JP7317547B2 - 燃料電池構造体、それを備えた燃料電池モジュール及び燃料電池装置 - Google Patents
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Description
この種の燃料電池に関する技術として、以下の特許文献1、特許文献2に開示の技術を挙げることができる。
従って、この電気化学的素子Eでは、筒状支持体31内に、先に説明した燃料ガス供給路が形成された構造となる。この燃料ガス供給路を、例えば、同明細書の図5に示す構造では、燃料ガスは、図面下から上に向かう一方向に流れる。
さらに、図面等から判断して、この文献2に開示の燃料電池は、その構造から見て、所謂アノード電極支持型燃料電池となっている。
特許文献1に開示の技術では、筒状支持体31内に形成され、例えば、当該明細書の図5に示される構造では、燃料ガス供給路を流れるガス流は、同図下から上に向かう流れとなりやすく、還元性ガスをアノード電極層へ供給するという目的において、改善の余地がある。
さらに、電池反応で水蒸気が生成されるが、燃料電池が酸化物イオン伝導型の場合、電池反応を終えた排気は改質触媒部を通らず排気流路から排出されるので、この水蒸気が内部反応に有用に利用されることはない。
電解質層を挟んでアノード電極層とカソード電極層が形成された燃料電池セルと、
前記アノード電極層に還元性ガスを供給する燃料ガス供給路と、前記カソード電極層に酸素を含有するガスを供給する酸化性ガス供給路とを備えた燃料電池単セルユニットを構成可能な構造体であって、
前記燃料ガス供給路に、当該燃料ガス供給路内の流れを乱す乱流促進体を設けるとともに、原燃料ガスを改質する内部改質触媒層を設けた点にある。
前記燃料電池セルが支持体上に層状に形成され、
前記支持体を貫通する貫通孔が複数設けられ、
前記支持体の一方の面に前記アノード電極層が、他方の面に沿って前記燃料ガス供給路が設けられる点にある。
前記燃料ガス供給路の内面の少なくとも一部に前記内部改質触媒層が設けられることにある。
前記貫通孔の内部に前記内部改質触媒層を設ける点にある。
前記燃料ガス供給路と前記酸化性ガス供給路とを仕切る少なくとも一つのセパレータを備え、
前記セパレータの前記燃料ガス供給路側の少なくとも一部に前記内部改質触媒層が設けられる点にある。
前記内部改質触媒層に含有される改質触媒が担体に金属が担持された触媒である点にある。
前記内部改質触媒層に含有される改質触媒がNiを含む触媒である点にある。
前記支持体を貫通する貫通孔が複数設けられ、
前記支持体の一方の面に前記アノード電極層が、他方の面に沿って前記燃料ガス供給路が設けられ、
前記網状体が前記燃料ガス供給路における前記他方の面側に設けられている点にある。
前記乱流促進体が前記燃料ガス供給路に配置される複数の障害体である点にある。
前記乱流促進体の少なくとも一部表面に改質触媒が担持され、前記内部改質触媒層が形成されている点にある。
前記支持体が金属材料を用いて形成されている点にある。
前記乱流促進体が金属材料を用いて形成されている点にある。
前記セパレータが金属材料を用いて形成されている点にある。
前記燃料電池セルが固体酸化物形燃料電池である点にある。
これまで説明してきた燃料電池構造体の複数を有して構成され、
一の前記燃料電池単セルユニットの前記酸化性ガス供給路が、当該一の燃料電池単セルユニットに隣接する他の前記燃料電池単セルユニットの前記カソード電極層に前記酸素を含有するガスを供給する燃料電池モジュールが構成されている点にある。
前記燃料電池モジュールと外部改質器とを少なくとも有し、前記燃料電池モジュールに、前記原燃料ガスを供給する燃料供給部を有する燃料電池装置が構成されている点にある。
前記燃料電池モジュールと、前記燃料電池モジュールから電力を取出すインバータとを少なくとも有する燃料電池装置が構成されている点にある。
出すことができ、電力変換・周波数変換等を施すことで、発電電力の適切な利用が可能となる。
燃料電池モジュールM内には、複数積層して、この燃料電池モジュールMを構成する燃料電池単セルユニットUを一つ模式的に示している。燃料電池単セルユニットUには、燃料電池セルRが備えられている。これら燃料電池単セルユニットU、燃料電池セルR等に関しては、その製造方法等を含めて後に詳述する。燃料電池単セルユニットUを構成する基本単位が本発明の燃料電池構造体となる。
