JP2022075552A - スパッタリングターゲット、スパッタリングターゲットの製造方法、および、光学機能膜 - Google Patents

スパッタリングターゲット、スパッタリングターゲットの製造方法、および、光学機能膜 Download PDF

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晋 岡野
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Abstract

【課題】密度が十分に高く、かつ、金属膜に積層して光学機能膜を成膜した際に、金属膜と光学機能膜との積層膜における反射率を十分に低く抑えることが可能なスパッタリングターゲットを提供する。【解決手段】Ti,Nbから選択される一種又は二種の元素の炭化物からなる炭化物相と、Ti,Mo,Ta,Wから選択される一種又は二種以上の元素の酸化物からなる酸化物相と、を含有し、金属相の面積率が5%以下とされており、密度比が90%以上であることを特徴とする。前記酸化物相からなるマトリックス中に前記炭化物相が分散した組織とされ、前記炭化物相の平均粒子径が1μm以上100μm以下の範囲内とされていることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、例えば金属薄膜等に積層されて、金属薄膜等からの光の反射を低減する光学機能膜を成膜するために用いられるスパッタリングターゲット、このスパッタリングターゲットの製造方法、および、光学機能膜に関するものである。
近年、携帯端末装置などの入力手段として、投影型静電容量方式のタッチパネルが採用されている。この方式のタッチパネルでは、タッチ位置検出のために、センシング用の電極が形成されている。このセンシング用の電極は、パターニングによって形成するのが通常であり、透明基板の一方の面に、X方向に延びたX電極と、X方向に対して直交するY方向に延びたY電極とを設け、これらを格子状に配置している。
ここで、タッチパネルの電極に金属膜を用いた場合には、金属膜が金属光沢を有することから、電極のパターンが外部から視認されてしまう。このため、金属薄膜の上に、可視光の反射率の低い低反射率膜を成膜することで、電極の視認性を低下させることが考えられる。
また、液晶表示装置やプラズマディスプレイに代表されるフラットパネルディスプレイでは、カラー表示を目的としたカラーフィルタが採用されている。このカラーフィルタでは、コントラストや色純度を良くし、視認性を向上させることを目的として、ブラックマトリクスと称される黒色の部材が形成されている。
上述の低反射率膜は、このブラックマトリクス(以下“BM”と記す)としても利用可能である。
さらに、太陽電池パネルにおいて、ガラス基板等を介して太陽光が入射される場合、その反対側には、太陽電池の裏面電極が形成されている。この裏面電極としては、モリブデン(Mo)、銀(Ag)などの金属の膜が用いられている。このような態様の太陽電池パネルを裏面側から見たとき、その裏面電極である金属膜が視認されてしまう。
このため、裏面電極の上に、上述の低反射率膜を成膜することで、裏面電極の視認性を低下させることが考えられる。
ここで、上述の低反射率膜(光学機能膜)を成膜する方法として、スパッタリングターゲットを用いたスパッタ法が挙げられる。ここで、スパッタリングターゲットの密度が低い場合には、スパッタ成膜時にパーティクルおよび異常放電が発生し、光学機能膜を安定して成膜することができないおそれがあった。また、パーティクルにより、金属膜における配線パターンの短絡等が生じるおそれがあった。
そこで、例えば特許文献1には、上述の低反射率膜(光学機能膜)を成膜するためのスパッタリングターゲットとして、炭化チタン粉と酸化チタン粉と金属チタン粉の混合粉を焼結して形成されたものが提案されている。このスパッタリングターゲットにおいては、融点の低い金属チタン粉を含有していることから、密度は高くなる。
国際公開第2010/026853号公報
ところで、特許文献1のように、金属チタン粉を含む混合粉の焼結体からなるスパッタリングターゲットを用いて光学機能膜を成膜した場合には、金属膜に光学機能膜を積層した積層膜における反射率を十分に低くすることができないおそれがあった。
