JP2021178383A - トムソン加工型 - Google Patents

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Abstract

【課題】トムソン加工において加工刃2の変形を抑制して、精度良い型抜きを行う。【解決手段】本発明のトムソン加工型1は、平板状に形成されたベース部材3と、ベース部材3の下面から下方に向かって刃先を突き出すように垂下状に取り付けられる加工刃2と、を有するトムソン加工型1であって、加工刃2の外側面又は内側面には、加工刃2の反りを防止する補強板4が、加工刃2の外側面又は内側面に重ね合わされた状態で設けられており、補強板4は、垂下方向に沿って切断した断面構造が、矩形に対して異型となるように形成されていることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、型抜き面積が大きい場合にも、加工刃が曲がることがなく、精度の良い型抜きが可能となるトムソン加工型(トムソン抜き型)に関するものである。
従来、ハサミやカッターなどで切断が可能な程度の軟質材料から型抜きを行う技術としてトムソン加工が知られている。このトムソン加工は、金型などで加工が困難な微細な形状の製品や厚みのない薄い製品、あるいは継ぎ目がない連続した製品などの加工に適していると言われており、フィルム、シート、電子部品の打抜きなどで用いられている。
上述したトムソン加工の例としては、例えば特許文献1に示すようなトムソン加工型(抜き型100)が開示されている。
すなわち、特許文献1のトムソン加工型(抜き型100)は、長方形平板状のベース部材10と、ベース部材10の表面10a上に複数の雄ネジ40によって突出状に取り付けられた長方形平板状の中子30と、中子30の4つの外周面にそれぞれ複数の雄ネジ50によって固定された4枚の超硬合金製の刃物材60,70と、を備えている。つまり、このトムソン加工型では、ベース部材に下方に向かって突出した中子を設け、中子の端面(側面)にネジ止めにより加工刃(刃物材)を取り付ける構成となっている。
特開2018−51729号公報
ところが、薄手の製品などの型抜きを行うトムソン加工型では、ベース部材の表面に中子を設けるスペースを確保できない場合があり、その場合は加工刃を取り付けることも困難となる。
また、特許文献1のトムソン加工型のように、複数のネジを用いて加工刃を取り付ける方法では、複数のネジの締め付けや取り外しに手間がかかり、作業性が著しく良くない。利便性を考えて取り付けに用いるネジの数を減らすこともできるが、ネジの数が少ないと加工刃が長い場合などには加工刃が変形してしまう可能性があり、加工刃が変形すると精度の良い型抜きが行えなくなる可能性がある。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、加工刃の取り付けが簡便に行えるものでありながら、加工刃の変形を抑制しつつ型抜きを精度良く確実に行うことができるトムソン加工型を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明のトムソン加工型は以下の技術的手段を講じている。
即ち、本発明のトムソン加工型は、平板状に形成されたベース部材と、前記ベース部材の下面から下方に向かって刃先を突き出すように垂下状に取り付けられる加工刃と、を有するトムソン加工型であって、前記加工刃の外側面又は内側面には、前記加工刃の反りを防止する補強板が、前記加工刃の外側面又は内側面に重ね合わされた状態で設けられており、前記補強板は、前記垂下方向に沿って切断した断面構造が、矩形に対して異型となるように形成されていることを特徴とする。
また、本発明のトムソン加工型は、平板状に形成されたベース部材と、前記ベース部材の上面から上方に向かって刃先を突き出すように起立状に取り付けられる加工刃と、を有するトムソン加工型であって、前記加工刃の外側面又は内側面には、前記加工刃の反りを防止する補強板が、前記加工刃の外側面又は内側面に重ね合わされた状態で設けられており、前記補強板は、前記起立方向に沿った切断した断面構造が、矩形に対して異型となるように形成されていることを特徴とする。
なお、好ましくは、前記加工刃は、前記垂下方向または起立方向の長さに比して水平方向の長さの方が長くなるように形成されており、前記補強板は、前記垂下方向または起立方向よりも水平方向に曲げ耐力を備えた構造とされているとよい。
なお、好ましくは、前記補強板は、前記垂下方向または起立方向の中途側が前記加工刃から張り出すように折り曲げられているとよい。
