JP2019160793A - 二次電池用負極合剤組成物、二次電池用負極の製造方法、および二次電池の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 二次電池用負極の生産性を高め得る負極合剤組成物、前記負極合剤組成物を用いた二次電池用負極の製造方法および二次電池の製造方法を提供する。【解決手段】 本発明の二次電池用負極合剤組成物は、酸化亜鉛、バインダ、導電助剤、水溶性高分子材料および溶媒を含有し、前記溶媒を除く全成分中の前記水溶性高分子材料の含有量が、0.02〜0.2質量%であることを特徴とするものである。本発明の二次電池用負極の製造方法は、本発明の二次電池用負極合剤組成物を用いて、厚みが1mm以上の前記負極合剤層を形成する工程を有することを特徴とし、本発明の二次電池の製造方法は、正極、負極、セパレータおよび電解質を有する二次電池を製造するにあたり、本発明の製造方法によって得られた二次電池用負極を前記負極として用いることを特徴とする。【選択図】 図1
Description
本発明は、二次電池用負極の生産性を高め得る負極合剤組成物、前記負極合剤組成物を用いた二次電池用負極の製造方法および二次電池の製造方法に関するものである。
アルカリ性の水溶液からなる電解液を使用したアルカリ電池は、一次電池として広く一般に使用されている。また、その一方で、前記のようなアルカリ電池を、二次電池として利用することも検討されている。
アルカリ二次電池の負極としては、例えば亜鉛や亜鉛合金、酸化亜鉛などの粒子を含む電解液を、カルボキシメチルセルロース(CMC)などの増粘剤を用いてゲル状としたゲル状負極が一般的であるが、このような負極の他にも、亜鉛酸化物(酸化亜鉛)とカーボンブラックとを含有し、CMCなどを結合剤として形成された層を、集電体の表面に形成した形態のものも知られている(特許文献1)。
ところで、二次電池においては、一般的な課題としてエネルギー密度を高めることが求められている。これを達成する手法としては、例えば、電極における活物質を含有する層(合剤層)を厚くして、電池内に収容する活物質量を多くすることが考えられる。ところが、酸化亜鉛を活物質として含有する負極合剤層を有する負極において、厚い負極合剤層を形成しようとすると、負極合剤層に割れが生じたり、集電体も使用している場合には負極合剤層が集電体から剥離したりしやすく、高い生産性で負極を製造することが困難であった。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、二次電池用負極の生産性を高め得る負極合剤組成物、前記負極合剤組成物を用いた二次電池用負極の製造方法および二次電池の製造方法を提供することにある。
本発明の二次電池用負極合剤組成物は、二次電池用負極の製造に用いられる合剤組成物であって、酸化亜鉛、バインダ、導電助剤、水溶性高分子材料および溶媒を含有し、前記溶媒を除く全成分中の前記水溶性高分子材料の含有量が、0.02〜0.2質量%であることを特徴とするものである。
また、本発明の二次電池用負極の製造方法は、負極合剤層を有する二次電池用負極を製造する方法であって、本発明の二次電池用負極合剤組成物を用いて、厚みが1mm以上の前記負極合剤層を形成する工程を有することを特徴とする。
更に、本発明の二次電池の製造方法は、正極、負極、セパレータおよび電解質を有する二次電池を製造する方法であって、本発明の製造方法によって製造された二次電池用負極を、前記負極として用いることを特徴とする。
本発明によれば、二次電池用負極の生産性を高め得る負極合剤組成物、前記負極合剤組成物を用いた二次電池用負極の製造方法および二次電池の製造方法を提供することができる。
また、本発明法によって製造される二次電池は、厚い負極合剤層を有する負極を備えつつ、優れた放電特性や充放電サイクル特性を確保できる。
酸化亜鉛を活物質として含有し、例えば厚みが1mm以上の負極合剤層を有する負極においては、前記の通り、良好な生産性で製造することが困難である。
そこで、本発明では、二次電池用負極を製造するための負極合剤組成物において、酸化亜鉛、バインダ、導電助剤および溶媒を使用することに加えて、微量の水溶性高分子材料を添加することとし、これによって、厚い負極合剤層を形成しても、割れや集電体からの剥離の発生を抑制することを可能とした。
本発明において、前記の効果が確保できる理由は定かではないが、以下の理由によるものではないかと推測している。本発明の二次電池用負極合剤組成物(以下、単に「負極合剤組成物」という場合がある)を用いて負極を製造するに際しては、例えば、負極合剤組成物をシート状に成形した後に、必要に応じて集電体と貼り合わせるなどするが、水溶性高分子材料の作用によって、負極合剤組成物中の水分量が全体にわたって良好に均一化され、これが、成形した負極合剤層の割れ抑制や、負極合剤層と集電体との剥離抑制に関与しているものと考えられる。
また、前記の作用によって、形成した負極合剤シート(負極合剤層)の全体にわたって均一性(例えば特定のサイズに分割した場合の領域ごとの質量の均一性)も高まるため、多数の負極を生産した場合に、個々の負極同士の特性のばらつきも抑制できると考えられる。
なお、特許文献1に記載の負極で使用されているように、CMCなどの水溶性高分子材料を、結合材としての機能が発現する程度の量で使用すると、負極合剤層の抵抗が大きくなるため、負極合剤層を厚くした場合、機能しない活物質の割合が多くなって、例えば本来備えている容量を十分に引き出すことが困難となることから、負極合剤層を薄くする必要がある。しかしながら、本発明の負極合剤組成物においては、水溶性高分子材料を、特許文献1に記載の負極で使用されているような結合材としての機能が発現し難く、また、ゲル状負極で使用されているような増粘作用が発現し難い程度の微量で使用するため、負極合剤層の抵抗増大を抑えることができ、1mm以上と厚くしても負極合剤層中の多くの活物質を良好に機能させることが可能となる。よって、本発明の負極合剤組成物を用いて得られる負極を備えた二次電池(本発明法によって製造される二次電池)は、厚い負極合剤層を有する負極を備えつつ、良好な放電特性や充放電サイクル特性を確保することができる。
