JP2021172645A - ビニレンカーボネートの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】モノクロロエチレンカーボネートの第三級アミンによる脱塩化水素反応により、高収率で着色の抑制されたビニレンカーボネートの製造方法を提供する。【解決手段】第三級アミンを用いたモノクロロエチレンカーボネートの脱塩化水素反応を、第一溶媒中で行い第一反応液を得る第一工程、第一反応液に第二溶媒を添加して第二反応液を得る第二工程、第二反応液から第一溶媒を除去して第三反応液を得る第三工程、第三反応液から固体を除去して第四反応液を得る第四工程、第四反応液からビニレンカーボネートを得る製造方法、第四工程の固体を第三溶媒で洗浄して得た洗浄液と第四反応液を混合した混合液からビニレンカーボネートを得る製造方法、第四工程の固体を第四溶媒で洗浄して得た洗浄液から第四溶媒を除去したボトム液と第四反応液の混合液からビニレンカーボネートを得る製造方法、さらに、第四工程の固体を第五溶媒で洗浄して得た洗浄液を第二反応液に混合するビニレンカーボネートの製造方法を提供することによって課題を解決した。【選択図】なし
Description
本発明は、第三級アミンを用いたモノクロロエチレンカーボネートの脱塩化水素反応によるビニレンカーボネートの製造方法に関するものである。
ビニレンカーボネートは、化学薬品、医薬品、さらにリチウム二次電池用電解質の溶媒および添加剤として有用である。ビニレンカーボネートの合成法として、第三級アミンを用いたモノクロロエチレンカーボネートの脱塩化水素反応を、ジエチルエーテルやテトラヒドロフランなどの低沸点溶媒中で実施する方法(非特許文献1)、窒素雰囲気下、テトラヒドロフラン中で実施する方法(特許文献1)、沸点が170〜260℃であるエステルや炭化水素系溶媒中で実施する方法(特許文献2)、さらにエチレンカーボネートを溶媒として実施する方法(特許文献3)が知られている。
非特許文献1および特許文献1の方法は、ジエチルエーテルやテトラヒドロフランの低沸点のエーテル系溶媒を使用して脱塩化水素反応を実施しているが、反応液から低沸点のエーテル系溶媒を留去すると、高濃度のビニレンカーボネートを含むボトム液が得られる。
高濃度のビニレンカーボネートを含むボトム液を蒸留すると、ビニレンカーボネートの分解が進み収率が低下する。さらに、エーテル系溶媒を留去する際、特にテトラヒドロフラン過酸化物が生成しやすく、危険であり工業的生産として満足できる方法ではない。
特許文献2の方法は、上記の問題を解決するために、沸点が170℃〜260℃であるエステルや炭化水素系溶媒中で脱塩化水素反応を実施しているが、反応収率は、50%程度と低く工業的生産として満足できる方法ではない。
特許文献3の方法は、特許文献2の方法と同様に、沸点が261℃であるエチレンカーボネートを溶媒に用いて脱塩化水素反応を実施している。粗ビニレンカーボネート混合物中のビニレンカーボネートの生成量は理論上77%としているが、実際の収率は記載されていない。
高濃度のビニレンカーボネートを含むボトム液を蒸留すると、ビニレンカーボネートの分解が進み収率が低下する。さらに、エーテル系溶媒を留去する際、特にテトラヒドロフラン過酸化物が生成しやすく、危険であり工業的生産として満足できる方法ではない。
特許文献2の方法は、上記の問題を解決するために、沸点が170℃〜260℃であるエステルや炭化水素系溶媒中で脱塩化水素反応を実施しているが、反応収率は、50%程度と低く工業的生産として満足できる方法ではない。
特許文献3の方法は、特許文献2の方法と同様に、沸点が261℃であるエチレンカーボネートを溶媒に用いて脱塩化水素反応を実施している。粗ビニレンカーボネート混合物中のビニレンカーボネートの生成量は理論上77%としているが、実際の収率は記載されていない。
M.S.Newman et.al.,J.Am.Chem.Soc.,75、1263(1953)
本出願人らが、特許文献3の実施例に従って脱塩化水素反応を実施して得られた混合物から蒸留操作によってビニレンカーボネートを単離すると、収率は40%であったことから工業的生産方法として満足できる方法ではない。
上記のように第三級アミンを用いたモノクロロエチレンカーボネートの脱塩化水素反応によるビニレンカーボネートの製造方法は、いずれもビニレンカーボネートの収率が低く、工業的生産方法としては満足できるものではない。
モノクロロエチレンカーボネートは、エチレンカーボネートの光塩素化反応あるいは、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)などのラジカル開始剤の存在下での塩素化によって得ることができる。しかし、塩素化によって得られたモノクロロエチレンカーボネートがさらに塩素化されたジクロロエチレンカーボネートやトリクロロエチレンカーボネートなどの多塩素化エチレンカーボネートも副生する。
塩素化によって得られた反応液から、蒸留操作によって多塩素化エチレンカーボネートを分離し、モノクロロエチレンカーボネートを単離することは不可能ではない。しかし、多塩素化エチレンカーボネートの沸点とモノクロロエチレンカーボネートの沸点が近いので、モノクロロエチレンカーボネートの蒸留収率は低い。
第三級アミンを用いた多塩素化エチレンカーボネートの脱塩化水素反応を実施すると、反応液は黒色になる。反応液を、ガスクロマトグラフィーで分析すると、有機物のピークが検出できないので、副生物の多塩素化エチレンカーボネートは、着色成分やオリゴマーあるいはポリマーに変換したと考えられる。
第三級アミンを用いて、多塩素化エチレンカーボネートを含まないモノクロロエチレンカーボネートの脱塩化水素反応を実施した場合においても、反応液は黒色になる。着色成分の構造式は不明であるが、脱塩化水素反応によって生成したビニレンカーボネートの分解物等の副生物と考えられる。ビニレンカーボネートの純度の高い組成物の溶液では、該溶液は透明となる。
第三級アミンを用いて脱塩化水素反応を実施して得られた着色成分やオリゴマーあるいはポリマーを含む反応液から、蒸留によってビニレンカーボネートを単離しようとすると、初留は淡黄色であるが、中留および後留は黄色から茶色に着色してしまう。この現象は、蒸留ボトムの温度が高くなり、着色成分やオリゴマーあるいはポリマーが分解して新たな着色成分となり、ビニレンカーボネート組成物に混入したと考えられる。
第三級アミンを用いて脱塩化水素反応を実施して得られた第三アミン塩酸塩を含む反応液から、蒸留によってビニレンカーボネートを単離しようとすると、第三アミン塩酸塩によってビニレンカーボネートが分解して収率が低下する。
従って、本発明の目的は、モノクロロエチレンカーボネートから高収率で、着色の抑制された(即ち、着色成分=不純物の少ない)ビニレンカーボネート組成物としてビニレンカーボネートを得る、ビニレンカーボネートの製造方法を提供することにある。
上記のように第三級アミンを用いたモノクロロエチレンカーボネートの脱塩化水素反応によるビニレンカーボネートの製造方法は、いずれもビニレンカーボネートの収率が低く、工業的生産方法としては満足できるものではない。
モノクロロエチレンカーボネートは、エチレンカーボネートの光塩素化反応あるいは、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)などのラジカル開始剤の存在下での塩素化によって得ることができる。しかし、塩素化によって得られたモノクロロエチレンカーボネートがさらに塩素化されたジクロロエチレンカーボネートやトリクロロエチレンカーボネートなどの多塩素化エチレンカーボネートも副生する。
塩素化によって得られた反応液から、蒸留操作によって多塩素化エチレンカーボネートを分離し、モノクロロエチレンカーボネートを単離することは不可能ではない。しかし、多塩素化エチレンカーボネートの沸点とモノクロロエチレンカーボネートの沸点が近いので、モノクロロエチレンカーボネートの蒸留収率は低い。
第三級アミンを用いた多塩素化エチレンカーボネートの脱塩化水素反応を実施すると、反応液は黒色になる。反応液を、ガスクロマトグラフィーで分析すると、有機物のピークが検出できないので、副生物の多塩素化エチレンカーボネートは、着色成分やオリゴマーあるいはポリマーに変換したと考えられる。
第三級アミンを用いて、多塩素化エチレンカーボネートを含まないモノクロロエチレンカーボネートの脱塩化水素反応を実施した場合においても、反応液は黒色になる。着色成分の構造式は不明であるが、脱塩化水素反応によって生成したビニレンカーボネートの分解物等の副生物と考えられる。ビニレンカーボネートの純度の高い組成物の溶液では、該溶液は透明となる。
第三級アミンを用いて脱塩化水素反応を実施して得られた着色成分やオリゴマーあるいはポリマーを含む反応液から、蒸留によってビニレンカーボネートを単離しようとすると、初留は淡黄色であるが、中留および後留は黄色から茶色に着色してしまう。この現象は、蒸留ボトムの温度が高くなり、着色成分やオリゴマーあるいはポリマーが分解して新たな着色成分となり、ビニレンカーボネート組成物に混入したと考えられる。
第三級アミンを用いて脱塩化水素反応を実施して得られた第三アミン塩酸塩を含む反応液から、蒸留によってビニレンカーボネートを単離しようとすると、第三アミン塩酸塩によってビニレンカーボネートが分解して収率が低下する。
従って、本発明の目的は、モノクロロエチレンカーボネートから高収率で、着色の抑制された(即ち、着色成分=不純物の少ない)ビニレンカーボネート組成物としてビニレンカーボネートを得る、ビニレンカーボネートの製造方法を提供することにある。
本願発明者らは、上記の目的を達成するために鋭意検討した結果、塩素化で得られた多塩素化エチレンカーボネートを含む粗製のモノクロロエチレンカーボネートの反応液を使用して、次工程の脱塩化水素反応を実施できるようにすれば、効率よくビニレンカーボネートを製造できること、第三級アミンを用いてモノクロロエチレンカーボネートの脱塩化水素反応を実施して、高収率でしかも着色の少ないビニレンカーボネート組成物を得るためには、脱塩化水素反応で副生する第三級アミン塩酸塩、モノクロロエチレンカーボネートからの着色成分、多塩素化エチレンカーボネートからの着色成分やオリゴマーあるいはポリマーを除去する工程を経てから、蒸留操作等で単離することにより、上記の課題を解決できることを見出した。
本発明では、以下の手段を採用することによって上記の課題を解決できる。
第一の手段は、第三級アミンを用いたモノクロロエチレンカーボネートの脱塩化水素反応を、第一溶媒中で行って第一反応液を得る第一工程;該第一反応液に第二溶媒を添加して第二反応液を得る第二工程;該第二反応液から該第一溶媒を除去して第三反応液を得る第三工程;該第三反応液をろ過して第四反応液と固体とを得る第四工程;及び該第四反応液からビニレンカーボネートを得る工程を有する、ビニレンカーボネートの製造方法を提供することによって、上記の目的を達成したものである。
第二の手段は、上記第一溶媒が、40℃〜150℃の沸点を有する、脂肪族ニトリル、脂肪族エーテル、環状エーテル、ポリエーテル、ケトン、エステル及び芳香族炭化水素からなる群から選ばれた少なくとも1つ以上の溶媒であり、上記第二溶媒が、170℃〜260℃の沸点を有する、脂肪族ニトリル、ケトン、エステル、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素及び下記一般式(1)(式中、R1及びR2は互いに独立して、炭素数1〜4のアルキル基を表し、nは2〜3を表す。)で表されるポリエーテルからなる群から選ばれた少なくとも1つ以上の溶媒である、第一の手段に記載のビニレンカーボネートの製造方法を提供することによって上記の目的を達成したものである。
なお、本明細書において、特に断らない限りは、沸点は常圧におけるものである。
第三の手段は、第三級アミンを用いたモノクロロエチレンカーボネートの脱塩化水素反応を、第一溶媒中で行って第一反応液を得る第一工程;該第一反応液に第二溶媒を添加して第二反応液を得る第二工程;該第二反応液から該第一溶媒を除去して第三反応液を得る第三工程;該第三反応液をろ過して、第四反応液と固体とを得る第四工程;及び該第四反応液からビニレンカーボネートを得る工程を有するビニレンカーボネートの製造方法であって、該固体を第三溶媒で洗浄して得た洗浄液を、該第四反応液に混合する、ビニレンカーボネートの製造方法を提供することによって上記の目的を達成したものである。
