JP2021191302A - リアグリップ竿体 - Google Patents

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Abstract

【課題】一体構成のリアグリップ部を備えた釣竿において、リアグリップ部のホールド感やグリップ力を確保しつつ更なる軽量化した釣竿の提供。【解決手段】中空のリアグリップ部31が一体的に径方向外側に膨出形成された竿体21を備えると共に、リールシート1を備えた釣竿であって、リアグリップ部31は、竿体21の中心に対して下側にオフセットしており、リアグリップ部31の断面形状は、左右対称の非円形状であって且つ、上面40の曲率半径が外接円の半径よりも大きい形状である。【選択図】図1

Description

本発明は、リアグリップ部が一体的に形成された中空の竿体を備えた釣竿に関する。
釣竿にリアグリップ部を備える場合、コルクや発泡樹脂から筒状のリアグリップ体を形成してそれを竿本体(ブランク)の後部外周面に装着することにより、筒状のリアグリップ体からリアグリップ部を構成することが多い。しかしながら、リアグリップ部を竿本体とは別体構成とすると、軽量化が困難となり、また、釣竿から手に伝わる感度も低下する。
これに対して、本出願人は中空のリアグリップ竿体の後部を大径化してリアグリップ部を一体的に形成した構成について既に提案している(下記特許文献1参照)。このようにリアグリップ部を竿本体に一体的に形成することによって、軽量化と高感度化を達成することができる。
ところで、リアグリップ部は、例えばキャスト時に、リールシートを把持している手とは反対側の手で把持される。例えば、右手で釣竿を把持する場合には、左手でリアグリップ部を把持していわゆるダブルハンドキャストを行うことができる。リアグリップ部が径方向外側に膨出した形状であるため、リアグリップ部をしっかりとホールドしてキャストすることができる。
リアグリップ部を把持した際に十分なホールド感やグリップ力を確保するためには、リアグリップ部をある程度大径化することが必要である。その一方、釣竿をできる限り軽量化したいという要望も強い。リアグリップ部は一体構成であって、別体構成に比して大幅に軽量化されているが、更なる軽量化も求められる。
特許第5721574号公報
本発明は、一体構成のリアグリップ部を備えた釣竿において、リアグリップ部のホールド感やグリップ力を確保しつつ更なる軽量化を図ることを課題とする。
本発明は上記課題を解決すべくなされたものであって、本発明に係る釣竿は、中空のリアグリップ部が一体的に径方向外側に膨出形成された竿体を備えると共に、リールシートを備えた釣竿であって、リアグリップ部は、竿体の中心に対して下側にオフセットしていることを特徴とする。尚、上下は、リールシートにリールを装着した状態における通常の使用状態を基準とする。通常、スピニングリールは釣竿の下側に位置し、両軸リールは釣竿の上側に位置する。
該構成の釣竿にリールを装着して釣りを行う際、例えば一方の手である右手でリールシートを把持し、他方の手である左手でリアグリップ部を把持して、ダブルハンドキャストすることができる。リアグリップ部を把持する際、リアグリップ部を下側から握ることになる。そして、リアグリップ部が下側にオフセットされて形成されているので、リアグリップ部における下側への膨出量が確保されていて掴みやすい。一方、リアグリップ部における上側への膨出量は逆に小さくなっており、リアグリップ部の全体としてのボリュームは、下側への膨出量の大きさの割に小さい。
特に、リアグリップ部の断面形状は、左右対称の非円形状であって且つ、上面の曲率半径が外接円の半径よりも大きい形状であることが好ましい。このような構成によれば、リアグリップ部の上面が平面に近い湾曲面となる。例えば魚のアタリを取るときや掛かった魚とやりとりを行う際に、リールシートを持つ手の前腕や肘をリアグリップ部の上面に当てで釣竿を支えることができる。このようにリアグリップ部の上面に肘等を当てることで、釣竿をリールシートを持つ手と肘等とでしっかりと固定することができる。従って、魚をフッキングする際や、掛かった魚とやりとりする際に、釣竿が安定する。また、リアグリップ部に肘等を当てることで、魚のアタリや、錘や仕掛けが海底や岩等に当たるときの様子を伝える振動が、リアグリップ部からも伝わってくる。上述のように、リアグリップ部の上面が平面に近い湾曲面になっていると、肘等を当てる面積が広くなってリアグリップ部の上面に肘等を当てやすくなり、釣竿を肘等でしっかりと支えることができて安定感が向上すると共に、アタリ等の振動も肘等に伝わりやすくなる。尚、上面の曲率半径は、断面形状における最上部近傍の曲率半径としてよい。
更に、リアグリップ部の下面の変曲点よりも後側の領域において、リアグリップ部の断面形状は、下側に向かって細くなった形状であることが好ましい。尚、竿先側を前側とし、竿尻側を後側とする。リアグリップ部の下面は、変曲点よりも前側においては前後方向に沿って上側凸に湾曲していて変曲点よりも後側においては前後方向に沿って下側凸に湾曲している。そして、この下面の変曲点よりも後側の領域において、リアグリップ部の断面形状が下側に向かって細くなった形状であると、下側への膨出量を確保しつつも全体のボリュームを抑制することができて軽量化できる。このように下側に向けて細くなった形状は、例えば、略逆三角形状や略逆台形状、略逆五角形状等があり、特に、略逆三角形状や略逆台形状とすれば、全体のボリュームを抑制しつつリアグリップ部の上面を平面に近い湾曲形状とすることができる。
また、リアグリップ部の下面の変曲点よりも後側の領域において、リアグリップ部の下面の曲率半径は、後側に向けて徐々に大きくなっていることが好ましい。リアグリップ部を把持する際、人差し指や中指では軽めに握り、薬指や小指でしっかりと握ることになる。そのため、薬指や小指が当たる後側の部分の下面の曲率半径を大きくして丸味を帯びた形状とすることで、しっかりと把持することができ、また把持した際の違和感も小さくなる。また、人差し指や中指が当たる前側の部分の下面の曲率半径を小さくすることで、人差し指や中指を当てた際に下面が周方向の引っ掛かりとなって、リアグリップ部に対して手が周方向に滑りにくくなる。尚、下面の曲率半径は、断面形状における最下部近傍の曲率半径としてよい。
また、リアグリップ部の下面の変曲点に角部が形成されていることが好ましい。角部は前後方向の曲率半径が局所的に小さくなった部分であるので、その角部の前側に例えば人差し指を引っ掛けるようにしてリアグリップ部を把持することができる。このように指を角部に引っ掛けることで、手が前後方向に滑りにくくなる。
また、本発明に係る釣竿は、中空のリアグリップ部が一体的に径方向外側に膨出形成された竿体を備えた釣竿であって、リアグリップ部は、竿体の中心に対してオフセットしていることを特徴とする。
以上のように、リアグリップ部をオフセットさせることで、リアグリップ部のホールド感やグリップ力を確保しつつ、より一層の軽量化が可能になる。