負極合剤組成物に使用可能な水溶性高分子材料としては、CMC(カルボキシメチルセルロース);PVA(ポリビニルアルコール);PVP(ポリビニルピロリドン);PAA(ポリアクリル酸);ポリカルボン酸アンモニウム塩;レシチン;サポニンなどの配糖体やキサンタンガムなどの多糖類などで例示される糖類;PEO(ポリエチレンオキシド)、スクロースポリエーテルポリオール、ポリオキシプロピレンソルビトールエーテル、トリメチロールプロパンポリエーテルポリオール、ペンタエリスリトールポリエーテルポリオールなどのポリエーテルポリオール;などが挙げられる。負極合剤含有組成物は、水溶性高分子材料を2種以上含有していてもよい。
前記水溶性高分子材料として、カルボキシメチルセルロースおよびポリエーテルポリオールのうちの少なくとも一方を含有することが好ましく、カルボキシメチルセルロースおよびポリエーテルポリオールの両方を含有することがより好ましい。
負極合剤組成物中の水溶性高分子材料の含有量は、抵抗の増大を抑制しつつ厚い負極合剤層の形成を可能とする観点から、溶媒を除く全成分(以下、「固形分」という)中の量で、0.2質量%以下であり、0.15質量%以下であることが好ましい。また、水溶性高分子材料による二次電池用負極の生産性向上効果を良好に確保する観点から、固形分中の水溶性高分子材料の含有量は、0.02質量%以上であり、0.05質量%以上であることが好ましい。水溶性高分子材料を2種以上含有している場合は、その総量が前記範囲内となることが好ましい。
負極合剤組成物において、活物質となる酸化亜鉛は、その数平均粒子径が、0.01μm以上であることが好ましく、0.05μm以上であることがより好ましく、10μm以下であることが好ましく、1μm以下であることがより好ましい。
酸化亜鉛の数平均粒子径は、例えば、レーザー散乱粒度分布計(例えば、HORIBA社製「LA−920」)を用い、酸化亜鉛を溶解しない媒体に、酸化亜鉛を分散させて測定することができる(後述する実施例に記載の値は、この方法で測定したものである)。
負極合剤組成物の固形分中の、活物質となる酸化亜鉛の含有量は、85〜99質量%であることが好ましい。
負極合剤組成物に使用するバインダとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素樹脂;スチレンブタジエンゴム(SBR);などが挙げられ、フッ素樹脂が好ましく、PTFEがより好ましい。
負極合剤組成物の固形分中のバインダの含有量は、0.1〜2質量%であることが好ましい。特にバインダとしてフッ素樹脂を使用した場合、その含有量が多すぎると、負極合剤組成物や負極合剤層の撥水性が強くなり、生産性の低下や電池反応の不均一化が起こる虞がある。
負極合剤組成物に使用する導電助剤としては、アセチレンブラック;ケッチェンブラック;チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック類;炭素繊維;黒鉛;などの炭素材料、スズ、ビスマス、銀、銅などの金属の粉体や繊維状物などが挙げられる。
負極合剤組成物の固形分中の導電助剤の含有量は、0.01〜5質量%であることが好ましい。
負極合剤組成物の溶媒には、通常、水が使用されるが、酸化亜鉛を均一に分散させたり、バインダを均一に溶解または分散させたり、界面張力を制御したりするなどの目的で、アルコール類(メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)など水以外の溶媒を適宜加えることもできる。また、負極合剤組成物の溶媒として、電池の電解液として使用される電解質塩を含む水溶液を使用してもよい。
負極合剤組成物の固形分濃度(溶媒以外の全成分の合計含有量)は、75〜95質量%であることが好ましい。
負極合剤組成物の調製方法については、特に制限はなく、酸化亜鉛、バインダおよび導電助剤を合剤組成物中に均一に分散でき、水溶性高分子材料を合剤組成物中に均一に分散させ得る方法を採用すればよい。
本発明の二次電池用負極(以下、単に「負極」という)の製造方法は、本発明の負極合剤組成物を用いて、厚みが1mm以上の負極合剤層を形成する工程を有している。
負極合剤層は、例えば、負極合剤組成物をロール圧延するなどしてシート状に成形することで形成できる。負極を得るに当たっては、形成した負極合剤層(負極合剤シート)は、例えば、負極集電体と貼り合わせればよい。
なお、得られた負極合剤層(負極合剤シート)中には、負極合剤組成物中の溶媒以外の成分が、ほぼそのまま残存するため、負極合剤層中の各成分の割合は、負極合剤組成物の各成分の全固形分中の含有量とほぼ同じとなる。
負極合剤層の厚みは、本発明法によって製造される負極を用いた二次電池のエネルギー密度を高める観点から、1mm以上であり、1.5mm以上であることが好ましい。また、負極合剤層の厚みの上限値は、例えば10mmであることが好ましい。
負極の集電体としては、ニッケル、銅、ステンレス鋼などの金属の網、箔、エキスパンドメタル、パンチングメタル、発泡金属;カーボンのシート、網;などが挙げられ、錫や鉛、インジウムなどの水素過電圧の高い材料で、めっきなどの被覆がされていることが好ましい。負極の集電体の厚みは、5〜300μmであることが好ましい。
また、本発明法によって製造される負極を用いた二次電池においては、後述するように、シート状外装体を適用することができるが、このシート状外装体の内面となることが予定されている面(負極合剤層となるシートと接する面)にカーボンペーストを塗布して集電体としたり、シート状外装体を構成する金属層(後述する)を集電体としたりすることもできる。
負極には、常法に従って、負極が使用される二次電池を適用する機器と電気的に接続するための外部端子を設けることができる。
負極は、負極合剤層の面積当たりの容量が、150mAh/cm2以上であることが好ましく、300mAh/cm2以上であることがより好ましい。このような容量の負極を用いることで、高エネルギー密度の二次電池を得ることができる。
