JP2021171729A - 中空糸状吸着材、浄水器、浄水の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】水中のホウ素、ヒ素、リンなどの有害物質の除去において、通水抵抗が小さく高流速においても吸着性能が優れる吸着材を提供する。【解決手段】中空糸状吸着材は、中空部(2)と、前記中空部(2)を囲む本体部(3)を有する中空糸状吸着材(1)であって、前記本体部(3)は、樹脂部(32)および前記樹脂部に囲まれた細孔(33)を有する多孔質である基材(31)と、前記樹脂部に担持される金属粒子(35)とを備え、前記金属粒子の少なくとも一部は前記細孔を囲む樹脂部表面上に露出しており、前記中空糸状吸着材100質量部あたりの前記金属粒子の量が5〜40質量部であり、前記細孔の内壁において、前記金属粒子で覆われた部分の面積Sm[m2/g]と、細孔の内壁全体の面積St[m2/g]とが、0.5<Sm/Stを満たす。【選択図】図1
Description
本発明は、飲料水製造、浄水処理、排水処理などの各種水処理に好適な有害物質の吸着機能を有する多孔質成形体に関する。
近年、浄水処理、排水処理および海水淡水化などの水処理分野において、例えば、地下水に含まれるヒ素、排水中に含まれるリン、フッ素、海水などに含まれているホウ素などの除去への要望が高まってきている。これらは環境汚染や人体への影響の問題から、飲料水、工業排水、下水道処理水、環境水中の濃度について環境基準が制定されており、基準値の達成に向けた除去技術が求められている。
これらの有害物質について、水中からの除去方法の一つとして吸着材による吸着除去が検討されている。
ホウ素は、ホウ素化合物としてガラス原料やほうろう、陶磁器の釉薬等に使用され、またホウ酸としてメッキ溶剤、防腐剤・殺虫剤として使用される。飲料水中に含まれると生殖機能の低下や成長阻害等の健康障害を起こす可能性が指摘されている。
リンは生命体に必要不可欠な元素であり、さらには工業用途においても電子部品、自動車、医薬品、食品分野等において重要な素材である。しかし水域に排出されると富栄養化の原因物質の一つとなるため、特に閉鎖性水域への排水に対して規制が強化されている。また、我が国はその全量を輸入に依存していることや、枯渇が危惧されていることから、回収する技術が求められている。
ヒ素は、非鉄金属製錬工程や、温泉水等の排水中に含まれる。ヒ素の毒性としては、慢性中毒、色素沈着、皮膚がん、肺がん、肝臓がんなどが知られている。飲料水製造において十分に除去されない地域では、健康被害が問題となっている。水中に存在するヒ素の形態は、3価あるいは5価のイオンである。地下水に多く含まれ、膜処理では十分に除去することができない3価のヒ素を除去する技術が強く求められている。
以上の有害物質について、水中からの除去方法の一つとして吸着材による吸着除去が挙げられる。特に高分子材料の成形品に吸着材を担持させることで、分離膜の機能と吸着の機能を複合化した成形品が知られている。例えば特許文献1には、有機高分子材料からなる担体にジルコニウム化合物が担持された多孔質膜について、リン除去に用いることが報告されている。このリン酸吸着材含有多孔質膜は、ポリマーとジルコニウム化合物と溶剤を含む膜原液を用いて、非溶媒誘起相分離法にて製造される。また特許文献2には、熱可塑性樹脂から形成される複合分離膜のうち多孔質構造からなる層に、ホウ素吸着能を有するセリウム水酸化物、またはセリウム含水酸化物を含有する複合分離膜が報告されている。特許文献2の発明では、吸着材を含有する多孔質構造からなる層は、孔内に吸着材が担持されている。これにより、ホウ素などに代表される低分子化合物・イオンなどの低減と、濁質や微生物の除去を同時に達成する複合分離膜が提供されている。
水中の有害物質の除去を目的として、分離膜の機能と吸着の機能を複合化した成形品については既知であるものの、これらの成形品は、吸着サイトの多くが膜内部に埋没しており、原水との接触面積が小さいため、吸着速度が遅く、水処理分野とくに浄水器・産業用途などの高流速における吸着性能が不十分であるという課題があった。
本発明の目的は、水中のホウ素、ヒ素、リン、などの有害物質の除去において、高流速においても吸着性能が優れる吸着材を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明は、中空部(2)と、前記中空部(2)を囲む本体部(3)を有する中空糸状吸着材(1)であって、前記本体部(3)は、樹脂部(32)および前記樹脂部に囲まれた細孔(33)を有する多孔質である基材(31)と、前記樹脂部に担持される金属粒子(35)とを備え、前記金属粒子の少なくとも一部は前記細孔を囲む樹脂部表面上に露出しており、前記中空糸状吸着材100質量部あたりの前記金属粒子の量が5〜40質量部であり、前記細孔の内壁において、前記金属粒子で覆われた部分の面積Sm[m2/g]と、細孔の内壁全体の面積St[m2/g]とが、0.5<Sm/Stを満たす中空糸状吸着材を提供する。
高比表面積である中空糸状多孔質基材の多孔質層の細孔の内壁の少なくとも一部を金属粒子で覆う(金属粒子を露出させる)ことによって、金属粒子と吸着物質との接触効率が向上し、高流速での吸着が可能になることに加え、金属粒子の偏在化による過剰な積層や細孔の閉塞を防止することで、吸着容量を向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
1.中空糸状吸着材
(1−1)基材
(1−1−1)材料
本発明の中空糸状吸着材の基材を構成する材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリ(メタ)アクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン等のハロゲン化ポリオレフィン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、セルロースエステルまたは、各ポリマーにアミノ基、カルボキシル基、水酸基、スルホ基などの官能基を導入したもののうち少なくとも一つを含むことが好ましい。
(1−1)基材
(1−1−1)材料
本発明の中空糸状吸着材の基材を構成する材料は、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリ(メタ)アクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン等のハロゲン化ポリオレフィン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、セルロースエステルまたは、各ポリマーにアミノ基、カルボキシル基、水酸基、スルホ基などの官能基を導入したもののうち少なくとも一つを含むことが好ましい。
(1−1−2)形状
本発明の中空糸状基材の厚みは、透過性能を向上させる観点から、1μm以上1500μm以下であることが好ましく、1μm以上700μm以下であることがより好ましく、2μm以上500μm以下であることがさらに好ましく、10μm以上300μm以下であることが特に好ましく、30μm以上200μm以下であることが最も好ましい。
本発明の中空糸状基材の外径は、モジュールに充填した際の有効膜面積と、膜強度を両立させる観点から、中空糸の外径が30μm以上8000μm以下であることが好ましく、50μm以上5000μm以下であることがより好ましく、200μm以上4000μm以下であることがさらに好ましく、300μm以上700μm以下であることが特に好ましく、400μm以上700μm以下であることが最も好ましい。
本発明の中空糸状基材の厚みは、透過性能を向上させる観点から、1μm以上1500μm以下であることが好ましく、1μm以上700μm以下であることがより好ましく、2μm以上500μm以下であることがさらに好ましく、10μm以上300μm以下であることが特に好ましく、30μm以上200μm以下であることが最も好ましい。
