JP2021185887A - 魚釣用リール - Google Patents

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Abstract

【課題】部品点数を増やすことなく十分な強度で機能部材を回動可能に支持できる低コストで組み込み性が良好な魚釣用リールを提供する。【解決手段】本発明の魚釣用リールは、クラッチ機構17を装着支持するリール本体の本体基部4bと、本体基部4bの外方露出部を覆うとともにネジ部材50により本体基部4bに固定されるカバー部5bとを備える。カバー部5bに形成されてネジ部材50の少なくとも一部が内挿されるボス部5baの外周に、クラッチ機構17の駆動に関与する機能部材45が回動可能に支持される。【選択図】 図3

Description

本発明は、駆動機構の機能部材を回動可能に支持して成る魚釣用リールに関する。
魚釣用リールは、その各種駆動部を駆動させる駆動機構の動作状態等を切り換えるための様々な機能部材を有している。例えば、魚釣用両軸リールにおいては、リール本体の側板間に回転自在に支持されるスプールを巻き取り駆動するための動力伝達状態(クラッチON)とスプールをフリー回転状態にする動力遮断状態(クラッチOFF)とに切り換えるクラッチ機構が設けられており、クラッチON/OFFの切り換えは、リール本体に設けられた機能部材の操作によって行なわれるようになっている。
また、このようなクラッチ機構においては、実釣時、リール本体を保持する片方の手による切り換え操作によって仕掛けの巻き取りが可能なクラッチON状態から仕掛けの繰り出しが可能なクラッチOFF状態に切り換わった後、釣場の状況変化に応じて仕掛けの繰り出しを停止させるべく或いは繰り出し途中の魚の当たり等に瞬時に対応するべく、ハンドル回転操作によってクラッチON状態へと自動復帰するのではなく、リール本体の一方の側板に設けられた機能部材であるクラッチ復帰用のクラッチON操作レバーを手動操作することによりクラッチON状態に切り換わるものが特許文献1及び特許文献2に開示されている。
特開2000−316436号公報 特開2009−247323号公報
ところで、特許文献1に開示されるクラッチ機構を伴う構造では、リール本体の一方の側板の枠板に嵌合支持された支点ピンの外周にクラッチON操作レバーが取着されるとともに、支点ピンの雌螺子に結合ネジが螺合されて、この結合ネジによって支点ピンからのクラッチON操作レバーの抜けが防止されることにより、支点ピンを介してクラッチON操作レバーが揺動可能に支持されるため、支点ピンや結合ネジ等の部品がクラッチON操作レバーを支持する上で別個に必要となり、部品点数が増えてコスト高になるとともに、組み込み性も劣る。
また、特許文献2に開示されるクラッチ機構を伴う構造においても、リール本体の一方の側枠と外側板との間に枢軸が嵌着されるとともに、この枢軸の外周に特許文献1のクラッチON操作レバーに相当するプッシュレバーが取着されることにより、枢軸を介してプッシュレバーが揺動可能に支持されるため、枢軸等の部品がプッシュレバーを支持する上で別個に必要となり、特許文献1と同様に部品点数が増えてコスト高になるとともに、組み込み性も劣る。
また、特許文献1及び特許文献2のいずれにおいても、機能部材(クラッチON操作レバー又はプッシュレバー)が単一の支持部材(支点ピン又は枢軸)のみによって支持されているため、支持強度が十分であるとは言い難い。
また、クラッチ機構のクラッチON操作レバーの支持構造に伴うこのような問題は、リール本体に回動可能に支持される駆動機構の機能部材の全てにおいて生じ得る。
本発明は、上記した問題に着目してなされたものであり、部品点数を増やすことなく十分な強度で機能部材を回動可能に支持できる低コストで組み込み性が良好な魚釣用リールを提供することを目的とする。
上記した目的を達成するために、本発明は、駆動機構を装着支持するリール本体の本体基部と、該本体基部の外方露出部を覆うとともにネジ部材により前記本体基部に固定されるカバー部とを備える魚釣用リールにおいて、前記本体基部及び前記カバー部のいずれか一方に形成されて前記ネジ部材の少なくとも一部が内挿されるボス部の外周に、前記駆動機構の駆動に関与する機能部材が回動可能に支持されることを特徴とする。