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、密度が十分に高く安定してスパッタ成膜することができ、かつ、金属膜に積層して光学機能膜を成膜した際に、金属膜と光学機能膜との積層膜における反射率を十分に低く抑えることが可能なスパッタリングターゲット、このスパッタリングターゲットの製造方法、および、このスパッタリングターゲットを用いて成膜された光学機能膜を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明のスパッタリングターゲットは、Ti,Nbから選択される一種又は二種の元素の炭化物からなる炭化物相と、Ti,Mo,Ta,Wから選択される一種又は二種以上の元素の酸化物からなる酸化物相と、を含有し、金属相の面積率が5%以下とされており、密度比が90%以上であることを特徴としている。
この構成のスパッタリングターゲットによれば、Ti,Nbから選択される一種又は二種の元素の炭化物からなる炭化物相と、Ti,Mo,Ta,Wから選択される一種又は二種以上の元素の酸化物からなる酸化物相と、を含有し、金属相の面積率が5%以下とされているので、金属膜に光学機能膜を積層した積層膜における反射率を十分に低く抑えることが可能となる。
そして、本発明のスパッタリングターゲットは、密度比が90%以上とされているので、スパッタ時におけるパーティクルおよび異常放電の発生を抑制することができる。
ここで、本発明のスパッタリングターゲットにおいては、前記酸化物相からなるマトリックス中に前記炭化物相が分散した組織とされ、前記炭化物相の平均粒子径が1μm以上1000μm以下の範囲内とされていることが好ましい。
この場合、前記炭化物相の平均粒子径が1μm以上とされているので、密度をさらに向上させることができる。一方、前記炭化物相の平均粒子径が100μm以下とされているので、スパッタ成膜時におけるパーティクルの発生を抑制することができる。
また、本発明のスパッタリングターゲットにおいては、前記炭化物相の面積率が25%以上80%以下の範囲内であることが好ましい。
この場合、前記炭化物相の面積率が25%以上とされているので、成膜した光学機能膜における透過率が上昇することを抑制でき、金属膜と光学機能膜との積層膜における反射率を十分に低く抑えることができる。一方、前記炭化物相の面積率が80%以下とされているので、成膜した光学機能膜における反射率が上昇することを抑制でき、金属膜と光学機能膜との積層膜における反射率を十分に低く抑えることができる。
本発明のスパッタリングターゲットの製造方法は、上述のスパッタリングターゲットを製造するスパッタリングターゲットの製造方法であって、Ti,Nbから選択される一種又は二種の元素の炭化物からなる炭化物粉と、Ti,Mo,Ta,Wから選択される一種又は二種以上の元素の酸化物からなる酸化物粉と、を混合して焼結原料粉を得る工程と、前記焼結原料粉を焼結して焼結体を得る焼結工程と、を有し、前記炭化物粉の平均粒子径が2.5μm以上150μm以下とされ、前記焼結工程における焼結温度が750℃以上1500℃以下の範囲内であることを特徴としている。
この構成のスパッタリングターゲットの製造方法によれば、前記炭化物粉の平均粒子径が2.5μm以上150μm以下とされ、焼結温度が750℃以上とされているので、焼結を促進させることができ、密度を十分に向上させることが可能となる。一方、焼結温度が1500℃以下とされているので、酸化物粉を由来とするガスの発生を抑制でき、密度を十分に向上させることが可能となる。
本発明の光学機能膜は、Ti,Nbから選択される一種又は二種の第1金属元素と、Cと、Oと、Ti,Mo,Ta,Wから選択される一種又は二種以上の第2金属元素と、を含有し、アモルファス構造とされていることを特徴としている。
これらの構成の光学機能膜によれば、上述の金属元素とCとOとを含むアモルファス膜とされているので、金属膜に積層した積層膜における反射率を十分に抑えることが可能となる。
本発明によれば、密度が十分に高く安定してスパッタ成膜することができ、かつ、金属膜に積層して光学機能膜を成膜した際に、金属膜と光学機能膜との積層膜における反射率を十分に低く抑えることが可能なスパッタリングターゲット、このスパッタリングターゲットの製造方法、および、このスパッタリングターゲットを用いて成膜された光学機能膜を提供することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る光学機能膜を備えた積層膜の断面説明図である。 本発明の一実施形態に係るスパッタリングターゲットの組織観察結果を示す図である。 本発明の一実施形態に係るスパッタリングターゲットの製造方法を示すフロー図である。
以下に、本発明の実施形態であるスパッタリングターゲット、スパッタリングターゲットの製造方法、および、光学機能膜について、添付した図面を参照して説明する。
