JP2021171934A - 多層フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】環境問題や省資源の観点で、廃プラ量の減量対策が急務であり、包装材料の重量は、輸送コストにかかるため、軽量化が望まれている。薄肉化しても、カールすることなく、ガスバリア性が高く、十分なシール強度および衝撃強度を有する多層フィルムを提供する。【解決手段】全体厚みが20〜50μmの範囲にあり、シーラント層、基材層、最外層がこの順で積層されてなる、少なくとも3層で構成され、基材層が、6-ナイロン、66-ナイロン、6-ナイロンと66-ナイロンとの混合物及び6-ナイロンと66-ナイロンとの共縮合体から選ばれる1種以上からなる、未延伸の高吸湿性ナイロンからなり、シーラント層がポリオレフィン系樹脂単味又は2種以上のポリオレフィン樹脂からなり、シーラント層の厚みが3〜15μmであり、最外層が、低吸湿性ナイロン、ポリエステル、ポリオレフィンから選ばれる少なくとも1種を含み、3層が共押出されてなることを特徴とする、多層フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、薄肉化された多層フィルムに関する。詳しくは、薄くしても、カールすることがなく、ガスバリア性やシール強度などが高く、包装資材に使用可能な多層フィルムに関する。
プラスチック業界を取り巻く問題として、環境問題、省資源が必須の状態であり、包装に使用されるフィルムの薄肉化が重要な課題となっている。
ラミネートフィルムを作成する際には、シーラントフィルムとして20μm未満のものが販売されておらず、基材と合わせて作成できるフィルム厚みが限られていた。
この従来使用されているフィルムをそのまま薄肉化することは成形が難しくなるばかりか、仮に実施しても、衝撃強度が不十分で、包装フィルムとしての機能を満たせなかった。
なお、本願出願人は、特開2015-54404号公報、特開2018-58364号公報などにより特定の層構成を有する多層フィルムを提案しているが必ずしも、薄肉化を目的としたものでないため、上記課題について何も記載されていない。
特開2015-54404号公報 特開2018-58364号公報
環境問題や省資源の観点で、廃プラ量の減量対策が急務である。包装材料の重量は、輸送コストにかかるため、軽量化が望まれている。このため、包装袋にはさらなる薄肉化が求められ、薄肉化しても、十分なシール強度および衝撃強度を有する多層フィルムの出現が望まれていた。
本発明者は上記課題を解決すべく、鋭意検討した結果、以下の構成を採用することで、共押し出しフィルムで製造されたシーラント層の厚みを薄くしても、カールすることなくガスバリア性が高く、十分なシール強度および衝撃強度を備えたフィルムを提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
[1] 全体厚みが20〜50μmの範囲にあり、
シーラント層、基材層、最外層がこの順で積層されてなる、少なくとも3層で構成され、
基材層が、6-ナイロン、66-ナイロン、6-ナイロンと66-ナイロンとの混合物及び6-ナイロンと66-ナイロンとの共縮合体から選ばれる1種以上からなる、未延伸の高吸湿性ナイロンからなり、
シーラント層がポリオレフィン系樹脂単味又は2種以上のポリオレフィン樹脂からなり、
シーラント層の厚みが3〜15μmであり、
最外層が、低吸湿性ナイロン、ポリエステル、ポリオレフィンから選ばれる少なくとも1種を含み、
3層が共押出されてなることを特徴とする、多層フィルム。
[2]全体厚みに対するシーラント層の厚み比率が、10〜30%の範囲にあることを特徴とする[1]の多層フィルム。
[3]最外層が、低吸湿性ナイロンを含み、
前記低吸湿性ナイロンが、
(1)ヘキサメチレンジアミン(炭素数6)とセバシン酸(炭素数10)との共重合体(610−ナイロン)、または、
(2)低吸湿性ナイロンが、(i)ジアミン構成単位の70モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、ジカルボン酸構成単位の50モル%以上がセバシン酸に由来するポリアミド、あるいは、(ii)ジアミン構成単位の70モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、ジカルボン酸構成単位の50モル%以上がセバシン酸に由来するポリアミド100質量部に対し、脂肪族アミノカルボン酸50〜150質量部を共重合した共重合ポリアミドを、20〜100重量%の割合で含むポリアミド(以後、ポリアミド(A))、
