JP2020069789A - 平版印刷版原版、平版印刷版の作製方法、及び、平版印刷方法 - Google Patents

平版印刷版原版、平版印刷版の作製方法、及び、平版印刷方法 Download PDF

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Abstract

【課題】UVインクを用いた場合であっても耐刷性に優れる平版印刷版が得られる平版印刷版原版、上記平版印刷版原版を用いた平版印刷版の作製方法、及び、上記平版印刷版原版を用いた平版印刷方法の提供。【解決手段】支持体上に画像記録層を有し、上記画像記録層が、赤外線露光により分解する赤外線吸収剤、芳香族ビニル化合物により形成される構成単位を有するバインダーポリマー、重合開始剤、及び、重合性化合物を含む平版印刷版原版、上記平版印刷版原版を用いた平版印刷版の作製方法、及び、上記平版印刷版原版を用いた平版印刷方法。【選択図】なし

Description

本開示は、平版印刷版原版、平版印刷版の作製方法、及び、平版印刷方法に関する。
一般に、平版印刷版は、印刷過程でインキを受容する親油性の画像部と、湿し水を受容する親水性の非画像部とからなる。平版印刷は、水と油性インキが互いに反発する性質を利用して、平版印刷版の親油性の画像部をインキ受容部、親水性の非画像部を湿し水受容部(インキ非受容部)として、平版印刷版の表面にインキの付着性の差異を生じさせ、画像部のみにインキを着肉させた後、紙などの被印刷体にインキを転写して印刷する方法である。
この平版印刷版を作製するため、従来、親水性の支持体上に親油性の感光性樹脂層(画像記録層)を設けてなる平版印刷版原版(PS版)が広く用いられている。通常は、平版印刷版原版を、リスフィルムなどの原画を通した露光を行った後、画像記録層の画像部となる部分を残存させ、それ以外の不要な画像記録層をアルカリ性現像液又は有機溶剤によって溶解除去し、親水性の支持体表面を露出させて非画像部を形成する方法により製版を行って、平版印刷版を得ている。
また、地球環境への関心の高まりから、現像処理などの湿式処理に伴う廃液に関する環境課題がクローズアップされている。
上記の環境課題に対して、現像あるいは製版の簡易化、無処理化が指向されている。簡易な作製方法の一つとしては、「機上現像」と呼ばれる方法が行われている。すなわち、平版印刷版原版を露光後、従来の現像は行わず、そのまま印刷機に装着して、画像記録層の不要部分の除去を通常の印刷工程の初期段階で行う方法である。
本開示において、このような機上現像に用いることができる平版印刷版原版を、「機上現像型平版印刷版原版」という。
従来の平版印刷版原版に用いられる感熱性像形成要素としては、例えば、特許文献1に記載されたものが挙げられる。
特許文献1には、式Iに従う構造を有するIR染料を含んでなる感熱性像形成要素が記載されている。
式中、Y1=は以下の構造:
の1つにより表示され、Y−は以下の構造:
の1つにより表示され、nは0、1、2又は3であり、p及びqの各々は0、1又は2であり、R及びRは独立して場合により置換されていてもよい炭化水素基であり、或いは上記R、R、R又はR基の2つは一緒になって環式構造を形成するのに必要な原子を含んでなり、R基の少なくとも1つはIR−照射又は熱への露出により誘発される化学反応により上記Rより強い電子−供与体である基に転換される基であるか、或いはR基の少なくとも1つはIR−照射又は熱への露出により誘発される化学反応により上記Raより強い電子−供与体である基に転換される基であり、他のR及びR基は独立して水素原子、ハロゲン原子、−R、−OR、−SR及び−NRよりなるリストから選択される基により表示され、ここでR、R、R、R及びRは独立して場合により置換されていてもよい脂肪族炭化水素基又は場合により置換されていてもよい(ヘテロ)アリール基であり、そして上記転換が400〜700nmの間の染料の統合した光吸収の増加を与えることにより特徴づけられる。
また、従来の平版印刷版原版に用いられる発色組成物としては、例えば、特許文献2に記載されたものが挙げられる。
特許文献2には、下記式1で表される化合物を含有することを特徴とする発色組成物が記載されている。
式1中、Rは熱又は赤外線露光によりR−O結合が開裂する基を表し、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表し、R及びRは互いに連結して環を形成してもよく、Ar及びArはそれぞれ独立に、ベンゼン環又はナフタレン環を形成する基を表し、Y及びYはそれぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、−NR−又はジアルキルメチレン基を表し、R及びRはそれぞれ独立に、アルキル基を表し、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表し、Rは水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、Zaは電荷を中和する対イオンを表す。
特表2008−544322号公報 国際公開第2016/027886号
本発明の一実施形態が解決しようとする課題は、UVインクを用いた場合であっても耐刷性に優れる平版印刷版が得られる平版印刷版原版を提供することである。
本発明の他の実施形態が解決しようとする課題は、上記平版印刷版原版を用いた平版印刷版の作製方法、及び、上記平版印刷版原版を用いた平版印刷方法を提供することである。
上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 支持体上に画像記録層を有し、上記画像記録層が、赤外線露光により分解する赤外線吸収剤、芳香族ビニル化合物により形成される構成単位を有するバインダーポリマー、重合開始剤、及び、重合性化合物を含む平版印刷版原版。
<2> 上記赤外線吸収剤が、赤外線露光に起因する熱、電子移動又はその両方により分解する赤外線吸収剤である<1>に記載の平版印刷版原版。
<3> 上記赤外線吸収剤が、シアニン色素である<1>又は<2>に記載の平版印刷版原版。
<4> 上記シアニン色素が、下記式1で表されるシアニン色素である<3>に記載の平版印刷版原版。
式1中、Rは赤外線露光によりR−L結合が開裂する基を表し、R11〜R18はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、−Ra、−ORb、−SRc又は−NRdReを表し、Ra〜Reはそれぞれ独立に、炭化水素基を表し、A、A及び複数のR11〜R18が連結して単環又は多環を形成してもよく、A及びAはそれぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を表し、n11及びn12はそれぞれ独立に、0〜5の整数を表し、但し、n11及びn12の合計は2以上であり、n13及びn14はそれぞれ独立に、0又は1を表し、Lは酸素原子、硫黄原子又は−NR10−を表し、R10は水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、Zaは電荷を中和する対イオンを表す。
<5> 上記シアニン色素が、下記式2で表されるシアニン色素である<3>又は<4>に記載の平版印刷版原版。
式2中、Rは赤外線露光によりR−L結合が開裂する基を表し、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表し、R及びRが互いに連結して環を形成してもよく、Ar及びArはそれぞれ独立に、ベンゼン環又はナフタレン環を形成する基を表し、Y及びYはそれぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、−NR−又はジアルキルメチレン基を表し、Rは水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、R及びRはそれぞれ独立に、アルキル基、−COM基又は−PO基を表し、Mは水素原子、Na原子、K原子又はオニウム基を表し、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表し、Lは酸素原子、硫黄原子又は−NR10−を表し、R10は水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、Zaは電荷を中和する対イオンを表す。
<6> 上記重合性化合物のエチレン性不飽和二重結合当量が、200g/mol以下である<1>〜<5>のいずれか1つに記載の平版印刷版原版。
<7> 上記重合性化合物の重量平均分子量が、1,500以下である<1>〜<6>のいずれか1つに記載の平版印刷版原版。
<8> 上記重合性化合物が、3官能以上の重合性化合物を含む<1>〜<7>のいずれか1つに記載の平版印刷版原版。
<9> 上記重合性化合物のCLogP値が、6以下である<1>〜<8>のいずれか1つに記載の平版印刷版原版。
<10> 上記画像記録層が、2種以上の重合性化合物を含む<1>〜<9>のいずれか1つに記載の平版印刷版原版。
<11> 上記重合開始剤が、電子供与型重合開始剤、及び、電子受容型重合開始剤を含む<1>〜<10>のいずれか1つに記載の平版印刷版原版。
<12> 上記重合開始剤が、上記電子受容型重合開始剤として、オニウム塩化合物を含む<11>に記載の平版印刷版原版。
<13> 上記重合開始剤が、上記電子供与型重合開始剤として、ボレート化合物を含む<11>又は<12>に記載の平版印刷版原版。
<14> 上記電子供与型重合開始剤のHOMOが、−6.0eV以上である<11>〜<13>のいずれか1つに記載の平版印刷版原版。
<15> 上記電子受容型重合開始剤のLUMOが、−3.0eV以下である<11>〜<14>のいずれか1つに記載の平版印刷版原版。
<16> 上記重合開始剤が、電子供与型重合開始剤と電子受容型重合開始剤とが対塩を形成してなる化合物を含む<1>〜<15>のいずれか1つに記載の平版印刷版原版。
<17> 上記画像記録層が、酸発色剤を更に含む<1>〜<16>のいずれか1つに記載の平版印刷版原版。
<18> 上記画像記録層上に、オーバーコート層を更に有する<1>〜<17>のいずれか1つに記載の平版印刷版原版。
<19> <1>〜<18>のいずれか1つに記載の平版印刷版原版を、画像様に露光する工程と、印刷機上で印刷インキ及び湿し水よりなる群から選ばれた少なくとも一方を供給して非画像部の画像記録層を除去する工程と、を含む平版印刷版の作製方法。
<20> <1>〜<18>のいずれか1つに記載の平版印刷版原版を画像様に露光する工程と、印刷インキ及び湿し水よりなる群から選ばれた少なくとも一方を供給して印刷機上で非画像部の画像記録層を除去し平版印刷版を作製する工程と、得られた平版印刷版により印刷する工程と、を含む平版印刷方法。
本発明の一実施形態によれば、UVインクを用いた場合であっても耐刷性に優れる平版印刷版が得られる平版印刷版原版を提供することができる。
また、本発明の他の実施形態によれば、上記平版印刷版原版を用いた平版印刷版の作製方法、及び、上記平版印刷版原版を用いた平版印刷方法を提供することができる。
以下において、本開示の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本開示の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本開示はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、数値範囲を示す「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
また、本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルの両方を包含する概念で用いられる語であり、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル及びメタクリロイルの両方を包含する概念として用いられる語である。
また、本明細書中の「工程」の用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば本用語に含まれる。 また、本開示において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
特に限定しない限りにおいて、本開示において組成物中の各成分、又は、ポリマー中の各構成単位は、1種単独で含まれていてもよいし、2種以上を併用してもよいものとする。
更に、本開示において組成物中の各成分、又は、ポリマー中の各構成単位の量は、組成物中に各成分、又は、ポリマー中の各構成単位に該当する物質又は構成単位が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する該当する複数の物質、又は、ポリマー中に存在する該当する複数の各構成単位の合計量を意味する。
更に、本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
また、本開示における重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、特に断りのない限り、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析装置により、溶媒THF(テトラヒドロフラン)、示差屈折計により検出し、標準物質としてポリスチレンを用いて換算した分子量である。
本開示において、「平版印刷版原版」の用語は、平版印刷版原版だけでなく、捨て版原版を包含する。また、「平版印刷版」の用語は、平版印刷版原版を、必要により、露光、現像などの操作を経て作製された平版印刷版だけでなく、捨て版を包含する。捨て版原版の場合には、必ずしも、露光、現像の操作は必要ない。なお、捨て版とは、例えばカラーの新聞印刷において一部の紙面を単色又は2色で印刷を行う場合に、使用しない版胴に取り付けるための平版印刷版原版である。
また、本開示において、化学構造式における「*」は、他の構造との結合位置を表す。
以下、本開示を詳細に説明する。
(平版印刷版原版)
本開示に係る平版印刷版原版は、支持体上に画像記録層を有し、上記画像記録層が、赤外線露光により分解する赤外線吸収剤、芳香族ビニル化合物により形成される構成単位を有するバインダーポリマー、重合開始剤、及び、重合性化合物を含む。
また、本開示に係る平版印刷版原版は、機上現像型平版印刷版原版として好適に用いることができる。
本発明者が鋭意検討した結果、上記構成を採用することにより、UVインク(「紫外線硬化型インク」ともいう。)を用いた場合であっても耐刷性に優れる平版印刷版が得られる平版印刷版原版を提供することができることを見出した。
上記効果が得られる詳細なメカニズムは不明であるが、以下のように推測される。
上記画像記録層において、赤外線露光により分解する赤外線吸収剤と、芳香族ビニル化合物により形成される構成単位を有するバインダーポリマーと、重合開始剤と、重合性化合物とを含有することにより、上記重合性化合物の重合時に、上記赤外線吸収剤又はその分解物が重合を促進し、また、芳香族ビニル化合物により形成される構成単位を有するバインダーポリマーを用いることにより極性の高い膜を得ることができ、UVインクを用いた場合であっても耐刷性(「UV耐刷性」ともいう。)に優れると推定している。更に、上記赤外線吸収剤の分解物と上記バインダーポリマーが有する芳香族ビニル化合物により形成される構成単位との分子間相互作用によって、UV耐刷性が更に向上すると推定している。
また、本開示に係る平版印刷版原版は、発色性、露光後経時発色性、及び、現像性にも優れる。
以下、本開示に係る平版印刷版原版における各構成要件の詳細について説明する。
<支持体>
本開示に係る平版印刷版原版は、支持体を有する。
支持体としては、親水性表面を有する支持体(「親水性支持体」ともいう。)が好ましい。親水性表面としては、水との接触角が10°より小さいものが好ましく、5°より小さいものがより好ましい。
本開示における水接触角は、協和界面化学(株)製DM−501によって、25℃における表面上の水滴の接触角(0.2秒後)として測定される。
本開示に係る平版印刷版原版の支持体は、公知の平版印刷版原版用支持体から適宜選択して用いることができる。支持体としては、公知の方法で粗面化処理され、陽極酸化処理されたアルミニウム板が好ましい。
アルミニウム板は更に必要に応じて、特開2001−253181号公報及び特開2001−322365号公報に記載されている陽極酸化皮膜のマイクロポアの拡大処理や封孔処理、米国特許第2,714,066号、同第3,181,461号、同第3,280,734号及び同第3,902,734号の各明細書に記載されているようなアルカリ金属シリケートによる表面親水化処理、米国特許第3,276,868号、同第4,153,461号及び同第4,689,272号の各明細書に記載されているようなポリビニルホスホン酸などによる表面親水化処理を適宜選択して行ってもよい。
支持体は、中心線平均粗さが0.10μm〜1.2μmであることが好ましい。
支持体は、必要に応じて、画像記録層とは反対側の面に、特開平5−45885号公報に記載の有機高分子化合物又は特開平6−35174号公報に記載のケイ素のアルコキシ化合物等を含むバックコート層を有していてもよい。
<画像記録層>
本開示に係る平版印刷版原版における上記画像記録層は、赤外線露光により分解する赤外線吸収剤、芳香族ビニル化合物により形成される構成単位を有するバインダーポリマー、重合開始剤、及び、重合性化合物を含む。
本開示に係る平版印刷版原版は、機上現像性の観点から、上記画像記録層の未露光部が湿し水及び印刷インキよりなる群から選ばれた少なくとも1つにより除去可能であることが好ましい。
以下、画像記録層に含まれる各成分の詳細について説明する。
〔赤外線露光により分解する赤外線吸収剤〕
本開示に係る平版印刷版原版における上記画像記録層は、赤外線露光により分解する赤外線吸収剤(以下、「分解性赤外線吸収剤」ともいう。)を含む。
上記画像記録層に含有される分解性赤外線吸収剤は、赤外線露光により、赤外線を吸収し、分解して、発色する機能を有する赤外線吸収剤であることが好ましい。ここで、「発色」とは、赤外線露光前は可視光領域(400nm以上750nm未満の波長域)にほとんど吸収がないが、赤外線露光により可視光領域に吸収を生じることを意味し、可視光領域よりも低波長領域の吸収が可視光領域に長波長化することも包含する。
以降、分解性赤外線吸収剤が、赤外線露光により、赤外線を吸収し、分解して形成される発色した化合物を、「分解性赤外線吸収剤の発色体」ともいう。
また、分解性赤外線吸収剤は、赤外線露光により、赤外線を吸収し、吸収した赤外線を熱に変換する機能を有することが好ましい。
上記分解性赤外線吸収剤は、赤外線波長域(波長750nm〜1mm)の少なくとも1部の光を吸収し、分解するものであればよいが、750nm〜1,400nmの波長域に極大吸収を有する赤外線吸収剤であることが好ましい。
上記分解性赤外線吸収剤は、赤外線露光に起因する熱、電子移動又はその両方により分解する赤外線吸収剤であることが好ましく、赤外線露光に起因する電子移動により分解する赤外線吸収剤であることがより好ましい。ここで、「電子移動により分解する」とは、赤外線露光によって分解性赤外線吸収剤のHOMO(最高被占軌道)からLUMO(最低空軌道)に励起した電子が、分子内の電子受容基(LUMOと電位が近い基)に分子内電子移動し、それに伴って分解が生じることを意味する。
上記分解性赤外線吸収剤としては、発色性、及び、得られる平版印刷版のUV耐刷性の観点から、赤外線露光により分解する、シアニン色素が好ましい。
赤外線露光により分解するシアニン色素は、発色性、及び、得られる平版印刷版のUV耐刷性の観点から、下記式1で表されるシアニン色素であることがより好ましい。
式1中、Rは赤外線露光によりR−L結合が開裂する基を表し、R11〜R18はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、−Ra、−ORb、−SRc又は−NRdReを表し、Ra〜Reはそれぞれ独立に、炭化水素基を表し、A、A及び複数のR11〜R18が連結して単環又は多環を形成してもよく、A及びAはそれぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を表し、n11及びn12はそれぞれ独立に、0〜5の整数を表し、但し、n11及びn12の合計は2以上であり、n13及びn14はそれぞれ独立に、0又は1を表し、Lは酸素原子、硫黄原子又は−NR10−を表し、R10は水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、Zaは電荷を中和する対イオンを表す。
式1で表されるシアニン色素は、赤外線で露光されると、R−L結合が開裂し、Lは、=O、=S又は=NR10となって、分解性赤外線吸収剤の発色体が形成される。Rは離脱して、ラジカル体又はイオン体を形成する。これらは、画像記録層に含まれる重合性を有する化合物の重合に寄与する。
式1において、R11〜R18は、それぞれ独立に、水素原子、−Ra、−ORb、−SRc又は−NRdReが好ましい。
Ra〜Reにおける炭化水素基は、炭素数(炭素原子数)1〜30の炭化水素基が好ましく、炭素数1〜15の炭化水素基がより好ましく、炭素数1〜10の炭化水素基が更に好ましい。上記炭化水素基は、直鎖状であっても、分岐を有していても、環構造を有していてもよい。
式1におけるR11〜R14はそれぞれ独立に、水素原子又は炭化水素基が好ましく、水素原子又はアルキル基がより好ましく、水素原子が更に好ましい。
また、Lが結合する炭素原子と結合する炭素原子に結合するR11及びR13は、アルキル基が好ましく、両者が連結して環を形成することがより好ましい。上記形成される環は5員環又は6員環が好ましく、5員環がより好ましい。
が結合する炭素原子に結合するR12及びAが結合する炭素原子に結合するR14は、それぞれ、R15及びR17と連結して環を形成することが好ましい。
式1におけるR15は、炭化水素基が好ましい。また、R15と、A が結合する炭素原子に結合するR12とが連結して環を形成することが好ましい。形成される環としては、インドリウム環、ピリリウム環、チオピリリウム環、ベンゾオキサゾリン環又はベンゾイミダゾリン環が好ましく、発色性の観点から、インドリウム環がより好ましい。
式1におけるR17は、炭化水素基が好ましい。また、R17と、Aが結合する炭素原子に結合するR14とが連結して環を形成することが好ましい。形成される環としては、インドール環、ピラン環、チオピラン環、ベンゾオキサゾール環、又は、ベンゾイミダゾール環が好ましく、発色性の観点から、インドール環がより好ましい。
式1におけるR15及びR17は同一の基であることが好ましく、それぞれが環を形成する場合、同一の環を形成することが好ましい。
式1におけるR16及びR18は同一の基であることが好ましい。
更に、式1により表される化合物の水溶性を向上させる観点から、R16及びR18はそれぞれ独立に、(ポリ)オキシアルキレン基を有するアルキル基又はアニオン構造を有するアルキル基が好ましく、アルコキシアルキル基、カルボキシレート基又はスルホネート基を有するアルキル基がより好ましく、末端にスルホネート基を有するアルキル基が更に好ましい。上記アルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましい。
