JP2021178789A - 無機多孔質担体、および核酸の製造方法 - Google Patents

無機多孔質担体、および核酸の製造方法 Download PDF

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武 石山
Takeshi Ishiyama
郁也 大城
Ikuya Oshiro
孝志 原
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Abstract

【課題】核酸の製造において純度等をより高められる無機多孔質担体、およびこれを用いた核酸の製造方法の提供。【解決手段】式(i−1)で表されるシリル基、および式(ii−1)等で表されるシリル基を有し、(iii)細孔径が20nm以上であること、(iv)外表面tPSA値(Å2)が56以上、83以下であること、を特徴とする、無機多孔質担体、およびこれを用いた核酸の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、無機多孔質担体、およびこれを用いた核酸の製造方法に関する。
核酸の化学合成法としては、ホスホロアミダイト法による固相合成法が広く用いられている。この方法では、まず、シランカップリング剤等を用いて無機多孔質体上にアミノ基等の官能基を導入し、前記官能基に核酸の3’末端となるヌクレオシドを結合させる。その後、前記ヌクレオシドを起点として、固相担体上で核酸伸長反応を行う。固相合成法では、特に合成する核酸の鎖長が長くなると、合成効率が急速に低下し、多量の副生成物が混入する結果になりがちである。固相担体をメチルトリメトキシシランで修飾した例が報告されている(特許文献1参照)が、合成された核酸の純度は、必ずしも満足いくものではなく、合成は効率的ではなかった。
特開平3−181334
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、核酸の製造において純度等をより高められる無機多孔質担体、および同無機多孔質担体を用いた核酸の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、核酸の合成において、外表面のトポジカル極性表面積(tPSA)の値を一定の大きさに調整した無機多孔性担体を用いることにより、長鎖の核酸の合成において、核酸の純度を向上させることができることを見出した。よって、本発明は、ある特定の構造を有するシリル基を有し、且つ細孔径が一定の大きさを有し、また、外表面tPSAが一定の大きさを有する、無機多孔質担体、および同無機多孔質担体を用いた核酸の製造方法を提供する。
上記課題を解決するため、具体的には以下の態様を包含するが、これらに限定されるものではない。
[1] 下記(i)および(ii)で表されるシリル基を有し、かつ下記(iii)〜(iv)の特徴を有する無機多孔質担体。
(i)シリル基(A):下記式(i−1)で表されるシリル基、
(ii)シリル基(B):下記式(ii−1)、(ii−2)、および(ii−3)で表されるシリル基からなる群より選ばれる少なくとも1つのシリル基、
(iii)細孔径が20nm以上であること、
(iv)下記数式(iv−1)で規定される外表面tPSA値(Å2)が56以上、83以下であること。
Figure 2021178789
[式(i−1)中、
X1は、無機多孔質担体との結合を表し、
Z1は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基を表し、
A1は、炭素数1〜20の有機基を表し、
B1は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、および炭素数6〜12のアリール基からなる群から選ばれるいずれかを表わし、そして、
C1は、反応性の基が、保護または脱保護された、ヌクレオシド又はヌクレオチド構造を有する基を表す。]、
Figure 2021178789

Figure 2021178789

Figure 2021178789

[式(ii−1)、(ii−2)、または(ii−3)中、
P1は、無機多孔質担体との結合を表し、
Q1およびR1は、それぞれ独立して、無機多孔質担体との結合、水酸基、アミノ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、および炭素数1〜6のアルキルアミノ基からなる群から選ばれるいずれかを表し、
J1は、炭素数1〜20のアルキル基、または1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数7〜20のアリール基を表し、
K1は、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基、または1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数5〜20のアリール基を表し、
M1は、炭素数1〜6のアルキレン基を表し、そして、
N1は、炭素数2〜20のアルキル基、または1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数5〜20のアリール基を表わす。]
Figure 2021178789
tPSA値の総和値(Å ・ μmol/g):下記式(iv−2)で表される値
Figure 2021178789
外表面官能基tPSA値(Å):無機多孔質担体の外表面官能基に対するtPSA値を表わし、ソフトウェア計算により導出される値
[2] 前記無機多孔質担体が粒子状であり、そして粒子径が1μmL以上である、[1]に記載の無機多孔質担体。
[3] 前記無機多孔質担体の細孔径が、40nm以上、500nm以下である、[1]〜[2]のいずれかに記載の無機多孔質担体。
[4] 前記無機多孔質担体の細孔径40nmから1000nmの範囲における累積細孔容積が、0.32mL/gよりも大きく4mL/g以下であることを特徴とする、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の無機多孔質担体。
[5] 前記無機多孔質担体の比表面積が、0.1m/g以上、200m/g以下である、[1]〜[4]のいずれか一項に記載の無機多孔質担体。
[6] 前記無機多孔質体が、シリカ、シリカゲル、ゼオライト、またはガラスから構成される、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の無機多孔質担体。
[7] 反応性の基が、保護または脱保護された、ヌクレオシドまたはヌクレオチド構造を含有する基の量が下記数式(Nu#1)を満たすことを特徴とする、[1]〜[6]のいずれか一項に記載の無機多孔質担体。
Figure 2021178789
I1:無機多孔質担体中の、反応性の基が保護または脱保護された、ヌクレオシド又はヌクレオチド構造を有する基(μmol/g)、
S1:窒素吸脱着等温線測定により得られる、無機多孔質担体の比表面積(m/g)
[8] 前記一般式(i−1)中のC1が、スクシニルリンカーまたはユニバーサルリンカーを含むことを特徴とする、[1]〜[7]のいずれか一項に記載の無機多孔質担体。
[9] 上記式(ii−3)で表されるシリル基をシリル基(B)として有する、[1]〜[8]のいずれか一項に記載の無機多孔質担体。
[10] 上記式(ii−3)で表されるシリル基が下記式(ii−3−1)で表されるシリル基である、[1]〜[9]のいずれか一項に記載の無機多孔質担体。
Figure 2021178789
[式(ii−3−1)中、
P1は、無機多孔質担体との結合を表し、
K2は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、または1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数6〜10アリール基を表し、
M2は、炭素数1〜4のアルキレン基を表し、そして、
N2は、炭素数2〜6のアルキル基、または1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数6〜10のアリール基を表わす。]
[11] 上記式(i−1)中のA1が、アシルイミノ基、オキシ基、またはチオ基のいずれか1つ以上を含んでいてもよい炭素数1〜20のアルキレン基であることを特徴とする、[1]〜[10]のいずれか一項に記載の無機多孔質担体。
[12] 前記シリル基(A)が下記式(i−1−1)で表されることを特徴とする、[1]〜[11]のいずれか一項に記載の無機多孔質担体。
Figure 2021178789
[式(i−1−1)中、
X1は、無機多孔質担体との結合を表し、
Z1は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基を表し、
A2は、アシルイミノ基、オキシ基、またはチオ基のいずれか1つ以上を含んでいてもよい炭素数炭素数1〜15のアルキレン基を表し、
B2は、水素原子、または炭素数1〜2のアルキル基のいずれかを表わし、そして、
C2は、スクシニルリンカーを含み、かつ反応性の基が保護または脱保護された、ヌクレオシドまたはヌクレオチド構造を有する基を表す。]
[13] 上記式(i−1)中のC1が、反応性の基としてヒドロキシル基が保護されたヌクレオシドまたはヌクレオチド構造を有する基を持つ無機多孔質担体を用い、
前記のヌクレオシドの5’位のヒドロキシル基の保護基を脱保護する工程(A)、
前記工程(A)において生成したヌクレオシドの5’位のヒドロキシル基と、第2のヌクレオシド塩基を有するアミダイト化合物とを縮合反応させて、ホスファイトを生成する工程(B)、
前記工程(B)において生成したホスファイトを酸化させて、ヌクレオチドを生成する工程(C)、および、
前記工程(C)において生成したヌクレオチドの5’位のヒドロキシル基の保護基を脱保護する工程(D)
を含む、核酸の製造方法。
[14] 前記工程(D)において生成した生成物と、次に導入予定のヌクレオシド塩基を有するアミダイト化合物とをさらに縮合反応させて、ホスファイトを生成する工程(B’)、
前記工程(B’)において生成したホスファイトを酸化させて、オリゴヌクレオチドを生成する工程(C’)、および、
前記工程(C’)において生成したオリゴヌクレオチド鎖末端の5’位のヒドロキシル基の保護基を脱保護する工程(D’)を含む、[13]に記載の核酸の製造方法。
[15] 前記の工程(B’)、工程(C’)および工程(D’)からなる一連の工程を、さらにm回(mは、1以上の整数を表す。)繰り返して、m個のアミダイト化合物を反応させた後、伸長した核酸を切り出す工程(E)を含む、[14]に記載の核酸の製造方法。
[16] [1]〜[12]のいずれか一項に記載の無機多孔質担体の、ホスホロアミダイト法による核酸の製造における使用。
本発明により、固相担体の外表面のトポジカル極性表面積(tPSA)値を一定の大きさに調整することにより、長鎖の核酸合成においても純度を向上させることができる無機多孔質担体、および同無機多孔質担体を用いた高純度の核酸の製造方法が提供される。
図1は、オリゴ核酸生成物における、外表面tPSA値(Å)に対する相対10%幅の関係を示す図面である。
本発明の無機多孔質担体は、下記(i)および(ii)で表されるシリル基を有し、かつ下記(iii)〜(iv)の特徴を有する無機多孔質担体である。
(i)シリル基(A):下記式(i−1)で表されるシリル基。
(ii)シリル基(B):下記式(ii−1)、(ii−2)、および(ii−3)で表されるシリル基からなる群より選ばれる少なくとも1つのシリル基。
(iii)細孔径が20nm以上であること。
(iv)下記数式(iv−1)で規定される外表面tPSA値(Å)が56以上、83以下であること。
Figure 2021178789
[式(i−1)中、
X1は、無機多孔質担体との結合を表し、
Z1は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基を表し、
A1は、炭素数1〜20の有機基を表し、
B1は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、および炭素数6〜12のアリール基からなる群から選ばれるいずれかを表わし、そして、
C1は、反応性の基が、保護または脱保護された、ヌクレオシドまたはヌクレオチド構造を有する基を表す。]、
Figure 2021178789