上記構成によれば、リール本体の本体基部とカバー部とがネジ部材によって締結されるハウジングを構成する既存の螺合固定部を有効利用して機能部材を回動可能に支持するようにしているため、機能部材を支持する上で別個に必要となる部品がなく、したがって、部品点数を増やすことなく機能部材を回動可能に支持できる。その結果、構成の簡素化、コンパクト化、及び、組み込み性の向上を図ることができ、コスト低減を効率良く実現できる。また、このように、既存の螺合固定部を有効活用して、この螺合固定部が本体基部及びカバー部の締結固定と機能部材の回動支持とを兼ねるようにしたことに加え、本発明の上記構成では、螺合固定部を構成する本体基部及びカバー部のいずれか一方の部位にボス部を形成し、このボス部の外周で機能部材を回動可能に支持するとともに、ボス部内にネジ部材の少なくとも一部を挿入するようにしているため、ボス部自体の補強効果に加えて、ボス部がネジ部材により更に補強されることとなり、十分な強度で機能部材を回動可能に支持できるようになる(機能部材の支持強度を向上させることができる)。なお、補強効果を高めるために、ネジ部材は金属製であることが好ましい。
なお、上記構成において、「駆動機構」としては、例えば、リール本体に回転自在に支持されるスプールを釣糸巻取可能な動力伝達状態と釣糸放出可能な動力遮断状態とに切り換えるクラッチ機構や、一方向の回転を規制する逆転防止機構などが挙げられる。また、上記構成において、「機能部材」とは、駆動機構の駆動に関与して機能する任意の部材を意味し、例えば、リール本体に回転可能に支持される各種の操作レバー(例えば前記クラッチ機構の前記動力伝達状態をON/OFFに切り換え操作するための操作部材)、一方向の回転を逆止め規制するためのラチェットに係合するストッパレバー、釣糸繰り出し時の回転状態を報知するためのクリックレバー等が挙げられる。また、上記構成において、「本体基部」とは、駆動機構を装着支持するリール本体の部位、具体的には、リール本体を構成し駆動機構の駆動部を収容又は支持する両軸リールの場合はフレームの側部領域、スピニングリールの場合はリールボディ等を意味する。また上記構成において、機能部材が「駆動機構の駆動に関与する」とは、駆動機構を駆動させる作用を生じさせるあらゆる挙動を伴うことをいう。
また、上記構成において、ネジ部材は、本体基部の側からカバー部の側へ向けてボス部内に挿入されることが好ましい。このような構成によれば、外方に露出するカバー部の側とは反対の側である本体基部の側からネジ部材がボス部内に挿入されるため、カバー部の側から見た視野においてネジ部材が見えないようにすることができ、したがって、リールの外観性の向上に寄与し得る。
また、上記構成では、ボス部の内周面に形成される雌螺子にネジ部材の雄螺子が螺合されることが好ましい。これによれば、機能部材を回動可能に支持するボス部でネジ部材が螺合されるため、ボス部が支持部と螺合部とを兼ねる結果となり、本体基部とカバー部とをネジ部材によって締結して機能部材を回動可能に支持する螺合支持領域(螺合固定部)の薄肉化及びコンパクト化を実現できる。
また、上記構成において、ボス部とネジ部材との螺合長さは、螺合方向に沿うボス部の軸方向長さの少なくとも1/3以上であることが好ましく、1/2以上であることが更に好ましい。これによれば、ボス部をその長い範囲にわたってネジ部材により補強できるため、機能部材の支持強度をより向上させることができる。なお、補強効果を高めるために、ネジ部材は金属製であることが好ましい。
本発明によれば、部品点数を増やすことなく十分な強度で機能部材を回動可能に支持できる低コストで組み込み性が良好な魚釣用リールが得られる。
本発明の一実施形態に係る魚釣用リールの平面図である。 図1のA−A線に沿う要部拡大断面図である。 図2のB−B線に沿う要部拡大断面図である。 図1の魚釣用リールのクラッチON状態におけるクラッチ機構の構成を示す側面図である。 機能部材を回動可能に支持する螺合固定部の第1の変形例に係る図3に対応する要部拡大断面図である。 機能部材を回動可能に支持する螺合固定部の第2の変形例に係る図3に対応する要部拡大断面図である。 機能部材を回動可能に支持する螺合固定部の第3の変形例に係る図3に対応する要部拡大断面図である。
以下、図面を参照しながら本発明の一実施形態について説明する。
なお、以下の説明及び図面の全体にわたって、「前、後」「左、右」「上、下」の方向は、図1及び図4で規定される方向を基準とする。
図1に示される両軸受型の魚釣用リール1はリール本体2を備える。リール本体2は、リール脚3(図4参照)を介して図示しない釣竿のリールシートに固定されるようになっており、フレーム4とカバー部5a,5bとによって構成される。この場合、フレーム4は、後述するように駆動機構を装着支持するリール本体2の本体基部を形成しており、魚釣用リール1の幅方向(左右方向)に間隔を隔てて対向する側部領域を形成する左右の側枠4a,4bを有する。一方、左右の外側板を成すカバー部5a,5bは、フレーム4の外方露出部を覆うとともに、公知の手段である複数のネジ部材50(図2〜図4参照)によってフレーム4の対応する左右の側枠4a,4bに固定される。
