<第1実施形態>
以下、本発明に係るフィルタープレス装置の濾板構造及びフィルタープレス装置の各一例を具現化した第1実施形態について、図面に基づいて説明する。これらの図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。以下に記載されている装置の構造などは、特に特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
(フィルタープレス装置)
まず、フィルタープレス装置1の概要を説明する。
図1で示す濾板構造3は、例えば、図9のような単式のフィルタープレス装置1に用いられる。図9で示すフィルタープレス装置1は、固液混合体(例えば、汚泥、掘削土、セメントなどが水中にまざったスラリーなど)を脱水し、固液混合体を脱水した残余物を固めた物体(ケーキ)を排出し得る装置である。
フィルタープレス装置1は、図1等で示す濾板構造3を用いており、この濾板構造3は、濾板10を直列に配置した構成をなしており、濾板10は、中心部に貫通孔としての孔部16が形成された板状の基板部11を覆うように濾布18を張った構成をなしている。図9で示すフィルタープレス装置1は、濾板構造3を構成する複数の濾板10を互いに接近及び離間し得る接近離間装置(図9では、詳細な図示は省略)を有しており、固液混合体の供給時には、隣り合う濾板10を互いに密着させた積層状態(図2、図8参照)で、固液混合体(例えば、泥水等のスラリー)をポンプによって各濾板10の孔部16に流し込むように加圧圧入する。圧入された固液混合体は、内圧が高い状態で図2、図8等で示す濾室(濾過室)40内に溜まり、水分が濾布18の微少の隙間から排出される。そして、隣り合う濾板10の間(具体的には、隣り合う濾板10における濾布18の間)には、ポンプから供給された固液混合体から大量の水分を除去した残余物を固めた固形物(脱水ケーキ)が形成される。なお、図1、図2等では、濾布18の目を通って濾板10の内部に流入する水の流路の詳細(排水路28の詳細)は省略しているが、実際には、濾布18の目を通って濾板10の内部に流入した水は、濾板10内の排水路28を通って濾板10の外部(下部)に排出されるようになっている。
(濾板構造)
次に、濾板構造3を詳述する。
図1のように、濾板構造3は、複数の濾板10によって構成される構造である。各々の濾板10は、同一の構造をなしている。
以下の説明では、一つおきに配置される所定の複数の濾板10を濾板部8とし、これら複数の濾板部8の間に介在するように一つおきに配置される複数の濾板10を密着部9とする。濾板構造3では、全ての濾板部8と全ての密着部9が同一の構造となっている。各々の密着部9は、濾板部8と対向して配置され、濾板部8に対する相対位置が濾板部8に密着する密着位置と濾板部8から変位した開放位置とに切り替わる構成をなすものであり、内部に収容空間が構成されてなるものである。濾板構造3では、密着部9が密着位置にある密着状態のときに濾板部8及び密着部9とによって濾室が構成されるようになっている。
ここで、濾板部8及び密着部9のうちの1つの構成(濾板10の構成)について説明する。濾板10は、濾板部8又は密着部9となる板状部であり、主に、基板部11及び濾布18によって構成されている。
基板部11は、全体として板状の形態をなしており、厚さ方向両側に設けられた2つの中央側凹部12と、厚さ方向両側に設けられた2つの押圧部14と、孔部16と、を備えている。
2つの中央側凹部12は、いずれも、基板部11の周縁から離れた中央側の位置において基板部11の厚さ方向に凹となる部分であり、図1等では、各濾板10に形成された2つの中央側凹部12のうち、一方面側(環状凸部24が形成された面側)の凹部を一方の中央側凹部12A(又は、単に中央側凹部12A)とし、他方面側(環状凹部34が形成された面側)の凹部を他方の中央側凹部12B(又は、単に中央側凹部12B)とする。図4のように一方の中央側凹部12Aは、正面側から見て外径が矩形状の凹部となっており、図6のように他方の中央側凹部12Bは、背面側から見て外径が矩形状の凹部となっている。
本構成では、濾板部8として機能する濾板10の一方の中央側凹部12Aが窪み部8Aとして機能し、濾板部8として機能する濾板10の他方の中央側凹部12Bが窪み部8Bとして機能する。窪み部8A,8Bは、濾板部8を構成する基板部11において両側の外面部(具体的には、両密着部9に対向する両板面部)にそれぞれ形成され、後述する濾室40の一部を構成する。更に、密着部9として機能する濾板10の一方の中央側凹部12Aが収容部9Aとして機能し、密着部9として機能する濾板10の他方の中央側凹部12Bが収容部9Bとして機能する。収容部9Aは、凹状に構成され、密着部9が収容部9Aに対向する側の濾板部8に密着する密着状態のときには、その濾板部8の窪み部8Bと共に濾室40を構成する。収容部9Bは、凹状に構成され、密着部9が収容部9Bに対向する側の濾板部8に密着する密着状態のときには、その濾板部8の窪み部8Aと共に濾室40を構成する。
押圧部14は、中央側凹部12を囲んで環状に配置される部分である。このうち、各濾板10の一方の押圧部14Aは、他の濾板10における他方の押圧部14Bと対向して互いに押圧し合う部分である。図4のように一方面側(環状凸部24が形成された面側)の押圧部14Aは、正面側から見て矩形状の枠部となっており、濾板10の周縁部に沿うように四角形状(具体的には正方形状)に配置される。図6のように他方面側(環状凹部34が形成された面側)の押圧部14Bは、正面から見て矩形状の枠部となっており、濾板10の周縁部に沿うように四角形状(具体的には正方形状)に配置される。
濾板部8として機能する濾板10に設けられた押圧部14は、一方側の押圧部14Aが第1押圧部8Cとして機能し、他方側の押圧部14Bが第1押圧部8Dとして機能する。第1押圧部8Cは、基板部11における板厚方向片側(一方の密着部9側)の外面部において窪み部8Aを囲んで配置され、密着状態のときには、第1押圧部8Cに対向する密着部9を押圧するように機能する。第1押圧部8Dは、基板部11における板厚方向片側(他方の密着部9側)の外面部において窪み部8Bを囲んで配置され、密着状態のときには、第1押圧部8Dに対向する密着部9を押圧するように機能する。
密着部9として機能する濾板10に設けられた押圧部14は、一方側の押圧部14Aが第2押圧部9Cとして機能し、他方側の押圧部14Bが第2押圧部9Dとして機能する。第2押圧部9Cは、基板部11における板厚方向片側(一方の濾板部8側)の外面部において収容部9Aを囲んで配置され、密着状態のときには、第2押圧部9Cに対向する濾板部8の第1押圧部8Dを押圧するように機能する。第2押圧部9Dは、基板部11における板厚方向片側(他方の濾板部8側)の外面部において収容部9Bを囲んで配置され、密着状態のときには、第2押圧部9Dに対向する濾板部8の第1押圧部8Cを押圧するように機能する。
図4、図7のように、一方面側(環状凸部24が形成された面側)の押圧部14Aには、中央側凹部12Aの周りに環状(具体的には、四角枠状)に配置される対向部22と、中央側凹部12Aの周りに環状(具体的には、四角枠状)に配置されるとともに対向部22の表面から突出した構成をなす環状凸部24と、が形成されている。
環状凸部24は、ゴム、ゴム以外のエラストマーなどの弾性材料によって構成されており、押圧部14Aの対向部22に形成された溝(中央側凹部12Aを囲むように形成された溝)内に嵌り込んだ構成で押圧部14Aに固定されている。図7のように、環状凸部24は、当該環状凸部24が延びる方向と直交する平面方向に切断した断面の外形が外側に凸となるように湾曲した形状をなしている。また、環状凸部24は、内部に空隙部24Aが形成された中空状をなしている。空隙部24Aは、濾板10の厚さ方向において対向部22の位置よりも外側(厚さ方向の中心よりも遠い側)に形成され、環状凸部24が延びる方向に沿って延びた構成且つ中央側凹部12の周りに環状に配置された構成となっている。
図6、図7のように、他方面側(環状凹部34が形成された面側)の押圧部14Bには、中央側凹部12Bの周りに環状(具体的には、四角枠状)に配置される対向部32と、中央側凹部12Bの周りに環状(具体的には、四角枠状)に配置されるとともに対向部32の表面から窪んだ構成をなす環状凹部34と、が形成されている。
本構成では、濾板部8として機能する濾板10の一方の対向部22が第1対向部8Eとして機能し、濾板部8として機能する濾板10の他方の対向部32が第1対向部8Fとして機能する。第1対向部8E,8Fの各々は、窪み部8A,8Bの周囲にそれぞれ配置され、密着状態のときに表面が第2押圧部9D,9Cの各々の側に面する部分である。同様に、密着部9として機能する濾板10の一方の対向部22が第2対向部9Eとして機能し、密着部9として機能する濾板10の他方の対向部32が第2対向部9Fとして機能する。第2対向部9E,9Fの各々は、収容部9A,9Bの周囲にそれぞれ配置され、密着状態のときに表面が第1押圧部8D,8Cの各々の側に面する部分である。