Figure 2021178789

Figure 2021178789

[式(ii−1)、(ii−2)、または(ii−3)中、
P1は、無機多孔質担体との結合を表し、
Q1およびR1は、それぞれ独立して、無機多孔質担体との結合、水酸基、アミノ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、および炭素数1〜6のアルキルアミノ基からなる群から選ばれるいずれかを表し、
J1は、炭素数1〜20のアルキル基、または1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数7〜20のアリール基を表し、
K1は、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基、または1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数5〜20のアリール基を表し、
M1は、炭素数1〜6のアルキレン基を表し、そして、
N1は、炭素数2〜20のアルキル基、または1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数5〜20のアリール基を表わす。]
Figure 2021178789
tPSA値の総和値(Å ・ μmol/g):下記式(iv−2)で表される値
Figure 2021178789
外表面官能基tPSA値(Å):無機多孔質担体の外表面官能基に対するtPSA値を表わし、ソフトウェア計算により導出される値。
上記式(i−1)中、X1における無機多孔質担体との結合とは、具体的には無機多孔質担体表面上の−O−結合を介しての結合である。
上記式(i−1)中、Z1は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基を表す。
Z1における炭素数1〜6のアルキル基とは、直鎖または分枝のアルキル基、およびシクロアルキル基を含み得て、好ましくは直鎖または分枝の炭素数1〜6のアルキル基を意味する。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−プロピル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、およびシクロヘキシル基が挙げられる。好ましくは、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、i−プロピル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、およびシクロヘキシル基であり、より好ましくはエチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、i−プロピル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、およびシクロヘキシル基であり、更に好ましくはエチル基、n−ブチル基、およびi−プロピル基であり、特に好ましくはi−プロピル基である。
Z1における炭素数6〜12のアリール基としては、フェニル基、および1つ以上の置換基を有するフェニル基が挙げられる。置換基を有するフェニル基の置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基、および炭素数1〜6のアルコキシ基が挙げられる。
上記式(i−1)中、A1は、炭素数1〜20の有機基を表わす。具体的には、
炭素数1〜20のアルキレン基、
炭素数1〜20のアリーレン基、
アシルイミノ基、オキシ基、またはチオ基のいずれか1つ以上を含んでいてもよい炭素数1〜20のアルキレン基、および
アシルイミノ基、オキシ基、またはチオ基のいずれか1つ以上を含んでいてもよい炭素数1〜20のアリーレン基、
が挙げられる。
上記式(i−1)中、B1は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、および炭素数6〜12のアリール基からなる群から選ばれるいずれかを表わす。
B1における炭素数1〜6のアルキル基の具体例と好ましい例としては、Z1における炭素数1〜6のアルキル基と同様なものを挙げることができる。
B1における炭素数6〜12のアリール基の具体例と好ましい例としては、Z1における炭素数6〜12のアリール基と同様なものを挙げることができる。
C1は、反応性の基が、保護または脱保護された、ヌクレオシドまたはヌクレオチド構造を有する基を表す。合成の観点から、下記に示す担体合成の段階では反応性の基が保護されたヌクレオシドまたはヌクレオチド構造を有する基であり、適宜、保護基を脱保護することができる。同保護基としては、トリチル系保護基が好ましく、具体的には4,4’−ジメトキシトリチル基などを用いることができる。
式(ii−1)中、P1における無機多孔質担体との結合とは、上記X1における無機多孔質担体との結合と同様である。
式(ii−1)中、Q1およびR1は、それぞれ独立して、無機多孔質担体との結合、水酸基、アミノ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、および炭素数1〜6のアルキルアミノ基からなる群から選ばれるいずれかを表す。Q1およびR1における、無機多孔質担体との結合とは、上記X1、およびP1における無機多孔質担体との結合と同様である。
Q1およびR1における、炭素数1〜6のアルコキシ基としては、好ましくは炭素数1〜3のアルコキシ基であり、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、およびn−プロポキシ基およびi−プロポキシ基が挙げられる。
Q1およびR1における、炭素数1〜6のアルキルアミノ基としては、モノアルキルアミノ基およびジアルキルアミノ基が挙げられ、好ましくはジアルキルアミノ基であり、具体的にはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ(n−プロピル)アミノ基、およびジ(i−プロピル)アミノ基が挙げられる。
J1は、炭素数1〜20のアルキル基、または1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数7〜20のアリール基を表す。
J1における炭素数1〜20のアルキル基とは、直鎖または分枝のアルキル基、およびシクロアルキル基を含み得て、好ましくは直鎖または分枝の炭素数1〜6のアルキル基を意味する。好ましくは炭素数1〜6のアルキル基であり、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、i−プロピル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、およびシクロヘキシル基が挙げられる。また、J1における炭素数1〜20のアルキル基は、1つ以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、シアノ基、炭素数6〜10のアリール基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜10のアリールオキシ基、炭素数1〜10のアシルアミノ基、炭素数1〜10のアシルオキシ基、炭素数1〜10のアシル基、炭素数1〜6のアルキルカルバモイル基、および炭素数6〜10のアリールカルバモイル基が挙げられる。
J1における1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数5〜20のアリール基としては、芳香族炭化水素基または芳香族ヘテロ環状基のいずれであってもよく、例えば、フェニル基、ピリジル基、およびチエニル基を挙げることができ、好ましくはフェニル基が挙げられる。ここでのフェニル基、ピリジル基、およびチエニル基は置換基を有していてもよく、該置換基としては炭素数1〜6のアルキル基、および炭素数1〜6のアルコキシ基が挙げられる。
式(ii−2)または式(ii−3)中、K1は、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基、または1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数5〜20のアリール基を表す。
K1における炭素数1〜20のアルキル基としては、J1における炭素数1〜20のアルキル基と同様である。また、K1における1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数5〜20のアリール基としては、J1における1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数5〜20のアリール基と同様である。
式(ii−3)中、M1は、炭素数1〜6の二価のアルキレン基を表す。M1における炭素数1〜6のアルキレン基としては、好ましくは炭素数1〜4のアルキレン基が挙げられ、具体的には、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、およびn−ブチレン基が挙げられる。より好ましくは、メチレン基、およびエチレン基が挙げられる。
式(ii−3)中、N1は、炭素数2〜20のアルキル基、または1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数5〜20のアリール基を表わす。N1における炭素数2〜20のアルキル基としては、好ましくは炭素数2〜10のアルキル基が挙げられ、より好ましくは炭素数2〜6のアルキル基が挙げられ、具体的には、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、およびn−ヘキシル基が挙げられる。また、N1における炭素数1〜20のアルキル基は、1つ以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、シアノ基、素数6〜15のアリール基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数6〜15のアリールオキシ基、炭素数1〜10のアシルアミノ基、炭素数1〜10のアシルオキシ基、炭素数1〜10のアシル基、炭素数1〜6のアルキルカルバモイル基、および炭素数6〜15のアリールカルバモイル基が挙げられる。
N1における1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数5〜20のアリール基としては、K1における1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数5〜20のアリール基と同様である。
本発明における無機多孔質担体は、核酸合成に適用する観点から、20nm以上の細孔径を有する。合成する核酸の鎖長に応じて、使用する無機多孔質担体は、適宜選択することができる。通常、合成する核酸の鎖長が長い場合には、細孔径の大きいものを選択することが好ましい。好ましい細孔径としては、20nm以上、500nm以下であり、より好ましくは25nm以上、500nm以下であり、より更に好ましくは30nm以上、500nm以下であり、より一層更に好ましくは40nm以上、500nm以下であり、特に好ましくは40nm以上、300nm以下である。
ここでの細孔径は、無機多孔質担体の原料である無機成形体について、水銀圧入法による分析を行い、得られる細孔径分布のグラフ(X軸は細孔径の値を用い、Y軸は細孔容積を細孔径で微分した値を用いてプロットしたグラフ)において、Y軸の極大値におけるX軸の値から得られる細孔径(モード径)にて求めることができる。
以下に本発明の無機多孔質担体の調製法について説明する。無機多孔質担体は、出発原料の無機成形体を特定のシランカップリング剤と反応させ、活性NH基を有する無機多孔質基材へと誘導した後、該活性NH基に、反応性の基が保護または脱保護された、ヌクレオシドまたはヌクレオチド構造を有する基を導入することで製造される。
なお、ここでの活性NH基とは、下記式(NH−1)の構造を有するNH基を表す。
Figure 2021178789
[式(NH−1)中、
A100は、炭素数1〜20の有機基を表し、
B1は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、および炭素数6〜12のアリール基からなる群から選ばれるいずれかを表わし、そして、
上記構造の要件を満たすNH基を活性NH基とする。]
上記式(NH−1)中のB1の具体例、好ましい例は、上記式(i−1)中のB1と同じものを挙げることができる。
上記式(NH−1)中のA100は、炭素数1〜20の有機基を表わす。
具体的には、
炭素数1〜20のアルキレン基、
炭素数6〜20のアリーレン基、
イミノ基、オキシ基、またはチオ基のいずれか1つ以上を含んでいてもよい炭素数1〜20のアルキレン基、および、
イミノ基、オキシ基、またはチオ基のいずれか1つ以上を含んでいてもよい炭素数6〜20のアリーレン基、
が挙げられる。
[無機成形体の製造方法]
本実施形態の無機多孔質基材の原料である無機成形体は、細孔径が20nm以上である細孔分布を有し、シランカップリング剤を用いてシリル基を担持することができる水酸基を有する無機成形体である。かかる無機成形体として典型的にはシラノール基を含むものが挙げられ、構成物質としてシリカ、シリカゲル、ゼオライト、ガラス、および石英が例示される。好ましくはシリカ、シリカゲル、ゼオライトまたはガラスである。これらのものは、市販のものを使用するか、あるいは以下のような合成方法で調製したものを使用してもよい。
シラノール基を含む無機成形体の製造方法としては、乾式法と湿式法が例示される。前者の具体例としては、燃焼法やアーク法が挙げられ、後者の具体例としては、沈降法、ゾルゲル法、水熱合成法等の合成方法が挙げられる(参考文献:TOSOH Research & Technology Review Vol. 45 (2001).)。かかる無機成形体の調製は、例えば、ケイ酸塩、アルコキシシラン、クロロシラン類等を原料とし、溶媒やテンプレート剤を用いて前記のような合成方法で調製される。
無機成形体へ多孔質構造を付与する手法としては、例えば、1.シリカを析出させた後、シリカの骨格中に含まれる溶媒を除去する方法、2.シリカ以外の、例えばアルミニウムやホウ素などの異種金属を混ぜて固体を析出させた後、シリカ成分とシリカ以外の成分とに相分離させ、シリカ以外の成分を除去する方法、3.アンモニウム塩や高分子をテンプレート剤として混ぜてシリカを析出させた後、テンプレート剤を除去する方法、または、4.析出させたシリカを凝集させる方法を用いて行うことができる。これらの方法を2つ以上組み合わせて用いてもよい。
前記の、溶媒またはテンプレート剤を除去する方法としては、乾燥、超臨界抽出、および焼成等を用いることができる。
得られた無機成形体は、その形態として粒子が好ましく、球状に成形されていてもよいし、塊状または破砕状でもよいが、これらを担体として使用する際、核酸合成カラムへの充填性の観点から、球状または破砕状が好ましい。成形法としては、特に限定されないが、噴霧乾燥法やエマルジョン法などを用いることができる。また、適宜、粉砕、篩別などを行ってもよい。
[無機多孔質基材の製造方法]
無機多孔質基材の製造は、前記無機成形体と、下記式(i−1a)または(i−1b)で表されるシランカップリング剤、および下記式(ii−3a)で表されるシランカップリング剤を反応させる方法で行われる。これにより、これらシランカップリング剤が無機成形体の表面の水酸基と反応して、上記式(NH−1)の構造を有するシリル基(A0)およびシリル基(B)(例えば、後述するもの)がそれぞれ導入される。なお、同反応においては、適宜、溶媒を併用してもよい。
前記シリル基(A0)の構造を付与するシランカップリング剤としては、下記式(i−1a)または(i−1b)で表されるシランカップリング剤を用いることができる。
Figure 2021178789
[式(i−1a)中、
Y0は、それぞれ独立して、水酸基、アミノ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、および炭素数1〜12のアルキルアミノ基からなる群から選ばれるいずれかを表し、
Z1、およびB1は、前記(i−1)式中のZ1、およびB1とそれぞれ同様な基を表わし、そして、
A100は前記式(NH−1)中のA100と同様な基を表わす。]、
Figure 2021178789
[式(i−1b)中、
Y0は、それぞれ独立して、水酸基、アミノ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、および炭素数1〜6のアルキルアミノ基からなる群から選ばれるいずれかを表し、
Z1、およびB1は、前記(i−1)式中のZ1、およびB1とそれぞれ同様な基を表わし、そして、
A100は前記式(NH−1)中のA100と同様な基を表わす。]
上記式(i−1a)中のY0における、炭素数1〜6のアルコキシ基としては、好ましくは炭素数1〜3のアルコキシ基であり、具体的にはメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基およびi−プロポキシ基が挙げられる。
Y0における炭素数1〜6のアルキルアミノ基としては、モノアルキルアミノ基およびジアルキルアミノ基が挙げられ、好ましくはジアルキルアミノ基であり、具体的にはジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジ(n−プロピル)アミノ基、およびジ(i−プロピル)アミノ基が挙げられる。
前記シリル基(B)の構造を付与するシランカップリング剤としては、下記式(ii−1a)、(ii−2a)、および(ii−3a)で表されるシランカップリング剤を用いることができる。
Figure 2021178789

