JP2021195593A - 無電解ニッケル−リン−ルテニウムめっき浴、及び無電解ニッケル−リン−ルテニウムめっき皮膜 - Google Patents

無電解ニッケル−リン−ルテニウムめっき浴、及び無電解ニッケル−リン−ルテニウムめっき皮膜 Download PDF

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Tetsuya Sasamura
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Abstract

【課題】耐クラック性に優れた無電解ニッケルめっき皮膜、及び該無電解ニッケルめっき皮膜の形成に適した無電解ニッケルめっき浴を提供すること。【解決手段】本発明の無電解ニッケルめっき浴は、水溶性ニッケル塩と、次亜リン酸塩と、水溶性ルテニウム化合物とを含むことに要旨を有し、また本発明の無電解ニッケルめっき皮膜は、ルテニウムと、4質量%以下(0質量%を含まない)のリンとを含むことに要旨を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、無電解ニッケル−リン−ルテニウムめっき浴、及び無電解ニッケル−リン−ルテニウムめっき皮膜に関する。
電気自動車やハイブリッド車などの自動車や各種電気製品、発電装置などには電力を制御するパワーモジュール基板が組み込まれている。パワーモジュール基板に使用されている半導体チップには高温下での信頼性が要求されているが、シリコン材では十分な耐熱性を有していなかった。近年、シリコン材の代替材料として耐熱性に優れたSiCやGaNなどが検討されている。このような半導体チップと接合するDCB(Direct Copper Bond)基板やDAB(Direct Aluminum Bond)基板などには無電解ニッケルめっき皮膜が形成されている。
半導体チップにSiC等を使用することで、従来よりも高温での動作が可能となったが、従来の無電解ニッケルめっき皮膜は耐熱性が不十分であり、高温熱履歴により皮膜中にクラックが生じた。
無電解ニッケルめっき皮膜の耐熱性を向上させる技術として、例えば特許文献1にはニッケルイオン還元剤としてホウ素化合物を添加しためっき液(Ni−Bめっき液)を用いることが提案されている。
特開2015−030884号公報
本発明者らが検討した結果、無電解ニッケルめっき皮膜の熱膨張係数はDCB基板やDAB基板の熱膨張係数よりも高いため、パワーモジュール基板の動作保証温度が高くなると無電解ニッケルめっき皮膜にクラックが生じることがわかった。
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、高温での耐クラック性に優れた無電解ニッケルめっき皮膜、及び該無電解ニッケルめっき皮膜の形成に適した無電解ニッケルめっき浴を提供することである。
上記課題を解決し得た本発明の構成を以下に示す。
[1]水溶性ニッケル塩と、次亜リン酸塩と、水溶性ルテニウム化合物とを含む無電解ニッケルめっき浴。
[2]前記水溶性ルテニウム化合物は、ルテニウム(III)錯塩、またはルテニウム(IV)錯塩である上記[1]に記載の無電解ニッケルめっき浴。
[3]ルテニウムと、4質量%以下(0質量%を含まない)のリンとを含む無電解ニッケルめっき皮膜。
[4]前記ルテニウムは7質量%以下(0質量%を含まない)である上記[3]に記載の無電解ニッケルめっき皮膜。
[5]上記[1]または[2]に記載の無電解ニッケルめっき浴に被めっき物を接触させる、無電解ニッケルめっき方法。
本発明によれば高温での耐クラック性に優れた無電解ニッケルめっき皮膜、及び該無電解ニッケルめっき皮膜の形成に適した無電解ニッケルめっき浴を提供できる。
図1は実施例のクラック試験の評価結果を示す図面代用写真である。図1(A)は熱サイクル後にクラックが生じためっき皮膜の一例であり、図1(B)は熱サイクル後にクラックが生じなかった被膜の一例である。
<無電解ニッケル−リン−ルテニウムめっき浴>
