JP2021187335A - 車両用クラッシュボックス - Google Patents

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健太 渡辺
Kenta Watanabe
高徳 沖
Takanori Oki
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Abstract

【課題】車両用クラッシュボックスにおいて、板厚変更を伴わずに、耐荷重性能の向上を可能とする。【解決手段】車両用クラッシュボックス10は、基準角筒部20及び前方角筒部30を備えた、階段状の切頭多角錘構造に形成される。基準角筒部20は、車両前後方向軸に直交する断面が多角形であって、当該多角形の各頂点により車両前後方向に稜線18が形成される。前方角筒部30は、基準角筒部20と同軸であって基準角筒部20から車両前後方向前方に設けられ、基準角筒部20よりも上記多角形の断面積が小さい。さらに、基準角筒部20及び前方角筒部30の断面の上記多角形は凹多角形である。【選択図】図2

Description

本明細書では、車両用の衝撃吸収部材であるクラッシュボックスが開示される。
車両の前面衝突(前突)または後面衝突(後突)時に衝撃を受ける部材として、車両の前面及び後面には、バンパリーンフォースメントと呼ばれる骨格部材が車幅方向に延設される。さらに車体には、車幅方向両側に、車両前後方向に延設されるサイドメンバと呼ばれる骨格部材が設けられる。バンパリーンフォースメントとサイドメンバとの間には、クラッシュボックスと呼ばれる衝撃吸収部材が設けられる。
クラッシュボックスは、バンパリーンフォースメント及びサイドメンバよりも耐荷重性が低くなるように形成される。したがって前突又は後突時には、サイドメンバに先駆けてクラッシュボックスが潰れ変形する。
クラッシュボックスの潰れ変形により衝突エネルギが吸収される。さらに例えば軽衝突時には、サイドメンバが変形することなく、クラッシュボックスの潰れ変形(破損)で済む場合がある。サイドメンバの交換が不要となることから、修理費用を軽減できる。
このようなクラッシュボックスとして、例えば特許文献1では、サイドメンバからバンパリーンフォースメントに向かうに連れて、断面四角形の断面積が徐々に小さくなる、階段状の切頭四角錘構造のクラッシュボックスが開示される。また特許文献2では、サイドメンバからバンパリーンフォースメントに向かうに連れて、断面円形の断面積が徐々に小さくなるとともに長手方向一端から他端に向かう螺旋状の傾斜部を備えた切頭円錐構造のクラッシュボックスが開示される。
特許文献1のような段差構造のクラッシュボックスは、車両の衝突時に、先頭段がその後段に陥入する。さらに衝突が進むと、上記後段がその後段に陥入する。また特許文献2のような傾斜部が設けられたクラッシュボックスは、螺旋状の傾斜部に沿ってクラッシュボックスが捩じれるようにして変形される。このように、段差構造や傾斜部が形成されたクラッシュボックスでは、同一長で段差構造や傾斜部の無いクラッシュボックスと比較して、変形点が明確であるため、設計通りの潰れ変形が可能となる。
特開平8−198039号公報 特開2018−47780号公報
ところで、クラッシュボックスの耐荷重性能を高める方法として、板厚を増加させることが考えられるが、例えばダイキャスト加工等の金型鋳造により肉厚のクラッシュボックスを加工しようとすると、内部に鋳巣等の不良が生じるおそれがある。そこで本明細書で開示される車両用クラッシュボックスは、板厚変更を伴わずに、耐荷重性能の向上を可能とすることを目的とする。
