JP2021175777A - エポキシ樹脂組成物、エポキシ樹脂硬化物、及び電子部品装置 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物、エポキシ樹脂硬化物、及び電子部品装置 Download PDF

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貴和 金
Takakazu Kin
智雄 西山
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Abstract

【課題】離型性に優れる硬化物を作製可能なエポキシ樹脂組成物、並びに当該エポキシ樹脂組成物を用いたエポキシ樹脂硬化物及び電子部品装置を提供する。【解決手段】エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂、硬化剤、無機充填材、及び離型剤を含有し、前記硬化剤の150℃におけるICI粘度が0.16Pa・s未満である。【選択図】なし

Description

本開示は、エポキシ樹脂組成物、エポキシ樹脂硬化物、及び電子部品装置に関する。
従来から、トランジスタ、IC(integrated circuit)、LSI(Large Scale Integration)等の電子部品装置の素子封止の分野では、生産性、コスト等の面から樹脂封止が主流となっており、エポキシ樹脂組成物が封止用エポキシ樹脂成形材料として広く用いられている。この理由としては、エポキシ樹脂が電気特性、耐湿性、耐熱性、機械特性、インサート品との接着性等の諸特性のバランスに優れているためである。
近年は、電子部品装置の小型化、軽量化、高性能化、及び高機能化を図るために、素子の高密度実装化、配線の微細化、多層化、多ピン化、素子のパッケージに対する占有面積増大化等が進んでいる。同時に、従来のDIP(Dual Inline Package)、PGA(Pin Grid Array)等から、QFP(Quad Flat Package)、SOP(Small Outline Package)、SOJ(Small Outline J−lead package)、さらにはTSOP(Thin Small Outline Package)、TQFP(Thin Quad Flat Package)等へと、電子部品装置の薄型化が進んでいる。
一方、電子部品装置の生産効率の向上及び良好な連続成形性が求められている。一般に、エポキシ樹脂組成物には、金型からの円滑な脱型を目的に離型剤が添加されている。離型剤としては、α−オレフィンと無水マレイン酸との共重合物(例えば、特許文献1参照)、α−オレフィンと無水マレイン酸との共重合物をエステル化した化合物(例えば、特許文献2及び3参照)、酸化型ポリオレフィン(例えば、特許文献4参照)等の報告がある。また、酸化ポリオレフィン系ワックス化合物である離型剤と、α−オレフィンと無水マレイン酸又は無水マレイン酸誘導体等との共重合体と、の組み合わせにより良好な離型性及び良好なパッケージ外観を達成する方法(例えば、特許文献5参照)も報告されている。
特開平10−36486号公報 特開2001−247748号公報 特開2003−64239号公報 特開2006−182913号公報 特開2005−255978号公報
しかしながら、離型剤を添加したとしても十分な離型性が得られない場合があった。かかる状況に鑑み、本開示は、離型性に優れる硬化物を作製可能なエポキシ樹脂組成物、並びに当該エポキシ樹脂組成物を用いたエポキシ樹脂硬化物及び電子部品装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するための手段は、以下の態様を含む。
<1> エポキシ樹脂、硬化剤、無機充填材、及び離型剤を含有し、前記硬化剤の150℃におけるICI粘度が0.16Pa・s未満である、エポキシ樹脂組成物。
<2> 前記硬化剤の150℃におけるICI粘度が0.14Pa・s以下である、<1>に記載のエポキシ樹脂組成物。
<3> 前記硬化剤の150℃におけるICI粘度が0.12Pa・s以下である、<1>又は<2>に記載のエポキシ樹脂組成物。
<4> さらに硬化促進剤を含有する、<1>〜<3>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
<5> 25℃で固体である、<1>〜<4>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
<6> 素子の封止に用いられる<1>〜<5>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
<7> <1>〜<6>のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物であるエポキシ樹脂硬化物。
<8> 素子と、前記素子を封止している<7>に記載のエポキシ樹脂硬化物と、を備える電子部品装置。
本開示によれば、離型性に優れる硬化物を作製可能なエポキシ樹脂組成物、並びに当該エポキシ樹脂組成物を用いたエポキシ樹脂硬化物及び電子部品装置が提供される。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