なお、好ましくは、前記張り出すように折り曲げられた部位は、補強板の長手方向に連続して形成されているとよい。
本発明のトムソン加工型によれば、加工刃の取り付けが簡便に行えるものでありながら、加工刃の変形を抑制しつつ型抜きを精度良く確実に行うことができる。
本実施形態のトムソン加工型を示した斜視図である。 本実施形態のトムソン加工型を用いた打抜き手順を示した図である。 本実施形態の補強板の取り付け状態を示した図である。 (a)は本実施形態の補強板を拡大して示した斜視図であり、(b)は補強板の断面構造を示した図である。 補強板の変形例の断面構造を示した図である。
以下、本発明のトムソン加工型1の実施形態を、図面に基づき詳しく説明する。
図1は、第1実施形態のトムソン加工型1を模式的に示したものである。
上述したトムソン加工型1は、トムソン加工に用いられるものであり、加工刃2を含む加工型(雄型)の一式を示している。このトムソン加工は、通常シール、箱、段ボール箱などの被加工材Sの打ち抜きに使われているが、フレキシブル基盤(FPC)や液晶テレビなどの偏光板フィルムや拡散板フィルム、さらには携帯電話のモニターやボタン部分などの被加工材Sの型抜きなどにも幅広く使用される。
図1に示すように、第1実施形態のトムソン加工型1は、被加工材Sを切断または半切断して製品の型抜きを行う加工刃2と、加工刃2を支持すると共に上下方向に移動可能とされたベース部材3と、加工刃2に取り付けられて加工刃2の反りを防止する補強板4と、の3つの部材を有している。
次に、第1実施形態のトムソン加工型1を構成するベース部材3、加工刃2、及び補強板4について説明する。
なお、第1実施形態のトムソン加工型1は、ベース部材3の下面から下方に向かって刃先を突き出すように垂下状に加工刃2を有するものであり、加工刃2を被加工材Sに対して上方から近接させて、被加工材Sの加工を行う構成となっている。しかし、本発明のトムソン加工型1には、ベース部材3の上面から上方に向かって刃先を突き出すように起立状に加工刃2を有するものを用いても良いし、この場合には加工刃2を被加工材Sに対して下方から近接させて、被加工材Sの加工を行う構成を採用しても良い。このベース部材3の上面から上方に向かって刃先を突き出すように加工刃2を起立状に設けたトムソン加工型1については、加工刃2の取付方向が異なる点を除けば、それ以外の構成については第1実施形態と変わることがない。それゆえ、以降では、刃先が上方へ突き出すトムソン加工型の説明を割愛する。
図1に示すように、ベース部材3は、上述した加工刃2を支持する部材であり、木材、樹脂、または金属などで平板状に形成されている。このベース部材3を構成する木材には、シナノキ、マカンバ、ラワンなどを原料とする合板が用いられる。また、ベース部材3を構成する樹脂にはアクリルなどの樹脂板が用いられ、ベース部材3を構成する金属にはアルミなどの金属板が用いられる。
木材または樹脂で構成されるベース部材3の表面には、上下方向に貫通状に加工刃2取り付け用の貫通孔5が形成されている。本実施形態の場合、上述した貫通孔5は、ベース部材3の表面に直線状に伸びるように、且つ、被加工材Sの外形形状に沿うように形成されている。また、貫通孔5は複数設けられており、複数の貫通孔5が被加工材Sの外形線に沿って所定の間隔をあけて間欠的に(点線状に)並んで形成されている。
上述したベース部材3には、上方や下方にベース部材3自体を油圧などの手段を用いて昇降させる昇降機構(図示略)が設けられている。つまり、この昇降機構によりベース部材3が上下に昇降し、ベース部材3に固定された加工刃2も被加工材Sに対して上下方向に近接または離反して、被加工材Sの切断などが可能となる。
加工刃2は、上述したベース部材3に設けられた状態でベース部材3の下降に合わせて上方より被加工材Sに対して刃先を切り込ませて、被加工材Sを切断または半切断する部材である。
具体的には、加工刃2は、ベース部材3の下面から下方に向かって刃先を突き出すように垂下状に取り付けられている。そして、加工刃2の下縁には、下方に向かって尖った刃先が設けられている。この加工刃2は、上述した被加工材Sの外形に沿う外形線上に刃先が位置するように設けられている。本実施形態の場合であれば、被加工材Sが四角形となっているため、加工刃2は四角形の外形線に沿うように配備されている。
また、加工刃2の上端側は、上述した貫通孔5に合わせて矩形状に上方に突出した突出部6が所定の間隔をあけて複数間欠的に形成されている。この突出部6は、上述した貫通孔5の開口長さ及び開口幅に対応した寸法の長さと幅を備えており、また突出部6同士の間隔は貫通孔5の穿孔間隔に等しくなっている。そのため、複数の突出部6を複数の貫通孔5のそれぞれに挿し込むことで、加工刃2をベース部材3に固定することが可能となっている。また、金属で構成されるベース部材3と加工刃2については、複数のネジを用いて加工刃を取り付けている。