燃料電池装置Yは、所謂、コジェネレーションシステム(熱電並供給システム)として構成されており、燃料電池装置Yから排出される熱を利用する排熱利用部としての熱交換器36を有するとともに、燃料電池装置Yで発電される電力を出力するための出力変換部としてのインバータ38を備えている。
この実施形態における燃料電池は酸化物イオン伝導型とすることから、燃料電池単セルユニットUに設けられている燃料ガス供給路L1から排出される排ガス(アノードオフガス)には水蒸気が含まれる。そこで、このガスを冷却するとともに、過分な水分を凝縮除去して、水蒸気分圧を調整したアノードオフガスを外部改質器34に戻し、水蒸気改質の用に供する運転形態を採用している。
ここでの制御対象は、循環ポンプ32dによる循環量、圧力設定及び冷却最終段となる凝縮器32bでの凝縮温度(結果的に、出口水蒸気分圧をとなる)の設定、制御となる。
燃料電池モジュールMは、外部改質器34を介して供給される還元性ガスの一例である「水素を含有するガス」である燃料ガスと、酸化性ガス供給系統ALから供給される「酸素を含有するガス」である酸化性ガスとを用いて、電池反応を起こして発電する。燃料電池モジュールMから排出される排ガスに関しては、アノードオフガスは、アノードオフガス循環系統RLを介して外部改質器34に循環され、カソードオフガスに関しては、熱交換器36での排熱回収を終えた後、外部に放出される。
複数の燃料電池単セルユニットUは互いに電気的に接続された状態で並設配置され、燃料電池単セルユニットUの両端部(左右端部)がガスマニホールド40a,40bに固定されている。これまでの説明からも判明するように、燃料ガスの分配系統と酸化性ガスの分配系統とは完全に独立とされ、また、燃料電池単セルユニットUに備えられるアノード電極層Aに対して燃料ガス供給路L1を介して燃料ガスを供給し、カソード電極層Cに酸化性ガス供給路L2を介して酸化性ガスを供給する。
燃料ガスの分配系統、アノードオフガス排出系統を実線で示し、酸化性ガスの分配系統、カソードオフガス排出系統を一点鎖線で示した。
図3、図4は、一対の燃料電池単セルユニットUを組み合わせてなる燃料電池モジュールMの一部を示す断面斜視図である。
図3は、燃料電池セルR及び金属支持体1を挟んで形成される燃料ガス供給路L1,酸化性ガス供給路L2内を流れるガスの流通方向(黒矢印、中抜き矢印で示す)に直交する方向の断面を示している。図4は、両ガスの流通方向に沿った断面を示した図である。
これら図面の断面位置は、図3は、貫通孔1aが設けられる位置であり、図4のそれは、左下に示すガスの流入端INから、右上に示す流出端OUTまでの断面である。
これらの図からも判明するように、燃料ガス供給路L1の内面、即ち燃料ガス供給路L1とされる金属セパレータ7の表面(図3、図4の上側面)には、本発明の一つの特徴である内部改質触媒層Dが設けられている。さらに、金属支持体1の下面には、乱流促進体Eとしての網状体Eaが設けられている。
以上、燃料電池セルR、燃料電池モジュールMは概略直方形としている。
金属支持体1は、金属製の方形形状を有する平板となっている。
図3、図4からも判明するように、金属支持体1には、表側と裏側とを貫通して複数(多数)の貫通孔1aが形成されている。これら図面からも判明するように、複数の貫通孔1aは、金属支持体1の中央部位に、燃料ガス供給路L1を流れるガスの流れ方向及びそれ横断する方向に設けられ、この貫通孔1aを通じて少なくとも燃料ガスの通流が可能となっている。これら貫通孔1aの非形成部位(金属支持体1の横断方向の外周側部位)においてガスシールドが図られている。本発明の燃料電池では、この貫通孔1aを流れるガスは、具体的には、これまで説明してきた燃料ガスと、燃料電池セルRにおける発電反応により生成される水蒸気である。図5には、このように貫通孔1aを流通するガス(CH4,H2,CO、H2O、CO2)を示した。
属支持体1のクロム原子等がアノード電極層Aや電解質層Bへ拡散することを、クロム酸化物を主成分とする金属酸化物層xが抑制する。金属酸化物層xの厚さは、拡散防止性能の高さと電気抵抗の低さを両立させることのできる厚みであれば良い。
