JP2021185026A - 抗菌フィルムおよび包装材 - Google Patents

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優希 江島
Yuki EJIMA
祐樹 杉山
Yuki Sugiyama
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Abstract

【課題】フィルム加工中や保存中の刺激臭を抑え、且つ抗菌効果を長時間維持することができ、さらに、抗菌剤を含有させる層の膜厚に特段の制限がかからない抗菌フィルムの提供。【解決手段】基材10、抗菌性薬剤を含む接着層20、および水蒸気透過率が1〜50g/m2・24hの熱融着樹脂層30を含む抗菌フィルムであって、抗菌性薬剤は、分子量200以下のアルデヒドまたはアルコールからなる群から選ばれる2種類の薬剤を含有し、かつ、抗菌性薬剤がシクロデキストリンに包接されている抗菌フィルム。【選択図】図1

Description

本発明は抗菌フィルムおよびそれを用いて形成される包装材に関する。
従来、空間殺菌を可能とする包装材を形成するために、イソチオシアン酸エステルを含有した抗菌フィルムが提案されている(特許文献1参照)。
しかしながら、抗菌剤として用いるイソチオシアン酸エステルは、カラシ、ワサビなどの辛み成分であり、強い刺激臭を有する。そのため、フィルムの加工中や保存中にも刺激臭を感じるため、作業環境という点において改善の余地がある。また、非常に揮発性が高いため、成分を保持し続けることが難しく、効果が長時間維持されないという問題点もある。
そこで、含有させるイソチオシアン酸エステルの一部をシクロデキストリンに包接させることで効果を長時間持続させた抗菌フィルムが提案されている(特許文献2参照)。
ところが、シクロデキストリンに包接されているのは含有させているイソチオシアン酸エステルの一部であり、残りはそのまま樹脂に練りこまれているため、やはりフィルム加工中などに刺激臭を感じ、作業環境における問題点が残っている。
そこで、イソチオシアン酸エステルを水溶性フィルム形成剤に内包させることで低湿度下ではイソチオシアン酸エステルが放出されず、効果も長時間維持させた抗菌フィルムが提案されている(特許文献3参照)。
しかしながら、こういったいわゆるマイクロカプセルに封入する方法は、カプセルのサイズが大きいため、カプセルを分散させる層の膜厚を厚くせざるを得ない。そのため、製造コストの増加や使用用途の制限に繋がってしまう。
特願平1−291552号公報 特願2007−523388号公報 特願2004−546438号公報
上記の問題点を鑑み、フィルム加工中や保存中の刺激臭を抑え、且つ抗菌効果を長時間維持することができ、さらに、抗菌剤を含有させる層の膜厚に特段の制限がかからない抗菌フィルムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明では以下のような構成を提案する。
[1]基材、抗菌性薬剤を含む接着層、および水蒸気透過率が1〜50g/m・24hの熱融着樹脂層を含む抗菌フィルムであって、前記抗菌性薬剤は、分子量200以下のアルデヒドまたはアルコールからなる群から選ばれる2種類の薬剤を含有し、かつ、前記抗菌性薬剤がシクロデキストリンに包接されていることを特徴とする抗菌フィルム。
[2]前記抗菌性薬剤が、シンナムアルデヒド、シトラール、カルバクロール、オイゲノールから選ばれる1種類の薬剤と、ヘキサナール、trans−2−ヘキセナール、2−ノナノールから選ばれる1種類の薬剤であることを特徴とする[1]に記載の抗菌フィルム。
[3]前記シクロデキストリンがγ−シクロデキストリンであることを特徴とする[1]または[2]のいずれかに記載の抗菌フィルム。
[4]前記熱融着樹脂層の水蒸気透過率が、10〜40g/m・24hであることを特徴とする[1]から[3]のいずれかに記載の抗菌フィルム。
[5][1]から[4]のいずれかに記載の抗菌フィルムを含んで成ることを特徴とする包装材。
上記の構成を採用することにより、本発明に係る抗菌フィルムおよび包装材は、フィルム加工中や保存中の刺激臭を抑え、かつ抗菌効果を長時間維持することができる。
これは、抗菌性薬剤のシクロデキストリン包接物をフィルムに含有させることによって、低湿度条件下では抗菌性薬剤の揮発性を下げることが可能となり、さらに、2種類の薬剤を使用することで水分量の上昇に伴い段階的に抗菌性薬剤を揮発させることができるためである。また、シクロデキストリンは外径が1.3nm程と、マイクロカプセルの1/1000未満であるため、抗菌性薬剤を含有させる層の膜厚に特段の制限をかけずに本発明の抗菌フィルムを作製することが可能である。
