JP2021193202A - スパッタリングターゲット、スパッタリングターゲットの製造方法、および、光学機能膜 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐熱性および耐アルカリ性に優れ、金属薄膜等からの光の反射を十分に抑制することが可能な光学機能膜を効率良く安定して成膜可能な、スパッタリングターゲット、その製造方法、及び光学機能膜を提供する。【解決手段】Nb,W,Tiから選択される一種又は二種以上の金属相と、酸化亜鉛相と、を含み、密度比が80%以上であり、スパッタ面の複数の箇所で測定したNb,W,Tiから選択される一種又は二種以上からなる金属元素のそれぞれの含有量の標準偏差が5mass%以下とされていることを特徴とするスパッタリングターゲット。【選択図】なし
Description
本発明は、例えば金属薄膜等に積層されて、金属薄膜等からの光の反射を低減する光学機能膜を成膜するために用いられるスパッタリングターゲット、このスパッタリングターゲットの製造方法、および、光学機能膜に関するものである。
近年、携帯端末装置などの入力手段として、投影型静電容量方式のタッチパネルが採用されている。この方式のタッチパネルでは、タッチ位置検出のために、センシング用の電極が形成されている。このセンシング用の電極は、パターニングによって形成するのが通常であり、透明基板の一方の面に、X方向に延びたX電極と、X方向に対して直交するY方向に延びたY電極とを設け、これらを格子状に配置している。
ここで、タッチパネルの電極に金属膜を用いた場合には、金属膜が金属光沢を有することから、電極のパターンが外部から視認されてしまう。このため、金属薄膜の上に、可視光の反射率の低い低反射率膜を成膜することで、電極の視認性を低下させることが考えられる。
ここで、タッチパネルの電極に金属膜を用いた場合には、金属膜が金属光沢を有することから、電極のパターンが外部から視認されてしまう。このため、金属薄膜の上に、可視光の反射率の低い低反射率膜を成膜することで、電極の視認性を低下させることが考えられる。
また、液晶表示装置やプラズマディスプレイに代表されるフラットパネルディスプレイでは、カラー表示を目的としたカラーフィルタが採用されている。このカラーフィルタでは、コントラストや色純度を良くし、視認性を向上させることを目的として、ブラックマトリクスと称される黒色の部材が形成されている。
上述の低反射率膜は、このブラックマトリクス(以下“BM”と記す)としても利用可能である。
上述の低反射率膜は、このブラックマトリクス(以下“BM”と記す)としても利用可能である。
さらに、太陽電池パネルにおいて、ガラス基板等を介して太陽光が入射される場合、その反対側には、太陽電池の裏面電極が形成されている。この裏面電極としては、モリブデン(Mo)、銀(Ag)などの金属膜が用いられている。このような態様の太陽電池パネルを裏面側から見たとき、その裏面電極である金属膜が視認されてしまう。
このため、裏面電極の上に、上述の低反射率膜を成膜することで、裏面電極の視認性を低下させることが考えられる。
このため、裏面電極の上に、上述の低反射率膜を成膜することで、裏面電極の視認性を低下させることが考えられる。
ここで、例えば特許文献1には、上述の低反射率膜(光学機能膜)を成膜するためのスパッタリングターゲットとして、酸化物と酸窒化物を含有するものが提案されている。
ここで、特許文献1に記載されたスパッタリングターゲットにおいては、1000℃以上の温度で焼結を実施しているが、酸化物として酸化亜鉛(ZnO)を含有する場合には、酸化亜鉛(ZnO)が昇華、あるいは、含有する金属元素によっては酸化亜鉛が還元されて生じたZnが昇華してしまい、組成ずれが生じたり、密度が低下したりするといった問題があった。
さらに、上述の光学機能膜には、製造時および使用時において光学特性が大きく変化しないように、耐久性が求められる。例えば、成膜後に加熱工程が実施される場合には、耐熱性が要求される。また、エッチングで配線パターンを形成する場合には、レジスト膜の現像や剥離を行う際にアルカリが使用されるため、耐アルカリ性が要求される。
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、耐熱性および耐アルカリ性に優れ、金属薄膜等からの光の反射を十分に抑制することが可能な光学機能膜を効率良く安定して成膜可能なスパッタリングターゲット、このスパッタリングターゲットの製造方法、および、光学機能膜を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のスパッタリングターゲットは、Nb,W,Tiから選択される一種又は二種以上の金属相と、酸化亜鉛相と、を含み、密度比が80%以上であり、スパッタ面の複数の箇所で測定したNb,W,Tiから選択される一種又は二種以上からなる金属元素のそれぞれの含有量の標準偏差が5mass%以下とされていることを特徴としている。
この構成のスパッタリングターゲットによれば、Nb,W,Tiから選択される一種又は二種以上の金属相と、酸化亜鉛相と、を含んでいるので、光学特性に優れ、かつ、耐熱性および耐アルカリ性に優れた光学機能膜を成膜することができる。
そして、密度比が80%以上とされているので、スパッタ時における異常放電の発生を抑制することができる。
さらに、スパッタ面の複数の箇所で測定したNb,W,Tiから選択される一種又は二種以上からなる金属元素のそれぞれの含有量の標準偏差が5mass%以下とされているので、反射率のばらつきの少ない光学機能膜を成膜することが可能となる。
そして、密度比が80%以上とされているので、スパッタ時における異常放電の発生を抑制することができる。
さらに、スパッタ面の複数の箇所で測定したNb,W,Tiから選択される一種又は二種以上からなる金属元素のそれぞれの含有量の標準偏差が5mass%以下とされているので、反射率のばらつきの少ない光学機能膜を成膜することが可能となる。
ここで、本発明のスパッタリングターゲットにおいては、空孔の平均粒子面積が5μm2以下であることが好ましい。
この場合、空孔の平均粒子面積が5μm2以下に制限されているので、スパッタ時に空孔に起因した異常放電の発生を抑制でき、さらに安定して光学機能膜を成膜することが可能となる。
この場合、空孔の平均粒子面積が5μm2以下に制限されているので、スパッタ時に空孔に起因した異常放電の発生を抑制でき、さらに安定して光学機能膜を成膜することが可能となる。
また、本発明のスパッタリングターゲットにおいては、Al,Si,Ga,In,Sn,Ti,Nb,Zr,Mo,Ta,W,Yから選択される一種又は二種以上の金属Mの酸化物を含み、前記金属Mの合計含有量が、全金属元素を100mass%として、0.1mass%以上40mass%以下の範囲内とされていることが好ましい。
この場合、上述の金属Mの酸化物を、全金属元素を100mass%として0.1mass%以上40mass%以下の範囲内で含有しているので、成膜した光学機能膜の耐熱性および耐アルカリ性をさらに向上させることが可能となる。
この場合、上述の金属Mの酸化物を、全金属元素を100mass%として0.1mass%以上40mass%以下の範囲内で含有しているので、成膜した光学機能膜の耐熱性および耐アルカリ性をさらに向上させることが可能となる。
さらに、本発明のスパッタリングターゲットにおいては、スパッタ面の複数の箇所で測定した比抵抗値の平均値を標準偏差で割った割合が100%以下であることが好ましい。
この場合、スパッタ面における比抵抗値のばらつきが抑えられているので、スパッタ時における異常放電の発生を抑制でき、さらに安定して光学機能膜を成膜することが可能となる。
この場合、スパッタ面における比抵抗値のばらつきが抑えられているので、スパッタ時における異常放電の発生を抑制でき、さらに安定して光学機能膜を成膜することが可能となる。
また、本発明のスパッタリングターゲットにおいては、Nb,W,Tiの合計含有量がO、Cを含めた全体に対して50mass%以上であることが好ましい。
この場合、Nb,W,Tiの合計含有量がO、Cを含めた全体に対して50mass%以上とされているので、比抵抗が十分に低くなり、異常放電の発生をさらに抑制できる。また、成膜した光学機能膜の耐熱性および耐アルカリ性をさらに向上させることができる。
この場合、Nb,W,Tiの合計含有量がO、Cを含めた全体に対して50mass%以上とされているので、比抵抗が十分に低くなり、異常放電の発生をさらに抑制できる。また、成膜した光学機能膜の耐熱性および耐アルカリ性をさらに向上させることができる。
