<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態に係る積層セラミックコンデンサ1について説明する。図1は、本実施形態の積層セラミックコンデンサ1の外観斜視図である。図2Aは、図1の積層セラミックコンデンサ1の2A−2A線に沿った断面図である。図2Bは、図2Aの積層セラミックコンデンサ1の2B−2B線に沿った断面図である。図2Cは、図2Aの積層セラミックコンデンサ1の2C−2C線に沿った断面図である。図2Dは、図2Aの積層セラミックコンデンサ1の2D−2D線に沿った断面図である。図2Eは、図2Aの積層セラミックコンデンサ1の2E−2E線に沿った断面図である。図2Fは、図2Aの積層セラミックコンデンサ1の2F−2F線に沿った断面図である。図2Gは、図2Aの積層セラミックコンデンサ1の2G−2G線に沿った断面図である。
積層セラミックコンデンサ1は、積層体100と外部電極400を有する。
図1〜図2Gには、XYZ直交座標系が示されている。積層セラミックコンデンサ1および積層体100の長さ方向Lは、X方向と対応している。積層セラミックコンデンサ1および積層体100の幅方向Wは、Y方向と対応している。積層セラミックコンデンサ1および積層体100の積層方向Tは、Z方向と対応している。ここで、図2Aに示す断面はLT断面とも称される。図2B〜2Eに示す断面はLW断面とも称される。図2Fおよび2Gに示す断面はWT断面とも称される。
図1〜2Gに示すように、積層体100は、積層方向Tに相対する第1の主面TS1および第2の主面TS2と、積層方向Tに直交する幅方向Wに相対する第1の側面WS1および第2の側面WS2と、積層方向Tおよび幅方向Wに直交する長さ方向Lに相対する第1の端面LS1および第2の端面LS2と、を含む。
図1に示すように、積層体100は、略直方体形状を有している。なお、積層体100の長さ方向Lの寸法は、幅方向Wの寸法よりも必ずしも長いとは限らない。積層体100の角部および稜線部には、丸みがつけられていることが好ましい。角部は、積層体の3面が交わる部分であり、稜線部は、積層体の2面が交わる部分である。なお、積層体100を構成する表面の一部または全部に凹凸などが形成されていてもよい。
図2A、図2F、図2Gに示すように、積層体100は、内層部11と、積層方向Tにおいて内層部11を挟み込むように配置された第1の主面側外層部12および第2の主面側外層部13と、を有する。
内層部11は、複数の誘電体層10と複数の内部電極層20とを含む。内層部11は、積層方向Tにおいて、最も第1の主面TS1側に位置する内部電極層20から最も第2の主面TS2側に位置する内部電極層20までを含む。内層部11では、複数の内部電極層20が誘電体層10を介して対向して配置されている。内層部11は、静電容量を発生させ実質的にコンデンサとして機能する部分である。
複数の誘電体層10は、誘電体材料により構成される。誘電体材料は、例えば、BaTiO3、CaTiO3、SrTiO3、またはCaZrO3などの成分を含む誘電体セラミックであってもよい。また、誘電体材料は、これらの主成分にMn化合物、Fe化合物、Cr化合物、Co化合物、Ni化合物などの副成分を添加したものであってもよい。
誘電体層10の厚みは、0.5μm以上100μm以下であることが好ましい。積層される誘電体層10の枚数は、30枚以上700枚以下であることが好ましい。なお、この誘電体層10の枚数は、内層部11の誘電体層の枚数と第1の主面側外層部12および第2の主面側外層部13の誘電体層の枚数との総数である。
複数の内部電極層20は、複数の第1の内部電極層30Aおよび複数の第2の内部電極層40Aを有する。図2A、図2F、図2Gに示すように、複数の第1の内部電極層30Aおよび複数の第2の内部電極層40Aは、積層体100の積層方向Tに交互に配置されるように埋設されている。
図2A、図2F、図2Gには、第1の内部電極層30Aとして、第1の主面TS1側から順に、複数の第1の内部電極層31A、32A、33Aが示されている。複数の第1の内部電極層30Aは、基本的に同じ形状である。よって、複数の第1の内部電極層30Aを代表して、図2Bに示される第1の内部電極層31Aを用いて説明する場合がある。図2A、図2F、図2Gには、第2の内部電極層40Aとして、第1の主面TS1側から順に、複数の第2の内部電極層41A、42A、43Aが配置されている。複数の第2の内部電極層40Aは、基本的に同じ形状である。よって、複数の第2の内部電極層40Aを代表して、図2Dに示される第2の内部電極層41Aを用いて説明する場合がある。
第1の内部電極層30Aの構成を、図2Bに示される第1の内部電極層31Aを例にして説明すると、第1の内部電極層31A(30A)は、その一方端部が第1の端面LS1に引き出されて後述する第1の外部電極400Aと接続する第1の引き出し部31A2(30A2)と、第1の引き出し部31A2に接続され、異なる誘電体層10上に配置された第2の内部電極層40Aと対向する第1の対向部31A1(30A1)とを含む。本実施形態においては、第1の内部電極層31A(30A)は、第1の対向部31A1の第1の側面WS1側に、第1の縁部31A3(30A3)をさらに含む。
第2の内部電極層40Aの構成を、図2Dに示される第2の内部電極層41Aを例にして説明すると、第2の内部電極層41A(40A)は、その一方端部が第2の端面LS2に引き出されて後述する第2の外部電極400Bと接続する第2の引き出し部41A2(40A2)と、第2の引き出し部41A2に接続され、異なる誘電体層10上に配置された第1の内部電極層30Aと対向する第2の対向部41A1(40A1)とを含む。本実施形態においては、第2の内部電極層41A(40A)は、第2の対向部41A1の第2の側面WS2側に、第2の縁部41A3(40A3)をさらに含む。
なお、本実施形態においては、第1の内部電極層30Aと、第2の内部電極層40Aは、幅方向Wにずれて配置されている。具体的には、第1の内部電極層30Aは、第1の側面WS1の方向に偏って配置されており、第2の内部電極層40Aは、第2の側面WS2の方向に偏って配置されている。その結果、第1の内部電極層30Aは、第1の対向部30A1の第1の側面WS1側に、前述の第1の縁部30A3を有する。また、第2の内部電極層40Aは、第2の対向部40A1の第2の側面WS2側に、前述の第2の縁部40A3を有する。なお、第1の縁部30A3の幅方向Wの長さは、図2Cに示される後述の第1の浮き電極層70Aの連結部70A3の幅方向Wの長さD1と略同じであることが好ましい。また、第2の縁部40A3の幅方向Wの長さは、図2Eに示される後述の第2の浮き電極層80Aの連結部80A3の幅方向Wの長さD1と略同じであることが好ましい。
本実施形態では、第1の内部電極層30Aの第1の対向部30A1と第2の内部電極層40Aの第2の対向部40A1が誘電体層10を介して対向することにより容量が形成され、コンデンサの特性が発現する。
第1の内部電極層30Aおよび第2の内部電極層40Aの形状は、特に限定されないが、矩形状であることが好ましい。もっとも、矩形形状のコーナー部が丸められていてもよいし、矩形形状のコーナー部が斜めに形成されていてもよい。なお、第1の内部電極層30Aの第1の引き出し部30A2の幅方向Wの長さが、第1の内部電極層30Aのその他の部分の幅方向Wの長さよりも短くてもよいし、長くてもよい。第2の内部電極層40Aの第1の引き出し部40A2の幅方向Wの長さが、第2の内部電極層40Aのその他の部分の幅方向Wの長さよりも短くてもよいし、長くてもよい。
第1の内部電極層30Aおよび第2の内部電極層40Aは、例えば、Ni、Cu、Ag、Pd、Auなどの金属や、これらの金属の少なくとも一種を含む合金などの適宜の導電材料により構成される。合金を用いる場合、第1の内部電極層30Aおよび第2の内部電極層40Aは、例えばAg−Pd合金等により構成されてもよい。
第1の内部電極層30Aおよび第2の内部電極層40Aのそれぞれの厚みは、例えば、0.2μm以上2.0μm以下程度であることが好ましい。第1の内部電極層30Aおよび第2の内部電極層40Aの枚数は、合わせて15枚以上300枚以下であることが好ましい。
第1の主面側外層部12は、積層体100の第1の主面TS1側に位置する。第1の主面側外層部12は、第1の主面TS1と最も第1の主面TS1に近い内部電極層20との間に位置する複数の誘電体層10の集合体である。第1の主面側外層部12で用いられる誘電体層10は、内層部11で用いられる誘電体層10と同じものであってもよい。
第2の主面側外層部13は、積層体100の第2の主面TS2側に位置する。第2の主面側外層部13は、第2の主面TS2と最も第2の主面TS2に近い内部電極層20との間に位置する複数の誘電体層10の集合体である。第2の主面側外層部13で用いられる誘電体層10は、内層部11で用いられる誘電体層10と同じものであってもよい。
積層体100は、複数の浮き電極層60をさらに含む。複数の浮き電極層60は、第1の端面LS1および第2の端面LS2のいずれにも露出されていない。複数の浮き電極層60は、内部電極層20の端部における電界集中を緩和する機能を有する。本実施形態においては、複数の浮き電極層60は、内層部11内に配置されている。
図2A、図2F、図2Gに示すように、複数の浮き電極層60は、積層方向において第1の内部電極層30Aと第2の内部電極層40Aの間に配置された誘電体層10に挟まれた位置に配置されている。複数の浮き電極層60は、積層方向において第1の内部電極層30Aと第2の内部電極層40Aの間の、略中央の位置に配置されている。すなわち、第1の内部電極層30Aと浮き電極層60との積層方向の距離と、第2の内部電極層40Aと浮き電極層60との積層方向Tの距離は、略同じである。本実施形態においては、複数の浮き電極層60は、複数の第1の浮き電極層70Aおよび複数の第2の浮き電極層80Aを含む。複数の第1の浮き電極層70Aおよび複数の第2の浮き電極層80Aは、積層体100の積層方向Tに交互に配置されるように埋設されている。
図2A、図2F、図2Gには、第1の浮き電極層70Aとして、第1の主面TS1側から順に、複数の第1の浮き電極層71A、72A、73Aが示されている。複数の第1の浮き電極層70Aは、基本的に同じ形状である。よって、複数の第1の浮き電極層70Aを代表して、図2Cに示される第1の浮き電極層71Aを用いて説明する場合がある。また、図2A、図2F、図2Gには、第2の浮き電極層80Aとして、第1の主面TS1側から順に、複数の第2の浮き電極層81A、82Aが示されている。複数の第2の浮き電極層80Aは、基本的に同じ形状である。よって、複数の第2の浮き電極層80Aを代表して、図2Eに示される第2の浮き電極層81Aを用いて説明する場合がある。
本実施形態においては、複数の内部電極層20および複数の浮き電極層60は、積層方向Tにおいて、第1の内部電極層30A、第1の浮き電極層70A、第2の内部電極層40A、第2の浮き電極層80Aの順に、誘電体層10を介して配置されており、この順番の配置が繰り返される。図2A、図2F、図2Gに示される例では、複数の内部電極層20および複数の浮き電極層60は、積層方向Tにおいて、第1の内部電極層31A、第1の浮き電極層71A、第2の内部電極層41A、第2の浮き電極層81A、第1の内部電極層32Aの順に、誘電体層10を介して配置されている。ここで、上述の各層の間に挟まれる誘電体層10の厚みは、略同じ厚みであることが好ましい。
第1の浮き電極層70Aの構成を、図2Cに示される第1の浮き電極層71Aを例にして説明すると、第1の浮き電極層71A(70A)は、第2の内部電極層40Aの第2の対向部40A1の第1の端面LS1側の端部近傍に配置される第1の端部71A1(70A1)と、第1の内部電極層30Aの第1の対向部30A1の第2の端面LS2側の端部近傍に配置される第2の端部71A2(70A2)と、第1の端部71A1と第2の端部71A2を連結する連結部71A3(70A3)とを有する。
また、第2の浮き電極層80Aの構成を、図2Eに示される第2の浮き電極層81Aを例にして説明すると、第2の浮き電極層81A(80A)は、第2の内部電極層40Aの第2の対向部40A1の第1の端面LS1側の端部近傍に配置される第1の端部81A1(80A1)と、第1の内部電極層30Aの第1の対向部30A1の第2の端面LS2側の端部近傍に配置される第2の端部81A2(80A2)と、第1の端部81A1と第2の端部81A2を連結する連結部81A3(80A3)とを有する。
ここで、図2Cに示すように、第1の浮き電極層70Aの連結部70A3の最も第1の側面WS1側に位置する部分と最も第2の側面WS2側に位置する部分とを結ぶ幅方向の長さD1は、第1の浮き電極層70Aの第1の端部70A1および第2の端部70A2の幅方向Wの長さD2よりも短い。また、図2Eに示すように、第2の浮き電極層80Aの連結部80A3の最も第1の側面WS1側に位置する部分と最も第2の側面WS2側に位置する部分とを結ぶ幅方向の長さD1は、第2の浮き電極層80Aの第1の端部80A1および第2の端部80A2の幅方向Wの長さD2よりも短い。
そして、本実施形態においては、図2Cに示すように、第1の浮き電極層70Aの連結部70A3は、第1の側面WS1側に偏って配置されている。一方、図2Eに示すように第2の浮き電極層80Aの連結部80A3は、第2の側面WS2側に偏って配置されている。そして、積層方向で見たときに、第1の浮き電極層70Aの連結部70A3と、第2の浮き電極層80Aの連結部80A3とは、重ならない位置に配置されている。より詳細には、第1の浮き電極層70Aは略U字型(略コの字型)であり、連結部70A3は、第1の側面WS1に近接して配置されている。第2の浮き電極層80Aは、第1の浮き電極層70Aとは逆向きの略U字型(約コの字型)であり、連結部80A3は、第2の側面WS2に近接して配置されている。
