JP2021163764A - 電気化学素子、電気化学モジュール、電気化学装置、エネルギーシステム、固体酸化物形燃料電池、固体酸化物形電解セル - Google Patents

電気化学素子、電気化学モジュール、電気化学装置、エネルギーシステム、固体酸化物形燃料電池、固体酸化物形電解セル Download PDF

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Yuji Tsuda
満秋 越後
Mitsuaki Echigo
将和 依田
Masakazu Yoda
亮眞 窪田
Ryoma Kubota
宏樹 栗栖
Hiroki Kurisu
美里 國松
Misato Kunimatsu
久男 大西
Hisao Onishi
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Abstract

【課題】金属支持体から電極層への元素拡散を抑制できかつ、ガスの拡散を阻害しにくい拡散防止層を備えることで高い性能と耐久性を有する電気化学素子等を提供することを目的とする。【解決手段】電気化学素子Eは、気体透過可能な金属支持体1と、金属支持体1の上に形成された拡散防止層7と、拡散防止層7の上に形成された電極層2と、電極層2の上に形成された電解質層4と、電解質層4の上に形成された対極電極層6と、を備え、拡散防止層7は、第1気孔率を有する第1拡散防止層7a及び第1気孔率よりも気孔率が高い第2気孔率を有する第2拡散防止層7bを含む。【選択図】図1

Description

本発明は、電気化学素子、電気化学モジュール、電気化学装置、エネルギーシステム、固体酸化物形燃料電池、固体酸化物形電解セルに関する。
特許文献1の固体酸化物形燃料電池(SOFC)は、SUS430を材料とした多孔質板である支持体と、支持体上部に配置された発電セルとを有する。発電セルは、アノード層、電解質層及びカソード層を有する。このようなSOFCにおいて、拡散防止層が支持体とアノード層との間に配置されている。これにより、支持体とアノード層との間での金属の拡散が抑制できる。
特開2016−115506号公報
しかし、特許文献1の上記の支持体とアノード層との間に拡散防止層を備えるSOFCにおいては、金属支持体からアノード層へFeやCrが拡散しており、それにより性能や耐久性が低下するという懸念がある。よって、拡散防止層を備えるSOFCにおいて、性能や耐久性を向上するための新たな技術開発が求められている。
本発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、金属支持体から電極層への元素拡散を抑制できかつ、ガスの拡散を阻害しにくい拡散防止層を備えることで高い性能と耐久性を有する電気化学素子等を提供することにある。
[構成]
本発明に係る電気化学素子の特徴構成は、
気体透過可能な金属支持体と、
前記金属支持体の上に形成された拡散防止層と、
前記拡散防止層の上に形成された電極層と、
前記電極層の上に形成された電解質層と、
前記電解質層の上に形成された対極電極層と、
を備え、
前記拡散防止層は、第1気孔率を有する第1拡散防止層及び前記第1気孔率よりも気孔率が高い第2気孔率を有する第2拡散防止層を含む点にある。
上記特徴構成によれば、金属支持体と電極層との間に拡散防止層が設けられている。拡散防止層は、互いに異なる気孔率を有する第1拡散防止層及び第2拡散防止層を含んで構成されている。この拡散防止層によって、金属支持体と電極層との間の元素拡散を抑制することができ、性能及び耐久性の高い電気化学素子が得られる。例えば、金属支持体からマンガン、クロム、鉄等の元素が電極層に拡散して電極層を被毒するのを抑制できる。
また、上記の通り拡散防止層が気孔率の異なる第1拡散防止層及び第2拡散防止層を含んで構成されている。つまり、第2拡散防止層の第2気孔率は、第1拡散防止層の第1気孔率よりも高い。この気孔率の高い第2拡散防止層は、金属支持体から電極層へ燃料ガス又は酸化剤ガスの供給を阻害しにくいため、第2拡散防止層が存在することによる発電性能の低下を抑制できる。
以上の通り、上記特徴構成のように拡散防止層を気孔率の高い第2拡散防止層と気孔率の低い第1拡散防止層とを組み合わせて構成することで、金属支持体と電極層との間の元素拡散を抑制できかつ、金属支持体から電極層へ燃料ガス又は酸化剤ガスの供給が阻害されるのが抑制されるため、性能及び耐久性の高い電気化学素子が得られる。
[構成]
本発明に係る電気化学素子の更なる特徴構成は、前記第2拡散防止層の厚さが0.1μm以上10μm以下である点にある。
第2拡散防止層は第1拡散防止層よりも気孔率が高く燃料ガス又は酸化剤ガスを透過し易い。上記の特徴構成の通り第2拡散防止層を0.1μm以上10μm以下の厚さで形成することで、金属支持体と電極層との間の元素拡散の抑制と、金属支持体から電極層への燃料ガス又は酸化剤ガスの供給とを両立することができ、発電性能の低下を抑制できる。
また、上記厚みであれば、第2拡散防止層を形成した場合でも電気抵抗が高くなりすぎるのを抑制でき好ましい。
[構成]
本発明に係る電気化学素子の更なる特徴構成は、前記第1拡散防止層の厚さが3μm以下である点にある。
第1拡散防止層は第2拡散防止層よりも気孔率が低く、金属支持体と電極層との間の元素拡散を抑制し易いが、一方で燃料ガス又は酸化剤ガスの透過性は第2拡散防止層よりも劣る。上記の特徴構成の通り第1拡散防止層を3μm以下の厚さで形成することで、燃料ガス又は酸化剤ガスの透過を阻害し過ぎるのを抑制できるので好ましい。例えば、第1拡散防止層は、第2拡散防止層よりも薄く形成することができる。これにより、第1拡散防止層が、燃料ガス又は酸化剤ガスの透過を阻害し過ぎるのをさらに抑制できる。また、上記厚みで第1拡散防止層を形成することで電気抵抗が高くなりすぎるのを抑制でき好ましい。
[構成]
本発明に係る電気化学素子の更なる特徴構成は、前記第1拡散防止層及び前記第2拡散防止層の少なくともいずれかは金属酸化物である点にある。
上記特徴構成のように少なくともいずれかが金属酸化物である第1拡散防止層及び第2拡散防止層は、金属支持体と電極層との間の元素拡散を抑制することができる。また、電気化学素子を熱処理により製造する過程における、例えば金属支持体及び電極層等を熱処理により製造する過程における酸化、また、金属支持体及び電極層等が形成された構造物を熱処理する過程における酸化等によって第1拡散防止層及び第2拡散防止層の少なくともいずれかを製造することができる。
[構成]
本発明に係る電気化学素子の更なる特徴構成は、前記第2拡散防止層がCeを含有する点にある。
上記特徴構成の通り第2拡散防止層をCeを含有するように形成することができる。このような第2拡散防止層により、金属支持体と電極層との間の元素拡散を抑制することができる。
また、Ceを含有するような拡散防止層であると、金属支持体や電極層や電解質層などとの熱膨張係数を近いものとすることができるので、低温と高温の温度サイクルが繰り返された場合でも性能及び耐久性の高い電気化学素子を実現できるので好ましい。
なお、このような第2拡散防止層によって、特に金属支持体から電極層へのFe等の拡散が抑制できるので好ましい。
[構成]
本発明に係る電気化学素子の更なる特徴構成は、前記第2拡散防止層がSm、GdおよびYからなる群から選ばれる元素のうち少なくとも1つを含有する点にある。
上記特徴構成の通り第2拡散防止層をSm、GdおよびYからなる群から選ばれる元素のうち少なくとも1つを含有するように形成することができる。このような第2拡散防止層により、金属支持体と電極層との間の元素拡散を抑制しながら、導電性の高い拡散防止層を有する性能の高い電気化学素子を得ることができるので好ましい。
[構成]
本発明に係る電気化学素子の更なる特徴構成は、前記第1拡散防止層は酸化クロムを主成分とする点にある。
金属支持体にはクロムを含有するフェライト系ステンレス材が用いられる場合がある。
この場合、金属支持体の熱処理により酸化クロムを主成分とする第1拡散防止層を形成できる。このような第1拡散防止層により、金属支持体のCr等が電極層や電解質層へ拡散することを抑制することができる。
[構成]
本発明に係る電気化学素子の更なる特徴構成は、前記金属支持体はフェライト系ステンレス材である点にある。
上記特徴構成のように、金属支持体がフェライト系ステンレス材から構成されると、安価で強度が高い電気化学素子を実現できるので好ましい。
[構成]
本発明に係る電気化学素子の更なる特徴構成は、前記電解質層がジルコニア系セラミックスを含有する点にある。
上記の特徴構成によれば、電解質層が安定化ジルコニアを含むから、例えば600℃以上、好ましくは650℃以上の比較的高い温度域でも高い電気化学性能を発揮可能な電気化学素子を実現できる。
[構成]
本発明に係る電気化学素子の更なる特徴構成は、前記第1拡散防止層は前記第2拡散防止層よりも前記金属支持体側に配置されている点にある。
上記の特徴構成によれば、緻密で薄い第1拡散防止層が第2拡散防止層よりも前記金属支持体側に配置されているため、金属支持体からの元素拡散を十分に抑制できるため好ましい。
[構成]
本発明に係る電気化学素子の更なる特徴構成は、前記金属支持体は、裏面から、前記電極層側の表面まで貫通する複数の貫通孔を有している点にある。
上記の特徴構成によれば、金属支持体が複数の貫通孔を有しているため、金属支持体の裏面から電極層側への燃料ガス及び酸化剤ガス等の供給をスムーズにできるので高性能な電気化学素子を実現できる。
[構成]
本発明に係る電気化学素子の更なる特徴構成は、前記第1拡散防止層は、前記複数の貫通孔を閉塞しないように配置されている点にある。
上記の特徴構成によれば、金属支持体には複数の貫通孔が形成されているが、緻密な第1拡散防止層が複数の貫通孔を閉塞しないように配置されているので、金属支持体の裏面から電極層側への燃料ガス及び酸化剤ガス等の供給をスムーズにできるので高性能な電気化学素子を実現できる。
[構成]
本発明に係る電気化学素子の更なる特徴構成は、前記第2拡散防止層の前記第2気孔率は5%以上60%以下である点にある。