上記アニオン構造の対カチオンは、式1中のR−Lに含まれうるカチオン又はA であってもよいし、アルカリ金属カチオンやアルカリ土類金属カチオンであってもよい。
上記スルホネート基の対カチオンは、式1中のR−Lに含まれうるカチオン又はA であってもよいし、アルカリ金属カチオンやアルカリ土類金属カチオンであってもよい。
また、式1により表される化合物の極大吸収波長を長波長化し、また、発色性及び平版印刷版における耐刷性の観点から、R16及びR18はそれぞれ独立に、アルキル基又は芳香環を有するアルキル基が好ましい。上記アルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜4のアルキル基がより好ましく、メチル基又はエチル基が更に好ましい。芳香環を有するアルキル基としては、末端に芳香環を有するアルキル基が好ましく、2−フェニルエチル基、2−ナフタレニルエチル基又は2−(9−アントラセニル)エチル基がより好ましい。
式1におけるn11及びn12は同一の0〜5の整数が好ましく、1〜3の整数がより好ましく、1又は2が更に好ましく、2が特に好ましい。
式1におけるA及びAは、それぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を表し、窒素原子が好ましい。
式1におけるA及びAは同一の原子であることが好ましい。
式1におけるZaは、電荷を中和する対イオンを表す。アニオン種を表す場合は、スルホネートイオン、カルボキシレートイオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ヘキサフルオロアンチモネートイオン、p−トルエンスルホネートイオン、過塩素酸塩イオン等が挙げられ、ヘキサフルオロホスフェートイオン又はヘキサフルオロアンチモネートイオンが好ましい。カチオン種を表す場合は、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、ピリジニウムイオン、スルホニウムイオン等が挙げられ、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン、ピリジニウムイオン又はスルホニウムイオンが好ましく、ナトリウムイオン、カリウムイオン又はアンモニウムイオンがより好ましい。
11〜R18及びR−Lは、アニオン構造やカチオン構造を有していてもよく、R11〜R18及びR−Lの全てが電荷的に中性の基であれば、Zaは一価の対アニオンであるが、例えば、R11〜R18及びR−Lに2以上のアニオン構造を有する場合、Zaは対カチオンにもなり得る。
また、式1で表されるシアニン色素が、化合物の全体において電荷的に中性な構造であれば、Zaは存在しない。
式1において、Rで表される赤外線露光によりR−L結合が開裂する基については、後で詳細に記載する。
赤外線露光により分解するシアニン色素は、発色性、及び、得られる平版印刷版のUV耐刷性の観点から、下記式2で表されるシアニン色素がより好ましい。
式2中、Rは赤外線露光によりR−L結合が開裂する基を表し、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表し、R及びRが互いに連結して環を形成してもよく、Ar及びArはそれぞれ独立に、ベンゼン環又はナフタレン環を形成する基を表し、Y及びYはそれぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、−NR−又はジアルキルメチレン基を表し、Rは水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、R及びRはそれぞれ独立に、アルキル基、−COM基又は−PO基を表し、Mは水素原子、Na原子、K原子又はオニウム基を表し、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表し、Lは酸素原子、硫黄原子又は−NR10−を表し、R10は水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、Zaは電荷を中和する対イオンを表す。
式2において、R〜R及びRにおけるアルキル基は、炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、炭素数1〜15のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜10のアルキル基が更に好ましい。上記アルキル基は、直鎖状であっても、分岐を有していても、環構造を有していてもよい。
具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、及び、2−ノルボルニル基が挙げられる。
アルキル基の中で、メチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基が好ましい。
上記アルキル基は、置換基を有していてもよい。置換基の例としては、アルコキシ基、アリーロキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子、カルボキシ基、カルボキシレート基、スルホ基、スルホネート基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、及び、これらを組み合わせた基等が挙げられる。
におけるアリール基は、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、炭素数6〜20のアリール基がより好ましく、炭素数6〜12のアリール基が更に好ましい。
上記アリール基は、置換基を有していてもよい。置換基の例としては、アルキル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子、カルボキシ基、カルボキシレート基、スルホ基、スルホネート基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、及び、これらを組み合わせた基等が挙げられる。
具体的には、例えば、フェニル基、ナフチル基、p−トリル基、p−クロロフェニル基、p−フルオロフェニル基、p−メトキシフェニル基、p−ジメチルアミノフェニル基、p−メチルチオフェニル基、p−フェニルチオフェニル基等が挙げられる。
アリール基の中で、フェニル基、p−メトキシフェニル基、p−ジメチルアミノフェニル基又はナフチル基が好ましい。
及びRは、連結して環を形成していることが好ましい。
及びRが連結して環を形成する場合、5員環又は6員環が好ましく、5員環が特に好ましい。
及びYはそれぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、−NR−又はジアルキルメチレン基を表し、−NR−又はジアルキルメチレン基が好ましく、ジアルキルメチレン基がより好ましい。
は水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、アルキル基が好ましい。
又はRで表されるアルキル基は、置換アルキルであってもよい。R又はRで表される置換アルキル基としては、下記式(a1)〜式(a4)のいずれかで表される基が挙げられる。
式(a1)〜式(a4)中、RW0は炭素数2〜6のアルキレン基を表し、Wは単結合又は酸素原子を表し、nW1は1〜45の整数を表し、RW1は炭素数1〜12のアルキル基又は−C(=O)−RW5を表し、RW5は炭素数1〜12のアルキル基を表し、RW2〜RW4はそれぞれ独立に、単結合又は炭素数1〜12のアルキレン基を表し、Mは水素原子、Na原子、K原子又はオニウム基を表す。
式(a1)において、RW0で表されるアルキレン基の具体例としては、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、n−ペンチレン基、イソペンチレン基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基等が挙げられ、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基が好ましく、n−プロピレン基が特に好ましい。
W1は1〜10が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましい。
W1で表されるアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ドデシル基等が挙げられ、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基が好ましく、メチル基、エチル基が更に好ましく、メチル基が特に好ましい。
W5で表されるアルキル基は、RW1で表されるアルキル基と同様であり、好ましい態様もRW1で表されるアルキル基の好ましい態様と同様である。
式(a1)で表される基の具体例を以下に示すが、本開示はこれらに限定されるものではない。下記構造式中、Meはメチル基、Etはエチル基を表し、*は結合部位を表す。
式(a2)〜式(a4)において、RW2〜RW4で表されるアルキレン基の具体例としては、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基、イソブチレン基、n−ペンチレン基、イソペンチレン基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−オクチレン基、n−ドデシレン基等が挙げられ、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、n−ブチレン基が好ましく、エチレン基、n−プロピレン基が特に好ましい。
式(a3)において、2つ存在するMは同じでも異なってもよい。
式(a2)〜式(a4)において、Mで表されるオニウム基としては、アンモニウム基、ヨードニウム基、ホスホニウム基、スルホニウム基等が挙げられる。
式(a1)〜式(a4)で表される基の中で、式(a1)又は式(a4)で表される基が好ましい。
式2において、R及びRはそれぞれ無置換アルキル基であることが好ましい。R及びRは、同じ基であることが好ましい。
〜Rはそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表し、水素原子が好ましい。
Ar及びArはそれぞれ独立に、ベンゼン環又はナフタレン環を形成する基を表す。上記ベンゼン環及びナフタレン環は、置換基を有していてもよい。置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子、カルボキシ基、カルボキシレート基、スルホ基、スルホネート基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、ホスホン酸基、及び、これらを組み合わせた基等が挙げられる。置換基としては、アルキル基が好ましい。
また、式2で表される化合物の極大吸収波長を長波長化し、また、発色性及び平版印刷版の耐刷性を向上させる観点から、Ar及びArはそれぞれ独立に、ナフタレン環、又は、アルキル基もしくはアルコキシ基を置換基として有するベンゼン環を形成する基が好ましく、ナフタレン環、又は、アルコキシ基を置換基として有するベンゼン環を形成する基がより好ましく、ナフタレン環、又は、メトキシ基を置換基として有するベンゼン環を形成する基が特に好ましい。
式2において、Ar又はArが、下記式(b1)で表される基を形成する基であることが好ましい。
式(b1)中、R19は炭素数1〜12のアルキル基を表す。n3は1〜4の整数を表す。*は結合部位を表す。
Zaは、電荷を中和するための対イオンを表す。但し、式2で表される化合物が、その構造中に対応するイオン性の置換基を有し、電荷の中和が必要ない場合にはZaは必要ない。Zaがアニオン種を示す場合は、スルホネートイオン、カルボキシレートイオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ヘキサフルオロアンチモネートイオン、p−トルエンスルホネートイオン、過塩素酸塩イオン等が挙げられ、ヘキサフルオロホスフェートイオン又はヘキサフルオロアンチモネートイオンが好ましい。Zaがカチオン種を示す場合は、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン、アンモニウムイオン、ピリジニウムイオン又はスルホニウムイオン等が挙げられ、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン、ピリジニウムイオン又はスルホニウムイオンが好ましく、ナトリウムイオン、カリウムイオン又はアンモニウムイオンがより好ましい。
〜R、R、Ar、Ar、Y及びYは、アニオン構造やカチオン構造を有していてもよく、R〜R、R、Ar、Ar、Y及びYの全てが電荷的に中性の基であれば、Zaは一価の対アニオンであるが、例えば、R〜R、R、Ar、Ar、Y及びYに2以上のアニオン構造を有する場合、Zaは対カチオンにもなり得る。
上記式1及び式2において、Rで表される赤外線露光によりR−L結合が開裂する基について以下に説明する。
式1又は式2においてLが酸素原子である場合、Rは、発色性の観点から、下記式(1−1)〜式(1−7)のいずれかで表される基が好ましく、下記式(1−1)〜式(1−3)のいずれかで表される基がより好ましい。
式(1−1)〜(1−7)中、●は、式1又は式2中のLで表される酸素原子との結合部位を表し、R20はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、−OR24、−NR2526又は−SR27を表し、R21はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、R22はアリール基、−OR24、−NR2526、−SR27、−C(=O)R28、−OC(=O)R28又はハロゲン原子を表し、R23はアリール基、アルケニル基、アルコキシ基又はオニウム基を表し、R24〜R27はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、R28はアルキル基、アリール基、−OR24、−NR2526又は−SR27を表し、Zは電荷を中和するための対イオンを表す。
20、R21及びR24〜R28がアルキル基である場合の好ましい態様は、R〜R及びRにおけるアルキル基の好ましい態様と同様である。
20及びR23におけるアルケニル基の炭素数は、1〜30が好ましく、1〜15がより好ましく、1〜10が更に好ましい。
20〜R28がアリール基である場合の好ましい態様は、Rにおけるアリール基の好ましい態様と同様である。
発色性の観点から、式(1−1)におけるR20は、アルキル基、アルケニル基、アリール基、−OR24、−NR2526又は−SR27が好ましく、アルキル基、−OR24、−NR2526又は−SR27がより好ましく、アルキル基又は−OR24が更に好ましく、−OR24が特に好ましい。
また、式(1−1)におけるR20がアルキル基である場合、上記アルキル基は、α位にアリールチオ基、アルキルオキシカルボニル基、又はアリールスルホニル基を有するアルキル基であってもよく、α位にアリールチオ基又はアルキルオキシカルボニル基を有するアルキル基が好ましい。
式(1−1)におけるR20が−OR24である場合、R24は、アルキル基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより好ましく、イソプロピル基又はtert−ブチル基が更に好ましく、t−ブチル基が特に好ましい。
式(1−1)におけるR20がアルケニル基である場合、上記アルケニル基は、アリール基、又はヒドロキシアリール基を有するアルケニル基であってもよい。
発色性の観点から、式(1−2)におけるR21は、水素原子が好ましい。
また、発色性の観点から、式(1−2)におけるR22は、−C(=O)OR24、−OC(=O)OR24又はハロゲン原子が好ましく、−C(=O)OR24又は−OC(=O)OR24がより好ましい。式(1−2)におけるR22が−C(=O)OR24又は−OC(=O)OR24である場合、R24は、アルキル基が好ましい。
発色性の観点から、式(1−3)におけるR21はそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基が好ましく、また、式(1−3)における少なくとも1つのR21は、アルキル基がより好ましい。
また、R21におけるアルキル基は、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数3〜10のアルキル基がより好ましい。
更に、R21におけるアルキル基は、分岐又は環構造を有するアルキル基が好ましく、イソプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、又は、tert−ブチル基がより好ましい。また、R21におけるアルキル基は、第二級又は第三級アルキル基であることが好ましい。
また、発色性の観点から、式(1−3)におけるR23は、アリール基、アルコキシ基又はオニウム基が好ましく、p−ジメチルアミノフェニル基又はピリジニウム基がより好ましく、ピリジニウム基が更に好ましい。
23におけるオニウム基としては、ピリジニウム基、アンモニウム基、スルホニウム基等が挙げられる。オニウム基は、置換基を有していてもよい。置換基としては、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、アミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ハロゲン原子、カルボキシ基、スルホ基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、及び、これらを組み合わせた基等が挙げられるが、アルキル基、アリール基及びこれらを組み合わせた基が好ましい。
中でも、ピリジニウム基が好ましく、N−アルキル−3−ピリジニウム基、N−ベンジル−3−ピリジニウム基、N−(アルコキシポリアルキレンオキシアルキル)−3−ピリジニウム基、N−アルコキシカルボニルメチル−3−ピリジニウム基、N−アルキル−4−ピリジニウム基、N−ベンジル−4−ピリジニウム基、N−(アルコキシポリアルキレンオキシアルキル)−4−ピリジニウム基、N−アルコキシカルボニルメチル−4−ピリジニウム基、又は、N−アルキル−3,5−ジメチル−4−ピリジニウム基がより好ましく、N−アルキル−3−ピリジニウム基、又は、N−アルキル−4−ピリジニウム基が更に好ましく、N−メチル−3−ピリジニウム基、N−オクチル−3−ピリジニウム基、N−メチル−4−ピリジニウム基、又は、N−オクチル−4−ピリジニウム基が特に好ましく、N−オクチル−3−ピリジニウム基、又は、N−オクチル−4−ピリジニウム基が最も好ましい。
また、R23がピリジニウム基である場合、対アニオンとしては、スルホネートイオン、カルボキシレートイオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ヘキサフルオロアンチモネートイオン、p−トルエンスルホネートイオン、過塩素酸塩イオン等が挙げられ、p−トルエンスルホネートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、又は、ヘキサフルオロアンチモネートイオンが好ましい。
発色性の観点から、式(1−4)におけるR20は、アルキル基又はアリール基が好ましく、2つのR20のうち、一方はアルキル基、他方はアリール基がより好ましい。上記2つのR20は、連結して環を形成していてもよい。
発色性の観点から、式(1−5)におけるR20は、アルキル基又はアリール基が好ましく、アリール基がより好ましく、p−メチルフェニル基が更に好ましい。
発色性の観点から、式(1−6)におけるR20はそれぞれ独立に、アルキル基又はアリール基が好ましく、メチル基又はフェニル基がより好ましい。
発色性の観点から、式(1−7)におけるZは、電荷を中和するための対イオンであればよく、化合物全体として、上記Zaに含まれてもよい。
は、スルホネートイオン、カルボキシレートイオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、ヘキサフルオロアンチモネートイオン、p−トルエンスルホネートイオン、又は、過塩素酸塩イオンが好ましく、p−トルエンスルホネートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、又は、ヘキサフルオロアンチモネートイオンがより好ましい。
式1又は式2においてLが酸素原子である場合、発色性の観点から、更に好ましくは、Rは下記式(5)で表される基である。
式(5)中、R15及びR16はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、Eはオニウム基を表し、*は式1又は式2中のLで表される酸素原子との結合部位を表す。
15又はR16で表されるアルキル基は、R〜R及びRにおけるアルキル基と同様であり、好ましい態様もR〜R及びRにおけるアルキル基の好ましい態様と同様である。
15又はR16で表されるアリール基は、Rにおけるアリール基と同様であり、好ましい態様も、Rにおけるアリール基の好ましい態様と同様である。
Eで表されるオニウム基は、R23におけるオニウム基と同様であり、好ましい態様もR23におけるオニウム基の好ましい態様と同様である。
式(5)において、Eで表されるオニウム基は、下記式(6)で表されるピリジニウム基が好ましい。
式(6)中、R17はハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヒドロキシ基又はアルコキシ基を表し、R17が複数存在する場合、複数のR17は同じでも異なってもよく、あるいは複数のR17が連結して環を形成してもよい。n2は0〜4の整数を表す。R18はアルキル基又はアリール基を表す。Zは電荷を中和するための対イオンを表す。
17又はR18で表されるアルキル基又はアリール基は、R〜R及びRにおけるアルキル基又はRにおけるアリール基と同様であり、好ましい態様もR〜R及びRにおけるアルキル基又はRにおけるアリール基の好ましい態様と同様である。
17で表されるアルコキシ基は、炭素数1〜10のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基等が挙げられる。
n2は、好ましくは、0である。
で表される電荷を中和するための対イオンは、式(1−7)におけるZと同様であり、好ましい態様も式(1−7)におけるZの好ましい態様と同様である。
以下に、式1又は式2においてLが酸素原子の場合、Rで表される基の具体例を挙げるが、本開示はこれらに限定されるものではない。下記構造式中、TsOはトシレートアニオンを表し、●は式1又は式2のLで表される酸素原子との結合部位を表す。
