JP2021189320A - 機上現像型平版印刷版原版、平版印刷版の作製方法、並びに、平版印刷方法 - Google Patents

機上現像型平版印刷版原版、平版印刷版の作製方法、並びに、平版印刷方法 Download PDF

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Abstract

【課題】経時での機上現像性の低下を抑止しうる機上現像型平版印刷版原版、上記平版印刷版原版を用いた平版印刷版の作製方法、又は平版印刷方法の提供。【解決手段】支持体上に画像記録層と最外層とをこの順に有し、上記画像記録層が、ガラス転移温度が70℃以上である高分子量体を含み、上記最外層が、変色性化合物を含む機上現像型平版印刷版原版、上記平版印刷版原版を用いた平版印刷版の作製方法、又は平版印刷方法。【選択図】なし

Description

本開示は、機上現像型平版印刷版原版、平版印刷版の作製方法、並びに、平版印刷方法に関する。
一般に、平版印刷版は、印刷過程でインキを受容する親油性の画像部と、湿し水を受容する親水性の非画像部とからなる。平版印刷は、水と油性インキが互いに反発する性質を利用して、平版印刷版の親油性の画像部をインキ受容部、親水性の非画像部を湿し水受容部(インキ非受容部)として、平版印刷版の表面にインキの付着性の差異を生じさせ、画像部のみにインキを着肉させた後、紙などの被印刷体にインキを転写して印刷する方法である。
この平版印刷版を作製するため、従来、親水性の支持体上に親油性の感光性樹脂層(画像記録層)を設けてなる平版印刷版原版(PS版)が広く用いられている。通常は、平版印刷版原版を、リスフィルムなどの原画を通した露光を行った後、画像記録層の画像部となる部分を残存させ、それ以外の不要な画像記録層をアルカリ性現像液又は有機溶剤によって溶解除去し、親水性の支持体表面を露出させて非画像部を形成する方法により製版を行って、平版印刷版を得ている。
また、地球環境への関心の高まりから、現像処理などの湿式処理に伴う廃液に関する環境課題がクローズアップされている。
上記の環境課題に対して、現像あるいは製版の簡易化、無処理化が指向されている。簡易な作製方法の一つとしては、「機上現像」と呼ばれる方法が行われている。すなわち、平版印刷版原版を露光後、従来の現像は行わず、そのまま印刷機に装着して、画像記録層の不要部分の除去を通常の印刷工程の初期段階で行う方法である。
本開示において、このような機上現像に用いることができる平版印刷版原版を、「機上現像型平版印刷版原版」という。
従来の平版印刷版原版としては、例えば、特許文献1には、光重合性層上に、熱及び/又は赤外線照射により開裂する官能基を有する赤外線吸収性化合物を含む最上層を有する平版印刷版原版が記載されている。
また、特許文献2には、画像記録層上に、赤外線の照射により変色する最上層を有する平版印刷版原版が記載されております。
特許文献3には、ポリビニルアセタールバインダーを含む光重合性層を有する平版印刷版原版が記載されております。
特許文献4には、赤外線吸収剤、及び、熱可塑性ポリマー粒子を含むネガ型画像記録層を有する平版印刷版原版が記載されております。
国際公開第2019/219560号 米国特許第8240943号明細書 特開2013−174779号公報 特表2018−508385号公報
本開示の一実施形態が解決しようとする課題は、経時での機上現像性の低下を抑止しうる機上現像型平版印刷版原版を提供することである。
本開示の他の実施形態が解決しようとする課題は、上記機上現像型平版印刷版原版を用いた平版印刷版の作製方法、又は平版印刷方法を提供することである。
上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 支持体上に画像記録層と最外層とをこの順に有し、
上記画像記録層が、ガラス転移温度が70℃以上である高分子量体を含み、
上記最外層が、変色性化合物を含む
機上現像型平版印刷版原版。
<2> 上記画像記録層が分子量5,000以下の重合性化合物を更に含み、
上記高分子量体の溶解度パラメータと上記重合性化合物の溶解度パラメータとの差が0.8MPa1/2以上である<1>に記載の機上現像型平版印刷版原版。
<3> 上記重合性化合物の溶解度パラメータが20.0MPa1/2以下である<2>に記載の機上現像型平版印刷版原版。
<4> 上記重合性化合物が2官能以上の重合性化合物である<1>〜<3>いずれか1つに記載の機上現像型平版印刷版原版。
<5> 上記画像記録層中の、上記高分子量体の質量をP、上記重合性化合物の質量をMとしたとき、6.0≧P/M≧0.5の関係を満たす<1>〜<4>いずれか1つに記載の機上現像型平版印刷版原版。
<6> 上記高分子量体がポリビニルアセタールである<1>〜<5>のいずれか1つに記載の機上現像型平版印刷版原版。
<7> 上記ポリビニルアセタール中の水酸基を有する構成単位が、ポリビニルアセタールの全構成単位に対して20mol%以上である<6>に記載の機上現像型平版印刷版原版。
<8> 上記ポリビニルアセタールがエチレン性不飽和基を有する<6>又は<7>に記載の機上現像型平版印刷版原版。
<9> 上記ポリビニルアセタールがエチレン性不飽和基を有する構成単位を含む<8>に記載の機上現像型平版印刷版原版。
<10> 上記ポリビニルアセタールにおけるアセタール環にエチレン性不飽和基が導入された化合物を含む<6>に記載の機上現像型平版印刷版原版。
<11> 上記最外層が疎水性ポリマーを更に含む<1>〜<10>のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
<12> 上記疎水性ポリマーの上記最外層表面における占有面積率が30面積%以上である<11>に記載の機上現像型平版印刷版原版。
<13> 上記疎水性ポリマーが粒子である<11>又は<12>に記載の機上現像型平版印刷版原版。
<14> エネルギー密度110mJ/cmにて波長830nmの赤外線による露光を行った場合の、上記露光前後の明度変化ΔLが2.0以上である<1>〜<13>のいずれか1つ記載の機上現像型平版印刷版原版。
<15> 上記変色性化合物が赤外線露光に起因して発色する化合物を含む<1>〜<14>のいずれか1つに記載の機上現像型平版印刷版原版。
<16> 上記変色性化合物が赤外線露光に起因して分解する分解性化合物を含む<1>〜<15>のいずれか1つに記載の機上現像型平版印刷版原版。
<17> 上記変色性化合物がシアニン色素である<11>〜<16>のいずれか1つに記載の機上現像型平版印刷版原版。
<18> 上記変色性化合物が下記式1−1で表される化合物である<1>〜<17>のいずれか1つに記載の機上現像型平版印刷版原版。
Figure 2021189320
式1−1中、Rは下記式2〜式4のいずれかで表される基を表し、R11〜R18はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、−R、−OR、−SR、又は−NRを表し、R〜Rは、それぞれ独立に、炭化水素基を表し、A、A及び複数のR11〜R18が連結して単環又は多環を形成してもよく、A及びAはそれぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、又は、窒素原子を表し、n11及びn12はそれぞれ独立に、0〜5の整数を表し、但し、n11及びn12の合計は2以上であり、n13及びn14はそれぞれ独立に、0又は1を表し、Lは酸素原子、硫黄原子、又は、−NR10−を表し、R10は、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表し、Zaは電荷を中和する対イオンを表す。
Figure 2021189320
式2〜式4中、R20、R30、R41及びR42はそれぞれ独立に、アルキル基又はアリール基を表し、Zbは電荷を中和する対イオンを表し、波線は、上記式1−1中のLで表される基との結合部位を表す。
<19> 上記変色性化合物が、下記式1−2で表される化合物である<18>に記載の機上現像型平版印刷版原版。
Figure 2021189320
式1−2中、Rは上記式2〜式4のいずれかで表される基を表し、R19〜R22はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、−R、−OR、−CN、−SR、又は、−NRを表し、R23及びR24はそれぞれ独立に、水素原子、又は、−Rを表し、R〜Rはそれぞれ独立に、炭化水素基を表し、R19とR20、R21とR22、又は、R23とR24は、連結して単環又は多環を形成してもよく、Lは、酸素原子、硫黄原子、又は、−NR10−を表し、R10は、水素原子、アルキル基、又は、アリール基を表し、Rd1〜Rd4、W及びWは、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアルキル基を表し、Zaは電荷を中和する対イオンを表す。
<20> 上記変色性化合物が下記式1−3〜式1−7のいずれかで表される化合物である<18>又は<19>のいずれか1つに記載の機上現像型平版印刷版原版。
Figure 2021189320
式1−3〜式1−7中、Rは上記式2〜式4のいずれかで表される基を表し、R19〜R22はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、−R、−OR、−CN、−SR、又は、−NRを表し、R25及びR26はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は−Rを表し、R〜Rはそれぞれ独立に、炭化水素基を表し、R19とR20、R21とR22、又は、R25とR26は、連結して単環又は多環を形成してもよく、Lは、酸素原子、硫黄原子、又は、−NR10−を表し、R10は、水素原子、アルキル基、又は、アリール基を表し、Rd1〜Rd4、W及びWはそれぞれ独立に、置換基を有してもよいアルキル基を表し、Zaは電荷を中和する対イオンを表す。
<21> 上記式1−2〜式1−7におけるW及びWは、それぞれ独立に、置換基を有するアルキル基であり、かつ、上記置換基として、−(OCHCH)−、スルホ基、スルホ基の塩、カルボキシ基、又はカルボキシ基の塩を少なくとも有する基である<19>又は<20>に記載の機上現像型平版印刷版原版。
<22> 上記画像記録層が更に重合開始剤を含み、
上記重合開始剤が電子供与型重合開始剤及び電子受容型重合開始剤を含む<1>〜<21>のいずれか1つに記載の機上現像型平版印刷版原版。
<23> 上記重合開始剤が上記電子供与型重合開始剤と上記電子受容型重合開始剤とが対塩を形成してなる化合物を含む<22>に記載の機上現像型平版印刷版原版。
<24> 上記電子受容型重合開始剤が下記式(II)で表される化合物を含む<22>に記載の機上現像型平版印刷版原版。
Figure 2021189320
式(II)中、Xはハロゲン原子を表し、Rはアリール基を表す。
<25> 上記画像記録層が赤外線吸収剤を含み、
上記赤外線吸収剤のHOMO−上記電子供与型重合開始剤のHOMOの値が、0.70eV以下である<22>〜<24>のいずれか1つに記載の機上現像型平版印刷版原版。
<26> 上記画像記録層が赤外線吸収剤を含み
上記電子受容型重合開始剤のLUMO−上記赤外線吸収剤のLUMOの値が、0.70eV以下である<22>〜<25>のいずれか1つに記載の機上現像型平版印刷版原版。
<27> 上記支持体が、アルミニウム板と、上記アルミニウム板上に配置されたアルミニウムの陽極酸化皮膜とを有し、
上記陽極酸化皮膜が、上記アルミニウム板よりも上記画像記録層側に位置し、
上記陽極酸化皮膜が、上記画像記録層側の表面から深さ方向にのびるマイクロポアを有し、
上記マイクロポアの上記陽極酸化皮膜表面における平均径が、10nmを超え100nm以下である、<1>〜<26>のいずれか1つに記載の機上現像型平版印刷版原版。
<28> 上記マイクロポアが、上記陽極酸化皮膜表面から深さ10nm〜1,000nmの位置までのびる大径孔部と、上記大径孔部の底部と連通し、連通位置から深さ20nm〜2,000nmの位置までのびる小径孔部とから構成され、
上記大径孔部の上記陽極酸化皮膜表面における平均径が、15nm〜100nmであり、
上記小径孔部の上記連通位置における平均径が、13nm以下である、<27>に記載の機上現像型平版印刷版原版。
<29> <1>〜<28>のいずれか1つに記載の機上現像型平版印刷版原版を、画像様に露光する工程と、
印刷機上で印刷インキ及び湿し水からなる群より選ばれた少なくとも一方を供給して非画像部の画像記録層を除去する工程と、を含む
平版印刷版の作製方法。
<30> <1>〜<28>のいずれか1つに記載の機上現像型平版印刷版原版を、画像様に露光する工程と、
印刷機上で印刷インキ及び湿し水からなる群より選ばれた少なくとも一方を供給して非画像部の画像記録層を除去し平版印刷版を作製する工程と、
得られた平版印刷版により印刷する工程と、を含む、
平版印刷方法。
本開示の一実施形態によれば、経時での機上現像性の低下を抑止しうる機上現像型平版印刷版原版を提供することができる。
また、本開示の他の実施形態によれば、上記機上現像型平版印刷版原版を用いた平版印刷版の作製方法、又は平版印刷方法を提供することができる。
支持体の一実施形態の模式的断面図である。 支持体の別の一実施形態の模式的断面図である。 陽極酸化皮膜を有する支持体の製造方法における陽極酸化処理に用いられる陽極酸化処理装置の概略図である。
以下において、本開示の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本開示の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本開示はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本開示において、数値範囲を示す「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
また、本開示における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本開示において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルの両方を包含する概念で用いられる語であり、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル及びメタクリロイルの両方を包含する概念として用いられる語である。
また、本開示中の「工程」の用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば本用語に含まれる。
また、本開示において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
更に、本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
また、本開示における重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、特に断りのない限り、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(いずれも東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析装置により、溶剤THF(テトラヒドロフラン)、示差屈折計により検出し、標準物質としてポリスチレンを用いて換算した分子量である。
本開示において、「平版印刷版原版」の用語は、平版印刷版原版だけでなく、捨て版原版を包含する。また、「平版印刷版」の用語は、平版印刷版原版を、必要により、露光、現像などの操作を経て作製された平版印刷版だけでなく、捨て版を包含する。捨て版原版の場合には、必ずしも、露光、現像の操作は必要ない。なお、捨て版とは、例えばカラーの新聞印刷において一部の紙面を単色又は2色で印刷を行う場合に、使用しない版胴に取り付けるための平版印刷版原版である。
本開示において、「耐刷性に優れる」とは、平版印刷版の印刷可能な枚数が多いことをいい、印刷の際のインクとしてUVインキを用いた場合の耐刷性を、以下、「UV耐刷性」ともいう。
≪機上現像型平版印刷版原版≫
本開示に係る機上現像型平版印刷版原版(以下、単に「平版印刷版原版」ともいう)は、支持体上に画像記録層と最外層とをこの順に有し、上記画像記録層が、ガラス転移温度が70℃以上である高分子量体(以下、特定高分子量体ともいう)を含み、上記最外層が、変色性化合物を含む。
また、本開示に係る平版印刷版原版は、ネガ型平版印刷版原版であることが好ましい。
特許文献1〜4に記載のような機上現像型平版印刷版原版においては、経時による機上現像性の低下がみられることがある。特に、この経時による機上現像性の低下は、その理由は定かではないが、変色性化合物を含む最外層を有する平版印刷版原版において生じやすい。
機上現像型平版印刷版原版の画像記録層には、バインダーポリマーのような高分子量体と低分子重合性化合物とが含まれることが多い。両者は、画像記録層中にて高分子量体による海部に低分子重合性化合物の凝集体が分散するように相分離して存在している。海部を構成する高分子量体の一部は、経時の際の加わった熱にて融着してしまうことがある。そして、画像記録層中にて高分子量体の一部が融着することで、機上現像の際に付与された示し水が画像記録層中に浸透しにくくなり、機上現像性を低下させていると考えられる。
本開示に係る平版印刷版原版では、画像記録層にガラス転移温度が70℃以上の高分子量体を含む。
このようなガラス転移温度の高い高分子量体を用いることで、高分子量体の融着自体が起きにくくなることから、経時による機上現像性の低下が抑制されるものと推測される。
〔好ましい態様〕
以下、本開示における好ましい態様を説明する。
本開示において、画像記録層は、経時による機上現像性の低下を抑制する観点から、分子量5,000以下の重合性化合物(以降、特定重合性化合物ともいう)を更に含み、特定高分子量体の溶解度パラメータ(SP値ともいう)と重合性化合物の溶解度パラメータ(SP値)との差が0.8MPa1/2以上であることが好ましく、1.0MPa1/2以上であることがより好ましく、1.2MPa1/2以上であることが更に好ましい。
上記差の上限としては、例えば、13.0MPa1/2が挙げられる。
上記のように、特定高分子量体と特定重合性化合物とのSP値の差があると、画像記録層中にて特定高分子量体の一部が融着したとしても、特定高分子量体による海部に低分子重合性化合物の凝集体が分散するように相分離状態が続く。そのため、機上現像の際に付与された示し水の画像記録層中への浸透がしやすくなり、経時による機上現像性の低下を更に抑制できるものと推測される。
ここで、本開示における「溶解度パラメータ(単位:(MPa)1/2)」は、ハンセン(Hansen)溶解度パラメータを用いるものとする。
ハンセン(Hansen)溶解度パラメータは、ヒルデブランド(Hildebrand)によって導入された溶解度パラメータを、分散項δd、極性項δp、水素結合項δhの3成分に分割し、3次元空間に表したものであるが、本開示においては溶解度パラメータ(以降、SP値ともいう)をδ(単位:(MPa)1/2)で表し、下記式を用いて算出される値を用いる。
δ(MPa)1/2=(δd+δp+δh1/2
なお、この分散項δd、極性項δp、及び、水素結合項δhは、ハンセンやその研究後継者らにより多く求められており、Polymer Handbook (fourth edition)、VII−698〜711に詳しく掲載されている。また、ハンセン(Hansen)の溶解度パラメータのSP値の詳細については、Charles M.Hansen著の文献「Hansen Solubility Parameters;A Users Handbook(CRC Press,2007)」に記載されている。
本開示において、化合物の部分構造におけるハンセン溶解度パラメータは、コンピュータソフトウェア「Hansen Solubility Parameters in Practice(HSPiP ver.4.1.07)」を用いることにより、その化学構造から推算した値を用いることもできる。
また、本開示においては、化合物が付加重合型樹脂、重縮合型樹脂等の重合体である場合は、モノマー単位ごとのSP値をモル分率で掛け合わせた総量で示し、化合物がモノマー単位を有しない低分子化合物である場合は、化合物全体のSP値とする。
なお、本開示において、高分子量体のSP値は、樹脂の分子構造からPolymer Handbook (fourth edition)に記載のHoy法により計算してもよい。
上記特定重合性化合物の溶解度パラメータ(SP値)としては、22.0MPa1/2以下であることが好ましく、20.0MPa1/2以下であることがより好ましく、19.5MPa1/2以下であることが更に好ましい。
特定重合性化合物のSP値の下限としては、例えば、10.0MPa1/2が挙げられる。
また、特定重合性化合物は2官能以上の重合性化合物であることが好ましい。
特定重合性化合物としては、2官能の重合性化合物であってもよいし、特定重合性化合物は7官能以上の重合性化合物(より好ましくは10官能以上の重合性化合物)であってもよい。
上記特定高分子量体の溶解度パラメータ(SP値)としては、17.5MPa1/2〜20.0MPa1/2であることが好ましく、18.0MPa1/2〜19.5MPa1/2であることがより好ましい。
経時におる機上現像性の低下を抑制する観点から、画像記録層中の、上記特定高分子量体の質量をP、上記特定重合性化合物の質量をMとしたとき、6.0≧P/M≧0.5の関係を満たすことが好ましく、5.0≧P/M≧0.6の関係を満たすことがより好ましく、3.0≧P/M≧0.7の関係を満たすことが更に好ましい。
次に、本開示に係る平版印刷版原版における各構成要件の詳細について説明する。
<画像記録層>
本開示に係る平版印刷版原版は、支持体上に画像記録層を有する。
本開示における画像記録層は、ガラス転移温度が70℃以上である高分子量体(以降、特定高分子量体ともいう)を含む。
本開示における画像記録層は、特定高分子量体及び特定重合性化合物の他、例えば、重合開始剤、赤外線吸収剤、その他の成分を含むことが好ましい。
本開示における画像記録層は、ネガ型画像記録層であることが好ましく、水溶性又は水分散性のネガ型画像記録層であることがより好ましい。
本開示における画像記録層は、機上現像性の観点から、画像記録層の未露光部が湿し水及び印刷インキの少なくともいずれかにより除去可能であることが好ましい。
以下、画像記録層に含まれる各成分の詳細について説明する。
〔特定高分子量体〕
特定高分子量体としては、ガラス転移温度が70℃以上であれば特に制限はないが、画像記録層中にて粒状形状を有しない高分子量体であることが好ましい。
本開示において「高分子量体」とは、重量平均分子量が5,000超えの化合物であることを意味する。
本開示において、樹脂のガラス転移温度(Tgともいう)は、示差走査熱量測定(DSC)を用いて測定することができる。
具体的な測定方法は、JIS K 7121(1987年)又はJIS K 6240(2011年)に記載の方法に順じて行なう。本明細書におけるガラス転移温度は、補外ガラス転移開始温度(以下、Tigと称することがある)を用いている。