フレーム4の左側の側枠4aにネジ止めされる左側のカバー部5aは、側枠4aを左側方から覆うことによってこの側枠4aとの間にセンサ収容室6を形成している。フレーム4の右側の側枠4bにネジ止めされる右側のカバー部5bは、側枠4bを右側方から覆うことによってこの側枠4bとの間にギヤ室7を形成している。
リール本体2にはスプール8が回転可能に支持される。スプール8は、スプール軸9と、スプール軸9と一体回転して釣糸が巻回される釣糸巻回胴部10と、釣糸巻回胴部10の軸方向に沿う両端に位置される一対のフランジ11a,11bとを備える。スプール軸9の一端は、軸受12を介してフレーム4の側枠4aに回転自在に支持される。スプール軸9の中間部は、他の軸受13を介してフレーム4の側枠4bに回転自在に支持される。
図1及び図4に示されるように、スプール軸9の他端部は、側枠4bを貫通してギヤ室7に突出している。スプール軸9の他端部の外周面上にはピニオンギヤ18が嵌合支持される。ピニオンギヤ18は、ギヤ室7に収容されるとともに、係合位置と係合解除位置との間でスプール軸9の軸方向に移動可能となっている。係合位置では、ピニオンギヤ18の一端がスプール軸9と係合し、ピニオンギヤ18とスプール軸9とが一体に回転できる。また、係合解除位置では、ピニオンギヤ18の一端がスプール軸9から切り離され、スプール軸9に対するピニオンギヤ18の係合が解除される。
また、リール本体2のギヤ室7には、ハンドル軸16と、該ハンドル軸16に入力される動力の伝達を継脱するクラッチ機構17とが収容される。ハンドル軸16は、スプール軸9と平行に延びるとともに、側枠4b及びカバー部5bに図示しない軸受を介して回転可能に支持されており、ハンドル軸16の端部にはハンドル24が装着される。この場合、ハンドル24を回転操作すると、その操作力は、駆動力伝達機構(巻き取り駆動機構)90を介してスプール8に伝達され、スプール8を回転駆動するようになっている。なお、ハンドル軸16は、右側のカバー部5bとの間に介在された転がり式の一方向クラッチ19(逆転防止機構)によって、釣糸巻取方向にのみ回転可能となっている。
ハンドル軸16は、ドラグ機構を内蔵するドライブギヤ21及びクラッチ復帰用ギヤ22(図4参照)を支持する。ドライブギヤ21は、ギヤ室7内でピニオンギヤ18と噛合し、また、クラッチ復帰用ギヤ22は、ギヤ室7内でハンドル軸16と一体に回転するようになっている。
なお、ハンドル軸16は、右側のカバー部5bを貫通してリール本体2の外側に突出しており、その突出端部にドラグ調整ノブ(スタードラグ)23及び前述のハンドル24が取り付けられている。
また、図1に示されるように、魚釣用リール1は、スプール8の回転に伴う釣糸の繰り出し量及び巻き取り量を計測する糸長計測ユニット60を搭載している。糸長計測ユニット60は、スプール8の回転方向及び回転数を検出する検出器61と、釣糸の繰り出し量及び巻き取り量を含む釣糸の糸長に関する情報を表示する表示器62とを備えている。検出器61は、リール本体2のセンサ収容室6に収容されている。表示器62は、釣人が見易いように、リール本体2の側枠4a,4bの上端部に支持されて、スプール8の直前に位置している。
動力の伝達を継脱する駆動機構としての前述のクラッチ機構17は、ピニオンギヤ18を係合位置と係合解除位置との間で選択的に移動させて、スプール8を釣糸巻取可能な動力伝達状態と釣糸放出可能な動力遮断状態とに切り換えるようになっている。図4に示されるように、クラッチ機構17は、クラッチ作動板26、ヨーク27、第1のホールドスプリング28、及び、クラッチ作動片29を備えており、リール本体2の本体基部であるフレーム4の側枠4bと右側のカバー部5bとの間に設けられる。
クラッチ作動板26は、フレーム4の側枠4bの外側面に支持されており、スプール軸9を中心に一定の角度範囲にわたって回動可能となっている。クラッチ作動板26の表面には、ヨーク27と係合可能な一対のカム部30a,30bが、クラッチ作動板26から側枠4bとは反対側に向けて張り出すように形成されている。これらのカム部30a,30bは、クラッチ作動板26の回動に伴ってヨーク27の各腕部27a,27bの裏面に対して係脱し、ヨーク27をスプール軸9に沿って移動させる。なお、ヨーク27は、側枠4bに突設された一対のガイド軸31a,31bによって各腕部27a,27bが保持されている。