さらに、本実施形態においては、積層方向で見たときに、第1の浮き電極層70Aの連結部70A3は、第1の内部電極層30Aとは重なる位置に配置されている一方、第2の内部電極層40Aとは重ならない位置に配置されている。また、積層方向で見たときに、第2の浮き電極層80Aの連結部80A3は、第2の内部電極層40Aとは重なる位置に配置されている一方、第1の内部電極層30Aとは重ならない位置に配置されている。
さらに、第1の浮き電極層70Aの第1の端部70A1および第2の浮き電極層80Aの第1の端部80A1は、積層方向で見たときに、第2の内部電極層40Aとは重ならない位置に配置されている。また、第1の浮き電極層70Aの第2の端部70A2および第2の浮き電極層80Aの第2の端部80A2は、積層方向で見たときに、第1の内部電極層30Aとは重ならない位置に配置されている。
第1の浮き電極層70Aおよび第2の浮き電極層80Aは、例えば、Ni、Cu、Ag、Pd、Auなどの金属や、これらの金属の少なくとも一種を含む合金などの適宜の導電材料により構成される。合金を用いる場合、第1の内部電極層30Aおよび第2の内部電極層40Aは、例えばAg−Pd合金等により構成されてもよい。
第1の浮き電極層70Aおよび第2の浮き電極層80Aのそれぞれの厚みは、例えば、0.2μm以上2.0μm以下程度であることが好ましい。第1の浮き電極層70Aおよび第2の浮き電極層80Aの枚数は、第1の内部電極層30Aおよび第2の内部電極層40Aの枚数に対応した枚数に設定される。
なお、積層体100は、対向電極部を有する。対向電極部は、第1の内部電極層30Aの第1の対向部30A1と第2の内部電極層40Aの第2の対向部40A1が対向する部分である。対向電極部は、内層部11の一部として構成されており、対向電極部の積層方向Tの範囲は、内層部11の積層方向Tの範囲と一致している。なお、対向電極部は、コンデンサ有効部ともいう。
本実施形態においては、対向電極部を幅方向Wに広げた領域として、対向電極存在領域11Eを有する。対向電極存在領域11Eは、対向電極部の領域を、第1の側面WS1の方向に、第1の内部電極層30Aの第1の側面WS1側の存在領域まで広げ、かつ、第2の側面WS2側に、第2の内部電極層40Aの第2の側面WS2側の存在領域まで広げた領域である。図2B〜図2Eには、対向電極存在領域11Eの幅方向Wおよび長さ方向Lの範囲が示されている。
なお、積層体100は、側面側外層部を有する。側面側外層部は、第1の側面側外層部WG1と、第2の側面側外層部WG2を有する。第1の側面側外層部WG1は、対向電極存在領域11Eと第1の側面WS1との間に位置する誘電体層10を含む部分である。第2の側面側外層部WG2は、対向電極存在領域11Eと第2の側面WS2との間に位置する誘電体層10を含む部分である。図2B〜図2Gには、第1の側面側外層部WG1および第2の側面側外層部WG2の幅方向Wの範囲が示されている。なお、第1の側面側外層部WG1および第2の側面側外層部WG2は、Wギャップまたはサイドギャップともいう。
なお、積層体100は、端面側外層部を有する。端面側外層部は、第1の端面側外層部LG1と、第2の端面側外層部LG2を有する。第1の端面側外層部LG1は、対向電極存在領域11Eと第1の端面LS1との間に位置する誘電体層10を含む部分である。第2の端面側外層部LG2は、対向電極存在領域11Eと第2の端面LS2との間に位置する誘電体層10を含む部分である。図2A〜図2Eには、第1の端面側外層部LG1および第2の端面側外層部LG2の長さ方向Lの範囲が示されている。なお、第1の端面側外層部LG1および第2の端面側外層部LG2は、Lギャップまたはエンドギャップともいう。
ここで、本実施形態の浮き電極層60について補足して説明すると、第1の浮き電極層70の第1の端部70A1および第2の浮き電極層80の第1の端部80A1は、第1の端面側外層部LG1に配置されている。そして、積層方向で見たときに、第1の端部70A1および第1の端部80A1の第2の端面LS2側の位置と、第2の内部電極層40Aの第1の端面LS1側の位置は、重ならない範囲内で、略一致していることが好ましい。そして、第1の端部70A1および第1の端部80A1の長さ方向Lの長さD3は、第1の端面側外層部LG1の長さ方向Lの長さの略半分、もしくは半分以下であることが好ましい。
また、第1の浮き電極層70の第2の端部70A2および第2の浮き電極層80の第2の端部80A2は、第2の端面側外層部LG2に配置されている。そして、積層方向で見たときに、第2の端部70A2および第2の端部80A2の第1の端面LS1側の位置と、第1の内部電極層30Aの第2の端面LS2側の位置は、重ならない範囲内で、略一致していることが好ましい。そして、第2の端部70A2および第2の端部80A2の長さ方向Lの長さD3は、第2の端面側外層部LG2の長さ方向Lの長さの略半分、もしくは半分以下であることが好ましい。
これにより、浮き電極層60の存在によって、内部電極層20の突出端部、すなわち、第1の内部電極層30Aの第2の端面LS2側の部分および第2の内部電極層40Aの第1の端面LS1側の部分における電界集中を効果的に緩和しつつ、浮き電極層60と外部電極400との絶縁距離を確保することができる。
なお、積層方向で見たときに、第1の浮き電極層70Aの連結部70A3の第2の側面WS2側の位置と、第2の内部電極層40Aの第1の側面WS1側の位置は、重ならない範囲内で、略一致していることが好ましい。そして、第1の浮き電極層70Aの連結部70A3の幅方向Wの長さD1は、第1の側面側外層部WG1の幅方向Wの長さと略同じ、もしくはそれ以下であることが好ましい。
また、積層方向で見たときに、第2の浮き電極層80Aの連結部80A3の第1の側面WS1側の位置と、第1の内部電極層30Aの第2の側面WS2側の位置は、重ならない範囲内で、略一致していることが好ましい。そして、第2の浮き電極層80Aの連結部80A3の幅方向Wの長さD1は、第2の側面側外層部WG2の幅方向Wの長さと略同じ、もしくはそれ以下であることが好ましい。
なお、第1の浮き電極層70Aの連結部70A3の幅方向Wの長さD1は、第1の浮き電極層70Aの第1の端部70A1および第2の端部70A2の長さ方向Lの長さD3と略同じ、もしくはそれ以下であってもよい。また、第2の浮き電極層80の連結部80A3の幅方向Wの長さD1は、浮き電極層80の第1の端部80A1および第2の端部80A2の長さ方向Lの長さD3と略同じ、もしくはそれ以下であってもよい。
これにより、浮き電極層60の存在によって、内部電極層20の端部における電界集中を効果的に緩和しつつ、浮き電極層60と外部電極400との絶縁距離を確保することができる。また、浮き電極層60と積層体100の外表面との距離も確保することもできる。なお、浮き電極層60の連結部の幅方向Wの長さD1は、その寸法が比較的小さくても、浮き電極層60の第1の端部の電位と第2の端部の電位を同電位にする機能を果たすことができる。
外部電極400は、第1の端面LS1側に配置された第1の外部電極400Aと、第2の端面LS2側に配置された第2の外部電極400Bと、を有する。
第1の外部電極400Aは、第1の端面LS1上に配置されている。第1の外部電極400Aは、第1の内部電極層30Aに接続されている。第1の外部電極400Aは、第1の主面TS1の一部および第2の主面TS2の一部、ならびに第1の側面WS1の一部および第2の側面WS2の一部にも配置されていてもよい。本実施形態では、第1の外部電極400Aは、第1の端面LS1上から第1の主面TS1の一部および第2の主面TS2の一部、ならびに第1の側面WS1の一部および第2の側面WS2の一部にまで延びて形成されている。
第2の外部電極400Bは、第2の端面LS2上に配置されている。第2の外部電極400Bは、第2の内部電極層40Aに接続されている。第2の外部電極400Bは、第1の主面TS1の一部および第2の主面TS2の一部、ならびに第1の側面WS1の一部および第2の側面WS2の一部にも配置されていてもよい。本実施形態では、第2の外部電極400Bは、第2の端面LS2上から第1の主面TS1の一部および第2の主面TS2の一部、ならびに第1の側面WS1の一部および第2の側面WS2の一部にまで延びて形成されている。
前述のとおり、積層体100内においては、第1の内部電極層30Aの第1の対向部と第2の内部電極層40Aの第2の対向部とが誘電体層10を介して対向することにより容量が形成されている。そのため、第1の内部電極層30Aが接続された第1の外部電極400Aと第2の内部電極層40Aが接続された第2の外部電極400Bとの間でコンデンサの特性が発現する。
第1の外部電極400Aは、第1の下地電極層410Aと、第1の下地電極層410A上に配置される第1のめっき層420Aと、を有する。
第2の外部電極400Bは、第2の下地電極層410Bと、第2の下地電極層410B上に配置される第2のめっき層420Bと、を有する。
なお、第1の外部電極400Aおよび第2の外部電極400Bを構成する各層の基本的な構成は同じである。また、第1の外部電極400Aおよび第2の外部電極400Bは、積層セラミックコンデンサ1の長さ方向Lの中央の位置のWT断面に対して概ね面対称である。よって、第1の外部電極400Aと第2の外部電極400Bとを特に区別して説明する必要のない場合は、これらをまとめて外部電極400という場合がある。
第1の下地電極層410Aは、第1の端面LS1上に配置されている。第1の下地電極層410Aは、第1の内部電極層30Aに接続されている。本実施形態においては、第1の下地電極層410Aは、第1の端面LS1上から第1の主面TS1の一部および第2の主面TS2の一部、ならびに第1の側面WS1の一部および第2の側面WS2の一部にまで延びて形成されている。
第2の下地電極層410Bは、第2の端面LS2上に配置されている。第2の下地電極層410Bは、第2の内部電極層40Aに接続されている。本実施形態においては、第2の下地電極層410Bは、第2の端面LS2上から第1の主面TS1の一部および第2の主面TS2の一部、ならびに第1の側面WS1の一部および第2の側面WS2の一部にまで延びて形成されている。
第1の下地電極層410Aおよび第2の下地電極層410Bは、本実施形態においては、焼き付け層である。焼き付け層は、ガラス成分と金属とを含む。焼き付け層のガラス成分は、B、Si、Ba、Mg、Al、Li等から選ばれる少なくとも1つを含む。焼き付け層の金属は、例えば、Cu、Ni、Ag、Pd、Ag−Pd合金、Au等から選ばれる少なくとも1つを含む。焼き付け層は、ガラスおよび金属を含む導電性ペーストを積層体に塗布して焼き付けたものである。焼き付け層は、内部電極層および誘電体層を有する積層チップと積層チップに塗布した導電性ペーストとを同時焼成したものでもよく、内部電極層および誘電体層を有する積層チップを焼成して積層体を得た後に積層体に導電性ペーストを塗布して焼き付けたものでもよい。なお、内部電極層20および誘電体層10を有する積層チップと積層チップに塗布した導電性ペーストとを同時に焼成する場合には、焼付け層は、ガラス成分の代わりに誘電体材料を添加したものを焼き付けて形成することが好ましい。焼き付け層は、複数層であってもよい。
第1の端面LS1に位置する第1の下地電極層410Aの長さ方向Lの厚みは、第1の下地電極層410Aの積層方向Tおよび幅方向Wの中央部において、例えば、3μm以上160μm以下程度であることが好ましい。
第2の端面LS2に位置する第2の下地電極層410Bの長さ方向Lの厚みは、第2の下地電極層410Bの積層方向Tおよび幅方向Wの中央部において、例えば、3μm以上160μm以下程度であることが好ましい。
第1の主面TS1の一部および第2の主面TS2の一部にも第1の下地電極層410Aを設ける場合には、この部分に設けられた第1の下地電極層410Aの積層方向の厚みは、この部分に設けられた第1の下地電極層410Aの長さ方向Lおよび幅方向Wの中央部において、例えば、3μm以上40μm以下程度であることが好ましい。
第1の側面WS1の一部および第2の側面WS2の一部にも第1の下地電極層410Aを設ける場合には、この部分に設けられた第1の下地電極層410Aの幅方向の厚みは、この部分に設けられた第1の下地電極層410Aの長さ方向Lおよび積層方向Tの中央部において、例えば、3μm以上40μm以下程度であることが好ましい。
第1の主面TS1の一部および第2の主面TS2の一部にも第2の下地電極層410Bを設ける場合には、この部分に設けられた第2の下地電極層410Bの積層方向の厚みは、この部分に設けられた第2の下地電極層410Bの長さ方向Lおよび幅方向Wの中央部において、例えば、3μm以上40μm以下程度であることが好ましい。
第1の側面WS1の一部および第2の側面WS2の一部にも第2の下地電極層410Bを設ける場合には、この部分に設けられた第2の下地電極層410Bの幅方向の厚みは、この部分に設けられた第2の下地電極層410Bの長さ方向Lおよび積層方向Tの中央部において、例えば、3μm以上40μm以下程度であることが好ましい。
なお、下地電極層50は、焼き付け層に限らず、薄膜層であってもよい。薄膜層は、スパッタ法または蒸着法等の薄膜形成法により形成され、金属粒子が堆積された1μm以下の層である。
第1のめっき層420Aは、第1の下地電極層410Aを覆うように配置されている。第2のめっき層420Bは、第2の下地電極層410Bを覆うように配置されている。
第1のめっき層420Aおよび第2のめっき層420Bは、例えば、Cu、Ni、Sn、Ag、Pd、Ag−Pd合金、Au等から選ばれる少なくとも1つを含んでいてもよい。第1のめっき層420Aおよび第2のめっき層420Bは、それぞれ複数層により形成されていてもよい。