本実施形態に係る光学機能膜12は、図1に示すように、基板1の表面に成膜された金属配線膜11の上に積層するように成膜され、積層膜10を構成するものである。
ここで、金属配線膜11は、導電性に優れた金属であるアルミニウムおよびアルミニウム合金、銅又は銅合金等で構成されており、本実施形態では、銅によって構成されている。この金属配線膜11は、金属光沢を有することから、可視光を反射し、外部から視認されてしまう。
本実施形態である光学機能膜12は、積層した金属配線膜11における可視光の反射を抑えるために設けられたものである。
本実施形態である光学機能膜12は、Ti,Nbから選択される一種又は二種の第1金属元素と、Ti,Mo,Ta,Wから選択される一種又は二種以上の第2金属元素と、Cと、Oと、を含有している。なお、Tiは、第1金属元素および第2金属元素にそれぞれに該当することから、光学機能膜12は、TiとCとOとで構成されたものであってもよい。
そして、本実施形態である光学機能膜12は、アモルファス構造とされている。
本実施形態である光学機能膜12は、本実施形態であるスパッタリングターゲットを用いて成膜される。
以下に、本実施形態であるスパッタリングターゲットについて説明する。
本実施形態であるスパッタリングターゲットは、Ti,Nbから選択される一種又は二種の元素の炭化物からなる炭化物相と、Ti,Mo,Ta,Wから選択される一種又は二種以上の元素の酸化物からなる酸化物相と、を含有しており、少なくとも一方からの平面視において金属相の面積率が5%以下に制限されている。
そして、本実施形態であるスパッタリングターゲットは、密度比が90%以上とされている。
ここで、本実施形態であるスパッタリングターゲットにおいては、図2に示すように、酸化物相からなるマトリックス中に炭化物相が分散した組織とされており、炭化物相の平均粒子径が1μm以上100μm以下の範囲内とされていることが好ましい。
さらに、本実施形態であるスパッタリングターゲットにおいては、炭化物相の面積率が25%以上80%以下の範囲内であることが好ましい。
以下に、本実施形態のスパッタリングターゲットにおいて、相構成、金属相の面積率、密度比、炭化物相の平均粒子径、および、炭化物相の面積率、酸化物相の面積率を、上述のように規定した理由を示す。
(相構成)
本実施形態であるスパッタリングターゲットにおいては、Ti,Nbから選択される一種又は二種の元素の炭化物からなる炭化物相と、Ti,Mo,Ta,Wから選択される一種又は二種以上の元素の酸化物からなる酸化物相と、を含有しており、スパッタ成膜した際に、Ti,Nbから選択される一種又は二種の元素と、Cと、Oを含有し、さらに、Mo,Ta,Wから選択される一種又は二種以上の元素を含有するアモルファス構造の光学機能膜12を成膜することができる。この光学機能膜12は、透過率が低く、かつ、反射率が低いため、金属膜に積層した積層膜における反射率を十分に低下させることができる。
なお、本実施形態であるスパッタリングターゲットにおいては、Ti,Nbから選択される一種又は二種の元素の炭化物からなる炭化物相と、Ti,Mo,Ta,Wから選択される一種又は二種以上の元素の酸化物からなる酸化物相と、で構成されたものであることが好ましい。また、本実施形態におけるスパッタリングターゲットは、Ti,Nbから選択される一種又は二種の元素の炭化物からなる炭化物相と、Ti,Mo,Ta,Wから選択される一種又は二種以上の元素の酸化物からなる酸化物相と、を含有し、残部が不可避不純物からなる組成であってもよい。
(金属相の面積率)
本実施形態であるスパッタリングターゲットにおいては、少なくとも一方から観察した面積における金属相の面積率が5%以下(0%を含む)に制限されている。これにより、スパッタ成膜した光学機能膜における反射率を十分に低下させることが可能となる。
また、金属相は、炭化物相や酸化物相に比べてスパッタ率が大きく、優先的にスパッタされるため、金属相が多く存在すると、スパッタ初期とスパッタ後期で膜組成にばらつきが生じるおそれがある。このため、本実施形態では、観察した面積における金属相の面積率が5%以下としている。
なお、スパッタ成膜した光学機能膜における反射率をさらに低下させるためには、金属相の面積率は、1.5%以下であることが好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。また、スパッタ成膜した光学機能膜における反射率をさらに低下させるためには、金属相は存在しない(金属相の面積率が0%である)ことが最も好ましい。金属相が存在しない場合には、スパッタ初期とスパッタ後期での膜組成のばらつきが生じることを抑制できる。