本発明の中空糸状基材の外径は、モジュールに充填した際の有効膜面積と、膜強度を両立させる観点から、中空糸の外径が30μm以上8000μm以下であることが好ましく、50μm以上5000μm以下であることがより好ましく、200μm以上4000μm以下であることがさらに好ましく、300μm以上700μm以下であることが特に好ましく、400μm以上700μm以下であることが最も好ましい。
本発明に使用する多孔質中空糸の製造方法は、特に限定されず、例えば熱誘起相分離、非溶媒相分離法、溶融法によって作製される。
(1−2)金属粒子
(1−2−1)種類
本発明の吸着材は金属粒子を基材に担持させたものである。金属粒子の種類は特に限定されず、例えば、銀、銅、鉄、チタン、ジルコニウム、セリウムより選ばれる少なくとも1種を含む粒子が挙げられる。これらは、吸着対象によって任意に選択することができる。
例えば吸着対象が、ホウ素、ヒ素、リン、フッ素イオンである場合、金属酸化物、金属水酸化物およびそれらの水和物が挙げられる。
(1−2−1)種類
本発明の吸着材は金属粒子を基材に担持させたものである。金属粒子の種類は特に限定されず、例えば、銀、銅、鉄、チタン、ジルコニウム、セリウムより選ばれる少なくとも1種を含む粒子が挙げられる。これらは、吸着対象によって任意に選択することができる。
例えば吸着対象が、ホウ素、ヒ素、リン、フッ素イオンである場合、金属酸化物、金属水酸化物およびそれらの水和物が挙げられる。
また、微粒子状の金属粒子としては、吸着容量の点から金属水酸化物、金属含水酸化物が好ましい。
金属水酸化物、金属含水酸化物として希土類元素水酸化物、希土類元素含水酸化物、水酸化ジルコニウム、含水酸化ジルコニウム、水酸化鉄、含水酸化鉄、水酸化マンガン、含水水酸化マンガンが挙げられる。希土類元素としては、元素の周期表による原子番号21番のスカンジウムScと39番のイットリウムY、57番から71番のランタノイド元素、すなわちランタンLa、セリウムCe、プラセオジウムPr、ネオジウムNd、プロメチウムPm、サマリウムSm、ユウロピウムEu、カドリニウムGd、テルビウムTb、ジスプロシウムDy、ホルミウムHo、エルビウムEr、ツリウムTm、イッテルビウムYb、ルテチウムLuが該当し、なかでもイオン除去性能の観点から好ましい元素はセリウムであり、4価のセリウムが好ましい。これらの水酸化物及び/又は含水酸化物の混合体も有用である。
金属粒子の含水率は、1質量部以上であることが好ましく、5質量部以上であることがより好ましい。1質量部以上であることで、粒子内部にも吸着サイトを付与でき、十分な吸着能を有する。また、30質量部以下であることが好ましく、20質量部以下であることがより好ましい。30質量部以下であることで、粒子内部の吸着サイトの密度を大きくでき、十分な吸着能を有する。
(1−2−3)粒子径
本発明の吸着材において、金属粒子の粒子径は1〜1000nmであることが好ましい。なお、本発明でいう粒子径とは、各粒子が分散している状態であれば分散した状態(1次粒子)の粒子径のことをいい、粒子が凝集している状態であれば凝集した状態(2次粒子)の粒子径のことをいう。
本発明の吸着材において、金属粒子の粒子径は1〜1000nmであることが好ましい。なお、本発明でいう粒子径とは、各粒子が分散している状態であれば分散した状態(1次粒子)の粒子径のことをいい、粒子が凝集している状態であれば凝集した状態(2次粒子)の粒子径のことをいう。
金属粒子の粒子径は、500nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましく、50nm以下であることがさらに好ましい。粒子径が1000nmを超えると、粒子の外表面に存在する吸着サイトが少なくなり、十分な吸着能を発揮できない。また、金属粒子の粒子径は、5nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましく、15nm以上であることがさらに好ましい。吸着材作製時の粒子の凝集を考慮すると、粒子径の下限は1nmである。
(1−3)中空糸状吸着材
(1−3−1)形状
中空糸状吸着材の孔径は50nm以上であることが好ましく、100nm以上であることがより好ましく、200nm以上がさらに好ましい。孔径が100nm以上であることで、細孔内部へ通水する際の通水抵抗を小さくすることができる。一方で多孔質体の孔径は1000nm以下であることが好ましく、500nm以下であることがより好ましい。孔径が1000nm以下であることによって、中空糸状吸着材の比表面積が増加し、原水と吸着材の接触面積を大きくすることができ、吸着速度を大きくすることができる。中空糸状吸着材の平均孔径r(nm)はバブルポイント法を用いて求められる。水中で中空糸の透過側から空気圧を徐々加えていき、初めて連続的に空気が漏れるときの圧力をバブルポイントPb(kPa)として記録し、測定液体の表面張力γ(N/m)を用い、下式{1}によって平均孔径を算出する。
r(nm)=4000×γ(N/m)/Pb(kPa)・・・式{1}
本発明の中空糸状吸着材は、高い純水透過性能と高い強度を両立するために、空隙率は30%以上80%以下が好ましく、50%以上65%以下がより好ましい。空隙率が、30%以上であることで純水透過性能が高くなり、80%以下であることで、中空糸状吸着材の強度を維持するとともに、原水と十分な接触面積を確保でき、吸着速度が大きくなる。中空糸状吸着材の空隙率εは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて10,000倍の倍率にて多孔質構造体の径方向の断面写真を撮り、樹脂部分面積Spと空隙部分面積Seを用いて、式{2}によって求められる。精度を高めるために、任意の20点以上、好ましくは30点以上の断面について空隙率を求め、それらの平均値を用いることが好ましい。
ε(%)=100×Se/(Se+Sp)・・・式{2}
本発明の中空糸状吸着材の厚みは、透過性能を向上させる観点から、1μm以上1000μm以下であることが好ましく、1μm以上500μm以下であることがより好ましく、2μm以上400μm以下であることがさらに好ましく、20μm以上200μm以下であることが特に好ましく、50μm以上150μm以下であることが最も好ましい。
本発明の中空糸状吸着材の外径は、モジュールに充填した際の有効膜面積と、膜強度を両立させる観点から、中空糸の外径が50μm以上5000μm以下であることが好ましく、100μm以上5000μm以下であることがより好ましく、200μm以上4000μm以下であることがさらに好ましく、300μm以上700μm以下であることが特に好ましく、400μm以上700μm以下であることが最も好ましい。
(1−3−1)形状
中空糸状吸着材の孔径は50nm以上であることが好ましく、100nm以上であることがより好ましく、200nm以上がさらに好ましい。孔径が100nm以上であることで、細孔内部へ通水する際の通水抵抗を小さくすることができる。一方で多孔質体の孔径は1000nm以下であることが好ましく、500nm以下であることがより好ましい。孔径が1000nm以下であることによって、中空糸状吸着材の比表面積が増加し、原水と吸着材の接触面積を大きくすることができ、吸着速度を大きくすることができる。中空糸状吸着材の平均孔径r(nm)はバブルポイント法を用いて求められる。水中で中空糸の透過側から空気圧を徐々加えていき、初めて連続的に空気が漏れるときの圧力をバブルポイントPb(kPa)として記録し、測定液体の表面張力γ(N/m)を用い、下式{1}によって平均孔径を算出する。
r(nm)=4000×γ(N/m)/Pb(kPa)・・・式{1}
