JP2021187542A - 保冷型包装容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】より低コストで準備可能な緩衝性および断熱性に優れ、蓄冷材が生鮮食品類全体の外側から均質に冷却し、保冷性能を格段に高めた、新たな生鮮食品類の包装容器技術を提供する。【解決手段】天面が開口され、内周壁33に縦凹路35、35・・・が設けられ、底壁36に床凹部37、37・・・が設けられた箱本体3と、該箱本体3を施蓋する形状の外蓋4とからなる包装箱2を有し、同箱本体3の底壁36から外蓋4の下壁までの内部上下端間範囲の下層側に割り当てられた食品収容層に収まる1または複数個の食品容器5,5が収容され、該食品収容層の上に割り当てられた内部隔壁層に内蓋6が内装され、該内部隔壁層の上に割り当てられた冷媒設置層に蓄冷材7が内装されてなる保冷型包装容器1。【選択図】図1

Description

この発明は、生鮮食品類を保冷および輸送可能とする包装容器技術に関連するものであり、特に、より断熱、保冷の性能を高め、鮮度よく保存可能な包装容器を製造、提供する分野を初め、その分野には属していないが、そこでの技術的思想の創作内容を取り入れたと同定されるような類いのものを製造、提供する分野についてまでをも含むのは勿論のこと、それらの分野に係わって行う設計、製造、組み立て、輸送、保管、包装、利用の各段階に必要となる設備、器具類を提供、販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
(着目点)
道の駅やデパート、スーパーマーケット、果物の専門店、直売所、その他の店頭で5月ないし7月頃にかけて販売されるサクランボは、一般に、青果用のPET(ポリエチレンテレフタレート)製や、発泡スチロール製などの食品トレーに複数個ずつ収容され、該食品トレーの上に透明なフィルム帯が巻き掛けられたり、食品トレー全体を透明フィルムで包装されたりして店頭に陳列、販売され、さらに、各種の通信販売などを含め、贈答品や長距離輸送品として販売される場合などには、贈答用の段ボール製や発泡スチロール製などの包装箱に、1または複数個の食品トレーが箱詰めされた状態で販売されている。しかしながら、朝に収穫されたサクランボは、常温で2ないし3日で鮮度が落ちてしまい品質を損ねてしまう性質があり、長期保存が難しいものであり、特に、遠方から観光なので訪れた顧客が、長距離をマイカーや各種交通機関などを利用して持ち帰る場合などには、輸送中の気温変化などの影響を受け易く早期に鮮度を失い、外観や香り、味などの品質が大きく損なわれてしまう虞があるという欠点があった。
(従来の技術)
こうした状況を反映し、その打開策となるような提案もこれまでに散見されない訳ではない。
例えば、下記の特許文献1(1)に提案されているものに代表されるように、発泡樹脂製の片面容器に大房ぶどうの房を収納する形状をなし、且つ、大房ぶどうの房が部分的に、または、大部分浮き出る深さを有する収納部を形成すると共に、前記収納部の周縁部は、ぶどうの房との間で空間が余裕をもって残る斜めの縁によって形成し、2枚の片面容器によって大房ぶどうの房を挟装・固定するものとされ、輸送中にぶどうの房が容器内で移動して崩れたり、片寄ったり、粒が落ちたりするのを防止し、発泡樹脂の断熱性によって容器内部の温度の上昇を抑え、保存性を高めたものとしたぶどう包装容器や、同特許文献1(2)に見られるような、硬質の合成樹脂材からなる肉薄の外箱の内がわに、発泡樹脂成形体からなる肉厚の内箱を嵌装した箱本体と、硬質の合成樹脂材からなる肉薄の外蓋の内がわに、発泡樹脂成形体からなる肉厚の内蓋を嵌装し、その内蓋の下面がわには、前記内箱の開口部に密に嵌まり合う盤状の突起部を発泡樹脂成形体によって一体に成形し、且つ、その突起部の下面がわには、嵌込凹部を成形した蓋体と、その蓋体の前記嵌込凹部に密に嵌まり合う容器に封入した蓄冷材とからなり、詰め込んだサクランボが、容器外からの衝撃・外圧によって傷みを受けることが防止でき、また、蓄冷材が、詰め込んだサクランボを冷却し、日持ちを伸ばし、該蓄冷材が、サクランボに接触して傷つけてしまうのを防止するようにしたサクランボ用の包装容器などが散見される。
しかし、前者特許文献1(1)に示されているようなぶどう包装容器は、収納された果実類を輸送中の振動や衝撃から保護できるが、保冷機能を有しておらず常温保存となってしまうから、鮮度を維持する機能に欠けるものであり、また、特許文献1(2)のサクランボ用の包装容器のように、蓋体の下面がわに下向きに開口するよう成形された嵌込凹部に対し、硬質な蓄冷材が嵌装されたものは、当該包装容器内の上がわおよび中央が主に強く冷却され、外周囲壁付近や底壁付近などが冷却され難く、当該包装容器内の均質な冷却が難しいものである上、当該包装容器の輸送中に、外部から受けた振動などによって該蓄冷材が、この嵌込凹部から不用意に離脱してしまい、収容された果実類の上に落下し、損傷を与えてしまう虞があるなどの欠点があった。
(1)実開昭60−10782号公報 (2)実開平2−46583号公報
(問題意識)
上述したとおり、従前までに提案のある各種生鮮食品類用の包装容器などは、何れも発泡樹脂製の容器によって果実類を外部からの振動や衝撃などから保護し、長距離輸送などに対応できるものや、蓄冷材の同梱によって外気温よりも冷却された状態に保存可能として鮮度を維持可能としたものなどが既に開発済みとなっているものの、緩衝機能および断熱性能などに優れた発泡樹脂製の包装容器だけでは、常温保存で静置保管するのと略同等の鮮度を維持するのに留まるものであり、また、蓄冷材が蓋体の内壁に嵌装されたものにあっては、包装容器内の冷却ムラが発生し易く、蓄冷材の接近配置によって過剰な冷却や結露の発生など生鮮食品類に悪影響を与える虞があり、特に、蓄冷材が生鮮食品類の直上に配されたものは、輸送中の振動などによって蓄冷材が落下して生鮮食品類を直撃してしまう虞があった。
さらに、何れの発泡樹脂製の容器も、葡萄の房専用の収容部や、蓄冷材専用の嵌込凹部などが一体に成形されたものとなっているから、夫々の樹脂製容器を製造するには専用の金型が必要となり、包装容器の生産コストが高騰してしまうものであり、こうした経費を要さずとも、複数個のサクランボを効率的に包装し、輸送中の外的衝撃などからサクランボを充分に保護し、さらに、包装容器に収容された複数個のサクランボを包装容器の周壁がわから全体的に均質に保冷可能とする、新たな包装技術の必要性を痛感するに至ったものである。
(発明の目的)
そこで、この発明は、より低コストで準備可能な緩衝性および断熱性に優れた包装容器であって、該包装容器内に同梱された蓄冷材が発生する冷気によって収容された生鮮食品類の全体の外がわから均質に冷却され、保冷性能が格段に高められた、新たな生鮮食品類の包装容器技術の開発はできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に亘、試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造の保冷型包装容器を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明の保冷型包装容器は、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、天面が開口され、周囲壁の内周壁に複数本の縦凹路が設けられ、底壁の内壁に床凹部が設けられた箱本体、および、該箱本体の天面の開口を施蓋する形状の外蓋からなる包装箱を有し、該包装箱の箱本体の底壁の上壁から外蓋の下壁までの内部上下端間範囲の上層がわを除く下層がわを含む範囲に割り当てられた食品収容層に収まる上下間寸法とされた1または複数個の何れか一方の食品容器が該食品収容層内に収容され、当該内部上下端間範囲の食品収容層の上端から該外蓋の下壁までの間の下層がわに割り当てられた内部隔壁層には、当該1または複数個の何れか一方の食品容器の天面を覆い、且つ、当該箱本体の各縦凹路の内壁との間に隙間を確保する外郭形状とされた内蓋が内装され、当該内部上下端間範囲の内部隔壁層の上端から該外蓋の下壁までの間に割り当てられた冷媒設置層には、該冷媒設置層内に収まる外郭寸法の蓄冷材が内装されたものとしてなる構成を要旨とする保冷型包装容器である。
この基本的な構成からなる保冷型包装容器は、その表現を変えて示すならば、天面が開口され、周囲壁の内周壁に複数本の縦凹路が設けられ、底壁の内壁に床凹部が設けられた箱本体、および、該箱本体の天面の開口を施蓋する形状の外蓋からなる包装箱を有し、該包装箱の箱本体の底壁の上壁から外蓋の下壁までの内部上下端間範囲の上層がわを除く下層がわを含む範囲に割り当てられた食品収容層に収まる上下間寸法とされた1または複数個の何れか一方の食品容器が該食品収容層内に収容され、当該内部上下端間範囲の食品収容層の上端から該外蓋の下壁までの間の下層がわに割り当てられた内部隔壁層には、当該1または複数個の何れか一方の食品容器の天面を覆い、且つ、当該箱本体の各縦凹路の内壁との間に隙間を確保する外郭形状とされた内蓋が内装され、当該内部上下端間範囲の内部隔壁層の上端から該外蓋の下壁までの間に割り当てられた冷媒設置層には、該冷媒設置層内に収まる外郭寸法の蓄冷材が内装され、該蓄冷材が冷却した該冷媒設置層の冷気が、内蓋の上壁の外縁がわから複数本の縦凹路および床凹部をとおり床壁の内壁の中央に至る過程で、該食品収容層の食品容器の全体を外周囲から包み込む冷気シールドを形成するよう連続的に流動するものとされた構成からなる保冷型包装容器となる。
より具体的には、天面が開口され上向き嵌合縁が設けられ、周囲壁の内周壁の周方向に沿って複数本の内壁凸部および複数の縦凹路が交互に配され、底壁の内壁に、複数の凸床部および凸床部の余となる範囲に床凹部が配された断熱素材製の箱本体、および、該箱本体の上向き嵌合縁に密閉状に嵌合可能な下向き嵌合縁が設けられ、該箱本体の天面の開口を密閉封止する断熱素材製の外蓋からなる包装箱を有し、該包装箱の箱本体の凸床部から外蓋の下壁までの内部上下端間範囲の上層がわを除く下層がわを含む範囲に割り当てられた食品収容層の上下幅範囲に収まる上下端間寸法であって、当該箱本体の各内壁凸部で囲まれた範囲に収まる外郭形状とされた1または複数個の何れか一方の透明樹脂製の食品容器が、当該内部上下端間範囲の該食品収容層内に収容され、当該内部上下端間範囲の食品収容層の上端から該外蓋の下壁までの間の下層がわに割り当てられた内部隔壁層には、当該1または複数個の何れか一方の食品容器の天面を覆い、且つ、当該箱本体の各縦凹路の内壁との間に僅かな隙間を確保する外郭形状とされた断熱素材製の内蓋が内装され、当該内部上下端間範囲の内部隔壁層の上端から該外蓋の下壁までの間に割り当てられた冷媒設置層には、該冷媒設置層内に収まる外郭寸法の蓄冷材が内装された構成からなる保冷型包装容器となる。
以上のとおり、この発明の保冷型包装容器によれば、従前までのものとは違い、上記したとおりの固有の特徴ある構成から、包装箱の内部上下端間範囲の最下層に割り当てられた食品収容層に食品容器が配され、該食品収容層の上に割り当てられた内部隔壁層に内蓋が内装され、最上層に割り当てられた冷媒設置層に蓄冷材が内装されたものとされているから、食品容器内に収容され、保冷包装の対象となる生鮮食品類を、外気から隔絶すると共に緩衝、保護するものとなる上、該食品容器と該蓄冷材との間の内蓋が、食品容器内の生鮮食品類に蓄冷材が直接接するのを阻止し、生鮮食品類の過剰な冷却や凍結などを防止する上、冷媒設置層の蓄冷材が冷却した空気が、内部隔壁層の内蓋の周縁の外がわから複数本の縦凹路に沿って流下し、床凹部に流れ込み、該食品容器の周壁外および底壁外から冷気シールドで包み込むよう均質に保冷するものとなることから、より一層、秀でた保冷性能を発揮し、生鮮食品類をより長時間に渡って鮮度良く保存可能なものとすることができる。
加えて、断熱素材製の箱本体の、周囲壁の内周壁に複数本の内壁凸部および複数の縦凹路が交互に配されたものとされたものは、各内壁凸部が、食品収容層に収容された食品容器の周囲壁を側方から保持し、緩衝性をより高めると共に、包装箱内で食品容器が不用意にズレ動くのをより確実に防止できるものとなり、さらに、冷媒設置層で冷やされた冷気が、内部隔壁層の内蓋の上壁上を水平移動して同周縁の外がわをとおり、各縦凹路に沿って該食品収容層の周囲に流下し、また、流れ込んだ冷気と入れ替わるように、該食品収容層の暖かい空気が、内部隔壁層の内蓋の下壁下に上昇され、同内蓋の周縁の外がわから各内壁凸部の上端上を通って冷媒設置層の外蓋の下壁に沿って蓄冷材の直上付近に対流するから、蓄冷材が常温に戻るまでの間、該食品収容層に冷気が効率的且つ連続的に供給され続けるものになるという特徴的な効果を発揮するものとなる。
そして、箱本体の複数本の縦凹路が、食品収容層の上端近傍から下端までの間に縦に連続して設けられ、各縦凹路の上端が、内部隔壁層および冷媒設置層に連続されたものによると、各縦凹路の上端上に内蓋の周縁が載置され、蓄冷材が搭載された内蓋の重量を、各縦凹路が安定に支持するものとなり、食品容器に収容された生鮮食品類に不要な荷重負荷が掛かるのをより確実に防止できるものとなる。
また、箱本体の床凹部が、底壁の内壁の何れか対峙する二辺間に平行に配列された複数本の直線状の凸床部に対し交互に配された複数本の直線状に凹設されたものとしてなるものは、各凸床部が、食品収容層に収容された食品容器の底部を安定に支持すると共に外力を緩衝して保護するものとなる上、各床凹部が、冷媒設置層から各縦凹路に沿って流下して来る冷気を当該箱本体の底壁の中央まで直線的に誘導するから、生鮮食品類の包装を完了した直後から、該生鮮食品類、およびそれを収容した食品容器を外がわから冷気の膜で包み込むように速やかに冷却し始めるものになるという優れた効果を奏するものとなる。
さらに、断熱素材製の皿形状の食品トレーを、その底部が外蓋がわに向けられた上下反転姿勢のものとされてなるものは、内蓋の全周縁が、下方に向けて傾斜されたものとなっているから、蓄冷材によって冷却された冷気が、該内蓋の上壁上の周縁から、より速やかに流下するものとなり、包装を完了した直後から、淀むこと無く食品収容層に冷気が供給されるものとなる上、当該内蓋の中央が上方に膨出された形状となるから、食品容器の上端から上方に露出する生鮮食品類に該内蓋の下壁が干渉してしまうのを、より確実に防止することができるものとなる。
