JP2021188109A - 無電解ニッケル−リンめっき浴 - Google Patents

無電解ニッケル−リンめっき浴 Download PDF

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典彦 長谷川
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佳 橋爪
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Abstract

【課題】熱処理が施されても割れの発生が抑制されており、熱処理後の耐クラック性に優れためっき皮膜を形成することができる無電解ニッケル−リンめっき浴を提供する。また、熱処理が施されても割れの発生が抑制されており、熱処理後の耐クラック性に優れためっき皮膜を形成することができる無電解ニッケル−リンめっき方法を提供する。更に、本発明は、熱処理が施されても割れの発生が抑制されており、熱処理後の耐クラック性に優れた無電解ニッケル−リンめっき皮膜を提供する。【解決手段】(1)水溶性ニッケル化合物、(2)還元剤、及び、(3)亜リン酸及び亜リン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種を含み、前記還元剤の含有量は、13g/L以下であり、前記亜リン酸及び亜リン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の含有量は、30g/L以上である、無電解ニッケル−リンめっき浴。【選択図】なし

Description

本発明は、無電解ニッケル−リンめっき浴に関する。
無電解ニッケルめっきは、優れた皮膜特性を有し、更に複雑な形状の物品等に対しても均一に皮膜を形成できることから、電子部品、自動車部品等の各種分野において幅広く利用されている。
無電解ニッケルめっきは、めっき浴に含まれる還元剤の種類により、例えば、無電解ニッケル−リンめっき、無電解ニッケル−ホウ素めっき等に分類される。無電解ニッケルめっきは、還元剤として次亜リン酸塩などを含む無電解ニッケル−リンめっき浴が広く用いられている。無電解ニッケル−リンめっきは、めっき皮膜に含まれるリンの含有率(リン含有率)に応じて、低リン(リン含有率が0.1〜5質量%程度)、中リン(リン含有率が6〜9質量%程度)、及び高リン(リン含有率が10〜13質量%程度)の3タイプに分類される。無電解ニッケル−リンめっき皮膜におけるリン含有率に応じて皮膜特性が異なることから、各種用途に応じて適切なタイプのめっき皮膜が選択されている。
また、含有率に応じて、無電解ニッケル−リンめっき皮膜の結晶構造が異なり、例えば、低リンタイプでは微結晶となり、高リンタイプではアモルファスの単一相となることが知られている。無電解ニッケル−リンめっき皮膜は、めっき皮膜形成後、硬度を向上させるために熱処理が行われるが、リン含有率が高い程、高温・長時間の処理が必要となる。熱処理を行うと、結晶構造変化が起こり、皮膜中にNi3Pが形成されることで皮膜硬度が向上する。一方で、リン含有率が高いめっき皮膜の場合、熱処理を行うと、構造変化に伴うNi3P相の相対的な析出量が多いため、割れが発生することがある。この様なめっき皮膜の割れを回避するため、低リンタイプの無電解ニッケル−リンめっき浴が用いられている。
また、リン含有率による分類の他、めっき浴に添加剤として硫黄化合物を含むか否かによっても、無電解ニッケルめっき浴が分類される。めっき浴に硫黄化合物が含まれる場合、析出速度の向上、付き回り性の向上等の利点を有する。一方で、めっき浴に硫黄化合物が含まれる場合、めっき皮膜の耐食性の低下、熱処理後の結晶粒界への硫黄偏析によるめっき皮膜の脆化等を引き起こすという問題がある。
従って、無電解ニッケルめっき皮膜の皮膜特性を重視して、硫黄化合物を含まない(硫黄フリー)無電解ニッケルめっき浴が用いられている。
上記従来技術を踏まえ、低リン及び硫黄フリーの無電解ニッケルめっき浴の開発が進められている(例えば、特許文献1〜3等参照)。
特開2008−248318号公報 特開2013−014809号公報 特開2008−285752号公報
しかしながら、特許文献1〜3では、熱処理後の無電解ニッケル−リンめっき皮膜の耐クラック性が十分でないという問題がある。無電解ニッケル−リンめっきが形成される物品は様々な用途に用いられるため、上述の低リンタイプの無電解ニッケル−リンめっき皮膜には、熱処理によって硬度が向上しても割れの発生が抑制されていることが要求されており、更なる耐クラック性が求められている。
本発明は、熱処理が施されても割れの発生が抑制されており、熱処理後の耐クラック性に優れためっき皮膜を形成することができる無電解ニッケル−リンめっき浴を提供することを目的とする。また、本発明は、熱処理が施されても割れの発生が抑制されており、熱処理後の耐クラック性に優れためっき皮膜を形成することができる無電解ニッケル−リンめっき方法を提供することを目的とする。更に、本発明は、熱処理が施されても割れの発生が抑制されており、熱処理後の耐クラック性に優れた無電解ニッケル−リンめっき皮膜を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記した課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、(1)水溶性ニッケル化合物、(2)還元剤、及び、(3)亜リン酸及び亜リン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種を含み、還元剤の含有量、及び、亜リン酸及び亜リン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の含有量が特定の範囲である無電解ニッケル−リンめっき浴の構成とすることで、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記の無電解ニッケル−リンめっき浴、無電解ニッケル−リンめっき方法、及び、無電解ニッケル−リンめっき皮膜に関する。
1.(1)水溶性ニッケル化合物、
(2)還元剤、及び、
(3)亜リン酸及び亜リン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種を含み、
前記還元剤の含有量は、13g/L以下であり、
前記亜リン酸及び亜リン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の含有量は、30g/L以上である、
無電解ニッケル−リンめっき浴。
2.前記還元剤は、次亜リン酸及び次亜リン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種である、項1に記載の無電解ニッケル−リンめっき浴。
3.前記亜リン酸及び亜リン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種は、外添したものである、項1又は2に記載の無電解ニッケル−リンめっき浴。
4.更に、グルタミン酸及びグルタミン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、項1〜3のいずれかに記載の無電解ニッケル−リンめっき浴。
