JP2021182806A - 電源装置、電源システムおよび画像形成装置 - Google Patents

電源装置、電源システムおよび画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】コストアップを抑えつつ効率を改善された電源装置を提供する。【解決手段】電源回路500において、トランスT2は、一次巻線Npと、複数の二次巻線Ns1、Ns2、Ns3、Ns4からなる二次巻線群と、を有し、一次巻線に印加された一次電圧を変換して二次巻線群に二次電圧を出力する。整流ダイオードD1〜D4およびコンデンサC3からなる整流平滑回路は、二次電圧を整流平滑して負荷に対する出力電圧を生成する。制御装置、トランジスタQ4、スイッチ素子Q3および抵抗R1、R2からなる制御手段は、出力電圧に寄与する二次巻線群の巻線数を負荷に応じて制御する。【選択図】図5

Description

本発明は電源装置、電源システムおよび画像形成装置に関する。
画像形成装置は、画像を形成可能な通常モードと、画像を形成しない待機モード(省電力モード)とを有している。電源装置は熱を発生するため、通常モードでは電源ファンによって冷却される。通常モードは大電力を必要とするため、電流共振方式の電源装置が採用される。しかし、電流共振方式では、待機モードにおいても励磁電流がトランスの一次巻線に流れる。つまり、待機モードにおいてもトランスを電源ファンにより冷却することが求められる。よって、電流共振方式を採用する電源装置では、待機モードにおける効率を改善して、電源ファンを停止可能とすることが求められる。
特許文献1は、軽負荷時に一次側のインダクタンスを増加し、かつ、共振コンデンサの容量を削減することで、電源装置の効率を改善している。特許文献2は、トランスに二種類の一次巻線を設け、待機モードと通常モードとで二種類の一次巻線を切り替えることを提案している。
特開2002−354804号公報 特開2017−112714号公報
従来技術は、共振回路の特性を変更するために一次側のインダクタンスまたはキャパシタンスを切り替えるための切り替え部を有している。しかし、トランスの一次側には高電圧が印加されるため、高耐圧の切り替え部が必要となり、電源装置のコストアップを招いていた。そこで、本発明は、コストアップを抑えつつ効率を改善された電源装置を提供する。
本発明は、たとえば、
一次巻線と、複数の二次巻線からなる二次巻線群とを有し、前記一次巻線に印可された一次電圧を変換して前記二次巻線群に二次電圧を出力するトランスと、
前記一次巻線に接続され、前記一次電圧を生成する一次側回路と、
前記二次電圧を整流平滑して負荷に対する出力電圧を生成する整流平滑回路と、
前記出力電圧に寄与する前記二次巻線群の巻線数を前記負荷に応じて制御する制御手段と、
を有することを特徴とする電源装置を提供する。
本発明によれば、コストアップを抑えつつ効率を改善された電源装置が提供される。
画像形成装置を示す図 電源装置および電源システムを示すブロック図 比較例の電源回路を示す回路図 比較例の電流波形を示す図 実施例の電源回路を示す回路図 実施例の電源回路を示す回路図 実施例の出力電圧の周波数特性を示す図 実施例の共振トランスの電流波形を示す図
以下、添付図面を参照して実施形態が詳しく説明される。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一または同様の構成に同一の参照番号が付され、重複した説明は省略される。
<画像形成装置>
図1が示すように、電源装置120は画像形成装置100などの電子機器に搭載可能である。画像形成装置100は、4つの画像形成ステーションを備えている。第一のステーションはイエロー(y)の画像を形成するため、その構成部品の参照符号の末尾にはyが付与されている。第二のステーションはマゼンタ(m)の画像を形成するため、その構成部品の参照符号の末尾にはmが付与されている。第三のステーションはシアン(c)の画像を形成するため、その構成部品の参照符号の末尾にはcが付与されている。第四のステーションはブラック(k)の画像を形成するため、その構成部品参照符号の末尾にはkが付与されている。四つの色に共通する事項が説明される際には、参照符号からymckの文字が省略される。