図1のように、各々の濾板10において、一方面側(環状凸部24が形成された面側)の中央側凹部12Aと他方面側(環状凹部34が形成された面側)の中央側凹部12Bとの間を板厚方向に貫通するように孔部16が形成されている。孔部16は、濾板10の内部を通すように固液混合体を濾板10の厚さ方向に流動させる流路として機能する。濾板部8として機能する濾板10の孔部16は、基板部11の内部を通る構成で窪み部8A,8Bへと続く流路となる。同様に、密着部9として機能する濾板10の孔部16は、基板部11の内部を通る構成で収容部9A,9Bへと続く流路となる。
図1、図3のように、板厚方向一方面側において孔部16の外側の領域を覆うように濾布18が配置されており、図1、図5のように、板厚方向他方面側において孔部16の外側の領域を覆うように濾布18が配置されている。なお、図2、図8では、対向部22と対向部32との間及び環状凸部24と環状凹部34との間に介在する2つの濾布18を省略して示している。図1〜図8では、濾布18のうち一方面側(環状凸部24が形成された面側)を覆うものを濾布18Aとし、他方面側(環状凹部34が形成された面側)のものを濾布18Bとしている。
図3のように、一方面側(環状凸部24が形成された面側)の濾布18Aは、後述する環状板部15Aに固定され、環状板部15Aの外側の領域において基板部11の周縁部に至るまで全体的に配置されている。図5のように、他方面側(環状凹部34が形成された面側)の濾布18Bは、後述する環状板部15Bに固定され、環状板部15Bの外側の領域において基板部11の周縁部に至るまで全体的に配置されている。図1、図2、図7、図8等では、濾布18を二点鎖線にて概念的に示しており、図3、図5では、濾布18を模様の領域として概念的に示している。図2、図8の例では、押圧部14A,14Bに挟まれた部分にも濾布18A,18Bが存在するが、この部分の濾布18A,18Bの図示(二点鎖線の図示)は省略している。図1等の例では、各々の濾板10において、濾布18Aの周縁部と濾布18Bの周縁部とが連結されているが、各々の周縁部が連結されていなくてもよい。濾布18Aは、少なくとも、孔部16を外れた領域において中央側凹部12Aの内面を覆うように配置されていればよく、濾布18Aの被覆領域は図1、図3等の構成に限定されない。
本構成では、濾板部8として機能する濾板10に配置された濾布18は、窪み部8A,8Bの内面を覆い、第1押圧部8C,8Dの表面を覆うように配置され、一方側の濾布18Aは、窪み部8Aと第1押圧部8Cとに跨って配置され、他方側の濾布18Bは、窪み部8Bと第1押圧部8Dとに跨って配置される。密着部9として機能する濾板10に配置された濾布18は、収容部9A,9Bの内面を覆い、第2押圧部9C,9Dの表面を覆うように配置され、一方側の濾布18Aは、収容部9Aと第2押圧部9Cとに跨って配置され、他方側の濾布18Bは、収容部9Bと第2押圧部9Dとに跨って配置される。
上記構成では、第1押圧部8Cに設けられる環状凸部24が第1シール部8Gとして機能し、窪み部8Aの周囲に配置され、第1対向部8Eの表面から凸となる。第1押圧部8Dに設けられる環状凹部34が第1シール部8Hとして機能し、窪み部8Bの周囲に配置され、第1対向部8Fの表面から凹となる。
第2押圧部9Cに設けられる環状凸部24は第2シール部9Gとして機能する。第2シール部9Gは、収容部9Aの周囲に配置され、第2対向部9Eの表面から凸となり、密着状態のときに第1シール部8Hと押圧し合う。第2押圧部9Dに設けられる環状凹部34は第2シール部9Hとして機能する。第2シール部9Hは、収容部9Bの周囲に配置され、第2対向部9Fの表面から凹となり、密着状態のときに第1シール部8Gと押圧し合う。
図1等で示す濾板構造3は、図1、図7のように隣り合う濾板10が離間している状態と、図2、図8のように隣り合う濾板10が密着する状態とに切り替え得る。なお、複数の濾板10は、図1等において図示していないレールによって図1のように厚さ方向が揃えられ(即ち、各々の濾板10の厚さ方向が同方向となるように揃えられ)且つ各々の濾板10における外周縁の位置(厚さ方向と直交する平面方向における外周縁の位置)が揃えられており、このように揃えられた状態でレールに沿って動くことにより、複数の濾板10において隣り合う濾板が互いに接近及び離間し得るようになっている。
複数の濾板10は、図2、図8のように、一の濾板10と他の濾板10とが密着するように重ねられたとき、一の濾板10の環状凸部24が他の濾板10の環状凹部34内に入り込んで当該環状凹部34内の内面を押圧し、一の濾板10の対向部22と他の濾板10の対向部32とが互いに押圧し合う構成をなす。図8の例では、一の濾板10の対向部22と他の濾板10の対向部32との間に2つの濾板10をそれぞれ覆う2つの濾布18A,18Bが介在し、この状態で、一の濾板10の対向部22と他の濾板10の対向部32とが押圧し合う。つまり、一の濾板10の対向部22と他の濾板10の対向部32とが、一の濾板10の濾布18A及び他の濾板10の濾布18Bを介して互いに押圧し合う。そして、環状凸部24と環状凹部34との間にも2つの濾板10をそれぞれ覆う2つの濾布18A,18Bが介在し、この状態(即ち、環状凸部24の外面と環状凹部34の内面との間に濾布18A,18Bが介在した状態)で、環状凸部24と環状凹部34とが押圧し合う。即ち、一の濾板10の環状凸部24が、一の濾板10の濾布18A及び他の濾板10の濾布18Bを介して環状凹部34内の内面を押圧する。
図8のように隣り合う濾板10を密着させた積層状態で、図15で示す第1注入装置60(例えば、ポンプを含んだスラリー供給装置)により孔部16を介して固液混合体を流し込めば、圧入された固液混合体は、内圧が高い状態で図2、図8等で示す濾室(濾過室)40内に溜まり(図15も参照)、水分が濾布18の微少の隙間から基板部11側(即ち、濾布18の裏側)に排出される。そして、隣り合う濾板10の間(具体的には、隣り合う濾板10における濾布の間)には、脱水ケーキが形成される。なお、脱水ケーキは、図2のように濾室40内に注入された固液混合体7からある程度の水分が除去された物体である。
本構成では、各々の濾板10において基板部11が設けられ、基板部11は、板状に構成されるとともに、2つの中央側凹部12のうちの一方の中央側凹部12Aと2つの押圧部14のうちの一方の押圧部14Aとが一方の板面側(上述の一方面側)に形成され、2つの中央側凹部12のうちの他方の中央側凹部12Bと2つの押圧部14のうちの他方の押圧部14Bとが他方の板面側(上述の他方面側)に形成されている。そして、一方の中央側凹部12Aの内壁部を覆うように濾布18Aが設けられ、他方の中央側凹部12Bの内壁部を覆うように濾布18Bが設けられている。一方の中央側凹部12A及び他方の中央側凹部12Bにおいて濾布18の裏側には、濾板10の外部に通じる排水路28(一方の排水路28A及び他方の排水路28B)が設けられている。
濾板10の一方の中央側凹部12A及び他方の中央側凹部12Bの各々において、各々の深さ方向最深部側の内壁部(内面部)には、液体を自身の板厚方向に通過させる通水部を備えた排水板13(一方の排水板13A及び他方の排水板13B)がそれぞれ設けられている。排水板13A,13Bのいずれの通水部も、多数の孔部によって構成されていてもよく、溝や切欠きによって構成されていてもよい。排水板13A,13Bは、表面側で濾布18を支持している状態で表面側から裏面側に水が通過し得る構成であればよく、板状体に複数の貫通孔を多数形成したような構成であってもよく、網状の構成などであってもよい。
基板部11において各々の排水板13よりも板厚方向(濾板10の板厚方向)の内側には、各々の排水板13によって板厚方向の両側が覆われる板状体11Aが設けられている。そして、図1、図4のように、一方の押圧部14Aは、この板状体11Aの一方面側において板状体11Aの周縁部に沿って固定される矩形状の枠体となっている。また、他方の押圧部14Bは、この板状体11Aの他方面側において板状体11Aの周縁部に沿って固定される矩形状の枠体となっている。一方の排水板13Aは、その周縁部が板状体11Aと押圧部14Aを構成する枠体の内縁部との間に挟み込まれた形で固定される。一方の排水板13Bは、その周縁部が板状体11Aと押圧部14Bを構成する枠体の内縁部との間に挟み込まれた形で固定される。
各々の排水板13(一方の排水板13A及び他方の排水板13B)と板状体11Aとの間には、濾板10の外側に通じる排水路28A,28Bがそれぞれ構成されている。排水路28A,28Bはいずれも水を通す通水路として構成されている。