本発明の一実施形態における釣竿の要部を示す正面図。 同釣竿の要部であって、(a)は平面図、(b)は底面図。 同釣竿のリールシート近傍の縦断面図。 同釣竿のリアグリップ部近傍の縦断面図。 同釣竿のリアグリップ竿体の後端部の尻栓が装着される前の状態を示し、(a)は縦断面図、(b)は(a)のF矢視図。 (a)は図1のA−A端面図、(b)は図1のB−B端面図。 (a)は図1のC−C端面図、(b)は図1のD−D端面図。 図5(a)のE−E端面図。 本発明の他の実施形態における釣竿の要部を示す正面図。
以下、本発明の一実施形態に係る釣竿について図1〜図8を参酌しつつ説明する。本実施形態における釣竿は、リールを取り付けるためのリールシート1を備えたものである。該リールシート1は、パイプシートとも称される筒状のものであって、釣竿の竿本体(ブランク)に外装されて所定位置に移動不能に固定される。即ち、竿本体がリールシート1を挿通していて、リールシート1は、竿本体の外周面の所定位置に接着等により固定されている。尚、本実施形態におけるリールシート1は、スピニングリールを固定するためのものである。スピニングリールは通常の使用状態において釣竿の下側に位置する。そのため、使用状態に即して、リールが下側を向く状態を基準の状態として図示している。尚、以下の説明において、径方向外側を単に外側と、径方向内側を単に内側と称することがある。また、竿本体の中心線の方向を前後方向とし、竿先側を前側と、竿尻側を後側とする。スピニングリールが位置する側を下側とし、それとは180度反対側を上側とする。釣竿を上側あるいは下側から見たとき、前後方向と直交する方向を左右方向とする。
<リールシート1>
リールシート1は、筒状のリールシート本体3と、筒状の可動フード4と、固定ナット5とを備えている。リールシート本体3は、竿本体に移動不能に外装され、リール脚の一方の端部を固定するための固定フード部6を一体的に備えている。リールシート本体3の後端部側の外周面には雄ネジ部7が形成されていて、その雄ネジ部7に固定ナット5が螺着している。可動フード4は、リール脚の他方の端部を固定するためのものであって、リールシート本体3に前後方向に移動可能に装着されている。本実施形態において、固定フード部6が前側に位置してリール脚の前端部を保持し、可動フード4は後側に位置してリール脚の後端部を保持し、固定フード部6と可動フード4によってリール脚を前後に狭持する。固定ナット5は、可動フード4の後側に位置して、可動フード4を前後方向に移動させると共に所望の位置に固定する。尚、リールシート本体3の前部の外側には、発泡EVAやコルク等のグリップ素材からなる筒状のグリップ体8が装着されている。
<竿本体>
釣竿の種類は任意であって、並継ぎ竿や振出竿等であってよい。例えば、ワンピースロッドの場合には竿元から穂先まで連続した一本構造である。ツーピースロッドの場合には、釣竿は穂先側の一番竿と元側の二番竿とから構成され、元側の二番竿にリールシート1を備えることになる。本実施形態の釣竿は、ツーピースロッドであり、図示しない一番竿と、図1に示している二番竿とから構成される。
二番竿の竿本体は、二本の中空状の竿体が互いに前後に接合された構成となっている。即ち、竿本体は、前側に位置するメイン竿体20と後側に位置するリアグリップ竿体21とから構成される。リアグリップ竿体21の前部の内側にメイン竿体20の後部が挿入されて、メイン竿体20とリアグリップ竿体21が所定長さに亘って重ね合わせられて互いに連結されている。メイン竿体20とリアグリップ竿体21の重ね合わせ部を外側から覆うようにしてリールシート1が竿本体に装着されている。即ち、リアグリップ竿体21の前部にリールシート本体3が装着されている。リールシート本体3はリアグリップ竿体21の外周面に、直接接着されてもよいしスペーサを介して接着されてもよい。尚、グリップ体8は、リールシート本体3の前部の外側を覆っていると共にメイン竿体20も所定長さに亘って覆っている。竿本体は、各種形状のプリプレグを加熱焼成することによって形成される。プリプレグの強化繊維としてはカーボン繊維やガラス繊維等が使用できる。尚、メイン竿体20は中実状であってもよい。
<リアグリップ竿体21>
リアグリップ竿体21は、中空状のリアグリップ部31を一体的に備えた竿体である。リアグリップ部31は、リアグリップ竿体21の全長のうち後端部側の所定長さ領域が局所的に径方向外側に膨出形成されたものである。リアグリップ部31は、リールシート1から所定距離後側に離れて位置していて、リアグリップ竿体21の後端部を含む所定長さ領域を構成している。従って、リアグリップ部31は釣竿の竿尻部を構成している。リアグリップ部31は、釣竿を持っている手の肘や前腕を当てたり、両手でキャストする場合にはリールシート1を持つ手とは反対側の手で把持したりして使用される。リアグリップ部31の長さは任意であるが、片方の手で把持できる程度の長さであって、一般的な大人の手の人差し指から小指までの四本の指に相当する長さ以上が好ましい。
リアグリップ竿体21は、前後二つの領域からなり、リアグリップ竿体21の前部を構成する竿体主部30と、リアグリップ竿体21の後部を構成するリアグリップ部31とから構成されている。竿体主部30は、リアグリップ竿体21の前端部から所定長さ領域を構成しており、その長さはリアグリップ竿体21の全長のうち半分以上の長さを占めている。従って、竿体主部30はリアグリップ竿体21の主要部分を構成していて、リアグリップ部31よりも長い。竿体主部30は、径略一定のストレート部となっているが、勾配があってもよい。本実施形態において竿体主部30の内径は略一定であって、竿体主部30の外径も略一定であるが、竿体主部30にリールシート1が装着されるため、竿体主部30のうちリールシート1が装着される部分については補強層を設けて肉厚としてもよい。竿体主部30の断面形状は図6(a)のように円形状である。
<リアグリップ部31>
リアグリップ部31は、別体構成ではなくリアグリップ竿体21に一体的に形成された一体構成のものである。リアグリップ部31は、竿体主部30よりも大型であって、竿体主部30に対して径方向外側に膨出した形状となっている。リアグリップ部31は、竿体主部30に対して左右両側と下側に大きく膨出している一方、上側にはほとんど膨出していない。即ち、リアグリップ部31は、竿体主部30に対して、左右均等に膨出しているものの、上下均等には膨出しておらず、下側に偏重して膨出している。図6(b)〜図8に、リアグリップ部31の断面形状を示している。図6(b)〜図8において、リアグリップ部31の断面形状の内側には、竿体主部30の外周面を二点鎖線で示しており、また、竿体主部30の上下方向の中心線T1と左右方向の中心線T2を一点鎖線で示しており、更に、リアグリップ部31の断面形状の外側には、断面形状に外接する外接円100を二点鎖線で示している。
<リアグリップ部31の上面40>