本発明の中空糸状吸着材は、高い純水透過性能と高い強度を両立するために、空隙率は30%以上80%以下が好ましく、50%以上65%以下がより好ましい。空隙率が、30%以上であることで純水透過性能が高くなり、80%以下であることで、中空糸状吸着材の強度を維持するとともに、原水と十分な接触面積を確保でき、吸着速度が大きくなる。中空糸状吸着材の空隙率εは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて10,000倍の倍率にて多孔質構造体の径方向の断面写真を撮り、樹脂部分面積Spと空隙部分面積Seを用いて、式{2}によって求められる。精度を高めるために、任意の20点以上、好ましくは30点以上の断面について空隙率を求め、それらの平均値を用いることが好ましい。
ε(%)=100×Se/(Se+Sp)・・・式{2}
本発明の中空糸状吸着材の厚みは、透過性能を向上させる観点から、1μm以上1000μm以下であることが好ましく、1μm以上500μm以下であることがより好ましく、2μm以上400μm以下であることがさらに好ましく、20μm以上200μm以下であることが特に好ましく、50μm以上150μm以下であることが最も好ましい。
本発明の中空糸状吸着材の外径は、モジュールに充填した際の有効膜面積と、膜強度を両立させる観点から、中空糸の外径が50μm以上5000μm以下であることが好ましく、100μm以上5000μm以下であることがより好ましく、200μm以上4000μm以下であることがさらに好ましく、300μm以上700μm以下であることが特に好ましく、400μm以上700μm以下であることが最も好ましい。
(1−3−2)中空糸状吸着材における金属粒子質量割合
中空糸状吸着材における金属粒子の質量割合は、5質量部以上40質量部以下であることが重要である。5質量部未満であると、吸着容量が不十分である。一方で、40質量部より大きいと多孔質細孔内部に吸着性粒子が多く入りすぎ、細孔が閉塞し、通水抵抗が増加してしまう。
中空糸状吸着材における金属粒子の質量割合は、5質量部以上40質量部以下であることが重要である。5質量部未満であると、吸着容量が不十分である。一方で、40質量部より大きいと多孔質細孔内部に吸着性粒子が多く入りすぎ、細孔が閉塞し、通水抵抗が増加してしまう。
金属粒子の質量割合は、以下の手順で測定することが出来る。まず、中空糸状吸着材の質量(W1)を秤量する。次に、基材を強アルカリ・強酸水溶液などの良溶媒に溶解するか、電気炉によって800℃以上で熱する方法を組み合わせて金属粒子を取り出し、金属粒子の質量(W2)を秤量する。金属粒子の質量割合rはW1とW2の比、すなわちr=W2/W1の百分率である。
中空糸状吸着材の表面積Stに対する金属粒子で覆われた部分(言い換えると金属粒子が露出した部分)の面積Smの割合(Sm/St)は0.5以上であることが重要である。0.5以上であると、中空糸状吸着材の細孔内表面における金属粒子が少ないため、原水との接触面積が小さく、高流速での吸着を効果的に行うことができない。
面積Smの割合について、図1、2を参照して説明する。図1は本発明の中空糸状吸着材の断面図(上半分)を表している。図2は、図1の2で表されている多孔質層内表面を拡大したものである。金属粒子でおおわれている部分の面積と樹脂が露出している部分の面積の和に対する金属粒子でおおわれている面積の割合が、割合Sm/Stである。
割合Sm/Stは、X線光電子分光装置(XPS)、3次元計測走査電子顕微鏡(3D−SEM)、および、エネルギー分散型X線分光装置(EDX)を用いて、以下の手順で求めることができる。
まず、XPSを用いて、中空糸状吸着材に担持されている金属粒子の平均的な酸化状態を確認し、その酸化状態から推定される金属酸化物中における金属濃度(金属原子重量割合)を算出し、金属粒子中の金属原子割合C1とする
なお、このようにして得られる「金属粒子中の金属原子割合C1」は、金属が酸化物として存在すると仮定した場合の濃度であるが、金属原子が水酸化物等他の状態で存在する場合にも適用できる。 次に、担持金属に含まれている金属原子を構成要素とする金属結晶を標準サンプルとして、電子線を照射した際に検出される特性X線強度を測定し、標準サンプルにおける金属元素濃度C2と特性X線強度Iaを対応させる。
なお、このようにして得られる「金属粒子中の金属原子割合C1」は、金属が酸化物として存在すると仮定した場合の濃度であるが、金属原子が水酸化物等他の状態で存在する場合にも適用できる。 次に、担持金属に含まれている金属原子を構成要素とする金属結晶を標準サンプルとして、電子線を照射した際に検出される特性X線強度を測定し、標準サンプルにおける金属元素濃度C2と特性X線強度Iaを対応させる。
その後、試料を3D−SEM、EDXで測定した際に、各画素から検出される特性X線強度Ibから下式{3}を用いて、各画素の金属原子濃度C3を算出する。
C3=C2×(Ib/Ia)・・・式{3}
得られた各画素の金属原子濃度C3から下式{4}を用いて、各画素における金属粒子割合Rmを算出する。
Rm(%)=100×(C3/C1)・・・式{4}
細孔に対応する画素は特性X線強度がきわめて小さくなる。上記式{4}で求められるRmが0.1%未満である画素を多孔質層内の細孔とみなす。細孔に相当する画素に隣接する画素は、細孔の内壁、つまり細孔を囲む樹脂部表面の組成を反映する。以下、単に「樹脂部表面」という場合は、本体部3または中空糸状吸着材1の外周面ではなく、細孔の内壁を指す。
C3=C2×(Ib/Ia)・・・式{3}
得られた各画素の金属原子濃度C3から下式{4}を用いて、各画素における金属粒子割合Rmを算出する。
Rm(%)=100×(C3/C1)・・・式{4}
細孔に対応する画素は特性X線強度がきわめて小さくなる。上記式{4}で求められるRmが0.1%未満である画素を多孔質層内の細孔とみなす。細孔に相当する画素に隣接する画素は、細孔の内壁、つまり細孔を囲む樹脂部表面の組成を反映する。以下、単に「樹脂部表面」という場合は、本体部3または中空糸状吸着材1の外周面ではなく、細孔の内壁を指す。
樹脂部表面に相当する画素において、式{4}から求められる金属粒子割合が20%以上となる画素の合計面積を露出金属表面積Sm、20%未満である画素の合計面積を露出樹脂面積Sjとした。このとき、多孔質基材の表面積StはSt=Sm+Sjとし、金属粒子による表面被覆率Sm/Stを求める。
2.中空糸状吸着材の製造方法
(2−1)基材表面処理
本発明の吸着材の基材は、基材の表面処理を行うことが好ましい。基材の表面処理を行うことで、基材の表面に官能基を誘起させ、その官能基と金属粒子が相互作用することで、粒径が小さい状態で金属粒子を基材に担持させることが可能となる。
(2−1)基材表面処理
本発明の吸着材の基材は、基材の表面処理を行うことが好ましい。基材の表面処理を行うことで、基材の表面に官能基を誘起させ、その官能基と金属粒子が相互作用することで、粒径が小さい状態で金属粒子を基材に担持させることが可能となる。
表面処理の方法は特に限定されないが、コロナ放電処理、プラズマ処理、アルカリ処理、電子線放射処理、真空紫外線処理などの光化学処理、スルホン化、アミノ化、カルボキシル化、ニトロ化などの化学処理が挙げられる。
コロナ放電処理、プラズマ処理は、特定のガスの雰囲気下で行うことが、官能基を誘起させる効率が良いため好ましい。ガスの種類としては、酸素、窒素、炭酸ガス、およびそれらの混合ガスなどが挙げられる。その際の処理強度は任意に設定できる。前記化学処理の方法は特に限定されず、硫酸を用いるスルホン化、アンモニアを用いるアミノ化、二酸化炭素を用いるカルボキシル化などが挙げられる。
(2−2)基材への金属粒子担持
(2−2−1)金属粒子担持方法