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
包装箱は、その内部の内部上下端間範囲に食品収容層、内部隔壁層および冷媒設置層を夫々割り当て可能とし、各層の夫々に食品容器、内蓋および蓄冷材が積層状且つ外気から密閉された状態に収納可能とする機能を分担し、具体的には、天面が開口され、周囲壁の内周壁に複数の縦凹路が設けられ、底壁の内壁に床凹部が設けられた箱本体、および、該箱本体の天面の開口を施蓋する形状の外蓋からなるものとしなければならず、外観が矩形箱状のものの外、円筒形状のもの、球形状のもの、錐形状のもの、その他の異形の立体形状のものなどとすることが可能であり、より具体的には、後述する実施例にも示すように、天面が開口され上向き嵌合縁が設けられ、周囲壁の内周壁の周方向に沿って複数の内壁凸部および複数の縦凹路が交互に配され、底壁の内壁に、複数の凸床部および凸床部の余となる範囲に床凹部が配された断熱素材製の箱本体、および、該箱本体の上向き嵌合縁に密閉状に嵌合可能な下向き嵌合縁が設けられ、該箱本体の天面の開口を密閉封止する外蓋からなるものとするのが良く、より具体的には、段ボールなどの厚紙製のものや、後述する実施例にも示すような発泡スチロール製のものなど、軽量で緩衝性を兼ね備えたものとするのが望ましい。
箱本体は、外蓋と組み合わせられ包装箱と成り、内部上下端間範囲の食品収容層、内部隔壁層および冷媒設置層の中の少なくとも食品収容層の下がわの範囲の底壁および周囲壁を成し、それら底壁および周囲壁が密閉性および断熱性を発揮する機能を分担しており、天面が開口され、周囲壁の内周壁に複数の縦凹路が設けられ、底壁の内壁に床凹部が設けられたものとしなければならず、より具体的には、天面が開口され上向き嵌合縁が設けられ、周囲壁の内周壁の周方向に沿って複数本の内壁凸部および複数の縦凹路が交互に配され、底壁の内壁に、複数の凸床部および凸床部の余となる範囲に床凹部が配された断熱素材製のものとすべきであり、天面の開口の上向き嵌合縁は、開口の全周囲に沿って連続する上向きの開口溝とされたものとすることができる外、後述する実施例にも示すとおり、開口の全周囲に沿って連続する上向きの凸条とされたものとすることができる。
外蓋は、箱本体と組み合わせられ包装箱と成り、内部上下端間範囲の食品収容層、内部隔壁層および冷媒設置層の中の少なくとも冷媒設置層の上がわの天壁を成すか、または少なくとも冷媒設置層の上がわの範囲の天壁および周囲壁かの何れか一方を成す機能を分担するものであり、該箱本体の天面の開口を施蓋する形状とされたものとしなければならず、外蓋の天壁か、または外蓋の天壁および周囲壁かの何れか一方が密閉性および断熱性をもって箱本体の天面の開口を施蓋する形状とされたものとするのが良く、より具体的には、当該箱本体の上向き嵌合縁に密閉状に嵌合可能な下向き嵌合縁が設けられ、同箱本体の天面の開口を密閉封止する断熱素材製のものとするのが望ましく、下向き嵌合縁が、当該外蓋の下壁の全周囲に沿って連続する下向きの凸条とされたものとすることができる外に、後述する実施例にも示すとおり、同外蓋の下壁の全周囲に沿って連続する下向き開口溝とされたものとすることができる。
また、外蓋の冷媒設置層と対峙する下壁には、該外蓋の下壁の遠心がわから中央に向けて延伸された複数本の空気誘導溝が複数本刻設され、冷媒設置層から下降して行く冷気と入れ替えに、食品収容層で暖められ上昇して来る空気を、遠心がわから蓄冷材の直上となる中央がわへ向けて誘導可能とされたものとすることができ、それら空気誘導溝間に直線状に延びる下向き凸条部が突設されたものとすることが可能であり、さらにまた、箱本体の上向き開口と外蓋との間には、軟質合成樹脂製や軟質天然ゴム製などのパッキン類が介在されたものとすることが可能であり、そして、該外蓋と箱本体との間に開閉用のヒンジや閉止用のバックル、施錠用の錠前金具類などが設けられたもの、または、外蓋および箱本体の外周に巻き付けられたバンド類や、該箱本体の周囲壁の対峙する外壁や底壁の下壁に回り込むように装着されるなどされた運搬用のショルダーハーネスなどが設けられたものとすることができる。
包装箱の内部上下端間範囲は、該包装箱の内部の生鮮食品類を収容した食品容器、内蓋および蓄冷材を収容する上下端間の全範囲を示し、食品収容層、内部隔壁層および冷媒設置層の三層からなり、最も下層の食品収容層には生鮮食品類を収容した食品容器が配され、中間層となる内部隔壁層には内蓋が配され、最も上層となる冷媒設置層には蓄冷材が配されるものとなる機能を分担し、該食品収容層は、生鮮食品類を収容した食品容器の全高に略一致するか、または、それを僅かに超える上下端間寸法に設定され、この内部隔壁層は、内蓋の全高に略一致するか、または、それを僅かに超える上下端間寸法に設定され、さらに、冷媒設置層は、蓄冷材の全高に略一致するか、または、それを僅かに超える上下端間寸法に設定されたものとすべきであり、各層は、相互間に通気性が確保されている上、各層毎に余剰となる空間を極力持たず、保冷性能を高めたものとするのが良く、より具体的には、食品収容層の上下端間寸法は、生鮮食品類を収容した食品容器の全高の1倍ないし2倍未満とされ、内部隔壁層の上下端間寸法は、内蓋の全高の1倍ないし2倍未満とされ、また、冷媒設置層の上下端間寸法は、蓄冷材の全高1倍ないし2倍未満とされたものとするのが望ましい。
箱本体の縦凹路は、包装箱の内部の冷媒設置層で冷やされ、内部隔壁層に収容された内蓋の周縁の外がわをとおり、流下する冷気を食品収容層の周囲壁の内面壁に沿って箱本体の底壁の床凹部まで誘導可能とする機能を分担するものであり、箱本体の周囲壁の内周壁に複数本設けられたものとしなければならず、外蓋の周囲に箱本体の上向き開口に対し下向きに嵌合する下向きスリーブ状の側短壁がある場合には、該側短壁の内周壁にも箱本体の複数の縦凹路の各上端に連続する複数の縦凹路が刻設されたものとすることができ、後述する実施例にも示しているように、箱本体の内周壁の周方向に沿って複数本の内壁凸部および複数の縦凹路が交互に配されたものとすることができ、さらに、各内壁凸部が、食品収容層の上下端間の範囲に突設されたものとするのが良い。
箱本体の内壁凸部は、生鮮食品類を収容した食品容器の該箱本体の周囲壁と対峙する外周壁を緩衝および支持可能とする機能を分担し、当該箱本体の周囲壁の内周壁の周方向に沿って複数本の内壁凸部および複数の縦凹路が交互に配されたものとすることができ、後述する実施例にも示すように、当該箱本体の周囲壁の内周壁の食品収容層に配された食品容器の上端から外がわに向けて突設された外周縁よりも僅かに低い位置から、同箱本体の底壁に至る範囲の上下端間に設けられたものとするのが良い。
箱本体の底壁の床凹部は、該箱本体の周囲壁の内周壁の複数本の縦凹路に沿って流下する冷気を、底壁の中央に向けて誘導可能とする機能を分担しており、当該箱本体の底壁の内壁に対して刻設されたものとしなければならず、同箱本体の底壁の内壁に点在する複数個の凸床部の余となる範囲かからなる床凹部とすることが可能であり、同箱本体の底壁の内壁の、各縦凹路の下端に対応する付近から同底壁の内壁の中央に連続する凹溝状のものとするのが望ましく、より具体的には、当該箱本体の底壁の内壁の中央に短円柱状の凹部が設けられ、該短円柱状の凹部から水平面上の遠心方向に放射状となる凹条部が、該箱本体の周囲壁の縦凹路の下端付近まで延伸された状態に刻設されたものとすることができる外、後述する実施例にも示しているように、当該箱本体の底壁の内壁の何れか対峙する二辺間に平行に配列された複数本の直線状の凸床部に対し交互に配された複数本の直線状に凹設されたものとすることができる。
食品容器は、包装の対象となる生鮮食品類を保護および収容し、包装箱の食品収容層に配される機能を担い、生鮮食品類の大きさや形などに適した器形状または箱形状のものなどとするのが望ましく、包装箱の食品収容層に1または複数個が収まる寸法、形状のものとされ、当該食品容器の周壁が箱本体の各縦凹路との間に冷気が流下する間隙を確保された形状のものとされ、さらに、同食品容器の底壁と箱本体の床凹部との間に冷気が流れ込む隙間を確保されたものとしなければならず、網目状の緩衝用ネットや籠などとすることが可能であるが、通気製の無い素材製の天面が開口された容器とするのが望ましく、より具体的には、厚紙製や発泡スチロール製などのトレーや箱、開閉蓋付きの容器、天面が開口された容器に帯状フィルムが巻き掛けられているものや、天面が開口された容器の全体が樹脂フィルムで包装されているもの、または後述する実施例にも示しているとおり、透明なPET(ポリエチレンテレフタレート)製の市販の食品用トレーなどとすることができる。
内蓋は、冷媒設置層の蓄冷材が直接的に食品収容層の食品容器の生鮮食品類に接してしまい凍結などの悪影響が及ばないよう適度に断熱保護すると共に、該冷媒設置層で冷やされた冷気が、直接的にこれら生鮮食品類に降り注ぐのを防止し、該冷気を包装箱の箱本体の周囲壁の内周壁がわ、および、各縦凹路の上端がわへ誘導可能とする機能を分担し、食品収容層の直上の包装箱の周囲壁の内周壁よりも極僅かに小さな面積であって、食品収容層の直上の略全体を覆うものとするのが望ましく、食品収容層に配された食品容器の上端に接するか、各内壁凸部の上端に接するか、または、食品収容層と冷媒設置層との境付近となる箱本体の周囲壁の内周壁に対し、僅かな隙間を維持しながら、僅かな摩擦をもって接するかの何れかとされて、該包装箱の内部隔壁層に配されたものとするのが良く、キッチンペーパーやパラフィン紙、軟質発泡樹脂シート、不織布、布、スポンジなどの素材製のものとすることができるが、厚紙や木板、硬質合成樹脂板などのように硬質且つ断熱性を有するものとするのが望ましく、後述する実施例にも示しているように、発泡スチロール製の市販の皿形状の食品用トレーを、その底部が外蓋がわに向けられた上下反転姿勢とされてなるものとすることができる。
蓄冷材は、包装箱の冷媒設置層の空気を冷却し、食品収容層に冷気を連続的に供給する機能を担い、自らに蓄冷されたものであって、外部電力の供給などを要さずとも食品収容層を保冷可能なものとしなければならず、冷却した水、氷、凍らせた食品類などとすることができる外、包装の対象がアイスクリームや氷菓子、冷凍食品などのように冷凍保存を要するものの場合にはドライアイスとすることが可能であり、また、後述する実施例にも示しているが、水とゲル剤(例えば天然高分子)、保存料、必要に応じて着色料などが混合された蓄冷剤が、ポリエチレン製プラスチック容器や袋に充填されてなるものとすることができる。
包装の対象となる生鮮食品類は、冷蔵保存が望ましい食品とすることができ、魚介、飲料、果物、フルーツ、果実的野菜、野菜、ケーキなどの菓子類、その他、様々な食品とすることが出来る外、冷凍食品やその他の冷凍保存を要する物品とすることができ、さらにまた、この発明の包装箱は、これらの生鮮食品類を医薬品や輸液、輸血用血液製剤、検体、移植用臓器などに置き換え、それらの冷却保存および輸送などにも利用可能なものであるということができる。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
図面は、この発明の保冷型包装容器の技術的思想を具現化した代表的な幾つかの実施例を示すものである。
分解された保冷型包装容器を示す斜視図である。 サクランボを収容した食品容器を配した箱本体を示す斜視図である。 内蓋を配した箱本体を示す斜視図である。 蓄冷材を配した箱本体を示す斜視図である。 施蓋された包装箱を示す斜視図である。 一部を断面化し冷気の流れを示す保冷型包装容器の正面図である。 一部を断面化し冷気の流れを示す保冷型包装容器の側面図である。 箱本体を示す平面図である。 内蓋に誘導される冷気の流れを示す箱本体および内蓋の平面図である。
図1ないし図9に示す事例は、天面が開口31され、内周壁33に縦凹路35,35,……が設けられ、底壁36に床凹部37,37,……が設けられた箱本体3と、該箱本体3を施蓋する形状の外蓋4とからなる包装箱2を有し、同箱本体3の底壁36から外蓋4の下壁までの内部上下端間範囲Hの下層がわに割り当てられた食品収容層H0に収まる1または複数個の食品容器5,5が収容され、該食品収容層H0の上に割り当てられた内部隔壁層H1に内蓋6が内装され、該内部隔壁層H1の上に割り当てられた冷媒設置層H2に蓄冷材7が内装されたものとしてなる、この発明の保冷型包装容器における代表的な一実施例を示すものである。
それら各図からも明確に把握できるとおり、この発明の保冷型包装容器1は、その箱本体3と外蓋4とからなる包装箱2が、白色の発泡スチロール製の市販の既製品である果物用の矩形の輸送箱2とされ、食品容器5が無色透明なPET(ポリエチレンテレフタレート)製の市販品の矩形深型容器状の食品用トレー5とされ、内蓋6が白色の発泡スチロール製の市販の矩形浅型の皿形状の食品用トレー6とされ、蓄冷材7が、ナイロン(NY)製の外層、および、ポリエチレン(PE)製の最内層を有する軟質フィルム製のナイロンポリ袋に、水とゲル剤(例えば天然高分子)、保存料などが混合された無色(または、着色料が混合された有色のものとすることが可能である。)透明の蓄冷剤が充填されてなる軟質な矩形板状の市販の保冷剤7とされ、それら包装箱2、食品容器5,5、内蓋6および蓄冷材7の全ての部品が、夫々既に広く市販されている既製品であって、この発明の保冷型包装容器1の全体が、廉価に入手可能な既製品の組み合わせからなるものとされている。
包装箱2の箱本体3は、2個の食品容器5,5が、互いの一方の長辺同士を接するよう配列された矩形平面積より極僅かに大きな平面積とされた底壁36、および、該底壁36の上壁上に載置された該食品容器5の上端50よりも20mm前後高く設定された周囲壁30を有し、該箱本体3の、底壁36の上壁から、同底壁36の上壁上に載置された該食品容器5の上端50までの上下端間範囲H0が、食品収容層H0に割り当てられ、天面が開口31され、各4辺の周囲壁30の上端には、外周囲に段差を有する矩形環状の凸条32からなる上向き嵌合縁32が突設されたものとなっている。