本明細書で開示される車両用クラッシュボックスは、一対のサイドメンバと、バンパリーンフォースメントとの間に設けられる。一対のサイドメンバは、車両幅方向両側に設けられ、それぞれ車両前後方向に延設される。バンパリーンフォースメントは、車両前面及び後面の少なくとも一方に配置され車幅方向に延設される。車両用クラッシュボックスは、基準角筒部及び前方角筒部を備えた、階段状の切頭多角錘構造に形成される。基準角筒部は、車両前後方向軸に直交する断面が多角形であって、当該多角形の各頂点により車両前後方向に稜線が形成される。前方角筒部は、基準角筒部と同軸であって基準角筒部から車両前後方向前方に設けられ、基準角筒部よりも上記多角形の断面積が小さい。さらに、基準角筒部及び前方角筒部の断面の上記多角形は凹多角形である。
車両前後方向の衝突荷重が入力されたときに、クラッシュボックスにおいて、車両前後方向に延設される稜線が主に荷重を受ける。ここで後述されるように、稜線を構成するクラッシュボックスの断面多角形の各頂点の内角又はその共役角が90°以下であるときに、同角が鈍角であるときと比較して、稜線の耐荷重性が高くなる。断面多角形を凹多角形とすることで、すべての内角またはその共役角を90°以下にすることが出来る。
また、上記構成において、車両用クラッシュボックスは、後方角筒部を備えてもよい。後方角筒部は、基準角筒部と同軸であって当該基準角筒部から車両前後方向後方に設けられ、基準角筒部よりも上記多角形の断面積が小さい。前方角筒部に加えて後方角筒部を備えることで、車両用クラッシュボックスは、切頭多角錘構造が車両前後方向に沿って互いに反転された、双対切頭多角錘構造に形成される。さらに、基準角筒部の車両前後方向の長さは、基準角筒部の前後の段部の車両前後方向の長さの和以上である。
上記構成によれば、車両の衝突時に、基準角筒部にその前後の段部が陥入する際に、互いの干渉を抑制可能となる。
本明細書に開示される車両用クラッシュボックスによれば、板厚変更を伴わずに、耐荷重性能が向上可能となる。
本実施形態に係る車両用クラッシュボックスを備える、車両前部の骨格構造を例示する斜視図である。 本実施形態に係る車両用クラッシュボックスを例示する単体斜視図である。 本実施形態に係る車両用クラッシュボックスの、回転荷重に対する耐荷重性能を説明する図である。 本実施形態に係る車両用クラッシュボックスの、衝突時の潰れ変形過程を説明する図である。 フロントサイドメンバに、車両前後方向軸に対して傾いた方向から衝突荷重が入力されたときの、本実施形態に係る車両用クラッシュボックスの変形過程を説明する図である。 本実施形態に係る車両用クラッシュボックスに荷重が入力されたときの様子を説明する図である。 本実施形態に係る車両用クラッシュボックスの、段差部分のうち平板部分に入力される荷重を説明する図である。 本実施形態に係る車両用クラッシュボックスの、段差部分のうち稜線部分に入力される荷重を説明する図である。 内角の異なる稜線部分を例示する図である。 稜線の内角が凹角であるときの、稜線部分に入力される荷重を説明する図である。 断面形状が凸多角形である車両用クラッシュボックスが比較例として示された図である。 本実施形態に係る車両用クラッシュボックスの別例を示す図である。
図1〜図12には、本実施形態に係る車両用のクラッシュボックス10が例示される。なお図1〜図12において、車両前後方向が記号FRで表される軸で示され、車幅方向が記号RWで表される軸で示され、鉛直方向が記号UPで表される軸で示される。記号FRはFrontの略であり、前後方向軸FRは車両前方を正方向とする。記号RWはRight Widthの略であり、幅方向軸RWは右幅方向を正方向とする。また高さ軸UPは上方向を正方向とする。
図1に示されているように、これらFR軸、RW軸、UP軸は互いに直交する。以下適宜、これら3軸を基準に、本実施形態に係る車両用のクラッシュボックス10が説明される。例えば「前端」は任意の部材のFR軸正方向側の端部を指し、「後端」は任意の部材のFR軸負方向側の端部を指す。「幅内側」はRW軸に沿って相対的に車両の幅方向内側を指すものとし、「幅外側」はRW軸に沿って相対的に車両の幅方向外側を指すものとする。さらに「上側」は相対的にUP軸の正方向側を指し、「下側」は相対的にUP軸の負方向側を指す。