金属粒子の粒子径を(1−2−3)に記載の範囲で、中空糸状基材表面へ析出させる方法は特に限定されないが、例えば、基材と金属粒子のナノコロイド溶液を接触させる方法と、基材と金属塩溶液を接触させる方法、の2つが挙げられる。
(2−2−1)金属粒子担持方法
金属粒子の粒子径を(1−2−3)に記載の範囲で、中空糸状基材表面へ析出させる方法は特に限定されないが、例えば、基材と金属粒子のナノコロイド溶液を接触させる方法と、基材と金属塩溶液を接触させる方法、の2つが挙げられる。
基材が官能基を有していることが、金属粒子が官能基と結合することで微分散しやすい点で好ましい。ここでいう官能基は特に限定されないが、(2−1)で例示した官能基が挙げられる。ナノコロイド溶液を形成する金属粒子の種類は特に限定されないが、(1−2−1)で例示した金属粒子が挙げられる。金属塩溶液を形成する金属塩の種類は特に限定されないが、(1−2−1)で例示した金属粒子の硝酸塩、硫酸塩、塩化物、フッ化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、炭酸塩、クロム酸塩などが挙げられる。
基材と金属塩溶液を接触させる場合、基材と金属塩溶液を接触させることで金属イオンを官能基に吸着させ、必要に応じ、金属塩の金属イオンを酸化あるいは還元することで、基材表面に金属単体、もしくは、金属酸化物の粒子を析出させることができる。酸化・還元方法は特に限定されず、化学的酸化剤・あるいは還元剤を用いる定法に加え、さらに触媒や光照射などを併用することができる。また、金属塩溶液と基材を接触させた後、アルカリを溶液に添加することで、基材表面に金属酸化物粒子を析出させることも可能である。
(2−2−2)金属粒子担持における流動条件
中空糸状基材へ金属粒子を担持する際、基材内部への通水を行うことが好ましい。基材と金属塩溶液を接触させる場合には、基材表面に吸着させた金属イオンを金属粒子として析出させるために、酸化剤、還元剤、アルカリなどの薬液を溶液へ添加する工程において、基材内部への通水が特に重要である。酸化剤、還元剤、アルカリを溶液へ添加した際、基材多孔質層での拡散に時間を要するため、中空糸基材の外径部あるいは内径部と、基材多孔質内表面との薬液濃度差が生じ、金属粒子の担持ムラが生じる。溶液を中空糸基材内部へと通水することで、薬液濃度差をなくし、多孔質内表面への均一な金属担持が可能となる。基材と金属粒子のナノコロイド溶液を接触させる場合にも、同様に通水することで、多孔質層内表面へ金属粒子を均一に担持することができる。
中空糸状基材へ金属粒子を担持する際、基材内部への通水を行うことが好ましい。基材と金属塩溶液を接触させる場合には、基材表面に吸着させた金属イオンを金属粒子として析出させるために、酸化剤、還元剤、アルカリなどの薬液を溶液へ添加する工程において、基材内部への通水が特に重要である。酸化剤、還元剤、アルカリを溶液へ添加した際、基材多孔質層での拡散に時間を要するため、中空糸基材の外径部あるいは内径部と、基材多孔質内表面との薬液濃度差が生じ、金属粒子の担持ムラが生じる。溶液を中空糸基材内部へと通水することで、薬液濃度差をなくし、多孔質内表面への均一な金属担持が可能となる。基材と金属粒子のナノコロイド溶液を接触させる場合にも、同様に通水することで、多孔質層内表面へ金属粒子を均一に担持することができる。
金属塩溶液を中空糸状基材と接触させたのち、酸化剤、還元剤、アルカリなどの薬液を添加することで金属粒子を基材上に析出させる工程、あるいは金属粒子のナノコロイド溶液を中空糸基材へ通水する際の透過流速は0.02mm/s以上、2.0mm/s以下であることが好ましく、0.1mm/s以上、0.5mm/s以下であることがさらに好ましい。透過流速が0.02mm/s以上であることで、拡散のみではなく、水流によって効果的に多孔質内表面へ溶液を接触させることができる。透過流速が2.0mm/s以下であることで、流速が速すぎることによる金属粒子析出の阻害や、析出した金属粒子の剥離を防止することができる。なお、透過流速U(m/s)は、流量Q(m3/s)を中空糸状吸着材の流路断面積S(m2)で割った値である。流量Q(m3/s)とは対象とする基材へ通水した際の単位時間当たりの透過体積のことである。中空糸状吸着材の流路断面積S(m2)は、中空糸状吸着材の内径と外径の平均値Rav(m)から求められる円周に、中空糸状吸着材の有効長L(m)と中空糸状吸着材の本数Nを掛け合わせたものであり、下式{5}で求められる。
S(m2)=π×Rav(m)×L(m)×N・・・式{5}
また、透過流速U(m/s)は式{5}で求めた流路断面積S(m2)を用いて、下式{6}で求められる。
U(m/s)=Q(m3/s)/S(m2)・・・式{6}
(2−2−3)基材の形状
中空糸状基材の孔径は100nm以上であることが好ましく、200nm以上であることがより好ましく、300nm以上がさらに好ましい。孔径が100nm以上であることによって、細孔内部への金属粒子の拡散が容易になり、基材への金属粒子の均一な担持が可能になる。また、細孔の閉塞による吸着性能の低下を防ぐことができる。一方で中空糸状基材の孔径は1500nm以下であることが好ましく、1000nm以下であることがより好ましい。孔径が1500nm以下であることによって、中空糸状基材の比表面積が増加し、より多くの金属粒子を細孔内表面に担持することが可能になり、吸着容量を大きくすることができる。基材の平均孔径r(nm)はバブルポイント法を用いて求められる。水中で中空糸の透過側から空気圧を徐々加えていき、初めて連続的に空気が漏れるときの圧力をバブルポイントPb(kPa)として記録し、測定液体の表面張力γ(N/m)を用い、下式{1}によって平均孔径を算出する。
r(nm)=4000×γ(N/m)/Pb(kPa)・・・式{1}
中空糸状基材の空隙率は25%以上90%以下が好ましく、45%以上70%以下がより好ましく、50%以上65%以下がさらに好ましい。空隙率が、25%以上であることで、細孔の閉塞による吸着性能の低下を防ぐことができ、90%以下であることで、金属塩溶液あるいは金属粒子のナノコロイド溶液と十分な接触面積を確保することができ、より多くの金属粒子を担持することができる。中空糸状基材の空隙率εは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて10,000倍の倍率にて多孔質構造体の径方向の断面写真を撮り、樹脂部分面積Spと空隙部分面積Seを用いて、式{2}によって求められる。精度を高めるために、任意の20点以上、好ましくは30点以上の断面について空隙率を求め、それらの平均値を用いることが好ましい。
ε(%)=100×Se/(Se+Sp)・・・式{2}
3.吸着材の利用
上述の中空糸状吸着材は、浄水器に適用可能である。浄水器は、中空糸状吸着材を保持する吸着材保持部と、吸着材保持部に水を導く導水部と、吸着材保持部から流出する水を受ける水収容部とを備える。
S(m2)=π×Rav(m)×L(m)×N・・・式{5}
また、透過流速U(m/s)は式{5}で求めた流路断面積S(m2)を用いて、下式{6}で求められる。
U(m/s)=Q(m3/s)/S(m2)・・・式{6}
(2−2−3)基材の形状
中空糸状基材の孔径は100nm以上であることが好ましく、200nm以上であることがより好ましく、300nm以上がさらに好ましい。孔径が100nm以上であることによって、細孔内部への金属粒子の拡散が容易になり、基材への金属粒子の均一な担持が可能になる。また、細孔の閉塞による吸着性能の低下を防ぐことができる。一方で中空糸状基材の孔径は1500nm以下であることが好ましく、1000nm以下であることがより好ましい。孔径が1500nm以下であることによって、中空糸状基材の比表面積が増加し、より多くの金属粒子を細孔内表面に担持することが可能になり、吸着容量を大きくすることができる。基材の平均孔径r(nm)はバブルポイント法を用いて求められる。水中で中空糸の透過側から空気圧を徐々加えていき、初めて連続的に空気が漏れるときの圧力をバブルポイントPb(kPa)として記録し、測定液体の表面張力γ(N/m)を用い、下式{1}によって平均孔径を算出する。