本開示において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
本開示において「〜」を用いて示された数値範囲には、「〜」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、各成分の含有率又は含有量は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
本開示において各成分に該当する粒子は複数種含まれていてもよい。組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、各成分の粒子径は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
≪エポキシ樹脂組成物≫
本開示のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂、硬化剤、無機充填材、及び離型剤を含有し、前記硬化剤の150℃におけるICI粘度が0.16Pa・s未満である。
本開示のエポキシ樹脂組成物は、例えば電子部品の素子の封止に用いることができる。本開示のエポキシ樹脂組成物を用いてIC、LSI等の電子部品の素子を封止することにより、後述の実施例から明らかとなるように、優れた離型性を得ることができる。したがって、その工業的価値は高い。
発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、硬化剤の150℃におけるICI粘度を0.16Pa・s未満、好ましくは0.14Pa・s以下、さらに好ましくは0.12Pa・s以下に調整することによって、優れた離型性を得ることができることを見出した。
上記効果を奏する詳細な理由は必ずしも明らかではないが、以下のように考えることができる。本開示のエポキシ樹脂組成物は低粘度の硬化剤を含有するため、高粘度の硬化剤を含有する場合と比べて、離型剤との相溶性が低下し、金型表面へ染み出す離型剤の量が増加すると考えられる。この結果、成形したエポキシ樹脂組成物の金型からの離型性が向上すると考えられる。また、本開示のエポキシ樹脂組成物では、エポキシ樹脂組成物の成形性、及び電子部品装置としての信頼性を良好に維持しつつ、硬化剤の粘度の調整によって良好に離型性を向上させることができる傾向にある。
本開示において、「ICI粘度」とは、ICIコーンプレート回転粘度計で測定した値を意味する。ICI粘度は以下のように測定することができる。
ICI粘度計(例えば、東亜工業株式会社製のコーンプレート粘度計(モデル:CV‐1S、コーン:10ポアズ))において、150℃に設定した熱盤上に測定試料を載置し、粘度測定用のコーンを下げ、測定試料を熱盤とコーンで挟み込む。そして、上記コーンを750回毎分(rpm)で回転させた際の粘性抵抗を測定し、これをICI粘度とする。なお、ICI粘度計の詳細は、例えば、ASTM D4287(2019)に記載されている。
本開示において、エポキシ樹脂組成物中に複数種の硬化剤が含まれる場合、「硬化剤の150℃におけるICI粘度」とは、当該複数種の硬化剤の混合物(すなわちエポキシ樹脂中の全硬化剤の混合物)の150℃におけるICI粘度を表す。
エポキシ樹脂組成物は25℃で固体であることが好ましい。エポキシ樹脂組成物が全体として25℃で固体である場合において、エポキシ樹脂組成物中に液状の成分が含まれていてもよい。
[エポキシ樹脂]
本開示のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂を含む。エポキシ樹脂は25℃で固体であっても液状であってもよく、固体であることが好ましい。
エポキシ樹脂としては、分子中にエポキシ基を有するものであればその種類は特に制限されない。エポキシ樹脂として具体的には、フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のフェノール化合物及びα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のフェノール性化合物と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド等の脂肪族アルデヒド化合物と、を酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したものであるノボラック型エポキシ樹脂(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等);上記フェノール性化合物と、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等の芳香族アルデヒド化合物とを酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるトリフェニルメタン型フェノール樹脂をエポキシ化したものであるトリフェニルメタン型エポキシ樹脂;上記フェノール化合物及