5.更に、グリシン及びグルコン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、項1〜4のいずれかに記載の無電解ニッケル−リンめっき浴。
6.硫黄化合物を実質的に含まない、項1〜5のいずれかに記載の無電解ニッケル−リンめっき浴。
7.無電解ニッケル−リンめっき浴に、被めっき物を接触させて、無電解ニッケル−リンめっき皮膜を形成する工程を含む無電解ニッケル−リンめっき方法であって、
前記無電解ニッケル−リンめっき浴は、
(1)水溶性ニッケル化合物、
(2)還元剤、及び、
(3)亜リン酸及び亜リン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種を含み、
前記還元剤の含有量は、13g/L以下であり、
前記亜リン酸及び亜リン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の含有量は、30g/L以上である、
無電解ニッケル−リンめっき方法。
8.前記無電解ニッケル−リンめっき皮膜は、熱処理後のX線回折法による解析におけるNi(111)とNi(200)との測定ピーク強度比Ni(111)/Ni(200)が1.0未満である、項7に記載の無電解ニッケル−リンめっき方法。
9.前記無電解ニッケル−リンめっき皮膜の熱処理後のビッカース硬度は、800HV以下である、項7又は8に記載の無電解ニッケル−リンめっき方法。
10.無電解ニッケル−リンめっき皮膜であって、熱処理後のX線回折法による解析におけるNi(111)とNi(200)との測定ピーク強度比Ni(111)/Ni(200)が1.0未満である、無電解ニッケル−リンめっき皮膜。
11.400℃の温度で熱処理後のビッカース硬度が800HV以下である、項10に記載の無電解ニッケル−リンめっき皮膜。
本発明の無電解ニッケル−リンめっき浴は、熱処理が施されても割れの発生が抑制されており、熱処理後の耐クラック性に優れためっき皮膜を形成することができる。また、本発明の無電解ニッケル−リンめっき方法は、熱処理が施されても割れの発生が抑制されており、熱処理後の耐クラック性に優れためっき皮膜を形成することができる。更に、本発明の無電解ニッケル−リンめっき皮膜は、熱処理が施されても割れの発生が抑制されており、熱処理後の耐クラック性に優れている。
実施例1の無電解ニッケル−リンめっき浴を用いて無電解ニッケル−リンめっき皮膜を形成し、熱処理した後にエリクセン試験を行った際の無電解ニッケル−リンめっき皮膜の表面を撮影した写真である。 比較例1の無電解ニッケル−リンめっき浴を用いて無電解ニッケル−リンめっき皮膜を形成し、熱処理した後にエリクセン試験を行った際の無電解ニッケル−リンめっき皮膜の表面を撮影した写真である。 比較例2の無電解ニッケル−リンめっき浴を用いて無電解ニッケル−リンめっき皮膜を形成し、熱処理した後にエリクセン試験を行った際の無電解ニッケル−リンめっき皮膜の表面を撮影した写真である。 比較例3の無電解ニッケル−リンめっき浴を用いて無電解ニッケル−リンめっき皮膜を形成し、熱処理した後にエリクセン試験を行った際の無電解ニッケル−リンめっき皮膜の表面を撮影した写真である。 実施例1の無電解ニッケル−リンめっき浴を用いて無電解ニッケル−リンめっき皮膜を形成し、熱処理した後にXRD解析を行った結果を示す図である。 比較例1の無電解ニッケル−リンめっき浴を用いて無電解ニッケル−リンめっき皮膜を形成し、熱処理した後にXRD解析を行った結果を示す図である。 比較例2の無電解ニッケル−リンめっき浴を用いて無電解ニッケル−リンめっき皮膜を形成し、熱処理した後にXRD解析を行った結果を示す図である。 比較例3の無電解ニッケル−リンめっき浴を用いて無電解ニッケル−リンめっき皮膜を形成し、熱処理した後にXRD解析を行った結果を示す図である。 実施例1の無電解ニッケル−リンめっき浴を用いて無電解ニッケル−リンめっき皮膜を形成し、熱処理前にXRD解析を行った結果を示す図である。 比較例1の無電解ニッケル−リンめっき浴を用いて無電解ニッケル−リンめっき皮膜を形成し、熱処理前にXRD解析を行った結果を示す図である。 比較例2の無電解ニッケル−リンめっき浴を用いて無電解ニッケル−リンめっき皮膜を形成し、熱処理前にXRD解析を行った結果を示す図である。 比較例3の無電解ニッケル−リンめっき浴を用いて無電解ニッケル−リンめっき皮膜を形成し、熱処理前にXRD解析を行った結果を示す図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本明細書では、「低リン」とはめっき皮膜に含まれるリン含有率が0.1〜5質量%である場合を、「中リン」とはめっき皮膜に含まれるリン含有率が6〜9質量%である場合を、「高リン」とはめっき皮膜に含まれるリン含有率が10〜13質量%である場合を、それぞれ意味する。めっき皮膜に含まれるリン含有率は、蛍光X線分析装置で測定した値である。
1.無電解ニッケル−リンめっき浴
本発明の無電解ニッケル−リンめっき浴は、(1)水溶性ニッケル化合物、(2)還元剤、及び、(3)亜リン酸及び亜リン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種を含み、上記還元剤の含有量は、13g/L以下であり、上記亜リン酸及び亜リン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の含有量は、30g/L以上である無電解ニッケル−リンめっき浴である。本発明の無電解ニッケル−リンめっき浴は、上記(1)〜(3)を含み、且つ、上記還元剤の含有量が13g/L以下との要件、及び、上記亜リン酸及び亜リン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の含有量が30g/L以上との要件を両方とも備えることにより、形成される無電解ニッケル−リンめっき皮膜の熱処理後のX線回折法による解析におけるNi(111)とNi(200)との測定ピーク強度比Ni(111)/Ni(200)を1.0未満とすることができ、熱処理後の無電解ニッケル−リンめっき皮膜の硬度が低くなり、熱処理後の無電解ニッケル−リンめっき皮膜が優れた耐クラック性を示す。上記還元剤の含有量が13g/L以下であっても、上記亜リン酸及び亜リン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の含有量が30g/L未満であれば、上記優れた耐クラック性を示すことができない。また、上記亜リン酸及び亜リン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の含有量が、30g/L以上であっても、上記還元剤の含有量が13g/Lを超えると、上記優れた耐クラック性を示すことができない。すなわち、本発明の無電解ニッケル−リンめっき浴は、上記(1)〜(3)を含み、上記還元剤の含有量を13g/L以下とし、且つ、上記亜リン酸及び亜リン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の含有量を30g/L以上とすることにより、形成される無電解ニッケル−リンめっき皮膜の熱処理後のX線回折法による解析におけるNi(200)の測定ピーク強度が優位となり、熱処理後の無電解ニッケル−リンめっき皮膜の硬度を低くすることができ、熱処理後の無電解ニッケル−リンめっき皮膜が優れた耐クラック性を示すことができる。