感光ドラム101は静電潜像およびトナー画像を担持する像担持体である。帯電ローラ102は、感光ドラム101の表面を帯電させる。露光装置103は、感光ドラム101の表面に光を照射して静電潜像を形成する。現像器104はトナーを用いて静電潜像を現像してトナー画像を形成する。一次転写ローラ1005はトナー画像を中間転写ベルト107に転写する。中間転写ベルト107は、トナー画像を二次転写部に搬送する。二次転写部には二次転写ローラ対109が設けられている。
給紙カセット111は複数のシートPを収容する収容庫である。ピックアップローラ112は複数のシートPのうち最上位のシートPを搬送路へ送りだす。給紙ローラ対113はシートPをさらに下流へ搬送する。レジストレーションローラ対114はシートPを二次転写部に搬送する。
二次転写ローラ対109は、トナー画像を中間転写ベルト107からシートPへ転写する。定着器115は、シートPおよびトナー画像に熱と圧力を加えてトナー画像をシートP上に転写する。搬送ローラ116〜119はシートPを搬送し、画像形成装置100の外部に排出する。
電源装置120は、画像形成装置100の外部(例:商用交流電源)から供給される交流を直流に変換して画像形成装置100を動作せるための様々な直流電圧を生成する。画像形成装置100は、通常モードと待機モードを有している。電源装置120は、通常モードと待機モードとでは、異なるように動作する。
<電源システム>
図2(A)が示すように、電源装置120は、交流電圧Vacから所定の直流電圧Vdc1、Vdc2を生成する。電源装置120は、直流電圧Vdc1を制御装置203に供給するともに、直流電圧Vdc2を表示装置204および画像形成ユニット206に供給する。画像形成ユニット206は、感光ドラム101や中間転写ベルト107などを駆動するモータ、および露光装置103などを含む。
電源装置120は、サブ電源201とメイン電源202を含む。サブ電源201は、外部電源から交流電圧Vacを供給される限り直流電圧Vdc1を出力し続ける電源回路である。メイン電源202は、主に、画像形成ユニット206に供給される直流電圧Vdc2を出力する電源回路である。メイン電源202の電力容量はサブ電源201の電力容量よりも大きい。
サブ電源201はフライバックコンバータである。メイン電源202は電流共振コンバータである。制御装置203は、電力制御信号Vs1をメイン電源202に出力して、メイン電源202の電力制御モードを切り替える。制御装置203は、電力切替信号Vs2を切替回路205に出力することで、メイン電源202から画像形成ユニット206へ電力を供給するか否かを切り替える。切替回路205は、電力の遮断および導通を切り替えるリレーまたはスイッチ素子等である。表示装置204は、ユーザーが画像形成装置100の動作状態を確認することができる情報を表示するディスプレイ等である。
図2(B)が示すように、電力制御信号Vs1のレベルと電力切替信号Vs2のレベルは動作モードに応じて変更される。通常モードで画像形成ユニット206を動作させる場合、制御装置203から電力切替信号Vs2のレベルをLowからHighに変更する。電力切替信号Vs2がLowからHighに切り替わると、切替回路205が遮断状態(OFF状態)から導通状態(オン状態)に切り替わる。これにより、メイン電源202は、画像形成ユニット206に電力を供給可能となる。通常モードで、制御装置203は、電力制御信号Vs1をHighからLowに切り替える。
待機モードでは、制御装置203は、電力切替信号Vs2をHighからLowに切り替えることで、切替回路205を導通状態から遮断状態に変更する。これにより、画像形成ユニット206が動作電圧を失って停止するため、メイン電源202での損失が減少する。待機モードで、制御装置203は、電力制御信号Vs1をLowからHighに切り替える。
<一次側での効率改善手法>
図3は動作モードに応じて一次側の容量を切り替える電流共振コンバータ方式の電源回路300を示している。ダイオードブリッジDB1は、商用交流電源から供給された交流Vacを整流する整流回路である。一次平滑コンデンサC1は、ダイオードブリッジDB1の出力を平滑する平滑回路である。MOSFET Q1とMOSFET Q2はハーフブリッジ回路を構成しているとともに、一次平滑コンデンサC1に対して並列に接続されている。ハーフブリッジ回路の出力には、共振回路が接続されている。共振回路は、一次側と二次側と絶縁する共振トランスT1と、共振コンデンサC2とを有している。共振トランスT1は一次巻線Np、第一の二次巻線Ns1および第二の二次巻線Ns2を有している。第一の二次巻線Ns1および第二の二次巻線Ns2はセンタータップで接続されている。
