JP5228819B2 - 衝突エネルギ吸収部材 - Google Patents

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Description

この発明は、少なくとも3本以上の直線状の略同径の円管が束ねられ、軸方向の端部から入力された荷重により軸方向に塑性変形して圧縮される金属製の衝突エネルギ吸収部材に関する。
従来、金属製の衝突エネルギ吸収部材としては、例えば、特許文献1に開示された構造がある。
すなわち、自動車衝突時の衝突エネルギを吸収する衝突エネルギ吸収部材において、プレス加工された薄鋼板を閉断面形状に組合わせ溶接してなる外枠部材(いわゆるフレーム)内に、円管(丸パイプ)または角管(角パイプ)からなる第1種の内挿部材またはプレス加工された薄鋼板を閉断面形状に組合わせ溶接してなる第2種の内挿部材を一または複数個収納し、該内挿部材からなる隔壁を形成してなる部材であって、この衝突エネルギ吸収部材は、主に、車体の前端または後端に取付けられて、クラッシュカンとして用いられる。
従来のこの衝突エネルギ吸収部材は、このように、矩形閉断面のフレーム内に、複数のパイプ部材などを収納して構成されたものである。
この従来構造によると、衝突荷重を受けた際に、フレーム内のパイプ部材もフレームと同様に、軸方向に座屈変形するため、衝突エネルギの吸収量が増加する。特に、フレーム内にパイプ部材が収納されていることから、座屈変形の際には、パイプ部材が相互に干渉し合うことになり、衝突エネルギの吸収量がさらに増加する。
ところで、衝突エネルギの吸収性能を安定して高めるためには、常にエネルギ吸収部材を軸方向に座屈変形させる必要がある。
この点、上記従来の衝突エネルギ吸収部材では、大型断面のフレームと小型断面のパイプ部材を同時に座屈変形させることになるが、座屈変形は、断面を囲む辺の長さや直径の大きさ等によって、潰れ周期(潰れ変形の山折れと谷折れの繰返し周期)が変化するため、フレームとパイプ部材との間で、潰れ周期が異なり、変形の位相がズレるといった現象が生じる。
このように、フレームとパイプ部材との間で潰れ周期が異なり、変形位相がズレると、お互いの変形挙動を阻害し合うことになり、エネルギ吸収部材を、確実に軸方向に座屈変形させることができず、横折れ変形等が生じるおそれある。
一方、本発明者等は、形状の異なる四角筒、六角筒、八角筒、変形多角筒(異形の16角筒)のパイプ部材や、少なくとも3本以上の円管を組合せた集合円筒のパイプ部材について、座屈変形の検証を行なうため、CAE(computer−aided−engineering)にて変形モードを確認すると共に、変位に対する荷重/断面積特性を検証した。この結果を図20に示す。なお、各パイプ部材としては、板厚1.00mm、全長150mmのものを用いた。
図20の特性図から明らかなように、コーナの数が最も少ない四角筒の特性が最も悪く、コーナの数が増加するにつれて特性が向上し、特に、円管を5本組合せた集合円筒については、他の形状のものと比較して全体的に荷重が高く、かつ荷重変動が小さく、潰れ周期が短いことが判明し、したがって、同じ座屈モードを安定して繰返していることが検証でき、エネルギ吸収効率が極めて高くなることが実証できた。
ここで、少なくとも3本以上の直線状の略同径の円管を用いて、各円管が、これらのうちの3つの円管に周囲三方を囲まれた狭窄空間を形成するよう、互いに軸方向が平行に隣接して配置され、各円管が、隣接する円管と最も近接する部位の近傍で円管の軸方向に連続する板状の短絡連結部で連結されて一体となされた衝突エネルギ吸収部材を構成する場合、鋼材に代えて、AlまたはAl合金の押し出し成形品を用いると、円管相互の関係を自由に設定することができる。
そこで、本発明者等は、各種の実験を繰返した結果、円管に軸方向の力がかかって、該円管が変形する時、円管は安定した面を形成しようとする傾向があり、その最小単位としての三角形に変形することが解った。
また、円管の軸方向に交互に三角形を形成するためには、隣接する円管相互を接続する短絡連結部が必要であって、この短絡連結部の配置や肉厚により連続した三角形に変形することが判明した。
特開2003−312535号公報
そこで、この発明は、一つの円管について隣接する他の二つの円管に対する一対の短絡連結部が、その円管中心部に対して鋭角を成すよう円管外周上の位置に形成されることで、一つの円管の軸圧縮方向の潰れが、閉断面方向に関して、短絡連結部を通じて周囲の2つの円管を押したり引いたりして(つまり、一方を押し、他方が押されるよう)互いに作用し合い、それぞれが略正三角形の閉断面を成すよう、この円管集合体を塑性変形させるにあたり、上記短絡連結部を正三角形が形成されやすい方向に配置し、この変形を安定的に生起させることができる衝突エネルギ吸収部材の提供を目的とする。
この発明による衝突エネルギ吸収部材は、少なくとも3本以上の直線状の略同径の円管が、これらのうちの3つの円管に周囲三方を囲まれた狭窄空間を形成するよう、互いに軸方向が平行に隣接して配置され、各円管は、隣接する円管と最も近接する部位の近傍で円管の軸方向に連続する板状の短絡連結部で連結されて一体となされ、軸方向の端部から入力された荷重により軸方向に塑性変形して圧縮される金属製の衝突エネルギ吸収部材であって、一つの円管についての隣接する他の二つの円管に対する一対の上記短絡連結部は、これら円管が車両前後方向の荷重を受けて座屈変形する場合に、一つの円管の軸方向の圧縮潰れが、閉断面方向に関して、上記一方の短絡連結部を押し、上記他方の短絡連結部を引いて互いに作用し合い、各円管がそれぞれ略正三角形の閉断面を成すよう、これら円管の集合体を塑性変形させるために、その円管中心部に対して鋭角を成すよう円管外周上の位置に形成されたものである。
