JP2021175606A - 無延伸ポリプロピレン系フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】バイオマス由来ポリエチレン系樹脂を含みながら包装資材として必要なヒートシール強度と易開封性の両立を図るとともに、適切な透明性や耐衝撃性を備える無延伸ポリプロピレン系フィルムを提供する。【解決手段】基材層20と、中間層30と、シーラント層40とを有する無延伸ポリプロピレン系フィルム10であって、基材層はポリプロピレン系樹脂とし、中間層は、バイオマス由来ポリエチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂とからなり、前記バイオマス由来ポリエチレン系樹脂を60重量%以下とする組成とし、シーラント層は、JIS K 7252−1(2008)に準拠したGPC測定から得た分子量分布曲線の分子量分布(Mw/Mn)が3.5以下であるポリエチレン系樹脂40〜70重量%と、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体30〜60重量%とする組成とした。【選択図】図1

Description

本発明は、環境負荷低減のためのバイオマス由来ポリエチレン系樹脂を含んだ無延伸ポリプロピレン系フィルムに関する。
ポリプロピレン系フィルムは、耐熱性、耐薬品性、ヒートシール性等に優れているため、包装資材として極めて便利である。食品等の物品をピロー包装等により包装する包装袋は、ヒートシール等により融着可能なシーラントフィルムにより構成されている。これらの包装袋は、包装に際して内容物の漏出防止や衛生管理等の必要性から、フィルムの密封性が求められる。しかしながら、シール部分の接着強度が高いと、子供やお年寄り等の力の弱い消費者にとって開封しにくかったり、開封時に過剰に力を入れすぎて意図しない破断等が発生したりすることがある。
近年、地球温暖化の主な原因として大気中の二酸化炭素濃度の増加が挙げられており、様々な分野において環境負荷低減のためのカーボンニュートラルが求められている。例えば、樹脂フィルムを構成する合成樹脂材料は、石油等を原料として生成されることが一般的であるが、近年では、カーボンニュートラルの観点から、バイオマス資源を活用することが注目されている。
そこで、樹脂フィルムの分野においても、カーボンニュートラルの要求から、バイオマス資源を用いた樹脂フィルムの開発が進んでおり、例えば、バイオマス由来のポリエチレンを5質量%以上含んだ樹脂フィルムが知られている(例えば、特許文献1参照)。バイオマス由来のポリエチレンは、植物原料から得られるバイオマス由来のエタノールを原料として製造されるため、従来の石油(化石燃料)由来の材料の使用量を削減することができる。そのため、樹脂フィルムにバイオマス由来ポリエチレンを多く含有させることによって、環境負荷低減への貢献度がより高められる。
しかしながら、従来のバイオマス由来ポリエチレンが含有された樹脂フィルムは、密封性と高いヒートシール強度を有するため、易開封性が良好とはいえなかった。また、フィルムとして必要な機能である透明性や耐衝撃性についても、満足する性能ではなかった。
特開2012−251006号公報
本発明は、前記の点に鑑みなされたものであり、バイオマス由来ポリエチレン系樹脂を含みながら包装資材として必要なヒートシール強度と易開封性の両立を図るとともに、適切な透明性や耐衝撃性を備える無延伸ポリプロピレン系フィルムを提供する。
すなわち、請求項1の発明は、基材層と、中間層と、シーラント層とを有する無延伸ポリプロピレン系フィルムであって、前記基材層はポリプロピレン系樹脂とし、前記中間層は、バイオマス由来ポリエチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂とからなり、前記バイオマス由来ポリエチレン系樹脂を60重量%以下とする組成とし、前記シーラント層は、JIS K 7252−1(2008)に準拠したGPC測定から得た分子量分布曲線の分子量分布(Mw/Mn)が3.5以下であるポリエチレン系樹脂40〜70重量%と、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体30〜60重量%とする組成としたことを特徴とする無延伸ポリプロピレン系フィルムに係る。
請求項2の発明は、前記基材層のポリプロピレン系樹脂がプロピレン単独重合体からなる請求項1に記載の無延伸ポリプロピレン系フィルムに係る。