この共振回路には、MOSFET Q1およびMOSFET Q2を約50%のデューティ比で交互に駆動することで生成された方形波が印加される。MOSFET Q1がON状態かつMOSFET Q2がOFF状態のとき(方形波がHighのとき)がある。この場合、一次平滑コンデンサC1からMOSFET Q1および一次巻線Npを介して共振コンデンサC2に共振電流I1が流れる。二次側には第一の二次巻線Ns1から整流ダイオードD1を介して二次平滑コンデンサC3に整流電流I3が供給される。
一方、MOSFET Q1がOFF状態かつMOSFET Q2がON状態のとき(方形波がLowのとき)がある。この場合、共振コンデンサC2から一次巻線NpおよびMOSFET Q2を介して共振電流I2が流れる。このとき、二次側では第二の二次巻線Ns2から整流ダイオードD2を介して二次平滑コンデンサC3に整流電流I4が供給される。整流電流I3、I4の供給により、電源回路は直流電圧Vdc2を出力する。
図4(A)は、一次巻線Npに流れる一次巻線電流INpを示している。一次巻線電流INpは、前述された共振電流I1およびI2を時系列に合成したものである。電流共振方式の電源回路は、一次巻線電流INpを全て二次側電流に変換するわけではない。電源回路は、一次負荷電流Iloadのみを二次側電流に変換する。つまり、共振トランスT1が有する励磁インダクタンスに流れる励磁電流Ilmは二次側電流に変換されない。一次巻線電流INpは一次負荷電流Iloadと励磁電流Ilmの合成電流である。励磁電流Ilmは、負荷に依存せず、共振回路が動作する限り流れ続ける電流である。そのため、電流共振方式では、無負荷時においても、一次側の共振回路内で励磁電流Ilmが流れる。励磁電流Ilmは、MOSFET Q1、MOSFET Q2および一次巻線Npでの損失となる。
図4(B)は二次巻線電流を示している。第一の二次巻線Ns1に流れる電流は、二次巻線電流INs1である。第二の二次巻線INs2に流れる電流は二次巻線電流INs2である。二次巻線電流INs1、INs2は、一次負荷電流Iloadを共振トランスT1の巻数比に応じて変換することで生成された電流である。
<二次側での効率改善手法>
図5は二次側での効率改善手法を採用した電源回路500を示している。図5において、すでに説明された構成要素には同一の参照符号が付与されており、その説明は援用される。この電源回路500はメイン電源202の電流共振コンバータとして採用可能である。本実施例では、負荷に依存しない励磁電流Ilmの実効値を低下させることで、軽負荷時の効率が向上する。
図5と図3(A)との相違点は、共振トランスT1の代りに共振トランスT2が用いられる点、二次側整流ダイオードが追加される点、およびスイッチ素子Q3で構成された切替回路が追加される点である。共振トランスT2には、共振トランスT1と比較して、第三の二次巻線Ns3および第四の二次巻線Ns4が追加されている。二次側整流ダイオードとしては、整流ダイオードD3および整流ダイオードD4が追加されている。整流ダイオードD3のアノードは第三の二次巻線Ns3の一端に接続されている。第三の二次巻線Ns3の他端は、第一の二次巻線Ns1の一端に接続されている。第三の二次巻線Ns3の他端と第一の二次巻線Ns1の一端とはセンタータップを形成しており、整流ダイオードD1のアノードに接続されている。整流ダイオードD3のカソードは抵抗R1の一端に接続されている。抵抗R1の他端は抵抗R2の一端に接続されている。抵抗R2の他端は、トランジスタQ4のコレクタに接続されている。トランジスタQ4のベースには、電流制御信号Vs1が印加される。トランジスタQ4のエミッタは接地されている。
ダイオードD1のカソードは、コンデンサC3の一端に接続されている。コンデンサC3は二次側の平滑回路を形成している。コンデンサC3の他端は接地されている。コンデンサC3の両端電圧が出力電圧Vdc2となる。コンデンサC3の他端は第一の二次巻線Ns1の他端と第二の二次巻線Ns2の一端とに接続されている。
