JP2021192361A - 二次電池用負極および二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】亜鉛系材料を含有する負極を有し、充放電サイクル特性に優れた二次電池を提供する。【解決手段】本願で開示する二次電池用負極は、亜鉛系材料と、アルカリ電解液に一部が溶解するアルミニウム酸化物とを含み、前記アルミニウム酸化物は、8mol/Lの水酸化カリウム水溶液に対する溶出割合が、質量比で5〜30%であり、前記アルミニウム酸化物は、χ−アルミナ又はγ−アルミナを含むことが好ましい。また、本願で開示する二次電池は、上記二次電池用負極、正極、セパレータおよびアルカリ電解液を備えている。【選択図】図1

Description

本願は、亜鉛系材料を含有する負極と、その負極を用いた充放電サイクル特性に優れた二次電池に関するものである。
近年、高容量・高エネルギー密度の二次電池を構成するにあたり、金属単体や合金、金属間化合物、あるいは金属酸化物を用いた負極を適用することが検討されている。中でも、アルカリ性の水溶液からなる電解液を使用したアルカリ一次電池において広く一般に使用されている亜鉛や亜鉛合金を、二次電池の負極にも適用することが検討されており、酸化銀や水酸化ニッケルなどの正極材料と組み合わせた二次電池の開発が進められている。
しかしながら、亜鉛や亜鉛合金、あるいは酸化亜鉛などの亜鉛化合物を負極材料とする二次電池においては、負極における亜鉛のデンドライトの発生や、負極材料の凝集などによる形状変化、ガス発生、負極材料の不動態化などの問題があり、それに起因する充放電サイクル寿命に課題を有している。
上記二次電池の充放電サイクル特性の改善を図るため、従来から、負極の表面に、カーボンまたはアルカリ土類金属の水酸化物のうちの少なくとも一種とアルミナ繊維とを含有したデンドライト防止層を形成する方法(特許文献1)、酸化亜鉛と、シリカおよびアルミナを含む無機ファイバとの混合物により亜鉛電極を構成する方法(特許文献2)、亜鉛粉末と共に、Al23などの金属酸化物よりなる電気的活性成分、有機ゲル化剤、有機結合剤、およびカルシウム亜鉛酸塩を含んで電極を構成する方法(特許文献3)などが検討されている。
特開昭60−167264号公報 特表2004−522256号公報 特表2008−537302号公報
しかしながら、前記方法による充放電サイクル特性改善の効果は十分ではなく、例えば、高容量化のため負極内の活物質量を多くした場合などでは、亜鉛のデンドライトの発生や、負極材料の凝集などによる形状変化などの課題を解決するに至っていない。
本願は、前記事情に鑑みてなされたものであり、亜鉛を活物質とし、充放電サイクル特性に優れた二次電池を構成することのできる負極と、その負極を用いた二次電池を提供することにある。
本願で開示する二次電池用負極の第1の態様は、亜鉛系材料と、アルカリ電解液に一部が溶解するアルミニウム酸化物とを含み、前記アルミニウム酸化物は、8mol/Lの水酸化カリウム水溶液に対する溶出割合が、質量比で5〜30%であることを特徴とする。
また、本願で開示する二次電池用負極の第2の態様は、亜鉛系材料と、アルカリ電解液に一部が溶解するアルミニウム酸化物とを含み、前記アルミニウム酸化物は、χ−アルミナを含むことを特徴とする。
また、本願で開示する二次電池用負極の第3の態様は、亜鉛系材料と、アルカリ電解液に一部が溶解するアルミニウム酸化物とを含み、前記アルミニウム酸化物は、γ−アルミナを含むことを特徴とする。
更に、本願で開示する二次電池は、正極、負極、セパレータおよびアルカリ電解液を含み、前記負極が、前記本願の二次電池用負極であることを特徴とする。
本願によれば、亜鉛系材料を含有する負極を有し、充放電サイクル特性に優れた二次電池を提供することができる。
実施例1〜2および比較例1〜3の二次電池の40℃における電流値128mAでの充放電サイクル特性の評価結果を表すグラフである。 実施例1、実施例3〜4および比較例1の二次電池の40℃における電流値64mAでの充放電サイクル特性の評価結果を表すグラフである。
(二次電池用負極)
本願で開示する二次電池用負極の実施形態について説明する。本実施形態の二次電池用負極は、亜鉛系材料と、アルカリ電解液に一部が溶解するアルミニウム酸化物とを含み、上記アルミニウム酸化物は、8mol/Lの水酸化カリウム水溶液に対する溶出割合が、質量比で5〜30%である。
これにより、亜鉛系材料を含む負極において、充放電に伴う負極活物質(金属亜鉛)の凝集を抑制することができるため、充放電を繰り返したときの二次電池の容量低下を抑えることができ、充放電サイクル特性を向上させることが可能となる。ここで、亜鉛系材料は、亜鉛、亜鉛合金および酸化亜鉛から選ばれる少なくとも1種が含まれる。
本願において、充放電に伴う上記負極活物質(金属亜鉛)の凝集を抑制することができる理由は定かではないが、以下の機構によるものではないかと推測している。
亜鉛系材料を含む負極では、充放電サイクルに伴い、負極活物質である金属亜鉛が凝集し肥大化するため、放電できない亜鉛が増加し、活物質の利用率が低下して、負極の劣化が進行する。そして、この負極の劣化が、亜鉛系材料を含む負極を備えた二次電池がサイクル寿命に至る大きな要因のひとつである。