本発明に係る抗菌フィルムの層構成を示す概略断面図である。
(第1の実施形態:抗菌フィルム)
本発明の第1の実施形態の抗菌フィルムは、基材、接着層、および熱融着樹脂層を含み、該接着層は、分子量200以下のアルデヒドまたはアルコール化合物からなる群から選ばれる2種類の抗菌性薬剤を含有し、該抗菌性薬剤がシクロデキストリンに包接されていることを特徴とする。
図1に、本実施形態の抗菌フィルムの層構成を示す概略断面図を示す。図1の抗菌フィルムは、基材10、接着層20および熱融着樹脂層30を積層して成る。
(基材)
基材10は、包装材として用いるのに充分な程度に優れた機械的強度および優れた耐熱性を有するフィルムとなる基材であることが望ましい。
また、基材10は、水蒸気透過性が低い材料で形成することが望ましい。これはフィルムに含まれる抗菌材成分が包装体外部に発散することを防止するためである。
基材10を形成するための材料の非制限的な例は、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリプロピレン(PP)、および、ナイロン(登録商標)などのポリアミド(PA)からなる群から選択される合成樹脂を含む。
基材10は、単層であってもよいし、複数層の積層構造を有してもよい。
また基材10は、10μm〜50μmの膜厚を有することが好ましい。この範囲内の膜厚を有することにより、良好な加工性および取り扱い性を得ることができる。
必要に応じて、基材10は、可塑剤、酸化防止剤、着色剤、充填材、紫外線吸収剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、難燃化剤、増粘剤などの当該技術において知られている任意の添加剤を含有してもよい。
(接着層)
接着層20は、抗菌性薬剤と接着剤とを含む。接着層20は、抗菌性薬剤の貯蔵および放出の機能と、基材10と熱融着樹脂層30とを接着させる機能とを有する。用いることができる接着剤の非制限的な例は、ポリエステル系接着剤、ポリウレタン系接着剤、ポリエーテル系接着剤、アクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、エチレン−酢酸ビニル系接着剤、塩化ビニル系接着剤、シリコーン系接着剤、およびゴム系接着剤を含む。
接着層20は、2種の抗菌性薬剤を含む。接着層20に含まれる抗菌性薬剤は、200以下、好ましくは60以上200以下、より好ましくは90以上200以下の分子量を有するアルデヒドまたはアルコール化合物である。
分子量が200以上であると、抗菌性薬剤の揮発性が低いため、好ましい空間抗菌性が得られない。用いることができるアルデヒドまたはアルコール化合物の非制限的な例は、trans−2−ヘキセナール(分子量98.14)、ヘキサナール(分子量100.16)、ベンズアルデヒド(分子量106.12)、オクタナール(分子量128.21)、シンナムアルデヒド(分子量132.16)、アニスアルデヒド(分子量136.15)、ピペロナール(分子量150.13)、ペリルアルデヒド(分子量150.22)、バニリン(分子量152.15)、シトラール(3,7−ジメチル−2,6−オクタジエナール)(分子量152.23)、シトロネラール(分子量154.25)、デカナール(分子量156.27)、ヒドロキシシトロネラール(分子量172.26)、2−ノナノール(分子量144.26)、オイゲノール(分子量164.20)、カルバクロール(分子量150.22)、リナロール(分子量154.25)、2−フェニルエタノール(分子量122.16)、2−フェノキシエタノール(分子量138.17)を含む。
より好ましいのは、シンナムアルデヒド、シトラール、カルバクロール、オイゲノールから選ばれる1種類の薬剤と、ヘキサナール、trans−2−ヘキセナール、2−ノナノールから選ばれる1種類の薬剤を組み合わせることである。
接着層20に含まれる2種類の抗菌性薬剤は、どちらもシクロデキストリンに包接されている。シクロデキストリンは、グルコースからなる環状オリゴ糖であり、その環内の空洞に化合物を包接させることで、抗菌性薬剤による加工中の臭いの低減や抗菌効果を長時間維持させることが可能となる。特に、シクロデキストリンの環内は疎水性であるため、疎水性化合物を包接しやすい。