r(nm)=4000×γ(N/m)/Pb(kPa)・・・式{1}
中空糸状基材の空隙率は25%以上90%以下が好ましく、45%以上70%以下がより好ましく、50%以上65%以下がさらに好ましい。空隙率が、25%以上であることで、細孔の閉塞による吸着性能の低下を防ぐことができ、90%以下であることで、金属塩溶液あるいは金属粒子のナノコロイド溶液と十分な接触面積を確保することができ、より多くの金属粒子を担持することができる。中空糸状基材の空隙率εは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて10,000倍の倍率にて多孔質構造体の径方向の断面写真を撮り、樹脂部分面積Spと空隙部分面積Seを用いて、式{2}によって求められる。精度を高めるために、任意の20点以上、好ましくは30点以上の断面について空隙率を求め、それらの平均値を用いることが好ましい。
ε(%)=100×Se/(Se+Sp)・・・式{2}
3.吸着材の利用
上述の中空糸状吸着材は、浄水器に適用可能である。浄水器は、中空糸状吸着材を保持する吸着材保持部と、吸着材保持部に水を導く導水部と、吸着材保持部から流出する水を受ける水収容部とを備える。
また、上述の中空糸状吸着材は、浄水方法に適用可能である。この浄水方法によると、中空糸状吸着材に原水を接触させることで、ヒ素、ホウ素、リン、鉛、カドミウムまたはフッ素の少なくとも1種の濃度が前記原水よりも低い浄水を得ることができる。
以下に実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によってなんら限定されるものではない。
(1)金属粒子の、吸着材全体に対する質量割合(質量部)
中空糸状吸着材の質量W1を秤量する。次に、吸着材を強アルカリ・強酸水溶液などの良溶媒に溶解するか、電気炉によって800℃以上で熱する方法を組み合わせて金属粒子を取り出し、金属粒子の質量W2を秤量する。金属粒子の中空糸状吸着材全体に対する質量割合は(W2/W1)×100(質量部)である。
中空糸状吸着材の質量W1を秤量する。次に、吸着材を強アルカリ・強酸水溶液などの良溶媒に溶解するか、電気炉によって800℃以上で熱する方法を組み合わせて金属粒子を取り出し、金属粒子の質量W2を秤量する。金属粒子の中空糸状吸着材全体に対する質量割合は(W2/W1)×100(質量部)である。
(2)金属粒子による表面被覆率の算出方法
作製した中空糸状吸着材の、金属粒子による表面被覆率を、X線光電子分光装置(XPS)、3次元計測走査電子顕微鏡(3D−SEM)、および、エネルギー分散型X線分光装置(EDX)を用いて、以下の手順で求めた。まず、XPSを用いて、中空糸状吸着材に担持されている金属粒子の平均的な酸化状態を確認し、その酸化状態から推定される金属酸化物中における金属濃度(金属元素重量割合)を算出し、金属粒子中の金属元素濃度C1とした。
次に、担持金属に含まれている金属原子を構成要素とする金属結晶を標準サンプルとして、電子線を照射した際に検出される特性X線強度を測定し、標準サンプルにおける金属元素濃度C2と特性X線強度Iaを対応させた
その後、試料を3D−SEM、EDXで測定した際に、各画素から検出される特性X線強度Ibから下式{3}を用いて、各画素の金属原子濃度C3を算出した。
C3=C2×(Ib/Ia)・・・式{3}
得られた各画素の金属原子濃度C3から下式{4}を用いて、各画素における金属粒子割合Rmを算出する。
Rm(%)=100×(C3/C1)・・・式{4}
Rmが0.1%未満である画素が細孔に対応するとみなし、細孔に相当する画素に隣接する画素を細孔を囲む樹脂部の表面(細孔の内壁)とみなした。多孔質内表面において、式{4}から求められる金属粒子割合が20%以上となる画素の合計面積を露出金属表面積Sm、20%未満である画素の合計面積を露出樹脂面積Sjとした。このとき、多孔質基材の表面積StはSt=Sm+Sjとし、金属粒子による表面被覆率(Sm/St)を求めた。
詳細な 3D−SEM−EDXの条件を示す。
加速電圧:10kV
照射電流:15nA
計測時間:30ms
ビームサイズ:1μm
(3)平均孔径の測定方法
中空糸状基材もしくは中空糸状吸着材の平均孔径r(nm)はバブルポイント法を用いて求めた。水中で中空糸の透過側から空気圧を徐々加えていき、初めて連続的に空気が漏れるときの圧力をバブルポイントPb(kPa)として記録し、測定液体の表面張力γ(N/m)を用い、下式{1}によって平均孔径を算出した。
r(nm)=4000×γ(N/m)/Pb(kPa)・・・式{1}
(4)空隙率の測定方法
中空糸状基材もしくは中空糸状吸着材の空隙率εは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて10,000倍の倍率にて多孔質構造体の径方向の断面写真を撮り、樹脂部分面積Spと空隙部分面積Seを用いて、式{2}によって求めた。任意の30点以上の断面について空隙率を求め、それらの平均値を用いた。
ε(%)=100×Se/(Se+Sp)・・・式{2}
(5)外径の測定方法
中空糸状基材もしくは中空糸状吸着材の長手方向と垂直な方向(繊維径方向)と、膜の厚み方向の断面を光学顕微鏡により観察、撮影し、外径(μm)を算出した。なお、中空糸の外径は、中空糸10本を用いて算出し、その平均値とした。
作製した中空糸状吸着材の、金属粒子による表面被覆率を、X線光電子分光装置(XPS)、3次元計測走査電子顕微鏡(3D−SEM)、および、エネルギー分散型X線分光装置(EDX)を用いて、以下の手順で求めた。まず、XPSを用いて、中空糸状吸着材に担持されている金属粒子の平均的な酸化状態を確認し、その酸化状態から推定される金属酸化物中における金属濃度(金属元素重量割合)を算出し、金属粒子中の金属元素濃度C1とした。
次に、担持金属に含まれている金属原子を構成要素とする金属結晶を標準サンプルとして、電子線を照射した際に検出される特性X線強度を測定し、標準サンプルにおける金属元素濃度C2と特性X線強度Iaを対応させた
その後、試料を3D−SEM、EDXで測定した際に、各画素から検出される特性X線強度Ibから下式{3}を用いて、各画素の金属原子濃度C3を算出した。
C3=C2×(Ib/Ia)・・・式{3}
得られた各画素の金属原子濃度C3から下式{4}を用いて、各画素における金属粒子割合Rmを算出する。
Rm(%)=100×(C3/C1)・・・式{4}
Rmが0.1%未満である画素が細孔に対応するとみなし、細孔に相当する画素に隣接する画素を細孔を囲む樹脂部の表面(細孔の内壁)とみなした。多孔質内表面において、式{4}から求められる金属粒子割合が20%以上となる画素の合計面積を露出金属表面積Sm、20%未満である画素の合計面積を露出樹脂面積Sjとした。このとき、多孔質基材の表面積StはSt=Sm+Sjとし、金属粒子による表面被覆率(Sm/St)を求めた。
詳細な 3D−SEM−EDXの条件を示す。
加速電圧:10kV
照射電流:15nA
計測時間:30ms
ビームサイズ:1μm
(3)平均孔径の測定方法
中空糸状基材もしくは中空糸状吸着材の平均孔径r(nm)はバブルポイント法を用いて求めた。水中で中空糸の透過側から空気圧を徐々加えていき、初めて連続的に空気が漏れるときの圧力をバブルポイントPb(kPa)として記録し、測定液体の表面張力γ(N/m)を用い、下式{1}によって平均孔径を算出した。
r(nm)=4000×γ(N/m)/Pb(kPa)・・・式{1}
(4)空隙率の測定方法