上記の特徴構成によれば、金属支持体と電極層との間の元素拡散を抑制しかつ、燃料ガス及び酸化剤ガス等を電極層側にスムーズに供給できる。また、前記第2拡散防止層の前記第2気孔率は好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上であれば燃料ガス及び酸化剤ガス等を電極層側によりスムーズに供給できるため好ましい。また、当該気孔率は好ましくは50%以下、より好ましくは40%以下であれば強度の高い第2拡散防止素が得られると共に、金属支持体と電極層の間の元素拡散をより抑制できるため好ましい。
[構成]
本発明に係る電気化学素子の更なる特徴構成は、前記第1拡散防止層の前記第1気孔率は5%未満である点にある。
上記の特徴構成によれば、金属支持体と電極層との間の元素拡散を十分に抑制できるので好ましい。
[構成]
本発明に係る電気化学モジュールの特徴構成は上記の電気化学素子が複数集合した状態で配置される点にある。
上記の特徴構成によれば、上述の電気化学素子が複数集合した状態で配置されるので、材料コストと加工コストを抑制しつつ、コンパクトで高性能な、強度と信頼性に優れた電気化学モジュールを得ることができる。
[構成]
本発明に係る電気化学装置の特徴構成は、上記の電気化学素子もしくは上記の電気化学モジュールと、前記電気化学素子又は前記電気化学モジュールに還元性成分を含有するガスを流通する燃料変換器、あるいは前記電気化学素子又は前記電気化学モジュールで生成する還元性成分を含有するガスを変換する燃料変換器とを少なくとも有する点にある。
上記の特徴構成によれば、電気化学素子又は電気化学モジュールと、電気化学素子又は電気化学モジュールに還元性成分を含有するガスを流通する燃料変換器を有する。よって、電気化学モジュールを燃料電池として動作させる場合、改質器などの燃料変換器によって、都市ガス等の既存の原燃料供給インフラを用いて供給される天然ガス等から水素を生成し、燃料電池に流通させる構成とすると、耐久性・信頼性および性能に優れた電気化学モジュールを備えた電気化学装置を実現することができる。また、電気化学モジュールから排出される未利用の燃料ガスをリサイクルするシステムを構築し易くなるため、高効率な電気化学装置を実現することができる。
更に、上記の特徴構成によれば、電気化学素子又は電気化学モジュールと、電気化学素子又は電気化学モジュールで生成する還元性成分を含有するガスを変換する燃料変換器を有する。よって、電気化学モジュールを電解セルとして動作させる場合は、例えば、水の電解反応によって生成する水素を燃料変換器で一酸化炭素や二酸化炭素と反応させてメタンなどに変換する電気化学装置とすることが出来るが、このような構成にすると、耐久性・信頼性および性能に優れた電気化学モジュールを備えた電気化学装置を実現することができる。
[構成]
本発明に係る電気化学装置の特徴構成は、上記の電気化学素子もしくは上記の電気化学モジュールと、前記電気化学素子もしくは前記電気化学モジュールから電力を取り出すあるいは前記電気化学素子もしくは前記電気化学モジュールに電力を流通する電力変換器とを少なくとも有する点にある。
上記の特徴構成によれば、電力変換器は、電気化学素子もしくは電気化学モジュールが発電した電力を取り出し、あるいは、電気化学素子もしくは電気化学モジュールに電力を流通する。これにより、上記のように電気化学素子もしくは電気化学モジュールは、燃料電池として作用し、あるいは、電解セルとして作用する。よって、上記構成によれば、燃料等の化学的エネルギーを電気エネルギーに変換する、あるいは電気エネルギーを燃料等の化学的エネルギーに変換する効率を向上できる電気化学素子等を提供することができる。
なお、例えば、電力変換器としてインバータを用いる場合、耐久性・信頼性および性能に優れた電気化学素子もしくは電気化学モジュールから得られる電気出力を、インバータによって昇圧したり、直流を交流に変換したりすることができるため、電気化学素子もしくは電気化学モジュールで得られる電気出力を利用しやすくなるので好ましい。
[構成]
本発明に係るエネルギーシステムの特徴構成は、上記の電気化学装置と、前記電気化学装置から排出される熱を再利用する排熱利用部とを有する点にある。
上記の特徴構成によれば、電気化学装置と、電気化学装置から排出される熱を再利用する排熱利用部を有するので、耐久性・信頼性および性能に優れ、かつエネルギー効率にも優れたエネルギーシステムを実現することができる。なお、電気化学装置から排出される未利用の燃料ガスの燃焼熱を利用して発電する発電システムと組み合わせてエネルギー効率に優れたハイブリットシステムを実現することもできる。
[構成]
本発明に係る固体酸化物形燃料電池の特徴構成は、上記の電気化学素子を備え、前記電気化学素子で発電反応を生じさせる点にある。
上記の特徴構成によれば、耐久性・信頼性および性能に優れた電気化学素子を備えた固体酸化物形燃料電池として発電反応を行うことができるので、高耐久・高性能な固体酸化物形燃料電池を得る事ができる。なお、定格運転時に650℃以上の温度域で運転可能な固体酸化物形燃料電池であると、都市ガス等の炭化水素系ガスを原燃料とする燃料電池システムにおいて、原燃料を水素に変換する際に必要となる熱を燃料電池の排熱で賄うことが可能なシステムを構築できるため、燃料電池システムの発電効率を高めることができるので、より好ましい。また、定格運転時に900℃以下の温度域で運転される固体酸化物形燃料電池であると、金属支持型電気化学素子からのCr揮発の抑制効果が高められるのでより好ましく、定格運転時に850℃以下の温度域で運転される固体酸化物形燃料電池であると、Cr揮発の抑制効果を更に高められるので更に好ましい。
[構成]
本発明に係る固体酸化物形電解セルの特徴構成は、上記の電気化学素子を備え、前記電気化学素子で電解反応を生じさせる点にある。
上記の特徴構成によれば、耐久性・信頼性および性能に優れた電気化学素子を備えた固体酸化物形電解セルとして電解反応によるガスの生成を行うことができるので、高耐久・高性能な固体酸化物形電解セルを得る事ができる。
電気化学素子の構成を示す概略図である。 実施例1による第1拡散防止層及び第2拡散防止層を示す写真である。 電気化学素子および電気化学モジュールの構成を示す概略図である。 電気化学装置およびエネルギーシステムの構成を示す概略図である。 電気化学モジュールの構成を示す概略図である。 別の電気化学装置およびエネルギーシステムの構成を示す概略図である。 別の電気化学素子の構成を示す概略図である。 別の電気化学素子の構成を示す概略図である。 別の電気化学素子の構成を示す概略図である。 実施例2による第1拡散防止層及び第2拡散防止層を示す写真である。
<第1実施形態>
以下、図1を参照しながら、本実施形態に係る電気化学素子Eおよび固体酸化物形燃料電池(Solid Oxide Fuel Cell:SOFC)について説明する。電気化学素子Eは、例えば、水素を含む燃料ガスと空気の供給を受けて発電する固体酸化物形燃料電池の構成要素として用いられる。なお以下、層の位置関係などを表す際、例えば電解質層4から見て対極電極層6の側を「上」または「上側」、電極層2の側を「下」または「下側」という場合がある。また、金属支持体1における電極層2が形成されている側の面を表側面1a、反対側の面を裏側面1bという。
(電気化学素子)
電気化学素子Eは、図1に示される通り、金属支持体1と、第1拡散防止層7a及び第2拡散防止層7bを含む拡散防止層7と、拡散防止層7の上に形成された電極層2と、電極層2の上に形成された中間層3と、中間層3の上に形成された電解質層4とを有する。
そして電気化学素子Eは、更に、電解質層4の上に形成された反応防止層5と、反応防止層5の上に形成された対極電極層6とを有する。つまり対極電極層6は電解質層4の上に形成され、反応防止層5は電解質層4と対極電極層6との間に形成されている。電極層2は多孔質であり、電解質層4は緻密である。
(金属支持体)
金属支持体1は、拡散防止層7(第1拡散防止層7a、第2拡散防止層7b)、電極層2、中間層3および電解質層4等を支持して電気化学素子Eの強度を保つ。つまり金属支持体1は、電気化学素子Eを支持する支持体としての役割を担う。
金属支持体1の材料としては、電子伝導性、耐熱性、耐酸化性および耐腐食性に優れた材料が用いられる。例えば、フェライト系ステンレス、オーステナイト系ステンレス、ニッケル基合金などが用いられる。特に、クロムを含む合金が好適に用いられる。本実施形態では、金属支持体1は、Crを18質量%以上25質量%以下含有するFe−Cr系合金を用いているが、Mnを0.05質量%以上含有するFe−Cr系合金、Tiを0.15質量%以上1.0質量%以下含有するFe−Cr系合金、Zrを0.15質量%以上1.0質量%以下含有するFe−Cr系合金、TiおよびZrを含有しTiとZrとの合計の含有量が0.15質量%以上1.0質量%以下であるFe−Cr系合金、Cuを0.10質量%以上1.0質量%以下含有するFe−Cr系合金であると特に好適である。
なお、金属支持体1がフェライト系ステンレス材から構成されると、安価で強度が高い電気化学素子を実現できるので好ましい。
金属支持体1は全体として板状である。金属支持体1は、支持体として電気化学素子Eを形成するのに充分な強度を有すれば良く、その厚さは、強度を確保するという観点で、例えば、0.1mm以上であると好ましく、0.15mm以上であるとより好ましく、0.2mm以上であると更に好ましい。また、その厚さは、コストを抑制するという観点で、例えば、2mm以下であると好ましく、1mm以下であるとより好ましく、0.5mm以下であると更に好ましい。そして金属支持体1は、電極層2が設けられる面を表側面1aとして、表側面1aから裏側面1bへ貫通する複数の貫通空間1cを有する。例えば、金属支持体1は、金属板の表側面1aと裏側面1bとを貫通するように、パンチング加工やエッチング加工、レーザー加工などの、機械的、化学的あるいは光学的穿孔加工などにより、複数の貫通孔を複数の貫通空間1cとして設けることができる。これにより、金属支持体1の裏側面1bから電極層2側への燃料ガス及び酸化剤ガス等の供給をスムーズにできるので高性能な電気化学素子を実現できる。
なお、板状の金属支持体1を曲げたりして、例えば箱状、円筒状などの形状に変形させて使用することも可能である。