第1のめっき層420Aおよび第2のめっき層420Bは、Niめっき層の上にSnめっき層が形成された2層構造が好ましい。その場合、Niめっき層は、第1の下地電極層410Aおよび第2の下地電極層410Bが、積層セラミックコンデンサ1を実装する際のはんだによって侵食されることを防止する。また、Snめっき層は、積層セラミックコンデンサ1を実装する際のはんだの濡れ性を向上させる。これにより、積層セラミックコンデンサ1の実装を容易にする。第1のめっき層420Aおよび第2のめっき層420BのそれぞれをNiめっき層とSnめっき層との2層構造とする場合、Niめっき層とSnめっき層それぞれの厚みは、1μm以上15μm以下であることが好ましい。
なお、本実施形態の第1の外部電極400Aおよび第2の外部電極400Bは、例えば導電性粒子と熱硬化性樹脂を含む導電性樹脂層を有していてもよい。そのような導電性樹脂層は、第1の外部電極400Aでは、第1の下地電極層410Aと第1のめっき層420Aとの間に配置され、第2の外部電極400Bでは、第2の下地電極層410Bと第2のめっき層420Bとの間に配置されることが好ましい。熱硬化性樹脂を含む導電性樹脂層は、例えばめっき膜や導電性ペーストの焼成物からなる導電層よりも柔軟性に富んでいる。このため、積層セラミックコンデンサ1に物理的な衝撃や熱サイクルに起因する衝撃が加わった場合であっても、導電性樹脂層が緩衝層として機能し、積層セラミックコンデンサ1のクラック発生が抑制される。
なお、第1の下地電極層410A、第2の下地電極層410Bを設けずにめっき層だけで外部電極400を形成してもよい。このような場合、前処理として積層体100の表面に触媒を配設した後で、めっき層が形成されてもよい。この場合においてもめっき層は、複数層であることが好ましく、上述の構成と同様、下層めっき層としてのNiめっき層の上に上層めっき層としてのSnめっき層が形成された2層構造が好ましい。また、例えば、第1の内部電極層30Aおよび第2の内部電極層40AがNiを用いて形成される場合、下層めっき層は、Niと接合性のよいCuを用いて形成されることが好ましい。なお、めっき層は、ガラスを含まないことが好ましい。めっき層の単位体積あたりの金属割合は、99体積%以上であることが好ましい。
なお、積層体100と外部電極400を含む積層セラミックコンデンサ1の長さ方向Lの寸法をL寸法とすると、L寸法は、0.2mm以上10mm以下であることが好ましい。また、積層セラミックコンデンサ1の積層方向Tの寸法をT寸法とすると、T寸法は、0.1mm以上10mm以下であることが好ましい。また、積層セラミックコンデンサ1の幅方向Wの寸法をW寸法とする。W寸法は、0.1mm以上10mm以下であることが好ましい。
次に、本実施形態の積層セラミックコンデンサ1の構成により、電界集中が緩和される作用について説明する。
前述のとおり、例えば特許文献1には、内部電極層の突出端部と誘電体層を介して対向する他の内部電極層との間の領域に、浮き電極層である分圧電極を設けた構成が開示されている。しかしながら、特許文献1の分圧電極は、外部電極の近傍のみに部分的に配置されているため、分圧電極の電位は、分圧電極の近傍に存在する外部電極に接続されている内部電極層の電位に近づいてしまう。このように、圧電極の電位が、分圧電極の上方の内部電極層の電位または下方の内部電極層の電位のどちらかの電位に近づいてしまう場合は、内部電極層の端部における電界集中を十分緩和することができない。
本実施形態の積層セラミックコンデンサ1の浮き電極層60は、第2の内部電極層40Aの第2の対向部の第1の端面LS1側の端部近傍に配置される第1の端部(第1の端部70A1、第1の端部80A1)と、第1の内部電極層30Aの第1の対向部の第2の端面LS2側の端部近傍に配置される第2の端部(第2の端部70A2、第2の端部80A2)と、第1の端部と第2の端部を連結する連結部(連結部70A3、80A3)とを有する。この連結部を有することにより、浮き電極層60の第1の端部の電位と第2の端部の電位を同電位とすることが可能となる。その結果、簡単な構成により、浮き電極層60の第1の端部の電位と第2の端部の電位を、第1の内部電極層30Aの電位と第2の内部電極層40Aの電位のちょうど中間程度の電位とすることも可能となり、内部電極層20の端部における電界集中を効果的に緩和することができる。よって、絶縁破壊電圧を向上させることができる。
なお、本実施形態においては、浮き電極層60の第1の端部(第1の端部70A1、第1の端部80A1)と第2の端部(第2の端部70A2、第2の端部80A2)が、端面側外層部LG(Lギャップ)に位置しているが、この構成であっても、連結部(連結部70A3、80A3)の存在により、浮き電極層60の第1の端部の電位と第2の端部の電位を、第1の内部電極層30Aの電位と第2の内部電極層40Aの電位のちょうど中間程度の電位とすることが可能である。よって、内部電極層20の端部における電界集中を効果的に緩和することができる。
なお、本実施形態においては、浮き電極層60の連結部(連結部70A3、80A3)は、積層方向で見たときに、第1の内部電極層30Aおよび第2の内部電極層40Aのうち、少なくともいずれか一方の内部電極層とは重ならない位置に配置されている。これにより、第1の内部電極層30Aおよび第2の内部電極層40Aと、浮き電極層60の連結部の重なりが減るため、積層体100の形状が安定する。また、第1の浮き電極層70Aの連結部70A3は、積層方向で見たときに、第2の浮き電極層80Aの連結部80A3とは重ならない位置に配置されている。これにより、浮き電極層60の連結部同士の重なりが減るため、積層体100の形状が安定する。さらに、浮き電極層60の第1の端部(第1の端部70A1、第1の端部80A1)は、積層方向で見たときに、第2の内部電極層40Aとは重ならない位置に配置されている。また、浮き電極層60の第2の端部(第2の端部70A2、第2の端部80A2)は、積層方向で見たときに、第1の内部電極層30Aとは重ならない位置に配置されている。これにより、第1の内部電極層30Aおよび第2の内部電極層40Aと、浮き電極層60の第1および第2の端部の重なりが減るため、積層体100の形状が安定する。
次に、本実施形態の積層セラミックコンデンサ1の製造方法について説明する。
誘電体層10用の誘電体シートと、内部電極層20および浮き電極層60用の導電性ペーストが準備される。誘電体シートと、内部電極層20および浮き電極層60用の導電性ペーストは、バインダおよび溶剤を含む。バインダおよび溶剤は、公知のものであってもよい。
誘電体シート上に、内部電極層20および浮き電極層60用の導電性ペーストが、例えば、スクリーン印刷やグラビア印刷などにより所定のパターンで印刷される。これにより、図2Bに示されるような第1の内部電極層30Aのパターンが形成された誘電体シートと、図2Dに示されるような第2の内部電極層40Aのパターンが形成された誘電体シートと、図2Cに示されるような第1の浮き電極層70Aのパターンが形成された誘電体シートと、図2Eに示されるような第2の浮き電極層80Aのパターンが形成された誘電体シートとが準備される。
内部電極層のパターンが印刷されていない誘電体シートが所定枚数積層されることにより、第1の主面TS1側の第1の主面側外層部12となる部分が形成される。その上に、第1の内部電極層30Aのパターンが印刷された誘電体シートと、第1の浮き電極層70Aのパターンが形成された誘電体シートと、第2の内部電極層40Aのパターンが印刷された誘電体シートと、第2の浮き電極層80Aのパターンが形成された誘電体シートとが順次積層されることにより、内層部11となる部分が形成される。この内層部11となる部分の上に、内部電極層のパターンが印刷されていない誘電体シートが所定枚数積層されることにより、第2の主面TS2側の第2の主面側外層部13となる部分が形成される。これにより、積層シートが作製される。
積層シートが静水圧プレスなどの手段により積層方向Tにプレスされることにより、積層ブロックが作製される。
積層ブロックが所定のサイズにカットされることにより、積層チップが切り出される。このとき、バレル研磨などにより積層チップの角部および稜線部に丸みがつけられてもよい。
積層チップが焼成されることにより、積層体100が作製される。焼成温度は、誘電体層10や内部電極層20の材料にもよるが、900℃以上1400℃以下であることが好ましい。
積層体100に、第1の下地電極層410Aおよび第2の下地電極層410Bとなる導電性ペーストが塗布される。本実施形態においては、下地電極層50は、焼き付け層である。ガラス成分と金属とを含む導電性ペーストが、例えばディッピングなどの方法により、積層体100に塗布される。
その後、焼き付け処理が行われ、第1の下地電極層410Aおよび第2の下地電極層410Bが形成される。この時の焼き付け処理の温度は、700℃以上900℃以下であることが好ましい。
その後、第1の下地電極層410Aの表面に、第1のめっき層420Aが形成される。また、第2の下地電極層410Bの表面に、第2のめっき層420Bが形成される。本実施形態では、めっき層として、Niめっき層およびSnめっき層が形成される。Niめっき層およびSnめっき層は、例えばバレルめっき法により、順次形成される。
以上の製造方法により、積層セラミックコンデンサ1が製造される。
本実施形態の積層セラミックコンデンサ1によれば、以下の効果を奏する。
(1)本実施形態に係る積層セラミックコンデンサ1は、積層された複数の誘電体層10と積層された複数の内部電極層20とを含み、積層方向Tに相対する第1の主面TS1および第2の主面TS2と、積層方向Tに直交する幅方向Wに相対する第1の側面WS1および第2の側面WS2と、積層方向Tおよび幅方向Wに直交する長さ方向Lに相対する第1の端面LS1および第2の端面LS2と、を含む積層体100と、第1の端面LS1上に配置される第1の外部電極400Aと、第2の端面LS2上に配置される第2の外部電極400Bと、を有する積層セラミックコンデンサ1であって、複数の内部電極層20は、第1の内部電極層30Aおよび第2の内部電極層40Aと、を含み、積層体100は、積層された複数の浮き電極層60(70A、80A)をさらに含み、第1の内部電極層30Aは、その一方端部が第1の端面LS1に引き出されて第1の外部電極400Aと接続する第1の引き出し部30A2と、第1の引き出し部30A2に接続され、積層方向に隣り合って配置された第2の内部電極層40Aと対向する第1の対向部30A1とを有し、第2の内部電極層40Aは、積層方向に隣り合って配置された第1の内部電極層30Aと対向する第2の対向部40A1を有し、浮き電極層70A(80A)は、積層方向Tにおいて1の内部電極層30Aと第2の内部電極層40Aの間に配置された誘電体層10に挟まれた位置に配置され、第1の端面LS1および第2の端面LS2のいずれにも露出されておらず、第2の対向部40A1の第1の端面LS1側の端部近傍に配置される第1の端部70A1(80A1)と、第1の対向部31A1の第2の端面LS2側の端部近傍に配置される第2の端部70A2(80A2)と、第1の端部70A1(80A1)と第2の端部70A2(80A2)を連結する連結部70A3(80A3)とを有し、連結部70A3(80A3)の最も第1の側面WS1側に位置する部分と最も第2の側面WS2側に位置する部分とを結ぶ幅方向Wの長さD1は、第1の端部70A1(80A1)の幅方向Wの長さD2および第2の端部70A2(80A2)の幅方向Wの長さD2よりも短い。これにより、内部電極層20の端部における電界集中を緩和し、絶縁破壊電圧を向上させることが可能となる。より詳細には、浮き電極層60の連結部(70A3、80A3)により、浮き電極層60の第1の端部(70A1、80A1)と第2の端部(70A2、80A2)を同電位とすることが可能となり、その結果、浮き電極層60を第1の内部電極層30Aの電位と第2の内部電極層40Aの電位の略中央値の電位とすることもできるため、第1の内部電極層30Aの第2の端面LS2側の端部付近および第2の内部電極層40Aの第1の端面LS1側の端部付近で発生する電解集中を効果的に抑制することができる。また、浮き電極層60の連結部を、浮き電極層60の第1の端部および第2の端部に比べて幅方向Wにおいて細く形成することにより、特に電界が集中する第1の内部電極層30Aの第2の端面LS2側の端部付近および第2の内部電極層40Aの第1の端面LS1側の端部付近の電解集中を効果的に抑制する機能は確保しつつ、浮き電極層60で使用する材料の使用量を抑え、コストの上昇を抑えることができる。
(2)本実施形態の浮き電極層60(70A、80A)の連結部70A3(80A3)は、積層方向で見たときに、第1の内部電極層30Aおよび第2の内部電極層40Aのうち、少なくともいずれか一方の内部電極層とは重ならない位置に配置されている。これにより、積層方向において、第1の内部電極層30Aおよび第2の内部電極層40Aと、浮き電極層60(70A、80A)の連結部の重なりが減るため、積層体100の形状が安定する。
(3)本実施形態の浮き電極層60(70A、80A)の連結部70A3(80A3)は、積層方向で見たときに、第1の内部電極層30Aおよび第2の内部電極層40Aのうち、一方の内部電極層とは重ならない位置に配置されており、他方の内部電極層と重なる位置に配置されている。これにより、対向電極存在領域11E内における、内部電極層20および浮き電極層60の積層枚数が均一化され、積層体100の形状が安定する。
