JP2021187945A - 樹脂組成物および硬化物 - Google Patents

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Abstract

【課題】低い誘電率および誘電正接を有し、かつ、耐熱性にも優れる硬化物が得られる樹脂組成物を提供する。【解決手段】トリシクロペンタジエンとフェノールとの縮合物(A)と、エポキシ樹脂(B)と、ベンゾオキサジン樹脂(C)と、エポキシ樹脂の硬化触媒(D)と、を含有する樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、樹脂組成物および硬化物に関する。
従来、エポキシ樹脂とフェノール樹脂とを含有する樹脂組成物を反応させた硬化物が、各種の材料として用いられる(特許文献1〜2を参照)。具体的には、例えば、パソコン、スマートフォンなどの情報機器、自動車、家電などの電子制御回路に使われるプリント基板の材料;半導体封止材の材料;等として用いられる。
特開2009−108301号公報 特開2005−113021号公報
近年、ネットワーク回線などで、デジタル信号を大量に伝達することが求められる。
この場合、信号の波長を短くし、周波数を高くして、通信速度を向上させたり通信容量を増加させたりする。
高周波の信号は、伝送損失が大きいので、回路の周辺部材には、伝送損失を少なくできる材料が望まれる。すなわち、低誘電率および低誘電正接の材料が望まれる。
また、例えば、自動車のエンジンルームで使用される電子制御回路のプリント基板の材料には、更に、高温環境下で使用できる耐熱性が求められる。
特許文献1〜2に記載された樹脂組成物の硬化物は、誘電率および誘電正接が高く、かつ、耐熱性が不十分な場合がある。
そこで、本発明は、低い誘電率および誘電正接を有し、かつ、耐熱性にも優れる硬化物が得られる樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、下記構成を採用することにより、上記目的が達成されることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[4]を提供する。
[1]トリシクロペンタジエンとフェノールとの縮合物(A)と、エポキシ樹脂(B)と、ベンゾオキサジン樹脂(C)と、エポキシ樹脂の硬化触媒(D)と、を含有する樹脂組成物。
[2]上記縮合物(A)の含有量が、4〜45質量%であり、上記エポキシ樹脂(B)の含有量が、4〜45質量%であり、上記ベンゾオキサジン樹脂(C)の含有量が、10〜90質量%であり、上記硬化触媒(D)の含有量が、0.01〜10質量%である、上記[1]に記載の樹脂組成物。
[3]上記エポキシ樹脂(B)が有するエポキシ基と上記縮合物(A)が有する水酸基とのモル比(エポキシ基/水酸基)が、0.50〜2.00モルである、上記[1]または[2]に記載の樹脂組成物。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかに記載の樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物。
本発明によれば、低い誘電率および誘電正接を有し、かつ、耐熱性にも優れる硬化物が得られる樹脂組成物を提供できる。
[樹脂組成物]
本発明の樹脂組成物は、トリシクロペンタジエンとフェノールとの縮合物(A)と、エポキシ樹脂(B)と、ベンゾオキサジン樹脂(C)と、エポキシ樹脂の硬化触媒(D)と、を含有する樹脂組成物である。
本発明の樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物は、低い誘電率および誘電正接を有し、かつ、耐熱性にも優れる。
〈トリシクロペンタジエンとフェノールとの縮合物(A)〉
トリシクロペンタジエンとフェノールとの縮合物(A)(以下、単に「縮合物(A)」ともいう)は、トリシクロペンタジエンとフェノールとを、酸触媒とともに加熱し、反応させることにより得られる。
酸触媒としては、特に限定されず、例えば、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素フェノール錯体、三フッ化ホウ素エーテル錯体などのルイス酸;パラトルエンスルホン酸、酢酸、シュウ酸などの有機酸;硫酸、塩酸、硝酸などの無機酸;フッ素樹脂;ポリスチレンベースの各種カチオン交換樹脂;等が挙げられる。
これらのうち、反応性が高いという理由からは、ルイス酸が好ましく、三フッ化ホウ素フェノール錯体がより好ましい。リサイクル使用が容易であるという理由からは、各種カチオン交換樹脂が好ましい。
反応に使用した酸触媒は、縮合物(A)中に残存させてもよいが、反応終了後に除去することが好ましい。