(拡散防止層)
本実施形態では、拡散防止層7は、第1気孔率を有する第1拡散防止層7a及び第1気孔率よりも高い第2気孔率を有する第2拡散防止層7bを含む。ここで、第1気孔率とは、第1拡散防止層7aの全体積のうち空隙が占める割合である。第2気孔率とは、第2拡散防止層7bの全体積のうち空隙が占める割合である。
本実施形態では、第1拡散防止層7aは、金属支持体1の表面及び貫通空間1cの内面に形成されている。第2拡散防止層7bは、金属支持体1の表面に設けられた第1拡散防止層7aの上に設けられており、金属支持体1の表面において、貫通空間1cが設けられた領域を覆うように、貫通空間1cの領域よりも大きな領域に薄層の状態で設けられている。つまり、貫通空間1cは第2拡散防止層7bが形成された領域の内側に形成されている。換言すれば、全ての貫通空間1cが第2拡散防止層7bに面して設けられている。
この拡散防止層7(第1拡散防止層7a、第2拡散防止層7b)によって、金属支持体1と電極層2との間の元素拡散を抑制することができ、電気化学素子Eの発電性能の低下を抑制できる。例えば、金属支持体1からマンガン、クロム、鉄等の元素が電極層2に拡散して電極層2を被毒するのを抑制できる。また、本実施形態の拡散防止層7は、気孔率の高い第2拡散防止層7bを有しているため、第2拡散防止層7bによる金属支持体1から電極層2へ燃料ガス又は酸化剤ガスの拡散が阻害されにくく、発電性能の低下を抑制できる。
第1拡散防止層7aの第1気孔率は5%未満であることができる。これにより、金属支持体1と電極層2との間の元素拡散を十分に抑制できるので好ましい。
また、第2拡散防止層7bの第2気孔率は5%以上60%以下であることができる。これにより、金属支持体1と電極層2との間の元素拡散を抑制しかつ、燃料ガス及び酸化剤ガス等を電極層2側にスムーズに供給できる。また、第2拡散防止層7bの第2気孔率は好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上であれば燃料ガス及び酸化剤ガス等を電極層2側によりスムーズに供給できるため好ましい。また、当該第2気孔率は好ましくは50%以下、より好ましくは40%以下であれば強度の高い第2拡散防止層7bが得られると共に、金属支持体1と電極層2の間の元素拡散をより抑制できるため好ましい。
また、第1拡散防止層7aの第1気孔率は5%未満であることができる。これにより、金属支持体1と電極層2との間の元素拡散を十分に抑制できるので好ましい。
以上の通り、拡散防止層7を気孔率の高い第2拡散防止層7bと気孔率の低い第1拡散防止層7aとを組み合わせて構成することで、金属支持体1と電極層2との間の元素拡散を抑制できると共に、金属支持体1から電極層2へ燃料ガス又は酸化剤ガスの供給が阻害されるのも抑制できるため、発電性能の低下が抑制される。これにより、電気化学素子Eの性能の長期安定性を向上できる。
また、気孔率の高い第2拡散防止層7bを、気孔率の低い第1拡散防止層7aと電極層2との間に配置することで、金属支持体1と電極層2との間の元素拡散も抑制できる。つまり、緻密で薄い第1拡散防止層7aが第2拡散防止層7bよりも金属支持体1側に配置されているため、金属支持体1からの元素拡散を十分に抑制できるため好ましい。
特に、図1に示すように、第1拡散防止層7aは、複数の貫通空間1cを閉塞しないように形成されているのが好ましい。図1において、第1拡散防止層7aは、貫通空間1cの側面を含む金属支持体1の表面に形成されている。第2拡散防止層7bは、金属支持体1の表側面1a側において第1拡散防止層7a及び貫通空間1cの表側面1a側を覆うように形成されている。よって、貫通空間1cは、貫通方向に沿った側面は第1拡散防止層7aに覆われつつ、かつ裏側面1bから表側面1aに貫通している。そして、貫通空間1cの貫通方向の直上である表側面1a側は第2拡散防止層7bにより覆われている。つまり、第1拡散防止層7aは金属支持体1の貫通空間1cを閉塞しないように配置されているが、第2拡散防止層7bは貫通空間1cを閉塞するように貫通空間1cの上部に配置されている。
この場合であっても、第2拡散防止層7bの第2気孔率は第1拡散防止層7aの第1気孔率よりも大きいため、貫通空間1cの上部が第2拡散防止層7bで閉塞されていても、貫通空間1c及び第2拡散防止層7bを介して燃料ガス及び酸化剤ガス等を電極層2側に供給できる。つまり、第2拡散防止層7bよりも気孔率が低い緻密な第1拡散防止層7aが貫通空間1cを閉塞しないように配置されているため、金属支持体1の裏面から貫通空間1cを介して燃料ガス及び酸化剤ガス等を電極層2側にスムーズに供給できるので、高性能な電気化学素子Eを実現できる。
第1拡散防止層7aの厚さは、拡散防止性能の高さと電気抵抗の低さを両立させることのできる厚みであれば良いが、例えば3μm以下である。第1拡散防止層7aは第2拡散防止層7bよりも気孔率が低く、金属支持体1と電極層2との間の元素拡散を抑制し易いが、一方で燃料ガス又は酸化剤ガスの透過性は第2拡散防止層7bよりも劣る。上記の通り第1拡散防止層7aを3μm以下の厚さで形成することで、燃料ガス又は酸化剤ガスの透過を阻害するのを抑制できるので好ましい。例えば、第1拡散防止層7aは、第2拡散防止層7bよりも薄く形成することができる。これにより、第1拡散防止層7aが、燃料ガス又は酸化剤ガスの透過を阻害するのをさらに抑制できる。また、上記厚みで第1拡散防止層7aを形成することで電気抵抗が高くなりすぎるのを抑制でき好ましい。また、第1拡散防止層7aの厚みはより好ましくは2.5μm以下、更に好ましくは2μm以下とすれば、電気抵抗の増大を更に抑制できるので好ましい。
一方で、第2拡散防止層7bの厚さは、拡散防止性能の高さと電気抵抗の低さを両立させるとともに、ガス拡散性が低下しない厚みであれば良いが、例えば、0.1μm以上、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1μm以上とすることができる。このような厚さにすると金属支持体1と電極層2との間の元素拡散の抑制を確保できる。また、第2拡散防止層7bの厚さは、10μm以下、好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下とすることができる。このような厚さにすると、高価な材料の使用量を低減してコストダウンを図ることができる。また、このような厚さにすると、金属支持体1から電極層2への燃料ガス又は酸化剤ガスの供給を阻害しにくいため、発電性能の低下を抑制できる。また、上記厚みであれば、第2拡散防止層7bを形成した場合でも電気抵抗が高くなりすぎるのを抑制でき好ましい。
第1拡散防止層7a及び第2拡散防止層7bの少なくともいずれかは金属酸化物であると好ましい。この場合、第1拡散防止層7a及び第2拡散防止層7bからなる拡散防止層7は、金属支持体1と電極層2との間の元素拡散を抑制することができる。また、電気化学素子Eを熱処理により製造する過程における、例えば金属支持体1及び電極層2等を熱処理により製造する過程における酸化、また、金属支持体1及び電極層2等が形成された構造物を熱処理する過程における酸化等によって、金属酸化物からなる第1拡散防止層7a及び第2拡散防止層7bの少なくともいずれかを製造することができる。
特に、第2拡散防止層7bをCeを含有するセリア系材料等から形成することができる。このような第2拡散防止層7bにより、金属支持体1と電極層2との間の元素拡散を抑制することができる。
また、熱膨張係数が近い材料として、金属支持体1にはフェライト系ステンレス材が用いられ、電極層2及び電解質層4にはGDC(ガドリウム・ドープ・セリア、CGOとも呼ぶ)等が用いられる。Ceを含有するような第2拡散防止層7bであると、金属支持体1や電極層2や電解質層4などとの熱膨張係数を近いものとすることができるので、低温と高温の温度サイクルが繰り返された場合でも性能及び耐久性の高い電気化学素子Eを実現できるので好ましい。Ceを含有するような第2拡散防止層7bは、セリア系材料を含む電極層2の熱処理により形成することもできる。
また、第2拡散防止層7bとして金属支持体1と電極層2及び電解質層4との熱膨張係数が比較的近い酸化チタン(TiO)、酸化スズ(SnO)、酸化亜鉛(ZnO)系材料等を用いて形成することもできる。
さらに、第2拡散防止層7bをSm、GdおよびYからなる群から選ばれる元素のうち少なくとも1つを含有するように形成することができる。このような第2拡散防止層7bにより、金属支持体1と電極層2との間の元素拡散を抑制しながら、導電性の高い拡散防止層を有する性能の高い電気化学素子を得ることができる。
上述の通り、熱膨張係数が近い材料として、金属支持体1にはフェライト系ステンレス材が用いられる場合がある。そして、電極層2及び電解質層4にはGDC以外にもYDC(イットリウム・ドープ・セリア)、SDC(サマリウム・ドープ・セリア)等も用いられる場合がある。この場合、電極層2の熱処理によりSm、GdおよびY等を含有する第2拡散防止層7bを形成できる。このような第2拡散防止層7bにより、金属支持体1と電極層2との間の元素拡散を抑制することができる。
なお、上述の通り、金属支持体1としてフェライト系ステンレス材を用い、電極層2や電解質層4の材料としてYSZ(イットリア安定化ジルコニア)やGDC(ガドリウム・ドープ・セリア、CGOとも呼ぶ)等を用いた場合、これらの材料の熱膨張係数が近い。
従って、低温と高温の温度サイクルが繰り返された場合も電気化学素子Eがダメージを受けにくい。よって、長期耐久性に優れた電気化学素子Eを実現できるので好ましい。
なお、第2拡散防止層7bにおける、Sm、GdおよびY等の元素の含有率の合計が1.0質量%以上10質量%以下であるのが好ましい。
上記のような第2拡散防止層7bによって、特に金属支持体1から電極層2へのFe等の拡散が抑制されていることが確認されており、電極層2の被毒が抑制され好ましい。
