植片を拒絶することを生じさせる免疫反応を予防するために必要な最小量である。このような量は、好ましくは、前記宿主に対して毒性である量、又は前記宿主を感染に対して有意により感受性にする量、未満である。本明細書の記載に必要とされる免疫抑制剤の量は、前処理をしていない移植した移植片に、通常必要とされるものよりも少ないことがある、並びにその移植片を取り巻く個々の状況及び使用する免疫抑制剤のタイプに依存する。
しかしながら、上記のように、これらの示唆した免疫抑制剤の量は、治療上の裁量に大きく供せられる。適切な用量及びスケジューリングを選択する際の重要な要因は、得られる結果、即ち、移植片が生存することである。例えば、超急性移植片拒絶(これは、抗体媒介性の移植片破壊に起因することがある)の治療の初期において、又は急性拒絶(これは、移植片の機能が突然の低下することを特徴とすることがある)の治療の後期において、比較的高い用量が必要とされることがある。
前記免疫抑制剤を、非経口、及び、所望であれば局所免疫抑制治療、病変内投与などの、任意の好適な方法によって投与する。非経口の投与としては、筋内内、静脈内、動脈内、腹腔内、又は皮下投与が挙げられる。更に、前記免疫抑制剤を、パルス点滴によって、特に免疫抑制薬剤の用量を減少させて、又は持続点滴によって、好適に投与する。
いくつかの実施形態では、前記免疫抑制剤を、幹細胞移植の前(即ち、移植前)に投与する。いくつかの実施形態では、前記免疫抑制剤を、幹細胞移植の後(即ち、移植後)に投与する。いくつかの実施形態では、前記免疫抑制剤を、患者が移植を受けるのと実質的に同
時に、投与する。
コンディショニング療法が終了した後、前記患者は、次に、例えば、前記コンディショニング療法を実施した同一の医師、又は別の医師から、外因性の造血幹細胞の注射(例えば、静脈内注射)を受けることがある。前記医師は、前記患者に、自己の、同系の、同種異系の造血幹細胞の注射を、例えば、1×103~1×109造血幹細胞/kgの投薬量で、投与す
ることがある。前記医師は、前記移植片を投与した後に、例えば、前記患者から血中サンプルを採取することにより、及び造血幹細胞又は造血系列の細胞(例えば、巨核球, 血小板(thrombocytes)、血小板(platelets)、赤血球、マスト細胞、骨髄芽球、好塩基球、好
中球、好酸球、ミクログリア、顆粒球、単球、破骨細胞、抗原提示細胞、マクロファージ、樹状細胞、ナチュラル・キラー細胞、T-リンパ球、及びB-リンパ球など)の濃度が増加していることを測定することにより、造血幹細胞の移植片が生着していることをモニタリングすることがある。この解析を、例えば、造血幹細胞移植療法の後の1時間~6月に、又はそれより後に(例えば、約1時間, 約2時間, 約3時間, 約4時間, 約5時間, 約6時間, 約7時間, 約8時間, 約9時間, 約10時間, 約11時間, 約12時間, 約13時間, 約14時間, 約15
時間, 約16時間, 約17時間, 約18時間, 約19時間, 約20時間, 約21時間, 約22時間, 約23時間, 約24時間, 約2日, 約3日, 約4日, 約5日, 約6日, 約7日, 約2週, 約3週, 約4週,
約5週, 約6週, 約7週, 約8週, 約9週, 約10週, 約11週, 約12週, 約13週, 約14週, 約15
週, 約16週, 約17週, 約18週, 約19週, 約20週, 約21週, 約22週, 約23週, 約24週, 又はより後に)、行うことがある。造血幹細胞又は造血系列の細胞の濃度が、前記移植療法の
後に、移植療法の前の対応する細胞型の濃度と比較して、増加した(例えば、約1%, 約2%, 約3%, 約4%, 約5%, 約6%, 約7%, 約8%, 約9%, 約10%, 約20%, 約30%, 約40%, 約50%,
約60%, 約70%, 約80%, 約90%, 約100%, 約200%, 約500%増加した、又はより増加した)ことが見られたら、抗-HC抗体(例えば、抗-CD117抗体、若しくは抗-CD45抗体)、その抗原結合フラグメント、又は薬物-抗体コンジュゲートを使った治療によって、移植した造血
幹細胞移植片の生着を促進することに成功したことが、示されたことになる。
抗-HC抗体(例えば、抗-CD117抗体、若しくは抗-CD45抗体)、その抗原結合フラグメント、又はADCを投与することにより、造血幹細胞の移植片が生着することを、種々の実験
的な測定において明らかにすることができる。例えば、移植した造血幹細胞が生着することは、造血幹細胞が発現する抗原(例えば、CD117[例えば、GNNK+ CD117]、又はCD45)に結合することができる、抗体、又はその抗原結合フラグメントを投与し、及び続いて造血幹細胞の移植片を投与した後に、患者の骨髄内に存在する競合的再生着ユニット(competitive repopulating unit (CRU))の量を評価することによって評価することができる
。更に、ドナーの造血幹細胞をトランスフェクトするベクターに、蛍光産物、発色産物、又は発光産物を生じさせる化学反応を触媒する酵素等のレポーター遺伝子を組み込み、続いて、これに対応するシグナルを、骨髄等の前記造血幹細胞がホーミングした組織中でモニターすることによって、造血幹細胞の移植片が生着することを観察することができる。また、例えば、当該技術分野で知られている蛍光活性化細胞選別(fluorescence activated cell sorting(FACS))解析方法によって測定するように、造血幹細胞及び造血前駆細胞
の量及び生存性を評価することによって、造血幹細胞が生着することを観察することもできる。また、生着は、移植後の期間中に、末梢血中の白血球細胞数を測定することによって、及び/又は骨髄吸引サンプル中のドナー細胞による骨髄細胞の回収率を測定することによって、測定することもできる。
抗-HC抗体
本開示は、造血細胞が発現する抗原(例えば、GNNK+ CD117)、又はCD45に結合するこ
とができる、抗体、又はその抗原結合フラグメントを、 (i) CD117+[例えば、GNNK+ CD117]、若しくはCD45+造血細胞を特徴とする、がん及び自己免疫疾患を治療するための、
並びに(ii) 移植療法を必要とする患者において、移植した造血幹細胞が生着することを
促進するための、単独の治療薬剤又は抗体薬剤コンジュゲート(ADC)として使用すること
ができる、という発見に部分的に基づいている。これらの治療活性は、抗-血液細胞(hematopoietic cell (HC))-抗体(例えば、抗-CD117抗体、若しくは抗-CD45抗体)又はその抗
原結合フラグメントが、例えば、造血細胞(例えば、造血幹細胞)、白血球、免疫細胞[例えば、成熟免疫細胞(例えば、T細胞)])、例えば、がん細胞、自己免疫細胞又は造血
幹細胞など、が発現する抗原(例えば、CD117[例えば、GNNK+ CD117]、又はCD45)に結
合することによって、並びに、その後、細胞死を誘導することによって、引き起こされることがある。内因性の造血幹細胞を減少させることによって、移植した造血幹細胞がホーミングすることができるニッチが提供されることがある、及び、その後、生産的な造血が確立することがある。このようにして、移植した造血幹細胞は、患者(例えば、本明細書に記載される幹細胞障害に罹患しているヒト患者など)内で、うまく生着することができる。
本明細書中に記載される抗-HC抗体(例えば、抗-CD117抗体、又は抗-CD45抗体)は、全長抗体、バイスペシフィック抗体(bispecific antibody)、二重可変ドメイン抗体、多重
鎖又は一本鎖抗体、及び/又はヒトCD117若しくはCD45に特異的に結合する結合フラグメ
ントの形態であることがあり、これにはFab、Fab'、(Fab')2、Fv、scFv(一本鎖Fv)、サロボディ(surrobodies)(代理軽鎖構築物を含む)、単一ドメイン抗体、ラクダ化抗体等が挙
げられるが、これらに限定されない。それらはまた、例えば、IgA(例えば、IgA1又はIgA2)、IgD、IgE、IgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4)、又はIgM等を含む、任意のアイ
ソタイプであることもある。いくつかの実施形態では、前記抗-HC抗体(例えば、抗-CD117抗体、又は抗-CD45抗体)は、IgG(例えば、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4)である。
本明細書に記載される方法と併せて使用するための抗体には、Fcドメインを含有する又は欠損する抗体フラグメント、並びに本明細書に記載される非-ヒト抗体のヒト化バリア
ント、並びに本明細書に記載される抗体、又は抗体フラグメントのCDR又はその相当領域
の1つ以上、又は全てを含有する抗体様タンパク質スキャッフォルド(例えば、10Fn3ドメ
イン)等の、上記の抗体のバリアントが含まれる。前記の抗体の例示的な抗原結合フラグ
メントには、とりわけ、二重可変免疫グロブリン・ドメイン(dual-variable immunoglobulin domain)、一本鎖Fv分子(scFv)、ダイアボディ、トリアボディ、ナノボディ、抗体様
タンパク質スキャッフォルド、Fvフラグメント、Fabフラグメント、F(ab')2分子、及びタンデムdi-scFvが含まれる。
ある特定の実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合フラグメントは、コンジュゲートの一部として使用する場合に、特に有益である特定の解離速度を有する。例えば、抗-CD117抗体は、ある特定の実施形態では、ヒトCD117及び/又はアカゲザルCD117に対して、バイオレイヤー干渉法(BLI)によって測定した場合、1×10-2~1×10-3、1×10-3~1
×10-4、1×10-5~1×10-6、1×10-6~1×10-7又は1×10-7~1×10-8の解離速度定数(Koff)を有する。いくつかの実施形態では、前記抗体又はその抗原結合フラグメントは、バイオレイヤー干渉法(Bio-Layer Interferometry)(BLI)アッセイによって測定した場合、約100 nM以下、約90 nM以下、約80 nM以下、約70 nM以下、約60 nM以下、約50 nM以下、約40
nM以下、約30 nM以下、約20 nM以下、約10 nM以下、約8 nM以下、約6 nM以下、約4 nM以下、約2 nM以下、約1 nM以下のKDで、CD117(例えば、ヒトCD117及び/又はアカゲザルCD117)に結合する。
ある実施形態では、1つ以上の放射性標識アミノ酸を含む抗-HC抗体(例えば、抗-CD117抗体、又は抗-CD45抗体)が提供される。放射性標識された抗-CD117抗体は、診断及び治
療の両方の目的のために使用され得る(放射性標識された分子にコンジュゲートすること
が可能であることは、別の特徴である)。ポリペプチドの標識に関する限定されない例と
しては、3H、14C、15N、35S、90Y、99Tc及び125I、131I及び186Reが挙げられるが、これ
らに限定されない。放射性標識アミノ酸及び関連ペプチド誘導体を調製するための方法は当該技術分野で公知である(例えば、Junghans et al.、Cancer Chemotherapy and Biotherapy 655-686、第2版、Chafner及びLongo編、Lippincott Raven(1996)及び米国特許第4,681,581号、米国特許第4,735,210号、米国特許第5,101,827号、米国特許第5,102,990[U.S. RE35,500号]、米国特許第5,648,471号、米国特許第5,697,902号を参照のこと)。例え
ば、放射性同位体を、クロラミンTの方法によってコンジュゲートさせることがある。
本明細書中に記載される抗-HC抗体(例えば、抗-CD117若しくは抗-CD45抗体)、結合フラグメント、又はそれらのコンジュゲートはまた、当該技術分野で知られているように、前記抗体及び/又はフラグメントの特性を変化させる改変及び/又は変異(例えば、半減期
を増大させる、ADCCを増大させる、又は低下させる改変及び/又は変異など)を含むこと
もある。
ある実施形態では、抗-HC抗体(例えば、抗-CD117若しくは抗-CD45抗体)、又はその抗原結合フラグメントは、改変したFc領域を含む、ここで、前記改変したFc領域は、野生型Fc領域に対して少なくとも1つのアミノ酸改変を含み、その結果、前記分子は、FcガンマR(FcγR)に対する親和性又は結合が変わる。前記Fc領域内のある特定のアミノ酸位置は、Fc
γRと直接接触させた結晶学的研究によって分かっている。具体的には、アミノ酸234~239(ヒンジ領域)、アミノ酸265~269(B/Cループ)、アミノ酸297~299(C'/Eループ)、及びアミノ酸327~332(F/G)ループである。(Sondermann et al、2000 Nature、406: 267-273参
照)。いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗体は、構造的な及び結晶学的な
解析に基づいて、FcγRと直接的に接触する、少なくとも1つの残基が改変されたバリアントFc領域を含むことがある。ある実施形態では、抗-HC抗体(例えば、抗-CD117若しくは抗-CD45抗体)、(又はそのフラグメント)のFc領域は、Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, NH1, MD (1991) (本明細書に明確に参照により取り込まれる)にあるようなEUインデックスによるアミノ酸265でのアミノ酸置換を含む。「KabatにあるようなEUインデックス」とは、ヒトIgG1 EU抗体の番号付けをいう。ある実施形態では、前記Fc領域は、D265A変異を含む。ある実施形態
では、前記Fc領域はD265C変異を含む。いくつかの実施形態では、前記抗体(又はそのフ
ラグメント)のFc領域は、例えばKabatにあるようなEUインデックスによるアミノ酸234でのアミノ酸置換を含む。ある実施形態では、前記Fc領域は、L234A変異を含む。いくつか
の実施形態では、抗-HC抗体(例えば、抗-CD117若しくは抗-CD45抗体)、(又はそのフラグメント)のFc領域は、例えばKabatにあるようなEUインデックスによるアミノ酸235でのアミノ酸置換を含む。ある実施形態では、前記Fc領域は、L235A変異を含む。
更に別の実施形態では、前記Fc領域は、L234A及びL235A変異(本明細書では、「L234A.L235A」又は「LALA」とも呼ぶ)を含む。別の実施形態では、前記Fc領域は、L234A及びL235A変異を含む、ここで、前記Fc領域は、P329G変異を含まない。更なる実施形態では、前記Fc領域は、D265C、L234A、及びL235A変異(本明細書では、「D265C.L234A.L235A」とも
呼ぶ)を含む。別の実施形態では、前記はFc領域は、D265C、L234A、及びL235A変異を含む、ここで、前記Fc領域は、P329G変異を含まない。また更なる実施形態では、前記Fc領域
は、D265C、L234A、L235A、及びH435A変異(本明細書では、「D265C.L234A.L235A.H435A」とも呼ぶ)を含む。別の実施形態では、前記Fc領域は、D265C、L234A、L235A、及びH435A
変異を含む、ここで、前記Fc領域は、P329G変異を含まない。更なる実施形態では、前記Fc領域は、D265C及びH435A変異(本明細書中では、「D265C.H435A」とも呼ぶ)を含む。更に別の実施形態では、前記Fc領域は、D265A、S239C、L234A、及びL235A変異(本明細書では
、「D265A.S239C.L234A.L235A」とも呼ぶ)を含む。更に別の実施形態では、前記Fc領域は、D265A、S239C、L234A、及びL235A変異を含む、ここで、前記Fc領域は、P329G変異を含
まない。別の実施形態では、前記Fc領域は、D265C、N297G、及びH435A変異(本明細書では、「D265C.N297G.H435A」とも呼ぶ)を含む。別の実施形態では、前記Fc領域は、D265C、N
297Q、及びH435A変異(本明細書では、「D265C.N297Q.H435A」とも呼ぶ)を含む。別の実施形態では、前記Fc領域は、E233P、L234V、L235A及びdelG236(236の欠失)変異(本明細書では、「E233P.L234V.L235A.delG236」又は「EPLVLAdelG」とも呼ぶ)を含む。別の実施形態では、前記Fc領域は、E233P、L234V、L235A及びdelG236(236の欠失)変異を含む、ここで
、前記Fc領域は、P329G変異を含まない。別の実施形態では、前記Fc領域は、E233P、L234V、L235A、delG236(236の欠失)及びH435A変異(本明細書では、「E233P.L234V.L235A.delG236.H435A」又は「EPLVLAdelG.H435A」とも呼ぶ)を含む。別の実施形態では、前記Fc領域は、E233P、L234V、L235A、delG236(236の欠失)及びH435A変異を含む、ここで、前記Fc領域は、P329G変異を含まない。別の実施形態では、前記Fc領域は、L234A、L235A、S239C及びD265A変異を含む。別の実施形態では、前記Fc領域は、L234A、L235A、S239C及びD265A
変異を含む、ここで、前記Fc領域は、P329G変異を含まない。別の実施形態では、前記Fc
領域は、H435A、L234A、L235A、及びD265C変異を含む。別の実施形態では、前記Fc領域は、H435A、L234A、L235A、及びD265C変異を含む、ここで、前記Fc領域は、P329G変異を含
まない。
いくつかの実施形態では、前記抗体は、改変したFc領域を有し、その結果、前記抗体では、in vitroエフェクター機能アッセイにおいて、Fcレセプター(FcR)への結合が、改変
していないFc領域を含む同じ抗体の前記FcRへの結合と比較して、減少して、エフェクタ
ー機能が減少する。いくつかの実施形態では、前記抗体は、改変したFc領域を有し、その結果、前記抗体では、in vitroエフェクター機能アッセイにおいて、Fcガンマ・レセプター(FcγR)への結合が、改変していないFc領域を含む同じ抗体の前記FcγRへの結合と比較して、減少して、エフェクター機能が減少する。いくつかの実施形態では、前記FcγRは
、FcγR1である。いくつかの実施形態では、前記FcγRは、FcγR2Aである。いくつかの実施形態では、前記FcγRは、FcγR2Bである。いくつかの実施形態では、前記FcγRは、Fc
γR2Cである。いくつかの実施形態では、前記FcγRは、FcγR3Aである。いくつかの実施
形態では、前記FcγRは、FcγR3Bである。他の実施形態では、結合の減少は、FcγRへの
抗体結合で、改変していないFc領域を含む同じ抗体の前記FcγRへの結合と比較して、少
なくとも70%の減少、少なくとも80%の減少、少なくとも90%の減少、少なくとも95%の減少、少なくとも98%の減少、少なくとも99%の減少、又は100%の減少である。他の実施形態では、結合の減少は、FcγRへの抗体結合で、改変していないFc領域を含む同じ抗体の前記FcγRへの結合と比較して、少なくとも70%~100%の減少、少なくとも80%~100%の減少、少なくとも90%~100%の減少、少なくとも95%~100%の減少、又は少なくとも98%~100%の減
少である。
いくつかの実施形態では、前記抗体は、改変したFc領域を有し、その結果、前記抗体では、in vitroサイトカイン放出アッセイにおいて、改変していないFc領域を含む同じ抗体のサイトカイン放出と比較して、少なくとも50%のサイトカイン放出に減少して、サイト
カイン放出が減少する。いくつかの実施形態では、サイトカイン放出の減少は、改変していないFc領域を含む同じ抗体のサイトカイン放出と比較して、サイトカイン放出の少なくとも70%の減少、少なくとも80%の減少、少なくとも90%の減少、少なくとも95%の減少、少なくとも98%の減少、少なくとも99%の減少、又は100%の減少である。いくつかの実施形態では、サイトカイン放出の減少は、改変していないFc領域を含む同じ抗体のサイトカイン放出と比較して、サイトカイン放出の少なくとも70%~100%の減少、少なくとも80%~100%の減少、少なくとも90%~100%の減少、少なくとも95%~100%の減少である。ある特定の実施形態では、サイトカイン放出は免疫細胞による。
いくつかの実施形態では、前記抗体は、改変したFc領域を有し、その結果、前記抗体では、in vitroマスト細胞脱顆粒アッセイにおいて、改変していないFc領域を含む同じ抗体のマスト細胞脱顆粒と比較して、少なくとも50%のマスト細胞脱顆粒に減少して、マスト
細胞脱顆粒が減少する。いくつかの実施形態では、マスト細胞脱顆粒の減少は、改変して
いないFc領域を含む同じ抗体のマスト細胞脱顆粒と比較して、マスト細胞脱顆粒の少なくとも70%の減少、少なくとも80%の減少、少なくとも90%の減少、少なくとも95%の減少、少なくとも98%の減少、少なくとも99%の減少、又は100%の減少である。いくつかの実施形態では、マスト細胞脱顆粒の減少は、改変していないFc領域を含む同じ抗体のマスト細胞脱顆粒と比較して、マスト細胞脱顆粒の少なくとも70%~100%の減少、少なくとも80%~100%の減少、少なくとも90%~100%の減少、少なくとも95%~100%の減少である。
いくつかの実施形態では、前記抗体は、改変したFc領域を有し、その結果、前記抗体では、in vitro抗体依存性細胞ファゴサイトーシス・アッセイ(antibody dependent cell phagocytosis (ADCP) assay)において、改変していないFc領域を含む同じ抗体のADCPと比
較して、少なくとも50%の抗体依存性細胞ファゴサイトーシス(ADCP)に減少して、ADCP
が減少する、又は回避される。いくつかの実施形態では、ADCPの減少は、改変していないFc領域を含む同じ抗体のサイトカイン放出と比較して、サイトカイン放出の少なくとも70%の減少、少なくとも80%の減少、少なくとも90%の減少、少なくとも95%の減少、少なくとも98%の減少、少なくとも99%の減少、又は100%の減少である。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載される抗-HC抗体(例えば、抗-CD117抗体、又は抗-CD45抗体)は、以下の改変又は改変の組み合わせ、のうちの1種を含むFc領域を含む
:D265A, D265C, D265C / H435A, D265C / LALA, D265C / LALA / H435A, D265A / S239C
/ L234A / L235A / H435A, D265A / S239C / L234A / L235A, D265C / N297G, D265C / N297G / H435A, D265C (EPLVLAdelG *), D265C (EPLVLAdelG ) / H435A, D265C / N297Q / H435A, D265C / N297Q, EPLVLAdelG / H435A, EPLVLAdelG / D265C, EPLVLAdelG / D265A, N297A, N297G, 又は N297Q。
改変したFc領域とFcガンマ・レセプターとの間の結合又は親和性を、当技術分野で公知の様々な技術(例えば、限定されるものではないが、平衡方法[例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA);KinExA、Rathanaswami et al. Analytical Biochemistry, Vol. 373:52-60, 2008;ラジオイムノアッセイ(RIA)]、又は表面プラズモン共鳴アッセイ若しく
は他のメカニズムの動態に基づくアッセイ[例えば、BIACORE(登録商標)解析若しくはOctet(登録商標)解析(forteBIO)]、並びに他の方法[例えば、間接的結合アッセイ、競合的結合アッセイ、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)、ゲル電気泳動及びクロマトグラフィー(例えば、ゲルろ過)など])を使用して、測定することがある。これらの及び他の方法は、1つ以上の評価する構成成分上にある標識を利用することがある、及び/又は、様々な
検出方法(例えば、限定されるものではないが、発色性標識、蛍光性標識、発光性標識、又は同位体標識など)を使用することがある。結合親和性及び動態に関しては、Paul, W.
E., ed., Fundamental Immunology, 4th Ed., Lippincott-Raven, Philadelphia (1999)(これは、抗体-免疫原相互作用に焦点を当てている)に、詳細に記載されている。競合
的結合アッセイの一例は、標識抗原と目的の抗体とを、非-標識の抗原の量を増やしなが
ら、その存在下で、インキュベーションすること、及び前記標識抗原に結合した抗体を検出すること、を含むラジオイムノアッセイである。そのデータから、スキャッチャード・プロット解析により、特定の抗原に対する目的の抗体の親和性及び結合オフ-レート(off-rate)を決定することがある。第2の抗体との競合を、ラジオイムノアッセイを使用して、測定することもある。この場合、前記抗原を、標識化合物にコンジュゲートした目的の抗体と、非-標識の第2の抗体の量を増やしながら、その存在下で、インキュベーションする。
ある実施形態では、本明細書に記載されるFc改変(例えば、D265C、L234A、L235A、及び/又はH435A)を有する抗体は、Fcガンマ・レセプターへの結合が、改変していないFc領域を含む同じ抗体の前記Fcガンマ・レセプターへの結合と比較して、少なくとも70%の減少
、少なくとも80%の減少、少なくとも90%の減少、少なくとも95%の減少、少なくとも98%の
減少、少なくとも99%の減少、又は100%の減少である(例えば、バイオレイヤー干渉法(Bio-Layer Interferometry)(BLI)で評価した場合)。
いかなる理論にも拘束されることを望まないが、Fcガンマ・レセプターとのFc領域結合相互作用は、種々のエフェクター機能及び下流のシグナル伝達イベント(例えば、限定されるものではないが、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害(antibody dependent cell-mediated cytotoxicity (ADCC))及び補体依存性細胞傷害(complement dependent cytotoxicity (CDC))など)に必須であると考えられる。従って、ある特定の態様では、改変したFc領域
を含む抗体(例えば、L234A、L235A、及び/又はD265C変異を含む)では、エフェクター機
能が実質的に減少している、又は消失している。エフェクター機能を、当技術分野で公知の種々の方法を使用して(例えば、目的の抗体に対する細胞応答[例えば、マスト細胞脱顆粒又はサイトカイン放出]を測定することによって)アッセイすることがある。例えば、当技術分野での標準的な方法を用いて、Fc改変抗体を、そのin vitroでマスト細胞脱顆粒を誘発する能力、又はその(例えば、ヒト末梢血単核細胞による)サイトカイン放出を誘発する能力、について、アッセイすることがある。
本開示の抗体は、更に手を加えて、例えば(Dall'Acqua et al.(2006)J Biol Chem 281:
23514-24)、(Zalevsky et al.(2010)Nat Biotechnol 28: 157-9)、(Hinton et al.(2004)J Biol Chem 279: 6213-6)、(Hinton et al.(2006)J Immunol 176: 346-56)、(Shields et al.(2001)J Biol Chem 276: 6591-604)、(Petkova et al.(2006)Int Immunol 18: 1759-69)、(Datta-Mannan et al.(2007)Drug Metab Dispos 35: 86-94)、(Vaccaro et al.(2005)Nat Biotechnol 23: 1283-8)、(Yeung et al. (2010)Cancer Res 70: 3269-77)及び(Kim et al. (1999)Eur J Immunol 29: 2819-25)に記載のFc変異のようなFc変異を更に導
入することによって、抗体の半減期を更に調節することがあり、並びに位置250、252、253、254、256、257、307、376、380、428、434及び435を含むことがある。単独で又は組み合わせて作製され得る例示的な変異は、T250Q、M252Y、1253A、S254T、T256E、P2571、T307A、D376V、E380A、M428L、H433K、N434S、N434A、N434H、N434F、H435A及びH435R変異
である。
従って、ある実施形態では、前記Fc領域は、半減期の低下(例えば、改変していないFc領域を有する抗体と比較して)をもたらす変異を含む。短い半減期を有する抗体は、抗体が短寿命の治療薬として機能することが期待される、ある特定の例では(例えば、抗体を投与し、続いてHSCを投与するという本明細書に記載されるコンディショニング・ステッ
プでは)、有益であることがある。理想的には、内因性の幹細胞とは異なり、一般にターゲット抗原(例えば、CD117[例えば、GNNK+ CD117]又はCD45)を発現してもいるが前記抗-HC抗体(例えば、抗-CD117抗体又は抗-CD45抗体)のターゲットではないHSCを投与する
前に、前記抗体は実質的にクリアランスされるべきである。ある実施形態では、前記Fc領域は、435(KabatによるEUインデックス)の位置での変異を含む。ある実施形態では、前記変異はH435A変異である。
ある実施形態では、本明細書に記載される抗-HC抗体(例えば、抗-CD117抗体、又は抗-CD45抗体)は、(例えば、ヒトにおいて)約24時間以下、約23時間以下、約22時間以下、約21時間以下、約20時間以下、約19時間以下、約18時間以下、約17時間以下、約16時間以下、約15時間以下、約14時間以下、約13時間以下、約12時間以下、又は約11時間以下の半減期を有する。
ある実施形態では、本明細書に記載される抗-HC抗体(例えば、抗-CD117抗体又は抗-CD45抗体)は約1~5時間、約5~10時間、約10~15時間、約15~20時間、又は約20~25時間の
半減期(例えば、ヒトにおける)を有する。ある実施形態では、前記抗-HC抗体の半減期は
、約5~7時間;約5~9時間;約5~11時間;約5~13時間;約5~15時間;約5~20時間;約
5~24時間;約7~24時間;約9~24時間;約11~24時間;約12~22時間;約10~20時間;
約8~18時間;又は約14~24時間である。
いくつかの態様では、前記Fc領域は、半減期を減少させる、及び前記抗体のエフェクター機能を低下させる、2つ以上の変異を含む。いくつかの実施形態では、前記Fc領域は、
半減期の減少をもたらす変異、及びFcγRと直接的に接触することができる(例えば、構造的な及び結晶学的な解析に基づく)少なくとも1つの残基の変異、を含む。ある実施形態では、前記Fc領域は、H435A変異、L234A変異、及びL235A変異、を含む。ある実施形態では
、前記Fc領域は、H435A変異及びD265C変異を含む。ある実施形態では、前記Fc領域は、H435A変異、L234A変異、L235A変異、及びD265C変異を含む。
いくつかの実施形態では、前記抗体、又はその抗原結合フラグメントは、本抗体、又はその抗原結合フラグメントのFcドメインにおけるシステイン残基を介して、細胞毒素(例
えば、アマトキシン)にコンジュゲートしている。
これらの態様のいくつかの実施形態では、前記システイン残基は、前記抗体、又はその抗原結合フラグメントのFcドメイン中に天然に存在する。例えば、前記Fcドメインは、ヒトIgG1 Fcドメイン等のIgG Fcドメインであってもよく、前記システイン残基はCys261、Csy321、Cys367、及びCys425からなる群より選択されてもよい。
いくつかの実施形態では、前記システイン残基は、前記抗体、又はその抗原結合フラグメントのFcドメインにおける変異によって導入される。例えば、前記システイン残基は、Cys118、Cys239、及びCys265からなる群より選択されることがある。ある実施形態では、前記抗-HC抗体(例えば、抗-CD117抗体、若しくは抗-CD45抗体)、又はその抗原結合フラグメントのFc領域は、KabatにあるようなEUインデックスによるアミノ酸265でのアミノ酸置換を含む。ある実施形態では、前記Fc領域は、D265C変異を含む。ある実施形態では、前
記Fc領域は、D265C及びH435A変異を含む。ある実施形態では、前記Fc領域は、D265C、L234A、及びL235A変異を含む。ある実施形態では、前記Fc領域は、D265C、L234A、L235A、及びH435A変異を含む。ある実施形態では、前記抗-HC抗体(例えば、抗-CD117抗体、若しく
は抗-CD45抗体)、又はその抗原結合フラグメントのFc領域は、KabatにあるようなEUイン
デックスによるアミノ酸239でのアミノ酸置換を含む。ある実施形態では、前記Fc領域は
、S239C変異を含む。ある実施形態では、前記Fc領域は、L234A変異、L235A変異、S239C変異及びD265A変異を含む。別の実施形態では、前記Fc領域は、S239C及びH435A変異を含む
。別の実施形態では、前記Fc領域は、L234A変異、L235A変異、及びS239C変異を含む。更
に別の実施形態では、前記Fc領域は、H435A変異、L234A変異、L235A変異、及びS239C変異を含む。更に別の実施形態では、前記Fc領域は、H435A変異、L234A変異、L235A変異、S239C変異及びD265A変異を含む。
特に、Fcのアミノ酸位置は、特に断らない限り、EU番号付けインデックスを参照している。
本明細書に記載されるバリアントFcドメインは、それらを構成するアミノ酸改変に従って定義される。Fc領域に関して本明細書中で議論される全てのアミノ酸置換について、番号付けは、常にEUインデックスに従う。従って、例えば、D265Cは、親Fcドメインに対し
て、EU位置265のアスパラギン酸(D)がシステイン(C)で置換されたFcバリアントである。
同様に、例えば、D265C/L234A/L235Aは、親Fcドメインに対して、EU位置265(DからCへ)、234(LからAへ)、及び235(LからAへ)での置換を有するFcバリアントを定義する。バリアントはまた、変異EUアミノ酸位置における、その最終的なアミノ酸組成に従って指定されることもある。例えば、L234A/L235A変異は、LALAと呼ぶことがある。置換する順序は任意
であることに留意されたい。特に、Fcのアミノ酸位置は、特に断らない限り、EU番号付け
インデックスを参照している。
いくつかの実施形態では、本明細書中の抗-CD117抗体又は抗-CD45抗体は、以下の改変
又は改変の組み合わせ、のうちの1種を含むFc領域を含む:D265A, D265C, D265C / H435A, D265C / LALA, D265C / LALA / H435A, D265C / N297G, D265C / N297G / H435A, D265C (IgG2*), D265C (IgG2) / H435A, D265C / N297Q / H435A, D265C / N297Q, EPLVLAdelG / H435A, N297A, N297G, 又は N297Q。
本明細書中に開示される、抗体及びその結合フラグメントを、以下により詳細に記載されるように、コンジュゲートにおいて使用することがある。
抗体を、例えば、米国特許第4,816,567号に記載されるように、組換え方法及び組成物
を使用して産生することがある。ある実施形態では、本明細書に記載の抗-CD117抗体又は抗-CD45抗体をコードする単離された核酸が提供される。このような核酸は、本抗体のVL
を含むアミノ酸配列及び/又は本抗体のVHを含むアミノ酸配列(例えば、本抗体の軽鎖及
び/又は重鎖)をコードすることがある。更なる実施形態では、このような核酸を含む1種以上のベクター(例えば、発現ベクター)が提供される。更なる実施形態では、このような核酸を含む宿主細胞が提供される。あるこのような実施形態では、宿主細胞は以下を含む(例えば、以下で形質転換されている):(1)本抗体のVLを含むアミノ酸配列及び本抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含むベクター、又は(2)本抗体のVLを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第1のベクター及び本抗体のVHを含むアミノ酸配列をコー
ドする核酸を含む第2のベクター。ある実施形態では、前記宿主細胞は、真核生物、例え
ばチャイニーズ・ハムスター卵巣(CHO)細胞又はリンパ系細胞(例えばY0、NS0、Sp20細胞)である。ある実施形態では、抗-CLL-1抗体を作製する方法が提供され、ここで、前記方法は、上記に提供されるような抗体をコードする核酸を含む宿主細胞を、前記抗体の発現に適した条件下で、培養することを、及び任意選択的に、前記宿主細胞(又は宿主細胞培養
培地)から前記抗体を回収することを、含む。
抗-CD117抗体又は抗-CD45抗体を組換え的に産生するために、抗体をコードする核酸(例えば、上記のような核酸)を、単離し、そして宿主細胞中で更にクローニングする及び/
又は発現させるために、1種以上のベクターに挿入する。このような核酸は、従来の手順
を使用して(例えば、本抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合し得るオ
リゴヌクレオチド・プローブを使用することによって)容易に単離することができ、及び
シークエンシングをすることができる。
抗体をコードするベクターをクローニングする又は発現させるのに適した宿主細胞としては、本明細書に記載の原核生物細胞又は真核生物細胞が挙げられる。例えば、抗体を、特にグリコシル化及びFcエフェクター機能を必要としない場合に、バクテリア中で産生させても良い。バクテリア中で抗体フラグメント及びポリペプチドを発現させることについては、例えば、米国特許第5,648,237、5,789,199、及び5,840,523号を参照のこと(Charlton, Methods in Molecular Biology, Vol. 248 (B.K.C. Lo, ed., Humana Press, Totowa, N.J., 2003), pp. 245-254も参照のこと、これには、大腸菌中で抗体フラグメントを
発現させることが記載されている)。発現させた後、前記抗体を、バクテリア細胞ペーストから可溶性画分として単離し、更に精製しても良い。
宿主として、脊椎動物細胞を使用することもできる。例えば、懸濁液中で増殖するように適合した哺乳動物細胞株が有用であることがある。有用な哺乳動物宿主細胞株の他の例は、SV40で形質転換したサル腎臓CV1株(COS-7);ヒト胚性腎臓細胞株(例えば、Graham et
al., J. Gen Virol. 36:59 (1977)に記載されるような293又は293細胞);ベビー・ハム
スター腎臓細胞(BHK);マウス・セルトリ細胞(例えば、Mather, Biol. Reprod. 23:243-2
51 (1980)に記載されるようなTM4細胞);サル腎臓細胞(CV1);アフリカ・ミドリザル腎臓細胞(VERO-76);ヒト子宮頸がん細胞(HELA);イヌ腎臓細胞(MDCK);バッファロー・ラッ
ト肝臓細胞(BRL 3A);ヒト肺細胞(W138);ヒト肝臓細胞(Hep G2);マウス乳がん(MMT 060562);TRI細胞(例えば、Mather et al., Annals N.Y. Acad. Sci. 383:44-68 (1982)に記載される);MRC 5細胞;及びFS4細胞、である。他の有用な哺乳動物宿主細胞株としては
、チャイニーズ・ハムスター卵巣(CHO)細胞(DHFR-CHO細胞(Urlaub et al., Proc. Natl.