ガイド軸31a,31bは、スプール軸9及びクラッチ作動板26を間に挟んでスプール軸9と平行に延びるとともに、側枠4bの外側面からギヤ室7内に突出している。これらのガイド軸31a,31bの間に跨るようにヨーク27が配置され、ヨーク27の各腕部27a,27bの端部がガイド軸31a,31bに摺動可能に支持されている。また、ヨーク27の中間部は、ピニオンギヤ18の外周面に形成した溝部32に係合している。そのため、ヨーク27は、ピニオンギヤ18と一緒にスプール軸9の軸方向に移動可能となっている。
ヨーク27は、図示しないクラッチスプリングによりクラッチ作動板26に向けて常時付勢されている。この付勢により、ヨーク27がクラッチ作動板26のカム部30a,30bに対して常時押し付けられている。したがって、クラッチ作動板26を回動させると、カム部30a,30bの形状に応じてヨーク27がピニオンギヤ18と一緒にスプール軸9の軸方向に移動するようになっている。言い換えると、クラッチ作動板26は、ピニオンギヤ18を係合位置に移動させるクラッチON位置と、ピニオンギヤ18を係合解除位置に移動させるクラッチOFF位置との間で回動可能となっている。なお、図2は、クラッチ作動板26がクラッチON位置に回動された状態を示している。このクラッチON位置からクラッチ駆動部材26を反時計回り方向に所定の角度回動させた位置がクラッチOFF位置となる。
図4に示されるように、クラッチ作動板26の後端部には、側枠4bの後方に向けて延びる延出部34が形成されており、この延出部34の先端部は、側枠4bに貫通して形成されたスリット35を通じて左右の側枠4a,4bの間へと導かれる。そして、延出部34の先端部にクラッチレバー36が取り付けられている。クラッチレバー36は、スプール8の直ぐ後側においてリール本体2の幅方向(左右方向)に水平に延びている(図1も参照)。このようなクラッチレバー36は、クラッチ作動板26をクラッチON位置に切り換える第1の操作位置と、クラッチ作動板26をクラッチOFF位置に切り換える第2の操作位置との間でリール本体2の上下方向に移動可能となっている。
前述した第1のホールドスプリング28は、クラッチ作動板26をクラッチON位置とクラッチOFF位置とに弾性的に振り分けて付勢するためのものであり、本実施形態ではトーションスプリング(デッドポイントバネ)が用いられている。トーションスプリングは、図2にも示されるように、コイル部37と、コイル部37の一端から突出する固定側アーム部38aと、コイル部37の他端から突出する可動側アーム部38bとを有する。固定側アーム部38aの先端は、側枠4bの外側面の上端部に形成された係止孔40に係止されている。係止孔40は、クラッチ作動板26の回動中心となるスプール軸9の上方において第1のホールドスプリング28の固定側アーム部38aを保持している。また、可動側アーム部38bは、側枠4bの外側面と隣り合っており、その先端が、クラッチ作動板26の上端部に形成した切り欠き41(図2参照)に弾性的に掛止されている。クラッチ作動板26がクラッチON位置にあるときには、切り欠き41がリール本体2の前方に変位するため、可動側アーム部38bは、リール本体2の前方にずれた位置でクラッチ作動板26の上部を下向きに付勢するようになる。これにより、クラッチ作動板26は、スプール軸9を中心に図4に矢印S1で示される時計回り方向に付勢されて、クラッチON位置に保持される。
また、このクラッチON位置からクラッチレバー36を図4に矢印で示されるように指先で押し下げる(押し下げられた位置が図4に破線で示される)と、クラッチ作動板26がクラッチON位置からクラッチOFF位置に向けて回動する。このクラッチ作動板26の回動により、第1のホールドスプリング28の可動側アーム部38bの先端を受け止める切り欠き41がリール本体2の後方に変位する。これにより、クラッチ作動板26に対する第1のホールドスプリング28の付勢力の作用方向が反転し、クラッチ作動板26が図4に矢印S2で示される反時計回り方向に付勢されて、クラッチOFF位置に保持される。このように、第1のホールドスプリング28は、クラッチ作動板26の回動に追従するように、固定側アーム部38aの先端を支点として所定の角度範囲に亘って回動変位する。
前述したクラッチ機構17のクラッチ作動片29は、クラッチ作動板26の下端部に回動可能に支持されている。クラッチ作動片29は、スプール軸9及びヨーク27の下方においてクラッチ復帰用ギヤ22と隣り合っており、クラッチ復帰用ギヤ22の外周に向けて突出する係合爪42を有している。