請求項1の発明に係る無延伸ポリプロピレン系フィルムによると、基材層と、中間層と、シーラント層とを有する無延伸ポリプロピレン系フィルムであって、前記基材層はポリプロピレン系樹脂とし、前記中間層は、バイオマス由来ポリエチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂とからなり、前記バイオマス由来ポリエチレン系樹脂を60重量%以下とする組成とし、前記シーラント層は、JIS K 7252−1(2008)に準拠したGPC測定から得た分子量分布曲線の分子量分布(Mw/Mn)が3.5以下であるポリエチレン系樹脂40〜70重量%と、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体30〜60重量%とする組成としたため、バイオマス由来ポリエチレン系樹脂を含みながら、包装資材として要求されるヒートシール強度と易開封性の両立を図ることができるとともに、包装資材に適した透明性や耐衝撃性を得ることができる。
請求項2の発明に係る無延伸ポリプロピレン系フィルムによると、請求項1の発明において、前記基材層のポリプロピレン系樹脂がプロピレン単独重合体からなるため、透明性をより向上させることができる。
本発明の一実施形態に係る無延伸ポリプロピレン系フィルムの概略断面図である。
図1に示す本発明の一実施形態に係る無延伸ポリプロピレン系フィルム10は、基材層20と、中間層30と、シーラント層40とを有するフィルムであって、カーボンニュートラルの観点から、中間層30にバイオマス由来ポリエチレン系樹脂を含むものである。無延伸ポリプロピレン系フィルム10は、各層を構成する樹脂がそれぞれ溶融されて、Tダイ法等の公知の製造方法により所定の厚さに製造される。
無延伸ポリプロピレン系フィルム10は、生鮮食品、加工食品、菓子類等の食品用包装袋の包装資材、洗剤、化粧品、その他薬剤用等の包装袋の包装資材、適宜の工業用のフィルム製品等に好適に使用される。食品用包装袋の包装資材としては、例えば、各種食品の充填、封止後にボイル殺菌やレトルト殺菌等が施されるレトルト食品用の包装資材(シーラントフィルム)等の耐熱用途において広く活用することができる。この種の包装資材としてのポリプロピレン系フィルム10は、単体で包装袋を形成することが可能である。また、必要に応じて、ポリプロピレン系フィルム10に、ポリアミドフィルム、ポリエステルフィルム、さらにはアルミニウム箔等をラミネートしてもよい。
基材層20は、ポリプロピレン系フィルム10の表面となる層であり、ポリプロピレン系樹脂によって構成される。ポリプロピレン系樹脂は、一般的なポリプロピレン系の樹脂から選択される。例えば、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体やプロピレン−エチレン−ブテンランダム共重合体等のプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体、またはプロピレン−エチレンブロック共重合体の少なくとも1種以上から選択される。ポリプロピレン系樹脂は、1種類としても、2種類以上の混合としても良い。また、基材層20のポリプロピレン系樹脂は、プロピレン単独重合体であることにより、透明性をより向上させることができる。なお、上記ポリプロピレン系樹脂を製造する際に使用される触媒としては、固体状チタン触媒成分と有機金属化合物触媒成分とを含むチーグラー・ナッタ触媒や、メタロセン触媒を用いることができる。
中間層30は、バイオマス由来ポリエチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂とからなり、バイオマス由来ポリエチレン系樹脂を60重量%以下とする組成によって構成される。バイオマス由来ポリエチレン系樹脂は、植物原料を加工して得られたポリエチレン系樹脂である。具体的には、サトウキビ等の植物原料から抽出された糖液から酵母によるアルコール発酵を経てエタノールを生成し、エチレン化したのち公知の樹脂化の工程でポリエチレンを製造する。このバイオマス由来ポリエチレン系樹脂は、最終製品の環境負荷の低減に寄与するため、重量配合割合が増すことにより、環境負荷の低減への寄与が高められる。また、中間層30に使用されるポリプロピレン系樹脂は、一般的なポリプロピレン系の樹脂から選択されるものであり、基材層20に使用される樹脂と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