リアグリップ部31の上面40は、竿体主部30の外周面に対してほとんど膨出しておらず僅かに膨出している程度に留まっている。従って、図1及び図4のようにリアグリップ部31を一方の側面から見たとき、リアグリップ部31の上面40は竿体主部30の外周面から略一直線状に延びているように見える程に、リアグリップ部31の上側への膨出量は小さい。リアグリップ部31の上面40の周方向の曲率半径は大きく、上面40は平面に近い湾曲面となっている。図6(b)〜図8に示すようなリアグリップ部31の断面形状において、リアグリップ部31の上面40の曲率半径は外接円100の半径よりも大きい。外接円100の直径はリアグリップ部31の後側ほど大きくなるが、その外接円100よりもリアグリップ部31の上面40の曲率半径は大きく、平面に近い湾曲形状となっている。
<リアグリップ部31の下面41>
一方、リアグリップ部31の下面41は、竿体主部30の外周面に対して下側に大きく膨出している。リアグリップ部31の下面41の前部には、竿体主部30の外周面と連続し、後側に向けて急な勾配で下側に膨出していく急膨出部42が形成されていて、リアグリップ部31の下面41の後部には、後側に向けて緩やかな勾配あるいは勾配0で下側に膨出していく下面主部43が形成されている。急膨出部42と下面主部43との境界部分は下面41の変曲点44となっていて、その変曲点44には、前後方向に沿った曲率半径が局所的に小さくなった角部が形成されている。変曲点44より前側の下面41(急膨出部42)は、前後方向に沿って上側凸に湾曲した凹状湾曲面となっていて、変曲点44より後側の下面41(下面主部43)は、前後方向に沿って下側凸に湾曲した凸状湾曲面となっている。
<リアグリップ部31の側面45>
リアグリップ部31の左右両側面45は、竿体主部30に対して左右対称に膨出している。リアグリップ部31の側面45の前部には、後側に向けて急な勾配で幅が広がっていく急拡張部46が形成されていて、リアグリップ部31の側面45の後部には、後側に向けて緩やかな勾配あるいは勾配0で幅が広がっていく側面主部47が形成されている。尚、側面主部47の前後方向の長さは、下面主部43の前後方向の長さよりも短く、側面主部47の前端部は下面主部43の前端部よりも後側に位置している。左右の側面主部47の竿体主部30からの膨出量は互いに略同じであって、且つ、下面主部43の竿体主部30からの膨出量とも略同じである。
<リアグリップ竿体21の断面形状の変化>
図6〜図8にリアグリップ竿体21の断面形状の変化の様子を示している。竿体主部30の断面形状は図6(a)のように円形状であるが、リアグリップ部31の断面形状は、円形状ではなく、左右対称の非円形状となっている。即ち、リアグリップ竿体21の断面形状は、竿体主部30からリアグリップ部31にかけて徐々に円形状から非円形状へと変化している。そして、リアグリップ部31においても、図6(b)〜図8のように断面形状は前側から後側に向けて徐々に変化している。
リアグリップ部31の前端部近傍における断面形状、即ち、下面41の変曲点44よりも前側の部分の断面形状は、図6(b)のように円形状に近い非円形状であるが、下面41の変曲点44における断面形状は、図7(a)のように、円形状とは大きく異なった左右対称の非円形状となっている。下面41の変曲点44における断面形状は、下側に向かって細くなった形状であって、略逆三角形状となっている。そこから後側に向けて主として左右方向に膨出していき、リアグリップ部31の中間位置近傍では、図7(b)のように断面形状は図7(a)に比して幅広となるものの略逆三角形状を維持している。但し、リアグリップ部31の下面41の周方向の曲率半径は、変曲点44から後側に向けて徐々に大きくなっていて、下面41(下面主部43)は後側に向けて徐々に丸くなっている。そして、図8のようにリアグリップ部31の後端部近傍においては、下面41の曲率半径が更に大きくなって下面41が更に丸味を帯びてきて、断面形状は略逆三角形状あるいは略逆台形状となっている。尚、上面40と左右両側面45との間の境界部分には、周方向の曲率半径が局所的に小さくなった角部48がそれぞれ形成されている。例えば断面形状が略逆三角形状の場合、上面が三角形の一つの辺を構成し、左右両側面が残る二つの辺を構成する。但し、上面40と左右両側面45は、何れも、平面ではなく、径方向外側に向けて湾曲した湾曲面となっている。上面40と左右両側面45との間の境界部分の角部58は、竿体主部30の中心C1よりも上側に位置している。
<オフセット>
また、図6(b)〜図8に竿体主部30の外周面を二点鎖線で示しているように、リアグリップ部31の断面形状に対して竿体主部30は相対的に上側に位置している。逆に言えば、リアグリップ部31は竿体主部30に対して下側にオフセットしており、リアグリップ部31の中心C2は、竿体主部30の中心C1よりも下側にオフセットした位置にある。尚、リアグリップ部31の中心C2は、リアグリップ部31の断面形状における重心位置であり、断面形状の変化によってリアグリップ部31の中心C2の位置は変化する。リアグリップ部31の各断面形状において、リアグリップ部31の中心C2は、竿体主部30の中心C1よりも下側に位置している。
<後端開口部と尻栓50>
図4及び図5のように、リアグリップ竿体21の後端部には尻栓50が装着されている。本実施形態においてリアグリップ竿体21の後端面21aはリアグリップ竿体21の中心線C1に対して直交した面ではなく、所定方向に沿って傾斜した傾斜面となっており、具体的には、上部が後側に位置し下部が前側に位置するように傾斜した傾斜面となっている。従って、リアグリップ部31の上面40は下面41よりも後側に延びている。このようにリアグリップ竿体21の後端面21aは斜めにカットされて形成されているが、その開口端面であるリアグリップ竿体21の後端面21aをその法線方向から見ると図5(b)のような形状となる。
リアグリップ竿体21の後端面21aが斜めにカットされた形状となっていることから、尻栓50もそれに対応した形状となっていて、リアグリップ竿体21から外部に露出している尻栓50の部分も傾斜している。尻栓50の構成は種々であってよいが、本実施形
態では、支持部材51と緩衝部材52とを備えている。支持部材51は硬質の合成樹脂製や金属製が好ましく、緩衝部材52はゴム製が好ましい。支持部材51は、リアグリップ竿体21の後端部の内側に挿入される挿入筒部51aを備えている。挿入筒部51aは、リアグリップ竿体21の後端部の内周面を内側から支持してリアグリップ竿体21の後端部の潰れ破損を防止する。挿入筒部51aはリアグリップ竿体21の内周面に接着により固定される。また、支持部材51の後端部側はリアグリップ竿体21の後端面21aから後側に突出している。支持部材51の後方突出部には、リアグリップ竿体21の後端面21aに後側から全周に亘って当接する鍔部51bが形成され、支持部材51の鍔部51bよりも後側の部分に緩衝部材52が装着されている。尻栓50の後端面は緩衝部材52の後端面であるがリアグリップ竿体21の後端面21aと同様に傾斜していて、尻栓50の後端面とリアグリップ竿体21の後端面21aは互いに平行となっている。このように尻栓50の後端面が傾斜していることにより、釣竿の後端部の上部が尖った形状となる。従って、釣竿の後端部を例えば筒状のロッドホルダに挿入して釣竿を立てかけるような場合に、釣竿の後端部がロッドホルダに入りやすくなる。また、リアグリップ竿体21を竿袋に仕舞う場合においても同様に竿袋に尻栓50側からスムーズに挿入できる。また、リアグリップ部31の上面40が下面41よりも長くなるので、肘等を当てる面の長さ、面積を後側に拡大できる。