第二の二次巻線Ns2の他端は、第四の二次巻線Ns4の一端および整流ダイオードD2のアノードに接続されている。つまり、第二の二次巻線Ns2の他端と第四の二次巻線Ns4の一端とが形成するセンタータップに整流ダイオードD2のアノードが接続されている。整流ダイオードD2のカソードはコンデンサC3の一端に接続されている。第四の二次巻線Ns4の他端は、抵抗R1の一端に接続されている。
スイッチ素子Q3のゲートは抵抗R1の他端と抵抗R2の一端に接続されている。スイッチ素子Q3のソースは抵抗R1の一端、整流ダイオードD3のカソード、および整流ダイオードD4のカソードに接続されている。スイッチ素子Q3のドレインは整流ダイオードD1のカソード、整流ダイオードD2のカソード、およびコンデンサC3の一端に接続されている。
整流ダイオードD3および整流ダイオードD4からの出力は切替回路を形成するスイッチ素子Q3に供給される。スイッチ素子Q3は、MOSFETであると仮定されている。抵抗R1、R2はスイッチ素子Q3の駆動回路素子である。トランジスタQ4は、電力制御信号Vs1に応じてスイッチ素子Q3の導通と遮断を制御するスイッチ素子である。スイッチ素子Q3は、第三の二次巻線Ns3および第四の二次巻線Ns4からの電力をコンデンサC3へ供給するか否かを切り替える。
図6では、通常モードにおける二次側の整流電流I3、I4のルートが示されている。通常モードでは、制御装置203から出力される電力制御信号Vs1がLowである。そのため、トランジスタQ4はOFFとなり、スイッチ素子Q3が遮断状態となる。整流電流I3、I4ルートは、図3に示されたものと同様である。つまり、第一の二次巻線Ns1および第二の二次巻線Ns2に生じた電圧により、整流ダイオードD1に整流電流I3が流れ、整流ダイオードD2に整流電流I4が流れる。整流電流I3、I4によってコンデンサC3が充電され、出力電圧Vdc2が生成される。
図6は、待機モードにおける二次側の整流電流I5、I6のルートを示している。待機モードでは、制御装置203から出力される電力制御信号Vs1がHighである。そのため、トランジスタQ4はONとなり、スイッチ素子Q3が導通状態となる。スイッチ素子Q3が導通状態となると、整流ダイオードD1、D2、D3、D4の各カソードの接続先がコンデンサC3となる。そのため、待機モードでは、第一の二次巻線Ns1と第三の二次巻線Ns3との合計巻線により出力される電圧が、通常モードにおける二次巻線Ns1のみの電圧よりも高くなる。そのため、整流ダイオードD1には電流が流れず、整流ダイオードD3に電流が流れる。その電流である整流電流I5が出力電圧Vdc2に寄与する。
もう一方の半波についての整流ダイオードD2、D4の関係も、整流ダイオードD1、D3と同様である。待機モードでは、第二の二次巻線Ns2と第四の二次巻線Ns4との合計巻線により出力される電圧が、通常モードにおける二次巻線Ns2のみの電圧よりも高くなる。そのため、整流ダイオードD2には電流が流れず、整流ダイオードD4に電流が流れる。待機モードでは、ダイオードD4を流れる整流電流I6が出力電圧Vdc2に寄与する。
これにより、通常モードにおける共振トランスT2の巻数比と待機モードにおける共振トランスT2の巻数比とが変化する。とりわけ、待機モードの巻数比は、通常モードの巻数比よりも小さくなる。
<巻数比と出力電圧の周波数特性との関係>
図7は軽負荷時における出力電圧の周波数特性を示す。縦軸は出力電圧Vdc2を示す。横軸は駆動周波数を示す。実線は図3に示された比較例の特性を示す。破線は図5に示された実施例の特性を示す。比較例の電源回路の定格電圧と実施例の電源回路の定格電圧は同じである。比較例の電源回路の負荷電流と実施例の電源回路の負荷電流も同じである。
共振トランスT1の巻数比はN1である。待機モードにおける共振トランスT2の巻数比はN2である。N1はN2よりも大きい。共振トランスT1の巻数比N1と、共振トランスT2の通常モードにおける巻数比N1は同じである。周波数特性は、(1)式から求められる。
Figure 2021182806
ここで、Voutは出力電圧である。Vacは商用交流電圧である。Nは巻数比である。Mは共振回路ゲインである。共振回路ゲインMは周波数を変数とした関数である。比較例について、定格電圧を出力するために必要となる一次側の駆動周波数はf1である。実施例について、定格電圧を出力するために必要となる一次側の駆動周波数はf2である。