Acad. Sci. USA 77:4216 (1980))等を含む);及び骨髄腫細胞株(例えば、Y0、NS0及びSp2/0等)が挙げられる。抗体産生に適したある特定の哺乳動物宿主細胞株に関するレビューについては、例えば、Yazaki and Wu, Methods in Molecular Biology, Vol. 248 (B. K.
C. Lo, ed., Humana Press, Totowa, N.J.), pp. 255-268 (2003)を参照のこと。
ある実施形態では、前記抗-CD117抗体、若しくはその抗原結合フラグメント、又は抗-CD45抗体、若しくはその抗原結合フラグメントは、本明細書で開示する配列番号(SEQ ID No)と少なくとも95%、96%、97%又は99%同一であるアミノ酸配列を有する可変領域を含む(表3)。或いは、前記抗-CD117抗体、若しくはその抗原結合フラグメント、又は抗-CD45
抗体、若しくはその抗原結合フラグメントは、本明細書で開示する配列番号(SEQ ID No)
と少なくとも95%、96%、97%又は99%同一であるアミノ酸配列を有する、本明細書に記載される可変領域の骨格領域を有する、本明細書で開示する配列番号(SEQ ID No)を含むCDRを含む(表3)。
ある実施形態では、前記抗-CD117抗体、又はその抗原結合フラグメントは、本明細書で開示するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び重鎖定常領域を含む。別の実施形態では、前記抗-CD117抗体、又はその抗原結合フラグメントは、本明細書で開示するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域及び軽鎖定常領域を含む。更に別の実施形態では、前記抗-CD117抗体、又はその抗原結合フラグメントは、本明細書で開示するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、軽鎖可変領域、重鎖定常領域及び軽鎖定常領域を含む。
ある実施形態では、前記抗-CD45抗体、又はその抗原結合フラグメントは、本明細書に
開示されるアミノ酸配列を有する重鎖可変領域及び重鎖定常領域を含む。別の実施形態では、前記抗-CD45抗体、又はその抗原結合フラグメントは、本明細書に開示されるアミノ
酸配列を有する軽鎖可変領域及び軽鎖定常領域を含む。更に別の実施形態では、前記抗-CD45抗体、又はその抗原結合フラグメントは、本明細書で開示するアミノ酸配列を有する
重鎖可変領域、軽鎖可変領域、重鎖定常領域及び軽鎖定常領域を含む。
抗-CD117抗体及び抗-CD45の実施例を、本明細書中に更に記載する。
抗-CD117抗体
ヒトCD117(c-Kitとも呼ばれる、mRNA NCBI参照配列: NM_000222.2、タンパク質NCBI参
照配列: NP_000213.1)に結合することができる抗体及び抗原結合フラグメント(GNNK+CD117に結合することができる抗体及び抗原結合フラグメントを含む)を、造血幹細胞移植療法に向けて患者をコンディショニングするために、本明細書中に記載される組成物及び方法と組み合わせて使用することがある。集団のかなりの割合で存在する、CD117のコーディ
ング領域又は細胞外ドメインに影響を及ぼす多型は、現在のところ、腫瘍以外の適応症ではよく知られていない。CD117には少なくとも4種類のアイソフォームが同定されており、腫瘍細胞では、更なるアイソフォームが発現している可能性がある。CD117アイソフォー
ムのうち2つは、タンパク質の細胞内ドメインに局在し、2つは外側の膜近傍領域に存在する。2つの細胞外アイソフォーム、GNNK+とGNNK-は、4アミノ酸配列が存在する(GNNK+)又
は存在しない(GNNK-)点で異なる。これらのアイソフォームはリガンド(SCF)に対して同じ親和性を有することが報告されているが、GNNK-アイソフォームへのリガンド結合は、細
胞内部への取り込み及び分解を増大させることが報告されている。GNNK+アイソフォーム
は、このアイソフォームに対して生成される抗体がGNNK+及びGNNK-タンパク質を含むので、CD117に結合し得る抗体を生成するための免疫原として使用することがある。ヒトCD117アイソフォーム1及び2のアミノ酸配列は、それぞれ配列番号(SEQ ID Nos): 145及び146として記載される。ある特定の実施形態では、本明細書に開示される抗-ヒトCD117(hCD117)抗体は、ヒトCD117のアイソフォーム1及びアイソフォーム2の両方に結合することができ
る。
抗-CD117抗体の例は、US 2019/0153114 A1及びUS 2019/0144558 A1に記載されており、両方の出願の内容は、その全体が明確に本明細書に参照により取り込まれる。
例えば、抗-CD117抗体Ab54、Ab55、Ab56、Ab57、Ab58、Ab61、Ab66、Ab67、Ab68及びAb69の種々の結合領域のアミノ酸配列を表3に記載する。表3に記載したCDRを含むヒト抗-CD117抗体、並びに表3に記載した可変領域を含むヒト抗-CD117抗体は、本開示に含まれ
る。
ある実施形態では、本発明は、抗体55の結合領域に対応する結合領域(例えばCDR、可
変領域)を含む抗-CD117抗体、又はその抗原結合フラグメントを、提供する。抗体55(即
ち、Ab55)の重鎖可変領域(VH)のアミノ酸配列を配列番号(SEQ ID NO):19に示す(表3参照)。抗体55のVH CDRドメイン・アミノ酸配列を配列番号(SEQ ID NO):21(VH CDR1);配列番号(SEQ ID NO):22(VH CDR2)及び配列番号(SEQ ID NO):23(VH CDR3)に示す。抗体55の軽鎖可変領域(VL)のアミノ酸配列を配列番号(SEQ ID NO):20に記載する(表3参照)。抗体55のVL CDRドメイン・アミノ酸配列を配列番号(SEQ ID NO):24(VL CDR1);配列番号(SEQ ID NO):25(VL CDR2)及び配列番号(SEQ ID NO):26(VL CDR3)に示す。抗体55の重鎖定常領域を
配列番号(SEQ ID NO):122に示す。抗体55の軽鎖定常領域を配列番号(SEQ ID NO):121に示す。従って、ある特定の実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID Nos): 21、22、及び23に記載の可変重鎖CDRセット(CDR1、CDR2、及びCDR3)、
並びに配列番号(SEQ ID Nos): 24、25、及び26に記載の軽鎖可変領域CDRセットを含む。
他の実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):20に記載のアミノ酸残基を含む可変軽鎖、及び配列番号(SEQ ID NO):19に記載の重鎖可変領域を含む。
ある実施形態では、本発明は、抗体54の結合領域に対応する結合領域(例えばCDR、可
変領域)を含む抗-CD117抗体、又はその抗原結合フラグメントを、提供する。抗体54(即
ち、Ab54)の重鎖可変領域(VH)のアミノ酸配列を配列番号(SEQ ID NO):29に示す(表3参照)。抗体54のVH CDRドメイン・アミノ酸配列を配列番号(SEQ ID NO):31(VH CDR1);配列番号(SEQ ID NO):32(VH CDR2)及び配列番号(SEQ ID NO):33(VH CDR3)に示す。抗体54の軽鎖可変領域(VL)のアミノ酸配列を配列番号(SEQ ID NO):30に記載する(表3参照)。抗体54のVL CDRドメイン・アミノ酸配列を配列番号(SEQ ID NO):34(VL CDR1);配列番号(SEQ ID NO):35(VL CDR2)及び配列番号(SEQ ID NO):36(VL CDR3)に示す。抗体54の重鎖定常領域を
配列番号(SEQ ID NO):122に示す。抗体54の軽鎖定常領域を配列番号(SEQ ID NO):121に示す。従って、ある特定の実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID Nos): 31、32、及び33に記載の可変重鎖CDRセット(CDR1、CDR2、及びCDR3)、
並びに配列番号(SEQ ID Nos): 34、35、及び36に記載の軽鎖可変領域CDRセットを含む。
他の実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):30に記載のアミノ酸残基を含む可変軽鎖、及び配列番号(SEQ ID NO):29に記載の重鎖可変領域を含む。
ある実施形態では、本発明は、抗体56の結合領域に対応する結合領域(例えばCDR、可
変領域)を含む抗-CD117抗体、又はその抗原結合フラグメントを、提供する。抗体56(即
ち、Ab56)の重鎖可変領域(VH)のアミノ酸配列を配列番号(SEQ ID NO):39に示す(表3参照
)。抗体56のVH CDRドメイン・アミノ酸配列を配列番号(SEQ ID NO):41(VH CDR1);配列番号(SEQ ID NO):42(VH CDR2)及び配列番号(SEQ ID NO):43(VH CDR3)に示す。抗体56の軽鎖可変領域(VL)のアミノ酸配列を配列番号(SEQ ID NO):40に記載する(表3参照)。抗体56のVL CDRドメイン・アミノ酸配列を配列番号(SEQ ID NO):44(VL CDR1);配列番号(SEQ ID NO):45(VL CDR2)及び配列番号(SEQ ID NO):46(VL CDR3)に示す。抗体56の重鎖定常領域を
配列番号(SEQ ID NO):122に示す。抗体56の軽鎖定常領域を配列番号(SEQ ID NO):121に示す。従って、ある特定の実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID Nos): 41、42、及び43に記載の可変重鎖CDRセット(CDR1、CDR2、及びCDR3)、
並びに配列番号(SEQ ID Nos): 44、45、及び46に記載の軽鎖可変領域CDRセットを含む。
他の実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):40に記載のアミノ酸残基を含む可変軽鎖、及び配列番号(SEQ ID NO):39に記載の重鎖可変領域を含む。
ある実施形態では、本発明は、抗体57の結合領域に対応する結合領域(例えばCDR、可
変領域)を含む抗-CD117抗体、又はその抗原結合フラグメントを、提供する。抗体57(即
ち、Ab57)の重鎖可変領域(VH)のアミノ酸配列を配列番号(SEQ ID NO):49に示す(表3参照)。抗体57のVH CDRドメイン・アミノ酸配列を配列番号(SEQ ID NO):51(VH CDR1);配列番号(SEQ ID NO):52(VH CDR2)及び配列番号(SEQ ID NO):53(VH CDR3)に示す。抗体57の軽鎖可変領域(VL)のアミノ酸配列を配列番号(SEQ ID NO):50に記載する(表3参照)。抗体57のVL CDRドメイン・アミノ酸配列を配列番号(SEQ ID NO):54(VL CDR1);配列番号(SEQ ID NO):55(VL CDR2)及び配列番号(SEQ ID NO):56(VL CDR3)に示す。抗体57の重鎖定常領域を
配列番号(SEQ ID NO):122に示す。抗体57の軽鎖定常領域を配列番号(SEQ ID NO):121に示す。従って、ある特定の実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID Nos): 51、52、及び53に記載の可変重鎖CDRセット(CDR1、CDR2、及びCDR3)、
並びに配列番号(SEQ ID Nos): 54、55、及び56に記載の軽鎖可変領域CDRセットを含む。
他の実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):50に記載のアミノ酸残基を含む可変軽鎖、及び配列番号(SEQ ID NO):49に記載の重鎖可変領域を含む。
ある実施形態では、本発明は、抗体58の結合領域に対応する結合領域(例えばCDR、可
変領域)を含む抗-CD117抗体、又はその抗原結合フラグメントを、提供する。抗体58(即
ち、Ab58)の重鎖可変領域(VH)のアミノ酸配列を配列番号(SEQ ID NO):59に示す(表3参照)。抗体58のVH CDRドメイン・アミノ酸配列を配列番号(SEQ ID NO):61(VH CDR1);配列番号(SEQ ID NO):62(VH CDR2)及び配列番号(SEQ ID NO):63(VH CDR3)に示す。抗体58の軽鎖可変領域(VL)のアミノ酸配列を配列番号(SEQ ID NO):60に記載する(表3参照)。抗体58のVL CDRドメイン・アミノ酸配列を、配列番号(SEQ ID NO):64(VL CDR1);配列番号(SEQ ID
NO):65(VL CDR2)及び配列番号(SEQ ID NO):66(VL CDR3)に示す。抗体58の重鎖定常領域
を配列番号(SEQ ID NO):122に示す。抗体58の軽鎖定常領域を配列番号(SEQ ID NO):121に示す。従って、ある特定の実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID Nos): 61、62、及び63に記載の可変重鎖CDRセット(CDR1、CDR2、及びCDR3)
、並びに配列番号(SEQ ID Nos): 64、65、及び66に記載の軽鎖可変領域CDRセットを含む
。他の実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):60に記載のアミノ酸残基を含む可変軽鎖、及び配列番号(SEQ ID NO):59に記載の重鎖可変領域を含む。
ある実施形態では、本発明は、抗体61の結合領域に対応する結合領域(例えばCDR、可
変領域)を含む抗-CD117抗体、又はその抗原結合フラグメントを、提供する。抗体61(即
ち、Ab61)の重鎖可変領域(VH)のアミノ酸配列を配列番号(SEQ ID NO):69に示す(表3参照)。抗体61のVH CDRドメイン・アミノ酸配列を配列番号(SEQ ID NO):71(VH CDR1);配列番号(SEQ ID NO):72(VH CDR2)及び配列番号(SEQ ID NO):73(VH CDR3)に示す。抗体61の軽鎖
可変領域(VL)のアミノ酸配列を配列番号(SEQ ID NO):70に記載する(表3参照)。抗体61のVL CDRドメイン・アミノ酸配列を、配列番号(SEQ ID NO):74(VL CDR1);配列番号(SEQ ID
NO):75(VL CDR2)及び配列番号(SEQ ID NO):76(VL CDR3)に示す。抗体61の重鎖定常領域
を配列番号(SEQ ID NO):122に示す。抗体61の軽鎖定常領域を配列番号(SEQ ID NO):121に示す。従って、ある特定の実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID Nos): 71、72、及び73に記載の可変重鎖CDRセット(CDR1、CDR2、及びCDR3)
、並びに配列番号(SEQ ID Nos): 74、75、及び76に記載の軽鎖可変領域CDRセットを含む
。他の実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):70に記載のアミノ酸残基を含む可変軽鎖、及び配列番号(SEQ ID NO):69に記載の重鎖可変領域を含む。
ある実施形態では、本発明は、抗体66の結合領域に対応する結合領域(例えばCDR、可
変領域)を含む抗-CD117抗体、又はその抗原結合フラグメントを、提供する。抗体66(即
ち、Ab66)の重鎖可変領域(VH)のアミノ酸配列を配列番号(SEQ ID NO):79に示す(表3参照)。抗体66のVH CDRドメイン・アミノ酸配列を配列番号(SEQ ID NO):81(VH CDR1);配列番号(SEQ ID NO):82(VH CDR2)及び配列番号(SEQ ID NO):83(VH CDR3)に示す。抗体66の軽鎖可変領域(VL)のアミノ酸配列を配列番号(SEQ ID NO):80に記載する(表3参照)。抗体66のVL CDRドメイン・アミノ酸配列を配列番号(SEQ ID NO):84(VL CDR1);配列番号(SEQ ID NO):85(VL CDR2)及び配列番号(SEQ ID NO):86(VL CDR3)に示す。抗体66の重鎖定常領域を
配列番号(SEQ ID NO):122に示す。抗体66の軽鎖定常領域を配列番号(SEQ ID NO):121に示す。従って、ある特定の実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID Nos): 81、82、及び83に記載の可変重鎖CDRセット(CDR1、CDR2、及びCDR3)、
並びに配列番号(SEQ ID Nos): 84、85、及び86に記載の軽鎖可変領域CDRセットを含む。
他の実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):80に記載のアミノ酸残基を含む可変軽鎖、及び配列番号(SEQ ID NO):79に記載の重鎖可変領域を含む。
ある実施形態では、本発明は、抗体67の結合領域に対応する結合領域(例えばCDR、可
変領域)を含む抗-CD117抗体、又はその抗原結合フラグメントを、提供する。抗体67の重鎖可変領域(VH)のアミノ酸配列を配列番号(SEQ ID NO):9に示す(表3参照)。抗体67のVH CDRドメイン・アミノ酸配列を、配列番号11(VH CDR1);配列番号(SEQ ID NO):12(VH CDR2)及び配列番号(SEQ ID NO):13(VH CDR3)に示す。抗体67の軽鎖可変領域(VL)のアミノ酸配列を配列番号(SEQ ID NO):10に記載する(表3参照)。抗体67のVL CDRドメイン・アミノ酸配列を、配列番号14(VL CDR1);配列番号(SEQ ID NO):15(VL CDR2)及び配列番号(SEQ ID NO):16(VL CDR3)に示す。抗体67の全長重鎖(HC)を配列番号(SEQ ID NO):110に示し、抗体67の全長重鎖定常領域を配列番号(SEQ ID NO):122に示す。抗体67の軽鎖を配列番号(SEQ ID NO):109に示す。抗体67の軽鎖定常領域を配列番号(SEQ ID NO):121に示す。従って、
ある特定の実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID Nos): 11、12、及び13に記載の可変重鎖CDRセット(CDR1、CDR2、及びCDR3)、並びに配列番
号(SEQ ID Nos): 14、15、及び16に記載の軽鎖可変領域CDRセットを含む。他の実施形態
では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):9に記載のアミノ
酸残基を含む可変重鎖、及び配列番号(SEQ ID NO):10に記載の重鎖可変領域を含む。更なる実施形態では、抗-CD117抗体は、配列番号(SEQ ID NO):110を含む重鎖及び配列番号(SEQ ID NO):109を含む軽鎖を含む。
ある実施形態では、本発明は、抗体68の結合領域に対応する結合領域(例えばCDR、可
変領域)を含む抗-CD117抗体、又はその抗原結合フラグメントを、提供する。抗体68(即
ち、Ab68)の重鎖可変領域(VH)のアミノ酸配列を配列番号(SEQ ID NO):89に示す(表3参照)。抗体68のVH CDRドメイン・アミノ酸配列を配列番号(SEQ ID NO):91(VH CDR1);配列番号(SEQ ID NO):92(VH CDR2)及び配列番号(SEQ ID NO):93(VH CDR3)に示す。抗体68の軽鎖
可変領域(VL)のアミノ酸配列を配列番号(SEQ ID NO):90に記載する(表3参照)。抗体68のVL CDRドメイン・アミノ酸配列を、配列番号(SEQ ID NO):94(VL CDR1);配列番号(SEQ ID
NO):95(VL CDR2)及び配列番号(SEQ ID NO):96(VL CDR3)に示す。抗体68の重鎖定常領域
を配列番号(SEQ ID NO):122に示す。抗体68の軽鎖定常領域を配列番号(SEQ ID NO):121に示す。従って、ある特定の実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID Nos): 91、92、及び93に記載の可変重鎖CDRセット(CDR1、CDR2、及びCDR3)
、並びに配列番号(SEQ ID Nos): 94、95、及び96に記載の軽鎖可変領域CDRセットを含む
。他の実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):90に記載のアミノ酸残基を含む可変軽鎖、及び配列番号(SEQ ID NO):89に記載の重鎖可変領域を含む。
ある実施形態では、本発明は、抗体69の結合領域に対応する結合領域(例えばCDR、可
変領域)を含む抗-CD117抗体、又はその抗原結合フラグメントを、提供する。抗体69(即
ち、Ab69)の重鎖可変領域(VH)のアミノ酸配列を配列番号(SEQ ID NO):99に示す(表3参照)。抗体69のVH CDRドメイン・アミノ酸配列を配列番号(SEQ ID NO):101(VH CDR1);配列
番号(SEQ ID NO):102(VH CDR2)及び配列番号(SEQ ID NO):103(VH CDR3)に示す。抗体69の軽鎖可変領域(VL)のアミノ酸配列を配列番号(SEQ ID NO):100に記載する(表3参照)。抗
体69のVL CDRドメイン・アミノ酸配列を、配列番号(SEQ ID NO):104(VL CDR1);配列番号(SEQ ID NO):105(VL CDR2)及び配列番号(SEQ ID NO):106(VL CDR3)に示す。抗体69の重鎖定常領域を配列番号(SEQ ID NO):122に示す。抗体69の軽鎖定常領域を配列番号(SEQ ID NO):121に示す。従って、ある特定の実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID Nos): 101、102、及び103に記載の可変重鎖CDRセット(CDR1、CDR2
、及びCDR3)、並びに配列番号(SEQ ID Nos): 104、105、及び106に記載の軽鎖可変領域CDRセットを含む。他の実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):100に記載のアミノ酸残基を含む可変軽鎖、及び配列番号(SEQ ID NO):99に記載の重鎖可変領域を含む。
本明細書に記載される抗-CD117抗体のあるものは、前記抗体がCD117発現細胞上のCD117活性を実質的に阻害しないという点で、中性抗体(neutral antibody)である。中性抗体(neutral antibody)は、例えば、in vitro幹細胞因子(SCF)依存性細胞増殖アッセイを使用
して同定することができる。SCF依存性細胞増殖アッセイでは、中性CD117抗体は、中性抗体(neutral antibody)がSCFのCD117への結合を遮断しCD117活性を阻害することはないの
で、SCFに依存して分裂するCD34+細胞を死滅させることはないであろう。
中性抗体(neutral antibody)は、それらがヒトCD117に特異的に結合することができる
ことを考えると、診断目的に使用することができるが、本明細書に記載される細胞毒素等の細胞毒素にコンジュゲートした場合に、CD117発現細胞を死滅させることにも効果的で
ある。典型的には、コンジュゲートに使用される抗体は、前記抗体に特有のアゴニスト活性又はアンタゴニスト活性を有する。しかしながら、本明細書に記載されているのは、コンジュゲートに対するユニークな手法であり、とりわけ、前記コンジュゲートを、幹細胞移植の前に、コンディショニング剤として使用する状況における手法である。アンタゴニスト抗体単独又はコンジュゲートとしての細胞毒素との組合せは、細胞毒素に加えて抗体単独の殺傷能があるならば、効果的であり得る。その一方で、中性抗-CD117抗体を含むコンジュゲートを使用したコンディショニングは、前記抗体の活性が細胞毒素の効果に対して二次的ではあるが、前記抗体の細胞内部への取り込み及び親和性特性(例えば、解離速度)が前記細胞毒素を効果的に送達することに重要である場合に、別の代替ストラテジー(strategy)を提示する。
中性抗-CD117抗体の例には、Ab58、Ab61、Ab66、Ab67、Ab68、及びAb69が含まれる。中性抗-CD117抗体CDRのアミノ酸配列を比較すると、同定された中性抗体(neutral antibody
)の2つの群の間のコンセンサス配列が明らかになる。Ab58及びAb61は、同じ軽鎖CDR及びHC CDR3を共有し、HC CDR1及びHC CDR2に僅かな違いがある。HC CDR1及びCDR2のコンセン
サス配列を、配列番号(SEQ ID Nos): 133及び134に記載する。Ab66、Ab67、Ab68、及びAb69も中性抗体(neutral antibody)である。Ab66、Ab67、Ab68、及びAb69は、同じ軽鎖CDR
及び同じHC CDR3を共有するが、これらの抗体には、それらのHC CDR1及びHC CDR2領域内
で違いがある。HC CDR1及びHC CDR2領域におけるこれらの抗体のコンセンサス配列を、それぞれ、配列番号(SEQ ID Nos): 139及び140に記載する。
例えば、ある実施形態では、抗体67のFc領域は、D265C変異を含むように改変される(例えば、配列番号(SEQ ID NO):111)。別の実施形態では、抗体67のFc領域は、D265C、L234A、及びL235A変異を含むように改変される(例えば、配列番号(SEQ ID NO):112)。更に別の実施形態では、抗体67のFc領域は、D265C及びH435A変異を含むように改変される(例えば
、配列番号(SEQ ID NO):113)。更なる実施形態では、抗体67のFc領域は、D265C、L234A、L235A、及びH435A変異を含むように改変される(例えば、配列番号(SEQ ID NO):114)。
抗体55に関して、ある実施形態では、抗体55のFc領域は、D265C変異を含むように改変
される(例えば、配列番号(SEQ ID NO):117)。別の実施形態では、抗体55のFc領域は、D265C、L234A、及びL235A変異を含むように改変される(例えば、配列番号(SEQ ID NO):118)
。更に別の実施形態では、抗体55のFc領域は、D265C及びH435A変異を含むように改変される(例えば、配列番号(SEQ ID NO):119)。更なる実施形態では、抗体55のFc領域は、D265C、L234A、L235A、及びH435A変異を含むように改変される(例えば、配列番号(SEQ ID NO):120)。
抗体54、抗体55、抗体56、抗体57、抗体58、抗体61、抗体66、抗体67、抗体68、又は抗体69の何れか1つのFc領域は、D265C変異(例えば、配列番号(SEQ ID NO):123におけるよう);D265C、L234A、及びL235A変異(例えば、配列番号(SEQ ID NO):124におけるよう);D265C及びH435A変異(例えば、配列番号(SEQ ID NO):125におけるよう);又はD265C、L234A、L235A、及びH435A変異(例えば、配列番号(SEQ ID NO):126におけるよう)を含むように改
変され得る。
Ab54、Ab55、Ab56、及びAb57等を含む、アンタゴニスト抗体もまた、本明細書中に記載される。Ab54、Ab55、Ab56、及びAb57は、同じ軽鎖CDR及び同じHC CDR3を共有するが、これらの抗体には、それらのHC CDR1及びHC CDR2領域内で違いがある。HC CDR1及びHC CDR2領域におけるこれらの抗体のコンセンサス配列を、それぞれ、配列番号(SEQ ID Nos): 127及び128に記載する。
ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 147のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 148のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 147のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ
ID NO): 149のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 147のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 150のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 147のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 151のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 147のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 152のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 147のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 153のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。あ
る実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 147のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 154のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 147のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 155のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 147のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 156のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 147のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 157のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 147のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 158のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 147のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 159のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 147のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 160のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 147のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):
161のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 147のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 162のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 147のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 163のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 164のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 165のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 166のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 167のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 168のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 169のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 170のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 171のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 172のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 173のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 174のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 175のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 176のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 177のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 178のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 179のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 180のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 181のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ
ID NO): 172のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 182のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 183のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 184のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 185のアミノ酸配列に
記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 186のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 187のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 188のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 189のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 190のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 191のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 192のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 193のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 194のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 195のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 196のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 197のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 198のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 199のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 200のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 201のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 190のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 202のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 203のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):
204のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 205のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部位は、配列番号(SEQ ID NO): 206のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 207のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 208のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 209のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 210のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 211のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 212のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ
ID NO): 213のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 214のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 215のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 216のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 217のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 218のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 219のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 220のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 221のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 222のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 223のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 224のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 225のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 226のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 227のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある
実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 7のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 228のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 7のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 229のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 7のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 230のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 7のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 231のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ
ID NO): 7のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 232のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 7のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 233のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 7のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 234のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO):
7のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 235のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 7のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 236のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 7のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 237のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 7のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 237のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 243のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO):
244のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 251のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 252のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 243のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 256のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 259のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 256のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 260のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 252のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 238のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 239のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 147のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 239のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 147のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 240のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 238のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 241のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、抗-CD117抗体、又はその抗原結合部分は、配列番号(SEQ ID NO): 238のアミノ酸配列に記載の重鎖可変領域、及び配列番号(SEQ ID NO): 242のアミノ酸配列に記載の軽鎖可変領域を含む。
以下に記載されるように、ヒト抗体に関するscFVファージ・ディスプレイ・ライブラリ・スクリーニングを行って、治療用途を有する新規な抗-CD117抗体及びそのフラグメントを同定した。とりわけ、抗体85(Ab85)、86(Ab86)、87(Ab87)、88(Ab88)、及び89(Ab89)を、このスクリーニングで同定した。
Ab85の重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列を、配列番号(SEQ ID NO): 243として以下に示す。Ab85のVH CDRアミノ酸配列を下線で示し、以下の通りである:NYWIG (VH CDR1; 配列番号(SEQ ID NO): 245); IINPRDSDTRYRPSFQG (VH CDR2; 配列番号(SEQ ID NO): 246); 及び
HGRGYEGYEGAFDI (VH CDR3; 配列番号(SEQ ID NO): 247)。
Ab85 VH配列
Figure 2020092655000001
(配列番号(SEQ ID NO): 243)
Ab85の軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列を、配列番号(SEQ ID NO): 244として以下に示す。Ab85のVL CDRアミノ酸配列を下線で示し、以下の通りである:RSSQGIRSDLG (VL CDR1; 配列番号(SEQ ID NO): 248); DASNLET (VL CDR2; 配列番号(SEQ ID NO): 249); 及び QQANGFPLT (VL CDR3; 配列番号(SEQ ID NO): 250)。
Ab85 VL配列
Figure 2020092655000002
(配列番号(SEQ ID NO): 244)
抗体HC-86/LC-86(Ab86)
Ab86の重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列を、配列番号(SEQ ID NO): 251として以下に示す。VH CDRアミノ酸配列Ab86を下線で示し、以下の通りである:NYWIG (VH CDR1; 配列番号(SEQ ID NO): 245); IIYPGDSDIRYSPSLQG (VH CDR2; 配列番号(SEQ ID NO): 253); 及び HGRGYNGYEGAFDI (VH CDR3; 配列番号(SEQ ID NO): 3)。
Ab86 VH配列
Figure 2020092655000003
(配列番号(SEQ ID NO): 251)
Ab86の軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列を、配列番号(SEQ ID NO): 252として以下に示す。Ab86のVL CDRアミノ酸配列を下線で示し、以下の通りである:RASQGIGDSLA (VL CDR1; 配列番号(SEQ ID NO): 254); DASNLET (VL CDR2; 配列番号(SEQ ID NO): 249); 及び QQL
NGYPIT (VL CDR3; 配列番号(SEQ ID NO): 255)。
Figure 2020092655000004
抗体HC-87/LC-87(Ab87)
Ab87の重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列を、配列番号(SEQ ID NO): 243として以下に示す。Ab87のVH CDRアミノ酸配列を下線で示し、以下の通りである:NYWIG (VH CDR1; 配列番号(SEQ ID NO): 245); IINPRDSDTRYRPSFQG (VH CDR2; 配列番号(SEQ ID NO): 246); 及び
HGRGYEGYEGAFDI (VH CDR3; 配列番号(SEQ ID NO): 247)。
Ab87 VH配列
Figure 2020092655000005
Ab87の軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列を、配列番号(SEQ ID NO): 256として以下に示す。Ab87のVL CDRアミノ酸配列を下線で示し、以下の通りである:RASQGIRNDLG (VL CDR1; 配列番号(SEQ ID NO): 257); DASSLES (VL CDR2; 配列番号(SEQ ID NO): 5); 及び QQLNGYPIT (VL CDR3; 配列番号(SEQ ID NO): 255)。
Ab87 VL配列
Figure 2020092655000006
抗体HC-88/LC-88(Ab88)
Ab88の重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列を、配列番号(SEQ ID NO): 258として以下に示す。Ab88のVH CDRアミノ酸配列を下線で示し、以下の通りである:NYWIG (VH CDR1; 配列番号(SEQ ID NO): 245); IIYPGDSLTRYSPSFQG (VH CDR2; 配列番号(SEQ ID NO): 259); 及びHGRGYNGYEGAFDI (VH CDR3; 配列番号(SEQ ID NO): 3)。
Ab88 VH配列
Figure 2020092655000007
Ab88の軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列を、配列番号(SEQ ID NO): 256として以下に示す。Ab88のVL CDRアミノ酸配列を下線で示し、以下の通りである:RASQGIRNDLG (VL CDR1; 配列番号(SEQ ID NO): 257); DASSLES (VL CDR2; 配列番号(SEQ ID NO): 5); 及び QQLNGYPIT (VL CDR3; 配列番号(SEQ ID NO): 255)。
Ab88 VL配列
Figure 2020092655000008
抗体HC-89/LC-89(Ab89)
Ab89の重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列を、配列番号(SEQ ID NO): 260として以下に示す。Ab89のVH CDRアミノ酸配列を下線で示し、以下の通りである:NYWIG (VH CDR1; 配列番号(SEQ ID NO): 245); IIYPGDSDTRYSPSFQG (VH CDR2; 配列番号(SEQ ID NO): 2); 及び HGRGYNGYEGAFDI (VH CDR3; 配列番号(SEQ ID NO): 3)。
Ab89 VH配列
Figure 2020092655000009
Ab89の軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列を、配列番号(SEQ ID NO): 252として以下に示す。Ab89のVL CDRアミノ酸配列を下線で示し、以下の通りである:RASQGIGDSLA (VL CDR1; 配列番号(SEQ ID NO): 254); DASNLET (VL CDR2; 配列番号(SEQ ID NO): 249); 及び QQLNGYPIT (VL CDR3; 配列番号(SEQ ID NO): 255)。
Ab89 VL配列
Figure 2020092655000010
抗体HC-249/LC-249(Ab249)
Ab249の重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列を、配列番号(SEQ ID NO): 238として以下に示
す。Ab249のVH CDRアミノ酸配列を下線で示し、以下の通りである:TSWIG (VH CDR1; 配
列番号(SEQ ID NO): 286); IIYPGDSDTRYSPSFQG (VH CDR2; 配列番号(SEQ ID NO): 2); 及び HGLGYNGYEGAFDI (VH CDR3; 配列番号(SEQ ID NO): 287)。
Ab249 VH配列
Figure 2020092655000011
Ab249の軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列を、配列番号(SEQ ID NO): 242として以下に示
す。Ab249のVL CDRアミノ酸配列を下線で示し、以下の通りである:RASQGIGSALA (VL CDR1; 配列番号(SEQ ID NO): 288); DASNLET (VL CDR2; 配列番号(SEQ ID NO): 249); 及び
QQLNGYPLT (VL CDR3; 配列番号(SEQ ID NO): 289)。
Ab249 VL配列
Figure 2020092655000012
ヒト抗体Ab85及びAb249は両方とも、アンタゴニスト抗-CD117抗体である抗体CK6に由来した。Ab85及びAb249は、CK6よりも特性が改善している(例えば、結合特性が改善してい
る)。
CK6は、重鎖可変領域のCDR3ドメイン内に、脱アミド化される可能性のある部位を含む
。抗体を将来に製造するために、除去することは有益であるが、アスパラギンの位置により非常に難しい。しかし、脱アミド化される可能性のある部位を、Ab85重鎖CDR3においてうまく除去すると、その結果、その抗体(Ab85重鎖及び軽鎖CDRを有する)は、ヒトCD117に対する高い親和性レベルの特異性及び細胞の中に取り込まれる能力を維持することができた。更に、Ab85は、その親と比較して、解離速度が改善した。
従って、ある特定の実施形態では、抗-CD117抗体は配列番号(SEQ ID Nos): 245、246、及び247に記載のCDRセット(CDR1、CDR2、及びCDR3)を含む重鎖、並びに配列番号(SEQ ID Nos): 248、249、及び1250に記載のCDRを含む軽鎖、を含み、CD117を発現する細胞の中に取り込まれ、BLIによって測定した場合、5×10-4s-1 以下のkoff速度を有する。
本明細書に記載される、患者コンディショニングの方法と一緒に使用することがある更なる抗-CD117抗体としては、例えば、米国特許第5,489,516号(その開示は、抗-CD117抗
体に関連するので、参照により本明細書に組み込まれる)に記載される、ATCCアクセッション番号10716(BA7.3C.9として寄託されている)から産生される及び放出される(released)抗体(例えば、SR-1抗体など)が挙げられる。
ある実施形態では、本明細書に記載される抗-CD117抗体は、L235A、L235A、D265C、及
びH435A(EUインデックス)を含むFc領域を含む。
本明細書に記載される患者をコンディショニングする方法と併用することができる更なる抗-CD117抗体としては、米国特許第7,915,391号(これは、例えば、ヒト化SR-1抗体を
記載する)に記載される抗-CD117抗体;米国特許第5,808,002号(これは、例えば、抗-CD117 A3C6E2抗体を記載する)に記載される抗-CD117抗体、並びに、例えば、WO 2015/050959(これは、ヒトCD117のPro317、Asn320、Glu329、Val331、Asp332、Lus358、Glue360、Glue376、His378、及び/又はThr380を含むエピトープに結合する抗-CD117抗体を記載す
る)に記載される抗-CD117抗体;並びに米国2012/0288506(米国特許第8,552,157号とし
ても公開)(これは、例えば、抗-CD117抗体CK6を記載する)、が挙げられる。
本明細書に記載する組成物及び方法と併用して使用することができる更なる抗-CD117抗体及びその抗原結合フラグメントには、クローン9P3、NEG024、NEG027、NEG085、NEG086
、及び20376などのUS 2015/0320880に記載されるものが含まれる。
抗-CD45抗体
ヒトCD45(mRNA NCBI参照配列: NM_080921.3、タンパク質NCBI参照配列:NP_563578.2)に結合することができる抗体及び抗原結合フラグメント (アイソフォームCD45ROに結合す
ることができるものを含む)を、本明細書中で開示する組成物及び方法と併せて使用して
、例えば、造血幹細胞移植療法を必要とする患者における造血幹細胞移植片の生着を促進させることがある。ある実施形態では、本明細書で開示する組成物及び方法は、配列番号(SEQ ID NO): 290のアミノ酸配列に記載されるヒトCD45ROに結合する抗-CD45抗体又はADCを含む。本明細書で開示するCD45の種々のアイソフォームに結合する抗体もまた、本明細書で開示する方法及び組成物において使用することが意図される。CD45の複数のアイソフォームは、一次転写産物中の34個のエキソンの選択的スプライシングから生じる。エクソン4、5、6、及び7(可能性有り)のスプライシングによって、複数のCD45のバリエーションが生じる。選択的なエキソンの発現が、以下の表1に記載するCD45アイソフォームで観察される。
Figure 2020092655000013
選択的スプライシングによって、CD45タンパク質の様々なアイソフォーム(例えば、CD45RA、CD45RAB、CD45RABC)で発現する、個々のエキソン又はエキソンの組合せがもたらさ
れる。対照的に、CD45ROは、エクソン4~6の発現を欠き、エクソン1~3及び7~34の組合
せから生成される。エクソン7も前記タンパク質から排除され、エクソン1~3及び8~34が一緒にスプライシングされるというエビデンスがある。E3-8と名づけられたこのタンパク質は、mRNAレベルでは検出されているが、現在のところフロー・サイトメトリーによっては同定されていない。
CD45ROは、現在、造血幹細胞上で発現する唯一の既知のCD45アイソフォームである。CD45RA及びCD45RABCは、検出されていないか、造血幹細胞の表現型から除外されている。CD45RBは胎児の造血幹細胞に発現しているが、成人の骨髄造血幹細胞には存在しないという、マウスで行われた研究からのエビデンスがある。特に、CD45RCには、アジア人集団内で認められる、エクソン6の多型が高い割合である(CD45RCのエクソン6の多型は、日本人集
団の約25%に認められる)。この多型によって、CD45ROの高発現及びCD45RA、CD45RB、及びCD45RCのレベルの低下がもたらされる。更に、CD45RAバリアント(例えば、CD45RAB及びCD45RAC等)は、自己免疫疾患と関連しているエクソン4の多型を示す。
造血幹細胞上にCD45ROが存在すること、及び他の免疫細胞(例えば、T及びBリンパ球サ
ブセット並びに種々の骨髄性細胞等)上のCD45ROの発現が比較的限定的であることによっ
て、CD45ROは、造血幹細胞移植を必要とする患者へのコンディショニング療法のための、特に非常に適したターゲットになる。CD45ROは、エキソン4、5、及び6の発現を欠くのみ
であるので、免疫原としてそれを使用することによって、パンCD45Ab及びCD45RO特異的な抗体をスクリーニングすることが可能になる。
本明細書に記載する患者コンディショニング方法と共に使用することがある抗-CD45抗
体は、抗-CD45抗体、及びその抗原結合部分を含む。抗体の抗原結合部分は当技術分野で
周知であり、前記抗体の抗原結合領域に基づいて容易に構築することができる。例示的な実施形態では、本明細書に記載のコンディショニング方法と併せて使用する抗-CD45抗体
は、モノクローナル抗体若しくはその抗原結合フラグメント、ポリクローナル抗体若しくはその抗原結合フラグメント、ヒト化抗体若しくはその抗原結合フラグメント、完全ヒト抗体若しくはその抗原結合フラグメント、キメラ抗体若しくはその抗原結合フラグメント、バイスペシフィック抗体(bispecific antibody)若しくはその抗原結合フラグメント、
二重可変免疫グロブリン・ドメイン、一本鎖Fv分子(scFv)、ダイアボディ、トリアボディ、ナノボディ、抗体様タンパク質スキャフォールド、Fvフラグメント、Fabフラグメント
、F(ab')2分子、又はタンデムdi-scFv、であることがある。本明細書に記載するADC又は
方法において全体的に又は部分的に使用することがある例示的な抗-CD45抗体を、以下で
提供する。
ある実施形態では、前記抗-CD45抗体は、BIOLEGEND(登録商標)(カリフォルニア州サン
ディエゴ)から購入可能なクローンHI30である、若しくはそれに由来する、又はそのヒト
化バリアントである。抗体のヒト化は、非-ヒト抗体の骨格残基及び定常領域残基を、当
技術分野で公知の手順に従って(例えば、以下の実施例7に記載されるように)生殖系列ヒト抗体のもので置換することによって行うことができる。本明細書に記載する方法と併せて使用することがある、更なる抗-CD45抗体としては、抗-CD45抗体ab10558, EP322Y, MEM-28, ab10559, 0.N.125, F10-89-4, HIe-1, 2B11, YTH24.5, PD7/26/16, F10-89-4, 1B7,
ab154885, B-A11, phosphor S1007, ab170444, EP350, Y321, GA90, D3/9, X1 6/99, 及び LT45(これらはABCAM(登録商標)(ケンブリッジ、MA)から購入可能である)、又はそのヒト化バリアント、が挙げられる。本明細書に記載する患者コンディショニング手順と併せて使用することがある、更なる抗-CD45抗体としては、抗-CD45抗体HPA000440(これは
、SIGMA-ALDRICH(登録商標)(セント・ルイス、MO)から購入可能である)、及びそのヒト
化バリアントが挙げられる。本明細書に記載する患者コンディショニング方法と併せて使用することがある、更なる抗-CD45抗体としては、マウス・モノクローナル抗体BC8(これは、例えば、Matthews et al., Blood 78:1864-1874, 1991に記載されていて、この開示
は、抗-CD45抗体に関するものとして、本明細書に参照により取り込まれる)、並びにそ
のヒト化バリアントが挙げられる。本明細書に記載する方法と併せて使用することがある更なる抗-CD45抗体としては、モノクローナル抗体YAML568(これは、例えば、Glatting et al., J. Nucl. Med. 8:1335-1341, 2006に記載されていて、この開示は、抗-CD45抗体
に関するものとして、本明細書に参照により取り込まれる)、並びにそのヒト化バリアントが挙げられる。本明細書に記載する患者コンディショニング手順と併せて使用することがある、更なる抗-CD45抗体としては、モノクローナル抗体YTH54.12及びYTH25.4(これは、例えば、Brenner et al., Ann. N.Y. Acad. Sci. 996:80-88, 2003に記載されていて、この開示は、抗-CD45抗体に関するものとして、本明細書に参照により取り込まれる)、
並びにそのヒト化バリアントが挙げられる。本明細書に記載する患者コンディショニング方法と併せて使用することがある、更なる抗-CD45抗体としては、UCHL1, 2H4, SN130, MD4.3, MBI, 及び MT2(これらは、例えば、Brown et al., Immunology 64:331-336, 1998
に記載されていて、この開示は、抗-CD45抗体に関するものとして、本明細書に参照によ
り取り込まれる)、並びにそのヒト化バリアントが挙げられる。本明細書に記載する方法と併せて使用することがある更なる抗-CD45抗体としては、アメリカン・タイプ・カルチ
ャー・コレクション(American Type Culture Collection (ATCC))のアクセッション番号RA3-6132、RA3-2C2、及びTIB122から産生される及び放出される(released)抗-CD45抗体、
並びにモノクローナル抗体C363.16A、及び13/2(これらは、例えば、Johnson et al., J.
Exp. Med. 169:1179-1184, 1989に記載されていて、この開示は、抗-CD45抗体に関する
ものとして、本明細書に参照により取り込まれる)、並びにそのヒト化バリアントが挙げられる。本明細書に記載する患者コンディショニング方法と併せて使用することがある、
更なる抗-CD45抗体としては、モノクローナル抗体AHN-12.1、AHN-12、AHN-12.2、AHN-12.3、AHN-12.4、HLe-1、及びKC56(T200) (これらは、例えば、Harvath et al., J. Immunol. 146:949-957, 1991に記載されていて、この開示は、抗-CD45抗体に関するものとして
、本明細書に参照により取り込まれる)、並びにそのヒト化バリアントが挙げられる。
本明細書に記載する患者コンディショニング手順と併せて使用することがある、更なる抗-CD45抗体としては、例えば、米国特許7,265,212(これは、例えば、いくつかあるクローンの中でも特に、抗-CD45抗体39E11、16C9、及び1G10を記載する)に記載されている抗-CD45抗体;米国特許7,160,987(これは、例えば、ATCCアクセッション番号HB-11873が産生する及び放出する(released)抗-CD45抗体[例えば、モノクローナル抗体6G3等]を記載する)に記載されている抗-CD45抗体;及び米国特許6,099,838(これは、例えば、抗-CD45抗体MT3、並びにATCCアクセッション番号HB220[MB23G2とも呼ばれる]及びHB223が産生する及び放出する(released)抗体を記載する)に記載されている抗-CD45抗体、並びにUS 2004/0096901及びUS 2008/0003224(これらは、例えば、ATCCアクセッション番号PTA-7339が産生する及び放出する(released)抗-CD45抗体[例えば、モノクローナル抗体17.1等]を記載する)に記載されている抗-CD45抗体、が挙げられる(これらの開示は、抗-CD45抗体に関するものとして、本明細書に参照により取り込まれる)。
本明細書に記載する患者コンディショニング手順と併せて使用することがある、更なる抗-CD45抗体としては、ATCCアクセッション番号MB4B4、MB23G2、14.8、GAP 8.3、74-9-3
、I/24.D6、9.4、4B2、M1/9.3.4.HL.2から産生される及び放出される(released)抗体、並びにそれらのヒト化及び/又は親和性成熟バリアントが挙げられる。親和性成熟を、例えば、本明細書に記載するか、又は当技術分野で公知のin vitroディスプレイ技術(例えば、ファージ・ディスプレイなど)を使用して実施することがある。
本明細書に記載する患者コンディショニング手順と併せて使用することがある、更なる抗-CD45抗体としては、抗-CD45抗体T29/33が挙げられ、これは、例えば、Morikawa et al., Int. J. Hematol. 54:495-504, 1991に記載される(この開示は、抗-CD45抗体に関す
るものとして、本明細書に参照により取り込まれる)。
ある特定の実施形態では、前記抗-CD45抗体は、アパミスタマブ(若しくは、公知の90Y-BC8、Iomab-B、BC8;例えば、US20170326259、WO2017155937、及びOrozco et al. Blood.127.3 (2016): 352-359.に記載される)、又はBC8-B10(例えば、Li et al. PloS one 13.10 (2018): e0205135に記載される)より選択される(これらの各々は、参照により取り込
まれる)。他の抗-CD45抗体は、例えば、WO2003/048327, WO2016/016442, US2017/0226209, US2016/0152733, US9,701,756; US2011/0076270, 又は US7,825,222に記載されている(これらの各々は、参照により取り込まれる)。
例えば、ある実施形態では、前記抗-CD45抗体、又はその抗原結合フラグメントは、結
合領域(例えばCDR、可変領域、アパミスタマブの結合領域に対応する)を含む。アパミ
スタマブの重鎖可変領域(VH)アミノ酸配列を、配列番号(SEQ ID NO): 296に記載する(
表3参照)。アパミスタマブの軽鎖可変領域(VL)アミノ酸配列を、配列番号(SEQ ID NO)
: 297に記載する(表3参照)。他の実施形態では、抗-CD45抗体、又はその抗原結合部
分は、配列番号(SEQ ID NO): 296に記載のアミノ酸残基を含む可変重鎖、及び配列番号(SEQ ID NO): 297に記載の軽鎖可変領域を含む。ある実施形態では、前記抗-CD45抗体は
、アパミスタマブのCDR1、CDR2及びCDR3を含む重鎖、並びにアパミスタマブのCDR1、CDR2及びCDR3を含む軽鎖可変領域を含む。
ある実施形態では、前記抗-CD45抗体は、本明細書に記載の抗-CD45抗体の重鎖、及び本明細書に記載の抗-CD45抗体の軽鎖可変領域、を含む。ある実施形態では、前記抗-CD45抗
体は、本明細書に記載の抗-CD45抗体のCDR1、CDR2及びCDR3を含む重鎖、並びに本明細書
に記載の抗-CD45抗体のCDR1、CDR2及びCDR3を含む軽鎖可変領域、を含む。
別の実施形態では、前記抗体、又はその抗原結合フラグメントは、本明細書中の抗-CD45抗体に対して少なくとも95%の同一性(例えば、本明細書中の抗-CD45抗体に対して少な
くとも95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の同一性)を有するアミノ酸配列を含む重鎖
可変領域を含む。ある特定の実施形態では、抗体は、本明細書中の抗-CD45抗体のHC可変
ドメインを含む改変した重鎖(HC)可変領域、又はそのバリアントを含み、このバリアントは、(i)1、2、3、4又は5アミノ酸の置換、付加又は欠失において前記抗-CD45抗体と異な
る;(ii)多くとも5、4、3、2又は1アミノ酸の置換、付加又は欠失において前記抗-CD45抗体と異なる;(iii)1-5、1-3、1-2、2-5又は3-5アミノ酸の置換、付加又は欠失において前記抗-CD45抗体と異なる;及び/又は(iv)前記抗-CD45抗体と少なくとも約75%、80%、85%
、90%、95%、96%、97%、98%又は99%同一であるアミノ酸配列を含む、ここで、(i)-(iv)のいずれにおいても、アミノ酸置換は、保存的アミノ酸置換又は非-保存的アミノ酸置換で
あってもよい;並びに、ここで、前記改変した重鎖可変領域は、前記抗-CD45抗体のCD45
結合特異性を保持しながら、前記抗-CD45抗体の重鎖可変領域と比較して、生物学的活性
が増強している。
本明細書に記載する組成物及び方法と併せて使用することがある抗体及び抗原結合フラグメントとしては、上記の抗体及びその抗原結合フラグメント、並びに、上記の非-ヒト
抗体及び抗原結合フラグメントのヒト化バリアント、並びに、例えば、競合CD45結合アッセイによって評価した場合、上記の抗体又は抗原結合フラグメントと同じエピトープに結合する抗体又は抗原結合フラグメント、が挙げられる。
抗体を同定する方法
造血幹細胞が発現する抗原(例えば、CD117[例えば、GNNK+ CD117]、又はCD45)に結合することができる分子を求めての、抗体、又は抗体フラグメントのライブラリをハイスループット・スクリーニングするための方法を使用して、がん、自己免疫疾患を治療するために、及び本明細書に記載されるような造血幹細胞療法を必要とする患者(例えば、ヒ
ト患者)をコンディショニングするために、有用な抗体を同定する及び親和性成熟させる
ことがある。このような方法としては、当技術分野で公知のin vitroディスプレイ技術、例えば、とりわけ、ファージ・ディスプレイ、バクテリア・ディスプレイ、酵母ディスプレイ、哺乳動物細胞ディスプレイ、リボソーム・ディスプレイ、mRNAディスプレイ、及びcDNAディスプレイなど、が挙げられる。生物学的に関連する分子に結合する抗体、又は抗原結合フラグメントを単離するためにファージ・ディスプレイを使用することは、例えば、Felici et al., Biotechnol. Annual Rev. 1:149-183, 1995; Katz, Annual Rev. Biophys. Biomol. Struct. 26:27-45, 1997; 及び Hoogenboom et al., Immunotechnology 4:1-20, 1998、でレビューされてきている、これらの各々の開示は、in vitroディスプレイ技術に関連するものとして、本明細書に参照により取り込まれる。Kay, Perspect. Drug Discovery Des. 2:251-268, 1995 及び Kay et al., Mol. Divers. 1:139-140, 1996に記載されるように、ランダム化したコンビナトリアル・ペプチド・ライブラリを構築して、細胞表面抗原に結合するポリペプチドを選択することも行われてきている、これらの各々の開示は、抗原結合分子の発見に関連するものとして、本明細書に参照により取り込まれる。タンパク質類(例えば、多量体タンパク質類)を、機能的分子として、ファージ・ディスプレイすることが、うまくできてきている(例えば、EP 0349578; EP 4527839;及びEP 0589877、並びにChiswell and McCafferty, Trends Biotechnol. 10:80-84 1992を参照、
これらの各々の開示は、抗原結合分子を発見するためにin vitroディスプレイ技術を使用することに関するものとして、本明細書に参照により取り込まれる)。更に、機能的抗体フラグメント(例えば、Fab及びscFvフラグメント)を、in vitroディスプレイ・フォーマ
ットで、発現させることも行われてきている(例えば、McCafferty et al., Nature 348:5
52- 554, 1990; Barbas et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 88:7978-7982, 1991; 及
び Clackson et al., Nature 352:624-628, 1991を参照、これらの各々の開示は、抗原結合分子を発見するためのin vitroディスプレイ・プラットフォームに関連するものとして、本明細書に参照により取り込まれる)。ヒト抗-HC抗体(例えば、抗-CD117抗体、又は抗-CD45抗体)もまた、例えば、HuMAb-マウス登録商標又はXenoMouseTMにおいて生成するこ
とがある。とりわけ、これらの技術を使用して、造血幹細胞が発現する抗原(例えば、CD117[例えば、GNNK+ CD117]、又はCD45)に結合することができる、次いで、造血幹細胞移植療法を必要とする患者(例えば、ヒト患者)において内因性の造血幹細胞を減少させるために使用することができる、抗体類、抗体、又はフラグメントの親和性を同定する、及び改善する、ことがある。
in vitroディスプレイ技術に加えて、計算モデリング技術を使用して、造血幹細胞が発現する抗原(例えば、CD117[例えば、GNNK+ CD117]、又はCD45)に結合することができる抗体、又は抗体フラグメントを、in silicoで設計する、及び同定することがある。例
えば、計算モデリング技術を使用して、当業者のある者は、造血幹細胞が発現する抗原(例えば、CD117[例えば、GNNK+ CD117]、又はCD45)にある特異的なエピトープ(例えば、前記抗原の細胞外のエピトープ)に結合することができる分子を求めて、抗体、又は抗体フラグメントのライブラリをin silicoでスクリーニングすることがある。
更なる技術を使用して、造血幹細胞が発現する抗原(例えば、CD117[例えば、GNNK+ CD117]、又はCD45)に結合することができる、及び、例えば、レセプター媒介エンドサイトーシスによって、前記細胞が中に取り込むことができる、抗体、又は抗体フラグメントを同定することがある。例えば、上記のin vitroディスプレイ技術を、造血幹細胞が発現する抗原(例えば、CD117[例えば、GNNK+ CD117]、又はCD45)に結合する、及び続いて中に取り込まれる、抗体、又はその抗体フラグメントを求めてスクリーニングすることに、適合させることがある。ファージ・ディスプレイは、このスクリーニング・パラダイムと組み合わせて使用することがあるような技術の1つの代表である。抗-HC抗体(例えば、抗-CD117抗体、若しくは抗-CD45抗体)又は抗体フラグメントを同定するために、及び続
いて造血幹細胞(又は免疫細胞)の中に取り込まれることを同定するために、当業者のある者は、Williams et al., Leukemia 19:1432-1438, 2005に記載されるファージ・ディスプレイ技術を使用することがある(その開示は、その全体が本明細書に参照により取り込まれる)。例えば、当技術分野で公知の変異誘発方法を使用して、抗体、抗体フラグメント(例えば、とりわけscFvフラグメント、Fabフラグメント、ダイアボディ、トリアボディ
、及び10Fn3ドメイン)、又はリガンド(これらは、ランダム化アミノ酸カセットを[例
えば、CDR若しくはその等価領域、又は抗体若しくは抗体フラグメントの1つ以上、若しくは全ての中に]含有する)をコードする組換えファージ・ライブラリを産生することができる。前記抗体又は抗体フラグメントの骨格領域、ヒンジ、Fcドメイン、及び他の領域を、例えば、ヒト生殖系列抗体配列又はヒト生殖系列抗体と比較して僅かに違う配列を有するようにすることによって、ヒトにおいて非-免疫原性であるように設計することがある
本明細書に記載される、又は当技術分野で公知のファージ・ディスプレイ技術を使用して、ファージ粒子に共有結合したランダム化抗体、又は抗体フラグメントを含むファージ・ライブラリを、抗原(例えば、CD117[例えば、GNNK+ CD117]、又はCD45)とインキュベートする(例えば、まず最初に、非-特異的なタンパク質結合を示す抗体、又は抗体フ
ラグメントをコードするファージを除去するために、及びFcドメインに結合する抗体又はそのフラグメントをコードするファージを除去するために、前記ファージ・ライブラリをブロッキング薬剤[例えば、乳タンパク質、ウシ血清アルブミン、及び/又はIgGなど]
とインキュベートする、並びに次に、前記ファージ・ライブラリを、例えば、CD117[例
えば、GNNK+ CD117]、又はCD45を発現する、造血幹細胞又は成熟免疫細胞[例えば、T-
細胞]の集団とインキュベートする)。抗-HC抗体(例えば、抗-CD117抗体、若しくは抗-CD45抗体)又は抗体フラグメントが細胞表面の同種抗原(例えば、CD117[例えば、GNNK+
CD117]、又はCD45)に結合する、及び続いて、前記造血幹細胞によって中に取り込まれる、のに十分な時間(例えば、4℃で30分~6時間、例えば、4℃で1時間など)、前記ファージ・ライブラリを前記造血幹細胞とインキュベートすることがある。続いて、例えば、冷した(4℃)pH 2.8の0.1 Mグリシン・バッファーで洗うことによって、造血幹細胞に結合する、及び造血幹細胞によって中に取り込まれる、ために、前記抗原(CD117[例えば、GNNK+ CD117]、又はCD45)に十分な親和性を示さない、抗体、又は抗体フラグメントを含むファージを、除去することがある。前記造血幹細胞が中に取り込んだ、抗体、又はその抗体フラグメントに結合したファージを、例えば、前記細胞を溶解し、その細胞培養培地から中に取り込まれたファージを回収することによって、同定することがある。次いで、例えば、当技術分野で公知の方法を使用して、バクテリア細胞を、回収したファージと共に2×YT培地中でインキュベートすることによって、前記ファージをバクテリア細胞中で
増幅することがある。次いで、この培地から回収したファージを、例えば、ファージ・ゲノム内に挿入された抗体又は抗体フラグメントをコードする遺伝子の核酸配列を決定することによって、同定することがある。そのコードされた抗体又は抗体フラグメントを、続いて、(例えば、その抗体フラグメント、例えば、scFvフラグメントについては)化学合成することによって、又は(例えば、全長抗体については)組換え発現することによって、新たに調製することがある。
その調製した抗体又は抗体フラグメントを中に取り込む許容量を、例えば、当技術分野で公知の放射性核種内部取込アッセイを使用して、評価することがある。例えば、本明細書に記載する、又は当技術分野で公知のin vitroディスプレイ技術を用いて同定した抗-HC抗体(例えば、抗-CD117抗体、若しくは抗-CD45抗体)又は抗体フラグメントを、放射性同位元素(例えば、18F, 75Br,77Br, 122I, 123I, 124I, 125I, 129I, 131I, 211At, 67Ga, 111In, 99Tc, 169Yb, 186Re, 64Cu, 67Cu, 177Lu, 77As, 72As, 86Y, 90Y, 89Zr, 212Bi, 213Bi, 又は 225Ac)を組み込ませることにより、機能的にすることがある。例えば
、放射性ハロゲン(例えば、18F, 75Br,77Br, 122I, 123I, 124I, 125I, 129I, 131I, 211At等)を、求電子性ハロゲン試薬を含むビーズ(例えば、ポリスチレン・ビーズ)(例えば、ヨード化ビーズ、Thermo Fisher Scientific, Inc., Cambridge, MA)を使用して、抗体、又は抗体フラグメントの中に組み込ませることがある。放射性標識した抗体、そのフラグメント又はADCを、中に取り込まれるのに十分な時間(例えば、4℃で30分~6時間、例えば、4℃で1時間等)、造血幹細胞と共にインキュベートすることがある。次いで、(例
えば、冷した(4℃)pH 2.8の0.1 Mグリシン・バッファーを使用して)前記細胞を洗浄して、中に取り込まれなかった抗体又はそのフラグメントを除去する。中に取り込まれた抗体、又は抗体フラグメントを、得られた造血幹細胞から放出される放射線(例えば、γ線)を検出し、回収した洗浄バッファーから放出される放射線(例えば、γ線)と比べることによって、同定することがある。前記の内部取込アッセイを使用して、ADCを特徴付けること
もある。
抗体を、例えば、米国特許4,816,567に記載されるように、組換え方法及び組成物を使
用して産生することがある。ある実施形態では、本明細書に記載の抗-HC抗体(例えば、
抗-CD117抗体、又は抗-CD45抗体)をコードする単離された核酸を提供する。このような
核酸は、前記抗体のVLを含むアミノ酸配列及び/又はVHを含むアミノ酸配列(例えば、前
記抗体の軽鎖及び/又は重鎖)をコードすることがある。更なる実施形態では、このよう
な核酸を含む1種以上のベクター(例えば、発現ベクター)を提供する。更なる実施形態で
は、このような核酸を含む宿主細胞を提供する。あるそのような実施形態では、宿主細胞は以下を含む(例えば、以下によって形質転換を受けている):(1)前記抗体のVLを含む
アミノ酸配列及び前記抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含むベクター、又は(2)前記抗体のVLを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第1のベクター、及び前記
抗体のVHを含むアミノ酸配列をコードする核酸を含む第2のベクター。ある実施形態では
、前記宿主細胞は真核生物、例えばチャイニーズ・ハムスター卵巣(CHO)細胞又はリンパ
系細胞(例えば、Y0、NS0、Sp20細胞)である。ある実施形態では、抗-CLL-1抗体を作製す
る方法を提供する、ここで、前記方法は、上記に提供されるような抗体をコードする核酸を含む宿主細胞を、前記抗体の発現に適した条件下で、培養すること、及び任意選択的に、前記宿主細胞(又は宿主細胞の培養培地)から前記抗体を回収すること、を含む。
抗-HC抗体(例えば、抗-CD117抗体、又は抗-CD45抗体)を組換えにより産生するためには、抗体をコードする核酸(例えば、上記のよう)を、単離し、及び宿主細胞において更にクローニングする及び/又は発現させるために、1種以上のベクターに挿入する。このよ
うな核酸を、従来の手順を使用して(例えば、前記抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝
子に特異的に結合し得るオリゴヌクレオチド・プローブを使用することによって)容易に
単離することができ、及びシークエンシングをすることができる。
抗体をコードするベクターをクローニングする又は発現させるのに適した宿主細胞としては、本明細書に記載の原核生物細胞又は真核生物細胞が挙げられる。例えば、抗体を、特にグリコシル化及びFcエフェクター機能を必要としない場合に、バクテリア中で産生させても良い。バクテリア中で抗体フラグメント及びポリペプチドを発現させることについては、例えば、米国特許第5,648,237、5,789,199、5,840,523号を参照のこと(Charlton,
Methods in Molecular Biology, Vol. 248 (B.K.C. Lo, ed., Humana Press, Totowa, N.J., 2003), pp. 245-254も参照のこと、これには、大腸菌中で抗体フラグメントを発現
させることが記載されている)。発現させた後、前記抗体を、バクテリア細胞ペーストから可溶性画分として単離し、更に精製しても良い。
宿主として、脊椎動物細胞を使用することもできる。例えば、懸濁液中で増殖するように適合した哺乳動物細胞株が有用であることがある。有用な哺乳動物宿主細胞株の他の例は、SV40で形質転換したサル腎臓CV1株(COS-7);ヒト胚性腎臓細胞株(例えば、Graham et
al., J. Gen Virol. 36:59 (1977)に記載されるような293又は293細胞);ベビー・ハム
スター腎臓細胞(BHK);マウス・セルトリ細胞(例えば、Mather, Biol. Reprod. 23:243-251 (1980)に記載されるようなTM4細胞);サル腎臓細胞(CV1);アフリカ・ミドリザル腎臓細胞(VERO-76);ヒト子宮頸がん細胞(HELA);イヌ腎臓細胞(MDCK);バッファロー・ラッ
ト肝臓細胞(BRL 3A);ヒト肺細胞(W138);ヒト肝臓細胞(Hep G2);マウス乳がん(MMT 060562);TRI細胞(例えば、Mather et al., Annals N.Y. Acad. Sci. 383:44-68 (1982)に記載される);MRC 5細胞;及びFS4細胞、である。他の有用な哺乳動物宿主細胞株としては
、チャイニーズ・ハムスター卵巣(CHO)細胞(DHFR-CHO細胞(Urlaub et al., Proc. Natl.