中間層30において、バイオマス由来ポリエチレン系樹脂は、前記したように配合割合が多いほど環境負荷低減への寄与が高められるが、配合割合が多すぎると、易開封性、透明性、耐衝撃性等の性能が十分に得られなくなるおそれがある。また、環境負荷低減への寄与は、バイオマス由来ポリエチレン系樹脂が微量(0重量%ではない)でも含有されていればよい。バイオマス由来ポリエチレン系樹脂の配合割合が少ないほどフィルム性能への影響が抑制される傾向があり、所定割合(例えば5重量%)より少ないとフィルム性能への影響がみられなくなる。そこで、バイオマス由来ポリエチレン系樹脂の配合割合は、環境負荷低減への寄与と所望するフィルム性能との兼ね合いから適宜に設定される。
シーラント層40は、ポリプロピレン系フィルム10のヒートシール面となる層であり、ポリエチレン系樹脂40〜70重量%と、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体30〜60重量%とする組成によって構成される。
シーラント層40のポリエチレン系樹脂は、JIS K 7252−1(2008)に準拠したGPC測定から得た分子量分布曲線の分子量分布(Mw/Mn)が3.5以下のものが用いられる。ポリエチレン系樹脂の分子量分布曲線の分子量分布(Mw/Mn)の値が大きすぎる(分子量分布が広すぎる)場合、透明性が低下するおそれがある。
シーラント層40のポリエチレン系樹脂の種類は、上記分子量分布の値を満たすものであれば、特に限定されない。上記分子量分布(Mw/Mn)が3.5以下のポリエチレン系樹脂としては、例えば、石油由来ポリエチレン系樹脂が容易に入手可能であるため好ましい。石油由来ポリエチレン系樹脂は、石油等を原料として生成される公知のポリエチレン系樹脂であり、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)等が挙げられる。直鎖状低密度ポリエチレン樹脂は、エチレンと炭素数3〜8のα−オレフィンとのランダム共重合体であり、引張り、耐引裂き、耐衝撃強度、シール強度、耐ストレスクラッキング性等の点において優れている。高密度ポリエチレンは引張り、耐引裂き、耐衝撃強度、シール強度、耐熱性等の点において優れている。上記樹脂の使い分けは、用途等に依存する。
シーラント層40のポリエチレン系樹脂としては、例えば、透明性、柔軟性、成形性等の観点から、直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂のメルトフローレートは特に制限されないが、例えば、JIS K 7210に記載の190℃、荷重2.16kgの条件で測定したMFRとして、0.1〜30g/10分、好ましくは1〜10g/10分が挙げられる。また、直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂の密度は特に制限されないが、例えばJIS K 7112に記載の条件で測定した密度として、0.865g/cm3〜0.965g/cm3以下、好ましくは0.885g/cm3〜0.945g/cm3以下が挙げられる。エチレン・α−オレフィン共重合体の製造方法としては、特に限定されず、チーグラー触媒、メタロセン触媒等の公知の触媒を用いて、例えば気相重合反応、液相重合反応等の方法により製造することができる。中でも、メタロセン触媒を用いることにより所望の物性を有するエチレン・α−オレフィン共重合体を容易に製造することができるため好ましい。メタロセン触媒は、周期律表第4族の遷移金属からなるメタロセン化合物を有機アルミニウム化合物及び/又はイオン性化合物により活性化させたもの等、公知の触媒を用いることができる。
プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体は、ヒートシール性能を確保する役割を持つ樹脂である。プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体としては、プロピレン−エチレン−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−ブテン共重合体等が挙げられる。プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体のメルトフローレートは特に制限されないが、例えば、JIS K 7210に記載の230℃、荷重2.16kgの条件で測定したMFRとして、0.1〜20g/10分、好ましくは3〜15g/10分が挙げられる。
