JP2021181288A - 車両用クラッシュボックス - Google Patents

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【課題】車両用クラッシュボックスが、階段状の切頭多角錘構造を備えるに当たり、従来よりも断面積の減少を抑制可能とする。【解決手段】車両用クラッシュボックス10は、基部20、前方段差部30、及び後方段差部40を備える。基部20は、車両前後方向軸に直交する断面多角形の断面積が最大である。前方段差部30は、基部20から、前方に進むにつれて断面多角形の断面積が一段毎に小さくなる。後方段差部40は、基部20から、後方に進むにつれて断面多角形の断面積が一段毎に小さくなる。このようにして、車両用クラッシュボックス10は、階段状の切頭多角錘が車両前後方向に沿って互いに反転された、双対切頭多角錘構造となる。【選択図】図2

Description

本明細書では、車両用の衝撃吸収部材であるクラッシュボックスが開示される。
車両の前面衝突(前突)または後面衝突(後突)時に衝撃を受ける部材として、車両の前面及び後面には、バンパリーンフォースメントと呼ばれる骨格部材が車幅方向に延設される。さらに車体には、車幅方向両側に、車両前後方向に延設されるサイドメンバと呼ばれる骨格部材が設けられる。バンパリーンフォースメントとサイドメンバとの間には、クラッシュボックスと呼ばれる衝撃吸収部材が設けられる。
クラッシュボックスは、バンパリーンフォースメント及びサイドメンバよりも耐荷重性が低くなるように形成される。したがって前突又は後突時には、サイドメンバに先駆けてクラッシュボックスが潰れ変形する。
クラッシュボックスの潰れ変形により衝突エネルギが吸収される。さらに例えば軽衝突時には、サイドメンバが変形することなく、クラッシュボックスの潰れ変形(破損)で済む場合がある。サイドメンバの交換が不要となることから、修理費用を軽減できる。
このようなクラッシュボックスとして、例えば特許文献1、2では、サイドメンバからバンパリーンフォースメントに向かうに連れて、断面多角形の断面積が徐々に小さくなる、階段状の切頭多角錘構造のクラッシュボックスが開示される。
車両衝突時に、このような段差構造のクラッシュボックスは、先頭の段部がその後段に陥入する。さらに衝突が進むと、上記後段がその後段に陥入する。このように、階段状の切頭多角錘構造のクラッシュボックスでは、同一長で段差の無い多角形構造のクラッシュボックスと比較して、変形点が明確であるため、設計通りの潰れ変形が可能となる。
特開平8−198039号公報 特開2002−331888号公報
ところで、階段状の切頭多角錘構造であるクラッシュボックスを設けるに当たり、前段になるほど断面積が小さくなる。一般的に、クラッシュボックスの中心軸方向の耐荷重性を表す全断面塑性モーメントは、断面積の辺が短いほど小さくなり、後段に陥入する前に座屈し易くなる。この座屈による変形で、後段への陥入が困難となるおそれがある。
そこで本明細書で開示される車両用クラッシュボックスは、階段状の切頭多角錘構造を備えるに当たり、従来よりも断面積の減少を抑制可能とすることを目的とする。
本明細書で開示される車両用クラッシュボックスは、一対のサイドメンバと、バンパリーンフォースメントとの間に設けられる。一対のサイドメンバは、車両幅方向両側に設けられ、それぞれ車両前後方向に延設される。バンパリーンフォースメントは、車両前面及び後面の少なくとも一方に配置され車幅方向に延設される。車両用クラッシュボックスは、基部、前方段差部、及び後方段差部を備える。基部は、車両前後方向軸に直交する断面多角形の断面積が最大である。前方段差部は、基部から、前方に進むにつれて断面多角形の断面積が一段毎に小さくなる。後方段差部は、基部から、後方に進むにつれて断面多角形の断面積が一段毎に小さくなる。このようにして、車両用クラッシュボックスは、階段状の切頭多角錘が車両前後方向に沿って互いに反転された、双対切頭多角錘構造となる。
上記構成によれば、クラッシュボックスが双対切頭多角錘構造を採るため、サイドメンバに接続される最後段から前方に進むにしたがって断面積が減少するクラッシュボックスと比較して、各段の断面積を増加させることが出来る。
また上記構成において、基部の車両前後方向の長さは、前方段差部の、基部と接続される段部と、後方段差部の、基部と接続される段部の、車両前後方向の長さの和以上であってよい。