これに対し本願では、アルカリ二次電池の電解液として一般的な組成である「8mol/Lの水酸化カリウム水溶液」に対し、一定の割合で溶出するアルミニウム酸化物を負極に含有させることにより、溶出せずに負極中に残存するアルミニウム酸化物が、金属亜鉛の凝集に対する物理的な障壁となり、金属亜鉛の肥大化を抑制すると考えられる。
一方、負極中で金属亜鉛が成長してアルミニウム酸化物の表面を覆う場合でも、アルミニウム酸化物の一部が電解液に溶解して電解液の流通路が確保されることにより、亜鉛の充放電反応が阻害されず、負極活物質の利用率の低下が抑制され、優れたサイクル特性が維持されるものと考えられる。
また、上記アルミニウム酸化物の機能は、負極内の活物質量を多くした場合にも有効に作用し、二次電池の高容量化にも役立つと考えられる。
本願において、アルカリ電解液に一部が溶解するアルミニウム酸化物のアルカリ電解液(8mol/Lの水酸化カリウム水溶液)に対する溶出割合は、以下の溶出試験において求められる値である。
<溶出試験>
40℃に保持された8mol/Lの水酸化カリウム水溶液:20mL中にアルミニウム酸化物:1gを浸漬し、40℃で300時間静置した後、溶け残ったアルミニウム酸化物を水洗乾燥し、その重量:x(g)を測定し、元の重量に対する重量減少分:1−xの割合を百分率で表した数値を溶出割合とする。ここで、8mol/Lの水酸化カリウム水溶液の量が、アルミニウム酸化物:1gに対し20mLであれば、40℃のアルカリ電解液に溶出可能なアルミニウム酸化物中の成分を、全て溶出させるのに充分な量となる。
上記アルミニウム酸化物のアルカリ電解液中での溶出割合は、電解液の流通路を十分に確保して負極活物質の利用率の低下を防ぐため、質量比で5%以上であることが好ましく、8%以上であることがより好ましい。
一方、金属亜鉛が凝集し肥大化するのを防ぐ骨格として機能させるためには、溶出割合が小さい方が望ましく、アルミニウム酸化物のアルカリ電解液中での溶出割合は、質量比で30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましい。
アルカリ電解液に一部が溶解し、金属亜鉛が凝集して肥大化することを防止できるアルミニウム酸化物としては、例えば、X線回折によって決定される結晶構造が「χ型」であるアルミニウム酸化物(χ−アルミナ)が挙げられる。χ−アルミナは、アルカリ電解液に対し適度な溶解性を有するとともに、大部分は電解液に溶解せず残存することにより、電解液の流通路を十分に確保して負極活物質の利用率の低下を防ぎつつ、金属亜鉛が凝集し肥大化するのを防ぐ骨格として機能させることができる。
また、χ−アルミナは結晶中に脱離可能な水分子(結晶水)を有しており、結晶中から徐々に出てくる水により亜鉛の溶解が生じ、これによっても、金属亜鉛が凝集して肥大化するのを防ぐことができると考えられる。
また、上記アルミニウム酸化物としては、γ−アルミナを用いることもできる。γ−アルミナは、結晶構造が粗く、χ−アルミナと同様にアルカリ電解液に対する溶解性を有しており、χ−アルミナと同様の作用を有すると考えられる。
上記アルミニウム酸化物の割合は、亜鉛系材料の総含有量と、アルミニウム酸化物の含有量との合計量中、5〜30質量%であることが好ましい。アルミニウム酸化物の割合が多すぎると負極容量が低下し、少なすぎると金属亜鉛が凝集し肥大化するのを防ぐ骨格として機能させることが困難となる傾向があるからである。
また、上記アルミニウム酸化物の数平均粒子径は、10〜300μmであることが好ましい。アルミニウム酸化物の粒径が小さすぎると、アルミニウム酸化物を取り込んで金属亜鉛が成長することが可能となるため、肥大化抑制の効果が発揮されにくいことから、数平均粒子径は10μm以上であることが好ましく、50μm以上であることがより好ましい。
一方、アルミニウム酸化物の粒径が大きすぎると、アルミニウム酸化物粒子同士の隙間が大きくなり、金属亜鉛が成長しやすくなるため、数平均粒子径は300μm以下であることが好ましく、200μm以下であることがより好ましい。
本願明細書において、アルミニウム酸化物粒子や、その他の粒子(酸化亜鉛粒子等)の数平均粒子径は、例えば、レーザー散乱粒度分布計(例えば、HORIBA社製「LA−920」)を用い、これらの粒子を溶解したり膨潤させたりしない媒体に、粒子を分散させて測定することができる。
また、上記アルミニウム酸化物の窒素ガス吸着法による比表面積(以下、「比表面積」という。)は、保液性を高め、サイクル寿命や形状安定性を向上させる観点から、1m2/g以上であることが好ましく、10m2/g以上であることがより好ましい。一方、アルミニウム酸化物の比表面積が大きすぎる場合には、合剤作製が困難になる虞があるため、アルミニウム酸化物の比表面積は500m2/g以下であることが好ましく、300m2/g以下であることがより好ましい。
本願明細書において、アルミニウム酸化物粒子や、その他の粒子(酸化亜鉛粒子等)の比表面積は、例えば、比表面積・細孔径分析装置(例えば、Quantachrome社製「QUADRASORB evo」)を用い、窒素ガス吸着によるBET多点法を用いて計測することができる。
また、上記アルミニウム酸化物の酸性度に関しては、酸性、中性、塩基性のいずれの酸化物も好適に用いることができるが、上記アルミニウム酸化物の好適なpHは、9.0未満であり、酸性または中性であることがより好ましい。
本実施形態の負極には、例えば、酸化亜鉛等の亜鉛系材料および前述のアルミニウム酸化物を含有する負極合剤層を、集電体上に形成した構造のものが使用できる。