負極合剤層の面積当たりの容量は、負極合剤層の厚みおよび充填密度の調整(それに伴う負極合剤層の単位面積当たりの負極活物質の量の調整)によって、前記の値に制御することができる。負極活物質については、その種類毎に固有の容量を有することが知られており、その値も公表されているため、負極合剤層の単位面積当たりの容量の算出に際しては、この値を使用する。
なお、負極合剤層の充填密度は、1.8〜2.8g/cm3がよく、2.1〜2.4g/cm3が好ましい。充填密度を大きくしすぎると、負極合剤層の空隙率が低くなりすぎて、負極合剤層中に電解質が浸透し難くなり、却って電池の特性が低下する虞がある。
本発明の二次電池の製造方法は、正極、負極、セパレータおよび電解質を有する二次電池を製造するにあたり、負極として、本発明の製造方法によって製造された負極を使用する。なお、本発明法によって製造される二次電池は、本発明の製造方法によって製造された負極を備えたものであればよく、正極、セパレータおよび電解質などの構成については、特に限定はされず、アルカリ二次電池や空気二次電池などで用いられている汎用の正極、セパレータおよび電解質などを使用することができる。
二次電池がアルカリ二次電池の場合、その正極には、例えば、正極活物質、導電助剤およびバインダを含有する正極合剤層を集電体の片面または両面に有する構造のものが使用できる。
二次電池がアルカリ二次電池の場合に使用可能な正極活物質としては、酸化銀(酸化第一銀、酸化第二銀など);二酸化マンガンなどのマンガン酸化物;オキシ水酸化ニッケル;銀とコバルト、ニッケルまたはビスマスとの複合酸化物;などが挙げられる。
正極合剤層に係る導電助剤には、例えば、アセチレンブラック;ケッチェンブラック;チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなどのカーボンブラック類;炭素繊維;などの炭素材料の他、金属繊維などの導電性繊維類;フッ化カーボン;銅、ニッケルなどの金属粒子類;ポリフェニレン誘導体などの有機導電性材料;などを用いることができる。
正極合剤層に係るバインダとしては、例えば、フッ素樹脂(PVDF、PTFEなど)、SBR、CMC、ポリビニルピロリドン(PVP)などが挙げられる。
正極合剤層中の組成としては、正極活物質の量が80〜98質量%であることが好ましく、導電助剤の含有量が1.5〜10質量%であることが好ましく、バインダの含有量が0.5〜10質量%であることが好ましい。また、正極合剤層の厚み(集電体の片面あたりの厚み)は、1〜20mmであることが好ましい。
正極合剤層を有する正極は、例えば、正極活物質、導電助剤およびバインダなどを水またはN−メチル−2−ピロリドン(NMP)などの有機溶媒に分散させて正極合剤含有組成物(スラリー、ペーストなど)を調製し(バインダは溶媒に溶解していてもよい)、これを集電体上に塗布した後、乾燥し、必要に応じてカレンダ処理などのプレス処理を施す工程を経て製造することができる。
また、二次電池が空気二次電池の場合の正極には、触媒層を有するもの、例えば、触媒層と集電体とを積層した構造のものを使用することができる。
触媒層には、触媒やバインダなどを含有させることができる。
触媒層に係る触媒としては、例えば、銀、白金族金属またはその合金、遷移金属、Pt/IrO2などの白金/金属酸化物、La1−xCaxCoO3などのペロブスカイト酸化物、Ca2Fe2O5、Ca2FeCoO5などのブラウンミラーライト型遷移金属酸化物、WCなどの炭化物、Mn4Nなどの窒化物、二酸化マンガンなどのマンガン酸化物、カーボン〔黒鉛、カーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラックなど)、木炭、活性炭など〕など公知の材料が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上が使用される。
なお、触媒層は、電解液の成分を除く重金属の含有量が、1質量%以下であることが好ましい。重金属の含有量が前記のように少ない触媒層を有する正極の場合、特別な処理などを経ずに廃棄しても環境負荷が小さい電池とすることができる。
本明細書でいう触媒層中の重金属の含有量は、蛍光X線分析により測定することができる。例えば、リガク社製「ZSX100e」を用い、励起源:Rh50kV、分析面積:φ10mmの条件で測定することができる。
よって、触媒層に係る触媒には、重金属を含有していないものが推奨され、前記の各種カーボンを使用することがより好ましい。
触媒層に係るバインダとしては、PVDF、PTFE、フッ化ビニリデンの共重合体やテトラフルオロエチレンの共重合体〔フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(PVDF−HFP)、フッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(PVDF−CTFE)、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体(PVDF−TFE)、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン共重合体(PVDF−HFP−TFE)など〕などのフッ素樹脂バインダなどが挙げられる。これらの中でも、テトラフルオロエチレンの重合体(PTFE)または共重合体が好ましく、PTFEがより好ましい。
触媒層を有する正極の場合、例えば、前記触媒、バインダなどを水と混合してロールで圧延し、集電体と密着させることにより製造することができる。また前記の触媒や必要に応じて使用するバインダなどを、水や有機溶媒に分散させて調製した触媒層形成用組成物(スラリー、ペーストなど)を、集電体の表面に塗布し乾燥した後に、必要に応じてカレンダ処理などのプレス処理を施す工程を経て製造することもできる。
正極合剤層を有する正極や触媒層を有する正極に係る集電体には、例えば、チタン、ニッケル、ステンレス鋼、銅などの金属の網、箔、エキスパンドメタル、パンチングメタル;カーボンの網、シート;などを用いることができる。