(水溶性ニッケル化合物)
水溶性ニッケル化合物は特に限定されず、無電解ニッケル−リンめっき浴に用いられる公知のニッケル化合物を用いることができる。水溶性ニッケル化合物は、例えば、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、次亜リン酸ニッケル、炭酸ニッケル等の水溶性ニッケル無機塩;酢酸ニッケル、リンゴ酸ニッケル等の水溶性ニッケル有機塩等、並びにその水和物が挙げられる。より具体的には、硫酸ニッケル六水和物等を用いることができる。水溶性ニッケル化合物は、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。水溶性ニッケル化合物を二種以上混合して用いる場合、その混合比率は特に限定的ではなく、適宜決定することができる。
無電解ニッケル−リンめっき浴における水溶性ニッケル化合物の濃度は、無電解ニッケル−リンめっき皮膜を形成できる範囲内であれば特に制限されず、適宜調整することができる。水溶性ニッケル化合物の濃度は、ニッケル金属として、例えば、0.01〜100g/L程度、好ましくは0.5〜50g/L、より好ましくは1〜10g/L、更に好ましくは2〜7g/Lとすることができる。水溶性ニッケル化合物の濃度の下限がニッケル金属として上記範囲であると、析出速度がより一層向上する。水溶性ニッケル化合物の濃度の上限がニッケル金属として上記範囲であると、浴安定性がより一層向上する。
(還元剤)
還元剤は特に限定されず、無電解ニッケル−リンめっき浴に用いられる公知の還元剤を用いることができる。還元剤は、例えば、次亜リン酸、次亜リン酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)、並びにその水和物等である、次亜リン酸及び次亜リン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種;ジメチルアミンボラン、ジエチルアミンボラン、トリメチルアミンボラン、水素化ホウ素ナトリウム、ヒドラジン等である、他の還元剤が挙げられる。次亜リン酸及び次亜リン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種としては、より具体的には、次亜リン酸ナトリウム一水和物等を用いることが好ましい。
還元剤は、次亜リン酸及び次亜リン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。また、還元剤は、次亜リン酸及び次亜リン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種と、他の還元剤とを併用して用いてもよい。
還元剤は、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。還元剤を二種以上混合して用いる場合、その混合比率は特に限定的ではなく、適宜決定することができる。
無電解ニッケル−リンめっき浴における還元剤の濃度は、13g/L以下である。還元剤の濃度が13g/Lを超えると、熱処理後の無電解ニッケル−リンめっき皮膜のX線回折法による解析におけるNi(111)とNi(200)との測定ピーク強度比Ni(111)/Ni(200)が1.0以上となるため、熱処理後の無電解ニッケル−リンめっき皮膜の硬度が高くなり、耐クラック性が低下する。還元剤の濃度は11g/L以下が好ましく、10g/L以下がより好ましく、8g/L以下が更に好ましく、7 g/L以下が特に好ましい。また、還元剤の濃度は0.1g/L以上が好ましく、1g/L以上がより好ましく、2g/L以上が更に好ましく、3g/L以上が特に好ましい。還元剤の濃度の下限が上記範囲であると、無電解ニッケル−リンめっき皮膜の析出速度がより一層向上し、析出が十分となる。
(Niの質量/還元剤の質量の比)
無電解ニッケル−リンめっき浴は、還元剤に対するニッケル金属の質量比(Niの質量/還元剤の質量)が、0.05〜5.0であることが好ましく、0.1〜3.0であることがより好ましく、0.5〜2.0であることが更に好ましく、0.7〜1.5であることが特に好ましい。還元剤に対するニッケル金属の質量比を上記した範囲とすることにより、低リンタイプの無電解ニッケル−リンめっき皮膜の生産性がより一層向上する。特に、還元剤に対するニッケル金属の質量比が、0.05未満であるとめっき皮膜中のリン含有率が高くなり、低リンタイプの無電解ニッケル−リンめっき皮膜を形成することができない場合があり、5.0を超えると低リンタイプの無電解ニッケル−リンめっき皮膜を形成できるものの、めっき皮膜の析出速度が低下し、生産効率が低下する場合があるため、上記した範囲とすることが好ましい。
(亜リン酸(塩))
本明細書において、「亜リン酸及び亜リン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種」を「亜リン酸(塩)」とも表記する。
本発明の無電解ニッケル−リンめっき浴は、亜リン酸(塩)を含むことが特徴であり、無電解ニッケル−リンめっき浴を低リン及び硫黄フリーの無電解ニッケル−リンめっき浴としても、亜リン酸(塩)を含むことで、これを用いることにより、めっき皮膜形成後、硬度を向上させるために熱処理を実施しても、耐クラック性に優れためっき皮膜を得ることができる。また、亜リン酸(塩)は、これを無電解ニッケル−リンめっき浴に添加することで、安定剤の過剰吸着(カジリ)を抑制したり、めっきの析出速度を安定化したりする効果を発揮することができる。
亜リン酸(塩)は、特に限定されず、無電解ニッケル−リンめっき浴に用いられる公知の亜リン酸(塩)を用いることができる。亜リン酸(塩)としては、例えば、亜リン酸、亜リン酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)等、並びにその水和物が挙げられる。より具体的には、亜リン酸水素二ナトリウム五水和物等を用いることができる。亜リン酸(塩)は、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。亜リン酸(塩)を二種以上混合して用いる場合、その混合比率は特に限定的ではなく、適宜決定することができる。
無電解ニッケル−リンめっき浴における亜リン酸(塩)の濃度は、30g/L以上である。亜リン酸(塩)の濃度が30g/L未満であると、形成される無電解ニッケル−リンめっき皮膜の熱処理後のX線回折法による解析におけるNi(111)とNi(200)との測定ピーク強度比Ni(111)/Ni(200)が1.0以上となるため、熱処理後の無電解ニッケル−リンめっき皮膜の硬度が高くなり、耐クラック性が低下する。亜リン酸(塩)の濃度は40g/L以上が好ましく、50g/L以上がより好ましく、70g/L以上が更に好ましく、90g/L以上特に好ましい。また、亜リン酸(塩)の濃度は200g/L以下が好ましく、170g/L以下がより好ましく150g/L以下が更に好ましく、130g/L以下が特に好ましく、120g/L以下が最も好ましく、110g/L以下がより最も好ましい。亜リン酸(塩)の濃度の上限が上記範囲であると、熱処理前後での無電解ニッケル−リンめっき皮膜の構造変化が抑制されるため熱処理後の硬度の上昇がより一層抑制され、熱処理後の無電解ニッケル−リンめっき皮膜の割れが抑制されて、耐クラック性がより一層向上する。