上記亜鉛系材料として酸化亜鉛を用いる場合、その酸化亜鉛の数平均粒子径は、0.01μm以上であることが好ましく、0.05μm以上であることがより好ましく、10μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましい。
上記負極合剤層中の酸化亜鉛の含有量は、60〜95質量%であることが好ましい。
また、上記酸化亜鉛に代えて亜鉛を用いることもでき、両者を混合して用いることもできる。亜鉛を用いる場合には、酸化亜鉛に準じて使用割合を定めればよい。また、亜鉛は、電解液との反応を防ぐため、In、Bi、Al、Mg、Caなどの添加元素を含有して亜鉛合金として用いてもよい。
上記負極合剤層には、通常、バインダを含有させる。負極合剤層のバインダとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素樹脂;スチレンブタジエンゴム(SBR);などが挙げられ、フッ素樹脂が好ましく、PTFEがより好ましい。
上記負極合剤層中のバインダの含有量は、0.1〜2質量%であることが好ましい。特にバインダとしてフッ素樹脂を使用した場合、その含有量が多すぎると、負極合剤層や負極合剤層を形成するための組成物(後述する負極合剤組成物)の撥水性が強くなり、生産性の低下や電池反応の不均一化が起こる虞がある。
上記負極合剤層には、導電助剤を含有させることができる。導電助剤としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック類;炭素繊維;黒鉛;などの炭素材料、スズ、ビスマス、銀、銅などの金属の粉体や繊維状物などが挙げられる。
上記負極合剤層中の導電助剤の含有量は、0.01〜5質量%であることが好ましい。
上記負極合剤層は、例えば、酸化亜鉛および前述のアルミニウム酸化物、並びに必要に応じて添加されるバインダおよび導電助剤などを、溶媒に分散させて負極合剤組成物(ペーストなど)を調製し、これをロール圧延するなどしてシート状(負極合剤シート)に成形することで形成できる。これにより、例えば厚みが1mm以上の負極合剤層を容易に形成することができる。厚い負極合剤層を有する負極を使用することで、より高容量・高エネルギー密度の二次電池を得ることが可能となる。
上記負極合剤層(負極合剤シート)を用いて負極を得るに当たっては、負極合剤層を、例えば負極集電体と貼り合わせればよい。
また、上記よりも薄い負極合剤層を有する負極の場合には、例えば、より固形分濃度が小さい負極合剤組成物(スラリーなど)を調製し、これを集電体上に塗布し、乾燥した後、必要に応じてプレス処理する工程を経て製造することができる。
上記負極合剤組成物の溶媒には、通常、水が使用されるが、亜鉛系材料を均一に分散させたり、バインダを均一に溶解または分散させたり、界面張力を制御したりするなどの目的で、アルコール類(メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)など水以外の溶媒を適宜加えることもできる。また、負極合剤組成物の溶媒として、電池の電解液として使用される電解質塩を含む水溶液を使用してもよい。
上記負極合剤組成物の固形分濃度(溶媒以外の全成分の合計含有量)は、70〜95質量%であることが好ましい。
また、負極合剤組成物には、経時安定性を付与するため、水溶性高分子材料を添加しておくことが好ましい。
上記負極合剤組成物に使用可能な水溶性高分子材料としては、CMC(カルボキシメチルセルロース);PVA(ポリビニルアルコール);PVP(ポリビニルピロリドン);PAA(ポリアクリル酸);ポリカルボン酸アンモニウム塩;レシチン;サポニンなどの配糖体やキサンタンガムなどの多糖類などで例示される糖類;PEO(ポリエチレンオキシド)、スクロースポリエーテルポリオール、ポリオキシプロピレンソルビトールエーテル、トリメチロールプロパンポリエーテルポリオール、ペンタエリスリトールポリエーテルポリオールなどのポリエーテルポリオール;などが挙げられる。負極合剤組成物は、水溶性高分子材料を2種以上含有していてもよい。
上記水溶性高分子材料の中でも、カルボキシメチルセルロースおよびポリエーテルポリオールのうちの少なくとも一方を使用することが好ましく、カルボキシメチルセルロースおよびポリエーテルポリオールの両方を使用することがより好ましい。
上記負極合剤組成物における水溶性高分子材料の含有量は、負極合剤組成物を良好に増粘させて、厚い負極合剤層をより容易に形成できるようにする観点から、溶媒を除く全成分(以下、「固形分」という。)中の量で、0.02質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましい。但し、水溶性高分子材料は、形成後の負極合剤層内において抵抗成分として作用するため、負極合剤組成物中の水溶性高分子材料の量が多すぎると、二次電池の特性(容量など)を損なう虞がある。よって、負極合剤組成物における水溶性高分子材料の含有量は、固形分中の量で、0.2質量%以下であることが好ましく、0.15質量%以下であることがより好ましい。
上記負極合剤組成物の調製方法については、特に制限はなく、例えば、亜鉛系材料、前述のアルミニウム酸化物、バインダおよび導電助剤を合剤組成物中に均一に分散でき、また、水溶性高分子材料を使用する場合には、水溶性高分子材料を合剤組成物中に均一に分布させ得る方法を採用すればよい。