びナフトール化合物と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド化合物と、を酸性触媒下で共縮合させて得られるノボラック樹脂をエポキシ化したものである共重合型エポキシ樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールAD、ビスフェノールF等のジグリシジルエーテルであるジフェニルメタン型エポキシ樹脂;アルキル置換又は非置換のビフェノールのジグリシジルエーテルであるビフェニル型エポキシ樹脂;スチルベン系フェノール化合物のジグリシジルエーテルであるスチルベン型エポキシ樹脂;ビスフェノールS等のジグリシジルエーテルである硫黄原子含有エポキシ樹脂;ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のアルコール類のグリシジルエーテルであるエポキシ樹脂;フタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ダイマー酸等の多価カルボン酸化合物のグリシジルエステルであるグリシジルエステル型エポキシ樹脂;アニリン、ジアミノジフェニルメタン、イソシアヌル酸等の窒素原子に結合した活性水素をグリシジル基で置換したものであるグリシジルアミン型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエンとフェノール化合物の共縮合樹脂をエポキシ化したものであるジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;分子内のオレフィン結合をエポキシ化したものであるビニルシクロヘキセンジエポキシド、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2−(3,4−エポキシ)シクロヘキシル−5,5−スピロ(3,4−エポキシ)シクロヘキサン−m−ジオキサン等の脂環型エポキシ樹脂;パラキシリレン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるパラキシリレン変性エポキシ樹脂;メタキシリレン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるメタキシリレン変性エポキシ樹脂;テルペン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるテルペン変性エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるジシクロペンタジエン変性エポキシ樹脂;シクロペンタジエン変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるシクロペンタジエン変性エポキシ樹脂;多環芳香環変性フェノール樹脂のグリシジルエーテルである多環芳香環変性エポキシ樹脂;ナフタレン環含有フェノール樹脂のグリシジルエーテルであるナフタレン型エポキシ樹脂;ハロゲン化フェノールノボラック型エポキシ樹脂;ハイドロキノン型エポキシ樹脂;トリメチロールプロパン型エポキシ樹脂;オレフィン結合を過酢酸等の過酸で酸化して得られる線状脂肪族エポキシ樹脂;フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型フェノール樹脂をエポキシ化したものであるアラルキル型エポキシ樹脂;などが挙げられる。さらにはシリコーン樹脂のエポキシ化物、アクリル樹脂のエポキシ化物等もエポキシ樹脂として挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なかでも、耐リフロー性及び流動性の観点からは、ビフェニル型エポキシ樹脂、及び硫黄原子含有エポキシ樹脂が好ましい。ビフェニル型エポキシ樹脂の特性を良好に発揮する観点からは、エポキシ樹脂全量に対する、ビフェニル型エポキシ樹脂の含有率は、50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。エポキシ樹脂全量に対する、ビフェニル型エポキシ樹脂の含有率は、90質量%以下であってもよく、80質量%以下であってもよい。また、硫黄原子含有エポキシ樹脂の特性を良好に発揮する観点からは、エポキシ樹脂全量に対する、硫黄原子含有エポキシ樹脂の含有率は、10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることがさらに好ましい。エポキシ樹脂全量に対する、硫黄原子含有エポキシ樹脂の含有率は、50質量%以下であってもよく、40質量%以下であってもよい。
エポキシ樹脂のエポキシ当量(分子量/エポキシ基数)は、特に制限されない。成形性、耐リフロー性、電気的信頼性等の各種特性バランスの観点からは、100g/eq〜1000g/eqであることが好ましく、150g/eq〜500g/eqであることがより好ましく、150g/eq〜300g/eqであることがさらに好ましい。
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、JIS K 7236:2009に準じた方法で測定される値とする。
