JP2021180165A - 燃料電池セル構造及び燃料電池セル構造の製造方法 - Google Patents

燃料電池セル構造及び燃料電池セル構造の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2021180165A
JP2021180165A JP2020086306A JP2020086306A JP2021180165A JP 2021180165 A JP2021180165 A JP 2021180165A JP 2020086306 A JP2020086306 A JP 2020086306A JP 2020086306 A JP2020086306 A JP 2020086306A JP 2021180165 A JP2021180165 A JP 2021180165A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fuel
layer
catalyst layer
fuel cell
metal support
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020086306A
Other languages
English (en)
Inventor
遥平 三浦
Yohei Miura
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP2020086306A priority Critical patent/JP2021180165A/ja
Publication of JP2021180165A publication Critical patent/JP2021180165A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

Landscapes

  • Fuel Cell (AREA)

Abstract

【課題】炭素析出及び触媒劣化の双方を抑制することのできる燃料電池セル構造を実現する。【解決手段】電極層及び電解質層が金属支持層の一方の面に支持され他方の面にセパレータが取り付けられる内部改質型の燃料電池セルを含み、金属支持層とセパレータとの間に燃料流路が形成される燃料電池セル構造であって、燃料流路の上流領域において金属支持層に設けられた第1改質触媒層と、燃料流路の下流領域において金属支持層に設けられた第2改質触媒層と、燃料流路のガス流れ方向における第1改質触媒層の端部に設けられるとともに、該第1改質触媒層をバイパスして金属支持層に燃料が流出することを抑制する燃料流出防止膜と、を備える燃料電池セル構造を提供する。特に、第1改質触媒層は、第2改質触媒層に比べて炭素析出を抑制する効果が高い材料により構成され、燃料流出防止膜は、炭素酸化物を吸収する炭素酸化物吸収材を含む。【選択図】図3