ガラス転移温度の測定方法をより具体的に説明する。
ガラス転移温度を求める場合、予想される樹脂のTgより約50℃低い温度にて装置が安定するまで保持した後、加熱速度:20℃/分で、ガラス転移が終了した温度よりも約30℃高い温度まで加熱し,示差熱分析(DTA)曲線又はDSC曲線を作成する。
補外ガラス転移開始温度(Tig)、すなわち、本明細書におけるガラス転移温度Tgは、DTA曲線又はDSC曲線における低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大になる点で引いた接線との交点の温度として求める。
特定高分子量体のガラス転移温度としては、経時による機上現像性の低下をより抑制する観点から、75℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましく、85℃以上が更に好ましく、90℃以上が特に好ましい。
また、特定高分子量体のガラス転移温度の上限としては、画像記録層への水の浸み込みやすさの観点から、200℃が挙げられ、120℃以下が好ましい。
特定高分子量体としては、平版印刷版原版の画像記録層に用いられる公知のバインダーポリマー(例えば、(メタ)アクリル樹脂、ポリビニルアセタール、ポリウレタン等)を好適に使用することができる。
中でも、経時による機上現像性の低下をより抑制する観点から、ポリビニルアセタールが好ましい。
ポリビニルアセタールは、ポリビニルアルコールのヒドロキシ基をアルデヒドにてアセタール化させて得られた樹脂である。
特に、ポリビニルアルコールのヒドロキシ基を、ブチルアルデヒドでアセタール化(即ち、ブチラール化)したポリビニルブチラールが好ましい。
ポリビニルアセタールは、ポリビニルアルコールのヒドロキシ基をアルデヒドにてアセタール化することで、下記(a)で表される構成単位を含む。
Figure 2021189320
ここで、Rとしては、アセタール化に用いられたアルデヒドの残基を表す。
Rとしては、水素原子、アルキル基等の他、後述するエチレン性不飽和基が挙げられる。
上記(a)で表される構成単位の含有量(アセタール化度ともいう)としては、ポリビニルアセタールの全構成単位に対して、50mol%〜90mol%が好ましく、55mol%〜85mol%がより好ましく、55mol%〜80mol%が更に好ましい。
ポリビニルアセタールは、耐刷性向上の観点から、エチレン性不飽和基を有することが好ましい。
ここで、ポリビニルアセタールが有するエチレン性不飽和基としては特に制限はなく、反応性、機上現像性、及び耐刷性の観点から、ビニルフェニル基(スチリル基)、ビニルエステル基、ビニルエーテル基、アリル基、(メタ)アクリロキシ基、及び(メタ)アクリルアミド基からなる群より選ばれた少なくとも1種の基であることがより好ましく、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロキシ基等が好ましい。
ポリビニルアセタールが、耐刷性向上の観点から、エチレン性不飽和基を有する構成単位を含むことが好ましい。
エチレン性不飽和基を有する構成単位としては、上述のアセタール環を有する構成単位であってもよいし、アセタール環を有する構成単位以外の構成単位であってもよい。
中でも、露光時の架橋密度増加の観点から、ポリビニルアセタールは、アセタール環にエチレン性不飽和基が導入された化合物であることが好ましい。即ち、上述の(a)で表される構成単位において、Rにエチレン性不飽和基を有することが好ましい。
エチレン性不飽和基を有する構成単位が、アセタール環を有する構成単位以外の構成単位である場合、例えば、アクリレート基を有する構成単位、具体的には、下記(d)で表される構成単位であってもよい。
Figure 2021189320
エチレン性不飽和基を有する構成単位がアセタール環を有する構成単位以外の構成単位である場合、この構成単位の含有量(アクリレート基量ともいう)としては、ポリビニルアセタールの全構成単位に対して、1mol%〜15mol%が好ましく、1mol%〜10mol%がより好ましい。
ポリビニルアセタールとしては、更に、機上現像性等の観点から、水酸基を有する構成単位を含むことが好ましい。つまり、上記ポリビニルアセタールは、ビニルアルコールに由来する構成単位を含むことが好ましい。
水酸基を有する構成単位としては、下記(b)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 2021189320
上記(b)で表される構成単位の含有量(水酸基量ともいう)としては、機上現像性の観点から、ポリビニルアセタールの全構成単位に対して、5mol%〜50mol%が好ましく、10mol%〜40mol%がより好ましく、20mol%〜40mol%が更に好ましい。
上記ポリビニルアセタールとしては、更に、その他の構成単位を含んでいてもよい。
その他の構成単位としては、例えば、アセチル基を有する構成単位、具体的には、以下(c)で表される構成単位が挙げられる。
Figure 2021189320
上記(c)で表される構成単位の含有量(アセチル基量ともいう)としては、ポリビニルアセタールの全構成単位に対して、0.5mol%〜10mol%が好ましく、0.5mol%〜8mol%がより好ましく、1mol%〜3mol%が更に好ましい。
ここで、上記アセタール化度、アクリレート基量、水酸基量、及びアセチル基量、は、以下のようにして求めることができる。
即ち、H NMR測定によって、アセタールのメチル又はメチレン部位、アクリレート基のメチル部位、水酸基及びアセチル基のメチル部位のプロトンピーク面積比からmol含有率を算出する。
上記ポリビニルアセタールの重量平均分子量としては、18,000〜150,000が好ましい。
上記ポリビニルアセタールのSP値は、上述と同様に、17.5MPa1/2〜20.0MPa1/2であることが好ましく、18.0MPa1/2〜19.5MPa1/2であることがより好ましい。
上記ポリビニルアセタールの具体例[P−1〜P−3]を以下に挙げるが、本開示に用いられるポリビニルアセタールはこれらに限定されるものではない。
下記構造中、「l」は50mol%〜90mol%であり、「m」は0.5mol%〜10質量%であり、「n」は5mol%〜50mol%であり、「o」は1mol%〜15mol%である。
Figure 2021189320
上記ポリビニルアセタールとしては、市販品を用いることができる。
ポリビニルアセタールの市販品としては、積水化学工業(株)のエスレックシリーズ(具体的には、エスレックBX−L,BX−1,BX−5,BL−7Z,BM−1,BM−5,BH−6,BH−3等が挙げられる。
特定高分子量体は、1種単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
特定高分子量体は、画像記録層中に任意な量で含有させることができるが、特定高分子量体の含有量は、画像記録層の全質量に対して、1質量%〜80質量%であることが好ましく、1質量%〜70質量%であることがより好ましく、3質量%〜70質量%であることが特に好ましい。
〔特定重合性化合物〕
本開示における画像記録層は、既述のように、特定重合性化合物を含むことが好ましい。
特定重合性化合物は、分子量が5,000以下であれば特に制限なく用いることができる。
特定重合性化合物が有する重合性基としては、ラジカル重合性基であってもカチオン重合性基であってもよいが、ラジカル重合性基であることが好ましい。
ラジカル重合性基としては、(メタ)アクリロイル基、アリル基、ビニルフェニル基、ビニル基等が挙げられ、反応性の観点から(メタ)アクリロイル基が好ましい。
特定重合性化合物としては、2官能以上の重合性化合物が好ましく、2官能の重合性化合物が好ましく、一方で、7官能以上の重合性化合物も好ましい。
特定重合性化合物が2官能の重合性化合物である場合、その分子量(分子量分布を有する場合には、重量平均分子量)としては、50〜1,000であることが好ましく、200〜900であることがより好ましく、300〜600であることが更に好ましい。
特定重合性化合物が7官能以上の重合性化合物である場合、その分子量(分子量分布を有する場合には、重量平均分子量)としては、1,000を超えることが好ましく、1,000を超え5,000以下であることがより好ましい。
特定重合性化合物の具体例を以下に挙げるが、本開示にて用いられる特定重合性化合物はこれらに限定されるものではない。
Figure 2021189320
以下、画像記録層に用いられる重合性化合物について説明するが、この中で、分子量が5,000以下であれば、特定重合性化合物として用いることができる。
[重合性化合物]
本開示において、重合性化合物とは、重合性基を有する化合物をいう。
重合性基としては、特に限定されず公知の重合性基であればよいが、エチレン性不飽和基であることが好ましい。また、重合性基としては、ラジカル重合性基であってもカチオン重合性基であってもよいが、ラジカル重合性基であることが好ましい。
ラジカル重合性基としては、(メタ)アクリロイル基、アリル基、ビニルフェニル基、ビニル基等が挙げられ、反応性の観点から(メタ)アクリロイル基が好ましい。
重合性化合物の分子量(分子量分布を有する場合には、重量平均分子量)は、50以上10,000以下であることが好ましい。特定重合性化合物の場合、その分子量(分子量分布を有する場合には、重量平均分子量)は、100以上4,000以下が好ましい。
本開示に用いられる重合性化合物は、例えば、ラジカル重合性化合物であっても、カチオン重合性化合物であってもよいが、少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する付加重合性化合物(エチレン性不飽和化合物)であることが好ましい。
エチレン性不飽和化合物としては、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個有する化合物であることが好ましく、末端エチレン性不飽和結合を2個以上有する化合物であることがより好ましい。重合性化合物は、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体若しくはオリゴマー、又は、それらの混合物などの化学的形態をもつ。
中でも、上記重合性化合物としては、UV耐刷性の観点から、3官能以上の重合性化合物を含むことが好ましく、7官能以上の重合性化合物を含むことがより好ましく、10官能以上の重合性化合物を含むことが更に好ましい。また、上記重合性化合物は、得られる平版印刷版におけるUV耐刷性の観点から、3官能以上(好ましくは7官能以上、より好ましくは10官能以上)のエチレン性不飽和化合物を含むことが好ましく、3官能以上(好ましくは7官能以上、より好ましくは10官能以上)の(メタ)アクリレート化合物を含むことが更に好ましい。
[オリゴマー]
画像記録層に含まれる重合性化合物としては、オリゴマーである重合性化合物(以下、単に「オリゴマー」ともいう。)を含有することが好ましい。
本開示においてオリゴマーとは、分子量(分子量分布を有する場合には、重量平均分子量)が600以上10,000以下であり、かつ、重合性基を少なくとも1つ含む重合性化合物を表す。
耐薬品性、UV耐刷性に優れる観点から、オリゴマーの分子量としては、1,000以上5,000以下であることが好ましい。
また、UV耐刷性を向上させる観点から、1分子のオリゴマーにおける重合性基数は、2以上であることが好ましく、3以上であることがより好ましく、6以上であることが更に好ましく、10以上であることが特に好ましい。
また、オリゴマーにおける重合性基の上限値は、特に制限はないが、重合性基の数は20以下であることが好ましい。
UV耐刷性、及び、機上現像性の観点から、オリゴマーとしては、重合性基の数が7以上であり、かつ、分子量が1,000以上10,000以下であることが好ましく、重合性基の数が7以上20以下であり、かつ、分子量が1,000以上5,000以下であることがより好ましい。
なお、重合性化合物としてオリゴマーを含む場合、オリゴマーを製造する過程で生じる可能性のある、ポリマー成分も含まれていてもよい。
UV耐刷性、及び、機上現像性の観点から、オリゴマーは、ウレタン結合を有する化合物、エステル結合を有する化合物、及びエポキシ残基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を有することが好ましく、ウレタン結合を有する化合物を有することが好ましい。
本開示においてエポキシ残基とは、エポキシ基により形成される構造を指し、例えば酸基(カルボン酸基等)とエポキシ基との反応により得られる構造と同様の構造を意味する。
(ウレタン結合を有する化合物)
オリゴマーの例であるウレタン結合を有する化合物としては、例えば、下記式(Ac−1)又は式(Ac−2)で表される基を少なくとも有する化合物であることが好ましく、下記式(Ac−1)で表される基を少なくとも有する化合物であることがより好ましい。
Figure 2021189320
式(Ac−1)及び式(Ac−2)中、L〜Lは、それぞれ独立に、炭素数2〜20の二価の炭化水素基を表し、波線部分は他の構造との結合位置を表す。
〜Lとしては、それぞれ独立に、炭素数2〜20のアルキレン基であることが好ましく、炭素数2〜10のアルキレン基であることがより好ましく、炭素数4〜8のアルキレン基であることが更に好ましい。また、上記アルキレン基は、分岐又は環構造を有していてもよいが、直鎖アルキレン基であることが好ましい。
式(Ac−1)又は式(Ac−2)における波線部は、それぞれ独立に、下記式(Ae−1)又は式(Ae−2)で表される基における波線部と直接結合することが好ましい。
Figure 2021189320
式(Ae−1)及び式(Ae−2)中、Rは、それぞれ独立に、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基を表し、波線部分は式(Ac−1)及び式(Ac−2)における波線部との結合位置を表す。
また、ウレタン結合を有する化合物として、ポリイソシアネート化合物と、ポリオール化合物と、の反応により得られるポリウレタンに、高分子反応により重合性基を導入した化合物を用いてもよい。
例えば、酸基を有するポリオール化合物と、ポリイソシアネート化合物を反応させて得られたポリウレタンオリゴマーに、エポキシ基及び重合性基を有する化合物を反応させることにより、ウレタン結合を有する化合物を得てもよい。
(エステル結合を有する化合物)
オリゴマーの例であるエステル結合を有する化合物における重合性基の数は、3以上であることが好ましく、6以上であることが更に好ましい。
(エポキシ残基を有する化合物)
オリゴマーの例であるエポキシ残基を有する化合物としては、化合物内にヒドロキシ基を含む化合物が好ましい。
また、エポキシ残基を有する化合物における重合性基の数は、2〜6であることが好ましく、2〜3であることがより好ましい。
上記エポキシ残基を有する化合物としては、例えば、エポキシ基を有する化合物にアクリル酸を反応することにより得ることができる。
オリゴマーの具体例として市販品を以下に示すが、本開示において用いられるオリゴマーはこれに限定されるものではない。
オリゴマーの市販品としては、UA−510H、UA−306H、UA−306I、UA−306T(いずれも共栄社化学(株))、UV−1700B、UV−6300B、UV7620EA(いずれも日本合成化学工業(株))、U−15HA(新中村化学工業(株))、EBECRYL450、EBECRYL657、EBECRYL885、EBECRYL800、EBECRYL3416、EBECRYL860(いずれもダイセルオルネクス(株))等が挙げられる。
オリゴマーの含有量は、耐薬品性、UV耐刷性、及び機上現像カスの抑制性を向上させる観点から、画像記録層における重合性化合物の全質量に対し、30質量%〜100質量%であることが好ましく、50質量%〜100質量%であることがより好ましく、80質量%〜100質量%であることが更に好ましい。
[低分子重合性化合物]
重合性化合物は、上記オリゴマー以外の重合性化合物を更に含んでいてもよい。
オリゴマー以外の重合性化合物としては、耐薬品性の観点から、低分子重合性化合物であることが好ましい。低分子重合性化合物としては、単量体、2量体、3量体又は、それらの混合物などの化学的形態であってもよい。
また、低分子重合性化合物としては、耐薬品性の観点から、エチレン性不飽和基を3つ以上有する重合性化合物、及びイソシアヌル環構造を有する重合性化合物からなる群より選ばれる少なくとも一方の重合性化合物であることが好ましい。
本開示において低分子重合性化合物とは、分子量(分子量分布を有する場合には、重量平均分子量)50以上600未満の重合性化合物を表す。
低分子重合性化合物の分子量としては、耐薬品性、UV耐刷性及び機上現像カスの抑制性に優れる観点から、100以上600未満であることが好ましく、300以上600未満であることがより好ましく、400以上600未満であることが更に好ましい。
重合性化合物が、オリゴマー以外の重合性化合物として低分子重合性化合物を含む場合(2種以上の低分子重合性化合物を含む場合はその合計量)、耐薬品性、UV耐刷性及び機上現像カスの抑制性の観点から、上記オリゴマーと低分子重合性化合物との比(オリゴマー/低分子重合性化合物)は、質量基準で、10/1〜1/10であることが好ましく、10/1〜3/7であることがより好ましく、10/1〜7/3であることが更に好ましい。
低分子重合性化合物の具体例としては、国際公開第2019/013268号の段落0082〜0086に記載の化合物が挙げられる。
重合性化合物の構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、任意に設定できる。
中でも、画像記録層は、UV耐刷性の観点から、2種以上の重合性化合物を含むことが好ましい。
重合性化合物の含有量(重合性化合物を2種以上含む場合は、重合性化合物の総含有量)は、画像記録層の全質量に対して、5質量%〜75質量%であることが好ましく、10質量%〜70質量%であることがより好ましく、15質量%〜60質量%であることが更に好ましい。
特定重合性化合物(即ち、分子量5,000以下の重合性化合物)は、1種単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
特定重合性化合物の含有量は、既述の通り、6.0≧P/M≧0.5(より好ましくは、5.0≧P/M≧0.6、更に好ましくは、3.0≧P/M≧0.7)を満たす範囲にて、画像記録層中に添加されればよい。
特定重合性化合物の含有量は、経時による機上現像性の低下を抑制する観点から、画像記録層の全質量に対して、10質量%〜70質量%が好ましく、20質量%〜65質量%がより好ましく、25質量%〜60質量%が更に好ましい。
〔重合開始剤〕
本開示における画像記録層は、重合開始剤を含むことが好ましい。
重合開始剤としては、電子受容型重合開始剤を含むことが好ましく、電子受容型重合開
始剤及び電子供与型重合開始剤を含むことがより好ましい。
[電子受容型重合開始剤]
画像記録層は、重合開始剤として、電子受容型重合開始剤を含むことが好ましい。
電子受容型重合開始剤は、赤外線露光により赤外線吸収剤の電子が励起した際に、分子間電子移動で一電子を受容することにより、ラジカル等の重合開始種を発生する化合物である。
電子受容型重合開始剤は、光、熱あるいはその両方のエネルギーによりラジカル、カチオン等の重合開始種を発生する化合物であって、公知の熱重合開始剤、結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物、光重合開始剤などを適宜選択して用いることができる。 電子受容型重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤が好ましく、オニウム塩化合物がより好ましい。
また、電子受容型重合開始剤としては、赤外線感光性重合開始剤であることが好ましい。
上記電子受容型重合開始剤の中でも好ましいものとして、硬化性の観点から、オキシムエステル化合物、及びオニウム塩化合物が挙げられる。中でも、耐刷性の観点から、ヨードニウム塩化合物、スルホニウム塩化合物、又はアジニウム塩化合物が好ましく、ヨードニウム塩化合物、又はスルホニウム塩化合物がより好ましく、ヨードニウム塩化合物が特に好ましい。
これら化合物の具体例を以下に示すが、本開示はこれに限定されるものではない。
ヨードニウム塩化合物の例としては、ジアリールヨードニウム塩化合物が好ましく、特に電子供与性基、例えば、アルキル基又はアルコキシル基で置換されたジフェニルヨードニウム塩化合物がより好ましく、また、非対称のジフェニルヨードニウム塩化合物が好ましい。具体例としては、ジフェニルヨードニウム=ヘキサフルオロホスファート、4−メトキシフェニル−4−(2−メチルプロピル)フェニルヨードニウム=ヘキサフルオロホスファート、4−(2−メチルプロピル)フェニル−p−トリルヨードニウム=ヘキサフルオロホスファート、4−ヘキシルオキシフェニル−2,4,6−トリメトキシフェニルヨードニウム=ヘキサフルオロホスファート、4−ヘキシルオキシフェニル−2,4−ジエトキシフェニルヨードニウム=テトラフルオロボラート、4−オクチルオキシフェニル−2,4,6−トリメトキシフェニルヨードニウム=1−ペルフルオロブタンスルホナート、4−オクチルオキシフェニル−2,4,6−トリメトキシフェニルヨードニウム=ヘキサフルオロホスファート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム=ヘキサフルオロホスファートが挙げられる。
また、ヨードニウム塩化合物及びスルホニウム塩化合物の対アニオンの例としては、スルホネートアニオン、カルボキシレートアニオン、テトラフルオロボレートアニオン、ヘキサフルオロホスフェートアニオン、p−トルエンスルホネートアニオン、トシレートアニオン、スルホンアミドアニオン又はスルホンイミドアニオンが挙げられる。
中でも、スルホンアミドアニオン又はスルホンイミドアニオンが好ましく、スルホンイミドアニオンがより好ましい。
スルホンアミドアニオンとしては、アリールスルホンアミドアニオンが好ましい。
また、スルホンイミドアニオンとしては、ビスアリールスルホンイミドアニオンが好ましい。
スルホンアミドアニオン又はスルホンイミドアニオンの具体例としては、例えば、国際公開第2019/013268号の段落0034に記載された化合物が挙げられる。
また、上記電子受容型重合開始剤は、現像性、及び、得られる平版印刷版におけるUV耐刷性の観点から、下記式(II)及び式(III)のいずれかで表される化合物が好ましく、特に式(II)で表される化合物が好ましい。
Figure 2021189320
式(II)及び(III)中、Xはハロゲン原子を表し、R、R及びRはそれぞれ独立に、炭素原子数1〜20までの1価の炭化水素基を表す。
式(II)中、Xはハロゲン原子を表し、Rはアリール基を表すことが好ましい。
式(II)及び(III)におけるXとしては、具体的には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。これらのうち、塩素原子又は臭素原子は、感度に優れるため好ましく、臭素原子が特に好ましい。