各周囲壁30の内周壁33には、その長辺壁の3箇所、および短辺壁の2箇所の夫々の食品収容層H0の上下端間範囲H0に、厚さTを4.5mmとした内壁凸部34,34,……が、互いに周方向の間隔を隔てて配された内向きの幅広凸条となるよう突設されると共に、各内壁凸部34,34,……の間には、奥行きTを4.5mmとした幅広の縦凹路35,35,……が配され、それら内壁凸部34,34,……と縦凹路35,35,……とが、4辺の内周壁33の周方向に沿って交互に配され、また、当該箱本体3の底壁36の上壁には、該底壁36の上壁の2つの長辺間に平行に配列された複数本の凸床部36,36,……および各凸床部36,36,……の余となる範囲に、深さDを6mmとした複数本の床凹部37,37,……が、内周壁33の対峙する短辺壁および内壁凸部34,34,……の間に渡って連続する直線状に配されたものとされている。
包装箱2の外蓋4は、箱本体3の上向き開口31を隠蔽可能な平板状の蓋壁40と、該蓋壁40の全外周囲から垂下された側短壁41とを有し、該側短壁41の下端には、当該箱本体3の上向き嵌合縁32を密に嵌合する下向き嵌合縁42としての下向き開口溝42が凹設されたものとなり、図6および図7に示すように、外蓋4は、当該箱本体3に施蓋された場合に、蓋壁40の下壁から該箱本体3の底壁36の上壁までの上下端間範囲Hが内部上下端間範囲Hとされ、内部上下端間範囲Hの最下層に食品収容層H0が割り当てられ、該内部上下端間範囲H内の該食品収容層H0の直上となる中間層に内部隔壁層H1が割り当てられ、さらに、同内部上下端間範囲H内の該内部隔壁層H1の直上となる最上層に冷媒設置層H2が割り当てられたものとされている。
図6ないし図9に示すように、当該包装箱2内の内部隔壁層H1には、箱本体3の内周壁33に囲まれた平面矩形状の範囲より僅かに小さな略相似形であって、しかも一方の長辺同士を接するよう配列された2個の食品容器5,5の上下方向の投影面積よりも僅かに大きな上下方向の投影面積となる寸法に設定された矩形浅型の皿形状の食品用トレー6が上下を反転され、平面形とされた底部中央が上向きの俯せ姿勢とされ、4方の周縁が20°ないし60°、例えば約45°の下り勾配で垂下された内蓋6が、箱本体3の内周壁33に遊嵌状に配されたものとなり、当該内部隔壁層H1の内蓋6上の冷媒設置層H2には、該箱本体3の内周壁33に囲まれた平面矩形状の範囲よりも充分に小さく、内蓋6の平面形とされた底部中央範囲に略相当する平面積とされ、冷媒設置層H2の上下端間範囲内に余裕を持って収まる上下厚み寸法とされた蓄冷材7が配されたものとなっている。
(実施例1の作用・効果)
以上のとおりの構成からなるこの発明の保冷型包装容器1は、図1ないし図9に示すように、生鮮食品類8としての複数個のサクランボ8,8,……を収容された2個の食品容器5,5が、箱本体3の食品収容層H0に割り当てられた底壁36の上壁上に並べて配され、該食品収容層H0の直上に割り当てられた内部隔壁層H1に内蓋6が配され、該内蓋6の周縁が、各内壁凸部34,34,……の上端か、または、食品容器5,5の上端50,50の外周縁50,50かの何れか一方に係止され、サクランボ8,8,……に接することなく水平に支持されたものとなり、該内部隔壁層H1の直上に割り当てられた冷媒設置層H2には、蓄冷材7が該内蓋6の上壁上の中央に搭載された状態に配され、さらに、当該箱本体3の上向き開口31に、外蓋4が、互いの上向き嵌合縁32と下向き開口溝42とが密に嵌合され、組み立てられた包装箱2は、その内部上下端間範囲Hが外部から気密に隔離された状態に密閉、包装されたものとなる。
このように包装を完了したこの発明の保冷型包装容器1は、内部隔壁層H1の内蓋6が、食品収容層H0のサクランボ8,8,……に冷媒設置層H2の蓄冷材7が、機械的および熱的に接触するのを防止し、断熱保護するものとなって、サクランボ8,8,……が潰れたり凍結したり、過剰に冷却されてしまったりするのを確実に防止するものとなり、しかも図6、図7および図9中の複数本の二点鎖線矢印の夫々に示すように、蓄冷材7に接して冷却された冷媒設置層H2の冷気70が、内部隔壁層H1の内蓋6の上壁上を外がわに向けて流れ、同内蓋6の外周縁を回り込むように流れ下り、食品収容層H0の各内壁凸部34,34,……間の各縦凹路35,35,……に沿って内周壁33と食品容器5の周壁との間隙に冷気膜70を成す如く流下し、さらに、箱本体3の底壁36の上壁の外周縁に達した該冷気70は、各凸床部36,36,……間の各床凹部37,37,……の外端がわから同底壁36の上壁の中央に向けて流動し、2個の食品容器5,5の間を該内蓋6の下壁まで上昇し、同内蓋6の下壁に沿って水平方向の外がわに移動しながら、各食品容器5,5内のサクランボ8,8,……に冷気が降り注がれ、満遍なく保冷するものとなり、図6、図7および図9中の複数本の一点鎖線矢印の夫々に示すように、食品収容層H0の温度が上昇した空気71は、各内壁凸部34,34,……の上端に相当する冷気70の流れが起こらない位置から内部隔壁層H1の内蓋6の外周縁を回り込むようにして冷媒設置層H2の外蓋4の側短壁41の内壁に沿って上昇し、同外蓋4の蓋壁40の下壁に沿って蓄冷材7の上方の隙間に達し、該蓄冷材7に接して冷却されるものとなり、該蓄冷材7が常温に戻るまでの間に渡って該冷気70および温度が上昇した空気71の対流が連続的な循環を続けるものとなる。
また、内蓋6は、断熱性を有するから、蓄冷材7の冷たさがサクランボ8,8,……に直接的に伝わるのを阻止し、過剰な冷却や凍結を防止できる上、該内蓋6の下壁に霜や水滴が発生するのを防止し、サクランボ8,8,……を保護するものとなり、さらに、内蓋6の上下方向の投影面積が、2個並べて配された食品容器5,5の上下方向の投影面積を僅かに超え、各食品容器5,5の開口縁の上端50,50を覆う形状とされているから、蓄冷材7の冷却によって冷媒設置層H2内に水滴が発生し、内蓋6の上壁上を水平方向の外がわに向けて該水滴が流下した場合であっても、各食品容器5,5内に流入することなく、各食品容器5,5の周壁の外面壁と箱本体3の内周壁33(内壁凸部34,34,……、縦凹路35,35,……)との間を通じて同箱本体3の底壁36(凸床部36,36,……、床凹部37,37,……)に流れ落ち、各食品容器5,5内のサクランボ8,8,……に水が付着してしまうのを確実に防止し、より鮮度良く保冷できるものとなる。
加えて、この発明の保冷型包装容器1は、その全ての部品が市販の既製品からなるから、各容器の専用金型の設計および製造までの経費を一切必要とせず、専用部品の開発が不要となり、格段に経済的に提供可能なものとなる上、前述の如く内部上下端間範囲H内に食品収容層H0、内部隔壁層H1および冷媒設置層H2が積層状に積み重ねられ、収容効率に優れた配置構成とされているから、郵便や宅配便などで発送する場合にも、包装箱2の外寸の縦、横、高さの合計を、60cmの60サイズないし80cmの80サイズに留めることが容易となり、輸送経費を格段に削減できるものになるという秀でた利点が得られるものである。
(結 び)
叙述の如く、この発明の保冷型包装容器は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも製造も容易で、従前からの包装容器技術に比較して断熱、保冷性能を格段に高めることができる上、軽量で使い易く、各部品を既製品からなるものに置き換えることができるから、設計および製造への投資が不要となり、大幅に低廉化し、遥かに経済的なものとすることができ、生鮮食品類やその他の要冷蔵品類などを、従来型の容器類よりもより効果的に保冷し、より安全に保護、輸送したいと希望する生鮮食品類の卸売り業界および販売業界はもとより、その他の様々な物品類の冷蔵輸送を担う輸送業界および一般家庭などにおいても高く評価され、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
1 保冷型包装容器
2 包装箱
3 箱本体
30 同 周囲壁
31 同 上向き開口
32 同 上向き嵌合縁
33 同 内周壁
34 同 内壁凸部
35 同 縦凹路
T 同 内壁凸部34の厚さ(縦凹路35の奥行き)
36 同 底壁(凸床部)
37 同 床凹部
D 同 床凹部37の深さ
4 外蓋
40 同 蓋壁
41 同 側短壁
42 同 下向き開口溝(下向き嵌合縁)
H 内部上下端間範囲
H0 同 品収容層
H1 同 内部隔壁層
H2 同 冷媒設置層
5 食品容器
50 同 外周縁(上端)
6 内蓋
7 蓄冷材
70 同 冷気(冷気膜、冷気シールド)
71 同 温度が上昇した空気
8 生鮮食品類(サクランボ)

この発明は、生鮮食品類を保冷および輸送可能とする包装容器技術に関連するものであり、特に、より断熱、保冷の性能を高め、鮮度よく保存可能な包装容器を製造、提供する分野を初め、その分野には属していないが、そこでの技術的思想の創作内容を取り入れたと同定されるような類いのものを製造、提供する分野についてまでをも含むのは勿論のこと、それらの分野に係わって行う設計、製造、組み立て、輸送、保管、包装、利用の各段階に必要となる設備、器具類を提供、販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
(着目点)
道の駅やデパート、スーパーマーケット、果物の専門店、直売所、その他の店頭で5月ないし7月頃にかけて販売されるサクランボは、一般に、青果用のPET(ポリエチレンテレフタレート)製や、発泡スチロール製などの食品トレーに複数個ずつ収容され、該食品トレーの上に透明なフィルム帯が巻き掛けられたり、食品トレー全体を透明フィルムで包装されたりして店頭に陳列、販売され、さらに、各種の通信販売などを含め、贈答品や長距離輸送品として販売される場合などには、贈答用の段ボール製や発泡スチロール製などの包装箱に、1または複数個の食品トレーが箱詰めされた状態で販売されている。しかしながら、朝に収穫されたサクランボは、常温で2ないし3日で鮮度が落ちてしまい品質を損ねてしまう性質があり、長期保存が難しいものであり、特に、遠方から観光なので訪れた顧客が、長距離をマイカーや各種交通機関などを利用して持ち帰る場合などには、輸送中の気温変化などの影響を受け易く早期に鮮度を失い、外観や香り、味などの品質が大きく損なわれてしまう虞があるという欠点があった。
(従来の技術)
こうした状況を反映し、その打開策となるような提案もこれまでに散見されない訳ではない。
例えば、下記の特許文献1(1)に提案されているものに代表されるように、発泡樹脂製の片面容器に大房ぶどうの房を収納する形状をなし、且つ、大房ぶどうの房が部分的に、または、大部分浮き出る深さを有する収納部を形成すると共に、前記収納部の周縁部は、ぶどうの房との間で空間が余裕をもって残る斜めの縁によって形成し、2枚の片面容器によって大房ぶどうの房を挟装・固定するものとされ、輸送中にぶどうの房が容器内で移動して崩れたり、片寄ったり、粒が落ちたりするのを防止し、発泡樹脂の断熱性によって容器内部の温度の上昇を抑え、保存性を高めたものとしたぶどう包装容器や、同特許文献1(2)に見られるような、硬質の合成樹脂材からなる肉薄の外箱の内がわに、発泡樹脂成形体からなる肉厚の内箱を嵌装した箱本体と、硬質の合成樹脂材からなる肉薄の外蓋の内がわに、発泡樹脂成形体からなる肉厚の内蓋を嵌装し、その内蓋の下面がわには、前記内箱の開口部に密に嵌まり合う盤状の突起部を発泡樹脂成形体によって一体に成形し、且つ、その突起部の下面がわには、嵌込凹部を成形した蓋体と、その蓋体の前記嵌込凹部に密に嵌まり合う容器に封入した蓄冷材とからなり、詰め込んだサクランボが、容器外からの衝撃・外圧によって傷みを受けることが防止でき、また、蓄冷材が、詰め込んだサクランボを冷却し、日持ちを伸ばし、該蓄冷材が、サクランボに接触して傷つけてしまうのを防止するようにしたサクランボ用の包装容器などが散見される。
しかし、前者特許文献1(1)に示されているようなぶどう包装容器は、収納された果実類を輸送中の振動や衝撃から保護できるが、保冷機能を有しておらず常温保存となってしまうから、鮮度を維持する機能に欠けるものであり、また、特許文献1(2)のサクランボ用の包装容器のように、蓋体の下面がわに下向きに開口するよう成形された嵌込凹部に対し、硬質な蓄冷材が嵌装されたものは、当該包装容器内の上がわおよび中央が主に強く冷却され、外周囲壁付近や底壁付近などが冷却され難く、当該包装容器内の均質な冷却が難しいものである上、当該包装容器の輸送中に、外部から受けた振動などによって該蓄冷材が、この嵌込凹部から不用意に離脱してしまい、収容された果実類の上に落下し、損傷を与えてしまう虞があるなどの欠点があった。
(1)実開昭60−10782号公報 (2)実開平2−46583号公報
(問題意識)
上述したとおり、従前までに提案のある各種生鮮食品類用の包装容器などは、何れも発泡樹脂製の容器によって果実類を外部からの振動や衝撃などから保護し、長距離輸送などに対応できるものや、蓄冷材の同梱によって外気温よりも冷却された状態に保存可能として鮮度を維持可能としたものなどが既に開発済みとなっているものの、緩衝機能および断熱性能などに優れた発泡樹脂製の包装容器だけでは、常温保存で静置保管するのと略同等の鮮度を維持するのに留まるものであり、また、蓄冷材が蓋体の内壁に嵌装されたものにあっては、包装容器内の冷却ムラが発生し易く、蓄冷材の接近配置によって過剰な冷却や結露の発生など生鮮食品類に悪影響を与える虞があり、特に、蓄冷材が生鮮食品類の直上に配されたものは、輸送中の振動などによって蓄冷材が落下して生鮮食品類を直撃してしまう虞があった。
さらに、何れの発泡樹脂製の容器も、葡萄の房専用の収容部や、蓄冷材専用の嵌込凹部などが一体に成形されたものとなっているから、夫々の樹脂製容器を製造するには専用の金型が必要となり、包装容器の生産コストが高騰してしまうものであり、こうした経費を要さずとも、複数個のサクランボを効率的に包装し、輸送中の外的衝撃などからサクランボを充分に保護し、さらに、包装容器に収容された複数個のサクランボを包装容器の周壁がわから全体的に均質に保冷可能とする、新たな包装技術の必要性を痛感するに至ったものである。