Lが酸素原子である場合、Rがアリール基又は直鎖のアルキル基であると、赤外線露光によるR−O結合の開裂は起こらない。
式1又は式2においてLが硫黄原子である場合、Rは、下記式(2−1)で表される基が好ましい。
式(2−1)中、●は、式1又は式2中のLで表される硫黄原子との結合部位を表し、R21はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、R22はアリール基、アルケニル基、アルコキシ基又はオニウム基を表す。
式1又は式2においてLが−NR10−である場合、Nに結合するRは、下記式(3−1)で表わされる基が好ましい。
式(3−1)中、●は、式1又は式2中のLに含まれる窒素原子との結合部位を表し、X及びXはそれぞれ独立に、酸素原子又は硫黄原子を表し、Yは、上記式(2−1)で表される基を表す。
上記式(2−1)において、R21及びR22で表されるアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基及びオニウム基については、上記式(1−1)〜式(1−7)において記載したアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基及びオニウム基に関する記載を援用することができる。
式1又は式2において、Lが硫黄原子又は−NR10−を表し、R10が水素原子、アルキル基又はアリール基を表すことが、耐刷性の向上という観点から好ましい。
式1又は式2で表される化合物の具体例を以下に示すが、本開示はこれらに限定されるものではない。下記構造式中、Phはメチル基を表す。
また、赤外線露光により分解する赤外線吸収剤としては、特表2008−544322号公報、又は、国際公開第2016/027886号に記載のものを好適に用いることができる。
式1又は式2で表される化合物は、公知の方法を適用することにより合成することができる。
式1で表される化合物は、下記スキーム1又はスキーム2に従って合成することができる。例えば、式1においてLが硫黄原子であり、Rが上記式(2−1)で表される基である化合物の場合、下記スキーム1に従う方法が好適に挙げられる。また、式1においてLが−NR10−であり、Nに結合するRが上記式(3−1)で表わされ基である化合物の場合、下記スキーム2に従う方法が好適に挙げられる。
下記スキーム1及び2において、それぞれの符号は、式1、式(2−1)及び式(3−1)における符号と同様である。
更に、例えば、上記式(1−1)、式(1−5)又は式(1−6)で表される基を導入する方法としては、下記式(S1)〜式(S3)で表される合成スキームが好適に挙げられる。また、上記式(1−2)〜式(1−4)のいずれかで表される基を導入する方法としては、下記式(S4)で表される合成スキームが好適に挙げられる。
下記式において、DMAPは、N,N−ジメチルアミノ−4−ピリジンを表し、AcONaは、酢酸ナトリウムを表し、NEtは、トリエチルアミンを表し、catecolは、カテコールを表す。また、Rは、式2における各部分に対応する基を表す。
分解性赤外線吸収剤は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
上記画像記録層における分解性赤外線吸収剤の含有量は、画像記録層の全質量に対し、0.1質量%〜95質量%が好ましく、0.5質量%〜40質量%がより好ましく、1質量%〜20質量%が更に好ましい。
分解性赤外線吸収剤は、それ自身優れた赤外線吸収性能を有するため、赤外線吸収剤として良好に機能する。従って、分解性赤外線吸収剤を平版印刷版原版の画像記録層に用いる場合、実際上、分解性赤外線吸収剤以外のその他の赤外線吸収剤を使用する必要はないが、上記画像記録層は、その他の赤外線吸収剤を含んでいてもよい。
〔その他の赤外線吸収剤〕
上記画像記録層は、分解性赤外線吸収剤以外のその他の赤外線吸収剤を含んでいてもよい。
その他の赤外線吸収剤としては、顔料及び染料が挙げられる。
その他の赤外線吸収剤として用いられる染料としては、市販の染料及び例えば、「染料便覧」(有機合成化学協会編集、昭和45年刊)等の文献に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、ナフトキノン染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料、スクアリリウム色素、ピリリウム塩、金属チオレート錯体等の染料が挙げられる。
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、スクアリリウム色素、ピリリウム塩、ニッケルチオレート錯体、インドレニンシアニン色素が挙げられる。更に、シアニン色素やインドレニンシアニン色素が挙げられる。中でも、シアニン色素が特に好ましい。
シアニン色素の具体例としては、特開2001−133969号公報の段落0017〜0019に記載の化合物、特開2002−023360号公報の段落0016〜0021、特開2002−040638号公報の段落0012〜0037に記載の化合物、好ましくは特開2002−278057号公報の段落0034〜0041、特開2008−195018号公報の段落0080〜0086に記載の化合物、特に好ましくは特開2007−90850号公報の段落0035〜0043に記載の化合物、特開2012−206495号公報の段落0105〜0113に記載の化合物が挙げられる。
また、特開平5−5005号公報の段落0008〜0009、特開2001−222101号公報の段落0022〜0025に記載の化合物も好ましく使用することができる。
顔料としては、特開2008−195018号公報の段落0072〜0076に記載の化合物が好ましい。
その他の赤外線吸収剤は、1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、その他の赤外線吸収剤として顔料と染料とを併用してもよい。
上記画像記録層におけるその他の赤外線吸収剤の含有量は、発色性、及び、得られる平版印刷版のUV耐刷性の観点から、上記分解性赤外線吸収剤の含有量よりも少ないことが好ましく、上記画像記録層において、その他の赤外線吸収剤を含まないことがより好ましい。
〔芳香族ビニル化合物により形成される構成単位を有するバインダーポリマー〕
本開示において用いられる画像記録層は、芳香族ビニル化合物により形成される構成単位を有するバインダーポリマーを含む。
本開示において、バインダーポリマーとは、粒子形状ではない結着樹脂であって、後述するポリマー粒子は、本開示におけるバインダーポリマーには含まれないものとする。
上記芳香族ビニル化合物により形成される構成単位を有するバインダーポリマーは、現像性、発色性、及び、得られる平版印刷版におけるUV耐刷性の観点から、アクリロニトリル化合物により形成される構成単位を更に有することが好ましい。
以下、芳香族ビニル化合物により形成される構成単位を有するバインダーポリマーを、特定バインダーポリマーともいう。
−芳香族ビニル化合物により形成される構成単位−
特定バインダーポリマーは、芳香族ビニル化合物により形成される構成単位を有する。
芳香族ビニル化合物としては、芳香環にビニル基が結合した構造を有する化合物であればよいが、スチレン化合物、ビニルナフタレン化合物等が挙げられ、スチレン化合物が好ましく、スチレンがより好ましい。
スチレン化合物としては、スチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、β−メチルスチレン、p−メチル−β−メチルスチレン、α−メチルスチレン、及びp−メトキシ−β−メチルスチレン等が挙げられ、スチレンが好ましく挙げられる。
ビニルナフタレン化合物としては、1−ビニルナフタレン、メチル−1−ビニルナフタレン、β−メチル−1−ビニルナフタレン、4−メチル−1−ビニルナフタレン、4−メトキシ−1−ビニルナフタレン等が挙げられ、1−ビニルナフタレンが好ましく挙げられる。
また、芳香族ビニル化合物により形成される構成単位としては、下記式A1で表される構成単位が好ましく挙げられる。
式A1中、RA1及びRA2はそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表し、Arは芳香環基を表し、RA3は置換基を表し、nはArの最大置換基数以下の整数を表す。
式A1中、RA1及びRA2はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることがより好ましく、いずれも水素原子であることが更に好ましい。
式A1中、Arはベンゼン環又はナフタレン環であることが好ましく、ベンゼン環であることがより好ましい。
式A1中、RA3はアルキル基又はアルコキシ基であることが好ましく、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基であることがより好ましく、メチル基又はメトキシ基であることが更に好ましい。
式A1中、RA3が複数存在する場合、複数のRA3は同一であってもよいし、それぞれ異なっていてもよい。
式A1中、nは0〜2の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましく、0であることが更に好ましい。
特定バインダーポリマーにおける、芳香族ビニル化合物により形成される構成単位の含有量は、特定バインダーポリマーの全質量に対し、15質量%〜85質量%であることが好ましく、30質量%〜70質量%であることがより好ましい。
−アクリロニトリル化合物により形成される構成単位−
特定バインダーポリマーは、現像性、発色性、及び、得られる平版印刷版におけるUV耐刷性の観点から、アクリロニトリル化合物により形成される構成単位を更に有することが好ましい。
アクリロニトリル化合物としては、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられ、アクリロニトリルが好ましく挙げられる。
また、アクリロニトリル化合物により形成される構成単位としては、下記式B1で表される構成単位が好ましく挙げられる。
式B1中、RB1は水素原子又はアルキル基を表す。
式B1中、RB1は水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることがより好ましく、水素原子であることが更に好ましい。
特定バインダーポリマーにおける、アクリロニトリル化合物により形成される構成単位の含有量は、特定バインダーポリマーの全質量に対し、5質量%〜85質量%であることが好ましく、8質量%〜70質量%であることがより好ましい。
−N−ビニル複素環化合物により形成される構成単位−
特定バインダーポリマーは、UV耐刷性及び耐薬品性の観点から、N−ビニル複素環化合物により形成される構成単位を更に有することが好ましい。
N−ビニル複素環化合物としては、例えば、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロール、N−ビニルフェノチアジン、N−ビニルコハク酸イミド、N−ビニルフタルイミド、N−ビニルカプロラクタム、及びN−ビニルイミダゾールが挙げられ、N−ビニルピロリドンが好ましい。
また、N−ビニル複素環化合物により形成される構成単位としては、下記式C1で表される構成単位が好ましく挙げられる。
式C1中、Arは窒素原子を含む複素環構造を表し、Ar中の窒素原子が*で示した炭素原子と結合する。
式C1中、Arにより表される複素環構造は、ピロリドン環、カルバゾール環、ピロール環、フェノチアジン環、スクシンイミド環、フタルイミド環、カプロラクタム環、及びイミダゾール環であることが好ましく、ピロリドン環であることがより好ましい。
また、Arにより表される複素環構造は公知の置換基を有していてもよい。
特定バインダーポリマーにおける、N−ビニル複素環化合物により形成される構成単位の含有量は、特定バインダーポリマーの全質量に対し、5質量%〜70質量%であることが好ましく、10質量%〜60質量%であることがより好ましい。
−エチレン性不飽和基を有する構成単位−
特定バインダーポリマーは、エチレン性不飽和基を有する構成単位を更に有していてもよい。
エチレン性不飽和基としては、特に限定されないが、ビニル基、アリル基、ビニルフェニル基、(メタ)アクリルアミド基、又は、(メタ)アクリロイルオキシ基等が挙げられ、反応性の観点から、(メタ)アクリロイルオキシ基であることが好ましい。
エチレン性不飽和基を有する構成単位は、高分子反応又は共重合により特定バインダーポリマーに導入することができる。具体的には、例えば、メタクリル酸等のカルボキシ基を有する構成単位を導入した重合体に対し、エポキシ基及びエチレン性不飽和基を有する化合物(例えば、グリシジルメタクリレートなど)を反応させる方法、ヒドロキシ基等の活性水素を有する基を有する構成単位を導入した重合体に対し、イソシアネート基及びエチレン性不飽和基を有する化合物(2−イソシアナトエチルメタクリレートなど)を反応させる方法等により導入することができる。
また、エチレン性不飽和基を有する構成単位は、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有する構成単位を導入した重合体に対し、カルボキシ基及びエチレン性不飽和基を有する化合物を反応させる等の方法により特定バインダーポリマーに導入されてもよい。
更に、エチレン性不飽和基を有する構成単位は、例えば下記式d1又は下記式d2により表される部分構造を含む単量体を用いることにより特定バインダーポリマー中に導入されてもよい。具体的には、例えば、上記単量体を少なくとも用いた重合後に、下記式d1又は下記式d2により表される部分構造に対し、塩基化合物を用いた脱離反応によってエチレン性不飽和基を形成することにより、エチレン性不飽和基を有する構成単位が特定バインダーポリマー中に導入される。
式d1及び式d2中、Rは水素原子又はアルキル基を表し、Aはハロゲン原子を表し、Xは−O−又は−NR−を表し、Rは水素原子又はアルキル基を表し、*は他の構造との結合部位を表す。
式d1及び式d2中、Rは水素原子又はメチル基であることが好ましい。
式d1及び式d2中、Aは塩素原子、臭素原子、又は、ヨウ素原子であることが好ましい。
式d1及び式d2中、Xは−O−であることが好ましい。Xが−NR−を表す場合、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
エチレン性不飽和基を有する構成単位としては、例えば、下記式D1により表される構成単位が挙げられる。
式D1中、LD1は単結合又は二価の連結基を表し、LD2はm+1価の連結基を表し、XD1及びXD2はそれぞれ独立に、−O−又は−NR−を表し、Rは水素原子又はアルキル基を表し、RD1及びRD2はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、mは1以上の整数を表す。
式D1中、LD1は単結合であることが好ましい。LD1が二価の連結基を表す場合、アルキレン基、アリーレン基又はこれらの2以上が結合した二価の基が好ましく、炭素数2〜10のアルキレン基又はフェニレン基がより好ましい。
式D1中、LD2は下記式D2〜下記式D6のいずれかにより表される基が好ましい。
式D1中、XD1及びXD2はいずれも−O−であることが好ましい。また、XD1及びXD2の少なくとも一つが−NR−を表す場合、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
式D1中、RD1はメチル基であることが好ましい。
式D1中、m個のRD2のうち少なくとも1つはメチル基であることが好ましい。
式D1中、mは1〜4の整数であることが好ましく、1又は2であることがより好ましく、1であることが更に好ましい。
式D2〜式D6中、LD3〜LD7は二価の連結基を表し、LD5とLD6は異なっていてもよく、*は式D1中のXD1との結合部位を表し、波線部は式D1中のXD2との結合部位を表す。
式D3中、LD3はアルキレン基、アリーレン基、又はこれらが2以上結合した基であることが好ましく、炭素数1〜10のアルキレン基、フェニレン基又はこれらが2以上結合した基であることがより好ましい。
式D4中、LD4はアルキレン基、アリーレン基、又はこれらが2以上結合した基であることが好ましく、炭素数1〜10のアルキレン基、フェニレン基又はこれらが2以上結合した基であることがより好ましい。
式D5中、LD5はアルキレン基、アリーレン基、又はこれらが2以上結合した基であることが好ましく、炭素数1〜10のアルキレン基、フェニレン基又はこれらが2以上結合した基であることがより好ましい。
式D6中、LD6はアルキレン基、アリーレン基、又はこれらが2以上結合した基であることが好ましく、炭素数1〜10のアルキレン基、フェニレン基又はこれらが2以上結合した基であることがより好ましい。
式D7中、LD7はアルキレン基、アリーレン基、又はこれらが2以上結合した基であることが好ましく、炭素数1〜10のアルキレン基、フェニレン基又はこれらが2以上結合した基であることがより好ましい。
エチレン性不飽和基を有する構成単位の具体例を下記に示すが、本開示に係るバインダーポリマーに含まれるエチレン性不飽和基を有する構成単位は、これに限定されるものではない。下記具体例中、Rはそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。
特定バインダーポリマーにおける、エチレン性不飽和基を有する構成単位の含有量は、特定バインダーポリマーの全質量に対し、5質量%〜60質量%であることが好ましく、10質量%〜30質量%であることがより好ましい。
−酸性基を有する構成単位−
特定バインダーポリマーは、酸性基を有する構成単位を有してもよいが、機上現像性の観点からは、酸性基を有する構成単位を有しないことが好ましい。
具体的には、特定バインダーポリマーにおける酸性基を有する構成単位の含有量は、特定バインダーポリマーの全質量に対し、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、5質量%以下であることが更に好ましい。上記含有量の下限は特に限定されず、0質量%であってもよい。
また、特定バインダーポリマーの酸価は、160mgKOH/g以下であることが好ましく、80mgKOH/g以下であることがより好ましく、40mgKOH/g以下であることが更に好ましい。上記酸価の下限は特に限定されず、0mgKOH/gであってもよい。
本開示において、酸価はJIS K0070:1992に準拠した測定法により求められる。
−疎水性基を有する構成単位−
特定バインダーポリマーは、インキ着肉性の観点から、疎水性基を含む構成単位を有してもよい。
上記疎水性基としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基等が挙げられる。
疎水性基を含む構成単位としては、アルキル(メタ)アクリレート化合物、アリール(メタ)アクリレート化合物、又は、アラルキル(メタ)アクリレート化合物により形成される構成単位が好ましく、アルキル(メタ)アクリレート化合物により形成される構成単位がより好ましい。
上記アルキル(メタ)アクリレート化合物におけるアルキル基の炭素数は、1〜10であることが好ましい。上記アルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、環状構造を有していてもよい。アルキル(メタ)アクリレート化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記アリール(メタ)アクリレート化合物におけるアリール基の炭素数は、6〜20であることが好ましく、フェニル基であることがより好ましい。また、上記アリール基は公知の置換基を有していてもよい。アリール(メタ)アクリレート化合物としては、フェニル(メタ)アクリレートが好ましく挙げられる。
上記アラルキル(メタ)アクリレート化合物におけるアルキル基の炭素数は、1〜10であることが好ましい。上記アルキル基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、環状構造を有していてもよい。また、上記アラルキル(メタ)アクリレート化合物におけるアリール基の炭素数は、6〜20であることが好ましく、フェニル基であることがより好ましい。アラルキル(メタ)アクリレート化合物としては、ベンジル(メタ)アクリレートが好ましく挙げられる。
特定バインダーポリマーにおける、疎水性基を有する構成単位の含有量は、特定バインダーポリマーの全質量に対し、5質量%〜50質量%であることが好ましく、10質量%〜30質量%であることがより好ましい。
−親水性基を有する構成単位−
特定バインダーポリマーは、耐刷性、耐薬品性及び機上現像性の向上の観点から、親水性基を有する構成単位を含んでもよい。
上記親水性基としては、−OH、−CN、−CONR、−NRCOR(R、Rはそれぞれ独立して水素原子、アルキル基、アルケニル基、又は、アリール基を表す。RとRは結合して環を形成してもよい。)−NR、−N(R〜Rは、それぞれ独立して炭素数1〜8のアルキル基を表し、Xはカウンターアニオンを表す)、下記式POにより表される基等が挙げられる。
これら親水性基の中でも、−OH、−CONR又は式POにより表される基が好ましく、−OH又は式POにより表される基がより好ましく、−OHが更に好ましい。
式PO中、Lはそれぞれ独立に、アルキレン基を表し、Rは水素原子又はアルキル基を表し、nは1〜100の整数を表す。
式PO中、Lはそれぞれ独立に、エチレン基、1−メチルエチレン基又は2−メチルエチレン基であることが好ましく、エチレン基であることがより好ましい。
式PO中、Rは水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基であることが好ましく、水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基であることがより好ましく、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であることが更に好ましく、水素原子又はメチル基であることが特に好ましい。
式PO中、nは1〜10の整数が好ましく、1〜4の整数がより好ましい。
親水性基を有する構成単位としては、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート化合物により形成される構成単位が好ましく、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート化合物により形成される構成単位がより好ましい。
特定バインダーポリマーにおける、親水性基を有する構成単位の含有量は、特定バインダーポリマーの全質量に対し、5質量%〜60質量%であることが好ましく、10質量%〜30質量%であることがより好ましい。
−その他の構成単位−
特定バインダーポリマーは、その他の構成単位を更に含有してもよい。その他の構成単位としては、上述の各構成単位以外の構成単位を特に限定なく含有することができ、例えば、アクリルアミド化合物、ビニルエーテル化合物等により形成される構成単位が挙げられる。
アクリルアミド化合物としては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