図7が示すように、駆動周波数f1よりも駆動周波数f2のほうが高い。商用交流電圧Vacおよび出力電圧Voutが定数である場合、(1)式から、巻数比Nが小さくなることで、共振回路ゲインMも小さくなることがわかる。共振回路ゲインMは周波数を変数とした関数であるため、駆動周波数fを適切な値に設定することで定格電圧を出力することが可能となる。
実施例の巻数比N2が比較例の巻数比N1より小さくなることで、実施例の駆動周波数f2は、比較例の駆動周波数f1よりも高くなることが分かる。一次負荷電流Iloadは(2)式から求められる。励磁電流Ilmは(3)式から求められる。
Figure 2021182806
Figure 2021182806
Ioutは負荷電流である。fは駆動周波数である。Lmは励磁インダクタンスである。(2)式から、巻数比が小さくなれば、一次負荷電流Iloadが大きくなることがわかる。一方、負荷電流Ioutは、軽負荷時において、そもそも殆ど流れない。そのため、励磁電流Ilmが一次巻線電流INpの支配的な電流となる。
(3)式から、駆動周波数fが大きくなることで、励磁電流Ilmが小さくなることがわかる。よって、軽負荷時の一次側の主な損失源である励磁電流Ilmは、巻数比Nを小さくすることで低減可能である。
一方で、スイッチ素子Q3が導通状態のままで、負荷電流Ioutを流す場合、(2)式から、負荷電流Ioutが増加することがわかる。また、巻数比Nが小さいため、一次負荷電流Iloadが上昇してしまう。
(3)式から、励磁電流Ilmは負荷に依存しないことがわかる。したがって、通常モードでは、一次負荷電流Iloadおよび負荷電流Ioutによる損失が支配的である。通常モードでの効率を上げるためには巻数比Nを大きくする必要がある。
図8(A)は比較例におけるゲート電圧Vg、一次巻線電流INpおよび二次側整流電流Idを示している。図8(B)は実施例におけるゲート電圧Vg、一次巻線電流INpおよび二次側整流電流Idを示している。横軸は時間を示している。なお、図8(A)の縦軸のスケールと図8(B)の縦軸のスケールは一致している。ここでは待機モードについて特性が示されている。
ゲート電圧Vgについては、実線がMOSFET Q2のゲート電圧Vglを示し、破線がMOSFET Q1のゲート電圧Vghを示している。Id1は、ゲート電圧VghがHighのときに整流ダイオードD1に流れる二次側整流電流である。Id2は、ゲート電圧VglがHighのときに整流ダイオードD2に流れる二次側整流電流である。
図8(B)において、Id3は、ゲート電圧VghがHighのときに整流ダイオードD3に流れる二次側整流電流である。Id4は、ゲート電圧VglがHighのときに整流ダイオードD4に流れる二次側整流電流である。
図8(A)と図8(B)とを比較すると、比較例の駆動周波数に対して、実施例の駆動周波数が高いことがわかる。それに合わせて、比較例の一次巻線電流INpに対して実施例の一次巻線電流INpは少なくなっている。
二次側整流電流に着目すると、待機モードと通常モードとでは、二次側整流電流が流れる整流ダイオードが異なっていることがわかる。二次側の巻線抵抗値は一次側の巻線抵抗値よりも小さい。そのため、実効値が低下しても、効率への影響が小さい。つまり、一次側の損失が効率に大きく影響する。一次巻線電流INpの実効値が低下すると、共振トランスTの一次巻線抵抗による損失および鉄損、MOSFET Q1、MOSFET Q2の導通損失が減少するため、電源回路の効率が向上する。
このように、実施例では四つの二次巻線を有する共振トランスT2が採用される。二次巻線の数は5つ以上であってもよい。各二次巻線には整流回路が接続される。整流回路は、単一の整流ダイオードや半波整流回路であってもよい。負荷の大きさに応じて、各整流回路の有効化と無効化を切り替えるスイッチ素子が採用される。これは、実質的に共振トランスT2の巻数比Nを変更することを可能にする。一次側に採用される部品は高耐圧で高価な部品であるが、二次側に採用される部品は低耐圧で安価な部品である。よって、電源回路のコストアップを抑えつつ、軽負荷時の効率を向上させることが可能となる。
<実施例から導き出される技術思想>
[観点1]