(密度比)
本実施形態であるスパッタリングターゲットにおいては、密度比が90%以上100%以下とされている。これにより、スパッタ時の異常放電の発生を抑制でき、本実施形態である光学機能膜12を安定して成膜することが可能となる。
なお、密度比は92%以上であることが好ましく、94%以上であることがさらに好ましい。
(炭化物相の平均粒子径)
本実施形態であるスパッタリングターゲットにおいて、酸化物相からなるマトリックス中に炭化物相が分散した組織とされており、炭化物相の平均粒子径が1μm以上である場合には、密度比をさらに向上させることができる。
また、炭化物相の平均粒子径が100μm以下である場合には、スパッタ成膜時におけるパーティクルの発生を抑制することができ、スパッタ成膜を安定して実施することができる。
なお、炭化物相の平均粒子径は、5.0μm以上であることがさらに好ましく、10 μm以上であることがより好ましい。また、炭化物相の平均粒子径は、80μm以下であることがさらに好ましく、60μm以下であることがより好ましい。
(炭化物相の面積率)
本実施形態であるスパッタリングターゲットにおいて、観察した面積における炭化物相の面積率が25%以上である場合には、成膜した光学機能膜における透過率が上昇することを抑制でき、金属膜と光学機能膜との積層膜における反射率を十分に低く抑えることができる。一方、炭化物相の面積率が80%以下である場合には、成膜した光学機能膜における反射率が上昇することを抑制でき、金属膜と光学機能膜との積層膜における反射率を十分に低く抑えることができる。
なお、炭化物相の面積率は、30%以上であることがさらに好ましく、35%以上であることがより好ましい。また、炭化物相の面積率は、75%以下であることがさらに好ましく、70%であることがより好ましい。
(酸化物相の面積率)
本実施形態であるスパッタリングターゲットにおいて、観察した面積における酸化物相の面積率が20%以上である場合には、成膜した光学機能膜における反射率が上昇することを抑制でき、金属膜と光学機能膜との積層膜における反射率を十分に低く抑えることができる。一方、酸化物相の面積率が75%以下である場合には、成膜した光学機能膜における透過率が上昇することを抑制でき、金属膜と光学機能膜との積層膜における反射率を十分に低く抑えることができる。
なお、酸化物相の面積率は、25%以上であることがさらに好ましく、30%以上であることがより好ましい。また、酸化物相の面積率は、70%以下であることがさらに好ましく、65%であることがより好ましい。
次に、本実施形態に係るスパッタリングターゲットの製造方法について、図3を参照して説明する。
(焼結原料粉形成工程S01)
本実施形態においては、まず、図3に示すように、Ti,Nbから選択される一種又は二種の元素の炭化物からなる炭化物粉と、Ti,Mo,Ta,Wから選択される一種又は二種以上の元素の酸化物からなる酸化物粉と、を秤量して混合し、焼結原料粉を得る。
ここで、Ti,Nbから選択される一種又は二種の元素の炭化物からなる炭化物粉の平均粒子径は2.5μm以上150μm以下の範囲内とする。なお、炭化物粉の平均粒子径は5.0μm以上であることが好ましく、10.0μm以上であることがさらに好ましい。一方、炭化物粉の平均粒子径は125μm以下であることが好ましく、100μm以下であることがさらに好ましい。
また、Ti,Mo,Ta,Wから選択される一種又は二種以上の元素の酸化物からなる酸化物粉の平均粒子径は0.1μm以上1.0μm以下の範囲内であることが好ましい。
なお、混合方法に特に制限はないが、本実施形態ではボールミル装置を用いている。
(焼結工程S02)
次に、上述の焼結原料粉を、加圧しながら加熱することで焼結し、焼結体を得る。本実施形態では、例えば、ホットプレス装置(HP)または熱間等方圧加圧装置(HIP)を用いて、焼結を実施することができる。
ここで、焼結工程S02における焼結温度は750℃以上1500℃以下の範囲内とする。なお、焼結温度は770℃以上であることが好ましく、800℃以上であることがさらに好ましい。一方、焼結温度は1200℃以下であることが好ましく、1000℃以下であることがさらに好ましい。
また、焼結温度での保持時間は1時間以上24時間以下の範囲内、加圧圧力は10MPa以上200MPa以下の範囲内とすることが好ましい。
(機械加工工程S03)