以上のように構成された釣竿のリールシート1を例えば右手で把持する場合、左手でリアグリップ部31を下側から把持して、ダブルハンドキャストすることができる。リアグリップ部31が下側にオフセットされているので、リアグリップ部31における下側への膨出量が大きく、従って、キャストする際にリアグリップ部31を下側から容易に掴むことができる。例えばオーバーハンドキャストにおいて釣竿を前側に振る際、リールシート1を把持する右手を前側に振り出すと同時に、リアグリップ部31を把持している左手を逆に胸の前に引きつける。リアグリップ部31が下側にオフセットしていることから、釣竿を前側に振り出す際には、オフセットしている分だけリアグリップ部31を把持している左手が前側に離れて位置することになり、リアグリップ部31を手前に大きなストロークで引きつけることができる。従って、釣竿をスムーズに振り抜くことができ、飛距離が延びる。
また、リアグリップ部31の断面形状は非円形状であるが、リアグリップ部31の下面41の変曲点44よりも後側の領域において、リアグリップ部31の下面41の曲率半径が後側に向けて徐々に大きくなっているので、即ち、下面主部43の曲率半径が後側に向けて徐々に大きくなっているので、リアグリップ部31の後部を薬指や小指でしっかりと握ることができ、リアグリップ部31の後部を把持した際の違和感も小さい。一方、リアグリップ部31の下面主部43のうち人差し指や中指が当たる前側部分の曲率半径は逆に小さくなっていて細く尖った形状となっているので、リアグリップ部31の下面主部43の前側部分に人差し指や中指を当てた際にリアグリップ部31の下面主部43の前側部分が周方向の引っ掛かりとなる。そのため、リアグリップ部31に対して手が周方向に滑りにくくなり、キャスト時に釣竿が左右にぶれにくくなる。このようにリアグリップ部31の下面41の変曲点44よりも後側の領域において、リアグリップ部31の下面主部43の曲率半径を後側に向けて徐々に大きくすることによって、握りやすさを確保しつつ周方向の手の滑りも防止できて、リアグリップ部31をしっかりと把持してキャストすることができる。
また、リアグリップ部31の上面40と左右の側面45との間の境界部分にそれぞれ周方向の曲率半径が局所的に小さくなった角部48が形成されていて、その角部48が前後方向に筋状に延びているので、リアグリップ部31を把持した指の指先を左右の角部48のうちの一方に引っ掛けることができる。また、他方の角部48には手の平の例えば母指球近傍を押し付けることができる。そのため、手が周方向により一層滑りにくくなる。
更に、リアグリップ部31の下面41の変曲点44に前後方向の曲率半径が局所的に小さくなった角部が形成されているので、その角部の前側に例えば人差し指を引っ掛けることができる。そのため、キャスト時にリアグリップ部31を把持する手が前後方向に滑りにくくなり、リアグリップ部31をしっかりと把持できる。尚、上記説明では、オーバーハンドキャストを例にしたが、例えば、船釣り等において下から投げるアンダーハンドキャストのような場合であっても同様である。
一方、キャスト後においては、リールシート1を持つ右手の肘等をリアグリップ部31の上面40に当てることができる。リアグリップ部31の上面40が幅広であって平面に近い湾曲面となっているので、肘等を当てる面積が広く、リアグリップ部31の上面40に肘等を密着させやすい。従って、釣竿をリールシート1を持つ手と肘等とでしっかりと固定することができ、魚をフッキングする際や、掛かった魚を引き寄せたり取り込んだりする際に、釣竿が安定する。また、リアグリップ部31に肘等を当てることで、魚のアタリ等の振動が肘等にも伝わることになるが、リアグリップ部31の上面40が幅広で平面に近い湾曲面となっているので、振動が高感度で肘等に伝わることになる。
一方、リアグリップ部31が竿体主部30に対して下側にオフセットしていて、リアグリップ部31の竿体主部30に対する上側への膨出量は非常に小さくなっている。そのため、リアグリップ部31の全体としてのボリュームは、それほど大きくない。即ち、リアグリップ部31の下側への膨出量に対してリアグリップ部31の全体のボリュームは抑制されている。そのため、リアグリップ部31のホールド感やグリップ力を確保しつつも軽量化が可能になる。
更に、リアグリップ部31の下面41の変曲点44よりも後側の領域においてリアグリップ部31の断面形状が略逆三角形状や略逆台形状となっているので、下側への膨出量を確保しつつもリアグリップ部31のボリュームを抑制することができて軽量化できる。
尚、本実施形態ではスピニングリールを取り付けるためのリールシート1を備えた構成であったが、図9のように両軸リールを取り付けるためのリールシート1を備えた構成であってもよい。両軸リールは、通常、釣竿の上側に位置する。可動フード4と固定ナット5はリールシート本体3の前側に位置し、グリップ体8はリールシート本体3の後側に位置する。尚、リールシート1を備えない釣竿にも適用可能である。
また、上記実施形態では、リアグリップ竿体21の後端面21aを斜めにカットしていたが、中心線C1に対して直交する面であってもよい。更に、リアグリップ部31の断面形状が非円形状であったが、円形状であってもよい。
1 リールシート
3 リールシート本体
4 可動フード
5 固定ナット
6 固定フード部
7 雄ネジ部
8 グリップ体
20 メイン竿体
21 リアグリップ竿体
21a 後端面
30 竿体主部
31 リアグリップ部
40 リアグリップ部の上面
41 リアグリップ部の下面
42 急膨出部
43 下面主部
44 下面の変曲点
45 リアグリップ部の側面
46 急拡張部
47 側面主部
48 角部
50 尻栓
51 支持部材
51a 挿入筒部
51b 鍔部
52 緩衝部材
100 外接円
T1 上下方向の中心線
T2 左右方向の中心線
C1 竿体主部の中心(リアグリップ竿体の中心)
C2 リアグリップ部の中心
本発明は、釣竿に用いられ、一体的に形成された中空のリアグリップ竿体に関する。
釣竿にリアグリップ部を備える場合、コルクや発泡樹脂から筒状のリアグリップ体を形成してそれを竿本体(ブランク)の後部外周面に装着することにより、筒状のリアグリップ体からリアグリップ部を構成することが多い。しかしながら、リアグリップ部を竿本体とは別体構成とすると、軽量化が困難となり、また、釣竿から手に伝わる感度も低下する。
