JP2021188112A - 錫または錫合金めっき浴 - Google Patents

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Abstract

【課題】開口径が異なるパターンにおいて、大径パターンと小径パターンのめっき膜の厚さに差をつけて、リフロー後のバンプ高さを均一にすることができる錫または錫合金めっき浴を提供することを目的とする。【解決手段】錫または錫合金めっき浴は、錫イオンの供給源となる化合物、または錫イオンの供給源となる化合物及び銀イオンの供給源となる化合物と、ジスルフィド化合物と、炭素−炭素単結合を有する窒素含有芳香族ヘテロ環化合物と、フェノール系の芳香環を有する界面活性剤とを少なくとも含有する。【選択図】なし

Description

本発明は、特に、バンプの形成に使用可能な錫または錫合金めっき浴に関する。
従来、ICパッケージとICとの接合において、接続用のバンプとしてマイクロボールやはんだペーストが使用されているが、配線パターンの微細化に伴い、これらの方法では対応が困難になってきている。
そこで、近年、めっき法によるバンプの形成が提案されている。より具体的には、芳香族チオ−ル化合物及び芳香族スルフィド化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物を含有し、シアン化合物を実質的に含有しない錫−銀合金酸性めっき浴が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、錫塩又は錫錯体、或いは錫塩又は錫錯体と錫以外の金属の塩又は錯体と、酸、塩基、及び錯化剤と、界面活性剤と、C〜Cの低級脂肪族飽和の水溶性のアルコール、ケトン又はエーテルと、ベンゼン環又はナフタレン環の水素を1〜6個の範囲で水酸基に置き換えた化合物等を含有する錫または錫合金めっき浴が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
さらに、可溶性第一スズ塩と、可溶性銅塩と、有機スルホン酸、脂肪族カルボン酸などの有機酸、或いは、硫酸、塩酸、ホウフッ化水素酸などの無機酸と、ジチオジアニリンと、C〜C20のアルカノール、フェノール、ナフトール、ビスフェノール類等を含有する錫−銅合金めっき浴が開示されている(例えば、特許文献3参照)。
特開平10−204675号公報 特開2000−80493号公報 特開2001−49486号公報
ここで、開口径が異なるパターンに対してめっきを行う場合、リフロー後のバンプ高さを均一にする必要があるため、開口径の小さなパターン(小径パターン)におけるめっき膜の厚さを、開口径の大きなパターン(大径パターン)の厚さより高くする必要がある。
しかし、上記従来のめっき浴においては、開口径が異なるパターンに対してめっきを行う場合、リフロー後に形成された大径パターン及び小径パターンのバンプ高さのバラツキが大きく、リフロー後のバンプ高さを均一にすることが困難であるという問題があった。
そこで、本発明は、上述の問題に鑑み、開口径が異なるパターンにおいて、小径パターンのめっき膜の厚さを大径パターンのめっき膜の厚さより高くすることにより、リフロー後のバンプ高さを均一にすることができる錫または錫合金めっき浴を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の錫または錫合金めっき浴は、錫イオンの供給源となる化合物、または錫イオンの供給源となる化合物及び銀イオンの供給源となる化合物と、ジスルフィド化合物と、炭素−炭素単結合を有する窒素含有芳香族ヘテロ環化合物と、フェノール系の芳香環を有する界面活性剤とを少なくとも含有することを特徴とする。
本発明によれば、開口径が異なるパターンにおいて、大径パターンと小径パターンのめっき膜の厚さに差をつけて、リフロー後のバンプ高さを均一にすることができる錫または錫合金めっき浴を提供することができる。
以下、本発明の錫または錫合金めっき浴について説明する。
<錫または錫合金めっき浴>
本発明の錫めっき浴は、錫イオンの供給源となる化合物と、ジスルフィド化合物と、炭素−炭素単結合を有する窒素含有芳香族ヘテロ環化合物と、フェノール系の芳香環を有する界面活性剤とを含有するめっき浴である。