燃料電池セルRは、アノード電極層A、電解質層B、カソード電極層Cと、これらの層の間に適宜、中間層y、反応防止層zを有して構成される。この燃料電池セルRは、固体酸化物形燃料電池SOFCである。このように、燃料電池セルRは中間層y、反応防止層zを備えることにより、電解質層Bは、アノード電極層Aとカソード電極層Cとで間接的に挟まれた構造となる。電池発電のみを発生させるという意味からは、電解質層Bの一方の面にアノード電極層Aを、他方の面にカソード電極層Cを形成することで、発電することは可能である。
アノード電極層Aは、図3~図5に示すように、金属支持体1の表側であって貫通孔1aが設けられた領域より大きな領域に、薄層の状態で設けることができる。薄層とする場合は、その厚さを、例えば、1μm~100μm程度、好ましくは、5μm~50μmとすることができる。このような厚さにすると、高価な電極層材料の使用量を低減してコストダウンを図りつつ、十分な電極性能を確保することが可能となる。貫通孔1aが設けられた領域の全体が、アノード電極層Aに覆われている。つまり、貫通孔1aは金属支持体1におけるアノード電極層Aが形成された領域の内側に形成されている。換言すれば、全ての貫通孔1aがアノード電極層Aに面して設けられている。
なお、アノード電極層Aは、低温焼成法(例えば1100℃より高い高温域での焼成処理をしない低温域での焼成処理を用いる湿式法)やスプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、PVD法(スパッタリング法やパルスレーザーデポジション法など)、CVD法などにより形成することが好ましい。これらの、低温域で使用可能なプロセスにより、例えば1100℃より高い高温域での焼成を用いずに、良好なアノード電極層Aが得られる。そのため、金属支持体1を傷めることなく、また、金属支持体1とアノード電極層Aとの元素相互拡散を抑制することができ、耐久性に優れた電気化学素子を実現できるので好ましい。更に、低温焼成法を用いると、原材料のハンドリングが容易になるので更に好ましい。
また、このアノード電極層Aに含むNiの量は、35質量%以上85質量%以下の範囲とできる。また、アノード電極層Aに含むNiの量は、発電性能をより高められるので、40質量%より多いとより好ましく、45質量%より多いと更に好ましい。一方、コストダウンし易くなるので、80質量%以下であるとより好ましい。
中間層yは、図5に示すように、アノード電極層Aを覆った状態で、アノード電極層Aの上に薄層の状態で形成することができる。薄層とする場合は、その厚さを、例えば、1μm~100μm程度、好ましくは2μm~50μm程度、より好ましくは4μm~25μm程度とすることができる。このような厚さにすると、高価な中間層材料の使用量を低減してコストダウンを図りつつ、十分な性能を確保することが可能となる。中間層yの材料としては、例えば、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)、SSZ(スカンジウム安定化ジルコニア)やGDC(ガドリウム・ドープ・セリア)、YDC(イットリウム・ドープ・セリア)、SDC(サマリウム・ドープ・セリア)等を用いることができる。特にセリア系のセラミックスが好適に用いられる。
電解質層Bは、アノード電極層Aおよび中間層yを覆った状態で、中間層yの上に薄層の状態で形成される。また、厚さが10μm以下の薄膜の状態で形成することもできる。
詳しくは電解質層Bは、図3~図5等に示すように、中間層yの上と金属支持体1の上とにわたって(跨って)設けられる。このように構成し、電解質層Bを金属支持体1に接合することで、電気化学素子全体として堅牢性に優れたものとすることができる。