(亜リン酸(塩)の外添)
無電解ニッケル−リンめっき浴では、亜リン酸(塩)は、亜リン酸(塩)の濃度が上記範囲と成る様に、外添したものであることが好ましい。
本発明の無電解ニッケル−リンめっき浴では、「還元剤として含まれる次亜リン酸(塩)から由来する亜リン酸(塩)」を、「本発明の無電解ニッケル−リンめっき浴に含まれる亜リン酸(塩)」とみなさない。本発明の無電解ニッケル−リンめっき浴では、亜リン酸(塩)は外添したもの、つまり、還元剤とは別に、添加されたものであることが好ましい。
(グルタミン酸(塩))
本明細書において、「グルタミン酸及びグルタミン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種」を「グルタミン酸(塩)」とも表記する。
本発明の無電解ニッケル−リンめっき浴は、グルタミン酸(塩)を含んでいてもよい。無電解ニッケル−リンめっき浴を低リン及び硫黄フリーの無電解ニッケル−リンめっき浴としても、グルタミン酸(塩)を含むことで、熱処理後の無電解ニッケル−リンめっき皮膜の耐クラック性がより一層向上する。
グルタミン酸(塩)は、特に限定されず、無電解ニッケル−リンめっき浴に用いられる公知のグルタミン酸(塩)を用いることができる。グルタミン酸(塩)は、例えば、グルタミン酸、グルタミン酸塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等)等が挙げられる。グルタミン酸(塩)は、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。還元剤を二種以上混合して用いる場合、その混合比率は特に限定的ではなく、適宜決定することができる。
無電解ニッケル−リンめっき浴におけるグルタミン酸(塩)の濃度は、低リンタイプの無電解ニッケル−リンめっき皮膜を形成できる範囲内であれば特に制限されず、適宜調整することができる。グルタミン酸(塩)の濃度は、例えば、1〜100g/L程度、好ましくは2〜50g/L程度、より好ましくは3〜20g/L程度とすることができる。無電解ニッケル−リンめっき浴を低リン及び硫黄フリーの無電解ニッケル−リンめっき浴としても、グルタミン酸(塩)の濃度が、1〜100g/L程度であることで、熱処理後の無電解ニッケル−リンめっき皮膜の耐クラック性がより一層向上する。
(グリシン及びグルコン酸塩)
本発明の無電解ニッケル−リンめっき浴は、錯化剤として、グリシン及びグルコン酸塩を含むことが好ましい。この様に、特定の錯化剤を組み合わせて用いることにより、連続使用した場合であってもめっき浴の分解が抑制され、より一層優れた浴安定性を有する低リン及び硫黄フリーの無電解ニッケル−リンめっき浴とすることができる。
グルコン酸塩は、特に限定されず、無電解ニッケル−リンめっき浴に用いられる公知のグルコン酸塩を用いることができる。グルコン酸塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。
無電解ニッケル−リンめっき浴におけるグリシンの濃度は特に限定的ではなく、適宜調整することができる。無電解ニッケル−リンめっき浴は、グリシンを1〜100g/L程度含むことが好ましい。グリシンの濃度は、例えば、1〜100g/L程度、好ましくは2〜50g/L程度、より好ましくは3〜30g/L程度とすることができる。グリシン(錯化剤)の濃度の下限が上記範囲であると、浴安定性がより一層向上する。グリシン(錯化剤)の濃度の上限が上記範囲であると、析出速度がより一層向上する。
無電解ニッケル−リンめっき浴におけるグルコン酸塩の濃度は特に限定的されず、適宜調整することができる。無電解ニッケル−リンめっき浴は、グルコン酸塩を0.1〜100g/L含むことが好ましい。グルコン酸塩の濃度は、例えば、0.1〜100g/L程度、好ましくは0.5〜50g/L程度、より好ましくは1〜20g/L程度とすることができる。グルコン酸塩の濃度の下限が上記範囲であると、浴安定性がより一層向上する。グルコン酸塩の濃度の上限が上記範囲であると、析出速度がより一層向上する。
(グリシンの質量/グルコン酸塩の質量の比)
無電解ニッケル−リンめっき浴は、グルコン酸塩に対するグリシンの質量比(グリシンの質量/グルコン酸塩の質量)が、1〜20程度であることが好ましく、2〜15程度であることがより好ましい。グルコン酸塩に対するグリシンの質量比の下限が上記範囲であると、無電解ニッケル−リンめっき皮膜におけるリン含有率がより一層低くなり、低リンタイプの無電解ニッケル−リンめっき皮膜を形成し易くなる。グルコン酸塩に対するグリシンの質量比の上限が上記範囲であると、めっき浴を連続使用した場合にめっき浴の安定性がより一層向上する。
(Niの質量/グリシンの質量の比)
無電解ニッケル−リンめっき浴は、グリシンに対するニッケル金属の質量比(Niの質量/グリシンの質量)が、0.1〜5程度であることが好ましく、0.2〜2程度であることがより好ましい。グリシンに対するニッケル金属の質量比を上記した範囲とすることにより、低リンタイプの無電解ニッケル−リンめっき皮膜をより一層効率良く形成することができる。特に、グリシンに対するニッケル金属の質量比が0.1未満であると低リンタイプの無電解ニッケル−リンめっき皮膜を形成できるものの、めっき皮膜の析出速度が低下し、生産効率が低下する場合があり、5を超えると安定性が低下する場合があるため、上記した範囲とすることが好ましい。
(他の錯化剤)
本発明の無電解ニッケル−リンめっき浴は、上記した錯化剤であるグリシン及びグルコン酸塩に加えて、無電解ニッケルめっき浴に用いられる錯化剤(以下、「他の錯化剤」と記載する。)を配合することができる。この様な他の錯化剤としては、ギ酸、酢酸等のモノカルボン酸又はこれらの塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等);マロン酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸等のジカルボン酸又はこれらの塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等);リンゴ酸、乳酸、グリコール酸、クエン酸等のヒドロキシカルボン酸又はこれらの塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等);エチレンジアミンジ酢酸、エチレンジアミンテトラ酢酸又はこれらの塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩等);アラニン、アルギニン等のアミノ酸(但し、グリシンを除く。)などが挙げられる。錯化剤は、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。錯化剤を二種以上混合して用いる場合、その混合比率は特に限定的ではなく、適宜決定することができる。