上記負極合剤層の厚みは、0.1mm以上とすることができるが、二次電池のエネルギー密度を高める観点から、1mm以上であることが好ましく、1.5mm以上であることがより好ましい。また、負極合剤層の厚みの上限値は、例えば10mmであることが好ましい。
負極の集電体としては、ニッケル、銅、ステンレス鋼などの金属の網、箔、エキスパンドメタル、パンチングメタル、発泡金属;カーボンのシート、網;などが挙げられ、更にそれらの集電体には、錫や鉛、インジウムなどの水素過電圧の高い材料で、めっきなどの被覆がされていることが好ましい。負極の集電体の厚みは、5〜300μmであることが好ましい。
また、後述する本願の二次電池においては、シート状外装体を適用することができるが、このシート状外装体の内面となることが予定されている面(負極合剤層となるシートと接する面)にカーボンペーストを塗布して集電体としたり、シート状外装体を構成する金属層(後述する)を集電体としたりすることもできる。
負極には、常法に従って、二次電池を適用する機器と電気的に接続するための外部端子を設けることができる。
負極は、負極合剤層の面積当たりの容量が、150mAh/cm2以上であることが好ましく、300mAh/cm2以上であることがより好ましい。このような容量の負極を用いることで、高エネルギー密度の二次電池を得ることができる。
負極合剤層の厚みが例えば1mm以上と厚い負極や、負極合剤層の面積当たりの容量が前記のように大きい負極を用いた二次電池の場合は、負極合剤層が薄い負極や、負極合剤層の面積当たりの容量が小さい負極を用いた二次電池に比べて、合剤層中での充放電反応が不均一になりやすく、亜鉛のデンドライトの発生や、亜鉛の凝集などによる形状変化を生じやすくなり、充放電サイクル特性がより低下しやすくなる。しかし、本願では、前述のアルミニウム酸化物を負極に含有させることにより、そのような負極を有する二次電池においても、充放電サイクル特性の低下を防ぐことができ、電池の高容量化を図ることができる。
負極合剤層の面積当たりの容量は、負極合剤層の厚みおよび充填密度の調整(それに伴う負極合剤層の単位面積当たりの負極活物質の量の調整)によって、前記の値に制御することができる。負極活物質については、その種類毎に固有の容量を有することが知られており、その値も公表されているため、負極合剤層の単位面積当たりの容量の算出に際しては、この値を使用する。
負極合剤層の充填密度は、1.8〜2.8g/cm3がよく、2.1〜2.4g/cm3が好ましい。充填密度を大きくしすぎると、負極合剤層の空隙率が低くなりすぎて、負極合剤層中に電解液が浸透し難くなり、却って電池の特性が低下する虞がある。
なお、充電により負極の酸化亜鉛は金属の亜鉛に変化するが、負極における酸化亜鉛の単位面積当たりの含有量は、金属状態の亜鉛を酸化亜鉛に換算して求めればよい。
(二次電池)
次に、本願で開示する二次電池の実施形態について説明する。本実施形態の二次電池は、正極、負極、セパレータおよびアルカリ電解液を備え、上記負極として、前述の本願の二次電池用負極を用いるものである。
本実施形態の二次電池は、上記負極を備えていればよく、正極、セパレータおよびアルカリ電解液などの構成については、特に限定はされず、アルカリ二次電池や空気二次電池などで用いられている汎用の正極、セパレータおよびアルカリ電解液などを使用することができる。
以下、本実施形態の二次電池の負極以外の構成部材およびその関連事項について説明する。
<正極>
本実施形態の二次電池がアルカリ二次電池の場合、その正極には、例えば、正極活物質、導電助剤およびバインダを含有する正極合剤層を集電体の片面または両面に有する構造のものが使用できる。
二次電池がアルカリ二次電池の場合に使用可能な正極活物質としては、酸化銀(酸化第一銀、酸化第二銀など);二酸化マンガンなどのマンガン酸化物;オキシ水酸化ニッケル;銀とコバルト、ニッケルまたはビスマスとの複合酸化物;などが挙げられる。
正極合剤層に係る導電助剤には、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック類;炭素繊維;などの炭素材料の他、金属繊維などの導電性繊維類;フッ化カーボン;銅、ニッケルなどの金属粒子類;ポリフェニレン誘導体などの有機導電性材料;などを用いることができる。
正極合剤層に係るバインダとしては、例えば、フッ素樹脂(PVDF、PTFEなど)、SBR、CMC、ポリビニルピロリドン(PVP)などが挙げられる。
正極合剤層中の組成としては、正極活物質の含有量が80〜98質量%であることが好ましく、導電助剤の含有量が1.5〜10質量%であることが好ましく、バインダの含有量が0.5〜10質量%であることが好ましい。また、正極合剤層の厚み(集電体の片面あたりの厚み)は、1〜20mmであることが好ましい。
正極合剤層を有する正極は、例えば、正極活物質、導電助剤およびバインダなどを水またはN−メチル−2−ピロリドン(NMP)などの有機溶媒に分散させて正極合剤含有組成物(スラリー、ペーストなど)を調製し(バインダは溶媒に溶解していてもよい)、これを集電体上に塗布した後、乾燥し、必要に応じてカレンダ処理などのプレス処理を施す工程を経て製造することができる。
また、本実施形態の二次電池が空気二次電池の場合の正極には、触媒層を有するもの、例えば、触媒層と集電体とを積層した構造のものを使用することができる。
触媒層には、触媒やバインダなどを含有させることができる。