Figure 2021178789

Figure 2021178789

[式(ii−1a)、(ii−2a)、または(ii−3a)中、
Q0、R0およびS0は、それぞれ独立して、水酸基、アミノ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基、炭素数1〜6のアルコキシ基、および炭素数1〜6のアルキルアミノ基からなる群から選ばれるいずれかを表し、そして、
J1、K1、M1、およびN1は、前記(ii−1)、(ii−2)、および(ii−3)式中のJ1、K1、M1、およびN1と同様な基を表す。]
上記式(ii−1a)、式(ii−2a)および上記式(ii−3a)中のQ0、R0およびS0における、炭素数1〜6のアルコキシ基、および炭素数1〜6のアルキルアミノ基の具体例および好ましい例は、上記式(ii−1)、式(ii−2)および上記式(ii−3)中のQ1およびR1における、炭素数1〜6のアルコキシ基、および炭素数1〜6のアルキルアミノ基の具体例および好ましい例と同様なものを挙げることができる。
上記の無機成形体とシランカップリング剤との反応では、無機成形体と、上記式(i−a)または(i−b)で表されるシランカップリング剤を反応させた後に、上記式(ii−1a)、式(ii−2a)または上記式(ii−3a)で表されるシランカップリング剤を反応させてもよく、あるいは無機成形体と、上記式(ii−1a)、式(ii−2a)または上記式(ii−3a)で表されるシランカップリング剤を反応させた後に、上記式(i−a)または(i−b)で表されるシランカップリング剤を反応させてもよく、あるいは無機成形体に上記式(i−a)または(i−b)で表されるシランカップリング剤と、上記式(ii−1a)、式(ii−2a)または上記式(ii−3a)で表されるシランカップリング剤を同時に反応させてもよい。
上記式(i−1a)または(i−1b)で表されるシランカップリング剤の具体例としては以下が挙げられる。
Figure 2021178789
Figure 2021178789
上記式(ii−1a)で表されるシランカップリング剤の具体例としては以下が挙げられる。
Figure 2021178789
上記式(ii−2a)で表されるシランカップリング剤の具体例としては以下が挙げられる。
Figure 2021178789
上記式(ii−3a)で表されるシランカップリング剤の具体例としては以下が挙げられる。
Figure 2021178789
Figure 2021178789
Figure 2021178789
Figure 2021178789
Figure 2021178789
上記式(i−1a)または(i−1b)で表されるシランカップリング剤の添加量は、窒素吸脱着測定により求められる、無機成形体の質量当たり比表面積に対して、活性NH基量が0.05〜60μmol/mになる量であり、好ましくは0.05〜6.0μmol/mになる量である。無機成形体の質量当たり比表面積は、原料である無機成形体について窒素吸脱着等温線測定を行い、αs−plot法によるαs=1.7〜2.1の範囲の平均勾配から求められる比表面積の値を適用することができる。
上記式(ii−1a)、(ii−2a)または(ii−3a)で表されるシランカップリング剤の添加量は、特に制限は無いが、無機成形体と上記式(ii−1a)、(ii−2a)または(ii−3a)で表されるシランカップリング剤を反応させた後に、上記式(i−1a)または(i−1b)で表されるシランカップリング剤を反応させる場合、および無機成形体に上記式(i−1a)または(i−1b)で表されるシランカップリング剤と上記式(ii−1a)、(ii−2a)または(ii−3a)で表されるシランカップリング剤を同時に反応させる場合においては、シリル基(A0)の導入量が大幅に阻害されないように適宜、上記式(ii−1a)、(ii−2a)または(ii−3a)で表されるシランカップリング剤の添加量を調整することが望ましい。
溶媒を、前記無機成形体と、上記式(i−1a)または(i−1b)で表されるシランカップリング剤および上記式(ii−1a)、(ii−2a)または(ii−3a)で表されるシランカップリング剤を反応させる際に用いてもよい。溶媒としては特に限定はされないが、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン、メシチレン、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン、アニソール、クロロベンゼン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、2−ヘプタノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、水等、またはこれらの2種類以上の混合物を用いることができる。これらの中でも、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン、メシチレン、および1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンが好ましく、トルエン、およびキシレンがより好ましい。
上記式(ii−1a)、(ii−2a)または(ii−3a)で表されるシランカップリング剤中、Q0、R0およびS0のいずれかにおいて、クロロ基、ブロモ基、およびヨード基が含まれる場合、前記無機成形体と上記式(ii−1a)、(ii−2a)または(ii−3a)で表されるシランカップリング剤との反応において、含窒素有機塩基を併用してもよい。上記含窒素有機塩基の具体例としては、1−メチルイミダゾール、2,6−ルチジン、ピリジン、および4−ジメチルアミノピリジンなどの含窒素芳香族複素環化合物や、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、およびトリエチルアミンなどの第3級アルキルアミンが挙げられる。
前記の無機成形体及び溶媒は、前記シランカップリング剤同士の重合の抑制や、前記シランカップリング剤と無機成形体表面との反応促進の観点から、脱水して用いることが好ましい。脱水方法は、特に限定されないが、例えば、無機成形体を常圧または減圧下にて加熱する方法、および、無機成形体を溶媒に分散させた後に常圧または減圧下にて溶媒を留去して共沸脱水する方法などが挙げられる。
前記の無機成形体とシランカップリング剤との反応は、反応促進のため加熱してもよく、これに限定されず、室温でもよいし、室温以下に冷却してもよい。溶媒を併用する場合も同様である。
同反応は、通常、1〜12時間程度で行うが、適宜、反応時間を長くしても短くしてもよい。
上記反応後、テトラヒドロフラン、エタノール等の溶媒により反応混合物の洗浄を行い、乾燥させることで無機多孔質基材が得られる。
[無機多孔質担体の製造方法]
本発明の無機多孔質担体は、前記無機多孔質基材中の活性NH基に、反応性の基が、保護または脱保護された、ヌクレオシド又はヌクレオチド構造を有する基(上記式(i−1)中のC1)を導入することで製造される。本発明の無機多孔質担体の好例の一つとして、担体合成および核酸合成の点から、上記一般式(i−1)中のC1が、スクシニルリンカーまたはユニバーサルリンカーを含むものが挙げられる。より好ましくは、後述のようにスクシニルリンカーで連結されたヌクレオシド構造を有する基を導入することが好ましい。
具体的な製造の一例として、前記無機多孔質基材中の活性NH基に、反応性の基が保護されたヌクレオシド構造とスクシニルリンカーとを有する化合物を反応させる製造法を以下に示す。反応性の基が保護されたヌクレオシド構造とスクシニルリンカーとを有する化合物の好ましい例としては、カルボン酸末端を有する化合物が挙げられる(以下、nsuc化合物と呼ぶ場合もある)。具体的には下記式(nsuc−1)で表されるものを例示することができる。好ましい反応としては、前記無機多孔質基材中の活性NH基と、nsuc化合物の縮合反応が挙げられる。
Figure 2021178789
[式(nsuc−1)中、*は水酸基、水酸基とピリジンからなる塩、または、水酸基とトリエチルアミンからなる塩を表し、TBDMSはtert−ブチルジメチルシリル基を表す。]
ここでの縮合反応は、前記無機多孔質基材と、nsuc化合物と、縮合剤と、適切な溶媒とを混合し、通常、室温で振とうするか、あるいは縮合反応促進のために昇温して行われる。この縮合反応は、振とうせずに静置しても、撹拌しつつ行ってもよい。
また、同縮合反応は、4〜30時間程度で行われるが、適宜、反応時間を長くしても短くしてもよい。
前記縮合反応の際に用いる縮合剤には、一般にアミド縮合に使用されているものであれば用いることができる。縮合剤として具体的には、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、N,N’−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDAC)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)、1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−1H−1,2,3−トリアゾロ[4,5−b]ピリジニウム3−オキシドヘキサフルオロホスファート(HATU)、1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−1H−1,2,3−ベンゾトリアゾリウム3−オキシドヘキサフルオロホスファート(HBTU)、1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−1H−1,2,3−トリアゾロ[4,5−b]ピリジニウム3−オキシドテトラフルオロボラート(TATU)、1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−1H−1,2,3−ベンゾトリアゾリウム3−オキシドテトラフルオロボラート(TBTU)、(1−シアノ−2−エトキシ−2−オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノモルホリノカルベニウムヘキサフルオロホスファート(COMU)、およびO−[(エトキシカルボニル)シアノメチレンアミノ]−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(TOTU)等が例示される。
また、同縮合反応では、適宜、N,N−ジメチル−4−アミノピリジン(DMAP)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、および1−メチルイミダゾールなどの添加剤を加えてもよい。
縮合反応後、固形分を濾別し、洗浄する。洗浄用の溶媒としては、アセトニトリル等が挙げられる。未反応の活性NH基および無機多孔質担体上のシリル基に含まれるその他のN−H部位を有するアミノ基に対してはキャッピング処理を行う。同キャッピング処理に用いる試薬としては、酸無水物と含窒素有機塩基の混合物を用いることができる。上記酸無水物の具体例としては、無水酢酸やフェノキシ酢酸無水物が挙げられ、好ましくは無水酢酸が挙げられる。上記含窒素有機塩基の具体例としては、1−メチルイミダゾール、2,6−ルチジン、ピリジン、および4−ジメチルアミノピリジンなどの含窒素芳香族複素環化合物や、トリエチルアミンなどの第3級アルキルアミンが挙げられる。同キャッピング処理に用いる試薬の添加量としては、酸無水物においては無機多孔質基材中に含まれるNH基の量の10倍モル当量以上を用い、含窒素有機塩基においては用いる酸無水物の等モル当量以上を用いる。このような添加量である場合に、該固形分中のNH基が十分キャッピング処理される。また、同キャッピング処理に用いる試薬は、適宜、有機溶媒を併用してもよく、具体的には、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、およびアセトニトリルなどが挙げられる。有機溶媒の使用量としては上記固形分が十分浸漬できる容積量が望ましい。
キャッピング処理後、アセトニトリル等により反応混合物の洗浄を行い、乾燥させることで無機多孔質担体が得られる。
なお、活性NH基に、反応性の基が、保護または脱保護された、ヌクレオシド又はヌクレオチド構造を有する基が1つも導入されず、キャッピング処理されたシリル基は、核酸合成における機能の点から、シリル基(B)と分類することとする。
上記式(ii−1a)、(ii−2a)および(ii−3a)で表されるシランカップリング剤に由来するシリル基をシリル基(B)−1と呼ぶこともあり、活性NH基に、反応性の基が、保護または脱保護された、ヌクレオシドまたはヌクレオチド構造を有する基が1つも導入されず、キャッピング処理されたシリル基をシリル基(B)−2と呼ぶこともある。
本発明の無機多孔質担体は、核酸合成に適用する観点から、下記数式(iv−1)で規定される外表面tPSA値が56以上、83以下であることを特徴とする。
Figure 2021178789
tPSA値の総和値(Å ・ μmol/g):下記式(iv−2)で表される値
Figure 2021178789
外表面官能基tPSA値(Å):無機多孔質担体の外表面官能基に対するtPSA値を表わし、ソフトウェア計算により導出される値
上記数式(iv−1)中、原料の無機成形体における外表面シラノール担持量とは以下に示す測定方法で求めることができる。
[無機成形体における外表面シラノール担持量の測定方法]
担体(T)の調製
まず、2−(m−トルイル)エタノール/n−ドデカン混合溶液(2−(m−トルイル)エタノール/n−ドデカン=1/1(重量比))を調製する。別途ガラス容器に無機成形体(1重量部)を導入し、ここに調製した2−(m−トルイル)エタノール/n−ドデカン混合溶液(4重量部)を添加する。この混合物を200℃で、3時間加熱する。加熱後、ろ過にて固形分を取出し、トルエン(80重量部)にて洗浄したのち、80℃/真空下で4時間乾燥させる。このようにして、無機成形体の外表面におけるシラノール基の−OH基が2−(m−トルイル)エトキシ基に置換された担体(T)を得る。
H−NMR測定
3.60wt%NaOD/ジメチルスルホキシド−d混合溶液(3.60wt%NaOD/ジメチルスルホキシド−d=1/3.5重量比)を調製する。ガラス容器に担体(T)を60〜200mg秤取り、調製した3.60wt%NaOD/ジメチルスルホキシド−d混合溶液を800〜1200mg加える。混合物を45℃で、2時間の超音波処理を行う。超音波処理後の混合物に1,3,5−トリオキサン水溶液(30mg)を内部標準として添加し、混合する。得られた混合物をグラスウールで栓をしたパスツールピペット等のフィルターに導入し、固形分をろ別し、ろ液を得る。得られたろ液をH−NMR測定し、ろ液中に含まれる2−(m−トルイル)エタノールを内部標準との積分比から定量する。得られた2−(m−トルイル)エタノールの定量値を用いた担体(T)の重量で除して、原料の無機成形体における外表面シラノール担持量(μmol/g)を求めることができる。
上記数式(iv−1)中、外表面のトポジカル極性表面積(tPSA)値とは、無機多孔質担体中の外表面官能基について、ソフトウェア計算により求められる。ここでのソフトウェア計算に用いるソフトウェアとしては、ChemDraw 18.2を用いることができる。
上記ソフトウェア計算に適用する外表面シラノール基の構造は、下記式(Si−1#)の構造とする。
Figure 2021178789
[式(Si−1#)中、*は水酸基を表す。]
本ソフトウェア計算に適用するシリル基(A)の構造としては、無機多孔質担体との結合を水酸基で置換した構造を採用することとする。具体的には、上記式(i−1a)または(i−1b)で表されるシランカップリング剤を用いて無機多孔質担体を調製した場合、下記式(i−1sw)で表される構造を適用してソフトウェア計算を行う。
Figure 2021178789
[式(i−1sw)中、
C1は、上記式(i−1)におけるC1と同じものを表し、
#は水酸基を表し、
Z10は、無機多孔質基材の合成に用いた上記式(i−1a)または(i−1b)中のZ1と同じ基を表し、
A10は、無機多孔質担体の合成に用いた上記式(i−1a)または(i−1b)中のA100に由来する基を表し、そして、
B10は、無機多孔質担体の合成に用いた上記式(i−1a)または(i−1b)中のB1と同じ基を表す。]
上記シリル基(A0)が複数のN−H部位を有するアミノ基を含むシリル基であり、これがシリル基(A)へ誘導された場合、上記ソフトウェア計算に適用する構造としては、シリル基(A)末端側の活性NH基へ優先的に上記式(i−1)におけるC1が導入され、残存するN−H部位を有するアミノ基が存在する場合は後述のようにその後のキャップ処理で全てキャップ基が導入されるとして、シリル基(A)の構造を規定し、ソフトウェア計算を行うこととする。具体例として、2つのN−H部位を有するアミノ基を含むシリル基(A0)にC1が一つ導入される場合の例を、下記式(NHC1−1#)に示す。
Figure 2021178789
[式(NHC1−1#)中、
*は無機多孔質担体との結合を表わし、
C1は、上記式(i−1)におけるC1と同様なものを表し、そして、
CAPは、上記キャップ処理により導入されるキャップ基であり、アセチル基またはフェノキシアセチル基を表す。]
本ソフトウェア計算に適用するシリル基(B)構造としては、無機多孔質担体との結合が1つとみなし、同無機多孔質担体との結合を水酸基で置換した構造を採用することとする。具体的には、上記式(ii−1a)、(ii−2a)または(ii−3a)で表されるシランカップリング剤を用いて無機多孔質担体を調製した場合、下記式(ii−1sw)、(ii−2sw)、または(ii−3sw)で表される構造をそれぞれ適用してソフトウェア計算を行う。
Figure 2021178789