上記構成によれば、車両の衝突時に、基部に前方段差部及び後方段差部の段部が陥入する際に、互いの干渉を抑制可能となる。
本明細書に開示される車両用クラッシュボックスによれば、従来の、サイドメンバに接続される最後段から前方に進むにしたがって断面積が減少するクラッシュボックスと比較して、各段の断面積を増加させることが出来る。
本実施形態に係る車両用クラッシュボックスを備える、車両前部の骨格構造を例示する斜視図である。 本実施形態に係る車両用クラッシュボックスを例示する単体斜視図である。 本実施形態に係る車両用クラッシュボックスの全断面塑性モーメントを説明する図である。 本実施形態に係る車両用クラッシュボックスの、回転荷重に対する耐荷重性能を説明する図である。 本実施形態に係る車両用クラッシュボックスの、衝突時の変形過程を説明する図である。 フロントサイドメンバに、車両前後方向軸に対して傾いた方向から衝突荷重が入力されたときの、本実施形態に係る車両用クラッシュボックスの変形過程を説明する図である。
図1〜図6には、本実施形態に係る車両用のクラッシュボックス10が例示される。なお図1〜図6において、車両前後方向が記号FRで表される軸で示され、車幅方向が記号RWで表される軸で示され、鉛直方向が記号UPで表される軸で示される。記号FRはFrontの略であり、前後方向軸FRは車両前方を正方向とする。記号RWはRight Widthの略であり、幅方向軸RWは右幅方向を正方向とする。また高さ軸UPは上方向を正方向とする。
図1に示されているように、これらFR軸、RW軸、UP軸は互いに直交する。以下適宜、これら3軸を基準に、本実施形態に係る車両用のクラッシュボックス10が説明される。例えば「前端」は任意の部材のFR軸正方向側の端部を指し、「後端」は任意の部材のFR軸負方向側の端部を指す。「幅内側」はRW軸に沿って相対的に車両の幅方向内側を指すものとし、「幅外側」はRW軸に沿って相対的に車両の幅方向外側を指すものとする。さらに「上側」は相対的にUP軸の正方向側を指し、「下側」は相対的にUP軸の負方向側を指す。
図1には、本実施形態に係る車両用クラッシュボックス10が設けられた、車両前部の骨格構造の斜視図が例示されている。図1に例示されている骨格構造は、いわゆる上部構造のみであって、骨格構造の下部構造であるサスペンションメンバ等は適宜図示を省略している。
車両前部の骨格構造は、一対のフロントサイドメンバ50,50、フロントバンパリーンフォースメント60、クラッシュボックス10,10、及びブラケット70,70を備える。以下、フロントサイドメンバ50は適宜「FRサイドメンバ50」と記載され、フロントバンパリーンフォースメント60は適宜「FRバンパR/F60」と記載される。
FRサイドメンバ50、50は、車両前面の、車両幅方向両側に設けられ、それぞれ前後方向に延設される一対の側方骨格部材である。例えばFRサイドメンバ50,50は、閉断面構造の中空部材として構成される。また、FRサイドメンバ50,50には、折れ変形の起点(変形起点)として、折れビード52(凹みビード)が上下方向に延設され、これが前後方向に複数形成される。FRサイドメンバ50,50の間には、内燃機関等の駆動源や、ラジエータやインテーク等の周辺機器が搭載される。
FRバンパR/F60は、車幅方向に延設され、FRサイドメンバ50の前端に、クラッシュボックス10を介して接続される骨格部材である。図1に例示されるように、FRバンパR/F60は、幅方向中央部分が幅方向両端と比較して前方にせり出すような略円弧形状となっている。FRバンパR/F60は中空の閉断面構造となっている。
FRサイドメンバ50の前端には、ブラケット70が締結等により固定される。ブラケット70はFRサイドメンバ50の前端から下方に延設される。例えばブラケット70の下端には車両下方の骨格部材であるバンパリーンフォースメントロア(図示せず)が接続される。
クラッシュボックス10は、FRサイドメンバ50とFRバンパR/F60との間に設けられ、両者を接続する。より具体的には、クラッシュボックス10の前端が、FRバンパR/F60の後端に接続される。またクラッシュボックス10の後端が、ブラケット70を介して、FRサイドメンバ50の前端に接続される。これらの接続は、例えばボルト・ナットを用いた締結等により行われる。