触媒層に係る触媒としては、例えば、銀、白金族金属またはその合金;遷移金属;Pt/IrO2などの白金/金属酸化物;La1-xCaxCoO3などのペロブスカイト酸化物;Ca2Fe25、Ca2FeCoO5などのブラウンミラーライト型遷移金属酸化物;WCなどの炭化物;Mn4Nなどの窒化物;二酸化マンガンなどのマンガン酸化物;カーボン〔黒鉛、カーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなど)、木炭、活性炭など〕など公知の材料が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上が使用される。
なお、触媒層は、電解液の成分を除く重金属の含有量が、1質量%以下であることが好ましい。重金属の含有量が前記のように少ない触媒層を有する正極の場合、特別な処理などを経ずに廃棄しても環境負荷が小さい電池とすることができる。
本明細書でいう触媒層中の重金属の含有量は、蛍光X線分析により測定することができる。例えば、リガク社製の蛍光X線分析装置「ZSX100e」を用い、励起源:Rh50kV、分析面積:φ10mmの条件で測定することができる。
よって、触媒層に係る触媒には、重金属を含有していないものが推奨され、前記の各種カーボンを使用することがより好ましい。
触媒層に係るバインダとしては、PVDF、PTFE、フッ化ビニリデンの共重合体やテトラフルオロエチレンの共重合体〔フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF−HFP)、フッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(PVDF−CTFE)、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体(PVDF−TFE)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体(PVDF−HFP−TFE)など〕などのフッ素樹脂バインダなどが挙げられる。これらの中でも、テトラフルオロエチレンの重合体(PTFE)または共重合体が好ましく、PTFEがより好ましい。触媒層におけるバインダの含有量は、3〜50質量%であることが好ましい。
触媒層を有する正極の場合、例えば、前記の触媒、バインダなどを水と混合してロールで圧延し、集電体と密着させることにより製造することができる。また、前記の触媒や必要に応じて使用するバインダなどを、水や有機溶媒に分散させて調製した触媒層形成用組成物(スラリー、ペーストなど)を、集電体の表面に塗布し乾燥した後に、必要に応じてカレンダ処理などのプレス処理を施す工程を経て製造することもできる。
正極合剤層を有する正極や触媒層を有する正極に係る集電体には、例えば、チタン、ニッケル、ステンレス鋼、銅などの金属の網、箔、エキスパンドメタル、パンチングメタル;カーボンの網、シート;などを用いることができる。
また、正極の集電体には、後述するように、シート状外装体を適用することができるが、このシート状外装体の内面となることが予定されている面にカーボンペーストを塗布して用いたり、シート状外装体を構成する金属層(後述する)を用いたりすることもできる。
正極には、常法に従って、二次電池を適用する機器と電気的に接続するための外部端子を設けることができる。
<セパレータ>
本実施形態の二次電池のセパレータとしては、樹脂製の多孔質膜(微多孔膜、不織布など)や、セロファンフィルムに代表される半透膜などの、各種電池で一般的に採用されているセパレータが挙げられる。なお、特に二次電池が空気二次電池の場合には、短絡防止および負荷特性を向上させる観点からは、アニオン伝導膜や半透膜をセパレータに使用することが好ましい。
樹脂製の多孔質膜からなるセパレータを構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体などのポリオレフィンなどが挙げられる。
樹脂製のセパレータの場合、空孔率は30〜80%であることが好ましく、また、厚みは10〜100μmであることが好ましいが、複数枚重ねてもよい。
また、セロファンフィルムなどの半透膜をセパレータに使用する場合、半透膜のみでセパレータを構成してもよい。しかしながら、半透膜は強度が小さいため、電池組み立て時の破損などの問題が発生しやすい。よって、例えば、幹ポリマーであるポリオレフィン(PE、PPなど)に、(メタ)アクリル酸またはその誘導体がグラフト重合した形態の重合体で構成されるグラフトフィルムと、半透膜とを積層した積層体でセパレータを構成することも推奨される。なお、前記の「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸とメタクリル酸とを纏めて表現したものである。
セロファンフィルムのみで構成されるセパレータの場合、その厚みは、例えば、15μm以上であることが好ましく、また、40μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましい。
更に、グラフトフィルムとセロファンフィルムとの積層体で構成されるセパレータの場合、グラフトフィルムとセロファンフィルムとの合計厚みで、例えば、30μm以上であることが好ましく、40μm以上であることがより好ましく、また、70μm以下であることが好ましく、60μm以下であることがより好ましい。