第1拡散防止層7aは金属支持体1に焼成工程を施すことにより金属支持体1に含まれる金属成分の酸化物被膜として形成することができる。焼成工程の温度は1100℃程度以下であれば金属支持体1を傷めることなく、第1拡散防止層7aが形成できるため、好ましい。また、焼成工程を酸素分圧が低い雰囲気条件で行うと薄膜で元素の拡散抑制効果が高く、抵抗値の低い良質な第1拡散防止層7aが形成されるので好ましい。なお、第1拡散防止層7aは、メッキなどのコーティング方法や、低温焼成法(例えば1100℃より高い高温域での焼成処理をしない低温域での焼成処理を用いる湿式法)やスプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、PVD法(スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法など)、CVD法などによっても形成できる。
また、第1拡散防止層7aは、酸化クロムを主成分とする材料から形成されると好ましい。金属支持体1にはクロムを含有するフェライト系ステンレス材が用いられる場合がある。この場合、金属支持体1の熱処理により酸化クロムを主成分とする第1拡散防止層7aを形成できる。このような第1拡散防止層7aにより、金属支持体1のCr等が電極層2や電解質層4へ拡散することを抑制することができる。
第2拡散防止層7bは、低温焼成法(例えば1100℃より高い高温域での焼成処理をしない低温域での焼成処理を用いる湿式法)やスプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、PVD法(スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法など)、CVD法などにより形成することが好ましい。これらの、低温域で使用可能な成膜プロセスにより、例えば1100℃より高い高温域での焼成を用いずに第2拡散防止層7bが得られる。そのため、金属支持体1を傷めることなく、金属支持体1と電極層2との元素拡散を抑制することができ、耐久性に優れた電気化学素子Eを実現できる。また、低温焼成法を用いると、原材料のハンドリングが容易になるので更に好ましい。
また、第1拡散防止層7aは、場合によっては低温焼成法等による焼成工程を経る第2拡散防止層7bの形成過程において同時に形成されてもよい。
(電極層)
電極層2は、図1に示すように、金属支持体1の貫通空間1cを覆うように第2拡散防止層7bの表面に薄層の状態で設けることができる。薄層とする場合は、その厚さを、例えば、1μm〜100μm程度、好ましくは、5μm〜50μmとすることができる。このような厚さにすると、高価な電極層材料の使用量を低減してコストダウンを図りつつ、十分な電極性能を確保することが可能となる。
電極層2の材料としては、例えばNiO−GDC、Ni−GDC、NiO−YSZ、Ni−YSZ、CuO−CeO、Cu−CeOなどの複合材を用いることができる。これらの例では、GDC、YSZ、CeOを複合材の骨材と呼ぶことができる。なお、電極層2は、低温焼成法(例えば1100℃より高い高温域での焼成処理をしない低温域での焼成処理を用いる湿式法)やスプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、PVD法(スパッタリング法やパルスレーザーデポジション法など)、CVD法などにより形成することが好ましい。これらの、低温域で使用可能なプロセスにより、例えば1100℃より高い高温域での焼成を用いずに、良好な電極層2が得られる。そのため、金属支持体1を傷めることなく、また、拡散防止層7の存在による元素拡散の抑制に加えて金属支持体1と電極層2との元素拡散を抑制することができ、耐久性に優れた電気化学素子を実現できるので好ましい。更に、低温焼成法を用いると、原材料のハンドリングが容易になるので更に好ましい。
電極層2は、気体透過性を持たせるため、その内部および表面に複数の細孔を有する。
すなわち電極層2は、多孔質な層として形成される。電極層2は、例えば、その緻密度が30%以上80%未満となるように形成される。細孔のサイズは、電気化学反応を行う際に円滑な反応が進行するのに適したサイズを適宜選ぶことができる。なお緻密度とは、層を構成する材料の空間に占める割合であって、(1−気孔率)と表すことができ、また、相対密度と同等である。
(中間層)
中間層3(挿入層)は、図1に示すように、電極層2の上に薄層の状態で形成することができる。薄層とする場合は、その厚さを、例えば、1μm〜100μm程度、好ましくは2μm〜50μm程度、より好ましくは4μm〜25μm程度とすることができる。このような厚さにすると、高価な中間層材料の使用量を低減してコストダウンを図りつつ、十分な性能を確保することが可能となる。中間層3の材料としては、例えば、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)、SSZ(スカンジウム安定化ジルコニア)やGDC(ガドリウム・ドープ・セリア)、YDC(イットリウム・ドープ・セリア)、SDC(サマリウム・ドープ・セリア)等を用いることができる。特にセリア系のセラミックスが好適に用いられる。
中間層3は、低温焼成法(例えば1100℃より高い高温域での焼成処理をしない低温域での焼成処理を用いる湿式法)やスプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、PVD法(スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法など)、CVD法などにより形成することが好ましい。これらの、低温域で使用可能な成膜プロセスにより、例えば1100℃より高い高温域での焼成を用いずに中間層3が得られる。そのため、金属支持体1を傷めることなく、拡散防止層7の存在による元素拡散の抑制に加えて金属支持体1と電極層2との元素拡散を抑制することができ、耐久性に優れた電気化学素子Eを実現できる。また、低温焼成法を用いると、原材料のハンドリングが容易になるので更に好ましい。
中間層3としては、酸素イオン(酸化物イオン)伝導性を有することが好ましい。また、酸素イオン(酸化物イオン)と電子との混合伝導性を有すると更に好ましい。これらの性質を有する中間層3は、電気化学素子Eへの適用に適している。
(電解質層)
電解質層4は、図1に示すように、中間層3の上に薄層の状態で形成される。また、厚さが10μm以下の薄膜の状態で形成することもできる。
電解質層4の材料としては、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)、SSZ(スカンジウム安定化ジルコニア)やGDC(ガドリウム・ドープ・セリア)、YDC(イットリウム・ドープ・セリア)、SDC(サマリウム・ドープ・セリア)、LSGM(ストロンチウム・マグネシウム添加ランタンガレート)等の酸素イオンを伝導する電解質材料や、ペロブスカイト型酸化物等の水素イオンを伝導する電解質材料を用いることができる。特にジルコニア系のセラミックスが好適に用いられる。電解質層4をジルコニア系セラミックスとすると、電気化学素子Eを用いたSOFCの稼働温度をセリア系セラミックスや種々の水素イオン伝導性材料に比べて高くすることができる。例えば電気化学素子EをSOFCに用いる場合、電解質層4の材料としてYSZのような650℃程度以上の高温域でも高い電解質性能を発揮できる材料を用い、システムの原燃料に都市ガスやLPG等の炭化水素系の原燃料を用い、原燃料を水蒸気改質等によってSOFCのアノードガスとするシステム構成とすると、SOFCのセルスタックで生じる熱を原燃料ガスの改質に用いる高効率なSOFCシステムを構築することができる。
電解質層4は、低温焼成法(例えば1100℃を越える高温域での焼成処理をしない低温域での焼成処理を用いる湿式法)やスプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、PVD法(スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法など)、CVD法などにより形成することが好ましい。これらの、低温域で使用可能な成膜プロセスにより、例えば1100℃を越える高温域での焼成を用いずに、緻密で気密性およびガスバリア性の高い電解質層4が得られる。そのため、金属支持体1の損傷を抑制し、また、拡散防止層7の存在による元素拡散の抑制に加えて金属支持体1と電極層2との元素拡散を抑制することができ、性能・耐久性に優れた電気化学素子Eを実現できる。特に、低温焼成法やスプレーコーティング法などを用いると低コストな素子が実現できるので好ましい。更に、スプレーコーティング法を用いると、緻密で気密性およびガスバリア性の高い電解質層が低温域で容易に得られやすいので更に好ましい。
電解質層4は、アノードガスやカソードガスのガスリークを遮蔽し、かつ、高いイオン伝導性を発現するために、緻密に構成される。電解質層4の緻密度は90%以上が好ましく、95%以上であるとより好ましく、98%以上であると更に好ましい。電解質層4は、均一な層である場合は、その緻密度が95%以上であると好ましく、98%以上であるとより好ましい。また、電解質層4が、複数の層状に構成されているような場合は、そのうちの少なくとも一部が、緻密度が98%以上である層(緻密電解質層)を含んでいると好ましく、99%以上である層(緻密電解質層)を含んでいるとより好ましい。このような緻密電解質層が電解質層の一部に含まれていると、電解質層が複数の層状に構成されている場合であっても、緻密で気密性およびガスバリア性の高い電解質層を形成しやすくできるからである。
(反応防止層)