(3)高吸湿性ナイロンと前記ポリアミド(A)との混合物であり、混合物の合計量に対して、前記ポリアミド(A)が20〜80質量%の量で含まれる
ことを特徴とする、[1]に記載の多層フィルム。
[4]最外層が、ポリエステルを含み、前記ポリエステルがポリブチレンテレフタレートであることを特徴とする、[1]に記載の多層フィルム。
[5]前記[1]〜[4]の多層水冷インフレーション法で製造されたチューブ袋。
本発明では、共押し出しフィルムでシーラント層を薄く、隣接する層を未延伸の高吸湿性ナイロンから構成することで、シール強度及び衝撃強度が強くなる。
通常、延伸基材を使用している場合には、基材層とシーラント層とのラミネート強度、シーラントの凝集破壊強度でシール強度及び衝撃強度が決定し、ある程度のシーラントの凝集破壊強度が必要とされるため、シーラント層の厚みが必要になる。これに対し、本発明では未延伸の基材層が一緒に伸びるので、シーラント層を薄くしても、カールすることがなく、ガスバリア性が高く、しかもシール強度及び衝撃強度を保持できる。これによって、フィルム全体を薄肉化できるので、包装資材の使用量を減らすことが可能であり、包装された包装体自体の重量も少なくできるので、輸送コストを低減できる。
なお、全層厚みを薄くすると、カールが問題になることが多いが、特定の最外層を設けることで、このような問題点も解消される。
多層フィルムのカール状態を相互に垂直な4方向において定量的に評価するための概略図を示す。
以下、本発明を説明する。
本発明にかかる多層フィルムは、シーラント層、基材層、最外層がこの順で積層されてなる、少なくとも3層で構成される。
・シーラント層
シーラント層が、ポリオレフィン系樹脂単味又は2種以上のポリオレフィン樹脂からなる。具体的には、ポリエチレン樹脂が使用される。ポリエチレン樹脂は、エチレンの単独重合体に加えてエチレンとプロピレン以上(炭素数3以上)の1-オレフィンとの共重合体をも包含する。一般にポリエチレン樹脂では、含有されるコモノマーの量が約15モル%以下である。
ポリエチレン樹脂は、エチレンから誘導された構成単位を有する樹脂であり、エチレンから誘導された構成単位のみを有していてもよいし、エチレンから誘導された構成単位と、それ以外の構成単位と、を有していてもよい。
ポリエチレン樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)樹脂、中密度ポリエチレン(MDPE)樹脂、高密度ポリエチレン(HDPE)樹脂等のエチレンの単独重合体;エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂、エチレン−メチルメタクリレート共重合体(EMMA)樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)樹脂、エチレン−メチルアクリレート共重合体(EMA)樹脂、エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体(E−EA−MAH)樹脂、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)樹脂、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)樹脂等のエチレン系コポリマー;アイオノマー(ION)樹脂などが、挙げられる。
これらの中でも低密度ポリエチレン樹脂は最も透明性及び柔軟性に富むことに加えてヒートシール性にも優れるというフィルムとして好ましい性質を備えている。
本発明の目的には、ポリエチレン樹脂またはエチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂が好ましい。
本発明に好適なポリエチレン樹脂としては、MI(190℃;2.16kgf)が、通常0.1〜30g/10min、好ましくは1〜5g/10min、密度が通常0.91〜0.965g/cc、好ましくは0.92〜0.95g/cc及び融点(Tm)が通常90〜138℃、好ましくは100〜130℃のものである。
・基材層
基材層は、高吸湿性ナイロンからなる。基材層に使用される高吸湿性ナイロンとは6-ナイロン、66-ナイロン(6,6-ナイロン)、6-ナイロンと66-ナイロンとの混合物又は6-ナイロンと66-ナイロンとの共縮合体等の高吸湿性ナイロンであり、未延伸の高吸湿性ナイロンからなりなる。