中空糸状基材もしくは中空糸状吸着材の空隙率εは、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて10,000倍の倍率にて多孔質構造体の径方向の断面写真を撮り、樹脂部分面積Spと空隙部分面積Seを用いて、式{2}によって求めた。任意の30点以上の断面について空隙率を求め、それらの平均値を用いた。
ε(%)=100×Se/(Se+Sp)・・・式{2}
(5)外径の測定方法
中空糸状基材もしくは中空糸状吸着材の長手方向と垂直な方向(繊維径方向)と、膜の厚み方向の断面を光学顕微鏡により観察、撮影し、外径(μm)を算出した。なお、中空糸の外径は、中空糸10本を用いて算出し、その平均値とした。
(6)中空糸の厚み
中空糸状基材もしくは中空糸状吸着材の繊維径方向の断面を光学顕微鏡により観察、撮影し、中空糸1本につき6箇所の厚みを測定した。この測定を中空糸10本に対して行い、平均値をとることで中空糸の厚みとした。
中空糸状基材もしくは中空糸状吸着材の繊維径方向の断面を光学顕微鏡により観察、撮影し、中空糸1本につき6箇所の厚みを測定した。この測定を中空糸10本に対して行い、平均値をとることで中空糸の厚みとした。
(7)ヒ素除去率
複数本の中空糸状吸着材を、ポリエチレンフィルムで巻いて中空糸束とした。この中空糸束を半分の長さで折り曲げ、中空糸の開口部を一方にそろえる。円筒型のカラムに中空糸束を挿入し、中空糸開口部側末端をエポキシポッティング剤で固めた。両末端には液の出入り口を有するエンドキャップを取り付け、中空糸の外側から内側へと原水が透過できるようにした。中空糸状吸着材の吸着材層体積が5mLとなるように、カラムを作製した。ここでの中空糸状吸着材の吸着材層体積とは、中空糸の外径から求められる体積((中空糸外径)2/4×中空糸長さ)より中空部分((中空糸内径)2/4×中空糸長さ)を差し引いた体積である。ペリスタリックポンプにつないだチューブと、中空糸状吸着材を用いて作製したカラムを接続し、中空糸状吸着材の吸着材層体積に対する空間時間SV値が100(hr−1)となるように原水を通液した。原水は、亜ヒ酸ナトリウムを蒸留水に溶解させ、3価のヒ素濃度が100ppbとなるように調整したものを使用した。
複数本の中空糸状吸着材を、ポリエチレンフィルムで巻いて中空糸束とした。この中空糸束を半分の長さで折り曲げ、中空糸の開口部を一方にそろえる。円筒型のカラムに中空糸束を挿入し、中空糸開口部側末端をエポキシポッティング剤で固めた。両末端には液の出入り口を有するエンドキャップを取り付け、中空糸の外側から内側へと原水が透過できるようにした。中空糸状吸着材の吸着材層体積が5mLとなるように、カラムを作製した。ここでの中空糸状吸着材の吸着材層体積とは、中空糸の外径から求められる体積((中空糸外径)2/4×中空糸長さ)より中空部分((中空糸内径)2/4×中空糸長さ)を差し引いた体積である。ペリスタリックポンプにつないだチューブと、中空糸状吸着材を用いて作製したカラムを接続し、中空糸状吸着材の吸着材層体積に対する空間時間SV値が100(hr−1)となるように原水を通液した。原水は、亜ヒ酸ナトリウムを蒸留水に溶解させ、3価のヒ素濃度が100ppbとなるように調整したものを使用した。
中空糸状吸着材体積に対し、原水が10bed vol.(50mL)透過した後、10mLサンプリングし、その後30分おきに同じく10mLずつサンプリングした。透過液中のヒ素濃度をICP−AES(Inductively Coupled Plasma−Atomic Emission Spectrometry)により測定し、原水ヒ素濃度Cas0、透過液ヒ素濃度Casを用い、式{7}によってヒ素除去率Rasを算出した。
Ras(%)={100×(Cas0―Cas)/Cas0}・・・式{7}
最初に採取した10mLから求められる除去率を初期除去率とし、除去率が50%を下回った際に通過した流量から吸着材寿命(bed vol.)とした。
なお、bed vol.とは、透過液の体積を吸着材層体積で割った値である。
Ras(%)={100×(Cas0―Cas)/Cas0}・・・式{7}
最初に採取した10mLから求められる除去率を初期除去率とし、除去率が50%を下回った際に通過した流量から吸着材寿命(bed vol.)とした。
なお、bed vol.とは、透過液の体積を吸着材層体積で割った値である。
(8)ホウ素除去率
ヒ素除去率測定と同様の方法で、ホウ酸2000ppbの水溶液を原水として使用し、原水ホウ素濃度Cb0、透過液ホウ素濃度CbをICP−AESによって測定し、下式{8}を用いてホウ素除去率Rbを算出し、初期除去率と吸着材寿命を求めた。
Rb(%)={100×(Cb0―Cb)/Cb0}・・・式{8}
(9)透過流速
透過流速U(m/s)は、流量Q(m3/s)を中空糸状吸着材の流路断面積S(m2)で割った値である。流量Q(m3/s)とは対象とする基材へ通水した際の単位時間当たりの透過体積のことである。中空糸状吸着材の流路断面積S(m2)は、中空糸状吸着材の内径と外径の平均値Rav(m)から求められる円周に、中空糸状吸着材の有効長L(m)と中空糸状吸着材の本数Nを掛け合わせたものであり、下式{5}で求められる。
S(m2)=π×Rav(m)×L(m)×N・・・式{5}
また、透過流速U(m/s)は式{5}で求めた流路断面積S(m2)を用いて、下式{6}で求められる。
U(m/s)=Q(m3/s)/S(m2)・・・式{6}
(10)通水抵抗
ヒ素除去率測定時と同様に、ペリスタリックポンプにつないだチューブと中空糸状吸着材を用いて作製したカラムを接続し、中空糸状吸着材の吸着材層体積に対する空間時間SV値が100(hr−1)となるように純水を通液した。中空糸充填カラムの圧力損失と空のカラムの圧力損失を、流量を変化させて測定し、空のカラムでの圧損を中空糸充填カラムの圧損から差し引くことで、各流量において吸着材層にかかる圧損を得た。この圧損を中空糸状吸着材の厚み((外径―内径)/2)で割った値と、透過流速(m/s)の関係をプロットし、正比例の関係を確認した。この直線の傾きより、中空糸状吸着材の通水抵抗(Pa・s/m2)を求めた。
ヒ素除去率測定と同様の方法で、ホウ酸2000ppbの水溶液を原水として使用し、原水ホウ素濃度Cb0、透過液ホウ素濃度CbをICP−AESによって測定し、下式{8}を用いてホウ素除去率Rbを算出し、初期除去率と吸着材寿命を求めた。
Rb(%)={100×(Cb0―Cb)/Cb0}・・・式{8}
(9)透過流速
透過流速U(m/s)は、流量Q(m3/s)を中空糸状吸着材の流路断面積S(m2)で割った値である。流量Q(m3/s)とは対象とする基材へ通水した際の単位時間当たりの透過体積のことである。中空糸状吸着材の流路断面積S(m2)は、中空糸状吸着材の内径と外径の平均値Rav(m)から求められる円周に、中空糸状吸着材の有効長L(m)と中空糸状吸着材の本数Nを掛け合わせたものであり、下式{5}で求められる。
S(m2)=π×Rav(m)×L(m)×N・・・式{5}
また、透過流速U(m/s)は式{5}で求めた流路断面積S(m2)を用いて、下式{6}で求められる。
U(m/s)=Q(m3/s)/S(m2)・・・式{6}
(10)通水抵抗
ヒ素除去率測定時と同様に、ペリスタリックポンプにつないだチューブと中空糸状吸着材を用いて作製したカラムを接続し、中空糸状吸着材の吸着材層体積に対する空間時間SV値が100(hr−1)となるように純水を通液した。中空糸充填カラムの圧力損失と空のカラムの圧力損失を、流量を変化させて測定し、空のカラムでの圧損を中空糸充填カラムの圧損から差し引くことで、各流量において吸着材層にかかる圧損を得た。この圧損を中空糸状吸着材の厚み((外径―内径)/2)で割った値と、透過流速(m/s)の関係をプロットし、正比例の関係を確認した。この直線の傾きより、中空糸状吸着材の通水抵抗(Pa・s/m2)を求めた。
(実施例1)