ビニルエーテル化合物としては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、n−ノニルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルメチルビニルエーテル、4−メチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、ジシクロペンテニルビニルエーテル、2−ジシクロペンテノキシエチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、ブトキシエチルビニルエーテル、メトキシエトキシエチルビニルエーテル、エトキシエトキシエチルビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールビニルエーテル、クロロエチルビニルエーテル、クロロブチルビニルエーテル、クロロエトキシエチルビニルエーテル、フェニルエチルビニルエーテル、フェノキシポリエチレングリコールビニルエーテル、などが挙げられる。
特定バインダーポリマーにおける、その他の構成単位の含有量は、特定バインダーポリマーの全質量に対し、5質量%〜50質量%であることが好ましく、10質量%〜30質量%であることがより好ましい。
−特定バインダーポリマーの製造方法−
特定バインダーポリマーの製造方法は、特に限定されず、公知の方法により製造することができる。
例えば、スチレン化合物と、アクリロニトリル化合物と、必要に応じて上記N−ビニル複素環化合物、上記エチレン性不飽和基を有する構成単位の形成に用いられる化合物、上記酸性基を有する構成単位の形成に用いられる化合物、上記疎水性基を有する構成単位の形成に用いられる化合物、及び、上記その他の構成単位の形成に用いられる化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物、とを、公知の方法により重合することにより得られる。
−分子量−
特定バインダーポリマーの重量平均分子量は、3,000〜300,000であることが好ましく、5,000〜100,000であることがより好ましい。
−具体例−
特定バインダーポリマーの具体例を下記表に示すが、本開示において用いられる特定バインダーポリマーはこれに限定されるものではない。
また、上記具体例中、各構成単位の含有比は、上述の各構成単位の含有量の好ましい範囲に従って、適宜変更可能である。
また、上記具体例に示す各化合物の重量平均分子量は、上述の特定バインダーポリマーの重量平均分子量の好ましい範囲に従って、適宜変更可能である。
−含有量−
画像記録層は、特定バインダーポリマーを1種単独で含有してもよいし、2種以上を併用してもよい。
画像記録層の全質量に対する特定バインダーポリマーの含有量は、5質量%以上95質量%以下であることが好ましく、7質量%以上80質量%以下がより好ましく、10質量%以上60質量%以下がより好ましい。
〔重合開始剤〕
上記画像記録層は、重合開始剤を含む。
重合開始剤は、重合性化合物の重合を開始、促進する化合物である。重合開始剤としては、公知の熱重合開始剤、結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物、光重合開始剤、後述する電子受容型重合開始剤、後述する電子供与型重合開始剤などを使用することができる。具体的には、特開2014−104631号公報の段落0092〜0106に記載のラジカル重合開始剤を使用できる。
重合開始剤の中で、好ましい化合物として、オニウム塩化合物が挙げられる。中でも、ヨードニウム塩及びスルホニウム塩が特に好ましく挙げられる。それぞれの塩の中で好ましい具体的化合物は、特開2014−104631号公報の段落0104〜0106に記載の化合物と同じである。
重合開始剤の含有量は、画像記録層の全質量に対して、0.1質量%〜50質量%が好ましく、0.5質量%〜30質量%がより好ましく、0.8質量%〜20質量%が特に好ましい。この範囲でより良好な感度と印刷時の非画像部のより良好な汚れ難さが得られる。
また、重合開始剤は、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよいが、上記画像記録層における上記重合開始剤は、発色性、露光後経時発色性、現像性、及び、得られる平版印刷版におけるUV耐刷性の観点から、電子供与型重合開始剤、及び、電子受容型重合開始剤を含むことが好ましい。
更に、上記重合開始剤は、発色性、露光後経時発色性、現像性、及び、得られる平版印刷版におけるUV耐刷性の観点から、電子供与型重合開始剤と電子受容型重合開始剤とが対塩を形成してなる化合物を含むことが好ましい。
−電子供与型重合開始剤−
上記画像記録層は、発色性、露光後経時発色性、現像性、及び、得られる平版印刷版におけるUV耐刷性の観点から、上記重合開始剤として、電子供与型重合開始剤を含むことが好ましい。
電子供与型重合開始剤は、平版印刷版における耐薬品性、及び、耐刷性の向上に寄与すると考えられる。電子供与型重合開始剤としては、例えば、以下の5種類が挙げられる。
(i)アルキル又はアリールアート錯体:酸化的に炭素−ヘテロ結合が解裂し、活性ラジカルを生成すると考えられる。具体的には、ボレート化合物等が挙げられる。
(ii)アミノ酢酸化合物:酸化により窒素に隣接した炭素上のC−X結合が解裂し、活性ラジカルを生成するものと考えられる。Xとしては、水素原子、カルボキシ基、トリメチルシリル基又はベンジル基が好ましい。具体的には、N−フェニルグリシン類(フェニル基に置換基を有していてもよい。)、N−フェニルイミノジ酢酸(フェニル基に置換基を有していてもよい。)等が挙げられる。
(iii)含硫黄化合物:上述のアミノ酢酸化合物の窒素原子を硫黄原子に置き換えたものが、同様の作用により活性ラジカルを生成し得る。具体的には、フェニルチオ酢酸(フェニル基に置換基を有していてもよい。)等が挙げられる。
(iv)含錫化合物:上述のアミノ酢酸化合物の窒素原子を錫原子に置き換えたものが、同様の作用により活性ラジカルを生成し得る。
(v)スルフィン酸塩類:酸化により活性ラジカルを生成し得る。具体的は、アリールスルフィン酸ナトリウム等が挙げられる。
これら電子供与型重合開始剤の中でも、ボレート化合物を含むことが好ましい。
ボレート化合物としては、テトラアリールボレート化合物又はモノアルキルトリアリールボレート化合物が好ましく、化合物の安定性の観点から、テトラアリールボレート化合物がより好ましく、テトラフェニルボレート化合物が特に好ましい。
ボレート化合物が有する対カチオンとしては、特に制限はないが、アルカリ金属イオン、又は、テトラアルキルアンモニウムイオンであることが好ましく、ナトリウムイオン、カリウムイオン、又は、テトラブチルアンモニウムイオンであることがより好ましい。
ボレート化合物として具体的には、ナトリウムテトラフェニルボレートが好ましく挙げられる。
また、本開示に用いられる電子供与型重合開始剤の最高被占軌道(HOMO)は、耐薬品性及び耐刷性の観点から、−6.0eV以上であることが好ましく、−5.95eV以上であることがより好ましく、−5.93eV以上であることが更に好ましい。
また、上限としては、−5.00eV以下であることが好ましく、−5.40eV以下であることがより好ましい。
本開示において、最高被占軌道(HOMO)及び最低空軌道(LUMO)の計算は、以下の方法により行う。
まず、計算対象となる化合物における対アニオンは無視する。
量子化学計算ソフトウェアGaussian09を用い、構造最適化はDFT(B3L
YP/6−31G(d))で行う。
MO(分子軌道)エネルギー計算は、上記構造最適化で得た構造でDFT(B3LYP/6−31+G(d,p)/CPCM(solvent=methanol))で行う。
上記MOエネルギー計算で得られたMOエネルギーEbare(単位:hartree)を以下の公式により、本開示においてHOMO及びLUMOの値として用いるEscaled(単位:eV)へ変換する。
Escaled=0.823168×27.2114×Ebare−1.07634
なお、27.2114は単にhartreeをeVに変換するための係数であり、0.823168と−1.07634とは調節係数であり、計算対象となる化合物のHOMOとLUMOとを計算が実測の値に合うように定める。
以下に電子供与型重合開始剤の好ましい具体例として、B−1〜B−8及び他の化合物を示すが、これらに限定されないことは、言うまでもない。また、下記化学式において、Buはn−ブチル基を表し、Zは対カチオンを表す。
Zで表される対カチオンとしては、Na、K、N(Bu)等が挙げられる。上記Buはn−ブチル基を表す。
また、Zで表される対カチオンとしては、後述する電子受容型重合開始剤におけるオニウムイオンも好適に挙げられる。
電子供与型重合開始剤は、1種のみを添加しても、2種以上を併用してもよい。
電子供与型重合開始剤の含有量は、発色性、露光後経時発色性、現像性、及び、得られる平版印刷版におけるUV耐刷性の観点から、画像記録層の全質量に対し、0.01質量%〜30質量%が好ましく、0.05質量%〜25質量%がより好ましく、0.1質量%〜20質量%が更に好ましい。
−電子受容型重合開始剤−
上記画像記録層は、発色性、及び、得られる平版印刷版におけるUV耐刷性の観点から、上記重合開始剤として、電子受容型重合開始剤を含むことが好ましい。
本開示に用いられる電子受容型重合開始剤は、光、熱又はその両方のエネルギーによりラジカルやカチオン等の重合開始種を発生する化合物であって、公知の熱重合開始剤、結合解離エネルギーの小さな結合を有する化合物、光重合開始剤などを適宜選択して用いることができる。
電子受容型重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤が好ましく、オニウム塩化合物がより好ましい。
また、電子受容型重合開始剤としては、赤外線感光性重合開始剤であることが好ましい。
電子受容型重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、(a)有機ハロゲン化物、(b)カルボニル化合物、(c)アゾ化合物、(d)有機過酸化物、(e)メタロセン化合物、(f)アジド化合物、(g)ヘキサアリールビイミダゾール化合物、(i)ジスルホン化合物、(j)オキシムエステル化合物、(k)オニウム塩化合物が挙げられる。
(a)有機ハロゲン化物としては、例えば、特開2008−195018号公報の段落0022〜0023に記載の化合物が好ましい。
(b)カルボニル化合物としては、例えば、特開2008−195018号公報の段落0024に記載の化合物が好ましい。
(c)アゾ化合物としては、例えば、特開平8−108621号公報に記載のアゾ化合物等を使用することができる。
(d)有機過酸化物としては、例えば、特開2008−195018号公報の段落0025に記載の化合物が好ましい。
(e)メタロセン化合物としては、例えば、特開2008−195018号公報の段落0026に記載の化合物が好ましい。
(f)アジド化合物としては、例えば、2,6−ビス(4−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン等の化合物を挙げることができる。
(g)ヘキサアリールビイミダゾール化合物としては、例えば、特開2008−195018号公報の段落0027に記載の化合物が好ましい。
(i)ジスルホン化合物としては、例えば、特開昭61−166544号、特開2002−328465号の各公報に記載の化合物が挙げられる。
(j)オキシムエステル化合物としては、例えば、特開2008−195018号公報の段落0028〜0030に記載の化合物が好ましい。
上記電子受容型重合開始剤の中でも好ましいものとして、硬化性の観点から、オキシムエステル化合物及びオニウム塩化合物が挙げられる。中でも、耐刷性の観点から、オニウム塩化合物が好ましく、ヨードニウム塩化合物、スルホニウム塩化合物又はアジニウム塩化合物がより好ましく、ヨードニウム塩化合物又はスルホニウム塩化合物が更に好ましく、ヨードニウム塩化合物が特に好ましい。
これら化合物の具体例を以下に示すが、本開示はこれに限定されるものではない。
ヨードニウム塩化合物の例としては、ジアリールヨードニウム塩化合物が好ましく、特に電子供与性基、例えば、アルキル基又はアルコキシル基で置換されたジフェニルヨードニウム塩化合物がより好ましく、また、非対称のジフェニルヨードニウム塩化合物が好ましい。具体例としては、ジフェニルヨードニウム=ヘキサフルオロホスファート、4−メトキシフェニル−4−(2−メチルプロピル)フェニルヨードニウム=ヘキサフルオロホスファート、4−(2−メチルプロピル)フェニル−p−トリルヨードニウム=ヘキサフルオロホスファート、4−ヘキシルオキシフェニル−2,4,6−トリメトキシフェニルヨードニウム=ヘキサフルオロホスファート、4−ヘキシルオキシフェニル−2,4−ジエトキシフェニルヨードニウム=テトラフルオロボラート、4−オクチルオキシフェニル−2,4,6−トリメトキシフェニルヨードニウム=1−ペルフルオロブタンスルホナート、4−オクチルオキシフェニル−2,4,6−トリメトキシフェニルヨードニウム=ヘキサフルオロホスファート、ビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウム=ヘキサフルオロホスファートが挙げられる。
スルホニウム塩化合物の例としては、トリアリールスルホニウム塩化合物が好ましく、特に電子求引性基、例えば、芳香環上の基の少なくとも一部がハロゲン原子で置換されたトリアリールスルホニウム塩化合物が好ましく、芳香環上のハロゲン原子の総置換数が4以上であるトリアリールスルホニウム塩化合物が更に好ましい。具体例としては、トリフェニルスルホニウム=ヘキサフルオロホスファート、トリフェニルスルホニウム=ベンゾイルホルマート、ビス(4−クロロフェニル)フェニルスルホニウム=ベンゾイルホルマート、ビス(4−クロロフェニル)−4−メチルフェニルスルホニウム=テトラフルオロボラート、トリス(4−クロロフェニル)スルホニウム=3,5−ビス(メトキシカルボニル)ベンゼンスルホナート、トリス(4−クロロフェニル)スルホニウム=ヘキサフルオロホスファート、トリス(2,4−ジクロロフェニル)スルホニウム=ヘキサフルオロホスファートが挙げられる。
また、ヨードニウム塩化合物及びスルホニウム塩化合物の対アニオンとしては、スルホンアミドアニオン又はスルホンイミドアニオンが好ましく、スルホンイミドアニオンがより好ましい。
スルホンアミドアニオンとしては、アリールスルホンアミドアニオンが好ましい。
また、スルホンイミドアニオンとしては、ビスアリールスルホンイミドアニオンが好ましい。
スルホンアミドアニオン又はスルホンイミドアニオンの具体例を以下に示すが、本開示はこれらに限定されるものではない。下記具体例中、Phはフェニル基を、Meはメチル基を、Etはエチル基を、それぞれ表す。
また、上記電子受容型重合開始剤としては、発色性、露光後経時発色性、現像性、及び、得られる平版印刷版原版におけるUV耐刷性の観点から、ハロゲン化アルキル重合開始剤が好ましく挙げられる。
ハロゲン化アルキル重合開始剤としては、ハロゲン化アルキルスルホン化合物であることが好ましく、トリハロゲン化メチルスルホン化合物であることがより好ましく、トリブロモメチルスルホン化合物であることが特に好ましい。
また、ハロゲン化アルキル重合開始剤としては、下記式(I)で表される化合物を好適に用いることができる。
式中、Xはハロゲン原子を表し、具体的には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。これらのうち、塩素原子又は臭素原子は、感度に優れるため好ましく、臭素原子が特に好ましい。
Aは−CO−、−SO−、−SO−、−PO−及び−PO−よりなる群から選ばれる2価の連結基を表す。これらのうち、−CO−、−SO−又は−SO−がより好ましく、−CO−又は−SO−が特に好ましい。RX1及びRX2はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜20までの1価の炭化水素基を表す。
炭化水素基を構成する炭化水素としては、特開2002−162741号公報の段落0013〜段落0014に記載の炭化水素等を挙げることができるが、具体的には、炭化水素としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ヘキサン、ノナン、デカン、オクタデカン、シクロペンタン、シクロヘキサン、アダマンタン、ノルボルナン、デカヒドロナフタレン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプタデセン、2−ブテン、2−ヘキセン、4−ノネン、7−テトラデセン、ブタジエン、ピペリレン、1,9−デカジエン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロオクテン、1,4−シクロヘキサジエン、1,5−シクロオクタジエン、1,5,9−シクロドデカトリエン、ノルボルニレン、オクタヒドロナフタレン、ピシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−ジエン、アセチレン、1−プロピン、2−ヘキシン等の炭素数1から30までの脂肪族炭化水素;ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、インデン、フルオレン等の芳香族炭化水素が挙げられる。
このような炭化水素基を構成する炭素原子は、酸素原子、窒素原子及び硫黄原子から選ばれるヘテロ原子で1個以上置換されてもよい。
置換基としては水素を除く、1価の非金属原子団を挙げることができ、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アリール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシ基及びその共役塩基基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SOH)及びその共役塩基基、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、N−アシルスルファモイル基及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルスルファモイル基(−SONHSO(alkyl))及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルスルファモイル基(−SONHSO(aryl))及びその共役塩基基、N−アルキルスルホニルカルバモイル基(−CONHSO(alkyl))及びその共役塩基基、N−アリールスルホニルカルバモイル基(−CONHSO(aryl))及びその共役塩基基、アルコキシシリル基(−Si(Oalkyl))、アリーロキシシリル基(−Si(Oaryl))、ヒドロキシシリル基(−Si(OH))及びその共役塩基基、ホスホノ基(−PO)及びその共役塩基基、ジアルキルホスホノ基(−PO(alkyl))、ジアリールホスホノ基(−PO(aryl))、アルキルアリールホスホノ基(−PO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノ基(−POH(alkyl))及びその共役塩基基、モノアリールホスホノ基(−POH(aryl))及びその共役塩基基、ホスホノオキシ基(−OPO)及びその共役塩基基、ジアルキルホスホノオキシ基(−OPO(alkyl))、ジアリールホスホノオキシ基(−OPO(aryl))、アルキルアリールホスホノオキシ基(−OPO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノオキシ基(−OPOH(alkyl))及びその共役塩基基、モノアリールホスホノオキシ基(−OPOH(aryl))及びその共役塩基基、シアノ基、ニトロ基、ジアルキルボリル基(−B(alkyl))、ジアリールボリル基(−B(aryl))、アルキルアリールボリル基(−B(alkyl)(aryl))、ジヒドロキシボリル基(−B(OH))及びその共役塩基基、アルキルヒドロキシボリル基(−B(alkyl)(OH))及びその共役塩基基、アリールヒドロキシボリル基(−B(aryl)(OH))及びその共役塩基基、アリール基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
これら置換基は可能であるならば置換基同士、又は置換している炭化水素基と結合して環を形成してもよく、置換基は更に置換されていてもよい。
好ましい置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基が挙げられる。
及びnはそれぞれ1〜3までの整数を表す。ただし、m+n=2〜4である。感度の点でm=1及びn=3、又は、m=2及びn=2であることが好ましい。m及びnが2以上である場合には、(R1−A)及びXはそれぞれ異なっていてもよい。また、m=1、及び、n=1である場合にもRx2は互いに異なっていてもよい。
上記式(I)で表される化合物の中でも、下記式(II)及び式(III)で表される化合物は、視認性に優れるため好ましい。
式(II)及び式(III)において、Xは式(I)におけるものと同義であり、RX3、RX4及びRX5はそれぞれ独立に、炭素数1〜20までの1価の炭化水素基を表す。
ここで、RX3、RX4及びRX5は、アリール基であることが好ましく、アリール基がアミド基で置換されているものは、感度と保存性のバランスに優れるためより好ましい。
下記式(II)及び式(III)で表される化合物の中でも、式(IV)で表される化合物が特に好ましい。
式(IV)において、RX6及びRX7はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜20までの1価の炭化水素基を表し、px及びqxはそれぞれ独立に、1〜5の整数を表す。ただし、p+q=2〜6である。
上記式(I)で表される電子受容型重合開始剤の具体例としては、例えば、下記に示す化合物が挙げられるが、本開示はこれらに限定されるものではない。下記具体例中、Etはエチル基を、Prはn−プロピル基を、Buはn−ブチル基を、Buはt−ブチル基を、それぞれ表す。
また、本開示における好ましい態様の一つは、上記電子受容型重合開始剤と、上記電子供与型重合開始剤とが、塩を形成している態様である。
具体的には、例えば、上記オニウム化合物が、オニウムイオンと、上述の電子供与型重合開始剤におけるアニオン(例えば、テトラフェニルボレートアニオン)との塩である態様が挙げられる。また、より好ましくは、後述するヨードニウム塩化合物におけるヨードニウムカチオン(例えば、ジ−p−トリルヨードニウムカチオン)と、上述の電子供与型重合開始剤におけるボレートアニオンとが塩を形成した、ヨードニウムボレート化合物が挙げられる。
本開示において、画像記録層が、オニウムイオンと、上述の電子供与型重合開始剤における陰イオンとを含む場合、画像記録層は電子受容型重合開始剤及び電子供与型重合開始剤を含むものとする。