これに対して、本出願人は中空のリアグリップ竿体の後部を大径化してリアグリップ部を一体的に形成した構成について既に提案している(下記特許文献1参照)。このようにリアグリップ部を竿本体に一体的に形成することによって、軽量化と高感度化を達成することができる。
ところで、リアグリップ部は、例えばキャスト時に、リールシートを把持している手とは反対側の手で把持される。例えば、右手で釣竿を把持する場合には、左手でリアグリップ部を把持していわゆるダブルハンドキャストを行うことができる。リアグリップ部が径方向外側に膨出した形状であるため、リアグリップ部をしっかりとホールドしてキャストすることができる。
リアグリップ部を把持した際に十分なホールド感やグリップ力を確保するためには、リアグリップ部をある程度大径化することが必要である。その一方、釣竿をできる限り軽量化したいという要望も強い。リアグリップ部は一体構成であって、別体構成に比して大幅に軽量化されているが、更なる軽量化も求められる。
特許第5721574号公報
本発明は、一体構成のリアグリップ部を備えた釣竿において、リアグリップ部のホールド感やグリップ力を確保しつつ更なる軽量化を図ることを課題とする。
本発明は上記課題を解決すべくなされたものであって、本発明に係る釣竿は、中空のリアグリップ部が一体的に径方向外側に膨出形成された竿体を備えると共に、リールシートを備えた釣竿であって、リアグリップ部は、竿体の中心に対して下側にオフセットしていることを特徴とする。尚、上下は、リールシートにリールを装着した状態における通常の使用状態を基準とする。通常、スピニングリールは釣竿の下側に位置し、両軸リールは釣竿の上側に位置する。
該構成の釣竿にリールを装着して釣りを行う際、例えば一方の手である右手でリールシートを把持し、他方の手である左手でリアグリップ部を把持して、ダブルハンドキャストすることができる。リアグリップ部を把持する際、リアグリップ部を下側から握ることになる。そして、リアグリップ部が下側にオフセットされて形成されているので、リアグリップ部における下側への膨出量が確保されていて掴みやすい。一方、リアグリップ部における上側への膨出量は逆に小さくなっており、リアグリップ部の全体としてのボリュームは、下側への膨出量の大きさの割に小さい。
特に、リアグリップ部の断面形状は、左右対称の非円形状であって且つ、上面の曲率半径が外接円の半径よりも大きい形状であることが好ましい。このような構成によれば、リアグリップ部の上面が平面に近い湾曲面となる。例えば魚のアタリを取るときや掛かった魚とやりとりを行う際に、リールシートを持つ手の前腕や肘をリアグリップ部の上面に当てで釣竿を支えることができる。このようにリアグリップ部の上面に肘等を当てることで、釣竿をリールシートを持つ手と肘等とでしっかりと固定することができる。従って、魚をフッキングする際や、掛かった魚とやりとりする際に、釣竿が安定する。また、リアグリップ部に肘等を当てることで、魚のアタリや、錘や仕掛けが海底や岩等に当たるときの様子を伝える振動が、リアグリップ部からも伝わってくる。上述のように、リアグリップ部の上面が平面に近い湾曲面になっていると、肘等を当てる面積が広くなってリアグリップ部の上面に肘等を当てやすくなり、釣竿を肘等でしっかりと支えることができて安定感が向上すると共に、アタリ等の振動も肘等に伝わりやすくなる。尚、上面の曲率半径は、断面形状における最上部近傍の曲率半径としてよい。
更に、リアグリップ部の下面の変曲点よりも後側の領域において、リアグリップ部の断面形状は、下側に向かって細くなった形状であることが好ましい。尚、竿先側を前側とし、竿尻側を後側とする。リアグリップ部の下面は、変曲点よりも前側においては前後方向に沿って上側凸に湾曲していて変曲点よりも後側においては前後方向に沿って下側凸に湾曲している。そして、この下面の変曲点よりも後側の領域において、リアグリップ部の断面形状が下側に向かって細くなった形状であると、下側への膨出量を確保しつつも全体のボリュームを抑制することができて軽量化できる。このように下側に向けて細くなった形状は、例えば、略逆三角形状や略逆台形状、略逆五角形状等があり、特に、略逆三角形状や略逆台形状とすれば、全体のボリュームを抑制しつつリアグリップ部の上面を平面に近い湾曲形状とすることができる。
また、リアグリップ部の下面の変曲点よりも後側の領域において、リアグリップ部の下面の曲率半径は、後側に向けて徐々に大きくなっていることが好ましい。リアグリップ部を把持する際、人差し指や中指では軽めに握り、薬指や小指でしっかりと握ることになる。そのため、薬指や小指が当たる後側の部分の下面の曲率半径を大きくして丸味を帯びた形状とすることで、しっかりと把持することができ、また把持した際の違和感も小さくなる。また、人差し指や中指が当たる前側の部分の下面の曲率半径を小さくすることで、人差し指や中指を当てた際に下面が周方向の引っ掛かりとなって、リアグリップ部に対して手が周方向に滑りにくくなる。尚、下面の曲率半径は、断面形状における最下部近傍の曲率半径としてよい。
また、リアグリップ部の下面の変曲点に角部が形成されていることが好ましい。角部は前後方向の曲率半径が局所的に小さくなった部分であるので、その角部の前側に例えば人差し指を引っ掛けるようにしてリアグリップ部を把持することができる。このように指を角部に引っ掛けることで、手が前後方向に滑りにくくなる。
また、本発明に係る釣竿は、中空のリアグリップ部が一体的に径方向外側に膨出形成された竿体を備えた釣竿であって、リアグリップ部は、竿体の中心に対してオフセットしていることを特徴とする。
以上のように、リアグリップ部をオフセットさせることで、リアグリップ部のホールド感やグリップ力を確保しつつ、より一層の軽量化が可能になる。
本発明の一実施形態における釣竿の要部を示す正面図。 同釣竿の要部であって、(a)は平面図、(b)は底面図。 同釣竿のリールシート近傍の縦断面図。 同釣竿のリアグリップ部近傍の縦断面図。 同釣竿のリアグリップ竿体の後端部の尻栓が装着される前の状態を示し、(a)は縦断面図、(b)は(a)のF矢視図。 (a)は図1のA−A端面図、(b)は図1のB−B端面図。 (a)は図1のC−C端面図、(b)は図1のD−D端面図。 図5(a)のE−E端面図。 本発明の他の実施形態における釣竿の要部を示す正面図。