図5などが示すように、共振トランスT2は、一次巻線と、複数の二次巻線からなる二次巻線群とを有し、一次巻線に印加された一次電圧を変換して二次巻線群に二次電圧を出力するトランスの一例である。ダイオードブリッジDB1、コンデンサC1、C2およびMOSFET Q1,Q2は、一次巻線に接続され、一次電圧を生成する一次側回路の一例である。整流ダイオードD1〜D4およびコンデンサC3は、二次電圧を整流平滑して負荷に対する出力電圧を生成する整流平滑回路の一例である。制御装置203、トランジスタQ4,スイッチ素子Q3および抵抗R1,R2は、出力電圧に寄与する二次巻線群の巻線数を負荷に応じて制御する制御手段の一例である。本実施例は、出力電圧に寄与する二次巻線群の巻線数を負荷に応じて制御することで、コストアップを抑えつつ効率を改善された電源装置を提供できる。
[観点2]
図5が示すように、二次巻線群は、第一の二次巻線、第二の二次巻線、第三の二次巻線および第四の二次巻線を有してもよい。制御装置203は、負荷が閾値以上でなければ、第一の二次巻線、第二の二次巻線、第三の二次巻線および第四の二次巻線のすべてを有効化して二次電圧を生成させてもよい。制御装置203は、負荷が閾値以上であれば、第一の二次巻線、および第二の二次巻線を有効化し、第三の二次巻線および第四の二次巻線を無効化して二次電圧を生成させるように構成されてもよい。ここで、有効化とは、二次巻線を出力電圧の生成に寄与させることである。無効化とは、二次巻線を出力電圧の生成に寄与させることである。負荷が閾値以上であるとは、たとえば、通常モードに設定されることであってもよい。負荷が閾値以上でないとは、たとえば、待機モード(省電力モード)に設定されることであってもよい。
[観点3]
スイッチ素子Q3は、負荷に応じた制御電圧を印加される制御端子と、制御電圧に応じて導通と遮断とが切り替わるスイッチ回路の一例である。スイッチ回路は、負荷が閾値以上でないことに対応した制御電圧を印加される場合がある。この場合、スイッチ回路は導通状態となる。導通状態では、第三の二次巻線および第四の二次巻線が有効化される。その結果、第一の二次巻線、第二の二次巻線、第三の二次巻線および第四の二次巻線のすべてが、一次巻線に対する巻数比に貢献する。スイッチ回路は、負荷が閾値以上であることに対応した制御電圧を印加される場合がある。この場合、スイッチ回路は遮断状態となる。遮断状態では、第三の二次巻線および第四の二次巻線が無効化される。その結果、第一の二次巻線、および第二の二次巻線が巻数比に貢献し、第三の二次巻線および第四の二次巻線が巻数比に貢献しない。
[観点4]
整流平滑回路は複数の整流回路を有してもよい。整流ダイオードD1は、第一の二次巻線に接続され、第一極性の半波を整流する第一整流回路の一例である。整流ダイオードD2は、第二の二次巻線に接続され、第二極性の半波を整流する第二整流回路の一例である。整流ダイオードD3は、第三の二次巻線に接続され、第一極性の半波を整流する第三整流回路の一例である。整流ダイオードD4は、第四の二次巻線に接続され、第二極性の半波を整流する第四整流回路の一例である。平滑コンデンサC3は、第一整流回路、第二整流回路、第三整流回路、および第四整流回路により生成された脈流を平滑して出力電圧を生成する平滑回路の一例である。負荷が閾値以上でない場合がある。この場合、スイッチ素子Q3は、第三整流回路に脈流を流し、第一整流回路に脈流を流さず、第四整流回路に脈流を流し、第二整流回路に脈流を流さないように、平滑回路に対する第一整流回路、第二整流回路、第三整流回路および第四整流回路の接続を制御する。負荷が閾値以上である場合がある。この場合、スイッチ素子Q3は、第一整流回路に脈流を流し、第三整流回路に脈流を流さず、第二整流回路に脈流を流し、第四整流回路に脈流を流さないように、平滑回路に対する第一整流回路、第二整流回路、第三整流回路および第四整流回路の接続を制御する。
[観点5〜7]
図5が示すように、第一の二次巻線の極性と第三の二次巻線の極性とは同極性であってもよい。第一の二次巻線と第三の二次巻線とが直列に接続されている。第二の二次巻線の極性と第四の二次巻線の極性とは同極性であってもよい。第二の二次巻線と第四の二次巻線とが直列に接続されていてもよい。第一の二次巻線の極性と第二の二次巻線の極性とは同極性であってもよい。第一の二次巻線と第二の二次巻線とが直列に接続されていてもよい。第一の二次巻線と第二の二次巻線との接続点(センタータップ)は接地されていてもよい。
[観点8]