さらに、本発明のスパッタリングターゲットにおいては、さらに、Cを全体に対して1mass%以上10mass%以下の範囲内で含むことが好ましい。
この場合、Cを全体に対して1mass%以上含有することにより、成膜した光学機能膜の耐熱性および耐アルカリ性をさらに向上させることができる。また、Cの含有量が全体に対して10mass%以下に制限されているので、成膜した光学機能膜のエッチング性を確保することが可能となる。
この場合、Cを全体に対して1mass%以上含有することにより、成膜した光学機能膜の耐熱性および耐アルカリ性をさらに向上させることができる。また、Cの含有量が全体に対して10mass%以下に制限されているので、成膜した光学機能膜のエッチング性を確保することが可能となる。
本発明のスパッタリングターゲットの製造方法は、Nb,W,Tiから選択される一種又は二種以上の金属相と、酸化亜鉛相と、を含むスパッタリングターゲットの製造方法であって、平均粒子径が5μm以上のNb,W,Tiから選択される一種又は二種以上からなる金属粉と、平均粒子径が1μm以下の酸化亜鉛粉と、を水の濃度が30vol%以上の溶媒を用いて混合し、乾燥させて造粒粉を得る造粒粉作製工程と、得られた造粒粉を、1000℃以下の温度、かつ、145MPa以上の圧力で、加熱および加圧して焼結する焼結工程と、を備えていることを特徴としている。
この構成のスパッタリングターゲットの製造方法によれば、平均粒子径が5μm以上のNb,W,Tiから選択される一種又は二種以上からなる金属粉と、平均粒子径が1μm以下の酸化亜鉛粉と、を水の濃度が30vol%以上の溶媒を用いて混合し、乾燥させて造粒粉を得る造粒粉作製工程を備えているので、粒径が大きい金属粉と粒径が小さい酸化亜鉛粉とが均一に混合された造粒粉を得ることができる。よって、その後の焼結工程において酸化亜鉛の昇華や酸化亜鉛の還元反応を抑制でき、ガスの発生を抑制でき、密度を向上させることができるとともに、組成ずれの発生を抑制できる。
また、得られた造粒粉を1000℃以下の温度かつ145MPa以上の圧力で加熱および加圧して焼結する焼結工程を備えているので、密度を十分に向上させることが可能となる。
また、得られた造粒粉を1000℃以下の温度かつ145MPa以上の圧力で加熱および加圧して焼結する焼結工程を備えているので、密度を十分に向上させることが可能となる。
ここで、本発明のスパッタリングターゲットの製造方法においては、前記焼結工程の前に、前記造粒粉を常温で加圧して成形する成形工程を備えていてもよい。
この場合、前記造粒粉を常温で加圧して成形する成形工程を備えているので、密度をさらに向上させた焼結体を得ることができる。
この場合、前記造粒粉を常温で加圧して成形する成形工程を備えているので、密度をさらに向上させた焼結体を得ることができる。
また、本発明のスパッタリングターゲットの製造方法においては、前記造粒粉作製工程において、前記金属粉および前記酸化亜鉛粉に加えて、平均粒子径が0.1μm以上12μm以下の範囲内とされたAl,Si,Ga,In,Sn,Ti,Nb,Zr,Mo,Ta,W,Yから選択される一種又は二種以上の金属Mの酸化物粉を混合してもよい。
この場合、Al,Si,Ga,In,Sn,Ti,Nb,Zr,Mo,Ta,W,Yから選択される一種又は二種以上の金属Mの酸化物を含むスパッタリングターゲットを製造することができる。
そして、金属Mの酸化物粉の平均粒子径が0.1μm以上12μm以下の範囲内とされているので、密度を十分に向上させることができるとともに、スパッタ時にこの金属Mの酸化物に起因した異常放電の発生を抑制することができる。
この場合、Al,Si,Ga,In,Sn,Ti,Nb,Zr,Mo,Ta,W,Yから選択される一種又は二種以上の金属Mの酸化物を含むスパッタリングターゲットを製造することができる。
そして、金属Mの酸化物粉の平均粒子径が0.1μm以上12μm以下の範囲内とされているので、密度を十分に向上させることができるとともに、スパッタ時にこの金属Mの酸化物に起因した異常放電の発生を抑制することができる。
さらに、本発明のスパッタリングターゲットの製造方法においては、前記酸化亜鉛粉の平均粒子径が100nm以下であることが好ましい。
この場合、さらに密度の向上を図ることが可能となる。
この場合、さらに密度の向上を図ることが可能となる。
また、本発明のスパッタリングターゲットの製造方法においては、前記金属粉の平均粒子径が10μm以上であることが好ましい。
この場合、さらに密度の向上を図ることが可能となる。
この場合、さらに密度の向上を図ることが可能となる。
本発明の光学機能膜は、Nb,W,Tiから選択される一種又は二種以上からなる金属と酸化亜鉛を含む光学機能膜であって、Nb,W,Tiから選択される一種又は二種以上からなる金属元素のそれぞれの含有量の標準偏差が5mass%以下とされていることを特徴としている。
この構成の光学機能膜によれば、Nb,W,Tiから選択される一種又は二種以上からなる金属と酸化亜鉛を含んでいるので、光学特性に優れ、かつ、耐熱性および耐アルカリ性に優れている。
そして、Nb,W,Tiから選択される一種又は二種以上からなる金属元素のそれぞれの含有量の標準偏差が5mass%以下とされているので、反射率のばらつきが小さくなる。
そして、Nb,W,Tiから選択される一種又は二種以上からなる金属元素のそれぞれの含有量の標準偏差が5mass%以下とされているので、反射率のばらつきが小さくなる。
ここで、本発明の光学機能膜においては、Al,Si,Ga,In,Sn,Ti,Nb,Zr,Mo,Ta,W,Yから選択される一種又は二種以上の金属Mの酸化物を含んでいてもよい。
この場合、Al,Si,Ga,In,Sn,Ti,Nb,Zr,Mo,Ta,W,Yから選択される一種又は二種以上の金属Mの酸化物を含有しているので、耐熱性および耐アルカリ性をさらに向上させることが可能となる。
この場合、Al,Si,Ga,In,Sn,Ti,Nb,Zr,Mo,Ta,W,Yから選択される一種又は二種以上の金属Mの酸化物を含有しているので、耐熱性および耐アルカリ性をさらに向上させることが可能となる。
本発明によれば、耐熱性および耐アルカリ性に優れ、金属薄膜等からの光の反射を十分に抑制することが可能な光学機能膜を効率良く安定して成膜可能なスパッタリングターゲット、このスパッタリングターゲットの製造方法、および、光学機能膜を提供することが可能となる。
以下に、本発明の実施形態であるスパッタリングターゲット、スパッタリングターゲットの製造方法、および、光学機能膜について、添付した図面を参照して説明する。
本実施形態に係る光学機能膜12は、図1に示すように、基板1の表面に成膜された金属配線膜11の上に積層するように成膜されている。
ここで、金属配線膜11は、導電性に優れた金属であるアルミニウム及びアルミニウム合金、銅又は銅合金等で構成されており、本実施形態では、銅によって構成されている。この金属配線膜11は、金属光沢を有することから、可視光を反射し、外部から視認されてしまう。
ここで、金属配線膜11は、導電性に優れた金属であるアルミニウム及びアルミニウム合金、銅又は銅合金等で構成されており、本実施形態では、銅によって構成されている。この金属配線膜11は、金属光沢を有することから、可視光を反射し、外部から視認されてしまう。
本実施形態である光学機能膜12は、積層した金属配線膜11における可視光の反射を抑えるために設けられたものである。
本実施形態である光学機能膜12は、Nb,W,Tiから選択される一種又は二種以上からなる金属と酸化亜鉛を含んでいる。
そして、Nb,W,Tiから選択される一種又は二種以上からなる金属元素のそれぞれの含有量の標準偏差が5mass%以下とされている。
また、本実施形態である光学機能膜12は、Al,Si,Ga,In,Sn,Ti,Nb,Zr,Mo,Ta,W,Yから選択される一種又は二種以上の金属Mの酸化物を含んでいてもよい。
さらに、本実施形態である光学機能膜12は、Nb,W,Tiの合計が50mass%以上80mass%以下、Znが10mass%以上30mass%以下、残部が酸素及び不可避不純物からなることが好ましく、 必要に応じてさらにAl,Si,Ga,In,Sn,Ti,Nb,Zr,Mo,Ta,W,Yから選択される一種又は二種以上の金属Mを合計40mass%以下、Cを10mass%以下の範囲内で含んでいてもよい。
本実施形態である光学機能膜12は、Nb,W,Tiから選択される一種又は二種以上からなる金属と酸化亜鉛を含んでいる。
そして、Nb,W,Tiから選択される一種又は二種以上からなる金属元素のそれぞれの含有量の標準偏差が5mass%以下とされている。