また、正極の集電体には、後述するように、シート状外装体を適用することができるが、このシート状外装体の内面となることが予定されている面にカーボンペーストを塗布して用いたり、シート状外装体を構成する金属層(後述する)を用いたりすることもできる。
正極には、常法に従って、二次電池を適用する機器と電気的に接続するための外部端子を設けることができる。
二次電池のセパレータとしては、樹脂製の多孔質膜(微多孔膜、不織布など)や、セロファンフィルムに代表される半透膜などの、各種電池で一般的に採用されているセパレータが挙げられる。なお、特に二次電池が空気二次電池の場合には、短絡防止および負荷特性を向上させる観点からは、アニオン伝導膜や半透膜をセパレータに使用することが好ましい。
樹脂製の多孔質膜からなるセパレータを構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン−プロピレン共重合体などのポリオレフィンなどが挙げられる。
樹脂製のセパレータの場合、空孔率は30〜80%であることが好ましく、また、厚みは10〜100μmであることが好ましいが、複数枚重ねてもよい。
また、セロファンフィルムなどの半透膜をセパレータに使用する場合、半透膜のみでセパレータを構成してもよい。しかしながら、半透膜は強度が小さいため、電池組み立て時の破損などの問題が発生しやすい。よって、例えば、幹ポリマーであるポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)に(メタ)アクリル酸またはその誘導体が、グラフト重合した形態の重合体で構成されるグラフトフィルムと、半透膜とを積層した積層体でセパレータを構成することも推奨される。なお、前記の「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸とメタクリル酸とを纏めて表現したものである。
セロファンフィルムのみで構成されるセパレータの場合、その厚みは、例えば、15μm以上であることが好ましく、また、40μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましい。
更に、グラフトフィルムとセロファンフィルムとの積層体で構成されるセパレータの場合、グラフトフィルムとセロファンフィルムとの合計厚みで、例えば、30μm以上であることが好ましく、40μm以上であることがより好ましく、また、70μm以下であることが好ましく、60μm以下であることがより好ましい。
更に、グラフトフィルムとセロファンフィルムの積層体で構成されるセパレータの場合、グラフトフィルムの厚みは、例えば、15μm以上であることが好ましく、25μm以上であることがより好ましく、また、30μm以下であることが好ましい。
セパレータを構成するためのグラフトフィルムとセロファンフィルムとの積層体としては、例えば、株式会社ユアサメンブレンシステムから「YG9132」や「YG9122」、「YG2152」の名称で市販されているものが挙げられる。
また、セロファンフィルムや、セロファンフィルムおよびグラフトフィルムと、ビニロン−レーヨン混抄紙のような吸液層(電解液保持層)とを組み合わせてセパレータを構成してもよい。このような吸液層の厚みは20〜500μmであることが好ましい。
二次電池の電解質には、例えば電解質塩を含有する水溶液が使用される。電解質として使用される水溶液は、イオン伝導性の点から強アルカリである高pH(例えばpH14以上)のアルカリ電解液が好ましく用いられるが、より低いpH、例えば中性や弱酸性の電解液を使用することもできる。その場合は、前記のような高pHの水溶液を用いた場合に比べて、二次電池の廃棄時や使用時の破損などで人体に電解質が付着しても問題が生じ難く、高い安全性が確保できると共に、廃棄後の環境への負荷の低減を図ることができる。
電解質として使用される前記水溶液に溶解させる電解質塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化アンモニウムや塩化亜鉛などの塩化物;アルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウムなど)、酢酸塩(酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸マグネシウムなど)、硝酸塩(硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、硝酸マグネシウムなど)、硫酸塩(硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウムなど)、リン酸塩(リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸マグネシウムなど)、ホウ酸塩(ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸マグネシウムなど)、クエン酸塩(クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸マグネシウムなど)、グルタミン酸塩(グルタミン酸ナトリウム、グルタミン酸カリウム、グルタミン酸マグネシウムなど);アルカリ金属の炭酸水素塩(炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなど);アルカリ金属の過炭酸塩(過炭酸ナトリウム、過炭酸カリウムなど);フッ化物などのハロゲンを含む化合物;多価カルボン酸;などが挙げられ、前記水溶液は、これらの電解質塩のうちの1種または2種以上を含有していればよい。
前記水溶液における電解質塩の濃度は、例えば、前記水溶液の導電率を80〜700mS/cm程度に調整できる濃度であればよく、通常は、5〜50質量%である。
電解質として使用される前記水溶液には、その溶媒(水または水と水溶性高沸点溶媒との混合溶媒)中にインジウム化合物が溶解していることが好ましい。前記水溶液中にインジウム化合物が溶解している場合には、電池内での水素ガスの発生を良好に抑制することができる。