シクロデキストリンには、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリンがあり、その空洞の内径は順に、0.5〜0.6nm、0.7〜0.8nm、0.9〜1.0nmである。空洞の内径に応じて包接しやすい化合物の構造やサイズが異なるため、これらを使い分けることで様々な化合物を包接することができる。また、シクロデキストリンには包接した化合物を徐放する機能もある。この徐放機能は、シクロデキストリンと包接されている化合物のサイズや、空間中の水分量によって変化する。
本発明においては、γ−シクロデキストリンに抗菌性薬剤を包接させることが好ましい。γ−シクロデキストリンは、前述したシンナムアルデヒド、シトラール、カルバクロール、オイゲノールに対しては高湿度条件下で高い徐放能を示し、空間抗菌性を発現させることができるが、低湿度条件下では徐放能は低く空間抗菌性は発現しない。更にγ−シクロデキストリンは、前述したヘキサナール、trans−2−ヘキセナール、2−ノナノールに対して低〜中湿度条件下での高い徐放能を示すことから、低〜中湿度条件下でも空間抗菌性を発現させることができる。
そのため、γ−シクロデキストリンにこのような徐放能の異なる抗菌性薬剤を組み合わせて包接させることで、抗菌性薬剤が放出されるタイミングを水分量に応じてずらすことができ(二段階徐放)、効果をより長時間維持させることが可能となる。
一方、α、およびβ−シクロデキストリンは、前述した7種の抗菌性薬剤がγ−シクロデキストリンより低湿度下で徐放されやすく、抗菌持続性が劣る。種々のシクロデキストリンにおける抗菌性薬剤の徐放能の違いは、シクロデキストリンの内径と抗菌性薬剤の分子サイズや分子構造の嵩高さに起因するものだと推測される。
シクロデキストリンの空洞内径が大きいほど、同時に包接しやすい立体構造も大きくなる。そのため、γ−シクロデキストリンは分岐アルキル鎖やベンゼン環など嵩高い疎水性部位を有する化合物を取り込みやすく、かつ放出しにくいことが予測できる。また、シクロデキストリンのサイズはナノメートルオーダーであるため、マイクロカプセルのように接着層20の膜厚を制限することはない。
接着層20は、好ましくは1μm〜10μmの膜厚を有する。この範囲内の膜厚を有することにより、基材10と熱融着樹脂層30との接着強度(以下、「ラミネート強度」と称する場合がある)を十分に高くして、使用時または流通時の基材10および/または熱融着樹脂層30の剥離(デラミネーション)を防止することができる。それと同時に、接着層20を形成する際の加工性が向上する。
より好ましくは、接着層20は、2μm〜7μmの膜厚を有する。この範囲内の膜厚を有することにより、ラミネート強度をさらに増大させることができ、かつ、接着層20形成時の乾燥時間短縮および乾燥不良の防止が可能となる。必要に応じて、接着層20は、着色剤、充填材、紫外線吸収剤、増粘剤などの当該技術において知られている任意の添加剤を含有してもよい。
(熱融着樹脂層)
熱融着樹脂層30は、加熱時に被着材に対する優れた接着性を示すことが望ましい。熱融着樹脂層30は、自立フィルムであってもよいし、塗布などにより形成される非自立性層であってもよい。また、熱融着樹脂層30は、必要とされる抗菌効果と、用いる抗菌性薬剤の透過量とに応じて選定するとよい。
熱融着樹脂層30を形成するための材料の非制限的な例は、PE、PP、および、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)からなる群から選択される合成樹脂を含む。熱融着樹脂層30は、単層であってもよいし、複数層の積層構造を有してもよい。
熱融着樹脂層30は、10μm〜100μmの膜厚を有していることが好ましい。前述の範囲内の膜厚を有することにより、良好な加工性、取り扱い性、開封性、熱接着性を得ることができる。
また必要に応じて、熱融着樹脂層30は、接着促進剤、可塑剤、酸化防止剤、着色剤、充填材、紫外線吸収剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、難燃化剤、増粘剤、防曇剤、スリップ剤などの当該技術において知られている任意の添加剤を含有してもよい。
(熱融着層の水蒸気透過率)