Description

本発明は、燃料電池セル構造、及び燃料電池セル構造の製造方法に関する。
特許文献1には、燃料電極と酸化剤電極とを電解質マトリックスを介して対向するように配置した単電池が提案されている。この単電池では、燃料電極に設けられた燃料通路に燃料改質触媒が充填される。特に、特許文献1の単電池では、燃料通路の燃料の流れ方向の上流側に、下流側よりも炭素析出性の低い燃料改質触媒が配置される
特開昭63−310574号公報
しかしながら、炭素析出性の低い燃料改質触媒は、炭素酸化物(特に二酸化炭素)に対して反応性を示す触媒材料(バリウムなど)で構成される。このため、当該触媒材料が炭素酸化物と反応することにより劣化するという問題があった。
このような事情に鑑み、本発明の目的は、炭素析出及び触媒劣化の双方を抑制することのできる燃料電池セル構造を実現することにある。
本発明のある態様によれば、電極層及び電解質層が金属支持層の一方の面に支持されるとともに他方の面にセパレータが取り付けられる内部改質型の燃料電池セルを含み、金属支持層の他方の面とセパレータの表面との間の空間に燃料流路が形成される燃料電池セル構造が提供される。この燃料電池セル構造は、燃料流路の上流領域において金属支持層の他方の面に設けられた第1改質触媒層と、燃料流路の下流領域において金属支持層の他方の面に設けられた第2改質触媒層と、燃料流路のガス流れ方向における第1改質触媒層の端部に設けられるとともに、該第1改質触媒層をバイパスして金属支持層に燃料が流出することを抑制する燃料流出防止膜と、を備える。そして、第1改質触媒層は、第2改質触媒層に比べて改質反応に起因した炭素析出を抑制する効果が高い材料により構成され、燃料流出防止膜は、第1改質触媒層における改質反応により生成される炭素酸化物を吸収する炭素酸化物吸収材を含む。
本発明によれば、炭素析出及び触媒劣化の双方を抑制することのできる燃料電池セル構造を実現することができる。
図1は、各実施形態及び変形例に共通する燃料電池セル構造の構成を説明する図である。 図2は、燃料電池セル構造の要部(図1の丸囲み部分)拡大図である。 図3は、第1実施形態に係る燃料電池セル構造の詳細な構成を説明する図である。 図4は、第1改質触媒層及び燃料流出防止膜の構造を模式的に示す図である。 図5は、第1改質触媒層の端部が燃料流出防止膜に重なることによる作用効果を説明するための図である。 図6は、燃料電池セル構造の製造方法に係る各工程を説明する図である。 図7Aは、第2実施形態に係る燃料電池セル構造の構成を説明する図である。 図7Bは、図7A(b)の部分拡大図である。 図8は、変形例1に係る燃料電池セル構造の構成を説明する図である。 図9は、変形例2に係る製造方法の技術的意義を説明する図である。 図10は、変形例3に係る燃料電池スタックの構成を説明する図である。
以下、本発明の各実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、本実施形態に係る燃料電池セル構造としての燃料電池スタック10の構成を説明する図である。なお、以下では、説明の便宜のため、XYZ直交座標系を各図中に示す。また、必要に応じて図中のX軸方向を「電極幅方向X」、Y軸方向を「ガス流れ方向Y」、及びZ軸方向を「積層方向Z」とそれぞれ称する。
図示のように、本実施形態の燃料電池スタック10は、固体酸化物型燃料電池(Solid Oxide Fuel Cells:SOFC)として構成される複数(図1では4つを示す)のセルユニット20とセパレータ30が順次積層されてなる直接内部改質型の積層型燃料電池である。
特に、本実施形態の燃料電池スタック10は、各種電気機器の電源等としての定置電源用途、及び電気自動車やハイブリッド自動車等の移動車両に搭載される移動体用の電源用途の何れにも適用可能である。
<セルユニット20>
本実施形態のセルユニット20は、金属支持層22の一方の面(第1表面22a)に燃料極層(アノード電極層24)、電解質層26及び空気極層(カソード電極層28)がこの順で積層されることで構成される。特に、本実施形態の燃料電池スタック10は、セルユニット20の金属支持層22の他方の面(第2表面22b)にセパレータ30が設けられ、このセパレータ30を介して隣接するセルユニット20が積層されてなるメタルサポート型燃料電池として構成される。そして、燃料ガスを供給するための燃料ガス流路32が金属支持層22の第2表面22bとセパレータ30の第1表面30aの間の空間として構成される。また、酸化剤ガス(空気)を供給するための酸化剤ガス流路34は、セパレータ30の第2表面30bと隣接するセルユニット20のカソード電極層28との間の空間として構成される。
<金属支持層22>
金属支持層22は、アノード電極層24、電解質層26、及びカソード電極層28を支持すると共に、燃料ガス流路32に接触する第2表面22bに第1改質触媒層40及び第2改質触媒層42(図2に以降で示す)が設けられている。なお、第1改質触媒層40及び第2改質触媒層42の詳細については後述する。
金属支持層22は、アノード電極層24、電解質層26、及びカソード電極層28を支持するための一定の機械的強度を備えるとともに、ガス透過性及び電子伝導性を有する多孔質の金属材料により形成される。金属支持層22として、例えば、金属粒子や金属繊維を焼結又はプレス加工等によって固めたものや、金属板をエッチング処理や機械的処理により穴を開けて多孔質体としたもの等を使用することができる。特に、金属支持層22を、金属粒子を焼結させた多孔質体により構成することが好ましい。
上記金属支持層22を構成する具体的な金属材料としては、鉄(Fe)、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、又はこれらの合金(特にステンレス鋼)などを挙げることができる。より具体的には、金属支持層22を構成する金属材料として、フェライト系ステンレス鋼が挙げられる。特に、フェライト系ステンレス鋼としては、SUS410、SUS420、SUS430、SUS440等のSUS400系が挙げられる。より好ましくは、Crofer(登録商標)22合金(ThyssenKrupp・VDM社製)、ZMG(登録商標)232G10(日立金属株式会社製)、ITM(Plansee社製)、又はSanergyHT(Sandvik社製)などのFe−Cr合金が用いられる。
<アノード電極層24>
アノード電極層24は、燃料極であって、燃料ガスと酸化剤ガス由来の酸化物イオンを反応させて、燃料ガスの酸化物を生成するとともに電子を取り出す機能を果たす層である。アノード電極層24は、電解質層26の図上の下面に接するように設けられた板状の多孔質部材として構成される。また、アノード電極層24は、還元雰囲気に耐性を有するとともに、燃料ガスを透過させるガス透過性、電子伝導性、及びイオン電導性が高くなるように構成される。さらに、アノード電極層24は、燃料ガスを酸化物イオンと反応させる酸化反応に対する触媒機能を有する。
アノード電極層24の構成材料としては、例えばニッケル若しくは鉄等の金属、又は該金属と固体酸化物セラミックとのサーメット等が挙げられる。さらに、固体酸化物セラミックとしては、希土類酸化物(例えば、Y23、Sc23、Gd23、Sm23、Yb23、及びNd23なる群から選択される1種又は2種以上の材料)をドープした安定化ジルコニア、セリア系固溶体、又はペロブスカイト型酸化物(例えば、SrCeO3、BaCeO3、CaZrO3、又はSrZrO3等)などが挙げられる。
なお、本実施形態の燃料電池スタック10において用いることが可能な燃料は、水素の発生源となる任意の炭化水素系燃料、特にアルカン、アルケン、アルキン、又は芳香族炭化水素の他、炭化水素以外の元素(例えば酸素)を含む官能基を含む、アルコール、アルデヒド、ケトン、又はエーテル等である。特に、本実施形態では、メタン(CH4)燃料が用いられる。
<電解質層26>