以下、本発明の一実施形態に係る釣竿について図1〜図8を参酌しつつ説明する。本実施形態における釣竿は、リールを取り付けるためのリールシート1を備えたものである。該リールシート1は、パイプシートとも称される筒状のものであって、釣竿の竿本体(ブランク)に外装されて所定位置に移動不能に固定される。即ち、竿本体がリールシート1を挿通していて、リールシート1は、竿本体の外周面の所定位置に接着等により固定されている。尚、本実施形態におけるリールシート1は、スピニングリールを固定するためのものである。スピニングリールは通常の使用状態において釣竿の下側に位置する。そのため、使用状態に即して、リールが下側を向く状態を基準の状態として図示している。尚、以下の説明において、径方向外側を単に外側と、径方向内側を単に内側と称することがある。また、竿本体の中心線の方向を前後方向とし、竿先側を前側と、竿尻側を後側とする。スピニングリールが位置する側を下側とし、それとは180度反対側を上側とする。釣竿を上側あるいは下側から見たとき、前後方向と直交する方向を左右方向とする。
<リールシート1>
リールシート1は、筒状のリールシート本体3と、筒状の可動フード4と、固定ナット5とを備えている。リールシート本体3は、竿本体に移動不能に外装され、リール脚の一方の端部を固定するための固定フード部6を一体的に備えている。リールシート本体3の後端部側の外周面には雄ネジ部7が形成されていて、その雄ネジ部7に固定ナット5が螺着している。可動フード4は、リール脚の他方の端部を固定するためのものであって、リールシート本体3に前後方向に移動可能に装着されている。本実施形態において、固定フード部6が前側に位置してリール脚の前端部を保持し、可動フード4は後側に位置してリール脚の後端部を保持し、固定フード部6と可動フード4によってリール脚を前後に狭持する。固定ナット5は、可動フード4の後側に位置して、可動フード4を前後方向に移動させると共に所望の位置に固定する。尚、リールシート本体3の前部の外側には、発泡EVAやコルク等のグリップ素材からなる筒状のグリップ体8が装着されている。
<竿本体>
釣竿の種類は任意であって、並継ぎ竿や振出竿等であってよい。例えば、ワンピースロッドの場合には竿元から穂先まで連続した一本構造である。ツーピースロッドの場合には、釣竿は穂先側の一番竿と元側の二番竿とから構成され、元側の二番竿にリールシート1を備えることになる。本実施形態の釣竿は、ツーピースロッドであり、図示しない一番竿と、図1に示している二番竿とから構成される。
二番竿の竿本体は、二本の中空状の竿体が互いに前後に接合された構成となっている。即ち、竿本体は、前側に位置するメイン竿体20と後側に位置するリアグリップ竿体21とから構成される。リアグリップ竿体21の前部の内側にメイン竿体20の後部が挿入されて、メイン竿体20とリアグリップ竿体21が所定長さに亘って重ね合わせられて互いに連結されている。メイン竿体20とリアグリップ竿体21の重ね合わせ部を外側から覆うようにしてリールシート1が竿本体に装着されている。即ち、リアグリップ竿体21の前部にリールシート本体3が装着されている。リールシート本体3はリアグリップ竿体21の外周面に、直接接着されてもよいしスペーサを介して接着されてもよい。尚、グリップ体8は、リールシート本体3の前部の外側を覆っていると共にメイン竿体20も所定長さに亘って覆っている。竿本体は、各種形状のプリプレグを加熱焼成することによって形成される。プリプレグの強化繊維としてはカーボン繊維やガラス繊維等が使用できる。尚、メイン竿体20は中実状であってもよい。
<リアグリップ竿体21>
リアグリップ竿体21は、中空状のリアグリップ部31を一体的に備えた竿体である。リアグリップ部31は、リアグリップ竿体21の全長のうち後端部側の所定長さ領域が局所的に径方向外側に膨出形成されたものである。リアグリップ部31は、リールシート1から所定距離後側に離れて位置していて、リアグリップ竿体21の後端部を含む所定長さ領域を構成している。従って、リアグリップ部31は釣竿の竿尻部を構成している。リアグリップ部31は、釣竿を持っている手の肘や前腕を当てたり、両手でキャストする場合にはリールシート1を持つ手とは反対側の手で把持したりして使用される。リアグリップ部31の長さは任意であるが、片方の手で把持できる程度の長さであって、一般的な大人の手の人差し指から小指までの四本の指に相当する長さ以上が好ましい。
リアグリップ竿体21は、前後二つの領域からなり、リアグリップ竿体21の前部を構成する竿体主部30と、リアグリップ竿体21の後部を構成するリアグリップ部31とから構成されている。竿体主部30は、リアグリップ竿体21の前端部から所定長さ領域を構成しており、その長さはリアグリップ竿体21の全長のうち半分以上の長さを占めている。従って、竿体主部30はリアグリップ竿体21の主要部分を構成していて、リアグリップ部31よりも長い。竿体主部30は、径略一定のストレート部となっているが、勾配があってもよい。本実施形態において竿体主部30の内径は略一定であって、竿体主部30の外径も略一定であるが、竿体主部30にリールシート1が装着されるため、竿体主部30のうちリールシート1が装着される部分については補強層を設けて肉厚としてもよい。竿体主部30の断面形状は図6(a)のように円形状である。
<リアグリップ部31>
リアグリップ部31は、別体構成ではなくリアグリップ竿体21に一体的に形成された一体構成のものである。リアグリップ部31は、竿体主部30よりも大型であって、竿体主部30に対して径方向外側に膨出した形状となっている。リアグリップ部31は、竿体主部30に対して左右両側と下側に大きく膨出している一方、上側にはほとんど膨出していない。即ち、リアグリップ部31は、竿体主部30に対して、左右均等に膨出しているものの、上下均等には膨出しておらず、下側に偏重して膨出している。図6(b)〜図8に、リアグリップ部31の断面形状を示している。図6(b)〜図8において、リアグリップ部31の断面形状の内側には、竿体主部30の外周面を二点鎖線で示しており、また、竿体主部30の上下方向の中心線T1と左右方向の中心線T2を一点鎖線で示しており、更に、リアグリップ部31の断面形状の外側には、断面形状に外接する外接円100を二点鎖線で示している。
<リアグリップ部31の上面40>
リアグリップ部31の上面40は、竿体主部30の外周面に対してほとんど膨出しておらず僅かに膨出している程度に留まっている。従って、図1及び図4のようにリアグリップ部31を一方の側面から見たとき、リアグリップ部31の上面40は竿体主部30の外周面から略一直線状に延びているように見える程に、リアグリップ部31の上側への膨出量は小さい。リアグリップ部31の上面40の周方向の曲率半径は大きく、上面40は平面に近い湾曲面となっている。図6(b)〜図8に示すようなリアグリップ部31の断面形状において、リアグリップ部31の上面40の曲率半径は外接円100の半径よりも大きい。外接円100の直径はリアグリップ部31の後側ほど大きくなるが、その外接円100よりもリアグリップ部31の上面40の曲率半径は大きく、平面に近い湾曲形状となっている。
<リアグリップ部31の下面41>