エポキシ樹脂が固体である場合、エポキシ樹脂の融点又は軟化点は、特に制限されない。成形性と耐リフロー性の観点からは40℃〜180℃であることが好ましく、エポキシ樹脂組成物の調製の際の取扱い性の観点からは50℃〜130℃であることがより好ましい。
エポキシ樹脂の融点は示差走査熱量測定(DSC)で測定される値とし、エポキシ樹脂の軟化点はJIS K 7234:1986に準じた方法(環球法)で測定される値とする。
エポキシ樹脂のICI粘度は特に制限されない。一実施形態において、エポキシ樹脂のICI粘度は0.10Pa・s以下であってもよく、0.08Pa・s以下であってもよく、0.05Pa・s以下であってもよい。また、エポキシ樹脂のICI粘度は0.01Pa・s以上であってもよく、0.02Pa・s以上であってもよく、0.03Pa・s以上であってもよい。エポキシ樹脂のICI粘度は0.01Pa・s〜0.10Pa・sであってもよく、0.02Pa・s〜0.08Pa・sであってもよく0.03Pa・s〜0.05Pa・sであってもよい。エポキシ樹脂のICI粘度は硬化剤のICI粘度と同様に測定することができる。
エポキシ樹脂組成物中のエポキシ樹脂の含有率は、強度、流動性、耐熱性、成形性等の観点から0.5質量%〜30質量%であることが好ましく、2質量%〜20質量%であることがより好ましく、3質量%〜15質量%であることがさらに好ましく、4質量%〜10質量%であることが特に好ましい。
[硬化剤]
本開示のエポキシ樹脂組成物は、硬化剤を含有する。硬化剤は25℃で固体であっても液状であってもよい。
硬化剤の150℃におけるICI粘度は0.16Pa・s未満であり、0.14Pa・s以下であることが好ましく、0.12Pa・s以下であることがさらに好ましい。
硬化剤のICI粘度を、150℃において0.16Pa・s未満とする方法としては、分子量を小さくした低粘度グレードの硬化剤を使用することが挙げられる。
硬化剤の種類は特に制限されない。例えば、硬化剤として一般に使用される1分子中に2個以上のフェノール性水酸基を有するフェノール樹脂又は多価フェノールが挙げられる。具体的には、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、置換又は非置換のビフェノール等の1分子中に2個のフェノール性水酸基を有する化合物;フェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシン、カテコール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、フェニルフェノール、アミノフェノール等のフェノール化合物及びα−ナフトール、β−ナフトール、ジヒドロキシナフタレン等のナフトール化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種のフェノール性化合物と、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等のアルデヒド化合物と、を酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるノボラック型フェノール樹脂;パラキシリレン及び/又はメタキシリレン変性フェノール樹脂;メラミン変性フェノール樹脂;テルペン変性フェノール樹脂;上記フェノール性化合物とジシクロペンタジエンとから共重合により合成されるジシクロペンタジエン型フェノール樹脂及びジシクロペンタジエン型ナフトール樹脂;シクロペンタジエン変性フェノール樹脂;多環芳香環変性フェノール樹脂;ビフェニル型フェノール樹脂;ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂;上記フェノール性化合物と、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒド等の芳香族アルデヒド化合物と、を酸性触媒下で縮合又は共縮合させて得られるトリフェニルメタン型フェノール樹脂;これら2種以上を共重合して得た共重合型フェノール樹脂などが挙げられる。フェノール樹脂は、1種単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
フェノール樹脂の中でも、耐リフロークラック性の観点からはアラルキル型フェノール樹脂、ベンズアルデヒド型フェノール樹脂とアラルキル型フェノール樹脂との共重合型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂、又はノボラック型フェノール樹脂が好ましく、アラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂、及びビフェニルアラルキル型フェノール樹脂(以下、アラルキル型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、トリフェニルメタン型フェノール樹脂、及びビフェニルアラルキル型フェノール樹脂を包括的に「特定フェノール樹脂」と称する場合がある)がより好ましい。特定フェノール樹脂は、いずれか1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