(発明の目的)
そこで、この発明は、より低コストで準備可能な緩衝性および断熱性に優れた包装容器であって、該包装容器内に同梱された蓄冷材が発生する冷気によって収容された生鮮食品類の全体の外がわから均質に冷却され、保冷性能が格段に高められた、新たな生鮮食品類の包装容器技術の開発はできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に亘、試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造の保冷型包装容器を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明の保冷型包装容器は、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、天面が開口され、周囲壁の内周壁に複数本の縦凹路が設けられ、底壁の内壁に床凹部が設けられた箱本体、および、該箱本体の天面の開口を施蓋する形状の外蓋からなる包装箱から成り、該包装箱の箱本体底壁の上壁から外蓋の下壁までの内部上下端間範囲の、下層がわであって箱本体周囲壁高を越えない上下間寸法とされた範囲が、1または複数個の何れか一方の食品容器に収められた食品収容層とされ、当該内部上下端間範囲の、上層がわであって当該食品収容層の上端から外蓋の下壁までの間における下層がわを内部隔壁層、同上層がわを冷媒設置層とされた上、当該内部隔壁層には、1または複数個の何れか一方の食品容器の天面全面を覆い尽くすことができる平面形であって、且つ、その平面形全外周から内側斜め上方に盛り上がった外周壁に続き平坦壁とした外郭形状である、白色の発泡スチロール製の市販の矩形浅型皿形状の食品用トレーとした断熱素材製の内蓋が内装されると共に、当該冷媒設置層には、該冷媒設置層内に収まる外郭寸法の蓄冷材が内装されるものと成し、該蓄冷材の冷却によって冷媒設置層内に発生した水滴が、内蓋の上壁上を水平方向外がわに向けて流下した場合であっても、収納した食品容器の周壁外面壁と箱本体の内周壁との間を通じて同箱本体の底壁に流れ落ちて食品容器内には流入せず、食品容器内の収容物に水を付着させることのないようにしてなるものとした構成を要旨とする保冷型包装容器である。
この基本的な構成からなる保冷型包装容器は、その表現を変えて示すならば、天面が開口され、周囲壁の内周壁に複数本の縦凹路が設けられ、底壁の内壁に床凹部が設けられた箱本体、および、該箱本体の天面の開口を施蓋する形状の外蓋からなる包装箱から成り、該包装箱の箱本体底壁の上壁から外蓋の下壁までの内部上下端間範囲の、下層がわであって箱本体周囲壁高を越えない上下間寸法とされた範囲が、1または複数個の何れか一方の食品容器に収められた食品収容層とされ、当該内部上下端間範囲の、上層がわであって当該食品収容層の上端から外蓋の下壁までの間における下層がわを内部隔壁層、同上層がわを冷媒設置層とされた上、当該内部隔壁層には、1または複数個の何れか一方の食品容器の天面全面を覆い尽くすことができる平面形であって、且つ、その平面形全外周から内側斜め上方に盛り上がった外周壁に続き平坦壁とした外郭形状である、白色の発泡スチロール製の市販の矩形浅型皿形状の食品用トレーとした断熱素材製の内蓋が内装されると共に、当該冷媒設置層には、該冷媒設置層内に収まる外郭寸法の蓄冷材が内装されるものと成し、該蓄冷材が冷却した冷媒設置層の冷気が、内蓋の上壁の外縁がわから複数本の縦凹路および床凹部をとおり床壁の内壁の中央に至る過程で、当該食品収容層の食品容器の全体を外周囲から包み込む冷気シールドを形成するよう連続的に流動するものとし、且つ該蓄冷材の冷却によって冷媒設置層内に発生した水滴が、内蓋の上壁上を水平方向外がわに向けて流下した場合であっても、収納した食品容器の周壁外面壁と箱本体の内周壁との間を通じて同箱本体の底壁に流れ落ちて食品容器内には流入せず、食品容器内の収容物に水を付着させることのないようにしてなるものとした構成からなる保冷型包装容器となる。
以上のとおり、この発明の保冷型包装容器によれば、従前までのものとは違い、上記したとおりの固有の特徴ある構成から、包装箱の内部上下端間範囲の最下層に割り当てられた食品収容層に食品容器が配され、該食品収容層の上に割り当てられた内部隔壁層に内蓋が内装され、最上層に割り当てられた冷媒設置層に蓄冷材が内装されたものとされているから、食品容器内に収容され、保冷包装の対象となる生鮮食品類を、外気から隔絶すると共に緩衝、保護するものとなる上、該食品容器と該蓄冷材との間の内蓋が、食品容器内の生鮮食品類に蓄冷材が直接接するのを阻止し、生鮮食品類の過剰な冷却や凍結などを防止する上、冷媒設置層の蓄冷材が冷却した空気が、内部隔壁層の内蓋の周縁の外がわから複数本の縦凹路に沿って流下し、床凹部に流れ込み、該食品容器の周壁外および底壁外から冷気シールドで包み込むよう均質に保冷するものとなることから、より一層、秀でた保冷性能を発揮し、生鮮食品類をより長時間に渡って鮮度良く保存可能なものとすることができる。
加えて、断熱素材製の箱本体の、周囲壁の内周壁に複数本の内壁凸部および複数の縦凹路が交互に配されたものとされたものは、各内壁凸部が、食品収容層に収容された食品容器の周囲壁を側方から保持し、緩衝性をより高めると共に、包装箱内で食品容器が不用意にズレ動くのをより確実に防止できるものとなり、さらに、冷媒設置層で冷やされた冷気が、内部隔壁層の内蓋の上壁上を水平移動して同周縁の外がわをとおり、各縦凹路に沿って該食品収容層の周囲に流下し、また、流れ込んだ冷気と入れ替わるように、該食品収容層の暖かい空気が、内部隔壁層の内蓋の下壁下に上昇され、同内蓋の周縁の外がわから各内壁凸部の上端上を通って冷媒設置層の外蓋の下壁に沿って蓄冷材の直上付近に対流するから、蓄冷材が常温に戻るまでの間、該食品収容層に冷気が効率的且つ連続的に供給され続けるものになるという特徴的な効果を発揮するものとなる。
そして、箱本体の複数本の縦凹路が、食品収容層の上端近傍から下端までの間に縦に連続して設けられ、各縦凹路の上端が、内部隔壁層および冷媒設置層に連続されたものによると、各縦凹路の上端上に内蓋の周縁が載置され、蓄冷材が搭載された内蓋の重量を、各縦凹路が安定に支持するものとなり、食品容器に収容された生鮮食品類に不要な荷重負荷が掛かるのをより確実に防止できるものとなる。
また、箱本体の床凹部が、底壁の内壁の何れか対峙する二辺間に平行に配列された複数本の直線状の凸床部に対し交互に配された複数本の直線状に凹設されたものとしてなるものは、各凸床部が、食品収容層に収容された食品容器の底部を安定に支持すると共に外力を緩衝して保護するものとなる上、各床凹部が、冷媒設置層から各縦凹路に沿って流下して来る冷気を当該箱本体の底壁の中央まで直線的に誘導するから、生鮮食品類の包装を完了した直後から、該生鮮食品類、およびそれを収容した食品容器を外がわから冷気の膜で包み込むように速やかに冷却し始めるものになるという優れた効果を奏するものとなる。
さらに、断熱素材製の皿形状の食品トレーを、その底部が外蓋がわに向けられた上下反転姿勢のものとされてなるものは、内蓋の全周縁が、下方に向けて傾斜されたものとなっているから、蓄冷材によって冷却された冷気が、該内蓋の上壁上の周縁から、より速やかに流下するものとなり、包装を完了した直後から、淀むこと無く食品収容層に冷気が供給されるものとなる上、当該内蓋の中央が上方に膨出された形状となるから、食品容器の上端から上方に露出する生鮮食品類に該内蓋の下壁が干渉してしまうのを、より確実に防止することができるものとなる。
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
包装箱は、その内部の内部上下端間範囲に食品収容層、内部隔壁層および冷媒設置層を夫々割り当て可能とし、各層の夫々に食品容器、内蓋および蓄冷材が積層状且つ外気から密閉された状態に収納可能とする機能を分担し、具体的には、天面が開口され、周囲壁の内周壁に複数の縦凹路が設けられ、底壁の内壁に床凹部が設けられた箱本体、および、該箱本体の天面の開口を施蓋する形状の外蓋からなるものとしなければならず、外観が矩形箱状のものの外、円筒形状のもの、球形状のもの、錐形状のもの、その他の異形の立体形状のものなどとすることが可能であり、より具体的には、後述する実施例にも示すように、天面が開口され上向き嵌合縁が設けられ、周囲壁の内周壁の周方向に沿って複数の内壁凸部および複数の縦凹路が交互に配され、底壁の内壁に、複数の凸床部および凸床部の余となる範囲に床凹部が配された断熱素材製の箱本体、および、該箱本体の上向き嵌合縁に密閉状に嵌合可能な下向き嵌合縁が設けられ、該箱本体の天面の開口を密閉封止する外蓋からなるものとするのが良く、より具体的には、段ボールなどの厚紙製のものや、後述する実施例にも示すような発泡スチロール製のものなど、軽量で緩衝性を兼ね備えたものとするのが望ましい。
箱本体は、外蓋と組み合わせられ包装箱と成り、内部上下端間範囲の食品収容層、内部隔壁層および冷媒設置層の中の少なくとも食品収容層の下がわの範囲の底壁および周囲壁を成し、それら底壁および周囲壁が密閉性および断熱性を発揮する機能を分担しており、天面が開口され、周囲壁の内周壁に複数の縦凹路が設けられ、底壁の内壁に床凹部が設けられたものとしなければならず、より具体的には、天面が開口され上向き嵌合縁が設けられ、周囲壁の内周壁の周方向に沿って複数本の内壁凸部および複数の縦凹路が交互に配され、底壁の内壁に、複数の凸床部および凸床部の余となる範囲に床凹部が配された断熱素材製のものとすべきであり、天面の開口の上向き嵌合縁は、開口の全周囲に沿って連続する上向きの開口溝とされたものとすることができる外、後述する実施例にも示すとおり、開口の全周囲に沿って連続する上向きの凸条とされたものとすることができる。
外蓋は、箱本体と組み合わせられ包装箱と成り、内部上下端間範囲の食品収容層、内部隔壁層および冷媒設置層の中の少なくとも冷媒設置層の上がわの天壁を成すか、または少なくとも冷媒設置層の上がわの範囲の天壁および周囲壁かの何れか一方を成す機能を分担するものであり、該箱本体の天面の開口を施蓋する形状とされたものとしなければならず、外蓋の天壁か、または外蓋の天壁および周囲壁かの何れか一方が密閉性および断熱性をもって箱本体の天面の開口を施蓋する形状とされたものとするのが良く、より具体的には、当該箱本体の上向き嵌合縁に密閉状に嵌合可能な下向き嵌合縁が設けられ、同箱本体の天面の開口を密閉封止する断熱素材製のものとするのが望ましく、下向き嵌合縁が、当該外蓋の下壁の全周囲に沿って連続する下向きの凸条とされたものとすることができる外に、後述する実施例にも示すとおり、同外蓋の下壁の全周囲に沿って連続する下向き開口溝とされたものとすることができる。
また、外蓋の冷媒設置層と対峙する下壁には、該外蓋の下壁の遠心がわから中央に向けて延伸された複数本の空気誘導溝が複数本刻設され、冷媒設置層から下降して行く冷気と入れ替えに、食品収容層で暖められ上昇して来る空気を、遠心がわから蓄冷材の直上となる中央がわへ向けて誘導可能とされたものとすることができ、それら空気誘導溝間に直線状に延びる下向き凸条部が突設されたものとすることが可能であり、さらにまた、箱本体の上向き開口と外蓋との間には、軟質合成樹脂製や軟質天然ゴム製などのパッキン類が介在されたものとすることが可能であり、そして、該外蓋と箱本体との間に開閉用のヒンジや閉止用のバックル、施錠用の錠前金具類などが設けられたもの、または、外蓋および箱本体の外周に巻き付けられたバンド類や、該箱本体の周囲壁の対峙する外壁や底壁の下壁に回り込むように装着されるなどされた運搬用のショルダーハーネスなどが設けられたものとすることができる。
包装箱の内部上下端間範囲は、該包装箱の内部の生鮮食品類を収容した食品容器、内蓋および蓄冷材を収容する上下端間の全範囲を示し、食品収容層、内部隔壁層および冷媒設置層の三層からなり、最も下層の食品収容層には生鮮食品類を収容した食品容器が配され、中間層となる内部隔壁層には内蓋が配され、最も上層となる冷媒設置層には蓄冷材が配されるものとなる機能を分担し、該食品収容層は、生鮮食品類を収容した食品容器の全高に略一致するか、または、それを僅かに超える上下端間寸法に設定され、この内部隔壁層は、内蓋の全高に略一致するか、または、それを僅かに超える上下端間寸法に設定され、さらに、冷媒設置層は、蓄冷材の全高に略一致するか、または、それを僅かに超える上下端間寸法に設定されたものとすべきであり、各層は、相互間に通気性が確保されている上、各層毎に余剰となる空間を極力持たず、保冷性能を高めたものとするのが良く、より具体的には、食品収容層の上下端間寸法は、生鮮食品類を収容した食品容器の全高の1倍ないし2倍未満とされ、内部隔壁層の上下端間寸法は、内蓋の全高の1倍ないし2倍未満とされ、また、冷媒設置層の上下端間寸法は、蓄冷材の全高1倍ないし2倍未満とされたものとするのが望ましい。
箱本体の縦凹路は、包装箱の内部の冷媒設置層で冷やされ、内部隔壁層に収容された内蓋の周縁の外がわをとおり、流下する冷気を食品収容層の周囲壁の内面壁に沿って箱本体の底壁の床凹部まで誘導可能とする機能を分担するものであり、箱本体の周囲壁の内周壁に複数本設けられたものとしなければならず、外蓋の周囲に箱本体の上向き開口に対し下向きに嵌合する下向きスリーブ状の側短壁がある場合には、該側短壁の内周壁にも箱本体の複数の縦凹路の各上端に連続する複数の縦凹路が刻設されたものとすることができ、後述する実施例にも示しているように、箱本体の内周壁の周方向に沿って複数本の内壁凸部および複数の縦凹路が交互に配されたものとすることができ、さらに、各内壁凸部が、食品収容層の上下端間の範囲に突設されたものとするのが良い。
箱本体の内壁凸部は、生鮮食品類を収容した食品容器の該箱本体の周囲壁と対峙する外周壁を緩衝および支持可能とする機能を分担し、当該箱本体の周囲壁の内周壁の周方向に沿って複数本の内壁凸部および複数の縦凹路が交互に配されたものとすることができ、後述する実施例にも示すように、当該箱本体の周囲壁の内周壁の食品収容層に配された食品容器の上端から外がわに向けて突設された外周縁よりも僅かに低い位置から、同箱本体の底壁に至る範囲の上下端間に設けられたものとするのが良い。