ここで「高吸湿性」とは吸水率(ASTM D570に準拠)が1%以上、好ましくは1.4%以上のものを言う。本発明では、高吸湿性ナイロンを、単独でも2種以上を併用してもよい。必要に応じて改質剤として変性ポリオレフィンを混ぜてもよい。
変性ポリオレフィンとしては、(a)カルボン酸基またはカルボン酸無水物基、(b)エポキシ基、(c)ヒドロキシル基、(d)アミノ基または(e)シリル基官能基を有する化合物またはモノマー(以下官能基含有化合物とも称す)と、炭素数2〜10程度のα−オレフィンの少なくとも1種とのランダム共重合体や、ポリオレフィン樹脂に該官能基含有化合物をグラフト変性した変性ポリオレフィン樹脂を包含するものである。
具体的には、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタアクリル酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−アクリル酸−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸−酢酸ビニル共重合体、エチレン−無水マレイン酸−アクリル酸メチル共重合体、エチレン−無水マレイン酸−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−無水マレイン酸−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
また「未延伸」とは延伸処理されていないものである。このような未延伸の基材層を使用することで、基材層が、シーラント層とともに一緒に伸びることにより、シール強度や衝撃強度を高くできる。
・最外層
基材層の外側に、最外層が設けられる。すなわち最外層が外部と接触する層となる。
最外層としては、低吸湿性の材料から構成されることが好ましく、低吸湿性ナイロン、ポリエステル、ポリオレフィンから選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
低吸湿性ナイロンとしては、ナイロン(ヘキサメチレンジアミン(炭素数6)とセバシン酸(炭素数10)との共重合体、610−ナイロン)などを用いることが可能である。さらに、低吸湿性ナイロンとして、(i)ジアミン構成単位の70モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、ジカルボン酸構成単位の50モル%以上がセバシン酸に由来するポリアミド、あるいは、(ii)ジアミン構成単位の70モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、ジカルボン酸構成単位の50モル%以上がセバシン酸に由来するポリアミド100質量部に対し、脂肪族アミノカルボン酸50〜150質量部を共重合した共重合ポリアミドを、20〜100重量%の割合で含むポリアミド(以後、ポリアミド(A))を使用できる。
ポリアミド(A)は、構成するジアミン構成単位のうち、キシリレンジアミンに由来するものを、70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、特に好ましくは90モル%以上含むものが望ましい。
キシリレンジアミン以外のジアミン成分としては、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、2−メチルペンタンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン;1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、ビス(4−アミノシクロヘキシル)メタン、2,2−ビス(4−アミノシクロヘキシル)プロパン、ビス(アミノメチル)デカリン、ビス(アミノメチル)トリシクロデカン等の脂環族ジアミン;ビス(4−アミノフェニル)エーテル、パラフェニレンジアミン、キシリレンジアミン、ビス(アミノメチル)ナフタレン等の芳香環を有するジアミン類等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。
ポリアミド(A)は構成するジカルボン酸成分として、セバシン酸に由来する構成単位を、全ジカルボン酸構成単位中に、50モル%以上、好ましくは70モル%以上、より好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上含むものが望ましい。