Acad. Sci. USA 77:4216 (1980))等を含む);及び骨髄腫細胞株(例えば、Y0、NS0及びSp2/0等)が挙げられる。抗体産生に適したある特定の哺乳動物宿主細胞株に関するレビューについては、例えば、Yazaki and Wu, Methods in Molecular Biology, Vol. 248 (B. K.
C. Lo, ed., Humana Press, Totowa, N.J.), pp. 255-268 (2003)を参照のこと。ある実施形態では、前記宿主細胞は真核生物、例えば、チャイニーズ・ハムスター卵巣(CHO)細
胞又はリンパ系細胞(例えば、Y0、NS0、Sp20細胞)である。
抗体薬物コンジュゲート
本明細書に記載される抗体及びその抗原結合フラグメントは、リンカーを介して細胞毒素にコンジュゲート(連結)させることがある。いくつかの実施形態では、その細胞毒性分子は、本明細書で開示するような細胞内部に取り込まれる抗体、又はその抗原結合フラグメントにコンジュゲートして、前記抗体、又はそのフラグメントが細胞内部に取り込まれた後に、前記細胞毒素がその細胞内ターゲットに接近し、造血細胞の死を媒介することがある。任意の数の細胞毒素、例えば、1、2、3、4、5、6、7、又は8個、を抗-HC抗体にコ
ンジュゲートさせることができる。
本明細書に記載する組成物及び方法と共に使用するのに適した細胞毒素としては、当該技術分野において公知の、とりわけ、DNA-インターカレーティング剤(例えば、アントラ
サイクリン)、紡錘体装置を破壊することができる薬剤(例えば、ビンカ・アルカロイド、メイタンシン、メイタンシノイド、及びその誘導体)、RNAポリメラーゼ阻害剤(例えば、
α-アマニチン等のアマトキシン、及びその誘導体)、並びにタンパク質生合成を破壊することができる薬剤(例えば、サポリン及びリシンA鎖等のrRNA N-グリコシダーゼ活性を示
す薬剤)が挙げられる。
細胞毒素類
種々の細胞毒素を、本明細書に記載する療法における使用のために、リンカーを介して抗-HC抗体(例えば、抗-CD117抗体、抗-CD45抗体)にコンジュゲートすることがある。特に、抗-HC ADC(例えば、抗-CD117 ADC、又は抗-CD45 ADC)は、細胞毒性部分(又は細胞
毒素)にコンジュゲートした(即ち、リンカーによって共有結合した)抗体(又はその抗原結合フラグメント)を含む。様々な実施形態では、前記細胞毒性部分は、コンジュゲートと
して結合している場合、細胞毒性は減少している、又は細胞毒性を示さない。しかし、前記リンカーからの切断後、細胞毒性を再び示すようになる。様々な実施形態では、前記細胞毒性部分は、前記リンカーから切断されること無しに、細胞毒性を保持する。いくつかの実施形態では、前記細胞毒性分子は、本明細書に記載するような、細胞の中に取り込まれる抗体、又はその抗原結合フラグメントにコンジュゲートする、その結果、前記抗体、又はそのフラグメントが細胞の中に取り込まれた後に、前記細胞毒素がその細胞内ターゲットにアクセスし、例えば、T細胞死を媒介することがある。
従って、本開示のADCは、一般式Ab-(Z-L-D)nであることがある、ここで、抗体又はその抗原結合フラグメント(Ab)は、それぞれ本明細書で開示するように、リンカー(L)にコン
ジュゲート(共有結合)し、化学的な部分構造(Z)を通じて、細胞毒性部分(「薬物」、D)にコンジュゲートする。
従って、前記抗体又はその抗原結合フラグメントは、整数nによって示されるような多
数の薬物部分にコンジュゲートすることがある、ここで、整数nは抗体当たりの細胞毒素
の平均個数を表す、ここで、整数nは例えば約1~約20の範囲であることがある。いくつかの実施形態では、nは1~4である。いくつかの実施形態では、nは1である。コンジュゲー
ション反応によるADCの調製物中の抗体当たりの薬物部分の平均個数を、マス・スペクト
ロスコピー、ELISAアッセイ、及びHPLCのような従来の手段によって明らかにすることが
できる。nに関するADCの定量的な分布も決定することができる。場合によっては、逆相HPLC又は電気泳動のような手段によって、nが特定の数値である均質なADCを、他の薬物搭載量を有するADCから、分離する、精製する、及び特性評価することができる。
いくつかの抗-HC ADC(例えば、抗-CD117 ADC、又は抗-CD45 ADC)について、nは、そ
の抗体上の結合部位の数によって制限されることがある。例えば、結合がシステインのチオールである場合、抗体は1個だけ又は数個のシステインのチオール基を持つ、又はリン
カーが結合するのに十分な反応性をもつチオール基を1個だけ又は数個持つ。一般に、抗
体は、薬物部分に結合することができる遊離及び反応性システイン基を多くは含まない;主に、抗体中のシステインのチオール残基は、ジスルフィド架橋として存在する。ある特定の実施形態では、抗体を、ジチオトレイトール(DTT)又はトリカルボニルエチルホスフ
ィン(TCEP)などの還元剤で還元して、部分的又は全還元条件下で、反応性システインのチオール基を生成させることがある。ある特定の実施形態では、より高く薬物を搭載させると(例えば、n>5)、ある特定の抗体-薬物コンジュゲートでは凝集性、不溶性、毒性が引き起こされる、又は細胞透過性が失われることが引き起されることがある。
ある特定の実施形態では、コンジュゲーション反応の間に、理論上の最大よりも少ない薬物部分が、抗体にコンジュゲートする。抗体は、例えば、以下に論じるように、薬物-
リンカー中間体又はリンカー試薬と反応しないリジン残基を含むことがある。最も反応性の高いリジン基のみがアミン反応性リンカー試薬と反応することができる。ある特定の実施形態では、抗体を、変性条件下に供し、リジン又はシステインのような反応性求核基を表に出す。
ADCの搭載(薬物/抗体比)を、種々の方法で(例えば、(i)抗体に対する、薬物-リンカ
ー中間体又はリンカー試薬のモル過剰を制限すること、(ii)コンジュゲーション反応の時間又は温度を制限すること、(iii)システインのチオール修飾のために、部分的又は制限
的な還元条件下にすること、(iv)リンカー-薬物結合の数及び/又は位置をコントロール
するために、システイン残基の数及び位置を改変するように、抗体のアミノ酸配列を組換え技術によって操作すること)、コントロールすることがある。
本明細書に記載する組成物及び方法と共に使用するのに適した細胞毒素としては、当該技術分野において公知の、とりわけ、DNA-インターカレーティング剤(例えば、アントラ
サイクリン)、紡錘体装置を破壊することができる薬剤(例えば、ビンカ・アルカロイド、メイタンシン、メイタンシノイド、及びその誘導体)、RNAポリメラーゼ阻害剤(例えば、
α-アマニチン等のアマトキシン、及びその誘導体)、並びにタンパク質生合成を破壊することができる薬剤(例えば、サポリン及びリシンA鎖等のrRNA N-グリコシダーゼ活性を示
す薬剤)が挙げられる。
いくつかの実施形態では、前記細胞毒素は、微小管結合剤(例えば、メイタンシン若し
くはメイタンシノイド)、アマトキシン、シュードモナス外毒素A、deブーガニン、ジフテリア毒素、サポリン、アウリスタチン、アントラサイクリン、カリケアマイシン、イリノテカン、SN-38、デュオカルマイシン、ピロロベンゾジアゼピン、ピロロベンゾジアゼピ
ン二量体、インドリノベンゾジアゼピン、インドリノベンゾジアゼピン二量体、インドリノベンゾジアゼピン疑似二量体(pseudodimer)若しくはそのバリアント、又は本明細書に
記載する若しくは当該技術分野で公知の他の細胞毒性化合物である。
いくつかの実施形態では、前記抗体-薬物コンジュゲートの細胞毒素は、RNAポリメラーゼ阻害剤である。いくつかの実施形態では、前記RNAポリメラーゼ阻害剤は、アマトキシ
ン又はその誘導体である。いくつかの実施形態では、本明細書中で開示する抗体-薬物コ
ンジュゲートの細胞毒素は、アマトキシン又はその誘導体(例えば、α-アマニチン、β-アマニチン、γ-アマニチン、ε-アマニチン、アマニン、アマニンアミド、アマヌリン、アマヌリン酸、プロアマヌリン又はその誘導体など)である。
本発明の方法において有用な抗-HC ADC(例えば、抗-CD117 ADC、又は抗-CD45 ADC)において使用することがある細胞毒素に関する更なる詳細を、以下に記載する。
アマトキシン類
本明細書で開示する方法及び組成物は、抗-HC抗体(例えば、抗-CD117抗体)にコンジュ
ゲートした細胞毒素として、RNAポリメラーゼ阻害剤(例えば、アマトキシン)を含む、ADCを含む。いくつかの実施形態では、前記RNAポリメラーゼ阻害剤は、アマトキシン又はそ
の誘導体である。いくつかの実施形態では、本明細書で開示する抗体-薬物コンジュゲー
トの細胞毒素は、アマトキシン又はその誘導体(例えば、α-アマニチン、β-アマニチン、γ-アマニチン、ε-アマニチン、アマニン、アマニンアミド、アマヌリン、アマヌリン酸、プロアマヌリン又はその誘導体など)である。様々な天然のアマトキシン類の構造は、例えば、Zanotti et al., Int. J. Peptide Protein Res. 30, 1987, 450-459に開示される。
本明細書に記載する組成物及び方法と併せることにおいて有用なアマトキシン類としては、限定されるものではないが、α-アマニチン、β-アマニチン、γ-アマニチン、ε-アマニチン、アマニン、アマニンアミド、アマヌリン、アマヌリン酸、プロアマヌリンなどを含む、式(III)による化合物が挙げられる。式(III)は以下の通りである:
Figure 2020092655000014
ここで、R1は、H、OH、又はORAである;
R2は、H、OH、又はORBである;
RA及びRBは、存在する場合、それらが結合している酸素原子と一緒になって、任意選択的に置換された5員ヘテロシクロアルキル基を形成する;
R3は、H、又はRDである;
R4は、H、OH、ORD、又はRDである;
R5は、H、OH、ORD、又はRDである;
R6は、H、OH、ORD、又はRDである;
R7は、H、OH、ORD、又はRDである;
R8は、OH、NH2、又はORDである;
R9は、H、OH、又はORDである;
Xは、-S-、-S(O)-、又は-SO2-である;並びに、
RDは、任意選択的に置換されたアルキル(例えば、C1-C6アルキル)、任意選択的に
置換されたヘテロアルキル(例えば、C1-C6ヘテロアルキル)、任意選択的に置換された
アルケニル(例えば、C2-C6アルケニル)、任意選択的に置換されたヘテロアルケニル(
例えば、C2-C6ヘテロアルケニル)、任意選択的に置換されたアルキニル(例えば、C2-C6アルキニル)、任意選択的に置換されたヘテロアルキニル(例えば、C2-C6ヘテロアルキ
ニル)、任意選択的に置換されたシクロアルキル、任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキル、任意選択的に置換されたアリール、又は任意選択的に置換されたヘテロアリールである。
例えば、ある実施形態では、本明細書に記載する組成物及び方法と併せることにおいて有用なアマトキシンには、式(IIIA)による化合物が含まれる
Figure 2020092655000015
ここで、R4、R5、X、及びR8は、それぞれ上記で定義されたものである。
例えば、ある実施形態では、本明細書に記載する組成物及び方法と併せることにおいて有用なアマトキシンには、以下の式(IIIB)による化合物が含まれる:
Figure 2020092655000016
ここで、R1は、H、OH、又はORAである;
R2は、H、OH、又はORBである;
RA及びRBは、存在する場合、それらが結合している酸素原子と一緒になって、任意選択的に置換された5員ヘテロシクロアルキル基を形成する;
R3は、H、又はRDである;
R4は、H、OH、ORD、又はRDである;
R5は、H、OH、ORD、又はRDである;
R6は、H、OH、ORD、又はRDである;
R7は、H、OH、ORD、又はRDである;
R8は、OH、NH2、又はORDである;
R9は、H、OH、又はORDである;
Xは、-S-、-S(O)-、又は-SO2-である;並びに、
RDは、任意選択的に置換されたアルキル(例えば、C1-C6アルキル)、任意選択的に
置換されたヘテロアルキル(例えば、C1-C6ヘテロアルキル)、任意選択的に置換された
アルケニル(例えば、C2-C6アルケニル)、任意選択的に置換されたヘテロアルケニル(
例えば、C2-C6ヘテロアルケニル)、任意選択的に置換されたアルキニル(例えば、C2-C6アルキニル)、任意選択的に置換されたヘテロアルキニル(例えば、C2-C6ヘテロアルキ
ニル)、任意選択的に置換されたシクロアルキル、任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキル、任意選択的に置換されたアリール、又は任意選択的に置換されたヘテロアリールである。
ある実施形態では、本明細書に記載する組成物及び方法と併せることにおいて有用なアマトキシンには、以下の式(IIIC)による化合物が含まれる:
Figure 2020092655000017
ここで、R1は、H、OH、又はORAである;
R2は、H、OH、又はORBである;
RA及びRBは、存在する場合、それらが結合している酸素原子と一緒になって、任意選択的に置換された5員ヘテロシクロアルキル基を形成する;
R3は、H、又はRDである;
R4は、H、OH、ORD、又はRDである;
R5は、H、OH、ORD、又はRDである;
R6は、H、OH、ORD、又はRDである;
R7は、H、OH、ORD、又はRDである;
R8は、OH、NH2、又はORDである;
R9は、H、OH、又はORDである;
Xは、-S-、-S(O)-、又は-SO2-である;並びに、
RDは、任意選択的に置換されたアルキル(例えば、C1-C6アルキル)、任意選択的に
置換されたヘテロアルキル(例えば、C1-C6ヘテロアルキル)、任意選択的に置換された
アルケニル(例えば、C2-C6アルケニル)、任意選択的に置換されたヘテロアルケニル(
例えば、C2-C6ヘテロアルケニル)、任意選択的に置換されたアルキニル(例えば、C2-C6アルキニル)、任意選択的に置換されたヘテロアルキニル(例えば、C2-C6ヘテロアルキ
ニル)、任意選択的に置換されたシクロアルキル、任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキル、任意選択的に置換されたアリール、又は任意選択的に置換されたヘテロアリールである。
ある実施形態では、前記細胞毒素はアマニチンである。
例えば、本明細書に記載される抗体、及び抗原結合フラグメントは、式Ab-Z-L-Amによ
って表されるコンジュゲートを形成するように、アマトキシン(例えば、式III、IIIA、IIIB、又はIIIC)に結合することがある、ここで、Abは抗体、又はその抗原結合フラグメ
ントである、Lはリンカーである、Zは化学的な部分構造である、及びAmはアマトキシンである。アマトキシン又はその誘導体上の多くの位置は、連結部分Lと共有結合する位置と
しての役割を果たすことができる、及びそれ故に、前記抗体、又はその抗原結合フラグメントと共有結合する位置としての役割を果たすことができる。このようなプロセスにとって有用な、アマトキシン・コンジュゲーション(amatoxin conjugation)及びリンカーの例示的な方法を、以下に記載する。本明細書に記載する組成物及び方法による、抗体、又は抗原結合フラグメントへのコンジュゲートに有用な例示的なリンカー含有アマトキシン(Am-L-Z)を、構造式(I)、(IA)、(IB)、(II)、(IIA)、及び(IIB)に示し、本明細書に列挙
する。
いくつかの実施形態では、前記アマトキシン-リンカー・コンジュゲートAm-L-Zは、式(I)によって表される
Figure 2020092655000018
ここで、R1は、H、OH、ORA、又はORCである;
R2は、H、OH、ORB、又はORCである;
RA及びRBは、存在する場合、それらが結合している酸素原子と一緒になって、任意選択的に置換された5員ヘテロシクロアルキル基を形成する;
R3は、H、RC、又はRDである;
R4は、H、OH、ORC、ORD、RC、又はRDである;
R5は、H、OH、ORC、ORD、RC、又はRDである;
R6は、H、OH、ORC、ORD、RC、又はRDである;
R7は、H、OH、ORC、ORD、RC、又はRDである;
R8は、OH、NH2、ORC、ORD、NHRC、又はNRCRDである;
R9は、H、OH、ORC、又はORDである;
Xは、-S-、-S(O)-、又は-SO2-である;
RCは、-L-Zである;
RDは、任意選択的に置換されたアルキル(例えば、C1-C6アルキル)、任意選択的に
置換されたヘテロアルキル(例えば、C1-C6ヘテロアルキル)、任意選択的に置換された
アルケニル(例えば、C2-C6アルケニル)、任意選択的に置換されたヘテロアルケニル(
例えば、C2-C6ヘテロアルケニル)、任意選択的に置換されたアルキニル(例えば、C2-C6アルキニル)、任意選択的に置換されたヘテロアルキニル(例えば、C2-C6ヘテロアルキ
ニル)、任意選択的に置換されたシクロアルキル、任意選択的に置換されたヘテロシクロ
アルキル、任意選択的に置換されたアリール、又は任意選択的に置換されたヘテロアリールである;
Lは、任意選択的に置換されたアルキレン(例えば、C1-C6アルキレン)、任意選択的に置換されたヘテロアルキレン(例えば、C1-C6ヘテロアルキレン)、任意選択的に置換
されたアルケニレン(例えば、C2-C6アルケニレン)、任意選択的に置換されたヘテロア
ルケニレン(例えば、C2-C6ヘテロアルケニレン)、任意選択的に置換されたアルキニレ
ン(例えば、C2-C6アルキニレン)、任意選択的に置換されたヘテロアルキニレン(例え
ば、C2-C6ヘテロアルキニレン)、任意選択的に置換されたシクロアルキレン、任意選択
的に置換されたヘテロシクロアルキレン、任意選択的に置換されたアリーレン、任意選択的に置換されたヘテロアリーレン、ペプチド、ジペプチド、-(C=O)-、ジスルフィド、ヒ
ドラゾン、又はそれらの組合せであるような、リンカーである;並びに、
Zは、L上に存在する反応性置換基と、ターゲット抗原(例えば、CD117)に結合する
抗体、又はその抗原結合フラグメント内に存在する反応性置換基との間のカップリング反応から形成される化学的な部分構造である。
いくつかの実施形態では、Amは、丁度1個のRC置換基を含む。
いくつかの実施形態では、L-Zは、
Figure 2020092655000019
ここで、Sは、ターゲット抗原に結合する抗体、又はその抗原結合フラグメント内に存
在する反応性置換基を表す硫黄原子である(例えば、システイン残基の-SH基に由来する)
いくつかの実施形態では、L-Zは、
Figure 2020092655000020
である。
いくつかの実施形態では、前記コンジュゲートAm-L-Z-Abは、式IV、IVA、又はIVBのう
ちの1つによって表される:
Figure 2020092655000021

ここで、XはS、SO又はSO2である、及びAbはAbに結合する位置を示すように示されてい
る。
いくつかの実施形態では、Am-L-Z-Abは、
Figure 2020092655000022
である、ここで、Abは、Abに結合する位置を示すように示されている。
いくつかの実施形態では、Am-L-Z-Abは、
Figure 2020092655000023
である、ここで、Abは、Abに結合する位置を示すように示されている。
いくつかの実施形態では、Am-L-Z-Abは、
Figure 2020092655000024
である、ここで、Abは、Abに結合する位置を示すように示されている。
いくつかの実施形態では、Am-L-Z-Ab前駆体、Am-L-Z'は、
Figure 2020092655000025
である、ここで、そのマレイミドが前記抗体中のシステインにあるチオール基と反応する。
いくつかの実施形態では、Am-L-Zは、式(IA)で表される、
Figure 2020092655000026
ここで、R1は、H、OH、ORA、又はORCである;
R2は、H、OH、ORB、又はORCである;
RA及びRBは、存在する場合、それらが結合している酸素原子と一緒になって、任意選択的に置換された5員ヘテロシクロアルキル基を形成する;
R3は、H、RC、又はRDである;
R4は、H、OH、ORC、ORD、RC、又はRDである;
R5は、H、OH、ORC、ORD、RC、又はRDである;
R6は、H、OH、ORC、ORD、RC、又はRDである;
R7は、H、OH、ORC、ORD、RC、又はRDである;
R8は、OH、NH2、ORC、ORD、NHRC、又はNRCRDである;
R9は、H、OH、ORC、又はORDである;
Xは、-S-、-S(O)-、又は-SO2-である;
RCは、-L-Zである;
RDは、任意選択的に置換されたアルキル(例えば、C1-C6アルキル)、任意選択的に
置換されたヘテロアルキル(例えば、C1-C6ヘテロアルキル)、任意選択的に置換された
アルケニル(例えば、C2-C6アルケニル)、任意選択的に置換されたヘテロアルケニル(
例えば、C2-C6ヘテロアルケニル)、任意選択的に置換されたアルキニル(例えば、C2-C6アルキニル)、任意選択的に置換されたヘテロアルキニル(例えば、C2-C6ヘテロアルキ
ニル)、任意選択的に置換されたシクロアルキル、任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキル、任意選択的に置換されたアリール、又は任意選択的に置換されたヘテロアリールである;
Lは、任意選択的に置換されたアルキレン(例えば、C1-C6アルキレン)、任意選択的に置換されたヘテロアルキレン(例えば、C1-C6ヘテロアルキレン)、任意選択的に置換
されたアルケニレン(例えば、C2-C6アルケニレン)、任意選択的に置換されたヘテロア
ルケニレン(例えば、C2-C6ヘテロアルケニレン)、任意選択的に置換されたアルキニレ
ン(例えば、C2-C6アルキニレン)、任意選択的に置換されたヘテロアルキニレン(例え
ば、C2-C6ヘテロアルキニレン)、任意選択的に置換されたシクロアルキレン、任意選択
的に置換されたヘテロシクロアルキレン、任意選択的に置換されたアリーレン、任意選択的に置換されたヘテロアリーレン、ペプチド、ジペプチド、-(C=O)-、ジスルフィド、ヒ
ドラゾン、又はそれらの組合せであるような、リンカーである;
Zは、L上に存在する反応性置換基と、HC抗原に結合する抗体、又はその抗原結合フラグメント(即ち、抗-HC抗体、例えば、抗-CD117抗体、又は抗-CD45抗体)内に存在する反応性置換基との間のカップリング反応から形成される化学的な部分構造である;並びに、
ここで、Amは、丁度1個のRC置換基を含む。
いくつかの実施形態では、L-Zは、
Figure 2020092655000027
である。
いくつかの実施形態では、L-Zは
Figure 2020092655000028
である。
いくつかの実施形態では、Am-L-Zは、式(IB)で表される、
Figure 2020092655000029
ここで、R1は、H、OH、ORA、又はORCである;
R2は、H、OH、ORB、又はORCである;
RA及びRBは、存在する場合、それらが結合している酸素原子と一緒になって、任意選択的に置換された5員ヘテロシクロアルキル基を形成する;
R3は、H、RC、又はRDである;
R4は、H、OH、ORC、ORD、RC、又はRDである;
R5は、H、OH、ORC、ORD、RC、又はRDである;
R6は、H、OH、ORC、ORD、RC、又はRDである;
R7は、H、OH、ORC、ORD、RC、又はRDである;
R8は、OH、NH2、ORC、ORD、NHRC、又はNRCRDである;
R9は、H、OH、ORC、又はORDである;
Xは、-S-、-S(O)-、又は-SO2-である;
RCは、-L-Zである;
RDは、任意選択的に置換されたアルキル(例えば、C1-C6アルキル)、任意選択的に
置換されたヘテロアルキル(例えば、C1-C6ヘテロアルキル)、任意選択的に置換された
アルケニル(例えば、C2-C6アルケニル)、任意選択的に置換されたヘテロアルケニル(
例えば、C2-C6ヘテロアルケニル)、任意選択的に置換されたアルキニル(例えば、C2-C6アルキニル)、任意選択的に置換されたヘテロアルキニル(例えば、C2-C6ヘテロアルキ
ニル)、任意選択的に置換されたシクロアルキル、任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキル、任意選択的に置換されたアリール、又は任意選択的に置換されたヘテロアリールである;
Lは、任意選択的に置換されたアルキレン(例えば、C1-C6アルキレン)、任意選択的に置換されたヘテロアルキレン(例えば、C1-C6ヘテロアルキレン)、任意選択的に置換
されたアルケニレン(例えば、C2-C6アルケニレン)、任意選択的に置換されたヘテロア
ルケニレン(例えば、C2-C6ヘテロアルケニレン)、任意選択的に置換されたアルキニレ
ン(例えば、C2-C6アルキニレン)、任意選択的に置換されたヘテロアルキニレン(例え
ば、C2-C6ヘテロアルキニレン)、任意選択的に置換されたシクロアルキレン、任意選択
的に置換されたヘテロシクロアルキレン、任意選択的に置換されたアリーレン、任意選択的に置換されたヘテロアリーレン、ペプチド、ジペプチド、-(C=O)-、ジスルフィド、ヒ
ドラゾン、又はそれらの組合せであるような、リンカーである;
Zは、L上に存在する反応性置換基と、HC抗原に結合する抗体、又はその抗原結合フラグメント(即ち、抗-HC抗体、例えば、抗-CD117抗体、又は抗-CD45抗体)内に存在する反応性置換基との間のカップリング反応から形成される化学的な部分構造である;並びに、
ここで、Amは、丁度1個のRC置換基を含む。
いくつかの実施形態では、L-Zは
Figure 2020092655000030
である。
いくつかの実施形態では、L-Zは
Figure 2020092655000031
である。
いくつかの実施形態では、RA及びRBは、存在する場合、それらが結合している酸素原子と一緒になって、次式の5員ヘテロシクロアルキル基を形成する:
Figure 2020092655000032
ここで、Yは-(C=O)-、-(C=S)-、-(C=NRE)-、又は-(CRERE')-である;並びに、
RE及びRE'は、それぞれ独立して、任意選択的に置換されたC1-C6アルキレン-RC、任
意選択的に置換されたC1-C6ヘテロアルキレン-RC、任意選択的に置換されたC2-C6アルケ
ニレン-RC、任意選択的に置換されたC2-C6ヘテロアルケニレン-RC、任意選択的に置換さ
れたC2-C6アルキニレン-RC、任意選択的に置換されたC2-C6ヘテロアルキニレン-RC、任意選択的に置換されたシクロアルキレン-RC、任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキ
レン-RC、任意選択的に置換されたアリーレン-RC、又は任意選択的に置換されたヘテロアリーレン-RC、である。
いくつかの実施形態では、Am-L-Zは、式(IA)又は式(IB)によって表される、
ここで、R1は、H、OH、ORA、又はORCである;
R2は、H、OH、ORB、又はORCである;
RA及びRBは、存在する場合、それらが結合している酸素原子と一緒になって、以下を形成する:
Figure 2020092655000033
R3は、H、又はRCである;
R4は、H、OH、ORC、ORD、RC、又はRDである;
R5は、H、OH、ORC、ORD、RC、又はRDである;
R6は、H、OH、ORC、ORD、RC、又はRDである;
R7は、H、OH、ORC、ORD、RC、又はRDである;
R8は、OH、NH2、ORC、又はNHRCである;
R9は、H、又はOHである;
Xは、 -S-、-S(O)-、又は-SO2-である;並びに、
ここで、RC及びRDは、それぞれ上記に規定した通りである。
いくつかの実施形態では、Am-L-Zは、式(IA)又は式(IB)によって表される、
ここで、R1は、H、OH、ORA、又はORCである;
R2は、H、OH、ORB、又はORCである;
RA及びRBは、存在する場合、それらが結合している酸素原子と一緒になって、以下を形成する:
Figure 2020092655000034
R3は、H、又はRCである;
R4及びR5は、それぞれ独立してH、OH、ORC、RC、又はORDである;
R6及びR7は、それぞれHである;
R8は、OH、NH2、ORC、又はNHRCである;
R9は、H、又はOHである;
Xは、 -S-、-S(O)-、又は-SO2-である;並びに、
ここで、RCは、上記に規定した通りである。
いくつかの実施形態では、Am-L-Zは、式(IA)又は式(IB)によって表される、
ここで、R1は、H、OH、又はORAである;
R2は、H、OH、又はORBである;
RA及びRBは、存在する場合、それらが結合している酸素原子と一緒になって、以下を形成する:
Figure 2020092655000035
R3、R4、R6、及びR7は、それぞれHである;
R5は、ORCである;
R8は、OH、又はNH2である;
R9は、H、又はOHである;
Xは、 -S-、-S(O)-、又は-SO2-である;並びに、
ここで、RCは、上記に規定した通りである。このようなアマトキシン・コンジュゲートは、例えば、米国特許出願公開第2016/0002298号に記載されており、その開示は、その全体が本明細書に参照により取り込まれる。
いくつかの実施形態では、Am-L-Zは、式(IA)又は式(IB)によって表される、
ここでR1及びR2は、それぞれ独立してH、又はOHである;
R3は、RCである;
R4、R6、及びR7は、それぞれHである;
R5は、H、OH、又はOC1-C6アルキルである;
R8は、OH、又はNH2である;
R9は、H、又はOHである;
Xは、 -S-、-S(O)-、又は-SO2-である;並びに、
ここで、RCは、上記に規定した通りである。このようなアマトキシン・コンジュゲートは、例えば、米国特許出願公開第2014/0294865号に記載されており、その開示は、その全体が本明細書に参照により取り込まれる。
いくつかの実施形態では、Am-L-Zは、式(IA)又は式(IB)によって表される、
ここでR1及びR2は、それぞれ独立してH、又はOHである;
R3、R6、及びR7は、それぞれHである;
R4とR5は、それぞれ独立してH、OH、ORC、又はRCである;
R8は、OH、又はNH2である;
R9は、H、又はOHである;
Xは、 -S-、-S(O)-、又は-SO2-である;並びに、
ここで、RCは、上記に規定した通りである。このようなアマトキシン・コンジュゲートは、例えば、米国特許出願公開第2015/0218220号に記載されており、その開示は、その全体が本明細書に参照により取り込まれる。
いくつかの実施形態では、Am-L-Zは、式(IA)又は式(IB)によって表される、
ここでR1及びR2は、それぞれ独立してH、又はOHである;
R3、R6、及びR7は、それぞれHである;
R4及びR5は、それぞれ独立してH、又はOHである;
R8は、OH、NH2、ORC、又はNHRCである;
R9は、H、又はOHである;
Xは、 -S-、-S(O)-、又は-SO2-である;並びに、
ここで、RCは、上記に規定した通りである。このようなアマトキシン・コンジュゲートは、例えば、米国特許第9,233,173号及び第9,399,681号、並びにUS 2016/0089450に記
載されており、これらの各々の開示は、その全体が本明細書に参照により取り込まれる。
いくつかの実施形態では、Am-L-Z'は、
Figure 2020092655000036
である。
本明細書に記載する組成物及び方法に従って、抗体、又はその抗原結合フラグメントへのコンジュゲーションに用いることができる更なるアマトキシンは、例えば、WO 2016/142049;WO 2016/071856;WO 2017/149077; WO 2018/115466;及びWO 2017/046658に記載さ
れており、これらの各々の開示は、その全体が本明細書に参照により取り込まれる。
いくつかの実施形態では、Am-L-Zは、式(II)、式(IIA)、又は式(IIB)で表される、
Figure 2020092655000037
ここで、Xは、S、SO、又はSO2である;R1は、H又は化学的な部分構造Zを介して前記抗
体若しくはその抗原結合フラグメントに共有結合したリンカーであり、Zは、前記リンカ
ー上に存在する反応性置換基Z'と、抗体若しくはその抗原結合フラグメント内に存在する反応性置換基との間のカップリング反応から形成される;並びに、R2は、H又は化学的な
部分構造Zを介して前記抗体若しくはその抗原結合フラグメントに共有結合したリンカー
であり、Zは、前記リンカー上に存在する反応性置換基Z'と、抗体若しくはその抗原結合
フラグメント内に存在する反応性置換基との間のカップリング反応から形成される;ここで、R1がHの場合、R2がリンカーで、R2がHの場合、R1がリンカーである。
いくつかの実施形態では、R1はリンカーである、及びR2はHである、並びに前記リンカ
ー及び化学的な部分構造は、一緒にL-Zとして、
Figure 2020092655000038
である。
いくつかの実施形態では、L-Zは
Figure 2020092655000039
である。
いくつかの実施形態では、R1はリンカーである、及びR2はHである、並びに前記リンカ
ー及び化学的な部分構造は、一緒にL-Zとして、
Figure 2020092655000040
である。
ある実施形態では、Am-L-Z-Abは:
Figure 2020092655000041
である。
ある実施形態では、Am-L-Z-Abは:
Figure 2020092655000042
である。
いくつかの実施形態では、Am-L-Z-Ab前駆体(即ち、Am-L-Z')は、以下のうちの1つ:
Figure 2020092655000043
である、ここで、そのマレイミドが前記抗体中のシステインにあるチオール基と反応する。
いくつかの実施形態では、前記細胞毒素はα-アマニチンである。いくつかの実施形態
では、前記α-アマニチンは、リンカーLを介して抗-HC抗体(例えば、抗-CD117抗体、又
は抗-CD45抗体)に結合している。いくつかの実施形態では、前記α-アマニチンは、式IIIの化合物である。前記リンカーLは、式IIIのα-アマニチンのいくつかの考えられる位置の何れか1つ(例えば、R1-R9の何れか)に結合して、式I、IA、IB、II、IIA、又はIIBのα-アマニチン-リンカー・コンジュゲートを提供することがある。いくつかの実施形態では
、前記リンカーは、ヒドラジン、ジスルフィド、チオエーテル又はジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、Val-Ala及びVal-Citより選択されるジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、パラ-アミノベンジル基(PAB)を含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、部分PAB-Cit-Valを含む。いくつかの実施
形態では、前記リンカーは、部分PAB-Ala-Valを含む。いくつかの実施形態では、前記リ
ンカーは、-((C=O)(CH2)n-ユニットを含み、ここで、nは1~6の整数である。
いくつかの実施形態では、前記リンカーは、-(CH2)n- ユニットを含む。ここで、nは2
~6の整数である。いくつかの実施形態では、前記リンカーは-PAB-Cit-Val-((C=O)(CH2)n-である。いくつかの実施形態では、前記リンカーは-PAB-Ala-Val-((C=O)(CH2)n-である
。いくつかの実施形態では、前記リンカーL及び化学的な部分構造Zは、一緒にL-Zとして

Figure 2020092655000044
である。
いくつかの実施形態では、前記細胞毒素はβ-アマニチンである。いくつかの実施形態
では、前記β-アマニチンは、リンカーLを介して抗-HC抗体(例えば、抗-CD117抗体、又
は抗-CD45抗体)に結合している。いくつかの実施形態では、前記β-アマニチンは、式IIIの化合物である。前記リンカーLは、式IIIのβ-アマニチンのいくつかの考えられる位置の何れか1つ(例えば、R1-R9の何れか)に結合して、式I、IA、IB、II、IIA、又はIIBのβ-アマニチン-リンカー・コンジュゲートを提供することがある。いくつかの実施形態では
、前記リンカーは、ヒドラジン、ジスルフィド、チオエーテル又はジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、Val-Ala及びVal-Citより選択されるジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、パラ-アミノベンジル基(PAB)を含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、部分PAB-Cit-Valを含む。いくつかの実施
形態では、前記リンカーは、部分PAB-Ala-Valを含む。いくつかの実施形態では、前記リ
ンカーは、-((C=O)(CH2)n-ユニットを含み、ここで、nは1~6の整数である。
いくつかの実施形態では、前記リンカーは、-(CH2)n- ユニットを含む。ここで、nは2