(4)本実施形態の浮き電極層60(70A、80A)は、第1の側面WS1側および第2の側面WS2側のうち、いずれか一方の側に偏って配置された連結部70A3を有する第1の浮き電極層70Aと、第1の側面WS1側および第2の側面WS2側のうち、他方の側に偏って配置された連結部80A3を有する第2の浮き電極層80Aを含み、積層体100は、積層方向において、第1の内部電極層30A、第1の浮き電極層70A、第2の内部電極層40A、第2の浮き電極層80A、第1の内部電極層30Aの順に、内部電極層20および浮き電極層60が誘電体層10を介して配置される部分を含み、積層方向で見たときに、第1の浮き電極層70Aの連結部70A3と、第2の浮き電極層80Aの連結部80A3とは、重ならない位置に配置されている。これにより、積層方向において、浮き電極層60の連結部同士の重なりが減るため、積層体100の形状が安定する。
(5)本実施形態の浮き電極層60(70A、80A)の第1の端部70A1(80A1)は、積層方向で見たときに、第2の内部電極層40Aとは重ならない位置に配置されており、浮き電極層60(70A、80A)の第2の端部70A2(80A2)は、積層方向で見たときに、第1の内部電極層30Aとは重ならない位置に配置されている。これにより、第1の内部電極層30Aおよび第2の内部電極層40Aと、浮き電極層60(70A、80A)の第1の端部70A1(80A1)および第2の端部70A2(80A2)の重なりが減るため、積層体100の形状が安定する。
(6)本実施形態の第2の内部電極層40Aは、その一方端部が第2の端面LS2に引き出されて第2の外部電極400Bと接続する第2の引き出し部を40A2備え、第2の引き出し部40A2は、第2の対向部40A1に接続されている。このような積層セラミックコンデンサ1の構成においても、本実施形態の効果が得られる。
<第2実施形態>
以下、本発明の第2実施形態に係る積層セラミックコンデンサ1について説明する。なお、以下の説明において、第1実施形態と同じ構成については、同じ符号を付し、また詳細な説明を省略する。図3Aは、本実施形態の積層セラミックコンデンサ1の断面図であって、第1実施形態の図2Aに対応する断面図である。図3Bは、図3Aの積層セラミックコンデンサ1の3B−3B線に沿った断面図である。図3Cは、図3Aの積層セラミックコンデンサ1の3C−3C線に沿った断面図である。図3Dは、図3Aの積層セラミックコンデンサ1の3D−3D線に沿った断面図である。図3Eは、図3Aの積層セラミックコンデンサ1の3E−3E線に沿った断面図である。図3Fは、図3Aの積層セラミックコンデンサ1の3F−3F線に沿った断面図である。図3Gは、図3Aの積層セラミックコンデンサ1の3G−3G線に沿った断面図である。
本実施形態の積層セラミックコンデンサ1は、内部電極層20の態様が、第1実施形態と異なる。そして、浮き電極層60の連結部が、側面側外層部(Wギャップ)に配置されている。
第1実施形態においては、第1の内部電極層30Aと、第2の内部電極層40Aが、幅方向Wにずれて配置されていた。そして、積層方向で見たときに、浮き電極層60の連結部(連結部70A3、連結部80A3)は、第1の内部電極層30Aおよび第2の内部電極層40Aのうち、一方の内部電極層とは重ならない位置に配置されており、他方の内部電極層と重なる位置に配置されていた。本実施形態においては、図3Bから図3Gに示すように、第1の内部電極層30Bと、第2の内部電極層40Bが、幅方向Wにおいて一致した位置に配置されている。そして、積層方向で見たときに、浮き電極層60の連結部は、第1の内部電極層30Bおよび第2の内部電極層40Bとは重ならない位置に配置されている。すなわち、浮き電極層60の連結部は、側面側外層部(Wギャップ)に配置されている。
図3A、図3F、図3Gには、第1の内部電極層30Bとして、第1の主面TS1側から順に、複数の第1の内部電極層31B、32B、33Bが示されている。複数の第1の内部電極層30Bは、基本的に同じ形状である。よって、複数の第1の内部電極層30Bを代表して、図3Bに示される第1の内部電極層31Bを用いて説明する場合がある。図3A、図3F、図3Gには、第2の内部電極層40Bとして、第1の主面TS1側から順に、複数の第2の内部電極層41B、42B、43Bが配置されている。複数の第2の内部電極層40Bは、基本的に同じ形状である。よって、複数の第2の内部電極層40Bを代表して、図3Dに示される第2の内部電極層41Bを用いて説明する場合がある。
第1の内部電極層30Bの構成を、図3Bに示される第1の内部電極層31Bを例にして説明すると、第1の内部電極層31B(30B)は、その一方端部が第1の端面LS1に引き出されて第1の外部電極400Aと接続する第1の引き出し部31B2(30B2)と、第1の引き出し部31B2に接続され、異なる誘電体層10上に配置された第2の内部電極層40Bと対向する第1の対向部31B1(30B1)とを含む。なお、本実施形態においては、第1の内部電極層31B(30B)は、第1実施形態に示されるような第1の縁部を有しない。
第2の内部電極層40Bの構成を、図3Dに示される第2の内部電極層41Bを例にして説明すると、第2の内部電極層41B(40B)は、その一方端部が第2の端面LS2に引き出されて第2の外部電極400Bと接続する第2の引き出し部41B2(40B2)と、第2の引き出し部41B2に接続され、異なる誘電体層10上に配置された第1の内部電極層30Bと対向する第2の対向部41B1(40B1)とを含む。なお、本実施形態においては、第2の内部電極層41B(40B)は、第1実施形態に示されるような第2の縁部を有しない。
本実施形態の第1の浮き電極層70Aおよび第2の浮き電極層80Aは、第1実施形態の第1の浮き電極層70Aおよび第2の浮き電極層80Aと同じである。よって、本実施形態の浮き電極層60の説明は省略する。
本実施形態の対向電極部は、第1の内部電極層30Bの第1の対向部30B1と第2の内部電極層40Bの第2の対向部40B1が対向する部分である。対向電極部は、内層部11の一部として構成されており、対向電極部の積層方向Tの範囲は、内層部11の積層方向Tの範囲と一致している。なお、本実施形態においては、第1の内部電極層30Bと、第2の内部電極層40Bが、幅方向Wにずれて配置されていないため、この対向電極部が、そのまま対向電極存在領域11Eとなる。図3B〜図3Eには、対向電極存在領域11Eの幅方向Wおよび長さ方向Lの範囲が示されている。
本実施形態の第1の側面側外層部WG1は、対向電極部、すなわち対向電極存在領域11Eと第1の側面WS1との間に位置する誘電体層10を含む部分である。第2の側面側外層部WG2は、対向電極部、すなわち対向電極存在領域11Eと第2の側面WS2との間に位置する誘電体層10を含む部分である。図3B〜図3Gには、第1の側面側外層部WG1および第2の側面側外層部WG2の幅方向Wの範囲が示されている。なお、第1の側面側外層部WG1および第2の側面側外層部WG2は、Wギャップまたはサイドギャップともいう。
ここで、本実施形態の内部電極層20と浮き電極層60の関係について説明すると、積層方向で見たときに、第1の浮き電極層70Aの連結部70A3は、第1の内部電極層30Bおよび第2の内部電極層40Bとは重ならない位置に配置されている。すなわち、第1の浮き電極層70Aの連結部70A3は、第1の側面側外層部WG1に配置されている。また、積層方向で見たときに、第2の浮き電極層80Aの連結部80A3は、第1の内部電極層30Bおよび第2の内部電極層40Bとは重ならない位置に配置されている。すなわち、第2の浮き電極層80Aの連結部80A3は、第2の側面側外層部WG2に配置されている。
また、本実施形態の浮き電極層60について補足して説明すると、積層方向で見たときに、第1の浮き電極層70Aの連結部70A3の第2の側面WS2側の位置と、第2の内部電極層40Bの第1の側面WS1側の位置は、重ならない範囲内で、略一致していることが好ましい。そして、第1の浮き電極層70Aの連結部70A3の幅方向Wの長さD1は、第1の側面側外層部WG1の幅方向Wの長さの略半分、もしくは半分以下であることが好ましい。
また、積層方向で見たときに、第2の浮き電極層80Aの連結部80A3の第1の側面WS1側の位置と、第1の内部電極層30Bの第2の側面WS2側の位置は、重ならない範囲内で略一致していることが好ましい。そして、第2の浮き電極層80Aの連結部80A3の幅方向Wの長さD1は、第2の側面側外層部WG2の幅方向Wの長さの略半分、もしくは半分以下であることが好ましい。
本実施形態の積層セラミックコンデンサ1によれば、上記(1)、(2)、(4)〜(6)に加えて、以下の効果を奏する。
(7)本実施形態の浮き電極層60の連結部(連結部70A3、80A3)は、積層方向で見たときに、第1の内部電極層30Bおよび第2の内部電極層40Bとは重ならない位置に配置されている。このように、浮き電極層60の連結部を、側面側外層部(Wギャップ)に配置することにより、浮き電極層60の連結部の存在が、第1の内部電極層30Bと第2の内部電極層40Bとによる容量の形成に影響を及ぼしにくくなる。また、図3Gに示されるWT断面において、積層される内部電極層20および浮き電極層60の枚数が、積層体100の幅方向Wの中心から第1の側面WS1および第2の側面WS2に向かうにつれて徐々に少なくなるため、積層体100の形状が安定する。
<第3実施形態>
以下、本発明の第3実施形態に係る積層セラミックコンデンサ1について説明する。なお、以下の説明において、第2実施形態と同じ構成については、同じ符号を付し、また詳細な説明を省略する。図4Aは、本実施形態の積層セラミックコンデンサ1の断面図であって、第2実施形態の図3Aに対応する断面図である。図4Bは、図4Aの積層セラミックコンデンサ1の4B−4B線に沿った断面図である。図4Cは、図4Aの積層セラミックコンデンサ1の4C−4C線に沿った断面図である。図4Dは、図4Aの積層セラミックコンデンサ1の4D−4D線に沿った断面図である。図4Eは、図4Cの積層セラミックコンデンサ1の4E−4E線に沿った断面図である。図4Fは、図4Aおよび図4Eの積層セラミックコンデンサ1の4F−4F線に沿った断面図である。図4Gは、図4Aおよび図4Eの積層セラミックコンデンサ1の4G−4G線に沿った断面図である。
本実施形態の積層セラミックコンデンサ1は、内部電極層20および浮き電極層の態様が、第2実施形態と異なる。第2実施形態においては、浮き電極層60の形状が、略U字形の形状であった。本実施形態においては、図4B〜図4Dに示すように、浮き電極層60の形状が、略H字形の形状となっている。そして、基本的に全ての浮き電極層60が、略同じ形状となっている。
図4A、図4E〜図4Gには、第1の内部電極層30Cとして、第1の主面TS1側から順に、複数の第1の内部電極層31C、32C、33Cが示されている。複数の第1の内部電極層30Cは、基本的に同じ形状である。よって、複数の第1の内部電極層30Cを代表して、図4Bに示される第1の内部電極層31Cを用いて説明する場合がある。図4A、図4F、図4Gには、第2の内部電極層40Cとして、第1の主面TS1側から順に、複数の第2の内部電極層41C、42C、43Cが配置されている。複数の第2の内部電極層40Cは、基本的に同じ形状である。よって、複数の第2の内部電極層40Cを代表して、図4Dに示される第2の内部電極層41Cを用いて説明する場合がある。
第1の内部電極層30Cの構成を、図4Bに示される第1の内部電極層31Cを例にして説明すると、第1の内部電極層31C(30C)は、その一方端部が第1の端面LS1に引き出されて第1の外部電極400Aと接続する第1の引き出し部31C2(30C2)と、第1の引き出し部31C2に接続され、異なる誘電体層10上に配置された第2の内部電極層40Cと対向する第1の対向部31C1(30C1)とを含む。
第2の内部電極層40Cの構成を、図4Dに示される第2の内部電極層41Cを例にして説明すると、第2の内部電極層41C(40C)は、その一方端部が第2の端面LS2に引き出されて第2の外部電極400Bと接続する第2の引き出し部41C2(40C2)と、第2の引き出し部41C2に接続され、異なる誘電体層10上に配置された第1の内部電極層30Cと対向する第2の対向部41C1(40C1)とを含む。
次に、本実施形態における複数の浮き電極層60について説明する。図4A、図4E〜図4Gに示すように、複数の浮き電極層60は、積層方向において第1の内部電極層30Cと第2の内部電極層40Cの間に配置された誘電体層10に挟まれた位置に配置されている。本実施形態においては、複数の浮き電極層60は、複数の第1の浮き電極層70Cを含む。このように、本実施形態においては、複数の浮き電極層60は、1種類の形状の浮き電極層、すなわち、複数の第1の浮き電極層70Cのみによって構成されていてもよい。
図4A、図4E〜図4Gには、第1の浮き電極層70Cとして、第1の主面TS1側から順に、複数の第1の浮き電極層71C、72C、73C、74C、75Cが示されている。本実施形態の複数の第1の浮き電極層70Cは、基本的に同じ形状である。よって、複数の第1の浮き電極層70Cを代表して、図4Cに示される第1の浮き電極層71Cを用いて説明する場合がある。
第1の浮き電極層70Cの構成を、図4Cに示される第1の浮き電極層71Cを例にして説明すると、第1の浮き電極層71C(70C)は、第2の内部電極層40Cの第2の対向部40C1の第1の端面LS1側の端部近傍に配置される第1の端部71C1(70C1)と、第1の内部電極層30Cの第1の対向部30C1の第2の端面LS2側の端部近傍に配置される第2の端部71C2(70C2)と、第1の端部71C1と第2の端部71C2を連結する連結部71C3(70C3)とを有する。