Figure 2021178789

Figure 2021178789
[式(ii−1sw)、(ii−2sw)、(ii−3sw)中、
#は水酸基を表し、そして
R0、S0、J1、K1、M1、およびN1は、無機多孔質基材の合成に用いた上記式(ii−1a)、(ii−2a)、または(ii−3a)中のR0、S0、J1、K1、M1、およびN1とそれぞれ同じものを表わす。]
上記数式(iv−1)中、各外表面官能基の担持量(μmol/g)とは、無機多孔質担体中のシリル基(A)、シリル基(B)−1、シリル基(B)−2、およびいずれのシリル基も導入されていない外表面シラノール基のそれぞれについての担持量を表す。これらは以下に示す方法で求めることができる。
[シリル基(A)担持量の測定方法]
シリル基(A)は、担体調製時、反応性の基が保護されたヌクレオシドまたはヌクレオチド構造を有する基を有している。トリチル系保護基が導入されている場合、酸性条件でトリチル系保護基を脱保護し、生成するトリチルカチオン種の吸光度を測定することで、シリル基(A)担持量を算出することができる。
4,4’−ジメトキシトリチル基が保護基として導入されている場合、以下の測定方法で求めることができる。すなわち、先ず70%過塩素酸をメタノールで希釈し、30%過塩素酸溶液を調製する。次いで、無機多孔質担体20〜50mgをメスフラスコに採取し、30%過塩素酸溶液で10mLに希釈する。この溶液を30%過塩素酸溶液でさらに10倍に希釈した後、脱離した4,4’−ジメトキシトリチルカチオンの498nmでの吸光度を測定し、シリル基(A)担持量を算出する。
[シリル基(B)−1担持量の測定方法]
上記式(ii−3a)で表されるシランカップリング剤により導入されたシリル基(B)−1担持量は、以下の方法で求めることができる。すなわち、前駆体の無機多孔質基材と水酸化ナトリウムなどのアルカリ成分を含有する重水素化溶媒を混合したのち、ここに1,3,5−トリオキサンなどの内部標準を添加し、混合する。得られた混合物をろ過し、ろ液をH NMR測定する。ろ液中に含まれる遊離したシリル基(B)−1由来成分を内部標準との積分比から定量する。得られた定量値を用いた無機多孔質基材の重量で除して、シリル基(B)−1担持量(μmol/g)を求めることができる。より具体的には以下のような手法を例示することができる。
3.60wt%NaOD aq./ジメチルスルホキシド−d混合溶液(3.60wt%NaOD aq./ジメチルスルホキシド−d=1/3.5重量比〜2/1重量比)を調製する。ガラス容器に前駆体の無機多孔質基材を60〜200mg秤取り、調製した3.60wt%NaOD aq./ジメチルスルホキシド−d混合溶液を800〜1200mg加える。混合物を45℃で、2時間の超音波処理を行う。超音波処理後の混合物に1,3,5−トリオキサン水溶液(30mg)を内部標準として添加し、混合する。得られた混合物をグラスウールで栓をしたパスツールピペット等のフィルターに導入し、固形分をろ別し、ろ液を得る。得られたろ液をH NMR測定し、ろ液中に含まれるNaODとの反応で遊離したシランカップリング剤により導入されたシリル基(B)−1由来成分を内部標準との積分比から定量する。得られた定量値を用いた無機多孔質基材の重量で除して、シリル基(B)−1担持量(μmol/g)を求めることができる。
[シリル基(B)−2担持量の測定方法]
シリル基(B)−2の担持量は、N−H部位を有するアミノ基のキャッピング処理は定量的に進行することから、下記式(B−2#1)で求めることができる。
Figure 2021178789
上記式(B−2#1)中、シリル基(A0)担持量(μmol/g)は以下の手法で求めることができる。
無機多孔質基材中のシリル基(A0)担持量(μmol/g)は、2−ニトロベンゼンスルホン酸吸着法により測定される。「2−ニトロベンゼンスルホン酸吸着法」とは、アミノ基にイオン結合する2−ニトロベンゼンスルホン酸の量に基づき、アミノ基を定量する方法を意味する。
2−ニトロベンゼンスルホン酸吸着法によるアミノ基量の測定は、以下のように行うことができる。
30mg程度の無機多孔質基材を、脱脂綿で栓をしたパスツールピペット等のフィルターに採取し、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)のテトラヒドロフラン(THF)溶液(DIPEA 5容量%)1mLを通液して洗浄する。次いで、2−ニトロベンゼンスルホン酸のTHF溶液(2−ニトロベンゼンスルホン酸 50mM)1mLで4回通液した後、1mLのTHFで4回通液洗浄する。次いで、10mLメスフラスコ等の容器を受器として、希アンモニア水(28%アンモニア水と水とを体積比1:100で混合した溶液)とアセトニトリルとを体積比1:1で混合した混合溶液を通液する。受器に受けた流出液に、アセトニトリルの水溶液(アセトニトリル 15容量%)を添加して10mLとし、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて分析し、2−ニトロベンゼンスルホン酸のピーク面積値を測定する。HPLCの分析条件は、2−ニトロベンゼンスルホン酸を測定可能な条件であれば、特に限定されないが、例えば、以下に示す分析条件等が例示される。
HPLCの分析条件例
カラム:Scherzo SM−C18(Imtakt製),4.6mmφ×150mm,3μm
移動相:A液 10mM ギ酸アンモニウム水溶液
B液 アセトニトリル
グラジエント条件:A/B=85%/15%(一定)
流速:1.0mL/min
カラム温度:40℃
検出波長:210nm
注入量:10μL
前記2−ニトロベンゼンスルホン酸のピーク面積値をAR、分析に用いた無機多孔質基材の質量をMA、2−ニトロベンゼンスルホン酸の標準溶液を用いて作成した検量線の傾きをa01、検量線の切片をb01とすると、アミノ基量は、以下のように算出することができる。下記式中、「203.17」は、2−ニトロベンゼンスルホン酸(CNOS)の分子量である。
Figure 2021178789
算出されたアミノ基量に基づき、シリル基(A0)担持量(μmol/g)は以下のように導出することができる。
Figure 2021178789
また、算出されたアミノ基量に基づき、活性NH基量は以下のように導出することができる。
Figure 2021178789
[いずれのシリル基も導入されていない外表面シラノール基の測定方法]
いずれのシリル基も導入されていない外表面シラノール基の担持量は、下記式(SiOH#1)で求めることができる。
Figure 2021178789
本発明の無機多孔質担体は、核酸合成に適用する観点から、上記数式(iv−1)で規定される外表面tPSA値が56以上、83以下であることを特徴とし、
好ましくは56以上、83以下であり、
より好ましくは57以上、82以下であり、
更に好ましくは58以上、81以下であり、
より更に好ましくは60以上、79以下であり、
より一層更に好ましくは62以上、77以下であり、
特に好ましくは63以上、76以下である。
本発明の無機多孔質担体の粒子径は、後述の核酸の製造において、核酸合成機配管の閉塞防止などの観点から、1μm以上であることを特徴とする。好ましくは5μm以上であり、より好ましくは10μm以上であり、より更に好ましくは20μm以上であり、特に好ましくは30μm以上である。粒子径の制御は、原料である無機成形体、無機多孔質基材または無機多孔質担体を、該当する粒子径以上の目開きの篩いで篩別を行い、微粒成分を取り除くことで行うことができる。
本発明の無機多孔質担体の粒子径は、原料である無機成形体について走査電子顕微鏡による200倍の視野での観察を行い、同観察における任意の50個の粒子の長径の平均値として求めることができる。
本発明における無機多孔質担体は、核酸合成に適用する観点から、細孔径40nmから1000nmの範囲における累積細孔容積が0.32mL/gよりも大きく4mL/g以下であることを特徴とする。同範囲での累積細孔容積として、好ましくは0.35mL/gよりも大きく3.5mL/g以下であり、より好ましくは0.4mL/gよりも大きく3mL/g以下であり、更に好ましくは0.43mL/gよりも大きく3mL/g以下であり、より更に好ましくは0.45mL/gよりも大きく2.5mL/g以下である。ここでの細孔径40nmから1000nmの範囲にある累積細孔容積は、原料である無機成形体を水銀圧入法により分析することで求めることができる。
本発明の無機多孔質担体の好例の一つとして、核酸合成に用いる観点から、無機多孔質担体の比表面積が、0.1m/g以上、200m/g以下であることが挙げられる。該比表面積は、原料である無機成形体について窒素吸脱着等温線測定を行い、αs−plot法によるαs=1.7〜2.1の範囲の平均勾配から求められる比表面積の値を適用することができる。該比表面積は好ましくは1m/g以上、150m/g以下、より好ましくは5m/g以上、100m/g以下、さらに好ましくは8m/g以上、80m/g以下、特に好ましくは10m/g以上、60m/g以下である。
本発明の無機多孔質担体に用いられる無機材質としては、種々の無機材質を用いることができるが、シラノール基を伴うケイ素酸化物を含むものが好ましい。具体的には、シリカ、シリカゲル、ゼオライト、またはガラスからなるものが好ましく、このような無機材質からなる無機成形体を原料として用いることが好ましい。
本発明の無機多孔質担体は、反応性の基が保護または脱保護された、ヌクレオシドまたはヌクレオチド構造を有する基の量が下記式(Nu#1)を満たすことを特徴とする。
Figure 2021178789
I1:無機多孔質担体中の、反応性の基が、保護または脱保護された、ヌクレオシドまたはヌクレオチド構造を有する基(μmol/g)
S1:窒素吸脱着等温線測定により得られる、無機多孔質担体の比表面積(m/g)
無機多孔質担体中の、反応性の基が保護または脱保護された、ヌクレオシドまたはヌクレオチド構造を有する基(μmol/g)は、上記のシリル基(A)担持量の測定方法におけるシリル基(A)担持量(μmol/g)の値を適用することができる。窒素吸脱着等温線測定により得られる、無機多孔質担体の比表面積(m/g)は上記記載の手法により求めることができる。
I1/S1の好ましい範囲としては、0.1以上、2.0以下であり、より好ましくは0.3以上、1.8以下であり、さらに好ましくは0.4以上、1.6以下である。
本発明の無機多孔質担体の好例の一つとして、担体合成および核酸合成の点から、無機多孔質担体としての前記一般式(i−1)中のC1が、スクシニルリンカーまたはユニバーサルリンカーを含むものが挙げられる。
ユニバーサルリンカーとは、核酸合成の起点となるヌクレオチドのヒドロキシル基とホスファイトを形成する官能基(典型的には、ヒドロキシル基)と、上記の活性NH基と結合する能力を有する官能基とを有し、かつ、同一分子内に、合成された核酸を切り離す際の条件下で、リン酸のリン原子を求核攻撃する能力を有する隣接する保護された官能基(例えば、いずれも保護されたアミノ基、ヒドロキシル基、またはチオール基)を有する。
より詳しくは、スクシニルリンカーとしては下記の式L10#で表される連結基が挙げられ、ユニバーサルリンカーとしては下記の式L11で表される連結基が挙げられる。
Figure 2021178789