ポリアミド(A)には、例えばコハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、アジピン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸等の脂肪族ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸類などのジカルボン成分が含まれていてもよい。
ジアミン成分、ジカルボン酸成分以外にも、ポリアミド(A)を構成する成分として、本発明の効果を損なわない範囲でε−カプロラクタムやラウロラクタム等のラクタム類、アミノカプロン酸、アミノウンデカン酸等の脂肪族アミノカルボン酸類も共重合成分として含むものであってもよく、ポリアミド(A)100質量部に対し、50〜150質量部の脂肪族アミノカルボン酸類が共重合されたものも本発明では、使用できる。
このようなキシリレンジアミンを主成分とするジアミン成分とセバシン酸を主成分とするポリアミドは、バリア性能が高く、透明性、耐熱性、成形加工性が良好である。
このようなポリアミド(A)として、三菱ガス化学(株)製のレクスター(LEXTER)シリーズを好適に使用できる。
また、6-ナイロンなどの高吸湿性ナイロンに、上記ポリアミド(A)を改質剤として加えたものを低吸湿性ナイロンとして使用することも可能であり、この場合、上記ポリアミド(A)の添加量は、高吸湿性ナイロンとの合計量に対して、20〜80質量%の範囲で添加すればよい。
ポリエステル樹脂としては、公知のものを特に制限なく使用できるが、本発明では、ブチレンテレフタレート単位を主成分とするポリエステル樹脂(ポリブチレンテレフタレート)が好ましい。
本発明に使用されるポリエステルは、通常、1,4−ブタンジオール又はこれを主成分とする多価アルコール成分と、テレフタル酸若しくはそのメチルエステル等のエステル形成性誘導体(以下、「テレフタル酸等」と総称する。)又はテレフタル酸等を主成分とする多価カルボン酸成分との重縮合反応により得られる。
テレフタル酸等以外の多価カルボン酸成分としては、例えば、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸、フタル酸、トリメシン酸、トリメリット酸等の芳香族多価カルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸;これらの多価カルボン酸のメチルエステル等のエステル形成性誘導体等が挙げられる。これら各種の多価カルボン酸成分は、その一種以上が、主成分であるテレフタル酸等と共に、重縮合成分として用いられる。
また、1,4−ブタンジオール以外の多価アルコール成分としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の脂肪族多価アルコール;1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族多価アルコール;ビスフェノールA、ビスフェノールZ等の芳香族多価アルコール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリテトラメチレンオキシドグリコール等のポリアルキレングリコール等が挙げられる。これら各種の多価アルコール成分は、その一種以上が、主成分である1,4−ブタンジオールと共に、重縮合成分として用いられる。
本発明において、ブチレンテレフタレート単位を主成分とするとは、重縮合成分として用いられた、多価カルボン酸成分の中、テレフタル酸又はそのエステル形成性誘導体が50モル%以上、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上であり、かつ、重縮合成分として用いられた、多価アルコール成分の中、1,4−ブタンジオールが50モル%以上、好ましくは60モル%以上、より好ましくは70モル%以上であることを意味する。
ポリオレフィンとしては、例えば、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、アイオノマー、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−α−オレフィン(炭素数4〜20のα−オレフィン)共重合体等のポリエチレン系樹脂、エチレン−アクリル酸エステル共重合体ポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィン(炭素数4〜20のα−オレフィン)共重合体等のポリプロピレン系樹脂、ポリブテン、ポリペンテン、ポリ環状オレフィン等のポリオレフィン系樹脂が挙げられる。