電解質層26は、燃料ガスと酸化剤ガスを分離する機能を有する。電解質層26は、カソード電極層28からアノード電極層24に向かって酸化物イオンを通過させつつ、ガスと電子を通過させないように構成される。
また、電解質層26は、アノードガスやカソードガスを遮蔽し、高いイオン伝導性を発現するために、緻密に構成される。より詳細に、電解質層26の緻密度は、ガス遮蔽性を有する限りにおいて特に限定されないが、90%以上あることが好ましく、96%以上であることがより好ましく、98%以上であることが特に好ましい。また、電解質層26は、数十ミクロン程度の厚さを有する板体として形成されている。
電解質層26の構成材料としては、希土類酸化物(例えば、Y23、Sc23、Gd23、Sm23、Yb23、及びNd23からなる群から選択される1種又は2種以上の材料)をドープした安定化ジルコニア、セリア系固溶体、又はペロブスカイト型酸化物(例えば、SrCeO3、BaCeO3、CaZrO3、又はSrZrO3等)などの固体酸化物セラミックが挙げられる。より具体的には、電解質層26の構成材料として、YSZ(イットリア安定化ジルコニア:Zr1-xx2)、SSZ(スカンジウム安定化ジルコニア:Zr1-xcx2)、SDC(サマリウムドープトセリア:Ce1-xSmx2)、GDC(ガドリウムドープトセリア:Ce1-xGdx2)、又はLSGM(ランタンストロンチウムマグネシウムガレート:La1-xSrxGa1-yMgy3)などを用いることができる。
<カソード電極層28>
カソード電極層28は、酸化剤極であって、酸化剤ガス(特に空気)と電子を反応させて、酸素分子を酸化物イオンに変換する機能を果たす層である。カソード電極層28は、電解質層26の積層方向Zにおける上面に接するように設けられた板状の多孔質部材として構成される。また、カソード電極層28は、酸化雰囲気に耐性を有し、酸化剤ガスを透過させるガス透過性、電子伝導性、及びイオン電導性が高くなるように構成される。さらに、カソード電極層28は、酸素分子を酸素イオンに変換する還元反応に対する触媒機能を有する。
カソード電極層28の構成材料としては、例えば、ランタン、ストロンチウム、マンガン(Mn)、及びコバルトからなる群から選択される1種の金属又は2種以上の金属からなる合金の酸化物が挙げられる。特に、カソード電極層28の構成材料として、ランタンストロンチウムコバルト鉄複合酸化物(LSCF)を用いることができる。
<セパレータ30>
セパレータ30は、電極幅方向Xに延在する断面凹凸状の部材として構成される。このような凹凸状構造を有することにより、セパレータ30の第1表面30aと金属支持層22の第2表面22bの間に燃料ガス流路32が形成されるとともに、セパレータ30の第2表面30bと金属支持層22の第1表面22aの間に酸化剤ガス流路34が構成されることとなる。セパレータ30は、鉄又はクロム等の導電性金属材料をプレス成型することにより形成される。特に、本実施形態のセパレータ30の第1表面30aには、金属支持層22の第1表面22aに接触する突起部30cが形成されている。
<第1改質触媒層40及び第2改質触媒層42>
図2は、燃料電池スタック10の要部(図1の丸囲み部分)拡大図である。図示のように、燃料電池スタック10の金属支持層22の第2表面22bには、燃料ガス流路32における燃料ガス入口32aに相対的に近い上流領域Auにおいて第1改質触媒層40における燃料ガス入口32aに相対的に遠い燃料ガス流路32の下流領域Adにおいて第2改質触媒層42が設けられている。
第1改質触媒層40は、炭素析出が抑制されつつ燃料ガスを水素ガスに変換する改質反応を促進する材料により構成される。特に、第1改質触媒層40は、酸化物で構成される担体(触媒担体40a)に触媒の微粒子(触媒粒子40b)が担持されることで構成される。
第1改質触媒層40の触媒担体40aは、例えば、酸化バリウム(BaO)、酸化マグネシウム(MgO)、若しくは酸化カルシウム(CaO)などの金属酸化物、当該金属酸化物の1種若しくは2種以上の混合物、又はこれらの固溶体により構成される。特に、第1改質触媒層40の触媒担体40aは、BZCY(BaZrxCeyzw:x,y,z,wは任意の化学量論組成)により構成されることが好ましい。
第1改質触媒層40の触媒粒子40bは、例えば、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、銅(Cu)、モリブデン(Mo)、若しくはランタン(La)等の遷移金属、ルテニウム(Ru)、白金(Pt)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、銀(Ag)、若しくはパラジウム(Pd)等の貴金属、又はこれらの1種若しくは2種以上の混合物で構成される微粒子(特にナノ粒子)により構成される。
一方、第2改質触媒層42は、燃料ガスを水素ガスに変換する改質反応(特に水蒸気改質反応)を促進する材料により構成される。特に、第2改質触媒層42の担体は、アルミナ等で構成される。また、第2改質触媒層42の触媒粒子は、例えば、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、若しくは銅(Cu)等の遷移金属、ランタン(La)等の希土類元素、ルテニウム(Ru)、白金(Pt)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、銀(Ag)、若しくはパラジウム(Pd)等の貴金属、又はこれらの1種若しくは2種以上の混合物で構成される微粒子(特にナノ粒子)により構成される。
ここで、燃料ガス流路32の上流領域Auに第1改質触媒層40を設け、下流領域Adに水蒸気改質反応を促進する第2改質触媒層42を設ける意義について説明する。
本実施形態の燃料電池スタック10のような直接内部改質型のSOFCでは、炭化水素系燃料(特にメタン燃料)がスタック内部の燃料ガス流路32を流れる過程において、当該燃料が改質(主に水蒸気改質反応)される。この改質反応は、以下の化学式(1)のように、メタン成分と水とを反応させることによって水素及び酸化炭素成分(CO又はCO2など)を生成する吸熱反応である。
[化1]
CH4+H2O→CO+3H2−Q・・・(1)
このため、メタン成分を反応させる観点から十分な水分が確保されていない場合にはこの水蒸気改質反応が進まず、触媒材料と意図しない反応を起こし、当該触媒表面に発電性能の低下の要因となる炭素析出が生じることがある。そして、特に、直接内部改質型のSOFCの場合、燃料ガス入口32aに比較的近い燃料ガス流路32の上流領域Auにおいては、燃料ガスの改質が十分に進行しておらず発電反応が生じにくい。このため、燃料ガス入口32aから離れた下流領域Adに比べて、発電による生成水が少なく水分が不足する傾向にある。その結果、上流領域Auでは、下流領域Adに比べてメタン成分と触媒材料との意図しない反応に起因する炭素析出が生じやすくなる。
したがって、本実施形態の燃料電池スタック10では、水分が不足し易い燃料ガス流路32の上流領域Auにおいては、通常の改質触媒材料よりも活性が高く炭素析出抑制効果がより高い第1改質触媒層40を配置している。これにより、水分が少ない上流領域Auにおいても、炭素析出を抑制しつつ発電に必要な水素を生成することができる。
一方で、本発明者らは、この炭素析出抑制効果の高い第1改質触媒層40に含有される金属材料が改質反応で生じる一酸化炭素又は二酸化炭素などの炭素酸化物と反応してBaCO3、CaCo3、又はMgCO3などの金属炭酸塩が生成され、当該金属炭酸塩が触媒を劣化させるという問題点を見出した。本発明者らは、鋭意研鑽の結果、この問題点を解消し得る構成を備えた本実施形態の燃料電池スタック10を開発するに至った。以下では、当該問題点を解消する燃料電池スタック10の構成を詳細に説明する。