上記構成によれば、一つの円管の軸圧縮方向の潰れが、閉断面方向に関して、短絡連結部を通じて周囲の2つの円管を押したり引いたりして(つまり、一方を押し、他方が押されるよう)互いに作用し合い、それぞれが略三角形の閉断面を成すよう、この円管集合体を塑性変形させるにあたり、上記短絡連結部を正三角形が形成されやすい方向に配置したので、(円管中心部に対して鋭角、好ましくは60度を成すよう円管外周上の位置に形成したので、)、この変形を安定的に生起させることができる。
この発明の一実施態様においては、上記衝突エネルギ吸収部材は5本であって、中央に位置する中央管としての中央パイプの上側に2個の略同径の周辺パイプが配置されるとともに、該中央パイプの下側に2個の略同径の周辺パイプが配置され、上記中央パイプと上側2個の周辺パイプ、並びに、上記中央パイプと下側2個の周辺パイプは、短絡連結部で上下方向に連結され、上記中央パイプの上側および下側において隣接する各2個の周辺パイプ同士が、短絡連結部で横方向に連結され、これら中央パイプおよび上下の周辺パイプが車両前後方向の荷重を受けて座屈変形する場合に、各パイプの短絡連結部による短絡連結状態を維持した状態で、各パイプの集合体の座屈変形を許容すべく、上記中央パイプと上側2個の周辺パイプとの間に略正三角形の狭窄空間が形成されると共に、上記中央パイプと下側2個の周辺パイプとの間に、上記略正三角形の狭窄空間と上下対称となる逆向きの略正三角形の狭窄空間が形成されたものである。
この発明の一実施態様においては、上記短絡連結部は、隣接する円管の中心相互を結ぶ中心線より外側の厚さを、円管外径で除した値が0.43以下に設定されたものである。
上記構成によれば、数値シミュレーションの結果、上記外側の厚さの安定範囲を見出して、この厚さを、円管外径で除した値が0.43以下となるように設定したので、隣接する円管との変形の連携が強くなって安定して、連続変形が生ずる。なお、上記外側の厚さが過大になると、正三角形断面の生起が阻害される。
この発明の一実施態様においては、上記短絡連結部は、隣接する円管の中心相互を結ぶ中心線より内側の厚さを、円管外径で除した値が0.13以下に設定されたものである。
上記構成によれば、数値シミュレーションにより内側の厚さの限界数値を求め、この内側の厚さを、円管外径で除した値が0.13以下となるように設定したので、隣接する円管との変形の連携が強くなって安定して、連続変形が生ずる。因に、上記内側の厚さが過大になり、狭窄空間側への厚みを所定値以上に増すと、正三角形断面の生成が阻害される。
この発明の一実施態様においては、上記短絡連結部の円管連結方向の長さを、上記円管外径の1/7以下の長さに設定したものである。
上記構成によれば、短絡連結部の上記長さを円管外径の1/7以下の長さに設定したので、隣接する円管への荷重伝達を確実に行なうことができる。因に、短絡連結部の上記長さが、この数値以上に長くなると、隣接する円管への荷重伝達が不充分かつ不安定となる。
この発明の一実施態様においては、上記短絡連結部は、隣接する両円管との結合部から該短絡連結部の円管連結方向中央部に向けて、その厚さが連続的に小さくなるように設定されたものである。
換言すれば、上記短絡連結部にアールを形成したものである。
上記構成によれば、円管の軸方向への塑性変形時において、三角形頂点が隣接する円管を押す力が中央に集中して、隣の円管の狭い範囲を押して、狙い通りの変形を安定して生起させることができる。
また、AlまたはAl合金の熱間押し出し成形により衝突エネルギ吸収部材を形成する場合、上記アールがないと、押し出し成形時に面圧が高くなり、AlまたはAl合金が押し出し成形用の金型に凝着するが、上述の如くアールを設けているので、押し出し成形時の良好な成形性を確保することができる。
この発明によれば、一つの円管について隣接する他の二つの円管に対する一対の短絡連結部が、その円管中心部に対して鋭角を成すよう円管外周上の位置に形成されているので、一つの円管の軸圧縮方向の潰れが、閉断面方向に関して、短絡連結部を通じて周囲の2つの円管を押したり引いたりして(つまり、一方を押し、他方が押されるよう)互いに作用し合い、それぞれが略正三角形の閉断面を成すよう、この円管集合体を塑性変形させるにあたり、上記短絡連結部を正三角形が形成されやすい方向に配置し、この変形を安定的に生起させることができる効果がある。
軸方向端部から入力された車両前後方向の荷重により各円管が略正三角形の閉断面を成して、安定的に塑性変形し、大きい衝撃吸収エネルギ効果を発揮するという目的を、少なくとも3本以上の直線状の略同径の円管が、これらのうちの3つの円管に周囲三方を囲まれた狭窄空間を形成するよう、互いに軸方向が平行に隣接して配置され、各円管は、隣接する円管と最も近接する部位の近傍で円管の軸方向に連続する板状の短絡連結部で連結されて一体となされ、軸方向の端部から入力された荷重により軸方向に塑性変形して圧縮される金属製の衝突エネルギ吸収部材であって、一つの円管についての隣接する他の二つの円管に対する一対の上記短絡連結部は、これら円管が車両前後方向の荷重を受けて座屈変形する場合に、一つの円管の軸方向の圧縮潰れが、閉断面方向に関して、上記一方の短絡連結部を押し、上記他方の短絡連結部を引いて互いに作用し合い、各円管がそれぞれ略正三角形の閉断面を成すよう、これら円管の集合体を塑性変形させるために、その円管中心部に対して鋭角を成すよう円管外周上の位置に形成されるという構成にて実現した。