図1には、本実施形態に係る車両用クラッシュボックス10が設けられた、車両前部の骨格構造の斜視図が例示されている。図1に例示されている骨格構造は、いわゆる上部構造のみであって、骨格構造の下部構造であるサスペンションメンバ等は適宜図示を省略している。
車両前部の骨格構造は、一対のフロントサイドメンバ50,50、フロントバンパリーンフォースメント60、クラッシュボックス10,10、及びブラケット70,70を備える。以下、フロントサイドメンバ50は適宜「FRサイドメンバ50」と記載され、フロントバンパリーンフォースメント60は適宜「FRバンパR/F60」と記載される。
FRサイドメンバ50,50は、車両前面の、車両幅方向両側に設けられ、それぞれ前後方向に延設される一対の骨格部材である。例えばFRサイドメンバ50,50は、閉断面構造の中空部材として構成される。また、FRサイドメンバ50,50には、折れ変形の起点(変形起点)として、折れビード52(凹みビード)が前後方向に複数形成される。FRサイドメンバ50,50の間には、内燃機関等の駆動源や、ラジエータやインテーク等の周辺機器が搭載される。
FRバンパR/F60は、車幅方向に延設され、FRサイドメンバ50の前端に、クラッシュボックス10を介して接続される骨格部材である。図1に例示されるように、FRバンパR/F60は、幅方向中央部分が幅方向両端と比較して前方にせり出すような略円弧形状となっている。FRバンパR/F60は中空の閉断面構造となっている。
FRサイドメンバ50の前端には、ブラケット70が締結等により固定される。ブラケット70はFRサイドメンバ50の前端から下方に延設される。例えばブラケット70の下端には車両下方の骨格部材であるバンパリーンフォースメントロア(図示せず)が接続される。
クラッシュボックス10は、FRサイドメンバ50とFRバンパR/F60との間に設けられ、両者を接続する。より具体的には、クラッシュボックス10の前端が、FRバンパR/F60の後端に接続される。またクラッシュボックス10の後端が、ブラケット70を介して、FRサイドメンバ50の前端に接続される。これらの接続は、例えばボルト・ナットを用いた締結等により行われる。
クラッシュボックス10は、FRサイドメンバ50及びFRバンパR/F60と比較して潰れ変形し易い構造となっている。例えばFRサイドメンバ50及びFRバンパR/F60はホットスタンプ鋼板等の高張力鋼板から構成される。一方でクラッシュボックス10は、例えば普通鋼板の成形品から構成される。
なお、図1では、車両前部の骨格構造にクラッシュボックス10が搭載された例が示されていたが、本実施形態に係るクラッシュボックス10は、この形態に限られない。要するに車幅方向両側に設けられ、車両前後方向に延設される一対のサイドメンバと、車両前面及び後面の少なくとも一方に配置され、車幅方向に延設されるバンパリーンフォースとの間に、クラッシュボックス10が設けられる。
例えば車両後部の骨格構造においては、FRサイドメンバ50に接続され車両前後方向に延設されるリアサイドメンバと、車両後面に設けられたリアバンパリーンフォースメントとの間に、クラッシュボックス10が設けられる。なお、以下では、クラッシュボックス10が車両前部の骨格構造に設けられた例が示されるが、車両構造の対称性から、車両後部の骨格構造にクラッシュボックス10が設けられた場合も、下記の例と同様とされる。
<クラッシュボックスの構造>
図2にはクラッシュボックス10の単体斜視図が例示される。クラッシュボックス10は、階段状の切頭多角錘構造に形成される。特に図2では、基準角筒部20を折り返しとして、車両前後方向に沿って切頭多角錘構造が互いに反転された、双対切頭多角錘構造を備えるクラッシュボックス10が例示される。
すなわちクラッシュボックス10は、基準角筒部20、前方角筒部30、及び後方角筒部40を備える。基準角筒部20は、クラッシュボックス10の、車両前後方向中央に位置される多角形部分である。例えば基準角筒部20は、車両前後方向軸(FR軸)に直交する断面(RW−UP断面)の形状が矩形の中空状である。