なお、本明細書において「燃料ガス流路32の上流領域Au」とは、メタン成分の水蒸気改質反応を適切に進行させる観点から定まる一定量の生成水を確保できない程度に燃料ガス入口32aに近い領域を意味する。すなわち、「燃料ガス流路32の上流領域Au」は、水蒸気改質反応を促進する第2改質触媒層42を配置すると仮定した場合に、炭素析出が燃料電池スタック10に要求される発電性能を確保する観点から許容される限度を超えて生じる領域に相当する。
一方、「燃料ガス流路32の下流領域Ad」とは、メタン成分の水蒸気改質反応を適切に進行させる観点から定まる一定量の生成水を確保できる程度に燃料ガス入口32aから遠い領域を意味する。すなわち、「燃料ガス流路32の下流領域Ad」は、水蒸気改質反応を促進する第2改質触媒層42を配置しても、炭素析出が燃料電池スタック10に要求される発電性能を確保する観点から許容される限度以下となる領域に相当する。「燃料ガス流路32の上流領域Au」及び「燃料ガス流路32の下流領域Ad」の間の境界となる具体的な位置は、燃料電池スタック10の設計などに応じて適宜決まるものであるが、例えば、セルユニット20のガス流れ方向Yにおける略中央位置(燃料ガス入口32aと燃料ガス出口32bの略中間位置)に設定することができる。
図3は、本実施形態の燃料電池スタック10の詳細な構成を説明する図である。特に図3には、図2に示す燃料電池スタック10をガス流れ方向Yに沿って視た場合の概略構成を示している。図示のように、本実施形態の燃料電池スタック10では、第1改質触媒層40が、金属支持層22の第2表面22bに燃料ガス流路32の上流領域Auにおいて、電極幅方向X及びガス流れ方向Yにおける所定範囲に伸張するように設けられている。特に、第1改質触媒層40は、電極幅方向Xにおいてセパレータ30の突起部30cが金属支持層22の第2表面22bに接合する部分を避けて複数(図3では3つ)設けられている。
さらに、第1改質触媒層40の電極幅方向Xにおける端部41(特に両端部41,41)の位置には、燃料流出防止膜44が設けられている。燃料流出防止膜44は、一定の加熱流動性を有し、炭素酸化物を吸収する炭素酸化物吸収材により構成される。具体的に、燃料流出防止膜44を構成する炭素酸化物吸収材としては、バリウム(Ba)、カルシウム(Ca)、若しくはマグネシウム(Mg)等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属が挙げられる。
特に、燃料流出防止膜44は、第1改質触媒層40の端部41と、金属支持層22の第2表面22b及びセパレータ30の接合部分(溶接部46の付近)と、の間を充填するように設けられる。
図4は、第1改質触媒層40及び燃料流出防止膜44の構造を模式的に示した図である。図示のように、第1改質触媒層40は、触媒担体40aの外表面に触媒粒子40bが担持された構造をとる。また、第1改質触媒層40の端部41は、積層方向Zにおいて燃料流出防止膜44の一部に重なるように張り出している。
この構造により、第1改質触媒層40における改質反応により生じる炭素酸化物は、燃料流出防止膜44により吸収される。したがって、炭素酸化物と触媒材料との間の意図しない反応に起因する触媒劣化を抑制することができる。
また、本実施形態の燃料電池スタック10によれば、第1改質触媒層40の端部41に燃料流出防止膜44が設けられているため、燃料ガス流路32を流れる燃料ガス(炭化水素ガス)が、第1改質触媒層40の端部41(特に両端部41,41)をバイパスして金属支持層22の方へ流出することが防止される。これにより、燃料ガスの金属支持層22への接触に起因する炭素析出を防止することができる。特に、本実施形態の燃料電池スタック10では、上述した第1改質触媒層40の端部41と金属支持層22の第2表面22bの間に燃料流出防止膜44が挟持される構成をとっていることで、燃料流出防止膜44による燃料ガスの流出に対するシール機能がより向上し、金属支持層22における炭素析出がより確実に抑制される。
さらに、上述した第1改質触媒層40の端部41の一部が積層方向Zにおいて燃料流出防止膜44に重なる構成により、以下で説明するさらなる作用効果が実現される。
図5は、第1改質触媒層40の端部41が燃料流出防止膜44に重なることによる作用効果を説明するための図である。特に図5(a)は、第1改質触媒層40の端部41が燃料流出防止膜44に重ならない例、特に燃料流出防止膜44が第1改質触媒層40の端部41よりも厚肉に構成された例(端部41の厚さD2が燃料流出防止膜44の厚さD1以下となる例)を示している。一方、図5(b)には、第1改質触媒層40の端部41が燃料流出防止膜44に重なる構成(本実施形態の燃料電池スタック10の構成)を示している。より詳細には、図5(b)に示す例では、第1改質触媒層40の端部41が燃料流出防止膜44よりも厚肉に構成される。すなわち、第1改質触媒層40の端部41の厚さD2が燃料流出防止膜44の厚さD1よりも大きくなるように構成される。
ここで、燃料流出防止膜44は、第1改質触媒層40の端部41と金属支持層22の表面の間をシールする機能を実現する観点から、充填性を持たせるために高温環境下において一定の流動性を示す性質を持つ。したがって、図5(a)の構成であると、燃料流出防止膜44が第1改質触媒層40の側(太い矢印で示す方向)に流れて第1改質触媒層40の気孔を塞ぎ、触媒性能を低下させる可能性が想定される。これに対して、図5(b)の構成であれば、第1改質触媒層40の端部41が燃料流出防止膜44の流入をブロックする作用が得られ、第1改質触媒層40の気孔を塞ぐ現象の発生を抑制することができる。
次に、本実施形態の燃料電池スタック10の製造方法について説明する。
図6は、燃料電池スタック10の製造方法に係る各工程を説明する図である。
先ず、図6(a)に示すように、セルユニット20の金属支持層22に、燃料流出防止膜44を形成する。より詳細には、金属支持層22の第2表面22bに、複数の燃料流出防止膜44(図6では2つ)を、それぞれの間にセパレータ30の突起部30cを挿入するための電極幅方向Xに延在するスペースSを確保しつつ形成する。特に、燃料流出防止膜44は、原料スラリーを金属支持層22の第2表面22bにスクリーン印刷し、その後乾燥させることで形成される。
次に、図6(b)に示すように、第1改質触媒層40を、その端部41が燃料流出防止膜44に重なるように金属支持層22の第2表面22bに施す。より詳細には、第1改質触媒層40の原料スラリーを、燃料流出防止膜44と重なる端部41を形成するようにマスキングして金属支持層22の第2表面22bにスクリーン印刷し、その後高温処理して乾燥させる。なお、この高温処理によって、燃料流出防止膜44が流動して第1改質触媒層40及び金属支持層22の第2表面22bに対してより好適に密着する。このため、燃料流出防止膜44は、燃料ガス流路32から金属支持層22の第2表面22bへのガスの通路となり得る隙間を埋めるように充填されることとなる。すなわち、燃料流出防止膜44による燃料ガスの金属支持層22への流出に対するシール機能がより好適に確保される。
次に、図6(c)に示すように、セパレータ30を、金属支持層22に設置する。より詳細には、セパレータ30を、その第1表面30aに形成された突起部30cが隣接する燃料流出防止膜44の間のスペースSに入り込んで金属支持層22の第2表面22bに当接するように配置する。
そして、図6(d)に示すように、セパレータ30の突起部30cと金属支持層22の第2表面22bとの接触部分Cpに対してレーザー溶接を行うことで、金属支持層22にセパレータ30を接合する。
特に、本実施形態では、セパレータ30の第1表面30aに突起部30cが構成されていることで、セパレータ30と金属支持層22の接触部分Cpを一定以上の面積とすることができるため、溶接時の入熱量を低下させることができる。また、この突起部30cの形状により、セパレータ30が第1改質触媒層40を金属支持層22の第2表面22bに押し付ける状態で当該金属支持層22に接合される。このため、金属支持層22に対する第1改質触媒層40の固定をより安定させることができる。