また、クラッチ作動片29と側枠4bの下部との間には第2のホールドスプリング44が架け渡されている。この第2のホールドスプリング44は、クラッチ作動板26がクラッチON位置に保持されているときに、係合爪42がクラッチ復帰用ギヤ22から遠ざかる方向にクラッチ作動片29を付勢する。更に、第2のホールドスプリング44は、クラッチ作動板26がクラッチOFF位置に保持されているときに、係合爪42がクラッチ復帰用ギヤ22に噛み合う方向にクラッチ作動片29を付勢する(図4には、付勢された係合爪42の位置が破線で示される)。
また、クラッチ機構17は、該クラッチ機構17の駆動に関与する機能部材としての制御部材45を更に有する。この制御部材45は、クラッチ作動板26をクラッチOFF位置からクラッチON位置へと回動させる操作レバー(スプール8を動力遮断状態から動力伝達状態へと切り換え操作するためのクラッチON操作部材)であり、リール本体2のギヤ室7に収容されて、ハンドル24と隣り合う右側の側枠4bの上部に回動可能に支持されている。
この制御部材45は、プッシュレバーとして形成されており、図2及び図3に明確に示されるように、押圧部46、連結部47、及び、枢支部48を有する。押圧部46は、側枠4bの上端部に沿うように円弧状に湾曲された外周縁部46aを有する板状を成している。また、押圧部46は、側枠4bの前後方向に延びるとともに、側枠4bの外側面と向かい合っている。押圧部46の外周縁部46aは、側枠4bの上端部に形成したスリット49を通じてリール本体2の外に露出している。
制御部材45の連結部47は、押圧部46の前端からスプール軸9に向けて下向きに延びるアーム状を成している。言い換えると、連結部47は、押圧部46と略直交する方向に延びており、この連結部47の下部と側枠4bの外側面との間にクラッチ作動板26の上部が介在されている。このことから、連結部47の下部とクラッチ作動板26の上部とは、リール本体2の幅方向に互いに重なり合っている。
連結部47のうちクラッチ作動板26の上部と向かい合う側面には、係合突起51が形成されている。この係合突起51は、クラッチ作動板26の上部に形成される係合孔52に掛止されている。この係合孔52の真上には、第1のホールドスプリング28の可動側アーム部38bが掛止される前述した切り欠き41が隣り合うように位置される。
制御部材45は、このように、その連結部47が係合突起51を介してクラッチ作動板26の上部に直接連結されているため、第1のホールドスプリング28の付勢力を受けるとともに、クラッチON位置とクラッチOFF位置との間でのクラッチ作動板26の回動動作に連動して復帰位置(図4に実線で示される位置;クラッチON位置)と待機位置(図4に破線で示される位置;クラッチOFF位置)との間で回動する。
制御部材45の枢支部48は、押圧部46と連結部47との間に位置されており、リール本体2の本体基部を形成するフレーム4の右側の側枠4bと右側のカバー部5bとがネジ部材50によって締結される螺合固定部80によって枢支されている。すなわち、本実施形態では、螺合固定部80に対して機能部材である制御部材45が回動可能に支持されている。
具体的には、図3に明確に示されるように、制御部材45は、側枠4b及びカバー部5bのいずれか一方に形成される、特に本実施形態ではカバー部5bに形成されるボス部5baの外周に回動可能に支持されている。このボス部5baは、制御部材45の外周縁部46aがそのクラッチON位置で側枠4b及びカバー部5bの外表面とほぼ面一となるように制御部材45を支持するべく側枠4bの上端部の対向する締結面へ向けて円筒状に突出しており、その内側に金属製の挿入体(インサートメタル)72を嵌挿して成る。なお、挿入体72は、例えばボス部5baの内周面に突設される凸部によってボス部5baからの抜けが防止されている。
側枠4bとカバー部5bとを締結固定するネジ部材50は、大径の頭部50aと、外周に雄螺子が形成された所定長の軸部50bとを有しており、締結状態では、側枠4bの側からカバー部5bの側へ向けて挿入されるとともに、軸部50bが、側枠4bの貫通孔4bbと、挿入体72の内孔72aと、カバー部5bの止まり穴5bbとに通されて、軸部50bの雄螺子がボス部5ba内の挿入体72の内周面に形成される雌螺子と螺合する。すなわち、ネジ部材50は、その一部がボス部5baに内挿されるとともに、螺合方向に沿うボス部5baの軸方向長さの全体にわたってボス部5baと螺合している(ボス部5baとの螺合量(すなわち、螺合長さ)がボス部5baの全長に設定されている)。