また、本発明の錫合金めっき浴は、上述のジスルフィド化合物と、炭素−炭素単結合で結合された窒素含有芳香族ヘテロ環化合物と、フェノール系の芳香環を有する界面活性剤とを含有するとともに、上述の錫合金めっき浴における錫イオンの供給源となる化合物に加えて銀イオンの供給源となる化合物を含有するめっき浴である。
(錫イオンの供給源となる化合物)
錫イオンの供給源となる化合物としては、錫塩を用いることができ、第1錫塩(錫塩(II))及び第2錫塩(錫塩(IV))を用いることが好ましい。
第1錫塩(錫塩(II))は特に限定されないが、例えば、メタンスルホン酸錫(II)等のアルカンスルホン酸錫(II)、イセチオン酸錫(II)等のアルカノールスルホン酸錫(II)などの有機スルホン酸錫(II)、硫酸錫(II)、ホウフッ化錫(II)、塩化錫(II)、臭化錫(II)、ヨウ化錫(II)、酸化錫(II)、リン酸錫(II)、ピロリン酸錫(II)、酢酸錫(II)、クエン酸錫(II)、グルコン酸錫(II)、酒石酸錫(II)、乳酸錫(II)、コハク酸錫(II)、スルファミン酸錫(II)、ギ酸錫(II)、及びケイフッ化錫(II)等を用いることができる。
第2錫塩(錫塩(IV))は特に限定されないが、例えば、錫酸ナトリウム、及び錫酸カリウム等を用いることができる。
なお、メタンスルホン酸錫(II)等のアルカンスルホン酸錫(II)、及びイセチオン酸錫(II)等のアルカノールスルホン酸錫(II)等の有機スルホン酸錫(II)を用いることが好ましい。
また、めっき浴における錫塩の濃度は、ヤケやコゲの発生を抑制するとの観点から、錫イオン(Sn2+)として、5g/L以上が好ましく、10g/L以上がより好ましい。また、めっき浴の安定性を向上させ、沈殿の発生を抑制するとの観点から、120g/L以下が好ましく、90g/L以下がより好ましい。また、このような濃度範囲に設定することにより、コストの面においても有利となる。
なお、錫塩として鉛(Pb)濃度が1.0ppm以下の低濃度Pbの錫塩を使用することも可能である。Pb濃度が低い錫塩を用いることにより、低濃度Pb化が可能となる。
(銀イオンの供給源となる化合物)
銀イオンの供給源となる化合物としては、特に限定されず、銀塩を用いることができる。例えば、有機スルホン酸銀、硫酸銀、ホウフッ化銀、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀、酸化銀、リン酸銀、ピロリン酸銀、酢酸銀、クエン酸銀、グルコン酸銀、酒石酸銀、乳酸銀、コハク酸銀、スルファミン酸銀、ギ酸銀、及びケイフッ化銀等を用いることができる。このうち、有機スルホン酸銀を用いることが好ましい。
銀イオンの供給源となる化合物の濃度は、管理上の観点から、銀イオン(Ag)として、10mg/L以上が好ましく、20mg/L以上がより好ましい。また、コストを抑制するとの観点から、1000mg/L以下が好ましく、800mg/L以下がより好ましい。
(ジスルフィド化合物)
ジスルフィド化合物は、錫又は錫−銀合金の析出を促進する効果を有するものである。このジスルフィド化合物としては、下記式(1)で示すものを用いることができる。
[化1]
−S−S−X (1)
(式中、Xは、COH、CCH、CSOH、CNH(n=1〜3)、アニリン、ベンゼン、フェノール、トルエン、安息香酸、ピリジン、ニコチン酸、ナフタレン、ナフトール、シクロヘキサン、マレイミド、トリアゾール、及びチオフェンからなる群より選択された化合物を表す。)
より具体的には、ジエチルジスルフィド、ジプロピルジスルフィド、ジブチルジスルフィド、2,2’−ジチオジエタノール、2,2’−ジチオジプロパノール、2,2’−ジチオブタノール、2,2’−ジアミノジエチルジスルフィド、2,2’−ジアミノジプロピルジスルフィド、2,2’−ジアミノジブチルジスルフィド、3,3’−ジチオビス−1−エタンスルホン酸、3,3’−ジチオビス−1−プロパンスルホン酸、3,3’−ジチオビス−1−ブタンスルホン酸、ジフェニルジスルフィド、p−トリルジスルフィド、2,2’−ジチオジフェノール、4,4’−ジチオジフェノール、2,2’−ジチオジアニリン、4,4’−ジチオジアニリン、6,6’−ジチオジニコチン酸、2,2’−ジチオジピリジン、4,4’−ジチオジピリジン、ビス(2−マレイミドエチル)ジスルフィド、ジフルフリルジスルフィド、ジシクロヘキシルジスルフィド、2,2’−ジチエニルジスルフィド、2,2’−ジベンゾチアゾリルジスルフィド、2,2’−ジチオ二安息香酸、4,4’−ジ(1,2,3−トリアゾール)ジスルフィド等が挙げられる。