酸触媒を除去する方法としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの水酸化物を用いて中和した後、水洗して除去する方法;ハイドロタルサイト、活性炭、アルミナ、シリカなどの各種吸着剤に酸触媒を吸着させ、酸触媒が吸着した吸着剤をろ過して除去する方法;等が挙げられる。
酸触媒として各種カチオン交換樹脂などの不均一触媒を用いる場合は、ろ過等により除去することが好ましい。
トリシクロペンタジエンとフェノールとの使用割合は、特に限定されない。
もっとも、フェノールとトリシクロペンタジエンとのモル比(フェノール/トリシクロペンタジエン)は、1.2モル以上が好ましく、2.0モル以上がより好ましい。モル比がこの範囲であれば、生成物である縮合物(A)は、分子量が高くなり粘度が上がることが抑制され、反応容器から取り出しやすくなる。
一方、フェノールとトリシクロペンタジエンとのモル比(フェノール/トリシクロペンタジエン)は、30.0モル以下が好ましく、20.0モル以下がより好ましい。モル比がこの範囲であれば、反応容器の大きさに対する生成物である縮合物(A)の量が少なくなることが抑制され、生産性が良好になる。
過剰に用いたフェノールは、反応終了後、例えば150〜250℃の温度で、常圧蒸留または減圧蒸留することにより除去することが好ましい。
縮合物(A)の軟化点は、得られる硬化物の誘電率および誘電正接がより低くなるという理由から、70℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましい。
一方、成形時の溶融粘度が低くなり、成形が容易になるという理由から、縮合物(A)の軟化点は、160℃以下が好ましく、150℃以下がより好ましい。
軟化点の測定方法は、後述する(以下、同様)。
縮合物(A)の重量平均分子量は、得られる硬化物の耐熱性がより優れるという理由から、400以上が好ましく、500以上がより好ましい。
一方、粘度が低くなり、他の成分と混ざりやすくなり、成形加工性が良好になるという理由から、縮合物(A)の重量平均分子量は、4000以下が好ましく、3000以下がより好ましい。
重量平均分子量の測定方法は、後述する(以下、同様)。
縮合物(A)の水酸基当量は、得られる硬化物の誘電率および誘電正接がより低くなるという理由から、150g/当量以上が好ましく、170g/当量以上がより好ましい。
一方、得られる硬化物の強度が高くなるという理由から、縮合物(A)の水酸基当量は、400g/当量以下が好ましく、350g/当量以下がより好ましい。
水酸基当量の測定方法は、後述する。
〈エポキシ樹脂(B)〉
エポキシ樹脂(B)は、エポキシ基を有する樹脂であれば特に限定されない。
エポキシ樹脂(B)としては、例えば、各種のフェノール樹脂を、エピクロロヒドリンなどを用いてエポキシ化した樹脂を使用できる。
エポキシ樹脂(B)は、例えば、次のようにして製造される。まず、ジメチルスルホキシド等の極性溶媒中において、フェノール樹脂、エピクロロヒドリンおよび水酸化ナトリウムを反応させる。次に、極性溶媒と過剰のエピクロロヒドリンとを蒸留除去する。その後、メチルエチルケトン等の抽出溶媒を加え、更にイオン交換水で数回洗浄する。生成した塩化ナトリウムを除去し、その後、抽出溶媒を蒸留除去する。こうして、エポキシ樹脂(B)が得られる。
エポキシ樹脂(B)としては、具体的には、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂のエポキシ化物、トリシクロペンタジエン型フェノール樹脂のエポキシ化物、脂環式エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、テトラキスフェノールエタン型エポキシ樹脂などが挙げられる。
これらのうち、得られる硬化物の誘電特性がより優れるという理由からは、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂のエポキシ化物、トリシクロペンタジエン型フェノール樹脂のエポキシ化物が好ましい。
また、得られる硬化物の耐熱性がより優れるという理由からは、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、テトラキスフェノールエタン型エポキシ樹脂が好ましい。
また、得られる硬化物の強度が高くなるという理由からは、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。
得られる硬化物の強度が高くなるという理由から、エポキシ樹脂(B)の重量平均分子量は、400以上が好ましく、500以上がより好ましい。
一方、成形時の溶融粘度が低くなり、成形が容易になるという理由から、エポキシ樹脂(B)の重量平均分子量は、5000以下が好ましく、3000以下がより好ましい。
得られる硬化物の誘電率および誘電正接がより低くなるという理由から、エポキシ樹脂(B)のエポキシ当量は、150g/当量以上が好ましく、170g/当量以上がより好ましい。