また、式(II)及び(III)において、R、R及びRは、それぞれ独立に、アリール基であることが好ましく、中でも、感度と保存安定性とのバランスに優れる観点から、アミド基で置換されているアリール基が好ましい。
上記電子受容型重合開始剤の中でも、式(IV)で表される化合物が特に好ましい。
Figure 2021189320
式(IV)において、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1〜20までの1価の炭化水素基を表す。p及びqは、それぞれ独立に、1から5までの整数を表す。ただし、p+q=2〜6である。
上記式(II)〜式(IV)のいずれかで表される電子受容型重合開始剤の具体例としては、下記式に示す化合物などが挙げられるが、本開示はこれらに限定されるものではない。
Figure 2021189320
Figure 2021189320
Figure 2021189320
Figure 2021189320
Figure 2021189320
Figure 2021189320
Figure 2021189320
電子受容型重合開始剤の最低空軌道(LUMO)は、感度の向上及び版飛びを発生しにくくする観点から、−3.00eV以下であることが好ましく、−3.02eV以下であることがより好ましい。
また、下限としては、−3.80eV以上であることが好ましく、−3.50eV以上であることがより好ましい。
本開示において、最低空軌道(LUMO)及び後述の最高被占軌道(HOMO)の計算は、以下の方法により行う。
まず、計算対象となる化合物において、主構造でない対イオンを有する場合、上記対イオンは無視してもよい。
量子化学計算ソフトウェアGaussian09を用い、構造最適化はDFT(B3L
YP/6−31G(d))で行う。
MO(分子軌道)エネルギー計算は、上記構造最適化で得た構造でDFT(B3LYP/6−31+G(d,p)/CPCM(solvent=methanol))で行う。
上記MOエネルギー計算で得られたMOエネルギーEbare(単位:hartree)を以下の公式により、本開示においてHOMO及びLUMOの値として用いるEscaled(単位:eV)へ変換する。
Escaled=0.823168×27.2114×Ebare−1.07634
なお、27.2114は単にhartreeをeVに変換するための係数であり、0.823168と−1.07634とは調節係数であり、計算対象となる化合物のHOMOとLUMOとを計算が実測の値に合うように定める。
電子受容型重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
電子受容型重合開始剤の含有量は、画像記録層の全質量に対し、0.1質量%〜50質量%であることが好ましく、0.5質量%〜30質量%であることがより好ましく、0.8質量%〜20質量%であることが特に好ましい。
[電子供与型重合開始剤(重合助剤)]
本開示における画像記録層は、重合開始剤として、電子供与型重合開始剤(重合助剤ともいう)を含むことが好ましい。
電子供与型重合開始剤は、赤外線露光により赤外線吸収剤の電子が励起又は分子内移動した際に、赤外線吸収剤の一電子抜けた軌道に分子間電子移動で一電子を供与することにより、ラジカル等の重合開始種を発生する化合物である。
電子供与型重合開始剤としては、電子供与型ラジカル重合開始剤であることが好ましい。
画像記録層は、耐刷性の観点から、電子供与型重合開始剤としてボレート化合物を含有することが好ましい。
ボレート化合物としては、耐刷性の観点から、テトラアリールボレート化合物、又は、モノアルキルトリアリールボレート化合物であることが好ましく、テトラアリールボレート化合物であることがより好ましい。
ボレート化合物が有する対カチオンとしては、特に制限はないが、アルカリ金属イオン、又は、テトラアルキルアンモニウムイオンであることが好ましく、ナトリウムイオン、カリウムイオン、又は、テトラブチルアンモニウムイオンであることがより好ましい。
また、ボレート化合物が有する対カチオンとしては、本開示に赤外線吸収剤として記載されているカチオン性のポリメチン色素であってもよい。例えば、シアニン色素の対カチオンとして上記ボレート化合物を用いてもよい。
ボレート化合物として具体的には、ナトリウムテトラフェニルボレートが好ましく挙げられる。
以下に電子供与型重合開始剤の好ましい具体例として、B−1〜B−9を示すが、これらに限定されないことは、言うまでもない。また、下記化学式において、Phはフェニル基を表し、Buはn−ブチル基を表す。
Figure 2021189320
また、電子供与型重合開始剤の最高被占軌道(HOMO)は、感度の向上及び版飛びを発生しにくくする観点から、−6.00eV以上であることが好ましく、−5.95eV以上であることがより好ましく、−5.93eV以上であることが更に好ましい。
また、上限としては、−5.00eV以下であることが好ましく、−5.40eV以下であることがより好ましい。
電子供与型重合開始剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
電子供与型重合開始剤の含有量としては、感度及び耐刷性の観点から、画像記録層の全質量に対し、0.01質量%〜30質量%であることが好ましく、0.05質量%〜25質量%であることがより好ましく、0.1質量%〜20質量%であることが更に好ましい。
重合開始剤は、電子供与型重合開始剤と電子受容型重合開始剤とが対塩を形成している化合物であってもよい。
例えば、電子供与型重合開始剤におけるアニオンと電子受容型重合開始剤におけるカチオンとが対塩を形成してなる化合物であることが好ましく、オニウムカチオンとボレートアニオンとが対塩を形成してなる化合物であることがより好ましく、ヨードニウムカチオン又はスルホニウムカチオンとボレートアニオンとが対塩を形成してなる化合物であることが更に好ましく、ジアリールヨードニウムカチオン又はトリアリールスルホニウムカチオンとテトラアリールボレートアニオンとが対塩を形成してなる化合物であることが特に好ましい。
電子供与型重合開始剤におけるアニオン、及び、電子受容型重合開始剤におけるカチオンの好ましい態様としては、既述の電子供与型重合開始剤におけるアニオン及び既述の電子受容型重合開始剤におけるカチオンの好ましい態様と同様である。
画像記録層が、電子供与型重合開始剤であるアニオンと、電子受容型重合開始剤であるカチオンと、を含む場合(つまり、上記対塩を形成している化合物を含む場合)、画像記録層は電子受容型重合開始剤及び上記電子供与型重合開始剤を含むものとする。
また、電子供与型重合開始剤と電子受容型重合開始剤とが対塩を形成している化合物は、電子供与型重合開始剤として用いてもよいし、電子受容型重合開始剤として用いてもよい。
また、電子供与型重合開始剤と電子受容型重合開始剤とが対塩を形成してなる化合物は、既述の電子供与型重合開始剤と併用してもよいし、既述の電子受容型重合開始剤と併用してもよい。
[赤外線吸収剤と電子供与型重合開始剤との好ましい態様]
本開示における画像記録層は、感度の向上及び耐刷性の観点から、赤外線吸収剤のHOMO−電子供与型重合開始剤のHOMOの値が、0.70eV以下であることが好ましく、0.70eV〜−0.10eVであることがより好ましい。
なお、マイナスの値は、上記電子供与型重合開始剤のHOMOが、上記赤外線吸収剤のHOMOよりも高くなることを意味する。
[電子受容型重合開始剤及び赤外線吸収剤の好ましい態様]
本開示における画像記録層は、感度の向上及び耐刷性の観点から、電子受容型重合開始剤のLUMO−赤外線吸収剤のLUMOの値が、1.00eV以下であることが好ましく、0.80eV以下であることがより好ましく、0.70eV以下であることが更に好ましく、0.70eV〜−0.10eV以下であることが特に好ましく、0.70eV〜0.30eVであることが最も好ましい。
なお、マイナスの値は、上記赤外線吸収剤のLUMOが、上記電子受容型重合開始剤の
LUMOよりも高くなることを意味する。
〔赤外線吸収剤〕
本開示における画像記録層は赤外線吸収剤を含む。
赤外線吸収剤としては、特に制限はなく、例えば、顔料及び染料が挙げられる。
赤外線吸収剤として用いられる染料としては、市販の染料及び例えば、「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクアリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。
これらの染料のうち好ましいものとしては、シアニン色素、スクアリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体、インドレニンシアニン色素が挙げられる。より好ましくは、シアニン色素やインドレニンシアニン色素が挙げられる。中でも、シアニン色素が特に好ましい。
上記赤外線吸収剤としては、メソ位に酸素原子、窒素原子、又はハロゲン原子を有するカチオン性のポリメチン色素であることが好ましい。カチオン性のポリメチン色素としては、シアニン色素、ピリリウム色素、チオピリリウム色素、アズレニウム色素等が好ましく挙げられ、入手の容易性、導入反応時の溶剤溶解性等の観点から、シアニン色素であることが好ましい。
シアニン色素の具体例としては、特開2001−133969号公報の段落0017〜0019に記載の化合物、特開2002−023360号公報の段落0016〜0021、特開2002−040638号公報の段落0012〜0037に記載の化合物、好ましくは特開2002−278057号公報の段落0034〜0041、特開2008−195018号公報の段落0080〜0086に記載の化合物、特に好ましくは特開2007−90850号公報の段落0035〜0043に記載の化合物、特開2012−206495号公報の段落0105〜0113に記載の化合物が挙げられる。
また、特開平5−5005号公報の段落0008〜0009、特開2001−222101号公報の段落0022〜0025に記載の化合物も好ましく使用することができる。 顔料としては、特開2008−195018号公報の段落0072〜0076に記載の化合物が好ましい。
また、上記赤外線吸収剤としては、赤外線露光により分解する赤外線吸収剤も好適に用いることができる。
赤外線露光により分解する赤外線吸収剤としては、特表2008−544322号公報、国際公開第2016/027886号、国際公開第2017/141882号、又は国際公開第2018/043259号に記載のものを好適に用いることができる。
また、赤外線露光により分解する赤外線吸収剤としては、後述の、最外層に用いられる分解性化合物を用いてもよい。
赤外線吸収剤は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、赤外線吸収剤として顔料と染料とを併用してもよい。
赤外線吸収剤の含有量は、画像記録層の全質量に対し、0.1質量%〜10.0質量%
が好ましく、0.5質量%〜5.0質量%がより好ましい。
〔粒子〕
本開示における画像記録層は、現像性、及び、UV耐刷性の観点から、粒子を含むことが好ましい。粒子としては、無機粒子であってもよいし、有機粒子であってもよい。
中でも、粒子として、有機粒子を含むことが好ましく、ポリマー粒子を含むことがより好ましい。
即ち、本開示における画像記録層は、ポリマー粒子を含むことが好ましい。
無機粒子としては、公知の無機粒子を用いることができ、シリカ粒子、チタニア粒子等
の金属酸化物粒子を好適に用いることができる。
[ポリマー粒子]
ポリマー粒子としては、例えば、付加重合型樹脂を含む粒子(即ち、付加重合型ポリマー粒子)、重付加型樹脂を含む粒子(即ち、重付加型ポリマー粒子)、重縮合型樹脂を含む粒子(即ち、重縮合型ポリマー粒子)等が挙げられるが、中でも、付加重合型ポリマー粒子、又は重付加型ポリマー粒子が好ましい。
また、ポリマー粒子としては、熱融着が可能となる観点から、熱可塑性樹脂を含む粒子(即ち、熱可塑性ポリマー粒子)であってもよい。
また、ポリマー粒子は、マイクロカプセル、ミクロゲル(即ち、架橋ポリマー粒子)等の形態であってもよい。
ポリマー粒子としては、熱可塑性ポリマー粒子、熱反応性ポリマー粒子、重合性基を有するポリマー粒子、疎水性化合物を内包しているマイクロカプセル、及び、ミクロゲル(架橋ポリマー粒子)からなる群より選ばれることが好ましい。中でも、重合性基を有するポリマー粒子が好ましい。
特に好ましい実施形態では、ポリマー粒子は少なくとも1つのエチレン性不飽和基を含む。このようなポリマー粒子の存在により、露光部の耐刷性及び未露光部の機上現像性を高める効果が得られる。
熱可塑性ポリマー粒子としては、1992年1月のResearch Disclosure No.33303、特開平9−123387号公報、同9−131850号公報、同9−171249号公報、同9−171250号公報及び欧州特許第931647号明細書などに記載の熱可塑性ポリマー粒子が好ましい。
熱可塑性ポリマー粒子を構成する樹脂の具体例としては、エチレン、スチレン、塩化ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、ビニルカルバゾール、ポリアルキレン構造を有するアクリレート又はメタクリレートなどのモノマーのホモポリマー若しくはコポリマー又はそれらの混合物を挙げることができる。
熱可塑性ポリマー粒子としては、インキ着肉性及びUV耐刷性の観点から、芳香族ビニル化合物により形成される構成単位、及び、ニトリル基を有する構成単位を有する樹脂を含むことが好ましい。
上記芳香族ビニル化合物としては、芳香環にビニル基が結合した構造を有する化合物であればよいが、スチレン化合物、ビニルナフタレン化合物等が挙げられ、スチレン化合物が好ましく、スチレンがより好ましい。
スチレン化合物としては、スチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、β−メチルスチレン、p−メチル−β−メチルスチレン、α−メチルスチレン、及びp−メトキシ−β−メチルスチレン等が挙げられる。
芳香族ビニル化合物により形成される構成単位の含有量は、インキ着肉性の観点から、後述するニトリル基を有する構成単位の含有量よりも多いことが好ましく、熱可塑性樹脂の全質量に対し、15質量%〜85質量%であることがより好ましく、30質量%〜70質量%であることが更に好ましい。
ニトリル基を有する構成単位は、ニトリル基を有するモノマーを用いて導入されることが好ましい。
ニトリル基を有するモノマーとしては、アクリロニトリル化合物が挙げられ、(メタ)アクリロニトリルが好適に挙げられる。
ニトリル基を有する構成単位としては、(メタ)アクリロニトリルにより形成される構成単位が好ましい。
ニトリル基を有する構成単位の含有量は、インキ着肉性の観点から、上記芳香族ビニル化合物により形成されるよりも少ないことが好ましく、樹脂の全質量に対し、55質量%〜90質量%であることがより好ましく、60質量%〜85質量%であることがより好ましい。
また、熱可塑性ポリマー粒子に含まれる樹脂が芳香族ビニル化合物により形成される構成単位及びニトリル基を有する構成単位を含む場合、芳香族ビニル化合物により形成される構成単位及びニトリル基を有する構成単位の含有量比(芳香族ビニル化合物により形成される構成単位:ニトリル基を有する構成単位)としては、質量基準で5:5〜9:1であることが好ましく、より好ましくは、6:4〜8:2である。
熱可塑性ポリマー粒子に含まれる樹脂は、UV耐刷性及び耐薬品性の観点から、N−ビニル複素環化合物により形成される構成単位を更に有することが好ましい。
N−ビニル複素環化合物としては、例えば、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロール、N−ビニルフェノチアジン、N−ビニルコハク酸イミド、N−ビニルフタルイミド、N−ビニルカプロラクタム、及びN−ビニルイミダゾールが挙げられ、N−ビニルピロリドンが好ましい。
N−ビニル複素環化合物により形成される構成単位の含有量は、熱可塑性樹脂の全質量に対し、5質量%〜50質量%であることが好ましく、10質量%〜40質量%であることがより好ましい。
熱可塑性ポリマー粒子に含まれる樹脂は、酸性基を有する構成単位を含有してもよいが、機上現像性及びインキ着肉性の観点からは、酸性基を有する構成単位を含有しないことが好ましい。
具体的には、熱可塑性樹脂における酸性基を有する構成単位の含有量は、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることが更に好ましい。上記含有量の下限は特に限定されず、0質量%であってもよい。 また、熱可塑性樹脂の酸価は、160mgKOH/g以下であることが好ましく、80mgKOH/g以下であることがより好ましく、40mgKOH/g以下であることが更に好ましい。上記酸価の下限は特に限定されず、0mgKOH/gであってもよい。
本開示において、酸価はJIS K0070:1992に準拠した測定法により求められる。
熱可塑性ポリマー粒子に含まれる樹脂は、インキ着肉性の観点から、疎水性基を含む構成単位を含有してもよい。
上記疎水性基としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。
疎水性基を含む構成単位としては、アルキル(メタ)アクリレート化合物、アリール(メタ)アクリレート化合物、又は、アラルキル(メタ)アクリレート化合物により形成される構成単位が好ましく、アルキル(メタ)アクリレート化合物により形成される構成単位がより好ましい。
熱可塑性ポリマー粒子に含まれる樹脂における、疎水性基を有する構成単位の含有量は、樹脂の全質量に対し、5質量%〜50質量%であることが好ましく、10質量%〜30質量%であることがより好ましい。
熱可塑性ポリマー粒子に含まれる熱可塑性樹脂は、UV耐刷性及び機上現像性の観点から、親水性基を有することが好ましい。
親水性基としては、親水性を有する構造であれば、特に制限はないが、カルボキシ基等の酸基、ヒドロキシ基、アミノ基、ニトリル基、ポリアルキレンオキシド構造等が挙げられる。
上記親水性基としては、UV耐刷性及び機上現像性の観点から、ポリアルキレンオキシド構造を有する基、ポリエステル構造を有する基、又は、スルホン酸基であることが好ましく、ポリアルキレンオキシド構造を有する基、又は、スルホン酸基であることがより好ましく、ポリアルキレンオキシド構造を有する基であることが更に好ましい。
上記ポリアルキレンオキシド構造としては、機上現像性の観点から、ポリエチレンオキシド構造、ポリプロピレンオキシド構造、又は、ポリ(エチレンオキシド/プロピレンオキシド)構造であることが好ましい。
また、機上現像性の観点からは、上記親水性基の中でもポリアルキレンオキシド構造として、ポリプロピレンオキシド構造を有することが好ましく、ポリエチレンオキシド構造及びポリプロピレンオキシド構造を有することがより好ましい。
上記ポリアルキレンオキシド構造におけるアルキレンオキシド構造の数は、機上現像性の観点から、2以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましく、5〜200であることが更に好ましく、8〜150であることが特に好ましい。
また、機上現像性の観点からは、上記親水性基として、後述する式Zで表される基が好ましい。
更に、熱可塑性樹脂が有する親水性基の中でも、下記式POにより表される基が好ましい。
Figure 2021189320
式PO中、Lはそれぞれ独立に、アルキレン基を表し、Rは水素原子又はアルキル基を表し、nは1〜100の整数を表す。
式PO中、Lはそれぞれ独立に、エチレン基、1−メチルエチレン基、又は2−メチルエチレン基であることが好ましく、エチレン基であることがより好ましい。
式PO中、Rは水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基であることが好ましく、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であることがより好ましく、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であることが更に好ましく、水素原子又はメチル基であることが特に好ましい。
式PO中、nは1〜10の整数が好ましく、1〜4の整数がより好ましい。
親水性基を有する構成単位の含有量は、樹脂の全質量に対し、5質量%〜60質量%であることが好ましく、10質量%〜30質量%であることがより好ましい。
熱可塑性ポリマー粒子に含まれる樹脂は、その他の構成単位を更に含有してもよい。
その他の構成単位としては、上述の各構成単位以外の構成単位を特に限定なく含有することができ、例えば、アクリルアミド化合物、ビニルエーテル化合物等により形成される構成単位が挙げられる。
熱可塑性樹脂における、その他の構成単位の含有量は、熱可塑性樹脂の全質量に対し、5質量%〜50質量%であることが好ましく、10質量%〜30質量%であることがより好ましい。
熱反応性ポリマー粒子としては、熱反応性基を有するポリマー粒子が挙げられる。
熱反応性樹脂粒子は熱反応による架橋及びその際の官能基変化により疎水化領域を形成する。
熱反応性基を有するポリマー粒子における熱反応性基としては、化学結合が形成されるならば、どのような反応を行う官能基でもよいが、重合性基であることが好ましく、その例として、ラジカル重合反応を行うエチレン性不飽和基(例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基など)、カチオン重合性基(例えば、ビニル基、ビニルオキシ基、エポキシ基、オキセタニル基など)、付加反応を行うイソシアナト基又はそのブロック体、エポキシ基、ビニルオキシ基及びこれらの反応相手である活性水素原子を有する官能基(例えば、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基など)、縮合反応を行うカルボキシ基及び反応相手であるヒドロキシ基又はアミノ基、開環付加反応を行う酸無水物及び反応相手であるアミノ基又はヒドロキシ基などが好ましく挙げられる。
上記熱反応性基を有する樹脂としては、付加重合型樹脂、重付加型樹脂、又は重縮合型樹脂であってもよいし、熱可塑性樹脂であってもよい。
マイクロカプセルとしては、例えば、特開2001−277740号公報、特開2001−277742号公報に記載のごとく、画像記録層の構成成分の少なくとも一部(好ましくは疎水性化合物)を内包したものが好ましい。ポリマー粒子としてマイクロカプセルを含有する画像記録層は、画像記録層の構成成分のうち疎水性成分(即ち、疎水性化合物)をマイクロカプセルに内包し、親水性成分(即ち、親水性化合物)をマイクロカプセル外に含有する構成が好ましい態様である。
画像記録層の構成成分を含むマイクロカプセルを得るためには、公知の合成法が適用できる。
ミクロゲル(架橋ポリマー粒子)は、その表面又は内部の少なくとも一方に、画像記録層の構成成分の一部を含有することができる。特に、重合性基をその表面に有する反応性ミクロゲルは、平版印刷版原版の感度、及び、得られる平版印刷版の耐刷性の観点から好ましい。
画像記録層の構成成分を含むミクロゲルを得るためには、公知の合成法が適用できる。