シーラント層40において、ポリエチレン系樹脂の配合割合が少なすぎる、すなわちプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体の配合割合が多すぎる場合、ヒートシール強度が高くなりすぎて、易開封性が得られないおそれがある。また、ポリエチレン系樹脂の配合割合が多すぎる場合は透明性が低下するおそれがあるとともに、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体の配合割合が少なくなって十分なヒートシール強度が得られなくなるおそれがある。
基材層20と中間層30とシーラント層40の各層では、必要に応じて滑剤、アンチブロッキング剤、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、結晶核剤、紫外線吸収剤等の各種の添加剤を添加することができる。
無延伸ポリプロピレン系フィルム10では、厚さについて特に制限されないが、通常20〜200μm、好ましくは20〜150μmが挙げられる。無延伸ポリプロピレン系フィルム10の基材層20と中間層30とシーラント層40の厚さの比率は、10%〜33.3%:33.4%〜80%:10%〜33.3%の範囲である。
[フィルムの作製]
試作例1〜19のフィルムについて、後述の樹脂配合割合(重量%)に基づき、原料となる樹脂を溶融、混練してTダイフィルム成形機により共押出し、冷却ロールで冷却して無延伸ポリプロピレン系フィルムを製膜した。各層を構成する使用原料は、それぞれ合計で100重量%となる配合割合である。各試作例の無延伸ポリプロピレン系フィルムは共通の設定により製膜し、いずれのフィルムも厚さ30μm、基材層と中間層とシーラント層の厚さの比率を1:3:1とした。
[ポリプロピレン系樹脂の材料]
ポリプロピレン系樹脂は、下記の樹脂(A1)〜(A3)の材料を使用した。
・樹脂(A1):密度0.9g/cm3のホモポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ株式会社製,「FB3B」)
・樹脂(A2):密度0.9g/cm3のランダムポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ株式会社製,「WFW4M」)
・樹脂(A3):密度0.9g/cm3のランダムポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ株式会社製,「FW3GT」)
・樹脂(A4):密度0.9g/cm3のランダムポリプロピレン樹脂(日本ポリプロ株式会社製,「WXK1233」)
[バイオマス由来ポリエチレン系樹脂の材料]
バイオマス由来ポリエチレン系樹脂は、下記の樹脂(B1)〜(B3)の材料を使用した。
・樹脂(B1):密度0.916g/cm3のバイオマス由来ポリエチレン系樹脂(Braskem S.A.製,「SLH218」)
・樹脂(B2):密度0.918g/cm3のバイオマス由来ポリエチレン系樹脂(Braskem S.A.製,「SLL318」)
・樹脂(B3):密度0.961g/cm3のバイオマス由来ポリエチレン系樹脂(Braskem S.A.製,「SGM9460」)
[石油由来ポリエチレン系樹脂の材料]
石油由来ポリエチレン系樹脂は、下記の樹脂(C1)の材料を使用した。
・樹脂(C1):密度0.919g/cm3の石油由来ポリエチレン系樹脂(宇部丸善ポリエチレン株式会社製,「2040F」)
[試作例1]
試作例1の無延伸ポリプロピレン系フィルムは、基材層として樹脂(A1)を100重量%、中間層として樹脂(A2)を97重量%と樹脂(B1)を3重量%、シーラント層として樹脂(A2)を40重量%と樹脂(C1)を60重量%の各配合割合で製膜した。
[試作例2]
試作例2の無延伸ポリプロピレン系フィルムは、基材層として樹脂(A1)を100重量%、中間層として樹脂(A2)を95重量%と樹脂(B1)を5重量%、シーラント層として樹脂(A2)を40重量%と樹脂(C1)を60重量%の各配合割合で製膜した。
[試作例3]
試作例3の無延伸ポリプロピレン系フィルムは、基材層として樹脂(A1)を100重量%、中間層として樹脂(A2)を40重量%と樹脂(B1)を60重量%、シーラント層として樹脂(A2)を60重量%と樹脂(C1)を40重量%の各配合割合で製膜した。