また、めっき浴中における化合物自体の安定性を向上させるとの観点から、芳香族環化合物を有するものを使用することが好ましい。
また、めっき浴におけるジスルフィド化合物の濃度は、0.005〜10g/Lが好ましい。0.005g/L未満の場合は、錫又は錫−銀合金の析出を促進させる効果が低下する場合があり、10g/Lを超えると、皮膜表面形状が粗くなる傾向がある。
(炭素−炭素単結合を有する窒素含有芳香族ヘテロ環化合物)
炭素−炭素単結合を有する窒素含有芳香族ヘテロ環化合物は、錫又は錫−銀合金の析出を抑制する効果を有するものである。この窒素含有芳香族ヘテロ環化合物しては、下記式(2)で示すものを用いることができる。
[化2]
−X (2)
(式中、Xはピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、ピロール、ベンゾトリアゾール、ベンゾイミダゾール、インドール、ナフタレン、キノリン、イソキノリン、及びキノキサリンからなる群より選択された化合物を表す。)
より具体的には、2,2’−ビピリジル、2,2’−ビピラジン、4,4’−ビピリミジン、2,2’−ビピリミジル、2,2’−ベンゾイミダゾール、2,2’−ビキノリン、4,4’−ビキノリン、3,4‘−ビキノリン、2,2’−ビピロール、2,2‘:6’,2’’−ターピリジン、3,3’−ビ[1H−インドール]、ビトリアジン、2,2’−ビナフタレン、2,2−ビベンゾチアゾリン、4,4’−ジメトキシ-2,2’−ビピリジル、及び2,2’−ビピリジル−6,6’−ジカルボン酸等が挙げられる。
また、めっき浴における窒素含有芳香族ヘテロ環化合物の濃度は、0.001〜10g/Lが好ましい。0.001g/L未満の場合は、錫又は錫−銀合金の析出を抑制する効果が低下する場合があり、10g/Lを超えると、錫又は錫−銀合金の析出効率が低下し、未析やボイドが発生する場合がある。
(フェノール系の芳香環を有する界面活性剤)
フェノール系の芳香環を有する界面活性剤は、大径パターンに対して、優先的に炭素−炭素単結合を有する窒素含有芳香族ヘテロ環化合物を供給する効果を有するものであり、炭素−炭素単結合を有する窒素含有芳香族ヘテロ環化合物と相乗して、錫又は錫−銀合金の析出を抑制する効果を高める作用を有する。
この界面活性剤としては、フェノール、アルキルフェノール、スチレン化フェノール、β-ナフトール、ビスフェノール類、及びクミルフェノールからなる群より選ばれるいずれか1種とポリオキシエチレン(EO)が縮合したノニオン系界面活性剤を用いることができる。
より具体的には、フェノールとポリオキシエチレン(EO)が縮合したノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンフェニルエーテルが挙げられる。また、アルキルフェノールとポリオキシエチレン(EO)が縮合したノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテルが挙げられる。また、スチレン化フェノールとポリオキシエチレン(EO)が縮合したノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンモノスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレントリスチレン化フェニルエーテルが挙げられる。また、β-ナフトールとポリオキシエチレン(EO)が縮合したノニオン系界面活性剤としてはポリオキシエチレンβ-ナフチルエーテルが挙げられる。また、ビスフェノール類とポリオキシエチレン(EO)が縮合したノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンビスフェノールAエーテル、ポリオキシエチレンビスフェノールEエーテル、ポリオキシエチレンビスフェノールFエーテル、ポリオキシエチレンビスフェノールSエーテル、ポリオキシエチレンビスフェノールMエーテルが挙げられる。また、クミルフェノールとポリオキシエチレン(EO)が縮合したノニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンクミルフェニルエーテルが挙げられる。
また、めっき浴におけるフェノール系の芳香環を有する界面活性剤の濃度は、1〜50g/Lが好ましい。1g/L未満の場合は、皮膜形成が抑制される場合があり、50g/Lを超えると、電解を行う際に、高電部箇所にコゲが発生する場合がある。