なお、ネジ部材50は、その完全締結状態で、その頭部50aが側枠4bのスプール8側の表面に形成された凹陥溝4bc内に完全に没する(側枠4bの外表面から突出しない)ようになっている。また、本実施形態では、ネジ部材50の軸部50bの雄螺子がボス部5ba内の挿入体72の雌螺子とのみ螺合するが、これに加えて又は代えて、止まり穴5bbに雌螺子を形成し、この雌螺子と軸部50bの雄螺子とが螺合してもよい。また、ネジ部材50は、例えばステンレスや銅合金のような金属材料で形成されることが好ましい。この場合、耐久性及び機械的強度を高めるために、ネジ部材50のその外周面にメッキ処理等の表面処理を施すことが望ましい。また、本実施形態では、ボス部5ba内に挿入体72を嵌挿してこの挿入体72とネジ部材50とを螺合させているが、挿入体72を設けることなく、ボス部5baの内周面に形成される雌螺子に対してネジ部材50の雄螺子が直接に螺合してもよい。
以上のようにして螺合固定部80に回動可能に支持される制御部材45は、図2〜図4に実線で示される復帰位置では、第1のホールドスプリング28の付勢によりクラッチ作動板26がクラッチON位置に保持されるため、枢軸であるボス部5baを中心に図4において下向きの反時計回り方向に付勢されている。これにより、制御部材45の押圧部46がギヤ室7内に入り込むとともに、押圧部46の外周縁部46aがスリット49を塞いでいる。したがって、制御部材45は、リール本体2に格納されており、釣人が手の指先で操作することはできない。これに対し、クラッチ作動板26のクラッチOFF位置への回動に伴って制御部材45が図4に破線で示される待機位置にある場合、制御部材45は、第1のホールドスプリング28の付勢によるクラッチ作動板26のクラッチOFF位置での保持に伴い、枢軸であるボス部5baを中心に図4において上向きの時計回り方向に付勢されることとなる。これにより、押圧部46の外周縁部46aがスリット49からリール本体2の外に飛び出し、したがって、釣人は、手の指先で押圧部46をリール本体2に押し込んでクラッチON位置へと切り換えることができる。
以上のような構成を成す魚釣用リール1を用いて実際に釣りを行なう場合、釣人は、先ず最初に、釣竿を握った利き腕の手でクラッチレバー36を押し下げる。これにより、クラッチ作動板26がスプール軸9を中心にクラッチON位置からクラッチOFF位置に向けて反時計回り方向に回動する。それに伴って、クラッチ作動板26に対する第1のホールドスプリング28の付勢力の作用方向が反転し、クラッチ作動板26がクラッチOFF位置に向けて付勢される。
このようにしてクラッチ作動板26がクラッチON位置からクラッチOFF位置に向けて回動すると、制御部材45が枢軸であるボス部5baを中心に時計回り方向に回動し、制御部材45の押圧部46が側枠4bのスリット49からリール本体2の上方に向けて飛び出す。更に、クラッチ作動片29が第2のホールドスプリング44の付勢力を受けて回動し、クラッチ作動片29の係合爪42がクラッチ復帰用ギヤ22と噛み合う(図4の破線参照)。
クラッチ作動板26がクラッチOFF位置に達すると、クラッチ作動板26のカム部30a,30bがクラッチスプリングの付勢力に抗してヨーク27をクラッチ作動板26から遠ざかる方向に押圧する。これにより、ヨーク27は、ピニオンギヤ18を係合位置から係合解除位置に向けて移動させ、その結果、ピニオンギヤ18がスプール軸9から切り離され、スプール8がフリーの状態に移行して、スプール8から釣糸の繰り出しが可能となる。
一方、このスプールフリー状態から釣人が他方の手でハンドル24を回してハンドル軸16を釣糸巻き取り方向に回転させると、ハンドル軸16上のクラッチ復帰用ギヤ22がハンドル軸16と一体に回転するため、クラッチ復帰用ギヤ22がクラッチ作動片29を介してクラッチ作動板26をクラッチOFF位置からクラッチON位置に向けて時計回り方向に回動させる。この回動により、カム部30a,30bによるヨーク27の押圧が解除され、ヨーク27がクラッチスプリングの付勢力により側枠4bに近づく方向に押し戻される。この結果、ピニオンギヤ18がヨーク27の動きに追従して係合解除位置から係合位置に移動し、ピニオンギヤ18がスプール軸9に係合する。その結果、ハンドル軸16とスプール8とが直結され、スプール8からの釣糸の繰り出しが停止される。
また、このようなクラッチOFF位置からクラッチON位置へのクラッチ作動板26の回動は、ハンドル24を回す以外に、制御部材45の待機位置から復帰位置への押し込み操作によっても別途可能である。すなわち、制御部材45が図4に破線で示される待機位置にあるクラッチOFF状態で、側枠4bのスリット49から飛び出ている制御部材45の押圧部46を押し込むと、制御部材45が枢軸であるボス部5baを中心に図4の反時計回り方向に回動し、クラッチ作動板26を第1のホールドスプリング28の付勢力に抗してクラッチOFF位置からクラッチON位置に向けて強制的に回動させることができる。