上記図6(a)〜図6(d)の工程を、燃料電池スタック10に含まれるセル積層数に応じた所定回数繰り返すことで、複数のセルユニット20が積層された燃料電池スタック10を構成することができる。
以上説明した本実施形態の燃料電池スタック10の構成及びそれによる作用効果についてまとめて説明する。
本実施形態の燃料電池スタック10は、電極層(アノード電極層24及びカソード電極層28)及び電解質層26が金属支持層22の一方の面(第1表面22a)に支持されるとともに他方の面(第2表面22b)にセパレータ30が取り付けられる内部改質型(特に直接内部改質型)の燃料電池セル(セルユニット20)を含み、金属支持層22の第2表面22bとセパレータ30の表面(第1表面30a)との間の空間に燃料流路(燃料ガス流路32)が形成される燃料電池セル構造として構成される。
この燃料電池スタック10は、燃料ガス流路32の上流領域Auにおいて金属支持層22の第2表面22bに設けられた第1改質触媒層40と、燃料ガス流路32の下流領域Adにおいて金属支持層22の第2表面22bに設けられた第2改質触媒層42と、燃料ガス流路32のガス流れ方向Yにおける第1改質触媒層40の端部41に設けられるとともに、該第1改質触媒層40をバイパスして金属支持層22に燃料ガスが流出することを抑制する燃料流出防止膜44と、を備える。
そして、この燃料電池スタック10では、第1改質触媒層40は、第2改質触媒層42に比べて改質反応に起因した炭素析出を抑制する効果が高い材料により構成される。さらに、燃料流出防止膜44には、第1改質触媒層40における改質反応により生成される炭素酸化物(CO又はCO2)を吸収する炭素酸化物吸収材を含む。
これにより、発電による生成水が不足して炭素が析出し易い燃料ガス流路32の上流領域Auにおいては第1改質触媒層40により炭素析出が抑制される一方、発電による生成水が豊富な下流領域Adにおいては第2改質触媒層42により改質反応の効率が確保される。さらに、燃料流出防止膜44によって、燃料ガスが第1改質触媒層40の端部41に生じ得る隙間から金属支持層22へ流出することを回避するとともに、第1改質触媒層40における改質反応により生じる炭素酸化物を吸収することができる。したがって、発電による生成水が比較的少ない燃料ガス流路32の上流領域Auにおける炭素析出を抑制しつつ、第1改質触媒層40における改質反応で生じる炭素酸化物と触媒材料との間の接触に起因した触媒劣化の双方を抑制することができる。
また、本実施形態の燃料電池スタック10では、第1改質触媒層40は、酸化物で構成される担体(触媒担体40a)に触媒粒子40bが担持されることで構成される。特に、触媒担体40aは、酸化バリウム(BaO)、酸化マグネシウム(MgO)、又は酸化カルシウム(CaO)などの金属酸化物、当該金属酸化物の1種若しくは2種以上の混合物、及びこれらの固溶体から成る群から選択される材料により構成される。また、触媒粒子40bは、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、若しくは銅(Cu)等の遷移金属、ランタン(La)等の希土類元素、ルテニウム(Ru)、白金(Pt)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、銀(Ag)、又はパラジウム(Pd)等の貴金属、及びこれらの1種又は2種以上の混合物から成る群から選択される材料により構成される微粒子(特にナノ粒子)である。
これにより、第1改質触媒層40に求められる高い炭素析出の抑制効果を好適に実現することができる。
また、本実施形態の燃料電池スタック10では、第1改質触媒層40の端部41は、燃料流出防止膜44に対して積層方向Zにおいて重なるように構成される。
これにより、第1改質触媒層40の端部41が燃料流出防止膜44の当該第1改質触媒層40の内部への流入をブロックするように作用するので、燃料流出防止膜44が第1改質触媒層40の気孔を塞ぐことに起因する触媒性能の低下を抑制することができる。
さらに、本実施形態では、上記燃料電池スタック10を製造する製造方法が提供される。この製造方法は、燃料電池セル(セルユニット20)における金属支持層22の表面に燃料流出防止膜44を施す工程(図6(a))と、金属支持層22の第2表面22bに第1改質触媒層40を施す工程(図6(b))と、セパレータ30を金属支持層22の第2表面22bに配置する工程(図6(c))と、セパレータ30と金属支持層22の第2表面22bをレーザー溶接する工程(図6(d))と、を含む。
これにより、上記構成を有する燃料電池スタック10を製造するための好適な方法が実現される。
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
図7Aは、本実施形態による燃料電池スタック10の構成を説明する図である。特に、図7A(a)は燃料電池スタック10の概略側面図であり、図7A(b)は燃料電池スタック10の概略断面図である。また、図7Bは、図7A(b)の部分拡大図である。
図示のように、本実施形態の燃料電池スタック10では、金属支持層22の第2表面22bに対向するセパレータ30の第1表面30aにおける略全域に亘って炭素析出抑制触媒層52が設けられている。
この炭素析出抑制触媒層52は、第1改質触媒層40と同様に、改質反応に起因した炭素析出を抑制する効果が高い材料により構成される。すなわち、炭素析出抑制触媒層52は、酸化物で構成される担体に触媒粒子が担持されることで構成される。
特に、炭素析出抑制触媒層52を構成する担体は、例えば、酸化バリウム(BaO)、酸化マグネシウム(MgO)、又は酸化カルシウム(CaO)などの金属酸化物、当該金属酸化物の1種若しくは2種以上の混合物、及びこれらの固溶体から成る群から選択される材料により構成される。
また、触媒粒子は、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、若しくは銅(Cu)等の遷移金属、ランタン(La)等の希土類元素、ルテニウム(Ru)、白金(Pt)、ロジウム(Rh)、イリジウム(Ir)、銀(Ag)、又はパラジウム(Pd)等の貴金属、及びこれらの1種又は2種以上の混合物から成る群から選択される材料により構成される微粒子(特にナノ粒子)である。
なお、製造上の観点などから、炭素析出抑制触媒層52は第1改質触媒層40と同一の材料により構成されることが好ましい。
さらに、本実施形態の燃料電池スタック10では、セパレータ30の第1表面30aと炭素析出抑制触媒層52の間に、セパレータ30の第1表面30aの略全域に亘って炭素酸化物吸収層54が設けられる。
この炭素酸化物吸収層54は、燃料流出防止膜44と同様に、一定の加熱流動性を有し、炭素酸化物(CO又はCO2)を吸収する炭素酸化物吸収材により構成される。特に、炭素析出抑制触媒層52は、酸化物で構成される担体に触媒粒子が担持されることで構成される。より詳細には、炭素析出抑制触媒層52を構成する炭素酸化物吸収材としては、バリウム(Ba)、カルシウム(Ca)、若しくはマグネシウム(Mg)等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属が挙げられる。
なお、製造上の観点などから、炭素酸化物吸収層54は燃料流出防止膜44と同一の材料により構成されることが好ましい。
上述した炭素酸化物吸収層54及び炭素析出抑制触媒層52は、例えばスクリーン印刷などの塗工方法により、この順でセパレータ30の第1表面30aに施される。すなわち、セパレータ30の第1表面30aにおいて炭素酸化物吸収層54及び炭素析出抑制触媒層52からなる複合層が形成されることとなる。この構成による技術的意義について以下に説明する。