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は衝突エネルギ吸収部材を示し、図1は該衝突エネルギ吸収部材を車両のクラッシュカンとして使用した車体前部構造を示す斜視図、図2は図1の要部拡大斜視図、図3はクラッシュカンの正面図である。
図1に示すように、車体前部にはエンジンルーム1の左右両サイドにおいて車両の前後方向に延びる閉断面構造のフロントサイドフレーム2,2を設けている。これら左右一対のフロントサイドフレーム2,2の前端部にはフランジ部材3,3が取付けられると共に、フランジ部材3とフロントサイドフレーム2との間には、ガセット4が設けられている。
上述のフロントサイドフレーム2,2前端のフランジ部材3には、平板状のセットプレート6を介して車両の前後方向に延びるクラッシュカン7を設けており、左右のクラッシュカン7,7の前端相互間には、車幅方向に延びるバンパレインフォースメント8を取付けている。
図2、図3に示すように、上述のクラッシュカン7(衝突エネルギ吸収部材)は、円管としての複数の略同径の円筒パイプ(以下単にパイプと略記する)9…が複数個束ねられて構成されており、図3に正面図で示すように、複数個のパイプ9…は車両正面視で互いに隣接して所定方向としての上下方向に長く配列されている。なお、クラッシュカン7をフロント側に設ける場合には、上下方向に長く配列されるが、該クラッシュカン7をリヤ側に設ける場合には、車幅方向に長く配列させてもよい。
また、上述の各パイプ9…を合計5本集合させた集合パイプ体の四隅部分には、パイプ先端部への衝突荷重入力時に、所定方向としての上下方向に対して交差する左右方向に、パイプ9の基端部が曲がるのを抑止する曲げ抑止手段としてのリブ5…が一体的に設けられている。
これら複数個のパイプ9は、図3に正面図で示すように、中央に位置する中央管としての中央パイプ9Aの上側に2個の略同径の周辺パイプ(周辺管)9B,9Cが配置されると共に、中央パイプ9Aの下側に2個の略同径の周辺パイプ(周辺管)9D,9Eが配置され、合計5個のパイプ9A〜9Eから構成され、中央パイプ9Aと上下側のそれぞれ2個の周辺パイプ9B,9C,9D,9Eは、これらの間に狭窄空間10を形成するよう各パイプ9A〜9Eの最も近接する部位の近傍でパイプ9A〜9Eの軸方向に連結する板状の短絡連結部11〜16で連結されて一体と成されている。ここで、上述の狭窄空間10は3つのパイプ9A,9B,9Cまたはパイプ9A,9D,9Eに周囲三方を囲まれている。
上述の各パイプ9A〜9Eおよび短絡連結部11〜16は、具体的には、アルミニウムまたはアルミニウム合金の熱間押し出し成形により形成され、例えば、直径(外径)D=34mmφに、肉厚t=1mmに形成されている。
このように、上述のクラッシュカン7は、複数のパイプ9…を集合させて結合した、いわゆる『集合パイプ体』で構成されており、このクラッシュカン7は、車両の前後方向の衝突荷重が作用すると、軸方向に座屈変形して、衝突エネルギを吸収するように構成している。
特に、このクラッシュカン7は、5本のパイプ9A,9B,9C,9D,9Eを同時に座屈変形させるため、衝突荷重の吸収量を従前のクラッシュカンに対して大幅に高めることができ、エネルギ吸収量を多くすることができる。
図2に示すように、集合パイプ体の前端から後方側へ距離L1(例えば、約15mm)の位置には、衝突荷重が作用した時、クラッシュカン7の潰れ形状を規定する変形促進部としての横ビード17…を設けている。ここで、上述の距離L1はパイプ9の潰れ周期のピッチによって任意に設定することができ、熱間押し出し成形品に対して後加工することにより形成される。
図3に示すように、上述の横ビード17は、全てのパイプ9に、約120度の間隔で設けた内凹形状で構成されており、この横ビード17は、クラッシュカン7が座屈変形する際、該座屈変形の切っ掛けを与える要素である。
一方、クラッシュカン7には、図3に示すように隣り合うパイプ9,9同士を短絡連結する複数の短絡連結部11〜16が設けられている。
図3から明らかなように、短絡連結部11はパイプ9B,9C間を横方向に短絡連結し、短絡連結部12はパイプ9B,9A間を上下方向に短絡連結し、短路連結部13はパイプ9C,9A間を上下方向に短絡連結して、パイプ9B,9C,9A間に略正三角形の狭窄空間10を形成すべく構成している。
また、短絡連結部14はパイプ9A,9D間を上下方向に短絡連結し、短絡連結部15はパイプ9A,9E間を上下方向に短絡連結し、短絡連結部16はパイプ9D,9E間を横方向に短絡連結して、パイプ9A,9D,9E間に逆向き略正三角形の狭窄空間10を形成すべく構成している。
ここで、図3におけるパイプ9B,9C,9A間の略正三角形の狭窄空間10と、パイプ9A,9D,9E間の逆向き略正三角形の狭窄空間10とは、中央パイプ9Aを挟んで上下対称となるように形成される。