無電解ニッケル−リンめっき浴における他の錯化剤の濃度としては特に限定的ではなく、適宜調整することができる。他の錯化剤の濃度は、例えば、0.5〜100g/L程度とすることができる。
(硫黄化合物)
本発明の無電解ニッケル−リンめっき浴は、添加剤として、硫黄化合物を実質的に含まない(硫黄フリー)ことが好ましい。無電解ニッケル−リンめっき浴は、硫黄化合物を実質的に含まないことにより、硫黄フリーの無電解ニッケル−リンめっき皮膜を提供することができる。
本明細書において、「硫黄化合物」とは、無電解ニッケル−リンめっき処理を行った場合にめっき皮膜中に硫黄が共析する性質を有する化合物を意味する。従って、例えば、水溶性ニッケル化合物である硫酸ニッケル(硫酸イオン)やpH調整剤等として用いられる硫酸は、無電解ニッケル−リンめっき処理を行った場合にめっき皮膜中に硫黄が共析する性質を有する化合物ではないことから、本明細書で定義される「硫黄化合物」には包含されない。
本明細書において、硫黄化合物を「実質的に含まない」とは、無電解ニッケル−リンめっき浴を用いた場合に形成される無電解ニッケル−リンめっき皮膜における硫黄含有率が約0.001〜0.005質量%以下となる場合を意味する。無電解ニッケル−リンめっき皮膜における硫黄含有率は、燃焼法による炭素・硫黄分析装置などにより測定することができる。従って、硫黄化合物を「実質的に含まない」とは、無電解ニッケル−リンめっき浴における硫黄化合物の濃度が、無電解ニッケル−リンめっき皮膜に含まれる硫黄成分が上記した数値範囲を超えない程度の微量である場合を除外するものではなく、めっき浴に硫黄化合物が全く含まれないことのみを意味するものではない。
即ち、本発明の無電解ニッケル−リンめっき浴では、無電解ニッケル−リンめっき皮膜に硫黄成分が上記した数値範囲を超えない程度、硫黄化合物が微量に含まれていてもよく、硫黄化合物が完全に含まれないことが好ましい。硫黄化合物としては、例えば、促進剤として用いられるチオ硫酸又はその塩(例えば、ナトリウム塩等)、安定剤として用いられるチオ尿素等が挙げられる。
本発明の無電解ニッケル−リンめっき浴は、添加剤として、硫黄化合物を実質的に含まないにも関わらず、硫黄化合物を含むめっき浴と同等の析出速度でめっき処理を行うことができる。
(安定剤、pH調整剤、界面活性剤等)
本発明の無電解ニッケル−リンめっき浴は、上記した成分の他、必要に応じて、無電解ニッケルめっき浴に用いられる公知の添加剤を配合することができる。添加剤としては、例えば、安定剤、pH調整剤、界面活性剤等が挙げられる。
安定剤としては、例えば、鉛化合物(例えば、硝酸鉛、酢酸鉛等)、カドミウム化合物(例えば、硝酸カドミウム、酢酸カドミウム等)、タリウム化合物(例えば、硫酸タリウム、硝酸タリウム、等)、アンチモン化合物(例えば、塩化アンチモン、酒石酸アンチモニルカリウム等)、テルル化合物(例えば、テルル酸、塩化テルル等)、クロム化合物(例えば、酸化クロム、硫酸クロム等)、鉄化合物(例えば、硫酸鉄、塩化鉄等)、マンガン化合物(例えば、硫酸マンガン、硝酸マンガン等)、ビスマス化合物(例えば、硝酸ビスマス、酢酸ビスマス等)、スズ化合物(例えば、硫酸スズ、塩化スズ等)、セレン化合物(例えば、セレン酸、亜セレン酸等)、シアン化物(例えば、メチルシアニド、イソプロピルシアニド等)、アリル化合物(例えば、アリルアミン、ジアリルアミン等)等が挙げられる。
安定剤は、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。安定剤を二種以上混合して用いる場合、その混合比率は特に限定的ではなく、適宜決定することができる。
無電解ニッケル−リンめっき浴における安定剤の濃度としては特に限定的ではなく、例えば、0.10〜100mg/L程度とすることができる。無電解ニッケル−リンめっき浴の安定性をより一層向上させる目的で、安定剤の濃度を0.10mg/L程度以上とすることが好ましい。安定剤の濃度が100mg/L以下であると、被処理物のめっき皮膜が形成されない箇所(未析出箇所)の発生がより一層抑制される。
pH調整剤としては、塩酸、硫酸、リン酸等の酸;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水等のアルカリを用いることができる。
本発明の無電解ニッケル−リンめっき浴のpHは、3〜12程度が好ましく、4〜9程度がより好ましい。めっき浴のpHは上記したpH調整剤を用いて調整することができる。pHの下限が上記範囲であることにより、未析出の発生がより一層抑制される。pHの上限が上記範囲であることにより、浴安定性がより一層向上する。
界面活性剤としては、ノニオン性、アニオン性、カチオン性、両性等の各種界面活性剤を用いることができる。例えば、芳香族又は脂肪族スルホン酸アルカリ塩、芳香族又は脂肪族カルボン酸アルカリ金属塩等が挙げられる。界面活性剤は、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。界面活性剤を二種以上混合して用いる場合、その混合比率は特に限定的ではなく、適宜決定することができる。
無電解ニッケル−リンめっき浴における界面活性剤の濃度としては特に限定的ではなく、例えば、0.01〜1000mg/L程度とすることができる。無電解ニッケル−リンめっき浴のピット防止の効果をより一層向上させる目的で、界面活性剤の濃度を0.01mg/L程度以上とすることが好ましい。界面活性剤の濃度が、1000mg/L以下であると、発泡による析出性の低下がより一層抑制される。
(低リン及び硫黄フリーの無電解ニッケル−リンめっき浴)
本発明の無電解ニッケル−リンめっき浴は、低リンタイプの無電解ニッケル−リンめっき浴であることが好ましい。「低リン」とはめっき皮膜に含まれるリン含有率が0.1〜5質量%である場合であり、リン含有率は蛍光X線分析装置で測定することができる。
低リンタイプの無電解ニッケル−リンめっき浴は、これを用いて、めっき皮膜を形成後、熱処理を行っても、無電解ニッケル−リンめっき皮膜の割れがより一層抑制されるので好ましい。
本発明の無電解ニッケル−リンめっき浴は、低リン及び硫黄フリーである場合、これを連続使用した場合であってもめっき浴の分解がより一層抑制された、優れた浴安定性を有する。一般に、無電解ニッケル−リンめっき浴を連続使用できるか否かは工業的にめっき浴を用いる場合に重視される要素であり、この点は有利である。
本発明の無電解ニッケル−リンめっき浴を用いて、めっき皮膜を形成すると、熱処理を行っても脆化が抑制されており、はんだ濡れ性が良好である等、良好な皮膜特性を有する。
本発明の無電解ニッケル−リンめっき浴は低リン(リン含有率が0.1〜5質量%程度)及び硫黄フリー(硫黄化合物非含有)を維持しながら、これを用いてめっき皮膜形成後、硬度を向上させるために熱処理を実施しても、耐クラック性に優れた(割れが発生しない)めっき皮膜を得ることができる。
本発明は、低リン及び硫黄フリーの無電解ニッケル−リンめっき浴であることが好ましく、これを用いることにより、めっき皮膜形成後、硬度を向上させるために熱処理を実施しても、耐クラック性に優れた(割れが発生しない)めっき皮膜を得ることができる。