ポリマー粒子としては、得られる平版印刷版の耐刷性、耐汚れ性及び保存安定性の観点から、分子中に2個以上のヒドロキシ基を有する多価フェノール化合物とイソホロンジイソシアネートとの付加物である多価イソシアネート化合物、及び、活性水素を有する化合物の反応により得られる重付加型ポリマー粒子が好ましい。
上記多価フェノール化合物としては、フェノール性ヒドロキシ基を有するベンゼン環を複数有している化合物が好ましい。
上記活性水素を有する化合物としては、ポリオール化合物、又は、ポリアミン化合物が好ましく、ポリオール化合物がより好ましく、プロピレングリコール、グリセリン及びトリメチロールプロパンからなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物が更に好ましい。
また、上記活性水素を有する化合物としては、水を用いてもよい。水を用いた場合、上記多価イソシアネート化合物のイソシアネート基と水との反応によって生じたアミンがウレア結合を形成し、粒子を形成することができる。
分子中に2個以上のヒドロキシ基を有する多価フェノール化合物とイソホロンジイソシアネートとの付加物である多価イソシアネート化合物、及び、活性水素を有する化合物の反応により得られる樹脂の粒子としては、国際公開第2018/043259号の段落0230〜0234に記載の調製法にて得られたミクロゲルが好ましく挙げられる。
更に、ポリマー粒子としては、得られる平版印刷版の耐刷性及び耐溶剤性の観点から、疎水性主鎖を有し、i)上記疎水性主鎖に直接的に結合されたニトリル基を有する構成ユニット、及び、ii)親水性ポリアルキレンオキシドセグメントを含むペンダント基を有する構成ユニットの両方を含む付加重合型ポリマー粒子が好ましい。
このような付加重合型ポリマー粒子として具体的には、特開2019−64269号公報の段落0156に記載の粒子が好ましい。
(式Zで表される基)
本開示におけるポリマー粒子は、親水性基として、下記式Zで表される基を有することが好ましい。
特に、本開示におけるポリマー粒子は、下記式Zで表される基を含む親水性基を有する付加重合型ポリマー粒子であることが好ましい。
式Z : *−Q−W−Y
式Z中、Qは二価の連結基を表し、Wは親水性構造を有する二価の基又は疎水性構造を有する二価の基を表し、Yは親水性構造を有する一価の基又は疎水性構造を有する一価の基を表し、W及びYのいずれかは親水性構造を有し、*は他の構造との結合部位を表す。
また、式Z中に含まれる親水性構造のいずれかが、ポリアルキレンオキシド構造を含むことが好ましい。
上記式ZにおけるQは、炭素数1〜20の二価の連結基であることが好ましく、炭素数1〜10の二価の連結基であることがより好ましい。
また、上記式ZにおけるQは、アルキレン基、アリーレン基、エステル結合、アミド結合、又はこれらを2以上組み合わせた基であることが好ましく、フェニレン基、エステル結合、又はアミド結合であることがより好ましい。
上記式ZのWにおける親水性構造を有する二価の基は、ポリアルキレンオキシド構造を含む基であることが好ましく、ポリアルキレンオキシ基、又は、ポリアルキレンオキシ基の一方の末端に−CHCHNR−が結合した基であることが好ましい。なお、Rは、水素原子又はアルキル基を表し、以降のRも同様である。
上記式ZのWにおける疎水性構造を有する二価の基は、−RWA−、−O−RWA−O−、−RN−RWA−NR−、−OC(=O)−RWA−O−、又は、−OC(=O)−RWA−O−であることが好ましい。なお、RWAは、それぞれ独立に、炭素数6〜120の直鎖、分岐若しくは環状アルキレン基、炭素数6〜120のハロアルキレン基、炭素数6〜120のアリーレン基、炭素数6〜120のアルカーリレン基(アルキルアリール基から水素原子を1つ除いた二価の基)、又は、炭素数6〜120のアラルキレン基を表す。
上記式ZのYにおける親水性構造を有する一価の基は、−OH、−C(=O)OH、末端が水素原子又はアルキル基であるポリアルキレンオキシ基、又は、末端が水素原子又はアルキル基であるポリアルキレンオキシ基の他方の末端に−CHCHN(R)−が結合した基であることが好ましい。中でも、親水性構造を有する一価の基としては、ポリアルキレンオキシド構造を含む基であることが好ましく、末端が水素原子又はアルキル基であるポリアルキレンオキシ基、又は、末端が水素原子又はアルキル基であるポリアルキレンオキシ基の他方の末端に−CHCHN(R)−が結合した基が好ましい。
上記式ZのYにおける疎水性構造を有する一価の基は、炭素数6〜120の直鎖、分岐若しくは環状アルキル基、炭素数6〜120のハロアルキル基、炭素数6〜120のアリール基、炭素数6〜120のアルカーリル基(アルキルアリール基)、炭素数6〜120のアラルキル基、−ORWB、−C(=O)ORWB、又は、−OC(=O)RWBであることが好ましい。RWBは、炭素数6〜20を有するアルキル基を表す。
上記式Zで表される基を有するポリマー粒子は、耐刷性、着肉性、及び、機上現像性の観点から、Wが親水性構造を有する二価の基であることがより好ましく、Qがフェニレン基、エステル結合、又はアミド結合であり、Wは、ポリアルキレンオキシ基であり、Yが、末端が水素原子又はアルキル基であるポリアルキレンオキシ基であることがより好ましい。
なお、式Zで表される基は、ポリマー粒子の分散性を高める分散性基として機能してもよい。
本開示におけるポリマー粒子は、耐刷性、及び、機上現像性の観点から、重合性基(好ましくはエチレン性不飽和基)を有することが好ましく、特に、表面に重合性基を有することがより好ましい。重合性基を有するポリマー粒子を用いることで、版飛び(好ましくはUV版飛び)を抑制しやすくなり、耐刷性(好ましくはUV耐刷性)も高められる。
本開示におけるポリマー粒子は、耐刷性の観点から、親水性基及び重合性基を有する樹脂粒子であることが好ましい。
上記重合性基は、カチオン重合性基であっても、ラジカル重合性基であってもよいが、反応性の観点からは、ラジカル重合性基であることが好ましい。
上記重合性基としては、重合可能な基であれば特に制限はないが、反応性の観点から、エチレン性不飽和基が好ましく、ビニルフェニル基(スチリル基)、(メタ)アクリロキシ基、又は、(メタ)アクリルアミド基がより好ましく、(メタ)アクリロキシ基が特に好ましい。
また、重合性基を有するポリマー粒子を構成する樹脂は、重合性基を有する構成単位を有することが好ましい。
なお、高分子反応によりポリマー粒子の表面に重合性基を導入してもよい。
また、ポリマー粒子は、耐刷性、着肉性、機上現像性、及び、機上現像時の現像カス抑制性の観点から、ウレア結合を有する重付加型樹脂を含むことが好ましく、下記式(Iso)で表されるイソシアネート化合物と水とを少なくとも反応させて得られる構造を有する重付加型樹脂を含むことがより好ましく、下記式(Iso)で表されるイソシアネート化合物と水とを少なくとも反応させて得られる構造を有し、かつ、ポリオキシアルキレン構造として、ポリエチレンオキシド構造及びポリプロピレンオキシド構造を有する重付加型樹脂を含むことが特に好ましい。また、上記ウレア結合を有する重付加型樹脂を含む粒子は、ミクロゲルであることが好ましい。
Figure 2021189320
式(Iso)中、nは0〜10の整数を表す。
上記式(Iso)で表されるイソシアネート化合物と水との反応の一例としては、下記に示す反応が挙げられる。なお、下記の例は、n=0、4,4−異性体を使用した例である。
下記に示すように、上記式(Iso)で表されるイソシアネート化合物と水とを反応させると、水によりイソシアネート基の一部が加水分解し、アミノ基が生じ、生じたアミノ基とイソシアネート基とが反応し、ウレア結合が生成し、二量体が形成される。また、下記反応が繰り返され、ウレア結合を有する重付加型樹脂が形成される。
また、下記反応において、アルコール化合物、アミン化合物等のイソシアネート基と反応性を有する化合物(活性水素を有する化合物)を添加することにより、アルコール化合物、アミン化合物等の構造を、ウレア結合を有する重付加型樹脂に導入することもできる。
上記活性水素を有する化合物としては、既述の活性水素を有する化合物が好ましく挙げられる。
Figure 2021189320
また、上記ウレア結合を有する重付加型樹脂は、エチレン性不飽和基を有することが好ましく、下記式(PETA)で表される基を有することがより好ましい。
Figure 2021189320
式(PETA)中、波線部分は、他の構造との結合位置を表す。
(ポリマー粒子の合成)
ポリマー粒子の合成法としては、特に制限はなく、既述した各種の樹脂にて粒子を合成しうる方法であればよい。ポリマー粒子の合成法としては、例えば、乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法、ソープフリー重合法、マイクロエマルション重合法等の、公知のポリマー粒子の合成法が挙げられる。
その他、ポリマー粒子の合成には、公知のマイクロカプセルの合成法、ミクロゲル(架橋樹脂粒子)の合成法等を用いてもよい。
(粒子の平均粒径)
粒子の平均粒径は、0.01μm〜3.0μmが好ましく、0.03μm〜2.0μmがより好ましく、0.10μm〜1.0μmが更に好ましい。この範囲で良好な解像度と経時安定性が得られる。
粒子の平均粒径は、光散乱法により測定するか、又は、粒子の電子顕微鏡写真を撮影し、写真上で粒子の粒径を総計で5,000個測定し、平均値を算出するものとする。なお、非球形粒子については写真上の粒子の円相当径とする。
なお、本開示における粒子の平均粒径は、特に断りのない限り、体積平均粒径であるものとする。
粒子(好ましくはポリマー粒子)は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
粒子(好ましくはポリマー粒子)の含有量は、現像性、及び、耐刷性の観点から、画像記録層の全質量に対し、5質量%〜90質量%が好ましく、10質量%〜90質量%であることがより好ましく、20質量%〜90質量%であることが更に好ましく、50質量%〜90質量%であることが特に好ましい。
〔その他の成分〕
本開示における画像記録層は、既述の成分以外のその他の成分を含んでいてもよい。
その他の成分としては、特定高分子量体以外の公知のバインダーポリマー、発色剤、連鎖移動剤、低分子親水性化合物、感脂化剤、その他の添加剤等が挙げられる。
[発色剤]
画像記録層は、発色剤を含んでいてもよい。
発色剤としては、酸発色剤であることが好ましい。また、発色剤としては、ロイコ化合物を含むことが好ましい。
本開示で用いられる「発色剤」とは、光や酸等の刺激により発色又は消色し画像記録層の色を変化させる性質を有する化合物を意味し、また、「酸発色剤」とは、電子受容型化合物(例えば酸等のプロトン)を受容した状態で加熱することにより、発色又は消色し画像記録層の色を変化させる性質を有する化合物を意味する。
酸発色剤としては、特に、ラクトン、ラクタム、サルトン、スピロピラン、エステル、アミド等の部分骨格を有し、電子受容型化合物と接触した時に、速やかにこれらの部分骨格が開環若しくは開裂する無色の化合物が好ましい。
酸発色剤の例としては、特開2019−18412号公報の段落0184〜0191に記載された化合物が挙げられる。
中でも、発色剤としては、発色性の観点から、スピロピラン化合物、スピロオキサジン化合物、スピロラクトン化合物、及びスピロラクタム化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
発色後の発色剤の色相としては、可視性の観点から、450nm〜650nmの範囲に極大吸収を有することが好ましい。発色後の発色剤の色味としては、赤、紫、青、又は黒緑であることが好ましい。
また、発色剤(好ましくは酸発色剤)は、露光部の視認性を高める観点から、ロイコ色素を用いることが好ましい。
ここで、ロイコ色素としては、ロイコ構造を有する色素であれば、特に制限はないが、スピロ構造を有することが好ましく、スピロラクトン環構造を有することがより好ましい。
また、ロイコ色素としては、露光部の視認性を高める観点から、フタリド構造又はフルオラン構造を有するロイコ色素であることが好ましい。
更に、発色剤(好ましくは酸発色剤)としては、露光部の視認性を高める観点から、上記フタリド構造又はフルオラン構造を有するロイコ色素である、下記式(Le−1)〜式(Le−3)のいずれかで表される化合物であることが好ましく、下記式(Le−2)で表される化合物であることがより好ましい。
Figure 2021189320
式(Le−1)〜式(Le−3)中、ERGは、それぞれ独立に、電子供与性基を表し、X〜Xは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又はジアルキルアニリノ基を表し、X〜X10は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は一価の有機基を表し、Y及びYは、それぞれ独立に、C又はNを表し、YがNである場合は、Xは存在せず、YがNである場合は、Xは存在せず、Raは、水素原子、アルキル基、又はアルコキシ基を表し、Rb〜Rbは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表す。
式(Le−1)〜式(Le−3)のERGにおける電子供与性基としては、発色性、及び、露光部の視認性の観点から、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアルキルアミノ基、モノアルキルモノアリールアミノ基、ジアリールアミノ基、アルコキシ基、アリーロキシ基、又はアルキル基であることが好ましく、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアルキルアミノ基、モノアルキルモノアリールアミノ基、ジアリールアミノ基、アルコキシ基、又はアリーロキシ基であることがより好ましく、アリールアミノ基、モノアルキルモノアリールアミノ基、又はジアリールアミノ基であることが更に好ましく、アリールアミノ基、又はモノアルキルモノアリールアミノ基であることが特に好ましい。
式(Le−1)〜式(Le−3)におけるX〜Xは、それぞれ独立に、露光部の視認性を高める観点から、水素原子、又は、塩素原子であることが好ましく、水素原子であることがより好ましい。
式(Le−2)又は式(Le−3)におけるX〜X10は、それぞれ独立に、露光部の視認性を高める観点から、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアルキルアミノ基、モノアルキルモノアリールアミノ基、ジアリールアミノ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、又はシアノ基であることが好ましく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、又はアリーロキシ基であることがより好ましく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、又はアリール基であることが更に好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
式(Le−1)〜式(Le−3)におけるY及びYは、露光部の視認性を高める観点から、少なくとも1方がCであることが好ましく、Y及びYの両方がCであることがより好ましい。
式(Le−3)におけるRaは、露光部の視認性を高める観点から、アルキル基又はアルコキシ基であることが好ましく、アルコキシ基であることがより好ましく、メトキシ基であることが特に好ましい。
式(Le−1)におけるRb〜Rbは、それぞれ独立に、露光部の視認性を高める観点から、水素原子又はアルキル基であることが好ましく、アルキル基であることがより好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
また、上記フタリド構造又はフルオラン構造を有するロイコ色素は、露光部の視認性を高める観点から、上記フタリド構造又はフルオラン構造を有するロイコ色素は、下記式(Le−4)〜式(Le−6)のいずれかで表される化合物であることがより好ましく、下記式(Le−5)で表される化合物であることが更に好ましい。
Figure 2021189320
式(Le−4)〜式(Le−6)中、ERGは、それぞれ独立に、電子供与性基を表し、X〜Xは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又はジアルキルアニリノ基を表し、Y及びYは、それぞれ独立に、C又はNを表し、YがNである場合は、Xは存在せず、YがNである場合は、Xは存在せず、Raは、水素原子、アルキル基、又はアルコキシ基を表し、Rb〜Rbは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表す。
式(Le−4)〜式(Le−6)におけるERG、X〜X、Y、Y、Ra、及び、Rb〜Rbはそれぞれ、式(Le−1)〜式(Le−3)におけるERG、X〜X、Y、Y、Ra、及び、Rb〜Rbと同義であり、好ましい態様も同様である。
更に、上記フタリド構造又はフルオラン構造を有するロイコ色素は、露光部の視認性を高める観点から、上記フタリド構造又はフルオラン構造を有するロイコ色素は、下記式(Le−7)〜式(Le−9)のいずれかで表される化合物であることが更に好ましく、下記式(Le−8)で表される化合物であることが特に好ましい。
Figure 2021189320
式(Le−7)〜式(Le−9)中、X〜Xは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又はジアルキルアニリノ基を表し、Y及びYは、それぞれ独立に、C又はNを表し、YがNである場合は、Xは存在せず、YがNである場合は、Xは存在せず、Ra〜Raは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、又はアルコキシ基を表し、Rb〜Rbは、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表し、Rc及びRcは、それぞれ独立に、アリール基を表す。
式(Le−7)〜式(Le−9)におけるX〜X、Y及びYは、式(Le−1)〜式(Le−3)におけるX〜X、Y及びYと同義であり、好ましい態様も同様である。
式(Le−7)又は式(Le−9)におけるRa〜Raは、それぞれ独立に、露光部の視認性を高める観点から、アルキル基又はアルコキシ基であることが好ましく、アルコキシ基であることがより好ましく、メトキシ基であることが特に好ましい。
式(Le−7)〜式(Le−9)におけるRb〜Rbは、それぞれ独立に、露光部の視認性を高める観点から、水素原子、アルキル基、又は、アルキル基若しくはアルコキシ基が置換したアリール基であることが好ましく、水素原子又はアルキル基であることがより好ましく、水素原子又はメチル基であることが特に好ましい。
式(Le−8)におけるRc及びRcは、それぞれ独立に、露光部の視認性を高める観点から、フェニル基、又は、アルキルフェニル基であることが好ましく、フェニル基であることがより好ましい。
また、式(Le−8)において、露光部の視認性を高める観点から、X〜Xが水素原子であり、Y及びYがCであることが好ましい。
更に、式(Le−8)において、露光部の視認性を高める観点から、Rb及びRbが、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、又は、アルキル基若しくはアルコキシ基が置換したアリール基であることが好ましく、水素原子又はアルキル基であることがより好ましい。
式(Le−1)〜式(Le−9)におけるアルキル基は、直鎖であっても、分岐を有していても、環構造を有していてもよい。
また、式(Le−1)〜式(Le−9)におけるアルキル基の炭素数は、1〜20であることが好ましく、1〜8であることがより好ましく、1〜4であることが更に好ましく、1又は2であることが特に好ましい。
式(Le−1)〜式(Le−9)におけるアリール基の炭素数は、6〜20であることが好ましく、6〜10であることがより好ましく、6〜8であることが特に好ましい。
また、式(Le−1)〜式(Le−9)における一価の有機基、アルキル基、アリール基、ジアルキルアニリノ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基等の各基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、アルキル基、アリール基、ハロゲン原子、アミノ基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアルキルアミノ基、モノアルキルモノアリールアミノ基、ジアリールアミノ基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、シアノ基等が挙げられる。また、これら置換基は、更にこれら置換基により置換されていてもよい。
好適に用いられる上記フタリド構造又はフルオラン構造を有するロイコ色素の具体例としては、以下の化合物(S−1〜S−15)が挙げられる。
Figure 2021189320
Figure 2021189320
Figure 2021189320
Figure 2021189320
Figure 2021189320
酸発色剤としては上市されている製品を使用することも可能であり、ETAC、RED500、RED520、CVL、S−205、BLACK305、BLACK400、BLACK100、BLACK500、H−7001、GREEN300、NIRBLACK78、BLUE220、H−3035、BLUE203、ATP、H−1046、H−2114(以上、福井山田化学工業(株)製)、ORANGE−DCF、Vermilion−DCF、PINK−DCF、RED−DCF、BLMB、CVL、GREEN−DCF、TH−107(以上、保土ヶ谷化学(株)製)、ODB、ODB−2、ODB−4、ODB−250、ODB−BlackXV、Blue−63、Blue−502、GN−169、GN−2、Green−118、Red−40、Red−8(以上、山本化成(株)製)、クリスタルバイオレットラクトン(東京化成工業(株)製)等が挙げられる。
これらの市販品の中でも、ETAC、S−205、BLACK305、BLACK400、BLACK100、BLACK500、H−7001、GREEN300、NIRBLACK78、H−3035、ATP、H−1046、H−2114、GREEN−DCF、Blue−63、GN−169、クリスタルバイオレットラクトンが、形成される膜の可視光吸収率が良好のため好ましい。
ロイコ色素としては、露光部の視認性を高める観点から、以下の化合物も好適に用いられるものとして挙げられる。
Figure 2021189320
発色剤は、1種単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
発色剤の含有量は、画像記録層の全質量に対し、0.5質量%〜10質量%であることが好ましく、1質量%〜5質量%であることがより好ましい。
画像記録層は、上述した以外の成分を含んでいてもよい。
上述した以外の成分としては、特開2009−255434号公報の段落0181〜0190に記載の、着色剤、焼き出し剤、重合禁止剤、高級脂肪酸誘導体、可塑剤、無機微粒子、及び低分子親水性化合物等が挙げられる。