一方の中央側凹部12Aにおいて濾布18Aの裏側に形成された排水路28Aは、例えば、図10〜図12のようになっている。図10〜図12の例では、基板部11の一方面側の下端側(設置時における鉛直方向下端側)において、複数の排水路28Aが溝状に形成されており、各々の排水路28Aにおいて水が流れ得る構成となっている。複数の排水路28Aは、一方の端部(上端部)側が排水板13Aの裏側に位置し、排水板13Aの裏面の一部が各々の排水路28Aの内部空間に面している。そして、各々の排水路28Aの他方の端部(下端部)側は濾板10の下端部まで達しており、各々の排水路28Aの内部空間が濾板10の外側の空間に連通している。なお、排水板13Aの裏面と板状体11Aの表面との間には空間が存在し、この空間が各々の排水路28Aに連通するようになっていることが望ましく、このように構成されていれば、排水板13Aの裏面側に流れ込んだ水分が各々の排水路28Aを介して濾板10の外側に流れやすくなる。
一方の中央側凹部12Bにおいて濾布18Bの裏側に形成された排水路28Bは、例えば、図10、図13、図14のようになっている。図10、図13、図14の例では、基板部11の一方面側の下端側(設置時における鉛直方向下端側)において、複数の排水路28Bが溝状に形成されており、各々の排水路28Bにおいて水が流れ得る構成となっている。複数の排水路28Bは、一方の端部(上端部)側が排水板13Bの裏側に位置し、排水板13Bの裏面の一部が各々の排水路28Bの内部空間に面している。そして、各々の排水路28Bの他方の端部(下端部)側は濾板10の下端部まで達しており、各々の排水路28Bの内部空間が濾板10の外側の空間に連通している。なお、排水板13Bの裏面と板状体11Bの表面との間には空間が存在し、この空間が各々の排水路28Bに連通するようになっていることが望ましく、このように構成されていれば、排水板13Bの裏面側に流れ込んだ水分が各々の排水路28Bを介して濾板10の外側に流れやすくなる。
なお、図10〜図15の例では、濾板10の下端部側に複数の排水路28を設けた構成を例示したが、濾布18を通って排水板13側に流れ込んだ水を濾板10の外部に排出し得る流路であればよい。
図1、図2、図3、図5のように、濾板10は、基板部11の一方の中央側凹部12A内及び他方の中央側凹部12B内にそれぞれ固定される一対の環状板部15A,15Bを有する。そして、環状板部15A,15Bには、濾板10の板厚方向に突出する貫通孔側突起部17A,17Bが形成されている。一方面側の環状板部15Aからは、一方面側の貫通孔側突起部17Aが複数突出しており、複数の貫通孔側突起部17Aは、図11のように、孔部16の周囲において孔部16を囲むように配置されている。同様に、他方面側の環状板部15Bからは、他方面側の貫通孔側突起部17Bが複数突出しており、複数の貫通孔側突起部17Bは、図13のように、孔部16の周囲において孔部16を囲むように配置されている。孔部16は、一対の環状板部15A,15Bのうちの一方の環状板部15A側から他方の環状板部15B側に連通する構成で形成されており、具体的には、一対の環状板部15A,15Bを連結する筒状部の内部が孔部16となっている。この構成では、図2のように、一の濾板10の一方面側と他の濾板10の他方面側とが押圧し合うように重ねられたとき、一の濾板10の一方面側の貫通孔側突起部17Aと他の濾板10の他方面側の貫通孔側突起部17Bとが互いに対向する構成となっている。図2のように一の濾板10の一方面側の貫通孔側突起部17Aと他の濾板10の他方面側の貫通孔側突起部17Bとが対向したとき、これら貫通孔側突起部17A,17Bの間隔(先端部の間隔)は、環状板部15A,15Bの板面間隔よりも小さくなっており、0であってもよい(即ち、対向する貫通孔側突起部17A,17Bが接触していてもよい)。なお、図2等の例では、対向する貫通孔側突起部17A,17Bの間には濾布18が介在しない。
一方の中央側凹部12A内及び他方の中央側凹部12B内には、各々の排水板13よりも板厚方向に突出する排水板側突起部19(一方の排水板側突起部19A及び他方の排水板側突起部19B)がそれぞれ形成されている。一方の排水板側突起部19Aは、排水板13A又は板状体11Aの少なくともいずれかに固定され、排水板13Aの表面よりも板厚方向(濾板10の板厚方向)に突出した構成をなす。排水板側突起部19Aは、自身の突出方向の先端側に近づくにつれて細くなる先細り形状をなしている。図4の例では、このような構成をなす複数の排水板側突起部19Aが孔部16を囲むように配置されている。他方の排水板側突起部19Bは、排水板13B又は板状体11Aの少なくともいずれかに固定され、排水板13Bの表面よりも板厚方向(濾板10の板厚方向)に突出した構成をなす。排水板側突起部19Bは、自身の突出方向の先端側に近づくにつれて細くなる先細り形状をなしている。図6の例では、このような構成をなす複数の排水板側突起部19Bが孔部16を囲むように配置されている。そして、図2のように一の濾板10の一方面側と他の濾板10の他方面側とが押圧し合うように重ねられたとき、一の濾板10の一方面側の各々の排水板側突起部19Aと他の濾板10の他方面側の各々の排水板側突起部19Bとが互いに対向する構成となっている。図2のように一の濾板10の一方面側の排水板側突起部19Aと他の濾板10の他方面側の排水板側突起部19Bとが対向したとき、これら排水板側突起部19A,19Bの間隔(先端部の間隔)は、互いに対向する排水板13A、3Bの間隔よりも小さくなっている。なお、図2等の例では、対向する排水板側突起部19A,19Bの間に濾布18A,18Bが介在しており、対向する排水板側突起部19A,19Bによって濾布18A,18Bが挟み込まれている。
図9で示すフィルタープレス装置1は、このような濾板構造3を有しており、具体的には、図15、図16のように、濾板構造3を構成する複数の濾板10を所定の姿勢(即ち、各々の濾板10の厚さ方向が同方向となる姿勢且つ各々の濾板10の外周縁の位置が揃えられた姿勢)で揃えた状態で、ガイドレール90(ガイドレール90A,90B)に沿って複数の濾板10を移動させ得るようになっており、このような移動動作によって、複数の濾板10において隣り合う濾板が互いに接近及び離間し得るようになっている。
図1〜図14では図示は省略しているが、図16、図17のように、各々の濾板10には、各々の濾板10における基板部11の左右両側部から側方に張り出す一対の張出部41,42が設けられている。そして、これら一対の張出部41,42が一対の被支持部として機能し、それぞれがガイドレール90A,90B上に載置されつつ支持される。一対の張出部41,42がガイドレール90A,90B上に載置されながら移動することで、各々の濾板10は所定姿勢を保ちながら所定方向(各々の濾板10の板厚方向)に移動するようになっている。
フィルタープレス装置1は、上述した濾板構造3に加え、保持装置50、第1注入装置60(以下、スラリー供給装置とも称する)、第2注入装置70(以下、エア供給装置とも称する)、固液混合体7を供給する供給路62、エアを供給する供給路72、供給路62の開放と遮断を切り替える第1切替部81、供給路72の開放と遮断を切り替える第2切替部82、などを備える。なお、図示はしていないが、保持装置50、第1注入装置60、第2注入装置70、第1切替部81、第2切替部82の動作(動作タイミングや制御量など)を制御する制御装置(例えばコンピュータなどの情報処理装置)も設けられている。
保持装置50は、一対のガイドレール90(ガイドレール90A,90B)と、駆動装置54と、固定壁51,52とを備えてなり、これらが一体的に組み付けられた構成をなす。駆動装置54は、濾板群5の端部(固定壁52側の端部)の濾板10に作用する作用部54Cと、作用部54Cに連結される駆動軸54Bと、駆動軸54Bを所定方向(濾板群5の各濾板10の板厚保方向)に移動させる駆動部54Aとを備える。駆動部54Aが駆動軸54Bを介して作用部54Cを固定壁51側に移動させることで、複数の濾板10が所定姿勢を保ちながら固定壁51側に押し付けられ、図15、図16のように、濾板群5において隣り合う濾板間が互いに接触した状態となる。一方、駆動部54Aが駆動軸54Bを介して作用部54Cを固定壁52側に移動させることで、濾板群5において隣り合う濾板間が互いに離間した状態となる。例えば、複数の濾板10において隣り合う濾板間の最大間隔が所定間隔となるように間隔を規制する間隔規制部(図示略)が設けられていれば、作用部54Cが濾板群5の端部(固定壁52側の端部)の濾板10と係合又は保持しながらその濾板10を固定壁52側に移動させようと動作したときに、それぞれの濾板間において隣り合う濾板が離間するように各濾板が移動するようになる。なお、ここで示す例はあくまで一例であり、複数の濾板10を所定姿勢(即ち、各々の濾板10の厚さ方向が同方向となる姿勢且つ各々の濾板10の外周縁の位置が揃えられた姿勢)で揃えつつ各々の濾板間を接近及び離間し得る構成であれば、保持装置は他の構成としてもよい。