図2の例では、基準角筒部20の断面形状は、車幅方向に一対設けられる鉛直壁14と、車高方向に一対設けられる水平壁12とによって規定された、断面十字型の凹多角形となっている。凹多角形とは、少なくとも一つの内角に凹角を含む多角形を指す。凹角とは角度が180°より大きく360°より小さい角を指す。この断面凹多角形であることによる耐荷重性については後述される。
また、水平壁12及び鉛直壁14との境界線として、車両前後方向に直線状に延設される稜線18が形成される。言い換えると、クラッシュボックス10の断面多角形の各頂点により、車両前後方向に稜線18が形成される。後述されるように、FRバンパR/F60に衝突荷重が入力されると、クラッシュボックス10の稜線18が主に荷重を受ける。
なお、水平壁12、鉛直壁14及び後述される接続壁16はいずれも同一板厚であってよい。また、基準角筒部20、前方角筒部30、及び後方角筒部40のそれぞれの水平壁12、鉛直壁14及び接続壁16は、いずれも同一板厚であってよい。
後述されるように、前方角筒部30及び後方角筒部40の各段部と、基準角筒部20との、車両前後方向軸に直交する断面(RW−UP断面)の多角形形状は同軸かつ相似形状となる。また基準角筒部20は、前方角筒部30及び後方角筒部40の各段部と比較して、その断面積が最大となるように形成される。言い換えると、前方角筒部30及び後方角筒部40の各段部のRW−UP断面積は、いずれも、基準角筒部20のRW−UP断面積よりも小さい。
基準角筒部20の車両前後方向長さL1は、基準角筒部20の前段部である、前方角筒部30の前方中間段部34と、これと面対称構造であって基準角筒部20の後段部である、後方角筒部40の後方中間段部42の、車両前後方向長さL2の和以上(L1≧2×L2)であってよい。言い換えると、クラッシュボックス10の潰れ変形時における、前方中間段部34及び後方中間段部42の基準角筒部20への陥入量(ストローク量)の和以上となるように、基準角筒部20の長さL1が定められる。このような構成とすることで、車両衝突の際に前方中間段部34と後方中間段部42とがともに基準角筒部20内に陥入するときに、両段部34,42の当接、言い換えると干渉が抑制される。
基準角筒部20の前方に前方角筒部30が接続される。前方角筒部30はクラッシュボックス10の前端部である先頭段部32と、先頭段部32と基準角筒部20との間に設けられた前方中間段部34とを含んで構成される。
前方中間段部34及び先頭段部32は、基準角筒部20と同軸であって、断面形状は基準角筒部20と相似の多角形形状になっている。また前方中間段部34及び先頭段部32の断面多角形の各頂点によって、車両前後方向に延設される稜線18が形成される。
また前方中間段部34は、基準角筒部20よりも断面積が小さくなるように構成され、先頭段部32は、前方中間段部34よりもさらに断面積が小さくなるように構成される。つまり、前方角筒部30は、車両前方に進むにつれて断面多角形の断面積が一段毎に小さくなる。基準角筒部20及び前方中間段部34、ならびに、前方中間段部34と先頭段部32と繋ぐ段差構造として、車両前後方向軸FRに垂直な平面(RW−UP平面)に平行な接続壁16が設けられる。
基準角筒部20と前方中間段部34、及び前方中間段部34と先頭段部32との段差高さH1は等しくてよい。例えば段差高さH1は、水平壁12及び鉛直壁14の板厚tに所定のマージンを加えた値であってよい。具体的には段差高さH1は水平壁12及び鉛直壁14の板厚tに対してt<H1<10tの範囲の値となるように設定される。
先頭段部32の前端はFRバンパR/F60(図1参照)の後端に接続される。この接続がナット・ボルトによる締結である場合に、先頭段部32の前端に、締結用のフランジが形成されてもよい。
後方角筒部40は、前方角筒部30と面対称であって、例えば基準角筒部20の長さL1の中間点を通るRW−UP平面を対称面とする構造を備える。
基準角筒部20の後方に後方角筒部40が接続される。後方角筒部40はクラッシュボックス10の後端部である後端段部44と、後端段部44と基準角筒部20との間に設けられた後方中間段部42とを含んで構成される。