電子受容型重合開始剤の最低空軌道(LUMO)は、耐薬品性及び耐刷性の観点から、−3.00eV以下であることが好ましく、−3.02eV以下であることがより好ましい。
また、下限としては、−3.80eV以上であることが好ましく、−3.60eV以上であることがより好ましい。
電子受容型重合開始剤は、1種のみを添加しても、2種以上を併用してもよい。
電子受容型重合開始剤の含有量は、発色性、及び、得られる平版印刷版原版におけるUV耐刷性の観点から、画像記録層の全質量に対して、0.1質量%〜50質量%であることが好ましく、0.5質量%〜30質量%であることがより好ましく、0.8質量%〜20質量%であることが特に好ましい。
−電子供与型重合開始剤と電子受容型重合開始剤とが対塩を形成してなる化合物−
上記重合開始剤は、発色性、露光後経時発色性、現像性、及び、得られる平版印刷版原版におけるUV耐刷性の観点から、電子供与型重合開始剤と電子受容型重合開始剤とが対塩を形成してなる化合物を含むことが好ましい。
上記電子供与型重合開始剤と電子受容型重合開始剤とが対塩を形成してなる化合物としては、発色性、及び、得られる平版印刷版におけるUV耐刷性の観点から、上記電子供与型重合開始剤におけるアニオンと、上記電子受容型重合開始剤におけるカチオンとが対塩を形成してなる化合物であることが好ましく、オニウムカチオンとボレートアニオンとが対塩を形成してなる化合物であることがより好ましく、ヨードニウムカチオン又はスルホニウムカチオンとボレートアニオンとが対塩を形成してなる化合物であることが更に好ましく、ジアリールヨードニウムカチオン又はトリアリールスルホニウムカチオンとテトラアリールボレートアニオンとが対塩を形成してなる化合物であることが特に好ましい。
上記電子供与型重合開始剤におけるアニオン、及び、上記電子受容型重合開始剤におけるカチオンの好ましい態様としては、上述した電子供与型重合開始剤におけるアニオン及び電子受容型重合開始剤におけるカチオンの好ましい態様と同様である。
上記電子受容型重合開始剤と上記電子供与型重合開始剤とが塩を形成している態様の具体例を以下に示すが、本開示はこれらに限定されるものではない。
上記電子供与型重合開始剤と電子受容型重合開始剤とが対塩を形成してなる化合物は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。また、上記電子供与型重合開始剤と併用してもよいし、上記電子受容型重合開始剤と併用してもよい。
上記電子供与型重合開始剤と電子受容型重合開始剤とが対塩を形成してなる化合物の含有量は、発色性、及び、得られる平版印刷版におけるUV耐刷性の観点から、画像記録層の全質量に対して、0.1質量%〜50質量%が好ましく、0.5質量%〜30質量%がより好ましく、0.8質量%〜20質量%が特に好ましい。
−電子供与型重合開始剤と、電子受容型重合開始剤と、分解性赤外線吸収剤との関係−
上記画像記録層は、発色性、及び、得られる平版印刷版におけるUV耐刷性の観点から、上記電子供与型重合開始剤と、上記電子受容型重合開始剤と、上記赤外線露光により分解する赤外線吸収剤と、を含み、上記電子供与型重合開始剤のHOMOが−6.0eV以上であり、かつ、上記電子受容型重合開始剤のLUMOが−3.0eV以下であることが好ましい。
上記電子供与型重合開始剤のHOMO、及び、上記電子受容型重合開始剤のLUMOのより好ましい態様は、それぞれ上述の通りである。
本開示における画像記録層において、上記電子供与型重合開始剤と、上記赤外線吸収剤と、上記電子受容型重合開始剤とは、例えば、下記化学式に記載のようにエネルギーの受け渡しを行っていると推測される。
そのため、上記電子供与型重合開始剤のHOMOが−6.0eV以上であり、かつ、上記電子受容型重合開始剤のLUMOが−3.0eV以下であれば、ラジカルの発生効率が向上するため、耐薬品性及びUV耐刷性により優れると考えられる。
また、上記赤外線露光により分解する赤外線吸収剤の一部は、上記電子供与型重合開始剤からの一電子供与により赤外線露光による分解が促進される場合もあると推測される。
UV耐刷性及び耐薬品性の観点から、上記電子供与型重合開始剤のHOMOと、上記赤外線吸収剤のHOMOとの差は、1.00eV〜−0.200eVであることが好ましく、0.700eV〜−0.100eVであることがより好ましい。なお、マイナスの値は、上記電子供与型重合開始剤のHOMOが、上記赤外線吸収剤のHOMOよりも高くなることを意味する。
また、耐刷性及び耐薬品性の観点から、上記赤外線吸収剤のLUMOと、上記電子受容型重合開始剤のLUMOとの差は、1.00eV〜−0.200eVであることが好ましく、0.700eV〜−0.100eVであることがより好ましい。なお、マイナスの値は、上記赤外線吸収剤のLUMOが、上記電子受容型重合開始剤のLUMOよりも高くなることを意味する。
〔重合性化合物〕
本開示における画像記録層は、重合性化合物を含む。
本開示において、重合性を有する化合物であっても、上述の特定バインダーポリマー、後述するポリマー粒子、及び、後述する特定バインダー以外のバインダーポリマーに該当する化合物は、重合性化合物には該当しないものとする。
重合性化合物の分子量(分子量分布を有する場合には、重量平均分子量)は、機上現像性、及び、得られる平版印刷版におけるUV耐刷性の観点から、50以上2,500未満であることが好ましく、2,000以下であることがより好ましく、1,500以下であることが更に好ましく、50以上1,500以下であることが特に好ましい。
上記重合性化合物におけるエチレン性不飽和結合1molあたりの質量(「エチレン性不飽和結合当量」ともいう。)は、得られる平版印刷版におけるUV耐刷性の観点から、200g/mol以下であることが好ましく、50g/mol以上200g/mol以下であることがより好ましく、80g/mol以上180g/mol以下であることが更に好ましく、100g/mol以上150g/mol以下であることが特に好ましい。
本開示において、重合性化合物のエチレン性不飽和結合当量を、具体的には例えば、以下のように求めることができる。
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA、分子量578、エチレン性不飽和結合6個)のエチレン性不飽和結合当量:578÷6=96.3(g/mol)
・スチレン(分子量104、エチレン性不飽和結合1個)のエチレン性不飽和結合当量:104÷1=104(g/mol)
・「DPHA10gとスチレン20gとの混合物」のエチレン性不飽和結合当量:(10+20)/{10/96.3+20/104}=101(g/mol)
本開示におけるエチレン性不飽和結合当量は、重合性化合物の分子量及びエチレン性不飽和結合の数、並びに、上記画像記録層中における重合性化合物の組成を、公知の方法により特定し、上記計算方法により求めることができる。
上記重合性化合物のClogP値は、機上現像性、及び、得られる平版印刷版におけるUV耐刷性の観点から、6以下であることが好ましく、2以上6以下であることがより好ましく、3以上6以下であることが更に好ましく、5以上6以下であることが特に好ましい。
本開示におけるClogP値とは、1−オクタノールと水への分配係数Pの常用対数logPを計算によって求めた値であり、Chem Draw Ultra ver.12.0.2.1076(Cambridge orporation社)による算出値である。
本開示に用いられる重合性化合物は、例えば、ラジカル重合性化合物であっても、カチオン重合性化合物であってもよいが、少なくとも1個のエチレン性不飽和結合を有する付加重合性化合物(エチレン性不飽和化合物)であることが好ましい。エチレン性不飽和化合物としては、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個有する化合物であることが好ましく、末端エチレン性不飽和結合を2個以上有する化合物であることがより好ましい。重合性化合物は、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体若しくはオリゴマー、又は、それらの混合物などの化学的形態をもつ。
中でも、上記重合性化合物は、得られる平版印刷版におけるUV耐刷性の観点から、3官能以上の重合性化合物を含むことが好ましく、3官能以上エチレン性不飽和化合物を含むことがより好ましく、3官能以上(メタ)アクリレート化合物を含むことが更に好ましい。
モノマーの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と多価アルコール化合物とのエステル類、不飽和カルボン酸と多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。また、ヒドロキシ基、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル類あるいはアミド類と単官能もしくは多官能イソシアネート類あるいはエポキシ類との付加反応物、及び単官能もしくは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基、エポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル類あるいはアミド類と単官能又は多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更にハロゲン原子、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル類あるいはアミド類と単官能又は多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸を、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。これらは、特表2006−508380号公報、特開2002−287344号公報、特開2008−256850号公報、特開2001−342222号公報、特開平9−179296号公報、特開平9−179297号公報、特開平9−179298号公報、特開2004−294935号公報、特開2006−243493号公報、特開2002−275129号公報、特開2003−64130号公報、特開2003−280187号公報、特開平10−333321号公報等に記載されている。
多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシド(EO)変性トリアクリレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等が挙げられる。メタクリル酸エステルとして、テトラメチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等が挙げられる。また、多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビスアクリルアミド、メチレンビスメタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビスアクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビスメタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等が挙げられる。
また、イソシアネートとヒドロキシ基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、その具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記式(M)で表されるヒドロキシ基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH=C(RM4)COOCHCH(RM5)OH (M)
式(M)中、RM4及びRM5はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表す。
また、特開昭51−37193号公報、特公平2−32293号公報、特公平2−16765号公報、特開2003−344997号公報、特開2006−65210号公報に記載のウレタンアクリレート類、特公昭58−49860号公報、特公昭56−17654号公報、特公昭62−39417号公報、特公昭62−39418号公報、特開2000−250211号公報、特開2007−94138号公報に記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類、米国特許第7153632号明細書、特表平8−505958号公報、特開2007−293221号公報、特開2007−293223号公報に記載の親水基を有するウレタン化合物類も好適である。
重合性化合物の構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、任意に設定できる。
中でも、上記画像記録層は、得られる平版印刷版におけるUV耐刷性の観点から、2種以上の重合性化合物を含むことが好ましい。
重合性化合物の含有量は、画像記録層の全質量に対して、5質量%〜75質量%であることが好ましく、10質量%〜70質量%であることがより好ましく、15質量%〜60質量%であることが更に好ましい。
また、上記画像記録層における上記重合性化合物の全質量に対する上記特定バインダーポリマーの含有量は、0質量%を超え400質量%以下であることが好ましく、25質量%〜300質量%であることがより好ましく、50質量%〜200質量%であることが更に好ましい。
画像記録層において、特定バインダーポリマーと上記重合性化合物とは、海島構造をとることが好ましい。例えば、特定バインダーポリマーの海(連続相)の中に、上記重合性化合物が島状に分散(不連続層)した構造を採用することができる。上記重合性化合物の全質量に対する上記特定バインダーポリマーの含有量を上記範囲内の値とすることにより、海島構造を形成しやすいと考えられる。
〔ポリマー粒子〕
上記画像記録層は、ポリマー粒子を含むことが好ましい。
ポリマー粒子は、熱可塑性ポリマー粒子、熱反応性ポリマー粒子、重合性基を有するポリマー粒子、疎水性化合物を内包しているマイクロカプセル、及び、ミクロゲル(架橋ポリマー粒子)よりなる群から選ばれることが好ましい。中でも、重合性基を有するポリマー粒子又はミクロゲルが好ましい。特に好ましい実施形態では、ポリマー粒子は少なくとも1つのエチレン性不飽和重合性基を含む。このようなポリマー粒子の存在により、露光部の耐刷性及び未露光部の機上現像性を高める効果が得られる。
また、ポリマー粒子は、熱可塑性ポリマー粒子であることが好ましい。
熱可塑性ポリマー粒子としては、1992年1月のResearch Disclosure No.33303、特開平9−123387号公報、同9−131850号公報、同9−171249号公報、同9−171250号公報及び欧州特許第931647号明細書などに記載の熱可塑性ポリマー粒子が好ましい。
熱可塑性ポリマー粒子を構成するポリマーの具体例としては、エチレン、スチレン、塩化ビニル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、塩化ビニリデン、アクリロニトリル、ビニルカルバゾール、ポリアルキレン構造を有するアクリレート又はメタクリレートなどのモノマーのホモポリマー若しくはコポリマー又はそれらの混合物を挙げることができる。好ましくは、ポリスチレン、スチレン及びアクリロニトリルを含む共重合体、又は、ポリメタクリル酸メチルを挙げることができる。熱可塑性ポリマー粒子の平均粒径は0.01μm〜3.0μmが好ましい。
熱反応性ポリマー粒子としては、熱反応性基を有するポリマー粒子が挙げられる。熱反応性ポリマー粒子は熱反応による架橋及びその際の官能基変化により疎水化領域を形成する。
熱反応性基を有するポリマー粒子における熱反応性基としては、化学結合が形成されるならば、どのような反応を行う官能基でもよいが、重合性基であることが好ましく、その例として、ラジカル重合反応を行うエチレン性不飽和基(例えば、アクリロイル基、メタクリロイル基、ビニル基、アリル基など)、カチオン重合性基(例えば、ビニル基、ビニルオキシ基、エポキシ基、オキセタニル基など)、付加反応を行うイソシアナート基又はそのブロック体、エポキシ基、ビニルオキシ基及びこれらの反応相手である活性水素原子を有する官能基(例えば、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基など)、縮合反応を行うカルボキシ基及び反応相手であるヒドロキシ基又はアミノ基、開環付加反応を行う酸無水物及び反応相手であるアミノ基又はヒドロキシ基などが好ましく挙げられる。
マイクロカプセルとしては、例えば、特開2001−277740号公報、特開2001−277742号公報に記載のごとく、画像記録層の構成成分の少なくとも一部をマイクロカプセルに内包させたものである。画像記録層の構成成分は、マイクロカプセル外にも含有させることもできる。マイクロカプセルを含有する画像記録層は、疎水性の構成成分をマイクロカプセルに内包し、親水性の構成成分をマイクロカプセル外に含有する構成が好ましい態様である。
ミクロゲル(架橋ポリマー粒子)は、その表面又は内部の少なくとも一方に、画像記録層の構成成分の一部を含有することができる。特に、ラジカル重合性基をその表面に有する反応性ミクロゲルは、画像形成感度や耐刷性の観点から好ましい。
画像記録層の構成成分をマイクロカプセル化又はミクロゲル化するには、公知の方法が適用できる。
また、ポリマー粒子としては、耐刷性、耐汚れ性及び保存安定性の観点から、分子中に2個以上のヒドロキシ基を有する多価フェノール化合物とイソホロンジイソシアネートとの付加物である多価イソシアネート化合物、及び、活性水素を有する化合物の反応により得られるものが好ましい。
上記多価フェノール化合物としては、フェノール性ヒドロキシ基を有するベンゼン環を複数有している化合物が好ましい。
上記活性水素を有する化合物を有する化合物としては、ポリオール化合物、又は、ポリアミン化合物が好ましく、ポリオール化合物がより好ましく、プロピレングリコール、グリセリン及びトリメチロールプロパンよりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物が更に好ましい。
分子中に2個以上のヒドロキシ基を有する多価フェノール化合物とイソホロンジイソシアネートとの付加物である多価イソシアネート化合物、及び、活性水素を有する化合物の反応により得られる樹脂の粒子としては、特開2012−206495号公報の段落0032〜0095に記載のポリマー粒子が好ましく挙げられる。
更に、ポリマー粒子としては、耐刷性及び耐溶剤性の観点から、疎水性主鎖を有し、i)上記疎水性主鎖に直接的に結合されたペンダントシアノ基を有する構成ユニット、及び、ii)親水性ポリアルキレンオキシドセグメントを含むペンダント基を有する構成ユニットの両方を含むことが好ましい。
上記疎水性主鎖としては、アクリル樹脂鎖が好ましく挙げられる。
上記ペンダントシアノ基の例としては、−[CHCH(C≡N)−]又は−[CHC(CH)(C≡N)−]が好ましく挙げられる。
また、上記ペンダントシアノ基を有する構成ユニットは、エチレン系不飽和型モノマー、例えば、アクリロニトリル又はメタクリロニトリルから、又は、これらの組み合わせから容易に誘導することができる。
また、上記親水性ポリアルキレンオキシドセグメントにおけるアルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドが好ましく、エチレンオキシドがより好ましい。
上記親水性ポリアルキレンオキシドセグメントにおけるアルキレンオキシド構造の繰り返し数は、10〜100であることが好ましく、25〜75であることがより好ましく、40〜50であることが更に好ましい。
疎水性主鎖を有し、i)上記疎水性主鎖に直接的に結合されたペンダントシアノ基を有する構成ユニット、及び、ii)親水性ポリアルキレンオキシドセグメントを含むペンダント基を有する構成ユニットの両方を含む樹脂の粒子としては、特表2008−503365号公報の段落0039〜0068に記載のものが好ましく挙げられる。
ポリマー粒子の平均粒径は、0.01μm〜3.0μmが好ましく、0.03μm〜2.0μmがより好ましく、0.10μm〜1.0μmが更に好ましい。この範囲で良好な解像度と経時安定性が得られる。
本開示における上記各粒子の平均一次粒径は、光散乱法により測定するか、又は、粒子の電子顕微鏡写真を撮影し、写真上で粒子の粒径を総計で5,000個測定し、平均値を算出するものとする。なお、非球形粒子については写真上の粒子面積と同一の粒子面積を持つ球形粒子の粒径値を粒径とする。
また、本開示における平均粒径は、特に断りのない限り、体積平均粒径であるものとする。
ポリマー粒子の含有量は、画像記録層の全質量に対し、5質量%〜90質量%が好ましい。
〔酸発色剤〕
上記画像記録層は、発色性、及び、画像部の視認性の観点から、酸発色剤を含むことが好ましい。
本開示で用いられる「酸発色剤」とは、電子受容性化合物(例えば酸等のプロトン)を受容した状態で加熱することにより、発色する性質を有する化合物を意味する。酸発色剤としては、特に、ラクトン、ラクタム、サルトン、スピロピラン、エステル、アミド等の部分骨格を有し、電子受容性化合物と接触した時に、速やかにこれらの部分骨格が開環若しくは開裂する無色の化合物が好ましい。
このような酸発色剤の例としては、3,3−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド(”クリスタルバイオレットラクトン”と称される)、3,3−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)フタリド、3−(4−ジメチルアミノフェニル)−3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジメチルアミノフェニル)−3−(1,2−ジメチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジメチルアミノフェニル)−3−(2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−5−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(1,2−ジメチルインドール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(9−エチルカルバゾール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(2−フェニルインドール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジメチルアミノフェニル)−3−(1−メチルピロール−3−イル)−6−ジメチルアミノフタリド、