[試作例4]
試作例4の無延伸ポリプロピレン系フィルムは、基材層として樹脂(A1)を100重量%、中間層として樹脂(A2)を80重量%と樹脂(B1)を20重量%、シーラント層として樹脂(A2)を60重量%と樹脂(C1)を40重量%の各配合割合で製膜した。
[試作例5]
試作例5の無延伸ポリプロピレン系フィルムは、基材層として樹脂(A1)を100重量%、中間層として樹脂(A1)を90重量%と樹脂(B1)を10重量%、シーラント層として樹脂(A2)を40重量%と樹脂(C1)を60重量%の各配合割合で製膜した。
[試作例6]
試作例6の無延伸ポリプロピレン系フィルムは、基材層として樹脂(A1)を100重量%、中間層として樹脂(A1)を80重量%と樹脂(B1)を20重量%、シーラント層として樹脂(A2)を40重量%と樹脂(C1)を60重量%の各配合割合で製膜した。
[試作例7]
試作例7の無延伸ポリプロピレン系フィルムは、基材層として樹脂(A1)を100重量%、中間層として樹脂(A1)を80重量%と樹脂(B1)を10重量%と樹脂(B2)を10重量%、シーラント層として樹脂(A2)を40重量%と樹脂(C1)を60重量%の各配合割合で製膜した。
[試作例8]
試作例8の無延伸ポリプロピレン系フィルムは、基材層として樹脂(A1)を100重量%、中間層として樹脂(A1)を80重量%と樹脂(B1)を10重量%と樹脂(B3)を10重量%、シーラント層として樹脂(A2)を40重量%と樹脂(C1)を60重量%の各配合割合で製膜した。
[試作例9]
試作例9の無延伸ポリプロピレン系フィルムは、基材層として樹脂(A1)を100重量%、中間層として樹脂(A1)を60重量%と樹脂(B1)を40重量%、シーラント層として樹脂(A2)を40重量%と樹脂(C1)を60重量%の各配合割合で製膜した。
[試作例10]
試作例10の無延伸ポリプロピレン系フィルムは、基材層として樹脂(A1)を100重量%、中間層として樹脂(A2)を80重量%と樹脂(B1)を20重量%、シーラント層として樹脂(A2)を30重量%と樹脂(C1)を70重量%の各配合割合で製膜した。
[試作例11]
試作例11の無延伸ポリプロピレン系フィルムは、基材層として樹脂(A3)を100重量%、中間層として樹脂(A2)を80重量%と樹脂(B1)を20重量%、シーラント層として樹脂(A2)を60重量%と樹脂(C1)を40重量%の各配合割合で製膜した。
[試作例12]
試作例12の無延伸ポリプロピレン系フィルムは、基材層として樹脂(A1)を100重量%、中間層として樹脂(A2)を80重量%と樹脂(B1)を20重量%、シーラント層として樹脂(A4)を100重量%の各配合割合で製膜した。
[試作例13]
試作例13の無延伸ポリプロピレン系フィルムは、基材層として樹脂(A1)を100重量%、中間層として樹脂(A2)を80重量%と樹脂(B1)を20重量%、シーラント層として樹脂(A2)を60重量%と樹脂(B1)を40重量%の各配合割合で製膜した。
[試作例14]
試作例14の無延伸ポリプロピレン系フィルムは、基材層として樹脂(A1)を100重量%、中間層として樹脂(A2)を80重量%と樹脂(B1)を20重量%、シーラント層として樹脂(A2)を60重量%と樹脂(B2)を40重量%の各配合割合で製膜した。
[試作例15]
試作例15の無延伸ポリプロピレン系フィルムは、基材層として樹脂(A1)を100重量%、中間層として樹脂(A2)を80重量%と樹脂(B1)を20重量%、シーラント層として樹脂(A2)を60重量%と樹脂(B3)を40重量%の各配合割合で製膜した。
[試作例16]
試作例16の無延伸ポリプロピレン系フィルムは、基材層として樹脂(A1)を100重量%、中間層として樹脂(A2)を80重量%と樹脂(B1)を20重量%、シーラント層として樹脂(A1)を60重量%と樹脂(C1)を40重量%の各配合割合で製膜した。
[試作例17]
試作例17の無延伸ポリプロピレン系フィルムは、基材層として樹脂(A1)を100重量%、中間層として樹脂(A2)を20重量%と樹脂(B1)を80重量%、シーラント層として樹脂(A2)を60重量%と樹脂(C1)を40重量%の各配合割合で製膜した。
[試作例18]
試作例18の無延伸ポリプロピレン系フィルムは、基材層として樹脂(A1)を100重量%、中間層として樹脂(A1)を100重量%、シーラント層として樹脂(A2)を60重量%と樹脂(C1)を40重量%の各配合割合で製膜した。
[試作例19]