また、本実施形態である光学機能膜12は、Al,Si,Ga,In,Sn,Ti,Nb,Zr,Mo,Ta,W,Yから選択される一種又は二種以上の金属Mの酸化物を含んでいてもよい。
さらに、本実施形態である光学機能膜12は、Nb,W,Tiの合計が50mass%以上80mass%以下、Znが10mass%以上30mass%以下、残部が酸素及び不可避不純物からなることが好ましく、 必要に応じてさらにAl,Si,Ga,In,Sn,Ti,Nb,Zr,Mo,Ta,W,Yから選択される一種又は二種以上の金属Mを合計40mass%以下、Cを10mass%以下の範囲内で含んでいてもよい。
ここで、上述の光学機能膜12においては、図2に示すように、膜表面の5箇所でNb,W,Tiから選択される一種又は二種以上からなる金属元素の含有量を測定し、これらの金属元素の含有量の標準偏差を算出している。
なお、光学機能膜12におけるNb,W,Tiから選択される一種又は二種以上からなる金属元素のそれぞれの含有量の標準偏差が3mass%以下であることが好ましく、1mass%以下であることがより好ましい。
なお、光学機能膜12におけるNb,W,Tiから選択される一種又は二種以上からなる金属元素のそれぞれの含有量の標準偏差が3mass%以下であることが好ましく、1mass%以下であることがより好ましい。
そして、上述の光学機能膜12は、本実施形態であるスパッタリングターゲットを用いて成膜される。
以下に、本実施形態であるスパッタリングターゲットについて説明する。
以下に、本実施形態であるスパッタリングターゲットについて説明する。
本実施形態であるスパッタリングターゲットは、Nb,W,Tiから選択される一種又は二種以上の金属相と、酸化亜鉛相と、を含んでいる。
また、本実施形態であるスパッタリングターゲットは、密度比が80%以上とされている。
さらに、本実施形態であるスパッタリングターゲットは、スパッタ面の複数の箇所で測定したNb,W,Tiから選択される一種又は二種以上からなる金属元素のそれぞれの含有量の標準偏差が5mass%以下とされている。
また、本実施形態であるスパッタリングターゲットは、密度比が80%以上とされている。
さらに、本実施形態であるスパッタリングターゲットは、スパッタ面の複数の箇所で測定したNb,W,Tiから選択される一種又は二種以上からなる金属元素のそれぞれの含有量の標準偏差が5mass%以下とされている。
ここで、本実施形態であるスパッタリングターゲットにおいては、Nb,W,Tiの合計含有量が50mass%以上であることが好ましい。
また、本実施形態であるスパッタリングターゲットにおいては、Al,Si,Ga,In,Sn,Ti,Nb,Zr,Mo,Ta,W,Yから選択される一種又は二種以上の金属Mの酸化物を含み、前記金属Mの合計含有量が、全金属元素を100mass%として、0.1mass%以上40mass%以下の範囲内とされていてもよい。
さらに、本実施形態であるスパッタリングターゲットにおいては、Cを1mass%以上10mass%以下の範囲内で含んでいてもよい。
また、本実施形態であるスパッタリングターゲットにおいては、Nb,W,Tiの合計が50mass%以上80mass%以下、Znが10mass%以上30mass%以下、残部が酸素及び不可避不純物からなることが好ましく、 必要に応じてさらにAl,Si,Ga,In,Sn,Ti,Nb,Zr,Mo,Ta,W,Yから選択される一種又は二種以上の金属Mを合計40mass%以下、Cを10mass%以下の範囲内で含んでいてもよい。
また、本実施形態であるスパッタリングターゲットにおいては、Al,Si,Ga,In,Sn,Ti,Nb,Zr,Mo,Ta,W,Yから選択される一種又は二種以上の金属Mの酸化物を含み、前記金属Mの合計含有量が、全金属元素を100mass%として、0.1mass%以上40mass%以下の範囲内とされていてもよい。
さらに、本実施形態であるスパッタリングターゲットにおいては、Cを1mass%以上10mass%以下の範囲内で含んでいてもよい。
また、本実施形態であるスパッタリングターゲットにおいては、Nb,W,Tiの合計が50mass%以上80mass%以下、Znが10mass%以上30mass%以下、残部が酸素及び不可避不純物からなることが好ましく、 必要に応じてさらにAl,Si,Ga,In,Sn,Ti,Nb,Zr,Mo,Ta,W,Yから選択される一種又は二種以上の金属Mを合計40mass%以下、Cを10mass%以下の範囲内で含んでいてもよい。
また、本実施形態であるスパッタリングターゲットにおいては、空孔の平均粒子面積が5μm2以下であることが好ましい。
さらに、本実施形態であるスパッタリングターゲットにおいては、スパッタ面の複数の箇所で測定した比抵抗値の平均値を標準偏差で割った割合が100%以下であることが好ましい。
さらに、本実施形態であるスパッタリングターゲットにおいては、スパッタ面の複数の箇所で測定した比抵抗値の平均値を標準偏差で割った割合が100%以下であることが好ましい。
以下に、本実施形態のスパッタリングターゲットにおいて、相構成、密度比、スパッタ面内における各金属元素の含有量の標準偏差、空孔の平均粒子面積、組成、スパッタ面内における比抵抗値のばらつきを、上述のように規定した理由を示す。
(相構成)
本実施形態であるスパッタリングターゲットにおいては、Nb,W,Tiから選択される一種又は二種以上の金属相と、酸化亜鉛相と、を含んでいる。
これにより、スパッタによって本実施形態である光学機能膜12を成膜することが可能となる。この光学機能膜12においては、光学特性に優れ、かつ、耐熱性および耐アルカリ性に優れている。
本実施形態であるスパッタリングターゲットにおいては、Nb,W,Tiから選択される一種又は二種以上の金属相と、酸化亜鉛相と、を含んでいる。
これにより、スパッタによって本実施形態である光学機能膜12を成膜することが可能となる。この光学機能膜12においては、光学特性に優れ、かつ、耐熱性および耐アルカリ性に優れている。
(密度比)
本実施形態であるスパッタリングターゲットにおいては、密度比が80%以上とされている。これにより、スパッタ時の異常放電の発生を抑制でき、本実施形態である光学機能膜12を安定して成膜することが可能となる。
なお、密度比は85%以上であることが好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
本実施形態であるスパッタリングターゲットにおいては、密度比が80%以上とされている。これにより、スパッタ時の異常放電の発生を抑制でき、本実施形態である光学機能膜12を安定して成膜することが可能となる。
なお、密度比は85%以上であることが好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
(スパッタ面内における各金属元素の含有量の標準偏差)
本実施形態であるスパッタリングターゲットにおいては、スパッタ面の複数の箇所で測定したNb,W,Tiから選択される一種又は二種以上からなる金属元素のそれぞれの含有量の標準偏差が5mass%以下とされている。なお、Nb,W,Tiのうち少なくとも1つの金属元素を含む場合、該含まれる金属元素の標準偏差は、その金属元素の含有量のばらつきの大きさを表す指標であり、5mass%以下とされている。
これにより、反射率のばらつきの少ない光学機能膜12を成膜することが可能となる。反射率のばらつきとして、複数の箇所で測定した反射率の標準偏差が3.0%以下であることが好ましく、2.5%以下であることが好ましい。
なお、スパッタ面におけるNb,W,Tiから選択される一種又は二種以上からなる金属元素のそれぞれの含有量の標準偏差は4mass%以下であることが好ましく、3mass%以下であることがより好ましい。
本実施形態であるスパッタリングターゲットにおいては、スパッタ面の複数の箇所で測定したNb,W,Tiから選択される一種又は二種以上からなる金属元素のそれぞれの含有量の標準偏差が5mass%以下とされている。なお、Nb,W,Tiのうち少なくとも1つの金属元素を含む場合、該含まれる金属元素の標準偏差は、その金属元素の含有量のばらつきの大きさを表す指標であり、5mass%以下とされている。
これにより、反射率のばらつきの少ない光学機能膜12を成膜することが可能となる。反射率のばらつきとして、複数の箇所で測定した反射率の標準偏差が3.0%以下であることが好ましく、2.5%以下であることが好ましい。