第四の手段は、上記第一溶媒が、40℃〜150℃の沸点を有する、脂肪族ニトリル、脂肪族エーテル、環状エーテル、ポリエーテル、ケトン、エステル及び芳香族炭化水素からなる群から選ばれた少なくとも1つ以上の溶媒であり、上記第二溶媒が、170℃〜260℃の沸点を有する、脂肪族ニトリル、ケトン、エステル、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素及び下記一般式(1)(式中、R1及びR2は互いに独立して、炭素数1〜4のアルキル基を表し、nは2〜3を表す。)で表されるポリエーテルからなる群から選ばれた少なくとも1つ以上の溶媒であり、上記第三溶媒が、40℃〜150℃の沸点を有する、脂肪族ニトリル、脂肪族エーテル、環状エーテル、ポリエーテル、ケトン、エステル及び芳香族炭化水素からなる群から選ばれた少なくとも1つ以上の溶媒であるか、または170℃〜260℃の沸点を有する下記一般式(1)(式中、R1及びR2は互いに独立して、炭素数1〜4のアルキル基を表し、nは2〜3を表す。)で表されるポリエーテルから選ばれた少なくとも1つ以上の溶媒である、第三の手段に記載のビニレンカーボネートの製造方法を提供することによって上記の目的を達成したものである。
第五の手段は、第三級アミンを用いたモノクロロエチレンカーボネートの脱塩化水素反応を、第一溶媒中で行って第一反応液を得る第一工程;該第一反応液に第二溶媒を添加して第二反応液を得る第二工程;該第二反応液から該第一溶媒を除去して第三反応液を得る第三工程;該第三反応液をろ過して、第四反応液と固体とを得る第四工程;及び該第四反応液からビニレンカーボネートを得る工程を有するビニレンカーボネートの製造方法であって、該固体を第四溶媒で洗浄して得た洗浄液から該第四溶媒を除去して得たボトム液を、該第四反応液に混合するビニレンカーボネートの製造方法を提供することによって上記の目的を達成したものである。
第六の手段は、上記第一溶媒が、40℃〜150℃の沸点を有する、脂肪族ニトリル、脂肪族エーテル、環状エーテル、ポリエーテル、ケトン、エステル及び芳香族炭化水素からなる群から選ばれた少なくとも1つ以上の溶媒であり、上記第二溶媒が、170℃〜260℃の沸点を有する、脂肪族ニトリル、ケトン、エステル、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素及び下記一般式(1)(式中、R1及びR2は互いに独立して、炭素数1〜4のアルキル基を表し、nは2〜3を表す。)で表されるポリエーテルからなる群から選ばれた少なくとも1つ以上の溶媒であり、上記第四溶媒が、40℃〜150℃の沸点を有する、脂肪族ニトリル、脂肪族エーテル、環状エーテル、ポリエーテル、ケトン、エステル及び芳香族炭化水素からなる群から選ばれた少なくとも1つ以上の溶媒である、第五の手段に記載のビニレンカーボネートの製造方法を提供することによって上記の目的を達成したものである。
第七の手段は、第三級アミンを用いたモノクロロエチレンカーボネートの脱塩化水素反応を、第一溶媒中で行って第一反応液を得る第一工程;該第一反応液に第二溶媒を添加して第二反応液を得る第二工程;該第二反応液から該第一溶媒を除去して第三反応液を得る第三工程;該第三反応液をろ過して、第四反応液と固体とを得る第四工程;及び該第四反応液からビニレンカーボネートを得る工程を有するビニレンカーボネートの製造方法であって、該第一工程において、第三級アミンを用いたモノクロロエチレンカーボネートの脱塩化水素反応を、第一溶媒中で活性炭の存在下に行って第一反応液を得、該固体を第五溶媒で洗浄して得た洗浄液を、別の第二工程における第二反応液に混合するビニレンカーボネートの製造方法を提供することによって上記の目的を達成したものである。
第八の手段は、上記第一溶媒が、40℃〜150℃の沸点を有する、脂肪族ニトリル、脂肪族エーテル、環状エーテル、ポリエーテル、ケトン、エステル及び芳香族炭化水素からなる群から選ばれた少なくとも1つ以上の溶媒であり、上記第二溶媒が、170℃〜260℃の沸点を有する、脂肪族ニトリル、ケトン、エステル、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素及び下記一般式(1)(式中、R1及びR2は互いに独立して、炭素数1〜4のアルキル基を表し、nは2〜3を表す。)で表されるポリエーテルからなる群から選ばれた少なくとも1つ以上の溶媒であり、上記第五溶媒が、上記第一溶媒と同じ溶媒である、第七の手段に記載のビニレンカーボネートの製造方法を提供することによって上記の目的を達成したものである。
本発明では、以下の手段を採用することによって上記の課題を解決できる。
第一の手段は、第三級アミンを用いたモノクロロエチレンカーボネートの脱塩化水素反応を、第一溶媒中で行って第一反応液を得る第一工程;該第一反応液に第二溶媒を添加して第二反応液を得る第二工程;該第二反応液から該第一溶媒を除去して第三反応液を得る第三工程;該第三反応液をろ過して第四反応液と固体とを得る第四工程;及び該第四反応液からビニレンカーボネートを得る工程を有する、ビニレンカーボネートの製造方法を提供することによって、上記の目的を達成したものである。
第二の手段は、上記第一溶媒が、40℃〜150℃の沸点を有する、脂肪族ニトリル、脂肪族エーテル、環状エーテル、ポリエーテル、ケトン、エステル及び芳香族炭化水素からなる群から選ばれた少なくとも1つ以上の溶媒であり、上記第二溶媒が、170℃〜260℃の沸点を有する、脂肪族ニトリル、ケトン、エステル、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素及び下記一般式(1)(式中、R1及びR2は互いに独立して、炭素数1〜4のアルキル基を表し、nは2〜3を表す。)で表されるポリエーテルからなる群から選ばれた少なくとも1つ以上の溶媒である、第一の手段に記載のビニレンカーボネートの製造方法を提供することによって上記の目的を達成したものである。
第三の手段は、第三級アミンを用いたモノクロロエチレンカーボネートの脱塩化水素反応を、第一溶媒中で行って第一反応液を得る第一工程;該第一反応液に第二溶媒を添加して第二反応液を得る第二工程;該第二反応液から該第一溶媒を除去して第三反応液を得る第三工程;該第三反応液をろ過して、第四反応液と固体とを得る第四工程;及び該第四反応液からビニレンカーボネートを得る工程を有するビニレンカーボネートの製造方法であって、該固体を第三溶媒で洗浄して得た洗浄液を、該第四反応液に混合する、ビニレンカーボネートの製造方法を提供することによって上記の目的を達成したものである。
第四の手段は、上記第一溶媒が、40℃〜150℃の沸点を有する、脂肪族ニトリル、脂肪族エーテル、環状エーテル、ポリエーテル、ケトン、エステル及び芳香族炭化水素からなる群から選ばれた少なくとも1つ以上の溶媒であり、上記第二溶媒が、170℃〜260℃の沸点を有する、脂肪族ニトリル、ケトン、エステル、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素及び下記一般式(1)(式中、R1及びR2は互いに独立して、炭素数1〜4のアルキル基を表し、nは2〜3を表す。)で表されるポリエーテルからなる群から選ばれた少なくとも1つ以上の溶媒であり、上記第三溶媒が、40℃〜150℃の沸点を有する、脂肪族ニトリル、脂肪族エーテル、環状エーテル、ポリエーテル、ケトン、エステル及び芳香族炭化水素からなる群から選ばれた少なくとも1つ以上の溶媒であるか、または170℃〜260℃の沸点を有する下記一般式(1)(式中、R1及びR2は互いに独立して、炭素数1〜4のアルキル基を表し、nは2〜3を表す。)で表されるポリエーテルから選ばれた少なくとも1つ以上の溶媒である、第三の手段に記載のビニレンカーボネートの製造方法を提供することによって上記の目的を達成したものである。
第五の手段は、第三級アミンを用いたモノクロロエチレンカーボネートの脱塩化水素反応を、第一溶媒中で行って第一反応液を得る第一工程;該第一反応液に第二溶媒を添加して第二反応液を得る第二工程;該第二反応液から該第一溶媒を除去して第三反応液を得る第三工程;該第三反応液をろ過して、第四反応液と固体とを得る第四工程;及び該第四反応液からビニレンカーボネートを得る工程を有するビニレンカーボネートの製造方法であって、該固体を第四溶媒で洗浄して得た洗浄液から該第四溶媒を除去して得たボトム液を、該第四反応液に混合するビニレンカーボネートの製造方法を提供することによって上記の目的を達成したものである。
第六の手段は、上記第一溶媒が、40℃〜150℃の沸点を有する、脂肪族ニトリル、脂肪族エーテル、環状エーテル、ポリエーテル、ケトン、エステル及び芳香族炭化水素からなる群から選ばれた少なくとも1つ以上の溶媒であり、上記第二溶媒が、170℃〜260℃の沸点を有する、脂肪族ニトリル、ケトン、エステル、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素及び下記一般式(1)(式中、R1及びR2は互いに独立して、炭素数1〜4のアルキル基を表し、nは2〜3を表す。)で表されるポリエーテルからなる群から選ばれた少なくとも1つ以上の溶媒であり、上記第四溶媒が、40℃〜150℃の沸点を有する、脂肪族ニトリル、脂肪族エーテル、環状エーテル、ポリエーテル、ケトン、エステル及び芳香族炭化水素からなる群から選ばれた少なくとも1つ以上の溶媒である、第五の手段に記載のビニレンカーボネートの製造方法を提供することによって上記の目的を達成したものである。
第七の手段は、第三級アミンを用いたモノクロロエチレンカーボネートの脱塩化水素反応を、第一溶媒中で行って第一反応液を得る第一工程;該第一反応液に第二溶媒を添加して第二反応液を得る第二工程;該第二反応液から該第一溶媒を除去して第三反応液を得る第三工程;該第三反応液をろ過して、第四反応液と固体とを得る第四工程;及び該第四反応液からビニレンカーボネートを得る工程を有するビニレンカーボネートの製造方法であって、該第一工程において、第三級アミンを用いたモノクロロエチレンカーボネートの脱塩化水素反応を、第一溶媒中で活性炭の存在下に行って第一反応液を得、該固体を第五溶媒で洗浄して得た洗浄液を、別の第二工程における第二反応液に混合するビニレンカーボネートの製造方法を提供することによって上記の目的を達成したものである。
第八の手段は、上記第一溶媒が、40℃〜150℃の沸点を有する、脂肪族ニトリル、脂肪族エーテル、環状エーテル、ポリエーテル、ケトン、エステル及び芳香族炭化水素からなる群から選ばれた少なくとも1つ以上の溶媒であり、上記第二溶媒が、170℃〜260℃の沸点を有する、脂肪族ニトリル、ケトン、エステル、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素及び下記一般式(1)(式中、R1及びR2は互いに独立して、炭素数1〜4のアルキル基を表し、nは2〜3を表す。)で表されるポリエーテルからなる群から選ばれた少なくとも1つ以上の溶媒であり、上記第五溶媒が、上記第一溶媒と同じ溶媒である、第七の手段に記載のビニレンカーボネートの製造方法を提供することによって上記の目的を達成したものである。
本発明によれば、モノクロロエチレンカーボネートから高収率で、着色の抑制されたビニレンカーボネート組成物としてビニレンカーボネートを得る、ビニレンカーボネートの製造方法を提供できる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のビニレンカーボネートの製造方法では、本発明の第一の手段において、第三級アミンを用いたモノクロロエチレンカーボネートの脱塩化水素反応を、第一溶媒中で行って第一反応液を得る第一工程;該第一反応液に第二溶媒を添加して第二反応液を得る第二工程;該第二反応液から該第一溶媒を除去して第三反応液を得る第三工程;該第三反応液をろ過して第四反応液を得る第四工程;及び該第四反応液からビニレンカーボネートを得る工程を有する。