鉄板、アルミ板等平板にめっきをする場合、通常、熱処理を行うだけではクラックは発生しない。しかしながら、セラミックスに銅回路を接合した基板、セラミックスにアルミニウム回路を接合した基板、ウェハ上のアルミ電極等へめっきを行い、熱処理を行うと、熱処理を行うだけでクラックが発生する場合がある。これは、セラミックスに銅回路又はアルミニウム回路を接合した基板、電極等と、めっき皮膜との間で、それらの熱膨張係数が異なることが一因として考えられる。
本発明では、被めっき物は、パワーモジュールのウェハの電極や、セラミックスに銅回路又はアルミニウム回路を接合した基板等に良好に適用することができる。これらめっき物の製造では、はんだ付けを行う場合が多く、その温度は例えば350度程度と高温の場合がある。そして、そのはんだ接合を行う過程で、形成しためっき皮膜の硬度が上昇してしまう場合もある。
本件発明の無電解ニッケル−リンめっき浴を用いることで、パワーモジュールのウェハの電極や、セラミックスに銅回路又はアルミニウム回路を接合した基板等にめっき皮膜を形成する際に、その形成しためっき皮膜の硬度が上昇しても、耐クラック性に優れた無電解ニッケル−リンめっき皮膜を得ることができる。
(無電解ニッケル−リンめっき浴の製造方法)
本発明の無電解ニッケル−リンめっき浴は、前記の通り、(1)水溶性ニッケル化合物、(2)還元剤、及び、(3)亜リン酸(塩)を含み、前記亜リン酸(塩)は、外添したものであることが好ましい。
本発明の無電解ニッケル−リンめっき浴は、前記無電解ニッケル−リンめっき浴を製造する方法であって、前記亜リン酸(塩)を添加する工程を含む、無電解ニッケル−リンめっき浴を製造する方法により製造されることが好ましい。
本発明の無電解ニッケル−リンめっき浴では、前記の通り、「還元剤として含まれる次亜リン酸(塩)から由来する亜リン酸(塩)」を、「本発明の無電解ニッケル−リンめっき浴に含まれる亜リン酸(塩)」とみなさないことが好ましい。本発明の無電解ニッケル−リンめっき浴では、亜リン酸(塩)は外添したもの、つまり、還元剤とは別に、添加されたものであることが好ましい。
2.無電解ニッケル−リンめっき方法
本発明の無電解ニッケル−リンめっき方法は、無電解ニッケル−リンめっき浴に、被めっき物を接触させて、無電解ニッケル−リンめっき皮膜を形成する工程を含む無電解ニッケル−リンめっき方法であって、前記無電解ニッケル−リンめっき浴は、(1)水溶性ニッケル化合物、(2)還元剤、及び、(3)亜リン酸及び亜リン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種を含み、前記還元剤の含有量は、13g/L以下であり、前記亜リン酸及び亜リン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の含有量は、30g/L以上である無電解ニッケル−リンめっき方法である。本発明の無電解ニッケル−リンめっき方法では、上述の本発明の無電解ニッケル−リンめっき浴を用いればよい。
本発明の無電解ニッケル−リンめっき方法は、前記の無電解ニッケル−リンめっき浴に、被めっき物を接触させて、無電解ニッケル−リンめっき皮膜を形成する工程を含む。本明細書では、この工程を「めっき工程」と記載する場合がある。
被めっき物としては、特に限定されず、従来、無電解ニッケルめっきの対象とされている各種材料を用いることができる。被めっき物は、例えば、鉄、コバルト、ニッケル、パラジウム、又はこれらの合金等の無電解ニッケルめっきの還元析出に対して触媒性のある金属が挙げられる。また、銅、アルミ等の無電解ニッケルめっきの還元析出に対して触媒性のない金属、ガラス、セラミックス等も用いることができ、この場合、常法に従って、めっき工程の前に被めっき物にパラジウム核等の金属触媒核を付着させたものを用いることができる。
めっき工程において、無電解ニッケル−リンめっき浴に被めっき物を接触させる方法としては、特に限定的ではなく、常法に従って行うことができる。めっき工程は、例えば、被めっき物を前記の無電解ニッケル−リンめっき浴に浸漬する方法等が挙げられる。
めっき処理条件(例えば、浴温、めっき処理時間等)については、低リンタイプの無電解ニッケル−リンめっき皮膜が形成される条件であれば特に制限されず、適宜決定することができる。
めっき工程における無電解ニッケル−リンめっき浴の浴温は、めっき浴の組成等に応じて適宜決定することができる。めっき工程における無電解ニッケル−リンめっき浴の浴温は、例えば、25℃程度以上とすることができ、40〜100℃程度とすることが好ましく、70〜95℃程度とすることがより好ましい。浴温の下限が上記範囲であると、めっき皮膜の析出速度がより一層向上し、生産効率が向上する。
めっき工程における処理時間は、特に限定的ではなく、被めっき物に必要な膜厚の無電解ニッケル−リンめっき皮膜が形成されるまでの時間とすることができる。めっき工程における処理時間は、具体的には、めっき浴の組成、被めっき物の種類等に応じて適宜決定することができ、例えば、1〜1,000分程度、好ましくは5〜600分とすることができる。
また、本発明の無電解ニッケル−リンめっき方法は、上記めっき工程の他、必要に応じて、他の工程を含むことができる。このような他の工程としては、無電解ニッケル−リンめっき皮膜に熱処理を行う熱処理工程が挙げられる。
本発明の無電解ニッケル−リンめっき方法によれば、熱処理を行っても脆化が抑制されており、はんだ濡れ性が良好であるなど、良好な皮膜特性を有する無電解ニッケル−リンめっき皮膜を提供することができる。
本発明の無電解ニッケル−リンめっき浴が硫黄化合物を実質的に含まない場合、当該無電解ニッケル−リンめっき浴を用いる無電解ニッケル−リンめっき方法によれば、形成される無電解ニッケル−リンめっき皮膜には硫黄成分が実質的に含まれないことから、形成される無電解ニッケル−リンめっき皮膜は、熱処理による脆化が抑制される。
従って、本発明の無電解ニッケル−リンめっき浴及び当該めっき浴を用いる無電解ニッケル−リンめっき方法は、めっき皮膜の硬度向上を目的として熱処理が施される部材、電子部品の接合などの熱がかかる環境下において使用される部材などに好ましく適用することができる。この様な部材としては、例えば、はんだ接合、焼結処理を行う接合点に用いられる部材、高温動作環境の半導体部品等が挙げられる。
熱処理の方法としては特に限定されず、無電解ニッケル−リンめっき皮膜が形成された部材に通常施される熱処理方法により熱処理を行えばよい。このような熱処理方法としては、例えば、高温送風乾燥機による加熱;リフロー炉を用いた、大気中、真空中、窒素雰囲気中、又は水素還元雰囲気中での加熱等の熱処理方法が挙げられる。
熱処理温度、熱処理時間は特に限定されず、接合用途に必要な熱処理温度、熱処理時間により熱処理すればよい。熱処理温度としては、200〜500℃が好ましく、230〜400℃がより好ましい。また、熱処理時間としては、0.1〜60分が好ましく、0.5〜30分がより好ましい。