次に、得られた焼結体を所定の寸法となるように機械加工する。これにより、本実施形態であるスパッタリングターゲットが製造される。
以上のような構成とされた本実施形態であるスパッタリングターゲットによれば、Ti,Nbから選択される一種又は二種の元素の炭化物からなる炭化物相と、Ti,Mo,Ta,Wから選択される一種又は二種以上の元素の酸化物からなる酸化物相と、を含有し、金属相の面積率が5%以下とされているので、金属膜に光学機能膜を積層した積層膜における反射率を十分に低く抑えることが可能となる。
そして、密度比が90%以上とされているので、スパッタ時における異常放電の発生を抑制することができる。
本実施形態であるスパッタリングターゲットにおいて、酸化物相からなるマトリックス中に炭化物相が分散した組織とされ、炭化物相の平均粒子径が1μm以上である場合には、密度をさらに向上させることができる。
一方、炭化物相の平均粒子径が100μm以下である場合には、スパッタ成膜時におけるパーティクルの発生を抑制することができ、安定してスパッタ成膜することができる。
また、本実施形態であるスパッタリングターゲットにおいて、炭化物相の面積率が25%以上である場合には、成膜した光学機能膜12における透過率が上昇することを抑制でき、金属配線膜11と光学機能膜12との積層膜10における反射率を十分に低く抑えることができる。
一方、炭化物相の面積率が80%以下とされている場合には、成膜した光学機能膜12における反射率が上昇することを抑制でき、金属配線膜11と光学機能膜12との積層膜10における反射率を十分に低く抑えることができる。
本実施形態であるスパッタリングターゲットの製造方法によれば、炭化物粉の平均粒子径が1μm以上100μm以下とされ、焼結温度が750℃以上とされているので、焼結を促進させることができ、密度を十分に向上させることが可能となる。
一方、焼結温度が1500℃以下とされているので、酸化物粉を由来とするガスの発生を抑制でき、密度を十分に向上させることが可能となる。
本実施形態である光学機能膜12によれば、Ti,Nbから選択される一種又は二種の第1金属元素と、Ti,Mo,Ta,Wから選択される一種又は二種以上の第2金属元素と、Cと、Oと、を含有し、アモルファス構造とされているので、金属配線膜11に積層した積層膜10における反射率を十分に抑えることが可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施形態では、図1に示すように、基板1の表面に成膜された金属配線膜11の上に積層するように本実施形態に係る光学機能膜12は成膜された構造として説明したが、これに限定されることはなく、基板1の表面に光学機能膜12を成膜し、この光学機能膜12の上に金属配線膜11が積層された構造であってもよい。この場合には、基板1からの反射も同時に低下させることが可能となる。
以下に、本発明に係るスパッタリングターゲット、スパッタリングターゲットの製造方法、および、光学機能膜の作用効果について評価した評価試験の結果を説明する。
まず、表1,2に記載された平均粒子径の炭化物粉、酸化物粉、金属粉を準備した。そして、表1,2に記載した割合で、上述の炭化物粉、酸化物粉、金属粉を500g秤量し、φ5mmのジルコニアボールを1.2kgとともに容量2Lのポットに入れ、ボールミル装置にて85rpmで3時間混合し、焼結原料粉を形成した。
上述の焼結原料粉を用いて、表3,4に示す条件で焼結し、焼結体を得た。焼結方法は、ホットプレス法(HP)又は熱間等方圧加圧法(HIP)とした。また、表3,4に示す焼結温度で3時間保持するとともに、表3,4に示す圧力で加圧した。
得られた焼結体を機械加工することにより、本発明例および比較例のスパッタリングターゲットを製造した。
上述のようにして、得られたスパッタリングターゲット、および、このスパッタリングターゲットを用いて成膜された光学機能膜について、以下の項目について評価した。
(原料粉の平均粒子径)
表1,2に示す各種原料粉の平均粒子径は、以下のようにして測定した。
ヘキサメタリン酸ナトリウム濃度0.2vol%の水溶液を100mL調製し、この水溶液に各原料粉を10mg加え、レーザー回折散乱法(測定装置:日機装株式会社製、Microtrac MT3000)を用いて、粒径分布(体積基準)を測定し、平均粒子径を算出した。
(スパッタリングターゲットにおける炭化物相、酸化物相、金属相の面積率)