後方中間段部42及び後端段部44は、基準角筒部20と同軸であって、断面形状は基準角筒部20と相似の多角形形状になっている。また後方中間段部42及び後端段部44の断面多角形の各頂点によって、車両前後方向に延設される稜線18が形成される。
また後方中間段部42は、基準角筒部20よりも断面積が小さくなるように構成され、後端段部44は、後方中間段部42よりも断面積が小さくなるように構成される。つまり、後方角筒部40は、車両後方に進むにつれて断面多角形の断面積が一段毎に小さくなる。
基準角筒部20及び後方中間段部42、ならびに、後方中間段部42及び後端段部44を繋ぐ段差構造として、接続壁16が設けられる。基準角筒部20と後方中間段部42、及び後方中間段部42と後端段部44との段差高さは等しくてよい。例えば段差高さは、水平壁12及び鉛直壁14の板厚tに所定のマージンを加えた値であってよい。具体的には段差高さは水平壁12及び鉛直壁14の板厚tに対してt<H1<10tの範囲の値となるように設定される。
後端段部44の後端は、ブラケット70(図1参照)を介して、FRサイドメンバ50(図1参照)の前端に接続される。ブラケット70との接続がナット・ボルトによる締結である場合に、後端段部44の後端に、締結用のフランジが形成されてもよい。
後端段部44の断面積は、接続先であるFRサイドメンバ50の断面積に従って定められる。例えばFRサイドメンバ50は断面矩形の閉断面形状であって、この断面形状及び断面積と、後端段部44の断面形状及び断面積は等しくされる。
<段差構造に伴う衝撃荷重の吸収過程>
上述したように、クラッシュボックス10は、基準角筒部20から前方角筒部30が形成される階段状の切頭多角錘構造である。さらにクラッシュボックス10は、基準角筒部20の車両長手方向中間点を通るRW−UP面を対称面とする面対称構造である。言い換えるとクラッシュボックス10は、上記対称面を折り返しとして、車両前後方向に沿って互いに反転された、双対切頭多角錘構造を備える。
したがって、クラッシュボックス10は、FRサイドメンバ50と断面積が略同一である後端段部44から、前段に行くに従って断面積が増加する。さらに基準角筒部20からは、前段に行くにしたがって断面積が低減される。ここで、前方角筒部30と後方角筒部40は面対称であるところ、先頭段部32の断面積は後端段部44の断面積と等しくなる。つまり、クラッシュボックス10の全段を通して、その断面積を、FRサイドメンバ50の断面積以上となるように形成できる。
このように断面積が大きく採られることについての利点が、図3〜図5に示される。図3(a)に例示されるように、クラッシュボックス10は、図3(b)に例示されるような従来のクラッシュボックス200と比較して、FRバンパR/F60の支持剛性が向上する。
例えばクラッシュボックス10と従来のクラッシュボックス200が同一長であるときに、クラッシュボックス10は後端段部44から基準角筒部20まで拡径可能な分、各段の縮径を抑制しつつ、先頭段部32までの段数を多くできる。つまり一段当たりの車両前後方向長さを短くできる。また上述したように、クラッシュボックス10は、先頭段部32の断面積をFRサイドメンバ50の断面積と同等とすることが出来る。
これに対して従来のクラッシュボックス200では、後端段部202の断面積がFRサイドメンバ50の断面積と同等とする制約の為、段数を重ねるごとにその断面積が減少することから、段数に制限がある。その結果、従来のクラッシュボックス200の先頭段部204は、クラッシュボックス10の先頭段部32よりも断面積が小さく、また、車両前後方向の長さも相対的に長くなる。
図3(b)に例示されるように、FRバンパR/F60に、長手軸を回転軸とする回転荷重が入力されたときに、従来のクラッシュボックス200の先頭段部204は、上述のように相対的に長細い形状であるため、回転荷重により破線で示されるように屈曲座屈されるおそれがある。