一方、リアグリップ部31の下面41は、竿体主部30の外周面に対して下側に大きく膨出している。リアグリップ部31の下面41の前部には、竿体主部30の外周面と連続し、後側に向けて急な勾配で下側に膨出していく急膨出部42が形成されていて、リアグリップ部31の下面41の後部には、後側に向けて緩やかな勾配あるいは勾配0で下側に膨出していく下面主部43が形成されている。急膨出部42と下面主部43との境界部分は下面41の変曲点44となっていて、その変曲点44には、前後方向に沿った曲率半径が局所的に小さくなった角部が形成されている。変曲点44より前側の下面41(急膨出部42)は、前後方向に沿って上側凸に湾曲した凹状湾曲面となっていて、変曲点44より後側の下面41(下面主部43)は、前後方向に沿って下側凸に湾曲した凸状湾曲面となっている。
<リアグリップ部31の側面45>
リアグリップ部31の左右両側面45は、竿体主部30に対して左右対称に膨出している。リアグリップ部31の側面45の前部には、後側に向けて急な勾配で幅が広がっていく急拡張部46が形成されていて、リアグリップ部31の側面45の後部には、後側に向けて緩やかな勾配あるいは勾配0で幅が広がっていく側面主部47が形成されている。尚、側面主部47の前後方向の長さは、下面主部43の前後方向の長さよりも短く、側面主部47の前端部は下面主部43の前端部よりも後側に位置している。左右の側面主部47の竿体主部30からの膨出量は互いに略同じであって、且つ、下面主部43の竿体主部30からの膨出量とも略同じである。
<リアグリップ竿体21の断面形状の変化>
図6〜図8にリアグリップ竿体21の断面形状の変化の様子を示している。竿体主部30の断面形状は図6(a)のように円形状であるが、リアグリップ部31の断面形状は、円形状ではなく、左右対称の非円形状となっている。即ち、リアグリップ竿体21の断面形状は、竿体主部30からリアグリップ部31にかけて徐々に円形状から非円形状へと変化している。そして、リアグリップ部31においても、図6(b)〜図8のように断面形状は前側から後側に向けて徐々に変化している。
リアグリップ部31の前端部近傍における断面形状、即ち、下面41の変曲点44よりも前側の部分の断面形状は、図6(b)のように円形状に近い非円形状であるが、下面41の変曲点44における断面形状は、図7(a)のように、円形状とは大きく異なった左右対称の非円形状となっている。下面41の変曲点44における断面形状は、下側に向かって細くなった形状であって、略逆三角形状となっている。そこから後側に向けて主として左右方向に膨出していき、リアグリップ部31の中間位置近傍では、図7(b)のように断面形状は図7(a)に比して幅広となるものの略逆三角形状を維持している。但し、リアグリップ部31の下面41の周方向の曲率半径は、変曲点44から後側に向けて徐々に大きくなっていて、下面41(下面主部43)は後側に向けて徐々に丸くなっている。そして、図8のようにリアグリップ部31の後端部近傍においては、下面41の曲率半径が更に大きくなって下面41が更に丸味を帯びてきて、断面形状は略逆三角形状あるいは略逆台形状となっている。尚、上面40と左右両側面45との間の境界部分には、周方向の曲率半径が局所的に小さくなった角部48がそれぞれ形成されている。例えば断面形状が略逆三角形状の場合、上面が三角形の一つの辺を構成し、左右両側面が残る二つの辺を構成する。但し、上面40と左右両側面45は、何れも、平面ではなく、径方向外側に向けて湾曲した湾曲面となっている。上面40と左右両側面45との間の境界部分の角部58は、竿体主部30の中心線C1よりも上側に位置している。
<オフセット>
また、図6(b)〜図8に竿体主部30の外周面を二点鎖線で示しているように、リアグリップ部31の断面形状に対して竿体主部30は相対的に上側に位置している。逆に言えば、リアグリップ部31は竿体主部30に対して下側にオフセットしており、リアグリップ部31の中心線C2は、竿体主部30の中心線C1よりも下側にオフセットした位置にある。尚、リアグリップ部31の中心線C2は、リアグリップ部31の断面形状における重心位置であり、断面形状の変化によってリアグリップ部31の中心線C2の位置は変化する。リアグリップ部31の各断面形状において、リアグリップ部31の中心線C2は、竿体主部30の中心線C1よりも下側に位置している。
<後端開口部と尻栓50>
図4及び図5のように、リアグリップ竿体21の後端部には尻栓50が装着されている。本実施形態においてリアグリップ竿体21の後端面21aは、リアグリップ竿体21の中心線C1に対して直交した面ではなく、所定方向に沿って傾斜した傾斜面となっており、具体的には、上面後端部21a0が後側に位置し、下面後端部21a1が前側に位置するように傾斜した傾斜面となっている。従って、リアグリップ部31の上面40の上面後端部21a0は、下面41の下面後端部21a1よりも後側に延びている。このようにリアグリップ竿体21の後端面21aは斜めにカットされて形成されているが、その開口端面であるリアグリップ竿体21の後端面21aをその法線方向から見ると図5(b)のような形状となる。
リアグリップ竿体21の後端面21aが斜めにカットされた形状となっていることから、尻栓50もそれに対応した形状となっていて、リアグリップ竿体21から外部に露出している尻栓50の部分も傾斜している。尻栓50の構成は種々であってよいが、本実施形
態では、支持部材51と緩衝部材52とを備えている。支持部材51は硬質の合成樹脂製や金属製が好ましく、緩衝部材52はゴム製が好ましい。支持部材51は、リアグリップ竿体21の後端部の内側に挿入される挿入筒部51aを備えている。挿入筒部51aは、リアグリップ竿体21の後端部の内周面を内側から支持してリアグリップ竿体21の後端部の潰れ破損を防止する。挿入筒部51aはリアグリップ竿体21の内周面に接着により固定される。また、支持部材51の後端部側はリアグリップ竿体21の後端面21aから後側に突出している。支持部材51の後方突出部には、リアグリップ竿体21の後端面21aに後側から全周に亘って当接する鍔部51bが形成され、支持部材51の鍔部51bよりも後側の部分に緩衝部材52が装着されている。尻栓50の後端面は緩衝部材52の後端面であるがリアグリップ竿体21の後端面21aと同様に傾斜していて、尻栓50の後端面とリアグリップ竿体21の後端面21aは互いに平行となっている。このように尻栓50の後端面が傾斜していることにより、釣竿の後端部の上部が尖った形状となる。従って、釣竿の後端部を例えば筒状のロッドホルダに挿入して釣竿を立てかけるような場合に、釣竿の後端部がロッドホルダに入りやすくなる。また、リアグリップ竿体21を竿袋に仕舞う場合においても同様に竿袋に尻栓50側からスムーズに挿入できる。また、リアグリップ部31の上面40が下面41よりも長くなるので、肘等を当てる面の長さ、面積を後側に拡大できる。