以上に説明したように、本発明の錫または錫合金めっき浴においては、錫又は錫−銀合金の析出を促進するジスルフィド化合物に加えて、錫又は錫−銀合金の析出を抑制する炭素−炭素単結合を有する窒素含有芳香族ヘテロ環化合物と、大径パターンに対して優先的に炭素−炭素単結合を有する窒素含有芳香族ヘテロ環化合物を供給するフェノール系の芳香環を有する界面活性剤を含有するため、大径パターンにおける錫又は錫−銀合金の析出を抑制することが可能になる。従って、大径パターンと小径パターンにおいて、小径パターンの膜厚を大径パターンの膜厚より高くすることが可能になるため、結果として、開口径が異なるパターンにおいて、大径パターンと小径パターンのめっき膜の厚さに差をつけて、リフロー後のバンプ高さを均一にすることが可能になる。
(他の界面活性剤)
なお、本発明の錫または錫合金めっき浴は、フェノール系の芳香環を有した界面活性剤に加え、アニオン界面活性剤やカチオン界面活性剤、および非イオン性活性剤から選ばれる1種以上をさらに含有してもよい。このうち、非イオン性界面活性剤が好ましく、アルキレンオキサイド系のものがより好ましい。界面活性剤を加えることにより、被めっき物及び被膜である錫結晶表面の電流密度を均一にし、表面での均一な析出電位を保つことができる。これにより、鉛の共析を抑制することができる。
また、アルキレンオキサイド系の界面活性剤は、特に限定されないが、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン多価アルコールエーテル、酸化エチレン−酸化プロピレンブロック重合化合物、酸化エチレン−酸化プロピレンランダム重合化合物、及び酸化プロピレン重合化合物等を用いることができる。このうち、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルを使用することが好ましい。
また、めっき浴における界面活性剤の濃度は、0.05g/L以上が好ましく、0.5g/L以上がより好ましい。0.05g/L以上とすることにより、めっき時間を短縮するために高電流密度でめっきした場合においても、高電流密度になる部分におけるヤケやコゲの発生を抑制することができる。なお、めっき被膜の黒色化による色むらの発生を抑制するとの観点から、界面活性剤の濃度は、100g/L以下が好ましい。
(無機酸、有機酸及びこれらの水溶性塩)
本発明の錫または錫合金めっき浴は、無機酸、有機酸及びこれらの水溶性塩のいずれかを含有してもよい。酸又はその水溶性塩を加えることにより、被めっき物表面及びめっき被膜である錫表面または錫−銀合金表面のpHを一定に保ち、均一な表面電位とすることができるため、鉛の共析を抑制することができる。
無機酸、有機酸及びこれらの水溶性塩は、特に限定されないが、例えば、硫酸、塩酸、硝酸、リン酸、スルファミン酸、有機スルホン酸(メタンスルホン酸等のアルカンスルホン酸、又はイセチオン酸等のアルカノールスルホン酸)、及びカルボン酸(芳香族カルボン酸、脂肪族飽和カルボン酸、又はアミノカルボン酸)等を用いることができる。また、必要に応じて、これらの水溶性塩の中和塩を使用することもでき、メタンスルホン酸は取り扱いが容易であるため好ましい。
また、めっき浴における無機酸、有機酸及びこれらの水溶性塩の濃度は、めっき液の安定性を向上させて、沈殿物の発生を抑制するとの観点から、35g/L以上が好ましく、50g/L以上がより好ましい。このような濃度は、鉛析出電位の観点からも有利である。また、コストを抑制するとの観点から、140g/L以下が好ましく、120g/L以下がより好ましい。
(結晶調整剤)
本発明の錫または錫合金めっき浴は、結晶調整剤を含有してもよい。この結晶調整剤としては、特に限定されず、例えば、1,10−フェナントロリン、2,9−ジメチル−1,10−フェナントロリン、5,6−ジアミノ−1,10−フェナントロリン、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、2,9−ジフェニル−1,10−フェナントロリン等が挙げられる。
また、めっき浴における結晶調整剤の濃度は、0.0001〜1g/Lが好ましい。0.0001g/L未満の場合は、結晶調整の効果が抑制される場合があり、1g/Lを超えると、上述の大径パターンと小径パターンのめっき膜の厚さの差が小さくなる場合がある。
(酸化防止剤)