本発明の第一の手段によれば、第一工程において、第三級アミンを用いたモノクロロエチレンカーボネートの脱塩化水素反応を、第一溶媒中で行って第一反応液を得る。第一溶媒としては、該脱塩化水素反応を適度な反応ならびに収率で行うことのできる溶媒が好ましい。該第一溶媒中には、析出した以外にも、当該反応副生物が、幾分か溶解していると考えられる。このため、第二工程で上記第一反応液に第二溶媒を添加し、第三工程で第一溶媒を除去することにより、反応液から第一溶媒に溶解していた反応副生物を除去できる。上記第二溶媒は、反応複生物を溶解しにくい溶媒が好ましい。第三工程において、第一反応液と第二溶媒を含む第二反応液から第一溶媒を除去する場合、例えば蒸留操作を行えば、同時に未反応の過剰の第三級アミンを留去でき、また、着色成分を析出させることができる。第一溶媒の除去方法として蒸留を行う場合には、第二溶媒は第一溶媒よりも沸点の高いものが好ましい。
第四工程では、第三反応液をろ過して第四反応液を得る。第四工程において、第一工程〜第三工程で析出した着色成分を除去することができる。そして、該第四反応液からビニレンカーボネートを得る。第四反応液では、上記第四工程において着色成分が除去されているため、着色の少ないビニレンカーボネート組成物が得られる。上記ビニレンカーボネート組成物は、ビニレンカーボネートを50.0質量%以上含むことが好ましく、より好ましくは70.0質量%以上含む。以下で記載するビニレンカーボネート組成物についても同様である。
本発明の第二の手段において、第三級アミンを用いたモノクロロエチレンカーボネートの脱塩化水素反応で使用する第一溶媒は、ビニレンカーボネートの沸点162℃より低い40℃〜150℃の沸点を有する、脂肪族ニトリル、脂肪族エーテル、環状エーテル、ポリエーテル、ケトン、エステル、芳香族炭化水素から選ばれた少なくとも1つ以上の溶媒であり、脱塩化水素反応で副生する第三級アミン塩酸塩、着色成分およびオリゴマーやポリマーを溶解しない溶媒を使用することが好ましいが、溶解する溶媒も使用することができる。
本発明の第二の手段において、第一工程で得た第一反応液に添加する第二溶媒は、ビニレンカーボネートの沸点162℃より高い170℃〜260℃の沸点を有する、脂肪族ニトリル、ケトン、エステル、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素及び下記一般式(1)(式中、R1及びR2は互いに独立して、炭素数1〜4のアルキル基を表し、nは2〜3を表す。)で表されるポリエーテルからなる群から選ばれた少なくとも1つ以上の溶媒であり、脱塩化水素反応で副生する第三級アミン塩酸塩、着色成分およびオリゴマーやポリマーを溶解しない溶媒を選択し使用することが好ましい。
本発明のビニレンカーボネートの製造方法では、本発明の第一の手段において、第三級アミンを用いたモノクロロエチレンカーボネートの脱塩化水素反応を、第一溶媒中で行って第一反応液を得る第一工程;該第一反応液に第二溶媒を添加して第二反応液を得る第二工程;該第二反応液から該第一溶媒を除去して第三反応液を得る第三工程;該第三反応液をろ過して第四反応液を得る第四工程;及び該第四反応液からビニレンカーボネートを得る工程を有する。
本発明の第一の手段によれば、第一工程において、第三級アミンを用いたモノクロロエチレンカーボネートの脱塩化水素反応を、第一溶媒中で行って第一反応液を得る。第一溶媒としては、該脱塩化水素反応を適度な反応ならびに収率で行うことのできる溶媒が好ましい。該第一溶媒中には、析出した以外にも、当該反応副生物が、幾分か溶解していると考えられる。このため、第二工程で上記第一反応液に第二溶媒を添加し、第三工程で第一溶媒を除去することにより、反応液から第一溶媒に溶解していた反応副生物を除去できる。上記第二溶媒は、反応複生物を溶解しにくい溶媒が好ましい。第三工程において、第一反応液と第二溶媒を含む第二反応液から第一溶媒を除去する場合、例えば蒸留操作を行えば、同時に未反応の過剰の第三級アミンを留去でき、また、着色成分を析出させることができる。第一溶媒の除去方法として蒸留を行う場合には、第二溶媒は第一溶媒よりも沸点の高いものが好ましい。
第四工程では、第三反応液をろ過して第四反応液を得る。第四工程において、第一工程〜第三工程で析出した着色成分を除去することができる。そして、該第四反応液からビニレンカーボネートを得る。第四反応液では、上記第四工程において着色成分が除去されているため、着色の少ないビニレンカーボネート組成物が得られる。上記ビニレンカーボネート組成物は、ビニレンカーボネートを50.0質量%以上含むことが好ましく、より好ましくは70.0質量%以上含む。以下で記載するビニレンカーボネート組成物についても同様である。
本発明の第二の手段において、第三級アミンを用いたモノクロロエチレンカーボネートの脱塩化水素反応で使用する第一溶媒は、ビニレンカーボネートの沸点162℃より低い40℃〜150℃の沸点を有する、脂肪族ニトリル、脂肪族エーテル、環状エーテル、ポリエーテル、ケトン、エステル、芳香族炭化水素から選ばれた少なくとも1つ以上の溶媒であり、脱塩化水素反応で副生する第三級アミン塩酸塩、着色成分およびオリゴマーやポリマーを溶解しない溶媒を使用することが好ましいが、溶解する溶媒も使用することができる。
本発明の第二の手段において、第一工程で得た第一反応液に添加する第二溶媒は、ビニレンカーボネートの沸点162℃より高い170℃〜260℃の沸点を有する、脂肪族ニトリル、ケトン、エステル、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素及び下記一般式(1)(式中、R1及びR2は互いに独立して、炭素数1〜4のアルキル基を表し、nは2〜3を表す。)で表されるポリエーテルからなる群から選ばれた少なくとも1つ以上の溶媒であり、脱塩化水素反応で副生する第三級アミン塩酸塩、着色成分およびオリゴマーやポリマーを溶解しない溶媒を選択し使用することが好ましい。
本発明の第二の手段においては、第三工程での第二反応液からの第一溶媒の除去を、好ましくは蒸留操作において第一溶媒と第二溶媒とビニレンカーボネートとの沸点差を利用して、第二反応液から第一溶媒のみを分離して第二溶媒とビニレンカーボネートとを含む第三反応液を得ることができる。第二溶媒は脱塩化水素反応で副生した第三級アミン塩酸塩、着色成分およびオリゴマーやポリマーを溶解しないので、第二反応液から第一溶媒を除去した第三反応液をろ過することにより第三級アミン塩酸塩、着色成分およびオリゴマーやポリマーを除去することができる。
好ましくは、第四工程で得た第四反応液から蒸留操作等によってビニレンカーボネートを得る場合、第三級アミン塩酸塩によるビニレンカーボネートの分解および着色成分の混入が抑えられるのでより高収率でより着色の少ないビニレンカーボネート組成物を得ることができる。
好ましくは、第四工程で得た第四反応液から蒸留操作等によってビニレンカーボネートを得る場合、第三級アミン塩酸塩によるビニレンカーボネートの分解および着色成分の混入が抑えられるのでより高収率でより着色の少ないビニレンカーボネート組成物を得ることができる。
本発明の第三の手段では、第三級アミンを用いたモノクロロエチレンカーボネートの脱塩化水素反応を第一溶媒中で行って得られた第一反応液に、第二溶媒を添加して第二反応液を得、該第二反応液から該第一溶媒を除去して得られた第三反応液をろ過して第四反応液と固体を取得し、該固体を第三溶媒で洗浄して得た洗浄液を該第四反応液に混合して、該混合液からビニレンカーボネートを得る。第三の手段によれば、第三反応液から濾別された固体を洗浄することにより、該固体に付着していたビニレンカーボネートを回収できる。このため、ビニレンカーボネートの収率が高くなる。
本発明の第四の手段によれば、第三級アミンを用いたモノクロロエチレンカーボネートの脱塩化水素反応で使用する第一溶媒は、ビニレンカーボネートの沸点162℃より低い40℃〜150℃の沸点を有する脂肪族ニトリル、脂肪族エーテル、環状エーテル、ポリエーテル、ケトン、エステル、芳香族炭化水素から選ばれた少なくとも1つ以上の溶媒であり、脱塩化水素反応で副生する第三級アミン塩酸塩、着色成分およびオリゴマーやポリマーを溶解しない溶媒を使用することが好ましいが、溶解する溶媒も使用することができる。
本発明の第四の手段によれば、第一工程で得た第一反応液に添加する第二溶媒は、ビニレンカーボネートの沸点162℃より高い170℃〜260℃の沸点を有する脂肪族ニトリル、ケトン、エステル、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、及び上記一般式(1)で表されるポリエーテルからなる群から選ばれた少なくとも1つ以上の溶媒であり、脱塩化水素反応で副生する第三級アミン塩酸塩、着色成分およびオリゴマーやポリマーを溶解しない溶媒を選択し使用する。
本発明の第四の手段によれば、第三工程で好ましくは蒸留操作を採用すれば、第一溶媒と第二溶媒とビニレンカーボネートとの沸点差を利用して第二反応液から第一溶媒のみを分離して、ビニレンカーボネートと第二溶媒を含む第三反応液を得ることができる。第二溶媒は脱塩化水素反応で副生した第三級アミン塩酸塩、着色成分およびオリゴマーやポリマーを溶解しないので、第三反応液をろ過することにより第三級アミン塩酸塩、着色成分およびオリゴマーやポリマーを除去することができる。
本発明の第四の手段によれば、第四反応液から取得した固体を洗浄する第三溶媒は、40℃〜150℃の沸点を有する、脂肪族ニトリル、脂肪族エーテル、環状エーテル、ポリエーテル、ケトン、エステル、芳香族炭化水素から選ばれた少なくとも1つ以上の溶媒であるか、または170℃〜260℃の沸点を有する上記一般式(1)で表されるポリエーテルから選ばれた少なくとも1つ以上の溶媒であるが、脱塩化水素反応で副生する第三級アミン塩酸塩、着色成分およびオリゴマーやポリマーを溶解しない溶媒を使用することが好ましい。第四工程で取得した固体を洗浄して得た洗浄液と第四反応液の混合液では、脱塩化水素反応で副生した第三級アミン塩酸塩、着色成分およびオリゴマーやポリマーの含有量が低減されているため、第三級アミン塩酸塩によるビニレンカーボネートの分解および着色成分の混入がより抑えられるのでより高収率でより着色の少ないビニレンカーボネート組成物を得ることができる。
本発明の第四の手段によれば、第三級アミンを用いたモノクロロエチレンカーボネートの脱塩化水素反応で使用する第一溶媒は、ビニレンカーボネートの沸点162℃より低い40℃〜150℃の沸点を有する脂肪族ニトリル、脂肪族エーテル、環状エーテル、ポリエーテル、ケトン、エステル、芳香族炭化水素から選ばれた少なくとも1つ以上の溶媒であり、脱塩化水素反応で副生する第三級アミン塩酸塩、着色成分およびオリゴマーやポリマーを溶解しない溶媒を使用することが好ましいが、溶解する溶媒も使用することができる。
本発明の第四の手段によれば、第一工程で得た第一反応液に添加する第二溶媒は、ビニレンカーボネートの沸点162℃より高い170℃〜260℃の沸点を有する脂肪族ニトリル、ケトン、エステル、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、及び上記一般式(1)で表されるポリエーテルからなる群から選ばれた少なくとも1つ以上の溶媒であり、脱塩化水素反応で副生する第三級アミン塩酸塩、着色成分およびオリゴマーやポリマーを溶解しない溶媒を選択し使用する。
本発明の第四の手段によれば、第三工程で好ましくは蒸留操作を採用すれば、第一溶媒と第二溶媒とビニレンカーボネートとの沸点差を利用して第二反応液から第一溶媒のみを分離して、ビニレンカーボネートと第二溶媒を含む第三反応液を得ることができる。第二溶媒は脱塩化水素反応で副生した第三級アミン塩酸塩、着色成分およびオリゴマーやポリマーを溶解しないので、第三反応液をろ過することにより第三級アミン塩酸塩、着色成分およびオリゴマーやポリマーを除去することができる。
本発明の第四の手段によれば、第四反応液から取得した固体を洗浄する第三溶媒は、40℃〜150℃の沸点を有する、脂肪族ニトリル、脂肪族エーテル、環状エーテル、ポリエーテル、ケトン、エステル、芳香族炭化水素から選ばれた少なくとも1つ以上の溶媒であるか、または170℃〜260℃の沸点を有する上記一般式(1)で表されるポリエーテルから選ばれた少なくとも1つ以上の溶媒であるが、脱塩化水素反応で副生する第三級アミン塩酸塩、着色成分およびオリゴマーやポリマーを溶解しない溶媒を使用することが好ましい。第四工程で取得した固体を洗浄して得た洗浄液と第四反応液の混合液では、脱塩化水素反応で副生した第三級アミン塩酸塩、着色成分およびオリゴマーやポリマーの含有量が低減されているため、第三級アミン塩酸塩によるビニレンカーボネートの分解および着色成分の混入がより抑えられるのでより高収率でより着色の少ないビニレンカーボネート組成物を得ることができる。