~6の整数である。いくつかの実施形態では、前記リンカーは-PAB-Cit-Val-((C=O)(CH2)n-である。いくつかの実施形態では、前記リンカーは-PAB-Ala-Val-((C=O)(CH2)n-である
。いくつかの実施形態では、前記リンカーL及び化学的な部分構造Zは、一緒にL-Zとして

Figure 2020092655000045
である。
いくつかの実施形態では、前記細胞毒素はγ-アマニチンである。いくつかの実施形態
では、前記γ-アマニチンは、リンカーLを介して抗-HC抗体(例えば、抗-CD117抗体、又
は抗-CD45抗体)に結合している。いくつかの実施形態では、前記γ-アマニチンは、式IIIの化合物である。前記リンカーLは、式IIIのγ-アマニチンのいくつかの考えられる位置の何れか1つ(例えば、R1-R9の何れか)に結合して、式I、IA、IB、II、IIA、又はIIBのγ-アマニチン-リンカー・コンジュゲートを提供することがある。いくつかの実施形態では
、前記リンカーは、ヒドラジン、ジスルフィド、チオエーテル又はジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、Val-Ala及びVal-Citより選択されるジペプチド
を含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、パラ-アミノベンジル基(PAB)を含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、部分PAB-Cit-Valを含む。いくつかの実施
形態では、前記リンカーは、部分PAB-Ala-Valを含む。いくつかの実施形態では、前記リ
ンカーは、-((C=O)(CH2)n-ユニットを含み、ここで、nは1~6の整数である。
いくつかの実施形態では、前記リンカーは、-(CH2)n- ユニットを含む。ここで、nは2
~6の整数である。いくつかの実施形態では、前記リンカーは-PAB-Cit-Val-((C=O)(CH2)n-である。いくつかの実施形態では、前記リンカーは-PAB-Ala-Val-((C=O)(CH2)n-である
。いくつかの実施形態では、前記リンカーL及び化学的な部分構造Zは、一緒にL-Zとして

Figure 2020092655000046
である。
いくつかの実施形態では、前記細胞毒素はε-アマニチンである。いくつかの実施形態
では、前記ε-アマニチンは、リンカーLを介して抗-HC抗体(例えば、抗-CD117抗体、又
は抗-CD45抗体)に結合している。いくつかの実施形態では、前記ε-アマニチンは、式IIIの化合物である。前記リンカーLは、式IIIのε-アマニチンのいくつかの考えられる位置の何れか1つ(例えば、R1-R9の何れか)に結合して、式I、IA、IB、II、IIA、又はIIBのε-アマニチン-リンカー・コンジュゲートを提供することがある。いくつかの実施形態では
、前記リンカーは、ヒドラジン、ジスルフィド、チオエーテル又はジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、Val-Ala及びVal-Citより選択されるジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、パラ-アミノベンジル基(PAB)を含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、部分PAB-Cit-Valを含む。いくつかの実施
形態では、前記リンカーは、部分PAB-Ala-Valを含む。いくつかの実施形態では、前記リ
ンカーは、-((C=O)(CH2)n-ユニットを含み、ここで、nは1~6の整数である。
いくつかの実施形態では、前記リンカーは、-(CH2)n- ユニットを含む。ここで、nは2
~6の整数である。いくつかの実施形態では、前記リンカーは-PAB-Cit-Val-((C=O)(CH2)n-である。いくつかの実施形態では、前記リンカーは-PAB-Ala-Val-((C=O)(CH2)n-である
。いくつかの実施形態では、前記リンカーL及び化学的な部分構造Zは、一緒にL-Zとして

Figure 2020092655000047
である。
いくつかの実施形態では、前記細胞毒素はアマニンである。いくつかの実施形態では、前記アマニンは、リンカーLを介して抗-HC抗体(例えば、抗-CD117抗体、又は抗-CD45抗
体)に結合している。いくつかの実施形態では、前記アマニンは、式IIIの化合物である
。前記リンカーLは、式IIIのアマニンのいくつかの考えられる位置の何れか1つ(例えば、R1-R9の何れか)に結合して、式I、IA、IB、II、IIA、又はIIBのアマニン-リンカー・コンジュゲートを提供することがある。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、ヒドラジン、ジスルフィド、チオエーテル又はジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、Val-Ala及びVal-Citより選択されるジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、パラ-アミノベンジル基(PAB)を含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、部分PAB-Cit-Valを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、
部分PAB-Ala-Valを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、-((C=O)(CH2)n-ユ
ニットを含み、ここで、nは1~6の整数である。
いくつかの実施形態では、前記リンカーは、-(CH2)n- ユニットを含む。ここで、nは2
~6の整数である。いくつかの実施形態では、前記リンカーは-PAB-Cit-Val-((C=O)(CH2)n-である。いくつかの実施形態では、前記リンカーは-PAB-Ala-Val-((C=O)(CH2)n-である
。いくつかの実施形態では、前記リンカーL及び化学的な部分構造Zは、一緒にL-Zとして

Figure 2020092655000048
である。
いくつかの実施形態では、前記細胞毒素はアマニンアミドである。いくつかの実施形態では、前記アマニンアミドは、リンカーLを介して抗-HC抗体(例えば、抗-CD117抗体、又は抗-CD45抗体)に結合している。いくつかの実施形態では、前記アマニンアミドは、式IIIの化合物である。前記リンカーLは、式IIIのアマニンアミドのいくつかの考えられる位置の何れか1つ(例えば、R1-R9の何れか)に結合して、式I、IA、IB、II、IIA、又はIIBの
アマニンアミド-リンカー・コンジュゲートを提供することがある。いくつかの実施形態
では、前記リンカーは、ヒドラジン、ジスルフィド、チオエーテル又はジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、Val-Ala及びVal-Citより選択されるジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、パラ-アミノベンジル基(PAB)を含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、部分PAB-Cit-Valを含む。いくつかの
実施形態では、前記リンカーは、部分PAB-Ala-Valを含む。いくつかの実施形態では、前
記リンカーは、-((C=O)(CH2)n-ユニットを含み、ここで、nは1~6の整数である。
いくつかの実施形態では、前記リンカーは、-(CH2)n- ユニットを含む。ここで、nは2
~6の整数である。いくつかの実施形態では、前記リンカーは-PAB-Cit-Val-((C=O)(CH2)n-である。いくつかの実施形態では、前記リンカーは-PAB-Ala-Val-((C=O)(CH2)n-である
。いくつかの実施形態では、前記リンカーL及び化学的な部分構造Zは、一緒にL-Zとして

Figure 2020092655000049
である。
いくつかの実施形態では、前記細胞毒素はアマヌリンである。いくつかの実施形態では、前記アマヌリンは、リンカーLを介して抗-HC抗体(例えば、抗-CD117抗体、又は抗-CD45抗体)に結合している。いくつかの実施形態では、前記アマヌリンは、式IIIの化合物である。前記リンカーLは、式IIIのアマヌリンのいくつかの考えられる位置の何れか1つ(例えば、R1-R9の何れか)に結合して、式I、IA、IB、II、IIA、又はIIBのアマヌリン-リンカー・コンジュゲートを提供することがある。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、ヒドラジン、ジスルフィド、チオエーテル又はジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、Val-Ala及びVal-Citより選択されるジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、パラ-アミノベンジル基(PAB)を含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、部分PAB-Cit-Valを含む。いくつかの実施形態では、前記リン
カーは、部分PAB-Ala-Valを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、-((C=O)(CH2)n-ユニットを含み、ここで、nは1~6の整数である。
いくつかの実施形態では、前記リンカーは、-(CH2)n- ユニットを含む。ここで、nは2
~6の整数である。いくつかの実施形態では、前記リンカーは-PAB-Cit-Val-((C=O)(CH2)n-である。いくつかの実施形態では、前記リンカーは-PAB-Ala-Val-((C=O)(CH2)n-である
。いくつかの実施形態では、前記リンカーL及び化学的な部分構造Zは、一緒にL-Zとして

Figure 2020092655000050
である。
いくつかの実施形態では、前記細胞毒素はアマヌリン酸である。いくつかの実施形態では、前記アマヌリン酸は、リンカーLを介して抗-HC抗体(例えば、抗-CD117抗体、又は抗-CD45抗体)に結合している。いくつかの実施形態では、前記アマヌリン酸は、式IIIの化合物である。前記リンカーLは、式IIIのアマヌリン酸のいくつかの考えられる位置の何れか1つ(例えば、R1-R9の何れか)に結合して、式I、IA、IB、II、IIA、又はIIBのアマヌリ
ン酸-リンカー・コンジュゲートを提供することがある。いくつかの実施形態では、前記
リンカーは、ヒドラジン、ジスルフィド、チオエーテル又はジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、Val-Ala及びVal-Citより選択されるジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、パラ-アミノベンジル基(PAB)を含む。いく
つかの実施形態では、前記リンカーは、部分PAB-Cit-Valを含む。いくつかの実施形態で
は、前記リンカーは、部分PAB-Ala-Valを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカー
は、-((C=O)(CH2)n-ユニットを含み、ここで、nは1~6の整数である。
いくつかの実施形態では、前記リンカーは、-(CH2)n- ユニットを含む。ここで、nは2
~6の整数である。いくつかの実施形態では、前記リンカーは-PAB-Cit-Val-((C=O)(CH2)n-である。いくつかの実施形態では、前記リンカーは-PAB-Ala-Val-((C=O)(CH2)n-である
。いくつかの実施形態では、前記リンカーL及び化学的な部分構造Zは、一緒にL-Zとして

Figure 2020092655000051
である。
いくつかの実施形態では、前記細胞毒素はプロアマヌリンである。いくつかの実施形態では、前記プロアマヌリンは、リンカーLを介して抗-HC抗体(例えば、抗-CD117抗体、又は抗-CD45抗体)に結合している。いくつかの実施形態では、前記プロアマヌリンは、式IIIの化合物である。前記リンカーLは、式IIIのプロアマヌリンのいくつかの考えられる位置の何れか1つ(例えば、R1-R9の何れか)に結合して、式I、IA、IB、II、IIA、又はIIBの
プロアマヌリン-リンカー・コンジュゲートを提供することがある。いくつかの実施形態
では、前記リンカーは、ヒドラジン、ジスルフィド、チオエーテル又はジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、Val-Ala及びVal-Citより選択されるジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、パラ-アミノベンジル基(PAB)を含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、部分PAB-Cit-Valを含む。いくつかの
実施形態では、前記リンカーは、部分PAB-Ala-Valを含む。いくつかの実施形態では、前
記リンカーは、-((C=O)(CH2)n-ユニットを含み、ここで、nは1~6の整数である。
いくつかの実施形態では、前記リンカーは、-(CH2)n- ユニットを含む。ここで、nは2
~6の整数である。いくつかの実施形態では、前記リンカーは-PAB-Cit-Val-((C=O)(CH2)n-である。いくつかの実施形態では、前記リンカーは-PAB-Ala-Val-((C=O)(CH2)n-である
。いくつかの実施形態では、前記リンカーL及び化学的な部分構造Zは、一緒にL-Zとして

Figure 2020092655000052
である。
アマトキシンの合成方法については、米国特許第9,676,702号に記載されていて、これ
は本明細書に参照により取り込まれる。
本明細書に記載する組成物及び方法と共に使用するための抗体、及び抗原結合フラグメントは、当該技術分野で公知の又は本明細書に記載のコンジュゲートする技術を使用して、α-アマニチン又はそのバリアント等のアマトキシンにコンジュゲートさせることがで
きる。例えば、ターゲット抗原を認識し、結合する抗体、及びその抗原結合フラグメント(抗-HC抗体、例えば、抗-CD117抗体、又は抗-CD45抗体)は、US 2015/0218220に記載さ
れるように、α-アマニチン又はそのバリアント等のアマトキシンにコンジュゲートさせ
ることができ、その開示内容は、例えば、α-アマニチン及びそのバリアント等のアマト
キシン、並びに共有結合的にコンジュゲートさせることに使用することができる共有結合リンカーに関連するため、本明細書に参照により取り込まれる。
アウリスタチン類
本明細書に記載する抗-HC抗体(例えば、抗-CD117抗体、又は抗-CD45抗体)及びその抗原結合フラグメントは、アウリスタチンである細胞毒素にコンジュゲートしていることがある(米国特許第5,635,483号;第5,780,588号)。アウリスタチン類は、微小管動態、GTP加水分解、核分裂及び細胞分裂を妨げる抗-有糸分裂剤であり(Woyke et al (2001) Antimicrob. Agents and Chemother. 45(12):3580-3584)、並びに抗がん活性(米国特許第5,663,149号)及び抗真菌活性(Pettit et al (1998) Antimicrob. Agents Chemother. 42:2961-2965). (米国特許第5,635,483; 5,780,588号)を有する。アウリスタチン薬物部分は、ペプ
チド薬物部分のN-(アミノ)末端又はC-(カルボキシル)末端を介して、抗体に結合することがある(WO02/088172)。
例示的なアウリスタチンの実施形態は、N-末端結合モノメチルアウリスタチン薬物部分DE及びDFを含み、これらは、Senter et al, Proceedings of the American Association for Cancer Research, Volume 45, Abstract Number 623, 2004年3月28日に開示されている(この開示は、その全体が本明細書に参照により取り込まれる)。
例示的なアウリスタチンの実施形態はMMAEであり、ここで、その波線は、抗体-リンカ
ー・コンジュゲート(本明細書で記載されるように、-L-Z-Ab又は-L-Z')のリンカーに共有結合する位置を示す。
Figure 2020092655000053
別の例示的なアウリスタチンの実施形態はMMAFであり、ここで、その波線は、US 2005/0238649で開示されているように、抗体-リンカー・コンジュゲート(本明細書で記載され
るように、-L-Z-Ab又は-L-Z')のリンカーに共有結合する位置を示す。
Figure 2020092655000054
アウリスタチン類は以下の方法に従って調製することができる:米国特許第5,635,483
号;米国特許第5,780,588;Pettit et al (1989) J. Am. Chem. Soc. 111:5463-5465; Pettit et al (1998) Anti-Cancer Drug Design 13:243-277; Pettit, G. R., et al. Synthesis, 1996, 719-725; Pettit et al (1996) J. Chem. Soc. Perkin Trans. 15:859-863; 及び Doronina (2003) Nat. Biotechnol. 21(7):778-784。
メイタンシノイド類
本明細書に記載する抗体及びその抗原結合フラグメントは、微小管結合剤である細胞毒素にコンジュゲートしていることがある。いくつかの実施形態では、前記微小管結合剤は、メイタンシン、メイタンシノイド又はメイタンシノイド類似体である。メイタンシノイド類は微小管と結合し、チューブリン重合を阻害することによって作用する有糸分裂阻害剤である。メイタンシンは最初に、東アフリカ低木Maytenus serrataから単離された(米
国特許第3,896,111号)。続いて、特定の微生物もまた、メイタンシノイド類(例えば、メ
イタンシノール及びC-3メイタンシノール・エステル類)を産生することが発見された(米
国特許第4,151,042号)。合成メイタンシノール、並びにその誘導体及びその類似体は、例えば、米国特許4,137,230; 4,248,870; 4,256,746; 4,260,608; 4,265,814; 4,294,757; 4,307,016; 4,308,268; 4,308,269; 4,309,428; 4,313,946; 4,315,929; 4,317,821; 4,322,348; 4,331,598; 4,361,650; 4,364,866; 4,424,219; 4,450,254; 4,362,663; 及び 4,371,533 号において開示されている。メイタンシノイドの薬物部分は、抗体薬物コンジ
ュゲートにおいて魅力的な薬物部分である。なぜならば、メイタンシノイドの薬物部分は:(i)発酵又は、発酵産物の化学修飾、誘導体化によって調製することに、比較的アクセ
ス可能である、(ii)非-ジスルフィド・リンカーを介した抗体へのコンジュゲートに適し
た官能基による誘導体化がやり易い、(iii)血漿中で安定である、及び(iv)種々の腫瘍細
胞株に対して効果的である、からである。
好適なメイタンシノイド類の例としては、メイタンシノール、合成メイタンシノール、並びにメイタンシノール類似体及び誘導体、のエステルが挙げられる。メイタンシノイド、メイタンシノール、並びにメイタンシノール類似体、及び誘導体のように、微小管形成を阻害し、哺乳動物細胞に対して非常に毒性である、任意の細胞毒素が本明細書に含まれる。
好適なメイタンシノール・エステル類の例としては、改変された芳香環を有するもの、及び他の位置に改変を有するものが含まれる。そのような好適なメイタンシノイド類は、米国特許第4,137,230; 4,151,042; 4,248,870; 4,256,746; 4,260,608; 4,265,814; 4,294,757; 4,307,016; 4,308,268; 4,308,269; 4,309,428; 4,313,946; 4,315,929; 4,317,821; 4,322,348; 4,331,598; 4,361,650; 4,362,663; 4,364,866; 4,424,219 ;4,450,254; 4,322,348; 4,362,663; 4,371,533; 5,208,020; 5,416,064; 5,475,092; 5,585,499; 5,846,545; 6,333,410; 7,276,497; 及び7,473,796号に開示されており、これらの各々は
、メイタンシノイド類及びその誘導体に関連するものとして、本明細書に参照により取り込まれる。
いくつかの実施形態では、本開示の抗体-薬物コンジュゲート(ADC)は、細胞毒性薬物として、チオール含有メイタンシノイド(DM1)(正式にはN2'-デアセチル-N2'-(3-メルカプ
ト-1-オキソプロピル)-メイタンシンと呼ばれる)を利用する。DM1は、以下の構造式Vで
表される:
Figure 2020092655000055
別の実施形態では、本開示のコンジュゲートは、チオール含有メイタンシノイドN2'-デアセチル-N2'(4-メチル-4-メルカプト-1-オキソペンチル)-メイタンシン(例えば、DM4)を細胞毒性薬物として利用する。DM4は、以下の構造式VIで表される:
Figure 2020092655000056
立体障害チオール結合を含む側鎖を含む別のメイタンシノイドは、N2'-デアセチル-N-2'(4-メルカプト-1-オキソペンチル)-メイタンシン(DM3と呼ばれる)であり、以下の構造式VIIで表される:
Figure 2020092655000057
米国特許第5,208,020 及び 7,276,497が教示する各メイタンシノイドを、本発明のコンジュゲートにおいて使用することもある。この点に関して、5,208,020及び7,276,697の開示全体は、本明細書に参照により取り込まれる。
メイタンシノイド類上の多くの位置は、連結部分と共有結合する位置としての役割を果たすことができる、及び、それ故に前記抗体又はその抗原結合フラグメントと共有結合する位置としての役割を果たすことができる(本明細書に記載するように、-L-Z-Ab又は-L-Z')。例えば、ヒドロキシル基を有するC-3位、ヒドロキシメチルで修飾されたC-14位、
ヒドロキシで修飾されたC-15位、及びヒドロキシ基を有するC-20位は、全て有用であると予想される。いくつかの実施形態では、前記C-3位は、リンカー部分構造と共有結合する
位置としての役割を果たし、いくつかの特定の実施形態では、メイタンシノールのC-3位
が、連結部分と共有結合する位置としての役割を果たす。抗体-メイタンシノイド・コン
ジュゲートを作製するために、当該技術分野で知られている多くの連結基が存在し、例えば、それらは、米国特許第5,208,020、6,441,163、及び欧州特許第0425235 B1; Chari et
al., Cancer Research 52:127-131 (1992); 並びに U.S. 2005/0169933 A1に開示されているもの等を含む(これらの開示は、本明細書に明確に参照により取り込まれる)。更なる連結基は、本明細書に記載され、例示される。
本開示はまた、メイタンシノイド類及びコンジュゲートの種々の異性体及び混合物を含む。本開示のある特定の化合物及びコンジュゲートは、種々の立体異性体、鏡像異性体、及びジアステレオマーの形態で存在することがある。このような抗体-メイタンシノイド
・コンジュゲートを生成することは、米国特許5,208,020、5,416,064、6,333,410、6,441,163、6,716,821、及び7,368,565に記載されている(これらの各々は、その全体が本明細
書に取り込まれる)。
アントラサイクリン類
他の実施形態では、本明細書に記載する抗体及びその抗原結合フラグメントは、アントラサイクリン分子である細胞毒素にコンジュゲートしていることがある。アントラサイクリン類は、細胞傷害活性を示す抗生物質化合物である。研究によれば、アントラサイクリン類は、以下を含む多数の異なるメカニズムによって、細胞を死滅させることがあることが示されてきている: 1)前記薬物分子が細胞のDNAにインターカレーションすることによって、DNA依存性の核酸合成を阻害すること;2) 薬物によるフリーラジカルの産生、フリーラジカルは、次いで細胞性高分子と反応して細胞に損傷を引き起こす、又は3)薬物分子と細胞膜との相互作用[例えば、C. Peterson et al.," Transport And Storage Of Anthr
acycline In Experimental Systems And Human Leukemia" in Anthracycline Antibiotics In Cancer Therapy; N.R. Bachur, "Free Radical Damage" id. at pp.97-102を参照のこと]。細胞毒性の可能性があるため、白血病、乳がん、肺がん、卵巣腺がん及び肉腫の
ような多数のがんの治療にアントラサイクリン類が用いられている[例えば、P.H- Wiernik, in Anthracycline: Current Status And New Developments p 11を参照]。一般的に使用されるアントラサイクリン類としては、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン及びダウノマイシンが挙げられる。
アントラサイクリン類似体であるドキソルビシン(ADRIAMYCINO)は、インターカレーシ
ョンによってDNAと相互作用し、及び転写のためにDNAをほどく酵素トポイソメラーゼIIが進むことを阻害する、と考えられている。ドキソルビシンは、トポイソメラーゼII複合体を、複製のためにDNA鎖を切断した後に安定化させ、DNA二重らせんが再び閉じないようにし、それによって複製のプロセスを止める。ドキソルビシン及びダウノルビシン(DAUNOMYCIN)は、プロトタイプの細胞毒性天然物アントラサイクリン化学療法剤である(Sessa et
al., (2007) Cardiovasc. Toxicol. 7:75-79)。
一般的に使用されるアントラサイクリン類としては、ドキソルビシン、エピルビシン、イダルビシン及びダウノマイシンが挙げられる。いくつかの実施形態では、前記細胞毒素は、ダウノルビシン、ドキソルビシン、エピルビシン、及びイダルビシンからなる群より選択されるアントラサイクリンである
アントラサイクリン類の代表的な例としては、限定されるものではないが、ダウノルビシン(Cerubidine; Bedford Laboratories)、ドキソルビシン(アドリアマイシン;Bedford
Laboratories;塩酸ドキソルビシン、ヒドロキシ-ダウノルビシン、及びルベックス(Rubex)とも呼ばれる)、エピルビシン(エレンス(Ellence);ファイザー)、及びイダルビシン(
イダマイシン;ファイザー社)が挙げられる。アントラサイクリン類似体であるドキソルビシン(ADRIAMYCINO)は、インターカレーションによってDNAと相互作用し、及び転写のためにDNAをほどく酵素トポイソメラーゼIIが進むことを阻害する、と考えられている。ドキ
ソルビシンは、トポイソメラーゼII複合体を、複製のためにDNA鎖を切断した後に安定化
させ、DNA二重らせんが再び閉じないようにし、それによって複製のプロセスを止める。
ドキソルビシン及びダウノルビシン(DAUNOMYCIN)は、プロトタイプの細胞毒性天然物アントラサイクリン化学療法剤である(Sessa et al., (2007) Cardiovasc. Toxicol. 7:75-79)。
本明細書で使用するのに適したアントラサイクリンの非-限定的な一例は、PNU-159682(「PNU」)である。PNUは、親であるネモルビシンに対して3000倍を超える細胞毒性を示す(Quintieri et al., Clinical Cancer Research 2005, 11, 1608-1617)。PNUは、以下の構造式によって表される:
Figure 2020092655000058
PNUのようなアントラサイクリン類上の複数の位置は、前記連結部分に共有結合する位
置としての役割を果たす、そして、それ故に、本明細書に記載するような抗-CD117抗体又はその抗原結合フラグメントと共有結合する位置としての役割を果たすことができる。例えば、リンカーを、ヒドロキシメチル・ケトン側鎖への改変を介して導入することがある。
いくつかの実施形態では、前記細胞毒素は、下記構造式で表されるPNU誘導体である:
Figure 2020092655000059
ここで、波線は、本明細書に記載するようなADCのリンカーに共有結合をする位置を示
す。
いくつかの実施形態では、前記細胞毒素は、下記構造式で表されるPNU誘導体である:
Figure 2020092655000060
ここで、波線は、本明細書に記載するようなADCのリンカーに共有結合をする位置を示
す。
ピロロベンゾジアゼピン(PBDs)類
他の実施形態では、本明細書に記載する抗-HC抗体(例えば、抗-CD117抗体、若しくは
抗-CD45抗体)又はその抗原結合フラグメントは、ピロロベンゾジアゼピン(PBD)である細胞毒素、又はPBDを含む細胞毒素にコンジュゲートしていることがある。PBD類は、ある特定の放線菌によって産生される天然物であり、配列選択的なDNAアルキル化化合物である
ことが示されてきている。PBD細胞毒素類としては、限定されるものではないが、アント
ラマイシン、二量体PBD類、及び、例えば、Hartley, J.A. (2011). “The development of pyrrolobenzodiazepines as antitumour agents.” Expert Opin. Inv. Drug, 20(6),
733-744; 及び Antonow, D.; Thurston, D.E. (2011) “Synthesis of DNA-interactive
pyrrolo[2,1-c][1,4]benzodiazepines (PBDs).” Chem. Rev. 111: 2815-2864の中で開
示されているものが挙げられる。
いくつかの実施形態では、前記細胞毒素は、以下の構造式で表されるピロロベンゾジアゼピン二量体である:
Figure 2020092655000061
ここで、波線は、リンカーに結合する位置を示す。
いくつかの実施形態では、前記細胞毒素は、マレイミドカプロイル・リンカーを介して、前記抗体、又はその抗原結合フラグメント、にコンジュゲートする。
いくつかの実施形態では、前記リンカーは、ペプチド、オリゴ糖、-(CH2)p-, -(CH2CH2O)q-, -(C=O)(CH2)r-, -(C=O)(CH2CH2O)t-, -(NHCH2CH2)u-, -PAB, Val-Cit-PAB, Val-Ala-PAB, Val-Lys(Ac)-PAB, Phe-Lys-PAB, Phe-Lys(Ac)-PAB, D-Val-Leu-Lys, Gly-Gly-Arg, Ala-Ala-Asn-PAB, 又は Ala-PAB、のうちの1種以上を含む、ここで、p、q、r、t、及
びuのそれぞれは、1~12の整数であり、各場合毎に、独立して選択される。
いくつかの実施形態では、前記リンカーは、以下の式の構造を有する:
Figure 2020092655000062
ここで、R1は、CH3(Ala)又は(CH2)3NH(CO)NH2(Cit)、である。
いくつかの実施形態では、前記リンカーは、前記抗体にコンジュゲートする前に、反応性置換基Z'を含み、一緒にL-Z'として、以下の構造を有する:
Figure 2020092655000063
ここで、波線は、前記細胞毒素(例えば、PBD)に結合する位置を示す。ある特定の実施
形態では、R1はCH3である。
いくつかの実施形態では、前記細胞毒素-リンカー・コンジュゲートは、前記抗体にコ
ンジュゲートする前に、反応性置換基Z'を含み、一緒にCy-L-Z'として、以下の構造式を
有する:
Figure 2020092655000064
この特定の細胞毒素-リンカー・コンジュゲートはテシリン(SG3249)として知られてお
り、例えば、Howard et al., ACS Med. Chem. Lett. 2016, 7(11), 983-987、に記載されている、この開示は、その全体が本明細書に参照により取り込まれる。
いくつかの実施形態では、前記細胞毒素は、以下の構造式で表されるピロロベンゾジアゼピン二量体である:
Figure 2020092655000065
ここで、波線は、前記リンカーに結合する位置を示す。
いくつかの実施形態では、前記細胞毒素-リンカー・コンジュゲートは、前記抗体にコ
ンジュゲートする前に、反応性置換基Z'を含み、一緒にCy-L-Z'として、以下の構造式を
有する:
Figure 2020092655000066
この特定の細胞毒素-リンカー・コンジュゲートはタリリンとして知られており、例え
ば、ADC バダスツキシマブ・タリリン(Vadastuximab talirine)(SGN-CD33A)に関連して、Mantaj et al., Angewandte Chemie International Edition English 2017,56, 462-488
、に記載されている、この開示は、その全体が本明細書に参照により取り込まれる。
いくつかの実施形態では、前記細胞毒素は、以下の構造式を有するインドリノベンゾジアゼピン疑似二量体(indolinobenzodiazepine pseudodimer)である:
Figure 2020092655000067
ここで、波線は、前記リンカーに結合する位置を示す。
いくつかの実施形態では、前記細胞毒素-リンカー・コンジュゲートは、前記抗体にコ
ンジュゲートする前に、反応性置換基Z'を含み、一緒にCy-L-Z'として、以下の構造式を
有する:
Figure 2020092655000068
これは、ADC IMGN632(例えば、国際特許出願公開第WO2017004026号[これは、本明細
書に参照により取り込まれる]に開示されている)を含む。
カリケアマイシン
他の実施形態では、本明細書に記載する抗体及びその抗原結合フラグメントは、エネジイン抗腫瘍抗生物質(例えば、カリケアマイシン類、オゾガマイシン)である細胞毒素にコンジュゲートしていることがある。カリケアマイシン・ファミリーの抗生物質は、ピコモル未満の濃度で、二本鎖DNAを切断することができる。カリケアマイシン・ファミリーの
コンジュゲートの調製については、米国特許第5,712,374; 5,714,586; 5,739,116; 5,767,285; 5,770,701; 5,770,710; 5,773,001; 及び 5,877,296号を参照のこと(全てAmerican Cyanamid Companyに関する)。使用され得るカリケアマイシンの構造類似体としては、限定されるものではないが、例えば、Hinman et al., Cancer Research 53:3336-3342 (1993), Lode et al., Cancer Research 58:2925-2928 (1998), 及びAmerican Cyanamidに
関する上記の米国特許、に開示されているものが挙げられる。
例示的なカリケアマイシンは、γ1と命名されている、これらを、本明細書では単にガ
ンマとして呼び、以下の構造式を有する:
Figure 2020092655000069
いくつかの実施形態では、前記カリケアマイシンは、ガンマ-カリケアマイシン誘導体
又はN-アセチル・ガンマ-カリケアマイシン誘導体である。使用することがあるカリケア
マイシンの構造類似体としては、限定されるものではないが、例えば、Hinman et al., Cancer Research 53:3336-3342 (1993), Lode et al., Cancer Research 58:2925-2928 (1998)、及び上記の米国特許に開示されるものが挙げられる。カリケアマイシン類は、適当
なチオールと反応してジスルフィドを形成することができるメチルトリスルフィド部分を含み、メチルトリスルフィド部分は、同時に、カリケアマイシン誘導体を本明細書に記載の抗-CD117抗体又はその抗原結合フラグメントに、リンカーを介して結合させるのに有用な官能基を導入する。カリケアマイシン・ファミリーのコンジュゲートを調製することについては、米国特許5,712,374; 5,714,586; 5,739,116; 5,767,285; 5,770,701; 5,770,710; 5,773,001; 及び5,877,296(全てAmerican Cyanamid Company)を参照のこと。使用す
ることがあるカリケアマイシンの構造類似体としては、限定されるものではないが、例えば、Hinman et al., Cancer Research 53:3336-3342(1993)、Lode et al., Cancer Research 58:2925-2928(1998)、及びAmerican Cyanamidに対する上記の米国特許中に開示され