3,3−ビス〔1,1−ビス(4−ジメチルアミノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス〔1,1−ビス(4−ピロリジノフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラブロモフタリド、3,3−ビス〔1−(4−ジメチルアミノフェニル)−1−(4−メトキシフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3,3−ビス〔1−(4−ピロリジノフェニル)−1−(4−メトキシフェニル)エチレン−2−イル〕−4,5,6,7−テトラクロロフタリド、3−〔1,1−ジ(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)エチレン−2−イル〕−3−(4−ジエチルアミノフェニル)フタリド、3−〔1,1−ジ(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)エチレン−2−イル〕−3−(4−N−エチル−N−フェニルアミノフェニル)フタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−n−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−フタリド、3,3−ビス(1−n−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−フタリド、3−(2−メチル−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−n−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−フタリド等のフタリド類、
4,4−ビス−ジメチルアミノベンズヒドリンベンジルエーテル、N−ハロフェニル−ロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン、ローダミン−B−アニリノラクタム、ローダミン−(4−ニトロアニリノ)ラクタム、ローダミン−B−(4−クロロアニリノ)ラクタム、3,7−ビス(ジエチルアミノ)−10−ベンゾイルフェノオキサジン、ベンゾイルロイコメチレンブルー、4ーニトロベンゾイルメチレンブルー、
3,6−ジメトキシフルオラン、3−ジメチルアミノ−7−メトキシフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メトキシフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メトキシフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−6,7−ジメチルフルオラン、3−N−シクロヘキシル−N−n−ブチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ジベンジルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−オクチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ジ−n−ヘキシルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2’−フルオロフェニルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2’−クロロフェニルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(3’−クロロフェニルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(2’,3’−ジクロロフェニルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(3’−トリフルオロメチルフェニルアミノ)フルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−7−(2’−フルオロフェニルアミノ)フルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−7−(2’−クロロフェニルアミノ)フルオラン、3−N−イソペンチル−N−エチルアミノ−7−(2’−クロロフェニルアミノ)フルオラン、
3−N−n−ヘキシル−N−エチルアミノ−7−(2’−クロロフェニルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メトキシ−7−アニリノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−エトキシ−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピペリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−モルホリノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジメチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ−n−ペンチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−メチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−n−プロピル−N−メチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−n−プロピル−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−n−ブチル−N−メチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−n−ブチル−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−イソブチル−N−メチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−イソブチル−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−イソペンチル−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−n−ヘキシル−N−メチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−シクロヘキシル−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−シクロヘキシル−N−n−プロピルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−シクロヘキシル−N−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−シクロヘキシル−N−n−ヘキシルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−シクロヘキシル−N−n−オクチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、
3−N−(2’−メトキシエチル)−N−メチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−(2’−メトキシエチル)−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−(2’−メトキシエチル)−N−イソブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−(2’−エトキシエチル)−N−メチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−(2’−エトキシエチル)−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−(3’−メトキシプロピル)−N−メチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−(3’−メトキシプロピル)−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−(3’−エトキシプロピル)−N−メチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−(3’−エトキシプロピル)−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−(2’−テトラヒドロフルフリル)−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−(4’−メチルフェニル)−N−エチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−エチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(3’−メチルフェニルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2’,6’−ジメチルフェニルアミノ)フルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−6−メチル−7−(2’,6’−ジメチルフェニルアミノ)フルオラン、3−ジ−n−ブチルアミノ−7−(2’,6’−ジメチルフェニルアミノ)フルオラン、2,2−ビス〔4’−(3−N−シクロヘキシル−N−メチルアミノ−6−メチルフルオラン)−7−イルアミノフェニル〕プロパン、3−〔4’−(4−フェニルアミノフェニル)アミノフェニル〕アミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−〔4’−(ジメチルアミノフェニル)〕アミノ−5,7−ジメチルフルオラン等のフルオラン類、
3−(2−メチル−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−n−プロポキシカルボニルアミノ−4−ジ−n−プロピルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−メチルアミノ−4−ジ−n−プロピルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−メチル−4−ジn−ヘキシルアミノフェニル)−3−(1−n−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−4,7−ジアザフタリド、3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(1−n−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−4又は7−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4又は7−アザフタリド、3−(2−ヘキシルオキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4又は7−アザフタリド、3−(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−フェニルインドール−3−イル)−4又は7−アザフタリド、3−(2−ブトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−フェニルインドール−3−イル)−4又は7−アザフタリド3−メチル−スピロ−ジナフトピラン、3−エチル−スピロ−ジナフトピラン、3−フェニル−スピロ−ジナフトピラン、3−ベンジル−スピロ−ジナフトピラン、3−メチル−ナフト−(3−メトキシベンゾ)スピロピラン、3−プロピル−スピロ−ジベンゾピラン−3,6−ビス(ジメチルアミノ)フルオレン−9−スピロ−3’−(6’−ジメチルアミノ)フタリド、3,6−ビス(ジエチルアミノ)フルオレン−9−スピロ−3’−(6’−ジメチルアミノ)フタリド等のフタリド類、
その他、2’−アニリノ−6’−(N−エチル−N−イソペンチル)アミノ−3’−メチルスピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9’−(9H)キサンテン−3−オン、2’−アニリノ−6’−(N−エチル−N−(4−メチルフェニル))アミノ−3’−メチルスピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9’−(9H)キサンテン]−3−オン、3’−N,N−ジベンジルアミノ−6’−N,N−ジエチルアミノスピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9’−(9H)キサンテン]−3−オン、2’−(N−メチル−N−フェニル)アミノ−6’−(N−エチル−N−(4−メチルフェニル))アミノスピロ[イソベンゾフラン−1(3H),9’−(9H)キサンテン]−3−オンなどが挙げられる。
中でも、本開示に用いられる酸発色剤は、発色性の観点から、スピロピラン化合物、スピロオキサジン化合物、スピロラクトン化合物、及び、スピロラクタム化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
発色後の色素の色相としては、可視性の観点から、緑、青又は黒であることが好ましい。
酸発色剤としては上市されている製品を使用することも可能であり、ETAC、RED500、RED520、CVL、S−205、BLACK305、BLACK400、BLACK100、BLACK500、H−7001、GREEN300、NIRBLACK78、BLUE220、H−3035、BLUE203、ATP、H−1046、H−2114(以上、福井山田化学工業(株)製)、ORANGE−DCF、Vermilion−DCF、PINK−DCF、RED−DCF、BLMB、CVL、GREEN−DCF、TH−107(以上、保土ヶ谷化学(株)製)、ODB、ODB−2、ODB−4、ODB−250、ODB−BlackXV、Blue−63、Blue−502、GN−169、GN−2、Green−118、Red−40、Red−8(以上、山本化成(株)製)、クリスタルバイオレットラクトン(東京化成工業(株)製)等が挙げられる。これらの市販品の中でも、ETAC、S−205、BLACK305、BLACK400、BLACK100、BLACK500、H−7001、GREEN300、NIRBLACK78、H−3035、ATP、H−1046、H−2114、GREEN−DCF、Blue−63、GN−169、クリスタルバイオレットラクトンが、形成される膜の可視光吸収率が良好のため好ましい。
これらの酸発色剤は、1種単独で用いてもよいし、2種類以上の成分を組み合わせて使用することもできる。
酸発色剤の含有量は、画像記録層の全質量に対し、0.5質量%〜10質量%であることが好ましく、1質量%〜5質量%であることがより好ましい。
〔特定バインダーポリマー以外のバインダーポリマー〕
画像記録層は、特定バインダーポリマー以外のバインダーポリマー(以下、「他のバインダーポリマー」ともいう。)を含んでもよい。
上記特定バインダーポリマー、及び、上記ポリマー粒子に該当するポリマーは、上記他のバインダーポリマーに該当しない。すなわち、他のバインダーポリマーは、スチレン化合物により形成される構成単位を有しない、粒子形状ではない重合体である。
他のバインダーポリマーとしては、(メタ)アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、又は、ポリウレタン樹脂が好ましい。
中でも、他のバインダーポリマーは平版印刷版原版の画像記録層に用いられる公知のバインダーポリマーを好適に使用することができる。一例として、機上現像型の平版印刷版原版に用いられるバインダーポリマー(以下、機上現像用バインダーポリマーともいう)について、詳細に記載する。
機上現像用バインダーポリマーとしては、アルキレンオキシド鎖を有するバインダーポリマーが好ましい。アルキレンオキシド鎖を有するバインダーポリマーは、ポリ(アルキレンオキシド)部位を主鎖に有していても側鎖に有していてもよい。また、ポリ(アルキレンオキシド)を側鎖に有するグラフトポリマーでも、ポリ(アルキレンオキシド)含有繰返し単位で構成されるブロックと(アルキレンオキシド)非含有繰返し単位で構成されるブロックとのブロックコポリマーでもよい。
ポリ(アルキレンオキシド)部位を主鎖に有する場合は、ポリウレタン樹脂が好ましい。ポリ(アルキレンオキシド)部位を側鎖に有する場合の主鎖のポリマーとしては、(メタ)アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、ノボラック型フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、合成ゴム、天然ゴムが挙げられ、特に(メタ)アクリル樹脂が好ましい。
また、他のバインダーポリマーの他の好ましい例として、6官能以上10官能以下の多官能チオールを核として、この核に対しスルフィド結合により結合したポリマー鎖を有し、上記ポリマー鎖が重合性基を有する高分子化合物(以下、星型高分子化合物ともいう。)が挙げられる。星型高分子化合物としては、例えば、特開2012−148555号公報に記載の化合物を好ましく用いることができる。
星型高分子化合物は、特開2008−195018号公報に記載のような画像部の皮膜強度を向上するためのエチレン性不飽和結合等の重合性基を、主鎖又は側鎖、好ましくは側鎖に有しているものが挙げられる。重合性基によってポリマー分子間に架橋が形成され、硬化が促進する。
重合性基としては、(メタ)アクリル基、ビニル基、アリル基、ビニルフェニル基(スチリル基)などのエチレン性不飽和基やエポキシ基等が好ましく、(メタ)アクリル基、ビニル基、ビニルフェニル基(スチリル基)が重合反応性の観点でより好ましく、(メタ)アクリル基が特に好ましい。これらの基は高分子反応や共重合によってポリマーに導入することができる。例えば、カルボキシ基を側鎖に有するポリマーとグリシジルメタクリレートとの反応、あるいはエポキシ基を有するポリマーとメタクリル酸などのエチレン性不飽和基含有カルボン酸との反応を利用できる。これらの基は併用してもよい。
他のバインダーポリマーの分子量は、GPC法によるポリスチレン換算値として重量平均分子量(Mw)が、2,000以上であることが好ましく、5,000以上であることがより好ましく、10,000〜300,000であることが更に好ましい。
必要に応じて、特開2008−195018号公報に記載のポリアクリル酸、ポリビニルアルコールなどの親水性ポリマーを併用することができる。また、親油的なポリマーと親水的なポリマーとを併用することもできる。
本開示において用いられる画像記録層においては、他のバインダーポリマーを1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
他のバインダーポリマーは、画像記録層中に任意な量で含有させることができるが、バインダーポリマーの含有量は、画像記録層の全質量に対して、1質量%〜90質量%であることが好ましく、5質量%〜80質量%であることがより好ましい。
また、本開示における画像記録層が他のバインダーポリマーを含む場合、上述の特定バインダーポリマーと他のバインダーポリマーとの合計質量に対する他のバインダーポリマーの含有量は、0質量%を超え99質量%以下であることが好ましく、20質量%〜95質量%であることがより好ましく、40質量%〜90質量%であることが更に好ましい。
また、上記画像記録層における他のバインダーポリマーの含有量は、特定バインダーポリマーの含有量よりも少ないことが好ましい。
〔連鎖移動剤〕
上記画像記録層は、連鎖移動剤を含有してもよい。連鎖移動剤は、平版印刷版における耐刷性の向上に寄与する。
連鎖移動剤としては、チオール化合物が好ましく、沸点(揮発し難さ)の観点で炭素数7以上のチオール化合物がより好ましく、芳香環上にメルカプト基を有する化合物(芳香族チオール化合物)が更に好ましい。上記チオール化合物は単官能チオール化合物であることが好ましい。
連鎖移動剤として具体的には、下記の化合物が挙げられる。
連鎖移動剤は、1種のみを添加しても、2種以上を併用してもよい。
連鎖移動剤の含有量は、画像記録層の全質量に対し、0.01質量%〜50質量%が好ましく、0.05質量%〜40質量%がより好ましく、0.1質量%〜30質量%が更に好ましい。
〔感脂化剤〕
上記画像記録層は、着肉性を向上させるために、ホスホニウム化合物、含窒素低分子化合物、アンモニウム基含有ポリマー等の感脂化剤を含有してもよい。特に、オーバーコート層に無機層状化合物を含有させる場合、これらの化合物は、無機層状化合物の表面被覆剤として機能し、無機層状化合物による印刷途中の着肉性低下を抑制することができる。
感脂化剤としては、ホスホニウム化合物と、含窒素低分子化合物と、アンモニウム基含有ポリマーとを併用することが好ましく、ホスホニウム化合物と、第四級アンモニウム塩類と、アンモニウム基含有ポリマーとを併用することがより好ましい。
−ホスホニウム化合物−
ホスホニウム化合物としては、特開2006−297907号公報及び特開2007−50660号公報に記載のホスホニウム化合物が挙げられる。具体例としては、テトラブチルホスホニウムヨージド、ブチルトリフェニルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムブロミド、1,4−ビス(トリフェニルホスホニオ)ブタン=ジ(ヘキサフルオロホスファート)、1,7−ビス(トリフェニルホスホニオ)ヘプタン=スルファート、1,9−ビス(トリフェニルホスホニオ)ノナン=ナフタレン−2,7−ジスルホナート等が挙げられる。
−含窒素低分子化合物−
含窒素低分子化合物としては、アミン塩類、第四級アンモニウム塩類が挙げられる。また、イミダゾリニウム塩類、ベンゾイミダゾリニウム塩類、ピリジニウム塩類、キノリニウム塩類も挙げられる。中でも、第四級アンモニウム塩類及びピリジニウム塩類が好ましい。具体例としては、テトラメチルアンモニウム=ヘキサフルオロホスファート、テトラブチルアンモニウム=ヘキサフルオロホスファート、ドデシルトリメチルアンモニウム=p−トルエンスルホナート、ベンジルトリエチルアンモニウム=ヘキサフルオロホスファート、ベンジルジメチルオクチルアンモニウム=ヘキサフルオロホスファート、ベンジルジメチルドデシルアンモニウム=ヘキサフルオロホスファート、特開2008−284858号公報の段落0021〜0037に記載の化合物、特開2009−90645号公報の段落0030〜0057に記載の化合物等が挙げられる。
−アンモニウム基含有ポリマー−
アンモニウム基含有ポリマーとしては、その構造中にアンモニウム基を有すればよく、側鎖にアンモニウム基を有する(メタ)アクリレートを共重合成分として5mol%〜80mol%含有するポリマーが好ましい。具体例としては、特開2009−208458号公報の段落0089〜0105に記載のポリマーが挙げられる。