このように、保持装置50は、作用部54Cを固定壁51側に移動させることにより、図15、図16のように、複数の濾板10を重ねた状態で配置しつつ、隣り合う濾板間において片方の濾板10の環状凸部24がもう片方の濾板10の環状凹部34内に入り込んで当該環状凹部34内を押圧し且つ片方の濾板10の対向部22ともう片方の濾板10の対向部32とが互いに押圧し合う保持状態(第1保持状態)で保持することができる(隣り合う濾板間の具体的な状態は図2、図8を参照)。
第1注入装置60は、図示しない固液混合体収容部(例えば、スラリー収容槽など)から濾板群5側へ固液混合体を移送する移送装置であり、第1切替部81が開放状態となっており且つ供給路62が濾板群5の端部の孔部16に連通しているときに、供給路62を介して濾板群5の内部に固液混合体を注入し得る。具体的には、第1注入装置60は、図15、図16のように保持装置50によって複数の濾板10からなる濾板群5が第1保持状態で保持されているときに、濾板群5の一端部の濾板10の孔部16から複数の濾板10の内部に固液混合体7を注入するようになっている。なお、第1切替部81は、濾板群5における一端部側での流体の流出入を停止する第1停止状態と、第1停止状態を解除する第1解除状態とに切り替える装置であり、供給路62(管路)を開放状態と遮断状態とに切り替える公知の電磁弁によって構成されており、第1切替部81の開放及び遮断は図示しない制御装置によって制御される。
第2注入装置70は、エア(空気)を圧送し得る公知のエア(空気)供給装置として構成されており、第2切替部82が開放状態となっており且つ供給路72が濾板群5の端部の孔部16に連通しているときに、供給路72を介して濾板群5の内部にエア(空気)を注入し得る。具体的には、第2注入装置70は、図15、図16のように保持装置50によって複数の濾板10からなる濾板群5が第1保持状態で保持されているときに、濾板群5における一端部とは反対側の他端部の孔部16から複数の濾板10の内部にエアを注入するようになっている。なお、第2切替部82は、濾板群5における他端部側での流体の流出入を停止する第2停止状態と、第2停止状態を解除する第2解除状態とに切り替える装置であり、供給路72(管路)を開放状態と遮断状態とに切り替える公知の電磁弁によって構成されており、第2切替部82の開放及び遮断は図示しない制御装置によって制御される。
フィルタープレス装置1では、図16のように保持装置50が第1保持状態で保持しているときに、第2切替部82が第2停止状態(供給路72を遮断した状態)に切り替えた状態且つ第1切替部81が第1解除状態(供給路62を開放した状態)に切り替えた状態で第1注入装置60が濾板群5の内部に固液混合体7を注入する。そして、第1注入装置60による固液混合体7の注入後、図15、図16のように保持装置50が第1保持状態で保持されているときに、第1切替部81が第1停止状態(供給路62を遮断した状態)に切り替えた状態且つ第2切替部82が第2開放状態(供給路72を開放した状態)に切り替えた状態で第2注入装置70が濾板群5の内部にエアを注入することで、他端部の孔部16側から各々の濾板10の排水路28側へとエアを流し、濾板群5の内部に存在する固液混合体7の液体(水分)をエアと共に排水路28を介して濾板群5の外部に排出するようになっている。なお、各装置の動作タイミングや動作時間等は図示しない制御装置によって制御される。
更に、本構成では、図16、図17のように、一対のガイドレール90A,90Bのそれぞれの上方側に一対の規制部94(規制部94A,94B)が配置されている。一対のガイドレール90A,90Bは、それぞれが各々の濾板10の両側部に対向してそれぞれ配置されるとともに厚さ方向に沿って延びる構成をなしている。そして、一対の規制部94A,94Bは、それぞれが各々の濾板10における上下方向中央位置よりも上側の位置において各々の濾板10の両側部に対向してそれぞれ配置されるとともに厚さ方向に沿って延びる構成をなしている。具体的には、各々の濾板10に形成された一対の張出部41,42の上面部にそれぞれ凹部41A,42Aが形成されており、これら凹部41A,42A内にそれぞれ配置されつつ凹部41A,42Aに支持される形で一対の規制部94A,94Bがそれぞれ設けられている。
(効果例)
次に、本構成の効果を例示する。
上述した濾板構造3では、図2のように、一の濾板10と他の濾板10とが重ねられたとき、一の濾板10の環状凸部24が他の濾板10の環状凹部34内に入り込んで当該環状凹部34内を押圧し、一の濾板10の対向部22と他の濾板10の対向部32とが互いに押圧し合うようになっている。このような構成であるため、両濾板10を密着させて濾室40(一の濾板10の中央側凹部12及び他の濾板10の中央側凹部12によって構成される固液混合体の流入領域)を構成したときに、より強固な密着性を確保し得る領域を、濾室40を構成する部分を取り囲むように環状に配置することができる。
具体的には、密着状態のときに互いに押圧し合う第1シール部8G及び第2シール部9Hにおいて、一方のシール部(第1シール部8G)が、密着状態のときに他方のシール部(第2シール部9H)側に凸となるとともに濾室40を囲むように配置される凸部を有する。そして、他方のシール部(第2シール部9H)が、密着状態のときに一方のシール部(第1シール部8G)とは反対側に凹むとともに濾室40を囲むように配置される凹部を有する。そして、密着状態のときに、凸部(第1シール部8G)及び凸部(第1シール部8G)を被覆する被覆部(濾布18)が凹部(第2シール部9H)内に入り込んで凹部(第2シール部9H)の内面を押圧する。即ち、密着状態のときに、凸部(第1シール部8G)と凹部(第2シール部9H)との間に濾布18が挟まれた状態で、凸部(第1シール部8G)が凹部(第2シール部9H)内に入り込みつつ凹部(第2シール部9H)の内面を押圧する。
また、密着状態のときに互いに押圧し合う第1シール部8H及び第2シール部9Gにおいて、一方のシール部(第2シール部9G)が、密着状態のときに他方のシール部(第1シール部8H)側に凸となるとともに濾室40を囲むように配置される凸部を有する。そして、他方のシール部(第1シール部8H)が、密着状態のときに一方のシール部(第2シール部9G)とは反対側に凹むとともに濾室40を囲むように配置される凹部を有する。そして、密着状態のときに、凸部(第2シール部9G)及び凸部(第2シール部9G)を被覆する被覆部(濾布18)が凹部(第1シール部8H)内に入り込んで凹部(第1シール部8H)の内面を押圧する。即ち、密着状態のときに、凸部(第2シール部9G)と凹部(第1シール部8H)との間に濾布18が挟まれた状態で、凸部(第2シール部9G)が凹部(第1シール部8H)内に入り込みつつ凹部(第1シール部8H)の内面を押圧する。
図1のように、各々の濾板10において基板部11が設けられ、基板部11は、板状に構成されるとともに、2つの中央側凹部12のうちの一方の中央側凹部12Aと2つの押圧部14のうちの一方の押圧部14Aとが一方の板面側に形成され、2つの中央側凹部12のうちの他方の中央側凹部12Bと2つの押圧部14のうちの他方の押圧部14Bとが他方の板面側に形成されている。そして、一方の中央側凹部12Aの内壁部を覆うように濾布18Aが設けられ、他方の中央側凹部12Bの内壁部を覆うように濾布18Bが設けられている。一方の中央側凹部12A及び他方の中央側凹部12Bにおいて濾布18の裏側には、濾板10の外部に通じる排水路28が設けられている。このような構成であるため、図2のように、一の濾板10の一方面側と他の濾板10の他方面側とが押圧し合う構成で重ねられた状態で、一の濾板10の一方の中央側凹部12Aと他の濾板10の他方の中央側凹部12Bの間(具体的には、これらの内壁部を覆う両濾布18A,18Bの間)に濾室40が構成される。そして、この濾室40内の領域に、孔部16からのスラリー(泥水等)が高い圧力で流れ込んだときに、濾室40よりも周縁部側は密着性が高められた状態でシールされるため、周縁部からのスラリーの漏れや吹き出し等が生じることが確実に抑えられ、このように周縁部からの漏れ等を確実に抑えた状態で、濾室40内に供給されたスラリーの水分については濾布18A,18Bを通過させて排水路28A,28B側に導き、スラリーの固形物(濾布18A,18Bを通過できない粒子のもの)については、濾室40内に残留させるようにして、濾布18A,18Bによって水分と固形物とに分離することができる。濾布18A,18Bを通過したスラリー内の水分については、排水路28A,28Bを介して濾板10の外部に排出することができ、濾布18A,18Bを通過できない固体は濾室40内の領域に残留させ、脱水されたケーキとして構成することができる。
また、図1等で示す濾板構造3では、環状凸部24が弾性材料によって構成されているため、環状凸部24を環状凹部34内に入り込ませて押圧した際に、環状凹部34付近の形状に合わせて変形させることができ、環状凸部24と環状凹部34との間での密着性をより一層高めることができる。