本発明の錫または錫合金めっき浴は、酸化防止剤を含有してもよい。この酸化防止剤は、めっき浴中の2価の錫イオンの酸化と、他のめっき液成分の酸化を防ぎ、めっき浴を安定化させる効果を有する。従って、この酸化防止剤を含有することにより、錫の酸化還元電位をより一定に安定化することができるため、結果として、鉛の共析防止を補助することができる。
この酸化防止剤としては、特に限定されず、例えば、カテコール、ヒドロキノン、4−メトキシフェノール、アスコルビン酸等が挙げられる。
また、めっき浴における酸化防止剤の濃度は、0.1〜100g/Lが好ましく、0.1〜20g/Lがより好ましい。0.1g/L未満の場合は、酸化防止の効果が低下する場合があり、100g/Lを超えると、コストが増加する場合がある。
(キレート剤)
本発明の錫または錫合金めっき浴は、キレート剤を含有してもよい。このキレート剤としては、特に限定されず、例えば、シュウ酸、コハク酸、マロン酸、リンゴ酸、グリコール酸、グルコン酸、グルコノラクトン、グリシン、エチレンジアミン酢酸、ピロリン酸、ニコチン酸、トリポリリン酸、及びギ酸等が挙げられる。
また、めっき浴におけるキレート剤の濃度は、0.1〜200g/Lが好ましく、0.1〜100g/Lがより好ましい。0.1g/L未満の場合は、キレート効果が低下する場合があり、200g/Lを超えると、コストが増加する場合がある。
(pH、めっき浴の温度、電流密度)
本発明の錫または錫合金めっき浴を用いてめっき被膜を形成する際には、めっき浴のpHを強酸性とすることが好ましい。また、めっき被膜を形成する際の温度は、特に限定されないが、25〜40℃が好ましい。また、電解により、めっき皮膜を形成する際の電流密度は、1A/dm2以上が好ましく、2A/dm2以上がより好ましい。また、20A/dm2以下が好ましく、10A/dm2以下がより好ましい。
<めっき浴によるバンプの形成>
本発明の錫または錫合金めっき浴は、例えば、半導体チップにおけるバンプの形成に用いることができる。このバンプを形成する際には、所定の位置に所定のサイズのめっき被膜を形成した後、リフロー処理を行えばよい。なお、リフロー処理は、特に限定されず、通常のリフロー装置を用いて行うことができる。
なお、錫または錫合金めっき処理時のpH、温度、及び電流密度は、上述のpH、温度、及び電流密度に制御して行う。
また、錫または錫合金めっき処理の時間は、特に限定されるものではなく、大径パターンと小径パターンの膜厚が、所望とする膜厚となるように適宜設定すればよい。より具体的には、例えば、30秒〜15時間程度とすることができる。
以下、実施例及び比較例に基づき本出願に係る発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1〜16、比較例1〜9)
(めっき浴の調製)
ジスルフィド化合物と、炭素−炭素単結合を有する窒素含有芳香族ヘテロ環化合物と、フェノール系の芳香環を有した界面活性剤と、錫塩であるメタンスルホン酸錫と、銀塩であるメタンスルホン酸銀と、有機酸であるメタンスルホン酸とを、表1〜2に示す濃度となるように混合して攪拌することにより、実施例1〜16、比較例1〜9のめっき浴を調製した。なお、めっき浴の温度を20〜35℃、pHを1以下に設定した。
(めっき処理)
被めっき物である基材として、電気銅からなるパッド(大径パターン:80μm、小径パターン20μm)を備えたシリコンウエハ(サイズ:φ300mm、厚み:0.8mm)を用意した。
次に、調製しためっき浴に、上記基材を、電流密度に基づいて、めっき膜の厚さが15μmになるように設定した時間、浸漬し、表1〜2に示す電流密度により、電気銅からなるパッドの表面に錫めっき皮膜または錫−銀めっき皮膜からなるバンプを形成した。
(リフロー処理)
次に、上記バンプが形成された基板に対して、リフロー装置(UNTEMP社製、商品名:VSS−450−300−EP)を用いて、260℃でリフロー処理を行った。
(リフロー後のバンプ高さの均一性評価)
次に、3次元白色干渉型顕微鏡(BRUKER社製、商品名:BRUKER ContourGT)を用いて、リフロー後の基板における大径パターン(径:80μm)と小径パターン(径:20μm)におけるめっき膜の厚さを測定し、以下の式(1)を用いて、大径パターンと小径パターンのめっき膜の厚さの差を算出した。
[数1]
大径パターンと小径パターンのめっき膜の厚さの差[μm]=小径パターンのめっき膜の厚さ[μm]−大径パターンのめっき膜の厚さ[μm] (1)