本発明の無電解ニッケルめっき浴は、水溶性ニッケル塩と、次亜リン酸塩と、水溶性ルテニウム化合物とを含む無電解ニッケル−リン−ルテニウムめっき浴(以下、「めっき浴」ということがある)である。該めっき浴を用いて無電解めっき処理を行うことにより、高温での耐クラック性に優れた無電解ニッケル−リン−ルテニウムめっき皮膜(以下、「めっき皮膜」ということがある)を被めっき物上に形成できる。
以下、本発明のめっき浴について説明する。
(水溶性ニッケル塩)
水溶性ニッケル塩は、めっき浴に可溶性であればよく、無電解ニッケルめっき浴に用いられる公知の水溶性ニッケル塩を用いることができる。本発明では硫酸ニッケル、塩化ニッケル、次亜リン酸ニッケル等の無機の水溶性ニッケル塩;酢酸ニッケル、等の有機の水溶性ニッケル塩等が例示される。これらの水溶性ニッケル塩は単独、あるいは2種以上を併用できる。これらのなかでも硫酸ニッケルはルテニウムを含有する本発明のめっき浴の安定性などめっき浴管理に有利であり、またルテニウムとの共析も良好であるため好ましい。
水溶性ニッケル塩の濃度は本発明のめっき皮膜を形成できる範囲内で適宜調整すればよい。めっき浴中のニッケル濃度が低過ぎるとめっき速度が遅くなる場合がある。また、ニッケル濃度が高過ぎると、めっき浴の粘度が高くなってニッケルめっきの均一析出性が低下し、形成後のめっき皮膜にピットが生じる場合がある。
めっき浴中のニッケルイオン濃度は、金属ニッケルとして好ましくは3g/L以上、より好ましくは4g/L以上であって、好ましくは7g/L以下、より好ましくは6g/L以下である。
(次亜リン酸塩)
本発明では還元剤として次亜リン酸塩を用いる。次亜リン酸塩はルテニウムとニッケルの共析に好適であり、高温での耐クラック性(以下、耐クラック性という)が得られる。次亜リン酸塩としては、例えば、次亜リン酸ナトリウム(次亜リン酸ソーダ)、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸アンモニウム等が挙げられる。
めっき浴中の次亜リン酸塩の濃度は、めっき皮膜中のリン含有率が4質量%以下となるように調整すればよい。次亜リン酸塩の濃度を高くするとめっき速度が向上するが、次亜リン酸塩の濃度が高くなりすぎるとめっき皮膜中のリン含有率が4%を超えることがある。
次亜リン酸塩濃度の下限は、1g/L、3g/L、5g/L、8g/L、10g/Lの順に好ましい。次亜リン酸塩濃度の上限は、50g/L、45g/L、40g/L、35g/L、30g/L、25g/L、20g/Lの順に好ましい。
(水溶性ルテニウム化合物)
めっき浴中の水溶性ルテニウム化合物に由来してめっき皮膜に含まれるルテニウムは、高温下での耐クラック性の向上に有効である。特にめっき皮膜中に4質量%以下のリンと共にルテニウムが含まれていると耐クラック性が著しく向上する。水溶性ルテニウム化合物はルテニウムに化合物が配位したルテニウム錯体が好ましい。
めっき浴に配合するルテニウムの価数によってルテニウムの析出量が異なり、ルテニウムの価数が高いほど、少ない添加量でめっき皮膜中のルテニウム濃度を高くできる。めっき浴の安定性と上記効果を考慮すると、錯体を構成するルテニウムは好ましくは3価のルテニウム(以下、Ru(III))、4価のルテニウム(以下、Ru(IV))であり、より好ましくはRu(IV)である。
本発明の水溶性ルテニウム化合物は、好ましくはルテニウム(III)錯塩、ルテニウム(IV)錯塩、より好ましくは、ルテニウム(IV)錯塩である。ルテニウム(III)錯塩としては塩化ルテニウム(III)、ヘキサアンミンルテニウム(III)クロライドなどが例示さられる。ルテニウム(IV)錯塩としては硫酸ルテニウム(IV)などが例示される。これらは水和物であってもよい。水溶性ルテニウム化合物は単独、または2種以上を併用できる。
めっき浴中のルテニウムイオンの濃度は、めっき皮膜中の所望のルテニウムイオン含有率となるように調整すればよい。ルテニウムイオン濃度を高くするとめっき皮膜の耐クラック性が向上する。ルテニウムイオン濃度が高くなりすぎるとめっき皮膜を形成できないことがある。