また、上述した以外の成分としては、特開2012−187907号公報の段落0191〜0217に記載の、疎水化前駆体(熱が加えられたときに画像記録層を疎水性に変換できる微粒子)、低分子親水性化合物、感脂化剤(例えば、ホスホニウム化合物、含窒素低分子化合物、アンモニウム基含有ポリマー)、及び連鎖移動剤等も挙げられる。
〔画像記録層の形成〕
本開示に係る平版印刷版原版における画像記録層は、例えば、特開2008−195018号公報の段落0142〜段落0143に記載のように、必要な上記各成分を公知の溶剤に分散又は溶解して塗布液を調製し、塗布液を支持体上にバーコーター塗布など公知の方法で塗布し、乾燥することにより形成することができる。
塗布液に用いる溶剤としては、公知の溶剤を用いることができる。具体的には、例えば、水、アセトン、メチルエチルケトン(2−ブタノン)、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメーチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、3−メトキシ−1−プロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチル等が挙げられる。
溶剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
塗布液中の固形分濃度は1質量%〜50質量%であることが好ましい。
塗布、乾燥後における画像記録層の塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、良好な感度と画像記録層の良好な皮膜特性を得る観点から、0.3g/m〜3.0g/mが好ましい。
また、本開示に係る平版印刷版原版における画像記録層の膜厚は、0.1μm〜3.0μmであることが好ましく、0.3μm〜2.0μmであることがより好ましい。
<最外層>
本開示に係る平版印刷版原版は、画像記録層上に、変色性化合物を含む最外層(保護層、オーバーコート層とも呼ばれることもある)を有する。
〔変色性化合物〕
最外層は、露光部の視認性を高める観点から、変色性化合物を含む。
本開示に係る平版印刷版原版は、露光部の視認性を高める観点から、エネルギー密度110mJ/cmにて波長830nmの赤外線による露光を行った場合の、露光前後の明度変化ΔLが、2.0以上であることが好ましい。
上記明度変化ΔLは、3.0以上であることがより好ましく、5.0以上であることが更に好ましく、8.0以上であることが特に好ましく、10.0以上であることが最も好ましい。
明度変化ΔLの上限としては、例えば、20.0が挙げられる。
また、特に、変色性化合物を含む最外層を有する場合、上記明度変化ΔLの上記好ましい数値範囲を満たすことが好ましい。
明度変化ΔLの測定は、以下の方法により行う。
平版印刷版原版を、波長830nmの赤外線半導体レーザー搭載の富士フイルム グラフィックシステムズ(株)製Luxel PLATESETTER T−9800により、出力99.5%、外面ドラム回転数220rpm、解像度2,400dpi(dots per inch、1inch=25.4mm)の条件(エネルギー密度110mJ/cm)で露光する。露光は25℃、50%RHの環境下で行う。
露光前後の平版印刷版原版の明度変化を測定する。
測定には、X−Rite社製分光測色計eXactを用いる。L表色系のL値(明度)を用い、露光後の画像記録層のL値と露光前の画像記録層のL値との差の絶対値を明度変化ΔLとする。
本開示において「変色性化合物」とは、赤外線露光に起因して、可視光領域(波長:400nm以上750nm未満)の吸収が変化する化合物をいう。つまり、本開示において「変色」とは、赤外線露光に起因して、可視光領域(波長:400nm以上750nm未満)の吸収が変化することをいう。
具体的には、本開示における変色性化合物は、(1)赤外線露光に起因して赤外線露光前より可視光領域の吸収が増加する化合物、(2)赤外線露光に起因して可視光領域の吸収を有するようになる化合物、(3)赤外線露光に起因して可視光領域に吸収を有しないようになる化合物が挙げられる。
なお、本開示における赤外線は、750nm〜1mmの波長の光線であり、750nm〜1,400nmの波長の光線であることが好ましい。
変色性化合物としては、赤外線露光に起因して発色する化合物を含むことが好ましい。
また、変色性化合物としては、赤外線露光に起因して分解する分解性化合物を含むことが好ましく、中でも、赤外線露光に起因する、熱、電子移動、又はその両方により分解する分解性化合物を含むことが好ましい。
より具体的に言えば、本開示における変色性化合物は、赤外線露光に起因して分解し(より好ましくは、赤外線露光に起因する、熱、電子移動、又はその両方により分解し)、赤外線露光前に比べて、可視光領域における吸収が増加するか、又は、吸収が短波長化し可視光領域に吸収を有するようになる化合物であることが好ましい。
ここで、「電子移動により分解する」とは、赤外線露光によって変色性化合物のHOMO(最高被占軌道)からLUMO(最低空軌道)に励起した電子が、分子内の電子受容基(LUMOと電位が近い基)に分子内電子移動し、それに伴って分解が生じることを意味する。
以下、変色性化合物の一例である分解性化合物について説明する。
分解性化合物は、赤外線波長域(750nm〜1mmの波長域、好ましくは750nm〜1,400nmの波長域)の少なくとも1部の光を吸収し、分解するものであればよいが、750nm〜1,400nmの波長域に極大吸収を有する化合物であることが好ましい。
より具体的には、分解性化合物は、赤外線露光に起因して分解し、500nm〜600nmの波長域に極大吸収波長を有する化合物を生成する化合物であることが好ましい。
分解性化合物は、露光部の視認性を高める観点から、赤外線露光により分解する基(具体的には、下記式1−1〜式1−7におけるR)を有する、シアニン色素であることが好ましい。
分解性化合物としては、露光部の視認性を高める観点から、下記式1−1で表される化合物であることがより好ましい。
Figure 2021189320
式1−1中、Rは下記式2〜式4のいずれかで表される基を表し、R11〜R18はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、−R、−OR、−SR、又は、−NRを表し、R〜Rはそれぞれ独立に、炭化水素基を表し、A、A及び複数のR11〜R18が連結して単環又は多環を形成してもよく、A及びAはそれぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、又は、窒素原子を表し、n11及びn12はそれぞれ独立に、0〜5の整数を表し、但し、n11及びn12の合計は2以上であり、n13及びn14はそれぞれ独立に、0又は1を表し、Lは、酸素原子、硫黄原子、又は、−NR10−を表し、R10は、水素原子、アルキル基、又は、アリール基を表し、Zaは電荷を中和する対イオンを表す。
Figure 2021189320
式2〜式4中、R20、R30、R41及びR42はそれぞれ独立に、アルキル基又はアリール基を表し、Zbは電荷を中和する対イオンを表し、波線は、上記式1−1中のLで表される基との結合部位を表す。
式1−1で表される化合物は、赤外線で露光されると、R−L結合が開裂し、Lは、=O、=S、又は=NR10となって、変色する。
式1−1において、Rは上記式2〜式4のいずれかで表される基を表す。
以下、式2で表される基、式3で表される基、及び式4で表される基についてそれぞれ説明する。
式2中、R20は、アルキル基又はアリール基を表し、波線部分は、式1−1中のLで表される基との結合部位を表す。
20で表されるアルキル基としては、炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、炭素数1〜15のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜10のアルキル基が更に好ましい。
上記アルキル基は、直鎖状であっても、分岐を有していても、環構造を有していてもよい。
20で表されるアリール基としては、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、炭素数6〜20のアリール基がより好ましく、炭素数6〜12のアリール基が更に好ましい。
20としては、発色性の観点から、アルキル基であることが好ましい。
また、分解性、及び、発色性の観点から、R20で表されるアルキル基としては、第二級アルキル基又は第三級アルキル基であることが好ましく、第三級アルキル基であることが好ましい。
更に、分解性、及び、発色性の観点から、R20で表されるアルキル基としては、炭素数1〜8のアルキル基であることが好ましく、炭素数3〜10の分岐状のアルキル基であることがより好ましく、炭素数3〜6の分岐状のアルキル基であることが更に好ましく、イソプロピル基、又はtert−ブチル基が特に好ましく、tert−ブチル基が最も好ましい。
ここで、R20で表されるアルキル基は、ハロゲン原子(例えば、クロロ基)等にて置換された置換アルキル基であってもよい。
以下に、上記式2で表される基の具体例を挙げるが、本開示はこれらに限定されるものではない。下記構造式中、●は式1−1中のLで表される基との結合部位を表す。
Figure 2021189320
式3中、R30は、アルキル基又はアリール基を表し、波線部分は、式1−1中のLで表される基との結合部位を表す。
30で表されるアルキル基及びアリール基としては、式2中のR20で表されるアルキル基及びアリール基と同様であり、好ましい態様も同様である。
分解性、及び、発色性の観点から、R30で表されるアルキル基としては、第二級アルキル基又は第三級アルキル基であることが好ましく、第三級アルキル基であることが好ましい。
また、分解性、及び、発色性の観点から、R30で表されるアルキル基としては、炭素数1〜8のアルキル基であることが好ましく、炭素数3〜10の分岐状のアルキル基であることがより好ましく、炭素数3〜6の分岐状のアルキル基であることが更に好ましく、イソプロピル基、又はtert−ブチル基が特に好ましく、tert−ブチル基が最も好ましい。
更に、分解性、及び、発色性の観点から、R30で表されるアルキル基は、置換アルキル基であることが好ましく、フルオロ置換アルキル基であることがより好ましく、パーフルオロアルキル基であることが更に好ましく、トリフルオロメチル基であることが特に好ましい。
分解性、及び、発色性の観点から、R30で表されるアリール基は置換アリール基であることが好ましく、置換基としては、アルキル基(好ましくは炭素数1〜4のアルキル基)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜4のアルコキシ基)等が挙げられる。
以下に、上記式3で表される基の具体例を挙げるが、本開示はこれらに限定されるものではない。下記構造式中、●は式1−1中のLで表される基との結合部位を表す。
Figure 2021189320
式4中、R41及びR42はそれぞれ独立に、アルキル基又はアリール基を表し、Zbは電荷を中和する対イオンを表し、波線部分は、式1−1中のLで表される基との結合部位を表す。
41又はR42で表されるアルキル基及びアリール基としては、式2中のR20で表されるアルキル基及びアリール基と同様であり、好ましい態様も同様である。
41としては、分解性、及び、発色性の観点から、アルキル基であることが好ましい。
42としては、分解性、及び、発色性の観点から、アルキル基であることが好ましい。
分解性、及び、発色性の観点から、R41で表されるアルキル基としては、炭素数1〜8のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜4のアルキル基であることがより好ましく、メチル基が特に好ましい。
分解性、及び、発色性の観点から、R42で表されるアルキル基としては、第二級アルキル基又は第三級アルキル基であることが好ましく、第三級アルキル基であることが好ましい。
また、分解性、及び、発色性の観点から、R42で表されるアルキル基としては、炭素数1〜8のアルキル基であることが好ましく、炭素数3〜10の分岐状のアルキル基であることがより好ましく、炭素数3〜6の分岐状のアルキル基であることが更に好ましく、イソプロピル基、又は、tert−ブチル基が特に好ましく、tert−ブチル基が最も好ましい。
式4におけるZbは、電荷を中和するための対イオンであればよく、化合物全体として、式1−1におけるZaに含まれてもよい。
Zbは、スルホネートイオン、カルボキシレートイオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、p−トルエンスルホネートイオン、又は過塩素酸塩イオンが好ましく、テトラフルオロボレートイオンがより好ましい。
以下に、上記式4で表される基の具体例を挙げるが、本開示はこれらに限定されるものではない。下記構造式中、●は式1−1中のLで表される基との結合部位を表す。
Figure 2021189320
式1−1において、Lは、酸素原子、又は−NR10−が好ましく、酸素原子が特に好ましい。
また、−NR10−におけるR10は、アルキル基が好ましい。R10で表されるアルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましい。また、R10で表されるアルキル基は、直鎖状であっても、分岐を有していても、環構造を有していてもよい。
アルキル基の中では、メチル基又はシクロヘキシル基が好ましい。
−NR10−におけるR10がアリール基の場合、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、炭素数6〜20のアリール基がより好ましく、炭素数6〜12のアリール基が更に好ましい。また、これらアリール基は、置換基を有していてもよい。
式1−1において、R11〜R18は、それぞれ独立に、水素原子、−R、−OR、−SR、又は−NRであることが好ましい。
〜Rで表される炭化水素基は、炭素数1〜30の炭化水素基が好ましく、炭素数1〜15の炭化水素基がより好ましく、炭素数1〜10の炭化水素基が更に好ましい。
上記炭化水素基は、直鎖状であっても、分岐を有していても、環構造を有していてもよい。
上記炭化水素基としては、アルキル基が特に好ましい。
上記アルキル基としては、炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、炭素数1〜15のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜10のアルキル基が更に好ましい。
上記アルキル基は、直鎖状であっても、分岐を有していても、環構造を有していてもよい。
具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、及び、2−ノルボルニル基が挙げられる。
アルキル基の中で、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。
上記アルキル基は、置換基を有していてもよい。
置換基の例としては、アルコキシ基、アリーロキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子、カルボキシ基、カルボキシレート基、スルホ基、スルホネート基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、及びこれらを組み合わせた基等が挙げられる。
式1−1におけるR11〜R14はそれぞれ独立に、水素原子、又は、−R(即ち炭化水素基)であることが好ましく、水素原子、又は、アルキル基であることがより好ましく、以下の場合を除き、水素原子であることが更に好ましい。
中でも、Lが結合する炭素原子と結合する炭素原子に結合するR11及びR13は、アルキル基が好ましく、両者が連結して環を形成することがより好ましい。上記形成される環としては、単環であってもよく、多環であってもよい。形成される環として、具体的には、シクロペンテン環、シクロペンタジエン環、シクロヘキセン環、シクロヘキサジエン環等の単環、及び、インデン環、インドール環等の多環が挙げられる。
また、A が結合する炭素原子に結合するR12はR15又はR16(好ましくはR16)と連結して環を形成することが好ましく、Aが結合する炭素原子に結合するR14はR17又はR18(好ましくはR18)と連結して環を形成することが好ましい。
式1−1において、n13は1であり、R16は、−R(即ち炭化水素基)であることが好ましい。
また、R16は、A が結合する炭素原子に結合するR12と連結して環を形成することが好ましい。形成される環としては、インドリウム環、ピリリウム環、チオピリリウム環、ベンゾオキサゾリン環、又はベンゾイミダゾリン環が好ましく、露光部の視認性を高める観点から、インドリウム環がより好ましい。これらの環は更に置換基を有していてもよい。
式1−1において、n14は1であり、R18は、−R(即ち炭化水素基)であることが好ましい。
また、R18は、Aが結合する炭素原子に結合するR14と連結して環を形成することが好ましい。形成される環としては、インドール環、ピラン環、チオピラン環、ベンゾオキサゾール環、又はベンゾイミダゾール環が好ましく、露光部の視認性を高める観点から、インドール環がより好ましい。これらの環は更に置換基を有していてもよい。
式1−1におけるR16及びR18は同一の基であることが好ましく、それぞれが環を形成する場合、A 及びAを除き、同一の構造の環を形成することが好ましい。
式1−1におけるR15及びR17は同一の基であることが好ましい。また、R15及びR17は、−R(即ち炭化水素基)であることが好ましく、アルキル基であることがより好ましく、置換アルキル基であることが更に好ましい。
式1−1により表される化合物において、水溶性を向上させる観点からは、R15及びR17は置換基アルキル基であることが好ましい。
15又はR17で表される置換アルキル基としては、下記式(a1)〜式(a4)のいずれかで表される基が挙げられる。
Figure 2021189320
式(a1)〜式(a4)中、RW0は炭素数2〜6のアルキレン基を表し、Wは単結合又は酸素原子を表し、nW1は1〜45の整数を表し、RW1は炭素数1〜12のアルキル基又は−C(=O)−RW5を表し、RW5は炭素数1〜12のアルキル基を表し、RW2〜RW4はそれぞれ独立に、単結合又は炭素数1〜12のアルキレン基を表し、Mは水素原子、ナトリウム原子、カリウム原子、又は、オニウム基を表す。
式(a1)において、RW0で表されるアルキレン基の具体例としては、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、n−ペンチレン基、イソペンチレン基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基等が挙げられ、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、又はn−ブチレン基が好ましく、n−プロピレン基が特に好ましい。
W1は1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましい。
W1で表されるアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ドデシル基等が挙げられ、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、又はn−ブチル基、tert−ブチル基が好ましく、メチル基、又はエチル基が更に好ましく、メチル基が特に好ましい。
W5で表されるアルキル基は、RW1で表されるアルキル基と同様であり、好ましい態様もRW1で表されるアルキル基の好ましい態様と同様である。
式(a1)で表される基の具体例を以下に示すが、本開示はこれらに限定されるものではない。下記構造式中、Meはメチル基、Etはエチル基を表し、*は結合部位を表す。
Figure 2021189320
式(a2)〜式(a4)において、RW2〜RW4で表されるアルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、n−ペンチレン基、イソペンチレン基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−オクチレン基、n−ドデシレン基等が挙げられ、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、又は、n−ブチレン基が好ましく、エチレン基、又は、n−プロピレン基が特に好ましい。
式(a3)において、2つ存在するMは同じでも異なってもよい。
式(a2)〜式(a4)において、Mで表されるオニウム基としては、アンモニウム基、ヨードニウム基、ホスホニウム基、スルホニウム基等が挙げられる。
式(a2)におけるCOM、式(a2)におけるPO、及び式(a4)におけるSOMは、いずれもMが解離したアニオン構造を有していてもよい。アニオン構造の対カチオンは、A であってもよいし、式1−1中のR−Lに含まれうるカチオンであってもよい。
式(a1)〜式(a4)で表される基の中で、式(a1)、式(a2)、又は式(a4)で表される基が好ましい。
式1−1におけるn11及びn12は同一であることが好ましく、いずれも、1〜5の整数が好ましく、1〜3の整数がより好ましく、1又は2が更に好ましく、2が特に好ましい。
式1−1におけるA及びAは、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、又は窒素原子を表し、窒素原子が好ましい。
式1−1におけるA及びAは同一の原子であることが好ましい。
式1−1におけるZaは、電荷を中和する対イオンを表す。
11〜R18及びR−Lの全てが電荷的に中性の基であれば、Zaは一価の対アニオンとなる。但し、R11〜R18及びR−Lは、アニオン構造又はカチオン構造を有していてもよく、例えば、R11〜R18及びR−Lに2以上のアニオン構造を有する場合、Zaは対カチオンにもなり得る。
なお、式1−1で表されるシアニン色素が、Zaを除き、化合物の全体において電荷的に中性な構造であれば、Zaは必要ない。
Zaが対アニオンである場合、スルホネートイオン、カルボキシレートイオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、p−トルエンスルホネートイオン、過塩素酸塩イオン等が挙げられ、テトラフルオロボレートイオンが好ましい。
Zaが対カチオンである場合、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、ピリジニウムイオン、スルホニウムイオン等が挙げられ、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン、ピリジニウムイオン、又はスルホニウムイオンが好ましく、ナトリウムイオン、カリウムイオン、又はアンモニウムイオンがより好ましい。
分解性化合物としては、露光部の視認性を高める観点から、下記式1−2で表される化合物(即ち、シアニン色素)であることがより好ましい。