一方、得られる硬化物の強度が高くなるという理由から、エポキシ樹脂(B)のエポキシ当量は、400g/当量以下が好ましく、350g/当量以下がより好ましい。
エポキシ当量の測定方法は、後述する。
〈ベンゾオキサジン樹脂(C)〉
ベンゾオキサジン樹脂(C)は、1分子中に少なくとも2つのオキサジン環を有する硬化性化合物である。
ベンゾオキサジン樹脂(C)を製造する方法としては、例えば、ジアミン化合物とフェノール類とパラホルムアルデヒドまたはホルマリンとを反応させる方法(方法1);ビスフェノール類と1級アミンとパラホルムアルデヒドまたはホルマリンとを反応させる方法(方法2);等が挙げられる。
これらのうち、得られるベンゾオキサジン樹脂(C)が加熱時に毒性のアニリン類を分解生成させないという理由から、方法1が好ましい。
ベンゾオキサジン樹脂(C)の製造に用いるジアミン化合物としては、例えば、4,4′−オキシジアニリン(4,4′−ジアミノジフェニルエーテル);4,4′−メチレンジアニリン;パラジアミノベンゼン;これらに、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、芳香族炭化水素基などが置換された化合物;等が挙げられる。
これらのうち、得られる硬化物の耐熱性がより優れ、難燃性も優れるという理由から、4,4′−オキシジアニリンが好ましい。
ベンゾオキサジン樹脂(C)の製造に用いるフェノール類としては、例えば、フェノール;クレゾール類;キシレノール類;ナフトール類;これらに、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン、芳香族炭化水素基などが置換された化合物;等が挙げられる。
これらのうち、安価であるという理由から、フェノール、クレゾール類が好ましい。
ベンゾオキサジン樹脂(C)の製造に用いるビスフェノール類としては、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなどが挙げられ、なかでも、安価であるという理由から、ビスフェノールAが好ましい。
ベンゾオキサジン樹脂(C)の製造に用いる1級アミンとしては、例えば、アニリン;アニリンに、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲンなどが置換された化合物;等が挙げられ、なかでも、安価であるという理由から、アニリンが好ましい。
ベンゾオキサジン樹脂(C)の軟化点は、夏場の保管などで融着しにくいという理由から、50℃以上が好ましく、60℃以上がより好ましい。
一方、溶融粘度が低くなり、製造時に反応容器から取り出しやすいという理由から、ベンゾオキサジン樹脂(C)の軟化点は、150℃以下が好ましく、140℃以下がより好ましい。
ベンゾオキサジン樹脂(C)の重量平均分子量は、保管中に融着しにくいという理由から、400以上が好ましく、500以上がより好ましい。
一方、溶融粘度が低くなり、成形時に反応容器から取り出しやすいという理由から、ベンゾオキサジン樹脂(C)の重量平均分子量は、4000以下が好ましく、3000以下がより好ましい。
〈エポキシ樹脂の硬化触媒(D)〉
エポキシ樹脂の硬化触媒(D)(以下、単に「硬化触媒(D)」ともいう)としては、特に限定されず、例えば、2−メチルイミダゾールなどのイミダゾール類;フェニルホスフィン類;等が挙げられる。
これらのうち、活性が高く、エポキシ樹脂(B)と混ざりやすいという理由から、イミダゾール類が好ましく、2−メチルイミダゾールがより好ましい。
〈含有量〉
本発明の樹脂組成物における縮合物(A)の含有量は、得られる硬化物の誘電特性がより優れるという理由から、4質量%以上が好ましく、8質量%以上がより好ましく、10質量%以上が更に好ましい。
一方、本発明の樹脂組成物における縮合物(A)の含有量は、得られる硬化物の耐熱性がより優れるという理由から、45質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましい。
本発明の樹脂組成物におけるエポキシ樹脂(B)の含有量は、得られる硬化物の誘電特性がより優れるという理由から、4質量%以上が好ましく、8質量%以上がより好ましく、10質量%以上が更に好ましい。
一方、本発明の樹脂組成物におけるエポキシ樹脂(B)の含有量は、得られる硬化物の耐熱性がより優れるという理由から、45質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましい。
本発明の樹脂組成物におけるベンゾオキサジン樹脂(C)の含有量は、得られる硬化物の耐熱性がより優れるという理由から、10質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、40質量%以上が更に好ましい。