更に、グラフトフィルムとセロファンフィルムの積層体で構成されるセパレータの場合、グラフトフィルムの厚みは、例えば、15μm以上であることが好ましく、25μm以上であることがより好ましく、また、30μm以下であることが好ましい。
セパレータを構成するためのグラフトフィルムとセロファンフィルムとの積層体としては、例えば、株式会社ユアサメンブレンシステムから「YG9132」、「YG9122」、「YG2152」の名称で市販されているものが挙げられる。
また、セロファンフィルムと、ビニロン−レーヨン混抄紙のような吸液層(電解液保持層)とを組み合わせてセパレータを構成してもよい。また、グラフトフィルムとセロファンフィルムの積層体と、上記吸液層とを組み合わせてセパレータを構成してもよい。このような吸液層の厚みは20〜500μmであることが好ましい。
<アルカリ電解液>
本実施形態の二次電池のアルカリ電解液としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどのアルカリ金属の水酸化物の水溶液からなるアルカリ水溶液や、それに酸化亜鉛を添加したものなどを用いることができる。アルカリ電解液中のアルカリ金属の水酸化物の濃度としては、例えば、水酸化カリウムの場合、6〜50質量%であることが好ましく、10〜45質量%であることがより好ましい。また、酸化亜鉛を使用する場合、その濃度は、例えば、1.0〜4.0質量%であるが、目的により適宜変更することができ、酸化亜鉛が電池容量の増加に寄与することを考えれば、飽和濃度とすることが好ましい。
上記アルカリ電解液中にはインジウム化合物が溶解していることが好ましい。アルカリ電解液中にインジウム化合物が溶解している場合には、電池内での水素ガスの発生を良好に抑制することができる。
上記アルカリ電解液に溶解させるインジウム化合物としては、水酸化インジウム、酸化インジウム、硫酸インジウム、硫化インジウム、硝酸インジウム、臭化インジウム、塩化インジウムなどが挙げられる。
インジウム化合物のアルカリ電解液中の濃度は、質量基準で、0.005%以上であることが好ましく、0.01%以上であることがより好ましく、0.05%以上であることが特に好ましく、また、1%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがより好ましく、0.1%以下であることが特に好ましい。
上記アルカリ電解液には、必要に応じて公知の各種添加剤を添加してもよい。
<電池の形態>
本実施形態の二次電池の形態については特に制限はなく、外装缶と封口板とをガスケットを介してカシメ封口したり、外装缶と封口板とを溶接して封口したりする電池ケースを有する扁平形(コイン形、ボタン形を含む);樹脂フィルム製のシート状外装体を有するシート形;有底筒形の外装缶と封口板とをガスケットを介してカシメ封口したり、外装缶と封口板とを溶接して封口したりする電池ケースを有する筒形〔円筒形、角形(角筒形)〕;など、いずれの形態とすることもできる。
シート状外装体を構成する樹脂フィルムとしては、ナイロンフィルム(ナイロン66フィルムなど)、ポリエステルフィルム〔ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなど〕などが挙げられる。樹脂フィルムの厚みは、20〜100μmであることが好ましい。
なお、シート状外装体の封止は、シート状外装体の上側の樹脂フィルムの端部と下側の樹脂フィルムの端部との熱融着によって行うことが一般的であるが、この熱融着をより容易にする目的で、前記例示の樹脂フィルムに熱融着樹脂層を積層してシート状外装体に用いてもよい。熱融着樹脂層を構成する熱融着樹脂としては、変性ポリオレフィン(変性ポリオレフィンアイオノマーなど)、ポリプロピレンおよびその共重合体などが挙げられる。熱融着樹脂層の厚みは、20〜100μmであることが好ましい。
また、樹脂フィルムには金属層を積層してもよい。金属層は、アルミニウムフィルム(アルミニウム箔、アルミニウム合金箔など)、ステンレス鋼フィルム(ステンレス鋼箔)などにより構成することができる。金属層の厚みが10〜150μmであることが好ましい。
また、シート状外装体を構成する樹脂フィルムは、上記熱融着樹脂層と上記金属層とが積層された構成のフィルムであってもよい。
シート状外装体の形状は、平面視で多角形(三角形、四角形、五角形、六角形、七角形、八角形)であってもよく、平面視で円形や楕円形であってもよい。なお、平面視で多角形のシート状外装体の場合、正極外部端子および負極外部端子は、同一辺から外部へ引き出してもよく、それぞれを異なる辺から外部へ引き出しても構わない。
また、カシメ封口を行う形態の外装体を使用する場合、外装缶と封口板との間に介在させるガスケットの素材には、ポリプロピレン、ナイロンなどを使用できるほか、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)などのフッ素樹脂;ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリスルフォン(PSF)、ポリアリレート(PAR)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などを使用することもできる。また、封口にはガラスハーメチックシールを利用することもできる。