硬化剤の官能基当量(硬化剤がフェノール樹脂である場合は水酸基当量)は特に制限されない。官能基当量は、成形性、耐リフロー性、電気的信頼性等の各種特性バランスの観点から、70g/eq〜1000g/eqであることが好ましく、80g/eq〜500g/eqであることがより好ましく、90g/eq〜250g/eqであることがさらに好ましい。
硬化剤が固体である場合、硬化剤の軟化点又は融点は特に制限されない。成形性と耐リフロー性の観点から、軟化点又は融点は40℃〜180℃であることが好ましく、取扱い性の観点からは50℃〜130℃であることがより好ましい。硬化剤の融点又は軟化点は、エポキシ樹脂の融点又は軟化点と同様にして測定される値とする。
エポキシ樹脂組成物中の、エポキシ樹脂と硬化剤の当量比は特に制限されない。例えば、エポキシ樹脂の硬化剤としてフェノール樹脂を使用する場合、エポキシ樹脂とフェノール樹脂との配合比率は、エポキシ樹脂の総エポキシ当量に対するフェノール樹脂の総水酸基当量の比率(フェノール樹脂中の総水酸基数/エポキシ樹脂中の総エポキシ基数)を0.5〜2.0の範囲に設定することが好ましく、0.7〜1.5の範囲に設定することがより好ましく、0.8〜1.3の範囲に設定することがさらに好ましい。上記比率が0.5以上であると、エポキシ樹脂の硬化が十分に行われ、硬化物の耐熱性、耐湿性及び電気特性がより向上する傾向がある。一方、上記比率が2.0以下であると、フェノール樹脂成分が過剰とならず、硬化効率がより向上する傾向にある。さらに硬化樹脂中に多量のフェノール性水酸基が残ることが抑制されるため、パッケージの電気特性及び耐湿性がより向上する傾向がある。
フェノール樹脂が特定フェノール樹脂を含む場合、特定フェノール樹脂の性能を発揮する観点からは、フェノール樹脂全量に対して、特定フェノール樹脂を合計で30質量%以上含有することが好ましく、50質量%以上含有することがより好ましい。
一実施形態において、吸湿性が低いという観点から、特定フェノール樹脂の中でも、ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂を用いることが好ましい。硬化剤であるフェノール樹脂がビフェニルアラルキル型フェノール樹脂を含む場合、フェノール樹脂全量に対するビフェニルアラルキル型フェノール樹脂の含有率は50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることがさらに好ましい。
[無機充填材]
本開示のエポキシ樹脂組成物は無機充填材を含有する。無機充填材の種類は特に制限されず、溶融シリカ、結晶シリカ、ガラス、アルミナ、炭酸カルシウム、ケイ酸ジルコニウム、ケイ酸カルシウム、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ベリリア、ジルコニア、ジルコン、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア、タルク、クレー、マイカ等の微粉未、又はこれらを球形化したビーズなどが挙げられる。
さらに、難燃効果のある無機充填材としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、マグネシウムと亜鉛の複合水酸化物等の複合金属水酸化物、硼酸亜鉛などが挙げられる。なかでも、線膨張係数低減の観点からは溶融シリカが好ましく、高熱伝導性の観点からはアルミナが好ましい。無機充填材は1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
無機充填材の含有率は特に制限されず、エポキシ樹脂組成物に対して55質量%〜95質量%であることが好ましく、60質量%〜94質量%であることがより好ましく、65質量%〜93質量%であることがさらに好ましい。無機充填材の含有率がエポキシ樹脂組成物全量に対して55質量%以上であると、エポキシ樹脂組成物の硬化物の熱膨張係数、熱伝導率、弾性率等の特性が向上する傾向にある。無機充填材の含有率がエポキシ樹脂組成物全量に対して95質量%以下であると、流動性の低下が抑制され良好な成形性を得られる傾向にある。
無機充填材の平均粒径は特に制限されない。無機充填材の平均粒径は1μm〜50μmであることが好ましく、10μm〜30μmであることがより好ましい。無機充填材の平均粒径が1μm以上であると、エポキシ樹脂組成物の粘度の上昇を抑制できる傾向にある。無機充填材の平均粒径が50μm以下であると、樹脂成分と無機充填材とが分離することを抑制することができ、その結果、硬化物が不均一になったり、硬化物の特性がばらついたりすることを抑制できる傾向にある。また、狭い隙間への充填性を向上させることができる傾向にある。無機充填材の平均粒径は、レーザー散乱回折法粒度分布測定装置により測定された体積基準の粒度分布において、小径側からの累積が50%となるときの粒子径(D50)として測定することができる。