一方、本発明の樹脂組成物におけるベンゾオキサジン樹脂(C)の含有量は、得られる硬化物の誘電特性がより優れるという理由から、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、75質量%以下が更に好ましい。
本発明の樹脂組成物における硬化触媒(D)の含有量は、硬化速度を良好にする観点から、0.01質量%以上が好ましい。
一方、本発明の樹脂組成物における硬化触媒(D)の含有量は、得られる硬化物の強度が優れるという理由から、10質量%以下が好ましい。
本発明の樹脂組成物において、縮合物(A)とエポキシ樹脂(B)とは、硬化の際に両者が反応するため、実質的に反応当量含まれることが好ましい。
具体的には、エポキシ樹脂(B)が有するエポキシ基と縮合物(A)が有する水酸基とのモル比(エポキシ基/水酸基)は、0.50〜2.00モルが好ましく、0.80〜1.50モルがより好ましく、0.90〜1.20モルが更に好ましい。
[硬化物]
本発明の硬化物は、上述した本発明の樹脂組成物を硬化させて得られる。
このとき、本発明の樹脂組成物を加熱して硬化させることが好ましい。
加熱温度は、特に限定されないが、硬化速度が速くなるという理由から、100℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましい。一方、熱分解が起こりにくいという理由から、加熱温度は、300℃以下が好ましく、250℃以下がより好ましい。
本発明の硬化物は、低い誘電率および誘電正接を有し、かつ、耐熱性にも優れる。
このため、本発明の硬化物は、例えば、情報機器、通信機器、自動車、家電などに使用される電子制御回路のプリント基板の材料;半導体の封止材料;その他の電子部品の材料;等として有用である。
とりわけ、本発明の硬化物は、低い誘電率および誘電正接が必要な電子通信機器や情報処理機器の材料;高い耐熱性が必要なエンジン制御回路の材料;等として有用である。
以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施例に限定されない。
〈実施例1〉
《トリシクロペンタジエンとフェノールとの縮合物A1の準備》
セパラブルフラスコに、フェノール865g(9.2モル)を入れ、105℃に加熱し、その後、酸触媒である三フッ化ホウ素フェノール錯体を入れた。更に、トリシクロペンタジエン198g(1.0モル)を1時間かけて滴下し、3時間反応させた。滴下中、反応温度が上がらないように、滴下速度を調整した。
反応終了後、ハイドロタルサイト15gを加え、120℃で30分撹拌した。これにより、酸触媒(三フッ化ホウ素フェノール錯体)をハイドロタルサイトに吸着させた。酸触媒が吸着したハイドロタルサイトをろ過して、反応液を得た。
反応液を減圧しながら220℃まで昇温させて、フェノールを除去した。こうして、トリシクロペンタジエンとフェノールとの縮合物A1を得た。
得られた縮合物A1は、軟化点が116℃、重量平均分子量が598、水酸基当量が223g/当量であった。
軟化点は、JIS K 2425:2006「クレオソート油、加工タール及びタールピッチ試験方法」の「8.タールピッチの軟化点測定方法(環球法)」に準拠して測定した(以下、同様)。
重量平均分子量は、テトラヒドロフランを溶媒に用い、GPC法により、ポリスチレンを標準物質に用いて測定した(以下、同様)。
水酸基当量は、JIS K 0070:1992「化学製品の酸価、けん化価、エステル価、よう素価、水酸基価及び不けん化物の試験方法」に準拠して測定した(以下、同様)。
《エポキシ樹脂B1の準備》
エポキシ樹脂B1として、ワコーケミカル社製のオルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(重量平均分子量:870、エポキシ当量:210g/当量)を準備した。
エポキシ当量は、JIS K 7236:2001「エポキシ樹脂のエポキシ当量の求め方」に準拠して測定した(以下、同様)。
《ベンゾオキサジン樹脂C1の準備》
セパラブルフラスコに、トルエン330g、4,4′−オキシジアニリン143g(0.72モル)、フェノール134g(1.43モル)、および、パラホルムアルデヒド93g(3.1モル)を入れ、90℃に加熱した。ディーン・スターク装置を用いて水を除去しながら4時間、還流した。水の留出がおさまったら、120℃に昇温して、トルエンを減圧濃縮した。こうして、ベンゾオキサジン樹脂C1を得た。
得られたベンゾオキサジン樹脂C1は、軟化点が84℃、重量平均分子量が1269であった。
《エポキシ樹脂の硬化触媒D1の準備》
エポキシ樹脂の硬化触媒D1として、富士フイルム和光純薬社製の2−メチルイミダゾールを準備した。
《硬化物の作製》
縮合物A1を1.43g(水酸基量:0.0064モル)、エポキシ樹脂B1を1.57g(エポキシ基量:0.0075モル)、ベンゾオキサジン樹脂C1を3.0g、および、硬化触媒D1を0.01g、持ち手つきアルミカップに入れて、140℃でスパーテルを用いて溶融混錬した。エポキシ樹脂B1のエポキシ基と縮合物A1の水酸基とのモル比(エポキシ基/水酸基)は1.16であった。