ここで、図4Cに示すように、第1の浮き電極層70Cの連結部70C3の最も第1の側面WS1側に位置する部分と最も第2の側面WS2側に位置する部分とを結ぶ幅方向の長さD1は、第1の浮き電極層70の第1の端部70C1および第2の端部70C2の幅方向Wの長さD2よりも短い。本実施形態の第1の浮き電極層71Cは略H字型であり、連結部70C3は、幅方向Wの中心付近に配置されている。
本実施形態の第1の浮き電極層70Cの第1の端部70C1は、積層方向で見たときに、第2の内部電極層40Cと一部が重なる位置に配置されている。例えば、第1の端部70C1の約半分の面積が、第2の内部電極層40Cと重なる態様であってもよい。また、第1の浮き電極層70Cの第2の端部70C2は、積層方向で見たときに、第1の内部電極層30Cと一部が重なる位置に配置されている。例えば、第2の端部70C2の約半分の面積が、第1の内部電極層30Cと重なる態様であってもよい。
なお、本実施形態においては、第1の内部電極層30Cと、第2の内部電極層40Cが、幅方向Wにずれて配置されていないため、対向電極部が、そのまま対向電極存在領域11Eとなる。図4B〜図4Dには、対向電極存在領域11Eの幅方向Wおよび長さ方向Lの範囲が示されている。
このように、複数の浮き電極層60は、1種類の形状の浮き電極層によって構成されていてもよい。このような構成であっても、浮き電極層60の存在により、内部電極層20の端部における電界集中を効果的に緩和することができる。そして、本実施形態の構成であれば、内部電極層20および浮き電極層60と、外部電極400および積層体100の外表面との絶縁距離を確保しつつ、第1の内部電極層30Cの第1の対向部と、第2の内部電極層40Cの第2の対向部の面積を広げて、コンデンサ容量を大きくすることができる。
<第4実施形態>
以下、本発明の第4実施形態に係る積層セラミックコンデンサ1について説明する。なお、以下の説明において、第3実施形態と同じ構成については、同じ符号を付し、また詳細な説明を省略する。図5Aは、本実施形態の積層セラミックコンデンサ1の断面図であって、第3実施形態の図4Aに対応する断面図である。図5Bは、図5Aの積層セラミックコンデンサ1の5B−5B線に沿った断面図であり、第3実施形態の図4Cに対応する図である。図5Cは、図5Aの積層セラミックコンデンサ1の5C−5C線に沿った断面図である。図5Dは、図5Bおよび図5Cの積層セラミックコンデンサ1の5D−5D線に沿った断面図であり、第3実施形態の図4Eに対応する図である。図5Eは、図5Dの積層セラミックコンデンサ1の5E−5E線に沿った断面図であり、第3実施形態の図4Gに対応する図である。
本実施形態の積層セラミックコンデンサ1は、浮き電極層60の形状が、第3実施形態とは異なる。
第3実施形態においては、複数の浮き電極層60の形状は、略H字形となっており、基本的に全ての浮き電極層60が、略同じ形状となっていた。本実施形態においても、複数の浮き電極層60の形状は、略H字形である。しかしながら、本実施形態の複数の浮き電極層60は、複数の第1の浮き電極層70Dと、複数の第1の浮き電極層70Dとは形状の異なる複数の第2の浮き電極層80Dとを含む。
本実施形態の第1の内部電極層30Cおよび第2の内部電極層40Cは、第3実施形態の第1の内部電極層30Cおよび第2の内部電極層40Cと同じである。よって、本実施形態の内部電極層20の説明は省略する。
本実施形態における浮き電極層60について説明する。本実施形態の浮き電極層60は、複数の第1の浮き電極層70Dおよび複数の第2の浮き電極層80Dを含む。
図5A、図5D、図5Eには、第1の浮き電極層70Dとして、第1の主面TS1側から順に、複数の第1の浮き電極層71D、72D、73Dが示されている。複数の第1の浮き電極層70Dは、基本的に同じ形状である。よって、複数の第1の浮き電極層70Dを代表して、図5Bに示される第1の浮き電極層71Dを用いて説明する場合がある。また、図5A、図5D、図5Eには、第2の浮き電極層80Dとして、第1の主面TS1側から順に、複数の第2の浮き電極層81D、82Dが示されている。複数の第2の浮き電極層80Dは、基本的に同じ形状である。よって、複数の第2の浮き電極層80Dを代表して、図5Cに示される第2の浮き電極層81Dを用いて説明する場合がある。
第1の浮き電極層70Dの構成を、図5Bに示される第1の浮き電極層71Dを例にして説明すると、第1の浮き電極層71D(70D)は、第2の内部電極層40Cの第2の対向部40C1の第1の端面LS1側の端部近傍に配置される第1の端部71D1(70D1)と、第1の内部電極層30Cの第1の対向部30C1の第2の端面LS2側の端部近傍に配置される第2の端部71D2(70D2)と、第1の端部71D1と第2の端部71D2を連結する連結部71D3(70D3)とを有する。
また、第2の浮き電極層80Dの構成を、図5Cに示される第2の浮き電極層81Dを例にして説明すると、第2の浮き電極層81D(80D)は、第2の内部電極層40Cの第2の対向部40C1の第1の端面LS1側の端部近傍に配置される第1の端部81D1(80D1)と、第1の内部電極層30Cの第1の対向部30C1の第2の端面LS2側の端部近傍に配置される第2の端部81D2(80D2)と、第1の端部81D1と第2の端部81D2を連結する連結部81D3(80D3)とを有する。
図5Bに示すように、本実施形態においては、第1の浮き電極層70Dの連結部70D3は、積層体100の幅方向Wの中心付近において、第1の側面WS1側に偏って配置されている。一方、図5Cに示すように、第2の浮き電極層80Dの連結部80D3は、積層体100の幅方向Wの中心付近において、第2の側面WS2側に偏って配置されている。そして、積層方向で見たときに、第1の浮き電極層70Dの連結部70D3と、第2の浮き電極層80Dの連結部80D3とは、重ならない位置に配置されている。すなわち、第1の浮き電極層70Dおよび第2の浮き電極層80Dは共に略H字型であるものの、それぞれの連結部は、幅方向Wの中心付近において、重ならないように、互いに異なる方向に偏って配置されている。
さらに、第1の浮き電極層70Dの第1の端部70D1および第2の浮き電極層80Dの第1の端部80D1は、積層方向で見たときに、第2の内部電極層40Cとは重ならない位置に配置されている。また、第1の浮き電極層70Dの第2の端部70D2および第2の浮き電極層80Dの第2の端部80D2は、積層方向で見たときに、第1の内部電極層30Cとは重ならない位置に配置されている。
このような構成であっても、浮き電極層60の存在により、内部電極層20の端部における電界集中を効果的に緩和することができる。そして、内部電極層20および浮き電極層60と、外部電極400および積層体100の外表面との絶縁距離を確保しつつ、第1の内部電極層30Cの第1の対向部と、第2の内部電極層40Cの第2の対向部の面積を広げて、コンデンサ容量を大きくすることができる。さらに、本実施形態においては、積層方向で見たときに、浮き電極層60の連結部同士の重なりが減る構成であるため、積層体100の形状が安定する。また、積層方向で見たときに、第1の内部電極層30Cおよび第2の内部電極層40Cと、浮き電極層60の第1の端部(70D1、80D1)および第2の端部(70D2、80D2)の重なりが減る構成であるため、積層体100の形状が安定する。
<第5実施形態>
以下、本発明の第5実施形態に係る積層セラミックコンデンサ1について説明する。なお、以下の説明において、第1実施形態と同じ構成については、同じ符号を付し、また詳細な説明を省略する。図6Aは、本実施形態の積層セラミックコンデンサ1の断面図であって、第1実施形態の図2Aに対応する断面図である。図6Bは、図6Aの積層セラミックコンデンサ1の6B−6B線に沿った断面図である。図6Cは、図6Aの積層セラミックコンデンサ1の6C−6C線に沿った断面図である。図6Dは、図6Aの積層セラミックコンデンサ1の6D−6D線に沿った断面図である。図6Eは、図6Aの積層セラミックコンデンサ1の6E−6E線に沿った断面図である。図6Fは、図6Aの積層セラミックコンデンサ1の6F−6F線に沿った断面図である。
本実施形態の積層セラミックコンデンサ1は、2連構造の積層セラミックコンデンサである。
第1実施形態においては、第2の内部電極層40Aは、第2の外部電極400Bに接続されていた。本実施形態においては、複数の内部電極層20は、第1の内部電極層30Eおよび第2の内部電極層40Eに加えて、第3の内部電極層50Eを含んでいる。そして、第2の内部電極層40Eは、第1の外部電極400Aにも第2の外部電極400Bにも接続されていない中間電極層を構成している。第3の内部電極層50Eは、第2の外部電極400Bに接続されている。これにより、第1の内部電極層30Eと、第2の内部電極層40Eと、第3の内部電極層50Eによって、2連構造の直列接続のコンデンサ素子が形成されている。
本実施形態の内部電極層20について説明する。内部電極層20は、複数の第1の内部電極層30Eと、複数の第2の内部電極層40Eと、複数の第3の内部電極層50Eと、を有する。
図6A、図6Fには、第1の内部電極層30Eとして、第1の主面TS1側から順に、複数の第1の内部電極層31E、32E、33E、34Eが示されている。複数の第1の内部電極層30Eは、基本的に同じ形状である。ただし、本実施形態においては、複数の第1の内部電極層30Eは、交互に幅方向Wにずれて配置されている。すなわち、第1の内部電極層31Eおよび第1の内部電極層33Eと、第1の内部電極層32Eおよび第1の内部電極層34Eは、幅方向Wにずれて配置されている。
図6A、図6Fには、第2の内部電極層40Eとして、第1の主面TS1側から順に、複数の第2の内部電極層41E、42E、43Eが示されている。複数の第2の内部電極層40Eは、基本的に同じ形状である。
図6Aには、第3の内部電極層50Eとして、第1の主面TS1側から順に、複数の第3の内部電極層51E、52E、53E、54Eが示されている。複数の第3の内部電極層50Eは、基本的に同じ形状である。ただし、本実施形態においては、複数の第3の内部電極層50Eは、交互に幅方向Wにずれて配置されている。すなわち、第3の内部電極層51Eおよび第3の内部電極層53Eと、第3の内部電極層52Eおよび第3の内部電極層54Eは、幅方向Wにずれて配置されている。
図6Aに示すように、第1の内部電極層30Eおよび第3の内部電極層50Eは、同じ誘電体層10上に、長さ方向Lに離間して配置されている。すなわち、第1の内部電極層30Eおよび第3の内部電極層50Eは、同じ積層位置に配置されている。そして、第1の内部電極層30Eおよび第3の内部電極層50Eと、第2の内部電極層40Eは、積層体100の積層方向Tに交互に配置されるように埋設されている。
第1の内部電極層30Eは、その一方端部が第1の端面LS1に引き出されて第1の外部電極400Aと接続する第1の引き出し部30E2と、第1の引き出し部30E2に接続され、異なる誘電体層10上に配置された第2の内部電極層40Eと対向する第1の対向部30E1とを含む。
より具体的に、第1の内部電極層30Eとしての第1の内部電極層31Eおよび第1の内部電極層33Eの構成を、図6Bに示される第1の内部電極層31Eを例にして説明すると、第1の内部電極層31Eは、その一方端部が第1の端面LS1に引き出されて第1の外部電極400Aと接続する第1の引き出し部31E2と、第1の引き出し部31E2に接続され、異なる誘電体層10上に配置された第2の内部電極層40Eと対向する第1の対向部31E1とを含む。第1の内部電極層31Eおよび第1の内部電極層33Eは、第1の側面WS1側に偏って配置されている。
第1の内部電極層32Eおよび第1の内部電極層34Eの構成も、基本的には、第1の内部電極層31および第1の内部電極層33Eと同様の構成であるが、図6Eにおいて、第1の内部電極層32Eとして破線で示されるように、第1の内部電極層32Eおよび第1の内部電極層34Eは、第1の内部電極層31および第1の内部電極層33Eに対して幅方向Wにずれて配置されている。具体的には、第1の内部電極層32Eおよび第1の内部電極層34Eは、第2の側面WS2側に偏って配置されている。
第2の内部電極層40Eの構成を、図6Dに示される第2の内部電極層41Eを例にして説明すると、第2の内部電極層41E(40E)は、第1の外部電極400Aにも第2の外部電極400Bにも接続されていない中間電極層を構成し、積層方向に隣り合って配置された第1の内部電極層30Eと対向する第1電極層側対向部41E1(40E1)と、積層方向に隣り合って配置された後述の第3の内部電極層50Eと対向する第3電極層側対向部41E2(40E2)とを有する。第2の内部電極層41E(40E)はさらに、第1電極層側対向部41E1と第3電極層側対向部41E2とを連結する対向部連結部41E3(40E3)を有する。
第3の内部電極層50Eは、その一方端部が第2の端面LS2に引き出されて第2の外部電極400Bと接続する第3の引き出し部50E2と、第3の引き出し部51E2に接続され、異なる誘電体層10上に配置された第2の内部電極層40Eと対向する第3の対向部50E1とを含む。
より具体的に、第3の内部電極層50Eとしての第3の内部電極層51Eおよび第3の内部電極層53Eの構成を、図6Bに示される第3の内部電極層51Eを例にして説明すると、第3の内部電極層51Eは、その一方端部が第2の端面LS2に引き出されて第2の外部電極400Bと接続する第3の引き出し部51E2と、第3の引き出し部51E2に接続され、異なる誘電体層10上に配置された第2の内部電極層40Eと対向する第3の対向部51E1とを含む。第3の内部電極層51Eおよび第3の内部電極層53Eは、第2の側面WS2側に偏って配置されている。