本実施形態の二次電池が空気二次電池の場合、外装体には正極(空気極)へ空気を取り込むための空気孔を形成する。空気孔の数については特に制限はなく、空気電池が良好に放電できる程度の空気を取り込み得るような数とすればよい。また、空気孔の形状についても特に制限はなく、平面視で円形の他、楕円形や多角形(三角形、四角形など)としてもよい。
また、二次電池が空気二次電池の場合、空気孔から電池内部への水分の浸入を防止するために、正極(空気極)と外装体との間に撥水膜を配置することが好ましい。撥水膜には撥水性がある一方で空気を透過できる膜が使用され、具体的には、例えば、PTFEなどのフッ素樹脂;PP、PEなどのポリオレフィン;などの樹脂で構成された膜を用いることができる。撥水膜の厚みは、50〜250μmであることが好ましい。
また、二次電池が空気二次電池の場合には、外装体と撥水膜との間に、外装体内に取り込んだ空気を正極に供給するための空気拡散膜を配置してもよい。空気拡散膜には、セルロース、ポリビニルアルコール、PP、ナイロンなどの樹脂で構成された不織布を用いることができる。空気拡散膜の厚みは、100〜250μmであることが好ましい。
以下、実施例に基づいて本願で開示する二次電池を詳細に説明する。但し、下記実施例は、本願で開示する二次電池を制限するものではない。
(実施例1)
<負極の作製>
先ず、酸化亜鉛(数平均粒子径:0.6μm):70質量部、χ−アルミナ(数平均粒子径:38μm、比表面積:124m2/g、pH:8.0(中性)):21.5質量部、酸化鉛:2.0質量部、PTFE:1.5質量部およびアセチレンブラック:5質量部を水と混合して、固形分濃度が73.9質量%の負極合剤組成物を調製した。この負極合剤組成物を、自公転ミキサーにて、2000rpmで5分間混合して得られた塊状合剤について、ロールプレス機にて複数回、厚み:0.650mmの隙間を通して延伸し、塊状にすることを繰り返した後、ロールプレスの間隙を調整して、厚み:2mmのシート状に調整し、これを切断して20mm×20mmの四角形の負極合剤シートを作製した。
次に、集電体である20mm×23mmに切断した100メッシュの網目を有する銅製の金網に、上記負極合剤シートを貼付け、ロール間距離を2.1mmに調整したロールプレス機により成形し、上記集電体の露出部に厚み:100μm、幅:3mmの銅製のリードを溶接して電流取り出し部を形成することにより、厚みが2mmの負極を得た。
<正極の作製>
水酸化ニッケル:89.8質量部、CMC:0.2質量部、一酸化コバルト:5質量部および四酸化三コバルト:5質量部を水と混合して、固形分濃度が75質量%の正極合剤組成物を調製した。この正極合剤組成物を、自公転ミキサーにて、2000rpmで5分間混合した後、水酸化ニッケル:100質量部に対し、PTFEを0.9質量部の割合で追加して、2000rpmで30秒間混合した。得られた合剤を、一部に未塗布部が形成されるよう、厚み:2mmの発泡ニッケルに充填し、80℃で1時間乾燥した後、ロールプレスにて厚みを1mmとした。これを切断し、25mm×25mmの四角形の正極合剤層形成部と、3mmの幅の集電体(発泡ニッケル)露出部とを持った電極とした。この電極を2枚重ねてロールプレスにより一体化し、集電体露出部に厚み:100μm、幅:3mmのニッケル製のリードを溶接して電流取り出し部を形成することにより、厚みが2mmの正極を作製した。作製した正極は、電流取り出し部以外を厚み120μmの不織布で袋状に包んで使用した。
<アルカリ電解液の調製>
市販の8M水酸化カリウム水溶液に市販の酸化亜鉛を過剰に溶解し、室温で12時間以上攪拌した後、溶け残った酸化亜鉛を濾過することで、飽和濃度で酸化亜鉛を溶解させたアルカリ電解液を調製した。
<アルカリ二次電池の組み立て>
作製した負極、正極と、調製したアルカリ電解液とを用いてアルカリ二次電池(モデルセル)を組み立てた。
先ず、セパレータとして、厚み30μmのグラフトフィルムを2枚と、厚み120μmのポリプロピレン不織布とを合わせた積層膜(グラフトフィルム/グラフトフィルム/PP不織布)を用い、負極と正極とを、このセパレータを挟んで重ね合わせて電極体を形成した。次に、電極体がちょうど納まるように35mm×60mmに成形した2枚のポリプロピレン製シートを重ね、袋状に3辺を溶着して外装体を形成し、ここに電極体を挿入した後、50mm×50mm×8mmのアクリル板で両側から挟み込んで四隅をネジ止めした。その後、外装体内に前記アルカリ電解液:3.5mLを注入して真空含浸させた後、外装体の残りの1辺を封止して、モデルセルを完成させた。
(実施例2)
負極合剤組成物の混合量を、酸化亜鉛:81質量部、χ−アルミナ:10.5質量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてアルカリ二次電池(モデルセル)を組み立てた。
(実施例3)
χ−アルミナに代えて、酸性γ−アルミナ(数平均粒子径:95μm、比表面積:154m2/g、pH:4.5)を用いて負極合剤組成物を調製した以外は、実施例1と同様にしてアルカリ二次電池(モデルセル)を組み立てた。
(実施例4)
χ−アルミナに代えて、中性γ−アルミナ(数平均粒子径:96μm、比表面積:132m2/g、pH:7.5)を用いて負極合剤組成物を調製した以外は、実施例1と同様にしてアルカリ二次電池(モデルセル)を組み立てた。
(比較例1)