さらに、上述したベース部材3に防炎合板(難燃性または耐火性の合板)やアルミを使用することで、図示を省略する加熱手段などから熱を加工刃2に伝えられるようになっており、加工刃2を例えば200℃程度に加熱することで被加工材Sに対する加工性を向上できる構造とされている。
ところで、トムソン加工型1では、一般に被加工材Sのサイズに合わせて加工刃2の刃身Lが長く、刃幅Wも広くなる傾向がある。つまり、携帯電話の部品などのような小サイズの被加工材Sを型抜きする場合は、刃幅が狭く刃長も短い加工刃2が用いられる。このような刃幅が狭く刃長が短い加工刃2は一般に撓みにくく、変形も起こしにくい。しかし、電子部品のトレーなどのような大サイズの被加工材Sを型抜きする場合は、加工刃2に刃身(長さ)が長く刃幅も厚いものが用いられる。このような刃身が長く、刃幅が厚い加工刃2は撓み易く、変形(内側にへこんだり外側へ膨らむような変形)も起こしやすい。
そして、加工刃2に変形が生じると、被加工材Sが所定の寸法通りに打ち抜き難くなり、精度の良い型抜きを行うことが困難になる。
そのため、本発明のトムソン加工型1には、加工刃2の変形を抑制する補強板4が設けられている。
図3及び図4に示すように、補強板4は、加工刃2の外側面又は内側面に重ね合わされた状態で設けられて、加工刃2が変形しないように補強し、加工刃2の反りを防止するものである。つまり、補強板4は、垂下方向よりも水平方向に曲げ耐力を備えた構造とされており、垂下方向に沿って曲げるのに比べて、水平方向(長手方向)に沿って曲げ難くなっている。
具体的には、補強板4は、垂下方向(上下方向)に沿って切断した断面構造が、矩形に対して異型となるように形成されている。この「断面構造が異型である」とは、角形(長方形)の断面構造に対して、「く」の字状、円弧状(アーチ状)、T字状、凸状などといった長方形以外の形状に折り曲げたり変形したりすることを意味する。そして、第1実施形態の補強板4は、垂下方向の中途側が加工刃2から張り出すように略「く」の字状に折り曲げられており、このように略「く」の字状に折り曲げられた形状を第1実施形態では「異型」としている。
この略「く」の字状に折り曲げられた断面構造は補強板4の長手方向に連続して形成されており、全体で見ると補強板4の上下方向の中途側に外方に向かって三角状(山状)に盛り上がった突条(リブ)が水平方向に伸びるように形成されている。つまり、補強板4は、上下方向に沿って起立するように配備された垂直板4aと、この垂直板4aの上下方向の中間部分から、加工刃2から離れる方向に向かって膨らむように伸びる屈曲部4bとを、互いに組み合わせた構造となっている。
このような垂直板4aと屈曲部4bとを組み合わせた断面構造を補強板4に設ければ、上下方向(垂下方向)よりも水平方向に補強板4は曲げ耐力が大きくなる。つまり、補強板4が上下方向(垂下方向)よりも水平方向(左右又は前後方向)に曲げ耐力を備えた構造となるため、加工刃2が上下方向に広幅であっても、あるいは加工刃2が水平方向に長尺であっても、加工刃2の撓みや変形が起きにくくなり、加工刃2の変形を抑制しつつ型抜きを精度良く確実に行うことが可能となる。
また、上述した補強板4は加工刃2の少なくとも外側面に、加工刃2の表面に沿うように重ね合わされた状態で取り付けられるのが好ましい。補強板4を取り付けは、スポット溶接を用いて加工刃2を固定するものであっても良いし、ネジのような手段で補強板4を加工刃2に取り付けても良い。なお、ネジを用いる場合は、ネジ頭部が隣接するトムソン加工型1と物理的に干渉する可能性があるため、頭部の厚みが薄い平頭ネジなどを用いるとよい。
さらに、上述した補強板4は、加工刃2の外側面だけでなく内側面にも設けても良い。なお、補強板4を設けると、型抜きされた被加工材Sをトムソン加工型1から取り出す際に、取り出しが困難になる可能性がある。このような場合は、上述した補強板4を加工刃2の外側面だけに設けても良いし、内側面に設ける補強板4の高さを、外側面に設ける補強板4の高さの半分ほどにし、加工刃2の内側面基端部に配備するようにしてもよい。
上述した実施形態は、略「く」の字状に折り曲げられた断面構造を備えた補強板4を用いた例であった。しかし、補強板4としては、次の変形例のような断面構造のものを用いても良い。変形例の補強板4も、垂下方向よりも水平方向に曲げ耐力を備えた構造であって、角形に対して異型となる断面構造を備えたものであり、上記した実施形態と同様な作用効果を得ることができる。