試作例19の無延伸ポリプロピレン系フィルムは、基材層として樹脂(C1)を100重量%、中間層として樹脂(A2)を80重量%と樹脂(B1)を20重量%、シーラント層として樹脂(A2)を60重量%と樹脂(C1)を40重量%の各配合割合で製膜した。
[ポリエチレン系樹脂のGPC測定]
バイオマス由来ポリエチレン系樹脂(樹脂B1〜B3)及びポリエチレン系樹脂(樹脂C1)について、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による測定を行った。測定に際し、JIS K 7252−1(2008)に準拠し、東ソー株式会社製「HLC−8321GPC/HT」を測定装置とし、カラムに「TSKgel guardcolumn HHR(S)」と「GMHHR−H(S)HT」の2本、検出器に示差屈折計を使用した。また、溶離液にo−ジクロロベンゼンを使用して樹脂試料の濃度を0.1wt/vol%に調製して完全溶解させ、カラムとインジェクタの温度設定を145℃とし、流量を1.0mL/minとした。なお、分子量換算に際して、ポリスチレンを標準物質とした。
バイオマス由来ポリエチレン系樹脂(樹脂B1〜B3)及びポリエチレン系樹脂(樹脂C1)について、上記GPC測定から得た分子量分布曲線の分子量分布(Mw/Mn)は、樹脂(B1)が4.6、樹脂(B2)が4.6、樹脂B3が13.3、樹脂C1が2.9であった。
[無延伸ポリプロピレン系フィルムの性能の評価]
試作例1〜19に対応する積層フィルムを用いて、無延伸ポリプロピレン系フィルムのヘーズ(%)、ダート衝撃強さ(J)、ヒートシール強度(N/15mm)についてそれぞれ試験を行い、その結果に基づいて性能を評価した。なお、無延伸ポリプロピレン系フィルムの性能の総合評価では、すべての試験で「良」以上と判定された場合に「良(〇)」、いずれかの試験で「不可」と判定された場合には「不可(×)」とした。その結果について後述の表1〜表3に示した。
[ヘーズの測定]
ヘーズ(%)の測定は、透明性の指標であって、JIS K 7136(2000)に準拠し、ヘーズメーター(日本電色工業株式会社製,NDH−5000)を使用して測定を行った。試作例1〜19の無延伸ポリプロピレン系フィルムでは、包装資材として要求される透明性の観点から、測定結果が6%以下を「良(〇)」、特に5.5%以下の場合を「優良(◎)」とし、6%より大きい場合を「不可(×)」とした。
[ダート衝撃強さの測定]
ダート衝撃強さ(J)の測定は、貫通破壊の指標であって、JIS K 7124−1(1999)に準拠し、低温槽付ダートインパクトテスター(東洋精機製作所製)を使用して測定を行った。この測定では、試作例1〜19のフィルムを固定装置により水平に固定して、質量を調節したダート(半球型の金属貫通部:直径25.4mm)を落下させてフィルムを破壊・貫通させた時の破壊エネルギー(J)を求めた。ダート衝撃強さ(J)は、包装資材として要求される耐衝撃性の観点から、測定結果が0.4(J)以上を「良(〇)」とし、0.4(J)未満を「不可(×)」とした。
[ヒートシール強度の測定]
ヒートシール強度(N/15mm)の測定は、接着適性の指標の1つであって、JIS Z 0238(1998)に準拠し、引張試験機(株式会社島津製作所製「EZ−SX」)を使用して測定を行った。この測定では、試作例1〜19のフィルムにおいて、ヒートシール層(40)同士を重ね合わせ、熱傾斜試験機(東洋精機製作所製)により温度125℃、圧力0.2MPa、シール時間0.5秒でヒートシールし、このフィルムを15mm幅に切り出して引張試験機により剥離速度200mm/minでヒートシール部分を剥離させてヒートシール強度を求めた。ヒートシール強度(N/15mm)は、包装資材として要求されるヒートシール強度と易開封性との観点から、3〜7(N/15mm)の範囲の場合を「良(〇)」、3(N/15mm)未満または7(N/15mm)より大きい場合を「不可(×)」とした。
Figure 2021175606
Figure 2021175606
Figure 2021175606
[結果と考察]
表1〜表3に示すように、総合評価が「良(〇)」となったのは試作例1〜11であり、「不可(×)」となったのは試作例12〜19であった。総合評価が「不可」の試作例12は、「良」の試作例4,10と対比して、シーラント層にポリエチレン系樹脂が含まれていない点で相違する。その結果、試作例12ではヒートシール強度が大きくなったため、シーラント層にポリエチレン系樹脂が含まれていないと易開封性が得られないことがわかった。