また、濾板構造3では、図1、図7等で示すように、環状凸部24は、内部に空隙部24Aが形成された中空状をなしている。そして、空隙部24Aは、環状凸部24が延びる方向に沿って延びた構成且つ中央側凹部12の周りに環状に配置された構成となっている。このようにすれば、環状凸部24がより一層弾性変形しやすくなり、環状凸部24と環状凹部34との間での密着性をより一層高めやすくなる。
図1、図2、図3、図5のように、濾板10は、基板部11の一方の中央側凹部12A内及び他方の中央側凹部12B内にそれぞれ固定される一対の環状板部15A,15Bを有する。そして、環状板部15A,15Bには、濾板10の板厚方向に突出する貫通孔側突起部17A,17Bが形成されている。そして、一対の環状板部15A,15Bのうちの一方の環状板部15A側から他方の環状板部15B側に連通する構成で孔部16が形成されており、図2のように、一の濾板10の一方面側と他の濾板10の他方面側とが押圧し合うように重ねられたとき、一の濾板10の一方面側の貫通孔側突起部17Aと他の濾板10の他方面側の貫通孔側突起部17Bとが互いに近接しつつ対向する構成となっている。このように構成されていれば、例えば、固液混合体が高い圧力で流入すること等に起因して一の濾板10が他の濾板10側に撓み変形しようとしても、貫通孔側突起部17A,17B同士が接触し、撓み変形が抑制される。ゆえに、濾板10が大きく変形することに起因して一の濾板10の環状凸部24が他の濾板10の環状凹部34から外れてしまうような事態をより効果的に防ぎやすくなる。特に、孔部16の近傍は濾板10が撓み変形するときに変位が大きくなる部位であるが、上記構成によれば、この部位の変位を規制することができるため、濾板10の撓み変形を抑制する効果が極めて高くなる。
貫通孔側突起部17は、先端側に近づくにつれて細くなる先細り形状をなしており、一の濾板10の一方面側の貫通孔側突起部17Aと他の濾板10の他方面側の貫通孔側突起部17Bとは、それぞれの最も細くなった部位である先端部同士が互いに対向する構成となっている。このように構成されていれば、濾板10の撓み変形を抑制する効果を生じさせつつ、濾室内に残留する固形物(ケーキ)の体積の低減を抑えることができる。
濾板10の一方の中央側凹部12A及び他方の中央側凹部12Bの各々において各々の深さ方向最深部側の内壁部には、厚さ方向に複数の孔部が形成された排水板13(一方の排水板13A及び他方の排水板13B)がそれぞれ設けられている。そして、基板部11において各々の排水板13よりも板厚方向(濾板10の板厚方向)の内側には、各々の排水板13によって板厚方向の両側が覆われる板状体11Aが設けられている。そして、各々の排水板13(一方の排水板13A及び他方の排水板13B)と板状体11Aとの間には、濾板10の外側に通じる排水路28A,28Bがそれぞれ構成されている。そして、一方の中央側凹部12A内及び他方の中央側凹部12B内には、各々の排水板13よりも板厚方向に突出する排水板側突起部19(一方の排水板側突起部19A及び他方の排水板側突起部19B)がそれぞれ形成されている。図2のように一の濾板10の一方面側と他の濾板10の他方面側とが押圧し合うように重ねられたとき、一の濾板10の一方面側の排水板側突起部19Aと他の濾板10の他方面側の排水板側突起部19Bとが互いに対向する構成となっている。このように構成されていれば、例えば、固液混合体が高い圧力で流入すること等に起因して一の濾板10が他の濾板10側に撓み変形しようとしても、排水板側突起部19同士が当接し、撓み変形が抑制される。ゆえに、濾板10が大きく変形することに起因して一の濾板10の環状凸部24が他の濾板10の環状凹部34から外れてしまうような事態をより効果的に防ぎやすくなる。
排水板側突起部19は、先端側に近づくにつれて細くなる先細り形状をなしており、一の濾板10の一方面側の排水板側突起部19Aと他の濾板10の他方面側の排水板側突起部19Bとは、それぞれの最も細くなった部位である先端部同士が互いに対向する構成となっている。このように構成されていれば、濾板10の撓み変形を抑制する効果を生じさせつつ、濾室内に残留する固形物(ケーキ)の体積の低減を抑えることができる。しかも、先端部側が細くなっていれば、排水板側突起部19では、相対的に細い先端部側では固液混合体から受ける圧力が低減され、相対的に太い基端部側では、基板部側との連結を強固に確保することができる。
フィルタープレス装置1において、保持装置50は、複数の濾板10を重ねた状態で配置しつつ、隣り合う濾板間において片方の濾板10の環状凸部24がもう片方の濾板10の環状凹部34内に入り込んで当該環状凹部34内を押圧し且つ片方の濾板10の対向部22ともう片方の濾板10の対向部32とが互いに押圧し合う第1保持状態で保持し得る。更に、第2注入装置70は、保持装置50によって複数の濾板10からなる濾板群5が第1保持状態で保持されているときに、濾板群5の一端部の濾板10の孔部16から複数の濾板10の内部に固液混合体7を注入する第1注入装置60と、濾板群5が第1保持状態で保持されているときに、濾板群5における一端部とは反対側の他端部の孔部16から複数の濾板10の内部にエアを注入し得る。
このように構成されていれば、濾板群5が第1保持状態で保持されているとき(隣り合う濾板間において片方の濾板10の環状凸部24がもう片方の濾板10の環状凹部34内に入り込んでパッキン効果が高められているとき)に固液混合体7を注入して濾板間でケーキを形成する動作を行うことができることに加え、濾板群5が第1保持状態で保持されているときにエアを注入して濾板群5の内部にエアを流動させる動作を行うことも可能となる。隣り合う濾板間において片方の濾板10の環状凸部24がもう片方の濾板10の環状凹部34内に入り込んでパッキン効果が高められていれば、濾板群5の内部でエアを流動させるときに、各濾板10の周縁部の所定位置(上述したパッキン効果が得られる位置)からエアが漏れることを確実に抑えることができる。
フィルタープレス装置1では、更に、濾板群5における一端部側での流体の流出入を停止する第1停止状態と、第1停止状態を解除する第1解除状態とに切り替える第1切替部81と、濾板群5における他端部側での流体の流出入を停止する第2停止状態と、第2停止状態を解除する第2解除状態とに切り替える第2切替部82と、を有する。そして、保持装置50が第1保持状態で保持しているときに、第2切替部82が第2停止状態に切り替えた状態で第1注入装置60が濾板群5の内部に固液混合体7を注入し、第1注入装置60による固液混合体7の注入後、保持装置50が第1保持状態で保持されているときに、第1切替部81が第1停止状態に切り替えた状態で第2注入装置70が濾板群5の内部にエアを注入することで、他端部の孔部16側から各々の濾板10の排水路28側へとエアを流し、濾板群5の内部に存在する固液混合体7の液体をエアと共に排水路28を介して濾板群5の外部に排出する。
このように構成されていれば、固液混合体7を高圧で注入することによる排水路からの排水だけでなく、固液混合体7の内部にエアを通すことによる強制的な排水効果も加味され、より含水率の低いケーキを形成することができる。但し、このように固液混合体7の内部にエアを通す場合、極めて高圧でエアを供給する必要があるため、隣り合う濾板間の周縁部付近のパッキン効果が弱いと、隣り合う濾板間の周縁部からエアとともに固液混合体7が漏れてしまう虞がある。しかし、本構成では、「隣り合う濾板間において片方の濾板10の環状凸部24がもう片方の濾板10の環状凹部34内に入り込んでパッキン効果を高める」という特徴と、「濾板群5の内部に存在する固液混合体7の液体をエアと共に排水路28を介して濾板群5の外部に排出する」という特徴が相乗効果を発揮し、濾板10の周縁部からのエア及び固液混合体7の漏れを抑えながら、より含水率を抑えたケーキを形成することができる。
フィルタープレス装置1は、複数の濾板10をそれぞれの濾板10の厚さ方向に並べた状態で各々の濾板10の移動方向が上記厚さ方向となるようにガイドする一対のガイドレール90と、一対のガイドレール90のそれぞれの上方側に配置される一対の規制部94と、を有していてもよい。そして、フィルタープレス装置は、一対のガイドレール90のそれぞれが、各々の濾板10の両側部に対向してそれぞれ配置されるとともに上記厚さ方向に沿って延びる構成をなしている。そして、一対の規制部94のそれぞれが、各々の濾板10における上下方向中央位置よりも上側の位置において各々の濾板10の両側部に対向してそれぞれ配置されるとともに上記厚さ方向に沿って延びる構成をなしている。このように、各々の濾板10の両側部に対向するように一対の規制部94がそれぞれ配置され、各々の濾板10の厚さ方向(各々の濾板10の移動方向)に延びるように一対の規制部94がそれぞれ設けられ、それら規制部94が各々の濾板10における上下方向中央位置よりも上側の位置に設けられていれば、複数の濾板10を接触状態にして固液混合体7を注入した後、図19(A)の状態から図19(B)の状態に変化させて隣り合う濾板間の距離を大きくしてケーキ7Aを下方に落とすような排出動作を行うときに、図18(B)のように排出されるケーキが傾きながら横に外れるように落ちようとしても、一対の規制部94A,94Bによってケーキの傾斜及び横への移動を規制しながら下方に落とすことができる。このような規制部94A,94Bが存在しないと、図18(A)のように、ガイドレール90の上面部にケーキが落ちてしまう虞がある。