前記水溶液に溶解させるインジウム化合物としては、水酸化インジウム、酸化インジウム、硫酸インジウム、硫化インジウム、硝酸インジウム、臭化インジウム、塩化インジウムなどが挙げられる。
インジウム化合物の前記水溶液中の濃度は、質量基準で、0.005%以上であることが好ましく、0.01%以上であることがより好ましく、0.05%以上であることが特に好ましく、また、1%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがより好ましく、0.1%以下であることが特に好ましい。
前記水溶液には、前記の各成分の他に、必要に応じて公知の各種添加剤を添加してもよい。
二次電池の形態については特に制限はなく、外装缶と封口板とをガスケットを介してカシメ封口したり、外装缶と封口板とを溶接して封口したりする電池ケースを有する扁平形(コイン形、ボタン形を含む);樹脂フィルム製のシート状外装体を有するシート形;有底筒形の外装缶と封口板とをガスケットを介してカシメ封口したり、外装缶と封口板とを溶接して封口したりする電池ケースを有する筒形〔円筒形、角形(角筒形)〕;など、いずれの形態とすることもできる。
シート状外装体を構成する樹脂フィルムとしては、ナイロンフィルム(ナイロン66フィルムなど)、ポリエステルフィルム〔ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなど〕などが挙げられる。樹脂フィルムの厚みは、20〜100μmであることが好ましい。
なお、シート状外装体の封止は、シート状外装体の上側の樹脂フィルムの端部と下側の樹脂フィルムの端部との熱融着によって行うことが一般的であるが、この熱融着をより容易にする目的で、前記例示の樹脂フィルムに熱融着樹脂層を積層してシート状外装体に用いてもよい。熱融着樹脂層を構成する熱融着樹脂としては、変性ポリオレフィンフィルム(変性ポリオレフィンアイオノマーフィルムなど)、ポリプロピレンおよびその共重合体などが挙げられる。熱融着樹脂層の厚みが20〜100μmであることが好ましい。
また、樹脂フィルムには金属層を積層してもよい。金属層は、アルミニウムフィルム(アルミニウム箔。アルミニウム合金箔を含む。)、ステンレス鋼フィルム(ステンレス鋼箔。)などにより構成することができる。金属層の厚みが10〜150μmであることが好ましい。
また、シート状外装体を構成する樹脂フィルムは、前記の熱融着樹脂層と前記の金属層とが積層された構成のフィルムであってもよい。
シート状外装体の形状は、平面視で多角形(三角形、四角形、五角形、六角形、七角形、八角形)であってもよく、平面視で円形や楕円形であってもよい。なお、平面視で多角形のシート状外装体の場合、正極外部端子および負極外部端子は、同一辺から外部へ引き出してもよく、それぞれを異なる辺から外部へ引き出しても構わない。
また、カシメ封口を行う形態の外装体を使用する場合、外装缶と封口板との間に介在させるガスケットの素材には、ポリプロピレン、ナイロンなどを使用できるほか、電池の用途との関係で耐熱性が要求される場合には、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA)などのフッ素樹脂、ポリフェニレンエーテル(PEE)、ポリスルフォン(PSF)、ポリアリレート(PAR)、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの融点が240℃を超える耐熱樹脂を使用することもできる。また、電池が耐熱性を要求される用途に適用される場合、その封口には、ガラスハーメチックシールを利用することもできる。
二次電池が空気二次電池の場合、外装体には正極(空気極)へ空気を取り込むための空気孔を形成する。空気孔の数については特に制限はなく、空気電池が良好に放電できる程度の空気を取り込み得るような数とすればよい。また、空気孔の形状についても特に制限はなく、平面視で円形の他、楕円形や多角形(三角形、四角形など)としてもよい。
また、二次電池が空気二次電池の場合、空気孔から電池内部への水分の浸入を防止するために、正極(空気極)と外装体との間に撥水膜を配置することが好ましい。撥水膜には撥水性がある一方で空気を透過できる膜が使用され、具体的には、例えば、PTFEなどのフッ素樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン;などの樹脂で構成された膜を用いることができる。撥水膜の厚みは、50〜250μmであることが好ましい。
また、二次電池が空気二次電池の場合には、外装体と撥水膜との間に、外装体内に取り込んだ空気を正極に供給するための空気拡散膜を配置してもよい。空気拡散膜には、セルロース、ポリビニルアルコール、ポリプロピレン、ナイロンなどの樹脂で構成された不織布を用いることができる。空気拡散膜の厚みは、100〜250μmであることが好ましい。
本発明法によって製造される二次電池は、汎用のアルカリ二次電池や空気二次電池などと同じ用途に適用することができる。
以下、実施例に基づいて本発明を詳細に述べる。ただし、下記実施例は、本発明を制限するものではない。
実施例1
<負極の作製>
酸化亜鉛(数平均粒子径が0.6μm):93.4質量%、CMC:0.1質量%、PTFE:1.5質量%およびアセチレンブラック:5質量%を水と混合して、固形分濃度が78.2質量%の負極合剤組成物を調製した。この負極合剤組成物を、自公転ミキサーにて、2000rpmで5分間混合した後、得られた塊状合剤について、ロールプレス機にて複数回、厚み0.8mmの隙間を通して延伸し、塊状にすることを繰り返した後、ロールプレスの間隙を調整して、厚み1.2mmのシート状に調整し、これを切断して20mm×20mmの四角形の負極合剤シート(負極合剤層)を得た。
<負極の作製>
酸化亜鉛(数平均粒子径が0.6μm):93.4質量%、CMC:0.1質量%、PTFE:1.5質量%およびアセチレンブラック:5質量%を水と混合して、固形分濃度が78.2質量%の負極合剤組成物を調製した。この負極合剤組成物を、自公転ミキサーにて、2000rpmで5分間混合した後、得られた塊状合剤について、ロールプレス機にて複数回、厚み0.8mmの隙間を通して延伸し、塊状にすることを繰り返した後、ロールプレスの間隙を調整して、厚み1.2mmのシート状に調整し、これを切断して20mm×20mmの四角形の負極合剤シート(負極合剤層)を得た。