クラッシュボックス10は、FRサイドメンバ50及びFRバンパR/F60と比較して潰れ変形し易い構造となっている。例えばFRサイドメンバ50及びFRバンパR/F60はホットスタンプ鋼板等の高張力鋼板から構成される。一方でクラッシュボックス10は、例えば普通鋼板から構成される。
なお、図1では、車両前部の骨格構造にクラッシュボックス10が搭載された例が示されていたが、本実施形態に係るクラッシュボックス10は、この形態に限られない。要するに車体に設けられ、車両前後方向に延設されるサイドメンバと、車両前面及び後面の少なくとも一方に配置され、車幅方向に延設されるバンパリーンフォースとの間に、クラッシュボックス10が設けられる。
例えば車両後部の骨格構造においては、FRサイドメンバ50に接続され車両前後方向に延設されるリアサイドメンバと、車両後面に設けられたリアバンパリーンフォースメントとの間に、クラッシュボックス10が設けられる。なお、以下では、クラッシュボックス10が車両前部の骨格構造に設けられた例が示されるが、車両構造の対称性から、車両後部の骨格構造にクラッシュボックス10が設けられた場合も、下記の例と同様とされる。
図2にはクラッシュボックス10の単体斜視図が例示される。クラッシュボックス10は、階段状の切頭多角錘が、基部20を折り返しとして、車両前後方向に沿って互いに反転された、双対切頭多角錘構造を備える。
すなわちクラッシュボックス10は、基部20、前方段差部30、及び後方段差部40を備える。基部20は、クラッシュボックス10の、車両前後方向中央に位置される多角形の角筒部分である。例えば基部20は断面矩形の中空部であって、図2の例では、車幅方向に一対設けられる鉛直壁14,14と、車高方向に一対設けられる水平壁12,12とによって規定された、断面正方形形状となっている。
なお、水平壁12、鉛直壁14及び後述される接続壁16はいずれも同一厚さであってよい。また、基部20、前方段差部30、及び後方段差部40のそれぞれの水平壁12、鉛直壁14及び接続壁16は、いずれも同一厚さであってよい。
後述されるように、前方段差部30及び後方段差部40の各段部と、基部20との、車両前後方向軸に直交する断面(RW−UP断面)の多角形形状は相似形状となる。また基部20は、前方段差部30及び後方段差部40の各段部と比較して、その断面積が最大となるように形成される。
基部20の車両前後方向長さL1は、基部20の前段部である、前方段差部30の前方中間段部34と、これと面対称構造の、後方段差部40の後方中間段部42の、車両前後方向長さL2の和以上(L1≧2×L2)であってよい。言い換えると、クラッシュボックス10の潰れ変形時における、前方中間段部34及び後方中間段部42の基部20への陥入量(ストローク量)の和以上となるように、基部20の長さL1が定められる。このような構成とすることで、車両衝突の際に前方中間段部34と後方中間段部42とがともに基部20内に陥入するときに、両段部34,42の当接、言い換えると干渉が抑制される。
基部20の前方に前方段差部30が接続される。前方段差部30はクラッシュボックス10の前端部である角筒状の先頭段部32と、先頭段部32と基部20との間に設けられた角筒状の前方中間段部34とを含んで構成される。
前方中間段部34及び先頭段部32は、基部20と同心の角筒部であって、断面形状は基部20と相似の多角形形状(例えば正方形)になっている。また前方中間段部34は、基部20よりも断面積が小さくなるように構成され、先頭段部32は、前方中間段部34よりも断面積が小さくなるように構成される。つまり、前方段差部30は、車両前方に進むにつれて断面多角形の断面積が一段毎に小さくなる。基部20及び前方中間段部34、ならびに、前方中間段部34と先頭段部32と繋ぐ段差構造として、車両前後方向軸FRに垂直な平面(RW−UP平面)に平行な接続壁16が設けられる。
基部20と前方中間段部34、及び前方中間段部34と先頭段部32との段差高さH1は等しくてよく、また、段差高さH1は水平壁12及び鉛直壁14の板厚tに所定のマージンを加えた値であってよい。例えば段差高さH1は水平壁12及び鉛直壁14の板厚tの1.1倍の値(H1=1.1t)となるように設定される。つまり、各段の縮径率は、前段が後段に陥入できる範囲での最大の値に設定される。このような構成とすることで、先頭段部32の断面積の低減が抑制される。