熱融着樹脂層30は、JIS Z 0208に則り測定される水蒸気透過率が、1〜50g/m・24hである。水蒸気透過率が1g/m・24h未満だと、透過する水分量が少なく、抗菌性薬剤が徐放されにくい。50g/m・24hより大きいと、抗菌性薬剤の放出が進みすぎて効果を長時間維持させることが難しい。好ましくは10〜40g/m・24hである。この範囲内の水蒸気透過率を有することにより、より強い抗カビ性をより長時間維持させることができる。
なお、熱融着樹脂層30の水蒸気透過量の制御は、公知の技術を用いてよい。例えば、基材フィルムに微細な穴を開けてその穴の面積密度(開口率)を制御する方法でもよいし、熱融着樹脂層30の材料を所望の水蒸気透過量を有する材料に変更する方法でもよい。
本実施の抗菌フィルムにおいて、所望される空間抗菌効果は、抗菌性薬剤の揮発量に依存する。抗菌性薬剤の揮発量は、抗菌性薬剤の種類および抗菌性薬剤のシクロデキストリン包接物の含有量、基材10の材料および膜厚、接着層20に含まれる接着剤の種類、接着層20の膜厚、熱融着樹脂層30の材料、膜厚および水蒸気透過率などにより制御することができる。
本実施形態の抗菌フィルムは、基材10の上に、接着剤および抗菌性薬剤を含む組成物を塗布して接着層20を形成し、接着層20の上に熱融着樹脂層30を形成することで製造することができる。熱融着樹脂層30の形成方法は特に制限はないが、熱融着樹脂の押出ラミネート、熱融着フィルムのドライラミネートなどの当該技術において知られている任意の技術によって実施することができる。
また、本実施形態の抗菌フィルムは、基材10の接着層20と反対側の面上、基材10と接着層20との間、接着層20と熱融着樹脂層30との間、または熱融着樹脂層30の接着剤層2と反対側の面上に、所望の機能を有する追加の層を含んでもよい。追加の層の非制限的な例は、着色層、遮光層、ガスバリア層、水蒸気透過層、UV吸収層、保香層、遮熱層などを含む。
(第2の実施形態:包装材)
本発明の第2の実施形態である包装材は、第1の実施形態の抗菌フィルムを含むことを特徴とする。具体的には、包装材の少なくとも一部が、第1の実施形態の抗菌フィルムで形成される。
本実施形態の包装材の非制限的な例は、袋(MA包材、チャックつき袋など)、蓋材(トップ材)、シート、カバーフィルム、内装段ボールを含む。
袋形状の包装材は、第1の実施形態の抗菌フィルムと、第2のフィルムとを、熱融着樹脂層30が内側に配置した状態で周縁部を加熱して貼り合わせることによって形成することができる。該第2のフィルムは、加熱した熱融着樹脂層30による接着が可能であることを条件として、PE、PET、PEN、PP、PAなどの当該技術において知られている任意の材料を用いて形成することができる。
あるいはまた、袋形状の包装材は、2枚の第1の実施形態の抗菌フィルムを、熱融着樹脂層が内側に配置した状態で周縁部を加熱して貼り合わせることによって形成してもよい。
さらに、貼り合わせを行う周縁部に第3のフィルムを介在させて、いわゆる「マチ」付きの袋を形成してもよい。袋形状の包装材は、矩形、円形、三角形を含む任意の形状を有してもよい。またチャック付き袋は、機械加工によって、袋形状の包装材の開口部に開閉自在の嵌合部を設けたものである。
本実施形態に係る蓋材は、第1の実施形態の抗菌フィルムの熱融着樹脂層30の加熱融着により、ガラス、金属、ポリマーなどの種々の材料で形成された容器の開口部に接着される。
本実施形態に係るカバーフィルムは、支持体上に載置された物品を被覆する用途に有用である。カバーフィルムは、物品の周囲において、第1の実施形態の抗菌フィルムの熱融着樹脂層30と支持体とを加熱融着することによって用いられる。
本実施形態に係る内装段ボールは、抗菌フィルムの熱融着樹脂層30が最終的な包装体を形成した際に内面となるように、段ボールと第1の実施形態の抗菌フィルムの基材10とを貼り合わせることによって形成できる。貼り合わせは、当該技術において知られている任意の接着剤を用いて実施してもよい。
以下、本発明の包装袋について実施例および比較例を示す。
(実施例1)
最初に、γ−シクロデキストリンの飽和水溶液に抗菌性薬剤1としてシンナムアルデヒド(分子量132.16)を添加してしばらく振とうすることで、シンナムアルデヒドのγ−シクロデキストリン包接体の沈殿を得た。
得られた沈殿を減圧濾過、アセトンで洗浄、減圧乾燥することでシクロデキストリン包接体の乾燥粉末を得た。同様に、抗菌性薬剤2としてシトロネラール(分子量154.25)のγ−シクロデキストリン包接体の乾燥粉末を得た。
次に、得られた2種のγ−シクロデキストリン包接体およびウレタン接着剤を含む塗布組成物を調製した。得られた塗布組成物を、12μmの膜厚を有するPET(東洋紡株式会社製E5100)製の基材10に塗布し、80℃の温度で乾燥させて接着層20を形成した。