箱本体の底壁の床凹部は、該箱本体の周囲壁の内周壁の複数本の縦凹路に沿って流下する冷気を、底壁の中央に向けて誘導可能とする機能を分担しており、当該箱本体の底壁の内壁に対して刻設されたものとしなければならず、同箱本体の底壁の内壁に点在する複数個の凸床部の余となる範囲かからなる床凹部とすることが可能であり、同箱本体の底壁の内壁の、各縦凹路の下端に対応する付近から同底壁の内壁の中央に連続する凹溝状のものとするのが望ましく、より具体的には、当該箱本体の底壁の内壁の中央に短円柱状の凹部が設けられ、該短円柱状の凹部から水平面上の遠心方向に放射状となる凹条部が、該箱本体の周囲壁の縦凹路の下端付近まで延伸された状態に刻設されたものとすることができる外、後述する実施例にも示しているように、当該箱本体の底壁の内壁の何れか対峙する二辺間に平行に配列された複数本の直線状の凸床部に対し交互に配された複数本の直線状に凹設されたものとすることができる。
食品容器は、包装の対象となる生鮮食品類を保護および収容し、包装箱の食品収容層に配される機能を担い、生鮮食品類の大きさや形などに適した器形状または箱形状のものなどとするのが望ましく、包装箱の食品収容層に1または複数個が収まる寸法、形状のものとされ、当該食品容器の周壁が箱本体の各縦凹路との間に冷気が流下する間隙を確保された形状のものとされ、さらに、同食品容器の底壁と箱本体の床凹部との間に冷気が流れ込む隙間を確保されたものとしなければならず、網目状の緩衝用ネットや籠などとすることが可能であるが、通気製の無い素材製の天面が開口された容器とするのが望ましく、より具体的には、厚紙製や発泡スチロール製などのトレーや箱、開閉蓋付きの容器、天面が開口された容器に帯状フィルムが巻き掛けられているものや、天面が開口された容器の全体が樹脂フィルムで包装されているもの、または後述する実施例にも示しているとおり、透明なPET(ポリエチレンテレフタレート)製の市販の食品用トレーなどとすることができる。
内蓋は、冷媒設置層の蓄冷材が直接的に食品収容層の食品容器の生鮮食品類に接してしまい凍結などの悪影響が及ばないよう適度に断熱保護すると共に、該冷媒設置層で冷やされた冷気が、直接的にこれら生鮮食品類に降り注ぐのを防止し、該冷気を包装箱の箱本体の周囲壁の内周壁がわ、および、各縦凹路の上端がわへ誘導可能とする機能を分担し、食品収容層の直上の包装箱の周囲壁の内周壁よりも極僅かに小さな面積であって、食品収容層の直上の略全体を覆うものとするのが望ましく、食品収容層に配された食品容器の上端に接するか、各内壁凸部の上端に接するか、または、食品収容層と冷媒設置層との境付近となる箱本体の周囲壁の内周壁に対し、僅かな隙間を維持しながら、僅かな摩擦をもって接するかの何れかとされて、該包装箱の内部隔壁層に配されたものとするのが良く、キッチンペーパーやパラフィン紙、軟質発泡樹脂シート、不織布、布、スポンジなどの素材製のものとすることができるが、厚紙や木板、硬質合成樹脂板などのように硬質且つ断熱性を有するものとするのが望ましく、後述する実施例にも示しているように、発泡スチロール製の市販の皿形状の食品用トレーを、その底部が外蓋がわに向けられた上下反転姿勢とされてなるものとすることができる。
蓄冷材は、包装箱の冷媒設置層の空気を冷却し、食品収容層に冷気を連続的に供給する機能を担い、自らに蓄冷されたものであって、外部電力の供給などを要さずとも食品収容層を保冷可能なものとしなければならず、冷却した水、氷、凍らせた食品類などとすることができる外、包装の対象がアイスクリームや氷菓子、冷凍食品などのように冷凍保存を要するものの場合にはドライアイスとすることが可能であり、また、後述する実施例にも示しているが、水とゲル剤(例えば天然高分子)、保存料、必要に応じて着色料などが混合された蓄冷剤が、ポリエチレン製プラスチック容器や袋に充填されてなるものとすることができる。
包装の対象となる生鮮食品類は、冷蔵保存が望ましい食品とすることができ、魚介、飲料、果物、フルーツ、果実的野菜、野菜、ケーキなどの菓子類、その他、様々な食品とすることが出来る外、冷凍食品やその他の冷凍保存を要する物品とすることができ、さらにまた、この発明の包装箱は、これらの生鮮食品類を医薬品や輸液、輸血用血液製剤、検体、移植用臓器などに置き換え、それらの冷却保存および輸送などにも利用可能なものであるということができる。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
図面は、この発明の保冷型包装容器の技術的思想を具現化した代表的な幾つかの実施例を示すものである。
分解された保冷型包装容器を示す斜視図である。 サクランボを収容した食品容器を配した箱本体を示す斜視図である。 内蓋を配した箱本体を示す斜視図である。 蓄冷材を配した箱本体を示す斜視図である。 施蓋された包装箱を示す斜視図である。 一部を断面化し冷気の流れを示す保冷型包装容器の正面図である。 一部を断面化し冷気の流れを示す保冷型包装容器の側面図である。 箱本体を示す平面図である。 内蓋に誘導される冷気の流れを示す箱本体および内蓋の平面図である。
図1ないし図9に示す事例は、天面が開口31され、内周壁33に縦凹路35,35,……が設けられ、底壁36に床凹部37,37,……が設けられた箱本体3と、該箱本体3を施蓋する形状の外蓋4とからなる包装箱2を有し、同箱本体3の底壁36から外蓋4の下壁までの内部上下端間範囲Hの下層がわに割り当てられた食品収容層H0に収まる1または複数個の食品容器5,5が収容され、該食品収容層H0の上に割り当てられた内部隔壁層H1に内蓋6が内装され、該内部隔壁層H1の上に割り当てられた冷媒設置層H2に蓄冷材7が内装されたものとしてなる、この発明の保冷型包装容器における代表的な一実施例を示すものである。
それら各図からも明確に把握できるとおり、この発明の保冷型包装容器1は、その箱本体3と外蓋4とからなる包装箱2が、白色の発泡スチロール製の市販の既製品である果物用の矩形の輸送箱2とされ、食品容器5が無色透明なPET(ポリエチレンテレフタレート)製の市販品の矩形深型容器状の食品用トレー5とされ、内蓋6が白色の発泡スチロール製の市販の矩形浅型の皿形状の食品用トレー6とされ、蓄冷材7が、ナイロン(NY)製の外層、および、ポリエチレン(PE)製の最内層を有する軟質フィルム製のナイロンポリ袋に、水とゲル剤(例えば天然高分子)、保存料などが混合された無色(または、着色料が混合された有色のものとすることが可能である。)透明の蓄冷剤が充填されてなる軟質な矩形板状の市販の保冷剤7とされ、それら包装箱2、食品容器5,5、内蓋6および蓄冷材7の全ての部品が、夫々既に広く市販されている既製品であって、この発明の保冷型包装容器1の全体が、廉価に入手可能な既製品の組み合わせからなるものとされている。
包装箱2の箱本体3は、2個の食品容器5,5が、互いの一方の長辺同士を接するよう配列された矩形平面積より極僅かに大きな平面積とされた底壁36、および、該底壁36の上壁上に載置された該食品容器5の上端50よりも20mm前後高く設定された周囲壁30を有し、該箱本体3の、底壁36の上壁から、同底壁36の上壁上に載置された該食品容器5の上端50までの上下端間範囲H0が、食品収容層H0に割り当てられ、天面が開口31され、各4辺の周囲壁30の上端には、外周囲に段差を有する矩形環状の凸条32からなる上向き嵌合縁32が突設されたものとなっている。
各周囲壁30の内周壁33には、その長辺壁の3箇所、および短辺壁の2箇所の夫々の食品収容層H0の上下端間範囲H0に、厚さTを4.5mmとした内壁凸部34,34,……が、互いに周方向の間隔を隔てて配された内向きの幅広凸条となるよう突設されると共に、各内壁凸部34,34,……の間には、奥行きTを4.5mmとした幅広の縦凹路35,35,……が配され、それら内壁凸部34,34,……と縦凹路35,35,……とが、4辺の内周壁33の周方向に沿って交互に配され、また、当該箱本体3の底壁36の上壁には、該底壁36の上壁の2つの長辺間に平行に配列された複数本の凸床部36,36,……および各凸床部36,36,……の余となる範囲に、深さDを6mmとした複数本の床凹部37,37,……が、内周壁33の対峙する短辺壁および内壁凸部34,34,……の間に渡って連続する直線状に配されたものとされている。
包装箱2の外蓋4は、箱本体3の上向き開口31を隠蔽可能な平板状の蓋壁40と、該蓋壁40の全外周囲から垂下された側短壁41とを有し、該側短壁41の下端には、当該箱本体3の上向き嵌合縁32を密に嵌合する下向き嵌合縁42としての下向き開口溝42が凹設されたものとなり、図6および図7に示すように、外蓋4は、当該箱本体3に施蓋された場合に、蓋壁40の下壁から該箱本体3の底壁36の上壁までの上下端間範囲Hが内部上下端間範囲Hとされ、内部上下端間範囲Hの最下層に食品収容層H0が割り当てられ、該内部上下端間範囲H内の該食品収容層H0の直上となる中間層に内部隔壁層H1が割り当てられ、さらに、同内部上下端間範囲H内の該内部隔壁層H1の直上となる最上層に冷媒設置層H2が割り当てられたものとされている。
図6ないし図9に示すように、当該包装箱2内の内部隔壁層H1には、箱本体3の内周壁33に囲まれた平面矩形状の範囲より僅かに小さな略相似形であって、しかも一方の長辺同士を接するよう配列された2個の食品容器5,5の上下方向の投影面積よりも僅かに大きな上下方向の投影面積となる寸法に設定された矩形浅型の皿形状の食品用トレー6が上下を反転され、平面形とされた底部中央が上向きの俯せ姿勢とされ、4方の周縁が20°ないし60°、例えば約45°の下り勾配で垂下された内蓋6が、箱本体3の内周壁33に遊嵌状に配されたものとなり、当該内部隔壁層H1の内蓋6上の冷媒設置層H2には、該箱本体3の内周壁33に囲まれた平面矩形状の範囲よりも充分に小さく、内蓋6の平面形とされた底部中央範囲に略相当する平面積とされ、冷媒設置層H2の上下端間範囲内に余裕を持って収まる上下厚み寸法とされた蓄冷材7が配されたものとなっている。
(実施例1の作用・効果)
以上のとおりの構成からなるこの発明の保冷型包装容器1は、図1ないし図9に示すように、生鮮食品類8としての複数個のサクランボ8,8,……を収容された2個の食品容器5,5が、箱本体3の食品収容層H0に割り当てられた底壁36の上壁上に並べて配され、該食品収容層H0の直上に割り当てられた内部隔壁層H1に内蓋6が配され、該内蓋6の周縁が、各内壁凸部34,34,……の上端か、または、食品容器5,5の上端50,50の外周縁50,50かの何れか一方に係止され、サクランボ8,8,……に接することなく水平に支持されたものとなり、該内部隔壁層H1の直上に割り当てられた冷媒設置層H2には、蓄冷材7が該内蓋6の上壁上の中央に搭載された状態に配され、さらに、当該箱本体3の上向き開口31に、外蓋4が、互いの上向き嵌合縁32と下向き開口溝42とが密に嵌合され、組み立てられた包装箱2は、その内部上下端間範囲Hが外部から気密に隔離された状態に密閉、包装されたものとなる。
このように包装を完了したこの発明の保冷型包装容器1は、内部隔壁層H1の内蓋6が、食品収容層H0のサクランボ8,8,……に冷媒設置層H2の蓄冷材7が、機械的および熱的に接触するのを防止し、断熱保護するものとなって、サクランボ8,8,……が潰れたり凍結したり、過剰に冷却されてしまったりするのを確実に防止するものとなり、しかも図6、図7および図9中の複数本の二点鎖線矢印の夫々に示すように、蓄冷材7に接して冷却された冷媒設置層H2の冷気70が、内部隔壁層H1の内蓋6の上壁上を外がわに向けて流れ、同内蓋6の外周縁を回り込むように流れ下り、食品収容層H0の各内壁凸部34,34,……間の各縦凹路35,35,……に沿って内周壁33と食品容器5の周壁との間隙に冷気膜70を成す如く流下し、さらに、箱本体3の底壁36の上壁の外周縁に達した該冷気70は、各凸床部36,36,……間の各床凹部37,37,……の外端がわから同底壁36の上壁の中央に向けて流動し、2個の食品容器5,5の間を該内蓋6の下壁まで上昇し、同内蓋6の下壁に沿って水平方向の外がわに移動しながら、各食品容器5,5内のサクランボ8,8,……に冷気が降り注がれ、満遍なく保冷するものとなり、図6、図7および図9中の複数本の一点鎖線矢印の夫々に示すように、食品収容層H0の温度が上昇した空気71は、各内壁凸部34,34,……の上端に相当する冷気70の流れが起こらない位置から内部隔壁層H1の内蓋6の外周縁を回り込むようにして冷媒設置層H2の外蓋4の側短壁41の内壁に沿って上昇し、同外蓋4の蓋壁40の下壁に沿って蓄冷材7の上方の隙間に達し、該蓄冷材7に接して冷却されるものとなり、該蓄冷材7が常温に戻るまでの間に渡って該冷気70および温度が上昇した空気71の対流が連続的な循環を続けるものとなる。
また、内蓋6は、断熱性を有するから、蓄冷材7の冷たさがサクランボ8,8,……に直接的に伝わるのを阻止し、過剰な冷却や凍結を防止できる上、該内蓋6の下壁に霜や水滴が発生するのを防止し、サクランボ8,8,……を保護するものとなり、さらに、内蓋6の上下方向の投影面積が、2個並べて配された食品容器5,5の上下方向の投影面積を僅かに超え、各食品容器5,5の開口縁の上端50,50を覆う形状とされているから、蓄冷材7の冷却によって冷媒設置層H2内に水滴が発生し、内蓋6の上壁上を水平方向の外がわに向けて該水滴が流下した場合であっても、各食品容器5,5内に流入することなく、各食品容器5,5の周壁の外面壁と箱本体3の内周壁33(内壁凸部34,34,……、縦凹路35,35,……)との間を通じて同箱本体3の底壁36(凸床部36,36,……、床凹部37,37,……)に流れ落ち、各食品容器5,5内のサクランボ8,8,……に水が付着してしまうのを確実に防止し、より鮮度良く保冷できるものとなる。
加えて、この発明の保冷型包装容器1は、その全ての部品が市販の既製品からなるから、各容器の専用金型の設計および製造までの経費を一切必要とせず、専用部品の開発が不要となり、格段に経済的に提供可能なものとなる上、前述の如く内部上下端間範囲H内に食品収容層H0、内部隔壁層H1および冷媒設置層H2が積層状に積み重ねられ、収容効率に優れた配置構成とされているから、郵便や宅配便などで発送する場合にも、包装箱2の外寸の縦、横、高さの合計を、60cmの60サイズないし80cmの80サイズに留めることが容易となり、輸送経費を格段に削減できるものになるという秀でた利点が得られるものである。