先頭段部32の前端はFRバンパR/F60(図1参照)の後端に接続される。この接続がナット・ボルトによる締結である場合に、先頭段部32の前端に、締結用のフランジが形成されてもよい。
後方段差部40は、前方段差部30と面対称であって、例えば基部20の長さL1の中間点を通るRW−UP平面を対称面とする構造を備える。
基部20の後方に後方段差部40が接続される。後方段差部40はクラッシュボックス10の後端部である角筒状の後端段部44と、後端段部44と基部20との間に設けられた角筒状の後方中間段部42とを含んで構成される。
後方中間段部42及び後端段部44は、基部20と同心の角筒部であって、断面形状は基部20と相似の多角形形状(例えば正方形)になっている。また後方中間段部42は、基部20よりも断面積が小さくなるように構成され、後端段部44は、後方中間段部42よりも断面積が小さくなるように構成される。つまり、後方段差部40は、車両後方に進むにつれて断面多角形の断面積が一段毎に小さくなる。
基部20及び後方中間段部42、ならびに、後方中間段部42及び後端段部44を繋ぐ段差構造として、接続壁16が設けられる。基部20と後方中間段部42、及び後方中間段部42と後端段部44との段差高さは等しくてよく、また、段差高さは水平壁12及び鉛直壁14の板厚tに所定のマージンを加えた値であってよい。例えば段差高さは水平壁12及び鉛直壁14の板厚tの1.1倍の値となるように設定される。
後端段部44の後端は、ブラケット70(図1参照)を介して、FRサイドメンバ50(図1参照)の前端に接続される。ブラケット70との接続がナット・ボルトによる締結である場合に、後端段部44の後端に、締結用のフランジが形成されてもよい。
後端段部44の断面積は、接続先であるFRサイドメンバ50の断面積に従って定められる。例えばFRサイドメンバ50は断面矩形の閉断面形状であって、この断面形状及び断面積と、後端段部44の断面形状及び断面積は等しくされる。
上述したように、クラッシュボックス10は、基部20を折り返しとして、車両前後方向に沿って互いに反転された、双対切頭多角錘構造を備える。したがって、クラッシュボックス10は、FRサイドメンバ50と断面積が同一である後端段部44から、前段に行くに従って断面積が増加する。さらに基部20からは、前段に行くにしたがって断面積が低減される。ここで、前方段差部30と後方段差部40は面対称であるところ、先頭段部32の断面積は後端段部44の断面積と等しくなる。つまり、クラッシュボックス10の全段を通して、FRサイドメンバ50よりも断面積が小さくなることが避けられる。
このように断面積が大きく採られることについての利点が、図3を用いて説明される。図3には基部20の全断面塑性モーメントを求めるための図が例示される。ハッチングされた面は中立面である。
全断面塑性モーメントMは、断面積×降伏応力×中立軸からの距離から求められる。基部20の水平壁12及び鉛直壁14の長さa、厚さt、材料の降伏応力σを用いて、基部20の全断面塑性モーメントMは、下記数式(1)のように求められる。
={(a×t×σ×a/2)+(a/2×t×σ×a/4×2)}×2
=2atσ ・・・(1)
数式(1)中、一つ目の括弧内の項は図3の成分Aの数式を表し、2つ目の括弧内の項は図3の成分Bの数式を表す。これらの成分が上下分で2倍され、最終的に解2atσが得られる。
数式(1)の解2atσより、全断面塑性モーメントMは、一辺の長さaの自乗に比例する。したがって、いずれの段も、FRサイドメンバ50の断面積以下となる、従来の切頭多角錘構造のクラッシュボックスと比較して、本実施形態に例示される、双対切頭多角錘構造のクラッシュボックス10では、いずれの段も、FRサイドメンバ50の断面積以上とすることが可能となるので、従来構造と比較して、全断面塑性モーメントMの増加が図られる。
また図4(a)に例示されるように、クラッシュボックス10は、図4(b)に例示されるような従来のクラッシュボックス100と比較して、FRバンパR/F60の支持剛性が向上する。
例えばクラッシュボックス10と従来のクラッシュボックス100が同一長であるときに、クラッシュボックス10は後端段部44から基部20まで拡径可能な分、先頭段部32までの段数を多くできる。つまり一段当たりの車両前後方向長さを短くできる。また上述したように、クラッシュボックス10は、先頭段部32の断面積をFRサイドメンバ50の断面積と同等とすることが出来る。