第3の内部電極層52Eおよび第3の内部電極層54Eの構成も、基本的には、第3の内部電極層51Eおよび第3の内部電極層53Eと同様の構成であるが、図6Eにおいて、第3の内部電極層52Eとして破線で示されるように、第3の内部電極層52Eおよび第3の内部電極層54Eは、第3の内部電極層51Eおよび第3の内部電極層53Eに対して幅方向Wにずれて配置されている。具体的には、第3の内部電極層52Eおよび第3の内部電極層54Eは、第1の側面WS1側に偏って配置されている。
なお、本実施形態においては、図6Bに示すように、第1の側面WS1の方向に偏って配置されている第1の内部電極層31Eと、第2の側面WS2の方向に偏って配置されている第3の内部電極層51Eは、同じ誘電体層10上で幅方向Wにずれた状態で配置されている。また、図6Eにおいて破線で示すように、第2の側面WS2の方向に偏って配置されている第1の内部電極層32Eと、第1の側面WS1の方向に偏って配置されている第3の内部電極層52Eは、同じ誘電体層10上で幅方向Wにずれた状態で配置されている。この幅方向Wのずれ量は、後述の浮き電極層60および浮き電極層160の連結部の幅方向Wの長さD1と略同じであることが好ましい。
なお、コンデンサ容量を確保する上で、第1の側面WS1の方向に偏って配置されている第1の内部電極層30Eおよび第3の内部電極層50Eの第1の側面WS1側の端部と、第2の内部電極層40Eの第1の側面WS1側の端部は、積層方向で見たときに、略同じ位置であることが好ましい。また、第2の側面WS2の方向に偏って配置されている第1の内部電極層30Eおよび第3の内部電極層50Eの第2の側面WS2側の端部と、第2の内部電極層40Eの第2の側面WS2側の端部は、積層方向で見たときに、略同じ位置であることが好ましい。
本実施形態においては、第1の内部電極層30Eの第1の対向部30E1と第2の内部電極層40Eの第1電極層側対向部40E1が誘電体層10を介して対向することにより容量が形成され、コンデンサの特性が発現する。さらに、第2の内部電極層40Eの第3電極層側対向部40E2との第3の内部電極層50Eの第3の対向部50E1が誘電体層10を介して対向することにより容量が形成され、コンデンサの特性が発現する。これにより第1の内部電極層30Eと、第2の内部電極層40Eと、第3の内部電極層50Eは、直列接続のコンデンサ素子を形成する。
このように、本実施形態の積層セラミックコンデンサ1は、対向電極部が複数に分割された構造となっている。これにより、対向する内部電極層20間において複数のコンデンサ成分が形成され、これらのコンデンサ成分が直列に接続された構成となっている。よって、それぞれのコンデンサ成分に印加される電圧が低くなり、積層セラミックコンデンサ1の高耐圧化を図ることができる。
積層体100は、複数の第1の内部電極層30Eと複数の第2の内部電極層40Eにより形成される対向電極部付近に配置された複数の浮き電極層60と、複数の第2の内部電極層40Eと複数の第3の内部電極層50Eにより形成される対向電極部付近に配置された複数の浮き電極層160と、をさらに含む。図6Aに示すように、浮き電極層60および浮き電極層160は、同じ誘電体層10上に、長さ方向Lに離間して配置されている。
複数の浮き電極層60および複数の浮き電極層160は、第1の端面LS1および第2の端面LS2のいずれにも露出されていない。複数の浮き電極層60および複数の浮き電極層160は、内部電極層20の端部における電界集中を緩和する機能を有する。本実施形態においては、複数の浮き電極層60および複数の浮き電極層160は、内層部11内に配置されている。
まず、複数の浮き電極層60について説明する。図6A、図6Fに示すように、複数の浮き電極層60は、積層方向において第1の内部電極層30Eと第2の内部電極層40Eの間に配置された誘電体層10に挟まれた位置に配置されている。複数の浮き電極層60は、積層方向において第1の内部電極層30Eと第2の内部電極層40Eの間の、略中央の位置に配置されている。本実施形態においては、複数の浮き電極層60は、複数の第1の浮き電極層70Eおよび複数の第2の浮き電極層80Eを含む。
図6A、図6Fには、第1の浮き電極層70Eとして、第1の主面TS1側から順に、複数の第1の浮き電極層71E、72E、73Eが示されている。複数の第1の浮き電極層70Eは、基本的に同じ形状である。よって、複数の第1の浮き電極層70Eを代表して、図6Cに示される第1の浮き電極層71Eを用いて説明する場合がある。また、図6A、図6Fには、第2の浮き電極層80Eとして、第1の主面TS1側から順に、複数の第2の浮き電極層81E、82E、83Eが示されている。複数の第2の浮き電極層80Eは、基本的に同じ形状である。よって、複数の第2の浮き電極層80Eを代表して、図6Eに示される第2の浮き電極層81Eを用いて説明する場合がある。
本実施形態においては、複数の第1の内部電極層30Eと、複数の第2の内部電極層40Eと、複数の第1の浮き電極層70Eと、複数の第2の浮き電極層80Eは、積層方向Tにおいて、第1の内部電極層30E、第1の浮き電極層70E、第2の内部電極層40E、第2の浮き電極層80E、第1の内部電極層30E、第2の浮き電極層80E、第2の内部電極層40E、第1の浮き電極層70Eの順に、誘電体層10を介して配置されており、内部電極層20および浮き電極層60の枚数が多数の場合は、この順番の配置が繰り返される。この場合、複数の第1の浮き電極層70Eおよび複数の第2の浮き電極層80Eは、積層体100の積層方向Tに2枚ずつ交互に配置される態様となる。図6A、図6Fに示される例では、複数の内部電極層20および複数の浮き電極層60は、積層方向Tにおいて、第1の内部電極層31E、第1の浮き電極層71E、第2の内部電極層41E、第2の浮き電極層81E、第1の内部電極層32E、第2の浮き電極層82E、第2の内部電極層42E、第1の浮き電極層72Eの順に、誘電体層10を介して配置されている。ここで、上述の各層の間に挟まれる誘電体層10の厚みは、略同じ厚みであることが好ましい。
第1の浮き電極層70Eの構成を、図6Cに示される第1の浮き電極層71Eを例にして説明すると、第1の浮き電極層71E(70E)は、第2の内部電極層40Eの第1電極層側対向部40E1の第1の端面LS1側の端部近傍に配置される第1の端部71E1(70E1)と、第1の内部電極層30Eの第1の対向部30E1の第2の端面LS2側の端部近傍に配置される第2の端部71E2(70E2)と、第1の端部71E1と第2の端部71E2を連結する連結部71E3(70E3)とを有する。
第2の浮き電極層80Eの構成を、図6Eに示される第2の浮き電極層81Eを例にして説明すると、第2の浮き電極層81E(80E)は、第2の内部電極層40Eの第1電極層側対向部41E1の第1の端面LS1側の端部近傍に配置される第1の端部81E1(80E1)と、第1の内部電極層30Eの第1の対向部30E1の第2の端面LS2側の端部近傍に配置される第2の端部81E2(80E2)と、第1の端部81E1と第2の端部81E2を連結する連結部81E3(80E3)とを有する。
ここで、図6Cに示すように、第1の浮き電極層70Eの連結部70E3の最も第1の側面WS1側に位置する部分と最も第2の側面WS2側に位置する部分とを結ぶ幅方向の長さD1は、第1の浮き電極層70Eの第1の端部70E1および第2の端部70E2の幅方向Wの長さD2よりも短い。また、図6Eに示すように、第2の浮き電極層80Eの連結部80E3の最も第1の側面WS1側に位置する部分と最も第2の側面WS2側に位置する部分とを結ぶ幅方向の長さD1は、第2の浮き電極層80Eの第1の端部80E1および第2の端部80E2の幅方向Wの長さD2よりも短い。
そして、本実施形態においては、図6Cに示すように、第1の浮き電極層70Eの連結部70E3は、第2の側面WS2側に偏って配置されている。一方、図6Eに示すように第2の浮き電極層80Eの連結部80E3は、第1の側面WS1側に偏って配置されている。そして、積層方向で見たときに、第1の浮き電極層70Eの連結部70E3と、第2の浮き電極層80Eの連結部80E3とは、重ならない位置に配置されている。より詳細には、第1の浮き電極層70Eは略U字型(略コの字型)であり、連結部70E3は、第2の側面WS2に近接して配置されている。第2の浮き電極層80Eは、第1の浮き電極層70Eとは逆向きの略U字型(略コの字型)であり、連結部80E3は、第1の側面WS1に近接して配置されている。
さらに、本実施形態においては、積層方向で見たときに、第1の浮き電極層70Eの連結部70E3は、第2の側面WS2の方向に偏って配置されている第1の内部電極層32Eとは重なる位置に配置されている一方、第1の側面WS1の方向に偏って配置されている第1の内部電極層31Eとは重ならない位置に配置されている。また、積層方向で見たときに、第2の浮き電極層80Eの連結部80E3は、第1の側面WS1の方向に偏って配置されている第1の内部電極層31Eとは重なる位置に配置されている一方、第2の側面WS2の方向に偏って配置されている第1の内部電極層32Eとは重ならない位置に配置されている。
さらに、第1の浮き電極層70Eの第1の端部70E1および第2の浮き電極層80Eの第1の端部80E1は、積層方向で見たときに、第2の内部電極層40Eとは重ならない位置に配置されている。また、第1の浮き電極層70Eの第2の端部70E2および第2の浮き電極層80Eの第2の端部80E2は、積層方向で見たときに、第1の内部電極層30Aとは重ならない位置に配置されている。
次に、複数の浮き電極層160について説明する。図6Aに示すように、複数の浮き電極層160は、積層方向において第3の内部電極層50Eと第2の内部電極層40Eの間に配置された誘電体層10に挟まれた位置に配置されている。複数の浮き電極層160は、積層方向において第3の内部電極層50Eと第2の内部電極層40Eの間の、略中央の位置に配置されている。本実施形態においては、複数の浮き電極層160は、複数の第3の浮き電極層170Eおよび複数の第4の浮き電極層180Eを含む。
図6Aには、第3の浮き電極層170Eとして、第1の主面TS1側から順に、複数の第3の浮き電極層171E、172E、173Eが示されている。複数の第3の浮き電極層170Eは、基本的に同じ形状である。よって、複数の第3の浮き電極層170Eを代表して、図6Cに示される第3の浮き電極層171Eを用いて説明する場合がある。また、図6Aには、第4の浮き電極層180Eとして、第1の主面TS1側から順に、複数の第4の浮き電極層181E、182E、183Eが示されている。複数の第4の浮き電極層180Eは、基本的に同じ形状である。よって、複数の第4の浮き電極層180Eを代表して、図6Eに示される第4の浮き電極層181Eを用いて説明する場合がある。
本実施形態においては、複数の第3の内部電極層50Eと、複数の第2の内部電極層40Eと、複数の第3の浮き電極層170Eと、複数の第4の浮き電極層180Eは、積層方向Tにおいて、第3の内部電極層50E、第3の浮き電極層170E、第2の内部電極層40E、第4の浮き電極層180E、第3の内部電極層50E、第4の浮き電極層180E、第2の内部電極層40E、第3の浮き電極層170Eの順に、誘電体層10を介して配置されており、内部電極層20および浮き電極層60の枚数が多数の場合は、この順番の配置が繰り返される。この場合、複数の第3の浮き電極層170Eおよび複数の第4の浮き電極層180Eは、積層体100の積層方向Tに2枚ずつ交互に配置される態様となる。図6Aに示される例では、複数の内部電極層20および複数の浮き電極層60は、積層方向Tにおいて、第3の内部電極層51E、第3の浮き電極層171E、第2の内部電極層41E、第4の浮き電極層181E、第3の内部電極層52E、第4の浮き電極層182E、第2の内部電極層42E、第3の浮き電極層172Eの順に、誘電体層10を介して配置されている。ここで、上述の各層の間に挟まれる誘電体層10の厚みは、略同じ厚みであることが好ましい。
第3の浮き電極層170Eの構成を、図6Cに示される第3の浮き電極層171Eを例にして説明すると、第3の浮き電極層171E(170E)は、第3の内部電極層50Eの第3の対向部50E1の第1の端面LS1側の端部近傍に配置される第3の端部171E1(170E1)と、第2の内部電極層40Eの第3電極層側対向部40E2の第2の端面LS2側の端部近傍に配置される第4の端部171E2(170E2)と、第3の端部171E1と第4の端部171E2を連結する連結部171E3(170E3)とを有する。
第4の浮き電極層180Eの構成を、図6Eに示される第4の浮き電極層181Eを例にして説明すると、第4の浮き電極層181E(180E)は、第3の内部電極層50Eの第3の対向部50E1の第1の端面LS1側の端部近傍に配置される第3の端部181E1(180E1)と、第2の内部電極層40Eの第3電極層側対向部40E2の第2の端面LS2側の端部近傍に配置される第4の端部181E2(180E2)と、第3の端部181E1と第4の端部181E2を連結する連結部181E3(180E3)とを有する。
ここで、図6Cに示すように、第3の浮き電極層170Eの連結部170E3の最も第1の側面WS1側に位置する部分と最も第2の側面WS2側に位置する部分とを結ぶ幅方向の長さD1は、第3の浮き電極層170Eの第3の端部170E1および第4の端部170E2の幅方向Wの長さD2よりも短い。また、図6Eに示すように、第4の浮き電極層180Eの連結部180E3の最も第1の側面WS1側に位置する部分と最も第2の側面WS2側に位置する部分とを結ぶ幅方向の長さD1は、第4の浮き電極層180Eの第3の端部180E1および第4の端部180E2の幅方向Wの長さD2よりも短い。