ルテニウムイオン濃度の下限は3mg/L、5mg/L、7mg/L、10mg/L、15mg/L、20mg/Lの順に好ましい。ルテニウムイオン濃度の上限は100mg/L、90mg/L、80mg/L、70mg/L、60mg/L、50mg/Lの順に好ましい。
本発明の無電解ニッケルめっき浴には、必要に応じて各種の添加剤を配合してもよい。添加剤としては例えば、錯化剤、安定剤、pH 調整剤、硫黄化合物などが例示される。以下、これら添加剤について説明する。
(錯化剤)
錯化剤は、ニッケル化合物の沈殿防止と浴安定性向上に有効である。本発明の好ましい錯化剤としては、グリシン、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸等のアミノ酸、乳酸、プロピオン酸、グリコール酸、グルコン酸等のモノカルボン酸、酒石酸、シュウ酸、コハク酸等のジカルボン酸、クエン酸等のトリカルボン酸等が例示される。また、これらの塩、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等も錯化剤として使用可能である。なお、これらの錯化剤は、単独で使用してもよいが、2種または3種以上を併用することが好ましい。
錯化剤はめっき浴中の濃度が低すぎると、ニッケル化合物の沈殿が生じやすくなる。また錯化剤の濃度が高すぎるとめっき液の粘度が高くなり、めっき皮膜の均一析出性が低下することがある。
めっき浴中の錯化剤の濃度(2種以上の場合は合計)は、好ましくは5g/L以上、より好ましくは10g/L以上、更に好ましくは20g/L以上であって、好ましくは200g/L以下、より好ましくは100g/L以下、更に好ましくは50g/L以下である。
(安定剤)
本発明のめっき浴には必要に応じて安定剤を配合してもよい。安定剤はめっき浴の安定性向上に有効である。好ましい安定剤としては酢酸鉛等の鉛化合物、酢酸ビスマス等のビスマス化合物、炭酸タリウム等のタリウム化合物、酢酸カドミウム等のカドミウム化合物などの重金属を含む無機化合物;ブチンジオール、プロパギルアルコール等の有機安定剤;ヨウ素酸カリウム、ヨウ素酸ナトリウム等のヨウ素系安定剤;臭素酸カリウム、臭素酸ナトリウム等の臭素系安定剤が例示される。なお、これらの安定剤は、単独で使用してもよく、二種以上を併用してもよい。
安定剤はめっき浴が安定化するように適宜調整すればよいが、安定剤の濃度が高くなりすぎるとめっき皮膜に安定剤に由来する重金属が混入することがある。
めっき浴中の重金属イオンの濃度は、好ましくは0.1mg/L以上、より好ましくは0.3mg/L以上、更に好ましくは0.5mg/L以上であって、好ましくは10mg/L以下、より好ましくは5mg/L以下、更に好ましくは3mg/L以下である。
(促進剤)
本発明のめっき浴には必要に応じて促進剤を配合してもよい。促進剤はニッケル、ルテニウムの析出速度向上に効果を有する。好ましい促進剤としてはチオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸カリウム、チオ硫酸アンモニウム等のチオ硫酸塩;チオシアン酸ナトリウム、チオシアン酸カリウム、チオシアン酸アンモニウム等のチオシアン酸塩;チオ尿素;チオ酢酸塩;チオグリコール酸;などの水溶性硫黄化合物が例示される。これらは1種を単独で又は2種以上を併用して使用することができる。
促進剤を過剰に添加するとめっき皮膜不良となったり、めっき皮膜の耐食性が低下することがある。
めっき浴中の促進剤の添加量は、好ましくは0.0001mg/L以上、より好ましくは0.005mg/L以上、更に好ましくは0.01mg/L以上であって、好ましくは100mg/L以下、より好ましくは10mg/L以下、更に好ましくは5mg/L以下である。
本発明のめっき浴には上記添加剤以外にも光沢剤、界面活性剤、機能付与剤などを必要に応じて配合してもよい。これら添加剤の種類は特に限定されず、無電解ニッケルめっき浴に通常用いられる添加剤を使用できる。