多孔質層平均孔径42nm、空隙率41%、外径0.50mm、内径0.33mmのポリスルホン中空糸を15Mの硫酸に12時間浸漬し、スルホ化した。複数本の中空糸をポリエチレンフィルムで巻いて中空糸束とした。この中空糸束を半分の長さで折り曲げ、中空糸の開口部を一方にそろえる。円筒型のカラムに中空糸束を挿入し、中空糸開口部側末端をエポキシポッティング剤で固めた。両末端には液の出入り口を有するエンドキャップを取り付け、中空糸の外側から内側へと原水が透過できるようにした。中空糸状吸着材の吸着材層体積が5mLとなるように、カラムを作製した。ここでの中空糸状吸着材の吸着材層体積とは、中空糸の外径から求められる体積((中空糸外径)2/4×中空糸長さ)より中空部分((中空糸内径)2/4×中空糸長さ)を差し引いた体積である。ペリスタリックポンプにつないだチューブとカラムを接続し、中空糸の外側から内側へと2%塩化セリウム(III)水溶液を通水した。溶液はカラム外部の容器から供給され、カラムを通過したのち、再び容器に戻るようにし、循環させた。また、通水の間、カラム内部は溶液で満たされていた。30分間通水後、カラムへの供給を止め、カラムから溶液を排出した。その後、水酸化ナトリウム2%水溶液を、同様に30分間通液し、循環させ、含水酸化セリウムを中空糸上に析出させた。通水時の透過流速は0.2mm/sとした。担持後、純水にて5回バッチ洗浄を行った。この吸着材を用いて、ヒ素およびホウ素除去率測定を行った。
多孔質層平均孔径42nm、空隙率41%、外径0.50mm、内径0.33mmのポリスルホン中空糸を15Mの硫酸に12時間浸漬し、スルホ化した。複数本の中空糸をポリエチレンフィルムで巻いて中空糸束とした。この中空糸束を半分の長さで折り曲げ、中空糸の開口部を一方にそろえる。円筒型のカラムに中空糸束を挿入し、中空糸開口部側末端をエポキシポッティング剤で固めた。両末端には液の出入り口を有するエンドキャップを取り付け、中空糸の外側から内側へと原水が透過できるようにした。中空糸状吸着材の吸着材層体積が5mLとなるように、カラムを作製した。ここでの中空糸状吸着材の吸着材層体積とは、中空糸の外径から求められる体積((中空糸外径)2/4×中空糸長さ)より中空部分((中空糸内径)2/4×中空糸長さ)を差し引いた体積である。ペリスタリックポンプにつないだチューブとカラムを接続し、中空糸の外側から内側へと2%塩化セリウム(III)水溶液を通水した。溶液はカラム外部の容器から供給され、カラムを通過したのち、再び容器に戻るようにし、循環させた。また、通水の間、カラム内部は溶液で満たされていた。30分間通水後、カラムへの供給を止め、カラムから溶液を排出した。その後、水酸化ナトリウム2%水溶液を、同様に30分間通液し、循環させ、含水酸化セリウムを中空糸上に析出させた。通水時の透過流速は0.2mm/sとした。担持後、純水にて5回バッチ洗浄を行った。この吸着材を用いて、ヒ素およびホウ素除去率測定を行った。
(実施例2)
基材を平均孔径130nm、空隙率60%、外径0.51mm、内径0.32mmとした以外は実施例1と同様にして、中空糸状吸着材を作製し、ヒ素およびホウ素除去測定を行った。
基材を平均孔径130nm、空隙率60%、外径0.51mm、内径0.32mmとした以外は実施例1と同様にして、中空糸状吸着材を作製し、ヒ素およびホウ素除去測定を行った。
(実施例3)
基材を平均孔径450nm、空隙率82%、外径0.50mm、内径0.33mmとした以外は実施例1と同様にして、中空糸状吸着材を作製し、ヒ素およびホウ素除去測定を行った。
基材を平均孔径450nm、空隙率82%、外径0.50mm、内径0.33mmとした以外は実施例1と同様にして、中空糸状吸着材を作製し、ヒ素およびホウ素除去測定を行った。
(実施例4)
基材を平均孔径815nm、空隙率91%、外径0.48mm、内径0.32mmとした以外は実施例1と同様にして、中空糸状吸着材を作製し、ヒ素除去およびホウ素測定を行った。
基材を平均孔径815nm、空隙率91%、外径0.48mm、内径0.32mmとした以外は実施例1と同様にして、中空糸状吸着材を作製し、ヒ素除去およびホウ素測定を行った。
(実施例5)
多孔質平均孔径320nm、空隙率75%、外径0.53mm、内径0.43mmのポリエーテルスルホン中空糸を13Mの硫酸に12時間浸漬し、スルホ化した。複数本の中空糸をポリエチレンフィルムで巻いて中空糸束とした。この中空糸束を半分の長さで折り曲げ、中空糸の開口部を一方にそろえる。円筒型のカラムに中空糸束を挿入し、中空糸開口部側末端をエポキシポッティング剤で固めた。カラムへの中空糸充填率は40%とした。ここでいう中空糸充填率とは、中空部、空隙部も含めた中空糸の見かけ体積のことである。末端には液の出入り口を有するエンドキャップを取り付け、中空糸の外側から内側へと原水が透過できるようにした。ペリスタリックポンプにつないだチューブとカラムを接続し、中空糸の外側から内側へと2%塩化セリウム(III)水溶液を通水した。溶液はカラム外部の容器から供給され、カラムを通過したのち、再び容器に戻るようにし、循環させた。また、通水の間、カラム内部は溶液で満たされていた。30分間通水後、カラムへの供給を止め、カラムから溶液を排出した。その後、水酸化ナトリウム2%水溶液を、同様に30分間通液し、循環させ、含水酸化セリウムを中空糸上に析出させた。通水時の透過流速は0.2mm/sとした。担持後、純水にて5回バッチ洗浄を行った。この吸着材を用いて、ヒ素およびホウ素除去率測定を行った。
多孔質平均孔径320nm、空隙率75%、外径0.53mm、内径0.43mmのポリエーテルスルホン中空糸を13Mの硫酸に12時間浸漬し、スルホ化した。複数本の中空糸をポリエチレンフィルムで巻いて中空糸束とした。この中空糸束を半分の長さで折り曲げ、中空糸の開口部を一方にそろえる。円筒型のカラムに中空糸束を挿入し、中空糸開口部側末端をエポキシポッティング剤で固めた。カラムへの中空糸充填率は40%とした。ここでいう中空糸充填率とは、中空部、空隙部も含めた中空糸の見かけ体積のことである。末端には液の出入り口を有するエンドキャップを取り付け、中空糸の外側から内側へと原水が透過できるようにした。ペリスタリックポンプにつないだチューブとカラムを接続し、中空糸の外側から内側へと2%塩化セリウム(III)水溶液を通水した。溶液はカラム外部の容器から供給され、カラムを通過したのち、再び容器に戻るようにし、循環させた。また、通水の間、カラム内部は溶液で満たされていた。30分間通水後、カラムへの供給を止め、カラムから溶液を排出した。その後、水酸化ナトリウム2%水溶液を、同様に30分間通液し、循環させ、含水酸化セリウムを中空糸上に析出させた。通水時の透過流速は0.2mm/sとした。担持後、純水にて5回バッチ洗浄を行った。この吸着材を用いて、ヒ素およびホウ素除去率測定を行った。
(比較例1)
水酸化セリウムの析出工程において、通水を行わず、水酸化ナトリウム水溶液への浸漬のみで水酸化セリウムの担持を行った以外は実施例1と同様にして、中空糸状吸着材を作製し、ヒ素除去およびホウ素測定を行った。
(比較例2)
水酸化セリウムの析出工程において、水酸化ナトリウム水溶液通水時の透過流速を4.0mm/sとした以外は実施例1と同様にして、中空糸状吸着材を作製し、ヒ素除去およびホウ素測定を行った
(比較例3)
重量平均分子量41.7万のフッ化ビニリデンホモポリマー50質量部と平均直径4.5μmの水酸化セリウム30質量部を200℃で混練した後、前記フッ化ビニリデンホモポリマー組成物40質量部とγ−ブチロラクトン60質量部を150℃で攪拌して溶解することで均一分散液を得た。この分散液を85%γ−ブチロラクトン水溶液を中空部形成液体として随伴させながら二重環式口金から吐出し、γ−ブチロラクトン85質量部水溶液からなる0℃の浴中で固化し中空糸を得た。複数本の中空糸を約50cmの長さに切断し、ポリエチレンフィルムで巻いて中空糸束とした。この中空糸束を半分の長さで折り曲げ、中空糸の開口部を一方にそろえる。円筒型のカラムに中空糸束を挿入し、中空糸開口部側末端をエポキシポッティング剤で固めた。両末端には液の出入り口を有するエンドキャップを取り付け、中空糸の外側から内側へと原水が透過できるようにした。このカラムを用いて、ヒ素除去およびホウ素測定を行った。