Figure 2021178789
式L10#および式L11#において、●を付した結合は、上記式(i−1)中のNへの結合を表す。▲を付した結合は、C1における反応性の基が、保護または脱保護された、ヌクレオシドまたはヌクレオチド構造部位中の第1級または第2級水酸基の酸素原子との結合を表す。
式L11#において、ZHは、保護されたアミノ基、ヒドロキシル基、またはチオール基を表す。ZCは炭素原子を含む任意の基を表し、ZCに結合している酸素原子およびZHは、互いに隣接(例えば、ビシナルに存在し、それぞれが結合しているZC中の炭素原子同士は、互いに直接結合している)している基を表す。L12は、上記式(i−1)におけるNと上記式(L11#)におけるZCとを連結する基を表す(具体的には、例えばL10#で表される基を挙げることができる)。
尚、ユニバーサルリンカーを用いた場合、合成を予定する核酸の3’末端がどのような種類のヌクレオシドまたはヌクレオチドであっても、3’末端になるヌクレオシドホスホロアミダイドを通常の核酸自動合成において核酸を伸長する工程と同じように反応させて導入することができる。かかるユニバーサルリンカーとしては、例えば、下記の文献に記載の化合物が例示されるが、それらに限定されるものではない。
文献:A.P. Guzaev, and M. Manoharan, J. Am. Chem. Soc., 2003, 125, 2380−2381.
文献:R.K. Kumar, A.P. Guzaev, C. Rentel, and V.T Ravikumar, Tetrahedron, 2006, 62, 4528.
上記一般式(i−1)中のC1がスクシニルリンカーまたはユニバーサルリンカーを含むものの中でも、より好ましいものとしてはスクシニルリンカーを含むものが挙げられる。
C1における反応性の基が、保護または脱保護された、ヌクレオシドまたはヌクレオチド構造部位は、核酸伸長反応の起点となるヌクレオシドの5’位のヒドロキシル基が、トリチル系保護基(例えば、4,4’−ジメトキシトリチル(DMTr)基等)により保護されたものが好ましい。
ユニバーサルリンカーを用いる場合も同様に、核酸伸長反応の起点となるヒドロキシル基が、トリチル系保護基(例えば、4,4’−ジメトキシトリチル(DMTr)基等)により保護されたものが好ましい。
スクシニルリンカーを含むC1の具体例としては、下記式(nsuc−2)で表されるものを挙げることができる。
Figure 2021178789
[式(nsuc−2)中、*は上記一般式(i−1)中のNへの結合を表す。]
本発明の無機多孔質担体において、シリル基(B)としては、上記式(ii−3)で表されるシリル基が好ましく、中でも下記式(ii−3−1)で表されるシリル基がより好ましい。
Figure 2021178789
[式(ii−3−1)中、
P1は、無機多孔質担体との結合を表し、
K2は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、または1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数6〜10のアリール基を表し、
M2は、炭素数1〜4のアルキレン基を表し、そして、
N2は、炭素数2〜6のアルキル基、または1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数6〜10のアリール基を表わす。]
上記式中のP1の定義は明細書中に前記する通りである。
式(ii−1−1)中、K2は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、または1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数6〜10のアリール基を表わす。
K2における炭素数1〜6のアルキル基の具体例および好ましい例としては、前記K1における炭素数1〜6のアルキル基と同様なものを挙げることができる。
K2における1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数6〜10のアリール基としては、1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい香族炭化水素基が挙げられ、好ましくはフェニル基が挙げられる。ここでのフェニル基は置換基を有していてもよく、該置換基としては炭素数1〜4のアルキル基、および炭素数1〜4のアルコキシ基が挙げられる。
式(ii−1−1)中、M2は、炭素数1〜2のアルキレン基を表わし、具体的にはメチレン基、エチレン基が挙げられる。
式(ii−1−1)中、N2は、炭素数2〜6のアルキル基、または1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数6〜10のアリール基を表わす。
N2における炭素数2〜6のアルキル基の具体例および好ましい例としては、前記N1における炭素数2〜6のアルキル基と同様なものを挙げることができる。
N2における1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数6〜10のアリール基としては、前記K2における1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数6〜10のアリール基と同様なものを挙げることができる。
上記式(ii−1−1)で表されるシリル基の具体例としては、下記式(ii−1−1−A)を挙げることができる。
Figure 2021178789
[式(ii−1−1−A)中、*は無機多孔質担体との結合を表わす。]
本発明の無機多孔質担体の好例の一つとして、上記式(i−1)中のA1が、アシルイミノ基、オキシ基、またはチオ基のいずれか1つ以上を含んでいてもよい炭素数1〜20のアルキレン基であるものが挙げられる。
なお、A1におけるアシルイミノ基は、上記記載のように無機多孔質担体の前駆体である無機多孔質基材に含まれるNH基が、上記キャッピング処理によりアシルイミノ基へ誘導されたものを含む。A1におけるアシルイミノ基の具体例としては、−N(COCH)−および−N(COCHOPh)−が挙げられ、好ましくは−N(COCH)−である。
このようなA1の具体例としては、下記式(A1−ex)を挙げることができる。
Figure 2021178789
[式(A1−ex)中、
(N)は、上記一般式(i−1)中のNへの結合を表し、
(Si)は、上記一般式(i−1)中のSiへの結合を表わし、そして、
CAPは、上記キャップ処理により導入されるキャップ基であり、アセチル基を表す。]
本発明の無機多孔質担体の好例の一つとして、前記シリル基(A)が下記式(i−1−1)で表されるものが挙げられる。
Figure 2021178789
[式(i−1−1)中、
X1は、無機多孔質担体との結合を表し、
Z1は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基を表し、そして、
A2は、アシルイミノ基、オキシ基、またはチオ基のいずれか1つ以上を含んでいてもよい炭素数1〜15のアルキレン基を表し、
B2は、水素原子または炭素数1〜2のアルキル基のいずれかを表わし、そして、
C2は、スクシニルリンカーを含み、かつ反応性の基が、保護または脱保護された、ヌクレオシドまたはヌクレオチド構造を有する基を表す。]
上記式中のX1およびZ1の定義は明細書中に前記する通りである。
式(i−1−1)中、A2は、アシルイミノ基、オキシ基、またはチオ基のいずれか1つ以上を含んでいてもよい炭素数1〜15のアルキレン基を表わす。A2の具体例としては、上記式(A1−ex)中の(A1−1)〜(A1−15)および(A1−17)を挙げることができる。
式(i−1−1)中、B2は、水素原子、または炭素数1〜2のアルキル基からなる群から選ばれるいずれかを表わす。B2における炭素数1〜2のアルキル基としてはメチル基およびエチル基が挙げられる。好ましいB2としては水素原子およびメチル基であり、より好ましくは水素原子である。
式(i−1−1)中、C2は、スクシニルリンカーを含み、かつ反応性の基が、保護または脱保護された、ヌクレオシドまたはヌクレオチド構造を有する基を表す。具体的には上記式(nsuc−2)で表されるものを挙げることができる。
上記式(i−1−1)で表される基について、X1、Z1、A2、およびB2の好ましい組合せの例を下記式(i−1−1#)に示す。
Figure 2021178789
[式(i−1−1#)中、
(C2)は、(i−1−1)中のC2への結合を表し、
*は、無機多孔質担体との結合を表わし、そして、
CAPは、上記キャップ処理により導入されるキャップ基であり、具体例としてアセチル基を表す]
本実施形態の固相担体は、核酸(DNA、RNA)の固相合成用基材として好適なものである。中でも、本実施形態の固相担体は、DNAに比べて安定性に劣るとされるRNAの合成に特に適している。
以下、RNAの固相合成を例に挙げて、以下に示す反応経路(縮合反応、酸化、および脱保護)を参照しながら核酸の製造方法について説明する。尚、以下に示す反応経路については、前記式(i−1)中のC1にヌクレオシド構造を有する基を用いた例を示す。
反応経路の例
Figure 2021178789
反応経路を示す前記化学式中、Rは塩基;Trは保護基;Xは−H、−OHまたは−OR(Rは保護基)、SPは無機多孔質担体のヌクレオシド構造以外の部分をそれぞれ表している。
ヌクレオシド構造を有する無機多孔質担体(Sp−Nu)およびアミダイトモノマー(Am−1)のヌクレオシドを構成する塩基(R)は、通常、核酸、典型的にはRNAを構成する天然の塩基であるが、非天然の塩基を適宜使用してもよい。かかる非天然の塩基としては、天然または非天然の塩基の修飾アナログが例示される。
で表される塩基としては、例えば、アデニン、イソグアニン、キサンチン、ヒポキサンチン及びグアニン等のプリン塩基;シトシン、ウラシル及びチミン等のピリミジン塩基等が挙げられる。
また、Rで表される塩基としては、例えば、2−アミノアデニン、6−メチル化プリン等のアルキル誘導体;2−プロピル化プリン等のアルキル誘導体;5−ハロウラシル及び5−ハロシトシン;5−プロピニルウラシル及び5−プロピニルシトシン;6−アゾウラシル、6−アゾシトシン及び6−アゾチミン;5−ウラシル(プソイドウラシル)、4−チオウラシル、5−ハロウラシル、5−(2−アミノプロピル)ウラシル、5−アミノアリルウラシル;8−ハロ化、アミノ化、チオール化、チオアルキル化、ヒドロキシル化及び他の8−置換プリン;5−トリフルオロメチル化及び他の5−置換ピリミジン;7−メチルグアニン;5−置換ピリミジン;6−アザピリミジン;N−2、N−6及びO−6置換プリン(2−アミノプロピルアデニンを含む);5−プロピニルウラシル及び5−プロピニルシトシン;ジヒドロウラシル;3−デアザ−5−アザシトシン;2−アミノプリン;5−アルキルウラシル;7−アルキルグアニン;5−アルキルシトシン;7−デアザアデニン;N6,N6−ジメチルアデニン;2,6−ジアミノプリン;5−アミノ−アリル−ウラシル;N3−メチルウラシル;置換1,2,4−トリアゾール;2−ピリジノン;5−ニトロインドール;3−ニトロピロール;5−メトキシウラシル;ウラシル−5−オキシ酢酸;5−メトキシカルボニルメチルウラシル;5−メチル−2−チオウラシル;5−メトキシカルボニルメチル−2−チオウラシル;5−メチルアミノメチル−2−チオウラシル;3−(3−アミノ−3−カルボキシプロピル)ウラシル;3−メチルシトシン;5−メチルシトシン;N4−アセチルシトシン;2−チオシトシン;N6−メチルアデニン;N6−イソペンチルアデニン;2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデニン;N−メチルグアニン;および、O−アルキル化塩基等が挙げられる。