Figure 2021189320
式1−2中、Rは上記式2〜式4のいずれかで表される基を表し、R19〜R22はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、−R、−OR、−CN、−SR、又は−NRを表し、R23及びR24はそれぞれ独立に、水素原子、又は、−Rを表し、R〜Rはそれぞれ独立に、炭化水素基を表し、R19とR20、R21とR22、又は、R23とR24は、連結して単環又は多環を形成してもよく、Lは、酸素原子、硫黄原子、又は、−NR10−を表し、R10は、水素原子、アルキル基、又は、アリール基を表し、Rd1〜Rd4、W及びWはそれぞれ独立に、置換基を有してもよいアルキル基を表し、Zaは電荷を中和する対イオンを表す。
式1−2におけるRは、式1−1におけるRと同義であり、好ましい態様も同様である。
式1−2において、R19〜R22は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、−R、−OR、又は−CNであることが好ましい。
より具体的には、R19及びR21は、水素原子、又は−Rであることが好ましい。
また、R20及びR22は、水素原子、−R、−OR、又は−CNであることが好ましい。
19〜R22で表される−Rとしては、アルキル基、又はアルケニル基が好ましい。
19〜R22のすべてが−Rである場合、R19とR20及びR21とR22が連結して単環又は多環を形成することが好ましい。
19とR20又はR21とR22が連結して形成される環としては、ベンゼン環、ナフタレン環等が挙げられる。
式1−2において、R23とR24は、連結して単環又は多環を形成していることが好ましい。
23とR24が連結して形成される環としては、単環であってもよく、多環であってもよい。形成される環として、具体的には、シクロペンテン環、シクロペンタジエン環、シクロヘキセン環、シクロヘキサジエン環等の単環、及び、インデン環等の多環が挙げられる。
式1−2において、Rd1〜Rd4は、無置換アルキル基であることが好ましい。また、Rd1〜Rd4は、いずれも同一の基であることが好ましい。
無置換アルキル基としては、炭素数1〜4の無置換アルキル基が挙げられ、中でも、メチル基が好ましい。
式1−2において、W及びWはそれぞれ独立に、式1−2で表される化合物に水溶性を高める観点から、置換アルキル基であることが好ましい。
及びWで表される置換アルキル基としては、式1−1における式(a1)〜式(a4)のいずれかで表される基が挙げられ、好ましい態様も同様である。
また、W及びWはそれぞれ独立に、機上現像性の観点から、置換基を有するアルキル基であり、かつ、上記置換基として、−(OCHCH)−、スルホ基、スルホ基の塩、カルボキシ基、又は、カルボキシ基の塩を少なくとも有する基であることが好ましい。
Zaは、分子内の電荷を中和する対イオンを表す。
19〜R22、R23〜R24、Rd1〜Rd4、W、W、及び、R−Lの全てが電荷的に中性の基であれば、Zaは一価の対アニオンとなる。但し、R19〜R22、R23〜R24、Rd1〜Rd4、W、W、及び、R−Lは、アニオン構造又はカチオン構造を有していてもよく、例えば、R19〜R22、R23〜R24、Rd1〜Rd4、W、W、及び、R−Lに2以上のアニオン構造を有する場合、Zaは対カチオンにもなり得る。
なお、式1−2で表される化合物が、Zaを除き、化合物の全体において電荷的に中性な構造であれば、Zaは必要ない。
Zaが対アニオンである場合の例は、式1−1におけるZaと同様であり、好ましい態様も同様である。また、Zaが対カチオンである場合の例も、式1−1におけるZaと同様であり、好ましい態様も同様である。
分解性化合物としてのシアニン色素は、分解性、及び、発色性の観点から、下記式1−3〜式1−7のいずれかで表される化合物であることが更に好ましい。
特に、分解性、及び、発色性の観点から、式1−3、式1−5、及び式1−6のいずれかで表される化合物であることが好ましい。
Figure 2021189320
式1−3〜式1−7中、Rは上記式2〜式4のいずれかで表される基を表し、R19〜R22はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、−R、−OR、−CN、−SR、又は、−NRを表し、R25及びR26はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は、−Rを表し、R〜Rはそれぞれ独立に、炭化水素基を表し、R19とR20、R21とR22、又は、R25とR26は、連結して単環又は多環を形成してもよく、Lは、酸素原子、硫黄原子、又は、−NR10−を表し、R10は、水素原子、アルキル基、又は、アリール基を表し、Rd1〜Rd4、W及びWは、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアルキル基を表し、Zaは電荷を中和する対イオンを表す。
式1−3〜式1−7におけるR、R19〜R22、Rd1〜Rd4、W、W、及びLは、式1−2におけるR、R19〜R22、Rd1〜Rd4、W、W、及びLと同義であり、好ましい態様も同様である。
式1−7におけるR25及びR26はそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基であることが好ましく、アルキル基であることがより好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
以下に、分解性化合物のシアニン色素の具体例を挙げるが、本開示はこれらに限定されるものではない。
Figure 2021189320
また、分解性化合物であるシアニン色素は、国際公開第2019/219560号に記載の赤外線吸収性化合物を好適に用いることができる。
また、変色性化合物としては、酸発色剤を用いてもよい。
酸発色剤としては、画像記録層において酸発色剤として記載したものを用いることができ、好ましい態様も同様である。
変色性化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種類以上の成分を組み合わせて使用してもよい。
変色性化合物としては、既述の酸発色剤と後述の酸発生剤とを組み合わせて使用してもよい。
最外層中の変色性化合物の含有量は、発色性の観点から、最外層の全質量に対し、0.10質量%〜50質量%が好ましく、0.50質量%〜30質量%がより好ましく、1.0質量%〜20質量%が更に好ましい。
上記最外層の上記変色性化合物の含有量Mと上記画像記録層の上記赤外線吸収剤の含有量Mとの比M/Mが、発色性の観点から、0.1以上であることが好ましく、0.2以上がより好ましく、0.3以上3.0以下が特に好ましい。
〔その他の成分〕
最外層は、変色性化合物以外に、水溶性ポリマー、疎水性ポリマー、感脂化剤、酸発生剤、赤外線吸収剤、無機層状化合物等の、その他の成分を含んでいてもよい。
以下、その他の成分について説明する。
[水溶性ポリマー]
上記最外層は、機上現像性の観点から、水溶性ポリマーを含むことが好ましい。
本開示において、水溶性ポリマーとは、125℃、100gの純水に対して5g以上で溶解し、かつ、125℃、100gの純水に対して5gのポリマーが溶解した溶液を25℃に冷却しても析出しないポリマーをいう。
最外層に用いられる水溶性ポリマーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、水溶性セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、ポリ(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
変性ポリビニルアルコールとしてはカルボキシ基又はスルホ基を有する酸変性ポリビニルアルコールが好ましく用いられる。具体的には、特開2005−250216号公報及び特開2006−259137号公報に記載の変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
上記水溶性ポリマーとしては、ポリビニルアルコールが好ましいものとして挙げられる。中でも、水溶性ポリマーとしては、けん化度が50%以上であるポリビニルアルコールを用いることが更に好ましい。
上記けん化度は、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、85%以上が更に好ましい。けん化度の上限は特に限定されず、100%以下であればよい。
上記けん化度は、JIS K 6726:1994に記載の方法に従い測定される。
上記水溶性ポリマーとしては、ポリビニルピロリドンも好ましいものとして挙げられる。
親水性ポリマーとしては、ポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンとを組み合わせて使用することも好ましい。
水溶性ポリマーは、1種単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
最外層が水溶性ポリマーを含む場合、水溶性ポリマーの含有量は、最外層の全質量に対して、1質量%〜99質量%であることが好ましく、3質量%〜97質量%であることがより好ましく、5質量%〜95質量%であることが更に好ましい。
[疎水性ポリマー]
最外層は、疎水性ポリマーを含んでいてもよい。
疎水性ポリマーとは、125℃、100gの純水に対し5g未満で溶解するか、又は、溶解しないポリマーをいう。
疎水性ポリマーとしては、例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチル、ポリ(メタ)アクリル酸ブチル等)、これらのポリマーの原料モノマーを組み合わせた共重合体等が挙げられる。
また、疎水性ポリマーとしては、ポリビニリデンクロライド樹脂を含むことが好ましい。
更に、疎水性ポリマーとしては、スチレン−アクリル共重合体を含むことが好ましい。

更にまた、疎水性ポリマーは、機上現像性の観点から、疎水性ポリマー粒子であることが好ましい。
疎水性ポリマーは、1種単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
最外層が疎水性ポリマーを含む場合、疎水性ポリマーの含有量は、最外層の全質量に対して、1質量%〜80質量%であることが好ましく、5質量%〜50質量%であることがより好ましい。
本開示において、疎水性ポリマーの最外層表面における占有面積率が30面積%以上であることが好ましく、40面積%以上であることがより好ましく、50面積%以上であることが更に好ましい。
疎水性ポリマーの最外層表面における占有面積率の上限としては、例えば、90面積%が挙げられる。
疎水性ポリマーの最外層表面における占有面積率は、以下のようにして測定することができる。
アルバック・ファイ社製PHI nano TOFII型飛行時間型二次イオン質量分析装置(TOF−SIMS)を用い、最外層表面に加速電圧30kVでBiイオンビーム(一次イオン)を照射し、表面から放出される疎水部(即ち、疎水性ポリマーによる領域)に相当するイオン(二次イオン)のピークを測定することで、疎水部のマッピングを行い、1μmあたりに占める疎水部の面積を測定し、疎水部の占有面積率を求め、これを「疎水性ポリマーの最外層表面における占有面積率」とする。
例えば、疎水性ポリマーがアクリル樹脂である場合は、C13のピークにより測定を行う。また、疎水性ポリマーがポリ塩化ビニリデンである場合は、CClのピークにより測定を行う。
上記占有面積率は、疎水性ポリマーの添加量等によって、調整しうる。
[感脂化剤]
最外層は、インキ着肉性の観点から、感脂化剤を含んでいてもよい。
最外層に用いられる感脂化剤としては、上記画像記録層において記載した感脂化剤を用いることができ、好ましい態様も同様である。
感脂化剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
最外層が感脂化剤を含む場合、感脂化剤の含有量は、最外層の全質量に対して、0.5 質量%〜30質量%であることが好ましく、1質量%〜20質量%であることがより好ましい。
[酸発生剤]
最外層は、変色性化合物として、酸発生剤を含むことが好ましい。
本開示における「酸発生剤」とは、光又は熱により酸を発生する化合物であり、具体的には、赤外線露光によって分解し酸を発生する化合物をいう。
発生する酸としては、スルホン酸、塩酸等のpKaが2以下の強酸であることが好ましい。酸発生剤から発生した酸によって、既述の酸発色剤が変色することができる。
酸発生剤として具体的には、感度と安定性の観点から、オニウム塩化合物が好ましい。
酸発生剤として好適なオニウム塩の具体例は、国際公開第2016/047392号の段落0121〜段落0124に記載された化合物が挙げられる。
中でも、トリアリールスルホニウム、又は、ジアリールヨードニウムの、スルホン酸塩、カルボン酸塩、BPh 、BF 、PF 、ClO などが好ましい。ここで、Phはフェニル基を表す。
酸発生剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
最外層が酸発生剤を含む場合、酸発生剤の含有量は、最外層の全質量に対して、0.5質量%〜30質量%であることが好ましく、1質量%〜20質量%であることがより好ましい。
本開示において、最外層は酸素遮断により画像形成阻害反応を抑制する機能の他、画像記録層表面の傷の発生防止、及び高照度レーザー露光時のアブレーション防止の機能を有していてもよい。
このような特性の最外層については、例えば、米国特許第3,458,311号明細書及び特公昭55−49729号公報に記載されている。最外層に用いられる酸素低透過性のポリマーとしては、水溶性ポリマー、水不溶性ポリマーのいずれをも適宜選択して使用することができ、必要に応じて2種類以上を混合して使用することもできる。具体的には、例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、水溶性セルロース誘導体、ポリ(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
変性ポリビニルアルコールとしてはカルボキシ基又はスルホ基を有する酸変性ポリビニルアルコールが好ましく用いられる。具体的には、特開2005−250216号公報及び特開2006−259137号公報に記載の変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
[無機層状化合物]
最外層は、酸素遮断性を高めるために無機層状化合物を含有することが好ましい。無機層状化合物は、薄い平板状の形状を有する粒子であり、例えば、天然雲母、合成雲母等の雲母群、式:3MgO・4SiO・HOで表されるタルク、テニオライト、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、リン酸ジルコニウム等が挙げられる。
好ましく用いられる無機層状化合物は雲母化合物である。雲母化合物としては、例えば、式:A(B,C)2−510(OH,F,O)〔ただし、Aは、K、Na、Caのいずれか、B及びCは、Fe(II)、Fe(III)、Mn、Al、Mg、Vのいずれかであり、Dは、Si又はAlである。〕で表される天然雲母、合成雲母等の雲母群が挙げられる。
雲母群においては、天然雲母としては白雲母、ソーダ雲母、金雲母、黒雲母及び鱗雲母が挙げられる。合成雲母としてはフッ素金雲母KMg(AlSi10)F、カリ四ケイ素雲母KMg2.5Si10)F等の非膨潤性雲母、及び、NaテトラシリリックマイカNaMg2.5(Si10)F、Na又はLiテニオライト(Na,Li)MgLi(Si10)F、モンモリロナイト系のNa又はLiヘクトライト(Na,Li)1/8Mg2/5Li1/8(Si10)F等の膨潤性雲母等が挙げられる。更に合成スメクタイトも有用である。
上記の雲母化合物の中でも、フッ素系の膨潤性雲母が特に有用である。すなわち、膨潤性合成雲母は、10Å〜15Å(1Å=0.1nm)程度の厚さの単位結晶格子層からなる積層構造を有し、格子内金属原子置換が他の粘土鉱物より著しく大きい。その結果、格子層は正電荷不足を生じ、それを補償するために層間にLi、Na、Ca2+、Mg2+等の陽イオンを吸着している。これらの層間に介在している陽イオンは交換性陽イオンと呼ばれ、いろいろな陽イオンと交換し得る。特に、層間の陽イオンがLi、Naの場合、イオン半径が小さいため層状結晶格子間の結合が弱く、水により大きく膨潤する。その状態でシェアーをかけると容易に劈開し、水中で安定したゾルを形成する。膨潤性合成雲母はこの傾向が強く、特に好ましく用いられる。
雲母化合物の形状としては、拡散制御の観点からは、厚さは薄ければ薄いほどよく、平面サイズは塗布面の平滑性や活性光線の透過性を阻害しない限りにおいて大きい程よい。従って、アスペクト比は、好ましくは20以上であり、より好ましくは100以上、特に好ましくは200以上である。アスペクト比は粒子の厚さに対する長径の比であり、例えば、粒子の顕微鏡写真による投影図から測定することができる。アスペクト比が大きい程、得られる効果が大きい。
雲母化合物の粒子径は、その平均長径が、好ましくは0.3μm〜20μm、より好ましくは0.5μm〜10μm、特に好ましくは1μm〜5μmである。粒子の平均の厚さは、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.05μm以下、特に好ましくは0.01μm以下である。具体的には、例えば、代表的化合物である膨潤性合成雲母の場合、好ましい態様としては、厚さが1nm〜50nm程度、面サイズ(長径)が1μm〜20μm程度である。
無機層状化合物の含有量は、最外層の全固形分に対して、1質量%〜60質量%が好ましく、3質量%〜50質量%がより好ましい。複数種の無機層状化合物を併用する場合でも、無機層状化合物の合計量が上記の含有量であることが好ましい。上記範囲で酸素遮断性が向上し、良好な感度が得られる。また、着肉性の低下を防止できる。
最外層は、既述の成分以外にも、可撓性付与のための可塑剤、塗布性を向上させための界面活性剤、表面の滑り性を制御するための無機粒子等の公知の添加物を含んでいてもよい。
最外層は、公知の方法で塗布され、乾燥することで形成される。
最外層の塗布量(固形分)は、0.01g/m〜10g/mが好ましく、0.02g/m〜3g/mがより好ましく、0.1g/m〜2.0g/mが特に好ましい。
最外層の膜厚は、0.1μm〜5.0μmであることが好ましく、0.3μm〜4.0μmであることがより好ましい。
最外層の膜厚は、後述する画像記録層の膜厚に対し、0.1倍〜5.0倍であることが好ましく、0.2倍〜3.0倍であることがより好ましい。
<支持体>
本開示に係る平版印刷版原版は、支持体を有する。
支持体としては、公知の平版印刷版原版用支持体から適宜選択して用いることができる。
支持体としては、親水性表面を有する支持体(以下、「親水性支持体」ともいう)が好ましい。
本開示における支持体としては、公知の方法で粗面化処理され、陽極酸化処理されたアルミニウム板が好ましい。即ち、本開示における支持体は、アルミニウム板とアルミニウム板上に配置されたアルミニウムの陽極酸化皮膜とを有することが好ましい。
[支持体の好ましい態様]
本開示において用いられる支持体の好ましい態様の一例(本一例に係るアルミニウム支持体を、「支持体(1)」ともいう。)を以下に示す。
即ち、支持体(1)は、アルミニウム板と、上記アルミニウム板上に配置されたアルミニウムの陽極酸化皮膜とを有し、上記陽極酸化皮膜が、上記アルミニウム板よりも上記画像記録層側に位置し、上記陽極酸化皮膜が、上記画像記録層側の表面から深さ方向にのびるマイクロポアを有し、上記マイクロポアの上記陽極酸化皮膜表面における平均径が10nmを超え100nm以下である。
なお、上記陽極酸化皮膜の上記画像記録層側の表面のL表色系における明度Lの値が、70〜100であることが好ましい。
図1は、アルミニウム支持体12aの一実施形態の模式的断面図である。
アルミニウム支持体12aは、アルミニウム板18とアルミニウムの陽極酸化皮膜20a(以後、単に「陽極酸化皮膜20a」とも称する)とをこの順で積層した積層構造を有する。なお、アルミニウム支持体12a中の陽極酸化皮膜20aが、アルミニウム板18よりも画像記録層側に位置する。つまり、本開示に係る平版印刷版原版は、アルミニウム板上に、陽極酸化皮膜、画像記録層、及び水溶性樹脂層をこの順で少なくとも有することが好ましい。
−陽極酸化皮膜−
以下、陽極酸化皮膜20aの好ましい態様について説明する。
陽極酸化皮膜20aは、陽極酸化処理によってアルミニウム板18の表面に作製される皮膜であって、この皮膜は、皮膜表面に略垂直であり、かつ、個々が均一に分布した極微細なマイクロポア22aを有する。マイクロポア22aは、画像記録層側の陽極酸化皮膜20a表面(アルミニウム板18側とは反対側の陽極酸化皮膜20a表面)から厚み方向(アルミニウム板18側)に沿ってのびる。
陽極酸化皮膜20a中のマイクロポア22aの陽極酸化皮膜表面における平均径(平均開口径)は、10nm超え100nm以下であることが好ましい。中でも、耐刷性、耐汚れ性、及び画像視認性のバランスの点から、15nm〜60nmがより好ましく、20nm〜50nmが更に好ましく、25〜40nmが特に好ましい。ポア内部の径は、表層よりも広がっても狭まってもよい。
平均径が10nmを超えれば、耐刷性及び画像視認性が更に優れる。また、平均径が100nm以下であれば場合、耐刷性が更に優れる。
マイクロポア22aの平均径は、陽極酸化皮膜20a表面を倍率15万倍の電界放出型走査電子顕微鏡(FE−SEM)でN=4枚観察し、得られた4枚の画像において、400nm×600nmの範囲に存在するマイクロポアの径(直径)を50箇所測定し、算術平均値として算出される。
なお、マイクロポア22aの形状が円状でない場合は、円相当径を用いる。「円相当径」とは、開口部の形状を、開口部の投影面積と同じ投影面積をもつ円と想定したときの円の直径である。
マイクロポア22aの深さは特に制限されないが、10nm〜3,000nmが好ましく、50nm〜2,000nmがより好ましく、300nm〜1,600nmが更に好ましい。
なお、上記深さは、陽極酸化皮膜20aの断面の写真(15万倍)をとり、25個以上のマイクロポア22aの深さを測定し、平均した値である。
マイクロポア22aの形状は特に制限されず、図2では、略直管状(略円柱状)であるが、深さ方向(厚み方向)に向かって径が小さくなる円錐状であってもよい。また、マイクロポア22aの底部の形状は特に制限されず、曲面状(凸状)であっても、平面状であってもよい。
アルミニウム支持体12aの画像記録層側の表面(陽極酸化皮膜20aの画像記録層側の表面)のL表色系における明度Lの値は、70〜100であることが好ましい。中でも、耐刷性及び画像視認性のバランスがより優れる点で、75〜100が好ましく、75〜90がより好ましい。
上記明度Lの測定は、エックスライト(株)製、色彩色差計Spectro Eyeを用いて測定する。
支持体(1)において、上記マイクロポアが、上記陽極酸化皮膜表面から深さ10nm〜1,000nmの位置までのびる大径孔部と、上記大径孔部の底部と連通し、連通位置から深さ20nm〜2,000nmの位置までのびる小径孔部とから構成され、上記大径孔部の上記陽極酸化皮膜表面における平均径が15nm〜100nmであり、上記小径孔部の上記連通位置における平均径が13nm以下である態様(以下、この態様に係る支持体を、「支持体(2)」ともいう。)も好ましく挙げられる。