なお、スパッタ面におけるNb,W,Tiから選択される一種又は二種以上からなる金属元素のそれぞれの含有量の標準偏差は4mass%以下であることが好ましく、3mass%以下であることがより好ましい。
ここで、本実施形態において、スパッタ面内における各金属元素の含有量の標準偏差は、例えば、スパッタリングターゲットのスパッタ面が、図3に示すように、矩形の場合には、スパッタ面の向かい合う角部を結ぶ対角線が交差する交点(1)と、各対角線上の角部から対角線の全長の10%以内の位置にある(2)、(3)、(4)、(5)の5点で、それぞれの金属元素の含有量を測定し、標準偏差を算出することが好ましい。
また、スパッタリングターゲットのスパッタ面が、図4に示すように、円形の場合には、スパッタ面の中心(1)と、スパッタ面の中心を通過するとともに互いに直交する2本の直線上の外周部分から対角線の全長の10%以内の位置にある(2)、(3)、(4)、(5)の5点で、それぞれの金属元素の含有量を測定し、標準偏差を算出することが好ましい。
さらに、スパッタリングターゲットのスパッタ面が、図4に示すように、円筒面をなす場合には、軸線O方向の両端部A,Bと中心部Cにおいて、円周方向に90°間隔の(1)、(2)、(3)、(4)の計12点で、それぞれの金属元素の含有量を測定し、標準偏差を算出することが好ましい。
(空孔の平均粒子面積)
本実施形態であるスパッタリングターゲットにおいて、空孔の平均粒子面積が5μm2以下である場合には、スパッタ時に空孔に起因した異常放電の発生を抑制でき、さらに安定して光学機能膜12を成膜することが可能となる。
なお、空孔の平均粒子面積は4μm2以下であることがより好ましく、3μm2以下であることがさらに好ましい。
本実施形態であるスパッタリングターゲットにおいて、空孔の平均粒子面積が5μm2以下である場合には、スパッタ時に空孔に起因した異常放電の発生を抑制でき、さらに安定して光学機能膜12を成膜することが可能となる。
なお、空孔の平均粒子面積は4μm2以下であることがより好ましく、3μm2以下であることがさらに好ましい。
(組成)
本実施形態であるスパッタリングターゲットにおいて、Nb,W,Tiの合計含有量が50mass%以上とされている場合には、スパッタリングターゲットにおける比抵抗が十分に低くなり、スパッタ時における異常放電の発生を抑制し、光学機能膜12を安定して成膜することが可能となる。また、成膜した光学機能膜12の耐熱性および耐アルカリ性をさらに向上させることができる。
なお、Nb,W,Tiの合計含有量の下限は55mass%以上であることがより好ましく、60mass%以上であることがさらに好ましい。また、Nb,W,Tiの合計含有量の上限は90mass%以下であることが好ましく、80mass%以下であることがより好ましい。
本実施形態であるスパッタリングターゲットにおいて、Nb,W,Tiの合計含有量が50mass%以上とされている場合には、スパッタリングターゲットにおける比抵抗が十分に低くなり、スパッタ時における異常放電の発生を抑制し、光学機能膜12を安定して成膜することが可能となる。また、成膜した光学機能膜12の耐熱性および耐アルカリ性をさらに向上させることができる。
なお、Nb,W,Tiの合計含有量の下限は55mass%以上であることがより好ましく、60mass%以上であることがさらに好ましい。また、Nb,W,Tiの合計含有量の上限は90mass%以下であることが好ましく、80mass%以下であることがより好ましい。
また、本実施形態であるスパッタリングターゲットにおいて、Al,Si,Ga,In,Sn,Ti,Nb,Zr,Mo,Ta,W,Yから選択される一種又は二種以上の金属Mの酸化物を含み、前記金属Mの合計含有量が、全金属元素を100mass%として、0.1mass%以上40mass%以下の範囲内とされている場合には、成膜した光学機能膜12の耐熱性および耐アルカリ性をさらに向上させることが可能となるとともに、スパッタ時において金属Mの酸化物に起因した異常放電の発生を抑制することが可能となる。
なお、Al,Si,Ga,In,Sn,Ti,Nb,Zr,Mo,Ta,W,Yから選択される一種又は二種以上の金属Mの酸化物を含む場合には、全金属元素を100mass%として前記金属Mの合計含有量の下限は1mass%以上であることがより好ましく、5mass%以上であることがさらに好ましい。また、前記金属Mの合計含有量の上限は35mass%以下であることがより好ましく、30mass%以下であることがさらに好ましい。
なお、Al,Si,Ga,In,Sn,Ti,Nb,Zr,Mo,Ta,W,Yから選択される一種又は二種以上の金属Mの酸化物を含む場合には、全金属元素を100mass%として前記金属Mの合計含有量の下限は1mass%以上であることがより好ましく、5mass%以上であることがさらに好ましい。また、前記金属Mの合計含有量の上限は35mass%以下であることがより好ましく、30mass%以下であることがさらに好ましい。
さらに、本実施形態であるスパッタリングターゲットにおいて、Cを1mass%以上10mass%以下の範囲内で含む場合には、成膜した光学機能膜12の耐熱性および耐アルカリ性をさらに向上させることが可能となる。
なお、Cを含有させて上述の作用効果を奏するためには、Cの含有量の下限は2mass%以上であることがより好ましく、3mass%以上であることがさらに好ましい。また、金属積層時に低い反射率を維持するためには、Cの含有量の上限は7mass%以下であることが好ましく、5mass%以下であることがより好ましい。
なお、Cを含有させて上述の作用効果を奏するためには、Cの含有量の下限は2mass%以上であることがより好ましく、3mass%以上であることがさらに好ましい。また、金属積層時に低い反射率を維持するためには、Cの含有量の上限は7mass%以下であることが好ましく、5mass%以下であることがより好ましい。
(比抵抗値)
また、本実施形態であるスパッタリングターゲットにおいて、スパッタ面の複数の箇所で測定した比抵抗値の平均値を標準偏差で割った割合が100%以下である場合には、スパッタ時における異常放電の発生を抑制でき、さらに安定して光学機能膜を成膜することが可能となる。
なお、スパッタ面の複数の箇所で測定した比抵抗値の平均値を標準偏差で割った割合は、100%以下であることがさらに好ましく、50%以下であることがより好ましい。
また、本実施形態であるスパッタリングターゲットにおいて、スパッタ面の複数の箇所で測定した比抵抗値の平均値を標準偏差で割った割合が100%以下である場合には、スパッタ時における異常放電の発生を抑制でき、さらに安定して光学機能膜を成膜することが可能となる。
なお、スパッタ面の複数の箇所で測定した比抵抗値の平均値を標準偏差で割った割合は、100%以下であることがさらに好ましく、50%以下であることがより好ましい。
次に、本実施形態に係るスパッタリングターゲットの製造方法について、図6を参照して説明する。
本実施形態においては、図6に示すように、Nb,W,Tiから選択される一種又は二種以上からなる金属粉と酸化亜鉛粉とを溶媒を用いて混合して造粒粉を得る造粒粉作製工程S01と、得られた造粒粉を加圧および加熱して焼結する焼結工程S02と、得られた焼結体を機械加工する機械加工工程S03と、を備えている。
(造粒粉作製工程S01)
この造粒粉作製工程S01においては、平均粒子径が5μm以上のNb,W,Tiから選択される一種又は二種以上からなる金属粉と、平均粒子径が1μm以下の酸化亜鉛粉と、を準備する。
そして、これらの金属粉と酸化亜鉛粉とを、水の濃度が30vol%以上の溶媒を用いて混合し、乾燥させて造粒粉を得る。
この造粒粉作製工程S01においては、平均粒子径が5μm以上のNb,W,Tiから選択される一種又は二種以上からなる金属粉と、平均粒子径が1μm以下の酸化亜鉛粉と、を準備する。
そして、これらの金属粉と酸化亜鉛粉とを、水の濃度が30vol%以上の溶媒を用いて混合し、乾燥させて造粒粉を得る。
ここで、Nb,W,Tiから選択される一種又は二種以上からなる金属粉の平均粒子径が5μm以上とされ、酸化亜鉛粉の平均粒子径が1μm以下とされていることにより、焼結時に酸化亜鉛や金属亜鉛の昇華によるガスの発生を抑制でき、焼結体の密度向上を図ることが可能となる。
また、金属粉と酸化亜鉛粉とを、水の濃度が30vol%以上の溶媒を用いて混合することにより、スラリー乾燥時の溶媒の表面張力による粉の凝集効果によって乾燥後の金属粉と酸化亜鉛粉との分離を抑制でき、組成のばらつきを抑えることが可能なる。