また、プリン化合物及びピリミジン化合物は、例えば、米国特許第3,687,808号、「Concise Encyclopedia Of Polymer Science And Engineering」,858〜859頁,クロシュビッツ ジェー アイ(Kroschwitz J.I.)編、John Wiley & Sons、1990、及びイングリッシュら(Englischら)、Angewandte Chemie、International Edition,1991,30巻,p.613に開示されるものが含まれる。
好適なアミダイトモノマー(Am−1)としては、下記化学式(Am−1’)で表される化合物において、Rがtert−ブチルジメチルシリル(TBDMS)基、ビス(2−アセトキシ)メチル(ACE)基、(トリイソプロピルシリロキシ)メチル(TOM)基、(2−シアノエトキシ)エチル(CEE)基、(2−シアノエトキシ)メチル(CEM)基、パラ−トルイルスルホニルエトキシメチル(TEM)基、(2−シアノエトキシ)メトキシメチル(EMM)基などで保護された、TBDMSアミダイト(TBDMS RNA Amidites、商品名、ChemGenes Corporation)、ACEアミダイト、TOMアミダイト、CEEアミダイト、CEMアミダイト、TEMアミダイト(Chakhmakhchevaの総説:Protective Groups in the Chemical Synthesis of Oligoribonucleotides、Russian Journal of Bioorganic Chemistry, 2013, Vol. 39, No. 1, pp. 1-21.)、EMMアミダイト(国際公開第2013/027843号に記載)等が例示される。
Figure 2021178789
[式中、Rは、ヒドロキシル基の保護基を表す。Rは、保護された核酸塩基を示す。]
本実施形態の無機多孔質担体は、ヌクレオシドや、ヌクレオチド以外の2価の基を核酸配列に組み込むために使うこともできる。例えば、プロリン骨格を有するアミダイト(後述のアミダイトPなど)を、アミダイト法により、核酸配列に組み込むことができる(国際公開第2012/017919号の実施例A4の方法と同様の方法を参照)。また、下記の構造式(Am−11)、(Am−12)および(Am−13)でそれぞれ表されるアミダイト(国際公開第2013/103146号の実施例A1〜A3参照)を使用することもできる。
Figure 2021178789
[式中、iPrはイソプロピル基を表す。DMTrは4,4’−ジメトキシトリチル基を表す。Tfaはトリフルオロアセチル基を表す。]
[RNAの固相合成]
無機多孔質担体(Sp−Nu)のTr基を脱保護して、固相担体(Am−2)を得る。この後、アミダイトモノマー(Am−1)と、固相担体(Am−2)とを縮合反応させて、反応生成物(Am−3)を得る。この後、反応生成物(Am−3)を酸化して、生成物(Am−4)を得る。この後、生成物(Am−4)を脱保護(−Tr)して、生成物(Am−5)を得る。次いで、アミダイトモノマー(Am−1)と生成物(Am−5)とを更に縮合反応させて、ホスホジエステル結合を伸長していく。このように、伸長したオリゴヌクレオチド鎖末端の5’位のヒドロキシル基を、所望の配列となるように、一連の脱保護、縮合反応、酸化のサイクルを必要なだけ繰り返し、この後、固相担体から切り出すことにより、所望の配列の核酸分子を製造することができる。
より詳しくは、以下の工程を含む製造方法により核酸が製造される。
上記式(i−1)中のC1が、反応性の基としてヒドロキシル基が保護されたヌクレオシドまたはヌクレオチド構造を有する基を持つ無機多孔質担体を用い、
工程(A):前記のヌクレオシドの5’位のヒドロキシル基の保護基を脱保護する工程、
工程(B):前記工程(A)において生成したヌクレオシドの5’位のヒドロキシル基と、第2のヌクレオシド塩基を有するアミダイト化合物とを縮合反応させて、ホスファイトを生成する工程、
工程(C):前記工程(B)において生成したホスファイトを酸化させて、ヌクレオチドを生成する工程、および、
工程(D):前記工程(C)において生成したヌクレオチドの5’位のヒドロキシル基の保護基を脱保護する工程。
前記の工程(A)〜(D)を含む製造方法は、任意に以下の工程を含む。
工程(B’):前記工程(D)において生成した生成物と、次に導入予定のヌクレオシド塩基を有するアミダイト化合物とをさらに縮合反応させて、ホスファイトを生成する工程、
工程(C’):前記工程(B’)において生成したホスファイトを酸化させて、オリゴヌクレオチドを生成する工程、
工程(D’):前記工程(C’)において生成したオリゴヌクレオチド鎖末端の5’位のヒドロキシル基の保護基を脱保護する工程、および
工程(E):前記の工程(B’)、工程(C’)及び工程(D’)の一連の工程を、さらにm回(mは、1以上の整数を表す。)繰り返して、m個のアミダイト化合物を反応(核酸伸長反応)させた後、伸長した核酸を切り出す工程。
本実施形態における核酸伸長反応は、一般的なホスホロアミダイト法の手順に従い行うことができる。
本明細書において、「核酸伸長反応」とは、ホスホジエステル結合を介して、ヌクレオチドを順次結合させることにより、核酸鎖、特にRNA鎖を伸長させる反応を意味する。核酸伸長反応は、ホスホロアミダイト法を採用する核酸自動合成装置等を用いて行ってもよい。
脱保護する工程では、固相担体上に担持されるRNA鎖末端の5’位のヒドロキシル基の保護基を脱保護する。一般的な保護基としては、トリチル系保護基(典型的には、DMTr基)が用いられる。脱保護は、酸を用いて行うことができる。脱保護用の酸としては、例えば、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸、塩酸、酢酸、p−トルエンスルホン酸等が挙げられる。
縮合工程では、前記の脱保護する工程により脱保護したRNA鎖末端の5’位のヒドロキシル基に対して、ヌクレオシドホスホロアミダイトを結合させて、ホスファイトを生成する。前記ヌクレオシドホスホロアミダイトとしては、5’位のヒドロキシル基が保護基(例えばDMTr基)で保護されたものを用いる。
また、縮合工程は、前記ヌクレオシドホスホロアミダイトを活性化する活性化剤を用いて行うことができる。活性化剤としては、例えば、5−ベンジルチオ−1H−テトラゾール(BTT)、1H−テトラゾール、4,5−ジシアノイミダゾール(DCI)、5−エチルチオ−1H−テトラゾール(ETT)、N−メチルベンズイミダゾリウムトリフラート(N−MeBIT)、ベンズイミダゾリウムトリフラート(BIT)、N−フェニルイミダゾリウムトリフラート(N−PhIMT)、イミダゾリウムトリフラート(IMT)、5−ニトロベンズイミダゾリウムトリフラート(NBT)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBT)、および5−(ビス−3,5−トリフルオロメチルフェニル)−1H−テトラゾール(Activator−42)等が挙げられる。
縮合工程の後は、適宜、未反応の5’位のヒドロキシル基をキャッピングしてもよい。キャッピングは、無水酢酸−テトラヒドロフラン溶液、フェノキシ酢酸/N−メチルイミダゾール溶液等の公知のキャッピング溶液を用いて行うことができる。
酸化工程は、前記縮合工程により形成されたホスファイトを酸化する工程である。酸化工程は、酸化剤を用いて行うことができる。酸化剤としては、ヨウ素、m−クロロ過安息香酸、tert−ブチルヒドロペルオキシド、2−ブタノンペルオキシド、ビス(トリメチルシリル)ペルオキシド、1,1−ジヒドロペルオキシシクロドデカン、および過酸化水素等が挙げられる。
酸化工程は、前記キャッピング操作の後で行ってもよいし、逆に、酸化工程の後でキャッピング操作を行ってもよいし、この順番は限定されない。
酸化工程後は、脱保護工程に戻り、合成すべきRNAのヌクレオチド配列に応じて、上記の縮合反応、酸化、脱保護の一連の工程を繰り返すことにより、所望の配列を有するRNAを合成することができる。
所望の配列を有するRNA鎖の合成が完了した後は、アンモニアまたはアミン類等を用いて、固相担体からRNA鎖を切断して回収する。
ここでのアミン類としては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、イソプロピルアミン、エチレンジアミン、ジエチルアミン、およびトリエチルアミン等が挙げられる。ユニバーサルリンカーを用いる場合、RNA鎖の合成が完了した後は、アンモニアまたはアミン類等を用いて、固相担体からの切断を行い、求核試薬によるユニバーサルリンカーの除去を行う。除去が完了した際には、末端ヌクレオチドの3’位はヒドロキシル基となり、ホスフェートはユニバーサルリンカーに結合して環状ホスホジエステルを形成する。回収したRNAは、適宜、公知の方法で精製してもよい。
加えて、本実施形態の無機多孔質担体を核酸合成に適用することにより、高純度のオリゴ核酸を収率良く得ることができる。
本明細書において、「RNAの収率」は、反応に供したヌクレオシドの量から理論上計算されるRNAの量に対する、実際に単離したRNAの割合(%)をいう。UVの吸光度の測定から核酸量を算出する。かかる測定の方法として、具体的には、水または緩衝水溶液中に核酸を溶解させ、光路長1cmのセルに入れる。UVの吸光度計を用いて、波長が260nmにある吸光度から、下式により光学濃度Cを計算して、核酸量を算出する。係数αは、40μg/mLを使用している。
Figure 2021178789
「RNAの純度」は、目的の鎖長の核酸が得られている割合(%)をいう。液体クロマトグラフィーによるクロマトグラムにおける面積百分率値、又はメインピークの10%幅により求められる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
下記に、本発明の無機多孔質担体の製造に関する代表的な反応スキームを記載するが、本発明の製造法はこれらに限定されるものではない。
Figure 2021178789
<無機成形体の製造>
(製造例1)
特許第5875843号公報に記載の実施例1と同様の方法でゼオライト成形体(1)を得た。このゼオライト成形体(1)を目開き38μmの篩いで篩別して微粒成分を取り除いた。同篩別品(50g)をオートクレーブに入れ、この中に、1.6mol/L水酸化カリウム水溶液(500g)を加え、約20℃にて5時間撹拌した後、濾過により固体を分離した。この後、水(500g)にて水洗を3回繰り返した。次に20wt%塩化アンモニウム水溶液(500g)にて洗浄を3回行ったのち、更に水(500g)にて水洗を3回繰り返した。最後に乾燥し、無機成形体SP(1)を得た。
<無機多孔質基材の製造>
(製造例2)
ガラスバイアルに3−アミノプロピルジイソプロピルエトキシシラン(87mg)とトルエン(12.43g)を混合し、3−アミノプロピルジイソプロピルエトキシシラン/トルエン溶液を調製した。無機成形体SP(1)(7.13g)を丸底フラスコに入れ、トルエン(61g)を加え、次いで室温撹拌下にて、調製した3−アミノプロピルジイソプロピルエトキシシラン/トルエン溶液(3.11g)を加えた。オイルバスにて同丸底フラスコを加熱して11.5時間還流を行った。その後、一旦室温まで冷却し10時間静置し、次いでさらに5時間還流した。反応混合物を濾過し、固形分をトルエンで洗浄した後、減圧下で乾燥させて、無機多孔質基材前駆体1を得た。