本発明のめっき浴にニッケル、ルテニウム以外の金属成分(以下、その他金属成分という)が含まれていると、該その他金属成分もめっき皮膜中に析出し、その他金属成分によって耐クラック性が低下したり、皮膜特性が変質することがある。その他金属成分としてはコバルト、鉄、パラジウム、モリブデン、ビスマス、タンタルなどが例示される。
その他金属成分のめっき浴中の合計濃度は、好ましくは1mg/L以下、より好ましくは0.1mg/L以下であり、最も好ましくはその他金属成分を含まないことである。
(無電解ニッケルめっき皮膜の形成方法)
本発明のめっき浴は、耐クラック性に優れた本発明のめっき皮膜の形成に好適である。めっき皮膜は、本発明のめっき浴に被めっき物を接触、好ましくは浸漬させて形成できる。めっき処理する際、必要な厚みのめっき皮膜が形成されるまで、被めっき物を本発明のめっき浴に接触させればよい。
(めっき処理条件)
本発明では無電解めっき処理を行う際のめっき浴のpHを調整することが好ましい。
(めっき処理時のめっき浴のpH)
めっき浴のpHを適切に制御すると還元剤の分解を抑制して還元反応を効率的に促進できると共に、めっき析出性の低下やめっき浴の分解を抑制できる。本発明ではめっき浴のpHが低すぎるとめっき皮膜中のリン含有量が4%を超えるため、pHを適切に調整することが望ましい。pHは、アンモニア水、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)等のアルカリ、硫酸、塩酸、硝酸等の酸で調整できる。
めっき浴のpHは好ましくは5.0以上、より好ましくは6.0以上であって、好ましくは8.0以下、より好ましくは7.0以下である。
(めっき処理時のめっき浴の温度)
めっき浴の温度を適切に制御するとめっき反応を促進できると共に、めっき浴の熱分解も抑制できる。
めっき浴の温度は、好ましくは70℃以上、より好ましくは80℃以上であって、好ましくは95℃以下、より好ましくは90℃以下である。
なお、めっき処理時間は、形成するめっき皮膜の膜厚によって適宜、変更可能であるが、10〜60分が一般的である。
(被めっき物)
本発明のめっき皮膜を形成する被めっき物は、特に限定されず、鉄、アルミニウム、銅、パラジウム等の金属または金属の合金などやガラス、セラミックス等が例示される。本発明では高温下での熱膨張係数が小さいパワーモジュール基板が好適である。具体的にはアルミナ、窒化ケイ素、窒化アルミニウムなどのセラミック基板に金属を接合したDCB(Direct Copper Bond)基板やDAB(Direct Aluminum Bond)基板などが挙げられる。本発明のめっき皮膜をDCB基板やDAB基板に形成すると、高温熱履歴に晒されてもめっき皮膜は優れたクラック性を示す。そのため、本発明のめっき皮膜を形成したパワーモジュール基板は、従来よりも高い作動温度を達成できる。
(無電解ニッケル−リン−ルテニウムめっき皮膜)
(めっき皮膜の組成)
本発明のめっき皮膜は、ルテニウムと、4質量%以下(0質量%を含まない)のリンとを含む無電解ニッケル−リン−ルテニウムめっき皮膜である。めっき皮膜は好ましくは、ルテニウムとリンを含み、残部ニッケル、及び不可避不純物である。不可避不純物とはめっき浴やめっき処理工程で不可避的に混入する不純物である。不可避不純物の含有量は、本発明のめっき皮膜の効果、具体的には耐クラック性に影響を及ぼさない程度であれば許容可能である。めっき皮膜中の不可避不純物の合計量は好ましくは1質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下であって、下限は好ましくは検出不可能な含有量、より好ましくは0質量%である。特に本発明のめっき皮膜には、ニッケル、ルテニウム以外のその他金属、例えば銅、亜鉛、タリウム、コバルト、鉄、パラジウム、モリブデン、ビスマス、タンタル、鉛、ホウ素などの金属、半金属は含まないことが好ましい。その他金属の含有量が多くなるとめっき皮膜の耐クラック性が低下することがある。めっき皮膜中のその他金属の含有量は合計で好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下、更に好ましくは検出下限以下であり、最も好ましくは0質量%である。