この対称構造は、パイプ9の座屈変形時の変形挙動を考慮して、このように設定するものである。
図4は、パイプ9の座屈変形時の断面形状の変形状態を示す模式図であって、(a)は座屈変形前のパイプの側面図と、A−A線矢視断面図であり、(b)は座屈変形後のパイプの側面図と、B−B線矢視断面図、C−C線矢視断面図である。
図4の(a)に示すように、パイプ9は、座屈変形前には真円形状の円筒断面を有している。
このパイプ9が車両前後方向の衝突荷重を受けて座屈変形する場合には、同図の(b)に示すように、座屈変形の潰れ周期の半ピッチ毎に、断面形状が『略正三角形』と『逆向きの略正三角形』を繰返して変形する。
これは、『面』を構成する最小の多角形が三角形であるため、軸方向の圧縮力を受けて円筒断面が外周側に拡張しようとする際、局所的に三点に応力集中が生じて『略正三角形』の断面と、『逆向きの略正三角形』の断面と周期的に繰返して、座屈変形していくものと推考される。
このように、断面形状が『略正三角形』と『逆向きの略正三角形』とを繰返しながら変形していくため、パイプ9における短絡連結部11〜16の位置は、この繰返し変形を阻害しないように設定される。
そこで、この実施例では、図5、図6に示すように変形状態を考慮して、短絡連結部11〜16の形成位置を設定している。図5はクラッシュカン7の正面図に右側を頂点とする三角形の変形モデルを加えた図であり、図6はクラッシュカン7の正面図に左側を頂点とする三角形に変形モデルを加えた図である。
図5に示すように、断面形状が右側を頂点とする三角形に変形する場合、パイプ9Bにおいては、短絡連結部11が右方に移動して、隣接するパイプ9Cの一部を押して、該パイプ9Cに三角形の一辺を形成し、短絡連結部12の左斜め上方への移動により、パイプ9Bの一部が押されてパイプ9Bに三角形の一辺を形成し、パイプ9Bの他の一部a,bが三角形の頂点を形成する方向に押されるので、パイプ9Bは略三角形状となる。
パイプ9Cにおいては、短絡連結部13が左斜め下方に移動して、隣接するパイプ9Aの一部を押して、該パイプ9Aに三角形の一辺を形成し、短絡連結部11の右方への移動により、パイプ9Cの一部が押されてパイプ9Cに三角形の一辺を形成し、パイプ9Cの他の一部c,dが三角形の頂点を形成する方向に押されるので、パイプ9Cは略三角形状となる。
パイプ9Aにおいては、短絡連結部13,15で該パイプ9Aが押されて三角形の二辺を形成し、短絡連結部12,14が隣接する上下のパイプ9B,9Dの一部を押して、これら各パイプ9B,9Dに三角形の一辺を形成すると共に、当該パイプ9Aに三角形の頂点を形成し、パイプ9Aの他の一部eが三角形の頂点を形成する方向に押されるので、パイプ9Aは略三角形状になる。
パイプ9Dにおいては、短絡連結部16が右方に移動して、隣接するパイプ9Eの一部を押して、該パイプ9Eに三角形の一辺を形成し、短絡連結部14の左斜め下方への移動により、パイプ9Dの一部が押されてパイプ9Dに三角形の一辺を形成し、パイプ9Dの他の一部f,gが三角形の頂点を形成する方向に押されるので、パイプ9Dは略三角形状となる。
パイプ9Eにおいては、短絡連結部15が左斜め上方に移動して、隣接するパイプ9Aの一部を押して、該パイプ9Aに三角形の一辺を形成し、短絡連結部16の右方への移動により、パイプ9Eの一部が押されてパイプ9Eに三角形の一辺を形成し、パイプ9Eの他の一部h,jが三角形の頂点を形成する方向に押されるので、パイプ9Eは略三角形状となる。
図6に示すように、断面形状が左側を頂点とする三角形に変形する場合、パイプ9Cにおいては、短絡連結部11が左方に移動して、隣接するパイプ9Bの一部を押して、該パイプ9Bに三角形の一辺を形成し、短絡連結部13の右斜め上方への移動により、パイプ9Cの一部が押されてパイプ9Cに三角形の一辺を形成し、パイプ9Cの他の一部j,kが三角形の頂点を形成する方向に押されるので、パイプ9Cは略三角形状となる。
パイプ9Bにおいては、短絡連結部12が右斜め下方に移動して、隣接するパイプ9Aの一部を押して、該パイプ9Aに三角形の一辺を形成し、短絡連結部11の左方への移動により、パイプ9Bの一部が押されてパイプ9Bに三角形の一辺を形成し、パイプ9Bの他の一部l,mが三角形の頂点を形成する方向に押されるので、パイプ9Bは略三角形状となる。
パイプ9Aにおいては、短絡連結部12,14で該パイプ9Aが押されて三角形の二辺を形成し、短絡連結部13,15が隣接する上下のパイプ9C,9Eの一部を押して、これら各パイプ9C,9Eに三角形の一辺を形成すると共に、当該パイプ9Aに三角形の頂点を形成し、パイプ9Aの他の一部nが三角形の頂点を形成する方向に押されるので、パイプ9Aは略三角形状になる。
パイプ9Eにおいては、短絡連結部16が左方に移動して、隣接するパイプ9Dの一部を押して、該パイプ9Dに三角形の一辺を形成し、短絡連結部15の右斜め下方への移動により、パイプ9Eの一部が押されてパイプ9Eに三角形の一辺を形成し、パイプ9Eの他の一部p,qが三角形の頂点を形成する方向に押されるので、パイプ9Eは略三角形状となる。
パイプ9Dにおいては、短絡連結部14が右斜め上方に移動して、隣接するパイプ9Aの一部を押して、該パイプ9Aに三角形の一辺を形成し、短絡連結部16の左方への移動により、パイプ9Dの一部が押されてパイプ9Dに三角形の一辺を形成し、パイプ9Dの他の一部r,sが三角形の頂点を形成する方向に押されるので、パイプ9Dは略三角形状となる。