(製造例3)
無機多孔質基材前駆体1(0.40g)を丸底フラスコに入れ、トルエン(61g)を加えた。室温撹拌下で、さらにN,N−ジイソプロピルエチルアミン(210mg)とトルエン(4.0g)の混合物を加え、次いでトリブチルクロロシラン(379mg)とトルエン(4.0g)の混合物を加え、同フラスコをオイルバスで加熱し、5時間還流した。その後、反応液を濾過し、固形分を5vol%N,N−ジイソプロピルエチルアミン/エタノール溶液(13mL)で洗浄した後、テトラヒドロフラン(14mL)で洗浄した。洗浄物を減圧下で乾燥させて、無機多孔質基材1を得た。
(製造例4)
製造例3で用いたトリブチルクロロシラン(379mg)の代わりにクロロ(ヘキシル)ジメチルシラン(287mg)を用いたこと以外は製造例3に準じて合成を行い、無機多孔質基材2を得た。
(製造例5)
製造例3で用いたトリブチルクロロシラン(379mg)の代わりにベンジルクロロジメチルシラン(293mg)を用いたこと以外は製造例3に準じて合成を行い、無機多孔質基材3を得た。
(製造例6)
製造例3で用いたトリブチルクロロシラン(379mg)の代わりに(3-シアノプロピル)ジメチルクロロシラン(261mg)を用いたこと以外は製造例3に準じて合成を行い、無機多孔質基材4を得た。
(製造例7)
製造例3で用いたトリブチルクロロシラン(379mg)の代わりに2−アセトキシエチルジメチルクロロシラン(290mg)を用いたこと以外は製造例3に準じて合成を行い、無機多孔質基材5を得た。
(製造例8)
無機多孔質基材前駆体1(0.40g)を丸底フラスコに入れ、トルエン(61g)を加えた。室温撹拌下で、ヘキサメチルジシラザン(262mg)とトルエン(4.0g)の混合物を加え、同フラスコをオイルバスで加熱し、5時間還流した。その後、反応液を濾過し、固形分を5vol%N,N−ジイソプロピルエチルアミン/エタノール溶液(13mL)で洗浄した後、テトラヒドロフラン(14mL)で洗浄した。洗浄物を減圧下で乾燥させて、無機多孔質基材6を得た。
(製造例9)
製造例8で用いたヘキサメチルジシラザン(262mg)の代わりにトリメトキシ(メチル)シラン(52mg)を用いたこと以外は製造例8に準じて合成を行い、無機多孔質基材7を得た。
(製造例10)
製造例8で用いたヘキサメチルジシラザン(262mg)の代わりにトリエトキシフェニルシラン(57mg)を用いたこと以外は製造例8に準じて合成を行い、無機多孔質基材8を得た。
(製造例11)
製造例8で用いたヘキサメチルジシラザン(262mg)の代わりに2−(4−ピリジルエチル)トリエトキシシラン(61mg)を用いたこと以外は製造例8に準じて合成を行い、無機多孔質基材9を得た。
<無機多孔質担体の製造>
(実施例1)
ガラスバイアルにU−succinate(5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−tert−ブチルジメチルシリル−3’−O−スクシニルウリジン)(311.3mg)と、1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−1H−1,2,3−ベンゾトリアゾリウム3−オキシドヘキサフルオロホスファート(HBTU)(155.2mg)と、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(90.1μL)と、アセトニトリル(25mL)とを混合した。調製した混合溶液(3.08mL)と無機多孔質基材1(300mg)を試験管に加えた。25℃で18時間静置した後、ろ過し、固体分をアセトニトリル(10mL)で洗浄した。洗浄後の固形分に、無水酢酸と、2,6−ルチジンのテトラヒドロフラン溶液(無水酢酸/2,6−ルチジン/テトラヒドロフラン、容量比1/1/8)(1mL)と、1−メチルイミダゾールのテトラヒドロフラン溶液(1−メチルイミダゾール/テトラヒドロフラン、容量比16/84)(1mL)とを加えた。1分間静置した後にろ過し、固形分をアセトニトリル(10mL)で洗浄した。洗浄後の固形分を真空乾燥し、ヌクレオシド構造を有する基が担持された無機多孔質担体1を得た。
Figure 2021178789
(U−succinate)
(実施例2)
無機多孔質基材1の代わりに無機多孔質基材2を用いて実施例1に準じて反応を行い、無機多孔質担体2を得た。
(実施例3)
無機多孔質基材1の代わりに無機多孔質基材3を用いて実施例1に準じて反応を行い、無機多孔質担体3を得た。
(実施例4)
無機多孔質基材1の代わりに無機多孔質基材4を用いて実施例1に準じて反応を行い、無機多孔質担体4を得た。
(実施例5)
無機多孔質基材1の代わりに無機多孔質基材5を用いて実施例1に準じて反応を行い、無機多孔質担体5を得た。
(比較例1)
無機多孔質基材1の代わりに無機多孔質基材前駆体1を用いて実施例1に準じて反応を行い、無機多孔質担体6を得た。比較例1のデータは、シリル基(B)−1が無い場合のデータである。
(参考例1)
無機多孔質基材1の代わりに無機多孔質基材6を用いて実施例1に準じて反応を行い、無機多孔質担体7を得た。
(参考例2)
無機多孔質基材1の代わりに無機多孔質基材7を用いて実施例1に準じて反応を行い、無機多孔質担体8を得た。
(参考例3)
無機多孔質基材1の代わりに無機多孔質基材8を用いて実施例1に準じて反応を行い、無機多孔質担体9を得た。
(参考例4)
無機多孔質基材1の代わりに無機多孔質基材9を用いて実施例1に準じて反応を行い、無機多孔質担体10を得た。
得られた一連の無機多孔質基材および無機多孔質担体に対して、水銀圧入法による細孔径、細孔径40nmから1000nmの範囲における累積細孔容積、窒素吸着法による外比表面積、活性NH基担持量、およびヌクレオシド担持量について、それぞれ前記の手法を用いて測定した。結果を表1に示す。
Figure 2021178789
得られた無機成形体および一連の無機多孔質担体に対して、重量当たりのシリル基(A)担持量、重量当たりのシリル基(B)担持量、および重量当たりの外表面シラノール担持量について、それぞれ前記の手法を用いて測定した。結果を表2に示す。
Figure 2021178789
[表2中、*は、無機多孔質担体との結合を表す。]
得られた一連の無機多孔質担体の各外表面官能基に関し、外表面官能基tPSA値についてChemDraw 18.2を用いてソフトウェア計算を行った。結果を表3に示す。
Figure 2021178789
[表3中、*は、無機多孔質担体との結合を表す。]
得られた一連の無機多孔質担体の外表面tPSA値について、前記手法に基づき、表2、3の結果を用いて算出した。結果を表4に示す。
Figure 2021178789
<オリゴ核酸の固相合成>
下記の配列(A)からなるオリゴヌクレオチドを、ホスホロアミダイト法に基づき、核酸合成機(商品名NTS M−4−MX−E、日本テクノサービス株式会社製)を用い、3’側から5’側に向かって合成した(反応経路(縮合反応、酸化、脱保護)参照)。かかる固相合成には、上記で製造した無機多孔質担体を使用した。
また、アミダイトモノマーには、以下に示すアデノシンEMMアミダイト(米国特許出願公開第2012/035246号明細書の実施例4に記載)、シチジンEMMアミダイト(同US文献の実施例3に記載)、グアノシンEMMアミダイト(同US文献の実施例5に記載)、及びウリジンEMMアミダイト(同US文献の実施例2記載)を使用した。
配列(A):5’−AUAACUCAAUUUGUAAAAAAGUUUUAGAGCUAGAAAUAGCAAGUUAAAAUAAGGCUAGUCCGUUAUCAACUUGAAAAAGUGGCACCGAGUCGGUGCUUUU−3’(配列番号1)
Figure 2021178789
また、かかる固相合成には、デブロッキング溶液として高純度トリクロロ酢酸トルエン溶液を使用し、縮合剤として5−ベンジルメルカプト−1H−テトラゾールを使用し、酸化剤としてヨウ素溶液を使用し、キャッピング溶液としてフェノキシ酢酸溶液と1−メチルイミダゾール溶液とを使用した。
合成終了後の無機多孔質担体を、蓋つきガラスバイアルに入れ、28%アンモニア水とEtOHとの1:1ないし2:1溶液を加えた。その後、40℃下で4時間静置した。反応後の溶液を濾過し、水、EtOHで洗浄した。得られた溶液を乾燥して、未脱保護体の粗オリゴヌクレオチドとし、次いでニトロメタンの存在下でフッ化テトラ−n−ブチルアンモニウム(TBAF)を作用させて脱保護を行い、粗生成物を得た。
[オリゴ核酸の純度の測定]
得られた粗オリゴヌクレオチドを用いて調製した溶液について、高速液体クロマトグラフィーHPLC(波長260nm、カラムDNAPacTM PA100 4×250mm)によって各成分に分離し、得られたクロマトグラムの、主生成物のLCピーク頂点の高さの10%の高さにおけるピーク幅を「10%幅」として求めた。
各無機多孔質担体による効果を検証するために、シリル基(B)−1を有さない無機多孔質担体6(比較例2)における「10%幅」の値にて、各無機多孔質担体における「10%幅」の値を除したものを「相対10%幅」と規定し、算出した。ここで、純度が高い場合には「相対10%幅」が小さな値となり、純度が低い場合には「相対10%幅」が大きな値となる。
(実施例6)
無機多孔質担体1を用い、配列(A)について、上記手法に従いオリゴ核酸の固相合成を行った。
(実施例7)
無機多孔質担体2を用い、配列(A)について、上記手法に従いオリゴ核酸の固相合成を行った。
(実施例8)
無機多孔質担体3を用い、配列(A)について、上記手法に従いオリゴ核酸の固相合成を行った。
(実施例9)
無機多孔質担体4を用い、配列(A)について、上記手法に従いオリゴ核酸の固相合成を行った。
(実施例10)
無機多孔質担体5を用い、配列(A)について、上記手法に従いオリゴ核酸の固相合成を行った。
(比較例2)
無機多孔質担体6を用い、配列(A)について、上記手法に従いオリゴ核酸の固相合成を行った。比較例2のデータは、シリル基(B)−1が無い場合のデータである。
(参考例5)
無機多孔質担体7を用い、配列(A)について、上記手法に従いオリゴ核酸の固相合成を行った。
(参考例6)
無機多孔質担体8を用い、配列(A)について、上記手法に従いオリゴ核酸の固相合成を行った。
(参考例7)
無機多孔質担体9を用い、配列(A)について、上記手法に従いオリゴ核酸の固相合成を行った。
(参考例8)
無機多孔質担体10を用い、配列(B)について、上記手法に従いオリゴ核酸の固相合成を行った。
一連の配列(A)のオリゴ核酸の固相合成の結果について、前記表4に示す。また、表4の結果より、外表面tPSA値に対する相対10%幅の関係を表すグラフを図1に示す。
表4および図1より、配列(A)のオリゴ核酸の固相合成結果において、実施例6〜10で用いた外表面tPSA値が56以上、87以下の範囲にある無機多孔質担体は、比較例2および参考例5〜8で用いた外表面tPSA値が56以上、87以下の範囲外にある無機多孔質担体に比べ、より小さい相対10%幅を示し、得られるオリゴ核酸がより高純度であることがわかった。
本発明により、オリゴ核酸製造において、オリゴ核酸の純度を向上させることができる、無機多孔質担体、およびオリゴ核酸製造法が提供される。本発明により得られるオリゴ核酸は医薬品等の原料として有用である。
配列表の配列番号1は、本発明の製造方法に従って製造されるオリゴヌクレオチドの塩基配列を表す。