本発明の第五の手段では、第三級アミンを用いたモノクロロエチレンカーボネートの脱塩化水素反応を第一溶媒中で行って得られた第一反応液に、第二溶媒を添加して第二反応液を得、該第二反応液から該第一溶媒を除去して得られた第三反応液をろ過して第四反応液と固体を取得し、該固体を第四溶媒で洗浄して得た洗浄液から該第四溶媒を除去して得たボトム液を、上記第四反応液に混合する。第五の手段によれば、第三反応液から濾別された固体を洗浄することにより、該固体に付着していたビニレンカーボネートを回収できるため、ビニレンカーボネートの収率が高くなる。さらに、洗浄液から上記第四溶媒を除去して得たボトム液を上記第四反応液に混合するため、洗浄液由来の着色成分を低減できる。
本発明の第五の手段において、第四工程で取得した固体を第四溶媒で洗浄して得た洗浄液から上記第四溶媒を除去した除去液(ボトム液)と第四反応液の混合液には、脱塩化水素反応で副生した第三級アミン塩酸塩、着色成分およびオリゴマーやポリマーは含まれていないので、第三級アミン塩酸塩によるビニレンカーボネートの分解および着色成分の混入がより抑えられるのでより高収率でより着色の抑制されたビニレンカーボネート組成物を得ることができる。
本発明の第六の手段において、第三級アミンを用いたモノクロロエチレンカーボネートの脱塩化水素反応で使用する第一溶媒は、ビニレンカーボネートの沸点162℃より低い40℃〜150℃の沸点を有する脂肪族ニトリル、脂肪族エーテル、環状エーテル、ポリエーテル、ケトン、エステル、芳香族炭化水素から選ばれた少なくとも1つ以上の溶媒であり、脱塩化水素反応で副生する第三級アミン塩酸塩、着色成分およびオリゴマーやポリマーを溶解しない溶媒を使用することが好ましいが、溶解する溶媒も使用することができる。
第一工程で得た第一反応液に添加する第二溶媒は、ビニレンカーボネートの沸点162℃より高い170℃〜260℃の沸点を有する、脂肪族ニトリル、ケトン、エステル、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素及び上記一般式(1)で表されるポリエーテルからなる群から選ばれた少なくとも1つ以上の溶媒であり、脱塩化水素反応で副生する第三級アミン塩酸塩、着色成分およびオリゴマーやポリマーを溶解しない溶媒を使用する。
第三工程での蒸留操作において、第一溶媒と第二溶媒とビニレンカーボネートとの沸点差を利用して第二反応液から第一溶媒のみを分離して第二溶媒とビニレンカーボネートとを含む第三反応液を得ることができる。第二溶媒は脱塩化水素反応で副生した第三級アミン塩酸塩、着色成分およびオリゴマーやポリマーを溶解しないので、第三反応液をろ過することにより第三級アミン塩酸塩、着色成分およびオリゴマーやポリマーを除去することができる。
第四反応液から取得した固体を洗浄する第四溶媒は、40℃〜150℃の沸点を有する、脂肪族ニトリル、脂肪族エーテル、環状エーテル、ポリエーテル、ケトン、エステル、芳香族炭化水素から選ばれた少なくとも1つ以上の溶媒であり、脱塩化水素反応で副生する第三級アミン塩酸塩、着色成分およびオリゴマーやポリマーを溶解しない溶媒を使用することが好ましい。第四溶媒は、40℃〜150℃の沸点を有する溶媒であるため、蒸留等により容易に除去できる。
本発明の第五の手段において、第四工程で取得した固体を第四溶媒で洗浄して得た洗浄液から上記第四溶媒を除去した除去液(ボトム液)と第四反応液の混合液には、脱塩化水素反応で副生した第三級アミン塩酸塩、着色成分およびオリゴマーやポリマーは含まれていないので、第三級アミン塩酸塩によるビニレンカーボネートの分解および着色成分の混入がより抑えられるのでより高収率でより着色の抑制されたビニレンカーボネート組成物を得ることができる。
本発明の第六の手段において、第三級アミンを用いたモノクロロエチレンカーボネートの脱塩化水素反応で使用する第一溶媒は、ビニレンカーボネートの沸点162℃より低い40℃〜150℃の沸点を有する脂肪族ニトリル、脂肪族エーテル、環状エーテル、ポリエーテル、ケトン、エステル、芳香族炭化水素から選ばれた少なくとも1つ以上の溶媒であり、脱塩化水素反応で副生する第三級アミン塩酸塩、着色成分およびオリゴマーやポリマーを溶解しない溶媒を使用することが好ましいが、溶解する溶媒も使用することができる。
第一工程で得た第一反応液に添加する第二溶媒は、ビニレンカーボネートの沸点162℃より高い170℃〜260℃の沸点を有する、脂肪族ニトリル、ケトン、エステル、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素及び上記一般式(1)で表されるポリエーテルからなる群から選ばれた少なくとも1つ以上の溶媒であり、脱塩化水素反応で副生する第三級アミン塩酸塩、着色成分およびオリゴマーやポリマーを溶解しない溶媒を使用する。
第三工程での蒸留操作において、第一溶媒と第二溶媒とビニレンカーボネートとの沸点差を利用して第二反応液から第一溶媒のみを分離して第二溶媒とビニレンカーボネートとを含む第三反応液を得ることができる。第二溶媒は脱塩化水素反応で副生した第三級アミン塩酸塩、着色成分およびオリゴマーやポリマーを溶解しないので、第三反応液をろ過することにより第三級アミン塩酸塩、着色成分およびオリゴマーやポリマーを除去することができる。
第四反応液から取得した固体を洗浄する第四溶媒は、40℃〜150℃の沸点を有する、脂肪族ニトリル、脂肪族エーテル、環状エーテル、ポリエーテル、ケトン、エステル、芳香族炭化水素から選ばれた少なくとも1つ以上の溶媒であり、脱塩化水素反応で副生する第三級アミン塩酸塩、着色成分およびオリゴマーやポリマーを溶解しない溶媒を使用することが好ましい。第四溶媒は、40℃〜150℃の沸点を有する溶媒であるため、蒸留等により容易に除去できる。
本発明の第七の手段では、第三級アミンを用いたモノクロロエチレンカーボネートの脱塩化水素反応を、活性炭の存在下に第一溶媒中で行って得られた第一反応液に、第二溶媒を添加して第二反応液を得、該第二反応液から該第一溶媒を除去して得られた第三反応液をろ過して第四反応液と固体を取得し、該固体を、第一溶媒で使用したのと同じ第五溶媒で洗浄して得た洗浄液を、別の第二工程(例えば次バッチにおける第二工程)における第二反応液に混合する。
本発明の第七の手段では、第三級アミンを用いたモノクロロエチレンカーボネートの脱塩化水素反応を、活性炭の存在下に第一溶媒中で行うことにより、第一反応液の着色をより一層抑制できる。また、固体を洗浄した洗浄液を次バッチの第二反応液に混合した混合液から、好ましくは第三工程の蒸留操作で第一溶媒と第五溶媒を除去するが、第一溶媒と第五溶媒は同一の溶媒を使用するため、留出した溶媒をリサイクルできるので好ましい。第四工程で取得した固体を洗浄して得た洗浄液を第二反応液に混合して得られた混合液から、好ましくは第五溶媒を除去した除去液と第四反応液の混合液では、脱塩化水素反応で副生した第三級アミン塩酸塩、着色成分およびオリゴマーやポリマーの含有量が低減されているため、第三級アミン塩酸塩によるビニレンカーボネートの分解および着色成分の混入がより抑えられるのでより高収率でより着色の抑制されたビニレンカーボネート組成物を得ることができる。
本発明の第八の手段において、第三級アミンを用いたモノクロロエチレンカーボネートの脱塩化水素反応で使用する第一溶媒は、40℃〜150℃の沸点を有する脂肪族ニトリル、脂肪族エーテル、環状エーテル、ポリエーテル、ケトン、エステル、芳香族炭化水素から選ばれた少なくとも1つ以上の溶媒であり、脱塩化水素反応で副生する第三級アミン塩酸塩、着色成分およびオリゴマーやポリマーを溶解しない溶媒を使用することが好ましいが、溶解する溶媒も使用することができる。
第一工程で得た第一反応液に添加する第二溶媒は、170℃〜260℃の沸点を有する、脂肪族ニトリル、ケトン、エステル、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素及び上記一般式(1)で表されるポリエーテルからなる群から選ばれた少なくとも1つ以上の溶媒であり、脱塩化水素反応で副生する第三級アミン塩酸塩、着色成分およびオリゴマーやポリマーを溶解しない溶媒を使用する。
第三工程での蒸留操作において、第一溶媒と第二溶媒の沸点差を利用して第二反応液から第一溶媒のみを分離して第二溶媒を含む第三反応液を得ることができる。第二溶媒は脱塩化水素反応で副生した第三級アミン塩酸塩、着色成分およびオリゴマーやポリマーを溶解しないので、第三反応液をろ過することにより第三級アミン塩酸塩、着色成分およびオリゴマーやポリマーを除去することができる。
第四反応液から取得した固体を洗浄する第五溶媒は、上記第一溶媒と同じ溶媒であり、脱塩化水素反応で副生する第三級アミン塩酸塩、着色成分およびオリゴマーやポリマーを溶解しない溶媒を使用することが好ましい。
本発明の第七の手段では、第三級アミンを用いたモノクロロエチレンカーボネートの脱塩化水素反応を、活性炭の存在下に第一溶媒中で行うことにより、第一反応液の着色をより一層抑制できる。また、固体を洗浄した洗浄液を次バッチの第二反応液に混合した混合液から、好ましくは第三工程の蒸留操作で第一溶媒と第五溶媒を除去するが、第一溶媒と第五溶媒は同一の溶媒を使用するため、留出した溶媒をリサイクルできるので好ましい。第四工程で取得した固体を洗浄して得た洗浄液を第二反応液に混合して得られた混合液から、好ましくは第五溶媒を除去した除去液と第四反応液の混合液では、脱塩化水素反応で副生した第三級アミン塩酸塩、着色成分およびオリゴマーやポリマーの含有量が低減されているため、第三級アミン塩酸塩によるビニレンカーボネートの分解および着色成分の混入がより抑えられるのでより高収率でより着色の抑制されたビニレンカーボネート組成物を得ることができる。
本発明の第八の手段において、第三級アミンを用いたモノクロロエチレンカーボネートの脱塩化水素反応で使用する第一溶媒は、40℃〜150℃の沸点を有する脂肪族ニトリル、脂肪族エーテル、環状エーテル、ポリエーテル、ケトン、エステル、芳香族炭化水素から選ばれた少なくとも1つ以上の溶媒であり、脱塩化水素反応で副生する第三級アミン塩酸塩、着色成分およびオリゴマーやポリマーを溶解しない溶媒を使用することが好ましいが、溶解する溶媒も使用することができる。
第一工程で得た第一反応液に添加する第二溶媒は、170℃〜260℃の沸点を有する、脂肪族ニトリル、ケトン、エステル、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素及び上記一般式(1)で表されるポリエーテルからなる群から選ばれた少なくとも1つ以上の溶媒であり、脱塩化水素反応で副生する第三級アミン塩酸塩、着色成分およびオリゴマーやポリマーを溶解しない溶媒を使用する。
第三工程での蒸留操作において、第一溶媒と第二溶媒の沸点差を利用して第二反応液から第一溶媒のみを分離して第二溶媒を含む第三反応液を得ることができる。第二溶媒は脱塩化水素反応で副生した第三級アミン塩酸塩、着色成分およびオリゴマーやポリマーを溶解しないので、第三反応液をろ過することにより第三級アミン塩酸塩、着色成分およびオリゴマーやポリマーを除去することができる。
第四反応液から取得した固体を洗浄する第五溶媒は、上記第一溶媒と同じ溶媒であり、脱塩化水素反応で副生する第三級アミン塩酸塩、着色成分およびオリゴマーやポリマーを溶解しない溶媒を使用することが好ましい。
本発明の脱塩化水素反応の対象となるモノクロロエチレンカーボネートの製造方法は限定されるものではないが、エチレンカーボネートの塩素化やN,N’−アゾビスイソブチロニトリルなどのラジカル発生剤を使用した塩素化によって得られたものが好ましい。
本発明のビニレンカーボネートの製造方法における、第三級アミンを用いたモノクロロエチレンカーボネートの脱塩化水素反応では、モノクロロエチレンカーボネートを含む原料としてモノクロロエチレンカーボネート組成物を使用する。