既に説明したように、セパレータ30はFe又はCrなどの導電性金属材料(特に遷移金属材料)で構成されているため、金属支持層22と同様に炭素に対する反応性が高い。そのため、第1改質触媒層40における改質反応により発生する炭素がセパレータ30の第1表面30aに接触することで、当該第1表面30aにおいて炭素析出が発生することが想定される。
これに対して、本実施形態では、セパレータ30の第1表面30aに炭素析出抑制触媒層52が設けられることで、セパレータ30における炭素析出を抑制することができる。さらに、セパレータ30の第1表面30aの略全域に炭素酸化物吸収層54が設けられることで、改質反応で生じる炭素酸化物が炭素酸化物吸収層54によって吸収されるので、炭素析出抑制触媒層52の劣化が抑制される。
特に、本実施形態では、第1表面30aの略全域に亘って炭素析出抑制触媒層52が設けられているため、セパレータ30の屈曲形状によって第1改質触媒層40に向かう方向に誘導される炭素酸化物を当該炭素析出抑制触媒層52で好適に遮断することができる。このため、炭素酸化物と第1改質触媒層40の接触をより確実に防止することができる。
以上説明した本実施形態の燃料電池スタック10の構成及びそれによる作用効果についてまとめて説明する。
本実施形態の燃料電池スタック10において、セパレータ30には、金属支持層22と対向する第1表面30aの略全域に亘って第2改質触媒層42に比べて改質反応に起因した炭素析出を抑制する効果が高い炭素析出抑制触媒層52が設けられる。
これにより、第1改質触媒層40で生じる炭素が当該炭素に対して反応性の低い炭素析出抑制触媒層52で遮断されることとなるので、セパレータ30の第1表面30aにおける炭素析出をより確実に抑制することができる。
さらに、本実施形態では、セパレータ30には、該セパレータ30の第1表面30aと炭素析出抑制触媒層52の間に、炭素酸化物を吸収する炭素酸化物吸収層54が設けられる。
これにより、第1改質触媒層40で生じる炭素酸化物が炭素酸化物吸収層54で吸収されるので、炭素酸化物と炭素析出抑制触媒層52の反応に起因する炭素析出抑制触媒層52の劣化を好適に抑制することができる。
以下では、上記第1実施形態又は第2実施形態において適用可能な各変形例1〜3について説明する。なお、変形例1〜3を説明するための各図8〜図10においては、第1実施形態で説明した構成(図3等に示す構成)を前提とする燃料電池スタック10を示している。しかしながら、これは、各変形例1〜3の構成が第1実施形態の燃料電池スタック10の構成を前提とすることに限定される趣旨ではない。すなわち、第2実施形態で説明した構成を基本構成として、変形例1〜3のそれぞれの構成の少なくとも一つを採用してなる燃料電池スタック10も、本願明細書等に開示される範囲に含まれる。
(変形例1)
図8は、変形例1に係る燃料電池スタック10の構成を説明する図である。図示のように、変形例1の燃料電池スタック10では、電極幅方向Xに沿って並ぶ複数(図8では3つ)の燃料ガス流路32−1,32−2,32−3の内、幅方向外側の燃料ガス流路32−1,32−3の部分にそれぞれ設けられる第1改質触媒層40−1、40−3が、幅方向内側の燃料ガス流路32−2の部分に設けられる第1改質触媒層40−2よりも積層方向Zにおいて厚く形成される。より具体的には、第1改質触媒層40−1、40−3における触媒粒子40b−1、40b−3の触媒担体40a−1、40a−3に対する担持量が、触媒粒子40b−2の触媒担体40a−2に対する担持量に比べて多くなるように構成されている。この構成をとることによる技術的意義について説明する。
直接内部改質型の燃料電池スタック10においては、発電時における電気化学反応(発熱反応)がより活発に生じる幅方向内側が相対的に高温となり、そうでない幅方向外側は相対的に低温になる。すなわち、セルユニット20の発電領域を構成する面内において幅方向内側と幅方向外側の温度差に起因する温度分布が生じる。この温度分布の発生により、セルユニット20の面内において燃料ガスの粘性にバラツキが生じる。したがって、気体の粘度における温度依存特性に基づくと、高温の幅方向内側における燃料ガスの粘度は低温の幅方向外側におけるそれと比べて高くなる。このため、高温の幅方向内側の燃料ガス流路32−2における燃料ガス流量が相対的に小さくなり、低温の幅方向外側の燃料ガス流路32−1,32−3における燃料ガス流量が相対的に大きくなる。その結果、セルユニット20の幅方向外側において、炭素析出が起こりやすくなる。これに対して、図8に示す変形例1の構成であれば、幅方向外側に配置される第1改質触媒層40−1、40−3が幅方向内側に配置される第1改質触媒層40−2よりも厚く構成されている。すなわち、第1改質触媒層40−1、40−3の炭素析出抑制効果が第1改質触媒層40−2よりも向上するので、燃料ガス流量がより大きい幅方向外側における炭素析出をより確実に抑制することができる。
(変形例2)
変形例2では、図6において説明した燃料電池スタック10の製造方法の一工程に関する他の態様が提供される。具体的に、変形例2の製造方法では、セパレータ30を金属支持層22に溶接する工程(図6(d)参照)を、燃料ガス流路32における上流領域Auにおける溶接の入熱量が下流領域Adにおける入熱量よりも大きくなるように実行する。このように工程を実行することによる技術的意義について説明する。
発電による生成水が不足し易い燃料ガス流路32の上流領域Auでは、下流領域Adに比べて炭素析出がより生じ易い。一方で、燃料ガス流路32の下流領域Adは、発電による生成水が比較的豊富に存在するため、当該生成水によって炭素析出の要因となる反応の発生が阻害される。したがって、炭素析出がより生じ易い上流領域Auでは、そうでない下流領域Adよりも燃料ガスと金属支持層22の接触をより確実に回避する構成を採用することが望まれる。
このような要求に対して、変形例2では、セパレータ30を金属支持層22に溶接する工程において、燃料ガス流路32における上流領域Auにおける溶接の入熱量が下流領域Adにおける入熱量よりも大きくする。これにより、図9に示す構成の燃料電池スタック10が得られる。
図9に示す燃料電池スタック10では、上流領域Auにおける溶接ビード46uが下流領域Adにおける溶接ビード46dよりも太く構成されている。これにより、上流領域Auにおいては、太い溶接ビード46uによって燃料ガスの金属支持層22へのパスをより確実に遮断することができる。一方で、上流領域Auに比べて燃料ガスの遮断要求が低い下流領域Adにおいては溶接ビード46dが相対的に細く構成されるため、溶接ビード46dによる燃料ガス流路32における設計に対する精度も維持することができる。
(変形例3)
図10は、変形例3に係る燃料電池スタック10の構成を説明する図である。図示のように、変形例3では、セパレータ30のばね性をより向上させる観点から、図3等に示すセパレータ30の形状と異なる形状のセパレータ30が採用されている。これにより、セパレータ30と金属支持層22の接合強度をより向上させることができる。なお、図10に示す形状以外であっても、セパレータ30の本来の機能を確保できる範囲において、ばね性を向上させることのできる任意の形状を採用することもできる。
以上、本発明の各実施形態について説明したが、上記各実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記各実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
また、上記各実施形態及び各変形例は、相互に矛盾しない範囲で任意に組み合わせることが可能である。
10 燃料電池スタック
20 セルユニット
22 金属支持層
24 アノード電極層
26 電解質層
28 カソード電極層
30 セパレータ
30a 第1表面
30b 第2表面
30c 突起部
32 燃料ガス流路
34 酸化剤ガス流路
40 第1改質触媒層
41 両端部
42 第2改質触媒層
44 燃料流出防止膜
52 炭素析出抑制触媒層
54 炭素酸化物吸収層