総合評価が「不可」の試作例13〜15は、「良」の試作例4と対比して、シーラント層に含まれるポリエチレン系樹脂の密度や前記GPC測定から得た分子量分布曲線の分子量分布(Mw/Mn)の値が相違する。すなわち、試作例4は密度が0.919g/cm3で分子量分布(Mw/Mn)が2.9の樹脂C1、試作例13は密度が0.916g/cm3で分子量分布(Mw/Mn)が4.6の樹脂B1、試作例14は密度が0.918g/cm3で分子量分布(Mw/Mn)が4.6の樹脂B2、試作例15は密度が0.961g/cm3で分子量分布(Mw/Mn)が13.3の樹脂B3である。
試作例13〜15は、試作例4と比較していずれもヘーズ値が高くなっており、特に分子量分布の値が他の樹脂(B1,B2,C1)と比較して格段に大きい樹脂B3を含む試作例15はヘーズ値が格段に高くなった。このことから、GPC測定から得た分子量分布曲線の分子量分布(Mw/Mn)の値が大きくなるほどヘーズ値が高くなって透明性が不足することがわかった。そこで、シーラント層に含まれるポリエチレン系樹脂の好ましい分子量分布(Mw/Mn)は3.5以下が好ましいと考えられる。また、試作例15から理解されるように、分子量分布(Mw/Mn)の値が大きすぎると、ダート衝撃強さやヒートシール強度が低下することがわかった。
総合評価が「不可」の試作例16は、「良」の試作例4と対比して、シーラント層に含まれるポリプロピレン系樹脂の種類が相違する。すなわち、試作例4がプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体であるのに対し、試作例16はプロピレン単独重合体である。その結果、試作例16では、試作例4と比較してヒートシール強度が大きく低下し、ヘーズ値も高くなった。このことから、シーラント層に含まれるポリプロピレン系樹脂はプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体であることが好ましいと考えられる。
また、シーラント層を構成する樹脂の配合割合について検討すると、前記の試作例12から理解されるように、ポリエチレン系樹脂が含まれていないと易開封性が得られないため好ましくない。総合評価が「良」の試作例1〜11において、シーラント層のポリエチレン系樹脂の配合割合は、試作例3,4,11の40重量%が最小であり、試作例10の70重量%が最大であった。このことから、シーラント層のポリエチレン系樹脂とプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体の配合割合の好ましい条件は、ポリエチレン系樹脂40〜70重量%、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体30〜60重量%であると考えられる。
総合評価が「不可」の試作例17は、「良」の試作例3,4と対比して、中間層のバイオマス由来ポリエチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂の配合割合が相違する。試作例17では、樹脂B1(バイオマス由来ポリエチレン系樹脂)の配合割合が80重量%であり、ヘーズ値が6%を超えて透明性が不足していた。一方、試作例3は樹脂B1の配合割合が60重量%でヘーズ値が6%以下、試作例4は樹脂B1の配合割合が20重量%であり、いずれもヘーズ値が6%以下であった。また、試作例3と試作例4の樹脂B1の配合割合とヘーズ値との関係を比較すると、樹脂B1の配合割合が高い試作例3のヘーズ値が試作例4のヘーズ値より高くなった。このことから、中間層に含まれるバイオマス由来ポリエチレン系樹脂の配合割合が高くなると、ヘーズ値が高くなって透明性が不足することがわかった。
総合評価が「不可」の試作例18は、「良」の試作例3,4と対比して、中間層にバイオマス由来ポリエチレン系樹脂が含まれない(ポリプロピレン系樹脂の配合割合が100重量%)である点で相違し、ダート衝撃強さが0.3Jで不足していた。一方、樹脂B1の配合割合が高い試作例3のダート衝撃強さは1.6Jであり、配合割合が低い試作例4より高かった。このことから、中間層に含まれるバイオマス由来ポリエチレン系樹脂の配合割合が低くなると、ダート衝撃強さが低下することがわかった。