そして、本実施形態においては、図6Cに示すように、第3の浮き電極層170Eの連結部170E3は、第1の側面WS1側に偏って配置されている。一方、図6Eに示すように第4の浮き電極層180Eの連結部180E3は、第2の側面WS2側に偏って配置されている。そして、積層方向で見たときに、第3の浮き電極層170Eの連結部170E3と、第4の浮き電極層180Eの連結部180E3とは、重ならない位置に配置されている。より詳細には、第3の浮き電極層170Eは略U字型(略コの字型)であり、連結部170E3は、第1の側面WS1に近接して配置されている。第4の浮き電極層180Eは、第3の浮き電極層170Eとは逆向きの略U字型(略コの字型)であり、連結部80E3は、第2の側面WS2に近接して配置されている。
さらに、本実施形態においては、積層方向で見たときに、第3の浮き電極層170Eの連結部170E3は、第1の側面WS1の方向に偏って配置されている第3の内部電極層52Eとは重なる位置に配置されている一方、第2の側面WS2の方向に偏って配置されている第3の内部電極層51Eとは重ならない位置に配置されている。また、積層方向で見たときに、第4の浮き電極層180Eの連結部180E3は、第2の側面WS2の方向に偏って配置されている第3の内部電極層51Eとは重なる位置に配置されている一方、第1の側面WS1の方向に偏って配置されている第3の内部電極層53Eとは重ならない位置に配置されている。
さらに、第3の浮き電極層170Eの第3の端部170E1および第4の浮き電極層180Eの第3の端部180E1は、積層方向で見たときに、第3の内部電極層50Eとは重ならない位置に配置されている。また、第3の浮き電極層170Eの第4の端部170E2および第4の浮き電極層180Eの第4の端部180E2は、積層方向で見たときに、第2の内部電極層40Eとは重ならない位置に配置されている。
なお、図6Cに示すように、同じ積層位置、すなわち同じ誘電体層10上において、第1の浮き電極層70Eの連結部70E3は、第2の側面WS2側に偏って配置され、第3の浮き電極層170Eの連結部170E3は、第1の側面WS1側に偏って配置されている。また、図6Dに示すように、同じ誘電体層10上において、第2の浮き電極層80Eの連結部80E3は、第1の側面WS1側に偏って配置され、第4の浮き電極層180Eの連結部180E3は、第2の側面WS2側に偏って配置されている。
ここで、第1の内部電極層30Eの電位が第1の電位であり、第3の内部電極層50Eの電位が第1の電位よりも高い第3の電位である場合、分圧電極となる第2の内部電極層40Eは、第1の電位と第2の電位の中間の第2の電位となる。そして、本実施形態に示されるように第1の浮き電極層70Eおよび第3の浮き電極層170Eを配置すれば、第1の浮き電極層70Eの電位は、第1の電位と第2の電位の中間の電位となる。すなわち、第1の浮き電極層70Eの電位は、第2の内部電極層40Eの第2の電位よりも低い電位となる。また、第3の浮き電極層170Eの電位は、第2の電位と第3の電位の中間の電位となる。すなわち、第3の浮き電極層170Eの電位は、第2の内部電極層40Eの第2よりも高い電位となる。
このように、第1の浮き電極層70Eの電位と、第3の浮き電極層170Eの電位が異なる電位となるように配置することで、2連構造の積層セラミックコンデンサ1であっても、第1の内部電極層30Eの第2の端面LS2側の端部付近、第2の内部電極層40Eの第1の端面LS1側の端部付近、第2の内部電極層40Eの第2の端面LS2側の端部付近、および第3の内部電極層50Eの第1の端面LS1側の端部付近で発生する電解集中を効果的に抑制することができる。よって、電界集中による絶縁耐圧の低下を防ぐことができる。
また、第1実施形態と同様に、内部電極層と浮き電極層の重なりや、浮き電極層の連結部同士の重なりを減らしているため、積層体100の形状が安定する。
本実施形態の積層セラミックコンデンサ1によれば、上記(1)〜(5)に加えて、以下の効果を奏する。
(8)本実施形態の複数の内部電極層20は、第3の内部電極層50Eを含み、第2の内部電極層40Eは、第1の外部電極400Aにも第2の外部電極400Bにも接続されていない中間電極層を構成し、第3の内部電極層50Eは、その一方端部が第2の端面LS2に引き出されて第2の外部電極400Eと接続する第3の引き出し部50E2と、第3の引き出し部50E2に接続され、積層方向に隣り合って配置された第2の内部電極層40Eと対向する第3の対向部50E1とを有し、第1の内部電極層30Eと、第2の内部電極層40Eと、第3の内部電極層50Eにより、直列接続のコンデンサ素子を形成する。このような2連構造の積層セラミックコンデンサ1の構成においても、各内部電極層20の端部付近で発生する電解集中を効果的に抑制することができる。よって、電界集中による絶縁耐圧の低下を防ぐことができる。
(9)本実施形態の積層セラミックコンデンサ1は、積層された複数の誘電体層10と積層された複数の内部電極層20とを含み、積層方向Tに相対する第1の主面TS1および第2の主面TS2と、積層方向Tに直交する幅方向Wに相対する第1の側面WS1および第2の側面WS2と、積層方向Tおよび幅方向Wに直交する長さ方向Lに相対する第1の端面LS1および第2の端面LS2と、を含む積層体100と、第1の端面LS1上に配置される第1の外部電極400Aと、第2の端面LS2上に配置される第2の外部電極400Bと、を有する積層セラミックコンデンサ1であって、複数の内部電極層20は、第1の内部電極層30Eと、第2の内部電極層40Eと、第3の内部電極層50Eとを含み、積層体100は、浮き電極層として、複数の第1の浮き電極層70Eと、複数の第3の浮き電極層170Eをさらに含み、第1の内部電極層30Eは、その一方端部が第1の端面LS1に引き出されて第1の外部電極400Aと接続する第1の引き出し部30E2と、第1の引き出し部30E2に接続され、積層方向に隣り合って配置された第2の内部電極層40Eと対向する第1の対向部30E1とを有し、第2の内部電極層40Eは、第1の外部電極400Aにも第2の外部電極400Bにも接続されていない中間電極層を構成し、積層方向に隣り合って配置された第1の内部電極層30Eと対向する第1電極層側対向部40E1と、積層方向に隣り合って配置された第3の内部電極層50Eと対向する第3電極層側対向部40E2とを有し、第3の内部電極層50Eは、積層方向に隣り合って配置された第2の内部電極層40Eと対向する第3の対向部50E1を有し、第1の内部電極層30E、第2の内部電極層40Eおよび第3の内部電極層50Eは、直列接続のコンデンサ素子を形成し、第1の浮き電極層70Eは、積層方向において第1の内部電極層30Eと第2の内部電極層40Eの間に配置された誘電体層10に挟まれた位置に配置され、第1の端面LS1および第2の端面LS2のいずれにも露出されておらず、第1電極層側対向部40E1の第1の端面LS1側の端部近傍に配置される第1の端部70E1と、第1の対向部30E1の第2の端面LS2側の端部近傍に配置される第2の端部70E2と、第1の浮き電極層70Eの第1の端部70E1と第2の端部70E2を連結する連結部70E3とを有し、第1の浮き電極層70Eの連結部70E3の最も第1の側面WS1側に位置する部分と最も第2の側面WS2側に位置する部分とを結ぶ幅方向の長さD1は、第1の浮き電極層70Eの第1の端部70E1の幅方向の長さD2および第1の浮き電極層70Eの第2の端部70E2の幅方向の長さD2よりも短く、第3の浮き電極層170Eは、積層方向において第3の内部電極層50Eと第2の内部電極層40Eの間に配置された誘電体層10に挟まれた位置に配置され、第1の端面LS1および第2の端面LS2のいずれにも露出されておらず、第3の対向部50E1の第1の端面LS1側の端部近傍に配置される第3の端部170E1と、第3電極層側対向部40E2の第2の端面LS2側の端部近傍に配置される第4の端部170E2と、第3の浮き電極層170Eの第3の端部170E1と第4の端部170E2を連結する連結部170E3とを有し、第3の浮き電極層170Eの連結部170E3の最も第1の側面WS1側に位置する部分と最も第2の側面WS2側に位置する部分とを結ぶ幅方向の長さD1は、第3の浮き電極層170Eの第3の端部170E1の幅方向の長さD1および第3の浮き電極層170Eの第4の端部170E2の幅方向の長さD2よりも短く、第1の浮き電極層70Eおよび第3の浮き電極層170Eは、第1の内部電極層30Eの電位が第1の電位であり、第3の内部電極層50Eの電位が第1の電位よりも高い第3の電位である場合に、第1の浮き電極層70Eの電位が第2の内部電極層40Eの第2の電位よりも低い電位となり、第3の浮き電極層170Eの電位が第2の内部電極層40Eの第2の電位よりも高い電位となるように配置されている。このように、コンデンサ成分が直列に接続された多連構造とすることによって、それぞれのコンデンサ成分に印加される電圧が低くし、かつ、第1の浮き電極層70Eおよび第3の浮き電極層170Eを、それぞれ異なる電位となるような位置に配置することで、第1の内部電極層30Eの第2の端面LS2側の端部付近、第2の内部電極層40Eの第1の端面LS1側の端部付近、第2の内部電極層40Eの第2の端面LS2側の端部付近、および第3の内部電極層50Eの第1の端面LS1側の端部付近で発生する電解集中を効果的に抑制することができる。よって、積層セラミックコンデンサ1の高耐圧化を図ることができる。
(10)本実施形態の積層体100は、浮き電極層として、複数の第2の浮き電極層80Eをさらに含み、第1の浮き電極層70Eは、第1の側面WS1側および第2の側面WS2側のうち、いずれか一方の側に偏って配置された連結部70E3を有し、第2の浮き電極層80Eは、第1の側面WS1側および第2の側面WS2側のうち、他方の側に偏って配置された連結部80E3を有し、積層体100は、積層方向において、第1の内部電極層30E、第1の浮き電極層70E、第2の内部電極層40E、第2の浮き電極層80E、第1の内部電極層30Eの順に、内部電極層および浮き電極層が誘電体層10を介して配置される部分を含み、積層方向で見たときに、第1の浮き電極層70Eの連結部70E3と、第2の浮き電極層80Eの連結部80E3とは、重ならない位置に配置されている。これにより、積層方向において、浮き電極層の連結部同士の重なりが減るため、積層体100の形状が安定する。
(11)本実施形態の積層体100は、浮き電極層として、複数の第4の浮き電極層180Eをさらに含み、第3の浮き電極層170Eは、第1の側面WS1側および第2の側面WS2側のうち、いずれか一方の側に偏って配置された連結部170E3を有し、第4の浮き電極層180Eは、第1の側面WS1側および第2の側面WS2側のうち、他方の側に偏って配置された連結部180E3を有し、積層体100は、積層方向において、第3の内部電極層50E、第3の浮き電極層170E、第2の内部電極層40E、第4の浮き電極層180E、第3の内部電極層50Eの順に、内部電極層および浮き電極層が前記誘電体層10を介して配置される部分を含み、積層方向で見たときに、第3の浮き電極層170Eの連結部170E3と、第4の浮き電極層180Eの連結部180E3とは、重ならない位置に配置されている。これにより、積層方向において、浮き電極層の連結部同士の重なりが減るため、積層体100の形状が安定する。
(12)本実施形態の第1の浮き電極層70Eの連結部70E3は、第1の側面WS1側および第2の側面WS2側のうち、いずれか一方の側に偏って配置され、第3の浮き電極層170Eの連結部170E3は、第1の側面WS1側および第2の側面WS2側のうち、他方の側に偏って配置されている。これにより、同じ積層位置、すなわち同じ誘電体層上に配置される浮き電極層の配置のバランスが良くなるため、積層体100の形状が安定する。
(12)本実施形態の第3の内部電極層50Eは、その一方端部が第2の端面LS2に引き出されて第2の外部電極400Bと接続する第3の引き出し部50E2を備え、第3の引き出し部50E2は、第3の対向部50E1に接続されている。このような2連構造の積層セラミックコンデンサ1の構成においても、内部電極層20の端部付近で発生する電解集中を効果的に抑制することができる。よって、電界集中による絶縁耐圧の低下を防ぐことができる。
<第6実施形態>
以下、本発明の第6実施形態に係る積層セラミックコンデンサ1について説明する。なお、以下の説明において、第5実施形態と同じ構成については、同じ符号を付し、また詳細な説明を省略する。図7Aは、本実施形態の積層セラミックコンデンサ1の断面図であって、第5実施形態の図6Aに対応する断面図である。図7Bは、図7Aの積層セラミックコンデンサ1の7B−7B線に沿った断面図である。図7Cは、図7Aの積層セラミックコンデンサ1の7C−7C線に沿った断面図である。図7Dは、図7Aの積層セラミックコンデンサ1の7D−7D線に沿った断面図である。図7Eは、図7Aの積層セラミックコンデンサ1の7E−7E線に沿った断面図である。図7Fは、図7Aの積層セラミックコンデンサ1の7F−7F線に沿った断面図である。
本実施形態の積層セラミックコンデンサ1は、内部電極層20と、浮き電極層60および浮き電極層160の態様が、第5実施形態と異なる。
第5実施形態においては、第1の内部電極層30Eと、第3の内部電極層50Eが、幅方向Wにずれて配置されていた。本実施形態においては、図7Bから図7Fに示すように、第1の内部電極層30Fおよび第3の内部電極層50Fは、幅方向Wにおいて一致した位置に配置されている。また、第1の内部電極層30Fおよび第3の内部電極層50Fの幅方向Wの長さは、第2の内部電極層40Fの幅方向Wの長さと等しい。そして、積層方向で見たときに、浮き電極層60および浮き電極層160の連結部は、第1の内部電極層30Fおよび第3の内部電極層50Fと重なる位置に配置されている。