無機充填材の粒子形状は特に制限されない。流動性の観点からは、無機充填材の粒子形状は角形より球形が好ましく、無機充填材の粒度は広範囲に分布していることが好ましい。例えば、無機充填材をエポキシ樹脂組成物の全量に対して75質量%以上配合する場合、全無機充填材のうちの70質量%以上を球状粒子とし、無機充填材の粒度は0.1μm〜80μmmという広範囲に分布したものとすることが好ましい。このような無機充填材は最密充填構造をとりやすいため配合量を増加させても材料の粘度上昇が少なく、流動性に優れたエポキシ樹脂組成物を得ることができる傾向にある。
[離型剤]
本開示のエポキシ樹脂組成物は離型剤を含有する。離型剤の種類は特に制限されず、合成品であっても天然物であってもよい。離型剤としては、具体的には、モンタン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス、酸化ポリエチレン、非酸化ポリエチレン等のポリオレフィン系ワックス、カルナウバロウ、シリコーンオイル等が挙げられる。一実施形態において、150℃におけるICI粘度が0.16Pa・sである硬化剤との併用による離型性をより良好に向上する観点から、エポキシ樹脂組成物は離型剤として酸化ポリエチレン、カルナウバロウを含有することが好ましい。
離型剤の含有量は特に制限されず、良好な離型性を得る観点、及びブリードを抑制する観点からは、エポキシ樹脂組成物全量に対して0.03質量%〜1.0質量%である
ことが好ましく、0.04質量%〜0.8質量%であることがより好ましい。
本開示のエポキシ樹脂組成物では、離型剤として例えば従来技術における無水マレイン酸又は無水マレイン酸誘導体を使用しない場合であっても、良好な離型性を得ることができる。無水マレイン酸の中毒性及び刺激性を回避又は低減する観点、及びボイドの発生による信頼性の低下を抑制する観点からは、離型剤は無水マレイン酸又は無水マレイン酸誘導体を含まないか、離型剤全量に対する無水マレイン酸又は無水マレイン酸誘導体の含有率が、合計で10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下であることが好ましい。
[硬化促進剤]
本開示のエポキシ樹脂組成物は、硬化促進剤を含有してもよい。硬化促進剤の種類は特に制限されず、エポキシ樹脂の種類、エポキシ樹脂組成物の所望の特性等に応じて選択できる。
硬化促進剤として具体的には、1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、1,5−ジアザ−ビシクロ(4,3,0)ノネン、5,6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザ−ビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の3級アミン類及びこれらの誘導体;2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類及びこれらの誘導体;トリブチルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ジフェニルホスフィン、フェニルホスフィン等の有機ホスフィン類及びこれらのホスフィン類に無水マレイン酸、ベンゾキノン、ジアゾフェニルメタン等のπ結合をもつ化合物を付加してなる分子内分極を有するリン化合物;テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、2−エチル−4−メチルイミダゾリウムテトラフェニルボレート、N−メチルテトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート等のテトラフェニルボレート塩;トリフェニルホスフィン−トリフェニルボラン錯体等のトリフェニルボラン錯体などが挙げられる。これらの硬化促進剤は、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ樹脂組成物中の硬化促進剤の含有率は、硬化促進効果が得られれば特に限定されない。エポキシ樹脂組成物中の硬化促進剤の含有率は、例えば、エポキシ樹脂と硬化剤の合計量に対して、0.1質量%〜8.0質量%であることが好ましく、0.5質量%〜5.0質量%であることがより好ましく、1.0質量%〜3.0質量%であることがさらに好ましい。硬化促進剤の含有率がエポキシ樹脂と硬化剤の合計量に対して、0.1質量%以上であると、硬化時間の短縮化が図れる傾向にあり、8.0質量%以下であると、硬化速度が速すぎず良好な成形品が得られる傾向にある。
[その他の成分]
本開示のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂、硬化剤、無機充填材、離型剤、及び必要に応じて用いられる硬化促進剤に加えて、その他の成分を含有していてもよい。エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤、無機充填材、及び離型剤以外の成分としては、例えば、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤等のカップリング剤;リン化合物等の難燃剤;三酸化アンチモン、四酸化アンチモン等の難燃助剤;カーボンブラック、酸化鉄等の着色剤;シリコーンゴム、合成ゴム等の応力緩和剤;酸化防止剤などの各種添加剤が挙げられる。