反応防止層5は、電解質層4の上に薄層の状態で形成することができる。薄層とする場合は、その厚さを、例えば、1μm〜100μm程度、好ましくは2μm〜50μm程度、より好ましくは3μm〜15μm程度とすることができる。このような厚さにすると、高価な反応防止層材料の使用量を低減してコストダウンを図りつつ、十分な性能を確保することが可能となる。反応防止層5の材料としては、電解質層4の成分と対極電極層6の成分との間の反応を防止できる材料であれば良いが、例えばセリア系材料等が用いられる。また反応防止層5の材料として、Sm、GdおよびYからなる群から選ばれる元素のうち少なくとも1つを含有する材料が好適に用いられる。なお、Sm、GdおよびYからなる群から選ばれる元素のうち少なくとも1つを含有し、これら元素の含有率の合計が1.0質量%以上10質量%以下であるとよい。反応防止層5を電解質層4と対極電極層6との間に導入することにより、対極電極層6の構成材料と電解質層4の構成材料との反応が効果的に抑制され、電気化学素子Eの性能の長期安定性を向上できる。反応防止層5の形成は、1100℃以下の処理温度で形成できる方法を適宜用いて行うと、金属支持体1の損傷を抑制し、また、金属支持体1と電極層2との元素拡散を抑制でき、性能・耐久性に優れた電気化学素子Eを実現できるので好ましい。例えば、低温焼成法(例えば1100℃を越える高温域での焼成処理をしない低温域での焼成処理を用いる湿式法)、スプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、PVD法(スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法など)、CVD法などを適宜用いて行うことができる。特に、低温焼成法やスプレーコーティング法などを用いると低コストな素子が実現できるので好ましい。更に、低温焼成法を用いると、原材料のハンドリングが容易になるので更に好ましい。
(対極電極層)
対極電極層6は、電解質層4もしくは反応防止層5の上に薄層の状態で形成することができる。薄層とする場合は、その厚さを、例えば、1μm〜100μm程度、好ましくは、5μm〜50μmとすることができる。このような厚さにすると、高価な対極電極層材料の使用量を低減してコストダウンを図りつつ、十分な電極性能を確保することが可能となる。対極電極層6の材料としては、例えば、LSCF、LSM等の複合酸化物、セリア系酸化物およびこれらの混合物を用いることができる。特に対極電極層6が、La、Sr、Sm、Mn、CoおよびFeからなる群から選ばれる2種類以上の元素を含有するペロブスカイト型酸化物を含むことが好ましい。以上の材料を用いて構成される対極電極層6は、カソードとして機能する。
なお、対極電極層6の形成は、1100℃以下の処理温度で形成できる方法を適宜用いて行うと、金属支持体1の損傷を抑制し、また、金属支持体1と電極層2との元素拡散を抑制でき、性能・耐久性に優れた電気化学素子Eを実現できるので好ましい。例えば、低温焼成法(例えば1100℃を越える高温域での焼成処理をしない低温域での焼成処理を用いる湿式法)、スプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、PDV法(スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法など)、CVD法などを適宜用いて行うことができる。特に、低温焼成法やスプレーコーティング法などを用いると低コストな素子が実現できるので好ましい。更に、低温焼成法を用いると、原材料のハンドリングが容易になるので更に好ましい。
(固体酸化物形燃料電池)
以上のように電気化学素子Eを構成することで、電気化学素子を燃料電池(電気化学発電セル)として機能させる場合には、電気化学素子Eを発電反応を生じさせる固体酸化物形燃料電池の発電セルとして用いることができる。例えば、金属支持体1の裏側の面から貫通空間1cを通じて水素を含む燃料ガスを電極層2へ流通し、電極層2の対極となる対極電極層6へ空気を流通し、例えば、500℃以上900℃以下の温度で作動させる。そうすると、対極電極層6において空気に含まれる酸素Oが電子eと反応して酸素イオンO2−が生成される。その酸素イオンO2−が電解質層4を通って電極層2へ移動する。電極層2においては、供給された燃料ガスに含まれる水素Hが酸素イオンO2−と反応し、水HOと電子eが生成される。電解質層4に水素イオンを伝導する電解質材料を用いた場合には、電極層2において流通された燃料ガスに含まれる水素Hが電子e−を放出して水素イオンHが生成される。その水素イオンHが電解質層4を通って対極電極層6へ移動する。
対極電極層6において空気に含まれる酸素Oと水素イオンH、電子eが反応し水HOが生成される。
以上の反応により、電極層2と対極電極層6との間に起電力が発生する。この場合、電極層2はSOFCの燃料極(アノード)として機能し、対極電極層6は空気極(カソード)として機能する。
(電気化学素子の製造方法)
次に、電気化学素子Eの製造方法について説明する。
(拡散防止層形成ステップ)
拡散防止層形成ステップでは、金属支持体1の貫通空間1cの内面及び金属支持体1の表面に第1拡散防止層7aが形成され、その上に第2拡散防止層7bが形成される。なお、金属支持体1の貫通空間1cはレーザー加工等によって設けることができる。
(第1拡散防止層形成ステップ)
第1拡散防止層7aは、例えば金属支持体1の焼成工程により、金属支持体1に含まれる金属成分の酸化物被膜として金属支持体1の表面及び貫通空間1cに形成される。焼成工程の温度は1100℃程度以下であれば金属支持体1を傷めることなく、第1拡散防止層7aが形成できるため、望ましい。なお、焼成工程を、酸素分圧が低い雰囲気条件とすると薄膜で元素の拡散抑制効果が高く、抵抗値の低い良質な第1拡散防止層7aが形成されるので好ましい。なお、第1拡散防止層7aはメッキなどのコーティング方法や、低温焼成法(例えば1100℃より高い高温域での焼成処理をしない低温域での焼成処理を用いる湿式法)やスプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、PVD法(スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法など)、CVD法などによっても形成できる。
(第2拡散防止層形成ステップ)
第2拡散防止層ステップでは、金属支持体1の表側の面の貫通空間1cが設けられた領域より広い領域に第2拡散防止層7bが薄膜の状態で形成される。第2拡散防止層7bは、低温焼成法(1100℃以下の低温域での焼成処理を行う湿式法)、スプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、PVD法(スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法など)、CVD法などの方法を用いて形成することができる。いずれの方法を用いる場合であっても、金属支持体1の劣化を抑制するため、1100℃以下の温度で行うことが望ましい。
第2拡散防止層形成ステップを低温焼成法で行う場合には、具体的には以下の例のように行う。まず、第2拡散防止層7bの材料粉末と溶媒(分散媒)とを混合して材料ペーストを作成し、金属支持体1の表側の面に塗布する。そして第2拡散防止層7bを圧縮成形し(第2拡散防止層平滑化工程)、1100℃以下で焼成する(第2拡散防止層焼成工程)。第2拡散防止層7bの圧縮成形は、例えば、CIP(Cold Isostatic
Pressing 、冷間静水圧加圧)成形、ロール加圧成形、RIP(Rubber
Isostatic Pressing)成形などにより行うことができる。また、第2拡散防止層7bの焼成は、800℃以上1100℃以下の温度で行うと好適である。また、第2拡散防止層平滑化工程と第2拡散防止層焼成工程の順序を入れ替えることもできる。なお、第2拡散防止層7bを有する電気化学素子Eを形成する場合では、第2拡散防止層平滑化工程や第2拡散防止層焼成工程を省いたり、第2拡散防止層平滑化工程や第2拡散防止層焼成工程を後述する電極層平滑化工程や電極層焼成工程に含めることもできる。
なお、第2拡散防止層平滑化工程は、ラップ成形やレベリング処理、表面の切削・研磨処理などを施すことによって行うことでもできる。
また、第1拡散防止層7aは、場合によっては低温焼成法等による焼成工程を経る第2拡散防止層7bの形成過程において同時に形成することもできる。また、後述する電極層形成ステップ及び中間層形成ステップにおける焼成工程時に、金属支持体1の表面に第1拡散防止層7aが形成されても良い。
(電極層形成ステップ)
電極層形成ステップでは、拡散防止層7上に電極層2が薄膜の状態で形成される。電極層2の形成は、上述したように、低温焼成法(1100℃以下の低温域での焼成処理を行う湿式法)、スプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、PVD法(スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法など)、CVD法などの方法を用いることができる。いずれの方法を用いる場合であっても、金属支持体1の劣化を抑制するため、1100℃以下の温度で行うことが望ましい。
電極層形成ステップを低温焼成法で行う場合には、具体的には以下の例のように行う。
まず、電極層2の材料粉末と溶媒(分散媒)とを混合して材料ペーストを作成し、金属支持体1の表側の面に塗布する。そして電極層2を圧縮成形し(電極層平滑化工程)、1100℃以下で焼成する(電極層焼成工程)。電極層2の圧縮成形は、例えば、CIP(Cold Isostatic Pressing 、冷間静水圧加圧)成形、ロール加圧成形、RIP(Rubber Isostatic Pressing)成形などにより行うことができる。また、電極層の焼成は、800℃以上1100℃以下の温度で行うと好適である。また、電極層平滑化工程と電極層焼成工程の順序を入れ替えることもできる。
なお、中間層3を有する電気化学素子を形成する場合では、電極層平滑化工程や電極層焼成工程を省いたり、電極層平滑化工程や電極層焼成工程を後述する中間層平滑化工程や中間層焼成工程に含めることもできる。なお、電極層平滑化工程は、ラップ成形やレベリング処理、表面の切削・研磨処理などを施すことによって行うことでもできる。
(中間層形成ステップ)
中間層形成ステップでは、電極層2を覆う形態で、電極層2の上に中間層3が薄層の状態で形成される。中間層3の形成は、上述したように、低温焼成法(1100℃以下の低温域での焼成処理を行う湿式法)、スプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、PVD法(スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法など)、CVD法などの方法を用いることができる。いずれの方法を用いる場合であっても、金属支持体1の劣化を抑制するため、1100℃以下の温度で行うことが望ましい。