Claims (6)

  1. 電極層及び電解質層が金属支持層の一方の面に支持されるとともに他方の面にセパレータが取り付けられる内部改質型の燃料電池セルを含み、前記金属支持層の他方の面と前記セパレータの表面との間の空間に燃料流路が形成される燃料電池セル構造であって、
    前記燃料流路の上流領域において前記金属支持層の他方の面に設けられた第1改質触媒層と、
    前記燃料流路の下流領域において前記金属支持層の他方の面に設けられた第2改質触媒層と、
    前記燃料流路のガス流れ方向における前記第1改質触媒層の端部に設けられるとともに、該第1改質触媒層をバイパスして前記金属支持層に燃料が流出することを抑制する燃料流出防止膜と、
    を備え、
    前記第1改質触媒層は、前記第2改質触媒層に比べて改質反応に起因した炭素析出を抑制する効果が高い材料により構成され、
    前記燃料流出防止膜は、前記第1改質触媒層における前記改質反応により生成される炭素酸化物を吸収する炭素酸化物吸収材を含む、
    燃料電池セル構造。
  2. 請求項1に記載の燃料電池セル構造であって、
    前記第1改質触媒層は、酸化物で構成される担体に触媒粒子が担持されることで構成される、
    燃料電池セル構造。
  3. 請求項1又は2に記載の燃料電池セル構造であって、
    前記第1改質触媒層の端部は、前記燃料流出防止膜に対して積層方向において重なるように構成される、
    燃料電池セル構造。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載の燃料電池セル構造であって、
    前記セパレータには、該セパレータの表面の略全域に亘って前記第2改質触媒層に比べて改質反応に起因した炭素析出を抑制する効果が高い炭素析出抑制触媒層が設けられる、
    燃料電池セル構造。
  5. 請求項4に記載の燃料電池セル構造であって、
    前記セパレータには、該セパレータの表面と前記炭素析出抑制触媒層の間に、炭素酸化物を吸収する炭素酸化物吸収層が設けられる、
    燃料電池セル構造。
  6. 請求項1〜5の何れか1項に記載の燃料電池セル構造を製造する製造方法であって、
    前記燃料電池セルにおける前記金属支持層の他方の面に前記燃料流出防止膜を施す工程と、
    前記金属支持層の他方の面に前記第1改質触媒層を施す工程と、
    前記セパレータを前記金属支持層の表面に配置する工程と、
    前記セパレータと前記金属支持層の表面をレーザー溶接する工程と、を含む、
    燃料電池セル構造の製造方法。
JP2020086306A 2020-05-15 2020-05-15 燃料電池セル構造及び燃料電池セル構造の製造方法 Pending JP2021180165A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020086306A JP2021180165A (ja) 2020-05-15 2020-05-15 燃料電池セル構造及び燃料電池セル構造の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020086306A JP2021180165A (ja) 2020-05-15 2020-05-15 燃料電池セル構造及び燃料電池セル構造の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021180165A true JP2021180165A (ja) 2021-11-18