第一整流回路は第一半波整流素子(例:整流ダイオードD1)を有してもよい。第二整流回路は第二半波整流素子(例:整流ダイオードD2)を有してもよい。第三整流回路は第三半波整流素子(例:整流ダイオードD3)を有してもよい。第四整流回路は第四半波整流素子(例:整流ダイオードD4)を有してもよい。図5が示すように、第一半波整流素子のアノードは第一の二次巻線に接続されていてもよい。第一半波整流素子のカソードは平滑回路に接続されていてもよい。第二半波整流素子のアノードは第二の二次巻線に接続されていてもよい。第二半波整流素子のカソードは平滑回路に接続されていてもよい。第三半波整流素子のアノードは第三の二次巻線に接続されていてもよい。第三半波整流素子のカソードは平滑回路に接続されていてもよい。第四半波整流素子のアノードは第四の二次巻線に接続されていてもよい。第四半波整流素子のカソードは平滑回路に接続されていてもよい。
[観点9、10]
第三半波整流素子のカソードと平滑回路との間に設けられた第一スイッチ素子と、第四半波整流素子のカソードと平滑回路との間に設けられた第二スイッチ素子とが設けられてもよい。制御装置203は、負荷が閾値以上でないことに対応した制御電圧を用いて、第一スイッチ素子および第二スイッチ素子を導通させてもよい。制御装置203は、負荷が閾値以上であることに対応した制御電圧を用いて、第一スイッチ素子および第二スイッチ素子を遮断してもよい。図5が示すように、第一スイッチ素子と第二スイッチ素子は同一のスイッチ素子(例:スイッチ素子Q3)であってもよい。
[観点11]
図2(A)が示すようにサブ電源201は、交流電圧から第一の直流電圧を生成するサブ電源の一例である。メイン電源202は、交流電圧から第二の直流電圧を生成するメイン電源の一例である。制御装置203は、サブ電源から第一の直流電圧を供給されて動作し、メイン電源を制御する制御装置の一例である。メイン電源202は、図5に記載された電源装置(電源回路)を含んでもよい。
[観点12]
画像形成ユニット206は、シートに画像を形成する画像形成手段の一例である。電源装置120は、画像形成手段に電力を供給する電源システムの一例である。
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項が添付される。
202:メイン電源、T2:共振トランス、C3:平滑コンデンサ、Q3:スイッチ素子

Claims (12)

  1. 一次巻線と、複数の二次巻線からなる二次巻線群とを有し、前記一次巻線に印加された一次電圧を変換して前記二次巻線群に二次電圧を出力するトランスと、
    前記一次巻線に接続され、前記一次電圧を生成する一次側回路と、
    前記二次電圧を整流平滑して負荷に対する出力電圧を生成する整流平滑回路と、
    前記出力電圧に寄与する前記二次巻線群の巻線数を前記負荷に応じて制御する制御手段と、
    を有することを特徴とする電源装置。
  2. 前記二次巻線群は、第一の二次巻線、第二の二次巻線、第三の二次巻線および第四の二次巻線を有し、
    前記制御手段は、
    前記負荷が閾値以上でなければ、前記第一の二次巻線、前記第二の二次巻線、前記第三の二次巻線および前記第四の二次巻線のすべてを有効化して前記二次電圧を生成させ、
    前記負荷が閾値以上であれば、前記第一の二次巻線、および前記第二の二次巻線を有効化し、前記第三の二次巻線および前記第四の二次巻線を無効化して前記二次電圧を生成させるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電源装置。
  3. 前記制御手段は、
    前記負荷に応じた制御電圧を印加される制御端子と、前記制御電圧に応じて導通と遮断とが切り替わるスイッチ回路を有し、
    前記スイッチ回路は、
    前記負荷が閾値以上でないことに対応した前記制御電圧が印加されると、前記第一の二次巻線、前記第二の二次巻線、前記第三の二次巻線および前記第四の二次巻線のすべてが、前記一次巻線に対する巻数比に貢献するように、前記第三の二次巻線および前記第四の二次巻線を有効化する導通状態となり、
    前記負荷が閾値以上であることに対応した前記制御電圧が印加されると、前記第一の二次巻線、および前記第二の二次巻線が前記巻数比に貢献し、前記第三の二次巻線および前記第四の二次巻線が前記巻数比に貢献しないように、前記第三の二次巻線および前記第四の二次巻線を無効化する遮断状態となる、ことを特徴とする請求項2に記載の電源装置。
  4. 前記整流平滑回路は、
    前記第一の二次巻線に接続され、第一極性の半波を整流する第一整流回路と、