アンモニウム塩含有ポリマーは、特開2009−208458号公報に記載の測定方法に従って求められる還元比粘度(単位:ml/g)の値が、5〜120の範囲のものが好ましく、10〜110の範囲のものがより好ましく、15〜100の範囲のものが特に好ましい。上記還元比粘度を重量平均分子量(Mw)に換算した場合、10,000〜150,0000が好ましく、17,000〜140,000がより好ましく、20,000〜130,000が特に好ましい。
以下に、アンモニウム基含有ポリマーの具体例を示す。
(1)2−(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=p−トルエンスルホナート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比10/90、Mw4.5万)
(2)2−(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=ヘキサフルオロホスファート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比20/80、Mw6.0万)
(3)2−(エチルジメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=p−トルエンスルホナート/ヘキシルメタクリレート共重合体(モル比30/70、Mw4.5万)
(4)2−(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=ヘキサフルオロホスファート/2−エチルヘキシルメタクリレート共重合体(モル比20/80、Mw6.0万)
(5)2−(トリメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=メチルスルファート/ヘキシルメタクリレート共重合体(モル比40/60、Mw7.0万)
(6)2−(ブチルジメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=ヘキサフルオロホスファート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比25/75、Mw6.5万)
(7)2−(ブチルジメチルアンモニオ)エチルアクリレート=ヘキサフルオロホスファート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比20/80、Mw6.5万)
(8)2−(ブチルジメチルアンモニオ)エチルメタクリレート=13−エチル−5,8,11−トリオキサ−1−ヘプタデカンスルホナート/3,6−ジオキサヘプチルメタクリレート共重合体(モル比20/80、Mw7.5万)
感脂化剤は、1種のみを添加しても、2種以上を併用してもよい。
感脂化剤の含有量は、画像記録層の全質量に対して、1質量%〜40.0質量%が好ましく、2質量%〜25.0質量%がより好ましく、3質量%〜20質量%が更に好ましい。
〔現像促進剤〕
上記画像記録層は、現像促進剤を含んでもよい。
現像促進剤としては、親水性高分子化合物又は親水性低分子化合物が好ましい。
本開示において、親水性高分子化合物とは分子量(分子量分布を有する場合は重量平均分子量)が3,000以上の化合物をいい、親水性低分子化合物とは分子量(分子量分布を有する場合は重量平均分子量)が3,000未満の化合物をいう。
−親水性高分子化合物−
親水性高分子化合物としては、セルロース化合物、ポリビニルアルコール等が挙げられ、セルロース化合物が好ましい。
セルロース化合物としては、セルロース、又は、セルロースの少なくとも一部が変性された化合物(変性セルロース化合物)が挙げられ、変性セルロース化合物が好ましい。
変性セルロース化合物としては、セルロースのヒドロキシ基の少なくとも一部が、アルキル基及びヒドロキシアルキル基よりなる群から選ばれた少なくとも一種により置換された化合物が好ましく挙げられる。
変性セルロース化合物としては、アルキルセルロース化合物又はヒドロキシアルキルセルロース化合物が好ましく、ヒドロキシアルキルセルロース化合物がより好ましい。
アルキルセルロース化合物としては、メチルセルロースが好ましく挙げられる。
ヒドロキシアルキルセルロース化合物としては、ヒドロキシプロピルセルロースが好ましく挙げられる。
親水性高分子化合物の分子量(分子量分布を有する場合は重量平均分子量)は、3,000〜300,000であることが好ましく、10,000〜150,000であることがより好ましい。
−親水性低分子化合物−
親水性低分子化合物としては、グリコール化合物、ポリオール化合物、有機アミン化合物、有機スルホン酸化合物、有機スルファミン化合物、有機硫酸化合物、有機ホスホン酸化合物、有機カルボン酸化合物、ベタイン化合物等が挙げられ、ポリオール化合物、有機スルホン酸化合物又はベタイン化合物が好ましい。
グリコール化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコール類及びこれらの化合物のエーテル又はエステル誘導体類が挙げられる。
ポリオール化合物としては、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
有機アミン化合物としては、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミン等及びその塩が挙げられる。
有機スルホン酸化合物としては、アルキルスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸等及びその塩が挙げられ、アルキル基の炭素数が8〜20のアルキルスルホン酸が好ましく挙げられる。
有機スルファミン化合物としては、アルキルスルファミン酸等及びその塩が挙げられる。
有機硫酸化合物としては、アルキル硫酸、アルキルエーテル硫酸等及びその塩が挙げられる。
有機ホスホン酸化合物としては、フェニルホスホン酸等及びその塩、が挙げられる。
有機カルボン酸化合物としては、酒石酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、グルコン酸等及びその塩が挙げられる。
ベタイン化合物としては、ホスホベタイン化合物、スルホベタイン化合物、カルボキシベタイン化合物等が挙げられ、トリメチルグリシンが好ましく挙げられる。
親水性低分子化合物の分子量(分子量分布を有する場合は重量平均分子量)は、50以上3,000未満であることが好ましく、100〜1,000であることがより好ましい。
現像促進剤は、1種のみを添加しても、2種以上を併用してもよい。
画像記録層の全質量に対する現像促進剤の含有量は、0.1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上15質量%以下がより好ましく、1質量%以上10質量%以下がより好ましい。
〔その他の成分〕
画像記録層には、その他の成分として、界面活性剤、重合禁止剤、高級脂肪酸誘導体、可塑剤、無機粒子、無機層状化合物等を含有することができる。具体的には、特開2008−284817号公報の段落0114〜0159の記載を参照することができる。
〔画像記録層の形成〕
本開示に係る平版印刷版原版における画像記録層は、例えば、特開2008−195018号公報の段落0142〜0143に記載のように、必要な上記各成分を公知の溶剤に分散又は溶解して塗布液を調製し、塗布液を支持体上にバーコーター塗布など公知の方法で塗布し、乾燥することにより形成することができる。塗布、乾燥後における画像記録層の塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、0.3g/m〜3.0g/mが好ましい。この範囲で、良好な感度と画像記録層の良好な皮膜特性が得られる。
溶剤としては、公知の溶剤を用いることができる。具体的には、例えば、水、アセトン、メチルエチルケトン(2−ブタノン)、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメーチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、3−メトキシ−1−プロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチル等が挙げられる。溶剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。塗布液中の固形分濃度は1質量%〜50質量%であることが好ましい。
塗布、乾燥後における画像記録層の塗布量(固形分)は、用途によって異なるが、良好な感度と画像記録層の良好な皮膜特性を得る観点から、0.3g/m〜3.0g/mが好ましい。
また、本開示に係る平版印刷版原版における画像記録層の膜厚は、0.1μm〜3.0μmであることが好ましく、0.3μm〜2.0μmであることがより好ましい。
本開示において、平版印刷版原版における各層の膜厚は、平版印刷版原版の表面に対して垂直な方向に切断した切片を作製し、上記切片の断面を走査型顕微鏡(SEM)により観察することにより確認される。
<オーバーコート層>
本開示に係る平版印刷版原版は、上記画像記録層上にオーバーコート層(「保護層」と呼ばれることもある。)を有することが好ましく、上記画像記録層の支持体側とは反対の側の面上にオーバーコート層を有することがより好ましい。
上記オーバーコート層の膜厚は、上記画像記録層の膜厚よりも厚いことが好ましい。
オーバーコート層は酸素遮断により画像形成阻害反応を抑制する機能の他、画像記録層における傷の発生防止及び高照度レーザー露光時のアブレーション防止の機能を有する。
このような特性のオーバーコート層については、例えば、米国特許第3,458,311号明細書及び特公昭55−49729号公報に記載されている。オーバーコート層に用いられる酸素低透過性のポリマーとしては、水溶性ポリマー、水不溶性ポリマーのいずれをも適宜選択して使用することができ、必要に応じて2種類以上を混合して使用することもできるが、機上現像性の観点から、水溶性ポリマーを含むことが好ましい。
本開示において、水溶性ポリマーとは、70℃、100gの純水に対して1g以上溶解し、かつ、70℃、100gの純水に対して1gのポリマーが溶解した溶液を25℃に冷却しても析出しないポリマーをいう。
オーバーコート層において用いられる水溶性ポリマーとしては、例えば、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、水溶性セルロース誘導体、ポリエチレングリコール、ポリ(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
変性ポリビニルアルコールとしてはカルボキシ基又はスルホ基を有する酸変性ポリビニルアルコールが好ましく用いられる。具体的には、特開2005−250216号公報及び特開2006−259137号公報に記載の変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
上記水溶性ポリマーの中でも、ポリビニルアルコールを含むことが好ましく、けん化度が50%以上であるポリビニルアルコールを含むことが更に好ましい。
上記けん化度は、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましく、85%以上が更に好ましい。けん化度の上限は特に限定されず、100%以下であればよい。
上記けん化度は、JIS K 6726:1994に記載の方法に従い測定される。
また、オーバーコート層の一態様として、ポリビニルアルコールと、ポリエチレングリコールとを含む態様も好ましく挙げられる。
本開示におけるオーバーコート層が水溶性ポリマーを含む場合、オーバーコート層の全質量に対する水溶性ポリマーの含有量は、1質量%〜99質量%であることが好ましく、3質量%〜97質量%であることがより好ましく、5質量%〜95質量%であることが更に好ましい。
オーバーコート層は、酸素遮断性を高めるために無機層状化合物を含有してもよい。無機層状化合物は、薄い平板状の形状を有する粒子であり、例えば、天然雲母、合成雲母等の雲母群、式:3MgO・4SiO・HOで表されるタルク、テニオライト、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライト、リン酸ジルコニウム等が挙げられる。
好ましく用いられる無機層状化合物は雲母化合物である。雲母化合物としては、例えば、式:A(B,C)2−510(OH,F,O)〔ただし、Aは、K、Na、Caのいずれか、B及びCは、Fe(II)、Fe(III)、Mn、Al、Mg、Vのいずれかであり、Dは、Si又はAlである。〕で表される天然雲母、合成雲母等の雲母群が挙げられる。
雲母群においては、天然雲母としては白雲母、ソーダ雲母、金雲母、黒雲母及び鱗雲母が挙げられる。合成雲母としてはフッ素金雲母KMg(AlSi10)F、カリ四ケイ素雲母KMg2.5Si10)F等の非膨潤性雲母、及び、NaテトラシリリックマイカNaMg2.5(Si10)F、Na又はLiテニオライト(Na,Li)MgLi(Si10)F、モンモリロナイト系のNa又はLiヘクトライト(Na,Li)1/8Mg2/5Li1/8(Si10)F等の膨潤性雲母等が挙げられる。更に合成スメクタイトも有用である。
上記の雲母化合物の中でも、フッ素系の膨潤性雲母が特に有用である。すなわち、膨潤性合成雲母は、10Å〜15Å(1Å=0.1nm)程度の厚さの単位結晶格子層からなる積層構造を有し、格子内金属原子置換が他の粘土鉱物より著しく大きい。その結果、格子層は正電荷不足を生じ、それを補償するために層間にLi、Na、Ca2+、Mg2+等の陽イオンを吸着している。これらの層間に介在している陽イオンは交換性陽イオンと呼ばれ、いろいろな陽イオンと交換し得る。特に、層間の陽イオンがLi、Naの場合、イオン半径が小さいため層状結晶格子間の結合が弱く、水により大きく膨潤する。その状態でシェアーをかけると容易に劈開し、水中で安定したゾルを形成する。膨潤性合成雲母はこの傾向が強く、特に好ましく用いられる。
雲母化合物の形状としては、拡散制御の観点からは、厚さは薄ければ薄いほどよく、平面サイズは塗布面の平滑性や活性光線の透過性を阻害しない限りにおいて大きい程よい。従って、アスペクト比は、好ましくは20以上であり、より好ましくは100以上、特に好ましくは200以上である。アスペクト比は粒子の厚さに対する長径の比であり、例えば、粒子の顕微鏡写真による投影図から測定することができる。アスペクト比が大きい程、得られる効果が大きい。
雲母化合物の粒子径は、その平均長径が、好ましくは0.3μm〜20μm、より好ましくは0.5μm〜10μm、特に好ましくは1μm〜5μmである。粒子の平均の厚さは、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.05μm以下、特に好ましくは0.01μm以下である。具体的には、例えば、代表的化合物である膨潤性合成雲母の場合、好ましい態様としては、厚さが1nm〜50nm程度、面サイズ(長径)が1μm〜20μm程度である。
無機層状化合物の含有量は、オーバーコート層の全固形分に対して、1質量%〜60質量%が好ましく、3質量%〜50質量%がより好ましい。複数種の無機層状化合物を併用する場合でも、無機層状化合物の合計量が上記の含有量であることが好ましい。上記範囲で酸素遮断性が向上し、良好な感度が得られる。また、着肉性の低下を防止できる。
オーバーコート層は可撓性付与のための可塑剤、塗布性を向上させための界面活性剤、表面の滑り性を制御するための無機粒子など公知の添加物を含有してもよい。また、画像記録層において記載した感脂化剤をオーバーコート層に含有させてもよい。
オーバーコート層は公知の方法で塗布される。オーバーコート層の塗布量(固形分)は、0.01g/m〜10g/mが好ましく、0.02g/m〜3g/mがより好ましく、0.02g/m〜1g/mが特に好ましい。
本開示に係る平版印刷版原版におけるオーバーコート層の膜厚は、0.1μm〜5.0μmであることが好ましく、0.3μm〜4.0μmであることがより好ましい。
本開示に係る平版印刷版原版におけるオーバーコート層の膜厚は、上記画像記録層の膜厚に対し、1.1倍〜5.0倍であることが好ましく、1.5倍〜3.0倍であることがより好ましい。
<下塗り層>
本開示に係る平版印刷版原版は、画像記録層と支持体との間に下塗り層(中間層と呼ばれることもある。)を有することが好ましい。下塗り層は、露光部においては支持体と画像記録層との密着を強化し、未露光部においては画像記録層の支持体からのはく離を生じやすくさせるため、耐刷性の低下を抑制しながら現像性を向上させることに寄与する。また、赤外線レーザー露光の場合に、下塗り層が断熱層として機能することにより、露光により発生した熱が支持体に拡散して感度が低下するのを防ぐ効果も有する。
下塗り層に用いられる化合物としては、支持体表面に吸着可能な吸着性基及び親水性基を有するポリマーが挙げられる。画像記録層との密着性を向上させるために吸着性基及び親水性基を有し、更に架橋性基を有するポリマーが好ましい。下塗り層に用いられる化合物は、低分子化合物でもポリマーであってもよい。下塗り層に用いられる化合物は、必要に応じて、2種以上を混合して使用してもよい。
下塗り層に用いられる化合物がポリマーである場合、吸着性基を有するモノマー、親水性基を有するモノマー及び架橋性基を有するモノマーの共重合体が好ましい。
支持体表面に吸着可能な吸着性基としては、フェノール性ヒドロキシ基、カルボキシ基、−PO、−OPO、−CONHSO−、−SONHSO−、−COCHCOCHが好ましい。親水性基としては、スルホ基又はその塩、カルボキシ基の塩が好ましい。架橋性基としては、アクリル基、メタクリル基、アクリルアミド基、メタクリルアミド基、アリル基などが好ましい。
ポリマーは、ポリマーの極性置換基と、上記極性置換基と対荷電を有する置換基及びエチレン性不飽和結合を有する化合物との塩形成で導入された架橋性基を有してもよいし、上記以外のモノマー、好ましくは親水性モノマーが更に共重合されていてもよい。
具体的には、特開平10−282679号公報に記載されている付加重合可能なエチレン性二重結合反応基を有しているシランカップリング剤、特開平2−304441号公報記載のエチレン性二重結合反応基を有しているリン化合物が好適に挙げられる。特開2005−238816号、特開2005−125749号、特開2006−239867号、特開2006−215263号の各公報に記載の架橋性基(好ましくは、エチレン性不飽和結合基)、支持体表面と相互作用する官能基及び親水性基を有する低分子又は高分子化合物も好ましく用いられる。
より好ましいものとして、特開2005−125749号及び特開2006−188038号公報に記載の支持体表面に吸着可能な吸着性基、親水性基及び架橋性基を有する高分子ポリマーが挙げられる。
下塗り層に用いられるポリマー中のエチレン性不飽和結合基の含有量は、ポリマー1g当たり、好ましくは0.1mmol〜10.0mmol、より好ましくは0.2mmol〜5.5mmolである。
下塗り層に用いられるポリマーの重量平均分子量(Mw)は、5,000以上が好ましく、1万〜30万がより好ましい。
下塗り層は、上記下塗り層用化合物の他に、経時による汚れ防止のため、キレート剤、第二級又は第三級アミン、重合禁止剤、アミノ基又は重合禁止能を有する官能基と支持体表面と相互作用する基とを有する化合物(例えば、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、2,3,5,6−テトラヒドロキシ−p−キノン、クロラニル、スルホフタル酸、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸、ジヒドロキシエチルエチレンジアミン二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸など)等を含有してもよい。
下塗り層は、公知の方法で塗布される。下塗り層の塗布量(固形分)は、0.1mg/m〜100mg/mが好ましく、1mg/m〜30mg/mがより好ましい。
(平版印刷版の作製方法、及び、平版印刷方法)
本開示に係る平版印刷版原版を画像露光して現像処理を行うことで平版印刷版を作製することができる。
本開示に係る平版印刷版の作製方法は、本開示に係る平版印刷版原版を、画像様に露光する工程(以下、「露光工程」ともいう。)と、印刷機上で印刷インキ及び湿し水よりなる群から選ばれた少なくとも一方を供給して非画像部の画像記録層を除去する工程(以下、「機上現像工程」ともいう。)と、を含むことが好ましい。
本開示に係る平版印刷方法は、本開示に係る平版印刷版原版を画像様に露光する工程(露光工程)と、印刷インキ及び湿し水よりなる群から選ばれた少なくとも一方を供給して印刷機上で非画像部の画像記録層を除去し平版印刷版を作製する工程(機上現像工程)と、得られた平版印刷版により印刷する工程(印刷工程)と、を含むことが好ましい。
以下、本開示に係る平版印刷版の作製方法、及び、本開示に係る平版印刷方法について、各工程の好ましい態様を順に説明する。なお、本開示に係る平版印刷版原版は、現像液によっても現像可能である。
以下、平版印刷版の作製方法における露光工程及び機上現像工程について説明するが、本開示に係る平版印刷版の作製方法における露光工程と、本開示に係る平版印刷方法における露光工程とは同様の工程であり、本開示に係る平版印刷版の作製方法における機上現像工程と、本開示に係る平版印刷方法における機上現像工程とは同様の工程である。
<露光工程>
本開示に係る平版印刷版の作製方法は、本開示に係る平版印刷版原版を画像様に露光し、露光部と未露光部とを形成する露光工程を含むことが好ましい。本開示に係る平版印刷版原版は、線画像、網点画像等を有する透明原画を通してレーザー露光するかデジタルデータによるレーザー光走査等で画像様に露光されることが好ましい。
光源の波長は750nm〜1,400nmが好ましく用いられる。750nm〜1,400nmの光源としては、赤外線を放射する固体レーザー及び半導体レーザーが好適である。赤外線レーザーに関しては、出力は100mW以上であることが好ましく、1画素当たりの露光時間は20マイクロ秒以内であるのが好ましく、また照射エネルギー量は10mJ/cm〜300mJ/cmであるのが好ましい。また、露光時間を短縮するためマルチビームレーザーデバイスを用いることが好ましい。露光機構は、内面ドラム方式、外面ドラム方式、及びフラットベッド方式等のいずれでもよい。
画像露光は、プレートセッターなどを用いて常法により行うことができる。機上現像の場合には、平版印刷版原版を印刷機に装着した後、印刷機上で画像露光を行ってもよい。
<機上現像工程>
本開示に係る平版印刷版の作製方法は、印刷機上で印刷インキ及び湿し水よりなる群から選ばれた少なくとも一方を供給して非画像部の画像記録層を除去する機上現像工程を含むことが好ましい。
以下に、機上現像方式について説明する。
〔機上現像方式〕
機上現像方式においては、画像露光された平版印刷版原版は、印刷機上で油性インキと水性成分とを供給し、非画像部の画像記録層が除去されて平版印刷版が作製されることが好ましい。