また、金属粉と酸化亜鉛粉とを、水の濃度が30vol%以上の溶媒を用いて混合することにより、スラリー乾燥時の溶媒の表面張力による粉の凝集効果によって乾燥後の金属粉と酸化亜鉛粉との分離を抑制でき、組成のばらつきを抑えることが可能なる。
なお、Nb,W,Tiから選択される一種又は二種以上からなる金属粉の平均粒子径の下限は7μm以上であることが好ましく、10μm以上であることがより好ましい。また、前記金属粉の平均粒子径の上限は、20μm以下であることが好ましく、18μm以下であることがより好ましい。
また、酸化亜鉛粉の平均粒子径の上限は500nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましい。さらに前記酸化亜鉛粉の平均粒子径の下限は、30nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがより好ましい。
さらに、溶媒中の水の濃度は50vol%以上であることが好ましく、80vol%以上であることがより好ましい。
また、酸化亜鉛粉の平均粒子径の上限は500nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましい。さらに前記酸化亜鉛粉の平均粒子径の下限は、30nm以上であることが好ましく、50nm以上であることがより好ましい。
さらに、溶媒中の水の濃度は50vol%以上であることが好ましく、80vol%以上であることがより好ましい。
ここで、スパッタリングターゲットが、Al,Si,Ga,In,Sn,Ti,Nb,Zr,Mo,Ta,W,Yから選択される一種又は二種以上の金属Mの酸化物を含む場合には、この造粒粉作製工程S01において、上述の金属粉および酸化亜鉛粉に加えて、平均粒子径が0.1μm以上12μm以下の範囲内とされたAl,Si,Ga,In,Sn,Ti,Nb,Zr,Mo,Ta,W,Yから選択される一種又は二種以上の金属Mの酸化物粉を、水の濃度が30vol%以上の溶媒を用いて混合し、造粒粉を作製することが好ましい。
金属Mの酸化物粉の平均粒子径を0.1μm以上とすることにより、焼結体の密度向上を図ることが可能となる。一方、金属Mの酸化物粉の平均粒子径を12μm以下とすることにより、スパッタ時に金属Mの酸化物に起因した異常放電の発生を抑制することが可能となる。
なお、金属Mの酸化物粉の平均粒子径の下限は0.3μm以上とすることが好ましく、0.5μm以上とすることがより好ましい。また、金属Mの酸化物粉の平均粒子径の上限は10μm以下とすることが好ましく、7μm以下とすることがより好ましい。
金属Mの酸化物粉の平均粒子径を0.1μm以上とすることにより、焼結体の密度向上を図ることが可能となる。一方、金属Mの酸化物粉の平均粒子径を12μm以下とすることにより、スパッタ時に金属Mの酸化物に起因した異常放電の発生を抑制することが可能となる。
なお、金属Mの酸化物粉の平均粒子径の下限は0.3μm以上とすることが好ましく、0.5μm以上とすることがより好ましい。また、金属Mの酸化物粉の平均粒子径の上限は10μm以下とすることが好ましく、7μm以下とすることがより好ましい。
(焼結工程S02)
次に、上述の造粒粉を、加圧しながら加熱することで焼結し、焼結体を得る。
この焼結工程S02における焼結温度は1000℃以下とし、加圧圧力は145MPa以上とする。
ここで、焼結温度を1000℃以下とすることにより、酸化亜鉛および金属亜鉛の昇華を抑制することができる。また、加圧圧力を145MPa以上とすることにより、密度の向上を図ることが可能となる。
なお、焼結温度の上限は950℃以下とすることが好ましく、900℃以下とすることがより好ましい。一方、焼結温度の下限は、600℃以上とすることが好ましく、700℃以上とすることがより好ましい。
また、加圧圧力の下限は150MPa以上とすることが好ましく、155MPa以上とすることがより好ましい。一方、加圧圧力の上限は200MPa以下とすることが好ましく、170MPa以下とすることがより好ましい。
次に、上述の造粒粉を、加圧しながら加熱することで焼結し、焼結体を得る。
この焼結工程S02における焼結温度は1000℃以下とし、加圧圧力は145MPa以上とする。
ここで、焼結温度を1000℃以下とすることにより、酸化亜鉛および金属亜鉛の昇華を抑制することができる。また、加圧圧力を145MPa以上とすることにより、密度の向上を図ることが可能となる。
なお、焼結温度の上限は950℃以下とすることが好ましく、900℃以下とすることがより好ましい。一方、焼結温度の下限は、600℃以上とすることが好ましく、700℃以上とすることがより好ましい。
また、加圧圧力の下限は150MPa以上とすることが好ましく、155MPa以上とすることがより好ましい。一方、加圧圧力の上限は200MPa以下とすることが好ましく、170MPa以下とすることがより好ましい。
(機械加工工程S03)
次に、得られた焼結体を所定の寸法となるように機械加工する。これにより、本実施形態であるスパッタリングターゲットが製造される。
次に、得られた焼結体を所定の寸法となるように機械加工する。これにより、本実施形態であるスパッタリングターゲットが製造される。
以上のような構成とされた本実施形態であるスパッタリングターゲットによれば、Nb,W,Tiから選択される一種又は二種以上の金属相と、酸化亜鉛相と、を含んでいるので、光学特性に優れ、かつ、耐熱性および耐アルカリ性に優れた光学機能膜12を成膜することができる。
そして、密度比が80%以上とされているので、スパッタ時における異常放電の発生を抑制できる。
さらに、スパッタ面の複数の箇所で測定したNb,W,Tiから選択される一種又は二種以上からなる金属元素のそれぞれの含有量の標準偏差が5mass%以下とされているので、反射率のばらつきの少ない光学機能膜12を成膜することが可能となる。
そして、密度比が80%以上とされているので、スパッタ時における異常放電の発生を抑制できる。
さらに、スパッタ面の複数の箇所で測定したNb,W,Tiから選択される一種又は二種以上からなる金属元素のそれぞれの含有量の標準偏差が5mass%以下とされているので、反射率のばらつきの少ない光学機能膜12を成膜することが可能となる。
本実施形態であるスパッタリングターゲットにおいて、空孔の平均粒子面積が5μm2以下である場合には、スパッタ時に空孔に起因した異常放電の発生を抑制でき、さらに安定して光学機能膜12を成膜することが可能となる。
また、本実施形態であるスパッタリングターゲットにおいて、Al,Si,Ga,In,Sn,Ti,Nb,Zr,Mo,Ta,W,Yから選択される一種又は二種以上の金属Mの酸化物を含み、金属Mの合計含有量が、全金属元素を100mass%として、0.1mass%以上40mass%以下の範囲内とされている場合には、成膜した光学機能膜12の耐熱性および耐アルカリ性をさらに向上させることが可能となる。
さらに、本実施形態であるスパッタリングターゲットにおいて、スパッタ面の複数の箇所で測定した比抵抗値の平均値を標準偏差で割った割合が100%以下である場合には、スパッタ時における異常放電の発生を抑制でき、さらに安定して光学機能膜を成膜することが可能となる。
また、本実施形態であるスパッタリングターゲットにおいて、Nb,W,Tiの合計含有量が50mass%以上である場合には、比抵抗が十分に低くなり、スパッタ時における異常放電の発生をさらに抑制できる。また、成膜した光学機能膜12の耐熱性および耐アルカリ性をさらに向上させることができる。
さらに、本実施形態であるスパッタリングターゲットにおいて、Cを1mass%以上10mass%以下の範囲内で含む場合には、成膜した光学機能膜12の耐熱性および耐アルカリ性をさらに向上させることができるとともに、成膜した光学機能膜12のエッチング性を確保することが可能となる。
本実施形態であるスパッタリングターゲットの製造方法によれば、平均粒子径が5μm以上のNb,W,Tiから選択される一種又は二種以上からなる金属粉と、平均粒子径が1μm以下の酸化亜鉛粉と、を水の濃度が30vol%以上の溶媒を用いて混合し、溶媒を乾燥させて造粒粉を得る造粒粉作製工程S01を備えているので、粒径が大きい金属粉と粒径が小さい酸化亜鉛粉とが均一に混合された造粒粉を得ることができる。よって、その後の焼結工程において酸化亜鉛の昇華や酸化亜鉛の還元反応を抑制でき、ガスの発生を抑制でき、密度を向上させることができるとともに、組成ずれの発生を抑制できる。
また、得られた造粒粉を1000℃以下の温度かつ145MPa以上の圧力で加熱および加圧して焼結する焼結工程S02を備えているので、密度を十分に向上させることが可能となる。