このように、上述の各短絡連結部11〜16は、パイプ9の断面形状の繰返し変形に対応して往復移動することになる。
また、図5、図6で示したように、三角形の頂点に相当する短絡連結部11〜16が、対面する三角形の辺中央を押す相互関係が成立し、パイプ9は半周期ごとに『左向きの略正三角形断面』と『右向きの略正三角形断面』とを繰返して、座屈変形することになる。
ここで、上述の短絡連結部11〜16の移動は、パイプ9の変形を阻害することなく、また、パイプ9,9間の連結状態も維持することができるように設定される。
上述の短絡連結部11〜16により、『略正三角形』と『逆向きの略正三角形』の狭窄空間10,10を形成するように設定しているので、各パイプ9間の短絡連結状態を維持した状態で、クラッシュカン7の座屈変形を許容することができる。
このように、各短絡連結部11〜16がクラッシュカン7の座屈変形を阻害しないように設定すると、図示実施例のクラッシュカン7では、全てのパイプ9が完全に座屈変形して、衝突エネルギを確実に吸収することができる。
図3で示した集合パイプ体の車幅方向の幅(W)を50mmに設定し、高さ(H)を69.03mmに設定し、各パイプ9の直径(外径)Dを24mmφに設定し、パイプ9の肉厚tを1.8mmに設定したクラッシュカン7を設け、全てのパイプ9が完全に座屈変形することを裏付けるために、該クラッシュカン7を図7の(a)に示すベース部材18に取付け、加圧ブロック19で0〜180KNの荷重を付加した図を、図7の(a)〜(g)に示す。
但し、この場合、各パイプ9…はアルミニウム合金A6063S−T5を用いた。このAl合金は、Cuが0.10wt%以下、Siが0.20〜0.6wt%、Feが0.35wt%以下、Mnが0.10wt%以下、Mgが0.45〜0.9wt%、Znが0.10wt%以下、Crが0.10wt%、Tiが0.10wt%、残部がAlの合金である。
図7の(a)は、クラッシュカン7をベース部材18上面に取付け、加圧ブロック19をセットした無負荷時の状態を示し、図7の(b)〜図7の(g)は加圧ブロック19で180KNまで順次荷重を付加した状態を時系列に示すものである。
図7の(b)に示す荷重入力初期から各パイプ9は順次座屈変形し、図7の(c)〜(e)に示す荷重入力中期にかけて各パイプ9はさらに座屈変形が進み、図7の(f)に示す荷重入力終期を経て、図7の(g)に示す荷重入力完了最終期には、同図に示すように、全てのパイプ9が規則的かつ完全に座屈変形した。
図8は、短絡連結部の開角条件を示す説明図である。
すなわち、一つのパイプ9Aについて隣接する他の2つのパイプ9B,9Cに対する一対の短絡連結部12,13は、そのパイプ9Aの中心部Zに対して鋭角、望ましくは60度の角度θ2を成すようパイプ9A外周上の位置に形成されている。
図5、図6で示したように、各パイプ9…を『左向きの略正三角形』と『右向きの略正三角形』とに交互に座屈変形させるので、上記角度θ2は鋭角、特に60度が望ましい。
この角度θ2の関係は、他の一対の短絡連結部11〜16についても同様であって、1つのパイプ9の軸圧縮方向の潰れが、閉断面方向に関して、短絡連結部11〜16を通じて周囲の2つのパイプ9を押したり引いたりして(つまり、一方を押し、他方が押されるよう)互いに作用し合い、それぞれが略正三角形の閉断面を成すよう、この集合パイプ体(円管集合体)を塑性変形させるにあたり、上述の短絡連結部を正三角形が形成されやすい方向に配置したので、斯る変形を安定的に生起させることができる。
図9は短絡連結部11〜16(但し、図9では、一例として短絡連結部11を示す)の正面から見た形状の条件を示す部分拡大説明図である。
すなわち、この短絡連結部11は、隣接する両パイプ9B,9Cとの結合部から該短絡連結部11のパイプ連結方向中央部に向けて、その厚さが連続的に小さくなるように設定されている。
換言すれば、この短絡連結部11はそのパイプ連結方向の両側が共に、半径=Rのアール形状に形成されている。
この短絡連結部11のアール形状の構成については、他の短絡連結部12〜16についても同様に形成されるものである。
このように、各短絡連結部11をアール形状に構成すると、パイプ9を軸方向へ塑性変形させる時、三角形の頂点が隣接するパイプ9Cを図9に示すように押す場合、パイプ9Cを押す力が図9に矢印で示すように三角形の一辺と成る中央部分に集中して、隣のパイプ9Cを狭い範囲で押圧し(可及的ピンポイントで押圧することが望ましい)、狙い通りの変形を安定して生起させることができる。
また、AlまたはAl合金の熱間押し出し成形により衝突エネルギ吸収部材(クラッシュカン7参照)を形成する場合、上記アールが存在しないと、押し出し成形時に面圧が高くなり、AlまたはAl合金が押し出し成形用の金型に凝着するが、図9で示したように各短絡連結部11〜16にはアールを設けているので、押し出し成形時の良好な成形性を確保することができる。さらに、アールが1mm未満になると、上記金型の構成も困難となる関係上、上記アールの形状は、R≧1mmが望ましい。