上記ポリオレフィン系樹脂の密度は限定されないが、シール強度を鑑みると、0.92g/cm3以上のものが好ましい。
このうち、最外層には、外側から熱をかけてシーラント層を熱融着させる観点から、低吸湿性ナイロンまたはポリエステルを使用することが好ましい。
最外層に低吸水性樹脂を使用することで、カールが少ない薄肉フィルムを提供できる。
本発明では、最外層の厚さを、全体としての層厚の2%以上30%以下、好ましくは2%以上20%以下とする。この厚さ範囲で、特定の最外層を形成することによって、カールの少ないフィルムが得られる。
・接着層
シーラント層と基材層、基材層と最外層との接着性を向上させるために、接着性の改質ポリオレフィン樹脂を各層適当量配合されていてもよく、また接着性ポリオレフィン樹脂製の接着層を、シーラント層と基材層との間、基材層と最外層との間の少なくとも一方に設けてもよい。
・各層厚さ
本発明の多層フィルムは、全体としての層厚(シーラント層厚+基材層厚+最外層)が20〜50μmの範囲にあり、好ましくは25〜30μmの厚さにある。全体としての層厚が薄すぎるとシール強度、衝撃強度が十分に得られず、厚すぎてもプラスチックフィルム軽減への寄与が小さくなる。このため、前記範囲に層厚を調整すると目的の効果を備えた多層フィルムが得られる。
シーラント層の厚みは3〜15μm、好ましくは3〜10μmである。
全体厚みに対するシーラント層の厚み比率は、10〜30%、好ましくは15〜20%の範囲にあることがシール強度及び衝撃強度を高くする点で好ましい。
また、全体厚さに対する基材層の厚み比率は、30〜75%、好ましくは55〜70%の範囲にあることが好ましい。
なお接着層を含む場合、全体の層厚みに接着層が含まれる。接着層の比率は前記各層の厚み比率から適宜選択される。
本発明の多層フィルムを構成する層の数には特に制限は無い。また、必須層である、以上の3層を有する以外、他の層の構成又は順序等に特に制限は無い。各構成層は、同種の樹脂の2種以上からなる混合物であってもよく、また、2層以上形成されたものであってもよい。
本願明細書において「低カール性」というのは、当然ながら必ずしも完全な無カール状態、即ち試験片のカールにおける曲率半径が無限大の状態のみを指すのではない。生じたカールが実用上は障害とならない程度に留まる場合も本発明の「低カール性」に包含される。
本発明で低カール性は図1のようにして評価される。
図1は多層フィルムのカール状態を相互に垂直な4方向において定量的に評価するための概略を示す。図1の(ap)は試料フィルムにカールを発生させる為の切り目の位置、方向及び長さを表す平面見取図、(bp)は試料フィルムに切り目を設けた後に生ずる状態の平面見取図及び(br)は(bp)の状態を横方向から見た見取図である。
図1の(ap)は試料多層フィルムの中央部に1辺5cmの正方形で囲まれた範囲3を画定してその両対角線上を刃物で切断して相互に合同な4個の直角二等辺三角形31、32、33及び34を形成させる。
多層フィルムがカールする場合には、上記の対角線切断によって各三角形がそれぞれカールを生ずる。即ち、両対角線の交点で互に接する4個の頂点が自由端に位置する状態となったことから、フィルム面から反り上がって離脱する傾向を示す。
図1の(bp)は各三角形31〜34がフィルムの面から反り上った状態を示す模式的平面見取図である。同図における4個の三角形のカール程度は必ずしも一致しない。特に袋がいずれかの一方向へ延伸されている場合には当然に一致せず、二軸延伸されていても各方向への延伸倍率が大幅に異なる場合にはそれぞれの方向に応じて差異が認められうる。
図1の(br)はカール状態を袋の長軸に垂直な方向(横方向)から見た図であって、互に対向した2個の三角形31及び三角形33がカールしている状態を明瞭に看取ることができる。両三角形の形成する弧の中心から弧へ向かう矢印rは弧の曲率半径を表す。このrが大きな場合には袋のカール程度が低く(緩やかで)、逆に小さな場合にはカール程度が高い(激しい)ことを表わす。
本発明では、袋口部分のカールの有無は、引き取り方向に平行な方向(MD、すなわち、図1の31および33)に大きく影響される。このため、図1の31および33のMDにおける曲率半径の測定値で評価を行う。
上記現象において、発生したカールが或程度以上に大きな場合には、得られた共押出水冷インフレーションチューブを用いる製袋加工工程又はその袋に被包物を充填する工程で著しい妨げとなる等の実用面における大きな問題が生じる。