上記モノクロロエチレンカーボネート組成物に含まれるエチレンカーボネートの含有量は30質量%以下が好ましく、20質量%以下がさらに好ましく、10質量%以下が特に好ましい。エチレンカーボネートの沸点はビニレンカーボネートよりも高いので、エチレンカーボネートの含有量が30質量%を超えると、ビニレンカーボネート組成物を蒸留によって精製する際に、蒸留ボトムの温度が高くなるので、ボトムに残っているビニレンカーボネートの分解が起こり、ビニレンカーボネートの収率が低下する場合がある。
モノクロロエチレンカーボネート組成物に含まれる多塩素化エチレンカーボネートの含有量は30質量%以下が好ましく、20質量%以下がさらに好ましく、10質量%以下が特に好ましく、最も好ましいのは5質量%以下である。多量の多塩素化エチレンカーボネートを含むモノクロロエチレンカーボネート組成物から第三級アミンを用いて脱塩化水素反応を実施する場合、多塩素化エチレンカーボネートは副生成物となる。副生成物の構造式は不明であるが、多塩素化エチレンカーボネートが重合してオリゴマーやポリマーとなり、ビニレンカーボネート組成物の着色の原因となる場合があると考えられる。
本発明のビニレンカーボネートの製造方法における、第三級アミンを用いたモノクロロエチレンカーボネートの脱塩化水素反応では、モノクロロエチレンカーボネートを含む原料としてモノクロロエチレンカーボネート組成物を使用する。
上記モノクロロエチレンカーボネート組成物に含まれるエチレンカーボネートの含有量は30質量%以下が好ましく、20質量%以下がさらに好ましく、10質量%以下が特に好ましい。エチレンカーボネートの沸点はビニレンカーボネートよりも高いので、エチレンカーボネートの含有量が30質量%を超えると、ビニレンカーボネート組成物を蒸留によって精製する際に、蒸留ボトムの温度が高くなるので、ボトムに残っているビニレンカーボネートの分解が起こり、ビニレンカーボネートの収率が低下する場合がある。
モノクロロエチレンカーボネート組成物に含まれる多塩素化エチレンカーボネートの含有量は30質量%以下が好ましく、20質量%以下がさらに好ましく、10質量%以下が特に好ましく、最も好ましいのは5質量%以下である。多量の多塩素化エチレンカーボネートを含むモノクロロエチレンカーボネート組成物から第三級アミンを用いて脱塩化水素反応を実施する場合、多塩素化エチレンカーボネートは副生成物となる。副生成物の構造式は不明であるが、多塩素化エチレンカーボネートが重合してオリゴマーやポリマーとなり、ビニレンカーボネート組成物の着色の原因となる場合があると考えられる。
本発明に使用される第三級アミンは、その沸点が40℃〜150℃、170℃〜260℃が好ましく、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルプロピルアミン、ジメチルイソプロピルアミン、メチルジプロピルアミン、ブチルジメチルアミンなどが挙げられる。特に、トリエチルアミン、トリブチルアミンが好ましい。
第三級アミンの使用量は、モノクロロエチレンカーボネートに対して0.5〜10当量が好ましく、0.8〜5.0当量がより好ましく、1.0〜3.0当量が特に好ましい。第三級アミンの使用量が0.5当量未満の場合、モノクロロエチレンカーボネートの転化率が低下する場合がある。第三級アミンの使用量が10当量超の場合、経済的に不利であり、さらに第三級アミンがビニレンカーボネートの分解を促進する場合があるので好ましくない。
本発明に使用する溶媒は、ビニレンカーボネート、モノクロロエチレンカーボネート、第三級アミンに対して不活性であり、第三アミン塩酸塩および副生成物を溶解しない溶媒が好ましく、例えば、ジメチルホルムアミドやジメチルスルホキシドなどの極性溶媒、アルコ−ル、塩素系溶媒は第三アミン塩酸塩および副生成物を溶解する場合があるので好ましくない。
第三級アミンの使用量は、モノクロロエチレンカーボネートに対して0.5〜10当量が好ましく、0.8〜5.0当量がより好ましく、1.0〜3.0当量が特に好ましい。第三級アミンの使用量が0.5当量未満の場合、モノクロロエチレンカーボネートの転化率が低下する場合がある。第三級アミンの使用量が10当量超の場合、経済的に不利であり、さらに第三級アミンがビニレンカーボネートの分解を促進する場合があるので好ましくない。
本発明に使用する溶媒は、ビニレンカーボネート、モノクロロエチレンカーボネート、第三級アミンに対して不活性であり、第三アミン塩酸塩および副生成物を溶解しない溶媒が好ましく、例えば、ジメチルホルムアミドやジメチルスルホキシドなどの極性溶媒、アルコ−ル、塩素系溶媒は第三アミン塩酸塩および副生成物を溶解する場合があるので好ましくない。
本発明に使用する第一溶媒、第三溶媒、第四溶媒および第五溶媒としては、40℃〜150℃の沸点を有する、脂肪族ニトリル、脂肪族エーテル、環状エーテル、ポリエーテル、ケトン、エステル、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素が使用できる。
上記脂肪族ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、バレロニトリルなどが挙げられる。特に、アセトニトリル、プロピオニトリルが好ましい。
上記脂肪族エーテルとしては、ジ−n−プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチルブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、などが挙げられる。特に、ジ−n−プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、シクロペンチルメチルエーテルが好ましい。
上記環状エーテルとしては、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、メチルテトラヒドロピランなどが挙げられる。特に、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、メチルテトラヒドロピランが好ましい。
上記ポリエーテルとしては、ジメトキシメタン、ジエトキシメタン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタンなどが挙げられる、特に、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタンが好ましい。
上記ケトンとしては、アセトン、2−ブタノン、3−メチル−2−ブタノン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、3−メチル−2−ペンタノン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ヘキサノン、シクロペンタノン、シクロプロピルメチルケトン、3−メチル−2−ペンタノン、4−メチル−2−ペンタノン、2,4−ジメチル−3−ペンタノン、などが挙げられる。特に、2−ブタノン、2−ペンタノン、シクロペンタノンが好ましい。
上記エステルとしては、ギ酸エチルエステル、ギ酸イソプロピルエステル、ギ酸プロピルエステル、ギ酸イソブチルエステル、ギ酸イソアミルエステル、ギ酸アミルエステル、酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステル、酢酸イソプロピルエステル、酢酸プロピルエステル、酢酸−t−ブチルエステル、酢酸−s−ブチルエステル、酢酸イソブチルエステル、酢酸ブチルエステル、酢酸イソアミルエステル、酢酸アミルエステル、酪酸メチルエステル、酪酸エチルエステル、酪酸イソプロピルエステル、プロピオン酸などメチルエステル、プロピオン酸エチルエステル、プロピオン酸イソプロピルエステル、プロピオン酸プロピルエステル、プロピオン酸ブチルエステルなどが挙げられる。特に、酢酸エチルエステル、酢酸イソプロピルエステル、酢酸ブチルエステルが好ましい。
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、などが挙げられる。特に、トルエン、キシレンが好ましい。
上記脂肪族炭化水素としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロペンタン、1,1−ジメチルシクロヘキサン、イソプロピルシクロペンタン、エチルシクロヘキサンなどが挙げられる。特に、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、メチルシクロヘキサンが好ましい。
上記脂肪族ニトリルとしては、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、バレロニトリルなどが挙げられる。特に、アセトニトリル、プロピオニトリルが好ましい。
上記脂肪族エーテルとしては、ジ−n−プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチルブチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、などが挙げられる。特に、ジ−n−プロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、シクロペンチルメチルエーテルが好ましい。
上記環状エーテルとしては、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、メチルテトラヒドロピランなどが挙げられる。特に、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、メチルテトラヒドロピランが好ましい。
上記ポリエーテルとしては、ジメトキシメタン、ジエトキシメタン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタンなどが挙げられる、特に、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタンが好ましい。
上記ケトンとしては、アセトン、2−ブタノン、3−メチル−2−ブタノン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、3−メチル−2−ペンタノン、4−メチル−2−ペンタノン、2−ヘキサノン、シクロペンタノン、シクロプロピルメチルケトン、3−メチル−2−ペンタノン、4−メチル−2−ペンタノン、2,4−ジメチル−3−ペンタノン、などが挙げられる。特に、2−ブタノン、2−ペンタノン、シクロペンタノンが好ましい。
上記エステルとしては、ギ酸エチルエステル、ギ酸イソプロピルエステル、ギ酸プロピルエステル、ギ酸イソブチルエステル、ギ酸イソアミルエステル、ギ酸アミルエステル、酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステル、酢酸イソプロピルエステル、酢酸プロピルエステル、酢酸−t−ブチルエステル、酢酸−s−ブチルエステル、酢酸イソブチルエステル、酢酸ブチルエステル、酢酸イソアミルエステル、酢酸アミルエステル、酪酸メチルエステル、酪酸エチルエステル、酪酸イソプロピルエステル、プロピオン酸などメチルエステル、プロピオン酸エチルエステル、プロピオン酸イソプロピルエステル、プロピオン酸プロピルエステル、プロピオン酸ブチルエステルなどが挙げられる。特に、酢酸エチルエステル、酢酸イソプロピルエステル、酢酸ブチルエステルが好ましい。
上記芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、などが挙げられる。特に、トルエン、キシレンが好ましい。
上記脂肪族炭化水素としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロペンタン、1,1−ジメチルシクロヘキサン、イソプロピルシクロペンタン、エチルシクロヘキサンなどが挙げられる。特に、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、メチルシクロヘキサンが好ましい。