反応防止層zは、電解質層Bの上に薄層の状態で形成することができる。薄層とする場合は、その厚さを、例えば、1μm~100μm程度、好ましくは2μm~50μm程度、より好ましくは3μm~15μm程度とすることができる。このような厚さにすると、高価な反応防止層材料の使用量を低減してコストダウンを図りつつ、十分な性能を確保することが可能となる。反応防止層zの材料としては、電解質層Bの成分とカソード電極層Cの成分との間の反応を防止できる材料であれば良いが、例えばセリア系材料等が用いられる。また反応防止層zの材料として、Sm、GdおよびYからなる群から選ばれる元素のうち少なくとも1つを含有する材料が好適に用いられる。なお、Sm、GdおよびYからなる群から選ばれる元素のうち少なくとも1つを含有し、これら元素の含有率の合計が1.0質量%以上10質量%以下であるとよい。反応防止層zを電解質層Bとカソード電極層Cとの間に導入することにより、カソード電極層Cの構成材料と電解質層Bの構成材料との反応が効果的に抑制され(拡散抑制)、燃料電池セルRの性能の長期安定性を向上できる。反応防止層zの形成は、1100℃以下の処理温度で形成できる方法を適宜用いて行うと、金属支持体1の損傷を抑制し、また、金属支持体1とアノード電極層Aとの元素相互拡散を抑制でき、性能・耐久性に優れた燃料電池セルRを実現できるので好ましい。例えば、低温焼成法(例えば1100℃を越える高温域での焼成処理をしない低温域での焼成処理を用いる湿式法)、スプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、PVD法(スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法など)、CVD法などを適宜用いて行うことができる。特に、低温焼成法やスプレーコーティング法などを用いると低コストな素子が実現できるので好ましい。更に、低温焼成法を用いると、原材料のハンドリングが容易になるので更に好ましい。
カソード電極層Cは、電解質層Bもしくは反応防止層zの上に薄層の状態で形成することができる。薄層とする場合は、その厚さを、例えば、1μm~100μm程度、好ましくは、5μm~50μmとすることができる。このような厚さにすると、高価なカソード電極層材料の使用量を低減してコストダウンを図りつつ、十分な電極性能を確保することが可能となる。カソード電極層Cの材料としては、例えば、LSCF、LSM等の複合酸化物、セリア系酸化物およびこれらの混合物を用いることができる。特にカソード電極層Cが、La、Sr、Sm、Mn、CoおよびFeからなる群から選ばれる2種類以上の元素を含有するペロブスカイト型酸化物を含むことが好ましい。以上の材料を用いて構成されるカソード電極層Cは、カソードとして機能する。
タリング法、パルスレーザーデポジション法など)、CVD法などを適宜用いて行うことができる。特に、低温焼成法やスプレーコーティング法などを用いると低コストな素子が実現できるので好ましい。更に、低温焼成法を用いると、原材料のハンドリングが容易になるので更に好ましい。
燃料電池セルRは、燃料ガス及び酸化性ガスの両方の供給を受けて発電する。このように両ガスが燃料電池セルRの各電極層(アノード電極層A及びカソード電極層C)供給されることで、図5に示す様に、カソード電極層Cにおいて酸素分子O2が電子e-と反応して酸素イオンO2-が生成される。その酸素イオンO2-が電解質層Bを通ってアノード電極層Aへ移動する。アノード電極層Aにおいては、発電用燃料ガスである(水素H2および一酸化炭素CO)がそれぞれ酸素イオンO2-と反応し、水蒸気H2O、二酸化炭素CO2と電子e-が生成される。以上の反応により、アノード電極層Aとカソード電極層Cとの間に起電力が発生し、発電が行われる。
燃料電池単セルユニットUは、金属セパレータ7と金属支持体1との間に、アノード電極層Aに水素を含有するガスを供給する燃料ガス供給路L1が形成されている。そして、図2、3、4に矢印でも示すようにこの燃料ガス供給路L1を流れるガスは、ガスマニホールド40a側から、その長手方向に供給される。図5においては、紙面表裏方向となる。金属支持体1の表裏を貫通して設けられた貫通孔1aを介して、アノード電極層Aに発電反応用の水素を供給する。
燃料ガス供給路L1には、外部改質により得られる水素H2の他、改質対象となる原燃料ガス(改質前ガス:具体的にはメタンCH4を主成分とする還元性ガス)が流れるが、アノード電極層Aにおいて生成する水蒸気H2Oを燃料ガス供給路L1に戻すことにより、この燃料ガス供給路L1に流入して原燃料ガスを改質することができる。当然、生成される水素H2や一酸化炭素COは、下流側において貫通孔1aを介してアノード電極層Aに供給して、発電の用に供することができる。