本発明のめっき皮膜中のリン含有量は4質量%以下である。リンによってめっき皮膜が結晶質構造となって高温下での耐クラック性が向上する。しかしながらリン含有量が4%を超えると、めっき皮膜中にルテニウムを含んでいても高温下での耐クラック性が得られない。
めっき皮膜中のリン含有量の上限は4.0質量%、3.5質量%、3.0質量%、2.5質量%、2.0質量%の順に好ましい。またリン含有量の下限は0.5質量%、1.0質量%、1.5質量%の順に好ましい。
本発明のめっき皮膜はルテニウムを含有している。めっき皮膜中にルテニウムを含有することにより、めっき皮膜の高温での耐クラック性が顕著に向上する。高温とは例えば175℃以上であるが、本発明のめっき皮膜は200℃以上、更には250℃以上、より更には300℃以上の高温であっても優れた耐クラック性を発揮する。ルテニウム含有量が高い程、優れた耐クラック性を発揮するが、ルテニウム含有量が多すぎるとめっき皮膜の耐熱性が低下することがある。また本発明のめっき皮膜は上記温度において好ましくは1時間以上、より好ましくは2時間以上に亘って耐クラック性を維持できる。
めっき皮膜中のルテニウム含有量の下限は0.01質量%、0.05質量%、0.1質量%、0.2質量%、0.3質量%、0.4質量%、0.5質量%、0.6質量%、0.7質量%、0.8質量%、0.9質量%、1.0質量%の順で好ましい。ルテニウム含有量の上限は7.0質量%、6.5質量%、6.0質量%、5.5質量%、5.0質量%、4.5質量%、4.0質量%、3.5質量%、3.0質量%、2.5質量%、2.0質量%の順で好ましい。
本発明のめっき皮膜には、めっき浴の添加剤に由来する成分が含まれていてもよい。例えばめっき浴に促進剤として硫黄化合物を添加する場合、めっき皮膜には硫黄が含まれることがある。めっき皮膜中の添加剤に由来する成分の含有量は、耐クラック性に悪影響を及ぼさない程度であればよく、例えば合計量で0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下、更に好ましくは0.05質量%以下であって、下限は検出下限以下、あるいは0質量%でもよい。添加剤に由来する成分の含有量は、添加剤のめっき浴中の含有量を調整することでコントロールできる。
また本発明ではめっき皮膜に添加剤に由来する成分が含まれていてもよい。例えばめっき皮膜中に硫黄が含まれていると、めっき皮膜の光沢を向上できる。一方で硫黄濃度が高くなりすぎるとめっき皮膜の耐食性が悪化することがある。
めっき皮膜中の硫黄を含有する場合の含有量は好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上であって、好ましくは0.3質量%以下、より好ましくは0.2質量%以下である。
めっき皮膜の厚みは用途に応じて適宜設定すればよいが、めっき皮膜が薄すぎると、耐食性の低下等、めっき本来の機能を発揮できないことがある。まためっき皮膜が厚すぎると、めっきのピットやクラック等が発生しやすくなることがある。めっき皮膜の厚みは好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上であって、好ましくは10μm以下、より好ましくは7μm以下である。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
(めっき浴の調製)
表1に示す組成のNo.1〜13の無電解ニッケルめっき浴を調整した。
(めっき処理)
浴温90℃に制御しためっき浴に被めっき物を表1に示す時間浸漬し、被めっき物上に3μmの厚みを有する無電解ニッケルめっき皮膜を形成して試料を得た。
被めっき物:SPCC−SB板(サイズ:50mm×50mm:厚み0.4mm)