これに対して従来のクラッシュボックス100では、後端段部102の断面積がFRサイドメンバ50の断面積と同等とする制約の為、段数を重ねるごとにその断面積が減少することから、段数に制限がある。その結果、従来のクラッシュボックス100の先頭段部104は、クラッシュボックス10の先頭段部32よりも断面積が小さく、また、車両前後方向の長さも相対的に長くなる。
図4(b)に例示されるように、FRバンパR/F60に、長手軸を回転軸とする回転荷重が入力されたときに、従来のクラッシュボックス100の先頭段部104は、上述のように相対的に長細い形状であるため、回転荷重により破線で示されるように屈曲座屈されるおそれがある。
これに対して図4(a)に例示されるクラッシュボックス10は、先頭段部32の断面積をFRサイドメンバ50の断面積と同等の大きさにでき、かつ一段当たりの車両前後方向長さを相対的に短くできるため、FRバンパR/F60に入力される回転荷重に抗して、FRバンパR/F60を支持可能となる。
図5には、車両の前面衝突時(前突時)のクラッシュボックス10の変形過程が例示される。車外の障害物に車両前面が衝突すると、FRバンパR/F60がこの衝突を受けて後退させられる。FRバンパR/F60からの衝突荷重を受けてクラッシュボックス10が車両前後方向に潰れ変形する。
この潰れ変形において、図5(b)(c)に例示されるように、先頭段部32が前方中間段部34内に陥入し、前方中間段部34が基部20に陥入する。さらに後方中間段部42が基部20に陥入し、後端段部44は後方中間段部42に陥入する。このようにして各段部がその前段または後段の段部内に陥入されることで、所定の段部への荷重集中が避けられ、当該段部の座屈が抑制される。
図6には、前突態様として、クラッシュボックス10の中心軸C1に対して傾斜した方向から衝突荷重が入力されたときの例が示される。このような荷重入力に応じて、FRバンパR/F60からクラッシュボックス10に、当該傾斜した方向からの荷重が入力される。このとき、クラッシュボックス10の先頭段部32、前方中間段部34、後方中間段部42、及び後端段部44がそれぞれ中心軸C1から傾くようにして前段または後段に陥入される。図6上段の例では、各段の紙面上方部分が、下方部分と比較して陥入量(ストローク量)が多くなる。
さらにFRバンパR/F60の押し込みに応じて、クラッシュボックス10の先頭段部32、前方中間段部34、後方中間段部42、及び後端段部44の、陥入量の少ない部分、つまり、紙面下方部分が、前段または後段に陥入される。このように、衝突荷重がクラッシュボックス10の中心軸C1に対して偏っていた場合でも、この荷重の偏りがクラッシュボックス10の各段に分散されるため、段単体での荷重集中は軽減される。これにより、所定段部の座屈が抑制される。その結果、図5(c)のような中心軸に沿ったクラッシュボックス10の潰れ変形が可能となる。
10 車両用クラッシュボックス、12 水平壁、14 鉛直壁、16 接続壁、20 基部、30 前方段差部、32 先頭段部、34 前方中間段部、40 後方段差部、42 後方中間段部、44 後端段部、50 フロントサイドメンバ、60 フロントバンパリーンフォースメント、70 ブラケット。

Claims (2)

  1. 車両幅方向両側に設けられ、それぞれ車両前後方向に延設される一対のサイドメンバと、車両前面及び後面の少なくとも一方に配置され車幅方向に延設されるバンパリーンフォースメントとの間に設けられる、車両用クラッシュボックスであって、
    車両前後方向軸に直交する断面多角形の断面積が最大である基部と、
    前記基部から、前方に進むにつれて前記断面多角形の断面積が一段毎に小さくなる前方段差部と、
    前記基部から、後方に進むにつれて前記断面多角形の断面積が一段毎に小さくなる後方段差部と、
    を備える、階段状の切頭多角錘が車両前後方向に沿って互いに反転された、双対切頭多角錘構造である、車両用クラッシュボックス。
  2. 請求項1に記載の、車両用クラッシュボックスであって、
    前記基部の車両前後方向の長さは、前記前方段差部の、前記基部と接続される段部と、前記後方段差部の、前記基部と接続される段部の、車両前後方向の長さの和以上である、車両用クラッシュボックス。
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