中間層形成ステップを低温焼成法で行う場合には、具体的には以下の例のように行う。
まず、中間層3の材料粉末と溶媒(分散媒)とを混合して材料ペーストを作成し、金属支持体1の表側の面に塗布する。そして中間層3を圧縮成形し(中間層平滑化工程)、1100℃以下で焼成する(中間層焼成工程)。中間層3の圧延は、例えば、CIP(Cold Isostatic Pressing 、冷間静水圧加圧)成形、ロール加圧成形、RIP(Rubber Isostatic Pressing)成形などにより行うことができる。また、中間層3の焼成は、800℃以上1100℃以下の温度で行うと好適である。このような温度であると、金属支持体1の損傷・劣化を抑制しつつ、強度の高い中間層3を形成できるためである。また、中間層3の焼成を1050℃以下で行うとより好ましく、1000℃以下で行うと更に好ましい。これは、中間層3の焼成温度を低下させる程に、金属支持体1の損傷・劣化をより抑制しつつ、電気化学素子Eを形成できるからである。また、中間層平滑化工程と中間層焼成工程の順序を入れ替えることもできる。なお、中間層平滑化工程は、ラップ成形やレベリング処理、表面の切削・研磨処理などを施すことによって行うことでもできる。
(電解質層形成ステップ)
電解質層形成ステップでは、電極層2および中間層3を覆った状態で、電解質層4が中間層3の上に薄層の状態で形成される。また、厚さが10μm以下の薄膜の状態で形成されても良い。電解質層4の形成は、上述したように、低温焼成法(1100℃以下の低温域での焼成処理を行う湿式法)、スプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、PVD法(スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法など)、CVD法などの方法を用いることができる。いずれの方法を用いる場合であっても、金属支持体1の劣化を抑制するため、1100℃以下の温度で行うことが望ましい。
緻密で気密性およびガスバリア性能の高い、良質な電解質層4を1100℃以下の温度域で形成するためには、電解質層形成ステップをスプレーコーティング法で行うことが望ましい。その場合、電解質層4の材料を金属支持体1上の中間層3に向けて噴射し、電解質層4を形成する。
(反応防止層形成ステップ)
反応防止層形成ステップでは、反応防止層5が電解質層4の上に薄層の状態で形成される。反応防止層5の形成は、上述したように、低温焼成法(1100℃以下の低温域での焼成処理を行う湿式法)、スプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、PVD法(スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法など)、CVD法などの方法を用いることができる。
いずれの方法を用いる場合であっても、金属支持体1の劣化を抑制するため、1100℃以下の温度で行うことが望ましい。なお反応防止層5の上側の面を平坦にするために、例えば反応防止層5の形成後にレベリング処理や表面を切削・研磨処理を施したり、湿式形成後焼成前に、プレス加工を施してもよい。
(対極電極層形成ステップ)
対極電極層形成ステップでは、対極電極層6が反応防止層5の上に薄層の状態で形成される。対極電極層6の形成は、上述したように、低温焼成法(1100℃以下の低温域での焼成処理を行う湿式法)、スプレーコーティング法(溶射法やエアロゾルデポジション法、エアロゾルガスデポジッション法、パウダージェットデポジッション法、パーティクルジェットデポジション法、コールドスプレー法などの方法)、PVD法(スパッタリング法、パルスレーザーデポジション法など)、CVD法などの方法を用いることができる。いずれの方法を用いる場合であっても、金属支持体1の劣化を抑制するため、1100℃以下の温度で行うことが望ましい。
以上の様にして、電気化学素子Eを製造することができる。
なお電気化学素子Eにおいて、中間層3(挿入層)と反応防止層5とは、何れか一方、あるいは両方を備えない形態とすることも可能である。すなわち、電極層2と電解質層4とが接触して形成される形態、あるいは電解質層4と対極電極層6とが接触して形成される形態も可能である。この場合に上述の製造方法では、中間層形成ステップ、反応防止層形成ステップが省略される。なお、他の層を形成するステップを追加したり、同種の層を複数積層したりすることも可能であるが、いずれの場合であっても、1100℃以下の温度で行うことが望ましい。
<実施例・比較例>
実施例1として、図2に示すように、金属支持体1上に第1拡散防止層7a(第1気孔率)及び第2拡散防止層7b(第2気孔率>第1気孔率)を形成した。なお、実施例1の第2拡散防止層7bの材料としてはCeOを用いた。その後、第1拡散防止層7a及び第2拡散防止層7b上に電極層2を形成し、図2には示されていないが中間層3、電解質層4、反応防止層5及び対極電極層6を形成し、実施例1の電気化学素子Eを製造した。
また、実施例2として、図10に示すように、金属支持体1上に第1拡散防止層7a(第1気孔率)及び第2拡散防止層7b(第2気孔率>第1気孔率)を形成した。なお、実施例2の第2拡散防止層7bの材料としてはGDCを用いた。その後、第1拡散防止層7a及び第2拡散防止層7b上に電極層2を形成し、図10には示されていないが中間層3、電解質層4、反応防止層5及び対極電極層6を形成し、実施例2の電気化学素子Eを製造した。
一方、比較例では、実施例1及び2と異なり第2拡散防止層7bを形成せず、金属支持体上に第1拡散防止層を形成した。その後、第1拡散防止層上に電極層、中間層、電解質層、反応防止層及び対極電極層を形成し、比較例の電気化学素子Eを製造した。
比較例(第1拡散防止層のみ)では、金属支持体1から電極層2へのCrの拡散はほとんど見られなかったものの、Feの拡散が確認された。一方で、実施例1(第1拡散防止層7a+第2拡散防止層7b)では、金属支持体1から電極層2へのCrの拡散がほとんど見られなかったことに加え、Feの拡散が比較例よりも抑えられていた。このことより、第1拡散防止層7aに加えて第2拡散防止層7bにより拡散防止層7を形成することで、金属支持体1から電極層2への元素の拡散をより抑えることができたことが分かった。
また、上記実施例1及び比較例について、電気化学素子Eの性能評価を行った。性能評価は温度750℃、電流密度0.4A/cmの発電条件で行った。実施例1では初期からの電圧低下は見られず、7000時間発電後における電圧は0.88Vであった。
一方、比較例は時間経過とともに電圧低下が見られ、7000時間発電後における電圧は0.85Vであった。この結果より、第1拡散防止層7aに加えて第2拡散防止層7bを有する実施例1の電気化学素子Eは、第1拡散防止層7aのみを有する比較例の電気化学素子Eよりも性能及び耐久性が高いことが分かった。
図2の実施例1において、第1拡散防止層7aの厚さLaは1.0μmであり、第2拡散防止層7bの厚さLbは2.2μmであった。また、第2拡散防止層7bの第2気孔率は24.5%であった。
また、図10の実施例2において、第1拡散防止層7aの厚さLaは1.5μmであり、第2拡散防止層7bの厚さLbは2.0μmであった。また、第2拡散防止層7bの第2気孔率は9.6%であった。
<第2実施形態>
図3・図4を用いて、第2実施形態に係る電気化学素子E、電気化学モジュールM、電気化学装置YおよびエネルギーシステムZについて説明する。
第2実施形態に係る電気化学素子Eは、図3に示すように、金属支持体1の裏面にU字部材9が取り付けられており、金属支持体1とU字部材9とで筒状支持体を形成している。
そして集電部材26を間に挟んで電気化学素子Eが複数積層(複数集合)されて、電気化学モジュールMが構成されている。集電部材26は、電気化学素子Eの対極電極層6と、U字部材9とに接合され、両者を電気的に接続している。なお、集電部材26を省略して、電気化学素子Eの対極電極層6とU字部材9とを直接電気的に接続する構成としても良い。
電気化学モジュールMは、ガスマニホールド17、集電部材26、終端部材および電流引出し部を有する。複数積層された電気化学素子Eは、筒状支持体の一方の開口端部がガスマニホールド17に接続されて、ガスマニホールド17から気体の供給を受ける。供給された気体は、筒状支持体の内部を通流し、金属支持体1の貫通空間1cを通って電極層2に供給される。
図4には、エネルギーシステムZおよび電気化学装置Yの概要が示されている。
エネルギーシステムZは、電気化学装置Yと、電気化学装置Yから排出される熱を再利用する排熱利用部としての熱交換器53とを有する。
電気化学装置Yは、電気化学モジュールMと、燃料供給モジュールと、電気化学モジュールMから電力を取り出す出力部としてのインバータ(電力変換器の一例)38とを有する。燃料供給モジュールは、脱硫器31、気化器33及び改質器34等からなり、電気化学モジュールMに対して還元性成分を含有する燃料ガスを供給する燃料供給部とを有する。なお、この場合、改質器102が燃料変換器となる。
その他、電気化学装置Yは、改質水タンク32、ブロア35、燃焼部36、制御部39、収納容器40等を有する。
脱硫器31は、都市ガス等の炭化水素系の原燃料に含まれる硫黄化合物成分を除去(脱硫)する。原燃料中に硫黄化合物が含有される場合、脱硫器31を備えることにより、硫黄化合物による改質器34あるいは電気化学素子Eに対する影響を抑制することができる。気化器33は、改質水タンク32から供給される改質水から水蒸気を生成する。改質器34は、気化器33にて生成された水蒸気を用いて脱硫器31にて脱硫された原燃料を水蒸気改質して、水素を含む改質ガスを生成する。
電気化学モジュールMは、改質器34から供給された改質ガスと、ブロア35から供給された空気とを用いて、電気化学反応させて発電する。燃焼部36は、電気化学モジュールMから排出される反応排ガスと空気とを混合させて、反応排ガス中の可燃成分を燃焼させる。
電気化学モジュールMは、複数の電気化学素子Eとガスマニホールド17とを有する。