また、得られた造粒粉を1000℃以下の温度かつ145MPa以上の圧力で加熱および加圧して焼結する焼結工程S02を備えているので、密度を十分に向上させることが可能となる。
本実施形態であるスパッタリングターゲットの製造方法において、造粒粉作製工程S01で、金属粉および酸化亜鉛粉に加えて、平均粒子径が0.1μm以上12μm以下の範囲内とされたAl,Si,Ga,In,Sn,Ti,Nb,Zr,Mo,Ta,W,Yから選択される一種又は二種以上の金属Mの酸化物粉を混合した場合には、Al,Si,Ga,In,Sn,Ti,Nb,Zr,Mo,Ta,W,Yから選択される一種又は二種以上の金属Mの酸化物を含むスパッタリングターゲットを製造することができる。また、金属Mの酸化物粉の均粒子径が0.1μm以上12μm以下の範囲内とされているので、密度を十分に向上させることができるとともに、スパッタ時にこの金属Mの酸化物に起因した異常放電の発生を抑制することができる。
本実施形態であるスパッタリングターゲットの製造方法において、酸化亜鉛粉の平均粒子径が100nm以下、あるいは、Nb,W,Tiから選択される一種又は二種以上からなる金属粉の平均粒子径が10μm以上である場合には、さらに密度の向上を図ることが可能となる。
本実施形態である光学機能膜12によれば、Nb,W,Tiから選択される一種又は二種以上からなる金属と酸化亜鉛を含んでいるので、光学特性に優れ、かつ、耐熱性および耐アルカリ性に優れている。
そして、Nb,W,Tiから選択される一種又は二種以上からなる金属元素のそれぞれの含有量の標準偏差が5mass%以下とされているので、反射率のばらつきの少なくなる。
そして、Nb,W,Tiから選択される一種又は二種以上からなる金属元素のそれぞれの含有量の標準偏差が5mass%以下とされているので、反射率のばらつきの少なくなる。
本実施形態である光学機能膜12において、Al,Si,Ga,In,Sn,Ti,Nb,Zr,Mo,Ta,W,Yから選択される一種又は二種以上の金属Mの酸化物を含んでいる場合には、耐熱性および耐アルカリ性をさらに向上させることが可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
本実施形態では、造粒粉作製工程に続いて焼結工程を実施することとして説明したが、これに限定されることはなく、造粒粉作製工程と焼結工程との間に、造粒粉を常温で加圧して成形する成形工程を実施し、得られた成形体を焼結する構成としてもよい。
本実施形態では、造粒粉作製工程に続いて焼結工程を実施することとして説明したが、これに限定されることはなく、造粒粉作製工程と焼結工程との間に、造粒粉を常温で加圧して成形する成形工程を実施し、得られた成形体を焼結する構成としてもよい。
また、本実施形態では、図1に示すように、基板1の表面に成膜された金属配線膜11の上に積層するように本実施形態に係る光学機能膜12は成膜された構造として説明したが、これに限定されることはなく、基板1の表面に光学機能膜12を成膜し、この光学機能膜12の上に金属配線膜11が積層された構造であってもよい。この場合には、基板1からの反射も同時に低下させることが可能となる。
以下に、本発明に係るスパッタリングターゲット、スパッタリングターゲットの製造方法、および、光学機能膜の作用効果について評価した評価試験の結果を説明する。
表5〜8に記載の金属粉、酸化亜鉛粉、各種金属酸化物粉を、表1〜4に記載の割合で合計1kgに秤量し、φ5mmのジルコニアボールを3kg、表5〜8に記載の水濃度の溶媒1Lを容量10Lのポットに入れ、ボールミル装置で16h混合した後、乾燥し、250μmの篩で篩って、造粒粉を得た。
なお、表5〜8の水濃度の欄には、溶媒1L中の純水のみの場合を水濃度100%とし、水とエタノールの混合液における水濃度の値を記載した。乾式混合については「乾式」と記載した。
なお、表5〜8の水濃度の欄には、溶媒1L中の純水のみの場合を水濃度100%とし、水とエタノールの混合液における水濃度の値を記載した。乾式混合については「乾式」と記載した。
得られた造粒粉をφ250mmのゴム型に充填した後、150MPaの圧力でCIPし、成形体を得た。
得られた成形体をφ220mmの鋼製の缶に入れ、300℃で真空排気した後、封入し、表5〜8に記載の温度と圧力で3時間保持の条件でHIPし、焼結体を得た。
得られた焼結体をφ125mmx5mmtに機械加工し、InはんだでCu製のバッキングプレートにボンディングしスパッタリングターゲットを得た。
得られた成形体をφ220mmの鋼製の缶に入れ、300℃で真空排気した後、封入し、表5〜8に記載の温度と圧力で3時間保持の条件でHIPし、焼結体を得た。
得られた焼結体をφ125mmx5mmtに機械加工し、InはんだでCu製のバッキングプレートにボンディングしスパッタリングターゲットを得た。
なお、原料粉の平均粒子径は、ヘキサメタリン酸ナトリウム濃度0.2%の水溶液を100mL調製し、この水溶液に原料粉末を10mg加え、レーザー回折散乱法(測定装置:日機装株式会社製、Microtrac MT3000)を用いて、粒子径分布を測定した。得られた粒子径分布から算術平均径(体積平均径)を算出し、平均粒子径として表5〜8に記載した。
上述のようにして、得られたスパッタリングターゲット、および、このスパッタリングターゲットを用いて成膜された光学機能膜について、以下の項目について評価した。
(金属相)
得られたスパッタリングターゲットから試料を採取し、XRDによって分析した。Nb相ID:01−073−3816、W相ID:01−004−0806、Ti相:00−044−1294に帰属するピークが得られている場合をそれぞれの金属相があると判断した。また、ZnO相ID:00−036−1451に帰属するピークが得られている場合をZnO相があると判断した。その結果、本発明例1〜61においては、すべて金属相のNb、W、Tiのいずれか一種以上とZnO相が確認された。
また、得られた膜については、XPSによって分析した。Nb:3d軌道、W:4f軌道、Ti:2p軌道、Zn:2p軌道のピークから、本発明例1〜61においては、すべて金属相のNb、W、Tiのいずれか一種以上とZnO相に由来するピークが確認された。
得られたスパッタリングターゲットから試料を採取し、XRDによって分析した。Nb相ID:01−073−3816、W相ID:01−004−0806、Ti相:00−044−1294に帰属するピークが得られている場合をそれぞれの金属相があると判断した。また、ZnO相ID:00−036−1451に帰属するピークが得られている場合をZnO相があると判断した。その結果、本発明例1〜61においては、すべて金属相のNb、W、Tiのいずれか一種以上とZnO相が確認された。
また、得られた膜については、XPSによって分析した。Nb:3d軌道、W:4f軌道、Ti:2p軌道、Zn:2p軌道のピークから、本発明例1〜61においては、すべて金属相のNb、W、Tiのいずれか一種以上とZnO相に由来するピークが確認された。
(スパッタリングターゲットの組成)
得られたスパッタリングターゲットから試料を採取し、これを酸またはアルカリで溶解した後、ICP−AESで金属元素の定量を行った。また、Cについては、LECO社のガス分析装置によってCの定量を行った。
C,Oを含む全体に対する各元素の含有量を、表9〜12の「スパッタリングターゲット組成」の欄に示す。
さらに、金属Mの酸化物を含む場合には、全金属元素を100mass%として金属Mの含有量を表9〜12の「全金属元素中の金属元素Mの割合」の欄に示す。
なお、本発明例15では金属NbとNb酸化物を含有し、本発明例37では金属WとW酸化物を含有し、本発明例50では金属TiとTi酸化物を含有しているので、これらについては、金属酸化物の金属成分量も、「スパッタリングターゲット組成」の欄の金属元素の含有量に加えられることになる(表9、10、11において「*」で示した)。よって、金属酸化物の金属成分量については、「スパッタリングターゲット組成」の欄、および、「全金属元素中の金属元素Mの割合」の欄の両方にカウントされることになる。また、金属酸化物の金属成分については、XPS装置の半定量分析結果から、酸化物由来のNb、W、Tiの金属成分の定量値を採用した。
得られたスパッタリングターゲットから試料を採取し、これを酸またはアルカリで溶解した後、ICP−AESで金属元素の定量を行った。また、Cについては、LECO社のガス分析装置によってCの定量を行った。
C,Oを含む全体に対する各元素の含有量を、表9〜12の「スパッタリングターゲット組成」の欄に示す。