(結 び)
叙述の如く、この発明の保冷型包装容器は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも製造も容易で、従前からの包装容器技術に比較して断熱、保冷性能を格段に高めることができる上、軽量で使い易く、各部品を既製品からなるものに置き換えることができるから、設計および製造への投資が不要となり、大幅に低廉化し、遥かに経済的なものとすることができ、生鮮食品類やその他の要冷蔵品類などを、従来型の容器類よりもより効果的に保冷し、より安全に保護、輸送したいと希望する生鮮食品類の卸売り業界および販売業界はもとより、その他の様々な物品類の冷蔵輸送を担う輸送業界および一般家庭などにおいても高く評価され、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
1 保冷型包装容器
2 包装箱
3 箱本体
30 同 周囲壁
31 同 上向き開口
32 同 上向き嵌合縁
33 同 内周壁
34 同 内壁凸部
35 同 縦凹路
T 同 内壁凸部34の厚さ(縦凹路35の奥行き)
36 同 底壁(凸床部)
37 同 床凹部
D 同 床凹部37の深さ
4 外蓋
40 同 蓋壁
41 同 側短壁
42 同 下向き開口溝(下向き嵌合縁)
H 内部上下端間範囲
H0 同 品収容層
H1 同 内部隔壁層
H2 同 冷媒設置層
5 食品容器
50 同 外周縁(上端)
6 内蓋
7 蓄冷材
70 同 冷気(冷気膜、冷気シールド)
71 同 温度が上昇した空気
8 生鮮食品類(サクランボ)
この発明は、生鮮食品類を保冷および輸送可能とする包装容器技術に関連するものであり、特に、より断熱、保冷の性能を高め、鮮度よく保存可能な包装容器を製造、提供する分野を初め、その分野には属していないが、そこでの技術的思想の創作内容を取り入れたと同定されるような類いのものを製造、提供する分野についてまでをも含むのは勿論のこと、それらの分野に係わって行う設計、製造、組み立て、輸送、保管、包装、利用の各段階に必要となる設備、器具類を提供、販売する分野から、それら資材や機械装置、部品類に必要となる素材、例えば、木材、石材、各種繊維類、プラスチック、各種金属材料等を提供する分野、それらに組み込まれる電子部品やそれらを集積した制御関連機器の分野、各種計測器の分野、当該設備、器具を動かす動力機械の分野、そのエネルギーとなる電力やエネルギー源である電気、オイルの分野といった一般的に産業機械と総称されている分野、更には、それら設備、器具類を試験、研究したり、それらの展示、販売、輸出入に係わる分野、将又、それらの使用の結果やそれを造るための設備、器具類の運転に伴って発生するゴミ屑の回収、運搬等に係わる分野、それらゴミ屑を効率的に再利用するリサイクル分野などの外、現時点で想定できない新たな分野までと、関連しない技術分野はない程である。
(着目点)
道の駅やデパート、スーパーマーケット、果物の専門店、直売所、その他の店頭で5月ないし7月頃にかけて販売されるサクランボは、一般に、青果用のPET(ポリエチレンテレフタレート)製や、発泡スチロール製などの食品トレーに複数個ずつ収容され、該食品トレーの上に透明なフィルム帯が巻き掛けられたり、食品トレー全体を透明フィルムで包装されたりして店頭に陳列、販売され、さらに、各種の通信販売などを含め、贈答品や長距離輸送品として販売される場合などには、贈答用の段ボール製や発泡スチロール製などの包装箱に、1または複数個の食品トレーが箱詰めされた状態で販売されている。しかしながら、朝に収穫されたサクランボは、常温で2ないし3日で鮮度が落ちてしまい品質を損ねてしまう性質があり、長期保存が難しいものであり、特に、遠方から観光なので訪れた顧客が、長距離をマイカーや各種交通機関などを利用して持ち帰る場合などには、輸送中の気温変化などの影響を受け易く早期に鮮度を失い、外観や香り、味などの品質が大きく損なわれてしまう虞があるという欠点があった。
(従来の技術)
こうした状況を反映し、その打開策となるような提案もこれまでに散見されない訳ではない。
例えば、下記の特許文献1(1)に提案されているものに代表されるように、発泡樹脂製の片面容器に大房ぶどうの房を収納する形状をなし、且つ、大房ぶどうの房が部分的に、または、大部分浮き出る深さを有する収納部を形成すると共に、前記収納部の周縁部は、ぶどうの房との間で空間が余裕をもって残る斜めの縁によって形成し、2枚の片面容器によって大房ぶどうの房を挟装・固定するものとされ、輸送中にぶどうの房が容器内で移動して崩れたり、片寄ったり、粒が落ちたりするのを防止し、発泡樹脂の断熱性によって容器内部の温度の上昇を抑え、保存性を高めたものとしたぶどう包装容器や、同特許文献1(2)に見られるような、硬質の合成樹脂材からなる肉薄の外箱の内がわに、発泡樹脂成形体からなる肉厚の内箱を嵌装した箱本体と、硬質の合成樹脂材からなる肉薄の外蓋の内がわに、発泡樹脂成形体からなる肉厚の内蓋を嵌装し、その内蓋の下面がわには、前記内箱の開口部に密に嵌まり合う盤状の突起部を発泡樹脂成形体によって一体に成形し、且つ、その突起部の下面がわには、嵌込凹部を成形した蓋体と、その蓋体の前記嵌込凹部に密に嵌まり合う容器に封入した蓄冷材とからなり、詰め込んだサクランボが、容器外からの衝撃・外圧によって傷みを受けることが防止でき、また、蓄冷材が、詰め込んだサクランボを冷却し、日持ちを伸ばし、該蓄冷材が、サクランボに接触して傷つけてしまうのを防止するようにしたサクランボ用の包装容器などが散見される。
しかし、前者特許文献1(1)に示されているようなぶどう包装容器は、収納された果実類を輸送中の振動や衝撃から保護できるが、保冷機能を有しておらず常温保存となってしまうから、鮮度を維持する機能に欠けるものであり、また、特許文献1(2)のサクランボ用の包装容器のように、蓋体の下面がわに下向きに開口するよう成形された嵌込凹部に対し、硬質な蓄冷材が嵌装されたものは、当該包装容器内の上がわおよび中央が主に強く冷却され、外周囲壁付近や底壁付近などが冷却され難く、当該包装容器内の均質な冷却が難しいものである上、当該包装容器の輸送中に、外部から受けた振動などによって該蓄冷材が、この嵌込凹部から不用意に離脱してしまい、収容された果実類の上に落下し、損傷を与えてしまう虞があるなどの欠点があった。
(1)実開昭60−10782号公報 (2)実開平2−46583号公報
(問題意識)
上述したとおり、従前までに提案のある各種生鮮食品類用の包装容器などは、何れも発泡樹脂製の容器によって果実類を外部からの振動や衝撃などから保護し、長距離輸送などに対応できるものや、蓄冷材の同梱によって外気温よりも冷却された状態に保存可能として鮮度を維持可能としたものなどが既に開発済みとなっているものの、緩衝機能および断熱性能などに優れた発泡樹脂製の包装容器だけでは、常温保存で静置保管するのと略同等の鮮度を維持するのに留まるものであり、また、蓄冷材が蓋体の内壁に嵌装されたものにあっては、包装容器内の冷却ムラが発生し易く、蓄冷材の接近配置によって過剰な冷却や結露の発生など生鮮食品類に悪影響を与える虞があり、特に、蓄冷材が生鮮食品類の直上に配されたものは、輸送中の振動などによって蓄冷材が落下して生鮮食品類を直撃してしまう虞があった。
さらに、何れの発泡樹脂製の容器も、葡萄の房専用の収容部や、蓄冷材専用の嵌込凹部などが一体に成形されたものとなっているから、夫々の樹脂製容器を製造するには専用の金型が必要となり、包装容器の生産コストが高騰してしまうものであり、こうした経費を要さずとも、複数個のサクランボを効率的に包装し、輸送中の外的衝撃などからサクランボを充分に保護し、さらに、包装容器に収容された複数個のサクランボを包装容器の周壁がわから全体的に均質に保冷可能とする、新たな包装技術の必要性を痛感するに至ったものである。
(発明の目的)
そこで、この発明は、より低コストで準備可能な緩衝性および断熱性に優れた包装容器であって、該包装容器内に同梱された蓄冷材が発生する冷気によって収容された生鮮食品類の全体の外がわから均質に冷却され、保冷性能が格段に高められた、新たな生鮮食品類の包装容器技術の開発はできないものかとの判断から、逸速くその開発、研究に着手し、長期に亘、試行錯誤と幾多の試作、実験とを繰り返してきた結果、今回、遂に新規な構造の保冷型包装容器を実現化することに成功したものであり、以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構成を詳述することとする。
(発明の構成)
図面に示すこの発明を代表する実施例からも明確に理解されるように、この発明の保冷型包装容器は、基本的に次のような構成から成り立っている。
即ち、天面が開口され、周囲壁の内周壁に複数本の縦凹路が設けられ、底壁の内壁に床凹部が設けられた箱本体、および、該箱本体の天面の開口を施蓋する形状の外蓋からなる包装箱から成り、該包装箱の箱本体底壁の上壁から外蓋の下壁までの内部上下端間範囲の、下層がわであって箱本体周囲壁高を越えない上下間寸法とされた範囲が、1または複数個の何れか一方の食品容器に収められた食品収容層とされ、当該内部上下端間範囲の、上層がわであって当該食品収容層の上端から外蓋の下壁までの間における下層がわを内部隔壁層、同上層がわを冷媒設置層とされた上、当該内部隔壁層には、1または複数個の何れか一方の食品容器の天面全面を覆い尽くすことができる平面形であって、且つ、その平面形全外周から内側斜め上方に盛り上がった外周壁に続き平坦壁とした外郭形状、例えば白色の発泡スチロール製の市販の矩形浅型皿形状となるようにした食品用トレーとした断熱素材製の内蓋が内装されると共に、当該冷媒設置層には、該冷媒設置層内に収まる外郭寸法の蓄冷材が内装されるものと成し、該蓄冷材の冷却によって冷媒設置層内に発生した水滴が、内蓋の上壁上を水平方向外がわに向けて流下した場合であっても、収納した食品容器の周壁外面壁と箱本体の内周壁との間を通じて同箱本体の底壁に流れ落ちて食品容器内には流入せず、食品容器内の収容物に水を付着させることのないようにしてなるものとした構成を要旨とする保冷型包装容器である。
この基本的な構成からなる保冷型包装容器は、その表現を変えて示すならば、天面が開口され、周囲壁の内周壁に複数本の縦凹路が設けられ、底壁の内壁に床凹部が設けられた箱本体、および、該箱本体の天面の開口を施蓋する形状の外蓋からなる包装箱から成り、該包装箱の箱本体底壁の上壁から外蓋の下壁までの内部上下端間範囲の、下層がわであって箱本体周囲壁高を越えない上下間寸法とされた範囲が、1または複数個の何れか一方の食品容器に収められた食品収容層とされ、当該内部上下端間範囲の、上層がわであって当該食品収容層の上端から外蓋の下壁までの間における下層がわを内部隔壁層、同上層がわを冷媒設置層とされた上、当該内部隔壁層には、1または複数個の何れか一方の食品容器の天面全面を覆い尽くすことができる平面形であって、且つ、その平面形全外周から内側斜め上方に盛り上がった外周壁に続き平坦壁とした外郭形状、例えば白色の発泡スチロール製の市販の矩形浅型皿形状となるようにした食品用トレーとした断熱素材製の内蓋が内装されると共に、当該冷媒設置層には、該冷媒設置層内に収まる外郭寸法の蓄冷材が内装されるものと成し、該蓄冷材が冷却した冷媒設置層の冷気が、内蓋の上壁の外縁がわから複数本の縦凹路および床凹部をとおり床壁の内壁の中央に至る過程で、当該食品収容層の食品容器の全体を外周囲から包み込む冷気シールドを形成するよう連続的に流動するものとし、且つ該蓄冷材の冷却によって冷媒設置層内に発生した水滴が、内蓋の上壁上を水平方向外がわに向けて流下した場合であっても、収納した食品容器の周壁外面壁と箱本体の内周壁との間を通じて同箱本体の底壁に流れ落ちて食品容器内には流入せず、食品容器内の収容物に水を付着させることのないようにしてなるものとした構成からなる保冷型包装容器となる。
以上のとおり、この発明の保冷型包装容器によれば、従前までのものとは違い、上記したとおりの固有の特徴ある構成から、包装箱の内部上下端間範囲の最下層に割り当てられた食品収容層に食品容器が配され、該食品収容層の上に割り当てられた内部隔壁層に内蓋が内装され、最上層に割り当てられた冷媒設置層に蓄冷材が内装されたものとされているから、食品容器内に収容され、保冷包装の対象となる生鮮食品類を、外気から隔絶すると共に緩衝、保護するものとなる上、該食品容器と該蓄冷材との間の内蓋が、食品容器内の生鮮食品類に蓄冷材が直接接するのを阻止し、生鮮食品類の過剰な冷却や凍結などを防止する上、冷媒設置層の蓄冷材が冷却した空気が、内部隔壁層の内蓋の周縁の外がわから複数本の縦凹路に沿って流下し、床凹部に流れ込み、該食品容器の周壁外および底壁外から冷気シールドで包み込むよう均質に保冷するものとなることから、より一層、秀でた保冷性能を発揮し、生鮮食品類をより長時間に渡って鮮度良く保存可能なものとすることができる。
加えて、断熱素材製の箱本体の、周囲壁の内周壁に複数本の内壁凸部および複数の縦凹路が交互に配されたものとされたものは、各内壁凸部が、食品収容層に収容された食品容器の周囲壁を側方から保持し、緩衝性をより高めると共に、包装箱内で食品容器が不用意にズレ動くのをより確実に防止できるものとなり、さらに、冷媒設置層で冷やされた冷気が、内部隔壁層の内蓋の上壁上を水平移動して同周縁の外がわをとおり、各縦凹路に沿って該食品収容層の周囲に流下し、また、流れ込んだ冷気と入れ替わるように、該食品収容層の暖かい空気が、内部隔壁層の内蓋の下壁下に上昇され、同内蓋の周縁の外がわから各内壁凸部の上端上を通って冷媒設置層の外蓋の下壁に沿って蓄冷材の直上付近に対流するから、蓄冷材が常温に戻るまでの間、該食品収容層に冷気が効率的且つ連続的に供給され続けるものになるという特徴的な効果を発揮するものとなる。