カールの大きさ(換言すればrの小ささ)は湿度及び温度等の環境条件によっても変化するが、実用経験的には温度23℃及び相対湿度(RH)50%の条件下で上記方法によって測定したカールの曲率半径が1.3cm 以上であれば、多層インフレフィルムの加工及び該フィルムから得られた袋への充填工程でカールによる問題は特に生じない。
・多層フィルムの製造方法
本発明の多層フィルムの製造方法としては、水冷インフレーション法、空冷インフレーション法等のインフレーション法、Tダイ法、チューブラーフィルム押出、ブロー成形などの共押出法が挙げられる。なかでも、得られる多層フィルムの透明性、柔軟性などの点から、多層水冷インフレーション法が好ましい。かかる成形法は、上記の各層を構成する材料を、例えば同心環状ダイから共押出インフレーション成形する方法である。この際に多層インフレチューブを水性冷却媒体浴に通じて急冷する方法が共押出水冷インフレーションと呼ばれる。ここで、水性冷却媒体とは通常は水(湯を包含)であるが、これに製品の用途に応じて各種の添加剤が配合されたものをも包含する。液状冷媒による急冷処理は多層フィルムの寸法精度向上及び透明性向上に有益である。液状冷媒の温度は通常10〜60℃に設定する。
なお、各層の配合成分や厚みなどは、前記したとおりである。
このような本発明にかかる多層フィルムは、電子部品などの工業製品、ハム・ソーセージなどの食品の包装などに好適に使用される。
特に、チューブの一方端部を封じて、チューブ袋にすると、軽量でかつ強度が高いため、包装物の輸送重量を減らすことが可能であり、輸送コストの低減にもつなげることができる。また、チューブはサイドシールがないので、その分の樹脂が不要であり、環境負荷を軽減される。
[実施例]
以下、本発明を実施例により、詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら制限されるものではない。
本実施例および比較例で評価されたカールの曲率半径は、上記測定方法と測定条件とにおける測定結果である。
本発明における樹脂の融点(Tm)とは、差動走査型熱量計(略称「DSC」)を用いて観測される試料の吸熱曲線においてピークの位置する温度とする。なお、2個以上のピークが観測される場合にはそれらの中で最大面積のピークが位置する温度を融点とする。
また、樹脂略号の凡例は次の通りである:
6NY:6-ナイロン、吸水率(ASTM D570)1.3〜3.5%(24h)];
610NY:610-ナイロン、吸水率(ASTM D570)0.3〜1.5%(24h)];
改質剤:メタキシリレンジアミン−セバシン酸共縮合重合体;6−NYとの合計に対して、25質量%で配合する。
PE:メタロセン触媒を用いて重合したポリエチレン系樹脂
PBT:ポリブチレンテレフタレート
Co−NY:(6/66共重合体ナイロン)
ONY:二延伸ナイロンフィルム;
なお、実施例2および3を除き、最外層と基材層は、接着性樹脂:ポリエチレン系接着性樹脂で接合させた。したがって、実施例2および3以外では、総厚みには接着性樹脂による接着層の厚みも含む。
<層構成、共押出インフレーション成形及び急冷の各操作並びにその条件>
・押出設備:共押出水冷インフレーション装置
・押出温度: 200℃(シーラント層)、250℃(基材層、最外層)
・膨比:約1.5
・冷却水温度(℃):10〜60
上記材料を使用し、インフレーション成形用多層環状ダイを用いて共押出を行い、表1と厚さとなるように多層フィルムを作製した。なお、最外層と基材層との間には、接着層を設けている。総厚みは接着層を含む厚さである。
<カールの測定及び評価>
図1に示す様に原反引取方向とそれに垂直の方向とを2辺とする正方形(一辺5cm)を試料多層フィルム上に描き、その両対角線上に切り目(×印状)を入れて形成された4つの花弁状片のうち、31、33の湾曲部に現れた曲率半径(r)を測定して、相加平均値として求める。曲率半径(r)が小さな場合程強くカールしており、曲率半径が大きな程弱いカールに留まったことである。
<シール強度測定>
実施例及び比較例で得られたフィルム2枚をシーラント層が対向するように重ね、フィルム全面に対してシールテスター(テスター産業(株)製「ヒートシールテスター」)を用いて140℃、200kPaで1秒間ヒートシールを施し、得られた多層フィルムからシール強度測定用試験片(50mm×15mm)を切出した。この試験片のシール部について、テンシロン引張試験機((株)島津製作所製「オートグラフ」)を用いて300mm/分の引張速度で180°剥離試験を実施した。その結果を表1に示す。