本発明に使用される第二溶媒としては、ビニレンカーボネート、モノクロロエチレンカーボネート、第三級アミンに対して不活性であり、170℃〜260℃の沸点を有する、脂肪族ニトリル、ケトン、エステル、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、一般式(1)で表されるポリエーテルが使用できる。
上記脂肪族ニトリルとしては、ヘプタンニトリル、オクタンニトリル、デカンニトリル、スクシオニトリルなどが挙げられる。特に、オクタンニトリル、デカンニトリルが好ましい。
上記ケトンとしては、シクロヘキシルメチルケトン、シクロヘプタノン、5−ノナノン、4−ノナノン、3−ノナノン、4−エチルシクロヘキサノン、2−ノナノン、6−ウンデカノン、2−ウンデカノン、2−デカノン、シクロオクタノン、4−デカノン、2−デカノン、6−ウンデカノン、2−ウンデカノン、2−ドデカノン、アセトフェノン、プロピオフェノン、ブチロフェノン、イソブチロフェノン、などが挙げられる。特に、シクロヘキシルメチルケトン、アセトフェノンが好ましい。
上記エステルとしては、酢酸シクロヘキシルエステル、酢酸ヘプチルエステル、酢酸オクチルエステル、酢酸ノニルエステル、酪酸イソアミルエステル、酪酸アミルエステル、酪酸ヘキシルエステル、酪酸シクロヘキシルエステル、酪酸へプチルエステル、プロピオン酸ブチルエステル、プロピオン酸オクチルエステル、吉草酸ブチルエステル、イソ吉草酸アミルエステル、イソ吉草酸イソアミルエステル、イソ吉草酸イソヘプチルエステル、イソ吉草酸オクチルエステル、ヘプタン酸メチルエステル、ヘプタン酸エチルエステル、ヘキサン酸エチルエステル、ヘキサン酸プロピルエステル、などが挙げられる。特に、酢酸シクロヘキシルエステル、酪酸シクロヘキシルエステルが好ましい。
上記芳香族炭化水素としては、1,2,4,5−テトラメチルベンゼン、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、ヘプタメチルベンゼン、ヘキサメチルベンゼンなどが挙げられる。
上記脂肪族炭化水素としては、デカン、ブチルシクロヘキサン、ウンデカン、シクロデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカンなどが挙げられる。
上記一般式(1)で表されるポリエーテルとしては、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテルなどが挙げられる。特に、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルが好ましい。
上記脂肪族ニトリルとしては、ヘプタンニトリル、オクタンニトリル、デカンニトリル、スクシオニトリルなどが挙げられる。特に、オクタンニトリル、デカンニトリルが好ましい。
上記ケトンとしては、シクロヘキシルメチルケトン、シクロヘプタノン、5−ノナノン、4−ノナノン、3−ノナノン、4−エチルシクロヘキサノン、2−ノナノン、6−ウンデカノン、2−ウンデカノン、2−デカノン、シクロオクタノン、4−デカノン、2−デカノン、6−ウンデカノン、2−ウンデカノン、2−ドデカノン、アセトフェノン、プロピオフェノン、ブチロフェノン、イソブチロフェノン、などが挙げられる。特に、シクロヘキシルメチルケトン、アセトフェノンが好ましい。
上記エステルとしては、酢酸シクロヘキシルエステル、酢酸ヘプチルエステル、酢酸オクチルエステル、酢酸ノニルエステル、酪酸イソアミルエステル、酪酸アミルエステル、酪酸ヘキシルエステル、酪酸シクロヘキシルエステル、酪酸へプチルエステル、プロピオン酸ブチルエステル、プロピオン酸オクチルエステル、吉草酸ブチルエステル、イソ吉草酸アミルエステル、イソ吉草酸イソアミルエステル、イソ吉草酸イソヘプチルエステル、イソ吉草酸オクチルエステル、ヘプタン酸メチルエステル、ヘプタン酸エチルエステル、ヘキサン酸エチルエステル、ヘキサン酸プロピルエステル、などが挙げられる。特に、酢酸シクロヘキシルエステル、酪酸シクロヘキシルエステルが好ましい。
上記芳香族炭化水素としては、1,2,4,5−テトラメチルベンゼン、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、ヘプタメチルベンゼン、ヘキサメチルベンゼンなどが挙げられる。
上記脂肪族炭化水素としては、デカン、ブチルシクロヘキサン、ウンデカン、シクロデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカンなどが挙げられる。
上記一般式(1)で表されるポリエーテルとしては、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテルなどが挙げられる。特に、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテルが好ましい。
本発明に使用される、上記第一溶媒と、上記第二溶媒の組み合わせは、第三アミン塩酸塩および着色の原因となる副生成物に対する溶解度を考慮して自由に選択すれば良い。例えば、第一溶媒に脂肪族ニトリルを使用した場合、少量ではあるが第三アミン塩酸塩および着色の原因となる副生成物を溶解するので、第二溶媒は、第三アミン塩酸塩および着色の原因となる副生成物を溶解しない溶媒を選択すれば良い。
第三級アミンを用いたモノクロロエチレンカーボネートの脱塩化水素反応の反応温度は、40℃〜260℃が好ましく、50℃〜150℃がより好ましく、60℃〜100℃が特に好ましい。反応温度が40℃未満の場合、反応速度が極端に遅くなる場合があり、反応温度が260℃超の場合、ビニレンカーボネートの分解が起こる場合があるので好ましくない。
モノクロロエチレンカーボネートと第三級アミンの混合方法は特に限定されるものではなく、反応溶媒にモノクロロエチレンカーボネートと第三級アミンを同時に混合する方法、反応溶媒に溶解したモノクロロエチレンカーボネートに第三級アミンを混合する方法、反応溶媒に溶解した第三級アミンにモノクロロエチレンカーボネートを混合する方法、反応溶媒に溶解したモノクロロエチレンカーボネートに反応溶媒に溶解した第三級アミンを混合する方法、反応溶媒に溶解した第三級アミンに反応溶媒に溶解したモノクロロエチレンカーボネートを混合する方法などを採用することができる。
第三級アミンを用いたモノクロロエチレンカーボネートの脱塩化水素反応の雰囲気は特に限定されないが、ビニレンカーボネートに対して不活性なガスの雰囲気で行うことが好ましい。
第三級アミンを用いたモノクロロエチレンカーボネートの脱塩化水素反応を実施する場合、ビニレンカーボネートの重合を防ぐ目的で重合禁止剤を使用しても良い。モノクロロエチレンカーボネートに対して重合禁止剤の使用量は1.0質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下が特に好ましい。重合禁止剤の使用量が1.0質量%超になると脱塩化水素反応が極端に遅くなる場合があるので好ましくない。
本発明では、第一工程において、第三級アミンを用いたモノクロロエチレンカーボネートの脱塩化水素反応を第一溶媒中で実施してビニレンカーボネートを含む第一反応液を得る。そして、第二工程において、第一反応液に第二溶媒を添加することによって第二反応液を得る。上記第一溶媒に対する上記第二溶媒の混合比率は限定されるものではないが、第三級アミン塩酸塩の溶解度を考慮して混合比率を決定すれば良く、10:1〜1:10が好ましく、5:1〜1:5がより好ましく、3:1〜3:1が特に好ましい。
第三工程において、第二反応液から第一溶媒を除去する方法は特に限定されるものではないが、第一溶媒の沸点は好ましくは40℃〜150℃、ビニレンカーボネートの沸点は162℃、第二溶媒の沸点は好ましくは170℃〜260℃であるので、この場合には、常圧蒸留あるいは減圧蒸留をすることにより、第一溶媒を除去して、ビニレンカーボネート、第三アミン塩酸塩、副生成物を含む第三反応液を得ることができる。
第四工程において、第三反応液から第三アミン塩酸塩および副生成物などを除去する方法は特に限定されないが、第三反応液を常温以下に冷却した後、減圧ろ過、加圧ろ過、遠心ろ過などの方法で除去すれば良く、ビニレンカーボネートと第二溶媒を含む第四反応液を得ることができる。
もし、第三級アミン塩酸塩の結晶が、反応容器の内壁に付着する場合は、反応容器内を、剥離剤などを用いて表面処理をすれば、付着を防止することができる。
第四工程において、第三反応液から第三アミン塩酸塩および副生成物などを除去する方法は特に限定されないが、第三反応液を常温以下に冷却した後、減圧ろ過、加圧ろ過、遠心ろ過などの方法で除去すれば良く、ビニレンカーボネートと第二溶媒を含む第四反応液を得ることができる。
もし、第三級アミン塩酸塩の結晶が、反応容器の内壁に付着する場合は、反応容器内を、剥離剤などを用いて表面処理をすれば、付着を防止することができる。
第一の手段を採用する場合、第四反応液からビニレンカーボネートを単離する方法は特に限定されないが、好ましくは蒸留操作等によってビニレンカーボネートを単離することができる。第四工程において、ろ過して取得された固体は、主として副生物であるが、該固体にはビニレンカーボネートや第二溶媒が含まれているので、固体を洗浄することによってビニレンカーボネートや第二溶媒を回収することができる。
第二の手段において、蒸留によってビニレンカーボネートを単離する場合、高濃度のビニレンカーボネート組成物を加熱すると、ビニレンカーボネートが分解して蒸留収率が低下するので、第二溶媒として170℃〜260℃の沸点を持つ溶媒を使用すると、蒸留時、沸点の高い溶媒が蒸留ボトムに留まるので、低濃度の状態でビニレンカーボネートを蒸留することができるため、ビニレンカーボネートの分解を防ぐことが出来、好ましい。
ビニレンカーボネートを蒸留する場合、ビニレンカーボネートの重合を防ぐ目的で重合禁止剤を使用しても良い。ビニレンカーボネートに対する重合剤の使用量は10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、1質量%以下が特に好ましい。重合禁止剤の使用量が10質量%超になると経済的に不利である。
第二の手段において、蒸留によってビニレンカーボネートを単離する場合、高濃度のビニレンカーボネート組成物を加熱すると、ビニレンカーボネートが分解して蒸留収率が低下するので、第二溶媒として170℃〜260℃の沸点を持つ溶媒を使用すると、蒸留時、沸点の高い溶媒が蒸留ボトムに留まるので、低濃度の状態でビニレンカーボネートを蒸留することができるため、ビニレンカーボネートの分解を防ぐことが出来、好ましい。
ビニレンカーボネートを蒸留する場合、ビニレンカーボネートの重合を防ぐ目的で重合禁止剤を使用しても良い。ビニレンカーボネートに対する重合剤の使用量は10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、1質量%以下が特に好ましい。重合禁止剤の使用量が10質量%超になると経済的に不利である。
第三の手段を採用する場合、第四工程の固体を第三溶媒で洗浄して得た洗浄液を、第四反応液に混合した後、蒸留操作などによって、混合液からをビニレンカーボネートや第二溶媒を回収すればよい。
第四の手段において、蒸留によってビニレンカーボネートを単離する場合、高濃度のビニレンカーボネートを加熱すると、ビニレンカーボネートが分解して蒸留収率が低下するので、第二溶媒あるいは第三溶媒のいずれかとして170℃〜260℃の沸点を持つ溶媒を使用すると、蒸留時、沸点の高い溶媒が蒸留ボトムに留まるので、低濃度の状態でビニレートを蒸留することができ、ビニレンカーボネートの分解を防ぐことが出来、好ましい。
ビニレンカーボネートを蒸留する場合、ビニレンカーボネートの重合を防ぐ目的で重合禁止剤を使用しても良い。ビニレンカーボネートに対する重合剤禁止剤の使用量は10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、1質量%以下が特に好ましい。重合禁止剤の使用量が10質量%超になると経済的に不利である。
第四の手段において、蒸留によってビニレンカーボネートを単離する場合、高濃度のビニレンカーボネートを加熱すると、ビニレンカーボネートが分解して蒸留収率が低下するので、第二溶媒あるいは第三溶媒のいずれかとして170℃〜260℃の沸点を持つ溶媒を使用すると、蒸留時、沸点の高い溶媒が蒸留ボトムに留まるので、低濃度の状態でビニレートを蒸留することができ、ビニレンカーボネートの分解を防ぐことが出来、好ましい。