(めっき皮膜の組成分析)
試料のめっき皮膜を硝酸に溶解させ、この溶解液をICP(HORIBA製Ultima Expert)にて定量分析を行い、溶解しためっき皮膜の重量から、皮膜中の各成分の重量%を算出した。結果を表2に示す。
(クラック試験)
試料を300℃で1時間保持する熱処理、または300℃で2時間保持する熱処理を施した後、常温まで放冷した。その後、試料表面のクラックの有無を顕微鏡(キーエンス社製VHX−5000)で確認した(1サイクル)。この試験を5サイクル行なって下記基準で評価した。結果を表2に示す。なお、表中の「as plate」は熱処理前の試料のクラックの有無の確認結果であり、いずれもクラックは確認されなかった。
評価基準
×:1サイクルの熱処理でクラックが確認された。
△:2サイクル、または3サイクルの熱処理でクラックが確認された。
〇:4サイクル、または5サイクルの熱処理サイクルでクラックが確認された。
◎:熱処理を5サイクル行なってもクラックが発生しなかった。
評価基準について、×は比較例であり、△は好ましい結果、○はより好ましい結果、◎は最も好ましい結果である。
Figure 2021195593
Figure 2021195593
No.1〜4、6、7、11では、熱サイクル後のめっき皮膜に図1(A)に示すような筋状のクラックを確認した。一方、No.8〜10、12、13は5サイクル後も図1(B)に示すようにめっき皮膜にクラックは確認できなかった。
No.1、2、4はめっき浴にルテニウム化合物を配合しなかった比較例である。No.1、2、4のめっき皮膜にはルテニウムが含まれていない。No.1、2、4は高温熱処理前のめっき皮膜にクラックはなかったが、高温熱処理後のめっき皮膜にはクラックが生じており、耐クラック性が悪かった。なお、錯化剤としてリンゴ酸を使用したNo.1、2は、リンゴ酸を使用しなかったNo.4と比べてめっき皮膜中のリン含有量が多かった。
No.3はめっき浴にルテニウム化合物と錯化剤としてリンゴ酸を含む比較例である。No.3のめっき皮膜はルテニウムを含んでいるが、リン含有量が4%を超えており、高温熱処理後のめっき皮膜にはクラックが生じた。
No.5は、過剰なルテニウム化合物を含むめっき浴を使用した例である。No.5はめっき浴中のルテニウムが多すぎたためめっき皮膜を形成できなかった。
No.6〜13はルテニウム化合物を含むめっき浴を使用した発明例である。No.6〜10より、めっき皮膜中のルテニウム含有量が多くなるとめっき皮膜の耐クラック性が向上した。一方、No.11より、めっき皮膜中のルテニウム含有量が多くなりすぎると耐クラック性が低下した。特にルテニウム含有量が多くなる程、300℃での耐クラック性を長時間発揮できる。一方、ルテニウム含有量が多くなりすぎると300℃での耐クラック性の持続時間が低下することがわかる。
No.12、13は3価のルテニウム化合物を含むめっき浴を使用した発明例である。No.12、13はめっき皮膜の耐クラック性を有していた。なお、4価のルテニウム化合物を含むめっき浴を使用したNo.3と比べると、No.12、13はめっき皮膜中のルテニウム含有量が低く、またリン含有量が高くなる傾向があった。

Claims (5)

  1. 水溶性ニッケル塩と、次亜リン酸塩と、水溶性ルテニウム化合物とを含む無電解ニッケルめっき浴。
  2. 前記水溶性ルテニウム化合物は、ルテニウム(III)錯塩、またはルテニウム(IV)錯塩である請求項1に記載の無電解ニッケルめっき浴。
  3. ルテニウムと、4質量%以下(0質量%を含まない)のリンとを含む無電解ニッケルめっき皮膜。
  4. 前記ルテニウムは7質量%以下(0質量%を含まない)である請求項3に記載の無電解ニッケルめっき皮膜。
  5. 請求項1または2に記載の無電解ニッケルめっき浴に被めっき物を接触させる、無電解ニッケルめっき方法。
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