得られたスパッタリングターゲットのエロージョン部を10×10mm程度切り出し、観察試料を採取し、これをエポキシ樹脂に埋め込み、研磨処理を行った後、電子プローブマイクロアナライザ(EPMA)装置を用いて倍率300倍にて360μm×270μmの範囲に対して元素マッピングを行った。
上記サンプルに対し、ランダムに5視野の画像を得た。得られた画像について、画像処理ソフトImageJを用いて、Brightnessによる二値化を行った。このときBrightnessのしきい値を100と設定した。二値化した後、得られた画像についてImageJの機能であるParticle測定機能を用いて、炭化物相、酸化物相、金属相のそれぞれの面積を求め、面積率を算出した。なお、表3,4には、5視野の画像から算出した面積率の平均値を記載した。
(スパッタリングターゲットにおける炭化物相の平均粒子径)
上述のようにして、電子プローブマイクロアナライザ(EPMA)装置を用いて元素マッピングを行った。
得られた画像について、画像処理ソフトImageJを用いて、Brightnessによる二値化を行った。このときBrightnessのしきい値を100と設定した。二値化した後、得られた画像についてParticle測定機能を用いて、炭化物相の粒子の面積を求めた。各粒子の面積を足し合わせた総粒子面積を粒子の個数で割ることで平均粒子面積を求めた。その平均粒子面積を真円の面積であると仮定し、その直径をその画像における平均粒子径として求めた。上記の手順を、一つのターゲットごとに無作為に選んだ5視野の画像に対して行い、それらの平均値を平均粒子径とした。
(スパッタリングターゲットの密度比)
得られたスパッタリングターゲットの寸法からスパッタリングターゲットの体積を算出し、測定した重量の値を体積で割ることでスパッタリングターゲットの寸法密度を計算した。寸法密度を計算密度で割った割合を、「密度比」として表に記載した。なお、計算密度は下記の式に従って算出した。
計算密度(g/cm)=100/{炭化物粉仕込み量(mass%)/炭化物粉密度(g/cm)+酸化物粉仕込み量(mass%)/酸化物粉密度(g/cm)+金属粉仕込み量(mass%)/金属粉密度(g/cm)}
(異常放電測定)
上述のスパッタリングターゲットをステンレス製のバッキングプレートにInはんだを用いて接合した。
そして、スパッタチャンバー内にArを50sccmで流し、チャンバー内全圧が0.67Paの状態で、直流(DC)で、T-S距離(スパッタリングターゲットとバッキングプレートとの間の距離)を70mmとして、0.8~5.0W/cmで、スパッタの累計時間が0時間から1時間までの異常放電回数を異常放電初期として、スパッタの累計時間が23時間から24時間までの異常放電回数を異常放電終期として記録した。電源は、アドバンスエナジー社製DC電源PinnacleIIIplusを用いた。
(パーティクル個数)
スパッタチャンバー内にArを50sccmで流し、チャンバー内全圧が0.67Paの状態で、DC、5.0W/cmで、ターゲットのエロージョン深さが4mmになるまで空放電を行い、空放電中のパーティクルの発生数を株式会社ウィックス製の真空中パーティクルモニターを用いて粒径250nm以上の粒子の累計数を計測した。
(反射率)
ガラス基板上に、厚さ200nmのCu膜を成膜した。そして、Cu膜に接する面に、上述のスパッタリングターゲットを用いて光学機能膜を表に記載した膜厚dになるように成膜した。
スパッタチャンバー内にArを50sccmで流し、チャンバー内全圧が0.67Paの状態で、DCで、T-S距離を70mmとして、0.8~5.0W/cmで成膜し、積層膜を作成した。
次に、上記のようにガラス基板上に形成された積層膜について、反射率を測定した。この測定では、分光光度計(日立製U-4100)を用い、成膜した膜側から380~780nmの波長において測定し、その平均値を可視光平均として求めた。
(光学機能膜の結晶性解析)
スパッタチャンバー内にArを50sccmで流し、チャンバー内全圧が0.67Paの状態で、DCで、T-S距離を70mmとして、0.8~5.0W/cmで、ガラス基板上に、上述の光学機能膜を厚さ50nm成膜し、XRD装置によって結晶性解析を行った。その結果、本発明例のスパッタリングターゲットを用いて成膜された光学機能膜は、全てアモルファスの状態(アモルファス膜)であることを確認した。
Figure 2022075552000001
Figure 2022075552000002
Figure 2022075552000003
Figure 2022075552000004
Figure 2022075552000005
Figure 2022075552000006