なお、制御部材45とクラッチ作動板26は、クラッチの切換操作に連動するように係合されていればよく、前記実施例の連結構造に限定されない。
以上説明したように、本実施形態の魚釣用リール1によれば、リール本体2の本体基部であるフレーム4の側枠4bとカバー部5bとがネジ部材50によって締結される既存の螺合固定部80を有効利用して機能部材である制御部材45を回動可能に支持するようにしているため、制御部材45を支持する上で別個に必要となる部品がなく、したがって、部品点数を増やすことなく制御部材45を回動可能に支持できる。その結果、構成の簡素化、コンパクト化、及び、組み込み性の向上を図ることができ、コスト低減を効率良く実現できる。また、このように、既存の螺合固定部80を有効活用して、この螺合固定部80が側枠4b及びカバー部5bの締結固定と制御部材45の回動支持とを兼ねるようにしたことに加え、本実施形態では、螺合固定部80を構成するカバー部5bの部位にボス部5baを形成し、このボス部5baの外周で制御部材45を回動可能に支持するとともに、ボス部5ba内にネジ部材50の少なくとも一部及び挿入体72を挿入するようにしているため、ボス部5ba自体の補強効果に加えて、ボス部5baがネジ部材50及び挿入体72により更に補強されることとなり、十分な強度で制御部材45を回動可能に支持できるようになる(制御部材45の支持強度を向上させることができる)。
また、本実施形態において、ネジ部材50は、側枠4bの側からカバー部5bの側へ向けてボス部5ba内に挿入されているため、すなわち、外方に露出するカバー部5bの側とは反対の側である側枠4bの側からネジ部材50がボス部5ba内に挿入されるため、カバー部5bの側から見た視野においてネジ部材50が見えないようにすることができ、したがって、リールの外観性の向上に寄与し得る。
また、本実施形態では、ボス部5baの内周面に形成される雌螺子にネジ部材50の雄螺子が螺合されるため、すなわち、制御部材45を回動可能に支持するボス部5baでネジ部材50が螺合されるため、ボス部5baが支持部と螺合部とを兼ねる結果となり、側枠4bとカバー部5bとをネジ部材50によって締結して制御部材45を回動可能に支持する螺合支持領域(螺合固定部80)の薄肉化及びコンパクト化を実現できる。
また、本実施形態では、ボス部5baとネジ部材50とがボス部5baの全長にわたって螺合しているため、ボス部5baを全長にわたってネジ部材50により補強でき、制御部材45の支持強度をより向上させることができる。
図5は、機能部材である制御部材45を回動可能に支持する螺合固定部80の第1の変形例を示している。図示のように、この変形例では、前述した実施形態とは異なり、制御部材45を回動可能に支持するボス部が、カバー部5bの側ではなく、側枠4bの側に設けられるとともに、ボス部の内側に金属製の挿入体72が嵌挿されていない。すなわち、ネジ部材50による側枠4bとカバー部5bとの締結状態において、ネジ部材50は、側枠4bの側からカバー部5bの側へ向けて挿入されるとともに、軸部50bが、側枠4bの貫通孔4bbと、制御部材45を回動可能に支持する側枠4bのボス部4baの内孔4baaと、カバー部5bの止まり穴5bbとに通されて、軸部50bの雄螺子がカバー部5bの止まり穴5bbの雌螺子と螺合している(すなわち、ネジ部材50はボス部4baと螺合していない)。
本変形例に係るこのような螺合固定部80による制御部材45の支持構造においても、制御部材45を支持する上で別個に必要となる部品がなく、ボス部4ba自体の補強効果に加えて、ボス部4baがネジ部材50により更に補強されるため、前述した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
図6は、機能部材である制御部材45を回動可能に支持する螺合固定部80の第2の変形例を示している。図示のように、この変形例では、ネジ部材50がカバー部5bの側から側枠4bの側へ向けて挿入されるとともに、ボス部の内側に金属製の挿入体72が嵌挿されていない点が前述した実施形態と異なる。すなわち、ネジ部材50による側枠4bとカバー部5bとの締結状態において、ネジ部材50は、カバー部5bの側から側枠4bの側へ向けて挿入されるとともに、軸部50bが、カバー部5bの貫通孔5bbと、制御部材45を回動可能に支持するカバー部5bのボス部5baの内孔5baaと、側枠4bの貫通孔4bbとに通されて、軸部50bの雄螺子が側枠4bの貫通孔4bbの雌螺子と螺合している(すなわち、ネジ部材50はボス部5baと螺合していない)。なお、ネジ部材50は、その完全締結状態で、その頭部50aがカバー部5bの外表面に形成された凹陥溝5bc内に完全に没する(カバー部5bの外表面から突出しない)ようになっている。