なお、この内部改質触媒層Dに含有するNiの量は、0.1質量%以上50質量%以下の範囲とできる。なお、内部改質触媒層DがNiを含有する場合のNiの含有量は、1質量%以上であるとより好ましく、5質量%以上であると更に好ましい。このようにすることで、より高い内部改質性能が得られるからである。
一方、内部改質触媒層DがNiを含有する場合のNiの含有量は、45質量%以下であるとより好ましく、40質量%以下であると更に好ましい。このようにすることで、燃料電池装置のコストをより低減できるようになるからである。またNiを担体に担持することもこのましい。
また、この内部改質触媒層Dは、低温焼成法(例えば1100℃より高い高温域での焼成処理をしない低温域での焼成処理を用いる湿式法)やスプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、PVD法(スパッタリング法やパルスレーザーデポジション法など)、CVD法などにより形成することが好ましい。これらの、低温域で使用可能なプロセスにより、内部改質触媒層Dを設ける燃料ガス供給路L1(例えば、金属支持体1、金属セパレータ7)の高温加熱によるダメージを抑制しつつ、良好な内部改質触媒層Dを形成し、耐久性に優れた燃料電池単セルユニットUを実現できるからである。また、金属支持体1や金属セパレータ7の表面に拡散抑制層xを形成した後、内部改質触媒層Dを形成すると、金属支持体1や金属セパレータ7からのCrの飛散を抑制できるので好ましい。
CH4+H2O→CO+3H2
〔化2〕
CO+H2O→CO2+H2
〔化3〕
CH4+2H2O→CO2+4H2
燃料電池モジュールMは、上面視、実質方形の箱型に形成され、燃料ガス及び酸化性ガスの流れ方向が特定一方向とされる。図4における、この方向は図上右上がりとなる。
このような位置から内部改質触媒層Dを設けることで、アノード電極層Aで発生する水蒸気を、有効に本発明の目的に従って使用することができる。
図1、3、4に示すように、アノード電極層Aに燃料ガスを供給する燃料ガス供給路L1には、この路内の流れを乱す乱流促進体Eが設けられている。
さらに詳細には、金属支持体1を貫通して形成されている貫通孔1aに対して、その燃料ガス流入側となる、燃料電池セルRの形成面とは反対側の面に、網状体Eaが設けられている。この網状体Eaは具体的にはラスメタルや金属金網を金属支持体1上に張り付けて形成する。結果、燃料ガス供給路L1を流れる水素を含有するガスは、この網状体Eaにより乱され、貫通孔1aへ向かう流れ方向成分、及び貫通孔1aから流出する流れを誘起し、燃料ガスのアノード電極層Aへの供給、アノード電極層Aからの水蒸気の導出を良好に起こすことができる。
(1)上記の実施形態では、燃料電池が酸化物イオン伝導型の固体酸化物形燃料電池である例を示したが、内部改質触媒層D及び乱流促進体Eを燃料ガス供給路L1に設ける点は、プロトン伝導型においても、還元性ガスである燃料ガスをアノード電極層Aに良好に到達させるという点において、採用することができる。ここで、プロトン伝導型の場合は、内部改質触媒層Dにおいて必要となる水蒸気は外部から供給することとなるため、酸化物イオン伝導型の例と比して、内部改質に必要とする水蒸気を余分に供給することとなる。
即ち、乱流促進体Eの少なくとも一部(図示する例では表面)に内部改質触媒層Dを設けることで、この乱流促進体Eを配置して、乱流促進と内部改質との両方の機能を発揮させることができる。
例えば、(La,Ca)CrO3(カルシウムドープランタンクロマイト)に代表される金属酸化物等を用いることもできる。
1a :貫通孔
7 :金属セパレータ(セパレータ)
34 :外部改質器
38 :インバータ
72 :平板部材
73 :U字部材
78 :貫通孔
A :アノード電極層
B :電解質層
C :カソード電極層
CP :集電板(セパレータ)
D :内部改質触媒層
E :乱流促進体
Ea :網状体(乱流促進体)
Eb :障害体(乱流促進体)
L1 :還元性ガス供給路
L2 :酸化性ガス供給路
M :燃料電池モジュール
R :燃料電池セル
U :燃料電池単セルユニット
Y :燃料電池装置
Claims (18)
- 電解質層を挟んでアノード電極層とカソード電極層が形成された燃料電池セルと、