これに対して図3(a)に例示されるクラッシュボックス10は、先頭段部32の断面積をFRサイドメンバ50の断面積と同等の大きさにでき、かつ一段当たりの車両前後方向長さを相対的に短くできるため、FRバンパR/F60に入力される回転荷重に抗して、FRバンパR/F60を支持可能となる。
図4には、車両の前面衝突時(前突時)のクラッシュボックス10の変形過程が例示される。車外の障害物に車両前面が衝突すると、FRバンパR/F60がこの衝突を受けて後退させられる。FRバンパR/F60からの衝突荷重を受けてクラッシュボックス10が車両前後方向に潰れ変形する。
この潰れ変形において、図4上段から下段への変形に見られるように、先頭段部32が前方中間段部34内に陥入し、前方中間段部34が基準角筒部20に陥入する。さらに後方中間段部42が基準角筒部20に陥入し、後端段部44は後方中間段部42に陥入する。このようにして各段部がその前段または後段の段部内に陥入されることで、所定の段部への荷重集中が避けられ、当該段部の座屈が抑制される。
図5には、前突態様として、クラッシュボックス10の中心軸C1に対して傾斜した方向から衝突荷重が入力されたときの例が示される。このような荷重入力に応じて、FRバンパR/F60からクラッシュボックス10に、当該傾斜した方向からの荷重が入力される。このとき、クラッシュボックス10の先頭段部32、前方中間段部34、後方中間段部42、及び後端段部44がそれぞれ中心軸C1から傾くようにして前段または後段に陥入される。図5上段の例では、各段の紙面上方部分が、下方部分と比較して陥入量(ストローク量)が多くなる。
さらにFRバンパR/F60の押し込みに応じて、クラッシュボックス10の先頭段部32、前方中間段部34、後方中間段部42、及び後端段部44の、陥入量の少ない部分、つまり、紙面下方部分が、前段または後段に陥入される。このように、衝突荷重がクラッシュボックス10の中心軸C1に対して偏っていた場合でも、この荷重の偏りがクラッシュボックス10の各段に分散されるため、段単体での荷重集中は軽減される。これにより、所定段部の座屈が抑制される。その結果、中心軸C1に沿ったクラッシュボックス10の潰れ変形が可能となる。
<稜線の耐荷重性>
一般的に、ある部材に荷重が入力されると、その荷重の伝達経路(ロードパス)は、その部材のうち(荷重に対して最も突っ張る)高剛性の領域上に形成される。図1を参照して、車両の前面から衝突荷重が入力されると、クラッシュボックス10には車両前後方向の衝突荷重が入力される。このとき、その主たるロードパスは、クラッシュボックス10において車両前後方向に延設される稜線18(図6参照)となる。
本実施形態に係るクラッシュボックス10では、この稜線18を形成するクラッシュボックス10の断面多角形の各頂点の内角またはその共役角(360°から内角を引いた角)が90°以下となるように、当該断面多角形の形状を凹多角形としている。
クラッシュボックス10に車両前後方向の荷重が入力されたときの、特に段差部分の耐荷重性が、図7、図8を用いて説明される。図7は、図6の破線部分A、つまり水平壁12A,12B及び両壁を繋ぐ接続壁16Aから構成される平板同士の段差構造の耐荷重性についての説明図である。図8は、図6の破線部分B、つまり稜線18Aとその終端に位置する接続壁16Aとの、段差構造の隅部の耐荷重性についての説明図である。
図7を参照して、クラッシュボックス10に車両前後方向に衝突荷重F1が入力されると、水平壁12Aが後方に押される。これに伴って水平壁12Aの終端に接続される接続壁16Aは図7のように側面視S字に変形される。さらに水平壁12Aの後退が進むと、接続壁16Aの下方領域90が湾曲形状から破線のように平板形状に展開される。一方で水平壁12Aの平板形状の領域80が破線のように湾曲形状に曲げられる。