図10は短絡連結部13の外側の厚さ(Lout)を示す説明図で、この短絡連結部13の外側の厚さ(Lout)は、隣接するパイプ9A,9Cの中心Z,Z相互を結ぶ中心線CLより外側の厚さであり、数値シミュレーションの結果、該外側の厚さ(Lout)を、パイプ外径Dで除した値、つまりLout/Dの値が0.43以下に設定されている。なお、この点に関しては、他の短絡連結部11,12,14〜16についても同様である。
図12〜図16は円筒間距離(パイプ外径間の距離)Xを1mm(図12)、2mm(図13)、3mm(図14)、4mm(図15)、5mm(図16)にそれぞれ変化させると共に、各短絡連結部11〜16の外側の厚さ(Lout)をLout=4.8mm、Lout=8.5mm、Lout=12mm、Lout=14.7mmに変化させて、この厚さ(Lout)に対する平均荷重/重量の特性をシミュレーションした結果を示す。ここで、図12〜図16はそれぞれ横軸に上記外側の厚さ(Lout)を取り、縦軸に平均荷重/重量つまり質量効率を取った特性図である。
図12〜図16から明らかなように、X=1mm〜X5mmのそれぞれの特性図において、Lout=12mmまでの範囲においては安定して荷重特性が右上がりとなることが判明した。
また、図14〜図16に示すように、X=3mm、X=4mm、X=5mmの条件下においては、Lout=14.7mmに設定した時、荷重特性の悪化(質量効率の低下)が認められた。この悪化は厚さ(Lout)が増加して、パイプ9変形の拘束面が増加することに起因する。
但し、X=2mm以下の図12、図13の特性においてはLout=14.7mmであっても安定した荷重特性を得ることが判明した。
この場合、Lout=14.7mm、パイプ外径D=34mmであるので、Lout/D=14.7/34=0.432となり、余裕をもって条件設定するためにLout/D≦0.43としたものである。
このように、厚さ(Lout)を、パイプ外径Dで除した値が0.43以下となるように設定したので、隣接するパイプ9との変形の連携が強くなって安定して、連続変形が生ずる。なお、この外側の厚さ(Lout)が0.43を超過すると、パイプ9変形時の拘束面が増加して、略正三角形断面の生起が阻害されるため、好ましくない。
図11は短絡連結部11の内側の厚さ(Lin)を示す説明図で、この短絡連結部11の内側の厚さ(Lin)は、隣接するパイプ9B,9Cの中心Z,Z相互を結ぶ中心線CLより内側の厚さであり、数値シミュレーションにより内側の厚さ(Lin)の限界数値を求め、この内側の厚さ(Lin)を、パイプ外径Dで除した値、つまり、Lin/Dの値を0.13以下に設定している。なお、他の短絡連結部12〜16についても同様である。
図11はLin=4.3m、D=34mmの図面であって、この図11の状態下において狭窄空間10を三方から囲繞して、該狭窄空間10を略正三角形状と成す各パイプ9A,9B,9Cの円弧部(狭窄空間10側へ反った反り面部)が残っている。
この狭窄空間10は各パイプ9を略正三角形状に座屈変形させる上で必須となるものであり、この狭窄空間10がこれ以上過度に狭小になると、上記反り面部が僅少となり、かつ狭窄空間10の形状は略六角形に変化するため、パイプ先端からの略正三角形状に座屈変形するというメカニズムが崩壊する。
また、図11の短絡連結部12,11について見ると、図5、図6に矢印で示したように、短絡連結部12,11に対しては、それぞれ異なる方向の力が作用するが、内側の厚さ(Lin)を過大と成すと、これら短絡連結部12,11が過度に近接して、上記異なる方向の充分な力が作用しなくなり、三角形の頂点部で隣接するパイプ9の三角形の辺部を押すことが困難となる。
このように、パイプ9を略正三角形状に断面変形させるためには、狭窄空間10として略正三角形の充分な空間を確保し、ある程度の変形自由度をもたせておく必要がある。
この場合、Lin=4.3mm、パイプ外径D=34mmであるので、Lin/D=4.3/34=0.126となり、これを基に、Lin/D≦0.13としたものである。
換言すれば、1つのパイプ9Aについて隣接する他の2つのパイプ9B,9Cに対する一対の短絡連結部12,13の狭窄空間10に対面する側の部分が、そのパイプ9Aの中心部Zに対して所定角度θ1を成すようパイプ9Aの外周上の位置に形成されたもので、Lin/D≦0.13を満たす所定角度θ1は32度以上となる。
このため、図8で示した短絡連結部の開角条件θ2と狭窄空間10の確保との両条件を考慮すると、1つのパイプ9Aについて隣接する他の2つのパイプ9B,9Cに対する一対の短絡連結部12,13が、そのパイプ9Aの中心部Zに対して成す角度θ2は32度以上、90度未満の範囲が好ましい。
このように、数値シミュレーションにより内側の厚さ(Lin)の限界数値を求め、この内側の厚さ(Lin)を、パイプ外径Dで除した値が0.13以下となるように設定したので、隣接するパイプ9との変形の連携が強くなって安定して、連続変形が生ずる。
なお、上述の内側の厚さ(Lin)が過大になり、狭窄空間10側への厚みが所定値以上に増加すると、狭窄空間10が過度に小さくなって、パイプ9の正三角形断面の生成が阻害されるものである。
一方、図8において、各短絡連結部11〜16のパイプ連結方向の長さ、換言すれば、円筒間距離(各パイプ9の外径間の距離)Xは、パイプ外径Dの1/7以下の長さに設定されている。
X/D≦1/7を検証するため、図12〜図16のシミュレーション結果に加えて、図17〜図19に示すシミュレーションを行なった。