[エポキシ樹脂組成物の調製方法]
本開示のエポキシ樹脂組成物は、各種成分を均一に分散混合できるのであれば、いかなる方法を用いて調製してもよい。一般的な方法としては、成分をミキサーなどによって十分混合した後、ミキシングロール、押出機等によって溶融混練し、その後冷却し、粉砕する方法を挙げることができる。より具体的には、エポキシ樹脂組成物は、例えば、上述した成分を撹拌及び混合し、予め70℃〜140℃に加熱してあるニーダー、ロール、エクストルーダー等で混練した後、冷却し、粉砕するなどの方法で得ることができる。エポキシ樹脂組成物は、パッケージの成形条件に合うような寸法及び重量でタブレット化すると取り扱いが容易である。
≪エポキシ樹脂硬化物≫
本開示のエポキシ樹脂硬化物は、本開示のエポキシ樹脂組成物の硬化物である。エポキシ樹脂組成物の硬化方法は特に制限されない。例えば、後述の電子部品装置の素子を封止する方法として記載される方法を用いてもよい。
≪電子部品装置≫
本開示の電子部品装置は、素子と、素子を封止している本開示のエポキシ樹脂硬化物と、を供える。電子部品装置としては、例えば、リードフレーム、配線済みのテープキャリア、配線板、ガラス、シリコンウエハ等の支持部材に、半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子、コンデンサ、抵抗体、コイル等の受動素子などの素子を搭載したものが挙げられ、それら素子部を本開示のエポキシ樹脂組成物で封止したものが挙げられる。
より具体的には、電子部品装置としては、例えば、リードフレーム上に半導体素子を固定し、ボンディングパッド等の素子の端子部とリード部をワイヤボンディング又はバンプで接続した後、本開示のエポキシ樹脂組成物を用いてトランスファー成形等によって封止した、DIP(Dual Inline Package)、PLCC(Plastic Leaded Chip Carrier)、QFP(Quad Flat Package)、SOP(Small Outline Package)、SOJ(Small Outline J−lead package)、TSOP(Thin Small Outline Package)、TQFP(Thin Quad Flat Package)等の一般的な樹脂封止型IC;テープキャリアにバンプで接続した半導体チップを、本開示のエポキシ樹脂組成物で封止したTCP(Tape Carrier Package);配線板、ガラス等の上に形成した配線に、ワイヤボンディング、フリップチップボンディング、はんだ等で接続した半導体チップ、トランジスタ、ダイオード、サイリスタ等の能動素子及び/又はコンデンサ、抵抗体、コイル等の受動素子を、本開示のエポキシ樹脂組成物で封止したCOB(Chip On Board)モジュール;ハイブリッドIC;マルチチップモジュール;裏面に配線板接続用の端子を形成した有機基板の表面に素子を搭載し、バンプ又はワイヤボンディングにより素子と有機基板に形成された配線を接続した後、本開示のエポキシ樹脂組成物で素子を封止したBGA(Ball Grid Array)又はCSP(Chip Size Package)などが挙げられる。また、プリント回路板にも本開示のエポキシ樹脂組成物を使用することができる。
本開示のエポキシ樹脂組成物を用いて、電子部品装置の素子を封止する方法としては、低圧トランスファー成形法が最も一般的ではあるが、インジェクション成形法、圧縮成形法等を用いてもよい。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例には制限されない。
[エポキシ樹脂組成物の調製]
表1に示す成分を表1に示す分量(質量部)で用意した。表1において、「−」は成分が配合されていないことを表す。
まず無機充填材をシランカップリング剤で表面処理してから、処理後の無機充填材と残りの成分とを、ミキサーで十分混合することで混合物を得た。この混合物を2軸ロールを用いて100℃の設定温度で5分間加熱しながら溶融混練し、冷却後、粉砕機で粉砕してから打錠することで、タブレット状のエポキシ樹脂組成物を得た。
なお、表1に示す成分の詳細は、次の通りである。
・エポキシ樹脂1:ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量:240g/eq)
・エポキシ樹脂2:チオエーテル型エポキシ樹脂(エポキシ当量:245g/eq)
・エポキシ樹脂3:ビフェニル型エポキシ樹脂(エポキシ当量:186g/eq)
・硬化剤1:ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂(水酸基当量:175g/eq)
・硬化剤2:ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂(水酸基当量:168g/eq)
・硬化剤3:ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂(水酸基当量:205g/eq)