そして、箱本体の複数本の縦凹路が、食品収容層の上端近傍から下端までの間に縦に連続して設けられ、各縦凹路の上端が、内部隔壁層および冷媒設置層に連続されたものによると、各縦凹路の上端上に内蓋の周縁が載置され、蓄冷材が搭載された内蓋の重量を、各縦凹路が安定に支持するものとなり、食品容器に収容された生鮮食品類に不要な荷重負荷が掛かるのをより確実に防止できるものとなる。
また、箱本体の床凹部が、底壁の内壁の何れか対峙する二辺間に平行に配列された複数本の直線状の凸床部に対し交互に配された複数本の直線状に凹設されたものとしてなるものは、各凸床部が、食品収容層に収容された食品容器の底部を安定に支持すると共に外力を緩衝して保護するものとなる上、各床凹部が、冷媒設置層から各縦凹路に沿って流下して来る冷気を当該箱本体の底壁の中央まで直線的に誘導するから、生鮮食品類の包装を完了した直後から、該生鮮食品類、およびそれを収容した食品容器を外がわから冷気の膜で包み込むように速やかに冷却し始めるものになるという優れた効果を奏するものとなる。
さらに、断熱素材製の皿形状の食品トレーを、その底部が外蓋がわに向けられた上下反転姿勢のものとされてなるものは、内蓋の全周縁が、下方に向けて傾斜されたものとなっているから、蓄冷材によって冷却された冷気が、該内蓋の上壁上の周縁から、より速やかに流下するものとなり、包装を完了した直後から、淀むこと無く食品収容層に冷気が供給されるものとなる上、当該内蓋の中央が上方に膨出された形状となるから、食品容器の上端から上方に露出する生鮮食品類に該内蓋の下壁が干渉してしまうのを、より確実に防止することができるものとなる。
上記したとおりの構成からなるこの発明の実施に際し、その最良もしくは望ましい形態について説明を加えることにする。
包装箱は、その内部の内部上下端間範囲に食品収容層、内部隔壁層および冷媒設置層を夫々割り当て可能とし、各層の夫々に食品容器、内蓋および蓄冷材が積層状且つ外気から密閉された状態に収納可能とする機能を分担し、具体的には、天面が開口され、周囲壁の内周壁に複数の縦凹路が設けられ、底壁の内壁に床凹部が設けられた箱本体、および、該箱本体の天面の開口を施蓋する形状の外蓋からなるものとしなければならず、外観が矩形箱状のものの外、円筒形状のもの、球形状のもの、錐形状のもの、その他の異形の立体形状のものなどとすることが可能であり、より具体的には、後述する実施例にも示すように、天面が開口され上向き嵌合縁が設けられ、周囲壁の内周壁の周方向に沿って複数の内壁凸部および複数の縦凹路が交互に配され、底壁の内壁に、複数の凸床部および凸床部の余となる範囲に床凹部が配された断熱素材製の箱本体、および、該箱本体の上向き嵌合縁に密閉状に嵌合可能な下向き嵌合縁が設けられ、該箱本体の天面の開口を密閉封止する外蓋からなるものとするのが良く、より具体的には、段ボールなどの厚紙製のものや、後述する実施例にも示すような発泡スチロール製のものなど、軽量で緩衝性を兼ね備えたものとするのが望ましい。
箱本体は、外蓋と組み合わせられ包装箱と成り、内部上下端間範囲の食品収容層、内部隔壁層および冷媒設置層の中の少なくとも食品収容層の下がわの範囲の底壁および周囲壁を成し、それら底壁および周囲壁が密閉性および断熱性を発揮する機能を分担しており、天面が開口され、周囲壁の内周壁に複数の縦凹路が設けられ、底壁の内壁に床凹部が設けられたものとしなければならず、より具体的には、天面が開口され上向き嵌合縁が設けられ、周囲壁の内周壁の周方向に沿って複数本の内壁凸部および複数の縦凹路が交互に配され、底壁の内壁に、複数の凸床部および凸床部の余となる範囲に床凹部が配された断熱素材製のものとすべきであり、天面の開口の上向き嵌合縁は、開口の全周囲に沿って連続する上向きの開口溝とされたものとすることができる外、後述する実施例にも示すとおり、開口の全周囲に沿って連続する上向きの凸条とされたものとすることができる。
外蓋は、箱本体と組み合わせられ包装箱と成り、内部上下端間範囲の食品収容層、内部隔壁層および冷媒設置層の中の少なくとも冷媒設置層の上がわの天壁を成すか、または少なくとも冷媒設置層の上がわの範囲の天壁および周囲壁かの何れか一方を成す機能を分担するものであり、該箱本体の天面の開口を施蓋する形状とされたものとしなければならず、外蓋の天壁か、または外蓋の天壁および周囲壁かの何れか一方が密閉性および断熱性をもって箱本体の天面の開口を施蓋する形状とされたものとするのが良く、より具体的には、当該箱本体の上向き嵌合縁に密閉状に嵌合可能な下向き嵌合縁が設けられ、同箱本体の天面の開口を密閉封止する断熱素材製のものとするのが望ましく、下向き嵌合縁が、当該外蓋の下壁の全周囲に沿って連続する下向きの凸条とされたものとすることができる外に、後述する実施例にも示すとおり、同外蓋の下壁の全周囲に沿って連続する下向き開口溝とされたものとすることができる。
また、外蓋の冷媒設置層と対峙する下壁には、該外蓋の下壁の遠心がわから中央に向けて延伸された複数本の空気誘導溝が複数本刻設され、冷媒設置層から下降して行く冷気と入れ替えに、食品収容層で暖められ上昇して来る空気を、遠心がわから蓄冷材の直上となる中央がわへ向けて誘導可能とされたものとすることができ、それら空気誘導溝間に直線状に延びる下向き凸条部が突設されたものとすることが可能であり、さらにまた、箱本体の上向き開口と外蓋との間には、軟質合成樹脂製や軟質天然ゴム製などのパッキン類が介在されたものとすることが可能であり、そして、該外蓋と箱本体との間に開閉用のヒンジや閉止用のバックル、施錠用の錠前金具類などが設けられたもの、または、外蓋および箱本体の外周に巻き付けられたバンド類や、該箱本体の周囲壁の対峙する外壁や底壁の下壁に回り込むように装着されるなどされた運搬用のショルダーハーネスなどが設けられたものとすることができる。
包装箱の内部上下端間範囲は、該包装箱の内部の生鮮食品類を収容した食品容器、内蓋および蓄冷材を収容する上下端間の全範囲を示し、食品収容層、内部隔壁層および冷媒設置層の三層からなり、最も下層の食品収容層には生鮮食品類を収容した食品容器が配され、中間層となる内部隔壁層には内蓋が配され、最も上層となる冷媒設置層には蓄冷材が配されるものとなる機能を分担し、該食品収容層は、生鮮食品類を収容した食品容器の全高に略一致するか、または、それを僅かに超える上下端間寸法に設定され、この内部隔壁層は、内蓋の全高に略一致するか、または、それを僅かに超える上下端間寸法に設定され、さらに、冷媒設置層は、蓄冷材の全高に略一致するか、または、それを僅かに超える上下端間寸法に設定されたものとすべきであり、各層は、相互間に通気性が確保されている上、各層毎に余剰となる空間を極力持たず、保冷性能を高めたものとするのが良く、より具体的には、食品収容層の上下端間寸法は、生鮮食品類を収容した食品容器の全高の1倍ないし2倍未満とされ、内部隔壁層の上下端間寸法は、内蓋の全高の1倍ないし2倍未満とされ、また、冷媒設置層の上下端間寸法は、蓄冷材の全高1倍ないし2倍未満とされたものとするのが望ましい。
箱本体の縦凹路は、包装箱の内部の冷媒設置層で冷やされ、内部隔壁層に収容された内蓋の周縁の外がわをとおり、流下する冷気を食品収容層の周囲壁の内面壁に沿って箱本体の底壁の床凹部まで誘導可能とする機能を分担するものであり、箱本体の周囲壁の内周壁に複数本設けられたものとしなければならず、外蓋の周囲に箱本体の上向き開口に対し下向きに嵌合する下向きスリーブ状の側短壁がある場合には、該側短壁の内周壁にも箱本体の複数の縦凹路の各上端に連続する複数の縦凹路が刻設されたものとすることができ、後述する実施例にも示しているように、箱本体の内周壁の周方向に沿って複数本の内壁凸部および複数の縦凹路が交互に配されたものとすることができ、さらに、各内壁凸部が、食品収容層の上下端間の範囲に突設されたものとするのが良い。
箱本体の内壁凸部は、生鮮食品類を収容した食品容器の該箱本体の周囲壁と対峙する外周壁を緩衝および支持可能とする機能を分担し、当該箱本体の周囲壁の内周壁の周方向に沿って複数本の内壁凸部および複数の縦凹路が交互に配されたものとすることができ、後述する実施例にも示すように、当該箱本体の周囲壁の内周壁の食品収容層に配された食品容器の上端から外がわに向けて突設された外周縁よりも僅かに低い位置から、同箱本体の底壁に至る範囲の上下端間に設けられたものとするのが良い。
箱本体の底壁の床凹部は、該箱本体の周囲壁の内周壁の複数本の縦凹路に沿って流下する冷気を、底壁の中央に向けて誘導可能とする機能を分担しており、当該箱本体の底壁の内壁に対して刻設されたものとしなければならず、同箱本体の底壁の内壁に点在する複数個の凸床部の余となる範囲かからなる床凹部とすることが可能であり、同箱本体の底壁の内壁の、各縦凹路の下端に対応する付近から同底壁の内壁の中央に連続する凹溝状のものとするのが望ましく、より具体的には、当該箱本体の底壁の内壁の中央に短円柱状の凹部が設けられ、該短円柱状の凹部から水平面上の遠心方向に放射状となる凹条部が、該箱本体の周囲壁の縦凹路の下端付近まで延伸された状態に刻設されたものとすることができる外、後述する実施例にも示しているように、当該箱本体の底壁の内壁の何れか対峙する二辺間に平行に配列された複数本の直線状の凸床部に対し交互に配された複数本の直線状に凹設されたものとすることができる。
食品容器は、包装の対象となる生鮮食品類を保護および収容し、包装箱の食品収容層に配される機能を担い、生鮮食品類の大きさや形などに適した器形状または箱形状のものなどとするのが望ましく、包装箱の食品収容層に1または複数個が収まる寸法、形状のものとされ、当該食品容器の周壁が箱本体の各縦凹路との間に冷気が流下する間隙を確保された形状のものとされ、さらに、同食品容器の底壁と箱本体の床凹部との間に冷気が流れ込む隙間を確保されたものとしなければならず、網目状の緩衝用ネットや籠などとすることが可能であるが、通気製の無い素材製の天面が開口された容器とするのが望ましく、より具体的には、厚紙製や発泡スチロール製などのトレーや箱、開閉蓋付きの容器、天面が開口された容器に帯状フィルムが巻き掛けられているものや、天面が開口された容器の全体が樹脂フィルムで包装されているもの、または後述する実施例にも示しているとおり、透明なPET(ポリエチレンテレフタレート)製の市販の食品用トレーなどとすることができる。
内蓋は、冷媒設置層の蓄冷材が直接的に食品収容層の食品容器の生鮮食品類に接してしまい凍結などの悪影響が及ばないよう適度に断熱保護すると共に、該冷媒設置層で冷やされた冷気が、直接的にこれら生鮮食品類に降り注ぐのを防止し、該冷気を包装箱の箱本体の周囲壁の内周壁がわ、および、各縦凹路の上端がわへ誘導可能とする機能を分担し、食品収容層の直上の包装箱の周囲壁の内周壁よりも極僅かに小さな面積であって、食品収容層の直上の略全体を覆うものとするのが望ましく、食品収容層に配された食品容器の上端に接するか、各内壁凸部の上端に接するか、または、食品収容層と冷媒設置層との境付近となる箱本体の周囲壁の内周壁に対し、僅かな隙間を維持しながら、僅かな摩擦をもって接するかの何れかとされて、該包装箱の内部隔壁層に配されたものとするのが良く、キッチンペーパーやパラフィン紙、軟質発泡樹脂シート、不織布、布、スポンジなどの素材製のものとすることができるが、厚紙や木板、硬質合成樹脂板などのように硬質且つ断熱性を有するものとするのが望ましく、後述する実施例にも示しているように、発泡スチロール製の市販の皿形状の食品用トレーを、その底部が外蓋がわに向けられた上下反転姿勢とされてなるものとすることができる。
蓄冷材は、包装箱の冷媒設置層の空気を冷却し、食品収容層に冷気を連続的に供給する機能を担い、自らに蓄冷されたものであって、外部電力の供給などを要さずとも食品収容層を保冷可能なものとしなければならず、冷却した水、氷、凍らせた食品類などとすることができる外、包装の対象がアイスクリームや氷菓子、冷凍食品などのように冷凍保存を要するものの場合にはドライアイスとすることが可能であり、また、後述する実施例にも示しているが、水とゲル剤(例えば天然高分子)、保存料、必要に応じて着色料などが混合された蓄冷剤が、ポリエチレン製プラスチック容器や袋に充填されてなるものとすることができる。
包装の対象となる生鮮食品類は、冷蔵保存が望ましい食品とすることができ、魚介、飲料、果物、フルーツ、果実的野菜、野菜、ケーキなどの菓子類、その他、様々な食品とすることが出来る外、冷凍食品やその他の冷凍保存を要する物品とすることができ、さらにまた、この発明の包装箱は、これらの生鮮食品類を医薬品や輸液、輸血用血液製剤、検体、移植用臓器などに置き換え、それらの冷却保存および輸送などにも利用可能なものであるということができる。
以下では、図面に示すこの発明を代表する実施例と共に、その構造について詳述することとする。
図面は、この発明の保冷型包装容器の技術的思想を具現化した代表的な幾つかの実施例を示すものである。
分解された保冷型包装容器を示す斜視図である。 サクランボを収容した食品容器を配した箱本体を示す斜視図である。 内蓋を配した箱本体を示す斜視図である。 蓄冷材を配した箱本体を示す斜視図である。 施蓋された包装箱を示す斜視図である。 一部を断面化し冷気の流れを示す保冷型包装容器の正面図である。 一部を断面化し冷気の流れを示す保冷型包装容器の側面図である。 箱本体を示す平面図である。 内蓋に誘導される冷気の流れを示す箱本体および内蓋の平面図である。
図1ないし図9に示す事例は、天面が開口31され、内周壁33に縦凹路35,35,……が設けられ、底壁36に床凹部37,37,……が設けられた箱本体3と、該箱本体3を施蓋する形状の外蓋4とからなる包装箱2を有し、同箱本体3の底壁36から外蓋4の下壁までの内部上下端間範囲Hの下層がわに割り当てられた食品収容層H0に収まる1または複数個の食品容器5,5が収容され、該食品収容層H0の上に割り当てられた内部隔壁層H1に内蓋6が内装され、該内部隔壁層H1の上に割り当てられた冷媒設置層H2に蓄冷材7が内装されたものとしてなる、この発明の保冷型包装容器における代表的な一実施例を示すものである。