本変形例に係るこのような螺合固定部80による制御部材45の支持構造においても、制御部材45を支持する上で別個に必要となる部品がなく、ボス部5ba自体の補強効果に加えて、ボス部5baがネジ部材50により更に補強されるため、前述した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
図7は、機能部材である制御部材45を回動可能に支持する螺合固定部80の第3の変形例を示している。図示のように、この変形例では、制御部材45を回動可能に支持するボス部が、カバー部5bの側ではなく、側枠4bの側に設けられるとともに、ボス部の内側に金属製の挿入体72を螺合部として嵌挿させている点が前述した第2の変形例と異なる。すなわち、ネジ部材50による側枠4bとカバー部5bとの締結状態において、ネジ部材50は、カバー部5bの側から側枠4bの側へ向けて挿入されるとともに、軸部50bが、カバー部5bの貫通孔5bbと、制御部材45を回動可能に支持する側枠4bのボス部4baに嵌挿された挿入体72の内孔72aとに通されて、軸部50bの雄螺子が挿入体72の内孔72aの雌螺子と螺合している。なお、挿入体72を嵌挿させる側枠4bの内孔は止まり穴として形成されており、また、ネジ部材50は、その完全締結状態で、その頭部50aがカバー部5bの外表面に形成された凹陥溝5bc内に完全に没する(カバー部5bの外表面から突出しない)ようになっている。また、挿入体72(ボス部4ba)とネジ部材50との螺合長さは、制御部材45の支持強度を向上させるため、螺合方向に沿うボス部4baの軸方向長さの少なくとも1/3以上、ここでは1/2以上となっている。
本変形例に係るこのような螺合固定部80による制御部材45の支持構造においても、制御部材45を支持する上で別個に必要となる部品がなく、ボス部4ba自体の補強効果に加えて、ボス部4baがネジ部材50及び挿入体72により更に補強されるため、前述した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できることは言うまでもない。例えば、前述した実施形態では、螺合固定部80による制御部材45の支持構造が両軸受型リールに適用されているが、スピニングリール等の他のタイプのリールにも適用できる。また、前述した実施形態では、機能部材としてクラッチON操作部である制御部材45が示されているが、機能部材は、このようなクラッチ切り換え操作部に限らず、回動可能に支持される他の各種のレバー、例えば、逆回転を規制するストッパレバー等にも適用できる。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、前述した実施の形態の一部または全部を組み合わせてもよく、あるいは、前述した実施の形態のうちの1つから構成の一部が省かれてもよい。
1 魚釣用リール
2 リール本体
4 フレーム(本体基部)
4a,4b 側枠(本体基部)
4ba,5ba ボス部
5a,5b カバー部
8 スプール
17 クラッチ機構(駆動機構)
45 制御部材(機能部材)
50 ネジ部材

Claims (5)

  1. 駆動機構を装着支持するリール本体の本体基部と、該本体基部の外方露出部を覆うとともにネジ部材により前記本体基部に固定されるカバー部とを備える魚釣用リールにおいて、
    前記本体基部及び前記カバー部のいずれか一方に形成されて前記ネジ部材の少なくとも一部が内挿されるボス部の外周に、前記駆動機構の駆動に関与する機能部材が回動可能に支持されることを特徴とする魚釣用リール。
  2. 前記ネジ部材は、前記本体基部の側から前記カバー部の側へ向けて前記ボス部内に挿入されることを特徴とする請求項1に記載の魚釣用リール。
  3. 前記ボス部の内周面に形成される雌螺子に前記ネジ部材の雄螺子が螺合されることを特徴とする請求項1又は2に記載の魚釣用リール。
  4. 前記ボス部と前記ネジ部材との螺合長さは、螺合方向に沿う前記ボス部の軸方向長さの少なくとも1/3以上であることを特徴とする請求項3に記載の魚釣用リール。
  5. 前記リール本体に回転自在に支持されるスプールを釣糸巻取可能な動力伝達状態と釣糸放出可能な動力遮断状態とに切り換えるクラッチ機構が前記駆動機構として前記本体基部と前記カバー部との間に設けられ、前記機能部材が前記状態を切り換え操作するための前記クラッチ機構の操作部材であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の魚釣用リール。
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