・無機充填材:球状溶融シリカ
・シランカップリング剤:3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン
・離型剤:セラリカ野田株式会社製、カルナウバNo.1
・顔料:カーボンブラック
・硬化促進剤:トリフェニルホスフィン
[ICI粘度の測定]
硬化剤の150℃におけるICI粘度は以下のように測定した。なお硬化剤のICI粘度は表1に示される硬化剤の混合物のICI粘度を表す。
ICI粘度計(東亜工業株式会社製のコーンプレート粘度計(モデル:CV‐1S、コーン:10ポアズ))において、150℃に設定した熱盤上に測定試料を載置し、粘度測定用のコーンを下げ、測定試料を熱盤とコーンで挟み込む。そして、上記コーンを750回毎分(rpm)で回転させた際の粘性抵抗を測定し、これをICI粘度とする。なお、ICI粘度計の詳細は、例えば、ASTM D4287(2019)に記載されている。硬化剤のICI粘度の測定結果を表1に示す。
Figure 2021175777
なお、エポキシ樹脂のICI粘度を硬化剤のICI粘度と同様の方法により測定したところ、エポキシ樹脂1〜3の混合物のICI粘度はいずれの実施例及び比較例でも0.031Pa・s〜0.036Pa・sであった。
[エポキシ樹脂組成物の特性評価]
次に、比較例1〜2及び実施例1〜3によって得られたエポキシ樹脂組成物の特性を、以下に示す各種試験によって評価した。評価結果を表2に示す。
(1)離型性
表面に硬質クロムメッキが施されたフェロ板(35mm×50mm×0.5mm)上に、エポキシ樹脂組成物を円板状に成形し(円板面積3.14cm)、成形直後のせん断離型力(せん断離型強度)をプッシュプルゲージ(株式会社イマダ製、最大目盛500(N))で読み取る作業を2回繰り返し、2回目のせん断離型力が10N未満のものを離型性が良好と判断した。
なお、エポキシ樹脂組成物の成形は、成形温度180℃、成形時間90sec、成形圧力10MPaで行った。
(2)離型層の厚み
上記の離型性の評価において、2回目のせん断離型後における、金型に残った離型剤により形成される離型層の厚みをエリプソメーター(ファイブラボ製レーザーエリプソメータ(MARY102))を用いて測定した。フェロ板表面の10mm×10mmの領域にて、離型層の厚みは、任意の横20点、縦20点で計400点における平均値とした。
(3)流動性
EMMI−1−66に準じたスパイラルフロー測定用金型を用いて、トランスファー成形用樹脂組成物を成形した。次いで、トランスファー成形用樹脂組成物の成形物の流動距離(cm)を測定した。
なお、エポキシ樹脂組成物の成形は、成形温度180℃、成形時間90sec、成形圧力10MPaで行った。
Figure 2021175777
表1及び表2に示されるように、150℃でのICI粘度が0.16Pa・s未満の硬化剤を用いた実施例1〜3では離型性に優れていた。なお、実施例1〜3では、成形性及び信頼性の水準も良好に維持されていた。
また、離型性測定後のフェロ板に染み出した離型剤により形成される離型層の厚みを比較してみると、150℃におけるICI粘度が0.12Pa・sである硬化剤を用いた実施例1〜3では離型層の厚みが127nm以上であるのに対し、より高粘度の硬化剤を用いた比較例1、2では離型層の厚みが100nm程度である。このことから、低粘度硬化剤の使用が離型剤の染み出しに有効であると推測される。
したがって、本開示によれば、離型性に優れる硬化物を作製可能なエポキシ樹脂組成物、並びに当該エポキシ樹脂組成物を用いたエポキシ樹脂硬化物及び電子部品装置を得ることができる。

Claims (8)

  1. エポキシ樹脂、硬化剤、無機充填材、及び離型剤を含有し、
    前記硬化剤の150℃におけるICI粘度が0.16Pa・s未満である、
    エポキシ樹脂組成物。
  2. 前記硬化剤の150℃におけるICI粘度が0.14Pa・s以下である、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
  3. 前記硬化剤の150℃におけるICI粘度が0.12Pa・s以下である、請求項1又は請求項2に記載のエポキシ樹脂組成物。
  4. さらに硬化促進剤を含有する、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  5. 25℃で固体である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  6. 素子の封止に用いられる請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物。
  7. 請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物であるエポキシ樹脂硬化物。
  8. 素子と、前記素子を封止している請求項7に記載のエポキシ樹脂硬化物と、を備える電子部品装置。
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