Family

ID=78510362

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020086306A Pending JP2021180165A (ja) 2020-05-15 2020-05-15 燃料電池セル構造及び燃料電池セル構造の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2021180165A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2371024B1 (en) Solid oxide fuel cell stack
US20230110742A1 (en) Metal Support, Electrochemical Element, Electrochemical Module, Electrochemical Device, Energy System, Solid Oxide Fuel Cell, Solid Oxide Electrolysis Cell, and Method for Producing Metal Support
JP2006332027A (ja) 改質器一体型燃料電池
EP2908371B1 (en) Fuel battery and operation method thereof
JP7470037B2 (ja) 電気化学素子の金属支持体、電気化学素子、電気化学モジュール、電気化学装置、エネルギーシステム、固体酸化物形燃料電池、固体酸化物形電解セルおよび金属支持体の製造方法
JP7470038B2 (ja) 電気化学素子の金属支持体、電気化学素子、電気化学モジュール、電気化学装置、エネルギーシステム、固体酸化物形燃料電池、固体酸化物形電解セルおよび金属支持体の製造方法
US20230392249A1 (en) Manufacturing Method for Alloy Material, Alloy Material, Electrochemical Element, Electrochemical Module, Electrochemical Device, Energy System and Solid Oxide Fuel Cell
US20210111415A1 (en) Electrochemical Element Stack, Electrochemical Element, Electrochemical Module, Electrochemical Device, and Energy System
JP2010103009A (ja) 内部改質式固体酸化物型燃料電池および燃料電池システム
JP2021158026A (ja) 電気化学素子の金属支持体、電気化学素子、電気化学モジュール、電気化学装置、エネルギーシステム、固体酸化物形燃料電池、および固体酸化物形電解セル
CN110402514B (zh) 金属支撑型电化学元件用的带电极层基板、电化学元件和制造方法
JP2021180165A (ja) 燃料電池セル構造及び燃料電池セル構造の製造方法
WO2022137335A1 (ja) 固体酸化物型燃料電池
JP2021163764A (ja) 電気化学素子、電気化学モジュール、電気化学装置、エネルギーシステム、固体酸化物形燃料電池、固体酸化物形電解セル
JP2021170447A (ja) 燃料電池セル積層構造
TW202121726A (zh) 電化學元件、電化學模組、電化學裝置及能源系統
US20200020957A1 (en) Functionalized, porous gas conduction part for electrochemical module
JP7317547B2 (ja) 燃料電池構造体、それを備えた燃料電池モジュール及び燃料電池装置
EP4383384A1 (en) Fuel cell and method for producing fuel cell
WO2023012979A1 (ja) 燃料電池セル及び燃料電池セルの製造方法
JP2021182505A (ja) 固体酸化物形燃料電池のサポートセル
JP2023135375A (ja) 電気化学素子、電気化学モジュール、固体酸化物形燃料電池、固体酸化物形電解セル、電気化学装置及びエネルギーシステム
EP3787085A1 (en) Method for producing metal plate, metal plate, electrochemical element, electrochemical module, electrochemical apparatus, energy system, solid oxide fuel cell, and solid oxide electrolysis cell
JP2022156332A (ja) 電気化学素子、電気化学モジュール、電気化学装置、エネルギーシステム、固体酸化物形燃料電池及び固体酸化物形電解セル、並びに電気化学素子の製造方法
JP2022156331A (ja) 金属セパレータ、電気化学ユニット、電気化学モジュール、電気化学装置、エネルギーシステム、固体酸化物形燃料電池及び固体酸化物形電解セル

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230307

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20240117

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20240305

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240405

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20240507