最後に、接着層20の上に、30μmの膜厚を有するPE(フタムラ化学株式会社製LL−XMTD)フィルムを貼り合わせて熱融着樹脂層30を形成し、抗菌フィルムを得た。
水蒸気透過量はJIS Z 0208に則って測定した。本実施例のガス透過性フィルムの水蒸気透過量は、30g/m・24hであった。
次に、得られた抗菌フィルムからフィルムを切り出し、熱融着樹脂層30が対向するように貼り合わせて、10cm×10cmの内寸を有するパウチを得た。得られたパウチの中にミニトマト3個を入れ、25℃の恒温槽にて10日間保存した。
3日後および10日後にカビの生育の具合を確認し、それぞれカビの生育が視覚的に観察されない場合を「○」、生育が視覚的に表面積の1/3以下で見られた場合を「△」、生育が視覚的に表面積の1/3より広範囲で観察された場合を「×」と評価した。〇と△が許容範囲内である。
さらに、得られたフィルムの臭気を官能評価した。γ−シクロデキストリンで包接していない抗菌性薬剤の臭気をほぼ感じない場合を「〇」、やや抗菌性薬剤の臭気を感じる場合を「△」、抗菌性薬剤の臭気を感じる場合を「×」と評価した。〇と△が許容範囲内である。
得られた包装袋の評価結果を下記の表1に示す。
(実施例2)
抗菌性薬剤2をシトロネラールからヘキサナール(分子量100.16)に変更したことを除いて、実施例1の手順を繰り返して包装袋を形成した。得られた包装袋の評価結果を表1に示す。
(実施例3)
抗菌性薬剤2をシトロネラールからtrans−2−ヘキセナール(分子量98.14)に変更したことを除いて、実施例1の手順を繰り返して包装袋を形成した。得られた包装袋の評価結果を表1に示す。
(実施例4)
抗菌性薬剤2をシトロネラールから2−ノナノール(分子量144.26)に変更したことを除いて、実施例1の手順を繰り返して包装袋を形成した。得られた包装袋の評価結果を表1に示す。
(実施例5)
抗菌性薬剤1をシンナムアルデヒドからシトラール(分子量152.24)に変更したことを除いて、実施例2の手順を繰り返して包装袋を形成した。得られた包装袋の評価結果を表1に示す。
(実施例6)
抗菌性薬剤1をシンナムアルデヒドからカルバクロール(分子量150.22)に変更したことを除いて、実施例2の手順を繰り返して包装袋を形成した。得られた包装袋の評価結果を表1に示す。
(実施例7)
抗菌性薬剤1をシンナムアルデヒドからオイゲノール(分子量164.20)に変更したことを除いて、実施例2の手順を繰り返して包装袋を形成した。得られた包装袋の評価結果を表1に示す。
(実施例8)
包接させるシクロデキストリンをγ−シクロデキストリンからα−シクロデキストリンに変更したことを除いて、実施例2の手順を繰り返して包装袋を形成した。得られた包装袋の評価結果を表1に示す。
(実施例9)
包接させるシクロデキストリンをγ−シクロデキストリンからβ−シクロデキストリンに変更したことを除いて、実施例2の手順を繰り返して包装袋を形成した。得られた包装袋の評価結果を表1に示す。
(実施例10)
熱融着樹脂層30の水蒸気透過量を1g/m・24hに変更したことを除いて、実施例2の手順を繰り返して包装袋を形成した。得られた包装袋の評価結果を表1に示す。
(実施例11)
熱融着樹脂層30の水蒸気透過量を10g/m・24hに変更したことを除いて、実施例2の手順を繰り返して包装袋を形成した。得られた包装袋の評価結果を表1に示す。
(実施例12)
熱融着樹脂層30の水蒸気透過量を40g/m・24hに変更したことを除いて、実施例2の手順を繰り返して包装袋を形成した。得られた包装袋の評価結果を表1に示す。
(実施例13)
熱融着樹脂層30の水蒸気透過量を50g/m・24hに変更したことを除いて、実施例2の手順を繰り返して包装袋を形成した。得られた包装袋の評価結果を表1に示す。
(比較例1)
抗菌性薬剤2をシトロネラールからヘキシルシンナムアルデヒド(分子量216.32)に変更したことを除いて、実施例1の手順を繰り返して包装袋を形成した。得られた包装袋の評価結果を表1に示す。
(比較例2)
抗菌性薬剤1、2をγ−シクロデキストリンで包接させないことを除いて、実施例2の手順を繰り返して包装袋を形成した。得られた包装袋の評価結果を表1に示す。
(比較例3)
抗菌性薬剤2のヘキサナールをγ−シクロデキストリンで包接させないことを除いて、実施例2の手順を繰り返して包装袋を形成した。得られた包装袋の評価結果を表1に示す。