前記の負極合剤シートを2枚用意し、集電体である20mm×23mmに切断した100メッシュの網目を有する銅製の金網を中心に挟んで、ロールプレス機にて、2.3mmの間隙を通して成形した後、負極合剤シートが重なっていない集電体の露出部に厚み:100μm、幅:3mmの銅製のリードを溶接して電流取り出し部を形成することにより、厚みが2mmの負極合剤層を有する負極を得た。
前記の方法で17枚の負極を作製し、それぞれについて、負極合剤層の重量と、負極合剤層にひび割れが生じているものの割合とを調べた。負極合剤層の重量は、市販の電子天秤を用いて測定した電極の重量から、あらかじめ測定しておいた集電体の重量を減じることにより求め、その平均値および標準偏差を算出した。
<正極の作製>
水酸化ニッケル:89.8質量%、CMC:0.2質量%、一酸化コバルト:5質量%および、四酸化三コバルト:5質量%を水と混合して、固形分濃度が75質量%の正極合剤組成物を調製した。この正極合剤組成物を、自公転ミキサーにて、2000rpmで5分間混合した後、水酸化ニッケル:100質量部に対し、PTFEを0.9質量部の割合で追加して、2000rpmで30秒間混合した。得られた合剤を、一部に未塗布部が形成されるよう、厚み2mmの発泡ニッケルに充填し、80℃で1時間乾燥した後、ロールプレスにて、厚み1mmとした。これを切断し、25mm×25mmの四角形の正極合剤層形成部と、3mmの幅の集電体(発泡ニッケル)露出部とを持った電極とした。この電極を2枚重ねてロールプレスにより一体化し、集電体の露出部に厚み:100μm、幅:3mmのニッケルリードを溶接して電流取り出し部を形成することにより、厚みが2mmの正極を得た。
水酸化ニッケル:89.8質量%、CMC:0.2質量%、一酸化コバルト:5質量%および、四酸化三コバルト:5質量%を水と混合して、固形分濃度が75質量%の正極合剤組成物を調製した。この正極合剤組成物を、自公転ミキサーにて、2000rpmで5分間混合した後、水酸化ニッケル:100質量部に対し、PTFEを0.9質量部の割合で追加して、2000rpmで30秒間混合した。得られた合剤を、一部に未塗布部が形成されるよう、厚み2mmの発泡ニッケルに充填し、80℃で1時間乾燥した後、ロールプレスにて、厚み1mmとした。これを切断し、25mm×25mmの四角形の正極合剤層形成部と、3mmの幅の集電体(発泡ニッケル)露出部とを持った電極とした。この電極を2枚重ねてロールプレスにより一体化し、集電体の露出部に厚み:100μm、幅:3mmのニッケルリードを溶接して電流取り出し部を形成することにより、厚みが2mmの正極を得た。
<電解液の調製>
市販の4M水酸化カリウム水溶液に市販の酸化亜鉛を過剰に溶解し、室温で12時間以上攪拌した後、溶け残った酸化亜鉛を濾過することで、飽和濃度で酸化亜鉛を溶解させたアルカリ電解液を調製した。
市販の4M水酸化カリウム水溶液に市販の酸化亜鉛を過剰に溶解し、室温で12時間以上攪拌した後、溶け残った酸化亜鉛を濾過することで、飽和濃度で酸化亜鉛を溶解させたアルカリ電解液を調製した。
<アルカリ二次電池の組み立て>
作製した負極から負極合剤層のひび割れのないものを選び、前記の正極と、前記の電解液とを用いてアルカリ二次電池(モデルセル)を組み立てた。
作製した負極から負極合剤層のひび割れのないものを選び、前記の正極と、前記の電解液とを用いてアルカリ二次電池(モデルセル)を組み立てた。
セパレータに、30μmのグラフトフィルムを2枚と120μmのポリプロピレン不織布とを合わせて用い、前記負極と前記正極とを、このセパレータを挟んで重ね合わせて電極体を形成した。電極体がちょうど納まるように35mm×60mmに成形した2枚のポリプロピレンのシートを重ね、袋状に3辺を溶着して外装体を形成し、ここに電極体を挿入した後、50mm×50mm×8mmのアクリル板で両側から挟み込んで四隅をネジ止めした。そして、外装体内に前記電解液:3mlを注入して真空含浸させた後、外装体の残りの1辺を封止して、モデルセルを完成した。
実施例2
<負極の作製>
実施例1と同様にして作製した負極合剤シート1枚を、実施例1と同様の銅製の金網に重ね、ロールプレス機にて、1.2mmの間隙を通して成形した後、実施例1と同様にして銅製のリードを溶接して電流取り出し部を形成した。
<負極の作製>
実施例1と同様にして作製した負極合剤シート1枚を、実施例1と同様の銅製の金網に重ね、ロールプレス機にて、1.2mmの間隙を通して成形した後、実施例1と同様にして銅製のリードを溶接して電流取り出し部を形成した。
次いで、前記銅製の金網の前記負極合剤を有する面とは反対側にポリプロピレンシートを溶着して絶縁し、前記銅製の金網の一方の側に厚みが1mmの負極合剤層を有する負極を得た。
前記の方法で8枚の負極を作製し、実施例1と同様にして、負極合剤層の重量の平均値および標準偏差と、負極合剤層にひび割れが生じているものの割合とを調べた。
<正極の作製>
実施例1において作製した、25mm×25mmの四角形の正極合剤層形成部と、3mmの集電体(発泡ニッケル)露出部とを持った厚み1mmの電極を用い、前記集電体の露出部に、厚み:100μm、幅:3mmのニッケルリードを溶接して電流取り出し部を形成することにより、厚みが1mmの正極を得た。
実施例1において作製した、25mm×25mmの四角形の正極合剤層形成部と、3mmの集電体(発泡ニッケル)露出部とを持った厚み1mmの電極を用い、前記集電体の露出部に、厚み:100μm、幅:3mmのニッケルリードを溶接して電流取り出し部を形成することにより、厚みが1mmの正極を得た。
<電解液の調製>
4M水酸化カリウム水溶液に代えて8M水酸化カリウム水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にしてアルカリ電解液を調製した。