負極合剤組成物にχ−アルミナを加えず、負極合剤組成物の酸化亜鉛の混合量を91.5質量部に変更し、負極合剤シートの厚みを1.2mmに変更した以外は、実施例1と同様にしてアルカリ二次電池(モデルセル)を組み立てた。
(比較例2)
負極合剤組成物にχ−アルミナに代えて水酸化アルミニウム(数平均粒子径:90μm、比表面積:104m2/g)を17.5質量部加え、負極合剤組成物の酸化亜鉛の混合量を74質量部に変更した以外は、実施例1と同様にしてアルカリ二次電池(モデルセル)を組み立てた。
(比較例3)
負極合剤組成物にχ−アルミナに代えてα−アルミナ(数平均粒子径:29μm、比表面積:0.68m2/g)を21.5質量部加えた以外は、実施例1と同様にしてアルカリ二次電池(モデルセル)を組み立てた。
<アルミニウム化合物の溶出試験>
実施例1〜4および比較例2〜3に用いたアルミニウム化合物について、1gあたり20mLの8M水酸化カリウム水溶液に40℃で300時間浸漬する溶出試験を行った。その結果として前述の溶出割合を表1に示す。
Figure 2021192361
<充放電サイクル特性>
作製した二次電池の充放電サイクル特性を、40℃の雰囲気下で、以下の方法によって評価した。
先ず、実施例1〜2および比較例1〜3の各二次電池について、128mAの電流値で、
(1)充電電気量が、320mAhに達する。
(2)充電中の電池電圧が2.2Vに達する。
(3)充電中の電池電圧が、極大値から50mV低下する(−ΔV=50mV)。
のいずれかに該当するまで充電を行い、次いで、128mAの電流値で、
(4)放電中の電池電圧が1.0Vに達する。
(5)放電電気量が、320mAhに達する。
のいずれかに該当するまで放電を行う充放電サイクルを繰り返し、1サイクル目(初度)と、以後10サイクル経過する毎に放電容量を測定して充放電サイクル特性を評価した。
測定された各電池の放電容量について、それぞれの電池の初度の放電容量を100としたときの相対値で表した結果を図1に示す。
図1に示す通り、実施例1および2の二次電池では、充放電を70サイクル繰り返しても、大きな容量を十分に維持できていた。これに対し、比較例1〜3の電池では、図1に示す通り、充放電を30ないし40サイクル程度繰り返した時点で容量が低下した。
次に、実施例1、実施例3〜4および比較例1の各二次電池について、実施例1と比較例1では前記とは別の電池を用いて、64mAの電流値で、
(6)充電電気量が、480mAhに達する。
(7)充電中の電池電圧が2.2Vに達する。
(8)充電中の電池電圧が、極大値から50mV低下する(−ΔV=50mV)。
のいずれかに該当するまで充電を行い、次いで、64mAの電流値で、
(9)放電中の電池電圧が1.0Vに達する。
(10)放電電気量が、480mAhに達する。
のいずれかに該当するまで放電を行う充放電サイクルを繰り返し、1サイクル目(初度)と、以後10サイクル経過する毎に放電容量を測定して充放電サイクル特性を評価した。
測定された各電池の放電容量について、それぞれの電池の初度の放電容量を100としたときの相対値で表した結果を図2に示す。
図2に示す通り、実施例1および実施例3〜4の二次電池では、充放電を20〜30サイクル繰り返しても、大きな容量を十分に維持できていた。これに対し、比較例1の電池では、図2に示す通り、充放電サイクルの開始後すぐに容量低下が始まり、容量を十分に維持できなくなった。
本願で開示する二次電池は、充放電サイクル特性に優れ、各種の電子機器(特に携帯電話やノート型パソーソナルコンピュータ等のポータブル電子機器)の電源用途に、好ましく用いることができる。

Claims (9)

  1. 亜鉛系材料と、アルカリ電解液に一部が溶解するアルミニウム酸化物とを含む二次電池用負極であって、
    前記アルミニウム酸化物は、8mol/Lの水酸化カリウム水溶液に対する溶出割合が、質量比で5〜30%であることを特徴とする二次電池用負極。
  2. 亜鉛系材料と、アルカリ電解液に一部が溶解するアルミニウム酸化物とを含む二次電池用負極であって、
    前記アルミニウム酸化物は、χ−アルミナを含むことを特徴とする二次電池用負極。
  3. 亜鉛系材料と、アルカリ電解液に一部が溶解するアルミニウム酸化物とを含む二次電池用負極であって、
    前記アルミニウム酸化物は、γ−アルミナを含むことを特徴とする二次電池用負極。
  4. 前記亜鉛系材料が、亜鉛、亜鉛合金および酸化亜鉛から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載の二次電池用負極。
  5. 前記亜鉛系材料の総含有量と、前記アルミニウム酸化物の含有量との合計量中、前記アルミニウム酸化物の割合が、5〜30質量%である請求項1〜4のいずれかに記載の二次電池用負極。
  6. 前記アルミニウム酸化物の数平均粒子径が、10〜300μmである請求項1〜5のいずれかに記載の二次電池用負極。
  7. 前記アルミニウム酸化物の比表面積が、1〜500m2/gである請求項1〜6のいずれかに記載の二次電池用負極。
  8. 前記アルミニウム酸化物のpHが、9.0未満である請求項1〜7のいずれかに記載の二次電池用負極。
  9. 正極、負極、セパレータおよびアルカリ電解液を含む二次電池であって、
    前記負極が、請求項1〜8のいずれかに記載の二次電池用負極であることを特徴とする二次電池。
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