すなわち、平版印刷版原版を画像露光後、何らの現像処理を施すことなくそのまま印刷機に装着するか、あるいは、平版印刷版原版を印刷機に装着した後、印刷機上で画像露光し、ついで、油性インキと水性成分とを供給して印刷すると、印刷途上の初期の段階で、非画像部においては、供給された油性インキ及び水性成分のいずれか又は両方によって、未硬化の画像記録層が溶解又は分散して除去され、その部分に親水性の表面が露出する。一方、露光部においては、露光により硬化した画像記録層が、親油性表面を有する油性インキ受容部を形成する。最初に版面に供給されるのは、油性インキでもよく、水性成分でもよいが、水性成分が除去された画像記録層の成分によって汚染されることを防止する点で、最初に油性インキを供給することが好ましい。このようにして、平版印刷版原版は印刷機上で機上現像され、そのまま多数枚の印刷に用いられる。油性インキ及び水性成分としては、通常の平版印刷用の印刷インキ及び湿し水が好適に用いられる。
上記本開示に係る平版印刷版原版を画像露光するレーザーとしては、光源の波長は300nm〜450nm又は750nm〜1,400nmが好ましく用いられる。300nm〜450nmの光源の場合は、この波長領域に吸収極大を有する増感色素を画像記録層に含有する平版印刷版原版が好ましく用いられ、750nm〜1,400nmの光源は上述したものが好ましく用いられる。300nm〜450nmの光源としては、半導体レーザーが好適である。
<現像液現像工程>
本開示に係る平版印刷版の作製方法は、本開示に係る平版印刷版原版を画像様に露光する工程と、現像液により非画像部の画像記録層を除去し平版印刷版を作製する工程(「現像液現像工程」ともいう。)と、を含む方法であってもよい。
また、本開示に係る平版印刷方法は、本開示に係る平版印刷版原版を画像様に露光する工程と、現像液により非画像部の画像記録層を除去し平版印刷版を作製する工程と、得られた平版印刷版により印刷する工程と、を含む方法であってもよい。
現像液としては、公知の現像液を用いることができる。
現像液のpHは、特に制限はなく、強アルカリ現像液であってもよいが、pH2〜11の現像液が好ましく挙げられる。pH2〜11の現像液としては、例えば、界面活性剤及び水溶性高分子化合物のうち少なくとも1種を含有する現像液が好ましく挙げられる。
強アルカリ現像液を用いた現像処理においては、前水洗工程により保護層を除去し、次いでアルカリ現像を行い、後水洗工程でアルカリを水洗除去し、ガム液処理を行い、乾燥工程で乾燥する方法が挙げられる。
また、界面活性剤又は水溶性高分子化合物を含有する上記現像液を用いる場合は、現像−ガム液処理を同時に行うことができる。よって、後水洗工程は特に必要とせず、1液で現像とガム液処理を行った後、乾燥工程を行うことができる。更に、保護層の除去も現像、ガム液処理と同時に行うことができるので、前水洗工程も特に必要としない。現像処理後、スクイズローラー等を用いて余剰の現像液を除去した後、乾燥を行うことが好ましい。
<印刷工程>
本開示に係る平版印刷方法は、平版印刷版に印刷インキを供給して記録媒体を印刷する印刷工程を含む。
印刷インキとしては、特に制限はなく、所望に応じ、種々の公知のインキを用いることができる。また、印刷インキとしては、油性インキ又は紫外線硬化型インキ(UVインキ)が好ましく挙げられる。
また、上記印刷工程においては、必要に応じ、湿し水を供給してもよい。
また、上記印刷工程は、印刷機を停止することなく、上記機上現像工程又は上記現像液現像工程に連続して行われてもよい。
記録媒体としては、特に制限はなく、所望に応じ、公知の記録媒体を用いることができる。
本開示に係る平版印刷版原版からの平版印刷版の作製方法、及び、本開示に係る平版印刷方法においては、必要に応じて、露光前、露光中、露光から現像までの間に、平版印刷版原版の全面を加熱してもよい。このような加熱により、画像記録層中の画像形成反応が促進され、感度や耐刷性の向上や感度の安定化等の利点が生じ得る。現像前の加熱は150℃以下の穏和な条件で行うことが好ましい。上記態様であると、非画像部が硬化してしまう等の問題を防ぐことができる。現像後の加熱には非常に強い条件を利用することが好ましく、100℃〜500℃の範囲であることが好ましい。上記範囲であると、十分な画像強化作用が得られまた、支持体の劣化、画像部の熱分解といった問題を抑制することができる。
以下、実施例により本開示を詳細に説明するが、本開示はこれらに限定されるものではない。なお、本実施例において、「%」、「部」とは、特に断りのない限り、それぞれ「質量%」、「質量部」を意味する。なお、高分子化合物において、特別に規定したもの以外は、分子量は重量平均分子量(Mw)であり、構成繰り返し単位の比率はモル百分率である。また、重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算値として測定した値である。
(実施例1〜37、及び、比較例1〜3)
<支持体の作製>
厚さ0.3mmのアルミニウム板(材質JIS A 1050)の表面の圧延油を除去するため、10質量%アルミン酸ソーダ水溶液を用いて50℃で30秒間脱脂処理を施した後、毛径0.3mmの束植ナイロンブラシ3本とメジアン径25μmのパミス−水懸濁液(比重1.1g/cm)とを用いアルミニウム板表面を砂目立てし、水でよく洗浄した。アルミニウム板を45℃の25質量%水酸化ナトリウム水溶液に9秒間浸漬してエッチングを行い、水洗後、更に60℃で20質量%硝酸水溶液に20秒間浸漬し、水洗した。砂目立て表面のエッチング量は約3g/mであった。
次に、60Hzの交流電圧を用いて連続的に電気化学的な粗面化処理を行った。電解液は硝酸1質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、液温は50℃であった。交流電源波形は、電流値がゼロからピークに達するまでの時間TPが0.8ms、duty比1:1、台形の矩形波交流を用いて、カーボン電極を対極として電気化学的な粗面化処理を行った。補助アノードにはフェライトを用いた。電流密度は電流のピーク値で30A/dm、補助陽極には電源から流れる電流の5%を分流させた。硝酸電解における電気量はアルミニウム板が陽極時の電気量175C/dmであった。その後、スプレーによる水洗を行った。
続いて、塩酸0.5質量%水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)、液温50℃の電解液にて、アルミニウム板が陽極時の電気量50C/dmの条件で、硝酸電解と同様の方法で電気化学的な粗面化処理を行い、その後、スプレーによる水洗を行った。
次に、アルミニウム板に15質量%硫酸水溶液(アルミニウムイオンを0.5質量%含む)を電解液として電流密度15A/dmで2.5g/mの直流陽極酸化皮膜を形成した後、水洗、乾燥して支持体を作製した。陽極酸化皮膜の表層における平均ポア径(表面平均ポア径)は10nmであった。
陽極酸化皮膜の表層におけるポア径の測定は、超高分解能型SEM(走査型電子顕微鏡、(株)日立製作所製S−900)を使用し、12Vという比較的低加速電圧で、導電性を付与する蒸着処理等を施すこと無しに、表面を15万倍の倍率で観察し、50個のポアを無作為抽出して平均値を求める方法で行った。標準偏差は平均値の±10%以下であった。
<平版印刷版原版の形成>
上記支持体上に、下記組成の下塗り液(1)を乾燥塗布量が20mg/mになるよう塗布し、100℃30秒間オーブンで乾燥し、下塗り層を有する支持体を作製した。
下塗り層上に、下記画像記録層塗布液(1)をバー塗布し、100℃で60秒間オーブン乾燥して乾燥塗布量0.60g/m(膜厚=約0.60μm)の画像記録層を形成し、平版印刷版原版を得た。
更にその後、画像記録層上に、下記組成のオーバーコート層塗布液(1)を塗布し、100℃で60秒間オーブン乾燥して乾燥塗布量1.0g/m(膜厚=約1.0μm)のオーバーコート層(疎水部を含む)を形成し、平版印刷版原版を得た。
〔下塗り液(1)〕
・下記の下塗り化合物1:0.18部
・メタノール:55.24部
・蒸留水:6.15部
−下塗り化合物1の合成−
<<モノマーm−1の精製>>
ライトエステル P−1M(2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、共栄社化学(株)製)420部、ジエチレングリコールジブチルエーテル1,050部及び蒸留水1,050部を分液ロートに加え、激しく撹拌した後静置した。上層を廃棄した後、ジエチレングリコールジブチルエーテル1,050部を加え、激しく撹拌した後静置した。上層を廃棄してモノマーm−1の水溶液(固形分換算10.5質量%)を1,300部得た。
<<下塗り化合物1の合成>>
三口フラスコに、蒸留水を53.73部、以下に示すモノマーm−2を3.66部加え、窒素雰囲気下で55℃に昇温した。次に、以下に示す滴下液1を2時間掛けて滴下し、30分撹拌した後、VA−046B(和光純薬工業(株)製)0.386部を加え、80℃に昇温し、1.5時間撹拌した。反応液を室温(25℃)に戻した後、30質量%水酸化ナトリウム水溶液を加え、pHを8.0に調整したのち、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(4−OH−TEMPO)を0.005部加えた。以上の操作により、下塗り化合物1の水溶液を180部得た。ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によるポリエチレングリコール換算値とした重量平均分子量(Mw)は17万であった。
<<滴下液1>>
・上記モノマーm−1水溶液:87.59部
・上記モノマーm−2:14.63部
・VA−046B(2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジスルフェートジハイドレート、和光純薬工業(株)製):0.386部
・蒸留水:20.95部
<画像記録層塗布液(1)>
・表1又は表2に記載の赤外線吸収剤:表1又は表2に記載の量
・表1又は表2に記載の重合性化合物:表1又は表2に記載の量
・表1又は表2に記載のバインダーポリマー:表1又は表2に記載の量
・表1又は表2に記載の電子受容型重合開始剤:表1又は表2に記載の量
・表1又は表2に記載の電子供与型重合開始剤:表1又は表2に記載の量
・表1又は表2に記載の酸発色剤:表1又は表2に記載の量
・BYK306(Byk Chemie社):0.008部
・1−メトキシ−2−プロパノール:8.609部
・メチルエチルケトン:1.091部
<オーバーコート層塗布液>
・ポバールPVA105((株)クラレ製、けん化度80%以上):0.6質量部
・PEG4000(東京化成工業(株)製):0.39質量部
・界面活性剤(ラピゾールA−80、日油(株)製):0.01質量部
・水:全体が10質量部となる量
<評価>
〔発色性(ΔL)〕
得られた平版印刷版原版を、水冷式40W赤外線半導体レーザー搭載のCreo社製Trendsetter3244VXにより、出力11.7W、外面ドラム回転数250rpm、解像度2,400dpi(dot per inch、1inch=25.4mm)の条件で露光した。露光は25℃、50%RHの環境下で行った。
露光直後、及び、露光後暗所(25℃)で2時間保存後、平版印刷版原版の発色を測定した。測定は、コニカミノルタ(株)製分光測色計CM2600dとオペレーションソフトCM−S100Wとを用い、SCE(正反射光除去)方式で行った。発色性は、L表色系のL値(明度)を用い、露光部のL値と未露光部のL値との差ΔLにより評価した。ΔLの値が大きい程、発色性が優れる。
〔UV耐刷性〕
得られた平版印刷版原版を赤外線半導体レーザー搭載の富士フイルム(株)製Luxel PLATESETTER T−6000IIIにて、外面ドラム回転数1,000rpm(revolutions per minute)、レーザー出力70%、解像度2,400dpi(dot per inch、1 inch=2.54cm)の条件で露光した。露光画像にはベタ画像、20μmドットFMスクリーンの50%網点チャート及び非画像部を含むようにした。
得られた露光済み平版印刷原版を現像処理することなく、(株)小森コーポレーション製印刷機LITHRONE26の版胴に取り付けた。版胴に対して給水ローラーを5%減速させた上で、Ecolity−2(富士フイルム(株)製)/水道水=2/98(容量比)の湿し水とUVインキ(T&K UV OFS K−HS墨GE−M((株)T&K TOKA製))とを用い、LITHRONE26の標準自動印刷スタート方法で湿し水とインキとを供給して機上現像した後、毎時10,000枚の印刷速度で、特菱アート(三菱製紙(株)製、連量:76.5kg)紙に印刷を50,000枚行った。
印刷枚数の増加にともない、徐々に画像記録層が磨耗しインキ受容性が低下するため、印刷用紙におけるインキ濃度が低下した。印刷物におけるFMスクリーン3%網点の網点面積率をx−lite(x−lite社製)で計測した値が印刷100枚目の計測値よりも5%低下したときの印刷部数を刷了枚数としてUV耐刷性を評価した。
〔機上現像性〕
得られた平版印刷版原版を赤外線半導体レーザー搭載の富士フイルム(株)製Luxel PLATESETTER T−6000IIIにて、外面ドラム回転数1,000rpm、レーザー出力70%、解像度2,400dpiの条件で露光した。露光画像にはベタ画像、20μmドットFMスクリーンの50%網点チャート及び非画像部を含むようにした。
得られた露光済み原版を現像処理することなく、(株)小森コーポレーション製印刷機LITHRONE26の版胴に取り付けた。Ecolity−2(富士フイルム(株)製)/水道水=2/98(容量比)の湿し水とスペースカラーフュージョンG黄インキ(DICグラフィックス(株)製)とを用い、(株)小森コーポレーション製印刷機LITHRONE26の標準自動印刷スタート方法で湿し水とインキとを供給して機上現像した後、毎時10,000枚の印刷速度で、特菱アート(三菱製紙(株)製、連量:76.5kg)紙に印刷を500枚行った。
画像記録層の未露光部の印刷機上での機上現像が完了し、非画像部にインキが転写しない状態になるまでに要した印刷用紙の枚数を機上現像性として計測した。枚数が少ないほど、機上現像性に優れるといえる。
表1及び表2における各成分の含有量の単位は、質量部である。
また、表1及び表2に記載の化合物の詳細は、下記の通りである。
<赤外線吸収剤>
IR−1〜IR−11:赤外線露光により分解する赤外線吸収剤、下記化合物
IR−12:赤外線露光により分解しない赤外線吸収剤、下記化合物
なお、下記化合物におけるTsOはトシレートアニオンを表し、Phはフェニル基を表す。
<重合性化合物>
M−1:下記化合物、分子量423.58、エチレン性不飽和結合当量141.13、ClogP値2.59
M−2:下記化合物、分子量1,217.23、エチレン性不飽和結合当量121.72、ClogP値5.92
M−3:下記化合物、分子量578.57、エチレン性不飽和結合当量96.43、ClogP値5.08
M−4:下記化合物、m+n=4、分子量424.29、エチレン性不飽和結合当量212.15、ClogP値5.85
<バインダーポリマー>
P−1〜P−10:下記に示す特定バインダーポリマー
アクリル樹脂:ポリメチルメタクリレート(PMMA)、Aldrich社製、Mw:約120,000
なお、下記P−1〜P−10におけるa〜dは、質量比を表す。
また、P−1〜P−10の重量平均分子量(Mw)は、いずれも3,000〜300,000であった。
〔バインダーポリマーの合成〕
−P−1の合成−
三口フラスコに、メチルエチルケトン300部を入れ、窒素気流下、80℃に加熱した。この反応容器に、スチレン83.3部、アクリロニトリル16.7部、AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)0.7部、メチルエチルケトン100部からなる混合溶液を30分かけて滴下した。滴下終了後、更に7.5時間反応を続けた。その後、AIBN0.3部を加え、更に12時間反応を続けた。反応終了後、室温まで反応液を冷却した。得られたP−1におけるスチレンにより形成される構成単位と、アクリロニトリルにより形成される構成単位との組成比は5:1(質量比)であった。
−P−2〜P−10の合成−
使用するモノマーの種類及び使用量を変更した以外は、P−1の合成と同様にして、P−2〜P−10をそれぞれ作製した。
<電子受容型重合開始剤>
IA−1及びIA−2:下記化合物
IS−1〜IS−6:下記化合物
<電子供与型重合開始剤>
D−1〜D−6:下記化合物
なお、下記化合物におけるBuは、n−ブチル基を表す。
また、D−6のHOMOは−5.905eVであり、LUMOは−3.250eVである。
<酸発色剤>
CA−1:下記化合物
本開示に係る平版印刷版原版である実施例1〜37の平版印刷版原版は、比較例1〜3の平版印刷版原版に比べ、UVインクを用いた場合であっても耐刷性に優れる平版印刷版が得られることがわかる。
また、本開示に係る平版印刷版原版である実施例1〜37の平版印刷版原版は、発色性、露光後経時発色性、及び、機上現像性にも優れることがわかる。

Claims (20)

  1. 支持体上に画像記録層を有し、
    前記画像記録層が、赤外線露光により分解する赤外線吸収剤、芳香族ビニル化合物により形成される構成単位を有するバインダーポリマー、重合開始剤、及び、重合性化合物を含む
    平版印刷版原版。
  2. 前記赤外線吸収剤が、赤外線露光に起因する熱、電子移動又はその両方により分解する赤外線吸収剤である請求項1に記載の平版印刷版原版。
  3. 前記赤外線吸収剤が、シアニン色素である請求項1又は請求項2に記載の平版印刷版原版。
  4. 前記シアニン色素が、下記式1で表されるシアニン色素である請求項3に記載の平版印刷版原版。

    式1中、Rは赤外線露光によりR−L結合が開裂する基を表し、R11〜R18はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、−Ra、−ORb、−SRc又は−NRdReを表し、Ra〜Reはそれぞれ独立に、炭化水素基を表し、A、A及び複数のR11〜R18が連結して単環又は多環を形成してもよく、A及びAはそれぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を表し、n11及びn12はそれぞれ独立に、0〜5の整数を表し、但し、n11及びn12の合計は2以上であり、n13及びn14はそれぞれ独立に、0又は1を表し、Lは酸素原子、硫黄原子又は−NR10−を表し、R10は水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、Zaは電荷を中和する対イオンを表す。
  5. 前記シアニン色素が、下記式2で表されるシアニン色素である請求項3又は請求項4に記載の平版印刷版原版。

    式2中、Rは赤外線露光によりR−L結合が開裂する基を表し、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表し、R及びRが互いに連結して環を形成してもよく、Ar及びArはそれぞれ独立に、ベンゼン環又はナフタレン環を形成する基を表し、Y及びYはそれぞれ独立に、酸素原子、硫黄原子、−NR−又はジアルキルメチレン基を表し、Rは水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、R及びRはそれぞれ独立に、アルキル基、−COM基又は−PO基を表し、Mは水素原子、Na原子、K原子又はオニウム基を表し、R〜Rはそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表し、Lは酸素原子、硫黄原子又は−NR10−を表し、R10は水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、Zaは電荷を中和する対イオンを表す。
  6. 前記重合性化合物のエチレン性不飽和結合当量が、200g/mol以下である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
  7. 前記重合性化合物の重量平均分子量が、1,500以下である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
  8. 前記重合性化合物が、3官能以上の重合性化合物を含む請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
  9. 前記重合性化合物のCLogP値が、6以下である請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
  10. 前記画像記録層が、2種以上の重合性化合物を含む請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
  11. 前記重合開始剤が、電子供与型重合開始剤、及び、電子受容型重合開始剤を含む請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
  12. 前記重合開始剤が、前記電子受容型重合開始剤として、オニウム塩化合物を含む請求項11に記載の平版印刷版原版。
  13. 前記重合開始剤が、前記電子供与型重合開始剤として、ボレート化合物を含む請求項11又は請求項12に記載の平版印刷版原版。
  14. 前記電子供与型重合開始剤のHOMOが、−6.0eV以上である請求項11〜請求項13のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
  15. 前記電子受容型重合開始剤のLUMOが、−3.0eV以下である請求項11〜請求項14のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
  16. 前記重合開始剤が、電子供与型重合開始剤と電子受容型重合開始剤とが対塩を形成してなる化合物を含む請求項1〜請求項15のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
  17. 前記画像記録層が、酸発色剤を更に含む請求項1〜請求項16のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
  18. 前記画像記録層上に、オーバーコート層を更に有する請求項1〜請求項17のいずれか1項に記載の平版印刷版原版。
  19. 請求項1〜請求項18のいずれか1項に記載の平版印刷版原版を、画像様に露光する工程と、
    印刷機上で印刷インキ及び湿し水よりなる群から選ばれた少なくとも一方を供給して非画像部の画像記録層を除去する工程と、を含む
    平版印刷版の作製方法。
  20. 請求項1〜請求項18のいずれか1項に記載の平版印刷版原版を画像様に露光する工程と、
    印刷インキ及び湿し水よりなる群から選ばれた少なくとも一方を供給して印刷機上で非画像部の画像記録層を除去し平版印刷版を作製する工程と、
    得られた平版印刷版により印刷する工程と、を含む
    平版印刷方法。
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