ビニレンカーボネートを蒸留する場合、ビニレンカーボネートの重合を防ぐ目的で重合禁止剤を使用しても良い。ビニレンカーボネートに対する重合剤禁止剤の使用量は10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、1質量%以下が特に好ましい。重合禁止剤の使用量が10質量%超になると経済的に不利である。
第五の手段を採用する場合、該洗浄液から第四溶媒を除去して得たボトム液と、第四反応液を混合した後、蒸留操作によって、混合液からビニレンカーボネートや第二溶媒を回収する方法も採用できる。
第六の手段では、沸点が170℃〜260℃の上記一般式(1)で表されるポリエーテルの第四溶媒などを共存させて蒸留を実施した場合、第一溶媒を留去した後も、上記ポリエーテルが蒸留ボトムに留まるので、低濃度の状態でビニレンカーボネートを蒸留することができ、ビニレンカーボネートの分解を効果的に防ぐことが出来る。
第六の手段では、沸点が170℃〜260℃の上記一般式(1)で表されるポリエーテルの第四溶媒などを共存させて蒸留を実施した場合、第一溶媒を留去した後も、上記ポリエーテルが蒸留ボトムに留まるので、低濃度の状態でビニレンカーボネートを蒸留することができ、ビニレンカーボネートの分解を効果的に防ぐことが出来る。
第七の手段を採用する場合、洗浄液を第二反応液に混合するため、洗浄液を別途蒸留してボトム液を調整する必要がなくなるので、反応操作が簡便になる。第七の手段では、第四工程で取得した固体を第五溶媒で洗浄して得た洗浄液を、第二反応液に混合する。混合液には第一溶媒と第二溶媒、および第五溶媒とビニレンカーボネートおよび固体が含まれる。蒸留操作によって、第一溶媒と第五溶媒を除去する。第一工程は、活性炭の存在下で行う。
本発明に使用される活性炭は、ビニレンカーボネート、モノクロロエチレンカーボネート、第三級アミンに対して不活性であり、粉末状活性炭、粒状活性炭、破砕状活性炭、円柱状活性炭、球状活性炭などを使用することができる。
モノクロロエチレンカーボネートに対する活性炭の使用量は、0.01〜10質量%が好ましく、0.05〜5質量%がより好ましく、0.1〜3質量%が特に好ましい。活性炭の使用量が0.01質量%未満の場合は、脱色効果が少なく、10質量%超になると経済的に不利である。
第一工程で使用した活性炭は、第三反応液をろ過して、第四反応液を得る第四工程で、固体とともに除去することができる。さらに、第四反応液を蒸留することによって、より着色の少ないビニレンカーボネート組成物を得ることができる。
第八の手段を採用する場合、第一溶媒と第五溶媒が同じ溶媒であるため、蒸留操作が簡便になるため好ましい。
本発明に使用される活性炭は、ビニレンカーボネート、モノクロロエチレンカーボネート、第三級アミンに対して不活性であり、粉末状活性炭、粒状活性炭、破砕状活性炭、円柱状活性炭、球状活性炭などを使用することができる。
モノクロロエチレンカーボネートに対する活性炭の使用量は、0.01〜10質量%が好ましく、0.05〜5質量%がより好ましく、0.1〜3質量%が特に好ましい。活性炭の使用量が0.01質量%未満の場合は、脱色効果が少なく、10質量%超になると経済的に不利である。
第一工程で使用した活性炭は、第三反応液をろ過して、第四反応液を得る第四工程で、固体とともに除去することができる。さらに、第四反応液を蒸留することによって、より着色の少ないビニレンカーボネート組成物を得ることができる。
第八の手段を採用する場合、第一溶媒と第五溶媒が同じ溶媒であるため、蒸留操作が簡便になるため好ましい。
本発明のビニレンカーボネートの製造方法によって製造されたビニレンカーボネート組成物は、着色が抑制されているため、化学薬品、医薬品、さらにリチウム二次電池用電解質の溶媒および添加剤として好適に使用できる。
以下、実施例により、本発明を具体的に説明するが、本発明は、実施例に限定されるものではない。
エチレンカーボネートの光塩素化によって得られた粗製クロロエチレンカーボネートを原料に用いて脱塩化水素化を実施した。
温度計、磁気撹拌子、還流冷却管、および内径1.0mmのテフロン(登録商標)製の導入管を備えた内容量200mlの三つ口フラスコ内を十分に窒素ガスで置換した後、該フラスコに、7.4質量%のエチレンカーボネートを含むモノクロロエチレンカーボネート組成物(粗製クロロエチレンカーボネート)20.0g(0.151モル)と、第一溶媒としてのアセトニトリル40.0gを仕込んだ。また、内容量50mlのシリンジにトリエチルアミン18.50g(0.183モル)を仕込み、該導入管とシリンジを接続し、さらに、該シリンジをシリンジポンプに装着した。オイルバスを用いてフラスコを加熱し、該混合液の内温が65℃に到達した後、混合液の温度を65℃から70℃に保ちながら、シリンジ内のトリエチルアミンを30分で滴下した。滴下終了後、同温度に保ち、2時間反応して第一反応液を得た。第一反応液のボトムに固体が析出していた。第一反応液の一部を抜き出し、ガスクロマトグラフィーで分析したところ、モノクロロエチレンカーボネートの転化率は100%、モノクロロエチレンカーボネートに対するビニレンカーボネートの収率は87%であった。
第一反応液に第二溶媒としてのトリエチレングリコールジメチルエーテル40.0gを混合して第二反応液を得た。
第二反応液を常圧から17.3kPaで減圧留去して、アセトニトリルとトリエチルアミンの留去液39.3gと第三反応液を得た。
第三反応液を冷蔵庫内(7℃)で1晩静置した後、析出した固体を減圧ろ過し、第四反応液を得た。
蒸留装置のボトム容器に第四反応液を仕込み、4.0kPa〜2.7kPaの減圧下で減圧蒸留してビニレンカーボネートとトリエチレングリコールジメチルエーテルの混合物11.2gを得た。該混合物中ビニレンカーボネートの純分は85質量%であり、ビニレンカーボネートの収率は73モル%であった。得られたビニレンカーボネート組成物は淡黄色であった。
温度計、磁気撹拌子、還流冷却管、および内径1.0mmのテフロン(登録商標)製の導入管を備えた内容量200mlの三つ口フラスコ内を十分に窒素ガスで置換した後、該フラスコに、7.4質量%のエチレンカーボネートを含むモノクロロエチレンカーボネート組成物(粗製クロロエチレンカーボネート)20.0g(0.151モル)と、第一溶媒としてのアセトニトリル40.0gを仕込んだ。また、内容量50mlのシリンジにトリエチルアミン18.50g(0.183モル)を仕込み、該導入管とシリンジを接続し、さらに、該シリンジをシリンジポンプに装着した。オイルバスを用いてフラスコを加熱し、該混合液の内温が65℃に到達した後、混合液の温度を65℃から70℃に保ちながら、シリンジ内のトリエチルアミンを30分で滴下した。滴下終了後、同温度に保ち、2時間反応して第一反応液を得た。第一反応液のボトムに固体が析出していた。第一反応液の一部を抜き出し、ガスクロマトグラフィーで分析したところ、モノクロロエチレンカーボネートの転化率は100%、モノクロロエチレンカーボネートに対するビニレンカーボネートの収率は87%であった。
第一反応液に第二溶媒としてのトリエチレングリコールジメチルエーテル40.0gを混合して第二反応液を得た。
第二反応液を常圧から17.3kPaで減圧留去して、アセトニトリルとトリエチルアミンの留去液39.3gと第三反応液を得た。
第三反応液を冷蔵庫内(7℃)で1晩静置した後、析出した固体を減圧ろ過し、第四反応液を得た。
蒸留装置のボトム容器に第四反応液を仕込み、4.0kPa〜2.7kPaの減圧下で減圧蒸留してビニレンカーボネートとトリエチレングリコールジメチルエーテルの混合物11.2gを得た。該混合物中ビニレンカーボネートの純分は85質量%であり、ビニレンカーボネートの収率は73モル%であった。得られたビニレンカーボネート組成物は淡黄色であった。
実施例1と同様の方法で第四反応液を得た。ろ過した固体を第三溶媒としてのトリエチレングリコールジメチルエーテル20.0gで洗浄して洗浄液25.3gを得た。蒸留装置のボトム容器に洗浄液と第四反応液を仕込み、4.0kPa〜2.7kPaの減圧下で減圧蒸留してビニレンカーボネートとトリエチレングリコールジメチルエーテルの混合物112gを得た。該混合物中ビニレンカーボネートの純分は80質量%であり、ビニレンカーボネートの収率は73モル%であった。得られたビニレンカーボネート組成物は淡黄色であった。
実施例1と同様の方法で第四反応液を得た。ろ過した固体を第三溶媒としてのアセトン20.0gで洗浄して洗浄液を得た。洗浄液を蒸留装置のボトム容器に仕込み、常圧でアセトンを留去して、蒸留装置のボトム容器内にビニレンカーボネートとトリエチレングリコールジメチルエーテルを含む濃縮液を得た。ボトム容器に第四反応液を混合して混合液を得た後、混合液を4.0kPa〜2.7kPaの減圧下蒸留してビニレンカーボネートとトリエチレングリコールジメチルエーテルの混合物15.5gを得た。該混合物中ビニレンカーボネートの純分は60質量%であり、ビニレンカーボネートの収率は71モル%であった。得られたビニレンカーボネート組成物は淡黄色であった。
温度計、メカニカルスターラー、還流冷却管、および内容量100mlの滴下ロートを備えた内容量500mlのセパラブルフラスコ内を十分に窒素ガスで置換した後、該フラスコに、7.3質量%のエチレンカーボネートを含むモノクロロエチレンカーボネート60.0g(0.151モル)と第一溶媒としてのアセトニトリル100gを仕込んだ。該滴下ロートにトリエチルアミン55.0g(0.154モル)を仕込んだ。オイルバスを用いてフラスコを加熱し、フラスコ内の混合液の内温が65℃に達した後、混合液の温度を65℃から70℃に保ちながら、滴下ロート内のトリエチルアミンを30分で滴下した。滴下終了後、同温度に保ち、2時間反応して第一反応液を得た。第一反応液の底部に固体が析出していた。第一反応液の一部を抜き出し、ガスクロマトグラフィーで分析したところ、モノクロロエチレンカーボネートの転化率は100%、モノクロロエチレンカーボネートに対するビニレンカーボネートの収率は85モル%であった。
第一反応液に重合禁止剤である2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.1gを溶解した第二溶媒としてのトリエチレングリコールジメチルエーテル100gを混合して第二反応液を得た。
第二反応液を常圧から17.3kPaで減圧留去して、アセトニトリルとトリエチルアミンを含む留出液と第三反応液を得た。
第三反応液を5℃〜10℃に冷却した。同温度に1時間保った後、析出した固体を減圧ろ過し第四反応液を得た。ろ過した固体を第四溶媒としてのアセトン150gで洗浄して洗浄液を得た。洗浄液を蒸留装置のボトムに仕込み、常圧でアセトンを留去した。蒸留装置のボトムにビニレンカーボネートとトリエチレングリコールジメチルエーテルを含む濃縮液を得た。
蒸留装置のボトムの濃縮液に第四反応液を混合して混合液を得た後、混合液を4.0kPa〜2.7kPaの減圧下で蒸留してビニレンカーボネートとトリエチレングリコールジメチルエーテルの混合物33.5gを得た。該混合物中ビニレンカーボネートの純分は84質量%であり、ビニレンカーボネートの収率は72モル%であった。得られたビニレンカーボネート組成物は淡黄色であった。
第一反応液に重合禁止剤である2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール0.1gを溶解した第二溶媒としてのトリエチレングリコールジメチルエーテル100gを混合して第二反応液を得た。
第二反応液を常圧から17.3kPaで減圧留去して、アセトニトリルとトリエチルアミンを含む留出液と第三反応液を得た。
第三反応液を5℃〜10℃に冷却した。同温度に1時間保った後、析出した固体を減圧ろ過し第四反応液を得た。ろ過した固体を第四溶媒としてのアセトン150gで洗浄して洗浄液を得た。洗浄液を蒸留装置のボトムに仕込み、常圧でアセトンを留去した。蒸留装置のボトムにビニレンカーボネートとトリエチレングリコールジメチルエーテルを含む濃縮液を得た。