Claims (16)

  1. 下記(i)および(ii)で表されるシリル基を有し、かつ下記(iii)〜(iv)の特徴を有する無機多孔質担体。
    (i)シリル基(A):下記式(i−1)で表されるシリル基、
    (ii)シリル基(B):下記式(ii−1)、(ii−2)、および(ii−3)で表されるシリル基からなる群より選ばれる少なくとも1つのシリル基、
    (iii)細孔径が20nm以上であること、
    (iv)下記数式(iv−1)で規定される外表面tPSA値(Å2)が56以上、83以下であること。
    Figure 2021178789
    [式(i−1)中、
    X1は、無機多孔質担体との結合を表し、
    Z1は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基を表し、
    A1は、炭素数1〜20の有機基を表し、
    B1は、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、および炭素数6〜12のアリール基からなる群から選ばれるいずれかを表わし、そして、
    C1は、反応性の基が、保護または脱保護された、ヌクレオシド又はヌクレオチド構造を有する基を表す。]、
    Figure 2021178789

    Figure 2021178789

    Figure 2021178789

    [式(ii−1)、(ii−2)、または(ii−3)中、
    P1は、無機多孔質担体との結合を表し、
    Q1およびR1は、それぞれ独立して、無機多孔質担体との結合、水酸基、アミノ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、および炭素数1〜6のアルキルアミノ基からなる群から選ばれるいずれかを表し、
    J1は、炭素数1〜20のアルキル基、または1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数7〜20のアリール基を表し、
    K1は、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基、または1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数5〜20のアリール基を表し、
    M1は、炭素数1〜6のアルキレン基を表し、そして、
    N1は、炭素数2〜20のアルキル基、または1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数5〜20のアリール基を表わす。]
    Figure 2021178789
    tPSA値の総和値(Å ・ μmol/g):下記式(iv−2)で表される値
    Figure 2021178789
    外表面官能基tPSA値(Å):無機多孔質担体の外表面官能基に対するtPSA値を表わし、ソフトウェア計算により導出される値
  2. 前記無機多孔質担体が粒子状であり、そして粒子径が1μmL以上である、請求項1に記載の無機多孔質担体。
  3. 前記無機多孔質担体の細孔径が、40nm以上、500nm以下である、請求項1〜2のいずれかに記載の無機多孔質担体。
  4. 前記無機多孔質担体の細孔径40nmから1000nmの範囲における累積細孔容積が、0.32mL/gよりも大きく4mL/g以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の無機多孔質担体。
  5. 前記無機多孔質担体の比表面積が、0.1m/g以上、200m/g以下である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の無機多孔質担体。
  6. 前記無機多孔質体が、シリカ、シリカゲル、ゼオライト、またはガラスから構成される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の無機多孔質担体。
  7. 反応性の基が、保護または脱保護された、ヌクレオシドまたはヌクレオチド構造を含有する基の量が下記数式(Nu#1)を満たすことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の無機多孔質担体。
    Figure 2021178789
    I1:無機多孔質担体中の、反応性の基が保護または脱保護された、ヌクレオシド又はヌクレオチド構造を有する基(μmol/g)、
    S1:窒素吸脱着等温線測定により得られる、無機多孔質担体の比表面積(m/g)
  8. 前記一般式(i−1)中のC1が、スクシニルリンカーまたはユニバーサルリンカーを含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の無機多孔質担体。
  9. 上記式(ii−3)で表されるシリル基をシリル基(B)として有する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の無機多孔質担体。
  10. 上記式(ii−3)で表されるシリル基が下記式(ii−3−1)で表されるシリル基である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の無機多孔質担体。
    Figure 2021178789
    [式(ii−3−1)中、
    P1は、無機多孔質担体との結合を表し、
    K2は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、または1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数6〜10のアリール基を表し、
    M2は、炭素数1〜4のアルキレン基を表し、そして、
    N2は、炭素数2〜6のアルキル基、または1つ以上のヘテロ原子を含んでいてもよい炭素数6〜10のアリール基を表わす。]
  11. 上記式(i−1)中のA1が、アシルイミノ基、オキシ基、またはチオ基のいずれか1つ以上を含んでいてもよい炭素数1〜20のアルキレン基であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の無機多孔質担体。
  12. 前記シリル基(A)が下記式(i−1−1)で表されることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の無機多孔質担体。
    Figure 2021178789
    [式(i−1−1)中、
    X1は、無機多孔質担体との結合を表し、
    Z1は、それぞれ独立して、炭素数1〜6のアルキル基、または炭素数6〜12のアリール基を表し、
    A2は、アシルイミノ基、オキシ基、またはチオ基のいずれか1つ以上を含んでいてもよい炭素数炭素数1〜15のアルキレン基を表し、
    B2は、水素原子、または炭素数1〜2のアルキル基のいずれかを表わし、そして、
    C2は、スクシニルリンカーを含み、かつ反応性の基が保護または脱保護された、ヌクレオシドまたはヌクレオチド構造を有する基を表す。]
  13. 上記式(i−1)中のC1が、反応性の基としてヒドロキシル基が保護されたヌクレオシドまたはヌクレオチド構造を有する基を持つ無機多孔質担体を用い、
    前記のヌクレオシドの5’位のヒドロキシル基の保護基を脱保護する工程(A)、
    前記工程(A)において生成したヌクレオシドの5’位のヒドロキシル基と、第2のヌクレオシド塩基を有するアミダイト化合物とを縮合反応させて、ホスファイトを生成する工程(B)、
    前記工程(B)において生成したホスファイトを酸化させて、ヌクレオチドを生成する工程(C)、および、
    前記工程(C)において生成したヌクレオチドの5’位のヒドロキシル基の保護基を脱保護する工程(D)
    を含む、核酸の製造方法。
  14. 前記工程(D)において生成した生成物と、次に導入予定のヌクレオシド塩基を有するアミダイト化合物とをさらに縮合反応させて、ホスファイトを生成する工程(B’)、
    前記工程(B’)において生成したホスファイトを酸化させて、オリゴヌクレオチドを生成する工程(C’)、および、
    前記工程(C’)において生成したオリゴヌクレオチド鎖末端の5’位のヒドロキシル基の保護基を脱保護する工程(D’)を含む、
    請求項13に記載の核酸の製造方法。
  15. 前記の工程(B’)、工程(C’)および工程(D’)からなる一連の工程を、さらにm回(mは、1以上の整数を表す。)繰り返して、m個のアミダイト化合物を反応させた後、伸長した核酸を切り出す工程(E)を含む、請求項14に記載の核酸の製造方法。
  16. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の無機多孔質担体の、ホスホロアミダイト法による核酸の製造における使用。
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