例えば、図5(a)に示すように、変形例の補強板4は、「T字を横倒しにしたような断面構造」を備えている。つまり、変形例の補強板4は、上下方向に沿って起立するように配備された垂直板4cと、この垂直板4aの上下方向の中間部分から、加工刃2から離れる方向に向かって伸びるように配備された水平板4cと、互いに直交状に組み合わせた構造となっている。水平板4cは、垂直板4aに比べて板幅が狭く形成されているが、補強板4が撓むことを抑制することが可能となっている。
また、図5(b)に示すような変形例の補強板4は、上下方向に沿った板幅の広い第1垂直板4dと、第1垂直板4dに比べて上下方向に沿った板幅の狭い第2垂直板4eとを、上下に重ね合わせた構造となっている。この補強板4では、第2垂直板4eが重ね合わされている分だけ、補強板4は水平方向に撓みにくくなっている。
さらに、図5(c)及び図5(d)に示すような変形例の補強板4は、上下方向の中途側を、加工刃2から離れる方向に向かって膨出させた構造となっている。具体的には、図5(c)の補強板4は、垂直板4aの上下方向の中間に、断面が矩形状になるように上下方向の中途側を膨出させた矩形膨出部4fを備えたものである。また、図5(d)の補強板4は、垂直板4aの上下方向の中間に、断面がアーチ状となるように上下方向の中途側を膨出させた円弧状膨出部4gを備えたものである。
このように補強板4における上下方向の中途側を、略「く」の字状以外の形状に折り曲げた場合でも、補強板4は水平方向に撓みにくくなっている。
上述した補強板4を加工刃2に設ければ、補強板4は上下方向(垂下方向)よりも水平方向(左右又は前後方向)に曲げ耐力を備えた構造であるため、水平方向に撓んだり変形したりしにくくなる。その結果、加工刃2が曲がった状態で型抜きされることが抑制され、加工刃2の変形を抑制しつつ型抜きを精度良く確実に行うことができる。
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。特に、今回開示された実施形態において、明示的に開示されていない事項、例えば、運転条件や操業条件、各種パラメータ、構成物の寸法、重量、体積などは、当業者が通常実施する範囲を逸脱するものではなく、通常の当業者であれば、容易に想定することが可能な値を採用している。
1 トムソン加工型
2 加工刃
3 ベース部材
4 補強板
4a 垂直板
4b 屈曲部
4c 水平板
4d 第1垂直板
4e 第2垂直板
4f 矩形膨出部
4g 円弧状膨出部
5 貫通孔
6 突出部
S 被加工材

Claims (5)

  1. 平板状に形成されたベース部材と、前記ベース部材の下面から下方に向かって刃先を突き出すように垂下状に取り付けられる加工刃と、を有するトムソン加工型であって、
    前記加工刃の外側面又は内側面には、前記加工刃の反りを防止する補強板が、前記加工刃の外側面又は内側面に重ね合わされた状態で設けられており、
    前記補強板は、前記垂下方向に沿って切断した断面構造が、矩形に対して異型となるように形成されている
    ことを特徴とするトムソン加工型。
  2. 平板状に形成されたベース部材と、前記ベース部材の上面から上方に向かって刃先を突き出すように起立状に取り付けられる加工刃と、を有するトムソン加工型であって、
    前記加工刃の外側面又は内側面には、前記加工刃の反りを防止する補強板が、前記加工刃の外側面又は内側面に重ね合わされた状態で設けられており、
    前記補強板は、前記起立方向に沿って切断した断面構造が、矩形に対して異型となるように形成されている
    ことを特徴とするトムソン加工型。
  3. 前記加工刃は、前記垂下方向または起立方向の長さに比して水平方向の長さの方が長くなるように形成されており、
    前記補強板は、前記垂下方向または起立方向よりも水平方向に曲げ耐力を備えた構造とされている
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のトムソン加工型。
  4. 前記補強板は、前記垂下方向または起立方向の中途側が前記加工刃から張り出すように折り曲げられている
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のトムソン加工型。
  5. 前記張り出すように折り曲げられた部位は、前記補強板の長手方向に連続して形成されている
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のトムソン加工型。
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