4M水酸化カリウム水溶液に代えて8M水酸化カリウム水溶液を用いた以外は、実施例1と同様にしてアルカリ電解液を調製した。
<アルカリ二次電池の組み立て>
作製した負極から負極合剤層のひび割れのないものを選び、この負極と、前記の正極と、前記の電解液とを用いた以外は、実施例1と同様にしてアルカリ二次電池(モデルセル)を組み立てた。
作製した負極から負極合剤層のひび割れのないものを選び、この負極と、前記の正極と、前記の電解液とを用いた以外は、実施例1と同様にしてアルカリ二次電池(モデルセル)を組み立てた。
実施例3
負極合剤組成物の固形分中、酸化亜鉛の割合を93.47質量%に変更し、CMCの割合を0.02質量%に変更し、更に水酸基値450のスクロースポリエーテルポリオールを0.01質量%含有させた以外は、実施例2と同様にして負極を作製し、負極合剤層の重量の平均値および標準偏差と、負極合剤層にひび割れが生じているものの割合とを調べた。更に、作製した負極から負極合剤層のひび割れのないものを選び、実施例2と同様にしてアルカリ二次電池(モデルセル)を組み立てた。
負極合剤組成物の固形分中、酸化亜鉛の割合を93.47質量%に変更し、CMCの割合を0.02質量%に変更し、更に水酸基値450のスクロースポリエーテルポリオールを0.01質量%含有させた以外は、実施例2と同様にして負極を作製し、負極合剤層の重量の平均値および標準偏差と、負極合剤層にひび割れが生じているものの割合とを調べた。更に、作製した負極から負極合剤層のひび割れのないものを選び、実施例2と同様にしてアルカリ二次電池(モデルセル)を組み立てた。
実施例4
負極合剤組成物の固形分中、酸化亜鉛の割合を93.39質量%に変更し、更に水酸基値450のスクロースポリエーテルポリオールを0.01質量%含有させた以外は、実施例2と同様にして負極を作製し、負極合剤層の重量の平均値および標準偏差と、負極合剤層にひび割れが生じているものの割合とを調べた。更に、作製した負極から負極合剤層のひび割れのないものを選び、実施例2と同様にしてアルカリ二次電池(モデルセル)を組み立てた。
負極合剤組成物の固形分中、酸化亜鉛の割合を93.39質量%に変更し、更に水酸基値450のスクロースポリエーテルポリオールを0.01質量%含有させた以外は、実施例2と同様にして負極を作製し、負極合剤層の重量の平均値および標準偏差と、負極合剤層にひび割れが生じているものの割合とを調べた。更に、作製した負極から負極合剤層のひび割れのないものを選び、実施例2と同様にしてアルカリ二次電池(モデルセル)を組み立てた。
実施例5
負極合剤組成物の固形分中、酸化亜鉛の割合を93.35質量%に変更し、更に水酸基値450のスクロースポリエーテルポリオールを0.05質量%含有させた以外は、実施例2と同様にして負極を作製し、負極合剤層の重量の平均値および標準偏差と、負極合剤層にひび割れが生じているものの割合とを調べた。更に、作製した負極から負極合剤層のひび割れのないものを選び、実施例2と同様にしてアルカリ二次電池(モデルセル)を組み立てた。
負極合剤組成物の固形分中、酸化亜鉛の割合を93.35質量%に変更し、更に水酸基値450のスクロースポリエーテルポリオールを0.05質量%含有させた以外は、実施例2と同様にして負極を作製し、負極合剤層の重量の平均値および標準偏差と、負極合剤層にひび割れが生じているものの割合とを調べた。更に、作製した負極から負極合剤層のひび割れのないものを選び、実施例2と同様にしてアルカリ二次電池(モデルセル)を組み立てた。
実施例6
負極合剤組成物の固形分中、酸化亜鉛の割合を93.3質量%に変更し、更に水酸基値450のスクロースポリエーテルポリオールを0.1質量%含有させた以外は、実施例2と同様にして負極を作製し、負極合剤層の重量の平均値および標準偏差と、負極合剤層にひび割れが生じているものの割合とを調べた。更に、作製した負極から負極合剤層のひび割れのないものを選び、実施例2と同様にしてアルカリ二次電池(モデルセル)を組み立てた。
負極合剤組成物の固形分中、酸化亜鉛の割合を93.3質量%に変更し、更に水酸基値450のスクロースポリエーテルポリオールを0.1質量%含有させた以外は、実施例2と同様にして負極を作製し、負極合剤層の重量の平均値および標準偏差と、負極合剤層にひび割れが生じているものの割合とを調べた。更に、作製した負極から負極合剤層のひび割れのないものを選び、実施例2と同様にしてアルカリ二次電池(モデルセル)を組み立てた。
実施例7
負極合剤組成物の固形分中、酸化亜鉛の割合を95.89質量%に変更し、アセチレンブラック:5質量%をケッチェンブラック:2.5質量%に変更し、更に水酸基値450のスクロースポリエーテルポリオールを0.01質量%含有させた以外は、実施例2と同様にして負極を6枚作製し、負極合剤層の重量の平均値および標準偏差と、負極合剤層にひび割れが生じているものの割合とを調べた。更に、作製した負極から負極合剤層のひび割れのないものを選び、実施例2と同様にしてアルカリ二次電池(モデルセル)を組み立てた。
負極合剤組成物の固形分中、酸化亜鉛の割合を95.89質量%に変更し、アセチレンブラック:5質量%をケッチェンブラック:2.5質量%に変更し、更に水酸基値450のスクロースポリエーテルポリオールを0.01質量%含有させた以外は、実施例2と同様にして負極を6枚作製し、負極合剤層の重量の平均値および標準偏差と、負極合剤層にひび割れが生じているものの割合とを調べた。更に、作製した負極から負極合剤層のひび割れのないものを選び、実施例2と同様にしてアルカリ二次電池(モデルセル)を組み立てた。
比較例1
負極合剤組成物の調製に際し、固形分中の酸化亜鉛の割合を93.5質量%とし、CMCを添加しなかった以外は、実施例1と同様にして負極を作製した。作製したそれぞれの負極について、実施例1と同様にして、負極合剤層の重量の平均値および標準偏差を算出し、また、負極合剤層にひび割れが生じているものの割合を調べた。
負極合剤組成物の調製に際し、固形分中の酸化亜鉛の割合を93.5質量%とし、CMCを添加しなかった以外は、実施例1と同様にして負極を作製した。作製したそれぞれの負極について、実施例1と同様にして、負極合剤層の重量の平均値および標準偏差を算出し、また、負極合剤層にひび割れが生じているものの割合を調べた。