    前記第二の二次巻線に接続され、第二極性の半波を整流する第二整流回路と、
    前記第三の二次巻線に接続され、前記第一極性の半波を整流する第三整流回路と、
    前記第四の二次巻線に接続され、前記第二極性の半波を整流する第四整流回路と、
    前記第一整流回路、前記第二整流回路、前記第三整流回路、および前記第四整流回路により生成された脈流を平滑して前記出力電圧を生成する平滑回路と、を有し、
    前記制御手段は、
    前記負荷が閾値以上でなければ、前記第三整流回路に前記脈流を流し、前記第一整流回路に前記脈流を流さず、前記第四整流回路に前記脈流を流し、前記第二整流回路に前記脈流を流さないように、前記平滑回路に対する前記第一整流回路、前記第二整流回路、前記第三整流回路、および前記第四整流回路の接続を制御し、
    前記負荷が閾値以上であれば、前記第一整流回路に前記脈流を流し、前記第三整流回路に前記脈流を流さず、前記第二整流回路に前記脈流を流し、前記第四整流回路に前記脈流を流さないように、前記平滑回路に対する前記第一整流回路、前記第二整流回路、前記第三整流回路、および前記第四整流回路の接続を制御するように構成されている、請求項2に記載の電源装置。
  5. 前記第一の二次巻線の極性と前記第三の二次巻線の極性とは同極性であり、
    前記第一の二次巻線と前記第三の二次巻線とが直列に接続されていることを特徴とする請求項4に記載の電源装置。
  6. 前記第二の二次巻線の極性と前記第四の二次巻線の極性とは同極性であり、
    前記第二の二次巻線と前記第四の二次巻線とが直列に接続されていることを特徴とする請求項4または5に記載の電源装置。
  7. 前記第一の二次巻線の極性と前記第二の二次巻線の極性とは同極性であり、
    前記第一の二次巻線と前記第二の二次巻線とが直列に接続されており、
    前記第一の二次巻線と前記第二の二次巻線との接続点は接地されていることを特徴とする請求項5または6に記載の電源装置。
  8. 前記第一整流回路は第一半波整流素子を有し、
    前記第二整流回路は第二半波整流素子を有し、
    前記第三整流回路は第三半波整流素子を有し、
    前記第四整流回路は第四半波整流素子を有し、
    前記第一半波整流素子のアノードは前記第一の二次巻線に接続されており、
    前記第一半波整流素子のカソードは前記平滑回路に接続されており、
    前記第二半波整流素子のアノードは前記第二の二次巻線に接続されており、
    前記第二半波整流素子のカソードは前記平滑回路に接続されており、
    前記第三半波整流素子のアノードは前記第三の二次巻線に接続されており、
    前記第三半波整流素子のカソードは前記平滑回路に接続されており、
    前記第四半波整流素子のアノードは前記第四の二次巻線に接続されており、
    前記第四半波整流素子のカソードは前記平滑回路に接続されていることを特徴とする請求項7に記載の電源装置。
  9. 前記第三半波整流素子のカソードと前記平滑回路との間に設けられた第一スイッチ素子と、
    前記第四半波整流素子のカソードと前記平滑回路との間に設けられた第二スイッチ素子と、をさらに有し、
    前記制御手段は、
    前記負荷が閾値以上でないことに対応した制御電圧を用いて、前記第一スイッチ素子および前記第二スイッチ素子を導通させ、
    前記負荷が閾値以上であることに対応した制御電圧を用いて、前記第一スイッチ素子および前記第二スイッチ素子を遮断することを特徴とする請求項8に記載の電源装置。
  10. 前記第一スイッチ素子と前記第二スイッチ素子は同一のスイッチ素子であることを特徴とする請求項9に記載の電源装置。
  11. 交流電圧から第一の直流電圧を生成するサブ電源と、
    交流電圧から第二の直流電圧を生成するメイン電源と、
    前記サブ電源から前記第一の直流電圧を供給されて動作し、前記メイン電源を制御する制御装置と、を有し、
    前記メイン電源は、請求項1ないし10のいずれか一項に記載された電源装置を含むことを特徴とする電源システム。
  12. シートに画像を形成する画像形成手段と、
    前記画像形成手段に電力を供給する、請求項11に記載の電源システムと、を有することを特徴とする画像形成装置。
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