さらに、金属Mの酸化物を含む場合には、全金属元素を100mass%として金属Mの含有量を表9〜12の「全金属元素中の金属元素Mの割合」の欄に示す。
なお、本発明例15では金属NbとNb酸化物を含有し、本発明例37では金属WとW酸化物を含有し、本発明例50では金属TiとTi酸化物を含有しているので、これらについては、金属酸化物の金属成分量も、「スパッタリングターゲット組成」の欄の金属元素の含有量に加えられることになる(表9、10、11において「*」で示した)。よって、金属酸化物の金属成分量については、「スパッタリングターゲット組成」の欄、および、「全金属元素中の金属元素Mの割合」の欄の両方にカウントされることになる。また、金属酸化物の金属成分については、XPS装置の半定量分析結果から、酸化物由来のNb、W、Tiの金属成分の定量値を採用した。
(スパッタリングターゲットの密度比)
得られたターゲットの寸法から体積を算出し、重量を体積で割ることで密度を計算した。さらに、仕込み組成から得られる理想的な計算密度で実測密度を割ることで、密度比(%)を計算した。評価結果を表13〜16に示す。
得られたターゲットの寸法から体積を算出し、重量を体積で割ることで密度を計算した。さらに、仕込み組成から得られる理想的な計算密度で実測密度を割ることで、密度比(%)を計算した。評価結果を表13〜16に示す。
(金属元素の標準偏差)
得られたスパッタリングターゲットのスパッタ面の5点からターゲット片を採取し、上記の方法で金属元素を定量し、5点の結果の標準偏差σを表に示した。サンプル箇所については、φ125mmの面の中心座標を(x mm、y mm)=(0、0)とした際、(x、y)=(0、0)、(−60、0)、(+60、0)、(0、―60)、(0、+60)の5か所とした。評価結果を表13〜16に示す。
得られたスパッタリングターゲットのスパッタ面の5点からターゲット片を採取し、上記の方法で金属元素を定量し、5点の結果の標準偏差σを表に示した。サンプル箇所については、φ125mmの面の中心座標を(x mm、y mm)=(0、0)とした際、(x、y)=(0、0)、(−60、0)、(+60、0)、(0、―60)、(0、+60)の5か所とした。評価結果を表13〜16に示す。
(比抵抗値)
得られたスパッタリングターゲットのスパッタ面を25±5℃の雰囲気で三菱ガス化学製四探針抵抗測定計ロレスターを用いて測定した。
そして、金属元素の標準偏差の欄で示した5箇所の位置で比抵抗値を測定し、標準偏差を平均値で割った割合を表に示した。評価結果を表13〜16に示す。
得られたスパッタリングターゲットのスパッタ面を25±5℃の雰囲気で三菱ガス化学製四探針抵抗測定計ロレスターを用いて測定した。
そして、金属元素の標準偏差の欄で示した5箇所の位置で比抵抗値を測定し、標準偏差を平均値で割った割合を表に示した。評価結果を表13〜16に示す。
(空孔平均粒子径)
得られたスパッタリングターゲットから採取した試料を樹脂埋めした後、研磨し、プローブマイクロアナライザ(EPMA)装置(日本電子株式会社製)を用いて、倍率1500倍で、縦60μm、横76μmの組成像(COMP像)撮影した。得られた画像について、画像処理ソフトImageJを用いて、Brightnessによる二値化を行った。このときBrightnessのしきい値を120と設定した。つまり輝度が低い空孔の領域のみを検出した。二値化した後、得られた画像についてParticle測定機能を用いて、平均粒子面積を求めた。得られた値を空孔の平均粒子面積として表13〜16に示した。
得られたスパッタリングターゲットから採取した試料を樹脂埋めした後、研磨し、プローブマイクロアナライザ(EPMA)装置(日本電子株式会社製)を用いて、倍率1500倍で、縦60μm、横76μmの組成像(COMP像)撮影した。得られた画像について、画像処理ソフトImageJを用いて、Brightnessによる二値化を行った。このときBrightnessのしきい値を120と設定した。つまり輝度が低い空孔の領域のみを検出した。二値化した後、得られた画像についてParticle測定機能を用いて、平均粒子面積を求めた。得られた値を空孔の平均粒子面積として表13〜16に示した。
(異常放電測定)
上述のスパッタリングターゲットをAr50sccm、0.4Pa、DC615W(mks社製RPG−50)でスパッタし、1時間スパッタした時の異常放電の回数を電源のカウント機能を用いて計測した。評価結果を表13〜16に示す。
なお、比較例1〜3のスパッタリングターゲットにおいては、異常放電が多発した上、ターゲットのスパッタ表面に異常放電による穴が開いてしまったため、成膜評価継続不可とした。
上述のスパッタリングターゲットをAr50sccm、0.4Pa、DC615W(mks社製RPG−50)でスパッタし、1時間スパッタした時の異常放電の回数を電源のカウント機能を用いて計測した。評価結果を表13〜16に示す。
なお、比較例1〜3のスパッタリングターゲットにおいては、異常放電が多発した上、ターゲットのスパッタ表面に異常放電による穴が開いてしまったため、成膜評価継続不可とした。
(光学機能膜の組成)
上記本発明例のスパッタリングターゲットを用いてAr50sccm、0.4Pa、DC615WでSi基板上に50nm成膜した。基板サイズはφ5インチのものを用い、成膜後の基板をターゲットの組成ばらつきの評価で行った5か所の座標の直上の位置を中心として20mmx20mm程度のサイズにカットして切出し、それぞれ1枚ずつ、計5枚サンプルを採取した。
得られた膜をEPMAの定量分析によって、NbとWとTiの定量を行い、5枚の結果の標準偏差σを表17〜20に記載した。
上記本発明例のスパッタリングターゲットを用いてAr50sccm、0.4Pa、DC615WでSi基板上に50nm成膜した。基板サイズはφ5インチのものを用い、成膜後の基板をターゲットの組成ばらつきの評価で行った5か所の座標の直上の位置を中心として20mmx20mm程度のサイズにカットして切出し、それぞれ1枚ずつ、計5枚サンプルを採取した。
得られた膜をEPMAの定量分析によって、NbとWとTiの定量を行い、5枚の結果の標準偏差σを表17〜20に記載した。
(反射率)
φ125mm×5mmtの4Nの銅ターゲットを用い、基板をターゲットの組成ばらつきの評価で行った5か所の座標の直上にそれぞれ1枚ずつ、計5枚配置しAr50sccm、0.4Pa、DC615Wで200nmだけ、20mm×20mmサイズのガラス基板(Corning社製EAGLE XG)に成膜した。
その後、上記本発明例のターゲットをAr50sccm、0.4Pa、DC615Wで表17〜20に記載の膜厚分だけ成膜した。得られた座標(x、y)=(0、0)の位置の基板の膜に対して、分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製U−4100)を用いて可視光領域の反射率を測定した。380nm〜780nmの反射率の平均値を表17〜20に示した。
反射率のばらつきの評価として、上記反射率測定を計5枚について行い、5枚の反射率の結果の標準偏差σを表に記載した。標準偏差は3%以下であることが好ましく、2%以下であることがより好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。
φ125mm×5mmtの4Nの銅ターゲットを用い、基板をターゲットの組成ばらつきの評価で行った5か所の座標の直上にそれぞれ1枚ずつ、計5枚配置しAr50sccm、0.4Pa、DC615Wで200nmだけ、20mm×20mmサイズのガラス基板(Corning社製EAGLE XG)に成膜した。
その後、上記本発明例のターゲットをAr50sccm、0.4Pa、DC615Wで表17〜20に記載の膜厚分だけ成膜した。得られた座標(x、y)=(0、0)の位置の基板の膜に対して、分光光度計(日立ハイテクノロジーズ社製U−4100)を用いて可視光領域の反射率を測定した。380nm〜780nmの反射率の平均値を表17〜20に示した。
反射率のばらつきの評価として、上記反射率測定を計5枚について行い、5枚の反射率の結果の標準偏差σを表に記載した。標準偏差は3%以下であることが好ましく、2%以下であることがより好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。
(耐熱性)
反射率を測定したサンプルを、ランプ加熱炉を用いて、窒素雰囲気で400℃まで10℃/secの速度で昇温し、10min保持した後、室温まで冷却してから取り出し、同様に反射率を測定した。処理前と処理後の反射率の差を表17〜20に記載した。この差は10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることがさらに好ましい。