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について、図面に基づいて説明する。これらの図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。以下に記載されている装置の構造などは、特に特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
図20で示す第2実施形態のフィルタープレス装置の濾板構造203(以下、濾板構造203ともいう)は、図28で示す複式のフィルタープレス装置201に用いられる濾板構造である。図28のように、濾板構造203は、複数の濾板部208を備えるとともに各々の濾板部208を要素とする濾板部群206と、複数の枠体(密着部209)を備えるとともに各々の枠体(密着部209)を要素とする枠体群207とを有する要素群205を含む。この要素群205は、濾板部群206を構成する要素(濾板部208)と、枠体群207を構成する要素(密着部209)とが交互に並んで配置されている。
図28のように濾板部群206を構成する各濾板部208は、第1実施形態の濾板構造3の各濾板部8:図1、図10等)と比較したとき、一部を除いて同一の構成となっている。具体的には、図20のような構成をなし、図1等で示す濾板部8における環状凹部34に代えて環状凸部(第1シール部224B)を設けた点以外は、図1等で示す濾板部8と同一の構成となっている。つまり、基板部211は、濾板部8における環状凹部34に代えて環状凸部(第1シール部224B)を設けた点以外は、図1等で示す基板部11と同一の構成となっている。図20のように、濾布218は、図1等で示す濾板部8の濾布18と同一の構成をなす。図20のように、基板部211において、板状体211Aは、図1等で示す濾板部8の板状体11Aと同一の構成をなす。図20のように、窪み部212Aは、図1等で示す濾板部8の窪み部8Aと同一の構造をなし、窪み部212Bは、図1等で示す濾板部8の窪み部8Bと同一の構造をなす。図20のように、第1押圧部214Aは、図1等で示す濾板部8の第1押圧部8Cと同一の構造をなし、第1押圧部214Bは、図1等で示す濾板部8の第1押圧部8Dと同一の構造をなす。図20のように、第1対向部222Aは、図1等で示す濾板部8の第1対向部8Eと同一の構造をなし、第1対向部222Bは、濾板部8の第1対向部8Fと同一の構造をなす。図20のように、第1シール部224Aは、図1等で示す濾板部8の環状凸部24(第1シール部8G)と同一の構造をなし、第1シール部224Bは、図1等で示す濾板部8の環状凸部24や第1シール部224Aと同一の構造をなす。図20のように、排水板側突起部219A,219Bのそれぞれは、図1等で示す濾板部8における排水板側突起部19A,19Bのそれぞれと同一の構造をなす。図20のように、環状板部215A,215Bのそれぞれは、図1等で示す濾板部8における環状板部15A,15Bのそれぞれと同一の構造をなす。図20のように、貫通孔側突起部217A,217Bのそれぞれは、図1等で示す濾板部8における貫通孔側突起部17A,17Bのそれぞれと同一の構造をなす。図20のように、孔部216は、図1等で示す濾板部8における孔部16と同一の構造をなす。図20のように、排水板213A,213Bのそれぞれは、図1等で示す濾板部8における排水板13A,13Bのそれぞれと同一の構造をなす。図20のように、排水路228A,228Bは、図10等で示す濾板部8における排水路28A,28Bのそれぞれと同一の構成をなす。図22等で示す張出部241,242は、図17等で示す張出部41,42と同様の構成をなす部分であり、図22等では、張出部241,242を簡略的に示している。
図20のように、第2実施形態の濾板構造203は、板状の基板部211を有する濾板部208と、濾板部208と対向して配置されるとともに濾板部208とは異なる種類の枠状部として構成され且つ内部に収容空間が構成される密着部209とを備え、密着部209が密着位置にある密着状態のときに濾板部208及び密着部209によって濾室240(図21、図28)が構成される濾板構造である。密着部209は、貫通した開口部(収容部242)を有する枠体からなり、濾板部208に対する相対位置が濾板部208に密着する密着位置(図21)と濾板部208から変位した開放位置(図20)とに切り替わる構成をなしている。
図20、図21、図23、図25のように、基板部211は、窪み部212A,212Bと、第1押圧部214A,214Bと、孔部216とを有する。窪み部212Aは、図21のような密着状態のときに濾室240の一部を構成する凹部であり、基板部211における密着部209側(具体的には、窪み部212Aが面する側の密着部209側)の外面部に形成されている。窪み部212Bも、図28のような密着状態のときに濾室240の一部を構成する凹部であり、基板部211における密着部209側(具体的には、窪み部212Bが面する側の密着部209側)の外面部に形成されている。第1押圧部214Aは、基板部211における密着部209側(具体的には、窪み部212Aが面する側の密着部209側)の外面部において窪み部212Aを囲んで配置される部分である。第1押圧部214Aは、基板部211における密着部209側(具体的には、窪み部212Bが面する側の密着部209側)の外面部において窪み部212Bを囲んで配置される部分である。孔部216は、基板部211を貫通するように基板部211の厚さ方向に形成された貫通孔であり、基板部211の内部を通る構成で窪み部212A,212Bへと続く流路となる部分である。
図23のように、第1押圧部214Aは、窪み部212Aの周囲に配置され、密着状態のときに表面が第2押圧部側に面する第1対向部222Aと、窪み部212Aの周囲に配置され、第1対向部222Aの表面から凸となる第1シール部224Aとを具備する。第1対向部222Aの表面は、基板部211の厚さ方向と直交する平面方向に沿った平坦面であり、第1シール部224Aは、第1対向部222Aの表面から突出する構成をなし、窪み部212Aを取り囲むように環状且つリブ状に配置された環状凸部である。窪み部212Aは、第1対向部222Aの表面よりも厚さ方向に凹むように窪んだ構成をなす部分である。
図25のように、第1押圧部214Bは、窪み部212Bの周囲に配置され、密着状態のときに表面が第2押圧部244A側に面する第1対向部222Bと、窪み部212Bの周囲に配置され、第1対向部222Bの表面から凸となる第1シール部224Bとを具備する。第1対向部222Bの表面は、基板部211の厚さ方向と直交する平面方向に沿った平坦面であり、第1シール部224Bは、第1対向部222Bの表面から突出する構成をなし、窪み部212Bを取り囲むように環状且つリブ状に配置された環状凸部である。窪み部212Bは、第1対向部222Bの表面よりも厚さ方向に凹むように窪んだ構成をなす部分である。
このように、基板部211は、自身の厚さ方向両側に窪み部212A,212B及び第1押圧部214A,214Bが形成され、第1押圧部214A,214Bの各々において窪み部212A,212Bをそれぞれ囲むように、第1対向部222A,222Bの各々及び第1シール部224A,224Bの各々が配置されている。
上述の濾布218は、図1等で示す濾板部8の濾布18と同様の構成をなしている。具体的には、濾布218は、図1等で示す濾板部8の濾布18Aと同一の構成をなす濾布218Aと、図1等で示す濾板部8の濾布18Bと同一の構成をなす濾布218Bとを有している。図22のように、濾布218Aは、窪み部212Aと第1シール部224Aとに跨るように基板部211を覆う構成をなし、図24のように、濾布218Bは、窪み部212Bと第1シール部224Bとに跨るように基板部211を覆う構成をなしている。より具体的には、窪み部212Aにおける環状板部215Aの外側の領域全体を覆うように且つ第1押圧部214A全体を覆うように、窪み部212Aと第1押圧部214Aとに跨って配置されている。なお、図21では、濾布218を省略して示している。
密着部209は、孔状に構成された収容部242と、密着状態のときに第1押圧部214B,214Aをそれぞれ押圧する第2押圧部244A,244Bとを備え、板状の枠体として構成されている。収容部242は、密着部209(枠体)の厚さ方向に貫通した開口部(孔部)として構成されており、図21のような密着状態のときに窪み部212A,212Bと共に濾室240を構成する。