るものが挙げられる。
ある実施形態では、本明細書に開示するADCの細胞毒素は、以下の構造式で表されるカ
リケアマイシン・ジスルフィド誘導体である:
Figure 2020092655000070
ここで、波線は、前記リンカーに結合する位置を示す。
追加の細胞毒素類
他の実施形態では、本明細書に記載する抗体及びその抗原結合フラグメントを、本明細書において上記で開示した細胞毒素以外の、又はそれに加えた細胞毒素に、コンジュゲートすることがある。本明細書に記載する組成物及び方法と共に使用するのに適した追加の細胞毒素類としては、限定されるものではないが、5-エチニルウラシル、アビラテロン(abiraterone)、アシルフルベン(acylfulvene)、アデシペノール(adecypenol)、アドゼレシン(adozelesin)、アルデスロイキン(aldesleukin)、アルトレタミン(altretamine)、アンバムスチン(ambamustine)、アミドックス(amidox)、アミフォスチン(amifostine)、アミ
ノレブリン酸(aminolevulinic acid)、アムルビシン(amrubicin)、アムサクリン(amsacrine)、アナグレリド(anagrelide)、アナストロゾール(anastrozole)、アンドログラフォリド(andrographolide)、血管新生阻害剤、アンタレリクス(antarelix)、抗背側形成タンパク質-1(anti-dorsalizing morphogenetic protein-1)、抗アンドロゲン、前立腺がん
、抗エストロゲン、抗新生物薬(antineoplaston)、アンチセンス・オリゴヌクレオチド、アフィジコリン・グリシネート(aphidicolin glycinate)、アポトーシス遺伝子モジュレ
ーター、アポトーシス・レギュレーター、アプリン酸(apurinic acid)、アスラクリン(asulacrine)、アタメスタン(atamestane)、アトリムスチン(atrimustine)、アキシナスタチン1(axinastatin 1)、アキシナスタチン2、アキシナスタチン3、アザセトロン(azasetron)、アザトキシン(azatoxin)、アザチロシン(azatyrosine)、バッカチンIII(baccatin III.)誘導体、バラノール(balanol)、バチマスタット(batimastat)、BCR/ABL拮抗薬、ベ
ンゾクロリン、ベンゾイルスタウロスポリン(benzoylstaurosporine)、βラクタム誘導体、βアレチン(beta-alethine)、βクラマイシン(betaclamycin)B、ベツリン酸、bFGF阻害
剤、ビカルタミド(bicalutamide)、ビサントレン(bisantrene)、ビスアジリジニルスペルミン(bisaziridinylspermine)、ビスナフィド(bisnafide)、ビストラテン(bistratene)A
、ビゼレシン(bizelesin)、ブレフラート(breflate)、ブレオマイシンA2、ブレオマイシ
ンB2、ブロピリミン(bropirimine)、ブドチタン(budotitane)、ブチオニン・スルホキシ
イミン(buthionine sulfoximine)、カルシポトリオール(calcipotriol)、カルホスチン(calphostin)C、カンプトテシン(camptothecin)誘導体(例えば、10-ヒドロキシ-カンプト
テシン)、カペシタビン(capecitabine)、カルボキサミド-アミノ-トリアゾール、カルボキシアミドトリアゾール、カルゼレシン(carzelesin)、カゼイン・キナーゼ阻害剤、カスタノスペルミン(castanospermine)、セクロピン(cecropin)B、セトロレリクス(cetrorelix)、クロリン(chlorins)、クロロキノキサリン・スルホンアミド(chloroquinoxaline sulfonamide)、シカプロスト(cicaprost)、シス-ポルフィリン、クラドリビン(cladribine)
、クロミフェン(clomifene)及びその類似体、クロトリマゾール(clotrimazole)、コリス
マイシン(collismycin)A、コリスマイシンB、コンブレタスタチン(combretastatin)A4、
コンブレタスタチン類似体、コナゲニン(conagenin)、クラムベシジン(crambescidin)816、クリスナトール(crisnatol)、クリプトフィシン(cryptophycin)8、クリプトフィシンA
誘導体、キュラシン(curacin)A、シクロペンタアントラキノン(cyclopentanthraquinones)、シクロプラタム(cycloplatam)、シペマイシン(cypemycin)、シタラビン・オクホスフ
ァート(cytarabine ocfosfate)、細胞溶解因子、シトスタチン(cytostatin)、ダクリキシマブ(dacliximab)、デシタビン(decitabine)、デヒドロジデムニン(dehydrodidemnin)B、2'デオキシコホルマイシン(DCF)、デスロレリン(deslorelin)、デキシホスファミド(dexifosfamide)、デクスラゾキサン(dexrazoxane)、デクスベラパミル(dexverapamil)、ジア
ジクオン(diaziquone)、ジデムニン(didemnin)B、ジドクス(didox)、ジエチルノルスペルミン(diethylnorspermine)、ジヒドロ-5-アザシチジン、ジヒドロタキソール、ジオキサ
マイシン(dioxamycin)、ジフェニル・スピロムスチン(diphenyl spiromustine)、ディス
コデルモライド(discodermolide)、ドコサノール(docosanol)、ドラセトロン(dolasetron)、ドキシフルリジン(doxifluridine)、ドロロキシフェン(droloxifene)、ドロナビノー
ル(dronabinol)、デュオカルマイシン(duocarmycin)SA、エブセレン(ebselen)、エコムスチン(ecomustine)、エデルフォシン(edelfosine)、エドレコロマブ(edrecolomab)、エフ
ロルニチン(eflornithine)、エレメン(elemene)、エミテフール(emitefur)、エポチロン
(epothilones)、エピチロン(epithilones)、エプリステリド(epristeride)、エスト
ラムスチン(estramustine)及びその類似体、エトポシド(etoposide)、エトポシド4’-
リン酸(etoposide 4’-phosphate)(エトポフォスとも呼ばれる)、エキセメスタン(exemestane)、ファドロゾール(fadrozole)、ファザラビン(fazarabine)、フェンレチニド(fenretinide)、フィルグラスチム(filgrastim)、フィナステリド(finasteride)、フラボピリドール(flavopiridol)、フレゼラスチン(flezelastine)、フルアステロン(fluasterone)、フルダラビン(fludarabine)、塩酸フルロダウノルニシン(fluorodaunorunicin hydrochloride)、フォルフェニメクス(forfenimex)、フォルメスタン(formestane)、フォストリエシン(fostriecin)、フォテムスチン(fotemustine)、ガドリニウム・テキサフィリン(gadolinium texaphyrin)、硝酸ガリウム、ガロシタビン(galocitabine)、ガニレリクス(ganirelix)、ゲラチナーゼ阻害剤、ゲムシタビン(gemcitabine)、グルタチオン阻害剤、ヘプスルファム(hepsulfam)、ホモハリングトニン(homoharringtonine(HHT))、ハイペリシ
ン(hypericin)、イバンドロン酸(Ibandronic acid)、イドキシフェン(idoxifene)、イ
ドラマントン(idramantone)、イルモフォシン(ilmofosine)、イロマスタット(ilomastat)、イミダゾアクリドン、イミキモド(imiquimod)、免疫刺激ペプチド、イオベングアン(iobenguane)、ヨードドキソルビシン(iododoxorubicin)、イポメアノール(ipomeanol)、イ
リノテカン、イロプラクト(iroplact)、イルソグラジン(irsogladine)、イソベンガゾー
ル(isobengazole)、ジャスプラキノリド(jasplakinolide)、カハラリド(kahalalide)F、
三酢酸ラメラリン-N(lamellarin-N triacetate)、ランレオチド(lanreotide)、レイナマ
イシン(leinamycin)、レノグラスチム(lenograstim)、硫酸レンチナン(lentinan sulfate)、レプトルスタチン(leptolstatin)、レトロゾール(letrozole)、親油性白金化合物、リ
ソクリナミド(lissoclinamide)7、ロバプラチン(lobaplatin)、ロメトレキソール(lometrexol)、ロニダミン(lonidamine)、ロソキサントロン(losoxantrone)、ロキソリビン(loxoribine)、ルルトテカン(lurtotecan)、ルテチウム・テキサフィリン(lutetium texaphyrin)、リソフィリン(lysofylline)、マソプロコール(masoprocol)、マスピン(maspin)、マ
トリックス・メタロプロテイナーゼ阻害剤、メノガリル(menogaril)、メルバロン(merbarone)、メテレリン(meterelin)、メチオニナーゼ、メトクロプラミド(metoclopramide)、MIF阻害剤、ミフェプリストン(mifepristone)、ミルテホシン(miltefosine)、ミリモスチ
ム(mirimostim)、ミトラシン(mithracin)、ミトグアゾン(mitoguazone)、ミトラクトール(mitolactol)、マイトマイシン及びその類似体、ミトナフィド(mitonafide)、ミトキサントロン(mitoxantrone)、モファロテン(mofarotene)、モルグラモスチム(molgramostim)、マイカペルオキシドB、ミリアポロン(myriaporone)、N-アセチルジナリン(acetyldinaline)、N-置換ベンズアミド、ナファレリン(nafarelin)、ナグレスチップ(nagrestip)、ナパビン(napavin)、ナフテルピン(naphterpin)、ナルトグラスチム(nartograstim)、ネダプ
ラチン(nedaplatin)、ネモルビシン(nemorubicin)、ネリドロン酸、ニルタミド(nilutamide)、ニサマイシン(nisamycin)、ニトルリン(nitrullyn)、オクトレオチド(octreotide)
、オキセノン(okicenone)、オナプリストン(onapristone)、オンダンセトロン(ondansetron)、オラシン(oracin)、オルマプラチン(ormaplatin)、オキサリプラチン(oxaliplatin)、オキサウノマイシン(oxaunomycin)、パクリタキセル(paclitaxel)及びその類似体、パ
ラウアミン(palauamine)、パルミトイルリゾキシン(palmitoylrhizoxin)、パミドロン酸
、パナキシトリオール(panaxytriol)、パノミフェン(panomifene)、パラバクチン(parabactin)、パゼリプチン(pazelliptine)、ぺグアスパルガーゼ(pegaspargase)、ペルデシン(peldesine)、ポリ硫酸ペントサンナトリウム、ペントスタチン(pentostatin)、ペントロ
ゾール(pentrozole)、パーフルブロン(perflubron)、パーホスファミド(perfosfamide)、フェナジノマイシン(phenazinomycin)、ピシバニル(picibanil)、ピラルビシン(pirarubicin)、ピリトレキシム(piritrexim)、ポドフィロトキシン(podophyllotoxin)、ポルフ
ィロマイシン(porfiromycin)、プリン・ヌクレオシド・ホスホリラーゼ阻害剤、ラルチトレキセド(raltitrexed)、リゾキシン(rhizoxin)、ログレチミド(rogletimide)、ロヒツキン(rohitukine)、ルビギノン(rubiginone)B1、ルボキシル(ruboxyl)、サフィンゴル(safingol)、サイントピン(saintopin)、サルコフィトール(sarcophytol)A、サルグラモスチム(sargramostim)、ソブゾキサン(sobuzoxane)、ソネルミン(sonermin)、スパルホジン酸(sparfosic acid)、スピカマイシン(spicamycin)D、スピロムスチン(spiromustine)、スチ
ピアミド(stipiamide)、スルフィノシン(sulfinosine)、タリムスチン(tallimustine)、
テガフール(tegafur)、テモゾロミド(temozolomide)、テニポシド(teniposide)、タリブ
ラスチン(thaliblastine)、チオコラリン(thiocoraline)、チラパザミン(tirapazamine)
、トポテカン、トプセンチン(topsentin)、トリシリビン(triciribine)、トリメトレキサート(trimetrexate)、ベラミン(veramine)、ビノレルビン(vinorelbine)、ビンキサルチ
ン(vinxaltine)、ボロゾール(vorozole)、ゼニプラチン(zeniplatin)、並びにジラスコルブ(zilascorb)、が挙げられる。
リンカー類
様々なリンカーを用いて、本明細書に記載の抗体、又はその抗体フラグメント(例えば、抗-CD117抗体、又は抗-CD45抗体)を、細胞毒性分子にコンジュゲートさせることがで
きる。
本明細書で使用する用語「リンカー」は、本開示の抗-HC抗体(例えば、抗-CD117抗体、又は抗-CD45抗体)薬物コンジュゲート(ADC)(ADCs;Ab-Z-L-D、ここで、Dは細胞毒素)に
共有結合させる、原子の共有結合又は鎖を含む、二価の化学的な部分構造を意味する。好適なリンカーは2つの反応性末端を有し、一方は抗体にコンジュゲートさせるためであり
、他方は細胞毒素にコンジュゲートさせるためである。抗体とコンジュゲートする前記リンカーの反応性末端(反応性部分構造、Z′)は、典型的には、前記抗体上のシステイン・
チオール又はリジン・アミン基を介して、前記抗体にコンジュゲートさせることができる部位であり、従って、典型的には二重結合のようなチオールとの反応性がある基(例えば
、マレイミドなど)、又はクロロ、ブロモ、ヨード等の脱離基、若しくはR-スルファニル
基、又はカルボキシル基のようなアミンとの反応性がある基である;一方、抗体とコンジュゲートする前記リンカーの反応性末端は、典型的には、細胞毒素上の塩基性アミン基又はカルボキシル基とのアミド結合の形成を介して細胞毒素にコンジュゲートすることができる部位であり、従って、典型的にはカルボキシル基又は塩基性アミン基である。前記用語「リンカー」を、コンジュゲートした形態のリンカーを説明する際に使用する場合、反応性末端の一方又は両方は、前記リンカー及び/又は前記細胞毒素間の、並びに前記リンカー及び/又は前記抗体若しくはその抗原結合フラグメント間の、結合が形成されているので、存在しない(例えば、反応性部分構造Z′、化学的な部分構造Zに変換されている)か、又は反応途中にある(例えば、カルボン酸のカルボニルだけになっている等)。このようなコンジュゲートさせる反応を、本明細書中以下に更に記載する。
いくつかの実施形態では、前記リンカーは、細胞内の条件下で切断可能であり、その結果、前記リンカーの切断によって、細胞内環境において、抗体から薬物ユニットが放出される。更に他の実施形態では、そのリンカー・ユニットは切断可能ではなく、薬物は、例えば、抗体の分解によって、放出される。本発明のADCに有用なリンカーは、好ましくは
細胞外で安定であり、ADC分子が凝集することを防止し、ADCが水溶性の媒体中で及びモノマー状で溶け易いように維持する。細胞内に輸送される又は送達される前には、前記ADC
は、好ましくは安定であり、及びインタクトなままであり、即ち、前記抗体は、前記薬物部分に連結したままである。前記リンカーはターゲット細胞の外部では安定であり、細胞内部ではある有効な速度で切断されることがある。効果的なリンカーは:(i)前記抗体の
特異的な結合特性を維持する;(ii)前記コンジュゲート又は薬物部分が細胞内に送達されることを可能にする;(iii)前記コンジュゲートがそのターゲット部位に送達又は輸送さ
れるまで、安定かつインタクトなままであり、即ち切断されない;及び(iv)前記細胞毒性部分の、細胞毒性、細胞傷害効果又は細胞増殖抑制効果を維持する。前記ADCの安定性を
、質量分析、HPLC、及び分離/解析技術のLC/MS等の標準的な分析技術によって測定する
ことができる。前記抗体及び前記薬物部分の共有結合は、前記リンカーが2つの反応性官
能基を有することを要求する(即ち反応性の意味での二価である)。ペプチド、核酸、薬物、毒素、抗体、ハプテン、及びレポーター基等の2つ以上の機能的又は生物学的に活性
な部分を結合させるのに役立つ二価のリンカー試薬が知られており、それらのコンジュゲートを得る方法については記載されている(Hermanson、GT(1996)Bioconjugate Techniques; Academic Press: New York、p.234-242)。
リンカーとしては、例えば、酵素的加水分解、光分解、酸性条件下での加水分解、塩基性条件下での加水分解、酸化、ジスルフィド還元、求核切断、又は有機金属切断によって切断され得るものが挙げられる(例えば、Leriche et al., Bioorg. Med. Chem., 20:571-582、2012を参照のこと、その開示は共有結合的にコンジュゲートさせることに適したリ
ンカーに関連するものとして、本明細書に参照により取り込まれる)。好適な切断され得
るリンカーとしては、例えば、ヒドラジン、ジスルフィド、チオエーテル又はジペプチドなどの化学的な部分構造が挙げられる。
酸性条件下で加水分解可能なリンカーとしては、例えば、ヒドラゾン類、セミカルバゾン類、チオセミカルバゾン類、シスアコニットアミド類、オルトエステル類、アセタール類、ケタール類等が挙げられる(例えば、米国特許第 5,122,368; 5,824,805; 5,622,929
号; Dubowchik and Walker, 1999, Pharm. Therapeutics 83:67-123; Neville et al., 1989, Biol. Chem. 264:14653-14661、これらの各開示は、共有結合的にコンジュゲート
させることに適したリンカーに関するものとして、その全体が本明細書に参照により取り込まれる)。このようなリンカーは、血中の条件のような中性pHの条件下では比較的安定
であるが、リソソームのおよそのpHであるpH 5.5又は5.0未満では不安定である。
還元条件下で切断可能なリンカーとしては、例えば、ジスルフィドが挙げられる。例えば、SATA(N-スクシンイミジル-S-アセチルチオアセテート)、SPDP(N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート)、SPDB(N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオ)ブチレート)及びSMPT(N-スクシンイミジル-オキシカルボニル-α-メチル-α-(2-ピリジル-ジチオ)トルエン)、SPDB及びSMPT、を使用して形成することができるジスルフィド・リ
ンカーが挙げられる、様々なジスルフィド・リンカーが当該技術分野で知られている(例
えば、Thorpe et al., 1987, Cancer Res. 47:5924-5931; Wawrzynczak et al., In Immunoconjugates: Antibody Conjugates in Radioimagery and Therapy of Cancer (C. W. Vogel ed., Oxford U. Press, 1987を参照のこと。米国特許第4,880,935も参照のこと。これらの各開示は、共有結合的にコンジュゲートさせることに適したリンカーに関するものとして、その全体が本明細書に参照により取り込まれる。
酵素的な加水分解に感受性があるリンカーは、例えば、細胞内ペプチダーゼ又はプロテアーゼ酵素(リソソーム・プロテアーゼ又はエンドソーム・プロテアーゼが挙げられるが
、これらに限定されない)によって切断されるペプチド含有リンカーであることがある。
治療薬剤が細胞内タンパク質分解によって放出されることを利用することの1つの利点は
、前記治療薬剤は、コンジュゲートしている場合、通常は減弱していて、及び前記コンジュゲートの血清安定性は通常は高い、ということである。いくつかの実施形態では、前記ペプチジル・リンカーは、少なくとも2アミノ酸長又は少なくとも3アミノ酸長である。例示的なアミノ酸リンカーとしては、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド又はペンタペプチドが挙げられる。好適なペプチドの例としては、バリン、アラニン、シトルリン(Cit)、フェニルアラニン、リジン、ロイシン、及びグリシン等のアミノ酸を含有するペ
プチドが挙げられる。アミノ酸リンカー成分を含むアミノ酸残基としては、天然に存在するもの、並びにマイナーなアミノ酸及び非-天然に存在するアミノ酸類似体(例えば、シトルリン)が挙げられる。例示的なジペプチドとしては、バリン-シトルリン(vc又はval-cit)及びアラニン-フェニルアラニン(af又はala-phe)が挙げられる。例示的なトリペプチド
としては、グリシン-バリン-シトルリン(gly-val-cit)及びグリシン-グリシン-グリシン(gly-gly-gly)が挙げられる。いくつかの実施形態では、前記リンカーとしては、Val-Cit
、Ala-Val、又はPhe-Lys、Val-Lys、Ala-Lys、Phe-Cit、Leu-Cit、Ile-Cit、Phe-Arg、又はTrp-Citのようなジペプチドが挙げられる。Val-Cit又はPhe-Lys等のジペプチドを含む
リンカーは、例えば、米国特許第6,214,345号に開示されている(この開示は、共有結合
的にコンジュゲートさせることに適したリンカーに関するものとして、その全体が本明細書に参照により取り込まれる)。いくつかの実施形態では、前記リンカーとしては、Val-Ala及びVal-Citより選択されるジペプチドが挙げられる。
本明細書に記載される、抗体、又はその抗体フラグメントを細胞毒性分子にコンジュゲートさせるのに適したリンカーとしては、1,6-脱離過程(「自壊」基)によって、細胞毒素を放出することができるリンカーが挙げられる。この脱離過程を可能にする化学的な部分構造としては、p-アミノベンジル(PAB)基、6-マレイミドヘキサン酸、pH感受性炭酸塩、
及びJain et al., Pharm. Res. 32:3526-3540, 2015(この開示は、共有結合のコンジュ
ゲーションに適したリンカーに関連するので、その全体が本明細書に参照により取り込まれる)に記載される他の試薬など、が挙げられる。
いくつかの実施形態では、前記リンカーとしては、前述のPAB又はPABC(パラ-アミノベ
ンジルオキシカルボニル)等の「自壊」基が挙げられ、これらは、例えば、Carl et al., J. Med. Chem. (1981) 24:479-480; Chakravarty et al (1983) J. Med. Chem. 26:638-644; US 6214345; US20030130189; US20030096743; US6759509; US20040052793; US6218519; US6835807; US6268488; US20040018194; WO98/13059; US20040052793; US6677435; US
5621002; US20040121940; WO2004/032828に開示されている。このプロセスが可能な他の
このような化学的な部分構造(「自壊リンカー」)としては、メチレン・カルバメート類及びヘテロアリール基、例えばアミノチアゾール類、アミノイミダゾール類、アミノピリミジン類などが挙げられる。このような複素環の自壊基を含むリンカーは、例えば、米国特許出願公開20160303254 及び 20150079114、並びに米国特許第7,754,681; Hay et al. (1999) Bioorg. Med. Chem. Lett. 9:2237; US 2005/0256030; de Groot et al (2001) J. Org. Chem. 66:8815-8830; 及び US 7223837に開示されている。いくつかの実施形態では、ジペプチドを、自壊リンカーと併せて使用する。
本明細書での使用に適したリンカーは、C1-C6アルキレン、C1-C6ヘテロアルキレン、C2-C6アルケニレン、C2-C6ヘテロアルケニレン、C2-C6アルキニレン、C2-C6ヘテロアルキニレン、C3-C6シクロアルキレン、ヘテロシクロアルキレン、アリーレン、ヘテロアリーレ
ン、及びそれらの組合せより選択される1つ以上の基を更に含むことがあり、これらの各
々は任意選択的に置換されていることがある。このような基の非-限定的な実施例として
は、(CH2)p、(CH2CH2O)p、及び-(C=O)(CH2)p-ユニットが挙げられ、ここで、pは1~6の整数であり、各々の場合に対して独立に選択される。
好適なリンカーは、溶解性を高める特性を有する基を含むことがある。例えば、(CH2CH2O)pユニット(ポリエチレングリコール、PEG)を含むリンカーは、溶解性を高めることが
できる(例えば、アミノ、スルホン酸、ホスホン酸又はリン酸残基で置換して、アルキル鎖の溶解性を高めることができる)。このような部分構造を含むリンカーは、例えば、米国特許番号8,236,319 及び9,504,756に開示されている(これらの各々の開示は、共有結
合的なコンジュゲーションに適したリンカーに関連するものとして、その全体が本明細書に参照により取り込まれる)。更なる溶解性を高める基としては、例えば、以下の構造を有するアシル及びカルバモイル・スルファミド基が挙げられる:
Figure 2020092655000071
ここで、aは0又は1である;並びに
R10は、水素、C1-C24アルキル基、C3-C24シクロアルキル基、C1-C24(ヘテロ)アリール
基、C1-C24アルキル(ヘテロ)アリール基、及びC1-C24(ヘテロ)アリールアルキル基、C1-C24アルキル基、C3-C24シクロアルキル基、C2-C24(ヘテロ)アリール基、C3-C24アルキル(ヘテロ)アリール基、及びC3-C24(ヘテロ)アリールアルキル基、からなる基より選択され、これらの各々は、O、S、及びNR11R12より選択される1種以上のヘテロ原子によって、任意選択的に置換している、及び/又は任意選択的に割り込まれていることがある、ここで、R11及びR12は、水素及びC1-C4アルキル基からなる群から独立して選択される
;又はR10は細胞毒素である、ここで、前記細胞毒素は、スペーサ部分を介して、Nに任意選択的に結合する。そのような基を含むリンカーは、例えば、米国特許9,636,421号及び
米国特許出願公開第2017/0298145号(これら開示は、細胞毒素及び抗体又はその抗原結合
フラグメントへの共有結合的なコンジュゲーションに適したリンカーに関連するものとして、その全体が本明細書に参照により取り込まれる)に記載されている。
いくつかの実施形態では、前記リンカーは、ヒドラジン、ジスルフィド、チオエーテル、ジペプチド、p-アミノベンジル(PAB)基、複素環自壊基、任意選択的に置換されたC1-C6アルキル、任意選択的に置換されたC1-C6ヘテロアルキル、任意選択的に置換されたC2-C6アルケニル、任意選択的に置換されたC2-C6ヘテロアルケニル、任意選択的に置換されたC2-C6アルキニル、任意選択的に置換されたC2-C6ヘテロアルキニル、任意選択的に置換さ
れたC3-C6シクロアルキル、任意選択的に置換されたヘテロシクロアルキル、任意選択的
に置換されたアリール、任意選択的に置換されたヘテロアリール、溶解性増強基、アシル、-(C=O)-、又は-(CH2CH2O)p-基のうちの1つ以上を含むことがある、ここで、pは1~6の
整数である。当業者の中のある者は、列挙した基の1つ以上が、二価(ジラジカル)種(例えば、C1-C6アルキレン等)の形態で存在し得ることを認識する。
いくつかの実施形態では、前記リンカーLは、部分*-L1L2-**を含む、ここで:
L1は、存在しない、又は-(CH2)mNR13C(=O)-, -(CH2)mNR13-, -(CH2)mX3(CH2)m-,
Figure 2020092655000072
である;
L2は、存在しない、又は-(CH2)m-, -NR13(CH2)m-, -(CH2)mNR13C(=O)(CH2)m-, -X4, -(CH2)mNR13C(=O)X4, - (CH2)mNR13C(=O)-, -((CH2)mO)n(CH2)m-, -((CH2)mO)n(CH2)mX3(CH2)m-, - NR13((CH2)mO)nX3(CH2)m-, -NR13((CH2)mO)n(CH2)mX3(CH2)m-, -X1X2C(=O)(CH2)m-, - (CH2)m(O(CH2)m)n-, -(CH2)mNR13(CH2)m-, -(CH2)mNR13C(=O)(CH2)mX3(CH2)m-, - (CH2)mC(=O)NR13(CH2)mNR13C(=O)(CH2)m-, -(CH2)mC(=O)-, - (CH2)mNR13(CH2)mC(=O)X2X1C(=O)-, -(CH2)mX3(CH2)mC(=O)X2X1C(=O)-, - (CH2)mC(=O)NR13(CH2)m-, -(CH2)mC(=O)NR13(CH2)mX3(CH2)m-, -(CH2)mX3(CH2)mNR13C(=O)(CH2)m-, -(CH2)mX3(CH2)mC(=O)NR13(CH2)m-, - (CH2)mO)n(CH2)mNR13C(=O)(CH2)m-, -(CH2)mC(=O)NR13(CH2)m(O(CH2)m)n-, - (CH2)m(O(CH2)m)nC(=O)-, -(CH2)mNR13(CH2)mC(=O)-, -(CH2)mC(=O)NR13(CH2)mNR13C(=O)-, -(CH2)m(O(CH2)m)nX3(CH2)m-, - (CH2)mX3((CH2)mO)n(CH2)m-, -(CH2)mX3(CH2)mC(=O)-, - (CH2)mC(=O)NR13(CH2)mO)n(CH2)mX3(CH2)m-, - (CH2)mX3(CH2)m(O(CH2)m)nNR13C(=O)(CH2)m-, -(CH2)mX3(CH2)m(O(CH2)m)nC(=O)-, -(CH2)mX3(CH2)m(O(CH2)m)n-, -(CH2)mC(=O)NR13(CH2)mC(=O)-, -(CH2)mC(=O)NR13(CH2)m(O(CH2)m)nC(=O)-, -((CH2)mO)n(CH2)mNR13C(=O)(CH2)m-, -(CH2)mC(=O)NR13(CH2)mC(=O)NR13(CH2)m-, -(CH2)mNR13C(=O)(CH2)mNR13C(=O)(CH2) -(CH2)mX3(CH2)mC(=O)NR13-, -(CH2)mC(=O)NR13-, -(CH2)mX3-, -C(R13)2(CH2)m-, -(CH2)mC(R13)2NR13-, -(CH2)mC(=O)NR13(CH2)mNR13-, - (CH2)mC(=O)NR13(CH2)mNR13C(=O)NR13-, -(CH2)mC(=O)X2X1C(=O)-, - C(R13)2(CH2)mNR13C(=O)(CH2)m-, -(CH2)mC(=O)NR13(CH2)mC(R13)2NR13-, - C(R13)2(CH2)mX3(CH2)m-, -(CH2)mX3(CH2)mC(R13)2NR13-, -C(R13)2(CH2)mOC(=O)NR13(CH2)m-, -(CH2)mNR13C(=O)O(CH2)mC(R13)2NR13-, -(CH2)mX3(CH2)mNR13-, -(CH2)mX3(CH2)m(O(CH2)m)nNR13-, -(CH2)mNR13-, -(CH2)mC(=O)NR13(CH2)m(O(CH2)m)nNR13-, -(CH2)m(O(CH2)m)nNR13-, -(CH2CH2O)n(CH2)m-, -(CH2)m(OCH2CH2)n;-(CH2)mO(CH2)m-, -(CH2)mS(=O)2-, - (CH2)mC(=O)NR13(CH2)mS(=O)2-, -(CH2)mX3(CH2)mS(=O)2-, -(CH2)mX2X1C(=O)-, -(CH2)m(O(CH2)m)nC(=O)X2X1C(=O)-, -(CH2)m(O(CH2)m)nX2X1C(=O)-, - (CH2)mX3(CH2)mX2X1C(=O)-, -(CH2)mX3(CH2)m(O(CH2)m)nX2X1C(=O)-, -
(CH2)mX3(CH2)mC(=O)NR13(CH2)mNR13C(=O)-, -(CH2)mX3(CH2)mC(=O)NR13(CH2)mC(=O)-, -(CH2)mX3(CH2)mC(=O)NR13(CH2)m(O(CH2)m)nC(=O)-, -(CH2)mC(=O)X2X1C(=O)NR13(CH2)m-, -(CH2)mX3(O(CH2)m)nC(=O)-, -(CH2)mNR13C(=O)((CH2)mO)n(CH2)m-, -(CH2)m(O(CH2)m)nC(=O)NR13(CH2)m-, -(CH2)mNR13C(=O)NR13(CH2)m- 若しくは -(CH2)mX3(CH2)mNR13C(=O)-である;
ここで、
X1は、
Figure 2020092655000073
である;
X2は、
Figure 2020092655000074
である;
X3は。
Figure 2020092655000075
である;及び
X4は、
Figure 2020092655000076
である;
ここで
R13は、H及びC1-C6アルキルから、それぞれの場合に独立して選択される;
mは、1、2、3、4、5、6、7、8、9及び10から、それぞれの場合に独立して選択される;
nは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13及び14から、それぞれの場合に独立して選択される;
並びに、
ここで、1個のアステリスク(*)は、細胞毒素(例えば、アマトキシン)に結合する位置を示す、及び2個のアステリスク(**)は、反応性置換基Z'又は化学的な部分構造Zに結合する位置を示す(但し、L1及びL2の両方ともが存在しない、ということはない、という条件付き)。
いくつかの実施形態では、前記リンカーは、p-アミノベンジル基(PAB)を含む。ある実
施形態では、前記p-アミノベンジル基は、細胞毒性薬物とリンカー中のプロテアーゼ切断部位との間に配置される。ある実施形態では、前記p-アミノベンジル基は、p-アミノベンジルオキシカルボニル・ユニットの一部である。ある実施形態では、p-アミノベンジル基は、p-アミノベンジルアミド・ユニットの一部である。
いくつかの実施形態では、前記リンカーは、PAB、Val-Cit-PAB、Val-Ala-PAB、Val-Lys(Ac)-PAB、Phe-Lys-PAB、Phe-Lys(Ac)-PAB、D-Val-Leu-Lys、Gly-Gly-Arg、Ala-Ala-Asn-PAB、又はAla-PAB、を含む。
いくつかの実施形態では、前記リンカーは、ペプチド、オリゴ糖、-(CH2)p-、-(CH2CH2O)p-、PAB、Val-Cit-PAB、Val-Ala-PAB、Val-Lys(Ac)-PAB、Phe-Lys-PAB、Phe-Lys(Ac)-PAB、D-Val-Leu-Lys、Gly-Gly-Arg、Ala-Ala-Asn-PAB、又はAla-PABのうちの1種以上の組
み合わせを含む。
いくつかの実施形態では、前記リンカーは、-(C=O)(CH2)p-ユニットを含み、ここで、pは1~6の整数である。
いくつかの実施形態では、前記リンカーは、-(CH2)n-ユニットを含む、ここで、nは2~6の整数である。
ある特定の実施形態では、前記ADCのリンカーは、マレイミドカプロイル-Val-Ala-パラ-アミノベンジル(mc-Val-Ala-PAB)である。
ある特定の実施形態では、前記ADCのリンカーは、マレイミドカプロイル-Val-Cit-パラ-アミノベンジル(mc-vc-PAB)である。
いくつかの実施形態では、前記リンカーは、
Figure 2020092655000077
を含む。
いくつかの実施形態では、前記リンカーは、MCC(4-[N-マレイミドメチル]シクロヘキサン-1-カルボキシレート)を含む。
ある特定の実施形態では、前記リンカーは、以下の構造を含む、
Figure 2020092655000078
ここで、波線は、細胞毒素及び反応性部分構造Z'に結合する位置を示す。
別の具体的な実施形態では、前記リンカーは、以下の構造を含む、
Figure 2020092655000079