反射率を測定したサンプルを、ランプ加熱炉を用いて、窒素雰囲気で400℃まで10℃/secの速度で昇温し、10min保持した後、室温まで冷却してから取り出し、同様に反射率を測定した。処理前と処理後の反射率の差を表17〜20に記載した。この差は10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることがさらに好ましい。
(耐アルカリ性)
反射率測定したサンプルを、市販のTMAH(Tetramethylammonium hydroxide:水酸化テトラメチルアンモニウム)溶液(2.38wt%)に室温で10min間浸漬した後、純水ですすぎ、エアブローで乾燥した後、同様に反射率を測定した処理前と処理後の反射率の差を表17〜20に記載した。この差は10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることがさらに好ましい。
反射率測定したサンプルを、市販のTMAH(Tetramethylammonium hydroxide:水酸化テトラメチルアンモニウム)溶液(2.38wt%)に室温で10min間浸漬した後、純水ですすぎ、エアブローで乾燥した後、同様に反射率を測定した処理前と処理後の反射率の差を表17〜20に記載した。この差は10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることがさらに好ましい。
(エッチング性)
得られた50nmの膜を金属がNbの場合においては、40℃に加熱したフッ硝酸水溶液に、金属がTi,Wの場合においては、40℃に加熱した市販のH2O2系エッチング液(関東化学社製 GHP−3)に浸漬した。本発明例1〜61においては、すべて膜がエッチング可能なことを確認した。
得られた50nmの膜を金属がNbの場合においては、40℃に加熱したフッ硝酸水溶液に、金属がTi,Wの場合においては、40℃に加熱した市販のH2O2系エッチング液(関東化学社製 GHP−3)に浸漬した。本発明例1〜61においては、すべて膜がエッチング可能なことを確認した。
比較例1においては、金属Nb粉の平均粒子径が1.1μmであり、スパッタリングターゲットの密度比が70.5%であった。このため、異常放電回数が234回/時間と多くなり、光学機能膜を安定して成膜することができなかった。
比較例2においては、酸化亜鉛粉の平均粒子径が1300nmであり、スパッタリングターゲットの密度比が76.4%であった。このため、異常放電回数が175回/時間と多くなり、光学機能膜を安定して成膜することができなかった。
比較例3においては、焼結温度が1100℃であり、スパッタリングターゲットの密度比が78.3%であった。このため、異常放電回数が142回/時間と多くなり、光学機能膜を安定して成膜することができなかった。
比較例4においては、金属Nb粉と酸化亜鉛粉とを乾式で混合したため、スパッタ面におけるNbの含有量の標準偏差が5.2mass%と大きくなった。このため、成膜した光学機能膜において、Nbの含有量の標準偏差が大きく、反射率のばらつき(標準偏差)も大きくなった。
比較例5においては、焼結時の加圧圧力が130MPaであり、スパッタリングターゲットの密度比が77.7%であった。このため、異常放電回数が185回/時間と多くなり、光学機能膜を安定して成膜することができなかった。
これに対して、本発明例1〜61においては、密度比が80%以上、かつ、スパッタ面における金属元素の含有量の標準偏差が5mass%以下とされており、成膜した光学機能膜において、金属元素の含有量の標準偏差が小さく、反射率のばらつき(標準偏差)も小さく抑えられていた。また、異常放電の発生も抑えられており、安定して光学機能膜を成膜することができた。
また、Cを添加した本発明例6〜8,16,24〜26,37,42〜44,46,58においては、光学機能膜の耐熱性がさらに向上していることが確認された。
さらに、金属Mの酸化物を添加した本発明例9〜20,27〜38,45〜56,58〜61においては、光学機能膜の耐アルカリ性がさらに向上していることが確認された。
さらに、金属Mの酸化物を添加した本発明例9〜20,27〜38,45〜56,58〜61においては、光学機能膜の耐アルカリ性がさらに向上していることが確認された。
以上のことから、本発明例によれば、耐熱性および耐アルカリ性に優れ、金属薄膜等からの光の反射を十分に抑制することが可能な光学機能膜を効率良く安定して成膜可能なスパッタリングターゲット、このスパッタリングターゲットの製造方法、および、光学機能膜を提供できることが確認された。
12 光学機能膜
Claims (13)
- Nb,W,Tiから選択される一種又は二種以上の金属相と、酸化亜鉛相と、を含み、
密度比が80%以上であり、
スパッタ面の複数の箇所で測定したNb,W,Tiから選択される一種又は二種以上からなる金属元素のそれぞれの含有量の標準偏差が5mass%以下とされていることを特徴とするスパッタリングターゲット。 - 空孔の平均粒子面積が5μm2以下であることを特徴とする請求項1に記載のスパッタリングターゲット。
- Al,Si,Ga,In,Sn,Ti,Nb,Zr,Mo,Ta,W,Yから選択される一種又は二種以上の金属Mの酸化物を含み、前記金属Mの合計含有量が、全金属元素を100mass%として、0.1mass%以上40mass%以下の範囲内とされていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスパッタリングターゲット。
- スパッタ面の複数の箇所で測定した比抵抗値の標準偏差を平均値で割った割合が100%以下であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲット。
- Nb,W,Tiの合計含有量がO、Cを含めた全体に対して50mass%以上であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲット。
- さらに、Cを全体に対して1mass%以上10mass%以下の範囲内で含むことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲット。
- Nb,W,Tiから選択される一種又は二種以上の金属相と、酸化亜鉛相と、を含むスパッタリングターゲットの製造方法であって、
平均粒子径が5μm以上のNb,W,Tiから選択される一種又は二種以上からなる金属粉と、平均粒子径が1μm以下の酸化亜鉛粉と、を水の濃度が30vol%以上の溶媒を用いて混合し、乾燥させて造粒粉を得る造粒粉作製工程と、
得られた造粒粉を、1000℃以下の温度、かつ、145MPa以上の圧力で、加熱および加圧して焼結する焼結工程と、
を備えていることを特徴とするスパッタリングターゲットの製造方法。 - 前記焼結工程の前に、前記造粒粉を常温で加圧して成形する成形工程を備えていることを特徴とする請求項7に記載のスパッタリングターゲットの製造方法。
- 前記造粒粉作製工程において、前記金属粉および前記酸化亜鉛粉に加えて、平均粒子径が0.1μm以上12μm以下の範囲内とされたAl,Si,Ga,In,Sn,Ti,Nb,Zr,Mo,Ta,W,Yから選択される一種又は二種以上の金属Mの酸化物粉を混合することを特徴とする請求項7又は請求項8に記載のスパッタリングターゲットの製造方法。
- 前記酸化亜鉛粉の平均粒子径が100nm以下であることを特徴とする請求項7から請求項9のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲットの製造方法。
- 前記金属粉の平均粒子径が10μm以上であることを特徴とする請求項7から請求項10のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲットの製造方法。
- Nb,W,Tiから選択される一種又は二種以上からなる金属と酸化亜鉛を含む光学機能膜であって、
Nb,W,Tiから選択される一種又は二種以上からなる金属元素のそれぞれの含有量の標準偏差が5mass%以下とされていることを特徴とする光学機能膜。 - Al,Si,Ga,In,Sn,Ti,Nb,Zr,Mo,Ta,W,Yから選択される一種又は二種以上の金属Mの酸化物を含んでいることを特徴とする請求項12の光学機能膜。
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