上記のように領域80,90を変形させる荷重F1は、以下のように求められる。なお、領域90の曲率半径をRで示し、領域80の長さはπRとする。またクラッシュボックス10の全箇所において厚さをtとする。領域80に注目すると、平板形状から破線のように半円の湾曲形状となることで、表面82の長さはπRからπ(R−t/2)に圧縮される。一方でその対向面84の長さはπRからπ(R+t/2)に引っ張られる。これを踏まえて、変形前後の領域80の変位は下記数式(1)のように表される。
Figure 2021187335
この変形に必要なエネルギE1は、降伏応力σ、板幅bを用いて下記数式(2)のように表される。
Figure 2021187335
なお、変位πt/4は、表面82の変位と、変位0である中立面86の平均を取ったものである。さらに数式(2)から、外部からのエネルギ=F1×πRなので、図7のような領域80,90の変形に要する力F1は、以下の数式(3)のように表される。
Figure 2021187335
次に、図8を参照して、稜線18Aを図7と同様にS字に変形させるときの荷重F2が求められる。なお、図6では稜線18Aをはじめとする稜線が角部で示されている。しかしながら加工上、微視的に見ればこれらの稜線18Aは角部というより急峻なR形状として捉えられる。図8では稜線18Aは、中立面106までの曲率半径r及び中心角90°の曲面として記載される。
稜線18Aが衝突荷重を受けて後退すると、拡径されながら折り返されるように変形される。この挙動に係るエネルギが、折り返しと拡径とに分けて説明される。まず折り返しについて、変形前に外表面となっていた表面102が折り返しにより内表面となる。また同様にして変形前に内表面となっていた対向面104が折り返されて外表面となる。
この折り返しについて、拡径を無視すると、表面102の弧長は(π/2)×(r+t/2)から(π/2)×(r−t/2)に変化する。同様にして対向面104の弧長は(π/2)×(r−t/2)から(π/2)×(r+t/2)に変化する。両変化を加味すると、折り返しによる稜線18Aの変位は下記数式(4)のように表される。
Figure 2021187335
長さπR、内角の角度90°の稜線18Aを折り返すのに必要なエネルギE2は、下記数式(5)のように表される。
Figure 2021187335
次に、変形により半径rの稜線18Aが半径r+Rに拡径される。このときの変形前後の変位は下記数式(6)のように表される。
Figure 2021187335
またこの拡径に要するエネルギE3は下記数式(7)のように表される。
Figure 2021187335
これらのエネルギE2+E3と、変形長πRを用いて、稜線18Aを折り返すのに必要な荷重F2が下記数式(8)のように表される。なおNは、クラッシュボックス10の車両前後方向に延設される稜線18の数を表す。稜線18は、この荷重F2未満であれば折り返し変形が免れるから、荷重F2は稜線18の折り返し変形に抗する耐荷重の上限値ということが出来る。加えて、数式(3)の荷重F1及び数式(8)の荷重F2の和が、クラッシュボックス10の耐荷重の上限値ということが出来る。
Figure 2021187335
ここで、数式(4)を参照して、上述の例では、稜線18を曲面とし、その中心角θ2が90°とされた。図9上段を参照して、稜線18の中心角θ2が90°のとき、当該稜線18を形成するクラッシュボックス10の断面多角形の内角θ1も90°となる。なお、図9上段のθ1,θ2以外の内角は、円の接線と直径との成す角なので90°となる。
図9下段は、クラッシュボックス10の断面多角形の内角θ3が鈍角である例が示される。このとき、稜線18の中心角θ4は鋭角となり、稜線18の弧長が図9上段と比較して短くなる。そのため、数式(4)における変位量が低減され、稜線18Aを折り返すのに必要なエネルギE2もその分低減される。また数式(6)における変形前後の変位量も低減されるため、エネルギE3もその分低減される。つまり稜線の折り返し変形への耐荷重性が低減される。
このように、稜線18を構成する、クラッシュボックス10の断面多角形の内角は、曲率半径rが一定であるときには、0°に近づくほど、稜線18の中心角が大きくなるため(円弧が長くなるため)、稜線18の折り返し変形への耐荷重性が高くなる。