図26のように、第2押圧部244Aは、密着部209の厚さ方向一方側において収容部242を囲んで配置された部分であり、図21のような密着状態のときに第1押圧部214Bを押圧する部分である。第2押圧部244Aは、収容部242の周囲に配置され、図21のような密着状態のときに表面が第1押圧部214B側に面する第2対向部252Aと、収容部242の周囲に配置され、第2対向部252Aの表面から凹となり、密着状態のときに第1シール部224Bと押圧し合う第2シール部234Aとを具備する。第2対向部252Aの表面は、密着部209の厚さ方向と直交する平面方向に沿った平坦面であり、第2シール部234Aは、第2対向部252Aの表面から凹む構成をなし、収容部242を取り囲むように溝状に配置された環状凹部(環状溝部)である。
図27のように、第2押圧部244Bは、密着部209の厚さ方向他方側において収容部242を囲んで配置された部分であり、図21のような密着状態のときに第1押圧部214Aを押圧する部分である。第2押圧部244Bは、収容部242の周囲に配置され、図21のような密着状態のときに表面が第1押圧部214A側に面する第2対向部252Bと、収容部242の周囲に配置され、第2対向部252Bの表面から凹となり、密着状態のときに第1シール部224Aと押圧し合う第2シール部234Bとを具備する。第2対向部252Bの表面は、密着部209の厚さ方向と直交する平面方向に沿った平坦面であり、第2シール部234Bは、第2対向部252Bの表面から凹む構成をなし、収容部242を取り囲むように溝状に配置された環状凹部(環状溝部)である。
このように、密着部209(枠体)は、自身の厚さ方向両側に第2押圧部244A,244Bが形成され、第2押圧部244A,244Bの各々において収容部242を囲むように第2対向部252A,252Bの各々及び第2シール部234A,234Bの各々が配置されている。
更に、密着部209は、複数の架設部260を備えている。架設部260は、線状又は棒状に構成されるとともに収容部242(開口部)の開口領域を跨ぐように架け渡された形態で両端が固定されている。架設部260は、例えば、ピアノ線、針金、金属棒などによって構成することができる。
なお、密着部209にも、上述した張出部241,242と同様の張出部271,272が設けられている。
このように構成された濾板構造203は、第1実施形態と同様の装置によって要素群205を構成する要素が接近・離間し得るようになっている。そして、要素群205における隣り合う要素の組(即ち、隣り合う濾板部208と密着部209の組)において、第1シール部が凸部として構成され、第2シール部が凹部として構成され、濾板部8と密着部9とが密着する密着状態のときには、各々の要素の組において凸部が凹部の内面を押圧するようになっている。
具体的には、第1押圧部214Aと第2押圧部244Bとが押圧し合う「要素の組」の各々では、第1シール部224Aが凸部として構成され、第2シール部234Bが凹部として構成され、密着状態のときに各々の「要素の組」において第1シール部224A(凸部)が第2シール部234B(凹部)の内面を押圧するようになっている。より具体的には、密着状態のときに、第1シール部224A(凸部)と第2シール部234B(凹部)との間に濾布218が挟まれた状態で、第1シール部224A(凸部)が第2シール部234B(凹部)内に入り込みつつ第2シール部234B(凹部)の内面を押圧するようになっている。更に、この「要素の組」では、上述の密着状態のとき、第1対向部222Aの表面と第2対向部252Bの表面との間に濾布218が介在し、第1対向部222Aが濾布218を介在させた形で第2対向部252Bを押圧するようになっている。
同様に、第1押圧部214Bと第2押圧部244Aとが押圧し合う「要素の組」の各々では、第1シール部224Bが凸部として構成され、第2シール部234Aが凹部として構成され、密着状態のときに各々の「要素の組」において第1シール部224B(凸部)が第2シール部234A(凹部)の内面を押圧するようになっている。より具体的には、密着状態のときに、第1シール部224B(凸部)と第2シール部234A(凹部)との間に濾布218が挟まれた状態で、第1シール部224B(凸部)が第2シール部234A(凹部)内に入り込みつつ第2シール部234A(凹部)の内面を押圧するようになっている。更に、この「要素の組」では、上述の密着状態のとき、第1対向部222Bの表面と第2対向部252Aの表面との間に濾布218が介在し、第1対向部222Bが濾布218を介在させた形で第2対向部252Aを押圧するようになっている。
図29で示す保持装置50は、第1実施形態と同様の構成をなし、第1シール部及び第2シール部のうちの凸部が凹部の内面を押圧するように濾板部208と密着部209とを重ねた重なり状態で濾板部208及び密着部209を保持し得る。具体的には、各々の「要素の組」において第1シール部及び第2シール部のうちの凸部が凹部の内面を押圧するように複数の濾板部208及び複数の密着部209(枠体)を重ねた重なり状態で複数の濾板部208及び複数の密着部209(枠体)を保持する。
第1注入装置60(注入装置)は、第1実施形態と同様の構成をなし、図28、図29のように保持装置50が濾板部208及び密着部209を重なり状態で保持しているときに、孔部216を介して窪み部212A,212B内及び収容部242内に固液混合体7を注入する。具体的には、第1注入装置60は、保持装置50が複数の濾板部208及び複数の密着部209(枠体)を重なり状態で保持しているときに、各々の要素の組の窪み部212A,212B内及び収容部242内に固液混合体7を注入する。
保持装置50は、接近装置及び離間装置として機能し、図20のように濾板部208と密着部209とを離間させた状態と、図21のように濾板部208と密着部209とを密着させた状態とに変化させ得る装置である。離間装置として機能する保持装置50は、第1注入装置60(注入装置)が図28のように固液混合体7を注入した後、図20のように濾板部208と密着部209とを離間させる。具体的には、各々の密着部209(枠体)から、各々の密着部209(枠体)の両側に隣接する濾板部208を離間させる。
更に、保持装置50は、傾斜装置の一例として機能し、図20のように離間装置が濾板部208と密着部209とを離間させた状態で、図30、図31のように、密着部209を密着状態のときよりも傾斜させる。これにより、ケーキを良好に排出し得る。なお、図31では、第2シール部を省略して示している。
図32のように、洗浄装置280は、洗浄水を放出するための放水口(複数の孔部)を備えた放水部282と、放水部282の放水口に洗浄水を流し込む水供給装置284と、放水部282を移動させる移動装置286と、を有する。
移動装置286は、保持装置50(離間装置)がいずれかの密着部209(枠体)から当該密着部209(枠体)の両側に隣接する濾板部208を離間させた離間状態のとき、図32のように、当該離間状態となった両側の濾板部208の間に放水部282を移動(上下動)させる。具体的には、移動装置286は、傾斜装置が図32のように密着部209を傾斜させた所定の傾斜状態のとき、放水口から放出される洗浄水が収容部242(開口部)内を通って濾板部208に当たる位置に放水部282を移動させる。より詳しくは、移動装置286は、傾斜装置が密着部209を傾斜させているときに放水部282の少なくとも一部を収容部242(開口部)内に移動させる。
このように、洗浄装置280は、離間状態となった両側の濾板部208の間に位置する放水部により、離間状態となった両側の濾板部208に対して洗浄水を掛ける。
<第2実施形態の変形例1>
図34のように、密着部209(枠体)は、収容部242(開口部)の内縁部側に一端が固定されるとともに他端側が開口部の内側に向かって線状又は棒状に延びる延設部を有していてもよい。
<第2実施形態の変形例2>
図35のように、密着部209(枠体)は、収容部242(開口部)の内縁部側に一端が固定されるとともに他端側が開口部の内側に向かって線状又は棒状に延びる延設部262と、第2実施形態と同様の架設部260とを有していてもよい。
<第3実施形態>
図36〜図38は、第3実施形態の濾板構造303を例示している。
第3実施形態の濾板構造303は、濾板部208を濾板部8に変更し、密着部209を密着部309に変更した点が第2実施形態の濾板構造203とは異なっている。濾板構造303は、複式のフィルタープレス装置に用いられる濾板構造である。濾板構造303を有するフィルタープレス装置は、濾板構造203を濾板構造303に変更した点以外は、第2実施形態のフィルタープレス装置201と同様である。
濾板構造303は、複数の濾板部8を備えるとともに各々の濾板部308を要素とする濾板部群と、複数の密着部309(枠体)を備えるとともに各々の密着部309(枠体)を要素とする枠体群と、を有する要素群を含んでなる。そして、要素群は、濾板部群を構成する要素(濾板部8)と、枠体群を構成する要素(密着部309)とが交互に並んで配置される。なお、図36〜図38では、濾板部群の要素を2つのみ示しているが、実際は同一構造の要素(濾板部8)が多数配列されている。また、枠体群の要素(密着部309)を1つのみ示しているが、実際は同一構造の要素が多数配列されている。