更に、作製した負極から負極合剤層のひび割れのないものを選び、実施例1と同様にして、二次電池(モデルセル)を組み立てようとしたところ、負極合剤層と集電体との剥離が生じ、電池を組み立てることができなかった。
比較例2
負極合剤組成物の調製に際し、固形分中の酸化亜鉛の割合を93.25質量%とし、CMCの量を0.25質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして負極を作製した。更に、作製した負極から負極合剤層のひび割れのないものを選び、実施例1と同様にして二次電池(モデルセル)を組み立てた。
負極合剤組成物の調製に際し、固形分中の酸化亜鉛の割合を93.25質量%とし、CMCの量を0.25質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして負極を作製した。更に、作製した負極から負極合剤層のひび割れのないものを選び、実施例1と同様にして二次電池(モデルセル)を組み立てた。
比較例3
負極合剤組成物の調製に際し、固形分中の酸化亜鉛の割合を93質量%とし、CMCの量を0.5質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして負極を作製した。更に、作製した負極から負極合剤層のひび割れのないものを選び、実施例1と同様にして二次電池(モデルセル)を組み立てた。
負極合剤組成物の調製に際し、固形分中の酸化亜鉛の割合を93質量%とし、CMCの量を0.5質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして負極を作製した。更に、作製した負極から負極合剤層のひび割れのないものを選び、実施例1と同様にして二次電池(モデルセル)を組み立てた。
実施例1〜7および比較例1〜3に係る負極合剤シートの重量の平均値および標準偏差と、負極合剤層にひび割れが生じているものの割合とを、表1に示す。
また、実施例1および比較例2〜3の二次電池の充放電サイクル特性を、以下の方法によって評価した。
実施例1および比較例2〜3の各二次電池について、30mAの電流値で、
(1)充電電気量が、亜鉛の充填量から計算される負極の理論容量の50%に達する。
(2)充電中の電池電圧が2.5Vに達する。
(3)充電中の電池電圧が、極大値から100mV低下する(−ΔV=100mV)。
のいずれかに該当するまで充電を行い、次いで、30mAの電流値で、
(4)放電中の電池電圧が1.0Vに達する。
(5)放電電気量が、亜鉛の充填量から計算される負極の理論容量の50%に達する。
のいずれかに該当するまで放電を行う充放電サイクルを繰り返し、10サイクル毎に放電
容量を測定して充放電サイクル特性を評価した。
(1)充電電気量が、亜鉛の充填量から計算される負極の理論容量の50%に達する。
(2)充電中の電池電圧が2.5Vに達する。
(3)充電中の電池電圧が、極大値から100mV低下する(−ΔV=100mV)。
のいずれかに該当するまで充電を行い、次いで、30mAの電流値で、
(4)放電中の電池電圧が1.0Vに達する。
(5)放電電気量が、亜鉛の充填量から計算される負極の理論容量の50%に達する。
のいずれかに該当するまで放電を行う充放電サイクルを繰り返し、10サイクル毎に放電
容量を測定して充放電サイクル特性を評価した。
実施例1の電池の初度の放電容量を100としたときの、充放電サイクルに伴う各電池の放電容量の変化を図1に示す。
更に、実施例2〜7の二次電池について、40℃の雰囲気下で、前記と同様の方法で充放電サイクル特性を評価した。
各電池の初度の放電容量を100としたときの、充放電サイクルに伴う各電池の放電容量の変化を図2に示す。
表1に示す通り、負極合剤組成物中の水溶性高分子材料の含有量を適切な範囲とした実施例1〜7の負極では、負極合剤層の重量のバラつきが小さく、合剤層のひび割れなどの不良が発生し難く、この負極を用いて作製したアルカリ二次電池は、充放電サイクル特性に優れたものとなった。
一方、負極合剤組成物に水溶性高分子材料を含有させなかった比較例1の負極では、負極合剤層の重量のバラつきが大きく、また合剤層のひび割れなどの不良発生が多くなり、合剤層の剥離のため、電池の作製に問題が生じた。また、負極合剤組成物中の水溶性高分子材料の含有量が多すぎる比較例2の負極や、増粘作用または結着作用を生じさせるために通常使用される量で水溶性高分子材料を含有させた比較例3の負極を用いて作製したアルカリ二次電池では、水溶性高分子材料(CMC)に起因する負極(負極合剤層)の抵抗上昇のため、充放電サイクル特性が低下した。
Claims (6)
- 二次電池用負極の製造に用いられる合剤組成物であって、
酸化亜鉛、バインダ、導電助剤、水溶性高分子材料および溶媒を含有し、
前記溶媒を除く全成分中の前記水溶性高分子材料の含有量が、0.02〜0.2質量%であることを特徴とする二次電池用負極合剤組成物。 - 前記水溶性高分子材料として、カルボキシメチルセルロースおよびポリエーテルポリオールのうちの少なくとも一方を含有している請求項1に記載の二次電池用負極合剤組成物。
- 前記水溶性高分子材料として、カルボキシメチルセルロースおよびポリエーテルポリオールを含有している請求項2に記載の二次電池用負極合剤組成物。
- 前記バインダとして、フッ素樹脂を含有している請求項1〜3のいずれかに記載の二次電池用負極合剤組成物。
- 負極合剤層を有する二次電池用負極を製造する方法であって、
請求項1〜4のいずれかに記載の二次電池用負極合剤組成物を用いて、厚みが1mm以上の前記負極合剤層を形成する工程を有することを特徴とする二次電池用負極の製造方法。 - 正極、負極、セパレータおよび電解質を有する二次電池を製造する方法であって、
請求項5に記載の製造方法によって製造された二次電池用負極を、前記負極として用いることを特徴とする二次電池の製造方法。
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