図17〜図19は円筒間距離(パイプ外径間の距離)Xを7mm(図17)、11mm(図18)、15mm(図19)にそれぞれ変化させると共に、各短絡連結部11〜16の外側の厚さ(Lout)を、Lout=4.8mm、Lout=8.5mm、Lout=12mm、Lout=14.7mmに変化させて、この厚さ(Lout)に対する平均荷重/重量の特性をシミュレーションした比較例の結果を示す。
短絡連結部11〜16の外側の厚さが広いLout=14.7mmの場合、円管間距離Xが1〜4mmで軸圧縮し、X=5mm〜15mmで集合パイプ体に根元倒れが認められた。一方、外側の厚さが狭いLout=4.8mmの場合には、円筒間距離X=1mm〜15mmのそれぞれにおいて安定してパイプ9が変形する傾向にある。
各円筒間距離Xでの質量効率ピークを検討すると、X=7mm以上になると、全体の質量効率それ自体が最大でも約300KN/kg以下に低下していることが判断でき、これらから円筒間距離Xの上限は約5mmであると判断することができる。
以上の結果により、X/D=5/34=0.147となるため、円筒間距離Xの目安はパイプ外径Dの1/7以下となる。
このように、短絡連結部11〜16の長さ、換言すれば、円筒間距離Xをパイプ外径Dの1/7以下の長さに設定したので、隣接するパイプ9への荷重伝達を確実に行なうことができる。因に、短絡連結部11〜16の上記長さ(円筒間距離Xに相当)が、この数値以上に長くなると、図17〜図19に比較例として示したように、隣接するパイプ9への荷重伝達が不充分かつ不安定となり、質量効率が低下する。これは短絡連結部11〜16それ自体が座屈変形等することにより、三角形の頂点部に相当する短絡連結部11〜16で、隣の三角形の辺部を押すことができない距離になるためであると推考される。
このように、上記実施例の衝突エネルギ吸収部材(クラッシュカン7参照)は、少なくとも3本以上の直線状の略同径の円管(パイプ9参照)が、これらのうちの3つの円管(パイプ9)に周囲三方を囲まれた狭窄空間10を形成するよう、互いに軸方向が平行に隣接して配置され、各円管(パイプ9)は、隣接する円管(パイプ9)と最も近接する部位の近傍で円管(パイプ9)の軸方向に連続する板状の短絡連結部11〜16で連結されて一体となされ、軸方向の端部から入力された荷重により軸方向に塑性変形して圧縮される金属製の衝突エネルギ吸収部材であって、一つの円管(パイプ9)についての隣接する他の二つの円管(パイプ9)に対する一対の上記短絡連結部11〜16は、その円管中心部Zに対して鋭角θ2を成すよう円管外周上の位置に形成されたものである(図8参照)。
この構成によれば、一つの円管(パイプ9)の軸圧縮方向の潰れが、閉断面方向に関して、短絡連結部11〜16を通じて周囲の2つの円管(パイプ9)を押したり引いたりして(つまり、一方を押し、他方が押されるよう)互いに作用し合い、それぞれが略三角形の閉断面を成すよう、この円管集合体を塑性変形させるにあたり、上記短絡連結部11〜16を正三角形が形成されやすい方向に配置したので、(円管中心部Zに対して鋭角θ2、好ましくは60度を成すよう円管外周上の位置に形成したので、)、この変形を安定的に生起させることができる。
また、上記短絡連結部11〜16は、隣接する円管(パイプ9)の中心Z,Z相互を結ぶ中心線CLより外側の厚さ(Lout)を、円管外径Dで除した値が0.43以下に設定されたものである(図10参照)。
この構成によれば、数値シミュレーションの結果、上記外側の厚さ(Lout)の安定範囲を見出して、この厚さ(Lout)を、円管外径Dで除した値が0.43以下となるように設定したので、隣接する円管との変形の連携が強くなって安定して、連続変形が生ずる。なお、上記外側の厚さ(Lout)が過大になると、正三角形断面の生起が阻害される。
さらに、上記短絡連結部11〜16は、隣接する円管(パイプ9)の中心Z,Z相互を結ぶ中心線CLより内側の厚さ(Lin)を、円管外径Dで除した値が0.13以下に設定されたものである(図11参照)。
この構成によれば、数値シミュレーションにより内側の厚さ(Lin)の限界数値を求め、この内側の厚さ(Lin)を、円管外径Dで除した値が0.13以下となるように設定したので、隣接する円管(パイプ9)との変形の連携が強くなって安定して、連続変形が生ずる。因に、上記内側の厚さ(Lin)が過大になり、狭窄空間10側への厚みを所定値以上に増すと、正三角形断面の生成が阻害される。
加えて、上記短絡連結部11〜16の円管連結方向の長さ(円筒間距離Xに相当)を、上記円管外径Dの1/7以下の長さに設定したものである(図8、図12〜図16参照)。
この構成によれば、短絡連結部11〜16の上記長さ(円筒間距離X参照)を円管外径Dの1/7以下の長さに設定したので、隣接する円管(パイプ9)への荷重伝達を確実に行なうことができる。因に、短絡連結部11〜16の上記長さ(円筒間距離X参照)が、この数値以上に長くなると、隣接する円管(パイプ9)への荷重伝達が不充分かつ不安定となる。
また、上記短絡連結部11〜16は、隣接する両円管(パイプ9)との結合部から該短絡連結部11〜16の円管連結方向中央部に向けて、その厚さが連続的に小さくなるように設定されたものである(図9参照)。
換言すれば、上記短絡連結部11〜16にアールを形成したものである。