以上のように構成された釣竿のリールシート1を例えば右手で把持する場合、左手でリアグリップ部31を下側から把持して、ダブルハンドキャストすることができる。リアグリップ部31が下側にオフセットされているので、リアグリップ部31における下側への膨出量が大きく、従って、キャストする際にリアグリップ部31を下側から容易に掴むことができる。例えばオーバーハンドキャストにおいて釣竿を前側に振る際、リールシート1を把持する右手を前側に振り出すと同時に、リアグリップ部31を把持している左手を逆に胸の前に引きつける。リアグリップ部31が下側にオフセットしていることから、釣竿を前側に振り出す際には、オフセットしている分だけリアグリップ部31を把持している左手が前側に離れて位置することになり、リアグリップ部31を手前に大きなストロークで引きつけることができる。従って、釣竿をスムーズに振り抜くことができ、飛距離が延びる。
また、リアグリップ部31の断面形状は非円形状であるが、リアグリップ部31の下面41の変曲点44よりも後側の領域において、リアグリップ部31の下面41の曲率半径が後側に向けて徐々に大きくなっているので、即ち、下面主部43の曲率半径が後側に向けて徐々に大きくなっているので、リアグリップ部31の後部を薬指や小指でしっかりと握ることができ、リアグリップ部31の後部を把持した際の違和感も小さい。一方、リアグリップ部31の下面主部43のうち人差し指や中指が当たる前側部分の曲率半径は逆に小さくなっていて細く尖った形状となっているので、リアグリップ部31の下面主部43の前側部分に人差し指や中指を当てた際にリアグリップ部31の下面主部43の前側部分が周方向の引っ掛かりとなる。そのため、リアグリップ部31に対して手が周方向に滑りにくくなり、キャスト時に釣竿が左右にぶれにくくなる。このようにリアグリップ部31の下面41の変曲点44よりも後側の領域において、リアグリップ部31の下面主部43の曲率半径を後側に向けて徐々に大きくすることによって、握りやすさを確保しつつ周方向の手の滑りも防止できて、リアグリップ部31をしっかりと把持してキャストすることができる。
また、リアグリップ部31の上面40と左右の側面45との間の境界部分にそれぞれ周方向の曲率半径が局所的に小さくなった角部48が形成されていて、その角部48が前後方向に筋状に延びているので、リアグリップ部31を把持した指の指先を左右の角部48のうちの一方に引っ掛けることができる。また、他方の角部48には手の平の例えば母指球近傍を押し付けることができる。そのため、手が周方向により一層滑りにくくなる。
更に、リアグリップ部31の下面41の変曲点44に前後方向の曲率半径が局所的に小さくなった角部が形成されているので、その角部の前側に例えば人差し指を引っ掛けることができる。そのため、キャスト時にリアグリップ部31を把持する手が前後方向に滑りにくくなり、リアグリップ部31をしっかりと把持できる。尚、上記説明では、オーバーハンドキャストを例にしたが、例えば、船釣り等において下から投げるアンダーハンドキャストのような場合であっても同様である。
一方、キャスト後においては、リールシート1を持つ右手の肘等をリアグリップ部31の上面40に当てることができる。リアグリップ部31の上面40が幅広であって平面に近い湾曲面となっているので、肘等を当てる面積が広く、リアグリップ部31の上面40に肘等を密着させやすい。従って、釣竿をリールシート1を持つ手と肘等とでしっかりと固定することができ、魚をフッキングする際や、掛かった魚を引き寄せたり取り込んだりする際に、釣竿が安定する。また、リアグリップ部31に肘等を当てることで、魚のアタリ等の振動が肘等にも伝わることになるが、リアグリップ部31の上面40が幅広で平面に近い湾曲面となっているので、振動が高感度で肘等に伝わることになる。
一方、リアグリップ部31が竿体主部30に対して下側にオフセットしていて、リアグリップ部31の竿体主部30に対する上側への膨出量は非常に小さくなっている。そのため、リアグリップ部31の全体としてのボリュームは、それほど大きくない。即ち、リアグリップ部31の下側への膨出量に対してリアグリップ部31の全体のボリュームは抑制されている。そのため、リアグリップ部31のホールド感やグリップ力を確保しつつも軽量化が可能になる。
更に、リアグリップ部31の下面41の変曲点44よりも後側の領域においてリアグリップ部31の断面形状が略逆三角形状や略逆台形状となっているので、下側への膨出量を確保しつつもリアグリップ部31のボリュームを抑制することができて軽量化できる。
尚、本実施形態ではスピニングリールを取り付けるためのリールシート1を備えた構成であったが、図9のように両軸リールを取り付けるためのリールシート1を備えた構成であってもよい。両軸リールは、通常、釣竿の上側に位置する。可動フード4と固定ナット5はリールシート本体3の前側に位置し、グリップ体8はリールシート本体3の後側に位置する。尚、リールシート1を備えない釣竿にも適用可能である。
また、上記実施形態では、リアグリップ竿体21の後端面21aを斜めにカットしていたが、中心線C1に対して直交する面であってもよい。更に、リアグリップ部31の断面形状が非円形状であったが、円形状であってもよい。
1 リールシート
3 リールシート本体
4 可動フード
5 固定ナット
6 固定フード部
7 雄ネジ部
8 グリップ体
20 メイン竿体
21 リアグリップ竿体
21a 後端面
21a0 上面後端部
21a1 下面後端部
30 竿体主部
31 リアグリップ部
40 リアグリップ部の上面
41 リアグリップ部の下面
42 急膨出部
43 下面主部
44 下面の変曲点
45 リアグリップ部の側面
46 急拡張部
47 側面主部
48 角部
50 尻栓
51 支持部材
51a 挿入筒部
51b 鍔部
52 緩衝部材
100 外接円
T1 上下方向の中心線
T2 左右方向の中心線
C1 竿体主部の中心線(リアグリップ竿体の中心)
C2 リアグリップ部の中心線

Claims (6)

  1. 中空のリアグリップ部が一体的に径方向外側に膨出形成された竿体を備えると共に、リールシートを備えた釣竿であって、
    リアグリップ部は、竿体の中心に対して下側にオフセットしていることを特徴とする釣竿。
  2. リアグリップ部の断面形状は、左右対称の非円形状であって且つ、上面の曲率半径が外接円の半径よりも大きい形状である請求項1記載の釣竿。
  3. リアグリップ部の下面の変曲点よりも後側の領域において、リアグリップ部の断面形状は、下側に向かって細くなった形状である請求項2記載の釣竿。
  4. リアグリップ部の下面の変曲点よりも後側の領域において、リアグリップ部の下面の曲率半径は、後側に向けて徐々に大きくなっている請求項2又は3記載の釣竿。
  5. リアグリップ部の下面の変曲点に角部が形成されている請求項1乃至4の何れかに記載の釣竿。
  6. 中空のリアグリップ部が一体的に径方向外側に膨出形成された竿体を備えた釣竿であって、
    リアグリップ部は、竿体の中心に対してオフセットしていることを特徴とする釣竿。
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