図2は、アルミニウム支持体12aの、図1に示したものとは別の一実施形態の模式的断面図である。
図2において、アルミニウム支持体12bは、アルミニウム板18と、大径孔部24と小径孔部26とから構成されるマイクロポア22bを有する陽極酸化皮膜20bとを含む。
陽極酸化皮膜20b中のマイクロポア22bは、陽極酸化皮膜表面から深さ10nm〜1,000nm(深さD:図2参照)の位置までのびる大径孔部24と、大径孔部24の底部と連通し、連通位置から更に深さ20nm〜2,000nmの位置までのびる小径孔部26とから構成される。
なお、大径孔部24及び小径孔部26の詳細に関しては、例えば、特開2019−162855号公報の段落0107〜0114に記載の通りであり、この態様が本開示においても適用される。
[アルミニウム支持体の製造方法]
本開示におけるアルミニウム支持体の製造方法としては、例えば、以下の工程を順番に実施する製造方法が好ましい。
・粗面化処理工程:アルミニウム板に粗面化処理を施す工程
・陽極酸化処理工程:粗面化処理されたアルミニウム板を陽極酸化する工程
・ポアワイド処理工程:陽極酸化処理工程で得られた陽極酸化皮膜を有するアルミニウム板を、酸水溶液又はアルカリ水溶液に接触させ、陽極酸化皮膜中のマイクロポアの径を拡大させる工程
以下、各工程の手順について詳述する。
(粗面化処理工程)
粗面化処理工程は、アルミニウム板の表面に、電気化学的粗面化処理を含む粗面化処理
を施す工程である。本工程は、後述する陽極酸化処理工程の前に実施されることが好まし
いが、アルミニウム板の表面がすでに好ましい表面形状を有していれば、特に実施しなく
てもよい。
アルミニウム板に対する粗面化処理は、特開2019−162855号公報の段落0086〜0101に記載された方法で行うことができる。
(陽極酸化処理工程)
陽極酸化処理工程の手順は、上述したマイクロポアが得られれば特に制限されず、公知の方法が挙げられる。
陽極酸化処理工程においては、硫酸、リン酸、及び、シュウ酸等の水溶液を電解浴として用いることができる。例えば、硫酸の濃度は、100g/L〜300g/Lが挙げられる。
陽極酸化処理の条件は使用される電解液によって適宜設定されるが、例えば、液温5℃〜70℃(好ましくは10℃〜60℃)、電流密度0.5A/dm〜60A/dm(好ましくは5A/dm〜60A/dm)、電圧1V〜100V(好ましくは5V〜50V)、電解時間1秒〜100秒(好ましくは5秒〜60秒)、及び、皮膜量0.1g/m〜5g/m(好ましくは0.2g/m〜3g/m)が挙げられる。
(ポアワイド処理)
ポアワイド処理は、上述した陽極酸化処理工程により形成された陽極酸化皮膜に存在するマイクロポアの径(ポア径)を拡大させる処理(孔径拡大処理)である。
ポアワイド処理は、上述した陽極酸化処理工程により得られたアルミニウム板を、酸水溶液又はアルカリ水溶液に接触させることにより行うことができる。接触させる方法は特に制限されず、例えば、浸せき法及びスプレー法が挙げられる。
<下塗り層>
本開示に係る平版印刷版原版は、画像記録層と支持体との間に下塗り層(中間層と呼ばれることもある。)を有することが好ましい。下塗り層は、露光部においては支持体と画像記録層との密着を強化し、未露光部においては画像記録層の支持体からのはく離を生じやすくさせるため、耐刷性の低下を抑制しながら現像性を向上させることに寄与する。また、赤外線レーザー露光の場合に、下塗り層が断熱層として機能することにより、露光により発生した熱が支持体に拡散して感度が低下するのを防ぐ効果も有する
〔ポリマー〕
下塗り層に用いられる化合物としては、支持体表面に吸着可能な吸着性基及び親水性基を有するポリマーが挙げられる。画像記録層との密着性を向上させるために吸着性基及び親水性基を有し、更に架橋性基を有するポリマーが好ましい。下塗り層に用いられる化合物は、低分子化合物でもポリマーであってもよい。下塗り層に用いられる化合物は、必要に応じて、2種以上を混合して使用してもよい。
下塗り層に用いられる化合物がポリマーである場合、吸着性基を有するモノマー、親水性基を有するモノマー及び架橋性基を有するモノマーの共重合体が好ましい。
支持体表面に吸着可能な吸着性基としては、フェノール性ヒドロキシ基、カルボキシ基、−PO、−OPO、−CONHSO−、−SONHSO−、−COCHCOCHが好ましい。親水性基としては、スルホ基又はその塩、カルボキシ基の塩が好ましい。架橋性基としては、アクリル基、メタクリル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、アリル基などが好ましい。
ポリマーは、ポリマーの極性置換基と、上記極性置換基と対荷電を有する置換基及びエチレン性不飽和結合を有する化合物との塩形成で導入された架橋性基を有してもよいし、上記以外のモノマー、好ましくは親水性モノマーが更に共重合されていてもよい。
具体的には、特開平10−282679号公報に記載されている付加重合可能なエチレン性二重結合反応基を有しているシランカップリング剤、特開平2−304441号公報記載のエチレン性二重結合反応基を有しているリン化合物が好適に挙げられる。特開2005−238816号、特開2005−125749号、特開2006−239867号、特開2006−215263号の各公報に記載の架橋性基(好ましくは、エチレン性不飽和結合基)、支持体表面と相互作用する官能基及び親水性基を有する低分子又は高分子化合物も好ましく用いられる。
より好ましいものとして、特開2005−125749号及び特開2006−188038号公報に記載の支持体表面に吸着可能な吸着性基、親水性基及び架橋性基を有する高分子ポリマーが挙げられる。
下塗り層に用いられるポリマー中のエチレン性不飽和結合基の含有量は、ポリマー1g当たり、好ましくは0.1mmol〜10.0mmol、より好ましくは0.2mmol〜5.5mmolである。
下塗り層に用いられるポリマーの重量平均分子量(Mw)は、5,000以上が好ましく、1万〜30万がより好ましい。
〔親水性化合物〕
下塗り層は、現像性の観点から、親水性化合物を含むことが好ましい。
親水性化合物としては、特に制限はなく、下塗り層に用いられる公知の親水性化合物を用いることができる。
親水性化合物としては、カルボキシメチルセルロース、デキストリン等のアミノ基を有するホスホン酸類、有機ホスホン酸、有機リン酸、有機ホスフィン酸、アミノ酸類、並びに、ヒドロキシ基を有するアミンの塩酸塩等が好ましく挙げられる。
また、親水性化合物としては、アミノ基又は重合禁止能を有する官能基と支持体表面と相互作用する基とを有する化合物(例えば、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、2,3,5,6−テトラヒドロキシ−p−キノン、クロラニル、スルホフタル酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)又はその塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸又はその塩、ジヒドロキシエチルエチレンジアミン二酢酸又はその塩、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸又はその塩など)が好ましく挙げられる。
親水性化合物としては、傷汚れ抑制性の観点から、ヒドロキシカルボン酸又はその塩を含むことが好ましい。
また、親水性化合物、好ましくはヒドロキシカルボン酸又はその塩は、傷汚れ抑制性の観点から、上記アルミニウム支持体上の層に含まれることが好ましい。また、上記アルミニウム支持体上の層は、画像記録層が形成されている側の層であることが好ましく、また、上記アルミニウム支持体と接する層であることが好ましい。
上記アルミニウム支持体上の層としては、上記アルミニウム支持体と接する層として、下塗り層又は画像記録層が好ましく挙げられる。また、上記アルミニウム支持体と接する層以外の層、例えば、最外層又は画像記録層に、親水性化合物、好ましくはヒドロキシカルボン酸又はその塩が含まれていてもよい。
本開示に係る平版印刷版原版において、画像記録層が、傷汚れ抑制性の観点から、ヒドロキシカルボン酸又はその塩を含むことが好ましい。
また、本開示に係る平版印刷版原版において、アルミニウム支持体の画像記録層側の表面が、少なくともヒドロキシカルボン酸又はその塩を含む組成物(例えば、水溶液等)により表面処理される態様も好ましく挙げられる。上記態様である場合、処理されたヒドロキシカルボン酸又はその塩は、アルミニウム支持体と接する画像記録層側の層(例えば、画像記録層又は下塗り層)に含まれた状態で少なくとも一部を検出することができる。
下塗り層等のアルミニウム支持体と接する画像記録層側の層にヒドロキシカルボン酸又はその塩を含むことにより、アルミニウム支持体の画像記録層側の表面を親水化することができ、また、アルミニウム支持体の画像記録層側の表面における空中水滴法による水との接触角を110°以下と容易にすることができ、傷汚れ抑制性に優れる。
ヒドロキシカルボン酸とは、1分子中に1個以上のカルボキシ基と1個以上のヒドロキシ基とを有する有機化合物の総称のことであり、ヒドロキシ酸、オキシ酸、オキシカルボン酸、アルコール酸とも呼ばれる(岩波理化学辞典第5版、(株)岩波書店発行(1998)参照)。
上記ヒドロキシカルボン酸又はその塩は、下記式(HC)で表されるものが好ましい。
式(HC) : RHC(OH)mhc(COOMHCnhc
式(HC)中、RHCはmhc+nhc価の有機基を表し、MHCは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、又はオニウムを表し、mhc及びnhcは、それぞれ独立に、1以上の整数を表し、nが2以上の場合、Mは同じでも異なってもよい。
式(HC)において、RHCで表されるmhc+nhc価の有機基としては、mhc+nhc価の炭化水素基等が挙げられる。炭化水素基は置換基及び/又は連結基を有してもよい。
炭化水素基としては、脂肪族炭化水素から誘導されるmhc+nhc価の基、例えば、アルキレン基、アルカントリイル基、アルカンテトライル基、アルカンペンタイル基、アルケニレン基、アルケントリイル基、アルケンテトライル基、アルケンペンタイル基、アルキニレン基、アルキントリイル基、アルキンテトライル基、アルキンペンタイル基等、芳香族炭化水素から誘導されるmhc+nhc価の基、例えば、アリーレン基、アレーントリイル基、アレーンテトライル基、アレーンペンタイル基等が挙げられる。置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基等が挙げられる。置換基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、2−ノルボルニル基、メトキシメチル基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、p−メチルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、2−メチルプロペニルメチル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、フェノキシカルボニルフェニル基等が挙げられる。また、連結基は、水素原子、炭素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子及びハロゲン原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子により構成されるもので、その原子数は好ましくは1〜50である。具体的には、アルキレン基、置換アルキレン基、アリーレン基、置換アリーレン基などが挙げられ、これらの2価の基がアミド結合、エーテル結合、ウレタン結合、ウレア結合及びエステル結合のいずれかで複数連結された構造を有していてもよい。
HCで表されるアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、ナトリウムが特に好ましい。オニウムとしてはアンモニウム、ホスホニウム、スルホニウム等が挙げられ、アンモニウムが特に好ましい。
また、MHCは、傷汚れ抑制性の観点から、アルカリ金属又はオニウムであることが好ましく、アルカリ金属であることがより好ましい。
mhcとnhcとの総数は、3以上が好ましく、3〜8がより好ましく、4〜6が更に好ましい。
上記ヒドロキシカルボン酸又はその塩は、分子量が600以下であることが好ましく、500以下であることがより好ましく、300以下であることが特に好ましい。また、上記分子量は、76以上であることが好ましい。
上記ヒドロキシカルボン酸、又は、上記ヒドロキシカルボン酸の塩を構成するヒドロキシカルボン酸は、具体的には、グルコン酸、グリコール酸、乳酸、タルトロン酸、ヒドロキシ酪酸(2−ヒドロキシ酪酸、3−ヒドロキシ酪酸、γ−ヒドロキシ酪酸等)、リンゴ酸、酒石酸、シトラマル酸、クエン酸、イソクエン酸、ロイシン酸、メバロン酸、パントイン酸、リシノール酸、リシネライジン酸、セレブロン酸、キナ酸、シキミ酸、モノヒドロキシ安息香酸誘導体(サリチル酸、クレオソート酸(ホモサリチル酸、ヒドロキシ(メチル)安息香酸)、バニリン酸、シリング酸等)、ジヒドロキシ安息香酸誘導体(ピロカテク酸、レソルシル酸、プロトカテク酸、ゲンチジン酸、オルセリン酸等)、トリヒドロキシ安息香酸誘導体(没食子酸等)、フェニル酢酸誘導体(マンデル酸、ベンジル酸、アトロラクチン酸等)、ヒドロケイヒ酸誘導体(メリロト酸、フロレト酸、クマル酸、ウンベル酸、コーヒー酸、フェルラ酸、シナピン酸、セレブロン酸、カルミン酸等)等が挙げられる。
これらの中でも、上記ヒドロキシカルボン酸、又は、上記ヒドロキシカルボン酸の塩を構成するヒドロキシカルボン酸としては、傷汚れ抑制性の観点から、ヒドロキシ基を2個以上有している化合物が好ましく、ヒドロキシ基を3個以上有している化合物がより好ましく、ヒドロキシ基を5個以上有している化合物が更に好ましく、ヒドロキシ基を5個〜8個有している化合物が特に好ましい。
また、カルボキシ基を1個、ヒドロキシ基を2個以上有しているものとしては、グルコン酸、又は、シキミ酸が好ましい。
カルボキシ基を2個以上、ヒドロキシ基を1個有しているものとしては、クエン酸、又は、リンゴ酸が好ましい。
カルボキシ基及びヒドロキシ基をそれぞれ2個以上有しているものとしては、酒石酸が好ましい。
中でも、上記ヒドロキシカルボン酸としては、グルコン酸が特に好ましい。
親水性化合物は、1種単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
下塗り層が親水性化合物(好ましくはヒドロキシカルボン酸又はその塩)を含む場合、親水性化合物(好ましくはヒドロキシカルボン酸及びその塩)の含有量は、下塗り層の全質量に対し、0.01質量%〜50質量%であることが好ましく、0.1質量%〜40質量%であることがより好ましく、1.0質量%〜30質量%であることが特に好ましい。
下塗り層は、上記下塗り層用化合物の他に、経時による汚れ防止のため、キレート剤、
第二級又は第三級アミン、重合禁止剤等を含有してもよい。
下塗り層は、必要な上記各成分を公知の溶剤に溶解して塗布液を調製し、塗布液を支持体上に公知の方法で塗布し、乾燥することにより形成することができる。
下塗り層の塗布量(固形分)は、0.1mg/m〜300mg/mが好ましく、5mg/m〜200mg/mがより好ましい。
本開示に係る平版印刷版原版は、上述した以外のその他の層を有していてもよい。
その他の層としては、特に制限はなく、公知の層を有することができる。例えば、支持体の画像記録層側とは反対側には、必要に応じてバックコート層が設けられていてもよい。
≪平版印刷版の作製方法、及び、平版印刷方法≫
本開示に係る平版印刷版原版を画像露光して現像処理を行うことで平版印刷版を作製することができる。
本開示に係る平版印刷版の作製方法は、本開示に係る平版印刷版原版を、画像様に露光する工程(以下、「露光工程」ともいう。)と、印刷機上で印刷インキ及び湿し水からなる群より選ばれた少なくとも一方を供給して非画像部の画像記録層を除去する工程(以下、「機上現像工程」ともいう。)と、を含むことが好ましい。
本開示に係る平版印刷方法は、本開示に係る平版印刷版原版を画像様に露光する工程(露光工程)と、印刷インキ及び湿し水からなる群より選ばれた少なくとも一方を供給して印刷機上で非画像部の画像記録層を除去し平版印刷版を作製する工程(機上現像工程)と、得られた平版印刷版により印刷する工程(以下、「印刷工程」ともいう)と、を含むことが好ましい。
以下、本開示に係る平版印刷版の作製方法、及び、本開示に係る平版印刷方法について、各工程の好ましい態様を順に説明する。なお、本開示に係る平版印刷版原版は、現像液によっても現像可能である。
以下、平版印刷版の作製方法における露光工程及び機上現像工程について説明するが、本開示に係る平版印刷版の作製方法における露光工程と、本開示に係る平版印刷方法における露光工程とは同様の工程であり、本開示に係る平版印刷版の作製方法における機上現像工程と、本開示に係る平版印刷方法における機上現像工程とは同様の工程である。
<露光工程>
本開示に係る平版印刷版の作製方法は、本開示に係る平版印刷版原版を画像様に露光し、露光部と未露光部とを形成する露光工程を含むことが好ましい。本開示に係る平版印刷版原版は、線画像、網点画像等を有する透明原画を通してレーザー露光するかデジタルデータによるレーザー光走査等で画像様に露光されることが好ましい。
光源の波長は750nm〜1,400nmが好ましく用いられる。波長750nm〜1,400nmの光源としては、赤外線を放射する固体レーザー及び半導体レーザーが好適である。赤外線レーザーに関しては、出力は100mW以上であることが好ましく、1画素当たりの露光時間は20マイクロ秒以内であるのが好ましく、また照射エネルギー量は10mJ/cm〜300mJ/cmであるのが好ましい。また、露光時間を短縮するためマルチビームレーザーデバイスを用いることが好ましい。露光機構は、内面ドラム方式、外面ドラム方式、及びフラットベッド方式等のいずれでもよい。
画像露光は、プレートセッターなどを用いて常法により行うことができる。機上現像の場合には、平版印刷版原版を印刷機に装着した後、印刷機上で画像露光を行ってもよい。
<機上現像工程>
本開示に係る平版印刷版の作製方法は、印刷機上で印刷インキ及び湿し水からなる群より選ばれた少なくとも一方を供給して非画像部の画像記録層を除去する機上現像工程を含むことが好ましい。
以下に、機上現像方式について説明する。
〔機上現像方式〕
機上現像方式においては、画像露光された平版印刷版原版は、印刷機上で油性インキと水性成分とを供給し、非画像部の画像記録層が除去されて平版印刷版が作製されることが好ましい。
すなわち、平版印刷版原版を画像露光後、何らの現像処理を施すことなくそのまま印刷機に装着するか、あるいは、平版印刷版原版を印刷機に装着した後、印刷機上で画像露光し、ついで、油性インキと水性成分とを供給して印刷すると、印刷途上の初期の段階で、非画像部においては、供給された油性インキ及び水性成分のいずれか又は両方によって、未硬化の画像記録層が溶解又は分散して除去され、その部分に親水性の表面が露出する。一方、露光部においては、露光により硬化した画像記録層が、親油性表面を有する油性インキ受容部を形成する。最初に版面に供給されるのは、油性インキでもよく、水性成分でもよいが、水性成分が除去された画像記録層の成分によって汚染されることを防止する点で、最初に油性インキを供給することが好ましい。このようにして、平版印刷版原版は印刷機上で機上現像され、そのまま多数枚の印刷に用いられる。油性インキ及び水性成分としては、通常の平版印刷用の印刷インキ及び湿し水が好適に用いられる。
上記本開示に係る平版印刷版原版を画像露光するレーザーとしては、光源の波長は300nm〜450nm又は750nm〜1,400nmが好ましく用いられる。300nm〜450nmの光源の場合は、この波長領域に吸収極大を有する増感色素を画像記録層に含有する平版印刷版原版が好ましく用いられ、750nm〜1,400nmの光源は上述したものが好ましく用いられる。300nm〜450nmの光源としては、半導体レーザーが好適である。
<印刷工程>
本開示に係る平版印刷方法は、平版印刷版に印刷インキを供給して記録媒体を印刷する印刷工程を含む。
印刷インキとしては、特に制限はなく、所望に応じ、種々の公知のインキを用いることができる。また、印刷インキとしては、油性インキ又は紫外線硬化型インキ(UVインキ)が好ましく挙げられる。
また、上記印刷工程においては、必要に応じ、湿し水を供給してもよい。
また、上記印刷工程は、印刷機を停止することなく、上記機上現像工程に連続して行われてもよい。
記録媒体としては、特に制限はなく、所望に応じ、公知の記録媒体を用いることができる。
本開示に係る平版印刷版原版からの平版印刷版の作製方法、及び、本開示に係る平版印刷方法においては、必要に応じて、露光前、露光中、露光から現像までの間に、平版印刷版原版の全面を加熱してもよい。このような加熱により、画像記録層中の画像形成反応が促進され、感度及び耐刷性の向上や感度の安定化等の利点が生じ得る。現像前の加熱は150℃以下の穏和な条件で行うことが好ましい。上記態様であると、非画像部が硬化してしまう等の問題を防ぐことができる。現像後の加熱には非常に強い条件を利用することが好ましく、100℃〜500℃の範囲であることが好ましい。上記範囲であると、十分な画像強化作用が得られまた、支持体の劣化、画像部の熱分解といった問題を抑制することができる。
以下、実施例により本開示を詳細に説明するが、本開示はこれらに限定されるものではない。なお、本実施例において、「%」、「部」とは、特に断りのない限り、それぞれ「質量%」、「質量部」を意味する。なお、高分子化合物において、特別に規定したもの以外は、分子量は重量平均分子量(Mw)であり、構成繰り返し単位の比率はモル百分率である。また、重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算値として測定した値である。
〔実施例1〜10及び比較例1〕
<支持体の準備>
(a)アルカリエッチング処理
アルミニウム板に、カセイソーダ濃度26質量%及びアルミニウムイオン濃度6.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度70℃でスプレーにより吹き付けてエッチング処理を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。後に電気化学的粗面化処理を施す面のアルミニウム溶解量は、5g/mであった。
(b)酸性水溶液を用いたデスマット処理(第1デスマット処理)
次に、酸性水溶液を用いてデスマット処理を行った。デスマット処理に用いる酸性水溶液は、硫酸150g/Lの水溶液を用いた。その液温は30℃であった。酸性水溶液をアルミニウム板にスプレーにて吹き付けて、3秒間デスマット処理を行った。その後、水洗処理を行った。
(c)電気化学的粗面化処理