<落袋試験>
得られたフィルム2枚をシーラント層が最内層となるように重ねて3方端部にヒートシールを行い、三方袋(200mm×300mm)を各10個作製した。実施例及び比較例で得られた三方袋(200mm×300mm)に水2Lを入れ、開口部をシールして密閉した後、1mの高さから2回落下させ、10個中何袋破袋するかを確認した。その結果を表1に示す。
<酸素透過度測定>
得られたフィルムをMOCON酸素透過率測定装置(OX-TRAN 1/50)にて23℃65%RHの条件にて測定した。その結果を表1に示す。
[実施例1〜6、比較例1〜4]
表1に例示された各種の樹脂の種類、層厚及び層構成の組合せを選んでシーラント層、基材層及び最外層を上記の成形設備及び成形条件でそれぞれを形成させるとともにそれらを積層し多層フィルム(シート)を作製し、評価した。
Figure 2021171934
本実施例における多層フィルムは比較例における各多層フィルムに比して、ガスバリア性が高く、シール強度を保持し、耐衝撃性に優れ、また、カールが小さくできることがわかる。
31 試料フィルムに設けられた切り目によって区分された部分(図の上側)
32 試料フィルムに設けられた切り目によって区分された部分(図の左側)
33 試料フィルムに設けられた切り目によって区分された部分(図の下側)
34 試料フィルムに設けられた切り目によって区分された部分(図の右側)
r 試料フィルムにおけるカールした部分の曲率半径
B1 従来の多層フィルムを構成する基材層
B2 本発明の多層フィルムを構成する基材層(包括)
E1 従来の多層フィルムを構成する最外層
E2 本発明の多層フィルムを構成する最外層(包括)
F2 本発明の多層フィルムを構成するシーラント層(包括)
L1 袋の口部において生じたカール部分(図面の手前側)
L2 袋の口部において生じたカール部分(図面の向側)

Claims (5)

  1. 全体厚みが20〜50μmの範囲にあり、
    シーラント層、基材層、最外層がこの順で積層されてなる、少なくとも3層で構成され、
    基材層が、6-ナイロン、66-ナイロン、6-ナイロンと66-ナイロンとの混合物及び6-ナイロンと66-ナイロンとの共縮合体から選ばれる1種以上からなる、未延伸の高吸湿性ナイロンからなり、
    シーラント層がポリオレフィン系樹脂単味又は2種以上のポリオレフィン樹脂からなり、
    シーラント層の厚みが3〜15μmであり、
    最外層が、低吸湿性ナイロン、ポリエステル、ポリオレフィンから選ばれる少なくとも1種を含み、
    3層が共押出されてなることを特徴とする、多層フィルム。
  2. 全体厚みに対するシーラント層の厚み比率が、10〜30%の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の多層フィルム。
  3. 最外層が、低吸湿性ナイロンを含み、
    前記低吸湿性ナイロンが、
    (1)ヘキサメチレンジアミン(炭素数6)とセバシン酸(炭素数10)との共重合体(610−ナイロン)、または、
    (2)低吸湿性ナイロンが、(i)ジアミン構成単位の70モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、ジカルボン酸構成単位の50モル%以上がセバシン酸に由来するポリアミド、あるいは、(ii)ジアミン構成単位の70モル%以上がキシリレンジアミンに由来し、ジカルボン酸構成単位の50モル%以上がセバシン酸に由来するポリアミド100質量部に対し、脂肪族アミノカルボン酸50〜150質量部を共重合した共重合ポリアミドを、20〜100重量%の割合で含むポリアミド(以後、ポリアミド(A))、
    (3)高吸湿性ナイロンと前記ポリアミド(A)との混合物であり、混合物の合計量に対して、前記ポリアミド(A)が20〜80質量%の量で含まれる
    ことを特徴とする、請求項1に記載の多層フィルム。
  4. 最外層が、ポリエステルを含み、前記ポリエステルがポリブチレンテレフタレートであることを特徴とする請求項1に記載の多層フィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の多層水冷インフレーション法で製造されたチューブ袋。
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