水酸化セリウムの析出工程において、通水を行わず、水酸化ナトリウム水溶液への浸漬のみで水酸化セリウムの担持を行った以外は実施例1と同様にして、中空糸状吸着材を作製し、ヒ素除去およびホウ素測定を行った。
(比較例2)
水酸化セリウムの析出工程において、水酸化ナトリウム水溶液通水時の透過流速を4.0mm/sとした以外は実施例1と同様にして、中空糸状吸着材を作製し、ヒ素除去およびホウ素測定を行った
(比較例3)
重量平均分子量41.7万のフッ化ビニリデンホモポリマー50質量部と平均直径4.5μmの水酸化セリウム30質量部を200℃で混練した後、前記フッ化ビニリデンホモポリマー組成物40質量部とγ−ブチロラクトン60質量部を150℃で攪拌して溶解することで均一分散液を得た。この分散液を85%γ−ブチロラクトン水溶液を中空部形成液体として随伴させながら二重環式口金から吐出し、γ−ブチロラクトン85質量部水溶液からなる0℃の浴中で固化し中空糸を得た。複数本の中空糸を約50cmの長さに切断し、ポリエチレンフィルムで巻いて中空糸束とした。この中空糸束を半分の長さで折り曲げ、中空糸の開口部を一方にそろえる。円筒型のカラムに中空糸束を挿入し、中空糸開口部側末端をエポキシポッティング剤で固めた。両末端には液の出入り口を有するエンドキャップを取り付け、中空糸の外側から内側へと原水が透過できるようにした。このカラムを用いて、ヒ素除去およびホウ素測定を行った。
本発明の多孔質吸着材は、水中の有害物質の除去に好適に用いられる。
1:中空糸状吸着材
2:中空部
3:本体部
31:基材
32:樹脂部
33:細孔
35:金属粒子
4:中空糸状吸着材外径部
5:中空糸状吸着材内径部
6:細孔を囲む樹脂部表面(細孔内壁)
8:原水流路
90:金属粒子で覆われた部分(金属粒子が露出した部分)
91:樹脂が露出した部分
2:中空部
3:本体部
31:基材
32:樹脂部
33:細孔
35:金属粒子
4:中空糸状吸着材外径部
5:中空糸状吸着材内径部
6:細孔を囲む樹脂部表面(細孔内壁)
8:原水流路
90:金属粒子で覆われた部分(金属粒子が露出した部分)
91:樹脂が露出した部分
Claims (7)
- 中空部(2)と、前記中空部(2)を囲む本体部(3)を有する中空糸状吸着材(1)であって、
前記本体部(3)は、樹脂部(32)および前記樹脂部に囲まれた細孔(33)を有する多孔質である基材(31)と、前記樹脂部に担持される金属粒子(35)とを備え、
前記金属粒子の少なくとも一部は前記細孔を囲む樹脂部表面(6)上に露出しており、
前記中空糸状吸着材100質量部あたりの前記金属粒子の量が5〜40質量部であり、
前記細孔の内壁において、前記金属粒子で覆われた部分の面積Sm[m2/g]と、細孔の内壁全体の面積St[m2/g]とが、0.5<Sm/Stを満たす
中空糸状吸着材。 - 前記基材において、前記細孔の平均孔径(直径)が50〜1000nmを満たし、かつ
空隙率が30〜80%を満たす
請求項1に記載の中空糸状吸着材。 - 前記基材が、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリ(メタ)アクリレート、ポリアクリロニトリル、ハロゲン化ポリオレフィン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、およびセルロースエステル;並びにこれらポリマーにアミノ基、カルボキシル基、水酸基、またはスルホ基のうち少なくとも1つの官能基を導入した化合物のうち少なくとも一つを含む
請求項1または2に記載の中空糸状吸着材。 - 前記金属粒子が水中に存在するヒ素、ホウ素、リン、鉛、カドミウム、フッ素のうち少なくとも1種を除去可能な
請求項1〜3のいずれかに記載の中空糸状吸着材。 - 前記金属粒子を構成する金属が銀、銅、鉄、チタン、ジルコニウム、およびセリウム、並びにそれらの酸化物および水酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む
請求項1〜4のいずれかに記載の中空糸状吸着材。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載の中空糸状吸着材と、
前記中空糸状吸着材を保持する吸着材保持部と、
前記吸着材保持部に水を導く導水部と、
前記吸着材保持部から流出する水を受ける水収容部と、
を有する浄水器。 - 請求項1〜5のいずれか一項に記載の中空糸状吸着材に原水を接触させることで、ヒ素、ホウ素、リン、鉛、カドミウムまたはフッ素の少なくとも1種の濃度が前記原水よりも低い浄水を得る、
浄水の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020079014A JP2021171729A (ja) | 2020-04-28 | 2020-04-28 | 中空糸状吸着材、浄水器、浄水の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020079014A JP2021171729A (ja) | 2020-04-28 | 2020-04-28 | 中空糸状吸着材、浄水器、浄水の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021171729A true JP2021171729A (ja) | 2021-11-01 |
Family
ID=78281092
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2020079014A Pending JP2021171729A (ja) | 2020-04-28 | 2020-04-28 | 中空糸状吸着材、浄水器、浄水の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2021171729A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2023210024A1 (ja) * | 2022-04-28 | 2023-11-02 | 国立大学法人金沢大学 | 複合体及びその製造方法 |
WO2023210025A1 (ja) * | 2022-04-28 | 2023-11-02 | 国立大学法人金沢大学 | 複合体及びその製造方法 |
-
2020
- 2020-04-28 JP JP2020079014A patent/JP2021171729A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2023210024A1 (ja) * | 2022-04-28 | 2023-11-02 | 国立大学法人金沢大学 | 複合体及びその製造方法 |
WO2023210830A1 (ja) * | 2022-04-28 | 2023-11-02 | 国立大学法人金沢大学 | 複合体及びその製造方法 |
WO2023210025A1 (ja) * | 2022-04-28 | 2023-11-02 | 国立大学法人金沢大学 | 複合体及びその製造方法 |
WO2023210831A1 (ja) * | 2022-04-28 | 2023-11-02 | 国立大学法人金沢大学 | 複合体及びその製造方法 |
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