それら各図からも明確に把握できるとおり、この発明の保冷型包装容器1は、その箱本体3と外蓋4とからなる包装箱2が、白色の発泡スチロール製の市販の既製品である果物用の矩形の輸送箱2とされ、食品容器5が無色透明なPET(ポリエチレンテレフタレート)製の市販品の矩形深型容器状の食品用トレー5とされ、内蓋6が白色の発泡スチロール製の市販の矩形浅型の皿形状の食品用トレー6とされ、蓄冷材7が、ナイロン(NY)製の外層、および、ポリエチレン(PE)製の最内層を有する軟質フィルム製のナイロンポリ袋に、水とゲル剤(例えば天然高分子)、保存料などが混合された無色(または、着色料が混合された有色のものとすることが可能である。)透明の蓄冷剤が充填されてなる軟質な矩形板状の市販の保冷剤7とされ、それら包装箱2、食品容器5,5、内蓋6および蓄冷材7の全ての部品が、夫々既に広く市販されている既製品であって、この発明の保冷型包装容器1の全体が、廉価に入手可能な既製品の組み合わせからなるものとされている。
包装箱2の箱本体3は、2個の食品容器5,5が、互いの一方の長辺同士を接するよう配列された矩形平面積より極僅かに大きな平面積とされた底壁36、および、該底壁36の上壁上に載置された該食品容器5の上端50よりも20mm前後高く設定された周囲壁30を有し、該箱本体3の、底壁36の上壁から、同底壁36の上壁上に載置された該食品容器5の上端50までの上下端間範囲H0が、食品収容層H0に割り当てられ、天面が開口31され、各4辺の周囲壁30の上端には、外周囲に段差を有する矩形環状の凸条32からなる上向き嵌合縁32が突設されたものとなっている。
各周囲壁30の内周壁33には、その長辺壁の3箇所、および短辺壁の2箇所の夫々の食品収容層H0の上下端間範囲H0に、厚さTを4.5mmとした内壁凸部34,34,……が、互いに周方向の間隔を隔てて配された内向きの幅広凸条となるよう突設されると共に、各内壁凸部34,34,……の間には、奥行きTを4.5mmとした幅広の縦凹路35,35,……が配され、それら内壁凸部34,34,……と縦凹路35,35,……とが、4辺の内周壁33の周方向に沿って交互に配され、また、当該箱本体3の底壁36の上壁には、該底壁36の上壁の2つの長辺間に平行に配列された複数本の凸床部36,36,……および各凸床部36,36,……の余となる範囲に、深さDを6mmとした複数本の床凹部37,37,……が、内周壁33の対峙する短辺壁および内壁凸部34,34,……の間に渡って連続する直線状に配されたものとされている。
包装箱2の外蓋4は、箱本体3の上向き開口31を隠蔽可能な平板状の蓋壁40と、該蓋壁40の全外周囲から垂下された側短壁41とを有し、該側短壁41の下端には、当該箱本体3の上向き嵌合縁32を密に嵌合する下向き嵌合縁42としての下向き開口溝42が凹設されたものとなり、図6および図7に示すように、外蓋4は、当該箱本体3に施蓋された場合に、蓋壁40の下壁から該箱本体3の底壁36の上壁までの上下端間範囲Hが内部上下端間範囲Hとされ、内部上下端間範囲Hの最下層に食品収容層H0が割り当てられ、該内部上下端間範囲H内の該食品収容層H0の直上となる中間層に内部隔壁層H1が割り当てられ、さらに、同内部上下端間範囲H内の該内部隔壁層H1の直上となる最上層に冷媒設置層H2が割り当てられたものとされている。
図6ないし図9に示すように、当該包装箱2内の内部隔壁層H1には、箱本体3の内周壁33に囲まれた平面矩形状の範囲より僅かに小さな略相似形であって、しかも一方の長辺同士を接するよう配列された2個の食品容器5,5の上下方向の投影面積よりも僅かに大きな上下方向の投影面積となる寸法に設定された矩形浅型の皿形状の食品用トレー6が上下を反転され、平面形とされた底部中央が上向きの俯せ姿勢とされ、4方の周縁が20°ないし60°、例えば約45°の下り勾配で垂下された内蓋6が、箱本体3の内周壁33に遊嵌状に配されたものとなり、当該内部隔壁層H1の内蓋6上の冷媒設置層H2には、該箱本体3の内周壁33に囲まれた平面矩形状の範囲よりも充分に小さく、内蓋6の平面形とされた底部中央範囲に略相当する平面積とされ、冷媒設置層H2の上下端間範囲内に余裕を持って収まる上下厚み寸法とされた蓄冷材7が配されたものとなっている。
(実施例1の作用・効果)
以上のとおりの構成からなるこの発明の保冷型包装容器1は、図1ないし図9に示すように、生鮮食品類8としての複数個のサクランボ8,8,……を収容された2個の食品容器5,5が、箱本体3の食品収容層H0に割り当てられた底壁36の上壁上に並べて配され、該食品収容層H0の直上に割り当てられた内部隔壁層H1に内蓋6が配され、該内蓋6の周縁が、各内壁凸部34,34,……の上端か、または、食品容器5,5の上端50,50の外周縁50,50かの何れか一方に係止され、サクランボ8,8,……に接することなく水平に支持されたものとなり、該内部隔壁層H1の直上に割り当てられた冷媒設置層H2には、蓄冷材7が該内蓋6の上壁上の中央に搭載された状態に配され、さらに、当該箱本体3の上向き開口31に、外蓋4が、互いの上向き嵌合縁32と下向き開口溝42とが密に嵌合され、組み立てられた包装箱2は、その内部上下端間範囲Hが外部から気密に隔離された状態に密閉、包装されたものとなる。
このように包装を完了したこの発明の保冷型包装容器1は、内部隔壁層H1の内蓋6が、食品収容層H0のサクランボ8,8,……に冷媒設置層H2の蓄冷材7が、機械的および熱的に接触するのを防止し、断熱保護するものとなって、サクランボ8,8,……が潰れたり凍結したり、過剰に冷却されてしまったりするのを確実に防止するものとなり、しかも図6、図7および図9中の複数本の二点鎖線矢印の夫々に示すように、蓄冷材7に接して冷却された冷媒設置層H2の冷気70が、内部隔壁層H1の内蓋6の上壁上を外がわに向けて流れ、同内蓋6の外周縁を回り込むように流れ下り、食品収容層H0の各内壁凸部34,34,……間の各縦凹路35,35,……に沿って内周壁33と食品容器5の周壁との間隙に冷気膜70を成す如く流下し、さらに、箱本体3の底壁36の上壁の外周縁に達した該冷気70は、各凸床部36,36,……間の各床凹部37,37,……の外端がわから同底壁36の上壁の中央に向けて流動し、2個の食品容器5,5の間を該内蓋6の下壁まで上昇し、同内蓋6の下壁に沿って水平方向の外がわに移動しながら、各食品容器5,5内のサクランボ8,8,……に冷気が降り注がれ、満遍なく保冷するものとなり、図6、図7および図9中の複数本の一点鎖線矢印の夫々に示すように、食品収容層H0の温度が上昇した空気71は、各内壁凸部34,34,……の上端に相当する冷気70の流れが起こらない位置から内部隔壁層H1の内蓋6の外周縁を回り込むようにして冷媒設置層H2の外蓋4の側短壁41の内壁に沿って上昇し、同外蓋4の蓋壁40の下壁に沿って蓄冷材7の上方の隙間に達し、該蓄冷材7に接して冷却されるものとなり、該蓄冷材7が常温に戻るまでの間に渡って該冷気70および温度が上昇した空気71の対流が連続的な循環を続けるものとなる。
また、内蓋6は、断熱性を有するから、蓄冷材7の冷たさがサクランボ8,8,……に直接的に伝わるのを阻止し、過剰な冷却や凍結を防止できる上、該内蓋6の下壁に霜や水滴が発生するのを防止し、サクランボ8,8,……を保護するものとなり、さらに、内蓋6の上下方向の投影面積が、2個並べて配された食品容器5,5の上下方向の投影面積を僅かに超え、各食品容器5,5の開口縁の上端50,50を覆う形状とされているから、蓄冷材7の冷却によって冷媒設置層H2内に水滴が発生し、内蓋6の上壁上を水平方向の外がわに向けて該水滴が流下した場合であっても、各食品容器5,5内に流入することなく、各食品容器5,5の周壁の外面壁と箱本体3の内周壁33(内壁凸部34,34,……、縦凹路35,35,……)との間を通じて同箱本体3の底壁36(凸床部36,36,……、床凹部37,37,……)に流れ落ち、各食品容器5,5内のサクランボ8,8,……に水が付着してしまうのを確実に防止し、より鮮度良く保冷できるものとなる。
加えて、この発明の保冷型包装容器1は、その全ての部品が市販の既製品からなるから、各容器の専用金型の設計および製造までの経費を一切必要とせず、専用部品の開発が不要となり、格段に経済的に提供可能なものとなる上、前述の如く内部上下端間範囲H内に食品収容層H0、内部隔壁層H1および冷媒設置層H2が積層状に積み重ねられ、収容効率に優れた配置構成とされているから、郵便や宅配便などで発送する場合にも、包装箱2の外寸の縦、横、高さの合計を、60cmの60サイズないし80cmの80サイズに留めることが容易となり、輸送経費を格段に削減できるものになるという秀でた利点が得られるものである。
(結 び)
叙述の如く、この発明の保冷型包装容器は、その新規な構成によって所期の目的を遍く達成可能とするものであり、しかも製造も容易で、従前からの包装容器技術に比較して断熱、保冷性能を格段に高めることができる上、軽量で使い易く、各部品を既製品からなるものに置き換えることができるから、設計および製造への投資が不要となり、大幅に低廉化し、遥かに経済的なものとすることができ、生鮮食品類やその他の要冷蔵品類などを、従来型の容器類よりもより効果的に保冷し、より安全に保護、輸送したいと希望する生鮮食品類の卸売り業界および販売業界はもとより、その他の様々な物品類の冷蔵輸送を担う輸送業界および一般家庭などにおいても高く評価され、広範に渡って利用、普及していくものになると予想される。
1 保冷型包装容器
2 包装箱
3 箱本体
30 同 周囲壁
31 同 上向き開口
32 同 上向き嵌合縁
33 同 内周壁
34 同 内壁凸部
35 同 縦凹路
T 同 内壁凸部34の厚さ(縦凹路35の奥行き)
36 同 底壁(凸床部)
37 同 床凹部
D 同 床凹部37の深さ
4 外蓋
40 同 蓋壁
41 同 側短壁
42 同 下向き開口溝(下向き嵌合縁)
H 内部上下端間範囲
H0 同 品収容層
H1 同 内部隔壁層
H2 同 冷媒設置層
5 食品容器
50 同 外周縁(上端)
6 内蓋
7 蓄冷材
70 同 冷気(冷気膜、冷気シールド)
71 同 温度が上昇した空気
8 生鮮食品類(サクランボ)

Claims (6)

  1. 天面が開口され、周囲壁の内周壁に複数本の縦凹路が設けられ、底壁の内壁に床凹部が設けられた箱本体、および、該箱本体の天面の開口を施蓋する形状の外蓋からなる包装箱を有し、同包装箱の箱本体の底壁の上壁から外蓋の下壁までの内部上下端間範囲の上層がわを除く下層がわを含む範囲に割り当てられた食品収容層に収まる上下間寸法とされた1または複数個の何れか一方の食品容器が該食品収容層内に収容され、当該内部上下端間範囲の食品収容層の上端から該外蓋の下壁までの間の下層がわに割り当てられた内部隔壁層には、当該1または複数個の何れか一方の食品容器の天面を覆い、且つ、当該箱本体の各縦凹路の内壁との間に隙間を確保する外郭形状とされた内蓋が内装され、当該内部上下端間範囲の内部隔壁層の上端から該外蓋の下壁までの間に割り当てられた冷媒設置層には、該冷媒設置層内に収まる外郭寸法の蓄冷材が内装されたものとしてなることを特徴とする保冷型包装容器。
  2. 天面が開口され、周囲壁の内周壁に複数本の縦凹路が設けられ、底壁の内壁に床凹部が設けられた箱本体、および、該箱本体の天面の開口を施蓋する形状の外蓋からなる包装箱を有し、同包装箱の箱本体の底壁の上壁から外蓋の下壁までの内部上下端間範囲の上層がわを除く下層がわを含む範囲に割り当てられた食品収容層に収まる上下間寸法とされた1または複数個の何れか一方の食品容器が該食品収容層内に収容され、当該内部上下端間範囲の食品収容層の上端から該外蓋の下壁までの間の下層がわに割り当てられた内部隔壁層には、当該1または複数個の何れか一方の食品容器の天面を覆い、且つ、当該箱本体の各縦凹路の内壁との間に隙間を確保する外郭形状とされた内蓋が内装され、当該内部上下端間範囲の内部隔壁層の上端から該外蓋の下壁までの間に割り当てられた冷媒設置層には、該冷媒設置層内に収まる外郭寸法の蓄冷材が内装され、該蓄冷材が冷却した該冷媒設置層の冷気が、内蓋の上壁の外縁がわから複数本の縦凹路および床凹部をとおり床壁の内壁の中央に至る過程で、該食品収容層の食品容器の全体を外周囲から包み込む冷気シールドを形成するよう連続的に流動するものとされてなることを特徴とする保冷型包装容器。
  3. 天面が開口され上向き嵌合縁が設けられ、周囲壁の内周壁の周方向に沿って複数本の内壁凸部および複数の縦凹路が交互に配され、底壁の内壁に、複数の凸床部および凸床部の余となる範囲に床凹部が配された断熱素材製の箱本体、および、該箱本体の上向き嵌合縁に密閉状に嵌合可能な下向き嵌合縁が設けられ、同箱本体の天面の開口を密閉封止する断熱素材製の外蓋からなる包装箱を有し、該包装箱の箱本体の凸床部から外蓋の下壁までの内部上下端間範囲の上層がわを除く下層がわを含む範囲に割り当てられた食品収容層の上下幅範囲に収まる上下端間寸法であって、当該箱本体の各内壁凸部で囲まれた範囲に収まる外郭形状とされた1または複数個の何れか一方の透明樹脂製の食品容器が、当該内部上下端間範囲の該食品収容層内に収容され、当該内部上下端間範囲の食品収容層の上端から該外蓋の下壁までの間の下層がわに割り当てられた内部隔壁層には、当該1または複数個の何れか一方の食品容器の天面を覆い、且つ、当該箱本体の各縦凹路の内壁との間に僅かな隙間を確保する外郭形状とされた断熱素材製の内蓋が内装され、当該内部上下端間範囲の内部隔壁層の上端から該外蓋の下壁までの間に割り当てられた冷媒設置層には、該冷媒設置層内に収まる外郭寸法の蓄冷材が内装されたものとしてなることを特徴とする保冷型包装容器。
  4. 箱本体の複数本の縦凹路が、食品収容層の上端近傍から下端までの間に縦に連続して設けられ、各縦凹路の上端が、内部隔壁層および冷媒設置層に連続されたものとしてなる、前記請求項1ないし請求項3何れか一記載の保冷型包装容器。
  5. 箱本体の床凹部が、底壁の内壁の何れか対峙する二辺間に平行に配列された複数本の直線状の凸床部に対し交互に配された複数本の直線状に凹設されたものとしてなる、前記請求項1ないし請求項4何れか一記載の保冷型包装容器。
  6. 内蓋が、断熱素材製の皿形状の食品トレーを、その底部が外蓋がわに向けられた上下反転姿勢のものとされてなる、前記請求項1ないし請求項5何れか一記載の保冷型包装容器。



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