ここで、中間層を構成する樹脂の配合割合について検討する。試作例1から理解されるように、バイオマス由来ポリエチレン系樹脂の配合割合が微量の場合、総合評価は「良」であった。一方、前記の試作例17から理解されるように、バイオマス由来ポリエチレン系樹脂の配合割合が多すぎると透明性が不足して好ましくない。総合評価が「良」の試作例1〜11において、中間層のバイオマス由来ポリエチレン系樹脂の配合割合は、試作例3の60重量%が最大であった。
上記試作例1から理解されるように、中間層にバイオマス由来ポリエチレン系樹脂が微量(0重量%ではない)でも配合されていれば、良好なフィルム性能で環境負荷低減にも貢献することができるフィルムが得られえる。また、上記試作例3から理解されるように、フィルム性能への影響を考慮すると、バイオマス由来ポリエチレン系樹脂が多く配合されるとヘーズ値が高くなって透明性が不足する。したがって、フィルム性能及び環境負荷低減の観点から、中間層におけるバイオマス由来ポリエチレン系樹脂の配合割合の好ましい条件は、60重量%以下、より好ましくは3〜40重量%であると考えられる。
総合評価が「不可」の試作例19は、「良」の試作例4,11と対比して、基材層を構成する樹脂の種類が相違する。すなわち、試作例4,11がポリプロピレン系樹脂であるのに対し、試作例19はポリエチレン系樹脂である。その結果、試作例19ではヒートシールに際してフィルムが融解してシールバーに付着し、ヒートシール強度が測定不能であった。このことから、基材層はポリプロピレン系樹脂で構成することが好ましいと考えられる。
また、試作例4と試作例11を対比すると、試作例4の基材層はプロピレン単独重合体からなり、試作例11の基材層はプロピレン系ランダム共重合体からなる点で相違する。そして、試作例4はヘーズが5.2%で「優良」であり、試作例11はヘーズが5.7で「良」であることから、基材層をプロピレン単独重合体で構成することにより、透明性が向上すると考えられる。
以上図示し説明したように、バイオマス由来ポリエチレン系樹脂を含む本発明の無延伸ポリプロピレン系樹脂フィルムは、基材層の組成をポリプロピレン系樹脂とし、中間層の組成をバイオマス由来ポリエチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂とからなり、前記バイオマス由来ポリエチレン系樹脂を60重量%以下とし、シーラント層の組成をJIS K 7252−1(2008)に準拠したGPC測定から得た分子量分布曲線の分子量分布(Mw/Mn)が3.5以下であるポリエチレン系樹脂40〜70重量%と、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体30〜60重量%としたものである。これにより、バイオマス由来ポリエチレン系樹脂を含みながら、包装資材として要求されるヒートシール強度と易開封性の両立を図ることができ、さらに、包装資材に適した透明性や耐衝撃性を得ることができた。
本発明の無延伸ポリプロピレン系フィルムは、バイオマス由来ポリエチレン系樹脂を含むポリプロピレン系フィルムにおいて、包装資材として使用する場合に必要なヒートシール強度と易開封性の両立を図ることができ、さらに、適切な透明性や耐衝撃性が得られる。従って、新たな包装資材等への活用が期待できるとともに、バイオマス資源の活用に有利となる。
10 無延伸ポリプロピレン系樹脂フィルム
20 基材層
30 中間層
40 シーラント層

Claims (2)

  1. 基材層と、中間層と、シーラント層とを有する無延伸ポリプロピレン系フィルムであって、
    前記基材層はポリプロピレン系樹脂とし、
    前記中間層は、バイオマス由来ポリエチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂とからなり、前記バイオマス由来ポリエチレン系樹脂を60重量%以下とする組成とし、
    前記シーラント層は、JIS K 7252−1(2008)に準拠したGPC測定から得た分子量分布曲線の分子量分布(Mw/Mn)が3.5以下であるポリエチレン系樹脂40〜70重量%と、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体30〜60重量%とする組成とした
    ことを特徴とする無延伸ポリプロピレン系フィルム。
  2. 前記基材層のポリプロピレン系樹脂がプロピレン単独重合体からなる請求項1に記載の無延伸ポリプロピレン系フィルム。
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