本発明の無電解ニッケル−リンめっき方法により形成される無電解ニッケル−リンめっき皮膜は、熱処理後のX線回折法による解析におけるNi(111)とNi(200)との測定ピーク強度比Ni(111)/Ni(200)が1.0未満であることが好ましく、0.5以下であることがより好ましく、0.1以下であることが更に好ましく、0.01以下であることが特に好ましい。Ni(111)/Ni(200)が上記範囲であることにより、熱処理後の無電解ニッケル−リンめっき皮膜の硬度がより一層低くなり、耐クラック性がより一層向上する。また、Ni(111)/Ni(200)の下限値は低い程好ましく、例えば0であってもよいし、0.001であってもよい。
本明細書において、X線回折法による解析(XRD解析)は、無電解ニッケル−リンめっき皮膜をXRD測定装置(RIGAKU社製 SmartLab)を用いてXRD解析することにより解析することができる。また、本明細書において熱処理後の無電解ニッケル−リンめっき皮膜のX線回折法による解析(XRD解析)は、無電解ニッケル−リンめっき皮膜を400℃、30分の条件で熱処理し、上記測定装置を用いてXRD解析することにより解析することができる。
上記測定ピーク強度比Ni(111)/Ni(200)は、上述の本発明の無電解ニッケル−リンめっき浴を用いて無電解ニッケル−リンめっき皮膜を形成し、熱処理することにより1.0未満に調整することができる。すなわち、上述の本発明の無電解ニッケル−リンめっき浴を用いて無電解ニッケル−リンめっき皮膜を形成することにより、熱処理前のNi(200)の測定ピーク強度がNi(111)の測定ピーク強度よりも優位となり、1.0未満となる。また、本発明の無電解ニッケル−リンめっき浴中の還元剤の含有量を減少させることによりNi(111)/Ni(200)の値を小さくすることができ、還元剤の含有量を増加させることによりNi(111)/Ni(200)の値が大きくなる。また、本発明の無電解ニッケル−リンめっき浴中の亜リン酸(塩)の含有量を増加させることによりNi(111)/Ni(200)の値を小さくすることができ、亜リン酸(塩)の含有量を減少させることによりNi(111)/Ni(200)の値が大きくなる。Ni(111)/Ni(200)が1.0未満の無電解ニッケル−リンめっき皮膜は、熱処理による構造変化が抑制されており熱処理後も、Ni(111)/Ni(200)の値が1.0未満の範囲を維持することができる。
本発明の無電解ニッケル−リンめっき方法により形成される無電解ニッケル−リンめっき皮膜の熱処理後のビッカース硬度は、800HV以下が好ましく、700HV以下がより好ましく、600HV以下が更に好ましい。ビッカース硬度の上限が上記範囲であることにより、熱処理後の無電解ニッケル−リンめっき皮膜が硬過ぎず、耐クラック性がより一層向上する。また、ビッカース硬度の下限は無電解ニッケル−リンめっき皮膜として必要な程度の下限であればよく、例えば、200HV程度、又は300HV程度である。
本明細書において、ビッカース硬度は、形成した無電解ニッケル−リンめっき皮膜を400℃で30分間熱処理し、熱処理後の無電解ニッケル−リンめっき皮膜の表面についてマイクロビッカース硬度計(ミツトヨ社製 HM-200)(荷重0.49N)を用いて室温(25℃)で測定される値である。
上記ビッカース硬度は、上述の本発明の無電解ニッケル−リンめっき浴を用いて無電解ニッケル−リンめっき皮膜を形成し、熱処理することにより、上記範囲に調整することができる。また、本発明の無電解ニッケル−リンめっき浴中の還元剤の含有量を減少させることによりビッカース硬度が低下し、還元剤の含有量を増加させることによりビッカース硬度が高くなる。また、本発明の無電解ニッケル−リンめっき浴中の亜リン酸(塩)の含有量を増加させることによりビッカース硬度が低下し、亜リン酸(塩)の含有量を減少させることによりビッカース硬度が高くなる。
3.無電解ニッケル−リンめっき皮膜
本発明の無電解ニッケル−リンめっき皮膜は、熱処理後のX線回折法による解析におけるNi(111)とNi(200)との測定ピーク強度比Ni(111)/Ni(200)が1.0未満である無電解ニッケル−リンめっき皮膜である。本発明無電解ニッケル−リンめっき皮膜は、上記構成であることにより、無電解ニッケル−リンめっき皮膜の硬度がより一層低くなり、耐クラック性がより一層向上する。
本発明の無電解ニッケル−リンめっき皮膜は、熱処理後のビッカース硬度が800HV以下であることが好ましい。
本発明の無電解ニッケル−リンめっき皮膜は、上述の本発明の無電解ニッケル−リンめっき皮膜の形成方法により形成することができる。本発明の無電解ニッケル−リンめっき皮膜の構成及び特性は、上記無電解ニッケル−リンめっき方法により形成される無電解ニッケル−リンめっき皮膜について説明した構成及び特性と同様である。
以下に実施例及び比較例を示して本発明をより詳しく説明する。但し、本発明は実施例に限定されない。
1.無電解ニッケル−リンめっき浴の調製
実施例及び比較例の無電解ニッケル−リンめっき浴を、表1に記載の組成に従って調製した。
被めっき物としてアルミニウム板(A5052材)を用い、調製した各無電解ニッケルリン−めっき浴中(浴温90℃)に被めっき物を浸漬することにより、膜厚3μmの無電解ニッケル−リンめっき皮膜を形成した。浸漬時間は、実施例1及び比較例3は60分、比較例1及び比較例2は30分であった。
形成した無電解ニッケル−リンめっき皮膜に含まれるリン含有率を蛍光X線分析装置で測定した。
形成した無電解ニッケル−リンめっき皮膜に含まれる硫黄含有率を燃焼法による炭素・硫黄分析装置により測定した。無電解ニッケル−リンめっき皮膜に含まれる硫黄含有率が検出限界(0.0005質量%)以下である場合は、「ND」と表わす。
(ビッカース硬度測定)
形成した無電解ニッケル−リンめっき皮膜を高温送風定温乾燥機(アドバンテック製 DRH453WA)を用いて400℃で30分間加熱して熱処理し、熱処理後の無電解ニッケル−リンめっき皮膜の表面のビッカース硬度を、マイクロビッカース硬度計(ミツトヨ社製 HM-200)(荷重0.49N)を用いて室温(25℃)で測定した。
結果を表1に示す。
Figure 2021188109
表1より、実施例1のめっき浴は、めっき皮膜に含まれるリン含有率が低リンタイプのめっき浴であることが確認された。また、実施例1のめっき浴の硫黄含有率は検出限界以下であることが確認された。
2.無電解ニッケル−リンめっき皮膜特性の評価
調製した無電解ニッケル−リンめっき浴を用いて、鉄板を被めっき物として、浴温90℃の無電解ニッケルめっき−リン浴中に被めっき物を浸漬することにより、膜厚3μmの無電解ニッケル−リンめっき皮膜を形成した。
(エリクセン試験機による押し込み試験(耐クラック性評価))
上述のようにして鉄板に形成した無電解ニッケル−リンめっき皮膜を400℃の温度で30分間熱処理した。熱処理後の無電解ニッケル−リンめっき皮膜をエリクセン試験機で0.5mm押し込み、押し込み後の無電解ニッケル−リンめっき皮膜の凸側に発生するクラックの状態を、デジタルマイクロスコープ(キーエンス社製 VHX-2000)を用いて500倍の倍率で確認した。結果を図1〜図4に示す。