この構成によれば、円管(パイプ9)の軸方向への塑性変形時において、三角形頂点が隣接する円管(パイプ9)を押す力が図9に矢印で示すように、中央に集中して、隣の円管(パイプ9)の狭い範囲を押して、狙い通りの変形を安定して生起させることができる。
また、AlまたはAl合金の熱間押し出し成形により衝突エネルギ吸収部材(クラッシュカン7参照)を形成する場合、上記アールがないと、押し出し成形時に面圧が高くなり、AlまたはAl合金が押し出し成形用の金型に凝着するが、上述の如くアールを設けているので、押し出し成形時の良好な成形性を確保することができる。
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明の衝突エネルギ吸収部材は、実施例のクラッシュカン7に対応し、
以下同様に、
円管は、パイプ9,9A〜9Eに対応し、
短絡連結部の円管連結方向の長さは、円筒間距離Xに相当するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
本発明の衝突エネルギ吸収部材をクラッシュカンとして使用した車体前部構造を示す斜視図 図1の要部拡大斜視図 クラッシュカンの正面図 パイプの座屈変形時の断面形状の変形状態を示した模式図で、(a)は座屈変形前のパイプの側面図とA−A断面図であり、(b)は座屈変形後のパイプの側面図とB−B断面図、C−C断面図。 クラッシュカンの正面図に右側を頂点とする三角形の変形モデルを加えた図 クラッシュカンの正面図に左側を頂点とする三角形の変形モデルを加えた図 クラッシュカンの変形状態を時系列に示す説明図 一対の短絡連結部の円管中心部に対する開角条件を示す説明図 短絡連結部のアール形状を示す部分拡大図 外側の厚さを示す説明図 内側の厚さを示す説明図 X=1mmの荷重特性図 X=2mmの荷重特性図 X=3mmの荷重特性図 X=4mmの荷重特性図 X=5mmの荷重特性図 X=7mmの荷重特性図 X=11mmの荷重特性図 X=15mmの荷重特性図 異なる形状のパイプ部材における変位に対する荷重/断面積特性を示す特性図
7…クラッシュカン(衝突エネルギ吸収部材)
…パイプ(円管)
9A…中央パイプ(中央管)
9B,9C,9D,9E…周辺パイプ(周辺管)
10…狭窄空間
11〜16…短絡連結部
D…外径
CL…中心線
Lout…外側の厚さ
Lin…内側の厚さ
X…円筒間距離(短絡連結部の円管連結方向の長さ)
Z…中心部

Claims (6)

  1. 少なくとも3本以上の直線状の略同径の円管が、これらのうちの3つの円管に周囲三方を囲まれた狭窄空間を形成するよう、互いに軸方向が平行に隣接して配置され、
    各円管は、隣接する円管と最も近接する部位の近傍で円管の軸方向に連続する板状の短絡連結部で連結されて一体となされ、
    軸方向の端部から入力された荷重により軸方向に塑性変形して圧縮される金属製の衝突エネルギ吸収部材であって、
    一つの円管についての隣接する他の二つの円管に対する一対の上記短絡連結部は、
    これら円管が車両前後方向の荷重を受けて座屈変形する場合に、一つの円管の軸方向の圧縮潰れが、閉断面方向に関して、上記一方の短絡連結部を押し、上記他方の短絡連結部を引いて互いに作用し合い、各円管がそれぞれ略正三角形の閉断面を成すよう、これら円管の集合体を塑性変形させるために、
    その円管中心部に対して鋭角を成すよう円管外周上の位置に形成された
    衝突エネルギ吸収部材。
  2. 上記衝突エネルギ吸収部材は5本であって、
    中央に位置する中央管としての中央パイプの上側に2個の略同径の周辺パイプが配置されるとともに、該中央パイプの下側に2個の略同径の周辺パイプが配置され、
    上記中央パイプと上側2個の周辺パイプ、並びに、上記中央パイプと下側2個の周辺パイプは、短絡連結部で上下方向に連結され、
    上記中央パイプの上側および下側において隣接する各2個の周辺パイプ同士が、短絡連結部で横方向に連結され、
    これら中央パイプおよび上下の周辺パイプが車両前後方向の荷重を受けて座屈変形する場合に、
    各パイプの短絡連結部による短絡連結状態を維持した状態で、各パイプの集合体の座屈変形を許容すべく、上記中央パイプと上側2個の周辺パイプとの間に略正三角形の狭窄空間が形成されると共に、上記中央パイプと下側2個の周辺パイプとの間に、上記略正三角形の狭窄空間と上下対称となる逆向きの略正三角形の狭窄空間が形成された
    請求項1記載の衝突エネルギ吸収部材。
  3. 上記短絡連結部は、隣接する円管の中心相互を結ぶ中心線より外側の厚さを、
    円管外径で除した値が0.43以下に設定された
    請求項1または2記載の衝突エネルギ吸収部材。
  4. 上記短絡連結部は、隣接する円管の中心相互を結ぶ中心線より内側の厚さを、
    円管外径で除した値が0.13以下に設定された
    請求項1〜3の何れか1に記載の衝突エネルギ吸収部材。
  5. 上記短絡連結部の円管連結方向の長さを、上記円管外径の1/7以下の長さに設定した
    請求項1〜4の何れか1に記載の衝突エネルギ吸収部材。
  6. 上記短絡連結部は、隣接する両円管との結合部から該短絡連結部の円管連結方向中央部に向けて、その厚さが連続的に小さくなるように設定された
    請求項1〜5の何れか1項に記載の衝突エネルギ吸収部材。
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