前記アノード電極層に還元性ガスを供給する燃料ガス供給路と、前記カソード電極層に
酸素を含有するガスを供給する酸化性ガス供給路とを備えた燃料電池単セルユニットを構成可能な構造体であって、
前記燃料ガス供給路に、原燃料ガスを改質する内部改質触媒層と、当該燃料ガス供給路内の流れを乱す乱流促進体とを設け、
前記燃料電池セルが支持体上に層状に形成され、
前記支持体を貫通する貫通孔が複数設けられ、
前記支持体の一方の面に前記アノード電極層が設けられるとともに、他方の面側に入口及び出口を有し、且つ前記他方の面に沿った前記燃料ガス供給路が設けられ、
前記複数の貫通孔はアノード電極層において生成する水蒸気を前記燃料ガス供給路に戻すとともに、前記内部改質触媒層において改質されたガスを前記燃料ガス供給路から前記アノード電極層に供給する燃料電池構造体。 - 電解質層を挟んでアノード電極層とカソード電極層が形成された燃料電池セルと、
前記アノード電極層に還元性ガスを供給する燃料ガス供給路と、前記カソード電極層に酸素を含有するガスを供給する酸化性ガス供給路とを備えた燃料電池単セルユニットを構成可能な構造体であって、
前記燃料ガス供給路に、原燃料ガスを改質する内部改質触媒層と、当該燃料ガス供給路内の流れを乱す乱流促進体とを設け、
前記燃料ガス供給路と前記酸化性ガス供給路とを仕切る少なくとも一つのセパレータを備え、
前記燃料電池セルが支持体上に層状に形成され、
前記支持体を貫通する貫通孔が複数設けられ、
前記支持体の一方の面に前記アノード電極層が設けられ、他方の面側に入口及び出口を有するガス供給路であって前記他方の面に沿った前記燃料ガス供給路が前記支持体と前記セパレータとの間に設けられ、
前記セパレータの前記燃料ガス供給路側の少なくとも一部に前記内部改質触媒層が設けられる燃料電池構造体。 - 前記燃料ガス供給路の内面の少なくとも一部に前記内部改質触媒層が設けられる請求項1記載の燃料電池構造体。
- 前記貫通孔の内部に前記内部改質触媒層を設ける請求項1記載の燃料電池構造体。
- 前記燃料ガス供給路と前記酸化性ガス供給路とを仕切る少なくとも一つのセパレータを備え、
前記セパレータの前記燃料ガス供給路側の少なくとも一部に前記内部改質触媒層が設けられる請求項1,3又は4記載の燃料電池構造体。 - 前記内部改質触媒層に含有される改質触媒が担体に金属が担持された触媒である請求項1~5の何れか一項記載の燃料電池構造体。
- 前記内部改質触媒層に含有される改質触媒がNiを含む触媒である請求項1~6の何れか一項記載の燃料電池構造体。
- 前記乱流促進体が網状体である請求項1~7の何れか一項記載の燃料電池構造体。
- 前記乱流促進体が網状体であり、当該網状体が前記燃料ガス供給路における前記他方の面側に設けられている請求項1及び3~5の何れか一項記載の燃料電池構造体。
- 前記乱流促進体が前記燃料ガス供給路に配置される複数の障害体である請求項1~7の何れか一項記載の燃料電池構造体。
- 前記乱流促進体の少なくとも一部表面に改質触媒が担持され、前記内部改質触媒層が形成されている請求項1~10の何れか一項記載の燃料電池構造体。
- 前記支持体が金属材料を用いて形成されている請求項1及び3~5の何れか一項記載の燃料電池構造体。
- 前記乱流促進体が金属材料を用いて形成されている請求項1~12の何れか一項記載の燃料電池構造体。
- 前記セパレータが金属材料を用いて形成されている請求項2又は5記載の燃料電池構造体。
- 前記燃料電池セルが固体酸化物形燃料電池である請求項1~14の何れか一項記載の燃料電池構造体。
- 請求項1~15の何れか一項記載の燃料電池構造体の複数を有して構成され、
一の前記燃料電池単セルユニットの前記酸化性ガス供給路が、当該一の燃料電池単セルユニットに隣接する他の前記燃料電池単セルユニットの前記カソード電極層に前記酸素を含有するガスを供給する燃料電池モジュール。 - 請求項16に記載の前記燃料電池モジュールと外部改質器とを少なくとも有し、前記燃料電池モジュールに、前記原燃料ガスを供給する燃料供給部を有する燃料電池装置。
- 請求項16に記載の前記燃料電池モジュールと前記燃料電池モジュールから電力を取り出すインバータとを少なくとも有する燃料電池装置。
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