複数の電気化学素子Eは互いに電気的に接続された状態で並列して配置され、電気化学素子Eの一方の端部(下端部)がガスマニホールド17に固定されている。電気化学素子Eは、ガスマニホールド17を通じて供給される改質ガスと、ブロア35から供給された空気とを電気化学反応させて発電する。
インバータ38は、電気化学モジュールMの出力電力を調整して、商用系統(図示省略)から受電する電力と同じ電圧および同じ周波数にする。制御部39は電気化学装置YおよびエネルギーシステムZの運転を制御する。
気化器33、改質器34、電気化学モジュールMおよび燃焼部36は、収納容器40内に収納される。そして改質器34は、燃焼部36での反応排ガスの燃焼により発生する燃焼熱を用いて原燃料の改質処理を行う。
原燃料は、昇圧ポンプ41の作動により原燃料供給路42を通して脱硫器31に供給される。改質水タンク32の改質水は、改質水ポンプ43の作動により改質水供給路44を通して気化器33に供給される。そして、原燃料供給路42は脱硫器31よりも下流側の部位で、改質水供給路44に合流されており、収納容器40外にて合流された改質水と原燃料とが収納容器40内に備えられた気化器33に供給される。
改質水は気化器33にて気化され水蒸気となる。気化器33にて生成された水蒸気を含む原燃料は、水蒸気含有原燃料供給路45を通して改質器34に供給される。改質器34にて原燃料が水蒸気改質され、水素ガスを主成分とする改質ガス(還元性成分を有する第1気体)が生成される。改質器34にて生成された改質ガスは、改質ガス供給路46を通して電気化学モジュールMのガスマニホールド17に供給される。
ガスマニホールド17に供給された改質ガスは、複数の電気化学素子Eに対して分配され、電気化学素子Eとガスマニホールド17との接続部である下端から電気化学素子Eに供給される。改質ガス中の主に水素(還元性成分)が、電気化学素子Eにて電気化学反応に使用される。反応に用いられなかった残余の水素ガスを含む反応排ガスが、電気化学素子Eの上端から燃焼部36に排出される。
反応排ガスは燃焼部36で燃焼され、燃焼排ガスとなって燃焼排ガス排出口50から収納容器40の外部に排出される。燃焼排ガス排出口50には燃焼触媒部51(例えば、白金系触媒)が配置され、燃焼排ガスに含有される一酸化炭素や水素等の還元性成分を燃焼除去する。燃焼排ガス排出口50から排出された燃焼排ガスは、燃焼排ガス排出路52により熱交換器53に送られる。
熱交換器53は、燃焼部36における燃焼で生じた燃焼排ガスと、供給される冷水とを熱交換させ、温水を生成する。すなわち熱交換器53は、電気化学装置Yから排出される熱を再利用する排熱利用部として動作する。
なお、排熱利用部の代わりに、電気化学モジュールMから(燃焼されずに)排出される反応排ガスを利用する反応排ガス利用部を設けてもよい。反応排ガスには、電気化学素子Eにて反応に用いられなかった残余の水素ガスが含まれる。反応排ガス利用部では、残余の水素ガスを利用して、燃焼による熱利用や、燃料電池等による発電が行われ、エネルギーの有効利用がなされる。
<第3実施形態>
図5に、電気化学モジュールMの他の実施形態を示す。第3実施形態に係る電気化学モジュールMは、上述の電気化学素子Eを、セル間接続部材71を間に挟んで積層することで、電気化学モジュールMを構成する。
セル間接続部材71は、導電性を有し、かつ気体透過性を有さない板状の部材であり、表面と裏面に、互いに直交する溝72が形成されている。セル間接続部材71はステンレス等の金属や、金属酸化物を用いることができる。
図5に示すように、このセル間接続部材71を間に挟んで電気化学素子Eを積層すると、溝72を通じて気体を電気化学素子Eに供給することができる。詳しくは一方の溝72が第1気体流路72aとなり、電気化学素子Eの表側、すなわち対極電極層6に気体を供給する。他方の溝72が第2気体流路72bとなり、電気化学素子Eの裏側、すなわち金属支持体1の裏側の面から貫通空間1cを通じて電極層2へ気体を供給する。
この電気化学モジュールMを燃料電池として動作させる場合は、第1気体流路72aに酸素を供給し、第2気体流路72bに水素を供給する。そうすると電気化学素子Eにて燃料電池としての反応が進行し、起電力・電流が発生する。発生した電力は、積層された電気化学素子Eの両端のセル間接続部材71から、電気化学モジュールMの外部に取り出される。
なお、本第3実施形態では、セル間接続部材71の表面と裏面に、互いに直交する溝72を形成したが、セル間接続部材71の表面と裏面に、互いに並行する溝72を形成することもできる。
(他の実施形態)
(1)上記の実施形態では、電気化学素子E又は電気化学モジュールMを固体酸化物形燃料電池に用いたが、電気化学素子E又は電気化学モジュールMは、固体酸化物形電解セルや、固体酸化物を利用した酸素センサ等に利用することもできる。
すなわち、上記の実施形態では、燃料等の化学的エネルギーを電気エネルギーに変換する効率を向上できる構成について説明した。つまり、上記の実施形態では、電気化学素子E及び電気化学モジュールMを燃料電池として動作させ、電極層2に水素ガスが流通され、対極電極層6に酸素ガスが流通される。そうすると、対極電極層6において酸素分子Oが電子eと反応して酸素イオンO2−が生成される。その酸素イオンO2−が電解質層4を通って電極層2へ移動する。電極層2においては、水素分子Hが酸素イオンO2−と反応し、水HOと電子eが生成される。以上の反応により、電極層2と対極電極層6との間に起電力が発生し、発電が行われる。
一方、電気化学素子E及び電気化学モジュールMを電解反応を生じさせる電解セルとして動作させる場合は、電極層2に水蒸気や二酸化炭素を含有するガスが流通され、電極層2と対極電極層6との間に電圧が印加される。そうすると、電極層2において電子eと水分子HO、二酸化炭素分子COが反応し水素分子Hや一酸化炭素COと酸素イオンO2−となる。酸素イオンO2−は電解質層4を通って対極電極層6へ移動する。対極電極層6において酸素イオンO2−が電子を放出して酸素分子Oとなる。以上の反応により、水分子HOが水素Hと酸素Oとに、二酸化炭素分子COを含有するガスが流通される場合は一酸化炭素COと酸素Oとに電気分解される。
水蒸気と二酸化炭素分子COを含有するガスが流通される場合は上記電気分解により電気化学素子E及び電気化学モジュールMで生成した水素及び一酸化炭素等から炭化水素などの種々の化合物などを合成する燃料変換器91を設けることができる。燃料供給部(図示せず)により、この燃料変換器91が生成した炭化水素等を電気化学素子E及び電気化学モジュールMに流通したり、本システム・装置外に取り出して別途燃料や化学原料として利用することができる。
図6に示すエネルギーシステムでは、電気化学モジュールMは、複数の電気化学素子Eとガスマニホールド17及びガスマニホールド171とを有する。複数の電気化学素子Eは互いに電気的に接続された状態で並列して配置され、電気化学素子Eの一方の端部(下端部)がガスマニホールド17に固定されており、他方の端部(上端部)がガスマニホールド171に固定されている。電気化学素子Eの一方の端部(下端部)におけるガスマニホールド17は、水蒸気及び二酸化炭素の供給を受ける。そして、電気化学素子Eの電気化学素子Eで上述の反応により生成した水素及び一酸化炭素等が、電気化学素子Eの他方の端部(上端部)と連通するガスマニホールド171によって収集される。
図6中の熱交換器90を、燃料変換器91で起きる反応によって生ずる反応熱と水とを熱交換させ気化する排熱利用部として動作させるとともに、図6中の熱交換器92を、電気化学素子Eによって生ずる排熱と水蒸気および二酸化炭素とを熱交換させ予熱する排熱利用部として動作させる構成とすることにより、エネルギー効率を高めることができる。
また、電力変換器93は、電気化学素子Eに電力を流通する。これにより、上記のように電気化学素子Eは、電解セルとして作用する。よって、上記構成によれば、電気エネルギーを燃料等の化学的エネルギーに変換する効率を向上できる電気化学素子E等を提供することができる。
(2)上記の実施形態では、電極層2の材料として例えばNiO−GDC、Ni−GDC、NiO−YSZ、Ni−YSZ、CuO−CeO、Cu−CeOなどの複合材を用い、対極電極層6の材料として例えばLSCF、LSM等の複合酸化物を用いた。このように構成された電気化学素子Eは、電極層2に水素ガスを供給して燃料極(アノード)とし、対極電極層6に空気を供給して空気極(カソード)とし、固体酸化物形燃料電池セルとして用いることが可能である。この構成を変更して、電極層2を空気極とし、対極電極層6を燃料極とすることが可能なように、電気化学素子Eを構成することも可能である。すなわち、電極層2の材料として例えばLSCF、LSM等の複合酸化物を用い、対極電極層6の材料として例えばNiO−GDC、Ni−GDC、NiO−YSZ、Ni−YSZ、CuO−CeO、Cu−CeOなどの複合材を用いる。このように構成した電気化学素子Eであれば、電極層2に空気を供給して空気極とし、対極電極層6に水素ガスを供給して燃料極とし、電気化学素子Eを固体酸化物形燃料電池セルとして用いることができる。
(3)上記の実施形態では、電気化学素子Eとして主に平板型や円筒平板型の固体酸化物形燃料電池を用いたが、円筒型の固体酸化物形燃料電池などの電気化学素子に利用することもできる。
(4)上記の実施形態において、電気化学装置Yは、複数の電気化学素子Eを備える電気化学モジュールMを備えている。しかし、上記の実施形態の電気化学装置Yは1つの電気化学素子Eを備える構成にも適用可能である。
(5)上記の実施形態では、電気化学素子Eは、金属支持体1の裏面にU字部材9が取り付けられており、金属支持体1とU字部材9との2部材で筒状支持体を形成する構成としたが、一部材を用いて金属支持体1とU字部材9とを一体的に形成して筒状支持体とする構成としても良く、また、3部材以上の部材を用いて筒状支持体を形成しても良い。また、U字部材9を省略して金属支持体1により電極層2等を支持する構成としても良い。