その後、160℃で2時間、180℃で2時間、200℃で2時間、220℃で2時間、240℃で1時間加熱して、硬化させた。こうして、硬化物を得た。
《評価》
得られた硬化物について、以下のようにして、ガラス転移温度(単位:℃)、比誘電率、誘電正接、および、5%質量減少温度(単位:℃)を求めた。結果を下記表1に示す。
(ガラス転移温度)
5mm角に切断した硬化物を、線膨張率測定装置(TMA−50、島津製作所社製)を用いて10℃/分で昇温させ、針入法により膨張率を測定した。膨張率の変局点の温度を、ガラス転移温度とした。
(比誘電率および誘電正接)
特定のサイズ(厚さ:3.0mm、40mm×40mm)に成形した硬化物の表面を紙やすりで研磨して平滑にした。その後、誘電率測定装置(エーイーティー社製)を用いて、同軸共振器法により、1GHzの共振周波数の条件で、誘電率および誘電正接を測定した。比誘電率(εr)は、誘電率(ε)を真空の誘電率(ε)の値で除して求めた。
(5%質量減少温度)
得られた硬化物を、TG−DTA装置(島津製作所社製)を用いて、窒素中、10℃/分の速度で昇温させて、質量減少量を測定した。初期より質量が5%減少した時点の温度を、5%質量減少温度とした。
この温度が高いほど、耐熱性に優れると評価できる。
〈実施例2〉
縮合物A1、エポキシ樹脂B1、ベンゾオキサジン樹脂C1および硬化触媒D1の量を、実施例1とは異ならせた。
具体的には、縮合物A1を0.86g(水酸基量:0.0039モル)、エポキシ樹脂B1を0.94g(エポキシ基量:0.0045モル)、ベンゾオキサジン樹脂C1を4.2g、および、硬化触媒D1を0.01g、用いた。エポキシ樹脂B1のエポキシ基と縮合物A1の水酸基とのモル比は1.16であった。
それ以外は実施例1と同様にして、硬化物を得て、評価した。結果を下記表1に示す。
〈比較例1〉
実施例1と異なる点として、トリシクロペンタジエンとフェノールとの縮合物A1に代えて、ジシクロペンタジエンとフェノールとの縮合物a1(重量平均分子量:765、水酸基当量:170g/当量)を用いた。
具体的には、縮合物a1を1.20g(水酸基量:0.0071モル)、エポキシ樹脂B1を1.80g(エポキシ基量:0.0086モル)、ベンゾオキサジン樹脂C1を2.99g、および、硬化触媒D1を0.01g、用いた。エポキシ樹脂B1のエポキシ基と縮合物a1の水酸基とのモル比(エポキシ基/水酸基)は1.21であった。
それ以外は実施例1と同様にして、硬化物を得て、評価した。結果を下記表1に示す。
〈比較例2〉
実施例1と異なる点として、ベンゾオキサジン樹脂C1を使用しなかった。
具体的には、縮合物A1を2.86g(水酸基量:0.0128モル)、エポキシ樹脂B1を3.14g(エポキシ基量:0.0150モル)、および、硬化触媒D1を0.01g、用いた。エポキシ樹脂B1のエポキシ基と縮合物A1の水酸基とのモル比(エポキシ基/水酸基)は1.16であった。
それ以外は実施例1と同様にして、硬化物を得て、評価した。結果を下記表1に示す。
〈比較例3〉
実施例1と異なる点として、縮合物A1およびエポキシ樹脂B1を使用しなかった。
具体的には、ベンゾオキサジン樹脂C1を6.0g、および、硬化触媒D1を0.01g用いた。
それ以外は実施例1と同様にして、硬化物を得て、評価した。結果を下記表1に示す。
Figure 2021187945
〈評価結果まとめ〉
上記表1に示す結果から明らかなように、縮合物A1、エポキシ樹脂B1、ベンゾオキサジン樹脂C1および硬化触媒D1を用いた実施例1〜2は、これらのいずれかを用いない比較例1〜3と比較して、比誘電率が低く、誘電正接が低く、かつ、耐熱性に優れていた。

Claims (4)

  1. トリシクロペンタジエンとフェノールとの縮合物(A)と、
    エポキシ樹脂(B)と、
    ベンゾオキサジン樹脂(C)と、
    エポキシ樹脂の硬化触媒(D)と、を含有する樹脂組成物。
  2. 前記縮合物(A)の含有量が、4〜45質量%であり、
    前記エポキシ樹脂(B)の含有量が、4〜45質量%であり、
    前記ベンゾオキサジン樹脂(C)の含有量が、10〜90質量%であり、
    前記硬化触媒(D)の含有量が、0.01〜10質量%である、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記エポキシ樹脂(B)が有するエポキシ基と前記縮合物(A)が有する水酸基とのモル比(エポキシ基/水酸基)が、0.50〜2.00モルである、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物を硬化させて得られる硬化物。
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