蒸留装置のボトムの濃縮液に第四反応液を混合して混合液を得た後、混合液を4.0kPa〜2.7kPaの減圧下で蒸留してビニレンカーボネートとトリエチレングリコールジメチルエーテルの混合物33.5gを得た。該混合物中ビニレンカーボネートの純分は84質量%であり、ビニレンカーボネートの収率は72モル%であった。得られたビニレンカーボネート組成物は淡黄色であった。
エチレンカーボネートの光塩素化によって得られた粗製クロロエチレンカーボネートを減圧蒸留によって精製したモノクロロエチレンカーボネートを原料に用いて脱塩化水素化を実施した。
反応で使用する三つ口フラスコ内をSEPA−COAT(信越化学製)を使用して処理した。
温度計、磁気撹拌子、還流冷却管、および内容量100mlの滴下ロートを備えた内容量200mlの三つ口フラスコ内を十分に窒素ガスで置換した。該フラスコに、2.6質量%のエチレンカーボネートを含むモノクロロエチレンカーボネート組成物(粗製クロロエチレンカーボネート)20.0g(0.159モル)と、第一溶媒としてのアセトニトリル70.0gと、粉末状活性炭0.4gを仕込んだ。また、該滴下ロートにトリエチルアミン20.0g(0.192モル)を仕込んだ。オイルバスを用いてフラスコを加熱し、該混合液の内温が65℃に到達した後、混合液の温度を65℃から70℃に保ちながら、滴下ロート内のトリエチルアミンを30分で滴下した。滴下終了後、同温度に保ち、2時間反応して第一反応液を得た。第一反応液のボトムに固体が析出していた。第一反応液の一部を抜き出し、ガスクロマトグラフィーで分析したところ、モノクロロエチレンカーボネートの転化率は100%、モノクロロエチレンカーボネートに対するビニレンカーボネートの収率は85%であった。
第一反応液に第二溶媒としてのトリエチレングリコールジメチルエーテル40.0gを混合して第二反応液を得た。
第二反応液を常圧から17.3kPaで減圧留去して、アセトニトリルとトリエチルアミンの留去液69.6gと第三反応液を得た。
第三反応液を10℃で1時間冷却した後、析出した固体を減圧ろ過し、第四反応液を得た。
蒸留装置のボトム容器に第四反応液を仕込み、5.3kPaの減圧下で蒸留してビニレンカーボネートとトリエチレングリコールジメチルエーテルの混合物12.0gを得た。該混合物中ビニレンカーボネートの純分は80質量%であり、ビニレンカーボネートの収率は70.2モル%であった。得られたビニレンカーボネート組成物のハーゼン色数は100以下であった。なお、ハーゼン色数は、標準液と目視で比較して評価した。
反応で使用する三つ口フラスコ内をSEPA−COAT(信越化学製)を使用して処理した。
温度計、磁気撹拌子、還流冷却管、および内容量100mlの滴下ロートを備えた内容量200mlの三つ口フラスコ内を十分に窒素ガスで置換した。該フラスコに、2.6質量%のエチレンカーボネートを含むモノクロロエチレンカーボネート組成物(粗製クロロエチレンカーボネート)20.0g(0.159モル)と、第一溶媒としてのアセトニトリル70.0gと、粉末状活性炭0.4gを仕込んだ。また、該滴下ロートにトリエチルアミン20.0g(0.192モル)を仕込んだ。オイルバスを用いてフラスコを加熱し、該混合液の内温が65℃に到達した後、混合液の温度を65℃から70℃に保ちながら、滴下ロート内のトリエチルアミンを30分で滴下した。滴下終了後、同温度に保ち、2時間反応して第一反応液を得た。第一反応液のボトムに固体が析出していた。第一反応液の一部を抜き出し、ガスクロマトグラフィーで分析したところ、モノクロロエチレンカーボネートの転化率は100%、モノクロロエチレンカーボネートに対するビニレンカーボネートの収率は85%であった。
第一反応液に第二溶媒としてのトリエチレングリコールジメチルエーテル40.0gを混合して第二反応液を得た。
第二反応液を常圧から17.3kPaで減圧留去して、アセトニトリルとトリエチルアミンの留去液69.6gと第三反応液を得た。
第三反応液を10℃で1時間冷却した後、析出した固体を減圧ろ過し、第四反応液を得た。
蒸留装置のボトム容器に第四反応液を仕込み、5.3kPaの減圧下で蒸留してビニレンカーボネートとトリエチレングリコールジメチルエーテルの混合物12.0gを得た。該混合物中ビニレンカーボネートの純分は80質量%であり、ビニレンカーボネートの収率は70.2モル%であった。得られたビニレンカーボネート組成物のハーゼン色数は100以下であった。なお、ハーゼン色数は、標準液と目視で比較して評価した。
温度計、磁気撹拌子、還流冷却管、および内径1.0mmのテフロン(登録商標)製の導入管を備えた内容量200mlの三つ口フラスコ内を十分に窒素ガスで置換した後、該フラスコに、モノクロロエチレンカーボネート20.0g(0.163モル)とアセトニトリル60mlを仕込んだ。また、内容量50mlのシリンジにトリエチルアミン19.8g(0.178モル)を仕込み、導入管とシリンジを接続し、さらに、該シリンジをシリンジポンプに装着した。オイルバスを用いてフラスコを加熱し、該混合液の内温が65℃に到達した後、混合液の温度を65℃から70℃に保ちながら、シリンジ内のトリエチルアミンを30分で滴下した。滴下終了後、同温度に保ち、2時間反応した。反応液の一部を抜き出し、ガスクロマトグラフィーで分析したところ、モノクロロエチレンカーボネートの転化率は100%、ビニレンカーボネートの収率は80%であった。反応液を5℃〜10℃に冷却し、1時間後、析出した固体をろ過してろ液を得た。ろ過した固体をアセトニトリル40mlで洗浄して洗浄液を得た。蒸留装置のボトム容器にろ液と洗浄液を仕込み常圧〜17.3kPaでアセトニトリルとトリエチルアミンを留出させた後、4.0kPa〜2.7kPaの圧力でビニレンカーボネートを留出させた。ビニレンカーボネートの色は黄色でその収率は49モル%であった。得られたビニレンカーボネート組成物を冷蔵庫内で保管すると褐色になった。
Claims (8)
- 第三級アミンを用いたモノクロロエチレンカーボネートの脱塩化水素反応を、第一溶媒中で行って第一反応液を得る第一工程;
該第一反応液に第二溶媒を添加して第二反応液を得る第二工程;
該第二反応液から該第一溶媒を除去して第三反応液を得る第三工程;
該第三反応液をろ過して第四反応液と固体とを得る第四工程;及び
該第四反応液からビニレンカーボネートを得る工程
を有することを特徴とする、ビニレンカーボネートの製造方法。 - 第三級アミンを用いたモノクロロエチレンカーボネートの脱塩化水素反応を、第一溶媒中で行って第一反応液を得る第一工程;
該第一反応液に第二溶媒を添加して第二反応液を得る第二工程;
該第二反応液から該第一溶媒を除去して第三反応液を得る第三工程;
該第三反応液をろ過して、第四反応液と固体とを得る第四工程;及び
該第四反応液からビニレンカーボネートを得る工程
を有するビニレンカーボネートの製造方法であって、
該固体を第三溶媒で洗浄して得た洗浄液を、該第四反応液に混合することを特徴とする、
ビニレンカーボネートの製造方法。 - 前記第一溶媒が、40℃〜150℃の沸点を有する、脂肪族ニトリル、脂肪族エーテル、環状エーテル、ポリエーテル、ケトン、エステル及び芳香族炭化水素からなる群から選ばれた少なくとも1つ以上の溶媒であり、
前記第二溶媒が、170℃〜260℃の沸点を有する、脂肪族ニトリル、ケトン、エステル、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素及び下記一般式(1)(式中、R1及びR2は互いに独立して、炭素数1〜4のアルキル基を表し、nは2〜3を表す。)で表されるポリエーテルからなる群から選ばれた少なくとも1つ以上の溶媒であり、
前記第三溶媒が、40℃〜150℃の沸点を有する、脂肪族ニトリル、脂肪族エーテル、環状エーテル、ポリエーテル、ケトン、エステル及び芳香族炭化水素からなる群から選ばれた少なくとも1つ以上の溶媒であるか、または170℃〜260℃の沸点を有する下記一般式(1)(式中、R1及びR2は互いに独立して、炭素数1〜4のアルキル基を表し、nは2〜3を表す。)で表されるポリエーテルから選ばれた少なくとも1つ以上の溶媒であることを特徴とする、
請求項3に記載のビニレンカーボネートの製造方法。
- 第三級アミンを用いたモノクロロエチレンカーボネートの脱塩化水素反応を、第一溶媒中で行って第一反応液を得る第一工程;
該第一反応液に第二溶媒を添加して第二反応液を得る第二工程;
該第二反応液から該第一溶媒を除去して第三反応液を得る第三工程;
該第三反応液をろ過して、第四反応液と固体とを得る第四工程;及び
該第四反応液からビニレンカーボネートを得る工程
を有するビニレンカーボネートの製造方法であって、
該固体を第四溶媒で洗浄して得た洗浄液から該第四溶媒を除去して得たボトム液を、該第四反応液に混合することを特徴とする、
ビニレンカーボネートの製造方法。 - 前記第一溶媒が、40℃〜150℃の沸点を有する、脂肪族ニトリル、脂肪族エーテル、環状エーテル、ポリエーテル、ケトン、エステル及び芳香族炭化水素からなる群から選ばれた少なくとも1つ以上の溶媒であり、
前記第二溶媒が、170℃〜260℃の沸点を有する、脂肪族ニトリル、ケトン、エステル、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素及び下記一般式(1)(式中、R1及びR2は互いに独立して、炭素数1〜4のアルキル基を表し、nは2〜3を表す。)で表されるポリエーテルからなる群から選ばれた少なくとも1つ以上の溶媒であり、
前記第四溶媒が、40℃〜150℃の沸点を有する、脂肪族ニトリル、脂肪族エーテル、環状エーテル、ポリエーテル、ケトン、エステル及び芳香族炭化水素からなる群から選ばれた少なくとも1つ以上の溶媒であることを特徴とする、
請求項5に記載のビニレンカーボネートの製造方法。
- 第三級アミンを用いたモノクロロエチレンカーボネートの脱塩化水素反応を、第一溶媒中で行って第一反応液を得る第一工程;
該第一反応液に第二溶媒を添加して第二反応液を得る第二工程;
該第二反応液から該第一溶媒を除去して第三反応液を得る第三工程;
該第三反応液をろ過して、第四反応液と固体とを得る第四工程;及び
該第四反応液からビニレンカーボネートを得る工程
を有するビニレンカーボネートの製造方法であって、
該第一工程において、第三級アミンを用いたモノクロロエチレンカーボネートの脱塩化水素反応を、第一溶媒中で活性炭の存在下に行って第一反応液を得、
該固体を第五溶媒で洗浄して得た洗浄液を、別の第二工程における第二反応液に混合することを特徴とする、
ビニレンカーボネートの製造方法。 - 前記第一溶媒が、40℃〜150℃の沸点を有する、脂肪族ニトリル、脂肪族エーテル、環状エーテル、ポリエーテル、ケトン、エステル及び芳香族炭化水素からなる群から選ばれた少なくとも1つ以上の溶媒であり、
前記第二溶媒が、170℃〜260℃の沸点を有する、脂肪族ニトリル、ケトン、エステル、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素及び下記一般式(1)(式中、R1及びR2は互いに独立して、炭素数1〜4のアルキル基を表し、nは2〜3を表す。)で表されるポリエーテルからなる群から選ばれた少なくとも1つ以上の溶媒であり、
前記第五溶媒が、前記第一溶媒と同じ溶媒であることを特徴とする、
請求項7に記載のビニレンカーボネートの製造方法。
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JP2020080607A JP2021172645A (ja) | 2020-04-30 | 2020-04-30 | ビニレンカーボネートの製造方法 |
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KR20230134980A (ko) | 2022-03-15 | 2023-09-22 | 주식회사 테크늄 | 비닐렌 카보네이트를 포함하는 조성물 및 비닐렌 카보네이트 화합물의 제조방법 |
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2020
- 2020-04-30 JP JP2020080607A patent/JP2021172645A/ja active Pending
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