(6)上記実施形態では、金属支持体1に複数の貫通空間1cが設けられており、これにより金属支持体1の裏側面1bから表側面1aへ気体を透過させる。しかし、金属支持体1は気体を透過可能であれば、多孔質性材料から形成された多孔質基体であってもよい。多孔質基体は、金属支持体1の裏側面1bから表側面1aへ気体を透過可能である。このような多孔質基体からなる金属支持体1を有する電気化学素子Eについて図7を用いて簡単に説明する。上記実施形態と同様の構成には同一の符号を付している。
図7に示すように、電気化学素子Eは、多孔質基体から構成された金属支持体1と、金属支持体1の表面に形成された第1拡散防止層7aと、第1拡散防止層7aの上に形成された第2拡散防止層7bと、第2拡散防止層7bの上に形成された電極層2と、電極層2の上に形成された中間層3と、中間層3の上に形成された電解質層4と、電解質層4の上に形成された反応防止層5と、反応防止層5の上に形成された対極電極層6とを有する。
金属支持体1が多孔質基体である点を除いて、上記実施形態の電気化学素子Eと同様の構成である。
(7)上記実施形態では、図1に示すように、第1拡散防止層7aは金属支持体1の表面及び貫通空間1cの内面に形成され、第2拡散防止層7bは第1拡散防止層7a上に形成され、電極層2は第2拡散防止層7b上に形成され、中間層3は電極層2上に形成され、電解質層4は中間層3上に形成されている。
しかし、これとは異なり、図8に示すように、中間層3は第2拡散防止層7bおよび電極層2を覆った状態で、電極層2の上に薄層の状態で形成されていてもよい。詳しくは中間層3は、図8に示すように、電極層2の上と金属支持体1の第1拡散防止層7a上とにわたって(跨って)設けられる。なお、第1拡散防止層7aは、図1と同様に金属支持体1の表面及び貫通空間1cの内面に形成されている。
また、電解質層4は、第2拡散防止層7b、電極層2および中間層3を覆った状態で、中間層3の上に薄層の状態で形成されていてもよい。詳しくは電解質層4は、図8に示すように、中間層3の上と金属支持体1の第1拡散防止層7a上とにわたって(跨って)設けられる。このように構成し、電解質層4を金属支持体1の第1拡散防止層7aに接合することで、電気化学素子全体として堅牢性に優れたものとすることができる。
また電解質層4は、図8に示すように、金属支持体1の表側の面であって貫通空間1cが設けられた領域より大きな領域に設けられる。つまり、貫通空間1cは金属支持体1における電解質層4が形成された領域の内側に形成されている。
電解質層4の周囲においては、拡散防止層7、電極層2および中間層3からのガスのリークを抑制することができる。説明すると、電気化学素子EをSOFCの構成要素として用いる場合、SOFCの作動時には、金属支持体1の裏側から貫通空間1cを通じて電極層2へガスが供給される。電解質層4が金属支持体1に接している部位においては、ガスケット等の別部材を設けることなく、ガスのリークを抑制することができる。なお、図8では電解質層4によって電極層2の周囲をすべて覆っているが、電極層2および中間層3の上部に電解質層4を設け、周囲にガスケット等を設ける構成としてもよい。
(8)上記実施形態では、第1拡散防止層7aは第2拡散防止層7bよりも金属支持体1側に配置されている。しかし、気孔率の高い第2拡散防止層7bと気孔率の低い第1拡散防止層7aとを組み合わせて構成することで、金属支持体1と電極層2との間の元素拡散を抑制できるだけでなく、金属支持体1から電極層2へ燃料ガス又は酸化剤ガスの供給が阻害されるのが抑制できればよく、第2拡散防止層7bが第1拡散防止層7aよりも金属支持体1側に配置されていてもよい。
(9)上記実施形態では、第1拡散防止層7aは金属支持体1の表面及び貫通空間1cの内面に設けられている。また、第2拡散防止層7bは第1拡散防止層7aを覆うように設けられている。
しかし、これとは異なり、図9に示すように、金属支持体1上において貫通空間1cが設けられた領域を覆うように第1拡散防止層7aが設けられていてもよい。つまり、図9では、第1拡散防止層7aは、貫通空間1cの内面及び金属支持体1の表面全体を覆うようには形成されておらず、金属支持体1上に配置されるように形成されている。そして、第2拡散防止層7bは第1拡散防止層7aを覆うように設けられている。
このとき、第1拡散防止層7aは、第2拡散防止層7bを形成するための焼成工程において第1拡散防止層7aと同時に形成されてもよい。また、第1拡散防止層7aは、第2拡散防止層7bとは別途の焼成工程により形成されてもよい。また、第1拡散防止層7aは、焼成を行わないコーティング方法により形成されてもよい。同様に、第2拡散防止層7bも焼成を行わないコーティング方法により形成されてもよい。
(10)上記実施形態では、拡散防止層7は、第1気孔率を有する第1拡散防止層7a及び第1気孔率よりも高い第2気孔率を有する第2拡散防止層7bから構成されている。
しかし、拡散防止層7は、異なる気孔率を有する少なくとも2層の拡散防止層を含んでいればよく、3層以上の異なる気孔率を有する拡散防止層を含んでいてもよい。
(11)上記実施形態の電気化学素子Eでは反応防止層5が設けられているが、反応防止層5は省略可能である。
なお、上記の実施形態で開示される構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示される構成と組み合わせて適用することが可能である。また本明細書において開示された実施形態は例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されず、本発明の目的を逸脱しない範囲内で適宜改変することが可能である。
産業上の利用可能性
電気化学素子および固体酸化物形燃料電池セルとして利用可能である。
1 :金属支持体
1c :貫通空間(貫通孔)
2 :電極層
3 :中間層
4 :電解質層
5 :反応防止層
6 :対極電極層
7 :拡散防止層
7a :第1拡散防止層
7b :第2拡散防止層
91 :燃料変換器
93 :電力変換器
100 :電気化学装置
101 :脱硫器
102 :改質器
103 :燃料供給部
E :電気化学素子
M :電気化学モジュール
Y :電気化学装置
Z :エネルギーシステム

Claims (20)

  1. 気体透過可能な金属支持体と、
    前記金属支持体の上に形成された拡散防止層と、
    前記拡散防止層の上に形成された電極層と、
    前記電極層の上に形成された電解質層と、
    前記電解質層の上に形成された対極電極層と、
    を備え、
    前記拡散防止層は、第1気孔率を有する第1拡散防止層及び前記第1気孔率よりも気孔率が高い第2気孔率を有する第2拡散防止層を含む、電気化学素子。
  2. 前記第2拡散防止層の厚さが0.1μm以上10μm以下である請求項1に記載の電気化学素子。
  3. 前記第1拡散防止層の厚さが3μm以下である請求項1又は2に記載の電気化学素子。
  4. 前記第1拡散防止層及び前記第2拡散防止層の少なくともいずれかは金属酸化物である請求項1〜3のいずれか1項に記載の電気化学素子。
  5. 前記第2拡散防止層がCeを含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の電気化学素子。
  6. 前記第2拡散防止層がSm、GdおよびYからなる群から選ばれる元素のうち少なくとも1つを含有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の電気化学素子。
  7. 前記第1拡散防止層は酸化クロムを主成分とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の電気化学素子。
  8. 前記金属支持体はフェライト系ステンレス材である請求項1〜7のいずれか1項に記載の電気化学素子。
  9. 前記電解質層がジルコニア系セラミックスを含有する請求項1〜8のいずれか1項に記載の電気化学素子。
  10. 前記第1拡散防止層は前記第2拡散防止層よりも前記金属支持体側に配置されている請求項1〜9のいずれか1項に記載の電気化学素子。
  11. 前記金属支持体は、裏面から、前記電極層側の表面まで貫通する複数の貫通孔を有している請求項1〜10のいずれか1項に記載の電気化学素子。
  12. 前記第1拡散防止層は、前記複数の貫通孔を閉塞しないように配置されている請求項11に記載の電気化学素子。
  13. 前記第2拡散防止層の前記第2気孔率が5%以上60%以下である請求項1〜12のいずれか1項に記載の電気化学素子。
  14. 前記第1拡散防止層の前記第1気孔率が5%未満である請求項1〜13のいずれか1項に記載の電気化学素子。
  15. 請求項1〜14のいずれか1項に記載の電気化学素子が複数集合した状態で配置される電気化学モジュール。
  16. 請求項1〜14のいずれか1項に記載の電気化学素子もしくは請求項15に記載の電気化学モジュールと、
    前記電気化学素子又は前記電気化学モジュールに還元性成分を含有するガスを流通する燃料変換器、あるいは前記電気化学素子又は前記電気化学モジュールで生成する還元性成分を含有するガスを変換する燃料変換器と、を少なくとも有する電気化学装置。
  17. 請求項1〜14のいずれか1項に記載の電気化学素子もしくは請求項15に記載の電気化学モジュールと、
    前記電気化学素子もしくは前記電気化学モジュールから電力を取り出すあるいは前記電気化学素子もしくは前記電気化学モジュールに電力を流通する電力変換器とを少なくとも有する電気化学装置。
  18. 請求項16または17に記載の電気化学装置と、前記電気化学装置から排出される熱を再利用する排熱利用部とを有するエネルギーシステム。
  19. 請求項1〜14のいずれか1項に記載の電気化学素子を備え、前記電気化学素子で発電反応を生じさせる固体酸化物形燃料電池。
  20. 請求項1〜14のいずれか1項に記載の電気化学素子を備え、前記電気化学素子で電解反応を生じさせる固体酸化物形電解セル。
JP2021059950A 2020-03-31 2021-03-31 電気化学素子、電気化学モジュール、電気化学装置、エネルギーシステム、固体酸化物形燃料電池、固体酸化物形電解セル Pending JP2021163764A (ja)

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