比較例1においては、金属チタン粉を用いており、金属相の面積率が15.5%となった。このため、Cu膜の上に光学機能膜を成膜した積層膜において反射率が高くなった。
比較例2においては、炭化物粉の平均粒子径が小さく、密度比が74%と低くなり、スパッタ成膜時にパーティクル個数が多く、異常放電が多発した。
比較例3においては、炭化物粉の平均粒子径が小さく、密度比が85%と低くなり、スパッタ成膜時にパーティクル個数が多く、異常放電が多発した。
比較例4においては、焼結温度が低く、密度比が72%と低くなり、スパッタ成膜時にパーティクル個数が多く、異常放電が多発した。
比較例5においては、焼結温度が高く、密度比が65%と低くなり、スパッタ成膜時にパーティクル個数が多く、異常放電が多発した。
これに対して、本発明例によれば、密度比が90%以上と高く、スパッタ成膜時にパーティクル数及び異常放電回数が抑えられており、安定して成膜することができた。
なお、炭化物相の平均粒子径が130μmとされた本発明例26においては、パーティクル数及び異常放電回数が若干多くなったが、問題なく光学機能膜を成膜できた。
炭化物相の面積率が95.7%とされた本発明例27においては、Cu膜の上に光学機能膜を成膜した積層膜において反射率が若干高くなったが、光学機能膜として用いることができた。
炭化物相の面積率が21.4%とされた本発明例28においては、Cu膜の上に光学機能膜を成膜した積層膜において反射率が若干高くなったが、光学機能膜として用いることができた。
金属モリブデン粉を用いており、金属相の面積率が5.0%となった本発明例29においては、Cu膜の上に光学機能膜を成膜した積層膜において反射率がやや高くなったが、光学機能膜として用いることができた。
金属チタン粉を用いており、金属相の面積率が1.2%となった本発明例30においては、Cu膜の上に光学機能膜を成膜した積層膜において反射率が若干高くなったが、光学機能膜として用いることができた。
金属チタン粉を用いており、金属相の面積率が0.9%となった本発明例31においては、Cu膜の上に光学機能膜を成膜した積層膜において反射率が若干高くなったが、光学機能膜として用いることができた。
以上のことから、本発明例によれば、密度が十分に高く、かつ、金属膜に積層して光学機能膜を成膜した際に、金属膜と光学機能膜との積層膜における反射率を十分に低く抑えることが可能なスパッタリングターゲット、このスパッタリングターゲットの製造方法、および、このスパッタリングターゲットを用いて成膜された光学機能膜を提供できることが確認された。
12 光学機能膜

Claims (5)

  1. Ti,Nbから選択される一種又は二種の元素の炭化物からなる炭化物相と、Ti,Mo,Ta,Wから選択される一種又は二種以上の元素の酸化物からなる酸化物相と、を含有し、
    金属相の面積率が5%以下とされており、
    密度比が90%以上であることを特徴とするスパッタリングターゲット。
  2. 前記酸化物相からなるマトリックス中に前記炭化物相が分散した組織とされ、
    前記炭化物相の平均粒子径が1μm以上100μm以下の範囲内とされていることを特徴とする請求項1に記載のスパッタリングターゲット。
  3. 前記炭化物相の面積率が25%以上80%以下の範囲内であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のスパッタリングターゲット。
  4. 請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のスパッタリングターゲットを製造するスパッタリングターゲットの製造方法であって、
    Ti,Nbから選択される一種又は二種の元素の炭化物からなる炭化物粉と、Ti,Mo,Ta,Wから選択される一種又は二種以上の元素の酸化物からなる酸化物粉と、を混合して焼結原料粉を得る焼結原料粉形成工程と、前記焼結原料粉を焼結して焼結体を得る焼結工程と、を有し、
    前記炭化物粉の平均粒子径を1μm以上100μm以下とし、
    前記焼結工程における焼結温度が750℃以上1500℃以下の範囲内であることを特徴とするスパッタリングターゲットの製造方法。
  5. Ti,Nbから選択される一種又は二種の第1金属元素と、Cと、Oと、Ti,Mo,Ta,Wから選択される一種又は二種以上の第2金属元素と、を含有し、アモルファス構造とされていることを特徴とする光学機能膜。
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