ここで、波線は、細胞毒素及び反応性部分構造Z'に結合する位置を示す。このようなPAB-ジペプチド-プロピオニル・リンカーは、例えば、特許出願公開第2017/149077号に開示されている(これは、その全体が本明細書に参照により取り込まれる)。更に、WO2017/149077に開示された細胞毒素は、本明細書に参照により取り込まれる。抗体、又はその抗
原結合フラグメントを細胞毒性薬物にコンジュゲートさせるために使用することができるリンカーとしては、前記リンカーの一方の末端で前記細胞毒性薬物に共有結合し、及び前記リンカーの他方の末端で、前記リンカー上に存在する反応性置換基と、例えば、CD117
に結合する抗体、又はその抗原結合フラグメント内に存在する反応性置換基との間のカップリング反応から形成される化学的な部分構造を含む、リンカーが挙げられる。例えば、CD117に結合する、抗体、又はその抗原結合フラグメント内に存在し得る反応性置換基と
しては、限定されるものではないが、セリン、スレオニン、及びチロシン残基のヒドロキシル部分;リジン残基のアミノ部分;アスパラギン酸及びグルタミン酸残基のカルボキシル部分;並びにシステイン残基のチオール部分、並びに、非-天然アミノ酸のプロパルギ
ル、アジド、ハロアリール(例えば、フルオロアリール)、ハロヘテロアリール(例えば、
フルオロヘテロアリール)、ハロアルキル、及びハロヘテロアルキル部分が挙げられる。
薬物-抗体コンジュゲートの合成に有用なリンカーの例としては、抗体又は抗原結合フ
ラグメント内に存在する求核置換基(例えば、アミン及びチオール部分)との反応に適した、求電子剤(とりわけ、マイケル・アクセプター[例えば、マレイミド]、活性化エステル、電子欠損カルボニル化合物、及びアルデヒド等)を含むリンカーが挙げられる。例えば、薬物-抗体コンジュゲートの合成に適したリンカーとしては、限定されるものではな
いが、特に、スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-L-カルボキシレート(SMCC)、N-スクシンイミジル・ヨードアセテート(SIA)、スルホ-SMCC、m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミジル・エステル(MBS)、スルホ-MBS、及びスクシンイミジル・ヨードアセテートが挙げられ、例えば、Liu et al., 18:690-697, 1979に記載されている(その開示内容は化学的にコンジュゲートさせるためのリンカーに関するものとして、本明細書に参照により取り込まれる)。更なるリンカーとしては、非-切断性マ
レイミドカプロイル・リンカーが挙げられ、これは微小管破壊剤(例えば、アウリスタチ
ン類)をコンジュゲートさせることに特に有用であり、Doronina et al., Bioconjugate Chem. 17:14-24, 2006に記載されており、その開示内容は化学的にコンジュゲートさせる
ためのリンカーに関するものとして、本明細書に参照により取り込まれる。
本明細書で開示する化学基、部分及び特徴の何れか1つ以上を、多様な方法で組み合わ
せて、本明細書で開示するような抗体と細胞毒素とをコンジュゲートさせることに対して有用なリンカーを形成し得ることは、当業者のある者によって認識されるだろう。本明細書に記載する組成物及び方法と併せることにおいて有用な更なるリンカーは、例えば、米国特許出願公開第2015/0218220号に記載されており、その開示内容は、その全体が本明細書に参照により取り込まれる。
ある特定の実施形態では、リンカーの前駆物質である中間体を、好適な条件下で薬物部分と反応させる。ある特定の実施形態では、反応性基を、前記薬物及び/又は前記中間体若しくはリンカー上で使用する。前記薬物と前記中間体との間の反応の生成物、又は誘導体化した薬物を、その後、好適な条件下で、抗体又は抗原結合フラグメントと反応させる。あるいは、前記リンカー又は中間体を、最初に前記抗体又は誘導体化した抗体と反応させ、次いで前記薬物又は誘導体化した薬物と反応させてもよい。このようなコンジュゲーション反応を、ここで、より完全に記載する。
前記抗体又はその抗原結合フラグメントに、リンカー又は薬物-リンカー・コンジュゲ
ートを共有結合させるために、多くの様々な反応を利用することができる。前記抗体分子上の好適な結合の位置としては、リジンのアミン基、グルタミン酸及びアスパラギン酸の遊離カルボン酸基、システインのスルフヒドリル基、及び芳香族アミノ酸の種々の部分が挙げられる。例えば、化合物上のカルボキシ(又はアミノ)基を抗体部分上のアミノ(又は
カルボキシ)基に連結するために、非特異的な共有結合を、カルボジイミド反応を用いて
行うことがある。更に、化合物上のアミノ基を抗体部分上のアミノ基に結合させるために、ジアルデヒド又はイミドエステルなどの二官能基性の薬剤を使用することもある。薬物を結合剤に結合させることには、シッフ塩基反応を利用することも可能である。この方法は、グリコール又は水酸基を含有する薬物を過ヨウ素酸酸化させることを含み、このようにしてアルデヒドを形成させ、次いでこれを結合剤と反応させる。結合は、前記結合剤のアミノ基とのシッフ塩基の形成を介して起こる。イソチオシアネートを、薬物を結合剤に共有結合させるためのカップリング剤として使用することもある。他の技術は当業者に知られており、本発明の範囲内である。
本明細書に記載する場合、抗体又は抗原結合フラグメントへのコンジュゲーションに有用なリンカーとしては、限定されるものではないが、以下の表2に示すような、カップリング反応によって形成される化学的な部分構造Zを含むリンカーが挙げられる。曲線は、
それぞれ、抗体又は抗原結合フラグメント、及び細胞毒性分子に結合する位置を示す。
Figure 2020092655000080
Figure 2020092655000081
Figure 2020092655000082
Figure 2020092655000083
当業者の中のある者は、前記リンカーに結合した反応性置換基Z'及び前記抗体又はその抗原結合フラグメント上の反応性置換基が、化学的な部分構造Zを生成する共有結合カッ
プリング反応に関与するものであることを認識し、前記反応性部分構造Z'を認識する。従って、本明細書に記載の方法と併せることにおいて有用な抗体-薬物コンジュゲートは、
抗体、又はその抗原結合フラグメントが、リンカー又は細胞毒素-リンカー・コンジュゲ
ートと反応することによって形成されることがあり、本明細書に記載するように、前記リンカー又は細胞毒素-リンカー・コンジュゲートは反応性置換基Z'等を含み、抗体、又は
その抗原結合フラグメント上の反応性置換基との反応に適していて、化学的な部分構造Z
を形成する。
表2に示されるように、前記リンカー及び抗体、又はその抗原結合フラグメント上の好適な反応性置換基の例としては、求核/求電子対(例えば、チオール/ハロアルキル対、
アミン/カルボニル対、又はチオール/α, β-不飽和カルボニル対等)、ジエン/ジエノフィル対(例えば、とりわけ、アジド/アルキン対、又はジエン/α,β-不飽和カルボニ
ル対)等が挙げられる。化学的な部分構造Zを形成するための反応性置換基間のカップリング反応としては、限定されるものではないが、チオール・アルキル化、ヒドロキシル・アルキル化、アミン・アルキル化、アミン又はヒドロキシルアミン縮合、ヒドラジン形成、アミド化、エステル化、ジスルフィド形成、環化付加(例えば、とりわけ、[4+2]Diels-Alder環化付加、[3+2]Huisgen環化付加)、芳香族求核置換、芳香族求電子置換、及び当該技術分野で知られているか又は本明細書に記載されている他の反応様式が挙げられる。好ましくは、前記リンカーは、前記抗体、又はその抗原結合フラグメント上の求核性官能基との反応のための求電子性官能基を含む。
いくつかの実施形態では、Z'は、-NR13C(=O)CH=CH2, -N3, -SH, -S(=O)2(CH=CH2), -(C
H2)2S(=O)2(CH=CH2), -NR13S(=O)2(CH=CH2), -NR13C(=O)CH2R14, -NR13C(=O)CH2Br, -NR13C(=O)CH2I, -NHC(=O)CH2Br, -NHC(=O)CH2I, -ONH2, -C(O)NHNH2, -CO2H, -NH2, -NH(C=O), -NC(=S),
Figure 2020092655000084
Figure 2020092655000085
である;
ここで、
R13は、H及びC1-C6アルキルから、それぞれの場合に独立して選択される;
R14は、-S(CH2)nCHR15NHC(=O)R13である;
R15は、R13又は-C(=O)OR13である;
R16は、H、C1-C6アルキル、F、Cl、及びOHから、それぞれの場合に独立して選択される;
R17は、H、C1-C6アルキル、F、Cl 、-NH2、-OCH3、-OCH2CH3、-N(CH3)2、-CN、-NO2 及び-OHから、それぞれの場合に独立して選択される;並びに、
R18は、H、C1-C6アルキル、F、-C(=O)OHで置換されたベンジルオキシ、-C(=O)OHで置換されたベンジル、-C(=O)OHで置換されたC1-C4アルコキシ基、及び-C(=O)OHで置換されたC1-C4アルキル基から、それぞれの場合に独立して選択される。
本明細書に開示するように、抗体、又はその抗原結合フラグメント内に存在し得る反応性置換基としては、限定されるものではないが、(i)N-末端アミン基、(ii)側鎖アミン基(例えば、リジン)、(iii)側鎖チオール基(例えば、システイン)、及び(iv)糖水酸基又はアミノ基(ここで、前記抗体はグリコシル化されている)、のような求核基が挙げられる。本
明細書に開示するように、抗体、又はその抗原結合フラグメント内に存在し得る反応性置換基としては、限定されるものではないが、セリン、スレオニン、及びチロシン残基のヒドロキシル部分;リジン残基のアミノ部分;アスパラギン酸及びグルタミン酸残基のカルボキシル部分;並びにシステイン残基のチオール部分、並びに、非-天然アミノ酸のプロ
パルギル、アジド、ハロアリール(例えば、フルオロアリール)、ハロヘテロアリール(例
えば、フルオロヘテロアリール)、ハロアルキル、及びハロヘテロアルキル部分が挙げら
れる。いくつかの実施形態では、本明細書に開示するように、抗体、又はその抗原結合フラグメント内に存在する反応性置換基としては、アミン又はチオール部分が挙げられる。ある特定の抗体は、還元可能な鎖間ジスルフィド(即ち、システイン架橋)を有する。抗体は、DTT(ジチオトレイトール)等の還元剤で処理することによって、リンカー試薬とコ
ンジュゲートさせるために、反応性にすることができる。従って、各システイン架橋は、理論的には、2つの反応性チオール求核基を形成する。リジンと2-イミノチオラン(トラウト試薬)との反応によって、更なる求核基を抗体中に導入して、アミンをチオールに転化
させることができる。1個、2個、3個、4個、又はそれ以上のシステイン残基を導入することによって(例えば、1個以上の元々は無かったシステイン・アミノ酸残基を含む変異抗体を調製することによって)、反応性チオール基を、抗体(又はそのフラグメント)に導入す
ることがある。米国特許第7,521,541号は、反応性システイン・アミノ酸を導入すること
による工学的に操作した抗体を教示している。
いくつかの実施形態では、前記リンカーに結合した反応性部分構造Z'は、抗体上に存在する求電子基と反応性である求核基である。抗体上の有用な求電子基としてはアルデヒド及びケトンのカルボニル基が挙げられるが、これらに限定されない。求核基のヘテロ原子は、抗体上の求電子基と反応し、前記抗体と共有結合を形成することがある。有用な求核基としては、ヒドラジド、オキシム、アミノ、ヒドロキシル、ヒドラジン、チオセミカルバゾン、ヒドラジン・カルボキシレート、及びアリールヒドラジドが挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態では、Zは、抗体、又はその抗原結合フラグメント内に存在する反
応性求核置換基(例えば、アミン及びチオール部分)、及び反応性求電子置換基Z'との間の反応の生成物である。例えば、Z'は、特に、マイケル・アクセプター(例えば、マレイミ
ド)、活性化エステル、電子欠損カルボニル化合物、及びアルデヒドであることがある。
例えば、ADCの合成に好適なリンカーとしては、限定されるものではないが、マレイミ
ド又はハロアルキル基などの反応性置換基Z'が挙げられる。これらは、試薬(例えば、特に、スクシンイミジル4-(N-マレイミドメチル)-シクロヘキサン-L-カルボキシレート(SMCC)、N-スクシンイミジル・ヨードアセテート(SIA)、スルホ-SMCC、m-マレイミドベンゾイル-N-ヒドロキシスクシンイミジル・エステル(MBS)、スルホ-MBS、及びスクシンイミジル・ヨードアセテート、等であり、例えば、Liu et al., 18:690-697, 1979に記載されている[この開示は、化学的にコンジュゲートさせるためのリンカーに関するものとして、本明細書に参照により取り込まれる])によって、前記リンカーに結合することがある。
いくつかの実施形態では、リンカーLに結合した反応性置換基Z'は、マレイミド、アジ
ド、又はアルキンである。マレイミド含有リンカーの例は、非-切断性マレイミドカプロ
イル-ベースのリンカーであり、これは、アウリスタチン類などの微小管破壊剤をコンジ
ュゲートするのに特に有用である。このようなリンカーはDoronina et al., Bioconjugate Chem. 17:14-24, 2006に記載されている(この開示は、化学的にコンジュゲートさせるためのリンカーに関するものとして、本明細書に参照により取り込まれる)。
いくつかの実施形態では、反応性置換基Z'は-(C=O)-又は-NH(C=O)-であり、その結果、前記リンカーは、それぞれ、-(C=O)-又は-NH(C=O)-基と抗体又はその抗原結合フラグメン
トのアミノ基との反応から生じるアミド又は尿素の部分構造によって、前記抗体、又はその抗原結合フラグメントに結合することがある。
いくつかの実施形態では、前記反応性置換基は、N-マレイミジル基、ハロゲン化N-アルキルアミド基、スルホニルオキシN-アルキルアミド基、カーボネート基、ハロゲン化スルホニル基、チオール基又はその誘導体、内部に炭素-炭素の三重結合を含むアルキニル基
、(ヘテロ)シクロアルキニル基、ビシクロ[6.1.0]ノン-4-イン-9-イル基(bicyclo[6.1.0]non-4-yn-9-yl group)、内部に炭素-炭素の二重結合を含むアルケニル基、シクロア
ルケニル基、テトラジニル基、アジド基、ホスフィン基、ニトリル・オキシド基、ニトロン基、ニトリル・イミン基、ジアゾ基、ケトン基、(O-アルキル)ヒドロキシルアミノ基、ヒドラジン基、ハロゲン化N-マレイミジル基、1,1-ビス(スルホニルメチル)メチルカルボニル基又はその脱離誘導体、ハロゲン化カルボニル基、又はアレンアミド基であり、これらはそれぞれ任意に置換されていることがある。いくつかの実施形態では、前記反応性置換基は、シクロアルケン基、シクロアルキン基、又は任意選択的に置換された(ヘテロ)シクロアルキニル基を含む。
前記抗体又はその抗原結合フラグメント上の反応性残基との反応に適した反応性置換基Z'を含むアマトキシン-リンカー・コンジュゲートの非-限定的な例としては、限定されるものではないが、以下が挙げられる、7'C-(4-(6-(マレイミド)ヘキサノイル)ピペラジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(6-(マレイミド)ヘキサンアミド)ピペリジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(6-(6-(マレイミド)ヘキサンアミド)ヘキサノイル)ピペラジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(4-((マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボニル)ピペラ
ジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(6-(4-((マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)ヘキサノイル)ピペラジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(2-(6-(マレイミド)ヘキサンアミド)エチル)ピペリジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(2-(6-(6-(マレイミド)ヘキサンアミド)ヘキサンアミド)エチル)ピペリジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(2-(4-((マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)エチル)ピペリジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(2-(6-(4-((マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)ヘキサンアミド)エチル)ピペリジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(2-(3-カルボキシプロパンアミド)エチル)ピペリジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(2-(2-ブロモアセトアミド)エチル)ピペリジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(2-(3-(ピリジン-2-イルジスルファニル)プロパンアミド)エチル)ピペリジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(2-(4-(マレイミド)ブタンアミド)エチル)ピペリジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(2-(マレイ
ミド)アセチル)ピペラジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(3-(マレイミド)プロパノイ
ル)ピペラジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(4-(マレイミド)ブタノイル)ピペラジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(2-(6-(4-((マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)ヘキサンアミド)エチル)ピペリジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(3-((6-(マレイミド)ヘキサンアミド)メチル)ピロリジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(3-((6-(6-(マレ
イミド)ヘキサンアミド)ヘキサンアミド)メチル)ピロリジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(3-((4-((マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)メチル)ピロリジン-1-イ
ル)-アマトキシン;7'C-(3-((6-((4-(マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)ヘキサンアミド)メチル)ピロリジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(2-(6-(2-(アミノ
オキシ)アセトアミド)ヘキサンアミド)エチル)ピペリジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(2-(4-(2-(アミノオキシ)アセトアミド)ブタンアミド)エチル)ピペリジン-1-イル)-ア
マトキシン;7'C-(4-(4-(2-(アミノオキシ)アセトアミド)ブタノイル)ピペラジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(6-(2-(アミノオキシ)アセトアミド)ヘキサノイル)ピペラジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-((4-(6-(マレイミド)ヘキサンアミド)ピペリジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(2-(6-(マレイミド)ヘキサンアミド)エチル)ピペリジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(6-(マレイミド)ヘキサノイル)ピペラジン-1-イ
ル)メチル)-アマトキシン;(R)-7'C-((3-((6-(マレイミド)ヘキサンアミド)メチル)ピロ
リジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;(S)-7'C-((3-((6-(マレイミド)ヘキサンアミド)
メチル)ピロリジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(2-(6-(6-(マレイミド)ヘキサンアミド)ヘキサンアミド)エチル)ピペリジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(2-(4-((マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)エチル)ピペリジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(2-(6-(4-((マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)ヘキサンアミド)エチル)ピペリジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;
7'C-((4-(2-(6-(マレイミド)ヘキサンアミド)エチル)ピペラジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(2-(6-(6-(マレイミド)ヘキサンアミド)ヘキサンアミド)エチル)ピペラジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(2-(4-((マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)エチル)ピペラジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(2-(6-(4-((マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)ヘキサンアミド)エチル)ピペラジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((3-((6-(6-(マレイミド)ヘキサンアミド)ヘキサンアミド)-S-メチル)ピロリジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((3-((6-(6-(マレ
イミド)ヘキサンアミド)ヘキサンアミド)-R-メチル)ピロリジン-1-イル)メチル)-アマト
キシン;7'C-((3-((4-((マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)-S-メチル)
ピロリジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((3-((4-((マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)-R-メチル)ピロリジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((3-((6-(4-((マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)ヘキサンアミド)メチル)ピ
ロリジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(2-(3-カルボキシプロパンアミド)エ
チル)ピペラジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(6-(6-(マレイミド)ヘキサン
アミド)ヘキサノイル)ピペラジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(6-(4-((マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)ヘキサノイル)ピペラジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(2-(マレイミド)アセチル)ピペラジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(3-(マレイミド)プロパノイル)ピペラジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(4-(マレイミド)ブタノイル)ピペラジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(2-(2-(マレイミド)アセトアミド)エチル)ピペリジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(2-(4-(マレイミド)ブタンアミド)エチル)ピペリジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(2-(6-(4-((マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)ヘキサンアミド)エチル)ピペリジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((3-((6-(マレイミ
ド)ヘキサンアミド)メチル)アゼチジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((3-(2-(6-(マレイミド)ヘキサンアミド)エチル)アゼチジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((3-((4-((マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)メチル)アゼチジン-1-イル)
メチル)-アマトキシン;7'C-((3-(2-(4-((マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)エチル)アゼチジン-1イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((3-(2-(6-(4-((マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)ヘキサンアミド)エチル)アゼチジン-1-イル)メ
チル)-アマトキシン;7'C-(((2-(6-(マレイミド)-N-メチルヘキサンアミド)エチル)(メチル)アミノ)メチル)-アマトキシン;7'C-(((4-(6-(マレイミド)-N-メチルヘキサンアミド)ブチル(メチル)アミノ)メチル)-アマトキシン;7'C-((2-(2-(6-(マレイミド)ヘキサンア
ミド)エチル)アジリジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((2-(2-(6-(4-((マレイミ
ド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)ヘキサンアミド)エチル)アジリジン-1-イル)
メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(6-(6-(2-(アミノオキシ)アセトアミド)ヘキサンアミド)ヘキサノイル)ピペラジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(1-(アミノオキシ)-2-オクソ-6,9,12,15-テトラオキサ-3-アザヘプタデカン-17-オイル)ピペラジン-1-イル)
メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(2-(2-(アミノオキシ)アセトアミド)アセチル)ピペラジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(3-(2-(アミノオキシ)アセトアミド)プロパ
ノイル)ピペラジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(4-(2-(アミノオキシ)アセ
トアミド)ブタノイル)ピペラジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(2-(6-(2-(アミノオキシ)アセトアミド)ヘキサンアミド)エチル)ピペリジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(2-(2-(2-(アミノオキシ)アセトアミド)アセトアミド)エチル)ピペリジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(2-(4-(2-(アミノオキシ)アセトアミド)ブタン
アミド)エチル)ピペリジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(20-(アミノオキシ)-4,19-ジオクソ-6,9,12,15-テトラオキサ-3,18-ジアザイコシル)ピペリジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-(((2-(6-(2-(アミノオキシ)アセトアミド)-N-メチルヘキサンア
ミド)エチル)(メチル)アミノ)メチル)-アマトキシン;7'C-(((4-(6-(2-(アミノオキシ)アセトアミド)-N-メチルヘキサンアミド)ブチル)(メチル)アミノ)メチル)-アマトキシン;7'C-((3-((6-(4-((マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)ヘキサンアミド)メチル)ピロリジン-1-イル)-S-メチル)-アマトキシン;
7'C-((3-((6-(4-((マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)ヘキサンアミド)-R-メチル)ピロリジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(2-(2-ブロモアセトアミ
ド)エチル)ピペラジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(2-(2-ブロモアセトアミド)エチル)ピペリジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;7'C-((4-(2-(3-(ピリジン-2-イルジスルファニル)プロパンアミド)エチル)ピペリジン-1-イル)メチル)-アマトキシン;6'O-(6-(6-(マレイミド)ヘキサンアミド)ヘキシル)-アマトキシン;6'O-(5-(4-((マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)ペンチル)-アマトキシン;6'O-(2-((6-(マレイ
ミド)ヘキシル)オキシ)-2-オキソエチル)-アマトキシン;6'O-((6-(マレイミド)ヘキシル)カルバモイル)-アマトキシン;6'O-((6-(4-((マレイミド)メチル)シクロヘキサンカルボキサミド)ヘキシル)カルバモイル)-アマトキシン;6'O-(6-(2-ブロモアセトアミド)ヘキ
シル)-アマトキシン;7'C-(4-(6-(アジド)ヘキサンアミド)ピペリジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(へクス-5-イノイルアミノ)ピペリジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(2-(6-(マレイミド)ヘキサンアミド)エチル)ピペラジン-1-イル)-アマトキシン;7'C-(4-(2-(6-(6-(マレイミド)ヘキサンアミド)ヘキサンアミド)エチル)ピペラジン-1-イル)-アマ
トキシン;6'O-(6-(6-(11,12-ジデヒドロ-5,6-ジヒドロ-ジベンズ[b,f]アゾシン-5-イル)-6-オクソヘキサンアミド)ヘキシル)-アマトキシン;6'O-(6-(へクス-5-イノイルアミノ)ヘキシル)-アマトキシン;6'O-(6-(2-(アミノオキシ)アセチルアミド)ヘキシル)-アマト
キシン;6'O-((6-アミノオキシ)ヘキシル)-アマトキシン;及び6'O-(6-(2-イオドアセト
アミド)ヘキシル)-アマトキシン。
当業者のある者は、前記抗体又はその抗原結合フラグメントとコンジュゲートさせる前に、Z'基としてマレイミドを含むものとして、リンカー‐反応性置換基の構造を認識する。本明細書に記載する組成物及び方法と併せることにおいて、とりわけ有用な、上記のリンカーの部分構造及びアマトキシン-リンカー・コンジュゲートは、例えば、米国特許出
願公開第2015/0218220号及び特許出願公開第WO2017/149077号に記載され、これらの各々
の開示内容は、その全体が本明細書に参照により取り込まれる。
いくつかの実施形態では、抗体又はその抗原結合フラグメントとコンジュゲーションさせる前のリンカー-反応性置換基の構造L-Z'は、以下である:
Figure 2020092655000086
いくつかの実施形態では、本明細書で開示するアマトキシンを、以下の式を有するリンカー-反応性部分構造-L-Z'にコンジュゲートする:
Figure 2020092655000087
いくつかの実施形態では、本明細書で開示するアマトキシンを、以下の式を有するリンカー-反応性部分構造-L-Z'にコンジュゲートする:
Figure 2020092655000088
いくつかの実施形態では、前記ADCは、リンカー及び化学的な部分構造Zを介して、本明細書に開示される式III、IIIA、又はIIIBの何れかのアマトキシンに結合した抗-CD117抗
体、を含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、ヒドラジン、ジスルフィド、チオエーテル、又はジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、Val-Ala及びVal-Citから選択されるジペプチドを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、パラ-アミノベンジル基(PAB)を含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、部分構造PAB-Cit-Valを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、部分構造PAB-Ala-Valを含む。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、-((C=O)(CH2)n-ユニットを含む、ここで、nは、1から6の整数である。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、-PAB-Cit-Val-((C=O)(CH2)n-である。
いくつかの実施形態では、前記リンカーは、-(CH2)n-ユニットを含む。ここで、nは2から6の整数である。いくつかの実施形態では、前記リンカーは-PAB-Cit-Val-((C=O)(CH2)n-である。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、-PAB-Ala-Val-((C=O)(CH2)n-であ
る。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、-(CH2)n-である。いくつかの実施形態では、前記リンカーは、-((CH2)n-である、ここで、nは6である。
いくつかの実施形態では、前記化学的な部分構造Zは、表2から選択される。いくつか
の実施形態では、前記化学的な部分構造Zは
Figure 2020092655000089
である、
ここで、Sは、ターゲット抗原に結合する抗体、又はその抗原結合フラグメント内に存
在する反応性置換基を表す硫黄原子である(例えば、システイン残基の-SH基に由来する)
いくつかの実施形態では、前記リンカー及び前記化学的な部分構造Zは、一緒にL-Zとして、
Figure 2020092655000090
である。
抗体-薬物コンジュゲートの調製
本明細書に開示する式IのADCにおいて、抗-HC抗体(例えば、抗-CD117抗体、若しくは
抗-CD45抗体)又はその抗原結合フラグメントは、本明細書に開示するリンカーL及び化学的な部分構造Zを介して、1個以上の細胞毒性薬物部分(D)(例えば、1抗体あたり約1~約20個の薬物部分)にコンジュゲートしている。本開示のADCは、以下を含む、当業者に公知の有機化学反応、条件、及び試薬を使用するいくつかの経路によって調製され得る:(1)抗