(比較例4)
抗菌性薬剤1のシンナムアルデヒドをγ−シクロデキストリンで包接させないことを除いて、実施例2の手順を繰り返して包装袋を形成した。得られた包装袋の評価結果を表1に示す。
(比較例5)
抗菌性薬剤をヘキサナールの1種のみに変更したことを除いて、実施例2の手順を繰り返して包装袋を形成した。得られた包装袋の評価結果を表1に示す。
(比較例6)
熱融着樹脂層30の水蒸気透過量を0.5g/m・24hに変更したことを除いて、実施例2の手順を繰り返して包装袋を形成した。得られた包装袋の評価結果を表1に示す。
(比較例7)
熱融着樹脂層30の水蒸気透過量を60g/m・24hに変更したことを除いて、実施例2の手順を繰り返して包装袋を形成した。得られた包装袋の評価結果を表1に示す。
Figure 2021185026
表1から、実施例1では分子量200以下の抗菌性薬剤によって抗カビ性が得られ、臭気も良好であった
実施例2〜7は、いずれの評価も良好であった。
実施例8、9では、αまたはβ−シクロデキストリンを用いると、γ−シクロデキストリンほどではなかったが抗カビ持続性が得られ、臭気評価も好ましかった。
実施例10では熱融着樹脂層として水蒸気透過率がやや小さいものを、実施例13ではやや大きいものを用いて、水分量が二段階徐放に最適ではなかったが、抗カビ持続性は許容範囲であった。
実施例11〜12では、熱融着層の水蒸気透過率をそれぞれ10、40g/m・24hとしたところ、いずれも抗カビ持続性評価、臭気評価とも良好であった。
一方、比較例1では、200を超える分子量のアルデヒド化合物を抗菌性薬剤として用いたため揮発して、熱融着樹脂層を透過する抗菌性薬剤が少なすぎたことで、抗カビ持続性が得られなかった。
比較例2〜4より、抗菌性薬剤の1種あるいは2種をγ−シクロデキストリンに包接させない場合には、抗菌性薬剤の徐放性に欠けて長時間の抗カビ性が得られず、かつ揮発性が高すぎて臭気が強かった。
比較例5では、薬剤を1種にすると二段階徐放が得られず、抗カビ持続性が得られなかった。また比較例6および7では、水蒸気透過率が小さすぎると抗菌性薬剤が徐放されないため抗カビ性が得られず、大きすぎると抗菌性薬剤が素早く放出されてしまい、抗カビ持続性評価と臭気評価が思わしくなかった。
10 基材
20 接着層
30 熱融着樹脂層

Claims (5)

  1. 基材、抗菌性薬剤を含む接着層、および水蒸気透過率が1〜50g/m・24hの熱融着樹脂層を含む抗菌フィルムであって、
    前記抗菌性薬剤は、分子量200以下のアルデヒドまたはアルコールからなる群から選ばれる2種類の薬剤を含有し、かつ、前記抗菌性薬剤がシクロデキストリンに包接されていることを特徴とする抗菌フィルム。
  2. 前記抗菌性薬剤が、シンナムアルデヒド、シトラール、カルバクロール、オイゲノールから選ばれる1種類の薬剤と、ヘキサナール、trans−2−ヘキセナール、2−ノナノールから選ばれる1種類の薬剤であることを特徴とする請求項1に記載の抗菌フィルム。
  3. 前記シクロデキストリンがγ−シクロデキストリンであることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の抗菌フィルム。
  4. 前記熱融着樹脂層の水蒸気透過率が、10〜40g/m・24hであることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の抗菌フィルム。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の抗菌フィルムを含んで成ることを特徴とする包装材。
JP2020090462A 2020-05-25 2020-05-25 抗菌フィルムおよび包装材 Pending JP2021185026A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN115230264A (zh) * 2022-07-11 2022-10-25 北京科技大学 一种防止接触面变色的智能控释保鲜复合膜

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CN115230264A (zh) * 2022-07-11 2022-10-25 北京科技大学 一种防止接触面变色的智能控释保鲜复合膜

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