各々の濾板部8は、第1実施形態の濾板構造3における濾板部8と同一の構造となっている。よって、以下の説明では、濾板構造303を構成する濾板部8については、図1等で示す濾板部8と同一の部分については図1の濾板部8と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
濾板構造303は、板状の基板部11を有する濾板部8と、濾板部8と対向して配置されるとともに濾板部8とは異なる種類の枠状部として構成された密着部309とを備える。そして、密着部309は、濾板部8に対する相対位置が濾板部8に密着する密着位置(図37)と濾板部8から変位した開放位置(図36、図38)とに切り替わる構成をなし、内部に収容空間が構成されている。この濾板構造303では、図37のように、密着部309が密着位置にある密着状態のときに濾板部8及び密着部309とによって濾室340が構成されるようになっている。
濾板部8は、第1実施形態の濾板部8と同一の構成をなす。基板部11は、中央側凹部12A(窪み部)と押圧部14A(第1押圧部)とを備える。中央側凹部12A(窪み部)は、基板部11における密着部309側の外面部において基板部11の厚さ方向に凹むように形成され、図37のように、濾室340の一部を構成する。押圧部14A(第1押圧部)は、基板部11における密着部309側の外面部において中央側凹部12A(窪み部)を囲んで配置され、図37のように、密着状態のときに密着部309を押圧する。孔部16は、基板部11の内部を通る構成で中央側凹部12A(窪み部)へと続く流路となる貫通孔である。同様に、基板部11は、中央側凹部12B(窪み部)と押圧部14B(第1押圧部)とを備える。中央側凹部12B(窪み部)は、基板部11における密着部309側の外面部において基板部11の厚さ方向に凹むように形成され、濾室の一部を構成する。押圧部14B(第1押圧部)は、基板部11における密着部309側の外面部において中央側凹部12B(窪み部)を囲んで配置され、密着状態のときに密着部309を押圧する。孔部16は、基板部11の内部を通る構成で中央側凹部12A(窪み部)へと続く流路となる貫通孔である。
密着部309は、貫通した開口部(貫通孔)を有する枠体からなり、その開口部が収容部342となっている。収容部342は、孔状に構成され、密着状態のときに中央側凹部12A,12B(窪み部)と共に濾室340を構成する部分である。更に、密着部309は、第2押圧部344A,344Bを有する。第2押圧部344Aは、収容部342を囲んで配置され、図37のような密着状態のときに押圧部14B(第1押圧部)を押圧する。第2押圧部344Bは、収容部342を囲んで配置され、図37のような密着状態のときに押圧部14A(第1押圧部)を押圧する。
第1押圧部14Aは、中央側凹部12A(窪み部)の周囲に配置され、密着状態のときに表面が第2押圧部344B側に面する対向部22A(第1対向部)と、中央側凹部12A(窪み部)の周囲に配置され、対向部22A(第1対向部)の表面から凸なる環状凸部24(第1シール部)と、を具備する。第1押圧部14Bは、中央側凹部12B(窪み部)の周囲に配置され、密着状態のときに表面が第2押圧部344A側に面する対向部22B(第1対向部)と、中央側凹部12B(窪み部)の周囲に配置され、対向部22B(第1対向部)の表面から凹となる環状凹部34(第1シール部)と、を具備する。
第2押圧部344Aは、収容部342の周囲に配置され、密着状態のときに表面が第1押圧部14B側に面する第2対向部352Aと、収容部342の周囲に配置され、第2対向部352Aの表面から凸となり、密着状態のときに環状凹部34(第1シール部)と押圧し合う第2シール部334A(環状凸部)と、を具備する。第2押圧部344Bは、収容部342の周囲に配置され、密着状態のときに表面が第1押圧部14A側に面する第2対向部352Bと、収容部342の周囲に配置され、第2対向部352Bの表面から凹となり、密着状態のときに環状凸部24(第1シール部)と押圧し合う第2シール部334B(環状凹部)と、を具備する。
図36〜図38の構成では、密着状態のときに互いに押圧し合う第1シール部及び第2シール部において、一方のシール部が、密着状態のときに他方のシール部側に凸となるとともに濾室を囲むように配置される凸部を有し、他方のシール部が、密着状態のときに一方のシール部とは反対側に凹むとともに濾室を囲むように配置される凹部を有し、密着状態のときに、凸部及び凸部を被覆する被覆部が凹部内に入り込んで凹部の内面を押圧する。
例えば、密着状態のときに互いに押圧し合う環状凸部24(第1シール部)及び第2シール部334Bにおいて、一方のシール部である環状凸部24(第1シール部)が、密着状態のときに他方のシール部側(第2シール部334B側)に凸となるとともに濾室340を囲むように配置される凸部を有する。そして、他方のシール部である第2シール部334Bが、密着状態のときに一方のシール部(環状凸部24)とは反対側に凹むとともに濾室340を囲むように配置される凹部を有する。そして、密着状態のときには、環状凸部24(第1シール部)及び環状凸部24(第1シール部)を被覆する被覆部(濾布18)が凹部(第2シール部334B)内に入り込んで凹部(第2シール部334B)の内面を押圧する。
また、密着状態のときに互いに押圧し合う環状凹部34(第1シール部)及び第2シール部334Aにおいて、一方のシール部である第2シール部334Aが、密着状態のときに他方のシール部(環状凹部34側)に凸となるとともに濾室340を囲むように配置される凸部を有する。そして、他方のシール部である環状凹部34(第1シール部)が、密着状態のときに一方のシール部(第2シール部334A)とは反対側に凹むとともに濾室340を囲むように配置される凹部を有する。そして、密着状態のときには、凸部(第2シール部334A)が凹部(第1シール部である環状凹部34)内に入り込んで凹部(環状凹部34)の内面を押圧する。
<他の実施例>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような例も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上述した実施例の特徴や後述する実施例の特徴は矛盾しない範囲で様々に組み合わせることが可能である。
第1実施形態では、一方面側に1つの環状凸部24が設けられ、他方面側に1つの環状凹部34が設けられた例を示したが、一方面側に2以上(例えば、2つ)の環状凸部24が多重に設けられ、他方面側に環状凸部24に対応する複数(例えば、2つ)の環状凹部34が多重に設けられていてもよい。
上述した実施形態では、環状凸部24において突出する部分の断面(環状凸部24が延びる方向に対して直交する平面方向に切断した断面)の外形が湾曲した形状をなしているが、この断面の外形が台形状であってもよく、三角形状であってもよく、その他の形状であってもよい。同様に、環状凹部34において凹む部分の断面(環状凹部34が延びる方向に対して直交する平面方向に切断した断面)の外形が湾曲した形状をなしているが、この断面の外形が台形状であってもよく、三角形状であってもよく、その他の形状であってもよい。
上述した実施形態では、環状凸部24や環状凹部34が中央側凹部12の周囲に矩形枠状に設けられていたが、窪み部の周囲に配置されていれば、環状凸部24や環状凹部34は、円形状(濾板の板厚方向と直交する平面方向に沿って円形状に配置された構造)であってもよく、楕円形状であってもよく、その他の形状であってもよい。
上述した実施形態では、窪み部の周りに近接して押圧部が環状に配置された例を示したが、このような例に限定されない。例えば、窪み部の外側において、窪み部から離れた位置に押圧部が環状に配置されていてもよい。
上述した実施形態では、外縁形状が矩形状(四角形状)の濾板10を例示したが、濾板の外縁形状は円形状であってもよく、楕円形状や、略矩形状などであってもよく、それ以外の他の形状であってもよい。濾板の外縁形状を円形状にする場合、第1押圧部は、濾板の周縁に沿った円形枠状に構成すればよい。また、第1押圧部は、窪み部よりも周縁側にあればよく、例えば、濾板の周縁よりも若干内側に入り込んだ構成などであってもよい。窪み部は、濾板の中央側において板厚方向に凹んだ構成であればよく、外縁形状は矩形状に限定されず、円形状、楕円形状、略矩形状などの他の形状であってもよい。第1押圧部は、濾板の周縁側において板厚方向に凸となる部分に設けられていればよく、第1押圧部の内縁形状(枠の内縁形状)は、円形状、楕円形状、略矩形状などの様々な形状を採用することができる。同様に、第1押圧部の外縁形状(枠の外縁形状)も、円形状、楕円形状、略矩形状などの様々な形状を採用することができる。