体、又はその抗原結合フラグメントの反応性置換基を、2価リンカー試薬と反応させて、
本明細書中上記のようなAb-Z-Lを形成させる、続いて、薬物部分Dと反応させる;又は、(2)薬物部分の反応性置換基を、2価リンカー試薬と反応させて、D-L-Z'を形成させる、続
いて、本明細書中上記のような抗体又はその抗原結合フラグメントの反応性置換基と反応させて、式D-L-Z-AbのADC(例えば、Am-Z-L-Ab)を形成させる。ADCを調製するための更
なる方法は、本明細書に記載される。
別の態様において、前記抗-HC抗体(例えば、抗-CD117抗体、若しくは抗-CD45抗体)又はその抗原結合フラグメントは、1つ以上のスルフヒドリル基を導入するために化学的に
修飾され得る1つ以上のリジン残基を有する。次いで、前記ADCを、本明細書中上記に記載するように、スルフヒドリル基の硫黄原子を介してコンジュゲートすることによって形成する。リジンを修飾するために使用することができる試薬としては、限定されるものではないが、N-スクシンイミジルS-アセチルチオアセテート(SATA)及び2-イミノチオラン塩酸塩(Traut’s試薬)が挙げられる。
別の態様において、前記抗-HC抗体(例えば、抗-CD117抗体、若しくは抗-CD45抗体)又はその抗原結合フラグメントは、1つ以上のスルフヒドリル基を有するように化学的に修
飾され得る1つ以上の糖鎖部分(carbohydrate groups)を有することがある。次いで、前記ADCを、本明細書中上記に記載されるように、スルフヒドリル基の硫黄原子を介してコン
ジュゲートすることによって形成する。
更に別の態様において、前記抗-HC抗体(例えば、抗-CD117抗体、又は抗-CD45抗体)は、酸化されてアルデヒド(-CHO)基を提供し得る1つ以上の糖鎖部分(carbohydrate groups)を有することがある(例えば、Laguzza, et al., J. Med. Chem. 1989, 32(3), 548-55を
参照のこと)。次いで、前記ADCを、本明細書中上記に記載されるように、対応するアルデヒドを介してコンジュゲートすることによって形成する。細胞毒素を結合させる又は会合させるためのタンパク質を改変する他のプロトコールは、Coligan et al., Current Protocols in Protein Science, vol. 2, John Wiley & Sons (2002)に記載されている(本明細書に参照により取り込まれる)。
抗体、免疫グロブリン又はそのフラグメント等の細胞をターゲットにするタンパク質に、リンカー-薬物部分をコンジュゲートさせるための方法は、例えば、米国特許第5,208,020号; 米国特許第6,441,163号; WO2005037992; WO2005081711; 及びWO2006/034488に記載されている(これらの全ては、その全体が本明細書に明確に参照により取り込まれる)。
或いは、前記抗体及び細胞毒性薬物を含む融合タンパク質を、例えば、組換え技術又はペプチド合成によって、作製することがある。DNAの長さは、互いに隣接した、又は前記
コンジュゲートの所望の特性を破壊しないリンカー・ペプチドをコードする領域によって分離された、前記コンジュゲートの2つの部分をコードするそれぞれの領域を含むことが
ある。
本明細書に記載するADCを、種々の投薬形態で患者(例えば、自己免疫疾患又はがんに罹患しているヒト患者)に投与することがある。例えば、本明細書に記載するADCを、自己免疫疾患又はがんに罹患している患者に、水溶液(例えば、1種以上の薬学的に許容可能な
賦形剤を含む水溶液等)の形態で投与することがある。本明細書に記載する組成物及び方法と共に使用するために好適な薬学的に許容される賦形剤としては、粘度調整剤が挙げられる。前記水溶液を、当該技術分野で公知の技術を使用して滅菌することがある。
本明細書に記載するような前記抗-HC ADC(例えば、抗-CD117 ADC、又は抗-CD45 ADC)を含む医薬製剤は、このようなADCを、1種以上の任意選択的な薬学的に許容可能な担体と混合することによって(Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980))、凍結乾燥製剤又は水溶液の形態で、調製する。薬学的に許容可能な担体は
、一般に、使用する用量及び濃度で、レシピエントに対して無毒性であり、これには、限定されるものではないが、以下が挙げられる:リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸等のバッファー;アスコルビン酸及びメチオニンを含む酸化防止剤;保存剤(塩化オクタデシルジメチルベンジル・アンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル若しくはベンジル・アルコール;メチル若しくはプロピル・パラベン等のアルキル・パラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾール等);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、若しくは免疫グロブリン等のタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、若しくはリジンなどのアミノ酸;グルコース、マンノース、若しくはデキストリンなどの、単糖類、二糖類、及び他の糖類;EDTAなどのキレート剤;ショ糖、マンニトール、トレハロース、若しくはソルビトールなどの糖類;ナトリウムなどの塩形成性対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);並びに/又はポリエチレン・グリコ
ール(PEG)などの非-イオン性界面活性剤。
本明細書に記載する組成物及び方法を、どのようにして使用することがあるのか、作製することがあるのか、及び評価することがあるのか、ということに関する説明を当業者に提供するために、以下の実施例を提示する、並びに以下の実施例は、純粋に本発明の例示であることが意図される、及び本発明者らが自分たちの発明とみなす範囲を限定することを意図されない。
実施例1.抗-CD45、及び抗-CD117-抗体薬物コンジュゲートにより同種異系の造血幹細胞移植が可能になる
最近、マウスCD45又はマウスCD117をタ―ゲットとする抗体薬物コンジュゲート(ADC)により、免疫能があるマウスを、全骨髄移植のために、効果的にコンディショニングできることが示された(Palchaudhuri et al. Nature Biotech 2016 34:738-745; 及び Czechowicz et al. Blood 2016 128:493)。ADCを用いたコンディショニングに対するこの革新的
なターゲット化したアプローチは、ヒトにうまくトランスレーション(translated)することができれば、治療上のブレークスルーになる可能性がある。以前用いた抗-CD45又は抗-CD117を、一旦細胞内に取り込まれると、細胞周期非依存的に細胞毒性を誘発するリボソ
ーム-阻害タンパク質であるサポリン(SAP)に結合させた。抗-CD45-サポリン(CD45-SAP)及び抗-CD117-サポリン(CD117-SAP)ADCの両方とも、単一の薬剤(single entity agents)と
して骨髄造血幹細胞(HSC)を効果的に減少させ、自家のHSCが効率的に生着することができるようになる(>95%長期ドナー・キメリズム(donor chimerism))空きを作り出す。
以下の実施例におけるADCで使用される抗-CD117抗体は2B8である、及びADCで使用され
る抗-CD45抗体は104である。マウス移植モデルにおいて、これらのツールADCの有用性を
、更に検討し、及び拡張させるために、CD45-SAP(1.9 mg/kg、iv)及びCD117-SAP(1 mg/kg、iv)を、同種異系マイナー・ミスマッチ移植モデル(Balb/cドナー(donor)をDBA/2レシピエント(recipient)に移植)において、試験した。DBA/2 CD45.2マウスに、プールしたBalb/c CD45.1コンジェニック(congenic)・ドナー(congenic donor)から採取した2×107個の
全骨髄細胞を移植した。図1A及び1Bにある本試験の設計の概要が示すように、DBA/2
マウスは、CD45.1 Balb/c全骨髄ドナー(donor)細胞による移植を行う前に、移植前コンディショニングを受けた。移植片対宿主病を予防するために、並びに宿主対移植片拒絶反応を阻止するために、CD45-SAP (1.9 mg/kg、i.v.)又はCD117-SAP(1 mg/kg、i.v.)を含むコンディショニング処置を、追加の免疫調節薬剤:クローン30F11(25 mg/kg、IP)(末梢のB-及びT -細胞を強力に減少させることを可能にするエフェクター機能によって、ATGを模
倣する、そのままの抗-CD45抗体);移植前サイトキサン(PreT-Cy、200 mg/kg、IP);2 Gyの全身照射法(total body irradiation)(TBI);又は移植後サイトキサン(PTCy、200 mg/kg、IP)と併用して、評価した。9 GyのTBIを、従来のコンディショニングのポジティブ・コントロールとして使用した。コンディショニングしたマウスに、2×107個の全骨髄細胞を移植し、HSCが減少したレベルを、及びドナー(donor)細胞キメリズムのレベルを、12週間にわたって評価した。
生着アッセイの結果を図1C-1Eに示す。これらは、示したADC及び免疫抑制剤を使ってコンディショニングした後の、長期-造血幹細胞数(long term-hematopoietic stem cell count (LT-HSC))/大腿骨(図1C)、ドナー・キメリズム(donor chimerism)の割合(図1D)、及び骨髄キメリズムの割合、B細胞キメリズムの割合、及びT細胞キメリズムの割
合(図1E)、を示す。
CD45-SAP又はCD117-SAPを免疫抑制剤(30F11及び移植後サイトキサン)と併用すると、C57Bl/6マウスにおいて、骨髄を減少させることが可能となり(図1C;投与7日後)、移植12週間後の末梢血中で、完全ドナー・キメリズム(complete donor chimerism)(>85%ドナー
・キメリズム(donor chimerism)(CD45.1+))とすることが可能であった(図1D)。複数の
系列が再構成されることが、CD45-SAP群及びCD117-SAP群の両方で、T-、B-及び骨髄細胞
の画分で、それぞれ>80%、>90%及び>90%のドナー・キメリズム(donor chimerism)として
観察された(図1E)。対照的に、2Gy TBIと免疫抑制剤(30F11及び移植後サイトキサン)とを併用すると、僅か5%のドナー(donor)だけが生着する結果となった。30F11を複数回投与(QDx3)+2GyのTBI及び移植後サイトキサンにより、末梢のドナー・キメリズム(donor chimerism)は、40%まで増加した。移植前サイトキサン+30F11(QDx3)及び移植後サイトキサン
とすると、20%のドナー・キメリズム(donor chimerism)が得られた。全群で、骨髄における幹細胞キメリズムは、末梢のキメリズムと一致した。
これらの結果は、抗-CD45及び抗-CD117 ADCを免疫抑制と併用することで、マイナー・
ミスマッチ・モデルにおいて、同種異系移植が高い効率で可能になることを示している(85%のドナー・キメリズム(donor chimerism))。CD45-SAP及びCD117-SAPを30F11及び移植後サイトキサンと併用することは、2Gy TBI又は移植前サイトキサンと比較して、より効果
的なコンディショニングであった。
実施例2.CD45-ターゲット化抗体薬物コンジュゲート+移植後サイトキサンは、マイナー・ミスマッチ・マウス・モデルにおける同種異系骨髄移植を可能にするのに充分である
骨髄移植(BMT)は、悪性血液障害及び非-悪性血液障害に対する治癒的な治療となる可能性が有る。BMT前に、患者に対して準備をするための、又はコンディショニングをするた
めの、現在のレジメンは、臓器毒性、不妊症及び二次性悪性腫瘍の危険などの、レジメンに関連した死亡及び病的状態があるために、この治癒的手順を使用することの限界となっている。マウスCD45に対する抗体薬物コンジュゲート(ADC)を使用して、ターゲット化し
た準備をすることは、同系の免疫能があるマウスにおいて、骨髄移植(BMT)を可能にする
のに充分であることが、以前に示されている(Palchaudhuri et al. Nature Biotech 2016
34:738-745)、及びこの準備のアプローチは、もし患者にうまくトランスレーション(translated)をすることができれば、BMTの有用性を拡張することができる。マウス移植モ
デルにおける抗-CD45 ADC(抗-CD45抗体、104、サポリンに結合している)の有用性を更に
検討するために、同種異系マイナー・ミスマッチ移植モデル(Balb/cドナー(donor)をDBA/2レシピエント(recipient)に移植)において、抗-CD45-サポリン(CD45-SAP)の研究を行
った。本研究の目的は、同種異系のセッティングにおいて、高いドナー・キメリズム(donor chimerism)を可能にするためにCD45-SAPと併用する必要がある、免疫抑制のレベルを
、もしあるようであるならば、同定することであった。(CD45-SAPは、代替的に、CD45-SAB-SAPと呼ばれ、これは前記サポリンが、ストレプトアビジン/ビオチン(SAB)結合を利
用して、モノクローナル抗体104にコンジュゲートしている。)
移植片対宿主病を予防するために、並びに宿主対移植片拒絶反応を阻止するために、CD45-SAP (1.9 mg/kg、iv)を、単独で、又は追加の免疫調節剤:クローン30F11(25 mg/kg、IP)(末梢のB-及びT -細胞を強力に減少させることを可能にするエフェクター機能によって、ATGを模倣する、そのままの抗-CD45抗体);移植前サイトキサン(PreTCy、200 mg/kg、IP)、2 Gyの全身照射法(total body irradiation)(TBI)、並びに移植後サイトキサン(PTCy、200 mg/kg、IP)と併用して、評価した。9 GyのTBIを、従来のコンディショニングのポジティブ・コントロールとして使用した。コンディショニングしたマウスに、2×107個の全骨髄細胞を移植し、キメリズムを、12週間にわたって評価した。
PTCyと併用したCD45-SAPによって、移植8週間後に、有意なドナー・キメリズム(donor chimerism)が達成された(図2A)、これは、末梢の骨髄キメリズム(peripheral myeloid chimerism)のレベルを含み、幹細胞が生着したことのリードアウト(readout)であり、9 Gy TBIで達成されたもの(>90%)に匹敵する(図2B-2C)。CD45-SAP/PTCyプロトコルに30F11を追加することは、末梢のドナー・キメリズム(donor chimerism)に影響を及ぼすこと
はなかった(59%対61%)。このことは、リンパ球を更に減少させる必要がないことを示唆する。対照的に、単剤単独、2 Gy TBIと30F11及びPTCyとの併用では、ドナー(donor)生着は< 5%であった。ドナー(donor)骨髄キメリズムのレベルが低かった、試験した他の条件は
、30F11を複数回投与(QDx3)+ PTCyを伴った2GyのTBI(40%のドナー・キメリズム(donor chimerism))、及びPreTCy+PTCyを伴った30F11(QDx3) (20%のドナー・キメリズム(donor chimerism))、であった。全ての群について、骨髄における幹細胞キメリズムは、末梢のキメリズムと一致した。
ドナー(Donor)由来の長期HSCは、CD45-SAP及びサイトキサンを使ってコンディショニングした動物において、移植12週間後、レシピエント(recipient)マウスの骨髄に存在した(図2D)。図2Dの結果は、サポリンと結合したアイソタイプ・コントロールの抗体(アイソタイプ-SAB-SAP)を、単独で(左)、又はサイトキサンと併用して(右)、受けた動物
;サポリンと結合したCD45 mAb 104を、単独で(左)、又はサイトキサンと併用して(右)、受けた動物;並びに、サイトキサン無しの9 Gy TBI(IRR)を受けた動物、から提示さ
れたものである。
これらの結果は、CD45-SAPをPTCyと併用することは、マイナー・ミスマッチのセッティングにおいて、更に免疫抑制をする必要無しに、高いレベルのドナー・キメリズム(donor
chimerism)を可能にするのに充分である、ことを示す。CD45-SAPは、コンディショニン
グにおいて、2Gy TBI又はPreTCyよりも有効であった。
実施例3.抗-CD45、及び抗-CD117-抗体薬物コンジュゲートにより、動物モデルにおいて、同種異系の造血幹細胞移植が可能になる
骨髄移植(BMT)は、悪性血液障害及び非-悪性血液障害に対する治癒的な治療となる可能性があり、自己免疫疾患において素晴らしいアウトカムを実証してきている。BMTの前に
、高い用量の化学療法単独で、又は全身照射法(total body irradiation)との併用で、患者に対して準備がなされる。両方とも、早期及び晩期の病的状態、臓器毒性、不妊症、二次性悪性腫瘍及び実質的な死亡のリスク、と相関している。これにより、悪性及び非-悪
性の症状において、BMTの使用が大幅に制限される。これらの問題に対処するため、我々
は、造血幹細胞(HSC)及び免疫細胞をターゲットとした抗体薬物コンジュゲート(ADC)の開発を進めており、その結果、同種異系BMT(全移植片の35%、CIBMTR)及び(自己免疫疾患に
対する)自家BMTに備えて、患者を安全にコンディショニングすることができるようになる。
最近、マウスCD45又はマウスCD117をターゲットとしたADCにより、免疫能があるマウスを、BMTに備えて、効果的にコンディショニングできることが示された (Palchaudhuri et
al. Nature Biotech 2016 34:738-745; and Czechowicz et al. Blood 2016 128:493)。これらのADCを、一旦細胞内に取り込まれると、細胞周期非依存的に細胞毒性を誘発する
リボソーム-阻害タンパク質であるサポリン(SAP)を用いて作製した。抗-CD45-サポリン(CD45-SAP)及び抗-CD117-サポリン(CD117-SAP)の両方とも、単回投与剤として骨髄HSCを
効果的に減少させ、自家のHSCが効率的に生着することができるようになった(>95%長期ドナー・キメリズム(long-term donor chimerism))。これらのADCによって、ファンコニ貧
血のマウス・モデルにおいても、BMTが可能になった。
これらのマウスADCの有用性を更に検討するために、我々は、同種異系マイナー・ミス
マッチ移植の文脈において、CD45-SAP及びCD117-SAPを研究した。Balb/cドナー(donor)をDBA/2に移植するモデルを使用して、単一の薬剤(single entity agents)として、CD45-SAP又はCD117-SAPにより、同種異系移植が可能になるかどうか、又は更なる免疫抑制剤(例
えば、サイトキサン、ATG-模倣剤(ATG-mimic)など)と併用する必要があるかどうか、を検討した。
方法
サポリン(SAP)をベースとした免疫毒素
市販のビオチン化抗-CD45.2(クローン104)mAbを、注射する直前に、1:1のモル比で、ストレプトアビジン-サポリン(ATS Bio、カタログIT-27)と結合させた。同様に、CD117-SAPを作製するために、ビオチン化抗-CD117(クローン2B8)mAbを、ストレプトアビジン・サポリンと結合させた。投与量は、その免疫毒素を作製するために使用した抗体の量に基づいて計算した。ビオチン化mIgG2aアイソタイプmAbを用いてアイソタイプ-SAPを作製した。
免疫抑制剤
ATGを模倣するために、我々は、エフェクター機能に依存して、骨髄HSCに影響を及ぼすことなく、末梢リンパ球を強力に減少させる、そのままの(naked)抗-CD45 mAb(クローン30F11、25 mg/kg IP)を使用した。概要に示すように、サイトキサンを、200mg/kg IP で、移植3日後に投与し、ドナー(donor)T細胞によるGvHDを防止した。全身照射法(Total body
irradiation)(2Gy又は9Gy)を、X線照射機を用いて行った。
動物実験
C57Bl6、DBA/2及びCD45.1 Balb/cのマウスをジャクソン・ラボラトリー(Jackson Laboratories)から購入した。DBA/2マウスに、プールしたBalb/c CD45.1コンジェニック(congenic)・ドナー(donor)から採取した、2×107個の全骨髄細胞を移植した。全てのin vivo研究は、国立アカデミーの国立学術研究会議が公表した実験動物の管理及び使用に関するガイド(the Guide for the Care and Use of Laboratory Animals published by the National Research Council of the National Academies)に従い、施設内の動物管理及び
使用委員会の承認の下に実施した。
CD45-SAPによるマウスHSCの減少
図3Aの試験概要図に概説した通り、0日目に、CD45-SAP又はコントロール(例えば、PBS又はIgG1アイソタイプ-SAP)の単回用量を、C57マウスに投与した。7日目に末梢血と骨髄を採取し、全血球計数(complete blood count (CBC))とフロー・サイトメトリーで調べた。その骨髄フロー・サイトメトリー・ゲーティング・ストラテジー(bone marrow flow cytometry gating strategy)及びCD45-SAPによるLT-HSCの減少を、図3Bに示す。PBS、
アイソタイプ-SAP又はCD45-SAPの投与7日後に、コンディショニングしたマウスの骨髄中
におけるLT-HSCレベルを定量化し、図3Cに示す。これらの結果は、CD45-SAPを投与すると、骨髄における長期HSC(LT-HSC)が減少したことを示している(図3B及び3C)。図3
Dに示すように、投与7日後の末梢リンパ球も、CD45-SAPの効果により、減少した。従っ
て、CD45-SAP ADCは、マウスのHSC及びリンパ球を効果的に減少させる。
実施例4.CD45をターゲットとした抗体薬物コンジュゲートを使ってコンディショニングをすると、マウスにおける同種異系の造血幹細胞移植が可能になる
以下の試験を実施して、抗-マウスCD45 ADC(抗-CD45抗体、104、PBDにコンジュゲート
している(「CD45-PBD」))を、マウスで完全ミスマッチ同種異系BMTを可能にするために使用できるかどうかを検討した。
方法
PBDと結合したmAb 104を含む抗-マウスCD45 ADC(CD45-PDB)を、操作することにより、
素早くクリアランスされるようにし(2時間の半減期)、骨髄移植を可能にさせた。前記CD45-PBDの最適な投与量を、コンジェニック(congenic)自家マウス移植モデルにおいて、
同定した。そのADCによって、完全同種異系-BMTに備えて、レシピエント(recipient)をうまくコンディショニングできるかどうかを判定するために、完全ミスマッチ同種異系-BMTモデル(Balb/cドナー(donor)(H-2d、CD45.1+)をC57Bl/6レシピエント(recipient)(H-2b、CD45.2+)に移植する)において、CD45-PBDを、単独で、又はT細胞を減少させる抗体(抗-CD4及び抗-CD8、0.25 mg/kg IP)との併用で、評価した。従来のコンディショニングのポジ
ティブ・コントロールとして、9 Gy のTBIを用いた。コンディショニングしたマウスに、2×107個の全骨髄細胞を移植し、16週間にわたって、末梢血キメリズムを評価した。16週目に、骨髄幹細胞キメリズムを測定した。
結果
コンジェニック(congenic)自家マウス・モデルにおいて、3 mg/kgのCD45-PBDの単回用
量によって、骨髄は完全に破壊され、11日目で骨髄不全が生じた。コンジェニック(congenic)骨髄をCD45-PBDでコンディショニングしたマウスに移植すると、骨髄を破壊する用量の照射(9Gy TBI)でコンディショニングした動物に匹敵するレベルで、完全ドナー・キメ
リズム(donor chimerism)に至った。次に、ドナー(donor)マウス及びレシピエント(recipient)マウスが異なったMHC抗原を有する、完全ミスマッチBalb/c→C57Bl/6同種異系-BMT
モデルにおいて、CD45-PBDを評価した。3 mg/kgのCD45-ADCを単剤とした単回用量により
、3週間後まで一過性の混合型骨髄キメリズム(mixed myeloid chimerism)が可能となった(図4A)。CD45-PBDにT細胞減少剤(抗-CD4及び抗-CD8抗体を用いる)を補うと、移植後3週目及び8週目(図4A)で、ドナー・キメリズム(donor chimerism)を持続的で完全にすることが可能となり(>90%の抹消ドナー・キメリズム(donor chimerism))、これは16週目ま
で維持された。複数の系列が再構成されることが、T-、B-、及び骨髄細胞の画分で、各画分における移植8週後での、> 90%のドナー・キメリズム(donor chimerism)として観察さ
れ、これは造血幹細胞が生着したことを示している(図4B)。これらの結果は、骨髄を破壊するコンディショニングを目的とした、9 Gy TBIのポジティブ・コントロールで見られたキメリズムに匹敵していた(図4A及び4B)。非-ターゲット化のアイソタイプが一
致したADC(Iso-PBD)を使った処置は有効ではなかった。全群で、骨髄における幹細胞キメリズムは、末梢キメリズムと一致した。図4C及び4Dに示すように、T細胞減少剤(抗-CD4及び抗-CD8抗体を使用)と併用したCD45-PBDにより、投与2日後に、末梢血及び脾臓から、CD45+細胞を減少させることが可能になった。
これらの結果は、CD45-PBDの単回用量は、完全に骨髄を破壊し、T細胞減少剤を補うこ
とで、完全ミスマッチ同種異系-BMTモデルにおいて、ドナー・キメリズム(donor chimerism)を持続的で完全にすることが可能となることを、実証している。より安全なコンディ
ショニングのための、このターゲット化された、容易にトランスレーション可能な(translatable)方法は、同種異系の及びハプロタイプが一致したBMTのリスク・ベネフィット
・プロファイル(risk benefit profile)を改善する、並びにこの治療方法の治癒可能性を、BMTにより恩恵を受ける可能性のある、血液がん及び他の疾患に罹患している、より
多くの患者へと、拡大することができる。
実施例5.抗-CD45 ADC及び低用量TBIを使ったコンディショニング後の、骨髄減少及び同種異系ドナー・キメリズム(donor chimerism)
完全ミスマッチ同種異系-HSC移植モデル(Balb/cドナー(donor)(H-2d、CD45.1+)をC57Bl/6レシピエント(recipient)(H-2b、CD45.2+)に移植する)において、抗-CD45 mAb 104及びPBDを含むCD45-ADC(CD45-PBD、104-PBDとも呼ぶ)を、単独で、又は低用量(0.5~2 Gy)全身照射法(total body irradiation)(TBI)との併用で、評価した。9 Gy未満のTBI用量(5 Gy, 4 Gy, 3Gy, 2 Gy, 1 Gy, 0.5 Gy, 及び0 Gy)を、CD45-PBDと併用して評価した。9 Gy のTBIは、従来のコンディショニングのポジティブ・コントロールとしての役割を果たし
た。コンディショニングしたC57Bl/6レシピエント(recipient)マウスに、Balb/cドナー(donor)由来の2×107個の全骨髄細胞を移植し、16週間にわたって末梢血キメリズムを評価
した。
低用量TBIとの併用で、CD45-PBDにより、ADC投与2日後の骨髄において、LT-HSC細胞を
減少させること(図5A)、並びにCD45+細胞(図5B)、骨髄細胞(図5C)、B細胞(図5D)、及びT細胞(図5E)を減少させること、が可能となった。低用量TBIと併用したCD45-PBDにより、移植4週間後までに、完全な同種異系ドナー・キメリズム(donor chimerism)(末
梢血中において、>90%のドナー・キメリズム(donor chimerism))が可能となった(図5F)。低用量TBI(0.5 Gy)と併用したCD45-PBDを使ったコンディショニング後に、B-及び骨髄
細胞の分画に関して、複数の系列が再構成されることが観察された(>90%ドナー・キメリ
ズム(donor chimerism);図5G)、並びに、複数の系列が再構成されることは9 Gy TBIのポジティブ・コントロールで見られるキメリズムに匹敵していた(図5F及び5G)。非-
ターゲッティング・アイソタイプADCを使った処置は、効果がなかった(図5F、5G)。
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他の実施形態
本明細書において言及される全ての刊行物、特許、及び特許出願は、あたかも各独立した刊行物又は特許出願が具体的かつ個別に示され、参照により取り込まれるかのように、同じ程度まで、本明細書に参照により取り込まれる。
本発明を、その特定の実施形態に関連して説明してきたが、更なる改変をすることが可能であることを、並びに、本出願は、一般に、本発明の原理に従う本発明の任意の改変、使用、又は適応を、並びに、本発明が関係する技術内の既知の又は慣習的な実践内に入る本発明からの逸脱を、及び本明細書に記載され、特許請求の範囲に従う本質的な特徴に適用され得る本発明からの逸脱を、含む本発明の任意の改変、使用、又は適応を、包含することが意図されていることを、理解されるであろう。
他の実施形態は、特許請求の範囲の範囲内である。

Claims (33)

  1. 造血幹細胞移植を必要とするヒト患者中のCD117+細胞の集団を減少させる方法であって、前記患者が同種異系の造血幹細胞を含む移植片を受ける前に、有効量の抗-CD117抗体薬物コンジュゲート及び免疫抑制剤を、前記患者に投与することを含む方法。
  2. その後、前記患者に、同種異系の造血幹細胞を含む移植片を投与すること、を更に含む、請求項1に記載の方法。
  3. ヒト患者に同種異系の造血幹細胞を含む移植片を投与することを含む方法、ここで、前記患者は、前記患者中の造血幹細胞の集団を減少させるのに十分な量で、抗-CD117抗体薬物コンジュゲート又は抗-CD45抗体薬物コンジュゲート、及び免疫抑制剤を予め投与されている。
  4. 造血幹細胞移植を必要とするヒト患者中のCD45+細胞の集団を減少させる方法であって、前記患者が同種異系の造血幹細胞を含む移植片を受ける前に、有効量の抗-CD45抗体薬物コンジュゲート及び免疫抑制剤を、前記患者に投与することを含む方法。
  5. その後、前記患者に、同種異系の造血幹細胞を含む移植片を投与すること、を更に含む、請求項4に記載の方法。
  6. 前記患者が前記移植片を受けた後に、前記患者に前記免疫抑制剤を投与すること、を更に含む、請求項1から5の何れか一項に記載の方法。
  7. 造血幹細胞移植を必要とするヒト患者中のCD117+細胞の集団又はCD45+細胞の集団を減少させる方法であって、以下を含む方法、
    a.前記ヒト患者に、前記患者中のCD117+細胞の集団を減少させるのに十分な量で、抗-CD117抗体薬物コンジュゲートを投与すること、又は前記ヒト患者に、前記患者中のCD45+細胞の集団を減少させるのに十分な量で、抗-CD45抗体薬物コンジュゲートを投与すること;
    b.前記ヒト患者に、同種異系の造血幹細胞を含む移植片を投与すること;及び、
    c.その後、前記患者に、免疫抑制剤を投与すること。
  8. 請求項1から7の何れか一項に記載の方法、ここで、前記移植片は、全てのHLA抗原が前記ヒト患者のHLA抗原と適合する同種異系の造血幹細胞を含む。
  9. 請求項1から7の何れか一項に記載の方法、ここで、前記移植片は、前記患者のHLA抗原に対して、少なくとも1つのHLA-ミスマッチ、少なくとも2つのHLA-ミスマッチ、又は少なくとも5つのHLA-ミスマッチを含む同種異系の造血幹細胞を含む。
  10. 請求項9に記載の方法、ここで、前記同種異系の造血幹細胞は、前記患者のHLA抗原に対して、完全HLA-ミスマッチを含む。
  11. 請求項1から10の何れか一項に記載の方法、ここで、前記移植片は、前記患者のマイナー組織適合性抗原(miHA)に対して、少なくとも1つのマイナー組織適合性抗原-ミスマッチを含む同種異系の造血幹細胞を含む。
  12. 請求項1から11の何れか一項に記載の方法、ここで、前記方法は、少なくとも80%の、少なくとも85%の、少なくとも90%のドナーの、又は少なくとも95%のドナーの、ドナー・キメリズム(donor chimerism)を確立するのに効果的である。
  13. 請求項12に記載の方法、ここで、前記ドナー・キメリズム(donor chimerism)を、移植後少なくとも6週、7週、8週、9週、又は10週に、評価する。
  14. 請求項1から13の何れか一項に記載の方法、ここで、前記免疫抑制剤は、シクロホスファミド、又は全身照射法(total body irradiation)(TBI)である。
  15. 請求項1から13の何れか一項に記載の方法、ここで、
    前記免疫抑制剤は、低用量TBIである;又は、
    前記免疫抑制剤は、抗-CD8抗体、抗-CD4抗体、若しくは抗-CD8抗体及び抗-CD4抗体の両方である。
  16. 請求項1から15の何れか一項に記載の方法、ここで、前記免疫抑制剤を移植後に投与する。
  17. 請求項1から15の何れか一項に記載の方法、ここで、前記免疫抑制剤を移植前に投与する。
  18. 請求項1から17の何れか一項に記載の方法、ここで、前記コンジュゲートの濃度が前記患者の血中から実質的にクリアランスされた後に、造血幹細胞を含む移植片を前記患者に投与する。
  19. 請求項1から18の何れか一項に記載の方法、ここで、前記患者中に前記造血幹細胞を移植した2日以上後に、前記造血幹細胞又はその後代は、造血幹細胞機能ポテンシャルを維持している。
  20. 請求項1に記載の方法、ここで、前記患者は、幹細胞障害、異常ヘモグロビン症障害、自己免疫障害、骨髄異形成障害、免疫不全障害、代謝障害、又はがん、に罹患している。
  21. 請求項1から3及び9から20の何れか一項に記載の方法、ここで、ADCは、表3に記載の、重鎖/軽鎖(HC/LC)CDRセット(CDR1、CDR2、若しくはCDR3)、又はHC/LC可変領域セット、を含む抗-CD117抗体を含む。
  22. 請求項1から21の何れか一項に記載の方法、ここで、
    前記コンジュゲートの抗体は、ヒト抗体、若しくはインタクトな抗体である;及び/又は、
    前記コンジュゲートの抗体は、IgG抗体である。
  23. 請求項1から22の何れか一項に記載の方法、ここで、前記抗体は、リンカーを介して細胞毒素にコンジュゲートしている。
  24. 請求項23に記載の方法、ここで、前記細胞毒素は、RNAポリメラーゼ阻害剤である。
  25. 請求項24に記載の方法、ここで、前記RNAポリメラーゼ阻害剤は、アマトキシンである。
  26. 請求項24に記載の方法、ここで、前記RNAポリメラーゼ阻害剤は、アマニチンである。
  27. 請求項26に記載の方法、ここで、前記アマニチンは、α-アマニチン、β-アマニチン、γ-アマニチン、ε-アマニチン、アマニン、アマニンアミド、アマヌリン、アマヌリン酸、及びプロアマヌリンからなる群より選択される。
  28. 請求項23に記載の方法、ここで、前記細胞毒素は、シュードモナス外毒素A、deブーガニン、ジフテリアトキシン、サポリン、メイタンシン、メイタンシノイド、アウリスタチン、アントラサイクリン、カリケアマイシン、イリノテカン、SN-38、デュオカルマイシン、ピロロベンゾジアゼピン、ピロロベンゾジアゼピン二量体、インドリノベンゾジアゼピン、インドリノベンゾジアゼピン二量体、及びインドリノベンゾジアゼピン偽二量体(pseudodimer)からなる群より選択される。
  29. 請求項28に記載の方法、ここで、前記アウリスタチンは、MMAE又はMMAFである。
  30. 請求項23に記載の方法、ここで、前記細胞毒素は、DNAアルキル化化合物である。
  31. 請求項30に記載の方法、ここで、前記DNAアルキル化化合物は、インドリノベンゾジアゼピン、インドリノベンゾジアゼピン二量体、又はインドリノベンゾジアゼピン偽二量体(pseudodimer)、である。
  32. 請求項23から31の何れか一項に記載の方法、ここで、前記抗体は、前記抗体のFcドメイン中のシステイン残基によって、前記毒素にコンジュゲートしている。
  33. 請求項32に記載の方法、ここで、前記システイン残基は、D265Cである。
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