なお、めっき膜が形成された基材の表面からめっき膜のトップ(頂部)までの距離を、めっき膜の厚さとした。
そして、大径パターンと小径パターンのめっき膜の厚さの差を、下記評価基準に従って評価した。
○:大径パターンと小径パターンのめっき膜の厚さの差[μm]>0
×:大径パターンと小径パターンのめっき膜の厚さの差[μm]≦0
また、リフロー後のバンプ高さのレンジ(最大値と最小値の差)が3μm以下のものをリフロー後のバンプ高さが均一であるものとし、それ以外のもの(すなわち、上記○評価ではあるが、リフロー後のバンプ高さのレンジが3μmより大きいもの、及び上記×評価のもの)をリフロー後のバンプ高さが不均一であるものとして評価した。以上の結果を表1〜2に示す。
(ボイドの評価)
上記リフロー後、X線非破壊検査装置(Nordson DAGE社製、商品名:XD7600NT Diamond FP)により、めっき膜におけるボイドの有無を評価した。なお、X線非破壊検査装置の管電圧は60kv、出力は1.5Wとした。以上の結果を表1〜2に示す。
Figure 2021188112
Figure 2021188112
表1に示すように、ジスルフィド化合物と、炭素−炭素単結合を有する窒素含有芳香族ヘテロ環化合物と、フェノール系の芳香環を有す界面活性剤とを含有する錫または錫合金めっき浴を使用した実施例1〜16においては、小径パターンの膜厚を大径パターンの膜厚より高くすることが可能になるため、大径パターンと小径パターンのめっき膜の厚さに差をつけて、リフロー後のバンプ高さを均一にすることができることが分かる。また、実施例1〜16においては、リフロー後のめっき膜にボイドが発生していないことが分かる。
一方、表2に示すように、ジスルフィド化合物を含有しない錫合金めっき浴を使用した比較例1〜3、炭素−炭素単結合を有する窒素含有芳香族ヘテロ環化合物を含有しない錫合金めっき浴を使用した比較例4〜6、及び、フェノール系の芳香環を有した界面活性剤を含有しない錫合金めっき浴を使用した比較例7〜9においては、小径パターンの膜厚を大径パターンの膜厚より高くすることができないため、大径パターンと小径パターンのめっき膜の厚さに差をつけることができず、結果として、リフロー後のバンプ高さが不均一になることが分かる。
本発明は、特に、バンプの形成に使用可能な錫または錫合金めっき浴、好適に使用される。

Claims (5)

  1. 錫イオンの供給源となる化合物、または錫イオンの供給源となる化合物及び銀イオンの供給源となる化合物と、
    ジスルフィド化合物と、
    炭素−炭素単結合を有する窒素含有芳香族ヘテロ環化合物と、
    フェノール系の芳香環を有する界面活性剤と
    を少なくとも含有する錫または錫合金めっき浴。
  2. 前記炭素−炭素単結合を有する窒素含有芳香族ヘテロ環化合物の濃度が、0.001〜10g/Lであることを特徴とする請求項1に記載の錫または錫合金めっき浴。
  3. 前記フェノール系の芳香環を有する界面活性剤の濃度が、1〜50g/Lであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の錫または錫合金めっき浴。
  4. 前記炭素−炭素単結合を有する窒素含有芳香族ヘテロ環化合物が、2,2’−ビピリジル、2,2’−ビピラジン、4,4’−ビピリミジン、2,2’−ビピリミジル、2,2’−ビキノリン、4,4’−ビキノリン、3,4‘−ビキノリン、2,2’−ビピロール、2,2‘:6’,2’’−ターピリジン、2,2’−ベンゾイミダゾール、3,3’−ビ[1H−インドール]、ビトリアジン、2,2’−ビナフタレン、2,2−ビベンゾチアゾリン、4,4’−ジメトキシ-2,2’−ビピリジル、及び2,2’−ビピリジル−6,6’−ジカルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の錫または錫合金めっき浴。
  5. 前記フェノール系の芳香環を有する界面活性剤が、フェノール、アルキルフェノール、スチレン化フェノール、β-ナフトール、ビスフェノール類、及びクミルフェノールからなる群より選ばれるいずれか1種とポリオキシエチレン(EO)が縮合したノニオン系界面活性剤であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の錫または錫合金めっき浴。
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