まず、内部電極層20について説明する。本実施形態の内部電極層20は、複数の第1の内部電極層30Fと、複数の第2の内部電極層40Fと、複数の第3の内部電極層50Fとを含む。
図7A、図7Fには、第1の内部電極層30Fとして、第1の主面TS1側から順に、複数の第1の内部電極層31F、32F、33F、34Fが示されている。複数の第1の内部電極層30Fは、基本的に同じ形状である。
図7A、図7Fには、第2の内部電極層40Fとして、第1の主面TS1側から順に、複数の第2の内部電極層41F、42F、43Fが示されている。複数の第2の内部電極層40Fは、基本的に同じ形状である。
図7Aには、第3の内部電極層50Fとして、第1の主面TS1側から順に、複数の第3の内部電極層51F、52F、53F、54Fが示されている。複数の第3の内部電極層50Fは、基本的に同じ形状である。
第1の内部電極層30Fの構成を、図7Bに示される第1の内部電極層31Fを例にして説明すると、第1の内部電極層31F(30F)は、その一方端部が第1の端面LS1に引き出されて第1の外部電極400Aと接続する第1の引き出し部31F2(30F2)と、第1の引き出し部31F2に接続され、異なる誘電体層10上に配置された第2の内部電極層40Fと対向する第1の対向部31F1(30F1)とを含む。
第2の内部電極層40Fの構成を、図7Dに示される第2の内部電極層41Fを例にして説明すると、第2の内部電極層41F(40F)は、第1の外部電極400Aにも第2の外部電極400Bにも接続されていない中間電極層を構成し、積層方向に隣り合って配置された第1の内部電極層30Fと対向する第1電極層側対向部41F1(40F1)と、積層方向に隣り合って配置された後述の第3の内部電極層50Fと対向する第3電極層側対向部41F2(40F2)とを有する。第2の内部電極層41F(40F)はさらに、第1電極層側対向部41F1と第3電極層側対向部41F2とを連結する対向部連結部41F3(40F3)を有する。
第3の内部電極層50Fの構成を、図7Bに示される第3の内部電極層51Fを例にして説明すると、第3の内部電極層51F(50F)は、その一方端部が第2の端面LS2に引き出されて第2の外部電極400Bと接続する第3の引き出し部51F2(50F2)と、第3の引き出し部51F2に接続され、異なる誘電体層10上に配置された第2の内部電極層40Fと対向する第3の対向部51F1(50F1)とを含む。
次に、浮き電極層60について説明する。本実施形態の浮き電極層60は、複数の第1の浮き電極層70Fおよび複数の第2の浮き電極層80Fを含む。
図7A、図7Fには、第1の浮き電極層70Fとして、第1の主面TS1側から順に、複数の第1の浮き電極層71F、72F、73Fが示されている。複数の第1の浮き電極層70Fは、基本的に同じ形状である。また、図7A、図7Fには、第2の浮き電極層80Fとして、第1の主面TS1側から順に、複数の第2の浮き電極層81F、82F、83Fが示されている。複数の第2の浮き電極層80Fは、基本的に同じ形状である。
第1の浮き電極層70Fの構成を、図7Cに示される第1の浮き電極層71Fを例にして説明すると、第1の浮き電極層71F(70F)は、第2の内部電極層40Fの第1電極層側対向部40F1の第1の端面LS1側の端部近傍に配置される第1の端部71F1(70F1)と、第1の内部電極層30Fの第1の対向部30F1の第2の端面LS2側の端部近傍に配置される第2の端部71F2(70F2)と、第1の端部71F1と第2の端部71F2を連結する連結部71F3(70F3)とを有する。
第2の浮き電極層80Fの構成を、図7Eに示される第2の浮き電極層81Fを例にして説明すると、第2の浮き電極層81F(80F)は、第2の内部電極層40Fの第3電極層側対向部41F2の第1の端面LS1側の端部近傍に配置される第1の端部81F1(80F1)と、第1の内部電極層30Fの第1の対向部30F1の第2の端面LS2側の端部近傍に配置される第2の端部81F2(80F2)と、第1の端部81F1と第2の端部81F2を連結する連結部81F3(80F3)とを有する。
本実施形態においては、積層方向で見たときに、第1の浮き電極層70Fの連結部70F3は、第1の内部電極層30Fおよび第2の内部電極層40Fと重なる位置に配置されている。また、積層方向で見たときに、第2の浮き電極層80Fの連結部80F3は、第1の内部電極層30Fおよび第2の内部電極層40Fと重なる位置に配置されている。
本実施形態の第1の浮き電極層70Fの第1の端部70F1は、積層方向で見たときに、第2の内部電極層40Fと一部が重なる位置に配置されている。例えば、第1の端部70F1の約半分の面積が、第2の内部電極層40Fと重なる態様であってもよい。また、第1の浮き電極層70Fの第2の端部70F2は、積層方向で見たときに、第1の内部電極層30Fと一部が重なる位置に配置されている。例えば、第2の端部70F2の約半分の面積が、第1の内部電極層30Fと重なる態様であってもよい。また、第2の浮き電極層80Fの第1の端部80F1および第2の端部80F2も同様である。
次に、浮き電極層160について説明する。本実施形態の浮き電極層160は、複数の第3の浮き電極層170Fおよび複数の第4の浮き電極層180Fを含む。
図7Aには、第3の浮き電極層170Fとして、第1の主面TS1側から順に、複数の第3の浮き電極層171F、172F、173Fが示されている。複数の第3の浮き電極層170Fは、基本的に同じ形状である。また、図7Aには、第4の浮き電極層180Fとして、第1の主面TS1側から順に、複数の第4の浮き電極層181F、182F、183Fが示されている。複数の第4の浮き電極層180Fは、基本的に同じ形状である。
第3の浮き電極層170Fの構成を、図7Cに示される第3の浮き電極層171Fを例にして説明すると、第3の浮き電極層171F(170F)は、第3の内部電極層50Fの第3の対向部50F1の第1の端面LS1側の端部近傍に配置される第3の端部171F1(170F1)と、第2の内部電極層40Fの第3電極層側対向部40F2の第2の端面LS2側の端部近傍に配置される第4の端部171F2(170F2)と、第3の端部171F1と第4の端部171F2を連結する連結部171F3(170F3)とを有する。
第4の浮き電極層180Fの構成を、図7Eに示される第4の浮き電極層181Fを例にして説明すると、第4の浮き電極層181F(180F)は、第3の内部電極層50Fの第3の対向部50F1の第1の端面LS1側の端部近傍に配置される第3の端部181F1(180F1)と、第2の内部電極層40Fの第3電極層側対向部40F2の第2の端面LS2側の端部近傍に配置される第4の端部181F2(180F2)と、第3の端部181F1と第4の端部181F2を連結する連結部181F3(180F3)とを有する。
本実施形態においては、積層方向で見たときに、第3の浮き電極層170Fの連結部170F3は、第2の内部電極層40Fおよび第3の内部電極層50Fと重なる位置に配置されている。また、積層方向で見たときに、第4の浮き電極層180Fの連結部180F3は、第2の内部電極層40Fおよび第3の内部電極層50Fと重なる位置に配置されている。
本実施形態の第3の浮き電極層170Fの第3の端部170F1は、積層方向で見たときに、第3の内部電極層50Fと一部が重なる位置に配置されている。例えば、第3の端部170F1の約半分の面積が、第3の内部電極層50Fと重なる態様であってもよい。また、第3の浮き電極層170Fの第4の端部170F2は、積層方向で見たときに、第2の内部電極層40Fと一部が重なる位置に配置されている。例えば、第4の端部170F2の約半分の面積が、第2の内部電極層40Aと重なる態様であってもよい。また、第4の浮き電極層180Fの第3の端部180F1および第4の端部180F2も同様である。
本実施形態の構成であれば、浮き電極層60の存在により、内部電極層20の端部における電界集中を効果的に緩和することができる。そして、浮き電極層60および浮き電極層160と、外部電極400および積層体100の外表面との絶縁距離を確保しつつ、第1の内部電極層30Fと第2の内部電極層40Fの対向電極部および第3の内部電極層50Fと第2の内部電極層40Fの対向電極部の領域を増やして、コンデンサ容量を大きくすることができる。
<第7実施形態>
以下、本発明の第7実施形態に係る積層セラミックコンデンサ1について説明する。なお、以下の説明において、第6実施形態と同じ構成については、同じ符号を付し、また詳細な説明を省略する。図8Aは、本実施形態の積層セラミックコンデンサ1の断面図であって、第6実施形態の図7Cに対応する断面図である。図8Bは、図8Aの積層セラミックコンデンサ1の8B−8B線に沿った断面図である。図8Cは、図8Aの積層セラミックコンデンサ1の8C−8C線に沿った断面図である。図8Dは、図8Bおよび8Cの積層セラミックコンデンサ1の8D−8D線に沿った断面図である。
本実施形態の積層セラミックコンデンサ1は、浮き電極層60および浮き電極層160の態様が、第6実施形態と異なる。第6実施形態においては、浮き電極層60および浮き電極層160の形状が、略U字形の形状であった。本実施形態においては、図8Aに示すように、浮き電極層60および浮き電極層160の形状が、略H字形の形状となっている。そして、基本的に全ての浮き電極層60および浮き電極層160の形状が、略同じ形状となっている。
本実施形態の第1の内部電極層30F、第2の内部電極層40Fおよび第3の内部電極層50Fは、第6実施形態の第1の内部電極層30F、第2の内部電極層40Fおよび第3の内部電極層50Fと同じである。よって、本実施形態の内部電極層20の説明は省略する。
本実施形態においては、複数の浮き電極層60は、複数の第1の浮き電極層70Gを含む。また、複数の浮き電極層160は、複数の第3の浮き電極層170Gを含む。
図8B〜図8Dには、第1の浮き電極層70Gとして、第1の主面TS1側から順に、複数の第1の浮き電極層71G、72G、73G、74G、75G、76Gが示されている。複数の第1の浮き電極層70Gは、基本的に同じ形状である。また、図8B、図8Cには、第3の浮き電極層170Gとして、第1の主面TS1側から順に、複数の第3の浮き電極層171G、172G、173G、174G、175G、176Gが示されている。複数の第3の浮き電極層170Gは、基本的に同じ形状である。
第1の浮き電極層70Gの構成を、図8Aに示される第1の浮き電極層71Gを例にして説明すると、第1の浮き電極層71G(70G)は、第2の内部電極層40Fの第1電極層側対向部40F1の第1の端面LS1側の端部近傍に配置される第1の端部71G1(70G1)と、第1の内部電極層30Fの第1の対向部30F1の第2の端面LS2側の端部近傍に配置される第2の端部71G2(70G2)と、第1の端部71G1と第2の端部71G2を連結する連結部71G3(70G3)とを有する。
第3の浮き電極層170Gの構成を、図8Aに示される第3の浮き電極層171Gを例にして説明すると、第3の浮き電極層171G(170G)は、第3の内部電極層50Fの第3の対向部50F1の第1の端面LS1側の端部近傍に配置される第3の端部171G1(170G1)と、第2の内部電極層40Fの第3電極層側対向部40F2の第2の端面LS2側の端部近傍に配置される第4の端部171G2(170G2)と、第3の端部171G1と第4の端部171G2を連結する連結部171G3(170G3)とを有する。ここで、第3の浮き電極層170Gの形状は、第1の浮き電極層70Gの形状と同じである。
このように、複数の浮き電極層60および複数の浮き電極層160は、1種類の形状の浮き電極層によって構成されていてもよい。このような構成であっても、浮き電極層60の存在により、内部電極層20の端部における電界集中を効果的に緩和することができる。そして、本実施形態の構成であれば、浮き電極層60および浮き電極層160と、外部電極400および積層体100の外表面との絶縁距離を確保しつつ、第1の内部電極層30Fと第2の内部電極層40Fの対向電極部および第3の内部電極層50Fと第2の内部電極層40Fの対向電極部の領域を増やして、コンデンサ容量を大きくすることができる。
なお、積層セラミックコンデンサ1の構成は、図1〜8Dに示す構成に限定されない。例えば、積層セラミックコンデンサ1は、図9A、図9Bに示すような、3連構造、4連構造の積層セラミックコンデンサであってもよい。
図9Aに示す積層セラミックコンデンサ1は、3連構造の積層セラミックコンデンサ1であり、内部電極層20として、第1の内部電極層30と、第2の内部電極層40と、第3の内部電極層250と、第4の内部電極層260とを備える。この構成においては、第2の内部電極層40および第3の内部電極層250が、中間電極層を構成している。図9Bに示す積層セラミックコンデンサ1は、4連構造の積層セラミックコンデンサ1であり、内部電極層20として、第1の内部電極層30と、第2の内部電極層40と、第3の内部電極層250と、第4の内部電極層260と、第5の内部電極層270とを備える。この構成においては、第2の内部電極層40と、第3の内部電極層250と、第4の内部電極層260が、中間電極層を構成する。このような構成においても、上述の各実施形態で説明したような2つの端部と、2つの端部を連結する連結部を有する浮き電極層を設けることで、上述の各実施形態で示されるような効果を得ることができる。なお、積層セラミックコンデンサ1としては、4連以上の多連構造のものであってもよいことはいうまでもない。
本発明は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。各実施形態は例示であり、異なる実施形態で示した構成の部分的な置換または組み合わせが可能であることは言うまでもない。