次に、塩酸濃度14g/L、アルミニウムイオン濃度13g/L、及び、硫酸濃度3g/Lの電解液を用い、交流電流を用いて電気化学的粗面化処理を行った。電解液の液温は30℃であった。アルミニウムイオン濃度は塩化アルミニウムを添加して調整した。
交流電流の波形は正と負の波形が対称な正弦波であり、周波数は50Hz、交流電流1周期におけるアノード反応時間とカソード反応時間は1:1、電流密度は交流電流波形のピーク電流値で75A/dmであった。また、電気量はアルミニウム板がアノード反応に預かる電気量の総和で450C/dmであり、電解処理は112.5C/dmずつ4秒間の通電間隔を開けて4回に分けて行った。アルミニウム板の対極にはカーボン電極を用いた。その後、水洗処理を行った。
(d)アルカリエッチング処理
電気化学的粗面化処理後のアルミニウム板に、カセイソーダ濃度5質量%及びアルミニウムイオン濃度0.5質量%のカセイソーダ水溶液を、温度45℃でスプレーにより吹き付けてエッチング処理を行った。電気化学的粗面化処理が施された面のアルミニウムの溶解量は0.2g/mであった。その後、水洗処理を行った。
(e)酸性水溶液を用いたデスマット処理
次に、酸性水溶液を用いてデスマット処理を行った。具体的には、酸性水溶液をアルミニウム板にスプレーにて吹き付けて、3秒間デスマット処理を行った。デスマット処理に用いる酸性水溶液は、硫酸濃度170g/L及びアルミニウムイオン濃度5g/Lの水溶液を用いた。その液温は30℃であった。
(f)第1段階の陽極酸化処理
図3に示す構造の直流電解による陽極酸化処理装置610を用いて、第1段階の陽極酸化処理(第1陽極酸化処理ともいう)を行った。具体的には、下記表1に示す「第1陽極酸化処理」欄の条件にて第1陽極酸化処理を行い、所定の皮膜量の陽極酸化皮膜を形成した。
以下、図3に示す陽極酸化処理装置610について説明する。
図3に示す陽極酸化処理装置610において、アルミニウム板616は、図3中矢印で示すように搬送される。電解液618が貯溜された給電槽612にてアルミニウム板616は給電電極620によって(+)に荷電される。そして、アルミニウム板616は、給電槽612においてローラ622によって上方に搬送され、ニップローラ624によって下方に方向変換された後、電解液626が貯溜された電解処理槽614に向けて搬送され、ローラ628によって水平方向に方向転換される。次いで、アルミニウム板616は、電解電極630によって(−)に荷電されることにより、その表面に陽極酸化皮膜が形成され、電解処理槽614を出たアルミニウム板616は後工程に搬送される。陽極酸化装置610において、ローラ622、ニップローラ624、及びローラ628によって方向転換手段が構成され、アルミニウム板616は、給電槽612と電解処理槽614との槽間部において、上記ローラ622、624及び628により、山型及び逆U字型に搬送される。給電電極620と電解電極630とは、直流電源634に接続されている。
(g)ポアワイド処理
上記陽極酸化処理したアルミニウム板を、温度40℃、カセイソーダ濃度5質量%、アルミニウムイオン濃度0.5質量%のカセイソーダ水溶液に下記表1に示す条件で浸漬し、ポアワイド処理を行った。その後、スプレーによる水洗を行った。
(h)第2陽極酸化処理
図3に示す構造の直流電解による陽極酸化処理装置610を用いて、第2段階の陽極酸化処理(第2陽極酸化処理ともいう)を行った。具体的には、下記表1に示す「第2陽極酸化処理」欄の条件にて第2陽極酸化処理を行い、所定の皮膜量の陽極酸化皮膜を形成した。
以上のようにして、支持体を作製した。
得られた支持体の、マイクロポアの陽極酸化皮膜表面のL表色系における明度L、マイクロポアにおける大径孔部の酸化皮膜表面における平均径及び深さ、マイクロポアにおける小径孔部の連通位置における平均径(nm)及び深さ、大径孔部及び小径孔部の深さ(nm)、マイクロポア密度、並びに、小径孔部の底部からアルミニウム板表面までの陽極酸化皮膜の厚み(皮膜厚ともいう)を、表2にまとめて示す。
なお、表1中、第1陽極酸化処理欄の皮膜量(AD)量と第2陽極酸化処理欄の皮膜量(AD)とは、各処理で得られた皮膜量を表す。なお、使用される電解液は、表1中の成分を含む水溶液である。
Figure 2021189320
Figure 2021189320
<下塗り層の形成>
得られた支持体上に、下記組成の下塗り層塗布液を乾燥塗布量が100mg/mになるよう塗布して、下塗り層を形成した。
〔下塗り層用塗布液〕
・下塗り層用化合物(下記U−1):0.1370部
・グルコン酸ナトリウム:0.0700部
・界面活性剤(エマレックス710、日本エマルジョン(株)):0.00159部
・防腐剤(バイオホープL、ケイ・アイ化成(株)):0.00149部
・水:3.29000部
Figure 2021189320
<画像記録層の形成>
下塗り層上に、表3に記載の各成分を含む画像記録層塗布液(ただし、画像記録層塗布液は、表3に記載の各成分を含み、且つ、1−メトキシ−2−プロパノール(MFG):メチルエチルケトン(MEK):メタノール=4:4:1(質量比)の混合溶媒で固形分が6質量%になるように調製したもの)をバー塗布し、120℃で40秒間オーブン乾燥して、乾燥塗布量1.3g/mの画像記録層を形成した。
Figure 2021189320
表3で用いた各成分の詳細は、以下の通りである。
[電子受容型重合開始剤]
Int−1:下記構造の化合物、LUMO=−3.21eV
Int−2:オニウム化合物、下記構造の化合物、LUMO=−7.32eV
Figure 2021189320
[赤外線吸収剤]
IR−10:分解型の赤外線吸収剤、下記構造の化合物、HOMO=−5.43eV、LUMO=−3.95eV。
IR−2:分解型の赤外線吸収剤、下記構造の化合物、HOMO=−5.25eV、LUMO=−3.77eV。
Figure 2021189320
[電子供与型重合開始剤]
TPB:ボレート化合物、テトラフェニルホウ酸ナトリウム、HOMO=−5.90eV)
[特定重合性化合物]
M−1:特定重合性化合物の具体例における上記M−1(分子量470.56)
M−2:特定重合性化合物の具体例における上記M−2(分子量452.55)
M−3:特定重合性化合物の具体例における上記M−3(分子量2078.15)
[特定高分子量体]
P−1:下記構造のポリビニルアセタール(l、m、及びnは表3に記載)
P−2:下記構造のポリビニルアセタール(l、m、n、及びoは表3に記載)
P−3:下記構造のポリビニルアセタール(l、m、及びnは表3に記載)
Figure 2021189320
[酸発色剤]
S−3:下記構造の化合物
Figure 2021189320
[界面活性剤]
W−1:下記構造の化合物(重量平均分子量:13,000)
Figure 2021189320
<最外層の形成>
画像記録層上に、表4に記載の最外層塗布液(ただし、最外層塗布液は、表4に記載の各成分を含み、イオン交換水で固形分が20質量%になるように調製したもの)をバー塗布し、120℃で60秒間オーブン乾燥して、乾燥塗布量が0.7g/mの最外層を形成した。
以上の工程を経て、平版印刷版原版を得た。
〔疎水性ポリマーの最外層表面における占有面積率〕
得られた平版印刷版原版について、既述の方法で、疎水性ポリマーの最外層表面における占有面積率を測定した。結果を表4に示す。
Figure 2021189320
表4で用いた各成分の詳細は、以下の通りである。
[変色性化合物]
IR−1:下記構造の化合物
IR−2:上記構造の化合物
IR−3:下記構造の化合物
IR−4:下記構造の化合物
Figure 2021189320
[水溶性ポリマー]
Mowiol 8−88:ポリビニルアルコール、シグマアルドリッチ社製Mowiol 8−88
[疎水性ポリマー]
NP−1:ポリ塩化ビニリデン水性ディスパージョン、Solvin社製Diofan(登録商標) A50
<平版印刷版原版の評価>
(1)機上現像性の経時による変化
上記のようにして作製した平版印刷版原版を、赤外線半導体レーザー搭載のKodak社製Magnus800 Quantumにて、出力27W、外面ドラム回転数450rpm、解像度2,400dpi(dot per inch、1inchは2.54cm)の条件で露光(照射エネルギー110mJ/cm相当)した。露光画像にはベタ画像、及び、AMスクリーン(Amplitude Modulation Screen)50%網点のチャートを含むようにした。
得られた露光済み原版を現像処理することなく、菊判サイズのハイデルベルグ社製印刷機SX−74のシリンダーに取り付けた。本印刷機には、不織布フィルターと温度制御装置を内蔵する容量100Lの湿し水循環タンクを接続した。湿し水S−Z1(富士フイルム(株)製)2.0%の湿し水80Lを循環装置内に仕込み、印刷インキとしてT&K UV OFS K−HS墨GE−M((株)T&K TOKA製)を用い、標準の自動印刷スタート方法で湿し水とインキを供給した後、毎時10,000枚の印刷速度で特菱アート紙(連量:76.5kg、三菱製紙(株)製)に200枚印刷を行った。
上記機上現像において、非画像部にインキが転写しない状態になるまでに要した印刷用紙の枚数(以降、機上現像枚数ともいう)を求めた。機上現像枚数が少ないほど、機上現像性が良好であるといえる。
上記の機上現像枚数の測定を以下の3種の平版印刷版原版について行った。結果を表5に示す。
1.製造直後の平版印刷版原版(表中では「直後」と表記)
2.製造直後の平版印刷版原版をクラフトペーパーで包装し、35℃の恒温槽に14日間保管した後の平版印刷版原版(表中では「35℃14d後」と表記)
3.製造直後の平版印刷版原版をクラフトペーパーで包装し、45℃の恒温槽に14日間保管した後の平版印刷版原版(表中では「45℃14d後」と表記)
(2)耐刷性(UV耐刷性)の評価
上記のようにして作製した平版印刷版原版を、赤外線半導体レーザー搭載のKodak社製Magnus800 Quantumにて、出力27W、外面ドラム回転数450rpm、解像度2,400dpiの条件で露光(照射エネルギー110mJ/cm相当)した。露光画像にはベタ画像、及び、AMスクリーン10%網点のチャートを含むようにした。
得られた露光済み原版を現像処理することなく、菊判サイズのハイデルベルグ社製印刷機SX−74のシリンダーに取り付けた。本印刷機には、不織布フィルターと温度制御装置を内蔵する容量100Lの湿し水循環タンクを接続した。湿し水S−Z1(富士フイルム(株)製)2.0%の湿し水80Lを循環装置内に仕込み、印刷インキとしてT&K UV OFS K−HS墨GE−M((株)T&K TOKA製)を用い、標準の自動印刷スタート方法で湿し水とインキを供給した後、毎時10,000枚の印刷速度で特菱アート(連量:76.5kg、三菱製紙(株)製)紙に500枚印刷を行った。
続けて、更に印刷を行った。印刷枚数を増やしていくと徐々に画像部が磨耗するため印刷物上のインキ濃度が低下した。印刷物におけるAMスクリーン10%網点の網点面積率をグレタグ濃度計(GretagMacbeth社製)で計測した値が、印刷500枚目の計測値よりも3%低下したときの印刷部数を刷了枚数として耐刷性を評価した。
刷了枚数が多いほど、耐刷性に優れることとなる。
(3)視認性の評価
得られた平版印刷版原版を、水冷式40W赤外線半導体レーザー搭載のCreo社製Trendsetter3244VXにより、出力11.5W、外面ドラム回転数220rpm、解像度2,400dpiの条件で露光した。露光は25℃、50%RHの環境下で行った。
露光直後の平版印刷版原版(表中では「直後」と表記)と、露光後の平版印刷版原版を25℃、50%RHの条件で1日間保管した後の平版印刷版原版(表中では「1d後」と表記)と、のそれぞれについて発色を測定した。測定は、コニカミノルタ(株)製分光測色計CM2600dとオペレーションソフトCM−S100Wとを用い、SCE(正反射光除去)方式で行った。視認性(視認性)は、L表色系のL値(明度)を用い、露光部のL値と未露光部のL値との差ΔLを求めた。ΔLの値が大きい程、視認性が優れるといえる。結果を表5に記載した。
Figure 2021189320
表5から明らかなように、実施例に係る平版印刷版原版は、比較例に係る平版印刷版原版と比べて、経時による機上現像性の低下が抑制され、耐刷性にも優れることが分かる。
また、実施例に係る平版印刷版原版は、露光後の視認性にも優れることが分かる。
18:アルミニウム板、12a,12b:アルミニウム支持体、20a,20b:陽極酸化皮膜、22a,22b:マイクロポア、24:大径孔部、26:小径孔部、610:陽極酸化処理装置、616:アルミニウム板、618:電解液、612:給電槽、614:電解処理槽、616:アルミニウム板、620:給電電極、622:ローラ、624:ニップローラ、626:電解液、628:ローラ、630:電解電極、634:直流電源

Claims (30)

  1. 支持体上に画像記録層と最外層とをこの順に有し、
    前記画像記録層が、ガラス転移温度が70℃以上である高分子量体を含み、
    前記最外層が、変色性化合物を含む
    機上現像型平版印刷版原版。
  2. 前記画像記録層が分子量5,000以下の重合性化合物を更に含み、
    前記高分子量体の溶解度パラメータと前記重合性化合物の溶解度パラメータとの差が0.8MPa1/2以上である請求項1に記載の機上現像型平版印刷版原版。
  3. 前記重合性化合物の溶解度パラメータが20.0MPa1/2以下である請求項2に記載の機上現像型平版印刷版原版。
  4. 前記重合性化合物が2官能以上の重合性化合物である請求項1〜請求項3いずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
  5. 前記画像記録層中の、前記高分子量体の質量をP、前記重合性化合物の質量をMとしたとき、6.0≧P/M≧0.5の関係を満たす請求項1〜請求項4いずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
  6. 前記高分子量体がポリビニルアセタールである請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
  7. 前記ポリビニルアセタール中の水酸基を有する構成単位が、ポリビニルアセタールの全構成単位に対して20mol%以上である請求項6に記載の機上現像型平版印刷版原版。
  8. 前記ポリビニルアセタールがエチレン性不飽和基を有する請求項6又は請求項7に記載の機上現像型平版印刷版原版。
  9. 前記ポリビニルアセタールがエチレン性不飽和基を有する構成単位を含む請求項8に記載の機上現像型平版印刷版原版。
  10. 前記ポリビニルアセタールにおけるアセタール環にエチレン性不飽和基が導入された化合物を含む請求項6に記載の機上現像型平版印刷版原版。
  11. 前記最外層が疎水性ポリマーを更に含む請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
  12. 前記疎水性ポリマーの前記最外層表面における占有面積率が30面積%以上である請求項11に記載の機上現像型平版印刷版原版。
  13. 前記疎水性ポリマーが粒子である請求項11又は請求項12に記載の機上現像型平版印刷版原版。
  14. エネルギー密度110mJ/cmにて波長830nmの赤外線による露光を行った場合の、前記露光前後の明度変化ΔLが2.0以上である請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
  15. 前記変色性化合物が赤外線露光に起因して発色する化合物を含む請求項1〜請求項14のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
  16. 前記変色性化合物が赤外線露光に起因して分解する分解性化合物を含む請求項1〜請求項15のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
  17. 前記変色性化合物がシアニン色素である請求項11〜請求項16のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
  18. 前記変色性化合物が下記式1−1で表される化合物である請求項1〜請求項17のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
    Figure 2021189320

    式1−1中、Rは下記式2〜式4のいずれかで表される基を表し、R11〜R18はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、−R、−OR、−SR、又は−NRを表し、R〜Rは、それぞれ独立に、炭化水素基を表し、A、A及び複数のR11〜R18が連結して単環又は多環を形成してもよく、A及びAはそれぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、又は、窒素原子を表し、n11及びn12はそれぞれ独立に、0〜5の整数を表し、但し、n11及びn12の合計は2以上であり、n13及びn14はそれぞれ独立に、0又は1を表し、Lは酸素原子、硫黄原子、又は、−NR10−を表し、R10は、水素原子、アルキル基、又はアリール基を表し、Zaは電荷を中和する対イオンを表す。
    Figure 2021189320

    式2〜式4中、R20、R30、R41及びR42はそれぞれ独立に、アルキル基又はアリール基を表し、Zbは電荷を中和する対イオンを表し、波線は、前記式1−1中のLで表される基との結合部位を表す。
  19. 前記変色性化合物が、下記式1−2で表される化合物である請求項18に記載の機上現像型平版印刷版原版。
    Figure 2021189320

    式1−2中、Rは上記式2〜式4のいずれかで表される基を表し、R19〜R22はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、−R、−OR、−CN、−SR、又は、−NRを表し、R23及びR24はそれぞれ独立に、水素原子、又は、−Rを表し、R〜Rはそれぞれ独立に、炭化水素基を表し、R19とR20、R21とR22、又は、R23とR24は、連結して単環又は多環を形成してもよく、Lは、酸素原子、硫黄原子、又は、−NR10−を表し、R10は、水素原子、アルキル基、又は、アリール基を表し、Rd1〜Rd4、W及びWは、それぞれ独立に、置換基を有してもよいアルキル基を表し、Zaは電荷を中和する対イオンを表す。
  20. 前記変色性化合物が下記式1−3〜式1−7のいずれかで表される化合物である請求項18又は請求項19のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
    Figure 2021189320

    式1−3〜式1−7中、Rは上記式2〜式4のいずれかで表される基を表し、R19〜R22はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、−R、−OR、−CN、−SR、又は、−NRを表し、R25及びR26はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、又は−Rを表し、R〜Rはそれぞれ独立に、炭化水素基を表し、R19とR20、R21とR22、又は、R25とR26は、連結して単環又は多環を形成してもよく、Lは、酸素原子、硫黄原子、又は、−NR10−を表し、R10は、水素原子、アルキル基、又は、アリール基を表し、Rd1〜Rd4、W及びWはそれぞれ独立に、置換基を有してもよいアルキル基を表し、Zaは電荷を中和する対イオンを表す。
  21. 前記式1−2〜式1−7におけるW及びWは、それぞれ独立に、置換基を有するアルキル基であり、かつ、前記置換基として、−(OCHCH)−、スルホ基、スルホ基の塩、カルボキシ基、又はカルボキシ基の塩を少なくとも有する基である請求項19又は請求項20に記載の機上現像型平版印刷版原版。
  22. 前記画像記録層が更に重合開始剤を含み、
    前記重合開始剤が電子供与型重合開始剤及び電子受容型重合開始剤を含む請求項1〜請求項21のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
  23. 前記重合開始剤が前記電子供与型重合開始剤と前記電子受容型重合開始剤とが対塩を形成してなる化合物を含む請求項22に記載の機上現像型平版印刷版原版。
  24. 前記電子受容型重合開始剤が下記式(II)で表される化合物を含む請求項22に記載の機上現像型平版印刷版原版。
    Figure 2021189320

    式(II)中、Xはハロゲン原子を表し、Rはアリール基を表す。
  25. 前記画像記録層が赤外線吸収剤を含み、
    前記赤外線吸収剤のHOMO−前記電子供与型重合開始剤のHOMOの値が、0.70eV以下である請求項22〜請求項24のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
  26. 前記画像記録層が赤外線吸収剤を含み
    前記電子受容型重合開始剤のLUMO−前記赤外線吸収剤のLUMOの値が、0.70eV以下である請求項22〜請求項25のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
  27. 前記支持体が、アルミニウム板と、前記アルミニウム板上に配置されたアルミニウムの陽極酸化皮膜とを有し、
    前記陽極酸化皮膜が、前記アルミニウム板よりも前記画像記録層側に位置し、
    前記陽極酸化皮膜が、前記画像記録層側の表面から深さ方向にのびるマイクロポアを有し、
    前記マイクロポアの前記陽極酸化皮膜表面における平均径が、10nmを超え100nm以下である、請求項1〜請求項26のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版。
  28. 前記マイクロポアが、前記陽極酸化皮膜表面から深さ10nm〜1,000nmの位置までのびる大径孔部と、前記大径孔部の底部と連通し、連通位置から深さ20nm〜2,000nmの位置までのびる小径孔部とから構成され、
    前記大径孔部の前記陽極酸化皮膜表面における平均径が、15nm〜100nmであり、
    前記小径孔部の前記連通位置における平均径が、13nm以下である、請求項27に記載の機上現像型平版印刷版原版。
  29. 請求項1〜請求項28のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版を、画像様に露光する工程と、
    印刷機上で印刷インキ及び湿し水からなる群より選ばれた少なくとも一方を供給して非画像部の画像記録層を除去する工程と、を含む
    平版印刷版の作製方法。
  30. 請求項1〜請求項28のいずれか1項に記載の機上現像型平版印刷版原版を、画像様に露光する工程と、
    印刷機上で印刷インキ及び湿し水からなる群より選ばれた少なくとも一方を供給して非画像部の画像記録層を除去し平版印刷版を作製する工程と、
    得られた平版印刷版により印刷する工程と、を含む、
    平版印刷方法。
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