図1は、実施例1の無電解ニッケル−リンめっき浴を用いて無電解ニッケル−リンめっき皮膜を形成し、熱処理した後にエリクセン試験を行った際の無電解ニッケル−リンめっき皮膜の表面を撮影した写真である。図1の結果から、実施例1の無電解ニッケル−リンめっき浴を用いて形成し、熱処理した無電解ニッケル−リンめっき皮膜は、割れの発生が抑制されており、耐クラック性に優れていることが分かった。
図2、図3、図4は、ぞれぞれ比較例1、比較例2、比較例3の無電解ニッケル−リンめっき浴を用いて無電解ニッケル−リンめっき皮膜を形成し、熱処理した後にエリクセン試験を行った際の無電解ニッケル−リンめっき皮膜の表面を撮影した写真である。図2〜図4の結果から、比較例1〜比較例3の無電解ニッケル−リンめっき浴を用いて形成し、熱処理した無電解ニッケル−リンめっき皮膜は、割れが発生し、十分な耐クラック性を示さないことが分かった。
(X線回折法による解析(XRD解析))
上述のようにして鉄板に形成した無電解ニッケル−リンめっき皮膜を400℃、30分の条件で熱処理した。熱処理後の無電解ニッケル−リンめっき皮膜をXRD測定装置(RIGAKU社製 SmartLab)を用いてXRD解析を行った。結果を図5〜図8に示す。また、熱処理前の無電解ニッケル−リンめっき皮膜についても同様にXRD解析を行った。結果を図9〜図12に示す。
図5は、実施例1の無電解ニッケル−リンめっき浴を用いて無電解ニッケル−リンめっき皮膜を形成し、熱処理した後にXRD解析を行った結果を示す図である。図5の結果から、実施例1の無電解ニッケル−リンめっき浴を用いて形成し、熱処理した無電解ニッケル−リンめっき皮膜は、Ni(200)(2θ(deg)が51付近)の測定強度がNi(111)(2θ(deg)が45付近)の測定強度よりも優位となっており、測定ピーク強度比Ni(111)/Ni(200)が1.0未満であることが確認された。
図6、図7、図8は、ぞれぞれ比較例1、比較例2、比較例3の無電解ニッケル−リンめっき浴を用いて無電解ニッケル−リンめっき皮膜を形成し、熱処理した後にXRD解析を行った結果を示す図である。図6〜図8の結果から、比較例1〜比較例3の無電解ニッケル−リンめっき浴を用いて形成し、熱処理した無電解ニッケル−リンめっき皮膜は、Ni(200)の測定強度がNi(111)の測定強度よりも優位となっておらず、測定ピーク強度Ni(111)/Ni(200)が1.0以上であることが確認された。
図9は、実施例1の無電解ニッケル−リンめっき浴を用いて無電解ニッケル−リンめっき皮膜を形成し、熱処理前にXRD解析を行った結果を示す図である。図9の結果から、実施例1の無電解ニッケル−リンめっき浴を用いて形成した、熱処理前の無電解ニッケル−リンめっき皮膜は、熱処理後の無電解ニッケル−リンめっき皮膜とXRD解析結果の測定ピークが略同一であり、熱処理前後での無電解ニッケル−リンめっき皮膜の構造変化が抑制されていることから、実施例1無電解ニッケル−リンめっき皮膜は熱処理後の硬度の上昇が抑制され、熱処理後の無電解ニッケル−リンめっき皮膜の割れが抑制されて、耐クラック性が向上していると考えられる。
図10、図11、図12は、ぞれぞれ比較例1、比較例2、比較例3の無電解ニッケル−リンめっき浴を用いて無電解ニッケル−リンめっき皮膜を形成し、熱処理前にXRD解析を行った結果を示す図である。図10〜図12の結果から、比較例1〜比較例3の無電解ニッケル−リンめっき浴を用いて形成した、熱処理前の無電解ニッケル−リンめっき皮膜は、熱処理後の無電解ニッケル−リンめっき皮膜とXRD解析結果の測定ピークの強度が異なっていることが分かった。すなわち、熱処理後のNi(111)の測定ピークの強度は、熱処理前の強度が熱処理前のNi(111)の測定ピークの強度よりも強くなっており、熱処理前後で無電解ニッケル−リンめっき皮膜の構造変化が生じていることが分かった。このことから、比較例1〜3の無電解ニッケル−リンめっき皮膜は熱処理後に硬度が上昇して割れ易くなっており、耐クラック性が低下していると考えられる。

Claims (11)

  1. (1)水溶性ニッケル化合物、
    (2)還元剤、及び、
    (3)亜リン酸及び亜リン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種を含み、
    前記還元剤の含有量は、13g/L以下であり、
    前記亜リン酸及び亜リン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の含有量は、30g/L以上である、
    無電解ニッケル−リンめっき浴。
  2. 前記還元剤は、次亜リン酸及び次亜リン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の無電解ニッケル−リンめっき浴。
  3. 前記亜リン酸及び亜リン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種は、外添したものである、請求項1又は2に記載の無電解ニッケル−リンめっき浴。
  4. 更に、グルタミン酸及びグルタミン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、請求項1〜3のいずれかに記載の無電解ニッケル−リンめっき浴。
  5. 更に、グリシン及びグルコン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種を含有する、請求項1〜4のいずれかに記載の無電解ニッケル−リンめっき浴。
  6. 硫黄化合物を実質的に含まない、請求項1〜5のいずれかに記載の無電解ニッケル−リンめっき浴。
  7. 無電解ニッケル−リンめっき浴に、被めっき物を接触させて、無電解ニッケル−リンめっき皮膜を形成する工程を含む無電解ニッケル−リンめっき方法であって、
    前記無電解ニッケル−リンめっき浴は、
    (1)水溶性ニッケル化合物、
    (2)還元剤、及び、
    (3)亜リン酸及び亜リン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種を含み、
    前記還元剤の含有量は、13g/L以下であり、
    前記亜リン酸及び亜リン酸塩からなる群より選択される少なくとも1種の含有量は、30g/L以上である、
    無電解ニッケル−リンめっき方法。
  8. 前記無電解ニッケル−リンめっき皮膜は、熱処理後のX線回折法による解析におけるNi(111)とNi(200)との測定ピーク強度比Ni(111)/Ni(200)が1.0未満である、請求項7に記載の無電解ニッケル−リンめっき方法。
  9. 前記無電解ニッケル−リンめっき皮膜の熱処理後のビッカース硬度は、800HV以下である、請求項7又は8に記載の無電解ニッケル−リンめっき方法。
  10. 無電解ニッケル−リンめっき皮膜であって、熱処理後のX線回折法による解析におけるNi(111)とNi(200)との測定ピーク強度比Ni(111)/Ni(200)が1.0未満である、無電解ニッケル−リンめっき皮膜。
  11. 400℃の温度で熱処理後のビッカース硬度が800HV以下である、請求項10に記載の無電解ニッケル−リンめっき皮膜。
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