また、図10に例示されるように、稜線18を構成する、クラッシュボックス10の断面多角形の内角θ5が270°以上となってその共役角θ6(360°から内角を引いた角度)が90°以下となるような場合には、荷重入力時の稜線18の折り返しは当該共役角に基づいて生じるため、稜線18を構成する多角形の内角が90°以下であるときと同様の耐荷重性が得られる。
つまり、稜線18を構成する、クラッシュボックス10の断面多角形は、その内角または共役角が90°以下であると、内角及び共役角が鈍角である場合と比較して、高い耐荷重性が得られる。このような特性を考慮して、本実施形態に係るクラッシュボックス10では、車両前後方向軸に直交する断面形状を、凹多角形としている。凹多角形とすることで、車両前後方向に延設される稜線18を構成する頂点の内角または共役角を、90°以下とすることが出来る。
なお、この断面多角形の角数は5以上であってよい。例えば図6に例示されるクラッシュボックス10の断面多角形は、内角が8つの直角と4つの凹角(180°より大きく360°よりも小さい角)からなる凹12角形となっており、稜線18を構成する内角または共役角が90°以下となっている。
これに対して図11には、比較例の凸12角形として、断面が正12角形のクラッシュボックス200が例示される。この場合、全ての内角θ7(150°)と共役角θ8(210°)が90°を超過しており、上記の数式(4),(5)に基づけば、稜線18を折り返す際の耐荷重が相対的に低くなる。
<クラッシュボックスの別例>
図12には、本実施形態に係るクラッシュボックス10の別例が示される。この例では、クラッシュボックス10の、車両前後方向軸に直交する断面形状が、凹20角形となっている。図示されているようにこの断面形状は、内角が12の直角と8つの凹角から構成され、稜線18を構成する内角または共役角が90°以下となっている。
また、上述した実施形態において、クラッシュボックス10は車両前後方向に沿った双対の切頭多角錘構造であったが、この形態に限らない。要するに断面多角形が凹多角形であればよく、後方角筒部40が省略され、基準角筒部20と前方角筒部30からクラッシュボックス10が構成されてもよい。
10 車両用クラッシュボックス、12 水平壁、14 鉛直壁、16 接続壁、18 稜線、20 基準角筒部、30 前方角筒部、32 先頭段部、34 前方中間段部、40 後方角筒部、42 後方中間段部、44 後端段部、50 フロントサイドメンバ、60 フロントバンパリーンフォースメント、70 ブラケット。

Claims (2)

  1. 車幅方向両側に設けられ、それぞれ車両前後方向に延設される一対のサイドメンバと、車両前面及び後面の少なくとも一方に配置され車幅方向に延設されるバンパリーンフォースメントとの間に設けられる、車両用クラッシュボックスであって、
    車両前後方向軸に直交する断面が多角形であって、前記多角形の各頂点により車両前後方向に稜線が形成される基準角筒部と、
    前記基準角筒部と同軸であって前記基準角筒部から車両前後方向前方に設けられ、前記基準角筒部よりも前記多角形の断面積が小さい、前方角筒部と、
    を備えた、階段状の切頭多角錘構造に形成され、
    前記基準角筒部及び前記前方角筒部の断面の前記多角形は凹多角形である、車両用クラッシュボックス。
  2. 請求項1に記載の車両用クラッシュボックスであって、
    前記基準角筒部と同軸であって前記基準角筒部から車両前後方向後方に設けられ、前記基準角筒部よりも前記多角形の断面積が小さい後方角筒部を備えることで、前記切頭多角錘構造が車両前後方向に沿って互いに反転された、双対切頭多角錘構造に形成され、
    前記基準角筒部の車両前後方向の長さは、前記基準角筒部の前後の段部の車両前後方向の長さの和以上である、車両用クラッシュボックス。
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